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環境と経済活動に関する懇談会(第1回)議事要旨


1. 日 時 平成14年12月11日(水) 14:00〜15:30

2. 場 所 環境省省議室

3. 出席者
天野 明弘 財団法人地球環境戦略研究機関関西研究センター所長
栗和田榮一 佐川急便株式会社代表取締役会長
崎田 裕子 ジャーナリスト 環境カウンセラー
佐々木 元 日本電気株式会社代表取締役会長
庄子 幹雄 鹿島建設株式会社代表取締役副社長
手納 見枝 株式会社デルタポイントインターナショナル代表取締役
半明 正之 日本鋼管株式会社代表取締役社長
ピーターD・ピーダーセン 株式会社イースクエア代表取締役社長
平野 浩志 株式会社損害保険ジャパン取締役社長
深尾 典男 株式会社日経BP日経エコロジー編集長
安原   正 株式会社サンシャインシティ代表取締役会長
八端 憲明 株式会社東北エコシステムズ代表取締役社長

鈴木環境大臣、弘友環境副大臣、望月環境大臣政務官、中川環境事務次官、松本大臣官房長、炭谷総合環境政策局長、飯島廃棄物・リサイクル対策部長、一方井大臣官房政策評価広報課長、村尾総務課長、鷺坂環境計画課長

4. 議 事 :
(1)環境と経済活動に関する基本的な考え方
(2)その他

5. 議事概要 :
(1) 会議冒頭、鈴木環境大臣より、要旨以下のとおり挨拶が行われた。
 委員の皆様方には、懇談会にご出席いただくことを快諾賜り、感謝。9月30日に環境大臣拝命の際、小泉総理より「環境と経済というものは両立するということを前提に、地球温暖化の問題やリサイクル社会、廃棄物処理の問題等、国民生活に関わる問題にしっかり取り組んでほしい」旨の話があった。環境と経済活動の関係については、これまでもいろいろと議論が行われてきたが、今日、例えば低公害車は世界の最先端を行くなど、環境対策が市場や雇用の創出にもつながってきている。環境基本法に定められている「環境への負荷の少ない持続可能な社会」への道筋はいまだ明確ではないが、環境と経済活動の関係をどのように考えるかは環境行政の根幹ともなる問題である。懇談会を通して、この問題についてしっかりとした理論構成を行い、環境行政のバックボーンとしていきたい。また、ご提言のうちすぐにも実施できる事柄については平成16年度の予算要求に生かしていきたい。

(2) 懇談会メンバー及び環境省幹部の紹介の後、崎田構成員が進行役となり、議事を進めていくこととなった。

(3) 事務局より、資料2に沿って、[1]大きな国際会議などの中での「環境と経済」概念の変遷、[2]環境基本法と環境基本計画における環境と経済の関係付け、[3]最近の政府の報告書などにおける環境と経済に関係する記述など、について説明した。

(4) その後、自由な意見交換が行われ、各メンバーより、概要以下のような発言があった。
環境と経済というテーマについて、骨組みができた後は消費者が暮らしの中で実践していくことが重要と考えている。
生活を豊かにするのはモノそのものではなく機能(ファンクション)である。技術革新も大事であるが、大量生産・大量消費・大量廃棄といった仕組みやマーケットそのものを変えていくなど、社会システムの革新によって環境負荷を低減することが重要である。
環境が社会の仕組みの中にビルトインされることが重要である。供給サイドの技術革新と消費サイドの意識改革を関連付けていくことがポイントになる。最近では、財務や製品に加え環境問題への対応が企業経営の質をはかる基準になってきている。今後は、資金調達の場でも企業の環境への対応が評価されるようになるだろう。
現在は、産業界でも、環境と経済は相互に促進する作用を有すると考えられている。また、排出権取引制度などのシステムができつつあることから、産業界は経済成長と環境保全を一体としてやっていけるという自信を深めている。今後、これまでの「点の展開」を「面の展開」へと進展させるためには、環境省の施策誘導があると進め方が楽になる。
従来の公害問題はコストをかければ解決できたが、炭酸ガスの排出については、化石燃料を使用している限り地球表面上に蓄積されていくため、エネルギーコストを上げるだけでは解決するものでなく、悲観的に思えてしまう。化石燃料以外のエネルギーを使うなど抜本対策を考えていく必要があるのではないか。
保険会社は個人、企業、団体など多様な顧客を通じて環境問題と密接につながっている。当社は、金融・保険商品の開発、省資源・省エネ、社会貢献の3つの視点から環境問題に取り組んできた。保険会社は社会のリスクに対応することを使命としており、環境リスクが社会で注目されていく中で保険会社の役割も増してくると思う。持続可能な社会の構築に向け、金融機関の特性を生かして「できること」「やらなければならないこと」に取り組んでいきたい。
日本企業は、80年代から90年代にかけ、海外に日本の高い公害防止技術を移転してきており、その点は高く評価している。日本企業は、製品の開発から製造までは環境保全に熱心に取り組んでいるが、市場に出して戻ってくるところ(トランスファー)が弱い。政策誘導や補助の形で援助していく必要がある。また、ユーザー(消費者)が企業を厳しい目で見ることで、意識を高めていくようなシステムづくりが重要である。
企業の環境への取組や思い・熱意がマーケットに伝わっていないのが最大の問題である。環境広告は増えているが、戦略的なものにはなっていない。消費者の認識を含め市場を変えていくことが重要である。消費者や企業がマーケットを先読みできるような環境を政策的に担保していく必要があり、この点において、自動車グリーン税制の縮減はマイナスである。また、中長期のビジョンが見えてくると、例えば燃料電池のように、横の展開が可能となってくる。中長期を見据え、日本の競争力の強い部分をいかに維持していくか議論していくことが必要である。
エコ商品の販売を通じて気付いたことは、一人一人の消費者の努力だけでは持続可能な社会はつくれない、「グリーン・スタンダード」を導入しなければならないということである。そのためには、持続可能な開発に向け国内外に発信できる具体性の高い総合戦略を作成し、未来から逆算して社会システムの優先順位を見出していくこと、そして[1]社会制度、[2]技術革新、[3]価値観・意識の三つを原動力とし力強く前進する必要がある。
環境と経済の両立の鍵は、環境保全のために有効な技術の開発と普及であるが、良い技術が開発されてもコストの問題から普及に時間がかかる。例えば、車と分散型コージェネレーションの分野で有望な燃料電池など、各技術ごとに環境保全技術を短期間で大量普及させていく仕組みづくりについて議論することが必要である。
かつては社会生活の基本であった他人に迷惑をかけないという日本人の考え方が変わってきたと感じている。社会のシステムが変わるのを待っている時間はないので、企業家として社会的責任を果たすためにできる取組からやっていきたいと考えている。
市民運動の盛り上がりを大事にしていくことが重要であるが、一般市民は何をしたら良いか分からない人が多いので啓蒙、啓発していく必要がある。また、新しいエコ事業を始める際に、各々の省庁が持つ古い規制をクリアしていかなければならないという問題があるので、縦割行政の排除を含め政策的な誘導をお願いしたい。
生活者の視点で活動していると、社会の大きな動きの中で消費者にきちんと情報を伝え、消費者が選択していくことが大切だと感じる。産業界が具体的な情報をもっと提供し消費者も学んでいく仕組みが重要である。
昔の公害問題と比べて、COやオゾン層といった現在の環境問題は国民の目には分かりづらいものなので、意識・取組につながっていかない。そのような中で、どのようにして意識を高めていくかという問題がある。また、最近「環境」という言葉の中身が大きく変化してきており、とらえ直す必要があると考えている。
現在、環境対策は個別ばらばらに行われており、環境が危機的な状況にあり、時間的な余裕がない中で、早急に行政が枠組みをつくっていく必要がある。また、企業活動がマーケットで適格に判断されて、融資を受ける際に評価されるような仕組みをつくっていくなど、持続可能な社会とするために行政がやることはまだまだ多いと感じた。

(5) 事務局より今後の進め方について、平成15年の6月頃に一定の取りまとめを行うこととしたいとの説明があった。また、次回から3回ほどかけて、各回3名程度ずつ、実際に経済の最前線で活躍されている構成員の方々に、企業における実状や課題、行政への提言を発表していただくこととし、次回以降の日程と併せて、各構成員に事務局より相談させていただきたいとの説明があった。

6. 照会先 :
環境省総合環境政策局環境計画課
TEL 5521−8232

7. 配付資料 :
資料1 環境と経済活動に関する懇談会名簿
資料2 環境省説明資料