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■議事録一覧■


平成24年度 中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第2回)

議事録


1.日時

平成24年4月12日(木)9:30〜17:40

2.場所

TKP赤坂ツインタワーカンファレンスセンター7階 ホール7A

3.出席者

(委員長)
武内 和彦
(委員)
あん・まくどなるど 磯部  力 磯部 雅彦
大久保尚武 小泉  透 桜井 泰憲
佐藤友美子 下村 彰男 白幡洋三郎
白山 義久 辻本 哲郎 土屋  誠
中静  透 中村 太士 堀内 康男
宮本 旬子 山岸  哲 吉田謙太郎
吉田 正人 鷲谷いづみ  
(環境省)
自然環境局長
大臣官房審議官
自然環境計画課長
生物多様性地球戦略企画室長
生物多様性施策推進室長
国立公園課長
野生生物課長
鳥獣保護管理企画官
外来生物対策室長
自然ふれあい推進室長
生物多様性センター長
自然環境整備担当参事官
※敬称略 委員は五十音順

4.議事

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会、第2回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。
 委員名簿につきましては、お手元の資料の中にお配りさせていただいていますが、本日は21名の委員のうち、途中での出入りはございますが、全委員にご出席いただく予定となっております。
 次に、本日の資料について確認をさせていただきます。議事次第の裏面にあります資料一覧をご覧ください。
 資料一覧でございますが、各種団体ヒアリングプログラム、今日の1日のスケジュール、名簿・座席表、資料1として各省の説明資料と、資料2として、関係団体ヒアリング資料ということで入れさせていただいています。また、資料3として、前回の第1回の小委員会に関する補足資料として、環境省と農林水産省からの資料となります。また、資料4として「生物多様性国家戦略2010の実施状況の点検結果」を踏まえた施策の方向に対する意見についての報告、さらに、資料5として、意見交換に当たっての主要論点についてとなります。資料漏れ等ございましたら、事務局までお申しつけください。
 それでは、これよりの議事進行につきましては、武内委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【武内委員長】 皆さん、どうもおはようございます。ただいまから第2回の生物多様性国家戦略小委員会を開催させていただきたいと思います。
 今日は大変長時間になりますので、大変皆さんには恐縮でございますけれども、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 本日の議題でございますが、各省施策に関するヒアリング、関係団体へのヒアリング、それから、次期国家戦略において検討すべき事項の3点でございます。今日は大変時間がタイトでございまして、あらかじめ皆さんに質問事項をお願いしたのですが、直前でございましたので、宮本委員からのみ複数の質問をいただいております。その関係で宮本委員には最初に適宜ご質問、ご発言をお願いするとともに、その他の委員におかれましては、大変恐縮ですけれども、時間の範囲内で質問を受けさせていただくということにさせていただきたいと思います。くれぐれも今回は質問に限って、要領よく短時間で、あらかじめ質問を紙に書いて読み上げるぐらいの気持ちでやっていただけると大変ありがたいと思っております。
 なお、今回のヒアリングでは学会関係のヒアリングを予定しておりませんが、この点について、ご意見もあるようでございますけれども、私としては、関係学会の方々は委員としてこちらに出ておりますので、そういう点で委員の方に学会の意見を集約して発言いただくということでお願いできればと思います。その点についても、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本日の議事の進め方について、説明をお願いいたします。

【奥田生物多様性地球戦略企画室長】 環境省の生物多様性地球戦略企画室長の奥田でございます。お手元に本日のヒアリングのプログラムをおつけしてあります。ここにあるとおり、さまざまなステークホルダーの方々、19団体からヒアリングを予定しております。本日のヒアリングでは、持続可能な利用とか生物多様性の社会への主流化の観点から、農林水産業関係もしくはメディアの方々にもお願いしておりまして、幅広くお話を伺うこととしております。
 各団体からそれぞれご発表いただいて、質疑応答、それぞれの団体ごとではなく、ここに書いてあるカテゴリーごとにまとめてお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。そして、夕方になってしまいますけども、すべての団体からのヒアリング終了後に、本日のヒアリング全体を踏まえた総括的な意見交換の場として1時間程度の時間をとってございます。以上が本日のプログラムの説明でございます。長時間となりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

【武内委員長】 それでは、早速ヒアリングに入らせていただきたいと思います。
 初めに、各省施策ヒアリングでございます。説明時間は10分以内とし、終了1分前に呼び鈴を1回、終了時に呼び鈴を複数回鳴らしますので、時間内でのご説明をお願いいたします。
それでは、外務省から説明をお願いいたします。

【外務省 岩間首席事務官】 おはようございます。外務省の地球環境課首席事務官の岩間でございます。
 まず、外務省としまして、今回、我が国の環境分野の国際協力というようなことでご報告させていただきます。
 国際協力につきましては、大きく分けまして、多国間の枠組み、また、もう1つは二国間の枠組みということでの取組ということがございます。生物多様性の保全、生物資源の持続可能な利用という地球環境問題は、一国のみでは解決できない人類共通の課題であり、外交政策の主要課題の1つとして対処が必要であると。このような考えのもと、この地球環境問題において国際協力というものを推進してきました。
 それで、多国間の枠組みにつきましては、1993年には「生物多様性条約」、2003年には生物多様性条約のバイオセーフティに関する「カルタヘナ議定書」を締結しまして、これらの条約の効果的実施、各国の条約事務局との協力、条約・議定書の下での開発途上国への協力といったようなことに取り組んでおります。また、生物多様性条約以外にも、水鳥の保護、湿地の保全を目的としました「ラムサール条約」、希少種の国際取引規制を目的とする「ワシントン条約」など、いくつかの多国間条約を我が国としては締結しております。これらの関連の条約を、生物多様性条約の連携を念頭に実施、促進することで、効果的な生物多様性の保全を行えるよう取り組んでいるところでございます。
 最近の大きな成果としましては、2010年に愛知県名古屋市で開催されました生物多様性条約第10回締約国の締約国会議をホストしまして、この会議で名古屋議定書、名古屋クアラルンプール補足議定書、愛知目標の採択というような成果を生むことができました。こうしたCOP10の成果の着実な実施のための取組ということが現在は大きな課題としてなっております。
 この関連としまして、名古屋議定書に関して、日本としては、2011年5月11日に署名をいたしました。名古屋議定書は50カ国が批准した、締結した日から90日後に発効するということで、4月現在では92カ国が署名して、批准締結をした国というのはまだ3カ国、ガボン、ヨルダン、ルワンダの3カ国となっております。また、バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書につきましては、日本としまして今年の3月3日にニューヨーク国連本部で署名を行いました。こちらにつきましては、署名国は4月の段階で51カ国、締結国は2カ国ということで、ラトビアとチェコが締結をしております。10月、COP11がインドのハイデラバードで開催されるということで、これらのCOP10の成果、特に署名発効に向けた取組、また、愛知目標の達成に向けた取組ということが大きな課題となって、今、いろいろ議論をしているところです。
 あと、二国間の枠組みにつきましては、お手元の資料に「我が国の環境ODA」という資料を配付させていただいております。持続可能な開発に向けて、他の取組として、開発途上国における環境問題の解決のために、開発途上国のオーナーシップと国際社会のパートナーシップに基づいて、広範にわたる一貫した取組が必要になっているということで、環境関連のODAというものにつきましては、日本としまして「政府開発援助大綱」、「政府開発援助に関する中期政策」などにおいて、環境問題を含む地球規模の問題への取組を重点課題の1つに位置付けているということで、2010年に打ち上げました気候変動分野における2012年末までの途上国支援「いのちの共生イニシアティブ」などに基づいて関連のODAを実施しています。
 また、1つ重要なことは、持続可能な開発の実現のためには、環境分野の協力ということに加えて、開発に伴う環境へのマイナスの影響を最低限にとどめるという努力が必要だということで、日本としましてはODA事業の実施プロセスに環境配慮を取り組むという努力をしておりまして、JICA、国際協力機構では「環境社会配慮ガイドライン」というものを作成しまして、環境・社会に配慮したODAを実施するという取組をしております。
 今回は生物多様性ということですので、気候変動分野における途上国支援、こちらは割愛させていただきまして、「いのちの共生イニシアティブ」、これは生物多様性条約COP10で合意された愛知目標の達成を目指す途上国の努力を支援するため、2010年から3年間で生物多様性保全に資する分野で総額20億ドルの支援を実施するというイニシアティブでございます。
 次の紙で、環境分野、環境関連のODAの実施状況、環境関連、生物多様性のみならず、全体の統計上の都合で環境関連というような形で、すべての環境分野のODAというような形でこちらの方に数字を示させていただいています。2010年における環境関連のODAの実績は約80億米ドルということでございます。これまでの推移としましては、2000年から2010年までODAの実績が伸び悩んでいる中で、環境分野のODAというものは、その中で伸びているというような構図になっております。
 時間も来ましたので、これで外務省からの報告を終わらせていただきます。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、文部科学省からの説明をお願いしたいと思います。

【文部科学省 新木企画官】 おはようございます。私、文部科学省社会教育課の企画官をしております新木と申します。私の方から、文部科学省における環境教育に関する取組ということで、資料1−2をご用意させていただいておりますので、それに基づきましてご説明をさせていただきたいと思います。
 文部科学省における環境教育に関する取組ということにつきましては、大きく分けて、学校教育における環境教育に関する取組、それから社会教育における環境教育に関する取組、また、子どもたちの自然体験に関する施策という形で大きく3つに分けられると思います。
 資料1ページ目でございますけれども、その中で学校における環境教育の取組ということで、ここは総論的なことを書かせていただいております。学校教育における環境教育の位置付けにつきましては、環境問題というのが人類の将来の生存と繁栄にとって重要な課題であるということ、児童生徒が環境についての理解を深め、責任を持って環境を守るための行動がとれるようにすることが重要であるというふうに認識しております。
 平成18年12月に成立いたしました改正教育基本法におきましては、教育の目標といたしまして、生命及び自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うというようなことが新たに規定されておりますし、その後、平成19年6月に成立いたしました改正学校教育法の中でも、義務教育の目標といたしまして同様の規定を新たに設けているところでございます。これらを受けまして、平成20年3月の小中学校、それから平成21年3月の高等学校の学習指導要領の改訂におきましても、教育課程の一般課程において、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の中に、環境の保全に貢献する主体性のある日本人を育成するというようなことを追加いたしましたし、また、社会科、理科、家庭科、こういったさまざまな各教科等における環境に関する内容の充実を図り、総合的な学習の時間におきましても、環境問題について教科の枠を超えた横断的な学習を展開できるようにしているところでございます。総合的な学習の時間におきましては、環境に関する学習の実施率ということで、若干ちょっと古いデータになりますけれども、平成21年のデータでは、小学校の総合学習の時間において環境に関する取組を行っているところは83.2%、それから中学校では46.6%と、こういった多くの学校が環境教育に関する取組を行っているところでございます。また、平成23年6月に改正されました環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律の中でも、学校教育における環境教育を推進するというようなことが規定されておりますし、こういった法令等を受けまして、文部科学省における学校教育の取組を進めているところでございます。
 その下の具体的な取扱例ということでございますけれども、これは学習指導要領の中での取扱ということで、特に生物多様性についての取組をちょっと例示をさせていただいております。例えば、小学校6年の理科におきましては、「生物と環境」という中で、生物は水及び空気を通して周囲の環境と関わって生きていること、生物の間には食う食われるというような関係があること、それから、自然環境を大切にし、その保全に寄与するといったような態度を育成するように努めるといったようなことが書かれておりますし、中学校理科の第2分野におきましては、身近な自然環境について調べ、さまざまな要因が自然界とのつり合いに影響しているというようなことを理解するということ、それから、自然環境を保全することの重要性を認識するといった際に、地球温暖化や外来種について触れるといったようなことが記載されております。それから、高等学校の理科、生物の中では、「生物の多様性と生態系」について、生物の多様性と生態系について観察、実験などを通じて探求し、生態系の成り立ちを理解させ、その保全の重要性について認識させるといったようなことが記載されているところでございます。
 ページをおめくりいただきまして、2ページ目でございますけれども、こちらは社会教育における環境教育の取組ということでございます。
 社会教育におきましては、広く国民全体で生物多様性の保全等の環境の保全に取り組むといったようなことが重要であるといったような認識に立ちまして、子どもから大人まで一人一人が環境に対する理解と関心を深め、具体的な行動に結びつけられるような環境教育を推進するといったようなことが重要であると認識しております。その中で、例えば公民館等の社会教育施設におきましては、いろいろな学習講座というのを開設しておりますけれども、その中で、現代的な課題ということで環境教育というものも取り上げて行っているところです。参考につけておりますけれども、一般的な社会教育施設における学級・講座、趣味講座が多いわけでございますけれども、環境問題に関するものということで、自然保護・環境問題・公害問題で730程度、資源・エネルギー問題で77と、割合としては0.6%と低いわけでございますけれども、こういったような取組が行われているところです。また、博物館等、知的好奇心あるいは探求心を刺激するといったようなことで博物館活動の充実を図っているところでございます。
 具体的な社会教育における生物多様性に関する環境教育の実践事例ということで、2ポツの方に書いてございます。上の方は、社会教育による地域の教育力強化プロジェクトというのを私どもの施策として行っているわけでございますけれども、その委託事業の1つとして、財団法人大阪市博物館協会に委託した事業の中で、都市部に住む消費者としての市民が生物多様性の保全を中心とした環境倫理を確立するため、カフェや飲食店において提供される食材を題材に「食文化と多様性トーク」といったようなものも開催しておりますし、それから、先ほど申し上げたような公民館での取組ということで、「タイムリー講座 生物多様性ってなに?」といったような講座をそれぞれ開設しているところです。
 3ページ以降は具体的な施策になりますけれども、若干簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
 3ページから5ページあたりが、いわゆる学校教育における取組ということになりますけれども、3ページの環境教育の実践普及ということで、先ほど申し上げたような教育基本法の改正の趣旨等を踏まえまして、環境教育の実践普及ということをやっております。具体的な取組といたしましては、下の箱にありますように、1994年に米国が提唱いたしました「環境のための地球学習観測プログラム(GLOBE)」に参加いたしまして、GLOBE協力校の指定を行う。あるいは環境教育・環境学習指導者養成講座等々の研修の実施、さらに、各地ですぐれた環境教育の取組の実践発表会といったようなものをやっております。
 それから、4ページになりますけれども、こちらは「豊かな体験活動推進事業」ということで、いわゆる学校教育における子どもたちの自然体験活動というような事業になっております。児童の豊かな人間性、社会性を育むためには、自然体験活動が非常に重要であるというような認識に立ちまして、農林水産省、それから総務省と連携しながら、3泊4日で「子ども農山漁村交流プロジェクト」というようなことで自然体験活動を実施しているところでございます。
 それから、5ページ目、「環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備推進」ということで、ご承知のとおり、学校施設がかなり老朽化しているということで、それらを環境に配慮した学校施設に整備を図っているところです。これらを活用いたしまして、環境教育の活用や地域の発信拠点、それから、地球温暖化対策への貢献等々を行っているところでございます。
 以下、6ページ目以降、ESDの日米教員交流プログラムですとか、ユネスコパートナーシップ事業ということでユネスコスクールの認定、それから、7ページ目の青少年体験活動の推進ということで、こちらは社会教育における子どもたちの体験活動の推進等々を行っているところです。7ページの下につきましては、先ほどの社会教育でご説明いたしました社会教育における地域の教育力強化プロジェクトの概要の説明になっております。
 文部科学省の説明につきましては、ちょっと駆け足でございましたけれども、以上で終わらせていただきたいと思います。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、次に、厚生労働省からの説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【厚生労働省 石田係長】 それでは、厚生労働省でございます。本日は研究企画官の尾崎からご説明を申し上げる予定でしたが、所用により到着が遅れておりますので、代理でご説明をさせていただきます。私、厚生労働省の石田と申します。よろしくお願いします。
 それでは、説明に移らせていただきます。厚生労働省の資料をご覧ください。
 まず、1、医療分野での利用でございます。
 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」、いわゆる「カルタヘナ法」第13条に基づきまして、独立行政法人医薬品医療機器総合機構において事前審査を行ってございます。遺伝子組換え技術応用医薬品に係る第一種使用等の承認及び第二種使用等の確認を行った品目につきまして、平成20年度から平成22年度まで、計48品目となってございます。その内訳については、表に記載をしてございます。
 次のページに参りまして、2の食品の分野での遺伝資源の利用でございます。
 遺伝子組換え技術についてご説明をいたします。組換えDNA技術とは、食品として用いられる植物等の性質、機能をうまく利用するために、他の生物から有用な性質を付与する遺伝子を取り出して、その遺伝子を植物等に組み込むといった技術でございます。食品の生産を量的、質的に向上させるだけでなく、害虫や病気に強い農作物の改良や、日持ち加工特性などの品質向上に用いられるものでございまして、食糧の安定供給に貢献し、天然資源の節約をもたらすことなどが期待されているものでございます。この遺伝子組換え食品の安全性審査の義務化についてですが、組換えDNA技術応用食品と食品添加物につきましては、平成13年4月から、食品衛生法に基づきまして安全性審査を法律上義務化をしているところでございます。これに基づきまして、安全性審査の手続を経た旨の公表がなされていない遺伝子組換え食品、または、この遺伝子組換え食品を原材料として用いた食品につきましては、輸入や販売等が禁止をされることになっております。
 なお、平成15年7月には内閣府に食品安全委員会が発足いたしまして、これ以降は、遺伝子組換え食品の安全性評価は食品安全委員会の意見を聞いて行われることとなっております。現在は食品安全委員会の定める安全性評価基準に基づき、個別の品種・品目ごとに安全性評価が行われております。
 我が国では、これまでの安全性審査の状況としましては、大豆、トウモロコシ等の8作物169品目の食品と15の添加物について、人の健康に影響がないことを確認しております。また、これらの審査を経ていない未審査の遺伝子組換え食品が輸入されていないか、また、遺伝子組換え食品について、輸入時の届け出が正しく行われているかどうかを検証するため、全国の港にあります各検疫所において輸入時にモニタリング検査を実施しているところでございます。
 次の3ページになりますが、3、医療分野における遺伝子資源の保存でございます。
 (1)の独立行政法人医薬基盤研究所のバンクについてです。独立行政法人の医薬基盤研究所におきまして、遺伝子難病に特化しました難病バンク、細胞バンク、実験用小動物バンク、また、薬用植物資源研究センター、霊長類医科学研究センターにおきまして、資源の収集であったり、研究者への生物資源の供給事業を実施しているところでございます。この細胞バンクでは、マウスなどの培養細胞を収集し、標準化して研究者の皆様に提供しているところでございます。また、実験用小動物バンクでは、疾患モデル動物を含めました実験動物の積極的な収集、保存、系統の維持、安定した供給を行っているところでございまして、また、関連情報の発信も行っているところでございます。
 (2)の薬用植物についてですが、こちらは薬用植物資源研究センターにおきまして、薬用植物の種子の低温保存を行っておりまして、遺伝資源の保存を図っているところでございます。また、薬用植物の遺伝資源を収集・確保するため、世界の植物園や関係機関、研究機関と種子交換を行っているところでございます。その種子の交換の実績につきましては、平成20年から21年でございますが、実績を記載しております。
 厚生労働省からの説明は以上になります。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 引き続きまして、前回の各省からの説明の補足資料に関する説明を事務局からお願いいたします。

【奥田生物多様性地球戦略企画室長】 それでは、まずお手元に資料3−1というものがあるかと思います。前回、鷲谷委員からご指摘のあった生物多様性国家戦略、各国ではどうかという資料でございます。COP10以降、ここに書いてある10の国や地域で策定されていますが、実際に愛知目標を踏まえてつくったと思われるのは6の国、地域ということでございます。主なものとしてEU、イギリス、フランスの戦略を日本語で概要をこの資料の中に付けてあるとともに、原文のコピーを3−1のダブルクリップの中にとじてありますので、ご参照いただければと思います。原文そのものは、ここに書いてあるURL、インターネット上で参照できるということでございます。
 それから、資料3−2という2枚紙がつけてございます。これに関しては、同じく鷲谷委員からご指摘のあった生物多様性地域戦略についてでございます。平成24年3月末現在、29団体で策定済みとなっておりまして、それぞれの主なところの特徴などを整理した資料をお付けしてございます。
 そして、最後ですけれども、農林水産省より、白幡委員からご意見をいただきました指標の関係の資料として、横長の2冊に分かれているのですけれども、農業に有用な生物多様性の指標生物調査・評価マニュアルということで、1番が調査法・評価法、2番が資料ということでお付けしてございます。これが1つの指標の資料としてご参考いただけるのではないかなということでの提出でございます。
 そして、最後に、山岸委員から、自然再生の状況について前回ご指摘があったと思います。これ、資料は付けてございませんけれども、数値としては、環境省で今把握しているものだけでも全国で101カ所で実施されているというように承知しております。また、自然再生推進法、法律に基づいて実施されているのがこのうち24カ所ということでございます。恐らくこのほかにも、県とか市町村が交付金などを活用しながら実施しているものとか、自然再生だけのために実施していないけども、事業目的が異なっても、結果として自然再生に資する事業というものは各地であるものというように承知しております。
 前回の補足の資料については、以上でございます。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、質疑に入らせていただきたいと思います。先ほど申し上げましたように、時間が限られておりますので、要領よくということでお願いしたいと思います。
 最初に、文書で質問、意見の提出があった宮本委員から、ご発言をお願いしたいと思います。

【宮本委員】 それでは、外務省のご担当の方にご質問させていただきたいと思います。
 いろいろ日本の外務省が行っているすぐれた取組について、ご紹介はございましたけれども、逆に、諸外国で実施されているすぐれた取組に関する情報を外務省が積極的に収集なさって、それらをほかの省庁へ提供する取組があれば、ご教示いただきたいと思います。
 それから、続きまして、文部科学省のご担当の方に質問させていただきたいのですが、私はフィールドが南西諸島なんですけれども、非常にきれいな自然林の中に外来植物がいきなり出てくることがございまして、その原因となっているのが、教育活動として実施される記念植樹であることがございます。それから、最近流行しておりますのが、鱗翅目のチョウを記念として学校の小中学生等が育てて放すというような活動もございますけれども、その際に、遺伝的な撹乱防止のための情報提供とか指導というのが十分実施されているかどうかということについて、ご見解をお伺いしたいと思います。
 それから、厚生労働省のご担当の方にお伺いしたいのですけれども、薬用植物についての記述が最後の方にございましたが、国内に自生している薬用植物については、特定のものが乱獲されたり、あるいはそれが海外に輸出されたりという問題がございます。生薬になり得るような国内産の薬用植物等の利用、あるいは資源の確保について、他の省庁、特に環境省等との情報交換等をされているかどうかということについて、お教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、その他の委員でご意見、ご質問のある方、札を立てていただきたいと思います。
 白山委員、お願いします。

【白山委員】 ありがとうございます。外務省の方にお伺いしたいのですけれども、ご説明いただいたのは、CBDの取組と、それから全体としてのODAの取組ですけれども、例えば、私の関係する海方面ですと、国連海洋法とか、あるいはNOWPAPという北西太平洋維持のプログラムですが、こういう国際枠組みはすべて外務省がフォーカルポイントになっていると思うのですけれども、どの国際的な枠組みでも生物多様性の保全というのは非常に重要なファクターになっていると信じておりますが、こういうところにどのように取り組まれていこうとされているのかということについて、ご説明いただければと思います。

【武内委員長】 ありがとうございます。
 恐縮ですけども、今立てておられる方で限定してということでお願いしたいと思います。
 辻本委員。

【辻本委員】 厚生労働省で食品分野でのご説明がありましたけれども、遺伝子組換えについて、届出がされているものについてのチェック機構についてお話されましたけれども、届出されていないものについては、水際でモニタリングによってというようなご説明がありました。モニタリングの技術というのは、今、どれぐらい進んでいるのか届出がない場合のモニタリング技術というのは、水際でどれぐらいできるのかというのが技術的にどうかという話と、こういうことに関する、現実に栽培しているわけですから、農林水産省との連携というのはどんなふうになっているのでしょうかという点でございます。よろしくお願いします。

【武内委員長】 ありがとうございます。
 土屋委員、お願いします。

【土屋委員】 文部科学省の方にお尋ねします。小・中・高のそれぞれの取組と、それから、社会教育に関する取組をご披露いただきましたが、社会教育に関しては、子どもから大人までと書いてございまして、どちらかといえば参加者の方が主体的にプログラムに入ってくるということで、場合によっては小学生ばっかりというようなことにもなるかもしれません。もう少し積極的に、例えば、中学校と小学校が一緒になって取り組むようなプログラム、あるいは小・中・高が一緒になって取り組むようなプログラムというものは進めておられるのか、あるいはご計画がおありなのか、教えていただきたいと思います。

【武内委員長】 ありがとうございます。
 鷲谷委員。

【鷲谷委員】 新しい学習指導要領で生物多様性にも関わる環境保全のテーマが多く取り入れられるようになったことをご説明いただきましたし、新しい高校の教科書などにも外来生物、里山、あと絶滅の問題などが記述されておりますが、先生方がこういう新しいテーマを教育するに当たっては、知識とか経験とかをもっと充実させなければいけないのではないかと思うのですが、新しいそういう学習内容に関する先生方の研修などについては、どういう取組や制度がございますでしょうか。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、各省の方から、ただいまのご質問に関しましてお答えをお願いしたいと思います。まず外務省からよろしくお願いいたします。

【外務省 岩間首席事務官】 ご質問、どうもありがとうございます。
 まず1つ目のご質問で、諸外国の取組をどのように外務省として情報収集をして、それを各省、各界にご提供しているかというご質問だったと思いますが、こちらに関しましては、諸外国の取組、つまり国際協力という意味での取組ということに関しましては、先ほどご説明させていただきました多国間の枠組み、つまり多国間の枠組みといいますのは、条約という場合もございますし、いわゆるAPECみたいな、そういう協力というような枠組みもございまして、いろいろな枠組みがございます。このような枠組みを通じまして、国際社会としてパートナーシップというようなことで地球規模の課題に一緒に取り組もうという観点から、諸外国の取組というよりも、一緒に取り組むというようなことで行っております。環境分野につきましては、分野が多岐にわたりますので、特に環境省の方々、またその他の関連する省庁の方々も一緒に参加していただいて、例えば、森林分野であれば農林水産省というようなことで、それぞれの専門家同士での交流というものも進んでいるということでございます。
 もう1つは、特に海に関して国連海洋法、NOWPAPというような枠組みにおいて、生物多様性の保全についてどのように取り組んでいるかというご質問だったかと思いますが、こちらにつきましては、枠組みがいろいろとございまして、もちろんこの国連海洋法の世界でも環境保全ということは重要であるというような議論は進んでおります。NOWPAPというのも――これはごみの関係なのですけども――で行っておりますが、一方、生物多様性条約の枠組みの中でも、この海洋、海岸、沿岸といった分野での生物多様性の保全というようなものも取組をしているというような状況でございます。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 それでは、文部科学省よりご回答をお願いしたいと思います。

【文部科学省 新木企画官】 最初に、宮本委員からご質問いただきました、例えばその記念植樹等々をやるときに規制があるのか等々については、少なくとも文部科学省でそういった記念植樹をやる際に、こういうことを注意してくださいというようなことは行っていないところでございますし、あるいは鱗翅目のチョウを放す際に指導をしているかどうかというところは、私どもとしては把握していないところでございますけれども、こういったことをすることによって、自然界の影響についても子どもたちに教えるというようなことが学習指導要領上書かれておりますので、それらを含めて先生の方で判断をして指導をしているというようなことではないかというふうに考えております。
 それから、土屋委員からいただきました、社会教育における取組の中で、基本的には小学校が主体的な対象になっているのではないかというお話でございましたけれども、社会教育につきましては、基本的には学校教育と違いまして義務教育ということではないので、基本的には学習者あるいは個人の主体的な学び、あるいは自己教育というのが基本になりますので、必ずしも強制ということはできないのですが、例えば、自然体験活動という観点で申し上げますと、先ほどの資料1−2の7ページに青少年の体験活動の推進ということがありますけれども、国立青少年機構で青少年を対象にした自然体験活動ということを推進しております。この場合、その青少年というのは必ずしも小学校だけではなくて、当然、中学生ですとか高校生等も入っておりますので、学校教育の方で先ほど説明いたしました自然宿泊体験授業は基本的に小学校だけでございますけれども、社会教育における自然体験活動というのは青少年というのを対象としておりますので、小中学校を含めた取組になっております。それから、公民館でも、主に青少年を対象とした環境教育に関する取組、成人を対象とした取組、高齢者を対象とした取組と、いろいろ行われているところでございます。

【武内委員長】 よろしいですか。
 それでは、厚生労働省、お願いいたします。

【厚生労働省 尾崎研究企画官】 厚生労働省でございます。2つほどご指摘があったかと思います。
 薬用植物に関しては、何を薬用植物と言うかというところもあるかと思いますが、国外の方に、その資源の確保のために厚生省として特に何かやっていることはあるかということについては、多分やっていないということだと思います。国内でもし医薬品――全然薬用植物で医薬品をつくって、それを輸出用に出すということで何らかの手続はあったかと思うのですが、薬用植物とか、ある植物を出すというところで、厚生労働省で何かとか、資源がどこにあって、その乱獲防止のために何かという措置はやっていないということになるかと思います。
 もう1点ですが、組換え食品というか、作物というか、商品の関係につきましては、海外でどのような遺伝子の組換えされたものがとか、そういうものは研究者とかを通しまして情報をいただいているという状況がありますので、その情報に基づいてそれが検出できる検査法の研究をやっているところでございます。
 以上でございます。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 今日、まだ追加的にご質問、ご意見がおありの方もあろうかと思いますので、お配りしているご質問、ご意見の提出用紙に記入していただければ、後日、また事務局の方で対応したいと思います。

【鷲谷委員】 すみません、いいですか。

【武内委員長】 どうぞ。

【鷲谷委員】 私の質問にはお答えいただいていないんですけれども。文部科学省です。

【武内委員長】 どうぞ。

【文部科学省 美濃課長補佐】 失礼しました。文部科学省の美濃と申します。
 教員の研修についてということですけれども、先ほど資料としてお配りしました文部科学省の資料1−2の3ページ目のところ、下半分のところをご覧いただきたいのですが、環境教育・環境学習指導者養成基礎講座というのがあるんですというお話をしたのですが、実はこれは環境省とも連携をしておりまして、これは学校教員の方だけではなくて、地域の環境教育のリーダー的な方なども対象に含めて、地域ぐるみで環境教育を推進していける人材づくりをしようという取組をやっております。教員だけに限ったものをいいますと、なかなかやはり各都道府県とか自治体ごとにまとまった数の、しかも質の高い研修をそれぞれができるかというと、そこは指導者の確保とかいう面でも非常に困難な部分があるということ、それから、予算的なものでもなかなかできるところ、できないところがあるということで、ここは課題だなというふうに考えております。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。それでは、3省のご説明いただいた皆さん方、どうもありがとうございました。
 これから10時半まで休憩とさせていただきたいと思います。
(午前10時22分 休憩) (午前10時30分 再開) 【武内委員長】 それでは、そろそろ時間になりましたので、再開をさせていただきたいと思います。
 これからは民間活動団体からのヒアリングでございます。先ほどお願いいたしましたように、説明時間は10分以内とし、終了1分前に呼び鈴を1回、終了時に呼び鈴を複数回鳴らしますので、時間内でのご説明にご協力をお願いしたいと思います。
 それでは最初に、世界自然保護基金ジャパンの草刈さんより発表をお願いします。

【世界自然保護基金ジャパン 草刈事務局長付】 WWFジャパンの草刈です。座って説明させていただきます。よろしくお願いします。
 私が資料をお手元に配ったペーパーで説明させていただきますので、よろしくお願いします。
 私の方で準備したペーパーのタイトルは、「生物多様性国家戦略は、愛知目標を達成するためのメルクマールとなるべき」であるというふうなタイトルにしております。その理由は、このつくられる国家戦略に具体的な活動の判断基準とか、数値目標とか、指標とか、そういったきちんとしたメルクマールを示した国家戦略をつくることによって、都道府県とか市町村とか、そういったところが取り組む地域戦略が、目標値も示してさらに活動しやすくなるのではないかというふうなこともあるので、具体的な数値目標とか指標を入れた国家戦略にすべきであるというのを前段に書かせていただきました。
 国家戦略の改定手続についてでありますが、ボトムアップと生物多様性の主流化についてですけども、これまで同様、生物多様性の国家戦略の改定については、地方説明会をぜひ開いていただきたいと思っております。これまではほぼ内容が固まった形で地方説明会がされましたけれども、できれば大体4月24日から5月30日ぐらいの、内容が固まる前に地域説明をする方がいいのではないかなということです。というのは、国が愛知目標に対した国家戦略をつくるわけですけども、それに基づいて全国各地で地域戦略をつくるわけですので、そういう面でも地域での説明会は必要ではないかなということでございます。
 それから、地域戦略のレビューについてでございますが、今回、環境省の資料3−2で配付されておりますので、これは割愛します。
 国家戦略の体裁についてでございますが、当方の意見としては、国家戦略は3部構成として、第3部は生物多様性の主流化に向けた具体的な行動計画として、それぞれ別冊として印刷したらどうかというのが提案でございます。1部は理念的な記述が今までも書かれておりますし、2部は具体的な行動計画という形ですけども、愛知目標の主流化をやっていくためには、第3部で生物多様性の主流化を進めるための具体的なものを書いたものとして、それぞれ別刷り、別冊として持ちやすくした方がいいのではないかなということでございます。
 数値目標の配述についてでありますけども、環境省のみならず、ほかの省庁も数値目標をきちんと示していただきたいというふうなことがそこに書いております。「生物多様性国家戦略2010」では、数値目標、環境省は書いてありましたし、そういうのもちゃんとレビューする必要があるとは思いますが、そういった形で各省庁の取組も数値目標を示していただきたい。あと、指標ですけども、WWFがやっています「生きている地球指数(LPI)」ですね、「生きている地球レポート2010」ですとか、エコロジカル・フットプリントがありますので、そういったものを参考にしていただいたらいかがかということでございます。
 計画の期間についてでございますが、もう既に2012年というようなことで、2020年までの8年間、達成するまでの8年間という計画にしていく必要があるのではないかなと。最初の5年間と残り3年間という形で、残り3年間は達成状況の評価を中心とした内容にしたらどうかというようなことです。
 それから、国連の生物多様性の10年のことについて、これは後ほど恐らくCEPAジャパンからの報告もあると思いますので、これについては割愛します。
 重要地域の保全についてでございますけども、国立公園、国定公園、鳥獣保護区とか、生物多様性の屋台骨と言われている重要な保護地域については、国が責任を持って国際的な視野に立って取り組むべきであるというようなことを書いております。これは、地方環境事務所の移管問題があった時にNGOがいろいろ要望書を出しておりますけども、そういう面からも、国立公園とか国指定の鳥獣保護区というのは地方環境事務所が国直轄でやっていく必要があるし、国立公園、国定公園、鳥獣保護区の保全について、きちんと方針を定めて明記するべきではないかなというようなことです。
 海洋生物多様性保全戦略についてでございますが、これもその改定に着手すべきというように書いてありますけども、2011年3月に海洋生物多様性保全戦略が発表されましたけども、その後、3.11が起きたというようなこともありますので、震災に絡んだ内容での生物多様性の海洋保全戦略の改定が必要ではないかなと。そういうような震災対応の記述でどうしていくかと。それから、海洋環境に与える戦略的な環境影響評価のことについても、海洋生物多様性保全戦略に書く必要があるのではないかなというようなことでございます。
 海洋保護区についてでございますけども、海洋保護区の定義の見直しをきちんとするべきではないかなということで、海洋の保全戦略の中には海洋保護区の定義が書いてありますけども、法的根拠が明確ではないので、定義の妥当性を検証して、保全上重要な海域を指定するなどの整合性を図る必要があるのではないかと。WWFジャパンでは、日本の法的な海洋保護区の浅海域はわずか3.7%というふうなことで、日本における海洋保護区の設定状況のレポートを発表しておりますので、こういうのも参考にされてはいかがかと。
 それから、種の保存法の抜本改正についてということで、種の保存法については、その点検会議が進められましたけども、その結果からしても、絶滅のおそれのある種を保全していくためには、種の保存法の改正が必要ではないかなというようなことです。2015年に世界生物種会議、ワールド・スピーシーズ・コングレス(World Species Congress)があるというようなことを聞いておりますので、こういった国際会議が2015年にありますので、こういった目標に向かって種の保存法を改正する必要があるのではないかなということを書いております。
 海洋版のレッドデータブックの作成というものも重要なポイントがありますので、これもぜひ着手していただきたい。
 それから、野生鳥獣の保護管理についてでございますが、鳥獣保護法が改正されて、野生鳥獣の保護管理計画、または農林水産省の鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律が進んでおりますけども、もう現状からすると、個体数管理とか生息地管理とか、被害対策とかだけでは、もう収拾ができない状況になっておりますので、中山間地域の社会構造も検証した上での鳥獣対策が必要ではないかなと。
 外来生物の防除についてでございますけども、外来生物に対する今後の必要な系統的な戦略をきちんと記述すべきではないかということで、そこに書いております。外来生物については、先ほど文部科学省から、中学校の理科の第2分野のところで記述があるというようなお話もありましたけども、普及教育、環境教育は非常に重要で、これはもう幼児教育のレベルからやる必要があるというようなことなので、それも加えておかせていただきます。
 復興と生物多様性についてでありますけども、生態系サービスを将来にわたって維持するために、復興事業において生態系を配慮することを明記すべきではないかという視点を書いております。
 それから、自然資源の持続可能な利用についてということで、生物多様性に配慮した認証商品、これを数値目標として書いたらどうかと。WWFが森林認証制度とか、水産物の認証制度を進めておりますし、フェアワイルド、先ほど宮本委員からの指摘もありましたけども、野生植物の持続可能な利用を認証することもやっておりますので、そういったことも検討する必要があるのではないかなと。
 それから、アジア地域の優先項目についてということで、今日、EUの6分野の資料も配られておりますけども、EUもこのような取組をしておりますので、日本も主導して、アジア地域で取り組む共通目標を着手してみてはどうかということであります。
 それから、議定書の批准手続についてでありますけども、今回、NGOからいろいろヒアリングされておりますけども、京都議定書、ABS関係のNGOからのヒアリングとか、そういったこともないので、そういった関係団体からのヒアリングも必要だということと、議定書については、先ほど外務省等の質問もあったので、そこら辺は割愛させていただきます。
 最後になりますが、今後加盟すべき条約についてでありますけども、これまでずっと生物多様性国家戦略ではボン条約の記述がありますけども、ぜひ今後5年間の間にボン条約を批准していただきたいということです。
 大体持ち時間10分ですので、ここで終わらせていただきます。ありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 次に、日本自然保護協会の道家さんより、ご発表をお願いしたいと思います。

【日本自然保護協会 道家】 公益財団法人日本自然保護協会の道家と申します。
 改めまして、このような場を設けていただきまして、誠にありがとうございます。自然保護協会は、これまで第二次、第三次、国家戦略のヒアリングに関して、ずっと意見を申し上げて参りました。国家戦略は常に、少しずつなのかもしれません。より具体的になり、あるいはどの省庁が取り組むのかということが明確になり、多くはないですが、数値目標がしっかり定められるというような発展をする中で、今回、2010年10月の愛知県名古屋市のCOP10の成果を受けて、これまでの国家戦略のバージョンアップをはるかに超す、ステップチェンジをした、バージョンアップをした国家戦略を望みたいと思っています。愛知目標、名古屋議定書、名古屋・クアラルンプール補足議定書、そして国連生物多様性の10年、その中のキーワードである「自然と共生する社会」、すべて日本の政府を含め、皆で協力してつくり上げた10年間の目標、これを達成するための国家戦略というのに大きく大きく期待したいと考えております。愛知ターゲット、そして、その中にある2050年のビジョン、2020年のミッション、それを達成するための5年間の戦略、行動計画にしていただきたいと思っています。
 COP10後、3月11日、東日本大震災という痛ましい震災が起きましたけれども、ここからもわかるとおり、非常に特殊な地形、位置にある日本で、自然との共生と、日本が提案したものをどう実現していくかということが非常に重要になり、それを示していくものになるのではないかと。ですので、東日本大震災から我々が得られる教訓というものは、決して愛知ターゲットと異なるものではなくて、人と自然の共生する社会、すなわち自然の脅威とうまくつき合っていく社会というのにつながる国家戦略、東北復興とか、生物多様性を生かした暮らし、あるいはまちづくりというものに強いメッセージを国家戦略の中で打ち出していただきたいと思っていますし、2020年のミッションというものを読みかえれば、2020年までに生物多様性の損失を止めるための行動をとる、あるいはこれまでの行動を変えるという、その5年間になります。ですので、私ども日本自然保護協会としては、これから素案、あるいはパブリックコメントにかかるような案が出てくるわけですが、それに対して、果たして多様性の損失を止める行動をとることになっているのかと、そういうチェックリストといいますか、そういう視点でこれからの審議を見ていきたいと思っていますし、必要に応じて意見を出させていただければというように考えているところです。
 さて、国家戦略に関して、10分という短い時間ですので、少し絞り込んで提案をさせていただきたいと思っています。
 ポイントの1つ目としては、愛知ターゲット、20の目標があるわけですが、意欲的な目標というのをやはり打ち立てていきたいと。それに向けてNGOとしても協力していきたいと考えています。意欲的な国家目標、そしてマイルストーン、指標の設定というのが大事だろうと思っていますし、特に注意といいますか、留意していきたいのが、数値目標を設定する際には、意味のある数値を掲げていただきたいと考えています。これについては、後でもう少し、保護地域に関係するところを説明させていただきたいと思いますが、委員の皆様には繰り返しになるかもしれません。愛知目標の11番、保護地域、数値目標だけではなくて、ここでは特別に重要な地域が効果的に、公平に管理され、かつ生態学的に代表的な、よく連結された保護地域システムや、その他の効果的な地域をベースとする手段を通じて保全され、また、より広域の陸上景観または海洋景観に統合されると。長い目標で、覚えられないような長い目標なのですが、それぞれの文言にとても意味があって、大事にしたいと思っています。後ほどそれについてお話をさせていただきます。
 ポイントの2点目なのですけれども、この場合の国家戦略というのを、ぜひ政府の戦略ではなくて日本全体の戦略になるようなものにしていただきたいと思っています。この国家戦略の懇談会、地域戦略の指針になるような国家戦略をつくり上げようということが1つのミッションになっていたかと思うのですが、例えば、地域戦略というものを考えていっても、さまざまな課題、留意点があるというように思っています。そして、ヒアリングのあるなしにも関わらずなのですが、復興庁も含めてだと思います。他省庁、市民団体、企業、自治体が何をすべきかという20の個別目標の役割分担と責任を明確化し、それを可視化していくというストラテジーが次の国家戦略には必要ではないかと。
 委員の皆様に配付をさせていただいたのですが、地域戦略に関する自然保護協会のガイドブックをつくってお配りさせていただきました。これまでつくられた地域戦略、本日まとめられた資料がございますが、市民団体、NGOの視点から見て、時に国家戦略を写したような地域版の戦略ができていたり、あるいはその戦略がつくられていたことをNGOが誰も知らないという、そういうほとんど知らないという状況もございました。誰も知らない目標を達成できるわけがないだろうと思うわけです。その中で、さまざまな外部の専門家の方の助言もいただきながら、あるいは地域のNGOとの意見交換を繰り返しながらつくり上げたのがこのガイドブックです。全部をご紹介することは難しいですが、そういった地域戦略への懸念に対して、やはり市民参加の重要性、分野を横断することの重要性を訴えていきたいと思っていますし、今度の国家戦略がそういう形で市民を巻き込んだ地域戦略につながるような中身にしていただきたいと思っています。
 それから、政府だけではない日本全体の戦略ということに関してなのですけれども、自然保護協会が事務局を務めているIUCNの日本委員会のプロジェクトとして「にじゅうまるプロジェクト」というのを立ち上げました。これは、私たちの活動、政府だけではなくてNGO、市民団体、そういった活動が愛知目標のどれに貢献するかを考えて、活動を宣言し、目標とともに登録すると。そうやって登録をしていくことによって、普及啓発みたいに、今、30ぐらい登録されているものもあれば、ABSのようにできていないものもあると。こうやってやれていることと、やれていないことをしっかりと可視化していくということが重要なのではないかと。そして、政府のみならず、企業も自治体もNGOも、自分たちは愛知ターゲットに向けてこんなことができるんだということを提案していくという、そういう仕組みを日本全体に進めていければいいのではないかと思い、こういう活動を展開しています。
 そして、ポイントの3点目になるんですが、やはり5年間で効果的かつ緊急の行動をとらなければいけないという中で、自然保護協会、さまざまな現場の開発の問題も依然残っていると考えています。先ほどの意欲的な意味ある目標をというところにも関係するのですが、自然保護協会で作り上げた「Strategic Information System for Protected Area」、略してSISPAというところで分析をしたところ、ちょっと数字が小さくて申し訳ありませんが、自然公園制度だけでもう既に14%のカバー率があります。しかし、その内訳を見てみますと、特別保護地区は2.92%というカバー率です。仮に林野庁関係の保護林の、これは面積、重複がどうしても含まれているのですが、足すと29.36%、これで達成されたと満足するのはやはりおかしいだろうと思っています。どのような数値目標を掲げるかということも非常に大事な論点になるのではないかと思っています。
 あわせて、今ある保護地域がちゃんと重要な地域をカバーされているのかどうかということもレビューしていくような国家戦略が必要ではないかというように思っています。自然保護協会で行った植物群落RDBなのですけれども、保護地域の外にまだ重要な地域が43%残されておりまして、そのうちいくつもの危機に直面しています。こういった重要な地域とのギャップに取り組んでいくということも、ギャップを埋めて守っていくということが重要ではないかというように思っています。また、保護地域制度に関連することではあるのですけれども、現在、再生可能エネルギーを保護地域内で推進しようと、そういう動きが後を絶っておりません。保護地域は守られて当然のところではないかと。あたかも何か使われていないところのように扱われているのに対して、私たちは問題だと感じています。エネルギー開発ではなくて、省エネルギーで暮らしの質を高める、そういう方面に、生物多様性を守れるエネルギー政策に転換する、その一歩を今度の国家戦略で検討していただいて、保護地域が当たり前のように守られるという状況をつくっていただきたいというように考えています。
 最後に、日本の海域の問題なのですが、重要な海域ですけれども、まだまだ危機的な状況は深刻で、沖縄に関する開発問題というのも直面しています。海洋保護区は、今年3月、8.3%というように表現されましたけれども、その内訳というものについても、私たち、内容もわかりませんし、それが保護地域として適切なのかどうかということも、これからますます検討していかなければいけないのではないかというように思っています。また、東北大震災の教訓というのをこれからの地域づくりに活かしていく。海岸のエコトーンや砂浜への土砂供給などを分断する、そういう堤防整備は性急な結論ではないかと考えて、今、海岸の植物群落の調査というのを始めているところです。
 最後、駆け足になってしまいましたが、以上で発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、次に、日本野鳥の会の葉山さんよりご発表をお願いしたいと思います。

【日本野鳥の会 葉山自然保護室長】 日本野鳥の会の葉山と申します。よろしくお願いいたします。
 本日のヒアリングなんですけれども、事務局から送られたものでは、各団体の取組を中心に説明してほしいということだったんですけれども、ここに並んでいる各種団体とも、多分行っている活動すべてが多様性に関わる活動になりますので、それを一々述べる時間はありませんので、主な活動の中で特に国家戦略に関して、気付いたことのあるようなことを述べさせていただきます。
 私ども日本野鳥の会は、全国に90の支部がありまして、各支部が主体で各地での探鳥会、鳥を見る会ですね、これは生物多様性の利用と、それを普及するような活動、そのほかにも保護、調査などを行っているのですけども、その中でいくつか気付いた点がございます。
 1つは、里地里山の保全についてです。里地里山は、里山イニシアチティブということで、生物多様性の日本の戦略の中でも重要に位置付けられていると思いますけれども、その中でも、現状でまだ第2の危機、管理放棄による生息環境の悪化がある一方で、宅地開発やテストコースなどの建設など、生息地の開発の危機にも見舞われています。でも、その一方で、各地で農業生産者やNPOなどの多様な取組が進められて、そういうところでは多様性の保全が進められているというような状況になります。しかしながら、今後の国内の人口の減少、過疎化の進展等を見ますと、今、国内にある里山のすべてを守ること、同じように保全することは困難ではないかと思っております。また、現在、危機に見舞われている里山、特に開発の危機に面している里山というのは、人口の集中する大都市周辺の里山です。大都市周辺では、人口の減少に関わらず、住宅地等の建設によって里山が危機に面しております。そういうような大都市周辺の里山というのは、逆に、これまで里山を維持することに必要であった人との関わり、経済活動とは別の活動で継続できる場所だというように考えております。ですので、まず国家戦略2010の次の期間においては、都市近郊の里山の生物多様性の視点から重点的に選定して、都市住民が保全に関われるような仕組み作りや、地権者のインセンティブを高めるような方策をとるべきだと考えております。
 2番目ですけれども、報奨制度による生息地の保全ということを申します。私ども、ナベヅル、マナヅルというツルの越冬地の分散というのをやっております。このツルは、世界の個体数のほとんどは九州にある出水というところに越冬地が集中していて、もしそこで病気が発生すれば、その種そのものの存続に影響を及ぼすというふうな種なのですけれども、こういうような農地に生息するような生き物へと分散とか、新しい生息地をつくり出すという場合に、農業被害をどう克服するかというのが1つの課題であります。従来、鳥獣による農業被害の対応は、その農業者への補償金という形で行われてきましたが、生物多様性保全への貢献という視点で、奨励制度とすることが望ましいと考えております。これはEUにおける農地の生物多様性保全への貢献に対する直接支払いというような例が諸外国でもありますけれども、現行のものとしても、農林水産省において、環境保全型農業の直接支払制度というものがございますので、野生生物への生息地の提供というような視点から枠組みを広げることが必要だと考えております。また、鳥獣保護区の特別保護地区などの指定状況を見ますと、地域の設定の線の引き方が、野生鳥獣の生息条件といった科学的なデータによるものではなく、公有地と民有地の境を境界としているという例が多数見られます。このような問題を解決するためにも、地権者への税制面での優遇などの措置による奨励制度が必要と考えます。
 3番目、森林と保護区域に関する問題ですけれども、国有林における森林環境保全というような題をつけました。私ども、北海道でシマフクロウという絶滅のおそれのある鳥類の保護活動をしております。シマフクロウの生息地のそのうち6割は国有林にあります。国有林では、保護林制度というものがあって、これは大正時代から続いている制度で、多分シマフクロウの生息の保全には寄与していると思います。この「思います」というのが、やっぱり保護林制度というのは、法律に基づかない制度であって、そのために、その保護林の設定や運用というのは、各森林管理局に委ねられております。また、内部の制度で動かされておりますので、設定状況等の公開も不十分であります。そのために、私どもは、先ほどシマフクロウの生息地の保全に寄与するであろうというような表現をとらせていただきました。また、私ども、IBA、重要野鳥生息地というような保護地域の対象地域のリストアップもしておりますけれども、そのギャップ分析を行う際にも、この保護林制度、特に森林生態系の保護林、特定動物生息地の保護林というのが重要かと考えておりますけれども、こちらの期間の継続の様子、運用、また地理的な情報が非常に不透明であるために、ギャップ分析の対象としておりません。今後、森林の中核となる国有林を保全するに当たって、さまざまな主体との協同を進めるために、保護林制度を法的に明確にするとともに、情報公開に努めて貢献するべき制度だと考えております。
 4番目、海洋の保護地域についてでございます。これは3点ございます。
 私ども、カンムリウミスズメというやはり絶滅のおそれのある鳥を対象に調査をしておりますし、もう1つ、国際的な自然保護NGO、バードライフインターナショナルの共同事業として、海鳥を指標とした重要海域のインベントリーの作成であるマリーンIBAという事業を行っております。この事業を行っている中で、海洋における生物多様性の情報が極端に少ないということがネックになっております。私どもは鳥類を対象に活動している団体ですけれども、海鳥に関してですら繁殖地の情報のみが充実しており、海上でどのような場所に生息しているのかという情報が極端に少ない状況であります。今後、生物を指標にした重要海域を選定していくということが必要になると思いますけれども、海鳥をはじめとする生物多様性の情報を国としても収集する必要があるかと思います。その1つとしまして、今後、震災以降、エネルギーとして注目を受けている風力発電、洋上風力が国内でも拡大すると考えられます。イギリスでは洋上風力の計画段階で、海鳥を含めて広範囲に生物情報を収集するというような仕組みができております。日本においても海洋生物の情報が少ないことから、そうした取組が必要と思われます。
 あと、海洋保護区についてですけれども、海洋保護区は、自然公園法に基づく海域公園地区などがございますけれども、一方で、水産資源保護法に基づく保護水面というものもありますけれども、それぞれ対象とする生物が限られていたり、規制する行為が限定されております。海洋は特にその中でも浅海域の生物多様性の保全には、生態系そのものの保全が必要と考えますので、新たな保護の制度が必要かと考えております。
 また、海鳥の保全については、先ほどWWFも述べられましたけれども、ボン条約、特に海鳥に関しては、その中でもアホウドリ、ミズナギドリの保護に関する協定の批准等を進めるべきと考えております。
 最後ですけれども、放射性物質の影響調査でございます。現在、各種NGOですとか、研究機関で、原発事故に伴う放射性物質の影響の調査を進められておりますけれども、放射性物質の影響というのは長期間に及ぶため、国として継続したモニタリングの体制を整えるとともに、あわせてNGOなどのさまざまな主体と連携してモニタリングを行う。そのような方向性を国家戦略の中でも明確に出していただきたいと考えております。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 それでは、日本生態系協会の関さんにご発表をお願いしたいと思います。

【日本生態系協会 関事務局長】 生態系協会の関です。ここでは資料1と2を使って発表させてください。また、順番を変えてお話しすることになってしまいますが、配付資料の2から使わせていただきたいのですが、この配付資料の2については、5年前の第二次国家戦略を見直して第三次をつくるというときに、私どもで発表させていただいたものと全く同じものを持ってきていますが、すみません、こちらの方から説明させていただきたいと思います。パワーポイントで出ているものと資料は同じものですので、よろしくお願いいたします。
 まずは、日本の社会的な現状ですが、世界は人口爆発になっていますが、日本は人口が今後急減していきます。2005年から一気に減っていくわけですけども、その中位推計、政府のデータを見ても、100年後には日本の総人口が5,000万人を切ると。高齢化率が40%になるという現状があります。伴いますけども、過疎化、耕作放棄地の影響による大型哺乳類の分布領域の拡大と。一気に飛ぶような形になりますが、過疎化が進む地域では、と言いましても、日本の国土の6割がそういう状況ですけども、2100年を待たずに2050年にもう人口は半減します。この大型哺乳類の分布拡大の資料は、5年前の環境省の資料を使っていますけども、大胆な対策を計画的に講じないと、こうしたことがさらに進んでいくという予想が今も続いております。
 関連しますが、国や地方自治体の財政というのは、非常に切迫している状況ではあるわけですけども、これは国土交通省の白書からとっていますが、インフラの維持管理、社会資本の維持管理がもうできない状況になると。新規のもの、インフラを造らなくても、今、既存のある維持管理だけでも2020年を境に、もう橋や道路を捨てていくと、維持管理できなくなる状況が現状としてあるという認識があると思います。そういったことは日本に限らず、世界的にもあるわけですけども、どういうことがあるかということで、我々、2003年ぐらいからいろいろな国際シンポジウムをさせてもらっていますけども、特に都市の社会資本の維持管理については、シュリンキング・ポリシーとか、スマートグロースとかコンパクトシティー、日本でも学問的にはいろいろ討論されていますけども、そういったことが具体的にヨーロッパやアメリカでは始まっているという現状があります。当然、そういった場所で切り捨てていくところを積極的に自然再生を行うということで、そういったシンポジウムも何度も開いてきておりますけども、超長期の視点から条件の整う中山間地や災害の危険の高い場所については、この5年前に言ったことは、一番言いたかったことは、計画的に撤退をしていくということを視野に入れないと、中山間の鳥獣被害をどうやって守っていくかということではなくて、撤退も加味したことで考える必要があるのではないか。そういったもののベースになる考え方として、生態系ネットワーク、エコロジカルネットワークの考え方に基づくグランドデザインをこの生物多様性戦略の中でまず描いて、その実現に向けて今から大筋でその方向を誤らないように進んでいくという積み上げのやり方がいいかと思っています。
 また、国際的といいますか、欧米の先進的な事例を見てみますと、例えば、これはドイツですけども、生物多様性の観点からの超長期のグランドデザインを描くだけにとどまらず、国土計画、開発計画の中にリンクさせて計画を進めていくと。エコロジカルネットワークが絵に描いた餅にならないように、国土計画の整備の方にもちゃんとリンクさせて、法的に位置付けられているということが重要だと思います。ただ、日本でも、現状、当時、5年前でしたけども、環境省や国土交通省は非常に大胆な提言も出されていました。国土戦略にも100年計画ということが示されていて、100年先の国をかなり大胆なイメージする試みというのが出てきています。それは、積み上げていって何とか現状を打開しながら、いい方向に向かっていくという方法だけではなくて、100年後の絵を描くわけですから、バックキャスティングの考え方でもうゴールを決めて、そこに向かって国が歩むべき方向というのを近づけていくと。一歩一歩重ねていくと、そういった取組が大切になるのかなと思っています。
 こうした国づくりを進める上で、自然環境教育というのが非常に重要だということは戦略の中にも出ていますが、私どもの協会でも、99年から2年に1回ですけども、全国の学校や、または幼稚園や保育園ですけども、園庭から見直していこうと、自然に戻していこうと、そういったコンクールをしています。そういった資料も別途お配りさせていただきました。
 次は、これは生物多様性の項目の中でよく「緑化」という言葉が使われますけども、これは非常に生物多様性に寄与する場合と、寄与しない場合と、先ほどのお話の中でも出てきておりましたけども、ただ、国の法律等や、また地方自治体にあっても、特に地方在来の植物等による緑化の推進に努めることということは、かなりロビーイングしていますけども、国会の附帯決議等入っておりますので、こういったこともまた後押しするようなことの努力も必要なのかなと。
 ここからが前回非常に重要だと思うことなんですが、いろいろやりたいことはあると。やらなきゃいけないのですが、最も重要なことは、予算が付いてこないと、重要なことはあっても後回しにされてしまうと。国の予算に占める環境保全費用の経費の割合というのはどんどん減ってきているという現状があるわけですから、何とか予算を付けてほしいということを戦略の答申にも上げていただければなと思って、お話させていただきました。
 アメリカのフロリダの例もちょっとお話させてもらったのですけども、こういった国土の計画がある以上、100年先とかを見据えた国づくりなのですけども、重要な地域を保全するためには、保護区にするということは基本なのですが、そのため、行政において常に土地を買い入れるという予算的な関係を付けると。日本ではとかくその議論が避けられがちになりますけども、やっぱり土地を買ってしっかり守るということが基本であるということは、日本でも現状あるかと思います。
 そういったことを前回お話しておいて、今回、資料の1を、その後、つけ足して作ってみました。
 1つ目は、これはもうよく言われていることですけども、持続可能な国づくりの土台というのは生物多様性であると。これは国連ミレニアム生態系評価の報告書にも出てきたものを使って書いております。
 その次ですけども、これは第三次の中で「国家戦略の2010」の中で触れられていますけども、生物多様性センターのウェブサイトにも掲載されていますが、さまざまな生きものの観点から検討が行われて、50年、100年先の見通し、日本が進むべきおおよその方向性というのがエコロジカルネットワークとして、環境省として出されています。この取組を一部参考にしまして、今回、私どもの協会で、自然植生が50%以上になっている国土の姿をGISで試作してみました。ちなみに、現状の日本において自然植生は約20%しかなくて、大部分が北海道です。その姿なのですが、そこを50%公有地化、積極的に買うということを決めた場合に、期限を愛知目標とリンクさせて2013から2050年の37年間で実現させるとした場合に、バックキャスティングで考えた場合に、国土交通省の地価のデータをもとにラフに計算したんですが、毎年毎年約5,000億円使えば、50%買い取って自然に戻すということも具体的には実現できるんだということを一旦ここで提示させていただきました。
 そういったことを後押しするということも含めてですが、生態系協会は、ナショナルトラスト協会と一緒に活動をしながら、さまざまな地域の土地の取得を今進めています。北海道から奄美のところまで、いくつかの土地を今購入し始めました。例えばですけども、ツシマヤマネコの生息する長崎県の対馬ですが、ツシマヤマネコは100頭わずかしかいないという状況なのですが、この10年間で交通事故で48頭も死んでいるという状況ですけども、そういったところでも、非常に密度が高い生息地であっても、公有地化されずに私有地で、いつ開発されてもおかしくない現状にあるという場所ですが、一番密度の高い北野地区、100ヘクタール弱になりますけども、民間として購入しました。また、特別天然記念物のアマミノクロウサギ等の森も買っております。あと、午後、今日、ご発表があるようですけども、北海道の黒松内町のブナ林、また、ここでも生物多様性地域戦略をつくられておりますけども、そういった中でも計画とリンクさせて土地を買っています。
 時間が迫ったのでざっといきますが、飛ばして、先ほど話したフロリダですけども、実際は91年から現在までで60億使って、28%、今、公有地化が進みました。目標が30%、自然保護のための公有地化をしたいということが、フロリダ・フォーエバー・アクトという法律の担保に基づいて、今、土地を買っていっています。
 最後に、2つ今回言いたいのですけども、1つは、自治体の広域連携による生物多様性の保全というのが始まりまして、関東でも4県29の市町村が集まりまして、トキやコウノトリが舞う場所をもう1回つくりたいということが出てきています。
 ちょっと駆け足になってしまいましたけども、最終的に、最後にまた前回と同じことなのですけども、いろいろな施策を実現させるためには、何とか予算を環境省でしっかり取っていただけるように、我々も努力しますけども、そういったことが答申で書かれていければなと思って、発表を終わらせてください。ありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、次に、コンサベーション・インターナショナル・ジャパンの日比さんより発表をお願いしたいと思います。

【コンサベーション・インターナショナル・ジャパン 日比代表理事】 おはようございます。コンサベーション・インターナショナル・ジャパン、代表理事の日比でございます。本日はこの小委員会にお呼びいただきまして、意見表明の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 早速でございますけれども、今回の国家戦略、次期国家戦略に向けた意見ということで、まずは1つ、国家戦略の全体に関わる分、大局的な視点で2つだけ少しご提案させていただければと思います。
 1つは、やはり日本という国は、世界における位置付けというものをしっかり認識をもっと明確に出していってもいいのではないかという点でございます。こちらの地図は生物多様性ホットスポットでございます。日本もホットスポットでございますけれども、ご覧いただきますと、地球の生物多様性を支えていくために重要な生態系、これだけではありませんけれども、喫緊の保全の必要がある地域というのは、その多くは世界に広がっており、また途上国に分布しているという状況がございます。日本というのは、何もこの端っこの国だけで成り立っているわけではなくて、これらのホットスポットも含めた国々から多くの資源を輸入して成り立っているという点があります。こちらは日本の重要生態系地域、KBAと呼ばれている地域がどこに分布しているかということを分析した結果でございますけれども、これも国際的には、特に先進国の間では、非常に産業化が進んだ先進国、工業化した日本において、これだけまだ地球規模の生物多様性重要地域が残っているのかというように驚かれる反面、これはひょっとしたら、これまでの日本の経済発展の負荷の部分というのを海外に出してきた結果からではないかというように言われることがまだまだ多く、また実際そうであると考えております。そういう意味からも、まずやはりこの国家戦略を考えていく上で対象となるのは、いわゆる日本の国土の上で行われることだけではなくて、日本が国として成り立つために必要としている材、サービス、生態系サービス、あるいはそれを支えている地域というところをしっかり、何か最後に国際的取組という形でつけるのではなくて、全体的な骨格としてそこを見ることが重要ではないかなと思っております。
 2つ目の大局的視点、「危機の構造の見直し」と書いたのですけども、何もこの「3つの危機+気候変動」というのを考え直すということではございません。ただ、いわゆるDPSIRのアプローチから考えて、そのドライバーの部分というものをもう少し中核に据えた戦略にしていく必要があるのではないかと。具体的に言いますと、いわゆる自然資本が経済内部化されていないようなドライバーがやはりこれまであったわけですから、それをしっかり位置付ける。あるいは貧困問題、特にこれは海外での貧困問題ですけれども、最近は貧困問題と同時に、新興国の急激な人口増加、成長というものも、この生物多様性の大きな危機のドライバーになっておりますから、この辺りをしっかり位置付けていくということが2点目になるかと思います。
 少し具体的な内容の提言を5つばかりさせていただきたいと思います。
 1つは、考え方なのですけれども、影響軽減、その負荷を削減していく際に、これはいわゆるEIAなんかでよくとられる回避、最小化、修復という段階的な取組と。ここであえてオフセットということを書きました。何も数値化してそれを相殺するというよりも、ここでいくら最小化しても、やはり残る負荷というものにどう対処していくのかということの重要性というのを考えていく必要があるということで、あえてこういう図を出させていただきました。これをいかに政策であり、あるいは個別の事業、あるいは事業者、一般市民の取組の中で活かしていくかということがまず1つ目でございます。
 2点目、これは産業分野への主流化ということを挙げさせていただきたいと思います。産業分野ということで、当然ながら民間企業の役割というのが非常に大きくなってくると思っておりますし、特にここ数年、COP10前後からして、企業の生物多様性への関心の高まりというのは、非常に我々としても目を見張るものがあると思っておりますし、今後に期待したいと思っております。ただ、まだまだその取組は端緒についたばかりかなというように思っておりまして、特にサプライチェーン全体での取組、負荷もそうですし、先ほど言ったプラスの影響をいかに生み出すかということをこのサプライチェーン全体の中で考えていく必要があると。特に日本の産業構造ということを考えた場合に、地球の生物多様性に直接的影響を与える、いわゆる上流部分というところでなかなか影響力を発揮できないということもあるかと思うんですけれども、一方で、日本の産業の強み、その垂直統合といいますか、上流から下流まで非常に強い結びつきを持っているということもあります。あるいは業界の中での横のつながり、この辺りをもっと活かしながら、企業の取組というのはできるんじゃないかと思っております。それから、もちろん産業だからといっても、企業だけではございません。政府あるいは一般市民も、この分野でまだまだやるべきことがあるというように思っております。特に企業、あるいは一般市民の経済活動ですね、消費を中心とした経済活動において、生物多様性を維持せざるを得ないような誘発的な政策というものをもっと取り組んでいくということはあるのではないかなと思っております。例えば、国家勘定の中での生態系の経済評価というのも大きな枠組みではあるでしょうし、もっと具体的なところで言えば、生態系の直接的支払いとか、あるいは先ほども出ておりましたけれども、ラベリングのようなものの普及ということが挙げられるかと思います。
 3点目、これは海洋に関するところでございます。日本はEEZの面積ということでいいますと世界第6位になるかと思います。非常に大きな面積を有しておりますので、もちろん領海、それからEEZの中における対策というのは、非常に世界の中においてもその役割、責任も大きいかと思います。そこを当然やっていくとしまして、さらに、公海、排他的水域での取組におけるリーダーシップというのも、海洋国家であればこそ国際的に求められているということもあるかと思います。その際にも、水産資源の確保という観点だけではなくて、それをいかに持続的に、しかも日本だけではなくて、今後、人口が増加していく世界の中で、日本が必要な資源をいかに長期的、持続的に確保していくかという視点での取組というものをぜひ取り入れていただきたいと思っております。
 それから、資源動員、愛知ターゲットの目標20になるところでございます。ここは外務省からの発表にもありましたように、日本もいろいろODAを通じた取組をこれまでもしております。GEFへの拠出は数字上は第2位となっておりますが、アメリカがなかなか実際コミットした分を出していないので、実質的な貢献ということでは世界トップなんじゃないかなと思いますけれども、だからといって、それで十分ということにはならないと思っております。COP10でも明らかになりましたように、まだまだやるべきこと、必要とする資金、資源というのはまだまだギャップが大きいところがありますので、やはりそこはしっかりやっていくと。特に、まだCOP10の議長国としての立場もありますし、COP11で資源動員というのは大きな議論になるわけですから、そこに向けたリーダーシップというのは発揮していくべきだろうと考えています。もちろん「いのちの共生イニシアティブ」が名古屋で発表されたわけでございますけれども、これも含めて、まだまだ生物多様性分野の日本のODAというのは、国際的にいろいろな途上国の政府関係者、NGOの方と話していても、大きなところは見えたのだけど、具体的に何をやっているのかなかなか見えてこない。あるいは、どういうプログラムを提案すれば支援してもらえるのかわかりづらいというような話もよく聞きますので、その辺の透明性を確保していくというのも、今後重要になってくるんじゃないかなと思います。
 それからもう1つ、やはり特に現地でのNGOとの連携というのが非常に重要になってくると思います。生物多様性は問題はグローバルですけども、実際の対策が非常にローカルな場で必要となりますから、国対国だけの関係ではなくて、現地のNGOをもっと大胆に支援していくような施策というのができるのではないかなと思っております。
 最後に、これはモニタリングです。日本の1つお家芸とも言えるところかと思うのですけれども、これまでは、どちらかというと、日本の環境のモニタリングと言いますと現況のモニタリングだったと思うのですけれども、これからはやはりDPSIR全般にわたってモニタリングしていくということが必要になってくるかと思います。農業との関係とか現地の生態系との関係、あるいは持続可能な生産、消費への取組等も含めたモニタリングというところに国際的な貢献もできるのではないかと考えております。
 駆け足でございましたが、以上でございます。ありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、午前中の最後になりますけれども、CEPAジャパンの川廷さんより発表をお願いいたします。

【CEPAジャパン 川廷代表】 CEPAジャパンの川廷です。今回、初めてこのような場で発言させていただく機会をいただきまして、本当にありがとうございます。CEPAジャパンは、去年の5月に設立した、COP10のCEPAの決議に基づいてつくられたNGO、一般社団法人ですけども、NGOです。今回は生物多様性の主流化について、ご提言をさせていただきたいと思っております。
 まず、その主流化ということですけども、これは一体どういうことなのかということを踏まえながら、スクリーンにも投影しながら皆さんもお手元の資料をご覧になっていただければと思います。
 国家戦略の解釈として、まず生物多様性の国家戦略というのが、例えばの話ですが、我々地球市民の生活基本ガイドブックだと。例えば、そういう解釈をやわらかくしてみてはどうかという話もあるのではないかと思います。必ずしもそういう表現でなくてもいいと思いますが、少し頭をやわらかくして考えていく必要があるのではないかと考えます。主流化です。国民みんなが理解することです。要するに、私たちCEPAとしては「決議と暮らしをつなぐ」ということを考えていきたい。ゴールは行動の変換です。ライフスタイルの変換。大事なのは、各地で郷土愛で行われている活動そのものが、実は生物多様性を守っているということになるわけで、生物多様性の保全と気付かずに行われている活動が世の中にまだまだたくさんあります。それをどのようにしてつないでいくのかと。これはすべてのセクター、もちろん国際機関もそうですが、政府、それから大切な自治体、そして、もっと大事なのはメディア、そういった方々の理解がなければ、この生物多様性の主流化というのは非常に難しいと考えております。
 続きまして、その国家戦略のターゲットとは一体誰なんでしょうかと。この国家戦略のこの本は誰に読ませたいんでしょうかと。先ほどWWFからも提案がありましたけども、3つの分冊構想というのがありました。非常にいいお話だと思っておりまして、この本を誰に読ませたいか。戦略なき国家戦略本というのは、場合によっては関係者資料に終わってしまいます。そうではなくて、誰に読ませたいかというターゲットがあるならば、やはり章別の分冊と、それからブックデザインとかエディトリアルのデザインとか、そういったことを考えていかなければ、本当の意味での主流化は難しいのではないかと感じております。よく読めば非常にわかりやすく表現されていることもあるのですが、読みたいと思えば読めるのですけど、読みたくないというか、普段意識のない人たちに対して、どう心を開いていくかということを考えると、そういったエディトリアルという領域は非常に大事だと考えております。
 先ほど生態系協会の皆様からもバックキャストという話がありました。主流化というか、コミュニケーションの領域で考えた時に、じゃあ、主流化の指標というものを考えなきゃいけないんじゃないかというように思います。単に生物多様性を知っているか、知らないかということではなく、先ほどのように、郷土愛で行っている活動そのものも生物多様性の保全になっているということを考えると、多くの項目で調査設計を行うというモニタリング調査の設計をしっかり行って、主流化のあるべき状態を我々がデザインをすると。それによって調査項目ができるわけで、そしてまた、PDCAのサイクル、国民にレビューしていくことも非常に大事ではないかと。そういった仕組みも、今回、先ほど日本自然保護協会からも大きく期待する国家戦略という話がありましたが、それを踏まえると、そういった新たな仕組み作りというものもこの国家戦略の皆様方の中で検討することになっていくのではないかというように感じております。
 それから、国家戦略の記述の中に「自然共生の知恵と伝統」という言葉があります。私たちNGOも、もしかしたらこの言葉にすごく共感しているのかもしれません。生物多様性という言葉は非常に通訳するのに難しいとは思いますけども、この「知恵と伝統」、「自然共生」というキーワードは、非常に我々が共感するものがあると思っています。ですから、やっぱり生物多様性を日本人として大切にしようじゃないかという気持ちが生まれているのではないかと思います。そう思いますと、より多くの関係者や関係施設、そして団体、もっともっと広い方々と共有しながらこれを広めていく、そういった仕組み作りも必要ではないかというように感じております。
 次に、記述がないなと感じておりますのが「流域に育まれる地域の暮らし」という考え方です。やはり山で育まれた水が川となって流れ、流域を潤し、海に、魚つき林と言われるように、ミネラル豊富な水が流れていくことによって豊かな漁場ができるといったような、いわゆる昔から考えられてきた自然との営みというものが、その思考の整理というものをしていく必要があるのではないかと。いわゆる本来の連続性、人と自然のネットワークやコミュニケーションの断絶というものが、日本人が本来得意なはずの生物多様性の理解をもしかしたら遠ざけているのではないかという思いがあります。その辺がもう少し、もし議論があったのであれば、大変申し訳ないことを言っているかもしれませんけれども、例えば、某自動車会社の1つの大きなキャンペーンで、日本の流域をキャンペーンテーマとしているものもあります。そういった形で企業の取組も応援することもできるのではないかと思っておりますので、ご検討いただければと考えております。
 それから、企業のCSRの捉え方なんですが、今、CSRは3.0とか、そういった言葉も出てきております。いわゆる社会課題を解決するため、社会と共有できる新たな価値創造をしていく「サステナブル・イノベーション」というキーワードが出てきています。要は、社会貢献ではなくて、本業でどのように果たしていくのか、もしくはその責任とかいうことを問われるのではなくて、もっと前向きな攻めの言葉として捉えていくということが企業の中でも議論がされています。生物多様性は我々の生活の営みの基盤であり、事業活動そのものもその仕組みの1つなんだということを考えていく思考を共有することが大切ではないかと思いますので、そういった記述も必要ではないかと感じております。
 それから、先ほど申しましたように、メディアの理解というのがとても重要だと考えています。現在、国家戦略の中での記述がほとんどないに等しいのではないかという印象を受けております。もし見落としであれば、申し訳ありません。マス媒体やデジタルメディア、ソーシャルメディアの活性、その中で報道現場やデスクの判断はもちろん、情報や旅紀行、バラエティ番組、そういったところで皆様方が少しでも生物多様性とか自然共生という意識を持って話すことで、それがインフレーターとなってより大きな効果を、まさに主流化に向けた効果になっていきますので、番組制作者や出演者、アナウンサー、そういった方々の理解浸透が欠かせないと考えておりますので、そういった記述もご検討いただけたらいいんじゃないかというように感じております。
 次に、教育についてなんですが、非常に駆け足で恐縮ですが、ポイントをお話しておりますので、汲んでいただけるとありがたいと思っております。環境教育等促進法のほか、各種教育法において、生物多様性の理解を促す仕組み作りというのがもっともっと必要じゃないかと。「環境教育」というキーワードは出てきても、「生物多様性」という記述が、鷲谷先生もおっしゃったように、皆様方のご指導でかなり言葉が入ってきているとは思うのですけれども、まだまだ本当の意味での主流化に対して、それだけの教育の仕組みができているかということを考えると、この大きく期待する国家戦略においては、もっともっと踏み込んでやっていかなきゃいけないんじゃないかと感じております。まずは自然体験なく地球の危機を刷り込むのではなくて、まず自然体験を重視して、本当に自然の冷たさや痛みや、チクチクとか、そういった体感する、五感で感じるものというものを理解をした上で知識を刷り込んでいくことで、より創造力のある創造性豊かな教育ということができるのではないかと思いますので、1人の人間を教育するという、そういうプロセスの中で理解をして、もう一度教育について考えていただけると、非常にありがたいと感じております。
 それから、日本はほとんどがもう都市生活者になってしまっています。その中で、暮らしの視点から捉える生物多様性という自然のリアルを捉えるための仕組み作りというのが大事なんじゃないかというように感じています。「触れる」「守る」「伝える」といったキーワードで、今、環境省の主流化のキーワードも出ておりますが、日常の行動から生物多様性を実感できる仕組みというのがもっともっと必要じゃないかと。あまり多くのものがあってもやっぱり覚えられませんので、簡潔でわかりやすさが必要じゃないかというように感じております。これはCOP10に向けて作ったものでありますが、生態学会で発表されたものをアレンジして私たちNGOが使っているものですが、例えば、もっと身近に生物多様性を感じて、日常の行動から「自分ごと化」できるツールとして、この5つのアクション、地産地消、自然体験、それから、季節の変化を感じたら、クリエイターになって伝えてみよう。それから、地域の活動に参加することで地域と自分との「きずな」というのを感じてみよう。それから、生物多様性の保全に貢献する商品を選んでみよう。こういった5つのアクション、まさに暮らしの行動から生活者の発想で考えることなんですが、特に5番、これはもちろん認証商品が少ないというのもありますが、例えば、一般の流通ではなくて、まずはギフト、心を込めた贈り物というところから生物多様性に配慮したものをつくることで一般流通に落としていく。その気付きをつくるという仕組みも大事なんじゃないかと思っています。いきなり全部をやることはできませんので、一つ一つやっていくと、国連生物多様性の10年をつくっていく上でのプロセスとして行けるんじゃないかと感じております。
 それから、先ほど道家さんからありました「にじゅうまるプロジェクト」という、いわゆる愛知目標をいかに可視化していくかという仕組みが、今、IUCN−J、日本自然保護協会の皆さんを中心とした形で動いていますが、いきなり一般の市民が、じゃあ、この「にじゅうまる」がわかるかというと、もちろんわかりにくいと思います。ですので、今の暮らしの中で気付いた、日常の行動で実感するアクションから「にじゅうまるプロジェクト」につないでいくというツールとプロジェクトで組み合わせて、暮らしと決議をつなぐという仕組み作りが大事ではないかというように感じております。
 それから、復興プロジェクト、今、グリーン復興プロジェクトということで環境省でも取組が始まっておりますが、東北大学で行っているグリーン復興宣言というものから、この「グリーン復興」という言葉も活かされていますけれども、自然とともに歩む復興ということをどう伝えていくのかということが非常に大事かと。今、「Rio+20」に向けてのキーワードの中でも「レジリエンス」という言葉が出てきています。自然の治癒力、自然との歩みという言葉に近付くような、そういったキーワードを使うことでよりわかりやすくしていく。まさに復興支援、これは災害教育は学びの場として非常に重要ではないか。特に生物多様性を理解、改めて認識することが重要ではないかというように感じております。
 最後に、世界で唯一共有できるCEPAアクションというのがあります。それは「グリーンウェイブ」です。今、森林に関するCEPAのプラットホームというのができておりまして、その中でこの「グリーンウェイブ」が木のある暮らしを再認識するということをコンセプトに生物多様性条約事務局とも共有しておりますので、ぜひそういった記述も入れていただくことで、多くのタッチポイントを作ることで、生物多様性を暮らしの行動から実感するというところをご検討いただけると非常にありがたいと思っております。
 その後のものは添付資料となっておりまして、CEPAとは何かということ、条約事務局が期待するCEPA、それから、COP10で決まったCEPA決議、さまざまな決議がございます。赤文字になっているところはその抜粋、注釈になります。それから、草刈さんに振られたんですが、すみません、届きませんでしたけども、国連生物多様性の10年の中でのCEPAというのは非常に重要であるということで、生物多様性条約事務局からも戦略が出されています。そういったことをしっかりと踏まえながら、この国家戦略をもう一度その主流化ということを考え直していただいて、皆様方にご検討いただけると非常にありがたいと思っております。ありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、短時間ですけれども、質疑応答に移らせていただきたいと思います。最初に質問提供のあった宮本さんからお願いをいたします。

【宮本委員】 今、プレゼンテーションをいただきまして、ほぼ私が疑問に思っていたことは解決したのですが、1点だけ日本生態系協会のご担当者の方にお伺いしたいのですけれども、2020年までの8年間について言及される団体が多い中で、50年先、100年先という言葉が発表の中で何回か出て参りましたが、国の戦略として最大どのぐらいの期間を念頭に置いた上で、向こう数年間の計画を立てていくべきだとお考えかをお聞かせいただければと思います。
 以上でございます。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 それでは、質問、ご意見のある方は札を立てていただきたいと思いますが。
 それでは、中村委員。

【中村委員】 WWFの草刈さんにちょっと教えてほしいんですけど、資料の4ページにあった野生鳥獣の保護管理について、中山間地の社会構造も含めて見直しが必要であるとおっしゃられているんですけど、そのご説明の中でも、ここで言う社会構造は一体何なのか、もう少し具体的にそういう案があれば、ご意見をお聞かせ願いたいんですけども。

【武内委員長】 桜井委員、お願いします。

【桜井委員】 WWFの草刈さんですけれども、海洋保護区の件、非常にありがとうございます。これは私もまだまだ日本ではしっかりもっと検討すべきだと思うんですけども、いわゆる具体的にその法的な整備ということをおっしゃられていますけども、どのような手だてをお考えでしょうか。

【武内委員長】 それでは、小泉委員。

【小泉委員】 WWFと、それから日本自然保護協会にお伺いしたいんですが、両方とも数値目標というのを掲げていますけれども、数値目標というのは、むしろ何を数値化すべきかの議論があった上で、数値化すべきだと思いますけれども、それの根本的な見直しということを含めておっしゃっているのかどうか、ちょっとその辺を教えていただきたいと思います。

【武内委員長】 ほかに。よろしいですか。
 それでは、草刈さんから順番に、質問のあった方について、回答あるいは追加的なコメントをお願いしたいと思います。

【世界自然保護基金ジャパン 草刈事務局長付】 中村委員からの野生鳥獣の保護管理で中山間地域の社会構造のお話ですけども、1999年の鳥獣保護法の改正からずっと関与してきています。そのころから野生鳥獣の保護管理というふうなことで、ワイルドライフマネジメント、個体数管理と被害対策と生息地管理という3本立てで来ているわけですけども、環境省がやられる部分は個体数管理だけですよね。生息地管理はなかなか手をつけられない。被害対策は農林水産省の鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律でやっていて、現状からすると、いろいろなところも狩猟者がもう高齢化してきて、もう絶滅のおそれがあるというのを自ら言っている状況の中で、じゃあ、鳥獣対策をどうするか。中山間地域を見捨てるとか撤退とかというお話もありますけども、じゃあ、どうやったら中山間地域が活力ある状況としてやっていけるかということなんですけども、やっぱり中山間地域からどんどん人が撤退していますよね。学校も統廃合してなくなったりとか。やはり中山間地域も人が行きたいところはたくさんあると思うので、インフラ整備が必要かとは思うんですよ。例えば、インターネットが自由に使えるだとか、世界との交信ができるとか、また、中山間地域の人たちなんかは、本とかを書くような、そういう人たちも住んでほしいとかという声があったりとかしますし、また、中山間地域で住みたい人がある時に、やっぱり食料とか、そういったものをちゃんと供給できるような、例えば流通システムですとか、そういったものも必要だと思うので、大きな道路工事は必要なくて、最低必要なインフラ整備をして人が住めるような環境にしていく。地域に人が住むことによって鳥獣というのは出てこなくなりますので、そういったことをやらなきゃいけない。鳥獣については、例えば、犬を放すとか、ヤギを放すとか、そういういろいろなことをやることによって鳥獣が出てこなくなるとかという事例もありますので、そういういろいろな施策を打っていくということができるのではないかなと。
 海洋保護区については、具体的な法的整備というその手だてというようなことですけども、海洋基本法ができて、海洋基本計画の中に生物多様性の保全というのがたくさん書かれていますよね。海洋保全の戦略というのができていますけども、あれはまだ法的にはきちんと定められたものではないわけですし、海洋基本法なり海洋基本計画で生物多様性の保全というのが書かれてあれば、沿岸海域のいろいろな他省庁の法案なんかも、生物多様性保全を念頭に置いた改正をしていかないと、海洋の保全はできていかないので、そういった法整備とかも着手していく必要があるのではないかなというように思います。
 数値目標についてはどうするか。前回、現行の国家戦略では、環境省が環境省のできる範囲での数値目標というのを出していただきましたけども、そういうように各省庁ができる範囲での数値目標は出せるはずなので、そういう提示をしていくことが大事なのではないかなと思っています。
 そういったところです。

【武内委員長】 どうもありがとうございます。

【日本自然保護協会 道家】 日本自然保護協会の道家です。数値目標についてなんですが、私どもも数値目標をつくり上げるということは、非常に難しい、さまざまな議論が必要であるというように考えてはおります。個別事業ごとの目標を付けるということは、今、草刈さんのおっしゃられたとおり、可能な限り付けるべきであるということ。それから、愛知目標に既に、例えば、保護地域であれば陸上17、海洋10、ほかにも自然再生に関する目標15で、15%の自然再生目標というのがありますので、そういうものに関しては、例えば、生物多様性条約の科学技術助言補助機関会合や日本のJBO、日本版生物多様性概況とか、そういったこれまでの知見、そういったものを活かして設定していくということが重要なのではないかなと考えているところです。
 もしよろしければ、回答ではないんですが、一つご提案をさせていただきたいことがございまして、愛知目標17、参加型の国家戦略を見直そうという中で、今回、私たち6団体にヒアリングの機会を与えていただいたんですが、関心のあるNGO、市民はもっと多くおります。ぜひこういうヒアリング、1回だけではなくて、継続的に意見交換の場を設けさせていただければ、大変うれしいと考えております。もちろん多様性に関するテーマというのは、環境だけではなくて農林水産業、ABS、教育、普及、復興、エネルギー、さまざまありますので、省庁のヒアリングなどをもっともっと勉強させていただいて、議論をしていきたいというふうに思っていますし、できれば小委員会のメンバーの方にも時間の許す限り参加していただけるような、そういう枠組みをNGO主導ででも構わないと思っていますので、やらせていただければと考えております。
 例えば、こういった、次回の小委員会の後に同じ会場で、残れる範囲でですが、意見交換の場を持たせてもらうような、そういうようなこともご検討いただければというふうに思っております。
 以上、ありがとうございます。

【武内委員長】 ありがとうございました。

【世界自然保護基金ジャパン 草刈事務局長付】 すみません。数値目標で追加していいですか。

【武内委員長】 どうぞ。

【世界自然保護基金ジャパン 草刈事務局長付】 エコロジカル・フットプリントとLPIの「生きている地球指数」のお話をしましたけども、エコロジカル・フットプリントの日本版というのもつくっていて、それも2年おきに改訂して見ていこうとかということを今検討していますので、そういう面でいろいろな数値的な指数なんかも出ていくのではないかなというように思っています。すみません。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。

【日本生態系協会 関事務局長】 質問をありがとうございます。国道の関係ですと、確かに法定計画ですと、以前のインフラというか、公共事業の上位法であります国土総合開発法に基づく全国総合開発計画なんかの長期計画というのは、長くても10年ということで見ているかと思うんですけども、2010年のこの生物多様性戦略の中でも、次なる100年に向けてということで、生物多様性についての回復に関しては、ここに書いてあるとおりで、100年先を見据えて、目標を付けてそこに向かっていくんだということや、また、法定計画ではないんですけど、先ほどちょっと触れましたが、国土交通省も自ら「100年先の国づくり」と。これは人口の推移等の政府データ等も100年単位で出てくるというのが、法定計画ではないんですが、出してきている以上、そういったものに向けてゴールを定めるやり方として、政府もこんなものを出しているものですから、自然のこういうの考える方も、やはり第三次で改正したように、100年先を見据えたところからのバックキャスティングというものの考え方というのはあっていいんじゃなかろうかと思って、今回説明させていただきました。
 あと、すみません。資料の間違い、申し訳ありません。資料の1の3枚目のところでフロリダの絵が描いてあるところで、私、ここの資料でも、10年間で約3億ドル使っているというように書きましたが、申し訳ありません。毎年毎年30億ドル、公有地化で使って、20年間、今、来ています。20年間で60億ドル、先ほど60億円と言いましたが、60億ドル使って、28%ぐらい公有地化してきているということになっております。すみませんでした。

【武内委員長】 私もちょっとさっき安いなと思っておりました。

【日本生態系協会 関事務局長】 失礼しました。申し訳ありません。

【武内委員長】 他にコメントございますか。よろしいですか。
(なし)

【【武内委員長】 先ほども申し上げましたように、また追加的なご質問、ご意見がございます方は、提出用紙への記入をお願いいただければ、後ほどそれについての対応を事務局よりさせていただけるということでございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、午前中のヒアリングはここまでとさせていただきます。
 午後は産業関連の活動団体、企業のヒアリングから始めたいと思います。
 それでは、一旦事務局の方で、事務的なことについて説明をお願いいたします。

【事務局】 ありがとうございます。午後の部は12時30分から開始したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、休憩とさせていただければと思います。
(午前11時47分 休憩) (午後12時30分 再開) 【武内委員長】 それでは、時間になりましたので、午後の部を始めさせていただきたいと思います。
午後の部は、産業関連の活動団体・企業からのヒアリングでございます。説明時間についてでございますけれども、それぞれ15分以内ということでお願いしたいと思います。終了1分前に、恐縮ですが、呼び鈴を1回、終了時に呼び鈴を複数回鳴らしますので、時間管理にご協力をよろしくお願いしたいと思います。
それでは、はじめに、全国エコファーマーネットワークの佐々木様より、ご発表をお願いしたいと思います。

【全国エコファーマーネットワーク 佐々木会長】 エコファーマーネットワーク会長の佐々木です。宮城県大崎市から参りまして、そこの農業を営んでおります。
最初に、エコファーマーネットワークについてご紹介したいと思うんですけれども、エコファーマーにつきましては、農薬や化学肥料を削減している農業者をその県知事が認定する、国の持続農業法に基づいて認定する制度でして、今、全国の販売している農家の10%、20万戸、20万件と言ったらいいのですかね、が参加して、エコファーマーの認定を受けております。私たちの組織は5,000人で、その中を組織しているところであります。
構成を見ますと、福島県が全国の10%、今回、原発の事故で影響を受けております岩手から関東までの太平洋沿岸のところに、このエコファーマーがかなり集中しておりまして、環境の取組よりも、今、放射能対策に追われているというのが現状ではないかと思っております。
生物多様性の問題につきましては、農林水産省がこの2月に、農林水産省の生物多様性戦略を出されましたし、今日の資料にも指標生物の資料が示されております。これは一定の成果だと思うわけですけれども、そのほかに、私たちはもっとローカルな、生産者が自らの指標とする生物を定めるなどして調査をしていかないと、本当に生きた生物多様性を農業の生産や経営にまで含めて生かせるようにはならないので、これを基本として、その地域地域でローカルな指標をつくっていく必要があるのではないかなと思っております。エコファーマーネットワークは、生物多様性や地球温暖化など、農業が持っている公益的機能を持つ農業を日本の全体に普及させたい。一部の地域でなくて、日本の農業全体を変えたいという思いを持って、今、活動を展開しております。
環境保全型農業も、農薬・化学肥料の負荷低減から、どちらかと言うと、温暖化・生物多様性など環境創造型農業に変わりつつあるんじゃないかと、そちらに移りつつあると思っておりますし。しかしながら、その分野の理解、また国の行政支援も、まだ決して十分とは思っておりません。持続的な生物多様性の保全を持つ農業生産をつくっていくためには、持続的な農業者の経営が必要ですし、そのためには国や国民の支援がどうしても、まだまだ必要ではないかと考えております。
今回限られた時間ですので、このパワーポイントのほかに3つの資料をお示ししておりますので、そちらを後はお読みいただければ、かなり詳しくわかるのではないかと思っております。
それでは、私は全国の取組というよりも、私が、12、3年田んぼの生物多様性をずっと調査をするなどして見てきた結果を踏まえて、これを普及させたいと思っていろんなところで報告しておりますので、その点を中心に報告していきたいと思っております。
私は、田尻田んぼの生きもの調査プロジェクトというところを立ち上げて、その代表をしておる佐々木です。先ほど言いましたように、新たなステージに、今、環境保全型農業が立っていると思っております。基礎的な、じゃあどういう活動をしているのかというお話をしたいと思います。土壌を採取して分析依頼、農地土壌の炭素貯留・微生物多様性調査などをしています。COP17で温暖化問題、日本は農地土壌の炭素貯留を選択することになると思いますけれども、私たちは3年前からこれに目を向けた調査をし、その実践をして参りました。微生物の多様性、これも豊かなほど病気がつかないと、生産が上がるとか、その現実が試されてきておる成果を上げておりますので、これも毎年調査をしております。
堆肥の散布、これは集落全体、地域全体に散布しております。今、日本のほとんどの農家で、水田で、種籾の消毒は、以前は水銀剤を含めて農薬でしたけれども、今は60度7分とか、62度5分などというお湯に入れて、種籾を消毒する技術が普及しております。これは、私が地域の資材、購入したものじゃなくて、米ぬかとか、くず大豆とか堆肥とか、地域にあるものを生かした農業を営むことによってこんな農法ができるという事例を、くず大豆・米ぬかの散布などを中心に報告したいと思っています。米ぬかでマルチをすると、草が出てこない仕組みをつくっています。無農薬で、私の集落では5戸の農家が今取り組んでおりますけれども、このように、水が濁った状態にして光を遮断する。それから、上部は光合成をしますけれども、下の方は呼吸作用で酸性を保ちながら、草の発芽を抑えるなどの技術を生かしております。2001年から、私の集落と宮城県で環境創造型技術開発プロジェクトというものを立ち上げまして、その調査をして参りました。これは藍藻類や光合成をするという調査です。pHが、日が差すにしたがってアルカリになって、7ぐらいのpHが10に変わるというのを、消費者の人たちと一緒にパックテストなどで確認しております。生物多様性豊かな水田は、ユスリカを食べにツバメが乱舞します。これは、その地域でツバメが飛んでいるところに行けば、そういう稲作を営んでいるというのがわかります。イトミミズ、後でお話しますけれども、有機物を食べて糞にする。これ、私は未熟なものを食べることによって、肥料工場の役割を果たしている。メタンの発生・抑制にもつながると思っています。
トンボの幼虫ヤゴです。ナツアカネ・アキアカネ・ノシメトンボなどを中心に調査してきますと、10アール当たりの圃場から3,000から、多い圃場では5,000ぐらいの羽化がします。これは、農薬の使用と微妙に影響してきます。これは慣行栽培であっても、トンボが多く発生するところもあります。それは殺虫剤の使用によっての違いです。剤の違いもあります。トンボの羽化殻を、このようにして集めて調査などをしています。
私たちは、生物多様性の中で、単に文化的なそういう環境ができたというだけでなくて、それを技術に活かしたいということで、クモが害虫を捕獲するための役割を持つとか、後でお話しますけれども、ニホンアマガエルが虫をいっぱい食べるとか、そういう調査を活かしてきました。そして、そういう、どんな生きものがいるのかなという田んぼには、こんな看板を立てて、消費者交流や環境学習に活かしています。
泥の中の田んぼの生きもの調査、農林水産省の指標の中には出てきませんでしたけれども、タマカイエビ、カイエビというものを非常に私たちは重視しています。これは農薬が、例えば圃場整備事業をしても、初年度から生産者ごとの差が出ます。それは化学物質との差がはっきり出てくるのは、このタマカイエビ、カイエビです。このカイエビというのは、地力がなければ出てこないんですね。生産者は、この生きもの調査をすることによって、科学的な分析もさることながら、これは土に力がついてきたというのを生きもので判断できる。これらが非常に生かせるんですね、技だと思っています。ドブシジミもそうです、これも地力がついてきて、初めて田んぼに発生してきます。
カエル、農道を歩きながら3つ、私たちはトウキョウダルマガエル、アカガエル、ニホンアマガエルの調査をしています。アカガエルは、圃場整備事業をすると激減します。これはどうしたらいいのか、私たちも今、水路に土のうを置いて春先に水を溜めようとか、何か取組をしておりますけれども、ウルグアイ・ラウンド以降の施策で圃場整備が進んだ中で、魚介類と同時に、アカガエルの激減が非常に顕著になってきている。そして、それを再生するときに、一番遅いのがアカガエルです。
アマガエル、これは胃袋の中に何を食べているのかなと調査などもしておりますけれども、そうすると害虫を食べているというのがわかります。絶滅危惧種ミズアオイ、農家にとってはこれは厄介な草ですけれども、これも技術を変えれば戻ってきます。メダカもそうです。5月に遡上して、田んぼで生まれて、田んぼで6月、7月にたくさん泳いでいます。そういうものを環境学習、消費者交流などに、今、私たちは活かしています。
10年ぐらいたって2009年に、私たちは生活協同組合と米の流通をしておりますので、生活協同組合の流通に関わる全農とか、パールライスという流通業者、それから自治体・NPOも含めて、田尻田んぼの生きもの調査プロジェクトというのを結成して、生きもの調査を消費者の人にも、直接見ていただきながら調査をしています。
水田面のすくい取り調査をはじめ、鳥の調査まで1年間やり、それを踏まえて、田んぼの生きもの宣言というものを行いました。2つのマークをつくり、米袋に、右側の田んぼの生きもの宣言マークというのを貼って販売している生活協同組合もあります。そういう形で消費者とのコミュニケーションを図っていきたいという思いを持っています。
そういう意味では、1つは国の環境支払いも含めた支援と、それから、消費者が購買行動を通じて生物多様性を支援してくれる。そういうことが、私たちは持続的な農業経営を営んでいけるためには必要なことだと思っております。
これは、お米の秋の収穫・収量が、秋稔りましたということだけではない、地域では見せられないです。ずっと奥の方に、真っ白い稲が見えると思います。これはいもち病です。大冷害のとき、これは、私の田んぼは収量が通常の8割ぐらい確保されましたけれども、大冷害のときに収量2割・3割が出ました。なぜこれができたのかというと、生きもの調査をして、トンボの羽化がいつ始まっていつ終わるのか、カイエビがいつ生まれていついなくなるのか、そういう調査をしていると、気候変動が占えるんですね。そういう異常があったときには、秋の取り入れまでの稲の収量構成要素を落とす、いわゆる500キロ目標にしていたものを450キロに落とすことによって、300キロの大冷害を防げる技術が生きもの調査なり生物多様性を調査することによって、私たちは技術的な確立されつつあるという思いを持っています。
COP10名古屋での活動にも、全国エコファーマーネットワークとして参加させていただきました。生物多様性は、私はコウノトリとかトキとか、いろんな取組がありますけれども、私は何よりも全国の水田の中から、稲作の意味で言いますと、トンボが生まれるとか、メダカがいるとか、ドジョウがいるとか、まず童話や童謡に歌われた、そういう生きものが豊富にいるような農業を目指していく、それがまず大事でないかという思いを持っております。そういう意味では、国の国家戦略にも、特殊な外来種の問題とか、私たちは初期にそういうことだけは考えてきたんですけれども、多様な生きものがいるような、どこにも、それもどこにでもいるような、日本の農村すべてにいるような、そういう戦略なりなどの視点があればいいのではないかという思いを持っております。
時間ですので、以上で報告を終わらせていただきます。ありがとうございます。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。それでは、引き続きまして、宮川森林組合の岡本さんより、ご発表をお願いしたいと思います。

【宮川森林組合 岡本林業振興二課長】 宮川森林組合の岡本と申します。今から発表させていただきます。
 まず森林組合、私ども宮川森林組合の所在なんですが、三重県の南西部に位置していまして、県境、西の方は奈良県境、国立公園吉野熊野国立公園大台ケ原を源流として伊勢湾に注いでいる3町、大台町、多気町、宮川町で仕事をしています。地形は、大台町に行くに従って急峻になり、複雑な地形というふうな立地環境を持っております。
中山間地の実態としまして、特に大台町におきましては、90%以上が森林面積となっております。かなり緑豊富で自然豊かな地域というように思われがちなんですが、実はその中を詳しく見てみると、森林環境はかなりひどいことになっているところを、日々仕事をしながら実感しています。
理由としましては、シカによる食害が広域に及んでいるというところと、人工林の範囲がかなり広域に広がっている。継続して人工林を長期にわたって行ってきたというようなところが、理由として考えております。
まず、自然林の方を見てみますと、まず左下の写真なんですが、これは吉野熊野国立公園の大台ケ原の原生林の写真です。約1.3メートルぐらいの高さを基準にして、下側に一切植生がない、緑がないということで、これ、ディアーラインということで私どもは呼んでいるんですけれども。シカによって、植物がすべて食べられてしまっていると。真ん中の左側に少し緑が見えるんですけれども、これはミヤマシキミといわれる、いわゆるシカの不嗜好性植物だけが残ると。右側は、人工林でも同じようにディアーラインが出ておりまして、スギ・ヒノキの剥皮被害等が顕著に出ているというふうな状況です。
次に、不嗜好性植物が繁茂する林床と書かさせていただいていますが、森にどんな植物が残っているかというふうなところを報告したいというふうに思います。ここに見えている、じゅうたんのように緑色になっているのがイワヒメワラビといわれる、これもシカの好まない植物。ぽつぽつと食害に遭っているようなところ、盆栽みたいになっている木が、エゴノキとか、ヒメシャラとか、コガクウツギ等の樹木が天然に更新してきているんですけれども、シカによって健全に生育しない状況。
次が、林床にバイケイソウ、これも毒性植物だけが残る。単一性の植物だけしか生育できないというような状況です。
次に、ここも国立公園内なんですが、シカによって原生林が剥被害、樹皮剥ぎ被害にかなり遭っていると。その剥がれた後から腐朽菌が入って腐食するというか、腐って、台風等の強風によって木がバタバタと倒れてしまうと。奥に見えるこの倒れている木が、その木なんですけれども。本来であれば、ギャップができ、光環境が変わって、天然更新してくるんですが、その天然更新木もシカによってすべて食べられるということで、どんどんどんどん木がなくなってしまっていくというような状況です。
無対策の伐採跡地というようなところで、これ、木を皆伐、全部切って、収穫してから約25年経過した林地です。本来でしたら、何回も言いますように、木が生えてくるんですが、これもイワヒメワラビの群落が長年にわたって継続して、森が回復しない。放っておけば、どんどんこういうところが増えてくると考えています。
次に、趣を変えまして、人工林の継続した人工林施業の影響について、簡単にご報告したいと思います。左側が、GISの空中写真です。この範囲が約600haになるんですが、広域に人工林が及んでいるというところで、種子の供給源、多様な樹木の回復するような森林構造がなかなか見受けられないというような状況。右側のスギ林の林内の写真なんですが、森林の構造が一様になっていて、林床もしくは低木・亜高木の生育が、なかなか人工林内ではうまくできないという状況になっています。
先ほどから、シカ、シカという形で言っているんですが、シカの食害を防がない限りは、山に木を育てることができないということで、私どもはパッチディフェンスと呼んでいるんですが、小区画のフェンスで植栽地を防護する方法を5年ほど前から採用しています。写真のように、このように四角の升を点在させていくという方法で、中に木を植えていきます。これ、どういう定義かと言いますと、シカの助走距離が10メートルから15メートル程度ということで言われていまして、中に入って、シカが助走がとれない範囲の大きさで囲ってあげるということが、ポイントとして挙げられます。
次に、将来の、中に植えた木がどのような形で大きくなって、樹幹がどのように密閉していくかという形で、位置関係を定めています。
これまで行われてきたシカの対策なんですが、1本1本ガードする、マンディフェンスと私どもは呼んでいますが、これ、もう10年以上前から、林地の中でこのような手法を多数取り入れたんですが、いずれも良好な結果は得られなかったと。
次に、外周をフェンス・ネット等で囲うやり方、これも設置当初は良好な結果を示しますが、1年、2年と時間が経つにつれて、自然災害等で網が壊れて、右下のようにシカ道ができて侵入されるということが多々発生しています。
パッチディフェンスの効果としましては、5年間採用しまして、約15事業地で行っています。パッチ数としましては、200を超えるパッチ数を設置しておりまして、シカの侵入実績は今のところございません。100%の効果を発揮しているというようなことで、採用の目処が立っていると考えています。
1つ問題点としましては、設置距離が延びるというところで、初期の導入コストが、少しコスト高になるというところが挙げられます。
採用実績としましては、林野庁の管轄されます東大台の国有林内で、このように自然に生えてくるトウヒ等の実生を保護するということで、いろんな形態でパッチディフェンスの考え方に基づいた防鹿柵が設置されていると。
今回ご紹介できないんですけれども、奈良県側の西大台、環境省で所管されています地域においても、パッチディフェンスというふうな考え方に基づいて施工されているというようなことを伺っております。
多様性の核を作るというところで、先ほどGIS上の人工林の空中写真をご覧いただけたかと思いますが、やはり種子供給源に乏しい。自然回復拠点とする森を、やはりどこかで作っていかないといけないというところで、人工林の伐採跡地に対しまして、パッチディフェンスの採用と、中に多様な広葉樹を植栽しているという活動を行っております。ただ、これまで林業がスギ・ヒノキ・マツ等のかなり限定された樹木の中で、山で木を植えてきました。広葉樹に一旦軸足を置きかえると、100種類・200種類と、かなり何百種類という多様な樹木を採用する、使っていくことになります。そこで、その樹木の適地性判断というのが、かなりシビアに要求されるということがわかってきました。私どもは、森林の立地評価というものを実施しまして、植栽場所の地形・地質であるとか、表層土の土の粒径、粗さであるとかというものを8項目調査しまして、まず適合樹種群を選定することを行っています。
次に、植えるときですけれども、これ実際にパッチ内に植樹した設計図の断面図です。50年から80年の将来の森の姿をまず考えます。最終形から逆算して、先駆種、遷移中後期種を選択しながら、森のありよう、どこに木を植えたらいいかというものを考えていきます。その考えた設計図がこれになります。少し図が小さくてわかりにくいかと思うんですが、右左の図の赤丸のように見えるものが、これ実際に木を植える位置と樹種名を示した植栽設計図になります。15年後の樹幹想定、先駆種を中心とした樹幹がこのように広がって、将来はこういう樹幹になるといった経時的な森の遷移を十分に配慮した植栽設計を行っているとご理解いただけたらなと思います。
生長中の広葉樹植樹地ということで、これ当初1年目、2年目、3年目と、4年目ということで、順調に、写真上ではご確認いただけると思いますが。ここで昨年度、京都府立大学の田中和博研究課長に委託研究ということでお願いしまして、学術的に基づいて、どのような設計図に基づいた設計が、果たして設計図どおり推移しているのかを研究していただきました。その成果がこれになります。平成22年度に関しましては、先駆種、中後期種ともに、同じような割合の樹幹の広がりの面積を持っているんですが、平成19年度においては、先駆種もしくは遷移中後期種が良好に生長して、樹幹の広がりを持っている。後期種の方は、さほど樹幹の広がりがないということで、設計どおり、まず樹幹、平面の調査から明確になってきたと考えております。
次に、階層構造なんですが、これは樹高の高さの階層を調査した結果でございます。平成22年度の右側のグラフなんですが、これは植栽してから1年しか経過していないということで、苗木の高さの分布構造が顕著に現れていると思います。ただ、平成19年、4年から5年ほど経ってくると、樹高が、この下のグラフの下の数字が樹高の高さで、上がパーセントを占めているパーセントになるんですが、先駆種、遷移中期種が良好な生長を示して、まず右側に大きく5メートルをピークにした山ができてくると。次に、遷移中後期種を中心とした2メートルから2.5メートルの階層がピークになって現れてくるといった、二山構造が自然に現れてきていると。こういうような植栽方法を採用すると、階層構造が発達した森がどんどんできていくんじゃないかなということで、今後も注視して、モニタリングを行っていきたいと考えています。
次に、単純に種数の調査なんですが、先ほどパッチ、囲った10メートル程度の柵の中の植物の種数と、その隣接するパッチの横のシカがいつでも来れるようなところの種数の比較を、このグラフで表しています。仮に左側の事業地1の平成19年度というところを見ていただければ、パッチ内に2つの棒がありまして、約90から80種、外来種を含めて、草本、藤本、木本というようなものがあります。ただ、パッチ外、シカが頻繁に来れる地域においては約半数ぐらいになってくるということで、シカを単純に防ぐだけで、種数の変化も顕著に出てくるのではないかなと考えています。
次に、新たな適用予定ということで、伐採跡地に限定した取組では、なかなかポイント、ポイントでしかできないということで、やはり広域に及ぶ人工林に対してどのようにやっていくかということで、昨年度、群状・帯状間伐ということで、新たに認められた制度を採用して、林地の今までの林業のあり方を少し見直したやり方をやっています。これがその写真です。少し小規模に伐区を設定して、その伐区を点在させていくというやり方で、そこの木材を収穫するということです。これが実際行った施業図です。すべてをあのように、群状に木を伐採して収穫してしまうと問題がありますので、これまでどおりの林業を行っていくというところを、明確に区分しながらやっているということです。
広葉樹の植栽の効果ということで、3点プラスアルファで挙げています。先ほどから言っていますように、多様性の高い森、多様性の源、種子供給源、さらにメンテナンスコストがかなり安い、枝打ち、下刈り、間伐等が要らないということで、低コストの森づくりを考えています。それに使用する苗木は、地域性苗木ということで、地元の山林から種子を採取した実生苗を使っていると。これが生産履歴の証明になります。
多様性の高い森づくりの為にということで、先ほどパッチディフェンスの紹介をしましたが、やはりコスト高になるということで、シカ害対策の助成の拡大、それと広葉樹植樹の一般化、やはりスギ・ヒノキとは並列になっていないというところは、一般化をしていただきたい。地域性苗木の制度化ということで、遺伝的多様性の保全というような部分を考えまして、そのようなところの制度化を検討していただきたいと考えています。
そして最後に、広葉樹植樹の学術的検討をお願いしたいと考えています。植物の多様性を豊かにすることによって、結果的に生物の多様性に貢献するという取組につなげたいと考えておりますので、ぜひともこのようなご要望を最後に回しまして恐縮なんですが、お願いして、発表を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。それでは、次に、木更津金田の浜活性化協議会の金萬様よりご発表をお願いいたしたいと思います。

【木更津金田の浜活性化協議会 金萬副会長】 こんにちは。木更津金田の浜活性化協議会の金萬と申します。本業は、地元の金田漁協というところの漁師です。生物多様性と言われても、正直なところピンと来ませんので、今までやってきた活動を簡単に紹介しながら、関わりがあるんじゃないかということで、私たちがこれから何ができるか、今まで何をやってきたかということをちょっとご説明させてもらおうと思います。
 実は私、2004年から、NPO法人盤洲里海の会という方で理事長をやらせてもらっていまして、そっちの方でいろんな活動をしてきました。それをちょっと2007年から8年ぐらいまでなんですけれども、簡単に紹介させてもらいます。
 まず2004年からなんですけれども、漁業者、仲間内なんですけれども、10人でNPOを立ち上げて、その中に市民が120人ぐらい集まっていただいて、いろんな活動をさせてもらいました。
まず、私の本業は海苔養殖という部分だったので、今はもう全自動で、機械でやられているんですけれども、昔の天日で干したりとかという、そういうものを知っていただこうと。海苔養殖に関して、窒素であり、リンであり、そういう森からのつながりが必要だよということを知ってもらうということで、1回100人ぐらい集まってもらって、海苔つくり体験というものをさせてもらいました。地元の高齢者の方に来ていただいて、昔のやり方を指導してもらうという感じですね。
それと並行しながら、海苔養殖というのは冬場なんですけれども。もう1つ、うちらの方の地元は、実は千葉県の木更津というところにありまして、盤洲干潟という広大な干潟が現在でも残っています。そこにいろんな多様な生物がいるということで、漁業者というのは、そういう自分たちの漁獲以外は興味がないんですけれども、それが巡り巡ってベントスであり、いろんなものが必要だということも知らなければいけないということで、年間、本当は当初は4回だったんですけれども月2回ぐらいやりまして、年間12回ぐらい干潟探検というものを実施させてもらいました。それはいろんなことをやったんですけれども、子どもたちも結構来るので、じゃあ簡単にタモを持ってきて、タモ網ですね、そこら辺の汽水域をちょっと、小櫃川になりますんで、タモですくうと、いろんな絶滅に近いようなハゼの小っちゃなヒモハゼであったりエドハゼであったりが捕まるという状況の場所です。そういうものをやって、ミニ水族館をやったりして、東邦大学の風呂田先生であったり、千葉の中央博物館の黒住先生であったり、駒井先生であったり、神奈川の方の工藤先生であったり、お呼びして、いろんな講義というか、楽しく子どもたちと一緒に遊ばせてもらったということをやっていました。
その中で、生きものを食べようということもやりました。私たちは漁師なんで、漁業権があると非常に有利で、海に行っても怒られませんという感じで、魚をとったり、スズキをとったり、釣り船を出して、その場で干潟のところで食べたりと、そういうこともやらせてもらいました。
もう1つ私たちがやらせてもらったのは、絶滅危惧種、ここら辺はアサクサノリという、復活プロジェクトというものをやらせてもらいました。これは、実は個人的に2001年からやらせてもらって、どうしてもうまくいかないということで、里海の会という部分で10人でやったという感じですね。これは皆さんもご存じかもしれませんが、レッドデータブックの絶滅危惧種T類に指定されているというもので、東京湾では当時は見つかりませんでした。その後、その種をきっちり、どういうふうに生えているかということを確認するために、熊本の天草・河浦町というところなんですけれども行ってみたり、あと中央博物館の海の博物館、勝浦にあるところですね。そっちの方でずっと、そういう絶滅に近い藻類というんですか、それを採取していた菊地先生といいまして、その人と2004年ぐらいでしたかね、多摩川の河口で調査をしていました。
そっちの方でアシの根に何か海苔がついているよという情報があって、それを2年から3年にかけてDNA鑑定をかけまして、東京湾にもアサクサノリが残っていたということもやらせてもらって、そういう種を、海苔で言うとフリー糸状体というんですか、マリモみたいな感じにしてもらって、それを何年か養殖してみました。しかし、残念ながらなかなか成功しないと。今は、いまだに続けてはいるんですけれども、実際に成功したのは3年から4年ぐらいですかね。現状では、アサクサノリではなくスサビノリというものに養殖は変わっています。その中で、どうしても99%、スサビノリの中でアサクサノリをやってもほとんどだめでしたね。同じ状況下で、かなり弱いものであるということは確認されています。
そういうことをやりながら、2006年からお台場の方で、港陽小学校というところが海苔柵をお台場でやりたいと、40何年前はそこで海苔養殖をやっていたという、そういう歴史もあったので、じゃあやろうかということで手伝って、お台場の海岸で海苔なんか育つわけがないよと始めたんですけれども、実際はすごく栄養が豊かで海藻には適していたと。あそこで海苔養殖をいまだに継続させて、横浜の、ここで一度発表させてもらった海辺づくり研究会さんとか、港区さんとかと一緒にやらせてもらっています。
実は、こういうNPOをやりながら、漁業もやっていたんですけれども。2007年に、カイヤドリウミグモというものが干潟の方に大繁殖しまして、カイヤドリウミグモというのがアサリに寄生してアサリをだめにしちゃうんですね。私たちの生活の糧であったアサリがもう全滅になりまして、自主規制で3年間生産がなくなりました。そういう状況下で、実はNPO活動を続けていられないと、正直なところ助成金頼りであり、自分たちの持ち出しでやってきたので、これは無理だなということをやりながら、でも何か対策をしなければいけないということで、当初は、うちらのNPO活動って組合からも反対されながらやっていたんですけれども、活動しているうちに組合も認めてくれまして、じゃあ今度一緒にやろうということで、盤洲干潟里海保全委員会というものをつくりまして、今は徳島の方の大学の浜田先生の逆さ竹林漁礁というものを活用させてもらって、干潟に作ったと。なんでそういう竹林、竹林が今そういう現状で荒れているという状況もあるんですけれども、海苔養殖というのは、アマモを非常に嫌います。製品の中にアマモが入ると、豊かな稚魚を育むアマモなんですけれども、海苔網に絡んだり、海苔の製品の中にアマモが入ると、もう完全にクレーム対象として出るので、かなり漁業者、海苔養殖者には嫌われるという感じが、その辺が、だから本当は藻場を増やしていけばいいんだろうという感じだったんですけれども、それができずに、逆さ竹林というもので試験させてもらいました。
逆さ竹林で何をしたかというと、カイヤドリウミグモを捕食する稚魚、クロダイであったり、ハゼであったりとか、そういうものをもう一度繁殖させようという部分で実施しました。実際こういうことをやっているんですけれども、データ的な、何も結果は出ていません。ただ、こういう活動をやっているという感じで、ちょっと聞き流してもらえばいいと思います。
まだまだいろいろやってはいるんですけれども、河口の干潟の方で観察会をやっていると、ほとんど日影がなくて、子どもたちが、観察会が大変なんですね。じゃあ何か建物を建てようということで、たまたまこの年に内閣府から都市再生モデル調査という事業を受けまして、上流の間伐材を活用したものでログハウス、ビジターハウスというものなんですけれども、それをつくり、一般開放させてもらいました。そこはちょっといろいろあって、バイオトイレ、トイレも欲しいと言われてやって、そこで干潟の方で森を知ってもらうと、つながっているんだということを知ってもらうという感じでやらせてもらいましたが、いかんせん市街化調整区域ということで、2年間で撤去しろということで、今は撤去してもうありません。
ほかには何をやっているかというと、海から山への贈り物。実は海外の方にも支援を一緒にやらせてもらっていまして、山岳民族の子どもたちがヨードが足りないということを、ちょっとある飲み会で知りまして、じゃあうちらは海苔の規格外があるよ、ワカメがあるよということで、そういうものを送ろうということで、横浜のNGOさんと一緒にやらせてもらって、今も継続はさせてもらっていますが。今、横浜の方で、夢ワカメ・ワークショップという、みなとみらい21のところでやっぱり、海辺つくり研究会さんがやっていまして、そちらの方で今継続して、横浜で育てたワカメを窒素とリンを回収して、海を浄化しながら、そのワカメを山岳のミャンマーとか、タイの子どもたちに送るという感じの活動も一緒にやらせてもらっています。
そのほかには、干潟の方で定置網と呼ばれるようなスダテですね、そこでスノーケリングをやって、多分日本でも珍しいと思うんですけれども、タッチ可能なスノーケーリングなんですね。食べてしまってもいいスノーケーリングというものをちょっとやらせてもらって、子どもたちに食べて知ってもらうと。この魚は何を食べているという、こういう循環も知ってもらうという部分は、非常にうちら漁業者としては多分やりやすかった部分ですね。
これは、今度は、実はNPO法人をやっていて、結構書類で大変で好きなことをやれないなと思ってきたら、もう少し任意団体にしようということで東京湾の仲間内が集まりまして、東京湾に打瀬舟を復活させる協議会というものをつくらせてもらいました。実は打瀬舟、そんな酔狂なことをやってんだなと言われるんですね、よくね。でも私全然、別に舟が好きでもなく、木造船が好きでもなく、何でこういうことをやったかというと、東京湾に昔、風を受けて帆を上げて、藻場の上を引いていた打瀬舟という漁がありました。それを建造しようと、新造船ということで建造しようと思って始めたんですけれども、それはまず第一に藻場の再生、さっき言ったように、うちらは藻場というものが嫌いなんですけれども、やっぱりどうしても干潟とか、東京湾に藻場が少なくなっていると、干潟が少なくなっているという部分で、じゃあ一般の方にもう少し知ってもらおうということで、でかい打瀬舟、検見川型というんですけれども、東京湾で一番でかかったやつがあったんですけれども、それをもう一度建造しようということで始めました。
まず鳥羽の方に行ったり、北海道の野付の方に行って、野付は非常にびっくりしまして、本当に藻場をきっちり管理しながら、あそこのエビを捕っていましたね。それを見て非常に感動して、ぜひやりたいということで、またこれもちょっと内閣府から助成金を受けてしまいまして、横浜まで舟を出して、藻場の見学に行ったり。
あと、これ実際、木造船で作りたかったので、山武杉という赤味の非常にきれいな油を持った杉畑があるんですね。杉畑といったらおかしいです、確かに行ったらもう杉畑だったんですね。そういう人たちに、一般の人に参加してもらって、私たちはそこを舟の森と呼びました。昔は、多分東京湾にはデカ舟から含めて、もう何隻という船があって、多分それを作る森があったんだろうということで、それを昔の舟大工さんに聞いたら、山武杉を使っていたということで、それも知ってもらおうということでやらせてもらいました。
でも、現状では、実は予算が全然、建造資金には4,000万円かかると言われまして、なかなかできないという状況で、一般の方に一口舟主ということで、1人1万円の出資で、長い目で見てもらってみんなの舟を作りましょうという話だったんですけれども。まず、どんなものが打瀬かわからないということで、いまだに現役でやっているのは、唯一木造でやっているのは芦北、熊本ですね、そこに視察に行ったら、ある漁師さんが、もううちはやめるからこの舟を持っていっていいよということで、みんな打瀬舟ってどんなものか知ってもらおうということで、東京湾まで17日かけて回航してきました。そのときも、プロジェクト舫という名前をつけながら、玄界灘から瀬戸内海から、木造船なんですけれども、もう40年以上たった木造船を走らせながら、全部で2、30人関わりながら持ってきたんですけれども。そこに藻場の再生であったり、海を良くしようというメッセージを乗せながら、東京湾まで持ってきました。それをやって、海ほたるでライブをやったり、木更津港とかお台場の方に走らせたりと言いながら、やっぱりいかんせん古い舟なので、もう限界が来まして、浸水がひどくて、今はうちの木更津の方の漁港で、今、陸揚げをしているという状況です。
最後になりますが、今、私たちは木更津金田の浜活性化協議会というものをやっています。実はこれNPOの盤洲里海の会から継続した事業をほとんどやっています。それプラス、今、脚立釣り復活というものをやっています。ご存じの方はいると思いますけれども、昔、東京湾で今絶滅されたといわれるアオギス、それを釣っていた東京湾独特の釣り方法です。その脚立を5基復元してやっていると。
もう1つ底曳きの方で漁業体験、全国的には多いんですけれども、東京湾には少ないということで、それを今新しくやらせてもらっています。そこでもいろいろ食物連鎖からの海を知ってもらう、単なるスズキが大切だよとか、アサリが大切だよだけではなく、その生きもので関わりのある栄養であったり、プランクトンであったりとか、そういうつながりも全部知ってもらうという活動になります。今までの経験から、漁業者ではこういう活動ですね、市民に関わって、生物多様性のアピールが可能ではないかと。あと食物連鎖からの漁獲につながると、そんな感じでやらせてもらっています。
すみません、もう急ぎ足で説明になりました。申し訳ない、ありがとうございます。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。それでは、次に味の素株式会社の杉本様よりご発表をお願いしたいと思います。

【味の素(株) 杉本環境安全部兼CSR専任部長】 味の素株式会社の杉本です。環境・サステナビリティ戦略を担当しております。
企業の、ビジネスの立場からの報告となります。結論を最初に申し上げますと、今日申し上げたいのは、タイトルにも書きましたけれども、「愛知ターゲット」の社会のもとにおいて、自然増強、自然資本の増強型のビジネスモデルに積極的に変えようとしている企業もあるんだということをご紹介したいと思います。
既に何人かの方から、ビジネスの世界の中において、生物多様性の主流化がなかなか難しいというお話も伺っていると思いますけれども、決してそういう企業ばかりではないと思っています。弊社は、企業と生物多様性イニシアティブ、JBIBに参画しておりますけれども、JBIBの会員企業をはじめ、このような思いを共有する企業というのは、国内外に少なからず存在すると理解しています。
それでは、中身に入らせていただきます。まず、グループが、環境・サステナビリティ、生物多様性をどのように考えているのかをご紹介し、今申し上げましたように、ビジネスモデル、仕事の仕方をどのように変革しているのか、具体的な取組をご紹介したいと思います。
味の素グループは、1909年に、102年前に創業しまして、食品分野、アミノサイエンス分野、医薬・健康分野を中心事業としている企業です。世界中の各地で、その土地に根ざして、ということは、つまりその土地の生物多様性、それから人々の日々の暮らしに根ざして事業活動を広く行っています。
グループのビジョンとして現在持っている中期計画では、このようなことを掲げていますが、その中でも最も第一と置いているのが、「人と地球の未来の進歩に貢献する」ということです。これ、生物多様性の観点でちょっとつなげてみますと、これは2009年に創業100年を迎えた時に、改めて制定したグループ全体の理念です。「いのちのために働く」という言葉を明言いたしました。ここのいのちのために働くという意味は、人類の21世紀の基本課題である「地球持続性」「食資源の確保」「健康希求」への事業活動を通じて貢献するということを意味しています。
いのちとは、平仮名で書いて、英語になかなか直りづらいんですが、人のいのちだけではなく、それを支えているあらゆる生命・環境・地球のことを指しています。ここで文脈的には生物多様性が完全に入っています。これはグループの存在意義を表す理念ですので、極端なことを言うと、これが達成できなければ、企業活動をやめた方がいいという自戒になります。
なぜこのように思っているかと言いますと、ちょっとスナップ写真を置きました、事業活動の。一目瞭然です、自動車会社ではありません、鉄鋼会社でもない、自然生態系の恵みに依存している会社です。原料は農畜水産物、それから事業活動には資源・エネルギーを使いますし、世界で最も得意としているバイオ・アミノ酸では遺伝資源ということになります。なので、グループの事業そのものが、多様性・生態系サービスに支えられている。すなわち100年というスケールで考えますと、地球環境、それと地球社会が持続可能でないと、グループの事業そのものも持続可能ではないということなので、創業100年を迎えた時に、次の100年、どういう存在になりたいかという志として、この「いのちのために働く」と、こう言っています。
なので、今のグループの目指す将来像というのは、先ほど示した3つの事業領域の下に、この事業活動を通じて、この3つの基本課題に貢献していくんだということが書かれています。事業の発展と、これらの持続可能性への取組が同軸になるというのが企業のビジョンです。
もうちょっと具体的に言いますと、この3つの課題というのは、三層構造というか、広さ、概念の広さでなっていますが、その中で最も重要なのがやっぱり地球持続性で、その中でも、その最たる基盤であるのが生態系生物多様の保全と置いています。
グループの環境理念は、企業の理念を受けた形で書かれています。ちょっとずれていますが、主文の中に、生物多様性の概念を入れて、事業活動をそのようにするということが主なポイントになります。
この環境理念をさらに具体的に補完する形で、生物多様性行動指針というのを挙げて、抜粋を挙げてありますが、特に愛知ターゲットを踏まえて、ポツの3つ目ですね、事業の影響のネットポジティブ化を意識する話、それから再生産能力や物質循環能力の範囲内で行われるように事業活動を行う。生態系の回復、ポジティブのところにも寄与するということもあえて挙げております。サプライチェーン管理、価値提供、敷地管理、協働と、こういったように続きます。
この図は、グループの中でイメージを共有するためによく使う図です。下に、持続可能な地球環境、上に持続可能な社会があって、味の素のビジネスが中にあって、「いのちをいのちにつなぐ」と、こういう表現などをしています。
もう一度ちょっと、改めてビジネスの立場からちょっと見直してみますと、なぜそう思っているかと言いますと、ビジネスは競争です。グローバルビジネスの中で競争をやっておりますと、21世紀の市場は、もう20世紀の市場と大きく変わったと思っています。端的に言いますと、ここに挙げた1、2、3、4というのは、20世紀型の競争軸に加えて、21世紀は5つ目が加わったと。これがあってこそ、初めて競争力につながると。企業としての操業許可も与えられるものだと思います。増してや、成長して良いと言われるためには、これは必須だろうと思います。
なので「愛知ターゲット」、これはどのぐらいのスピードで来るかと、いろんな議論があるんでしょうけれども、いずれ、これは達成しなければいけない社会ですので、ビジネスの立場の認識としては、これは従来と、20世紀型と大きく異なるビジネスの競争の話だと。ならば、待つのではなくて、国際ビジネスルール作りを積極的にやり、自分たちのビジネスモデルもそのように変えていった方がいい、当然考えるようになります。なので、ビジネスの仕方も、ゼロミッションとか負荷削減型からさらに一歩進んで、自然資本の回復・増強(投資)型への変革を図りたいということです。ポイントは、事業のサステナビリティとして考えるということになると思います。
ということで、バリューチェーン全体を通じて、いろんな取組をやることになります。この2枚でいくつかの事例をちょっとイメージ的に挙げさせていただきました。上から言いますと、事業全体の生物多様性との関わりをESR(生態系サービスレビュー)で全体的に管理する話。それから、先ほどもご紹介しましたような、企業同士の連携によるJBIBのようなイニシアティブに参加する。それから、企業はいろんな強みというか、ツールを、あるいはメディアを持っていますので、コミュニケーション、それからアドボカシーですね、積極的に立場を明らかにして、指導していくということも重要な役割だと、期待されていることと思いますので、CBDのCOP、あるいは6月に今度は開催されますRio+20、こういう場でも積極的に出していきたいと思っています。その他一般的な取組。それから、原材料調達のいろんな取組、それから土地利用の話があります。
それから、最も大事なのは、なかなか詳しくお話できないんですけれども、やっぱり企業としては、基本的なR&D、基礎研究、それから応用開発研究の中にこの考えを全部入れること。特に我々、アミノサイエンス、バイオの世界においては、これを積極的に取り入れてやっていくということをやっております。
あと、環境活性コンクリートなどを、具体的な製品のサービスを生かした自然回復への取組も始めました。これは、ちょっと後でご紹介したいと思います。その他、飼料用アミノ酸を使った温室効果ガスの削減、耕地節約、あるいはバイオサイクル、カツオの生態系調査、キャッサバ・プロジェクト等、いろいろあります。
具体的事例をちょっと3つほどご紹介させていただきます。1つは持続可能な原料調達への取組、それから2つ目は、製品機能を生かして具体的な、積極的な環境貢献をする話、それから生産システムとして地域生物資源循環型の生産システムをやっているという、ちょっと3つだけ、急ぎ足になりますが、ご紹介します。
1つ目は持続可能な資源調達に関わる話ですけれども、これはお陰様で少し有名になってきました。弊社の基幹商品である「ほんだし」、原料がかつお節で、元はカツオです。ところが、ですからカツオがずっと持続可能でいただかないと商売ができないわけですけれども。いろいろ調べてみましたら、カツオの資源、生態がよくわかっていないというので、今、資源問題もいろいろということで、これは人に任せておけないので自分たちで関わって、基礎的研究から関わろうということで、これは連携です。専門家である水産総合研究センター国際水産研究所と弊社の共同の調査事業ということになっています。
ちょっと情緒的な言葉を下に書きましたが、「資源が危ないから調査必要」、これはよく聞きます。全くそのとおりです。でも、よくその裏返しで間違ったことを言われます。資源が危なくないのなら、調査は要らないんじゃない。とんでもないことだと思っています。これは資源が危なくないかどうかということではなくて、事業のサステナビリティの問題なので、そういうことに関わらず、関わっていくというスタンスでいます。
カツオの資源の状態は、漁獲量は多く出ていますが、今のところ、このブルーのゾーンに、カツオはまだまだブルーのゾーンにある。資源としてはまだ大丈夫と言われているところですが、必ずしも安泰ではない傾向も見えているということですが。さまざまな方と連携して、調査を実際にやっております。最終的な目標は、持続可能な資源調達の輪を広げ、さらにWCPFC、国際資源管理委員会、これに参画もさせていただいていますが、国際的な資源管理のルール作りに積極的に貢献しようということで、実際にはもう3年目になりますが、黒潮上流域でカツオの放流をやっております。現在もやっております。資源管理委員会なんかにも参加させていただいています。
2つ目の事例紹介ですけれども、これは製品機能を生かして積極的に貢献しようということで、2年前ぐらいから始まっています。コンクリートの中にアルギニンというアミノ酸を添加した環境活性コンクリートです。これもコラボレーションです。日建工学さんと徳島大学と味の素の共同になっています。
これは簡単に言いますと、このコンクリートを入れますと、藻場の再生が進む、あるいは貝類とか魚類の回帰が進むという、そういうものです。要は、海の環境問題というのは、食糧需給率と大きく関係しています、ご存じのとおりです。窒素を中心とする栄養塩が相当流れ込んでいるということなので、コンクリートを、防災とかインフラの関係でどうしてもコンクリートが絶対必要なので、それが生物多様性とトレードオフにならないように、メインになるように、「ひと」のコンクリートから「いきもの」のコンクリートに変えよう。あるいは色でいうと、白のコンクリートから緑のコンクリートに変えようということで、このようなコンセプトでやっていまして、目指したいことは、このような大きな栄養塩の循環をつくることを、重要な役割を果たしたいということなんです。ということで、現在全国21カ所の水域で、さまざまな水産試験場とか、漁協さんとかのご協力を得ながら、今、実証実験中です。ちょっとイメージ的なポスター、こうなります。
3つ目、これは生産の大きなシステム作り、これは既にもう30年近く、海外のアミノ酸発酵でやっていますけれども、地域の生物資源を中心として、農業、それから農産ベースの産業、例えば製糖産業とかタピオカ産業、それとアミノ酸発酵、これが連携して大きな資源循環の地域の生産の仕組みをつくる、生産をやっているものです。具体的に、例えば味の素の例でいいますと、サトウキビ畑からまず砂糖がつくられます。モラセスを原料としてアミノ酸発酵し、そこで出る副生液を有機質肥料として農業に、また還元して回すという物質の循環。
それと、最近では、エネルギーの循環も始めました。タイやブラジルの工場で、従来の重油ボイラーをもみ殻やタピオカ副産物、あるいはバガス等のバイオマス資源のボイラーに切りかえるということで、タイの基幹工場ですと年間10万トンのCO2削減、CDMということになっていきます。ということで、さまざまなコミュニケーションのことも大事ですので、このような広告を打って皆様にお伝えしているということで。
最後に、生物多様性国家戦略への、ちょっとおこがましいんですけれども、要望といいますと、ビジネスの立場から言うと、国際ビジネスは競争の立場なので、生物多様性の保全や持続可能な利用、さらに自然資本の増強への投資がビジネスとして、健全なビジネス構造、市場として形成されるような積極的な政策誘導をとっていただくというのは、極めて重要なことだと思います。
それから、ビジネスは、グローバルの市場でビジネスをしています。ですので、今回国家戦略ということですけれども、国際的な先進戦略やいろんな基準とかの連携をぜひ図っていただいて、構えとしては、地球社会戦略、国家社会戦略を超えた地球社会戦略でつくっていただければ、あるいは、さらに関連する戦略・政策・施策との全体整合も図っていただきたいと思います。既に生物、海洋生物多様性戦略の話も出ましたが、それも一例だと思います。
11年の11月、ISO26000も発効いたしました。JIS化もされております。この中でも、7つの中核領域として環境の中に2つ、4つのテーマのうち2つは生物多様性絡みだと思っています。ビジネスの世界は、このようなJIS化とか、ISO化が進みますと、どんどん実際には進んでいくと思いますので、少なからず、多くの企業がこのようなところに方向性を向けてくるものと思います。ただ、やっぱりビジネス界との対話・協働を積極的にやっていただきたい。あるいは現実、それから日本の強みやこれまでの努力も踏まえていただきたいと思います。
個別の話で言いますと、一次産業、それからその守り手である地域コミュニティの持続可能性が、やっぱり重要だと痛感いたします。これへも目を向けていただきたいのと、公共調達への生物多様性視点の盛り込み、それから業種、立場を超えた多様な主体の連携推進、例えばJBIBはそれに当たると思いますが。あるいは各地域をベースにして、多様な主体の連携推進、自治体の積極的な関わり、地域戦略の重要性はそのとおりだと思います。ありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。それでは、次にNKSJリスクマネジメント株式会社の福渡様より、ご発表をお願いいたします。

【NKSJリスクマネジメント株式会社 福渡CSR企画部長】 皆さん、こんにちは。NKSJリスクマネジメントの福渡と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、生物多様性保全の観点で、NKSJグループとして取り組んでいる内容と保険・金融サービス事業という流れの中で、私どもが得られた情報ベースに、今、現状企業がどういった取組をされているかということをご紹介させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
 NKSJリスクマネジメント会社ですが、こちらのNKSJグループの中の1つのリスクコンサルティング会社ではあるんですが、もともとは一保険会社のリスク評価をしたり、昔は安全技術部という一部署でありました。それが独立しまして、社内のリスク評価のみならず、社外の方にもご提案できるようにということでできた会社で、1997年にできた300名の小さな会社です。グループ全体といたしましては、今3万人ぐらいのグループで、保険会社・金融サービスのソリューションを実施している会社であります。
 2010年にNKSJというホールディングス会社を設置しまして、その時にCSRについての基本方針を策定しております。その時に、かなり方針に当たってはISO26000、先ほどちょっと味の素さんがご紹介しましたISO26000の規格を参考に、そこの内容を踏まえて、方針を策定しております。その中で、少し気候変動、ないしは生物多様性という要素を前面に表現として出して、方針を策定したという流れになっております。また、中期課題としまして、2010年から3年ぐらいを目処に、大きく3つの観点で進めさせていただいているというようなグループ会社であります。
 私自身が損保ジャパングループの出身ということもございまして、やや損保ジャパングループの話が中心になりますが、日本興亜さんの取組を踏まえて、簡単にご紹介させていただければと思います。大きくは3点ございまして、損保ジャパングループとして何ができるかと考えた際には、1つは当然ながら本業である保険や金融サービスの事業活動を通じて、生物多様性にプラスとなる仕組みをどういうふうに考えるかという点でございます。
 2つ目は、まだ大きくは環境負荷を与えているような会社ではないんですが、地道に省資源や省エネ、業務全般の改革を通じて、紙の使用量を削減するといった取組をしております。
 3つ目が社会貢献活動を通じた生物多様性保全を行うということで、取り組んでいます。
 実際に、この1、2、3という順番で、1番が優先的には高いという流れの思いはあるんですが、やはり活動、実際企業が活動しようと思うと、どうしても生物多様性の観点になりますと、社会貢献活動から、どうしてもやりやすさの面から取り組んでいるというのが実態でございます。これからお話する際も、1、2、3という順番ではなくて、3,2、1という順番でちょっとご紹介させていただければと思います。
 もともと私どもが環境を取り組むに当たってのきっかけは、私どものNKSJリスクマネジメント会社が、1990年の6月に地球環境リスクマネジメント室というのをつくりまして、お客様に地球環境リスクに対しての情報提供からスタートしております。大きく地球環境に対して一保険会社が取り組み始めたのは、1992年のリオのサミットに当社社長がその時に参加したというところが非常に大きく、それ以降、経団連の自然保護協議会として活動をしたというのが大きなきっかけでございます。
 生物多様性民間参画パートナシップも昨年できましたが、そちらにもグループ会社37社が集まって参加を表明して、こういったパートナーシップの中から、皆さん各事業の取組を伺いながら、自社として何ができるかというところを参考にしながら進めております。こういったパートナーシップや実際にそこの協議会の話を通じたり、現場を見にいったりすることによって、企業トップ、ないしは関係者が生物多様性の重要性を認識して、刺激を受けて、肌で感じて、重要性を持って取り組む必要性があるというところを進むのが、一番重要なのかなというようには感じております。
 トップの方の理解が深まりますと、現場のCSR、環境を推進している者にとっては非常に、あとは社内浸透に集中すればいいということもございまして、そちらの方に取り組んで推進していくというのが実態でございます。
 まず、社会貢献という位置付けでは、1993年に、市民のための環境公開講座をスタートさせていただいております。こちらもNPOの方と一緒に提携して進めているんですが、これを93年から続けておりまして、既に329回で、生物多様性自然保護という観点では87回の講座を設けさせていただいています。私どもにとって大きかったのは、こういった講座を通じて、さまざまな有識者の話を伺ったり、そのネットワークを通じて個別にまたご相談ができるという状態ができたのが、非常に大きかったと思っています。
 もう1つがCSOラーニング制度ということで、大学生の方をNPOに派遣して、そちらで実際の自然保護、生物多様性の重要性を認識してもらって、今後の巣立っていく学生さんがいろんな企業で働く際に、そういった観点を踏まえて、日々の仕事に励んでもらえればということで取り組んでおります。
 一方、財団の方では、これのみならず、研究会や助成金も細々とやっておりますが、大きな視点としましては、環境教育という軸でこの2つを取り組んでおります。
 最近、私どもが大きく社会貢献で取り組み始めたのは、協働の森づくり事業ということでやっております。グループ会社では、全国で今10カ所の自治体と協定した森林整備活動を行っておりますが、森林に関しては、二酸化炭素を吸収して酸素を供給、水を貯え、生きものを育み、土砂災害や防水を防ぐという機能も備えるなど、多くの恵みをもたらしているという観点ですね。保険会社グループの本業である予防、ないしはリスク管理とも考えが合致するということで、社内に推進して進めております。実際、こちらは協定を結びまして、間伐の体験とか、そういったことを社員に語りかけた場合に、非常にたくさんの方が参加申し出をいただけるということで、4年間で2,000人の社員が参加して、実際にこのフィールドで体験してもらっています。
 実際には、活動内容に関しましては、単に社員のみならず、地域の方や小学生の方を対象に、間伐、草刈り・植樹のみならず、農機具などの道具の手入れ方法や小学生のクラフト作り、そういった部分も活用しながら、子どもたちにも興味を持って森の生態を見守ってもらうような形で企画しながら進めております。
 商品・サービスを通じてという観点から行きますと、現在、2011年度から自動車保険、こちらは保険会社の中で50%を占める売り上げの基幹商品でありますが、こちらにお客様がホームページで閲覧できる約款を選択していただくことにより、環境NPOに寄付して、日本各地に生息する希少生物種の保全活動を行うSAVE−JAPANプロジェクトというのを立ち上げております。2011年度は、環境NPOと協働して、国内12地域で「タンチョウの生息する湿原の保全活動」ですとか、「アカウミガメが産卵する砂浜の保全活動」などのイベントを開催しております。今年度は全国に、47都道府県に拡大し、NPOの方とパートナーシップのもと、市民参加型の屋外イベントを開催する予定でございます。
現在は、会社にとってみましては、こちらを通じて、約款を電子化にすることによる紙削減や輸送の減少という、そちらのメリットも考えながら、お客様と一緒に生物多様性の保全活動を訴えかけるというような取組になっております。1年間で賛同していただいたお客様が60%、保険契約者は私どもの損保ジャパンでは約800万件ありますが、そのうちの500万件の方が賛同して、こちらに電子化の約款を通じて、自然保護の取組に寄付していただいているというような状況になっています。
 エコ安全ドライブの普及・促進ということですが、こちらはグループ会社共同で環境保全と交通事故の少ない社会づくりに貢献するということで、エコ安全ドライブの普及を実施しております。こちらは、損保協会という団体からも普及・推進しておりますが、後者として各企業様にお話をして、エコ安全ドライブコンテストに参加してもらえるような形で事故を減らすことによって、その事故の、事故が起きますと、どうしても物を直さないといけませんので、廃棄物が増えてしまいますが、そういったものも減るというメリットも考えながら、推進しています。このコンテストを実際に企業の方にお話させていただきながら、約1,200社ぐらいの方が賛同いただいて、このコンテストに参加しながら、実際のエコドライブと安全ドライブを進めていただいております。トップの改善した企業さんには、高知県の馬路村の間伐材の表彰盾をお渡ししながら、推進しているというのが現状でございます。
 あと、金融機能を活用した取組としましては、環境問題に積極的な日本企業に投資する「エコファンド」、これ1999年の9月にスタートしましたが、その経営度調査につきまして、2008年から生物多様性に対する取組を含めた評価をスタートしております。
 また、「リフォームローンecoプラン」ということで、実際に住宅リフォームをする際の、省エネ化にする際には金利を優遇すると同時に、実際に融資額の数パーセントを里山保全の寄付につなげてもらうと。そのもともとあったファンドというのは、IT化によって浮いた資金をそういったものに回そうという形で進めております。
 保険会社グループの中でコンサルティングということで、実際バードライフ・インターナショナル・アジアさんと一緒に、現在、生物多様性のコンサルティング業務も進めております。Phase1、Phase2、Phase3という形で、3点から企業の評価ということで進めておりますが、最近は、少しずつ企業のお客様の方から問い合わせが直接ホームページを通じて、ちょっと聞きたいという内容が増えてきているのが、今実態でございます。
 企業の取組状況としまして、簡単に、先ほどのエコファンドを通じて集計した統計データをベースに、話をさせていただければと思いますが。実際に経営リスクが顕在化した企業の事例もありまして、その事例につきましては、後ろの事例編のところに、各グローバルの企業の問題もしくは対応策ということで掲載させていただきましたので、そちらを参考にしていただければと思いますが、企業が実際に取り組むに当たっては、やはり企業価値の向上をどうやって生物多様性の観点でできるかというところが一番大きなポイントと、あとはビジネスリスクのチャンスとリスクを減らすというのと、機会を増やすというところと、社会からどうやって評価を受けるかということが、1つの大きな企業が取り組むドライビング・フォースになるかと思っております。
エコファンドから見たところ、2009年につきましては、トピックス約1,700社の企業から実際にアンケートを送付するんですが、実際、先進企業として回答をいただけるのは400社程度の母集団にはなるのですけれども、2009年では、17%が取組方針を定め社外に公表していると答えた企業の率です。トータルで220社の製造業です。実際に2010年が31%、2011年は46%ということで増加しております。ただ、これが多いか少ないかというのは一方でありまして、先進的な企業は徐々にそういった取組を増やしていますが、まだまだ中堅企業なんかに対しては、今後働きかける必要性があるのかなというように思っています。
実際、大きくは3つ取組の内容がありまして、生物多様性に配慮した原材料調達や土地利用の開発、事業所の操業というところが一番大きな軸でもって、皆さんが取り組んでいるように認識しております。それをちょっと少し観点を変えて、それぞれ8項目をベースに企業がどういった取組をしているかということを掲載させた内容ですので、ご参考に見ていただければと思います。
最後に、そういった情報を踏まえて、企業がまだまだ、生物多様性に対してどうやって取り組めばいいかというのは悩んでいる状況でして。また、先だって長野県に行きましたところ、ある村では、まだ生物多様性の戦略というのをどういうふうに行政でも考えてやるか、もちろん県では大分進んでいるんですが、町とか村というレベルに行くと少し減ってきているという状況ですので、そういった観点で、普及・促進を大きく6つの観点でご検討いただければなというふうに思います。ご清聴ありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。以上で、5つの産業関連の活動団体・企業にご説明をいただきました。これから、短時間ですけれども、質疑・応答ということにさせていただきたいと思いますが。また、宮本委員から文書で質問が提出されておりますので、最初にどうぞ。

【宮本委員】 ありがとうございます。宮川森林組合様と木更津金田の浜活性化協議会のお二方にお伺いしたいと思いますが、今回ご紹介いただいた活動について、経営的な採算性についてはどのようにお考えかということをお聞かせください。平たく言うと、将来コスト回収ができると思っておられるのか、あるいは採算を度外視しても、環境への寄与をしていこうとされているのかという点についてお願いいたします。
 以上でございます。

【武内委員長】 それでは、他の委員の方でご質問・ご意見のある方、札を立てていただきたいと思います。それでは、左から、中村委員、お願いします。

【中村委員】 今のと絡むのかもしれないんですけれども、宮川森林組合の岡本さんに、広葉樹植樹を推進したいということで、いわゆる一般の森林所有者は、そういう動きに対してどういうふうに思っておられるのか、そこを教えてください。
 それから、NKSJの今の福渡さんのお話の中で、Web約款を選択するというお話があったと思うんですけれども、これが特に、僕はあまりよくわかっていないものですから、Webを使ったことが非常に有効に働いたのかどうか、その辺を教えてください。

【武内委員長】 中静委員、お願いします。

【中静委員】 私もNKSJさんにちょっとご質問したいのですが、最後のところで、地域戦略との関わりについて、ちらっとご言及があったんですけれども、例えばいろんなところで地域戦略を地域がつくっていらっしゃるところを見ると、必ずしも企業の方がうまく入り込めていないかなという印象を私は持っていまして、そういうところにどのような助言といいますか、そういう仕組みを持ち込むことができるのかなという、もしアイデアがありましたら、お願いしたいと思います。

【武内委員長】 ありがとうございます。土屋委員。

【土屋委員】 味の素の杉本様とNKSJの福渡様にお尋ねしたいのですが、非常に活発な活動をしておられることに感銘をいたしましたが、生物多様性に関して、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。私どもはこういう議論をしておりまして、生物多様性という言葉が非常にわかりづらいということを多く聞いております。皆さんの活動の中で、いろいろな生きものが出てきましたし、あるいは生物多様性という言葉を多く使われていますが、おつき合いされている方々、あるいはお客様は、生物多様性をどういうふうに理解しているかというようなことに関して、何か情報がありましたら教えていただきたいと思います。

【武内委員長】 ありがとうございました。鷲谷委員、お願いします。

【鷲谷委員】 佐々木さんには、生物多様性を活かす農業の可能性を確信できるようなご発表をいただきました。アカトンボが生まれる田んぼでお米をつくるというのは、日本が世界に誇るサステナブルな農業のあり方だと思いますが、残念ながら、そのような田んぼは今では稀になり、最近では一層急激に農業地帯からアカトンボが消えて、東京のような都市地域の方がアカトンボが多いという、逆説的な状況まで生まれています。アカトンボは、日本の生物多様性の最も重要な指標種の1つでもあると思いますが、水田地帯にそれを取り戻すことが重要な課題だと思うんですけれども、減少の主要な原因の1つとして、研究者が疑っているのは農薬、その中でも苗を消毒するハコ剤の影響です。田んぼ10アール当たり、先ほど3,000から5,000ものアカトンボが羽化する稲作技術がもう存在するというお話を伺いましたが、良い技術があるにも関わらず、温湯消毒のような生物多様性に優しいシンプルな技術がなかなか普及しないのはなぜでしょうか。国として、どのような情報発信や支援をするべきなのでしょうかということを、佐々木さんに伺いたいと思います。
 それから、岡本さんには、広葉樹の森を植樹によってつくるための技術のお話を伺いました。さらに進めて、植えないで森林をつくる技術、つまり自然に分散される種からの実生を育てて、多様な樹種からなる自然な森林をつくる技術をランドスケープレベルでの計画も含めて、開発するというアイデアはないのでしょうか。なぜそのようなことを質問させていただくかと言えば、コストがかからないで、メンテナンスフリーの21世紀型の森づくりの技術的なニーズというのは、現在極めて高いものになっていると思われるからです。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。それでは、あん・まくどなるど委員、お願いいたします。

【あん委員】 佐々木さんと金萬さんへの質問なんですけれども、全国環境保全型農業推進会議が1994年にできていて、その中でエコファーマー認証制度が生まれ、佐々木さんがリードをとってくださっているネットワークはそこから生まれてきていたので、それを考えると、よく生きもの、そういう生きものを育む農業が、そういう変わり者の集いからやや市民権を得られるようになってきたと思うんですけれども、まだ主流化していないと思いますね。だから、ここは国家戦略を考えるところで、やっぱりそういった生物多様性を育む農業が主流化していくためには、どういった政策がもっと必要になっていくのかということで。
 また、漁業も同じことだと思うんですけれども、今は金萬さんのような藻場づくりとか、干潟保全に努めている方は、非常にモデル的な活動をしているかと思いますが、やっぱり海苔養殖から巻き網まで、本当に漁業全体が生物多様性を配慮するような人間活動になっていくためにはどういった戦略が望ましいのかを少しご意見をいただけたらと思います。

【武内委員長】 磯部雅彦委員。

【磯部(雅)委員】 佐々木さんに、他の先生の質問にお答えのついでで結構ですけれども、エコファーマーのネットワークについて、メンバーの数はどのように最近変化しているのか、それを増やすためにどのようなことが障害となっているのかということについて、おわかりになれば教えてください。
 それからもう1つ、味の素の杉本さんに、最後のところのスライドで、一次産業の守り手である地域コミュニティの持続可能性に配慮してほしいというご発言がありましたけれども、具体的にどのような問題意識を持っていて、どのような障害を取り除くと、これが、問題が解決していく方向にあるのかというようにお考えかということについて、教えてください。

【武内委員長】 ありがとうございました。小泉委員。

【小泉委員】 味の素の杉本さんとNKSJの福渡さんに伺いたいのですが、お二人とも、主体的に関わる、生物多様性に関わる企業のお話がありましたけれども、必ずしも企業によっては、主体的に生物多様性に関わることができないということがあります。ちょっとカーボンの取引のことが頭にあるんですが、そういった主体的に生物多様性の保全というものに関われない企業が、例えば宮川森林組合のパッチディフェンスというような活動を支援することによって、環境省から生物多様性に対する何らかの認定、ポイント、生物多様性ポイントのようなものをもらって、企業としてメリットを受けるというようなモデルというのは、あり得るのでしょうか。

【武内委員長】 それでは、ご発表いただいた5人の方に順番にお答えをお願いしたいと思います。佐々木さんから、よろしくお願いいたします。

【全国エコファーマーネットワーク 佐々木会長】 最初に、鷲谷先生からお話があったアカトンボの関係から言いますと、私は、全国的には取組が広がりつつあるんじゃないかと思っております。例えば宮城県の事例から言いますと、農林水産省の農地・水・環境保全向上対策の生きもの調査をする中で、この地域にはいるよ、いないよというのがみんな明らかになってくる段階で、農薬を使うと使わないとの差、それから剤による差、農薬の種類による差というのが、顕著にというとあれですけれども、別な条件もありますけれども、一定の傾向が見えてきたことによって、それを改善する取組が進んできておりまして、全国的にはやっぱり広がりつつあるんじゃないかというのを、私はそういう評価をいろんな、とりわけ東北・関東を歩くとそんな気がしています。ただ、確かにまだ、例えば私のところはたまたまテレビに映って、うちの裏に行くとトンボがいっぱいいるよというのが映ったときに、あるお母さんが子どもを連れて、次の朝集落に出ていったら、トンボがいなかったと。やっぱり現実にはあることはあるんで、ただ、それが国の施策というとあれですけれども、いろんな中で、そういう評価が生産者の中ではされつつあるのかなという気がしています。広がりつつあるという印象は持っています。これからどうなるかと、また課題があるわけですけれども。
 それから、環境保全型農業なり、エコファーマーの普及が理解がされないということとかなどは、私は農業の価値というのは、生態系サービスとしての物の生産だけでなくて、文化とかいろいろあるんですけれども、国民があって、国があって、国民がと言った方がいい、それを支持してくれる仕組み作りをどうしてもなければならないし、場合によっては、そういうものを数字として表す仕組み作りをしていく中で、評価をしていってあげなければならないんではないかと思っています。
同時に、私たちは生産を守るために、経営を守るためには、国民の理解を得なければならないので、そういう情報発信を積極的にしていく必要があると思って、例えば田んぼのいきものマークみたいなのをつけて、消費者の理解を得る仕組み作りをしているというんですかね。それから、消費者交流とか環境学習に、都市の人たちとの交流を深めている。そんな中の地道な努力をしていかなければならないんではないかと思っています。
 エコファーマーの全国組織の数ですけれども、実は3年前から、農林水産省からのご支援もいただいて、組織作りに入りました。全国で環境の取組の技術の交流や、それから公益的な基礎を持つ農業をやろうという勉強会を繰り返してきましたけれども、実際今、20万人のうち5,000人ぐらいしか入っておりません。1つにはエコファーマーを、1つの環境保全型農業の取組として、それは何としてもやらなければならないという理念なり意思を持ってやっている人と、それから一定の支援があるから参加しているという、まだそのレベルと、2通り率直に言ってあると思っています。ですから、国の施策や支援を受けられる中で、エコファーマーになった人たちの意識もまだ決して高いレベルではないという現象から見て、私は若干危惧しています。なぜエコファーマーが、農林水産省の農地・水・環境保全向上対策の営農支援がなくなります。環境直接支払いに変わる段階で、恐らく今まで堆肥の投入や生きもの調査や、それらを集落ぐるみでやるなりしていたところが、場合によってはCO2の見える化とか何かをやっていたところが、支援がなくなるために減少する、エコファーマーは減ってくるんじゃないかという危惧をしております。農林水産省は、34万人だか36万人に拡大したいということだそうですけれども、それはちょっと私は、正直危惧している1人です。なぜそれをやらなければならないかというのは、やっぱり日本の農業そのものを、前にもお話しましたけれども、地球温暖化や生物多様性、資源循環などの仕組みを持つ農業に変えていく時に、どうしても環境保全型農業なしにはやっていけないという、私は思いを持っておりますので、会員の拡大なり普及には努力しておきますけれども、全国組織的にはまだ生まれた段階で、国の制度が変わったということと。
もう1つ、原発で主要なエコファーマーの県が大きなダメージを受けました。最大のダメージを福島県の2万人をはじめとして、岩手・宮城・栃木とか群馬と、1万人規模の人たちがみんな放射能で大変になっています。そこでの組織の環境の取組よりも、放射能対策というのは現状で、ちょっと足踏み状態にあるというのは率直なところです。
以上です。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。それでは、引き続きよろしくお願いいたします。

【宮川森林組合 岡本林業振興二課長】 宮川森林組合の岡本です。まず、経済性についてのご質問からお答えさせていただきます。現在、いろんな形で広葉樹植樹をやっていまして、まず基本的に、林業自体が補助金・助成金等にかなり偏った産業になっているということで、私どもは、まず薄利で問題ないというふうな認識を持っているということが、1点。
さらに持ち出しをするということは、なかなか継続性、組織さえ維持できないということで、したくないというか、なかなか持ち出しまでして、なかなかできないという実情があります。さらにそれを広めていく上に当たって、CSR活動等によって、企業様から資金をいただいて、山に木を植えていくという活動をあわせて行っています。その中で、オフセット・クレジット制度(J−VER)を取得しまして、そのクレジットの売却益を資本にして、森づくりをするという取組をDuplex植樹というふうな名前を付けまして、やっています。この仕組みは、オフセット・クレジットを企業様に販売して、そのクレジットをお渡しすると。なおかつ、販売益で企業様の意向に応じた森をつくるということで、企業様にとってみれば、1回の出資で、クレジットの取得と企業様の森ができるという仕組みの中で、今、展開している最中でございます。
次に、広葉樹植樹の所有者の、森林所有者の意向を、意向なんですが、まず伐採跡地に関しましては、もうほとんどの所有者が人工林の再造林をしないという状況です。そのまま放置しますと、なかなか森が戻らないということがありまして、私どもは人工林の育成と広葉樹の育成提案を行っています。所有者様の選択は、広葉樹の選択というのが多いのが実情です。なぜかと言いますと、人工林の維持管理コスト、下草刈り、間伐、枝打ち等の維持管理コストですね、が数十年にわたってかかってくるという一方、広葉樹の維持管理コストというのは極めて、年間コストがフリーというふうなことで、やはりご安心されるというふうな部分と、環境意識の高まりというものもあるんじゃないかなというふうに認識しております。
最後に、森をつくる、木を植えないでという話、ランドスケープレベルという話が、ご質問をいただいたと思いますが、パッチディフェンスだけでは、なかなかそういったことを解決するのは難しいかなというふうには考えています。ただ、植えないと、先ほど25年伐採跡地、イワヒメワラビが群落をつくっているスライドを見ていただいたと思いますが、かなり長い期間必要になってくる。その長い期間、草本類、もしくは裸地化のまま放置すると、やはり国土保全というふうな観点から、斜面崩壊、斜面侵食というふうなところが顕著に見られるところもありますので、ケース・バイ・ケースでそういったところは検討していく必要があるんじゃないかと、今のところ考えております。
ポイントモデルについては、大変ありがたいご提案と感じております。CSRでの植樹に期待してきたが、パッチディフェンス、要するに防鹿対策、シカ対策だけの支援というふうなこともありがたく思いますし、今後、直接のCSRだけではなくて、NKSJ様のような企業とのコラボという形が可能であれば、大変ありがたく思います。
以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。

【木更津金田の浜活性化協議会 金萬副会長】 私の方は、とりあえずNPOの時はそれなりの助成金がありまして2年は継続できました。でも、何か違うなという部分がありまして、結局参加を、そのプログラムをブラッシュアップしながら、参加費用を求めるような結果で今やらせてもらっています。それで採算は、今のところは、もうトントンですね。でも、実際これを継続することによって大前提がありまして、生物多様性であり、食物連鎖というものは、漁獲へつながるといううちらの意識がないと、漁業者の意識がないと、継続はできません。数年前、水産庁でも藻場再生の保護で多分予算が出ている時にも、私もちょっと委員として関わらせてもらって、それも多分永久的な予算は出ないと思うんですけれども、最終的には自分たちが漁獲するものに対して、生物多様性が必要だという高い意識レベルを植えつけてもらうというか、体験の中からやっていかなきゃ続かないだろうというのがあります。
 もう1つなんですけれども、持続していくのに、実は今回発表に入れなかったんですけれども、最初地元の漁師10人でNPOをつくったんですけれども、今は全国の漁師で株式会社エンジョイ・フィッシャーマンという会社をつくりまして、そこに60人ぐらいの全国の漁師が「ザ・漁師’s」というネットワークを組んでいます。その中に、山口の方で藻場再生をやっていたり、沖縄でサンゴの移植をやったり、あと京都丹後の方で鳴き砂を守る、その鳴き砂をやる人がいたり、私みたいに干潟の方でやるという、そういう今漁協とか一切関係なしで、個人の中でネットワークを組みながら情報交換して、いろいろやっていこうとしています。そこから今後多分継続して、そういう変わった連中が次の世代の、今20代・30代の連中がすごく意識レベルが高いです、漁師は。そちらに多分継続して、こういうものがつながるんだろうなと思っております。
 以上です。

【味の素株式会社 杉本環境安全部兼CSR専任部長】 3つの質問をいただきました。
まず、土屋委員からいただいた、社会一般に生物多様性をどのように理解されているのかということだと思いますけれども、私の経験から言いますと、社内も含めて、生物多様性という言葉をいきなり使ってしまうと、まず理解されません。というよりも、むしろ誤解されます。生物という言葉があるんですけれども、どうしても物をイメージしてしまって、具体的な生きもの愛護、せいぜいその程度です。ただ、生態系、あるいは生態系サービス、この言葉に置きかえていくと、ぐっと理解が進みます。ですので、私どもの活動を紹介する時も、生態系の保全及び生態系サービスの持続可能な利用と言い代えて、ご説明しています。ただ、この言葉だけでもなかなか難しいので、具体的に生物多様性があり、生態系サービスがあり、企業にとっては多分原材料になりと、このピラミッド構造と事業活動のつながりを合わせて説明していくと、大体理解していただけるというのが、1点目だと思います。
 2点目、磯部委員の言われておりました、一次産業、それから地域コミュニティ対策での具体的なアイデアということなのですが、残念ながら、ちょっと具体的なアイデアを持ち合わせておりません。ただ、いろんな場面で現場の、まさに地域コミュニティの方と触れ合っていますと、いろんなところで悩まれている。その中から感じるのは、やはりいろんな、意見の中にも書きましたけれども、いろんな政策とのやっぱり整合がよくわからない。あっち立てると、こちらが立たないということがよく起きているようです。特に生物資源ということ、原材料とか土地利用ということになりますと、農林水産省とか国土交通層とかのいろんな政策と大いに絡むところがあって、それの中で整合が必要なのだろうなというのが、まず思うところです。
 3つ目、小泉委員の直接関われない企業は、主体的に思わない企業はどうしたらいいかというところですけれども、確かに弊社のように思わざるを得ない企業以外に、ちょっと間接的で遠い企業で参加できないところがあると思います。そういう中で、直接ではないけれども、間接的な支援をするということは、理論的には大いにあり得るものだと思います。ただ、いくつか条件がありますね。当然企業としてやる以上は、ある意味で投資と回収の話ですから、やっぱり社会、特に消費者からの現実的なメリットとして返ってくる支援がないと、難しいだろうなということと。
 あと、ちょっと懸念されるのは、いろんなものが乱立してしまうと、またわからなくなるということ。それから、グリーンウォッシュはとんでもないということは、押えなければいけないことだと思います。
 あともう1つ思うのは、1社で、自分の会社、俺が俺がでやる時代ではないのではないかなという意識もあります。連携も大事だと思いますので、例えば1社で直接関われない、あるいは1社だけでも、そういう、例えば間接的な支援ができないのであれば、例えばイニシアティブのような産業や企業、構図を超えた、に参加して、イニシアティブとしてそういうことに取り組んで、そういうことで参加しているということで評価をいただくということも必要なのではないかと思います。ありがとうございます。

【NKSJリスクマネジメント株式会社 福渡CSR企画部長】 ご質問を4つほどいただきました。まず、保険会社グループとして、生物多様性をどのような考えでやっているかということですが、実は生物多様性を具体的に社内で推進しようとすると、先ほどお話がありましたように、非常に言葉が難しいということと、会社との関係性がどういうふうにつながっているかというのが非常に間接的でわかりづらいということもありまして、もともと環境問題を保険会社が取り組むに当たって、商品開発という観点と事業の負荷低減という観点と、企業としての社会貢献、個人としての社会貢献ということで、議論していった流れの中で、やはり広めていくためには環境教育だという結論に1993年に成り立ちまして、それ以降、一環として環境を取り組むに当たって、会社として何を主体として考えるかというと、教育面をどうやってうまく会社が側面支援、NPOの皆さんに対してもどういうふうに支援したらいいかという観点で、ずっと進めてきました。生物多様性に関しても、商品開発する際は、実際の活動をする際も、環境教育というキーワードを常に位置付けながら、進めてきたという背景でございます。
 それから、Web約款の効果ということでございますが、もともとWeb約款は保険会社各社が進めている中で、当社としましてどうやってやるか。1つの一番大きなWeb約款の要素としては、もうIT化による事務効率化が1つ大きな観点でございます。約款の手続の流れが全部コンピュータで処理されるということは、その間に入っている人の作業が大きく減るということになりますので、事務コストという観点で非常に大きなコストダウンになっております。それが幾らかというのは、実際に試算はちょっと、商品開発分が教えてもらえないので、よくわからないんですが。輸送面で行くと、約款を1回輸送する際には、数百円のコストがかかります。お客様に数百円かけて輸送する分を、ITを通じてお客様に見ていただけるということですので、それが500万件掛ける数百円ですので、数十億円のコストダウンにつながったという効果は、社内的にはあったかと思います。
一方で、それをお客さんにweb約款を勧める際に、各営業社員が行って勧める際に、生物多様性の話を進めながら、この約款をお客さんが選択すると、こういう効果がこういう取組に、自分の県の、地場の地域にこういう支援を使いますということで、賛同していただくということで勧めている。1つの構図で、マーケティングかと思うんですが、そういった効果でもって、お客様もそこまで考えているんだなという評価をいただければという思いで、勧めております。
 NKSJリスクマネジメント会社が、実際にお客様がどのように悩まれているかというお話かと思いますが、先ほど出ましたように、いろんな国際的ないしは国内にも、環境省でも、ガイドラインを策定して、企業の取組の指針をつくられて、経団連も行動指針をつくられて、それを参考に企業はどうやって取り組むかということで、方針とか、ある一定の抽象的な部分までの取組というのは見えているんですが、それ以降具体的にどうすればいいかというところが、まだまだ悩みを持ってられるなという印象が強いです。ですから、例えば、多分、生物多様性に配慮された原材料調達をするということになったとしても、実際に東日本大震災やタイの洪水の事例でもありますように、企業の部品調達が細かくトレースされているかというと、そういう問題、それができていなかったりという問題が出ていたかと思うんですが。産地が、具体的にそれぞれの資源がどういう産地から調達されて、どういうルートで来ているかというサプライチェーンの問題がまだまだありまして、それをどうやって具体的に調べればいいかというと、実際に調べますと、すごいコストがかかりますし、なかなかそこができないという、具体的にやろうといった時に、いろんな悩みを持っているなという印象が強いです。その悩みが大体、概ねこの6点かなという形で、最後のまとめで整理させていただきました。
 あと、生物多様性の主体的に関わって、いろんな行政の方と協働してやるために、どういったことができるかということですが、先ほど申しましたように、企業組織の方もいろいろ生物多様性をどうしたらいいかと悩んでいますので、一方で、行政の方とかNPOの方がいろいろ企業に対してこういう取組をすると、生物多様性に、保全につながるというものを提案していただくような、それは個別に提案するであり、ホームページとか、そういった具体事例を見せて出すなりしていただいて、企業が実際に取り組もうと思った時に、どこに相談すればいいかということが明確にわかっていると、そこからスタートできるのかなと思っております。
 したがいまして、そういうパッチディフェンスの話で、何らかが、その後取り組んだ後に、それが社会に評価されるというものがいろんな形で出ると、企業もモチベーションないしはインセンティブが出てくるのかなと思っております。
 以上です。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、この質疑応答についてはこれで終了させていただきたいと思います。追加の質問がある方については、文書でお出しいただけるということについては、先ほど来お話ししているとおりでございます。
 少し予定より遅れぎみですけれども、2時半まで休憩ということにさせていただきたいと思います。
(午後2時22分 休憩) (午後2時32分 再開) 【武内委員長】 それでは再開をさせていただきたいと思います。
 次は、地方公共団体からのヒアリングでございます。説明時間は15分以内とし、終了1分前に呼び鈴を1回、終了時に呼び鈴を複数回鳴らしますので、時間管理にご協力をお願いしたいと思います。
 初めに、黒松内町よりご発表をいただきたいと思います。当初のご案内では、若見町長よりご発表をいただく予定でしたが、公務のため、急遽、環境政策課長の鈴木様より発表をお願いしたいと思います。

【黒松内町 鈴木環境政策課長】 それでは、本町の取組をご報告させていただきます。北海道黒松内町から参りました、環境政策課、鈴木と申します。
 まず、黒松内町の地勢についてのご報告をさせていただきます。黄色く図示しておりますけれども、札幌と函館のほぼ中間に位置しており、札幌からは直線距離で約100キロほど、車では2時間ほどかかる場所になっており、50キロ圏内ではリゾート地で有名なニセコ町や、サミットが開催された洞爺湖町があります。
 気候の面ですけれども、春から夏にかけては、噴火湾で発生する霧が本町を流れますので、黒松内低地帯では、近隣の地域と比較しても日照時間が少ないという、農業面では恵まれない環境となっております。また、豪雪地帯ということもあり、積雪が約2メートルほど積もる地域であります。
 町としての人口はとても小規模で、3,200人、面積としては345平方キロ。主な経済基盤ですが、農業と福祉施設が多数ありますので、それが経営基盤ということでございます。
 昭和63年から、北限のブナをシンボルとした自然体験や農村景観を生かした都市との交流による地域づくりを進めるということで、今まで自然と共生した地域づくりも行ってきたところでございます。
 また、自然についてですけれども、こちらが町内の河川を図示しておりますが、二級河川であります朱太川が町の中心部を流れております。約122の支流があり、豊かな河川環境と農地をつくっております。流路延長が43キロ、流域面積は367平方キロということで、源流は太平洋側にありますが、そちらから日本海側の方に流れるという部分、また分水嶺が非常に偏っているというユニークな水系と言えると思います。また、この朱太川本流にですけれども、ダムなどの横断構造物がないということもあり、そういったことから河川の連続性が保たれる、日本の中でも貴重な環境であるということが、いろいろな方から教えていただいているところであります。
 北限のブナの写真であります。また、クマゲラの営巣木も、ブナ林の中で何カ所か確認されているということであります。20年来の町のシンボルであるというのも、町民にとっての誇りになっているところであります。
 朱太川についてですが、左下でありますけれども、通し性の回遊魚が多くいるという点、また、絶滅危惧種のカワシンジュガイが広く分布しているとともに、安定した世代交代が確認されているという現状が、大学の研究者の方に今認めをさせていただいているところでございます。また、道内圏としましては、最古の古さを持つ歌才湿原も本町の自然の1つとしてあります。
 歌才ブナ林のお話をさせていただきましたが、こちらは国の天然記念物に指定されております。町民との関わりでございますが、戦中戦後2回ほど伐採の危機がありましたが、研究者や、また抗議行動をする住民たちの力があり、伐採を逃れているという点であります。当時はまだ自然保護思想が一般的ではありませんでしたが、環境優勢の時代において、そういった先人の方々の英知があり、今の自然が守られているということにつながっていると思っております。
 それでは、今回の主たる報告の中に示させていただきましたが、地域戦略についての概要を述べさせていただきたいと思います。
 このような恵まれた自然環境の中、この環境と生態系サービスを将来に引き継ぐために、生物多様性の考えを取り入れた計画が必要であると町で判断し、2年ほど前から、その地域戦略策定を進めました。策定につきましては、先月、3月末をもって策定しており、北海道の市町村では、本町と礼文町が同じく3月にできたという部分であります。
 この地域戦略づくりに当たりましては、平成9年、本町の環境基本計画がありましたので、この部分に生き物の視点を加えた形でのつくりをさせていただいております。現状分析として、土地利用のあり方であったり、植生図や土地利用の状況、希少種や指標種の分布状況、また農業としてどんな農業が営まれているんだろうかと、こういう部分も含めて検討をさせていただいたところであります。
 策定時期は3月であり、期間につきましては、平成24年度から43年度までということの20年間にさせていただいております。うち、5年ごとに一部見直し等々をするという作業を予定しております。また、対象地域については、町内全域であります。
 基本方針が、4つほど述べさせていただいております。1つとしては、生物多様性の保全と持続可能な利用を基本とすること。2つ目としては、町の自然地の面積を増加させる。3つ目は、地域の自然のつながりを意識する。4つ目は、町民一人一人が自然の恵みを、これまで以上に実感できるようにするという点であります。また、後ほどまた図面でお知らせしますが、森・里・川・海の生物多様性の土地利用構想も、こちらの計画の中で盛り込まさせていただいております。この取組から、環境と地域経済が結びつく新たな仕組み作りをつくっていきたいというのが町の思いであります。
 今回、この地域戦略の策定及び、これからご報告させていただきますが、本町を含めた後志地域の取組につきましては、環境省からの委託事業を活用させていただいております。
 こちらが、見づらい点もあろうかと思いますが、生物多様性の土地利用構想であります。こちらは、地域戦略の20年の計画とは異なり、今後、50年から100年、長い視点のもとで、どういった土地利用があるのが望ましいかという部分を図化させていただいております。当初からあった氾濫原であったり、貴重な森林があったり、湿原があったり、そういった部分を町として購入していく。また、協定等々を結びながら、私有地を確保していく、そういった取組を長い期間をかけて町としては行っていきたいと思っております。また、こういった取組を補足するためにも、保全を目的とした土地確保の基金というものも、町としては設けていきたいと予定しているところであります。
 具体的な地域戦略に書かれている行動計画や推進体制でありますけれども、こちらは見出しだけですけれども、何点か述べさせていただいております。行動計画では、これから20年の中で進めていく具体的な記述までという部分はできませんでしたが、その方向性を示させていただいております。今後、そういった中身につきましては、庁舎内会議等々を経て、推進計画というものを策定したいと思っておりますので、その中で詰めていくというような作業が続くと思っております。
 24年度から本格的な事業が始まりますが、昨年度から、大学の研究者などと共同して、いくつかの事業も策定と一緒に行わせていただいております。その1つが、「生物多様性祭り」と称した動植物調査や、地アユや放流アユの関わりを実証した生息状況調査というものも、23年度から実施しております。町では、まだまだ自然に関する、環境に関するデータというのが不足している現状でありますので、こういった取組と並行していきながら、そのデータの集積を行っていきたいと思っているところであります。
 町の思いとして、上段に書いておりますけれども、農村部の生物多様性を守ることは、都市部の皆さんへの生態系サービス利用の安定化につながると、この思いで行っているところであります。小さな町でありますが、取組を一つ一つ重ねることによって、農村部におけるモデル事業として、多くの皆さんの参考となるべきものに結びつけたいなと思っているところでございます。こういったためにも、今まで以上に環境省の方や国、北海道からの財政の支援も必要でありますし、大学や研究者からの学術的も含めた人的支援が必要かと思っております。先ほどの報告でもありましたが、経済団体の方からも、こういった取組への支援というものも、地域戦略ができましたので、町としてもさまざまな形で情報発信をしていきながら、支援の輪をつなげていきたいなと考えているところでございます。
 それと、本町も含めたもう1つの生物多様性の地域での取組がありましたので、あわせてご報告をさせていただきます。
 「しりべし」と読みますけれども、後志地域生物多様性協議会の発足であります。こちらは、黒松内町が事務局を担わせていただき、また、呼びかけ人の1つの町としております団体でございます。先ほど、当初の図にもありましたが、北海道の中央部に私たちのある後志地域は位置しております。19の町村から成っておりますけれども、森・里・川・海のつながりを保つ活動を今後行っていくためには、町村会を超えた取組が必要であり、1つの町だけでは限界があるというのは、各地域で、各市町村においても、認識をしているところでございます。
 また、広域的な取組を効果的に進めると、そういった趣旨からも、こういった広域的な協議会を発足しようということで、昨年の夏以降、さまざまな町村にお声がけをさせていただきました。そういった契機の中、2月ですけれども、6つの町村と1つの団体でまず発足をさせていただいております。こちらにおいては、生物多様性地域連携促進法に基づく保全活動計画の策定を、平成25年度までに策定し、その後、それを実践していくということでございます。本年度からは、さらに輪を広げたいということで、お声がけし、19ある町村ですけれども、そのうちの14の町が賛同をしていただきましたので、より活動の輪を広げていきたいと思っております。目的や効果については、こういった部分が大きく期待できるのではないだろうかと思っているところであります。
 この地域においては、共通な課題としましては、磯焼けの現象が海では見られたり、河川面では水生生物の減少があり、またエゾシカの増加と、アライグマがペットから野生化していって農作物に被害を及ぼしているなどの影響があり、地域古来の自然環境が損なわれているというところが、各町村の危惧しているところでございますし、尻別川という川がございますが、こちらにおいては、河川環境保全のための統一条例を複数の町村で既に制定している。また、昨年には、その統一条例の中に、イトウをはじめとする貴重な淡水魚への配慮を定めるということでの文言が追加されているなど、実際として環境の配慮をした取組をされているというのも、その背景にはあるところでございます。
 なじみがない地域かと思いますので、町村のところに丸を付けておりますのが、その14町村であります。それを地図で色付けをすると、このピンク色の箇所になります。羊蹄山やリゾート地で有名なニセコ連峰などがあるということで、面積は3,200平方キロということで、面積だけで言うと、東京都の1.5倍の広い面積があるということでございます。この自然については、今お話させていただいた部分があるとともに、課題としては、シカやオオハンゴンソウの問題等々もあるということでありますので、保全計画の中でこういった内容を詰めていきたいと思っております。
 最後です。私どものような小さな町、まだまだ保全をするためには財政面の支援、また学術的な面の支援を強く望んでいきたいと思っております。そういった部分として2点ほど述べさせていただきました。地域版における生物多様性センター設置への財政的・人的な支援、保全すべき地域についての公有地化への支援と、この2点を述べさせていただきましたので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 この写真は、歌才ブナ林のすそ野に広がっている放牧地ということであります。こういった風景がこれからも続くような地域づくりを進めていきたいと思っております。
 以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、岩手県の工藤様よりご発表をお願いしたいと思います。

【岩手県 工藤環境生活部長】 岩手県の環境生活部長をしております工藤と申します。本日はこのような場にお招きいただきまして、本当にありがとうございます。
 また、本県では、昨年3月11日に発生いたしました大地震・津波によりまして、大変大きな被害を受けました。現在も仮設住宅に多くの方々が暮らしながら、生業の再生に向けて一生懸命頑張ってございます。こうした中で、国内外から多くのご支援を賜りました。この場をお借りいたしまして、御礼を申し上げたいと存じます。
 本日は、被災県として、特に陸中海岸国立公園、三陸海岸を抱える本県のいわゆる生物多様性、こういったものが津波によってどのような影響を受けたのか、あるいは福島原発の影響はどうだったのかと、そういった部分についてお話をさせていただきたいと考えております。
 それでは、座ったままでご説明をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 今、パワーポイントの方をご覧いただければ、本県の自然環境の概要ということでございますが、本県は、北海道に次いで広い面積、そして森林面積についても、北海道に次いで2番目ということでございます。内陸には十和田八幡平国立公園、沿岸部には陸中海岸国立公園ということで、陸中海岸国立公園はほぼ県内の海域すべてをカバーしているというように考えてよろしいかと思います。
 本県における生物多様性の取組について、ちょっと若干あらかじめお話をさせていただきたいと思うんですが、昨年度は、いわゆる大地震・津波の復旧・復興業務が最優先ということがございまして、正直申し上げまして、岩手県版のレッドデータブックの改訂作業でありますとか、野生動物の保護管理計画の策定だとか、そういった部分について、一部やはりやり残した部分がございまして、必ずしも昨年度は我々も満足ができるような活動ができなかったというように考えております。そうした中でも、いろんな取組を始めておりますので、そういった部分について、参考になればということでお話をさせていただきます。
 生物多様性の保全についてでございますが、本県では、自然環境保全指針、さらには希少野生動植物の保護に関する条例、加えまして、ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例、そしてレッドデータブック、こういったものをつくりまして、県を挙げて全体的な取組を進めております。
 具体的な取組でございますが、県の環境基本計画の中に、第3節ということで、自然共生社会の形成。目標は、人間とさまざまな生き物が暮らしていける社会の形成ということで、森・里・川・海のつながりの確保でありますとか、自然環境を生かしたエコツーリズム、そういったものを多面的に展開してございます。
 活動事例を具体的に紹介いたします。イヌワシの保護活動でございます。本県は、全国で一番のイヌワシの生息地ということで、現在、32のつがい、これは、ここ大体10年ぐらい大きな変動はないわけでございますが、これをやはり守っていこうということで、県に環境保健研究センターというものがございますが、そこに猛禽類の専門研究員を配置いたしまして、生息について調査・研究するとともに、営巣地、あるいは餌の確保ということで、保護活動を実施してございます。ビデオカメラによる映像確認、さらには雪によって営巣地が、巣がつぶれないようにというふうな雪よけの屋根を巣の上につくったりとか、あとはウサギとかヤマドリ、そういったものを捕食が容易になるようにということで、そういった餌を生息環境の中に放すとともに、列状間伐を実施いたしまして、餌が捕りやすいような環境の整備をしております。
 また、ゴマシジミの生息地がございまして、これは津波被害に幸い遭わなかったんですが、そういったところについても、地元の活動家団体と連携を図りながら、保護活動に取り組んでいるところでございます。
 次に、水生生物の調査に力を入れてございます。子どものころから自然環境に親しんでいただきたいということで、小学生を対象といたしまして、教育委員会と連携を図りながら、環境学習の一環として、水生生物の調査研究活動を実施しています。この活動への参加率でございますが、22年度、一昨年度になりますが、小学生のうち約1割ぐらいが参加しているということで、参加率は全国1位だというふうに伺ってございます。
 あと、高山植物の盗掘防止の合同パトロールを実施しておりますし、次になりますが、今度、生物多様性の危機という観点からお話をさせていただきますが、ニホンジカが大変増加してございます。生息域の拡大に伴う生態系の危機というものが現実の課題になってきてございます。
 本県の南端、宮城県境のところに五葉山というのがあるのですが、そこが、本来であれば北限のホンシュウジカの生息地だったんですが、今は聞き及ぶところによりますと、青森県の方まで生息域が拡大して、岩手県北限のホンシュウジカの生息地ではなくなりつつあるというようなことが指摘されておりますとともに、早池峰国定公園の周辺にも大分生息域が拡大いたしまして、高山植物の食害についても報告されるなど、自然生態系への影響が懸念されているところでございます。農林被害についても年々拡大しているというような状況でございます。
 次のパワーポイントが、左側でございますが、丸く右下の方に囲ってございますが、五葉山域、ここが基本的な北限のホンシュウジカの生息地だったわけなんですが、平成22年、右側の方になりますが、生息域がどんどん拡大いたしまして、濃い色のところが生息域になるわけなんですが、もう全県に拡大し、青森、秋田の方まで出没しているというように言われております。
 次が、ニホンジカの増加・生息域拡大に伴う危機ということでございますが、本県におきましても、個体数の管理ということで、五葉山山系で2,000頭ぐらいに抑えようということで努力をするとともに、被害の防除のための網を、防護網ですね、設置でありますとか、モニタリング調査、あるいは、今年度はヘリコプターを使った生息調査、こういったものを実施したいというように考えてございます。
 次になりますが、今度、東日本大震災・津波の影響でございます。陸中海岸国立公園の多くの施設が被害を受けました。左側2つ、左と真ん中でございます。そのほかに、右側になりますが、これは、陸前高田市の高田松原でございます。江戸時代から防潮林ということで、クロマツ、アカマツ、合わせて7万本ぐらいの木が育成されてきたんですが、たった1本しか残りませんでした。すべて持っていかれたといいますか、希望の一本松とか、ど根性松とか言われたわけなんですが、こういうふうな状況になってございます。残念ながら、この残った1本の松も、塩害により枯れてしまいました。ここの高田松原の松の木については、今、復興庁の看板になってございます。
 そのほかに、福島原発から噴出されました放射性物質の影響が広く及んでおりまして、特に野生の鳥獣の肉からも高い放射性セシウムが検出されておりまして、ニホンジカからも100ベクレル以上のセシウムが検出されておりまして、今後狩猟などにも影響が懸念されているところでございます。
 次は、これは陸前高田、高田松原の震災前、震災後の状況でございます。松の木が全部流されまして、そこに、ハマカキランというんですか、200株ほどの貴重な植物があったんですが、それについてもすべて流出いたしました。本県では、昨年の7月と8月に、沿岸部の希少な植物、24地域36地点について被害状況を調査いたしました。36地点のうち19地点において、希少植物が消失しておりました。52%の消失率ということになります。
 次になりますが、次は野生鳥獣の放射性物質検査の状況でございますが、左側がセシウム濃度の高い、放射線の高い地域ということで、薄い青のところです。宮城県境のところが高い状況になってございます。右側が、そのセシウムの濃度を表したもので、赤いところが高くなってございます。シカの生息域が県南の方が主でございますので、県南の方の赤、あるいはオレンジのところに生息しているシカについては、100ベクレルを超えているというふうな状況でございます。
 次になります。取組の方向性でございます。環境省では、グリーン復興プロジェクトを昨年度末の3月に立ち上げました。三陸復興国立公園の創設など、さまざまな事業をビジョンということで掲げてございます。また、生物多様性に配慮した復旧事業の実施ということで、現在県内でも進められてございますし、3点目が、野生鳥獣の放射性物質のモニタリング、こういったものを今後進めていきたいというように考えてございます。
 具体的な取組ということで、復興の兆しということで掲げさせていただきましたが、北山崎で有名な田野畑村におきましては、サッパ船アドベンチャーズの運行が再開されてございます。
 次の源水川のイトヨでございますが、これは秋篠宮殿下も大変関心を持ち、保護にご尽力をいただいた経緯がございますが、津波によって絶滅したと思っておりましたら、奇跡的に生き残っているということが確認されまして、イトヨの保存会などにより、今、保護活動が進められているというような状況でございます。
 次に参りまして、復興の兆しということでございますが、希少植物の関係でございます。宮古市の重茂半島でございますが、エゾオグルマの自生地だったわけでございますが、ここで流出した砂浜の中に個体が残っているということを確認いたしまして、現在、この個体の保存活動をやっているというような状況でございます。
 次に、地球温暖化の影響による危機でございますが、自然環境の保全を図るということが重要だということで、県では、再生可能エネルギーの導入を柱にしながら、今後、二酸化炭素の削減にも取り組むというようなことでございます。
 次のページは、具体的な取組の方向でございますが、再生可能エネルギーについては、太陽光4倍、風力については8倍、10年後ということでございますが、こういった取組を進めたいというように考えてございます。
 最後になりますが、次期生物多様性国家戦略に求めるものということで、被災地にもたらした生物多様性に対する影響の把握、これが実は正直言ってできておりません。いろんな面でですね。例えば、サケ、マスのふ化場がすべてやられて、去年はサケがほとんど放流できませんでした。こういったことが自然環境に、3年後、4年後、ほとんど帰ってこないということになりますので、どういった影響を与えるかとか、あと、沿岸部の田んぼとか畑がすっかり潮をかぶって、稲作ができないような状況とかございます。こういったことについて、皆様方にも研究をしていただいて、その現状課題を把握していただくとともに、その取組についてご支援を賜りたいと思いますし、放射能の影響についても長期間にわたり継続的なモニタリングを実施してまいりたいと考えておりますので、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 以上であります。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、横浜市よりご発表をお願いしたいと思います。当初のご案内では鈴木副市長にご発表いただく予定でしたが、公務のため、急遽、環境創造局長の荻島様よりご発表をお願いするということになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

【横浜市 荻島環境創造局長】 横浜市の環境創造局長の荻島でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、横浜市における生物多様性の取組、ヨコハマbプランにつきましてご説明させていただきます。座らせていただきます。
 パワーポイントをご覧ください。最初に横浜市の概要でございます。市域面積が約435平方キロメートルでございます。人口は、平成24年3月1日現在で約369万人。基礎自治体としましては、最大の人口規模となってございます。世帯数は約159万4,000世帯。人口密度が1平方キロメートル当たり約8,500人となっております。
 横浜のイメージといいますと、この写真にございますように、開発の進んだベイエリア、左の写真が都心部のみなとみらいでございます。それから、右側のように、エキゾチックな近代建築、これは開港記念会館という建物でございますが、こういうものが並ぶ大都市としてのイメージが強いかと思います。
 自然環境につきましては、都市部ではどこでも同様な課題と思いますけれども、横浜では特に、1960年代から1970年代に急激な住宅開発が郊外部の丘陵部で進みました。これによりまして、樹林地や農地などの緑が大幅に減少しております。そこのパワーポイントにありますように、1970年が緑被率が50%であったものが、それぞれ10年ごとで10%ずつ減っていくと、このような緑の減少は現在も続いておりまして、生物の生息環境の危機を招いているという状況でございます。
 このような状況ですけど、一方でいろんな努力もございます。身近な場所でいろんな努力をしておりまして、本市のさまざまな施策、それから横浜は基本的にはこういうところは民地でございますので、地権者の方、それから地域住民の方などの努力によりまして、身近な場所で今も多くの自然が残されております。丘陵部の谷戸が中心でございます。水源地ですとか、茅葺きの屋根の古民家、それから水田など、こういうところでいろんな自然が残されております。人の暮らしと自然がつかず離れずの関係をつくっている。横浜の都市の特色でございますけども、これが魅力となっているというのが、横浜のもう1つの姿と考えております。
 こういう環境が身近にあることから、先ほどの369万人の市民、いろいろな活動をしていただいております。ここにいくつか、6つほど代表例を書いてございますが、子どもたちの体験活動ですとか、樹林地の管理、こういうところで自然を守ったり、また、楽しむ、市民活動が非常に盛んに行われている、これも大きな特色でございます。
 この図面は、横浜の中で市民の活動、どういうところで主な活動をしているかという図面でございます。オレンジの丸が活動の拠点でございますけども、横浜市内、現在3,800を超える環境団体がさまざまな活動をしております。この環境団体の中には、身近な公園の美化ですとか清掃を行う公園愛護会というところでございますが、こういう地域の方々も含まれておりますけれども、こういう活動全体が都市の生物多様性を考える中では非常に重要な活動というように考えております。
 この図のように、市内の至るところ、拠点となる施設、フィールドが点在しているのも、横浜の大きな特色で、こういうところを拠点にさまざまな団体が活動しております。
 このような横浜の自然環境の特色ですとか、市民の活動の特性を踏まえまして、平成23年の4月に、生物多様性横浜行動計画を策定いたしまして、公表しました。より市民の皆様に親しみやすいように、ヨコハマbプラン――生物多様性と言うとなかなかとっつきにくいので、ヨコハマbプランと名付けました。このbの意味でございますが、生物多様性の英語表記のbiodiversityの頭文字からとってbプランと名付けました。
 このヨコハマbプランのポイントでございますが、3つございます。まず1つ目でございますが、次世代を担う子どもたちにターゲットを当ててやるということで、子どもたちをメインターゲットに、生き物体験の大切さを伝えていきたい、これが1つ目です。2つ目が、横浜で培われた市民、それから企業の皆様の行動力を生物多様性の行動につなげていく、これが2つ目でございます。3つ目が、読みやすい、わかりやすい。生物多様性は難しいと言われますので、こういうことを重視しまして、具体的なイメージが沸く表現とする、これでbプランを伝えるということを念頭に置いてやっております。
 この計画の位置付けについてでございますけれども、生物多様性の基本法第13条に基づきます、生物多様性地域戦略に該当するものでございます。計画期間でございますが、長期的には2025年度まで、中期的な目標設定としましては、2013年度までとしております。横浜における将来像としまして、身近に自然や生き物を感じ、楽しむことができる豊かな暮らしを目指して取組を進めているところでございます。
 ヨコハマbプランの内容でございます。全体構成、6章でつくられております。第1章としましては、先ほどの将来像を示しております。第2章では、生物多様性の取組を進めるためにと題しまして、横浜の地域特性に合わせた3つの地域区分と2種類の拠点の考え方を示しております。第3章では、市民にわかりやすくアピールできる横断的取組を戦略的に推進していくための6つの重点アピールを示しております。ともかく、わかりやすく、実際に行動していただく、成功体験を積み重ねるということで、まず行動していただこうということで、6つの重点アピールを進めております。後ほどご説明させていただきます。
 第4章では、4つの取組方針と、それに基づく2013年度目標としました75の具体的取組と事業を示しました。第5章では、市役所の率先行動。我々が率先して行動するということで、ISOの14001の規格に沿いました環境マネジメントシステムの運用の中ですべての職場が生物多様性に取り組んでいくこと、それから現場で培ってきた知恵を集約しまして、全職場で教育していくことを目指しております。
 最後の第6章でございますけども、横浜市の行動計画と両輪をなすものとしまして、市民団体、それから地域・学校・企業など、それぞれの活動主体が行動計画を策定して、みんながそれを共有していくと。これで生物多様性の取組が発展していくという構想を大きく掲げております。
 これからは、第3章に重点施策として挙げます6つの重点アピールについてご説明いたします。1つ目がbプロモーションでございます。生物多様性の考え方を普及させ、暮らしの中に定着させていく。つまり、生物多様性の主流化に向けまして、戦略的にプロモーションを展開していくと。最も重視する視点は、先ほど申し上げましたけれども、子どもを主役にということでやっております。
 このbプロモーションは、愛知目標の1番目に掲げられている普及啓発に関わるものでございますので、少し丁寧にご説明させていただきます。
 プロモーションを展開していく主体は、さまざまな活動を行っている市民団体や企業というふうに考えております。行政の役割は、活動目的や内容をわかりやすく伝える。それから、活動同士、特に団体と企業・学校など、異なるセクター同士をつなげる。そして、活動が継続されるよう、またさらにパワーアップするように支えることと考えております。そのような事業を展開しております。
 主な事業の1つが、環境教育出前講座、「生物多様性でYES!」でございます。これは、小学校や地域などに専門知識を持つ市民団体や企業、行政職員などが直接出向きまして、講座を行うものでございます。平成24年度は、市民団体では15団体、企業では6社、行政機関では13の部署が参加しまして、37のプログラムを展開いたします。なお、YESというのは、ヨコハマ・エコ・スクールの略で、環境学習に関する市民共同プロジェクトの名称でございます。
 市内で活発に行われている環境活動をPRし、また、団体同士の交流を深めることで活動の活性化を図るため、さまざまなイベントを開催しております。例えば、上の段でございますが、環境行動フェスタでございます。環境問題に関心があるけれども、行動に移していない市民をメインターゲットとしたイベントで、多くの人が集まる観光、商業施設のイベントスペースを会場に、市民団体や企業等による体験型展示やステージイベントなどを実施しております。
 下の段は、ヨコハマbデイというシンポジウムとワークショップを組み合わせたイベントでございます。CEPAジャパンとの共催で、活動団体や企業、教育機関等さまざまなセクターによる事例発表と交流を通じまして、情報発信と活動の活性化を図ることを目的に開催しております。
 活動を支える取組として代表的なものを2つご紹介させていただきます。横浜環境活動賞は、平成5年度にスタートしまして、今年度で20回目です。団体の部、企業の部、児童生徒・学生の部の3部門を表彰しており、これまで延べ211団体が受賞いたしました。23年度は、新たに生物多様性特別賞を創設いたしました。環境保全活動助成金は、横浜市環境保全基金の運用益を活用して実施しています。上限10万円の奨学助成で、年間を通じての寄付や、申請手続や審査を簡略することなどによりまして、より使いやすい制度としました。平成23年度は11件の申請があり、9件が採択されました。
 重点アピールのご説明に戻ります。このアピールの2つ目が、鳥類の生き物探検と市民参加の生き物データバンクでございます。市民団体、企業等々の共同により、生物データの収集を行っていこうというものでございます。これは2つの取組から成っておりまして、1つ目は、市民の地域の自然環境への理解を深めるために、市民にとって身近な鳥類を、市民参加で調査していくもの。2つ目は、生物多様性に取り組むための基礎データを収集する際には、市民団体や企業と連携して取り組んでいこうというものでございます。
 3つ目でございます。谷戸環境の保全と活用です。谷戸とは、雑木林、水田、小川など、昔の景観が残る里地里山の特色的な地形を言います。この谷戸に位置付く豊かな生き物とその歴史・文化・景観に着目し、現代社会における新たな谷戸の価値の創造に取組ます。
 4つ目でございます。つながりの森。特定の場所に着目した取組です。横浜市南部に位置する円海山の周辺エリアは、市内最大の緑地であります。生物多様性の宝庫でございます。このエリアをつながりの森と位置付けて、次世代を担う子どもたちの体験フィールドとして、市民全体で守り、育てていく取組でございます。ここの図面の一番下の赤の点線で囲っているところがエリアでございます。鎌倉・三浦半島につながる緑地に、横浜自然観察の森、金沢動物園、宿泊研究所の上郷森の家といった施設が立地しております。これらの資源を最大限に活用しまして、子どもをはじめとした幅広い年代に生物多様性の大切さ、魅力を伝えていくとともに、守り育てるモデルとなる取組を進めます。
 5番目です。つながりの海でございます。横浜といえば港を連想されると思います。横浜のシンボルである港、市民が誇れる、生き物、豊かな美しい横浜港として再生していくこと目指す取組です。具体的には、浅い海の海域ですね、浅くなっているエリアに着目した取組を、市内3カ所、赤で囲っているところでございますが、進めて参ります。
 重点アピールの最後でございます。生物多様性を守り、豊かにするための仕組み作りです。地区に応じた生物多様性の取組を進めるため、地区設定の考え方を示しまして、残された緑を積極的に保全していくこと。それから、緑の少ない市街地では、さらにどうやって増やしていくか、このような仕組みについて検討します。
 以上がbプランに基づく生物多様性の取組でございます。ヨコハマbプランでは、普及啓発、それから枠組み作りが主要な取組になっておりますけれども、生物の生息環境を守る具体的な取組が重要でございます。その中心的な役割が、ここに書いてございますが、横浜みどりアップ計画、緑の減少に歯止めをかけ、市民とともに身近な水や緑を保全・創造し、将来にわたって緑の総量と質の維持・向上を図るものとして、18年に策定しました。さらに、平成21年度からは、新規拡充施策をつくりまして、この安定的な財源としまして、横浜みどり税を導入し、より実効性の高い取組を進めております。
 横浜市としましては、昭和40年代に定めた市民の森制度や農業専用地区制度といった時代を先取りした独自の取組をはじめ、河川の多自然整備、小学校におけるトンボ池作り、市民団体と企業との連携によるビオトープ整備と生物調査、市民団体による公園管理など、さまざまな取組を進めて参りました。今後、このような取組を積極的に進めるとともに、自治体間の連携や、NGOや国際研究機関との共同などを通じて、さらにより広く取り組んで参りたいと思います。
 どうもご清聴ありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 ただいま、3つの地方自治体からのご報告をいただいたわけでありますが、質疑の時間が大分押しておりますので少し短くさせていただきたいと思います。
 最初に、宮本委員の方からご質問をお願いします。

【宮本委員】 それでは1点だけ。黒松内町鈴木様と横浜市の荻島様にお伺いしたいと思います。
 市町村レベルで生物多様性に関わるキーパーソンを継続的に確保するのが難しいというふうにあちこちで聞くんですけれども、例えば国が支援する場合に、こういうことをしていただけたらすごく有効だと思われるような事柄がもしあれば、教えていただきたいと思います。
 それから、自治体の規模によって展開できる活動の量というのにかなり格差が出てくることもあろうかと思いますけれども、市町村間で、例えばアイデアとかコンテンツを提供し合うというような具体的な取組をもしなさっているようでしたら、ご教示ください。お願いいたします。

【武内委員長】 それでは、櫻井委員、お願いします。

【桜井委員】 黒松内の鈴木さんにちょっと質問なんですが、ここの場所というのは、本当に森・川・里・海の連関という点では非常に良い場所なんですけれども、里海という海が北海道にあるとすれば、私、寿都湾だと思っているぐらいなんですけども、その寿都湾の寿都町が、この連携の中の14町村1団体に入っていないんですけども、これは何なのでしょうか。それだけです。

【武内委員長】 磯部雅彦委員、お願いします。

【磯部(雅)委員】 岩手県の方にお伺いしたいのですが、お話にもあったように、干潟や、それから砂浜が地震・津波によって相当失われていると思います。侵食という意味と地盤沈下。これは、現状でどのくらい消失したのかを押さえているのか。あるいは、ちょっとそこまで手が回らないのかというあたりの事情について教えていただきたいというのが1点です。
 もう1点、去年の12月でしょうか、岩手県でも、海岸保全施設の天端高の標準的な高さというのを決めて、標準的ではあるので、地域の合意が得られれば、そこでまたそれを低くするとかということも実際には可能で、大槌町の赤浜地区などでは低くするというような議論が行われているというふうに聞いているんですが、そういう、必ずしも環境を目的としなくても、何かの理由で海岸保全施設の天端高を下げるというような計画を持っているところが他にもあったら教えていただきたいと思います。

【武内委員長】 白山委員。

【白山委員】 ありがとうございます。私も岩手県にお伺いしたいんですが、ついこの間被災地を拝見したばかりで、現在、「復興」という言葉がありますけれども、その復興というのは必ずしも元に戻すということであるべきなのではないんじゃないか。つまり、何らかの非常に精査なグランドプランをまずつくって、それに基づいて政策を進めていく方がいいのではないかというのが、強く感じたところなんですけども、県としてそういう取組をされているかどうかというのと、それがうまく進んでいないとすれば、どんな障害があるのかということについてお聞かせ願えればと思います。

【武内委員長】 堀内委員、お願いします。

【堀内委員】 黒松内町の鈴木さんに伺いたいのですが、北海道の農業は、大規模化がなされていると思いますし、また農業の効率化、あるいは経営の自立というようなことと、生物の多様性というものが相反するところがあると思うのですが、その辺のことについて、考え方が整理なされているのかどうかということについてお伺いしたいと思います。

【武内委員長】 鷲谷委員、お願いします。

【鷲谷委員】 横浜市に伺いたいんですけれども、このbプランに関わる政策の実行に関与している行政スタッフの数と、生物多様性の保全と持続可能な利用という目標が明確になってから、スタッフが増えているかどうかについて教えていただければと思います。

【武内委員長】 よろしいですね。それでは、それぞれの3自治体の方からご回答を簡単にお願いしたいと思いますが、それでは黒松内町から、よろしくお願いいたします。

【黒松内町 鈴木環境政策課長】 それでは3点ほどご質問がありましたので、お答えしたいと思います。
 まず、市町村の中でやはり人材が不足しているという点でありました。先ほどのご報告で漏れたんですけれども、まず身近な部分としましては、レンジャーさんというのでしょうか、環境省のビジターセンターが、私どもの後志地域の隣接している洞爺湖にいらっしゃいます。主な活動としては、国立公園の部分を担っているということでお聞きしておりますが、やはり今回後志協議会の中、14の町村で取組をしておりましたが、環境の担当を専属でしているという部署がありません。どうしても環境に関して、自然に関しての専門的な知識がいないというのが小さな市町村の現状でありますので、そういったレンジャーの方々のバックアップをより円滑にできるような仕組みができないだろうかなというのも、アクティブレンジャーも含めて、そういうのをぜひお願いしたいなと思っております。
 また、磯焼け対策など、各海の持っている町村は、水産庁の予算等々を利用しながら個々にやっておりますが、いろんなタイプをやっているようにお聞きしております。今後は、この協議会を通じて、その効果等々も実践されていない他の海を持っている町村にも出す、または、外来種の駆除なども取組を考えているところと、全く考えていないところというのがありますので、そういった部分も情報を共有することによって、広域的な運動に広げるようにしていきたいなということが、本町ではないですけど、後志協議会の中で考えている点でございます。
 2つ目です。川や山とのつながりの中で隣接する寿都町が入ってないだろうかというご質問でした。申し訳ございません。ちょっと資料の作り込みが悪くて、寿都町については入っております。また、寿都の町、漁師の方であったり、町長さんからも、黒松内の山づくり等々の活動が、寿都湾における漁獲高の一定の減少を、他の地域と比べて和らげている効果があるんじゃないだろうかというような言葉もいただいておりますので、今後、今まで以上に海と山、川のつながりを意識したような取組を、広域の地域として連動しながら実施していきたいということで思っております。寿都さんも同じように14町村の一員であるということを修正させていただきたいと思います。
 最後です。農業の部分です。本町では、先ほどご報告がありましたエコファーマーなど、認証を受けている農家の方は実際いないという部分であります。農家の方はどうしても安定的な技術がある、安定的な収量が期待できるということで、農薬だったり化学肥料を使うというのが慣例的に行っておりました。町では、それを改善するような部分ということでの勉強会を通じてというのは何年か前から実施していますが、なかなかその輪が広がらないというのも実情であります。地元の農協を通じながら、モデル的な畑であったり、モデル的な放牧のあり方がないだろうかというのも、町で仕掛けをしながら、農家の方への理解を広げていきたいというのが、地域戦略ができてから今後の取組の中で考えている点でございます。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、岩手県からよろしくお願いいたします。

【岩手県 工藤環境生活部長】 まず、砂浜、あるいは干潟の消失の関係でございます。実は、ちょっとうちの部の方では、具体的なその消失された干潟、あるいは砂浜の面積というのは、今現在ではちょっと正確には捉えてございません。ただ、一般的なお話で申し上げますと、本県の宮古市以南の海岸部については、南に行くほど地盤が沈下してございます。陸前高田市、先ほどスライドでもご紹介いたしましたが、高田松原地区、あそこについては、ほとんど水面下に水没してしまいました。陸前高田市の辺りで1メートルぐらい地盤が沈下したというように言われてございます。それが大体宮古近くまで続いておりまして、宮古辺りになると、そんなに沈下した割合というんですか、高さというのは多くないんですが、そういった状況で、漁港、あるいは港湾等についても、地盤沈下が見られているというような状況でございますし、あと、津波そのもので、砂浜が持っていかれたというような部分も部分的にございますが、正確にはちょっと把握してございませんので、ご了承願います。
 あと、防潮堤等のいわゆる海岸保全施設の高さについてでございます。地元からいろんな要望がありまして、この高さをどうするかというのが一番まちづくりにとっても最大の課題でありました。今回の津波は1000年に1度の津波ということで、高いところで20メートル、30メートルというふうな報告もなされておるんですが、そういった防潮堤を築くというのは、現実的ではないということで、一応、100年程度の津波を想定いたしまして、高さをそれぞれの地区ごとに設定いたしまして、それを基準にソフト対策とあわせて多重防災型のまちづくりを進めるというのが基本でございます。100年程度の津波震災に対応できる防潮堤の高さということで、各市町村にお示ししまして、高くしてくれというのがほとんどの要望ではありました。あと、湾港防波堤を築いてほしいとか。
 ただ、そういった中で、私の聞き及んでいるところで、大槌町で、ここだけが、要するに防潮堤が高くなると、景観上も問題があると。そして、そもそも津波が来たかどうかわからないんですよね。人間の高さよりも高くなっちゃうと。防災上も課題があるんじゃないかというようなお話がありまして、大槌町の赤浜だったと思うんですが、ご指摘のありました、そこの地区については、やはりもう少しまちづくりの観点、防災の観点から、むしろ低くしてほしいというような要望が出ているというようには伺っておりますが、他の地域ではむしろ高い方がいいというのが一般的な要望だというように伺ってございます。
 あと、グランドデザインの関係でございます。新たなまちづくりのグランドデザインについては、住民も含めた中でいろいろ議論させていただいているところでございますが、簡単に申しますと、海側の方から申し上げますと、海側には、今までよりも高い防潮堤をまず築きます。そして、それと防潮林、盛り土などによる波よけのための施設を造ります。そしてその海沿いのすぐそばには、やはりこれは海と切っては切れない漁港でありますとか、水産加工施設だとか、そういったものが配置されます。その裏側ですね、津波の震災を受けた地域については、建築の制限をかけると。かけざるを得ないと。あるいは、農地というような利用を進めると。それのまた山寄りの方は、盛り土をいたしまして、かさ上げをして、そこは商業地区だとか、住宅地区にすると。さらに、その後ろの方に、高台移転ということで、浸水地域から住宅をより高いところに移転して、全体的に災害に強い、津波に強いまちづくりをするというような、大体グランドデザインの基本はこういった形になっているんですが、それぞれやはり住民の合意形成ということが重要でございまして、特に高台への集落ごとの移転といった場合に、今住んでいるその土地をやはり売却して、高台移転の資金しなければならないというような、それぞれのご事情等もありまして、いろんな要素が複雑に絡み合って、合意形成が進んで、既に高台移転が決まった集落もございますし、まだその部分が今後の課題として残っているというような地区もございまして、それぞれの地区ごとに、そういったいろんな議論を重ねながら、津波に強いまちづくりというものを、それぞれの市町村が取りまとめているというような状況でございます。
 以上です。

【武内委員長】 それでは、横浜市さんの方でお願いいたします。

【横浜市 荻島環境創造局長】 1つ目、市町村レベルでのキーパーソンについて、国に望むことということでございますけれども、3,800ほどの先ほど申しました団体が今活動をしているところでございますが、まだまだ我々が本当に世代も、目的も、活動手法も違う団体の中で、どういうふうに彼らを支えるかというところでやっているところでございまして、まだ国の方に、こういう支援をお願いしたいというところに至る段階ではまだないということでございます。
 それから、市町村会での提携でございますけれども、生物多様性の自治体ネットワークのところに参画していまして、情報交換とか、さまざまなことをやらせていただいております。
 それから、東京湾の周辺の9都県市で取組をやっています。例えば東京湾の水質調査などをやりまして、先ほどのきれいな海づくり等の事業に生かしていただいております。
 それからもう1つ、bプランを実行していますスタッフの数でございますけれども、現在、課長が1、係長が2、職員が8名でやっております。これは、bプラン、23年4月につくりまして、特にプロモーションに力を入れるということで、係長と職員を1人ずつ増やしまして、2名増やしたと、そういう状況でございます。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。それでは、この件については質疑応答を終わらせていただきたいと思います。
 この後5分休憩をとって、また再開をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(午後3時33分 休憩) (午後3時39分 再開) 【武内委員長】 それでは、再開をさせていただきたいと思います。
 静岡県の川勝知事にお越しいただいております。どうもありがとうございます。「生物多様性国家戦略の理念」と題して、ご報告をいただきたいと思います。15分程度で、どうぞよろしくお願いいたします。

【静岡県 川勝県知事】 武内和彦委員長、また、委員の皆様方、委員会にお招きいただきましてありがとうございます。県知事の川勝平太でございます。
 私に与えられましたのは、今、先生からご紹介がございましたように、生物多様性国家戦略の議論において、人と自然の関係をどう捉えるかが重要な論点になっている、従来は人と自然の「共生」という共通認識のもとで戦略を策定してきたけれども、東日本大震災を契機に、人と自然の関係についてどう考えるかが議論となる可能性があると。要するに、共生だけでは済まないのではないかというお考え方と存じます。4つの基本戦略の1つである地域における人と自然の関係を再構築するについて、今後審議していくに当たり、その基本となる理念、考え方について考えを述べよということでございます。
 もう皆様方お疲れのようでございますので、アフターセッションのつもりで気軽にお聞き賜ればと存じます。レジュメを用意してまいりませんで、大変失礼いたしました。
 この4つの基本戦略を拝見いたしますと、一番最後に、「地球規模の視野を持って行動する」とございますけれども、私から言わせますと、地球史的観点で見るということが大事ではないかと存じます。地球史的観点、すなわち地球は46億年以前には存在していないと。46億年前に太陽系の一部として存在いたしまして、そして30数億年前に小さな生物が発生いたしまして、そしてついこの間、600万年ほど前に人類の起源であるものが出現したということでございますが、このように、地球というのは、1回限りの歴史を有してきたということでございまして、そして最近の、最新の生物遺伝子の理論によりますれば、例えば本庶佑先生が既に1980年代に「遺伝子が語る生命像」というご本を出されておりますけれども、遺伝子ですべてが決まるというのではないんだと。遺伝子が変わらないというのは違うと。これは外界の変化によって変わると。遺伝子というのはダイナミックに動いていると。そして、どれ1つとして存在するものは同じものはいない。すなわち、地球が生まれて以来、地球は多様化してきたと。分化してきたのであると。それぞれすべてのものが、かけがえのない、リプレーサブルなものであると。こうしたことが、その地球史的観点に立つことによってわかるということでございまして、そういう観点に立ちますれば、生物が多様である、その生物の多様性を社会に浸透させねばならないという1番目の課題は、おのずと、そういう観点をもって浸透させることができるのではないかというふうに存じます。
 3番目に、「森・里・川・海のつながりを確保する」とございますけれども、我々、森林が3分の2を覆う、また、四方を海に開かれた、そういう中で、海と山の間に生息していると。まさに里海、あるいは里山に生息しているのが我々の姿である。そうした中で、海の恵み、山の恵みをもらってきたわけでございますけれども、この度そうしたその関係が、決してたやすいものではないと。自然の脅威、自然の恐ろしさというものを、津波を通して味わったということではないかと存じます。
 そこにおきまして、私は、「共生」といったような、どちらかというと優しい、あるいは客観的な人と自然との関係を示す言葉よりも、人の心を入れ込んだコンセプトが、ひょっとすると、これに加えて必要であるのかもしれないと。我々は、独特の自然観を持っているのではないかと存じます。その自然観につきましては、戦前には既に寺田寅彦先生が、「災害は忘れたころにやってくる」という言葉で表されていましたけれども、すなわち、我々日本列島に生きる者におきまして、自然が人間の力で、あるいはもう少し言えば、科学技術で制御し切れるものではないという、そういう自然観を持っているということを、彼は終生かけて言い続けられたのではないか。もちろん、それはヨーロッパの自然観というものとの対比において言われているわけで、ヨーロッパにおける自然観、すなわち天地創造の旧約聖書にございますように、天と地がつくられて、空と海が分かれ、また、陸が生まれて、そして植物や動物ができて、人間は神の似姿としてつくられ、そしてこの天地を治めなさいと。そして、地に見てなさいと、こういうふうに言われた。まさに神のエージェントとして、人がこの自然をコントロールするという、そういう自然観というものとは違うんだということを言い続けられたのではないかと存じます。
 こうした神の真理というものを、ギリシャ的な理性というものと合わさる形で自然科学ができたと。すなわち、人間の理性で神の真理を獲得する。知は力として、それが自然界を統御する。あるいはコントロールする。征服するという考え方になった。そういうものとは違う考え方を我々は持っている。もしそれを一言で言うならば何かというと、「共生」というような言葉ではなくて、むしろ「畏敬」という言葉ではないかというように存じます。
 そして、今日のようにこの美しい日でございますと、まさに「春ここに生まるる朝の日を受けて 山河草木みな光あり」という、こうした佐佐木信綱の歌がございますけれども、光ある山河草木というのは、これは誰がつくったものでもない。しかし、そこに心を入れているということがございます。これからは雪解けが進んで参ると存じますけれども、「いはばしる たるみのうへの さわらびの もえいづるはるに なりにけるかも」という万葉の歌がございますけれども、そのたるみの上に黄色い、黄緑色の芽が吹き出ている、そのさわらびというものは、人がつくったものではありませんけれども、そこに心を入れ込んでいると。そういう心を入れ込んだ形で自然を見ていると。すなわち、人間と自然との関係において、自然に心を入れ込むという関係の仕方を我々は持ってきたと存じます。その入れ込んだ自然というものはどのように見ればいいのかというと、私は、これは文化的景観という言葉ではないかと存じます。文化的景観という言葉は、ご案内のように、1992年、ユネスコで世界遺産を審議する際に創造せられた言葉でございます。ニュージーランドのタングラ山、これが世界自然遺産だったわけですけれども、原住民の方々にとっては、これは聖なる山であると。そこに精神性というものが入っているので、これは単なる自然の山ではないということで、これを、それまでの世界自然遺産から世界文化遺産に登録替えをされたわけでございます。その年に日本は、世界遺産条約を批准し、そして白神山地と屋久島を世界自然遺産にし、ほぼ同じ頃から、富士山を世界自然遺産にしようという運動をしてきました。
 この日本には、自然を文化的景観として見るというコンセプトで、その自然を見るという「文化的景観」という言葉を知らなかったと存じます。恐らく環境省は、自然を自然として見てられたのではないかと存じます。しかし、それから12年たちまして、熊野の参詣道が、あれが世界遺産になるときに、「文化的景観」という言葉が初めて入ったと存じます。
 私は、日本の国土全体を文化的景観として見るという、そういう関係の仕方が、この国家戦略の1つになっていいと存じます。その文化的景観というと、やや表現がかたいので、もう少しそれを言い代えると、要するに庭だということでございます。ガーデンであるということでございます。そういうガーデンとして見るという場合のそのガーデンの日本における見方でございますけれども、これは言うまでもなくガーデンというのは、幾何学式庭園と、いわゆるランドスケープガーデンという景観式庭園というのがございますが、これもヨーロッパでつくられた言葉でございますけれども、人工的な幾何学式庭園に対しまして、イギリスで18世紀の中庸に景観式庭園というのが生まれます。しかし、この景観式庭園というのは、見られたら、ご案内のように、そこには人間がつくった自然であるかのごとくに造られた景観でございまして、日本との違いは、借景がないということです。日本のランドスケープガーデンというのは、例えば龍安寺、あるいは天龍寺などに典型的でございますけれども、周りの後ろの衣笠山なり、あるいは嵐山なり、金閣寺でもそうでございますけれども、その人間の手つかずの自然もまた庭の一部として見るという、そういう見方がございまして、それと連続して造られる庭というのは、人工的ではありますけれども、あたかも自然であるかのごとくに造られると。すなわち自然を模して造る。あるいは、自然を生かして造ると。それが少し人工的ですと不自然だと。これは自然じゃないということで、嫌がられると。すなわち、自然という多様なるものを、多様なるままに表現しようという、そういう心の形があるというふうに存じます。すなわち、我々は国土を人間が手を加えたもの、それから手を加えてないものも含めて、ガーデンとして見るという、そういう、何ていいますか、心の形を培ってきたということで、この国土全体、7,000近い島々から成りますので、言ってみれば、ガーデンアイランズという、そういうコンセプトで見ていくと、すべてどの存在もかけがえがなく、一つ一つの存在が大切であると。そういうものとして全体が美しいガーデンをなしているので、これを大切にしなくてはならないと。そして、それに手を加えるときにも、なるべく自然になるように手を加えるという、そういう考え方を取り戻してはどうかということでございます。
 ですから、私はこの理念としては、そこに先ほど恐れであるとかあるいは美しいという、感動するという言葉を入れましたけれども、やはり今回の3.11を経験しました以上、ここに恐れおののくといいますか、畏敬という、そういうコンセプトをあわせて入れ込むような、そういう概念をつくり上げる、今、課題が我々の前にあるのではないかというふうに存じます。
 そうした中で、まだ、そのガーデンアイランズといってもなかなかわかりにくいので、その中で最も日本の国家戦略としてわかりやすいものは何かということになりますと、富士山ではないかというふうに存じます。先ほど富士山が世界遺産に、条約に批准をしました後すぐにこれを世界自然遺産にしようという運動が起こりました。けれども、富士山が汚いという、登山道が汚れているというようなことで、今頓挫している形ではありますけれども、もともと富士山がどのような存在であったのかということは、いかがでしょうか、今回、世界文化遺産として今登録をされつつありまして、今年ICOMOSの方たちが調査に来られて、来年、順調に行きますと、世界文化遺産に登録される見込みでございます。
 この富士山が日本人の歴史の中に最初に出てきたのはいつかといいますれば、これは万葉集です。その万葉集に有名な山部赤人の「田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける」という、そういう和歌がございますが、これは短歌でございまして、それに長歌がその前にございます。そこにどう書かれているかといいますと、「天地の 分かれし時ゆ 神さびて 高く貫き 駿河なる 富士の高嶺」とございます。続けますと、「天の原 振り放け見れば 渡る日の 影も隠らひ 照る月の 光も見えず 白雲も い行きはばかり 時じくぞ 雪は降りける 語り継ぎ 言い継ぎ行かむ 富士の高嶺」というふうに歌いまして、そして、その「田子の浦ゆ うち出でてみれば」という、あの短歌が続くわけでございます。そして富士は、例えば明治天皇の御製に「あかねさす 夕日のかげは 入りはてて 空にのこれる 富士のとほ山」という名歌もございます。あるいは、最近ですと、一昨年の「光」というお題の時に、皇太子殿下が、「雲の上に 太陽の光は いできたり 富士の山はだ 赤く照らせり」という、日の出、そのご来光によって雲が白く、そして富士がやわらかい日を受けて赤くなった、紅白に染まったという歌のように、まさに語り継ぎ、言い継がれて今日に来たということでございます。
 ここで私が申し上げたいのは、その一番最初に表現せられた「天地の 分かれし時ゆ 神さびて 高く貫き」という、その表現でございます。天地が分かれたときから、神のごとくであって、高く尊き富士と、こう言っているわけですが、それを、五七五七五七という、その歌のしらべでいっているということでございます。すなわち、富士山は神のごとき存在だという、恐れおののく、これはもう860年の貞観の噴火がございます。もちろん、この歌が歌われたのは、8世紀の初旬ではございますけれども、火を吹いておりました。煙を、噴煙を上げていたわけでございますが、この富士山が神のごときだということを、五七五七五七という和歌のしらべで言っているということでございます。すなわち、信仰の対象としての神のごとき富士を、芸術である日本の和歌として、連綿として今日まで受け継がれている芸術の源泉としてもここに2つながら1つになっている歌が、この山部赤人の歌ではないかというふうに思うわけでございます。
 この信仰というものと、それと芸術というものが、不思議なことに日本では分かれておりません。恐らくこれにはちゃんと原因があると思います。少し話が飛ぶようでございますけれども、今から2600年ほど前に、先ほどの一神教の原形であります、いわゆる予言者、プロフェットが中東に出ました。同じころに、ギリシャには自然哲学者が出ています。そしてインドには釈迦が出て、そして中国には孔子が出たわけでございますけれども、その仏教という宗教が、これは西には行かないで東に参りました。東に参って、大体552年と言われておりますけれども、欽明朝の時に日本に参りましたときに、仏像として来ているわけです。その仏像と経典が一緒に参りました。すなわち、きれいな彫刻、きれいな、「きらら」というように欽明天皇は表現されておりますけれども、美しいものとして日本に入ったということでございます。
 ですから、宗教、仏教のその経典と、その拝むべき対象というのが、いわゆる神は初めに言葉ありきという、神は言葉であるという、そういうものではなくて、美しい存在であったと。日本人がつくったか、あるいは朝鮮から来たかは別にいたしまして、弥勒菩薩半跏思惟像の美しさはモナリザの微笑に勝るという広隆寺の半跏思惟像に対する言い方がございますが、そのように宗教に美というものが結びついていたというのが、ひょっとすると原形にあるかもしれません。
 それと同時に、その仏教は、ご承知のような、正法、像法、末法という思想がございまして、1052年に末法に入ると。末法に入る場合に、すべての経典がだめになると。壊滅すると。そうした中で人は救われるのかといった時に、修行している者だけが救われるのではないと。すべての者も阿弥陀さんに頼れば救われると。女性も、そして、そこにいる犬や畜生も、さらには、そこに生えている草木も、皆救われるのであるということで、草木国土悉皆成仏という、そういう思想が10世紀の末あたりから出てまいりまして、その思想がやがてだんだんと発達いたしまして、自分の死んだ後には輪廻転生で、意地汚い虫になるかもしれないと。しかし、そこにもちゃんと半分は魂が入っているんだということで、生き物に対するその仏性のようなものを入れ込むようになりまして、15世紀に世阿弥が出ました時には、芭蕉であるとか、鵺であるとか、あるいは燕子花であるとか、そういう動物や植物をして、すなわち主人公になるようなものが書かれるようになるということを通しまして、存在するものすべて無縁の存在ではないと。皆大事にしなくちゃいけない。物を大切にしなくてはいけない。もったいないという気持ちで使わなくてはいけないという、そういう自然が形づくられたというように存じます。
 そうしたことから見ますれば、我々の身の回りにあるものはすべてが草木国土悉皆成仏、一木一草に仏性が宿っている、あるいは、八百万の神と言われるような、そういう存在だというように見ることができる、そういう思想的な背景を我々は1000年の前から背負っているということでございます。さすれば、今、富士山が世界文化遺産になって、それが信仰の対象であり、または芸術の源泉であるということは、誠にそれは、今までの1000年以上の歴史から見ますと、当然のことであるというように存じます。
 その富士山を日本人はどのように見てきたかといいますれば、今日は北海道の方も来ておられましたけれども、利尻富士というのがございます。あるいは蝦夷富士がございます。東北には、例えば津軽富士、岩手には南部富士がございます。そして、各地に富士がございまして、近江富士、あるいは有名な薩摩富士、沖縄には本部富士というのがございます。富士という名前がついた山を持たない県はありませんで、見立て富士、ふるさと富士というのは、340ほどもございます。すべて自分たちは富士というものを持っていると。その富士が信仰の対象であり、芸術の源泉であるということになりますれば、まさに日本は富士の国というように言うことができるかもしれません。
 したがいまして、来年、富士山が世界文化遺産になるということは、そのような、言ってみれば存在する自然というものを聖なるものとして見るという見方を、改めて我々が、東洋から来た思想の日本における表現ということで発することができるのではないかというように存じます。そして、そこには、その美しさというものが合わされていると。美的であると同時に、人間のコントロールし切れないもの、「何事の おはしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる」という西行の歌がございますが、今日の言葉で言うと、サムシング・グレートというものが働いているという、こういう言い方は地球通底的に、人類通底的に理解されるものではないかというように存じまして、21世紀、環境の世紀、そして地球それ自体が多様化を経て、そしてその地球それ自体が、宇宙空間から見れば、水の惑星として、マーベラスとかビューティフルとかと言われるように、美しい存在であると。まさにガーデンアイランズ、アースであるというふうにも言うことができるわけでございます。
 そうした考え方や関係の仕方は、割とわかりやすく国民に共有されるものになるのではないかというように思っております。
 もう1つ付け加えれば、これは蛇足ではございますけれども、私は、京都に生まれて、東京で仕事をして、今、静岡県で仕事をしておりますけれども、富士山というのは、山梨県の人にとっても、静岡県の人にとっても、あるのが当たり前で、特段何でもないわけでございます。しかしながら、言われてみると大事なことだと。あなたの誕生日はいつかと言われたら、誰もすぐ答えられる。しかし、1年に1度富士山を思う日を持ったらどうかといった時には、そんなことどうでもよろしいというような感じになるんですが、私は、環境省も恐らく省庁設立の日というのがあるんじゃないかと思います。会社でも創立記念日というのがあるんじゃないかと思いますが、ご自身、皆、誕生日を知らない人はいないと思います。1年に1回、富士見の季節、富士山の季節を持てばいいと言いましたところ、全会一致でした、共産党も自民党も公明党も全部富士山の日、山梨県も真似して富士山の日をつくりました。2月23日です。冬は西高東低で太平洋側は晴れますので、美しい雪をかぶられた姿は誠に神さびてといいますか、非常に神々しいものでございまして、思わず、お天道様というよりも、富士山に恥ずかしくないことをしてはならぬというような、そうしたものになりますし、富士というのは人々の理想、あるいは目標、夢、志というものを体現しているということがございまして、そういうような形で環境、生物の多様性、つまり地球の存在している生きとしいけるものに対しての畏敬の念、大事にするという、そうしたものを培ってはどうかというように思う次第でございます。
 以上です。

【武内委員長】 川勝知事、どうも大変深いところで、この生物多様性国家戦略に関わる理念についてお話をいただきまして、どうもありがとうございました。
 まだ少しいていただけると伺っておりますが、せっかくの機会でございますので、ご質問のある方、あるいはお話についてコメントをされる方について、お受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ、あん委員。

【あん・まくどなるど委員】 他の委員が手を挙げなかったので、低次元の質問で大変恐縮なんですけど、とてもおもしろい角度から生物多様性について語ってくださって、ありがとうございました。でも、文化論はなかなか難しいですよね。だから、景観とか、文化思想、哲学からそれを国家戦略に持っていくためには、もう少し具体的に話していただけたらと思います。
 もう1つ、川勝知事は、以前は文明の海洋史観についていろいろ書かれたかと思うのですけど、今日は、どちらかというと陸が中心だったんですけど、こういった生物多様性の日本の文化論まで持っていた場合は、海洋も含めて、もし少しお話していただけたらと思います。

【静岡県 川勝県知事】 まず、具体的な方法なんですけれども、私は、最初にしたことは、富士山百人一首を編みました。今年は、富士山百人一句を編みました。それから、今年から、富士山万葉集を編むことにいたしました。万葉集は、合計巻20までございます。巻1は大人の方。巻2は子どもたちがということで募集をしましたところ、何千首と集まりまして、それはいずれも富士山を歌ったものです。そして、富士山を歌うことを通して、これは三十一文字で歌うのでございますので、それを通して、自分の自然に対する、あるいは環境問題に対する自覚ができるということでございまして、ごみを拾ってきれいにしなさいという、そういう身近なところから始まる環境運動もあるかと存じますけれども、まずは自然に心を入れ込むという、そういう作業を今始めております。
 そうすると、山梨県も真似されまして、富士山俳句というのを今年編むことをなさいましたところ、ものすごいたくさんの応募があったそうで、外国からも来たということで、俳句は今、「HAIKU」で通ずる世界最短の詩型だということで、欧米からも、アジアからも寄せられたとのことでございましたが、そのように、富士山を題材にして歌うということを通して、私は、これが環境問題に必ずつながると思っております。
 しかし、それは、その富士山の、例えばごみを拾うとか、あるいは南アルプス、ここも本州の中では最も多くの原生植物種、動物種が生息しているところでございまして、そうしたところを大切にするという、今ここらで皆様方がご発表されたようなことを怠っているのではありませんけれども、私は、今必要とされているのは、環境に対する哲学をどう立てるかということだと思っておりまして、その哲学の立て方は、心から入るのがいいと。歌から入るのがいいというふうに思いまして、そういう試みをあえて自覚的にやっているということでございます。
 海洋につきましては、大陸棚から、いわゆるEEZという排他的経済水域と、exclusive economic zoneというやつですね、こういうことで200海里とかいうようなことになって、海底資源、海洋資源というようなものの取り合いを、今一部の国同士でやっているというところがございます。しかし、本来、空気や海というのは、無主、その所有者がいないという、そういう観点に立つべきであろうと思っておりまして、地球の3分の1を占める太平洋、あるいは3分の2を占めるのが海洋ですから、こうしたものの中に大きな大陸も、小さな陸地も、地球的観点から見たら、大小の島々だと。だから、地球全体がアイランズ、大小さまざまのアイランズから成るという、そういう見方ですね。それをアイランズと捉える、あるいはガーデンアイランズとして捉えるという、そのことが大切ではないかと思っておりまして、先ほど、アイランズと言ったときには、既に島は海を構成要件といたしますので、海を入れ込んだつもりで、まず列島全体を亜寒帯から亜熱帯まで南北3,000キロにわたって、どの島も同じ島がないと。それぞれの島、小さくても大切だということで、その島として、美しい島、ガーデンとして見られることのできる島という、そういう言い方をしたときに、私は、海というものを背景に据えておりました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。川勝知事に私の方からちょっと問題提起ということで。
 知事の今のお話では、自然共生という言葉がやや不十分で、畏敬という概念をより入れ込んだ形で概念構成をしていく必要があるというお話だったと思うんですけれども、もともと自然共生という概念は、東洋的、あるいは仏教的な思想に依拠していて、そのこと自身は、自然とともに生きていくという思想を表しているわけで、そういう意味では、恵みである自然とともにも生きていくけれども、同時に、脅威でもある自然とともに生きていかなければいけないという、その辺の覚悟を少し入れ込むことによって、この自然共生社会という言葉の意味をより深めて、この言葉をさらに発信するというような考え方ではいかがかと私は思っているんですけれども、その辺はいかがですか。

【静岡県 川勝県知事】 先生がおっしゃったとおりで、もともとこれは黒川紀章さんもあえて「ともいき」と、自分が「共生」という思想を出したのだということを言って亡くなられましたけれども、ともかく建築は滅びても、「ともいき」という「共生」の思想は滅びないと。それを彼は中学のときに仏教の先生から教わったというふうに言われていましたので、そういう共生の思想が、おっしゃったとおりの経緯で東洋的なものをはらんでおりますし、それを英語にもある程度訳せるし、しかし、私は、一方で、人間という存在は、その棲み分けを破壊するという、そういう宿命を負っているということを忘れることができないと存じます。
 通常の動物は、共存的な並行関係にあって、決して平和的に棲み分けているわけではありませんけれども、棲み分けていると。しかし、それを潰すことができるのが人間の存在なので、じゃ、どういうふうにしてその関与をするかと。潰すこともできるし、また、元に戻すことができるのも人間だということで、私は、その時の思想として、その自然に対する謙虚な思想を持つ時に、この4大聖人が出たそれぞれの思想が、一神教とギリシャ正教が西北の方向に向かった。そして、儒学と仏教が東北の方向に向かって日本に来たと。これを両方合わせる必要があると。私は、東洋思想対西洋思想という、そういう二項対立が非常に生産的だと思っておりまして、科学技術は自然を征服することと同時に、また、そのメカニズムを解明して、それに即応した形で元に戻すこともできるということで、なぜ元に戻さなくちゃならないのかと。あるいは、どういうふうに戻すのがいいのかというときに、アーティフィシャルということを、むしろ、文化というのは人間が関与するので、もともとティル・ザ・ランド、土地を耕すことが文化ですから、耕されてないものはワイルドで、ネイチャーというのは価値が低いと見られていたわけですが、しかし、ある時から風景画というのが、18世紀後半から出てきました、ヨーロッパでも。日本には山水画というのが昔からございます。こうしたものを通しながら、両方が山水、すなわち自然を大切にするという形で元に戻すと。自然であることの方が価値が高いと。自然であるように人間がつくれると。このような若干のパラダイムシフトと、大げさに言えば、そうしたことに畏敬という、あるいは謙虚な、そういう態度が必要であろうと思った次第でございます。

【武内委員長】 もう大分時間も過ぎましたので、この辺りで終了させていただきたいと思います。
 どうも今日はお忙しいところを、わざわざお越しいただきましてありがとうございました。

【静岡県 川勝県知事】 先生、どうもありがとうございました。ご拝聴いただきまして、ありがとうございました。

【武内委員長】 また富士山の日には行きますので。

【静岡県 川勝県知事】 どうもお世話になっております。どなたも、4月14日には新東名も開通しますので、どうぞいらしてください。食べ物も219品目ございまして、日本一の食材がございます。食材の王国です。

【武内委員長】 それでは、議事を続けさせていただきたいと思います。
 最後に、メディアからのヒアリングとして、共同通信の井田様よりご発表をお願いしたいと思います。

【共同通信 井田編集委員】 共同通信でもう20数年になるんですけれども、環境問題を中心に取材をしております変わり者で、井田と申します。奥田さんに言われて安請け合いしたんですけれども、委員のメンバーを見てぎょっとしまして、武内先生であるとか、山岸先生であるとか、白山先生とか、鷲谷先生とか、もう、私が今さらこんなところで何を申し上げるんだという気がしておりますんですが、まあ、つまらない話にちょっとおつき合いいただければと思います。あまり後で厳しい突っ込みはやめてほしいなというお願いでもあります。
 それで、ちょっと時間がかかるようなのであれなんですけど、生物多様性戦略はなぜ進まないのかという、環境政策はなぜ進まないのかとかいうような資料をお配りしておりますんですが、その1ページ目を見ていただきますと、生物多様性のメディアの目からして、なぜ環境政策は進まないのかというようなのを書いたのが2ページ目のスライドでありまして、何よりも私は一番いけないと思うのは、いわゆる霞が関型のコンセンサスの問題、コンセンサス・ポリシー・メイキングの問題というのがあると。国内調整に多大な時間を要するというのが、私が指摘するまでもないと思うんですけども、一番いけないと思うのは、課>局>省>政府と不等号で書きましたけども、場合によっては1人の課長補佐がへそを曲げただけで、彼が拒否権を持って政策が進まないというような霞が関型の、しかもこれが市民の目に見えていないところで議論されているというのが一番いけないと思うんですけれども、それは環境政策に限らないんですが、こういう問題があろうかと思います。
 2項目に書いたのは、主要政策の「独立」というのを書きましたけども、日本の行政の中に他の介入を許さない、まあ、全く認めないわけではないんですけれども、極めて独立的に物事が決まる世界というのが2つあると、私、かねがね言っておりまして、それがエネルギー政策と漁業政策であると。それぞれ担うのが、エネルギー庁と水産庁という極めて専門性の高い行政機関が担っているという点でもよく似ておりますし、インサイダー、彼が審議会政治をやるわけですけども、彼らが指定する、選んだインサイダーというのが審議会をつくって、その場でいつの間にか意識決定がされ、最近パブコメなどというのがありますけども、そういう形で意思決定をされると。
 その中で、エネルギー基本計画でありますとか、水産基本計画とかがまとまってくるんですけども、あくまでそれを私的諮問機関である審議会の結論であるはずなんですけれども、それが数日後にはさしたる議論もなく国の政策として国会によってオーソライズされるという、政治が追認してしまうというような状況にあるというように思います。それが2つ目です。これは、1と2は関わっていることなんですけども、ただ、さっき資料を見ていたら、草刈さんの資料の中に、エネルギー政策と生物多様性のご指摘とか、漁業政策、水産政策と生物多様性の関連などというスライドがありましたので、多分ここら辺はもう既にそういうプレゼンはあったと思うんですけども。
 どこまで行ったというと、こういうのが書いてありまして、それが、今、ここら辺の話をしている。政治が追認するインサイダーの合意というようなものがあると。
 極めて不透明な形で、アメリカのロビーイングというのはすごくオープンな形でなされるんですけども、どうも日本のロビーイングというのは、極めてインビジブル、見えない形でのロビーイングというのがあるというのが、この2点目であります。
 これは後で最後にご指摘したいんですけども、メディアとしても一番困るのは、基礎的なデータというのが公表されていないと。エネルギー消費量、需給をどうするんだという話がありましたけども、基本的なデータというのは公表されない。漁獲量でありますとか、ウナギをどれくらい放流しているかとか、そういう基礎的なデータすらなかなか出てこないと。こういうこともあって、なかなか政治的なリーダーシップというのは育ってこないのかなというように思います。
 じゃあ、スペシフィックに、生物多様性保全上の問題点というのをちょっと用意してきたんですが、あまり時間がなくなると、多分ここら辺は既に私が申し上げるまでもないことなんですけども、日本には種の保存法というのがあり、アメリカにはESA(Endangered Species Act)というのがあると。これ、比較してみて一番大きな違いは、リストはするんですね。こんなに危惧種数というのが、日本も非常に、絶滅危惧種の数は多いと。だけども、アメリカは保護計画を持っているというのは、既に85%ぐらいは保護計画を持っているが、日本の比率というのはわずか1.5%、リスティングした種の1.5%ぐらいしかないと。これは明らかに法律の欠陥だと思うんですけども、アメリカの法律には、リストをした以上、彼らのcriticalなhabitatsというのを決めて、そこの保護対策というのを講じなければならないというようなことが書いてある。日本にはそういうこともないので、なかなか保護区というのは極めて少ない。これを何とかしないといけないかなというふうに思うと。種の保存法の改正というのは、メディアの目から見ていても、92年に、私が仕事を――環境省のクラブに初めて行ったのが92年ぐらいなんですけども、もう20年間ずっと変わっていない、この種の保存法というのは、ちょっとそろそろ考え直さなければいけないかなと思います。
 ほかにもいろいろあるんですけども、今日、私が一番言おうと思って来たのは、既にこれも多分草刈さんのあたりからご指摘があったと思うんですけども、エネルギー政策もそうなんですけれども、なかなか、海の生物多様性保全対策というのが進んでいないというように私には見えます。これは「海生生物問題」と、私、勝手に呼んでいるんですけども、こういう約束があって、71年から海洋性、海の生きものというのは水産庁の管轄だと。92年に環境省が種の保存法というのをつくろうとしたんですけども、その時に、これも多分ご指摘あったと思うんですけども、環境庁の自然保護局長と水産庁長官の覚書というもので、基本的には種の保存法というのは海の生きものは手を出さないんだと。重要なジュゴンであるとか、ニシコククジラとか、世界的にも極めて絶滅のおそれの高い海洋生物というのが日本の周りには存在しているんですけども、残念ながら、種の保存法というのでなかなかそこに踏み込んでいけないと。それは何よりも、いつの間にか誰もパブリックの関与なしにまとめられた覚書というので、こういうことになってしまったと。
 ちょっと、話は横道にそれるんですけれども、最近、地熱の規制をどうするかというのが問題になったんですが、あれも、環境庁長官とエネルギー庁長官だったか、経産省だったかが、1972年に結んだ――どうやって結んだか、私、知らないんですけど、覚書というのがあって、それがいまだに生きていたもので、2種、3種国立公園の中では地熱発電所というのができなかったという、これがいいか悪いかというのはともかくとして、日本の政治には、霞が関のルールには、こういうものがいっぱいあって、こういうきちんとした施策を考えるんだったら、そこから見直していかなければならないと思います。
 そんなこんなで、日本の種のレッドリストというのは、植物も動物、陸上動物、汽水域の魚まで含めて、極めて綿密で、非常に素晴らしいものができているんですけれども、海の危惧種調査はほとんど行われていない。水産庁に変わり者がいて、海のレッドデータブックをつくったこともあったんですけども、それもほとんどお蔵入りになってしまって、ようやく海の絶滅危惧種の調査というのがやっと始まったところだというふうに、20年間放ったらかされていたということがあります。これを何とかしなければいけない。
 それと、先ほど保護区と申し上げましたけれども、陸上の保護区も進んでいなければ、海の保護区も全然進んでいなくて、これは、多分これもお話があったと思うんですけども、海洋保護区というのの拡大というのが、非常に今後の日本の生物多様性保全というものの政策課題として重要になっているんだけども、これはなかなか進んでいない。8.3%でいいかというお話も既にあったと思うんですけれども、海洋保護区というものが、法的な根拠もなければ、ない。水産資源保護法上の保護水面になっていれば海洋保護区であるとか、漁業権が設定されていれば、それが海洋保護区なんだとか、ちょっと素人にしてはというか、霞が関のルールを知らない者に関しては、ちょっと突飛な議論まで行われていると。国内的にはこういうことがある。
 こんなのを専門家の皆様の前にお目にかけるのは非常に恐縮なんですけども、実は、海の生きものというのは非常に厳しい状況に置かれているというのが、これを示すデータであります。これは、我々みんな日常的に食べている魚なんですね。ミナミマグロの漁獲量はこんなに減っています、というものであります。これは、太平洋、インド洋のメバチマグロのデータ、産卵能力のある親魚の量がこんなに減っていますという水産庁のデータでありまして、これより切ると資源を維持できなくなるという、一般的にわかりやすく言えば、そういうレベルにどんどん近づいていると。
 これは東部太平洋のメバチマグロですけども、こんなに減っていると。
 環境省の人に時々そういう意識がないんじゃないかと私は思うんですけども、野生生物の中で最も年間大量に漁獲されて、最もヘビリーに取引されている生き物というのは、ゾウでもトラでもカメでもなくて、水産種としての魚であると思うんですけども、日本の行政、水産、生物多様性保全の中には、そういう意識というのがどうもない。魚はあくまでも水産資源であって、野生生物を消費しているとか、そういう意識というのは日本人自体あまり持ってないと思うんですけども、行政の中にもそれはないというように思いますが、これもやっぱり何とかしなければならない。
 これは、私、最近、ウナギ記者と社内では言われていまして、ウナギの取材をして、やたらウナギの原稿を書いて、おまえは何なんだと。のらりくらりとしているからかなんて言われるんですけども、実はウナギというのはどこでも非常に減っています。今年3年連続の大不漁で、かば焼きが食べられなくなるとか何だとかと言っているんですけども、これはヨーロッパウナギのシラスウナギ、稚魚の漁獲量で、当時、ピークの1割ぐらいに減っています。アメリカウナギはこれでありまして、アメリカウナギのデータは限られているんですけども、似たような状況だと。獲れなくなった、獲れなくなったといって騒いでいるシラスウナギ、ニホンウナギは、何かわからないんだけど、1%まで落ちないで10%ぐらいでふらふらしているので、とりあえずこれがいるがために、我々はウナギのかば焼きを毎年のように食べられるんですけども、ウナギというのは水産庁の管轄であって、川に棲んで、汽水域の生き物であると僕は思うんですけども、環境省の人が、ウナギのことを何かやろうと思った人もいなければ、まじめに何か対策をとろうと思ったこともないのではないかと思うわけです。どうもこの辺の発想の転換が必要かなと。ウナギは水産庁に任せておかないで、川の指標となる生き物なんだから、もっと環境省というのが踏み込んでいっていいんではないかなというように思うところであります。
 これは大変議論になった大西洋の、幸いなことに桜井先生がお帰りになってしまって、私がこんな知ったようなことを言ってられるんですけども、大西洋のクロマグロのデータでありまして、急激に減っていると。これがあったがために、後でお話しますけども、ワシントン条約でクロマグロを取引規制をするべきかどうかというようなのが、ドーハのワシントン条約の会議で大きな話題になったということになります。
 「海砂利水魚」という言葉がありまして、落語の「寿限無」の中に「海砂利水魚」という言葉が出てくるんですけども、海の砂利と水の魚というようなことがあります。なぜ、寿限無君のお父さんとお母さんが――こんな話をしていると時間がなくなるんですけども、寿限無君に海砂利水魚という名前を入れようと思ったかというと、それは、幾らとってもなくならない。海の砂利と水の中の魚は幾らとってもなくならないものだ、だからおめでたいんだというので、寿限無君のお父さんとお母さんは、寿限無君の中に海砂利水魚という言葉を入れようとしたんですけども、実は、人間活動の規模が大きくなれば、海の砂利もとったらなくなるし、魚もとったらなくなるというようなことが意外とわかっていなかったということがあります。
 ワシントン条約では、こんなものがリストされて、これは今さら私が申し上げるまでもないんですけども、サメであるとか、タツノオトシゴ、ヨーロッパウナギで、大西洋のクロマグロまで議論になったということであります。
 IUCNのレッドリストには、メバチマグロとかミナミマグロとかハタの仲間とか、これは先ほど、我々が食べているものは野生生物だというお話しましたけど、海のブッシュミートみたいなもんで、それがどんどん、ブッシュミートはけしからんとか、我々、時々言うんですけども、実は日本人も海のブッシュミートをいっぱい食べているというようなことがあると。それがもうIUCNのレッドリストに載るようなところまできてしまったというのを、意外と認識度が薄いかなというふうに思うわけです。ヨーロッパウナギは、ワシントン条約のCITESのAppendixのUになっているんですけども、IUCNでは、もうCR、Critically Endangeredというようなところまでなっているんですけども、実はいまだにヨーロッパウナギというのは中国経由で日本の食卓にも上っています。我々はCRにリストされたヨーロッパウナギもまだ食べているという、それを意外と知らないと思われます。
 海洋生物の保全というのは、日本の生物多様性の大きな穴だと思うんですけども、国際的にもこれが大きな問題になっているというように、私の取材の経験からちょっとご紹介しようと思うんですけども、ワシントン条約では、最近、海の生きものというのが非常に議論になることが多い。ただ、日本の科学当局というのは、陸は環境省、海は水産庁というふうに分かれていて、管理当局は経産省一本なんですけれども、先ほど最初にお話ししたように、環境省はなかなか海の問題に口は出せない。という中で何が起こっているかというのは、日本のワシントン条約では、ワシントン条約の規制に多くの留保を申し立てている。昔、私が取材を始めた頃は、タイマイの留保をべっ甲業界を守るために、経産省がどうかといって非常に叩かれたりとかしたこともあったんですけれども、留保も撤回されて今の条約上の留保というのは、クジラであるとか、サメであるとか、タツノオトシゴなど、水産種ばかりであります。
 本来の留保の趣旨というのは、規制を受け入れると経過措置が必要だからしばらく待ってよというものであったと思うんですけども、日本にタツノオトシゴの漁業などというのはほとんどなくて、影響なんてほとんどないんだけども、水産庁の意見が強く働いて、水産種であるから、漁業種であるからタツノオトシゴの留保を申し立てるというようなことになるというわけであります。
 もう1つ、ボン条約というのがありまして、これは日本は、アメリカと違って、日本の署名批准率というのは非常に環境条約に関しては多い、まじめにやっているんですけども、唯一無視しているものというのが、移動性野生生物の保護に関するボン条約というのがありまして、それはなぜ日本が批准できていないかというと、その中にクジラが、水産庁が大好きなクジラが捕獲禁止リストに載っているからだと。ボン条約というのはクジラだけやっている条約ではなくて、ゴリラの保全とか、渡り鳥の保全とか、いろいろ日本がもっと貢献できる、国際的にも貢献できる分野があるんですけども、クジラがネックになってボン条約を批准していないがために、なかなかそういう国際的な貢献もできないというような、ちょっと困った状況にあると言えると思います。
 海外で取材をしていると、どうも日本はいろいろいいことをやっているんだけれども、少なくとも日本は海の生物の保護に非常に熱心で、まじめにやっている国であるとは決して思われていないというのが私の印象であります。これは既に申し上げたことなんですけれども、典型的に表れたのがカタールのドーハで開かれたワシントン条約の締約国会議でありまして、話題になったのは、クロマグロであるとか、サメを、これは2種にして取引を規制しましょうというのが大きな議論になったんですけども、私の知る限り、関係省庁間の議論というのすら、ほとんどなされないで、水産庁の審議会というか、クローズド、それも公開、やっていますということすら公表されていない専門家の審議会というのがあって、その中で日本のポジションが決まって、それがいつの間にか国際的に出ていくと。パブリック・コンサルテーションというのは皆無でありました。IWCのように、業界との強い連携のもとに、いつの間にか、ワシントン条約では日本はクロマグロのリスティングに反対するのだというようなことがあって、ここら辺の議論をするとしばらく時間がかかるんですけれども、少なくとも海外からは科学を無視した議論であるというような批判を浴びてしまったということがあります。厳しい批判があって、このとき、ちょうどCOP10の前だったもんで、こんなことも言われたりしたというのを、私は明確に記憶しています。
 問題提起としては、日本の市民の意見というのは、この意思決定、ワシントン条約の政府のポジションに対する意思決定というのはどこまで反映されたのか。ワシントン条約というのは、後でもお話するように、生物・環境保全のための条約であったんだけども、その条約の本旨というのがどれだけ検討されていたか。一部の利益を守ることが、より大きな損失につながる、国際的な信頼を失うというような大きな損失につながったのではないかなというようなことも思うわけであります。
 ワシントン条約を例にとってみると、日本の生物多様性、特に、これは海に限った話ではないんですけども、生物多様性条約、生物多様性保全上の問題というのがちょっと見えてきます。アメリカは、ワシントン条約の前に何をやるかというと、アメリカの法律では、これはESAでは、絶滅危惧種の――こんなのは私が申し上げることじゃなくて、皆さん既にご存じのことと思うんですけれども、市民の発議で、市民の科学者であるとか、あるいは環境保護団体の発議でリスティングをするというような提案ができます。ワシントン条約の国際的にリスティングの提案というのも、NGOとか、極端な話、データさえ持っていれば、1人の科学者がすることも可能です。それを提案をしたら、政府はそれを受け止めて、パブリックヒアリングにかけて、議論を、政府のポジションを決めるという上での材料にしなければならないというようなことが行われて、市民からの発議があると、ないというのは、非常に大きな違いかなと思います。
 官報で、彼らは、WWFとか、ヒューマンソサエティーからこういう提案がありまして、こういうデータが出ています、で、今こういう議論をしています、というようなのも官報とかインターネットで途中経過まできちんと公表されて、最終的に提案を出すと。政府の提案をまとめて、またそれで意見を聞いて、最終的に平場でパブリックヒアリングをやって、それで政府のポジションが決まると。非常にオープンで透明性の高い意思決定というのがなされている。ここでは、やはりそういう議論をしていると、科学当局、まあ、アメリカも野生生物局と海洋生物局と、海と陸との分担はされているんですけども、科学者の意見というのが非常に大きな位置を占めるということになります。
 ノルウェーというのがワシントン条約にありまして、ノルウェーも漁業国だったんですね。日本の水産庁がクロマグロ提案にノルウェーは反対してくれるだろうと思っていたんですけども、ノルウェーは賛成をしました。どうして賛成したのと私がノルウェーの人に取材をしたんですけど、こんなことをやっていますと、やっぱり彼らもパブリックヒアリングをやって、政治家と官僚が議論をして、まず提案というのを決めると。これでどうですかというのを、パブリックヒアリングをやって、最終的には政治家が方針を決めて、官僚にマンデートを与えるんだという形になって、これも極めてオープンかつトランスペアレントな形で国の意思決定というのがなされる。
 ノルウェーのワシントン条約の代表団というのは、環境省が交渉のトップでありまして、私、話を聞いて、環境省がトップなのと。漁業というのは非常に大きな利害関係者なんかではないかと彼らに聞いたんですけども、彼らの答えは、ワシントン条約への生物種の保全をする条約であるのだから、環境省が交渉団のトップであるのは当然だし、環境省の意見というのが非常に多く反映されるんだということを言っていたのが非常に印象的でありました。彼らが口を開くと、「科学が重要だ、科学が重要だ」というようなことを言うと。
 何が言いたいかというと、政治的なリーダーシップの背後には、アカウンタビリティとか透明性というものがあると。日本の生物多様性政策というのは、どうもまだここまで成熟していないかなというふうに思いますし、必ずしも科学というものがベースになって意思決定というのが行われているとは、はたから見ていて、思わないというふうに思います。
 なんでここにクリオネを持ってきたかというと、transparentなものが、対策が重要だねというような意味でこの写真を用意してきたのでありまして、そろそろ時間もなくなってきて、議論もしたいと思うので、まとめに入らせていただきたいと思うんですけど、最初に申し上げたように、種の保存法の改正、あるいは新たな法律というのは考えなければならないんじゃないかと私は勝手に思います。
 これも、2つ目になりますけれども、陸と海の対策というのは、やっぱり海はつながっていて、別に水産庁の人が陸の保全に口を出すというのは悪いことではないし、だからといって、環境省の人が海に口を出すというのもいいことで、本来、生態系としても一体であるのだから、海と陸との一元的な対応というのは、これは今の日本の生物多様性保護政策の中で決定的に欠けているものなので、これは何とかしなければならないと思うわけであります。
 先ほど、海の野生絶滅危惧種の調査すら十分に行われていないと言ったんですけれども、科学研究・調査体制を充実というのは、もっともっとしていかなければならないし、規制強化とマーケットメカニズムというのは、ちょっとここら辺の話はあまりできなかったんですけども、マーケットメカニズムだけあってもだめだし、規制強化と両輪で進めていかなければならない。こういう視点もいま一つかなというように思うわけであります。
 最後になりましたけども、僕が思うに、最も重要なことは、霞が関・永田町型の最初に申し上げたような不透明な意思決定から脱却するというのが、これはすべての、エネルギー政策も同じなんですけども、すべての日本意思決定、政策決定の中で今問われているものではないかなと思うわけでありまして、いい機会なので、生物多様性戦略というのをせっかく考えるんだったら、これをちょっと壊すようなことができないかなと思います。いいタイミングでもあるし、そういう社会の、あのエネルギー政策の決め方のでたらめさ、あ、不透明さを見て、皆市民は不満を持っているので、こういうことを提案してはどうかなと思います。
 私が強調したいのは、アカウンタビリティとサイエンスということでありまして、これは最近はやりの言葉で、マルチステークホルダーミーティングという、これも私が今さらこの場へ来て申し上げるまでも、釈迦に説法だと思うんですけども、マルチステークホルダーミーティングというのがあります。これは日本でも行われたことがありまして、何があったかというと、東京都というのはすばらしい、世界に誇れるようなキャップ・アンド・トレード・システム、温室効果ガスのキャップ・アンド・トレード・システムというのを、1,300事業者ぐらいを対象に2008年に導入しました。実は共同通信も対象事業者になって、もう8%減らすので、社内が暗くなったりとか、大変だったんですけども、その本当に厳しいキャップ・アンド・トレードというのを導入する上で彼らがとったプロセスというのは、審議会というのもあったんだけれども、マルチステークホルダーミーティングというのを頻繁に開催して、やったと。彼らがそこでやったことは、一部、これは合意をしましょうというマルチステークホルダーミーティングなもんで、ごく一部の人たちが拒否権を持つようなことというのは、オープンの場ではなかなかしがたいと。先ほど申し上げた霞が関の中で、1つの課が拒否権を持って全体の政策を、99%の人がいいと思っているのに、進まないというようなことは、この場ではないということになります。
 公の場で言えないことは言わない。東京都の人はロビーイングは受け付けないと言って、公の場で言えないことは発言しないんだというような形をとったと。こういう形でそろそろ合意を前提とする生物多様性政策、保護区をつくりましょうとか、いろいろあると思うんですけども、ちょっとこういう新たな議論の形というのを模索してはどうかなと思うわけであります。というか、これをやらないと、なかなかこのご時世に、新しい政策というのは出てこないし、市民に支えられた本当に市民がオーナーシップを持つような政策というのはなかなか出てこないだろうと。このベースとなるのが、既に申し上げましたけれども基礎データの公開ということであります。恐らくこういう公益性の高いエネルギーであるとか、コモンズの管理にかかわるような漁獲量とかいうのは、多分企業秘密云々というよりも公益性の方が勝るということで基礎データの公表、情報公開というのが、これは、まずやらなければならないというように思います。
これが提案の2点ということになるのですけれども、もう1つ重要なのは、アメリカでは、先ほど市民の発議などが簡単にできると申し上げましたけれども、いわゆる省庁系の研究機関だけでなくて、こういう形、ステークホルダーミーティングをやったりとか基礎データを公表して、だれもが研究、政策提言ができるというような形にする中で、新たな市民科学とかいうような市民発議のようなプロセスをつくっていくということも重要かなと思うわけであります。
すみません、勝手なことを言いましたが、私の話はこれぐらいでありまして、もし、コメントとかご質問などがありましたらメールをいただければと思います。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 この場で、もし質問がございましたら、今お受けしたいと思います。よろしいですか。
それでは、どうもありがとうございました。
それでは、ここでまた5分休憩ということで、次の議題は5分後に再開させていただきたいと思います。
(午後4時43分 休憩) (午後4時50分 再開) 【武内委員長】 再開をさせていただきたいと思います。
 議事3に入らせていただきます。ここでは、本日の19団体からのヒアリング結果も踏まえ、次期国家戦略において検討すべき事柄について、委員の方々による自由な意見交換の時間としたいと思います。
 それでは、意見交換に当たって、まずは事務局より説明をお願いしたいと思います。

【奥田生物多様性地球戦略企画室長】 意見交換の前に1点だけ、資料4というものを皆さんのお手元に配ってありますので、簡単にご紹介しますけれども、2月9日に開催した自然環境・野生生物合同部会で、現行の計画、生物多様性国家戦略2010の点検結果についてご報告いたしまして、委員の先生方からいただいたご意見を事務局で取りまとめたものを、中央環境審議会会長に取りまとめていただいて、意見具申を大臣あてに4月4日付で行っていただきましたので、この旨お手元に配付してあります。これも議論のご参考になろうかと思ってお配りした次第でございますので、ご覧になっていただけたらと思います。
それでは、資料5というのをご覧いただきたいと思います。この後、自由なご議論をいただくというように承知しておりますけれども、事務局から3点だけ主要論点をお示しさせていただきました。1点目は、次期戦略に欠かすことのできない視点は何かということでございます。
それから2点目は、愛知目標の達成というのが重要な課題でございますけれども、その中で、重点的に取り組むべきことは何か、特にこの5年間という中で取り組むべきことは何かということが2番目でございます。
3番目は、前回と今回と、多くのヒアリングが行われましたけれども、それを踏まえて今後の取組としてどういったものを重点的にやっていくべきかということを論点としてお示しをさせていただいたところでございます。
事務局からのご説明は以上でございます。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
それでは、次期国家戦略において検討すべき事項に関するご意見等ございましたら、どのような観点からでも結構ですのでご意見をいただきたいと思います。ネームプレートをお立ていただきたいと思います。山岸委員。

【山岸委員】 今、お示しいただいた1、2、3の観点の順番じゃなくてもいいわけですか。

【武内委員長】 結構です。

【山岸委員】 それでは3番の観点で、2点申し上げたいと思います。
 1つは、生物多様性の主流化についての中で、教育が非常に大事であるという話がずっと出てきて、今日、文部科学省からヒアリングを受けたわけでして、その中で指導要領が変わったとか、非常に前向きなところがあったのですが、鷲谷委員も言っていたんですが、それを教育する教師の側の資質の向上をどうしたらいいかという質問をされていましたが、講習会なんかもあまりないというような返事だったと思います。私がここでお願いしたいのは、文部科学省は何々指定校というような形でいろいろな研究をさせているはずです、各学校に。例えば差別教育をどう扱うかとか、いろいろな面の指定校というのがあるはずなんですが、その中の1つに、生物多様性保全に対する教育の指定校みたいなものを取り上げてもらって、重点的にどう教えていったらいいかということを研究してもらうということがいいのではないかというのが1つです。
 それからもう1つは、野鳥の会やコンサベーション・インターナショナルから、非常に情報が少ないという嘆きの声があったのですが、生物多様性の保全についての情報が少ないという。実は環境省自身も十分でないとはいえ、始めているはずなんです。それが例えばモニタリングサイト1000とかそういうやってこられたこと、それが一体どのぐらい活きているのか、それと関連しまして、やっぱりそれぞれの主体になっている生物多様性センターの果たすべき役割というのを、もう少し、次の国家戦略では明確に示していく必要があるのではないかということを感じました。
 以上でございます。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 白山委員、お願いします。

【白山委員】 ありがとうございます。
 今日、いろいろなステークホルダーの方からのご意見等々を伺って、やはり次の国家戦略、要は国家戦略なんですよね。今の国家戦略は、どちらかというと、各省庁の政策のホチキスどめという形になっておりまして、ぜひ環境省の中が当然主体になるべきだと思いますけれども、それぞれの省庁と連携をして戦略を練るという、そういう姿勢を明確に出していただきたいと思います。
 戦略の中に書くのは、それはおかしいので、どこかの戦略の頭ぐらいのところに、国家的に取り組んで各省庁が連携するということを高らかにうたっていただいて、今後、それぞれの政策についても省庁連携でしっかりとやっていくんだということを明確に出していただくということが、例えば先ほどの井田さんのコメントなんかに対する答えにもきちっとなるんじゃないかというように考えまして、ぜひそのあたりお考えいただきたいと。特に、海洋では、海洋基本法というのがあって、海洋基本計画というのがあって、それの基本的には実施するであろう部署として海洋政策本部というのがあると。こういうのと対比すると、生物多様性基本法というのはあります。ですから、国家戦略というのは、海洋基本法に対する海洋基本計画に相当するものであるとすれば、これは省庁連携でつくるものでございますので、そういう形でしっかりと省庁連携を踏まえておつくりいただきたい。その上でさらに、環境省は、それを主体となってやるところだということを明確にお示しいただく。つまり海洋基本計画を実行するのは海洋政策本部だというのが非常に明確に出ているわけですから、そういう意味でも、環境省の位置付けをもう少ししっかりとお見せいただくということをぜひご検討いただきたいと思います。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 辻本委員。

【辻本委員】 それでは、@のところで、欠かすことができない視点というところなんですけれども、今、国家戦略ということなんですけれども、この国家戦略は、1つは地域戦略に対するガイドライン的なもの、あるいはそれに対して規範的に示すものでもあるし、一方では、地域戦略からのボトムアップでもあるという両方の捉え方があるんだというような、両面を持っているということなんです。実は国家戦略、地域戦略、それから今日、味の素その他から企業戦略というのがありました。それから、もっと大きな視点からすると、味の素のプレゼンの中にも地球社会戦略とかいうような表現で、国家戦略というよりも地球戦略であるべきだとか、あるいはもう少し国際的な戦略である、すなわち地球、国際、国家、地域、それから企業というふうに階層性があるということをしっかり認識しないといけないと。川勝知事が言われたように、日本の考え方というのはひょっとしたら、日本の国家戦略はひょっとしたら国際的なイメージ、あるいは他の地域、国家とは違うかもしれない。けれども、生物多様性を保全していくという目的は地球的な、国際的なものである。けれども、どこがどういうふうに違うのかということはしっかり認識しなきゃいけない。生物多様性戦略、保全戦略として何をやっていくのか、じゃあ国家としてはどんな戦略なのか、地域としてはどんな戦略なのか、それから、企業としてはどんな戦略なのかということを、やはりその階層性をしっかり認識しながら明確にしていかないといけない。世界戦略、地球戦略として、戦略としては上から下まで認識できるんだけれども、例えば今日ビジネス、あるいは企業の方の戦略では、やはり生物多様性を守っていくということは、戦略として立てていけるんだけれども、でも、目標は企業としての目標をしっかり達成しながら、すなわち何らかの利潤を上げながら、うまく企業として回っていくことも、もう1つの両輪として持ちながら企業戦略を持っている。日本は国家としての生物多様性戦略はどんな日本の国としての目標、あるいは目的とすり合わせながらやっていくのか、こういったところがやはりあるかと思います。
 それからもう1つの視点は、川勝さんが、日本は宗教観とか文化的な視点が違うというふうなことをおっしゃったんだけれども、そういうふうに割り切る前に、もう1つやはり地形的な、地理的なこととか気候的なことがその背景にあるんだということも、このヒエラルキー、すなわち世界的なもの、地球的なもの、国際的なもの、いわゆる大陸的なもの、島的なものを見分ける中で、非常に重要な視点だと思いますので、そういった視点の中で、やはり科学的に見ていただけたらというような気がします。
 それからもう1つ最後、先ほど白山委員がおっしゃったのと同じで、省庁連携がBには必要で、どうして省庁がヒアリングで済ますんだと。省庁は一緒に議論、各省庁と一緒に議論する場があるべきで、ここへ出てきてヒアリングで、それで済ますという手はないでしょうというのが意見です。
 ありがとうございました。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 土屋委員。

【土屋委員】 2点発言をさせてください。初回欠席しておりますので、既に議論が済んだことであればご容赦ください。
 3番目のヒアリングの結果をどう反映するかということですけれども、今日、大変多くのことを勉強させていただきました。本当にうなずくことができるようなものも多かったわけですけれども、この情報をこの国家戦略にどのように反映するのかというプロセスを明確にすべきだと思います。あるいは、いろいろ教えていただいたんですけれども、それは反映しないのだという場合には、その理由を明確にしなければいけません。取捨選択をするのは一体誰か、この委員会かもしれません。そうであれば、そのプロセスを明確にして、発表者の方々が、将来国家戦略を見た時に納得できるようなものにすべきだと感じておりますので、ご検討いただければと思います。
 それから2点目ですけれども、これは第三次の戦略、あるいは生物多様性国家戦略2010をつくったときに議論をしたことですが、生物多様性とは何かとか、その重要性とは何かということについてもっと明確にしなければいけない。今日も言葉がわかりにくいとかいう発言が多々ございました。これについて、前回の2010の、最初に書いたように、もっと詳しく述べるべきだと感じております。前回は、最後の方でかなり取って付けたように書いた記憶がありますけれども、そうではなくて、しっかりと定義なり、あるいは大切さを力説すべきだと思います。前回と違って新しい言葉、例えば生態系サービスとかネットワーク網、もっと頻繁に使われるようになってきております。委員の中には、それら専門家が、最新の情報を集めている専門家がたくさんいるわけですから、その委員からの情報も得ながら、前段といいますか、最初の部分に生物多様性とは何かとか、その多様性の重要さをたくさん書いていただけたらと思います。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 中静委員。

【中静委員】 ありがとうございます。
3点、@、A、Bそれぞれ1つずつなんですが、@に関しては、国際的な視点ということを強調したいと思います。資料の4にも一応は書いてあるんですけれど、例えばABSとか、それから木材の持続性と関連しての国際性というのもあるんですけど、やはり農業とか農林水産業全般にわたって、やっぱりこれは外国の、ほかの国の持続性を失いながら日本に輸入している生態系サービスがあるということを、やっぱりもっときちんと認識するということが重要なのではないかなと思います。
それから2番目に関しましては、先ほど白山委員や皆さんおっしゃっていましたけれど、省庁連携とさらりと言ってしまうとそれで終わってしまうんですが、具体的にやはり省庁間連携ができるような何かを考えた方がいいのではないかなと思っています。私はそんなによくわかっているわけではないとは思いますけれども、例えば、愛知目標の中には、例えば環境省だけではできないものがいっぱいあるわけで、そういう、このターゲットに関しては環境省ではなくて、この省庁に主管となってやっていただくというような仕組みを考えるとか、それから、それぞれの省庁でやはりターゲットで問題になっているような有害な補助金、本当に有効な補助金というものをきちんとそれぞれの省庁で見直していただくというようなことをきちんとやるとか、かなり具体的な方法をやっぱり考えた方がいいんではないかなと私は思いました。
それから3つ目に関しては、地域戦略というのがやっぱり非常に地域の生物多様性を守るために有効で、これを国の戦略の中でも強く押し出していっていただきたいと思うのですが、資料3−2を見せていただいてこういう感じだなと、私もいくつかの地域戦略を読ませていただいて思うんですけど、多様なステークホルダーが参加するという意味では、例えば市民と行政というのはかなりうまくいっているところも見受けられるんですけど、先ほどちょっと質問させていただいたように、地元の企業があまり上手に参加できていないというのが非常に私は思うんです。それで、何らかの形で地元、地元だけでなくても結構ですけど企業の方も、その地域戦略の中に上手に絡んでいただくという仕組みを何とかつくっていただきたいなと、これに関してはあまり自分のアイデアはないんですけれども、と、思いました。
以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 中村委員。

【中村委員】 ありがとうございます。いろいろ勉強になりました。前回の多様性国家戦略をつくって以降で、やっぱりすごく変わるだろうなと思うのは、この東日本大震災の中で、多分エネルギー問題が急激に出てくるということで、そのエネルギーを確保するために、ある時には地熱であったり、風力であったり、ひょっとするとダムによる発電であったり、さまざまな自然エネルギーを利用したことが出てくると思うんですけど、やはりそれがどういう場所でどういう形で行われるかというのは、この全体の中できちんと見ていかなくちゃいけないなというように思います。
 もう1つは、白山委員もたしか言っていましたし、グランドデザインの議論もあるんですけど、今後も多分、いろいろなNHKの報道を見ていても、震災も含めていろいろなことが起こり得ると思います。そういう意味では、復興とか戻すという議論というのは多分重要なことではあるんですけど、今の変わってしまった現状の中で、受け入れざるを得ないような、つまり今の現状の中で未来をどう見ていくかというそういう視点も必要なのかなというように思います。それは、人口が減少していくという明らかな日本の社会において、ただ戻るということだけが選択肢じゃないんじゃないかと思います。そういう意味では、前回の戦略の時も言われてはいたんですけど、人口減少で野生動物の問題も含めてどうなっていくかというのも、また国レベルで大きく考えていかなくちゃいけないかと思います。だから、国レベルでどういう形でこの戦略がうまく達成できるかというのは、多分、中静委員がおっしゃっていたような、地域がどこまで実際にできるかということだと思います。私も黒松内なり他のいろいろな議論に参加させていただいて、やはり黒松内とかは非常にレベルの高い人材も持っていますし、そういう意味では、北海道の市町村の中でも飛び抜けていると思いますけど、それでも非常に難しいところがたくさん。そういう意味では、そういう市町村がつくるためにどんな仕組みが必要なのか、担い手はだれなのかとか、具体的にどうやってそれをサポートしていくのかとか、それがないと、結局国レベルでそういうものをつくってくれといってもうまく回らないだろうなという感じがします。その辺の、最終的な実行、アクションプランを立てられるのは市町村だとか自治体であるということを考えると、やっぱりそこへのてこ入れをどうしていくかということが必要なのかなと思いました。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 吉田委員。

【吉田(謙)委員】 私は手短に、個人と企業と経済的視点というのをもう少し打ち出すべきだという観点でまとめさせていただきます。
私自身、環境経済学を研究しておりまして、経済学という視点をこちらの方に少し貢献しなければいけないというように考えているんですけれども、生物多様性国家戦略2010を見ていて思うのは、個人の行動、個人の行動がどういうふうに保全をするパスにつながっているのかという視点がやっぱり少し欠けているんじゃないかなと。というのは、CO2に関しても廃棄物に関しても、たまたまこれは目の前にあるからわかるんですけれども、これには多分廃棄物とかリサイクルという観点がかなり内部化されて、主流化されていると思うんです。これはどういうふうに捨てるか、どういう素材でできているか、そういったことが、これは多分20年前だとだれも、あまりペットボトルが使われていないですけれども、これが出始めのころというのは、人々がこれをどういうふうに扱っていいのかとわからなかった。でも現在だと、ある程度きちんと理解できるようになっている。CO2に関して言っても、エコというキーワードを中心として、どういうふうにCO2を削減していくかということが人々の生活の中にかなり入り込んでいると思うんですけれども、生物多様性に関して言えば、まだまだそこまで至っていないんじゃないかなというのが、私自身の感想です。パスがなかなか見えにくいということ。これが企業につながってくると思います。
企業でビジネスリスクとオポチュニティの話が出てきました。いろいろなところで出てきますけれども、現時点では、やはりビジネスリスクの部分が大きいというような気がしております。特にリスクといっても、企業の自由な活動が規制を受けてしまう。土地利用であるとか資源の採取であるとか、そういった消極的なところのリスクが見えてくるような気がします。ところが、個人の行動と生物多様性の保全を結ぶパスというのがきちんとできてきて行動に現れるというようになってくると、企業にとってはオポチュニティが出てきます。認証という、認証というのはなかなかいろいろなものにありますけれども、それだけではなかなかプレミアムがつかなかったり、どの企業もきちんと行うようになればプレミアムがつかない部分もあるんですけれども、少なくとも人々がそういったものを選ぶようになる。原材料を採取する段階でオポチュニティになってくるんです。
さらにそういうことが進めば、リスクというのが規制をかけられることのリスク、それをいかに回避するかというふうに企業が行動するということではなくて、規制を順守することによって自分たちの企業の利潤がアップする、利益が上がるということで、ポーター仮説という有名なものがありますけれども、自動車の関係でよく出てきますけれども、規制を強化することによって国際的競争力をアップするというような、そういう視点にきちんとつながっていけばいいなというように感じております。企業と個人という重要なステークホルダーの2つが生物多様性にどのようにかかわるべきかということが、疑いなくきちんと回っていくような形になれば、もう少し生物多様性の保護、保全というのが進んでいくのではないかなというように感じております。
もう1つ最後に、経済的視点なんですけれども、2010の方では、TEEBに協力するというような話が、たしか貢献するというような話があったと思うんですけれども、TEEBの、生態系と生物多様性の経済学ですけれども、TEEBの統合報告書が出て、世界的にいろいろと批判もあるし、よくまとめてくれたという意見も両方、賛否両論あると思うんですけれども、出てきた結論というのは、やはり費用とか便益であるとか、そういう経済的な価値であるとか、それを活かして政策を行っていく、生態系サービスへの支払いといったようなもの、そういったものに対してもう少し光が当てられたということがあると思います。こういう経済的な視点、それを活かした政策、経済的手法も、もう少し生物多様性の中に活かされてきていいのではないかなというふうに感じております。先ほど来、地熱発電であるとか風力発電、これを国立公園内でどうするかという話が出てきておりますけれども、この中にも、例えばオフセットという観点を使って、もちろん全く開発してはいけない部分に地熱発電をつくるとかどうかという議論はあると思いますけれども、こういったところを突破口にして、必要不可欠なエネルギー政策と、それと自然保護ということを両立させるためにオフセットであるとか、オフセットをさらに進めてノー・ネット・ロスだけじゃなくて、ネット・ポジティブ・ゲインの方に持っていくといったような観点があってもいいのではないかなと思います。そのためにも、保護に要するコストであるとか、便益であるとか、コストと便益の間には効果もありますけれども、そういったものをきちんと明確化していって、どこをきちんと保護していくのか、何を保護するのかといったようなことを優先順位をしっかりつけていくということが大事ではないかと思います。
あとキーワードなんですけれども、やはり放射能汚染の問題と、それと生態系サービスの損失の問題をどういうふうに位置付けていくかということも必要な点であると思いますし、あと環境倫理の視点というのもあまり出てきていないなと。生物多様性を保護するというときには生命倫理の問題であるとかそういった点も出てくるので、ぜひきちんと加えていってほしいという観点。
もう1つ、気候変動の話の中では、最近どうもヨーロッパなどの論調を見ていても、適応の話がかなりたくさん出てきているように思います。ミティゲーションの話が国際交渉が先送りされたりいろいろな問題があるので、適応をどうしていくか。特にこの生物多様性の問題というのは地球温暖化による影響というのが非常に大きく、第4の、4つ目の大きな危機として取り上げられていることもあって、適応に関してどのように今後研究を進めていったり、これを回避するような仕組みをつくっていくのかということをもう少し強調してもいいのではないかなという気がしております。
少し長くなりましたが、これで私の意見を終わりにします。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 鷲谷委員、お願いします。

【鷲谷委員】 現在の国全体の政策の中では、震災からの復旧・復興が極めて重要な位置を占めていますが、防災のニーズに対しては、防潮堤のような構造物で対応することが当たり前のこととして、地元では堤防の高さなどに議論が集中しているらしいことがマスコミの報道から伺われますが、それが事実であるらしいことは岩手県の本日のお話からも明らかでした。堅い構造物を海と陸の境界につくることは、生物の保全と持続可能な利用という目的とは鋭く対立、矛盾することでもあります。海の生物多様性にも陸域の生物多様性にも、かなりインパクトがあるからです。そういうことについての理解は世界的には広がっていて、むしろ生物多様性を保全し、持続可能な形で利用する空間を緩衝空間として防災ニーズに対応するということが主流になりつつあるように思います。構造物による対応は、むしろ副次的なものとして捉えられるようになりつつあるのではないかと思うのですが、ちょっと日本での今の対応については、世界的に見ると少し特殊なような印象を受けます。そういう構造物というのは経済的なコストが大きいだけではなく、今申し上げましたように、環境コストが甚大ですし、それから恒久的ではあり得ないので、維持コストもかかります。人口減少、高齢化がこれから急速に進む地域社会が、その負担に耐えられるかどうかという問題もあると思うんです。それで、やはり生物多様性保全と持続可能な利用の観点から見て、妥当で合理的な対策ということを考えることは、サステナビリティという点から見ても、地域のサステナビリティという点から見ても、意義の大きい防災のあり方ではないかと思いますので、理念になってしまうかもしれませんが、そのような考え方を戦略に記すということはとても重要なことではないかと思います。

【武内委員長】 よろしいですか。
 それでは、吉田正人委員。

【吉田(正)委員】 前半すみません。どうしても抜けられない用事がありまして失礼いたしました。
 私の意見は、この論点の@とAに関係するかと思うんですけれども、発表された方々のご意見の中にも、もう少し数値目標をきちっと入れてチェックしていくべきであるというそういうご意見があったかと思います。それにはある程度、どういったものが保全対象なのかということがアイデンティファイされていないといけないと思うんですけれども、資料3−1として配っていただいたEU、あるいはヨーロッパの各国の生物多様性戦略というもの、COP10以降につくられたものにはかなり、例えばEUのものですとNatura2000のネットワークを完全に仕上げていくとか、あるいはイギリスなどについても劣化した生態系の15%を再生していくとか、愛知目標に従った、かなり具体的な目標が掲げられております。ここで私がちょっと、どなたも触れられていなかったので注意喚起をしたいなと思いますのは、生物多様性条約の中で、国家戦略というのは第6条に基づいてつくられているわけです。「保全及び持続可能な利用のための一般的措置」というので、「締約国は生物多様性の保全及び持続可能な利用目的とする国家的な戦略もしくは計画を作成し」というように書かれております。皆様のお手元で、国家戦略2010をお持ちの方は、328ページに載っているわけなんですが、実はもう1つ大事なのは、その次の第7条に書いてある、「特定及び監視」、ここには「締約国は、可能な限り、かつ、適当な場合には」という非常にちょっと弱める言葉がついてしまっているんですけれども、具体的に、保全上重要な地域とか生物種とか、そういったものをアイデンティファイし、それをモニタリングしていくということが書かれておりまして、附属書というものがついております。附属書は、その後ろの方の336ページについているんですけれども、日本はモニタリングということに関しては72年の自然環境保全基礎調査以来、モニタリングの長い歴史というのはあるわけですし、それからレッドデータブックというのも今きちっとつくってきているわけで、それに関しては海のものをきちっとつくるようにというそういうご指摘もあったかと思うんですけれども、ただ、この附属書1で見ますと、今、我が国がつくっているものはこのすべてではないのではないか、この一部に過ぎないのではないかと思うんです。脅威にさらされている生物種のようなリストは確かにつくっている。しかし、例えば生態系及び生息地というようなところで、高い多様性を有する地域とか、固有の、もしくは脅威にさらされた種を多く有する地域、原生的な地域、移動性の種が必要とする地域、あるいは先ほどからいろいろ議論がありました社会的・経済的・文化的・科学的なもので代表的なものとか、そういったいろいろあって、実はこういったもののアイデンティフィケーションというのはできていないんではないか。こういったリストができていないということになりますと、先ほど私が申し上げた数値目標を決めてどこまで行ったか、達成できたかということをチェックするということさえできないわけで、この条項というのは、実は私も生物多様性条約ができる1991年、92年の政府間交渉の中で非常に弱められてしまった部分で、本来はグローバルリスト、保全のためのグローバルリストをつくるという条項もあったんですけれども、そういった条項が削られてしまったことで、非常に忸怩たる思いはあるんですが、その加盟国の中で、やはり積極的な国がこれをきちっと進めていかないと、加盟国全体の中できちっと国家戦略もモニタリングし、達成度をチェックしていくということはできないのではないかと思うんです。そういった面で我が国は、第6条でつくっている国家戦略自体については、何度も改定してということで非常に褒められているところでもあるわけですから、第7条のこのアイデンティフィケーション、モニタリングに関しても、もっと先導的に重要な地域のリストアップ、そしてそれがきちっと保護地域化できていっているかどうかということのチェック、それをやっていくべきだと思います。今日のお話の中では、コンサベーション・インターナショナルからKBAなどの資料も出されておりますけれど、こういったことを国でもきちっとやって、達成度をチェックしていくということが必要なんではないかと思っております。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 では、佐藤委員、お願いします。

【佐藤委員】 1番と3番なんですけど、先ほど経済の問題が大変出たんですが、例えばCSRで今日、味の素さんがご発表になりましたけれど、何年か前だったら、CSRの話の中に、生物多様性という言葉は出てこなかったのではないかと思うんです。そういう意味では非常に進んでいますし、企業がやっぱりかかわっていける突破口が少しずつ開けているんじゃないかなと思いますので、ぜひ今度の文には、経済としてどう、産業としてどういうふうに取り組むかという話を入れていった方がいいんじゃないかと。それでまたすごく弾みがつくのではないかと思いますので、そういう点を1つ入れていただきたいということと、もう1つは、3なんですけれども、文部科学省からのお話もありましたけれども、人類の生存や繁栄にとって大事だから、暮らしにというふうに言っているんですが、実際問題は、教科書で知識として教えるというやっぱりパターンになっていると思うんです。でも、私、実は鷲谷先生に四国に連れて行っていただいてご一緒した時にいろいろなことを教えていただいたんです。現場でそういう課題をいっぱい聞くと、本当にもう忘れないんです。でも、多分教科書で幾ら聞いても忘れてしまうので、例えば観光バスなんかのようなツアーだって、エコの話は絶対できるわけですから、いろいろなところに生物多様性の大事さというのを現場で体験できるようなプログラムをもっともっと入れていくということ、そういうのはこれから十分できることなのではないかと思いますので、そういうこともアイデアとしていろいろ盛り込んでいただければいいというふうに思います。

【武内委員長】 ありがとうございます。
 大久保委員、お願いします。

【大久保委員】 経済界の立場として、今日は産業活動、5つの分野から非常におもしろくて良かったなと思って勉強になりました。生物多様性の主流化といいましても、こういう日々の生業といいますか、経済活動と結びつかないで、ぽんと離れたところにある生物多様性というのはあり得ないわけで、本当に主流化するということは、やはりエコノミーとエコロジーを両立させるという、そこをどうするかという観点が非常に重要だと私ども思っております。そのあたりをぜひ書き込んでいただきたいなということでございます。
今、私どもの経団連の中では、例の民間参画パートナーシップというのがCOP10の中で設立されまして、現在ほぼ500団体にまで到達してきております。我々としては、何とかもう1桁上げて1,000団体まで持っていきたいとは思っているんですけれども、それで今日発表がありました味の素さんとか損保ジャパンさんというのは、要するに超先進企業で、なかなかあそこまでは行けないんですけれども、それでもあれに近い活動、あれに近づこうと思って活動している企業というのは、私はもう100社近くになってきているなという感じは持っております。ですからこのあたりを、ぜひ勇気付けるといいますか、方向性としてそういう方向、企業活動という本来はある意味じゃあエコノミーとエコロジーというのはトレードオフの関係にある、相対立する面もある、これを両方両立させるということがもう非常に重要なんだという点をぜひポイントに置いていただきたいと、これが1点。
もう1点は、そうはいっても生業の中じゃもう成り立っていかない問題、要するに金にならない活動というのは生物多様性問題についてはたくさんあるわけで、その時に、今日発表があったたくさんのNGOとの共同ワークといいますか、それが非常に大切で、そのときに、やはり資金メカニズムの問題というのがポイントになってくるなという感じがしております。それで、経団連でも非常にささやかでありますけども、NGOを支援する資金という、ファンドというのを持っているわけですけれども、そういうNGOと高ワーク、高オペレーションをやっていく、これをどう評価していくのか、やっぱり一番もう僕は役に立つというか、具体的で、素早くやってくれるのはもうNGOだと思っておりますので、彼らにいろいろな形で資金的な支援をしていくシステムを、日本としてはどう組み立てていくのか、現状はどの程度あるのか、その辺を書き込んでいただければと思います。この2点です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 磯部委員。

【磯部(雅)委員】 3点あります。1点は、何回も委員からも出ましたけれども、今日発表でも出てきた生物多様性という言葉が難しくて理解しにくいという件で、それについてしっかり書きましょうというご意見には私は大賛成であります。加えて、極端に言うと、表紙に生物多様性国家戦略と書くだけじゃなくて、副題をつけるとかいうところまで考えてもいいのではないかと。前回の生物多様性をつくるときにもヒアリングをやって、滋賀県知事がやはり「私の県では生物多様性という言葉は使いません」と明確におっしゃったと思います。やっぱりそれぐらいの言葉で、どうも、頑張ってみたけど、まだ浸透はもう一つだというのが実情ではないかと。そういう意味では、極端に言えば副題までつけてもいいのではないかと私は、わかりやすい副題をつけてもいいのではないかというふうに思います。
 2点目は、静岡県知事さんがお話くださったものを、私なりに偏見を持って解釈すると、1つは畏敬という言葉で環境と防災を、この2つのものを消化しなくてはいけませんということをおっしゃったのではないかというふうにも捉えられるのではないかと思います。今まで意見も出ましたけど、特に3.11の地震津波があって、地域の復旧・復興をするそのときに、防災と環境をどう調和していくかというのが非常に大きなテーマになってくるのは間違いないわけで、それをもちろんコンフリクトがあるのは間違いないこと、あるんだと思いますけれど、それを何とか調和した格好で消化しなさいという意味だったのかなという気がしています。それは私には、でも具体的にはどうしたらいいかわからないので、具体的には、この中身を書く時、今でも書かれていますけど、環境のことだけではなくて、利用であるとか防災であるとかというような要素を、少なくともしっかり書き込むということで、あることをするときに、環境ではなくていろいろなことに関係していますということが明確に認識できるようにするということが大事ではないかというふうに私は思いますので、それぞれいろいろ書く時に、ちょっと広い視点である沿岸域の環境であれば利用もあるし、防災のこともあるしというようなことを書き込んでおくということがいいのではないかと思いました。
 3点目は、それも含めてやはり難しいので、環境教育が大事ですということだと思います。これは、静岡県知事さんも、100首、歌を集めたというようなことは、これは恐らく広く地域を復旧するための努力じゃないかというように思います。それから言うと、今日、文部科学省の方からもご説明があったわけですけれども、それも含めていろいろな、いわゆる環境教育という言葉に近いようなことの活動を具体的にいろいろ記述をして、いろいろな人が参考になるようにするということが大事で、環境に対する国民の理解をより深めていく、広げていくというところに力を、もっとページ数を割いてもいいのではないかという気がしました。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございます。
 それでは、あん委員。

【あん委員】 全体の構成を考える時には、やっぱりつながりとか連携がとっても重要なキーワードのような気がします。既におっしゃっている委員とダブりますが、やはり、それを考えていくのは、とりあえずいくつか考えているんですけど、欠かせてはいけないものという、不可欠であるものを考えると、やっぱり白山委員が言ったように、やっぱり省庁連携がとっても重要であって、横断的に戦略をつくっていく、各省庁はいろいろつくったり、政策、私は2007年から農林水産省の方でかかわってはいるんですけど、果たしてうまく連携されていくのかというプロセスにはややちょっと疑問を感じたりしていて、ぜひもうちょっと横断的なつくりに持っていけたらと思います。やっぱり霞が関の省庁連携だけではなく、そういった意味で、ナショナル、リージョナルとローカルのつながり、連携もとっても重要で、人材育成ということも含めていろいろ課題があるかと思いますが、そういう連携つながりもとっても重要だと思います。国がブループリントをつくるんですけど、実際それを実現、実行に移して実現させていくのは、これはローカルですから、そのつながりはとっても重要なのではないかと思います。
 既にかなり出ている意見ではあるんですが、やっぱり国土を考えると、陸で終わって、陸のみではなく、やっぱりナショナルテリトリーは200海里まであるということで、もっと陸と海をつながる、連携していくような国家戦略になれたらいいのではないかと思います。やっぱり気候変動と生物多様性連携、つながりをもうちょっと充実していくことが大事なのではないかと思います。それと、大久保委員がおっしゃったように、やっぱりエコノミーとエコロジーの連携をどこかで連携、つながりのわかりやすいところでキーワードとしてあってもいいのではないかと思います。
 以上です。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 今日はもう時間が過ぎておりますので、事務局からのレスポンスについては、今後の文章、資料等の中に反映をさせていただくということで今日はお許しをいただきたいと思います。
 また、ヒアリングの場でお聞きすることができなかったご質問等については、ペーパーを出していただいておりますので、それについて事務局で取りまとめとさせていただきたいと思います。
 なお、次回の小委員会では、素案骨子を検討することとしておりますが、これまでの議論の進捗状況を見てみますと、素案骨子の検討に先立ち、次期戦略の論点をしっかり議論する必要があるというように私、委員長として思いますので、できれば、次回はそうした素案骨子作成のための議論に集中するということにさせていただいて、大変恐縮ですけれども、委員会をもう一度数を増やして開催をさせていただければと思いますが、そのような方向でご了解いただけますでしょうか。若干日程的にタイトなので、場合によったら、ちょっと委員の皆さんのご都合とそぐわない日程になってしまうかもしれませんが、そのようなことで、小委員会をもう1回追加する方向で、事務局で調整をしていただくということにさせていただきたいと思います。
 意外とどうなるかと思った割には、そこそこの時間で終了することができて、大変良かったと思っております。皆様方の、特に今日のプレゼン後の質問の簡明さには今日は感動いたしましたので、今後もそのような習慣をぜひ育んでいただければありがたいと思います。
 それでは、事務局の方で何かございますか。

【渡邉自然環境局長】 朝早くから夕方まで、本当に丸一日ヒアリング、そしてそれを受けた議論を進めていただきましてありがとうございました。また、ヒアリングをご発表いただいた方で、まだ残っていただいている方もおります。ヒアリングで発表していただいた方にもお礼申し上げたいと思います。
今日一日を通じて、非常にさまざまな立場、さまざまなセクターの方から、いろいろなテーマにかかわって、例えば災害と生物多様性とか、文化の話とか、教育とか海も含めて、いろいろなテーマについて、それぞれの取組、あるいはご提案、あるいはこんな課題があるということをたくさんお聞きできたのではないかなと思います。今日のヒアリングの中でも企業、あるいは自治体の動きの中にも、すごく先駆的な動きが出てきていて、例えば黒松内のように、その動きが周辺の市町村にも広がってきているようなことが全国で少しずつ、各地で起きているということを私自身も実感をしています。こういう動きをぜひ今回の戦略を受けて活発化させる、全国に広げる、そしていろいろな取組が相互につながるようにしていく、いろいろな主体がつながり合うようにしていくということが、今回、戦略改定でも大切な課題じゃないかなと感じました。そのつなぐという意味で、具体的なテーマで各省連携、これまでもこの戦略づくりでそこはすごく力を入れなきゃということでやってきましたけれども、今まで以上に具体的なテーマで各省の連携というのをより強化できたらなと思います。国家戦略と地域戦略をつなげるということもありますし、企業やNGOや地域のコミュニティをつなぐというようなことも大切な課題かなというように受け止めました。今後、この審議会で戦略づくりを進めていきますけれども、今日いただいたようないろいろな立場の人からの意見をこの戦略づくりに反映させていくプロセス、開かれたプロセスというところも大事にしていけたらと思います。今日のヒアリングの結果、そして今のご議論も受けて、次回までに今回の改定で検討すべき主要な論点と、事務局の方でも整理をして、次回の小委員会で素案骨子の検討につながるような準備を事務局の方でもしていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 次回の日程等につきまして、事務局からさらに補足させていただきます。

【事務局】 次回の小委員会ですが、4月23日の月曜日の13時30分から17時まで、環境省の22階の第一会議室にて行いますので、ご出席をよろしくお願いいたします。これまでの会場とは異なりますのでご注意ください。
また小委員会の追加の開催日ということで、また日程調整ということで、来週の初めをめどに各委員にご連絡をさせていただきますのでよろしくお願いします。
なお、本日お配りした資料につきまして、郵送をご希望の委員の先生、封筒にお名前をお書きいただければ、後日事務局から郵送させていただきます。
本日は、長時間にわたりどうもありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 これにて散会とさせていただきます。