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■議事録一覧■


平成24年度 中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第1回)

議事録


1.日時

平成24年3月16日(金)9:00〜12:15

2.場所

TKP赤坂ツインタワーカンファレンスセンター7階 ホール7A

3.出席者(敬称略)

(委員長)
武内 和彦
(委員)
あん・まくどなるど 大久保尚武 小泉  透
櫻井 泰憲 下村 彰男 白幡洋三郎
白山 義久 辻本 哲郎 中村 太士
宮本 旬子 山岸  哲 吉田謙太郎
吉田 正人 鷲谷いづみ  
(環境省)
渡邊自然環境局長
上河原総務課長
塚本自然環境計画課長
奥田生物多様性地球戦略企画室長
牛場生物多様性施策推進室長
桂川国立公園課長
亀澤野生生物課長
宮澤鳥獣保護業務室長
関根外来生物対策室長
堀上自然ふれあい推進室長
奥山生物多様性センター長
(国土交通省)
総合政策局 青木環境政策課長
都市局公園緑地・景観課 梛野緑地環境室長
水管理・国土保全局河川環境課 高村河川環境保全調整官
下水道部 那須流域下水道計画調整官
港湾局国際・環境課 小池港湾環境政策室長
海岸・防災課 伊藤海岸・防災企画官
(農林水産省)
大臣官房 榎本環境政策課長
大友地球環境対策室長
(経済産業省)
製造産業局生物化学産業課 岡田事業環境整備室長

4.議事

【事務局】 おはようございます。定刻になりましたので、まだちょっとお見えになっていない先生方もいらっしゃいますが、ただいまから中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会第1回生物多様性国家戦略小委員会を開催します。
 本小委員会の委員につきましては、2月9日に開催されました中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会におきまして、武内合同部会長からご指名いただきました21名の方にお願いしております。委員名簿につきましては、お手元の資料の中にお配りさせていただいておりますが、本日は21名の委員のうち15名の方にご出席いただく予定となっております。
 次に、本日の資料につきまして確認をさせていただきます。資料はダブルクリップどめで大きく三つの束になっているかと思いますが、議事次第の裏面にあります資料一覧をご覧ください。
 まず、名簿と座席表をつけさせていただいております。その後、資料1、生物多様性国家戦略小委員会における検討の進め方について、参考資料として、前回2月9日の合同部会の議事要旨をつけております。
 二つ目の束が資料2ということで、関係省庁からの説明資料です。大きく四つございます。環境省、農林水産省、国土交通省、経済産業省の資料となっております。あと、資料一覧にはございませんが、一番最後に農林水産省の生物多様性戦略をつけさせていただいております。もし、資料の配付漏れ等がございましたら、事務局にお申しつけください。
 よろしいでしょうか。
 それでは、これよりの議事進行につきましては、武内委員長にお願いいたします。

【武内委員長】 皆さん、おはようございます。この小委員会が、国家戦略の見直しの実質的な審議をしていただく場ということになりますので、どうぞ闊達なご意見をいただきますよう、お願い申し上げます。
 それでは、小委員会の開催に当たりまして、最初に渡邊局長から一言ごあいさつをお願いいたします。

【渡邊自然環境局長】 おはようございます。自然環境局長の渡邊でございます。
 委員の皆様には、大変お忙しい中、そして朝早くからお集まりいただきまして、ありがとうございました。そしてまた、いろいろな場面で自然環境あるいは生物多様性ということに対しまして、いろいろな形でご指導いただいておりますことにお礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 今回で5回目となります、日本の生物多様性国家戦略の策定ということになりますが、その策定に向けまして、本日より、この小委員会での議論がスタートいたします。先月2月9日に開かれました自然環境・野生生物合同部会におきまして、国家戦略の改定の諮問を受けた最初の議論を行っていただいて、その上で、この小委員会の設置を決定していただいたところです。これからおよそ半年をかけて、人と自然の共生という長期ビジョンを掲げました愛知目標を達成するための日本のロードマップになるような、新しい生物多様性国家戦略を取りまとめていただけたらというふうに思います。そして、今年10月にインドのハイデラバードで開かれますCOP11の場で、新しい国家戦略の内容を世界にも伝えていきたいと考えています。
 ぜひ密度の濃い議論を進めていただけますように、事務局を務めます環境省といたしましても、関係各省と共同して努力をしていきたいと思いますので、委員の皆様から、ぜひ積極的なご意見、ご提案をいただきますよう、どうぞよろしくお願いします。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思います。
 最初の議題でございますが、生物多様性国家戦略小委員会における検討の進め方について、事務局から説明をお願いしいたします。

【奥田生物多様性地球戦略企画室長】 環境省の生物多様性地球戦略企画室長の奥田でございます。よろしくお願いします。お手元の資料1をご覧ください。
 生物多様性国家戦略の位置づけでございますけれども、ここに書いてあるとおり、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する国の基本的な計画として、生物多様性条約第6条及び平成20年に施行された生物多様性基本法に基づき策定することとされております。
 これまでの経緯でございますけれども、平成5年に日本が生物多様性条約を締結いたしまして、最初の国家戦略は平成7年に決定しております。その後、平成14年、19年と改定をそれぞれ実施しまして、その間に自然再生推進法ですとか、カルタヘナ議定書の国内担保法及び外来生物法等が制定されてきております。また、平成20年には生物多様性基本法が制定されまして、それまでは、この国家戦略というのは条約に基づく決定という位置づけだったものが、基本法の制定により、国内での法定計画ということになったわけでございます。このため、平成22年3月には、その基本法に基づく初めての国家戦略となる、生物多様性国家戦略2010の閣議決定がなされております。
 ただし、この生物多様性国家戦略2010というのは、その前の第三次国家戦略の構成、計画期間などの基本的骨格は維持しつつ、平成22年に生物多様性条約締約国会議COP10が開かれましたので、それに向けて実施すべき取組というものを視野に入れて、施策の充実を図るという方針のもとに策定されたものでございます。そして、平成22年10月に、ご承知のとおりCOP10が開催されて、生物多様性に関する2011年以降の世界目標となる愛知目標が採択されたわけでございます。
 愛知目標は、生物多様性条約全体、もしくはそれを超えた形でも、その多様性関係の取組を進めるための柔軟な枠組みとして位置づけられておりまして、各国の生物多様性の状況や取組の優先度等に応じて国別の目標を設定し、各国の生物多様性国家戦略の中に組み込んでいくということが求められております。このような背景のもと、我が国でも国家戦略の変更に向けた検討を開始するため、先ほど局長のほうから申し上げましたけれども、今年1月に中央環境審議会への諮問を行ったところでございます。
 今後、この小委員会での検討を進めて、10月にインドのハイデラバードで、名古屋の次の会議であるCOP11が開かれますので、その前の9月に閣議決定をして、COP11でその成果を報告するといったスケジュールでいきたいと思っております。
 ページをめくっていただきまして、国家戦略の変更に向けた今後の進め方でございます。今回の変更の背景としましては、現行の国家戦略の計画期間は、概ね平成24年度までということとなっております。これを受けて、この段階で改定を行いたいというのが一つ。それから、もう一つは先ほど申し上げた愛知目標、COP10で採択されたその目標において、2015年までに各締約国が効果的で参加型の改定生物多様性国家戦略及び行動計画を策定し、その政策手段として採用し、実施しているというものが個別目標の17に盛り込まれていること、また、COP10の成果を踏まえた改定が必要ということを背景にしまして、今回の変更を行いたいと考えております。
 ここでご議論いただく次期国家戦略の作業方針として、これは事務局側の一つの考えですけれども、三つ作業方針を提示させていただきます。
 一つは、愛知目標の達成に向けたロードマップというのが見えるようにしたいということ。それから二つ目は、各地方自治体が策定する生物多様性地域戦略が生物多様性基本法に基づいて、今、順次策定されていますけれども、その指針となるような事項を具体的に提示していきたいということ。また、これまでの国家戦略は大部にわたるものですから、これをわかりやすいもの、もしくは読みやすいものにして、より国民にとって身近なものにしたいというのが三つ目の方針でございます。
 続きまして3ページ目に移りまして、生物多様性国家戦略小委員会における検討についてご説明いたします。既に本日お集まりいただいていますけれども、この国家戦略の変更案の検討は、2月に開催された中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会において、武内合同部会長に指名いただいた21名の委員により進めていくということにさせていただいております。
 なお、今回の検討に当たっては、合同部会の委員ではないですが、環境経済の分野から長崎大学大学院の吉田謙太郎委員、それからIUCN日本委員会、これはかなりさまざまな国内のNGOが集まっている国際NGOの日本の窓口の団体ですけれども、その会長でおられる筑波大学大学院の吉田正人委員にもご参加をいただいているということでご紹介申し上げたいと思います。
 最後に、一番裏のページになりますけれども、4ページ目、今後の変更に係るスケジュールでございます。今日、第1回の委員会を開催ということで、今後4月に2回、5月に2回、それぞれ非常にタイトなスケジュールでございますけれども、小委員会を開催させていただいて次期国家戦略の案を検討し、それで1カ月程度、ここで素案が確定したらパブリックコメントを6月もしくは7月にさせていただいて、結果を整理して8月に合同部会のほうに戻して、そこで検討して答申をいただきたいと考えております。そして、できれば9月中に閣議決定をしたいと考えております。
 COP11においては、愛知目標の達成に向けた我が国のロードマップとなる、この次期国家戦略を報告する機会が得られればと思っていますので、よろしくお願いいたします。
 私のほうからの説明は以上でございます。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 今のこれからの進め方について、何かご質問あるいはご意見ございましたらお願いしたいと思いますが。
 どうぞ、鷲谷委員。

【鷲谷委員】 今後の会議のときに資料として出していただけるのかどうかということなのですけれども、新戦略計画に基づいて、既にEUは去年の5月に戦略をつくっていますし、私はよく調べてないのですけれども、ほかに新戦略計画に基づいて戦略をつくっているところがありましたら、一応参考までに、英語のままで結構ですので、資料としていただけますと、日本はCOP10では大変重要な役割を果たして、今、この分野では、かなりプレゼンスが高いと思うのですけれども、それを維持するという観点から十分かどうかという検討も必要だと思いますので、そういう国際的動向がわかる資料をお願いします。
 それから、生物多様性地域戦略ですけれども、随分いろいろな地域でできていると思うのですが、その中にはおそらく、かなり優れたものもあって、そういうグッドプラクティスのようなものを、足を引っ張るのではなくて、それを広く全国に広げていくという観点から、生物多様性地域戦略に関しても、できたもの、できつつあるものについての資料をお願いできればありがたいです。
 ちょっとスケジュールを見ますと、そういう議論をする時間はないかもしれませんけれども、そういうものがあれば、参考にしながら検討させていただけるのではないかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。大変大事な点だと思います。やはりCOP11に向けて、国際的な視野で、これが日本の国家戦略としてどうかということだけではなくて、世界に対してどういう貢献ができるかという観点が重要だということと、それからもう一つは、今度のIPBESでも言われていますけれど、ローカルなところから議論をしていくというのが生物多様性では非常に重要なことで、そういう意味で、国の計画と地域の計画との、単なる空間的な階層の違いだけではなくて、どうやってうまく、それぞれ地域の考え方を、国のレベルにむしろ上げていくのかという、あるいはその両方をどう関係づけていくのかという課題だと思いますので、その点に十分配慮してやっていただければと思います。
 ほかに。
(なし)

【武内委員長】 よろしいですか。
 それでは、次の議題に移らせていただきたいと思います。
 各省施策に関するヒアリングということでございまして、本日は環境省、農林水産省、国土交通省、経済産業省の4省のヒアリングを実施させていただきたいと思います。
 ヒアリングについては、まず環境省から30分程度、施策の実施状況等についてご説明をいただきまして、その後、委員からの質疑、意見交換の時間を10分程度設けさせていただきます。その後、農林水産省、国土交通省、経済産業省の順に説明と質疑、意見交換を行っていきたいと思います。各省ヒアリング終了後に、各省の方々にも加わっていただき、これは時間があればということですが、全体での意見交換を行いたいと思います。
 それではまず、環境省から説明をお願いいたします。

【奥田生物多様性地球戦略企画室長】 それでは、再び、私から、環境省の説明をさせていただきたいと思います。
 環境省は、ご承知のとおり、国家戦略の取りまとめ省庁にもなっておりますので、国家戦略自体は政府全体ですけれども、その辺を視野に入れながら、環境省としての考え方、もしくは整理をご説明していきたいと思っております。
 資料2−1でございます。そちらのほうを、大部にわたりますが、ご覧になって、ご参考にしていただければと思います。
 まず、基本的に基本戦略から見た生物多様性をめぐる現状というものについて整理したのが今回の資料でございます。生物多様性国家戦略2010に、実は4つの基本戦略というものが掲げられてございます。これごとに主要施策の概要を説明していきたいと思っております。また、関連する自然環境や社会経済の状況を示すデータ等をお示しして、各基本戦略の分野の現状や課題をご説明させていただきます。
 傍聴の方には申し訳ないのですけれども、資料は白黒となっており見にくい点をあらかじめお詫び申し上げておきたいと思います。
 それでは、最初のページをご覧ください。これは、生物多様性国家戦略2010、現行戦略の構造でございます。
 現行の生物多様性国家戦略は、平成22年3月に閣議決定しておりますけれども、大きくは戦略に当たる第1部と、行動計画に当たる第2部から構成されております。第1部では、2050年までの中長期目標として生物多様性の状況を現状以上に豊かなものにするということが掲げられてございます。2020年までの短期目標としては、生物多様性の損失を止めるために、生物多様性の分析・把握と保全、2番目に持続可能な利用、そして3番目に生物多様性の主流化というものを掲げております。概ね平成24年までの間に重点的に取り組むべき施策の方向性として、4つの基本戦略というのを掲げてございますので、次に、この基本戦略ごとの主要施策の概要と現状を説明したいと思います。
 それでは、2ページ目をご覧ください。生物多様性の社会への浸透に関する主要施策でございます。
 2010年は国連が定める国際生物多様性年に当たりまして、我が国では、ご承知のとおり、名古屋でCOP10が開催されるなど、生物多様性にとっては非常に重要な年であったと言えると思います。このため、さまざまな関係者によるパートナーシップの場として、国際生物多様性年国内委員会、通称「地球いきもの委員会」というものを設置しまして、記念イベントやグリーンウェイブ等の各種イベントを実施いたしました。また、2011年からの20年までの10年間を「国連生物多様性の10年」とすることが国連で決定されたことを受けて、地球いきもの委員会を改組して、昨年9月、国連生物多様性の10年日本委員会を設立しています。
 さらに、多様な主体の連携による生物多様性の保全活動を促進するという観点から、市町村が地域連携保全活動計画を作成したり、また同計画に基づく行為については自然公園法の許可を受けなくてもよいといったものを特例措置として定めました生物多様性地域連携促進法というものが、平成22年10月に制定されて、昨年施行されているということでございます。
 生物多様性の保全と持続可能な利用を進めていくためには、地方公共団体、企業、市民の参画が必要かと思います。環境省としても、生物多様性地域戦略の策定の手引きですとか、民間参画ガイドラインといったものをつくって普及を図るなど、その取組を積極的に進めているところでございます。また、生物多様性地域戦略の策定については、10分の10の委託費を用意するなど、予算面でも自治体を支援するということを行ってきています。
 COP10で採択された愛知目標では、生物多様性の価値と行動の認識、もしくは生物多様性の価値を国と地方の計画に統合するといったことが個別目標とされております。生物多様性の主流化の必要性が強調されているわけでございまして、また一方で生物多様性の価値評価に向けた検討についても、環境省のほうで、現在進めているところでございます。
 それでは、3ページ目をご覧ください。こちらのほうでは、生物多様性問題の現状についてご説明させていただいております。これまでの国家戦略では、どちらかというと生物多様性に対する直接的な影響がある、第1から第3の危機と地球温暖化への危機への対応を強調してきた傾向がございます。ただし、平成19年に閣議決定が行われた第三次国家戦略以降、基本戦略の一つとして生物多様性の主流化というものに向けた取組について進めるということになってきております。ただし実際には、その生物多様性の保全に関する認識、行動というのは、まだ不十分であるということが、ここでも見られるかと思います。
 例えば、生物多様性の認知度に関しては、COP10を機会に高まったということが民間の調査などで示されており、COP10の行われた10月には、「生物多様性」を知っているという、言葉の認知度は80%にまで及んだという調査もございます。その値はEUとほぼ同じぐらいの状況になっていて、比べてもそれほど低いというようには見られないと思います。
 ただ、実際に新聞記事等を検索してみますと、関心の高まりというのは一時的なものであって、温暖化が現在どうかということと比べてみますと、やはり国民一人一人の問題として認識されるまでには、まだ至っていないのではないかと思われます。この点について、企業や消費者に対する調査でも、同様の傾向が推測されるところでございます。
 また、審議会でもたびたび指摘されていますけれども、自然とのふれあいの機会が減っていることが非常に問題だと言われております。例えば、平成21年度の調査では、海や川で泳いだことがある子どもは7割であって、10年前と比べると2割も減少しているということで、自然というものが豊かさと厳しさの二面を持っており、それと共生していかなければいけないということを考える上でも、将来を担う子どもは非常に重要な主体であって、子どもたちの自然体験、環境学習の充実というのも今後の課題かと思います。
 それでは、次に4ページ目の里地里山の保全というページをご覧ください。
 これは基本戦略の2番目の「地域における人と自然との関係を再構築する」というところにかかる考えかと思います。里地里山などにおける人間活動の縮小による危機として、第2の危機というものを国家戦略では示してきておりましたが、このうち、里山については、平成22年の9月に里地里山保全活用行動計画というものを策定するなど、ボトムアップ型の取組を国内で進めております。
 具体的には、里地里山を共有の資源として多様な主体の参加による保全活用が全国的に展開されるための、その手法ですとか、もしくは地方公共団体や個別の活動団体が保全活用を促進するために、どんな手法が有効かということについて検討すると、そういったものの検討について支援を行っているところでございます。
 このような中、先ほども少し申し上げましたけれども、昨年10月には生物多様性地域連携促進法というものが施行されまして、現在、十数の自治体において、多様な主体の参加により、里地里山を含めた地域連携保全活動行動計画の策定というのが進められていると承知しております。
 一方、以前、国土交通省の実施した推計でございますけれども、2050年までに、現在人が住んでいる居住地域のうち、どのぐらいが無居住地化するかという調査では、国土の4割を占める里地里山においても約2割が無居住地化するということで、里地里山の管理放棄が非常に進むおそれがあるかと思われます。このため、今後これらの地域では自然環境の劣化、荒廃が進んでしまうおそれがあり、国土全体の自然環境の保全という観点では、こうした地域の管理を含めて、国として今後の自然環境の維持・回復と、その活用に向けたビジョンを示していくという、国土レベルでのビジョンを示していくことも必要と考えております。
 それでは、5ページ目、6ページ目をご覧いただきたいと思います。5ページ目と6ページ目につきましては、野生生物の保護管理の施策でございます。
 この野生生物の保護管理に関しては、野生鳥獣の保護管理、絶滅のおそれのある野生動植物の保護など、従来から取り組んできた内容に加えて、近年は外来生物の問題や遺伝子組み換え生物による生物多様性への影響など、この政策分野の対象というのは広がってきていると思います。また、今後はCOP10で採択された名古屋議定書の締結に向けて、遺伝資源へのアクセスと、その衡平な利益の配分、ABSについても対応が必要と考えております。
 資料の左下になりますけれども、絶滅のおそれのある野生生物の保護については、平成23年度に国内の種の保全と、国内流通の管理双方の観点から、これまでの政策の点検を開始しております。
 右ページにスケジュールと概要を示してございますけれども、それぞれの点検会議で専門的な見地から、今後取り組んでいく課題や施策のあり方についてご提言をいただいたところでございます。本年3月を目処に、最終的な結果を公表する予定としております。
 続いて6ページ目には、分類群ごとの絶滅危惧種の数と鳥類の絶滅危惧種の減少要因を示してございます。減少要因としては、森林伐採、湿地開発、外来種の侵入・食害などがあげられておりますけれども、これも議論のご参考にしていただけたらと思っております。
 それでは、7ページをご覧ください。
 近年、人と野生鳥獣とのあつれきというものは拡大しており、これは非常に深刻な問題となってきております。例えば、ニホンジカの分布拡大について見てみますと、黄色が1978年での生息確認地でございます。オレンジ色が1978年と、それからさらにその25年後となる2003年、その両方の年で生息が確認されている場所を示しています。そして、最後に赤い色が、さらにその4年後から6年後に新たに最近生息が確認された地域を示してございます。
 これを見てもわかるとおり、生息域が年々非常に拡大して、近年は標高の高い地域や、これまで住んでいなかった場所へも生息域が急速に拡大している様子が見てとれるかと思います。また、ニホンジカの捕獲頭数も80年代後半から急激に増加して、2009年には約30万頭となっております。さらに、森林率と最大積雪深をもとにした分布拡大の可能性について簡易予測を行ったところ、東北などでは、一部の地域を除き、ほとんどの地域で分布拡大していく可能性が高いということが示されております。
 環境省では、長期的なビジョンに立った鳥獣の科学的、計画的な保護管理を促して、鳥獣保護行政の全般的ガイドラインとなるような、鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針というものをつくってございます。これに基づいて、鳥獣保護区の指定、被害防止のための捕獲及びその体制の整備、違法捕獲の防止等々の施策を総合的に推進してございます。また、平成23年9月には、この指針の見直しを行って、生物多様性保全や鳥獣の保護管理を推進する観点での取組強化の方針を示しております。
 一方で、1975年当時は50万人、全国で狩猟人口がいたというデータがありますけれども、2009年には、これが18万人にまで減少しております。高齢化が進んでいるのも事実かと思います。鳥獣保護管理の担い手の育成、確保を目的とした研修事業、もしくは鳥獣保護管理に関わる人材登録事業を実施しておりますけれども、野生鳥獣の保護管理については、社会全体の問題として一層の取組が必要ではないかと考えております。
 それでは、1枚めくっていただいて8ページ目をご覧ください。
 これは外来生物対策でございますけれども、ご承知のとおり、外来生物法に基づいて、特定外来生物が105種指定されております。これは、輸入や飼育、栽培、販売を規制するということ、もしくは防除を実施するということを行ってきておりますけれども、外来生物対策の一層の強化というのは、さらに必要かと思います。一方、我が国は多くの生きた動植物を大量に輸入しております。外来生物の対策をはじめ、生物多様性の問題を考えていく際には、海外への生物多様性の影響も含めて地球規模のつながりを認識して、この辺のあり方についても考えていくということが必要ではないかと思います。
 それでは9ページ目をご覧ください。こちらは、基本戦略の3番目に掲げております「森、里、海、川のつながりの確保」、その分野の施策についての説明資料でございます。
 自然環境保全に係る地域指定制度として、環境省の関連しているものでは、ここに書いてある自然環境保全地域、自然公園、種の保存法に基づく生息地等保護区、鳥獣保護区等々がございますけれども、これらを保護担保とした世界自然遺産の登録も進んでおります。右側のページに書いてございますけれども、これまで白神山地、屋久島、知床、小笠原諸島の4地域が世界自然遺産として登録されています。
 また、さらに同じユネスコの保護地域のプログラムとして、人間と生物圏計画、MABと呼ばれるプログラムがございますけれども、これに基づいて生物圏保護地域、バイオスフィア・リザーブと海外では呼ばれていますけれども、日本ではユネスコエコパークということで、今、この普及を図っております。このユネスコエコパークは、ドイツなどでは非常に広く認識されており、特にこの地域内での生産物に付加価値がついて取り引きされるなど、そういった効果もあらわれております。しかし、我が国は、まだ十分、こちらのほうの活用ができてないという認識もありまして、この辺のさらなる普及というのも、もしくはこれを活用していくということも必要と考えております。
 次の10ページ目には、前のページにもあったような、国立公園・国定公園がどこに配置されているかというところを示してあります。若干見にくいかもしれませんが、実際には脊梁山脈の中心、国土の14%以上の面積を国立・国定公園はカバーしております。生物多様性の保全に大きく寄与していると思いますけれども、ここに示した重要地域と、これとのギャップを分析しながら、平成22年には、国立・国定公園の総点検事業というものの成果として、新たに指定する地域や拡張を行う候補地というものをCOP10の前に公表しております。奄美群島ですとか、沖縄県のやんばる地域などについては、指定に向けた取組を進めていくということになっております。
 それでは、ちょっと駆け足で申し訳ないですが、11ページ目をご覧ください。
 自然再生に向けた取組は全国で進められておりまして、現在、自然再生推進法に基づく協議会が全国で23カ所設置されておりますほか、法定協議会以外の取組も進んでいます。また、阿蘇のように、さまざまな主体の協働による自然再生そのものの取組が行われているほか、募金や環境学習などの取組も広がりを持ってきております。
 一方で、現行の国家戦略では、100年先を見通した国土のグランドデザインを示していますけれども、その中では、過去100年間に破壊した国土の生態系を人口減少に向かう次の100年をかけて回復するということを目標に掲げています。ただし、現在、自然再生に向けた取組は、それぞれ個別には進められていますけれども、戦略にあるグランドデザインを実現していくためには、点的に個別にやっていくということだけではなくて、面的に取り組んでいく、もしくは国土的な視点を持ってダイナミックな動きへとシフトしていくことが必要かと考えております。
 続きまして12ページ目をご覧ください。こちらは、海洋の生物多様性です。
 次期国家戦略では、海洋というのは非常に重要なテーマになると考えております。資料の左側、海洋生物多様性に係る主な経緯を示しています。82年の国連海洋法条約の採択以降、ここに書いてあるとおりいろいろなことが行われておりますけれども、環境省でも、昨年3月に海洋生物多様性保全戦略を策定しております。また、海洋保護区については、ご承知のとおり、2012年までに代表的な海洋保護区ネットワークを構築するという国際目標が設定されていますけれども、そういった世界的な海洋保護区ネットワークというのは、構築には至っていないかと思います。
 また、GBO3(地球規模生物多様性概況第3版)というアセスメントによると、全海域の0.5%、領域の5.9%が海洋保護区となっているということが示されています。また、我が国の海洋保護区、特に既存制度によるカバー率は、そういう重要海域の、全体の海域のうち8.3%という計算が出ておりますけれども、愛知目標では、海洋保護区の面積というのは10%まで広げようという目標が定められておりまして、ここにはもう少し努力が必要ということかと思います。
 それでは、13ページ目をご覧ください。これは現行戦略の4つ目の基本戦略である、「地球規模の視野を持った行動」についての説明資料でございます。
 生物多様性に関する国際プログラムを左側に整理してございます。左側に情報や保全事業について、それから右側に、生物多様性の社会への主流化や資金メカニズムのプログラムについての説明という分け方をしてございますけれども、青い色をつけたところが、主に基盤とか情報のデータ、ピンク色が生物多様性に関する総合評価、緑色が具体的な保全プログラム、グレーが機関や組織、黄色がネットワーク、イニシアティブや資金メカニズムといった、こういう色分けをしたチャートをつくってございます。
 この図を見ても明らかなように、それぞれが非常に複雑に関連して、なかなかクリアに整理するのは難しいかと思います。ただ、そういう意味では生物多様性条約でも、これらのプログラムを調整する機能を持ち得ているとは言えず、こうしたプログラムの整理と調整をどう図っていくかは今後の大きな課題かと思います。
 14ページ目には、前のページの用語の中にはわかりにくいものもあったので、つけさせていただいたものでございます。
 続いて15ページ目をご覧ください。こちらは、先ほど説明した中で、日本がかなり力を入れてやっていこうとする2つのプログラムについてご説明をさせていただいております。
 一つは、左側のSATOYAMAイニシアティブでございます。ここに書いてあるとおりでございますけれども、社会生態学的生産ランドスケープと呼ばれる、要するに持続可能な管理、自然資源の持続可能な管理・利用をしながら人と共生した社会をつくっていこうというもので、ついこの間、今週、この総会が開かれていましたが、全世界で117団体にまで参加が増えてきてございます。また、右側のIPBES、生物多様性版IPCCの設立に向けても、この4月におそらく大体の方針が決まるかと思われますけれども、右側に書いてあるような枠組みの中で、世界での議論が進められております。こうしたところに、我が国としても積極的に取り組んでいくということが必要かと思います。
 続きまして16ページ目をご覧ください。こちらは科学的基盤の強化とも関連しますけれども、生物多様性の現状を評価していくというもので、生物多様性総合評価について説明してございます。
 平成22年5月には、生物多様性総合評価検討委員会が我が国の多様性の影響を評価して結果を公表しております。JBO(生物多様性総合評価)として公表していますけれども、ここでは、我が国の生物多様性の損失がすべての生態系に及んでおり、現在も損失が続いているということで結論づけられております。
 また、生物多様性条約に基づいて設定された2010年目標、前の目標ですけれども、我が国における達成状況についても、右側の表で評価してございます。自然生息地の損失と劣化の速度の減少ですとか、汚染による生物多様性への影響の軽減については一定程度達成されているものの、それ以外はほとんど達成が不十分、もしくは達成されていないという結論になっております。特に、遺伝的多様性の保全や持続可能な利用及び消費、気候変動への適応については達成されていないと結論づけられており、次期国家戦略でも重要な課題の1つとなろうかと思います。
 それでは、17ページ目をご覧ください。環境省では、1973年から自然環境保全基礎調査、緑の国勢調査を実施してきております。また2003年からは、モニタリングサイト1000に着手しました。現行国家戦略の実施状況の点検を行いましたけれども、これに対して前回の部会でのご意見でも、長期間継続したモニタリングというものは生物多様性の変化を明らかにするためにも非常に重要だという点、そしてまたモニタリングは同じことを続けていくことに意味があるといったご意見もいただいており、これらの調査を継続して実施していくということが極めて重要と考えております。
 また、データはそれぞれが、いろいろな主体が整備していますけれども、なかなか相互に利用ができないといった問題があったり、効果的に活用できないといったような問題も指摘されております。このため、いくつかのさまざまな主体との間の連携によって、データの収集、提供、共有等を進めていくことや、このようなデータを活用して、前のページにあったような、生物多様性総合評価を実施していくということも重要かと思います。また、今後は放射性物質による生態系への影響の把握というのも課題かと思います。
 それでは18ページ目をご覧ください。こちらは、地球規模のつながりを意識した広域的な視点でございますけれども、資料の左側では、主な渡り鳥のルートを示しております。渡り鳥に関しては、これまでも2国間での取組は行われていますけれども、今後も国境を越えた取組というのは必要かと思います。また、こうした鳥類は、水田の害虫を補食したり、また、カモのように狩猟資源となっているものもありますけれども、逆に鳥インフルエンザ等の新しい感染症を運搬するといった側面もあり、その中には渡り鳥も含まれています。こういった視点で、これらの保全やモニタリング等の確認を国際的に協力しながらやっていくというのも必要ではないかと思っています。
 また、資料の右側は食料・木材・エネルギーの各資源の消費を示してございます。資源消費量の大きさによって国土面積を拡大、縮小したもので、これを見れば明らかなように、先進国は拡大し、途上国は縮小しているという状況がわかります。これらのことからも、地球規模でのつながりを認識して、広域的な視点を持った取組を我が国としても進めていかなければいけないということで、特に我が国は、海外の生物多様性に影響を与えているという点は多く指摘されているわけですが、この点を理解した上で、我が国として国内外でどういったことを、何ができるのかということを考えていく必要があろうかと思います。
 19ページ目をご覧ください。地球温暖化の危機について示しております。高山、サンゴ礁、島嶼など、脆弱な生態系に温暖化の影響が及んでいるということが懸念されております。
 左側は、地球温暖化によるブナの生育適地がどうなっていくかを示しております。本州の生育適地は大幅にどんどん縮小して、中国、四国、九州の大部分は暖温帯へ移行してしまうのではないかという意味で、国内でのブナ林が、特に本州で消失していってしまうのではないかという可能性があります。
 また資料右側では、チョウをはじめとした一部の生物では、既に分布の変化が確認されています。加えて、湖沼、河川における水温上昇ですとか水生生物への影響、海洋酸性化による海洋生物への影響も危惧されているところでありまして、この辺については十分な知見、情報を含めて、それに対する適応策を考えていく必要があろうかと思います。
 20ページ目ご覧ください。東日本大震災への取組についてご説明しています。震災復興の取組として、これまで被災ペットへの対応、それから自然環境モニタリング等を実施してきております。次期国家戦略では、こういった震災を踏まえた生物多様性の保全と持続可能な利用のあり方についても、重要な視点になってくると考えております。
 資料の右側は、三陸復興国立公園(仮称)の再編成の取組として、先般の中央環境審議会における答申の概要を示しております。国立公園の創設を核とした「グリーン復興」を基本理念として掲げまして、7つの具体的な取組を提示しております。そういう意味で、次期国家戦略では、自然が有する豊かさと厳しさの二面性を十分認識すること、生態系の回復能力、レジリエンスというものを活かしながら、国土全体の自然環境の質を高めていくこと、そういったことが重要な視点になってくると考えております。また、エネルギーと生物多様性の関係についても検討していくことが必要かと思います。
 21ページ目でございます。これは、4つの基本戦略ごとの課題と今後の方向性について、今ご説明をしたような中身を含めて、環境省としての考え方を示したものです。生物多様性の主流化の強化ですとか、鳥獣被害、里地里山の管理放棄の問題、今後の人口減少や高齢化といった、社会環境の変化も踏まえた今後の生物多様性関連施策の方向性を提示していくこと、さらには、COP10を機会とした国際的な取組の強化、温暖化の問題、自然環境データの整備と活用といった、ここに示したようなさまざまな課題がありますけれども、これらが今後の課題であり、次期国家戦略の検討に際して、ぜひご議論いただきたいところでございます。
 そして最後に、先ほど鷲谷委員からも生物多様性地域戦略についてのご指摘がありましたけれども、地域での取組等も重要であり、昨年から全国8カ所で地方座談会を開催しております。そこでは地域戦略の取組も発表されましたけれども、ここでのご意見を概要としてまとめてございます。これもご参考にしていただければと思います。
 若干長くなってしまいましたけれども、環境省の説明は以上でございます。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、質疑応答に入りたいと思いますが、ご質問、ご意見のある方は札を立てていただきたいと思います。回答のほうは一括ということでお願いいたします。

【辻本委員】 私、ちょっと午前中の会議がほかのところであるので、出られないと思っていましたが、朝早くの開催で少しだけ出られましたので、少し意見を述べたいと思います。
 隣の中村委員ともお話ししていたのですが、主流化ということが非常に大きな柱になっていますが、どうして主流化ができないのかというような観点からしますと、主流化、主流化と言うからできなくて、やはり、例えば、低炭素の問題とか環境の問題から見ても、低炭素の問題に比べて非常に非主流であるということの認識があると。これは、だからといって生物多様性の問題を頑固に進めることだけが主流化の道でなくて、やはり低炭素の問題とどのように関連しているか、温暖化の問題が少し、1つの圧力として書かれていましたけれども、そういう問題と関わると。
 ということは、何かというと、やはり持続性という視点の中で、もう1つ、その低炭素の、温暖化の問題もあるし、例えば人間活動としての資源の確保の問題もあるし、そういう総合的な観点の中で生物多様性をとらえるというような視点をしっかりやっていかないと、主流化に私はならないのではないかなというような気がします。そこが一番私の申し上げたかったことで、それは、今回の戦略を立てるに当たって、必ずしも環境省だけでなくて、農林水産省、国土交通省、経済産業省と連携しながらやっていく中で、多分、そういう視点の広がりということが大きな力になるかと思います。
 それからもう一つ、認識の問題で、世論が取り上げられていました。EUでも、なかなか生物多様性というのは、進んでいるようでも世論的には認識されていない。にもかかわらず、いろいろな取組が成功しているのかもしれない。これは、鷲谷委員が資料をという話がありましたけれども、それは、EUの仕組みの中にフレームワークをつくっていく、例えば、ディレクティブなどのフレームワークをつくっていくという、ある意味ではトップダウンのことも入っているんですね。だから、ボトムアップが大事なことはよくわかりますが、どんなフレームワーク、ディレクティブを生物多様性の中でもつくっていくのかという視点も、車の両輪みたいな形で、生物多様性の中で書き込むことを考えていかれたらいいのかなという気がしました。
 それが多分、空間的な階層性だけでなくて、武内委員長が言われましたけれども、いわゆる階層性の中の浸透、さっきのディレクティブというのは、まさにEUが指令を出すと末端まで資金も行くし、力も行くし、組織も行くというような、そういうある意味ではトップダウン的な力がうまく働くような仕組みをつくれたということが、世論はそういう意味ではついていかないけれども、何らかの取組の成功している例の中にあるということで、先ほどの階層性の問題も、そういう視点でとらえられたらいいんじゃないかと、そういう気がいたします。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 中村委員、お願いします。

【中村委員】 ありがとうございます。例の人口減少の問題を私は一番気にしています。4ページのところにあった、里山が放棄されていくという議論です。SATOYAMAイニシアティブというのを日本が世界に発信して、これについて日本は、ある意味、リーダーになっていると思いますが、その里山自体に急激に人がいなくなっていく。北海道の場合、特に極端に、あと数十年で半分ぐらいというのが道東なんかでも出てくると思います。そうした意味では、先ほど奥田さんはビジョンを示すというふうにおっしゃいましたが、多分非常に大変なビジョンで、ある意味、あるところは撤退しなければならなくなります。多分、野生動物の問題も関与してくると思うので、もう少しその辺のビジョンが、今の現状でも何か考えておられるのならば、キーになる内容を教えていただきたと思います。
 それからもう一つ、エネルギー問題との関連。CO2だけじゃなくて、原発の問題も含めて、エネルギーとの問題をある程度議論しなくていいのかなと思います。多様性の議論が、多様性だけできちんと議論できればいいですが、北海道も、例えば、地熱発電の問題だとか、国立公園内で出てきますよね。そういうのも含めて、エネルギーとの議論がこの中に書かれてなくていいのかなと思いました。
 以上です。

【武内委員長】 白山委員、お願いします。

【白山委員】 ありがとうございます。私もちょっと10時半ぐらいで中座させていただきますので、先に幾つかコメントさせていただきたいと思います。主に5つのコメントと質問をさせていただきたいと思っています。
 一つは、やはり国家戦略として何かをしようということになると、戦略を担う何らかの組織が必要だろうということで、環境省が全部でやるというのではなくて、やはり戦略室というのが当然あるわけですが、この中の全体で生物多様性センターというのがあるのですけれども、それの位置づけと役割があまり入っていない気がするんですね。せっかくある環境省の組織ですので、これをどう活用するかというのが、どこかに出てきてもいいんじゃないかということをコメントとしてさせていただきたいと思います。
 それから、中村先生もおっしゃったんですけれども、お話の中で、すべて温暖化という言葉で地球環境の変化を代表されていますが、例えば、フロンガスの問題であるとか、あるいはPCBのような問題とか、それから海洋の酸性化の問題とか、地球規模の環境の問題というのは、実は温暖化だけではないわけですね。それは温暖化という言葉では十分に表現されていないと思っておりまして、地球環境の変化ということなんですけれども、もうちょっと適切なワーディングをしていただいて、その中で地球規模の問題として、ほかの問題もきちっと取り上げていただきたいということをお願いしたいと思います。
 それから、海に関しましては、重要になってくるというご認識だということで、私は海の専門家なのでとてもありがたいと思いますが、海洋基本法に関連した海洋基本政策のほうが今、動こうとしておりますので、そちらと連携をしていただくということを十分に意識していただければありがたいと思っておりまして、海のことに関して非常にいろいろな省庁が関わることでございますけれども、少なくとも今の国家戦略では、農水省と環境省がほとんどで、それ以外の省庁の方の、戦略に関する具体的な施策がほとんどないという状況に近いような気がいたしまして、省庁連携をしっかりやってくださいというのと、あと、やはり総合海洋政策本部との連携をもう少し考えていただきたいということをお願いしたいと思います。
 それから、森・里・海の連環を考えるというようなことは、非常に大事ですけれども、具体的にどうするかということを考えたときに、視点としては流域単位で、どう物を考えるかという視点が欠けているような気がするんですね。流域単位で、地方行政と連携するということになると思いますけれども、全く違う流域で、こちらは森林を一生懸命保全して、別のところでは海域を保全するというのは、結局どちらもうまくいかないという結果になってしまうと思いますので、戦略的に流域単位での物の見方というのを、少し強調していただくとありがたいと思います。
 それから、すみません、資料を読んだだけで大変失礼ではございますけれども、これでちょっと失礼してしまうので、農林水産省と国土交通省と経済産業省の資料をちょっと読ませていただいて、それに関しても先走りますが、少しだけコメントさせていただきたいと思いますがよろしいでしょうか。

【武内委員長】 どうぞ。

【白山委員】 まず、農林水産省の取組は非常に意欲的で感銘を受けました。非常に戦略的に取り組もうとされていると思います。特に、これができたらすごいと思うことがいくつか書いてありまして、ぜひ実際に政策が実現できるようにお願いしたいと思います。
 それから、国土交通省の取組では、バラスト水等の海運の視点をもう少し入れていただけるとありがたいかなと。今のところ、施設とか、そういうことが多くて、海運と生物多様性との関係って、侵入種の問題とかで結構重要ですので、そこを少しお考えいただけるとありがたいと思います。
 それから経済産業省は、私は、やはり先ほど申し上げた地球環境の保全というのが一番重要で、エネルギー政策と生物多様性という視点は、中村先生がおっしゃったとおり、とても重要なので、そちらにつきましても少し踏み込んだ内容でご検討いただければありがたいと思いました。
 どうもありがとうございます。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 それでは、吉田正人委員、お願いします。

【吉田(正)委員】 ありがとうございます。吉田でございます。
 2点申し上げたいと思います。一つは、種の保存に関すること。もう一つは生息地及び保護地域ですね、そのことについて申し上げます。
 まず、環境省の資料5ページの、絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する点検については、私もメンバーの一人として意見を申し上げさせていただいてまいりましたので、多分、3月末の結果発表の後で取り組まれるだろうとは思いますけれども、そういった中で、多くの委員から出されていたのが、この我が国の絶滅のおそれのある野生生物の保護に関する法律は1992年に制定されて、その当時は、まだ開発等において絶滅のおそれのある、あるいは商取引によって絶滅のおそれのある、そういったものが視点として中心になっていたと思いますが、2002年の生物多様性国家戦略の改定で、第二の危機、第三の危機というような形で、そういった新たな、例えば、里地里山の縮小による危機だとか、そういったものが認識されてきたわけです。
 実際、レッドデータブックなんかを見ますと、里地里山のほうに絶滅危惧種がたくさんあるわけですね、植物とか昆虫とかが多いわけですけれども。そういったものに対して、今までの我が国の法律では規制的な手法、捕獲を規制するとか所持を規制するとか、そういったものでありましたので、十分対処できないのではないかと。
 例えば、イギリスの制度、あるいはアメリカやカナダの絶滅危惧種などで、環境スチュワードシップという形で、その絶滅危惧種に配慮するような農業形態、そういった産業の形態に関して補助していくとか、いろいろなインセンティブ、規制的な手法だけではなくて、奨励的な方法も必要ではないかということも議論されました。そういったことが、これから、この絶滅のおそれのある野生生物の保全政策の中では非常に重要ではないかと思いまして、これは環境省だけではできないので、農林水産省や国土交通省も含め、ぜひ、ここでできないところはここの制度で引き受けるというような形の連携が必要になってくると思います。
 それから、生息地、保護地域に関しては、かなり点検が進んで、10ページのところに国立公園・国定公園等については点検が進み、奄美・琉球諸島に関しては、今、保護地域化のほうも進められているところだと思いますが、これはIUCNのほうでは、保護地域をカテゴリー別に、例えば、どういうことを目的にしているのか、原生的な自然環境を守ろうというのか、あるいは人と自然の、この相互関係によって維持されてきたような、その文化的な景観のような農業景観だとか、そういった景観を維持しようというものなのか、そういったものによってカテゴリーを分けているわけです。そういった分析も、一度やってみる必要があるんじゃないかと。
 私は、どちらが重要というわけじゃなくて、両方重要だと思いますが、その分析が、陸地に関しては自然公園だけで14%以上占めていますから、愛知目標にもうちょっとで届くところだと思うんですけれども、ただその中身というのが重要なので、そういった分析は必要だと思います。
 また、先ほどのご説明の中で、海洋の保護ということが非常に重要だというご説明ありました。海洋生物多様性保全戦略の検討の中でも、海は8%、既に保護地域になっているという、そういうことが出されていますけれども、果たしてその8%という中身はどうなのかと。陸と同じように、どういった目的で設定されている保護地域を合わせると8%になっているのかという分析は十分でないと思います。
 そこは、捕獲せずに海洋生物を守ろうとしている場所なのか、それとも漁業をしながら持続可能な利用をしようとしている保護地域なのかと、そういった分析等もしないとこの愛知目標への適合というか、愛知目標を達成するということでは十分ではないのではないかなと思います。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 鷲谷委員、お願いします。

【鷲谷委員】 資料の21ページに今後の方向性で、基本戦略があげてありますが、その1の生物多様性を社会に浸透させるという基本戦略ですけれども、愛知目標でいえば、目標の一番最初に掲げられている、「遅くとも2020年までに生物多様性の価値と、それを保全し、持続可能に利用するために可能な行動を人々が認識する」というところとも対応する基本戦略だと思うのですが、ここに関して重要な、価値の認識をするに当たって、生物多様性リテラシーのようなものがないと、価値というのは認識できないと思うんですね。他の先進国と日本と比べて弱いのは、このあたりのところではないかという気がします。
 EUの新しい戦略、詳しくは検討しませんでしたけれども、ビジョンのところに生物多様性の「存在価値」という言葉が出てくるんですね。存在価値のようなものを価値として重視できるというのは、リテラシーがあってこそだと思うんですけれども、今の日本で存在価値ということを挙げても、なかなか理解はされないので、生態系サービスなど、利益が実感できるところから入るというのがいいと思いますが、この先の段階に進むに当たっては、やはり生物多様性に関するリテラシーの向上というのは欠かせないと思います。そのためには、生物多様性の要素についての認識の力というのを、国民全体で高めていかなければならないと思います。
 今、日本人にそれがないのはなぜかといえば、教育の中でそのことが、何十年になるかわかりませんけれども、欠けていたということだと思うんですね。自然史教育のようなものが、初等教育から高等教育に至るまで欠如していたために、多くの方が身近な植物を見ても、それがその風土にあるべき在来の植物なのか、外来種なのか、園芸植物なのかも区別できない。単に植物としかとらえられない人が、アンケートをとったりしたらどうなるかわかりませんけれども、おそらく国民の大半が、そういう状態であると、価値の認識というところからは、かなりまだ遠いので。
 もちろん教育の分野では、学習指導要領なども変わって、こういう自然史的な要素というのが、かなりこれから大きく捉えられるようになってきていますので、そういうことにもちょっと目を向けて、一番基盤になるリテラシーの部分にも言及していただくといいのではないかと思います。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 大久保委員、お願いします。

【大久保委員】 環境省に申し上げるのがいいのかどうか、ちょっとわかりませんけれども、全体をまとめているという意味で。
 経済界として考えたときに、なかなか結論が出ない問題、難しい問題なんですけれども、一つは、資源としての生物多様性という問題が、これからますます重要になってくるなという感じがしております。当然、企業活動あるいは人間が生活していくために、自然物を資源として使うというのは、これからますます増えますし、エネルギー問題でも、典型的なバイオマスその他、あるいは先ほどの地熱発電、そういうようなものを含めて、自然の破壊とトレードオフのような関係の問題が、これからますます出てくると。その中で、資源としての生物多様性への取組のようなことを、やはりきちっと取り上げていただけないかなと。持続可能な利用という観点は従来からあるわけですけれども、それをもうちょっと、一歩深める必要があるような気がしているということが1点目です。
 それから、もう一点は技術開発の問題ですが、企業としても、今の資源としての生物多様性ということとも関連があるんですが、やはり技術開発が将来の一つのキーになるなという感じがしているわけです。それで、それをどういう形で国家戦略として我々が取り組んでいくのかと。当然、企業が貢献できる一つの大きな面には、多分技術開発の面があると思いますが、そこのところを、単に生物資源を守るためとか、そういうことだけではなくて、広く言うと微生物、遺伝子ということにまで関わってくると思いますが、そういう形での、技術開発面での一つの方向性といいますか、あるいはスタンスといいますか、そのあたりにも、ぜひ踏み込んでいただけないかなというのが2点目です。
 それから3点目は、これはある意味ではもう取り組んでいただいていると思いますが、もう今、経済活動はグローバル、あらゆることがグローバルなわけで、一番最初に鷲谷先生からもございましたように、グローバルに考えざるを得ない。それで、例えば、認証制度の問題でございますとか、あるいはサプライチェーンの問題も、もう一企業だけではとてもじゃない、どうしようもない問題が山積しておりまして、この問題は後の経済産業省、その他とも密接に絡むんだと思いますが、そういう意味でグローバルな視点として、どういう点をとらまえないといけないのかというスタンス、その道筋を、ぜひさらに深めていただけたらと思います。
 この3点です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 山岸委員、お願いします。

【山岸委員】 ありがとうございます。私は、まず11ページの自然再生についてお伺いと意見を申し上げたいと思います。
 我が国の自然再生、どういうところをどういうようにやっていったらいいかというのを見ていくときに、ここに出ている資料というのは全国的にある協議会の資料ですよね。これで果たして把握できるのかどうか。その下に自然再生事業の対象地域とあって、これはトップダウンで、こういうところをやりたいという省としてのお考えがあると思うのですが、それとそういうものが、どういうように関係するのか。それ以外のものを今、把握されているのかどうかという質問も含めて。これが第一点です。
 第二点は、これは全部が終わってしまってから言うべきことなのかどうかわかりませんが、このヒアリングについてなんですが、先ほど鷲谷委員が言ったような問題は、前回の全体会議でも出た問題だと思うんですよね。特に、文部科学省が我が国の生物多様性をどう教育していくかというのを、僕は今日聞けるのかと思って期待したんですが、ないわけですか。そうすると、この予定を見ても、省庁のヒアリングは今日だけということになるので、文部科学省のお考えというのが聞けなくなってしまうので、ちょっと残念だなと。
 それからもう一つは、この国家戦略で国外に進んでいくときには、外務省も関係しているわけですが、そういう省庁のお考えというのはどういうふうに聞けるのかというのが二つ目。
 それから最後は、これは国家戦略の方向性には関係ないんですが、非常に小さいことで、これが変わったからどうということはないんですが、6ページなんですけれど、常々気にかかって、のどに刺さった魚の小骨のように気になってしようがないのが、この鳥類の野生絶滅の1種というのですが、これ多分、トキのことですよね。もしそうだとしたら、何でトキが野生絶滅に入るのか、僕はよくわかりません。キンが死んだ時に、そもそも絶滅してしまったんじゃないかと。その辺がいつまでも古い、22年3月でも、その状況はそうだったと思うのですが、いつまでもこうやっておいていいのかどうか、その辺のお考えも聞きたいと思います。
 以上です。

【武内委員長】 小泉委員、お願いします。

【小泉委員】 ありがとうございます。ニホンジカの被害の問題を扱っている立場から、一言申し上げさせていただきます。
 既に自然遺産を食いつぶしつつあるニホンジカですが、こういった動物を扱ってますと強く感じるのが、やはり第二の危機というのが非常に大きいということを感じます。この点、もう少し大きく取り上げていただきたいというように思います。
 第二の危機というのは、これは日本社会の問題であって、なおかつ国土政策の問題だと思います。単独の省では扱い切れない、むしろ省横断型のネットワークが必要な問題ではないかというように感じております。従いまして、里地里山というのが、単にボランティアで成立するのではなく、そういったものが認証されることによって、よりメリットを受けるような政策誘導といったようなものが必要なのではないかと考えております。
 SATOYAMAイニシアティブという考え方は、海外では、特に途上国を中心にして非常に高く評価されていると認識しております。これを提唱した日本が、もっとさまざまな里山のモデルをつくって世界に発信していくということが必要なのではないかと思います。生物多様性というのは、継続的な生物多様性の保全があって成り立つものであって、それは人間の経済活動と調和されて初めて実行されるものではないかと考えています。
 以上です。

【武内委員長】 吉田謙太郎委員、お願いします。

【吉田(謙)委員】 どうもありがとうございます。先ほどの鷲谷委員の存在価値のご発言にも非常に関わりがあるところですが、私も非常に強調したいと思っております。
 保護地域のことが出てきています。保護地域というのは、基本的に利用を禁止したときに、例えば、エコツーリズムとかそういった形で、見えるような形で価値は出てきませんが、保護をするということは非常に重要であると。経済学的に言うと、存在価値というのは利用を禁止したときにある価値のことを存在価値と言います。普通の商品というのは利用しているときに価値があるのですが、利用を禁止したときに残る価値というのが存在価値だと。ということを考えますと、生物多様性を保全する、保護地域をつくって保護するということは、見えないところの存在価値をどのように見える化していくかということが非常に大事な観点になってくると思いますので、そういったところですね。
 生態系サービスというのは、人間にとっての目に見える便益ですから、そこを明らかにしていくということは前回も行われて、非常に重要なのですが、ただ見えない価値をどういうように見える化して、主流化していくかということに関して、もう少し強調されるとありがたいと感じております。
 それともう一点ですが、あと、生物多様性国家戦略は、例えば、授業なんかで使っていても非常にわかりやすいのですが、わかりやすいところというのはどこかというと、危機のところが非常にわかりやすいんです。危機がわかりやすいのですが、じゃあそれをどうしていくのか、どう優先順位をつけて、どのように保護していくのかというところが、少し見えにくいような気がしております、個人的にですけれども。
 例えば、日本独特の固有種、長崎県でもツシマヤマネコですとか、あるいは最近私が調査しているやんばる地域のヤンバルテナガコガネとか、いろいろと絶滅の危機に瀕している種がたくさんいて、しかも非常に象徴的な種がたくさんありますが、そういった種を1種も今後絶滅させないように、きちんと戦略的に計画を立てて実行していくとか、そういったところがきちんと見えるような形になっていくと、非常にありがたいということ。
 それと最後になりますけれども、鳥獣被害のことです。鳥獣被害のことがクローズアップされていて、私も非常に大事だと思います。先ほどもご発言がいろいろとありましたけれども、鳥獣被害に省庁横断的に対策を立てていくということは非常に望ましいと思います。狩猟免許を持った方が非常に少なくなってきている、鳥獣の駆除もなかなかできない状況であると。
 ところが、私、いろいろと世界中を見ていきますと、絶滅危惧種であったり、特に大型のネコ科の動物なんかでも、鳥獣被害がクローズアップされることがあって、地元においては非常に危険であって、邪魔な生き物ですが、一般の人にとっては非常に重要であると。そこのコンフリクトをどうやって補償していくかといったことが、世界各国でいろいろと問題になっている。
 日本でも、カモシカは非常に重要な生き物だと思いますけれども、一部では鳥獣被害が出ている。ニホンザルも、例えば、旅行しているときに出てくると子どもたちは喜ぶけれども、地元の人にとっては非常に問題になって、駆除が行われている。そういったところは、経済の問題だけでもないですし、生物をどう保護するかということ、倫理の問題も非常に関わってきますので、こういった点に関しても今後検討が進んで、皆さんが納得のいく議論ができると非常にありがたいと考えております。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 かなり時間も超過していますので、いただいたご意見については今後の検討に反映するということでお許しいただいて、質問のところだけに限って回答をいただけますか。

【奥田生物多様性地球戦略企画室長】 それでは、個別の担当課のほうから説明すべきところもあろうかと思いますので、そこは個別にお願いしたいと思います。
 それでは、最初に中村委員のほうから人口減少についてのビジョンが今、何かあるかというお話でございますけれども、これについてはちょっと、ここではっきりとお答えできるようなものというのはまだできてございませんので、議論の中で、今後お答えをしていきたいと思っております。
 それから、山岸委員から、他省庁との関係ですけれども、実は今回だけでなくて、次回の前半も、今日ご発表いただけない省庁について、時間は短くなるかもしれませんけれども、ご発表いただくということで、またそのときに引き続きご議論をいただけるかと思います。
 では、残りのところについては、それぞれの担当課長からお願いします。

【塚本自然環境計画課長】 自然再生の協議会の話ですけれども、もちろんここにあげているのは、公式にというのですか、我々がお手伝いをしながらやっているところもありますが、そのほかのところも、いろいろと情報はもらっています。それも含めて全体が進むようにしていきたいと思っておりますので、また機会があれば、そういう資料も出していきたいと思います。

【亀澤野生生物課長】 山岸先生から、トキのレッドリスト上の扱いについてご質問をいただきました。過去5回の放鳥で、78羽を放鳥して、現在野生化が確認されているのは50羽近くおりますから、そういう状態で、いまだに野生絶滅でいいのかというようなお尋ねだと思いますが、この点に関しましては、レッドリストの見直しを24年度中に行うべく、今作業をしておりまして、その委員会の中でもご指摘をいただいておりますが、国際的にIUCNの基準もありますので、その中で野生復帰母体のカウントの考え方というのがありますから、それに照らして判断をしたいと思っております。その基準によりますと、野生下で産んだ子どもが繁殖年齢に達したときをもって、その親のほうをカウントするというような考え方があるようですので、これに照らしてトキがどうなのかというのを、今年度中の見直しの中で判断をしていきたいと思っております。
 そういう点でも、今度5月、6月にもまた13羽を放鳥すべく訓練中ですけれども、野生下でヒナがかえるということは、大変重要な鍵になってくるのかなと思っているところでございます。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 時間も大分超過しておりますので、次に移らせていただきたいと思います。
 それでは、農林水産省から説明をお願いいたします。

【榎本環境政策課長】 農林水産省の環境政策課長の榎本でございます。
 それでは、説明させていただきます。お手元に農林水産省の生物多様性戦略というペーパーを用意していますので、これに即して説明させていただきたいと思います。
 この戦略は、農林水産省の分野において、生物多様性保全を重視した農林水産政策を進めていく上での戦略ということで、平成19年、第1回目の戦略を定めまして、今般、2月に改定をいたしました。この内容に即しまして、重点的なところに触れながらご説明させていただきたいと思います。
 まず、1ページ目をおめくりいただきますと、生物多様性と農林水産業との関係ということでございます。農林水産業は、自然に働きかけて、その恵みを享受する社会生産活動でございます。我が国は各地の気候風土、いろいろなものがございますけれども、そういう中で多様な農林水産業が発展してまいりました。また、その営みを持続的なものに変えていくことを通じまして、地域ごとに生物多様性が育まれてきているわけでございます。
 また、この多様性戦略、農家の方々にもいろいろご理解いただくということもございまして、以下の説明を付け加えておりますけれども、生物多様性の保全を通じて享受する恵みといったようなものは、農林水産物そのものにとどまるものではないと。気候の安定、水の浄化、土壌形成、光合成、さまざまな生物多様性のサービスを通じまして、農林水産物の生産も安定してくる。また農山漁村、そこの景観・文化を形成することによって農山漁村に活力を与えていると。そして、これらが、ひいては国民経済の発展、健康でゆとりある国民生活の基盤となっていると。そういう基本的な考え方でまとめております。
 また、地域ごとにいろいろ特質がございますので、大きく分けて三つ。田園地域・里地里山、森林、あと里海・海洋、この3区分に分けて記述しております。
 そこに簡単ではございますが、田んぼではいろいろな、お米をつくるだけではなくて、カエル、ドジョウ、またそれをえさとするコウノトリ等を育むような地域もございます。有機農業を始めとします環境保全型農業や、魚道の設置など生物多様性に配慮した生産基盤整備、そういったようなことを今後どう進めていくかという観点でまとめております。
 また、森林につきまして、森林自体、多種多様な生き物が生息しているところでございますけれども、人工林におきましても、適切な間伐を通じまして、林内を明るくして生物多様性の確保を図っているわけでございますので、そういった施策の方向についてまとめております。
 それから、里海・海洋。里海と呼ばれる沿岸域、特に藻場・干潟といったような地域は、多種多様な生き物の成育・産卵場となっているわけでございますが、一方で陸上からの排水を浄化するといったような、漁業にとどまらないいろいろな効果を発揮しているわけでございます。そういった地域について、藻場・干潟の清掃や保全活動といったようなものを、これからどういう方向で進めていくか等々について、以下でまとめてございます。
 今回の戦略をまとめました背景につきましては、先ほど環境省からもお話しがございましたが、国内的には生物多様性に対する関心の高まり、生物多様性基本法が20年6月に制定され、また生物多様性地域連携促進法が22年12月に制定されたわけでございます。
 また、国際的な動きにつきましても、平成22年10月のCOP10、MOP5が開催され、名古屋議定書、愛知目標、また農業の生物多様性に関する決議が採択されました。そのほか、名古屋・クアラルンプール補足議定書の採択も行われました。また、TEEBのような、生態系と生物多様性の経済学といったようなものに対する関心も高まってきております。農林水産分野も含めまして、そういった経済的評価、指標化についての重要性も認識されたわけでございます。
 そうした中で、平成23年3月11日には東日本大震災が発生し、これからの農林水産業に関する生物多様性戦略をどうしていくかということを、この2月にまとめさせていただいているわけでございます。
 大きなポイント、4ページをおめくりいただきますと書いてございますが、一言で言いますと、やはり生物多様性を重視した持続可能な農林水産業を一層推進していく、そのためのさまざまな政策を打っていくということが第1点でございます。
 また第2点といたしましては、愛知目標や農業の生物多様性の決議などもございましたので、そういったようなものを踏まえた形での施策体系を推進していくということでございます。
 第3点目といたしましては、先ほども申し上げましたが、農林水産業の生物多様性といっても、指標とか経済的な評価というのは難しい面がございます。そういったようなものに対して、どう向かい合っていくかということをまとめております。
 4点目といたしましては、東日本大震災、これは農林水産業上も生物多様性上も非常に重大な、甚大な被害を地域にもたらしたわけでございます。持続可能な形で農林水産業をそこに復興させていくことを通じまして、生物多様性の保全に寄与していきたいという方向でまとめているわけでございます。
 5ページには、今回の私どもの農林水産の生物多様性戦略の主立った項目と、愛知目標の関係について整理しております。これは全体的な、目次的なものとしてご覧いただければと思います。
 以下、次のページ、6ページ、細かくは、ここではちょっと触れませんけれども、それぞれの目標に対しまして具体的な施策をどういう方向でやっていくか、本文は別途配布させていただいておりますけれども、その中にどんなことが書かれているかということの概要をかいつまんでそこにまとめております。
 例えば目標1、生物多様性の価値と、持続可能に利用するために可能な行動を人々が認識するといったようなことにつきましては、農林水産分野におきましても、生物多様性についての理解を促進していくことが重要であります。さまざまな体験活動ですとか運動を行っておりますけれども、そういう中で、生物多様性の認識がさらに広まるように強化していきます。この戦略につきましても、先ほど地域戦略との関係がございましたが、農林水産省におきましても、この生物多様性戦略をできるだけ地域にも普及していくという方向で、現在進めております。
 目標3につきましては、生物多様性に有害な奨励措置、これを段階的に廃止ということでございますけれども、私どもの施策におきましてもこの目標に整合するように、今後奨励措置については改善していくということで考えております。
 目標5の関係、森林を含む自然生息地の損失の速度を減少させていくということで、森林については保護林の指定等を通じまして、適切な保全管理を推進していきます。
 目標6、魚類、無脊椎動物、これらにつきまして、生態系を基盤とするアプローチを適用して管理・収穫していくということでございますが、これにつきましても、資源管理施策を強化して実施していくことを通じまして、資源の維持・回復を一層推進していくといった内容でまとめております。
 目標7の、7ページでございますが、2020年までに農業、養殖業、林業が行われる地域が生物多様性の保全を確保するよう、持続的に管理されるという部分につきましても、農・林・水、それぞれの施策で生物多様性の保全・確保を強化していくということとしております。
 目標8、過剰栄養の問題につきましても、農薬・肥料の使用等に対する施策。それからGAPといった、肥料・農薬の使用を適正化していく管理のための施策等について記述しております。
 目標9、8ページでございますけれども、2020年までに侵略的外来種、これらについて制御して根絶していくという内容でございますが、農業におきましても、外来種、オオマルハナバチ等々については在来種への転換を進めていくことなど。外来生物につきましては、いろいろな被害も生じております。防除実施計画を進めまして、捕獲等を進めていくことを記述しております。
 目標10の関係で、脆弱な生態系のサンゴ礁等、これも漁業の健全な発展と両輪でございますので、海洋環境の良好な保全に向けての施策を記述しております。
 目標11、保全区域、内陸と海水面、海域について、特に水産の分野におきまして、既存の制度との関係もございますけれども、それらの管理、充実を図ることも含めまして、海洋保護区の設定を適切に推進していくという考えでございます。
 目標12、これは9ページでございますが、2020年までに既知の絶滅危惧種の絶滅及び減少を防止していくと。特に、農業におきましても、先ほど話題に出ましたトキやコウノトリ、こういった種を復活させるといったような営農の取組も地域、地域で行われております。そういったものに対します施策上の支援について記述しております。
 目標13、社会経済的、文化的に貴重な種を含む作物、家畜、その野生近縁種の遺伝子の多様性が維持されるということにつきまして、農業におきましても、地域品種の利用といったようなものも、地域おこしの中で最近活発に行われるようになってきております。貴重な遺伝資源を、また収集、保存していくといったジーンバンクの取組なども行っております。そういったことの強化について、ここではまとめられております。
 目標14、2020年までに生態系、特に水に関連するものも含めましてですけれども、基本的なサービスの提供を強化するという観点におきましては、農林水産業におきまして、水田も、森林もそうでございますけれども、水源涵養能力、これをいかに高めていくかといったような方向。また森林は、さらに国土の保全、生物多様性等のいろいろな面での強化策を、これから講じていくといったようなことが書かれております。
 目標15、生態系の回復力及び二酸化炭素の貯蔵に対する生物多様性の貢献を強化していきます。特に、森林がそうでございますが、農業もCO2の吸収力といったようなものも持っております。そういったものを合わせまして、どうやって高めていくかといったような施策について記述しております。
 目標16、名古屋議定書が国内法制度に従って施行され、運用されるということで、ABSに関しましても、私ども、資源の有効な保全と利用という両面から、この対応を環境省と連携して進めていきたいと考えております。
 目標19につきましては、生物多様性、その価値や機能、その現状、傾向、損失の結果に関する知識が共有されるということで、農林水産分野におきましても、生物多様性の定量的な評価手法、または経済的な価値評価、その活用の促進といったようなことを現在考えていくこととしています。
 以上、ざっと、目標との関係について申し上げましたけれども、以下、項目ごとについてご説明させていただきたいと思います。
 まず、田園地域・里山の保全について、ご説明させていただきたいと思います。
 12ページでございます。環境保全型農業の推進ということで、環境保全、生態系保全をより重視した農業生産に展開していくということでの奨励措置でございます。もちろん、規制的な措置もとっております。農薬の規制、肥料の基準等、規制措置と併せて奨励措置としてとられているものが、ここに記述されているわけでございます。
 表がございます。施策の概要というのがありますので、それを上から説明させていただきますと、農業環境規範の普及・定着ということで、農業者が環境保全に向けまして最低限取り組むべき規範というものも私どもで定めまして、これを各種補助事業の実施要件とさせていただいております。現在、農林水産省の43事業が、こういった農業環境規範を守ることを要件に執行されているわけでございます。つまり、各種事業をグリーン化していくというような施策でございます。
 次がエコファーマーの取組への支援ということで、これは、土づくりですとか、あと過剰な農薬、化学肥料の使用を低減させていく農業者をエコファーマーとして認定する制度でございますけれども、現在農業者21万人が、このエコファーマーに認定されている状況でございます。
 3点目、環境保全型農業への直接支援ということで、さまざまな、農林水産業の中で生物多様性保全や地球温暖化防止に効果の高い取組を促進していくと。そういった外部経済性に対する政府からの直接支払いの制度を設けております。例えば、小さい字で恐縮ですけれども、冬期湛水や有機農業の取組に対する直接的な支援でございます。
 最後に、有機農業の推進。有機農業に至りますと、大抵一定の価格でプレミアムがついた形で市場化されている状況も見られるわけですけれども、皆様方、いろいろな苦労がございます。生態系サービスを高める工夫をしているのですけれども、経済的な評価が不安定だといったような面での施策的な支援、マッチングを行ったりすることによって市場化を促進していくというようなことを行っております。
 続きまして13ページ、鳥獣被害対策の推進でございます。鳥獣被害は、私どものほうでも非常に大きな問題でございます。鳥獣被害防止特措法というものが先般成立しておりますが、これに基づきまして、現在、被害防止計画、鳥獣被害に遭っている地域の、大体今8割を目標に計画を立てていただいて、これも個体管理だけでなくて総合的な防除を進めていくということでやっております。鳥獣被害対策実施隊というのは、撃ち手が、猟友会がだんだん弱体化しておりますので、それをもう一遍強化していく、それを通じた個体数管理。あと、営農の関係でも藪の刈り払い等を行いまして、生息環境で棲み分けていくと。あと、防護柵の設置による被害防除、そういった取組を総合的に今、支援しております。
 左上の絵にございますように、里地里山の荒廃、鳥獣害の被害が起こりますと、営農意欲が喪失されて耕作放棄が拡大すると。里地里山の活動が低下して、またそれが被害を及ぼすという負の循環が生じているわけでございますので、これを総合的な対策で改善していくというものでございます。
 続きまして14ページでございますけれども、農地・農業用水等の資源保全と地域環境の向上というものでございます。里山地域は、過疎・高齢化等の進行におきまして、従来持っておりました集落の機能というものがだんだん失われてきております。集落といった社会資本が持っていたさまざまな機能が今、弱体化してきているという状況の中で、農業者だけではなくて、多様な主体の参画を得ながら、地域ぐるみでこれらの資源を保全管理する取組を行っております。
 その下のポンチ絵の左の方を見ていただきますと、農業者、非農業者、自治会、NPO等多様な主体が参画した活動組織が計画を策定すると。それに基づきまして、右の方にありますように、農地・農業用水といった資本が弱体化するのをどうやって防ぐかということで、水路の泥上げ、あと農地の草刈り等々を行って管理をしていくと。
 それとあわせまして、下の方にありますように、水質保全活動、景観形成活動、それから、地下水を涵養させるための転作田における湛水、そういったような活動をあわせて行っていただいておりまして、これを、昨年さらに制度を強化いたしまして、今後5年間進めていくこととしております。22年度時点での実績で、取組面積143万ヘクタール、全対象農地の3分の1ぐらいのところで参加していただいております。全国に2万の活動組織が作られまして、151万人に参加していただいております。
 続きまして15ページ。地域資源の活用による地域経済、地域の振興でございますけれども、これは世界農業遺産というものを活用した田園地域・里地里山の生物多様性の保全、活性化ということでございます。ここに武内先生もおられますが、国連大学の多大なご指導をいただきまして、GIAHS、世界農業遺産、Globally Important Agricultural Heritage Systemsということで、これは国連食糧農業機関のFAOが2002年から開始したもので、次世代へ継承すべき重要な農法、またその地域における生物多様性等を有するサイトを認定していくプロジェクトでございます。
 今まで途上国を対象に認定されまして、先進国で初めて2011年6月に日本から、トキを育む米をつくっていらっしゃいます佐渡地域、あと里山・里海ランドスケープの保全を図られている能登地域が認定されました。2012年1月現在で、日本以外は中国、インド、フィリピン等々、11カ国において認定されております。この認定後、計画に沿いました活動モニタリングを実施いたしまして、生物多様性を保全しながら、農産物のブランド化、観光等との連携を今、図っている状況でございます。下の方に、幾つかの例を掲げてございます。
 あともう一つ、16ページでございますけれども、さまざまなそういう地域活動、地域資源を活用した経済的な取組でございますが、例として「生きものマーク」を掲げてございます。例えば、コウノトリに関しましては豊岡市が、コウノトリを育むための自然環境を取り戻しながらの営農を行い、それを農作物に対して認証しておられます。
 また、蕪栗沼、大崎市でございますが、マガンのねぐら提供を水田の地域を利用して行っておられます。これを通じた営農で生産されましたお米が「ふゆみずたんぼ米」。
 最後は、「朱鷺と暮らす郷づくり」、佐渡市のお米でございます。
 このような、生物多様性を生かした、経済活動と結びつけた活動の例でございます。
 続きまして17ページ、森林の保全関係でございます。
 森林の保全につきまして、18ページをおめくりいただきたいのですけれども、森林・林業における環境保全の取組ということで、昨年、新たな森林・林業基本計画というものが定められました。その中におきましても、生物多様性の保全が重要な一角を占めているわけでございます。
 そこのポンチ絵の中、四つに分けてございますが、左上、「森林・林業の再生」。まず、里山、また森林経営を行う経営者が、今、段々と減少しております。高齢化もしております。そういう中で、経営をきちんと確立させていくということで、現在、直接支払い制度等を行っているわけでございますけれども、これにつきまして、森林管理環境保全をきちんと行うということを目標に、計画を定めていただいた方々に対しまして、間伐経費などを補助していくという形で行っております。
 先ほどの農業も、環境保全を要件とする事業が増えておりますけれども、森林についても、そのような事業を、これから強化していこうとしているところでございます。
 あと、右側、「地球温暖化の防止」の観点ですが、人工林の間伐が非常に遅れておりまして、難しい問題を抱えております。その間伐の促進。また、先般、公共建造物に対する木材利用を推進していく法律ができましたけれども、木材利用の促進。あと、再生可能バイオマスエネルギー、再生可能エネルギーとしてバイオマスを活用していく。
あと、下の方、生物多様性の保全につきまして、多様で健全な森林に誘導していくということで、従来の森林のモニタリングにおきましても、スギやヒノキといった経済的に重要な樹種だけではなくて、さまざまな植生ですとか、生物多様性も配慮したモニタリングを、今後実施、強化していくということとしております。
里山の管理につきましては、多様な主体と連携した里山の管理を進めていくということとしております。
19ページは、そのイメージ図でございます。上の方をご覧いただきますと、生育不良の人工林を再生し、それを、針広混交林へ誘導していく。また、森林整備につきましても、モザイク的な森林配置に配慮していくと。また、原生的な天然林については保全、貴重な遺伝資源を保存していくと。川下につきましては、里山二次林についての保全と、そこから出てきますバイオマスのエネルギー利用といったようなことを書かせていただいております。
20ページには、国有林野における優れた自然環境を有する森林の保全・管理の取組。国有林野は、奥地、脊梁山脈、あと、水源地域に広く分布しております、こういった地域におきましては、保護林の設定、また、それをつなげる緑の回廊を整備することによって、生物多様性や生態系を保護する取組を強化していくことを考えております。
保護林につきましては、平成23年4月1日現在で90万ヘクタール、840カ所。緑の回廊につきましては、現在、59万ヘクタール、24カ所を指定しております。
続きまして、21ページ以降、里海・海洋の保全でございます。
22ページをおめくりいただければと思います。22ページ、漁場環境保全のための取組ということで、生態系全体の生産力底上げと、生物多様性保全を両立させていくということで、漁業についても持続的な漁業生産を行っていくと。また、最近、劣化が激しい藻場・干潟を含む漁場環境の保全、推進を図っていくということで、対策というところにございますけれども、環境・生態系を保全するための活動に対する支援。また、公共事業におきましても、水産環境を整備していく整備のあり方、やり方を進めていく。また、真ん中以下ですけれども、赤潮対策、また、漂着ごみ・漂流ごみ対策といったようなものを強化していくこととしております。
23ページに1例を掲げてございますけれども、藻場・干潟の保全活動に対する支援でございます。真ん中のポンチ絵でございますけれども、ここにおきましても、さまざまなステイクホルダーに連携組織をつくっていただきまして、藻場のモニタリングをやったり、母藻を導入したり、干潟については耕うん活動というのが、酸素を供給するような形で、干潟の回復に役立ちます。また、アマモの移植、食害生物、外来生物の除去。こういったような活動を、漁業者を中心にいろいろなステイクホルダーに入っていただいてやっていただく活動に対しまして、支援をしております。
また、漁業者が行うような植林活動に対しても、支援をしております。
続きまして、24ページ、資源管理・漁業所得補償対策の概要。これも、担い手が高齢化、減少していく中で、担い手に対する対策として、収入安定対策を行っておりますが、これにつきましても、ポンチ絵の真ん中の左の方、資源管理への取組を進めるための、計画を立てていただくこととしました。漁業者団体が休漁、漁獲量制限、漁具制限等を行う、管理計画というものを作成していただくと、不安定な状況になった際に、所得、収入安定対策を講じていくという仕組みでございます。
続きまして、25ページ以降、森・川・海。今、森・川・海を別々にご説明させていただきましたけれども、それらを通じた生物多様性の活動についてでございます。
26ページでございますけれども、森と海のつながりということで、森が水質を浄化して、それが土砂の流出も防止しながら、一方では水を涵養して海域を豊かにしていくということで、リン、窒素については富栄養化の防止にもなりますし、水をおいしく感じさせるミネラル分の供給にも役立っております。
現在、藻場・干潟がどんどん消失する中で、磯焼けというものが非常に大きな問題となっております。沿岸漁業に対しても、重大な影響を及ぼしております。こういう中で、「森は海の恋人」という言葉もございますけれども、27ページにありますように、山側からは、海に対する養分供給等々の面で重要な山につきましては、魚付き保安林として指定し、伐採制限等を行っております。全国に今、58,000ヘクタールございます。また、漁場保全を念頭に置いた森づくりの推進事業というものを強化しております。
右の方は、海からの山への協力でございますけれども、気仙沼の畠山さんの活動ですとか、襟裳岬については、下の方に小さな写真がございますが、昭和28年ごろに赤土のはげ山だったものが、現在は森林として回復しております。こういった緑化事業におきましても、漁民の方々からの協力を得て実現しております。こういった施策、今後も強化していくということで考えております。
あと、遺伝資源の保全と持続可能な利用の促進の関係で、29ページでございます。29ページ、先ほど、ジーンバンク事業におきまして、私ども種の保存等を行っておるわけでございますけれども、名古屋でのCOP10におきまして、ABSの名古屋議定書が採択されましたので、その早期締結に向けて、私どもも努力していきたいと思っていますし、また、国際条約でITPGRというものが別途ございます。これにつきましても、植物遺伝資源の保全利用に関するものでございまして、これにつきましても締結に向けて努力していこうと考えております。
下の方に、最近の研究開発で、医療用の研究用モデル豚の開発ですとか、一番下に、検査薬の試薬などに使いますような有用タンパク、これを蚕から生産させますですとか、右の方に幾つかございますけれども、超多収米の生産、あと、超効率的に光合成を行う植物の開発、バイオマス作物によるエネルギー供給、あと、医薬品の開発等々、植物体を使ったさまざまな研究等々を行っていく上でも、種の保全とその持続可能な利用を進めていく考えでございます。
30ページでございますけれども、30ページにおきましては、遺伝子組換え農作物の規制でございます。これにつきましては、名古屋・クアラルンプール補足議定書が、今回採択されましたので、今までのカルタヘナ法等の関係も分析しながら、今後、これを早期締結するように努力していくと考えております。
31ページ以降、国際的な地球環境保全への貢献ということで、これにつきましては、32ページ、IPBESの話がございます。農林水産分野におきましても、できる限りの協力をしていきたいと考えております。
33ページ、これは森林の減少・劣化対策(REDD+)の関係でございます。下のグラフをご覧ください。オレンジ色のグラフが、普通にしていた場合の推移、参照レベルがオレンジの点線、これを何とか排出量を削減することで下へ持って行くと。途上国が中心でございますけれども。これによりまして、排出削減の努力に対して経済的インセンティブを与えていくという仕組みが開発できないかということで、進めております。現在、いろいろなリモートセンシング技術などを通じまして、モニタリング手法の開発を行っているところでございます。
34ページ以降、農林水産業の生物多様性の評価でございます。やはり、客観的な指標というのが、いろいろな面で国民にご理解をいただく上で、重要な面があろうということで、現在、農業分野では、例えば甲殻類や両生類を地域ごとに定めまして、これを通じた多様性の評価、営農の方法を変えていった場合、どのような評価ができるかといったようなことを、これから進めていくこととしております。
林野におきましても、37ページ以降にございますが、生物多様性に関する指標の開発を現在進めております。スギ、ヒノキ、マツ、人工林を中心に、その人工林管理が適正かどうか、生物多様性の観点から、そういった意味での指標の開発です。あと、漁場環境については、沿岸漁業におきまして、バクテリア類、ベントス類等々を使いました、指標化・定量化手法の開発を、現在、進めているところでございます。
41ページ、これをさらに進めまして、経済的評価ができないかということでの研究も、現在、進めております。CVMやコンジョイント法等を発展させながら、生物多様性に寄与する農林水産分野の役割を評価して、国民理解の向上につなげていくというための研究でございます。
42ページ以下、東日本大震災との関係、幾つか例を挙げてございます。
43ページは、今回、海岸防災林なども甚大な被害を受けたわけでございますけれども、防災林は一定の災害防止機能を果たしてもおります。それを、どうやって効果的に高めていくかという研究、また、その保全、復興する中で無害化された再生資源を有効利用していくといったような方法で、循環的な資源利用も考えていくということで、進めております。
45ページが、木質バイオマス関連施設の整備ということで、ストックヤードに積まれました木材バイオマスが大量にございますので、現在、これを発電施設、またはコジェネレーションの施設をつくりまして、そこでエネルギー活用をしていくと。将来的には、山が再生されましたときの未利用材を、ストックヤードがなくなった後は活用していくという方向で、現在、進めております。
私からの説明は以上でございます。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。ちょっと時間が大分押しておりますので、恐縮ですけれども、質疑応答は3省庁一括でということで、ちょっと今の間にご記憶いただいて、質問のときにはどの省にご質問か、あるいはご意見かということで、明確にして質問、ご意見等を述べていただければと思います。
 それでは、国土交通省、よろしくお願いいたします。

【青木環境政策課長】 ありがとうございます。国土交通省の総合政策局、環境政策課長の青木と申します。よろしくお願いいたします。
 では、座って説明させていただきます。資料は、お手元の資料2−3でございます。
 「国土交通省における生物多様性の取組」と題したものでございます。1ページめくっていただきますと、目次として5項目に分けております。国土交通省における生物多様性の取組の姿勢というか全体像。それから、都市における取組、河川・湿原における取組、そして沿岸・海洋における取組、そして、地域連携促進法関係の取組という形で分けております。
 以下、中身に入っていきたいと思います。3ページ目からの3、4、5の三つのシートで、国土交通省の取組の全体像を、ざっと概観しております。もう、ご案内のとおりの、COP10において採択された「愛知目標」、そして生物多様性国家戦略2010の目指す自然共生社会の実現に向けまして、地域連携保全活動を促進すると。それから、自然環境の保全・再生・創出といった取組を推進するという姿勢でおります。
 下の絵をご覧いただきますと、左側、自然環境の保全・再生・創出の推進ということで、私ども、国であるとか、あるいは地方公共団体などのインフラ等の管理者などが、その仕事の中でもって、開発で損なわれた自然環境の復元とか、あるいは都市部において緑地を保全する、都市公園を整備する、緑化を推進する。それから、あと重要な水ですね。下水道で水をきれいにし、それを水辺空間の保全にも役立てると、こういったことを行っております。
 それから、右側ですが、地域連携保全活動。市民、NPOの皆さんの活動の場を提供する等、協力をしていると。
 それから、右下でモニタリングでありまして、これは河川の水辺の生き物の調査とか、地球地図、こういったものをつくっているという活動もしております。
 めくっていただいて4ページ目、これはもう、生物多様性国家戦略2010の中での、国土交通省関連施策でございますが、各章の具体的施策につきましては、約720の施策がある中で、国土交通省は主に国土空間的施策というところに位置づけられており、施策の数でいいますと、行動計画全体の中の約2割に相当するものをもっておるというところでございます。
 次のページですけれども、新たな社会資本整備重点計画における生物多様性施策の位置づけでございます。国土交通省といいますと、もともとやっている仕事というのが、インフラをつくったり、あるいはそのインフラを使ったりしながら、人の移動を円滑にするといったようなことで、どうしても自然に改変を加えるというのが、もともとやっている仕事の要素としてあります。それは、十分おわかりのとおりかと思います。
 その中で、第二次大戦の後、国土は非常に荒廃していて、インフラも貧弱で、そして、そのうちに経済、それをどうにかしなければいけないと。そして、日本の国土というのは、基本的に気候は温暖で山紫水明なのですけれども、急峻な構造とか、平地が少ないとか、そして地震が多いといったこういう状況から、やはり自然の災害というのがものすごく脅威であるという部分がある。
 そういったことで、とにかく人の命を守らなければいけないという部分が最初にありましたし、それから経済の発展、そして、経済の発展に伴って、都市部の人口が多くなってくると。そして、それを受け入れるインフラとか、あるいは住宅、宅地、こういったものを整備しなければいけなくなったということで、とにかく、ある意味で自然に対して、かなりの負荷をかけざるを得ないことをしてきているわけです。
 しかも、それは限られたお金を使ってしなければいけないということで、生物多様性をはじめとする自然環境への配慮というのは、当然配慮はしているのだけれども、今の我々の目からしたら過去、十分だったかというと、必ずしもそうではなかったという部分は、多分素直にあるのだろうなと思います。
 現在におきまして我々の、この5ページに戻っていただいて、新しい社会資本整備重点計画。これは、昔は、例えば道路整備5カ年計画とか、それぞれのインフラストラクチャーごとに、いわゆる縦割りの計画をつくっていたのですが、今はそれらを総合して、社会資本整備重点計画というものにしております。
 これの新しいものが、今年の8月ぐらいにつくりたいということで、今、作業をしておるわけですけれども、その中には、ここにちょっと入れ子のような絵がありますが、三つの視点。その中で、真ん中の視点2、赤い色がついているところ、これが国や地球規模の大きな環境変化、人口構造への大転換への対応をする。そして、それをさらに、それによる政策課題という、全部の政策課題は、視点1、2、3を合わせると九つあるのですけれども、この視点2から派生してくるものが三つ。地球環境問題への対応、それから少子高齢化、人口減少への対応といったものがありまして、この地球環境問題への対応、ここから具体的にどんなことをするかというプログラム、これも、全体では18あるプログラムのうち、この地球環境問題への対応というところから六つの、一番下にあるプログラムがございまして、そして、生物多様性というのが、その一つの項目ということで位置づけております。
 ですので、これまでインフラ整備におきまして、もしかしたら十分でなかった部分が多分あると。その反省に立ち、生物多様性の保全というものに力を入れていきたいというふうに考えております。
 ここまでが全体の俯瞰でございまして、次に、都市部の取り組みです。

【梛野緑地環境室長】 公園緑地・景観課の緑地環境室長の梛野と申します。ただいまの、人と自然の共生する社会を実現するために、都市部において何をするかということでございます。
 都市における生物多様性に関しましては、例えばCOP10の中でも、生物多様性のための準国家政府、都市及びその他地方自治体の行動計画というものが決議されておりまして、また、生物多様性の自治体会議というものも開催され、都市部における生物多様性について、国際的にも非常に関心のある事項でございます。
 それは、6ページの上にも書いてございますけれども、都市においては、都市化の進展による緑地の消失、縮小、分断化による孤立化が進行しているということで、動植物種が減少したり、生物多様性の損失が進行しているという現状があるということがあろうかと思います。
それを示したのが、真ん中の図でありますが、右側は、逆に緑地が増えてきたことで、生物の生息域、これはメジロの例ですけれども、こういうことも見られるということで、都市の中でどういうことをやっていくかということが、3点ほど掲げております。一つは、生物多様性の確保にかかる計画をきちんとつくるということ。それと、それに基づいて緑地の保全・再生・創出を行いましてネットワークを形成していこうということでございます。それから3点目が、多様なステイクホルダーと一緒になって緑地の管理、また、書いてございませんけれども、緑地をつくったり保全するということも、これから大事というか、政策として進めていきたいと考えております。
具体的に7ページでございますけれども、都市の中では、都市緑地法という法律に基づきまして、緑の基本計画という緑地の総合計画をつくることになっております。その中に、今、やろうとしておりますのは、先ほどの右側の真ん中にありますが、COP10で、こういった都市関連の決議がございまして、都市のインフラ整備などに生物多様性の配慮を組み込むことを奨励すると。国は地方公共団体に対して、こういうことを奨励しようということで、私ども、昨年の10月に、この都市緑地法というものの運用指針を改正しまして、この緑の基本計画の中に生物多様性の確保ということを位置づけるということを、既に発出してございます。
左のほうは、国立市の例ですけれども、具体的にエコロジカルネットワークに配慮した緑の基本計画というものをつくっているところもございます。もちろん、こういう計画に当たりましては、生物多様性地域戦略、あるいは都市計画そのもの、都市計画マスタープランといったものと連携をとるということが大事であるというふうに考えております。
あと、7ページの右下に、ちょっと書いておりますのが、こういったいろいろな試みをやって、エコロジカルネットワークが形成された後、実際にどういうふうに生物多様性が都市の中で実現しているかということを管理するツールが必要ではないかということで、これも決議の中に入っていたわけですが、私どものほうでも今、名古屋市などとも連携を図りまして、新たにこういったその種の生物多様性指標というものを検討中でございます。
ちなみに、COP10では、シンガポールのインデックスが例として挙げられておりましたけれども、なかなか日本では使いにくいというのもありまして、名古屋市と協働で今、開発中というところでございます。
あとは、8ページでございますけれども、そのエコロジカルネットワークの拠点となっているところは、この特別緑地保全地区、土地利用を規制して緑を守るという制度ですけれども、こういうものも活用して、エコロジカルネットワークの拠点となっている大規模な緑地については保全していくということを、進めていくというものであります。
9ページは、保全だけでなくて再生するという視点も大事であると考えておりまして、特に都市部では、例えば左上、立川市の昭和記念公園ですけれども、米軍の跡地を、こういった緑の回復を図りまして、今ではかなり緑豊かな空間になってございます。ちなみに、昆虫類は20年間で、当初は80種ほどしかいなかったのですけれども、20年後では800種ほどに増えていると。適正な整備、管理が行われれば、こういった再生をすることも可能ではないかと考えております。
それから10ページは、そういったもの以外にも、都市の中のいわゆるマトリックス的な部分になろうかと思いますが、点在するようなものも重要であると認識しておりまして、緑化地域制度という、これは緑化を義務づける制度ですけれども、こういうことを通じて、都市の中にいろいろな緑をつくっていくということも進めていこうと考えております。緑化地域制度は、名古屋市、横浜市、世田谷区で、既に使っております。
屋上緑化も、最近の屋上緑化では、生物多様性に配慮している屋上緑化ということも行っておりまして、国土交通省の屋上も屋上緑化を図っておりまして、既に昆虫などは190種ほど確認されております。
それから、11ページ、都市の最後でございますけれども、多様なステイクホルダーが、公園緑地の管理をする。きめ細かな管理をするということは非常に重要になっておりまして、実際に生物多様性地域連携促進法に基づいて、緑地法についても特例措置が設けられており、こういったことで地域住民と連携した緑地管理なども進めているところでございます。
さらに企業の取組を支援していこうということで、企業で、自らつくった緑を適正に評価して普及しようというような試みもやっております。
都市については、以上でございます。

【那須下水道部流域下水道計画調整官】 それでは、続きまして下水道に関してなのですけれども、生物多様性の観点から見ますと、下水道はそれ自身が、まさしく水環境と都市活動とを持続的に結ぶということで、それ自身が大きな役割を果たしているわけでございますが、本日はやや、そのトピック的なところをかいつまんでご説明をさせていただきたいと思います。
 12ページでございますが、下水道の整備のほかに下水道の役割としまして、閉鎖性水域のリンや窒素などの富栄養化の防止のための高度処理という取組をやってございます。特に、左上にございますけれども、高度処理につきましても、なかなか費用の面から普及が遅れているわけですので、それを円滑に進めるための取組を行っていたり、右側にございますけれども、東京都など、古くから下水道を整備しております大都市におきましては、合流式の下水道ということで、雨天時に都市内の汚濁負荷が流出してしまうということを問題としまして、その防止に努めているという状況でございます。
 それから、13ページですけれども、これは技術開発的なところが、以下3ページ続きますが、まず、高度処理ということで、最近世界的にも注目されている膜処理を利用した下水処理につきまして、これを先端的な技術開発ということで普及を図っているという研究開発を進めているという状況でございます。
 資料にお示ししましたのは、二つの事例ということで、下水処理場の改築に適用する場合、それからサテライト処理ということで、下水処理の水辺とか、そういうところに簡易に利用する方法についてということでご紹介をしております。
 それから14ページでございますが、こちらにつきましては、水の観点というよりは、先ほど、何人かの先生方からもご指摘がありましたが、エネルギーの観点ということで、下水道のエネルギーの関わりといいますと、下水の汚泥というものが都市内で集中的に発生する、有用なバイオマスということがいえるという指摘がございまして、それを活用するという観点と、もう一つは、下水道を通じて都市内の廃熱が発生しております。それは、未利用エネルギーとして利用可能ではないかという、二つの観点がございまして、その二つを、これもやはり技術開発レベルで、今、進めているということでございます。
 14ページは、そのうちの下水汚泥をバイオマスとしてとらえて、バイオガスとして利用して、エネルギー発電、燃料といったものに使えないかという取組の推進でございます。
 それから、15ページは、下水道の熱利用ということで、下水の管から直接下水を、熱を取りまして、地周辺地域の冷暖房などに使えないかという取組で、こういったエネルギー面からも、下水道が果たせる役割はないかということで、今、研究・検討を進めているという状況でございます。

【村河川環境保全調整官】 引き続きまして、河川関係をご説明いたします。16ページでございます。
 我が国では河川の改修、特に高度成長期におきましては、都市化によります水害の頻発、あるいは高度成長期においては極めて用地買収が困難だということで、緊急的な水害対策を実施する上で、左の写真にございますような、極めて環境的にはよろしくない改修が、多々行われております。
 平成2年から、「多自然川づくり」ということで、再改修を行う場合には、できる限り自然環境に配慮した形で、右の図の、これは神奈川県の和泉川の例でございますけれども、河川敷地において、できるだけ用地を確保した上で、水際を工夫すること等によって、生物の生息・生育環境を確保しようという改修を進めております。
 当時、平成2年のころの、当時の建設省の方針転換は、補助事業を受ける側の都道府県には、かなりインパクトがあったという記憶をしておりますけれども、20年の間、試行錯誤を繰り返しながら、できる限りの工夫をしてやっているということでございます。
 17ページでございます。最近の自然再生の取組でございます。まず、礫河原の再生でございますけれども、河川につきましては、かつての砂利採取、あるいは砂防ダム等の整備などによりまして、治水上はかなり安全性が上がったわけでございますけれども、どうしても河道の固定、それから水質自体も、富栄養化が進んでおると。あるいは、河道にあります樹木自体を伐採して、かつてはエネルギーとして使っていたものが、樹木の伐採が行われなくなっておるなどの理由によりまして、河原といいながら、最近はほとんど、特にハリエンジュ等が繁茂する森のようになってしまっているということで、もともと礫河原を生息環境としております在来種の環境が悪化しているということで、自然営力を利用しながら、できる限りもとの環境に戻そうという礫河原の再生を、例えば多摩川等でやっておるというのが、上の例でございます。
 下の例が、これは湿地の再生でございますけれども、これは兵庫県の円山川の例でございますけれども、治水上の掘削を行う場合、できる限り、そこに棲んでいる生物にとって、より望ましい環境にしようということで、掘削の方法を水深等工夫いたしまして、例えばここではコウノトリの生息環境になっておるというところでございます。
 めくっていただきまして、19ページでございます。先ほども若干お名前が出ましたけれども、我々、河川改修をする場合に、特に河川の場合、治水事業の場合は、災害直後に緊急的に事業を実施しなくてはいけないという場合が、多々ございます。そういった場合に、そこの生物層がどのようになっているかというのを、それから調べたのでは間に合わないということで、特に直轄河川におきましては全国的に、河川水辺の国勢調査と銘打ちまして、定期的な環境調査を、平成2年度から実施しております。
 水中の生物には5年に一度、陸上の生物については、概ね10年に一度の周期で継続的に調査しておりまして、これ自体が事業実施に当たってのベースデータとなりまして、環境配慮を行う場合の基礎資料とするということでございます。
 20ページでございます。水と緑のエコロジカルネットワークということで、河川自体が、それ自体が生物の生息・生育環境でございますけれども、さまざまな、先ほども農林水産省さんからも環境保全型農業といった言葉もございましたが、そういった農地、あるいは里山、それから多々の湿地といったものを結びつけるものが河川であり、河川自体が湿地でもございますので、こういったものを関係する主体と連携いたしまして、全体的な面としてのエコロジカルネットワークになるように、関係団体と連携しようということでございます。
 例えば、一番右端に新しい動きといたしましては、野田市ほか28市町村と横に書いておりますけれども、野田市のほかに栃木県の小山市ですとか、埼玉県鴻巣市、千葉県いすみ市といったところが一体となって、協働した取組を行おうというのが、新しく今、指定して行われているところでございます。

【小池港湾環境政策室長】 引き続きまして、沿岸・海洋における取組ということで、21ページから、港湾局のほうからご説明させていただきます。
 我々の事業は、港湾の整備・管理などを行いながら、生物多様性に資する環境づくりをしていくというスタンスで取り組んでおるところでございます。写真などを見ていただきますと、真ん中の上のほうに、浚渫土砂を活用した底質・水質の改善、あと干潟・藻場の造成、深堀跡の埋め戻しといったようなこと。それから、その下にございます、生物共生型港湾施設の整備、護岸などをつくる場合に、いろいろな多様性に資するような施設整備に、できるだけ変えていこうというような取り組みをしてございます。
 それから、細かい資料の中には入ってございませんが、右上に、海洋ゴミ・流出油の回収ということで、特に閉鎖性水域において、一般海域のごみを直轄の船で取るというようなこともやっておりますし、そういったことも含めた普及かつ啓蒙活動、もしくはNPOなどの取組に対するフィールドの提供でありますとか、ご支援ということもさせていただいております。
 こういった取組は、基本的には港湾を中心としたものでございますが、例えば東京湾のような、幾つかの港湾がつらなった閉鎖性の水域、こういったところにつきましては、各港湾なり、その他の関係者との連携というのが非常に大事になってくるということもございまして、左上にございますように、海の再生に向けた取組ということで、いろいろな関係機関、いろいろな関係事業、これが連携するという取組を、平成13年度、都市再生プロジェクトの中で海の再生プロジェクトというものが立ち上がっておりまして、それ以降、全国の四つの湾域で取り組んでおるということでございます。
 それとあわせて環境モニタリングということで、海に関する情報共有システムを活用し、一般の方でも、ホームページから直ちにこれら4大湾における情報にアクセスできるという仕組みをつくってございまして、包括的な取組と、個別の事業の取組の両面から、環境に対する取組を推進しておるという状況でございます。
 1枚めくっていただきまして、22ページ以降は個別の事例でございますので、もう項目のご紹介だけにとどめたいと思いますが、22ページ目は、これは海岸の事業でございますが、高潮のための対策を行うに当たって、やせ細ってきた海浜の再生とそこにありました藻場を喪失しないように、移植等によって保全をしたという事例でございます。
 それから、1枚めくっていただきまして23ページ目でございますが、これは三河湾におきまして干潟を再生したと。中山水道航路という開発保全航路がございまして、ここで出ました良質な土を、藻場・干潟をつくるために、地図にございますような場所で活用したと。これは、愛知県の水産部局との連携事業でございまして、一定の効果を上げているというふうに認識してございます。
 1枚めくっていただきまして、24ページ目でございますが、生物共生型港湾施設の整備ということで、左の二つが護岸の改良の、これは社会実験でございますので少し大規模になってございますが、おもしろい例が一番右の上に、構造の工夫ということで、いわゆる消波ブロックに少し水を入れるだけで、そこに藻であるとか海藻がつきやすいということがだんだんわかってきております。こういった小さな工夫を積み重ねることで、多様性に配慮してまいりたいというふうにも考えてございます。
 1枚めくっていただきまして、25ページ目でございますが、特に三大湾と、過去の大規模な土砂採取の跡が、貧酸素水塊の原因になっておるということもございますので、しゅんせつ土砂などをそこに投入することで、そういった貧酸素水塊の原因となる場所をつぶしていくというような事業も行っております。
 それから、26ページ、これはもうトピックス的なのですが、いわゆるブルーカーボンということについても、海浜であるとか藻場であるとか、そういったものも研究しておる、私どもの関連の研究所で勉強をしているということでございます。
 以上でございます。

【伊藤海岸・防災企画官】 27ページの海岸の環境の保全でございますが、平成11年に海岸法が一部改正をされまして、従来の防護に加えて、環境と利用を加えた総合的な海岸の保全を図っていくということとなってございます。
 それに基づいて、海岸環境の保全をやってございますが、27ページの下に示しておりますように、防護上の方面から砂浜の整備をして、環境にも配慮したようなものにしておると。あるいは、離岸堤の整備を行うに当たって、生物の付着がしやすいような配慮を行うといったような取組を実施しておるところでございます。
 以上でございます。

【青木環境政策課長】 最後の3ページですが、生物多様性地域連携促進法、これは一番最初の環境省からのご説明の中でも出てきまして、もう委員の皆様、既に十分ご存じのものだと思いますが、これにつきまして、私どものほうも、市民と連携・協働した保全活動を推進しております。皆様に活動の場を提供するということと、それから市民と一緒にふだんの社会資本の管理につきましても、生物多様性に配慮したことを行っていると。
 それから、左下に手続面の話ですが、保全管理計画をつくって行う活動ということについては、都市緑地保全地区における許可等の手続について、省略できるといったことになっております。
 こういったことが、生物多様性地域連携促進法の基本方針にも位置づけられているというのが、次の29ページの赤い文字の部分でございます。
 こういった活動を促進するために、一番最後のシートですけれども、先進的・効果的な取り組みを調査しまして、そして、セミナーを行ったり、それから現在パンフレットを作成しているところですが、こういったものを公共団体、民間事業者、NPO等にご覧いただいて、普及を図っていきたいというふうに考えております。
 駆け足でございますが、以上でございます。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、経済産業省のほうにご説明をお願いいたします。

【岡田事業環境整備室長】 経済産業省の事業環境整備室長の岡田です。ちょっと座って説明いたします。
 今まで、環境省、農林水産省、国土交通省と、いわゆる生物多様性条約の三つの目的のうちの二つ、保全と持続可能な利用という形では、かなりぶ厚い施策のご紹介があったということですけれども、当省関係は、むしろ三つ目の目標ということで、遺伝資源からの利益の配分、これをどうするかというところかなと思いまして、今日、両大きな省と並んで呼ばれたのは、非常に光栄だなと思うとともに、この資料の厚さを見てもらえばわかるのですけれども、なかなかこの辺の施策は、まだこれからかなというような感想は持っております。
 ただ、一昨年のCOP10で、いよいよ名古屋議定書が採択ということですので、そういう意味では、生物多様性条約、三つの目的がある種完成を見て、今後、これをいかに円滑に回して、先ほどの先生からもご指摘があったのですけれども、グローバルレベルでの生物多様性の保全と。当初の感覚で言えば、当然、我が国企業に十分利益があり、かつ途上国を中心とした、いわゆるメガダイバースカントリーといわれる国々にも利益があるという、Win-Winの関係をいかに今後つくっていくかというのが、多分、この次の国家戦略でも、ぜひ取り上げていただきたいと思う部分かなと思いまして、資料を用意しております。資料2−4になります。
 今回、名古屋議定書が合意されたということで、全体の枠組みは既にご案内かと思いますけれども、2002年に合意されていましたボン・ガイドラインという枠組みと、ほとんど変わらないということになっております。ただ、生物多様性条約ができたころから問題になっていたのですけれども、いわゆる遺伝資源にアクセスする場合の事前承認、その後の利益配分というところ、形はしっかりあるのですけれども、実際、民間レベルでこれをやるというと、なかなか困難と。
 何が困難かというと、まず、途上国側というか、アクセスしたいと思っている国側に体制がないと。事前承認が欲しいのですけれども、どこに言ったらいいのですかという問いかけをすると、どこからも答えがこないという問題があって、企業としては、そういうものにアクセスしたいとは思っているのですけれども、なかなか枠組みどおりにはいかないという問題があって、このままではなかなか進まないということと、ボン・ガイドラインもできたということで、製品評価技術基盤機構、NITEという機構が、まずは本来でしたら民間レベルでやるということですけれども、実際、政府間の交渉のようなものは難しいということなので、ここをある種、肩がわりするというスキームを今、動かしております。
 そういう意味で、枠組み自体はボン・ガイドラインに則ってということになります。もう、ちょっと時間も押しているようなので、説明は大幅に省きますけれども、まず、政府間の同意をとって、そして所有者との契約を結んで、利益配分を行うというところかなと思います。
 次のページのところに、当初は二国間の取組ということで、2002年にインドネシアとか、ベトナムとかブルネイとか、そういうところでやっていたのですけれども、最近は、もうそれではなかなか追いつかないというところもあるので、多国間の取組ということで、2004年にアジア・コンソーシアムというものを立ち上げまして、毎年、会議をやるのですけれども、去年はマレーシアで会議を。COP10のときは日本でやったのですけれども、そういう形で取組を進めています。
 ただ、こういう枠組みがあるから、どんどんお金がじゃぶじゃぶ途上国に流れているかというと、そういうわけではなくて、今一番現場レベルで問題になっているのは、そもそも生物多様性を保全するといっても、そもそもその国にどういう生物多様性があるのか自体が、全くわかっていないという問題があるということです。特に、このNITEにおける技術協力、利益配分といってもいいと思うのですけれども、この中心は、むしろ分類とか、例えば菌類の、どうやって分類するのだと。どういう培地を使うのだ、どういう手法を使うのだと、そういう非常にプリミティブなところですね。この菌は、どういう属のものなのか、どういう性質を持っているのかと、そういうところを途上国の機関に教えてあげているというのが現状かなと思います。
 当然、こういう地道な取り組みを、もう10年も続けているのですけれども、最近やっと中国で、中国は経済発展がすさまじいので当然ですけれども、例えば中国とかタイとかが、そういったいわゆる初期的な技術協力から離れて、自国にそういう、いわゆるカルチャーコレクションを扱う機関を設立する等の動きも出ておりまして、こういう地道な活動の中から、今後、あと10年とかかかるのでしょうけれども、本格的に名古屋議定書の発効を待って利益配分なのかなと思います。
 保全と、どうしても持続可能利用のほうがメインということになるかと思いますけれども、三つ目の目的は、むしろ経済産業省が担うのかなというふうに思っておりますので、ぜひ、お忘れなくということで、よろしくお願いします。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、あと20分ぐらいですけれども、皆さんからご意見、ご質問をいただきたいと思います。札を立てていただければと思います。
 鷲谷委員、お願いします。

【鷲谷委員】 時間も限られているようですので、一番関心のあることを一つだけ、農林水産省へのお願いというようなことになるのですけれども。
 農業のほうですが、生物多様性の保全に、これからのことを考えると一番寄与して、日本の農業にとってもとても重要だと思われる施策は、環境保全型の農業をする農家への直接的な支援だと思うのですけれども、農家への支援になりますので、国際的に見ても妥当なのかということは、生物多様性保全という国際的な枠組みで、そこで目標にされていることとか、その内容と矛盾がないといいますか、より効果的なことを、やっぱり農家に求めないといけないのではないかと思うのですね。
 それで、今、ちょっと拝見いたしますと、中には冬期湛水などもある程度効果、水鳥の生息条件などに関してその向上が図られるということで、おそらく国際的に見ても、これは生物多様性に寄与すると。あと、江をつくるとかですね。確かに理解できるし、科学的に証明しようと思えばできる内容がある一方で、他の目的だとは思うのですけれども、生物資材をかなり大量に持ち込む可能性のある、カバークロップとか、リビングマルチというのもちょっと心配な感じがします。あと、バンカープランツですか。こういうものが、外来生物問題をもたらす可能性があります。
 これまでも農業資材の植物で、逸出して侵略的な外来種になっているものというのも少なくないのですね。その地域の生物以外のものを持ち込むことになるようなものがたくさんあって、それが直接支払いで奨励されるというような形になりますと、生物多様性保全ということと矛盾してしまう可能性がありますので、他の目的に、他の環境保全の課題に寄与するようなプランだとしても、それが生物多様性保全上、問題がないかもチェックして、グローバルなスタンダードで、これで直接支払いをしていいのだということが、はっきり主張できるような内容にしていただくといいのではないかと思うのですね。
 ヨーロッパでは、環境保全型農業への直接支払い、いろいろな国で生物多様性保全に大いに寄与するような制度もありますし、それが寄与しているかどうかの科学的な検証とか評価なども行われています。島国ということだったら、イギリスなどにスチュワードシップ政策というのがあって、それなども参考に、もちろん農地のあり方が日本とイギリスでは随分違うので、日本型のものに変える必要はあると思うのですけれども、そういうのを参考にしていただくと、生物多様性保全に資する、矛盾をしない直接的な農家への支援の仕方というのがもっと明瞭になって、国内でも説明ができて、国際的にもしっかりと主張していけるものになるのではないかと思いますので、この直接的な支援のところの内容をよく、生物多様性の視点で精査していただけるとありがたく思います。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 吉田正人委員、お願いします。

【吉田(正)委員】 2点だけ質問させていただきます。
 1点目は、農林水産省に対してですが、愛知目標に対して、それぞれ農林水産省としての目標を決めていくということについて、農林水産省の生物多様性戦略を非常に評価しております。その中で、目標3の中で、「生物多様性に有害な奨励措置(補助金を含む)が廃止され」、また、「正の奨励措置が策定され、適用される」という部分で、私、2010年のナイロビで開かれたSBSTTAに出席したときに、農林水産省の政府代表の方が、ヨーロッパは単に廃止するという提案だけだったのですけれども、日本からは廃止するだけではなくて、プラスの奨励措置に変えていくと、そういった提案をされて、こういう文面になったと記憶しております。
 その点は非常にいいことだと思っているのですけれども、具体的に行う、右のほうでは、「今後実施する奨励措置についてはこの目標に整合するよう努めていく」ということが書かれておりまして、既に今まで、既存の奨励措置で、生物多様性に有害なものの見直しはどうするのかとか、それから、プラスの奨励措置についてはどう考えるのか、もう少し、どんな検討をされるのかということが伺えたらと思います。
 それから、2点目は国土交通省に対してなのですけれども、今、社会資本整備重点計画のほうで生物多様性を位置づけていかれるということは、非常に重要だと思います。ただ、ちょっと不満だと思いますところは、「不満」という言葉を使わせていただきますが、生物多様性プログラムの一つという位置づけなのですね。
 国土交通省が唯一、国土空間政策に関して、もちろん農地、林地に関しては農林水産省ですけれども、それ以外のところについては、国土の生物多様性のネットワークをつくるということができる省庁ですので、非常にそういう面で期待して申し上げているのですけれども、先ほど、公園緑地景観課と、それから河川環境課の説明の中では、エコロジカルネットワークという言葉を使われて、生物多様性の非常に重要な地域を結ぶということが説明されておりました。こういったことが、単に都市緑地とか河川だけではなくて、国土交通省が管轄されている河川、海岸、港湾、都市、そういったあらゆる国土空間において結びつくという、英語ではコネクティビティとかコリドーとか、いろいろ言っておりますけれども、そういったことが行われていかなくてはいけないのではないかと。
 私は、エコロジカル・コリドーということでいいと思うのですけれども、もし、これがエコロジカル・コリドーという言葉を使っているがゆえに、1つのプログラムとしてしか位置づけられないのであれば、私は、むしろアメリカではグリーン・インフラストラクチャーという言葉を使っておりますけれども、国土交通省が行う政策というのは、単に安全で住みやすい国土をつくるというだけではなくて、生物多様性豊かな生態系のネットワークをつくる、これ自体が社会資本であって、国土交通省が行うことだと、配慮事項ではなくて目的だというような位置づけをしなければいけないのではないかと思うのです。
 そういったことをぜひ、この社会資本整備重点計画に盛り込んでいただきたいと思います。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 吉田謙太郎委員、お願いします。

【吉田(謙)委員】 農林水産省に対して、質問ではなくてコメントなのですけれども、3点あります。
 1点は、経済的評価を行うということで、これまでやはり農業、森林、そして水産業は全部、代替法で評価されてきたのですけれども、どうしても生物多様性のところが重要だと指摘しながら抜け落ちてきておりますので、そこがきちんと、ほかの機能とマッチする形で評価額が出てくると、非常に理解しやすいだろうなと思います。
 それと、そこの中で、これまで2000年代の前半までに出された結果というのは、GATTやWTOのプレッシャーの中で、それまで蓄積されてきたのですけれども、その後、ミレニアム生態系評価などで、生態系サービスという枠組みができて、それは、供給サービスも入っておりまして、食料安全保障とも非常にリンケージがしやすいところですので、ぜひ、そういった観点からも、きちんとまとめていただけるとありがたいなと思います。
 あともう一つなのですけれども、これだけ国土を農林水産業がカバーしているわけですけれども、その中でも、水田ですとか農地全体が減少してきています。減少してきた中でどういうような、人間生活にとって、生物の面だとかいろいろな面で影響があったのかということ、そういった限界的な農地の変化に対して、どういうサービスが損なわれたのかとかいったことがきちんとこれまで定量化されていなかったように思われますので、そういった点からも、経済的評価ですとか、そういった形で政策を打っていくとか、考えていただければいいなと。もう既に考えられている部分もあると思うのですけれども、そういった点をお願いしたいと。
 特に、これまで潜在的な供給力を測るというような形で、代替法などが使われていたのですけれども、人々の需要という観点を、もう少し考えて評価したり、政策を進めていただけると、非常にもっとわかりやすくて、見える化するのではないかなと感じております。
 最後に、もう一つなのですけれども、森林のところです。国有林に関しては、生態系保護地域ですとか、保護林政策、非常に優れた政策がたくさんあって、それによって守られてきたものもたくさんあるのですが、農地と違って、やっぱり国有林のところが中心になってきているなと。日本全国を見ていると、民有林の中でも、特に私有林の中で重要な生物種が育まれているところもあったりするのですが、そういったところに国有林の保護のノウハウとか、いろいろな形で普及できるところがあれば、非常にありがたいと感じております。
 特に農地のほうは、私有地をどう保護するかということで、助成制度が行われていますので、そういったノウハウはお互いに活用できるのではないかということを感じております。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 中村委員、お願いします。

【中村委員】 簡単に要点だけ。
 農林水産省のほうの、特に森林の話なのですけれども、森林・林業再生プランということで、2020年までに50%自給率を目指すという議論は、片方で海外の生物多様性を保全する意味でも、森林資源をずっと輸入してきた日本にとっては重要だと思います。その中で、生物多様性の議論が、私が知る限りは非常に薄いのです、そのプランの中で。ということで、今後、1千万ヘクタール残っている人工林を、どう管理していくかということは、人工林の中の多様性の議論、今ここでのご説明もあったように重要だと思うので、その辺をしっかりしていただきたい。また、その指標もまだできていないということは、どういう施業をやれば、どういう形で生態系が応答するかが見えていない状況だと思うのですね。
もともと林業というのは順応的にやるべきだと、僕も思うのですけれども、そういったデータをもとに、林業の仕方を考えていく。例えば間伐一つについても、列状でやるのか、小面積でやるのか、もしくは単木的な定性でやるのかといった、それは生物多様性にどんな影響を及ぼすのかということは、多分、科学的にもまだわかっていない。そういう意味では、しっかりデータをとっていただいて、その上での施業をきちんと考えていただきたいなと思います。
それから、攪乱の問題として、風倒が必ず人工林なんかで起こった場合、それを一斉にまた切って、また植えるということを、ずっと繰り返しています。多分、多様性の議論からいくと、ある程度倒れた木を残したほうがいいというのが、海外も含めた一般的な研究成果だと思うので、その辺の攪乱があった後、どういう形でレガシーを、その生物的な遺産を残していくかということを検討していただきたいと思っています。
それから、保護林は、先ほど吉田委員にはすばらしいと言っていただけたのですけれども、私が知る限りでは、もともと木材生産をベースにしてつくられたものであって、例えば、林業をちょっとでもやっていると、もうそこは保護林として指定できないとか、そういう制約までついていて、現状の制度は問題があります。日高と大雪の保護林設定のときに、それで大変だったのです。遺伝子保護林なんかも、木材生産にとっての重要性の中で位置づけられていて、必ずしも多様性の中で位置づけられていないと思います。
今後、多様性を真剣に考えていくならば、現状の森林調査簿も考え直さなければいけません。現状の森林調査簿には、樹種や他の生物の種類も書いていないのですね。ということは、モニタリングしても評価できないということになっているので、その辺の保護林制度の枠組みと、いわゆる森林を調査する内容についても、しっかり多様性の議論を入れていただきたいと思います。
あと、国土交通省のほうなのですけれど、これはお聞きしたいのですけれども、都市の生物多様性、重要だと思うのですけれども、いわゆる政令指定都市でもいいのですけれども、どのぐらい、今現在、地域戦略みたいなものができているのかというのが、もしわかったら教えてください。
それから、全体の説明の中で、事業説明はよくわかるのですけれども、それによって、これはさっきの指標の議論と一緒なのですけれども、生物多様性がどう変わったかというのが今のパワーポイントの絵からは見えてきませんでした。ぜひ、事業によって生物多様性にこんな影響、もしくは生態系サービスにこんな影響があったということを知らせてくれたほうが良いと思いました。
以上です。

【武内委員長】 櫻井委員、お願いします。

【櫻井委員】 簡単に、海のことですけれども、生物多様性国家戦略2010のときに、大分議論したのですけれども、海をどう分けるかというので、今回は沿岸と海洋という形で分けています。そして、農林水産省も里海という言葉を使っておりますけれども、理解としては里海の定義として、既存の法的ルール及び自主管理などによって生物多様性を保全しつつ、持続的漁業が営まれている地域というような解釈でいいと思うのですけれども、そのときに、その里海イコール日本型海洋保護区というところの部分に、どうやってつなげていけるか。これは、イコールで言っていいのかどうか。これも含めて、農林水産省だけでなくて環境省、それから国土交通省も含めて、これだけ広い沿岸の利用があるわけですから、これに対してどういうふうに日本型海洋保護区というものを日本としてクライテリアを決めて入れていくのかということが次のステップとして非常に重要だと思います。ただ、IUCNの定義ではなくて、日本型海洋保護区を世界に広く伝えるため。
それからもう一つ重要な点は、地元の人たちが全く「海洋保護区」という言葉を知りません。ですから、漁業者が全くわからない言葉を使うというのも大きな問題ですので、これをどうやって一般化していくかという問題、これも含めて少し、省庁をまたいで議論をしていただきたいということが希望です。
 以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。白幡委員、お願いします。

【白幡委員】 この小委員会はあと4回で、私も実は、その生物多様性というのは、そのリテラシーはあまりないのではないかと。よくわからないところがあるのです。まだ、この生物多様性と言われて、イメージがぱっと描けるほど、自分の中に定着していないような気がするのです。
 と言いますのは、さっきから説明をいただいていて、大変おもしろい課題と大事な点が出ていると思うのですが、自然環境保全に寄与するというような、国土交通省の施策の中でそれが出てくるのですが、それは、では生物多様性に資するというように言い換えていいのかどうかと。同じものなのかどうか。
 それで、実は、それは今後、いろいろ私自身が考えていきたいということなのですが、農林水産省のこの生物多様性指標の開発というのを、ぜひ、また詳しく教えていただきたいと思います。と言いますのは、これは農業分野というように限ってここで書かれていると、そういう説明を受けたのですが、生産性と生物多様性が両立して、持続的な農業の発展に貢献するというような意味で、この指標生物というのを考える。そして、その指標生物なるものの評価手法というものを開発するということで、これはぜひ、頑張っていただきたいと、エールを送りたいと思うのですけれど、こういう基本的なことを一方でやらないと、やっぱり生物多様性というものの理解というのは進まないであろうと思うのです。
 ただ、この場合に、生産性と生物多様性の両立に貢献するということなのですけれども、これは従来の生産性と自然環境保全に資するというのと、どう違うのかというのは、やっぱりこれはわかっていないと、施策として、生物多様性の今後のあり方という議論ができないと思うのですね。
 もし、今日は時間がないのですが、この生物多様性指標の開発については、また詳しくお知らせ願えればと思っております。
 以上です。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 経済産業省のほうに質問がなかったのですけれども、私、最近、ABSのシンポジウムを海外の方をお呼びして国連大学で開催をしたりして、この問題にかなり関心があるのですけれども、今日お話しいただいた、技術的な面での協力とか、国際交流という以外に、資金メカニズムだとか、それから特に途上国の能力形成とか、それから、もっと広く言うと、伝統的知識みたいなものも、どうやってその議論の中に入れていくのだという、いろいろな広がりのある話があると思うのですが、今日は、ちょっとNITEの話だけだったのですけれども、その辺の、これから議論をふくらませていくことについての展望について、お聞かせいただければと思います。
 ということで、恐縮ですけれども、それぞれ、農林水産省から簡単に、質問事項等に対してのお答えをお願いいたします。

【榎本環境政策課長】 鷲谷先生から、直接支払いするときに、イギリスの制度などをよく参照するようにということと、カバークロップやリビングマルチが、外来生物を招き込むようなことがあってはいけないというご発言がございました。おっしゃるとおりでございまして、私どももイギリスの制度、ヨーロッパの制度は特に、環境支払いの先進国ですので、そちらを参考にしながらやっていきたいと思っております。また、カバークロップ、リビングマルチは、まだ、始まったばかりの制度ですけれども、今のところは作物として、今まで使われてきたものを大体使っております。例えば、レンゲですとかマメ科の植物です。また、リビングマルチも大麦を畔に植えることによって抑えるというようなことですので、今後とも気をつけていきたいと思います。
 次に、吉田正人先生からご発言のありました、奨励措置についてですけれども、これは「今後しない」というのは、今後しばらく維持していくという意味ではなくて、今後は、毎年の予算会計年度が始まる時点で、もうやらないという意味で考えておりますので、そのようにご理解していただければと思います。
 吉田謙太郎先生からご発言ございました経済評価につきまして、今まで、代替法等でやってきたわけでございますけれども、生物多様性の評価については、いろいろな経済手法が今、開発されてきておりますので、新しいものを取り入れてチャレンジしていきたいと考えております。
 また、国有林のいろいろなツールを民有林に、これも活用できるようにしていきたいと思います。先ほどありました、直接支払い制度、間伐に対する民有林への助成なども、森林経営計画の策定を条件としておりますので、そういう中で、できる限り新しいものを取り入れていきたいと思っております。
 中村先生から、例えば風倒木のレガシー、そういったようなものをきちんと残すような保全管理をやっていけばということにつきましてですけれども、例えば風倒木などを、生物多様性の観点から残すような施業のやり方、そういったようなものを今、民間ベースでは進めてきておりまして、施業の中にどういう形で入れていくかということは、これからの研究課題と思っております。
 また、森林の生物多様性をどう高めていくか今後も勉強していきたいと思っております。
 日本型の海洋保護区をどう作っていくかということでございますが、日本の場合、漁業権とか、許可漁業のさまざまな権利関係が複層化しております。そういう中で、いろいろな形での実際上の保護が行われておりますので、それらをどう組み合わせて、私どもの言う日本型の保護区が作り上げられるか、各省とも連携してやっていきたいと思っております。
 白幡先生のご発言の中で、環境と生物多様性、いろいろな環境要素というものと生物多様性は、場合によってはトレードオフの関係になるものもございますので、私どもも、まだこれは今後の研究課題ですけれども、生物多様性とほかの環境要素のライフサイクル的な評価をどうしていくかといったようなことも、長期的な研究課題として今、とらえているところでございます。
 また、先ほどございました生物多様性の指標についてです。森林の施業でも、今までの経験則的な観点から、生物多様性を維持する施業方法というのは開発されてきたわけですけれども、科学的に立証するという面では、やはり指標をつくるということが大事だと思っておりますし、指標も、これに限ったものではないと思います。農業と生物多様性との関係でとらえるか、もう少し広いランドスケープでとらえる指標は何にするかというのは、いろいろな方法があるかと思います。
 例えば、佐渡のトキなどでは、ドジョウの生息量とかというものを、HEPという方法を参考にしながら評価いたしまして、それでやっているやに聞いていますので、そういった指標の開発、またいろいろな目的に合わせた活用の仕方を、あわせて今後検討していきたいと思っております。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 国土交通省、よろしくお願いいたします。

【青木環境政策課長】 まず、先ほど吉田委員からご質問というか、ご意見を賜った、プログラムという言葉。あれが、ちょっと概念として狭いのではないかと。やはり、あらゆる施策手段等を結びつけた、総合したものでないといけないというご指摘をいただいたというふうに理解しております。
 私どもの考えておりますのも、同じ意識を持っております。これはちょっと言葉の話になってしまうのですが、実は、私どもの社会資本整備重点計画というのが、さっきの説明の中でも申し上げましたが、昔、それぞれのインフラごとに計画というのをつくっていたと。それが、2003年から今の名前でもってまとめたものになっていると。今度つくるのが3回目なのですけれども、1回目、2回目というのは、中身は、めくっていくと結局、道路はこうするとか、河川はこうするとか、それぞれの話になっているんです。これではいけないという意識を強く持っておりまして、それで今回どうするか、どうしようとしているかというと、同じ政策目標を実現するための事業とか施策、そのまとまりごとに立てていこうと。
 それで、ここから先が問題で、その同じ政策目標を共有する事業等の総体のことをプログラムと呼んでしまったので、ちょっとイメージ的に小さく見えてしまっているかもしれません。ただ、やろうとしている方向性は同じでございます。
 それから、私どものご説明の前に、たしか白幡委員だったかと思いますが、海洋の関係で、バラスト水の問題をご指摘いただいたかと思います。あの中に……。

【武内委員長】 白山先生ですね。

【青木環境政策課長】 大変失礼いたしました。
 バラスト水につきましては、ご案内のとおり、バラスト水管理条約が、まだたしか発効していなかったと思いますが、これの発効を目指しまして、昨年の秋にバラスト水を処理するための機械について、日本製のものだけではなくて、外国製のものを輸入して使うということがスムーズにできるように、手続について直しているということをやっております。

【梛野緑地環境室長】 あと、中村委員からご質問のあった件でございますけれども、緑の基本計画に関して言いますと、政令市は、さすがに進んでおりますので、みんなつくっております。その中で、こういった生物多様性にどれぐらい取り組んでいるかというのは、全部を把握していないのですけれども、最近つくっているところは、何らかの形で生物多様性の視点を入れてきております。
 ただ、本当に細かい形でつくっているかというと、ちょっと十分ではないところもあろうかと思うのですけれども、そういう点につきましては、これから私どもも生物多様性に配慮した緑の基本計画を推奨しておりますので、だんだんそういう形に変わっていくのではないかと期待しております。
 あと、生物多様性基本法に基づく地域戦略の策定のほうは、ちょっと環境省でないとわかりませんので、それはちょっと後で環境省のほうからお願いします。

【岡田事業環境整備室長】 ありがとうございます。やっと質問がありましたので。
 今後の展望ということですけれども、私がまさに話すよりは、環境省のほうが多分的確かなと思うのですけれども、せっかくいただきましたのでお話しすると、まず、制度的な枠組みの話になりますと、今、まだ批准している国が2カ国しかありません。これは、50カ国批准で、3カ月後に発行という仕組みですので、まだ、そういう意味では本格的な議論というのは何も始まっていないという中で、政府間のレベルでの、どういう仕組みにしたらいいのかという議論は、もう既に始まっています。
 ただ、いずれにしても、総括的に言ってしまうと、なかなかやっぱり、途上国と言ったらちょっと言い過ぎかもしれないですけれども、そういう側に能力がまだ不足しているということで、やっぱりキャパシティ・ビルディングをどうするのかというとことが、今のところの一番大きなポイントかなというふうに思っています。
 あと、先ほどご質問のあった、資金メカニズムの話、これは10条のお話だと思うのですけれども、これについては7月にニューデリーのほうで政府間会合、これは初めて議論されるということで、この10条については、実はCOP10の中でも議論は行われていませんで、そういう意味でいくと、10条の議論自体が始まるのは7月が初めてということになりますから、まず、そこの議論をしっかり聞いてから対応するのかなというふうに思います。
 それで、伝統的知識のほうですね。これは非常に、私も前回の政府間会合でも、いろいろな国の方と意見交換をしたのですけれども、正直言うと、各国ともお困りだというのが正直かなと思います。日本のように閉じた国だったら、まあ、それなりにいいのでしょうけれども、国境がいろいろ入り組んでいるような国で、そこを渡り、移動されている方々が持っている、いわゆる有用な知識を、どう位置づけるのか。だれがそれを所有するのかというところは、基本的に条約上は各国で規定するということで、各国責任ということになっているのですけれども、多分そのままにしておいたのでは、なかなか先に進まないのかなというふうな感じはあります。
 そういう意味で、先ほど私は、テクニカルなNITEのお話だけはしたのですけれども、NITEにおいても、単にそういう技術支援するだけではなくて、例えばアクセスする国家制度ですね。こちらのほうについても、しっかりアドバイスするようにというのは、お話はしています。現実に、ちょっと国は伏せますけれども、ある程度、制度は整えたのですけれども、結局企業のニーズとか、そういうものを全く勘案しないでつくったものですから、ほとんどだれも、その国には行かないという現実があるのは確かですので、やはり、利用する側と持っている側のバランスがとれないと、いくら制度だけつくっても、何も動かないということになるのかなと思いますので、ちょっと草の根レベルになると思いますけれども、1国、1国、丁寧にやっていくしかないのかなという感じでは考えています。

【奥田生物多様性地球戦略企画室長】 先ほど、地域戦略のご質問があったので、策定済みの県のことだけお伝えしておきます。
 15道県11市で既に策定しているということで、ただ今策定中の自治体は数十あると思いますので、今後、この数は増えてくると思います。

【武内委員長】 それでは、長時間どうもありがとうございました。
 もし、各省のほうで、また、補足的に資料等の提供がございましたらお願いしたいと思いますし、次回の委員会の中でご紹介させていただきたいと思いますので、そのようにさせていただければと思います。
 それでは、ちょっと時間が延びてしまいましたけれども、これでこの議論は、閉じさせていただきたいと思いますが、事務局から何かございますか。

【事務局】 本日は、長時間にわたり、大変ありがとうございました。
 次回は、4月12日木曜日の朝9時30分から17時30分にかけまして、本日と同じTKP赤坂ツインタワーカンファレンスセンター、こちらの会場での開催となります。ちょっと長時間にわたってしまって、申し訳ございませんが。
また、資料1の記載が不十分でありましたため、山岸委員よりご指摘いただき、申し訳ございませんでしたが、次回は、本日の各省施策ヒアリングの続きといたしまして、文部科学省、外務省、厚生労働省、また、関係団体からのヒアリングといたしまして、地方公共団体として、静岡県、岩手県、北海道の黒松内町、横浜市、自然環境・普及啓発関係のNGOとして、日本自然保護協会、WWFジャパン、CEPAジャパンなどの団体、農業・林業・水産業の各関係者、企業、メディア等の方々からのヒアリングを予定しております。
なお、地方公共団体からは、川勝静岡県知事、若見黒松内町長などにご出席いただく予定です。
追って、タイムテーブルを委員の皆様にお示ししたいと考えておりますが、できれば一日のご出席が難しいようでしたら、ご出席いただける時間だけでも結構ですので、ご出席いただけますようよろしくお願いいたします。
また、本日の配付資料につきまして、郵送をご希望の委員の方は、封筒にお名前をお書きいただければ、後日、事務局から郵送させていただきます。
本日は以上でございます。どうもありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。