第10回有明海・八代海総合調査評価委員会 会議録

日時

平成16年6月23日(水) 13:30~15:30

場所

中央合同庁舎第5号館5階 共用第7会議室

出席者

委員長 須藤委員長
委員 相生啓子委員、伊藤史郎委員、岡田光正委員、菊池泰二委員、楠田哲也委員、小松利光委員、滝川清委員、原武史委員、細川恭史委員、本城凡夫委員、山室真澄委員
臨時委員 荒牧軍治委員
主務省・関係県発表者 農林水産省農村振興局整備部農地整備課長、同計画部資源課農地環境保全室長、独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所部長、環境省環境管理局水環境部閉鎖性海域対策室長
事務局 環境省環境管理局水環境部長、水環境部閉鎖性海域対策室長

午後1時32分開会

○環境省閉鎖性海域対策室長 それではただいまから第10回有明海・八代海総合調査評価委員会を開催いたします。
 本日は、委員20名中13名の委員にご出席をいただいております。
 それでは、議事に入ります前に配付資料の確認をさせていただきます。まず議事次第がございまして、その後ろに配付資料一覧がございます。資料1が委員名簿でございます。また、資料2-1が大きなA3判の紙になっておりますが「有明海・八代海の環境等に関する問題点とその原因・要因として指摘されている事項(案)」。それから資料2-2が「主な出典リスト」でございます。それと資料番号は振っていないんですが、農林水産省農村振興局からの資料が3種類ございまして「中・長期開門調査検討会議について」。それから「有明海の再生への道筋を明らかにするための取組」。それと「中・長期開門調査検討会議委員名簿」、この3種類でございます。それから「参考」と右上に書いた資料が2つありまして、1つが西海区水産研究所から提出されているもの、それからもう1つが環境省から提出されているもの。本日の配付資料は以上でございます。よろしくお願いをいたします。
 それから本日は委員の先生方の前にマイクが設置されておりますので、発言されます場合にはマイクのオン・オフスイッチを入れていただきまして、発言が終わりましたらきっていただきますようによろしくお願いをいたします。
 それでは須藤先生に議事の進行をお願いいたします。

○須藤委員長 かしこまりました。
 皆様にはたいへんご多用の中を、また、暑い中をお集まりいただきまして、どうも誠にありがとうございます。
本日は第10回の有明海・八代海総合調査評価委員会ということでお集まりをいただいたわけでございます。議題は先ほど、坂川室長のほうからお話がございましたように2つ用意をさせていただいております。これまでの検討の成果、今後の課題等の整理についてということが最初の議題でございます。
冒頭に私、ちょっと言い忘れましたが、環境省は6月から軽装で執務をするようにということで、こういう委員会とか審議会につきましてもそのように勧められておりますので、上着等をお召しの方は楽にしていただいて結構でございます。
 それではこれまでの検討の成果、今後の課題等の整理についてということで最初の議題に入らせていただきます。
 前回の評価委員会で、これまでの評価委員会での検討の結果、今後の課題等の整理について岡田委員に作業の状況の説明をいただいたところでございますが、本日はその作業に関して資料が提出されてまいりました。岡田先生からその内容を説明いただいた上で、委員の先生方から活発なご意見を承りたいと考えております。
 それでは岡田先生、お願いいたします。

○岡田委員 それでは前回、若干、予定より遅れそうだということを申し上げましたけれども、今回、お手元の資料2-1にございますような形で第1段階のまとめをさせていただきました。あえて第1段階と申し上げたのは、これが完成であるとはまったく思っていないと。作っていて無責任と思われるかもしれませんが、現時点において、完成するにはまだまだいろいろ問題があるという認識でございます。ただ、現時点でそういう状態でも委員の先生方にご報告して見ていただきたいというのは、例えば資料を見た段階での誤解とか、それから勘違いしているとか、見落としているとかそういうところもあるかもしれませんので、今後、先生方のご意見をいただきながら、どんどん正しいもの、妥当なものにしていきたいというふうに考えておりますので、よろしくご指導のほど、お願いしたいと思います。
 それではまず1ページ目に書いてございますように、「本資料について」というところからご説明をさせていただきたいと思います。まず、この資料の位置付けでございますけれども、第1回から第9回までの当委員会での議論を踏まえていると。ですからそれ以外の論文、文献等は直接には引用しておりません。全部入れていきますと非常に大変になりますので、まず公式というのが妥当な言い方かどうか分かりませんが、ここに出された資料を中心にして、それを逸脱しない範囲において有明海・八代海においてどういう問題があるか。その問題の具体的状況はこの委員会での資料の範囲ではどうなっているか。それから委員会の議論の中で指摘された問題の原因、または要因というものはどうなっているかというものを整理したものでございます。そういう意味で現時点での委員会の知見をまとめたというものでございます。
 本資料の整理方針、ここに幾つか書いてございますが、問題点については基本的には経年的な変化を整理しております。それから可能な限りにおいて有明海・八代海の湾内における地域的な問題も整理しようという努力をしております。もちろん残念ながら、完璧にはなっておりません。ノリについては有明海で不作が起こった年に着目して整理するということを行っております。先ほど申し上げましたけれども、整理方針、ここが間違ってると、あとが全部変わってきますので、ここにつきましては一応、考え方をご報告させていただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、まず整理した内容というのはこれまでの評価委員会に提出された資料、それから評価委員会での発言内容というふうにさせていただいております。例えば発言内容は主語、述語を変えないでそのまま転記しており、基本的にはご発言もしくは論文に書いてある文章をできる限り、そのまま引用しております。したがいまして、文章もしくは発言を一部抜き出すことによって、これだけを見ると、本来の趣旨と少し違ってとられかねない部分があるかもしれません。それはまとめたわれわれサイドのほうの責任でございますので、不適切にとられる、もしくは誤解を与えるような表現がございましたら、関係する委員の先生方もしくは行政担当部局の方にご修正をいただきたいというふうに考えております。
 それから、ここで抜き出している特に問題点の原因とか要因として指摘されている部分につきましては、さまざまな研究、調査の結論と考察、これがミックスしております。私が今、結論と申し上げたのはさまざまな調査、実験に基づいて得られた結果ですから科学的な根拠を十分に持っている結果と、その結果に基づいていろいろその担当者がお考えになった、必ずしも十分な科学的根拠を持ってないもの、この両者がある意味でミックスしております。ですからパッと読みますと本当にそうなんだろうかと、その科学的根拠は十分あるのだろうかというような疑問が出てくるかもしれないような表現もそのまま入っております。ですから、そういう意味ではここでわれわれが必要以上の評価を今のところ、まだしておりません。してもいいかもしれませんが、あと1段階おいてから評価したほうがいいだろうと思いまして評価しておりません。そういう意味で結論だけ抜き出しますと、必要以上に一般化してとられる場合、それから科学的根拠が不明なまま結論になってしまっているというようなものも混ざっているということでご了解いただきたいと思います。ですから今後これを整理していく必要があるかと思います。
 そういう整理の中で重要なことは、この表にございますようにどういう視点で整理するかということになるかと思います。そこで、問題点をまず分類するということをいたしました。水質の変化みたいに大きなものは赤潮の増加、貧酸素水塊の発生、その他栄養塩の変化などというふうに分けております。
 その次の底質の細粒化、潮位・潮流の変化、二枚貝、ノリ不作、その他ずっと書いてますが、こういう問題点をとりあえず取り上げました。次に、この問題点を具体的に示すようなデータがどうなっているかというのを整理し、その原因を考えるという手段をとってます。あらかじめ申し上げておきますが、例えば2番の底質の細粒化、これ自身は問題なのか、問題でないのか。後で出てきますが、例えば底質の細粒化が起こることによって、アサリがとれなくなったということになりますと、アサリがとれないというのが本来の問題で、底質の細粒化はその原因であるということで、底質の細粒化を直接問題に捉えなくてもいいという考え方もあるかもしれません。そういう考えもあると思いますが、ここでは言われているさまざまなものを構造化しないで、序列とか因果関係をあまり堅く考えないで、とりあえず並べているのが現段階の整理でございます。
 ということでイントロを終わらせていただきまして、次のページからが具体的に問題点と状況、その他を整理した表になります。
 まず、この表の整理の考え方、見方を最初にお話ししたいと思います。この表はまず一番左側Iの問題点で1.水質の変化というのがございます。水質の変化といっても、具体的に何をターゲットにするかということで、ここでは1.1として赤潮の増加というのを捉えています。ただ、赤潮の増加というのは何かと考えますと、赤潮の発生件数が増えることなのか、次のページになりますと、赤潮の規模が増えたことなのか、規模も日数が増えたのか、それとも面積が増えたのか。赤潮の増加といっても、いろんな認識の仕方があるかと思いますが、ここではとりあえず発生件数と規模、その他あまり分類できなかったというような形で分けて議論を整理しようとしております。
 それに対して、赤潮が増加したという証拠データもしくは報告はどうなっているかというのがIIの状況というところでございます。恐らく、この辺の事実認識はそれほど議論にならないところだろうと思っております。これは観測結果でこうなった、こういうことが言われているということがいろんな形で整理されているのが状況でございます。状況は当然のことながら、有明海と八代海を一緒にするわけにはいきませんので、別々に分けております。こうすることによって、後でずっと見ていきますと分かることですが、有明海に関する状況、それからそのデータはかなりたくさんあるわけですが、八代海は総体的に少ないということが見えてまいります。
このような状況に対して、今度は一番右側のところにIIIの原因、すなわち赤潮が増加した原因もしくはその要因として指摘されている事項。誰が指摘したかというと、今までの委員会において指摘されている事項ということでございます。それ以外の学会、本、その他の論文等で関連する研究者が出したことはここには今のところ入っておりません。くどいようですが、まずこの委員会からスタートしております。ですから、将来的には各先生方もしくは関係省庁の知見をこの中に入れていって、論理を補強する必要があるだろうというふうに考えております。
 その1個1個が、全体を見ていただきますと青で書いてある部分と緑で書いてある部分がございます。それと●と○みたいなものが、実はそんなにたくさんないんですが、一応、記号がつけてあります。例えば青で書いてあることは原因・要因として指摘されている事項ということになっております。
 状況のほうの説明のところでちょっと飛ばしましたが、有明海に関する事項の1番のところを見ていただきますと「赤潮発生件数は年によって変動するが、おおよそ年間10~35件程度で、ここ数年は増加傾向がみられる」という報告があります。これは1番の文献、文献はお手元の後ろのほうの「主な出典リスト」というのを見ていただきますと、資料2-2の1ページのところに1.水質の変化、1.1赤潮の増加となっています。ここに文献もしくは根拠となるさまざまな報告書のリストが出ております。ですから<1>とか<2>とか<3>とか<4>とか書いてあることは、この今のリストにある報告書等から引用した事実認識であるというふうになっております。
 そういうことで赤潮に関しては、ほとんどが増えていますよという報告でございます。ただ、この辺のところは有明海全体の話なのか、地域によっては違うんじゃないかとか、いろんなことがあるかと思いますが、今回は地域性についてはあまり明確に分けてございません。こういう報告が今まで出ていると。赤潮が増えているという状況がいろんな形で報告されているというのが状況の1番から8番でございます。
 それに対して、もう一度、IIIのほうに戻りますが、原因・要因として指摘されている事項の青で書いてあるところがその原因というか、なぜそうなったかという説明でございまして、1番のところ、これは○ですから、「記載事項が原因・要因であることを示唆するような情報」というふうになっていますが、例えば「諫早湾で発生する赤潮は、潮流速の減少と海底付近の貧酸素化の進行による底泥からの栄養塩の溶出がその誘引として作用していることが示唆されている」と。研究結果の<14>にそういう文章が書いてあるということで、これが1つの説明になるだろうと。厳密に読んでいきますと、なかなか難しい表現ではございますが、一応、そう書いてありましたので、それ以上のことは今回はやっておりません。
ですから、それが今、われわれが持っている現時点での知見の1つであると。もちろんこれ1個だけではなくて、その次のところになりますと「濁りの低下あるいは流れが弱くなり鉛直成層が発達することが赤潮を増やすきっかけとなっている」というようなことがこれは<17>という論文、<17>ですと、これは評価委員会の会議録に出ていると。中田先生がそういうふうにおっしゃったと。万が一おっしゃってないということですと、これは訂正していただくなり、修正していただくことが必要だと思います。で、「考えられる」ということが書いてございますので、これは考察なのか、もしくは科学的な実験、観測データに基づく結論なのかというのは、ちょっとそこから先は現段階では詰めておりません。厳密に言いますと、そこのところで単なる考察ですと人によって意見が違う。科学的データが不十分ならば、こういうものを場合によっては、これをいうと中田先生に申し訳ないんであれですが、例えば棄却していくという作業がひょっとしたら必要になるかもしれません。ただ、誰が見てもそんなものだろうということだったら、まだいいかもしれません。
 それから、その次のは「アサリの濾過による窒素収支から、アサリの資源量が赤潮の原因になっている」と。「出現頻度を上昇させる可能性がある」ということがここに書いてあるような文章で結論として、行政対応特別研究結果の<9>のところですから、これは水産総合研究センターの研究報告の中に出ていますということで、これが1つの説明になるということでここに入れさせていただいております。
 その次の4番のところは、「赤潮の増加は流動変化と水質浄化機能の喪失」というふうなことで書いてあります。そうかもしれませんが、なかなか難しいかもしれません。というようなことが研究結果の<20>のところではそういう結論が書いてあるということで、これが4番までで説明というか、原因・要因として指摘されている事項になります。
 この事項の中の例えば貧酸素化というようなことが、じゃあ事実であるかどうか。貧酸素化はなぜ進んだのかというようなところは、今度は後ろのほうに貧酸素化という問題点で整理されておりますので、これをだんだんつないでいくと因果関係が一応、構造化できるだろうというふうに考えております。そこのところまではまだ整理してございません。ただ、後でそういうことが可能なように問題点をある意味でパラレルに列挙したつもりです。
 その次に今度5、6、7、8、9番というのが緑で書いてあります。これを読んでいただきますと、もちろん原因・要因というにはちょっと不十分であるし、単なる事実認識とも違うと。要は参考情報という非常にあいまいなものでございまして、切っちゃおうかという発想もあったんですが、一応、ご議論いただき、今後の方針をご検討いただくためには参考情報もあったほうが議論を進める上で便利であるだろうということで、この緑のさまざまな情報を載せてございます。
 この中ででも、ここには単なる参考情報になっていますけれども、論文もしくは報告書全体の読み方が不十分であり、もしきちんと読めば、これは何らかの因果関係、原因・要因を指摘しているんだということがありましたら、これは直していく必要があるかと思います。それは当方の読み方の不十分さに起因するものでございますので、この分類ミスはひとえにこちらの責任でございます。後でご指摘いただければというふうに思います。
 それが全体の構造と赤潮の増加のところのご説明でございます。
 同じようなことが八代海について、赤潮がやはり増える傾向にあるというようなことで、じゃあその八代海で赤潮が増えた原因・要因として何が指摘されているかというと、よく分からないと。今までの情報を整理した段階では明確にこれが原因であるというようなことは今のところ明確に指摘されたということはないということで、残念ながら、ここにありますように「底質が悪化している海域で高い」というような参考情報を述べるにとどまっております。ただ、ここで「底質が悪化している海域で高い」という事実があれば、じゃあ八代海で底質が悪化している部分が増えているという事実認識があれば、底質が悪化したことによって赤潮が増えているという、その論理を作ることは可能だと思います。そういう意味で緑も入れてあります。
 ということで次のページに進ませていただきます。その次の2ページに今度は赤潮の増加でも、これは規模の増加という視点で整理したものがございます。ここにございますように、さまざまな観測結果、研究結果からやはり規模も大きくなっているという状況が明らかになっていると。複数の情報で多分そうだろうということがいえると思います。じゃあなぜかということでございますが、11番の青のところにございますように、最初は事実認識ですけれども「有明海湾奥部では塩分や水温による成層構造が発達したときに、海水交換に大きな変化が生じ、湾奥部の海水が滞留しがちになることで赤潮が発生している可能性が指摘されている」というのが1つの見解として、<5>の論文で研究結果として報告されております。
それからその次の12番は「表層水の低塩分化が起き、そこに栄養塩の流入があって、有明海湾奥部の表層水の栄養塩濃度が急上昇しているために赤潮の規模が増加した」という認識がある。必ずしもストレートにつながらないところがありまして、1個1個、このパートを読んでいきますと本当にそうかなと思うようなところも結構あるかと思いますが、1つの認識としてこういうことがいわれております。同じように13番、14番は参考情報でございます。それ以外に今度は赤潮の増加というか、赤潮の発生に関するさまざまな報告が有明海に関しまして、15番から23番、次のページまでずっと34番までさまざまな報告がなされております。どういう赤潮生物が出ているとか、どういう栄養塩が原因しているかとか、さまざまなことが整理されておりますが、直接、原因・要因として分離するのはちょっとまだ難しいかなということで現時点では緑の参考情報というところになっております。
 次の4ページにまいりたいと思います。4ページは赤潮の増加で八代海に関するところでございます。八代海に赤潮が出ているということで、その原因・要因として35番にございますように「漁業被害原因種による赤潮は、夏季に日射量が高く、高水温の年に多く発生する傾向が認められた」という<11>の報告がございます。こういう文章がそのまま書いてありますので、本来は「夏季における高日射量並びに高水温が赤潮の原因・要因である」というふうに主語、述語を変えたほうがいいかと思いますが、ここでは先ほどから申し上げましたように文章をそのまま引用させていただいています。そういう意味で若干読みにくいかもしれませんが、ご勘弁いただきたいと思います。それから36番は「海水温の上昇が八代海において赤潮の発生に関与している可能性がある」ということで、可能性ということできっちりとした因果関係というのは、まだ証明されているかどうかについてはまだこれ以上、深く追究はしておりません。37、38、39番は参考情報でございます。
 以上の部分が赤潮に関する問題認識、問題点、その具体的な状況、それから原因・要因でございます。
 今度は5ページにまいります。5ページは水質の変化の中で貧酸素水塊の発生。これは今までの委員会でも何度もいろいろ報告されている貧酸素水塊の発生という事実、もしくは発生という状況がどうなっているかというのを今までの報告から整理したものが1番から15番まで整理されております。さまざまな場所で貧酸素水塊が発生しているという事実認識がずらずらずらと出ておりますので、これは確かに発生しているということはよろしいかと思います。1個1個の文献もずっと出ております。それに対して、じゃあなぜ発生したかというその原因・要因として指摘されていることを右側に、これは結構たくさんあるんですが、1番から次のページの20番に至るまで整理をさせていただいております。これだけたくさんありますと、いくつかの要因が挙げられておりまして、これを本当はきちっと整理すればいいんですが、部分的にまだ不十分なこともあります。
 例えば、一番上のところは赤潮発生後、植物プランクトンが底層に沈んで分解されて貧酸素水が生ずる機構が明らかになった」と。要するに植物プランクトンの赤潮が起源であるということを示唆するような観測結果。それからその次のものは「浮泥の巻き上がりによって、これは結果的には植物プランクトンがやはり増加することによって、貧酸素水塊を作る原因になっている」というようなことがまとめられております。それからその次も植物プランクトン、赤潮系の話です。それから4番につきましても、やはり「赤潮状態になって、貧酸素水塊が形成される」ということ。次の5番は赤潮じゃなくて、今度は底質の有機物ということを原因にしてます。
 そういう意味で1番から4番までは貧酸素水塊の原因は赤潮であると。簡単に言えばそういうふうに整理できそうな原因が指摘されております。そうすると、その赤潮はなぜ増えるかということになりますと、前の今までご説明したところに戻っていけば、因果関係がだんだん明らかになるだろうというふうに考えております。
 その次の5番からが底質の有機物が原因であると。「有機物の分解が貧酸素水塊、ただし成層時にそういうことが起きる」ということが整理されております。6番になりますと、「底泥の再懸濁によって底泥やSSの酸素消費が貧酸素を起こす要因になる」という研究結果が報告されています。7番も似たように底層の有機物。それから8番は浮泥の巻き上がりで、似たようなことが幾つかずっと指摘されております。
 6番のところは「潮流に伴う底泥の再懸濁による高濃度層が形成され」ということになっていますが、これを見ると、底泥の再懸濁が起こりやすいような状況、すなわち潮流が多いほうが貧酸素が起きやすいようにもとれる部分があります。しかしながら、多くの報告はむしろ流れが少ない、小潮時のほうが貧酸素水塊が形成されやすいということで、そんなに矛盾しているか微妙なところですが、若干矛盾しているように見えるような報告も幾つか報告されています。これは整理していく過程でそういうところが少しずつ明解になるだろうというふうに思っております。
 8番のところは「小潮時に貧酸素水塊ができる」、それから9番のところも似たような「干潟前面で小潮時に貧酸素水塊ができる」というようなことがあります。10番も同様でございます。11番についても同じようなことを行っています。
 それから12番になりますと「成層が発達し、流動が弱いときに溶存酸素が低下する」という表現になっていますが、現象的には前のやつと同じことだと思います。それから13番、これは「潮受堤防締め切りによって流動が低下して、成層がおきやすくなり、負荷の増大」、これは何の負荷か、もう少しこれはきちっと調べないといけませんが、「負荷の増大につながって貧酸素を起こした」というようなことが書かれています。
 次は風の影響等が入っているところが原因として指摘されています。次のページにまいります。15番、16番になりますと風の影響。風の影響も基本的には流れということに当然つながるはずでございますが、表向き、風の影響みたいなものを原因として強く指摘している研究結果が15番、16番、17番。17番ですと成層ということが入っています。
 それから18番になりますと、今度は「海底地形のよどみ、海底のくぼ地のよどみが形成されるところから貧酸素水塊が発達してくる」という、原因というか、発生地点の話が出てきております。
それから19番は「淡水による密度成層、これが原因である」というようなこと。20番になりますと、これはちょっとあいまいなところがあるんですが、「気温が高かった、低かった」というようなことが少し出ております。21番から26番はどちらかというと、参考情報ということで示させていただきました。これが貧酸素水塊でございます。貧酸素水塊につきましては今、お気づきになりましたように、かなりの研究報告があるということがお分かりいただけるかと思います。
 それから今度は水質の変化、7ページにまいります。水質の変化、その他ということで水温、塩分、COD、栄養塩、それから最後のところでSS、透明度、これは逆の関係がありますから両方一緒にまとめさせていただきましたが、こういう水質の変化についてどういう報告がなされているかというのがあります。
 状況というのはここにございますように、例えば「長期的に年平均水温が高くなっているんじゃないか」ということがいわれている。これは観測結果ですから間違いない事実だと思います。ただ原因として、なかなか指摘されているものは少ないのがこの表でお分かりいただけるかと思います。水温につきましては「有明海の外海域での水温上昇の影響を受けているだろう」という、これはある意味で観測結果ですけれども、一応、有明海の中の水温の変化の説明になるかと思います。
 それから次のところが塩分でございますが、「全体としてはほぼ横ばいである」と。ただ、ローカルにはいろんな増加しているところとか低下しているところがあるようです。ただ、これはそれ以上、整理できませんでした。それからCOD、これは明確な観測結果がたくさんございまして、「長期的には悪化している」というようなデータと、それから「地点によっては増加したり、減少したりしている」という事実が明らかになっております。八代海については「やや高くなる傾向が見られる」ということで、説明等はあまりございません。
 次の8ページにまいります。8ページは栄養塩はどうかということですが、「基本的には横ばいの状況である」という事実。多くのものはほぼ横ばい、部分的にはちょっとなんとも言えないところはありますが、基本的には横ばいであるということが事実として明らかになっています。そういたしますと栄養塩が増えたということがその何らかの原因であるということは今後、言いにくいだろうと。そういうことは少なくとも言えるかと思います。関連する情報が右のほうに参考情報として幾つか示されております。
 それから八代海に関しても「T-N、T-Pに、一定の変化傾向は認められない」と。その他も基本的には横ばいであるというようなことが整理されております。これはあまり原因という問題ではないかと思います。
 次の9ページ、ここは今までいろんな形でよく議論されているSS、懸濁物質もしくは透明度の変化ということでございます。透明度の事実認識、どういうふうに変化しているか。SSが増えてるか減ってるか、SSが増えれば透明度が減るわけですが、その関係ですが、「透明度はやはり上昇している」、逆に言いますと「SSは減少している」という報告が大半でございます。部分的にはあまり変わらないというのがたしかあったかと思いますが、多くは透明度が上がっているという事実認識がございます。それに対して理由は何かというのが右側に書いてございますが、1つはここにありますように「筑後川を始め、流入諸河川で水中のSSが長期的には減っている」、これが原因ではないかというふうにいっている報告があると。それから透明度の上昇は、これは「浮泥の巻き上がりがなくなったためにSSが減少して透明度が上がった」というようなこと。それに近いんですが、あとは潮汐流の減少とかノリひびの抵抗によって透明度が増えている。その次に16番では「透明度の上昇は潮流・潮汐の減少や河川経由の懸濁物質供給量の減少」ということで、これは前のほうにあったことと同じようなことが指摘されております。17番も同じようなことが、「舞い上がり、底質の再懸濁とか流入河川でのSSの長期的な変化」というようなことが観測結果も含めて指摘されており、これが透明度上昇の原因であると。透明度が上がるとどういう問題が起きるかといえば、赤潮の問題とかその他に議論はつながっていくというふうに思います。これが透明度、SSに関する記述でございます。
 それから次のページにまいります。次のページはよく言われている底質の変化、正確に申しますと底質の細粒化という問題が、特に二枚貝の減少等の原因としていわれております。それがどのくらい事実といえるだろうかということで今までの報告を整理いたしますと、やはり多くの報告というか、全ての報告といっていいかもしれません。1番のところ、「底泥化している」というのもあいまいかもしれませんが、著者が言いたかったことは底質が細粒化しているということだと思います。ここに「聴取した意見であるため具体的なデータ無し」というあいまいなことが書いてありますが、これはご意見として、経験に基づいていっていただいたこともまずは重要視しようと。要するに頭から切るべきではないということで、経験は多くの場合、正しいことが多い。間違っていることもないとはいえませんが、正しいことが多いと思いますので、ここに入れさせていただいております。ということで、ここにずっと事実関係が書かれております。
ただ、八代海の場合は、これは底質の細粒化とCODが若干混ざっているところがあるんですが、横ばいみたいにとったほうがいいかもしれません。ちょっと底質のCODと底質の細粒化が若干混ざっているところがありますが、これは今後、もう少し整理させていただきます。
 泥化の原因は何かというと、右側にございますように「流入河川からの大きな粒子、粗粒の流入が減ってきた」、これが理由であると。それから「海が静穏化して、細かい粒子が堆積していくと」。ただ、この後ろに書いてございますように「確証がなく、今後詳細な調査検討が必要である」とまさにそのとおり書いてあるんで、これはそのまま入れさせていただいています。あと1つの報告、これにつきましてもいろいろ書いてございますが、「どの程度、影響しているかは今後、さらに検討を要する」ということで、今までの報告を見る限り、底質の細粒化が進んでいることは事実であると。ただ原因・要因が何になっているかというのはまだ十分に解明されていないということがこれからお分かりいただけるかといっていいのではないかということが、これから推定できると思います。その次は参考情報です。
 次に今度は同じようによく言われております潮位もしくは潮流の変化。これは1つの論文で潮位のことも潮流のことも載っていますので、なかなかきれいに分離できないので、若干混ざっているところがあることはご容赦いただきたいと思います。潮位につきましては、「潮位の上昇が進んでいるでしょう」と。潮位の上昇は確か報告としては2つぐらいありますかね。あとは全て「潮位差がやはり減っている」という報告がずらずらずらっとここに並んでおります。これが事実に対する認識です。じゃあその原因は何かということで、これもさまざまな先生方、研究者の方からご指摘いただいているところですが、潮位差の減少はここにございますように「外海の潮位振幅の減少、東シナ海の平均水位の上昇に伴う平均水位の上昇、それから干拓地の締め切りによる海面積の減少」が一応いわれていると。ところが、その次のところは「湾内の潮汐振幅の減少が原因であって、諫早湾の潮受堤防締め切りの影響は少ない」と、10から20%程度だというふうに言っています。ところが、その下の4番になりますと、「有明海の潮位差の減少の約65%を内部効果が占め、その原因は諫早干拓にある」というようなことで、その上もそうですね。主要な原因は諫早湾の潮受堤防締め切りだといってまして、ここに書いてある幾つかの論文、ちょっと不思議なところは同じ<7>の論文で違うようなことが書いてあるようにとれるんですが、これはちょっともう一回、整理させないといけないかもしれませんが、必ずしも見解は一致していないということがいえるかと思います。そのような事実認識があると。
次に潮流はどうなっているかというと、潮流も多くの報告は小さくなっているというのが多分あるかと思います。「流速が低下する傾向が見られる」という非常にたくさんの報告がございまして、これは事実としてそうだろうと。ただ、部分的には違うという話もありますので、若干注意をする必要があるかもしれません。その理由は何かというと、7番では潮受堤防だと。それに対して逆に、8番は海水交換ということで書いてあるんですが、「減少もしくは増加するような傾向は認められない」ということで、これは上の現象を否定するような情報ということで●がついております。
 次のところはそういう議論をするのに参考になるような情報ということで緑で書かせていただいております。これももう少し整理していくと、本当は○なり●に入れたほうがいいようなところもあるかと思います。
 次にまいります。12ページ、今度は二枚貝の減少という問題点に対して、どんな見解が今まで報告されているかというのを整理いたしました。ただ、二枚貝を全部一緒にするのはちょっとまずいだろうということで、まずアサリというものを取り上げました。
 そうすると1番から6番にございますように、これは言うまでもないと思いますが、アサリの生産はともかく落ちている。これは事実認識としていいかと思います。ただ、問題は有明海全体で議論していいかどうかということは残っています。部分的に減り方が違うかもしれないということがありますので、そこは今のところはあまり整理せず、並べている段階でございます。もちろん増えたというのはなかったはずですから、減少という事実はいいかと思います。
 じゃあその原因はなんだろうかということで、アサリの減少原因として報告されているものを今までの報告から抜き出してきております。1番は底質が問題であると。2番は浮遊幼生期の生存率が低下した、これが理由。それから3番になりますと、よくいわれているナルトビエイの食害。4番は食害で捕食動物は不明とあります。5番はスナモグリによる影響ということがあると。それから6番になりますと、有害プランクトン赤潮、貧酸素、それから底質、さまざまなことがいわれています。本当はこの中でどれが一番大きいかということを追究していく必要があるだろうと思いますが、今回は一応、並列に並べております。論文をじっと全部読むと、もう少しウエート付けができるのかもしれませんが、一応、最後の結論もしくは考察のところをこういうふうに入れています。それから7番は貧酸素、次の8番も貧酸素というようなことで、ウエート付けはまだなかなかできませんが、こういうことが今まで報告されているというのがお分かりいただけるかともいます。
 ただ、9番にございますように貧酸素は原因でないという報告をされている論文もございます。ですから、この辺はどちらがより真実に近いのか。もちろんローカリティもありますから、ある場所では貧酸素が原因で、ある場所では貧酸素ではないといういろんなことがいえるかもしれませんが、今後、この視点というか、切り口がよければ、これにしたがって、だんだん基礎情報を整理して、根拠がどのくらいあるかというのも確認して、妥当性を検証していくという作業が多分、必要になるのではないかというふうに思います。というのは、やはり今のところ、これらの情報は全て定性的な話でございます。だから影響がないとはいえないけども、じゃあ本当にそれがメインの要因かどうかというのは、これを見るだけではとても判断できないと。例えばナルトビエイの食害は多分あるんでしょうけども、じゃあそれがアサリが減ったことの何%の要因になっているのかということは定量的にやっていかないとナルトビエイに罪をなすりつけるというのは変な言い方ですが、そうだったらしょうがないんですが、なかなかその辺のところもこれから。だからこそ研究していく必要があるかもしれませんし、もう既に分かっていれば、そういう情報をこの中に入れていただければ、その影響度合いというのも評価できていくだろうというふうに考えます。
 それから八代海でもアサリが減少したというのはあるんですが、八代海に関することで直接、因果関係の報告はございませんでした。
 次にまいります。次はタイラギです。タイラギにつきましてもいうまでもなく、要するに漁獲量が激減しているというのがお分かりいただけるかと思います。それから激減のみならず、要するに大量死が発生するとか、そういう問題認識は随分明らかになっているだろうと思います。ただ、これも場所的にどうかというのは若干気になるところでございますが、まだそこまで整理はしきれておりません。
じゃあタイラギの減少の原因として、どんなことが今まで当委員会に報告されているかというのがずっと書いてございますが、一番最初のは「餌料等の環境が生育に適さない」というようなことで、「健全な個体が育たないために環境の悪化に耐性の低い個体が多くなっている可能性がある」というようなことが書かれております。ちょっと私にはまだよく理解できないところがあるんですが、一応そういうことが書いてあります。それからその次は「底質の悪化、幼生の分散、回帰する過程における流れの影響」と。その次のところも底質の話、4番も底質の話、5番も底質。みんな細粒化が多いと思います。6番になりますと、底質の細粒化と過剰な漁獲圧と。その次も底質が原因である。8番も底質ですね。9番は食害。アサリと同じようなことが結果的には言われているわけですが、少なくともタイラギというものを主目的にして検討された結果として、こういうことが報告されているということで、あとカニによる食害ですね。それから11番になりますと立ち枯れ斃死。12番も立ち枯れですね。これは複合要因ということになってますので、ちょっとなかなかもっと難しいことがいっぱい入っています。それから13番は貧酸素化、14番は底質の変化と貧酸素化というようなキーワードがいえるかと思います。15番になりますと「他の何らかの死亡要因」ということですから、これはまだもう少し検討する必要があるかと思います。というようなことが報告されていまして、ところが、その次のページにいきますと、今度は●がございます。16番でございますが、研究結果の<3>というところで結論付けられて、「タイラギの斃死の時期と貧酸素の発生時期の関係から、タイラギの立ち枯れ斃死が貧酸素によって起こるとは考えられない」という結果もあります。それからその次も同じように「貧酸素は原因でない」という研究結果が、これは真っ向から対立する。
やっぱり最初に申し上げましたように、こういうふうに文章の一部、結論だけ取り上げますと、必要以上に一般化して捉えられる危険性がございます。そういう意味で、ひょっとしたら研究結果<3>の著者が思っていないように引用されている危険性がある。最初に申し上げたとおり、その辺のところはご指摘をいただければありがたいと思います。そういう危険性は一応、承知の上でございます。ですから、ひょっとしたら失礼があることを承知の上で●をつけさせていただいております。この辺のあいまいなところは今後、ご議論いただいて、きちっと整理していただければというふうに思います。これがタイラギでございます。
 その次に今度はアゲマキとかサルボウが挙がってございますが、なかなかあまりよく分からないと。減ったという事実はもちろんいいんですが、その原因はというと、なかなかすっきりしないということで参考情報が挙げられております。
 その次に今度はその他ということで、要はアゲマキ、サルボウ、タイラギ、アサリというふうにきちっと分けて議論するのがなかなか難しかったんで、というか報告自身が貝類として報告されています。アサリがほぼ主だろうと。例えば5番のところには「アサリを主にほとんどが二枚貝」となっているわけですから、アサリに分類してもいいんですが、ちょっとあまりやり過ぎないようにこちらのほうに入れています。何度も申しますように、整理の第1ステップでございますので、あまり主観とか判断を入れないように今回はしております。そういう意味で、何度も申し上げますように、あいまいなところはご容赦いただきたいと。
 そうすると貝類全体ということで、その原因が、これはヒアリング結果でございますから、単なる思い込みかもしれませんが、「筑後大堰の流量制限」だというふうにいっているところがあると。これはヒアリング結果ですから根拠はあるのかな。すみません、ちょっともう一回これは確認しないといけませんが、そういう指摘があるということは事実でございます。
 それから八代海。これはやはり減っているというのは事実として報告がございます。
 それから次の16ページ、ノリ、これにつきましてはノリの委員会、そちらの委員会で随分いろいろ議論されております。したがいまして、ノリの不作があったという事実とその報告書で報告されている、例えば異常気象があったとか、赤潮が続いて窒素とリンが減少したとかという今までいろんなところで報告されていることがそのまま引用されております。それからあと関連情報として7、8、9、10番として参考になる情報を整理させていただいております。
 それから次にまいります。次の6.は魚類養殖の赤潮被害ということで整理をさせていただきました。有明海につきましては増加傾向が見られるということで、原因・要因につきましてはそれほど明確に指摘されておりません。それから八代海につきましては被害の増加、件数の増加というのは事実として幾つか報告されていると。原因として、ここにございますように、「漁業被害を起こすような種による赤潮が、例えば日射量が高くて、高水温の年に発生する」とか、でもこれは自然現象になります。今後の対策ということにはなかなかなりませんが、こういうことがいえると。あとはここにございますような赤潮が増えたと。ですから、この赤潮が増えたことが漁業被害を起こしたわけですが、この赤潮がなぜ増えたかというのは今度、赤潮のところを引用するということになるかと思います。ただ、赤潮のところを引用しようと思うと何の説明もないという。論理というか、因果関係が欠落しているところは当然、まだあるかと思います。
 その次にまいります。18ページは水産資源の減少でございます。これを見ますと、パッと見ればお分かりいただけますように、事実関係の状況に関する報告はいっぱいございます。ではその原因はなぜかと。それはなかなか難しいところでございますから、簡単にいかないですが、きわめて情報が少ないと。今までのこの委員会で報告された範囲内においてきわめて情報が少ないというのがお分かりいただけるかと思います。例えばわずかですが、いわれているのは3番、八代海のところで「産卵場、保育場として重要な藻場・干潟の減少が魚類の減少につながっている」というような統計結果、観測結果があるというのが説明の1つでございます。
 それから次のところがカニ類で、カニ類についても「増加したり、最終的には減少している」というようなこと。それから海藻は「急増したあと、ピークになって、あと急減した」というような事実関係。エビ類についても「減少傾向である」というようなことが事実として報告されています。ただ、有明海の7番のところを見ていただきますと、「赤潮が発生することがエビの減少につながった」と。すなわち「赤潮プランクトンの分解に伴って、溶存酸素を消費する」と。で「酸素不足によって死滅するんではないか」ということ。それから左側のほうに19番で、「クルマエビは赤潮発生と同時にとれなくなった」と。これは多分同じヒアリング結果ですが、因果関係らしきことが出ていると。それから八代海の次の8番ですと、「藻場の減少がエビ類の減少につながっている」というようなことがございます。
 それから20ページにまいります。20ページのところでイカ、タコ、その他ということになっていますが、先ほど申しましたように、やはり状況、水産資源が減少しているということを示す情報はもちろん確かな情報がいっぱいあるわけですけれども、原因として直接として、今までの委員会で指摘されているような情報はあまりないというのが現状でございます。中には底泥のヘドロ化とか漁網の防汚剤とか有機スズとかというようなことも原因だというふうに指摘されているものもございます。
 それから21ページにまいります。ここのところが今度は水産資源以外の通常のベントス、底生生物が減少したかどうかということもいろいろ言われております。その事実関係がどうなっているかという状況をここに並べていますが、すごく減少したというデータがあるんですが、一方で、それほど変わらないというデータもございます。大体は減少傾向にあるという状況の報告がございます。では、その理由は何かというと、底質の細粒化とか貧酸素化、よくいわれていることがみんな出ているわけですけれども、そういう環境変化によって減ったんだというような指摘が今までなされております。
 それから最後のところ、干潟、藻場の減少というのが書いてございます。有明海・八代海、それぞれについて干潟と藻場が減っているというような事実の状況報告がございます。じゃあその原因は何かということでございますが、例えば潮位差の減少とか、潮受堤防の締め切りによるもの、それから筑後大堰の流量制限によって土砂供給が少なくなった。これが原因であるというふうに指摘されております。もちろん当たり前のことですが、その次の4番にあるように埋立干拓、5番もそうですね。それから6番はやはり土砂の供給量の減少ということがいわれております。藻場につきましては、原因等については今のところ、当委員会で報告されているような情報は見当たりませんでした。
以上、若干はしょらせていただきましたが、今までの委員会の報告をとりあえずそのまま整理するという第1段階の作業を終わったという、その状況につきまして簡単ではございますが、ご報告させていただきます。以上です。

○須藤委員長 どうも岡田先生、ありがとうございました。たいへん膨大な資料を要領よく整理をいただきまして、第1段階として、とにかくここにお示しいただきましたような分類をしていただきまして、その問題点、状況、それから原因・要因として指摘される事項を整理をしていただきました。もちろん、これが最終ではございません。これがスタートでございます。ですから今後、さらに何のどんな調査をしていったらいいのか、どういうような評価手法を取り入れていったほうがいいのかというような後日の議論になるわけですが、とりあえずはこの資料に基づいて整理した段階で、先ほど岡田先生がところどころでおっしゃっていただいているわけですが、事実誤認があるのかどうか、あるいは今後、追加されなくてはいけない情報があるのかどうかとかというようなことを順次やっていくつもりでございます。今日のところはまず最初に整理の仕方は大体合意を得て、岡田先生にお願いしたところでございますが、2-1の最初のページの分類の仕方が変わってくるとちょっと具合が悪いので、まずはこれで合意をいただいたということでよろしいですか。前回のところでは一応、岡田先生から口頭でそういうお話をいただいてるので、第1段階なので、これじゃあ具合が悪いよとなるとやり直さなくちゃいけなくなるんですが、とりあえず、これで委員長としては進めさせていただくということでよろしゅうございましょうか。
 一応、進め方としてはこういうことで分類をしていかないと整理になりませんので、整理をしていただいたということは、たいへん岡田先生、本当にありがとうございました。もちろんこれから、岡田先生が言われるように抜けているもの、事実誤認があるもの、これは十分、ご指摘をいただきたいと思うし、今日の時間ではもしかしたらきわめて不十分だろうと私も思いますので、後で事務局から多分、ご発言があると思いますが、意見をいろいろお寄せいただくということも、ある時間を区切って、お願いをしたいと思いますが、ひと通り、今日はこれがメインの議題なので、その他もありますけども、相生先生のほうからいかがでございましょうか。
こんなもんでいいですよ、大体いいよとおっしゃれば、それで結構でございますが、何かお気づきのことがありますか?細かいところでも結構でございますので、もしあれば、順番にひと通り、ご意見をいただいた上で、もう一度、岡田先生から整理をいただこうかと思っております。どうぞ。

○相生委員 私、ずっとこの委員会に、毎回は出られなかったんですが、その委員会での資料等、その他、それから実際に現地での視察も加えて、有明海と八代海がどのような海であるかというのは、特徴としては有明海の海の深さは非常に浅いということと、それから干潟の部分が非常に多いということが大きな特徴であると思っています。
そこで、この膨大な資料の中でこれだけ整理するというのは大変な作業だと思いますが、大分類、小分類の中で、私自身が頭に描いているフローチャートというんですか、これはニワトリが先か、卵が先かという話になるかもしれないんですが、やはり私は干潟というものの機能ですね。これまでの議論というか、この委員会で出てきた内容の中でブラックボックスになっているのは干潟だと思うんです。しかも水産資源については随分いろいろデータがあるんですが、それ以外の生態系の重要な鍵を握るものとして、何ページ目か出てきましたが。

○須藤委員長 整理はしていただいてはいますが、量は多くないんですよね。

○相生委員 ほとんどないんです。アナジャコという名前が出てきているぐらいで、実は最近、いろいろ生物撹乱に関する研究なんかが進みまして、イボキサゴとアナジャコ、ニホンスナモグリとの関係とか、かなり研究が進んでいます。実際に有明海・八代海でやっている人がいますので、その辺の論文を見てみますと、やはり干潟というのはどうも有明海・八代海についても、それぞれ干潟によって特徴がありそうで、しかも有明海全体で見ると、やはり干潟の機能がどうもブラックボックスになっているなというふうな気がしております。ですから順番としては、できれば干潟を1番にしてもらいたいんですが、そこら辺のデータがないということで、恐らく水質が1番になったんだろうというふうに考えていますが、それと水質の変化、それから富栄養化の問題がどうなっているのかということと、それから貧酸素水塊の発生ですね。その一連の流れの中でベントスの種がどのように変化をしてきたか、そこがブラックボックスになっていると思っています。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
岡田先生の最初のご説明の中で、ここに書いてある順位が重要な順ではなくて、整理の都合上、最初が水質の変化となっているんで、干潟の部分を重要でないから最後に持っていったというわけでは多分ないんだろうと。違いますよね。並列的に書いたんで。

○岡田委員 これはあくまでも並列です。それと先生がご指摘になった干潟の機能というか、干潟の構造とか。今、整理された段階では干潟の面積とかそういうのがほとんどです。ただ、構造とか機能がどう変化したかというのはおっしゃるように入れるべきだと思います。ただ、今までの当委員会の資料ではそれは抽出できなかったということで、これからそういう情報をいただければ、整理して入れていきたいというふうに思います。

○須藤委員長 ですから相生先生のご指摘で、例えば資料というか、論文を追加していく、あるいはまったくないんだったら調査をしていただくとか、そういう順番を踏んで、一応、ここは評価委員会なので、ここでどうしてもそれが必要だったら、ぜひそれが必要だというふうになれば、私はそれでよろしいんではないかなと思っているんで、不足しているものは不足しているということを明らかにしましょうということだと思います。
 じゃあ伊藤先生、どうぞ。

○伊藤委員 今回のこの資料によりまして、どういうところが不足しているかというのが随分見えてきたと思います。今後、このように分類されたものをそれぞれ因果関係を含めて再整理していくということですので、より一層、どの辺が不足しているのかというのが明らかになっていくと思います。
 1つだけ細かい点をいわせていただきますと、今後、整理していく中で、例えばタイラギについて私の意見を引用していただいておりますけれども、この資料を単純に見てみますと、先ほど岡田先生も言われましたが、そのまま抜粋されていますので、例えば、私が研究成果として発表しましたタイラギの斃死について、貧酸素が直接的な原因ではないというふうにいっておりますが、例えばタイラギに関していえば、ここの海域によって、多分、斃死の状況が違うんだと思いますので、これはタイラギだけではなくて、アサリについても同じだと思いますので、その辺については今後、整理されていく中で、先ほど岡田先生がいわれておりましたので、整理をするときに十分配慮していただきたいと思います。
 それから、例えばここの中でそれぞれ引用していただいておりますけども、引用された方の趣旨というのをもう少し最後に確認されたほうがいいんじゃないかなと思います。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
広大な面積のところのどこかの現象で全体をというような印象を与える部分が、多分、伊藤先生の今のご指摘であるんでしょうから、その辺のところはこれから整理していく段階で気をつけなくちゃいけない。有明海の一般論となってしまう可能性もこのままだとありますので、そこは注意しなくちゃいけない問題だと思います。ありがとうございました。
菊池先生どうぞ。

○菊池委員 先ほど相生先生から干潟の機能という話が出たんですけども、今度のには中・長期開門調査検討会議の報告書の分がまだ入っていないと思いますけども、どうでしたでしょう。

○須藤委員長 報告書は、部分的には確か入ってると思います。この前の段階までのものですから。

○菊池委員 それでしたら一応ここにもあったと思うんですけれども、1つは諫早湾の干潟がどのぐらい生物生産や物質浄化の役に立っていたかというのの、もう既に諫早干拓は失われているものですから、よく似た泥干潟というので、佐賀県の奥の泥干潟について、現在生息する種とその密度サイズをもとに、水中の植物プランクトンをどのぐらい吸い込んで分解して、水の中で浄化しているかという計算をされたわけです。ただ、そのときに佐賀県の水産研究センターのセンター長からの発言で、あそこの干潟は以前に比べ環境が随分悪くなっているので、諫早湾を締め切る前の環境もよく、生物も非常に豊かだった時代の泥干潟というものを、今の生物の量も少ない佐賀の干潟のベントスの物質収支から推定するとかなり過小推定になるおそれがある、という指摘があったと記憶しています。それは福岡県の地先の干潟にしても、三池炭鉱の海底下採炭の結果、陥没によって何百ヘクタールもの干潟が落ち込んで、干潟の機能を失ってるわけですけれども、そういう形でなくなっていった砂干潟へいってそこの干潟で1か所、年に4回ぐらい調査して、それから推計してやると本来の有明海の干潟なり、あるいは広く浅海の機能の推定としては、昔のよかったのは分からないから、今の状態の残ったところで見るという形でしか評価できない。努力しても生物相も変わってる、生息密度も変わってるということで、ですから構造と機能を測定するのは確かに大事なんですけれども、10年前と比べても、それこそ精密に計量しなくても、干潟を歩いたらいろんなものが変わっている。そういうときに構造と機能や、あるいは形態、よそでいわれていたほどの、例えば三番瀬や東京の盤州干潟、あるいは三河湾に比べて、だいぶ低いじゃないのという話に矮小化されてしまう心配はあると思います。そして、それはさかのぼってみることがたいへん難しい。
 もう1つは、これは藻場の評価なんですけれど、有明海というのは奥はもう完全にそういう陸起源の細かい砂泥地になっていて、そしてなにしろ濁っている。これがいいか悪いかは別として、透明度は悪いところですから海草や海藻は本来生えにくい。藻場の状況ということからいったときに、有明海の中央部から北側の干潟の下縁にはまったく大型の藻は生えないんです。ですから、それは他の地方で干潟があったら、すそには必ずアジモがあって、あるいは岩礁底に大型藻の藻場があって、それが本来のあるべき姿で絶対よいというふうに単純にはいえないのではないか。沖出し3kmも5km以上も干出する大きな干潟では、干潟の上にある小さな凸凹とそこにいる微小な生物が有用生物を養うもとになっている。それがアジモ場がそういう育成場所になっているのと、干潟自身がなっているのとで、どちらが損なのか得なのかということですね。
 八代海の場合ですと、九州本土沿岸のほうはアジモ場もございます。ただ、これも八代大干拓から後、だいぶ地形が変わっていますから、この10年前にさかのぼっても、あんまり見えないと思います。30年前、40年前には広大な藻場があったということは私も伝聞で承知しております。ですから有明海・八代海を昔のようにしてほしいというのは、どこの昔なのかというのはこれは非常に難しいところだと思うんです。それはある程度は聞き書きで自然環境の変遷は記録できますけれども、それを定量化することはたいへん難しいと思います。ベントスのことはまた少し私の頭を整理してから申し上げます。

○須藤委員長 菊池先生、どうもありがとうございました。
 今後、再生の道筋を明らかにしていく、決めていくためには健全だったころの藻場なり、干潟なりの構造と機能をきちっと評価した上でやらなくちゃいけないと、こういうことであろうかと思いますので、相生先生も先ほどおっしゃっていただいてるわけですが、これも1つの課題で、それを文献なり、今後の調査の中で取り上げるかどうかというのは、今後の検討課題だというふうに思っております。
 楠田先生、どうぞ。

○楠田委員 たいへんよくまとめてくださって、また次のお願い、次のお願いとお願いばかりで恐縮なんですが。

○須藤委員長 どうぞお願いしてください。

○楠田委員 1つ目は問題点を整理するときに、陸域からの負荷のデータがやはり必要ではないかと思います。特に出水時のデータが必要になると思います。
 同じく追加なんですが、例えば底質の細粒化のところに、化学物質がどれだけ増えているかというデータがないので、他のデータもお調べいただけたらありがたいと思います。
 それから、少し社会学的な観点になるんですが、人々の海域への関与の度合いが必要になると思います。例えば何回堆積物を掘り返しているとか、あるいは人の社会的なアクションも先々は出てくるんではないかなと思いました。あと細かい点でぜひ精査を願いたいのですが、例えばDOと生物の関係の議論のときに、測られているDOが本当にその生物に影響を与える地点の観測値を使っているかどうかという科学的厳密性とか、それから水質はあまり変化がないという表現がよくあるんですが、それは物質収支をとったときに物質の沈降性が大きくなって負荷が増えても、水質に変化がないという結果になってしまうんですね。だからそういう物質の収支までを読み取って、いろいろコメントをしていただけると非常に科学的に分かりやすくなると思います。
 それからもう1つは潮位が上がってきているとか潮位差が減っているという表現があるんですが、酸素の供給はどちらもあまり関係なくて、実は波の影響でかなり入っているところがあるわけですね。水表面からの酸素供給のお話というのはあんまり出てこないもんですから、貧酸素を議論するときに酸素の供給サイドのお話がほしいと思います。すみません、お願いばかりで。

○須藤委員長 楠田先生がおっしゃるとおりで、流域からの負荷の問題というのはちょっと整理が不十分ですよね。

○岡田委員 その視点でもう一回、見直してみます。

○須藤委員長 それはそういう視点で見ないと。ここは海というだけの、干潟とか藻場がありますけども、そういうだけのことなんで、今の流域関係、あるいは人とのふれあいの問題、関与の問題、そういう問題と先ほどの貧酸素水塊ですと、確かに貧酸素はどこで測って貧酸素なのかというのは非常に大事ですよね。特に貝類のことなんかをいうときに、その辺のところを。いろいろ大事なご指摘をいただいてますので、これは分かるところは入れるし、分からないところはこれから検討するということにしましょう。

○岡田委員 ないということが明確になれば。

○須藤委員長 なれば、今後の調査に入れると。

○岡田委員 ないのは私の責任じゃないですから。

○須藤委員長 小松先生、どうぞお願いします。

○小松委員 たいへんな作業をしていただいて本当にありがとうございます。おかげで私の頭の中も随分すっきりとしてきました。
 非常によくまとめていただいているんですが、ただ1つ、例えば何々の研究結果とか何々の記載内容というふうにその知見の由来が書かれているんですが、例えばその知見がシミュレーションによるものなのか、統計データによるものなのか、現地観測によるものなのか、ヒアリングについてはかなり書かれていますけど、室内実験によるものなのかが明らかでない。というのは例えば○と●が併記されていると同じ重みで見ちゃうんですね。ところがシミュレーションはまだまだ不十分なところがいっぱいありまして、係数1つで結果が大きく変わってしまいます。それに対して、現地観測だったら少し重みが違うということがあるんで、せっかくここまでやられているんですから、もう少し踏み込んで、知見がどこから来ているのかというところまで書いていただけると、非常に貴重な資料になると思います。

○岡田委員 おっしゃるとおりでございまして、本当はそれをやりたかった面はあります。ただ残念ながら、私自身がここのいろいろなパーツについて必ずしも専門でない。というか、専門なところはあんまりないといったほうがいいかもしれません。だからこそ、私が指名されて始めた面があります。そういう意味でこの1個1個の知見がどれだけの事実に基づいているか、その事実もシミュレーションなのか、観測結果なのか、室内で再現できる確固たるデータに基づくのか、それを明らかにしていくのはむしろ、これをいうと叱られるかもしれませんが、私よりも各委員の専門の先生方にやっていただくなり、この著者の方と議論しながら整理していくというほうがいいのかなと。実はあまり明解に考えていなかったんですが、そういう思いも若干ございまして、あいまいに残してございます。すみません、おっしゃるとおりです。

○須藤委員長 ただ何か記号をつけて現地観測なのか、計算なのかというようなぐらいのところはできますよね。それはやっていただいたほうが、今の小松先生のは非常に重要なご指摘なんでね。計算が必ずしも悪いわけじゃなくて、予測するには計算しか多分ないでしょうから、そういうことも必要だと思いますので。現地観測は確かに重みがありますよね。ですからそういうこともありますので、そのぐらいのところは。

○岡田委員 そこまでをここでやって、あとはもう少しプロにまたお願いすると。

○須藤委員長 それぞれの。そのために先生方はみんな。
 じゃあ滝川先生、どうぞ。

○滝川委員 ここでまとめられたのが評価委員会あるいはその発言内容の整理だということなんですが、ちょっと拝見していて、他にもやっぱりたくさん資料はあるだろうなということで、今までの資料も当然、今から加えられていく話だろうと。その基本的な方向はここに書かれているまとめ方で大体よろしいのかなとは思うんですが、その他の資料にも農水省の資料、第三者委員会、中・長期開門調査検討会議、あるいは国土交通省の。八代海について特にデータが少ないとおっしゃっていましたけども、かなりのデータが八代海域の調査委員会、もうちょっと詳しく見ていただけると、もっと詳しいことがございます。それを見ていただきたいというのがまず第1点です。
 それと大分類と書いてあるこの分け方、基本的にはよろしいかと思うんですけど、先ほど楠田先生もおっしゃったように陸域からの負荷等々もあるんですが、私自身が考えているカテゴリーというのが、ちょっと申し上げて申し訳ないんですけど、いわゆる陸・海・空といいますか、地象、気象、海象というのが基本になって、それに生き物という生態系がある。それに負荷源として、そういう外力の変化に人為的な負荷といいますか、そういったものがあるだろうというふうにちょっと考えていまして、そういう観点からすると、水質の変化、底質の変化、流域の変化、これはさっきいった水、土、流体といいますかね。それからいくとやっぱり9番目のやつが3番目に来たほうが考えていく上からもいいのかなという。ちょっとそんな気がしてみて。

○岡田委員 そこは考えてなかったです。論理を構築するときですね。

○滝川委員 それともう1つ、そういった意味で抜けているのが気象関係だと思うんですよ。日照だとか日射量だとか雨水だとか、そういうものが多分、大分類の中にある。それと今、資料をまとめられたその現況といいますか、環境問題の症状が書いてあって、それをつめていくときに原因・要因としてというふうな形で右のほうで整理されていますが、これを今後、どういうふうな対策を考えていくかということを考える上では、やはり今申し上げたように陸・海・空ですね。地象、気象、海象の面、あるいは人為的な面、そういったもので整理してみていったほうが、ここは気象要件とかなかなか変えられないとか、ここは干潟の問題だから何かアプローチできるだろうかとか、そういう話につながるのかなと。ここは一応、ばっと書いてありますけども、今からの整理としてそういうカテゴリーで原因・要因というのをちょっと整理できるような形にしていくと、次がよく見えるのかなと。それに最後にトータルとしてまとめた気象、海象というのがあれば、全体がもっと見やすくなるのかなと、ちょっとそういう気がいたしました。

○須藤委員長 どうも貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
岡田先生は論理を作ってこう並べたんじゃなくて、本当に並列に並べていただいたんで、これから当然、組み立てをしなくちゃいけないし、今の先生のお言葉の中の気象、海象なんていうのは抜けていますから、その変化とか、それは当然、先ほどの陸域からの負荷なんかも同じなんですが、そういうのは当然、入れていかなきゃいかない問題だと理解しています。
原先生、どうぞお願いいたします。

○原委員 膨大な資料をまとめていただいて、たいへんありがたく思っております。
 私がちょっと感じたことを2、3申し上げたいと思います。第1点目としては、特に環境の変化。海洋環境の変化そのものが有明海だけのものなのか、一般的なものなのかという点を明らかにしておいたほうがいいんではないかと思った点でございます。というのは、水温が有明海は30年で1、2度上がったというふうに西海区水研のほうからも報告をされておりますけれども、日本沿岸が大体上がり傾向にあるわけだろうと思いますので、有明海で特異的に見られたものを抽出しやすくするほうがいいんではないかというふうに考えた点が第1点目でございます。
 第2点目でございますけれども、水産資源が総じて減っていると。こういうことはよく分かるんでございますけれども、やはり二枚貝の場合には運動性が少のうございますけれども、魚類の場合にはかなり運動する、あるいは動き回る、あるいは生活史の中で、有明海で生活史が完結する種類と有明海が生活史の一部として使われているものと、有明海を産卵場としてここから出ていくといいますか、有明海の中で終わるものもあるんでしょうけれども、そういうふうに生活史のどの段階で有明海が使われているのかと、こういうことをこの記載の中に入れていったほうがより分かりやすくなるんではないのかなというふうに感じたわけでございます。
3点目でございますけれども、私もちょっと発言をしたことがございますけれども、いまや水産資源をはじめといたしまして、いろんなものが有明海に持ち込まれている。例えば貝の種苗等もアサリの種苗等も外国のものが入ってきている。あるいは覆砂をするという砂も多分、有明海以外のものも使われているんではないかと。そういう情報をなるべく欲しいと、こういうことでいろいろとお願いをした経緯もございますけれども、なにぶんよく分からないという面もございまして、こういうようなものがどれだけ持ち込まれて、どこへそれが行ったのかというようなことも判断をする場合には情報の1つになり得るんではないかと思うわけでございます。特に輸入されたもの等につきましては、国でもいろいろとやっておりますけれども、通関統計以外に今のところないんです。特に八代海等は魚類養殖というものが行われておりますと種苗も入ってきているのかもしれませんし、アサリは入ってきていることは明らかでございまして、そういうふうなものがどういうふうに現地の資源に影響しているのか、またしていないのかと、こういうようなことも情報としては整理をしておいたほうがいいなと、こんなような点を感じました。

○須藤委員長 どうもたいへん貴重なコメント、ありがとうございました。
 特に最後のところの問題なんかは、これでデータを出してできるかどうかというのはまだ事務局とも相談しなくちゃいけないし、他省庁等のご協力も。これは環境省の仕事じゃなくて、6省庁にまたがっているから、それは全部いけるんだと思いますけれども、ちょっと後日というか、後で相談した上で、できるだけ先生のご要望にこたえるように追加資料の中に入れていきたいと思います。
 細川先生、お願いします。

○細川委員 この表はたいへんな作業だったと思いますし、短い時間の間によくここまでまとめていただいたと思っています。
表をパッと見ただけではなかなか分からないことも、岡田先生のご説明を聞きながら表を見るとよく分かります。この表からこんなことが分かりそうです、ここまではいえそうです、ここはちょっと分かりませんねという解説があるとすごくよく分かるので、岡田先生がご説明になった解説を短くてもいいから、各小分類ごとに入れておいていただきたいと思いました。
 その上で、岡田先生も説明の中でいろいろと触れておられましたが、これから次のステップにどう展開するのかという点について、まとめました、で、次は因果関係でフロー図みたいなものを作っていきましょうというご説明がありました。フロー図みたいなものを作るときに、このまとめの表からどうしたらいいのか考えてみました。1つはフロー図というのは上流側と下流側があるんで、何をもって上流側のほうの四角の中に置いて、何をもって下流側の四角の中に置いたらいいのかという整理が必要です。それから2つ目は、上流側というところに必要な知識というのは、この整理とは違う情報が必要だろうなと思いました。先ほど、気象の話が必要というようなことがありましたけど、そこは例えば、ここで取り上げられている幾つかの代表的生物の生活史とか環境要請とか、こういったものが分からないと上流側の四角に何を書いたらいいのかというのが分かりにくいなという点です。この委員会の中で皆さんがご発表になったときに、それは皆さん知っているということで個々の生き物の生理・生態というんですか、そういう情報は発表はなかったかも知れません。そこで、教科書には載っているというような情報も整理されたら、上流側の作り方としていいんではないかなと思います。あわせて、気象から思いついたんですけど、物理的な因子、流れとか泥とかに関しても、流れはこういうものだとか泥はこういうものだとか、潮汐、潮流はこんなふうに起こって、こんなふうに時間変動するんだというようなところも合わせて、教科書みたいなところをまとめていただけたらいいのかなと思いました。
 ついでにもう1つ。この委員会が始まったばかりのときだったと思うんですけど、有明海に関するいろんな各省庁が持っているデータを集めて、データブックみたいなものを作ったらというような話もありました。河川の流量とか有明海の海の大きさはこのぐらいだとかというようなところも基礎的な情報として、どこかでまとめておいたらいかがでしょうか。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 フロー図の問題、それから岡田先生の解説をまとめたようなものが欲しいと。私もあらかじめこの資料を見たときにそう感じておりましたんで、後で、ひと通りご意見を伺ったら、解説になっているかどうかは分かりませんけども、岡田先生にその作業をしてくれと頼んでありますんで、ひと通りのご意見を伺ったら、それを配ってください。それが細川先生がおっしゃっているとおりになってるとは思いませんけども、作業中なのでそれはさせていただきます。
 最後のデータ集もかなり大事な問題なので、これはそれこそ所管である環境省のほうでご相談になって6省庁なり、6県なりで構成される協議会というのがあったんですか。そういう中で整理をしていただければと。出すように努力をしてみたいと思います。
 本城先生、お願いします。

○本城委員 岡田先生、ご苦労さまでございました。
 赤潮のところはほとんど同じだったんですけど、前日、送付されてきたものと少し資料の内容が貧酸素のところでは違ってきてたので、前日のと今日のと比べてみました。まだ十分に見終わっていないところもありますが、少し違うところがありました。どなたかもいっておられましたように、青で表記されているものがどのような要旨にまとめられるのかというのが提出されると、私たちも頭を整理しやすいですね。赤潮の項を見ますと、環境との関係で赤潮としての表現がよくでてきますけれども、赤潮の中身が珪藻類なのか、鞭毛藻類なのかはっきりしないところがあります。確かに一部ではシャットネラとかコックロデニウムとかいう言葉の表現がしてありますので、それはいいんですが。赤潮という言葉で表現するときに、いずれであるのかはっきりさせていただければありがたいと思います。
 今後の進め方についてですが、一言いわせていただきますと、現段階で本委員会の資料に基づいて、何が分かっているのかが整理できてくると思いますし、荒牧先生を中心に進められている小委員会でまとめた今までの資料が、これに加わって、要旨ができあがってくる。そうすれば、フロー図がある程度書けるようになって、フロー図で不明瞭としての点線が出てきたり、証明されていることを意味する太い実線が描けたりするかなというふうに思います。それをどのくらいの期間でもって整理していくかということが必要だと思いました。

○須藤委員長 どうもありがとうございます。今後の整理の部分までご指摘いただきましてありがとうございます。
 後でまたこれもご議論いただくわけですが、岡田先生、小委員会のこの間の報告の部分はこの中に入れているんですよね。

○岡田委員 全部入っています。

○須藤委員長 ですから、この前の整理の分だけは入っているんですが、これからの分はまたいろいろやらなくちゃいけない部分があるわけですね。

○本城委員 それじゃあ小委員会の部分は入っているんですか、その成果は。

○須藤委員長 入っています。私の理解では入っています。抜けていましたか。

○本城委員 はい。だいぶ関係資料とかそういったもので、もう既に発表された内容のものがやはりこの中からは落ちているように。

○須藤委員長 そこをご指摘ください。岡田先生の代わりに言い訳するのはよくないんだけど、一応、入っている前提で私は理解していましたので、どうぞご指摘ください。

○本城委員 リゾソレニア・インブリカータの生理特性がかなり分かってきておりますね。塩分はどうなのか、栄養塩はどういう領域が好きなのかとかそういう論文が出ておりますね。それからもう1つ、コックロデニウムは高塩分が好きだという特徴がわかってきておりますし、渇水年に発生しやすいという論文も今、出ていますね。例えば、赤潮で思いつくところはそういうところがあります。

○須藤委員長 分かりました。もう一度、これはチェックをお願いをしますので。

○岡田委員 直接の因果関係につながるものは整理するようにしたんですが、今後、考えるための基礎的情報みたいなものはここにはなかなか入れにくいところがありましたので、ですから、これを整理する段階でその情報を入れながら整理していくべきだというふうに考えています。

○本城委員 資料の中から、例えば八代海のコックロデニウムの赤潮のところがだいぶ述べてありますけど、そこのところに渇水年と言う言葉が入っているかというと入っていないと思います。その部分のところ、小さいところですけれども。

○須藤委員長 当然、これから。今のは第1段階でございますので、不十分なものはどんどんどんどん追加をしていきたいし。

○岡田委員 それはありがとうございます。だーっと要するに斜め読みみたいにして整理していますんで、抜けているところは当然、当然なんていっては怒られますが、申し訳ありませんが、ご指摘いただければありがたく思います。

○須藤委員長 それから基礎的情報とおっしゃるけども、ノリが色落ちしたのがインブリカータだというふうにいわれているわけだから、それの例えば生理の部分なんていうのはもしかしたら重要な部分になるかもしれないので、それは入れていただいたほうが多分いいでしょうということだと思います。お願いします。
 山室先生、どうぞ。

○山室委員 前回、お休みしている間にこんなにきれいにまとめていただきまして、たいへんな作業をありがとうございました。先生方がいろいろご意見をおっしゃって、私はそのご意見を整理するだけで精一杯みたいなところがありますので。
 岡田先生は評価委員会に出てきた問題点ということで問題を整理されましたので、当然ながら、中心になっているのは水産有用生物ということになっていて、ただ、それだけを見ても、例えばノリ以外の生物というのは貝とか魚、1970年代後半から90年ぐらいまではよかったけども、そこからはおかしくなっているという。じゃあどうしてかというと、そこが原因になってくると思うんですけど、ノリは2000年まで大丈夫ですよね。ということで、おかしくなったという捉え方が有用生物をどれにするかで変わってきてしまうと。それじゃだめなんじゃないかというのが楠田先生とか相生先生、菊池先生のご意見で、そもそもあり得るべき生態系は何だということになってきて、それに人間社会、陸域からの負荷ですとか化学物質ということになってきたと思うんですね。ここでじゃあ何時までさかのぼるのかというのが非常に難しい問題ではないかと。
 私の研究の例でちょっと申し訳ないんですが、これを諫早に当てはめてもらうとちょっと困るんですけど、中海を私、20年以上研究してきまして、あそこは干拓堤防を作って漁業が不振になって、今、切れ、切らないという議論になっているんですけれども、じゃあ昔、どういうものがとれていて、昔に戻せといったときにとれていたものは何かというと、ソイとかエビとかbenthicな生き物。サルボウという貝もいたんですけど、それもモガイという別名があるくらい、アマモにどうも依存していたと。今の中海というのはアマモがまったくないんですね。なくなったのがどうも1950年から55年の間の数年でなくなってしまっているんです。アマモは本当に中海一面にあったんですけども、あっという間になくなって、でも誰もそれを問題にしなかった。で、あったことさえ、既に忘れられていたという状況があります。でも今、昔の中海に戻せといわれたときにはどうもこのアマモに依存していた魚なんですね。このアマモがなくなったというのは堤防ができる前になくなっているんです。なので堤防を切って、アマモが生えるかといったらそうでもない。
 先ほど、魚が動くというお話もあったんですけど、魚がいなくなったわけじゃなくて、ソイ、エビ、サルボウがいなくなった代わりにコノシロが大量にいて、あそこの人たちってコハダを食べなくて、コハダというのは臭いとかいって食べない、捨ててしまうということがあって、いないわけじゃないんです。すごくいるんです。だから1次生産者が変わるというのは生態系が変わることですから、アマモという1次生産者が植物プランクトンになったおかげで、植物プランクトン起源のデトライタスを食べる魚はいるんだけども、他がいなくなったというそれだけの話なんですね。
 じゃあどうしてアマモがいなくなったかというのを調べているんですけど、データがないんです。まず栄養塩データというのは1980年ぐらいからしかまともなのはありません。透明度さえありません。仕方がないので原単位法で何とか水質を復元しようと思ったら、それも肥料の使用量というのが松江の場合、1957年以降しかなくて、それから除草剤も1955年以降ぐらいしかなくて、1950年から55年の間に消えたということは聞き取り調査で分かったんですけども、原因は解明できない状態。私、ここまでたどり着くのに20数年間、研究してきたんです。ただ、有明海が問題になったのはやっぱりノリがとれないとかそういうことですよね。ですので、ここまでさかのぼって、それからまた復元するのか、それともとりあえずノリはどうしてかとかいうところに特化していくのかというのは、これからどうするのかというのはちょっと私には進め方が見えないところです。

○須藤委員長 ありがとうございます。
 それは今のこの第1段階でどこまでさかのぼるとか、例えば何を目標にするかということをこの作業を進めながら見ていかなくちゃいけないんで。先生がおやりになっているように20年間、この作業を続けてというほど余裕はもちろんあるわけではないし、それから法律で決まっていることでございますので、とりあえずは5年以内に再生の道筋をつけなさいというのがここの与えられた任務でございますので、その間で可能な限り、できるところまでというふうに思っていますので、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 荒牧先生お願いします。

○荒牧委員 ローカルに佐賀に住んでいる人間とすれば、われわれにとっての有明海異変というか、その環境というのは、われわれの目の前に広がる泥干潟の生物の環境が随分変わっているということを感じていること。それは先ほど、相生先生と菊池先生がご指摘なさって、それから諫早干拓の泥干潟の特性を表すときに、農水省がおやりになったときに、先ほど菊池委員が紹介されたように、佐賀県有明海水産振興センターの方が、あれはわれわれとしてはあんまりよくない干潟だと思っているというのをどうして例にとられるんですかと質問されていますけど、われわれが見ている良い干潟とか悪い干潟というのはわれわれ自身もよく分かっているわけじゃないけれども、少なくともわれわれが日常的に見ている泥干潟が変になっているということだけは理解している。
そのことについてはどういうデータがあって、それからどう考えていけばいいのかというのが、多分、われわれ佐賀にいる人間たちの役割だとは思っていますけど、それも有明海環境の1つだというふうに認識していただきたいというふうに思います。どうしてもアサリとかタイラギとか、われわれの近くに住んでいる漁家の人たちも、いわゆる漁業として成り立つものについての意見をいわれますけれども、それだけじゃなくて、例えばムツゴロウだとかウミタケとかアゲマキとかいわゆる泥干潟に生きていて、有明海らしさを表現しているものについても、どこかでわれわれはきちっとやっておきたいというふうに思っているわけですね。この委員会でやるかどうかはともかくとして、われわれにとって湾奥部に住んでいる人間にとっての有明海環境というのは、どうしても泥干潟の環境が変わってしまったのではないかと。そしてそれは非常に悪い方向に行っているというふうに見ていますので、そのことを何かどこかでやりたいと。この委員会でやるかどうかは、先ほど須藤委員長が言われたみたいに必ずしも、そのものではないのかもしれませんけど、少なくともわれわれはそれをやりたいというふうに考えています。
 それからもう1つ、先ほど本城先生からおっしゃっていただいたのですが、多分、私の役割は小委員会でまとめたさまざまな論文がこの中にどう生かされていくかということを小委員会の人たちと一緒に議論することだと思います。多分、われわれにそういうチャンスを与えていただけそうなので、このまとめられたものを小委員会の皆さんにお配りして、皆さん、膨大な作業をやっておられますので、その膨大な作業の中で得られた感想とこれとがどういうふうになるかということを小委員会の人たちと一緒に作業をしていくことによって、これをふくらませられるのではないかと。その中には今、本城先生がおっしゃったようなたくさんの人たちが、この委員会では発表されていないけれども、論文として発表されたものが生きてくるのではないかというふうに思いますので、また、小委員会をすぐ開く予定にしておりますので、その中で議論を深めていきたいというふうに思っております。

○須藤委員長 どうも荒牧先生、小委員会の委員長として決意を新たにしていただきましてありがとうございます。
 非常にまだ不十分なところがあるし、これから追加しなくちゃいけない資料もどうもありそうでございますので、その辺の部分についても小委員会の委員の先生方のお力添えをいただきたいと考えておりますので、それについては後で、今後の進め方でもう少しやらせていただきます。
 それから異変というんですか、変化が、特に先ほどご指摘の泥干潟の異変だと、悪い方向に異変しているということは先ほどの干潟の機能と構造、全体的にいえば一番分からないところがその辺のところにどうもありそうですね。陸域の負荷とか気象とかいろいろ新たに追加しなくちゃいけないのがあったんですけども、藻場、干潟のような部分の生態系としての構造と機能というような部分が多分、重要な課題というか、われわれとして重要な今後の調査、どれを調査して、どういうふうにするかはこれからご相談しますが、その辺のことをうまく把握していかないといけないのかなという気がします。
岡田先生、先ほどの細川先生のもう少し岡田先生の言葉を整理した分をということについて、それに合っているかどうか分からないけれども、ちょっと委員の先生に。私はあらかじめ「作業中」という資料をお願いしておきましたので。これが合っているかどうか分かりませんが、ちょっと配ってください。
 じゃあ、岡田先生、一言説明をしてください。重複がある部分が結構あるはず。キーワードは全部重複すると思いますけども、こんな形でまとめていますということですね。作業中ですから、お願いします。また、ご意見があれば、それは伺います。

○岡田委員 それではお手元に配られたペーパー、これは右肩に「作業中」などというあいまいなことが書いてございますが、まさに作業中でございます。ただ、これが完成品とかということではなくて、こんなふうに将来、整理していくことが必要でしょうと。先ほど細川先生もおっしゃいましたが、していったらいかがでしょうかという方向性なり形を示すペーパーであって、ここに書いてある1個1個が本当に正しいかというのはまだまだ保証の限りではないと。もし、これが正しければ、もう全部終わって、先ほどの資料2-1はいらないということになってしまいます。したがいまして、先ほどの資料2-1の事実関係をきちっと整理する。データの信頼性を評価する。その結果としてここに書いてあるような。問題の概況のほうはそんなに問題ではないだろうと思いますが、これから議論していく上で重要な原因・要因として指摘されている事項、それに基づいて論点というのが整理されていくのがいいのではないかというものでございます。やはり整理してしまいますと、先ほどご注意がありましたように一面的なものを捉えて、一面的な現象を有明海全部に拡大解釈するとかそういうことがますます出てきます。ですからさっきよりよほど問題のあるペーパーだとは思っております。
そういいましても、先ほど申し上げたように方向性を見ていくということでやってみました。ですから、全部ご紹介すると同じことの繰り返しになりますので水質の変化というところを見ていただきますと、赤潮の増加、問題の概況として赤潮の発生件数が増加してきていると。で、大規模化してきていると。それで一般化されますから非常に危険ですが、まあまあそうだろうと。その原因として指摘されている事項で降雨量、水温の変化、潮流の減少、湾奥部の滞留化傾向、SSの減少、すなわち光環境の変化、底泥からの栄養塩の溶出と。ただ栄養塩の負荷量はそんなに増加してないけど、底泥から栄養塩の溶出、これはますます合わなくなりますから、本当は変な話ですけれども、一応、溶出が増加したと。それから二枚貝の浄化能力の減少ということがパラレルにここに並べられております。もちろん、この妥当性、要因としての大きさはこれからご議論いただきながら整理していくことだろうというふうに思います。
 そういうようなことで赤潮の増加、栄養塩、次のページの貧酸素水塊の発生につきましても、例えば貧酸素水塊のところですと、酸素消費、成層の発達という2つのキーワードでくくって、酸素消費は赤潮プランクトンなのか底泥なのかと。成層の発達というのは水温、塩分によるのか、潮汐によるかというような形で若干キーワード的に整理していくと。いってみれば、こういう方向に向けてできる限り、定量的に確度の高い情報を整理していく必要があるのではないでしょうかというのがこの資料でございます。
 後ろのほうを見ていただきますと、例えば4ページを見ていただきますと、アサリの減少、漁獲量が減少したというのはいいんですが、先ほど、ご注意を受けたまさに貧酸素水塊の影響と。ただ貧酸素水塊が直接的な要因にならないとの報告もあると。これがまた妥当かどうか問題になるわけですが、こういうような整理をさせていただいております。
 繰り返しになりますので、こんなところでよろしいでしょうか。あくまでも方向性を示していくための資料ということでご理解いただければと思います。

○須藤委員長 細川先生のご要望にこたえられたかどうかはちょっと分かりませんけれども、少し簡潔に概要を整理をしてみると、これだけの膨大な資料なので、こんなキーワードで並べられるんじゃないでしょうかと。こんなことだったので、あとはこれからの作業、これからどういうふうに踏まえていくかということで、とりあえずは細川先生、今、もしこれはこういう意味じゃなかったんだよというのであれば、どうぞおっしゃってください。これからの進め方は少し休んでから、またご相談をいたしますけど。そっちのほうがいいですか。
 それでは予定した時間をちょっと過ぎているんですが、ちょうど10分間、これですと45分まで休憩をとらせていただきます。今後のやり方については、順番として細川先生から今度、ご発言いただきます。
〔暫時休憩〕

○須藤委員長 それでは再開をさせていただきます。
 これからは、これからの進め方について最初に私から提案を申し上げ、そして先生方の
ご意見を伺い、第11回の予定を決めていきたいと考えております。もちろんそれは12回、13回に連続するかもしれませんが、とりあえず11回の委員会に向けての作業を進めていきたいと、こう考えております。先生方のお手元には日程表を差し上げてあるようでございますので、できるだけ多くの先生方が出席できる日を見つけて、事務局で調整をお願いしたいと思っております。
 まず、先ほどの繰り返しになりますが、11回に向けて何をしていきたいか。先ほどの岡田先生のご説明のあった資料2-1、これについて、まずは事実誤認があるといけませんので、これの修正用のご意見をいただきたい。これはこの委員会もそうですし、それからもしかしたら各主務省、各県からもあるかもしれませんので、これは修正していきたいと考えています。
 それから何人かの先生から事項が抜けているではないかと。例えば陸域の負荷というようなこともございました。その他、繰り返しませんので、随分抜けていることがございましたので、今回の整理表にもれている事項を追加していきたいと、こう思っております。それからさらに委員とか、主務省、関係県からの事項もそうですけども、こういう論文がある、こういう報告書があるということがありましたら、先ほどのお話もございましたが、出典を明らかにして、その出典をもしできれば、報告書であれば、一緒に添付して環境省のほうにご提出をいただきたいというふうに考えております。
 それらのデータやら先生方のご意見を踏まえまして、この2-1の修正をしていきたいと、そういうふうに考えておりまして、そしてそれもまた岡田先生に大変ですがご尽力をいただきたいということでございます。そしてさらに今度、小委員会が開催をされます。荒牧先生のご尽力をいただいて、小委員会のメンバーで多分、たくさんの報告書やら論文が提出されるということを予想しておりますので、これについては荒牧先生のほうで手分けをして、可及的速やかに内容を精査いただきたいと、こう考えております。
それを踏まえまして、11回の評価委員会用に間に合わせたいんで、特に事実誤認の修正とか事項の追加とか、あるいは新たな論文の提出とかいうのはそんなに時間を要さないと思いますので、これは期日を決めてご提出いただくということでよろしいですね。坂川室長、これはどのぐらいまででよろしいですか。

○環境省閉鎖性海域対策室長 今、須藤委員長からちょっとお話がありましたが、最後にご説明しようと思っていたんですが、次回の日程を決めなければいけないんですが、今、お手元にありますカレンダーを見ていただきますとお分かりのように、7月下旬から8月にかけての日程を先生方にお聞きをいたしまして、その中からできるだけたくさんの委員の先生方にご出席いただける日を決めたいと思います。その日が決まらないと、なかなか締切りがちょっと定めにくいんですが。そこはですから後ほど、須藤委員長と岡田先生とご相談させていただいて、それで日にちを決めさせていただいて、私のほうから先生方にご連絡したいと思います。
 それから、これは先生方だけじゃなくて、主務省、関係県にもやはり同じようなことを流したいと思いますので、あわせてご連絡を差し上げますのでよろしくお願いいたします。

○須藤委員長 できれば、なるべく先生方、ご意見なり、そういう報告書なり、論文なりをお持ちでありましたら、早めに出していただくほうがよろしいですよね。締切りじゃなくてもいいわけですから、多分、今のでいきますと8月上旬とか中旬ぐらいの確率が、多分こういう問題ですと高いでしょうから、そのぐらいを目安にしますと、小委員会をやるまでに1か月少々ということになりますので、作業等もありますので、その日は具体的には申し上げられませんが、これから2週間とかそんなものだろうと思いますんで、それを目安に今はお考えいただいたほうがよろしいと思いますし、荒牧先生のほうの委員会のほうでも、可能な限り早めに作業を進めていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 ということで、これはこれでよろしゅうございますかと申し上げて、だめだとおっしゃられると困るんだけども、11回の委員会をやらなくちゃいけませんし、ここまで来ましたんで、この延長線上で、特に岡田先生は大変なんですが、「作業中」というほうについては今日はあまりご議論もいただかなかったんで、2-1がしっかりしてくると「作業中」のほうもしっかりしてくるだろうというふうに思いますので。元の資料は2-1なんで、それが整理されれば、自動的にこっちも整理されやすくなるだろうと思いますので、これは次回に岡田先生、もう一度、「作業中」ではなくて、可能であれば、次回ないし次々回に、やはりだんだん先ほどの話だと、フローシートとかそういうふうにいくと思いますんで、必要な調査研究あるいは評価というようなところではこういうふうにまとめていかないと無理だと思いますんで、作業は進めてください。
 ということで、今後の進め方について一応、私は事務局とご相談した部分についてお話しをしましたんですが、先ほど、細川先生からご意見もあるということでございましたので、どうぞ細川先生、おっしゃってください。

○細川委員 委員長が適切におまとめになったので、私の出番はないと思っていたんですが、御指名ですので申し上げます。「作業中」のほうのシートについて、これを見ますと、どうやってフロー図を作るのかなというイメージがかなり湧いてきます。「問題の概況」というのをそれぞれのサブセットのゴールにするようなフロー図が書かれていて、そこの途中には真ん中の欄に「原因・要因として指摘されている事項」というようなプロセスがきっとあって、それがどれが本当に効いているのかは分からないまでも、一応、網羅的に指摘されています。それぞれが左側の「問題の概況」というところに向かって矢印で結び付けられていて、それからその「要因・原因として指摘されている事項」相互にもお互い関係性があるというような、そんなフロー図が浮かび上がってきそうな気がします。右側のほうは「論点」などと書いてあって、本当にどれが大事か分からないし、これが効いているとか効いてないとかという意見も整理されていませんというような情報が、この表からは読み取れます。
今のところ、私は整理されていないものを無理に整理する必要はないと思います。フロー図を考えるときは網羅的に列挙して、一応、その間を結び付けるというようなことでの作業が、まず必要と思います。それで知見が積み重なって、これのほうが大事そうだねというのが分かったときに、それを浮かび上がらせるというような作業になるのかなというイメージを持ちました。だから資料2-1で見せていただいたものから、もう1つ、抽象度の高い資料ができつつあって、これを見ると、次のステップも少し手がかりが出てきたなという気がします。
 岡田先生に繰り返しご指摘いただいてますが、「今の時点で判断を加えて、落としたり、何かを特に取り上げたりということをしないように心がけています」という段階なので、それをやると、すごくスパゲティチャートみたいになっちゃうんですけれども、それがまず必要かなと思いました。

○須藤委員長 どうもありがとうございます。
 岡田先生の今の進め方で、2-1を精査して、先生方のお力添えをいただいてやっていけば、必然的に「作業中」ができてまいりまして、岡田先生は大変だけども、ぜひそういう形でお進めいただければと思います。
 はい、どうぞ。

○岡田委員 これから各先生方、各担当部局がお持ちのここに入っていない、もしくはこちらでミスをした知見が指摘いただけると思うんですが、そのとき、ぜひお願いしたいのは、どこのパートにこの資料のここの部分を入れろというのをできる限り明解にしていただきたいと。非常に極端な場合、ボーンと本を送ってきて、これを見てどこかに入れろといわれても、それはすごく大変ですし、私の手に負いかねる面もございますので、具体的にご指示をいただければ非常にありがたいというふうに思います。

○須藤委員長 「貧酸素水塊」とか言っていただいたほうがいいわけね。

○岡田委員 そうです。この論文もしくはこの資料のここのパーツ、ここの結論の部分を「貧酸素水塊」のここに入れなさいというふうに指示していただけるときわめて助かります。よろしくお願いします。

○須藤委員長 どうぞご協力のほど、お願いをいたします。
 何か進め方でご意見が。

○滝川委員 今のお話で意見を申し上げるときに、この元々のファイルをいただけるとポーンと入れやすい。

○須藤委員長 別にですね。

○滝川委員 いや、これを送っていただくとその作業の。

○環境省閉鎖性海域対策室長 ファイルで。

○滝川委員 ファイルで送っていただけると、今おっしゃったような作業が。それは大変ですかね。いちいち僕らが見て、この中にとかいってもいいけど、それは先ほどの話。岡田先生の先ほどの話。

○岡田委員 ちょっと今、先生のおっしゃる趣旨がよく理解できてないんで。

○滝川委員 いや、どこに入れろという、自分が入れるものを調べて入れなさいというお話ですけど、あっちにも行くかもしれないし、こっちにもいくかもしれないというところがあるようなときに、もしこれがファイルか何かであれば、書きやすいかなと思っただけの話です。

○岡田委員 そうですか。まだよく理解してないけども。

○須藤委員長 先生がやりやすい…。

○岡田委員 いや、先生がやりやすい…。ここでとやかく議論することじゃないと。

○滝川委員 議論でも何でもないです。これを送っていただけたらという要望です。

○須藤委員長 そのほうがやりやすければ、そのほうが。作業をなるべく簡単に。

○岡田委員 そうですね。手間は省いたほうがいいと思いますから。

○須藤委員長 そういうことで、まずはよろしいですか。
 それでは、やっとというか、何とか先が少し見えてきたような気もいたしますんで、先生方のお力添えをいただいて、何とか再生の道筋を見通していきたいというふうに思っておりますんで、この1か月間ぐらいになりましょうか。先生方の作業をどうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、その他が今日はまだ3つほどございますんで、先にその他に移らせていただきます。
 前回の評価委員会の際に、委員からご指摘や質問等があり、本日の評価委員会に持ち越しになっている案件が何件かあります。たしか3件ぐらいあったかと思いますが、それについて回答もしくは対応ぶりの報告をお願いをしたいということでございます。
 それではまず、これも随分議論があったんですが、中・長期開門調査の関係を農村振興局からお願いをいたします。

○農村振興局農地整備課長 私、農村振興局の農地整備課長をしております関岡でございます。よろしくお願いいたします。
 資料は中・長期開門調査検討会議という、こういう表紙をつけたものがございますので、これを中心に前回の追加的なご説明をさせていただきたいと思っております。
 実は中・長期開門調査の取扱いについて前回、ご説明をいたしましたけれども、現在、その後の対策として有明海再生のための新たな調査というものを検討しております。関係県あるいは関係の漁連あるいは漁協に出向きまして、いろいろ中・長期開門調査の取扱いの結果についてご説明をするとともに、有明海の環境の変化についての漁業者の方のご意見も伺いながら、しているところでございまして、今後、先生方にもいろいろご相談をしながら、今後の調査について具体的に検討していきたいというか、具体化していきたいと考えております。
 本日は前回、幾つかのご指摘を受けておりますが、中・長期開門調査の判断に科学的な検討が反映されているのかというような点が1つございました。そういう点を中心に今日、補足説明をさせていただきますが、今後の中・長期開門調査に代わる新たな調査計画をどうするのかということについての、それについて説明せよというご要請がございましたけど、それは今、申し上げましたように関係県あるいは関係の漁業者のいろんなご意見を今、伺っているところでございますので、それにつきましては整理ができ次第、次回以降、ご説明をさせていただきたいと思いますので、本日は中・長期開門調査の判断にかかる補足的な説明ということで、時間も押しておりますので手短にご説明を申し上げたいというふうに思っております。
 では、この資料に沿いまして、1枚開けていただきたいと思いますが、A3の横長の紙が入っております。中・長期開門調査検討会議と書いてございますけども、開門調査にかかる今までの整理でございますが、この紙の左下に記載をしてございます。中・長期開門調査については、これはその時点の整理でございますので、ちょっと時点が古くなっておりますが、現在、進められている有明海を再生するための新法制定の動き、各種調査の動向、短期の開門調査の結果及びその影響、ノリ作期等との関係を踏まえ、総合的な検討を行った上で、新たに平成14年度に設ける場での議論を経て、農林水産省が判断をすると。そういうふうな基本的な整理のもとに昨年、1年間をかけて整理をしております。
 どんな整理をいたしましたかといいますと、中・長期開門調査検討会議というのを設けました。これは資料に委員のメンバーの方を載せておりますが、2枚紙でついております検討会議の名簿。それから後ほどご説明いたしますけども、検討会議のメンバーの方は学識者というよりは行政経験者の方でございますので、専門的なことをご議論いただくために専門委員会というのを設けました。その専門委員の名簿を次のページに載せております。
 それでまた元のA3の横に戻っていただきたいとおもいますけども、会議では9回にわたり議論を行いました。その中では漁業者の方からも3県漁連の会長さんなりからもご意見を伺っておりますけども、8人の学識経験者の方から4回に分けてお話を伺っております。それから専門委員会でございますけども、技術的な専門的な点につきましては、検討会議から付託を受けまして、専門委員会でいろいろご議論をいただいております。8回、検討をして報告書を取りまとめていただいておるわけでございます。
 1枚めくっていただきますと、これは既にご報告申し上げておるとは思いますが、中・長期開門調査検討会議の報告書の抜粋でございます。この中で科学的な見地でどのような検討を行ったかというところにかかわる部分についてご説明申し上げたいと思います。
 2枚めくっていただきますと、1-1というのが出てまいります。実はこの検討会議あるいは専門委員会ではいろんな視点から論点整理を行っていただきました。それに基づいて、先ほどご説明しましたように行政であります農林水産省が判断をしたということでございます。1-1ページに論点整理に当たっての検討方法というのをまとめておりますが、簡潔に申し上げますと、ノリ不作以降、ノリ委員会というのを設置をいたしました。そこで見解をいただいておりますが、その後、各種の調査を実施をしております。国調費調査あるいは行政対応特別研究、それから開門総合調査等を実施をしておりますが、それに加えて今回、学識経験者からの意見聴取ですとか学会等で発表された文献あるいは本評価委員会におけるいろいろな知見、そういうものを今回、整理をさせていただいております。それからその際、科学、技術的論点については専門委員会に付託をいたしまして、調査によって期待される成果は何かというようなこと、調査実施に想定される影響、その対策、それから調査に当たっての留意事項、調査のあり方、そういうものについて専門的立場から議論を深めていただいておりまして、そういうことで論点整理を行っております。
 次のページをお開きいただきたいと思いますが、これは学識経験者からのいろんな情報の整理の一端でございます。ノリ委員会の見解にかかわるような事項、これは潮位、潮流に関するものでございますけれども、会議の中でいろいろ承ったご意見、聴取した意見、それから既存の文献、それから報告書の中の関連するような記述、それから農水省のほうで実施をいたしました開門総合調査あるいはモニタリング。こういうものについて、ここにあるように項目ごとに具体的な整理をさせていただいておりまして、これをノリ委員会でのご指摘の6つの事項、それからその他を加えて7つの事項で整理をさせていただいておりまして、こういうものを判断の基本的な材料というふうなことで発表させていただいております。
 それからちょっとしばらくめくっていただきますと7-1というのがございます。A3のところをめくっていただきますと、A4の部分でございます。これは専門委員会の報告書の抜粋でございます。専門委員会ではどのような検討をしていただけたかということを簡単にご説明を申し上げたいと思います。まず開門の方法としては常時開門、それから短期開門と同様の開門条件、2つのことを念頭に整理をいただいております。
 それから次のページでございますが、7-2というところでございます。中・長期開門調査でどういう成果が期待されるかと、期待される成果について整理をしていただいております。これはノリ委員会での6つの事項について整理をしていただいておりますが、この7-2は潮位、潮流でございます。整理の仕方としましてはノリ委員会での見解をまず記載をさせていただいております。それからその後、いろいろ分かったこと、中心は開門総合調査等で得た結果等について次に記載をしております。さらに専門委員会においていろんな意見が出ております。例えば潮流のところでは大きく開門をして調査をするべきだというようなご意見を2つ。それから、むしろそういう開門をしても、なかなか事業の影響といいましょうか、潮受堤防を設置した影響は分からないのではないかというようなご意見、そういう専門委員会でご議論されたことを委員会の先生方にまとめていただいたというのがこの報告の形であります。7-2ページの下のほうには水質、干潟、それから次のページは7-3でございますけども、貧酸素水塊。7-4ページには底質、底生生物。同じような形でございます。
 それから7-4ページの下の赤潮プランクトンのところでは見解と、ここは7-5にかけて専門委員会でのご議論、それから7-5の[6]の漁業生産についても見解、それから委員会でのご意見を取りまとめた形になっております。いずれも6つの事項についてはいろんな意見がありまして、1つの形としてはまとまっておらないというような形でございます。
 それから7-6でございますが、調査による影響と対策ということでまとめていただいております。この部分については1点、皆さんの合意をいただいておるところは開門調査を実施するとすれば、それに先立ち、十分な対策が必要であるということについては共通の認識があるというようなまとまった意見をいただいております。それからそれの5行目からでありますけども「開門調査の実施に当たっては、背後地の防災機能の確保、排水門等施設の安全性の確保及び周辺農業・漁業への影響を最小限に留めることが大前提である」というふうなコメントもいただいております。その上で諫早湾内の環境、漁業への影響と対策、2として背後地への影響と対策、それから7-7ページでございますが、排水門等施設の安全対策などについてご意見をいただいておるところであります。
 それから7-8でございますけども、調査のあり方と留意事項ということでございます。ここでは調査の進め方、現地の観測、シミュレーション等々についてご意見をいただいております。その中で[4]のところでございますが、基礎的な調査・研究の必要性。この部分については委員の共通理解ということでございますので、ちょっとご紹介しますと、一番下から2行目でございますが「有明海の環境変化のメカニズムに関しては、従来から関係県が行っている浅海定線調査や現在実施中の行政対応特別研究等、各種の調査・研究が進められてはいるものの、なお引き続き検討を進める必要があることについては、本専門委員会の共通理解である」というふうなコメントをいただいております。それから、その次に有明海の漁業関係者の意識の観点。こんな形でご意見を取りまとめていただいております。
私ども、この報告を受けまして、最後、行政としてどのように判断するかということでございますが、これにつきましては今年になりまして、漁業関係者からの意見を伺う、あるいは県あるいは県議会等からもいろんな場面でご意見、あるいはご要請もいただいておりまして、行政として総合的に判断をいたしまして、前回、詳しくご説明したと思いますが、総合的に判断をして、中・長期開門調査は行わないで、それに代わるような調査で有明海の環境変化の要因を解明をしていく調査ですとか、あるいはいろんな現地実証ですとか、そういうものを今後進めていくというような大臣判断をしたわけでございます。
 いずれにしましても、私どもとしましては引き続き、事業との関係も含めまして、有明海の環境変化につきまして解明を進めていくこととしておりますので、引き続き、ご指導を賜りたいということと、それから新たな調査等につきましては整理がつき次第、またご説明申し上げたいということでございまして、今日の説明はそういうことで終わらせていただきます。

○須藤委員長 どうも簡潔にご説明いただきましてありがとうございました。
 この前もいろいろご質問いただいたんですが、今度はひと通りというよりも特にご質問のある方、伺います。
 小松先生、どうぞ。

○小松委員 2点お伺いしたいんですが、この判断については2段階あると思うんですね。要するに今の科学的、学術的ないろんな調査で本当に分かっていることが反映されているのかというのが1点。それから本当に正しい情報に基づいて政治的な判断がなされなければならないといいうことです。もし本当に正しい情報に基づいてきちんと判断がなされているということであれば、私はそれも仕方がないかなという気はするんですが、その前の段階で、判断材料に本当にきちんと客観的、学術的ないろんな情報が反映されているのかということに多くの研究者からいろんな異論が出されていると思うんですね。
 今日のこの委員会でも明らかなように有明海の問題というのはまだ混沌としていて、なかなか焦点すら絞れないという現状の中で、こういう自然を大きく改変する事業がどんどん進んでいく。そういう結果に関して、人間からのインパクトに対してどういうことが起こるのかということもわからない状態でどんどん進んでいくということは、私はもうこれからはあってはならないことじゃないかと思っているわけです。もし今のまま行ったら20年後、30年後に明確な結論が出ると思うんですね。そうすると、この有明海の調査にかかわっている多くの研究者にも、やはり間接的な責任が出てくるわけなんですね。われわれはこういう委員会で農水省のいろんな説明を聞くことができます。それから疑問をぶつけることができます。ただ、いろんな大学の人やいろんな研究機関の方たちが一生懸命いろんな調査等をやっているわけなんですが、そういう人たちが行政といろんな議論をする場というのがまったくないんですね。
 ですから、私は、前から言っているんですが、農水省がこういう判断をされるんであれば、漁業者の方はもちろん大事です、漁業者も大事なんですが、海は漁業者の方だけのものでもないし、一般市民の方のものでもあるわけですから、有明海にかかわっている多くの研究者、一般市民の方と行政の間の意見の交換の場を是非とも設けていただきたい。それからそういう方たちに農水省がこういうアップトゥデートな情報、それから学術的な調査の結果をもとにこういう判断をしたんだというのをぜひ説明してほしいと思います。漁業者だけでなくそういう方たちにも納得してもらえるような努力を農水省に是非していただきたいと思います。
 20年後、30年後に取り返しがつかないような結果が出たときに、いややっぱりわれわれも有明海の調査にかかわっていたんだという人たちは、世間や子孫から批判される可能性が多分にあるわけなんですね。ですからかかわっている、また関心のある多くの人たちが行政の判断に十分納得できるような、そういう意見交換の場をぜひ作っていただくことをお願いしたいと思います。

○須藤委員長 どうもありがとうございます。あと2、3伺いましょう。すぐにご返事いただける問題ではなさそうだから。
 どうぞ、本城先生。

○本城委員 大枠の話ではありませんが、調整池から流されてくる淡水、それが運んでくる無機粒子あるいは有機粒子がどのように諫早湾から有明海へ拡がっているのかという研究、あるいはその心配事はこの専門委員会でなされたであろうかということを聞きたいのです。以前だったら河口域ですぐに沈降していた無機粒子が、今はかなり広い範囲に拡大し、そして沈降していると思うんですね。工事前と現在とどのように影響の仕方が異なるのかということを、検討されたかどうか、そして今後、検討されるなら、その結果を早めに出していただきたいというようなことをお願いしたいと思います。

○須藤委員長 どうもありがとうございます。
 原先生、ご意見ですね、どうぞ。

○原委員 私が前回質問したことに対して、全て答えていただいていないというのを第1点に申し上げておきたいと。
 それからどうして科学的な判断をしたかということを中心に説明を申し上げますという割には、科学的でないなという感じがいたします。というのは、この委員会のA3の図を見てみますと、きわめて私は奇異な感じがいたしまして、検討会議というのは今おっしゃいましたように行政の方が主体ですから、専門的判断はできないはずでございます。それなのにいっぱい大学の先生等を呼んできて意見を聞くことにどういう意味があるのかなという気がいたしますのと、それから専門委員会が最終的に報告書の取りまとめを行うと。こういうのはちょっとありえないことなんではないかなと。
第三者委員会等では、全て第三者委員会の中で、あるいはその他の小委員会を作って開門に関して議論をし、みんな委員が議論をして、それで結論に持っていっているわけですけれども、中・長期開門調査検討会議というのは一体、どういう位置付けで。ある場合には専門委員会の意見が上にいっているようなことがあるような気もすると。そうすると一体、検討会議というのは何なのだろうというような気がして、悪くいいますと、これは科学的な判断を薄める役目をしていたんではなかろうかというふうにすら憶測ができるわけでございます。
 やはりこういうやり方というのは明朗性を欠く、非常にまずいやり方だなと私は思っておりますし、それからちょっと気をつけて見ますと、まだ全部読んでいませんから、説明の間に読んだだけですけれども、7-9の[5]の有明海漁業生産者の意識の観点というところの2番目のフレーズに、これは主語は多分、漁業者なんじゃないかと思うんですけど、そこだけ漁業者というのがわざと落とされているようにも思えます。非常にこういうのが、粗を探すという意味で私は申し上げるんじゃないんですけれども、やはり当時の大臣がおっしゃったことは科学的判断を優先するから、皆さん方にお願いをしたいということで第三者委員会が起こされたという経緯があるわけですけれども、やはり科学的判断に立っていただけなかったと。行政的な判断、今もおっしゃったように行政的な判断が科学を上回って判断されているというふうに私自身は思わざるを得ない。こういうのが、今日、伺ったものの結論でございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございます。農地整備課長、専門委員会報告というのは別にあるんですか。

○農村振興局農地整備課長 専門委員会とそれから。

○須藤委員長 これは同じなんですか。

○農村振興局農地整備課長 いや、違います。

○須藤委員長 それは別にあるんですか。

○農村振興局農地整備課長 別にございます。

○須藤委員長 それは公開してるんですか。

○農村振興局農地整備課長 公開してます。

○須藤委員長 その中からここに持ってきてるんですね。

○農村振興局農地整備課長 そうでございます。

○須藤委員長 そういう意味ですね。

○農村振興局農地整備課長 はい、そうです。だからそこのところは専門委員会に付託した部分がございまして、それを受けて検討会議で最終的に取りまとめられるということになっております。幾つか申し上げてもよろしいですか。

○須藤委員長 どうぞ。幾つか質問というか、検討会議に学者が来てそれで。それから先ほど、非常に…。

○農村振興局農地整備課長 先生から非常に私どもも示唆に富むお話をいただきました。本当にありがとうございました。
 行政としては、私どもがいろいろやることは、できる限りオープンにしていかなければいけないと思っておりますし、それから私どもの事業のやり方も、これは事業の法律制度を変えて環境との調和に配慮した事業を進めていくというようなことを基本に今、事業を進めております。ただ、今回の判断はともかくとして、有明海のいろんな事象あるいは、そこに事業にかかるものもいろいろと出てまいりますけども、そういうものにつきましていろんなご意見があるということを私ども、承知しております。
 それから今回の判断が純粋科学的な面だけではできない部分がある。これは行政としては最後、その事業の目的もありますし、それから例えば中・長期開門調査を行ったときに漁業被害等を含めて検討の中でいろんな結果を得ました。それからいろんなご意見も踏まえて、最後はそこは行政的に判断をしておりまして、純粋科学的というよりは科学的ないろんな観点に立脚をした上で、それを基礎にして行政は判断しておりますが、かといって、もう今後、事業との関係も含めて、有明海の環境変化については私どもは何もしないということではなくて、むしろ有明海再生に向けてどういうことを今、なすべきかということについて、これは漁業者だけではなくて、学識経験者の方のいろんなご意見も伺いながら次のステップのことを考えていきたいと思っております。
 それから、そういう段階で学識経験者あるいは先生からのご指摘もありましたけども、関心のある方には情報を提供し、情報はできるだけオープンにしたいと思っておりますけども、ご意見もいただきながら進めていきたいと思います。その進め方については漁業者との話し合いの場というような形のものを私ども1つの提案として大臣が申し上げましたけども、それは漁業者だけではなくて、いろんな場で関係者の方のご意見をいただけるように努力をしてまいりたいと思っております。
 それから科学的でないという今回の部分、ちょっと時間がなく、私の説明が非常に悪くて十分にご説明がそこに至らなかったわけでありますけども、いずれにしましても行政的な判断とは別に、やはりいろいろな事象については科学的な検討をしていかなければいけないというのは私どものモットーでございますので、事業上の判断とは別にいろんな原因究明等につきましては、この委員会でのいろんなご示唆なりもいただきながら、私どもとしてはできるだけ取り組んでいきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それから本城先生からいただきましたものは、少しお時間をいただいて調べさせていただきまして、またご返事申し上げたいと思います。

○須藤委員長 それで農地整備課長、私も質問したんですけど、専門委員会報告というのが学者のお集まりでの最後の結論だと思いますので、それは差し支えなければ、別にこの委員会の資料として、うちもいろいろまとめているわけですので、さっきお聞きのとおりなんで、ですから皆さんに差し上げて。もう配ったんですか。ごめんなさい、専門委員会報告、配ったんですか。

○農村振興局農地環境保全室長 7月のときに。

○須藤委員長 それはごめんなさい。私がうっかり。岡田先生、それは入っているのね。

○岡田委員 入っています。

○須藤委員長 それではそれはもういただいているそうですので、ありがとうございます。ごめんなさい。
 それでは行政的判断といわれると、これ以上あんまり議論をこれから継続しても何なんですが、先ほど小松先生がおっしゃっているように、この有明海というのは日本でも有数の広大な面積を持っている内湾だし、しかも公共用水域なんですね。漁業者のためだけでもなく、干拓のためだけでもないんですよね。そういう公共用水域に異変が起きてるというのは皆さん共通の認識なの。これを何とかしていきたいというのがこの評価委員会の仕事でもあるわけなんで、ぜひ今、これからいろいろ調査やりますとおっしゃっておられるんだけども、そういうことについてはあんまり決まっちゃってからおっしゃっていただくのだとまずいんで、計画が具体的に決まった段階で、この委員会の主務省の1つを当然受け持っていただいているんで、決してこれは環境省の委員会じゃないんで、あらかじめ早めに、これは言っていただきたいと、本当に私のお願いでございます。科学的でないというのも、これは十分認識してください。これは小松先生も、原先生もおっしゃっておられるんで。やはり最後、行政的とおっしゃられると、これは私としてもこことここはこうだというふうに申し上げにくいんですが、とりあえず今のようなことをこの委員会でご説明をいただきたいし、それから本城先生の質問の部分については専門委員会報告にあったのかどうか、私の不勉強で申し訳ございませんが、具体的なことがあれば、またこれは報告をしていただきたいと、こういうふうに思います。
 よろしいですか。何か特になければ、もう次の議題に移らせていただきます。申し訳ありません。どうも本当に今日はありがとうございました。

○農村振興局農地整備課長 どうもありがとうございました。

○須藤委員長 それでは次は、前回の評価委員会で行政対応特別研究の結果に関する報告がなされた際に滝川委員と本城委員からご質問がありまして、それについての回答が持ち越しになっていると私は記憶しています。その件について水産総合研究センターの西海区水産研究所からご回答をお願いいたします。

○独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所研究部長 西海区水産研究所の有明海・八代海漁場環境研究センターの責任者をしております山崎です。よろしくお願いいたします。
 お手元に「参考」ということで資料が3枚綴じたものが入っていると思います。今、委員長から指摘がありました滝川委員への質問への回答ということで、3点質問がありましたもので文書でこのように整理をいたしました。全て読み上げたほうがよろしいでしょうか。

○須藤委員長 いや、資料に書いてありますのでかいつまんでで結構です。

○独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所研究部長 じゃあ資料を見ていただければと思います。1点は、「有明海全体の流れは約12%低い値を示したとあるが、どこの海域の流れを指しているか」、」それについては場所を示してあります。それから「流れの減少の要因をどう考えるか」ということについては、これまでの調査では検討していないということ。それから今後の調査については、精度を高めるという点で、具体的にさらに調査を行う予定はありません。そういう回答です。
 それから2つ目の「冬場にも貧酸素水塊が発生しているようであるが、調査する予定があるか」ということについては、これまで夏、秋には終息するということでやっておりません。今後も予定はないんですけれども、今後、留意はしたいという回答です。
 それから最後のご質問は、「透明度が増大したという話であるが、潮流の減少による浮泥の巻き上がりの減少だけに帰してよいか」という点については少し長く書いてありますけれども、基本的なところをこういうふうに考えているということを文章でご回答をし、あと地図をつけてあります。
 それから3枚目、本城委員からのご質問への回答ということで、第9回のときの資料の2のところの記述について不正確な点がありましたので(5)の基礎生産のところをこういうふうに変えましたということで説明をさせていただきます。
 基礎生産のところでは4点、・で4つ書いてありますけれども、そのうちの2点目、海表面のクロロフィル濃度のところの記述ですね。1行目の「10~1月に高かったが、2~7月には低く」というここの2月というのが元の資料では1月になっています。2に訂正してあります。ちょっとアンダーラインが引いてありませんが、そこを1つ訂正をしました。それから3行目にアンダーラインを引いてあります。これは・の3つ目のところに書かれているものをもってきて、正確さを期すということでここに入れてあります。それから、その次の行のところ、「1月と5月に若干増加した」というような書き方をしておりましたが、グラフでは5月から6月となっており、かなり後の3つ目のところに夏とか秋とか春とかというちょっとあいまいな表現といいますか、そこを月数で正確に書き加えました。
 それから、そういう関係で3つ目の・の1行目から2行目の部分を削除して、正確を期したということであります。お二人からの質問に対する回答は以上です。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。それでは両先生、滝川先生、本城先生、いかがですか、こんな回答で。どうぞ、もしよろしければ。

○滝川委員 はい、ありがとうございました。ご丁寧な回答をしていただいたんですが、最初の問いで12%低い値を示したということに関して私が質問した真意というのは、要するに12%違うというのがなぜ違ったかというのが根拠がなくて出されたら、非常にまずいんじゃないですかという意味で申し上げたつもりでした。「今後の多くの課題がある」というところが非常に問題で、結局そういう多方向で測ってきた測定方法が違っている、あるいは測定の日時の気象、海象要件も元々異なっているわけですよね。そういったものに対して、数字だけがポッと出てくるというのが非常にちょっと問題があるんじゃないかという、そこを補充していただきたいということで申し上げたつもりでした。
 それと、最後の透明度に関しての件ですが、「潮流の減少による浮泥の巻き上げにより」というふうな文章だったものですから、他の要因が考えられませんかということを申し上げました。ここでもまた書いてあるのが、回答書の中の2行目の最後のほうに「この浮泥の減少は干満の差が減少したことにより」云々と書いてありますよね。干満の差が減少したから干潟面積が減少したという論理になっているんですが、それ以外にも例えば土砂供給ならSS濃度、先ほどの岡田先生のまとめの中にもありましたけども、河川からの土砂供給が変わっている。あるいは平均潮位そのものが上昇していることによっても体積、面積は変わるわけですよね。そういったことを明記をする。あるいは海岸が人工化になっている、あるいは埋立等が行われたというふうなことにも要因が多分あるんで、あまり決め付けられた形で書かれたもので、もう少し広く捉えていただきたかったということで申し上げました。それをご理解いただければということです。

○須藤委員長 どうもありがとうございます。じゃあ本城先生のほうはよろしいですか。
 他の先生、今のお二人のよろしいですか。
 それでは、今のこの研究結果の詳細につきましては後日、事務局を通じまして研究報告書を送付させていただきますので、委員の方々にはその報告書をご一読いただき、その上で改めてご質問がある場合には事務局へ文書で提出いただければ、事務局を通して、西海区水研に照会し、回答をいただくということで対応させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 前回の評価委員会で環境省からの報告に際し、清野委員からご指摘がありましたので、その対応について環境省のほうからご説明ください。

○環境省閉鎖性海域対策室長 それではもう1つの参考資料で「マクロベントスデータの整理」というペーパーがありますが、前回の委員会で清野先生からマクロベントスの細かな生物種名や優先種に関して、それを把握したいので原データを入手したいと、こういう要請がございまして、その後、清野先生とちょっとやり取りをいたしまして、結果といたしまして、その後ろについておりますような様式でもって調査結果を整理してもらいたいと、こういうご要望でしたので、現在、作業を進めております。
 有明海のベントスの調査を2001年から環境省でやっておりますが、それぞれの調査のときにどういう種がいたのかということが分かるように、このような形で今現在、作業をしております。これは作業が終わりましたら各委員に資料を送付させていただきたいと思います。以上でございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。これについては今日は清野委員もいらっしゃらないし、質問をいただくというような内容でもございませんので、こういうことで進んでいるということでご理解をいただきたいと思います。
 その他の議題につきましてはただいまの農村振興局、西海区水産研究所、環境省ということで、担当者の皆様には資料をご準備いただきまして、どうもありがとうございました。その他のその他になるんでしょうが、何か事務局のほうでご説明なり、何かあるんでしょうか。

○環境省閉鎖性海域対策室長 あとは次回の評価委員会のことだけでございまして、先ほどもご説明しましたとおり、これから日程調整をさせていただきます。そこでお手元のカレンダーのようになった資料を、もし今日お分かりでしたら記載をお願いしたいと思います。ご都合の悪い日に×印をお書きいただくと。もし今日お分かりにならなければ、持ち帰っていただいて、今週中にご連絡をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○小松委員 この日程調整の表なんですけど、今回は○がないですけど、○か×かという聞き方をよくされますよね。実際は無理をすれば可能という場合が結構あるんですよ。ところが、○か×かとなるとそういう場合は×にしちゃうんですね。本当は○、×、△ぐらいで聞いていただいたほうが、より良い日程調整ができると思います。

○環境省閉鎖性海域対策室長 分かりました。そういう場合は△をつけていただければ、われわれもそこを配慮しながら決めたいと思いますのでよろしくお願いします。

○須藤委員長 △の時には念のため、メールなり、何なりで伺っていただくと。そのほうがいいですよね。そうしていただければ、多分、これから夏に入ると、ここにいらっしゃる先生方ですとフィールドに出られたり、外国にいらっしゃったりという機会が非常に多いんで、なかなか日程が調整できない部分もあるかなという気もしますのですが、できるだけ、今日お分かりでしたら書いて、置いていってくださいませんでしょうか。
 ということで、今日も長時間にわたりまして、たいへん熱心なご討論をいただきましたことをお礼申し上げて、これをもちまして、第10回の有明海・八代海総合調査評価委員会を終了させていただきます。どうもお疲れさまでございました。

午後4時39分閉会