本文へジャンプ

■議事録一覧■

中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
第5回 生物多様性国家戦略小委員会
議事要旨


1.日時

平成24年5月31日(木)13:30〜17:00

2.場所

環境省第1会議室

3.出席者(敬称略)

委員長:
武内和彦
委員:
あん・まくどなるど、磯部力、磯部雅彦、大久保尚武、桜井泰憲、下村彰男、白幡洋三郎、白山義久、辻本哲郎、土屋誠、中静透、中村太士、宮本旬子、吉田謙太郎、吉田正人、山岸哲、鷲谷いづみ(五十音順)
事務局:
環境省(自然環境局長、大臣官房審議官、自然環境計画課長、国立公園課長、野生生物課長、自然ふれあい推進室長、生物多様性地球戦略企画室長、生物多様性施策推進室長、鳥獣保護管理企画官、自然環境整備担当参事官、外来生物対策室長、生物多様性センター長)

4.議事要旨

(1)次期生物多様性国家戦略(素案)の検討

環境省より[資料1−1]から[資料1−3]に基づき次期国家戦略の素案を説明。この後、それらの内容について検討した。

<第1部 第1章「生物多様性の重要性と理念」について>

3ページの生物多様性の重要性に関する記述について、60ページの一番下では貨幣価値に換算できない価値も評価する内容であるが、3ページでは社会経済的価値評価の対象を限定している印象を受けるので変更すべき。
インクルーシブ・ウェルスという考え方がある。従来の社会経済の考え方では、GDPのの算定において自然資本を無視しているが、最近は自然資本を含めて実質的なGDPを算定し直す試みが行われるなど、経済を広く捉えるべきという考え方に変化してきている。非貨幣価値も経済である。
全般的な質問として、大部の資料を当日になって見せられても限られた時間では言えることは限られるため、後で細かいコメントをする機会があるのかを伺いたい。また、全体のボリュームはどう考えているのか。これまでのコメントからすると今回の内容は物足りない部分もあるが、ボリュームとも関連する。また、生物多様性は自然と言い換えることはできないという内容の説明が必要。生態系サービスを得るために生物多様性は必ずしも必要ないという論文もある。生態系サービスと生物多様性の2つをどう結びつけるのか。
今回は事前に素案をお送りすることができなかったので、素案をご覧頂き、ご意見をいただく時間を設けさせていただきたいと考えている。次々回はそれを整理してご議論いただきたいと考えている。ボリュームについては、全体としてはコンサイスにして、分かりやすくしたい。ただし、必要な記述は入れていく方針である。ご指摘をいただきながら足りない点は追記していきたい。
この素案は完成度の高い部分とそうでない部分がある。完成度の高い部分は電子媒体でもらい、それにコメントを入れた方がやりやすい面がある。
細かい点だが、3ページの下から3行目、生態系サービスの経済価値評価についてネガティブなことが書いてあるが、相乗効果があるというポジティブな面から書いた方がよい。文化的サービスについては、審美的価値は評価が難しいが、レクリエーションの部分は価値評価しやすいので、文化的サービスをひとくくりにせずに記載した方がよい。生態系サービスについては市場経済の中では見えにくく、なかなか評価されにくかったが、今、それが行われつつあるという点も触れた方がよい。
次回の小委員会では、今回の素案で完成度の高い部分については、今回からの修正箇所が分かるようにアンダーラインを引くなどして欲しい。
68ページ下から2段落目に里海という言葉が出てくるが、沿岸と里海の考え方が混在している。沿岸域で人と関わりの強いところは里海としているが、漁業が行われるのは沿岸はすべて里海なのか。沿岸と里海の使い分けをしっかりして欲しい。また、71ページの最後、自然共生社会、循環型社会、低炭素社会の統合的な取組の推進になるが、自然再生エネルギーに関しては、洋上風力発電や潮汐発電などで沿岸の漁業との軋轢が生じている。生物多様性にも大きな問題があると考えられ、かなり重い問題なので、どこかで整理して欲しい。

<第1部 第2章「生物多様性の現状と課題」について>

日本の生物多様性の特徴に関して、後の記述との関連性を意識して欲しい。自然草原は記述があるが二次草原が抜けている。50、51ページでは二次草原が大切という記述や人間による攪乱に依存する二次草原の保全活動の記述が見られるので、生物多様性の現状でも、攪乱に依存して維持されてきた二次草原について記述して欲しい。
28ページの外来種について、海洋でも外来種の大きな問題はたくさんあるので、海の外来種についても書き加えて欲しい。34ページの沿岸における環境変化について、温暖化はサンゴの白化しか起こさないような印象を受けるが、科学的には一次生産の減少が一番大きな問題である。海流については、北太西洋からの深層水の供給が温暖化で減少しているということは科学的に分かっているが、日本の周辺の海流が変わったということはまだ分かっていない。
14ページの地球規模生物多様性概況第3版(GBO3)の記載に関して、遺伝的多様性についてはカテゴリーとして違和感を覚える。19ページの世界の生物多様性に支えられる日本では、必ずしも生物多様性の多様性という部分に依存しているとは限らない表現になっている。また、生態系の現状について島嶼生態系があげられているが、島嶼生態系が他の生態系とどう異なっているのかという理由が不明確。他の生態系でも当てはまるような内容が多く含まれている。
26ページの絶滅のおそれのある野生生物の現状について、レッドリストの改訂はいつ頃か。また、先日野生でヒナが巣立ちを迎えたトキの扱いはどうなるのか。野生絶滅した種が、絶滅危惧種になるのは大きな慶事である。40ページの野生生物の保全・管理に関する取組では、トキの記述に関してヒナの誕生となっているが巣立ちまで書くべきである。
18ページの海洋について、日本近海は生物多様性が豊かであるという記述だが、日本は非常に広い海洋面積を持っていて3万種以上の種があり、海ということでは世界で6番目の広さを持ち、生物多様性も高いということをもっと強調すべき。また、深海の生物多様性についても記述して欲しい。深海において生物多様性を考慮しない開発が進むと問題である。39ページでわが国の海洋保護区について8.3%とそのまま書いているが、注釈が必要ではないか。種の保存法のでは、レッドリストに掲載された3,155種のうち90種しか指定されておらず不十分であることをきちっと書く必要がある。生息地等保護区についても、指定が不十分であることを書く必要がある。
「第2節 2 世界的にみた日本の生物多様性の特徴」について特異性という説明があったが、それが第3章の景観に結びついていると思うので、それとのつながりを意識して欲しい。特異性の一つには、狭くて距離の短い流域が短い区間で隣り合っているということが挙げられる。また、アジアモンスーン帯の特徴、雨(梅雨、台風など)のことについての記述が足りないのではないか。第5節の法制度の概要について、法律には階層性があり、そうした体系が重要なのでそれが分かるように示して欲しい。土地の規制に関するものと、それアセスなどの人間の営為を制限するものに大きく分けられるので、分類を明確にしてほしい。
わが国の生物多様性現状について、貝類では最も絶滅の危機が高い淡水二枚貝のことを入れるべき。外来種について、植物の記述が無いので追記して欲しい。緑化植物の影響も場所によっては甚大である。
「第2節 2 世界的にみた日本の生物多様性の特徴」について、科学的知見に基づいた書き方は難しいかもしれないが、人との関わりが多様であることも日本の特徴。42ページ以降の記述では、生物多様性地域連携促進法の話が出ていないように見えるが、力を入れて取り組んでいることが分かるようにした方がよい。地域連携保全活動支援センターを作って活動を進めていくということを強調して欲しい。
現行法制度の説明としてはそのとおりであるが、生物多様性の危機は続いており、法制度としてどのような仕組みがあればよいのかという視点が欲しい。法律面においても伝統的な財産権とか基本的な哲学が変わってきている。本格的に発想を変えるような思想などが書かれていないのは残念。とはいえ、法律家として何か示せるかというと難しい。例えば、道路法など環境に対して大きなインパクトを与えるものについて、アセスメントなどでもっと慎重な決断を求めるような制度強化のための理屈は様々な裁判例を通じてある程度確立してきている。非常に難しいと思うが、こうしたことを総論的に書くことは出来ないか。また、訴訟の問題を行政が書くことは不見識かもしれないが、環境訴訟について原告資格無しということが続いている。環境保護団体による環境訴訟が生物多様性保全に果たしてきた役割もある。こうしたこと踏まえ、単に「充実してきました」というだけでない記述を、総論的でよいのでしてほしい。
既存の法制度をどう束ねて有効に使っていくかという方針は必要。また、戦略アセスなどの中で開発と自然保護の調和をしていくべきという趣旨のことは書けるのではないか。
「第2節 1 世界の生物多様性」では、GBO3の説明があるが、21の目標全部は達成できなかったということが伝わる表現の方がより。19ページの世界の生物多様性に支えられる日本の中で、「わが国は世界で有数の木材輸入国」とあるが、輸入先は北米や東南アジアではなくロシアからが多いのではないか。事実関係を確認して欲しい。23ページの第4の危機の説明について、30ページに書いてあることの方が分かりやすい。もう少し単純にした方が分かりやすい。
木材の輸入は昔は丸太だったが、現在は半製品の形が多い。輸入先は北米と欧州が多いと思われる。
343ページの地域共生圏という言葉について、新しい言葉を使う時は定義の議論が必要。流域全体でのエネルギーや物質の循環について、それまで学術会議では自然共生流域圏、生命流域圏などという言葉が使われている。地域共生圏を海外まで広げるとうことであれば、英語の言葉についても考慮が必要。地域共生は福祉の分野で使われているのではないか。「地域」と「圏」という言葉は重複館がある。Bioregionが近いと思われる。流域的なものはBioregionのなかで自家消費をという意味合いが近いのか。MAの説明が省略されているが、MAのアダプティブモザイクの考え方が近い。
循環資源に関しては地域循環圏という言葉があり、それに似た考えで使われていると思うが、用語はもう少し考えて欲しい。
「第4節 わが国の生物多様性の現状」の「東日本大震災による生物多様性への影響」については、後半の放射線に関する部分を除くと、海岸林、干潟、浅海域への影響が書かれているが、もう少しまとめた言い方をして欲しい。最初の段落で地震による津波に伴って海岸地形の変化が大きかったが、それによって生態系にも甚大な影響を与えた可能性があるといった表現が必要である。現地では蒲生干潟以外にも立派な砂嘴が無くなった例もある。1年3ヶ月経って浸食された地形がなかなか戻らないところがある。砂浜などが無くなったということを一例として入れておいた方がよい。仙台湾の南半分はもともと浸食が激しかったが、いまは何処が海岸線だか分からない。そういったことも記載も必要である。津波後に再生に向けた兆しが見られるという記述があるが、「だから今後モニタリングが必要」といった記述も必要である。直接何か出来なくても推移を見ることは、今後の取組を考える際にも必要となる。
第4の危機について、国家戦略2010では3つの危機に加えて温暖化による変化という構成であった。今回4つにするという理由は何か。第1から第3の危機は人間の関与をはっきり書いているが第4では明記したところがない。人間とは別の力が働いて危機になったとも感じられるが、第1の危機である人間活動による影響のグローバルなスケールとも考えられる。曖昧領域のことが多いので敢えてはっきり書いていないのか。
GBO3でも気候変動は人為起源のものとして整理されている。これまでの議論も踏まえ、人為起源ということで第4の危機とした。
今まででも温暖化を4つめの危機とするか、3つの危機を超越したものとして位置づけるかは議論があった。グローバルなスケールである点で第1の危機から第3の危機とは違うが、人間活動の影響という点は第1の危機とも関連するが、だんだんと3+1では歯切れが悪くなってきていたので、4つ目の危機と位置付けた。
15ページから16ページの「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」は生物多様性を主流化するためといった意識のもとにまとめられたものである。政策決定者向け、地方行政向け、企業向けなどに分かれており、市民へのフィードバックという点も意識されている。価値評価が中心に受け止められるが、いかに地域にフィードバックされ、企業などがいかに変わっていったかが重要。10ページではtipping pointを転換点としているが、臨界点となっているところがある。世界的にはそのtipping pointを忌避するためにどうするかということが書かれているが、日本などでも、既にtipping pointを超えているところがあるのではないか。tipping pointをどのように考えていくのか、よく分からない点がある。
里海、沿岸海域の使い方は整理をお願いしたい。第3章でグランドデザインなどが書かれているが、第4章では都市関係の記述が薄いのではないか。
東日本大震災の影響について、地形変化という言葉も重要だが、それは生態系における大規模攪乱でもあり、後背湿地の例など、長期的には生物多様性の維持に関わっており、プラスの影響も現れている。短期的な視点だけではなく長期的な視点とともに、もう少し科学的な視点が必要。外来種については記述内容が古いので2011年時点の記述に改める必要がある。例えばセイヨウオオマルハナバチのコロニーについて1996年に野生化、現在、北海道では高山域にも生息している。外来種の現状は毎年大きく変化しており一般の人の方がもっと先の現実を知っていて違和感をもつのではないか。
鷲谷委員の二次草原に関する指摘について、17、18ページで若干触れているが、記述が不足している点についてはご指導をいただき追記していきたい。海の外来種については、白山委員を始め、参考文献や具体例をお知らせいただけると幸いである。また、深海域の生物多様性についても具体的なデータや問題点、知見をいただきたい。辻本委員のモンスーンの話は17ページに若干触れているが記述が不十分なので追記したい。下村委員の人の関わりについても書き込みはあるが、この点もご指導をいただき追記していきたい。生物多様性促進法については86ページなどで記述はしているが、どこに書き込むのが適当かにについてはご指導もいただき、検討していきたい。吉田正人委員の地域共生圏という用語については、生態的な流域圏に限らず、例えば農産物の流通によってお互いに支え合っているなど、様々なスケールと階層性を持つ概念として使っていきたいと考えているが、英語での表現方法も含め、ご指導を頂きながら検討していきたい。ミレニアムアセスメント(MA)の説明については、どこまで書き込むかといった整理が必要だが、具体的なご指摘をいただければ幸いである。吉田謙太郎委員のティッピングポイントの問題はGBO3でも特定は難しいとされており、どこをtipping pointと考えるかといった点は難しい。鷲谷委員の攪乱の影響について、当方の知見が不足しているので、論文などのデータの提供をお願いしたい。第1部では、個別の現状と課題を全て示せているわけではい。地域指定制度の概要を示しているのは、第3章のグランドデザインにつなげていくためである。
RDBの検討は、現在作業を急いでおり、リストをチェックしている段階。貝類についてはRDB見直しの結果を踏まえて改めたい。また、外来種についても最新の状況を書き入れたい。

<第1部 第3章「生物多様性の保全及び持続可能な利用の目標」について>

53ページの河川・湿原地域のことについてだが、沿岸域の説明では安全・安心、利用と環境の調和などについて記載があるが、河川の説明ではそういった点での説明がないので、バランスを取った方がよい。グランドデザインは最後に複数の生態系にまたがった場合の目指す姿があった方がよい。地域共生圏の考え方でも目指す姿があるのではないか。
「100年計画」46ページで明治神宮のことが書かれているが、書くのであれば神宮の森の造営のいきさつを入れるとおもしろいと感じた。47ページに 国土のグランドデザイン(2110年)とあるが、2110年という年号がいきなり出てくるのは、ほかと比べて違和感を感じる。48ページのサンゴ礁保護区のネットワーク化について、国を超えたネットワークの外に、大きい保護区を一つ設けるのか、小さい保護区を沢山も設けるのかといった考え方は整理されてきており、紹介できる。
2110年については、第3次国家戦略の策定時(2007年)を基準として、100年後のターゲットイヤーとして記載した。
今から100年後ということは22世紀初頭でよいのではないか。
グランドデザインの地域区分が最初に出てくるが、これまでの議論で区分を通した連携が重視されているので、最初に全体があって、地域区分につながるような書きぶりの方が良い。
地域区分の説明のあと、全体的な姿、地域区分といった構成となっており、内容が前後して分かりにくい構造になっているかもしれない。構成については検討したい。
47ページのグランドデザインについて、国土区分上の定義はされているのか、面積は出せるものなのか。また、前回と比べて生物種が多く出てきているのは生きもの好きとしては嬉しいが、一般にはなじみが薄いものもある。
7つの区分は国交省の国土区分とは異なる。面積について、奥山自然地域は植生自然度9、10を、里地里山・田園地域は植生自然度2〜8の地域を主な地域としており、これらについてはおよその面積を出すことはできるが、沿岸域などはデータがないので面積を出すことはできない。種名については、市販本では解説を付けるなど、分かりやすい形になるよう工夫することはできると思う。
地形や人間の関与によって分けたグランドデザインだが、具体的な生態系ネットワークで生物多様性を回復していくためには地図化や目標が必要である。それによりどこをどうしていくか、そういうことまでしないとグランドデザインとはいえない状況になってきている。
例えば東京湾は都市、里地里山、奥山と繋がっているが、三陸では違う。また、北海道では構成要素が違う。横に奥山地域から島嶼地域まで7つに区切るという考え方あるが、つなぎ方について書くことも大切である。
地域区分は土地利用と地理上の特徴で分けた1つのエレメントであり、そのマネジメントがあるだろうが、気候帯などによってそれぞれのマネジメントも変わってくる。それ以外の真ん中のスケール、流域圏というイメージ、エレメントをどうやって繋いでいくのかというデザインも必要。例えば、流域とか水とか物質のネットワークのつながり、自然循環を考えていかないとグランドデザインにならないのではないか。
水循環を入れ込むことによって、圏域の考え方がより明確になるのではないか。流域というと流域だけで見ると捉えられないものがあるが、湿地などのホモジーニアスなものなど、流域共生圏に代表される自然共生圏という考えが良いのではないか。
土地については国土形成計画があり、それとどのように整理していくかという問題もあり、政府の計画としてどこまでかけるのかといった点を整理する必要がある。地図で示していくことについては、データ的にも苦しい状態である。ご指摘いただいた概念をどこまで分かりやすく提示できるかはご指導を受けながら考えていきたい。

<第1部 第4章「生物多様性の保全及び持続可能な利用の基本方針」について>

ビジネスの立場からいうと生物資源が持続可能なもので、それを出来るだけ有効に活用する、循環型で持続可能であるということに魅力を感じている。保全はともかくという面はあるが。自然資源の持続可能な利用ということが基本方針の中にきちんと出てこないのか。基本的視点の「5 統合的な考え方と長期的な観点」については、他の視点に比べてタイトルが抽象的。生物資本の利用に関する総合的、長期的な視点、とまとめて貰えると我々の関心の持ち方としては高くなる。個別戦略としては持続可能な利用はあらゆるところで出てきている。森林資源、海洋資源の利用を考えた時に、山林資源だと放ったらかしにしていることで有効な利用が出来ないということが大問題になっている、だから利用に向けた整備もしていくというと視点を入れていただきたい。エネルギー関係について、バイオマスを含めて循環型、持続可能な利用を何処かできちっと訴えて欲しい。
「慎重かつ柔軟な態度」は誤解を招く表現になっている。アダプティブマネジメントがもともとの言葉であるが、「柔軟な」という日本語はそれを表していないと思う。一般の人には注を付けて、「順応的な」という言葉は残した方がよい。
閣議決定できないからと、一蹴されても良いが申し上げたい。84ページの各主体の役割と連携・協働について、取組の不十分な人たちが集まって仲良く連携していきましょうということに読める。しかし、実際に取組を進めていくには人と金が必要。国の戦略なら企業や市町村などに必ず一人は生物多様性の担当者を必ず置くべき、というくらいの強制力を持つべきである。できることだけを書くのではなく、できないことでもやるべきことを書くのが国家戦略の役割ではないか。
58ページの「科学的認識」が気になる。科学的認識を持ちなさいだけでは読み手には不十分であり、例示が必要。コラム的なスペースを設けるなど工夫したらよい。「地域に即した取組」と「広域的な認識」は2つに分けて欲しい。また、59ページの下の部分は北から南まで例示をしたらよい。
60ページの「社会経済的な仕組みの考慮」で一過性でなく継続的な取組として認証制度を発達させるということについて、生産者も持続的にやっていきたいし、消費者もそうだが、その間の流通がそうなっていない。流通のあり方が今の生物多様性をおかしくしているという議論もある。70ページに生物多様性に貢献する農林水産業という記述があるが、生産者と消費者に対してこうした方が良いとは書いてあるが、その間の流通についてこうすべきだとは書いていない。流通の問題はどこかに記述して欲しい。
読者対象は誰を想定しているのか、よく分からないところがある。一般市民相手であれば、この文章からモチベーションを感じて生物多様性に取り組むかどうかは疑問。第4章は国民の皆さんがそれぞれ何が出来るのか、インスピレーションを与えるように書かないと、役割を書いただけでは人の行動に繋がらないと思う。インスパイアーする部分の工夫をして欲しい。
第3節の「各主体の役割と連携、協働」で、危機管理の分野では、守る側だけでなく守られる側も取り入れるのが最近の考え方。生物多様性に関わっている機関や人だけでなく、それを利用しようとしている人も貢献してもらわなければ困る。生物多様性を理解していない側の人も含めて取り組んでいかなければならない。それをどういうフェーズで取り込むのかの例示を挙げて書かないと、取り組んでいる人だけがやっているんだな、ということになる。利用したいという人もどのような役割を果たさなければならないのか、今後はどうやって取り組んでいかなければならないのかということが示してあると大分違う。
資源の共同管理では、ネスティッドインスティテューションという考え方で、1つの資源をめぐって、企業、民間、行政が入れ子になって取り組んでいくというようになっている。主体別に分けるのは今の時代には合わなくなってきている。
65から66ページ、「生物多様性が有する経済的価値の評価の推進」について、経済学者の視点から見ると分かりやすく書いてあるが、後段の「汚染者負担の原則、完全費用復元の原則、受益者負担の原則」と並べて書いてあるのは一般には分かりにくい。また、「公的な財」と「公共財」は意味が違うのできちっと使った方がよい。非利用価値については曖昧な点がある。個人としては現在も将来も利用しないかもしれないが、遠い地域で誰かが使うかもしれない、など利用しないということが正しく伝わらないかもしれない。もう少し分かりやすく説明して欲しい。
60ページの「社会経済的仕組みの考慮」について、森林の保全について森林環境税に限らずPESなどもっと広く書いて欲しい。70ページの「生物多様性の保全に貢献する農林水産業の推進」も行政の視点であり、農業をやっている人が何が出来るかという視点で書いて欲しい。また、オフセットについてはどういったスタンスで行くのか。81ページのREEDについて、現在は生態系サービスも含めたREED+の議論にになっており、そのような進んだ議論を踏まえた書き方に改めて欲しい。
76ページ「沿岸・海洋域の保全・再生」の5行目、6番目に広い排他的経済水域について、経済水域を越えた大陸棚が加わったので、権利として使えると共に保全の義務が生じることを書いた方がよい。また、深海の利用が熱心に進められようとしているが、そこの保全をどうするのかというのは、海洋の保全として沿岸域のことしか書いていないので、具体性は違うが深海域も将来のことを考えて、沖合の海域についても海洋の特徴を捉えて保全すべきところは保全すると言うことを、抽象的でも示すべきである。
66ページ「生物多様性に配慮したライフスタイルへの転換」について、一人一人が生物多様性を意識して生活して欲しいと言うことだと思うが、大都市圏の人の視点という印象。それ以外の人への提案にもなるよう、具体的な事例を入れていただきたい。84ページの「各主体の役割と連携・協働」はそれぞれの立場のことは書いてあって、それと協働という書き方になっているが、それぞれの間の関連性についても触れた方がより協働が浮き立つ。 「学術団体・研修者の役割」は記述が非常に薄い。若い人が研究者になりたいと思うような一般の社会からの期待ということで書いていただきたい。
全体的な書きぶりについて。非常にいろんなところに配慮されて工夫されているが、前の戦略とどう違ってきているのか、一般の人に読んでもらうのに、今回はここに力を入れているなど分かりやすくして欲しい。各項目の最初に、これまで進んだ点、これから進んでいく方向を示すと良い。基本戦略の頭のところで強調すると良いのではないか。非常に良く書かれているが故に特徴が薄れてしまっているという印象である。グランドデザインについても縦軸の連携を強調すると良い。
基本戦略のタイトルの付け方は暗記できるくらいでないと良くないと思うが、非常に言いにくいものになっている。「2 地域における自然の関係を再評価・再構築する」の「再評価」は「見直し」とした方がよい。言葉を分かりやすくする、流れを考えて書く。基本戦略の最初に1番から5番までの流れを説明しないと、戦略を浸透するということにならないのではないかと思われる。「科学的基盤を強化する」では、「まずは現状を把握し」とあるのにもかかわらず最後になっている。順番を考えるべきではないか。
基本戦略については、62ページで全体を説明しているが、項目の順番についてはどのような順番とすべきかご指摘をいただきたい。 中静委員の社会経済的仕組みについて、オフセットについては、政府の中での検討が進んでおらず書き込めなかったので、更に検討したい。 国家戦略の対象をどう捉えているのかという点については、基本的に国の戦略としてどうやっていくのかを示すのが基本となる。ただし、全てのステークホルダーが自分の問題として協力して実施していかなければならないことから、各主体の役割を示したが、今日のご意見を踏まえてさらに考えていきたい。 山岸委員のご意見に対して、ここに書いたことはやっていくというのが政府の方針なので、やるべきことやりたいことは積極的に書いていきたいが、現実的に難しいものは書き込みにくいものがあることはご理解いただきたい。 宮本委員の「学術団体・研究者の役割」に対するご意見については、是非具体的なご指摘をいただき厚みを増していきたい。 下村委員の強調すべき点を示すべきとのご指摘については検討させていただきたい。
サマリー(パンフレット「いのちは支えあう」)については、全体での議論をしないで作成しているが、戦略の要約でしか無くメッセージ性がない。戦略の趣旨を踏まえて、より主流化するために国民がどうするかを示すと、委員の意見をかなり反映できると思う。
第2部、第3部については、時間がきたので次回以降に回すこととする。本日の素案に対するご意見については、事務局まで提出をお願いしたい。 次回は6月11日で開催が決まっているが、もう一回の追加については6月26日(火)の午後に第7回目の小委員会を開催させていただきたい。
制度について、現状の紹介・課題に留まっていて、今後の方向を示してこその戦略と言うことで、我々としても考えていきたい。山岸委員の意見について、現場での動きを後押しすることを戦略の中で少しでもできればと思っている。グランドデザインは区分をすると政策に繋がりやすいが、今回、それらを束ねる自然共生圏的な考え方を示せれば、今回の戦略の成果であると考えている。 次回の小委員会では、今日議論できなかった第1部の目標や理念と第2部についてご議論をいただきたい。特に第2部は今までの戦略に全くなかった部分であり、愛知目標に対してこの国家戦略がどう答えていくか、しっかり御議論をいただきたいと考えている。次々回の小委員会では第3部も含め、全体について御議論いただきたいと考えている。本日はいろいろな御議論をいただきありがとうございました。