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■議事録一覧■

中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
第4回 生物多様性国家戦略小委員会
議事要旨


1.日時

平成24年5月14日(月)13:30〜17:00

2.場所

環境省第1会議室

3.出席者(敬称略)

委員長:
武内和彦
委員:
大久保尚武、小泉透、桜井泰憲、佐藤友美子、白幡洋三郎、白山義久、辻本哲郎、土屋誠、中静透、中村太士、堀内康男、宮本旬子、吉田謙太郎、吉田正人、鷲谷いづみ(五十音順)
事務局:
環境省(自然環境局長、大臣官房審議官、総務課長、自然環境計画課長、国立公園課長、野生生物課長、自然ふれあい推進室長、動物愛護管理室長、生物多様性地球戦略企画室長、生物多様性施策推進室長、鳥獣保護管理企画官、自然環境整備担当参事官、外来生物対策室長、自然環境整備担当参事官、生物多様性センター長)

4.議事要旨

(1)次期国家戦略における骨子(案)について

環境省より[資料1]に基づき次期国家戦略の構成(案)を説明。[資料2]に基づき次期国家戦略における前文及び第1部から第3部までの骨子(案)について説明。[資料3]に基づき愛知目標の達成や我が国の課題を踏まえ必要と考えられる事項について説明。この後、それらの内容について検討した。

<前文及び第1部(生物多様性の保全及び持続可能な利用に向けた戦略)について>

前文について、震災からの復興については、地震と津波、放射性物質の3つがセットであり、記述にバランスを求める。震災と生物多様性との関係では、直接的な影響に加え、地域から人がいなくなってしまうことによる人と野生動物との相互関係、間接的な影響についても触れて欲しい。(小泉委員)
放射能の影響は余り出てきていないが、世界でも注目されている。未だ分かっていないことであり難しいと考えるが、可能な限り書き込んで欲しい。森林への影響、流域を通しての副作用、野生動物への影響も大きいし、ペットの話もある。最初から議論から外すことはしない方が良い。再生可能エネルギーと自然環境保全との共存についても考えていかなければならない。太陽光、風力、地熱、水力といったものと生物多様性がどう関わっていくのかという点を従来はあまり考えていなかったが、新しい論点として考えていく必要がある。(武内委員長)
放射線による野生動物への影響は、長期的なモニタリングが必要ということを入れた方が良い。急性の影響が直ぐに見られているわけではないが、腐食生態系を介した食物連鎖による影響も考えられる。哺乳類学会等では学会等で連携して、組織的、計画的に取り組んでいきたいという意向がある。放射性物質による影響は第3の危機に入るのか、位置づけをきちっとしてモニタリングの継続が必要という書きぶりが必要。(吉田正人委員)
生物多様性とは何か、生物多様性条約では3つの多様性で議論しているが、最近は景観の多様性を議論することも多い。生態系と生態系のつながりを議論することもある。最近の動向を紹介することも必要。また、生態系サービスを恵みと言い換えることについては、いろいろと議論が必要。(土屋委員)
第1部は生態系サービスという考え方が中心になっていくという割には記述があっさりしている。もっと前面に出てくるように記述と配置を考える必要がある。(小泉委員)
教条的記述で思考が停止している部分がある。生態系サービスが持っている問題点もある。かけがえのなさ、自然共生社会の哲学も入れ込んでいくことも必要。もう少し深く考えていって欲しい。(武内委員長)
第1部への意見は4つある。 はじめに、全体として遺伝子の多様性も重要だが、それに対する重要性と保全の戦略の記述をして欲しい。遺伝子資源の保全、CBDの考え方から言えば平等な利用などももう少し必要。 次に、国家戦略なので政府がやることは一生懸命書いているが、NPOや市町村のことは少ない。役割としてはもっと期待して良いので、扱いをもう少し多くしても良い。 それから公海の問題。何も書いてないが、国際的な日本での役割のような視点で、公海に関する何らかの取組、FAOとの協調など、外海域での漁業などの記載もできるのではないか。 最後に科学的基盤の強化として、データの透明性や公開性を明記していただきたい。非常に多くのデータが取られても公開されていないという現状がある。(白山委員)
第3の危機について、化学物質による生態系への影響では未だに明らかになっていなくて注意が必要という記述だが、世界的にはいろいろ知見があるし、科学的に明らかになっている例もある。育苗箱にイミダクドプリドが利用されるようになってからアカトンボの数が、半分の都道府県で1000分の1くらいに減少していることが報告されている。フランス、ドイツ、イタリアでは種子処理剤のネオニコチノイドは登録を停止しているのではないかと思われるし、イギリス最大の生協ではそれを使った農産物は取り扱わないとしている。よって、注意が必要という記述よりも強くて良い。日本では農薬の残留基準が欧米に比べて非常に緩い。ブドウではEUの500倍、アメリカの15倍など。大量に使われているので、生物多様性を議論する場であるが、空中散布により子供達への影響も懸念されることでもあり、もう少し強い記述が必要。国立環境研究所でもアカトンボでは報告や論文を書いているのではないかと思う。また、農薬が本当に意義ある使い方がされていれば副作用ということもできるが、実際には愚かな使われ方をしている。斑点米カメムシのための使用では、カメムシは周りの牧草地にいるので農薬散布はむしろ天敵のクモなどを殺して問題の根本的解決に繋がらないことも多い。日本ではそのような使用が多くされており、昆虫には多大な影響を与えていると思われる。 遺伝的の多様性については我田引水的だがサクラソウについては環境省の推進費で遺伝子レベルの研究をかなり進めたので、植物の例として挙げても良いのでは。(鷲谷委員)
海の生物多様性について、海洋生物多様性保全戦略で文言修正をいろいろしているのでそれを反映していただきたい。公海域の問題については深海サンゴの問題がある。地域漁業連携といった情報も取り込んで欲しい。 科学的基盤という言葉では、生物多様性をどう評価するかの書き込みが少ない。海と陸では評価の方法が大きく違う。数値化した目標を立てたり、モデル化したりすることが必要。それが出来なければそれが目指していく必要がある。(桜井委員)
エネルギーの問題を危機として捉えるかどうかは別として、社会が関心を持っており重要と考えている。多様性でいくのか、生態系サービスを加味して捉えるか、生態系サービスと一緒に考えた方が社会的には議論しやすいのではないか。 グランドデザインの構成について、最初に生態系サービスの話が書いてあるが、あとのグランドデザインには続いていない印象を受ける。生物多様性だけでグランドデザインを議論するのは無理がある。社会との関係や生態系サービスも加えての議論が必要。 保護地域の議論、コアとバッファー、コリドーなどが重要ではあるが、農林水産業も生物多様性という点では保護という点では異なるが重要と考える。 川の問題については、河床低下、氾濫原の樹林化等、攪乱によって自然を回復していくことが重要である。 科学的基盤についてはJBO、地図化など、社会や生物多様性地域戦略にも結びつくような流れが必要。モニタリングや基盤的データを整えるなど、国の省庁や地方などもまとめて整理していって欲しい。(中村委員)
生態系サービスという言葉について、サービスというと、人間はサービスの受け手という印象が強くなる。人間がどういうアクションを取るべきか、それによって生態系がどうなるかという記述があれば分かりやすい。 生物多様性について、それが失われると一人一人にとってどういう影響があるかを書いて欲しい。主流化にも繋がる問題。温暖化や酸性化と較べてイメージしにくい。具体例を挙げて説明をして欲しい。(宮本委員)
里山・里海の評価について、生態系サービスの変化を過去50年くらいのものを200人位の科学者がまとめている。日本の事情にも配慮しながらまとめているので参考にして欲しい。(武内委員長)
気候変動による生物多様性への影響について、生物多様性条約と気候変動枠組条約で連携して出来ることがあるという点での記述をすべき。 TEEBの方向性は何を見ているのか、これをやることで多様な主体の参画、革新的資金メカニズムの議論が進んでいると言うことを書くと、社会的経済的な仕組みの議論にも繋がっていく。 社会経済的仕組みにおけるミスマッチは、意志決定のレベルが違っていることが問題。国立公園については国民全体がサービスを受けているのであって、国が責任を持つべき。一部の都道府県レベルの話ではない。どのレベルで意思決定すべきかが重要。 社会経済的な仕組みへの考慮が基本的視点には入っているが戦略にはどう反映されているのか分からない。企業の関係も入れると良い。(中静委員)
危機のところでは、第4の危機まで入って分かりやすくなった。 第2の危機で、農林業被害と生態系への影響は人身への影響も良く言われているので取り入れて欲しい。 放射性物質による影響は生態系そのものと、現時点では生態系サービスの劣化により人々がそれを利用できなくなっていることが大きい。霞ヶ浦のウナギからも高濃度の汚染が明らかになったように、影響が広がっていると考えられる。かつて原爆が投下された長崎、広島でも生態系も回復しており、生態系のレジリエンスは高い。そういう日本の経験も絡めて原子力事故への影響を書いても良いと思う。(吉田謙太郎委員)
考え方として、生物多様性の意味と重要性をどう捕らえるかについてと、生物多様性を保全するという意味については重要なことなので書いておいて欲しい。人間の行動そのものがどういう意味を持っているのかも書くべき。個別の意味だけでなく生物多様性を保全するというのはどういうことなのかを書く。グランドデザインの国土区分は一つ一つを対象としているのではなくて、統合的なものである。7つの地域区分だけでなく、気候帯とか植生帯のなかでのつながり等、国土全体から見て、統合的な考え方を書くべき。また、再生可能エネルギー、循環型社会、低炭素社会といった全体的な問題を生物多様性から見たとき、生物多様性はどのような役割があるのかを書くべき。個別の問題だが、全体に関わっていることを書くことが必要。(辻本委員)
以前の戦略の方が平易に書いてある。生態系サービスは消費的なイメージを持ってしまう。生物多様性はそうではないので、しっかりと説明をすべき。「ただし」書きしている部分が実は最も大切な点。書く順番も考慮をすべき。 第3節は抽象的なので、コラムでも何でも良いが具体的にイメージが沸くように工夫をしないと広がっていかないのではないか。自分の生活と結びつけることが大切。(佐藤委員)
各委員のご意見を踏まえ、本文を書き込んでいきたい。 全体を通して、コンサイスにすることによって分かりやすくしたいという思いがある。それによりこれまでにくらべて大分省略した点があり、それがご指摘に繋がっている部分もあると思う。 放射性物質による影響については、関係省庁とも相談しながら、どのように書き込んでいけるのかについて整理していきたい。 愛知目標が出来た後の戦略であること、人と自然との共生についての理念については充分に書き込んでいきたい。 社会経済的な評価を基本戦略の中でもう少し整理した方が良いのではないかというご指摘については、主流化の中でもう少し整理する。 公海の話、主体の話については、国家戦略自体は政府の計画だが主体の限界をどう突破していくのかはもう少し考えていきたい。(生物多様性地球戦略企画室長)
第3章の国土のとらえ方については、これまで類型景観でとらえているが、気候帯や植生帯から日本全体を北から南に分けたとらえ方をすることが大切。河川の連続性や都市の中でも氾濫原の中にあるものや盆地にあるものでは違いがある。マスタープランを立てて行く中でこういった類型で考えていくこと自体は賛成。(辻本委員)
階層性を考慮する必要がある。脊梁山脈や湿地帯などの等質地域(ホモジーニアスなもの)と、流域のような結節地域(ヘテロジーニアスなもの)とを、立体的、縦と横に階層的に捉えることが重要。更にその中での地域区分として明確にしていくことがあって良い。(武内委員長)
地方との連携がかなり弱いと思う。考えを地方に浸透させて行くには、地方の最上位計画であるそれぞれの総合振興計画に生物多様性が取り込まれているか、それに生物多様性という言葉が盛り込まれるように強い表現が必要。(堀内委員)
第3章の沿岸域、海洋域について、海洋生物多様性保全戦略ではもう少し踏み込んで書かれているので、それとの整合性をとるべき。重要海域の選定、沿岸域の開発に対する環境影響評価など、海洋生物多様性保全戦略で書かれている大事なことは国家戦略にも書くべき。(吉田正人委員)
海洋生物多様性保全戦略に書かれた部分は書いて欲しい。その後の新しい問題として、貧酸素の問題はかなり大きな問題になっている。それとクラゲの異常発生。クラゲは生物多様性が損なわれていなければ大発生しない。これは人間が好きな魚だけをとり、捕食者がいなくなった結果である。また、中国での開発により、陸からの水供給が無くなったことによる影響もある。瀬戸内海では、はしけのような人工物を作った際に従来の付着生物がつかず、そこにミズクラゲが大発生している。(桜井委員)
第4章の基本的視点は良くまとまっているが、基本戦略とのつながりが分かりにくい。また、「予防的順応的態度」について、書いてある内容と言葉が難しすぎる。生物多様性への対応をもう少しフレキシブルにと言うことだと思うが、内容は良いのでもう少し分かりやすく書いて欲しい。保全と利用のバランスについては、農林水産省の取組が積極的になってきたことは大きな成果と考えている。利用の戦略という点では農林水産業をきちっと位置づけると、行動面で迫力が出るのではないか。(大久保委員)
第4章の基本戦略で、地域における人と自然の関係の再構成では、地域におけるところがうまく解説されていない。地方自治体単位で考えるのか、地域単位で考えなければならないのかが明確ではない。また、現段階ではアウトラインなので少し表現が曖昧な部分があると思うが、再構築とはいつの時点まで戻れといっているのかが不明確なので、もう少し具体的に示すと良い。(土屋委員)
里地里山の現状で、人口減少、高齢化、野生動物の問題が出ているが、対策はこれまでと同じ方向性となっている。100年計画が前にあって、ここで出す方向性が弱い。全てに手をかけることは無理と考えているので、メリハリ的なものを付けざるを得ないが、前と後とのつながりをつけて欲しい。(中村委員)
第3章のグランドデザインで、7つの地域の間を埋める説明を書かなくて良いのか。相対する地域が並んでいるが、生物多様性ではこの間で濃淡がある。保全にかかる人手・資金・酸素の供給源など、一方向ではないと思うので、つながりというキーワードでその間の関係性も触れて欲しい。(宮本委員)
トキは野生復帰に成功しているが、コストという観点から考えると予防的に対策を行っていく方がいい。社会的仕組みの考慮についてはちょっと表現が弱い。TEEBを考えるとこれからいろいろ対策を取っていかなければならない。PESが今後重要なキーワードになってくると思うが、指針を出すなど環境省が後押ししていくことが重要。環境省が指針を出すことで、自治体、企業が取り組みやすくなる。屋久島の入島料によるし尿処理など保護のコストの負担が実現しようとしている。資金をきちんと作っていく仕組みについて環境省が指針を作ることで、NPOや民間企業を含めて主流化が進みやすくなると考えている。森林環境税は30程度の自治体で導入されているが、負担者はその目的を理解しておらず主流化という観点では疑問がある。自分がお金を払うことで生態系サービスが保全されているというのが見えくると、希少生物の保護などについても「見える化」ができ、主流化につながる。(吉田謙太郎委員)
都市の観点をもっと書いても良い。最近は大阪でも都市の中に森を作ろうという動きもあり、そういった都市の動きを先取りして書いていくこともできる。それから援農など、都市の人が地方に出て行って働くことについても触れて欲しい。それと、以前と較べると企業に関する部分が減っている。CSRで企業が生物多様性の保全に取り組めば、お金がたくさん入ってくる。企業は評価されることはやりたいので、企業に何ができるか、どういう責任を果たしていくことが求められているのかを積極的に示して欲しい。(佐藤委員)
エコロジカルフットプリントについて、一体何を考えるか。地球的規模、広域的な規模で我々がやらなければならないことがはっきりしてくる。影響を明らかにして、基本的視点と基本戦略の流れをつながるようにすべき。基本的視点と基本戦略がもう少し一対一で対応するよう、最初から最後まで一つの視点で見ていった時に、一本筋が通るようにして欲しい。(辻本委員)
基本的視点と基本戦略のつながりについては全体の中でどう見えるようにしていくかが大きな課題であるので再度整理させていただく。都市や農林水産業、海の問題についてもきちっと書いていきたい。 地方とのことについても何を連携していくか、どうすれば具体的に進められるのかは考えていかなければならない。国土のグランドデザインにおける地域間のつながりについてはもう少し考えを深めていきたい。経済についても具体的なことを書き込んでいきたい。(生物多様性地球戦略企画室長)
都市と生物多様性については、現在、条約事務局で議論をしており、COP11で文章がまとまる予定。それを見ながら、今、生物多様性の中で都市をどう捉えていくか、主流化の失敗とも関係が深いので、考えて欲しい。(武内委員長)

<第2部(愛知目標の達成に向けたロードマップ)について>

今の構成案は「我が国の施策」「地域」に並べており第四次環境基本計画に基づいた形だが、どうして愛知目標の個別目標順にまとめないのか。(吉田正人委員)
第2部が愛知目標、第3部が日本の行動計画となっている。 愛知目標から持ってくると、明らかに日本の施策として考えていくものと国際的な視点で考えていくものと、逆に分かりにくくなる部分がある。第1部と第3部との間をつなぐものとして第2部での整理を予定している。(生物多様性地球戦略企画室長)
愛知目標の20の個別目標について我が国としてどういったことをしていく、2015年、2020年に向けてどのように進んでいくのか、それを表のように整理していくのか、もう少し具体的に説明を。(吉田正人委員)
現在各省と協議中なので次回には具体的なものを示せるようにしたい。(生物多様性地球戦略企画室長)
愛知目標は、世界に対してどのように貢献できるのか、先進国と途上国の位置づけをどう考えるのか。途上国への支援として生物多様性日本基金について書き込んでいくこともできるのではないか。(武内委員長)
戦略目標Eの目標20に資源動員ということで書いてある。また目標17で各国が国家戦略を政策手段として採用という部分が関係している。第3部の行動計画の中でも第5章で国際的取組としてまとめて書くことになっているので、そこで愛知目標の達成についてはきちんと書いていく。(生物多様性地球戦略企画室長)
第2部を作ったのは大変良かった。第3部の行動計画の中から拾われてマイルストーンが設定されるので、分かりやすい構造になっている。(中静委員)
20の個別目標ごとに整理するだけではなく、愛知目標が意識しているDPSIRの構造自体を説明する必要があるのではないか。意識が変われば人々の行動が代わり、施策が進展し、さらに人々の意識が変わるといったスパイラル循環のイメージで目標達成につながっていく。(武内委員長)
第2部では愛知目標の説明部分があるので、その中で記述を考えたい。(生物多様性地球戦略企画室長)
海洋保護区の定義については、海洋生物多様性保全戦略の中で書いている。それに基づいて各省で面積を出したものを総合海洋政策本部で取り纏め海洋保護区の面積は8.3%となっている。つい先日、日本の管轄水域が広くなったので目標からは遠ざかったが、IUCNの保護区に関するクライテリアのすべてが包含される定義を用いている。(白山委員)
海の生物多様性保全を有効に進めるにあたっては、量だけでなく質も重要と考える。日本の沿岸域では砂体の生物多様性が一番厳しい現状にある。そういうところでの人間活動を少し抑えていかないと、魚だけでなく軟体動物等も含めて影響が懸念される。海砂採取が問題であり、生物多様性保全上重要な海域で採取されている。かつては川砂で同じような問題が起こっている。規制をしないと良い場所を維持するのは難しいと思うが、どこにデータがあるのか分からないが、客観的な事実を把握して有効な対策を早く行う必要がある。(鷲谷委員)
現在、環境省の事業として保全すべき重要海域の抽出が行われている。(白山委員)
8.3%のうちの6.9%が海洋水産資源開発促進法に基づいた指定地域であり、保護区として認識されていない地域が多く含まれる。どのようなMPAが日本にふさわしい保護区か、どういった管理をしていくと海が豊かになっていくかを議論する必要がある。愛知目標については5つの戦略目標に沿った説明は重要。なぜ20の個別目標が出てきたかという理由があるので、それに対応した説明が時間設定とともに必要。(吉田正人委員)
8.3%は共同漁業権を基に設定しているが、あまり認識されていない。P16の記述を、既存の法的ルールに加えて、沿岸漁業では法的なルールがある。日本の海洋保護区の定義について議論していくことが必要。(桜井委員)
海洋保護区について、御指摘のとおり十分に議論ができていない点があった。また、重要海域については議論を深めていく。(自然環境計画課長)

<第3部(生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する行動計画)について>

第6章の自然環境データの整備について、モニタリングは継続的な実施が大切である。各省がやっていた生物多様性に関わるモニタリングについて、コスト削減だと思うが調査間隔が延びている。モニタリング自体は実施されていても、その間隔が空きすぎると対策が手遅れになるおそれがある。対策に結びつけていくことができるよう、目的に適した形でデータ収集をする必要がある。放射性物質については、事故の初期には海に多くの放射性物質が落ちたということが特徴だが、現在は陸に落ちたものが海に流れ出て影響を及ぼしている。水産物については食品の面からデータは出てくるが、海の生態系の物質循環と長期的な影響を予測できるようなモニタリングが、日本のみならず世界に対する責務としても重要である。(鷲谷委員)
環境影響評価の部分でどのような内容のことが書かれるのか大変注目している。(土屋委員)
企業の資源調達についてはどこかに入れると良いのではないか。国際的な取組の推進の中で、海外の生態系サービスに影響を与えていることに対する取組を入れて欲しい。また、社会経済的仕組みはどこに入るのか、明示して欲しい(中静委員)
エコツーリズムが持続可能な利用のところで新たな項目として入れているのは、エコツーリズムの業としての面を強調したいと言うことか。(白幡委員)
企業の資源調達や社会的仕組みの考慮は第1章の主流化に向けた取組の中で書き込んでいく部分と、国際的取組と関連する部分とがあると思う。第7章の統合的な取組に含まれる部分もある。現在、他府省から具体的な取組について集めているので、現状にフィットしないものがあれば対応を考えたい。 エコツーリズムの内容は、現在の自然とのふれあいの部分に書かれているものを持ってこようと思っているが、言葉の内容が狭くなってくる部分があるので再考も必要かと考える。(生物多様性地球戦略企画室長)
全体として並びが分かりにくい。広域連携施策と地域空間施策はどういう整理になっているのか。広域連携に自然再生があって地域空間にはない。野生生物も同様。持続可能な利用も地域空間施策に含まれると思う。また、生態系サービスの利用は行動計画には出てこないのか。(中村委員)
現行の計画が地域空間施策と広域連携施策という整理をしていたので、これを第2章では基本的に踏襲して組み込んだ。そこで残ったものをどう当てはめていくか。現在、具体的な施策については整理をしている。(生物多様性地球戦略企画室長)
構成を全面的に変えるか、個別に入れ替えをすることが必要であると考える。「持続可能な」という言葉が第2章に加え、第4章でも出てくるが、この言葉はキーワードであるがオーバーラップがある。(中村委員)
用語の使用法は再考する。広域連携と地域空間について、自然再生は広い視野を持って行っているので広域連携とした。(生物多様性地球戦略企画室長)
5年前に3次戦略を整理した者として発言させていただく。整理の考え方は、 地べたに張り付いたものを国土空間的施策として、施策横断的なものや地べたから離れて行われているものを横断的・基盤的施策とした。広域連携施策は区域をまたがっているもので、農林水産業や水産業は横断的な面もあるが、広く空間利用しているということで広域連携施策に入れたという経緯がある。今回はそういった重複を省くために整理をしている。(野生生物課長)
環境影響評価と自然再生をセットにして広域連携施策の中に入れたことは賛成。環境影響評価が単にプロセスとして使われるのではなく、それを使う形でモニタリングを行うとか、マイナスをいかに少なくするかということからプラスをどう多くしていくかということで、この位置あることは重要。自然再生は計画的に着実に行って欲しい。「絶滅のおそれのある種の保存」については「種と生息地の保存と回復」に変えるのが良いと思う。(吉田正人委員)
広域連携施策は、重要な自然を守る、自然を回復していく、失われた自然を再生する、と繋がっているようなタイトルにしたら良い。(武内委員長)
再生可能エネルギーの利用と生物多様性の保全との両立は第3部のどこに書かれるのか、また、具体的な行動計画にどれだけ踏み込んで書いていくのか。再生可能エネルギーの計画が上がってきているところは生物多様性保存上重要な地域が多い。(宮本委員)
場所としては第7章の第2節で書き込むことが出来ればよいと思っている。 具体的なことは次回までに整理したい。(生物多様性地球戦略企画室長)
基本的視点、基本戦略、愛知目標という流れを考えて欲しい。国土のデザイン、国土管理という考えが重要であり、構成の流れが良いと感じた。類型的な空間ごとの取組の前に、それらをつなぐ取組が必要ではないか。農林水産業が広域連携施策から落ちて持続可能な利用に移ったということについて、第2章は国土の土地利用や類型利用であり、農業は農地という類型的景観ではあるが、営農としてどのような農業を目指すのかということで持続的に入れたのはポイントか。ただ、ネーミングは改良の余地がある。(辻本委員)
中村委員の考えを受けて、愛知目標を受けてどのような行動計画を立てるかということにつながるのではないか。主流化があって、それの切り口が生態系サービスであり、それが次の事項につながる、という流れを考えると第3部の流れは戸惑う。空間施策として考えられてきたのであればこの章立てもあるが、生態系サービスをどう取り込んでいくのか。(小泉委員)
資料3で議論が必要なものがかなりある。湿地や高山帯で地球温暖化の影響に対してどう対処するのか、まだ方針が定まっていない。都市の問題でも同様。自然再生の考え方も15%といってもそれをどうとらえるのか、広葉樹林かも含めるのかなど、その内容で施策、行動計画も随分変わってくる。(中静委員)
主流化は重要な課題だが、第1章だけで扱うものではなく、例えば統合的取組中でも主流化が大切である。持続的利用、国際的取組でも、それが行われるためには既に生物多様性の保全が主流となっていることが必要。普及と戦略の中だけに限られるものではない。(辻本委員)
資料3(4)野生鳥獣とも関連するが、主流化のためには教育の問題は避けて通れない。都市の生態系では外来生物が多く入ってきている。ふれあい対象となっている外来種や緑地での外来種の利用など、今後の方向を整理して欲しい。最近のニュースとしてはゼニガタアザラシの個体数管理は非常に論争を呼ぶと予想。希少な野生動物が増えているからといって捕殺するのはいろいろと問題を呼び起こすのではないか。野生生物の保護を主流化するときには、外来種と野生動物を管理することの哲学的なところが我々には不足している。(吉田謙太郎委員)
全般的な意見であるが、第3部の後に「まとめ」を書かないのか。この本全体で何が言いたいのか、前文があって、中身があって、結論があっても良いのではないか。(土屋委員)
いままでは結論的なことは前文の中に含めて書いていた。(生物多様性地球戦略企画室長)
バクテリアは非常に重要だが、生物多様性では抜け落ちている。第4章第3節で微生物資源の利用と保存として入っているが、とってつけたような印象。生態系サービスの主役は微生物という認識も持つべき。それくらいのコメントは何処かで入れて欲しい。(白山委員)
ABSの書き込みがないのではないか。また、COP10を意識して欲しい。(武内委員長)
次回の素案については、今回の指摘を反映させていきたい。「生態系サービス」の考え方を分かりやすく、というのは大切な点と考えている。それを踏まえて、関係省庁との連携等も生きてくる、グランドデザインについても生きてくると考えている。統合的アプローチも。国土のとらえ方もいかに階層的に重複的に捉えるかも検討していきたい。今までの戦略では政府の計画ということで限界もあったが、何処まで書いていくかチャレンジしていきたい。国と地方の関係についても是非強く打ち出してしていきたい。放射能の影響も新しいもので、どこまで書けるか考えていきたい。(自然環境局長)(了)

※山岸委員長代理より、以下のとおり事前に意見送付があった。

(1)
23ページ、下から2つ目の・;「基礎的データ及び標本の的確・・・」(データだけでなく、標本の重要性を明示してほしい)生物多様性基本法第22条には「国は、(中略)、標本などの資料の収集及び体系的な保存並びに情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする」と明記されています。
(2)
24ページ、下から4つ目の○;国家戦略に示された施策を計画的に実施するための体制をつくる」(具体的にどうするのかを書き込んでほしいのです)文化財行政と、生物多様性行政を比べた時、前者の方が法律的にも施策体制の上でも、格段に優れていると思います。