海域再生対策検討作業小委員会(第14回)会議録

日時

平成28年6月24日(金)13:00~16:30

場所

天神チクモクビル 大ホール

出席者

(海域再生対策検討作業小委員会)

小委員会委員長 : 滝川清委員長

委員 : 小松利光委員、樽谷賢治委員、山口敦子委員

臨時委員:小林政広委員

専門委員 : 桐博英委員、橋本晴行委員、古川恵太委員、松野健委員

(生物・水産資源・水環境問題検討作業小委員会)

小委員会委員長 : 樽谷賢治委員長

委員 : 古賀秀昭委員、滝川清委員、内藤佳奈子委員、速水祐一委員、山本智子委員

専門委員 : 伊藤史郎委員、佐々木謙介委員、平山泉委員、栁村智彦委員、松山幸彦委員

(事務局)

水環境課閉鎖性海域対策室長、水環境課閉鎖性海域対策室長補佐、水環境課閉鎖性海域対策室主査

13時00分開会

○鳥山閉鎖性海域対策室主査 まだ山口委員がお見えでないようですが、定刻となりましたので、ただいまから有明海・八代海等総合調査評価委員会 第14回海域再生対策検討作業小委員会及び第14回生物・水産資源・水環境問題検討作業小委員会を開会いたします。

 最初に、本小委員会は公開の会議となっておりますことを申し上げます。

 本日の小委員会は、ご案内のとおり、両小委員会を合同で開催いたします。

 委員の出席状況ですが、欠席の連絡を、海域再生小委の小松委員、山口啓子委員、東委員、生物小委の岩渕委員よりいただいております。また本日は、評価委員会の岡田委員長にもご出席いただいております。

 続きまして、配付資料を確認させていただきます。

 まず、本日の議事次第、次に座席表、次に、資料1-1、1-2が両小委員会の委員名簿、資料2-1、2-2、2-3につきましては、委員意見及び対応案となっております。2-1が前回の海域小委のもの、2-2が生物小委のもの、そして2-3がこれまでの評価委員会、小委員会における委員意見及び対応として現在検討中のものを掲載しております。

 続いて資料3が、平成28年度を目途に取りまとめる予定の、委員会報告の目次イメージでございます。それから、資料4-1から4-9までにつきましては、有明海・八代海等の環境等変化でございます。順に、4-1から汚濁負荷、河川、潮流・潮汐、水質、底質環境、貧酸素水塊、藻場・干潟等、赤潮、生物となっております。

 続いて、資料5、6-1から6-8、7-1から7-6までが、問題点とその原因・要因の考察となっております。資料5がその基本的な考え方、6-1以降は海域ごとに記載しております。6-1から順にA1海域からA7海域、そして6-8が有明海全体、7-1から順にY1海域からY5海域、そして7-6が八代海全体となっております。

 次に、資料8が再生への取り組みのたたき台、資料9が二枚貝の浮遊幼生の供給ネットワークの試算の追加資料となっております。

 このほか参考資料といたしまして、参考資料1、有明海・八代海等の環境等変化のプランクトンに関する参考データを掲載しております。

 以上が配付資料でございます。不足の資料がございましたら事務局までお申しつけください。

 報道、取材の皆様、これ以降のカメラ撮影はお控えいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 これ以降の進行については、前半は生物小委の樽谷委員長に、休憩を挟みまして後半は海域再生小委の滝川委員長にお願いしたいと思います。

 それでは、樽谷委員長、よろしくお願いいたします。

○樽谷小委員会委員長 了解いたしました。前半の議事進行を担当いたします、西海区水産研究所の樽谷でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、早速ではございますが議事を始めさせていただきます。

 まず、本日の議題についてですけれども、1枚目の議事次第にありますように、本日は1番から4番まで計四つの議題が準備されています。まず、資料3、有明海・八代海等総合調査評価委員会委員会報告の目次(イメージ)をご覧ください。

 本日ご議論いただきます、まず議題の1番目、有明海・八代海等の環境等変化についてという部分につきましては、この目次のイメージの第3章に相当することになります。議題の2、海域ごとの問題点とその原因・要因の考察についてが、目次イメージの4章の問題点とその原因・要因の考察に相当いたします。議題の3、再生への取り組みについてが、5章の再生への取り組みの部分に関連するご議論ということになります。

 本日は、資料も多く、また新しくご検討いただく内容もございますので、議事の進行にご協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、議題の1番目、有明海・八代海等の環境等変化についてです。こちらにつきましては新たに作成されている資料もございますので、そちらと、前回の小委員会からの変更点等も含めまして、事務局からご説明のほどよろしくお願いいたします。

○束原閉鎖性海域対策室長補佐 それでは、まず資料の2-1をご覧ください。

 先ほど資料を確認しましたとおり、資料2-1、2-2、2-3と、前回の第13回海域再生小委と生物小委、さらに、それ以前に行われました委員会、小委員会での意見のうち、現在検討中のものを載せております。時間の都合もありますので、資料の説明は割愛させていただき、各資料の中で適宜説明させていただければと思います。

 資料3ですが、目次イメージということで、引き続きご意見いただきながら進めていきたいと思います。

 資料4からは、目次イメージの3章に当たるところでありまして、9項目あります。前回お示しできませんでした、1番の汚濁負荷の八代海分、3番の潮流・潮汐の潮流分、9番の生物については魚類の分について今回新たにお示しします。このほか、議題3では5章に関連するところを説明いたします。

 資料4-1をご覧ください。

 時間の都合もありますので変更点を中心に説明させていただきます。資料4-1は汚濁負荷です。前回の小委で有明海のみ示しておりますが、今回八代海分を掲載しております。

 2ページの下に、CODとT-N、3ページにT-Pの流入負荷の変遷について記載しております。八代海につきましては、球磨川流域からの流入負荷が全体の14から70%程度を占めています。

 3ページ、(2)排出負荷量の算定結果については、4ページにCODとT-N、5ページにはT-Pを掲載しております。八代海も有明海と同様の傾向を示していまして、CODとT-Pの排出量は、昭和50年代が高くなって徐々に減少しています。

 次に、(3)海域への直接負荷を含めた汚濁負荷の算定結果です。T-N、T-Pにつきましては、底質由来のものについて最大と最少の二つの数値があるので、それぞれ二つずつ図を掲載しております。陸域からの流入負荷につきましては、CODは全体の65から90%、T-Nについては全体の35から75%、T-Pは全体の14から67%を占めております。降雨の負荷ですが、CODでは全体の13から34%、T-Nでは全体の5から15%程度、T-Pでは2から6%程度。魚類養殖については、T-Nでは全体の4割弱、T-Pでは全体の6割程度を占めております。八代海への直接負荷を含めた汚濁負荷については、CODは陸域からの流入負荷と同じ傾向にあり、昭和50年代が高く、その後は減少傾向にあります。T-NとT-Pについては、平成20年前後が最大になっています。

 資料4-1については以上です。

 次に、資料4-2をご覧ください。河川についてです。

 9ページの図12の筑後川の平均河床高の変動状況について、もう少し状況変化について記載したほうがよいのではないかという意見がありまして、8ページの下から1行目、「58年以降、全川的に河床はおおむね安定している」と追記しています。このほか変更はありません。

 次に、資料4-3をお願いいたします。潮流・潮汐ですが、前回は潮位の変動のみ示しており、今回は、潮流の変動について、10ページ以降を追加で記載しております。

 10ページをご覧ください。潮流の変動というところですが、最初に潮流についての説明を記載しております。(1)有明海の潮流について、ア)潮流の状況。最初のパラグラフが潮流の状況、2パラ目が夏場の表層の恒流についてで、全体として反時計回りの恒流が推察されるというような記載がありまして、ここについては18年報告の記載をそのまま掲載しております。

 11ページ、イ)潮流の調査というところですが、1パラ目は海上保安庁による調査、これも前回の資料ですが、その次に、2パラ目として平均流の変動について、2009年の坪野らの知見を記載しております。夏の平均流の変動には海陸風の影響が少なくないということが示されています。

 13ページ、ウ)潮流流速の変化要因とその影響で、①潮流流速の変化要因ですが、これについても18年報告の概要を記載しています。

 ②潮受堤防による潮流流速への影響ですが、最後のパラグラフ、「また、矢野ら(2015)は」として、シミュレーションによる解析について新たに記載いたしました。

 14ページから16ページの図は、18年報告のものを記載しています。

 17ページをご覧ください。③ノリ養殖施設による影響です。まずシミュレーションの結果で、ノリの養殖施設が潮流に影響している可能性があることを示しておりますが、ノリ養殖施設の沖合での観測地点において、養殖期には平均で流速が約23%弱まるとした文献がありましたので、新たに記載いたしました。

 ④港湾ですが、これは熊本港建設による影響についてですが、18年報告と同じ内容になっております。

 18ページ、八代海の潮流についてですが、最初のパラが潮流についてで、2パラ目は平均流について記載しています。

 19ページ、(3)として、今回新たに橘湾の流況についても記載しております。潮流と恒流の状況についての図を掲載しています。

 資料4-3については以上です。

 次に、資料4-4をご覧ください。水質についてですが、今回、有明海での浅海定線調査による底層DOのデータと図を追加しております。表1の一番下、底層DOというところです。5ページに、調査地点、A1、A2、A3海域、A5海域の6箇所の位置を示しています。7ページに回帰分析結果を載せておりますが、全ての観測地点で横ばい傾向です。

 15ページに、経年変化のグラフを載せています。

 16ページ以降は変更ありません。水質については以上です。

 次に、資料4-5をお開きください。底質環境についてです。

 図1の有明海の底質特性別海域区分図ですが、九州農政局と各県の調査を九州農政局で取りまとめて作成した図に差しかえております。

 4ページをご覧ください。底質中の有機物、硫化物の影響に関しまして、ノリの酸処理剤、施肥の影響について記載しています。「酸処理剤の底質への移行に関する調査結果によれば、ノリ漁場における水質や底質から有機酸はほとんど検出されなかった」ということで、資料として⑤までありますが、①、②、③が平成18年報告で掲載した内容で、④、⑤には、その後、新たに行われた調査等による知見を掲載しております。

 本文ですが、ほとんど検出されなかったということですが、「しかし、環境中に投入される負荷が増加していくと有機物・硫化物の増加の要因になり得ることから、海域に投入される酸処理剤等による栄養塩量や有機酸量等の継続的なチェックを適切に実施することが重要である」という点を新たに記載いたしました。

 底質については以上です。

 次に、資料4-6、貧酸素水塊をご覧ください。2ページに、図2として有明海湾奥部における貧酸素水塊発生の模式図と、これに関連する文章を新たにつけ加えています。そのほかは変更ございません。

 次に、資料4-7ですが、藻場・干潟についても前回から変更はありません。

 資料4-8、赤潮ですが、これも前回の小委員会と変更ありません。

 次に、資料4-9をお願いいたします。生物についてです。

 4ページ、図4として佐賀県のタイラギ漁獲量とCPUEの変化を掲載しておりますが、新たに2012年から2015年のデータを追加しています。あわせて、本文の5~7行目について、それに沿った内容で記載しています。

 次に6ページです。3、魚類ですが、前回の小委員会で山口敦子委員からご発表いただいた内容を掲載しています。(1)は有明海の漁業生産量の推移、(2)は八代海の漁業生産量の推移について記載しております。

 最後についています参考資料1をお願いします。有明海・八代海等の環境等変化(プランクトン)について、参考データとして掲載いたしました。

 まず、1.プランクトン沈殿量とクロロフィルaですが、有明海について11箇所、八代海については10箇所の浅海定線調査のデータを記載しています。具体的なデータ、グラフは、以下のページに掲載しております。

 6ページをご覧ください。2.プランクトン調査について、2001年2月から実施した、植物プランクトン、動物プランクトンの調査結果を整理しております。有明海については12箇所、八代海については10箇所、橘については6箇所、合わせて28地点のデータを記載しています。

 説明は省略しますが、かなり間が飛んでいたりするところがありますので、今回参考資料として掲載いたしました。

 以上です。

○樽谷小委員会委員長 ありがとうございました。

 ただいま事務局から、3章、有明海・八代海等の環境等変化の部分に関連する資料についてご説明をいただきました。特に今回新しく作成された部分、それと前回の小委員会からの修正の部分についてのご説明でした。ただいまのご説明について、何かご意見、ご質問等ございましたらよろしくお願いいたします。

○速水委員 全部で4点ほどあります。

 まず一つ目が、資料4-3の潮汐・潮流の変化についてです。ここでは、潮汐に関してはかなり詳しい説明があり、面的な変化もあるのですけれども、潮流に関して面的な変化を示した図は実は17ページのノリ網の設置の図しかないんですね。それで、これもシミュレーションの図であるのですけれども、同じようなシミュレーションの結果であれば、18.6年周期の月昇交点位置変化の影響による潮流の変化、あるいは1990年以降の潮流の変化に関しても、既に発表されている文献はありますので、そういったものもぜひ入れるべきではないかと思います。こういう面的な潮流の変化に関しては社会的関心も高いことから、必要なデータだと思います。これが一つ目です。

○樽谷小委員会委員長 一つずつ伺いましょうか。よろしいですか、事務局のほうから。

○根木閉鎖性海域対策室長 ご提供をいただければ、検討させていただきます。

○速水委員 わかりました。

 二つ目は、資料4-4の水質についてです。水質のうち底層の溶存酸素濃度については、これは環境省のほうがよくご存じだと思うのですけども、年間平均値をもって指標の値とするというのはかなり問題があるのではないかと思います。溶存酸素濃度をこのように経年変化のデータとして示す場合には、せめて夏季の値あるいは夏季の最低値でもって経年変化を示すべきではないかと思うのですけども、いかがでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 ご指摘を踏まえて検討したいと思います。

○速水委員 三つ目です。透明度のデータが同じ資料にございます。14ページに図がありますけれど、まず、この平均方法はどう平均されました?

○根木閉鎖性海域対策室長 ご質問の趣旨をもう少し具体的にお願いできますか。

○速水委員 すぐにわからないかもしれませんが、透明度の場合、多分算術平均をすると値がおかしくなるので、透明度の逆数をとった調和平均で評価をする必要があると思います。その辺、検討してください。

 それと同時に、浅海定線調査の場合、もっと長期のデータがあると思うのですけれども、これが2000年以降ぐらいしかデータがないのは何でですか。

○樽谷小委員会委員長 今回の資料で、浅海定線のデータを使われているのは底層DOだけと理解をしています。おそらく透明度のデータは環境省のデータを使われているので、長期の記述がないのでは。

○根木閉鎖性海域対策室長 そうですね。

○速水委員 有明海の透明度の場合、長期的に透明度の上昇が起きているというような問題点の指摘もありますので、長期のデータがある浅海定線のデータを用いて、それで、調和平均を用いた形で処理した数値を出していただければと思います。

○樽谷小委員会委員長 よろしいでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 データがあるかどうか確認しまして、可能であれば作業をしてみたいと思います。

 平均の仕方については、いただいた意見も踏まえて検討してみます。またご相談させていただければと思います。

○岡田委員長 透明度の平均は、速水先生のおっしゃるとおり調和平均とるべきなんですが、それをするとすごく大変です。通常の算術平均でやってみてもそれほど大きな差がないという結果があるので、環境基準等では通常の平均にしています。理屈はおっしゃるとおりです。

○速水委員 わかりました。

 よろしいですか。

○樽谷小委員会委員長 はい。

○速水委員 あと最後、生物の資料4-9ですけれども、ここのところで、ベントスの長期変化に関して、マクロベントスの長期調査結果、これが図2で二枚貝だけが出されているんですけれども、おそらく同じ資料で、ベントスの種数、それからバイオマスのデータがあると思うのですね。これが有明海全体のベントスの変化というときに、二枚貝の減少だけしか長期のデータがないというのはちょっと寂しい印象がありますので、可能であれば、多様性に関係する種数、それからバイオマスといったデータも掲載するようにしていただければと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 ベントスについては、4章相当の次にご説明する資料でも海域ごとにかなり具体的にデータを掲載しておりまして、そことの役割分担というところもあるかと思いますが、ご指摘のところを確認してみたいと思います。

○樽谷小委員会委員長 ほかに何かございますでしょうか。

○古川委員 古川です。多くの情報をたくさんまとめていただきまして、ありがとうございました。

 いろいろ見るのが大変なんですが、私もおそらく4点ほどお聞きしなければと思っています。一つは、今回以降どう対応するのかというようなことまで考えなければいけなくて、その対応ともとのデータが合っているかという目でまた見直してというようなことをしているものですから、前回説明したかもしれなくて、「飛ばします」と言われたところについても質問させていただければと思っています。

 まず資料4-1ですけれども、汚濁負荷について、この絵のデータというのはきっと、どこから負荷が一番来ていて、それが原因になるからそれをうまく対応していかなければいけないということなので、そのもとのソースについてきちんと考えることが必要かと思います。例えば1ページのCODの負荷量、これは有明のほうですけれども、大体6万から4万トンぐらいで、それの内訳をはかった3ページのところでは、半分とまで行きませんけど、排出量ということで計算してみると大分少なくなっている。最大で4万トンから3万をちょっと切るぐらいでしょうか。この差はどこから来ているのかということを考えなければいけませんし、また、それ以外のということで、5ページ以降、海域への直接流入ということで推定していただいている図表があるんですけれども、この中に内部生産の分というのは入れなくてよろしいのかということが少し気になりました。

 というのは、資料4-4に詳細な水質のデータが出ているんですけれども、これを有明と八代で見てみますと、CODが経年的に増えているけれども、T-N、T-Pが下がっているという水質のデータが出ているところがあります。これは明らかにT-N、T-PがCODに入っているからCODが増えていて、内部生産の活発なことを示しているのではないかなと思われるようなデータも出ているんですね。だけど、4-1のところではそれが全く言及されていない。ですからこの4-1で示されている汚濁負荷について、全部ばらばらで出された三つのデータが、整合している一つのストーリーにきちんとのっとって説明されているのかどうかということについて、確かめたいんですけど確かめるだけの情報がないので、事務局のほうに確認をお願いしたいと思います。まず1点です。

○樽谷小委員会委員長 1点目について、事務局から回答をお願いします。

○根木閉鎖性海域対策室長 まずは、4-1の1ページから2ページ目にかけては流入負荷量を整理したものでありまして、その出し方については9ページとか10ページのところに具体的に書いてありますが、これはあくまで流入負荷量ということであります。そして3ページから4ページ、5ページのところは排出負荷量ということでありまして、ある排出のソースから出てきたところをカウントしているということで、ここは、流入負荷量と排出負荷量ということで違うものを整理しているということでもございます。

 あとは、後ろのほうの資料で内部負荷量について加えたほうよいがというご指摘をいただきましたが、このグラフについては、海域において直接的に排出される、底質や魚類養殖由来などの負荷について経年変化を表現しようということでありますが、内部負荷量について経年変化を含めて足し合わせることができるデータというのが、少なくとも今環境省のほうで知っている範囲では持ち合わせていません。このグラフは、そこまでのものは入れずに整理しているということでよいのではないかなと。もし何か経年的にその辺がわかるようなデータなどあれば、もしご存じであればご提供いただければ何か工夫のしようはあるのかもしれないなと思いつつ、現状はそのようなところです。

○古川委員 この後の質問にも関連するんですけど、今そういうことをお聞きした理由というのは、ここではデータが示されています。ここは変化を見るところなんですけれども、あるデータをきちんと示していただくのはもちろん大切なんですが、当然考慮しなければいけないことがこの変化を捉えるところで説明されていないと、その部分のことをきちんと考慮せずに対策のことを考えることになるのではないのかなと思いますので、データがなければないでも構わないですけれども、内部負荷が関係しているかもしれない。また、11ページの負荷量の算定のところを見ますと、例えばCODは底質からの溶出は考えていないということになっていますけれども、ほんとうにそれでいいのかというところだとか、データがあるから書いていてデータがないものは全部オミットしているというのは、少し全体像を構築する上で問題ではなかろうかと思います。ぜひご検討ください。

○根木閉鎖性海域対策室長 N、Pは底質からの溶出についてかなり関連が深いところですが、CODについて全て同じ断面のデータをそろえるということが難しいところもあります。N、Pについては底質由来というのがかなり関心事項としてもありますので掲載しているところです。全て同じ断面でそろえてということができればそれにこしたことはないかもしれませんが、ある程度優先順位をつけてデータを整理していくということも必要かなと思います。

○古川委員 もちろんそのとおりだと思いますが、その点は肝だと思うので、ちょっとだけ議論させていただきたいと思います。座長、申しわけありません。

 資料6のほうには、物質循環図というんでしょうか、影響伝搬図のようなものが描かれています。このときに、描かれているその線のところがほんとうに正しいか、または見落としがないかという目で、資料4のところのもとのデータを活用していくんだと思うんですね。全く同じように描けないというのは重々承知の上です。ですからそれはそれで構わないと思いますけども、こういうことを考慮しなければいけない、こういうデータがなければいけなかったということを書いておかないと、対策するときにそういうデータをまたとらなくなります。とらなければ、将来的な対策を考えるときにそのデータがまた不足することになります。ですから、何を見なければいけないのかというのは、きちんと列挙すべきだと思います。そう思うと、今の資料では足りていないのではないと思われるところがあります。

 あとはコメントのようなものですので、2点ほどに絞ります。

 もう1点は、資料4-5で底質環境の変化をお示しいただいていますけれども、例えば3ページ、また5ページもそうですが、全体的な傾向を文章で非常に簡略に示していただいた後、海域ごとのことは海域ごとのところで書いてありますと全部投げてしまっています。これでは全体の環境がどう変化したのかというのが読み取れないので、非常に資料として不親切だなと思いました。これは感想です。

 もう1点だけ。資料4-6の5ページのところで、これは速水先生からのご指摘に近いんですけれども、最後のコメントに「比較的貧酸素累積時間は短かった」と書かれているんですね。これだけを読むと何か環境がよくなってきているのかなと思うんですけれども、実際に、その次の6ページのところに図7として、溶存酸素の変動について描いてあります。例えばですが、2012年とかのデータをについて、溶存酸素、3のラインを初めて切った月と最後に切った月というふうに見ていくと、途中で回復期が挟まるので、見た目には累積時間が短いように見えますけれども、期間的にはかなり遅くまで貧酸素が続いているようにも見えます。ですから、ここの記載は少し工夫をされないと、貧酸素の影響を抽出するのに十分なデータなのかどうか、やや疑問に思いました。

 すみません、長くなりました。

○樽谷小委員会委員長 ありがとうございました。

 一つ目のご意見については、私ももう少し検討したほうがいいと思います。ぜひ事務局も含めて検討させていただければと思います。

 2点目、3点目のコメントについて、事務局のほうから何かございますでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 1点目についても、そういったことを確認できる既存の知見があれば、環境等変化の経年変化のところに入れるかどうかというのはありますが、何か知見があれば追加するということも考えるべきかなと。ご指摘を踏まえて検討してみたいと思います。

 2点目は……。

○樽谷小委員会委員長 底質環境のところで、経年変化の詳細については4章ということです。

○根木閉鎖性海域対策室長 ここについては、次に説明する資料で底質の環境の経年変化についてかなりページを割いて記載していまして、この環境等変化の海域ごとのところでどこまで書くべきかの役割分担のところを、このほかの分も含めて少し悩ましく思っています。重ねた記述だと少しかぶってしまって、既にこれだけ資料が分厚くなっていることもあり、役割分担をしながらということかと思います。何かよいアイデアなどあれば、後日でも適宜アドバイスいただければありがたいと思います。

 3点目の貧酸素水塊については、5ページのところの一番下に書いてあるのは、2013年から2015年は比較的貧酸素の累計時間が短かったということでありまして、6ページでいうと、図8、下のグラフが、2013から15がその前の数年と比べると累積日数が小さいことを表してもいるということです。

 委員がご指摘されたのは図7になりますでしょうか。

○古川委員  図7を例としてご説明したんですけども。おっしゃるとおりここの図8をそのまま読めばそう見えるんですが、例えば、累積日数が減っていることについては、2012年の状況のように、ある時期に回復期が挟まったがために累積日数が短く見えているのかもしれないですよというご注意です。

○根木閉鎖性海域対策室長 そうですね。例えばこの図7が2012年までしかありませんので、このあたり、例えば2013年以降も追加できるのかなど、ご指摘を踏まえて精査をしてみたいと思います。

○樽谷小委員会委員長 ほかに。

○松野委員 お二方のご質問と関係するんですけど、貧酸素の結果について、水質のところで速水委員から、年間平均というのを季節ごとにしたほうがいいという話あったんですけども、これは長期のものですから多分大潮期のデータだと思います。それに対して、4-6の貧酸素水塊のところで貧酸素になるのは小潮期が重要だということが書かれていますので、そのコンシステンシーを考えたほうがいいいんじゃないかと思います。

 特に貧酸素水のところで、これは夏季だけでもいいと思うんですけども、小潮期のデータもある連続的なデータのある期間だけを使って、小潮期と大潮期を分けて経年変動を描けば、4-4の水質のほうで書いてある大潮だけのデータに対して、小潮期のときはこういうふうに変動しているということが言えるかと思うんですね。このように何も説明なしで経年の長い大潮期の変動を書いておいて、一方で貧酸素の章では小潮期のほうが貧酸素にとって重要だということを書いてあると、水質のほうの長い期間のデータが、特にこれは長い期間といいながら底層のDOを論じていますので、貧酸素ということを考えているとすると、4-4の水質のところのデータが生きないと思うんですね。大潮と小潮の関係を底層の酸素に関して出しておけば、大潮のときのデータの意味が生きてくるのではないかと思います。

○速水委員 実はそれに関しては、既に係留計による連続観測と浅海定線のデータの比較をしていて、大潮期のデータであっても、7月の限られた点のデータに関しては経年変化に対して十分代表性があることを示しています。ただ、最初、それを資料に載せることも考えていたのですけれども、全体の資料の量が多くなっているために、現時点では割愛されています。事務局のほうの判断でもしそれが必要であることになれば、例えば参考資料のほうに入れるといったことはあるかもしれません。

 よろしいですか。

○樽谷小委員会委員長 ほかに何かございますでしょうか。

○橋本委員 底質の資料4-5の5ページ、例えば、2行目のところに「極細粒砂」という言葉が使われているんですよ。3行目が「中粒砂」ですね。その横に「荒い」と書いていて、この「荒い」は間違いですね。このように砂に関する用語が統一されていないんですね。底質はそういう言葉ですね。それから河川のほうの7ページは、「細砂」とか「粗砂」とか「れき」という用語が使われているんですよ。例えば7ページの図10、「細粒砂」じゃなくて「細砂」とか「粗砂」とかですね。普通「細砂」「粗砂」と僕らは言うんですが、いろんな分野でいろいろ用語の使い方があるかもしれませんけど、この中では統一をされたほうがいいのではないかと考えます。

○樽谷小委員会委員長 よろしいでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 ご指摘の趣旨、よく理解できます。今、ご指摘いただいた凡例等を見ていて、分類が合っていないかなということで、ご指摘の趣旨はよくわかるんですが、出典のところからが違っているので、ここを変えるのにどういう手があるのか。単純に修正することは難しいかなとも感じた次第です。

○橋本委員 もし定義が違うのであれば、おのおの定義を明確にしておけばいいと思うんですね。細粒砂というのはどういうものかということを。

○樽谷小委員会委員長 そのようにご対応していただけますでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 はい。

○樽谷小委員会委員長 ほか、よろしいでしょうか。

○桐委員 資料4-3の潮流・潮汐の部分で、前回の分に潮流のデータが加わったということで、さらに18年度の報告書と比べると、坪野先生の潮流の調査や、矢野先生らの潮受堤防による影響の分が追加されたという理解でいいでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 そのとおりです。

○桐委員 ほかにも、潮流の調査などで多点連続観測のデータを使った結果を示されていたりするし、いろいろほかに加えてほしいという文献が幾つかあるんですが、それは後でご提示したら検討していただけるということでいいですか。

○根木閉鎖性海域対策室長 はい。後日ご提供いただければ、検討いたします。

○桐委員 よろしくお願いします。

○樽谷小委員会委員長 ほかはよろしいでしょうか。

○古賀委員 数点あります。

 まず資料4-1で、1ページ目の図1(1)には平成19、20が示されていません。9ページを見ると、平成19、20が丸になっているんですよね。これはどういうことかなというのがまず1点目です。

 それと、河川からの流入負荷量を算定する方法なんですけど、10ページに一級河川は基準点上流と書いてあります。具体的にはどういった場所のデータで示されているのかというのをまずお聞きしたいと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 1点目については、この19年、20年の流入負荷量は、残念ながら確定値が得られていないということです。排出負荷量のほうは得られているんですが。

 10ページについては、これは流入負荷量を求めるときの一般的なやり方で、上流部については基準点を置いたということですが、そのあたりをもう少し具体的に記載したほうがよいというご指摘であれば、そのあたりも検討してみたいと思います。

○古賀委員 何を言いたいかといいますと、1ページのCODとかT-Nの負荷量の河川ごとのデータを見ると、本明川の場合については全く違うデータとなる可能性があるわけですね。基本的には潮受堤防でとめられて、本明川からの負荷量というのは、調整池の排水の数値に置きかえないと正確なデータにはならないのではないか。ほかの河川についてはそれでいいんでしょうけど、本明川については普通の河川と同じ考え方でいいのかどうか非常に疑問です。これについては資料8等でシミュレーションとかのベースになるので、そういった基礎的なデータというのは正確な数値というか、少なくとも本明川のデータについては、調整池の排水のデータを示さないといけないのではないかと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 もしそういうデータがあれば作業できるかもしれませんが、まずは、出し方をもう少し具体的に示すということかなと今のご指摘を踏まえて思いましたので、そのあたりを検討してみたいと思います。また引き続きご相談させていただければと思います。

○古賀委員 少なくとも調整池の排水の水質データというのは、九州農政局のほうで月2回はずっと継続的に調査が実施をされていますので、あると思います。

 それと、もう1点なんですけども、資料4-9の生物のところは、この前の委員会で山口委員のほうから、魚類についていろんなデータを示されていました。例えばグチ類の仔魚の移動とか分布、漁獲量も種類の組成等のデータとか、非常に興味あるデータがあったんですけども、今回見てみるとただ単なる総漁獲量のデータだけになっていて、これだけを見て何がわかるのかなとちょっと疑問に思いましたので、その経緯をお知らせいただければと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 ご質問の点については、先ほど類似の議論があったかもしれませんが、この環境等変化という資料4-9では全体の概略を整理しておりまして、別に問題点と原因・要因の考察を説明した資料があります。資料の構成として、どう役割分担をするかという点が、ほかのパートでも少し悩ましいんですけども、別に掲載しておりますので、またそちらの資料を見てご意見いただければと思います。

○樽谷小委員会委員長 では、もう1点だけ。

○栁村委員 先ほどの桐委員さんからのお話とダブるんですけども、今日新たに加わったという潮流の部分については、平成18年の報告書とほぼ同じような中身で、3箇所ぐらい新しい記載が加わったと理解しています。18年以降10年がたちまして、さまざまな研究も積み上げられたかと思いますので、前回委員会報告書の記載に必ずしもこだわらずに、新たな知見も取り入れた記載としていただければなと感じました。

 以上です。

○根木閉鎖性海域対策室長 その点については、資料のご提供などいただければ検討したいと思います。

○滝川小委員会委員長 いろいろ伺っておりましたが、今回初めて生物小委と海域再生の委員会の資料を同時に今お示しいただきました。それぞれについてのまとめ方については、各委員の方々がご指摘なさっているとおりだと思いますが、先ほど古川委員がご指摘なさった点が非常に気になっていて重要なことだろうなと思っています。要するに、個々の事象をただ単に並べているというご説明を室長は盛んにされますが、再生へ向けてどう今後やっていくのか、方向性を定めるという目的のために第3章はまとめているんですよね。ですから、個々の事象を淡々と並べる中で、どうしたら再生へつながるかという整理をしないとだめですよ。データがないから書きません、データがあるからやりましたという説明ではなくて、次にどうしたらよくなるからこういうまとめ方をします、あるいはこういったことが足りませんということをここの中にうたっていないと次につながらない、皆さんは、そういうご指摘を盛んにされているんだろうと思います。

 ですから、第4章が先にあるのではなくて、第3章が先にあるわけですから、ほんとうは第4章のほうが先にまとまって第3章に行くのが本筋なんですが、それがどうも逆になってしまっていて、ここは単純に並べます、3章と4章のバランスをとおっしゃるんだけど、3章は4章のために、再生に向けて何が足らない何は十分ということを明確にするというところを、事務局の今後の課題としてぜひ進めていただきたい。そうすると、まとめやすくなるし、見落としがないということになるのかと思います。

 私が感じたところを申し上げました。

○根木閉鎖性海域対策室長 個々の事象をただ並べていますと言っているつもりは全くなくて、ご指摘を踏まえて追加できるところは追加していきたいと思っています。そこは誤解があると思いますので、一言申し上げます。

○滝川小委員会委員長 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○樽谷小委員会委員長 それでは、多数のご意見をいただきましてありがとうございます。この3章関係の部分の議論についてはここまでとさせていただきます。

 本日についても、多数のご意見をいただきました。それらを踏まえまして、小委員会として上の評価委員会に上げる案を事務局で改めて整理をしていただいて、次回の小委員会でさらにご議論をいただきたいと思います。

 それでは、続きまして議題の2、海域ごとの問題点とその原因・要因の考察について。先ほどもご説明がありましたように、資料5が海域区分と環境特性の概要について、資料6の一式が有明海、資料7が八代海の部分となっております。本日は前回の小委員会からの変更点を中心に、事務局から改めてご説明をお願いいたします。

○束原閉鎖性海域対策室長補佐 それでは、資料5をご覧ください。問題点とその原因・要因の考察の基本的な考え方です。

 変更点は、3ページからの海域区分ごとの環境特性のところです。これは現況について整理したものですが、特に水質・負荷の欄とか底質環境の欄についてご意見いただきましたので、修正を加えております。

 めくっていただきますと赤潮の発生状況、こちらの記述についてもなるべく定量的にと考えており、その部分を若干修正いたしました。後ほど説明しますが、赤潮の発生件数について有明海・八代海それぞれ全体のところで最近の発生状況等をまとめましたので、少ないとか多いとか、その辺の判断に使っていただければと思っているところです。

 引き続き、お気づきの点等があればご指摘いただければと思います。

 資料5については以上です。

 次に、資料6-1をご覧ください。

 A1海域からA7海域、有明海全体をひとまとめに綴じています。右上に海域等を記載していますので、あわせて参照ください。今回、両小委の合同開催ということで資料を統合していますが、A1海域、A2海域の資料を使って各資料の構成を説明いたしまして、あとは変更点のみの説明とさせていただきたいと思います。

 ます1番として、「この海域の特性」を記載しております。

 めくっていただきまして2ページ、連関図ですが、一番右側に緑色で、上からノリの色落ち、魚類等の減少、ベントスの減少、二枚貝の減少という四つの問題点があります。このうち、ベントスの減少と二枚貝の減少については、海域ごとに問題点の特定と考察等を行っております。ノリの色落ち、魚類等の漁獲量の減少については、有明海全体のところで考察等を行っています。左側に赤枠で、その直接的な原因・要因を示していますが、主な点については3章で、長期的な変動について掲載しています。さらにその緑色に結びつく矢印ですが、例えばベントスの減少、二枚貝の減少では、底質中の有機物の増加、底質の硫化物の増加、底質の泥化、右側に行きますと貧酸素水塊の発生件数の増大・大規模化。そういった点について考察を行っています。ノリの色落ちと魚類等については、シャトネラや珪藻類による赤潮の発生件数の増大・大規模化といった観点から考察を行っています。

 3ページをご覧ください。ベントスの減少についてです。調査地点の図を拡大して、わかりやすく掲載しました。

 7ページをご覧ください。ベントスの出現主要種の推移ですが、A1海域については3箇所調査地点がありますが、前回まではその3箇所の各箇所の最も多い種類だけ載せていましたが、今回、それぞれの調査地点について上位3種類を掲載しました。

 ほかの海域でも同様ですので、以下の説明は省かせていただきます。

 10ページをご覧ください。要因の考察ということで、先ほど申し上げましたように底質の泥化について考察を行うということで、11ページに関連するデータを掲載しております。

 12ページをご覧ください。A1海域、A2海域、A3海域に埋没測定板を設置して、その調査状況を掲載しております。12ページの下から2行目ですけども、「浮泥を含む堆積物に一様な一方向の増加・減少傾向はみられなかった」と記載しています。なお、今回文言の統一として、「一様な」というのは複数地点ある場合には複数地点でどうだったか、「一方向」というのは時間軸で見て長期的にどうだったかということで、表現を統一しております。

 次に、14ページですが、図9の下に、7、8行ほど文章をつけ加えております。先ほど資料4-4、3章に示していた水質のデータについて、こちらにも追記しております。水質のデータがないA3海域とY3海域、Y5海域についてはこの記載はありません。ほかの海域については統一的に記載しました。

 次に、15ページをご覧ください。有用二枚貝の減少についてです。A1海域についてはタイラギ、サルボウ、アサリの3種類について記載しております。

 17ページをご覧ください。サルボウのところですけれども、要因の考察として、下から7行目から3行目あたりに、貧酸素化に伴って底質中の硫化水素が増加したという記述がありましたが、そういった硫化水素が発生する際の貧酸素の状況について、具体的な底層DOの記述を追加しました。

 次に、19ページをご覧ください。ここからはアサリについてです。次のページ、20ページをご覧ください。覆砂実施エリアの図です。左下に小さな四角がありますが、ここに覆砂の砂の採取された場所を追記しました。福岡については主に玄界灘で採取された海砂を使用、熊本県では主に五島列島海域で採取された海砂を使用と追記しています。

 23ページはまとめということで、それぞれ海域再生小委で検討した分と生物小委で検討した分を掲載しておりますが、まとめだけを見る方もいらっしゃるだろうということで、ここだけを見てもわかるよう、冒頭の3行から6行を記載しております。「なお」と書いてありますが、魚類等の減少、ノリの色落ちに関するところは、先ほど申し上げましたように全体で検討するということで資料6-8に記載しています。ベントスの関係、有用二枚貝の関係については前回の記載とほぼ同じです。

 次に、資料6-2の3ページをご覧ください。ベントスの減少についてですが、A2海域とA3海域については、1989年と2000年の全マクロベントスの調査についてのデータを掲載しております。

 次に、6ページをご覧ください。底質の泥化について、A2海域とA3海域について1989年から2010年にかけての調査データを掲載しております。7ページに調査地点を掲載していますが、A2海域については18地点、A3海域については17地点となっています。8ページから9ページは、それらのコンター図を掲載しています。

 13ページに、それらの1989年から現在までの調査結果をまとめたものを記載しております。赤い線のところが細粒化傾向を示したところ、青い線のところが粗粒化傾向を示したところです。

 次に14ページをご覧ください。各地点についてのグラフを3種類掲載しております。18地点の推移のグラフで、平均値を赤い線で記載しています。

 次に16ページをご覧ください。A2海域とA3海域については含泥率の調査データも掲載しております。

 17ページをご覧ください。底質中の有機物、硫化物の調査について先ほどと同じ地点について調査が行われているので、そのデータを記載しております。

 23ページをご覧ください。次に有用二枚貝の減少でタイラギについてですが、ここは前回の小委員会から変わったところです。タイラギ成貝の分布域の経年変化について、2012年から2015年の4カ年分のデータを提供いただきましたので、追記しております。25ページにも同様に、図は一緒にならなかったんですけども、タイラギ稚貝の分布の状況、2012年から15年分を記載しております。

 次にタイラギの要因の考察ですが、以降8ページにわたる内容となっていますが、小項目か見出しをつけるべきという意見があり、(a)から(e)まで5項目の小項目をつけました。

 27ページをご覧ください。立ち枯れへい死の考察で、グリコーゲン含有量との関係について、川原ら2004の引用が正確ではないとのご指摘を受けましたので、修正しました。

 次に、資料6-3をご覧ください。以下、変更点のみ説明いたします。

 資料6-3については、この海域の特性の冒頭の1から3行目、海域の説明のところを修正しています。

 次に、3ページから22ページまではベントスの減少で、前回の小委との変更点はありません。

 23ページをお開きください。有用二枚貝の減少、タイラギのところです。タイラギの要因の考察については10ページ分あり、A2海域と同じように(a)、(b)、(c)、(d)と四つの小見出しをつけています。そのほか、タイラギの稚貝と成貝の分布域の経年変化図は、A2海域ともダブっているということで削除しております。

 資料6-3は以上です。

 次に、資料6-4、A4海域をお願いいたします。

 この海域の特性の1行目のところで、「有明海中央の東側に位置し」という一文を追記しております。

 17ページをご覧ください。アサリの考察ですが、最後の5パラ目のホトトギスガイに関して「マットを形成する」というところですが、新たに図13といたしまして、緑川河口におけるホトトギスガイの出現状況の図を掲載しております。

 次に、資料6-5、A5海域と、資料6-6、A6海域ですが、各地点で共通で修正した箇所以外は修正ありません。

 次に、資料6-7、A7海域をお開きください。

 13ページ、有用二枚貝の減少について、アサリのところですが、①の現状と問題点の特定、本文の4行目以降ですけれども、熊本県分について新たに記載しました。図6にA7海域のアサリ漁獲量の推移を掲載していますが、熊本県分のデータをつけ加えています。

 ②の要因の考察ですが、下から3行、18年委員会報告で記載のあったスナモグリについて追記しています。

 A7海域については以上です。

 次に資料6-8、有明海全体をご覧ください。

 1番目の有用二枚貝の減少に関して、1番目のエイ類による食害、ここは変わっておりません。2番として、有用二枚貝の出現状況を記載しております。

 7ページをご覧ください。アサリに関しては、2015年に有明海全域での着底稚貝の調査が実施されており、その結果を追加しています。

 次の8ページには、熊本県の緑川河口におけるアサリの生息密度の図を掲載しました。近年アサリの着底が好調であるといった明るい話題について、最新のデータを記載いたしました。

 9ページからはノリの色落ちですが、ここについては変更ありません。

 19ページからは魚類等の減少で、以下、最後の35ページまで魚類等の減少について記載しています。

 19ページから27ページまでは、前回山口委員から発表いただいた内容を基に記載しております。

 19ページに、図25として、有明海の県別の漁獲量、図26として、一番漁獲量が多かったときと小さかったときの魚種構成を掲載しています。20ページが魚種ごとのグラフ、21ページは、要因の考察としまして、他魚種に比べて減少が著しいとみられる魚類についてその要因と考察を行っており、その代表種として、シログチ、デンベエシタビラメを例に記載しています。

 次の22ページにシログチ、23ページにデンベエシタビラメの図を掲載しています。シログチに関しましては、産卵場と育成場がかなり離れており、22ページの図28の結果に記載してありますように、産卵場が島原半島沖の底層で、稚仔魚が潮流に乗って受動的に輸送されて湾奥の干潟、河口域に運ばれて、そこが育成場になるとされています。

 23ページ、図30はデンベエシタビラメについての記載です。産卵場は湾奥部の浅海域、卵とふ化仔魚は成魚と同じ場所で出現するということで、感潮域や河口域、干潟、浅海域の減少や環境悪化が初期減耗を高め、資源減少を引き起こしている可能性があるという考察をしています。

 24ページをご覧ください。図31に、デンベエシタビラメとニベ科について、それぞれ生息可能な溶存酸素量との関係を記載しています。

 25ページ、図32に、シログチとデンベエシタビラメの仔魚における餌の違いを示しています。

 26ページの図33と図34に、シログチとかが含まれますニベ科の仔魚の分布状況、デンベエシタビラメの分布状況を掲載しています。これを見ますと、年々減少傾向にあり、特に近年、初期減耗が高まっていることが示されております。

 最後に27ページですが、サメとエイの漁獲量、エイ類と貝類の漁獲量の関係を掲載しています。有明海ではサメ類が減少しエイ類が増加したと。しかしながら2000年以降、エイの駆除によりサメ、エイの両方に漁獲圧が高まったことから、ともに減少傾向を示しています。ただし貝類を摂食する魚類としては、そのほかにアカエイとかトビエイなどほかの魚種、さらにワラスボ、シタビラメ、クロダイ、コショウダイなどが存在することが明らかになっており、ナルトビエイ以外の魚種との関係も重要なのではないかという考察をしています。

 28ページからは、赤潮の発生による天然魚類の影響等について新たに記載しました。図36には、海域ごとの平成23年から27年、2011年から2015年までの赤潮の発生件数を季節別に掲載いたしました。29ページの上には、有害赤潮の発生規模の推移を掲載しました。

 30ページは、2009年、平成21年7月に有明海で発生した赤潮が、31ページの図40にもありますように、風の影響等により、赤潮が短期間で南下流出し、橘湾で漁業被害が発生した事例について記載しました。

 32ページをお開きください。ノリの酸処理剤に対する魚類への影響についての記載です。これについては、平成18年報告の資料とほぼ同じものを掲載しています。酸処理剤が適正に使用されていれば、魚類資源への影響は少ないと考えられるとしています。

 33ページですが、希少種としてムツゴロウについて記載いたしました。ムツゴロウについては、1972年ごろには100平米当たり20匹を超える高い出現率でしたが、1980年代に急減、90年代に緩やかな回復がみられ、2012年の調査においては100平米当たり10匹を超えるなど、その資源が回復しているとしています。

 有明海については以上です。

 次に、八代海についてです。資料7-1をご覧ください。

 八代海についても有明海と同様に2ページ目に連関図があり、こちらではノリ養殖、養殖魚介類への影響、底生生物の減少、底生魚介類等の漁獲量の減少の四つの問題点について、底生生物と魚介類については海域ごと、ノリ養殖と養殖魚介類、魚類については、八代海全体のところで記載しています。そのほか連関図の考え方は、有明海で説明したとおりです。

 以下、前回の小委からの変更点について説明します。6ページをご覧ください。こちらもベントスの出現主要種の推移ですが、右側の四角の下に、統一的に考察を記載いたしました。

 次に、9ページをご覧ください。その他といたしまして、「八代海最奥部においては、近年では昭和40年代まで不知火干拓の整備など大規模な干拓・埋め立てが行われた。不知火干拓が海域に突出した特殊な地形であることから、同干拓地北部の海域において土砂堆積が進行している。」とありますが、前回の小委で、熊本県から要望がありましたので、現時点で書けることをこちらのほうに記載しています。

 次に、資料7-2、Y2海域をご覧ください。

 変更したところは、先ほどと同じ5ページのベントスの出現主要種の推移のところです。

 9ページをお開きください。有用二枚貝の減少、アサリについてですが、図7に、熊本県の有明海海域と八代海海域で捕獲されたナルトビエイでは平均体重に明確に違いがあるということで図を提供いただきましたので、掲載いたしました。

 次に、資料7-3をお開きください。

 資料7-3も、6ページ、7ページの主要種の推移ということで、ここのみ変更になっております。

 次に、資料7-4、Y4海域ですが、こちらも7ページ、9ページのベントスの出現主要種の考察を入れております。

 次に、資料7-5、Y5海域です。こちらも同じく6ページ、7ページに考察を加えております。

 次に、資料7-6、八代海全体をご覧ください。

 魚類養殖業とノリの色落ちの二つの項目を掲載しております。

 1ページから14ページまでは赤潮に関する内容です。変更点は11ページです。折田らの論文等で2009年に発生しました赤潮についてⅠ型なのかⅢ型なのかという点について、前回の委員会でご指摘を踏まえまして、前半はその折田らによるⅠ型で、その後Ⅲ型になったという記載に修正をいたしました。

 14ページをお開きください。八代海についても、赤潮の発生件数、平成23年から27年、2011年から2015年のところについて取りまとめております。

 15ページからのノリの色落ちについては変更ありません。

 最後のページ、18ページですが、魚類等の減少については次回の小委員会で示すことを予定しております。

 以上です。

○樽谷小委員会委員長 ありがとうございました。

 ただいま、第4章に関連する部分、海域ごとの問題点とその原因・要因の考察についてご説明をいただきました。資料が膨大になりますので、まずは、冒頭でご説明いただいた資料5の問題点とその原因・要因の考察の基本的な考え方について、何か質問等ございましたらよろしくお願いいたします。

○古川委員 古川です。膨大な資料のご説明ありがとうございました。

 まず資料の5の基本的な考え方というところで、1ページの最初のところに書いてあります、1の基本的な考え方のパラグラフの4番目に、「なお、今回の検討では、基本として1970年からこれこれで整理を行うこととした」とあります。その上にも長期的な変化をということで書かれているんですが、例えば3ページ目から出てくるこの表のご説明のときに、現況をこのように整理いたしましたとご説明いただいたようにお聞きしました。もしそうだとすれば、この表に対応する昔の整理がないと、その変化がわからないのではないかと思います。特にそれを危惧したのが、9ページのところで、クラスター解析をしました、ここはデータがそろっている1988年以降のデータで整理していますということです。もちろん今の状況をはっきり捉えて、じゃあどういうことをしたらいいんだろうかということを考えるのは当然だと思いますけれども、昔から何が変わったのかというのを見るときに、今あるデータだけで近年の傾向だけを話しているのではないか、(近年の傾向だけのデータを)使って考察をされているのではないかな、この後の資料6、7の何か具体的な議論するときにそっち(近年の傾向だけ)にデータが寄り過ぎてはいないかということを危惧しております。

 もう一度、この資料5でのご説明における基本的な考え方として、長期的な変化に基づく考察をするんだというご姿勢に変わりがないことを確かめたいと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 資料5の3ページからの環境特性の表については、まずここでは、現況を中心に表を整理しています。1970年ごろからの変化については、その次の資料6-1から、海域ごとに70年ごろからの変化をきちんと整理することを試みています。そして、そこの海域ごとの変化について、現在の資料では各海域の資料の最後のところにまとめをつけまして、その変化について各海域で考察したものをまとめとして整理しています。ここで少し端々に出てきてしまうのが、過去のデータがないところも多いということもありまして、1970年のデータが全てそろっているということではございませんが、ない部分はないということがはっきりわかるように記載をしているところです。

 そのようなことで、資料の構成として、特に1970年以降の変化については、本日の資料では資料6のシリーズ、そして、八代海については資料7のシリーズのほうで整理を進めています。

○古川委員 今日の資料の構成についてはご説明いただいて理解したつもりですけれども、この資料5というのは、資料6、7が出てくるところのまとめといいますか、その解析手法、論文でいえば手法のところを説明しているところだと思いますので、おそらく現況はこう整理しましたということが非常に細かく丁寧に書かれていることに鑑みますと、昔の資料はじゃあどうやって整理をされたのか、どういう視点で集められた、またはないデータについてはどのように取り扱ったのかということもここに書かれないと、長期的な検討を行いますという大きな方針のご説明がやや足りないのではないかと思いましたので、コメントさせていただきました。

 ありがとうございます。

○樽谷小委員会委員長 ほかに、資料5についてご質問等ございますでしょうか。

(「なし」の声あり)

○樽谷小委員会委員長 それでは、資料6、有明海の部分について、ご質問、コメント等ございましたらよろしくお願いいたします。

○平山委員 A7海域の2ページのこの連関図ですね。A7海域ですと、二枚貝の減少という記載ありましてタイラギ、サルボウと書いてあるんですけど、これは産業的にタイラギ、サルボウが漁獲された海域ではないですし、二枚貝の減少とノリの色落ちにつながっているんですけれども、ノリも島原半島の一部で養殖されているかと思います。この連関図は、ほかから持ってきたんでしょうか。A7海域の評価と合っていないような感じがするんですが。

○根木閉鎖性海域対策室長 ご指摘どおり、連関図の黄緑のところの問題点が各海域の問題点と必ずしも整合していない部分があると思います。その点については、基本的に次回修正したものをお示ししたい、ほかの海域も同様の部分があれば修正をしたいと思います。

○樽谷小委員会委員長 ほかに、有明海の部分で何かございませんでしょうか。

○山本委員 単純なことなんですけど、資料6-8、海域全体のところ、八代海もそうなんですけど、ここはどういうコンセプトというか、どうまとめていかれるのかが今の書き方だとわからなくて。二枚貝の減少という問題が海域全体であることだと思うんですけれども、エイ類による食害という、どちらかというと要因ではないかと思われるものが先に来ていて、その次に出現状況という現状の記載が来ていたり、最後の魚類全体の減少に関しては、なぜか要因の分析をした後というか、ノリ処理剤の影響を見た後にムツゴロウのことだけが独立して出てきていて、ちょっと構成がわからないんですけれども。

○樽谷小委員会委員長 事務局から構成についてご説明いただけますでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 基本的な構成としましては、まず有用二枚貝については、貝類の問題点や原因・要因の考察については海域ごとに特徴がありますので、基本的にはまず海域ごとに整理をしています。

 しかしながら、二枚貝の問題であっても、その原因・要因の考察として、各海域に共通する問題点につながるような原因・要因もあって、その一つがエイ類による食害であり、その一つが有用二枚貝、例えば浮遊幼生などがそもそもあまり出現しなくなってしまっているといった、全体に共通するような要因、もしくはその現状の解説を、後ろに資料6-8として入れました。さらに、エイ類の食害の中での順番についてもご指摘いただきましたので、わかりやすい順番などを考えてみたいと思います。

 後半にご指摘をいただきました魚類等の減少については、海域ごとの、例えば有明海であれば資料6-1から6-7のところには魚類の話は入っておりませんで、魚はかなり移動することもあり、魚類の減少という問題については全体でまとめたほうが適当ではないかという観点から、19ページからで整理をしています。

 ムツゴロウの33ページについてのご指摘の件については、希少種についてもいろいろ記載が必要ではないかという指摘を過去にいただいておりましたのでムツゴロウの話を入れています。近年、一時期に比べて少し復活しているのではないかというデータですが、このムツゴロウの話などを入れる場所については、ご指摘を踏まえて検討してみたいと思います。

○山本委員 一つだけコメントを。多分、共通なのではなくて、空間的に全部で考えないといけない問題だと思うんですよ。エイとか、あるいは幼生の分布とかを介して二枚貝の分布が決まっているみたいなことは、どこのエリアでも共通にある問題というより、空間的に有明海全体で考えてデータを整理して理解していかないといけなくて、各エリアだけでは理解できないということだと思います。そういう意味で、ムツゴロウをどこにどう位置づけられるのかというのは多分難しいと思います。

○樽谷小委員会委員長 ほかに何かございますでしょうか。

○速水委員 A6海域の取りまとめについて質問です。以前も私はコメントしたことがあるんですけども、A6海域のアサリに関しては実際に貧酸素でのへい死の報告があるんですけれども、ここでは貧酸素の長期のモニタリングデータがありながらそれが示されていないですし、A6海域のまとめのところでは、底質に関して「2000年以前のデータがない」と書かれていますが、実際には九州農政局が1989年からの連綿たるモニタリングデータを持っています。そういったデータをぜひ掲載するようにお願いしたいと思います。これに関しては文献も事務局に以前お渡ししておりますので、よろしくお願いします。

○根木閉鎖性海域対策室長 その点については認識しておりまして、1個1個の説明は割愛しておりますが、資料の2-3において、これまでの評価委員会などで指摘をいただいておってまだ検討中でアウトプット出ていないものについてここにまとめておりまして、今ご指摘のところは4番のところに記載しているところです。データについて確認しているところです。

 あとは、問題点とその原因・要因が直接結びつくかというところもあります。例えば貧酸素水塊があるけど、それが実際に問題の主な原因になっているのかみたいな考察も必要だと思っておりまして、そのあたりも検討したいと思っています。

○古川委員 古川です。ありがとうございます。

 まず、有明海のデータとして、この資料6についての今までのご説明を理解するところでは、原因・要因の考察まで入るということなんですけれども、例えば資料6-3の32ページからの底質についてのこと、泥化をしているのか・していないのかというのは一つの大きな注目すべき変化だと思います。この33ページの頭のところを読んでいきますと、含泥率が増加傾向を示す知見がみられたとか、次のパラグラフでは底質のCODに増加傾向がみられたという現象のことが書いてあって、これは3章で言うべきことなのではないかと思うんですね。これが何で起こっているのかというところに言及しないと、この表題の4章としての原因と要因の考察にならないのではないか。それが、先ほどご指摘したような長期的な変化に基づいてなっているのではないかというところが言えればなおよしということだと思います。

 この連関図を見てみると、潮汐の変化などが上流側の原因として書いてありますので、そこの考察をここに書かないことには、3章と4章の差がきちんと出ないのではないかと思います。

 同じようなことが、資料6-6の11ページのところ、ベントスの関係の最後のほうに「調査データがある2001年から13年においては、泥化傾向はみられず」と書いてありますが、これはもとのデータを拝見すると、少し粗粒化しているようです。こういう変化について、きちんと書くべきではないかと思います。

 先ほどほかの委員からもご指摘ありましたけれども、資料6-8では全体の話が出てくるんですが、有用二枚貝と、もう一つあれが書いてありますけども、有用二枚貝の減少の原因の一つとして赤潮のことが書いてある。そうすると当然、赤潮がなぜそういうふうに変化しているのかということまでもう一歩踏み込まないと、対策の検討までいかないのではないかと思いますし、この資料6-8では非常に興味深いことが書いてあって、26ページのところにはサメ・エイ類の話が関連で出てきているんですけど、これへの漁獲圧が高まったことから減少傾向を示していると。これ、今までの環境の条件だとか生き物の条件だとかではなくて、人間の活動の影響について、初めてここで示唆されていると思うんですね。そうすると、ほんとうは人間の活動がどう影響していたかということも、どこかでは考察していかなければいけないのではないかと思います。

 もう1個だけです。これは資料7-2のところですけれども、泥化の話が6ページ、7ページに書いてあって、6ページの最後の行では「泥化はみられない」と限定されております。ただ、CODが増加傾向である。これは、底質のことを考えると、泥化の始まっている兆候として有機物がたまり始めている可能性もありますし、7ページの図5の一番下の図をじっと見ていると、これはほんとうに泥化していないと言うのか、長期的な変化で見るとやや泥化していると見るのかというのは、難しいところだと思うんです。前もご指摘したかと思いますけれども、データをそのまま見て非常に正直に傾向がある・ないと分けていますけれども、援用できる環境条件から推察して泥化が始まっているのではないかということであれば、問題点をきちんと指摘するような整理をすべきではないかと思います。コメントです。

○根木閉鎖性海域対策室長 この検討の問題点を何に置いて、そして主な原因を何に置くかというところですが、10年前の報告書もそうであったかと認識しておりますが、例えばA3海域であれば資料6-3の2ページですが、問題点を基本的に生物のところに置いて構成しています。黄緑の四つの枠がありますが、ここのところを問題点として置きまして、その問題点を引き起こしている原因・要因を矢印でつないでいる、例えばこの連関図では直接的な原因・要因を赤枠でくくっている、そんな整理をしておりまして、そのような観点で先ほどの底質の関係の話を、この4章に関連する部分で記載をしているという、そのようなまず基本的な枠組みです。掘り下げていけるところは、もちろん掘り下げることが望ましいと思います。

 まずコメントさせていただきます。

○樽谷小委員会委員長 それでは、資料7、八代海の部分についても既にご質問をいただいていますので、こちらについてご質問、コメント等ございましたらよろしくお願いします。よろしいでしょうか。

○橋本委員 先ほどの6の有明海のほうもそうですけど、連関図の中で、例えばこの資料7-1の2ページ目に、底質の泥化というのが赤い枠で示されていて、「河川を通じた陸域からの土砂供給の減少」と書いてありますよね。これは、土砂供給の減少が原因なんですか、それとも砂質成分の供給の減少なんでしょうか。土砂供給というのは泥と砂、あるいはれき、それらの総称ですよね。どういう意味なのかという質問です。それとも粗粒成分、砂とか、そういう主として砂質成分の供給の減少が湾における底質の泥化につながっているのか、そこら辺で質問です。

○根木閉鎖性海域対策室長 そのあたりはご知見をいただければというところですが、基本的には、資料4-2で河川の話については整理をしておりまして、ここに書いてあることを踏まえての連関図になっています。そのあたり、アドバイスをいただければ幸いです。

○滝川小委員会委員長 確認も含めてちょっと申し上げたいことがあるんですけど、先ほど資料5の表1について古川委員から質問がございまして、この表1のまとめは、先ほどのご回答だと、3章をベースにまとめてみるとこういうふうにまとめられますということでよろしいんですよね。資料5の3ページ目のところにある表1です。

○根木閉鎖性海域対策室長 3章も関連するところが多いと思いますが、ここではまず議論の一つとして、現況を中心にまとめているということです。

○滝川小委員会委員長 現況を中心にまとめられたと。古川委員から環境変化を捉えるためにはという意味のご質問があったんですが、そういうまとめ方をしていったときに、今ご説明いただいた、有明海・八代海を海域区分ごとに検討しましたらこうなっていますということを細かく書いてありますよね。そのまとめというのはないのかという意味ですが。要するに、海域ごとに議論して詳しいことをずっと述べてあるわけですよね。そうしたらその結果を、さらに表1に対応するような海域ごとにまとめないといけないと。変化も含めて、あるいは要因・原因というのを今個々の事象で判断しようとしても非常に難しいところがあるので、それがどういう関連になっているのかを見るためには、資料5の表1に対応するようなものをどこかにまとめるというようなことを考えないと非常に見にくいのではないのかというのが1点です。そういった方向でご検討ください。

 それと、先ほど山本委員のほうからご質問がありました資料6-8あるいは資料7-6ですか、有明海あるいは八代海全体のまとめと書いてありますが、ご質問のとおり、この前にただし書き、まとめはどういう方向でまとめましたという説明が要るのではないのかと思いました。ご検討いただければと思います。

○樽谷小委員会委員長 よろしいでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 読んだ人にわかりやすくというご指摘だと認識しております。今、例えば有明海では資料6-1から6-7まで海域ごとのまとめを最後につけておりまして、どうやったら読みやすくなるかなというところありますが、そこは常に意識しながら検討を進めていく必要があるかと思います。

 あと資料に、有明海全体と八代海全体について、例えば先ほど私が申し上げたようなことがあまり記述されていないと感じる部分もありますので、読んでわかりやすくなるように検討してみたいと思います。

○滝川小委員会委員長 第5章につながる再生の取り組みに関して、ここのまとめというのは非常に重要な位置づけにあると思うわけです、海域ごとに区分した。そういった中でどういう再生目標を立てていくのかを考えるためには、資料5の表1に対応するものを総合的に書かないと、次の対策との関連性がなかなか見えない。なぜこういうケーススタディを考えたのかということとの関連が非常に重要だろうと思います。総合的なまとめの部分がどこにもないので、そういった意味でのまとめをよろしくお願いしたいと思います。

○樽谷小委員会委員長 おそらくそれは表の形でもいいし文章の形でもよろしいかと思いますので、ぜひご検討いただければと思います。

 お願いします。

○速水委員 八代海についてもう一つあるのですけれども、八代海のほうの資料の海域全体に関する問題点に関して、漁船漁業に関する記述がないのですね。有明海のほうはかなり詳しい漁船漁業に関する資料が出ていて、漁獲量の減少についての考察もされているのですけども。八代海についても必要だと思います。特に、有明海に比べて環境悪化がそれほど大きくない、貧酸素なんかも顕著ではない八代海でも、もし漁獲量が減少しているのであれば、有明海と共通の何かほかの原因を考える必要もあるでしょうし、ぜひつけ加えていただければと思います。

○樽谷小委員会委員長 それについては、おそらく、八代海の資料の最後の18ページにあるように、次回の小委員会で提示をしたいということだと思います。

○速水委員 わかりました。

○樽谷小委員会委員長 それでは、多数のご意見等いただきましてまことにありがとうございました。

 この第4章に関連する部分についても、本日いただきましたご意見等を踏まえまして、小委員会として評価委員会に上げる案を事務局のほうで整理いただきまして、さらに次回の小委員会でご議論をしていただくことにさせてください。

 それでは、長時間に及びましたので、ここで一旦休憩をとらせていただきます。再開を15時10分からとさせてください。ここまでの議事の進行にご協力いただきまして、まことにありがとうございました。それでは一旦休憩とさせていただきます。

( 休  憩 )

○滝川小委員会委員長 それでは、時間となりましたので、議事を再開させていただきたいと思います。

 後半の議事進行を担当します滝川です。どうぞよろしくお願いいたします。

 平成18年度にこの環境省の評価委員会からの報告書が出まして、およそ10年後にまた今、まとめようという形でいろいろな資料をもとに皆さんに議論をいただいております。そういった意味で、社会的な期待も非常に大きいところがございますし、この報告書の作成におきましては、よりよいものをつくっていく責務があるかと思います。そのために、委員の皆様方の忌憚のないご意見、積極的なご意見をお伺いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速ですが、議題3「再生への取り組み」ということで、資料8がございます。括弧、たたき台と書いてありますので、まさにたたき台だろうと思います。そういった意味で、先ほど申し上げましたように忌憚のない率直なご意見を賜りたいと思います。

 それでは、事務局から「再生への取り組み(たたき台)」のご説明をまずお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○束原閉鎖性海域対策室長補佐 それでは、資料8をご覧ください。ただいま委員長より説明がありましたように「再生への取り組み(たたき台)」をお示しします。ぜひ、いろいろな意見等をいただければと思います。

 構成といたしまして、目次イメージのとおり、1番目に「再生目標」、2番目に「ケーススタディ」、3番目に「再生方策と評価」、4番目に「解明すべき課題」となっております。今回はそのうちの1から3番目についてお示しし、「解明すべき課題」は次回の小委員会で示す予定です。

 それではまず、「再生目標」からご説明したいと思います。「(1)有明海・八代海等全体の再生の目標」については、これまでの3章、4章での検討を踏まえ、有明海・八代海等全体に共通する再生目標を以下に示すこととしています。1点目として「ア)希有な生態系、生物多様性及び水質浄化機能の保全、回復」。2点目として「イ)二枚貝等の持続的な生息環境の保全・回復とバランスの取れた水産資源等の回復」ということで、まず大きな全体目標として掲げております。

 (2)は「個別海域毎の再生目標」ですが、これまで4章で海域ごとに示した問題点について原因・要因の考察を行っております。これらを踏まえて、次に示す個別海域ごとの目標を設定しております。

 まず、有明海A1海域からA7海域までのA1海域です。A1海域は、サルボウが夏の貧酸素によるへい死を起こさないようにし、アサリの資源回復を図る。ノリの安定的な養殖生産とサルボウやアサリの持続可能性の高い共生を確保する。ベントスは、減少がみられたという記載があった海域は、種類数、個体数等を確保すると記載しております。

 A2海域は、タイラギの資源回復を図る。ベントスの種類数、個体数も回復させ、有用二枚貝も含め、持続可能性の高い生息を確保する。

 A3海域は、タイラギの資源回復を図り、サルボウが夏の貧酸素によるへい死を引き起こさないようにする。ベントスの種類数、個体数も回復させ、有用二枚貝も含め、持続可能性の高い生息を確保する。

 A4海域は、アサリの資源回復を図り、持続可能性の高い生息を確保する。ノリの安定的な養殖生産とアサリの持続可能性の高い共生を確保する。ベントスの種類数・個体数を確保する。

 A5海域は具体的な問題点がなく、一般的な記述となりますが、生物多様性・生物生産性及び持続可能性が高い豊かな水環境を保全するという目標を設定しております。

 A6海域は、アサリの資源回復、持続可能性の高い生息を確保する。

 A7海域も、A5海域と同様の記載とベントスの種類数、個体数を確保するという目標を掲げております。

 八代海のY1海域は、生物多様性・生物生産性及び持続可能性が高い豊かな水環境を保全する。新たな問題点、目標等が設定ができればその辺も書き込みたいと思いますが、現時点ではこの書きぶりとしております。

 Y2海域は、アサリの資源回復を図り、持続可能性の高い生息を確保する。

 Y3海域は、持続可能性が高い魚介類養殖を確保する。Y4とY5海域は同様な書きぶりになっており、あわせてベントスの種類数、個体数を確保についても記載しています。

 ウ)としまして「橘湾・牛深周辺海域」。こちらは養殖です。赤潮の関係で問題点がありましたので、持続可能性が高い魚介類養殖を確保すると記載しております。

 「(3)再生に当たっての施策の考え方」として、幾つか留意点という形で記載しております。

 3ページをご覧ください。再生に当たりましては、例えば、関連する情報がなかなか得にくいところもあり、事象の正確な把握を困難にしているという現実があります。このため、必要な調査・研究を適切に行っていく必要がありますが、常にモニタリングを行いながら、その結果に基づいて、場合によっては順応的な方法により諸施策を進めていく必要がある。また、有明海の海域環境、生態系は、長期間にわたって変化してきている。さらに、近年は気候変動による影響にも留意する必要があるという点を記載しました。加えて、海域ごとにさまざまな環境特性があり、生物の生息状況も異なっていて、問題点とその原因・要因も海域ごとに異なる部分も多いものと考えられます。

 これらの海域の環境、生態系の保全・回復を図り、その再生につなげていくためには、有明海・八代海等全体及び個別海域、また場合によってはミクロなエリアにおける自然環境や生態系のメカニズムを理解した上で、土木工学的な手法に加えて、二枚貝の浄化能力などの生態系の機能の活用や持続的な漁業生産の観点を取り入れつつ、その環境改善手法について長期的な視点も入れて検討していく必要があると考える、としています。

 次に「ケーススタディ」ですが、4章での、「問題点は何か」「その原因・要因は何か」といった検討を踏まえまして、その目標等を設定しています。この目標を達成するためにはいろんな知見が必要ですが、必ずしもその問題点の原因・要因などを解決するための定量的な知見が得られていない場合があります。このため、この点を補い、解決の道筋を見いだすことを目的といたしまして、ケーススタディとして幾つかの事項を取り上げ、モデル計算等を用いた検討を行いました。

 なお、本報告におけるケーススタディはこのような目的のために行うので、再生方策の設定のためにケーススタディが必須という趣旨ではありません。

 ケーススタディは四つ示しておりますが、次のように整理しております。

 まず、「各ケーススタディの背景」として、一つ目「酸素水塊の改善方策検討のための試算」の「ア)貧酸素水塊の要因解析」について。海域ごとに行った問題点や要因考察の結果、A3海域におけるタイラギでは貧酸素水塊が、A1海域及びA3海域におけるサルボウについては貧酸素化に伴う底質での硫化水素の増加等が減少の要因となっていると推定されております。しかしながら、これまでの検討では、貧酸素水塊を小さくし、その影響を少なくするためにはどのような方策が考えられるかについて、定量的な知見は得られなかったということで、その検討のため、数値シミュレーションを用いて貧酸素水塊形成の要因解析を行います。

 二つ目、イ)として、「二枚貝による改善効果の試算」。要因解析により、二枚貝の生息量を増やすことが貧酸素水塊の規模を小さくし、その影響を少なくすることに寄与する試算結果が得られております。カキ礁による効果についてのモデル計算を示しています。

 三つ目、2)では「二枚貝の浮遊幼生の供給ネットワークの試算」として、タイラギについては、主漁場であるA2海域及びA3海域でタイラギが減少している要因として、浮遊幼生の供給量が減っているのではないかという点が挙げられています。この対策の一つとして、母貝の生息地を確保し、浮遊幼生の供給量を増やすことが重要ではないかということで、関連する試算を行っております。

 四つ目、「3)八代海での赤潮被害防止対策の取り組み」で、この海域で一番大きな問題となっています赤潮被害対策の一環として、その予察技術について取り上げています。

 5ページから四つのケーススタディの内容を記載しています。5ページから26ページまで十数ページに及んでいますが、前回それぞれの小委で示しておりますので、要点だけ説明いたします。

 まず、「1)貧酸素水塊の改善方策検討のための試算」ですが、まず8ページをご覧ください。表1に、要因解析のケースとして、長期的な水温の上昇、藻場の減少、栄養塩・有機物の流入、二枚貝の減少、の四つの項目について、1970年から2014年までの期間でとり得る最大と最小の値を用いて計算を行いました。

 9ページに、貧酸素水塊の発生状況を掲載していますが、データがある中で貧酸素水塊の累積日数が最大となった2006年と最小であった2009年をベースケースとしました。

 10ページ、11ページに四つの項目について、最大、最少になったケースの根拠を記載しています。主に資料4に記載した長期的な変動のデータを使用しています。

 二枚貝については、11ページの中ほどにありますけれども、現存量の約2倍として設定して計算をしています。結果は13ページです。13ページの左側が2006年をベースとしたケース、右側が2009年をベースとしたケース、一番上がA1海域、真ん中がA3海域、一番下が全海域の平均で、溶存酸素が3.0mg/L以下の貧酸素水塊の容積がどのように変化したかを試算しています。1.0というのは変化がないということで、例えば2006年ベースケースのA1海域では、水温が最大だった1994年のデータを入れ込みますと、貧酸素水塊が2006年ベースで1.4倍に増え、逆に1993年の最低の水温のときですと0.4、要するに60%減ることを示しています。藻場面積ではほとんど変わっていません。二枚貝は現存量を2倍にすることによって貧酸素水塊の容積が7割程度下がり、30%程度の容積になる。流入負荷も、過去最大のときと最小のときを見ますと、最大のときで2.5倍に、最小のときで25%程度減るといった試算となっています。

 これらのことから、水温、二枚貝、流入負荷のそれぞれが貧酸素水塊の規模の増減に寄与することが試算結果として示されています。

 15ページは参考で、前回の小委員会で、どのプロセスが貧酸素水塊の容積変動に寄与しているのか、成層についてどうなのかというご意見を踏まえ、関連事項について記載をしています。容積変動については、クロロフィルaの濃度と正の相関があったことを示しています。

 次に16ページ、「イ)二枚貝による改善効果の試算」。これは、現在のカキ礁のバイオマスを2倍にするという試算をしました。結果としまして、18ページをご覧ください。A3海域とA6海域における現況と試算したケースを記載しています。左側が体積、右側が面積ベースで、溶存酸素量3.0mg/L以下の水塊を試算したところ、A3海域では11%体積が減る、A6海域では10%体積が減少するという試算が出ております。貧酸素水塊が縮小することによってカキ以外の二枚貝類等の生息が回復すると、さらなる赤潮抑制・貧酸素緩和効果がもたらされる可能性があります。

 19ページをご覧ください。「2)二枚貝の浮遊幼生の供給ネットワークの試算」です。タイラギ漁獲量は2000年以降低位で推移していますが、その中で、2009年が久々の豊漁となっています。これは2008年の着底個体群が多かったことが原因なのですが、この原因について二つの仮説を挙げています。一つは、2008年はその前後の年に比べて物理的に輸送によって湾奥に浮遊幼生が供給されやすかったのではないか。もう一つの仮説として、タイラギ幼生の浮遊期は貧酸素水塊が発生しやすい夏場であるため、2008年は浮遊幼生に対する貧酸素の影響が少なかったのではないか、そういった観点で試算を行っております。

 図16にA、Bとありますけれども、ここから浮遊幼生が放出されたとして試算しています。2007年から2010年までの4カ年について試算をして、比較を行いました。

 20ページにその放出した粒子の分布図を掲載しています。

 21ページ、図18を見ますと、2008年は湾奥西部への粒子到達数がほかの年に比べて多く、図19は、2008年は貧酸素による影響が少なかったことが示されています。

 また、22ページですが、その原因としてエスチュアリー循環が強化されたためではないかとして、平均流の鉛直分布図を掲載しています。

 23ページ、結果です。タイラギの主漁場である有明海奥部については、有明海奥部だけではなく有明海の広い範囲から浮遊幼生の供給がなされていることを示唆しています。したがって、有明海奥部におけるタイラギ資源回復のためには、湾奥部だけでなく、有明海を個別海域・県域を越えて全体で捉え、さまざまな海域における母貝集団の保全・育成をしていくことが重要であると考えられます。

 4番目として、24ページ「3)八代海での赤潮被害防止対策の取り組み」といたしまして、赤潮予察技術について二つ事例を載せております。

 事例1として、折田ら(2013)の論文による予察方法です。表4のとおり、6月中旬の水俣の日照時間、6月の八代での北東からの平均風速、5月1日を起算とした場合の入梅日までの日数を、下に書いてあります予測式に当てはめまして判定をするものです。

 原理として、25ページの図22に、その因子の相互作用についての図を掲載しています。上が発生年、下が非発生年で、上のほうを見ますと風速が強くて、強い日射時間、遅い梅雨入りになりますとシャットネラが、この赤いところですけれども、7月下旬、8月上旬に発生する。非発生年は、風が弱くて、少ない日照時間、早い梅雨入りですとシャットネラの前に珪藻赤潮のほうが先に発生します。

 26ページをご覧ください。事例2といたしまして、Onitsukaら(2015)に基づきます予察について記載しております。図23にありますように、九州南部の梅雨入り日、5月15日からの経過日数と八代海での2月から4月の平均気温から発生するかどうかを予察できるということを記載しています。

 折田らとOnitsukaら、いずれも6月時点のシャットネラがある程度高密度になった状況で、降雨があると陸から負荷された栄養塩がシャットネラに利用されて赤潮が発生するという点で合致しています。特にOnitsukaらの場合は、冬季の平均気温が予測因子の一つとして挙げられておりまして、長期予測が可能ではないかとしています。

 以上が「2.ケーススタディ」です。

 27ページからは「3.再生方策と評価」です。

 これまでの考察結果を踏まえ、本資料の第1節に記載した再生目標を達成するため、またケーススタディで得られました知見を加えて検討を行い、具体的に講ずることが適当と考えられる再生方策を示しています。

 まず、「(1)有明海・八代海等全体に共通する再生方策」として、「ア)二枚貝に係る方策」ということで、タイラギやアサリなどの二枚貝の減少について、海域ごとに主な原因を把握した上で、浮遊幼生の量を増やす、着底稚貝の量を増やす、成長する貝を増やす、この三つのステージについて適切な対策を講じることが重要ではないかとしました。

 次に、アサリが2015年よりの着底量が非常に好調であること、タイラギも局所的に着底していることから、生息量の回復のため、このような状況の中で確実に資源回復につなげるための資源管理方法を早急に確立し、実施に移していくとしました。

 次に、タイラギ等の二枚貝の増養殖技術を確立する。種苗放流を推進する。成長する貝を増やすため食害生物の駆除等を実施するとしました。

 イ)として「魚類等に係る方策」。これについては次回示す予定です。

 ウ)は「ベントスに係る方策」で、モニタリングを継続して実施し、評価や再生方策を講じる。

 28ページをご覧ください。具体的には「底質環境の改善」として記載しております。4章相当部分で検討してきましたように、限られた期間のデータの中から海域全体の傾向としては浮泥の増大というのは確認されませんでした。特に筑後川では砂利採取等によって海域への土砂の供給が減少したものと思われます。ただし、限られた近年のデータからは、海域での底質の細粒化(泥化)について、一様な一方向の増加傾向は確認されませんでした。このような状況にありますが、生物豊かな水環境を確保するためには、1970年ごろ以前の底質環境を目指すべきであるとして、各共通する施策を以下に示しております。

 まず、流域の土地利用と流出土砂対策を適切に行うこと。河川からの土砂流出量の調査を行い、適切な土砂管理を行う(砂利採取の制限等)。持続性の高い二枚貝の漁場の造成・改善に資する底層の流況、浮泥の巻き上げ等に関する調査を実施する。また、泥化による底質改善のため浚渫、耕転、覆砂などの諸策を実施し、あわせて関連技術を開発する。また、ダムの堆砂の除去等も検討していく。

 「エ)ノリ養殖に係る方策」としては、ノリの色落ちが問題となっておりますので、珪藻赤潮等を適切に予察することに加え、発生機構をより明確化していくことが重要。また、持続性の高いノリ養殖のため、以下の施策を推進するとして、漁業者の協力を得た適切な漁場利用による漁場環境改善。酸処理剤や施肥の適正利用のため、継続的にチェックするとともに、環境負荷の軽減に配慮したノリ養殖技術の確立。水温上昇等に対応したノリ養殖技術を開発するとしています。

 「オ)沿岸域の環境保全、再生」としては、海域の流速低下を招くおそれのある開発を実施する場合、これに対して予防的な観点から適切に配慮をする。汚濁負荷の削減等を行う。稚仔魚の育成場の確保、浄化能力の維持のための干潟、藻場の感潮域について把握し、保全・再生する。

 次に、「(2)有明海の個別海域毎の再生方策」です。海域ごとに記載していますが、これは個別海域毎の再生目標に対応して記載しています。

 A1海域は、サルボウの安定的な生息として、夏の貧酸素水塊を軽減させるとしています。軽減方策はA3海域のところで説明したいと思います。そのほかアサリ生息量の回復のために覆砂等を行う。留意事項はA4海域でご説明します。

 A2海域は、タイラギ生息量の回復で、ケーススタディでのシミュレーションも踏まえて、広域的な母貝集団ネットワークの形成を図る。具体的な対策例として、母貝生息適地の選定、母貝生息適地の保全・再生、稚貝の放流等。また、着底後に成長する貝を増やすため、立ち枯れへい死の原因分析のための調査を実施する。ベントスについては種類数・個体数の減少要因の解析調査を実施。

 A3海域も、タイラギ生息量の回復として、広域的な母貝集団ネットワークの形成を図る。

 30ページですが、さらに貧酸素水塊を軽減させていく。具体的には、2013年から2015年の夏は、貧酸素累積時間がそれ以前と比べて短かく、貧酸素の度合いが比較的軽微であったことから、現時点ではその評価は難しいですが、今後もモニタリングを続けて、評価委員会で評価を行う。また、底層溶存酸素について、今年3月に新しい水質環境基準(生活環境項目)が追加されましたので、これについての類型指定を適切に行う。さらに、有明海におけるケーススタディでのシミュレーションでも出ましたけれども、汚濁負荷量を増加させない。二枚貝の生息量を回復させるための生息環境を保全・再生させる。例えば、カキ礁を再生する。また、ベントスの生息密度を回復させるための生息環境を保全・再生し多様性を確保する。

サルボウでは、夏の貧酸素水塊を軽減させる。

ベントスについては、A2海域と一緒です。

 A4海域は、アサリ生息量の回復としては、浮遊幼生の量を増やすため、有明海を全体でとらえ、広域的な母貝集団ネットワークの形成を図る。具体的対策例として、母貝生息適地を具体的に選定し、保全・再生していく。さらになぎさ線の保全・再生をする。底質については、1993年以降、一様な泥化傾向はみられなかったものの、着底稚貝の量を増やすため、覆砂を行う。ただし、場所によっては浮泥がたまったり、砂が流されたりすること、海砂採取の規制は各地域で行われており入手困難となることが想定されること、採取した海域で漁場環境に影響を及ぼすことに留意すること。さらに、着底稚貝量を増やすため、なぎさ線の保全・再生を行う。成長する貝を増やすため、成長阻害要因分析のための調査を実施する。

 A5海域は、水環境や生物のモニタリングを実施し、継続的に評価する。

 A6海域は、アサリの生息量の回復のため、アサリの生産地が元々は泥質干潟であることを踏まえ、着底稚貝の量を増やすための覆砂を行う。

 A7海域については、A5海域と同じです。

 次に、八代海です。

Y1海域は、水環境や生物のモニタリングを実施し、継続的に評価する。

 Y2海域は、アサリ生息量の回復のために、着底稚貝の量を増やすため覆砂を行う。

 Y3海域は、持続可能性の高い魚介類養殖のため、次の施策を推進する。具体的には、有害赤潮の発生予察、赤潮モニタリング、その防除技術に関する研究、環境収容力、歩留まり等を考慮した生産の検討、ブランド化の推進、給餌等による環境負荷の抑制の推進。

 Y4海域、Y5海域も養殖の盛んなところですので、Y3海域と同じです。

 最後に32ページですが、「(4)橘湾・牛深周辺海域の再生方策」としては、基本的に養殖が行われているところであり、有明海・八代海を起因とした赤潮による被害があった海域として、Y3海域における施策と同様の内容としています。

 最後に、(5)継続的な評価として、評価委員会においては、生物や水環境のモニタリング結果の確認を含め、本章で掲げた再生目標の達成状況や方策の実施状況を定期的に確認し、これらを踏まえて再生に係る評価を適切に実施することとするとしています。つまり、この報告書が出た後の評価委員会では、モニタリング結果について定期的に報告いただいて、その再生状況を確認していくことが重要ではないかとしています。

 さらに、それぞれの個別の事業におきましても効率的に事業を実施し、その事業後に適切にレビューすることが肝要であるとしました。

 4の解明すべき課題は次回の小委で示す予定です。

 以上です。

○滝川小委員会委員長 どうもありがとうございました。

 今、資料8に基づいてご説明いただきました。19ページのところに二枚貝の浮遊幼生の供給ネットワークの試算ということでケーススタディを一つご紹介いただきました。これに関しましてはお手元の資料9の追加資料を用いて、速水先生からご説明があることですので、よろしくお願いします。

○速水委員 それでは、束原補佐の説明に少し説明を加えたいと思います。

 資料9をご覧ください。先ほど束原補佐から説明があった資料では、有明海南部のA、B海域から浮遊幼生を放出した場合の実験についてお示ししました。それに加えて有明海で最後まで残った潜水漁場である湾奥東部海域のC海域と、浮遊幼生調査でまとまった数の幼生が採取された緑川河口干潟沖のD海域から浮遊幼生を放出した場合の輸送過程・経験水質の検討を行いました。

 次のページは浮遊幼生の予想シミュレーションの概要です。このモデルでは、オイラー・ラグランジェにより、浮遊幼生の輸送シミュレーションを実施しました。3次元生態系シミュレーションを行い、その中で浮遊幼生が輸送期間中に経験する水質履歴を推定しました。

 真ん中の図の2008年に、有明海湾奥のA2海域で非常に多くのタイラギ浮遊幼生が見つかりました。そこで、この2008年に特異的にたくさんの浮遊幼生がみられた原因を調べられるように実験を行いました。

 実験は、8月10日より21日間、毎時100粒子で各海域から粒子を放出し、浮遊幼生の輸送過程及び環境履歴の年による比較を実施しました。

 まず、緑川河口沖のD海域からの浮遊幼生の輸送結果です。これを見ますと2週後、3週後になっても比較的に放出海域の近傍あるいは有明海南部にとどまっている粒子が多くて、この海域から輸送された粒子の湾奥への輸送は少ない結果になりました。それをより定量的に示したのが、次の5番目のスライドです。これを見ますと、有明海南部のA、B海域から放出した場合に比べて、D海域から放出した場合は湾奥の東部、西部ともにワンオーダー少ない数の粒子しか到達しない結果になりました。また、その数も2008年が一番多いという結果になりませんでした。

 次に、湾奥のC海域から放出した場合と、有明海南部のA、B海域から放出した場合を比較したのが、6番目のスライドです。これを見ますと、A・B海域からは湾奥西部、湾奥東部両方の海域に対して毎年安定的に幼生が供給され、2008年が最も多かったということがわかります。一方で、湾奥東部のC海域から放出した場合には、放出元である湾奥東部への供給は多いのですけれども、湾奥西部への供給はA、B海域より少なくて、特に2008年は少なくなっていました。湾東部への供給はこのC海域起源がA、B海域よりも多くなっていて、主要な幼生供給源になり得ることがわかりました。

 最後に、C海域から放出後に有明海湾奥東部、西部に到達する粒子の貧酸素暴露日数をA、B海域と比較しました。これを見ますと、A、B海域から放出した場合、2008年は貧酸素の影響はありませんでした。また、C海域も2008年はほかの年に比べて影響は軽微でした。そこで、2008年に湾奥東部、西部の両方の海域に大量の着底があった原因として、一つはA、B海域など有明海南部からの供給が多かったことが影響した、さらに貧酸素の影響が小さかったこともその原因であったと考えました。

 こうした結果から、有明海の奥部だけではなく、有明海南部海域等も湾奥部に幼生を供給する母貝適地として機能すると考えられます。

 以上です。

○滝川小委員会委員長 どうもありがとうございました。ただいま、「再生への取り組み(たたき台)」ということで、資料8の「再生の目標」「ケーススタディ」「再生方策と評価」の三つについてご説明をいただきました。どこからと分けても仕方ないのかと思います。全体的にどこからでも結構だと思いますので、忌憚なく、ご質問、ご意見等、コメント等いただければと思います。

 まず、平山委員のほうからよろしいですか。

○平山委員 すみません、3点ほどお尋ねしたい、お伺いしたいんですけれども、最初のところに再生目標ということで、有明海・八代海域の目指すべきところが書いてあります。その前の資料に戻ってしまうんですが、八代海域について、それぞれの連関図をもう一度見直していただきたい。どうも現場と一致していない記載がかなり目立ちます。例えばY4海域はノリ養殖が挙がっています。ここにはノリ養殖はないはずですので、資料7-1についてはもう一度、連関図を全部見直していただきたいというのが1点。

 それと、再生の取り組みの中でケーススタディをされていますが、再生自体が二枚貝の資源回復に偏っている気がします。二枚貝資源が戻れば全てよく回るような印象になりますけれども、恐らくそうではないだろうと思います。八代海域のY3海域、Y4海域、Y5海域というのは魚類養殖が中心で、当然ながら二枚貝資源はございませんので、二枚貝を戻せばいいという話にはなりません。また、赤潮の被害防止対策については記載されておりますけれども、ここでは予察しか触れられていなくて、予察だけでは足りないではないか。継続的、持続的に魚類養殖をやろうとすれば、当然、赤潮対策面についての記載がないと回復に向かわないのではないか。

 それと、最後に今補足のご説明ありましたタイラギのシミュレーションでは、粒子の出発点がA海域、B海域というところが一番加入に成功するという結果でしたが、私どもの水産研究センターがあるのはA海域にまとまったタイラギ資源があるという認識は、私にはありません。小さな干潟が多数ございますけれども、湾奥の資源を支えられるだけの粒子の出発点になり得るのか、それだけのタイラギ資源があるのかというところが非常に疑問です。

 その3点について。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。順番にお答えいただければと思いますが、事務局のほうからよろしいでしょうか。まずは1点目、再生への目標ということです。

○根木閉鎖性海域対策室長 3点、順番にお答えいたします。

 1点目の連関図については、先ほど申し上げましたように精査をいたします。

 2点目です。今回の検討の中で新たな試みとしてケーススタディがありますが、3ページにその趣旨を書いています。先ほどまでの資料の説明で、問題点は何か、その原因は何かという考察をしていく中で、再生の方策を設定するため、まだ定量的な知見が得られていない分についてモデル計算などを使ってそこの部分を補うという趣旨で四つ掲載しております。「なお」と書いておりますが、ケーススタディは、このような試みで今回記載をしてはどうかということであり、再生の方策を設定するためにケーススタディが必須という趣旨ではないことに留意する必要があることを記載いたしました。

 具体的な再生の方策は、例えばY3、Y4、Y5海域は、31ページに持続可能性の高い魚類養殖の推進という施策を記載しております。これに対してさらにこんな観点があるのではないかということがありましたら、ご示唆をいただければありがたいと考えております。

 ケーススタディの二枚貝の浮遊幼生の供給ネットワークの試算について、後ほど速水委員のほうからも補足いただければとも思いますが、23ページに書いていますとおり、今回のケーススタディで設定したA海域、B海域が全てだと事務局としては考えておりません。1ケースとしてやってみて、結論の案としては湾奥部だけでなく、有明海を個別海域、県域を越えて全体で捉えて、さまざまな海域における母貝集団を保全育成していくことが重要だと考えております。このようなモデル計算はどうしても時間がかかりますので限定されたケースとなってしまいますが、結論としてはこのような結論案はいかがかと考えております。

○滝川小委員会委員長 今、事務局から一応のご回答いただきましたけれども、平山委員からご質問等よろしいでしょうか。

○平山委員 3点目のタイラギの浮遊幼生のシミュレーションは、その結果と現場の調査を合わせて整合をとっていただかないと、現場に近いところにいる人間としてはどうも違和感があります。そこは資源量の把握あたりもあわせてやっていただく必要があると思います。

○滝川小委員会委員長 速水委員のほうからコメントございますでしょうか。

○速水委員 シミュレーションを行うに当たって、情報が非常に少なくて、まずは有明海南部は徒捕りでの採捕の情報があったA海域、B海域をテストケースとしてみようということで計算をしたまででして、何もA海域、B海域という形でフィックスしてはおりません。ただ、現状でも例えば島原沖あたりの結構深いところで漁業者がタイラギを混獲している情報も得ていますので、密度は少ないかもしれないけれども、以外と広い範囲に分布しているのではないかと考えています。そういった意味で、今後タイラギの分布調査とあわせて、どこにタイラギの母貝団地をつくるのがいいのかという検討を具体的に進めていく必要があると考えています。

○滝川小委員会委員長 よろしいでしょうか。平山委員のご質問は現実的といいますか、実際の現場においてタイラギの資源等が考えられないような場所を設定されているのに違和感があるというご質問です。今後を含めてご検討いただければと思いますが、ちょっと私のほうから確認です。平山委員から、再生目標について連関図との関係がよく見えないというご質問があったと思いますが、それに対する明確なお答えをいただいてない気がします。いかがでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 ご指摘いただいた分は精査をしたいと思います。連関図の考え方としては、前回も申し上げたかもしれませんが、可能性がある線は残すと。ただ、今日少しこれはこの海域には全くなじまないのではないかというご指摘もいただきましたので、そこは精査したいと思いますが、可能性があるものは残すということかと思います。その中で、さらに先ほどの海域ごとの問題点、その主な要因・原因の考察のところの文章では、特にこの海域で主だったと思われるところの考察を深めているということでして、その考察結果については主に各海域の資料6シリーズ、資料7シリーズの後のまとめというところに入れている。そのまとめのところで浮かび上がった生物に関する問題点を踏まえて、先ほどの資料8の目標を設定しています。このような考え方でたたき台を作成しています。

○滝川小委員会委員長 海域ごとに目標を立ててあるので、前後との関係、特に前のほうの分析との関係を明確に記してくださいというご要望だろうと思います。精査しますということをもう一つ先に進めて、よろしくご検討いただきたいと思います。

 もう一つは、ケーススタディを含めて二枚貝に対する対応が再生目標の中で多過ぎるのではないですかというご質問だったと思うんですが、それに対して明確にご回答いただきたいのですけれども。

○根木閉鎖性海域対策室長 二枚貝は一つ重要なポイントであると思います。そして、ケーススタディというのは、趣旨の説明になりますが、先ほど申し上げました海域全体の目標、個別目標、これらを達成するためにどういう方策を立てるかというとき、定量的な知見が不足している部分についてケーススタディで補うという考えのもと、この四つを取り上げました。そのような趣旨で取り上げておりますので、ケーススタディの数に比重を置いているということでは必ずしもなくて、再生への方策につなげていくために必要な分についてケーススタディをしているという考え方です。

 時間がかかることもあって、ケーススタディをどんどん増やしていくことは現実的では正直ないんですが、そのような考え方で実施していることをお伝えさせていただきます。

○滝川小委員会委員長 多分、二枚貝があまりにも表に出過ぎているので、それ以外の対策はありませんかというご趣旨だと思います。そこら辺も踏まえてよろしくご検討を進めていただきたいと思います。

 山本委員のほうから。

○山本委員 多分、ケーススタディという言い方が話をややこしくしていると思うんです。この資料8は、資料6、資料7にどう対応しているのかが一番問題だと思います。

 各海域の再生目標は、資料6、資料7において、この海域ではこういう問題があると言われたものについて、それを何とかしましょうという整合性がとれてなくてはだめです。確かに、A1海域ではサルボウが減ります、サルボウの資源を回復したいですというのは目標としていいんですけれども、それがなぜ死ぬんですか、何を解決すればその目標が達成できるんですかというところで、どうも夏の貧酸素が効いているらしいですという要因があって、そこで今度は資料6、資料7の連関図に話が戻るんですが、最初にある連関図はありそうなものに線を全部引いてある。それはいいと思うんですよ。その後、問題の原因を考察した時点で、ありそうではないものは線が細くなるとか、最後にそれがもう一つ出てこないとだめだと思うんです。

 ベントスに絡んであっちこっちで底質の話が何度も出てくるんですけれども、結局どこの海域でも底質の細粒化はありませんという結論が出ています。だけど、この線はすごく太くて、影響があるように何回も議論されていたりして、底質が細かくなることではなく、例えば底質の有機物含有量とか底質中の貧酸素とかはもしかしたらベントスとか、二枚貝に効いているのかもしれないんですけれども。そこを少し連関図の段階できちんと整理しておけば、議論の混乱は防げる部分があると思います。

 話の流れとしては、各海域の目標があって、それを達成するには何を解決すればいいんですかという要因までは資料の6とか資料7を踏まえて整理がされて、だけど、何とかできるものとできないものがある、あるいは、どこの海域でも共通しているものがある、あるいは、これをやるとすごく効果が高そうだというものがあるという観点である程度の取捨選択が行われて、それから対策にいくべきではないかと思います。

 例えばアサリとか二枚貝に関してナルトビエイが要因に挙がっていますけど、この対策は駆除です。だけど、貧酸素とかあるいは二枚貝の着底が少ないというのは、どこで何をどうしていいかわからない。それに関しては、ケーススタディという命名でいいのかどうかわからないですけれども、そこを探る上で、ここでケーススタディの中で挙げられている研究が参考になるんだと思います。その上で対策があって、最後に海域ごとに対策が整理されていいます。

 平山委員はちょっと実感と違うとおっしゃいましたが、例えば湾奥への幼生の供給源として湾口がかなり重要だということがある程度言えるのであれば、31ページの海域ごとの再生目標のA7海域のところは母貝団地としての役割ということが出てこないとおかしいです。ちなみに、母貝の供給源というか、幼生の供給源としての役割というのは、そこ自体が高い資源状態でないんだけど、安定してずっとあれば供給源として機能するので、そういうことも考えれば団地という評価であってもいい気がします。とにかくそういうふうに順番に話がつながるようにもう少し整理すればいい気がします。

○滝川小委員会委員長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 ただいま、山本委員からのご質問、平山委員のご質問とも関連しているかと思いますが、事務局のほうからご回答ありますでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 趣旨に沿って順番につながるように留意したつもりではありますが、今のご指摘を踏まえて、なお一層、読んでつながりがわかるように努めたいと思います。

 連関図のところの扱いについていろいろ今日はご意見いただいておりますが、そのあたりが少し今わかりにくいのではないかという指摘を受けていると思います。そのあたりも含めて検討してみたいと思います。

 A7海域の例示についてご示唆いただきましたが、この目標についてはその海域における問題点は何かというところから、その問題点、例えば生物が減っている、二枚貝が減っているということについて、それを回復させることという目標を設定しています。問題点として浮かび上がっていないところを目標として設定するという整理は少し書きにくい気もしますので、そのあたりも皆様のご意見をいただければと思います。

○滝川小委員会委員長 よろしいでしょうか。はい、どうぞ。

○山本委員 全体で問題を解決しようとしているので、海域に分けて海域の中で解決したり、あるいはその海域の問題を解決するためにその海域でやるべきことと、全体の中でその海域が果たしている役割を考えて何かやることというのはどちらも重要だと思いますので、どんな形でもいいので入れていただくようにお願いします。

○根木閉鎖性海域対策室長 そうですね、浮遊幼生の供給ネットワークのところは、A2海域、A3海域、A4海域のところで書いております。そこでは有明海全体で捉えるということを書いておりまして、A7海域のところにそれを設定するかどうかです。先ほどの平山委員のご指摘も踏まえると、その辺は少し悩ましいところです。引き続きご意見いただければと思います。

○滝川小委員会委員長 ほかにご意見、ご指摘。伊藤委員からどうぞ。

○伊藤委員 今、山本委員が最初に言われたことと重複しますけれども、再生策、今後どうしましょう、どうやって改善していくかということに対して、我々も含めて多くの人が非常に期待しているわけです。そういう中でこれだけのデータがあって、問題点が整理されて、例えばこちら側は生物が主体ですけれども、こちらの方は物理的な主体、それぞれのグループで、小委員会で課題がきちんと整理された。それを、大変だと思いますけれども再生策に向かうような流れ。例えば先ほど山本委員が言われたような、貧酸素はどこが主体で、どれが濃くて問題になっているのか。それを全部解決することはできないけれども、大変だとは思いますが、そういうわかりやすい最後のまとめが必要だと思います。

 この報告書に対しての期待は非常に大きいです。我々もそうですけれども、有明海で生活されている方、それから沿岸域の方も含めて、この委員会の報告に対する期待度は非常に高いですから、少しわかりやすい、再生策はこうだというところをぜひ出していただきたいということと、もう1点は、そういった意味でシミュレーションは非常に大事です。特に最後の私たち佐賀県の場合、湾奥部おいて、アサリ、サルボウ、タイラギも含めた貝類がいかに増えていくかということに非常に期待しています。そういう中で、ここの中にも出ています4県協調で浮遊幼生の調査をやったり、その調査結果をもとにしたシミュレーションによる幼生のネットワーク、それから4県協調しながらそれぞれの種類ごとの母貝集団なり保護育成に協調して取り組む方向でみんな頑張っています。

 そういった中で、例えば今回は一つの事例だと思います。先ほどと重複しますけれども、平山委員が言われたようにケースはケースでいいんですが、例えば本当にそこに生物が、母貝となるものがいるのかといったことを踏まえて発信しないといけません。この資料だけを見ていくと、2008年の湾奥部の発生が多分寄与はしていると思うんですが、天草沖のところが主体になってきたというのが、よくわからないですけれども、何かひとり歩きしているという感じです。

 もう一つ、あまり言いたくはなかったんですけれども、このシミュレーションは生物的に言うと、この時期に発生した幼生――私たちは発生稚貝の調査をやっていますから、その稚貝調査で確認した時期、貝がみられる時期に、このシミュレーションは合わないんです。そういったことも含めて、現場の状況と数値シミュレーションと十分突き合わせていただいて、その上である程度、話を公表していかないと非常に誤解を招きます。漁業者の人たちはものすごく敏感ですので、こういう状況でのシミュレーションはどうなんですかと言われたときに非常に根本的なことにかかわるので、そこは少し慎重に、学問的なこと等を含めてやっていただきたいと思います。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。非常に大切なご指摘を多々いただいておりますが、ほかにご質問等ございますでしょうか。

 古川委員のほうから。

○古川委員 この章でいよいよ再生への取り組みをまとめていただきまして、これが実効性を持って実際の現場で行われることがとても大切だと思います。そのときに、実際にほかの海域で、今、例えば海の再生プロジェクトという形で、東京湾、大阪湾で再生のプロジェクトが起こっている。瀬戸内海でも再生の計画を立てて実施されている。これは釈迦に説法ですので詳しくは申し上げませんけれども、そういうほかの再生の実施をされているところと比べて、ここに今ご提示いただいた再生への取り組みには不足している点が幾つかあるように感じます。

 一つは、目標はいつまでに達成すべきなのか、達成するつもりで書いているのかが明確でないので、いつまでに何をという、後から出てくる施策の優先順位が考えられない気がしています。ぜひ、そこを考え、つけ加えていただきたいということと、その場合に少し長期の目標をまず全体として掲げることが大切かと思いますので、そのときには関係者全員が合意できる大きな枠からきちんと目標を立てるべきだと思います。せっかく今回の目次の2章のところには、有明海・八代海の概要として、海域の特徴、歴史的なこと、社会的なことも書いていただくということですから、まずは人と海との関係の再構築という大きな目標があって、その中で生態系の保全・再生という話があって、その中で特に二枚貝を例とした水産資源という、幾つかの段階をきちんと大きく取り込むべきだと思います。

 また、具体の1ページの下あたりから出てくる個別海域の目標の中身についていろいろ意見が出ていました。これを目標とするならば、これだけでは、実際にベントスやサルボウが戻ってくるまで目標が達成されないということで、例えば、今後10年、20年かけて再生を図っていくときに非常に困るわけです。これに対して確実な評価指標は何なのか、個別に示していく必要があろうかと思います。それはサルボウが幾つ戻りましたということだけではなくて、先ほど来出ている連関図に戻って、貧酸素水塊の発生がこれぐらい減ったらとか、関連する先に出てくる現象でつかまえられる評価指標、パフォーマンス・インディケーターみたいなものをきちんと書くことが大切かなと。その形で連関図との関係がこの目標の中に取り込めるような気がします。

 最後に1点だけ。最後のページに「評価委員会において、これを適切に実施していく」と書いてありますけれども、評価をするだけで実施のところまで本当に担保できるのか、施策の実行のための何か再生推進会議のような組織が必要でないのか、そこまでここで提案できないのかということをぜひお考えいただきたいと思います。

 以上です。

○滝川小委員会委員長 どうもありがとうございます。伊藤委員、古川委員からご意見、ご指摘等ございました。それに関しまして、何か事務局のほうからご回答がありますでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 まず、例えばなるべくわかりやすくということで、貧酸素水塊の改善対策についてご指摘をいただきました。そこの対策については30ページの上のところに重点的、具体的に書いております。何かこれに対してさらにこういうようなことが言えるのではないか等ありましたら、ご指摘を随時いただければありがたいと思います。

 次に、目標について、いつまでに何をというご指摘いただきました。最後に評価指標という話もいただきましたが、この目標自体は、先ほど少しご質問いただいたとおり生物の問題点を踏まえて目標を設定していて、生物について、いつまでに何をということを具体的に言える知見が今どこまでそろっているのかというところは少しあるかなと。その中でこのようなことが言えるのではないかという話がありましたら、ぜひ、ご示唆いただければありがたいと思います。

 最後にご示唆いただいた話ですが、この評価委員会は、有明海・八代海特別措置法という法律に基づいて行われている、まさに特別なものでして、この法律に基づいて基本方針があり、県計画があり、そして評価委員会がありという、かなりかっちりした枠組みのもとに行われています。この枠組みについてはほかの水域に引けをとらないというか、むしろほかの海域は法律に基づかないでやっているところもあるかもしれませんが、ここは法律に基づいて、その必要性に基づいてやっているところがあると思います。なので、評価委員会の位置づけも踏まえると、最後のご指摘のように評価委員会の中に入れ込むことは少し難しいと感じています。まずのコメントです。

○滝川小委員会委員長 いろいろと意見が出てきますけれども、時間があまりないので、速水委員、簡単によろしいですか。

○速水委員 山本委員、それから平山委員のご意見に関係するのですけれども、コメントというか、提案です。この資料6、7に入っている3章の連関図を必ずしも全ての海域について書く必要はないのではないか。前回の委員会報告でも、この連関図だけが非常によく引用されまして、したがって、かなりしっかりとしたものにしておく必要があります。

 こういう連関図は、問題点と要因をわかりやすく示したものであって、それをもとにして、環境悪化、漁業生産の悪化の原因になったものを変えていくのが再生策です。それから、よくわからないパスは、この連関図の中でこれがわからないから、これから明らかにしていこうという課題を示す、そういうものであるはずです。

 全海域についてそれをやろうというのは多分無理なので、むしろ幾つかに絞った海域について、それを再生への章で取り上げて、委員会全体でコンセンサスを得て、それで有明海で二つぐらい、八代海で一つぐらいが限界かと思いますけれども、それをベースにして再生に関する記述をしていく方向もあっていいのかなとは思います。いかがでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 連関図の話はこれまでもいろいろご指摘をいただいています。今、速水委員がおっしゃったご指摘は非常に理解できるところがございます。連関図というと、線が引いてあるか、引いてないかということで、非常にわかりやすいのですが、先ほどの資料6、7の議論のまとめでもなかなか一言では言いあらわせないところ、気をつけなければいけないところがいろいろある中で、まとめが書かれています。それを連関図というわかりやすい形に落とし込むことが可能なのかということ、またそれをやったときに誤解を招かないかということを事務局としても少し危惧しています。

 そのようなことで、連関図は少しでも可能性があるもの全てに線を引いてということでこれまで説明をしてきておりますが、今のご示唆も踏まえてどのような道があるのか検討してみたいと思います。

○滝川小委員会委員長 時間がありますけれども、松野委員、すみません、手短に。申しわけございませんが。

○松野委員 30ページのところで先ほど事務局からコメントがあったように、貧酸素水塊を軽減させる方策についてはA3海域のところで説明すると、あちこちで書いてあります。しかし、ここに書いてある内容は、どうすれば軽減するかではなくて、堂々めぐりしているようなところもあるので、これでいいのかなという気がします。例えば「汚濁負荷量を増加させない」、これは貧酸素がもし進んでいるとしても大分前から汚濁負荷量は増えていないわけですし、次のところには「環境保全・再生することで貧酸素水塊を軽減させる」と書いてあって、何か堂々めぐりのように感じます。

○滝川小委員会委員長 申しわけありません、佐々木委員だったですか、一緒にご質問を賜りたいと思います。

○佐々木委員 時間がないので要望と連絡です。赤潮関係ですが、25ページは本県の現地調査結果と若干見解が違って、事務局のほうに修正を提案したいと思いますので、次回のときには若干違う表現が出てくると思いますのでご了承いただきたい。

 もう1点は、29ページの下にある、水温上昇等に対応したノリ養殖、30ページに海砂採取が云々といった議論は今までこの小委員会ではなかった気がします。このあたりがなぜ記載されてきたのかと思ったので、次回までに整理していただきたいと思います。

○滝川小委員会委員長 できるだけたくさんお伺いしたいので、古賀委員から最後にお願いします。

○古賀委員 個別事項で3点ほどコメントをしたいと思います。

 先ほどのタイラギのシミュレーションの部分ですが、21ページの下から5行目ぐらいに「このような下層の流れに乗ると、湾奥へと輸送される」と書いてあります。タイラギの幼生は、夜は上に、昼は底層に、垂直移動をするんです。そういった部分を含めシミュレーションでできるかどうかわかりませんけれども、そういう要素を入れたらかなり違った結果になるのではないか?というのが1点です。

 次は29ページです。「立枯斃死の原因分析のための調査を実施する」と書いてありますけれども、あまりにも簡単といいますか、具体的に誰が、どういうことを目的として、何をするのか、そういった部分も具体的に入れていただければと思います。

 次に、30ページの貧酸素の部分で上から4行目に「2013年~2015年は貧酸素の度合いいが比較的軽微であった」「改善の兆しの可能性もあるため」と書いてありますけれども、これについて私は、貧酸素の日数と成層に一番大きく関与する気温、筑後川の流量との関係をこの10年についてみてみました。その結果、貧酸素の日数と高い気温、流量というのは完全に正の相関があります。2014年、2015年というのは10年間のうちでも非常に気温が低い涼しい夏で、筑後川の流量も非常に少ないです。だから、貧酸素の改善の兆しがあるという部分は、たまたま気象条件によってこういう結果になっているということを指摘したいと思いますし、この部分は修正をしていただきたい。データは後ほどお送りしたいと思います。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。たくさんご意見いただいておりまして、今の時点で、松野先生、佐々木委員、それから古賀委員のほうからご質問含めてご指摘がございました。まとめて根木室長のほうから何かご回答、コメントがございますか。

○根木閉鎖性海域対策室長 もしよろしければ今日は一つ一つお答えするのは控えさせていただいて、いただいた意見を踏まえて検討させていただければと思います。

 以上です。

○滝川小委員会委員長 よろしくお願いいたします。もう時間も来ているのですけれども、ちょっと私から一つだけ確認させていただきたいことがあります。速水先生からシミュレーションのお話をいただいて、母貝集団の位置についてのご意見もいただきました。この浮遊幼生の計算といいますか、シミュレーションについては、前回の小委員会の中で明らかになったように、農林水産省が、別の手法といいますか、同じような目的で計算なさっています。それと、今回されているものとの採択の仕方といいますか、我々がどうそれを再生への対策として取り上げていくのかというのは非常に大きな視点かと思います。事務局には、その点について何かお考え等がございますでしょうか。ほかの省庁もいろんなことはやっていますよというお話です。特にシミュレーションの問題は、そういうところの調整等をお考えかどうか確認させていただきます。

○根木閉鎖性海域対策室長 まず、この報告は今年度末にはまとめる必要があると思います。それは農水省のものもありますが、まずこの委員会の報告書を間に合うように整理していく、そういうことだと思います。

 モデル計算の中身については、農水省とも今いろいろと話をしています。

○滝川小委員会委員長 せっかくですので、いろんな情報を集めて、よりよい再生の方向性を示せるようにご検討いただきたいと思います。

 時間が来てしまっておりますが、総じて皆様から非常に厳しいご意見、ご指摘をいただいたと思います。事務局におかれましても、その点はしっかりと把握された上で今後の対応をよろしくお願いいたしたいと思います。

 基本的には再生の目標を幾つも掲げてあるんだけれども、どういう根拠でこういった再生目標が立ったのですか、各海域ごとに再生案が示してありますけれども、その根拠を明確にしてくださいというご指摘だっただろうと思います。そういった意味で、今後の事務局のご対応をよろしくお願いいたしたいと思います。そういったことを含めて、次回の小委員の中でもご議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、時間が来ましたので、これで議題を終わらせていただきたいと思いますが、事務局のほうからその他について何かございますでしょうか。よろしくお願いします。

○束原閉鎖性海域対策室長補佐 今日、たくさんご意見等いただいております。まだまだ、今日ご意見できなかったところもあろうかと思いますし、資料もたくさんございますので、会議の後でも引き続きご意見等をいただきたいのですが、取りまとめる都合もございますので、もしも、ご意見等、追加資料等を提供いただけるようでしたら、7月1日ごろを目途にいただければと思います。

 以上です。

○滝川小委員会委員長 それは事務局からお話がありましたように、今後を含めてご意見等お寄せいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、本日予定されておりました議事については全て終了いたしました。

 議事進行については、少し遅れましたが、ご協力ありがとうございました。お礼申し上げます。

 それでは、事務局のほうに進行をお返しいたします。

○鳥山閉鎖性海域対策室主査 事務局から2点連絡がございます。

 まず、今後の予定ですが、次回の小委員会については9月ごろの開催を予定しております。日程調整の連絡をいたしておりますので、ご協力をお願いいたします。

 また、今回同様、次回についても合同で開催する予定です。本日の議論も踏まえまして、小委員会として評価委員会に上げる案を事務局で整理し、次回の小委員会でご議論いただく予定ですので、あわせてお知らせいたします。

 2点目ですが、後日、事務局より、本日の議事録の確認依頼を行いますので、よろしくお願いいたします。内容確認後、環境省のホームページに公表させていただきます。

 それでは、これにて第14回海域再生対策検討作業小委員会及び第14回生物・水産資源・水環境問題検討作業小委員会を終了いたします。ありがとうございました。

16時30分 閉会