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■議事録一覧■

平成19年度 中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第6回)
議事要旨


1.日時

平成19年9月6日(木)15:00〜17:00

2.場所

環境省22階 第1会議室

3.出席者

(委員長)
熊谷洋一
(委員)
石坂匡身、大久保尚武、岡島成行、川名英子、桜井泰憲、佐藤友美子、鹿野久男、高橋佳孝、土野守、中道宏、服部明世、浜本奈鼓、速水亨、三浦愼悟、森戸哲、森本幸裕、山岸哲、和里田義雄
(五十音順、敬称略)
(事務局)
環境省:
自然環境局長、大臣官房審議官(自然環境担当)、自然環境計画課長、生物多様性地球戦略企画室長、自然環境局総務課長、国立公園課長、野生生物課長、自然環境整備担当参事官、鳥獣保護業務室長、外来生物対策室長、自然ふれあい推進室長、動物愛護管理室長、生物多様性センター長ほか

4.議事要旨

第三次生物多様性国家戦略案(事務局案)について検討した。

○「資料1 第三次生物多様性国家戦略素案 第1部」について
  • 61ページで「企業が本業のほか社会的責任として」とあるが、本業そのものが自然保護・環境そのものと共生するかたちにならないと持続可能にはならないという意識を、先進的な企業では持ちはじめており、直して頂きたい。
     また、企業活動ガイドラインの作成は重要であり、日本経団連自然保護協議会でも検討会を作るなど協力していく考えである。
  • 62ページに、「地域の中で地域の協力を得て地域に固有の自然を学ぶ」とあるが、ここに、「自然の中で遊び、学ぶ」とか「自然に親しみ、学ぶ」という表現を入れて頂きたい。「楽しむことを通じて自然の恵みを知ることが大事。
  • 66ページで、森・里・川・海のつながりを確保する根拠として栄養塩類と魚類の移動を挙げているが、陸から出てくる土砂が沿岸の生息環境に貢献しているという視点があるので、土砂移動について加えて頂きたい。

→土砂移動については河川の部分で少し触れているところ。さらに書けないか検討したい。

  • 鳥獣害について、「餌のない集落をつくる」ことが現実的に重要であり、是非入れていただきたい。「放牧によるバッファーゾーン」は良い面と悪い面があり、記述ぶりを検討すべき。また、土地利用区分で書かれているが、その間での時間的・面的な動きが重要であり、これを素人が読むとコアになる部分を守ればよいかのように思うので、できれば考慮して頂きたい。
  • 海について、分類が増えて分かり易くなったが、混乱がある。P54、海洋に関して「希少な海棲哺乳類、海鳥、ウミガメ類などについては、生息地や繁殖地」とあるが、これは島嶼で書くべき内容である。
  • 生物多様性について、人の問題、ということが書かれていてよい。
     100年というのがはっきり出ているのはとてもよいが、どこに戻すか、というようなことが書いていないので、前文に100年前のことを記述しても良いのではないか。
     61ページ、市民の参画としてモニタリングが挙げられているが、市民の参画はこれだけなのか。市民のアイデアを活用するといったことを書くべきではないか。
  • 前回の私の意見をうけて、P62に「学校教育における環境教育の充実」と記述がされたが、私が伝たかったのは環境教育の充実ではなく、少なくとも義務教育における生物や地質・地学の時間をカリキュラムの中で充実させて欲しいということだった。基礎的なことを学んでいない人たちによってでは社会運動的な感覚の中での環境教育しか広まらないのではということを懸念しており、この部分についてできれば具体的に書いて頂きたい。
  • 51ページの河川・湿原地域について、現状として河川の流量の減少・攪乱の減退が生物多様性をむしばんでいるとあり、そうであれば目指す方向は流量の確保・流況の回復であるはずだが、ダイナミズムの再生という表現になっている。はっきり書いた方が分かり易いのではないか。
  • 地球温暖化について、100年後のグランドデザインの部分で予測値として1.8℃という最良のシナリオを使用しているがこれでよいのか。
  • 67ページの<都市緑地の保全等>の内容については、「3 森・里・川・海のつながりを確保する」に記述されているが、前段の「2 地域における人と自然の関係を再構築する」と分けて記述した方がよいのではないか。ご検討頂きたい。
  • 67ページで、「伐採、更新を通じて多様な林齢の森林を造成する」とあるが、特に人工林について木を切って多様性に貢献するということが、一般の人には理解しづらい。「生態の複雑さをつくることで」など、なぜ伐採・更新が生物多様性に寄与するのか、説明を一言加えると、非常に分かり易くなるのではないか。
  • 21ページ、地球温暖化による生物多様性への影響の例で、気温が何度上昇すると日本の高山のライチョウが何羽になるか、という積算があるので、調べてみてはどうか。
  • 前回、用語集をつけてはどうか、という意見があったがどうなったのか。あるいは普及版の時には用語集をつけて頂きたい。
○「資料2 第三次生物多様性国家戦略素案 第2部」について
  • 温暖化とリンクした行動計画はどこに書いてあるのか。

→温暖化は2部ではあちこち分散している。1部では、モニタリングの強化、適応策の検討、バイオマス資源の利用のところに書いてあり、2部では里山の取組が対応していたり、1部のネットワーク強化と2部のネットワークが対応していたりする。最終的にまとめて項目をたて、再掲することを考える。

  • P80、P81について。「河川・湿地などにおける連続性の確保」として記述があるが、土砂の観点が抜けている。土砂は海岸の保全にも寄与しており、連携した保全が必要である。例えば港湾と河川で行う事業や、広域で行う評価等に省庁や部局が連携して取り組む事が必要。

→土砂については2部のP82に総合的な土砂管理に関係機関が連携して取り組むと記述している。充実について、各省とも相談して検討する。

  • 生態系ネットワークという言葉は多く使われているが、具体的施策は少ない。緑の回廊は森林、多自然川づくりは国交省、環境省は自然公園の整備やホットスポットの選定などが書 かれているが、これらを統合し、グランドデザインを受けた具体的なモデル地域を設けたプロジェクト案を検討して欲しい。
     P52に原生的な自然地域としての保護林を将来どうしていくか示すべき。
     田園地域・里地里山について、「生物多様性をより重視した農業生産の推進」と書かれているが、これまでの農水省の基盤整備事業は反するように行われてきた。人口が減っていく 今後、基盤整備事業をどうしていくのか。
     P107「生物多様性に配慮した漁場漁港の整備の推進」とあるが、同じように、人口が減っていく中で、コンクリートで覆ってしまうような整備を今後どうしていくのか。
     P120レッドリストについては、特に絶滅が危惧されているTA類等について、存続可能性の定量的な評価を行うと書いて欲しい。

→存続可能性評価について、レッドリストの見直しの結果、絶滅のおそれが高いと判断されたものについては、個別に生息状況を確認し、必要であれば国内希少野生動植物に指定するという取組を進めていく中で検討していきたい。

  • P50「施業現場における生物多様性への配慮」の具体的施策のところには、森林計画制度についてしか記述されていない。森林計画制度は長くやられてきたもので適切な制度だが、顕著な変化を求めるのは難しい。民間の認証制度をもっと広げて行くことを具体的施策にもっと書くべき。
  • 田んぼのそばの畦畔、田と里山の間のバッファー、河川敷、ため池の斜面などのコアエリアとしてピックアップされないところが生物多様性保全の機能を果たす上で大事である。循環型の農業を成り立たせることで草地の植物が守られているのである。大きな草原だけでなくこのような小さな草地のネットワークが大事であり、放牧だけでなくこのようなことについても書いて欲しい。
  • 絶滅のおそれの高いものの例に一番心配されているジュゴンが出てきていない。施策があるのかないのか、あるならばどんな形で行うのか。環境省のみの問題なのか、水産庁も係わるのかといったところを書いて欲しい。
     ワシントン条約について違法行為の防止に努めると書いてあるが、表に出ない、ネットで秘密裏にやられている事もたくさんある。日本が大きな市場になっていることも多くの人が知っている。外来生物にも係わると思うので、詳しく具体的に書いて欲しい。

→ジュゴンは1部のP31に出ている。地元の漁師と何度も会合を開き、混獲してしまったときのレスキュー方法の講習をするなど地元の人への取組を行ってきており、来年も続けていく。
 P172のインターネット取引も問題であると承知している。いろいろな方面から情報収集し、違法取引を少なくする方向で検討していきたい。

  • 第4章第1節の基本的視点はよくまとまっている。2部の行動計画で実行しようとした場合、難しいのは「統合化」だろう。また、我々は失敗を記録するのは下手である。科学的知見を集めて整理し、研究することは大事であり、そういうことの蓄積や配慮について入れられないか。
     第6節環境影響評価について。社会資本の整備については、これからは、新しく作るよりも今ある施設をどうにかする時代になる。今ある施設の機能を評価する仕組みが必要であり、大事だと思う。

→統合化の例としては、P197に自然環境情報に関するデータの整備と知見の情報の共有がある。

  • P152現状と課題において生物多様性という言葉が浸透せず、知らない人が多いのは、直感ではあるが、学校で力を入れられていないことや、社会的な自然離れにより生物のことに親しみをもたず、頭で生物を覚えようとする傾向がある事が問題だと思う。
     P155ふれあいの推進について、具体的施策が縦割りの記述になっている。人材育成、場の提供などが個別に書かれているが、全体像が把握できるよう、トータルでみえるような一文が必要である。これからは人材育成や指導者育成などが社会的システムとしてプログラムが進まないといけない。
  • 「具体的施策」は各省庁が、生物多様性や自然保護に関係ありそうなのを抜き出してきた感じがする。メリハリをつけるために、シンボル施策、目玉事業をどこかにしっかり出した方がよい。具体的には、○分野横断・省庁連携的な事業、○現場重視、地方やNGO、企業を元気づけるもの、○国際的にアピールできるもの、を5〜10本出してはどうか。
  • やはり2部での温暖化の扱いがみえない。P131に生態系を攪乱する要因として外来種と非生物的要因が挙げられているが、むしろ温暖化がはいるのではないか。小さい項目に一つ一つ入れては大変だと思うので、どこかに温暖化をまとめてはどうか。
  • 市民にアピールするためには100年計画とは何かを目に見える形にすることが大事である。そのためには、○場所を選ぶ、○施策を選ぶ、などしてきわだたせてアピールできるようにする必要がある。そうでないと全部あるけど何かみえないということになってしまう。
  • 第2部1章1節の項の細分の順番はこれでよいのか。P2第6節では、田園地域・里地里山だが、1部では逆になっている。最初は山から里に向かう地域的な順番と説明されていたはずだが、里地里山・田園地域の1.1〜1.8の順が違うと思う。検討して欲しい。
○全体について
  • 温暖化については、地球環境部会の目標達成計画と重複するが、生物多様性の部会での検討は面が違うのだから、工夫が必要である。
     5〜10本の代表的な具体的施策の柱立ては難しいと思う。予算を執行しているところが様々だし、既存の施策も無視できない。新しい予算のための柱立てということなら取り上げることが可能かもしれない。
  • 言葉はわかりやすくなっているが、議論を起こそうと思うと、もっと数値目標を出すべきではないか。他省庁は難しくても、環境省の部分は増やせないのか。言葉だけで注目してもらうのは難しい。
  • 前の戦略の成果は自然再生推進法ができたことだと思う。第3次戦略のテーマは国民総掛かりでやっていくことだと思う。財政当局の制約もあるが、国民が財布を開け、体を動かすということを柱としていただきたい。
  • 生物多様性の保全を考えるとき、防災との折り合いが問題になる。治水や山地の防災など万全を期しすぎて攪乱依存種がいなくなり、人が代わりに攪乱していた里山で生き残っているという状況がある。洪水などの自然のプロセスをどの程度許容するかという事は大きな問題である。
     アメリカでは、古くなったダムの撤去をサーファーが支援するという事例もある。個別に考える必要はあるが、防災と環境の折り合いの視点をどこかに入れば考えて欲しい。
  • モデルについては、自然再生でいろいろやっているのでピックアップしてはどうか。また、環境省がモデルを作っていくようなことも必要であり、保全、保護といったこれまでの姿勢を超えて引っ張っていってほしい。