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■議事録一覧■

中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
第6回 生物多様性国家戦略小委員会
議事要旨


1.日時

平成24年6月11日(月)14:00〜17:00

2.場所

全国町村会館 2Fホール

3.出席者(敬称略)

委員長:
武内和彦
委員:
磯部雅彦、小泉透、桜井泰憲、佐藤友美子、下村彰男、白幡洋三郎、辻本哲郎、土屋誠、中村太士、吉田謙太郎、吉田正人、鷲谷いづみ(五十音順)
事務局:
環境省(自然環境局長、大臣官房審議官、自然環境計画課長、野生生物課長、自然ふれあい推進室長、動物愛護管理室長、外来生物対策室長、生物多様性地球戦略企画室長、生物多様性施策推進室長、鳥獣保護管理企画官、生物多様性センター長)

4.議事要旨

(1)次期生物多様性国家戦略(素案)の検討

環境省より[資料1−1]から[資料1−3]に基づき次期国家戦略の素案を説明。この後、それらの内容について検討した。

<前文及び第1部(理念、目標)について>

前文の東日本大震災の部分、1ページの34行目「人と自然との関係をいま一度見つめ直し、自然を活かすことにより人々の安全安心が守られてきた場所や、」とあるが、「活かす」の言葉の意味がよく分からない。「自然を知り、理解することにより」の方が適切ではないか。また、2ページの最初、「地域の中で循環して持続的に活用していく自立分散型の地域社会を目指していくことが重要」とあるが、曲解すると国際的な分業体制を真っ向から否定する読み方もできる。脆弱性を回避するために自立分散型の社会を目指すことも必要だが、「自立分散型を基本としながら、国内外も含めた広域的な視点で捉える必要がある」とした方が、その後の地域共生圏という言葉につながっていくのではないだろうか。
理念については悩んでいるようだが、国家戦略2010と余り変わっていない。新しいものは「自然共生社会の実現に向けた理念」となっているが、生物多様性という考え方を社会に浸透させていくための理念だったのではないか。 これまでの4つの理念に加えて5つめの「自然の理に根ざした」ということで宗教的自然観は大変尊重すべきであるが、それを具体的に示すには少し工夫が必要である。
この点はCOP10でも議論になった点で、自然共生社会というのは東洋的な自然観に立った考え方であるが、科学的な評価のフィルターを通してこうした考え方を見ていくことが大切ではないか。
目標について、短期目標と長期目標について、長期目標はどのように扱うのか。愛知目標では長期目標があって短期目標となっているが、逆の関係になっているのは文章表現上の問題か。また、長期目標は言葉だけにとどまるのか、達成のための具体的な施策も踏み込んで書くのか。
理念について、5ページ、理念の1と3について、1は「基盤を整える」、3は「基盤となる」という表現を使っている。「基盤をなす」は日本語としてなじみがあるが、「整える」は人間の作為的なものを感じるので生物多様性が主語だと違和感がある。
5ページの理念で5番目、「自然の理に根ざした真の豊かさを感じられる社会をつくる」はタイトルが長い。また、説明のないものがいきなり出てくることに違和感がある。前文で触れられている内容を踏まえた記述にするのが良いのではないか。
理念で、1から5のタイトルは理念のように見えるが、後に続く説明は理念ではないように思う。「何々をしていきましょう」という書き方が良いのではないか。
経済の概念を広く捉え、自然資本を含めた形で新しい豊かさとして捉えていくことが、生物多様性と経済が矛盾しないような自然共生社会につながるのではないか。それが国際的に見るとグリーンエコノミーにつながっていく。従来は世界的な要請を受けて国家戦略をつくってきたという流れだったが、COP10を受けてむしろ日本が世界に向けて発信していく姿勢が大事である。
前文について、生物多様性ありきで書かれているが、一般の人には分かりにくい。理念のエッセンスは最初に置くべきではないか。
5番目の理念がリード文という感じがする。5を最初に置くと後が分かりやすい。有用な価値があると強調すると違和感があるので基盤であるとはっきり言った方が良い。それらの基盤があって将来につながるという風にすると分かりやすいと感じた。
Livinginharmonywithnatureの“harmony”は、共生ではなく調和ではないか。人と自然の関係では共生という関係で良いが、生態系が持っている力に対しては共生というより調和という意味が入っていることが重要なのではないか。
「活かす」という言葉についてはもう少し考えさせていただきたい。趣旨としては、人がうまく緩衝地帯をもうけながら土地を利用することなど、自然をうまく活用する知恵を想定している。5つ目の理念については、今回の策定の背景を踏まえて追加したものものだが、記述内容や順番は再度検討したい。従来の4つの理念については、これまで積み上げてきたものなので大切にしたいと考えている。長期目標について、理念とは一線を画すものと考えており、基本方針の最初にグランドデザインの実現に向けて書いているところでもある。(生物多様性地球戦略企画室長)
COP11では世界に先駆けた日本の国家戦略を示していくことになるが、「日本では」「東洋では」という排他的な表現よりも、世界で共感できる表現にしたら良いと思う。

<第2部(戦略目標A、B)について>

目標3の有害な補助金への奨励措置の廃止等が取り入れられていない。少なくとも生物多様性の保全と持続可能な利用と矛盾する補助金がないかどうかの検討くらいはした方が良いと思う。外来種について、現在の外来種対策では積極的な面がいくつか出てきている。それを発展させるという視点が少ない。外来種のモニタリングや排除に向けた地域の自発的な取組や活動など、地域の自主性、ボトムアップの取組を促進させていくことをもっと重視して欲しい。優先度の高いものに絞った取組は中央集権的な感じが強い。
愛知目標全体の書きぶりについて、DPSIR、Iのインパクトについてはマイナスを減らすインパクトという書き方だが、ブラスのベネフィットの部分についても検討願いたい。目標Aについては、有害な補助金の見直しが抜けていることを指摘したい。COP10では、日本からの提案で正の奨励措置に転換していくという文言が入ったことも踏まえ、一項目入れていただきたい。目標B−2、領海とEEZのみが対象で公海は対象ではないのか。公海の海洋資源も日本国内で消費している。農林水産省だけでなく、流通の問題についても考慮する必要がある。
全体にもわたることだが、河川生態系に関する指標が水質くらいしか見当たらないなど、重要な指標が抜けていると感じる。JBOの指標も意識して考える必要があるではないか。また、ベースラインという言葉が分かりづらい。さらに、2015年までに指標や手法のベースラインを決めるとあるが、それで2020年までに目標を達成できるのか。しかも2014年には点検、中間評価がある中で、時間設定が遅いのではないか。森林計画の対象面積について、計画を立てることだけで生物多様性に起用するのかは疑問である。また、湿地には再生という言葉が使われているが、保全という言葉がないのは気になる。
愛知目標の個別目標は20だが、国別目標ではまとめていたり個別になっていたりする理由は何故か。国別目標も20あった方が分かりやすい。また、ニーズや優先度の設定理由が余り伝わらない。「こうします」という表現にした方が評判は良くなると思う。
6ページのB−3−1、閉鎖性水域という表現は余り好きではない。「閉鎖性の高い水域」(以下、「閉鎖性水域」と言う。)と表現するのがよい。「サンゴ礁等」とサンゴ礁のみを取り上げているが、サンゴ礁以外にも日本では磯焼けの問題もあるので行動目標、関連指標に入れていただきたい。
7ページ、侵略的外来種では侵入した外来種を根絶すると書かれているが、それによってどういうこういう効果が出てきたかというところまで書いた方がよい。小笠原では外来防除の取組により、世界自然遺産に登録されたという効果があった。
4ページのB−1−3、4について、環境省と農林水産省の役割分担が明確になっていない。個体数管理と人材育成は環境省、生息域管理による被害の低減は農林水産省といった形で明確に書き分けた方が良い。
9ページのC−2、絶滅危惧種のトキについて書かれているが、種の保全だけでなく、保全の取組を通じた地域全体の活性化のようなものまで目標とした方が良いのではないか。
3ページ、A−1の関連指標で、例えばレンジャーの数など、生物多様性を守る活動をしている人の数があるとストレートで良い。4ページのB−1、生息場として重要な砂浜の面積があっても良いのではないか。毎年調査する指標ではないが、調査した時に更新すればよい。 5ページ、B−2、水産生物資源については、漁獲高という指標が使えるのではないか。持続可能な利用をしながら漁獲高が高いというのは意味のあることである。 6ページのB−3、青潮の発生件数が指標となっているが、青潮の発生は気象条件にも左右されることから、貧酸素水塊の発生頻度や強さを指標としても良いのではないか。
3ページの関連指標について、生物多様性の主流化という観点では、例えばエコツーリズムなどのように既に価値のあるものについての指標がない。経済的な評価がもう少し見える化されていた方が良い。エコツーリズムについては、観光客が増え過ぎると負の影響もあるが、どれだけ注目されているかという意味では主流化の経済的な評価指標としてあると良い。 1ページ14行目のティッピングポイントについて、「転換点」「臨界点」として使っているが統一が必要。
個別目標を20並べることについて、関係省庁とのやりとりの中でも入れ子の関係になっている目標もあり、わが国ではまとめた方が分かりやすい場合もあることから目標設定しやすい形にした。国別目標の設定の仕方についてはCOP10決定でも各国の状況に応じ委ねられている。 補助金の問題については現在、関係省庁と検討中であり、具体的には次回示したい。 ベースラインは、指標を設定したときに、最初の数値をどう捉えるのかということである。例えば保護地域の17%といっても何をもって保護地域とするのかが分からない。早く決めた方がよいのはご指摘のとおりだが、整理は慎重に行う必要があると考えている。 侵略的外来種対策の効果をどう書くのか、因果関係を具体的に明確化して指標化するのか、非常に難しい問題であり、委員の皆様からご提案いただければありがたい。 ティッピングポイントは、先般、閣議決定された環境基本計画で「臨界点」という言葉を使っているので、それで統一する。 サンゴ礁については、愛知目標に合わせて「サンゴ礁その他」としているが、その他として含められるものがあるかは今後検討させていただきたい。 公海の問題については、全体として海外の生態系まで考えた時、日本の施策の中でテリトリーを越えたところで目標を立てることには慎重に考えないといけない。関係省庁とも議論して検討したい。(生物多様性地球戦略企画室長)
海外、他国の資源に関しては、既に海外でつくられている戦略で参考になるものはないか。愛知目標の設定の経緯から、何も書かないというのは問題があるのではないか。何か工夫が必要ではないか。
行政的な行動目標のほかに、市民的な行動目標も必要ではないか。流通、消費などボトムアップの行動目標も書き込めるのではないか。他国のことに口を出すのではなく、自らの国の消費を問題にするということである。 指標がリストアップされているが、外来種の撲滅がほかの生態系にどのように関係しているかなど、指標を並べるのではなくそれらの構造性、関連性を検討する必要がある。
5ページの公海については、広域回遊魚(マグロなど)では既に具体的な取組が行われている。公海と領海をまたがった海洋生物については書き込めるのではないか。

<第2部(戦略目標C〜E)について>

10ページ、上から半分くらいのところ、関連指標でトキの野生個体数とあるが、コウノトリも加えた方が良いのではないか。トキよりも歴史が長く、広域的に見守っている人も多い。 D−1−3、東日本大震災からの復興については、生物多様性の視点に立ったやり方があるので「生物多様性の保全を重視」したという言葉を修飾語として入れた方が良い。 D−2−2は素直に「自然再生を推進し」と書けば良いのではないか。 行動の例として、土壌にCO2をためる効果の高い湿地を入れると良いと思う。
8ページ、戦略目標Cの生態系ネットワークのところでは、行動の例として都市のことが書かれているが、ここではコアからバッファーつないでいく流域のネットワーク重要である。保護地域の面積目標はベースラインを設定した上でだが、より広域の陸上景観や海上景観とつながっているという、保護地域がそこだけ孤立していないでつながっているところが非常に重要である。自然公園の普通地域がそういうところにあたると考えられるので、そういう面を強調しても良いと思う。 9から10ページの絶滅危惧種については、指定種の数が指標となっているが、この数が増えるのはむしろ状況が悪化しているということにもなる。ダウンリストされた種の数も指標になる。また、生息地保護区の面積や、保護増殖事業など種の保全を行っている計画区域の数も指標となるのではないか。
11ページのD−2、関連指標の対象は自然再生促進法や国立公園内に限らなくても良いのではないか。
主要行動目標の記述の中で、行動の例があるのとないのとがあるが、書くのであれば全て書いた方が良い。また、特定の生態系サービスのみを強化しようとすると、生物多様性を損ねる場合もあるという点には留意が必要。
全般的な話だが、関連指標をどのように考えているのか。指標の数もそれぞれの目標に対して異なり、Bでは足りない感じがする。行動目標やJBOとの関連やドライビングフォースとの関係を考慮して設定しているのか。委員会でアイデアを積極的に出した方が良いのか。
関連指標について、例のあるなしは今の段階で明らかに例示できるもののみ示した。行動目標の指標と関連指標との関係については、現時点で示せるものを挙げたと御理解いただきたい。 指標については委員の方々にも是非積極的にご提案いただきたい。必ずしもJBOと一対一対応になるものではない。 自然再生推進法や国立公園内の取組を指標としているのは、主要行動目標として限定的な取組をするわけではなく、実際に指標として数値が把握しやすく現時点で整理ができているものとして示している。(生物多様性地球戦略企画室長)
D−1の生態系サービスでいえば、指標はエネルギー関係やバイオマスなどもあると思うが、我々がどんどんアイデアを出しても事務局で整理に困るのではないか。
あまり指標が増えすぎると達成状況の評価が逆にしにくくなるということもあるが、委員会で是非ご提案いただければ関係省庁とも調整していきたい。(生物多様性地球戦略企画室長)
今週中に欠席の委員も含め各委員からの意見を事務局に提出するようにお願いしたい。

<第3部について>

国土空間的施策の生態系ネットワークは生物多様性地理区分について書けないかと提案したが、国家戦略を地べたについてものにするために、地域毎に望ましいネットワークの姿を明示していくことはできないか。
ご指摘の点は第1部についていただいたものと思うが、第1部はご意見に沿って修正している。(生物多様性地球戦略企画室長)
行動計画の中で指標がバランスよく生態系毎に設定されているとよい。また、第3章が1節のみなのはなぜか。
地域空間施策ごとに指標がうまく出せるよう、さまざまな工夫をしながら具体的に分かるように努力したい。第3章は現段階ではこれ以上の節を立てることは難しいと考えている。(生物多様性地球戦略企画室長)
震災復興を機に自然共生を加速化させるということで、第2節として震災の教訓を国土の自然共生社会づくりにつなげていく取組、第3節として国際的な発信を入れてれば節を追加できるのではないか。節に含まれる施策の数は少なくても良い。
地球温暖化という言葉が出ていないようだが、地球温暖化への配慮や注目は必要である。
第3部では、統合的取組として9節では地球温暖化の緩和と影響への適応の推進を取り上げており、10節でも低炭素社会の統合的な取組として温暖化対策を取り上げている。(生物多様性地球戦略企画室長)
生物多様性国家戦略2010と比較をすると、生物多様性の危機について新しい整理となっている。生物多様性の危機について、私は3つと思っており、4つめは人為によるものだけでなく、危機とするには疑問がある。地球規模の変動による生物多様性への影響は、人間社会にとっては危機であるが、生物多様性はそれとは別のところで成立している。そのため第4の危機に対する取組は後半の少しの部分でしか書けない。
生物多様性条約においても地球温暖化の問題は取り上げられるようになってきている。温暖化に対する適応という形で世間でも考えてもらう必要があると考えている。(生物多様性地球戦略企画室長)
地球温暖化のところでは「温暖化への適応」と明示しているが、危機として位置付けている割には書きにくい内容となっている。
2007年の第3次戦略の時から第4の危機として位置付けるように主張している。ミレニアムエコシステムアセスメントでも地球温暖化は外来種や窒素による富栄養化などの問題と同じく大きく位置付けられているので、第4の危機という位置付けは必要と考える。
沖縄に住んでいるとサンゴ礁やマングローブなど多くの問題を感じるので、第4の危機は入れておいた方が良いと考える。 第3部は項目しか挙げられていないが、次回の小委員会が最後の予定となっている。第3部は前回の戦略でもボリュームが多く、見るのが大変であるので、今後の予定を知らせていただきたい。
次回26日が最後の委員会である。その後、7月にパブリックコメントを予定している。それまでに可能な限り整理したいが、パブリックコメント中にもご意見をいただければ適宜対応していきたい。(生物多様性地球戦略企画室長)
今日いただいたご意見を受けて26日に向けて事務局で作業を行うので、指標などについてのご意見を今週中にいただきたい。 次回は第3部も含めて戦略の全体についてご議論をいただくので、目標としては一週間前に資料を委員の皆様にお送りしたい。 委員の皆様からはパブリックコメント中にもご意見をいただきながら修正作業をしていきたいと考えている。 本日ご議論をいただいたのはこれまでの戦略にはない部分で、貴重なご議論をいただいた。 理念については今まで4つの理念を示してきたが、愛知目標や東日本大震災を受けて自然と共生する社会を実現するための理念を新たに追加したい。新たな世界の潮流ともなるような理念を考えたい。 第2部も今までの戦略になかった部分で、愛知目標を受けた具体的な目標や指標であり、まだ構造的に合っていない部分もあると思うが、ご意見をいただきながら充実させていきたい。不十分な面があってもここで指標を示していくことが重要と考えている。(自然環境局長)