第1回有明海・八代海総合調査評価委員会小委員会 会議録

日時

平成15年5月14日(水) 14:00~16:00

場所

環境省第1会議室

出席者

小委員会
委員長
荒牧軍治委員長
委員 須藤隆一委員、本城凡夫委員
専門委員 荒木宏之委員、伊勢田弘志委員、川野田實夫委員、小坂安廣委員、中村武弘委員、白島勲委員、弘田禮一郎委員、本田清一郎委員、前田和宏委員
総務省 自治行政局地域振興課長補佐
農林水産省 水産庁増殖推進部漁場資源課長補佐
経済産業省 産業技術環境局環境指導室湖沼水質専門職
国土交通省 河川局河川計画課長、港湾局環境整備計画室長
環境省 環境管理局長、水環境部長、水環境部閉鎖性海域対策室長
福岡県 環境部環境保全課技術主査
長崎県 県民生活環境部環境政策課参事
熊本県 環境生活部環境政策課環境立県推進室課長補佐

議事

○坂川閉鎖性海域対策室長
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回有明海・八代海総合評価調査委員会小委員会を開会いたします。
 本日は小委員会の委員12名全員にご出席をいただいております。誠にありがとうございます。
 なお、この会議を公開とするかどうかにつきましては、本来、後ほど運営方針において決定されるものでありますが、本日の会議は評価委員会にならいまして公開という扱いにさせていただいております。よろしくご了解のほどをお願い申し上げます。
 それでは、会議に先立ちまして、環境省環境管理局長の西尾からご挨拶申し上げます。

○西尾環境省環境管理局長
 環境省環境管理局長の西尾でございます。第1回の有明海・八代海総合調査評価委員会小委員会の開催に当たりまして、お礼とご挨拶を申し上げます。
 委員の皆様方におかれましては、ご多用中、本日お集まりいただきまして、また委員のお仕事をお引き受けいただきまして誠にありがとうございます。お礼を申し上げます。
 言うまでもなく、有明海におきましては、平成12年度にノリが不作となり、また八代海におきましては、平成12年夏に発生した大規模な赤潮によって魚類養殖業が被害を受けました。また、これらの海域は、以前より貝類や魚類の漁獲量の長期にわたる減少、あるいは低迷が見られております。
 このような状況を重く受けとめ、議員提案による有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律が先の臨時国会で成立、昨年11月29日に公布、施行されたところでございます。この法律に基づきまして、環境省に有明海・八代海総合調査評価委員会が設置されました。本小委員会は、この評価委員会の任務であります環境保全と漁業振興の二つの面からの有明海及び八代海の再生にかかる評価ということにつきまして、的確、精緻に実施されることになりますように、有明海及び八代海における地域に則した調査研究に関する情報の収集・整理・分析を行う組織ということで、第1回の評価委員会において設置が決定されたものでございます。
 このようなことから、有明海及び八代海の再生の道筋を明らかにするためには、この海域におきます専門的な知見を有しておられます委員長をはじめこの小委員会の委員各位の皆様方に頼るところがたいへん大でございます。本小委員会に課せられている役割、重要性にかんがみまして、何とぞ格別のご指導をいただきますようよろしくお願いする次第でございます。環境省といたしましても、関係省庁のご協力を得ながら、本小委員会の円滑な運営に万全を期していきたいと考えておりますので、どうか活発な議論、卓越した知見を賜りますようお願い申し上げまして挨拶とさせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 それでは、本日は第1回目の小委員会でございますので、委員の先生方をご紹介いたしたいと思います。
(委員等の紹介)
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
(資料の確認)
 それでは、早速議事に入っていただきたいと思います。
 小委員会委員長につきましては、評価委員会の運営方針の4の[3]に基づきまして、評価委員会の須藤委員長より荒牧委員が指名されております。
 それでは、荒牧委員長、議事進行をよろしくお願いいたします。

○荒牧委員長
 皆さんこんにちは。
 本委員会の委員長を務めることになりました佐賀大学の荒牧でございます。よろしくお願いをいたします。
 私は、ちょうど有明海の湾奥部、嘉瀬川という川がありますけれども、そこからちょうど湾奥から1キロぐらい北側に入った低平地のど真ん中に住んでいまして、有明海につながった嘉瀬川とか本庄江という川を通って、ああ今満ちているとか、今引いているとかというようなことを感じながら学校に通っているんですけれども、長い間暮らしていて、確かに有明海が病気とは言いませんけれども、健康でなくなりつつあるということを実感しておりまして、佐賀大学には低平地研究センターというのがありますが、そこで有明海研究を始めようということをやっていた矢先にいろいろな問題が起こって非常に心を痛めているわけです。
 今日、ここに国の方で、評価委員会あるいは小委員会をつくっていただきまして、有明海に関する討議ができるということを非常にうれしく思っていますし、私は喜んでこの役を引き受けさせていただきました。これから皆さんのお知恵と、それからいろいろな仕組みと言いますか、知恵を集めることによって、私たちの住んでいる有明海が健康に回復することを非常に期待しております。皆さん方のご協力をお願いをしたいと思います。
 それでは、議事に移らせていただきたいと思います。
 最初の議題は、小委員会の設置についてであります。
 この委員会の設置につきましては、評価委員会での決定に基づくものでございますので、まず、評価委員会の決定について事務局からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 それでは、資料3をご覧いただきたいと思います。
 資料3は、ことし2月7日に第1回の評価委員会が開催されましたときに決定をいただいたものでございまして、この小委員会の設置の根拠となるものであります。資料3の1、2とありますので、まずこれを読ませていただきます。
 1.有明海・八代海総合調査評価委員会に小委員会を置く。
 2.小委員会においては、有明海及び八代海における地域に則した調査研究に関する情報の収集・整理・分析を行う。
 それから、この資料の裏のページをご覧いただきたいと思います。
 今の決定についての若干の説明がございまして、まず1番の趣旨のところでございます。
 有明海・八代海総合調査評価委員会の所掌事務(有明海及び八代海の再生に係る評価)の所掌事務の効率的な遂行に資するため、委員会の定めるところにより小委員会を設置する。
 2番として、小委員会の所掌事務でありますが、小委員会は、以下の事務をつかさどる。
[1]有明海及び八代海における各種の調査研究に関する情報を収集する。
 [2]上記[1]の調査研究のうち、地域に則した調査研究(主として関係県、大学等が実施している調査研究)に関し、両海域の再生に係る評価を行う上で有効な調査研究を整理し、結果を分析する。
 [3]上記[2]の結果に基づき、調査研究の概要、分析結果等をとりまとめ、委員会に報告する。
 3番として、構成です。
 委員・臨時委員のうちの数名及び専門委員(関係県の水産試験場長、地域の海域環境に詳しい研究者等の学識経験者であって、関係県の意見を聴取して任命する者)から構成する。
 このようなことを評価委員会で決定をいただきました。
 また、これに関連をいたしまして、資料4をご覧いただきたいと思います。
 資料4は、評価委員会の運営方針なのでありますが、この中に小委員会に関係する部分がありますので、その部分を説明したいと思います。資料4の裏のぺージであります。4番、「小委員会について」とあります。ここも読ませていただきます。
 まず[1]、委員会は、委員会の所掌事務の効率的な遂行に資するため、必要に応じ、その定めるところにより、小委員会を置くことができる。
 [2]、小委員会に属すべき委員、臨時委員又は専門委員は、委員長が指名する。
 [3]、小委員会に小委員会委員長を置き、委員長の指名によりこれを定める。
 [4]、小委員会委員長は、議長として、小委員会の議事を整理する。
 [5]、委員長は、小委員会に出席し、意見を述べることができる。
 [6]、小委員会の運営に関し必要な事項は、小委員会委員長が定めることができるものとする。
 このようなことが運営方針に定められておりまして、これに基づきまして、先ほどの資料3の決定がなされたと、このような経緯でございます。
 評価委員会の決定に関しましては、以上でございます。

○荒牧委員長
 どうもありがとうございました。
 このことに関して、評価委員会の委員長である須藤先生から何か補足がありましたらお願いいたします。

○須藤委員
 それでは、一言ご挨拶を兼ねてお話をさせていただきます。
 小委員会のメンバーの先生方には快くこのお仕事を引き受けいただきまして、誠にありがとうございます。ただいまの小委員会の運営方針に記載されておりますとおり、私が指名を申し上げるということでございますが、それぞれの専門の先生方というふうに私も伺っておりまして、今後のご活躍を期待させていただきたいところでございます。
 いろいろ細かいことにつきましては、坂川室長がお話しくださいましたので特に申し上げることはございませんが、先ほど荒牧委員長のお話を伺っておりまして、大変心強く、頼もしく思ったわけでございます。地域に則した調査研究を中心として、この小委員会で遂行してくださるということでございまして、本委員会の方の数もそう開くこともできないわけでございますが、荒牧先生初め、各委員の皆様とも連携を図りながら、先生方の調査結果については、本委員会で十分反映させて、有明海の再生の道を探っていきたいと考えております。小委員会の皆様の甚大なるご協力をお願いして、コメントというよりも挨拶にさせていただきます。どうもありがとうございました。

○荒牧委員長
 ありがとうございました。
 それでは、評価委員会の法律上の位置づけ等については、次の議題において法律の説明を聞いてから、質問をお受けした方がいいかもしれませんが、今までの説明で何かご質問ありましたら先に受けたいと思いますがいかがでしょうか。よろしいですか。
 後で、また法律上のことが説明があるということですので、そのことについてからお聞きしてからこの評価委員会及び小委員会のことについてまたご議論をいただければと思います。
 それでは、有明海・八代海総合調査評価委員会の運営方針の4の[6]において、小委員会の運営に関し必要な事項は小委員会委員長が定めることができるものとするとあります。
 私としましては、委員の方々の了解を得た上でこれを定めたいと考えて案を用意しておりますので、事務局の方からご説明をお願いしたいと思います。よろしくどうぞお願いします。

○坂川閉鎖性海域対策室長
それでは、資料の5をご覧いただきたいと思います。これは小委員会の運営方針の(案)でございます。
(資料5読み上げ)

○荒牧委員長
 どうもありがとうございました。
 小委員会の運営方針(案)のご説明がありました。これは評価委員会の運営方針(案)にならってつくられたということでございますけれども、公開の問題である等の基本的なことが含まれておりますが、これについてご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。
 特にありませんでしょうか。
 それでは、ご承認をいただいたということにしたいと思います。
 小委員会の運営方針は今読み上げていただきましたものを運営方針としたいと思います。今後は、この運営方針に従いまして小委員会を運営させていただきます。

○本城委員
 よろしゅうございますか。

○荒牧委員長
 どうぞ。

○本城委員
 この会議録は発言内容を精確に記載するものとするというのは、一言一句ということでございますか。

○荒牧委員長
 それでよろしいんですか。

○坂川閉鎖性海域対策室長
そこは、必ずしも一言一句ということではなくて、発言した趣旨が正確に反映されているという、そういうことでお考えいただきたいと思います。

○本城委員
 はい、わかりました。

○荒牧委員長
 ほかにありませんでしょうか。
 それでは、この運営方針に従って今後運営してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。
 次の議題は、「有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律について」であります。
 評価委員会は、この法律に基づいて設置されたものですので、その概要につきまして、事務局の方からご説明をお願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長
それでは、まず資料6でありますが、この資料6は法律の条文、それから、この法律に基づいて定められました政令が2本ございますけれども、その条文そのものをお示ししているものでございます。
 本日のご説明は資料7「有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律の概要」でご説明をさせていただきたいと思いますのでろしくお願いをいたします。
 この法律は、昨年11月に国会で成立し、また公布、施行されたものでございまして、有明海と八代海を再生するための法律ということになります。そして、この評価委員会、また小委員会につきましても、この法律を根拠とするものでございますので、その概要につきましてご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、法律の目的でありますが、有明海及び八代海の再生に関する基本方針を定めるとともに、当該海域の環境の保全及び改善並びに水産資源の回復等による漁業の振興に関し実施すべき施策に関する計画を策定し、その実施を促進する等特別の措置を講ずることにより、国民的資産である有明海及び八代海を豊かな海として再生することを目的とする。
 このような目的になっておりまして、ポイントは、まず環境の保全・改善ということと、それから、水産資源の回復等による漁業の振興、この二つの柱があるということでございまして、それに関する計画を策定して、それに基づいて対策を実施する。その結果として、有明海及び八代海を豊かな海として再生する。このような目的になっているわけであります。
 次に、この法律の概要でありますが、まず指定地域を指定するということになっております。
 指定地域は、まず主務大臣が関係県の申請に基づいて指定するということになっておりまして、主務大臣といたしましては、そこに記載されている6大臣が定められております。それから、関係県といたしましては6県でございまして、有明海、八代海に面しております福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、それに加えまして、有明海に注ぐ川の流域ということで大分県、合計6県が関係県ということになっています。
 この指定地域につきましては、後ろの方に資料9がございますので、そちらを見ていただきたいと思います。もう既に2月に指定をしてございまして、指定地域の範囲としては、陸域については、有明海及び八代海の集水域、海域については、法に基づく有明海及び八代海ということで、この資料9の裏のぺージに地図がかかれております。この黒く塗られた部分が指定地域ということになっておりまして、先ほどの6県にまたがる地域ということになっております。市町村の数で言いますと、合計で 190の市町村が指定をされております。ただ市町村によりましては、市町村全域が含まれているわけではなくて、市町村の中に分水嶺があるような場合には、市町村の一部が指定をされているという、そういうケースも中にはございます。指定地域はこのようになっておりまして、既に指定がなされております。
 資料7に戻っていただきたいと思いますが、2の(2)基本方針の策定でございます。
 主務大臣は、再生に関する基本方針を定めなければならないとされております。この基本方針も既に定められているところでございますが、これに関しましては、後ほどご説明をさせていただきたいと思います。
 (3)といたしまして、県計画の策定でございます。
 関係県は、基本方針に基づきまして、先ほどの指定地域について、実施すべき施策に関する計画を定めるとされております。この県計画も6県におきまして既に3月に策定がなされているところでございます。
 それから、次の2ぺージでありますが、促進協議会という組織がございます。
 主務大臣、関係行政機関の長及び関係県の知事は、それぞれの県計画の調和を図りつつ、その実施を促進するために必要な協議を行うため、促進協議会を組織することができるという規定でございます。促進協議会も、既に1回、3月に開催されているところでございます。
 また、(5)といたしまして、国の補助の割合の特例がございます。
 県計画に基づいて関係県が行う漁港漁場整備事業のうち、政令で定めるものにつきまして補助の割合の特例が定められております。ここで、政令で定めるものといたしまして、たい積物の除去、海底の覆土事業などが定められております。
 次に(6)地方債についての配慮及び資金の確保でございます。
 地方公共団体が県計画を達成するために行う事業に関しまして、地方債について、特別な配慮をする。また、国は、県計画に基づいて行う事業に関し、必要な資金の確保に務めるとされております。
 次に、(7)でありますが、調査研究の実施に関する事項でございます。
 国及び関係県は、次の[1]から[8]に掲げる調査を実施し、その結果を公表するものとするとされておりまして、[1]から[8]までございますが、そこにありますように干潟と海域の環境との関係、潮流・潮汐と海域の環境との関係、海域に流入する水の汚濁負荷量と環境の関係、それから、流入する河川の流況と海域の環境との関係、土砂の採取と海域の環境との関係、赤潮・貧酸素水塊の発生機構、また、環境と水産資源との関係、[8]としてその他ということで、これらの調査を国と関係県が実施をするということになっております。
 また、その下の部分でありますが、国及び関係県は、総合的な調査研究の体制の整備、さらに、海域の流入する水の汚濁負荷量の総量の削減に資する措置を講ずるものとするというような規定もございます。
 続いて、3ぺージでございますが、(8)といたしまして、評価委員会に関する事項がございます。
 環境省に「有明海・八代海総合調査評価委員会」を置くということになっておりまして、この評価委員会が行うべきことといたしましては、附則に基づいて行う法律の見直しに関し、次に掲げる事務をつかさどるとなっております。
 ここで、法律に基づいて行う法律の見直しといいますのは、そのぺージの一番下にありますが、3番の(2)のところに、法律の施行の日から5年以内に、法律の施行状況、調査の結果を踏まえ、必要な見直しを行うとされております。
 ですから、この見直しに関しまして(8)の[1]、[2]の事務をつかさどるとなっているわけであります。
 まず、[1]といたしましては、国及び関係県が行う調査、これは、先ほどの(7)のところで説明をいたしました調査でありますが、この調査の結果に基づきまして、有明海及び八代海の再生に係る評価を行う。
 [2]といたしまして、その評価を行うことに関し、主務大臣等に意見を述べる。
 このような事務を評価委員会が行うものとされているわけでございます。
 なお、委員につきましては、環境の保全及び改善または水産資源の回復等に関し十分な知識と経験を有する者のうちから、主務大臣と協議の上、環境大臣が任命するとされております。
 そのほか、(9)にありますように、下水道・浄化槽等の整備、河川の流況の調整、森林の保全及び整備、水産動物の種苗の放流、酸処理剤の適正な使用、自然災害の発生の防止、赤潮等による漁業被害の支援・救済、知識の普及等について、努力規定・配慮規定が定められております。
 3番のところは施行期日でありますが、公布の日、これは去年、平成14年11月29日が公布の日でございまして、その日から既に施行がなされております。
 また、見直しに関しては、先ほどの説明のとおりであります。
 これが法律の概要でありますが、以上のものを図として整理をいたしましたのが4ぺージの法律のあらましというものでございまして、全体的に整理をするとこのようなことになるというように考えております。
 法律の概要については以上でございます。

○荒牧委員長
 それでは、ただいまの事務局からの説明につきましてご質問ございますでしょうか。
 どうぞお願いいたします。

○白島委員
 今のご説明の一番最後のところの、(9)その他、そこに下水道等云々書いてありまして、努力規定、配慮規定を設けるというふうに書かれているんですが、具体的にはどういうことでしょうか。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 そこのところは、ここに幾つかの項目が書かれておりますが、それぞれの書きぶりにつきましては、詳しくは条文を見ていただくのがよろしいかと思いますけれども、つまり努力規定、配慮規定と申しますのは、例えば罰則を伴うような義務規定というものではなくて、そういうことについて努力する、また配慮するというような規定があるということでございます。

○白島委員
 そうすると、例えば一番最初の下水道とか浄化槽の整備については、早く設置しなさいとか、早くやりなさいとか、その程度のものなんですか。

○荒牧委員長
 どうぞお願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 例えば、先ほどの資料6の条文をご覧いただきたいと思います。その方がわかりやすいと思います。
 資料6の5ぺージをご覧いただきますと、例えば、第13条に、下水道の整備等という条文がございます。ここを読みますと、国及び地方公共団体は、指定地域において、下水道、浄化槽、その他排水処理施設の整備その他有明海及び八代海の海域の水質の保全のために必要な処置を講ずるよう努めなければならない。このような書き方になっております。これを受けて、先ほど基本方針というものがあるということを申し上げましたけれども、基本方針の中でも下水道を整備する、また浄化槽でありますとか、生活排水処理施設を整備するということが書かれております。
 また、さらにそれを受けて、県計画の中で、具体的にどのような事業を実施するのか、その事業が県計画の中に挙げられている。こういう構成になっております。
 下水道の整理についてはそのようなことでありまして、そのほか河川の流況の調整は第15条で河川の流況の調整に努めなければならないとなっております。
 以下同様でございまして、詳しくはこの条文をお読みいただくのがよろしいかと思いますけれども、ここに書かれているようなことは基本方針、または県計画、そういったものの中にも記述がなされています。そういったものに従って、国、関係機関が計画を進めているということになっています。

○白島委員
 わかりました。

○荒牧委員長
 よろしいでしょうか。

○白島委員
 はい。

○荒牧委員長
 ほかにどうぞお願いをいたします。
 法律のことについて何かご質問ございませんでしょうか。よろしいですか。
 私の方から一つだけ質問させてください。
 2ぺージ目の、調査研究のテーマが[1]から[8]まで並んでおります。これはくくり方が調査研究の実施及び体制の整備という、非常に大学に身を置く者としては一番興味のあるテーマなんですが、そこの調査研究というのと、後の方ではずっと調査について以下に行うということが書いてありまして、我々の感覚では調査と研究では少しニュアンスが違っているというか、研究といいますと、どうしても基礎的な問題について時間はかかっても少しこつこつとやりましょうということで、その研究の体制までイメージするんですけれども、 調査だけだと、何かそこのところが少し基礎的なものがもうある程度わかっていて、それについて現場に行って調査をするというニュアンスを持つものですから、この調査研究というものの中には、このテーマは私たちが今掲げているテーマとほとんと同じなんですけれども、これについて我々大学関係者は多分これを研究にかかろうとしていると思います。どうなっているのかということを研究しようという、基礎的なものから研究しようというふうに考えていると思いますけれども、これだと調査がずっと並んでいて、タイトルには調査研究とあるにもかかわらず、 何か研究という側面がもう終わっているのかというふうに読んでしまったんです、法律を見せてもらったときに。ですから、ここは調査の中には研究的な要素、それから基礎的な研究の要素というのを含むと考えさせてもらってよければそれでいいんじゃないかなという気がしますけれども。
 お願いします。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 そこのところは「調査」という言葉と「調査研究」という言葉、両方の用語がこの法律の中にあるわけでございますが、いずれにしろ調査と書かれていても私どもの理解としては研究的な要素もここには含まれているんじゃないだろうかというふうに受けとめております。いずれにしろ、先生が今おっしゃいましたような調査と研究の分類だとすれば、必ずしも狭い意味の調査にとらわれる、そういうことに限られるわけではない、研究的なところも併せてやっていくべきだという意味だと思っております。

○荒牧委員長
 期待としてはこういうところを現場の人間が言うと少し俗っぽく聞こえますけれども、調査体制というのは当然おつくりになっていくでしょうけれども、と同時に、大学なんかを利用した、今の水産振興センターとかいろいろな所で行われているものを組織化するといいますか、あるいは連携をするというか、そういう研究体制の方まで頭に入れて何か連携組織をつくっていただけると我々の方としても情報が得やすいとか、協力が得やすいという感じがするものですから、そういうことを申し上げました。
 ほかにどうぞご意見、ご質問。よろしいでしょうか。
 それでは、法律に基づき基本方針が定められておりますので、事務局からご説明をお願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 それでは、資料8でありますが、先ほどの法律に基づきまして、ことし2月に基本方針が定められておりますので、これについて簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
 資料8にありますように、この基本方針は、右上にありますように、ことしの2月に定められましたけれども、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、この6省が共同で定めたものでございます。
 まず、基本的な指針といたしまして、趣旨のところに書いておりますが、有明海、八代海の現状についても書いてございます。
 2行目の後ろの方からでありますが、しかしながら、有明海及び八代海においては、周辺の経済社会や自然環境の変化に伴い、水質の富栄養化、底質の泥化や有機物のたい積等海域の環境を悪化し、赤潮の増加や貧酸素水塊の発生等が見られる中で、二枚貝をはじめとする漁業資源の悪化が進み、海面漁業生産は減少を続けている。これらの状況にかんがみ、有明海及び八代海を豊かな海として再生することを目途とする。
 このような趣旨で基本方針を策定するということが書かれています。
 そして、2番のところに、再生に関する目標が書かれていまして、目標として大きく二つに分かれております。一つ目が海域の環境の保全及び改善。それから、二つ目が水産資源の回復等による漁業の振興。おそらくこの二つは密接に関連をするものだというふうに考えておりますが、ここでは一応概念上の整理として二つに分けて書いております。
 まず、環境の保全及び改善でありますが、最初に水質環境基準の達成・維持、それから、さらに赤潮の発生及び貧酸素水塊の発生を抑制し、底生生物を含めた多様な生態系の回復を図る。また、水質浄化機能を有し、生物の生息・生育地として重要な干潟等が現状よりできるだけ減少することがないよう保全され、また必要に応じその修復・造成を図ることを目標とするということであります。
 また、水産資源の回復等による漁業の振興に関しましては、2ぺージでありますが、養殖業と海面漁業及び有明海特産種等の生産がそれぞれ持続的に行われることを目標とする。
 まず、ノリ養殖、魚類養殖等については、漁場の収容力を適正に利用して安定的・持続的な生産を可能にすることを目標とする。
 海面漁業につきましては、減少の原因究明に努めるとともに、それらの生産量を回復方向に転じさせることを当面の目標とする。
 特産種等につきましては、地域の食文化としても重要であり、適切に保存・管理がなされることを目標とする。
 このような目標を掲げたところでございます。
 そして、この目標を達成するための施策が3番にあるわけでありまして、まずイといたしまして、「水質等の保全に関する事項」であります。
 (一)として「汚濁負荷の総量の削減に資する措置」です。
 その中に生活排水対策。先ほどご説明いたしました下水道の整備などについてもここに記述がございます。
 また(ロ)として、「工場・事業場の排水対策」、(ハ)として、「農業・畜産・養殖魚場対策」、それから(ニ)でありますが、「その他の対策」として、河川における直接浄化施設の適切な維持管理、改良でありますとか、市街地における面源負荷対策ということであります。これらの対策を講ずることによりまして、有明海、八代海に流入する水の汚濁負荷量の総量を削減していこうということであります。
 また、3ぺージの中ほど、(二)は、「海域等の直接浄化対策」であります。
 漂流物の除去、また覆土・しゅんせつ等による底質の改善ということが書かれております。
 また、(三)「その他」として、有害化学物質等の規制及び把握等です。
 主として水質汚濁防止法、ダイオキシン類対策特別措置法、また特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律、こういった法律に基づいた対策を講じていくということであります。
 また、4ぺージの一番上には、水質等の監視測定を実施をしていくことが記述してあります。
 それから、ロといたしまして、「干潟等の浄化機能の維持及び向上に関する事項」でありますが、ここでは、干潟というところが、水鳥類の渡りの中継地等として、また海生生物の繁殖・生育・採餌・移動分散の場としての機能を有する。また水質浄化機能という重要な役割を果たしているということから、極力その保全に努めるとされております。
 また、干潟等の修復、造成により良好な生態系の回復を図るということであります。
 次に、ハといたしまして、「河川における流況の調整及び土砂の適正な管理に関する事項」であります。
 まず、海域の環境保全及び改善を図るためにダムの貯留水を利用して河川の協況の調整を図る。また、河川において土砂移動の状況を必要に応じ把握するとともに、原則として砂利採取量の削減を図る。
 また、各河川及び地域の実情に応じた総合的な土砂管理の方策について検討するとされております。
 次に、二といたしまして、「河川、海岸、港湾及び漁港の整備に関する事項」でありますが、(一)「河川の整備」、例えば状況に応じて直接浄化施設の整備等を推進する。河口部において、干潟等の保全回復を図る等、海域への汚濁負荷の軽減や河川の自然浄化機能の回復・向上を目指すとされております。
 (二)「海岸の整備に関する事項」では、国民による海岸利用及び海岸環境の保全に十分配慮しつつ、海岸保全施設等の整備に努めるとされております。
 5ぺージの方にまいりまして、(三)「港湾の整備に関する事項」でありますが、ここにつきましても、汚泥のしゅんせつ及び覆土の実施、水質浄化施設の整備等による水環境の改善策を進めるとともに、干潟、藻場の保全、再生、緑地の整備等を推進するということであります。そのほか、港湾施設の整備に努めるとされております。
 (四)「漁港の整備に関する事項」でありますが、これにつきましても、漁港施設、漁港関連施設等の整備、泊地・航路の水深の確保、漁港水域環境の改善を推進するとなっております。
 また、ホの「森林の機能の向上に関する事項」でありまして、有明海及び八代海に流入する河川流域の森林の有する多面的機能を将来にわたり持続的に発揮させる。そのための施策が書かれております。
 次に、ヘの「漁場の生産力の増進に関する事項」でありますが、まず最初にたい積物の除去、覆土、耕うん、このような対策を講ずることによって漁場環境の改善を行うということ。また藻場、干潟の造成等を推進するとともに、藻場、干潟の修復・創造活動を高める。また、漁場環境の改善のための手法やそれらの事業効果の持続性をさらに高めるための技術開発を進めるということであります。
 そして、海浜の清掃でありまして、廃棄物等を除去、回収し、漁場関係の保全を図るとされております。
 次に、トの「水産動植物の増殖及び養殖の推進に関する事項」であります。
 (一)として「増殖の推進」。この中では、(イ)は「水産動物の種苗の放流」ということでありまして、技術開発とともに放流を推進する。また共同放流事業に取り組むということも書かれております。
 (ロ)では、資源管理の推進でありまして、資源管理型漁業の推進、漁業規制や漁業許可、漁業権制度の的確な運用などが書かれております。
 また、(二)「養殖の推進」では、(イ)「漁場環境に配慮した養殖の推進」がありまして、特にノリ養殖については、適切な漁場利用を含めて養殖生産のあり方を検討する。併せて、生産コストの削減、品種改良技術の開発を実施するということであります。
 そして(ロ)が、「酸処理剤の適正な使用等」であります。
 ノリ品質向上のために酸処理剤、また肥料等が使用されておりますけれども、その使用に当たっての配慮がここに書かれておりまして、より適正な使用を推進するとされているところでございます。
 また、7ぺージには漁場の施設の整備でありますが、漁礁の整備、増養殖施設等の整備についての記述がございます。
 また、チに「有害動植物の駆除に関する事項」が書かれております。
 これは、特に有明海におきまして、トビエイ等が貝を食害しているという報告もございますので、そういった問題に対応するために有害動植物を駆除するということであります。
 リが、「調査研究等の推進」であります。
 先ほど法律の概要のところでも調査を実施することになっているというご説明をいたしましたけれども、これについても基本方針の中で触れておりまして、(イ)から(ヌ)まで、先ほどの法律の分類と大体同じような分類になっているわけでありますけれども、そこにどのような調査研究を実施していくのか、基本方針の中でも明らかにしています。
 まず(イ)の干潟の関連では、干潟等に生育する生物が有する水質浄化能力、干潟の消失と流速の変化、浮泥のたい積と底質の変化等、干潟と海域との環境に関する調査研究を進める。
 また、(ロ)の潮流、潮汐では、実態の把握、それからその海域全体の環境に与える影響に関する調査、底泥の移動状況を把握して、海域の環境との関係に関する調査研究を進めるとされております。
 また、(ハ)の水の汚濁負荷量では、汚濁負荷量を把握して、その変化が海域の環境に与える影響、それから、汚濁負荷の効果的な削減手法に関する調査研究を進めるということであります。
 (ニ)の河川の流況では、河川の流況を把握し、その変化と海域の環境との関係に関する調査研究を進めるとされております。
 また(ホ)の土砂の採取では、海砂利等の採取による地形改変の実態を把握し、これが海域の環境に与える影響に関する調査研究を進めるということであります。
 (へ)の赤潮、貧酸素水塊でありますけれども、まず、赤潮の原因となる有害プランクトンの特性に関する調査研究を進める。また、赤潮及び貧酸素水塊の発生状況を把握し、これらの発生機構の解明に関する調査研究を進める。
 次に、赤潮の防除、予察技術についても、これらを開発していくことであります。
 (チ)は、水産資源と環境との関係でありますけれども、環境変化がノリ養殖や二枚貝等の生物生産に及ぼす影響を調査をするということであります。
 (リ)と(ヌ)は、その他ということで、海域の直接浄化、干潟等の造成手法の確立、また、沿岸の生態系に関する基礎的情報に関する調査研究を進める。
 漁場監視体制の確立、また主要魚種等についての科学的知見の基礎となる調査、安定的に高品質なノリを生産するための品種改良技術等の開発ということであります。
 以上のような調査研究の体制を整備するというところが次の(二)でありまして、(イ)として、「調査研究体制の整備」であります。
 これらの調査研究を円滑に実施していくために、国、関係県等の連携、協力を強化する必要がありますので、相互の連携、役割分担を協議する場を設ける。また、情報交換を円滑に実施するためのネットワーク及びデータベースを構築するということであります。
 また、このデータベースを活用いたしまして、情報の共有化と情報収集の効率化に努める。
 研究者の養成についても、研修会やシンポジウム等を開催するということでございます。
 ヌが「海域の環境の保全及び改善並びに漁業の振興等に関するその他の重要事項」でありますが、まず、(一)(イ)「開発行為に当たっての配慮」でありますけれども、環境影響評価法に基づく環境影響評価に当たっての環境への影響の回避、低減の検討、必要に応じた適切な代償措置ということです。
 また、(ロ)「自然公園等の保全」でございます。この地域にも国立公園がございますので、適切に管理をしていくということでございます。
 (ハ)といたしまして、「海砂利採取に当たっての配慮」でありますが、海砂利採取に当たっては、あらかじめ環境等への影響を調査し、その結果等を十分踏まえ対応する。また、最小限の採取量並びに影響を及ぼすことの少ない位置、面積、期間及び方法等とするよう努めるということであります。
 (二)の「漁業の振興に関するその他の重要事項」ということで、共同利用施設の整備、生活環境の整備、漁港における遊漁船等の対策、赤潮等の漁業被害にかかる支援等について書かれております。
 それから、(三)として「県計画達成のための配慮」といたしまして、地方債について特別の配慮をする。また、国は事業の実施に関し必要な資金の確保、その他の措置を講ずるよう努めるということであります。
 (四)として、知識の普及と情報開示についての記述もあるわけでございます。
 以上が、大きな1番でございまして、大きな2番として、県計画の策定に関する基本的な事項が書かれております。この基本方針ができました後、各県におきまして、県計画がそれぞれ定められました。3月に実際には定められたところでございまして、その作成に関する基本的な事項が2番になります。
 以上が、基本方針でありまして、国、関係県といたしましては、こういった基本方針に従って各種の施策を進めていくこととしているところでございます。
 以上でございます。

○荒牧委員長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明についてご質問ありましたらお願いいたします。
 どうぞお願いします。

○弘田委員
 弘田でございますが、1ぺージのところの目標のイの有明海及び八代海の海域の環境の保全及び改善というところですが、その上から2行ほど、現在、有明海及び八代海においては、一部の水域において水質環境基準が達成されていないため、その達成・維持を目標とするというふうにございます。
 実は、熊本県の場合ですが、CODの環境基準を設定するときには、実はアルカリ法で設定しているんです。現在は、実は酸性法で測定したものを公表しておられる。そうすると、どうしても酸性法の方がデータが高く出ますから、なかなか環境基準を達成しないわけです。そういうふうな状況に今熊本の場合はなっておりますが、そういうことに関してはどういうふうにお考えなんでしょうか。環境省の方のお考えをお聞きしたいと思います。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 今、ご指摘がありましたように、それを海域のCODの環境基準についてのことでありますが、環境基準を昭和40年代に設定する際、ノリの養殖を行っている場所について、どういう環境がいいのかという検討をしたときに、どうも、従来ノリの養殖を行っているところのデータがアルカリ法によるものがほとんどであったと思われます。酸性法によるデータがあまりなかったことを反映して、現在ノリ養殖を行っているところではアルカリ法で測定をして、それ以外は一般的な酸性法で測定をするということになっているものですから、今のご指摘のような問題が生じてしまっているわけであります。
 そこで、この問題は環境基準に影響する非常に重大といいましょうか、大きな問題かと思っておりますけれども、基本的には、ノリ養殖を行っているところとそうでないところに分けて、環境基準の達成状況を見ざるを得ないんじゃないだろうかというふうに考えております。
 そこで、おそらく熊本県を初め有明海においては、ノリ養殖を行っている場所がだんだん広がってきているという、こういう問題もあって、そこの測定方法をいかにするかという問題が起きてきているんじゃないかというふうに考えていまして、そこは個別に考えさせていただきたいと思っておりますが、基本的には環境基準の達成・維持というまず目標があるわけでありまして、そこで書かせていただいたわけであります。ただ、環境の状況を把握するための指標は環境基準だけではなくて、さらに以下にもいろいろ書いてありますけれども、そういったことも含めて総合的に考えていくことが必要じゃないかと思っております。

○弘田委員
 わかりました。ただ、一般の場合はCODを環境基準として汚濁の指標によく使っておりますから、いろいろなことでCODが問題になるわけで、実は、熊本県の場合は、環境基準を決めましたとき、私も少し関係しておりましたものですから、その当時は熊本県の場合はアリカリ法のデータしか全然なかったもので、それでアルカリ法を基準にして環境基準を決めたわけです。ところが、現在は酸性法ということになってまいりましたので、もしできれば、もう酸性法でのデータもかなりたまってきたと思いますので、環境基準を少し酸性法に適合したような形で改めさせていただくというふうなことはどうなんでしょうか。前にも私が熊本県の環境審議会の水保全部会長をやっておりましたときに、そういうふうな基準の改正というのをちょうどお願いしてみたらと県の方に申しましたら、なかなかそれは認めていただけないというお話だったんですけれども。
 これは達成・維持を目標とするとなっていますので、なかなかこれは達成できないというのは非常にある意味では具合が悪いということになるんですが、その辺のところどんなもんでしょうか。

○荒牧委員長
 お願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長
この環境基準につきましては、特に昭和40年代ぐらいに定められたものということもあり、その後の見直しの必要性というご指摘もあると思います。そこのところは環境基準の担当のところとも相談をしていきたいというふうに思っております。

○弘田委員
 わかりました。よろしくお願いします。

○荒牧委員長
 ほかにご質問、ご意見をお願いいたします。
よろしいでしょうか。
 それでは、ほかにご質問等もないようですので、次の議題に移らせていただきたいと思います。
3番目の議題は小委員会の作業についてです。
 今後、この小委員会がどのような作業を進めていくのかということについて事務局の方からご説明をお願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 それでは、資料10をご覧いただきたいと思います。
 先ほど、評価委員会におきます小委員会の設置についての決定事項をご説明をいたしたわけでありますが、ではそれに基づきまして、実際に小委員会でどのような作業を行っていくのかということについて本日ご議論をいただきたいというふうに思っています。その案を資料10としてお示ししているところでございます。
 まずここでありますように、大きな1番といたしまして、大学等による調査研究に関する情報、それから、次のぺージに2番として関係県による調査研究に関する情報ということで、大きく二つに分けております。もともとこの小委員会というものをつくることになった一つの考え方といたしまして、評価委員会に必要な情報がなるべく的確に集まるようにしたい。そのためにはどうしたらいいんだろうかということを考えましたときに、私ども国の調査につきましては、環境省を初め主務省から評価委員会に報告をするという方法があるだろう。それから、関係県においても直接的にこの評価委員会に幹事というような形では関係県は含まれてはいないわけなんですが、いろいろご協力をいただく形で関係県から評価委員会に報告を上げるという方法もあろうと考えられます。しかし、大学に関しましては、なかなかそういう方法ができないんじゃないかと考えられます。各大学でもいろいろな調査研究が実施されているわけでありますが、そういった貴重な情報をいかにして評価委員会に上げていくかということを考えた場合に、 そういうことを行うために小委員会というものを設置してはどうだろうかと。それが一つのきっかけだったというふうに理解しているわけであります。
 そこで、ここの1番にあります、まず大学等による調査研究に関する情報でありますが、(1)のところでありますけれども、[1]から[8]に掲げる項目ごとにいろいろな大学で行われている調査研究につきまして、タイトル、著者及び結果の概要、書誌情報等を整理したリストを作成する。こういうところからまず始めてはどうだろうかということでございます。事務局において、そのリストについてはまず原案を作成をしたいと思いますけれども、抜けがあるかもしれませんので、原案を事務局から各委員にお示しして、それに追加等があれば追加をお願いしたいと考えているところでございます。
 そして、(2)でありますが、そのリストに掲載した調査研究のうち評価委員会にかかる評価を行う上で、評価委員会が再生にかかる評価を行う上で有効と考えられるものを選択をするという作業があるだろうと思われます。たくさんの調査研究があると思いますけれども、それらのうち、例えば有明海、八代海における環境・水産資源の変化の状況でありますとか、または変化の原因に関する調査研究など、過去から現在にかけてどういう変化があったのか、またその変化の原因は何なのかということに関する調査研究、そういったものが代表例だと思いますけれども、そういうような調査研究など評価を行う上で有効だと考えられるものの選択をするというところが(2)でございます。
 それから、(3)でありますが、(2)において選択された調査研究につきまして、評価委員会が有明海及び八代海の再生にかかる評価を行う上で参考となる点でありますとか、または留意すべき点等につきましてコメントをつけていただきたいという、そういうことをお願いしたいと思っております。
 そして、(4)として、これらの成果について評価委員会に報告をするということであります。
 それから、(5)でありますが、次のぺージの一番上でありますけれども、先ほどの[1]から[8]の各項目でありますが、おそくこれをすべて集めますとかなりたくさんの調査研究情報になるのではないかというふうに考えておりまして、ある程度優先順位を定めた方が作業が効率的に行われるのではないだろうかということを考えております。そしてその優先順位につきましては、評価委員会の方で今後の評価の作業を行うためのいずれの作業とも関係をいたしますので、評価委員会の方で優先順位を決めていただいて、それに従って進めてはどうだろうかということであります。
 それから、次に大きな2番目でありますが、関係県による調査研究に関する情報についてであります。
 この小委員会のもともとの任務と申しましょうか、その所掌事務といいますのは、地域に則した調査研究の収集・整理・分析であるということでありますので、関係県による調査研究につきましても、情報の収集・整理が必要だろうというふうに考えております。ですから、関係県によるものに関しましても調査研究の趣旨、内容ごとにそれらを分類するという作業が必要になるだろうと思います。ただ、その作業につきましては、主として括弧書きで書いてありますけれども、原案につきましては、関係県のご協力を得ながら事務局において作成をしていきたいと考えておりまして、それについてこの小委員会に報告をするという形にさせていただきたいと思っております。
 ここまでが主なものでございまして、3番のその他というのは、現在まだ具体的なものはないわけなんでありますが、そのほかに、評価委員会から依頼された事項が、今後もしあればそういったものもお願いをしたいというふうに考えております。
 3ぺージには小委員会の今申し上げましたような作業と、これに関連するところの評価委員会のスケジュールを整理してみたものでございます。
 上の方に第1回小委員会とありまして、これが本日の小委員会でございますが、ここで作業方針の概略をお決めいただきたいと思っておりまして、先ほどの1ぺージ目、2ぺージ目のようなことをご検討、ご議論をいただきたいと思っておりますが、ご了解いただけましたならば、6月9日に予定をしております第3回評価委員会の場で小委員会の作業につきまして、その優先順位を含めてご検討をいただくということであります。そして、同時に、事務局においてはリスト(案)の作成作業をこれから行いたいと思っておりますので、また各委員によるリストへの追加等の作業もお願いをいたしまして、そこである程度リストがかたまりましたら、第3回評価委員会の定めたところの優先順位と併せまして、今後の作業の分担を決めていくということになるかと思います。そのときには、小委員会委員長が各委員ともご相談の上作業分担をご決定をいただいて、小委員会の委員の先生方による作業をお願いしたいと考えているところでございます。
 そして、その後については、これはまだ具体的に日程が定まっているわけではございませんで、作業の進捗状況を見ながら考えていかなければいけないと思っておりますけれども、一つの目途といたしまして、第2回小委員会を秋ごろに開催をさせていただきまして、それまでの作業結果を持ち寄りご検討をいただく。そこでまたいろいろ検討課題が出ましたならば、第3回の小委員会を年内、または来年初めを目途に開催をしていただきまして、作業結果を取りまとめ、評価委員会への報告内容をご検討いただく。そこでまとまりましたならば、評価委員会を年度内に開催をいたしまして、小委員会からの報告、それから国及び関係県の関連の調査についても報告をさせていただくと、こういうことにしてみてはどうだろうかと考えています。そして、小委員会においては、優先順位の早いものからまずやっていただくわけでありますが、その次のテーマに取りかかるという、こういうような考え方でいかがだろうかということでございます。
 なお、注意書きのところにありますように、これらのスケジュールにつきましては、評価委員会の方でもご検討いただかなければなりませんので、本日は小委員会の方でこれをご検討いただきまして、もしもご了解いただきましたならば、これを基にまた評価委員会の方でもさらにご検討をいただくということになろうかと思っております。
 また、評価委員会の開催の日程などはまだ6月9日までは決まっていますが、それ以降はまだ未定でございまして、ここには評価委員会(年度内)と書いてありますけれども、この6月9日と年度内の間に開催する可能性もあるわけでありますが、その点については、これから評価委員会で決めていくことでございますので、本日はそこの部分はあえて書いていないということでございます。
 また、一番最後のぺージでありますが、評価委員会と小委員会の関係を模式的に図で表したものであります。評価委員会においては、再生にかかる評価を行っていくわけでありますが、そこに調査研究結果の概要を報告をしていく。その一つとして、下にありますように、小委員会において地域に則した調査研究情報の収集・整理・分析をしていただいて、調査研究結果の概要を整理していただく。また主務省、各県においても調査研究を実施しておりますので、その結果について主務省、県において取りまとめて評価委員会に報告をしていく。こういう形で今後の再生にかかる評価を進めていただきたいと考えておるところでございます。
 以上よろしくご検討をお願いします。

○荒牧委員長
 それでは、ただいまの事務局からのご説明に関してご質問、ご意見ありましたらお願いをいたします。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○小坂委員
 理解をするためにご質問してみたいと思いますが、今のご説明の2ぺージ目の2の関係県による調査研究に関する情報についての分類をしていくということで、各県から事務局の方に集約をするという趣旨で書いてあるようでございますが、基本的に第18条の調査は、国と連携をとってやる調査、それから県単独の調査というのがございます。ここのところの理解としては、県単独のものを事務局の方に集中する場合と国、県の連携、これからネットワーク等も使えると思いますが、その辺のところは関係省からこちらの方に転送される場合とそういう2段階でございましょうか。私の理解が全く不十分であれば教えていただきたいと思いますが。

○荒牧委員長
 どうぞよろしくお願いします。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 そこのところは、国と県が連携して調査をやっている例というのは非常にたくさんあると思います。その連携の仕方もいろいろあるのではないかと思っておりまして、要は、結論から言いますと、どういう情報であれ有益なものはしっかりと評価委員会に上がっていくという、そういう道筋をつくりたいということでありまして、その際に、主務省の方から情報をいただいた方がうまくいくのか、関係県からいただいた方がうまくいくのか、個別に考えざるを得ないところもあろうかと思っていまして、その辺のところはまたご相談させていただきたいと思います。

○荒牧委員長
 よろしくお願いします。

○本田委員
 お尋ねしたいんですけれども、先ほど説明がありましたけれども、資料8のところの8ぺージにあります、ネットワーク及びデータベースを構築するという部分がありますね。その部分とこの小委員会のところの切りわけ、その辺はどうなっているのかお聞かせいただきたいんですが。

○荒牧委員長
 お願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 まずネットワークに関しましては、今、水産庁さんが中心となっていまして、関係省庁、関係県が協力をして、ネットワークとデータベースの作成作業が別途進んでいると思います。
 そういうものとうまく我々もこの小委員会の作業も連携をしていきたいというふうに考えておるところでございまして、ネットワークの方も、例えば、関係県による調査研究情報というものはある程度作業は進んでいると思いますので、そちらの方での作業で、こちらの方で使わせていただけるものがあれば使わせていただく。その辺のところはまたご相談させていただきたいと思っております。
 ただ、一方で、大学等による調査研究の取りまとめというところにつきましては、こちらの小委員会の方でやっていかないとなかなかすぐには進んでいかないのではないかというふうに考えておりますので、本日の資料10の中で説明した1番の部分については、こちらの小委員会の方でどんどん作業を進めていかざるを得ないんじゃないかなというふうに思っています。

○荒牧委員長
 どうぞお願いいたします。

○本城委員
 大学等による調査研究に関する情報についてですけれども、ここに書いてありますタイトルとか著者、そしてそのタイトルの中のアブストラクト、研究内容なんでしょうか。それから、書誌情報等を整理したリストを事務局の方でつくっていただくということですけれども、この等というのがどこぐらいまでの情報なのか。
 例えば、大学だと学会でかなり報告を学生たちにさせておりますが、それは講演要旨として残っております。そういったものも含めるのか、それによってはかなりの数になってくると思います。ですから、ここで本とか、それから研究発表されているものに限るのかどうか。そのところを決めておかないと、相当な数になってくるかなというふうに思いましたもんですから、そのあたりはどうなんでしょうか。

○荒牧委員長
 お願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 確かにそこがなかなか難しいところだと思っておりまして、範囲を広げますとかなりの数になるだろうと思います。
 ただ一方では、余りにも狭め過ぎますと、有益な情報を見落としてしまうということにもなりかねないということで、まずは、最初の我々の作業、事務局の作業としては、1回なるべく広目に集めてみたいと思っています。その上でどうもこれは多過ぎてやりきれないというときにはまたご相談して、ある部分カットしていくなり、そういうこともやっていかざるを得ないかと思いますが、まず最初のリストをつくる作業ということではできるだけ広目の作業をやってみたいというふうに考えております。

○本城委員
 ああそうですか。
 その広目の作業が行われてリストができ上がってきたとして、最も困難なのが(2)のところかなと思いますが。ここに我々小委員はどこまで関わってくるのかお伺いしたいんですが。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 そこのところはまたリストをつくった上でご相談したいと思っておりますけれども、ある程度の数が限られるということであれば、小委員会の先生方にお願いをしたいと考えておりますが、ただ非常に多い場合には、ある程度事務局側で絞らざるを得ないんじゃないかと考えています。そこをある程度絞り込んだ中で先生方にぜひご意見をお伺いするという、そういう形になっていくのかなと考えております。

○本城委員
 もう一つだけ。

○荒牧委員長
 どうぞお願いいたします。

○本城委員
 それは、そういうたくさんのリストは私たちには見せていただけないんですね。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 それは、見ていただいた方がいいんじゃないかとは思います。

○本城委員
 そして、そちらの方でまとめていただいて、そして我々が有効と考えられるものを実現するというふうな流れですね。整理できました。

○荒牧委員長
 ほかにどうぞ。

○荒木委員
 よろしいですか。

○荒牧委員長
 よろしくお願いします。

○荒木委員
 荒木ですが、大きく整理する条文が二つあるわけですね。大学等のものと関係県のものがあるわけですけれども、3ぺージのスケジュールあたりを見ますと、大学による調査研究については一つの流れがあるんですけれども、関係県からまとめられた情報といいますか、それはこの小委員会の中ではダイレクトに事務局の方に行くというような話でしょうか。県等の情報という取り扱いが入っていないんですけれども。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 2ぺージの2番のところにありますような関係県による調査研究に関する情報に関しましては、この作業の結果につきましては、第2回になるのか、または作業の状況によっては第3回になるのかもしれませんけれども、第2回、または第3回のどちらかにこの小委員会に報告できるような形でやっていきたいと思っております。

○荒木委員
 入るんですね。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 はい、入ります。

○荒牧委員長
 ほかにご質問、ご意見ありましたら。
 それでは、私の方から一つだけお聞きしたいんですが、こういう情報を集めるときには、いわゆるどの範囲まで、大学のどの範囲まで広げるかということと、時間的にどれくらいの昔までさかのぼるかという、二つの点がデータ収集にはあると思いますけれども、我々、どちらかというと、九州にいる者を中心に集まっているわけで、そこの関連している人たちのところというか、我々のネットワークにかかっている人たちの部分についてはこういう方がおられてこういう研究をされていて、こういう成果を上げておられますということは大体理解ができます。だけれども日本全体というふうになりますと、相当広がりを持っていると思うんです。その作業は環境省さんの方でおやりになられるのか、そのときの時間的なさかのぼり方。我々が当たると多分相当昔のところまでさかのぼりたいというふうに思うんです。一番我々が欲しいのは健康だったときの有明海のデータが欲しいものですから、さかのぼりたいというのはずっとさかのぼりたいんですけれども、オリジナルのそういうリストをつくっていただくときの範囲といいますか、 それから、時間的なものというのについて何かお考えがあればお聞かせいただけませんでしょうか。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 まず、大学の範囲なんですけれども、これについては、やはり主として九州の大学の調査研究が多いとは思いますが、ただそれに限られていないというのが実態でございまして、全国のいろいろな大学で調査研究がなされているようでございます。
 そこで、大学の範囲ということであれば、そこは一応全国を対象にしたいというふうに考えておりますが、ただ、先生方に特に漏れがないかどうかということをお願いするというのは、そこのところは主として九州ということでお願いをしたいというふうに考えております。
 それから、あとどこまでさかのぼるのかということでありまして、これも私の方も大体いつごろまでさかのぼれるものがあるのかどうかというのもまだ把握しきれていないものですからよく分からないのであります。この異変がいつから始まったのかいろいろな説がございますけれども、例えば、貝類の減少などは10年、20年という、そういう単位で起きてきているという、そういうことも言われているわけでありますので、そのぐらいの範囲のものが必要じゃないかというふうに思っております。

○荒牧委員長
 どうぞ、よろしくお願いいたします。

○伊勢田委員
 今の、県と大学との調査研究のとりまとめに関しまして、取りまとめについてのマニュアルといいますか、そういった手法というのはどういった経過で。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 実際に作業をするに当たりましては、そういうものが必要だと思いますので、その辺は今後先生方と相談の上作成していきたいと思っております。

○荒牧委員長
 どうぞお願いいたします。

○白島委員
 関係県による調査研究に関する情報なんですが、これも国も大学の方もそうなんですけれども、相当、県の方はないと思うんですが、かなり膨大なものになるかもしれないんですが、大体どれぐらいまでを考えていらっしゃるんですか、時期。とにかく、あるものを全部片っ端から集めるというようなことでしょうか。それとも何か限定的に期間を切ってとかそういうようなことなんでしょうか。先ほど荒牧先生の方が言われたように、最初ですか、有明海が健全だというか、それがどこが健全なのかよくわかりにくいんですけれども、ただその辺のところから収集するとなると数10年さかのぼらなくてはならないような場合もあるんですけれども、その辺はどうお考えなんでしょう。
 その辺のところを考えておかないと、私たちはデータを出すにしても、集めるにしても、ご報告するにしても、その辺が非常に難しい。かなり昔のものもある場合もあればない場合もありますので、その辺が少し問題かなというふうに思うんです。

○荒牧委員長
 お願いいたします。

○吉田水環境部長
 このペーパーは、実は事務局としては相当気張って書きまして、事務方でいろいろ用意をさせていただきますというふうに立派に胸を張って書かせていただいたわけでございますが、実は、何を隠そう小委員会の先生方にお世話になる、それをある程度実は期待をしているわけであります。確かに作業の進め方とすれば、文献を検索しまして、年限を区切って検索した上でその要旨をつくっていくということになるかとも思いますけれども、実際には有明海の寄って来たる問題と、今後私どものこの小委員会もそうでございますし、親委員会の評価委員会を通じて、有明海の環境と漁業振興の両面からの評価を行うのに一番効率的なアクセスの方法という観点から過去の文献を検索するにはどうしたらいいかということについては、実は私ども自身もノウハウはないわけでございます。ここは恐縮でございますけれども、具体的な方法はまた個別に小委員長を通じてご相談させていただきますけれども、むしろ専門の先生方の経験に基づくいわば仕切り板という、例えば、年限についても、評価委員会でも第1回目で議論がございました、 少なくとも20年前まではさかのぼらなきゃいけない、しかしながら、もっと健全な時代のさらなる有明海の変化の兆しというのをどこまでさかのぼったら見られるのかということになると30年、40年ということになりますが、その昔のデータが今と均質に得られるとは思えないということですから、過去に至ってはよほどの眼目の鋭い文献というものがあれば、それは非常に役に立つだろうと思いますし、それが今日まで連綿として継承されている情報というものがあればそれは非常にありがたい。しかしながら、今申し上げたようなことは概念論でございますので、個別の先生方にご相談をさせていただきながら、実際の場面では年限の区切り方、あるいは項目によってはもっと過去までさかのぼるけれども、藻場・干潟についてはなかなか5年ごとがあるのがせいぜいであるとか、海象のデータについては毎年あるから50年前までさかのぼれる、戦前ものだって十分使えると、こういうようなご判断をいただきながら絞り込んでいきたいと思っておりますが、その辺でいかがでございましょうか。私どもからのあわせてご相談という意味でも発言をさせていただきます。

○荒牧委員長
 よろしいでしょうか。

○白島委員
 はいわかりました。

○荒牧委員長
 ほかにどうぞ。

○伊勢田委員
 一つ気になりますのが、今戦前の資料までという話なんですが、実は、大学の先生の場合も成果あるいは報告書というのは、ある意味では著作権というのがかかっているのではないかなということで、その辺の手続から考えればかなりお元気な方はいいんでしょうけれども、お亡くなりになってしまっている古い先生方の場合ですとか、その辺はどういうお考えですか。

○吉田水環境部長
 これは大学の先生方の方が詳しいかとも思いますが、著作権は、もちろん引用させていただくのであればレビューした際に、だれそれ様の何年のどういうジャーナルに載った文献であるということをリファーをさせていただくことはいたします。
 それから、成果物を出版するということになれば、営利を目的として出版するわけではございませんので、著作権の使用に伴うトラブルというのはないし、公表されたものであれば、特にご本人に個別にご確認をする必要はないのではないかと思います。ただ非公表のものであって、特別に使わせていただきたいということになれば必要ということになるかもしれません。

○荒牧委員長
 ほかにどうぞ。

○弘田委員
 この大学の調査研究に関する情報に項目が八つごさいますが、その中で、どちらかというと生物としての項目が赤潮と水産資源ということと、あとは干潟に干潟生物が入るのかもしれませんが、その程度しか見当たらないんですが、例えば、魚類のえさとして動物プランクトンの量はどうだとか、あるいは指標としていろいろ使われているというふうな、そういうふうな場合も最後の「その他」というあたりに入れて、これは委員の方の考え方によってそういうものを入れるということも構わないわけでございましたね。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 おっしゃるとおりでございまして、ここの「その他」というのはありますけれども、特にこういう点について情報を集めるべきであるという、そういうものがあればぜひご指摘いただきたいと思います。

○荒牧委員長
 それに補足してですが、その他の中に、例えば、私たち佐賀大学の場合には、文系の研究チームを持っていまして、その人たちの興味は生活であるとか、歴史であるとか、行政の仕組みであるとか、そういうことにも非常に興味を持って調査をされています。直接的にはこのテーマとは関係がないかもしれませんけれども、バックデータとしては非常に興味深いものがありますので、私たちとしては、もしよければ「その他」の項目でそういう歴史の問題であるとか、周りの行政のさまざまな仕組みの問題、生活の問題といったようなものも我々のチームで研究しているものがあれば上げさせてもらって、そういう分類もあるんだよということを少し例示させていただければありがたいと思います。そうしないと、少し理科系偏重的で、どちらかというと周りにある生活であるとかということも、有明海異変の非常に貴重な資料になると思いますので、そういうことは我々の方から自発的に提案させていただければありがたいかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ほかにどうぞ、ありましたらお願いいたします。

○川野委員
 私は、大分県で有明海、八代海から少し遠いんでございますが、この小委員会の作業を進めるに当たって、瀬戸内海の研究会議、須藤先生いらっしゃいますけれども、この経験というのは非常に大きいものがあると思うんです。そうしますと、瀬戸内海研究会議の岡市先生でもお入りいただきながら、日本の閉鎖性水域のさまざまな問題点、これは環境庁時代にも瀬戸内海の特別の日がございまして、行政的にも、学術的にも、やはり大いに歴史的に参考になるんじゃないかと思いますので、この有明海、八代海は事情が違う部分もあるかもしれませんけれども、かなりの部分共通する部分もあるかと思いますので、その辺のご検討方はいかがでしょうか。

○荒牧委員長
 事務局の方で何か。
 須藤先生の方がむしろよろしいかもしれませんね。先生何かお知恵を拝借できませんでしょうか。

○須藤委員
 川野先生とは、瀬戸内海の環境保全計画等の立案等でもご一緒させていただいて、先生おっしゃるとおりでございまして、対象水域と対象水域の特徴というのは違う部分ももちろんあるんですけれども、進め方とか、現象面というのは似ている部分が当然ございますね。ですから、全部ではなくていいんですが、重要な部分についてはそれを参考にするというのは当然必要かと思います。ただその取り上げ方をどういうふうにやるのかというのは決めておかないと、瀬戸内海の方が多分研究情報が非常に多いでしょうから、それが全部来たら事務局もお手上げになるので、その辺のところは以前に収集して整理されているものとか、集めた、今の瀬戸内海の環境保全計画を見直したときのいろいろな資料とか、重要な部分だけそれをこちらに提供していただくとかいうのはいかがでございましょうか。そうしないと多分研究情報は瀬戸内海がずっと多いと思うので、同じレベルで集めてしまうと今度は収集しきれなくなるのではないかと思います。ですから、重要な順番というのが決まった段階で、重要な部分が仮に赤潮であれば、赤潮の部分を抜き出すとか、 そういうふうなことにしたらいかがでございましょうか。全部ではなくて、そういう中身によって集められたらいかがかと思います。

○荒牧委員長
 ありがとうございました。
 事務局は補足はありませんでしょうか。

○吉田水環境部長
 今のご指摘はよく理解できるわけでありますが、限られたマンパワーの中で作業を進めていくときに、瀬戸内海の情報というのはやはり有明を議論する際の踏み石にしていきたいという気持ちで集めていくべきではないかと思います。それで、瀬戸内海は瀬戸内海で、例えば瀬戸内海環境保全協会というのがございまして、歴史的な情報、文献等も集まっていますので、こちらでの利用を進めていただく中で、対比して、コントラストをなして非常に役に立つものを、そういう限りにおいて、私どもの方で調達をして先生方にご提供して、結論に導いていっていただければと思います。そうでないと主客転倒してしまいまして、瀬戸内海の文献が 5,000に対して、有明の文献が 1,500ということになると変なものでございますので。

○荒牧委員長
 ほかにご意見、ご質問ありましたらお願いいたします。
 それでは、小委員会の任務といいますか、役割が大体わかったところで、前に戻って、この委員会に関連して何か確認しておきたいとか、質問しておきたいことがありましたらどなたかありませんでしょうか。
 どうぞ。

○須藤委員
 本来、評価委員会の方でご質問した方がよろしかったのかもしれませんけれども、先ほどいろいろ基本計画があって、今のいろいろの研究テーマがあったんですが、これは、省庁で言えばどこが担当し、要するにまだほかにも漏れがあるのかないのかというチェックはすべて済んでいるんですか。これは、一覧表にでもなっていると非常にいいんだけれども、いろいろ事業もあるし研究もありますね、それは漏れなくどなたかが、あるいはどこかの省庁が担当していると考えてよろしいんですか。
 要するにこれは大事だと。基本方針というのは大事だということで基本方針になっているんですが、その基本方針の一つ一つの項目をどこの省が担当するか、あるいは研究だったらどこの省の何研究所が担当するということが全部明示されているんでしょうか。そこだけお伺いしておきたいと思います。なぜこういうことを申し上げるかというと、基本方針が大事なのにだれもやっていないということがあってはいけないわけです。ですから、その重要性はおっしゃるんだけれども、全部そういうことできちんとその担当なりが明示され、もしくださいとお願いすればそれをおつくりいただけるんでしょうか。そういう意味です。

○荒牧委員長
 ありがとうございます。お願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 この基本方針をつくるときに先ほどの関係省庁と協力してつくっていく中で、こういう調査研究が必要じゃないかということで集まってきたものを整理したということであります。それで、当然のことながら、各省それぞれの所管といいましょうか、所掌事務がありますから、それに応じてやっていくということになるわけです。ただ、中には協力してやっていくべき部分、またはなかなか微妙な部分というのがあります。それをどこの省庁がどうやっていくのかというところは、細かいところまでは現時点では決まっていないところもあります。ですから、例えば今ご指摘があったように、抜けがあってはいけないということもあるでしょうから、そこは、今後関係省庁、あと関係県も含めた形でどういうふうに分担をしていくのか、そういうことは相談しながらやっていくことを考えておりまして、そのような形でやっていきたいと考えております。

○荒牧委員長
 どれくらいか後には担当とアクションプランみたいなものが見える形になると思ってよろしいですか。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 前回の評価委員会のときに、今年度各省庁、各県がどういう調査を実施するのかというところはもうご説明させていただきました。ですから、、ああいったことは今後とも必要だと思っておりまして、各省庁、各県、どういう調査をするのかということは、それは折に触れてご説明させていただきたいと思います。  それが、その中で漏れがないかどうかというチェックについても併せてやっていくということになるかと思います。

○須藤委員
 もう1回すみません。関係県では、県計画が全部できているんですよね。これも同じように基本方針が全部当てはまって推進するということになっているんでしょうか。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 県計画は3月に6県でつくられましたけれども、その県計画の構成とか、あと内容も大体この基本方針に沿った形になっておりまして、各県でどういう調査をこれからやっていくのか、そういうことまで県計画の中には書かれております。その辺の情報もまた後ほど提供したいと思います。

○須藤委員
 今の細かいことですが、先ほどの一つ一つの研究も、例えば、福岡県なら福岡県、熊本なら熊本県のどこどこの研究所なり、行政が担当して研究をすると、あるいは進めるということは分かるんですね。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 県計画の中にどこの研究所というところまでは書いていなかったように思いますけれども、各県においてどういう調査をしていくのかというところまでではありますが、そういう趣旨のことは掲げてあります。

○須藤委員
 ありがとうございました。

○荒牧委員長
 ほかの委員の方どうぞ、ご質問、ご意見ありましたらお願いいたします。この小委員会の仕事に絡んで全体のことで構わないと思いますが、ご質問ありましたらお願いいたします。
 どうぞ。

○本城委員
 少し重複するような発言なのかもしれませんが、大学と関係省庁とそれから県がありますね。そこでそれぞれで、例えばこの[1]の干潟と海域の環境との関係の業績が過去において上がっておりますね。それらはここに一括して入れていきながらリストが完成されていくんでしょうか。そして、そのアブストラクトみたいなものが書かれていて、私たちはそれを眺めながら再生に関しての有効であると思われる文書を評価していくことになるんでしょうか。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 先ほどご説明しましたリストというものは、大学のものを考えているわけでありますが、ただ評価をしていく上では、関係県、それから国の調査というものも今後必要になりますので、そういったものについてもそれぞれ調査を実施したところで結果を取りまとめて、その結果を評価委員会の方に報告をしていくことにしたいと思っています。

○本城委員
 ありがとうございました。評価委員もそういうふうにして出てこないと、話を進めるときに非常につらい部分があるんじゃないかと思います。その点をよろしくお願いします。

○荒牧委員長
 ほかにどうぞ、ご質問、ご意見ありましたらお願いします。
 特にないようでしたら、今回の議論を踏まえまして小委員会の作業を進めていきたいと思います。この小委員会は単なる審議会といいますか、意見を述べるだけではなくて、先ほど示されましたように作業をしていただきましょうという委員会であります。ですから、今後、私の方と事務局の方で調整をいたしまして、どういう作業分担といいますか、こういう作業をお願いしたいのだがということをご相談することがあると思います。
 それと評価委員会、本委員会の方との関係もありますので、そこで、例えば重みづけと言いますか、重要度の指示もあるかと思いますので、そういうことを見ながらまた各委員の方々には、こちらの方からこういう作業をしたいと思いますとか、こういうデータがあるでしょうかということをお聞きしなければいけないかもしれません。それで、節目節目にそういうところで委員の先生方に事務局と私の方から依頼することがあると思いますのでご承知おきいただきたいというふうに思います。
 それでは、最後の議題の「その他」に移りたいと思いますが、事務局の方で用意されたものがありましたらお願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長
 どうもありがとうございました。
 今、荒牧委員長の方からお話がありましたように、本日の議論を踏まえまして、これからどういうようなことをやっていくのかもう少し細かな詰めをやっていきたいと思っておりますし、また、6月9日に第3回目の評価委員会が開催される予定となっておりますが、この評価委員会において本日の会議の概要について報告をしたいと思っております。また小委員会の作業の進め方についても評価委員会の了解を得ることとしたいと思っています。さらに作業を進める際の優先順位等についても評価委員会の指示を仰ぐということにさせていただきたいと思っております。その結果等については、事務局から委員の皆様方にご報告をさせていただきたいと思います。
 また、その結果を受けまして、実際の今後の作業の進め方、もう少し細かいところをまた委員長とも相談をさせていただきまして、その結果を踏まえてほかの委員の先生方にご相談、またはお願いをするということになるかと思いますので、ぜひお力をお貸しいただきますようにお願いをしたいと思います。
 3番の議題の「その他」のところは以上のようなことでございまして、特にそれ以上のことはありません。よろしくお願いいたします。

○荒牧委員長
 特に今後のことについては、何かご質問あるいはご希望がございましたらお知らせいただけないでしょうか。
 特にないようですので、これで本日予定しておりますすべての議題を終了いたしました。第1回目の小委員会を閉会にしたいと思います。非常に活発なご議論をいただきまして、委員長として感謝いたしております。どうもありがとうございました。