生物・水産資源・水環境問題検討作業小委員会(第7回)会議録

1.日時

平成26年6月30日(月)13:30〜15:30

2.場所

中央合同庁舎第4号館108会議室

3.出席者

小委員会委員長 青野英明委員長
委員 岩渕光伸委員、古賀秀昭委員、滝川清委員、速水祐一委員、本城凡夫委員、山本智子委員
専門委員 鎌賀泰文委員、川村嘉応委員、柳原重臣委員、藤井明彦委員、松山幸彦委員
事務局 水環境課長、水環境課閉鎖性海域対策室長、水環境課閉鎖性海域対策室長補佐

午後1時30分 開会

○高山室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから有明海・八代海等総合調査評価委員会第7回生物・水産資源・水環境問題検討作業小委員会を開催いたします。

 最初に、本小委員会は、公開の会議となっておりますことを申し上げます。

 続きまして、環境省水・大気環境局・水環境課長の宮崎よりご挨拶を申し上げます。

○宮崎水環境課長 環境省水・大気環境局水環境課長の宮崎でございます。

 委員の皆様方には、本日、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、新しい委員の方もお願いしておりますので、この第7回の生物・水産資源・水環境問題作業小委員会の開会に当たりまして、改めてご挨拶を申し上げたいと思います。

 言うまでもなく、有明海・八代海の再生につきましては、有明海・八代海等を再生するための特別措置法に基づきまして、関係省庁、関係各県がそれぞれが協力して対策を実施してきておるところでございますけれども、昨年も赤潮が引き続き発生しておりますし、また、湾奥部では貧酸素の状況が続くなど、生物の生息には非常に厳しい状況になってございます。また、珪藻赤潮の大量発生によりまして、ノリの色落ちの被害も発生するなど、有明海は予断を許さない状況になってございます。

 この委員会におきましては、有明海・八代海で生じております生物にとっての悪い影響ですね、これらの原因に対しまして、それを究明いたしまして、効果的な対策の検討といったところをねらって開催してきております。

 昨年、一昨年と、二枚貝、赤潮、貧酸素等について議論をさせていただいてきておりますけれども、本年度は、これらの成果を踏まえ、さらにタイラギ、サルボウ、アサリ等の二枚貝を中心に、その問題点を総合的に検討していきたいというふうに考えております。

 委員の皆様方には、忌憚のないご意見を賜りたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○高山室長補佐 続きまして、所属機関の人事異動に伴いまして、新たに3名の方に委員に就任していただいておりますので、ご紹介いたします。

 まず、有瀧委員の異動に伴い就任していただきました、水産総合研究センター西海区水産研究所の青野委員です。

 続きまして、梅崎委員の異動に伴い就任していただきました、熊本県水産研究センターの鎌賀委員です。

 続きまして、福留委員の異動に伴い就任していただきました、鹿児島県水産技術開発センターの柳原委員です。

 今回の変更により、当小委員会の委員長でありました有瀧委員が退任されたため、新たな小委員長の選任が必要となりますが、有明海・八代海等総合調査評価委員会の運営方針の定めによりまして、小委員会委員長は、親委員会である評価委員会の委員長の指名により定めるとされております。本日は、評価委員会の岡田委員長はご欠席ですけれども、委員長から事前に本小委員会の委員長として青野委員を指名させていただいておりますので、ご紹介させていただきます。

 それでは、ここで本小委員会の委員長であります青野委員からご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○青野小委員会委員長 ただいまご紹介いただきました、西海区水産研究所の青野でございます。どうぞよろしくお願いします。

 ご紹介にありましたように、親委員会の岡田委員長から指名ということで、本小委員会委員長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 この有明海・八代海等の水域におきましては、今、宮崎課長からお話がありましたように、多くの課題を抱えております。こういった課題の解決に向け、また、本小委員会の目的、計画に沿って、引き続き会を推進してまいりたいと思いますので、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

○高山室長補佐 ありがとうございます。

 委員の出席状況ですが、欠席の連絡を大村委員よりいただいておりまして、本日は12名ご出席されております。

 続きまして、配付資料を確認させていただきます。

 まず、資料1といたしまして、委員名簿がございます。次に、資料2といたしまして、二枚貝の減少要因と対策について。それから、これは資料3ですけれども、午前中にこの場で開催されました海域再生対策検討作業小委員会の配付資料をつけさせていただいております。委員のみの配付とさせていただいておりますので、ご了知願います。

 不足の資料がございましたら、事務局まで申しつけてください。

 報道取材の皆様は、これ以降のカメラ撮影はお控えいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、これ以降の進行は青野委員長、よろしくお願いいたします。

○青野小委員会委員長 それでは、議事を始めさせていただきます。

 本小委員会では、有明海・八代海等で生じている問題点のうち、特に、主に魚介類の斃死事案、赤潮、貧酸素水塊の3点につきまして、現況の把握、原因・要因や発生機構、それから被害の予防・軽減対策などにつきまして検討をすることになっております。

 一昨年度は有明海の有用二枚貝の減少要因につきまして、また、昨年度は夏の赤潮と貧酸素水塊について個別に検討をして、それぞれ評価委員会に報告してまいりました。

 今年度は、これまでこのように個別に検討をしてきた三つのテーマを、それぞれを関連させ考えるという意味で、横串を指して検討をし、連関を明らかにしていきたいと考えております。

 本日は、一昨年度に検討した二枚貝の減少要因につきまして、その後、新たに得られた知見などを、松山委員に整理していただいたものをご報告していただくということになっております。

 それでは、松山委員、よろしくお願いいたします。

○松山委員 どうもありがとうございます。

 水産総合研究センターの松山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 ただいま青野委員長から簡単にご説明がありましたように、有明海・八代海で生じています問題のうち、有用二枚貝の減少要因、夏季の赤潮と貧酸素について、2年間という短い期間でしたが、駆け足で資料の収集、整理、解析を行ってきたところです。

 有用二枚貝の減少要因に関しては、第2回と第3回の小委の資料において、既に多数の知見を提示して、そのエッセンスの部分に関しては第31回の親委員会でもご報告申し上げたところです。これまで収集した資料に基づきまして、小委として有用二枚貝の減少要因について仮説を提示しております。本小委の資料については、既にホームページ等にも掲載されており、各方面の専門家からも個別に貴重なご意見をいただいていているところです。

 今回は、これまでの活動で不足していたもの、あるいは抜けていた部分について、さらに資料の収集、整理、解析を行うとともに、これまで提示した内容について、海域ごと、要因ごとにさらに深掘りを行って、要因の解明に努めてみました。

 私のほうから一括してご説明差し上げますので、ご協力のほど、よろしくお願いします。

 発表に使う資料は、お手元にあります資料2になります。発表のほうはスライドで進めさせていただきます。

 第1回のこの小委員会におきまして、ここに①から⑨に示された項目に関しまして、この小委で情報収集を行うということが既に決定されております。これ、赤字で示されたもの、これは第2回と第3回の小委で収集されたものであります。青字に関しては、今回、新たに収集された項目を示しております。また、同じ赤字の中でも、アンダーラインが入っているものに関しては、さらに追加データが得られたということを示しております。有用二枚貝に関しては、当初求められた項目というのは、これでほぼ網羅できていると考えております。

 今回収集した資料の取りまとめ結果は多岐にわたっておりますので、以下の6項目に区分してご説明申し上げたいと考えております。この①から③に関してが、主にタイラギに関する資料になります。①番目のタイラギ殻長サイズの長期変動に関しては、今回初めての資料ということになります。また、浮遊幼生の調査結果に関しても、これまでよりも、より多くのデータが得られております。あと、③番目として、海域毎のタイラギ減耗要因の構図を記しております。④と⑤がアサリに関する説明になります。④番目のほうがアサリの浮遊幼生、着底稚貝、これらに影響を与える餌料関係の資料を整理しました。⑤として、アサリ漁場の底質評価。最後の⑥番目として、湾奥の西部で貧酸素水塊が発達してサルボウが斃死するわけですが、この部分に関する資料を、さらに説明をするというふうになっております。

 では、最初にタイラギの殻長サイズの長期変動に関するご説明申し上げます。

 これまでタイラギに関しましては、海域ごと、時期ごとの生息密度と水平分布ですね、こういった年変動について整理を行ってきました。いわゆる漁獲量とか潜水調査の結果をもとに、資源の変動を推定したものでございます。一方で、タイラギのサイズの情報に関しまして、近年、小型化が見られるという簡単な記載にとどまっていて、具体的なデータを提示できておりませんでした。そこで、今回は既に公表されている既往知見のうち、タイラギのサイズ情報が示されている全25の文献を集めまして、それに示されておりますタイラギのサイズ情報、これに基づきまして、年ごとのヒストグラムを作成しました。これは我々人間に例えますと、人口ピラミッドを経年的に図示して、高齢化であるとか、少産化、どんな現象が進んでいるのかというのを検討するのと同じ手法でございます。これまで十分に見えてこなかった、タイラギ資源が置かれている状況が把握できるというふうになります。

 非常に図が小さくて見づらいと思いますけども、ここで示した縦軸ですね、こちらが1月から12月までの月を示しております。横軸ですけども、こちらは一番左が1974年、一番右側が2010年というふうになっています。30年を超えるデータであります。これを見ますと、データがあるところは、こういうふうにヒストグラムが小さく入っておりますけども、黒くなっているところはデータがない期間であります。昔のほうが、どちらかというと詳細な調査が多くて、最近はデータの抜けがあるというような状況になっております。これは調査そのものが全くなされていないというわけではございません。どうしても近年、資源量が少なくなると、サンプルを得る機会も減ってしまいますし、そういったところがデータの抜けを生じさせているということが推定されます。基本的に、今回のこの資料は、既に公表されたものだけを拾っておりますので、こういった調査を行っておられます福岡県さんであるとか、佐賀県さんのほうで、まだ未発表、未報告のデータが多数眠っている可能性がありますので、引き続き、こういった抜けた部分のデータを見ていくという作業を行っていきたいと思っております。

 それでは、解析の結果を一つずつ説明します。

 まず、わかってきたことの一つとして、コホートの小型化・単純化でございます。この図、左のほうでありますけども、これはタイラギの資源量が多かった時代の代表例として、1981年3月のサイズ分布を示しております。これを見ますと、小さいところと真ん中、あとこちらに幅の広いピークが見えます。少なくとも2から3世代のタイラギが卓越年級群を形成していたということがよくわかります。それに対しまして、タイラギの資源減少がそろそろ問題となり始める時期であった、これは1999年、同じ3月のデータでございますけど、山が一つしかありません。つまり1世代でしか資源が構成されていないということになります。下側の1世代でしか資源が構成されていないような状況ですと、何らかの要因で一斉に大量斃死等が発生しますと――実際、この年ぐらいから立ち枯れ斃死などが問題になっているわけですけども――そういった減耗がありますと、1年で再生産サイクルに支障が出てくる、そういった世代構成に近年なっているということがわかりました。

 次に、コホート組成の年変動についてでございます。通常のタイラギの産卵期というのは夏ということが知られております。ここで小さなピークがあるんですけども、これが前年の夏に生まれたタイラギの稚貝ということになります。これは同じ3月なんですけども、81年と99年を比較すると、殻長のサイズが、こちらは80mmのところにありますけど、こちらは120から130mmのところに山があります。タイラギの成長が水温依存だとすると、サイズの変動というのが当然あるわけですけども、この期間の冬季水温の変動というのは1℃未満ですので、水温の差異でこの成長差を説明するというのは、かなり難しいということがわかります。ですので、このサイズ変化というのは、タイラギの産卵時期が昔と今でかなり異なっている可能性を示すものです。当然ですけども、親貝となるタイラギのサイズが昔と今でかなり異なっておりますので、大型の個体と小型の個体で産卵リズムが異なる可能性というのは、これは十分考えられるわけです。

 次に、漁獲サイズですけども、タイラギに関しては、潜水器漁業によって採捕されており、漁獲制限サイズが15cm以上、すなわち150mm以上と定められております。150という、これより大きいものしかとってはいけないということになっております。1998年は、前年生まれの当歳貝の1世代のみで構成されているということで、小型の個体がほとんどなんですけども、実際に漁獲されたタイラギのサイズ分布がこちらになります。見てもわかるとおり、15cmよりも大きな個体のみをプロットされています。現場の調査では、15cm以上の個体というのは、このヒストグラムに表れないぐらい数は少ないという状況ですが、漁獲はちゃんと大型のものに対して行われているということです。資源量が少なくなったからといって、15cm以下の次世代の資源に対して漁獲が行われたということはないということがわかりました。きちんと漁業調整規則が守られているということがわかります。

 こうした殻長データ、いろいろとまた解析を進めているところではあるんですけども、時間の都合上、結果を簡単に整理してみました。

 この図も字が小さくて見にくいのですが、注目していただきたいのは、黄色に反転させたマス目の部分であります。この黄色になった部分というのは、この黄色の月に世代数が増えた、すなわち資源の加入が認められたということを示しております。タイラギは通常夏に産卵しまして、調査で稚貝が目視されるようになるのは専ら秋以降になります。したがいまして、通常は秋、ここで言いますと9月から11月、ここら辺りで世代数が増えるということが通常の状態であります。実はタイラギ資源が多かった70年代、80年代というのは、秋の加入とは別に、春にも世代数が増えるという現象が起きていたということが今回の結果からわかりました。つまりタイラギの資源が非常に良好だった過去というのは、年に2回ほど加入が認められたということを示唆するものでありまして、近年は、そうした春の加入というのはほとんどないという、場合によっては、こういう秋の加入も弱いというようなことが認められております。

 こういった関係を、サイズ情報から再生産サイクルの模式図を描いたのがこれになります。こちらはタイラギのサイズの情報で、昔に比べて小型化していると。あと、加入の時期が秋に短く1回だけしかないというような状況ですけども、かつては大型の個体が長期間何度も産卵するということで、加入の時期が非常に広くなっていると。こういったふうに、過去と今のタイラギの資源状態が解析できたということであります。この結果から、有明海におけるタイラギ資源を回復する上で、できるだけ大型の個体を温存して、毎年何度も産卵行動に参加させるという取組が資源再生に貢献する可能性が示唆されるものではないかと考えられます。

 次、2番目として、タイラギ浮遊幼生の調査結果であります。

 これは二枚貝の生活史を示したポンチ絵です。多くの水産生物というのは、孵化後に稚仔魚となり、自ら遊泳・移動しまして、藻場であるとか干潟、そういったところのナーサリーを探索します。一方、二枚貝というのは、卵と精子を体外に一斉に大量に放出しまして、海水中で体外受精を行います。その後、この幼生というのは潮流に流されまして、そのまま漂いながら摂餌を行い、成長をしていくと。この浮遊期間ですけども、これは二枚貝の種類によって異なりまして、短いもので10日、最も長いタイラギで1カ月を超えると言われております。その後、最終的に好適な底質の場所に着底をいたしまして、そこで成長して次世代の親になります。ここで最も重要なことは、二枚貝の場合は、親が生息している場所と稚貝が着底する場所は必ずしも一致しない。特に有明海のように潮流が激しい海域ほど一致しないということが一般的に言えます。

 タイラギの浮遊幼生に関する既往知見を整理しますと、有明海におけるタイラギの調査というのが、実は全体として極めて少なくなっています。なおかつ、少ない幼生調査が専らここに示したタイラギの主要漁場である湾奥海域に限定されておりまして、中南部に広く開けた有明海の海域では、タイラギの浮遊幼生調査というのはほとんど実施されていないということがわかりました。したがって、今回の幼生調査結果については、湾奥海域のデータのみの結果になります。

 二枚貝の資源変動要因を解明するためには、二枚貝の全ての生活史、親から幼生、幼生から稚貝、稚貝から子どもという、全ての生活サイクルにおいて、減耗要因について解明する必要があります。それぞれのステージで減耗要因はいろんなものが想定されています。今まで小委で収集されてきた資料の情報量を、この矢印で概念的に示しておりますけども、圧倒的に稚貝が親貝になるまでの過程に関しては多数の情報がありますけれど、親貝が幼生を生む過程、あるいは発生した幼生が稚貝になる過程、こういったものに関しては情報が乏しくなっております。したがいまして、今後の有明海における有用二枚貝関連の調査に関しては、こうした情報量が乏しくなっている部分に関して、できるだけ抜けがないような調査体制を構築していく必要があるというふうに考えております。

 この図は平成18年の委員会報告で提示されたタイラギの浮遊幼生のデータです。この図の結論としては、タイラギ資源が多かった、これは1981年の浮遊幼生の分布と密度になります。こちらが資源が減少し始めた2003年の浮遊幼生の分布と密度を示しておりますけども、この両面で大きな相違はないということが一つ挙げられています。もう一つは、この浮遊幼生が出現した海域と、実際に稚貝が着底した海域を比較しますと、浮遊幼生の出現場所と密度と稚貝の間が必ずしも一致しない。例えばこちらでありますと、稚貝は東側海域と北部海域に多いんですけども、そうじゃないところに着底しているというようなことがありますし、こちらも粗密がかなりあるということがわかります。こうした結果から、漁場のタイラギ資源量と幼生発生量に――漁場のタイラギ、この両面でタイラギの資源は下のほうが多いわけですけども、幼生そのものはそう変わらないと。なおかつ、発生した幼生が着底する場所が、どうも底質環境によって左右されているということが結論として示されております。この結果に基づきまして、タイラギ稚貝の着底促進のために、海底耕耘でありますとか、覆砂事業などが現在大々的に実施されているというような状況になっております。

 この図は、第31回の総合調査評価委員会で示された資料であります。1980年代、2000年代、いずれもタイラギの浮遊幼生の出現というのは、時期であるとか最大密度というのは、そう変わらないということが示されております。

 タイラギ資源の凋落傾向が明瞭になっている直近の状況を新たにここでお示しします。この図はちょっと訂正がありまして、タイトルに大牟田沖覆砂域と書いてありますけれども、諫早湾口のデータもこれは含まれております。大牟田沖と諫早湾、これは過去にタイラギの浮遊幼生の出現が多く認められた海域の定点の平均を出したものであります。訂正のほど、よろしくお願いします。資源量が少なくなりました2000年代でも、タイラギの浮遊幼生は昔と変わらず出現していましたと先ほど申し上げたんですけども、実はこれは2011年までの話でありまして、2012年ですね、ここで示した赤、この図になります。あと、2013年、これは黄色で示しておりますけども、この図。このように、この両年、タイラギの浮遊幼生がほとんど出現しないという、過去にない状況が認められております。これだけ浮遊幼生が少ないと、さすがにタイラギの着底稚貝も過去に例がないほど少なくなっております。現在、有明海にはタイラギ資源がほとんど存在していないという、大変危機的状況に陥っております。

 ここで、佐賀県有明水産振興センターから提供いただいた資料を少しご紹介いたします。これはタイラギの浮遊幼生の殻長データを調査日ごとに示しております。年ごとに調査の頻度、間隔は異なるんですけども、こちらの四つは2010、こちらが2011年のデータになります。いずれも湾奥の広域で調査された複数定点のデータを合計して処理されたものであります。これは調査日ごとのタイラギの浮遊幼生のサイズが出ておりまして、左側が200μm以下、こっちは小型の日令の短い稚貝でありまして、右に行くほど大型の幼生ということになります。着底サイズが600から700μm以上と言われていますので、大体、この右三つぐらいのサイズが着底サイズになってきます。こうやって見ますと、2009年は小型の幼生が三度出現しているということが認められております。最初に発生した小型の稚貝は、次の調査で着底サイズ近くまで成長しているということがわかります。2011年を見ますと、やはり調査の初期に小型のタイラギ浮遊幼生が見られて、これが徐々に成長して着底サイズまで達しているということがわかります。これ以上の大きいサイズのものが見えないんですけども、これが逸散、沈降したのか、もしくは既にもうサイズに達する段階で着底して消えてしまったのか、この辺はよくわからないのですが、いずれかだというふうに考えられます。

 次に、2012年の結果、これは調査の頻度が非常に高くなっております。やはり調査の初期にタイラギの小型の浮遊幼生が見えて、恐らくこの期間は1カ月近くずっと産卵が起きていたというふうに思うんですけども、7月の中旬、かなり大型のサイズまで幼生が成長しているということがわかります。2012年の結果というのは非常に重要でして、この年は九州北部豪雨の年でありました。7月11日から3日間、大量の降雨があって、干潟域のアサリとかタイラギの大量斃死が確認されております。九州北部豪雨はこの調査日の真っ最中にスタートしているんですけども、豪雨後の8月、9月まで、こういう小型の浮遊幼生が継続的に認められております。これは、干潟域というのは、こうした大量降雨の影響で時々大量斃死を起こすわけですけども、こうした九州北部豪雨みたいなイベントがあった年でも、その後も浮遊幼生は出現しているということを考えますと、どうも親貝の主体というものが存在していた場所が、干潟域というよりは、また別のところではないかと。こういった真水の影響を受けづらいところに親貝がいたのではないかというようなことが示唆されるものです。今後、湾奥の漁場で出現するタイラギの浮遊幼生の真の親貝生息域の特定というものが必要になる可能性を示唆します。

 これは同様に2013年の調査結果ですけども、ちょっと時間の都合上、割愛させていただきますので、お手元の資料でご確認ください。

 ここで、現場で観測されたタイラギの浮遊幼生と室内飼育で得られた成長曲線とを比較してみます。成長曲線に関しては、これは長崎県総合水産試験場さんのタイラギの人工飼育の成長のデータを論文から引用したものであります。先ほどお示しした資料ですと、現場の海域で観測されるタイラギの浮遊幼生のほとんどが500μm以下、最大でも600μm、小さいところの幼生が現場で観測されております。それ以上のタイラギの浮遊幼生というのは、現場ではあまり検出されないという状況です。そうしますと、600から700、この辺ぐらいのサイズから着底が始まるんですけども、着底直前の期間の浮遊幼生というのが、現場の調査ではあまりとらえられていなくて、ミッシングリンク期間となってしまっております。ただ、ほとんど検出されない着底直前の稚貝ですね、600μmを超えるような幼生、まさにこれが有明海のタイラギ資源の動向を大きく左右しているという現実がありますので、今後、この大きな幼生を効率的に調査して検出していく、あるいは、それらの動態を見ていくという手法が必要になるかなというふうに考えております。

 この図は、佐賀県有明水産振興センターさんからご提供いただいたもので、左側がタイラギの浮遊幼生の最高出現密度で、こちらがその年の貝柱漁獲量になります。貝柱漁獲量というのは、この場合は現場のタイラギ親貝の生息密度と読みかえていただければというふうに存じます。この親貝の資源量と浮遊幼生の出現密度は、弱いですけども、右肩上がりの正の相関が見られます。すなわち、親が多ければ幼生の発生量も多いというような関係が見えそうです。一方、右側の図ですけども、同じ浮遊幼生の出現密度と、こちらはその年の着底稚貝の量を示しております。これを見ますと、今度は幼生がたくさん出たからといって、着底稚貝が多いということにはなっておりません。かなりばらけておりまして、関係が明瞭に見えないということがわかりました。このことは、浮遊幼生から着底稚貝までの期間に何らかのボトルネックが存在する可能性を示唆するもので、これは少し前のスライドでも紹介したように、平成18年委員会報告でも指摘されています。今回、新しいデータを加えて検討した結果、発生したタイラギ浮遊幼生が資源として加入するためには、着底場所の水質であるとか、底質が大きく作用するであろうと。これは平成18年の委員会報告と同じなんですけども、改めてこれを支持する結果と言えます。

 以上、タイラギ浮遊幼生に関する関係資料結果につきましては、このように概要を整理しました。時間の都合上、お手元の資料で確認をよろしくお願いします。

 次、3番目として、海域毎のタイラギ減耗要因について、追加資料と解析結果をお示しします。

 これは平成18年委員会報告でのタイラギ減少要因に関する指摘事項であります。大きく三つ指摘されておりますけども、この委員会報告におきましても、海域ごとにタイラギの減少要因は異なっており、それぞれに影響を評価すべきと総括されております。そこで今回は、①の、これは西部漁場ですね、それと②の東部漁場、こちらのタイラギの減耗要因について、さらに整理した結果をお示ししたいと思います。

 これは同じく委員会報告の抜粋でありますけども、現場の漁業者さんからお話を伺いますと、この委員会報告で指摘されている東部漁場での立ち枯れ斃死、これが大変問題視されているわけです。しかし、この立ち枯れ斃死が東部だけの問題なのか、あるいは有明海全域で問題となっているか、よく精査しておかないと、タイラギの減少要因解明は難しいというふうに言えます。

 この表、ちょっと小さくて大変申し訳ないんですけども、有明海でタイラギ資源の減少が問題となり始めた1996年以降の大量死の発生と、海底の溶存酸素濃度の関係を示したものです。上側のカラムが有明海湾奥東部海域――こちらが東部海域ですけども、下側のカラムが同じ湾奥の西部というふうに区分をいたしました。黒い棒がこのように入っておりますけども、これが大量死が観察された期間を示しております。その各年度の棒の下に色がついた部分がありますが、黄色の期間が底層の溶存酸素濃度が3mg/L以下になった期間、青色の期間が底層の溶存酸素が1mg/L以下になった期間を示しております。このようにして見ますと、まず大量死が基本的に有明海の東部海域に集中しているということがわかるかと思います。東部海域では、黄色の3mg/Lの期間が時々発生いたしますけども、この黒いバーで示した大量死が起きた期間と必ずしも一致するというわけではございません。東部海域の斃死要因につきましては、溶存酸素だけでは説明できないというのが一般的になっております。一方、湾奥の西部海域に関しましては、1996年以降、ほとんど着底稚貝が低密度か、もしくはほとんど観察されないという状況で、大量死の確認もできない状態が続いております。ということで、空欄が多くなっておるんですけども、ただし、2008年ですね、こちらに湾奥西部海域としては珍しくタイラギが大量発生しました。これが2年後の2010年に、この黒棒で示した、一気に大量死したという現象がありました。

 このデータをご紹介いたします。

 この西部海域の2010年の大量斃死の状況をもう少し詳細に示した結果が、これになります。この図は、青い棒は各日付ごとの佐賀市の日降水量を示しております。この赤の四角の実線がSt.19、場所で言うと、これは西部海域の地図のほうに、真ん中にSt.15と書いてあるのは、ここの定点でのタイラギの貝殻の中に、生きた貝と死んだ貝の割合を示したものであります。三角のほうがSt.22で、こっちのやや沖側の定点のデータになります。各日付のところから矢印が出ておりますけども、この日付のところのその日の水平的な貧酸素の広がりを色で示しています。青いほど酸素濃度が低いということが示されております。この調査はかなり綿密に実施されておりまして、短期間でのタイラギ減耗を捉えております。最初に減耗が始まったのは、7月の上旬のSt.19で大量死が始まったと。このときは溶存酸素の低下時期とほぼ一致しております。この矢印ですね。貧酸素が発達したころとほぼ一致しております。溶存酸素がこことこの辺り、一時的に少し回復しております。大潮によって溶存酸素が一時的に、貧酸素化がとまって少し回復したときなんですけども、このとき、St.19での斃死が一旦とまっておりますけども、その後、8月の小潮期に入って、さらに貧酸素化が発達すると残りの資源もどんどん減耗していって、9月の上旬の段階では、ほとんどこの海域からタイラギがいなくなるという資源の減耗が捉えられています。やや沖合側のSt.19に関しましては、貧酸素の縁辺部に位置するということもありまして、7月と8月の減耗は、St.19よりも少なくてそのまま生き残ったということであります。ということで、貧酸素とタイラギの大量死との関係が明瞭にとらえられております。

 これとは別の定点、通称沖神瀬という場所になりますけども、ここではSt.3と書いてありますけど、このSt.3がタイラギの調査定点でありまして、そのすぐ南側にある沖神瀬西観測点というところに自動観測ブイが置かれております。その自動観測ブイの底層の溶存酸素濃度が、赤のラインで示されております。タイラギの生残率に関しては、この青い実線というふうになります。溶存酸素の日変動も捉えた詳細な酸素濃度とタイラギの生残率との関係が同所的に取得されています。溶存酸素は、やはり先ほどの結果と同じように、飽和度40%を切り始めるのが7月の上旬で、7月の中旬には20%以下の期間になります。そのときに、大体、2割弱ぐらいの――14%から15%ぐらいのタイラギが、まずこの貧酸素で死んでおります。溶存酸素が大潮で回復すると、この斃死は一旦とまるんですけども、2回目の貧酸素、これはもう飽和度が20%を切る期間がかなり長くなるわけですけども、これで全滅するということになりました。この結果を見ますと、溶存酸素の飽和度で20%以下の期間というのが出現すると、タイラギはこういうふうに死んでいくということがわかりました。これは親貝の結果だけではありますが、有明海においてタイラギ資源を維持するためには、少なくとも底層の溶存酸素を20%以上に保つことが重要というふうに判断をされる結果になっております。

 ここまでが西部の海域の結果でありましたけども、今度は東部海域での結果をご紹介いたします。これは福岡県水産海洋技術センターさんが長年調査をされているデータのうちの一部であります。調査定点は五つありまして、ここに定点がそれぞれに配置されて、東部海域の主要なタイラギ漁場になっていると。

 これは2010年年級群が翌年の2011年に大量死をしたときの状況であります。上段が、横軸が日付で縦軸がタイラギの生息密度になります。下のほうは、この調査で採取されたタイラギのうち、生きた貝が何%含まれるかという数字でして、これが下がるということは死んだ貝が多いということになります。現場での生残率というふうに読みかえてもらったらよろしいかと思います。死んだ殻があるということは、これは食害の影響ではなくて、純粋にタイラギが生きた死んだということを追尾したことになります。ここでは4定点の調査結果が示されておりますけども、赤く網かけをした期間、6月の下旬から8月の上旬にかけて、一気にタイラギ資源が消滅すると。ほぼ全滅するというような状況が捉えられております。

 このときの溶存酸素飽和度を図示しております。この赤い網かけをしたものが、先ほどタイラギの立ち枯れ斃死と思われる現象が起きた期間であります。こうして見ますと、大量死が始まった期間、6月の下旬ですけども、まだ飽和度は、先ほどの西部海域20%と言いましたけども、40%を上回っているという状況です。確かに、4月の中旬に飽和度40を切って、20を切ろうかと、瞬間的に切ろうかというようなことも観測はされておりますけども、こういう溶存酸素がその後復活した後も斃死がそのまま続いていったということで、西部海域とは異なる挙動を示しております。やはりこの年は比較的、大量死の時期と酸素濃度の低下の時期が割と一致している年のほうではあるんですけども、細かく見ますと、酸素濃度だけでは東部海域の大量死、立ち枯れ斃死というものを説明できそうにないというふうに判断されます。

 参考までに、同じ海域の漁場における浮泥の体積厚、福岡県さんでは、この浮泥の体積層が20を超えるとタイラギの生息に適さないというふうに過去のデータから判断されているそうですけども、大量死が起きた期間は、特に浮泥の体積層が20を超えることはないということがありましたし、硫化物も――AVSですけど、0.4mg/g以上が不適というふうに判断されているそうなんですけども、大量死が起きた時期は、底質は硫化物がほとんどないということで、こうした底質の影響でもないということを確認されております。

 この2011年の東部海域での大量死ですが、これは偶然でしたけども、2009年と2010年の異なる年級群が混在した環境で観測されています。左側の年級群が2009年の年級群であります。右の年級群が2010年の年級群になります。いずれの年級群も、先ほどの結果にありますように、6月下旬から8月にかけて大量死しているんですけども、2009年の年級群を見ますと、大量死した時期の前の冬の時点で1回斃死が起きて、それが冬の間とまったのが、さらに回復するというような状況が見えます。ですので、この大量死とこの大量死が関係していて、一時的に水温が低いがためにとまっていたのが、それぞれ別の要因なのか、この辺がはっきりしないんですけども、やはり斃死した期間だけを見てみても、なかなか原因がわからないという意味では、1年というタイラギのサイクルの中で、斃死がなぜその時期に集中するのかというところをきちんと検討していく必要があるのかなというふうに考えております。

 湾奥東部海域のタイラギ減耗要因の概要については、このようにまとめております。お手元の資料でご確認ください。

 有明海におけるタイラギ大量死に関してまとめます。一つ目として、湾奥の西部海域においては貧酸素水塊の発達、あと、干潟に近いところでは低塩分の複合作用によって、ほとんどの資源が消滅する現象が繰り返されています。湾奥西部では、大量死を引き起こす溶存酸素濃度は、現場観測の結果から、飽和度で20%以下というふうに推定されました。③番目として、湾奥の東部海域に関して、大量死が頻発しておるんですけども、貧酸素の発生は西部海域よりも軽微でありまして、因果関係は不明であります。④番目として、産卵期を中心とした立ち枯れ斃死が最大の減耗要因ですので、引き続き原因究明が必要というふうに考えております。

 タイラギの取りまとめは、①から③までということで、これで終わらせていただきます。

 次に、④番目として、アサリに関する説明に入ります。アサリの浮遊幼生や着底稚貝の動向と餌料関係との関係等をご説明いたします。

 上の図は、第2回の生物小委で取りまとめた有明海におけるアサリ漁獲量の経年変化であります。4県のデータをそれぞれあわせたものになっております。下側の図は、第5回の生物小委で提示した、これは福岡県海域における冬季――1月から3月なんですけども――冬季のプランクトン沈殿量の経年変化を示しております。ちょっと図が異なりますので、この図を重ね合わせて、年代を一致させて上下並べているという状況になっております。この図を重ね合わせて見ますと、アサリの資源変動とプランクトン沈殿量との変化が見事に一致するというような現象が起きております。ほかにもいろんな環境データを並べて比較検討したわけですけども、これほど一致する項目はないというような状況であります。これは絵合わせで論議しているだけでありまして、まだこの両者の間に直接因果関係があるかどうかに関しては、検証が十分なされておりません。何より福岡県側のプランクトン沈殿量の変動がそもそも有明海全体を代表しているのかどうかにつきましては、まだ未検討でございます。

 今回、アサリの主要漁場であります熊本県さんから追加のデータをご提供いただきましたので、ご紹介していきたいというふうに思っております。

 これから示されるデータなんですけども、大きなアサリの資源が見られた時期のデータ以降、2000年以降のデータですね、特に1990年代に一旦アサリの資源が減ったんですけども、2000年以降に小さな山が見えて、その後、急にまた直近に少なくなっていると。この時期を比較したデータを示しております。こちらの漁獲量に比べると、こちらのピークは非常に小さく見えるんですけども、それでも年間1万tのアサリの漁獲量があったときのデータが含まれております。

 これは熊本県海域で主力アサリ漁場としてよく知られていますけども、緑川河口におけるアサリ生息密度とアサリの殻長組成の結果であります。この調査は毎年春と秋、2回、干潟の全面でアサリ生息密度をくまなく調査するということが行われておりました。左側が第1回目、これは春の調査になるんですけども、第1回目、右側が第2回目、秋の調査というふうになっております。1980年代後半に減少したアサリ資源が、一度、2000年以降に回復基調に乗ったときのデータが含まれているんですけども、これを見ますと、アサリ資源が一時的に回復した時期、これは第1回調査で見ますと春の調査なんですけども、ほぼ、密度が高くなっている時期と一致しております。春の調査で見える稚貝というのは、こういう小型の稚貝でありまして、これは前年の秋に生まれたアサリの稚貝を示しております。つまり、第1回目の調査で見えるものは、これは秋生まれの「秋子」のアサリの稚貝というふうに考えられます。この秋子が多い期間というのが、熊本県、あるいは有明海全域でアサリの資源が回復した時期と一致しております。その秋子が平成20年以降、このように凋落しておりまして、この落ち方とほぼ同調するかのようにアサリの資源量も直近落ちていると、激減しているということになっております。この理由ははっきりしないんですけども、いずれにしても、有明海においては秋生まれの個体群が資源増大に貢献していることはまず間違いないだろうと考えられます。実は、こうした秋生まれのアサリ稚貝が資源に貢献するというのは、有明海以外の海域でもアサリの専門家の間では経験的に認識されておりまして、平成21年以降の資源の凋落に関して、あるいは平成20年より前の資源が回復した時期というのは、秋生まれの個体群が多かったということに結論が出るということになります。

 では、秋発生群の少なさについて、環境要因から検討いたしました。この図は、同じ緑川河口における月別のアサリ肥満度の推移を示しております。左側の図の青ですけども、これは10カ年の平均の肥満度であります。それと、緑が資源の凋落が始まった直近3カ年の結果で、赤が過去最低レベルの資源量となった平成25年度の肥満度になります。この図が示すように、もともと夏から秋にかけてアサリの肥満度というのは低く推移するんですけども、資源が減少し始めた時期、直近ですけども、夏から秋の肥満度低下が顕著となっております。当然、秋の産卵群というのは、夏場の成長が放卵数であるとか、そういうものに影響を与えますので、アサリにおいて、夏から秋にかけて肥満度が低下するというのが、アサリの再生産サイクルを小さくしている要因として推定されます。

 今のは親貝の肥満度だったわけですけども、次、着底稚貝の状況であります。これは同じく熊本県さんから提供いただいた資料で、緑川河口域におけるアサリの浮遊幼生の出現であります。これは同じく春と秋、それぞれ色分けをして浮遊幼生の出現を見ておるんですけども、春の発生が青、秋の発生が赤になります。先ほどの稚貝の結果と同じように、資源が比較的回復した平成13年から大体20年ぐらいにかけては、秋の浮遊幼生の発生量が多くなっているということがわかります。ということで、資源量が多かった時代は、秋の肥満度も高く、浮遊幼生の量も高く推移しているということがわかります。浮遊幼生の低下というのは、稚貝の着底よりも1、2年ほど早く進行したということがわかります。もう近年は秋発生群というのがほとんど見えない、見えても春だけというふうになっているということがわかります。ですので、アサリの資源減少期には、親貝の肥満度が低下して、それに伴って浮遊幼生量も低下すると。そして、着底稚貝も減少するという一連の流れが確認されました。

 では、最後に餌料環境になります。ここでは夏から秋の餌料環境について検討をしておられます。これは左側が平成16年から24年までの9月から11月のプランクトン沈殿量のデータであります。右側は、先ほどデータがありますけど、アサリの浮遊幼生の出現ということになっております。アサリ資源量が多かった時代を丸で囲っているんですけど、やはり餌となるプランクトン沈殿量も高く推移したと。それが低くなると、先ほどのように親の肥満度が低下し、浮遊幼生の発生量も減り、着底稚貝も減るという再生産サイクルの低下が確認されたということで、やはり親貝の肥満度低下というのは、餌環境の低下に起因する可能性があるというふうに考えられました。

 アサリについてまとめます。①番目として、第2回の生物小委でも報告しましたように、アサリの主要漁場である有明海中部東部海域におきましては、平成21年以降、アサリ資源が激減しているという状況です。②番目として、資源の減少というのは稚貝の発生状況、特に秋の発生群が低迷しているということが主原因であります。③番目として、平成21年以降は秋期の発生群に影響すると思われる夏期のプランクトン沈殿量の低下とアサリ肥満度低下が顕著であります。このことが親貝の成熟度を低下させ、結果的に浮遊幼生の発生量、それに続く稚貝の発生量も低位で推移する原因となっているということが推定されました。有明海の奥部の西部ですね、佐賀県海域、あるいは冒頭に示した福岡県側の東部海域、今回の中部東部海域、このいずれの海域でも餌環境の低下が示唆されました。引き続き、これらが二枚貝資源変動に与える影響については、検討が必要ということになるかと思います。

 5番目として、アサリ漁場の底質評価についてご説明いたします。

 これは平成18年委員会報告で、アサリの減少要因として列挙された要因であります。第2回の小委でこれらの再検討を行った結果として、ここに二重線で引かさせていただきました有害赤潮のシャットネラと、あとマンガンに関しては、資源全体を減少させるほどの要因ではないだろうと。アサリの資源減少の要因ではないだろうということが確認されております。今回は、この赤で示しました底質環境の変化、特に細粒化ということが前回委員会報告で指摘されておりますけども、これらに関する追加の資料を収集しました。

 平成18年委員会報告で示された図をちょっと引用しております。底質環境が改善された覆砂漁場ですね、こちらの数値が高く推移しているが覆砂漁場のアサリの生息地、全く覆砂がされていない天然漁場は、この三角になりますけども、明らかにアサリの生息密度が異なるということで、底質環境がアサリの生息に強く影響しているということが指摘されております。

 同じく、緑川河口で1972年から2003年までのアサリの漁獲量のデータと、底質の指標として中央粒径の値、それを資源が比較的多かった81年を100とした場合の変化率をここに示しております。数字が低くなればなるほど細粒化が進んでいるというふうに判断をしているわけですけども、実は、先ほどから申し上げますように、細粒化が進んでおるというふうにデータがなっておるんですけども、2000年、特に平成14・15年ぐらいから、アサリの資源が一時的に回復して、1万tの漁獲量に達したということがありますので、細粒化は進んでいるけども、この辺ぐらいから資源が回復したと。これは実は前回の委員会報告には含まれていない現象であります。

 これは第2回の生物小委で提示した中央粒径値の年変動であります。同じく緑川河口のデータです。委員会報告の後半部分から、さらに直近のところを足したデータになるんですけども、この委員会報告のときは、1989年が最も粗粒化しているように見えたんですけども、むしろ2010年とか2011年のほうが、その当時よりもさらに粗粒化していると。底質が悪くなって細粒化していないということが指摘されております。

 これは第6回の海域再生小委において提示された資料であります。これは沖合の底質データと各種生物データなどから、有明海を八つの海域に区分されるということが示されております。この海域区分、特に中部や奥部の区分ですね、ここら辺りの区分ですけども、これに関しては、生物小委が有用二枚貝の減少要因で提示した海域区分と概ね一致しております。ですので、今後はこの海域ごとに各種の要因解明を進めていくということが望ましいというふうに生物小委のほうでも考えているところであります。

 この海域区分を論議していく過程で一つ問題点があります。実はこの海域区分というものが、沖合の底質データに基づいて整理をされているということであります。実は有明海全域に生息して、かつ代表的な有用二枚貝であるアサリなんですけども、これはもともと干潟域の生物であるということですので、沖合の底質区分をそのまま適用できないということが問題となっております。肝心のアサリが海域区分で載ってこないと。これはちょっと都合が悪いわけですね。そうしたことから、実際のアサリ漁場で蓄積された底質データを別途収集、整理、検討する必要があります。ここではデータが大変少なくなってはいたんですけども、平成17年以降に、水産庁が実施したアサリ漁場の改善事業、この中に底質データが多数とられているということがありましたので、これを収集いたしました。

 事業そのものの内容については今回ご紹介はいたしませんが、ここに示す主要な有明海のアサリ漁場で各種のアサリ増養殖、底質改善事業が継続的に展開されております。それと同時に、その事業の中に長期の底質データとアサリの生息密度が調べられています。ここに各アサリ漁場の底質データを整理して、クラスター分析にかけます。この赤いところで一つ区切ってみますと、このように4色に分かれていますけど、アサリ漁場の底質が四つに区分できると。概ねですけども、赤であるとか黄色というのが奥部海域ですね、青が中部海域、白が中南部海域というふうに大体区分できるという状況がわかります。当然、アサリの漁場での調査ですので、アサリの生息密度と底質の間の適正指数がこのようにデータとしてとられております。

 主に福岡県と熊本県、あと長崎県側のアサリ漁場に基づいているんですけども、以後は、この指数に基づきまして整理を行っております。

 これは主要なアサリ漁場の各底質項目と適正指数の最大値を、適正指数の最大値が赤の点線ですね、ちょっと小さくて見にくいんですけども、大体内側に入っている小さい点線が適正指数の最大値、そして最小値、0になるわけですけども、これは赤の実線、外側になります。これは全て平均した値を入れていますので、この赤の線は全て一緒のものが入っているという状況です。この中に青の実線が入っておりますけども、これが実際の漁場における調査結果というふうになります。青の実線が内側の赤の点線に近ければ近いほど、アサリの生息に適しているということになります。後ほど結果だけ図示しますが、ここにありますように、湾奥部の鹿島市ですね、これは実はアサリ漁場ではなくてサルボウの漁場で得られたデータであるわけですけども、細粒分でありますとか、強熱減量の値が適正指数を下回っていると、マイナスになっているということで、アサリの漁場としては厳しい環境になっているということがこういうふうにわかると思います。参考までに、この四角で囲った部分が熊本県の小島地区、これは九州北部豪雨で大量の土砂が堆積した被災漁場なんですけども、もう青の実線がこのように完全にはみ出すというような状況で、アサリの生息環境に不適だというふうに判定されるのがよくわかるかと思います。

 以上の結果を総合して、地図上に図示したのがこの図になります。生物生息環境適正指数(HSI)に基づきまして色分けを行っております。赤い値ほどアサリの生息環境に適した漁場であると。下に行けば行くほど適していないということになります。こうして見ますと、ほとんどのアサリ漁場というのは、HSIが0.9以上ということで、非常に適正に保たれているということがわかります。湾奥になってきますと、例えば大牟田地先であるとか、大和高田地先になってくると、特に大和高田ぐらいから値が低くなりまして、鹿島市の地先では、もうほとんど不適というふうな判断になるということがわかります。全体としては、有明海のアサリ漁場の底質というのはかなり良い状態で保たれているということが言えるのではないかと思います。

 以上のように、アサリの主要漁場である有明海の中南部海域では、高いHSIが保たれています。これら好適と判定されたほとんどの海域では、底質がいいんですけども、2009年以降にアサリ資源が、先ほど熊本県海域のデータをお示ししましたけど、急減しております。ですので、この直近の資源減少というのは、少なくとも底質の悪化ではないというふうに推定されます。一部ではありますけども、九州北部豪雨の影響が残存している漁場もあるんですけども、これが全体を押し下げている要因とは判断されませんでした。着底稚貝の減少とか成長不良がアサリのほうでは相次いでいますので、やはり先ほどご紹介したように、餌環境――餌料環境低下による再生産サイクルの低下、あと、親そのものの数、産卵量が減ることによる幼生ネットワークの縮小、こういったものがアサリ減少要因としてリストアップされているんじゃないかというふうに考えておりますので、こうした視点に基づきまして、平成18年委員会で提示された連関図の改訂が必要であるというふうに考えております。

 最後になりますけども、6番目として、湾奥西部での貧酸素水塊とサルボウ斃死に関する資料をご紹介いたします。

 これは佐賀県有明水産振興センターさんの既に研究報告で報告されているデータではあるんですけども、2012年の7月から9月におけるシャットネラ属の水平分布の経時変化であります。この年、特に9月に入って、湾奥西部全域で、この丸が大きくなっているところがシャットネラの細胞密度が多かったところなんですけども、9月3日ぐらいから14日まで、この黄色く反転させた部分が、現場が着色して赤潮が発生するというような現象がありました。このときの状況に関して、サルボウの大量死が認められたということで、少しデータを整理させていただきます。

 これまで、平成18年委員会報告でも、シャットネラ赤潮と二枚貝減少要因との関係が指摘をされているわけなんですけども、これまで小委の活動の中でも、シャットネラ赤潮と貧酸素との関係については触れてはきたんですけども、赤潮の発生時期がどうしても夏場の小潮期と一致するために、貧酸素が先なのか、赤潮が先なのか、あるいは両者間に相互作用があるのかというところが判然としない部分がありました。ただし、2012年に関しては、シャットネラ赤潮が例年より遅く9月に発生したということですので、かなり貧酸素と赤潮との関係が見やすいデータとなっております。

 これは2012年の9月3日から、このぐらいからシャットネラ赤潮が発生しているわけですけども、そのときの定点における溶存酸素濃度をこの辺、複数定点がありますけども、示しております。赤潮が9月3日に発生したわけですけども、発生したときには貧酸素は発生しておりません。いずれの定点でも、溶存酸素は3mg/L以上を維持しておりました。当然、9月に入っておりますので、成層強度が弱いということで、この時期に通常貧酸素はあまり発生しないので、こういう高い値が出ているというのは、ごく普通の状態だというふうに思われます。赤潮が発生して4日ほど経過した9月7日、この間、4日間しかないんですけど、急速に海域で、湾奥西部の干潟縁辺域で貧酸素が発達しました。この連続データで見てもわかるように、7日ぐらいから、ほぼ全域で溶存酸素濃度が低下するという現象が観測されております。9月9日から12日までの貧酸素の底のときには、5定点全てが3mg/L以下、うち2定点は1mg/L以下のほぼ無酸素に近い状態まで貧酸素が発達しています。赤潮が9月14日で終了したわけですけども、この直後から溶存酸素濃度が急回復をするというような状況になっておりました。これを見ますと、有明海奥部の西部海域では、基本的に、日常的に夏場の小潮期に貧酸素が発達するんですけども、これに加えてシャットネラ赤潮が発生することによって、その頻度であるとか規模というのが助長されるということがよくわかります。

 これは佐賀県有明水産振興センターさんから提供いただいた資料なんですけども、有明海産のサルボウを用いた貧酸素曝露試験結果が左の図になります。2012年というのは、溶存酸素が1mg/L以下になった期間が約5日間ほど継続したわけですけども、室内実験結果から、この無酸素条件から何度か実験した一番感受性の高い値を拾うと、大体、生残率が4割ぐらいという数字が得られるんじゃないかということが推定されています。右側の棒グラフは、貧酸素が発生した現場海域におけるサルボウの個体群、資源量の変化であります。8月に発生した、これは直接赤潮に起因した貧酸素ではなくて、夏場の例年発生する貧酸素ですけども、それでまず全体の資源量が半分近く減っていると。先ほどお示ししました9月に発生したシャットネラ赤潮によって、資源量がさらに半減というか、もうほぼなくなるというようなことであります。赤潮が発生していなければ、この現象はなかったわけですけども、シャットネラ赤潮が発生したために、資源量がさらに減ったという結果になっております。

 サルボウ漁場における貧酸素についてまとめます。7月から8月の小潮期に成層強度の増加に伴う貧酸素が毎年発生いたします。この夏場の貧酸素によるサルボウ大量死というのは、これまで小委の資料としてご説明したとおりでございます。これに加えまして、本日お示ししたように、シャットネラ赤潮発生は、急速かつ一時的な貧酸素発生を助長して、同様にサルボウ資源に深刻なインパクトを与えるということが示されました。いずれの場合も、毎年規模が異なりますし、単独で発生することもあれば、複合して発生することもあります。現場での溶存酸素濃度から、より正確にサルボウ資源の斃死状況を推定するためには、酸素の濃度に加えまして、さらに水温であるとか、塩分、成熟度、底質中の硫化物濃度の影響も受けている可能性がありますので、これらの関連性についても定量化していって、湾奥西部海域における貧酸素や赤潮がサルボウ資源全体に与える影響というものを確定していく必要があるだろうというふうに考えております。

 以上、タイラギ、アサリ、サルボウと3種続きましたけども、資料が多数に及びました。説明が少し雑駁になって申し訳ありませんでしたけども、これで発表を終わらせていただきたいというふうに思います。

○青野小委員会委員長 どうもありがとうございました。

 二枚貝の減少要因と対策についてということで、これまでの調査結果、解析、またはデータの解釈ということで、松山委員に説明いただきました。

 ここで委員の皆様に質疑、ご議論をいただこうと思うんですが、話がタイラギ、アサリ、それからサルボウと、三つにわたっておりますので、それぞれ区切ってまずご質問をお受けして、最後に全体を通してご議論いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

 では、初めにタイラギにつきまして、質問等ありましたらよろしくお願いします。

 速水先生、どうぞ。

○速水委員 資料の12ページの上のところで、着底稚貝について、着底場所の底質あるいは水質が影響している可能性を支持する結果になっているということですけども、これは具体的にはどういうものが影響しているというふうに考えておられるでしょうか。

○松山委員 このスライドですね。

○速水委員 いや、それの上、もう一枚前です。これです。

○松山委員 実は幼生の出現密度のところでも少し説明いたしましたけど、着底直前の大型の浮遊幼生の挙動というところが実はあまり細かくとられていないという現実がある中で、そこの部分がボトルネックになっているかどうかというところを定量的に説明するというのが難しい状況にあります。ただ、前々から言われていますように、タイラギの浮遊幼生がたくさん出るからといって、必ずしもそこがいい漁場になるとは限らないと言えます。一方で、覆砂等をすると、そこにタイラギの新規稚貝が多数着底するというような実例もありますので、そうした浮遊幼生が着底するときの現場海域の底質の環境ですね、例えば硫化物濃度であるとか、中央粒径値でありますとか、あるいは場合によっては貧酸素であるとか、浮泥の厚さ、そういったものが稚貝の着底に生残――着底に影響しているんじゃないかということで、そういう記載をさせていただいているところです。

○速水委員 わかりました。具体的に何がというところまでは、まだ詰め切れていないということですね。

○松山委員 そうですね。例えば日本沿岸全域に生息しているアサリ等においても、幼生の挙動、あるいは着底というところが、資源にかなり計算上大きな影響を与えるということがわかっておりまして、例えばアサリの浮遊幼生の貧酸素水塊中での挙動でありますとか、着底する場所の硫化物であるとか、中央粒径値との関係というのが、最近になって注目されて、室内データ等をとられるようになってきてもおりますので、タイラギに関しても、そうした室内データに基づいて、何が定量的に影響するのかというところを解明していかなきゃいけないというふうに考えているんですけども、残念ながら、そういう資料が今現状では少なくなっているということですね。

○青野小委員会委員長 よろしいでしょうか。

 このほか、タイラギにつきまして。

 どうぞ。

○岩渕委員 恐れ入ります。ちょっと貝のことがあまり詳しくないものですから、教えていただきたいんですけど、18ページの下の湾奥東部海域における大量死の概要の一番下の、参考ということで、軟体部の肥満度と大量死との関係なんですけども、成熟度、肥満度、年令が大量死と関係しているのかというのが一番最後にありますが、肥満度と大量死ということで、例えば二枚貝の肥満度が高ければ、ストレスに対して耐性が強いですとかという、そういう知見というのは、一般的に言われていることなんでしょうか。

○松山委員 実はこの資料、福岡県さんからいただいた資料の一部だけを抜粋してお示ししたわけなんですけども、2009年年級群と、2010年年級群で、肥満度のほうに違いがありまして、斃死が、スロップが早くなっているところが肥満度の低い個体、つまり両者間で、非常に微妙な違いではあるんですけども、やせている貝ほど先にどんどんと死んでいくというような現象が見られたということで、こうした記載を参考情報として書いているということであります。ですので、やはり同じ大量死が起きていても、年級群とか肥満度によって死ぬ時期とかスピードというのが異なるのではないかと推定されます。つまり貝のほうに、環境要因だけじゃなくて、貝そのもののコンディションが大量死の度合いにきいているんじゃないかというようなことを示唆しているわけです。

○青野小委員会委員長 岩渕委員、よろしいでしょうか。

○岩渕委員 はい。

○青野小委員会委員長 このほか、いかがでございましょうか。

 滝川委員、お願いします。

○滝川委員 滝川です。

 ちょっと教えていただきたいんですが、19ページのところで、何度もご説明いただいたんですが、湾奥の西部海域と東部海域では、貧酸素の発生状況、あるいはタイラギの大量死に対する原因が異なるというふうに書いてあるんですが、因果関係は不明であると、引き続き原因究明が必要である。確かにそうだろうと思うんですが、どんなふうな方向性でこれを――ほかの要因があるとしたら、どういうことを考えていけばいいのかなと。これが大きな課題だと思うんですが、今の時点でどんな対策、何を考えなきゃいけないのかと。

 なぜかと申し上げると、再生委員会のほうでは、どうするとこれがよくなるのかという再生の方向性を考えるんですが、そういう中でどういう対策がとれるのか、それを探るための多分原因調査だろうと思うんですが、不明のままではどうしようもないので、どういうことが可能性として考えられるかというものがおわかりでしたら、ちょっとご説明いただければと思うんですが。

○松山委員 今回、生物小委のほうでも、少し海域区分に視点を落として、もともと海域を区分した形で論議しないと、有明全域で論議しても難しいだろうということで、湾奥の東部・西部でタイラギは分けて論議をしてきたわけですけども、西部に関しては、こういった貧酸素であるとか、底質というところが影響しているだろうということは、はっきり言えると思います。一方で、漁業者さんたちであるとか、我々水産関連のメンバーが一番気にしているのは、底質が比較的いい、しかも着底稚貝も多く発生する東部の海域で立ち枯れ斃死が発生するというところに、大変焦点が移っているという状況であります。

 ただ、いろんな各種調査を行ってきて、本日も提示をしたわけですけども、酸素濃度であるとか、底質というところでは、大量斃死の原因を追究するところまでは行っていないと。でも、貝が死んでいるということは、何か負の要因があるわけなので、その要因解明に引き続き努力していきたいということで、とりあえず一旦整理をさせていただいたところであります。

 今後の展開ではありますが、主に2点ほど検討をする必要があると考えています。まず一つは、立ち枯れ斃死というのは、タイラギの着底稚貝が一定程度あって、それが次の年以降に大量斃死する、漁獲前に斃死するという現象なんですけども、直近の2、3年を見てみますと、立ち枯れ斃死する前に、もうそもそも浮遊幼生からして発生せずに、稚貝も出てこないという、より深刻な状況が発生しているという状況があります。ですので、当面、水産分野としては、まず親をきちんと残していく必要があるんじゃないかなと。特に今日の一番目の説明でありましたように、できるだけ長く、大型の貝に長く産卵してもらって、現場の海域というのは、1年間環境が変動するわけですけども、その中で長期間産卵していただいて、どこかで着底稚貝が残るという環境をつくってあげる必要があるのかなということで、各県さんともちょっと相談しながら、いわゆる母貝の保護区みたいなものをつくっていく必要があるんじゃないかなということを一つ考えております。

 もう一つは、これはまだ仮説の仮説段階ではあるんですけども、先ほどアサリでありましたように、再生産サイクルの低下というのが、餌環境の低下というところがどうも生物小委としては一つ大きな仮説というか、学説に近いような形で出始めているという状況があります。当然ですけども、アサリの餌とタイラギの餌というのは、基本的に共通していますので、立ち枯れ斃死等、タイラギの成長が悪くなって、やせて死んでいくという現象が、もしかしたらアサリで発生している肥満度の低下、再生産サイクルの低下と連動している可能性というのも、これはないわけではありません。ですので、そうしたタイラギの置かれている海域環境のうち、当然、水温とか、塩分とか、溶存酸素というのは見ていくわけですけども、その次の要因として、餌環境というものも見ていく必要があるのではないかというふうに考えているところです。

○滝川委員 ありがとうございます。

 非常に細かい――細かいといったらおかしいんですが、いろいろ捉えているデータについて、一つ一つ解釈を加えていかれていて、それはそれで非常に大変なことだろうとは思うんですが、ちょっと私、私の考えですが、例えばタイラギ、あるいはアサリだとか、サルボウだとかという、それぞれの生き物がいるわけですね。それをどう、生息環境といいますか、生育環境というのをどう評価しようとしている物差しが、よく見えないといったらわかりにくいのかもしれませんが、例えば今おっしゃったのは、対策として産卵のための条件を整えてやる、あるいは餌の環境を整えてやる、そういう考え方からいくと、多分、生育の条件と生存の条件というんですか、生きていくための必須条件、それと生育していくための条件、それに多分致死的な条件というものが基本的にあるんだろうと。それに対して、今調査されている項目がどういう意味を持っているのかという物差しで多分見ないと、症状だけといったらおかしいんですけど、ここはこうだ、ここはこうだという考え方をすると、何かどうも一定した考え方が、よく共通した物差しで物が見えないんじゃないのかなというのが非常に感じられまして、だから原因を考えるときに、ここはこういう原因、ここはこういう原因というのは、変わるかもしれないんだけど、そのベースのところは、きっと基本的なところは一緒だろうという感覚はあります。だから、もう少しタイラギならタイラギを対象にしたときの三つの条件というのがわかりやすく整理していただけると、もう少し見えてくるところがあるのかなという気がいたしております。

○松山委員 ありがとうございます。

 二枚貝の基礎的な生理状況を評価する物差しというものは、例えばマガキでありますとか、ムラサキガイというような、もう世界的に共通する生物に関しては、多数のデータがあるんですけども、当然、二枚貝の種類によってパラメータに関する感受性とか、こういうものが全然異なりますので、アサリであるとか、タイラギに関して、そういった既往知見の基本部分をある程度認識しながら、独自のデータで補正していって、このぐらいの数字でこういうレスポンスがあるというものを見極めていくということが将来必要なのかなと。先生のご指摘の内容も踏まえて、普段の調査も、室内試験も意識していく必要があるのかなというふうに考えております。

○青野小委員会委員長 滝川先生、アドバイスありがとうございました。

 ほかに。

 どうぞ。古賀委員、お願いします。

○古賀委員 5ページの資料について、質問というか、意見なんですけども、1980年代前半に、春に新規加入があったような解析のお話があったと思います。その前にタイラギの調査自体を基本的には整理しておく必要があるかと思います。まず、タイラギというのは、ご存じのようにヘルメット潜水で調査をしています。基本的には目視で見て、そしてそれを触って採る。そういった調査です。また、タイラギの分布ということについても、ここはちょっと整理しておく必要があろうかと思います。要するに、タイラギといいますのは、小さく見るとパッチ状に分布をしています。大きく見ると、あるA漁場というところに集中して分布したりとか、B漁場に一部分布したりとか、漁場ごとに非常にランダムな状況があるということを認識しておくことが必要であると思います。そういったことで、この解析は、非常に大変だったろうと思いますけども、調査の漁場とか場所、そういったものをもう一回整理しないと、昔は春に新規参入があっていたというようには簡単には言えず、間違った結果を導く可能性があるのかなと思います。

 それと、4ページに示されているように、1981年の3月のデータで、平均殻長が80mm。80mmといいますと、基本的には、ヘルメット潜水で採取する限界の大きさなんですね。だから、たまたま調査点が同じであったとしても、それ以前の調査では見つからずに、3月になってやっと見つけられるとか、そういうこともあろうかと思いますので、そういう場所とサイズというか、そういったところを整理していただけたらなと思います。

○松山委員 ありがとうございます。

 今回の資料に関しましては、そうしたパッチ状の分布の可能性というところも、実はちょっと気になっておりまして、例えば毎月の調査で、翌月にサイズが小さくなるというような現象もあって、これは恐らく今、古賀委員が言われたように、各パッチ毎に着底時期とか成長が微妙に、同じ定点でも異なっていて、誤差要因になっているというふうに考えております。これはあくまでも36年間をざっと並べたときのまずは概略というようなイメージで捉えていただけたらなというふうに思っております。

 あと、もうまさに今おっしゃったように、調査が目視で行われていますので、目視で確認できるサイズというのが、まさに世代が入ってきた月というふうにどうしても判断せざるを得ないんですけども、恐らく冬季は稚貝の段階でも成長が遅いでしょうから、3月、4月に加入があったといっても、実際はもっと晩秋とか、そういうところで着底があったものが、ようやく3月、4月に見え始めたということだろうと思っておりますので、あくまでもこれは――春加入があったというのは、確かにおっしゃるように間違いで、もう少し水温とタイラギの成長速度から、これを逆回しして、着底時期がこのぐらいであったというところで今後また精査していただきたいなというふうに思っております。よろしくお願いします。

○青野小委員会委員長 それでは、続きましてアサリに関してご質問、ご意見ありましたら、お願いいたします。

 本城先生、どうぞ。

○本城委員 今、有明海のアサリについていろいろ説明がありました。有明海のアサリ資源の減少は、タイラギの減少時期と少し異なり、全国的にほぼ同時に起こっているように思います。そうしますと、有明海のタイラギとアサリを共通社会現象として物事を考えると、間違いをおこすことがあるかもしれないので、注意しないといけないのではないかと思います。瀬戸内海のほうは、アサリは減っているけれども、タイラギはある程度漁獲されています。そういうタイラギの場所は、酸素が減っているような場所ではありません。ですから、有明海でタイラギの資源を再生していくときに、アサリの減少を共通要素として考えていくと間違っていく可能性があるので、注意しないといけないと思うのですが、松山さんはどのようにお考えでしょうか。

○松山委員 生息場所が干潟域と沖合域、あとアサリの主要な生息域というものが、タイラギは湾奥漁場が中心なんですけども、どちらかというとアサリは中南部漁場の東側という、海域がかなり異なる場所での生息生物なので、無理やりこれをタイラギとつなげて論議するのは、私も正直危険だと思っておりますし、この小委にかける前に、有明4県の皆さんともいろんな情報交換、勉強会とか行っておるんですけども、やはり海域ごとに、漁種ごとに要因が違うだろうということで、無理やり連動させる必要はないのではないかということで論議をさせていただいているところです。

 一方で、例えば潮流であるとか、冬季の水温であるとか、餌環境であるとか、こういうようなものは全体的に変動していきますので、どこからどこまでが全体の動きと連動しているものか、どこからどこまでが個別の生物要因、あるいは漁場の要因なのかというところをうまく見極めながら、今後の報告書の取りまとめに当たっていきたいというふうに思っておりますので、いろんなご意見をいただけたらというふうに思っております。

○本城委員 再生委員会のほうでも、このような状況念頭に置いて進めていただければなと思いました。

○青野小委員会委員長 どうぞ。滝川委員、お願いします。

○滝川委員 25ページの絵をちょっとお出しいただいて、先ほどご説明いただいたところに少し誤解があるようですので、補足といいますか、そこのために申し上げたいんですが、底質、区分の絵ですが、ご説明の中では、海域区分を、海域再生委員会のほうでは、これを八つの底質環境から分けたというふうなご発言があったようにお聞きしたんですが、ここで分けているA1からA8という四角で囲ったやつは、これは水質環境から分けた区分です。底質そのものは、その下のほうに薄く見えていますが、これはまた別の底質の項目から分けますと、大きく分けてA、B、C、Dという、頭についている四つの底質環境に区分されます。底質そのものは、そこの下に見えているのが底質区分で、細かく分けると、Aの中でもA1、A2、A3とか、あるいはBの中でもB1、B2、B3というふうに分けられておりまして、主に底質環境のAというのは、多分、これは砂だったかな、砂質、それからBが泥まじり砂、それからCが砂まじり泥、Dが泥か何かです。どっちだったかちょっと定かじゃないんですが、そういうふうに四つの区分に大きく分けられておりますので、ちょっと誤解がないように、ここは水質環境のほうから分けた海域であると。もちろん、おっしゃるように、海の中のほうの底質をとってきて分類したわけで、干潟のほうのデータを反映したわけではありませんが、海域再生のほうで検討している海域区分は、水質項目から分けた海域区分であるということをちょっと申し添えさせていただきたいと思います。

○松山委員 すみませんでした。資料をよく読み切れておりませんでした。申し訳ありません。訂正のほうをお願いします。

○青野小委員会委員長 どうもありがとうございました。

 そのほか、アサリにつきまして。

 川村委員、お願いします。

○川村委員 28ページのところの生物生息環境適正指数のHSIについて、鹿島で0.00という値が出ているんですけど、これはどういうことを意味しているのでしょうか、教えていただければ。

○松山委員 その前の27ページの下側の図をちょっと見ていただきたいんですけども、ここに漁場ごとのデータがありまして、一番右上が鹿島市のサルボウ漁場のデータになっておりまして、適正指数が0を下回るというところで、細粒分の値でありますとか、要はこの枠内を外れると、青の実線が赤枠の間に入ってくればいいんですけども、これを外れると、どうしても数値が低くなるということで、数字が低くなるということなので、基本的に非常に細粒化した海域ということで、数字が低くなっていることがありますね。

○川村委員 0という意味が、ちょっとよくわからないのですが。

○松山委員 もっと細かな、もう少し数字が細かく出るんじゃないかということですか。

○川村委員 割合からいったら、0というのはあり得ないというか、そう思っています。

○松山委員 0から0.3の間のはずですけども、一応、ここでは0になっていますね。ちょっと、原資料をもう少し確認してみたいと思います。よろしいですかね。

○青野小委員会委員長 今の件につきましては、資料を確認して、またご連絡申し上げたいと思います。

 速水委員、お願いします。

○速水委員 コメントですけれども、20ページの上から22ページの上にかけて、事業環境に関して評価されていますけれども、その際に、20ページの上だと、これは冬季のプランクトン沈殿量を使われているのに対して、21ページの肥満度だと、秋(8月から10月)になっていますし、それから22ページの上だと、これは9月から11月というふうになっていますし、この辺り、親委員会に報告していったりする場合には、少し統一したほうがいいのかなと思いました。

 これはどうしてもプランクトン沈殿量を使うので、夏場のデータに関しては、大型の珪藻以外のものが入ってくるので、事業環境を評価するのに難しいという点があるので、それを鑑みながら用いるということで難しさはあるんですけれども、ちょっとこの辺、統一したほうがいいというふうに思います。

○松山委員 おっしゃるとおりでして、これまでの二枚貝の減少要因、夏場の赤潮、こういったものの検討の中で、プランクトン沈殿量というのは、どうしてもクロロフィルの値ではありませんので、これがきちんとクロロフィルと相関がある時期というのが、どうしても大型の珪藻が卓越する冬場(1月から3月)ということで、基本的に整理をしてきている状況です。

 一方で、今回、アサリに関しては秋子が重要ということで、夏場のプランクトン沈殿量を比較対象として示しているわけですけども、恐らく1月〜3月の冬季のプランクトン沈殿量ほど実際の餌環境を反映している可能性はかなり低くなっていますので、当然、熊本県さんからいただいた資料の中で、プランクトン沈殿量とクロロフィルが夏場どれだけ一致するのか、冬場と比較してどのくらいずれているのかというところをもう少し精査して、論議していく必要があるのかなというふうに考えております。これは今後、資料を突き合わせていく過程で、そういう論議をしていきたいと思っております。

○青野小委員会委員長 ご指摘ありがとうございました。

 滝川委員、お願いします。

○滝川委員 27ページのところで質問です。先ほどHSI値がというご質問もあったので、あえて確認したいんですが、27ページのところで、上のほうの絵で、例えば細粒分だとか、中央粒径だとか、強熱減量、あるいはCODという、底質に関する項目でSIモデルをつくられておりますよね。これが例えばアサリにとってどのような底質環境、条件を示しているのか、そこのご判断を明確にしておく必要があるのではないかなというのが一つです。

 それで、後のほうの結論で、餌の環境も評価しなきゃだめだというふうなことをおっしゃっている。それでは、だから餌の環境も、こういうふうなSIモデルをつくろうと思ったらつくれるのかという話ですね。例えばクロロフィルみたいなものを持ってきて、その餌の環境を表現するような方法というのが多分考えられるのかなというふうに思いますが、そういったところの、どういう位置づけでこのSI適正値を考えられているのかと。

 それと、先ほどご質問があったんですけど、鹿島のところがなぜ0になるのといったときに、このSI値からHSI値をどうやって求めたのかというところがないと、あまり意味がないといったらおかしいんですが、結果的に理由がわからないというふうなことになってしまいますので、ご説明いただくときには、SI値からどうやってHSI値を出したのかというご説明も要るのかなというふうに思いました。

 それと、もう一点、同じような、アサリに対してはこういうSIモデルみたいなものを考えられているんですが、当初議論になっておりますタイラギについてのこういうデータ整理ができますかという、データがありますかということをちょっとお教えいただけたらと思います。

○松山委員 3点ご指摘いただいた内容で、一番最初の底質のデータからSIをどういうふうに導いたかというところなんですけども、もうこれは単純にアサリの生息密度とか、そういうデータと、現場のデータと底質をざっと全部あわせて、アサリがたくさんいたところと……。

○滝川委員 算術平均されて、適用されているんですね。

○松山委員 そういうことですね。そういうような形でやっておりまして、本当にそれがアサリの底質として一番適しているかどうかというところは考慮されていないというのが現実的なところです。

 あと、2番目のSIからHSIをどう求めたかに関しては、ちょっと原資料が今手元にないので、このデータをとられている調査会社さんのほうに、ちょっともう一度確認をとりたいというふうに思っております。

 タイラギに関しては、さすがにアサリほど詳細な、これほどの数のデータには当然ならないので、無理やり描こうと思えばできなくはないんでしょうけども、かなり苦労するのかなという気がしております。

○滝川委員 そういう方向性があれば、ぜひ、そういう調査の項目の整理だとか、今後の調査のあり方だとかということに反映していただければいいのかなという、アサリだけデータがあって、タイラギは何もないようでは困るかなという気がいたします。

○松山委員 ご指摘、どうもありがとうございます。

○青野小委員会委員長 どうもありがとうございました。

 では、次にサルボウと貧酸素水塊につきまして、質疑、ご意見ありましたら、お願いいたします。特にありませんでしょうか。

 それでは、全体を通してご意見等ですね、今後、この内容でまとめていくわけですけども、何かご意見がありましたら、お願いします。

 本城先生。

○本城委員 タイラギのところで聞き忘れてしまって。松山さん、17ページの下の図で、硫化物量の推移がありますね。これは泥の中の硫化物量ですよね。

○松山委員 そうですね、はい。

○本城委員 硫化物が減少する前の泥の中の酸素は測定されていないのですか。

○松山委員 間隙水中のということですか。

○本城委員 ええ。

○松山委員 間隙水中のデータは、今回はこの中には入ってはいないですね。

○本城委員 この点帯で示されている時期は還元に向かう前の段階ですよね。硫化水素は、完全に酸素がなくなってから発生してきますので、泥の酸素は硫化水素が発生する前に必ず少なくなっているはずです。親貝と子ども貝で、生息している泥の層がどのように違うのか、私はわかりませんが、大きい親貝は、酸素が実際に減っていく過程で強く影響を受けて、それから逃れて大量斃死しているようなことは考えられませか。

○松山委員 この委員会資料を集める過程で論議したわけではありませんけども、以前から、間隙水中のフリーの硫化物であるとか、間隙水中の中のいろんな還元的なものがタイラギに悪影響を与えるのではないかということで、各県さんともいろんな調査、あるいは研究を実施してきた状況があります。東部漁場はこのような関係で、斃死時期には、まだそれほど底質が悪くなっていないということがほとんどのパターンなんですけども、やはり2008年にこれよりもはるかに――赤ペンよりもはるかに飛び越えた底質を持った西部漁場にタイラギの稚貝が着底して、それが漁獲までつながってしまったという現象を目の当たりにしたときに、どれだけ底質の間隙水中のものがタイラギに影響を与えているかというところに関して、ちょっと我々も自信がなくなってきたというところがあります。そういう状況からしますと、西と東の底質を比較した場合に、西よりもはるかに底質の環境がいい東側で、微細な変化がタイラギの決定的な斃死に影響しているかどうかとなってくると、少し自信がないと。それで説明できるんだったら、多分、西側海域はタイラギは一切着底も成長もしない海域という結論になってしまうんですけど、実際には漁獲につながった年もありましたので、なかなか学説までは持って切れていないというのが実情ですね。この委員会ではなく、また別のところでの論議だったんですけれども。

○青野小委員会委員長 先生、よろしいでしょうか。

○本城委員 はい。

○青野小委員会委員長 そのほか、全体に。

 川村委員、お願いします。

○川村委員 ちょっとスケジュール的なことをお尋ねしたいのですけど。例えば29ページ以降は恐らく佐賀県の資料を使っていただいていると思うのですけど、この貧酸素についてはこういう結果が得られていますけれども、もう少しいろんなことが知見として出てきているような今実験をしております。最終的に、二枚貝の減少要因と対策についてというところのセクションについては、最終的にはどういうふうに、いつごろまでに、まとめて上の委員会に出されるのかということです。

 それと、タイラギのところで、スケジュールに関係するのですけど。今回は貧酸素のことについて多くの時間を割いて説明していただいていますけど、今までやってきたタイラギの斃死原因究明についての検討なども、ここで全て出ているわけではないので、どういう形で斃死原因究明というか、斃死原因、仮定も含めて、フロー図みたいなものをつくるとか、いろんな考え方があると思いますけど、その辺り、どういうスケジュール、どういうお考えで進められる予定なんでしょうか。

 これら2点をお伺いします。

○松山委員 まず、委員会に用いていく資料に対する考え方ですけども、いろいろ収集した資料のうち、基本的には学術的なものとして公表されたものの中をベースにしていきながら、そこの間を埋める新しい知見、それもできる限り第三者の目を通って、いわゆるスタンプが押されたような形で、委員会資料としてまとめていくということが基本になろうかというふうに思います。

 これまで論議してきた結果に関しては、これは事務局のほうからちょっとご説明いただきたいんですけども、小委の報告、あるいは委員会報告というのは、今後のスケジュールとして予定されているかと思いますので、その辺のスケジュールに関しては、事務局のほうから簡単に説明いただけると助かります。

○高山室長補佐 スケジュールにつきましては、今のところ、平成28年度中に報告書をまとめる方向で考えておりますが、次の第1回の親委員会のときにスケジュールを示しまして、そこで了解していただくという形になります。

 二枚貝につきましては、小委員会のほうで、一応今年を目処に、昨年、一昨年検討された結果を踏まえて、今年を目処に、二枚貝の減少要因と対策についてはある一定の成果を出していただくというように考えております。

○青野小委員会委員長 川村委員からお話があった2点目につきましても、いろいろと調べたデータ、また、そこから得られた結果等を見て、どういった方向でお示しするかということを含めて、またご相談させていただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、大体予定しておりました時刻になりましたが、よろしいでしょうか。

 それでは、今回いただいたご意見を踏まえて、今回報告させていただいた方向で、この小委員会として作業を進めてまいりたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

 また、引き続き、各委員の皆様、あるいは関係する省庁の方々、関係県の皆様には、検討作業に必要な情報をご提供いただくということがあると思いますので、さらに引き続きよろしくご協力をお願いいたしたいと思います。

 本日予定されておりました議事、以上で終了ということです。

 議事進行にご協力いただきまして、どうもありがとうございました。

 それでは、進行を事務局にお返しいたします。

○高山室長補佐 事務局のほうから2点ほどございまして、次回のスケジュールについてなんですけども、次回は10月の下旬から11月の上旬を目処に開催する予定にしておりますので、日程調整でのご協力、お願いいたします。それから、本日の議事録の確認をお願いいたしますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

 それでは、これにて第7回の生物の小委員会を終わりたいと思います。

 どうもご協力ありがとうございました。

午後3時20分 閉会

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