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■議事録一覧■


平成24年度 中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第3回)

議事録


1.日時

平成24年4月23日(火)13:30〜16:36

2.場所

環境省第1会議室

3.出席者

(委員長)
武内 和彦
(委員長代理)
山岸  哲
(委員)
あん・まくどなるど 磯部 雅彦 大久保尚武
小泉  透 桜井 泰憲 下村 彰男
白幡洋三郎 白山 義久 土屋  誠
中静  透 宮本 旬子 吉田 謙太郎
吉田 正人 鷲谷いづみ  
(環境省)
自然環境局長
大臣官房審議官
自然環境局総務課長
自然環境計画課長
生物多様性地球戦略企画室長
生物多様性施策推進室長
野生生物課長
自然ふれあい推進室長
動物愛護管理室長
生物多様性センター
鳥獣保護管理企画
外来生物対策室長
自然環境整備担当参事官

4.議題

1 次期国家戦略における論点(案)について

2 その他

5.配付資料

生物多様性国家戦略小委員会名簿・座席表

資料1
次期国家戦略における論点(案)
資料2
各省施策・関係団体ヒアリングにおける追加質問事項に対する回答
参考資料
生物多様性国家戦略2010(冊子・パンフレット)
生物多様性条約COP10の成果と愛知目標(パンフレット)
第2回生物多様性国家戦略小委員会議事要旨(未定稿)
次期生物多様性国家戦略の策定に向けた提言(公益社団法人日本造園学会)

6.議事

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会第3回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。
 委員名簿につきましては、お手元の資料の中にお配りさせていただいていますが、本日は21名の委員のうち、16名の委員にご出席いただく予定となっております。
 次に、本日の資料について確認をさせていただきます。
一番上の議事次第の裏面にあります資料一覧をご覧ください。まず、小委員会の名簿と座席表、さらには資料1、クリップどめの束になっているものが一つと、あと資料2、さらには委員の先生方には前回の議事要旨、さらには日本造園学会様より次期生物多様性国家戦略の策定に向けたご提言、さらには野生化のトキのふ化について、あとIPBESのお知らせ、さらには日本生態学会外来種検討作業部会様より、生物多様性国家戦略における外来種問題の取り扱いについての提言、さらには新潟大学様から超域朱鷺プロジェクトのA3を折り込んだものと年報を1冊、さらには追加で今お配りしておりますけれども、知床世界自然遺産地域多利用型統合的海域管理計画の見直しの概要と、A4資料をお配りしております。
資料の配付漏れ等ございましたら、事務局までお申しつけください。よろしいでしょうか。
それでは、これよりの議事進行につきましては、武内委員長にお願いいたします。

【武内部会長】 それでは、第3回の生物多様性国家戦略小委員会を開催させていただきたいと思います。
今お話のように、今日は大変おめでたい日になりまして、大変よかったと思っております。このままうまく成長して、本当に野生化に向けた第一歩となることを心より期待したいと思います。
 本日の議題は、次期国家戦略における論点(案)についてでございます。これまでの2回の小委員会では関係省庁や民間団体・企業、自治体の皆様方からのヒアリングを実施させていただきました。本日はこれまでのヒアリングの議論も踏まえまして、次期国家戦略における論点についてご議論いただきたいと思います。
 まずは、事務局から論点(案)について、一通りご説明をいただきまして、その後、幾つかの論点ごとに議論を行いたいと思います。途中15時前後を目処に、1度休憩を挟み、その後17時まで議論を行いたいと思います。できるだけ最後に時間をとって、全体を通しての議論も行えればというふうに考えております。
 前回、大変皆さんのご協力いただきまして、要領よく議事が進行したわけでございますけれども、今日もご発言については簡明にということで、ご協力をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、事務局より論点(案)について説明をお願いいたします。

【生物多様性地球戦略企画室長】 それでは事務局の、生物多様性地球戦略企画室長の奥田でございます。
それでは、論点(案)についてご説明をさせていただきたいと思います。
お手元の資料1、次期国家戦略における論点(案)ということで、クリップどめになって幾つか別紙がついてございます。そちらのほうがお手元の冊子ですとか、パンフレット、それから国家戦略2010の概要というのがこの別紙1としてついていますので、その辺をご覧になっていただければと思います。また、テーブルには前回までの小委員会の資料を、手元にファイルしてありますので、こちらのほうも必要に応じてご参照ください。
それでは、早速資料のご説明に入りたいと思います。
1番.生物多様性の重要性と理念についてということで、現行戦略では第1章として、お手元のこの大きな冊子の中ではちょうど20ページから記載されているところでございます。
現行戦略では、生物多様性というのは、地球の長い歴史の中で時間をかけて育まれてきたかけがえのないものであり、生物多様性の存在自体に価値があり、地球の命と暮らしは生物多様性によって支えられているという点から、重要性を説明しております。
冊子の26、この26ページでは、生物多様性の重要性を示す理念として、四つのものが提示されているわけですけれども、前回のこの委員会でも生物多様性の重要性について記述をもっと充実すべきではないかといったご意見をいただきましたので、必要な視点ですとか、記載内容について、本日ご議論いただければというふうに思います。
2番の、生物多様性の現状と課題でございます。現行戦略では第2章の中、28ページから記載がなされております。
これに関しては、お手元のクリップどめの資料の中の別紙2という横長のA3の資料の中に、生物多様性の課題について整理した表をお配りしていますので、ぜひご参照いただければと思います。
現行戦略では第1から第3の危機と、地球温暖化による危機の四つの危機が進行している点を説明しております。このうち第1の危機については、高度経済成長期とかバブル経済期に比べれば、影響は鈍化しているというふうに言われておりますけれども、実際には問題も残されており、現状と課題をどう考えるかという点があるかと思います。
また、第2の危機については、人口減少と過疎・高齢化の進行等によって、今後一層深刻化していくことが考えられております。現行戦略での課題もしくは次期戦略で重視すべき点について、ご意見をいただければと思います。
また、第3の危機については、外来種による影響のほか、化学物質による影響が挙げられていますけれども、例えばこの最初の審議会でもお話にありましたけれども、ネオニコチノイド等の化学物質について、どう考えていけばよいかという点も、議論としてはあると思います。また、地球温暖化による危機については、今後、海洋酸性化などの影響も含め、地球温暖化環境の変化による影響を危機と考えていく場合に、要望も含めて見直す必要があるのではないかという議論もございます。この辺について、ご意見をいただければと思います。
また、現行戦略では生物多様性への直接的な圧力である四つの危機が強調されてありますけれども、生物多様性の主流化に向けた取組のさらなる推進についても、重要な課題として強調していく必要があるのではないかという、そういった点ですとか、東日本大震災の発生というものは、人と自然との関係を新たに考える契機となりましたけれども、また、放射性物質の放出による野生生物への影響が危惧されるなど、これまでの国家戦略では想定していなかった状況を生み出しております。こういった点も踏まえて、次期戦略の課題として盛り込むべき点はないか、そういったことについてもご意見をいただければというふうに思っております。
それでは資料1の2ページ目にいきます。3番の生物多様性の保全及び持続可能な利用の目標でございます。
現行戦略では、第3章に記述してあります。冊子では58ページからになりますけれども、また、別紙3として今回おつけした資料の中で、またA4の横長になりますけれども、愛知目標と現行の生物多様性国家戦略、そして今月末に閣議決定予定ですけれども、第四次環境基本計画のそれぞれの目標の記述ぶりについて、整理をしてございます。それぞれご参照いただければと思います。
既に、現行戦略では2050年を目標年とする中長期目標、2020年を目標年とする短期目標が掲げられてございますけれども、COP10で採択された戦略目標、愛知目標や東日本大震災の発生を初めとした、これまでの状況を踏まえて、次期国家戦略における中長期目標・短期目標というのを、改めてどのように考えていくべきかについてのご意見をいただけたらというように思います。
続きまして、4番の生物多様性から見た国土のグランドデザインでございます。現行戦略では、第2章の中の第2節、お手元の冊子では63ページからの記載がされております。
現行戦略にあるグランドデザインというものは、100年先を見通した共通のビジョンとして、第3次生物多様性国家戦略を策定したとき、これは平成19年に策定していますけれども、そのときに設定されたものであります。その後、自然環境ですとか人口構造などの社会経済、そういったものの状況というのは変化してきておりますし、また、さらには昨今の東日本大震災を踏まえて、災害リスクの回避ですとか、もしくは軽減、そして安全・安心の確保という、生物多様性の保全に向けた国土管理の考え方、そういったものを考えていかなければいけないと思いますけれども、次期戦略において国土のグランドデザイン、これを何か変更すべき点があるかどうかについて、ご意見をいただければというふうに思っております。
続きまして、5番の生物多様性の保全と持続可能な利用に関する施策展開にあたっての重要の視点でございます。現行戦略では、第4章に基本方針として、74ページから記載されてございます。
まず最初、以前、鷲谷委員からご指摘をいただいたかと思うんですけれども、生物多様性に関するリテラシーということについて、必要性をやはり一般にもわかりやすく説明し、広めていきたいというふうに考えております。
ただ、リテラシーという言葉自体、広辞苑ですと「読み書きの能力、ある分野に関する知識・能力」といった定義がなされていますけれども、生物多様性に関するリテラシーというのは多分単なる知識のみならず、深い理解に基づいて行動をとることができる能力、そういったものまで含められているんではないかなというふうに思います。
こういったものを、どのように説明して、それをどう広めていくかと、その際のアイデアについて、ぜひご意見をいただければというふうに思っております。
また、次期戦略の重要な視点として考えられる点について、これまでにもご指摘をいただいた点を、幾つか例としてここに整理してございます。これについても、個別の説明は省きますけれども、ご意見をいただければと思います。
これまでの小委員会では、また国家戦略の中でも生物多様性の地域戦略というものの策定の必要性について、複数ご指摘をいただいております。地域戦略の策定に当たって必要な視点として具体的にどのような内容を、この国家戦略の中で示していくべきかという点についても、ご意見をいただければというふうに思っております。
それから、6番、右、3ページ目にいきまして6番でございます。基本戦略(次期国家戦略の計画期間中に重点的に取り組むべき施策の方向性)でございます。
現行戦略では、第4章の第2節として、お手元の冊子の77ページから記載されています。現在、生物多様性の社会への浸透、地域における人と自然との関係の再構築、森・里・川・海のつながりの確保、地球規模の視野を持った行動、この四つを基本戦略として掲げていますけれども、昨年実施した国家戦略の点検結果も踏まえれば、引き続き、それぞれやはり取組を進めていくことが必要と言えると思います。
この資料では、重点的に取り組むべき施策の例として、例えば鳥獣被害の深刻化への対応とか、里地里山の保全、外来種対策、また、実は日本時間で昨日、正式に設立が決定したんですけれども、科学基盤のIPBESといった、国際的な機関も設置されることになりましたので、そういった科学基盤の強化、それから生物多様性の調査予測評価とか、その成果の地図化、さらにはABS名古屋議定書の対応、そういったものをここには例として掲げてございます。
愛知目標の達成とか、我が国における生物多様性の危機の現状、社会状況等も踏まえて、今後5年程度で重点的に取り組むべき政策として、どのようなものを考えられるか、ご意見をいただければというふうに思います。
続きまして、7番の行動計画でございます。現行戦略では、また第2部として非常に大部にわたる記述がございます。お手元の冊子では98ページから記載されてございます。
現行戦略では、国土空間的施策と横断的・基盤的施策の二つに分けて、約720の具体的施策を記載してあります。次期戦略では、愛知目標の達成に向けたロードマップというものを提示していかなければいけないというふうに、作業方針の一つでも掲げておりますけれども、これについては、お手元の資料の別紙5というのが、愛知目標の達成や我が国の課題を踏まえ必要と考えられる事項というものを整理したものを配付してございます。
この中にもありますように、愛知目標の達成、もしくは我が国における生物多様性の課題を踏まえて、生物多様性の主流化ですとか、国土管理、もしくは海洋における生物多様性の保全と持続可能な利用、野生生物の適切な保護管理、外来種対策、農林水産業を初めとした持続可能な利用、IPBESですとか、里山イニシアチブを初めとした国際的な取組、自然環境データの整備、再生可能エネルギーの利用と生物多様性の保全の両立、こういったもので整理してございますけれども、この施策のうち今後5年程度で重点的に取り組むべき施策としてどのようなオファーが必要かといったことを、ご意見をいただけると思います。
 現行戦略では、第2部において、国土空間に関わる施策と、野生生物の保護管理や国際的取組、情報整備などを、横断的・基盤的施策として整備しております。愛知目標の達成に向けたロードマップとしていくために、どのような形で行動計画や指標を考えていけばよいか、そういった点についてご意見をぜひいただきたいと思います。
 なお、別紙4の環境基本計画の概要に関する資料として、生物多様性の分野の抜粋を添付してございます。これはこれから閣議決定するものですけど、その中には環境基本計画における指標分についても、整理している記述が入ってございますので、必要に応じてご覧いただければというふうに思います。
 続きまして、8番目の各主体の役割の明示でございます。
生物多様性基本法においては、国家戦略というものは、生物多様性に関する政府の基本計画として位置づけられております。基本的な方針とか目標に加え、政府の施策をその中で記述することということで、法律では定められておりますけれども、現行戦略では全文として、お手元の冊子では17ページに各主体の役割が記載されてございます。
別紙6で、それを抜き書きをしてございます。それをご覧になっていただいて、次の戦略で各主体の役割をどう整理していくべきか、特に国と地方公共団体の役割分担、今、出先機関の見直しを行っています、この点も含めて、また、もしくは企業の役割などについてご意見をいただけたらというふうに思っております。
 9番目は計画期間でございます。現行戦略では全文として、お手元の冊子では18ページに記載がございます。
これまでの戦略では、概ね5年程度を計画期間とすると、それで毎年点検を実施することとされていますけれども、次の戦略では、例えば愛知目標にあわせて2020年までの計画期間とすべきではないかと、そういった議論もございます。
また、行動計画に関しては、実は2015年に愛知目標の達成状況に関する中間評価というのを、条約のほうに出さなければいけないことになっておりまして、その辺の結果もまた踏まえて見直しの必要性というのを検討するというのも、一つ考えられる方法かなというふうにも思われます。
 また、点検に関しても毎年同じような形で全体を点検するのではなくて、例えば数値目標については、生物多様性白書等にその状況を報告するといった方法もあるかと思います。全般にわたる重点的な点検というのは、入念に指導するという方法もあろうかと思います。そういったことについてもご意見をいただけたらというふうに思っております。
 また、以上で一応論点のペーパーの説明は終わりますけども、資料2として前回までの各省の施策ですとか、関係団体のヒアリングにおける先生方からのご質問に対して、回答を整理したものを配付してございます。これも議論の参考になると思いますけれども、時間が限られておりますので、説明は割愛させていただきます。
 さらに、最初にご紹介がありましたけれども、日本造園学会、それから日本生態学会の外来種検討作業部会からご提言をいただいております。
これも内容は、それぞれもし補足があれば、委員のほうからご説明をいただきたいと思いますし、それから非常に大学が地域づくり、もしくは保全に対して貢献している例として、新潟大学朱鷺・自然再生学研究センターさんからも、年報とパンフレットのコピーをいただいております。これも非常に重要な事例として、本当はご紹介いただけると思ったのですけれども、時間がないものですから、また必要に応じて関係する委員からのご発言があればと思います。
 さらに、参考として昨日トキが生まれたというか、野生に復帰したものが繁殖したという報道がございましたけれども、それの関係資料、それから先ほど申し上げてまいりましたように、IPCCの生物多様性版、IPBESの設立というのも決まりましたので、それに関する記者発表資料もつけております。こちらについてもご覧いただいて、ご議論をお願いしたいと思います。
 1点忘れました。櫻井先生から、知床世界自然遺産地域多利用型統合海域管理計画の見直しの概要というペーパーもいただいておりますので、これについても後ほどご発言をいただければと思います。
 以上でございます。

【武内部会長】 どうもありがとうございました。それでは、早速、論点(案)の議論に入らせていただきたいと思います。
計九つの論点がございますので、幾つかの論点をまとめた形で、ご意見・ご質問を受け付けさせていただきまして、回答が必要なものについては、最後にまとめて回答をしていただくということにしたいと思います。
また、今日いろんな資料がございますけれども、適宜発言の中に、その資料についての補足等のことも入れていただければ幸いでございます。
 それでは、論点1.生物多様性の重要性と理念及び論点2.生物多様性の現状と課題について、ご意見・ご質問のある方は、お手元の名札を立てていただければと思います。
 それでは、鷲谷委員からいきましょうか。よろしくお願いします。

【鷲谷委員】 第3の危機のうち、外来種だけではなくて、化学物質による生態系への影響の現状と課題をどうとらえるべきかということなんですけれども、かなり劇的な現象が起こると、このことには目が向くと思うんですが、例えば世界全体に目を向けますと、インドハゲワシという、西洋の紋章のライオンの体で、頭がワシのあれがそうなんですが、1990年代に4,000万羽ぐらいインド・パキスタン・ネパール辺りに生息していたものが急速に減少して、減少した率が99.9%という。普通に見られるに近い鳥だったものが、ごく貴重な鳥になってしまったんですけれども、その原因は、獣医さんとか農家が家畜の治療に使うジクロフェナクという抗炎症剤なんです。
それが死体に残っているものをハゲワシがついばんでしまって、体の調子が悪くなって死んでしまったり、繁殖できなくなる。急激に減少したがゆえに、原因を探る努力というのがすぐ行われて、原因が解明されると同時に、わずかに残った鳥の保護増殖にも成功したんですけれども、そのセンターをつくってそこで保護増殖させたんですが、まだ現状が、原因がすっかり取り除かれていないので、野生復帰の取組には至っていないんだろうと思うんです。
化学物質の影響というのは、ほかの要因ともふくそうしながら、複合的な影響として出てくるので、どのぐらいそれが影響があるかということを、しっかり研究しないとわからない面もあるんですが、その分野の研究というのは、日本では十分ではないように思います。
 それで、かなり疑わしいものとして、先ほどネオニコチノイド系の農薬のお話が出ましたけれども、昆虫類の農村地域での激減、その農薬だけではないんですが、それから前もここで発言させていただいたことがあるかもしれませんけれども、アカトンボ類がある農村地域で減少していて、むしろ東京のほうがよく見えられるような事態になっているということも、苗を処理する箱の中で使う農薬が原因ではないかということが疑われているんです。
疑われるぐらいだと、こういう問題というのはなかなかアクションにはつながらないことが多いんですが、疑わしきものをまずは考えて控えるというような方針がないと、生物多様性が、ほかの要因も含めて複合的な影響を受けて衰退していくということを、なかなか止めるのは難しいのではないかと思います。その点、トキを野生復帰する地域でも行われていますけれども、農薬を控えた農業というのが生物多様性を意識しながら広がりつつあるということは、希望が持てることではないかと思います。
化学物質の影響、もう一つは隔離されているときはまだいいんですけれども、震災などのときに、その隔離ができなくなって、環境中に出てしまって、人知れず影響が及ぶということもあり得るんです。そういう危険なものというのをどう扱っていくかということとも絡めて、生物多様性の一つの指標にもなりますので、生物多様性を保全し、持続可能な形で利用していく面からも、こういう生物を殺す化学物質については考えていく、使い方を適正にしていくために、生物多様性をむしろ使っていくという考え方も必要なのではないかと思います。
 以上です。

【武内部会長】 ありがとうございました。
それじゃあ、吉田委員。

【吉田(謙)委員】 2の生物多様性の現状と課題の3番目の第3の危機について、私も鷲谷先生と同じ部分ですけども、2点ございます。
 一つは外来種についてですけれども、自然保護専門委員会のほうでも意見は、提言を出したいと思いますけれども、既に外来種検討作業部会のほうからお手元のほうに提言が出ておりますが、外来種に関しては今までの2010の戦略でも書かれてはいますけれども、やはり非意図的な導入などがずっと続いておりますし、その影響というものが止まっていないという現状もありますので、そのあたりもう少し危機感を持って書くべきではないかということが、このご指摘のとおりだと思います。
 それからもう一つ、化学物質に加えて、放射性物質による影響というものも、今度の次期戦略では書いていく必要があるんじゃないかと思います。5月13日午後に霊長類学会、野生動物医学会、哺乳類学会と、野生生物保護学会で、「どうなる野生動物!東日本大震災の影響を考える」というシンポジウムをやりまして、いろいろと放射性物質による直接的な影響のみならず、第2の危機にも関係しますけれども、野生生物の管理というものが行われなくなることによる影響というものも出ておりますので、そういったことについて、ここの放射性物質による影響というのを新たに加える必要があると思います。
 以上です。

【武内部会長】 ありがとうございました。
土屋委員、お願いいたします。

【土屋委員】 最初の生物多様性の重要性と理念について、もう少し詳しく書いたほうがいいと言いましたので、その観点から少し発言をさせていただきます。
 このページを幾つか使う中で、もう少しめり張りといいますか、具体例を紹介するとき図表等も使ってわかりやすく書くのがいいのではないかという印象を持っています。
その中で、例えば第一次産業、特に農業・林業等で、ある特定の生物を養殖・栽培するときには、その地域だけ考えれば生物の種類数は少なくなってしまうわけですから、そのとき生物の多様性の重要性とどう関連があるかということは、いろいろな観点から議論しなければいけないところですが、この品種のところで少し書いてありますけれども、もう少し内容をわかりやすく説明するといいのではないかと感じました。
 それから、自分自身で生物多様性の講義をしていまして、矛盾を感じながらしゃべっているところは、すべての命を守るべきだと言いつつも、私たちはゴキブリを殺したり、サンゴ礁ではオニヒトデを殺したりしているわけですが、その矛盾点をどう解決したらいいかというのは、自分自身でも答えを持っていません。
いろんなところで話をわざとストーリーに持っていって議論をするのですが、どこでもまだ答えが導き出されていないようなんですけれども、そういう矛盾点を感じながら議論しているところにちょっといら立ちを覚えているものですから、何かいい解決策はないかというところを、こんなところで議論できればと思っております。
 以上です。

【武内部会長】 ありがとうございました。
中静委員、お願いします。

【中静委員】 ありがとうございます。3点ほど話したいんですが、まず第2の危機に関してなんですけど、現行の記載だと、そういうこれまでの農業ですとか森林ですとかという使い方が変わったことによって、危機にあるという面がもちろん強調されているんですけど、やっぱり行動計画まできちんと考えると、本当はそういう場所がどういうふうな形で生業とか産業として今後成り立っていくのか、あるいは生活として成り立っていくのかという視点を持たないと、なかなかこれは博物館的な保全というところにいってしまうので、やっぱりこれは環境省だけではなくて、農水省あるいは水産庁などと協力した形での方向性を、何とか見出したような書き方になっていってほしいなというふうに思います。
 それから、地球温暖化の件なんですが、これは温暖化だけではないのは明らかなので、やっぱり表記としては「気候変動」というふうに書くのが正しいと思います。
具体的には、現在の記述ですと、やはり温度が上がるということの影響だけしか書いていないところがあるんですけども、降水量も変化しますし、そうなると河川の洪水の頻度ですとか、河川行政なんかも変わっていかなければいけませんし、雪の影響も非常に大きいというふうに考えられています。また、台風の変化も大きいという、あるいは極端現象の影響というのは非常に大きく出るというようなことが指摘されていますので、こういうものを含めた形で、気候変動という形で述べていくのが、やはり正しいだろうというふうに思います。
 また、それから気候変動を離れて、気候変動といいますか、今お話ししたのは大体温暖化とそのメカニズムはかなり関係しているんですけど、例えば窒素循環のような話というのは、今、世界中は窒素過多の状況にあって、それはいろんな水界、特に水界生態系ですけど、ものすごく影響が出てきているのが現状ですので、例えば窒素のような問題なんかも、これは第3の危機に含めたほうがいいのか、あるいは地球変化という形では第2の危機なのか、その辺を見極めて少し書いたほうがいいんだろうなというふうに思います。
 最後に、東日本大震災の件ですが、これに関してはやはり私はこの復興という中で、環境省さんが計画されている復興国立公園の件も十分書いていただくべきだと思いますが、やはり今回の震災の被害を受けた地域というのが、生物多様性を初めとする生態系サービスに非常に頼ってきた地域であって、例えばこの復興に当たって工業化を目指すということは、あり得ることかもしれませんけど、その地域を工業化を中心とした復興を目指すというのは、私は正しくないと思いますので、大部分の地域においては、これまでこの地域が培ってきた生物多様性あるいは生態系の恵みというものを生かして、持続的なものをつくっていくという方向をぜひ盛り込んでいただきたいですし、それと同時に、これは後の自然回復の例えば愛知目標みたいなものとも関連するんですが、この地域で今回非常に被害を受けたのは沿岸地域の生態系ですので、しかも沿岸地域というのは一番これまで生物多様性から見て、今後も衰退が危惧されているという生態系ですので、何とかこの地域の社会の生態系サービスを盛り上げるということも含めて、自然回復の場所、15%という目標が既にありますので、そういうものを含めて考えていただけるといいというふうに思います。
 以上です。

【武内部会長】 どうもありがとうございました。
ちょっと私のほうからも申し上げたいと思いますけど、今までの議論に関連して。
一つは、やっぱり従来、生物多様性条約もそうでしたけども、生物多様性条約の目標が生物種の減少というのにかなり強調されていて、それがわかりにくいということにつながっていて、そして今度の愛知目標の中では、もう少し人間臭い面も入れて議論をすることによって、社会的な理解を得ようとしたということがあるものですから、やはりその方向で考えていきたい。重要なのは持続可能な土地利用というか、生物資源利用というかな、そこの部分を強調するということじゃないかなと思うんですけどね。省庁との連携みたいな話の前に、そもそも考え方として。
 そうすると、こういう「生態系サービス」という言葉を今回定着させるかどうか、これがかなり大きな。生物多様性はもちろん、だから大事な要素として残るわけですけれども、それに加えて生態系サービスということで、今、中静さんが言われたような観点で、いわゆる農林水産業地域だとか、里地・里山・里海を見ていくという、そういう視点ですよね。
それから、すごく大事なのは、さらにそれが人間の福利につながっているという面です。これMAの言い方で言うと、ヒューマン・ウェルビーイングといいますけれども。だから、そこまでを一体として議論をするというスタンスを、この際、明確にしたほうがいいのではないかということだというふうに私はとらえました。
 それからもう一つ、確かに地球温暖化じゃなくて気候変動だということなんですけれども、海洋を含めると、あと難しい言葉になるんですけど、「地球変動」という言葉があるんです。グローバル・チェンジという。それだと全部入るんです。
それがちょっと難しければ、地球環境変動ぐらいにしておいて、その中の陸域部分ではとりわけこうだと、海域部分ではこうだと、酸性化の問題がというふうに広くとらえるという視点で、今回見直しすることが一番いいんじゃないかなと私は思ったので、ちょっと補足的に。
これは白山委員のほうから、もし何かご意見がございましたら、お願いしたいと思いますけれども、私はそういうふうなほうが今回はいいんじゃないかなと思って、ちょっとあえて発言をさせていただきました。
それでは、すみません、櫻井委員お願いします。

【櫻井委員】 ありがとうございます。今、武内会長がまさに言われたとおり、地球温暖化のことなんですが、実はベーリング海が1972年以来の大結氷なんです。
下から冷えてきていまして、オホーツクも流氷が増えているということで、ちょっと今気になっているのは、やはりIPCCのシナリオに沿って我々は「地球温暖化」という言葉を使っていますけれども、果たして本当に地球温暖化という言葉を使っていいのか、今言われたように、異常気象も含めて、やっぱり地球環境の変動なんですね。それを一本化で温暖化だけで持っていっちゃうと危険ではないかということで、ここは少し慎重に見直したほうがいいだろうと。
今年のIPCCが恐らく次のあれを出しますから、それには今度はかなり方向を少し、太陽黒点とか、黒の問題とかいろいろ入ってきますので、もうちょっと科学的なデータが出てこない限り、「地球温暖化」という言葉で1本にしちゃうのは、私は危険だなと思っています。
 以上です。

【武内部会長】 ありがとうございました。
それじゃあ、あん委員お願いします。

【あん・まくどなるど委員】 生物多様性の現状と課題についての意見ですが、適切でない意見であるかもしれないんですけど、今のところで六つの項目があるんですが、ぜひ検討してお願いできればと思っているのは、世界における日本というものはないようで、やはりCOP11までは日本は条約の議長国としていろいろ注目を浴びられたり、いろいろリードしたりしている部分は確かに大いにあるかと思いますので、ぜひグローバル視野を持った上での国土、国家戦略についていろいろ書かれたら、その後ナショナルだけじゃなくてグローバルな国家戦略になるんじゃないかなと思います。
その課題を考えるときには、ほかの委員はどういう考えを持つかわからないんですけど、やっぱりガバナンスの課題というのは、一つの課題だと思うんです。生物多様性の現状と課題を考えるときには、自然界をフォーカスして考えていくことも大事だと思うんですけど、人間という課題もガバナンスという課題もあるんじゃないかなと思いますので、やっぱりヒアリングの中で各省庁の政策について、いろんな話があったかと思いますので、この部分で国土のグランドデザインのところだけではなく、こういうところで思い切った、フランクに課題について、ガバナンスの課題について、少し書かれたらと思います。
 以上です。

【武内部会長】 ありがとうございました。
大久保委員、お願いします。

【大久保委員】 第2の危機に関してなんですが、人口減少あるいは高齢化という問題です。
それで、先ほど委員長からもお話がありましたように、やはり持続可能な自然利用という観点がですね、私としては非常に気になるところで、人が足りなくなる、高齢化するということで、自然に対する人の働きかけが弱くなっている結果、自然が弱くなっているという、的確なる人間の思惑があって、初めて自然が生き生きしてくるということがあると思いますんで、そのあたりの問題が一つと、あわせて第一次産業、林業・農業・漁業、このあたりの第一次産業の危機と、高齢化による生物多様性の危機、これがダブルで重なってくるような感じがしまして、ぜひそのあたりの置かれている今の状況からの危機感、それを何らかの格好で持続可能な自然利用という、そういう方向に持っていけるように、何か提言ができるというか、方向性を示せたらいいなと思っております。

【武内部会長】 農林水産業の一種の第六次産業化とか、さらにそれに加えてほかのいろんな新しい地域の付加価値化も加えた形での地域の振興という話が出ているので、その話と生物多様性の話がどうつながるのかというのが、余りちゃんと議論していないと思うんですね。
そこは、私は議論する価値があることだと思いますので、ぜひそのような観点で、いわば農林水産業を本当の産業としてやっぱりどうやって復興していくのかという、こういう課題ですよね。ぜひお願いしたいと思います。
白山委員、お願いします。

【白山委員】 ありがとうございます。地球環境の変化ということにつきましては、もう櫻井委員のほうから詳しくお話がありましたので、私も全くそのとおりだと思っています。
「変動」という言葉と「変化」という言葉、ちょっと意味が違うんじゃないかと思っていましてですね。変動というのは上がったり下がったりという感じですけれども、変化というのはトレンドがこうあるということだろうと思うんですね。地球環境の変動という言葉は、どちらかと言えばfluctuationで、平均値はずっと同じということもあり得る。だけど何となくイメージとしては地球環境変動というと、実は変化をイメージしているというところがあります。

【武内部会長】 気候変動というふうに言っちゃったのが間違いなんですね、あれ本当は。そこが問題なんですよね、もともと。

【白山委員】 ええ。クライメート・チェンジなんですね、もともと。ですから、言葉として変動として変化は、どちらかと言えば区別をして、変動の幅が大きくなるというのは非常に、人間にとって、社会にとっては大きなインパクトがある。そういうとらえ方をされると、少し整理された物の言い方になるんじゃないかなと思います。
私が申し上げたいのは、全体のトーンなんですけれども、やっぱり我が国というか、日本の今までの社会というのは生物多様性とのつき合い方というんでしょうかね、いろんな多様性の持続可能な利用ということから言えば、私は優等生だったというふうに思うわけですね。それこそ里山とかそういうことはですね、世界に誇れるすばらしいことだったと思います。そこをやっぱりきちっと管理、重要性と理念というところでは、やっぱりきちっと書き込んでほしいんですね。
その理念。理念というのは、そういう生物多様性とも持続可能なつき合い方というものだろうと思いますので、今までの日本の社会の生物多様性とのつき合い方というのに関するきちっとした評価をすることと、もちろん社会構造変わったわけですから、その先、こういう社会にしたいという将来像をきちっと書き込みたいと思います。できれば、明るい将来像を描いてほしい。
 実はずっと思っているんですが、国家戦略とか何とかの危機とか、言葉のトーンが全体的に暗くてネガティブなものばっかりなんです。
もう少し、そうではなくて、やはり次の世代に明るい日本の社会として、自然との共生を果たすとか、なんか。言葉はちょっと私はそれこそリテラシーが十分でなくて、うまく言えないんですが、そういう明るい雰囲気をもう少し書けないだろうかということを、全体のトーンとしてお考えいただきたいと思います。

【武内部会長】 ありがとうございました。
下村委員、お願いします。

【下村委員】 私からは、先ほど来議論になっている第2の危機絡みの話です。それとあわせて造園学会からの提言書の中にもそういう問題、書き込まれておりますので、ちょっと簡単にご紹介をしたいと思うんですが。
やはり委員長がおっしゃっておられた農林水産業との関係の問題ですとか、それから生態系サービスとして地域をどんなふうに評価をしていくのかというような問題は、これからやはりもっと踏み込んでいかざるを得ないだろうなというふうに思います。
造園学会の提言の中で、前段のところには現状認識が書いてあって、その後10項目の提言になっておるんですが、その2番目のところに、「地域の自立」という言葉を使っています。律するという言葉と、立つという言葉、両方あって、人材育成なんかの話では、どちらかというと立つほうから律するほうへという流れがあるんですが、ここではむしろ、これまで自立的に循環の問題、物質とかエネルギーの循環の話をしてきたんですけども、先ほどの中静先生もちょっとおっしゃっておられたように、実際に地域がこんなふうに経済的にも、モデルとして成立をしていくのかというような検討も、あわせてやっていく必要があるんだろうと思うんですね。
震災の調査、震災復興に絡めた学会の調査のときに、あるチームで簡単にそういうことを調べたことがあるんですが、世帯の家計ですね、それが極めて低いというより、都心部と比べて非常に低い家計で成り立っていると。
つまり、これまでの東北のエリアというのは、かなり自給自足の部分というか、内部の循環でもって維持していたところがあって、完全に市場経済の中で成立しているものではなかったんではないかと。
それが、震災を契機に一気に経済競争の中に取り込まれたりとか、都市化の流れの中にほうり込まれようとしているところがあって、そういったところをもう一度ちゃんと見直す必要があるんではないかと。
あとのグランドデザインというのにも関わる問題だと思うんですが、もう少し地域の中でちゃんと自立していける、エネルギー的にも資源的にも自立していけて、それはある程度経済的にもやっていけるんではないかというようなモデルの提示ですね、そんなこともご検討をいただければというふうに思います。
 あわせて8番目に、多様な参加主体のエコロジカル・マネジメントということを書かれていますけれども、やはりこれも経済的な側面とか担い手を実際にどういうふうに確保していくかというようなことを、もう少し現実的にマネジメントとして、管理のマネジメントとしてと考えていく必要があるだろうと、まあそんなことも大きな課題かなということで、提言書の中に盛り込まれておりますので、またご検討いただければというふうに思います。

【武内部会長】 それでは小泉委員、お願いします。

【小泉委員】 ありがとうございます。3点申し上げたいと思います。
一つは国家戦略ですので、一面では地球規模の変化に対応した戦略を日本政府として示すということが大事だと思います。
しかしながら国家戦略ですので、もう片方では地域に支えられなければ国家戦略になり得ないということがあると思います。そういう意味で、戦略のつくり方、ペーパーのつくり方として国際的な動き、生物多様性をめぐる動きを踏まえた上で、日本政府はどういうふうにアクションを起こすのか、それから地域レベルで起こっているさまざまな生物多様性に関する動きに対して、中央政府としてどのように対応しようとしているのかというふうな構成になったほうが、外向け・内向けという言い方はちょっと不適切かもしれませんけれど、わかりやすいのではないかというふうに思います。
 それからもう一つは、生物多様性に関するシナリオというのが、科学的なデータに基づいたシナリオというのが、まだきちんと示されていないということが、論点における1それから2に関するやや羅列的な対応策の提示というふうになっているのではないかというふうに思います。生物多様性というのはどういうふうにしたら高まっていくのか、こういうモデルをつくったらいい、こういうシナリオで進めばいいというようなものをもっと積極的に示していく必要があるのではないかというふうに考えます。
 それから3点目は、担い手の問題です。
私は、日常茶飯的には、第2の危機に関連して野生動物の被害の対策に当たることが多いのですが、その中で問題になるのは、誰がこういった管理を担うのか、将来に向かってどういう法人ないしは個人が、野生動物の管理を担っていくのか、これが大変大きな問題で、論議もなされています。
同様な論でいきますと、生物多様性も特に第2の危機ということが大きく取り上げられるのであれば、担い手論というものは同時に進めていく必要があるのではないかというふうに感じます。
 以上です。

【武内部会長】 どうもありがとうございました。
今のことに関連して、私もちょっと後から出てきますけども、グローカルみたいな言い方でただ言ってしまうのではなくて、きちっと国家戦略ですから、国というものがあって、その上にサブリージョンがあるわけですね、世界的には。さらにその上にリージョンがあって、グローバルというふうになるような流れが、今あるわけですね。
それで、さらに地域の中でも、またかなり広域的な地域からコミュニティみたいなところまでの、そういう階層的な構造を、その国家計画の中でどういうふうにきれいに整理をするんだということはかなり大きな課題で、従来のようにトップダウンかボトムアップかというんじゃなくて、その両方向をうまく入れ込むような構造にしたような、そういう階層性の組み立て方という、そういう感じのとらえ方を出していかなきゃいけないというふうに思うんですね。
これはIPBESの今、議論の中でも、そのことを議論していますのでね、要するに階層性を束ねたNested structureみたいなものを提案していくのが、生物多様性における最も大事な点だと。
これが基本的には気候変動の議論というのは、世界じゅうのCO2で、家庭もCO2だという話とはちょっと違うというところをですね、やっぱり強調すべきだと思いますので、そこはまた私の資料もございますので、今回ちょっと工夫をして、できるだけ立体的に生物多様性をとらえる、新しいフレームワークを出していくといいなというふうに思います。
 吉田謙太郎委員、お願いします。

【吉田(謙)委員】 資料の中にも既に触れられておりますし、これまでのいろいろな企業の方とかからご説明があったところではあるんですけれども、やはり主流化とあと経済的価値、見える化ということについて、やはり私からもちょっと強調させていただきたいというふうに考えております。
 企業に関して言えば、国内だけではなくて、外国においても原材料調達、そこがきちんと生物多様性に配慮したものであること、それが見えて、そういったことに配慮している企業が評価される仕組み。認承のこともいろいろと書いてありますけれども、こういう認承というのは国が行ったり、地方が行ったり、NPOが行ったり、いろいろなところが行うと思いますけれども、こういったことが進んでいくということが非常に重要ではないかなと思います。
 先ほども議論ありましたけれども、生物種の減少を防ぐ、あるいは生物多様性の問題そのものというだけじゃなくて、生態系サービスと絡めていくというのは非常にわかりやすいし、範囲も広がってくるので、生物多様性と生態系サービス、どちらもひっかかるような、あるいはどちらかにしかひっかからなくてもいいんですけれども、企業活動等の促進、それとあるいは企業活動に対して多少負荷がかかるかもしれないけれども、そういったものを守っていかなければならないという、そういう規制につながる部分かもしれないですけれども、そういったコストの部分を明確化していくということ。それによって主流化を行う。
 それとあと、これは私の不勉強の部分もあるかもしれないんですけれども、国や地方公共団体が行っているいろんな費用便益分析ですとか、費用対効果分析を見てみますと、どうしても人工的なアメニティ空間をつくったり、さまざまな事業を行って保護を行っていったりするというようなことに対して、便益が発生する。生物多様性とか生態系サービスですね。なんですけれども、そうではなくて、基本のところはやはりいろいろな事業を行ったり、企業活動もそうですけれども、それによって環境が失われるという費用、費用が出てくる。
費用便益分析の中には、必ずしも便益の中だけにその自然保護の観点が出てこなければいけないというわけではなくて、何らかの形、不可欠な事業を行うことによって費用が発生する。それが野生動植物、生物多様性や生態系サービスが失われることの費用である。そこがきちんと見える化してくるということで、いろいろな意思決定に役立ってくるのではないかなというふうに思います。
 これは、諸外国ではいろいろな観点で行われておりまして、今日もちょっと本を読み直してきたんですけれども、やはりニューヨークのキャッツキルにおける生態系サービスの問題ですとか、飲料水の供給ですとか、そういったような問題がいろいろと各地にありますし、日本でもそういった議論が広がってきておりますので、費用と便益の中でも、費用のほうがより見えやすくなってくると、いろいろな意思決定の中に主流化されてくるのではないかなというふうに考えております。
 それと、第2の危機に関していろいろと議論が、皆さんからご意見がありましたけれども、私も同じで、やっぱりここのところは非常に重要であろうと。
何で重要かというと、人間生活の中で見えやすい部分であると。奥山の中にいる固有種、絶滅危惧種あるいは見えにくいものよりも、非常に人間の生活にとって身近なものがそこにいるということで、特に象徴的な存在ではないかなというふうに考えております。
ただ、日本の農業の状況を考えますと、限界集落という言葉が最近よく使われておりますが、全部を同等に保護していったり守っていくというのはなかなか難しいし、いろいろな社会情勢も絡んで、すべてできるわけでないだろうと。
もう実際に撤退してしまったところもあるし、それによってどう変わってきたのかということをフォローアップしている研究もあると思うんですけれども、こういった第2の危機をもたらすドライバーについてはよくわかっていると思うんですけれども、どこがティッピング・ポイントで、どこを過ぎるとどういったことが起きるのかということがもう少し議論されれば、選択的に重要な箇所に関する保護が行われるのではないかなというふうに考えております。
 もちろんその場合には、食料生産という観点からの重要な地域、さらに生物多様性を保護する、生態系サービスを供給するという観点から、重要な地域が見えてくるのではないかなと思います。
これは第2の危機のところだけではないんですけれども、例えば2ページ目の生態系の回復能力、このレジリエンスというのは非常に重要な言葉だと思うんですけれども、私はやっぱりティッピング・ポイントという言葉も非常に重要な言葉で、そこに至る前に、きちんと健全な状態に生物多様性であるとか、生態系サービスを維持していくということが重要ではないかと思います。
 最後に蛇足になるんですけれども、先ほど来、トキのひなの問題が、皆さん非常にうれしい出来事として語られておりましたけれども、もう一つ、3月にはヤンバルクイナも人工飼育下でひなが誕生して、成功したということがあって、今後の日本社会できちんとこういう重要な固有種をもう減らさない。遺伝的多様性をきちんと保ったまま、将来世代につなげていくということを、もう少し訴えてもいいのではないかなというふうに、私個人的には考えております。
 以上です。

【武内部会長】 ありがとうございました。
宮本委員、お願いします。

【宮本委員】 ありがとうございます。一番最初の生物多様性とは何かということ、これは説明するのには、事業あるいは一般の方からのご質問等で非常に苦労しておりますけれども、わかりやすさを追及しようとしますと、身近なもの、それからシンボル的なもの、目立つもの、有用なものというようなものから入っていくのがもちろん、これは平易な言葉で説明していくというのが非常に有効だと思います。
ただ、一方で有用性を実感しにくいものとか、日常、目に触れにくいものの価値を示すというのも同時に大切なことではないかと思います。
平易にわかりやすくというのと全く逆行するんですけれども、一方で非常に根本的な、例えば生物哲学であるとか、環境哲学であるとか、非常に難解ではあるんですけれども、そういう根本的で深い内容というものを、何とか盛り込むことができないのかということをご検討いただければと思います。
以上でございます。

【武内部会長】 ありがとうございました。
それでは、事務局のほうから。

【生物多様性地球戦略企画室長】 包括的なご議論をいただいて、一つ一つにお答えはなかなかできないと思うんですけれども、まず最初のご議論になった用語等については、気候変動等については検討させていただきたいと思います。
それから一番最初はですね、鷲谷委員のほうから化学物質の件、これらについては今日のお話も踏まえて引き続き考えさせていただきたいと思います。具体的な事例も集めていきたいというふうに思っております。
また、外来種についても検討を進めておりますので、その点についても書き込むような形で入れ込んでいきたいと思っております。
それから、多様性の議論、今の宮本委員の文献もありましたけれども、ちょっとその辺も含めて皆様方のご意見をいただきながら検討させていただきます。
 あとは、もう個々のやつは差し控えさせていただきますけれども、産業との関係、さまざまなご指摘がありましたので、その点は入れさせていただきたいと思いますけれども、特にスペシフィックにお聞きいただいた点は、後はなかったかと思いますので、また今回のものを踏まえて、さらに骨子案をお示しする段階で反映させていただいて、また整理を一つ一つさせていただきたいというように思っております。
 事務局のほうからは一応以上ですけれども、そのほかの担当各課から補足があればしていただきたいと思いますけど。

【武内部会長】 局長、何かありますか。結構、これ今、大事なところなんで。

【自然環境局長】 貴重な意見をいただきました。
多分、今いただいた意見は、重要性とか現状課題にとどまらず、全体を通じて今回の戦略で、一つは生物の面だけに包括するんじゃなくて、それとの人間のかかわりなり社会経済とのかかわりというところまで、今まで以上に踏み込んでいく資源の持続可能な利用という面、あるいは生態系サービスというようなことも活用しながら、一次産業とのかかわりといった、人間の側の問題と生物の側の問題をどううまくつなげて戦略を変えていくかという点は、全体にわたって今回の地域の視点というのもあるかと思いますけれども、今回の戦略で踏み込んでいく必要がある点だというふうに思いました。
 また、空間的にもグローバルなところからコミュニティまで、これはかなり階層的に考えていくということが重要で、今までの戦略より丁寧に、こういった空間的な階層的な構造について、どう表現していくかというようなことも重要な点ではないかなというふうに思います。
将来像を示すというところも、生物の側からだけじゃなくて、社会経済がどう変化していくか、生産と消費のあり方がどう変わっていくか、エネルギーについてどう考えていくか、都市と農村の関係を、今後人口が減る中でどうとらえていくか、そういったことの中で、生物の側からだけの将来像じゃなくて、生物と人間の関係の中での明るい展望が持てる将来像をどう描くかというようなところも重要な点になってくるんじゃないかなというふうに思いましたし、キーワードとして、COP10でも、ティッピング・ポイントとレジリエンスというのは非常に重要なキーワードとして強調をされました。
そういったティッピング・ポイントを避けるために、生態系の回復力を高めていく、それを社会経済との関わりの中でどう高めていくかを示していくというようなことが、すごく重要になるんじゃないかなというふうに委員の方々のご意見を受けて、そんなところをやっぱり突っ込んで検討していく必要があるなというふうに感じたところであります。
個々の危機の中に、どういうことをさらに加えていくべきかといった点については、今度の戦略の現状と課題の中で、今いただいた意見についても含まれるような検討を、さらに進めていきたいと思います。

【武内部会長】 全体としてですね、やっぱり愛知目標で、長期目標で自然と共生する世界というのが採択されたわけですから、日本のその宣言の中で、やっぱりそこをかなり強調して、人間自然関係としてとらえて、そしてそれがどちらに偏っても、つまり人間の力が強過ぎてもだめだし、弱過ぎてもだめだという、そういうダイナミズムの中に今、我々はその問題としてこれをとらえているんだというふうにして、何となく従来だと1の危機、2の危機、3の危機ってみんな独立変数みたいになっているけど、これ全部関係しているわけで、そういうふうにしていくと、日本の状況というのは、より逆に言うと人間が手を離すというところに近寄り過ぎているけれども、世界を見るとまだまだ自然を壊すという方向の動きもあって、というふうな話をすれば世界にも通用するような話になるというのは、これは里山イニシアチブなんかで言っている話なんですね。
それで、ただ人間と自然の関係だけじゃなくて、自然そのものが大きく変わるという、そういう人間起源の大きな地球環境変化というものが、さらにその問題をより複雑にしているという中で、レジリエンスだとかティッピング・ポイントというのをとらえていくという、そういうちょっと枠組みを最初に設定して、その中で個々にこう記述していくと、私はいいように思いますけれどね。
そうすると、今回のやつが非常に従来とは違う形になって、しかも国際性も持って、それから国内的にいっても、これからの新しい課題に挑戦していくというようなことにつながるし、それから白山さんが言われたように、やっぱり夢のある戦略にしていくということにもつながると思うんですね。
つまり、日本が再生するという、日本再生シナリオの生物多様性なんだというふうなですね、とらえ方をしていくということが、いいんじゃないかと思うんですね。
かつて気候変動でも、危機意識から始まったわけですけども、今は再生可能エネルギーだとか、それから低炭素社会に向けたエネルギーの効率化の問題だとか、今はそういうところがフロントランナーとして走っているわけで、問題だ、問題だという危機意識だけを今、論じている人は、もうかなり少ないわけ。そういう観点で少し方向を明確に示したほうがいいんじゃないかなというふうに思います。
 それでは、恐縮でございます、論点3、論点4、生物多様性の保全と持続可能な利用の目標と、生物多様性から見た国土のグランドデザインについて、もうこれ既にかなりお話をいただいているところですけれども、さらに今までの議論を踏まえて、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。
これ、国土形成計画やなんかとは、どういうふうにつながっているんですか。

【生物多様性地球戦略企画室長】 多様性の基本法の中でですね、関係する政府の計画との間での調整規定というのは入ってございます。
具体的には、お手元の冊子の321ページにございますけれども、第12条というところで、最初の第1項は環境基本計画を基本として策定するということが規定されておりまして、第2項で環境基本計画、生物多様性国家戦略以外の国の計画は、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関しては生物多様性国家戦略を基本とするものということで、調整規定があるわけですけれども、実際には今回その辺の具体的な調整作業というのをどうするかというのは、これから関係する省庁と検討していきたいというふうに思っております。これに基づいて、それぞれの省庁と調整を図っていきたいと思っております。

【武内部会長】 下村委員、お願いします。

【下村委員】 今のことと関連する話なんですが、先ほど明るい未来を描いてほしいというふうに、確かにそうあっていただきたいとは思うんですが、今の現状、なかなか明るいだけでもっていくのは難しい側面もあると思うんですね。
またちょっと造園学会の提言書に戻っていただいて恐縮なんですけれども、そこには現状をどんなふうに認識するかとか、国家戦略はどんなふうにとらえているかという、私どものどう考えたかということは、1ページ目にちょっと書いてあります。
それで、中段のところに書いてはあるんですが、今回の東日本大震災を経験いたしまして、これまでのずっと従来の近代産業型の流れでは、どうもこのままこの延長上に幸せは余りないんじゃないかというようなイメージが、割とはっきり認識されてきたのではないかと思うんです。これまでも潜在的にはそういうことは考えられてきたわけですけれども、そういうことが割とはっきりしてきたと。
ここにただ書いてあるとおり、その段の4行目に書いてありますとおり、一見背反しているかに見える課題の調整の中に、国土像・地域像を模索していく必要があるというふうに書いてありまして、必ずしも今完全に将来がやはり見え切るのは難しいのかなというふうに、ちょっと認識として書いてあります。
その中でこの2010の国家戦略、非常によく考えられて、よくできてきているというのも認識ですので、ある程度この方向性を維持もしながら、大きなグランドデザインというか、長期的な目標としては、短期的にいろいろ出てくる、ほかの先ほど国土形成計画の話にも出てまいりましたけれども、あと農業農村整備計画のようなものもございますし、他省庁でもさまざまなグランドデザインを描きながら、地域モデルを出したりされていると思うんですが、その調整が結構これから鍵になるんではないかと思うんですね。
 ところが、一方で国土庁というものですとか、それから何年か前に調整費といったようなものもなくなってしまいまして、そういう省庁間の調整の場とか機会とかというものがかなりやっぱり減ってきちゃっているのも、一方で事実だと思うんです。
こういう機会にそれぞれヒアリングされて、それだけの意思疎通で十分なのかと、あるいは地域戦略なんかも随分できてきていてですね、そういったものとの中での情報交換ですとか、そういったものがまだまだ十分ではないと思いますので、これからちょっと見えにくい社会の中で、意見交換とか情報交換の機会をやはりしっかりつくっていくというのは、非常に大きな課題だと思うんです。
ウエブを活用されたりとか、あるいは具体的にもう国土庁サイドというわけにもいきませんので、どういう形でそういうのをセッティングされるかなんですけれども、ぜひそこの省庁間の連携、情報交換をしっかりとっていただくというようなことは考えていただけるとありがたいというふうには思います。

【武内部会長】 ありがとうございました。
それでは、吉田委員お願いします。

【吉田(謙)委員】 前回の生物多様性国家戦略の2010というのは、2010年3月に閣議決定されましたので、その後、愛知目標の前にGBO3なんかが出る、それよりも前なんですね。もう新しいような気はしますけれども、大分前になってしまいました。
ということは、やっぱり世界の生物多様性がもう今やティッピング・ポイントを超えるか超えないかというところ、項目によっては超えてしまっているというような、そういう状況の中にあるというような危機的な状況の認識とか、そういったものは十分盛り込まれていない部分もありますので、ちょっと明るい未来の話ではなくて申し訳ないんですけれども、そういった厳しい状況の記述というのは必要ではないかと思います。
 それからもう一つは、東日本大震災の発生を受けということで、これに関してはここの部分だけじゃなくて、最初の生物多様性の重要性と理念のところにも関係してくると思うんですけれども、我が国は経済発展を遂げている経済成長期に、偶然にもマグニチュード9なんて地震は、そのときはなかったということで今まで来たわけですけれども、でも非常に長い期間を考えてみれば、日本列島はそのぐらいの地震や津波というのは何度も何度も来ているわけで、そういった中で生物多様性というか、もっと広く自然というものに対する認識というものを、前回、川勝知事もおっしゃっていましたけれども、畏敬というもの、それから、そこからまた生まれる恵みというのはあるわけで、そういった中で生きていかなきゃいけないと、そこら辺の認識というのは、やっぱり次期戦略ではきちんと書かれるべきであると思います。

【武内部会長】 私、今お話を聞いて、やっぱり危機的な状況はもちろん書く必要があると思うんですけれども、その危機的な状況を単に改善するんじゃなくて、かなり根本的にそれを裏返してチャンスにつなげていくようなね、例えばそういう意味では震災という大変大きな問題を、地域再生の一つの手がかりにするというような考え方から出てきていますよね。
それから、自然環境にとってみれば人が減っていくというふうなことは、場合によったら、要するに国土の自然軸みたいなものを再生するという一つの機会でもあるというとらえ方ができると思うんですよね。
買えば幾らだって、この間そういう試算もありましたけど、1けた違っていたんで残念だったんですけれども、そういう危機とそれからオポチュニティをセットで考えるようなやっぱり考え方の中で、その明るいということを言っていかなきゃいけない。
ただ明るいだけだったら、それはもう本当ばかみたいな話で、ですからそこをうまく論理的につなげて、例えば第一次産業の、かなり根本的な見直しがいわゆる二次的な自然と言われている日本の特徴的な自然の再生にもつながるんだというふうな、それはもちろん現状はそういう状況じゃないわけですから、危機的な状況なわけですけれども、そこいらあたりの話をきちっと論理的に展開すればいいんじゃないかと思いますけれども。
 中静委員、お願いします。

【中静委員】 2点なのか1点なのかちょっと区別できないかもしれませんけれども、一つは、大震災のときの反省といいますか、わかったことの一つは、やっぱり非常にいろんなものが一極集中していて、そのためのリスクヘッジが十分できていなかったことがすごく大きいと思うんですね。
例えば、エネルギーにしても東北全体が停電してしまうとかというようなことは起こってしまったわけで、そういうことを考えると、先ほど来議論されているような、地域でいろんなものを自給率を高めていくというようなことが、日本全体の国土のデザインとしてもリスクヘッジになるし、同時にその生物多様性から見てもメリットが大きいのであるということを、やっぱりどこかでデザインの中に入れてほしいなという気持ちがあります。
 もう一つは、その次の5番のところにいろいろ出てくる、例えばいろいろなマルチストーリーの構造というか、階層構造みたいなものとか、地球益と国益とかという、あるいは流域の重要性の再認識というような問題と関連するんですけど、私は現行の国土デザインの策定とか、それからそのガバナンスに当たってのスケールミスマッチというのがかなりあるだろうというふうに思うんですね。
例えば、水源税をかけるにしても、神奈川県の水源が出てきている、山梨県には全然水源税のメリットがいかないとか、あるいはみんなで守ろうと言っているところが、地域の人たちだけがその恩恵にあずかっているというような、例えば今回の国立公園の地域移譲の問題にしても、生態系サービスを誰がメリットを受けていて、じゃあその管理に対して誰が責任を持つのかというようなスケールがミスマッチをしていると、そのガバナンスがうまく働かないというのはもう、いろんな経済学ですとか環境経済でよく言われていることで、そういうものに対して、そういうことができるだけ自然にスケールミスマッチが解消できていくようなデザインですとか、それからガバナンスの仕組みを少し、これ本当はコモンズのやり方と同じだと思うんですけど、そういう仕組みを100年後といいますか、それぐらいを見るのであれば、そういうことも考えていただけるといいなというふうに思いますし、そういうこと自身が生物多様性を組み込むことに非常に私は有効だというふうに思います。
 以上です。

【武内部会長】 ありがとうございました。
土屋委員、お願いします。

【土屋委員】 事務局から用意していただいた、この資料のグランドデザインのところの最後には、次期国家戦略で変更すべき点はあるかという質問が投げかけられております。
全体的に考えた場合、その変更すべき点があるかどうかというのは、前回のものを反省して、ここが悪かったから直そう、もっといい方法が見つかったから変えようということであると思うんですけれども、勉強不足であればおしかりを受けるんですが、前回の七百幾つかの行動計画があって、それぞれがこういうふうに実施された、こんな反省点があったというように、私たちが勉強できるまとめたものというのはあったんでしょうか。
自分が関わった計画には、ある程度理解を示しているんですが、全体的なものがあって、それをもとに、ここをこういうふうに変更すべきだという点が出てくれば、わかりやすいんですけれども、そのあたりはどうなっているか、お教えいただきたいと思います。

【武内部会長】 磯部委員。

【磯部(雅)委員】 メーンストリーミングということを考えたときに、環境と経済との関係を論ずるのは大事だというのは、そのとおりだとも思います。が、加えて、この3番に出てきているのは、環境と防災あるいは安全との関係を考えることが大事ではないかということで出てきているのだと思います。
現状では、特に今回の3・11の津波については、東北を中心として、これからの津波防災をどうしていくか、特に象徴的に言えば、海岸保全施設をどのように復旧していくかというのが決まりつつあるところですから、その中にどのように安全と環境を調和できるのかというあたりを入れるということが必要なのではないかというふうに思います。
幾つかのレベルで調和といっても、相当その環境重視で調和をしていく、具体的には地盤沈下を起こして、旧来の海岸線がはっきりしないようなところについて、もう少し旧来の陸地まで海域として考えていく、干潟とかあるいは湿地帯として考えることができるのかというような自然重視の考え方から、やはり安全を守るために堤防・護岸は造るんだけども、造るときにはこんなような工夫をしたらいいというような具体的なところまで、幾つかレベルはあると思いますけれども、ここで何も言わないと、やはり津波の災害というのはものすごいものでしたから、高い壁を建てるという方向に、基本的には進んでいくんだと思います。そこでどんなことを考えるかというのは、ぜひ入れていかなくてはいけないんじゃないかというふうに思います。

【武内部会長】 ありがとうございました。
それじゃあよろしいですか。じゃあ、事務局のほうから。特に前回の計画の目標達成状況みたいな話と、今回にどうつながるのかという話。

【生物多様性地球戦略企画室長】 吉田委員からご指摘のあったとおり、前回のが2010年の3月ということで、実はこの点検という作業を通じて、それを進捗状況と評価というのを行うシステムをとってございます。
それで、今年の1月に、実は2010初めての第1回の点検というので、点検結果というのを審議会のほうにはお配りをして、そのご意見をいただいたものを、前回の小委員会で簡単にお示しをしたかと思うんですけども、個々の政策そのものに対して、大部にわたるので、それぞれに評価をして、また見直すべき点がないかどうかというのは、記載をしたまとめた表みたいなものはあるんですけれども、ただここで言うのは、国土のグランドデザイン全体ビジョンみたいなものまで見直すべきかどうかというところまで、まだ1回の点検なものですから、そこまでの評価というのはできていないというふうに認識しております。
ですから、ちょっとそういう意味では今のものをそのままあるかどうかというのが、評価が十分できていない段階で、こういうお尋ねをするのは大変失礼だったかと思いますけれども、そういう意味で、逆に大きな視点の部分からどうお考えになるかというところを、ぜひご意見をいただきたいという趣旨でございました。

【武内部会長】 よろしいですか。ほかに何かコメント。
 それでは、少し休憩をとらせていただきたいと思います。10分の休憩をとりたいと思いますので、3時5分から再開させていただきます。
(休憩) (再開) 【武内部会長】 それじゃあ大体予定の時間になりましたので、再開をさせていただきたいと思います。
 論点5、これについてはこれだけでご議論いただきたいと思います。生物多様性の保全と持続可能な利用に関する施策展開にあたっての重要な視点ということで、ここに資料として、論点が書かれておりますけれども、これらについてのご意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 鷲谷委員お願いします。

【鷲谷委員】 先ほど名前が出ましたので、生物多様性リテラシーに関してですが、生物多様性に関する国民のリテラシーを高めることについては、こういうような場で時々話題になって、その際、初等中等教育において、しっかり教育課程の中に組み込むことの重要性というのが指摘されていたと思うんですけれども、前の戦略から今回までの間に、そのことは実現しているんです。
この間の文科省のヒアリングでも、多少お話がありましたけれども、新しい学習指導要領の中では、例えば高校の指導要領ですと、もう生物多様性と生態系のバランスというようなことで、それを学習する時間も確保されているんです。
それで、そういう進展があった一方で、初等教育から中等教育全般にわたって、そのことを教えることのできる先生がどのぐらいいらっしゃるか。
特に、この生物多様性にかかわるリテラシーを高めるための学習や教育においては、野外での学習というのがとても重要ではないかと思うんですが、そのあたりの指導者をどう確保していくか、あるいは学校の先生が教えるに当たって、研修などをどうしていくかということには大きな課題が、紙の上に書かれた、学習指導要領とか教科書に書かれた段階で、すぐにそれが生徒のリテラシーにつながるわけではありませんので、そこをつなぐ仕組みをどう工夫していくかということが、これからの課題になるのではないかと思います。
 地域戦略に関してもですけれども、地域戦略、各地でそれぞれの地域の事情などを反映しながら、いろいろな意欲的なものを取り入れたものも含めて戦略ができてきていますけれども、それをやっぱり実行する段階で、それを担う人材ですね、それをどう確保していくかということが、やっぱりとても重要な課題になるのではないかと感じています。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 吉田正人委員。

【吉田(正)委員】 ここに整理されているものの中で、生態系の回復能力レジリエンスというのは非常に重要だと思います。
この震災からの回復ということももちろんありますけれども、それだけではなくて、自然変動がある中で生態系が回復力を持つぐらいに、人間の利用も、そういった中で利用していくべきであると。あるいは、レジリエンスを持った状態にするために環境負荷を、大きな環境負荷を与えないようにしていくとかですね、そういった考え方というのが、今回はそういう震災ということがあったこともありますので、ぜひ入れたほうがいいと思うんですね。
ただ、なかなか新しい言葉、特にこういう片仮名の言葉を入れるというのは、広めていく面で非常に難しい面がありますけれども、その点でいくと、やっぱり生物多様性はかなり広がってきましたので、プラス、先ほど吉田謙太郎委員がおっしゃいましたけれど、生態系サービスのほうですね、こちらが言葉としては生態系の恵みと、括弧書きでしてもいいかもしれませんけれども、あるいは自然の恵みとしてもいいかもしれませんけれども、それがもうちょっとわからない、理解できないと、このレジリエンスのほうも理解できないということで、これをセットでですね、広げていく、そうすると、先ほどから議論されている、これは生物だけの問題ではなくて、人間や社会も含めた問題なんだということが理解されるようになるんではないかなと思います。
以上です。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
今のことに関連してですね、私は短期的な自然災害に対するレジリエンスというのと、長期的な変動に対するレジリエンスと、両方あわせて考えていくという枠組みを出したほうがいいんじゃないかなと思うんですね。
それぞれまたばらばらにというふうにやるんではなくて、例えば湿地の再生が、その短期的な自然災害にも強い社会構造を満たし、同時に、長期的な気候変動や何かに対するアダプテーションとしても有利になるというような、そういう形の提案の仕方というのができればいいんじゃないかなと思いますけれども。
土屋委員、お願いいたします。

【土屋委員】 今、議論になっているところに関連した点から意見を述べさせていただきますと、新しく生態系サービスの内容を充実させようという点につきましては大賛成なんですけれども、つくり上げようとしている冊子が、生物多様性の国家戦略で終わってしまうと、その中身がよくわからないということになってしまいますので、時々話題になっておりますように、この冊子のタイトルにもそのあたりの工夫を入れて、日本の生物多様性の考え方がどう展開していくかというところまでわかるようにするといいのかなと思いました。
それから、個々の項目につきましては、先ほどの質問と関連しますけれども、今までの活動の反省を踏まえたものであれば、それはすばらしいことなので、そのあたりがわかるようになるといいと思います。
それと最後ですが、一番下に、生物多様性地域戦略の策定促進に向けた視点というのがありますが、策定促進というのを国家戦略に入れるのかどうかというのはいろいろな議論があるかもしれませんけれども、もう既につくってしまった、つくってしまったというのは言葉がちょっと変でしょうか、つくり上げた視点もいっぱいあるわけですから、そのあたりのことも考えて、この言葉を国家戦略の冊子に入れるかどうかというところも含めてご検討いただければと思います。
以上です。

【武内委員長】 ありがとうございます。
山岸委員、お願いします。

【山岸委員】 ありがとうございます。前回の改定のときも申し上げたんですが、余り前向きの意見じゃないんですが、生物多様性が主流化になれない理由というのを初等教育の欠如とか、中等教育の欠如とか、それからマスコミにどう流すかとかと言っているんですが、その中の一つに、土屋委員と宮本委員が先に言った、生物多様性というものはどういうものかという基本的なことに関して非常に困った問題があって、前々から言っているんですが、ウイルスや病原菌がなぜ生物多様性じゃないのか。それを取り扱わない理屈というのが何なのかというのが、一般にわからない。
ちょっと進んだ人によると、そのことによって非常に反感を持って、生物多様性の国家戦略なんて言っているけど結局人間のエゴで、それは本当は経済性とか、持続可能な利用なんて、赤痢菌を持続可能な利用をしたって困るので、あり得ない話ですよね。
そういうものをどういうふうに考えていくのかというのは、やっぱり一考ないと反感を買う理由になっているんじゃないかと私は思うんですが、いかがなものでしょうか。

【武内委員長】 磯部委員、お願いします。

【磯部(雅)委員】 今の山岸委員の意見に関係しますけど、経済とか、それからさっき私が発言した防災とかというのは、割合方向性が一方向で、変動と変化に似ているかもしれませんけど、経済活動というのは、基本的には活性化すればするほどいい。それから防災も安全であればあるほどいいというところがあるんだけど、環境というのは、あるバランスが成り立っていればよくて、どこかが極端に大きくなったり進んだりしてしまうと全体のバランスが崩れて、全体としては余りよろしくなくて、生物多様性が失われるという方向性があるのだと思います。
その辺の難しさというところをやっぱりちょっとメンションしないと、このことがわからなくて、それで赤痢菌という話も、その難しさの中の一つではないかと私は思っています。
つまり、バランスをとりながら生物が多様に、そして多量に生きていけるという、そういう環境をつくらなくてはいけないんで、それはなかなか難しいことなんだということを、素直に、私としては書いてもいいんじゃないかというふうに思っています。
 しかし、そこでちょっと具体的になって申しわけありませんけど、今の生物多様性戦略の2010の一番最初のところに、地球の成り立ちと生命の誕生というのが書いてあって、これは大事なことなんですけど、もうここに、自然を人間が、でもつくることはできないということを明確に書いて、そういう自然の成り立ちがあって、営みというものがあって、その自然という営みの中で、人間はそれを、その営みを、できる範囲で保全するように努力もするし、そこから生態系サービスという形で利益も受けるしというようなことがあるんだけれども、しかしだからといって、人間が全部それを設計してつくるのは当然できないということを書くと、やはり、まず自然を大事にするという姿勢が第一に出てきて、そこから、でもやはり、人間のやるべき役割は果たさなきゃいけないし、そこから得られるものは得てもいいというところが出てくるので、その辺はぜひ書いてほしいなというふうに思っています。それがリテラシーということとはちょっと違うかもしれませんけど、生物多様性を理解してもらうための一つの考え方で、そういうバランスをとるのは難しいことだということも入れたらいいんじゃないかというふうに思います。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 宮本委員。

【宮本委員】 先ほどの 生物多様性に関するリテラシーの部分なんですが、言葉を広めていく、あるいは内容を、その知識を広めていくという部分では教育システムを使っていくというのが最も効果的であると私も思います。
ただ、そのときに、科学的・論理的な事柄と、あと情操教育的な事柄というのを、かなり戦略的に明確に分離していく必要があるのではないかというふうに考えております。
ともすると、特に初等教育、低学年になればなるほど、理科の授業あるいは総合学習等で生物多様性を扱う場合に、科学的な事柄というのをちょっと置いておいて、情緒教育的なところにどんどん傾いていく傾向が散見されます。
例えば、山に棲んでいる動物に木の実を送ろうとかですね、あるいは災害地域、これは東北に限りませんけれども、何か災害が起こった地域に特定の植物を植えてもらうように全国的に送りましょうというようなムーブメントが起こることがあります。
これはすべて善意ですので、極めて止めにくい、あるいは水を差すということが難しい場合がございますが、科学的には非常にまずいことが起こるというのもあり得ると思います。
例えば、マングースの導入とか、オオクチバスの導入も最初は善意で行われたことであろうかと思います。そうしますと、やはり教育上、科学的な根拠をその論理的に理解してもらうことというのと、それと情緒・感性に訴えるキャッチフレーズ等というのを、かなり明瞭に認識した上でお使いいただいていくということをご検討いただけたらと思います。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 大久保委員、お願いします。

【大久保委員】 企業が生物多様性にどう貢献していくかというのはいつも議論になっているわけで、例のCO2問題については、企業が技術的な貢献では相当できるなと、できているなと。
しかし、特に企業が得意な技術開発面で、生物多様性とどうかかわっていけるかなというのはなかなか難しくて、ぱしっとした答えがないんです。この間の味の素さんみたいに、もう事業そのものが生物多様性と密接に絡んでいる場合にはわかりやすいんですけれども、一般的にはなかなか難しいわけです。
そういう中で、今多くの企業が、日本の企業がやっていますのは、やはりNGOとの共同作業で貢献していこうという形がやっぱり圧倒的に多くなっております。それで、特に資金面でありますとか、あるいは一部技術面の応援その他も含めながら、NGOと一緒に協働ワークをやっていくということが非常に多くなっているんですが、今後ぜひ考えたいなと思っていますのは、前にもちょっと申し上げましたが、やっぱり資源。
資源としての生物多様性というものをどう考えていくかという面で、企業としては、やはり資源としての生物多様性、エネルギー、バイオマスといったようなものも含めて、どうそれにかかわっていくのかというのが今後の大きな課題だろうなという認識は持っているということを申し上げておいて、これをどういう形で国家戦略の中に組み入れるのかどうかというのはよくわかりませんが、現実にはそういう問題意識を持っているということでございます。

【武内委員長】 ありがとうございます。
 中静委員。

【中静委員】 私は前回も言わせていただいたことなんですけれど、国際的な視点というところで、現行のものでも少し書いてあるんですが、やはり日本は先進国として、ほかの国からたくさん生態系サービスを輸入しているという視点に立たないといけないと僕は思っていて、それで、場合によると、私たちが輸入している生態系サービスが輸入の相手国のほうの生物多様性を、ある程度破壊しているかもしれないというような、そういう視点をやっぱりもう少し強調したほうが私はいいと思います。
そういうことを、例えば企業活動の中でも生かしていただく、あるいは消費者活動の中でもきちんと位置づけるというような書き方が、今のものでは具体的にそういう国際的な視点を持ってというところで、一体じゃあ何をすればいいのかというのは読めない形になっているのではないかなというふうに思います。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 ちょっと私のほうから一つ論点を申し上げたいんですが、今リオ+20でいろいろな日本の取組を紹介させていただいているんですが、そういう中にですね、中静委員のかかわっておられるような、ああいう震災復興における生物多様性の尊重というようなプロジェクトがあって、それを全部今入れて話をしているので、そういう話も今回ちょうど国際と国内を結ぶような話としては非常にいい例なんで、ふゆみずたんぼの例とか、報告書ができていますのでちょっと見ていただいて、ぜひそういうものを参考にしながら、世界と日本をつなぐという形にしていただきたいなと。
 もう一つ、これは環境省で、総政局がやっておられるESDも、今度10年が、来年、再来年ですか、ということになっていてですね、私は学校教育も大事だと思うんですが、やっぱりフィールドがある中で、ESDと生物多様性というのは、結構親和性があるんじゃないかと思うんですね。
いろいろな人たちが、地域というものを単位にいろいろな取組をしていくと。それでその中で、要するにリテラシーを高めていくというふうな、そういう観点もあるんではないかとは思っていまして、そういうこともぜひ入れていただければいいなと思っています。
 ほかによろしいでしょうか。
 それでは、事務局のほうから。

【生物多様性地球戦略企画室長】 リテラシーの話については、先ほどのご意見も踏まえながらわかりやすく、今のご指摘も踏まえて書いていきたいなというふうに思っております。
 あと、レジリエンスのご指摘、委員長のほうからもありましたけれども、これは今回やっぱり新しく入れるべき話で、特に震災復興との関係及び先ほど来議論のあった気候変動の関係ですね、というところで、やはり自然の力というのをどう本当に評価して、それを活用していくかというのは、経済性の面からも多分重要な点ではないかなというように考えております。
 あと、土屋委員のご指摘のあったところ、地域戦略そのものも、既につくったところも改定していく必要があると思いますので、その辺も含めて、またタイトル等の工夫もしていきたいと思っております。
 それから、山岸委員、磯部委員のほうからの菌の、ある意味、生物多様性のどこまでやるかという問題につきまして、非常に磯部委員から具体的なご提案もいただきましたので、これは非常に微妙な問題、多分、理念としてどこまで書き込むかという話と、施策としてどこまで受け入れられるかという話と、多分、特に行政という立場にある場合に、やはり国民の健康で文化的な生活という部分に対して、どういう施策を講じていくか、またその中でプライオリティをどうするかという話でしょうから、そこをうまく書き分けていくことができれば、先ほどの磯部委員のご提案も、非常にいい提案だったというふうに思いますので、また検討させていただけたらというふうに思っております。
 あと、宮本委員の科学的な点、情操的なところというのも非常に重要なご指摘で、これ環境教育学会なんかの方と話していても、この点は指摘をいただいて、実は、おもしろいあれで、学会誌の中で、これだけ生物多様性が周知されても、生物多様性という言葉を書き込んだ学会の論文というのは数がそんなに増えていない。ほとんどその中身に踏み込んだものはないというようなことをご指摘をいただいた人もいたんで、その辺も含めて、多分考えていかなきゃいけない部分があるんではないかと思います。
 また、企業の面でも、まさに資源としての生物多様性という話は、自然資本という問題も多分、リオ+20の関係でも今後注目を浴びていくと思いますので、その中でどう書き込んでいくかを含めて、うまく企業の貢献ができる糸口を示していければというふうに思っております。
 また、中静委員のご指摘、また武内委員長のご指摘、海外との関係で、先ほど、あん委員のほうからもご指摘がありましたけれども、やはり地球益との関係、日本の役割というのを、貢献できるところを示しながら、またインパクトを減らすところをという部分をどのように考えていくかというところは整理をしていきたいなというふうに思っております。
 私のほうからは以上でございますけれども、ほかに、ほかからも補足がございましたらお願いしたいと思います。

【武内委員長】 よろしいですか。
(なし)

【武内委員長】 それでは、次に移らせていただきたいと思います。
 論点6.基本戦略、それから論点7.行動計画について、ここに書かれている項目を中心にご意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
 鷲谷委員。

【鷲谷委員】 重点的に取り組むべき施策の中に、外来種への対応など、第3の危機への対応というのがありますが、愛知目標との関係で言いますと、愛知目標の達成に日本が率先して取り組んで成果を上げるということを考えると、目標の表現が大変明確なので達成が難しいと思われるのが、外来種にかかわる目標9で、侵略的外来種が制御され、根絶されるという目標で、根絶というのは非常に明確な概念ですし、制御というのも、影響を誰が見ても抑えたと言えるような状況をつくり出すことだと思うんですね。
それで、日本で2020年までにそれを実現できるかどうか、どのようにしたら実現できるかというのは、現状の対策などをよく分析して、何ができていて何ができないかを明らかにしながら、本当に戦略的な計画をつくらなければいけないのではないかというふうに感じます。
 侵略的な外来種で国や地方自治体が本格的な事業を実施して、かなり成功に近いところに行っているのはマングースなどごく一部で、多くの侵略的外来種については生態系に入り込んで影響を与えているのは確かですけれども、実態が十分に把握されていないものも少なくないと思います。
そういうことを考えると、行政の側のこれまでの努力の延長上だけでは目標の達成というのはできないように思われます。希望を見出すことができる事実としては、ボランティアの市民とか地域住民とか研究者の取組が各地でかなり熱心に外来種の対策が進められていて、そのボランタリーな努力によって、現状がある程度把握されていたり、局所的には制御ができていたりという例もあることだと思うんですね。
それで、有効な対策につなげていくためには、そういう役割分担も考えながら、ボランタリーな活動をどうやってさらに発展させて、継続性を確保するのにはどんなことが必要かを考えていくということが重要ではないかと思います。
ボランタリーな活動というのは、個人的なものも少なくないので、ある程度制御できそうになったところで、その個人の都合によって、もうその場でやめざるを得ない、対策自体が、ということは幾らでも起き得ると思うんですね。
そういう対策の継続性を確保するための、単に個人とかNGOだけに任せるんではない仕組みをどうつくるかということが最大の課題ではないかと思います。
 ちょっと前の、中静さんが提案してくださったことに戻るんですけれども、実例を挙げて説明するのであれば、石けんをつくるためにパームオイルが使われていて、そのアブラヤシの植林のために熱帯雨林などがかなり広範に破壊されていると。
日本の水環境を守るために石けんを使うという運動はとても重要だとは思うんですけれども、その石けんがどういう原材料の生産の仕方でつくられているというところまで目を向けないと、地球規模では環境に負荷をかけてしまうということもあり得るので、消費者が、そういう一次生産の現場、今はもう私たちが使っているものは世界中からやってくるようになっているわけですけれども、その生産の現場で何が起こっているかを知ることができるような情報を発信するということが重要ではないかと思います。

【武内委員長】 ありがとうございます。
 白山委員、お願いします。

【白山委員】 ありがとうございます。3点ほど、コメントさせていただきたいと思います。
 まずは、5ポツの中にはGLOCALとか国際的な視点とかいろいろ書いてあるんですけれども、この6ポツに来るといきなり何も書いていないんですね。これはやっぱり国際的には一体何をやるのかということはきちっと書くべきものとして、書くべからざるものだと思います。
国際貢献という言葉はなんか、どうしてもODAをイメージしがちなんですけれども、それ以外にも幾らでもやることはあって、例えば海洋の生物多様性のことを考えると、公海というのは、管轄下水域の、グローバルに見るとですよ。公海の面積というのは、管轄水域の約10倍あるんですね。その公海の生物多様性の情報を、どれだけ世界に発信するかというのは、したがって物すごく国際貢献としては大きい。お金もかかるし、そういうことを国際発信できる国も限られているので、例えばの例ですけれども、多分そういう国際貢献もあると思います。
ですから、国際貢献で、ほかいろいろ視点はあると思いますので、国際貢献の視点をきちっと。5年という非常に短い時間でできそうなことというのも、ここでは書かなくちゃいけないわけですから、具体例としてしっかり書けるものが必ずあるはずですので、幾つか出していただければと思います。
 それから、5年をどう考えるかということを、やはりどこかにしっかり、後ろのほうに2020年までの計画の5年にするのかどうか書いてありますけれども、それに関する、少し……、何と言うのですかね、基本的な5年をどう考えるかということも書くべきものの一つかと。
つまり、5年でできるものもあると思うんですね。5年でゴールに達するというんですが、それと、20年かけないとできないものの、ロードマップのファーストステップとしては5年というものもあるはずです。これはどちらも書くべき5年間の戦略だと思いますので、それをきちっと区別をして書いてほしいというのが二つ目です。
 それから三つ目として、5年で戦略として書いたら、5年後に目に見える成果が、あるいはゴールを設定しているんだったら、そこに至らねばならないわけですけれども、ここで今5年の戦略がこうですと書いて、そこからプランニングしていたらまず間に合わないと思うんですね。5年後に目標に間に合うとは思わない。
5年ではプランニングで終わってしまうようなケースがいっぱい出てくるだろうと思うので、既に成功している事例を、できるだけ活用することをお考えいただきたいと思います。
先ほど、ゆめゆめみたいな話、明るい話を何とかということを申し上げましたけれども、既に成功している事例を書くというのもそういうコンテキストから言うと、ひとつ重要な視点かなと思いますので、ぜひそれをお考えいただきたいと思います。

【武内委員長】 ありがとうございます。
 吉田正人委員。

【吉田(正)委員】 この基本戦略のところは、比較的スローガンとしてもよく書けているんで、それほど大きく変えなくてもいいような気はするところもあるんですけれども、愛知目標が採択されて、その中で五つ戦略目標が書かれていますので、そういったものを参考に、もう少し社会に浸透させるだけじゃなくて主流化していくとか、そういった、もうちょっと踏み込んだ言葉に変えていく必要はあるかなと思います。
 特にこの中では、私は、森・里・川・海のつながりを確保するというところ、これについては引き続きこれは残して、もっと進展させてほしいなとは思うんですけれども、これについて基本戦略でも書かれ、それから行動計画のほうでも書かれてはいるんですけれども、行動計画のほうで見ると、これに関連するような事業が羅列されているだけで、結局のところ、このつながりを確保するには、各省庁の協力関係だとか、それからそのつながりが失われてしまった部分の再生をどうするかとか、そういった、普通の縦割りではできないことをやらなきゃいけないのに、それをどうするのかということが余り書かれていないわけですね。
ですから、そのあたりをどのように協力体制をつくっていくのか、あるいは、つながりを確保されることによるプラスの面、それをどういうインセンティブを与えていくのかとか、そういったことをこれから加えていかないと、これは、言葉は非常にいいんですけれど、お題目だけで終わってしまうような気がいたします。
そういう面で、例えばアメリカとかヨーロッパで行われているGreen infrastructureなんかの場合は、単に生物にとってつながり合えると同時に、人間にとってもつながりの部分を自然の恵みとか、あるいはレクリエーションとか、そういった形で利用できるわけなので、そういった面でもプラスになっていくんだというようなところを出していかないと、これはお題目だけで一向に進まないということになってしまうんじゃないかなと思います。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 下村委員、お願いします。

【下村委員】 私は、この6の中の上から五つ目、六つ目あたりですね、科学的基盤の強化とか、生物多様性の把握や変化予測のための調査研究の推進と、このあたりは言わずもがなではあるし、これまでもいろいろな努力をされてきたとは思うんですけれども、先ほど来申し上げているとおり、社会自身大きな転換期にあって、人間活動と生物多様性との関係をしっかり把握していくと、シナリオを進化させていく上で、ここをかなり重点的に強化していくというのはやはり必要なんだろうと思います。
指標も、やはりどうしても政策の実績ベースで設定されている部分が、やむを得ないとは思うんですがやはり多いので、目標設定をどうするかとか、関係分析のためにどうするかとか、あるいは実績ではなくて、生物多様性という点からの成果というか、評価の指標ですとか、そういったことをしっかり整理した上で、さまざまに検討される必要があるんだろうと思います。
それと、国際的なフレームワークもありますし、それとの関連の問題ですとか、あるいは、先ほど他省庁との情報交換という話がありましたけれども、やはり指標を共有化していくというようなことも重要だと思いますので、かなり近い時点で、このあたりをしっかりプロジェクト化でもしていただいて、はっきりさせていくというようなことが必要だと思います。
 それと、あとここにあるデータの収集をいかに継続させていくかということが重要だと思いますし、それから最近は、市民と協力をするような形でデータ収集の継続というような話もありまして、そういったものの仕組み化ですとか、あるいはこれも従来から言われていますけれども、タッププロジェクト、例えばアセスメント系のデータですとか、それから他省庁で使われている調査等のデータのアーカイブ化というか、そこもやはり本格的にこの間に取り組んでいただく中で、割と大きな転換が可能になるのではないかなというふうに思います。

【武内委員長】 ありがとうございます。
 小泉委員。

【小泉委員】 ありがとうございます。ただいまの下村委員の発言と大きく重複してしまいますけれども、科学的基盤の強化というところを非常に重点的に進めていただきたいと思います。
一つは、数値目標を設定しやすくて、5年間どのぐらいのことをやったかということを評価しやすい、それからもう一つ、根本的に、生物多様性という言葉が持つさまざまなあいまいさに対して、科学的データで説明が十分できていないというところがリテラシー、その他もろもろの問題になっているわけですから、ここで、5年間で、科学的なモニタリング体制というのを充実させていく、さらに既存のデータを生かすためにポータルサイトのようなものをつくって、情報共有というのを進めていくということが必要なのではないかと思います。
既に、例えばモニタリング1000というようなものが行われておりますけれども、国家戦略の中で強調しているのは生態系ネットワークであり、5ポツのところで強調されているのは流域の重要性の再認識という、いわゆるポイントとしての生物多様性ではなくて、ネットワーク、ある程度の面積、広がりを持った中での生物多様性の動きというものが必要になってきているというふうに認識されているわけですから、この基本方針に沿ったモニタリング体制の充実というのが必要かと思います。
さらに、先ほどから再三指摘されておりますように、震災影響、特に東北南部から関東北部にかけての放射線影響ということを考えれば、生物多様性のモニタリングの視点からも、こういったところに、生物多様性のためのモニタリングポストといったようなものをつくって、評価を継続させていく必要があるのではないかと思います。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございます。
 ちょっと順番変えますけど、磯部委員。

【磯部(雅)委員】 私は、具体的なことを一つだけ。先ほど窒素の話が出ましたけど、栄養塩循環というのを、この基本戦略というか行動計画、現状の2010を見たときに、どこかで何か全体を見通したようなところが必要ではないかというふうに思います。
ご承知のように、負荷削減については相当努力して、成功して、削減したんだけれども、なお閉鎖性内湾などだと赤潮はなかなかとまらないし、貧酸素水塊の形成は、少なくとも良くなっている方向には見えないということがあって、一方では、瀬戸内海などで養殖から見ると栄養塩がちょっと足りないような状況にもなってきていて、これが、かなり先ほど申し上げたバランスが非常に難しい状況になってきていますから、一つの相当ターニングポイントに来ているという感じがします。
私は、やはり相変わらず、負荷削減をすることと、それから生息場をつくるということが非常に重要ではないかというふうに思っているわけですけど、それが現状の2010だと、いろいろなところにばらばらに書かれているので、それをまとめるような記述がどこかに欲しいというふうに感じました。
 以上です。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 里海の何か評価したのがありましたよね。高等研究所でやった、私もCOP10で磯部先生と一緒に話をさせていただいたことがあるんですけど、あれは過去の50年の海域、特に里海の変化とそれに対する、どうやってそれを回復させていったらいいかという話が出て、あれもやっぱり今のお話でバランス論ですから、そういうことを少し、あれも前回の戦略以降の話ですよね。ということで、ぜひ参考にしていただければと。
 あん委員、お願いします。

【あん委員】 白山委員が既に触れたかと思います。また、武内委員長も触れたかと思うんですが、やはり今後5年程度の、重点的に取り組むべきものを考えていったりすると、明るい将来を、やっぱり地域を勇気づけられるための地域の事例を、ぜひ多く取り上げてくれたらと思います。
既に触れている宮城県の大崎市のふゆみずたんぼとか、佐渡島のトキをシンボルとした生物多様性を育む農業などがあるかと思うんですけど、また岡山県のトップ、中央政府から来たイニシアチブというだけではなく、やっぱり地域から生まれてきたイニシアチブを考えてみたりすると、岡山県の日生、漁業者がもう25年、26年ぐらい前から、みずから藻場再生をしたりはしているんですけど、できたらやっぱり北海道から沖縄まで、北海道、本州、四国、九州、沖縄だけではないんですけど、その中で佐渡を初め、幾つかの離島の事例も入れたらと思います。
やっぱりよく見たりすると、日本列島は6,000強の島を持つ国なのに、これで見たりすると、国土戦略の中で出てくる事例は、どちらかというと本州、北海道、四国、九州の重みがちょっと多いような気がしていて、国土200海里までの島国を考えていくのには、ちょっと事例は、もうちょっと多様に出したほうがいいのではないかと思います。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございます。
 土屋委員、お願いします。

【土屋委員】 先ほど来、国際的な取組について議論がありました。
前回の国家戦略では、かなりのページを割いてどんな取組が行われているか、あるいはどんな条約があるかを紹介しましたけれども、今回はもう国際的な活動、施策については、一つの章をつくるぐらいの意気込みで取り上げてもいいのではないかと感じます。
生物の生活史を考えれば、日本だけで完結していないものは、鳥にしろ、魚にしろ、そのほかの生き物にしろたくさんありますので、具体的な例を多く挙げることは可能だと思います。それで、キーワードとしては、先ほど来出ているネットワークですとか、コリドーですとか、コネクティビティですとか幾つかありますので、ぜひ考えていただければと思います。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 中静委員、お願いします。

【中静委員】 基本戦略のほうに関しては、皆さんにいろいろご意見をいただいたので、私がコメントしたいのは、吉田委員とか、それから白山さんが前回おっしゃったことなんですけど、例えばこの行動計画がわかりにくくなっている一つの理由は、各省庁が何をやりますと書いてあるんですけど、逆に、愛知ターゲットそれぞれについて、各省が何をやりますという形で書いていただくとすごくわかりやすいなと思うんですよね。
少なくとも、愛知ターゲットですべてカバーできるわけではないので、少なくとも今のような書き方はあったほうがいいとは思いますけれど、例えば愛知ターゲットに関しては、この目標に関してこの省は何をやって、この省は何をやって、この省は何をやってということを5年目でチェックするというような書き方にしていただくと非常にわかりやすいと思いますし、それで、5年で中間評価をやるかやらないかあれですけれど、そのときに、やっぱり達成できそうもないのであれば、必要なものは何かという議論をそこでチェックできるように思うので、ぜひそういう形で一覧表をつくっていただくといいかなというふうに思います。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 吉田謙太郎委員。

【吉田(謙)委員】 先ほどのコメントと重なる部分もあるんですけれども、1番目の生物多様性の主流化に向けた取組の強化、ここをぜひしっかりやっていただけるとありがたいと。
例えば、我々もう何年前になるのでしょうか、グリーン調達とかグリーン購入とかが始まった際に、急に紙の色がこういうふうに黒くなって、我々びっくりしたことを思い出しているんですけれども、生物多様性に配慮したいろいろな製品、生態系サービスを増進するような、例えば取組を行った森林によってこれがつくられているとか、そういった、きちんと見えるような形で、政府から始めてもいいと思うんですけれども、いろいろな土地利用に関してもそうですし、生物多様性に配慮したということがきちっと見えるような、そういう政策が少しずつ増えてくるといいのではないかなと思います。
 それとあと、これは環境経済・政策学会からまとめてほしいというふうに言われて、なかなかこの分野、生物多様性の問題を扱っている研究者というのは余り多くなくて、我々、ちょっと余計な話なんですけれども、20年ぐらい前に研究を始めた我々の世代というのは、グリーンに関する研究を行っている人が多い。
それまでブラウン・イシューが多くて、公害の問題が多くて、我々バブル期のリゾート法の問題とかがあって、自然が損なわれつつあった中で何とか評価して、政策に組み込んでいけるようにならないかということで経済価値評価をかなり始めてきて、余り経済価値評価をしなくても、重要であるということは皆さんある程度認識して、これ以上開発しないというような意見というのは、その当時よりは随分増えてきたと思うんです。
これから環境経済の分野、狭い話をさせていただきますと、そういう点でどういうふうにこの問題とかかわっていけるかというと、やはりいろいろな意味での経済的手法というのが少しずつ開発されていくといいなというふうに考えています。
例えばエコツーリズムなんかでも、やはり例えば屋久島を見ても、トイレのくみ出しを行うような費用をきちんと募金で集めようとしてもなかなか集まってこないとか、地域活性化にはある程度つながったりはするんだけれども、必要な資金が必要なところに回らないとか、そういったことは地域で個々にやろうとすると、なかなか合意形成の壁に当たってしまってなかなかうまくいかないと。
 ちょっと話が変わるかもしれないんですけれども、例えば生物多様性というのはどういうふうに保護されているか、生態系とか生物種というのはどういうふうに保護されているか、あるいは何が重要であるかというのは、先ほどの5番のところでもあったんですけれども、NPOの活動を見ているとよくわかるんです。
何を対象にしているNPOがその地域に多いか、個人の活動が多いかというのを見ると、何が重要だという、トップダウンで決めてあげなくてもボトムアップで見れば、何が守るべきかというのは何となく見えてくるような気がして、そういったNPOだとか個人の活動も絡めて、インセンティブ・ディスインセンティブを与えるような、何か経済的手法というのが少しずつできてくると、ぱっと思いついて効果的なものというのはそんなに簡単にはないんですけれども、そういうふうに思っております。
 あと、鳥獣害、外来種もそうなんですけれども、非常に皆さんに共感していただけるか、同意していただけるかわからないんですけれども、各省庁いろいろとかかわっているし、地方自治体も個人もかかわっているし、農業とか林業とか、個人の経済活動にかかわってきているのに、なかなかこう対応したほうがいいというのはないんですけれども、これはコントロールするのか、それとも出たらとにかく殺せばいいのか、排除すればいいのかというところが、どうも何かしっくり来ないんですね。
生物が増えたらいいんじゃないかという、生物多様性の話をしていると生き物が増えて、しかも大型の哺乳類が増えているならいいんじゃないかというふうに、例えば思う人がいるかもしれないけれども、身近なところに出てくるととにかく出てこられちゃ困ると。
僕はこれは仕方ないことだと思うんですけれども、例えば長大なフェンスを築いて森林と農地、人の間に境界をつくるようなことというのは、今いろいろなところで行われているわけですけれども、そういったものも何か自然との間に無理やり境界をつくるような感じがして、どういうふうに考えていったり、あるいは伝えていったらいいのか、教えていったらいいのかなと悩むところがあるので、ぜひ鳥獣被害というのはこれからますます問題になってくると思うんですけれども、こういった問題にどう対応していくのか、どういうふうに考えるのが正しいというものは多分ないと思うんですけれども、そういったところがもう少し考える助けになるものがあるとありがたいなというふうに考えております。
もちろんいろいろな意見が混在するというのは正しいのかもしれない、多様性としてはいいのかもしれないんですけれども、もう少しクリアになってほしいなというのがあります。
ただ、ヒグマの問題だとか、やはり大型の鳥獣というのは怖いなと。この間、茨城の牛久でも外来生物が逃げ出して亡くなった方もいましたけれども、ニシキヘビとか。ああいうのを見ていると大変だなという気がしますが、それに対しても何か進展があればいいと思います。
 それとあと名古屋議定書への対応なんですけれども、これもぜひ日本が、これもなかなか今後の進展というのは現状では難しいという報道がよくなされておりますけれども、名古屋議定書に関しても、日本が率先して、こういうふうに、主に途上国の熱帯雨林にあるその資源をきちんと利用して、それに対してフェアな対価を払っていくというような仕組みを日本が率先してできて、企業と良い関係がつくれるといいのではないかなというふうに、これはちょっと夢物語かもしれませんけれども、やっていっていただけるとありがたいなというふうに考えております。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 櫻井委員。

【櫻井委員】 ちょっと5年程度で見直すということで、知床の例をちょっと紹介したいと思ったのは、実は私たちも、海域管理計画をつくるに当たって、それぞれ最初は生物多様性という概念から構成要素をつくってみるんですけれども、基本的にはこれは、生態系の多様性を保全することによって、漁業とかレクリエーション、これと人間活動との共存がいかにできるかというところにありまして、そのときに出てきたのが、5年の次期計画の見直しの中で、多分見直しにおけるポイントの海域管理計画の目的を堅持ということと加えて三つほどそこに書いていますけれども、右側ですけども、これは、いわゆる地球温暖化を含む気候変化の兆候を監視という形で文言をかえています。
それから、もう一つ、先ほどから出ていますけれども、物質循環とか栄養循環、こういう議論も新たに入りました。
それで一番大事なのが、やはりこれまでの管理計画で見直しすべきと思ったのは、やはり社会経済的な視点で、これをどう評価するかということが入っています。つまり、従来の生物多様性の議論の中に加えて、人間がかかわっている以上は、それに対してやっぱりどう評価するかという評価軸を、少し次の5年では加えるという形にしておりますけれども、一つはこういうふうに、わずか5年ですけれども、こういう形で見直すことが地域戦略としては可能なんです。
また、5年たてば、新たなまた見直しがあると思いますけれども、いずれにしても、こういうような形で議論していくと。
その中で大事なことは、やっぱり人間活動、特に漁業活動だけじゃなくて、レクリエーションとか、そういったものも新たに入ってきています。これも次の見直しでは、より強化してみるという形になりますので、やっぱり5年の見直しというものと、ロングスパンのものとがあって、それに対して評価軸も、数値的な評価ができるものは極力数値にしようと。
あるいは、できないものについては劣化しているのか、安定しているのか、向上しているのかというような評価もあるという形で、一つの例として挙げますけれども、こういうふうに5年であっても見直しはできるので、ぜひそういう観点でしていただきたいと思います。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 まだ札を立てておられる方は2回目でしょうか、それとも。あんさん。

【あん委員】 あ、ごめんなさい。

【武内委員長】 それでは、事務局のほうで。

【生物多様性地球戦略企画室長】 個別にわたる質問もあったので、後で担当課室のほうから補足をしてもらいたいと思いますけれども、外来種の問題ですとか、鳥獣被害の問題がありました。
愛知目標の目標9というところに書かれているご指摘、まさにどうするかというのは大きな課題だと思いますし、ここで言うと多分、優先順位づけとか、それをどう考えていくかというのが一つの、恐らく鳥獣以外の部分についてもどういう対策をとっていくかというのはあると思いますので、またそれは担当課のほうから少しコメントをしてもらいたいと思っております。
 それから、お示しした論点の中、白山委員のほうから、いろいろ国際的な部分の書き込み、具体的なものが足りないんじゃないかというご指摘、まさにそのとおりかと思います。
別紙5のところで、若干は幾つか考えられる事項というのをお示しはしてあるんですけれども、ここのところは、もう少し考えていかなきゃいけないだろうなというところで、ご指摘の5年をどう考えるかというところは、多分、海の問題と陸の問題というのはかなりスパンが違ってくる部分もあるので、先ほど委員長のほうからも海と陸というのを少し分けて考えるべきというご指摘もありましたけれども、その辺を含めてまた整理をしていかなければいけないんではないかなというふうに思います。
その点で、磯部委員のほうからあった貧酸素の海の問題とか、里海の評価の話とかも含めて、全体として何を書き込んでいくかというのをもう少し考えていきたいと思っております。
 それから、下村委員・小泉委員のほうから科学的基盤の強化、データの収集の重要性、それぞれのご指摘をいただいております。
まさにデータの収集とかの部分ですね、各省連携の中でも、またどういうふうに共有化を図っていくかというところは大きな問題でして、その各省連携というところで言えば、吉田委員ご指摘のあった、具体的な、絵に描いた餅にしないというところというのは非常に重要なところだと思っております。
これはそういう意味で、先ほど中静委員のほうからもあった、愛知ターゲットそれぞれについて、それぞれの省庁は何をやっていくかという形で整理するというものの中で、協力してやっていくところを探していくという形もあるでしょうし、個別に、前回の議論の中で、やはり各省同士もう少し話をしながら具体的に一緒にやっていくものを考えていかなければいけないというご指摘もありましたので、その辺この戦略策定の中で、もう少しコミュニケーションをとりながら、新たな、一緒にやっていく事業というものを、特に国土計画といったような視点を、少しスコープを広げていくことによって、多分各省がより連携してやっていくものが見えてくるという部分もあろうかと思いますので、その辺はもう少し関係省庁間の間でも議論を深めていきたいと思います。
その意味で、下村委員から指摘のあった指標の問題とかも、現在も既に各省との間でも若干の整理を始めているところですので、そういったものを、またこの場でも順次お示ししていくことができればいいなというふうに思っております。
ちょっと、すべてのところのお答えができていないかもしれないですけれど、あと吉田委員からのご指摘のあったグリーン調達の問題とか、主流化の問題、推進室のほうから補足があれば述べてもらいたいと思います。
非常に重要なポイントと思いますし、これは国際的にも恐らく、今度のCOP11の最大の主要議題は資源動員ということで、どのように、さまざまなツールを用いて生物多様性にお金を回していくかという議論が国際的な潮流でもありますので、日本としても、そこに逆に発信をしていくものを探しながら、国家戦略の中に書き込んでいくということは必要ではないかなというように思っております。
とりあえず、ちょっとすべてにお答えできたか申し訳ないですけど、私のほうからは以上で、あと担当課室のほうから補足があればお願いしたいと思います。

【外来種対策室長】 それでは、鷲谷委員のほうからご指摘をいただきました外来生物の関係でございます。
ご指摘のように、外来生物法が施行されてもう6年が過ぎて、もうすぐ7年になろうかというところでございますけれども、防除の成果が上がっているというのは、マングースなど少数で、全国的にその自治体なり市民団体が防除に取り組んでいる件数というのは増加をしておりますけれども、なかなか成果が上がってきていないという状況かと思います。
今後、法律が施行されてから移行、さまざま取り組まれてきた防除の問題点なども整理をいたしまして、今後の重点を置く分野ですとか、効果的な防除を進めるための体制ですとか、さまざまな方々の役割、どういった役割を果たしていただくかと、そういったことも全体的に点検をいたしまして、国としての防除の戦略ということを策定するということについても取り組んでいきたいと考えております。

【武内委員長】 よろしいですか。
 それでは、最後の二つの論点。論点8.各主体の役割の明示と、論点9.計画期間について、ご意見・ご質問のある方は札を立てていただきたいと思います。
 吉田正人委員。

【吉田(正)委員】 主体の明示のほうですけれども、基本的には、国が取り組むべき国家戦略という意味ではあるんでしょうけれども、やはり我が国のように、地方公共団体の地域戦略ですとか、それから企業のほうも民間参画イニシアチブとか、もちろんNGOなどの取組だとか、そういった、かなり広範囲なセクターの取組が行われている国というのは非常に先進的で、ほかの国のモデルにもなり得るわけですから、ある意味、次の次期戦略というのは、少し一皮むけてというか、そういったセクターも含んだ戦略なんだというような位置づけがあってもいいんじゃないかと。
そこまで踏み込めないにしても、そういったところも含んだ書き方というのが、もうちょっと、単に2010だと、1ページぐらい主体の役割というのが書いてあるだけですけども、もうちょっと踏み込んでもいいんじゃないかなと思います。
 それから、計画期間に関しては、確かに概ね5年というと2017年ということになるんですけども、やっぱり2020年という目標がある、愛知目標に合わせるとあるわけですから、2017年とか2022年というような中途半端なものをやるんであれば、むしろ2020年に合わせてやったほうがいいんじゃないかなというふうに思います。

【武内委員長】 ありがとうございます。
 この期限については何か、法律的に何か定まったものはない。これは変えられるということですね。

【自然環境計画課長】 法律では特に。

【武内委員長】 今の点について、ほかの委員の方、いかがでしょうか。
愛知目標でもあり、生物多様性の10年の最終年でもある2020年というのは非常に大きな区切りであるということは、当然、皆さんご理解いただいていると思いますので、そういう方向に修正できるのであれば、私としたらやはりその方向にするのがいいんではないかと思いますけれども、何かこれについて特段のご意見はございますか。
それで、そこを決めた上で中間的にどう評価していくかということは当然やらなきゃいけないし、もちろん年次的にもその達成度を評価していくということも必要だということですけれども、大きく分けると2020年までの間に1回やるんでしょうね、きっとね。
 どうぞ。

【自然環境局長】 委員の皆さんの意見がそういう方向ということであれば、環境省だけじゃなくて各省とも相談をしてみたいというふうに思いますけれども、2020年までの目標設定で、先ほど冒頭の説明でありましたように、国際的には2015年で1回中間評価をするという時期も示されているものですから、そんなのも参考にして中間段階の評価をして、必要だったらその時点で戦略の中身も見直すことも可能というような形で、目標年次は2020年設定というのがわかりやすいのではないかなと環境省のほうも考えていますので、各省とも審議会の意見を踏まえて相談をして。

【武内委員長】 多分2020年と、それからやや念頭に置いておきたいのは2050年。

【自然環境局長】 中長期的に。

【武内委員長】 それから2100年という、今までの戦略の中で100年計画と言っていたものも、生物多様性の時間の長さを考えれば必要だということと。
それから、もう一つ、私は、前の議論の中で、必ずしも十分でなかったのは、要するに、温暖化の目標ですよね。あっちは中期目標、長期目標と言っているのかな、その目標の長期・中期という言葉づかいも違うというのも何か、一つの省庁の施策の中で話が違っているのはやや違和感があったんだけれども、2050年のCO2の8割削減というそういう社会像と、2050年における自然、生物多様性についての社会像というのをやっぱりつないでいくというふうな、そういうところの話も必要だとは思うんですよね。
2020年というのは、今、あっちは、地球部会では、今大変大きな、エネルギーミックスがどうなるかによって大分シナリオが違ってくるということで、かなり厳しい25%削減というのは厳しいという方向に今なっているわけですけれども、そことも合っているということも同時にちょっと意識してやっていただきたいと思うんですね。
 いかがでしょうか。
 大久保委員、どうぞ。

【大久保委員】 これは私どもが持っている問題意識なんですけれども、現実にはもう企業活動のグローバル化というのが非常に進んでおりまして、グローバルな現地での企業あるいは現地での事業活動、これ自体の対応をどうしていくかというのが非常に大きな問題になっておりまして、その国々、かなり生物多様性の問題というのは、もう地域による格差といいますか特徴というのが非常に大きいわけで、国々によってどうかという問題もありますし、国がどういう考え方でやっているのかということとも絡んでくるんですけども。
ただ、ほとんどの、いわば先進企業は、海外企業も含めてどうやっていこうかということを、今、手探り状態のところにあると思います。これがぜひ、そういう形で、グローバル活動との絡みということを書き込んでいただけたらという感じがしております。

【武内委員長】 ありがとうございます。
 白山委員、お願いします。

【白山委員】 ありがとうございます。2020年に目標を置くということに関しては私も異論はないんですけれども、20年の目標になったときに、その途中のプロセスもきちっと具体的に書くということも大事なんではないかなと。
つまり、20年という目標で努力がですね、ちょっと停滞して、20年が近づいてから、物質、可能性的にアクセルが入るというのでは間に合わないわけですよね。でもどうしても、やっぱりそうなりがちだと思うんですね。
ですから、ロードマップをきちっと書いて、2020年の目標はこれだとしてですね、2015年にはここまで、18年にはここまでみたいな、適切な期間のロードマップというのを一緒につけるということをしていただきたいという、ここをお忘れなくというふうにお願いしたいと思います。

【武内委員長】 ありがとうございます。
 ほかに。
 ちょっと主体のことについて私も申し上げたいと思うんですが、従来ですと、各主体に分かれて、個別的にその主体の役割を書いているんだけれども、今一番大事なのは、主体間の間のかかわりというか連携によって地域の管理をしていくという、私自身はそれをニュー・コモンズと、こういうふうに言っているんですけれども、そのことを議論するというのがとても大事なんじゃないかなと思うんですね。
例えば、具体的に言うと、今、被災地で問題になっている漁港の再建における新しい主体の参画、これを従来の漁業権とどうするのかというあたりが非常に悩ましい問題としてあるわけですけれど、これは一つチャレンジですよね。
同じように、企業が農業に参入しているという例もあったりして、前にもお話ししたかもしれないですけれども、ローソンは社内、自社の農産物の5割は、日本の国内でたつ、農業法人と連携して、直接仕入れるようにするという、これはものすごく大きな、日本の農業に対する変革をもたらす可能性があると思うんですね。それぞれの企業がそういう形でコミットメントすれば。
ですから、そういう新しい話というのが、やはり主体とのかかわりで言うと、大変大事な話なんじゃないかと思うんですけれども、ちょっと今までのは平板過ぎて、NGOの役割とか、行政の役割とか、国の役割みたいな話にずっとなっていますよね。
そこを、そういうものが集まったときにどういう相乗効果が発揮できるのか、そのコーディネーションを誰がすべきかというふうなことの議論というのは、やはり必要なんじゃないかなと思うんですけど。
 白幡委員、どうぞ。

【白幡委員】 今の件についてですが、主体、これは2010年の生物多様性国家戦略、この冊子を見ていますとね、今さっきからいろいろ、僕は全くわからんテーマを聞いたりして、これは参考書的に開いていたんだけど、大体うまいこと答えてあるんですよ、この2010年で。特に新たなことは余りなくて、むしろ科学的な知見が新たに出てきたようなところについては、これを新たに国家戦略で採用するのはいいと思うんですが、よくできているなと思うんですね。
それで、さらにつけ加えるとするならばというところで、今、武内委員長がおっしゃったように、主体にぽつぽつと語りかけるんじゃなくて、もし一つの大きな生物多様性というものの意義というものをそれこそ理解してもらうには、誰に呼びかけるかということだと思うんですけれども、この前文のところを読みますとね、主体というか、個々人に呼びかけるのは、国民という呼びかけがあって、あと例えば、高齢者なんか、大体高齢者の行動は全部立派みたいに書いてあるんですよね。過去の知恵は。そんなことあるかなと。
高齢者というのは、多分、生物多様性とか余り考えたことはないし、知らないだろうと思うんですけど、自然体で行動しているのが大変よろしいということであれば、それの中身をやっぱり言わなきゃいかんと思うんですね。
何か、誰に言うのか、それで、各自治体というのもやはり、大体は国の方針というのを基本的にまずはよく読み込んで動くのは当然なんで、そういうところに対してどういうふうに語りかけるかというときに、やっぱり一番大きなのは、これはさっき既に出たと思うんですけれども、生物多様性というのは一体何なんだという、本当にそれ、多様な生物がおるということを知りまして、大きな価値観で、誰にも主張できるようなものが例外はないのかと、困っていることはないかと言われると、やっぱりその生物多様性という言葉で表現されるような価値の中に、やっぱり困っていることはあると思うんですね。
先ほどの、それこそ赤痢菌とか言われていたんですけれど、まさにそういうところが前文で、やっぱりまだ書けていないんじゃないかなという気がするんですね。
 それで、国家戦略は書いてあるけれども、やっぱり生物多様性というのは、やっぱりまだまだ完全にわかっていないというか、それ自身の価値ですね。これが浸透していったときにどういうふうな、それこそどのような社会が開けてくるのかというようなことも、やっぱり前文の中でちょっと示唆するというか、そういうことが必要ではないかと思うんです。
 それと多分、主体、ここで各主体と言われているのは、基本的には国と地方との違いというのをやっぱり、一番、今、日本の国内的には求められているところなので、ここを非常にクリアに書く、あるいは思い切って書くということだと思うんですけれども、この辺はやっぱりあと議論を続けて、思い切ったことを発言してもらわなきゃいかんかもしれないと思っております。

【武内委員長】 下村委員。

【下村委員】 今ちょっと話題になっていました主体の連携の話なんですけれども、生物多様性地域連携促進法でしたっけ、あれの中でセンターというような話をされていたんですが、やはり連携していく上で、さっき委員長が最後にちらっとおっしゃっていましたけれども、誰がコーディネートしていくかというのはものすごく重要だと思うんですね。
なかなか役所の中でそれをやられるということも難しいとは思うんですけれども、特に地域戦略なんかで地域でやられようとするときに、そういう主体を、主体だけではないんですけれども、目標設定ですとか、それから進め方をコーディネートするやはり組織というか、何か事務局的なものがないと、実際にはなかなか進まないと思うんですよね。
せっかくああいう促進法の中で、センターのようなことを設定されていますので、ああいうものとの絡みも含めて、やはりそういう組織づくり、新たな連携のための組織づくりというか、なんかそんなことも含んでいただいたほうがいいのかなというふうには思います。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 あん委員、お願いします。

【あん委員】 各主体についての発言ですが、ぜひ武内委員長がおっしゃったように、やっぱり新たなパートナーシップ、ローソンを初めそういう企業と地方でのマルチステークホルダーのような活動をいろいろ取り上げると思います。
また、既に発言があったかもしれないんですが、やっぱり都市と生物多様性ですね。今日、話の中で余り出てきていないような気がしていて、前回のヒアリングで、横浜市のものもあったんですけれど、また最近、生物多様性条約事務局でも推進している一つのエキスパート会合ではあるんですが、文化と生物多様性ですね。そのグループの中ではもちろんそういう先住民問題とか、トラディショナル・エコロジカル・ノレッジと生物多様性をいろいろ語ったりはしているんですけど、その中で結構最近、都市と生物多様性の中の議論で、文化と生物多様性とはみたいなことで、生物多様性条約事務局とユネスコが一緒になっていろいろおもしろい活動がありますので、例えば京都市とか金沢市とか、さまざまなおもしろいそういう文化と都市と生物多様性の事例は日本の中にありますので、この中で主体の役割として適切かどうかわからないんですけど、ぜひそういったものをどこかで入れたらと思います。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 ほかに。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局のほうから。

【生物多様性地球戦略企画室長】 目標年については、皆様方のご指摘を踏まえて整理をさせていきたいと思っております。白山委員のご指摘のとおり、ロードマップをどういうふうに書き込めるかという点については、恐らくすべての施策の書きぶりにもよると思うのですけれども、具体的に書けるところ、書けないところ、書けるところをできるだけ書き込んでいくという形で、その努力はしていきたいと思いますけれども、これも実際個別のものを示しながら考えていきたいというふうに思っております。
 それから、主体の話では、主体間の連携については、武内委員長ご指摘の点は重要なポイントだと思いますので、それについても考えていきたいと思っております。
 それから、白幡委員ご指摘はですね、まさに本当にどこに呼びかけるかという点は明確にしていかなきゃいけないというのと、実際、国として、地方との違いみたいなものを思い切って書くという点は、具体的に書いていかないと、多分わかりにくい部分も出てくると思いますので、考えさせていただきたいと思います。
 それから下村委員ご指摘の人材育成、特に組織とかコーディネートの組織の問題、これも重要な点と思います。これは先ほど鷲谷委員のほうからも教育のところで人の問題というのもご指摘もありましたので、その辺はまた関係省庁とも含めて考えていきたいと思っております。
 あと、あん委員のご指摘の文化の点、これもある意味、理念的なところではかなり環境省の中でも議論は進んで、一定のことを書いてきたように思うんですけど、確かに見直してみると、もう少し強調する部分、それから具体的施策に落としていく部分というのは考えていく必要があるかなというように思っております。
 あと都市の問題というのも、どうしてもちょっと足りない部分があるのではないかなと思いますので、関係省庁とも連携をしながら考えていきたいと思っております。
 以上でございます。

【武内委員長】 はい。文化の問題については、私は生態系サービスの中の文化的サービスというとらえ方で、従来のサービスに加えてそれを入れるということは精神的な問題だとか、そういうことも、環境教育なんかも入るんでしょうけど、含めて非常に重要だというふうなとらえ方をしていけば、非常に流れとしてスムーズになるんじゃないかと思って、今回は多分生態系サービスを中心に置いていくと、かなり整理しやすくなるんじゃないかと思いますので、ちょっとご検討ください。
 ほかによろしいですか。
 それでは、全体を通してご意見・ご質問のある方はと書いてあるんですが、これは何か相当長い時間これを用意しているんですか。まだ長い時間ありますかね。
 どうぞ、吉田正人委員。

【吉田(正)委員】 すみません、前回もちょっと申し上げたんですけども、今この国家戦略、生物多様性条約第6条に基づいてつくっているんですけども、その第7条で、生物多様性の要素のアイデンティフィケーションとモニタリングというのがあって、それを、私は国家戦略の付録のような形で、これはですから目標と、それに至るロードマップだとか、指標だとか、そういったことを書く文章がここででき上がるわけですけれども、具体的にその要素はどういうものがあるのかということを、もう既に環境省のほうではCOP10の前後あたりにアトラスのような形で生物多様性のアトラスの本なんかもつくられていますよね。そういったものが応用できるんじゃないかと思うんですけれども、そういったものをつけていくということで、ほかの国の国家戦略に対しても一つのモデルになると思いますし、第7条というのはちょっと、私としては余りにも軽視されて過ぎているんじゃないかなと思うので、そのためにも、日本の国家戦略でそこについては積極的にちゃんと付録としてつけていくということをやっていただけるといいなと思います。

【武内委員長】 そうですね、最近この前も、生物多様性の10年の式典に際して、ほかの国の、特に途上国の人たちに来ていただいて、国家戦略のつくり方みたいなことについての能力形成を図るということをやったわけですけれども、やっぱりそういう意味で、日本だけではなくて、他の国々の国家戦略策定への連携とか貢献というのはぜひ入れたほうがいいですね。
 ちょっとやっぱり、国際的な活動と国内的な活動を従来はばらばらにやっているけれども、だんだん両方を関連しながらやるような今状況になってきていると思うので、そういう観点は確かに必要ではないかなと思います。
 とにかくCOP10で随分変わったわけですよね。それまでは本当に国内の話と国際の話がばらばらだったのが、あれを契機にかなり一体化してきたという印象があるものですから、その方向でぜひ議論を進めていただきたいと思います。
 ほかに何かございますでしょうか。
 全体的な話もありましたので、少し早いんですけれども、もう3時間というのは十分な時間の長さであると思いますので、この辺で質疑応答については終了させていただきたいと思います。
 それではですね、局長、何かありますか。

【自然環境局長】 たくさんの貴重なご指摘ありがとうございました。今日いただいた意見を受けて、次回は、今度の国家戦略の骨子案ということで、連休明けにご審議いただけるようにその骨子案検討のための材料を事務局で、各省とも相談して準備していきたいというふうに思います。
前回の国家戦略2010以降の、いろいろな意味で大きな変化がありました。COP10もあり、東日本大震災もあったと。そういったことを踏まえた戦略になるように、骨子案の検討もしていきたいと思います。今日いただいた意見の中で特に大事に考えていかなきゃいけないなと思った点を幾つか挙げたいと思うんですけれども、一つはやっぱり愛知目標を受けた国家戦略の改定ということで愛知目標も階層構造の目標になっています。その愛知目標との関係がわかりやすくなるような整理をしていかなきゃいけないなという点が一つ。
 それから、冒頭ありました生物の側面だけではなくて、人と生物、人と自然との関係により着目をして、社会経済的な視点、保全という面に加えて、持続可能な資源利用、土地利用と、そういったところに踏み込んでいく、そのキーワードとして、文化的な視点も含めた生態系サービスというのを、全体の整理の中の大事な考え方として活用していくと。人と自然のバランスというのもそういう流れの中にあるのではないかなと思いました。
そうなってきますと、今まで以上に環境省だけでなく、今日も関係省庁の皆さんに同席をしていただいています。議論も聞いていただいています。関係省庁と一緒に連携した戦略というところがより重要になってくるのではないかなと思います。ぜひその考え方のところだけではなくて、具体的な連携のプロジェクトの提案というようなことができるように議論をしていけたらというふうに思います。
 それから、震災との関係で、自然に対する接し方、今までの戦略の中にも畏敬とか感謝ということを書いてきていますけれども、震災も受けて、自然に対する接し方について、より強調した形で、どうさらに書いていくかというところも大事な点かなというふうに思いますし、災害を受けて、その国土全体の災害のリスクを減らしていく、緩和していくということが大きな今後の国土づくりの課題になりますけれども、それとその国土全体の環境の再生なり、委員長からあった自然軸の再生と、そういったことも、どううまく両立させていくか、そういった国土空間のデザインを戦略の中でどう示していけるかというのも大事かなと、そのための将来像なりロードマップというのを示していければなと思います。
 その中できっと、生態系の不可逆的な変化であるティッピング・ポイントを避けていくことを、生態系の回復力、レジリエンスを高めていくというようなことがそういうことともつながってくるんじゃないかなというふうに思いました。
 それから今日の議論の中で、そのグローバルからコミュニティまでという話があって、世界の資源に依存している私たちの消費生活、世界の生物多様性にいろいろな影響を与えている関係、そういったことをしっかり踏まえた検討が必要だし、その地域コミュニティの自立ということと生物多様性をどううまく、生物多様性を生かして地域コミュニティの自立ということにつなげていくのか、そういうグローバルからコミュニティまでの階層的な関係と、この国家戦略の関係、役割、位置づけというのを整理しながら書いていくところを今まで以上にできたらなというふうに思います。
 それからもう一つ、管理の担い手というところで、先ほどもキーワードにしようといった生態系サービスの恩恵というのは、さまざま人がさまざまな広い範囲にわたって暮らしている人たちが、生態系サービスの恩恵を受けて、ともに恩恵にあずかっているさまざまな人たちが、ともに生態系の管理を支えていく仕組みなりセクター間の連携のあり方、仕組みづくりといったところが、どう従来以上に書けるかというのも大事な点かなというふうに思いました。
 最後の点は科学的な基盤ということで、これは環境省だけではなく、各省もいろいろな調査、モニタリングの予算というのをやってきているわけですけれども、なかなかこういうのを継続して予算を確保していくということは難しい点の一つになっているわけですけれども、IPBESが成立、設立されたということや、今回の戦略でも大事になる目標・指標の開発を支える意味でも、科学的なデータがもう不可欠ということで、科学的な基盤の強化の部分でも各省とここは連携をして、どう進化させていくことができるかということも、ぜひ私たちも検討していきたいなというふうに思います。
そういった点も含めて、今日いただいた意見を整理しまして、次回、連休明けの小委員会で骨子案の検討をお願いしていければというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 今日はありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。

【自然環境局長】 事務局のほうから次回の予定。

【事務局】 次回の第4回の小委員会でございますが、5月14日の月曜日、13時半からということで、本日と同じ、こちらの環境省第1会議室にて行いますのでご出席をお願いいたします。
 また前回の小委員会でお話のありました、小委員会の追加開催につきましては、最も多くの委員の先生にご参加いただけます6月11日の午後に開催させていただくこととさせていただきました。また日程が近づきましたら改めて開催案内をお送りさせていただきます。何とぞご出席のほどよろしくお願い申し上げます。
なお、本日お配りしました資料につきましては、郵送をご希望の方は封筒にお名前をお書きいただければ、後日、事務局から郵送をさせていただきます。
 また、この後5時ちょうどから、NGO主催によります意見交換会がこの会場で行われます。ご都合のつく方は引き続きご参加いただければと思います。
 以上でございます。本日はどうもありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。これにて解散をさせていただきます。どうも。