第29回有明海・八代海等総合調査評価委員会 会議録

1.日時

平成24年3月9日(金)13:30~14:00

2.場所

 三田共用会議所

3.出席者

委員長:
岡田光正委員長
委員:
有瀧真人委員、岩渕光伸委員、上田直子委員、楠田哲也委員、古賀秀昭委員、 小松利光委員、清野聡子委員、滝川清委員、中田薫委員、中田英昭委員、 中村由行委員、西村修委員、速水祐一委員、本城凡夫委員、山口敦子委員、 山口啓子委員、山田真知子委員、山本智子委員
事務局:
環境省水・大気環境局長、水環境担当審議官、水環境課長、 水環境課閉鎖性海域対策室長、閉鎖性海域対策室長補佐

午後1時30分 開会

○富坂閉鎖性海域対策室長 それでは、定刻でございますので、第29回有明海・八代海等総合調査評価委員会を開会いたします。
 最初に、委員の出席状況ですが、委員定数20名のうち、19名の委員が出席しており、有明海・八代海等総合調査評価委員会令第6条に基づく会議の定足数を満たしていることを報告いたします。
 また、参考資料につけておりますが、委員会の運営方針第2事項のとおり、会議は公開となっておりますことを申し上げます。
 それでは、議事に先立ちまして、鷺坂水・大気環境局長からごあいさつを申し上げます。

○鷺坂環境省水・大気環境局長 環境省の水・大気環境局長の鷺坂でございます。委員の皆様には、大変ご多用のところ、この第29回の有明海・八代海等総合調査評価委員会にお集まりいただき誠にありがとうございます。また、常日ごろより、有明海・八代海の再生につきまして、さまざまご指導、ご鞭撻賜っておりますことを、この場をおかりしてお礼を申し上げたいと思います。
 ご案内のように、昨年8月に有明海・八代海再生特別措置法の改正法が成立をいたしました。これに伴い、昨年10月に本委員会を4年ぶりに開催しましたが、前回委員会では、この4年間の有明海・八代海を巡る海域環境等についての概況報告としまして、環境悪化による赤潮や貧酸素水塊等の発生などの説明がございました。また、法律改正等を踏まえた本委員会の所掌事務等についても確認したところでございます。
 今回の委員会につきましては、前回委員会の続きといたしまして、この4年間に行われた国による有明海・八代海等の再生の取組についての報告いたします。また、水産資源等の観点から、最新の有明海・八代海を巡る状況を有瀧委員からご報告をいただくこととしております。さらに、前回と今回の報告内容等を踏まえた、今後の本委員会の果たすべき役割等についてもご議論いただければと、このように考えているところでございます。
 先月、有明海の採貝漁業者が、有明海を、「生命力の強いサルボウガイまで原因不明で弱って死んでいく、非常な死の海になった」と訴え、国にその本格的な原因究明を求めたという報道がございましたが、このような有明海等の環境異変の原因究明につきましては、本委員会の一つの役割であると考えているところでございます。
 また、本委員会は、国あるいは関係県が行いました海域環境や水産資源等に関する調査から有明海・八代海等の状況を的確にとらえ、そこからいかにして、有明海・八代海の再生に結びつけるか、科学的に裏づけられた再生への道筋を提示すると、こういうことも役割として求められているのではないかと、考えているところでございます。
 本日は、委員各位の活発なご議論、ご意見等をいただき、有明海・八代海の再生につなげたいと考えているところでございますので、委員の皆様には闊達なご議論を賜りますようよろしくお願いいたしまして、私からの冒頭のごあいさつにかえさせていただきます。本日は、どうかよろしくお願いします。

○富坂環境省閉鎖性海域対策室長 続きまして、前回委員会でご欠席なされていました委員のご紹介をさせていただきます。
 清野聡子委員でございます。
 中田英昭委員です。
 なお、福岡委員におきましては、所用のため、欠席とのご連絡をいただいております。
 報道取材の皆様、これ以降のカメラ撮影はお控えいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 続きまして、議事に入る前に、配付資料を確認させていただきます。議事次第の裏に配付資料一覧をおつけしております。資料1、名簿、資料2、前回委員会の指摘事項でございます。それから、資料3-1から3-3まで、それぞれお配りしてございます。資料4が有明海・八代海の現況について、有瀧委員からの、水産現場からの報告という資料でございます。それから、資料5、基本スタンスについて(案)というものでございます。参考資料1は、前回評価委員会の資料で提出させていただいたものでございます。参考資料2、関係県からの追加情報でございますが、こちらにつきましては、枚数が多くなっており、傍聴の方の分まで準備はしてございません。あらかじめご承知願います。それから、参考資料3-1から3-3までが、本調査評価委員会の関係規則でございます。参考資料3-3の有明海及び八代海等の再生に関する基本方針、これにつきましては、昨年の特措法改正を踏まえて、特措法所管の6大臣名で、今年1月31日付で内容を見直したというものでございますので、今回、参考としておつけしているものでございます。配付資料は以上でございます。不足等ございましたら、事務局の方にお申しつけください。
 それでは、ここからの進行は岡田委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○岡田委員長 かしこまりました。年度末のお忙しいところ、また、足元のお悪い中、お集まりいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、早速議事を始めさせていただきたいと思います。
 まず最初の議題は、前回の委員会における委員の皆様方からの質問事項についてです。ここでは、諫早湾内における貧酸素水塊の発生状況について、それから、公共用水域水質調査について、各測定点ごとの測定結果について、さらに、貧酸素水塊の発生による漁業被害の発生状況について、そして、八代海における貧酸素水塊の発生状況について、以上4点、今回、委員会で報告するということになっておりました。したがいまして、これをまとめて事務局からご説明をお願いいたします。

○阿部環境省閉鎖性海域対策室室長補佐 こんにちは。環境省閉鎖性海域対策室の室長補佐をしております、阿部と申します。
 それでは、資料2につきまして説明させていただきます。すみません、座って説明させていただきます。
 まず、資料2の1枚目でございます。諫早湾内における貧酸素水塊の測定についてです。この点につきましては、前回の委員会で小松委員からご指摘のあった部分でございます。内容を説明させていただきます。農林水産省で諫早湾内の貧酸素水塊の測定は行っております。その場所は、諫早湾内の計6点、この図でいきますと、赤いポツですね。この6点において底層面上約10センチのところのデータをとっております。この内容につきましては、九州農政局北部九州土地改良調査管理事務所のホームページに常時掲載しています。掲載しているデータにつきましては、おおむね直近一週間分のデータということになっております。
 それで、具体的な貧酸素の発生状況につきましては、今回、おつけしておりません。実は、次回、農林水産省から、この貧酸素水塊の状況等も含めて、農林水産省の方で行っている取組についてご報告いただくということにしておりますので、省略させていただいております。
 続きまして、1枚めくってください。有明海、八代海、橘湾、牛深海域における測定地点別の水質の推移についてでございます。前回の評価委員会におきまして、有明海、八代海における公共用水域の水質測定の結果について、その海域全体版ということでおつけしていたのですが、滝川委員の方から、地点別でデータをいただきたいということでしたので、今回、準備をさせていただいたものでございます。
 資料を見ていただきますと、COD、全窒素、全りんについて水域類型別にグラフをまとめさせていただいております。1枚目、2ページ目の上の方の図がCODのA類型の水域でございます。その下がB類型の水域、右上の方がC類型、その下が全窒素、1枚めくっていただきまして、全窒素のⅡ類型、全窒素のⅢ類型、全りんのⅠ類型、全りんのⅡ類型、全りんのⅢ類型ということで、紹介させていただいております。まず、COD等につきましては、ほぼ横ばいなのかなと。多少C類型のところで見ていただきますと、有明海の湾奥の方の地点、六角川のところ、ここの海域で上昇しているような傾向は見られますけれども、この数値につきましては、その水域の基準値以下での推移しております。全窒素Ⅰ類型を見ていただきますと、横ばいもしくは右肩下がり、Ⅱ類型につきましても、横ばいもしくは右肩下がりとなっております。全りんにつきまして、Ⅱ類型のところを見ていただきますと、一部地点で多少上昇傾向が見えるますけれども、当方としてはほぼ横ばいと見ております。全りんのⅢ類型についても、同様の横ばいと考えております。
 簡単ですが、この説明については、以上とさせていただきます。
 続きまして、貧酸素水塊による漁業被害に関する情報です。こちらにつきましては、前回の委員会で山本委員の方からご指摘をいただいた部分でございます。水産庁を通じて情報整理していただきましたので、報告させていただきます。
 表を見ていただきますと、貧酸素水塊による漁業被害について福岡県、長崎県、佐賀県から、被害情報をいただいております。魚種につきましては、すべて二枚貝で、タイラギ、アサリ、サルボウでございます。
 福岡県でのへい死の状況ですが、立ち枯れ状態で30%程度へい死と。タイラギの夏季における大量へい死の一因として貧酸素水塊が考えられたということで、直接的に貧酸素水塊で死んだということではないけれども、類推すると、そうだろうということでございます。
 長崎県です。こちらはすべて諫早湾の小長井のアサリでございます。ここでは、アサリの養殖漁場が広がっておりまして、そちらにおける被害ということで、数量、金額まで明らかにされております。へい死の原因ですけれども、シャットネラアンティーカが分解されるときの酸素消費によって、貧酸素となり死んだと推定されるということで報告されております。
 続きまして、佐賀県でございます。佐賀県につきましては、サルボウガイ、タイラギ、2種類の貝類について報告があります。場所は、大体、鹿島沖から太良町沖ということで、有明海湾奥の西部側ということになるのでしょうか、そちらでのへい死でございます。
 それで、佐賀県につきましては、別途、県から詳細なデータをいただいておりますので、そちらを紹介させていただきます。1枚めくって下さい。佐賀県における平成22年度の漁業被害に関する資料です。平成22年6月から8月までの六角川観測と、ここは一番湾奥ですね。あと、国営干拓沖、ここも湾奥ですね。沖神瀬西は、やや沖合側、南下したところです。黄色で塗りつぶしたところが貧酸素状態になっています。この貧酸素状態の場所と、サルボウガイ、タイラギの死亡している日付、この表と、前の表の日付が一致して、この期間に死んでいるということです。
 その下のデータを見てください。今度は2011年(平成23年)、昨年のデータでございます。こちらも7月1日から7月20日ごろまで、これは横断面で、平面図で貧酸素水塊の状況を添付しておりますけれども、湾奥の広い範囲で貧酸素状態が起こっています。
 1枚めくってください。実際にタイラギのへい死がどこで起こっているのかまとめていただいているものです。丸の大きさがへい死した率、死んだ率でございます。この丸が大きいほど、たくさん死んだということです。平成22年7月5日~7、8、13日の調査では有明海の湾奥のこの真ん中の少し沖合の部分で大きな青丸が見えます。ここで大量に死んだと。また、その周辺でもぽつぽつと死んでいます。ただ、それ以外でタイラギのへい死はなかったと。
 その横に行きまして、7月20日、21日の調査です。同じような海域で引き続きタイラギのへい死が起こったということです。この調査からも、貧酸素水塊によりタイラギが死んだのではないかということがうかがえます。
 下です。平成23年の方のデータでございます。大きな丸が西側にずらっと出ております。大量に70%から90%、ほぼ全地域で西側はへい死が起こったと。東側の海域では起こっていないということです。それが平成22年8月18日、19日の調査でも同様の地点で死んだ。すみません、23年と言いましたが、すべてこの図の内容は22年の調査でした。発言を訂正いたします。22年は、この貧酸素が発生する時期に、西側で大量に発生したということでございます。
 続きまして、次の話に行きますけれども、八代海における貧酸素水塊の発生状況です。こちらにつきましては、水産庁、国土交通省、各県の方からの情報をつけさせていただいております。
 まず、水産庁の情報ですけれども、八代海におけるリアルタイム水質情報を、八代海の2点、この赤い丸がついているところの2点でデータを収集中、連続観測中であるということです。その結果につきましては、下に載っておりますけれども、このうち、青い線、折れ線グラフがDOの値ですけど、いずれも貧酸素状態にはなっていないということでございます。
 1枚めくっていただきまして、次は国土交通省ですが、海洋環境整備船「海輝」による八代海における環境調査でございます。こちらにつきましては、月2回、大潮・小潮のときにやっておりまして、平成16年から平成23年まで計106回の観測をしてございます。
 下に下がっていただきまして、定点連続水質調査ということで、八代海の定点における水質や連続観測を平成16年から平成23年まで、計16回観測が行われております。このうち、平成18年に1回、平成22年に2回、平成23年に1回、計4回、貧酸素状態が確認されています。それがこの下の方の四つ並んだグラフでございます。左端に赤い丸をつけてますけれども、ステーション11で貧酸素状態が確認されています。ステーション11は、隣の地図を見ていただきますと、赤い点線で囲った中の一番北側の、八代海の湾奥部にある点でございまして、夏季に、18年、22年、23年と、確認されています。また、定点連続水質調査でも貧酸素状態が確認されております。これにつきましては、平成23年8月の調査で観測されました。観測されたところに赤い丸がついております。
 続きまして、八代海中央ライン水質調査ということで、これは熊本県から寄せられたデータでございます。貧酸素を3㎎/L以下とすれば、それよりも低い値は確認されなかったと。ただ、3.7とか、3.5、3.6といった3mg台の値は観測されたことがあるということでございます。
 1枚めくっていただきまして、鹿児島県の調査結果ですけれども、八代海における貧酸素水塊のモニタリングということでつけてさせていただいております。こちらも、3.6、3.2、3.5ということですが、ステーション12につきましては、最低値が2.0まで落ちたことがあるということです。これは平成12年と、平成10年8月、9月に観測されています。
 資料2の説明については、以上です。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からのご説明に関しまして、ご質問等がございましたらお願いいたします。

○滝川委員 ちょっと教えてください。最初の方の貧酸素水塊の1枚目、2枚目のところで、私がどうなっていますかということをお伺いしたのですが、確認ですが、この調査のデータは、年に1回の値が、今、プロットされている。各年度の掲示変化が、CODだとか、全窒素みたいなものがはかられていて、絵が描いてありますが、この絵そのものは年に1回のデータなのか、あるいは、時系列的なものがずっとあるんですか。

○阿部環境省閉鎖性海域対策室室長補佐 各月の情報を平均化したものです。

○滝川委員 平均化、平均値を出されている。

○阿部環境省閉鎖性海域対策室室長補佐 CODにつきましては、その基準の判定が75%値ということでございます。

○滝川委員 データそのものはあるんですね。

○阿部環境省閉鎖性海域対策室室長補佐 毎月の情報がございます。

○滝川委員 あるということですね。そこの確認をさせていただきました。
 それと、ちょっと気になるんですが、7ページのところで、タイラギのへい死等と貧酸素水塊の関係で、こういう結果が得られましたというご説明は結構なんですが、要するに、タイラギのへい死原因がこの貧酸素水塊以外にないのかという話です。こういうのが出てきてしまうと、全部貧酸素水塊でこうなったという話になるのも困るなと思って、あえてご質問しているんですけども。

○阿部環境省閉鎖性海域対策室室長補佐 説明のところで、若干説明不足があったかもしれませんけれども、これはあくまでも貧酸素水塊の影響で死んだのではないかと思われる情報を集めたものでして、説明が足らなかったのかもしれませんけれども、貧酸素水塊だけで死んだということではないと、私は理解しております。

○滝川委員 ありがとうございました。

○岡田委員長 ありがとうございました。ほかによろしいですか。

○古賀委員 先ほどのタイラギのへい死原因ですけども、貧酸素だけで死んでいるわけではないというご理解ということでしたけれども、現場にいますと、これはもうほぼ確実に貧酸素で死んでいます。

○阿部環境省閉鎖性海域対策室室長補佐 はい。現場のおっしゃる方がそうですので。

○岡田委員長 プロフェッショナルの直観は多分正しいと。事務局としては、そうだとはなかなかおっしゃりにくいでしょうから、今の古賀委員のご発言で承っておくのがよろしいかと思いますが、ありがとうございます。
 ほかにございますか。どうぞ、楠田先生。

○楠田委員 タイラギのへい死率のところでお教えをいただきたいのですが、これはどういうふうにカウントされるのですか。死んでいる貝殻と生きているものの比率ですと、死んだものの比率が積算されていくということで、よろしいのでしょうか。

○岡田委員長 すみません、古賀委員の方から。

○古賀委員 このへい死率というのが非常に難しいものですから、ここにも書いていますように、へい死個体の出現率というふうに示しています。要するに、全部採集しますけれども、そのとき、明らかにもう1年以上、昔に死んだような殻は除いて、全体の殻のうち、身が入っていない殻の割合をここでは示しています。だから、そういったことですると、一部は当然累積といいますか、そういった格好になってこようかと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。ほかによろしいですか。
 それでは、次の議題に進ませていただきます。
 本日は、水産庁、国交省、それから環境省より、有明海並びに八代海等での再生等の取組状況についてご報告をいただくことになっています。発表順は、まず水産庁、次いで国交省、最後に環境省の順でお願いしたいと思います。
 それでは、最初に、水産庁の方からご報告をお願いいたします。

○内海水産庁漁場資源課長 水産庁の漁場資源課長を務めております内海と申します。それでは、水産庁の方から発表させていただきます。
 各省庁の取組ということで、第1回のときに、本委員会の委員会報告に従った対応状況ということで説明があったと思います。今回も、この委員会の資料の参考資料1ということで、後ろの方に、それぞれ各省、それから各県で、どういったことを対応してきたかということで、まとめさせていただいております。今回は、この中で、特にこの点について説明をいただきたいということで、委員の方々から希望があった部分、そこに絞って説明をしてくれということですので、そちらの方の説明をさせていただきたいというふうに思います。
 委員会報告がそれぞれあるんですけども、水産庁でご指摘をいただいた部分、この参考資料1の委員会報告のそれぞれ左側に中身がまとめられておりますけども、最初にいただきましたのは、③の貧酸素水塊等への対策の中で、水産庁としましては、「有明海、八代海、橘湾など赤潮・貧酸素水塊が発生しやすい海域において、広域的な監視・水質モニタリング調査を実施している。赤潮・貧酸素水塊の発生機構の解明、予察技術の開発を行っております」と書いておりますけども、この具体的な内容についての説明を山田委員から求められております。
 同じく、この項目で、その下にあります「微細気泡装置による耕耘で底質環境を改善、曝気による酸素供給により貧酸素水塊発生時の水産生物の生息環境の改善技術の実証試験を実施」というふうにまとめておりますけども、この微細気泡装置による耕耘の費用対効果について、楠田委員から、それから、そのコストと実用化の計画について、山田委員から指摘を受けております。
 それから、その下に「カキ礁が持つ特性を利用して水質及び底質の環境改善を図り、赤潮・貧酸素水塊を抑制する技術を開発」ということでまとめておりますけども、このコストと実用化の計画について、山田委員から説明が要請されております。
 それから、⑤に持続的なノリ養殖のための施策の推進という項目があるわけですが、ここにおきまして、水産庁の方から、有明海において河川水によるノリ漁場への栄養塩供給効果が最も発揮される条件等の解明と。それから、漁協等が策定する漁場改善計画に適正使用の取組を明記した計画を認定しているということで記載をしておりますけれども、この中身について、速水委員から説明を要請されております。
 なお、⑥に八代海における持続的な養殖のための施策の推進とあるんですけども、指摘を受けております中身、これは、実は貧酸素水塊等への対策と同じ文言を書いておりまして、「広域的な監視・水質モニタリング調査の実施、赤潮・貧酸素水塊の発生機構の解明や予察技術の開発」という文が書かれておりますけども、ここで、滝川委員と速水委員から、貧酸素水塊発生機構の解明と予察技術の具体的内容について、説明を求められておりますけども、先ほど言いましたように、貧酸素水塊等への対策の部分と同じ文言ですので、あわせてご説明をしたいと思います。
 それでは、まず、貧酸素水塊等への対策の中で挙げております、広域的な監視・水質モニタリング調査の実施、それから赤潮・貧酸素水塊の発生機構の解明や予察技術の開発という部分について、説明を行いたいと思います。
 赤潮・貧酸素水塊の監視・モニタリング調査の実施でありますけども、すみません、これも今日配られた資料で、資料3-1ですか、一枚紙ですが、裏表あります。水産庁説明補足資料ということでついている紙がありますが、それをご覧になりながら、話を聞いていただければと思います。
 水産庁では、現在、赤潮・貧酸素水塊漁業被害防止対策事業という事業でもって、有明海において長期的に海洋観測データを収集しまして、これに基づいて、貧酸素水塊の発生について、水質、気象、流動等の物理環境条件との関連の解析を行っているところであります。この水産庁の説明補足資料の上にあります観測ポイント、これは赤の丸の部分が、水産庁といいますか、その事業で観測をしている地点であります。それ以外に、実は環境省、それから九州農政局と連携しながらデータをとって、それをいろんな解析に利用しているというのが現状であります。それぞれの定点で、水温、塩分、底層クロロフィル、溶存酸素、流向・流速、こういったものを測定しております。それから、こういったデータについては、観測データを有明海貧酸素水塊広域連続観測として、ホームページ等により、リアルタイムで公表しているというところであります。
 それから、続きまして、赤潮・貧酸素水塊の発生機構の解明や予察技術の開発ということですが、これも同じく、今、申し上げました赤潮・貧酸素水塊漁業被害防止対策事業という事業でもって実施をしております。各研究機関で研究をしていただいております。報告を受けておりますが、なかなか赤潮の発生機構の解明、予察技術の開発というのは、少し難しい部分があると聞いておりますけども、貧酸素水塊の発生については、かなりわかってきたと説明をいただいております。貧酸素水塊の発生のメカニズム、すみません、この事業の報告書の記載を若干朗読する形で、どこまで物がわかったかというのをご説明したいと思いますが、報告書の中で、有明海湾央部の干潟縁辺水域においては、降雨による出水と夏季高温により、湾央表層に密度成層が形成される。成層期の小潮時に流速が低下して、海水の移動・混合が減少すると、躍層上で赤潮が発達するとともに、躍層の下では貧酸素状態が生じる。やがて赤潮により生産された大量の有機物が底層に供給されるとともに、底泥上に堆積し、これらの底層中及び底泥の有機物が分解される過程における酸素消費により、底層水が貧酸素化すると推測されるとまとめてあります。この報告書の中には、これまでもいろんなメカニズムがあって、この委員会の委員であられる速水委員のこれまでの知見なんかもリファしながら、こういった発生機構ではないかということでまとめてはおります。なかなか貧酸素水塊の発生機構、次にそれをいかに防止していくかという対策が必要なんですが、その部分については、引き続き、水産庁としても事業を行っていきたいと考えているところであります。
 次に、指摘を受けました、当方から報告をしました微細気泡装置による耕耘、それから曝気による酸素供給による生息環境の改善技術の実証試験という部分、これについて、どこまで進んでいるか、それから費用対効果、そういったものがどうなっているかということで、ご指摘、説明の要請を受けたところであります。
 水産庁は、平成17年から19年にかけまして、有明海の環境を何とか改善できないかということで、微細気泡装置による耕耘技術開発の事業を行ってまいりました。端的に申し上げまして、海中に微細気泡、酸素を含んだ気泡を発生させながら、耕耘を行う耕運機のような装置を船舶で引っ張って底質の改善を図ろうということで、取り組んだ事業でありますが、なかなか事業の効果把握が難しくて、貧酸素水塊が発生した場合の明確な効果について、なかなか結論が得られなかったというふうなことであります。行ったところが佐賀県の鹿島地区、それから長崎県の小長井地区でやりましたが、佐賀県の方は20年度事業を継続しましたが、なかなか効果が難しいということで、21年度以降は中止しておりますが、長崎県の方では20年度以降も継続をして、改善効果を見ていこうということで取り組んでいるところであります。
 それから、それに引き続いて、実は微細気泡装置のコストと実用化計画についてということで、先ほど言いました水産庁の説明補足資料、1枚めくっていただきますと、固定式による微細気泡装置、それから、その固定式の曝気状況ということで、水産庁で行っている技術開発事業の模式図、写真を掲載しております。先ほどの耕耘方式と違って、これは漁場を一定区画区切りまして、そこで微細気泡装置を使って酸素供給を行う、中で循環流が発生することで貝のへい死を抑えていこうということで、今、取り組んでいるところです。平成20年から24年までの5カ年間の事業で、現在も実施中でありますけども、途中の報告書の中でこのコストの評価がされております。基本的には、そのままこういった装置を利用しませんと、貧酸素水塊で、例えばその漁場でのアサリのへい死が40%に上るものを、この装置を実施することで、これは平成20年度の結果ですが、へい死率が10%に抑えられると。この結果、いろんな形での初期投資が必要になるんで、それとの相殺ですが、概ねこのときの21年度の報告書では、効果と費用で約4年あたりで回収できるのではないかというような見込みを立てております。この事業の実用化については、今後、希望される漁業者が取り組めるように、最終年度にガイドラインを作成することとしておりまして、24年度、そのガイドラインの作成を考えているところであります。それまで、どういう形で実用化が図られるかはあれですが、そういう形で水産庁として対応を図っていこうと考えているところであります。
 それから、同じく、カキ礁を利用した水質・底質の改善事業ということで事業を実施しております。カキ礁につきましては、カキが水質浄化機能をかなり持っているということで、人工的にこのカキ礁を設置して、環境改善が図れないかということで取り組んでいる事業であります。平成22年度から3カ年事業で、現在も取り組んでおります。これの実用化あるいはコストパフォーマンスですが、これも、実は現在、技術開発中でありまして、最終年度、24年度にその点を含んだ技術マニュアル、こういったものを作成していこうという予定で、現在、進行中であります。
 以上が、この貧酸素水塊の対策の中で説明のご指摘を受けた点であります。
 次に、持続的なノリ養殖のための施策の推進ということについて、2点説明を求められております。1点は、河川水によるノリ漁場への栄養塩供給効果が最も発揮される条件等の解明、もう1点が、適正使用の取組を明記した漁場改善計画の認定というものでありますが、一つ目の、有明海において河川水によるノリ漁場への栄養塩供給効果が最も発揮される条件等の解明という部分ですが、これも、水産庁では、19年から21年にかけまして、新たなノリ色落ち対策技術開発事業という事業を実施しております。この中で、実は河川水がどういう形でノリの色落ちに効いてくるのかということを、シミュレーションモデルでもって解析をしていただこうということで、事業を仕組みました。研究機関は九州大学の先生にお願いしまして、協力機関としては、福岡県水産海洋技術センター、佐賀県の有明水産振興センター、そういったところにも協力をお願いして、シミュレーションでどう効いてくるかということで、モデルに基づく事業を行いました。調査結果は、端的に言いますと、かなりな量を緊急放流をしていただいた場合には効果がありますが、その効果が、放流期間中と、その後の短期間、3日間程度というふうに言われていますが、そういったところにとどまるのではないかと。それから、河川水をうまく利用するために、ノリ漁場でどういう形でノリのノリ網を敷設すればいいかということでしたが、これは幾つかのシナリオを設定しながらシミュレーションを行ってみたのですが、方法を間違えますと、ほかの漁場のノリに対しての窒素供給がうまくいかなくなる、マイナスに出てくるというような形での結果も出まして、この点については、ノリのノリ網の設置の方法が、かなり色落ち等々に効いてくるのではないかというような結果が出ているところであります。
 それから、すみません、適正使用の取組を明記した漁場改善計画の認定という項目ですが、これにつきましては、ノリの養殖を行うときに使用します、ノリの酸処理剤あるいは施肥といったようなものについて、こういったものの取組をしっかり明記した漁場改善計画をつくっていただいて、それに基づいて養殖を行っていただこうということで、水産庁で県とともに取り組んできております。
 酸処理剤の話につきましては、水産庁としても、関係機関に対して適正使用に関する通知を行っておりまして、それに基づいて、各漁協が持続的養殖生産確保法に基づく漁場改善計画を策定して、適正使用に努めておられるところであります。漁場改善計画の中では、酸処理剤の使用について、例えば佐賀県の有明海域の計画ですと、使用方法ですとか、使用期間、活性処理剤の選定・供給、使用量の管理、残液等の回収処理といったようなことを具体的に記載して、これに基づいて使用していこうと。
 それから、施肥の方も、これも佐賀県の計画の中に載っておりますけども、窒素塩添加ということで、むやみとそれを使用するのではなくて、ノリの色調が低下して生産継続が困難であると判断される場合にこれを実施していくということで、その使用量、方法について、細かく規定をしております。
 以上のような状況でもって、ノリの適正生産を行っていこうということで、水産庁及び各県、それから漁業者の方々に協力していただいて、作業に努めているところであります。
 以上が、各委員から、特にこの項目について説明をいただきたいということで指摘を受けたところであります。口頭で説明をしましたので、十分でなければ、また水産庁の方に言っていただければ、そのときの報告書等について、オープンになっておりますので、そういった資料の提供は可能かと思います。
 すみません、説明については、以上で終わらせていただきます。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご報告に関しまして、ご質問等がございましたらお願いいたします。
 どうぞ。

○小松委員 幾つか質問させてください。耕耘と、それから微細気泡を供給するやり方について説明があったのですが、我々の感覚では、湖とかダム湖のような完全な閉鎖性水域だと、多少効果があるかなと。私も、昔、隔離水界でやったときには多少効果があったんですが、こういう海のように、特に有明海なんていうのは潮汐が大きいですから、どんどん水が入れかわります。こういうところでやると焼け石に水というのが、もう今、我々の常識になっているというふうに思っているんですけど、先ほどのご説明で「効果が難しい」という表現をされたんですが、これは、効果の評価が、その効果を見つけ出すのが難しいのか、それとも、効果があまりなくて、なかなかわからないという意味なのか、そのどちらなのかというのが1点。
 それからあと、固定式でへい死率が40%から10%になって、コストが4年で回収できそうだという話があったんですが、さっきも言ったように、その固定式でこういうふうに循環させた場合に、じゃあ、その貧酸素水塊が改善される範囲というのはどれぐらいなのかという、具体的なその広さみたいなものがわかったら教えてください。

○内海水産庁漁場資源課長 ご指摘を受けました、閉鎖性水域であればかなり効果があるんだろうけども、こういう広い海域では非常に難しいのではないかと。おっしゃるとおりだと思います。なかなか最初の微細気泡装置による耕耘でもってやってみたんですけども、なかなかそこで効果がうまく評価できなかったというのは、非常に大きな海域の中でそれだけ行っても、その効果の評価が難しいのか、どちらなんだというあれもありましたけども、基本的には、その報告書によりますと、なかなかその効果をどうやって把握していくのか、そこの部分が非常に難しいということで書かれておりまして、やはり何をもって、どういうふうにというところが難しかったのかなと思っております。
 実は、もう一方の固定式のものについては、これは、ある一定の海域を幕で覆って、その中で酸素を供給していきましょうということで対応している技術開発であります。あくまで、その貧酸素水塊そのものをなくしていこうということではなくて、貧酸素水塊からアサリの漁場をいかに守っていくかということでの事業ですので、当然あの大きな海域で発生する貧酸素水塊すべてを処理するといいますか、対応するというには、まだなかなかそこまでには至らない技術開発だというふうには思っておりますけども、具体的に、ただ、それぞれの地先にありますアサリ漁場をいかに守っていくかということであれば、こういうトライアルも行って、何らかの形でその漁場を守っていく必要があるのかなと考えているところです。
 以上です。

○岡田委員長 よろしいですか。ほかにございますか。
 どうぞ、手短にお願いします。

○山田委員 小松先生が言われたような認識を持っておりましたものですから、ご質問させていただきました。ただ、バブルの形状によっては効果があるということを、昔、聞いたことがあります。それで、そのようなものを特別に使われたのかどうかも確かめたくて、お尋ねをいたしました。それから、その固定式のところで、幕を張るというふうにおっしゃられたのですが、これは、やはり広大な海域では、少しアサリを対象としたものでは無理かと思います。だから、これは養殖場とか、別の目的に転用されるのも一つの考え方かと思います。

○内海水産庁漁場資源課長 バブルですか。ちょっとその点については、報告書の中に見当たらないので、少し精査して、また後で先生の方にご連絡したいと思います。
 それから、あくまで大きな海域なので、そこのアサリを守るためには、なかなか難しいのではないかということでした。この実験は、小長井が組合として管理している漁場、大体1漁場当たりの面積が50メートル掛ける200メートルということですので、そこに、幕、カバーを張って、その中で、こういうものがどういうふうな効果があるのか。それからそのカバーも、実は完全に閉鎖するようなカバーと、それから、網地を利用したようなカバー、当然網地を利用したようなカバーであると、かなりコストが安くなるということで、そういうものに変えても効果はあるのではないかということで、今、言われております。それは最終的な結論がまだ今は現在進行形ですので、そこの結論に待ちたいと思いますけども、そういう形でのトライアルをしているところです。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 まだあるかもしれませんが、次に移りたいと思います。
 一つお願いがございますが、次からご報告いただくときは、お忙しいとは思うんですが、できる限り図表等を用意していただいて、委員の中で情報を定量的にきちんと共有するような形にしたいというふうに思いますので、可能な限り努力していただければありがたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次は、国土交通省の方からご報告をお願いいたします。

○溝口国土交通省水管理・国土保全局河川環境課流水管理室長 国土交通省の流水管理室長の溝口でございます。本日はよろしくお願いします。
 国土交通省におきましては、特措法に基づきまして各種の取組をしてございます。この中で、河川の土砂動態につきまして、九州地方整備局におきまして、学識者から成る検討会を設置しまして、知見を収集・蓄積してきたところでございます。本日は、これに関しまして、お手元の資料3-2でございますが、これに基づきまして、出先の方の九州地方整備局の方からご説明させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○宮成国土交通省九州地方整備局河川部河川環境課長 失礼します。九州地方整備局河川部で環境課長をしてございます、宮成と申します。よろしくお願いします。手元の資料が4分割で小さいと思いますので、パワーポイントで説明させてもらいます。
 前回、平成18年12月に有明海・八代海の報告書がございました。その中で、80ページのところに解明すべき課題ということでまとめていただいてございます。その中に「底質の泥化」ということで、泥化しますと、いろんな貝類とか、いろんな影響があるんですけど、気温とか、潮流とか、いろんな影響の中で出ていると思うんですが、そういうのがフロー図でもまとめられております。その要因の一つとして、「河川を通じた陸域からの土砂供給の減少」ということが指摘されていますので、九州地方整備局でそれを精査してまとめたということでございます。
 ここが、ご存じと思いますけど有明海です。この有明海というのは、この海域面積1,700km2というふうにまとめられてございます。流域にする一級河川と二級河川を入れまして8,400km2というふうにまとめられていまして、その中で最大の筑後川が2,860km2ということで、大体約35%、この海域に入る流域全体の最大河川ということでございます。その中で、この平成18年の報告書の中では既往のデータをまとめていまして、大体全体の流域の土砂生産が年間32万m3ということに推測されてございます。それを今回、精査したということでございます。それと、その中で、従来、河床低下、これは治水もございますし、砂は、従来、昭和30年代から40年の高度経済成長のときに、コンクリート材とか、いろんなことで取った量がございます。そういう量が大体50年間で3,300万m3ということで、河床が低下しているということもまとめられてございます。それと、砂利採取が年間で200から300万m3ということもデータとしてございます。
 そういうことで、また、報告書の中で、67ページぐらいだったと思いますけど、やはりこういう精査の中で、大体河口に出る土砂が少なくなっているんじゃないかという報告もありまして、それが芦田・道上先生の掃流砂量式による推測値でこの図4というのが出てございまして、昭和50年代、これは単位が100万ですので、大体これが2~3万m3というふうに減少してきているのではないかということでまとめています。今回、それを精査したということでございます。
 次をお願いします。この目的は、報告書の中にも提案されていますけど、河川に堆積する土砂の量と質、海域に流入する土砂と量の質を把握しようということでございます。調査内容は、河川から出る、流域から海域へ供給される土砂について調査しました。それで、今度は河口に出る土砂の挙動とか、そういうものを土砂収支の精度を向上したということでございます。最終的に結果として、今回、先ほど32万m3というふうにしていましたけど、礫も含めまして精査したところ、36万m3という流域生産土砂を推定してございます。その中で、流域全体から河川を通じて出る量を、前回はなかなかよくわからなかったのですが、シミュレーションしまして、大体13万m3ぐらい出ていないかということの結果を導き出してございます。
 第2点としましては、いろんな洪水前後の河床変動とか、その洪水前後のボーリングもしました。その結果、確実に下流域に土砂が移動しているということを調査してございます。そういうことと、また、じゃあ、その土砂が河口域からどういうふうに出ているかということで、平成21年の洪水をシミュレーション等しまして、大体10万m3出ているのではないかということを試算したということで、今回このまとめをして、筑後川流域から出る土砂と、河川を通過する土砂、河口域から出る土砂が一体的に整理できたというふうに我々は思ってございます。
 次をお願いします。まず、筑後川の流域の概要でございます。このダムが10基ほどできてございまして、これは治水・利水での洪水調整のためとか、電源、九州電力のダムとか、あと、農業ダムとか入れて10基ございます。また、治山・砂防ダム、これは山の治山ダムと砂防ダム、これを数えますと1,600基ぐらいございます。それの流入土砂を全部足しまして計算したということでございます。
 次をお願いします。その筑後川で、花崗岩地帯が、佐賀県からずっと筑後川は花崗岩地帯、あと、阿蘇の影響で火山地帯がございまして、それの流域を地形、地質、降雨特性を整理し6分割ほどしてございまして、従来、ダム完成からの土砂堆積の経緯、それと、前回の砂防の土砂堆積のデータを整理しまして、年間にどれくらい堆積しているか、年間堆砂速度を計算してございます。それを流域ごとに計算しまして、4万m3とか上流に行きますと7万m3とか、若干多くなりまして、そういう結果を導き出してございます。その結果、流域全体から土砂生産量が年間36万m3というふうに推計してございます。
 次をお願いします。これを流域にモデル化しました。これは36万m3という流域生産土砂量でございます。それはダム堆砂量が14万m3、それと、砂防ダムが6万m3、あと、本川への砂・礫の流入となっていまして、砂利採取も引きまして、この筑後の河川の河床変動の測量データを見まして試算した結果、大体12万m3ぐらい出ているのじゃないかということを導き出してございます。前回は32万m3という生産土砂量しかなかったのですが、これを流域全体で河川から河口域へ出る土砂を体系化したということでございます。その結果が、ここに書いてございますが、前回は32万m3でしたが、今回、36万m3というふうにオーダー的に同程度ではないかと。それと、河川から海域へ、先ほどはグラフで示しましたけど、数万のオーダーだったんですけど、今回は10万m3以上の土砂が出ているというふうに考えてございます。
 次をお願いします。それで、平成18年の報告書以降、平成19年から調査をしており、調査内容でございます。特に縦断水位測量、河床の形状調査ということで、測量でございます。また、河床の堆積のコアサンプリングとか、ボーリングデータですね。それとか、底質の調査をしてございます。特にこの平成21年、22年というのは、洪水前後でそういう測量と土砂の動向を調べまして、それをシミュレーションに使っているということでございます。あと、河床波の調査とかもやってございます。
 次をお願いします。これが内容で、筑後川河口から筑後大堰というのがありますけど、そこまでが大体25~6kmございます。その間を調査したということでございます。その結果、平成18年のときにはほとんど砂が出ていないということだったですが、今回は土砂の分布を確認してございます。当然でございますけど、洪水時の水面形とかいうのも、潮汐の影響があるのだというのを確認してございます。また、河床には砂が存在するということも確認して、砂と粘土の互層構造になっているということでございます。また、洪水時には河床の砂が移動しているということでございます。
 次をお願いします。これはどういうことかといいますと、これは平成22年、先ほどは21年、22年でございますけど、平成22年の洪水でございます。筑後大堰上流に瀬ノ下という基準点がございますが、そこの流量、それと、有明タワーというのは海域でございます。海域の潮波の波形でございます。これを各2kmごとに水位観測しまして、それがどういうふうに変化しているか。当然でございますけど、流量の立ち上げに伴いまして、水位が上がってくるというような状況になっておりまして、そのときの勾配が、こういう緩いところから、だんだん立ってくるということで、1万5,000分の水面勾配ぐらいから、大体4,000分の勾配、一番ちょうど干潮期が洪水になったので、干潮に重なりますと当然水面勾配が高くなって、土砂が移動するというのが土砂挙動でございます。
 次をお願いします。これは、先ほどの平成22年の調査でございまして、0km、2km、4kmと河口域のところでございますけど、そこで洪水前後のボーリングをしてございます。1番、2番、3番、4番ということで、左岸側から右岸にかけて4カ所のところでボーリングを洪水前後ということで、調査したところでございまして、黄色っぽいのが砂分でございます。河口域も当然砂分が出ていまして、これが洪水で土砂が移動しているということを確認しているものでございます。
 次をお願いします。次に、そういうものを使いまして、下流域の河床変動解析に伴って、平成21年の年間流出土砂量を大体どれぐらいだろうかということを推算したものでございます。これは、河口から有明海の年間土砂量を河床変動解析ということで推計してございます。単純に言いますと、洪水の水面形を観測しまして、洪水流量がわかってございます。当然、洪水前後で河床の横断を測量してございます。水路を固定しますと流量と水位は比例します。水位を固定しますと断面積が変わってくる。断面積の中で河床が削られてきますので、それを河床変動計算で実際の水面形に合うようにトライアルして、それを砂分というのが大体調査でわかってございますので、その移動量を積算して流出土砂量を計算するということでございます。それで平成18年時点ではあまり出ていないというふうに推測していたのですが、本検討では平成21年の洪水で10万m3ぐらいということで、先ほどの土砂収支の計算とオーダー的には合っているのではないかということでございます。
 次をお願いします。これがそのときのもので、瀬ノ下と河口のところでございます。ちょうど流量ピークのときに計算しますと土砂が出てきて、当然流量が下がると土砂は出なくなると。これは洪水が二体系ございますので、それを足し合わせますと、土砂が二洪水で大体4.5万m3ぐらいの計算結果になってございます。それと、通常の平均の干満のところで、これは小潮のときと大潮のときの1サイクルでございますけど、それも計算しますと、通常、大潮のところは出入りがちょうど水位差が4~5mございますので、砂の出入りが多くなりまして、小潮のときは土砂移動があまりないという結果になってございまして、これが2,000から3,000m3ぐらいの計算で、それを年間で計算しますと、6万から7万m3ということで、これらを足し合わせますと、平成21年で11万m3ぐらいですか、そういうオーダーということでございます。
 次をお願いします。先ほど申しました調査結果として、生産土砂量を前回の32万m3から36万m3で計算しまして、13万m3が流域から河川を通って河道域に出る一体的なモデルを、今回、整理し完成したこと。それと、河床、下流域にも砂が移動しているということを確認しているということと、河口域には36万m3のうち、大体10万m3以上のものは出ているのではないかということを推測したものでございます。
 以上が、今回の平成18年の報告に伴ってのご提案に対する説明でございます。
 もう1点、最後、あと、そのほか、九州地方整備局の、流入河川の水質データと雨量データをホームページで一応公表してございます。これからも有明海・八代海につきまして、きちんと整理とデータ観測をしていきたいと思ってございますので、ここで、ご説明、ご報告させていただきます。
 以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご報告に関しまして、ご質問。
 どうぞ、楠田先生。

○楠田委員 詳細な実測をしていただきまして、ありがとうございます。
 3点質問がございます。1点目は、お話の冒頭に、有明海の泥化というふうにおっしゃられたんですけれども、ここで対象にされているのは、恐らくかなり砂分よりも粗いところだと思います。それで、流出時に、いわゆる泥分と称されるものが、その輸送土砂量の何%ぐらいに相当するかというのをいつかの時点でお調べいただけたら、ありがたいと思います。
 それから、第2点目は、ここの表現が、年間、1年当たり何立方メートルという表現になっているんですけれども、空隙率がありますので、容量だけでは収支がとれないので、本来は質量で表現をしていただいた方がよろしいかと思います。ご説明の間も、トンと立方メートルが時々、混在していましたので、どちらかにというか、収支のとれる単位にしていただけたらと思います。
 3点目は、このスライドの9番に相当するところなんですが、せっかくお調べいただけるのでしたら、コアボーリングの位置を極めて近接しておとりいただけたらというふうに思います。縦軸がTPで全部統一されていますのに、粘土層の位置が1メートル近くずれているデータが、1番目のところはずれておりますし、3番目の分が粘土層の中に砂層が入っているのが、いつの間にか消えているということになりまして、そこまで1回洗掘されて粘土が埋まって、その上に砂が乗っているのかという、おかしな理解をしかねませんので、ご注意をいただけたらと思います。
 以上です。

○宮成国土交通省九州地方整備局河川部河川環境課長 ありがとうございます。1点目のご指摘については、確認させていただきます。
 2点目につきましても、整理させてもらいます。
 3点目は、非常に難しい、非常に感潮域でボーリングだったんでございますので、なかなかジャストポイントではないんですけど、ちょっともう一回確認しておきます。どうもありがとうございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。

○小松委員 簡単に幾つか、ちょっと聞かせてください。先ほどの国交省のお話を聞いていると、以前は筑後川からの土砂供給がものすごく減っているということで、有明海の泥化の原因の一つではないかと言われていたのが、結構土砂供給があるから、どうも筑後川のせいじゃないよというふうに聞こえるんですけど、そういうふうにおっしゃりたいのかというのが一つ。
 それから、筑後川からの土砂供給が減っている理由として、昔、川砂利採取を行って、3,300万ぐらい取って、河床が低下していると。だから、大体年間の供給が30万m3ぐらいあっても、それを補給するのに100年かかるから、途中でとまって、あまり出てこないんだということを以前の研究で聞いたことがあるんですけど、先ほどの土砂収支では、川にたまる量があまり評価されていないような気がするんですけど、その辺はいかがなのかという点。
 それから、本当に出ているかどうかというのは、洪水のときのサンプリングしてSSというか、含まれている浮流砂量をある程度サンプリングすれば、少なくとも、これぐらいは土砂が流れていっているはずだというのは、明確なエビデンスとしてわかると思うんですが、それはやられていないのか。
 以上、よろしくお願いします。

○宮成国土交通省九州地方整備局河川部河川環境課長 1点目の、これもあるんですけど、本当に36万m3の、これは年平均でございますので、50年間でならしますと、そういうふうな状況でなっていまして、10万m3以上は出ているんだから、まあ、いいじゃないかと、そういうふうに全く思ってございません。実際にたまっている分もございますので、そういうことで、我々としては、データを整理すると、そういう結果になったということでございます。決して、それが本当に近い値だと思っていますけど、それでいいのかという話ではございません。ただ、これまで河川事業といいますか、このダムにしろ、砂防にしろ、やはり地域の安全とか、産業とか、いろんな面でした経緯がございますので、そこは今後とも観測データを積みながら、いろんなことで、例えば土砂が足らなければ、そういう状況が発したときに、いろんなその手段でやっていきたいと思ってございますので、そこは今後とも課題と思ってございます。
 2番目の、河川の土砂供給がちょっと少ないのではないかということで、これは5年ごとの横断測量からのデータ、河川の中の堆砂量がちょっと少ないではないかという話だと思いますけど、今のデータではそうなっているので、もう一回確認しておきますけど、我々としては、今の状況ではこういう状況だと思ってございます。
 3番目の、洪水の観測でございます。非常に難しい話でございます。いろんなチャレンジしてございまして、洪水時に土砂が本当に出ているかどうかというのは、バキュームをとってやったりとか、いろいろ過去、チャレンジした経緯がございます。我々としては課題として、いろんな先生方もご指摘されていますので、そこの方も勉強したいなと思っているところでございます。まだ即答できませんけれども、よろしくお願いします。

○小松委員 遠賀川で、最近、洪水のときに採水してやったら、やっぱり1年間に10数万立米出ているというのがあって、非常にそれは説得力があるので、ぜひ、それをやられたらいいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございます。どうぞ。

○中田(薫)委員 すみません、ちょっと確認だけです。10万m3と計算されたのは平成21年ですか。その洪水というのは、洪水のレベルというか、そういうものによってかなり影響を受けると思うんですけれども、これは平均的なものと見ていいのかどうかということを確認したいのですが。

○宮成国土交通省九州地方整備局河川部河川環境課長 今回、平成21年に3,800m3/sと3,600m3/sの出水が2回出てございまして、これは大体確率に直しますと、10年に1回ぐらいの洪水でございます。大きくもなく、小さくもなくというような洪水でございます。
 最後、この今回のデータとか、解析につきましては、現場の筑後川河川事務所のホームページ、資料にも載せていますけど、そこに掲載してございます。もし時間がございましたら、ご覧いただきたいと思っています。
 以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。まだあるかもしれませんが、今のようなご議論を踏まえながら、より信頼性のある、今のが信頼性がないという意味じゃなくて、すみません、言い方が適切でない。より信頼性があって、皆さんが納得できる、共有できる情報にしていただけたら、大変ありがたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、今度は環境省の方からご報告をお願いいたします。

○阿部環境省閉鎖性海域対策室室長補佐 それでは、環境省から説明します。
 環境省は、前回委員会の内容についていろいろ委員からご質問を受けた訳ですけれども、環境省の内容は、すべて調査研究に該当する部分ですので、一から説明した方がいいのではないかと判断し、平成19年以降、平成22年までに終期を迎えた主な調査について、紹介させていただきます。内容が結構多いので、かなりはしょって説明させていただきます。内容自身も、調査ではいろんな調査データが得られているのですけれども、エッセンスのみ説明していますので、もしかしたら、まとめのところで出てくる内容と、この途中の調査の方法とか、データとかが合わないことがあるかもしれませんけれども、その点はご容赦ください。また、調査の実施に当たっては、本日出席委員の中にも、ご協力をいただいたり、アドバイスをいただいたりしている委員もいらっしゃいますので、私の説明が足りない部分は後で補足していただければと思います。
 それでは、始めます。
 まず、1つ目ですけれども、有明海貧酸素水塊発生機構実証調査業務です。これは平成19年から21年までの3年間で行いました。場所は、有明海の湾奥のこの部分で、こういうブイ・システムによって連続観測を行いました。連続観測のほかに、この部分、P1からP6について、多項目水質計を用いて、水温、塩分、DO濃度、鉛直分布を調べたりとか、底質の調査をしています。
 それで、早速結果ですけれども、グラフを見てもらいたいんですけれども、貧酸素水塊の出方にはパターンがあり、干潟縁辺部で出たり、沖合部に出たりと、それぞれで出るパターンと、干潟縁辺部と沖合と両方で発生するパターン、全域で出るパターン、があるということを確認しました。
 また、底泥の酸素消費濃度と、底層水の酸素消費濃度と、どちらがどれぐらいのポテンシャルがあるのかというのを確認しました。場所はT14で行ったんですけれども、計算しますと、底層水の寄与率が意外と高くて、一番高いところでは92%の値となり、かなり底層水により酸素が消費されているということを確認しました。
 次の結果ですけれども、これは有明海の、どちらかというと、沖合の方の観測点において、実は、これがDOの濃度なんですけれども、小潮から大潮になって、大潮のところでいったん貧酸素が解消されるというのが通常なんですが、これが、沖合の方は解消されないまま、貧酸素が続いていくという状況が認められたということを示しております。
 続きまして、酸素消費のポテンシャルのところですけれども、こちらからどんどん沖合に出ていく。T1、14、P6、13、332となるんですけれども、P6が一番酸素消費速度が小さい。沖合の方が小さい。縁辺部の方が高いということが確認できました。
 続きまして、これは、T1からP6まで、332からP6までということで示してみますと、この332からP6まで、こっちが332で、こっちがP6なんですけれども、こちらの上部の方にものすごい活性の高いところがあって、基礎生産が高いと。躍層になっているということです。
 一方、T1からP6を見ますと、底の方に貧酸素が出ているということで、この図で言いますと、基礎生産は、どちらかというと、有明海の湾奥の中央部で起こって、貧酸素水塊はそれが流れてきた西部で起こっているということを確認したということです。その関係には、当然河川の流れがあって、ここから懸濁物質が流れてきて、ここで貧酸素を起こすということを示しております。
 続きまして、試験的に予察を実施したということです。大潮期から小潮期にかけての傾きですね。2007年の傾きを求めまして、平均、最大、最小を出して、例えば、次の大潮期から長潮期までの溶存酸素がどう推移するのか、という予測を試しにやってみたということです。
 結果です。この最大、平均、最小で言いますと、この範囲に入っているときもあれば、全然入らないときもあるということで、なかなか予察は難しいということです。
 続きまして、話が別の調査に行くんですけれども、2番目の調査です。有明海・八代海の環境変化が魚類の卵・仔魚の輸送と生残に及ぼす影響の評価調査事業についてです。
 これは魚類の産卵から、その卵が有明海の湾奥に運ばれていくとか、そういう話ですけれども、有明海の重要魚種、クルマエビ、ヒラメ、アカシタビラメ、コウライアカシタビラメ、メイタガレイ、シログチ、アカエイ、これは、例えばこの湾の入り口の方で産卵するもの、もしくは、湾の奥で産卵するもの、いろんなものがあるということです。ただ、稚魚が出現してくるのは、こういうAの海域、Bの海域というふうになっているということで、この湾央のCで生まれたものというのは湾奥に運ばれてくるということで、この途中の環境とかを解明する必要があるということで、コウライアカシタビラメ、シログチ、トラフグ、シマフグについて調べてみました。
 調査内容ですが、卵稚仔の輸送機構の解明ということで、卵稚仔の採取・種の分類や流れの測定をしてみました。また、仔魚の胃内容物も確認して、餌料環境を調査してみました。
 それで、結果ですけれども、コイチ、シログチといったニベ科の魚で仔魚の分布に多少違いがあると。この青色のコイチの方については、どちらかというと岸寄りというんですか、河口付近のこの浅場にいるけれども、シログチについては沖合の方も含めて湾奥全体で見つかりました。
 続きまして、これはどの塩分・水温帯のところに分布していたかですけれども、シログチは相対的に低温ですね、26度とか22度とか、低温、高塩分のところに比較的いましたという結果です。
 次は、シログチの卵の仔魚の輸送の仕組みを図式化したものです。これが有明海の湾口の島原沖で、底層で産卵して、これが底層の残渣流に乗って移動してきて、諫早湾のこの入り口のところの太良沖ですね、ここに密度フロントが形成されまして、ここでかなり集合しているということが確認されて、その後成長しながら、この育成場の方に移動していくということになっています。
 次ですが、シタビラメ類の中でデンベエシタビラメの仔魚の分布を調べました。6月から10月まで確認されているんですけれども、6月にも発生して、そこでいったんおさまって、また9月ごろに出ると。また、この湾の奥側全体でも確認できる状況でした。
 次ですが、ここがデンベエシタビラメの産卵場になっているんじゃないかと。それで、そこから岸寄りの河口域ですね、潮間帯とか、こういうふうなところ。あと、諫早湾の中で稚仔魚とか幼魚も育っているという形になっています。
 次ですが、仔魚類が実際どんなものを食べているのかというのを確認したところ、カイアシ類を結構食べていました。シログチもデンベエシタビラメも同様です。ただ、カイアシ類の中でも選択性があって、パラカラヌスとかオイトナとかを中心にシログチは、最初これぐらいのサイズのときに、4.5ミリとか6.5ミリとか、食べているんですけれども、大きくなるにつれて、テモラとか、そういうふうなものを食べるようになっています。デンベエシタビラメも同じで、小さいサイズのときには、同じようにパラカラヌスとかオイトナとかを中心に食べるんだけれども、だんだんその選択性が別のものに移ってくるということが確認されました。
 次ですが、トラフグ、シマフグの状況について調べたというものです。産卵場は、この湾の入り口のところがトラフグの産卵場の一部になっているんですけれども、これが残渣流に乗って湾奥まで運ばれるということが確認されました。稚魚の育成場のところは、やはり今までと同じで、この湾の奥にいることが確認できました。
 まとめになりますが、意外と選択性があると。この選択性があるがゆえに、逆に言うと、えさの状況によっては結構生残率に影響する可能性がある。貧酸素水塊が発生したところについては、仔魚が集まりやすい海域と実は一致していた。それで、この貧酸素水塊が顕著なほど、仔魚密度が低い傾向が見られたので、これがえさ環境を悪化させて、初期生残を悪化させた可能性があるということと、仔魚の分布ですけれども、コイチ、シログチの分布が異なるということだとか、太良沖のところ、密度フロントの南側のところに高密度で分布するという傾向が見られたという結果が得られました。
 次ですが、別の調査になります。底質環境の変化に関するメカニズム解明とタイラギへの影響評価調査です。これは先の議題で話が出た貧酸素でタイラギが死んだとかいうことと多少関係するんですけれども、タイラギの漁場は、有明海のこの湾奥の、ある程度水深のあるところにあるんですが、今は大牟田沖のところが中心の漁場になっているということです。
 それで、死因として、貧酸素水塊によって死ぬということが考えられているわけですけれども、それ以外のものもあるんじゃないかということで、いろいろ調べてみみました。
 まず、ここの底質との関係を調べました。
 調査方法ですけれども、タイラギの漁場のある大牟田沖のところにポイントを設置して、底質や水質の観測をしました。観測するときには、保護のために金網に入れ、タイラギの格好に合わせて、底層土がこういうふうな層になっていますよ、といったことも調べました。
 結果ですけれども、有明海の湾奥の東側の方は、著しく溶存酸素濃度が低下しなかったので、貧酸素でタイラギが死んでいないと思われました。浮泥が影響するんじゃないかということで浮泥の発生位置と、発生時期と、タイラギが死ぬ時期は、ずれていますねということが確認されました。
 続きまして、底泥間隙水中の硫化水素の影響を調べるために、酸化還元電位でこれを確認しているんですけれども、死亡時期がマイナス、還元化している状態にあるということなので、硫化水素、硫化物が影響しているんじゃないかと推察されました。これは実際に硫化水素をはかったものですけれども、硫化水素がここで発生していまして、8月、9月、10月の辺ですね、タイラギの死亡と一致しているということです。
 続きまして、現地試験で、実際何で死ぬのかを確認しようということで、天然のタイラギはとれなかったので移植して調べました。これを見ると、7月、8月ぐらいから生残率がどんどん減少してゼロになったと。この時期が、実はこれが、見にくいですが、硫化水素が発生したことを示すんですけれども、硫化水素が発生したときに死んでいるということで、硫化水素の影響がうかがえました。
 調査結果ですけれども、実際、タイラギの血リンパ液のpHを調べると酸化している、また有機酸も増えているということで、貧酸素の影響で嫌気性化し、タイラギの体調に影響が出てきているんじゃないかということです。
 次は、それを実際室内実験で調べてみましたということです。ネットに収容して、実験しました。そうすると、やっぱり同じように、緑色になっていますけれども、青も重なっていまして、青と緑が100%に行っているんですけども、有酸素の状態、無酸素の状態、それだけではずっと生きている。ただ、硫化水素で、無酸素で硫化水素にさらすと、途端に生残率が減るということです。それで、グリコーゲン量ですね。栄養の蓄積量も、硫化水素、無酸素で硫化水素のものが一番減るということで、摂餌不良によって死んでいくんじゃないかということです。
 それで、同じようにこの結果を調べると、先ほど言ったとおり、この硫化水素区の方が血リンパのpHが低くて、有機酸の量が多いということで、硫化水素に曝露されたタイラギは嫌気的なストレス状態になって、摂餌不良に陥っているということが確認されました。
 次にまとめてあります。さっきの貧酸素で死ぬのか死なないのか話したところなんですけれども、そもそもタイラギの生息環境で言いますと、4月ごろまで低水温で、酸化的環境で、これは比較的そういう環境に置いて、ただ、栄養不足でグリコーゲン量が低い状態であって、それでなおかつ、産卵期に向かって成熟するので体力が消耗する。そういう時期は、高水温でなおかつ貧酸素によって底質が還元化されて、硫化水素が発生し、なおかつ放精の時期と重なる。それで、嫌気性化で摂餌不良によって死んでいくんじゃないかということです。
 次は、また別の調査です。有明海・八代海再生フォローアップ調査(底質環境調査)です。こちらにつきまして、背景の説明は飛ばします。
 調査結果ですけれども、底生生物の種類と、例えば硫化物濃度とCODとか中央粒径との関係を見たものです。これで言いますと中央粒径については、大きい、数値が低い方ほど種類数が多いと。粒径の小さい方が少ない。特にゼロに近い、もう数種類しかないようなものは、どちらかというと粒径の細かい方に多い。硫化物ですけれども、硫化物が少ないほど種類数が多い。また、CODも、CODの値が低い方が種類数が多いということが確認できました。
 あとこの調査の中で、非漁業対象種、これは評価委員会の報告にも出ていたんですけれども、希少種だとか特産種のモニタリングを、底質との関係でモニタリングするのにどんなものを選んだらいいのかということで検討してみたものです。それで挙げたのが、ウネハナムシロ、ヒロオビヨブバイ、チゴマテ、ワラスボの四つをモニタリングたらいいんじゃないかという整理です。これらは今までの調査の中で1回以上確認された種の中から選んでいます。その中でもこちらはあまり観測されない、こちらは結構な頻度で出てくると。この2つですね。こっちはあまり出ないんですけれども、こういうふうなもの、出ないもの、たくさん出るもの、こういうふうなもの、場所の特性に応じて調べていく必要がありますねと。そのために、特にどういうふうなモニタリング計画でやっていかなくちゃいけないのかということをこの調査の中で整理しました。
  次は、同じ底層環境調査ですけれども、底層DOの連続観測地点で、実際出現する底生生物を、日を追って調べているんですけれども、オレンジの部分が節足動物ですけれども、これががたっと貧酸素水塊の発生とともに減りましたということです。 次ですが、実は、底質環境評価、底生生物の生息場所としての評価をするという意味で、HSIという指標を使って、試験的に評価してみようということでやっています。それで、例えばですけれども、強熱減量で言いますと、これがゼロから15ぐらいまでの間に、この12の範囲に生息環境があるんですけれども、一番生息数が多かったところを1とします。それで、その1に対してどれぐらいの割合でいたかということを当てはめていって、このトップとこの下底の間で、これで台形を引いてみるわけですね。それで、この1の範囲、0.8の範囲、0.6の範囲、0.4の範囲、こういうふうな見方をしていきまして、その適正環境というのを見ていくということです。
 それで、先ほど言った、この横で見ていってくださいねといった部分を横軸にして、個体数を見ていきますと、やはりHSIとこの個体数の関係でいくと、大体こういうふうな、やっぱりいいほど個体数が多いというふうになりました。シルト・粘土も、TOCも同様の結果になりました。
 続きまして、底層環境モニタリング計画素案ということで、底層環境の評価に望ましいモニタリング計画、こういったモニタリングした方がいいですねということで整理しました。
 まとめですけれども、大体今ほど話しましたので、もう飛ばします。
 次ですが、有明海・八代海再生フォローアップ調査という同じ調査名ですけれども、今度は懸濁物調査です。平成20年から22年まで実施しています。目的ですけれども、底質の泥化ですね。それと有機物の増加といった底層環境の変化ということで、懸濁物の挙動が影響しているんじゃないかということで調べました。
 早速、結果の概要ですけれども、これは過去に調べられた結果ですけれども、1989年から2000年というのを比較してみると、赤いほど粒子の粒が細粒化しているということで、やはり細粒化していたことが確認できます。一方、この調査で2009年のデータを調べてみると、実は2000年から2009年の間、こっち側は粗粒化している。一部細粒化しているところもあるけれども、粗粒化傾向があったということです。
 あと、懸濁物の輸送ですね。これはSSフラックスを観測したんですけれども、湾奥の方に向いて、大体平均的に輸送されていって、実は、こういう地点に堆積状況のわかるような堆積測定板というのを設置していまして、そこの上にある底泥の厚みの変化をずっと見ていっているものです。それで、横ばいの場所と減ってきている場所というのがありまして、先ほど、ここ粗粒化していますねとか言っていたようなところと、実はこの減ってきていますねというところとが、ちょっと近いんじゃないかというところです。
 それで、実は、その懸濁物の輸送がどういうふうな環境要因によって起こるのかというのを、シミュレーションモデルの感度解析の手法を用いて、どの要因がきくのかというのを調べました。実際、これでモデルの精度を検証したということですね。
 結果です。いろんなことをやったんですけれども、大きく数値が出た部分だけ言います。まず、大規模出水があった場合に、かなり懸濁物の輸送がされます。実は、ここの中に数値が書いてあるんですが、ちょっと読みにくいと思うので、特に特徴的な部分を説明します。例えば出水時で言いますと、ここの、例えばこの筑後川の河口域のところでは、34.51、こちら平水時だと1.04。こちらの、さらにこの、ここの上のところだと、平水時だと4.0、ここは11.95ということで、ここのところはかなりたまってきて、それで通常はこういうところは、平水時の場合だと逆に削れていくんですけれども、ここのところも堆積状況になるというふうなことがわかったということです。
 また、台風の影響も調べてみたということですけれども、これはT0613と書いていますけれども、これは台風の2006年の13号台風のときの数字を当てはめたというもので、実はこの台風は、有明海のこの西側を通過していった台風ということで、南東からの風がかなり供給されたケースです。それと風の条件を当てはめるんですけれども、静穏時のところと比較したものです。それで、実はこれを見ますと、この台風時だと、ここの諫早湾内でのこの削れる量が、102.84、通常だとマイナス0.59ですので、ここがものすごい削れて、この前の方に運ばれると。それで、これは68.09なんですけれども、こっちはマイナスなので、こういうところに運ばれてきますというふうなところが特徴として見られたということです。
 次が、環境省が説明する最後の取組みなのですけれども、実は今回の評価委員の方で、評価委員会が再開される前から委員になっていただいた方に関係あるんですけれども、評価委員会の報告の中で、有明海・八代海の調査研究の総合的な推進のため、関係機関の調整能力の強化、マスタープランの策定、情報の共有化をしましょう低減がなされています。それで関係機関に集まってもらって、こういうことをまとめて、推進計画というのをつくりましょうと。
 それで、さらに本業務の中でアンケートをとるとともに、大学、国、県等の人が集まって、現場で調整してもらって、いろんなことを詰めていきましたと。それで、評価委員会が4年間開かれなかったんですが、開かれる前提でありましたので検討会の開催がなかったのが、途中の年度からこういう有識者の情報を集めようとした。さらに評価委員会の委員の方ですね、実際、評価委員会の活動自身はなかったんですけれども、評価委員会の委員の方にご出席いただいて、ご意見を聞きました。その助言も踏まえ、調査研究のロードマップ、調査研究の成果・計画のデータベースというのをつくってきました。
 こういう項目です。自然環境に関する項目、水産対象生物に関する項目、こういうふうなものでそれぞれまとめていきました。ここの説明は省きます。
 最終的には中期的な目標だとか、最終的な目標も立てました。
 それで単位ロードマップ、先ほどの項目ごとに、こういうふうな現状でありますとか、問題を解決するテーマ、あとは調査・研究、こんなことをやったらいいですねというふうなものを立てて、中期目標を立てて、これで最終目標を立てるということを各項目ごとにやっていきましょうという内容でした。
 それで実際、こういうものをもう少し細かく見ていきますということで、整理をしていくということになりました。実際、ある程度の整理までしたのだけれども、というところです。
 データベースづくりですけれども、調査・研究、研究成果、モニタリングということでデータを集めてやっていきましょうねというところで、プラットフォーム的なデータベースを作り、CD-Rで配布したということでございます。
 先ほども触れましたが、本業務につきましては、当時の評価委員会の委員の方にもご協力していただいて、つくったんですけれども、評価委員会の開催のめどがないというところもありましたし、かなりこの年限的な部分で、計画的な部分がやっぱりもう少し精査してやるべきであるということで、主務省の間でも話をした上で、特にやりっ放しの状態になっているんですけども。ただし、当時としてはかなりのものをまとめたつもりです。ただ、その当時からは4年という年月が過ぎましたし、状況も当時とは変わっていますので、これを一つ一つまた精査していかなければいけないんですけれども、この推進業務のこの結果につきましては、評価委員会の方で、どうしたらいいかについてドバイスをいただければと思っています。
 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまのご報告に関しまして、ご質問等がございましたらお願いいたします。

○中村委員 2点教えていただきたいと思います。1点目は、タイラギへの硫化水素の影響調査の結果ですけれども、現地の観測と室内実験、それらを総合して判断されていると思いますが、室内実験で使われた硫化水素の濃度というのは、現地で観測されたレベルとどのような対応にあったのでしょうかというのが最初の質問です。
 それから2点目は、SIの解析をされている点でありますけども、通常、HSIの解析は、生物の生息に影響しそうなさまざまな因子をピックアップして、それぞれに対してSIをつけて、それを総合的にHSIという指標につくるというのが普通だと思うんですが、ここでは底質の、それも強熱減量でしたっけ、それだけの指標でしか見ておられないんでしょうか。総合的なHSIというのはまだつくられていないということでしょうか。
 以上2点です。

○阿部環境省閉鎖性海域対策室室長補佐 まず、室内実験ですね。室内実験のこの部分の濃度ですけれども、報告書をきちんと確認しないといけないんですけれども、ここに書いてありますとおり、現場で観察される濃度を再現して室内実験しているので、基本的にはその現場の濃度と対応しているものだと思っております。
 また、HSIですけれども、HSIの方は、先ほど強熱減量だけの説明をしましたけれども、それ以外にも、各底質のモニタリングの結果から得られるような項目ごと、例えばシルト・粘土の含有率とか、TOCだとか、そういうものでもすべてとりまして、こういうSIを求めているということです。

○中村委員 そのSIに関しては、総合的な、個々のSIを総合的に評価した最後の結果というのはやっているんだけども、今回の……。

○阿部環境省閉鎖性海域対策室室長補佐 はい。総合的な評価は、今やっている調査の中で、実はやっている途中です。

○中村委員 わかりました。

○岡田委員長 ありがとうございました。まだあるかもしれませんが……、じゃあ、どうぞ。

○山口(啓)委員 先ほどのタイラギと硫化水素、それからORPのところですけれども、死亡した後にORPが下がっているように見えるところもあります。二枚貝の死亡が原因で硫化水素が発生したということはないんですか。例えば、その一番下のところとか、死んだ後にORPが下がっているとか、あと、7月から8月にタイラギのへい死が起こるみたいなんですけれども、硫化水素の値が上がるのは、それよりちょっと後の8月から9月に上がる傾向が見られると思うんですが。

○阿部環境省閉鎖性海域対策室室長補佐 先ほども言ったとおり、タイラギとその硫化水素の関係については、室内実験等も含めて確認しているんですけれども、その最後のまとめのところにも出ていますが、いろんな環境要因によってタイラギが死んでいっているというところでもありますので、これで、この関係でいくと、どちらかというと、ここの時期で死んでいるので硫化水素の発生と一致しているんじゃないかということの説明はしましたけれども、それ以外の要因で死ぬこともあるので、先ほど山口先生のおっしゃられたとおり、死んだことによって、その後さらにその硫化水素の発生が進むということもあり得るかと思います。

○山口(啓)委員 多分順番としては、貧酸素が起こって、貧酸素化が長期化すると嫌気的になってきて、その中も極端に嫌気的になったときに硫化水素が発生するという順番だと思いますけれども、もしかしたら、硫化水素じゃなくて貧酸素の方がやっぱり影響が大きいのかなと思いました。またそういう検討もしていただければと思います。

○阿部環境省閉鎖性海域対策室室長補佐 わかりました。ありがとうございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。まだあるかもしれませんが、ちょっと時間をオーバーしていますので、ここでとりあえずやめたいと思います。ただ、今回の説明は、やはり時間が短かったことで、説明する方もかなりはしょらざるを得なかったと。したがいまして、委員の皆様方も、なかなかこの場では理解しくかったことがあるかというふうに思います。
 まだ質問があるかと思いますので、その点につきましては、事務局の方に再度お寄せいただければと、ご遠慮なくお寄せいただければありがたいと思います。それによってお互いの理解が、より明快になるということが、この委員会では必要とされていると思いますので、ぜひご遠慮なくご質問、それから確認したい事項がございましたらお寄せいただければというふうに思います。それをもちまして、次回の委員会でもう一度、違う解釈になることもあるかもしれませんが、確認していくということはさせていただきたいというふうに思います。ぜひよろしくご協力のほどをお願いいたします。
 それでは、水産庁、国交省、環境省、それぞれのご説明をいただきました。担当官の方、本当にありがとうございました。
 それでは、今どうしてもというのがあればお受けします。すみません、いろいろ言いながら。

○滝川委員 ちょっと1点。

○岡田委員長 1点。はい、どうぞ、先生。

○滝川委員 1点だけですが、浮泥の話が、今、環境省さんの方からも、非常に重要だということで出てきていたんですが、先ほどの国土交通省さんの筑後川ですかね、河川の方を中心に、河道の中での、いわゆる「土砂」書いてあるんで、れきとか砂分だと思うんですが、浮泥についての調査をぜひ把握しないと、いつまでたってもそこのところは結びつかない。河道からちょっと海に出たところというのは、どちらがやられるのかちょっとよくわからないんだけれども、そこら辺も何か今後、そういう浮泥の流動ということも含めて、各省庁間で進めていただけるとありがたいなというふうに痛感しましたので、よろしくお願いいたします。

○岡田委員長 ありがとうございました。では、これはよろしくご検討のほどお願いいたします。
 それでは、次の議題に進めさせていただきます。
 前回は、有明海及び八代海を巡る海洋環境等の概況を事務局からご説明をいただきました。今回は、有明海・八代海の現場で、独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所有明海・八代海漁場環境研究センター長として、関係県の水産試験場とも連携しながら、多くの水産関係の調査研究を行っていらっしゃいます有瀧委員から、水産分野の委員を代表して、水産研究の視点で、今、有明海・八代海がどのようになっているかという現況をご報告いただきたいというふうに思います。
 それでは有瀧委員、よろしくお願いいたします。

○有瀧委員 ただいまご紹介にあずかりました有瀧と申します。よろしくお願いいたします。
 今日、ここにお示ししましたように、有明海・八代海の現況についてお話しさせていただきます。副題としては「水産現場からの報告」ということでございます。この資料をつくるに当たっては、関係県の方々からは多大なご支援をいただきました。この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。それと、ご説明する内容は、今までのいろんなところからの説明資料ともかぶるところがありますが、ちょっと我慢して聞いてください。よろしくお願いします。
 まず現況を報告する前に、平成18年12月21日に出されました委員会報告の中身をちょっと整理をしていきたいと思っております。
 この報告書の中で、問題点の要因について取りまとめをされております。ここにありますように、漁業・干拓、それから防災・海上交通等のための開発によって、海域環境、それから生態系が長期的に変遷し問題を起こしているということでございました。それぞれ有明海と八代海についてその問題を挙げているんですけれども、有明海の方では、先ほどから話がありましたように、タイラギ等の有用二枚貝類、それから魚類及びベントスの減少が大規模で起こっている、それから、湾奥部のノリの養殖に対しても不作が頻発しているということがございました。
 一方、八代海の方は、主要産業であります養殖魚介類への影響が大きいということ、それから魚類等の減少も有明海同様大きいということ、ノリ養殖に大きな被害が出ているということで、こういうようなことは、2003年(平成15年)までのデータを主に解析し結論を出されておりました。
 ちょっと個々についてポイントを説明していきたいと思うんですが、まず有明海の二枚貝類です。タイラギ、サルボウ、アサリを挙げてみました。タイラギに関しては、報告があった2000年代なんですけども、上が長崎県、下が福岡県と佐賀県のデータで、漁獲量です。もうほぼ漁獲はないような状況になっておりました。長崎県の諫早湾はほとんどとれていませんでしたので、漁場としての形成はないということです。西部海域(佐賀県側)の不作に関しましては、今お話があったように、貧酸素、それから出水の影響ですね、こういうものと、それから底質の泥化によってタイラギが死滅しているということでございました。
 一方、東部海域(福岡県側)の原因については、立ち枯れの斃死というものによって漁獲は減少しているという取りまとめでございます。
 サルボウとアサリに関してこの2種類は、ご覧のように、サルボウがとれているときはアサリが減少している。逆に言うと、アサリがとれないときにサルボウをとりに行くということで、漁獲はでこぼこになります。アサリの方は極めて急激に減少していたので、その補足としてサルボウ漁場の方に流れていって、2000年代は漁獲が上昇していましたが、それも近年減っていったということでございます。
 原因としては、沿岸域に漁場が形成されますので、赤潮・貧酸素の影響であるとか、特にナルトビエイの捕食ですね、そういうものによって漁獲が減少していったと。それから、過剰漁獲もあったんじゃないかということで、取りまとめをされました。
 有明海の魚類の減少ですね。ご覧のように、もう1990年代から坂道を転げるように漁獲量が減少しております。特定の魚種が減るというわけじゃなくて、いろんな魚種が総体的に減っていったということで、原因としては、湾の奥、それから干潟域ですね、そういうところにナーサリーがあるわけですが、そこがひどく痛めつけられているんじゃないかという結論でございました。
 有明海のノリですが、こちらの方は1970年代から徐々に水揚げ量が増えていったんですが、ご存じのように、2000年の大不作がありました。原因としては、ここに挙げました大型珪藻類の赤潮によってノリの色落ちが起こったということが1つございました。それともう一方ですけども、秋芽、特に年末ですね、そこの漁期に関しては、漁場の水温が上がっていて、漁獲量は減っているということで、水温の上昇と赤潮によってノリが大きな打撃を受けているという報告がございました。
 一方、八代海ですけども、この海域は魚介類の養殖が主要な産業となっておりまして、これはブリですけれども、ブリは比較的安定的に推移している。一方、トラフグに関しては、コクロデニウムの赤潮が起こった後、魚種の変換があって、水揚げ量が減っていたと。
 それから、これはクルマエビとアコヤ貝なんですけれども、こちらは両方とも疾病が発生して、極端に水揚げ量が減っていたという状況でございました。
 八代海の魚類の減少ですけども、これは有明海に比べると幾分穏やかなんですが、やっぱりいずれの魚種も総体的に減っているということで、八代海湾奥部のナーサリーが痛めつけられたのではないかということで結論づけられておりました。
 今のような状況を、海域環境であるとか、それから河川の流入、気象・海象などの要因とともに、どういう関係があるかということを模式図で、ここで示されている矢印ですね、関係を取りまとめられた図がこれであります。非常によくまとめられておりまして、その後もいろんなところで引用されております。有明海は八代海に比べると随分調査もやっておられましたので、その関係が非常に密になっております。
 こういうような中で取り組まなきゃいけないような項目ですけども、二枚貝類の減少についてであるとか、それから魚類等の資源状態の把握、環境では潮汐、潮流、流入土砂、赤潮、貧酸素等について、問題意識をもって取り組んでいこうということで、この時点ではまとめられました。
 さて、では委員会報告以降についてですが、3点ほど、今日はお話をさせていただきます。
 1点目が、有明海・八代海の赤潮・貧酸素ということで、どういうことが起こっているかということをお話ししたい。それから2点目は、各海域のトピックスを集めてきました。それと、最後にこれらの問題の要点とか、今後の進むべき方向性について、ちょっとふれてみたいと思っております。
 まず、赤潮でございます。水産庁九州漁業調整事務所の取りまとめで、九州海域の赤潮というデータから引用させていただきました。こちらが有明海、こちらが八代海のデータでございます。一番上が赤潮の発生の総数なんですが、ご覧のように、近年は横ばいでございます。特にその中でも大きな被害を及ぼしましたシャトネラ赤潮についてちょっとピックアップしたんですが、発生件数であるとか細胞数は近年上昇ぎみであるということが、両海域とも見られます。ここから読み取れる以外のものでも傾向がございます。
 1点目は早期化ということで、シャトネラ赤潮というのはお盆ぐらいに出てきて被害を与えるということだったんですが、ここ数年は、それが7月の上旬なり6月の下旬になるということで、早期化しているということがございます。
 2点目は、期間が非常に長くなっている。前は、せいぜい1週間、10日というところがピークだったんですが、最近は一月ぐらい継続して赤潮化するということが出てきました。それと、広域化ということで、前は局所的に出て、それが流れていくということがあったんですが、今は、有明海にしても八代海にしても、全域に赤潮化するということがございます。
 それから、「同時多発」と書きましたが、有明海ですと、以前は湾の奥の方に発生しまして、それが潮流とか風によって下の方に流されるということでありましたが、最近はもう、あちこちで同時多発的に赤潮化するということ。それから八代海の方も北部海域で発生して、それが潮流で流れていくという傾向があったんですが、これも同時多発的に全海域で発生するというような傾向がございます。
 それと、「全水深」と書きましたが、シャトネラは植物プランクトンですので、通常は上の方に浮いていることが多いんですが、最近はもう上から下までシャトネラだらけということで、非常に大きな被害を与えているところでございます。
 で、2009年、2010年のシャトネラの状況をご報告したいと思います。ここに挙げましたが、シャトネラ赤潮というのは、魚種特性、それからサイズ特性がございます。例えばトラフグ、マダイのような動きの鈍いものよりも、ブリのような行動が活発なもので被害が大きくなるという傾向がございますし、同じブリも、小さいものよりも大きなものの方で死にやすいということで、特にブリ養殖が非常に大きな被害を受けるということがになります。
 ここに、長崎県、それから鹿児島県、熊本県の被害額を出しましたが、総額で85.7億円ということで、2年間累計の魚類の赤潮被害では、今までで最大の規模の斃死が起こったという状況でございました。
 では、今年はということなんですが、ここにもう結論から書きましたが、珪藻の卓越によって、シャトネラが全く赤潮化はしなかったということでございます。西海区水研の調査船で、8月の初旬に、ずっとこう、外洋から八代、それから有明の方を回って、定点で採水をしながらシャトネラの細胞数を数えていったんですが、外洋へ出ているときは、ぽつぽつとシャトネラが出ていて、「こんなところにいるんだなぁ」という話をしていたんですが、八代の中に入っていきますと全く見られない。それから、有明海でも見られなかったんですが、橘湾の方に出てくるとまたぽつぽつ見えてくる。両海域の状況を申し上げますと、湾内は、ここに挙げたように、もう珪藻がびっしりということで、珪藻のスープのようになっていました。ですから、シャトネラ赤潮はいないわけじゃなくて、こういう状況の中で珪藻に負けている状況だったというのが今年でございます。
 一方、貧酸素水塊です。先ほど話がありましたが、湾奥の方では定点を設定して、広域で連続観測を行っております。これは7月25日に各機関で連携して行った広域の観測なんですが、ここにありますように、干潟の縁辺部、それから諫早湾の前面ですね、こういうところで特異的に貧酸素が発生するというのが有明海の特徴でございまして、これが大きくなったり、ちょっと沖に張り出したりして、被害が増減します。
 有明海湾奥の貧酸素はここに挙げましたが、2004年から8年間、連続観測を行っているんですが、毎年発生しております。状況としては、6月の中旬以降ですね、梅雨の大雨によって出水が起こって、その後水温が上昇することによって躍層ができ、その躍層の上で赤潮が発生して、有機物が海底に供給される。表層から切り離され負荷がかかった海底付近で酸素が消費され、低酸素状態となっていく。それから夏場の南風によってその水域が押しつけられて、沿岸域で貧酸素化が進む。加えて、小潮によって流動が少なくなることによって、ますますそれがひどくなっていくという状況でございます。
 ちょっと見にくいんですが、2004年から2011年までの状況をここに挙げました。このピンク色のところが飽和度40%以下の貧酸素化している期間でございます。毎年このように必ず貧酸素化するということですが、2009年は比較的軽度で済みました。というのは、7月の中旬過ぎに北風が連風しまして、貧酸素水塊を含んだ海水が沖合に向けて攪拌・解消されて、その後あまり大きな被害にならなかったということがございます。
 一方、2010年、2011年は、非常にひどい貧酸素状態になりました。特に2011年、この赤の線ですが、6月の下旬にはもう40%を切って、無酸素のような状況で、それがずっと続きました。このように、2011年は早期に発生して、それが長期化して重篤化したひどい年でありました。これが水産物には非常に大きな影響を与えたということで、次の説明、各海域のトピックスに移らせていただきます。
 タイラギで、これは非常にいいトピックスなんですが、平成20年級群というのは卓越して発生しました。この原因の1つは2008年の稚貝の着底が9月以降にずれ、貧酸素水塊の被害を受けなかったということで、稚貝が生き残りやすくなりました。それから、先ほど申し上げましたが、翌2009年は非常に貧酸素水塊が軽度であったので、漁場でタイラギが生き残り、この年は13年ぶりの豊漁だったということです。下は新聞記事の写真なんですが、浜は非常ににぎわいました。いいニュースであったため、この年は我々も喜んだんですが、しかし、これも一時的だったということでございます。
 20年級、21年級、22年級のそれぞれの推移を示しました。20年級は、佐賀の沖合、近年泥化してあまり立たなかったところなんですが、ここに、原因はわかりませんが、稚貝がたくさん立ったということが大きな特徴でございます。先ほど申し上げましたが、例年だったらここに貧酸素水塊がべったりと張りついて、全部死滅してしまうんですが、それが軽度であったということで生き残って、13年ぶりに169トンという水揚げがありました。漁師の方々も、全部とり切るんじゃなくて、一部残して翌年にということも考えたのですが、その翌年は、ここに貧酸素水塊が張りつき、全滅してしまったという状況が20年級群でございます。
 21年級群は、西部海域(佐賀県側)には立たなかったんですが、東部海域(福岡県側)に稚貝がたくさん立ち、22年には漁獲されました。元々この海域は、あまり貧酸素水塊の影響を受けないので、順調に貝が育つはずなのですが、漁の途中から、身がちょっとやせているということが漁師の方から出てきて、「少しおかしいぞ」という話をしていました。そうしたら、冬を越えて、夏を過ぎていくに従って、だんだんやせがひどくなっていって、立ち枯れ斃死が頻発し、この年級は、翌年23年の漁期にはもう全くいなくなってしまいました。先に申し上げましたように前年の20年級は169トンの水揚げがあったんですが、この年級はその3分の1しか獲れなかったということでございます。
 22年級群なんですが、これは広域に稚貝が立ちました。ところがこちらの西部海域(佐賀県側)の群は、貧酸素水塊が非常にひどい年だったので、瞬く間にこの海域で死滅してしまいました。それから、こちらの東部海域(福岡県側)に立ったものに関しては、21年級群と同様、立ち枯れ斃死が起こって、いなくなってしまったということで、22年級群、今年の漁なんですが、12月以降に行われたものに関しては、現在まで2.5トンということで、もう、ほぼ絶滅状態でございます。
 じゃ、どのようにして死んでいるかということなんですが、先ほどからお話があったように、西部海域というのは、貧酸素や淡水の流入によって、貝があっという間に死んでしまうという状況がございます。一方、東部海域の方は立ち枯れ斃死というものがございますが、これを見ていただきたいんですが、下が通常のタイラギの開けたところです。見た目にもおいしそうで、みずみずしいですね。貝柱も白っぽくていいんですが、これは今年の貝の状況です。貝柱が、もう、数グラムしかないということで、非常にやせておりますし、貝柱だけじゃなくて、貝全体の色が悪くて、どう見てもやっぱり貧弱な貝だということがあります。
 たくさん立つ年もありますし、少ない年もあるんですが、ある程度東部海域は立つんですが、1年たって、秋、産卵期を超えますと、このように衰弱していくものが非常に多いということがございました。
 原因としては先ほどから硫化水素等いろいろあったんですが、どうもやっぱり太れないような状況が全般的にあるんじゃないかということがございます。
 これは福岡県さんから資料提供いただいたんですが、上が、1971年から2000年までのプランクトンの沈殿量の1月から11月までのデータでございます。大体は、当然のことながら、春のブルームと秋のブルームがあるんですけれども、2001年から2010年までのデータを見ますと、この山が非常に見えにくくなっている。要するに、貝が食べなきゃいけないときに餌がない状況になっているということがございます。
 一方、これは栄養塩なんですが、平成10年(1998年)ぐらいから、がたんと栄養塩が減っているということもありまして、どうも基礎生産のところが脆弱になっているんじゃないかということを考えております。
 それから、冒頭のごあいさつの中でもあったんですが、サルボウ貝が秋以降、大量斃死をしているという報告がございます。10月の中旬以降、各漁場から大量に死んでいるという情報が挙げられてきました。これがその現場なんですけれども、生々しく口をあけたような貝がいっぱい、ごろごろ転がっているという状態だったそうです。いろいろ、佐賀県さん、福岡県さんが調査された結果、湾奥部全域の漁場で40%から70%が死亡しているという、大変な被害があるということです。状況としてはやせていると。通常、殻つきで10キロあればむき身で3キロになるんですけども、むいてみても1.2キロぐらいしかないということで、非常にやせているということがございました。
 それから、貝をあけてみると、えらが崩壊して壊死していると。これの下が健常貝で、上がまだ生きているんだけども衰弱しているという貝なんですが、これはえらです。えらがもうほとんど崩落して、ないような状況の貝でございました。
 それと、特徴的なことは、産卵期が非常に遅れたということと、それから産卵期のピークがなかったと。要するに、どうも弱って産卵できないまま産卵期に突っ込んでいって、目立ったピークがないまま、だらだらと産卵したのがこの年だったようでございます。
 それと他にも、春先からカキ、アサリの身入りが非常に悪いということで、先ほどのタイラギの状況も含めますと、有明海の二枚貝類全体が、湾奥で何か非常に変な状況になっているというのが今年の概要であります。
 この二枚貝類の異変に関しては各機関がいろいろ頭を寄せて原因究明に努めているんですが、現在のところ、この3つぐらいが大きな要因じゃないかということでまとまっております。1点目が、22年度の冬の厳しさです。今年の冬も結構寒かったんですが、もう1年前の冬というのは非常に寒い年で、たくさん雪も降りました。干潟の縁辺なんかも非常に温度が下がったということで、ここで貝が痛めつけられて、なかなかえさを食べる状況に至らなかったということが1つあるのではないかと。
 それと、2点目はそのように弱っているところにやはりさっきのブルームが少なくて、食べるえさがなかったということ。それから、3点目は複合的なストレスです。例えば梅雨時非常に雨が降りましたので、そういうストレス、それから貧酸素水塊や産卵等のストレスによって、大量斃死が起こっているんじゃないかということです。現在こういうことを検証するためにさまざまなモニタリングであるとか実験を行っているところでございます。
 一方、魚介類ですが、これは熊本県さんから、有明海側、それから八代海側の魚介類の水揚げ量のデータをいただいたんですが、ご覧のように全然回復しておらずに、漸減状態でございます。育成場の減少とか質的な悪化というのが言われておりますが、それを裏づけるように、特にクルマエビ、このエビは、ご存じのように干潟域に着底します。5月から大体10月ぐらいに着底するんですが、約半年後には干潟から出て、水揚げされるということで、岸寄りのナーサリーとの関係が非常に密接な魚種でございます。こういうもので特に漁獲はどんどん減って、絶滅状態にあるということが両海域の現状でございます。
 また、有明海・八代海ではクルマエビの種苗放流をたくさんやっておりまして、年間1,500万から2,000万尾を放しているんですが、特に有明海の奥の干潟域はナーサリーですので、ここに集中放流をし、いろんな調査をされております。この種苗放流を、天然資源のリクルートのマーカーとした場合どうかな、ということをちょっと考えてみました。
 そうすると、この図、縦軸が回収率で、横軸は年度なんですが、回収率というのは、放流して漁獲された尾数をすべての放流尾数で割った率でございます。平成10年は9%。クルマエビで9%というと、B/Cでいきますとペイする値なんですが、それ以降、どんどん下がっていって、もう最近では1%を切るような状況、要するに、放流をしても、前はよかったものが現在はとれない状況であります。
 一方、最初に申し上げたようにクルマエビの漁獲状況もやはり平成10年度以降、どどどどっと減っているということで、まさしく干潟に放流した種苗とクルマエビの漁獲が一致している。どうもやっぱり育成場の機能が随分と劣化しているじゃないかというのがこれらのデータからもうかがえると思います。これはあくまでも1つの例でありまして、いろんなほかのデータも加味しなきゃいけないんですが、やっぱりこういうところも考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに個人的には思っております。
 最後のトピックスで、ノリなんですけれども、この図が漁獲量で、最近は安定しています。けれども、一番最初の委員会報告のところでも言いましたが、漁場の平均水温がだんだん上がってきているということがございました。それで、特に今年は秋口に高水温と、それから雨がたくさん降り、各海域の秋芽網は大打撃を受けました。赤腐れと芽落ちでほとんど漁にならないという状況でございました。
 一方、年を越えて水温が下がってきたときですけども、通常、こういう低水温時に珪藻赤潮は出なかったんですが、ここ5年間ぐらい、Asteroplanus karianusという大型珪藻が、特にこの沿岸の河川流入域の塩分濃度が低いところで赤潮化するということがございまして、今年も非常に大きな色落ちが起きております。
 先ほど、春先、秋口の植物プランクトンの増加が顕著でないということをお話ししましたが、それに反しまして、通常わかなかった時期にこういうものがわいてくることもあり、何かこう、ちぐはぐな状況が湾奥で起こっているなという感があります。
 さまざまなことがこのようにモニタリング調査・研究等によってわかってきました。取りまとめてみますと、今日お話ししなかったのですが、底質の悪化、泥化は起こっているということがございますし、先ほどから申し上げましたが、基礎生産力の低下、変質が起こっていると。それから、栄養塩の収支、足し算引き算がどうも合っていないんじゃないかという気がしますし、育成場の劣化と減少が起こっている可能性があります。また近年、貧酸素水塊・赤潮の多発、長期化、顕在化が生じており、これら要素が複雑に絡まり合って、二枚貝類、魚介類の減少、それからノリの不作になっていると考えます。
 一番最初に示しました有明海・八代海の環境異変とその要因のモデルなんですけれども、これを2003年と現在を比較して見ても、何ら変わっていない。むしろ顕在化しているし、状況は悪化しているということがございます。
 今後なんですけれども、モニタリングは、当然のことながら必要です。それを踏まえてどうしていくかということですが、長期的な視野、それから短期的な視野にちょっと分けてみました。長期的なところとしましては、原因の究明・根本的な解決というのは当然必要ですが、先ほどの異変とその要因のモデルの矢印ですね、これを重点化していく、要するに太さを変えて、調査・研究を絞っていくということが必要じゃないかということを1点考えております。
 それと、さまざまな海域で、多様な漁業、それからいろんな活動をされておりますので、対象海域をモデル化しながら、多面的に取り組んでいかなきゃいけないということを2点目に考えております。加えて、これをするには、やはり複数県間の連携が非常に重要になってくるだろうということもあります。
 一方、短期的なんですが、ここに現場漁業者等の閉塞感と書きましたが、いろんな会議でいろんな話をさせていただき、いろんなことを聞くんですが、漁業者の方が未来にもう夢を持てない、希望を持てないような現状だということで、非常に水産業としては危機的な状況にあるんじゃないかと思っております。先のような長期的な視野での取り組みも当然必要なんですが、短期的に漁業者たちに何とか夢を持ってもらうようなことも取り組んでいかなきゃいけないというふうに考えております。
 さまざまな事業の総括を先ほどからされましたが、これによって得られた成果の抽出をまずやっていかなきゃいけないし、そういうようなものを効果的・効率的に組み合わせて、何とかいいものを出していくという姿勢を見せなきゃいけない。それから、海域でのモデルをつくって、成功事例を1つでも2つでも持つということが非常に急がれる。そういうものを情報発信していきながら、漁業者に夢を持ってもらうようなことをやっていかないと、なかなか我々は厳しいんじゃないかということを考えております。
 以上です。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご報告に関しましてご質問等ございましたらお願いいたします。

○清野委員 最後のスライドのところで、現場の漁業者の方が本当にお困りの状況というのを、その調査・研究を続けているだけじゃなくて、何らかの解決をということのご意見、非常に深刻に受けとめております。
 それで、実は今日、最初に水産庁さんからのご説明にもあったことと、それから、その(2)ところと関連してのご質問を差し上げます。
 さっき、いろんなマイクロバブルの装置の実験で、効果がなかなかわからないということもありつつも続けるという小長井漁協さんの決断というのは何かあったのかなと思うんですね。一方で、いろんな事業を割と細々やるんだけど、どれも成果がわからないまま、閉塞感があるということでもありますので、質問としては、現場の漁業者とか漁協に委託、あるいは漁業者から意見をいただいている事業のやり方というか、それがどうなっているか。つまり、効果をどういうふうにはかりながら、漁業者と研究者の方で調整されているのか。それから、こういう研究で、大規模な研究でいろんなことがわかってきていますが、特に漁協さんが試験的にご自分の手でされるところに、どういうふうにそういった知見がインプットされて、評価なり改良なり、あるいは失敗したらそれを成功事例に持っていくという、その知見のシステム化がされているのかというところを教えていただけたらと思います。

○有瀧委員 私からまず答えていきたいと思います。マイクロバブルの件なんですが、私も現場の漁業者等のお話を聞く機会がございます。やはり貧酸素が来て、目の前でばたばたと貝が死んでいくのを見ているのは、非常につらいとおっしゃいます。また、囲ってもいいから、目の前の貝をちょっとでも助けたいというご意見もあり、いろんなことが動いているというふうに私は考えております。
 ですから、効果についても先ほどお話があったように、ある程度のB/Cはできるところまで来ているということもありますし、囲えば、現場の業者の方が助かるという現実もあるのではないかというふうに考えております。
 それと、今日は水産庁からご説明なかったんですが、さまざまな事業をやられており、その中で私が一番印象に残っているのが覆砂です。今、覆砂というものに対してもいろんなご意見があるんですが、覆砂をある程度タイラギ漁場にすると、いっぱいタイラギが立ちます。一方、覆砂をしないところは立たないことがわかってきました。しかし、これらはある程度大きくなっていくんだけれども、やはり先ほど申し上げたように、貧酸素水塊であるとか、立ち枯れ斃死で、漁獲寸前になってそれが全部死んでしまうため、ますます漁業者の方は落胆されることもあったようにお聞きしております。
 ただ、何もできないところから稚貝を立つというところまでは来ているので、いろんな事業のいいところを持ってきて、何とか現在一歩前進、半歩前進しているものを、もう二歩三歩前進できるように、みんなで知恵を出していく時期ではないかというふうには、個人的には考えております。

○内海水産庁漁場資源課長 例えば漁場開発をしたときの知見のシステム化がどのようになっているかということなんですけども、有明の例だけではないんですけども、基本的には、水産の関係、技術開発を国がやってみて、それである一定の効果があれば、今度は、例えば補助事業だとか、そういう形で組んでいって、そこに県が関与していただいて、県がその技術を応用しながら、漁業者とともにその地域の改善をはかっていくというのが大体のストーリーになっていくのかなと。
 ですから、こういうところでやっている技術開発、成果が一定の数字を超えるようなものがあれば、それはどんどん各県で取り入れていただいて、水産振興にその分をご利用いただくというような図式でもって、今までの知見が実用化・実現化されていくというシステムになるのかなというふうに考えています。

○清野委員 私も、ほかの海域も含めて共通した課題だと思うんですけども、どうしても税金を入れてやる事業が多いので、現場の漁業者の方が、ここは行けるけど、これはちょっとだめだぞというようなことを気づいていた場合も、報告書に載らないことが多いんですよ。だけど、民間の技術開発だと、ここが失敗で、次、ここを評価すればいくぞというところにお金をつけているから、民間の技術開発というのは育つんですけども、残念ながら、そういう税金を投入してやる、改良地によって、そういうことが今まではあったと思います。
 ただ、いろんな科学技術のあり方が、昨年の3月から見直されている中で、やっぱり漁業者が、そういう税金を投入して試験させていただいた中で、結構いろんなことを考えてらっしゃることがあるんです。それをぜひもう一回くみとっていただいて、多分試験場だとか、現場に出ている人も、報告書にあまり明記できないけども、いろいろあるので、そこをとにかく掘り下げていくというのが、私たちの水産の現場の持てる力をシステム化してくことにつながると思います。
 つまり、今こういう状況でも残ってらっしゃる漁業者の方は、本当に漁業で生きていきたいと思う方々です。だから、そういう人たちを何とか形になるように、失敗したところも含めて、では、どうすればいいのかというのを、見直してやってこうよという、何か最後の闘いみたいになっちゃうと思うんですけども、そういうところを強化していただくということ。
 それから、一般論と個別の海域での結果がちょっとごちゃごちゃになることが多いんだと思うんです。覆砂にしても、マイクロバブルにしても。だから、いろんな設定されている条件で、非常に個別性の強いものと一般化できるものを、もう一度洗い直して、それでやっていただくといいかなと思います。
 ですから、漁業者が主役になって技術開発していけるような、さまざまな研究会の仕組みというのを、今でもやってらっしゃると思いますけども、そこをもっと強化していただき、それにこういった委員会の方々も参加させていただけるような仕組みはあり得るかなと思っております。
 以上です。

○岡田委員長 はい。どうぞ。

○内海水産庁漁場資源課長 先生のご指摘、ごもっともだと思います。ただ、1点、ちょっと補足しておきたいんですけども、水産関係の技術開発はほとんどの場合、現場でいろんな作業をしますので、そこの漁業者、あるいは漁協の方の了解が得られないと、なかなか自由ができない。そうすると、概ね、大体の事業で自動的に近隣の漁業者の方々が、その事業、例えば事業開発に関与してきて、そこで自分たちの持っている知見もご披露いただいて、その中で実験設計をしたり、事業が進んでいくというのが一般的な事業で多いケースです。
 そういう中で、言われたようなことをしっかり峻別しながら、成果をどういうふうにとらまえるのか。それからその前の実験設計をどういう形で持っていくのかというのは、これからも気をつけて対応せねばならないかなというふうには思っています。

○清野委員 頑張っているものがあるのは承知しています。

○岡田委員長 ありがとうございます。じゃ、速水先生、最後。

○速水委員 コメントです。今の有明海の漁業者というのは、対症療法的な方法でとりあえず漁業の転換をして、それでこの非常に環境がひどい状態が緩和されるのを待たなければいけないという状況にあるわけですけれども、もともと漁船漁業で食べていた漁業者が、対症療法的な形でもって一時的に養殖をやるとかあるいは蓄養をやるとかということは、なかなかそれは難しいわけです。そこの難しさに対して、例えば移植とか、垂下式の養殖など、タイラギについては技術開発ができているわけだけれども、漁業者がまだ十分について来れていない。それを今何、とかしようとしているときだと考えております。私よりもむしろ佐賀の古賀委員の方がその当たりは詳しいところですけれども、そのあたり、ご理解いただけたらと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。まだご質問、ご意見等あるかと思いますが、すみません、司会の不手際で大分予定より遅れています。有瀧先生のご説明、以上にさせていただきたいと思います。
 どうも、有瀧委員、ありがとうございました。
 それでは、まだ最後1つ議題が残ってございますので、少々おつき合いをお願いいたします。
 最後に、今後の審議事項、スケジュール等について。これは事務局よりご説明をお願いいたします。

○富坂環境省閉鎖性海域対策室長 それでは、資料5に基づきまして、今後の審議に当たっての基本スタンスについて(案)というものを事務局の方で準備させていただきました。
 「はじめに」につきましては、これまでの評価委員会の果たした役割ということで、時間的制約ある中で原因・要因の事象の明確化、あるいは、再生方策の実施に方向性を明示したという、これまでの成果を示してございます。
 ただ、現在、本日の報告、各省あるいは有瀧委員からの報告にもございましたように、有明海及び八代海における水産生物有用二枚貝類や魚類の漁業生産量、そういったものが減少した状況から回復が見られていないという問題は、依然として残されているということでございます。細かい事象、いろいろ書いてございますけれども、こちらについては課題が非常に残っているという認識でございます。
 次のページでございますけれども、また、本日各省からの報告にもございましたように、前回の委員会報告の後にも、いろいろなデータ、調査結果の蓄積が進んでいる状況でございます。本日ご報告し切れなかった部分が多々ある状況になってございます。
 また、それぞれ水産庁の漁場整備事業など行われておりまして、こちらにつきましても、今後さらに10年間補助率の嵩上げ措置について延長して行うこと。また、特措法改正により、「流入河川の流域における森林と有明海等の海洋環境との関係に関する調査」といった新たな事項についても追加されています。
 これらを踏まえまして、評価委員会に求められる役割ということで、2ポツに整理をさせていただきました。
 1点目は、これまでの評価委員会で行ってきましたミッション、すなわち有明海及び八代海で生じている生物・水産資源を巡る問題点にかかる原因・要因、発生機構の究明といったものは、さらに究明を進める必要がある。
 それから、2点目につきましては、有明海及び八代海等の再生に向けて科学的な見地で成立しうる再生像を具体的に提示すること。また、その再生像を実現するために最も効率的かつ現実的な再生手順を明らかにすることと。この2点が重要なのではないかと考えております。
 この1点目につきましては、いろいろ生物・水産資源を巡る問題となる事象といったようなものが、多発、長期化、顕在化しているという状況がございまして、こちらにつきましては、いろいろ生物の影響の発生条件でございますとか、環境要因、情報の収集、そういったものをきめ細かく整理、分析していく必要があるのではないかということでございます。
 次のページでございますけれども、もう一点の再生像の検討に当たりましては、ここに挙げておりますのは例示でございますが、例えば現状の生態系の全体像ですとか、生態系機構の実態ですとか、生物の生息適応環境条件などのメカニズム、土砂等の供給や外海の海水交換などの水門メカニズム、海域全体、または目的別の最適な再生技術などの解明といったようなことが重要ではないかということでございます。
 また、海域自体も、有明海及び八代海等という非常に広い海域を扱うことになりますけれども、例えば熊本県地先、佐賀県地先、その他いろいろございますけれども、それらは、生物種、水質、底質、流入河川の状況などの条件も異なりますので、求める再生像といったようなものも異なってくるのではないかと考えております。
 これらの課題でこれから議論をしていただく訳でございますけれども、評価委員会で、機動的かつ効率的にこういった議論を進めていくためには、下部組織を設置して、現状分析、あるいは課題整理等にかかる作業をまず効率的に進めていただき、その上で、評価委員会でご議論いただくのがよろしいのではないかというふうに考えております。
 最後に、審議スケジュールということで、一応示してございます。本日、第29回は表記のとおりでございまして、次回の第30回につきましては5月ごろを予定しております。法改正により追加された事項にかかる現状の報告、また今後の審議体制等についてご議論いただければと考えております。
 以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの方針でございますが、ご質問等がございましたらお願いいたします。
 後ろの参考資料はいいんですね。前回こういうふうにやったということですね。
 よろしいでしょうか。基本的には前回と同様に、効率よく進めるために、下部組織を設けながら一つ一つやっていくと。その報告は、当然のことながら、当委員会で議論をさせていただくということになるかと思います。よろしいでしょうか。
 はい、どうぞ。

○小松委員 「評価委員会に求められる役割」のところで、その①で、「有明海及び八代海で生じている生物・水産資源を巡る問題点にかかる」ということで、生物・水産資源だけに限っているように。ここはやっぱり水域環境とか、そういった言葉も必要なんじゃないでしょうか。

○富坂環境省閉鎖性海域対策室長 今回、報告に上がっておりますのが、特に生物・水産資源を巡る問題ということでございましたので、このようなまず整理をさせていただきましたけれども、ご指摘のとおり、それ以外にも問題がございますので、そういったものについても整理が必要かと思います。

○岡田委員長 おっしゃるとおりだと思います。
 どうぞ、速水委員。

○速水委員 評価委員会の役割の2つ目のところに、「再生像を実現するため」という文言が入っているのですけれども、再生というときには、やはり地元の意見を無視はできないですし、地元の意見も、おそらくセクターによってイメージする再生の像というのは違うと思うんです。ですから、この委員会だけで再生像というものを果たしてつくれるのかというところがあって、むしろそういうものよりも、再生像というものをつくっていくための枠組み、再生像をつくりながら有明海というものを今後長期にわたって管理していくための枠組みを決めていくということになってくるとしても、その辺はどうですか。

○富坂環境省閉鎖性海域対策室長 当面、この評価委員会におきましては、与えられた役割というのがございますので、評価委員会としての再生像というのを検討していくための体制というのを考えていくべきではないかとは考えております。ただ、今の速水委員のご指摘の点は非常に重要な点だと考えておりますので、その点については改めて事務局の方で整理をさせていただきたいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。それでは、今の小松先生と速水先生、両方のご指摘、法律等もございますので、事務局でもう一度精査していただければというふうに思います。ありがとうございました。
 それでは、評価委員会の果たすべき役割、それから今後の審議体系等についての方向性、今いただいたようなご意見も踏まえて、確認できましたので、次回の評価委員会ではこの方向で、より踏み込んだ内容の審議ができますよう、事務局の方で準備等をお願いいたします。
 これまでのところで、全体を通じて何かご発言ございますでしょうか。

○小松委員 事務局にお願いなんですが、例えばこの資料4の有瀧先生の資料なんですけど、非常に貴重な資料だと思うんですけれども、パワーポイントをA4に2枚やるんであれば、ぜひ、これはフルサイズで。費用はほとんど同じだと思うので、フルサイズでお願いしたい。それ、簡単にできますので。よろしくお願いします。

○岡田委員長 よろしくお願いいたします。
 よろしいですか。
 それでは、最後の議題、その他でございますけれども、事務局から何かございますでしょうか。

○阿部環境省閉鎖性海域対策室室長補佐 その他ですけれども、次回スケジュールを確認させていただきたいと思います。資料5にもついておりますけれども、事務局の方では、第30回を、来年度になります5月ごろに行わせていただきたいと思います。また、日程調整は事務局からさせていただきたいと思います。
 あと、今回の会議の議事録でございますけれども、速記の方がまとまりましたら、速やかに各委員の方に、お手元にご確認の資料をお送りさせていただきたいと思います。
 あと、最後に、これ、冒頭にふれましたが、参考資料2ということで、実は非常に貴重なデータを各県さんから提出いただいたのを、今回の場で紹介することができませんでした。これに関して、何かご質問とかご意見がありましたら、また事務局の方に言っていただければ、取りまとめて対応させていただきます。
 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございました。それでは、以上をもちまして、本日予定された議題はすべて終了いたしました。委員の皆様方には、大変ご協力いただきましてありがとうございました。時間の関係で、本来でしたらもう少しいろいろご質問いただきたかったところを、若干飛ばしたところは申し訳ございませんでした。
 それでは、以上をもちまして29回の有明海・八代海等総合調査評価委員会を閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

午後4時14分 閉会