第16回有明海・八代海総合調査評価委員会 会議録

1.日時

平成17年11月2日(水) 10:00~12:15

2.場所

中央合同庁舎第5号館5階 共用第7会議室

3.出席者

委員長 須藤隆一委員長
委員 相生啓子委員 荒牧軍治委員 伊藤史郎委員 大和田紘一委員 岡田光正委員
小松利光委員 三本菅善昭委員 清野聡子委員 滝川清委員 細川恭史委員
本城凡夫委員 森下郁子委員 山口敦子委員 山田真知子委員 山本智子委員
臨時委員 菊池泰二委員
事務局 環境省水・大気環境局水環境担当審議官
水・大気環境局水環境課閉鎖性海域対策室長
閉鎖性海域対策室長補佐

4.議事

午前10時00分開会

○環境省閉鎖性海域対策室長 皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、福岡先生はちょっと遅れておられますけれども、ただいまから第16回有明海・八代海総合調査評価委員会を開催いたします。
 本日は、中田委員、楠田委員、原委員の3名から欠席というご連絡をいただいておりますので、18名の委員の方にご出席いただいておりますので、定足数を満たしていることをご報告いたします。
 会議に先立ちまして、10月1日付で事務局の組織の変更が若干ございましたので、ご紹介させていただきます。従来、水環境部がございましたけれども、10月1日付で水環境部と環境管理局が統合されまして、水・大気環境局が新たに設置され、その中で水環境行政も行っていくことになりました。有明海関係の担当は変わってございませんし、引き続き水環境担当審議官の坪香をヘッドに水環境行政を進めてまいりますので、引き続きよろしくご指導をいただければと思います。
 議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第の裏に資料の一覧がございますけれども、資料1といたしまして、委員の名簿、資料2-1といたしまして、「有明海における二枚貝について」、資料2-2といたしまして、同じく二枚貝につきまして、「問題の概況、原因・要因、論点等の整理」という横長のものがございます。資料3といたしまして、「有明海・八代海への汚濁負荷の変遷について」というものがございます。資料4といたしまして、「潮流・潮汐WG検討結果」というちょっと厚いものがございます。なお、最後に、若干細かい点でございますけれども、資料に若干誤りがございましたので、別紙で正誤表をつけさせていただいております。
 以上でございます。特に不足等がございませんでしたら、議事に入らせていただきます。
 以後の進行につきましては、須藤委員長によろしくお願い申し上げます。

○須藤委員長 はい、かしこまりました。
 委員の先生方、どうもおはようございます。先生方には大変ご多用の中を、また早朝からお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、関係省、関係県及び傍聴者の方々にもたくさんのご出席をいただきまして、本当にありがとうございます。心からお礼を申し上げます。
 それでは、本日の議事でございますが、議事次第に書いてございますように、有明海における二枚貝について、2番目が有明海・八代海への汚濁負荷の変遷について、3番目が有明海における潮位・潮流について、その他ということで、4課題についてご審議をいただくことになっております。時間は13時までということで、3時間を予定しておりますが、お昼休みがかかりますので、可能であれば少しでも早目に終われますよう、議事進行について委員の先生方のご協力をお願いしたいと思います。
 では、最初に議題の1からまいります。有明海における二枚貝についてということでございまして、前回の第15回評価委員会におきまして伊藤委員から二枚貝について報告をいただきましたが、その報告内容について整理した資料を事務局からご説明をいただきたいと思います。
 それでは、事務局、どうぞお願いいたします。

○環境省閉鎖性海域対策室長 それでは、資料2-1と2-2をご覧いただきたいと思います。2-1を中心にご説明いたします。先ほど委員長からもございましたように、この資料につきましては、前回の委員会で伊藤先生からご発表いただいたものを事務局で整理いたしまして、伊藤先生にご確認いただいたものでございます。簡単にご説明いたします。
 まず、有明海のアゲマキについてでございます。これについては、初めからずっと減少傾向にあるということでございますけれども、特に近年は1988年をピークに激減して、1992年以降はほとんど漁獲がないという状態である。漁場につきましても、1980年代は広く生息していたわけでございますけれども、1988年の夏に大量斃死が発生し、それ以降は減ってきている。原因としては、まだ特定するのは困難ということでございますが、斃死個体からビルナウィルスが検出されているといったことでございます。
 それから、IIの有明海のサルボウでございます。これにつきましては、1970年代初頭には相当の漁獲量がありましたが、その後、斃死が発生し、激減しています。昭和60年を境に回復してきましたが、近年はやや減少傾向にあって、変動幅も大きくなっております。それから、昭和40年代後半から夏に斃死が発生していますが、その原因として、有明海産種苗の活力低下が斃死につながった可能性が指摘されているということですが、その活力低下の原因は不明だということでございます。近年の漁獲の変動要因としては、シャットネラ赤潮、貧酸素水塊、採苗時期の気象環境要因、ナルトビエイの食害等が指摘されているということでございます。
 IIIといたしまして、有明海のアサリでございます。熊本県沿岸において、1977年には相当の漁獲があったけれども、その後は2,000トン前後で推移しています。1980年代と2000年代を比較すると、漁場の位置が変わってきており、岸に寄ってきている、筑後川河口域が減少している、熊本県では特に緑川河口域の漁獲量が激減しているということでございます。アサリの減少要因としては、漁場の減少、大雨や猛暑等の環境要因による大量斃死、過剰漁獲、食害などが考えられるということでございます。
 裏にいっていただきまして、有明海のタイラギでございます。これにつきましては、特に詳しくお話があったわけでございますけれども、北東部海域における長期的な資源の減少と近年の知見についてお話をいただいたということでございます。
 まず、長期的な資源の減少につきましては、漁協の資料によれば、1970年代は貝柱漁獲量が1,500トンを超えていたけれども、その後は300~400トン前後で推移している。漁場の位置でございますけれども、1976年から1999年までの資料によれば、1990年前後を境に漁場が東側に偏ってきているということでございます。それから、1989年と2000年の底質を比較した調査がありまして、2000年には中央粒径値7の部分が湾中央まで広がっているということで、底質の細粒化・泥化が進行しており、このような底質の変化が漁場縮小の原因になっていることが推測されるということでございます。
 最後に、近年の知見ということでございます。浮遊幼生と着底稚貝の分布域の調査で2003年と1981年を比較したものがありまして、その浮遊幼生の分布でございますけれども、稚貝の漁場の分布から、着底後に斃死した可能性が高く、底質が生残に関与しているものと思われるということでございます。成貝の大量斃死につきましては、着底から約1年後に発生するとか、着底3カ月後には活力が低下する、あるいは干潟域では大量斃死は発生しない、ウィルス様粒子が確認されるといったさまざまな知見が得られているということでございますけれども、原因は現時点では不明であり、これについてはまだいろいろな調査がされていて、今後明らかになってくる可能性もあるというご指摘もございました。それから、貧酸素は主因ではないということもございました。最後に、ナルトビエイによる食害も見られるということでございました。
 以上のご発表をもとに、資料2-2につきましては、これまで議論していたものに今回新しくつけ加わった知見を加えたということで、特にアゲマキとサルボウについて変えてございますけれども、内容的には重複いたしますので、説明は省かせていただきます。

○須藤委員長 どうもご説明をありがとうございました。
 伊藤委員、今、要旨を高橋室長からご説明いただきましたが、内容についてはよろしゅうございますか。何かつけ加えていただくことはございますか。

○伊藤委員 特にありません。

○須藤委員長 よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局から前回のまとめをいただいたわけでございますが、これにつきまして何かご質問はございますでしょうか。では、森下先生どうぞ、ご質問でも、あるいはご意見でも結構なんですが。

○森下委員 もう一度確認をしたいんですけれども、海の二枚貝については存じ上げないんですが、淡水などで生物が減少していくときは、何か大きな、それを阻害するというか、とり過ぎだとか、いろいろな事件があるのですが、それが起こった後に今のアゲマキのような減少の仕方をするのには時間が20年とか30年とかかかってくるんです。そういうことをもとへ戻す力というのは、稚貝を放流することによって、人間の努力がそこに加わることによって、ある程度の平均化した栽培というんですか、生産が上がるようになっているんですが、この有明海におけるアゲマキにしても、サルボウにしても、アサリにしても、タイラギにしても、そのような人間が稚貝のレベルでの管理、そういうものが年変動があったのか、なかったのか、そういうことはこれから調べられるのか、調べられないのか、そういうことを知りたいんです。生産される生物というのは、かなりの大きな部分というのが人間の力にかかわっていて、そして自然の状態だけをとっていっても、どうしてもこのようなことの原因と結果が余りはっきりしてこないので、人間の社会的な活動が科学的な生産量のところとの間にどういう関係を持っていたのかということを知りたいんですが。

○須藤委員長 どうもご質問をありがとうございます。
 すぐにできるかどうか、もちろんわかりませんが、今ので何かつけ加えていただくことはございますか。

○伊藤委員 非常に難しいご質問だと思いますので、私が紹介しました種類につきまして、特に先生のご指摘されているようなことが考察できるとすれば、アサリかなとは今思っております。その他の種類については、ちょっと難しいと思います。

○森下委員 それからもう一つ、アゲマキなどは、1945年から1950年ぐらいにかけては随分たくさんとれていて、もう子供のおやつが全部アゲマキだったという時代があるんです。そういうところがここにこういう数字になって出てくると、もう割と早い時期、1920年ですから、その時点からすごく減ってきているということがあります。

○須藤委員長 もっと以前ということですね。

○森下委員 もっと以前の原因みたいなものを知りたいですね。

○須藤委員長 これについては、菊池先生、今の問題で何かございますか。

○菊池委員 伊藤さんがおっしゃらないのに私が返事をできるはずもないんですけれども、例えば共通してタイラギの場合も、それからアサリの場合も言われているのは、底質が泥質化しているということです。これは非常に広い面積、もう何十平方キロといったところで土質が変わっているわけです。ですから、それを突き詰めていくと、例えば今から数十年前からほとんど砂は有明海に来ていないという問題に突き当たります。ですから、これは、一つは水を流すときにあふれないために川底を掘り下げるという土木的な技術の問題もありますし、それから川砂は幾らでも需要がある。海岸の砂でさえ持っていかれてしまうという状態は、これはもう有明海だけでなく瀬戸内海でもあるんだと思いますけれども、稚貝が着底するときどう着くかということになるのですが、覆砂すれば確実にそこに稚貝は入るんです。けれども、その砂をどこから持ってくるか。有明海の中の深いところ、あるいは有明海の外側の砂をとること自身が、今はそれぞれの漁場を守るために、海底の砂をとって持ってきてしまってはいけないということになっているわけです。ですから、覆砂をするというのは、数年間はよくなっても、一時的でしかない。そういう形での底質の改善ということについての安定した技術というか、あるいは覆砂をするのだったら、どこの砂ならとっていいのか、質のいい砂のところほど地元でも大事にしているわけですから、それを幾らでももらってきてしまうわけにはいかないという事情がございます。ですから、干潟全体の奥行きが、沖へ出ていたものが短くなってくる。それだけではなくて、もとは割としっかりしたかたい干潟があって、その間に澪筋があって安定していたものが、今はでこぼこが非常になだらかになって、干潟と間を流れている潮通しのいいようなところの間の区別が、少なくとも熊本県の干潟ではあちこちで昔よりはメリハリがなくなったといいますか。ですからこれは場の方の問題だと思うんですけれども、それは人間が破壊したというよりは、砂が来なくなったという問題が、かなり大きいように思います。

○森下委員 質問をさせていただいた理由は、このような結果が出たときに、自然再生法でどのようにこれを活用しながら、有明海が再生できるかということが多分最終目標だと思うので、そしてできることは何があるかというのを見つけ出したいと思うんです。それで、昭和28年に大きな台風があって、そして有明海に砂が大分流れましたね。そのときはかなり漁獲量が上がっているんです。ただ、それから後は完全に砂が出ないような社会があって、ただその影響がいつごろから明らかになってきたかということをちゃんとしておいて、それから粒度との関係というのをちゃんとしておかないと、再生するときの目標値をどこに置くかというのがつかめないのではないかと思って。難しいのは承知で、これはどっちかというと科学の問題じゃなくて社会問題も含んでいるんだろうと思うんですが、科学で解明できるところはどこまでなのかというのを知りたかったものですから、失礼しました。

○須藤委員長 いや、森下先生、ありがとうございます。先生の今のコメントは、すぐにお答えできる問題ではないと思いますけれども、これから再生の筋道を考えなくてはいけないときに、大事な視点だと思いますので、議論の中で生かしていきたいと思いますので、よろしゅうございますか。
 では、今のような人為的な場の変化と二枚貝の関係というのは大変大事だと思いますので、それは今後の一つの課題にしていきたいと思います。ありがとうございました。
 ほかに意見はよろしゅうございますか。清野先生、どうぞ。

○清野委員 伊藤先生にちょっと記述の雰囲気というか、文体も含めてご質問したいんですけれども、資料2-1の裏の方の有明海のタイラギのところなんですけれども、ここだけを読んでしまうと、タイラギの減少についての貧酸素水塊の影響というのが割とわかりにくいような感じになっておりまして、一方で資料2-2のところで、もうちょっと大きい取りまとめの中では貧酸素の話がもうちょっと大きく取り上げられているので、そのあたりの論調の違いというのがあるかと思うんです。もしもあれでしたら、この2ページの分だけを読まれたときに、どのようにタイラギについて端的に評価していいかということもありますので、そのあたりをもう一度確認させてください。

○須藤委員長 それでは、伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 資料2-1、前回私がお話しした内容につきましては、この裏側の最初に書いてありますけれども、北東部海域と限定しております。ですから、この海域においてかなりの調査をやっておりますけれども、それに関しては、貧酸素が斃死に関して絡んでくると思いますけれども、それが第一義的ではないとまとめております。資料2-2については、もう少し漁場を限定しない広い範囲での指摘と私自身は認識しておりますけれども。

○須藤委員長 ということのようです。資料2-1というのは、あくまでもこの前の発表の範囲内でまとめていただいたんですね。

○清野委員 わかりました。そうしたら、ちょっとこれはそういう文脈がわからなくて、資料2-1だけが出たときに、もうちょっとそこが明快になるように書いていただければという気もします。だから、どうしても議事録も含めての対応で資料が読まれるよりも、資料自体が割と分断されて出ていくことが多いものですから、そこでタイトルが「有明海における二枚貝」になっているということで、前回の伊藤先生のお話のまとめであるということなんですが、そういったエリアの話が、この例に限らず、どうしても地域的な話と、水域を限定した話と、もうちょっと全体の話とがわかりにくくなるものですから、これに限らずですけれども、よろしくお願いします。

○須藤委員長 わかりました。それでは、それは事務局の方で少し用意していただきたい事項なんですね。ご発表いただくときは、それぞれの先生方がご自身の研究ですから、あるところの範囲を言いますし、それからこちらの方の2-2のようなまとめは、一言で言えば、有明海全体の水域の話、全域の話を大ざっぱにしますので、その使い分けはある程度は、誤解のないようにという今の清野先生のお話なので、それは当然かと思いますので、それは事務局の方にお願いしておきたいと思います。
 それでは、まだあるかもしれませんが、次の議題にいって、もしさらに追加があれば、後半の方でまたお願いしたいと思います。
 次は、有明海・八代海への汚濁負荷の変遷についてということでございまして、これは前回は環境省から報告を受けた分でございます。報告内容について整理した資料を事務局からどうぞご説明ください。

○環境省閉鎖性海域対策室長 では、資料3をごらんいただきたいと思いますけれども、前回私どもから報告いたしましたものを簡単にまとめたものでございます。
 趣旨といたしましては、有明海・八代海への陸域からの流入負荷量を過去昭和40年ぐらいまでさかのぼって検討したということでございます。
 算定方法につきましては、ここにございますように、基本的にはL-Q式を使い、ないところについては原単位法、それから排出負荷量については原単位を使ったということです。
 まず、有明海・八代海への流入負荷量の算定でございます。BOD、COD、T-N、T-Pについて試算いたしましたけれども、有明海については、昭和50年代に高い傾向が見られたけれども、その後、減少傾向にあるというのが全般的な傾向でございます。それから、豊水年に流入負荷量が高い傾向があったということ。それから、流域別に見ると、筑後川からの流入負荷量がおおむね全体の2~3割を占めている。
 八代海につきましては、流入負荷量の推移は、先ほどの有明海とほぼ同じような傾向を示している。昭和50年代に高かったということです。それから、流域別については、流域としては球磨川だけでございますけれども、球磨川の占める割合が、年によって違いますけれども、全体の1~5割ぐらいということでございます。
 それから、排出負荷量――実際に発生している負荷量のことでございますけれども、ここでは発生源別に見ております。有明海につきましては、BODは生活系と自然系の割合が高い、CODについては自然系の割合が高いとなっております。窒素につきましては、過去は産業系の割合が比較的高かったのでございますけれども、その後産業系の割合が減りまして、その一方で畜産系の割合が増加しているという傾向がございます。それから、燐につきましては、畜産系の割合が高いです。全体の排出負荷量として見ますと、やはり昭和50年代が少し高い傾向がございましたが、その後、BOD、CODにつきましては生活系と産業系が減ってきている、あるいは窒素、燐については産業系が減ってきているということで、いずれも減少傾向にあるということでございます。
 八代海につきましても同様の分析をいたしましたけれども、発生源別の状況、あるいは全体的な排出負荷量の推移については、有明海とほぼ同じ傾向だったということでございます。
 以上でございます。

○須藤委員長 どうもご説明をありがとうございました。
 ただいまのご説明に対しまして、何かご質問なり追加はございますでしょうか。これについてはよろしゅうございますか。
 それでは、次が本日の主要な議題でございます、潮流・潮汐ワーキンググループの検討結果についてでございます。潮流・潮汐につきましては、ワーキンググループを6回開催していただきまして検討を行いました。ご担当いただいた委員は、細川委員、滝川委員、小松委員、菊池委員、清野委員、福岡委員、岡田委員でございます。大変お疲れさまでございました。
 それでは、ワーキンググループの検討結果につきまして、細川委員からご報告をお願いいたします。それでは、細川委員、パワーポイントを使って、どうぞお願いいたします。

○細川委員 おはようございます。ご指名でありますので、ワーキンググループの内容について、パワーポイントで説明させていただきたいと思います。この作業部会は、文献の小委員会の方でまとめていただいた文献をベースにして、主に湾のレベルでの潮汐・潮流の議論をしてきました。湾のレベルといっても有明海が中心で、八代海についての検討は今回抜けております。そこまでは議論できなかったということです。それからもう一つ、今回ご報告しますのは、特にお手元の資料4というのは、作業部会の中間報告でありまして、今後検討を進めてリファインする予定でございます。また、いろいろないきさつがあって、私がここでご報告するというお役目になった次第ですので、私の説明に不十分な点とか不適切な点があれば、作業部会の先生方にはぜひ補充してご説明いただければと思います。前置きはそのぐらいにしまして、まず潮位や潮流は有明海でどんな状況なのかという点を簡単にパワーポイントでご説明して、その後、資料4に基づいて説明させていただきます。
 これは有明海を上空から見た図ですが、有明海の開口部、早崎瀬戸と、この辺に少し開口部があるわけですが、有明海にとっての主要な海水の出入り口は早崎瀬戸がほとんどで、南側の幾つかの出入り口では八代海との水の出入りはほとんどありません。有明海は、おおむね幅が20キロ弱、湾の長さが100キロ弱ぐらいで、平均の水深が20メートルぐらいの湾です。この湾の規模でいいますと、東京湾とか大阪湾と大体同じような、似たようなスケールの湾ですが、非常に潮汐が大きくなっています。
 これからいろいろな説明で、口之津とか大浦とか住ノ江あるいは早崎瀬戸とかの地名が出てくるかもしれませんが、このような位置にあります。入り口のところ、口之津というのは、検潮所がありまして、観測記録がよく使われております。もうちょっと外海側でいきますと、野母崎とか天草とかといったところから潮が入ってきます。
 これは海底のでこぼこをわかりやすく見た図です。この入り口のところ、口之津と早崎瀬戸が深くなっております。それから、ちょっと見にくいですけれども、島原半島の沿岸部、半島に沿ったところが深くなっております。水というのは流れやすいところに集まって流れるという性格がありますので、浅いところと深いところがあるときには深いところにどうも流れやすいといった特性がありますが、海の中の水深の分布図というのはこのようになっているところです。
 気象庁の「海の健康診断」というホームページが先月から立ち上がっておりますが、それで潮の様子を見たものがこの図です。これが湾の奥の方の大浦です。先ほど説明した湾の入り口の口之津です。それから、これは太平洋にあります鹿児島の種子島です。ちょっと見にくいのですけれども、横軸が日にちです。先月2005年10月の1カ月の潮位の記録があったので、ホームページから拾ってきました。10月1日から10月31日までで、ここがある基準の高さTPですけれども、ある基準の高さから水位が上がったり下がったりして、満潮になって干潮になって、満潮になって干潮になってということを繰り返しています。潮が大きい大潮のときと小潮のときがあります。まず種子島のところを見ていただくと、1日2回の潮が続いてあります。小潮になってくると、1日1回の低い潮が時々見られます。この辺もそうです。1日1回の潮と1日2回の潮が重なっていて、1日1回の潮が小潮では目立ってきますが、有明海の中に入りますとだんだん目立たなくなって、大浦では1日2回の潮ばかりが目立つようになります。1日2回の潮というのは、月の力で起きている潮で、M2潮といいますが、M2潮が非常に卓越した湾であるということがわかります。これはなぜかといいますと、先ほど地形を見ましたけれども、有明海は、延長100キロ、水深20メートルという湾の地形の特性から、12時間周期の1日2回の潮が共振して大きくなって、それが湾の中に入ってだんだん目立つようになるという特性があるからです。
 それで、これも同じホームページからとってきたもので、ちょっと見にくいのですが、昨日、一昨日ぐらいの潮汐水位の記録です。ここが11月1日の午前0時ですから、今9時とか10時とかはこの辺になります。2つの図のうちこちらが口之津です。こっちが大浦です。10月31日には満潮が2回あって、11月1日も満潮が2回あってと、12時間周期で潮があります。これが入り口(口之津)のところの潮です。この縦軸のスケールが、ここが400センチです。2つの図のスケールのゼロを同じ高さに合わせて、この200の高さを2つ揃えて、同じスケールで口之津と大浦を比べてみたものです。口之津の振幅はこのようになっているのに、大浦の振幅はこのように大きくなっています。少し湾の中に入ると潮汐の振幅が大きくなり、大浦では増幅するという性格を示しています。つまり、入り口でちょこちょこという波があると、中で大きくふれザーッと変化するという特性があります。この増幅する特性が諫早の干拓で変わったのではないか、あるいは変わらなかったのではないかということが学会レベルでいろいろ議論されてきたというところです。それについては後で資料4に沿ってご説明します。
 以上が潮汐――水位の上下なんですけれども、潮の上下に伴って潮が流れます。これを潮流といいます。もう一つの話題が潮流です。これは、国交省の九州地方整備局のホームページにあるものを拾ってきたものですけれども、1時間おきに湾の奥の方で測った流速を1日24時間分示しています。左横には潮が今どの辺にいるかというのを示しています。これは、先月10月3日の大潮のときの24時間分です。今13時ごろ、14時ごろということで、潮の流れの方向と大きさを示す矢印が上がったり下がったりしています。これを潮流といいます。試験的に観測したデータということのようで、湾の奥の方の干潟に近い浅いところでは、速い流速が時々観測されていますが、本当にこういう速い流速になっているのか、それとも風などの影響で少しノイズが出てきているのか、今のところちょっとわかりません。試験的に2005年1月から10月中旬ぐらいまでのデータをとっておりまして、時々欠測はありますけれども、毎時のこういうベクトル図が湾の奥の方で見られます。
 もう一つお見せするのが10月10日、次の画面ですけれども、小潮のときです。下げのときにはこのように湾口の方向に行っている。潮がとまってしまうと、こっちへ行ったりあっちへ行ったり、少しうろうろとしていて、潮が上がると湾の奥の方に行く矢印になっています。この辺ですか、この日の午後ぐらいにちょっと北風が吹いてきたようで、結構速い流速がポンと出ていますが、本当にこれだけ速かったのか、ノイズなのか、風の影響で速かったのか、それはよくわかりません。ただ、このような、上げのときに湾の奥、下げのときに湾の口に向かっての流れがあって、潮どまりのときには東西にうろうろとする流れがあるといったことがわかります。
 観測ベクトル図では、1日2回の潮が卓越するのですが、1日1回の潮や風による流れも少しまざっています。そういうものを分離して、1日2回の潮、月によって起こる潮M2というのを取り出してくるという作業をデータ処理で行いました。そうすると、データ解析の結果、先ほどちょっと見ましたけれども、上げ潮のときにこういう向きで、下げ潮のときにこういう向きで、満潮の潮どまりのときにこっちを向いたり、干潮の潮どまりのときにこっちを向いたりするというのを取り出してきたときに、こういう楕円がかけるわけです。時間とともに、潮どまりのときにこっちの向きで、だんだん上げ潮になるとこっちの向きになって、上げ潮の満潮時にこっちになって、下げ潮のときにこうなるということで、1日ぐるっと回るという楕円がかけて、この楕円の長手方向と短手方向をクロスで表示すると、1月から3月までのデータからはこのような分布になるということです。M2潮でいうと、このように海底地形の深いところに沿ったような流れが見てとれて、この辺で東西の流れも少し見えてきているといったことがわかります。さらに湾奥の浅いところについては、この機械の性質上、なかなかうまく測れていないということのようです。このようなデータがあったので、ご紹介しました。ちなみに、これはHFレーダー(High Frequency Radar)というものですが、短波レーダーを沿岸のこことここに置いて、海面にレーダーを照射して、その照射交点での潮のドップラー効果の偏差から潮流を測るといった装置です。機械の説明はホームページを見ていただければと思います。このように潮流というのは時々刻々と流れの方向と向きを変えながら水を運んでいます。先ほど風の影響などと言いましたけれども、風とか川からの水の流入とかの影響を受けながら、それでも平均的にはこのように流れているという、いろいろな変動要因を持ちながら、それでも大局的に見ると、大体いつもこのように流れているといった性格を持っているということがご理解いただけたのではないかと思います。
 有明の特徴と潮汐・潮流の特徴をざっと見ていただいた上で、資料4に沿って作業部会の議論の行方などをご紹介したいと思います。それでは、お手元の資料4に沿ってご説明させていただきます。
 資料4をめくっていただきますと、目次がありまして、Iが潮位の変動について、IIが潮流の変動についてで、その後に参考資料というのが幾つか掲げられています。Iは、潮位の変動について、どんな議論があるのか整理したという部分です。IIでは、潮流の変動について、どんな議論があるのか整理しました。微妙なところもありますので、いろいろなレポートの文章をそのまま引用するということを心がけました。本文から引用したときは●で、文献の概要の部分から引用したところは▲で示しています。あとは適切に「てにをは」を補ったりといったことをしています。参考にした文献につきましては、この資料の最後、参考資料のところの(9)~(12)ページに文献のリストが掲げられています。こういった文献を調べてみたといったリストです。文献1から文献41までです。もし必要があれば、皆さん、もとの文献にこのリストから当たることができると思います。
 まず1ページの潮位の変動からでございますが、1ページは今パワーポイントで説明したようなこの海域での一般的特徴について書いてございます。1ページの一番下もしくは2ページの第3表というところを見ていただければわかるとおり、湾口の口之津で2メートルぐらいの平均潮差です。潮差というのは、下げ潮で干上がるときから満潮になって水がいっぱい来るときまでの水面の高さの差です。口之津で2メートルぐらいの潮差が、奥の住ノ江まで行くと3メートルを超えるという平均潮差があります。大潮のときには、住ノ江で4.9メートルとか、かなり大きな潮の差になります。この潮の差は、先ほど説明しましたように、有明海の固有振動が半日周期の潮汐と近いもので、共鳴現象を起こすといったところに起因します。
 2ページ目の第2段目のパラグラフの真ん中のあたり。読みにくくて申しわけありませんけれども、下から13行目ぐらい、「一方」というところをちょっと見てください。住ノ江では半日周潮――1日2回の潮の振幅は247、日周潮は49、この数字は、細かいところはいいんですけれども、1日1回の潮に比べて1日2回の潮が5倍ぐらいの振幅を持っているということで、半日周期の潮が優勢ということがわかると思います。
 もう一つ、潮汐による特徴で、2ページの一番下の行に記述されていますけれども、潮というのは、入り口と住ノ江まで少し満潮の時間の差があります。口之津から見ると、住ノ江まで20分ぐらいの差がありますが、それでも12時間の周期に比べると非常に短くて、潮汐による海面の昇降は湾内全域でほとんど同時に上がって同時に下がるという特徴を持っています。
 3ページですが、以上のような特性の中で、潮位の議論がいろいろありました。湾のレベルのスケールでの議論というのがいろいろ学会でも大きな議論になっていました。それ以外のスケール、例えば貝殻とか、何十センチぐらいの大きさのスケールで見たときの流れとかといったものの議論というのは、学会レベルでも十分議論されていませんし、この作業部会でもそれについて十分議論するまでに至っていません。湾レベルでの変化に関していろいろな議論があって、その後、このように要因を分析して整理してから議論した方がよかろうということで、3ページの表の下に要因がまとめてあります。学会でこのまとめが出るまでには時間がかかっております。研究議論の一つの成果だと思います。
 3ページの[1]です。M2潮がここの海で優勢だと言いましたけれども、M2潮というのは月の引力でできる潮汐です。月の軌道が18.6年周期で少しずつぶれているので、18.6年周期で月にかかる潮の振幅というのは変動します。1日の上げ下げの振幅について、見かけ上、M2潮の振幅が18.6年周期で動いています。この変動部分を除いたものでM2潮の振幅というのが定義されています。M2振幅も地形変化とか密度変化とかといった要因で変化しますが、こういった変化がない限りは地点の固有の値になります。この場所と決めたら、そこでの固有の値になります。18.6年周期の変化分を普通fという記号で表示します。fがどのぐらいになるかというと、これは後で説明します。fとM2潮の振幅と、両方の掛け算でその年その年の振幅が起きています。これを分離しないといけませんねというのが一つです。
 2番目、実際の潮の高さというのは、低気圧が来て気圧が低くなると少し気圧に吸い出されて海面が上がるとか、風が吹くと少し水面が吹き寄せられるとかといった要因が加わって、短い周期ですけれども、いろいろな変動を示します。これも知っておかないと、間違えて議論することがあります。
 3番目に、では有明海の潮汐の振幅に関して、潮が減ったか増えたかといった要因の設定の仕方あるいは議論の仕方、これが従来研究者によってまちまちだったということから、このように議論したらどうでしょうかという分類が出されています。3つの要因に分けて、それぞれの既往を考えたらいかがですかということで、この分類の提案以降、おおむねどの先生方もこの要因に沿っての議論を展開しております。3つの要因とは、1番目、有明海の海水面積の減少、2番目、平均水位の上昇、3番目、外洋潮汐振幅の減少です。1番目は、有明海の中で干拓があったとか、埋め立てがあったとかといったことでの有明海の中での潮の様子の変化、2番目は、太平洋も含めて、海全体の水面が少し上がるといったことによって引き起こされる潮汐の変化、3番目が、入り口のところの潮汐が小さくなったといったことから引き起こされる有明海の中での潮汐の変化といったものです。
 こういった分類をした上でさまざまな議論を見てみたのが、5ページ以降でございます。5ページの一番上の少し太いグラフがあると思います。これは潮差の毎年の変動を示したものです。一番上の少し大きなグラフにはOuraとかSogo-towerとかTairaとかという地名があると思いますが、Ouraというところを見ていただきます。これが年平均でとった潮の差です。1980年前後で極大を迎え、その後また低くなって1988年ごろに極小を迎え、その後1995~1996年に極大を迎え、その後2000年に向かって低くなっているということであります。こういう18.6年周期のfの変化が大浦以外にも、下の方を見ていただきますと、Makurazakiというのが一番下に書いてありますけれども、外洋でも見てとれるということです。したがって、うかつに1995年と1988年ごろとを比べて1995年の方が潮が高くなったという比較をしてしまうと、fの影響で潮が高くなったのか、それとも地形変化の影響がそこに含まれているのか、分離できない。だから、ここはfの影響を分離しなければいけませんよというデータとして扱えると思います。
 5ページの下の●は、文献31に書いてありますけれども、このfの影響が有明の場合非常に大きい。fの増加が1979~1980年ごろピークになって、1988年ごろ極小になっていますけれども、fの値でいくと、ピークになっているときには1.037倍ぐらいで3.7%ぐらい平均よりもふえて、低くなっているときは0.964ということで3.7%ぐらい低くなっているように、fの影響で潮の振幅が3.7%ぐらい上下しています。これで長期的に潮が結構潮が大きくなったり小さくなったりという現場の状況のうちでも説明されてしまう部分が多いですねという指摘です。
 そうすると、次に6ページの左上、Fig.1と書いてあるところの四角の中に凡例があって、M2の実線がありますけれども、これが毎年のfの値の変化で、1.03から0.97ぐらいの間をこのように行ったり来たりしていますという図です。これを考慮した議論が必要です。これはまた後で言います。
 もう一つ、5ページの大浦の18.6年周期ででこぼこしているというグラフと類似のものが8ページにもう一度出てきます。8ページは、潮位差の減少をグラフにプロットして議論している例の一つです。8ページの(2)の下にあります▲の議論は文献6の議論ですが、左側のグラフは先ほどの5ページの図2の大浦のグラフと非常によく似たグラフです。18.6年周期で上がったり下がったりしていて、1988年から1997年ぐらいにかけては諫早の工事期間ですけれども、その期間の前後でこの18.6年周期の波の様子は余り変化していませんねという主張をされています。
 それから9ページは、fの値が変化するので、現地の観測をするとfの値が入ってしまうので、それではというので数値シミュレーションで検討した結果です。数値計算によりますと、地形変化、特に諫早の締め切りによる変化というので、2.5%ぐらい潮の高さが住ノ江で減っていますという結果を示しています。この数値計算ではfの影響を受けずに地形変化による潮の高さの変化というのを評価できるので、数値計算で評価しようとした例です。
 以上の議論は、M2分潮のみを引っ張り出さないで各地の潮差だけを議論した論文ですけれども、もう少し精緻にといいますか、中身に入ってということで、10ページ以降にM2分潮だけ分離した数字はどれだけ変化したのかという議論が幾つか出されています。幾つか見た論文はあるのですけれども、ここでご紹介できなかった論文には大変申しわけないのですが、少し飛ばさせていただいて、11ページを見ていただきます。11ページの下に図3というのがございます。これも先ほど5ページで見た図とよく似ていますが、一番上の方にOuraというのがあります。右下がりになっている折れ線グラフが見えると思います。これが、先ほどの潮差のグラフ(5ページの図2)からfの割合を差し引いてM2だけ取り出してきた図です。このように、M2分潮そのものの振幅がだんだん経年的に減っています。1980年ぐらいから2000年ぐらいにかけて、10年とか11年ぐらいで、大浦の振幅が4%ぐらい減っています。これが、fを除いた別の要因での影響かなというので、これで議論している例であります。ところが、図3の一番下のグラフを見ていただきますと、Makurazakiという湾の外なんですけれども、この検潮所でも少し右下がりになっている。つまり、湾の外でもM2分潮が下がっているということがわかります。そうすると、大浦の下がり方ほど急ではないんですけれども、湾の外でも下がっているから、湾の中に原因を求めるというのは少し難しいねという議論が出てきます。
 次の12ページも同じようにM2分潮の振幅を見たものです。これも大浦でずっと下がっているというのが上から3つ目の折れ線から読み取れますが、一番下の折れ線がFukueというところで、その上がNagasakiというところで、有明湾外の検潮所でも右下がりになっています。このように湾外も下がっているし、湾内も下がっているということなので、湾内の影響ということではないんじゃないかという議論、これが一つ、例えば13ページの文献6の主張になっています。
 その13ページの文献6から持ってきた図6-6のグラフ、真ん中のところに少しでこぼこの少ない線が入っていると思いますが、この線が先ほどの11ページの図3の大浦のM2の振幅だけを取り出した折れ線グラフと類似のグラフです。
 それではというので、外海も減っていて、湾内も減っているので、減り方を比べましょう、比をとりましょうという処理をしたのが14ページです。14ページを見ますと、Fig.2という図がありまして、一番上が(a)でOura、2番目のでこぼこのグラフが(b)でKuchinotsuと書いてあります。この口之津の減り方と大浦の減り方、両方とも減っているのだけれども、口之津が少し減ったときに大浦ががくんと減るという、これは湾内で増幅されるので、減少割合も増幅されるのですけれども、その比をとったのが一番下のグラフです。そうすると、この文献の主張では、[1]右側のclosingというところで破線が打ってありますけれども、このclosingまでの傾き、口之津の減り方に対する大浦の応答の割合、これが大体一つの線に見えますねと。それから、[2]1997年以降その減り方の割合が少し大きいですねということで、[3]1997年以前の減り方の割合のみでどれだけ大浦の振幅の差を説明できるかなと計算したということです。
 その結果が15ページ、(2)というところに書いてあるのですが、15ページの表1の見解1というところです。最初に見ました要因〈1〉・〈2〉・〈3〉で分けてありまして、締め切り堤で大きな変動がなかった1997年以前の傾きでどれだけ説明できるのかとして検討すると、外洋潮汐の振幅の減少と平均水位の上昇で5割ぐらいと、有明海の干拓の影響で5割ぐらいという寄与率を算定しております。残りの見解2・3・4は、先ほどちょっと申しましたけれども、fの影響がないような格好で数値計算で計算してみて、現状の潮汐が再現できたのを確認した上で、有明海の海水面積をモデルの上でわざと減らして、あるいは潮受堤の締め切りをモデルの上で再現して、それで潮がどれだけ減るのだろうという計算をして比較したといったものです。見解2・3・4の数値計算でどこが違うかというと、外側の東シナ海の海をどこまで広く境界条件としてとるかといったところが主な違いです。これでいきますと、有明海の海水面積の減少の寄与が4割から1~2割ぐらいと幾つかに分かれていますが、有明海の海水面積の減少と外洋の潮汐の振幅の減少がパラレルな、同じぐらいのオーダーで、有明海の中の潮の減少に効いているという理解になっています。この割合、程度についてはまだ議論があるようです。というところが潮位の議論の整理をしたところです。
 さらに、要因〈2〉というのが、海全体の水位が上がっています、それが影響しているんじゃないですかという議論があるので、18ページ、19ページに海全体の潮位がどのように上がっているかというデータを拾ってみました。どの論文でも共通して、1985年以降、15~20年ぐらいの間に平均水位が10センチぐらい上がっていますということが報告されております。18、19ページは別の著者の論文ですが、似たような結論になっています。
 以上、潮位に関する議論です。結論めいたことはお手元の資料には印刷していないんですけれども、私なりに今までのことをまとめますと、こんなことではないかと思います。
 1つ目は、有明海は、M2分潮が卓越して、湾内での振幅の増幅が大きい。このため、M2分潮に影響を及ぼすfの値が潮位の年変化を大きく規定することになっています。fというのは、1.037から0.964とプラスマイナス3.7%程度、18.6年周期で変化しています。これを考慮しないと、地形の変化の影響があるとかないとかを隠してしまう、それよりも大きな影響を与えてしまうので、判断を間違えることがあるでしょう。こういうことが学会レベルの議論の中で明らかになってきたということです。
 ではというので、2番目です。fの変動を割り引いて、M2分潮振幅のみを取り出してみると、この振幅はこの20年ぐらいの間に各地点とも、湾内も含めて、減少傾向にあります。大浦で4%とか2%とかという減少です。湾口の口之津を基準にして大浦での減り方を比で見ると、1997年を境に急減しているという主張と、そんなに変わっていないという主張が今出ています。
 それから、3番目ですが、口之津を基準にして大浦の減少の仕方などのデータ解析から、先ほどの要因〈1〉・〈2〉・〈3〉の寄与を求めると、要因〈1〉湾内の地形の変化、埋め立てといったものの変化が5割ぐらい寄与しているという報告があります。さらに数値計算で似たような検討をした結果では、3つぐらいの数値計算のモデルがありますけれども、要因〈1〉の寄与は1割から5割ぐらいといった結果になっています。程度の差について数値計算とデータ解析とではちょっと見解が分かれていますが、要因〈1〉と〈3〉、外洋の影響と湾内の水面積の減少という影響とが同じようなオーダー、パラレルなオーダーの寄与になっていそうだといったところは共通の認識として出てきました。
 さらに、4番目です。1985年以降今までの間に平均水面は10センチ上昇しているといったこと、こんなことが潮位に関する議論の整理からわかりました。
 これを踏まえて、20ページに5.で潮位に関する提言を示しております。
 1番目が、外海の様子が有明に影響を及ぼすので、外海の様子をちゃんと観測した方がいいでしょうという提案です。さらに、外海の影響を素早く検知するために、もし重要なとか敏感なとかといった地点があれば、そこで連続的な潮位データをとっておいた方がいいでしょう。その場合には長期的な変動を見ることになるので、適切な管理運営とか、長期的な地盤沈下とか海底変化といったものもあわせて把握しておく必要があるでしょうというのが1番目です。
 2番目です。現実の潮位差というのは、fの影響や気象など、さまざまな要因でのノイズが入ってきて、さまざまに変動しています。環境と潮位差との関係を評価するためには、分潮を分離するとか、ノイズの大きさを分離するとか、あるいは大きな周期の変動を分離するとかといった区分けをした議論をする必要があるでしょう。ここに気をつけましょうということです。
 3番目です。内部要因として、今は干拓事業についての議論がメインですけれども、ノリ網の影響とか、新港の影響とか、こういったものについても少しずつ検討が始まっていますが、より定量的な検討が必要でしょう。
 4番目です。潮位に関しては、人の操作による地形変化があったときにどう湾内で変わるかといったことを考えるときには、シミュレーションが非常に有力なツールになりますので、このシミュレーションの精度の向上、あるいは数値モデルの高度化を図る必要があるでしょう。特に共振という特性を持っている海域なので、非線形性が強く出る現象、1増えたから中で1増えるわけではなくて、2倍も3倍も増えてしまうといった現象を扱う場合には、境界条件とか初期条件の与え方とか、結果の評価の仕方については十分配慮した議論が必要でしょう。シミュレーションそのものの限界としては、シミュレーションに組み込んだメカニズムしかシミュレーションでは再現できません、表現できませんというところです。
 少し長くなりましたが、以上が潮位に関する提言です。
 引き続きまして、潮流についてです。21ページからです。潮流について、まず21ページに有明海の流況を概観しております。潮の流れが非常に速いということ。それから潮汐振幅が、1日2回の潮が卓越しているものですから、潮流も同じような周期で1日2回の上げ下げが卓越しています。浅いところでも非常に速い流れが出現していることがあるようです。それから、平均的な流れでいうと、概して反時計回りの環流が見られるという報告が多いんですが、余りはっきりしないところもあります。平均的な流れに対しては、川の水の影響等、いろいろな影響が重なっていますが、21ページの下の2行ですか、有明海の流動は大きな潮位差に伴う卓越した潮流が特徴的です。恒流、上げ潮・下げ潮の往復流をキャンセルした1日平均の流れとしては、島原半島側のちょっと深くなった谷状のところですけれども、そこでの南下流が明瞭です。といった特徴があります。
 潮流に関しての議論が22ページ以降に整理してありますが、本格的なというか、湾内の大規模な潮流の一斉観測といったものは、海上保安庁が昭和48年と平成13年の2回実施しております。その結果が、例えば23ページの図です。「平均大潮期潮流図の比較(海面下3m)」というもので、右側と左側とあります。右側が2001年、左側が昭和48年――1973年です。ぱっと見ると、早崎瀬戸、口之津のあたりの矢印の長さと向きがちょっと違います。入り口のところはちょっと違うのですが、「西流最強時」だから下げ潮のときですが、このときの様子を見ると、パターンが大きくがらがらっと変わったとか、数字が大きく変わったとかということはなくて、似たようですねという評価を文献8は示しています。
 資料の24ページですが、同じデータを使って、文献41はさらに詳しく検討しています。ここではこのような記述になっています。少し読ませていただきます。24ページの上から2行目です。「潮汐について指摘されているような一方的な減衰傾向は見られず、場所によって強くなっているところもあり、明確な変化傾向は得られなかった。しかしながら」と書いてあって、鉛直的な分布などは少し違っていましたということが書いてあります。こういった議論をして、文献41は、その図の下のところ、かぎ括弧で書いてありますけれども、こんな結論を導いています。「今回の」というのは平成13年度です。昭和48年と平成13年の「新旧潮流観測結果の違いは、淡水流入条件による重力循環(密度流)の違いによる可能性が大きい」ということをまず言っています。従来は余りこういった点を指摘する人がいなかったというか、気づかなかったようですけれども、重力循環流というのがこの湾の流れに結構効いていますねということを見つけましたと記述しています。ただ、この重力循環流は、淡水流入は季節や日々の気象によって大きく変化するので、毎年の違いも大きいと思われます。「この違い」という記述が、多分私が読むに、昭和48年と平成13年の観測の「違い」が、「経年的な長期変化かどうかは、今のところ判断できない」と主張しています。平均流についても、数日程度の短期変動が大きい、あるいは上下層での違いが大きい、こういう変動があります。風によってすっと流されるとか、密度流の変化によって流されるとかということもあるので、平均流についてもさらに検討する必要がありますと指摘しています。加えて、20メートルの平均水深ということがあるのですけれども、鉛直的な潮の流れも含めた3次元的な考察が今後必要でしょうと指摘しています。なお、昭和48年と平成13年の潮流の観測は、電磁流速計とか超音波流速計とか、かなり精度の高い機器を使って専門の方がはかっているので、検知した、計測した流速そのものは、信用できるというか、妥当なのかなと私は思いました。というのが本格的な大規模な湾内での観測の様子です。
 27ページには、別の機関が平成13年に行った流速分布で、海上保安庁の昭和48年の流速分布との比較をしています。この報告によれば、湾内で、湾奥の方で1割ちょっと(12%)流速が小さくなっているという主張をしています。ただし、測定方法が違うといったことで、なかなかこの12%という数値そのものについての比較が難しいということです。
 28ページ、そもそも潮流流速というのは湾レベルでどのように変動しているはずなのかといったところの整理です。これは湾レベルの大きな平均的な姿を解析したという例です。文章ばかりで読みにくくて申しわけありませんけれども、諫早の干拓などで海の表面積が減ったということ、あるいは潮汐振幅が先ほど見ましたように少し減ったといったことを所与の条件とします。海の面積が減れば、そこにもともとは潮が浸入してきて満潮になっていましたが、そこの面積分だけ潮水が入ってくるところが、入ってこなくなります。入ってこなくなった潮水の量を計算すると、ざっと見積もると1億2,000万トンということになります。その分、入り口のところから有明海の中に入ってこないで済むということなので、どこの通過断面で見るかによって多少というか、かなり変わってきますけれども、1億2,000万トン分の潮が入ってこなくて済むようになったのだから、その分、全体の平均的な姿としては流速が減っているはずですねという整理です。海面面積の減ったすぐ近くで見ると、この影響は大きいんですけれども、大きな海の中で見るとこの影響が小さくなるといった特徴があって、潮の出入り量の減少パーセンテージというのは、どこを通過断面にして潮が入ってくる量をカウントするかで多少変わっています。下から13行目とか14行目ぐらいのところにちょっと書いてありますけれども、有明と長洲を結んだラインより奥の面積減少率は、諫早の干拓の面積を海のそれまでの全体の面積で割ったもので4.9%、約5%ぐらい。島原-熊本ラインと、もう少し海を広げたところで、海の入り口に近いところでラインを設けると、諫早の干拓の面積減少率は3.6%になる。この分ぐらいは流速が平均的には減っているでしょうという議論の整理です。
 ただし、後でもちょっとありますが、局所的な影響も受けて、潮の流れが断面一様で東西全部同じ流速で上がったり下がったりするわけではないといったところの影響、あるいは恒流成分、潮汐残差とか川の流れとか風の影響など、潮流はいろいろな影響を受けています。場所や日によりばらつきが生じます。ということで、全体的な大ざっぱな姿は今整理したとおりなんですけれども、どこでどのようにあらわれてくるかということは、シミュレーションや現地観測によって、より定量的に明らかにしていくことが重要であります。28ページの最後の行は、文章を直そうと思ってうまく直っていないところはあるんですけれども、「シミュレーション及び現地観測等によって、より定量的に明らかにしていく」という文章です。
 全体的にはそうなんですけれども、部分的にはどうなんだろうというところで、議論としては諫早湾の入り口から奥にかけて、観測や数値計算の論文がたくさんあったので、それを見てみました。29ページ以降です。まず諫早湾内では、締め切り堤の直前では潮の流れがとまってしまうといったことがあるんですけれども、湾口でも1割~3割ぐらい、潮の流れが減少していますという観測結果です。
 30ページは、これも湾口でも流速が低下しますという報告です。どのぐらいといったことについては、特に定量的な記述はありませんでした。
 31ページですが、これも湾口での変化の様子を議論しています。31ページの下の文献35では、これも諫早湾内の流れが夏・冬の条件でシミュレーションしても少し遅くなっているという議論です。以上が諫早湾内を中心にした議論です。
 32ページからは、諫早湾の外回りや周辺の影響を議論した例です。32ページは、数値計算で計算したところ、諫早湾口から島原ぐらいにかけて少し流速の変化が出ていて、諫早湾の北側、佐賀寄りのところでは潮受堤によって下げ潮時に流れが少し増加して、島原半島に沿った広い地域では減少しているといった数値計算結果を示しています。
 33ページです。ここでは諫早湾外についても議論していまして、これは観測を中心にした主張ですけれども、33ページの1つ目の●は、島原半島沿岸で潮流の減少が2割~3割弱ぐらいあったという報告で、2つ目の●は、島原半島沖でのこの2割~3割弱というのが、平均的に見て5パーセントぐらい海面積が減るといったことから推察される減少よりもちょっと大きな減少で、潮の通り道がありそうだなということを示唆しているという報告です。3つ目の●ですが、M2分潮の潮流楕円の向きが少し変わっているのではないかといったことを指摘しています。つまり、平均的に潮が一様に流れてくるのではなくて、速く流れていくところと遅く流れていくところがあって、それぞれのところで地形変化の影響の出方も違うといったことが示唆されています。
 少し飛ばしまして、35ページにいきます。ノリ網の影響を数値シミュレーションで検討した研究です。ノリ網の影響というのは、局所的に流れを阻害するような水理効果があるのですけれども、それが場合によっては湾全体へ影響するようなこともありそうだという指摘です。
 36ページですが、これはノリの養殖施設が、流れだけではなくて、流れを媒介にして浮泥の輸送にも影響があるのではないかといった可能性を指摘しています。流れによって泥とか水質がどのように変化するかといったところについての数値的な検討あるいは水理的な検討というのは、これからもっとやらなければいけない分野のようです。
 37ページは、熊本港の影響ですが、港の周辺で局所的な流速変化があるという計算結果が示されています。
 ということで、潮流に関して多少結論めいたことを、文字にはなっていないんですけれども、私の意見としてまとめさせていただきます。1番目は、湾内の広域的な潮流観測は、昭和48年と平成13年の2回、海上保安庁が実施して、その結果、流速が増えた点、減った点が観測結果として示されています。この観測結果については、河川流入量などが昭和48年と平成13年で違うといったことで、重力循環流の効果が2回の観測で違っているおそれがあります。それから、観測点数に限りがあったといったことから、昭和48年と平成13年の2回の観測結果から地形の変化のみの効果を取り出して評価するというところにはまだ至っていないようです。
 2番目です。平均入退潮量というところで議論した限りでは、干拓等で海面が減少した分だけ面積比で潮が入ってくる量は減ります。どこまでをまとまりのある水塊とするか、水域とするか、境界断面をどこに設定するのかで減少割合の算定値が違ってきますが、入退潮量を平均的な断面で割ると、平均的な流速減少量が算定できます。どこのラインで切るかによって違いますけれども、数%とか4~5%程度の値が示されています。実際の流れは、観測結果や数値計算を見ますと、場所ごとに遅くなり方が違っていたり、あるいは速くなっている場所があったりするといったことが示されています。場所ごとの変化の様子というのはもっと細かくちゃんと調べないといけないということがわかります。
 3番目です。諫早湾内は、干拓によって潮流が低下しているといったことは皆さん言っています。低下の仕方は湾の奥で著しい。諫早湾口では、湾口の南の部分と北の部分で潮流変化に差がありそうだ、あるいは上げ潮、下げ潮で潮流変化の仕方に差がありそうだといったことがわかってきています。
 4番目です。ノリ網など局所的な地形変化の効果についても検討が始まっています。局所影響が湾全体に伝播したり、あるいは浮泥の挙動を媒介にして環境に影響を与えたりといったことの可能性が指摘されております。
 このような議論を踏まえて、潮流に関する提言が38ページ、4のところにあります。
 1番目は、局所的な変化と大きな変化が、お互いに影響を及ぼしながらこの場の流れをつくっています。だから、流れの仕組み・構造・組織・階層といったものの変化を正確にとらえるためにも、過去に実施されたいろいろな観測データを生かした比較用の現地観測、あるいはポツンポツンと測るのではなくて、面的あるいは線的な潮流の連続観測が必要であります。このような観測結果を取得できるように、国、関係県、大学等を含めた組織的な観測体制の充実が求められます。
 2番目です。上の観測結果を活用することも踏まえて、海底地形等の水深データや、潮流の局所的変化状況や、さらに密度成層等の水の塊の様子をうまく表現できる空間分解能の高い流れのシミュレーションが必要で、そのために必要な計算機など、こうしたものの整備も必要です。干拓事業や、港などによる地形変化、ノリ網の影響等の要因について、さらに定量的な検討が必要です。
 3番目です。こういった潮の流れの変化解析というものが、先ほど森下先生のご指摘もあったのですが、水質、底質、水産資源、底生生物等とどう結びつくかについては、今回ここでご紹介したのは湾レベルでの時間空間スケールでの流れの解析結果を整理しましたけれども、もっといろいろな生物特有の、あるいは底質特有の時間空間スケールでの結びつきがあるので、詳細な検討が必要です。例えば、透明度・SS等と潮流との関係、シルト・粘土のような細かい粒子の挙動といったものと潮の流れの関係などについての詳細な検討が必要です。さらに、潮流は生物の生活史に深く関係しているため、例えば浮遊幼生の広がりなどは潮流によっていますので、潮流と生物との関係についても検討することが必要です。その際、底質・生物の応答性を考慮した蓄積的な影響に、徐々に変化するといったことも含めて注目すること、つまり、長い時間スケール、広い空間スケールでの影響にも注目することが必要です。「以上のような検討は、有明海・八代海の再生のための施策の改善点や評価において重要である」と、最後の1行に記してあります。作業部会のメンバーである福岡先生が強く主張されていまして、「今後何が解れば社会の役に立つのか」といった視点から物理的な現象についての議論を、さらに深める必要がある、ということを宿題としていただいています。作業部会の中で、この視点に立っての議論というのは、現在まだ十分詰められていないところであります。
 以上が資料4として準備したもののご説明です。ちょっと長くなりまして申しわけありませんでしたが、潮流・潮汐作業部会の検討結果としてご紹介いたしました。以上です。

○須藤委員長 大変膨大な資料を適切にまとめていただきまして、またご説明も簡潔にしていただきまして、ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に対しまして、いろいろまだ委員の先生によっては、特にワーキンググループの先生方にとっては追加のご意見もございますでしょうし、委員の先生方はさらにご質問等もあると思いますので、どうぞ活発なご討論をお願いいたします。いかがでございましょうか、どなたでも。では、小松先生、どうぞ。

○小松委員 私もワーキンググループのメンバーです。今の細川委員のご説明は非常に簡潔で、とてもいいご説明だったのですが、1つだけちょっと補足させていただきます。
 先ほど細川委員の結論の中に、海上保安庁のデータが地形の変化を議論できるまでに至っていないということで、まさしくそのとおりだったんですが、流速がほとんど変わっていなかったというこの海上保安庁のデータの比較結果がすごくひとり歩きしているわけなんです。ところが、この文献の著者自信が文献の中で述べているように、昭和48年と平成13年の観測結果の違いというのは、前提条件が違い過ぎたのではないか、春と夏に測っていて、河川淡水の流入の仕方が全然違っていた、それから片や成層状態になっていて片や混合状態だったのでこういう結果が出たのだろうと、きちんと文献の中で述べているわけです。先ほどのご説明の中であったように、入退潮量が全体として減少するということから、諫早干拓により平均的には有明海の中では潮流は減少しなければならないという系になっているわけです。この海上保安庁のデータは、全体的には潮流流速が増えています。これはあり得ないことです。従って、このデータがもし信頼できるデータであるとすれば、そういう比較ができる前提になっていなかったということが言えるかと思います。確かに、成層状態になっていれば、このように増えたりすることはあり得るわけで、データの信頼性そのものは私はあるとは思うんですが、これは、比較して、そこから物を言ってはいけないデータなんだということだと思います。この点をきちんと確認しておきたいと思います。

○須藤委員長 どうも解説をしていただきましてありがとうございました。細川委員、それは中でも随分議論していただいたわけですよね。

○細川委員 はい、議論しました。

○須藤委員長 それでは、小松先生のそういうコメントも含めまして、あるいはほかの部分でももちろん結構でございますが、委員の先生方、どうぞ、ワーキンググループの先生でも、今のようなさらにご追加なりもあっても結構でございますので、どうぞお願いいたします。本城先生、どうぞお願いします。

○本城委員 細川先生が、流れの速いところは深いとパワーポイントで最初に話されたことが非常に印象的なんですけれども。例えば、大浦の上の方、鹿島市側に向かって1本澪筋がありますね、一番西に。そこの澪筋が非常に浅くなってきて、泥化しているように見えます。大浦の流れのデータは少し速くなったと書いてありましたけれども、少し離れて澪筋のところへ行けば、底の方の流れは弱くなってきているのではないかと思うんですが、それに関するデータは今はまだ全くないと言ってよろしいのでしょうか。

○須藤委員長 それでは、どうぞ、細川先生。

○細川委員 深いところは速く流れるというのは、ちょっと誤解を招くような言い方で、いつもいつもそうだというわけではありません。同じ水の量がある断面を流れるときに、断面が小さくなればなるほど、そこを短い時間にたくさん水が流れなければいけないので、流速は速くなります。ということで、同じ水量を流そうと思うと、浅くなると速く流れます。一方、深いところは流れやすいので、そこに水が集まって、そこを流れて、浅いところは流れにくいので、そこは嫌だと言って深いところに水が集まるというのも、一つの現象です。深いところと浅いところのどっちに流れてもいいという水位差だけがあるときには、そういうこともあります。だから、深いところを必ずたくさん流れ、流速が速くなるというわけではなくて、条件によって違うということです。ご指摘の澪筋がどのような水理学的な作用でどのように流れているかわかりません。

○本城委員 そうですか。

○細川委員 はい。私は、だからどうなりますということは、今はお答えできません。数値計算をきちんとやるというのが大事だと思います。

○本城委員 滝川先生、今の問題はそれでよろしいですか。

○滝川委員 詳しい計算といいますか、観測結果が水底付近を含めて実測されていないのが現状ですので、今、細川委員がおっしゃったように、場所によっては非常に速いところもある。定性的に、島原沿いのところは深くて、かなり潮流の出入りがもともとあるという意味で、多分最初に細川委員が、深いところはというご発言をなさったんだと思います。今、本城委員のご質問なさった、水道が3つぐらいある、あそこの底質が変わっていて浅くなっているからという議論は、そこまで実測がございませんので、今おっしゃったように、実測をやる、あるいはシミュレーション等を精緻化して検討するということは大事なことであると思います。多分、浅くなっているというのは確かといいますか、いろいろなデータから出てきますので、それが再現できる、あるいは先ほどからちょっと問題になっていますが、浮泥の粒度がどうなっているかというのが非常に重要な話になってくると思います。それとの問題というのは今後も含めた課題だろうと考えています。

○須藤委員長 本城先生、それでよろしゅうございますか。
 ほかの委員、どうぞお願いいたします。小松先生。

○小松委員 今の本城先生のご質問に対する補足回答なんですが、さっき細川委員が言われたように、同じ条件だったら、やっぱり深いところは流れやすいので速くなるんです。ところが、その先に浅いところがあったりすると、浅いところですごく流速が速くなってしまうんです。ですから、有明町の沖で速いのは、そのちょっと沖が非常に深くなっていて流速が速いのと、それから諫早湾の方に潮が行かなければいけない。そこのところが急に浅くなっているんです。そういう関係でそこは流速がぐっと速くなっています。もう一つは、諫早湾の入口の北の方で諫早締め切り後、ちょっと流速が速くなったというところはあるんですが、もともと潮流のすごく弱いところが、ちょっと速くなったという程度の違いなんです。基本的には大浦から真横に出した線上では入退潮量の減少の効果はありませんので、平均的には変わっていないんです。ですから、澪筋のところで底質が変わったというのは今のところ何とも言えないんですが、潮流の変化はそれほど影響していないんじゃないかなという感じがしています。

○須藤委員長 どうもありがとうございます。
 ほかの先生方、よろしゅうございますか。それでは、どうぞ山本先生、お願いします。

○山本委員 15ページの表1の文献のことについてちょっと質問したいんですけれども、この3つの要因について、それぞれの寄与率が算出されているのですが、これは、3つそれぞれについて寄与率が算出されているのか、それともどれか2つについて算出されたものから差し引きで残りといった出し方になっているのでしょうか。

○須藤委員長 この文献のところで、表1ですね。

○山本委員 はい。

○細川委員 すみません、うろ覚えですけれども、見解2、3、4で、見解3のところで横バーが引いてあるところがありますが、ここは数値計算で有明海内の海水面積の減少というものを対照とした計算結果と減少させた計算結果と比べての算定をしたということで、それ以外の条件については比較していないので横バーが引いてあります。見解2は、たしか平均水位の上昇も与えて計算して現状と比較し、外洋潮汐振幅の減少を与えて現状と比較しということで、それぞれ出していると思います。見解4も同じだと思います。見解1は、データの整理からこの部分はどの要因で説明できるかといった検討をしているので、1と2について計算し、残りを3にしたと思います。

○須藤委員長 そうすると、見解のそれぞれの4つについて、その差とか、そういうことではないんですね。ここだけはそうだということですね。

○細川委員 はい。

○須藤委員長 いいですか、先生。

○山本委員 すみません。諫早堤防が24%で、外洋が76%という見解4が、非常に細かい数字だったものですから、一緒に差し引きかなと思いまして。

○細川委員 もとの論文に書いてある数字になるべく手を加えないままこの表にしています。

○須藤委員長 それをご覧になっていただければいいんですね。

○細川委員 はい。

○須藤委員長 これは、ほかの先生で、さらに解説していただける先生はおられますか。滝川先生、小松先生、もしおわかりでしたら。この部分はよろしゅうございますか。
 では、そこはもしどうしてもということであれば、その文献をごらんになっていただいたらいいですね。いいですか。では、どうぞ滝川先生。いいですか、何か。

○滝川委員 読んでいただいた方が誤解がないかと思います。

○須藤委員長 文献を見ていただいた方がよろしいですね。

○山本委員 はい。すみません。

○須藤委員長 ほかの先生、ほかに何かご質問はありますか。よろしいですか。はい、どうぞ。

○大和田委員 ちょっとこのワーキンググループで有明海の方を大分詳しくやっておられますが、八代海の方はどうなんでしょうか。検討しているのか、それとも文献が非常に少ないのか。今、国土交通省ではシミュレーションモデルをつくっていますね。あのぐらいしかないんでしょうか。ちょっとお聞きしたいんですが。

○須藤委員長 これは、細川先生、滝川先生、あるいは小松先生、そちらの専門の先生方、では滝川先生、八代海は詳しいですから、どうぞ。

○滝川委員 今日、最初に細川委員の方からご説明があったんですけれども、八代海も考えなければいけないんですけれども、ご報告するに至っていないというのが実情で、今回は有明海についてのご報告とさせていただきたい。有明海ほどには、八代海についての潮流調査といいますか、シミュレーションを含めて、余りたくさんございません。そういったことも含めまして、今後検討していかなければいけない。有明海と違った海流の特性やいろいろ、閉鎖度が高いですし、あるいは細かい瀬戸みたいなものがありますので、そういった再現性も含めて、観測もより充実したような方法で検討していきたい。もしお許しいただければじゃないですけれども、今後とも検討していかなければいけませんので、八代海の方は宿題という形で課題を与えていただきたいなと思っております。申しわけございません。

○須藤委員長 そうすると、その宿題をやってくださるのは、多分これは時間さえあればできるんですが、もとにあるデータなどの蓄積というのは、多少は、これに比べては少ないけれども、あることはあるんですね。

○滝川委員 いや、少ないですね。あることはありますが、かなり少ないです。

○須藤委員長 少ない。そうですか。有明海・八代海の総合評価をしなくてはいけないんで、今回の、例えば後で事務局からお話があるような中間報告書に今の部分が間に合わなかったとしても、最終的には何らかこの辺のコメントというのは当然必要になるので、引き続きそのワーキンググループは、これでおしまいではなくて、検討を続けていただくということを改めて細川委員ほかのワーキングの先生方に、もちろんこれを精査していただくのもあるんですが、さらに八代海についても加えていただくと、要するに今回のご説明でおしまいになったと思わないでいただきたいと思います。継続してお願いいたします。
 ほかにどうぞ。清野先生、どうぞ。

○清野委員 私もワーキングの一員で、資料が膨大で、本当に十分に至らず、八代海の方に申しわけなく思っています。それで、今後のワーキンググループとしてのフォローアップのことにも関しますので、事務局も含めて、ちょっと質問と意見を述べさせていただきます。
 この資料の付属の資料で39ページから、私も専門ではないんですけれども、私を含めて、ある程度専門外の人にもわかるように、どの文献でどのように考え方が分かれているかというのを記載させていただきました。ですから、ここに関してもうちょっと精査していく必要がございまして、例えば、現地観測やシミュレーションについて、それぞれの研究者の考え方や見方によって、境界条件の設定やいろいろな係数の設定が違いますので、そこを今後、ちょっと細かくなりますけれども、物の見方に関するところでございますので、わかりやすい比較表にしていくということがあるかと思います。それに関してちょっと事務局にも伺いたいんですが、まだこの一連の樹形図というか、どこでどのように意見が分かれるかという図の整理が十分でございませんで、大きく、要するにマジョリティーの大方の人がこうだと言っているところに関しては、結構細かく整理を進めていただいたのですけれども、最初のところで結論が分かれてしまうところに関しては、かなり本質的な差があるんだと思うんですが、それがどこに起因して結論が大きく分かれるのかについての整理がまだ進んでおりません。それで、作業の過程で気づいたのは、41ページを見ていただきますと、「潮流の減少に関する文献の比較」というのがございます。これで、文献8と文献41のところで、それ以外のものと大きくというか、結論が分かれるんですが、これの結論の書き方にしても、例えば、潮流流速の変化が見られないと書くべきなのか、それとも、詳しく読んでまいりますと、全体の傾向というのはわからないのだけれども、局所としては見られると書く方が本当は妥当だと思うんです。ですから、ほかの委員の先生方も含めまして、特に要約の仕方について、どのように長くなり過ぎずにポイントを射た要約をしていくということができるかも、ご意見をいただけたらと思っています。
 それで、(9)、後ろから4枚目から文献の表がございます。これで、この委員会での基本的な、何を科学的に調査されたものと考えるかという中で、論文小委員会も含めまして、大学の文献を中心にやってきたと思います。それについてはある程度、小委員会のご努力もあって進んでまいりました。一方で、行政研究所とか、あるいはいろいろな地方自治体の方のいろいろな調査に関しては、まだ作業が進んでおりませんので、今後それをどのように総合評価として扱っていくのかということについては、大事なところだと思います。その際、研究所によっては、学術誌に相当するような形で研究所の学術的なプライドもかけて査読を行って、学会誌と同等のレベルで報告しているような報告書もあります。それと、業務報告書というのは、基本的に学術的なピアレビューという、学術的にスクリーニングをかけたかどうかのレベルが違いまして、それをどのように扱うかということもワーキンググループの中では問題になってまいりました。今後のことを考えると、この有明海・八代海に関する調査予算のかなりの部分を行政研究所の方に分担していただいて、その方々のご努力によって多くを解明していく予定だと思います。その際に、余り大学とそれ以外とつけてしまっていいのかというのもありますし、一方で著者があいまいなものの結論のあいまいさをどうやったら確かめられるかということに関しても非常に苦慮しておりますので、そこは、今すぐにということではなくても、委員会の中でどのようにさまざまなレベルの資料をどのように扱わせていただくのかを検討したいと思います。
 例えば、海上保安庁の場合には、最初に出た報告書の後にきちんと個人名を明記して、この人が個人として、研究者・技術者として責任を持つというクレジットの入った形での文献で出てまいります。ところが、例えば文献8のように、筆者というのがこんなに大勢いると、この筆者はだれになるのかというのがなかなかわからないんです。だから、本当に詰めて議論したいときに、この文章をお書きになった方に、このような解釈で構わないだろうかとか、その後時間がたっているのだけれども、どのようにお考えになるかというのを可能な限り議論させていただいて、そういう方の考えも生かして検討していくことが公正だろうと思います。今後、環境省の方にもお願いしたいのは、文献8のような大勢著者がいるものとか、過去にわたっているものに関しては、今回は概要版という中から引いていただいています。これを概要版でなくて、原典があるはずなんです。それと、原典があったときに、委員の全員が意見を合わせるというのは難しかったんだろうと思うので、議事録があると思います。ですから、文献8について、ほかの文献と同レベルで、どういう考え方でどういう結論を導いたのかに関して、そこの中身をもうちょっと考え方の論理がわかるように整理していただいて、今後に反映させていただきたいと思っております。
 以上です。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 ただいまのご意見は大変もっともではございますが、これからどう進めるかという問題もありますので、荒牧先生、小委員会の方のいろいろな結論は、先ほどの潮位・潮汐の部分にはたくさん生かしていただいているんですが、あそこでもいろいろ議論されていますね。まずは今の清野先生のおっしゃったことについての先生のコメント、それから環境省はどうするかと言われているので、続いて高橋室長からご意見をいただきたいと思います。荒牧先生からどうぞ。

○荒牧委員 このもとになった論文の大部分をある意味で言うと小委員会の方々は精読して、どの文献がこれに反映するに値するかということを随分読んでもらいました。ですから、それを分担された先生方がおられて、この文献については議論が可能だと思います。小委員会で議論したときには、もともとこの本委員会の方がいわゆる行政庁等の業績を調査されたことから、ここに報告されます。しかし、大学の研究者の方々はここにおられる先生方を除いてはなかなかここに意見を述べることができないので、それを拾い上げるために我々の小委員会があるのだと私は説明して、皆さんに協力を得ているわけです。ですから、行政庁の行っている事柄については本委員会の責任においてやるというのが原理・原則だと私は思います。ですから、ここにまとめられたような分析までは我々小委員会はやっておりませんけれども、意見を述べて、これは対立しているけれども両方とも挙げようとか、そのように判断してやりました。ですから、小委員会では多分大学関係、特に地元の大学関係と言われましたから、そこを判断してきたということなので、これはもともと、ここの本委員会が行政庁の報告を聞いて、そのことについての判断をこの委員会がやるということですので、多分役割としては、この本委員会の役割としてあるんだろうと思うし、皆さん方がワーキンググループをつくって作業されてきたこと、それに反映できたことによるんだと思うんです。ただ、これから先に、また後で議論になると思いますけれども、小委員会の委員の方々がこれまで得られた知見をこの最終的な取りまとめとか中間取りまとめにどう生かしてくるかという議論は今からまたやらなければいけないので、そのときに作業をまたもう一度やりますけれども、私の基本的な考え方としては、基本的には行政庁のデータ等については、ここに出していただいて、そしてそれでワーキンググループなり何なりをつくってやっていただくということになるのではないかと理解しています。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 当初から荒牧委員長にお願いして、小委員会の役割としては、今、先生がおっしゃったとおりに進めてきましたので、行政庁は、例えば関係省・関係県はここで報告をいただいて、今のようなものと一緒にするというのが我々の仕事であると。そのときワーキンググループをつくるかどうかは、それぞれの分野によって恐らく考えますが、一応そういうことであるので、荒牧委員のおっしゃったことはそのとおりだと私は思っています。
 では、どうぞ、高橋室長。

○環境省閉鎖性海域対策室長 今、荒牧先生がおっしゃられたように、行政庁の調査は本委員会の方に報告される、大学の研究者の部分は小委員会でやっていくということで、こういう役割分担を加えて新たに作業をしていただくというのは小委員会のキャパシティーとしても非常に厳しいと思いますし、そういう役割分担でやっていくのが妥当ではないかと思っております。清野先生がおっしゃられたような、まさに今回典型的にあらわれたように、行政庁の報告書だけではちょっと不十分で、その原典に戻って当たることによってより適切な議論ができたということでございますので、それは非常に重要な論点については、必要に応じてそういうもとの文献に当たって精査していただくということが必要ではないかと思います。ただ、他方で今ある、例えば海上保安庁なり研究機関の出されたものをすべてレビューするというのは、ちょっと膨大になってしまいますので、そこは作業的には難しいので、私どもとしては今後の中間まとめ、あるいは最終まとめの議論の過程で、重要な論点については必要に応じてそういう形でちゃんとレビューされた文献に立ち戻るということがあればやっていきたいと思いますし、関係機関におかれましても、今後とも積極的に関連すると思われるような文献についてはこの委員会に報告していただくということでご協力していただければと思っております。

○須藤委員長 よろしいですか。ぴったりのお答えではないんだけれども、当方は学会誌の査読をやるわけではございませんから、もし行政機関でたくさんの人、たくさんのボードがやったものの、その判断はやっぱりこの先生方にしていただきたいと思います。行政の仕事というのは、一言で言えば、たくさんの税金を使ってたくさん研究された経過が生かされなくてはいけないので、それを本当に生かした方がいいのかどうかという判断は、ワーキングであるのか、あるいは全体であるのかわかりませんが、そのテーマに応じて反映させるのが必要だろうと当然思いますので、そこを先ほどの小委員会の報告と一緒にして、相反するか、同じような意見だったら、一番助かるというか、一致すればいいんですけれども、多分そういう問題ばかりではないでしょうから、そのときの判断というのは我々がさせていただくし、特にこういう潮汐のようにかなり専門的な分野については、ワーキングで一度きちんともんでいただくというか、見ていただくという必要は多分あるんじゃないでしょうか。学会誌に載っていないから、それはやめましょうといった判断では、すぐに間に合いませんので、ちょっとぐあいが悪いかなという気もします。どうぞ。

○清野委員 ですから、私の趣旨としては、別に学会誌に載っているとか、大学の人がやっているだけが業績ではないんですが、この手の報告書というのは、ものすごく、事によっては大学よりもお金がかかって、税金を投入する。それをきちんと生かしたいという趣旨があるんですが、その際に、そういう大学の人だと、きちんと個人にコンタクトがついて、例えばこのグラフにする前のデータを教えてくださいとか、割と学会の中でもきちんとしたコミュニケーションができるんですが、行政報告書は、聞きたいと思ってもだれに聞いていいのかわからなくて、それで先ほど、もちろん行政の方が責任を持って報告してくださればいいんですけれども、ものすごく説明してくださる方は優秀なんですが、指し示される側も余り細かいところに突っ込むと、お互いにすごくつらいと思うんです。だから、そのような結構不毛な議論もちょっと途中にありましたので、できたら、そういったきちんと税金を投入した調査で、そういう分野で頑張ってくださっている方もおられますし、行政もそうですし、それから民間の会社もそうです。だから、民間の会社の業務調査報告書で、「これはどういう意味ですか」と聞いたときに、このグラフからこの文章はちょっとあんまりじゃないかというときに、だれも答えてくれないときがあるので、そこは今後こういう問題を、みんながそれぞれの本来的な力を発揮できるように、あいまいにしないで、責任を持って回答できるような雰囲気づくりをしていただくということです。

○須藤委員長 ありがとうございました。

○清野委員 論文小委員会にものすごく膨大なご苦労をかけているので、それは基本的に行政がやってくださるところだと思いますので、整理の下ごしらえぐらいはかなりやっていただいていて、それをまた解釈する頭数をもうちょっと増やさなければいけないかなと思っています。

○須藤委員長 ありがとうございます。今後の進め方はまたそれはそれなりに、今までのところはそうであったということですね。

○清野委員 はい。

○須藤委員長 それで、今、先生がおっしゃるとおりでございますから、それはなるべく生かすというか、きちんとした根拠を明らかにしていく、それからだれに聞いたらわかるかというのは、それは当然でございますので、その辺で論理の飛躍があったり、間違いがあったりするのは、我々もそれは指摘して、聞ける場合であれば聞いていくということは必要だとは当然思います。
 それでは、ほかの先生、どうぞお願いします。いかがでございましょうか。よろしいですか。岡田先生、何か取りまとめのところで特に……、はい。

○岡田委員 すみません。委員を仰せつかりながら、実は全部欠席だったもので、大変申しわけございません。それでこんなことを言うとあれですが、ちょっと確認しておきたいんですが、潮流なり、潮流が変化するかどうかということを知りたい目的は何かというと、例えばそれが泥化につながったのかどうかとか、それから濁りの増加減少につながるとか、それが目的のはずですね。ですから、非常に流速が高いところが20%、30%減っても、泥化、濁りにはほとんど関係ないし、もともと極めて流速が低ければ、減っても増えても結論には変わりないということになるだろうと私は素人ながら思っています。そういう場合、平均流速で変化を議論することが必ずしも妥当ではない。最大流速が妥当かというと、ひょっとしたらそうでもなくて、リサスペンジョンを起こすような限界流速が起こる確率が増えたとか、増えないとか、言いたい放題言って、出ていないで勝手なことを言うなと思われるかもしれませんが、そういう解析が、要するに先をにらんだデータの整理の仕方、もっと言いますと、表面流速は極端に言えばどうでもよくて、底層の方の流速が恐らく大切でしょうし、それから全体の流速よりも、泥化が起こっているような地点、貝がとれなくなったと言われているような地点はそもそも変わったかどうかといった解析に向けて、言いたい放題で申しわけないですが、恐らく福岡先生が最後におっしゃったことはそういうことだろうと思いますけれども、簡単にできないことは百も承知の上で、ぜひよろしくお願いいたします。

○須藤委員長 ということで、では細川先生、どうぞ。

○細川委員 今日は福岡先生がいらっしゃるものだと思って(笑)、私が言うことでもなくて、福岡先生に説明をお願いしようかと思っていたところなんですが、いらっしゃらないので、ワーキンググループの議論の一端を御紹介します。福岡先生からの提案をどのように議論しましょうかというので、一番直近のワーキンググループで、私が1枚のメモをつくって、こんなことを考えなければいけませんねという提案はしております。福岡先生のご指摘を私なりに解釈すると、「今後何がわかれば社会の役に立つのか」といったところについて議論を深める必要があるということです。湾の様子のかなりの部分を大きく左右する要因が物理現象でしょう。だから、物理現象、物理的な環境の把握は今後想定される各施策の統合的な議論のベースになるはずです。すると、統合的な施策あるいは各施策の協力関係とか、各省庁の合意とか、施策が同じ方向に向いているといったところの納得がどこから導かれるかについて、物理環境からの展開を示す必要があるでしょう。精緻な論理的な詰めは現在は困難でも、実際的な効用を確保するというレベルで必要があるでしょう。といったご指摘です。要するに、先ほどの森下先生のご意見と同じですけれども、再生のシナリオとか目標とかをどう設定して、それに必要な調査は何ですかといった、実践的で、悪化のシナリオを逆に回すようなアプローチの仕方が今後作業として必要だということです。潮流・潮汐の作業部会でも議論が始まったところで、岡田先生のご指摘のところについては意識はしているところですが、潮流・潮汐の物理だけを見ていると、シナリオというのはなかなか描きにくいというのもまた確かで、要するに総合的な議論をしないと総合的な結果は出ないということです。しかしこれを全員でやるというのはいかにも無理だと思っています。どのような体制でどのように進めていったらいいかについては、須藤委員長のお考えもあるとは思いますが、潮流・潮汐ワーキンググループの中でできること、あるいは物理的な目から見て、こんなことやあんなことという提案でできること、これについては潮流・潮汐ワーキンググループの中で議論を深めるべきであると私も思っているところです。作業は難しいので、百点満点は無理でしょうが、少しずつでもやらないと先が見えてこないと思っていますので、ご指摘の点は作業部会の中で引き続き議論させていただければと思っております。
 以上です。

○須藤委員長 ありがとうございます。
 どうぞ。

○清野委員 ちょっと潮流の提言のところにも書いてあるんですが、今、細川先生がご指摘されたように、そういった潮流・潮汐の方と生物の関係、それから底質の関係をどのように統合化していくかという段階に入ってまいりました。それで、潮流・潮汐ワーキンググループの中に菊池先生と私など生物系の人も入れていただいているのですが、その中でできましたら、特に伊藤先生にお願いできたらと思いますのは、具体的な箇所で、どのようにエリアを分けていって、それぞれの水域なり地域での原因の優先順位を考えるのかとか、あるいはそこを整理するかということで、ちょっとパイロット的なところを想定して、物の進め方とか考え方とかを整理していければと思います。それで、今日の伊藤先生からまとめていただいたところは、大変その点でも潮流・潮汐の話とか、ほかの要因等の参考になりますし、生物側のデータの厚みというのもございます。そして、生活史という点でも、いろいろな貝の生活のパターンがございますので、ぜひちょっとパイロット的に一つさせていただいて、その統合化と、それからもうちょっと生物的な要因でモデルづくりというのをワーキンググループなり、別の発展的なワーキンググループでもいいんですが、検討していただけたらと思っています。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 どうぞ、小松先生。

○小松委員 先ほどの岡田先生のご指摘もまさにごもっともなんですが、実は最も物理的な現象である潮位とか潮流の変化すら、今までいろいろな意見が出ていて、非常に混乱していて、なかなか明確にならなかった。そういうところをもっと整理して明確にしようということで、まず平均的な量からアプローチしていって、今回の作業でかなり見えてきたのかなと思っています。これから先は、先生が言われるように、確かに表層よりは底層の流速の方が物を言うし、最大流速よりは最小流速の方が物を言うだろうと思います。我々のワーキンググループでも、局所的な流れというのが全体に影響を及ぼすぐらい結構大事なんだという認識はありますので、これから先生のご希望に沿うような方向に多分いくのだろうと考えています。

○須藤委員長 ありがとうございます。岡田先生はワーキンググループの委員でもありますので、先ほどの物理現象と生物現象をつなぐのも岡田先生は大変得意な方でありますので、伊藤先生をさらにそれに追加するかどうかは、ちょっと事務的なこともございますので、私は原則としてよろしいかと思いますが、事務局と後で相談して、その方向で努力したいと思います。
 菊池先生、どうぞ。

○菊池委員 このワーキンググループに入れていただいたんですが、正直なところ、物理過程についてはなかなかフォローできない。それと一つは、私の頭にこびりついていますのは、漁師さんたちとの懇談会をやると、「どうしてこんなことになったんや。あの泥はだれがどけてくれるんや」という話なんです。新しく泥が入ってきてたまるのを防ぐことはできても、今膨大な量にたまっている奥有明の泥底表面の泥を10年前、20年前に戻すというのはもうちょっと不可能なことのように思います。流れが変わったからたまり方が違ってきた、あるいは陸から流れ込んでくるものの粒度が違ってきて、そして、それでも粗いものは多分初めだったら岸寄りにたまって、微細泥はその先にたまったんだと思うんですが、今は干潟から水深10メートルぐらいまで全体が泥になってしまっているわけです。「いつからなったか」と聞くと、「さあ」と漁師さんたちも考えて、それは97年に突然泥になったはずはないので、それは有明海という海の性格で、長年かけて泥化が進んでいるんだと思いますけれども、それを流れ込む水の量なり、それが陸から運ぶものなり、あるいは干潟からさらにその下へ運ぶ営力といったものが何であるのか。原因がわからないと対症療法は絶対できないと思うんです。ですから、そこまで踏み込むと、漁師さんの訴えに対応できるような答えというのは、今のところ本当に皆目見当もつかないわけです。ですから、砂が入らなくなったのがいつごろからかというときに、筑後川などでデータのあるのを見れば、1970年ごろからほとんど砂は来なくなっているというのはわかるんですけれども、それから先の、たまった泥がさらに海の中で移動して、次第にそれが広がってきている、そのメカニズム、あるいは人間がとってお金になるような貝の育つのには明らかにマイナスになっているということ、漁師さんにとってはまさにその1点だけなんですけれども、それには一体どうやったらいつの日に答えられるかという気がします。

○須藤委員長 大変重要な、最も基本的な部分のご指摘をいただいたわけですが、再生の道は、そこにある程度というか、方向性だけは答えないと多分いけないんだろうなと思います。それが中間取りまとめできちんと述べられるかどうかは今後の検討だと思いますが、最終の報告では少なくともその辺の部分は述べないと、我々の役割は多分ないんだろうなという気はいたします。どうぞ先生方のさらに一層の勉強とご支援をお願いいたします。
 ほかの委員の方、どうぞ。いいですか、こんなところでとりあえずはよろしいですか。それでは、さらに細川先生にはまたいっぱい宿題が増えたような感じがしないわけではございませんが、ワーキンググループの皆さんにぜひ今後のご健闘をお願いしたいと思います。
 それでは、どうも大変熱心なご討論をありがとうございました。
 では、滝川先生。すみません。

○滝川委員 すみません、1点だけ。資料の21ページ、字の間違いだろうと思うんですが、気になりますので、言わせてください。上から6行目の頭に「残渣流」と書いてあって、その何文字か後の方にもある「残渣流」の「渣」の字が、我々が見ている「差」の字と違うんです。

○須藤委員長 「渣」ですね。

○滝川委員 ええ。ちょっと気になるものですから、すみません。

○須藤委員長 誤字ですね。

○滝川委員 誤字です。

○須藤委員長 ほかにもあるようですから、字は直しておいてください。
 それから、先ほどの細川先生のところにも、「よって」だったか、何かのところにちょっと「てにをは」のところ、あれも直しておいてください。お願いします。
 では、ほかの先生、さらに全体を通してございますか。失礼しました。いいですか。
 それでは、大変ご熱心なご討論をいただいてありがとうございました。
 その他でございます。何か事務局からご提案がありましたら、お願いいたします。

○環境省閉鎖性海域対策室長 事務局からちょっとお知らせということで、次回の評価委員会の進め方についてちょっとご説明して、お諮りしたいと思っております。
 次回第17回につきましては、既に先生方にはご連絡していますけれども、12月12日の午後ということでお願いしているところでございます。次回の議題でございますが、まず最初に一番重要なのは、最後に残った論点といたしまして、水産資源につきまして、今日はご欠席ですけれども、長崎大学の中田先生を中心に、それぞれの委員の方々にご検討いただいております。この点につきまして次回にご報告いただくということをお願いしているところでございます。それから、次回の評価委員会で、挙げていただいた論点ごとの議論につきましては一応一巡するということでございまして、当初は年内に中間まとめということを申し上げたのですが、そこはちょっと難しくなってはきているんですけれども、次回の水産資源の議論も踏まえまして、次々回、年明けからは中間まとめのご議論に入っていただく必要があるということでございまして、次回はそのための準備として、簡単な目次案といいますか、構成案みたいなものを用意いたしまして、少しご議論いただいた上で、中間まとめの原案作成の作業に入っていきたいと思っていますので、そういうものを少しご議論いただければと思っております。
 それから、それに加えまして幾つか委員の先生方からご要望が来ております。1つは、前回の評価委員会で清野委員からご要望があった件でございますけれども、日本海洋学会が最近有明海のレビューをした本を出版されたということで、その編集に携わった方からお話を聞いてはどうかというお話がございました。須藤先生ともご相談させていただきまして、清野先生から、「有明海の生態系再生をめざして」という本の出版にかかわられた方で編集の責任者であられます元水産庁中央水産研究所の佐々木克之様からお話を聞いてはどうかというご推薦をいただいておりますので、お諮りしたいと思います。
 もう一つは、小松委員から、最近潮流についての観測結果が新しく得られたということで、そのご報告をしていただけるというお話が来ておりますので、それもお願いしたいということで、若干盛りだくさんでございますけれども、以上のような内容で次回の評価委員会を持ってはどうかと考えております。
 以上でございます。

○須藤委員長 どうもご提案をありがとうございます。
 まず、後の方の小松先生のは、当方の委員でさらに新しい追加というのは、これは特に先生方のご意見を伺うまでもないので、ぜひお願いしたいと思います。
 その前のご提案は、清野委員から前回その提案をいただきまして、私は事務局の高橋室長とご相談しまして、ぜひこれはお願いしましょうという判断をいたしました。それで、清野先生から、今の佐々木先生が編集の責任者であるから妥当であろうというご推薦をいただいたと伺っております。次の回に、ただ日にちがもう12月12日と決まっているんですけれども、お願いするということでよろしゅうございましょうか。日にちまで設定してしまっているけれども、大丈夫ですか、午後ということで。どうぞ、何かご提案がありましたら。

○清野委員 これは、日にちも含めまして、ご本人にはそういうことでご内諾といいますか、ここで決めてお願いしてだめだと難しいので、伺っております。それから、海洋学会が中心になりまして、海洋学会だけではなくて、沿岸環境に関する学会を取りまとめた沿岸環境関連学会連絡協議会のシンポジウムが11月19日にあります。ですから、そのときに、佐々木先生ご本人の研究とかというものだけではなくて、沿岸環境の学者の中で有明海についての議論がどうなっているかというレビューといいますか、そういうことも含めまして、この委員会で役立てていただけるような資料のまとめ方をしていただくようにお願いしておりますので、ぜひ皆さんとご議論していただけたらと思っております。

○須藤委員長 ありがとうございます。そのご発表というか、そのプレゼンテーションをしていただくのは佐々木先生でよろしいんですね。

○清野委員 そうです。

○須藤委員長 それを全部、ご自身の研究と今のレビューを含めてここで、時間もある程度、この委員会ですので、従来と同じように30分と、ちょっと短いかもしれませんけれども、あとは資料で補っていただくということでよろしゅうございますか。

○清野委員 はい。

○須藤委員長 ということでございまして、小松先生のはもう先ほどオーケーですから、今の佐々木先生のご発表も今までと同様でよろしいとおっしゃれば、今のような趣旨で、清野先生のご提案どおりにやらせていただこうと思います。よろしゅうございますか。
 どうもご協力ありがとうございます。
 それでは、次回はそういうことで、佐々木先生、小松先生のプレゼンテーションをいただいて、それから、中間報告をどうしてもやらなくてはいけませんので、その目次案程度はあらかじめ事務局と私の方でそれなりのものをつくらせていただきたいと思います。
 全体を通して何かご質問等がございますでしょうか。ご議論はいいでしょうか。予定よりはちょっと早目にいけるかと思いますが、1時と予定していただきましたが……。小松先生、どうぞ。

○小松委員 時間があれば質問したいと思っていたんですが、最初に伊藤先生のご発表に対して森下委員から質問があって、菊池先生から、底質が泥質化していて、覆砂を持ってくればよみがえるということだったんです。ただ、覆砂を持ってきても2年、3年でだめになりますね。あれは、覆砂を持ってきたところもその後、さらに泥質化してだめになるのか、それとも覆砂した砂がどこかへ飛んでいってしまってだめになるのか、それとも覆砂そのものが変質していくのか、その辺がもしわかっていれば教えていただきたいんですが。

○須藤委員長 そのお答えは伊藤委員なり、あるいは菊池先生なり、どちらかで、両方でも結構です。では、伊藤委員からどうぞ。

○伊藤委員 そのご指摘の点については、アサリの話に該当しますので、菊池先生の方が……。

○須藤委員長 では、菊池先生、どうぞ。

○菊池委員 これは、私も自分でやっているんじゃなくて、又聞きになるんですけれども、大体3~4年たつと、稚貝の着底に関しての条件は悪くなってくるようです。ただ、この前聞きました熊本市の一番北寄りの松尾漁協という、これはとても資源管理も徹底してやっている、組合長のリーダーシップのとても行き届いたところなんですけれども、それは、「おまえら、アサリをとりにいくんだったら、行くとき空袋ではなく、陸から砂を袋に詰めて持っていけ。アサリをとるかわりに陸の方から粗い砂を持っていってまいてこい。」と言っている。そうしたら、10年前に覆砂したところでも、うちの漁場では毎年ちゃんとアサリの子が立つ、と話してくれました。ただ、これは場所によって、泥が多いと本当にどうにもならないんだと思います。有明海の奥部の軟泥底に覆砂をしたらどうなるかということを佐賀大学農学部の加藤治教授にうかがったことがあります。覆砂した砂が横へ流れてしまう場合、新しく沈降してくるシルト・粘土質が表面を覆った砂のそのうえを覆ってしまう場合、砂が軟泥のなかに自重で沈み込んでいく場合などが想定され、現実の佐賀の泥干潟、あるいは軟泥底の場合、覆砂の効果を損なう原因としてどれがもっとも起きやすいのか検討しているというお話しでした。ですから、これは熊本有明の、特にアサリやハマグリが立つような浜の場合と、それから佐賀有明の方の、もともとアサリよりはサルボウとかアゲマキとか、そういうのに向いている浜の場合では違うんだと思います。それから、最初にまく砂自身が、どこの砂をとってくればアサリの方がよくつくけれども、別なところの砂をもらってきても余り役に立たない。だけど、まくときにアサリの子がよくついてくれるような砂というのは、有明海から出外れの外向きのところの天草の沿岸でもかなりスポットが決まっていて、もうそういうところにはうちの砂はやれないと。それはだから、そういう低潮線以深の方の漁業資源、特に底魚などのためにいい砂だったら、それは多分いつまでも、金を払ってもとらせてはくれないだろう。それは、この前に瀬戸内水研の浜口さんなどと話していましたら、「とにかく、今は砂をとるのは全面禁止なんです。瀬戸内海ではもう大体陸上にコンクリートの骨材などに使うのでとっていたのを全部禁止にして、それと同様に、干潟にまく砂だって、収奪される方から言えば同じなんだから、法律でやったら、それでやはり禁止になるでしょう」と。「有明海の中で、あそことあそこの砂はいいけれども、うちの干潟のすぐ正面の低潮線下の海底から採った砂泥を撒いてもあまりアサリの子は付かない」と漁師さんは言います。ですから、そのあたりは何が違うのかというのは私はよくわかりませんけれども、粒のそろったきれいな白砂の細砂であるよりは、むしろ貝殻などがまじって不均等な凸凹のあるものの方がいいように言っています。それ以上は今はちょっと種がございませんが。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 先生のご説明からすると、いろいろな場合があるというご理解をとりあえず今のところはいただいていた方が、それでどういう条件のときにそういう場合になるかというのは検討の課題であると思います。よろしゅうございましょうか。

○小松委員 はい。

○須藤委員長 大変失礼いたしました。
 それでは、これにて第16回有明海・八代海総合調査評価委員会を閉会とさせていただきます。
 議事進行に係る皆様のご協力に大変感謝いたします。どうもありがとうございました。どうもお疲れさまでございました。

午後0時20分閉会

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