第20回有明海・八代海総合調査評価委員会 会議録

1.日時

平成18年4月28日(金) 14:00~17:00

2.場所

中央合同庁舎5号館環境省第1会議室(22階)
東京都千代田区霞が関1-2-2

午後2時00分 開会

○環境省閉鎖性海域対策室長 大変お待たせをいたしました。
 定刻となりましたので、ただいまから第20回有明海・八代海総合調査評価委員会を開会いたします。本日は、中田委員、楠田委員の二人からご欠席とご連絡をいただいておりますので、19名の先生方に出席をいただいております。定足数を満たしております。
 議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元ですが、資料1として名簿がございます。資料2-1といたしまして「問題点と原因・要因との関連でして試案となっております。2-2といたしまして「資料編」というのがございます。それから、資料3といたしまして「中間取りまとめに対するパブリック・コメント」というA4横の資料がございます。資料4といたしまして「平成17年度有明海貧酸素水塊広域連続観測結果の概要」、資料5といたしまして、水産庁の名前が入っていますが「有明海改善のための実証試験について」、それから、資料6といたしまして、評価委員会小委員会の委員名簿というのがございます。以上でございます。不足の物がありましたらお申し出ください。
 それでは、今後の議事進行につきましては須藤先生にお願いをいたします。

○須藤委員長 かしこまりました。皆さん、こんにちは。本日は、委員の先生方におかれましては、年度当初のご多用の中をお集まりいただきましてどうもありがとうございます。また、関係省庁及び関係県の皆さん、それから傍聴の皆さんも多数にお集まりをいただきまして、お礼を申し上げたいと思います。
 本日の会議は4時半を目途に議事を進めさせていただきますので、議事進行にもどうぞよろしくご協力をいただきたいと思います。それでは、早速議事に入りたいと思います。
 今日は、この議事次第にございますように、問題点と要因の検証、パブリック・コメントの結果について、再生関連事業の報告について、それとその他ということで、四つの議題で進めていきたいと思っております。
 それでは、最初の議題、「問題点と原因・要因の検証について」ですが、この件については、岡田委員、細川委員に作業をお願いしてきたところでございます。岡田委員から、これまでの作業の結果の報告をお願いしたいと思います。
 では、岡田先生、資料2に基づきご説明ください。

○岡田委員 それでは、今まで細川委員と私の方で、問題点と原因・要因の関連についてということを取りまとめてまいりました。お手元の資料2-1からご説明をさせていただきたいと思います。
 前回、今回の取りまとめに関する簡単なイントロダクションというか、部分的なご紹介をさせていただきました。今回は、もう少しきちんとした形でどんな考えで、どんなふうにやってきたかということをご報告させていただいて、今後の検討の材料ということにさせていただければと思います。
 あらかじめおことわりしますが、資料は2-1と、それから資料編の2-2に分かれております。これ全部詳細にご説明いたしますと時間がかかりますので、重要なところのみ本日はご報告させていただきたいと思います。それから、あらかじめ、この先どうするかというお願いを申し上げたいと思います。
 お手元の資料の2-1の2ページをごらんください。
 今後お願いしたいことは、今後の課題という一番下のところに書いてございます。
 これからお話しすることは、今後の課題に書いてございますように、入手できる情報の質、量に限界がある中で、可能な範囲で検討してまいりました。入手できる情報の量というのは、今までこの委員会に出された資料を中心にしてやってきております。ただ、その資料膨大なものですから、見落としとか、それから場合によっては、きちんと理解してないものもあるかもしれません。そういう意味で、まず、出てきた結果が必ずしも明解でないものがたくさんございます。我々で簡単にイエスかノーか、例えば、これからお話する因果関係があるかないか、明確に判断できないものがたくさんございました。そういう中で、わからないことをそのまま放っておくわけにはいかないということで、最終的にお願いしたいことはこの2行目から書いてございますように、評価委員会の各委員の先生方、それから小委員会の各委員の先生方から専門家としてのご意見をいただきたい。そのご意見を踏まえて、重要な事項を絞り込んでいきたいというのが最終的な我々の結論であり、お願いでありますので、最初にこれを申し上げてからご説明をさせていただければ幸いに存じます。
 そういうことを踏まえまして、その先どうするかということもあらかじめ我々の思いというか原案を申し上げたいと思います。
 不明な点がいっぱい残っているからといって、それは放っておく、わからないからストップするということは、この委員会のミッション上許されないというふうに考えております。そういう意味では、不可知論は避けたいと、先送りすることも当然できないだろうと。そういう意味では、今後、それぞれの関連の重要性を踏まえて、ケースによってはさらに焦点を絞った詳細な調査をするというやり方もあるかと思います。ただ、それも不可能なものも出てきた場合は、場合によっては、まさに評価委員会でございますから、委員の先生方の全員のエキスパートによるジャッジメントというか判断もお願いするようなことに多分なるだろうという思いでこのまとめをさせていただきます。
 それから、あと一つあらかじめお断わりします。
 ここでは、本来ですと有明海・八代海ですから八代海についてもやらなきゃいけないときっとおしかりを受けるだろうと思いますので、あらかじめ、八代海はやってない、宿題をやってきておりませんということだけ申し上げておきます。
 言いわけが若干長くなりましたが、まず、今の2ページ目の上の基本的考えからご説明をさせていただきたいと思います。
 (1)に書いてございますように、有明海の環境、これは自然、並びに社会の中に置かれた変動系であるということをまず第一の認識といたしました。
 したがいまして、細かい変化ばっかり見るのではなくて、3行目にございますように、長期的な大きな環境変化を見ること、その原因を究明することによって、再生方策を具体的に検討するスタート台としたい。これが一つです。
 そういう意味で、(2)にございますように、究明と言っていることは、毎年・毎日の個々の事象のレベルの詳細な機構解明と言うよりも、人為的な影響も含めた長期的な変動というレベルでの解明を主たる目的にしております。
 似たようなことが次にも書いてありますが、有明海の異変と言われますけれども、その異変という場合、望ましい有明海像、もしくは望ましい状態を定義し、再生の目標というものを決めなければいけないわけです。その目標を考えていく上で、有明海における、(3)にございますような、有用二枚貝の減少といった大きな変化、比較的長期な変化が見られた1980年代あたりから二、三十年規模での変化というものを特定しようといたしました。その変化に対してどういう要因が大きく寄与したか?要するに、短期的、それから局所的な要因が関係ある、ないという話はいろいろな論文で出ておりますが、当然のことながら、再生方策を立案していくためには、重要な要因を抽出することが効率的でいいだろうということで、それを特定しようといたしました。
 その変化を、例えば、二枚貝が減ったという変化を比較する場合、最初に申し上げましたように、変動系であるということを考慮して10年程度の平均的な長さの変化、それかもしくは平均的な応答の比較ということを主たる対象としてやってまいりました。ただ、ここに括弧でございますように、局所的な変化、それから、その主要因の究明というものも全く無視するということではなくて、別の意味で早急に取り組むべき次の検討課題というふうに考えております。
 今までが基本的考え方でございました。それに対して具体的にどうするかということでございます。中間取りまとめで作成した問題と、それから原因・要因との関連の可能性という図、次のページのページ3に出ております。ここにたくさんの関連図が出ております。この中では、今まで申し上げました大きな変動系の中で大きく変化したものとして、生物やそれから水産資源の減少、それから、それに関連する海域環境の変動ということをまず明らかにしよう。できる限り定量的に特定すると同時に、関連する原因・要因というものをチャートで示しているわけです。
 その中で、先ほど申しましたように、再生に向けた具体的な施策を検討するという場合、問題点、我々がまずピックアップした、例えば二枚貝が減ったとか、赤潮が出たというような問題点とその原因、もしくは要因とされているものの関係の有無、論文等ではもちろん関係があるだろうというふうに主張されていますが、長期的に本当に、きちんと関係があるだろうか。局所的にはもちろんあるかもしれません。ただ有明海全体として大きな要因としての関係があるだろうか。またそのレベルはどのくらいだろうかということをできる限り明らかにしようというふうにいたしました。
 さらに、ここではどういうふうにやったかというと、問題点である生物や水産資源の減少、それから海域環境の変化とその原因、そして可能性のある事項をデータを照らし合わせて、両者がどういうふうに関係するかというのを見ております。先ほど申し上げましたように、1975年以降を対象として、ですから約30年間の期間を対象として相関を見ております。ただ、今回は一個一個の相関を見ておりますので、二つの要因が複合的に関係したか否かというのは、まだ検討はしておりません。
 それから、これは先ほどの基本的考えのところで申し上げましたけれども、短期的な影響が考えられる原因・要因についても、あわせて若干の整理を試みております。
 その結果につきましては、お手元の資料の、今の資料の4ページ以降から、例えば、どんなふうになっているかと申し上げますと、4ページをごらんになっていただければよろしいかと思います。まずもともとの3ページの複雑な図をそのまま見るのではなくて、その中で、これから見たい問題点とその原因だけを抽出するということをしてみます。ですから二枚貝の減少という問題点。ただ二枚貝と言っても種類がございますので、まずアサリを取り出しました。アサリの減少に関わりのある原因・要因と、今まで言われているものをピックアップいたしますと、この4ページの図のようになります。ですから、ナルトビエイ等による食害とか、左の方に漁獲圧、化学物質、下の方に底質の変化、貧酸素水塊、潮流・潮汐の変化、有害プランクトン、赤潮の発生と、それから右の方にスナモグリとございます。これが原因であるというふうに今までの論文を整理すると言われております。
 ここで言う二枚貝の減少に対して、例えば、右下の方の有害プランクトン,赤潮の発生が、直接的にどのくらい係わってきたかということを長期間のデータを見て因果関係を明らかにしていこうという試みをやったわけです。ですから、その一個一個の関連の度合いが5ページの方に表としてまとめられております。
 この表をごらんになっていただきますと、問題点(アサリの減少)への直接的影響、直接、要するに間接的にぐるぐると回って影響があったというのは別のところで見ていますので、直接はアサリの減少につながったものとして、この表ですと左側のように潮流・潮汐から化学物質まで挙げられております。
 この関係、アサリの減少と潮流・潮汐の関係が、どのくらい有明海全体としてあるだろうかというのを解析するために使用した情報、例えば、各県ごとのアサリの漁獲量、それから年平均の潮位差、こういう実情が書いてあります。
 その右側の欄に長期的変動との相関関係というのが書いてありまして、ここにC、B、Cとかずっと出ております。この後ろの方に行きますとAというのもありますが、その定義、意味がこの表の下のところに書いてございます。
 Aというのが、問題点との経年的な相関関係が認められると思われるもの。非常にあいまいな言い方というか、抽象的になるんですが、これはなかなかきちっとしたデータがないので、認められると思われるというような書き方にしております。認められると言い切れば非常にいいわけですけれども、こういう言い方をしています。
 Bの方は、データが不十分であって、直接な関係があるかどうか、きっちり判断できない。もちろん局所的に、ある時期において、短期的に関係があるということは今までの論文等で言われております。ただ、有明海全体として長期的にイエスかノーかというのがわからないと、こういう意味でございます。
 それから、Cというのは、経年的な相関関係が認められないのではないか、ということでございます。
 BとかCとか、次のページに行きますとAとかいろいろありますが、これは本当にまだまだたたき台の判断でございます。今、私自身が見直しても、Bじゃなくて、本当はCかなとか、CというよりBだとか、BよりもAだと思うようなところもありますので、これは一番最初にお願いいたしましたように、委員の先生方、特に先生方の専門に近いところは、ぜひ他の情報も含めてご判断をいただければ大変ありがたいというふうに考えております。
 ですから、本日はそういうことのご判断をいただくためのたたき台を出しているというふうにご理解いただければありがたいと思います。これは幾らでも変わる余地があるという前提です。
 さて、長期的というのが二、三十年考えておりますのに対して、短期的影響に関する知見というのがここに出ています。これは備考とあわせて見ていただくとよろしいかと思いますが、例えば、2番目の行に赤潮と、それからアサリの関係が出ています。長期変動との相関関係で見ますとCということで、余り関係ないんじゃないかというふうに我々が今集めたデータの範囲では思えます。ただ、短期的な影響に関する知見はあるというふうになっています。
 例えば、それはなぜかというと、短期的にはここにございますように、シャトネラ赤潮による被害が明確に報告されていると、それからシャトネラ赤潮発生とアサリ漁獲量に一定の相関が短い期間では認められるというのがございますので、短期的にはありとしました。ただ、ご承知のように、有明海では、二、三十年の長いロングタームでアサリの収穫量が激減しております。それについてはCというわけでなかなかよくわからないですねと、こういう意味でございます。
 同じようなことが貧酸素水塊でもあります。あとは、全体のお話をさせていただきます。次のページをごらんください、6ページ。これは、タイラギを取り出しております。二枚貝の減少と言っても、タイラギとアサリでは当然違うだろうと。同じところで議論することはできないだろうということで、タイラギを取り出しますと、アサリと若干違う面がありますが、こういう矢印に見られるような関係が今まで報告されております。というか、一番最初の中間報告に出ている3ページの図の関連する部分のみを取り出すとこうなる。このまた一つ一つの矢印について、同じように潮流・潮汐とタイラギの減少を関係するかしないかと見ていきますと、この表のようになります。この中にAというのがあらわれてくる。本当にAだろうかと、まだいろいろ疑問があるんですが、ほかとの比較ではまあAに近いかなと、そういうふうに、今のところ我々は思っております。ただ、これも、くどいようですけれども、また専門の先生方にごらんになっていただいて、やっぱりこれはAではなくてCであるということがあり得るかもしれません。という前提であります。
 あと、同じようなことが、ずっと8ページになりますとベントスの減少ということになっていますし、それから、10ページと11ページになりますと漁獲量の変化、それから次のページの12、13ページになりますと赤潮と。先ほども赤潮とアサリの関係は論じました。では、赤潮はどういう要因によって大規模化しているのか、増えているのかというのを取り出すと、12ページのような図になります。そして、この矢印のところを一個一個またチェックするということをやりました。そうすると、またここにはAというのが四つくらい出てきます。グレーで書いてあるのがAというランキングのものなのですが、これも見ると本当かなと思うかもしれません。私自身もまだ迷っているところがあるようなものでございますが、一応そういうものが出てきます。もっと正直に申し上げますと、厳しく見たら全部Bになってしまうわけです。それでは余りにも話にもならないわけで、少しでもいいかなというところはAにしたというふうに思っていただいた方が、多分我々の感覚が先生方に伝わるんではないかというふうに思います。
 例えば、14ページになりますと、透明度の上昇は何によって起こるか、極めて当たり前の二つの物が出てきてきて、土砂供給量の減少がAというふうになっていますが、ちょっとまだ迷いはありますが、とりあえずAという判断もできるかなと。いろいろ大変だとは思いますけれども、潮流・潮汐はCとかBとか出ています。
 次の16、17ページが底質の泥化ということで要因が示されています。
 それから、18ページ、19ページが、干潟・藻場の減少について。
 ということで、ささっと今ご紹介いたしましたが、今の4ページから最後のページまでの図と表で、3ページに書いてある複雑な関係を分解したものが全部挙がっているはずです。ひょっとしたら抜けているものがあるかもしれません。ともかく、今回は最後までやってみるということで、実はかなり無理しております。そうは言っても、最後までやって、それで完全なものにすべく我々だけでやっているよりも、ずるいとおっしゃられるかもしれませんが、先生方に見ていただいた方が早いだろうし、本来委員会はそういうものであるというふうに考えましたので、こういう形でかなり乱暴なものをそのまま出させていただいております。
 そういう意味で、今言ったような判断をAだ、Bだ、Cだというのをどういうふうにやったかというものの幾つかをごらんに入れたいと思います。
 それでは、資料2-2の資料編をごらんになっていただければと思います。
 その中で、今日はAとついたものをまず最初にご紹介したいと思います。多分、先生方「それはAじゃなくてBではないか」とおっしゃられるだろうということは覚悟の上で、まず申し上げます。
 最初にAがついているのは、さっきの資料2-1でいきますと、7ページの表2「タイラギ減少への直接的影響」の底質の泥化でございます。これにつきましては、お手元の厚い方の資料2-2ですと22ページに底質の泥化というのが書いてございます。
 まず、資料の構成について最初にご説明させていただきます。
 底質の泥化、22ページで、これは、底質の泥化がタイラギの減少にAですから、かなり経年的な相関が認められると、こういう判断をとりあえずいたしています。なかなか難しいところがあるんですが。それはともかくとして、判断はあくまでも仮の判断でございまして、これから先生方に最終的な判断をしていただくための資料です。
 そういたしますと、まず、この底質の泥化というところはどういうふうに構成されているかというと、「2.2.1 原因・要因として指摘されている事項」、ここには論文等の抜粋が示されております。今まで、この委員会に提示されている論文、報告等の一部で、かつ底質の泥化がタイラギの減少につながっていると言っている部分を抜き出しています。もちろん部分を抜き出しているというのは、話を見やすくする面もありますが、全体の文脈とちょっと離れて、引用の仕方が適切でないということになるかもしれません。その辺はまたあとでご判断、ご注意いただければと思います。
 そういたしますと、この●のところ、最初の●1999年云々が、底質の細粒化と過重な漁獲圧が主因だということがこの出典に書かれている。逆に言うと、こういう文章をもとに一番最初に、中間報告にある、今日の資料2-1の3ページのがつくられてきたというふうにご理解いただいても結構です。
 その次の●は、一番最後のところに、下から2行のところですが、少なくともタイラギの生息には泥の堆積は適さない、したがって、底質の泥化はタイラギの減少を招いたのではないかという指摘というふうに見られる記述がある。
 その下に三つ●がありますが、底質の悪化とか、中央粒径値(MdΦ)7以上が広がっている。その下も(MdΦ)7以上があって、タイラギの分布を制限して、漁獲の減少をもたらしたというようなことが書かれております。部分的には、この2.3にございますように、関連する図表を掲載しております。
 次に、「2.2.2 原因・要因の検証」でございますが、次のページをごらんください。次のページにデータが出ております。どういうことをことをやったかという典型的な例として、24ページの図2.4をごらんください。
 ここに、先ほどから申し上げています長期的な変化、すなわちタイラギの漁獲量の30年間の変化を示しております。今回、対象とした場所は、福岡県、佐賀県の沖合になります。ここでの変化がこういう棒グラフで示されています。基本的に、目的変数、目的であるタイラギの漁獲量のようなものは棒グラフ、それから、説明するための原因・要因になるものはここでは点になっていたり、これはデータが数が少ないから点で示すしかなかったんですが、前にごらんにいれましたアサリのようなものですと、例えば折れ線グラフで示すというような書き方をしております。
 データが本当はもっとあるんだろうというふうに思うんですが、今までのデータから引きずり出してくると、MdΦ7以上の面積割合が1989年で19.7%だった。海域はこの下の図にあるような海域でございます。もっと簡単に言いますと、図2.5にMdΦが、7、6、5、4、3、2、1と色刷りで海域が分かれています。この図から、何%かというようなことを多少データを加工して――誤差は多少あるかもしれませんが、この19.7%という数字を出した。
 それに対して、2000年のところを見ていただきますとMdΦ7以上の面積割合が38%と、要するに約18%増えている。本来ですと、この1975年から2003年までの間に毎年、例えば、対象海域でMdΦ7以上の割合がどういうふうに経時的に変化したかというデータがあれば、完璧なわけです。でも、それを今さら言っても始まらないので、この2点でございます。学問的と言うか、通常の論文を書くセンスからすると間違いなくりリジェクトされるだろうと、私は思いますが、それを言っていると、もうわからないということで何も進みませんので、一応増えたという、とんでもないとおっしゃるかもしれませんが、これがここの部分で、今のところ見つかったベストの判断で、これでAなのかとおっしゃられるかもしれませんが、とりあえずAにしたと、こういうふうにお考えいただければよろしいかと思います。
 ただ、こういうことをやってみて、これでよくわからないというクエスチョンが出てきますと、例えば、今、福岡県なり、佐賀県の水試の方がそれに近いデータをお持ちだったら、そういう形でもう一度整理していただけばこの辺が本当にAなのか、Bなのか、Cなのかというのはこれからわかってくるのではないかというふうに期待しております。
 そういう意味で、不完全な状態ですけれども、この委員会に示す方が全体の議論が早く進むだろうということで、精査するなんていうレベルではなくて、とりあえず出すということをお許しいただければというふうに思います。
 ということで次に参ります。まず、Aのところをごらんになっていただくと、Aがいかに危ないかもおわかりいただけるからよろしく。その次、32ページをごらんください。32ページまで飛ばしているところはみんなBとか、Cとかで、もっとわからないものです。32ページ、底生生物と底質の関係、これは一応Aにはしてみたんですが、まだ問題だとは思っています。
 これは何かと言うと、底生生物の減少があったというところになります。その原因として底質の泥化と貧酸素水塊を扱っています。ここで、本当はベントスはここにある二枚貝だけじゃないんですが、とりあえず現存量の多い二枚貝というのを選んでいます。ということは、ほかのものについては正直なところわからないというか、今、データが整理できてないというふうに当然お考えいただいて結構です。3.2.1のところで、●が幾つかございますが、ベントスの減少は云々かんぬんということが幾つか書いてございます。ただ、今回整理してみますと、2番目の●、これなかなか難しいのは、有明海全部の話として議論してきて、整理してきたつもりなんですが、ここで議論されているのは、あくまでも潮受け堤防前面海域だけである。となると前面海域のデータをまた持ってこないと議論できないという難しいところがございます。
 それは別にして、これを原因・要因を検証するためにデータを整理してみたのが、34ページ以降に書いてございます。これも、本当に申しわけないんですが、今までやったらこれしかなかったわけです。
 これで、Aとは何事かと思うかもしれませんが、34ページの一番上を見ますと、あるときにかなりの個体数がいて、それに関連する底質のこれはグラフの説明に、例えば泥分率70%以上ですとか、それからMdΦ7以上とか書いていますが、そういうものが多少上がっているというようなことで幾つか書いていますが、なかなかここから先は難しいというか、なかなかわからないところがあるんですが、一応Aにしています。
 ということで、これはこのぐらいにさせていただきまして、その次の、今度は、37ページをごらんください。ここからは魚類の資源量の減少、漁獲量の減少というのが目的関数になります。それに関する説明、変数、原因と要因となるものが幾つか挙がっています。
 そうすると、これにつきましては、例えば、どんなことが言われているかというと、4.1.1の●を見ていただきますと、魚類の資源変動に関与する可能性のある原因が幾つかあるというわけで、ずっと見ていきますと、下から2番目に、水温の上昇、1974年から2000年の間における冬季の表面水温がどのくらい上がったかということを見ております。
 そうすると、これが若干矛盾するというか、まだ要するに決着しにくいところはあるんですが、この図4.1をごらんいただければ魚類の漁獲量の全体がこういうふうに1975年から変遷していると。その間に、最低水温がどういうふうに変化したかというのを幾つかの県のデータから持ってきております。そうすると、例えば、佐賀県とか、福岡県のSラインのデータを見ると、まあそうかなと。そうかなというのは、水温が若干上がっているころ漁獲量が下がっているようにも見えるんですが、ほかの、例えば、熊本県の水温のデータを見ると余り変わっていないようにも見えます。これを、どう判断するかというのはまた専門の先生にお願いしたいと思うんですが、今回、ここではとりあえずCになっています。ですから、余り関係がないのではないかと、いうかこれ以上なかなか進まないところがございます。これも適切でない部分は後でご指摘いただければと思います。
 その次、38ページをごらんください。これは、ノリの生産活動、酸処理剤が今回の目的関数である魚類等の漁獲量に影響を及ぼしたかどうかという質問でございます。その、まず根拠となるものは、4.2.1の、38ページの●のところに出ていますが、これは中田先生の発表の資料の中にノリの酸処理剤などの影響、などですから本当はそれだけではないかもしれませんが一応書かれております。それと、それではさまざまな魚の漁獲量で関係があるだろうかということをプロットしようとして試みたのが39ページの図になります。ここでは、ボラとクロダイとスズキとニベ・グチ類の漁獲量の約二、三十年のデータがございます。酸処理剤の使用量というのもかなり明確なデータがあるわけではないんですが、一応できる範囲で集めてきたのがこの折れ線グラフで書いてございます。説明変数が折れ線グラフ、結果が棒グラフというのは同じような形で整理されています。これを見ますと、関係ありそうにも見えるんですが、ないというふうにも見えるかもしれませんが、今回はとりあえずAということにしております。それなりの相関があるようにも見えるというところでございます。
 その次、今度は、42ページをごらんください。今度は、ここは干潟・藻場の減少が漁獲量に影響したのではないかということが当然いろいろなところで言われております。それが具体的にどのくらい関係しているだろうかというのをプロットしたのが、やはり43ページ、それから44ページになります。この辺になるとなかなかまた難しく、干潟の面積がこの間どのくらい減っているかというのが出ております。もちろん、詳細な経年的なデータはございませんが、今回持ってきたのが3回のデータでございます。これを見ると、確かに干潟面積は少しずつ、パーセントからすればわずかですけれども減っております。ただ、こういうトータルとしての干潟面積の取り方が妥当かどうか、まだこれもこれから精査する必要があると思います。そうすると、多少関係あると言えばあるんですが、このくらいの変化だったら関係ないというふうに見る方もいらっしゃるかと思います。それに対して、次の藻場の方は、もう少し顕著に減っているんで、もう少し見やすくなるというのが次の44ページの図になります。今度は、各魚の漁獲量と、それから藻場面積というものを示しております。
 前後するのを避けるために、ここのところをもう少し続けてご紹介したいと思います。類似なことは避けますが、45ページをごらんください。45ページに、ここも魚類の資源変動に対して潮流速の減少、潮流の向きの変化というようなことが言われております。それを検証するために46ページをごらんになっていただければ、潮位差と、それから漁獲量の変化というものがあります。でも、これは直接潮流ではないんです。というのは、潮流のデータはずっと全部ごらんになっていただけるとわかるんですが、ないんです。要するに最近の潮流のデータはあるんですが、長期間の潮流の変化を定量的に記述した論文は今のところ我々は得ておりません。そういう意味で、潮位差を見る限りにおいては、余り相関がない。これは前回お示ししたアサリと同じようなことでございます。
 それから、ついでに47ページ、海底地形の変化ということですが、きちんとしたデータは得られておりませんので、これはBというふうにしています。
 その次、今度は赤潮でございます。赤潮発生件数の増加、それから大規模化が魚類の資源変動に影響してるかどうかというようなところを見たところが次の48ページから49ページに示されています。
 魚類漁獲量全体と、それからボラ、スズキ、ウシノシタ、コウイカとか、ずっと出ております。これを見ますと、すべてそうかどうかわかりませんが、魚類の減少とともに赤潮の発生日数が増えてくるようには見えるだろうと、比較的ほかのものに比べれば関係がありそうに見えるので、今回こちらの方は一応Aというふうにしています。というようなことで出ています。
 それ以外に、今度は、50ページ以降、これが、底質の泥化が魚類の資源変動にどのくらい影響したかというのが50ページ、51ページに出ておりますが、なかなかよくわかりません。
 52ページ以降には、底質の有機物、それから硫化物の増加等が出ているんですが、基本的に底質の有機物、それから硫化物の増加について、長期的なデータは今のところ得られてないということで、これはわからない。要するにBという判断にしております。
 次の、4.10、貧酸素水塊についても同じ。いろいろなところで言われているんですが、貧酸素水塊についても、長期的に説明するには至っていません。
 それから、4.11、外来種の影響、これもなかなかわからない。
 それから、4.12、漁獲圧との関係というのもいろいろなところで言われております。●が55ページのところにずっと出ておりますけれども、ほかのところもそうですけれども、漁獲圧をうまく――後でアサリのところでご紹介したいと思いますが、うまいデータを得られなくて、きちんと漁獲圧の増加だというふうに、長期的な視点で言うのはなかなか難しいだろうと思います。
 それから、4.13、ここに化学物質ということで、いろいろ言われております。もちろん室内実験で、化学物質が漁獲、もしくは魚に影響するというデータはあるわけですけれども、長期的な変動に対して、例えばTBTが、もしくは、化学物質というのは極めてあいまいでございまして、TBTだけが化学物質ではなくて、ほかにも農薬とかいっぱいあり得るわけですが、その長期的なデータはなかなかわからない、という意味で、短期的な変動はともかくとして、長期的な有明海の異変と言われるような変化を化学物質が原因だと説明するようなデータはまだなかなか得られていないというのがここまでの話です。
 ということで、今までのところが最終的な目標である一番上の段にある魚等に関する影響でございます。
 そうすると、例えば、魚に対して今度は赤潮が影響したとすれば、赤潮はなぜ増えたのかという次のステップの相関関係を調べてみようとしたのが59ページ以降になります。
 そうすると、これも大体同じようなことですから、これからは簡単にさせていただきますが、60ページのところを見ていただきますと、赤潮の発生が水温の影響ではないかというふうに言われています。それに対して水温と赤潮の発生日数をプロットしたものが60ページの図です。そうすると、これはもっと詳細に見れば、それなりの解析はできるのかもしれませんが、この時間スケールで平均水温と、平均水温が妥当かどうかというのは非常に議論がありますが、プロットしてみるとなかなかそう水温だけで説明するのは無理だろうと。もちろん、最初に申し上げましたように複合要因の議論は今しておりませんから、水温と何とかということになれば別かもしれません。ただ水温が顕著に上がっているというふうに、この図ではもちろん見てとることは不可能です。今度はもっと軸を変えて、ごくわずかの水温の変化をどういうふうに評価するかということをやれば、ある意味で別の答えが出てくるかもしれませんが、今のところそこまではやっておりません。
 次の富栄養化、幾つかこれも出ているわけですが、富栄養化とは何かという実は定義が必要です。富栄養化と言われるような栄養塩がたくさん入ってきたのか。それとも、施肥が原因とか、幾つかのほかの要因を出してきたのが62ページ、それから63ページのデータでございます。
 例えば、63ページは、今回の目的変数である赤潮発生日数、先ほど赤潮発生の日数等は折れ線グラフでしたが、今回、目的変数ですから、当然棒グラフになっております。それに対して、流入負荷量、これは環境省の方で、比較的長い間の流入負荷量を推定したものがございます。それを使ってT-N、T-Pの流入負荷量をプロットして、赤潮の発生日数と比べました。もちろん、赤潮の発生日数がいいのか、赤潮の面積がいいのか、そういう議論はございますが、今得たところで赤潮の発生日数を見る限り、余り相関はなさそうですねということが言えるかと思います。同じように、次が、64ページのところが、今度は酸処理剤の使用ということも出ておりますが、これは必ずしも明解な関係はごらんのように認められておりません。部分的にはあるようにも見えるんですが、すべてがそうだというわけにはなかなかいきません。
 それから、次の5.3のところに、透明度の上昇、これは幾つかのところで言われていることです。透明度が上昇することによって赤潮が増えたのではないかということで、これを次の66ページにございますように、赤潮発生日数と透明度を今度は当然のことながら折れ線グラフで示したものです。そうすると、なかなか見にくいところもあるんですが、例えば、長崎県とか熊本県の方になりますと、比較的透明度が上がっているというふうにもとれるかと思います。ただ透明度が1メートル上がったことが、例えば光の量のどのくらいにかかわって、ですから赤潮のどのくらいになるかという、もう少し定量的なというか、科学的な因果関係の解析はまだ済んでおりません。
 それから、藻場・干潟の減少というのが次の67ページにありまして、これも相関があるように見えると言えば見えるんですが、今までの話の中では、まだまだいい方だということで、これも一応Aにはしてみましたが、まだ自信はございません。
 それから、潮流・潮汐の話が、その後出ておりますが、あと二枚貝の減少、72ページをごらんください。ここのところになりますと、二枚貝の減少が赤潮の発生に影響したかどうかと、要するに影響すると言っている論文があるわけですから、それの論旨に従って整理してみたのが72ページ、73ページの図でございます。
 一応これはAというふうにしていますが、Aらしく見える、例えば有明海全体のところを見るとAらしく見えます。ただ、73ページに図がございますが、細かく福岡、佐賀、長崎、熊本を見ますと、まあまあかなと、そうかもしれないし、ちょっと危ないかなと思うようなところもございます。
 それから、今までは赤潮に対して透明度が影響あるかないかという議論をしたのですが、じゃ、その透明度の上昇は何によるんだろうかという、その前の因果関係にさかのぼってみたのが75ページでございます。透明度の上昇要因として、今まで指摘されているのは、河川からの土砂供給の減少というものと、それから潮流・潮汐というふうに言われております。
 これも、それぼど明解ではございませんが、75ページの流入河川水のSSの変化等、これは整理がまだ不十分でございますが、透明度の変化を、例えば77ページを見ていただきますと、多少関係があるかなというようなところが見られます。これも厳密になかなか難しいところがあるのですが、まだいい方ということでそう言えます。
 それに対して、今度は79ページ、潮流・潮汐というのが書いてあります。全体を通じて、当然のことながら潮流というのは大きな要因としてあっちこっちで出てまいります。しかしながら、潮位の変化というのは長期間のデータが得られていますのに対して、潮流の長期的な変化は今のところわかりません。そういう意味で、なかなか検証する、因果関係をきっちり明らかにするというふうには至っておりません。これは全体を通じて非常に大きな残された問題であるだろうというふうに感じております。
 ということで、あと、幾つか底質の泥化とか出ていますが、今まで、ご説明しなかった要因の幾つかをこれからピックアップして最後にさせていただきたいと思います。今まで、お話ししなかったことに、ナルトビエイによる食害というのがございます。これは当然アサリとかタイラギに関係するわけですが、ナルトビエイの食害、例えば13ページをごらんください。
 これは、委員の先生方ご承知のように、ナルトビエイの食害のためにアサリなり、タイラギが減ったのではないかということは指摘されておりました。それは13ページの三つの●のところで書かれております。それに対して長期的にどうかと。短期的にそういう場合もあるかもしれませんが、長期的にどうかというと、簡単に言うとデータがない。ということが14ページに出ております。これ、仕方がないわけです。昔はナルトビエイ問題になっていなかったんだろうと思うんですが、最近のデータはあります。図1.9をごらんください。2001年以降、当然と言うのは変な言い方ですが、山口先生がお調べになったりして、ナルトビエイのデータがございます。これではどうしょうもないもんですから、エイの漁獲量なるものをこういうふうにプロットしてみますと、さあどうだろうかと。関係ありそうにも見えるんですが、なかなかエイとナルトビエイ、違うのにこんな勝手なことを言っていいかどうかという問題もございます。ただ、ナルトビエイの場合は、違う解析をしてみました。表1.2をごらんください。ナルトビエイの資源量はどのくらいか、推定すればそこそこの範囲で出てきます。ナルトビエイが1日どのくらい貝を食べるだろうと、これはあっているかどうか、山口先生に確認というか、修正していただきたいんですが、ナルトビエイがどれだけえさを食べると、そのうちアサリをどれだけ食べるかというふうに考えます。表1.2の5行目のところを見ていただきますと、今のナルトビエイの推定資源量からすると年間3,000トンから6,000トン食べると、こういう答えが出てきます。そうすると、アサリの漁獲量が一番下に書いてございますように9,000トンくらいですから、大きいと言えば大きいと言えます。近年はです。ただ、昔は、アサリが6万トンとか、8万トンとかとれていましたので、そのころだったらいたとしても関係なかったろうと。結局は、1980年代からぐぐっと減ってきたところが、ナルドビエイのせいかと言うと、そういう議論は無理だろう。無理かもしれない。ただ最近のところだと、これは危ないかもしれないということは言えるかもしれません。そういう非常に煮え切らなくて残念なんですが、そういう解析をしてみました。
 スナモグリについては、なかなかデータがなくてわからないというのが次のページにございます。あと一つ、28ページをごらんください。
 これは、ナルトビエイがタイラギを食べているのではないかという疑いでデータを整理したものでございます。タイラギの漁獲量の変化というのが図2.6に出ております。これと、もちろんナルドビエイはございませんからエイ類の漁獲量として、とりあえずプロットしてみたんです。ありそうにも見えますがなかなかよくわからない。あと一つ、今度はナルトビエイがタイラギをどのくらい食べているだろうかと、先ほどのアサリと同じような推定したのがこの下の表にございますが、これすごく大きくなります。もちろん推定の根拠を一個一個もう一度再チェックしないといかんですが、今集めてきたデータで推定すると、タイラギを年間1,700から3,000トン食べている。漁獲量が340トンですから、本当かなと思うところがあるんですが、こういう、推定の方法も一つとして使ってみました。ということでございます。こういうのをさらに精査していって、最終的なご判断の材料になればありがたいというふうに考えております。
 というわけで、あと幾つか飛ばしたかもしれませんが、A、B、Cを一応仮につけました。しかし、まだまだ不十分な点が多いということはお聞きになっていただいた委員の先生方がお気づきになっているとおりでございます。
 そういう意味で、一番最初にお願いしたことをもう一度繰り返しますけれども、まずはやってみたと、このやり方でとりあえずやってみようという、前回のご了解いただきましてからやってみたんですが、これをさらに詰めていくのは、細川先生と私だけではとても荷が重いというか、無理であるし、必ずしも効率がよくない。ということで、本日、評価委員の先生、それから、たくさんの情報をお持ちの小委員会の各先生から専門家としてのご意見、それから新しいデータ、さまざまな報告書を整理すると、もう少し長期的な変化がわかるかもしれません。そういうところで、この精度を高くしていって、最終的にわからなかったら、これはエキスパートジャッジメントをせざるを得ないだろうというふうに考えております。
 ただ、あと一つ、気をつけなければいけないと考えているのは、いわゆる風が吹けば桶屋がもうかるという論理にならないようにしなければいけないというふうに認識しております。要するに統計上というか、データ上、説明変数が大きく上がったら、目的変数がすごく減ったと、だから、そのせいで減ったんだということは言えるかもしれません。ただ、だからと言って、科学的な因果関係をきっちり証明できない限り、それは正しい判断とは言えないというふうに思います。
 今、お示しした中にも、若干そうではないかというようなところが含まれております。それにつきましても、今後精査していって、きちんとした評価をしていただけるたたき台にこれがなれば、我々ワーキンググループの委員としては、大変ありがたいというふうに思います。
 いろいろ言った割にはあいまいなことばかり多くて、なかなか通常の論文を書くようにいかなくて忸怩たるものがあるんですが、一応現時点でやった途中経過というか――これ以上なかなか難しいかもしれませんが、をお示しして、今後の先生方のご判断、それからコメントをいただければありがたいというふうに思います。
 以上でございます。

○須藤委員長 どうも、岡田先生、細川先生、大変な作業をお願いいたしまして、今、中間的な報告ではございますが、いただきましてどうもありがとうございました。
 この後、ご質問もいただく、あるいはご意見もいただくわけですが、今、岡田先生がおっしゃったように、このデータをさらに精査して、それぞれの評価委員会21人で構成されていますが、それぞれの専門の先生方に、これからの質問も、これがAじゃなかろうか、Bじゃなかろうかというのはまだちょっとここですぐ一つ一つやるのは早うございますので、先生方から資料等もあわせていただいて、データ等もあわせていただいて、やっていきたいと思っております。
 それで、提出期限を、今、岡田先生が、コメントをいただきたいと言われたのは、一応5月19日の金曜日とさせていただきたいと思います。
 それと、小委員会の先生方というのは、当然こういう問題についてお詳しいんでいらっしゃって、前々から荒牧先生にもお願いをしてまいったわけでございますが、小委員会の先生方にもご意見をいただきたいと考えておりまして、小委員会が、実は5月18日に開催をされるというふうに伺っておりまして、最後の文献取りまとめもそこで行われる予定でございますので、荒牧先生にご配慮をお願いしたいと考えています。
 最初に、質問をいただく前に、荒牧先生からご発言をお願いしたいと思います。

○荒牧委員 これは、むしろ小委員会の我々の方からもぜひ小委員会でもこういう議論をさせていただきたいというふうに申し入れしておりますので、ぜひ議論をさせていただきたいと思います。その際に、もし、可能ならば、この取りまとめをしていただいた岡田先生に直接説明をしていただきたいのと、小委員会のメンバーの方々の意見を直接お聞きになっていただければ私が間接的に申し上げるよりは非常に効率的でよいのではないかと思いますので、できましたらご出席いただけたらありがたいというふうに、そういうふうに思いますけれども。

○須藤委員長 荒牧先生どうもありがとうございます。
 それでは、岡田先生、今、荒牧先生からそういうご発言をいただいているんですが、5月18日というのはご出席をいただけますか。

○岡田委員 こういう状況でございますので、万難を排して出席させていただきます。

○須藤委員長 そうですか。
 それでは、そういうことでございます。それで、関係県、今日は4県ご出席ですか、それから関係省庁も3省庁いらっしゃっていますか。どうぞ、こういう作業が進んでいるということで、今まで出されていない参考資料とか、あるいはご意見とかございましたら、事務局にあわせてご提出をいただきたいと、こういうことでございます。
 最初に、ご質問いただく前に、今後の進め方が大事なんで、今後の進め方を最初にお決めいただいて、あとは岡田先生の今のご質問やらご意見をここでお受けしたいと思います。
 それでは、どうぞお願いいたします。
 先生方から出された、ここはAじゃなかろうか、Bじゃなかろうかというのは、ちょっとまだ今ここで一つ一つやるのも、岡田先生も困るだろうし、また……そうですよね。

○岡田委員 今の時点でAかBかの議論は、ぜひいじめないでください。

○須藤委員長 こういうふうにして作業を進めていますというのをご理解いただいて、あとは本当に先生方からそれぞれの専門のところで私は潮流はその先生方とか、魚介類はそうだとか、そういうふうにした方がよろしいですよね。
 いいですかね、こんなことで進めていただいて。
 先生何かございますか。ご意見が。
 森下先生、どうぞ。

○森下委員 岡田先生は十分にご存じだと思うんですけれども、一つのものと、こういったいろいろなのが因果関係がつかない場合は、そのものの反対側にあるものとの因果関係をつけていってということを我々するんですね。琵琶湖でもそうでしたけれども。
 例えば、瀬田シジミというシジミがあるときとれなくなった。そのときに、なぜとれなくなるかというのはわかるんですが、瀬田シジミがいなくなったとしたら、そうしたら必ずその反対側に増えるものがいるはずや。その増えるものの挙動を見ていくことで、瀬田シジミがなくなった原因というのを詰めていったことがあるんです。それと同じように、ここに底生動物というのがありますね。物質不滅の法則というのが世の中にはありますから、それだと、底生動物でどんどん減少していくものがあるとしたら、底生動物の中に必ず増えるものがあるんです。だけれども増えたものにピントをあわせて反対の減ったものの理由づけというか、それをしていくことが多分こういうところでは手法としておもしろいんではないかなと。人間の圧力、漁獲圧というのがかかってくる場合でも、もしそれをとらなかった場合に、人が漁獲をしなかった場合にはどういうふうなことが推定されるかというのを詰めていくと、そして、それがどれぐらい増えたり減ったりするかというのを詰めていくと、減少の曲線が意外とわかりやすくなってくるんではないかなというふうに考えますから、3ページのところにある図ですね、この図。その図の中に、例えば、増えたもの減ったものの反対側にある増えたものは一体何だったんだろうと。それから、本当に有明海というところは、八代海も含めてそうですが、それが無生物状態に……将来ですよ、このまま行ったら無生物状態になるかというようなことも頭の中に入れられて整理をされると少しはっきりするんではないかなと。
 それから、生物が大きなものから小さなものに変化していくのは、これは人間がかかわるとしょうがないことです。そういうような、サイズの対象にして、種名ではなくて、サイズを対象にして物を見ていくというようなことも可能であれば、そういうのを学術的には筋の通っているルールがありますね、それを基礎に置いといて、そして、タイラギだとか、エツだとか、そういうものを反対側で見ていくのは可能ではないかなというふうに思いました。

○須藤委員長 どうぞ、何かそれに対して。

○岡田委員 ありがとうございました。先生のおっしゃるとおりで、問題とされている表の生物って変な言い方ですが、アサリとかタイラギは見ましたけれども、ほかのものはそういう視点で見ておりません。まず問題からスタートしたんで、裏問題を解くという作業は全くやっておりませんので、データがあるかどうか、本当はわかりませんが、まず探してみて、ここを論じてみます。ありがとうございました。

○須藤委員長 それと、今のもう一つ大事な点、サイズが大きいものから小さいものに移るとか、この辺ももしかしたらあるのかもしれないわけです。ないなという気もしますが。どうぞ。

○森下委員 日本はカトリックの国じゃないので、いいものと悪いものというような表現は、大変生物にとっては、それはブッシュさんが言われるのならいいですけれども、我々はやっぱり仏教の国ですから、命のあるものにいいもの、悪いものという表現は科学者としてはできるだけ使わないでいただきたいと思います。

○須藤委員長 どうもご意見ありがとうございます。

○岡田委員 ありがとうございました。

○須藤委員長 滝川先生、どうぞ。

○滝川委員 岡田先生、最初に基本的考えという事で、お示しになっているので、あえて申し上げるところはないのですが、非常に大きなスパン、長期的なスパンの中で何が大きく影響しているのかということを明確化する目的でお示しになったんですが、短期的、あるいは局所的な問題というのは、今後取り組んでいく要因であるというふうに書かれているんですが、例えばイグザンプルとして整理されているんですけれども、赤潮なら赤潮の発生がどこで起こったのか、それに関する要因がどうなのかということをやっぱり議論していかないと、余り皆さんA、B、Cとつけるにしても、ちょっと難しいところがあるのかなという気がちょっとしておりまして、ある程度の踏み込んだ、どこの場でどうだった。例えば熊本県の赤潮、佐賀県の赤潮発生といっても有明全体のどこら辺のことを指しているのかということの関連ですが、それと潮流、潮汐等とかいろいろな要因がございますが、ある程度そういったところを踏まえて議論する方向というのがやっぱり必要なのかなと、ちょっと気がいたしました。

○岡田委員 おっしゃるとおりでございまして、それで、我々としては、有明海の赤潮ではなくて、熊本県なり、それから佐賀県なりと分けてやろうとしたんですが、だんだん分けて処理すると結局データがないんですよ。ですから分けたんだけれどもまた元に戻すとか、そういうつらい作業というか、しょうもないことを結構やっております。だが、先生がおっしゃる趣旨は当然のこととは思います。
 それと、短期的なことにつきましては、今日実はきちんとご報告するのを忘れてしまって、まことに申しわけございません。さっきちょっとだけご紹介いたしました。資料2-1の備考のところを見ていただければ短期的なところでわかっているところはある程度書かれております。短期的なところだけを見て有明海の長期的な異変の議論をするわけにいかんので、とりあえず長期的地点でやりましたけれども、先生がおっしゃるように、短期的なことを無視してすべてを片づけよう、そういうつもりではございません。ありがとうございました。

○須藤委員長 では続いて、岡田さん、今の短期的、局所的、それお願いしますね。ということで、小松先生どうぞ。

○小松委員 非常に因果関係が混沌としている中で、限られたデータで、大変な作業をしていただいて、ファーストステップとしてはやむを得ないのかなという気はするんですが、例えば、魚類の漁獲高の変遷を見ると、全体的に右肩下がりなわけですね。そうするといろいろなファクターが、例えば右肩上がりか右肩下がりだと相関があるという結果が出てくるわけですね。現象は、例えば、Aという原因があって、Bという結果とCという結果が出てきているとき、BとCを比べると一見関係があるように見える。BとCの間に因果関係があったかというと必ずしもそうでないわけです。ですから、ここでのおまとめのときに、因果関係という言葉よりは、関連があるとか、相関があるとかいう方がいいのかなという感じがしています。原因と結果ではなくて、結果と結果を比較しているときもありますので。

○須藤委員長 因果じゃないんですね。

○岡田委員 実はその言葉自身で、実は何度も書き直しておりまして、なかなかいい言葉が見つからなくて、まさに先生おっしゃるとおり、今回は因果関係とか、相関関係という言葉も使ったり、ちょっと混乱しているのがそのまま残っております。申しわけございません。それは、ご指摘のとおりでございますので、逆に、今、先生からご注意いただいたような視点で委員の先生もごらんになっていただければありがたいと思います。我々としても精査してございません。

○須藤委員長 ありがとうございます。ほかの先生方、清野先生どうぞ。

○清野委員 大変膨大な資料を大きな道筋をつけていただいている岡田先生ありがとうございます。
 こうやって整理してみたときに、あらためて全体と局所の関係というのと、長期と短期という問題が出てきたと思います。それで、委員の先生方からご意見も踏まえて、意見と、それから今後の進め方の具体的なことを伺いたいと思います。
 まず、局所の問題についてなんですけれども、こういう問題って、ホットスポットというような非常に顕著に現象があらわれる場所と、それから平均的に変化する場所というのは分けて考えた方がいいんじゃないかと思うんです。その点で、ホットスポットというのがどこかというのは、既に水産庁の漁業汚染のヒアリングによって、ここは非常に物理的に、例えば潮流とか潮汐が変わったというふうに表現がある場所があります。これも結構大事だと思うのは、この議論の中で、例えば、全体的にその潮流・潮汐とか、海底地形についての長期的データがないということでおっしゃっているんですけれども、そういう展開以外に、やはり膨大な地域の観察記録というのは大事でありまして、それをある程度粗い処理は終わっているんじゃないかと思うんです。それで、今までの漁業者の方だとか沿岸住民のヒアリングをもとに、ホットスポットを幾つか選んで、そこのときにその局所と全体との関係というのを、どういうふうに整理したらいいかという均一スタディーをやってみたらいいと思うんです。そうじゃないと、先ほど滝川先生もおっしゃったように、なかなか地先で見ている人たちがこういうふうに全体の情報がありませんということで片づけられてしまうと違和感があると思いますので、私自身もそこを科学的データじゃなくて、科学的データというふうに今までは言われてないかもしれないけれども、どうしたら多くの人が観察している、疫学的な情報を、この問題に取り入れていくかというのが、チャレンジするべき点だと思います。
 これの、そういった疫学的な方法を環境問題の解決につなげる場合に、これは、実際にその後の計画を考えたときには、調査とか、考えるということに、多くの国民の方というか、沿岸の方が参加してくださること自体が、過去が、何があって、何を注意すべきで、今後は有明海・八代海の再生のために何を努力するかということをより多くの人が考えてくれるというような、そういう意味での発展というよりも期待されるわけです。ですから、過去の資料の中で、もう一度ヒアリング等を、長期変動のデータというのは国の方でなさったもの、それから熊本県の方でかなり丁寧に整理された資料が出てきておりますので、それをご参考にしていただければと思います。
 最後に、進め方なんですが、ワーキングもそうですが、それから、こういった岡田先生・細川先生のご尽力もなかなかどういう仕組みで、どういうふうになされているのかというのが伝わりにくいというか、そういうことがあったので、つまり、ワーキングの人がデータを解析するときに、それは、お願いしたら、再解析していただけるのかとか、あるいは、それはどういうふうに、例えば自分の研究としてやらなきゃいけないのかとか、そのあたりちょっとわからなくて、そこも具体的に意見を言うだけじゃなくて自分たちもやるというときに、どういうふうに進めていったらいいのかというところもお願いできたらと思います。以上です。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 今の点なんですが、こういう行政の報告の場合は、ある時間の中で整理をしていかなければいけませんから、後でパブリック・コメントの結果がありますが、一番大事なのは委員会報告をしなくちゃいけないんですが、その時間までに間に合うというか、解析評価ができるんであるならば、例えば、先ほど私は専門の先生方にコメントやらデータを出していただきたいということをお願いしたんですが、その中で、例えば先生が研究をし、あるいは解析をしていただけるんでしたらそれを出していただきたいし、調査がもし必要だとおっしゃられば、それこそ予算が許される範囲内ではそれは可能だろうと思いますので、先生方にもそれに参加していただくんで、ただ意見だけ出してくださいということでは、岡田先生ないと私は理解したんですが、そういうことでよろしいですか。新たなデータも加えて、あるいはもしも調査が必要であるならばそれをしていただく。どう、岡田先生、それ今の、よろしいですか。

○岡田委員 はい。

○須藤委員長 私はそういうふうに理解して、先ほど意見を出してくださいというのは、ここはAじゃないか、Bじゃないかということを単純に言っていただく意味ではなかったんです。ただ、時間的な問題があるんで、そこは出していただいた上で、委員会報告は大体いつごろまでですかね。どのぐらいまでに今のような意見が出されればよろしいですかね。これはちょっと行政の方に伺っておいたらいいんですけれども。今度に間に合わなくたって私いいと思っているんですよね。

○環境省閉鎖性海域対策室長 先程、先生から言っていただいた5月19日、それはとりあえずの、岡田先生に発表いただいた作業が続くと思いますので、それは次回の評価委員会に、またリバイスしたものを出していただこうということであれば。

○須藤委員長 そういう意味ですね。

○環境省閉鎖性海域対策室長 それぐらいまでに出していただければ、それで小委員会の議論もあわせて反映したもので、またもう一回議論していただくということでありますので、その後であっても、随時できるものは反映していただければ、委員会報告自体は今年の秋から、年内になりますので。

○須藤委員長 大体年内、ですから半年ぐらいはまだ、ですから、ご研究なり、ご調査なりしていただけるものならば、そういう範囲内であるならば報告には間に合うと、こういうふうに思います。ですから、5月19日と言ったのは、岡田先生の今出したところについて、やっぱり時間的にそういう制限があるのでということでありますし。
 それから、今、こういうことを私がやりたいとおっしゃっていただいてもいいんです。多分間に合うでしょうというようなことでおっしゃっていただいてもいいし、それはそのように、岡田先生それでよろしいかな、まずは。いいですね

(岡田委員うなずく)

○須藤委員長 ほかの先生どうぞお願いします。よろしゅうございますか。
 それでは、まだご意見あるのかもしれませんが、とりあえず、今日のものはこれは決定したわけじゃございませんので、岡田先生、細川先生の中間作業をこんな状況なんだよというようなことをご紹介いただいて、それに対して局所的問題、短期間的問題、これが非常に重要なんで、それがほとんどお話しになってない、抜けている、八代海については冒頭もうお話しがあったように、後でまた議論いたしますが、今回の作業の中には入ってないという問題で、有明海・八代海総合調査評価委員会では、報告書の中には八代海のことは当然示さなくちゃいけないんで、これは鋭意また作業をしなくちゃいけないということで、これは後ほどの議題にさせていただきます。次に、この前の中間取りまとめについてのパブリック・コメントの結果が出ておりますので、これは事務局からまとめて報告をいただきたいと思います。

○環境省閉鎖性海域対策室長 それでは、資料3をごらんいただきたいと思いますけれども、中間取りまとめに対するパブリック・コメント、26の団体及び個人の方々からご意見をいただいております。それを整理したものでございます。
 個別の内容は後ほど担当の方からご説明いたしますけれども、最初に、今回整理をした考え方を若干ご説明をしておきたいと思います。
 ごらんのとおり、ご意見の内容につきましては、かなり長文のご意見もございましたけれども、中間取りまとめの項目ごとに整理をしてご意見の内容を簡潔にまとめまして、ご意見に対する考え方の案ということで右側の欄に書かせていただいております。
 特に右側の欄の書き方の考え方でございますけれども、まずご意見の中で事実関係に関するご質問が幾つかございました。それについては、私どもでわかる範囲で個別に回答案をつくらせていただいております。それから、他方今後の評価委員会での審議の方向性とか、結論とかに係わるようなご意見もかなりございました。
 これらにつきましては、今の時点で具体的に個別に回答するというのはちょっと難しいかなと、むしろ今後のこの委員会における審議の中で適宜議論をしていただくような内容が相当ありますので、これについては、今回個別に具体的な回答案をつくるということはいたしませんで、今後、評価委員会での議論、審議の参考にさせていただきたいといことでコメントを書かせていただいております。
 全部で110ほどありますので、全部はちょっとご説明できませんので、主なものを中心にご紹介させていただきたいと思います。

○須藤委員長 それでは、坂本室長補佐どうぞ。

○環境省閉鎖性海域対策室長補佐 それでは、資料に沿って主要なポイントについて紹介させていただきます。
 資料ですけれども、一番左のナンバーが整理番号になっております。その右が分類で、これは章の番号になっています。それから項目、ページ、行という順になっていまして、その隣にご意見の内容、ご意見に対する考え方(案)という順番で表になっております。
 まず、整理番号の3番のところをごらんください。
 これ、3章ということで、主要な論点に関する議論の整理というところの全体的なコメントをいただいておりまして、内容を紹介させていただきますと、まず、数字ですね、統計的な数字の大小は平均値で影響を判断しているということで、こういった影響の判断は漁業の操業であるとか生物の分布とか生産に実際に問題となるレベルなのかどうかというような点から議論すべきというようなご意見をいただいております。
 続いて、6番ですけれども、中間取りまとめでは、公共用水域の結果を中心に、そのデータの整理をしているものですから、浅海定線の調査についても解析すべきというようなご意見を2件いただいております。
 それから、7番でございますけれども、これは後ほどもご意見がありますけれども、有明海の湾奥の密度成層の強化についても取り上げる必要があるんではないかというようなご意見をいただいております。
 それから、ちょっと飛びまして11番のところでございます。続きまして、河川の影響でございますけれども、これは昭和36年から平成6年の間の河床材の変化を示した図が3.3.8ということで載っておりまして、この図について、昭和36年から平成6年の間の変化を示したものであって、これは図の中での説明ですので、平成に入ってから下流域でシルト、粘土が増えたというような暫定になっておるものですから、まだ、そこまでは言えないんではないかというふうなご意見をいただいております。
 続きまして、やはりまた河川に関するご意見でございまして、12番でございますけれども、諫早干拓による河川水の動きの変化を取り上げるべきというようなご意見がございました。
 それから、13番については、八代海の再生を妨げるような河川事業の評価について行われるべきというようなご意見もいただいております。
 続きまして、その下の14でございますけれども、これは汚濁負荷になりますけれども、これについては、負荷の総量とあと系別構成が八代と有明では違うということなので、記述では、ほぼ同じ傾向が見られるというような記述だったものですから、適切に書くべきだというようなご意見をいただいております。
 それから、16番、藻場・干潟でございますけれども、これにつきましては、諫早干拓による干潟消滅をつけ加えるべきだというようなご意見をいただいております。
 それから、18番でございますけれども、潮流・潮汐になりますが、これは潮受け堤防の影響に関する記述でございまして、年平均差、1979年に18.6年周期で極大のところでございますけれども、79年の極大値と95年の極大値に明確な差があるのではないかというようなご意見。
 それから、ii  でも同じようなご意見がありますけれども、95年に再度極大となるはずが右肩下がりになっているんではないかということでございます。
 それから、あと、口ノ津を1とした大浦の増幅率につきましても、一貫して減少しているのではないかというようなこと等の理由から、潮受け堤防の影響が読み取れなかったというふうな記述というのは削除すべきではないかというようなご意見をいただきました。
 それから、20番、これもまた潮流・潮汐でございますが、諫早干拓による潮流・潮汐について四つの見解を示しているが正しいものを選び出すということで、この四つの見解というのは、三つの要素、有明海の内部要因、あとは潮位の平均的な上昇であるとか、あと外海の潮汐振幅の減少という三つの要因がそれぞれどの程度寄与するかといった問題について、既存の文献を四つに整理したものですけれども、中から正しいものを選び出すべきではないかというようなご意見もいただいております。
 それから、次のページをめくっていただきまして、これまた潮流・潮汐でございますけれども、26番をごらんください。有明海全体の変化が非常に小さいというような報告があるが、これは一部のシミュレーションであるということで、他のシミュレーションもあるんではないかというようなご意見をいただいておりまして、一方で、また漁業者の体験からしても、流速なり流向が変化したというようなことが言われているのに対して検討がなされていないというようなこと。あと、それから、島原半島沿岸での実測値は減少しているというようなご意見をいただいています。
 それから、27番でございますけれども、これも先ほどと同様のご意見でございますけれども、有明海全体で最大流速の変化が非常に小さいということでございますけれども、この点に関して、生物的な立場から、生物にとって小さいと言えるのかという、そういう根拠はどこにあるのかというようなご意見をいただいています。
 それから、29番でございますけれども、29番につきましては提言でございます。これについては、いつまで調査をするのかと言った漁業者の声があるというようなこと。あと、それから有明海の再生につきましては待ったなしの状態であるということ。これについては、現状と与えられたデータで判断が求められるのではないかというようなご意見がありました。
 それから、続きまして33番でございますけれども、漁民証言から、流れが東に寄ったのではないかということで、これは、潮流が起きて、これよりは強くなったことが推定されるので、流向について検討していないということは問題ではないかというご意見がございました。
 それから、34番でございますけれども、筑後川の河川プルームの流向変化であるところの最大流速出現時刻の変化について検討してほしいというようなご意見がございました。
 それから、35番潮流ですが、透明度の上昇であるとか、底質の細粒化、コア流速の減少によると考えられるので、こうしたことを総括的に判断してほしいというようなご意見でした。
 それから、36以降が赤潮になります。赤潮につきましては、有明海の赤潮発生に関する情報をまず整理するということ。さらに、90年代後半の赤潮増加というのは潮流鈍化、干潟減少による透明度の上昇が原因ではないかということ。さらに、90年代後半に河川からの懸濁物が減ったというデータはないので、透明度の上昇というのが河川懸濁物の減少のみから生じるという説明では妥当性を欠くのではないかというようなご議論がございました。
 それから、38番でございますけれども、2000年の赤潮の問題ですが、特別なものではないというような記述は漁民感覚からかけ離れているというご議論がございました。
 それから、39番でございますけれども、渦鞭毛藻についてですが、渦鞭毛藻については、枯渇した諫早湾の底泥から栄養補給ができるので、締め切り後に渦鞭毛藻が諫早湾に増えたのではないかというようなご意見がございました。
 それから、42番でございます。必要な資料、赤潮の発生件数であるとか、被害件数、あと渦鞭毛藻の赤潮の増大であるとか、降水量との関係といった必要な情報については掲載すべきであるというようなご意見がございました。各項目とも、データがそろっているので、赤潮の大規模化の要因の考察、さらに成層化についても検討すべきであるというご意見をいただいております。
 3.8からは、底質環境でございます。44番をごらんください。これは、泥化について、原因が時期的に二つに分かれるのではないかというようなご意見がございまして、70年代から80年代の原因と90年以降の原因というのを区別して論じるべきではないかというようなことでご意見がございまして、過去からの延長線でこういった変化をとらえようとする姿勢というのは曖昧化につながるのではないかという発想で、泥化の時期と原因を明確にしなければ的確な再生ができないんではないかというようなご意見がありました。
 あと、45番でございますけれども、泥化の指標として使っている中央粒径値についてのご意見がございまして、中央粒径値のみの判断では生物の立場から見るとうまくあわないのではないか。むしろ含泥率で見る方が生物の分布とうまく対応することもあるというようなご意見もいただいています。
 次のページをめくっていただきまして、48番から52番、泥化がいつ起こったのかというようなことと、あと泥化の要因は何かということについてご意見がございました。48番では、シルト層の形成というのは、タイラギが不漁になった94年以降に起こったのではないかというようなご意見、それから、49番では、7、8年前から底質が悪化したという漁業者の証言があるというようなご意見がございました。あと、50番では、筑後川の土砂供給量について、1965年以降はそんなに大きな変動がないので、有明海の透明度上昇は、潮流・潮汐の減少などの海洋環境変化によるものではないかというようなご意見、透明度の上昇というのは、浮泥の堆積なり、泥化の進行となって進行するので、こういったことを考慮しないで、泥化を述べることは科学的でないというようなご意見もございます。
 それから、次のページをおめくりいただきまして、54ページでございます。これは、酸処理剤による環境悪化ということでございますけれども、これは、農林水産省より悪影響ということは否定されていて、漁業者も同省の指示に従って酸処理剤を使用しているということから、この記述は農水省の対応を否定するようなものであるが、その判断の根拠というのはあるのかというようなご意見でごさいました。
 それから、55番でございますけれども、60番と同じようなご意見でございますけれども、要因の明確化が必要であると。これをしなければ改善策について効果が上がらないのではないかというようなご意見がございました。
 それから、57、59番でございますけれども、こういった泥化の原因というのは潮受け堤防が根本的な原因であるというようなご意見もございます。
 それから、3.9の貧酸素水塊の発生でございますけれども、62と64をごらんください。ここでは貧酸素水塊に関する継続的なデータはないということに対しては、硫化水素が確認されている範囲であるとか、あと底生生物が減少しているという点から、総合的に評価して、何らかの結論を出すべきだというようなご意見がございました。
 続きまして、7ページをごらんください。底生生物の方に入りますが、65番をごらんください。65番については、1989年と2000年のデータを比較していますが、この調査だけで底生生物全般の動向を一般的に論ずることは無理なので、潮止め後の数年にわたって季節的にデータをそろえて、比較を行うべきだというようなご意見をいただいております。
 それから、67、69番でございますけれども、希少種なり、新種が生息しているのではないかということで、こういった詳細な比較検討を行うべきだというようなご意見もいただいております。
 それから、3.11に入りまして、水産資源でございますが、70、71番につきましては、ノリの生産について地域差が生じているというご意見がございまして、原因としては、工事の影響であるとか、あとは河川プルームが佐賀県側に偏流しているんではないかというようなこと、あとは諫早湾内水の流入などがあるのではないかと、原因としてあるのではないかというようなご意見がございました。
 それから、あと72、73、75、あと次のページの76番につきましては、干拓事業による二枚貝の影響を検討すべきというようなご意見でございまして、72につきましては、アゲマキの大量斃死、73につきましてはアサリ、75、76についてはタイラギへの影響について検討すべきではないかというご意見をいただいております。
 続きまして、8ページの77番でございますけれども、ナルトビエイの食害についてでございます。魚類全般の生態の多角的調査なしにナルトビエイの駆除を行うというのは問題であるというご意見がございました。
 それから、78番でございますけれども、複数の魚種が統計上一つにまとめられているということで、ボラについては、そのボラとメナダが入って、クロダイについてはクロダイとキチヌが入っているということで、こうした分類であると年変動が相殺されて、資源変動が小さくなる可能性があるので考慮すべきではないかというようなご意見。
 あと、コイチ、シログチであるとかメイタガレイなどについての資源は減少しているのではないかというようなことがご意見としてありました。
 それから、80番でございますけれども、諫早湾というのは、事業の生育なり産卵場の役割を果たしているということから、こういった成魚の出現場所の図を示せば、魚類の減少の理由というのがわかるのではないかというようなご意見です。
 それから、83番でございますけれども、これはアサリについてでございますが、覆砂をすれば一時的に回復するので問題は底質にあるんではないかということで、こういったことを原因・要因として書けるのではないかというようなご意見がございました。
 それから、84番でございますけれども、やはり、これも原因・要因に関するところでございまして、底生の魚が減っているということを考えれば、貧酸素であるとか、底質の細粒化が最も影響を与える要因とすべきというご意見がございました。
 それから、86ページ、これは4.1の要因相互の関連及び重要性の分析のところでございますけれども、中間取りまとめでは、直接的影響の考察はしているけれども、間接的な影響というのが十分検討されていないということで、直接的な影響と間接的な影響がうまくつながるように検討すべきということで、例えば水産資源学者が泥化の要因についても検討した方がいいんではないかといったご意見でした。
 それから、9ページに行きまして、87番をごらんください。これは、四つの事項ということで、今後検討すべき事項として、泥化を含めて四つ挙げていますけれども、さらに分析することと、現時点で判断することを仕分けすべきであるということ、あと、困難な生活に追い込まれる漁業者もいるので、評価を先送りすべきではないというようなご意見がございました。
 それから、89と90でございますけれども、有明海の環境悪化をステージ分けしてとらえるべきではないかというような趣旨のご意見がございました。
 それから、4.2再生に向けた対策とオプションとその評価でございますけれども、93番をごらんください。ここでは、まず有明海の場合は、不確実性の中で環境管理をするには、まず漁業被害対策のための環境管理を考える必要があるのではないかということで、その際には、総合的な考察、予防原則、疫学的な考察、不可知論の克服という四つの考え方が必要となるというご意見がございました。
 あと、94番をごらんください。不確実性を扱う対象の考え方としては、adaptive managementが生態系管理の常道となっているというのは基礎である。中長期開門こそ、この順応的管理の具体化にほかならないというようなご意見もございました。
 それから、章に分類できないような全般的なご意見ということで、その他ということで分けておりますけれども、95番をごらんください。これは、中間取りまとめは各種の調査を併記しただけで、それらを総合的に評価したものではないというようなご意見をいただいております。
 それでは、次のページをめくっていただきまして、99番をごらんください。これは、問題の発生機構にとどまるだけではなくて、疫学的な観点から障害となるような要因を明確に評価すべきではないかと、これにより真に海域の再生をもたらす特別措置法の見直しが可能となるというようなご意見をいただいております。
 それから、103番をごらんください。これにつきましては、八代海に関するデータ収集及び検討が少ないのではないかということで、不足するような項目については、国による調査の充実強化が必要と考えるというご意見をいただいています。
 それから、104番ですけれども、一刻も早い対応が必要なので、わかっている範囲で試行錯誤で再生策を進めるべきというご意見です。
 また、開門調査につきましては、調査案の一つとして、その実施を提言すべきというのが11件、それから調査研究のマスタープランを中長期開門を中心として作成するべきだということを提言すべきと言った意見もございました。以上でございます。

○須藤委員長 どうもご説明ありがとうございました。
 それでは、先ほど冒頭に高橋室長がおっしゃいましたように、一つ一つの個別の意見について、ここでそれぞれの意見に回答するという、必ずしもそういうわけではございませんので、ただ、意見の内容は私も拝見させていただいて、要約はもちろんされていますが、110あったですかね、110の意見はすべてここに網羅されていると思います。それに対して、ご意見に対する考え方というのがかなり評価委員会での今後の資料の参考にさせていただきたいと、こういうことが多いわけでございますが、ただあとはすぐにここでお答えできる問題についてはここでお答えをさせていただいたと、こういうことでございます。
 今のご説明に対して何かご質問なり、ご意見ございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。それでは、このパブリック・コメントの結果につきましては公表をすることになっております。公表資料につきましては、ただいまの部分をもう一回推敲して、公表させていただきたいと思いますが、それにつきましては、委員長が責任を持って実行させていただきます。それでは、次の議題、再生関連事業の報告ということで、これから幾つかの再生事業について報告をいただきたいと思います。
 最初に、西海区水産研究所の木元科長から、有明海の貧酸素水塊の調査についてということでご報告をお願いをいたします。
 科長どうぞお願いをいたします。

○(独)水産総合研究センター西海区水産研究所有明海・八代海漁場環境研究科長 西海区水産研究所の木元でございます。
 環境省、水産庁、九州農政局で連携して行っております有明海貧酸素水塊広域連続観測の結果と18年度計画の概要について、調査を担当いたしました水産総合研究センターよりご報告させていただきます。

(パワーポイント使用)

  有明海貧酸素水塊広域連続観測と称しまして、平成16年度より3省庁によりまして、有明海の奥部で発生しております貧酸素水塊の実態を把握して、それの発生機構を解明し、漁業対策に向けるということで調査を実施しております。
 これは、平成16年度、2004年のときの調査結果の一つの例でございますけれども、8月のときに、有明海の西部と諫早湾内で貧酸素水塊が同時的、また別々に発生していることが明らかになりました。
 この調査を継続するということで平成17年度も同様に進めまして、有明海の海底の地形にあわせて干潟域から諫早湾まで、3省庁合同して調査を進めています。
 調査につきましては、貧酸素水塊の発生の状況をリアルタイムに把握し、それに基づいてほかの調査事業を行うということもあり、黄色の点でリアルタイムにデータを取得してデータを公表しました。
 諫早湾の中では、九州農政局によりまして、海底から表面まで0.5メートルピッチで1時間ごとにデータを取得しております。また有明海の中では、既存の施設、また、ブイを設置して、海底直上のデータを取得し、また、沖の方では、通信用のブイを設置して、海底・表層・中層の水温、塩分・溶存酸素・クロロフィル等のデータを取得しました。
 平成17年度に関しましては、データを私どもでも把握し、また対策をするということ。また、広く関係の方に知っていただくということで、ホームページを通じて有明海の奥部のデータを公表しました。九州農政局からは諫早湾のデータについてホームページでデータが公表されました。
 では、ここより17年度の観測の結果についてご報告させていただきます。
 平成17年の気象につきまして、これは気象庁のアメダスデータの佐賀市の気象データを示しています。平成16年度は、九州に台風がたくさん来襲しましたが、平成17年度は台風が9月に一度上陸したということで、平成16年に比べて静穏な時期が長く続きました。ただ、特徴として、気象による擾乱が続いたとか、また北風が時として吹きまして、それが海域の環境に影響しているということがこの整理の中でわかってまいりましたので、ここでそういう状況をご説明させていただきます。
 気温につきましては、全般的に高く、この8月の下旬に関しましては若干低く、平年より低くなっておりますが、大体において平年並みかやや高目で推移しました。
 このデータにつきましては、有明海の全域での14観測点のデータを一つにまとめたものです。上に大浦の潮汐を示していますが、小潮とそのあとに続く時期に貧酸素が発生しております。先ほど申し上げました、風が吹いた時期の7月の下旬には貧酸素にならなかった状況が見ていただけます。
 この後、海域ごとに特徴的な現象が起きておりますので、そこをご説明申し上げます。
 有明海は干潟域が湾奥部に広がっており、そこでの溶存酸素の変動を見てみますと、干潟域では先ほどと同様に小潮のたびに溶存酸素が下がっております。中でも干潟よりもやや沖側の点では、干潟域よりも低い溶存酸素になっておりまして、8月の中旬、また8月の下旬には無酸素に近い状態まで貧酸素になっております。このように干潟域と、干潟縁辺部では、小潮とその後に著しい貧酸素が起きているというのが有明海の現状です。
 干潟域から、海底地形に沿いまして、沖合までの観測点のデータをここで比較してご紹介いたします。
 青の線が干潟域、またピンクに示したのが干潟縁辺部で、水色と黄色が沖合域を示しています。
 干潟域と干潟縁辺域では、小潮の時期に貧酸素化しておりまして、先ほども申し上げました一時的に無酸素になっておりますが、沖合域に関しましては、それよりずれて溶存酸素が下がっております。水深10メートルの点につきましては、干潟域よりも二日程度、また、水深20メートルの点では、それよりさらに二日程度遅れるというように、沖側の方で貧酸素でのタイミングが遅れて、かえって大潮のときに溶存酸素が低下する状況になっております。
 この沖側の点、これは水深10メートルの点ですけれども、そこにおける貧酸素の発生の状況を報告させていただきます。
 6月、7月、8月、9月の各月の溶存酸素の変動を示していますが、風が強く吹きました8月の下旬と、台風が上陸しました9月の上旬には溶存酸素が上がっておりますが、それ以外の時期につきましては、溶存酸素が低い時期が長く続いております。これが、平成17年、2005年の特徴ですが、中でも8月について見てみますと、8月の上旬に降雨があった後に、水塊が成層し、その後、溶存酸素が徐々に下がって貧酸素化しています。
 8月の下旬に風が吹いて、成層が解消されるまで貧酸素が続いております。この中層では、青い線で示したものは水深8メートルの溶存酸素を示しておりますけれども、底層よりも中層で低い溶存酸素が観測されておりまして、流速のデータなどを吟味してみますと、浅海域の貧酸素水がこの海域に移流しているという状況がわかりました。
 水深10メートルより岸側の観測点での断面におきまして、定期的な観測を実施しておりましたので、その状況を報告します。
 水温・塩分・クロロフィル・溶存酸素を示しています。この夏場の時期に、成層が形成されまして、その成層より表層部ではクロロフィルが高くなっておりまして、時として赤潮的な状態になり、溶存酸素は高くなりますが、それより下のところでは、溶存酸素は低くなっております。8月の中旬には、干潟の縁辺から沖にかけて溶存酸素が30%以下、20%程度に下がっているのが断面観測としても得ております、9月上旬にも干潟の縁辺のやや岸側の方にもかなり著しい貧酸素が出るというのが昨年、一昨年で観察されている状況です。
 先ほどの断面でお示しました点における経時的な変化をここに示しております。溶存酸素と、干潟域と干潟縁辺部の流速、また、そのときの佐賀市の風の吹き方、潮位を示しています。中潮から小潮、また中潮に変化している時期ですけれども、当初、溶存酸素が干潟域、干潟縁辺域で高い状況ではありました。風が吹いていたということもあり、流速がそれなりにあったわけですけれども、小潮になって風が弱まり、また流速が小さくなると、干潟縁辺部で急速に溶存酸素が低下し、無酸素に近い貧酸素が発生しています。その後、潮が大きくなる、また風が吹くようになって貧酸素が解消されているということで、小潮の末期に風とも絡み合って、干潟縁辺部で著しい貧酸素が起きているということが観測で見られております。
 有明海奥部では、このような貧酸素が発生しているというのがまず間違いないと思われますが、この海域につきましては、有明海の特徴であります浮泥が海底にたまる、また懸濁物も多い海域でして、そういうものの大きな酸素消費により、成層の安定化した、また夏場の小潮期に急速に貧酸素が発生している、そういう状況が起きていると考えます。
 その一方、沖側につきましては、成層が発達した夏場におきまして、水中の中の懸濁物と海底泥の酸素消費によって、徐々に貧酸素が進むという状況があり、また浅海域からの潮汐に伴った移流も加わって、緩やかに、徐々に貧酸素が起きる構造になっていると考えております。
 平成16年度の結果につきましては、一昨年の秋にご報告をいたしましたが、2005年の22点での観測におけます底層のデータを全てつなぎまして、海底直上層の溶存酸素濃度の変動をここでご紹介いたします。
 中潮期から、小潮、また中潮にかけての変化の状況を報告します。この時期は、中潮期で、西の方でもう既に貧酸素が起きておりまして、小潮になると潮がだんだん小さくなるわけですけれども貧酸素の程度が増してまいります。
 小潮の二日目になりますが、諫早湾の中、また、湾沖で貧酸素の程度が徐々に進んでまいります。
 小潮の三日目ですけれども諫早湾の中では、溶存酸素が30%以下のところが、また有明海奥部では20%以下の貧酸素の場所が出てまいります。
 小潮になって四日目で、一日の潮汐が小さくなる時期になりますと北西部の鹿島市沖の沿岸で10%を下回る貧酸素になっております。また諫早湾の中でも20%以下の貧酸素となっております。
 その後中潮になりますが、潮汐の小さいときは溶存酸素は低いですけれども、だんだん潮が大きくなると、湾奥で溶存酸素の回復が見られるようになってまいります。
 そのあと、潮が大きくなるにしたがって諫早湾の中と有明海奥部でも溶存酸素が上がります。けれども、かえって沖の方で溶存酸素が下がっていく状態が起きておりまして、先ほど申し上げましたように、沖合での貧酸素化が進んだ結果として、沖合の溶存酸素の低下が起きていると考えております。
 貧酸素水塊広域連続観測は2004年と2005年の2年継続して行っておりますが、両年の貧酸素の発生状況を整理して比較しました。
 2004年と2005年におけます溶存酸素の飽和度が40%以下のものをカラムで示しておりますが、観測値の中に占めます溶存酸素の低い値、これは30%から40%の濃度、これは20%から30%のもの。そういう溶存酸素の濃度のデータが得られた割合を示しています。7月の2004年と2005年を比べたものですが、2004年は湾奥での貧酸素の低下の程度が高かったという結果が得られております。8月には湾奥北西部とか諫早湾では同程度の貧酸素の発生頻度ですけれども、水深20メートルから10メートルの沖合の方で、溶存酸素の低い観測データの頻度が高かった結果になっております。
 これは、最初気象のところで述べましたように、2005年は台風の襲来が少なかったことにより成層が長期に安定し、貧酸素が継続したことによるものと考えております。
 以上のような2年間の貧酸素水塊広域連続観測の結果から、有明海奥部の貧酸素水塊の発生としては、二つの仕組みがあると考えております。
 一つは、浅海域での貧酸素の発生の仕組みです。成層が形成される夏季に、流速が低下する小潮期に、海域の浮泥の酸素消費によって貧酸素化すると考えております。
 もう一つは、沖合で貧酸素が発生する仕組みとして、成層が形成される夏季に、水中の懸濁物の酸素消費により徐々に貧酸素化が進んでいるという、そういうことが起きていると考えております。
 貧酸素水塊の発生機構の詳細については、こういう現象だけではなくて、実際には流動モデル、また生態系モデルによる水塊の移動と、酸素収集を詳細に検討する必要がありますので、それを平成18年度は急ぎ進める計画にしております。
 平成18年度は、平成17年度と基本的に同様であり、水産庁と環境省、九州農政局と連携をして貧酸素水塊に関する調査を行うこととしておりまして、貧酸素水塊広域連続観測を従前と同じような体制で進めることを計画しております。さらに、湾奥部の水塊構造と流動の解析を行いまして、平成16年、平成17年の観測データを再現する数値シミュレーション解析して、貧酸素水塊の発生機構の解明につなげていく計画です。
 貧酸素水塊広域連続観測の観測点につきましては、九州農政局の観測については、平成17年と同様の計画であると伺っております。水産庁と環境省で行っております調査、これは私ども水産総合研究センターが担当しておりますが、湾奥部の貧酸素の発生の状況、メカニズムを解明する、より明確にするということで、湾奥部に観測点を集中して配置し、それによる詳細なデータを取り、先ほど申し上げました数値シミュレーションによる解析を急ぎ進める計画です。
 以上、内容を報告させていただきました。

○須藤委員長 どうもご説明ありがとうございました。
 ただいまの貧酸素水塊の調査結果についてのご質問、それからコメントをお願いいたします。
 清野先生どうぞ。

○清野委員 干潟の縁辺部の詳細なご報告がございまして、これは結構重要な観測結果だと思うんですけれども、干潟一辺倒が、小潮のときに、特にそういった貧酸素の状況になりやすいということの方、どういう仕組みによるものかというような地形的なものだとしても、どういう仕組みによるのかというのをある程度教えていただけたらと思いますが、推測でも結構です。

○(独)水産総合研究センター西海区水産研究所有明海・八代海漁場環境研究科長 数量的なものとしてまだ十分とらえておりませんので、そういう意味では推測としてご了解いただければと思いますけれども、有明海奥部では、浮泥が多く分布するというのはもう既に報告されていることですが、筑後川から流入したものがここに漂っているわけですけれども、こういう干潟の縁辺部で、そういうものがたまりやすい場所があると理解しております。この海域は浮泥が多く底質が細かいですし、これらのような中で、赤潮も発生するという状態になりまして、有機物がたくさん存在しているのが現在の状況です。夏場になりますと、特に干潟縁辺部で底質の還元化が急速に進んでいくことが観測されておりまして、還元化された状態の干潟の縁辺部の底質の上でそういう有機物の懸濁物を含んだ水塊があるところで流れが弱くなる、そういう状態のときに、そこの水塊の中の有機物と底質の酸素消費によって一気に貧酸素が起きるという理解をしております。風が吹けば表層の酸素供給なり、混合によって貧酸素化は防げるわけですけれども、風がなくて波が立たずに水がとまるようなときに貧酸素になる。特に小潮の末期に潮がとまるというような、潮位差が小さくなる時期にはかなりの確率で貧酸素になると理解しております。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。ほかにございますか。はい、滝川先生。

○滝川委員 ちょっと教えていただきたいんですが、アニメーションを見せていただいた貧酸素水塊と言っていいんですか、低酸素状態のアニメーションというのは、これは底層のところ付近の図なんですね。

○(独)水産総合研究センター西海区水産研究所有明海・八代海漁場環境研究科長 はい、底層のデータを使っております。

○滝川委員 そのときにいろいろな同時観測でほかのものも計られているんですが、一番気になっているのが、底層付近の流速ですね、その関係、どの程度あるのか。今、清野先生ご質問あったんですが、そのときに巻き上げがどのくらい起こっているのか、あるいは大潮、小潮との巻き上げの状態の変化、浮泥がどんなときに巻き上がっているか、巻き上がってないか。そういったものとの関連というのが、もし今ご検討されておればお伺いしたいんですが。

○(独)水産総合研究センター西海区水産研究所有明海・八代海漁場環境研究科長 巻き上げについては、十分な検討ができておりません。懸濁物による酸素消費も当然考えるべきですが、貧酸素はここが一番ひどい状態ですけれども、そこではそんなに大きな巻き上がりが起きていません。

○滝川委員 ちょっと図が小さくて見えなかったもんですから、大潮と小潮のときに、縁辺付近の流速差がどのぐらいあるのかということとの関連を何かほかでもデータが見れたらありがたいけれどもというふうに思っているもんですから。もし、そういうデータが整理されておれば、参考資料としていただければなというふうにちょっと思ったところです。

○(独)水産総合研究センター西海区水産研究所有明海・八代海漁場環境研究科長 ご指摘の件について、至急解析を進めます。まだ十分解析できていません。申しわけありません。

○須藤委員長 まだ調査をおやりになるわけですから、今の滝川先生のコメントについて整理をしていただければと思います。ほかはいかがでしょうか。 山田先生どうぞお願いします。

○山田委員 大変興味深くうかがいました。私が調査しておりました洞海湾は有明海に比べれば小さな溝のような内湾ですが、貧酸素水塊のでき方、あとの解消の仕方、全く一緒であるということがわかりました。確かに、小潮時のときに形成されて、風、そして大潮で解消する、全く一緒でした。
 やはり貧酸素水塊にはそれなりのでき方というものがあると思いまして、まだまだ、貧酸素水塊は、これから形成・拡大・移動・解消機構等が解明されていかなくてはいけないと思います。そこで、貧酸素水塊は短期の、今行っている調査ではございますが、これから検討していく「問題点と原因・要因との関連について(試案)」の究明項目にひとつに「貧酸素水塊の形成」を、つけ加えていただければありがたいと思っております。

○須藤委員長 先ほどの問題点と原因・要因のところですね。相生先生どうぞ。

○相生委員 貧酸素水塊の話は東京湾なんかでもそういう現象があるんですが、やはり8月に集中するというのが生物に対しての影響ということになると思うんですね。先ほど、最後の方に生態系モデルとの関連というふうなことをおっしゃいましたが、もしも、この貧酸素水塊が、有明海にとってどのような影響、生物群集に対してどのような影響が起こるのかというようなことを、水産庁で見ていかれるのかどうか、ちょっと優良魚種でない場合に疑問に思ったりしているのですが、例えば、スナモグリが増大したという場合に、これ恐らく、普通にいたほかの甲殻類が絶滅したり、あるいは希少種になったりしていると思うんです。それは、東京湾の場合には、どうも夏の幼生がほかの海域から供給をされるときに、貧酸素水塊の時期に当たって死んでしまうのではないかというようなことが仮説として言われているわけです。そうすると、もう湾奥の方で、局所的に生物群集が、個体群が保たれていたとしても、やはり連鎖的に対応性がなくなってくると、どんどんどんどん、その生物は少なくなっていくというようなことで、この貧酸素水塊の問題というのは、普通に有明海の生態系を考えた場合に重要だと思います。

○須藤委員長 ありがとうございます。これは、一応先ほどの岡田先生の中にも出てきておりますので、重要視して、まあ、それから今の木元科長のところでは今年度も継続して調査されるので、今のようなところがもう少し整理できればというふうに思います。
 まだおありかもしれませんが、もう一つ控えておりますので、質疑はこの辺で終了させていただきまして、有明海改善のための実証試験について、同じく水産庁からご報告をいただきますが、担当者3名いらっしゃるんですが、少し要領よくご説明をいただければと思います。お願いいたします。

○水産庁漁港漁場整備部計画課長補佐 水産庁計画課の井上でございます。
 この事業のそもそもの経緯を簡単にご説明いたしますと、平成16年5月11日に農林水産大臣から有明海再生のための大臣発言がされまして、その中で三つ方針が示されまして、一つは、調整池の水質改善、もう一つが有明海全域にわたる調査、もう一つは有明海の環境改善のための実証事業を行うということで、方針が示されたわけでございます。水産庁としては、その一番最後の有明海環境改善のための実証事業を行うということで担当をさせていただいております。
 ちょっと担当者が3名でちょうどパワーポイントも三つに分かれてやりにくいんですけれどもお許しいただき、簡単にご説明をさせていただきます。
 それで、まず最初に、パワーポイントを見る前に、この資料5の1ページだけめくっていただいた最初のページを見ていただきたいと思います。
 これが、平成17年度の現地実証事業の実施場所の位置図でございます。このような場所でここに書いてあるような課題につきまして、実証実験を行っております。これにつきまして、今から説明をさせていただきます。
 まず、タイラギの薄まき覆砂をやってございます。
 これは、福岡県の大牟田地先と佐賀県の太良地先、この2カ所で薄まき覆砂をやっております。厚さは15センチ、従来の覆砂事業ですと、30センチで覆砂を行うわけですけれども、15センチであればより広くできるということで、この辺の水深が深いところであれば、流される心配もないじゃないかということで、薄まき覆砂の実証実験ということでやっております。
 結果でございますが、いろいろデータがあるんですけれども、最も重要でありますタイラギの稚貝の生息でございますけれども、6月に覆砂を実施しまして、8月の着底は福岡県、佐賀県とも覆砂区に順調に着底をいたしました。これに対して、覆砂をしていない対象区ではほとんど着底は見られてないということで覆砂の効果があるというふうに考えております。
 ここから、9月以降ですけれども、ここで佐賀県と福岡県で差が出まして、福岡県は、9月、11月とも順調に生残が認められているんですけれども、佐賀県は、8月には個体数としては佐賀県は福岡県より多かったんですけれども、9月にはほとんど見られなくなりまして、11月には全く見られない。観察すると一部に、幾つかあるんですけれども、例えば、枠取りとかで数字を出すとゼロというような状況になってございます。
 これにつきまして、底質がどうなっているかというのを見たものですけれども、この黄色のところがいわゆる覆砂をした砂質でございます。8月、9月と砂質はここが15センチですから大体15センチが維持されているんですけれども、11月になりますと、これが福岡県です。これは、この緑色のところがいわゆる浮泥が若干たまっていますけれども、佐賀は浮泥だけじゃなくてその下にシルト層が既に6月に工事して8月にはそういうのは見られなかったんですが、11月にはシルト層がこれを見ると6センチとか、8センチとか、試料で若干違うんですけれども、それだけ急速にシルト層の堆積が認められております。
 ほかにも、データをとっておるんですけれども、それについて、福岡と佐賀で差があったものについてだけご説明をいたします。
 まず、水質なんですけれども、これがクロロフィル-aで、これが濁度です。赤が福岡県で、青が佐賀県ということです。いずれも、クロロフィルも濁度も、大潮のときに福岡は大きくなっていますけれども、佐賀はそれほど大きくなっていないという状況にございます。
 なぜそういうことが起きたのか。ほかの酸素量とか、それ以外の水質項目についてはほとんど差がなかったんですけれども、なぜそういうふうに濁度とクロロフィルに差が出たかということで、流速が違うんじゃないかということで、今回ちょっと流速計は入れてなかったんですが、福岡の水産試験場で入れているものの平成17年の観測値と、これはちょっと1年前なんですけれども、平成16年のときに西海区水産研究所が入れていたものの観測値が調査点の近傍でありましたので、それを比較したところ、ここが毎秒25センチ以上のところですけれども、福岡県は、毎秒25センチ以上の頻度というのもかなりありましたけれども、佐賀県では25センチ以上の頻度を持つということはほとんどありませんでした。最高流速も、福岡県は40センチ程度出ていましたけれども、佐賀県の場合は、20センチをちょっと超えた程度というところの最高流速しかございませんでした。
 ということで、まとめとしましては、覆砂は効果があって、着底は確認されるんですけれども、佐賀県の方ではそのその後の生息密度の減少が非常に大きかったと。
 それと、同時並行で、佐賀県でシルトの堆積が認められた。同時に、クロロフィルと濁度が大潮時には上昇しますけれども、それについては、福岡県の方が上昇が大きかったと。調査点近くの海底直上の流速について、参考データと比較すると、福岡県の方が大きかったと。ということで、今回私どもとしては、特に着底初期のタイラギの稚貝について、この試験区に関して言うと、シルトが何らかで影響を及ぼしているのがわかる。そのシルトのたまる差というのは、流速が一番関係しているんではないかというふうに考えておりまして、平成18年度調査では、海底直上に流速計を設置しまして測定をするという予定にしております。
 続きまして、長崎県の小長井です。アサリのこういうちょっと変わった形状の覆砂をしまして、これによる着底量の差と、あとどのくらいの地盤高の高さがアサリの着底に適しているかということについて調査をしております。
 これにつきましては、地区別個体数ということで、これが岸沿いから4区の方が沖沿いになります。こう比べますと、いずれも沖合の方が着底が多かったです。地盤高としては、この辺の地盤高がいいというふうなことを考えております。
 あと、これちょっと残念な結果なんですけれども、残念と言うかちょっと変わった予想しなかった結果なんですが、対照区、近傍の場所の対照区の方が着底がいいというふうな結果が得られております。ただ、例えばこの辺の覆砂区の着底の数ですけれども、これも実際は平米にあわすと1万ぐらいの着底数がありますので、決して少ないわけではございません。ただ、調査区より対照区の方が、覆砂したところより対照区の方が多かったということになっております。
 これを真上から見ますと、こういう形で、この覆砂よりこの辺の方が着底数が多いポイントが多かったということで、一つ考えられるのは、ここに川が流れておりまして、流れがこういう方向に流れてるという話もございますので、流れのじょう乱とか、それが交差して、出っ張っているところとか、海底の起伏と関係があるんではないかというようなことを考えておりまして、今年度は、その辺についてもう少し深く突っ込んだ調査をしたいというふうに考えております。以上です。

○須藤委員長 続いて、どうぞお願いします。

○水産庁増殖推進部研究指導課長補佐 続いて、水産庁の研究指導課の森です。私の方から、5地区ほど、先ほどの資料5の1ページで行きますと、まず順番から行くと、右下の覆砂技術の開発、熊本県宇土市の長浜地先でございまして、こちらの方から説明させていただきます。
 まず、こちらの事業の概要なんですが、場所は、こちらで申しましたように、熊本県の長浜地先でございます。干潟域ということで、こちらに書いてあります干潟域波浪を考慮した帯状覆砂ということですが、通常の覆砂は、こちらにありますように、アサリ漁業としては、普通に砂を四角形に覆うという形にしておりますけれども、これをこちらの左側のように、これ、左と右同じ砂の量なんですけれども、こうすることで、ここはある程度潮の流れがありますので、それによって砂が少しずつ散乱して、より遠くアサリが生息できる面積が増えるんじゃないか。同じ砂の量で効率よくアサリが着底できるのではないかと、こういうところの効果の実証を行っております。
 実際に覆砂をしました後に、実際の調査として行っておりますのが、これは事前の調査ですけれども、そのほかに施工方法として、覆砂の形状が実際どう変化するかと。あとはアサリの生息環境といたしまして、流向ですとか、流況の調査、あとは底質の調査及び生物調査といったことを行っております。
 こちらが調査指針であります。平成17年度の調査した結果というものを個別にお話ししたいと思いますけれども、まず一番初めが流況調査についてですが、一応施工後、一番見ていただきたいのは施工後の、下から2番目、こちら11月から12月にかけて、ちょっと見えにくいですけれども、これ流速が48cm/sということで、かなり冬場強く、さらに、1月、2月をさらにはかった調査ですと60cm/s近くになっているということで、かなりの流速があるということで、先ほど言った帯状の覆砂が、砂がいい具合に流れるというポテンシャルが確認されたということになります。
 続いて、底質の調査の結果ですが、こちらもちょっと細かくて非常に見づらいんですが、文章のところを見ていただきたいんですけれども、まず中央粒径値というのが、もともと覆砂をするわけですから、泥質のところに覆砂するというわけで、覆砂後には、やや増加したということで、アサリの生息環境として少し改善したということがわかります。ただし、泥分率の方については、覆砂前と覆砂後で少し、7から10%が7から19%と少しは改善しているんですが、余り変化しなかったというふうにまとめております。
 一方で、底質の方なんですけれども、これはこちらの、これも非常に小さくて見にくいんですが、これがCOD、これが強熱減量、左側が帯状覆砂、こことこちらです。こちらが対照区になるんですが、それほど余り変わっておりません。もともと底質がそれほど悪い地区ではないということもあるんですが、ともに低い値である。ほとんどのところで余り差異は認められなかったという結果が出ております。
 続いては、底生生物の調査の結果ですが、こちら、覆砂をしたのは昨年の夏になるんですが、結論としましては、余りアサリは現在のところ、1ミリ以上のアサリという定義はありますが、それほど発生していない。こちらの左の方になるんですが、余り発生していない。このセクションCというところ、ちょっと棒が伸びているところがあるんですが、これはちょっとホトトギスガイが発生した場所があったというところですけれども、アサリについては発生していないという結果が今のところ出ております。
 以上のことから、この地区の結論といたしましては、先ほど申し上げたように、冬季にはかなり流れがあるということで、帯状覆砂の拡大する可能性が示唆されている。実際目視でもある程度覆砂域が拡大している様子というのは確認されております。ただ、アサリについては、まだ発生していない状況ですが、今後引き続き調査をしていただくということを考えております。
 続いてですが、資料の5の地図の方で行きますと、左の下になります。長崎県国見町地先のこちらのアサリ等の造成区であります。
 こちらで行っているのは何かと言いますと、場所は長崎県の国見、現在雲仙市ということになったんですが、こちら非常に、先ほどもそうでしたけれども、波浪がかなり大きいということで、例えば、ここに砂をまいたとしてもすぐに流されてしまってアサリがなかなか定着しないという場所において、こちらの図を見ていただきたいんですが、こちらのパターン2ということで、捨石堤を砂の前に置いて、これで流れをとめて、ある程度砂を保とうということを行っています。こちらが、対照区に普通に拡散した結果です。ただ、対象区の中にも、今度はやはりちょっと流れないようなところに網をつけるというようなことを行って、同じようにある程度潮流があるところでも流れないような覆砂ができないか、新たなアサリ漁場にならないかという実験を行っております。
 調査内容については、先ほどと同様のことを行っております。これが調査状態です。
 平成17年度の結果についてですが、まず覆砂の形状についてですけれども、9月に台風14号が来たんですけれども、結果としては、捨石堤をしたところについては、しないところよりももちろん流れなかったという結果は出ております。
 続いて、アサリの生息環境。
 まず流況の結果ですけれども、これ先ほどの熊本県の方でもありましたが、やはり冬季にはある程度の流速がある。あちらよりは少ないんですけれども、最大流速で27cm/sとか、そういうところが出ていまして、ある程度冬季の季節風があるということが確認されました。
 続きまして、底質の分析の結果です。こちらの方は、これが工事前、工事後ということで、これはCODなんですが、工事前に比べて工事後は落ちている。こちら強熱減量なんですけれども、やっぱり工事前に比べて施工後は落ちているということで、底質の改善が見られているということが挙げられます。
 引き続き底生生物の生息状況の調査ですが、こちらの地区というのは、さっきと違うところは、毎年こちらで覆砂を行ったところには、アサリを漁業者が実際秋口にアサリをまいているということがありますので、アサリがはえてくるというか、出てくるということじゃなくアサリは必ずいる状況なんですが、ただ、いる具合がこちらの、まず一番左というのがさっきの波の対策を行っていないところ、というのはやや低い。行っていないところに網をかけたところはやや高い、さらに捨石堤を設けるとそれがかなり上がるという、こういう施工の様子による違いが確認されたところであります。
 以上のところをまとめますと、この地区につきましては、基本的に冬期に発生する風浪がありましても、捨石堤の効果というのが見られたと、あと、覆砂によって底質の改善がなされた。あと、放流したアサリについては、やはり捨石堤のあるところで残存率が高くて、今回の施工の技術がある程度効果があるということが認められたということであります。
 今後、引き続き今後の調査も行っていくということにしております。
 次、三つ目ですが、図で行きますと、今度は右上です。右上、福岡県大牟田市地先の二枚貝漁場造成技術の開発というところになります。
 こちらで行っている内容は、大牟田地先の方で、大牟田市の先というのは、こういうようにこれ海なんですが、ここに澪を掘っているところが多いと、そこの澪で発生する土砂というものを覆砂のアサリ漁場の造成の覆砂に使って、施工の費用を削減できないかということです。こうした覆砂のところに、ここに書いていますが、ここでは例は海砂を70%、掘削した土砂を30%混ぜることで、効率的に覆砂ができないかということで行っています。これは側面から見た図ですが、上から見た平面図はこんな形で、ここに既存の覆砂域があるんですけれども、それに併設する形で今回の覆砂を行いました。比べるものとして、こちら左側の4分の1ぐらいの長さの、幅、海砂を100%、こちらの4分の3について先ほど言った混合の覆砂を行っております。
 調査内容については、先ほどと同様となります。
 結果ですけれども、まず先ほど言った9月の台風についてですけれども、ちょっとこの写真だと見づらいんですけれども、結果的に砂の移動は余りしていないということが確認されています。
 引き続きアサリの生息環境の調査ですが、底質についてですけれども、これも細かいんですが、こういう形を見ていただけばわかるんですが、左から時系列になっていまして、まずこれは強熱減量ですけれども、こことここです。ちょっとほかの典型的なところだけ言いますと、こういうように大体右肩下がりになっているということで、ある程度基本的には底質の改善が確認されていると、そのほかでも、こちらが全硫化物ですね。全窒素、全リンとかについても基本的に右肩下がりのところが見られるという状況である程度改善されていた。
 そのほか、中央粒径、こちら中央粒径と泥分率についても、中央粒径は泥から砂になったことで増加していると、あと、泥分率については泥部が減少しているという状況が見られています。
 続いて、底生生物の生息状況ですけれども、こちらにつきましては、この図-8をごらんいただきたいんですが、基本的にまだ、先ほどの熊本の方と同じように、こちらは特にまくわけではないんで、今のところ1年目では生物の発生は見られておりません。
 以上のことから、まとめですけれども、混合覆砂については、ある程度覆砂の効果が当然得られたところがあると思うに、ただしアサリについては、今後、見ていくこと、調査を実施していく必要があるということになっております。
 引き続き、次が、位置図のところで行きますと、右側の上から3番目、熊本県玉名市、こちらの方で海水流動促進技術の開発というのも行っております。
 こちらですけれども、この図、ちょっと小さいんですが、こちらが陸側で、ここら辺が大体干潟になるんですが、ここら辺が海水が言ってしまえばよどんでしまっているということで、なかなかポテンシャルはあるけれども、アサリの漁場にならないと。というところに、ここにちょっと澪を掘って、潮汐によって海水の交換が起こるような仕組みをつくって、ここに海水を引き込んで、ここがアサリの生息場とならないかというような調査を行っております。
 今言ったところの澪というのをこういう形で掘るという形でちょっとやります。
 調査内容、調査点をちょっと飛ばして……
 調査の結果ですけれども、まず形状については、先ほど掘った澪についてはおおむねその形状を維持していたと、ただ若干、ちょっとここ細かいんですけれども、ちょっと堆積がし始まっている状況ではあるということが確認されています。
 次ですけれども、流向の方なんですが、ここのセクションBというところがあって、セクション7、ここに澪を掘ったんですが、ここに流れが起きるだろうということで、ここ流れが起きているだろうという場所と、その横のよどんでいる場所、ここについて流速の差をとったのがこのグラフです。黒いのが差で、紫色の方が、こちらが潮の話ですので、大体大潮時なんですが、最大値の前後、その潮にあわせて流れの差というのはかなり出てきているということで、流速の差というのが増大している傾向が見られると。
 続きまして、底質の話ですけれども、こちらの底質の方は、COD、ここ顕著な例だけまた挙げますけれども、こういうふうに右肩下がり、こちらが強熱減量、こちらも右肩下がりになっている部分が何カ所が見られると。あと酸化還元電位なんかについても還元だったものが酸化状態で発生しているということで底質がある程度改善されているということが言えるんではないか。
 次は、アサリの生息密度の方なんですが、セクション6とセクションD、ちょっと図を戻しますけれども、セクション6というのは、先ほどここに澪を掘って結局ここに澪で掘った砂をまいて、ここをアサリ漁場にするという話ですので、ここの部分、セクション6というところです。セクションDというところ、ここについて見ていただきたいんですけれども、そこの部分でアサリが発生し始めているという状況が見られました。
 以上のところから、まとめになりますけれども、作澪を行った場所で作澪形状がある程度維持されていたというところで、まず施工問題は大丈夫ではないか。流速の方の状態も当初考えたとおりにある程度海水融合の促進が図れるようになってきた。底質についても、最近で底質が改善してきたということで、実際アサリの生息も見られ始めてきたということで、今後も効果的な施策を続けていきたいというところにしております。
 次の地区ですけれども、位置図では、左の上から3番目、左の真ん中です、底層水汲み上げ・曝気による漁場環境改善技術の開発、佐賀県の大浦沖で行っている実証です。
 こちらが、この辺、先ほどの貧酸素水塊の話にも出てきましたけれども、その貧酸素水塊を水塊丸ごと吸い上げて、一回空気を入れて戻すことで貧酸素を解消させて環境を改善できないかという調査を行っております。
 場所は、佐賀県の太良町の大浦沖ということで、対象はカキ漁場です。ここは、長崎と佐賀の県境なんですが、ここにカキ漁場がありまして、この辺にちょっと今言った曝気装置を設置して、カキ漁場に曝気した水を流して、カキがどう反応するかというのを見ていくという調査を行いたいと考えております。
 ただ、1年目については、基本的には装置の開発というところに重きを置いていまして、今後、効果調査というのは2年目以降になるということをあらかじめおことわりさせていただきます。
 その他に行った調査と言いますのは、今回この調査を行うのに、まずそのポテンシャルがどうかという調査を行っていまして、まず一つ目は、この場所が貧酸素水塊の曝気装置を置く場所であっていいのかどうかということで、特になだらかな地形で問題ないというところが出ています。もう一つは、貧酸素の話なんで、貧酸素状態の確認を行ったんですが、これ見えにくいですが、8月のDOの調査結果を見たところ、8月の中旬に、小潮期に、やはりこのDOがかなり低くなる時期があるということで、今後、漁場についても、貧酸素状態ができたということで、ここで調査するに問題ないというところがあります。
 次に、もう一つ行った調査というのは、結局カキ漁場で貧酸素水塊の改善がされたかどうかという確認をするわけですけれども、その指標をカキの動きで見ていくということを考えておりまして、そのカキ殻の開閉を検知するセンサーというのをつけて行うと考えていまして、そのセンサーが正常に動くかどうかというところを確認しました。
 結果だけ申しますと、カキ漁場が、カキがぶら下がっていまして、深さごとに4個センサーをつけて行ったんですけれども、その1メートル深さのところで、クロロフィルの鉛直がかなりあるところに関して、カキの殻が開く状況を確認できたというところが出ておりまして、カキの状態を確認することにも適当なんではないかなということが確認ができました。
 最後に三つ目ですが、最大の目的である装置の開発を行ったというのが三つ目です。
 基本的に、これはこの漁場でどういうのをやるかという規模を設定するというのが主だったんですが、結果として、放水量約1日約2万立方メートルを流せると。単純に言いますと、カキ漁場がこのようにあるんですけれども、ここに例えば置いたとして、カキの生けすの一つ目から二つ目ぐらいまで曝気した水がある程度流れていくような、そういう……余り予算の関係もありまして余り大きい装置はできないんですけれども、それぐらいの装置を、具体的な装置のものはこうなっているんですけれども、この辺に例えば貧酸素水塊があるところ、底層の水をくみ上げて、ここで曝気して、表層の方に出せる形。これは、臨機応変にどこから取り入れるか、どこに出すかというのは変えられるというような装置を開発しました。
 今後は、平成18年以降ですけれども、この実海域に設置して調査を行うことを考えております。
 私の方は以上でございます。

○須藤委員長 ではもう一人、お願いいたします。
 委員の先生方申しわけございません。私の不手際で若干延びてしまっていますが……いや、いいんです。ちょっと閉会をしばらく、あと10分ほどで閉会をさせていただきます。ちょっと延長させていただきたいと思います。
 どうぞお願いいたします。

○水産庁増殖推進部漁場資源課長補佐 私もパワーポイントを用意してきたんですが、もう時間も過ぎていますので、簡単に済ませます。
 配付した資料の2ページ目を見てください。左の上から二つ目のところに、佐賀県の鹿島沖、ここでやりました微細気泡装置による海底耕耘効果の技術開発について結果を説明いたします。
 資料の最後の1枚をご覧ください。この事業の目的は、微細気泡を海底に吹き込んで底質を改善して、貧酸素水塊の発生を抑制するとともに、底質環境を改善しようとするものです。
 真ん中にありますように、ポンプアップした表層水に、微細気泡を混入しまして、ノズルユニットから海底に向けて放出するというやり方をやっております。
 工法としましては、全くひかない非曳航区と曳航量を3段階に分けて、航区1、2、3というふうにして区画を設けました。
 結果ですが、最後の1ページを見てもらいたいんですけれども、2・2というところに図3というのがあります。この赤く四角囲ってあるところの一番上がDOをあらわしているんですけれども、8月中旬と下旬に2度、貧酸素状態になったということです。下の三つのグラフにこのときのそれぞれ曳航量の程度に応じたORPの折れ線グラフがかいてありますけれども、見にくいんですが、一番下のグラフが最も曳航量が多かったところなんですけれども、そこの酸化還元電位が、他の曳航区に比べて随分高い値になっているという結果が出ております。
 それから、図5というところに、同じくDOの濃度の状況と、それからそこにサルボウをカゴに入れて設置しまして、それの生残率を比較したグラフがあります。ピンクのものが中程度の曳航量のグラフになっていまして、真ん中ぐらいにある薄い青線が最大曳航量を示しております。濃い青線が全くひかないところなのですが、15%から18%程度生残率が高まっているという結果が出ました。ただ、平成17年度の有明海のこの地区というのは、有明海の環境にとっては非常に喜ばしいことなのですが、この事業としては残念なことに、例年に比べて著しい底質環境の悪化が見られなかったために、装置をひいたところとひいてないところの値に明確な差が出ませんでした。したがいまして、本年度も同様の実証試験を行って、引き続き効果の検証をしていきたいというふうに思っております。
 また、今年度は、佐賀の鹿島沖にあわせまして、長崎の小長井の沖でも、アサリの漁場で同様の試験を行う予定にしております。
 また、何をもって底質環境が改善されたとするのかという指摘を受けたこともありますので、今回は、結果として、ORPとサルボウの生残率だけで差が出て、そこしか比較の対象にならなかったんですけれども、今年度は生残率とか強熱減量とか、さまざまな指標を比較する必要があるというふうに思っておりまして、そういうことを予定しております。
 さらに、持続性がどの程度あるのか、ひいたときだけ一時的に回復すればいいというものでもないので、どの程度持続性があるのかの検証もあわせて行っていきたいというふうに考えております。
 以上です。

○須藤委員長 どうも簡潔にご説明いただき、ご協力いただきましてどうもありがとうございました。水産庁で改善技術についてご紹介をいただきまして大変お礼を申し上げます。本来ですと、ここで質疑応答をやるところでございますが、かなり時間を食い込んでおりますので、これは省略をさせていただきます。
 その他につきまして、次の議題に入ります。前回の委員会で大和田委員を中心に、八代海の充実を図りたいということでお願いしたところでございます。ご苦労をおかけしておりますが、大和田委員、何か一言ここで進捗状況等について、ご発言ございますでしょうか。

○大和田委員 委員長からのご依頼を受けまして、3月20日ですか、熊本県庁で、菊池委員、滝川委員と小委員会の弘田委員、それと私と、それに環境省の方から坂本さんに出ていただきまして、会合をもちました。熊本県、あるいは鹿児島県の環境、水産の方々にもお集まりいただきまして、一応話し合いながら、お互いに分担を決めたと。まだそういうところでございます。この次の会のときには何か資料が出せるように努力したいと思います。よろしくお願いします。

○須藤委員長 大変ご苦労をおかけいたしますが大和田先生、次回に少し報告をいただければと、こう思います。事務局ほかに何かございますでしょうか。

○環境省閉鎖性海域対策室長 最後に一つだけ。資料6をごらんいただきたいと思いますけれども、資料6に、評価委員会の小委員会の名簿がございます。関係県の人事異動に伴いまして、3名ほど交代をされましたので、ちょっとご紹介したいと思います。今回新しくメンバーになられましたのが、福岡県水産海洋技術センターの小林所長、それから長崎県総合水産試験場の濱口所長、それから熊本県水産研究センターの岩下所長、以上3名の方があらたに交代になられましたことをご紹介いたします。
 それから、次回の評価委員会でございますけれども、一応今のところ6月を予定しております、また日程につきましては後ほど、追って調整させていただきますけれども、次回の議題といたしましては、本日に引き続きまして、岡田先生から提案ありました問題点と原因・要因の関連についての検討の状況、それから、今日ございましたような再生関連事業の報告、それから荒牧先生、ちょっと退席されましたけれども、小委員会がございますので、その結果の報告ということになります。特に再生関連事業の報告につきましては、関係する省庁、県、あるいは委員の先生方にご協力いただくことがございますので、調整をさせていただきながら進めたいと思っております。それから、先ほどございましたように、大和田先生の方から、八代海のグループの報告につきましてもお願いさせていただきたいと思っております。以上でございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。まだ全体を通してあるかもしれませんが、20分ほど時間を経過いたしました。私の不手際で超過したことをお詫びを申し上げます。
 これにて本日の議事はすべて終了させていただきました。第20回有明海・八代海総合調査評価委員会を、これにて閉会とさせていただきます。議事進行にかかわる皆様のご協力にお礼を申し上げます。ありがとうございました。お疲れさまでございました。

午後4時50分 閉会