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平成21年度 中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第2回)

議事録


1.日時

平成21年8月26日(水)13:00〜16:40

2.場所

三田共用会議所 3階 大会議室

3.出席者

(委員長)
熊谷洋一
(委員)
有路  信    石坂 匡身    磯崎 博司
大久保尚武    大澤 雅彦    岡島 成行
川名 英子    桜井 泰憲    佐藤友美子
鹿野 久男    竹村公太郎    中道  宏
西岡 秀三    浜本 奈鼓    福田 珠子
山岸  哲
(事務局)環境省:
自然環境局長、大臣官房審議官(自然環境担当)、自然環境局総務課長、自然環境計画課長、国立公園課長、外来生物対策室長、生物多様性地球戦略企画室長、自然環境整備担当参事官、生物多様性センター長

4.議事

【事務局】 たいへんお待たせいたしました。ただいまから中央環境審議会、自然環境野生生物合同部会第2回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。
 初めに、資料の確認でございますが、本日、お手元にお配りしている資料につきましては、議事次第の裏面にあります配付資料一覧のとおりとなっております。配付漏れがございましたら事務局にお申しつけください。
 なお、ご発言の際のマイクの使用方法でございますが、机上備えつけマイクの真ん中を押していただきますとマイクがオンになります。再度押していただくとオフになります。
 それでは、これよりの議事進行につきましては、熊谷委員長にお願いいたします。
 熊谷委員長、よろしくお願いいたします。

【熊谷委員長】 それでは、ただいまから第2回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。
 最初の議題は、前回の小委員会の指摘事項に係る補足説明となっております。一つは、学校教育、社会教育についての文部科学省の取組の状況報告を聞きたいという浜本委員のご意見がございました。また、普及啓発の取組につきましては、この小委員会とは別に幅広い関係者の意見を聞く場を設けることも考えるべきではないかという山岸委員のご意見もございました。これらの点に関しまして、文部科学省並びに環境省から説明をしていただきます。
 それではまず、文部科学省からは、本日、生涯学習政策局社会教育課学校支援推進室の佐藤室長、初等中等教育局教育課程課の石塚学校教育官環境教育調査官にお見えいただいていますので、よろしくお願いをいたします。

【佐藤学校支援推進室長】 今、ご紹介をいただきました文部科学省の佐藤でございます。皆様方には日ごろから教育に関しましても、いろいろとご協力をいただいておりますことを感謝申し上げたいと思います。また、今日はこのような説明の場を設けていただきまして、ありがとうございます。
 それでは、時間もございますので、早速、説明の方に入らせていただきたいと思います。
 学校等における生物多様性に関する取組ということで、お手元に資料1−1ということでご用意いたしましたので、それに基づいてご説明をさせていただきたいと思います。
 1枚めくっていただければと思いますが、文部科学省におきましては、今日の環境教育、環境学習の推進が非常に大事であると考えているところでございます。ここに書いてございますように、今日のこうした問題を解決するためには、一人一人が環境と人間との関わり、あるいは自然など、その環境の価値についての認識を深める、あるいは社会経済等の仕組みを理解し、社会を変革していく努力を行っていくことが必要であるという観点から、感受性、熱意、見識を持つ「人づくり」ということで、環境教育や環境学習の機会の充実などに取り組んでいるところでございます。特に、平成18年12月に教育基本法が改正されまして、その中で教育の目標として5点挙げられているわけでございますが、五つのうちの一つとして、四というところに書いてございますが、「生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと」が明記されたところでございます。こういったことを踏まえまして、各取り組みを進めるということでございますが、さらに、教育基本法の改正を受けまして、学校教育関係あるいは社会教育関係の各種法律が改正されたわけでございますが、その中で学校教育法の改正も行われたところでございます。その中でも、やはり教育基本法の規定を踏まえまして、「学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと」が明記されているところでございます。こういったことを踏まえまして、環境教育に取り組んできているということでございます。
 次の2ページでございますが、まず、基本的な考え方といいますか、学校教育において指導を進めるに当たっては、指導要領というものに基づいて行っていくわけでございますが、その中で、環境への理解を深める、あるいは環境の保全等々のために主体的に行動する実践的な態度や資質、能力を育成するということをねらいとして、小・中、高等学校を通じまして、児童生徒の発達段階に応じまして、社会科、理科、家庭科などの各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間など、単なる一つの教科とか、そういったことにとどまらず、各教科、教育活動全体を通じて環境教育を行っているということでございます。特に新しい学習指導要領は、今年度から小・中学校については一部先行実施をしているわけでございますが、この新しい学習指導要領におきましても記述をしているところでございます。すべてを読み上げることはちょっといたしませんけれども、まず、総則として、「環境の保全に貢献し未来を拓く主体性のある日本人を育成するため、その基盤としての道徳性を養う」ということで、環境保全への貢献というようなことを特に明記をしているところでございます。これは小・中、高いずれもでございますが、それぞれ、その下にございますように小学校、中学校、それから高等学校、各段階に応じて記述をしているところでございます。例えば小学校の理科でございますが、身近な自然の観察の学習、あるいは生物間の食う食われるという関係などの生物と環境との関わりの学習といったことを新たに追加いたしました。また、中学校では、中学校の理科ということでございますが、地球温暖化や外来種、そういったことにも触れながら、自然界における生物相互の関係や自然界のつり合いについて理解し、あるいは自然と人間との関わり方について総合的に考察する学習を充実するといったようなことを記述しているところでございます。また、高等学校の、例えば生物基礎というところでございますが、生物の多様性と生態系について探求し、生態系の成り立ちを理解させ、その保全の重要性について認識させる学習を充実したところでございます。このように学習指導要領の中でも明記をする、あるいは充実をするという形で、環境教育・学習の推進に取り組んでいるところでございます。
 次をめくっていただければと思いますが、3ページ目のところでございます。特に地球規模の環境問題の解決のため、持続可能な社会の構築、低炭素社会の実現のための取り組みといったようなことがますます重要になっているということで、環境教育推進グリーンプランということで、今、取り組みを進めているところでございます。こちらの方につきましては、そこに記述しているところでございますが、新しい環境教育のあり方に関する調査研究、それから環境教育・環境学習指導者養成基礎講座、あるいは環境教育実践普及事業ということで、例えば新たなESDに関する調査研究を7地域で行っているとか、あるいは指導者の養成講座といったようなものを実施し、あるいは、いわゆるGLOBE(地球環境観測学習プログラム)への参加といったようなことも行っているところでございます。こういったものを進めるに当たっては、環境省等とも連携協力をしながら取り組みを進めているというところでございます。
 次の4ページでございますが、さらに、児童生徒の社会性や豊かな人間性をはぐくむということで、さまざまな体験活動についても実施しているところでございます。これにつきましても、体験活動の中で自然体験活動といったものも含まれているというところでございます。そこに書いてございます豊かな体験活動推進事業ということで、児童生徒の輝く心育成事業でありますとか、高校生の社会奉仕活動推進校とか、そういったものに加えて、自然の中での長期宿泊体験事業ということで、これは後に触れますが、農山漁村におけるふるさと生活体験推進校というようなことで取り組みを進めているところでございます。それから、体験活動推進協議会ということで、各県(47地域)にそういったものを立ち上げて、また、ブロック交流会なども行っているところでございます。
 次にめくっていただきまして、また、環境を考慮した学校施設ということで、エコスクールの整備推進ということで、そこに書いてございますとおり、施設面、運営面、教育面いずれにおいても、その環境についての取り組みを進めるということでエコスクール、環境に配慮した学校施設の整備といったものを進めているところでございます。認定実績につきましては、今年の4月現在の数字でございますが、916校となっているところでございます。
 次のページをお願いいたします。先ほど体験活動ということを申し上げましたけれども、社会教育関係ということになりますが、青少年教育という部分につきましても、青少年体験活動総合プランということで事業を進めているところでございます。これは、青少年をめぐるさまざまな問題、そこに例示しているようなさまざまな問題を踏まえ、体験活動を進めていくということでございますが、その中でも自然体験活動についても取り組みをしているところでございます。そこに書いてございますが、小学校長期自然体験活動支援プロジェクトということで、指導者の養成であるとかプログラム開発であるとか、それから、青少年の課題に対するプロジェクトといったものも進めておるところでございます。
 それから、次をめくっていただければと思いますが、また、先ほど若干申し上げましたけれども、子ども農山漁村交流プロジェクトということで、関係省庁とも連携をしながら、農林水産省が指定する農山漁村のモデル地区を活用して1週間程度の宿泊体験活動を行う小学校を、文部科学省がモデル校に指定するという事業も進めているところでございます。
 それから、次のページ、国立科学博物館では調査研究、特に自然史等に関する我が国の中核的研究機関ということで調査研究を進めているところでございます。特にこちらの方につきましては、標本資料の収集・保管事業というところでございますが、サイエンスミュージアムネットということで、各博物館等と連携をいたしまして、情報収集でありますとか調査研究を行っていると同時に、さらに、生物多様性条約機構の、いわゆる日本ノードといったようなものを目指しまして、調査研究、情報収集、そういったものの活動を行っているところでございます。こういったものの成果を踏まえながら展示、学習支援といったようなもので、さらに普及活動を行っているところでございます。
 それから、9ページでございますが、天然記念物の指定、こういったものを通じても取り組みを進めているところでございます。ここは時間もございませんので、後ほどごらんをいただければと思っているところでございます。
 説明の方は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、続いて環境省から説明をお願いします。

【鳥居生物多様性地球戦略企画室長】 座って説明させていただきます。
 私の方からは資料1−2に基づきまして、生物多様性を社会に浸透させる取組についてご紹介をしたいと思います。この資料1−2は、生物多様性を社会に浸透させるために、これまでの取組、またはこれからの取組につきまして、環境省が直接実施、あるいは連携を予定している主な取組についてまとめたものでございます。もちろんこれ以外にも企業や民間団体、地方公共団体が独自に取組を行っているということは、もうご案内のとおりですけれども、一応、そういう切り口で取りまとめをさせていただきました。横の方が時間軸でございますけれども、(1)から(4)までございます。まず一つ目が、生物多様性を普及・広報ということで、認知度の向上という目的で、対象として左側に広く一般の方とか興味がある方とかというふうにカテゴリーに分けてございますけれども、一般の方に対しましては、さまざまなイベント等を行っております。例えば4月に行いました新宿御苑でのみどりフェスタには1万5,000人の方が、あるいはその横のエコライフフェアですと、代々木公園で約6万5,000人の方が参加をされているところで、いろいろ生物多様性の意義だとかについて普及をさせていただいたところでございます。また、先日の委員会でもご紹介しました地球いきもの応援団、こういった応援団のメンバーの拡充だとかということも今後考えているところでございます。多様性に興味がある方につきましては、5月に国際生物多様性の日のシンポジウムを国連大学で行いまして、これには315名の方がいらっしゃいました。また、生物多様性基本法に基づきまして白書をつくってございますけれども、その白書を読む会には全国9カ所で約500人。それから、若者や学生に対してですけれども、5月22日にはグリーンウェイブということで、生物多様性条約事務局が呼びかけて植樹を行っていこうという働きかけです。ちょっと今年は準備が十分ではなかったんですけれども、14の都府県で約3,000人の方の参加をいただきました。来年はさらに働きかけを行っていって、より多くの人に参加していただきたいと思います。それから、メディアということでは36件までふえたということですけれども、まだまだ十分とは言えませんので、例えば記者クラブとの懇談とかということを通じて、メディアにも働きかけを行っていきたいというふうに思っております。
 それから、(2)の生物多様性に配慮した事業活動の推進でございますけれども、これは例えば、ここに書いてございますと、先般、生物多様性民間参画ガイドラインというものを公表いたしまして、例えば企業とか、いろいろな事業主体が生物多様性に配慮した事業活動を行っていくためのガイドラインというものをつくりました。そういったものを今後、全国的に説明会を開いていって普及していくということをしていきたいというふうに思っております。あるいは、生物多様性地方総合展示会というものをこれから5カ所で開いていって、一般の方にもそういう生物多様性に配慮した産品の展示等を通じて普及を図っていきたいというふうに思っております。
 3番目が、地域戦略の策定の関係でございます。現在、生物多様性地域戦略策定の手引きというものをパブリックコメントに付してございますけれども、これを早急に取りまとめをいたしまして、地方での説明会をやっていきたいというふうに思っております。
 4番目が、多様な主体の連携・参画ということでございます。COP10に向けて、いろいろな国内での対話、国際対話というものを開いて、生物多様性についての関心を含め、より具体的なCOP10での議論の内容について普及を広めていきたいというふうに考えている次第でございます。
 そのほか、ちょっと時間の都合ですべてをご紹介できませんけれども、さまざまな取組を持ってやっていきたいと思っていますけれども、特に来年2010年は国連が定める国際生物多様性年でもございますので、COP10を契機に、あるいはこの多様性年を契機に社会への浸透度をますます強めていきたいというふうに思っております。
 1枚めくっていただきまして、広報・参画委員会につきまして、これは先般の委員会でもご紹介しましたけれども、先月の内閣府の調査が発表になりました。平成16年に「生物多様性」という言葉を知っている、聞いたことがあるという方々が約30.2%だったものが、今回の21年の内閣府の調査で36.4%に約6.2ポイント増加をしてございます。国家戦略の目標値は23年度末までに50%に持っていくということでしておりますので、引き続きいろいろな広報の取組を展開していきたいというふうに思います。
 次のページをごらんいただきますと、その世論調査の内容についてですけれども、「多様性」という言葉を知っていると答えられた中でも、まだまだ意味について十分そこまで知っているという方は少のうございますし、また、「生物多様性国家戦略」という言葉を知っているかというと、これは5ページにもちょっとデータが出てございますけれども、前回、平成16年の調査では6.5%だったものが、今回19.8%ということで、伸びてはいるんですけれども、まだまだ非常に少ない状況であるということで、引き続き、多様性の社会への浸透ということについて努力をしていきたいというふうに思っています。
 次に、資料1−3でございますけれども、これは前回の農林水産省と国土交通省のヒアリングの際に、十分説明がその場でできなかったものについての補足説明資料でございますので、これは見ていただければというふうに思います。
 以上でございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、ご質問、ご意見等がございましたらご発言をお願いしたいと思いますが、まず、文部科学省の説明について、いかがでしょうか。
 まず、それでは川名委員、お願いをいたします。

【川名委員】 今、聞きましたらば、生物多様性に関する取組、それはイコール環境教育なんですか。環境教育と生物多様性に関する取組というのはイコールなんですか。

【佐藤学校支援推進室長】 必ずしもイコールということではないというふうに思っておりますが、特に環境教育の中でそういった取組を進めているというのが多うございますので、それを中心にご紹介をさせていただいたということでございます。

【川名委員】 生物多様性以外の環境教育というのもあるわけですね。

【佐藤学校支援推進室長】 もちろんです。

【川名委員】 では、ここでは生物多様性に関するものだけをお出しになったわけですか。

【佐藤学校支援推進室長】 特に関わりの深いものを中心にご紹介をさせていただいたということでございます。

【川名委員】 それから今、世の中で36%の人が「生物多様性」という言葉を知っていると書いて、調査があったそうですけども、この「生物多様性」という言葉は高等学校では出てきますけれども、小学校、中学校では使ってはいないのですか。

【石塚教育調査官】 学習指導要領の中の言葉といたしましては、「生物の多様性」という言葉自体は高等学校でございます。ただ、「生物の多様性」という中身の意味、こういったものに関わるようなものは、小学校、中学校からの例えば理科の学習等を通じて、その基礎的なものを学習させていきたいと、いくことになっております。その上に立ちまして、この「生物の多様性」という言葉が指導要領上出てくるのが高等学校からということでございます。実は学習指導要領といいますのは、教育課程の基準のもととなるものでございます。これによりまして、各教科書発行者が教科書をつくりますので、この生物の多様性という言葉自体は高等学校の教科書には確実に出てくるとは思いますが、小学校、中学校についても、この趣旨を踏まえて出てくる可能性もあるとは思います。
 以上でございます。

【川名委員】 わかりました。ありがとうございました。

【熊谷委員長】 ほかにいかがでしょうか。また、ご発言のおありの方は、ネームプレートをお立ていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、浜本委員、よろしくお願いします。

【浜本委員】 前回のこの委員会のときに、学校教育現場での生物多様性の取組について質問させていただいた者です。今、ご説明ありました中での環境学習・環境教育の指導者養成基礎講座、これは文科省の直の教育センターさんの方でやられていらっしゃるものでしょうか。3ページの左側の下ところに。

【石塚教育調査官】 3ページの左の基礎講座のことでございますか。これにつきましては、文部科学省と環境省が主体となって行っております環境教育リーダー研修基礎講座というのが、ちょっと事業名自体はここで出させていただいたものが予算の項目になっておりますので、こういう形で書かせていただいておりますが、実際の事業名といたしましては、環境教育リーダー研修基礎講座という形で、全国7ブロックに分かれて実施しているところでございます。

【浜本委員】 わかりました。実は私、直接、文科省さんがやっていらっしゃる環境学習の教員の方たちの研修にもう長いこと関わらせていただいているんですが、その現場で直接、研修に来られていらっしゃる教員の方々から、特に高等学校ですと、直接、その「生物多様性」という言葉が使えるんですけれども、小学校や中学校になってきた場合に、どうやって伝えていいかわからないという声をすごく強く毎回毎回聞くんですね。それで、どういうところがわからないのかということをせんじ詰めて研修の中でお話をいろいろお聞きしますと、要は体験を通した環境教育というものはすごく強化されていて、自然体験をしましょうとか、そういったものは物すごく強化されているんだけれども、それを生物多様性というだけではない、生き物とか地球環境とか、そういうことに直接結びつけることができるような知識、もともとの理科の授業であるとか、例えば中学校で言うと理科2分野にあるような生物とか地学とかそういったものが、小学校からの段階で既にもうカリキュラムの中で、以前は学んでいたけれども今は学ばなくてもいいとか少しずつ省かれてきているところがあって、どれだけ体験をさせたところでも理解に結びつかないというような声を多くの先生方から聞きます。私自身も環境教育だとか、そういう学校教育、地域教育の特に自然教育というところの現場におりまして、例えば温暖化のことなどを理論的には子供たちはとても学校で学んで理解したとしても、潮の満ち引きであるとか、それと月の関係であるとか、生き物の分類に関わるような大きな一番大もとのところであるとかというものをきちんと学んでこない、もしくは学ぶ機会が少ないところに体験だけ積んできてもつながってきていない、それが多分、教育現場の中でも、より高度な高等学校に行ったときにいきなり生物多様性とか出てきても何のことだかわからないとか、生き物は好きだけれども、そのことを学ぶことはするけれども、理論的な、基礎的なところがわかっていないので理解が及ばない。知識と体験というのは同等あって、初めて教育として身についていくものだというふうに、特にこういった分野では私は感じていますので、学校教育現場の中で、もう少しカリキュラムをつくる段階で、そういう地球科学であるとか生物科学であるような分野のところを強化するというよりも、もっと基礎的なところをカリキュラムの中にもう少し、小学校の低学年の段階から取り入れやすいようなカリキュラムの組み方であるとか、そういう具体的な授業のあり方というものの強化というものを図っていく必要があるのではないかなというふうに強く感じておりますので、そういうところを反映していただけたらなというふうに感じました。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。ただいまのご意見に対してはいかがでしょうか。文科省、特に。

【石塚教育調査官】 どうもご意見ありがとうございます。今回の2ページに書かせていただきました新しい学習指導要領の主な内容というところなんでございますが、若干こういう形でお示しすると誤解を受ける可能性もありましたので、ちょっとここで補足させていただきますと、もともと指導要領の中には、基本的に大体新しく加わったものをここに入れております。また、内容の充実したものも若干一部ございますが、もともと自然環境ですとか、生物に関わるような内容、こういったものについては小学校の生活科、また理科、こういった学習を通じて行っているところでございまして、小学校、中学校の中でそういう基礎的なものを学習するような形になっております。これにつきましても、現行の学習指導要領、これは平成10年に告示されたものなんですが、この中では学習内容というのを大きく減らしたところでございますが、今回、昨年3月に小・中学校の学習指導要領の改訂を行いまして、今度は理科等については授業時数をふやしたりとか、教育内容についての充実を図ったところでございます。環境の中でこういう生物多様性に関わるような内容についても、かなり充実したところでございますので、ご意見いただいたようなところも今後生かしながら周知に努めてまいりたいと考えております。

【熊谷委員長】 それでは、大澤委員、お願いをいたします。

【大澤委員】 ご説明いただいた最後の天然記念物の保護というところについてちょっとお伺いしたいんですが、日本の自然保護の制度の中でも一番古い制度として、これまで随分日本の生物多様性の保護に貢献してきているんだと思うんですけれども、現状を見ると、指定するところまでは一生懸命やるんですけれども、指定されたそれぞれの案件について、どの程度、文化庁なりが把握をされていて、生物多様性の保護に実際に役に立っているのかどうか、あるいは今後、2010年目標でも言われていた生物多様性の減少速度を混乱させると、スピードをダウンさせるというようなことが目標として上がっていたわけですけれども、そういうことに対して、やっぱり全国で起こっているいろいろなところでの種の絶滅とか、そういうことを防いでいく一つの拠点として、やはり天然記念物、あるいは天然保護区域というのは非常に重要な役割を果たしていると思うんですけれども、実情は非常に管理のあり方が不完全といったらちょっと言い過ぎかもしれませんが、ほとんど現状を把握されていないんじゃないかと思うくらいに、直接、例えば都道府県が保全管理をしているようなところについて、幾つか私が経験したところでも、専門の担当者がいないんですね。ですから現状はどうなっていて、生物多様性を保護していく上ではどういうことが必要なのかというようなことについて、きちんと文化庁なりが把握して、それを指導なりリードしていくというような体制ができているのかどうか。ちょっとその辺について、もしおわかりになったらご説明をいただきたいんですが。

【佐藤学校支援推進室長】 すみません、その点に関しましては、私もちょっと直接の担当ではないものでございますから、また、十分お伝えをさせていただきたいというふうに思いますが、そこに書いてございますように一定の補助でございますとか、そういったものは行っているところでございますが、その辺が十分ではないのではないかということについては、また、文化庁の方にも伝えさせていただきたいというふうに思います。
 また、ちょっと話がひょっとするとずれてしまうかもしれませんけれども、逆に天然記念物なりに指定をされるといろいろ規制がかかったりして、逆に距離が遠くなってしまうと、地域との距離が遠くなってしまうというようなこともまま見られるんではないかというようなこともございます。そういう中で、その地域の自然と文化の結びつきを知る、そういったことで天然記念物の意義を知って、その理解を深めるための活動、そういったものについても行われているところでございますが、そういったものについても今後さらにご意見を踏まえながら進めていきたいなというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

【大澤委員】 ちょっといいですか。指定すると距離が遠くなるというのは、どういうことを指しておられるのかちょっとわかりませんけれども、現場でもやっぱりそういう不安を言われる地元の方などがいらっしゃるんですね。それで、それはやっぱり天然記念物の制度というものについて理解が非常に浅いといいますか、いろいろ必要に応じて、例えば災害に結びつくようなときには現状変更の申請をして治山措置をするとか、いろいろな手だてがあるんだということを我々は口を酸っぱくして言って、それでやっと承諾してもらうというようなレベルでして、やっぱり天然記念物が一つの文部省のご説明の中でも重要な生物多様性保全の一環であるという認識を示されたわけですから、もうちょっと天然記念物の制度についても説明をし、あるいは文化庁の中にそういう生き物を保護・保全していくということについての具体的なことを検討するような体制があるのかどうかですね。それも非常に気になるところで、実際指定はするけれども、それの保全管理については環境省任せみたいなことが、もし万が一あるとしたら非常に問題で、やっぱり制度としては違う制度としてあるんですから、やっぱり文化庁としての独自の管理の方針とか、具体的に危機に瀕してきたらどういうふうな形でそれを保全していくような方法を講ずるかとか、そういうことについての検討ができるような体制というのを確保しておくというのは、やっぱり非常に重要な責任だというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

【佐藤学校支援推進室長】 ご指摘のとおりであろうかと思っております。前半の普及といいますか、啓発といいますか、制度そのもののそういったものについても引き続き取り組んでいきたいというふうに思っておりますし、それから、実施体制整備といったものについても、今後、どういったものができるのか考えていきたいというふうに思っております。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 いかがでしょうか、ほかに。文部科学省についてはいかがでしょうか。
 山岸委員、お願いいたします。

【山岸委員】 生物多様性と文部科学省の関係する部分で、特に教育・学習ということに非常に重きを置かれて、これはまとめられていると思うんですが、もう一つ、調査研究の推進というのも文部科学省のやるべき大きな柱じゃないかなと思うんですね。それはこの資料を見ても、大学という言葉はどこにも出てこない。それから、国立のそういう研究機関としては、手前みそみたいに国立科学博物館の仕事だけが載っていると。多分、科学研究費をそこにつぎ込んで、こういう研究を促進されたり、やっておられると思うんですね。だから、そういうことももう少し盛り込まれた方がよろしいんじゃないかという感想でございます。

【佐藤学校支援推進室長】 その点はすみません。私どもの方でお聞きをしておったのは、今回のあれが、特に学校での教育、社会教育での取組を中心に説明をしてほしいということだったものですから、ちょっと理解が不足しておったかもしれませんが、その点はまた参考にさせていただきたいというふうに思います。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。
 それでは、よろしければ文部科学省に対する、ご説明に対するご質問は以上にさせていただきたいと思いますが。また、後ほど文部科学省の方から補足のご説明をいただけるかもしれませんので、よろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、文部科学省のご説明の方は所用でここで中座をされるようでございますので、どうもご苦労さまでした。ありがとうございました。
 引き続きまして、環境省の説明について、ご意見、ご質問があればお伺いしたいと思います。よろしくお願いをしたいと思います。
 まず、岡島委員、よろしくお願いいたします。

【岡島委員】 質問というよりはちょっと意見ぽいのですけれども、社会に浸透させる取組ということで、このように一般的な人にいろいろなものを伝えたいということで、これだけ多くの取組をしていただけるのは非常にありがたいと思っております。2点ほどなんですが、一つは、全体の中で本来の目的が社会に浸透させるということですので、この準備期間も大事ですけれども、私の感じではCOP10のさなかが一番大きな社会教育の場だとは思うんですね。ですから、その辺のところまでだんだん盛り上げていくような計画にしていただきたい。92年のリオサミット、97年の京都会議等のこともいろいろ考えますと、ぜひこの9・10・11月あたりに出てくるマスコミとの対応ということを力を入れていただきたいと思います。大体の感じでいきますと、年明けぐらいからいろいろ報道が始まって、4月、5月からエンジンがかかってきて10月に向かうという形になろうかと思います。しかし、メディアの方の立場から言いますと、もうそろそろ9月ごろから準備に取りかからないと間に合わない。特に映像の方に関しては、かなり時間がかかる。そういうふうなことを勘案して、ぜひそういうことも考えて、メディアが動きやすいような体制をいろいろ気を配っていただけるとありがたいと思っております。
 それから、もう一点ですが、これは生物多様性という、先ほどからもいろいろお話が出ておりましたけれども、言葉が非常に難しいということで、特に一般の人や小・中学生にはなかなか浸透していかないという課題があろうかと思います。そういう中で私は、先ほどの浜本さんとニュアンスはちょっと違うんですけれども、あえて言えば理科からの脱却ということを申し上げたいんですね。この委員の皆様も関係者も皆さん、理科の生物関係の専門家の方がたくさんいらっしゃいますけれども、世の中にはそういう人は非常に少ないわけでして、理科じゃない人の方が圧倒的に多いわけで、そういう人たちを対象にした、もちろんここに書かれていることは一番大事なことですから、ぜひやった上での話ですけれど、中核にある生物多様性を一生懸命やっていらっしゃる方の外側にいる一般の人にどうやって広げるかということを考えますと、むしろ理科の大事なところを置きながら、もう一つの輪として理科の外の人に伝える、そのところを考えていただきたい。そして、それにはどういうことかと、命とか、お互いに助け合っているとか、そういうことだと思うんですが、そうなってくると、例えば哲学者とか芸術家というような方々の参画が非常に必要になってくると思うんですね。文学においても、我が国には自然との関係をやる文学はさまざまあるわけですから、そういう発想を理科の外に求める。そして、結びつけてくるという発想を、ぜひとっていただきたい。地球いきもの応援団の拡充ということがありますから、今年から来年にかけても、そういう応援団の中に理科以外の方を入れられて、野球の選手でもいいですよね、子供の時代、ハゼを釣ったとか、そういう方でもいいと思いますから、いろいろな方に目を広げて、そういう理科以外の方が入ってこられる道筋をつけていただきたいと思うんです。
 以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか、ご質問、ご意見。
 それでは、佐藤委員、お願いします。

【佐藤委員】 この取組の中にも、多分たくさん入っていると思うんですけれども、環境省から何かお知らせするというのでは、もう今の市民は乗ってこないと思うんですね。なので、市民の方が主体的に参加して、自分たちの方から盛り上げって、それをサポートするというような、いろいろなプログラムが必要ではないかと思うんです。今、ご説明がなかったですが、多分そういうことも考えておられると思いますので、そういう試みをやろうと思っていらっしゃるのがあったら教えていただきたいと思います。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。まとめてお答えいただきたいと思いますので、いかがでしょうか。山岸委員、特にございますか。よろしいですか。
 それでは、今のお二人のご意見に対して、よろしくお願いします。

【鳥居生物多様性地球戦略企画室長】 ご意見、どうもありがとうございました。岡島委員からのお話が、まさにそのとおりだというふうに思っておりまして、いきもの応援団を拡充する際にはそういった視点から、もちろん理科でない分野の方、あるいはより哲学とか芸術とか一般の人にもなじみやすい分野の方に入っていただくよう、ちょっと努力をしたいというふうに思います。
 それから、佐藤委員からの市民が主体になって加わっていくという視点、非常に、どうしてもやっぱり役所が旗を振ってもなかなか難しいという、資料1−2には記載をしておりませんけれども、NGOが主体になって生物多様性を広めていこうという動きももちろんございます。そういったところに、例えば一緒にといいますか、講演をしながらいろいろやっていくということもあると思いますし、ちょっとそういった動きも何らかの情報発信をしていって、役所だけでやっているということにならないようなことも考えていきたいというふうに思います。

【熊谷委員長】 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 どうぞ、審議官、お願いをいたします。

【渡邉大臣官房審議官】 今、鳥居室長の説明のちょっと補足でございますけれども、岡島さんの方からCOP10に向けて盛り上がりをつけてマスコミでも積極的に取り上げてもらうというようなことが非常に重要ということで、ちょうど10月が1年前になるということもありまして、今年の10月、いろいろな動きがあります。今、市民の側からもという話がありましたけれども、後ほど発表される市民の方のNGOのネットワークの方でも、1年前のプレCOPということでシンポジウム等の企画がありますし、それから、COP10が開催される愛知、名古屋の方でも、10月に1年前を契機とした地域から盛り上がりをつくろうということで、プレの行事があります。それから、環境省の方でも先ほどの横長の表の中で出てまいりますけれども、いろいろなセクター、いろいろな主体間の対話をCOP10に関した重要な課題についてしていこうということで、神戸で10月の半ばに生物多様性の国際対話会合というのを、これは1年前という契機でそういった会合をやります。そういった一つ、COP10に向けた節目の月にもなるものですから、そういう機会を通じて、そこからCOP10に向けていろいろな立場の人たちが関心を高めて行動をしていく、そういったうねりが高まるような一つの契機にしつつ、その辺の戦略をつくっていきたいなと思っています。
 以上です。

【熊谷委員長】 それでは、福田委員、お願いをいたします。

【福田委員】 先ほど佐藤先生がおっしゃって、多分様々な取組がなされているでしょうが、ということをおっしゃっておられましたけれど、新宿御苑でやるのもよいですし、ビオトープコンクールもいいんですけれど、私、山の人間なものですから言いたいのですが、実際自然のところで、いろいろな試みをなされるのもいいのではないかと思います。それこそ、この自然の中では、生物もまさに多様ですから。そういう取組をされてもいかがかなと思いました。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。いかがでしょうか。よろしいですか。ご意見として、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
 それでは、時間の都合もございますので、次の議題に入らせていただきたいと思います。
 2番目の議事に入ります。これより、早速でございますが、関係団体からのヒアリングを行いたいと思います。本日も長時間にわたりますので、途中休憩を挟みながら、議事次第の順に説明をお願いしたいと思います。
 最初は、地方公共団体ヒアリングといたしまして、兵庫県の取組についてご説明をいただきます。兵庫県からは農政環境部環境創造局の福井局長にお見えいただいておりますので、よろしくお願いをいたします。

【福井局長】 兵庫県の環境創造局長をしております福井と申します。本日はこういう機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 では早速、私の方から兵庫県における生物多様性についての取組、あるいは今後の課題について若干ご説明をさせていただきます。座って失礼いたします。
 まず、兵庫県の生物多様性の現状ということなんですけれども、兵庫県は、よく言われているんですけれども、摂津・播磨・但馬・丹波・淡路という昔の五つの国からなっておりまして、大体普通の県は一つとか二つの国からなっているところが多いと思うんですけれども、それだけ多様性に富んだ国ということになっております。また、この淡路島の南は太平洋に続いておりますし、瀬戸内海ですね、それと日本海というふうに、気候的にも非常に多様性に富んでいる。地形的にも大都市部と、それから、こういう内陸部の山岳地域、あるいは山陰の海岸地域とか、いろいろな地域に恵まれております。そういうことで、あと山陽道、山陰道、南海道というような東西の交通も昔から発達しておりますし、あと、この氷上回廊と書いておりますが、本州で一番低い分水界という、95.4メートルというところがありまして、南北にも結構そういう動物が動いているということで、そういう生物の交流が昔から多かったということで、生物多様性の宝庫と言えるのではないかというふうに考えております。
 これからちょっと兵庫県のいろいろな取組がありますが、若干特色があるかなと思われるものを中心にちょっとご説明をさせていただきます。まず、六甲山の自然再生ということですが、神戸市は本当は南側に海があって、北にこういう六甲山の山並みがあるということで非常にすばらしい環境にあるわけですが、その六甲山も昔、江戸から明治時代はこうした本当、はげ山といいますか、荒廃した山であったと。したがって、すごいいろいろな水害が起きたということで、1902年と書いていますが、このころから国と県と、それから神戸市がいろいろな治山とか砂防事業による植樹をやりまして、現在のような緑の多い六甲山に回復したということでございます。
 それから、兵庫県は森づくりといいますか、森林整備にも非常に力を入れておりまして、この新ひょうごの森づくりということで平成14年からずっとやっておるんですが、一つは森林管理100%ということで、公費による間伐の実施をするということになっております。あと、もう一つは里山林の再生ということで、これも20年度末で7,000ヘクタールほどの、それからあと、森林ボランティア育成1万人作戦ということで、今、8,700人余りまで育成をしてきたということです。それから、里山については、これは「新」とついておりますように、もともとひょうごの森づくりプランというのが平成6年にできておりまして、それからずっと里山の整備をしております。したがいまして、かなり早くからそういう里山の整備に力を入れてきたということでございます。
 もう一つは、災害に強い森づくりということで、兵庫県、ちょっと今年も大きな災害を受けてしまったわけですけれども、平成16年も台風被害でかなり木が倒れたり、災害が起きたということで、こういう災害に強い森づくりというのを県民緑税ということで超過課税を財源として、こういう事業を進めてきております。一つは緊急防災林整備ということで、急傾斜地に間伐材を使ってこういう土どめの工事をするという、それから里山防災林整備ということで、人家裏山の防災機能を高める、あるいは混交林ということで、こういうちょっと古いといいますか、森ですけれども、中にこういう広葉樹を植えていく。それから、兵庫県、結構、シカとかイノシシとか野生動物の被害も多くて、そういうのを少なくするためにこういうバッファーゾーンをつくったり、そういったこともやっております。これは災害を防止ということを重点に置いた施策ですけれども、こういったことを通しても生物多様性を高めることにつながるんではないかというふうに考えております。
 それからもう一つは、淡路夢舞台の緑化と書いておりますが、関西国際空港ができるときに、その埋め立てをするために淡路の地域から土砂を運んだ、削り取ったということで、緑が全くなくなってしまいましたので、そこを改めて緑化をしようということで、外国の技術なども導入しまして、また、単純に植えるということではなくて「郷土の森」ということで、従来から周辺に群生するような木を植栽をするということで緑化をいたしまして、2000年のときにこういう「ジャパンフローラ2000」という祭典も開きまして、現在は淡路島の国営明石海峡公園とか、あるいは県立の夢舞台公苑というようなことで運営をしておるところでございます。
 次は、瀬戸内海の再生ということですけれども、ご存じのように瀬戸内海も非常に古くから風光明媚といいますか、すばらしい風景があったわけですけれども、阪神間とかで、かなり産業人口が集中をして海が汚れてしまったということで、1971年だったと思いますが、瀬戸内海の環境保全についての知事・市長会議というのをつくって国に働きかけをいたしまして、その結果ということでもないですが、こういう臨時措置法ができまして、それ以降、水質についてはかなり改善がされてきています。ただ、まだこういう藻場とか干潟はどんどん減少しておりますし、自然海岸も減少している。あるいは、低質の悪化とか、ごみの問題があります。また、漁獲量自体も減ってきておりますので、今、兵庫県としては、もう一度、この瀬戸内海を豊かで美しい海にということで、「里海」ということで再生をしようということで、こういう署名を集めたりしながら国にも今お願いをしておるところです。
 次は、これはもうよくマスコミで取り上げられておりますコウノトリの野生復帰ということで、この但馬はコウノトリがかなり多く住んでいたところですけれども、1971年に野生のコウノトリが絶滅をしたということで、そこからロシアからコウノトリをもらい受けまして、それを人工で増殖をするということで、1999年にはコウノトリの郷公園というものもつくって、そういうことをしておったんですが、かなりふえてきたということで、2005年にこういう形で自然放鳥をさせていただいたと。それから結構ふえていまして、今現在、135羽ぐらいになっておりまして、自然放鳥して、自然の中で暮らしている鳥も35羽ということになっております。コウノトリで一番重要なのは、単にコウノトリをふやすということだけではなくて、人とコウノトリが共生できる、そういう地域環境をつくっていくということが重要ということで、ここで環境創造型農業と書いておりますが、要は農薬とかを使うことによってコウノトリのえさとかがなくなってきたというところが一番大きな問題があったわけですけれども、そういうことで、そういう有機農業とか減農薬の農業を進めるというようなこと、それから、そういう鳥が住みやすい環境をつくるというようなことを地域が一体となって取り組んだ結果、ここまでコウノトリがふえてきたということでございます。その結果、ここの地域のお米は「コウノトリの米」とか「コウノトリ米」ということで結構人気を呼んで、そういう産業的にも有効な形につながっているということでございます。
 次は、ちょっと都市部の方で、これは尼崎21世紀の森といいましても、まだ実際に森ができているわけではなくて、構想をつくって、今、着手をしたというところでございますが、その尼崎臨海地域、ここも昔は非常に美しい海であったわけですが、皆さん、もう尼崎と聞きますと、公害というイメージが定着してしまっているように、臨海部というのは本当、工場がいっぱいで、ただ、そこもなかなか製造業が不振で空き地ができたりしておるわけですけれども、そこをこういう尼崎21世紀の森ということでつくっていこうということで、これは2000年に構想をつくって、2002年にそういう協議会をつくって、それから進めておる、まだこれからなんですが、この尼崎の森中央緑地というのを今年ぐらいから着手していくという状況です。ここも単に木を植える森を復活させるというのではなくて、この地域の武庫川とか六甲山系とか、そういうところにある木を種から取ってきまして、育てて、その木を植えて、こういう地域に合った、こういう森にしていこうということで、それを住民参画といいますか、行政が単純にやるのではなくて、住民の人にそういうことをやっていただこうというようなことで、今、構想を進めております。
 次、また、いなみ野ため池ミュージアムとなっておりますが、ため池が全国で21万ぐらいあるうち、兵庫県に4万3,000ということで、全国で一番多いということですが、特にその中でも今度、いなみ野といいますか、東有馬地域というところなんですが、ため池が多いということで、そういう地域として、全体をこういうため池のミュージアムという形にしようということで進めております。ため池の管理者とか地域住民の方が一緒になって、そのため池ごとの協議会を今つくっておりますが、それが56、今、協議会ができておりまして、そこでこういうジュンサイ採りの写真が出ておりますが、あと、生物多様性ということで言いましたら、絶滅危惧種になっておりますアサザとかオニバスなどの再生というようなことをやったり、あるいはベッコウトンボの増殖というようなことで、地域でいろいろ取り組まれておるところです。
 次が環境学習・教育ということで、先ほどもお話が出ておりましたが、兵庫県としては環境学習・教育に力を入れていくということで、幼児期から成人期まで、段階に応じていろいろな施策をやっていこうということで、まず、幼児期につきましては、ひょうごっこグリーンガーデンということで、幼稚園とか保育所でこういう環境学習ができるようにということで、少しずつの補助でありますが、補助をして、今現在、19年から始めて3年目になっておりますが、799園ということで、県下の半分ぐらいの幼稚園、保育所でこういう活動をやっていただいております。それから、次が学齢期についてですが、ひょうごグリーンスクールということで、一つは環境体験事業ということで、全小学校の3年生に年間で3回以上、そういう環境体験をするようなことを進めると。それから、もう一つは自然学校といいまして、これは小学校5年生なんですが、4泊5日以上、昔は5泊6日だったと思いますが、そういう自然の中でいろいろな体験をするということで、この自然学校については、もう兵庫県はかなり前から、スタートは昭和63年からやっていまして、それが全校でやるようになったのが平成3年からということでございます。この環境体験事業については新しい事業で、全校になったのは今年からということでございます。それと成人期については、こういった子供の環境学習をサポートしていく人を育てるということで、いろいろこういうグリーンサポートクラブということで、こういうサポーターの人を育成をしたり、ネットワークをしていこうということでやっております。
 次は、ちょっと変わったあれですが、先ほど試験研究的な話が出ておりましたが、兵庫県では、こういう環境関係、自然関係でいろいろ教育研究機関というのをつくっておりまして、一つは、平成4年に県立人と自然の博物館をつくって、これは岩槻先生が館長をしていただいている。それから、平成11年に県立淡路景観園芸学校ということで、これは熊谷先生に校長先生をしていただいております。それから、県立コウノトリの郷公園ですね。これは元上野動物園の園長であった増井先生が園長をされています。天文台の方は多様性とはちょっと違いますが、あと、森林動物研究センターということで、いわゆる野生動物と環境がうまく調和できるようにということで研究をするものを19年に割と新しくつくったところですが、これは東大の林先生が一応、所長ということでしていただいています。こういう機関が兵庫県における環境面の研究の中核機関となっておるわけですが、ここの研究員は県立大学に自然・環境科学研究所といいまして、大学の附置研究所の一つなんですが、ここの大学の教員がこちらのそれぞれの機関の研究員を兼務するというような形をとっておりまして、そういうことによりまして非常に優秀な研究者の方が来ていただいておるということでございます。
 あと、ちょっとこれはこの3月に兵庫県の生物多様性の戦略をつくったわけですが、そのときにNPOの取組ということで、いろいろな取組があるというのを調査をしたものでございます。
 これも企業の取組ということで、企業内でいろいろなビオトープをつくったり、学習会をやったり、いろいろな活動をしておるということでございます。
 一応、ここまででこれまで取組が終わりまして、次、生物多様性ひょうご戦略ということで、これまではずっといろいろな自然関係の条例とか緑の計画、あるいは景観の条例とかいろいろ、あるいはアセスメントの計画とかやってきておりますが、特に生物多様性ということになりますと、この兵庫ビオトーププランというのを平成7年につくっておりまして、これがそういう生物多様性の計画の先駆け的なものになったのではないかというふうに思っております。
 今年の3月に生物多様性ひょうご戦略というのをつくりまして、一応、期間としてはおおむね10年間ということにしておりますが、大体5年ごとに見直しをしようということですので、来年、COP10で新しい目標ができたり、また、国家戦略の見直しとかということがあれば、そういうことを踏まえて、次はまた見直していきたいというふうに考えております。
 最後ですが、このひょうご戦略の中の行動計画という部分でして、一応、四つの柱で整理をしております。したがって、ここがそれぞれ今後の課題といえば課題になるかなというふうに考えております。まず一つは、すべての事業で生物多様性の視点を持つことができる仕組みの確立ということで、県とか市町等の事業がやっぱりそういう生物多様性に配慮した形でされますように、そういう配慮指針というようなものをつくる。今もそれぞれの事業ごとにそういう指針的なものがあるわけですけれども、それをもう少しトータルに、また、具体的なものにしていきたいというふうに考えております。それから、新たなレッドデータブックの策定ということで、兵庫県では平成7年に最初データブックをつくりまして、14年に改訂をしたわけですが、また、その後の変化を踏まえて新しいものにしていきたいと。それから、外来生物のそういう防除のためのマニュアルをつくるということも考えたい。あと、アドバイザーの設置というようなことでやっていきたいと思っております。
 それから、次が参画と協働による生物多様性保全活動の推進ということで、県内にも本当、たくさんのNPO等の団体が活動しておるわけですが、なかなか横のネットワークがない。あるいは自分たちの活動をPRしていく場がないというようなこともありまして、先ほど環境省の方で、この10月に神戸で国際対話をされるというお話が出ましたが、それのちょっと前に環境のNGO、NPOの兵庫対話というような事業をやって、そういう発表なり交流の場にしたいというふうに考えております。それから、そういう県民とか、あるいは企業についても、こういう生物多様性の重要性というのをもっと普及していく必要があるだろうということで考えております。
 3番目が人の営みと生物多様性の調和の推進ということで、コウノトリでもありましたように、そういう農林水産業そのものがそういう形になっていく必要があるだろうということです。それから、野生動物については難しいところで、シカとかイノシシの被害については非常に兵庫県としては困っておるんですが、そういう動物ともうまく共生できるような環境をつくっていく。あるいは希少種ということでツキノワグマとか、そういうものがおりますので、そういったものには、そういう適正な対応をしていくという必要があると思っております。あと、遺伝子の問題とか、そういうことでございます。
 それから、最後は行動計画を支える基盤整備ということで、先ほど県の機関がいろいろあるというお話をいたしましたが、そういうところのネットワークでもって、もっとそういう県民等の活動を支援するような拠点をつくっていきたいというふうに考えております。あと、そういう予防的措置の充実とか、あるいは国際的な仕組みの活用というようなことで、そういう基盤をつくっていきたいというふうに考えております。
 ちょっとすごい早口で申しわけありませんでしたが、以上で説明を終わらせていただきます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に対して、ご質問、ご意見があればお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。一通りご質問なり、ご意見をお伺いして、まとめてご回答していただけたらと思いますので、どうぞご発言をお願いします。
 まず、西岡委員、いかがでしょうか。それから、鹿野委員、とりあえずお二人からお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【西岡委員】 西岡です。二つお伺いしたい。一つは生物多様性に対して脅威と言われている侵入生物の問題です。これについてどのような対策をしておられるのか。
 もう一つは温暖化の話。例えば農水省が2005年に全国を調査してみたら、もうほとんどの県で問題が起きていた。そういった面で観測であるとか、そういうデータを収集するだとかの体制はどれぐらいつくっておられるのか。

【熊谷委員長】 それでは、鹿野委員、お願いしたいと思います。

【鹿野委員】 たいへん、県の方でいろいろなすばらしい取組をしていると思いました。特に県の単独事業みたいなものも幾つかあると思うんですが、県がこういう取組をしていく上での財源について、兵庫県の方では特にどういう用意をしているのかというあたりをお聞かせ願いたいと思います。

【熊谷委員長】 ほかにはよろしゅうございますか。それでは、川名委員、お願いいたします。

【川名委員】 これ二つに分けてありまして、最初のところは県の取組事例とありまして、その次に生物多様性ひょうご戦略とあるんですけれども、この関係がよくわからないんですが、取組事例というのは生物多様性に取り組んでいるという意味ではないんですか。これの体系、取組の事例とひょうごの戦略の体系との関係をご説明いただきたいと思います。

【熊谷委員長】 ほかにはいかがでしょうか。
 それでは磯崎委員、よろしくお願いいたします。

【磯崎委員】 一番最後に説明された、17番のスライドの4番の[2]なんですが、生物多様性保全のための予防的措置の充実ですが、具体的にどんな措置なのか、お聞かせください。

【熊谷委員長】 よろしゅうございますか。それでは、今、ご質問なりご意見をいただいた点について、本日、お答えできる範囲で結構でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

【福井兵庫県農政環境部環境創造局長】 それでは最初の、侵入生物と言われましたが、外来生物の関係ということでよろしいでしょうか。外来生物について、県が直接対応しているものと、あるいは住民なり地域団体の方でやっていただいているものとありまして、純粋に地域団体ということではなくて県が若干の運営をしているものとか、そういう形でいろいろあるわけですけれども、特に農業被害とかにつながるアライグマとかヌートリアとか、その辺の問題については県なり市町が一緒になって、今、対策に取り組んでおるところですけれども、あとは、直接にそういう被害につながるということではなくて、外来生物が繁殖することによって困っているものについては、結構、住民の方の方で活動していただいていて、それに何らかの形で県として支援をするというような形での取組が多いというふうに思っております。
 それから、次の温暖化についての観測とかデータ収集といったところが、どういうご趣旨だったのかというのが、ちょっとわからないところがあるんですが、兵庫県の方でもCO等の削減の目標というのは国と同じ6%ということでやっておりますが、結構兵庫県は産業関係の比率が高いということもありまして、そういう産業の取組、企業についてCOの削減の取組をしていただいているということで、ほかのいろいろな形の努力もありまして、今、大体12%ぐらいの削減が兵庫県としてはできるのではないかというふうに予測をしておるんですが、それは大体観測というよりは、企業から報告していただいたものの数値とか、いろいろなところのデータをもとにそういう数字を積み上げておるということでございます。
 それから、次の財源の問題ですけれども、これは先ほどちょっと説明の中で申し上げましたように、森づくりに関しましては、県民緑税ということで、特別の超過課税をいたしまして、その財源を充てておるということです。
 それから、それと似たようなことで、兵庫県は昔からCSR活動への財源ということで、これも超過課税をしておって、これまでいろいろな施設でありますとか、県民交流広場とか、いろいろな事業に充ててきておるのがあるんですが、それも一部そういう森づくりに充てたりしておる部分もございます。それ以外はちょっと特別の財源、手当てということではなくて、県全体の一般財源の中で対応しておるということでございます。
 それから、もう一つは、今日の発表は大きく現状も入れましたら三つに分けて発表させていただきましたが、その中で挙げました事例というのも、当然、生物多様性だけではありませんが、生物多様性のための取組ということで、生物多様性戦略というこういう冊子にまとめておりますが、今日お話しいたしました事例もこの中に整理をさせていただいております。
 最後の行動計画の部分は、そういう実績を踏まえて、今後の課題を整理した上で、今後どういう取組をしたらいいかということで整理したものが行動計画ということでございまして、一応、戦略としては、今日の現状、取組、行動計画、すべてこの戦略の中で一体的に書いておるところでございます。
 それから、最後、予防的措置の関係ですけれども、これまでやってきておることから言いますと、例えば、人と自然の博物館でジーンバンクということで、そういう希少種の種子を保存していくというようなこともあるんですが、今、ちょっとまだ、これは検討段階ですけれども、環境のアセスメントの中でどういうことができるのか、生物多様性についてのオフセット的な取組であるとか、そういうことが適切なのかどうかも含めて、そういう検討をしていきたいなというふうなことを考えております。
 以上で、ちょっとお答えになったかどうかわかりませんが、よろしいでしょうか。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。西岡委員、では、お願いいたします。

【西岡委員】 私の質問の方の言葉足らずで、申しわけございませんでした。私がお伺いしたいのは、温暖化の影響です。生物がどう動いているだろうとか、さまざまな植物等々の変化が見られるとかです。といいますのは、農水省は2005年になって初めてやってたのですけれども、もっと前からやっていてもらえれば相当なことがわかった。しかし、相当もう被害があちこちに出ている。これは単に一人一人がウォッチしていてはだめなわけで、割と広い領域、兵庫県さんも非常に広い領域ですが、そういうところのデータを確実に経年的に集めていくシステムをそろそろつくっておいた方がいいのではないかなという趣旨でお話を申し上げたわけです。

【福井兵庫県農政環境部環境創造局長】 わかりました。一つは、先ほども申し上げましたように、兵庫県でレッドデータブックをつくると言いますか、最初つくりましたのは平成7年で、一度改訂をいたしまして、今回で2回目の改訂ということになりますので、その間の変化というのは、当然、まとめる中で把握できてくるのではないかなというふうに考えております。
 それと、これは余りきちんと動いていないんですが、県ではナチュラルウォッチャーというものを制度としてつくりまして、人数的には1万人を超えるぐらいの人をウォッチャーということでしておるんですが、そういう人から何か変わったことがあれば情報提供を受けるとか、そういう形のことはしておるんですが、なかなか、実際、ちょっとそこはうまく機能しているとは言いがたいところがございます。
 以上でございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございます。
 では、桜井委員、お願いいたします。

【桜井委員】 瀬戸内海の再生に関わる取組が7番目にありますけれども、これは恐らく県独自での取組と同時に、瀬戸内海を取り巻く各県の取組があると思いますけれども、この辺をちょっと具体的に、今、現状、どのようになっているか、説明をお願いいたします。

【福井兵庫県農政環境部環境創造局長】 当然、兵庫県だけの取組ではございませんでして、先ほども申し上げましたけれども、1971年に瀬戸内海の環境保全知事・市長会議というものをつくりまして、瀬戸内海に面した都道府県とか、あるいは政令市とかといったところがその会議に参加をして、いろんな取組をしておるということでございます。
 それと、あと、そういったものを日本だけの取組にするということではなくて、国際的にこういう閉鎖性海域の環境保全というのを考えていこうということで、兵庫県が提唱していまして、国際エメックスセンターというのをつくりまして、財団法人となっておりますが、そういうところで国際的なネットワークという中でも取組を進めておるところでございます。

【熊谷委員長】 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、兵庫県からのご説明については、以上でもって終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 次に、川崎市の取組についてお願いをしたいと思います。
 本日は川崎市環境局緑政課の鈴木課長にお越しいただいておりますので、ご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いをいたします。

【鈴木川崎市環境局緑政課長】 川崎市の環境局緑政課長の鈴木と申します。今日はお招きいただきましてありがとうございます。
 川崎市と生物多様性というのが、ちょっとつながるかどうかわかりません。非常に都市部の地域でございますので。ただ、都市部ならではこそ生物多様性ということを危機感を持っているというのが私どもの市でございますので、まだ戦略まではなかなか行き着いておりませんが、現在の川崎市の取組についてご報告いたします。座って説明させていただきます。
 まず、川崎市の位置でございますけれども、東京都と南は横浜に挟まれておりまして、細長い地形をしております。全長約33キロ、一番短いところで、ちょうど尻手の駅のところなんですが、1.2キロしかありません。そうした中で面積が1万4,435ヘクタールございまして、今年の8月で140万人を人口突破いたしました。非常に過密な都市でございます。
 これは川崎市の土地利用計画図でございますけれども、今、ご案内のとおり、東京、横浜に挟まれている土地柄です。市域の88%、これが市街化区域でございます。もう10年以内に市街化がどんどん促進していく区域ということでございまして、調整区域というのは、こういう白抜きのところです。1,700ヘクタールぐらいしかございません。こうした中で生物多様性の保全ということを考えていくわけですから、私どももどうしたらいいのかということで、非常に苦慮しているところでございます。
 これがそういう土地利用の状況からなんですが、川崎市の緑の概況なんですが、やはり、市域の大半が市街化区域であるということです。当然、土地需要は旺盛でございます。また、地権者の相続の問題が非常に多く発生しておりまして、相続が発生すれば、山林、田畑、これを売らないと自分の家も守っていけないというような、そういう状況のところでございます。そういう中で樹林地や農地の減少傾向というのは見られておりまして、平成7年からの推移なんですが、赤色が宅地なんですけれども、7,675ヘクタール、平成7年にある宅地が、ほぼ10年間で8,000ヘクタールを超えました。約468ヘクタールふえているところでございます。一方で、当然市街化がふえているというということは、たんぼや山林が減少しているということでございまして、緑色が田畑、青色が山林でございますけれども、これを見ますと、田畑が約10年間で209ヘクタール減少しております。山林・原野も約160ヘクタール、合計で360ヘクタール、1年間に約35ヘクタールずつぐらい自然環境がどんどん減少しているというのが川崎市の実態でございます。
 そういう中で、川崎市の方でも、そういう残された緑地等についてはデータ化しておりまして、経年管理をやってきておりますが、これが自然的環境の分布でございますが、緑色で見える部分が樹木の集団ということにしておりまして、約300平方メートル以上のまとまりの樹林地というものを航空写真などで把握しまして、それをデータでポリゴン化しております。これを経年管理しているということでございまして、現在、1,072ヘクタールで7%になっております。農地につきましては、これは生産緑地とか竹林とかいろいろあやふやなところもあるんですが、固定資産税概要調書で把握しておりまして、690ヘクタールぐらい、5%を切っている。あと、河川も5%ぐらいです。こんなような状況なのが実は川崎市の自然環境の状況だということでございます。
 こういう中で、これを国家戦略の三つの危機、あと、地球温暖化の危機という関連で整理されておりますが、そういうものに当てはめてまいりますと、川崎市における生物多様性の現状というのは、まず第一の危機につきましては、やはり開発事業等で緑地等の生物の生息空間というのは確実に減ってきているということです。
 第二の危機の関連で言いますと、農業人口の高齢化、減少によりまして、生物の生息空間である農地や里地・里山の減少傾向が続いておりますので、当然、生物の多様性に影響があるだろうと考えております。
 あと、第三の危機でございますが、都市部でございますので、非常にペット、または外来植物、生物の持ち込みというのはかなりありまして、こうしたものの放棄、そういう外来生物の侵入に対しては、少なからず川崎市の生態系にも影響を与えているものと考えております。
 また、温暖化につきましても、例えばサクラの開花時期とかセミの鳴き声とかいろいろなものを、市民の団体から情報を聞きますと、去年は4月で咲いたのに、今年は3月、2月ぐらいに咲いたとか、そんなようなことも報告を受けておりまして、なかなかこれもデータ的にまだしっかりやっておりませんが、確実に都市部の温暖化という中では、生物の生息域に関して影響が見られているということが報告されております。
 では、次に、川崎市における生物多様性に関連する施策ということでございますけれども、川崎市におきましては、神奈川県の方といろいろ調整をしておりますけれども、神奈川県の方も生物多様性の戦略に対して、どうやって神奈川県の圏域を考えていこうかということが、まだはっきり出ておりません。こういう中で、川崎市としても地域戦略というところまで、まだなかなかいかないんですが、今日は一番近い計画として川崎市の緑の基本計画というものをご紹介したいと思います。
 これは緑の将来像図なんですが、川崎市、先ほど見たように非常に都市部なんですが、こちらの方には臨海部、海がございます。これは多摩川がありまして、こちらに多摩丘陵がございます。こちらに多摩川の崖線という市域の骨格を形成する自然環境等がしっかりとまだ残っている部分がございますので、こうしたものを着実に保全を図っていきたいと考えておりますし、さらに、農業振興地域も三つあるんです。多摩ニュータウンの方の近いところに黒川地域とか、横浜と東京に挟まれた飛び地ですが、岡上地域とか、横浜の寺家の方に隣接しているところの早野地区、こういうところの農業政策との連携による里地環境の保全という考え方を拠点として考えております。
 また、こういう赤いところで都市拠点、いわゆる緑の創出、そういうものを図っていくとか、緑色の丸が大規模公園という形で拠点としておりまして、こうしたものをネットワーク化させながら、市域の緑化と保全、こうしたものを複合的に図りながら、とにかく川崎市の緑と水のネットワーク形成というものをつくっていきたいと考えておりますし、それが結果的に生物の多様性につながるんだというのが、今の川崎市の考えでございます。
 緑の基本計画の生物の多様性の保全に寄与する緑政事業を生物の多様性という視点から整理しますと、私たちは基礎的自治体でございますので、汗をかいて物づくり、または保全をしていかなくちゃいけないということでございますが、都市公園の整備から始まりまして、道路整備における緑化とか、当然、公共公益施設等における緑化、あと緑地に保全、あと屋敷林等の身近な緑の保全とか、民有地の緑化推進、農地の保全、当然、普及啓発、環境教育の推進、あと、多摩川については川崎市の重要な自然環境ですので、多摩川プランというものを独自につくっておりまして、そのプランを推進していきたいと。また、関連機関等といたしまして、川崎市の緑の事業所推進協議会、先ほど、尼崎市の方の話も出ましたが、川崎市といろいろ関係がございまして、やはり工業地帯でございますが、工業地帯の事業所と連携をとりまして、今、臨海部の方では約150ヘクタールぐらいの緑化地を確保したということになっております。こうした取組で緑政事業は進めております。
 そういう中で、とりわけ市民から一番関心のあるのが、川崎市は市街化が進んでいますので、どうしても山がどんどん開発されていってしまうと。そういう少ない緑を保全することが、非常に議会とか、市長への手紙とか、または私どもの窓口に相当市民から要望が寄せられます。そういう中で川崎市では緑地保全というものを非常に重要視しておりまして、1,000平方メートル以上の樹林地、今、653ヘクタールあるんですが、これが5%を切った状況なんですが、ごらんのとおり、昔はつながりがあった多摩丘陵なんですが、市街化の進行によりましてぶつぶつに切れております。断片化しております。市街地がくさび状に入っているというのが現状でございますが、ただ、こうした緑をしっかり保全をしていかなければいけないということで、それぞれの1,000平方メートル以上の樹林地につきましては、斜面緑地総合評価という評価をいたしまして、ABCランクに区分をしております。緑色がAランクなんですね。ベージュがBランク、赤がCランクということでございますが、特にAランクにつきましては、これを見てのとおり、多摩川崖線のところ、多摩丘陵のところ、こういうところにやはり分布しておりますので、川崎市らしさ、またはふるさと川崎というものを出すためには、どうしてもここを重点的に保全をしていかなければいけないということで、こういう評価によって施策の優先度というものを見きわめながら、そこに重点的に事業予算も投入して、買い取りを含めて事業を進めております。おかげさまをもちまして、Aランクにつきましては、今、415ヘクタールあるんですが、どうにか、ここのところでは60%を超えた状況になっておりますので、引き続き残りの部分を頑張って保全交渉を進めていきたいと考えているところです。
 さらに、今の評価の話があるんですが、さらに1,000平方メートル以上の緑地につきましては、1個体ずつ、すべてデータ管理をしております。これは緑地保全カルテと言いますが、先ほどの評価につきましては、こちらの方にAランクですよという形が出まして、ここに緑地の状況が出ております。さらに、ちょっと見にくいんですが、ここに植生とか動植物情報、ここに社会的状況、景観とか、あと、計画条件とか、いろいろなものを載せおります。さらに、ここについては市民からの要望、ここについては、この緑地における過去の開発の履歴、こうしたものを確実に毎年更新をしておりまして、緑地保全をする担当者が、これを見ながら、保全する緑地を見きわめながら、交渉をしながら進めてるということでございまして、こうした取組がどうも功を奏しまして、非常に国土交通省さんからもお褒めいただいておりますが、平成6年からそうした取組を進めておりますけれども、おかげさまで、20年度は200ヘクタールを突破したんですね。約2倍以上の緑地保全施策が図られました。
 予算につきましても、毎年、16億の予算を買取予算として確保しておりまして、この予算で買い取りをどんどんどんどん進めていくという考え方を持っております。
 川崎市の特別緑地保全地区なんですが、大体川崎市はこういう状況です。ほとんど市街地ですから、こういう緑地が6ヘクタールぐらい、小沢城址緑地保全地区というのが多摩区にあるんですが、もうその周辺はすべてこういう市街地です。ですから、緑地を保全しても、その周辺は市街化されていて、市民と山との関係、遠くから見れば山は非常にきれいなものなんだけれども、近くに住んでいる方から見れば迷惑的ないろいろなものも出てくるので、そういう中で、生物多様性というものをどう考えていくかということも、基礎的自治体としては大きな課題になっているということでございます。
 また、保全を図られた緑地につきましては、確実に市民協働ということを第一に持っておりまして、保全管理計画というものを市民とともにつくっております。これはある緑地の一例ですが、市民とともに動植物調査、余り高度な専門的な調査になってしまいますと、市民がみんな嫌がりますし、私どももなかなかそこまでの職員がいないということで、大学のいろんなところと連携をしながら、わかりやすく、幅の広い、児童からお年寄りまで出てきていただきながら、なるべく楽しみながら持続的にやれる管理活動ができるような計画をつくると。それをもって地元の、また、地域の身近な環境財産として認識してもらうという形で、緑地保全関係の施策を講じたところについては、こうした保全管理計画というものをすべてつくっていく予定となっております。
 これが市民との協働でつくったものでございますが、こういうふうに緑地保全地区をゾーニングをかけまして、それぞれここでは何をやりたい、ここはこういう形で山をつくっていく、ここは混合林にしようとか、そうした形でやりまして、5年ぐらい活動が終わった段階でもう一回モニタリングをしまして、もう一回計画を見直しながら、また、そこで持続的に市民がやっていけるような取組を進めております。
 あとは、やはり川崎市はどんどん緑が少なくなってきますので、生物多様性の話とか、身近な動植物に関心を持っていただくためには、市民の方たちがみずから動いてもらわなければ困るということで、毎年、あくまでも市民の手で1万本を植えるという事業を進めておりまして、これは今年の3月でございますけれども、開発の予定地があったんですが、そこを緑政の方で押さえまして、緑地保全地区になったと。そこについて、実は事業が進んでいまして、ばかばか木を切られてしまったんですね、ブルドーザーが入って。それを今、市民の方たちがもう一回木を植えて、昔の山に戻そうという、そういう植樹運動を進めております。また、来年も引き続きやっていきたいと考えております。
 では、川崎市における生物多様性の保全に向けた課題は何なんだろうと考えますと、先ほどからも出ているように、本当に申しわけないんですが、私ども行政、市民の認知度というのは、かなりまだ低いと考えております。
 あともう一つは、基礎的自治体となってきますと、進行管理、あと目標の設定、事業成果、効果、こうしたことが、今、かなり求められているところがございますので、何をもって生物の多様性とするか、これが非常に苦慮しているということでございます。取組の手法、目標の設定等をどこに持っていくのか、こうしたことも課題になっています。また、当然、そういう中で、先ほどご説明いたしましたように、市街化の進行による自然地の減少というものが確実に進行していると。
 あと、もう一つは、多様性の保全を取り扱う範囲がやはり広いです。市役所の中でも、環境部門もあり、または建設部門もあり、あとは衛生部門もあり、外来生物であれば当然そういうところもあり、そういう中で、総合的な担当窓口というものも市の方でも設置をしなければいけないのではないかという話も出てきております。
 さらに先ほども、ちょっと二重になりますが、そういう多様性をやるに当たって、市民に公表するに当たって、どういう形で進行管理をして、成果、効果を見きわめるのか、こういうことも、今、課題になっております。まだ、固有種の保全までは踏み切れない。これは何かと言いますと、私たちも市役所ですから、当然、隣の課では開発指導課というのがございます。開発許可を出しているところもあれば、私たちのように保全をしているところもある。そういう中で、なかなか相反するところがいろいろ市役所の中でありますので、こうしたところの連携をどうするか。例えば、何がいたから、そこは開発はしてはいけないんだといっても、そこには地権者がいまして、市というのはかなり狭い世界でございますから、そうしたところでどういう対応をしたらいいのかということでございますので、神奈川県のように、なかなかレッドデータというふうに大きな声を上げて言えないのが実情でございます。
 あと、特定外来生物の管理手法です。お恥ずかしながら、現在、市には直接の窓口はございません。
 こうしたことを課題として持っておりまして、今後どうしたらいいのかというのは川崎市の考え方がありますので、ご説明いたします。
 いずれにいたしましても、来年はCOP10があります。環境省さんの方も一生懸命、今、頑張っている、そういうものもありますので、やはり、川崎市における生物多様性の今後の取組のあり方について川崎地域戦略の策定を行うということにつきましては、先月、局の中で方針が決定いたしました。
 そういう中で、それまでどうしたらいいかということでございますが、平成22年度につきましては、実はこれまでもいろいろなところで植物調査、生物調査をやってきたんですね。ただ、それが役所の悪いところなんですが、やったはいいんだけれども、それをすべてロッカーの中にしまってしまう。これじゃ何の意味もないということでございまして、そうしたものを、もう一回全部洗いざらい出して、あと、私どもが持っている緑地保全カルテ、これをもって、どこにデータ化で管理をしていけるかとか、そういうことを少し検討しなきゃいけないなということで、来年のCOP10に合わせまして、もう一回、再整理を庁内でもしていきたいというふうに考えております。
 次に、23年度でございますが、当然、専門的な見地からの検討も必要だということで、市の中には環境審議会というのがございます。そちらの方に川崎生物多様性の地域戦略の策定に向けて諮問をしていきたいと考えております。そちらの方で23年、24年度、2カ年かけて審議を行いまして、都市部の川崎市らしい、川崎の地域戦略というものをつくっていきたいと考えております。24年度はその審議が終わりますので、環境審議会の審議を経て、川崎市の地域戦略を策定するという形になっております。ただ、24年度までなかなか待っていられませんので、来年からかなり盛り上がりがあるということでございますので、22年度におきましては、川崎地域戦略の準備ということでございますが、庁内で関連施策がいろいろとございます。緑地の保全、地域緑化の推進、公園緑地の整備、農業の振興、河川の管理、環境学習と、さまざまいろいろありますけれども、こうしたものをどういう形で川崎地域戦略に位置づけて進行管理をしていくか。あくまでも生物多様性という目から見た形の進行管理、そういう形を少し考えていきたいと考えております。
 もう一つ、今、お手元の方に委員だけにしか配られていないと思うんですが、動植物の生息していく環境保全の手引きの作成というのが実はございまして、これは実は今、印刷中でございまして、傍聴の方まで回らなかったことについては、本当におわびいたします。来月から正式運用となっていまして、先月、局長に決裁いただきまして、PR用につくりました。ここではあえて生物多様性という言葉を出しておりません。小学生、中学生、高校生、幅広く使っていきたいということなので、まずは玄関の入り口という形で「動植物の生息・生育環境保全手引き」の作成を行って、これを活用して、1年間ないしは2年間PR活動、普及活動に入っていきたいと考えております。
 22年度は当然COP10もありますので、川崎市内でこういう手引き等も活用しながら、生物多様性フォーラムを実施して、盛り上がりをやっていきたいと思っておりますし、そこでも普及啓発を図っていきたいと考えております。
 23年度は、公開はやっぱりしなきゃいけません、隠しているわけにはいきませんので。今までやってきたものをすべて公表、公開して、市民からの評価を得たりして、また、今後の取組を進めていきたいと考えております。
 これが、今、お手元にある手引きでございまして、今、実は印刷会社の方に出ているものなんですが、ちょっと、本当に製本の仕方が甘くて申しわけございませんが、こういったものを普及啓発用に、今、つくりまして、今年の9月から、これを活用しながら、小・中学校、または庁内、特に庁内の職員に対しての普及啓発、こうしたものもこれをもって行っていきたいと考えておりまして、ちょっとあけていただきますと、細長い川崎市の臨海部から山の方に向けて、さまざまな、少ないんですけれども、それぞれ川崎にとっては貴重な自然がありますので、そうしたものをご紹介をしながら、それぞれの地域における、エリアにおける将来像というものを設定しました。この将来像に向けて課題を出して、こういう形になるためにはこういうような取組が必要なんだということを、手引きの中で発信をしております。このとおりになるかどうかは別といたしましても、こういった気持ちで市役所は頑張るんだということを今回の手引きの方で発信しているということで、これは多摩丘陵地域における生物多様性の将来像でございます。
 次が、これが市街地における多様性の将来像で、写真が出ていますけれども、山は残っておりますが、その周辺は市街地、そういうところについては、やはり、こういう緑地の保全もありますが、民有地の緑化、屋上緑化、こうしたもので緑をつないでいくことが必要なんだと。そんなようなことを発信しています。
 次が水辺です。川崎市は多摩川もございますが、その多摩川を水源として、河川が網の目のように市域に走っております。こうしたものも多様性の一つの大事な条件だと思っていますので、こちらの写真のように、これは二が領用水ですが、可能な限り多自然型の河川環境を整えながら、その周辺地域を地域緑化を進めて緑をつなげていくと、こんなような取組を考えています。
 都心部につきましては、臨海部につきましてはこちらの方に、これはJFEの日本鋼管でございますが、大体臨海部ではこの辺でございます。約150ヘクタールの緑化地が実はございまして、なさそうで、かなりあります。川崎市の大事な環境財産というふうに位置づけておりまして、そういった事業者が協議会をつくっておりまして、各敷地の中で精いっぱい緑化地をつくって、ビオトープ空間とか、臨海部ならではの緑の景観づくりなどに取り組んでいきたいと考えております。
 次、これは最後になりますが、なかなか自治体というのは自分の市域以外の計画というのはつくらないんです。緑の基本計画をつくっても、川崎市の周りは真っ白で、それじゃまずいだろうという話が実はございまして、川崎市の呼びかけでございますが、多摩三浦丘陵の関係自治体約12市町にお声をかけました。広域連携をやろうじゃないかということでございまして、こちら八王子ですが、八王子、相模原から始まりまして、日野、多摩、稲城、私どもの本市、町田、横浜、横須賀、鎌倉、逗子、葉山、三浦、こういうところと連携をしまして、どうにか多摩三浦丘陵、首都圏における広域的なものを、それぞれの地域だけで考えるんじゃなくて、どうにかつながりを持つようなもの、それぞれの地域には、自治体には財政的ないろいろなあれはあるんですが、共通認識を持つことは大切だということで、これを一つのコモンというふうに位置づけまして、今、関係自治体で連携会議を進めているところでございます。
 そうした中で、2年ほど進めてまいりましたが、お金を使うことはなかなかそれぞれの自治体、難しいところはありますが、まずは市民の方々に多摩三浦丘陵の魅力を知ってもらおうということで、まず情報発信ということで、多摩三浦丘陵広域連携トレイル構想というのをつくり上げました。こういうところで市民の方々が、八王子から三浦まで歩いていけますよ、そして、そういう中ですばらしい緑がありますよ、そういうものをつくり上げて、10個の環ができました。この10の環がつなぐ多摩三浦丘陵の環という形にしまして、それぞれこれから、この環の中におけるいろいろなさまざまな自然環境の情報とか、観光資源とか、そういったものを、この中にさらにデータ化をして、インターネット等で発信をして、多摩三浦の大切さというものを呼びかけていきたいと考えております。
 次が、そうした取組を、やはり、私たち行政だけで仕切るというか、情報を持つわけにはいかないので、8月1日にシンポジウムを開きました。おかげさまをもちまして、こちらからでございますが、三浦副市長、それからうちの市長、多摩市長、この方が座長の涌井史郎先生です。この方が日野市長、相模原市長、国土交通省の緑地環境室、環境室長の鳥居室長に座っていただいておりますが、生物多様性ということも視野に入れながら、多摩三浦丘陵の広域連携についてのシンポジウムを開きまして、広域連携トレイルを中心としながらも、そうしたところを首長が共通認識を持って頑張っていこうということをやらせていただきました。
 以上でございます。ありがとうございました。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの川崎市の取組についてのご説明、ご意見、ご質問ございましたら、お伺いしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、まず、有路委員からお願いをしたいと思います。

【有路委員】 二つあります。非常に積極的な取組というふうに理解をしておりますが、一つは財源の話をちょっとお聞きしたいなと思います。
 非常に積極的に特別緑地保全地区を指定をされていて、買い取りも16億というお話をお聞きしましたが、それで十分なのかどうか。あるいは、そういった特別な財源を持っておられるのか。あるいは、一般財源でずっとしているとすれば、先ほどの兵庫県さんとか、あるいは横浜市さんのような特別の財源を検討されておられるのか、あるいは、そういう必要がないのかどうかということが一つ。
 もう一つ、財源の問題で言いますと、最後にお話しになりました多摩三浦13市町連携で、いろいろなことをやろうとすると、やはり最後に財源の問題が出てくるかと思うんですが、そういうことについて何か共通の意識みたいなものがおありになるのかどうかということをお聞きしたい。
 それから、2点目は、ちょっと最後の方でおっしゃられましたけれども、今ある緑をいかに守ろうということは、非常にお話を聞いていてすごくわかったんですけれども、臨海部はどちらかというと、企業の取組を中心にみたいな印象を受けたんですが、これからは、多分、臨海部の工業地帯の土地利用転換が起こってくるんだろうと思うんですけれども、そういうところをもっと積極的な意味で、生物多様性とか緑とかという観点で、市として方向性を持っておられるのかどうか、その2点についてお伺いをしたいと思います

【熊谷委員長】 山岸委員、続いてお願いをいたします。

【山岸委員】 ありがとうございました。今の方と同じく、非常に積極的にやられていて、私は近くに住んでおりまして、川崎市じゃないんですが、町田市なんですが、お隣でこんなにすごいことをやっているんだなということがわかりました。
 今の委員のご質問でお金の問題が出たんですが、私は人の問題について聞きたいと思います。これだけやるには、川崎市環境局というのは幾つぐらい、環境局全体が生物多様性だけをやっているわけじゃないですよね、きっと。幾つの課があって、何人ぐらいスタッフがおられて、そのうちの何人ぐらいがこれだけのことに関わられているのか、具体的に。そういうちょっと人のことをお伺いしたいと思います。というのは、非常によくやられているんで、何人でやられているのかなというのを知りたいわけです。
 それから、もう一つは、都市部の生物多様性を守るというのは、非常におっしゃられているように、大変だと思います。守ると、ヤブ蚊は出てくるわ、ヒルは出てくるわ、そうすると、すぐ近くにいる人間は、多分、そんなものは困ると言うと思うんですよね。先ほど、そういうことを言われるとおっしゃいましたが、この中に、都市部の生物多様性を守るというのを目標をつくってやっていきたいとは書いてあるんですが、それらに対して、一体、どのようにされているのか、そのあたりがどうも前回から言われている生物多様性が浸透していかない一つのこととも関連しているような気がしますので、何か経験がおありになったら、お聞きしたいと思います。

【熊谷委員長】 ほかにございますでしょうか。
 西岡委員、お願いをいたします。

【西岡委員】 今、里山ということが言われておりますけれども、典型的には農地みたいなところがこれから重要になってくる。それに大都市近辺における農地のあり方というのは、例えば、都市との連携で、産地直送、あるいは地産地消といったような形、それから、都市に住んでいる人がそこで農園をやるとか、そういう形での利用が将来考えられる。そのあたりについての何か対策をしておられるのかどうかについてお伺いをしたいと思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、今のご質問、ご意見についてお答えをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【鈴木川崎市環境局緑政課長】 では、財源でございますけれども、緑地保全予算は大体単年度16億から15億ついておりますが、国庫補助事業でございます。特別緑地保全地区の緑地保全統合補助事業という事業がございまして、例えば15億であれば、5億が国からの補助でございます。残りにつきましては、起債と一般単独費という形で考えておりまして、現時点では、今、この予算の中で、十分に間に合っているという状況でございます。緑地保全自体は、施設系の公園緑地の整備と違いまして、規制をかけながら保全をかけていくということでございますので、あくまでも民有地の保全ということが前提でございます。ただ、特別緑地保全地区になったときに、例えば建築行為などは不許可になりますから、こういったときの対処措置として予算を確保しているということでございまして、現時点では、そういった買い取りの申し出に対応するには、現在の15億、16億で十分に賄っているということでございますので、今、200ヘクタールぐらいありますけれども、当面はこれでやっていけるのかなというふうに考えております。県費からの補助金はございません。
 次に、多摩三浦丘陵に関する財源関係なんですが、やはり、横浜、川崎、これは政令指定都市でございますので、ある程度、いろいろな意味でお金が自由に使えるところというのはあるんですが、なかなか中小の自治体につきましては、1万円でもなかなか予算化されにくい、難しい部分がございます。そういう中で、お金の話をしちゃいますと、せっかくつくり上げてきた連携軸が崩れてしまいますので、まずは汗、すべて手弁当、こういう形で職員の努力の中でまずやって、私たちが上層部をうならせると、そういう中で各都市が予算をじゃあつけようかと、逆にそういうところまで実は持っていこうというのが実態でございまして、各都市が負担金をとって運営をしているというものではございません。川崎市が一部お金を、今、負担をしておりますが、大部分は各都市のみずからの努力と、そういう手弁当の中で進めているということでございます。
 次に、土地利用転換、臨海部の方でございます。当然、非常に企業の業績も悪化している中でございますが、やはり大規模な土地利用転換につきましては、川崎市独自でやるというわけにはなかなかいきませんので、例えばURとか、都市機構とか、そういうところの都市プランナー、開発プランナー等の専門家との連携をしながら、より計画的な緑地を従前よりも増してつくっていくという考え方を持っております。一番それが最短なのかなと考えております。
 次に、この計画を進めていくための人員なんですが、環境局自体、大体緑の専門職員というのは150人ぐらいです。そういった中で、緑の計画を、今、進めているのは、私、今、緑政課長なんですが、緑政課で私を入れて8人です。大体これが中心メンバーになっております。公園緑地の整備とか公園管理とか維持管理の部門はいろいろありますが、まずこういったソフト的なものに取り組んでハード系に持っていくという職員は、大体8人という形になっております。非常に厳しい状況だとは思います。ですから、今回もいろいろ人員要求を出しておりまして、生物多様性、来年から始まるから1名増員だとか、そういうような公募も進めているということでございまして、非常にある意味でありがたい、組織の充実にとってはありがたいものと考えております。
 あと、都市部の生物多様性のいろいろな中で、自分の裏山が特別緑地保全地区になっちゃって、そこを川崎市が買って、当然、川崎市が買った途端に苦情が来ます。もうひどいものでございます。雨どいに葉っぱが落ちるとか、クマザサが繁茂されてどうのこうのとか、ヤブ蚊がすごいとか、それはどうしてもしようがないということでございますので、自治会とか、そういうところにもゲリラ的に理解を求めておりますが、やはり、迷惑をかけているというのも事実なので、その方たちが自分の裏山を自分の庭と思ってもらうためには、行政も一定の管理をしなきゃいけないだろうということでございますので、一定の予算、大体年間、今年が5,000万ぐらいですか、特別緑地保全地区の管理予算をとりまして、こうしたもので逐次苦情のあったところの対応をしております。
 あと、また、市民の方たちが要望しているわけですから、市民協働ということを第一に思っておりますので、可能な限り、一つの緑地保全地区に対しては1個の市民団体を立ち上げるという形でとっておりまして、そうした中で市民主導の管理を進めていきたいと考えております。実際にそれを今、実践はしております。
 次の農地のあり方でございますが、非常に川崎市の場合は生産緑地等も三百八十何ヘクタールありますが、毎年確実に解除になっていくのが現状です。ただ、解除になっているんだけれども、新たに指定をするというのもありますので、大体とんとんで380ヘクタールぐらいの形で生産緑地の指定がありますが、ただ、息子さんたちが皆さんサラリーマンでございまして、農業というものに対して、なかなか収入の問題とかいろいろな中で、営農意欲までわからないというのが実は現実でございまして、自分の父親が亡くなった段階で、もう川崎市は田畑について、すぐにアパート・マンション経営は可能ですから、そうしたものに移行してしまうというのが現実です。
 ただ、そういった中でも、やはりJAとかと連携をしながら、例えば市民農園とか、体験型農園とか、可能な限り、農業者が農地を維持できるような施策というものを紹介しながら、都市農地の保全というものを進めていきたいと考えておりますし、何か防災とか、そういったところでも、一次避難地という形では農地は大切な環境財産と考えておりますので、公園と農地、あと山林、こういったものも一つのネットワークとして、可能な限り、普及啓発を図りながら保全を図っていきたいと考えているところです。
 以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 山岸委員、お願いいたします。

【山岸委員】 一つだけ教えてください。今お聞きして、8人くらいで実働されているというのは、それは同規模の市では普通でしょうか。多い方でしょうか。少ない方でしょうか。

【鈴木川崎市環境局緑政課長】 少ないと思いますね。隣の横浜市さんにあります環境創造局の中では、こういったソフト部門もかなり充実しておりますし、なかなか川崎市についても、緑の保全とかそういったものに目覚めたのが、ちょっと遅かったんですね。気がついたら、「あっ、こんな状況になっていた」ということがありまして、現時点では、企画部門と緑政部門を合わせると、8人から10人ぐらいがそういったことに取り組んでいるということが現実でございます。横浜市さんなどは、多分、20人以上ぐらいで、そういう形でやっていると思います。

【山岸委員】 横浜の場合には比較にならないと思うんですよね、かなり大きいな市で。隣の町田市とか、私の住んでいる。

【鈴木川崎市環境局緑政課長】 町田市さんでいきますと、大体同等レベルか、ちょっと私どもが上ぐらいかなという気がしますけれども。

【山岸委員】 全国的に見るとどうなんですかね。

【鈴木川崎市環境局緑政課長】 どうなのでしょうか。ただ、多摩三浦丘陵の広域連携の13市との話し合いをしている中では、やはり、一、二名でやっているとか、例えば「私は緑地の保全もやっているのだけど、私は実は環境課で、実は清掃もやっているんですよ」とか、そういうのがあります。ですから、多摩三浦丘陵の連携をしている自治体から言わせると、横浜市は別格で、川崎市はまだ恵まれている方だと思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、時間も過ぎておりますので、川崎市にお願いいたしましたご説明、ヒアリングについては、これで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 司会の進行がちょっと不手際で、予定の時刻を大分オーバーしておりますけれども、予定といたしましては、次の経済団体からのヒアリングをお伺いしてから休憩ということで予定しておりますので、お疲れとは思いますが、そのように進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは次に、経済団体として、本日は経団連自然保護協議会の会長をお務めいただいております大久保尚武委員に、経団連の取組についてご説明をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【大久保経団連自然保護協議会長】 それでは、経団連の取組についてご説明いたします。
 目次にございますように、4点お話しします。最近、1年ちょっとの間の第三次国家戦略策定以降、具体的にどんな活動をしているか。それから、この3月に、生物多様性宣言という経団連としての宣言を出しましたので、これの中身をちょっとご説明いたします。3番目に、今後の活動は、どういう方向性で経済界としては取り組んでいくのかということ。それから、今、生物多様性が世界的に動いている中で、やはり、かなりいろいろな意味で問題だなと、私どもも問題意識を持っている点もございますので、その点についてお話しすると、そういうことで進めさせていただきます。
 それでは、最近の活動状況ということで、ここに5点書いてございますが、これは一般的な活動として自然保護協議会で行っておりますが、一番大事なものは個々の企業向けの啓発活動、ご存じのように、生物多様性という問題についての意識というのは、なかなかこれはもう特に経営活動の中では難しい問題がありまして、それをどういう形で浸透させていくかということで、シンポジウムとかセミナーとか、そういうものでやっております。
 それから、一応、日本の経済界を代表してという形で、国際会議にできるだけ出席して交流を深めている、情報も収集していると。去年の5月にございましたCOP9、これにも代表団を送りました。それから、10月のバルセロナでのIUCNの世界自然保護会議、これにも代表団を送って、日本としてのそれなりの発言を発信しております。
 それから、3番目には、生物多様性ワーキンググループ、特に来年のCOP10を目がけて、我々としてもいろんな形の勉強をしないといかんなということもございますので、これはスライド6、細かくてちょっと大変なんですが、ここに書いてございますように、いろんな形で去年から今年にかけて勉強あるいはいろんな普及活動、その他をやってきております。いろんなところとの絡みがあるんですが、環境省さんともございますし、各大きなNGOの皆さん方との関係、あるいは経産省、農水省、そのあたりとの関係などもいろいろあって、勉強をしております。
 それから、4番目に、企業活動アンケートというのをやっております。企業にどの程度浸透しているのか、各企業がどういう活動をしているのか、このあたり、企業の生物多様性に関する活動の現状把握ということで、アンケートを実施して、そのアンケート結果、148社から回答をもらっておりますけれども、各企業、どういう意識を持っているのかなということは、それを通じて把握しております。
 最後に、5番目にここにありますように、今年の3月に生物多様性宣言ということを取りまとめたということであります。
 ちょっと説明が抜けましたけれども、スライドの4、これは先ほど言いました企業向けの啓発活動というのは、ここにありますように、一番右端に招いた講師の方々がずっと出ています。小さな字で、皆さん読みにくいと思いますが、国連のジョグラフ事務総長、あるいはIUCNの事務総長、そういう国際的な方、それから日本の中で中心になって動いていただいている名古屋大学の香坂先生、あるいは、ここにありますようないろんな方々を通じて、企業としての勉強は続けてきたということでございます。第1点は、大体そういうことでございます。
 次に、多様性宣言について、ちょっとお話し申し上げます。
 生物多様性宣言、経団連で自然保護と言いますか、環境保護に取組だしたのが、今から十六、七年前になるんですが、例のリオのサミットの年から始まっております。そのときに、この自然保護協議会というのができまして、これからの企業活動にとっては、どうしてもやっぱり環境問題、その中でも自然保護問題というのが絶対大切だという意識を持ってスタートしてきております。
 その後、いろんな形で、どういう形で企業は自然保護、あるいは環境問題に取り組むかということをやってきたんですが、現時点での生物多様性に焦点を当てたものということで、今年度の3月にまとめたと。皆様方のお手元に冊子のような形でお配りしてあると思います。その中に宣言が入っておると思いますが、前文から始まりまして、見開いたところが本文、本文を7項目にまとめております。
 ちょっと簡単にご説明しますと、第1点が自然循環と事業活動との調和、これが経済活動にとっては一番難しいし重要なことだと思っておりますが、自然循環と事業活動との調和ということについての基本的な理念を第一に掲げたということであります。
 第2番目が、やはり、グローバルな視点、今や環境問題というのはグローバルに考えないといけませんし、企業活動自体がグローバルになっておりますので、グローバルな視点の重要性ということを第2点で取り上げております。
 それから、第3番目が、とにかく企業として自発的、かつ着実に貢献していくんだという宣言をしたということであります。要するに、予防的な対応、それからサプライチェーンとの問題というのは、これは非常に難しい問題でして、材料を購入する、あるいは工事のために発注する、そういう一連の中で、どう生物多様性との関わりをバランスをとっていくかというのは、非常に難しいことでありますが、そういったことで、企業として自発的に取り組んでいくんだということを第3点に取り上げております。
 それから、第4点目が資源循環の問題、やはり経済活動をやるためには、自然の恵みと言いますか、資源を必ず使うわけで、そこのところでの循環という考え方を持とうよということであります。結果としては、エネルギーをできるだけ省エネする、省資源、あるいは3R、そういったことでやっていこうよということが第4点でございます。
 それから、第5点が技術開発の問題を取り上げております。多分、企業が生物多様性ということに貢献できる、あるいは環境問題に貢献できることの重要なポイントの一つは技術開発だと思います。それが技術開発ということによって持続可能性を持っていくんだ、あるいは、自然に学ぶ、バイオミミクリーの問題ですけれども、自然に学んだ技術開発をやっていこうということ、このようなことを第5点で取り上げております。
 それから、第6点は、ここにステイクホルダーとの連携ということを書いておりますが、いずれにしても、企業というのは社会的にもいろんな形での連携プレーになっているわけで、その辺を人的なつながり、あるいは、地域の人々とのつながり、そういう協力、さらには専門家の皆様方の知見、そういうものとの連携が非常に重要だよということを第6点で挙げたと。
 最後の第7点に、生物多様性をはぐくむ社会づくりに向けて率先して行動するんだという決意表明ということであります。その中には、当然、次世代に向けた環境教育ということ、これはもういろんな形で企業が、今、環境教育に取り組んでいる会社が非常に多くなってきているのですけれども、それをぜひ、我々としては今後ともやっていきたいと。
 こういうようなことで、環境省さんが今回取りまとめられた生物多様性の民間参画ガイドライン、こことも密接に連携をしながら進めていきたいなというふうに思っております。
 それでは、次の第3番目のCOP10に向けた今後の活動の方向性ということをお話ししたいと思います。
 大きくここにありますように、一つは、やはりせっかくつくった今回の宣言、これをさまざまな形で企業に実行させていかないといけないわけで、これもかなりいろんな形でこれまでの半年近くもやってきたんですけれども、今後の予定として、ここにあるような形のセミナー、シンポジウム、対話集会、そういったものを経団連としてもやっていくということを考えていると。さらに、アンケートについても、今年の秋をめどに、フォローアップアンケートをやりたい。
 それから、日本で来年やるということで、国際的にも非常に向こうからの接触が多くなってきておりまして、そういうことで、こちらからの発信もきちっとやりたいということで、12月にジャカルタで行われる会議には出かけていきまして、今の宣言を中心にしていろいろお話をしていきたいなというふうには考えております。
 それから、国際交渉に関する産業界の意見集約、発信。各国の経済団体もいろんな意味で生物多様性、特に環境問題ということで取組を始めてきておりますので、そのあたりとの連携もきちっとやっていきたいなというふうに思っております。
 それから、一番最後に書いておりますが、関係各省、NGOとの意見交換。私どもの自然保護協議会というのは、環境に絡むNGOとの接触、協議ということを非常に重視しておりまして、もちろん、支援という、本当に環境に取り組む活動をしているのはNGOの皆さんなので、その方々へ我々としてできる支援は積極的にやろうということと、同時に、やっぱりNGOの皆さん同士の交流の場というのも案外ないので、そのあたりの場を設けよう、そういうこともやっております。
 それから関係各省、もちろん環境省さんとは一番関係が深いわけですけれども、やはり各省に絡む問題がたくさんございますので、そのあたりの窓口としての活動は、ぜひやっていきたいなというふうに考えております。
 それで、最後に課題認識ということで、2点、申し上げておきたいと思います。
 第1点目は、ここにも書いてありますが、サプライチェーン全体に関する生物多様性への影響の管理を行うための課題というのが一つあると思います。要は、事業活動と生物多様性との関係を、サプライチェーン全体を含めて把握、管理するという考え方が国際的にもいろいろ出てきているやに聞いております。これはもう完全を期するならば、そういう問題は当然考えなきゃいけないんですが、実は現実問題としては極めて難しい課題だと思っております。COの問題よりもはるかに私は難しいと思っております。
 そういう中で、影響を的確に把握するためのデータとは何なのか。そのデータは取得可能なのか。それから、サプライチェーンと言いますが、チェーンをどこからどこまで考えなきゃいけないのか。それから、取引先へのデータ提供依頼は取引先でちゃんと負担してもらうということにするのか。認証制度の信頼性はどうなるのか。要するに、一つの経済活動を行うときに、今、非常に世界じゅうにチェーンが広がっておりますので、そこをきちっと押さえるというのは、非常に難しい問題を抱えているわけです。ここのところを最終的に詰めることについては、相当な準備と検討が要るなというふうに思っているという点が第1点でございます。
 それから、第2点目が、経済的手法と書いておりますが、これが生物多様性、現在、ドイツ政府とかEUの委員会の支援を受けて、生物多様性の一つ一つの概念を経済的に評価して、そこで取り引きしようと。要するに、COの取り引きと同じ考え方を、今、提案しようとしているところが一部ございます。
 それで、私どもとしては、果たして生物多様性というような、こういう問題を、そういう一元的に評価して、それを金銭に置きかえる、オフセットのような形にする、そういうことが果たして可能なのかと。そういうような方向に持っていくのは間違いじゃないかというふうに、私どもは考えております。要するに、ブラジルの森林を破壊したものを、どこか今度別の国のあるものでオフセットで取り引きすると、そういう考え方は生物多様性の保全・保護という問題については、むしろ害にこそなれ、方向としては違うんじゃないかと。
 ここに書いてございます、固有種の生息地を破壊しても他の土地の保全行為で代替できるのか、他人の行った湿原保全の価値を購入して森林開発に充当するということで、本当にそれでいいのか、そういったことで、ここに書いてございますように、評価結果や活用方策については慎重な検証作業が必要だというふうに、現在、考えております。
 我々としても、事業活動をする中で、この件については十分な検討はしていきたいと考えておりますけれども、やや金融部門が中心になっている、こういう取り引きで物事を処理しようという動きには、基本的には難しいだろうという考えを持っているということ。
 この2点を、現在、特に来年のCOP10に向けて考えておかなきゃいかんと言いますか、非常に大きな課題だなというふうに考えているということでございます。
 以上、経済界としての取組についてご報告いたしました。

【熊谷委員長】 どうもありがとうございました。
 ただいまのご説明についてご意見、ご質問がおありでしたら、ご発言、お願いしたいと思います。よろしくお願いをいたします。
 それでは、まず、西岡委員からお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

【西岡委員】 一番最後の課題認識のところ、非常に感銘を受けました。まさに今のグログローバライゼーションの時代において、地域の環境ということをどう考えるのかという非常に重要な話です。現実にグローバライゼーションで起きていることは、例えば森林だと材木という見方をしてしまい、そこに存在しているという価値についてはほとんど考えないで物が動いている。そういう面からサプライチェーン全体についてお考えがある。それから、金銭価値等々でははかれないものがあるというようなところにつきまして、十分な危機感、それから、貴重な認識を持っておられるということに非常に感銘を受けております。
 しかしながら、一方で、また、経済界の方では、全般的にこれから一番安いところで物をつくるというのが、基本的に経済的にみんなを幸福にするのではないかという意見もあります。そのあたり、経団連の中で自然保護委員会だけでなく、ほかの委員会もあるかと思いますけれども、どういう認識でおられるんだろうかと、あるいはどういう討論がなされているのかということについてお伺いしたく存じます。

【熊谷委員長】 ほかにいかがでしょうか。
 それではまず、今の西岡委員のご質問にお願いをしたいと思います。よろしくお願いをいたします。

【大久保経団連自然保護協議会長】 経済の各企業、あるいは各団体の中で、率直に言っていろんな意見がございます。非常に端的に申し上げますと、金で解決できるんじゃいいじゃないかと、金で解決できるなら、そういう意見もないではないわけです。ですけれども、ただ、私としては、基本的に生物の多様性を守るということと、それは相反する行為じゃないかと。それを経団連の中でも、できるだけ徹底していきたいというふうに考えております。
 それで、今、申しました意見は、あくまでも自然保護協議会会長としての意見でございまして、経団連として、それがもうきちっとまとまったという意見ではございません。それで、そのあたりを今後、どう詰めていくか。特に経済活動をやるということは、必ず何らかの負荷を自然にかけるわけですから、何らかの負荷をかけるということと、我々、生きていくための経済活動ということの、最終的にはバランスの問題になるんだと。そこをみんなが納得する形でのバランスを見つけるべきだというふうには考えているんですが、最終的な方向性を決めるところまでは、現時点ではまだ行っていないということは申し上げておきたいと思います。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 それでは、ここで、ただいま3時32分ですので、3時40分まで休憩をとらせていただきたいと思いますので、3時40分にまたお席にお戻りいただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。
 休憩とさせていただきます。

(休憩)
(再開)

【熊谷委員長】 それでは、委員会を再開させていただきたいと思います。
 ヒアリングの最後になりますが、NGOからのヒアリングとして、生物多様性条約市民ネットワークの皆様をお呼びしております。本日は、同ネットワークの運営委員の道家さん、倉澤さん、伊藤さん、小南さん、花輪さんにお越しいただいております。
 それでは、ご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【生物多様性条約市民ネットワーク 道家氏】 皆さん、こんにちは。生物多様性条約市民ネットワーク、略してCBD市民ネット運営委員をしております日本自然保護協会の道家と申します。本日は、こういう機会を設けていただきまして、まことにありがとうございます。座ってご説明をさせていただきます。
 生物多様性条約市民ネットワーク、CBD市民ネットですが、本日の発表内容ですが、CBD市民ネットワーク、1月25日に設立いたしました。そのCBD市民ネットについてをまずご紹介したいと思います。そして、私たちの活動としてさまざまな場面、市民社会の言葉を届け、提案していく、提言していくということで、生物多様性基本法からの視点で今議論している第三次生物多様性国家戦略について、そして、生物多様性条約と国家戦略について、そして、第四次、次の生物多様性国家戦略への課題ということで、私たちのネットワークでまとめました意見をご提示したいというふうに思っています。
 生物多様性条約市民ネットワークですが、生物多様性条約の第10回締約国会議が決まりましてから2008年の夏ぐらいから、市民社会、COP10、そして、MOP5に向けて市民の声を条約の方に届けていかなければいけない、あるいは場合によっては日本の政府であるとか、自治体であるとか、企業であるとか、さまざまなセクターに提言をしていこうということを話していきました。2009年の1月25日に設立することとなりました。生物多様性条約の目的、生物多様性の保全、持続可能な利用、生物遺伝子資源から得られる利益の公正公平な配分、この三つの目的達成に向けて全国の市民団体、企業、研究者、そういったネットワーク団体というふうになっています。1月25日の設立以降、会員を募っております。現在、109の会員がございます。団体が59、個人が50、現在、共同代表2名、運営委員17名でネットワークの活動を展開しているところです。もちろん、個々のネットワークに加盟している団体それぞれも生物多様性条約COP10に向けて、さまざまな生物多様性の保全であるとか、あるいはCOP10以降の日本の自然をもっとよりよいものにしていくというような活動に対して国レベル、地域レベルで活動を展開しているわけですが、このネットワークでは特に条約をターゲットといいますか、目標に活動をしているネットワークというふうにご理解ください。
 ここに今並んでいる運営委員の方は団体の代表という、ネットワークの代表と言うよりは運営委員で協議をしながらさまざまな場面で、例えばこのようなヒアリングに対応するであるとか、あるいは地域レベル、テーマ別レベルで活動を展開しています、その調整役をするとか、相乗効果を果たして、そして、COP10に向けて活動していく、その運営をする、調整をするという役割を担っております。
 活動内容ですが、三つの柱を設けています。基盤づくり、条約交渉への関わり、主体の拡大と交流、この三つの柱で行動をする予定です。
 基盤づくりに関しましては、これまでの議論で生物多様性条約COP10の開催もまだまだ知られていないというような状況の中で、市民社会の多様な主体間の情報共有の場をつくったり、勉強会をしたり、シンポジウムを企画したり、そういった形で基盤をつくっていくと、生物多様性条約国家戦略あるいはCOP10、それぞれわからないことだらけというのが市民の率直な思いだと思いますので、まだ資金的に恵まれているわけではないのですが、その中でもやれる範囲で情報共有をしたり、勉強会を開催したりしているところです。
 それから、条約交渉への関わりということですが、これには二つの側面があるというふうに考えてください。一つは、生物多様性条約の締約国会議、それは基本的には国の会議ではあるのですが、先住民であったりとか、地域のNGOであったり、国際NGOであったり、さまざまな市民社会の構成員が来るわけで、日本の市民としても迎え入れる役割をしなければいけない、ホストは日本政府ではなくて日本全体だというふうに初めにジョグラフ事務局長からもいただいたのですが、そういうような思いで海外との連絡調整役を担う、そういうことをやっているほか、また、海外のNGOを引き受けていくということも含めて、国内の生物多様性の保全推進に関わる提言や働きかけを行っていこうということをしています。
 そして、3番目は、主体の拡大と交流ということで、以上のような目標を達成するために幅広いテーマで国内外の団体との連携拡大に努めています。特に条約は自然保護とかだけではなくて、開発支援であるとか、先住民問題であるとか、そういったさまざまな領域を含むものですから、そういったところにも条約の理念の重要さというのを伝えていくということがキーワードになっています。もちろん、条約があるというだけではなくて、これを機に日本の自然保護の全体の底上げをしていくということも私たちの目的の一つになっています。
 生物多様性条約、非常に幅広い領域を含むものですから、作業部会というものを設けまして活動を展開しています。条約はさまざまな議題があるのですが、特にその中でも最もプライオリティの高いポスト2010年目標とかABSとか、それから、詳細検討項目という形で既に議題として決まっているもの、そういうものを中心に作業部会を立ち上げて、NGOそれぞれの活動をボトムアップで盛り上げていこう、この中には勉強会を開催するものもあります。あるいはポジションペーパーをつくって日本の市民として条約をよりよいものにしていくためにはこういうものが必要だと、そういうような提言活動をしていきたいというふうに考えています。
 それから、地域別の作業部会というのも現在準備されています。これまでの経験で言いますと、やはり東京と愛知県が盛り上がっているわけですが、それ以外の地域でなかなか情報が伝わっていないというところは肌身で感じているところです。そこで、地域でのワークショップを今企画したり、沖縄では既に開催したのですが、そういうような形で地域全体、日本全体の底上げにも関わっていきたいと、そういう意味で中部と、今、沖縄南西諸島での作業部会というのがつくられているところです。これ以外にもやはり普及啓発の作業部会も立ち上がっていまして、底上げというのを進めていきたいというふうに思っているところです。
 そんな中で、第三次生物多様性国家戦略に向けて、市民としてやはり提案していきたいこと、訴えていきたいことを、これから私の方で2番と3番を話したいと思います。
 生物多様性基本法からの視点ということで、現在の第三次生物多様性国家戦略の改定は、生物多様性基本法にのっとっているものです。その中で市民として注目している条文は、やはり21条の市民参加の項目、25条の事業計画に関するアセスメントの項目、それから、26条の国際的連携に関するもの、そして、附則の第2条として関連法制度の見直しと、ここは第三次戦略を見直していく中でやはり重要な項目になっていくだろうというふうに考えているところです。
 一例として、市民参加のところなのですが、今回、生物多様性条約市民ネットにヒアリングの機会をいただきましたが、COP10に向けた、前回は3.5次版という表現だったと思いますが、仮にCOP10が終わった後の戦略の見直しに関しては、市民ネットという形だけではなくて、個々に活動してきた団体の意見を聞いていただきたいと、あるいは地域の意見を聞いていただきたいと。第三次戦略で行われたような市民参加、市民の意見を言う機会をやはり設けていただきたいというふうに思っているところです。その他のアセスメント、国際的連携に関しては、第4のところで少し触れてみたいと思います。
 それから、条約と第三次戦略の関係ということでは、やはり2点お話をしたいと思います。
 第四次国別報告書という2010年目標について、日本政府としてどう達成したかという文書にはこう書かれています。「わが国の生物多様性の危機を深刻なものとしている課題は、以下のとおり」ということで、「生物多様性の意義・価値に対する国民の理解が進んでおらず、多くの人々が自らの問題として捉え、さまざまな活動に参加する機運が高まっていない」。
 市民としてやるべきことはまだまだあるという認識はありつつも、生物多様性の劣化あるいは破壊というものの主なドライバーが一体どこなのかということを考えると、やはりこの危機認識でいてはいけないだろうということを常に訴えていきたいと思います。それについては4章でも少し詳しく話したいと思います。
 あと、第四次、次の国家戦略を考えていくに当たっては、やはりもっと生物多様性条約の議論、過去の決議を踏まえて取組をやはり促進していくべきだろうと。例えばなのですけれども、植物保全戦略や保護地域の作業計画、そういうところでは明確なターゲットというのが決められています。あるいは、現在、環境省の方でアセスメントについての見直しというものの検討が行われていますが、条約の方でもアセスメントのガイドラインというのを設けています。こういうものをうまくどんどん取り入れていって、日本全体の底上げに資するものをやはり検討していくべきだろうというふうに考えているところです。
 私の方からはこのような形で、CBD市民ネットのこと、それから、基本法の観点から見た国家戦略、条約の観点から見た国家戦略について、お話をしました。原理原則の部分ですので、個別のテーマについては運営委員の倉澤さんの方からお話しいただきたいと思っています。

【生物多様性条約市民ネットワーク 倉澤氏】 倉澤と言います。よろしくお願いします。
 先ほどからの議論でも多少出ていたかもしれませんが、市民セクターの役割というのは、また行政などとは違うことだろうというふうに思っています。例えば、私は運営委員であるとともに、沿岸海洋についての作業部会の副部会長をしていますけれども、その中では地域とかあるいはさまざまな、例えば生物多様性の保全から化学物質の汚染から、あるいは消費者問題というような幅広い方たちの参加と、それから、ボトムアップの過程を経て、やっぱり共通認識を高めて、それを政策提言に生かしていくとか、あるいは条約事務局に届けていくというようなのが役割だというふうに思っています。それで、今回、実際に第三次戦略の法定化という形で、私たちの活動の一環として今回ここのところが欠けているよ、あるいは、ここをこうしてほしいよというところを沿岸海洋だけではなくて、広報を担当している人たちとか、湿地とか、そういうふうな私たちの、作業部会に参加している人たちの意見をまとめて、ここにちょこっと紹介します。時間がないので、実際の細かいところは文章で資料としてあるので、そちらを見ていただきたいと思いますし、また、ディープな後での質問はここに仲間が並んでいるので、そちらの方に回したいと思っています。
 私の話すことは三つあって、一つは行動計画をより具体的にしていただきたいということで、これは主に沿岸海洋のところから一つの問題提起として出させていただきたいと思います。
 実は、第三次の国家戦略において、かなりいろいろな意味での前進が見られたということと、それから懇談会も審議会も傍聴させていただきましたけれども、その中で皆さんが非常にいい意見を出されて、前進したというふうに感謝しております。特に大きなことは、沿岸と海洋が書き入れられたということですけれども、残念ながら、これはまだ環境が十分に整っていなかったというふうな気がしております。私が覚えています限りでは、審議会の最後で海洋についても、例えば新戦略に書かれていたような三つの危機、あるいは、今回書き加えられた気候変動のような現状分析というものは不可欠ではないかというような意見が出ていたと思いますけれども、まだ、それは最後でしたので、実現していません。それはやはり、今後非常に重要な課題になっていくのかなというふうな気がしていまして、というのは、そのことでの共通認識というのは、特に沿岸海洋が多様な省庁の連携の中で実現していかないとできないものなので、共通の認識を持っていくということは重要だと思います。
 それから、もう一つですが、海洋保護区についても同じことが言えます。今回、自然公園法が改正されたということで、環境省さんの方では海域の保護という形で一歩前に進んだと思いますけれども、海洋保護区全体として、例えば文化庁さんとか、あるいは水産庁さんとかの連携を今後どうつくっていくかというところではまだ見えていないと思います。今、聞いていますところでは、海洋生物多様性戦略というのを策定されるということであるので、これは環境省さんだけではなくて、多様な省庁さんの連携の中で実現していっていただきたいということと、中でではなくて、やはりこういうような公開の場でみんなで議論できる環境を整えていってほしいと思っています。特に、懇談会、審議会を通じて海洋に関係される委員の方が少なくて、一生懸命努力されていてもやはり十分な議論には至らなかったというふうな感想を持っていますので、その点においても、ぜひ、公開で議論ができるような場を設定していってほしいというふうに思います。
 それから、三つ目の目標に掲げられているのに行動計画における役割分担が明確あるいは合理的でないというところですけれども、文科省さんの説明と、それから、委員のその後の議論というのがありましたのではしょりますけれども、CBDにおいても、あるいはラムサール条約においてもCEPAという普及啓発についての非常にいいツールがあるので、ぶった切り、ぶつぶつになったのではなくて、そうではなくて、統合した生物多様性の理解を深められるような方向というものを、今後、文科省さん、環境省さんの連携の中で考えていっていただきたいと思います。
 実際に戦略の文言の中で、モニタリングの結果に対して、例えば地方の参加者がない、地方の人たちの意見が十分反映されていないのではないかというような意見もネットの会員の中から出ております。
 それと、普及と実践についてですけれども、広報・参画委員会の中に、特に地方におけるNGOの役割を重要視して参加させていくことが効果的なのではないかというような意見も出ています。
 法制度についてですけれども、種の保存法についてあるいはアセス法についても前進をさせていっていただきたいと思います。特に、種の保存法に関しては、かなり、まだ種のリストアップというところでは不完全なところもあり、なかなか前に進まない現状があるので、そこら辺の書き込みもやはり強くしていきたいというふうに思っています。
 それから、もう一つは、実際に記述されているのに着手されていないというボン条約の批准の問題があります。ボン条約についてはもう既に110カ国が批准しているわけですし、生物多様性国家戦略の中には繰り返しそのことの必要性と感じられる書き込みがあります。さまざまな行政の方に伺うと、日本と見解が相違してしまうので、入ること自体が余りメリットがないというような話も聞きますけれども、基本法の中では国際的な連携が、地球的な財産である移動性の動物を守るためには不可欠であるということと同時に、国際協力が欠かせないということが書いてあるので、特に私は、水産資源というのを非常に大切な食物としている私たちとしては積極的にこういうふうなところに関わっていく必要があるのではないかというふうに思っています。
 次に、実際に成立後に幾つか、これだけではないと思うのですが、例でしかないのですけれども、決まった決議というものがあります。一つ挙げているのは、生物多様性条約の第9回の決議20というもので、これについては公海の保護区あるいは公海のネットワーク、十分に保全ができるように、国を超えた形でだれも管轄していない地域での保全というのをどう進めるのかというようなことが書かれているので、それについても何らかの形での反映が必要だろうというふうに思っています。
 それから、もう一つは、これはもうラムサール条約の締約国会議の決議が幾つか挙がっていますけれども、水田の生物多様性の向上については日本政府も積極的に関与したわけですから、これについてはそれほど書き込むのは難しくないのかなという気がしています。
 その後ですけれども、2009年から2014年の戦略計画、普及啓発のこととか、フライウェイの保全についてもやはり第三次のマイナーな改定の中で生かせていくものではないのかなと思います。
 その次についてなのですが、湿地の生物多様性の保全についてです。一つはさっきの、水田の生物多様性の保全を組み込むということですけれども、あと、やっぱり管理計画をきちっとつくっていくこととか、あるいは国が定めた保護区というふうな前提がなくても、地域で保全していきたいというふうな動きがある場合に、やっぱりラムサール湿地として登録できるような要件をつくっていく必要があるのではないかという意見もあります。あと、島嶼についても、今、書き込まれてはいますけれども、島嶼の脆弱な生態系を考えて開発などについては特別の網をかけていくべきだというような意見が出ております。
 これらが一応私たちの作業部会等を含めたCBDの会員が今後に望むことで、こうした改正をしていく中で、私たちの活動というのはまた活発化していくわけですし、そのあたりのことについてぜひともご検討いただければと思います。どうもありがとうございました。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまのNGOのネットワークの皆さんに対して、何かご質問なりご意見がおありでしたらご発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 では、桜井委員、お願いをいたします。

【桜井委員】 ありがとうございました。ちょっと質問なのですが、この市民ネットの中には、団体会員がありますけれども、これは例えば関連する学会等は入っているのでしょうか。

【生物多様性条約市民ネットワーク 倉澤氏】 作業部会じゃなくて、CBDネットの会員ということですよね。個人的にはかなり研究者の方が入っていますが、まだ学会という形にはなっていなかったと思います。ぜひとも参加していただきたいと思っています。

【桜井委員】 ということは、CBD市民ネットの中に、例えば生態学会とか、そういったところとのリンクはないということですか。

【生物多様性条約市民ネットワーク 倉澤氏】 個人的な研究者の方たちとのリンクはあれこれあります。

【熊谷委員長】 よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 どうもありがとうございました、本日の関連団体からのヒアリングは以上でございます。
 続いて、最後の議題になります。議題3は生物多様性国家戦略の主要新規事項(案)についてでございます。事務局から説明をお願いいたします。

【鳥居生物多様性地球戦略企画室長】 それでは、私の方から資料3につきましてご説明をさせていただきます。
 資料3は、生物多様性基本法に基づきまして、この現行の国家戦略を法定化するという作業に際しまして、特にCOP10に向けての取組等を視野に、必要な事項を追加し、内容の充実を図るということとしておりますけれども、今回は第三次戦略の四つの基本戦略というのがもう既に定められておりますけれども、それに即してどういう点を新たに盛り込んでいくのかというのをまとめてございますので、これに基づいて説明をさせていただきたいと思います。
 まず、基本戦略の一つ目、生物多様性を社会に浸透させるということでございます。囲みの部分の記述につきましては、現行の戦略の概要を書いているというものでございます。主要新規事項といたしまして、まず一つ目ですけれども、多様性の社会における主流化の促進ということでございますが、広報・参画推進委員会においていろいろ検討している中で、例えば国民への普及啓発といたしましては、地球いきもの応援団の活動の強化とか、地球の命つないでいこうという生物多様性コミュニケーションワードを普及させていくとか、今、国民行動リストというのが、いろいろ多方面の意見を聞いてリストをつくっているのですけれども、それをもっともっと広げていって、さらにそれを具体化していくのをウェブサイトにどんどん発信するとか、そういったことをやっていきたいというふうに思っています。
 次に、事業者等の取組の促進につきましては、生物多様性の民間参画のガイドライン、これをさらに普及していくということが重要だと思います。
 次のページにまいりまして、各主体をつなぐ取組の促進ということで、ここに4点記述してございますけれども、例えば生物多様性に配慮した商品、製品、そういったものを購入を促していくとか、あるいはどういう商品があるのかというものを展示会等を通じてPRしていくとか、あるいは一次産業などでも特に、例えば生き物ブランド米のようなものがだんだん普及してきてございますけれども、そういった農林水産業に対する理解を促進するとか、前回の国交省のヒアリングのときにもありましたけれども、環境に配慮した不動産市場の形成に向けた方策の検討、こういったものを記述していければなと思います。
 また、本日、文科省からも学校教育等における取組ということについてもご発表がありましたけれども、そういうことについても盛り込んでいきたいというふうに思っています。
 それから、次に地域レベルの取組の促進といたしましては、都市と生物とあります、今日の、特に川崎市さんのプレゼンなどでも非常に取組がされているのが発表されていましたけれども、そういったものの中で地域戦略の手引きを活用して、もっともっと地方公共団体における戦略をつくっていただけるような取組を強化していくということがあるかと思います。
 また、市民団体等、NGOとか、全国各地で多様性の保全に取り組んでいる団体を支援する支援事業における輪をもっと広げていきたいということもございます。
 それから、地域レベルの生態系のネットワークの構築というものも重要な柱だと思っておりますので、そういうものもより進むようにしていきたいというふうに思っています。
 3番目がエコツーリズム推進でございます。昨年の4月にエコツーリズム推進法というのが施行されて、6月に基本方針というのが閣議決定を経ておりますので、さらにこういうエコツーリズムの効果的な推進ということを図ることによって地元も潤うし、地域の生物多様性の保全も進む、あるいは、参加する人の意識も高まるというような地域づくりも兼ねたような、こういう取組をどんどん進めていきたいというふうに思います。
 基本戦略の2番目が、地域における人と自然の関係を再構築するということでございます。
 キーワードといたしましては、里地里山の管理というものだとか、あるいは鳥獣などによる農林水産業とのあつれきの改善あるいは希少野生動植物の場とか野生復帰の推進あるいは外来種対策でもあるわけですけれども、先般、鳥獣被害防止特措法というものができて、市町村が作成する被害防止計画というものに基づいて生息環境の管理、捕獲による個体数調整あるいは防護さく等による被害の防止というものを総合的に推進していくという仕組みができました。そういうものに取り組んでいくということがあろうかと思います。
 それから、農水省においては、森林における生物多様性の保全及び持続可能な利用の推進方策というのを取りまとめておられますので、さらにそういうものを進めていくということもあろうかと思います。
 絶滅のおそれのある種の保存施策の充実の方策ですけれども、特に種の保存法の中で絶滅のおそれのある野生動植物の種の生息域外保全に関する基本方針というものを今年の1月に作成しておりますけれども、そういったものに基づいて動物園、植物園等と連携した希少野生動植物の生息域外保全の取組を進めていこうということを考えております。
 それから、自然共生社会と循環社会の統合的な取組の推進ということでございますが、昨年3月に閣議決定されました第二次の循環型社会形成推進基本計画というものでございますけれども、自然界における適正な物質循環の確保というようなことや、自然界での再生が可能であるバイオマスの持続可能な利活用の推進、そういったものと、さらに低炭素社会の構築というものともリンクさせて、例えば里山における取組を強化するといったような統合的な取組を推進していきたいというふうに思っています。
 基本戦略の3番目が、森・里・川・海のつながりを確保するということでございます。先ほども少し出てまいりましたけれども、これはどちらかと言いますと、生態系のネットワークというものをつくっていこうということが柱だというふうに考えております。
 主要新規事項といたしましては、自然公園法・自然環境保全法の改正を踏まえまして、例えば海域の公園地区制度の活用とか、生態系維持回復事業の制度というものを活用したシカの食害や外来種の侵入等による生態系被害の防止、そういったものを進めていくと。その際には、地域の住民や企業、団体等の参画も得ながら進めていくということが重要かと思います。
 次のページにまいります。また、自然再生推進法に基づきます基本方針というものが見直されましたけれども、広域的な取組の強化や自然環境学習・研究といったものを推進していこうということでございます。
 以上のような取組を通じまして、ネットワークの強化というのを国土レベルあるいは地域レベルで進めていきたいというふうに考えております。
 基本戦略の最後でございますけれども、地球規模の視野を持って行動するというものでございます。
 これは特に来年のCOP10に向けてどういったことを視野に持って取り組んでいくかということにつながっていくかと思いますけれども、まず、新規事項といたしましては、COP10の成功ということで、日本は議長国でございますので、まず、COP10を成功に導いていく必要がございます。主要議題の一つでありますABSあるいはカルタヘナ議定書におけます責任と救済に関する議論、そういったものと、それに関連するCOP10における決議、決定の実施に対して貢献していく必要があると思います。
 また、COP10以降、2年間議長国ということになりますが、例えば日本の国立公園における地域の多様な主体による連携、協力というものの法管理システムあるいは持続可能な農林水産業など、そういった日本の先進的な取組というものを海外に発信していくということがあるかと思います。
 また、COP10では2010年目標の評価あるいは次の目標の作成というものが大きな課題の一つですけれども、そのための貢献というものを果たしていきたいというふうに考えております。
 二つ目が、先ほども申しました2010年目標の評価と新たな条約戦略計画です。これについては、まずは我が国の達成状況の評価を行うとともに、議長国として日本からポスト2010年目標に盛り込む内容について積極的に条約事務局の方に情報発信をしていき、野心的でわかりやすい計測可能な目標というものを設けていきたいと。現在、非常に、生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させるというような目標になってございますけれども、これをさらに次にどういうふうな目標にしていくのかというものの議論に積極的に加わっていきたいというふうに思っています。
 それから、5ページにまいりまして、経済的視点の導入でございますが、これも次のCOP10の中でも大きな議論になることが予想されますが、現在、研究プロジェクトというのが進められてございます。その成果等を活用しながら、生物多様性の保全と持続可能な利用に経済的な視点というものを導入した効果的な政策オプションというものを検討していく必要があると思います。
 4番目が科学的基盤の強化でございます。これにつきましては、地球規模での生物多様性のモニタリングというもの、既存のモニタリングをまたつないでいって、生物多様性の地球規模での状態というものを把握していく、その上で対策をきちっととっていくということが重要かと思います。
 また、国内においては、関係省庁、各種団体、研究機関、市民等が所有するさまざまな情報というものをネットワーク化していって、例えば我が国として気候変動等、地球規模の環境変化の指標ともなるような生物多様性の変化を把握できるセンサーみたいな機能を果たしていく必要があるのではないかというふうに考えてございます。
 それから、5番目が科学と政策のインターフェースの強化でございます。生物多様性版のIPCCと言われるIPBES、生物多様性と生態系サービスに関する政府間プラットフォーム設立に積極的に関与して貢献していきたいというふうに考えています。
 それから、6番目がSATOYAMAイニシアティブの推進でございます。里山という、人と自然が織りなす共存という形ですけれども、単に持続可能な形での自然資源の利用ということだけではなくて、地域社会、特に海外に出す場合は途上国における貧困の解消、人間の福利の向上といったものにも視点を向けまして、SATOYAMAイニシアティブというのを発信していきたいというふうに考えてございます。そのために、SATOYAMA国際パートナーシップというものを設立するため、これからいろんな、国内に限らず国際的にもいろいろ情報発信をして、いろんなほかの途上国の意見も聞いていきたいというふうに思っておりますけれども、そういう取組を進めていきたいというふうに思っています。
 7番目が気候変動への対応の強化でございますけれども、温室効果ガス排出量の削減と生物多様性の保全というものの両者に資するような、コベネフィット・アプローチという検討をしていく必要があるのかなということで、気候変動への適応策についても、例えば生態系のネットワークなども一つなのかもしれませんけれども、なかなか自然の自律的な適応では難しいという部分につきましては、回復力の構築だとか、そういった保全措置を通じて適応を考えていく必要があるかなと思っております。
 以上が主な点なんですけれども、7ページ以降は、現行の戦略に今申しましたような点を落とし込んでいくとどこに入るのかというものを目次の中に書き込んだものでございますので、これにつきましてはご参照いただければというふうに思います。
 説明は以上でございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。ただいまの説明についてご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。
 中道委員、そして、竹村委員、お願いをしたいと思います。

【中道委員】 二つ申し上げます。一つは3ページの「2.4自然共生社会と循環型社会の統合的な取組の推進」が入ったことはたいへんいいことだと思っています。ただ、循環型社会と言われると、資源の循環利用という感じにとられがちで、それが生物多様性を守るという一つの視点もあるかと思いますが、それに加えて、生物多様性との関連で入れるとすれば、物質が循環するのでなくて生命が循環する、物質は生命がないと循環しないという視点が非常に重要だと思います。ご案内のように、有機物を無機物にかえることができるのは生き物しかない。それから、太陽エネルギーを捉えられるものは植物だけしかないわけですから、そういう視点を、ぜひ、この中に入れていただくと、生物多様性の役割というのがみんなにわかりやすくなるのではないか、そんな感じがいたします。
 もう一点は、第2部について、これは各省とのそれぞれ分担で書かれるんだろうと思いますが、今回の小委員会でも各省の説明等、非常にいい事例が紹介されております。実際はそんな美しい事例ばかりではない。今から生物多様性を進めていくとすると、本当に難しい。有名な鳥は大事にされるかもしれない。それでも、ただの鳥、ただの虫がたくさんおるわけです。そういうものを保全するということはどういうことかというと、人の生きざま、なりわい等に非常に難しい関係を持っている。その難しさについてみんな折り合いをつけていると思うのです。その折り合いを書いていただかないと、これを発展させることは非常に難しい。先ほど統合的という視点がありましたが、折り合いをつけるということは生き物全体が総合的なものですからつながりがある、その中からどれをどういうふうに考えるかという折り合いの仕方、これは今科学技術の中で一番難しい手法で、統合化とか俯瞰視するとか言われている問題だと思います。ぜひ、そういう視点が少しでも入るように、各省にご努力いただくとたいへんいいものになるのではないかと、考えます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、竹村委員、お願いをいたします。

【竹村委員】 私が前回お話しさせていただきました関係機関、関係団体が協力して日本列島の観測をやったらどうかというのを5ページに入れていただきまして、本当に感謝いたします。
 ここで注意しなければいけないことは、このような取組を「推進する中心的機構の整備について検討する」とかかれていますが、これにひっかけて、屋上おくの組織をつくっていくようなことになってしまうといけないと思います。各データというのは著作権に関係します。ある市民団体が一生懸命やっているデータ、レベルが低くても一生懸命やっているデータは大切なものであり一種の著作権です。彼らのデータをどこかの機構が吸い上げて取りまとめてきれいに出していくというとなると、彼らの知的財産が失われていきます。これは市民団体だけではなくて研究機関、特に研究者は、そのような痛い経験を何回もやられているので、もう恐ろしくてデータを出さなくなる。自分の研究のためだけに抱え込んでいるというのが多くのパターンだと思います。悪い言葉で言うとパクられてしまうと。そして、ある組織だけが世界的にいい格好をする。そこをどうやって環境省が各セクターの、各機関の、各個人の知的財産を尊重しながら、みんなが喜んで書き込んでいけるような、みんなが自分の知恵をどんどんここに書き込んでいくと自分自身がそこで評価されるというようなネットワークを構築する必要がある。その努力をしなければ、何にもデータが集まってこないということの繰り返しになると思います。その辺は新しい時代の、新しい情報収集という、従来と違った考え方でシステム構築しないとだめです。日本各地の組織とかセクターとか、個人がここに喜んで集まってくれるような仕組みをどうやってつくるかに全精力を挙げていただきたいなと思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、石坂委員、引き続いて、鹿野委員にお願いしたいと思います。

【石坂委員】 この短い期間に新規事項、たいへんよくまとめられておると思います。三次戦略ができて以降に生じた事柄、それから、後から書いておけばよかったと気がついた事柄が網羅されていると思います。これを文章化していけばよいと思います。
 基本戦略の4のところの幾つかの項目、2番目の戦略計画、新しい計測可能な目標を日本から提案をするということであるとか、経済的視点の導入、効果的な政策オプションの検討に着手するとか、それから、科学的基盤の強化のところで、生物多様性の変化を把握できるセンサーとしての機能を果たすことが期待され、このような取組を推進する中心的機構の整備について検討する、その次のインターフェースですね、効率的な枠組となるように貢献する、それから、気候変動への対応の強化のところで、コベネフィット・アプローチを検討着手する。いずれも方向については賛成です。いずれもかなり難しい問題ですね。書く以上、それなりの覚悟と見通しを持って書いていかないといけないと思います。その点に十分配慮しながら、これからの検討になりますけれども、やっていかなければならないなと思います。 

【熊谷委員長】 鹿野委員、お願いいたします。

【鹿野委員】 2点、ちょっとご意見申し上げたいと思います。一つは、生物多様性という語、言葉の問題ですが、なぜ浸透しないかというあたりなんですが、例えばここに基本戦略の1、生物多様性を社会に浸透させるとありますけれども、よくよく、これを日本語として見てみると、何かちょっと変ですよね。正確には、多様性の保全の重要性を社会に浸透させるになると思うんですが、事ほどさように、どうも生物多様性というこの言葉の使い方、すごく難しいんだと思います。本当に社会に浸透させるためにはもうちょっと使い方を考えなきゃいかんのかなという感じがします。
 例えば、気候変動というのは温暖化の問題と捉えて世の中にすごく浸透していますね。生物多様性ってこの場合の気候変動にあたるんじゃないかと思いますが、そのうちの一番の問題である温暖化について考えましょうと、多分それで世の中に浸透したんだと思います。それを生物多様性という語だけで、これを浸透させるのはやっぱり難しいのかなという感じがしています。多分、この言葉は1990年ぐらいに日本で使われ始めたんだと思いますが、もうこれだけ経っていてなかなか浸透しないとすると、環境省の説明が足りないというよりも、なかなかすんなり受け入れられない言葉だというのがあるんじゃないかと思います。浸透させるため語の使い方にもう一工夫お願いしたいという考えです。
 それから、2点目は地域レベルの取組の話です。今日も兵庫県と川崎市のお話を聞きましたけれども、実は日本の自治体の中で豊かなところのお話を聞いたのですね。生物多様性の問題が起こっている地域、地方というのはそんな豊かでない。こういうところでいろんな問題が起こっているわけでして、この地域連携というものを考えていくためには、地域として自治体の運営が厳しいとか、そういうところとどうしていくかというのが非常に重要だと思います。地域と言ったときに必ずしも独自の税収を考えているとか、地域内にある企業の基金が造成されているとか、いわば財源的にかなり豊かなところではなくて、もうそれどころか、やっと何とか地域を維持している、そういう自治体のことを念頭に置いてこの連携を考えていただきたいと思っています。
 以上、2点でございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、山岸委員、お願いいたします。

【山岸委員】 私の方からは新しい視点じゃないんですが、たしか一次、二次、三次のときにも僕が申し上げたと思うんですが、病原菌とかウイルスとか厄介なものとどう折り合いをつけていくかということをどこかで触れてほしいと思うんですよね。例えば水鳥たちがみんな消えちゃうとか、SARSにしても鳥インフルエンザにしても、人間が生き物のつき合い方を変えて、それで起こってきている問題で、種数だけの問題ではないと思うので、そういうもの、先ほどの川崎市から出てきた蚊とどう折り合いをつけるかとか、その辺はまだ何とかつくと思うんですが、病気とかウイルスとかそういうものをどう扱うのか、それの多様性はどう考えたらいいのかというのは非常に難しい問題なので、その辺を説得しないと生物多様性の嫌いな人に逆に、じゃあ、これも守るのかというようなことになっちゃいますので、その辺のどこまでをどうするのだというのをどこかで考えてほしいと思います。人間は結局、自分にとって都合のよい多様性を求めているんじゃないでしょうか。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 それでは、今までご質問、ご意見をいただいたことに関して、事務局から回答をお願いしたいと思います。

【鳥居生物多様性地球戦略企画室長】 まず、中道委員からご意見のありました生命の循環といいますか、物質の循環だけでもちろん、生態系にはもちろんそこに生き物が関わってそこで初めていろんな恵みがもたらされるということを十分認識しながらちょっと記述を工夫していきたいというふうに思います。
 また、人のなりわいとの関係ということ、これは非常になかなか書き込むのが難しい、特に統合化ということでいろんな分野に関わってくることだと思いますけれども、できるだけそこもカバーできるようにちょっと工夫をしてみたいというふうに思います。
 それから、竹村委員のご指摘、まさにそのとおりだというふうに思っております。何のために情報を集めるのかというのが重要だと思います。それはやっぱり、一つは生物多様性を保全するということがねらいだと思いますので、もちろん希少種の情報とかいろいろあると思いますが、基本的には情報というものはオープンにして、それを多様性の保全に活用していくということが重要かと思いますけれども、ご指摘の点、重々肝に銘じて、今後の書き振り等は考えていきたいと思います。
 それから、石坂委員からも覚悟の話がありましたので、まさに3.5次の計画にどこまで書き込めるかということを検討して、できるだけのことを書き込んでいきたいなというふうに思っております。
 それから、鹿野委員から生物多様性という言葉の使い方という、これは私どもも走りながらいろいろ試行錯誤している面があるんですけれども、まだまだ浸透が弱いということもありますので、何かいい言葉の置きかえができるのかどうかというのも含めて、ちょっと今後考えていきたいと思いますし、あと、地域レベルの取組ということにつきましては、やはり全体としての底上げといいますか、そういうものを考えていく必要があるかと思いますけれども、間もなく地域戦略の手引きというものができてまいりますので、これからは国家戦略というのももちろん重要ですけれども、それを手続を、まさにいろいろ浸透させていくという意味でも地域戦略というのは非常に重要ですので、地方公共団体の取組を支援していきたいというふうに思います。
 最後の山岸委員の病原菌など厄介なものの取り扱い、これはなかなか、ちょっと難しいところもあると思うんですけれども、何か書けるのかどうなのかというのはちょっと検討させていただきたいと思います。
 以上です。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。何かほかに、ご意見でも結構ですので。竹村委員、お願いいたします。

【竹村委員】 生物多様性が国民に浸透しないというのはある意味では良くわかると思います。なぜかと言うと、僕たち人間は均質性が大好きですから、異物の多様性は嫌いなんですよね。いろんなものがあっちゃ困るんですよ、生活の周りに。均質性の中で生きていきたいというのが根っからありますので、多様性という考えが浸透していかないというのが当たり前だという思います。バイオダイバーシティという、バイオというのは生物の、ダイバーシティというのは分裂ですよね。ダイバートというのは、分岐という意味ですから、僕たちは分岐した後の多様性、いっぱい数あるということを多様性と言っているのですが、本当は分岐していくこと、だから、SARSや新インフルエンザが出てくることが実はダイバーシティなんですね。そういう意味では、僕たちの思いと生物多様性という言葉は物すごいギャップがある言葉だなと、今、山岸先生の話を聞いて感じましたので、もともと無理な言葉なのかなという感じがしています。自然豊かな多様性のためにそこをどうやって乗り越えるかですね。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。長時間のご審議、まことにお疲れさまでした。今後、本日の関係団体のご説明や各委員のご意見を踏まえまして、事務局で新たな国家戦略の素案を検討していただきたいと思っております。その結果について、次回の小委員会でお示しをし、それについてご意見をちょうだいしたいと思っておりますので、このあたりで議論は終止いたしまして、事務局にお返しをいたします。

【事務局】 本日は長時間にわたるご審議ありがとうございました。
 次回、第3回の小委員会でございますが、9月30日水曜日の13時半から環境省の第1会議室での開催を予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、本日、配付の資料につきまして、郵送をご希望の委員の方におかれましては、封筒にお名前をお書きいただければ、事務局から後日郵送させていただきます。
 本日は、どうもありがとうございました。