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■議事録一覧■


平成19年度 中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第5回)
議事録


1.日時

平成19年8月22日(水)14:00〜17:00

2.場所

経済産業省別館1028会議室

3.出席者

(委員長)
熊谷洋一
(委員)
石坂匡身、磯部雅彦、大久保尚武、岡島成行、川名英子、桜井泰憲、佐藤友美子、鹿野久男、高橋佳孝、土野守、中道宏、服部明世、浜本奈鼓、速水亨、三浦愼悟、森戸哲、山岸哲、鷲谷いづみ、和里田義雄 (五十音順、敬称略)
(事務局)
環境省:
地球環境審議官、自然環境局長、大臣官房審議官(自然環境担当)、自然環境局総務課長、自然環境計画課長、国立公園課長、自然環境整備担当参事官、生物多様性地球戦略企画室長、鳥獣保護業務室長、外来生物対策室長、生物多様性センター長ほか

4.議題

(1)
第三次生物多様性国家戦略素案の検討
(2)
その他

5.配付資料

  • 小委員会 座席表
  • 小委員会 名簿
  • 生物多様性国家戦略見直しのスケジュール(案)
資料1 第三次生物多様性国家戦略素案 第1部(事務局案)
資料2 第三次生物多様性国家戦略素案 第2部(事務局案)
資料3 第三次生物多様性国家戦略(全体構成)
[参考資料]
  • 新・生物多様性国家戦略
  • パンフレット いのちは創れない
  • 生物多様性国家戦略の見直しに関する資料集
  • 中央環境審議会関係法令等
※[参考資料]は委員にのみ配付

6.議事

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会第5回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。
 本日、環境省からは、桜井自然環境局長、関係課室長のほか、1時間ほどおくれますが、小島地球環境審議官、黒田審議官が出席の予定でございます。
 それでは、本日の審議のためにお手元にお配りしている資料につきまして、議事次第の下にある配付資料一覧のとおりとなっておりますので、ご確認をお願いいたします。
 また、委員の皆様のお手元にのみ、参考資料といたしまして、新・生物多様性国家戦略、パンフレット『いのちは創れない』、生物多様性国家戦略の見直しに関する資料集、中央環境審議会関係法令等の4点をお配りしています。配付漏れがございましたら、事務局にお申しつけください。
 また、本日は、お暑いところおいでいただきまして恐縮でございますが、現在、電力量がピークに達しているため、部屋の電気を一部消灯しております。また、会議の途中で空調の温度を上げることもあり得ると庁舎管理室より連絡がありましたので、どうかご了承お願いいたします。
 それでは、これよりの議事進行につきましては、熊谷委員長にお願いいたします。委員長、よろしくお願いいたします。

【熊谷委員長】 はい、かしこまりました。
 それでは、ただいまから、第5回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。
 本日の議題は、第三次生物多様性国家戦略素案の検討でございます。それでは、事務局より説明をお願いいたします。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 地球戦略企画室長の亀澤でございます。私から、三次戦略の素案について、資料に基づいて説明をいたします。座って失礼をいたします。
 前回7月17日に骨子(案)をお示しし、それに対しましてご意見をいただきましたが、それも踏まえて、各省で連携、分担をして素案を作成してまいりました。第1部については環境省が執筆し、第2部、行動計画部分は、環境省を含めて、各省がそれぞれの役割に応じて分担をして執筆しました。
 素案全体のボリュームはおよそ250ページ。これは現行の戦略とほぼ同じでございます。全体的に調整中という状況でありまして、事前にお送りしたものも、その後の調整によって変わっている部分もございます。それから、本日までに、第1部の方は、一部を除いて大体調整はできておりますけども、第2部はまだまだ調整途上という状況でございます。その意味でも、本日の説明は第1部を中心に行いまして、2部の方はごく簡単に触れる程度にしたいと思います。
 まず、資料1、第1部の「目次」を見ていただきたいと思いますけども、前回の骨子と比較して大きな構成は同じでございますけども、前回いただいたご意見を踏まえて修正をした点、あるいは、中身を書いてみて少し変えたところがあります。
 幾つか触れますと、第1章、多様性の重要性と理念では、多様性が人間にとって大事だというだけでなくて、いのちのつながりなど多様性のそもそもの重要性を、格調高くというようなお話もありました。これについて前文に書くとともに、第1節として、「地球上の生命の多様性」を新たに起こして、地球の成り立ちや生命誕生以来の進化の歴史などを書きました。
 それから、第2節の2の(2)の「いのちと暮らしを支える生物多様性」の中の順番ですけども、これは3節の理念の整理にもつながりますけども、まず、大気と水として生存基盤を書いた上で、それも人だけでなくてすべての生命の基盤というふうに変えて、暮らしの前に持ってきております。
 続きまして、2章1節の危機の構造。前は、深刻な影響として、温暖化を3つの危機より前に書いていましたが、3つの危機を維持するのであれば、それをまず書いた上で、その後に温暖化の危機と置いてはどうかというようなご指摘もありましたので、それを踏まえて修正をしております。それに合わせて、3節の方は、単に「危機の背景」だったものを「3つの危機の背景」というふうに変えております。
 それから、2章5節、保全の状況ですが、こちらは、ご指摘も踏まえまして、国の制度だけでなくて、地方公共団体、企業、NGO等の取組も入れました。
 それから、4章1節の「基本的視点」ですが、これは、骨子のときに7つの視点というお話をしましたが、それを5つに集約しております。これは単に7つが多いということで、一部を統合しまして5つにしただけでありまして、中身は7つのときと同じでございます。
 以上が構成上の変更点で、引き続き1部の内容に入りたいと思います。資料3、A3の縦紙で全体構成の図を用意しておりますが、それは横に置いていただきながら、説明の方は資料1の本文をざっと見ていく形で進めたいと思います。
 まず1ページの「前文」ですが、ここでは、生命の誕生と、多様な生物がさまざまな環境に対応して進化し、環境との相互作用により今の地球環境を形成してきたこと、そして、人類も生物の一種であり、周りの生きものがいなければ生きていけないことを書きました。
 それから、人類は強大な力を持ったけれども、いくら科学技術が発達しても、いのちは創れないし、生きもののつながりについてはわかっていないことが多く、人間は謙虚にならなければいけないことを述べています。さらに、わが国では、豊かな自然の中で自然と共生してきた歴史がありながら、近年では自然との関係が希薄になっており、人口が減少していく次なる100年で、経済的な発展と豊かな生物多様性の両立を実現すべきこととしております。
 2ページへ行きまして、三次戦略は「いきものにぎわいの国づくり」を目指す政府の計画ということを書いた上で、それぞれの地域での活動が重要であり、地方自治体や企業をはじめさまざまな主体との協働が必要であることを述べています。
 次いで、条約と国家戦略として、条約発効と日本としての締結、条約6条を根拠にこれまで2回の戦略を策定してきたことを書いています。
 続いて、1回目と2回目の戦略のレビューです。現行の新・戦略のレビューとしては、3ページにかけてですが、3つの危機や7つの主要テーマといったわかりやすい形で整理をしたほか、自然再生の提案や里地里山など各省連携の強化を行い、策定過程でNGO等の意見を広く聴いて大幅に改定した一方で、改善すべき点として、実行に向けた道筋が明確でないこと、各省施策の並列的記載がまだ残っていること、国民的アピール度に欠けること、長期的展望や地球規模の視点が弱いこと、地方・民間の参画を促進しようという面が弱いことなどを挙げております。
 それから、続いて三次戦略の策定の経緯として、現行の戦略策定直後に採択されました「2010年目標」やミレニアム生態系評価などのほか、IPCCの報告書など国際的な動きや、国内では自然再生法、外来生物法といった新法の制定などの動きのほか、4ページにかけまして、沿岸の埋め立てなど生物多様性の影響が続いていることや、人口減少や鳥獣との軋轢など人と自然の関係が変化しつつあることなどを書いております。
 さらに、毎年点検を行ってきたこととか、今年の1月にCOP10開催国として立候補を決めたこと、ドイツのサミットで多様性が温暖化と並ぶ主要議題として取り上げられたこと、6月には環境立国戦略を策定したことなどの動きを記述しております。
 そうした国内外の動きも踏まえまして、3月まで行いました環境省の懇談会やこの審議会での経緯など、三次戦略策定までの動きを書きたいと思っております。
 それから5ページの方、三次戦略の性格、役割として、現行戦略の策定後施策は進展しているものの、3つの危機は依然進行していることから、三次戦略では、現行戦略の危機や理念を基本的に受け継ぎつつ、取組をさらに大きく進めることを目指したこと。
 特徴として、[1]からDにありますように、具体的取組を行動計画とし、実行に向けた道筋を示したこと、特に第2部でも各省が関係する施策をできるだけまとめたこと、多様性についてわかりやすく伝えるよう心がけたこと、「100年計画」といった長期の視点や地球規模の視点を強化したこと、地方、民間の参画促進について記述したことなどを挙げております。
 構成としましては、1部の戦略的部分、2部の行動計画部分と大きく2部構成とし、1部では、暮らしとの関係や温暖化について新たに記述し、多様性から見た100年先の国土のグランドデザインや今後5年間の施策の大きな方向性として、「生物多様性を社会に浸透させる」など4つの基本戦略を示しました。これらにより、自然の恵みを将来にわたって享受できる「自然共生社会」を構築し、「低炭素社会」や「循環型社会」の形成と相まって、持続可能な社会を創り上げるための基本的な計画と三次戦略を位置付けております。
 下の方の「各主体の役割」では、国家戦略は政府としての計画であるが、地方公共団体や企業、NGO、国民等の自主的な取組が重要であり、それぞれに期待する役割を書いております。
 6ページにかけまして、国としては、各省間の連携や制度面、予算面、あるいは情報の整備、地域の取組の支援といったこと、地方公共団体については、地域の条件に応じた施策の実施、特に地域の生物多様性に関する戦略や地域の子供たちに対する教育の重要性について触れております。
 企業等に対しましては、原材料の調達など企業活動との関係や、保有する土地における配慮、あるいはCSRとしての多様性保全への貢献などについて記述しております。
 NGO等につきましては、地域に張りついた活動の実践や個人が参加する受け皿としての期待、企業や学校等との連携についても書いております。
 国民一人一人につきましては、生物多様性と暮らしとの関係の認識や消費者としての行動への期待、さらには子どもたちの自然体験の機会づくりへの期待のほか、特にある程度年配の方々には、日本人が自然と共生してきたことを伝えていただきたいことや、地域での活動の担い手としての期待も書いております。
 7ページへ行きまして、点検と見直しについては、毎年の点検と、5年をめどに戦略の見直しをするということは、現行戦略と同じでございますが、点検の際に、わが国の生物多様性総合評価を実施していくというのをこの戦略に入れていますけども、それを実施する中で、開発を目指す指標なども用いるということも書き加えております。
 続きまして8ページ、第1章に入ります。「生物多様性の重要性と理念」。これは人間にとって大事という点は第2節の方に回しまして、第1節に「地球上の生命の多様性」というのを新たに入れております。
 まず、「地球のなりたちと生命の誕生」として、40億年前に生命が誕生してから、ラン藻類等の出現で酸素が増えはじめ、オゾン層が形成されて紫外線が減り、植物、動物が海から陸上に進出したこと。その後進化が繰り返され、現在の地球上の生物多様性があることを述べ、続く「大絶滅と人間の活動」では、現代は「第6の大量絶滅時代」といわれていること。これまでの5回の大絶滅との違いは、絶滅スピードが速いことと、原因のほとんどが人間活動の影響と考えられることであり、地球の歴史から見れば、ごく最近登場した人類が環境を変える強大な力を持っていること。9ページにかけまして、このままでは、人間が引き起こした環境の悪化により、人間自身が滅びかねないということを書いております。
 それから9ページ、多様性とは何かということで、生態系、種、遺伝子の各レベルで自然が多様なことを例示を入れて書き、それぞれのレベルでの違いは進化の歴史の中で受け継がれ、微妙なバランスの上に成り立っていることを述べております。
 なお、食物連鎖や森から海までといった生態系のつながり、世代を超えたいのちのつながりなどのつながりと、個体によっての違い、地域に特有の自然が地域の文化と結びついた地域固有の風土などの個性で、「生物多様性」という言葉の説明を試みております。
 続いて10ページへ参りますが、第2節、多様性に支えられる私たちの暮らしとして、多様性が人間にとって大事なことを暮らしとの関係で書きました。
 1、多様性の恵みでは、導入として、ミレニアム生態系評価が、生態系から得られる食料、水、機構の安定といった便益を生態系サービスと呼び、私たちの生活が各種の生態系サービスに支えられていることを示した旨、述べております。
 「生態系サービスの状況」のところでは、ミレニアム生態系評価が、多くの生態系サービスが地球規模で悪化したと評価したことや、人間が根本的に地球上の生物多様性を変えつつあり、結論として、丸印のところですけども、悪化傾向が今世紀前半にさらに増大すること、11ページにかけて、それを低減するには政策・制度等の大幅な転換が必要なことなど、ミレニアム生態系評価が現在の人間活動や社会システムに警鐘を鳴らしていることを記述しております。
 11ページの2の「いのちと暮らしを支える生物多様性」では、多様性の恵みを身近な形で説明をしました。
 (1)は大気や水です。植物の光合成による酸素の供給、雲の生成や雨を通じた水の循環があり、海への栄養塩の供給や気温・湿度の調節に果たす森林の役割などを書き、人間だけでなくて、すべての生命の生存基盤である環境が、生物の多様性が健全に維持されることで成り立っているということを述べております。
 (2)は、日常的な暮らしの基礎として、アで食べものや木材、イで生きものの機能や形について書いております。アのうち、食べものは農林水産業を通じてもたらされること、農作物がいのちのつながりの中で育つことや、12ページにかけまして、キノコや山菜など森からの恵み、そして魚介類については、ウナギやマグロの例も出しながら、自然の力に依存する部分が大きいということを書いております。木材につきましては、日本で木造住宅が多いことや、燃料用としてペレットストーブの普及が見られる例のほか、大量の紙の原料として不可欠だということを書いております。また、食料や木材の多くを輸入し、世界の生物多様性の恵みを利用していることや、窒素の循環などの観点も含めて、国際的な視野で持続可能な利用に努力すべきことに触れまして、特に水産物につきましては、輸入のほか、わが国で水揚げされたものでも公海などでとられたものもあるなど、地球規模の海洋の生物多様性に依存していることも記述しております。
 13ページのイ「生きものの機能や形の利用」では、医薬品の原料としての利用や、農作物の品種改良には選択肢を広げるため、あるいは将来のさらなる改良のため、野生近縁種などの豊かな遺伝資源のプールが健全に維持されている必要があることを書いております。
 また、「形態や機能の利用」では、天然シルクの通気性、吸湿性など、生きものが持つ優れた機能は、科学技術が発達しても完全には真似ができないことや、14ページにかけまして、新幹線の先頭車両の例など、生きものの形を真似たバイオミミクリーといわれる技術など、生きものの機能や形には学ぶべきものがたくさんあるということを記述しております。
 その下、(3)「生きものと文化の多様性」では、まず自然と共生してきた智慧と伝統として、すべてのものが豊かに成長する国土で、日本人が四季と共に生きる文化を育む一方、常に自然災害と隣り合わせで、そうした、豊かだが荒々しい自然に順応する形で、自然を人と対立するものと捉える西洋とは異なる特有の自然観を形成したことを、鎮守の森や里山での山菜採りを例に書き、今後自然共生社会を築いていくためには、こういう伝統的な知識や自然観に学ぶことも必要と書いております。
 「地域性豊かな風土」のところでは、日本には、自然と文化が一体となった「風土」という言葉があり、それぞれの地域に固有の生物多様性と関係し、さまざまな食文化や工芸などを育んできたことを、15ページにかけまして、ふなずしといった馴鮨(なれずし)など発酵食品や雑煮を例に書いております。また、自然に密接に関わることが子ども達の健全な成長のために必要なことも含めまして、多様性に支えられる文化の多様性が豊かな生活の基盤であり、地域に固有の文化の奥行きを増すことにも役立っているとしております。
 (4)自然に守られる暮らしでは、森林の保全や豊かな川づくりが、流域全体で見れば山地災害の防止などに寄与することや、スマトラの津波の際、自然の海岸線が残っていた地域で被害が少なかったことなど、豊かな生物多様性が被害の軽減に役立つこと、かつて自然の地形に従って土地利用していたような知恵を活かすことも安全確保に役立つこと、農業は、食料に加え多様な生きものを生み出す活動であるという視点に立って、農薬、肥料を適切に使うことは、安全な食べものの確保にもつながることなど、多様性を尊重して暮らしの安全性を考えるということは、世代を超えた長期で見ればメリットがあるということを書いております。
 16ページへ行きまして、第3節は、今ご説明をいたしました「いのちと暮らしを支える生物多様性」で述べました4つの点を、多様性の保全と持続可能な利用の重要性を示す理念として改めて書き出したもので、「すべての生命が存立する基盤を整える」「人間にとって有用な価値をもつ」「豊かな文化の根源となる」「将来にわたる暮らしの安全性を保証する」の4つを掲げております。
 続きまして17ページですが、第2章に入ります。「生物多様性の現状と課題」。第1節、多様性の危機の構造では、現行戦略で整理した3つの危機は依然進行しておりますし、少しずつではありますが認識されつつあるということもあって、この3つの危機を維持する一方、それらを深刻にしているものとして、温暖化による多様性への影響、さらに、多様性に対する理解が進んでいないこと、データなど基礎的な知見や分野横断的な取組が十分でないことを下に書き足しております。
 その下の(1)から(3)までのそれぞれの危機の記述は、現行戦略を少し簡単にした上で幾つか書き足しておりまして、「第1の危機」では、17ページの下の方に、都市的土地利用への転換面積などを見ると、開発等の圧力は鈍化したものの影響は続いているということ。
 それから、18ページですけども、「第2の危機」では、各地で里地里山保全のための取組が始まっているものの、点的なものに留まっていること。「第3の危機」では、外来生物法が施行されたものの、人や物について入ってくる外来種や在来の種の国内移動の問題に対する効果的な侵入防止策、19ページにかけて、化学物質に関するリスクの管理の推進などを書き加えたところです。
 19ページの2の温暖化の危機ですが、これは第1の危機の究極として、その中に含まれるとも言える一方で、地球規模のグローバルな広がりや問題の大きさからして、3つの危機を上回る危機という意味合いもあって、3つの危機とは別立てで温暖化の危機を掲げました。
 ここでは、IPCCの第4次報告書が、人為起源の温室効果ガスの増加が温暖化の原因とほぼ断定していることや、最近50年間は過去100年間の2倍の速さで平均気温が上昇していること、今世紀末は、環境保全と経済発展が両立する社会であれば1.8℃の上昇で済むが、化石燃料に依存しつつ高い経済成長を実現する社会では4℃上昇するという予測などに触れております。
 また、温暖化を含めた環境変化に対し、生きものは、その場所で、あるいは移動して適応できなければ「絶滅」するわけですが、温暖化は、島嶼や高山帯など環境変化に脆弱な地域を中心に、わが国の生物多様性に深刻な影響を与え得ることを述べ、健全な生態系は劣化した生態系より温暖化等の環境変化に対する適応力も高いと考えられることから、温暖化影響を緩和するためにも、健全な生態系の保全・再生が重要なこと、それがまた、20ページにかけてですが、森林など生態系に保持されている温室効果ガスの放出を抑えることを一般論として書いております。
 21ページへ参りまして、第2節、温暖化と多様性の関係について改めて節を起こして取り上げております。
 1では、温暖化による多様性への影響として、種の絶滅リスクやサンゴ礁の白化などの予測のほか、温暖化による影響が考えられる事例として、ホッキョクグマ、ソメイヨシノなどの例を示しております。
 2では、温暖化による多様性の変化を通じた人間生活への影響として、極端な気象現象の増加による食料生産への影響の可能性のほか、22ページにかけてですが、海に溶け込むCO2が増加してその酸性化が進むと、サンゴの骨格やプランクトンの殻を作る石灰化が起きにくくなって、海洋の生物多様性にも影響が及び、漁獲量も影響を受けるおそれがあることや、感染症を媒介する蚊の北上による健康影響を指摘する意見もあることを記しております。
 わが国では、イネの収量や品質の低下、害虫発生の変化の可能性やミカンなどの栽培適地の北上などの予測や、漁業面では、ウニの獲れる場所がより北側に移っていることや、熱帯性のエイによる漁業被害の例などを示しております。
 3の生物多様性の観点から見た温暖化の緩和と影響への対応では、現在起きつつある急速な気候変動は、生物種や生態系が適応できるスピードを超え、多くの種の絶滅など大規模な影響を与え得るとの予測について述べた上で、温暖化の緩和、つまり温室効果ガスの排出削減は、変化のスピードを遅らせ、生物種や生態系が適応のための時間を手に入れることができるので、多様性の保全にとっても重要という認識を書いております。
 また、多くの炭素を固定している森林ですとか、泥炭などで炭素を貯蔵している湿原の保全、田んぼを耕さない不耕起農法などは、多様性保全だけでなくて、温暖化の緩和という点からも重要なこと、さらに、森林や草原の管理から生じる木材や草などのバイオマスのエネルギー利用は化石燃料の使用抑制にもつながることなど、多様性保全と温暖化防止の両面で役立つ施策を、長期的、総合的に推進することが重要と、23ページにかけて述べております。
 さらに、温暖化影響の適応策について、生物多様性保全施策の側から検討することも重要ということで、温暖化影響のモニタリングはもちろんですが、環境変動に対する適応力の高い地域固有の健全な生態系の保全・再生を進めるべきこと、その際、種や生態系により脆弱性や適応力が異なることから、それぞれ時間をかけて適応していくことに幅広く対応できるよう、できるだけまとまった規模で多様性や豊かな地域の配置とつながりを確保することが必要なこと。特に北上や高いところへの移動を念頭に、南北方向ですとか、同じ山系での高低方向を考慮した生態系ネットワークの形成が重要ということを書いております。
 24ページに参りまして、第3節「3つの危機の背景」です。
 1つ目は、第1の危機の背景としての「戦後50年間の急激な開発」。戦後の急激な工業化と、それに伴う開発が進み、湿地が大きく減ったことや、自然林や自然海岸が少なくなっていることを書き、現在でも沿岸域の埋立面積や都市的土地利用への転換面積は横ばいで、減ってはいないこと。なお、新たな開発や内湾における貧酸素水塊――青潮ですが、この発生などが続いており、特に貴重な自然や脆弱な自然の状況には注視が必要としております。
 2つ目は、第2の危機の背景としての「里地里山地域の人口減少と資源循環の変化」です。25ページにかけまして、農業従事者の減少、高齢化の進展など、特に高度成長期以降の農林業の担い手をめぐる状況の変化が急速かつ大きかったこと。その間に、エネルギー転換や化学肥料の増加等を背景に里山林や草地の利用がされなくなったこと。また、将来予測として、わが国全体の人口の減少・高齢化と、地方部で一層の過疎化が進み、地域によっては集落そのものが存亡の危機に立つと考えられることを記しております。
 3つ目、第3の危機の背景としての「経済・社会のグローバル化」。これは、戦後50年間で貨物の輸入量、入国者数が大幅に増加したことのほか、26ページへ参りまして、統計のとり方が変わっているので過去との比較ができないんですが、ペットや実験用を含めた動物は、2006年で見ますと、家畜を除いて、哺乳類が30万匹、昆虫類や観賞用の魚類はそれぞれ6,000万匹といった量で、大量に生きたまま輸入されていること、こうした人、物あるいは生きものの移動に伴い、わが国の多様性に影響を与えるおそれのある生物が国内に入っていること。特に動物の輸入については、野生のものも含まれるので、外国の多様性への影響という面も認識する必要があることを記述しております。
 続いて27ページ、第4節、多様性の現状です。世界の多様性については、ミレニアム生態系評価を引用し、世界的な森林と海洋の生物多様性も取り上げて、地球規模で生物多様性が悪化している状況を記述をしております。
 28ページに行っていただいて、「日本の生物多様性」では、日本の生物多様性の特徴を記した上で、この5年間の動きを中心に記述しております。幾つか抜き出して説明をいたします。
 30ページへ行っていただいて、「レッドリストの見直し」についてですが、昨年の12月とことし8月3日の2回に分けて、全10分類群の新たなレッドリストを公表しました。絶滅危惧種は見直し前から約450種増えて、3,200種近くになりました。評価対象種自体がふえておりますし、ランクが下がった種もありますが、全体としてはより上のランクに移った、つまり、絶滅のおそれが高まった種がふえている状況でございます。幾つかの例として、哺乳類ではジュゴンを新たに評価対象に加えて絶滅危惧種としたこと、鳥類では、里山を中心に生息するサシバが新たに絶滅危惧種になるなど、ランクが上がった種が多い中で、オオタカについては、絶滅危惧種から準絶滅危惧種へとランクが下がっております。爬虫類では、南西諸島の爬虫類の多くが危機的状況にあること、汽水・淡水魚類では、外来種の影響もあって、田園地帯に生息するタナゴ類のランクが上がり、ふなずしになる琵琶湖のニゴロブナも新たに絶滅危惧種になったことなどが挙げられます。
 続いて32ページの方へ参りまして、真ん中に「鳥獣との軋轢の拡大」というのがありますが、これはその上にあります2つの中大型哺乳類や鳥類繁殖分布の変化のところで、この5年の間に第6回基礎調査の結果が公表され、20年前の結果と比較したところ、シカ、イノシシ、クマやカワウなどの分布の確認がされたというような記述を受けて書いております。ここでは、シカやイノシシの分布の拡大や個体数の増加傾向によって農業被害は大きなものとなっており、駆除数が増えても被害が減っていない状況です。また、多くの国立公園で、シカによる食害など生態系への影響が出ているほか、18年度にはクマによる人身事故が相次ぎました。カワウではアユの食害などの漁業被害や、集団繁殖のため大量のフンで樹木が枯れるという被害も出ておりまして、これら鳥獣との軋轢回避のための対策が必要な状況でございます。
 33ページの方の「遺伝的多様性」のところでは、個体数は回復しても、いまだに遺伝的な多様性が非常に低いタンチョウなどの例も挙げつつ、現状では遺伝的多様性が十分に把握されていないことを述べております。
 3の「世界とつながる日本の生物多様性」では、34ページですけども、国境を越えて日本にやってくる動物の例として、渡り鳥だけでなくて、ウミガメ、ウナギやサケといった回遊魚、ザトウクジラなどを挙げ、これら移動する動物の保護のためには、わが国における取組だけでなくて、各国と協力した取組が必要なことを書いております。
 35ページの第5節、多様性の保全の状況については後ほどごらんいただきたいと思っておりますけども、1と2では、多様性に関する国の制度と、その中でも保護地域による保全状況など、制度を中心とした国の取組を書き、3では、千葉県における生物多様性ちば県戦略の策定も含めた地方公共団体の取組、4と5では、民間でも、企業、NGOによる取組が広がっていることを書いております。
 41ページへ参りまして、第3章ですが、「目標と評価」。最初の「3つの目標」では、豊かな生物多様性を将来にわたって継承し、その恵みを持続的に享受できる「自然共生社会」を構築するための目標として、地域固有の種や生態系の保全、新たな絶滅の回避、持続可能な利用の3つを[1]から[3]のように掲げております。これら3つは、長期的な目標として、基本的にこれまでの戦略を引き継ぐものですが、三次戦略では、1つ目の目標について、後段に、生態系ネットワークの形成を通じた国土レベルの多様性の維持・回復を追加したこと、2つ目の目標で、現に絶滅の危機に瀕した種の「単に回復」とあったところを「個体数や生息・生育環境の維持・回復」と具体的に書いたことが現行戦略に書き足した点でございます。
 それから、2番の多様性条約2010年目標とわが国の生物多様性総合評価です。現行戦略策定直後に条約の2010年目標が採択されました。わが国としても、上の3つの目標に向かって成果を上げることを通じて、世界目標というべき2010年目標の達成に貢献する必要があります。そのため、まずはわが国の生物多様性の状況を、社会経済的な側面も踏まえて総合的に評価をします。これは世界に先駆けて国レベルで実施するものであり、昨年のドイツでのG8環境大臣会合において、ドイツが中心となって行うこととなった生物多様性の地球規模の損失における経済的重要性の分析――これは温暖化におけるスターン・レビューの多様性版と言うべきものでありますけども、そういうものとも連携し、ミレニアム生態系評価なども参考に、わが国の状況に応じた手法で取り組みたいと思っております。
 42ページですが、この総合評価を行う際に、多様性の変化の状況や各種施策の効果等を把握するためのよりわかりやすい指標の開発を進めるとともに、多様性の危機の状況を地図化し、生物多様性ホットスポットというべき重要地域を抽出することを通じて、優先的に保全すべき地域での取組を進展させ、多様性の損失速度を顕著に減少できるように努めたいと思っております。
 また、国際的な貢献をしていくためにも、わが国が実施する国レベルのこの総合評価について、G8各国にも実施を呼びかけたり、その手法についてアジア地域を技術的に支援します。また、総合評価の過程を通じて、2010年以降の世界目標のあり方についても併せて検討し、2010年COP10日本開催を視野に入れて、世界目標設定に向けた国際的な議論をリードします。
 続いて43ページ、第2節、多様性から見た国土のグランドデザインです。「国土のあり方を考えるにあたっての基本認識」。これは多様性から見た100年先の国土のグランドデザインを2に示しておりますが、グランドデザインは目指すべき目標像であって、そこに至る道筋を、「100年計画」という基本認識として、4点、ここに掲げております。
 1点目は、人口が増加を続けた過去100年間に破壊してきた国土の生態系を、人口が減少に向かう次なる100年をかけて回復すること。2点目、地域資源を最大限に活用し、地域固有の自然や文化に根ざした個性的で魅力的な地域づくりを目指すこと。3点目、一次産業従事者の減少・高齢化により現在の国土管理の水準を維持できない地域が生じることなど、国土利用の再編が進む中で、自然との共生を重視したエコロジカルな国土管理を進めること。4点目として、国土全体にわたって自然の質を着実に向上させることを目指すこと。その際、順応的な態度のもとに、人と自然のよりよいバランスを段階的に取り戻していく姿勢が欠かせないこと。
 なお、100年先を考えるうえでの前提として、将来人口については、中位推計の5,000万人以下、65歳以上の割合が現在の2倍弱となる40%。気温につきましては、各種温暖化防止対策が進展し、環境保全と経済発展が地球規模で両立している社会が実現する場合として、1.8℃の上昇を念頭に置くこととしております。
 続きまして、2、国土のグランドデザインです。
 まず、グランドデザインを考える際の基本的な方向として、44ページの上の方に3つ掲げております。これは読み上げます。
 [1]自然を優先すべき地域として奥山・脊梁山脈地域、人間活動が優先する地域として都市地域があり、その中間にとりわけ人と自然の関係を新しい仕組みで調和させるべき領域として広大な里地里山・中間地域が広がっている。さらに、それをとりまく広大な沿岸海洋域がある。[2]河川・湿原や道路沿いの緑地等は、海岸部へのつながりを含めて、国土における生態系ネットワークの縦軸・横軸と位置付け、奥山、里地里山、都市、海洋を連続した空間として結ぶ。[3]市民は、自らの意志と価値観において、生物多様性の保全・再生活動への参加や生物多様性に配慮した農林水産物等の選択的な購入により、生物多様性がもたらす豊かさを享受し、また、そうした行動を通じて新しいライフスタイルを確立する。
 以上3点を踏まえて、国土の空間特性ごとにそれぞれ現状認識を示した上で、グランドデザインを書くという構成になっております。
 時間も限られておりますので、現状認識の説明は省略し、それぞれのグランドデザインを若干はしょりながら読み上げたいと思います。
 まず、奥山自然地域のグランドデザインですが、国土の生態系ネットワークにおける中核的地域であり、各地域の代表的な動植物を存続させていくためのエリアとして自然優先の管理を基本とする地域となっている。
 自然林に隣接した二次林を、自然の遷移にある程度ゆだね自然林へ移行させるなど、自然の質の向上のための取組によってまとまりのある奥山自然地域が確保されている。西日本においても、クマが人里離れた森の中で木の実を食べるなど、二次林のうちある程度自然の遷移にゆだねられた森林がまとまって広がっている。
 高山においては、固有種や遺存種が地球温暖化の影響を受けて種の構成や分布範囲を変化させているが、その他の人為的な影響を受けないよう保全されモニタリングが続けられている。
 登山者は、脆弱に地域やオーバーユースとなっている地域に立ち入るときに認定を受けて、自然へのインパクトがより小さくなるように配慮するとともに、ルールに従って楽しんでいる。
 それまでの踏みつけによって痛んだ植生はボランティアによって修復され、森林の天然更新が困難になった地域や人為的な改変跡地では、人が補助的に手を加えて自然を再生するなどにより豊かな森林が見られるようになっている。
 続きまして、里地里山等中間地域のグランドデザイン、45ページの一番下からですけども、生物多様性保全をより重視した生産手法で農業が行われ、農地にさまざまな生きものが暮らしている。46ページへ行きまして、生産基盤を整備する際には、ため池やあぜが豊かな生物多様性が保たれるように管理され、田んぼと河川のつながりが確保されるなど、農の営みとともに維持されてきた動植物が生息・生育している。その周りでは、子ども達が虫取りや花摘みをして遊び、農家の人たちと地域の学校の生徒たちが生きものの調査を行い、豊かな人のつながりが生まれている。
 耕作が放棄されていた農地は、一部が湿地やビオトープとなるとともに、有機農業が広がることによって国内農業が活性化している。
 生物多様性の保全の取組を進めた全国の先進的な地域では、コウノトリやトキが餌をついばみ、大空を優雅に飛ぶなど人々の生活圏の中が生きものにあふれている。
 里山の中心をなす二次林のうち、積極的に維持管理を図ることとされた地域では、明るく入りやすい森林として管理されることで子ども達の冒険の場となり、在来種であるオオムラサキやカブトムシがごく普通に見られ、季節の変化に富んだ風景を作り出している。大きく広がっていた竹林は、一部は自然林や二次林として再生されるとともに、管理された竹林で家族がタケノコを掘る姿が見られる。また、里山の管理でうまれる木材はシイタケ等のホダ木やペレット等のバイオマス資源として地域内で利用されている。
 人工林は、間伐の遅れも解消し、広葉樹林化等により生物多様性保全の機能が高まるとともに、地域のニーズに応えられるように管理されている。成熟した人工林から生産される材は、周辺地域で有効利用が進んでいる。
 地域の自然資源の利活用を通じて、モザイク状の多様な生態系が復活するとともに、生物多様性を利用する伝統的な知識、技術が引き継がれ、地域の文化と結びついた固有の風土が尊重されている。
 積極的な維持管理が継続されている里地里山では、風景が美しく保たれ、それに惹かれて移り住んできた都市住民や外国からの観光客が増え、エコツーリズムの浸透もあって生き生きとした地域づくりが実現している。また、里地里山等中間地域の価値が広く認識され、公的または民間の資金やボランティアにより維持管理の一部が支えられるようになっている。
 続きまして「都市地域」ですが、47ページです。コンパクトになった市街地には、発達した公共交通が立派に育った厚みのある街路樹の並木の中を移動している。また、都市の中や臨海部には、森と呼べる大規模な緑地が造成されるとともに、都市住民や子ども達が身近に生きものとふれあうことのできる小さな空間が市街地のあちこちに湧水も活用して生まれている。
 段丘崖沿いの緑地、河川等を軸とし、樹林地や水辺地が創出され、風の道が確保されるとともに、水循環の健全性の確保や健全な生態系をネットワークにすることで生物多様性の回復が図られている。また、その状態は市民が主体となってモニタリングが行われている。
 地形の変化に富み、樹林を有する緑地が増え、学校や幼稚園・保育園には生きものがたくさん生息するビオトープがあり、都市に居住しながらも幼い子ども達が土の上で遊びや冒険をしながら育っていく。こうした森や緑地の管理は地域の大人が積極的に協力して行うことで、地域のコミュニティのつながりが強くなっている。
 都市周辺の谷戸に存在する小規模な水田等で保全活動が活発に行われ、共同で管理される農地で人々が農作業等に携わるとともに、その周りで子ども達が魚取りや水遊びに歓声をあげている。
 都市住民が消費する食べものや木材について、生物多様性の保全や持続可能な利用に配慮したものや近郊で採れたものを選ぶ人が増え、そうした商品に付加価値が付くことが当然となるとともに、フェスティバル等で広く商品が紹介され、都市の消費者と近郊の農業者等を結びつけている。
 続いて48ページ、河川・湿原等地域のグランドデザインですが、自然地域や氾濫原としての湿地帯等の保全が進み、自然を再生する取組もあって流れが蛇行している豊かな河川生態系が形成されている。また、上流から河口、沿岸域の間、あるいは河川と水路、農地の間で生物の移動を可能とする連続性が保たれ、豊富な流量と良好な水質が維持されることで、アユの遡上が回復し、カワセミが飛ぶなど豊かな水域の生態系が保たれている。
 また、自然状態の河川が持つ変動性の確保により、オオバヤナギなど渓畔林を構成する植物や、カワラハンミョウ等河原に特有の動植物が生息・生育する川らしい川の多様な生態系が確保されている。こうした状態を保つため、人工的な整備を最小限とする河川や水とうまくつきあう技術が活かされている。
 湖沼や湿原、冬期にも水が張られている水田や河口部の干潟にはアジア太平洋地域等からの渡り鳥が飛来し、国内外を通じて湿地間のネットワークが確保されている。
 水が張られた水田や適切に手入れがされた森林があることにより、地下水が涵養され、豊かできれいな湧水が人々の生活とともにある。
 在来の魚が、地域色豊かな食材として日常の食卓にのぼっている。夏には水質が甦った川で思い切り遊ぶ子ども達がたくましく日焼けしている。
 続いて、沿岸・海洋域については、49ページにグランドデザインを書いております。沿岸域においては、残された重要な干潟、藻場、サンゴ礁等について、温暖化の影響による海水温や海水面の上昇の影響を大きく受けているが、再生された干潟、藻場、サンゴ礁により沿岸域生態系が豊かに確保されている。また、全国各地の干潟では、アサリをはじめとする様々な海生生物が生息し、人々が潮干狩りを楽しんでいる。閉鎖性海域においては、ヘドロの堆積や貧酸素水塊の発生等の問題が改善され、漁業者をはじめ関係者の協力を得て維持されている森林により豊かな漁場が保全されている。豊かな生命を育む沿岸域は、多様で豊富な魚介類を持続的に供給するとともに、北の海ではアザラシが、南の海ではジュゴンが泳ぐ姿が見られるなど健全な生態系を保っている。
 50ページに参りまして、海棲哺乳類、海鳥類、ウミガメ類、魚類等、長距離の移動・回遊をする生物について、関係国と協力した保全活動が市民を中心として行われている。希少な海棲哺乳類、海鳥類、ウミガメ類等については、生息地や繁殖地における開発行為はなくなり、混獲を回避する技術の向上により多くの場所で見ることができ、エコツアーで地域の活性化に結びついている。こうした生物が生息する豊かな海洋で、生物多様性上重要な地域が保全されるとともに、水産資源の現存量が科学的・客観的に把握され、ルールに則った漁業が盛んに行われている。
 海岸は、温暖化による海水面上昇の影響を受けているものの、自然海岸が保全されるとともに、山からの連続性が確保された河川からの土砂の供給を受けて、砂浜が維持され、ウミガメの上陸やコアジサシ・チドリ類の繁殖が見られるなど豊かな生物多様性が回復している。そして、アジアをはじめ各国の協力により漂着ゴミが減ったきれいな海岸で、人々が海水浴に興じている。
 以上でグランドデザインを終わります。
 続いて51ページ、第4章「生物多様性の保全及び持続可能な利用の基本方針」。
 第1節が「基本的視点」です。国家戦略に基づいて施策を展開する上で不可欠な共通の基本的視点として、科学的認識と予防的順応的態度、地域重視と広域的な認識、3つ目として連携と協働、4番目として社会経済的な仕組みの考慮、5つ目として統合的な考え方と長期的な観点の5つを挙げております。
 1つ目の「科学的認識と予防的順応的態度」では、科学的データに基づく理解・認識を、政策決定や取組の基礎とする必要があること。また、データの充実が施策展開の基盤となることから、自然環境にかかわる基礎調査や生態学や分類学の知見の充実が不可欠であることなどを記述しております。
 また、予防的順応的態度として人間が極めて大きな力を持っていることから、生物、生態系のすべてはわかりえないものであり、謙虚に、慎重に行動すべきこと。生態系は複雑で絶えず変化しており、それを維持できる範囲内での自然資源の順応的な管理、利用を原則とすべきという趣旨を書いております。
 2つ目の「地域重視と広域的な認識」では、生物多様性の保全は、国が国家戦略を策定すれば実現できるというものではなく、地域における活動が重要なこと、それが多様性豊かな地域づくりにつながり、人のつながり、地域への愛着や、52ページにかけてですけども、地域の活力につながること。また、活動の現場の視点として、現場で活動する人たちこそが中心であること。
 広域的な認識については、上流から下流、さらには海までつながっていることへの認識や、広域移動するカワウの対策のように、都道府県境を越えた連携が重要なこと。さらに、国境を越えて国際的な生物多様性保全に貢献することや、資源を産する地域における持続可能な利用の実現に協力すること、併せて国内資源の一層の活用を図ることなどの地球規模の視点が必要なことなどを記述しております。
 3つ目の「連携と協働」では、各省間の連携、協働や、国、地方公共団体、企業、民間団体など多様な主体間の連携を一層進めるべきこと。特に地方公共団体や地域住民など地域が主体となって、地域特性に応じた取組を進めていくのが大切なこと。企業とNGOと民間団体との協働の促進も必要なこと。
 関連して、科学的な知見や情報の共有、情報公開が重要で、専門家の養成といった体制整備や支援方策も重要なことなどを書いております。
 53ページ、4つ目「社会経済的な仕組みの考慮」では、経済的な取組のためには、携わる人々にとって少なくとも経済的負担が大きくないことが重要なこと。そのため、「コウノトリの郷(さと)米(まい)」など生きものブランド米が生業として成立している事例や、持続可能な林業・水産業に係る認証制度の例など、社会経済的な仕組みの中での動き、それを広げていく必要があること。また、流域保全などの価値なども経済的に評価した上で社会経済的な仕組みの中に内部化するのも必要なこと。関連して、森林環境税といった取組を広げることも重要などと書いております。
 5つ目の「統合的な考え方と長期的な観点」については、例えば都市周辺の里地里山に見られるように、都市化による開発が進むと同時に適切な管理がなされなくなり、それがまた開発につながるといった形で、第1の危機と第2の危機は相互に関連している上、ペットのアライグマが放されるといった外来種の問題、第3の危機もそうした場所で見られることなど、3つの危機について一体的に考える必要があることなどを例に、物事のさまざまな側面を統合的にとらえるべきことを書いております。
 長期的な観点については、54ページですけども、例えばマングローブをエビ養殖のために開発することは、短期的な利益にはなっても、沿岸域が風水害にさらされるおそれが高くなるなど長期的にはマイナス面があることなど、目先の生産性、効率性だけでなくて、生物多様性の恵みを将来世代に引き継いでいくという観点が必要なことを述べております。
 続いて55ページ、第2節「基本戦略」。これが第1部の最後になりますが、100年先の目標像としての先ほどのグランドデザインも見通したうえで今後5年間程度の間に重点的に取り組むべき施策の大きな方向性として、生物多様性を社会に浸透させる、地域における人と自然の関係を再構築する、森・里・川・海のつながりを確保する、地球規模の視野を持って行動するの4つを基本戦略として挙げております。それぞれ、これをやるというところを中心に簡単に触れたいと思います。
 1つ目は、生物多様性を社会に浸透させること。私たちの暮らしを支える生物多様性は地球規模で悪化し、わが国の危機も解消されていません。それにもかかわらず、認知度が大変低いことから、生物多様性保全の重要性が広く一般的な認識となるよう、多くの国民や団体の参加による「いきものにぎわいプロジェクト」、これは環境立国にも盛り込まれたものですが、これを推進するとともに、教育・学習・体験の推進やライフスタイルの提案を通じて、生物多様性を社会に浸透させていきます。
 具体的には、「広報の推進と官民パートナーシップ」として、COP10開催を契機に、国民の理解を進めるため生物多様性を身近に感じてもらう取組や、国際生物多様性の日、これは5月22日ですが、そのときにおけるイベントなど、広報を強力に進めます。これらの取組は、企業、NGOなど民間の参画を得た官民パートナーシップ組織を立ち上げて推進します。
 また、「地方自治体、企業や市民の参画」として、国家戦略と地域での活動との間をつなぐものとして、56ページに行きますが、都道府県や政令市などが、地域特性に応じて生物多様性戦略を策定することが期待されます。その形としては、生物多様性分野で独立した戦略のほかに、すべての都道府県で策定されている環境基本計画の生物多様性の部分を充実するという形も考えられます。千葉県のほか愛知県や名古屋市でも動きが始まっておりますので、こうした先進的な事例も参考に、地方版戦略のための指針あるいは手引を国が示すことで、その策定を促進します。
 また、企業による生物多様性保全の取組も増加しています。ここでは、先日のヒアリングでお話をお聞きした企業等を念頭に事例を掲げておりますが、企業の活動は、原材料の調達、遺伝情報の活用など、さまざまな場面で生物多様性に影響を与えたり、その恩恵を受けたりしております。企業が本業やCSRの一環として生物多様性に関する活動に参画することを促すため、事例の収集、紹介や、それらも踏まえて、企業による取組の指針となる生物多様性企業活動ガイドラインの策定を企業の参加を得て進めます。
 さらに、地域での活動が進むことを目指し、さまざまな主体の参画を促し、活動を支援するための経済的措置を含めた制度の充実を進めます。また、地域で、専門家や地域の自然に詳しいNGO等が中核となってモニタリングを行う市民参加型調査を進めます。
 「教育・学習・体験の推進やライフスタイルの転換」としては、特に子供の頃から生きものを知り、体感することが重要なことから、子供が放課後に、地域の中で地域の協力を得て地域に固有の自然を学ぶ体験学習を行えるように取り組みます。子ども達を教える先生方を含め地域の人々に対する社会教育も重要なことから、博物館等とも連携した教育・学習を進めます。
 57ページですが、子ども達が自然を「五感で感じる」原体験の機会を増やすため、のびのびと遊べる森づくりや水辺づくり、都市の中で身近な自然とふれあえる空間づくりとともに自然体験のプログラムづくりを進めます。
 さらに、私たち一人一人が具体的な行動をとることが重要なことから、多様性に配慮した食品や木材の使用、多様性保全に積極的に取り組む企業の商品の選択的な購入などを含め、多様性の観点からのライフスタイルの提案を行います。
 2つ目は、地域における人と自然の関係を再構築すること。現在は自然との関係が希薄になり、農山村でも地域の自然資源を利用しなくなっています。また、里地里山が管理されないことで、シカやクマなどにとっては好適な環境が生まれ、人との軋轢が増えています。今後、人口減少、高齢化が進む中でこうした問題を解決していくためには、地域における人と自然との関係を再構築していく必要があることから、里地里山の保全や鳥獣との関係の再構築、生きものを育む農林水産業、多様な野生生物を育む空間づくりを通じて人と自然の豊かな関係づくりを進めます。
 具体的には、「里地里山の保全推進や野生鳥獣との共存」として、国土の4割を占める里地里山については、人口減少、高齢化が進む中でそのすべてについて人手をかけて維持していくことは現実的には難しいと考えられることから、手入れをしないでも自然林に移行していくミズナラ林などの里山林については、地域の状況に応じて、58ページですが、自然の遷移に委ねることを基本とした保全管理を図ります。また、生物多様性、景観などさまざまな観点から、将来にわたって里地里山として維持すべき地域については、生物多様性上の特徴や地域の意向などを考慮した上で、未来に引き継ぎたい重要里地里山として、維持管理の方向性や担い手の確保方策等の検討を進めます。
 また、里地里山に特有な生物の生息環境を維持していくには、かつての自然資源の適度な利用のように自然環境の適度な攪乱が不可欠であり、地域におけるその適度な利用を現在において実現するためには、地域住民だけでなくさまざまな主体の力が必要なことから、環境保全型農業の推進に加え、エコツーリズム、バイオマスなど地域の自然資源の新たな利活用方策の検討などを通じて、所有者に加え、都市住民や企業等多様な主体が里地里山をコモンズ(共有の資源)として管理していく仕組みづくりを進めます。
 また、鳥獣による農作物や植生の被害、人身事故については、クマやシカ等が人里に出てきにくい地域づくりが重要なことから、森と人里との間に自然資源の利用や放牧を兼ねて管理する緩衝帯を設けたり、人里に放置された農作物や果樹の実を除去したりすることによって人と鳥獣との関係を改善している事例を全国に広げる取組を推進します。さらに、農業者や狩猟者の減少に伴って、こうした取組や鳥獣保護管理を行う人材も減少していることから、その担い手づくりを進めます。
 続いて、58ページの下の方ですけども、「多様性の保全に貢献する農林水産業」としては、59ページへ行きまして、農林水産関連施策に生物多様性保全をより重視した視点を取り入れて、生物の生息生育環境としての質を高める持続可能な農林水産業の推進と農山漁村の活性化を図ります。
 また、農山漁村における農林漁業体験や自然とのふれあい、食育等を通じて、農林水産業と多様性の理解を深めるための取組を推進します。
 さらに、農林漁業者を初めとする地域の創意工夫や技術を活かした活動を再評価、応援するなど、国民の理解と参加のもとに多様性保全を推進します。
 また、わが国の農林水産業の振興や森林の保全・管理を通じた多様性保全に取り組むことにより、他の国の生物多様性への影響を少なくします。
 ここまでが農林水産業全体の取組方向で、田園地域、里地里山においては、農業が、食料の生産に加えて多様な生きものを生み出す活動であるとの視点に立ち、生物多様性が保全され、国民に安全で良質な食料や生物多様性が豊かな自然環境を提供できるよう、生物多様性保全をより重視した農業生産や田園地域、里地里山の整備・保全を推進します。
 また、森林については、国土の中で生物多様性の重要な構成要素であることから、林業・木材産業の活性化を通じ間伐など森林の整備・保全を進め、生物多様性保全を含めた森林の多面的機能の発揮を図ります。
 さらに、水産業は環境依存型の産業であり、生産力を支える生態系の健全さを保つためにも海洋や河川・湖沼における生物多様性の確保が重要であり、特に古来より自然生態系と調和しつつ貝や海藻を採るなどの漁業活動が行われてきた沿岸域は、高い生産性と生物多様性の保全が図られている「里海」として、今後とも適切な保全が必要です。このため、里海を含む海洋全体の生物多様性の保全とその持続可能な利用を通して、水産物の将来にわたる安定供給、力強い水産業と活力ある漁村の確立を推進します。
 60ページへ参りまして、「野生復帰や外来種対策による多様な野生生物を育む空間づくり」についてですが、トキやコウノトリなどの保護増殖に取り組み、それらの野生復帰を進めていくことは、多様な野生生物を育む空間づくりの象徴として重要であります。水田など人に近いところを生息域としていたトキやツシマヤマネコの野生復帰を進めるためには、生物多様性保全を考慮した農林業とそれらを通じた餌となる多くの生きものが必要であり、トキの野生復帰を目指す佐渡では、トキの餌だけではなく、多様な野生生物を育む空間づくりを地域と協力しながら行います。
 また、外来種については、奄美大島でジャワマングース根絶に向けた努力を続けるほか、島嶼部における外来種――これは国内の他地域の種を含みますが、その島外からの持ち込みを防ぐことなど、外来種の国内移動への対策について検討を進めます。
 続いて3つ目、「森・里・川・海のつながりを確保する」については、森林と海は、河川でつながっており、森林からの栄養分が川や海の魚を育み、豊かな里海を創ること。里では、河川、水田なども含めてネットワークが形成されており、魚類をはじめとする生きものが行き来しています。そうした地域の連続性を確保するため、将来にわたり保全すべき自然環境や優れた自然条件を有している地域を核として、それらをつなぐ生態系ネットワークの形成を目指し、流域圏を基軸に、森、里、川、海を連続した空間として保全・再生を進めます。
 まず、「生態系ネットワークと保護地域及び自然再生」ですが、十分な保護地域を核としながら、生息・生育空間のつながりや適切な配置が確保された生態系ネットワークの形成を進めるため、その計画手法や実現手法の検討を深めるとともに、情報提供、普及広報により、全国、広域圏、都道府県、市町村などのレベルでの計画策定や事業実施に向けた条件整備を進めます。特に複数の都道府県から成る広域圏レベルにおいて具体的な姿を示すことが重要なことから、関係省庁の緊密な連携のもと、生態系ネットワークの図化を目指します。
 61ページの方へ行きまして、国土の14%以上をカバーし、生物多様性保全の屋台骨としての役割を担っている国立・国定公園等については、優れた自然の風景地の保護を国だけでなく多様な主体の参画により進めていくため、制度面のあり方を含めて検討します。また、国立・国定公園の総点検を行い、全国的な指定の見直し、再配置を進める中で、生態系ネットワークも考慮した指定の拡大を図ります。その際、「照葉樹林」、「里地里山」、「海域」等について積極的に評価を進め、特に奄美ややんばる等に見られる照葉樹林について、国立公園の指定や国有林の保護林の設定も視野に入れた取組を進めます。さらに、各種制度間での連携が必要なことも踏まえて、保護林、緑の回廊などにより森林の保全・再生も図ります。
 それから、海も含めた生態系ネットワークが分断されている場所では、そのつながりを取り戻すために自然再生を積極的に行うなど、生息・生育空間の確保や生態的回廊の確保等を進めます。また、自然再生推進法が施行後5年を経過することから、施行状況を検証し、結果を踏まえて必要な措置を講じます。その際、事例の積み重ねを踏まえた技術の向上や、民間団体等が特に民有地において再生に取り組む場合の支援あり方など、自然再生を一層推進するための方策を検討します。
 続いて「森林の保全・整備」では、生物多様性保全を含めた森林の多面的機能の発揮を図るべく、間伐の実施や、多様な森づくりを推進するため、森林の整備・保全、62ページに行きますけども、国産材の利用などを官民一体で総合的に推進する「美しい森づくり推進国民運動」の取組が既に始まっておりますが、これをさらに展開していきます。
 「都市緑地の保全等」では、都市における生態系ネットワークのかなめとなる緑地の中でも、そのコアとなるまとまった規模の生きものの生息・生育域の確保を図るため、かつて人工的に造成した明治神宮の森も参考に、都市の中や臨海部に、森とも呼べる大規模な緑地空間の確保を目指します。
 また、都市内の水と緑のネットワークを形成し、連続性のある生きものの生息・生育空間を確保すると同時に、風の道が確保できるような整備を図ります。
 このほか、ナショナル・トラストのような都市住民が主導で保全を行う活動や、企業がその所有地を活用してNGOの協力により緑地を保全地域とするといったことについての支援や、都市域における水辺の空間の確保を、緑地空間の整備とも連携して進めます。
 河川・湿原等については、河川においては、魚類等の遡上・降下のための知床などでの取組をふまえ、多自然川づくりとして、生きものの生息・生育環境を改善する中で、生態系ネットワークの形成を進めます。
 また、滋賀県の魚のゆりかご水田プロジェクトの取組なども参考に、河川、湖沼、水田等を途切れなく結び、生きものが行き来できるネットワークの形成を進めます。さらに、湛水期間、水を張る期間ですが、それを長くした水田や氾濫原を含む河川など多様な生きもののよりどころとして重要な水域の生態系を保全・再生していきます。
 63ページですが、このほかに、耕作放棄地や休耕田も活用した湿地再生やビオトープづくり、地下水、湧水の保全を進めていきます。
 沿岸・海洋域については、広大な沿岸・海洋域の保全・再生を進めるにあたり、海流、気候等の違いによる海の生態系区分を検討していくほか、海洋基本法の成立も受け、関係省庁間の連携強化を図ります。
 海洋のデータについては、自然環境保全基礎調査の一層の推進と各省間の情報交換を通じて、浅海域のデータの充実を図ります。また、海洋全般における生物多様性に関する総合的なデータ整備について、各省間の連携等のあり方も含めて検討し、海域自然環境情報図の作成などを目指します。
 また、浅海域の保護地域の指定の充実を図るとともに、知床での海域管理計画の例も参考に、漁業などとの両立を目的とした地域合意に基づく自主的な資源管理や海域保護区のあり方について検討します。
 沿岸域については、流域一帯の取組や渡り鳥、ウミガメなど生きものの移動も考慮した広域的、国際的な取組など国内外のネットワークの視点を踏まえて、保全・再生の取組を強化します。
 64ページですが、わが国の沿岸域では、漁業者による自主的な資源管理のほか、自然海岸の保全や上流の森づくりなどを通じて、自然の恵み豊かな豊饒の「里海」を再生していきます。
 また、海洋汚染による生態系影響や漂流ゴミの誤飲等への対応として、有害化学物質や赤潮の対策を通じた海洋汚染防止や漂流・漂着ゴミについて、国際的対応を含めた発生源対策などを行います。
 最後に、4つ目「地球規模の視野を持って行動する」についてですが、わが国の生物多様性が世界とつながり、また、輸入により世界の生物多様性に影響を与えているという点で地球規模の視野を持つことが重要であり、特に関係の深いアジア太平洋地域を中心とする生物多様性の保全についてリーダーシップを発揮し、国際的連携を進めていくことがわが国の責務です。
 このため、COP10の場なども活用して、自然と共生してきたわが国の経験や智慧を世界に伝えることで、世界の生物多様性の保全と持続可能な利用の推進に貢献していきます。また、温暖化による生物多様性への影響の把握や、2010年目標の達成のために国際社会と連携するとともに、2010年以降も世界共通の目標を持って生物多様性の損失速度の減少に向けて取り組むことや、アジア太平洋地域を中心とした国際協力などを進めます。
 まず、自然との共生のモデルの世界への発信については、わが国のかつての里山における入会権に基づく資源管理や、現在でも見られる海における水産資源の管理といった地域の自治組織によるコモンズ、共有の資源としての共同利用、共同管理の仕組みは自然との共生のモデルと言え、これをエコツーリズムやバイオマス利用の活性化なども含めて考え、都市住民、企業などの参加も得て現代社会における新たなシステムとして再構築していきます。さらに、世界各地の自然共生の智慧や伝統も把握し、それらを合わせて自然共生社会づくりに活用していくことを、「SATOYAMAイニシアティブ」として世界に提案することで、世界各地のそれぞれの条件に応じた持続可能な社会づくりに貢献します。
 また、来年の洞爺湖サミットに向けて、「美しい日本の自然キャンペーン」を展開し、特に日本型国立公園のシステムや美しい森林など、日本における自然との共生の姿を世界に発信します。
 続いて、「多様性の総合評価や温暖化影響を含むモニタリングなどの実施」ですが、第3章の第1節「目標と評価」のところで述べたわが国の多様性の総合評価について、改めて記述しております。また、COP10に向けて、多様性の保全のための法制度の体系強化の必要について検討するとともに、各制度間の有機的な連携の強化に取り組みます。
 総合評価を継続的に行う上で必要となる自然環境データの充実と速報性の向上については、モニタリングサイト1000を引き続き進めるとともに、現在十分とはいえないシカ、クマなどの生息状況、海のデータ、里地里山における竹林の拡大状況などを重点的に収集します。
 66ページですが、各省連携による衛星データ等の活用を進め、例えば1年に1度指標性のあるデータを速報として開示することを目指します。併せて、温暖化の影響も含めた国土の生態系総合監視システムの構築も進めます。さらに、総合評価や総合監視システムの知見を活かして、2010年目標の地球規模での達成状況の評価への貢献や、COP10で採択される2010年目標の次の目標設定に向けた議論について、専門家会合の主催などを通じてリードをしていきます。
 次は、多様性の観点からの地球温暖化の緩和と影響への適応です。炭素を固定している森林や湿原などを保全することで、生態系からの温室効果ガスの放出を抑制し、温暖化の緩和にも貢献するという観点も踏まえて、多様性保全の施策を推進いたします。
 また、森林については、生態系の管理から出る木材などのバイオマスについて、化石燃料の代替エネルギーとして地域産業の活性化にもつながる利用を推進します。
 温暖化影響への適応については、モニタリングの充実に加えて、気候変動等の環境変化への対応、適応力が高い生態系ネットワークのあり方や健全な生態系を保全・再生する上での留意点等、生物多様性保全施策の側からの適応方策について検討を進めます。
 続いて、「二国間・多国間ネットワークなど国際協力の推進」については、ICRIや東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ、二国間渡り鳥保護条約、ラムサール条約などの枠組みも活用して、アジア太平洋地域を中心に、国際サンゴ礁保護区ネットワーク会議の開催など、サンゴ礁ですとか渡り鳥分野でのリーダーシップを発揮します。また、国立公園等保護地域の管理や自然環境データ整備などの分野での国際的な連携強化や、そのための人材育成への協力などを推進いたします。
 最後、67ページですが、途上国のホットスポット、これは、特に生物種が豊かで、かつ危機に瀕する地域ですが、その保全に関する民間団体の活動を支援するCEPFに引き続き参加するとともに、GBIFとかGEOSSといった地球規模の情報基盤の整備への協力、FAOなどの国際機関や国際条約における議論に積極的に参加して、砂漠化や違法伐採対策など持続可能な森林経営に関する協力を進めていきます。
 以上、早口でしたけども、第1部の説明を終わります。
 続きまして……。

【熊谷委員長】 ちょっとよろしいですか。本日は第1部を中心にご意見をいただきたいので、ちょっと長くなりそうですので、まず1部についてご意見をいただいて、それから第2部というふうに進めてはいかがでしょうか。いかがでしょうか、事務局としては。もし、第2部の方を説明しないと、第1部との議論がうまくいかないというのであれば、引き続いて説明をしていただいても結構なんですが、いかがでしょうか。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 1部から議論していただくことで。

【熊谷委員長】 そうですね。はい。
 それでは、ありがとうございました。1部についてご意見をいただきたいんですが、2部の行動計画についても若干の議論の時間をとりたいので、第1部について、約50分からその程度をめどにご意見をいただきたいというふうに思いますので、どの委員の方からでも結構ですので、ご意見あるいはご質問がおありの方は、どうぞご発言をいただきたいと思いますので、また、よろしければネームプレートを上げていただきたいと思います。
 とりあえず、森戸委員、鷲谷委員の順でお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【森戸委員】 前回の議論を聞いておりませんので、事情がわからないところがありますけど、感想といいますか、お聞きしたいところがあるんですが、グランドデザインのところですね。一応、100年計画とか、100年先を見通してと書いてあるんですけども、私の印象では、やっぱり、2020年とか30年くらいのイメージなんですね。これは本当に100年後なのか、それとも、2020年とか30年くらいのイメージなのか、その辺をちょっと聞きたいなと思ったのが1つですね。
 それと、何とか地域というのが出てきますね。例えば奥山地域とか。そうすると、これは、言っているのは、奥山地域の現状と課題みたいなことを言っている。次にグランドデザインということで出てきているのは100年後の姿ということなんですが、それをつなぐ道筋というのは、実はこの戦略とか行動計画すべてなんだということなんだろうと思うんですね。そうすると、そのことをちょっと書いてもらわないと、現状と課題で、何年後かの姿なんですけど、突然100年というイメージで、ちょっと違和感を感じたんです。だから、もしそういうことならば、私はあくまでもまだ100年という感じは、実感がないんだけども、将来の姿ということで、そこの道筋だということを整理してもらった方がいいのかなというのが1つです。
 ついでだから、もう一つ言います。最後の方で、「地球規模の視野を持って行動する」というところに、一番最初の方に、わが国の生物多様性はほかの国ともつながっていて、わが国は自然資源の多くを輸入しているから、世界の生物多様性に影響を与えています、と。おっしゃるとおりで、1行で片づけているんですけども、日本人の暮らしと世界の生物多様性みたいな話が具体的に叙述されていた方がいいのかなと。私も前にベトナムのエコツアーに行きましたが、例えば日本系の企業がマングローブをどんどん切ってエビの養殖なんかをやっている。そういう例がいっぱいある。そういうことをどのくらいビビッドに書くかどうかはともかく、どんな暮らしで生物多様性がつながっているのか。渡り鳥が来る来ないという話だけでなく、普通の日本人の暮らしを支えている産業経済的な活動と生物多様性の方がもっと現実的な話としてあるので、どういう記述にするかはともかく、そういうイメージがどこかに前に書いてあって、だから日本は世界の生物多様性にかかわるんだと書いてもらった方がいいのかなと。だから、いろんな会議をやっています、それで国際的に連携していますというのは、どっちかといえば、それは各省庁の話であって、もう少し普通の、役所以外の人たちはもう少し広い範囲でかかわっているんじゃないかと。その部分が少し出るような書き方ができないものかなと。
 とりあえず、その2点です。

【熊谷委員長】 はい。では計画課長、お願いをいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 1点目の、100年後の将来像なのか、2020年から2030年くらいのイメージではないのかというご指摘の方なんですけれども、ここの中でこういう将来像を描いていく上で、100年計画の基本認識というところにも挙げていますように、いろんな意味で国土全体の自然の質を高めていく、生態系のネットワークというのをより強固な太いものにしていく、そのためには、森林なり湿地なり河川なり自然の質を高めていかないと、そういう質の向上というのが国土全体にわたって実現された世界にならない。それには、相手が自然であり、豊かな森をつくっていくにしても、湿原の回復をしていくにしても、自然再生の取り組みは、前回の戦略を受けて事業が着手、始まったところですけれども、そういった再生の取り組みにしても、そういった成果が上がって目標像に近づいていくには長期間かかる。それはやはり、この戦略をつくるに当たっては、100年ぐらいのレベルの時間をかけて、100年間の間に悪化してきた生態系の質を向上させていくという、そのぐらいの時間スケールが必要なのではないかと。そういう考え方で書いたところです。もちろん、100年先に近づいていくための、その途中途中の道筋、それはとても大事なことで、今回の戦略の中では基本戦略ということで、100年先を見たときに、まずこの5年に何を打ち出すべきかというところを少し力を入れて書いたという関係でとらえております。
 それから、世界の生物多様性に影響を与えているという基本戦略の4の地球規模で行動するというところで、日本の暮らしが世界の資源を大変いろんな形で多く利用している。12ページに暮らしとのかかわりで生物多様性の重要性を書いているところで、12ページの一番下の段落のところに、そういう世界の生物資源にいかに日本が依存しているか、多く依存しているかというところを12ページの下の段落のところに書いている部分であります。この辺、今森戸委員の指摘も受けて、少しこういう内容を充実していけるかどうか考えてみたいと思っています。

【熊谷委員長】 はい。よろしいでしょうか。
 鷲谷委員、それではお願いいたします。

【鷲谷委員】 新・生物多様性国家戦略の検討のころからかかわっていて、階段をまた1段、2段上った戦略になってきたなという感慨があります。ですけれども、きょう発言させていただくのは、日本学術会議の方でも生物多様性国家戦略がどうあるべきかについて学術の立場から検討していますので、その検討状況と、それから今の案の関係について若干発言させていただきます。
 学術会議の中に環境学の委員会というのがございまして、その下に自然環境保全再生分科会という分科会があって、13名の委員がおります。この小委員会に参加されている方とも重なっていまして、私も含めて4名重なっていますので、この小委員会での議論もある程度踏まえながら、今の生物多様性国家戦略改定に向けた学術分野からの提案という対外報告をつくっています。本当はもっと早くできて、ここの場に出して検討していただければ一番よかったんですけれども、学術会議は合意形成にかなり時間をかけることになっておりまして、今もう、7回の会議を開いて、環境省からも来ていただきましたし、関連のある省庁からのヒアリングと、それから、委員はどちらかといえば自然科学分野の委員が主なんですけれども、それぞれの専門の立場から検討しています。
 それで、今の案ですね、新・戦略になかったことで特徴的なこととして、1つは地球温暖化との関係。3つの危機に加えて、地球温暖化という──私たちは、まだちょっと十分練られていないので、「第4の危機」という言葉を使っているんですけれども、こちらはもっと広範で深刻な影響というふうに記していらっしゃるので、それでいいと思うんですが、それが生物多様性、それから生物多様性から生み出される生態系サービスに依存する私たちの今後に非常に大きな影響を与えるという認識が必要ですので、ここで扱っているような、今度の構成ですね、これを危機として位置づけるということと、温暖化の緩和策と適応策についても述べるということは重要なことだと思います。
 それで、それに対して、余り長くなってしまうといけないので1点だけなんですけれども、温暖化の緩和策に貢献しながら生物多様性にも当然寄与する、両方の対策のシナジーとして、ここでは何となく書いてあるんですけども、もう少し具体的にセルロース系エタノールに注目するということが、それは水辺とか里山いろいろなバイオマスを利用する、ある意味では生物多様性保全上重要な場所というのが緑の油田にもなるということでして、保全のための管理活動が経済的な意味も持つのではないかという観点から、そのシナジーというのを一つ取り上げているというのが、まだここに明示されていない私たちの検討していることの一つです。
 それから、もう一点、科学的なデータと分析評価に基づいて、生物多様性保全にかかわる政策をつくっていくことが重要だということも、全く私ども同じことを考えていて、いろいろ提案しているんですけど、それがここでは、日本版生物多様性総合評価とかモニタリングという形で書き込んでいただいていると思います。それで、生物多様性ホットスポットをそのような科学的な評価に基づいて見出すことであるとか、現在の自然再生というのは、地域の発意に基づいて、地域が自発的に実施するというのが基本ですけれども、国土全体の観点から、保全とか再生について考えていくということも必要じゃないかというふうなことを私どもは議論していまして、そのための評価というのが大事だと考えていますので、これはきっと日本版生物多様性総合評価というのに当たるのではないかと思うんですが、MAその他は既存のデータを分析、評価するという手法だったんですけれども、日本における生物多様性の現状の変化というのがかなり急速であるということもありますし、今、それに関する手法の進歩も速い。観測の技術などの進歩もあるということを考えますと、恐らく、科学技術分野とも強く連携した形で実施されることが重要だと思います。
 第3期科学技術基本計画の中でも、環境分野の中で生物多様性というのは重要な分野として取り上げられていて、生物多様性の観測・分析・評価というのを重視しないといけないという形には──まだそれでは余りいろいろプロジェクトが立ち上がっているということではないんですけれども、ここにGEOSS、地球観測との連携が書いてありましたけれども、そういうGEOSS等、科学技術の面からの環境の研究や、技術開発と連携するという観点もあるといいんじゃないかと思いました。
 それから、もしかすると、よく読めばどこかにちりばめられているのかもしれませんけれども、まとまってはいないかなと思ったのは、生態系ネットワークなどは重視することになっていますし、どこかに流域の管理とか、氾濫原、ウエットランド等の再生などについても書いてあるんですけれども、そういうことに関して私たちもかなり重視していろいろ書いているんですけれども、その場合、連携のあり方の中に、行政と地域の人々とかだけではなくて、省庁間の連携で、今までだと各省が持っている政策を組み合わせるというような連携のあり方だったように思うんですが、もっと本質的な、生物多様性の保全とか、自然再生に関する連携のあり方というのを検討していただけないだろうかというようなことは私たちも書いております。
 長くなってもいけませんので、私の方からはこのぐらいにしておきまして、きょう、あとお二人の委員も参加していますので、後ほどきっとご意見を下さるんじゃないかと思います。
 以上です。

【熊谷委員長】 はい。貴重なご意見、ありがとうございました。学術会議のその報告書は、いつごろご予定されているんでしょう。

【鷲谷委員】 パブリックコメントまでには間に合わせて、何らかの形で。ある程度もう反映していただいているようには思うんですけれども、社会にも発表して、見ていただきたいと思っております。

【熊谷委員長】 はい。ありがとうございました。今の鷲谷委員のご意見、学術科学サイドからの大変貴重なご意見ですので、予定ですと、そのパブコメの期間中に報告書をお出しになるようですので、もしそれであれば、それを参考にさせていただくと。それから、もし間に合わない場合には、ぜひ鷲谷委員、個別にでもいろいろご意見をいただきたいと思います。
 それでは、岡島委員、そして磯部委員の順でお願いしたいと思います。よろしく。

【岡島委員】 はい。2つばかり、本筋の問題ではないかもしれないんですけども、感想めいたことかもしれませんけども、申し上げたいと思います。
 1点は、やっぱりまだ難しいなということですね。1章から2章なんか特に、その中でもう少し易しく書けないかなというのが印象です。2点は、3章、4章、特にもうちょっと具体性を持たせて、基本戦略といえども持てないか。これは、森戸委員が先ほどおっしゃった戦略の道筋がもうちょっと見えないと、単なる作文のように感じてしまって、インパクトが非常に弱いんではないかという、その2点です。
 1点は、難しいというのは、これは仕方がないんですが、これ、見ていて、今も説明を聞いていて、非常によくて、私の大学では平均的な学生が多いんですけども、ぜひこれは教科書的に使わせていただきたいなと思っていました。生物多様性から温暖化の面まで非常にきちんと書いておられるので、非常によいなという気がしております。しかし、この素案を見せて、わかる人がどれだけいるかなという不安感があります。ですから、私がこれを読んで、咀嚼して、それを易しくして伝えないといけないということなんですが、生物の基礎的な用語、これが国民がどれだけ知っているかということが1点ですね。それから官庁用語。こういうような2点の壁があって、一般的なうちの学校で教えるときには非常に難しいですね。ですから、その辺が直せるものなら直していただきたいし、直せないものは、できたら注なんかがあったりしたらいいのかなと。
 ちょっと書き出してみたんですけど、維管束植物というんでしょうかね。それから、生物群集や生態系。これ、何がどうなんだか、ちょっと、普通の人にはわからない。この手の言葉が山ほど入っているわけですね。だから、これ、読んだら、途中で二、三ページまで、一生懸命読み始めても投げ出しちゃうということが考えられます。それから、官庁用語はしようがないんですけど、何々等と書いてあったり、これは平仮名で「など」の方がわかりやすいし、そういうような言葉ですね。非意図的にとか、脆弱とか、隔絶するとか、わざと難しくしているんじゃないかなという言葉がいっぱいありまして、もう少し易しく書いてもいいんじゃないかなという点がありました。
 それに引き続き、これは行動、2部の方の話になると思いますけれども、ということで、この文章ではここまでしか譲れないということであれば、これは第2の問題として、人口の5%とか何%しかわからないものですから、それを30%、40%の人がこれをわかるようにするための仕組みを、これは第2部の方になるかと思いますけど、ぜひ考えていただきたい。私もそうですけれども、NGOや企業の方々も恐らくその点は感じると思いますので、体験活動だとか、DVDだとか、ふだんの授業、それから、ここには余り触れていないんですけども、学校教育における位置づけをやはり指摘して、これは文部科学省の方から出てくるかもわかりませんけれども、その辺をきちっとしておかないと、一般的な人、特に理系じゃない人は、生物の本当の基礎的なこともわからない人が多いわけですので、そこに橋を渡さないといけないということが1点です。そのためには、哲学とか、芸術とか、そういった分野のところとの関連性などもつけた方がわかりやすくなるのではないか。
 もう一つの方は、3章、4章なんですが、やはりこれは生物多様性から見た100年後の目標、先ほど森戸委員がおっしゃったようにどうしてもつなぐ道筋が見えないので、言葉が悪いんですけれども、ただ頭の中で考えた一つの、こうあったらいいなというような感じに映ってしまうということで、何かの形で、そんなに文章はふやす必要もないんですけども、その方法論ですね。矢印で示すようなところで、2部のどこにそれが書いてあるよということでもいいんですけれども、そことの関連性をつけていただきたい。予算とか法律なんかどうするんですか、こういうふうに、こうあればいいなと書いてあるけれども、それは一体どういう形でやっていこうとしているのかというところが、やはり、簡単でもいいですけれども、少しあった方がいいのではないか。
 それから、やはり、国の基盤整備的な作業はもう少しきちっと書けないか。ここにも、「SATOYAMAイニシアティブ」や「美しい日本の自然キャンペーン」と書いてありますけれども、それが一体どういうことをしていくのか。洞爺湖サミットは洞爺湖サミットで打ち上げて、それで二、三年やったら終わっちゃうものなのか。それよりもっと大事な人材育成だとか、国家としてやっていかなきゃいけないいろんな作業があるでしょうと。そういったようなところを押さえた上で、「美しい日本の自然キャンペーン」や「SATOYAMA」をやります。
 「美しい日本の自然キャンペーン」だって、考えてみれば、英語で日本の自然を案内できる人は非常に少ないんです。ほとんどいないに近いですね。ですから、自然体験の人とか、自然のインタープリターと言われている人たちで、流暢なというか、ちゃんとした英語で外国人のお客さんに対してきちんと説明して答えられる、生物学的知識をきちんと持った上で英語もできて、なおかつ体験もできて、そういう人材、いないんですよ。だから、そういうような人たちを例えば育ててみたりとか、そういうような基盤的な作業について少し記述が欲しいなと。これは、次の2部の方で、第2章の「横断的・基盤的施策」の中で「普及と実践」というところがあるので、恐らく、この1部じゃなくて、2部の方にもう少し具体的なものが盛り込まれていけばいいかなと思っております。
 以上です。

【熊谷委員長】 はい。ありがとうございました。特に今お答えすることがあれば。
 では、課長、お願いいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 最初の、表現のわかりやすさ、今回、前回以上に一般の人にわかりやすく伝えたいということで、丁寧な表現とか、苦心して書いてきたところではあるんですけれども、岡島委員のご指摘のように、言葉として、単語として難しいところとか、工夫に限界があるかもしれませんけど、どんな工夫ができるか考えてみたいと思いますし、具体的な道筋というところで言うと、まさに岡島委員からもありましたように、第4章の「基本戦略」が、これからの5年の重点的な柱というか方向性で、それを具体的な施策として挙げているところが第2部の行動計画という関係になって、その中に、各省ごとの、あるいは各省が協働、連携してやる施策とかいうのをテーマごとに掲げている。それは、この5年にやる施策をできるだけ具体的に出そうということで、まだまだそこも不十分な面があるんですけれども、各省とその辺具体的な施策を揚げられるように調整はしてきているという関係です。なので、1部の中にも、そういう2部の具体的施策との関係がよりはっきりわかるように、そういう具体化の道筋が少し見えるような表現の工夫というのを考えてみたいなと思います。

【熊谷委員長】 はい。
 それでは、磯部委員、お願いをいたします。

【磯部委員】 幾つか意見をお話をしたいと思いますけれども、1つは、今岡島委員からあった難しいという話ですけど、難しいというのはそのとおりだとは思って、反論はできないのですが、前の生物多様性国家戦略が、3つの危機からいきなり始まって、生物多様性というのが何が何だかよくわからないというのに比べると、物すごくわかりやすくなったと私は感じています。
 最初の第1部の第1章あたりを見ると、何で生物多様性が大切なのかというのがよくわかるようになったというふうに感じています。が、その中で9ページに、最後のパラグラフなんですが、生物多様性とは「つながり」である、「個性」であるというところで、これ、定義はいいんですけども、第2節、第3節に、それじゃ、何で大事なのかというのが書いてあるので、それも中身としてはここに入れてしまってもいいのではないかと思いまして、簡単に言えば、いのちと暮らしを支える生物多様性ということを一言ここに入れて、つまり、そのつながりがなければ、どの生物をとってみても生きていけないし、ましてやその中で人間も生きていけないんだということを入れてしまってもいいのではないかというふうに感じました。
 それから、グランドデザインのところですが、49ページに沿岸・海洋域のグランドデザインというのが書いてありまして、なかなか、沿岸・海洋域に限っても、グランドデザインとして、沿岸・海洋域全体のグランドデザインをカバーするような表現というのは非常に難しいと感じています。それで、精いっぱい直そうとしたときに、例えば2行目あたりに、「海水温や海水面の上昇」と書いてありますけど、そのあたりが、例えば、それとともに台風などの時々起こるような擾乱を受けながらも、長期的には場が保全されるというようなことが、将来の、100年後であれば姿としては欲しいところだなというふうに思います。
 ただ、いくら直しても難しいのは、やっぱりアサリがあれば、もうちょっとうまくいけばハマグリもという話があって、そこを例えばカニとか二枚貝とか、そういう表現にするかというと、それでもやっぱりカバーでき切れないところがあるなと思いますし、これ自身も、干潟については具体的に書いてあるんだけども、最初の行に書いてある藻場とかサンゴ礁はどうなるのかというと、やっぱり書き切れない。そういう意味で、グランドデザインということの定義をもう少し、グランドデザインそのものよりはもうちょっと何か部分的なイメージに近いものであるというような説明をどこかに入れておいた方がいいのかなというふうに思いました。
 それから、56ページに環境基本計画との関係が書いてありまして、「環境基本計画の生物多様性の部分を充実する形も考えられます」という割合に緩い書き方をしてあるんですが、生物多様性が環境の中で非常に柱になるものだという位置づけからすれば、私は、これは必ず入れるという強い書き方でもいいのではないかというふうに思います。少なくとも、これよりはもうちょっと強く書けないだろうかということを思っています。
 それから、第2部との関係ですけれども、第2部をちらちらと見ると、同じことが繰り返される部分が随分あるのだと思います。私は、それはそれで、長い文章なので、繰り返す必要があるものは繰り返した方がいいと思いますけども、岡島委員からも意見がありましたように、どこどこで述べたようにというふうに書いて、それでそこの要約を書くとか、そういう形にするとわかりやすいかなと思います。
 それから、難しいというところに1つ戻りますけども、用語集をつけるかどうかというのが、一つの難しさを避ける手としては技術的にはあるのかなというふうに思います。
 あと最後ですけれども、行動を書き込んだらという中に、後ろにも書き込まれていないのが、自然環境を理解するというか、日常的な意味で、例えば大人が子供に自然環境のおもしろさ、大事さを教えるという能力そのものがなかなか難しくなってきているという現状からすると、「レンジャー」という言葉で言えるような、そういうNPOかもしれませんけれども、環境のことを教えたり──教えるというのは、楽しさと大事さを教えられるような、そういうものをもうちょっとシステマティックにやっていくという部分が、第2部以降にどこかに書けたらいいなというふうに思っています。
 以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。大変具体的、また、箇所をきちっと指定していただいたご意見で、ありがとうございました。
 たくさんご意見おありの委員の方がいらっしゃいますので、大変恐縮ですけども、続いてご意見、ご質問をいただいて、まとめて最後に事務局の方からお答えをさせていただくというふうにさせていただきたいと思います。
 ちょっと順不同になるかもしれませんが、私の気づいた順で恐縮でございますが、まず中道委員、それから三浦委員、浜本委員、山岸委員、高橋委員、鹿野委員、和里田委員、石坂委員、桜井委員の順でお願いしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

【中道委員】 前回の委員会から短期間に、みんなの意見を入れて、暑い中よくおまとめになっていると思います。2つだけちょっと意見を言わせていただきたいと思います。
 1つは、17ページに、第1節「生物多様性の危機の構造」のときに、第1、第2、第3に加えて、今回は地球環境を加えましたね。その後に非常に重要な文章が4行入っていると思うんです。生物多様性が浸透しないという話が随分あったんですけど、それはやっぱり科学的に解明されていない部分が多い。例えばほかの科学の分野と比べて、1年というサイクルを使うわけですから、スピードを上げようと思ったら、サイト数をふやさない限り科学は進歩しないと思うんですね。そういう生物学の難しさもありますし、それから、生物を殺すということを意識的にやる人はいないと思うんですけど、無意識に殺すということは、やっぱり浸透していないということだと思うんですね。3つの危機と地球環境問題は、そこに柱が立って説明がされているんですけど、私はぜひ、ここの科学的知見の問題、浸透の問題は、1つ柱を書かれた方がいいんではないか。というのは、第4章の第1節、第2節のそれぞれの頭にそれぞれ柱が立っているわけですから、それは問題意識として、多様性の危機の問題は我々が知識がないからだということが基本だということをまず掲げた方がいいんではないか。そんな感じがいたします。
 もう一つは、44ページ以降たくさん出てくるんですけれど、3つの地域の1つに里地里山・中間地域というのがあるんですね。その後幾つか、田園地域・里地里山とか、田園地域と里地里山とか、いろいろ出てくるんですけど、これは用語を統一された方がいい。特に中間地域というのは、農林水産統計で使う平地農村と産地農村の間を中間地域と言っていますし、中間地域と山間地域を合わせて中山間とか言ったりしますので、非常にこんがらがる地域だと思うんですね。数字で言うと8割もあるとかいう数字も出ていますから、8割もある地域を中間地域という呼び方もおかしいと思いますし、少し用語を統一するとともに、ちょっと練られた方がいいんではないかと思います。
 以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、三浦委員、お願いをいたします。

【三浦委員】 ほぼ、私も、第1次のドラフトとしてはよくまとまっているんではないかなというふうに思います。3点ほど、要望といいますか意見を言いたいと思うんですが、1つは、まず21ページですが、地球温暖化に伴う生物多様性への影響は今回非常に重要なんですが、海洋はともかくとして、温暖化に伴ってどういう現象があらわれているのかというのが、具体的にはコムクドリとシカの例が挙がっているんですが、もうちょっと敏感にこの現象は詰めていく必要があるんではないかなというふうに思います。それで、1つには、高山草原の変化とか、私の知っている限りでも、例えば駒井卓先生が1950年代にやったテントウムシの斑紋型の遺伝子型頻度が変わりつつあるとか、そんなことを入れていく必要があるんではないかなというのが1点。
 それからもう一点が、これは先ほど鷲谷委員も指摘したことと関連するんですが、今回、COP6の生態系評価、ミレニアム評価を積極的に取り入れるということで、生態系サービスとホットスポットの指標、それから評価を行っていく、これをぜひやっていただきたいなということと、それから、COP6のこの評価指標と、実はCOP5、この締約国会議でエコシステムアプローチという提案があった。この成果をぜひ取り入れていただきたいということを、今回鷲谷委員の指摘した学術会議のまとめの中にも入れてありますので、ぜひ積極的に取り入れていただきたい。これについては、生態系に対して我々はどのようなスタンスや原則で臨むべきかということがCOP5の中でアプローチとしてまとめられているので、ぜひこの記述を入れていただきたい。そうすると、戦後50年間の急速なこの国の環境の改変等で何が問題だったのかといったようなことも、照らし合わせることによって、かなり出てくるんではないかなというふうに思います。
 それからもう一点ですが、これは33ページと66ページ、そのほかに断片的に幾つか出てきているんですが、例えば「世界とつながる日本の生物多様性」ということで、この中でもさまざまな移動性の野生動物の記述があり、66ページでは、これも二国間・多国間のネットワーク、国際協力も非常に重要だという、こういう記述があるわけですね。これに関連すると、これは新・戦略でも指摘されているんですが、幾つかの国際条約の中で、我が国がほとんど対応していないといいますか、ボン条約に対しての記述というのを、どうするのかはともかくとして、ぜひ、対応を含めて記述していただきたいなというふうに思います。
 以上3点です。ありがとうございました。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、山岸委員、お願いをいたします。

【山岸委員】 すみません、抜いちゃって。ちょっと中座しますので。
 ちょっと違う視点からお願いしたい。特に学術会議について。鷲谷さんが4人いるとおっしゃいましたが、どなたですか。三浦さんと。

【鷲谷委員】 磯部先生と、あと森本先生です。

【山岸委員】 そうですか。私は、生物の多様性国家戦略が浸透しないという話も先ほど出ていたんですが、その理由を、今まで、広告が足りないんではないかとか、初等教育に打ち出していくのが足りないんじゃないかとか、宣伝が足らないんじゃないかと思っていたんですが、それもあるだろうけど、一つの非常に大きな原因は、学者の当事者意識にあると思うんです。もっと言えば、これは鷲谷さんが会長をされた生態学会の会員が、あれは一部の研究者が入ってつくっているものだから、そんなものは知らないよという意見も、私は幾つも聞きました。それが学術会議で取り上げられることになったということは、僕は非常にいいことだと思うんです。
 ですから、お願いしたいのは、先ほど鷲谷さんは、学術会議で決まったことを世の中に広めていきたいとおっしゃいましたが、世の中に広めるのは二の次でいいから、自分が立っている学会の下へ生物多様性というのは非常にいいものだということを広めていただかないと、いくらここで論議しても、また生態学会員から、あんなものはいいかげんなんだよなんて言われると、元も子もないので、ぜひそれをお願いして、ちょっと中座するので先に、順番を抜かしてすみません。

【熊谷委員長】 はい。大変貴重なご意見ありがとうございました。それでは、浜本委員、お願いをいたします。

【浜本委員】 すみません。私も、最終の飛行機に乗るためにちょっと中座させていただきますが、4点ほどちょっと気づいたことがございます。簡単な方からまいります。
 一番最初に、先ほどからわかりにくいというのがありましたが、書き方の問題で、例えばわかりやすいのは、44ページの途中にあります「地域(コアエリア)」とか、56ページにあります「社会的責任(CSR)」とか、外来の言葉の方を後ろに持ってくる、この書き方がとてもわかりやすいと思うんです。グランドデザインとかエコツーリズムなどのように常識になっているものはいいんですが、それ以外のところでも、2部のところでも気づいたんですけれども、例えばこの1部のところでしたら、7ページの「評価」を「フォローアップ」という言葉にかえているところは、これは評価が先ですね。括弧して外来語。58ページの「コモンズ」も、「共有の資源」をつけるんだったら、「共有の資源」が先。48ページの「吸収源」を「シンク」というふうに片仮名が最初に来ていますが、日本人が読むんですから、外来の言葉よりもまず、括弧してわざわざ日本語を書くんだったら、そちらを先にということを全編に心がけていただきたいなと思います。
 2点目は、一番最初に森戸委員がおっしゃいましたけれども、世界の生物多様性に影響を与えているというのは全編に出てきているんですけれども、だからどうしたいのかがちっとも出てこないんですね。例えば53ページにずっといろいろ書いてありまして、マングローブのエビの養殖のことがぽつっと唐突に出てくるんですが、だからどうなの、それをしているのは日本人なんだから、自分たちはどうしなきゃいけないのということは、それは各省庁で考えてくれということでにおわせているのか。それだったら、もうちょっとしっかり、だからどうしたいのかというところを、100年後のグランドデザインまで書くのであれば、もう少ししっかりした言葉で書くべきだなと思います。
 先ほど岡島委員の方からも出たんですが、3点目は、やはり教育、56ページにあります教育のところの問題で、これは第2部のところでも出てきているんですが、要するに、生物多様性に関すること、子供たちにそういう生きものとのふれあいや生物の体験みたいな自然体験は、学校以外のところというのがすごく強調してあるんですね。民間でとか、地域のNPOとか、家庭でとか、地域でというのが書いてありまして、ここのところにも、地域固有のことを学ぶのは学校が終わった後の放課後とかいうのがわざわざ強調して書いてあるんですが、この文章を読んでわからない人が多いことのやっぱりトップレベルには、これからもっとわからなくなると思うのは、生物とか地学というものを学校教育で本当に学ばなくなってきているからというのがあると思うんです。
 これはもう否めない事実で、私も文系の大学で教えているんですが、地学、生物を全く学ばないまま大学生になっちゃっている子供たち、もういるんですよ。その子たちが、生物多様性のことだとか、温暖化のことだとかを言うのに、潮位のことだとか、生きものの進化のことなんか全く学校ですら学んでこない子供たちがもう既にいるところに、地域で固有の生物のことをNPOとか家庭とか地域に丸投げ的なことをするというのも、これは、せっかくの国家戦略のところで一番手抜かりのある部分ではないかなというふうに感じますので、学校教育の中に、子供たちの初等教育、中学とか、そういう学校教育のカリキュラムの中に充実させるという一言を書いていただけると、文科省の方もそれに対応しやすくなるのではないかなと思います。
 最後なんですが、これは実際に外来種の駆除などを現場でやっている者として、どうしてもちょっと納得がいかない。外来種のところは18ページの「第3の危機」のところでもありますし、32ページとか60ページのところにも、実際に外来種をどう駆除しているか出てきているんですが、ほとんどが国立公園とか国定公園、もしくはラムサール条約などに登録しているところのもの、もしくは、出てくる例がほとんど哺乳類なんですね。ですが、日本の内水面の水域だとか、それはほかの国交省、農水省のかかわるところの一番大きな問題で、もう手のつけようがないようになっているものがオオクチバスなんですが、1回しか出てこない。外来種ですということに。
 もしかすると、私たちも実際その駆除を行っているんですけど、この中に出てくるもので具体的に名前が出てくるものが、先ほどもありましたが、あるとして、それを駆除したりすることに関しては、うがった言い方をすると、予算もつきやすいのであれば、マングースの方は実際に予算もついていますし、かなり進んでいますけれども、もっと地域レベルでそういう外来種の駆除をやりたいというときにも、もっと積極的に地域民や国民がかかわったり意識を高めたりできるようにするためにも、ぜひともこのオオクチバスの駆除に関することは、進んでいないのか、そういうデータがまだ出てきていないのか、やっているけれども結果が出てこないのか、やり方がわからないのかというようなことまで含めて、第2部のところでも結構ですので、もう少し詳しく書いていただけたらというふうに思いますし、もう一つは、最後の方になりますけれども、先ほども出てまいりましたが、国際間のところなどでは、カエルツボカビについて調査をする必要があるという書き方をしているんですが、もう少し強い言い方で書いてもいいのではないか。でないと、なかなか国民の意識はそちらの方まで追いついていかないのではないかというのは現場で常に思っていることですので、お願いいたします。

【熊谷委員長】 はい。ありがとうございました。
 それでは、高橋委員、お願いをいたします。

【高橋委員】 発言を早くやるべきだと思いました。ほとんど言うことがないんですけども、ちょっと感想をお話しさせていただきます。
 私、今回初めてこの検討会に参加させていただいて、こういう作業に携わって、わあ、すごいものができるんだなと思って、びっくりしているんですけど。やっぱり、自分の能力ではなかなか理解しづらいんですけど、全体を通しての骨組みの一番の柱って何だろうなとずっと考えていたんですけど、私個人の感想として、恐らく、最後に出ている「SATOYAMAイニシアティブ」の説明の部分、自然と共生する社会というところかなと思うんですね。それがあってこそ、例えば今後農業をどうやっていくか、農水をどう展開していくかというのがある程度規定されてきたりするんだろうと思うんです。第2部の農業の、例えば農水省とかいろんな省から出ていても、そのラインというか、その循環の中に組み込まれていないようなテーマがいっぱい出ているなというのがあって、今後いろいろ折衝するに当たって、ぜひこういう理念をどんどん前面に押し出していってほしいなと思います。それは、例えば私が専門である草地についても、やっぱり同じようなことがありまして、具体的には申しませんけれども、そういう気がします。
 この理念のもとで、これまで利用されなかった資源を再利用して、この理念があってこそバイオマスの利用が可能になるし、それが地球温暖化を緩和することにもなるし、それから、奥山の自然を守る場合でも、利用しないという利用の決定というのがあれば、奥山の自然は当然守れるでしょうし、ツーリズムという形で展開することもできるでしょうし、そういうものはやはり必要かなという気がしています。
 例えば、じゃあ、そういう人との共生のモデルとして、モデルになり得るようなもの、過去のものって何かなと考えたときに、今コアとしていろいろと取り上げられている奥山だとか、里地里山だとか、あるいは都市とか、そういう範疇に含まれない、いわゆる曖昧模糊としたような状況だけれども、当たり前のようにあった世界、例えば草地であるとか氾濫原であるとか湿原であるとか、そういうものの役割はここにほとんど書いていないんですけども、本当にいいんだろうかという気がちょっとしちゃうんですよね。
 例えば私の専門である草地一つとっても、本来、循環型農業というのは、かなりの部分草を利用してきたんですね。そういうものをイメージすると、例えば子供たちを考えたときに、あり余る温度と降水量と太陽エネルギーを浴びている私たちの森林の国である日本において、刈っても刈ってもどんどん生えてくる草をきちんと利用して、それを農業に役立て、バイオマスに役立て、あるいはツーリズムの価値として景観保全に役立て、そういうものをきちんとつくることで、山と里との間にバッファゾーンという形のものをある程度形成していって、鳥獣害の侵入も防いでいくとか、いろいろ展開できるわけですよね。そういうイメージを各省庁で持てるかどうかというのは、恐らく、今からの折衝の中での環境省の強い姿勢というものがある程度、私としては担保せざるを得ないところにあるような気がします。
 最後ですけど、例えばグランドデザインの中にそういうあり余る草資源をうまく管理している原っぱで子供たちが元気に遊んでチョウチョウを採取している姿というのは、果たしてグランドデザインとしては特異的なものなんでしょうか。あるいは、そんなに価値のないものなんでしょうか。その辺をちょっと感想として述べさせていただきます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、鹿野委員、お願いいたします。

【鹿野委員】 幾つか、感じたことを申し上げたいと思います。
 まず最初は、先ほどどなたか委員の方がおっしゃっていましたが、前文と第1章部分でしょうかね、前回の意見を踏まえてすごくよくなったと思います。どなたかが格調高くと、たしか前回で意見があったと思いますが、そういう面ではすごくよくなったんじゃないかと思っております。
 次に、幾つか意見がございます。まず1つは、奥山自然地域、中間地域と分けていますが、島嶼、島というのがここには分けて記述がないんですね。ところが、日本の多様性の危機の中で一番危ないのが、小笠原とか、南西諸島とか、対馬だとか、そういう島嶼部分が一番危ないわけでして、そこについての記述がほとんどない。何カ所かちらちらと出るくらいなんですね。ここはぜひ、沿岸・海洋でしたっけ、あのあたりにぜひ、そういう日本の中でも一番多様性の危機に瀕している島嶼について何か書き分けるということが必要じゃないかなというふうに思いました。これが1点です。
 2点目は海についてです。海の保全についてですが、今回も幾つかのところで書かれておりまして、海についての保全の強化を図る、一口で言えばそういったようなことが書かれておるんですが、もう少し分析的に書いた方がいいんじゃないかと思っております。といいますのは、例えば今の海の保全地域、自然公園法の海中公園地区とかってありますが、これももう、面積がすごく少ないですし、海の生態系のタイプとしては、サンゴ礁と海藻藻場、アルジーの海藻ですが、そっちの藻場に限定されて、海の生態系って、たったその2種類だけでしかないんですね、保全されているのは。今回の記載では、地域タイプと書いてありましたかね、何かそういうものにプラスもっと生態系のタイプ、例えば海藻藻場があれば海草の藻場だって大切だと思いますし、もっと言えば、砂浜の生態系も大切だと思います。そういう意味からすると、陸上ではいろんな生態系の典型的なタイプ、もしくは大きな大群落とか、そういうものはみんな大体保全地域に何らか指定されているわけですね。そういう横並びからすると、海の扱いがもう少し踏み込んで書いた、海はおくれている、もっと頑張れと、もっといろんな生態系を保全するんだというようなことが書かれていいんじゃないかと思っております。
 次が森林のことでございます。例えば奥山自然地域の話では、二次林から、なるべく人手をかけない、かなり二次林でも自然林に近いようなところは自然林に推移させる、自然の遷移に任せて推移させるというようなことが書かれております。私は、これからの人口構成だとかそういうことを見れば、当然、管理の人手が足りないわけですから、そういう部分が国土の中でもっともっとふえないと、これからの国土管理はできないと思っております。そういうことからすると、この記述はよかったなと思っているんですが、残念ながら、どのくらいまで行くのかというところまでは、せっかくのグランドデザインの中でも書かれていないんですね。現在たしか20%弱だと思いますので、割と数値目標化しやすい部分だと思いますので、この辺はもう少しご検討いただけたらと思います。
 ついでに言えば、奥山自然地域の中のグランドデザインのところで、せめてここには外来種はいないと書いてほしいと思いますが。いろんなところで外来種問題ありますが、せめて国土の一番大切な自然の地域だったら、もうここには外来種はいないんだというような記述が欲しいなと思っております。
 もう少しあったらと思いますが、もう一つ、森林の関係で里地里山、先ほど中道委員からどうも定義がわかりにくいとありましたが、一番ここでは、二次林というのと里地里山という中がすごくわかりにくくて、多分、里山というのは二次林の中の一部で、人が使っている。要するに、森林に対して、里人、人がいるところが里山じゃないかと思うんですが、その関係がどうもわかりにくくて、全体に、里地里山という小さい部分が表題で大きく出ていて、中身を見ると二次林について書かれていたりということで、ちょっとその辺の定義の関係でわかりづらいなというように思いました。
 同じように言えば、「森林の保全・整備」という記述があるんですが、人工林について書かれて、自然林についてちょこっと書かれているんですが、一番面積の多い二次林については、「森林の保全・整備」で何も書いていないというような状況ですから、もう少し、二次林というものと里山あたりをうまく書き分けて、わかりやすくしていただきたいと思います。
 以上でございます。

【熊谷委員長】 はい。ありがとうございました。
 それでは、和里田委員、お願いをいたします。

【和里田委員】 短い期間に随分よくまとめていただいて、特に1章、2章、随分ご苦労されたというふうに思っております。時間の関係もありますので、2点だけ申し上げて、あと、文章表現その他気づくところは、また後ほどペーパーで出させていただきます。
 1つは基本戦略ですね。55ページですか。ここの「生物多様性を社会に浸透させる」ということが書いてあるところかと思うんですが、この部分は性善説に立った形で、生物多様性を広く国民に、そして深く浸透させたいということで書いてはあるんですが、ただ、もう生物多様性という観点では非常に危機状態にあるということですので、危機管理的な意識でのアピールということが必要な時期に来ているんじゃないかという意味で、その部分が欠けているような気がいたします。といいますのは、釣り具屋さんが全国の貯水池や湖にオオクチバスや何かをほうり込んだという話も聞きますし、釣り人のマナーが悪くて、捨てられた釣り具によって鳥類が相当死んでしまったりなんてという事件もあるような話も聞きます。また、相変わらずペット屋さんの不法な行為、そしてまたペットを飼っている人たちのモラルのなさというようなことが大きいということから、この辺は相当もう危機状態にあるという認識に立ってのPRが必要なのじゃないかと思いますので、その辺のPRあるいは指導ということで、法律を設けてあるからいいじゃないかということでは当然ないと思います。
 それから、NGOの活動の中で、ホタルの養殖にカワニナを飼うに当たって、古来のものがないので、台湾のものを持ってきて飼ってしまったというような話があったというように、NGO活動をやっている人たちも、それは善意で活動しているにしても、やっぱり、誤った知識に基づく行動というのは多々あるかと思います。そういうものを避けていくための、ここにおられるような科学者の指導ですとか、いろんな指導員の適正な指導が必要なんじゃないかという意味で、そういうものの表現が必要だと思いました。
 それから、グランドデザインですが、48ページの川の関係の文章で、先ほどからも100年とかなんとかという話がある割には、アユの遡上が回復したなんていうのは随分寂しい表現で、もっと、グランドデザインだと、何か魅力的な姿になっていないのかなということが非常に気になりました。
 2点だけ。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 石坂委員、お願いをいたします。

【石坂委員】 全体としては、短期間の間によく書かれたと評価をいたします。
 幾つか意見を申し上げようと思うんですが、41ページに「3つの目標」というのを掲げておられます。これは前回の戦略に若干つけ加えた形でもって[1][2][3]と、趣旨としては前回と同じということなんだろうと思うんですけれども、論理的に読みますと、[1]がすべてカバーしているんですね。あと、[2]の話は[1]の中に入ってしまうんですね。それから、[3]の話というのも[1]の中に入る、あるいは、[1]を実現するための方法論なのかもしれないです。ですから、この[1][2][3]が目標だというふうにこういうふうに並べて言われますと、あれっ、という感じがするんですね。ですから、この項目自体が悪いというわけじゃないんですけれども、並べ方を考えるということも1つ必要ではないかと思います。
 例えば絶滅を阻止するというのが最初にあって、さらにそれを包含して[1]の話があるとか、あるいは、[1]を実現していくためには[2]のような方法論によらなければならないとか、何かそういうふうな論理的脈絡があった方がいいんじゃないかな。そうしないと、この3点、一つ一つはそのとおりなんですけども、3つ並べてみると、何だ、こりゃという感じがするんですね。ですから、そこは1つ工夫が要るんじゃないか。
 同時に、その点について、前回というか、今の戦略では、その後に3つの方向というのがあるんですね。3つの方向というのは、保全の強化と、自然再生と、持続可能な利用なんです。これは、前回の新・戦略のときは、割合さらっと[1][2][3]が書いてあったものですから、このことと、それから方向ということと余り違和感がなかったんですけども、今度はこの方向が3つとも落ちているんですね。それが落ちて、この[1][2][3]だけあるということになると、何だかちょっと寂しいなと、これで尽くされているのかなという気がします。そういう意味で、私も今どうしろという具体的な案がないんですけども、この並べ方の問題と、それから方向の問題とをもう一度再考していただいて、整理する必要があるのではないかというのが第1点です。
 それから、100年後のグランドデザインのお話がいろんな方からご指摘がありましたけれども、これは、こういう前提で考えるとこうなると、一応前提が2つ書いてあって、グランドデザインの話が書いてあるわけですね。前提があってそうなるというふうに考えているんですが、一体、グランドデザインというのが何なんだろうかということが書いてないんです。あるべき姿なのか、あるいは、当然こうなるよと、あるいは、こういうことを目指して努力していかなきゃいかんとか、そういうことの記述がないものですから、計画と、国家戦略と、この100年とのつながりが見えてこないんですね。
 ですから、グランドデザインの中には、さっきのアユの話もありましたけど、20年後というか、今だってできちゃっているような話も取りまぜて書いてあるので、個別には申し上げませんけども、ちょっとどうかなと思う記述はあります。そこらは整理していただく必要があると思います。実現すべきだと、そしてそれは実現可能なんだと、こういう前提で考えると。そういう方向に向かって戦略はこれからいろいろと努力をしていくんだというふうな前提で整理をしていただくのが一番いいんじゃないかなと思います。
 それから、あとは言葉の問題なんですけれども、「いきものにぎわいの国づくり」というのが2ページの一番頭、それから、どこだったかな、大分後だったと思いますけども、55ページに「いきものにぎわいプロジェクト」、これがほとんど説明なしに出てくるんです。「いきものにぎわいプロジェクト」と言われても、わからないんですね。ですから、中身をきちっと書いて、それを実現しようとしているプロジェクトがいきものプロジェクトであるというふうに説明をしてもらわないと、理解ができないと思います。
 それともう一つ、今里山の話がたくさんいろんな方からご指摘がありましたけれども、私も全く同感ですし、それから、「里山」という言葉が出るたびに、里山の説明が長々と書いてあるんですね。その説明が場所によって違っているわけです。これは整理をしていただく必要があると思いますし、そんなに何度も繰り返して里山の説明をする必要はないと思うんですね。その辺の整理が必要だなというふうに思いました。
 以上です。

【熊谷委員長】 はい。ありがとうございました。
 では、引き続いて桜井委員、お願いをいたします。

【桜井委員】 まず、海洋生態系というのは、まさに生物多様性がなければ成立しない場所でして、なおかつ、漁業というのは、いわゆる攪乱要因という言葉も使われるくらい、多様性の中の生物を持続的に利用するというのが漁業なわけです。今回非常に海の部分が記載されたということで、それは非常にいいと思うんですが、やはりここでちょっと、沿岸と海洋域というイメージが、何か皆さん混同されているという感じがしまして、ちょっと簡単に言いますと、海岸線とか干潟というのは、どちらかというと里海なんですね、陸で言いますと。それから、沿岸というのは中間地域でして、沖合域は奥山なんですね。ですから、それを全部同じ土俵で議論しちゃうと、全部が入っていますので、非常に論理性がまずいと。
 例えば49ページに書いたグランドデザインのところもそうですし、61ページでしたか、63ページのところもそうですけども、例えば「順応的管理」という言葉がありますけれども、これは沿岸で漁業をされているところで非常に人がかかっているところ、そうするとこういう言葉を使いますけど、じゃあ、沖に行った外洋域の奥山のようなところでは、これはむしろ生態系をベースとした管理になるんですね。生態系を保全しながら、そこを利用する。だから、一つずつ見ていきますと、もう少し組み立てを整理されなければだめかなという気がしています。
 私は今、直接自分一人で言えませんので、できれば、先ほど鷲谷委員が言われたみたいに、これに関連する学会が実はたくさんあるんですね。日本水産学会とか日本海洋学会、それから水産海洋学会、それからあと、生物多様性に関しては、魚類学会とかベントス学会とかありますので、こういったところの意見を少し取り入れられると、もう少し整理できるかなということで、パブリックコメントを得る段階では、こういった学会にも声をかけていただきたいというのが希望です。
 以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。具体的なご提案もいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、速水委員、佐藤委員、そして森戸委員の順でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【速水委員】 ありがとうございます。
 先ほどから里地里山の話でいろいろ意見が出ているんですけど、以前から私、里山は人工林全体を含めるものですねというふうに常に確認をとってきたんですけど、そこをやはりきれいに整理をしておかないと、例えば46ページの真ん中ほどのところに、里山の説明をしながら、もう一個「人工林は、」というふうに入れてあるわけですね。そうすると、人工林は別なのかというとらえ方もある。多分、本来の里山って、人間が生活のために山を利用してきた部分が里山であって、俗に言う人工林というのは、そこも一部含んでいるんだけど、やっぱり木材生産を中心として管理してきた森林が人工林であって、余り使われていない奥山があるというふうな、ゾーンで分ければそういう3つのゾーンに分けられると一番当たり前だなというふうに我々は思うんですけど、しかし、里山が人工林を含めてすべてを含んでしまっているというふうな、奥地まで全部、奥地の手前まで含んでしまったというふうなとらえ方をしていますので、その辺をともかく言葉としてきれいに整理していかないと。多分、農林水産省も結構混同して、里地里山って最近の言葉なので、ぐちゃぐちゃになっているんだろうと思っていますので、ともかく里地里山をきれいに整理するということが大事だと思っております。
 それからもう一つ、何度か話として出ているんですけど、日本の消費活動が海外の生物多様性の中でどういう位置づけがあるんだというところが余りしっかり書かれていないなというふうに思うんですけど、個別では結構書いてあるんですよね。たくさん出てきている。例えば12ページを読みますと、この辺が最初のところで出てきているんですけど、一番最後の行のところに、ここでも「木材等の資源の多くを輸入するわが国としては、窒素循環等……」と書いてあって、「国際的な視野に立って自然環境や資源の持続的な利用の実現に努力する必要があります」というふうに書いてあるんですけど、それぞれ、何ていうんでしょうかね、海外の生物多様性に対して人ごとのようなとらえ方があちこち出ているんですよね。唯一、先ほど浜本委員が指摘したエビとマングローブのところだけが少し主体的にとらえられている。
 多分私は、グローバル化の話も、25ページかな、どこかに出ているんですけど、グローバル化のマイナス外部経済みたいなところが、多分、諸外国の生物多様性の犠牲の上に立った消費というのが日本国内の一部にあるというふうなとらえ方をしていないと、消費者としてわからないんではないかというふうに思うんですよ。知識のなさの怖さみたいなところがあって、さまざまな海外での生物多様性が破壊されていく過程で、現場に行けば、これはまずいなと思うような形のものが、海外だからわからずに我々が消費してしまっている。そういうところはもう少し、グローバルの外部不経済みたいなとらえ方でしっかりと書いておかなきゃいけないんだろうというふうに思うんですね。例えば国内にとっても、外来種なんかでも一部そういうところが、グローバル化のマイナス経済みたいなところが出てきていると思うんですね。マイナス外部経済ですかね、はっきり言えば。それをしっかり書かないと、よく理解できないんではないかなというふうに思っています。
 だから、海外の生物多様性の営みを利用しているというふうなとらえ方じゃなくて、他国の生物多様性の犠牲の上に成り立っている消費がある、と。全部じゃないですけどね。その辺はしっかり書いて、じゃあ、それを注意して直していこうではないかというふうなところがないと、例えばCOP10だとか、今度の洞爺湖のサミットだとか、そういう部分の言及をしようと思うならば、やっぱりそこは抜かしてはならないだろう。よりはっきりと、しっかりと、そういう意識づけのところは出しておく方がいいと思います。
 以上です。

【熊谷委員長】 はい。ありがとうございました。
 佐藤委員、お願いをいたします。

【佐藤委員】 3点あります。
 まず最初は、「いきものにぎわいの国づくり」というので、さっきちょっとご説明で、環の国のときに出てきた言葉だということだったんですけど、これを聞いたときに、生物多様性とは若干違うニュアンスがあるんじゃないかというふうに、たくさん動物がいればいいということではなくて、もっとバランスの問題があって、それが生物多様性ということなので、この言葉を目標として目指してしまっていいのかなという、これは素朴な疑問です。素朴な疑問をまず思いました。
 それから、第2点なんですけれども、10ページのところの「生物多様性の恵み」のところに、「ミレニアム生態系評価」と「生態系サービスの状況」というこの2つの言葉でここが説明されているのですが、これは多分、海外においてもこういうことが大事だということを言いたいんだというのはわかるんですけど、最初にここで入ると、そこから全然理解できなくなって、「いのちと暮らしを支える生物多様性」の方は非常にわかりやすいのに、逆には入り口がすごく難しくなってしまっているので、ちょっと表現の仕方だと思いますけれども、そこ少し考えていただいたらいいと思います。
 それから、52ページの「連携と協働」のところで人材育成のことを書いてあります。専門家のことを書いてありますが、この場合、純粋な専門家ということだけでいいのかということなんですね。今回は人の暮らしと非常に密接なかかわりでいろんなことを説こうとしていらっしゃるときに、やっぱり、まちづくりだとか、暮らしだとか、そういうものとどういうふうに絡んでいくのかという新しいタイプの専門家というんでしょうかね、本当の意味でインタープリテーションができるような人たちがいないとうまくいかないんじゃないかと思うので、ここはやっぱりもうちょっと膨らませて書けるんじゃないかと。
 それに関連してなんですけど、さっき、千葉県とかでいろんなのがあるという話がありましたけど、たまたまちょっと公務員の都道府県の公募の募集状況を見ていたら、林業とか農業とか獣医さんはあるんですけど、生物とか、環境でもこういう生態系みたいな募集が余りないなということにちょっと気がついたんですね。やっぱり、その辺も含めてもう少し広く人材をちゃんと行き渡らせていく、そういう考え方も必要なのではないかと思いました。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、森戸委員、お願いいたします。

【森戸委員】 ありがとうございます。最初に、これが大変よく改良されているということはもう重々承知しております。だから、当事者の苦労を考えますと、これ以上注文つけたくないという気もするんですけども、もう一踏ん張りしてほしいというつもりで申し上げます。
 というのは、先ほど最初に言いましたけど、グランドデザインというのは、これから地方公共団体とかがよりどころにする上で非常に大事な一つの特色だから、ぜひここは一踏ん張りしてほしいんです。いまここに出ているグランドデザインは、これは言葉としては不適切だと思いますよね。これは望ましい姿のイメージくらいで、別にグランドデザインという言葉では通常は理解されないタイプの内容だと思います。
 じゃあ、グランドデザインとは何かというと、これは簡単に言えば、僕は、デザインですから、意思を持った骨太の方針だと思いますよ。子どもがたくましく日焼けしているとか、これはいいんだけども、できれば、やっぱり指針になるような骨太の筋を出してほしい。そうすれば本来のグランドデザインになると思っているんです。
 そのときに、まず、日本列島の、日本の国土の地域を生物多様性ではこういうふうに区分するんだ、見ていくんだというのをまず最初に入れてほしいんですよ。突然、奥山地域とかが入るんじゃなくて、こういう構造になっているんだと、できれば図解が欲しいくらいなんです。そういう構造で生物多様性を見ると、通常とはまた違うこういう像が見えるんだ。その中身として、奥山はこういう地域のことなんだよというふうに書いてほしいのが1つですね。
 時間がありませんからあまり言いませんが、例えば里地里山というのは、これは戦略的に重要だと位置づけるならば、そこで位置づけてほしいんですよね。イニシアティブといって打ち出すくらいなら、ここがこういう理由で──ほかのところには書いてありますから、そういう重要性みたいなことを指摘するのはそこで出してほしい。それで、個別に入ったときに、例えばコウノトリが青空に飛んでいるというのも、これも生き生きしていていいですけども、例えば今問題になっているのは、前の方で出ている鳥獣とのあつれきですよ。例えば農林業が放棄されているのは、昔は高齢化と、それから後継者難なんていうのが大分出ていたけど、最近は、鳥獣被害です。もう、やっていられないよといってだんだんやめていく主要因になっているわけですね、そういう撤退する。そうすると、生物多様性的に言えば、生物と、生きものと人間の境界領域みたいなのが今微妙になっているので、グランドデザインとしてはどういう方向にするのか。今までの人と野生生物のテリトリーを仕切り直しするなら、仕切り直しするんだと。ただ里山に人を入れて、都会の人とかいろんな人も入れて二次林を守るとか、そういう話だけじゃもう限界だということはみんなわかっているわけですから、それならいっそのこともう仕切り直して、この地域は動物に返すなら返すというような、そういう筋を出してもらった方が、通常の現場にいる人たちには指針になるんですよね。
 ほかにも、海洋でももちろんあると思います。だから、断片的なイメージでグランドデザインを語るのではなくて、骨太の方針、意思としてグランドデザインを語ってほしいと。なかなか大変でしょうけども、暑い中、一踏ん張りしていただきたいということです。
 以上です。

【熊谷委員長】 はい。ありがとうございました。
 それでは、土野委員、それから川名委員、そして鷲谷委員とお願いします。

【土野委員】 すみません。今、鳥獣害のことがお話に出たんですけれども、私どもの地域は合併市町村9つございまして、92.5%が山林、山岳という地域で、日本一広い都市なんですけれども、その合併地域を、ちょうどきのうまで1週間かけて回っておりました。地域の方々といろんな意見を交わした中で、どの地域からも異口同音に出たのが獣害の問題でございました。私どもの地域では、サルとイノシシの被害が非常に大きくて、特に限界集落に近いところでは、獣害のために農業を放棄せざるを得ないというふうな状況が出ておりまして、非常に困った状況になっております。極端な方は、自衛隊を連れてきて、ともかくサルとかイノシシを全部殺してくれというようなことまで言われるわけでありまして、ここの問題とはちょっと矛盾する問題ではあるんですけども、この中で書いておられることを見ますと、やはり、野生鳥獣が人里に出てきにくい地域づくりを推進することが重要ですとか、人材を、担い手をつくらなきゃいかんというようなことは書いてあるんですけど、この程度では、実態問題として、ほとんど農業をやっておられる方は理解できない、賛成できないんじゃないかと思うんですね。
 ですから、第2部の方で少し具体論を書いて、農水省あたりで書いていただけるのかもわかりませんけれども、その辺のことも、ちょっと矛盾することではありますけれども、ぜひ取り上げていただいて、実際に農業をやっておられて困っておられる方に対して理解が行き届くような方法をぜひお示しいただきたいなと、こんなふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

【熊谷委員長】 はい。ありがとうございました。
 それでは、川名委員、お願いいたします。

【川名委員】 はい。非常に力作だと思うんですけれど、ちょっと違和感を覚えたところを二、三言わせていただきます。
 21ページのところの2の温暖化による生物多様性の変化を通じた人間生活への影響、ここのところはちょっと何か、非常に、読んでいても全体として理解できないところなので。前、最初にいただいたところよりもちょっと修正してあって、それは例えば第一次産業がただの産業になっていたりして、少し直っているんですけど、もうちょっと言葉をきちんと使って、それからその後の説明もきちんと、食料だったら食料生産に関するものを整理し、それから、これは産業は農業と漁業のことですので、それをきちんとするとか、健康といっても範囲が過ぎるので、健康管理とか健康保全という言葉に対しても、それに対してどれがそれに当たるのかきちんと整理してほしいと思います。特に温暖化についてはここら辺がメーンになると思うので、整理していただきたいと思います。
 それからもう一つは、51ページ。前回の新・国家戦略のところでもあったので、今言うのはおかしいかもしれませんけども、ここのところは、目次で見ますと「基本的視点」と「基本戦略」があるんですが、この「基本的視点」というのが、全体の流れからいうと何かちょっと違和感を覚える。それまでは全部内容のことを言っていたんですけど、急にここで手法のことを言っていると思うんですね。視点と戦略を並べたときに、これ、同列じゃなくて、戦略の中の一つの視点、基本的手法の視点とかという形でした方がいいんじゃないか。
 あと幾つかあったんですけど、皆さん言われたので、2点だけにします。
 以上です。

【熊谷委員長】 はい。ありがとうございました。
 それでは、鷲谷委員、お願いいたします。

【鷲谷委員】 グランドデザインというところに関しては、もう幾つかご意見が出ているんですけれども、100年後の将来像というのを描くのはかなり難しいことだと思うんですね。今の時点で100年前を考えると、もちろん、100年前に予想したことで、科学技術の発展などに関しては、一部は実現したこともあれば、全くそうではなかったこともあって、なかなか想像力だけで100年後を描く、それから前提とすることも、この2つだけを前提にして100年後を描くことには無理があるような印象なんですね。
 それで、描かれている内容を、先ほどもどなたかがおっしゃいましたけど、20年とか30年後の、まあ、せいぜい50年、人間の世代でいって2世代先ぐらいのこと、今こういうことがしっかり進んでいったら、孫の時代にはこんなになるかなというぐらいは現実的な面もあると思いますし、それから、書き方としても、恐らく、40年とか50年後だったら、この5年間に何ができて、その次の10年間にそれの延長上にどんなことができれば、こうなるんではないかということが書けるんじゃないかというふうに思うんですけど。
 100年って区切りがいいので、いろんなときに100年という言葉が使われて、私もちょっと無理して、100年後の生態系という文章を書かされて困ったことがあるんですけど、それは仕方がないので、シナリオを2つぐらいつくって、対比させてみたんですけれども、ここではもう少し現実的に、今何すべきかを整理できるようにするための将来のイメージの提示にした方がよいのではないか。やっぱり100年にこだわる必要があるでしょうかというのが1つです。
 それから、少し離れるんですけれど、関連もあるんですが、5節に「生物多様性の保全の状況」ということで、制度の概要とか、あと地域指定制度の概要等が整理してあるんですが、それに関してどういう点が足りないので、何を今始めるというところが、もしかしたらアクションプランの方に書いてあるかもしれないんですけれども、そのあたりが余り、すぐ、かなり遠い将来像になってしまうので、そこのところが見えてこないような気がするんですよね。最近では、指標とか数値の目標などについても、必要性については、行政におけるですね、重視されているところだとも思う。何か、例えば保護の網のかかっている地域の面積を10年後に2割にするために頑張るとか、2割が適切かどうかわかりませんけど、あるいは、森林の中で保護とか、そういう生物多様性の観点からの管理が可能な面積をどのぐらいにしたいとか、そういうようなこともあると、難しいのかもしれませんけれども、ほかの省庁との調整とかで大変ご苦労があるのかもしれませんが、ここ5年間、10年間でこれだけのことをして自然共生社会の土台をしっかりつくると、50年後ぐらいにはこんなふうになっているんじゃないかということだとわかりやすいような気がします。
 以上です。

【熊谷委員長】 はい。ありがとうございました。
 進行役の私の方のタイムキーパーが不適切でしたので、時間が押してしまいましたのですが、まだ本日の議題としては、第2部の行動計画についてもご説明をして、ご意見をいただくということになっておりますので、一応第1部についてはこれで議論を中止させていただいて、第2部の方の行動計画をざっとご説明いただいて、それについてまたちょっと議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 第2部の方は、冒頭申し上げましたようにまだ調整中ということもありますので、ごく簡単に触れたいと思います。
 資料2の「目次」にありますように、行動計画としての2部は、各省の個別具体的な施策を体系的に網羅したものとなっております。2部だけで180ページ以上と大部でありまして、調整中でもありますので、ここでは、例示として2つ程度の節について具体的な施策の例を中心に、ごく簡単に紹介したいと思います。
 まず、形としては、各節で共通のフォーマットを設定をしておりまして、最初の5ページ、「生態系ネットワーク」のところでその形を見ていただくと、まずその節全体の基本的考え方として、必要ですとか基本的視点などを書いた上で、次いで、ここでいいますと、1の「生態系ネットワーク形成の推進」のところで施策の概要を書いて、その下のレベル、ここではその次のページの1.1「生態系ネットワークの形成」ですけども、そこのところで現状と課題を記述し、その次に、具体的施策として、今後進めていく個々の取り組みを書いて、その後に括弧で実施主体としての各省の名前を入れているというような状況です。
 それから、具体的な取り組みのところに数値目標もできるだけ入れたいというふうにお話もしていたんですけども、公共事業関係の長期計画である社会資本重点整備計画が今ちょうど改定に向けた作業中と。そういうようなこともあって、なかなか具体的な数字が入りにくいということで、全体的にはごく限られたところにしか数字が入っていないという状況でございます。
 具体的な例として、一つは野生生物のところを見ていただきたいと思います。ページで言うと112ページ。その前111ページに、野生生物の保護と管理に関する基本的な考え方を書いた上で、それぞれの施策ごとに取り組みを書いているわけですけども、具体的施策のところでいいますと、まず1.1の「レッドリスト」のところ、ここでは、具体的施策の1番目として、昨年末からことしにかけて全分野の改訂をいたしましたけれども、これをまた5年後の24年ごろを目標に見直していくということを書いております。
 それから、次の1.2の希少種関係では、次のページですが、113ページ、具体的施策の2つ目として、絶滅のおそれのある固有種について、生息状況の総合点検を行うこと。特に島嶼や里地里山に重点を置くこと。また、現行の38種の保護増殖事業計画についてもレビューするということを掲げております。
 それから、次の114ページ、上から3つ目の丸ですけども、第1部で触れました多様性の総合評価で抽出をする生物多様性のホットスポットというのは、野生生物の重要な生息地でもあるので、いろんな手法を組み合わせて、多くの主体と連携して、その保全と回復に努めるということを書いております。
 それから、その次の1.3の「生息域外保全」。これは、絶滅の危険性が極めて高く、本来の生息地での保全だけでは存続が難しいとされる種について、飼育下での繁殖などを進めておりますけども、これについて、115ページで具体的施策を書いていますが、2つ目から3つ目の丸にかけて、トキでは20年度試験放鳥、27年ごろには60羽の定着、それから、ツシマヤマネコでは22年度に野生復帰に向けた訓練を開始すること、次のヤンバルクイナでは20年度の飼育下繁殖、いわゆる人工繁殖の開始をするといったような形で、それぞれの段階に応じた具体的な目標を掲げております。
 それから、次の2の「野生鳥獣の保護管理」の関係で、2.4、ページで言うと120ページですけども、120ページの「具体的施策」の一番上、人との軋轢が問題となっている鳥獣関係で、データ整備が大きな課題となっているわけですけども、この具体施策の1番目では、特にシカ、クマなどの野生動物について、速報性を重視して、全国的な個体数推定や年による変動に関するデータ整備を重点的に進めるというふうに書いております。
 それから、外来種関係では、3.1、123ページが外来種で、その次の124ページに具体的施策を書いておりますけれども、その2つ目では、奄美のマングースについて、26年度を目標に排除、つまり根絶を目指すということを年次目標として入れております。
 それから、もう一つの例として、「普及と実践」にちょっと触れてみたいと思いますけども、2章の3節、ページで言うと143ページが「普及と実践」のページでございます。次の144ページに普及広報と国民的参画の具体的施策を幾つか並べておりますけども、ここに並べたようなことを進めていくこととしまして、これ全体をCOP10に向けた「いきものにぎわいプロジェクト」というふうに呼んで推進をしていこうということで、中身としては、広報の推進ですとか、第1部でも触れました地方版戦略の手引づくりとか、企業活動ガイドラインの策定、市民参加型調査の実施、そういうものを総体として推進をしていこうということで書いております。
 それから、次の145ページ、2の「経済的措置」では、2.1の具体的施策として、鳥獣とのあつれき、外来種問題、生態系ネットワークの要となる地域の保全・再生などを例示しまして、国土の生物多様性保全のためにそれぞれの地域が主体的に行う取組を積極的に支援する方策について検討していくということを入れております。
 それから、152ページに飛びますけども、先ほど来話が出ています教育・学習の関係です。152ページの「教育・学習」の柱書きの最初にありますように、昨年12月に教育基本法が改正されて、教育の目標の5つのうちの1つとして、「生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと」というのが明記をされました。その下の4.1「学校教育」の「現状と課題」の最後には、その教育基本法の改正の趣旨も踏まえて、学校教育における環境教育、これには生物多様性も含まれるわけですが、その充実に努めるということが入っております。学習指導要領自体は今まさに見直しが行われているというふうに聞いておりますので、現時点で153ページの具体的施策の中に生きものとか自然というのが明示されているわけではありませんけども、幅広い環境という表記の中に含まれた形になっております。
 それから、4.2は学校外での取組ということで、各省連携の具体例の1つとして、次の154ページの具体的施策の上から5つ目の丸ですけども、子ども達の農山漁村での宿泊体験について、農水、文科、国交、環境の4省が連携して全国の体制整備を行うということを書いております。これには、「いのち」を大切にする心ですとか、自然との共生に対する理解といったことの促進が入っております。
 時間も限られておりますので、以上の形を見ていただくということで、調整中のものですから、ごく一部を紹介をいたしました。
 2部の執筆に当たっては、各省に共通するフォーマットを示して、分担ですとか、複数省庁が関係する場合には、取りまとめ省庁を決めて執筆を進めました。環境省全体で全体の取りまとめを行いながら、こういう点も入らないかとか、多様性との関係がわかるようにといったようなやりとりをしながら、現在まさに作業を進めているところであります。そういう意味で、全体的にまだまだ調整中でありますけども、本日いただいたご意見も踏まえて、次回9月6日に向けて案を固める作業を引き続き進めていきたいというふうに思っています。

【熊谷委員長】 はい。ありがとうございました。
 第2部のアクションプランといいますか行動計画について、まだ5分ほど時間が残っておりますので、ご意見がございましたらちょうだいしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 はい。和里田委員、お願いをいたします。

【和里田委員】 事前にいただいたので目を通して、ちょっと気がついたところで2点だけ申し上げたいんですが、1点は、43ページの「『美しい森林づくりの推進国民運動』の推進」ですけども、この出だしのところに「『美しい国創り』の礎となる」という書き方がしてありますけども、この計画はこれから5年以上もたそうという計画ですので、時の内閣におもねたような表現はやめておいた方がいいんじゃないかというふうに思います。
 それから、145ページ、先ほどご紹介いただきました経済的措置の件のところなんですが、基金等による助成のところで、たしか環境省さんの所管で社団法人のゴルファー緑化促進協力会というのがあって、そこでゴルファー緑化協力金というのを協力基金として扱っておられると思うんですけど、この10年ほどの景気の悪い中では、相当のゴルフ場がこれから脱退をしたりしたことがございました。これは、ゴルファーが50円、たしかプレー費の一部として払って、そしてこの協力会に集まって、そして、当初はゴルフ場の免罪符としての緑化に使うということだったのかと思いますけども、もうこれほど生物多様性その他ということで国策としてもなってきている時期ですから、むしろそういうものを強化して、環境省さんとしてもっと有効活用していかれることを考えていかれる時期じゃないかなというふうに思います。
 これはたしか経済界の重鎮の方が相当中心的なお立場に入ったりして動いているものかと思いますので、そういう形で、もう免罪符にゴルファーが緑化に金を出すというんじゃなくて、生物多様性を含めた自然環境保護のためにお金を出していくというようなことを全国のゴルフ場が協力しながら、ゴルファーから集めていくということもあってもいいんじゃないかと思います。
 さらには、そろそろ、先ほどからも基金も民間企業はどうのこうのだとか、人任せみたいな形になっていますけども、年末に赤十字の募金、NHKの募金ですとか、大概、皆さん郵便局で振り込んでおられる方おられると思うんですけども、そろそろ国民がそういう形で、こういう国土を守るという大事なことにみずからのお財布を開くということも方向づけしていく時期じゃないかというふうに思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。磯部委員、お願いいたします。

【磯部委員】 すみません、1つだけ。内湾の赤潮とか貧酸素水塊とかという水質の水環境の問題が出ているのですが、基本的には、人口密度が高いところだと、自然の水質浄化能力に任せておいては、やはりとても足りないというふうに私は思います。多分客観的にそうだと思います。そういう意味で、下水処理とかということを含めて、人間活動から出てくる汚濁負荷を減らすというものがないといけないんだけれども、第1部に書いてある部分というのは、自然を大事にしよう、それから自然と共生しようというところまでは書いてあるんですけども、今のような側面は多分なかったような気がしまして、それで第2部になると、いきなり、下水道で何か処理をしますというのが書いてあるので、それの前置きになるようなことをどこかに入れておいた方がいいんじゃないかというふうに思いました。

【熊谷委員長】 はい。ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。まだいろいろとご意見がおありかとは存じますが、時間も限られておりますので、このあたりで本日の議論は終了させていただきたいと思います。
 なお、本日言い残したご意見等多分ございますと思いますので、今週中、8月24日の金曜までに、ございましたら、ご遠慮なく事務局までご提出をお願いしたいと思います。
 本日の素案に対する議論と後日提出いただきました意見を十分に踏まえまして、事務局で、2週間後の小委員会に向けて、第三次戦略案の取りまとめを行っていただきたいと思います。
 なお、次回9月6日の小委員会は最終回でございますので、この小委員会としての第三次戦略案を固めていただきたいというふうに思っております。
 なお、本小委員会の運営方針に基づきまして、本日配付の資料、議事録は公開することになっておりますので、ご承知おきをいただきたいと思います。
 それでは、以上をもちまして本日の第5回小委員会を閉会といたします。本日はどうもありがとうございました。
 事務局にお返しいたしますので、連絡事項等ございましたら、よろしくお願いをいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 長時間にわたりましてたくさんの意見をいただきまして、ありがとうございました。
 次回9月6日の3時から環境省の会議室ということで予定をしております。きょういただいた意見を踏まえて、各省とも一緒に共同でさらにバージョンアップする作業をしていきたいと思っています。たくさん意見をいただいたグランドデザイン、さらに力強いものにするようにということですとか、目標の設定の部分、それから、全体的にわかりやすさを増していくというようなことですとか、いただいた意見をできるだけ反映できるように、各省とも協議をし、相談をしながら作業を進めて、9月6日の小委員会までに案を用意していければと思っております。
 座長からもご紹介いただきましたように、今週中に、追加のご意見等ありましたら事務局に送っていただければと思いますし、こちらからまた個別にご相談するようなことも考えたいと思っています。
 それから、学会等からのいろんな提案ということについて、桜井委員からもお話がありました。パブリックコメントを1カ月間ぐらい行います。既に幾つかの学会からは、戦略の改定に向けて意見をいただいたこともあるんですけれども、パブリックコメントの過程でも、いろんな学会にこちらからも呼びかけをして、ご意見や提案を出してもらうことで、さらに中身をバージョンアップするようなことにつなげていきたいなと思っておりますので、その辺でもいろいろ委員の皆さんのご協力をお願いしていきたいと思います。

 そういうことで、きょうは長時間にわたりまして大変ありがとうございました。次回9月6日、またお世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

(以上)