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環境と経済活動に関する懇談会(第5回)議事要旨


1. 日時 平成15年5月14日(水) 10:00〜11:30

2. 場所 環境省第1会議室

3. 出席者
天野 明弘 財団法人地球環境戦略研究機関関西研究センター所長
栗和田榮一 佐川急便株式会社代表取締役会長
佐々木 元 日本電気株式会社代表取締役会長
崎田 裕子 ジャーナリスト 環境カウンセラー
庄子 幹雄 鹿島建設株式会社代表取締役副社長
手納 見枝 株式会社デルタポイントインターナショナル代表取締役
若松 幹人 JFEホールディングス株式会社専務
(半明JFEスチール会長代理)
ピーター
D・ピーダーセン
株式会社イースクエア代表取締役社長
平野 浩志 株式会社損害保険ジャパン取締役社長
深尾 典男 株式会社日経BP日経エコロジー編集長
安原  正 株式会社サンシャインシティ代表取締役会長
八端 憲明 株式会社東北エコシステムズ代表取締役社長

鈴木環境大臣、弘友環境副大臣、中川環境事務次官、松本大臣官房長、炭谷総合環境政策局長、飯島廃棄物・リサイクル対策部長、小林大臣官房審議官、一方井大臣官房政策評価広報課長、山崎総務課長、鷺坂環境計画課長
 

4. 議事 :
環境と経済活動に関する委員からの発表及び討議
 
5. 議事概要 :
(1) 事務局より、資料1に沿って、(1)環境と経済を取り巻く状況の認識、(2)これからの時代の環境と経済、(3)環境と経済の統合のための施策の基本的方向に関する提言、[4]国家総合戦略の策定に関する提言について説明した。
 
(2) その後、自由な意見交換が行われ、各メンバーより、資料1について概要以下のような発言があった。
  • 1[1]に「環境は経済発展の基盤・前提条件」とあるが、前提条件と言いきるまで議論されていない。現在の日本の産業界はコスト意識が厳しいので、規制などの議論をする前に、「国民にとって必要な環境とは何か」から議論した上で、「環境」と「経済」との関係についてはっきり定義しておく必要がある。
     
  • 本懇談会は、環境と経済を一緒に考えるスタートラインに立ったという意味で画期的である。1[1]にあるように、環境保全と経済発展の両方を実現させるためにどうすべきかという議論をきちんとしていくことが必要である。
     
  • [1]環境は経済だけではなくすべての社会の発展の前提条件であること、[2]環境の保全なくしては社会の持続的な発展はあり得ないこと、[3]日本経済の持続的発展のために環境への取組が戦略的に重要であることを明確に示すことで、環境と経済の両立が国益につながるということを明確に認識していくべきである。
     
  • 環境保全を尺度とする価値観を会社等の社会活動や政府の政策の中で実現すべきであること、環境に対する責任を果たしていない企業は市場からはじき出されているという現状があることを記述すべきである。1[2]では単に「環境制約」の例を挙げるのではなく、積極的に制約を乗り越える必要がと能力が日本にはあることを挙げるべきである。「経済状況」についても環境に関する日本の技術力が将来の経済の活性化につながるというように積極的な方向にも捉えるべきである。また、環境にかかわる目標、施策については、長期、中期、短期に分けて記述すべきではないか。2(1)の「質が高く、豊かさが持続できる社会」は抽象的で分かりにくい。限定された地域だけではなく地球全体として矛盾のない社会といったように、具体的に定義付ける必要がある。
     
  • 1では歴史と現状と目標が混在している。環境と経済の両立は不可欠ということが目標であり、この目標をはっきりと示していくべきである。
     
  • 1[1]のような「環境と経済発展のどちらも実現させたい」といった願望ではなく、持続可能な社会の実現のために不可欠であるという前提で議論を進めるべきである。また、抽象的な記述となっているので、再生可能なエネルギーの活用や資源の循環利用などの重点事項が明確になるように整理していくべきである。
     
  • 全体的に環境の概念が網羅的であいまいなものとなっているが、例えば資源エネルギーと安全・健康など重点的に実施すべき分野を明確に示すことが提言を有意義なものとするのではないか。こうした具体的な議論から両立の解を求めていくべきである。また、施策については短期・中期・長期といった区分はもちろんのこと、国内・国際の区分でも分けるべきではないか。
     
  • 2[2]に「高いハードルを設定」とあるが、規制等を意味するのであれば事例や雇用問題、経済状況等を含めて議論することが必要である。最近、水生生物保全環境基準設定の中で、亜鉛について検討されているが、単に厳しくするのではなく、確たる裏付けのもと産業界ともよく調整してほしい。
     
  • 従来型の「経済発展」の捉え方だと環境保全との両立は難しい。「健全な経済発展」という考え方をとっていく必要がある。
     
  • 国家総合戦略の中で課題の優先順位と中長期の行程表を明示することが必要である。戦略的に対策を講じていけば企業にもメリットがあると感じさせることが重要であり、一刻も早くグランド・デザインを作っていくべきである。
     
  • 3(1)[1]で「環境をコストと考えるより投資と考える行動」を促すとあるが、まずは環境の現状を認識し、どのレベルの環境が必要なのか明確にする必要がある。
     
  • 社会の価値をしっかりと位置付けた上で、現在の国民が求める環境の質を整理し、そのために経済とのバランスをどうするのか、国民のライフスタイルをどうするのか考える必要がある。
     
  • 3の(1)〜(3)は、市場経済制度の中で環境と経済を統合するためにはどうすべきかという観点で関連性が強い。いずれも、これらを実施しなければ持続可能な経済発展はできないものであり、全体を束ねる記述を置くべきだと思う。
     
  • どの程度まで行動のレベルアップを図っていくべきかは、産業の技術力、経済、行政がうまく整合がとれていかないといけない。また、将来の国の姿を考えていく上では、環境だけではなく、経済、財政や特に子どもたちの教育の問題を含めて政策を考えていかなければならない。
     
  • 中小企業に対しては、環境活動評価プログラムのような制度を国が提示したり、企業間で取組が広がっていく仕組みをつくることが有効である。また、地方公共団体に対しては、3(4)にあるように、「地域の間で環境意識の競争を促していく」ことが有効である。
     
  • 3(2)に「政策のベスト・ミックス」とあるが、そのデザインが重要である。例えば、環境税については既存の特定財源をどのように評価するかなど様々な要因を含めて議論していくことが重要である。
     
  • 供給サイドと需要サイドの議論をする前に、産業だけでなくエネルギー、交通、生活の中でどれだけ環境に負荷を与えているかを考えなければならない。課題の中できちんと整理して記述する必要がある。また、産業の中でも大企業と中小企業を分けて考える必要がある。個々の意見が重複して記載されているので整理する必要がある。
     
  • 3(1)[1]に「企業が環境行動を進めていくための仕組みづくりが必要」とあるが、行動を評価する仕組みづくりも必要である。また、3(1)[2]の需要サイドの環境行動について、企業が行っている企業内及び社会に対する環境教育についても、その重要性が強調されるべきである。
     
  • 提言としては、供給サイドに責任をもった対応を求めていく内容とすべきである。環境は人と社会を一緒に考えていかなければならない。そのためにも、行政において環境教育を徹底してほしい。また、3[2]に「政策のベスト・ミックス」とあるが、きちんと議論していく必要がある。
     
  • 1[2]に経済的な利益のために「社会経済システムの革新」が必要とあるが、経済的利益だけに限定してよいのか。革新的な技術の普及のネックはコストであり、その分担の仕組みが重要である。何のために仕組みを作るのか、目的を明確にしていくべきである。また、本懇談会の報告書にインパクトをもたらすために、例えば国家総合戦略の中で水素エネルギー社会の構築を打ち出すことなどを記述することが有効と考える。
     
  • 大局的、長期的な視点に立ってビジョンを示さないと現状の利害関係を乗り越えられない。国際社会で理解される魅力的なビジョンを示す必要がある。日本の役割と立場を考えた具体的取組を掲げていく必要があり、例えばGDPに代えて日本独自の経済福祉指標を開発するなどにより、アジアの新興国における持続可能性をねらった施策を打ち出すことが有効と考える。
     
  • ODAとCDMをリンクさせるなど、取組のインセンティブになる具体的な仕組みを盛り込んでほしい。3[2]の「地球の利用料」は環境税を意味しているのか。また、「政府の役割が過度に大きくなる」という記述が分かりにくい。具体的に記述してほしい。環境税については、断固反対である。
     
  • 数値目標は重要な役割を果たすので、策定の際には民間、産業界の意見を取り入れてほしい。
     
  • 国家総合戦略を考える際には、民間の革新だけでなく国の政策の革新を進め、社会全体のコストを高めずに環境保全を目指す工夫をしていく必要がある。
     
  • 環境対策がコストである企業はまだ多いので、コスト負担で生じる競争力の低下をどう手当していくのか方向性を明確にする必要がある。また、環境負荷の小さい家電製品を普及させることで、民生の省エネ対策が一気に進むことが考えられ、技術の進展状況を的確にとらえた施策が必要である。さらに、消費者の企業に対する不信感は根強く、どう担保していくのか考える必要がある。クレジットを利用した統合した「エコポイント」制度なども有効と考える。4に「政策研究体制の強化」とあるが、例えば、環境だけでなく「資源」も含めて捉えていく必要がある。
     
  • 環境税は政策手法の一つである。他の規制や排出権取引を含め、全体の政策の中でどのように位置付けるか議論する段階にきている。
     
  • 地域発だけではなく、国発で環境技術を世界に示す方向を打ち出してほしい。
     
  • 損害保険ジャパンでは、[1]環境負荷の低減、[2]社会への貢献、[3]商品・サービスの提供という3つの視点に基づいて環境保全の取組を実施している。
     
  • エコファンドの最も重要な意義は、社会的責任投資(SRI)を日本に紹介したことである。また、英国を始めヨーロッパでは、企業の社会的責任(CSR)が投資に影響を与えることによって企業競争力とも関係してきている。
     
  • 国家総合戦略策定の際には、民間等のステークホルダーの意見を取り入れてほしい。また、エネルギーの問題については、政府全体で連携して取り組んでほしい。さらに、4で数値的目標を「環境基本計画の見直し検討に反映させる」とあるが、国家総合戦略と環境基本計画の関係を整理してほしい。
     
  • 1では、環境と経済の両立は不可欠であり日本として戦略的に重要であること、環境制約はあるが日本として可能性があることを示すべきである。
     
  • 日本が直面している環境と経済の統合の問題は、世界、人類の問題でもある。本懇談会の取りまとめは、今後日本が世界の中で生きていく上で重要なものになると認識している。先日、G8環境大臣会合において持続可能な生産・消費について討議した際に、「資源生産性」を各国共通の目標として設定することを提案し、国際的な共同研究プロジェクトを開始することになった。日本発の指標、スタンダードを打ち出していくことが重要であり、今後も取り組んでいきたい 。
     
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(3) 最後に、本懇談会の最終的な取りまとめの性格について、各構成員の意見をまとめたものになるのか、それとも懇談会での議論を参考にして環境省が政策提言を行うものになるのかとの質問に対し、事務局より、各構成員の意見をまとめたものとして考えているとの回答があった。

 

6. 照会先 :
照会先 環境省総合環境政策局環境計画課
TEL 5521−8232
 
7. 配付資料 :
資料1 環境と経済活動に関する懇談会の論点(案)
資料2 第4回懇談会議事要旨
以上