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■議事録一覧■

平成19年度 中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第5回)
議事要旨


1.日時

平成19年8月22日(水)14:00〜17:00

2.場所

経済産業省別館1028会議室

3.出席者

(委員長)
熊谷洋一
(委員)
石坂匡身、磯部雅彦、大久保尚武、岡島成行、川名英子、桜井泰憲、佐藤友美子、鹿野久男、高橋佳孝、土野守、中道宏、服部明世、浜本奈鼓、速水亨、三浦愼悟、森戸哲、山岸哲、鷲谷いづみ、和里田義雄
(五十音順、敬称略)
(事務局)
環境省:
地球環境審議官、自然環境局長、大臣官房審議官(自然環境担当)、自然環境局総務課長、自然環境計画課長、国立公園課長、自然環境整備担当参事官、生物多様性地球戦略企画室長、鳥獣保護業務室長、外来生物対策室長、生物多様性センター長ほか

4.議事要旨

第三次生物多様性国家戦略素案(事務局案)について検討した。

○「資料1 第三次生物多様性国家戦略素案 第1部」について
  • グランドデザインの記載について、100年後を見据えたものとのことだが、2020〜2030年くらいのイメージという印象を受ける。グランドデザインと現状を繋ぐ道筋が戦略や行動計画であると説明しておく必要がある。

→前回の戦略を受けて始まった自然再生事業の成果などにより、森林や湿地の再生がすすみ、今までに失われた生態系が回復するまで長期間を要することを考慮すると、100年程度ではないかという考えで記述した。

  • 基本戦略で、地球規模の視野を持って行動するとあるが、前の方で日本人の暮らしと世界の生物多様性とのつながりについてもう少し詳しく書いたうえで記載するべき。
  • 日本学術会議においても生物多様性国家戦略の改定に向けて学術分野からの提案を考えている。パブリックコメントの頃に提案できるのではないかと思う。
  • 温暖化の緩和策と適応策について述べることは重要。例えば、セルロース由来のエタノールに注目して、水辺や里山のバイオマスの利用を考えると、緑の油田として、保全活動が経済的な意味も併せ持つこととなり、温暖化対策と生物多様性保全のシナジー効果が期待できるのではないかと考えている。
  • 科学的なデータと分析評価に基づいて、生物多様性保全に関わる政策を作ることが重要であり、総合評価やモニタリングが記述されているが、総合評価をするにあたっては観測技術の進歩なども考え、科学技術分野とも強く連携することが重要。
  • とても良いことが記載されているが、まだこのままでは内容が難しいと感じる。生物学用語や官庁用語の見直しや注釈をつけるなど、誰でも分かるように工夫するべき。30%、40%、の人が戦略を分かるようにするための仕組みとして、体験活動や学校教育における位置づけをきちっとして、一般的な人にも橋渡しをする必要がある。また、3章及び4章については、生物多様性からみた100年後の目標と、基本戦略との関係を示すことをすればよいのではないか。また、人材育成とか国としてやっていかなければならない基盤整備をきちっと書けないか。ちゃんとした英語で外国人に説明できるインタープリターも非常に少ない。

→指摘のとおり難しい言葉などについては表記方法について工夫を検討する。また、第2部に具体的な施策を示すこととしているが、第1部でも具体化への道筋が分かるように検討する。

  • 今回の素案では第1部第1章などに、なぜ生物多様性が重要なのかということがよく分かるように記載されており、格段にわかりやすくなっている。また、用語集をつけることも検討してはどうか。
  • 9ページの最後に生物多様性とは「つながり」、「個性」であると定義されているが、第1章第2節及び第3節になぜ生物多様性が大切なのかが書いてあるので、こちら(9ページ)にも記載した方がよいのではないか。
  • 沿岸・海洋域のグランドデザインとあり、干潟の生物でアサリが例示されているが、実際には他の生物が生息しており書ききれない部分がある。このため、グランドデザインというよりは部分的なイメージに近いものであるということをどこかに記載してはどうか。
  • 環境基本計画の生物多様性の部分を充実する形も考えられます。」との記載があるが、生物多様性が環境の柱になるものであることを考慮すればもっと強調して記載するべき。
  • 第2部では繰り返し記載されている箇所がいくつかあるが、再掲の場合はどこに前述してあるかを記載するべき。
  • 大人が子どもに日常的に自然環境のおもしろさや大切さを教えるといったことが難しくなってきており、それをシステマティックにやっていくことがどこかに書けるとよい。
  • 生物多様性に関する科学的知見の不足と、生物多様性の意義・価値が浸透していないということは重要な課題であり、このことに関する記述を充実してはどうか。
  • 里地里山等中間地域とか田園地域・里地里山とかいくつか同じような語句が出てくるが、用語を統一した方がよい。
  • 21ページに地球温暖化に伴ってどのような現象が起き生態系に影響を及ぼしているかということが記載されているが、こういった現象をもう少し敏感に収集する必要があるのではないか。例えば高山草原の変化や駒井卓先生が1950年代に研究したテントウムシの斑紋型の変化などもっといろいろなことを記載するべきではないか。
  • 指標として生態系サービスといった、ミレニアム生態系評価の考えを取り入れ、ホットスポットの選定により評価を行っていくとのことだが、これはぜひやっていただきたい。また、COP5でエコシステムアプローチという提案があったので、この成果をぜひ取り入れてほしい。
  • 世界とつながる日本の生物多様性ということでいくつか記述があるが、ボン条約への対応について記述していただきたいと思う。
  • 生物多様性国家戦略が浸透しない理由として、教育や広告が不十分であるとの指摘があるが、それよりも学者の当事者意識にあると考えている。学者の中で生物多様性が重要であるということを広める必要があるのではないか。
  • 分かりにくい語句については、略称やカタカナ語は日本語を先に書いて括弧書きで略称やカタカナ語、もしくは説明を追加する形の方がよいと思う。
  • 世界の生物多様性に影響を与えているということが記載されているが、日本がどうするべきかをしっかり書くべき。
  • 教育の問題について、学校以外の家庭や地域での取組が強調してあり、学校でも授業が終わった後の放課後の取組を強調して書いてあるが、生物や地学という科目を学校教育で学ばなくなってきたことが問題である。学校教育での取組を充実させるという国家戦略で位置づけがあれば文部科学省も対応しやすいのではないか。
  • 外来種についての記載が、国立公園・国定公園やラムサール条約湿地でのことか、哺乳類の例でしかない。農水省や国交省が関わる一般的な内水面で最も深刻な問題となっているオオクチバスについては1箇所しか記載がない。また、カエルツボカビについては調査をする必要があると記載されているが、国民の意識を向けるためにも、もう少し強く記載しても良いと思う。
  • 全体の骨組みの一番の柱はSATOYAMAイニシアティブに出てくる「自然と共生する社会」だという印象を受けた。これによって、今後どのように農林水産業を展開していくかというのが規定されるのだと思う。しかし第2部で農林水産省等から出されているものは、こういう循環に組み込まれないテーマが多いと感じる。これから折衝するにあたって、こういう理念を前面に押し出して欲しい。
  • 草地、氾濫原といった地域についてあまり記載がない。草地を例に挙げると、日本の国土は放っておけば草が生えるため、草地は昔からバイオマスとしての草の利用と、里地と奥山を隔てるバッファーゾーンとしての役割を担っていた。子ども達が虫とりをして元気に遊んでいるような原っぱは、グランドデザインとしてふさわしくはないか。
  • 今までの小委員会で出た意見を反映して、前文及び1章については格調高く書いてあると思う。
  • 島嶼の生態系についての記述がほとんどない。日本において生物多様性が危機に瀕しているのは小笠原などの島嶼であり、記述をする必要がある。
  • 海の保全についてはもっと記載するべきではないか。自然公園法の海中公園地区で保全策が図られている海の生態系は藻場とサンゴ礁くらいでしかなく、もっといろんな生態系の保全が書かれてよい。
  • 二次林を自然林に推移させるとの記述はよいが、数値目標を検討いただきたい。「奥山には外来種がいない」ということをグランドデザインとして描いて欲しい。
  • 里地里山の中に二次林のことが書かれていて分かりにくい。また、森林のところで二次林を書くべきではないか。
  • 生物多様性を社会に浸透させるとあるが、現在、生物多様性は危機的状況にあり、マナーの悪さや誤った行動を避けるための危機意識に基づいたPRや指導が重要だと思う。
  • 48ページの河川・湿原等のグランドデザインについて、「アユの遡上が回復」といった記述ではさみしい。もっと魅力的な将来像を記載することはできないか。
  • 41ページの3つの目標を論理的に読むと、1が他の2つをカバーしている。また、今の戦略には3つの方向というのがあったがなくなってしまっており、目標の並べ方と方向の問題をもう一度再考して整理する必要があるのではないか。
  • グランドデザインというのがあるべき姿なのか、目指す姿なのかが分からないため、戦略と100年とのつながりが見えてこない。
  • 「いきものにぎわい」という言葉がよく出てくるが、これが説明無しに出てくるので、内容が分からない。中身の説明を記載するべき。
  • 里山という言葉が出てくるたびに、長い説明が出てくる。しかも毎回説明内容が異なるのでわかりにくい。
  • 海洋生態系というのは生物多様性によって成り立っており、また、漁業については攪乱要因といわれるくらい多様性の中の生物を持続的に利用するものである。海の記載については、沿岸と海洋域が混同されている。人の手が入っている沿岸域と生態系をベースとした管理となる海洋域を同じように検討するのは難しい。また、パブリックコメントの際には、各種学会の意見を聴取するべきである。
  • 里地里山に関する記載の中に、人工林の記述が入っており、混同している部分もあると思うので里地里山という言葉を整理することが大事。
  • 日本の消費活動が海外の生物多様性の中でどのような位置づけかということについて、あまり主体的に記載がされていない。一部の消費については諸外国の生物多様性の犠牲の上に成り立っているというとらえ方で記載が必要ではないか。
  • 「いきものにぎわいの国づくり」というのは生物多様性とは若干違うニュアンスではないかと感じる。たくさん動物がいればいいのではなくバランスが問題である。
  • 生物多様性の恵みのところに、ミレニアム生態系評価と生態系サービスの状況という2つの言葉で説明がされているが、はじめにこの説明では理解しにくいのではないか。「いのちと暮らしを支える生物多様性」というのはとてもわかりやすいのに、逆に入り口が難しくなりすぎている。表現を検討して欲しい。
  • 連携と協働のところに人材育成のことが記載されているが、純粋な専門家だけの育成で問題ないか疑問である。まちづくりや暮らし等の問題に対応できる新しいタイプの専門家というような人材が必要ではないかと思う。
  • グランドデザインの記述は地方公共団体などが拠り所とすべき重要な部分である。記載されているものでは断片的に望ましい姿を記載したものでしかない。一番はじめに日本の国土全体を見据えてから、各個別地域といった流れで、骨太の方針を出して欲しい。
  • 山間地での鳥獣害は深刻であり、実際に被害を受けている人が納得できるように、もっと具体的な方針を記述して欲しい。
  • 21ページの地球温暖化による生物多様性の変化を通じた人間生活への影響についてはわかりにくい。もう少し整理して記載できないか。また、基本的視点に手法のことが書いてあり違和感がある。
  • グランドデザインについて、100年後の将来像を描くことは難しいと思う。ここ5年、10年の間に自然共生社会の土台をしっかり作ると50年度にはこうなっているということだと分かりやすいような気がする。
○「資料2 第三次生物多様性国家戦略素案 第2部」について
  • 43ページ美しい森林づくり推進国民運動の推進のところに「『美しい国づくり』の礎」との記載があるが、これから5年以上継続する戦略であるため、時の内閣におもねたような表現はやめるべきである。
  • 145ページの経済的措置の部分に、ゴルファー緑化協力金を生物多様性など自然環境保全のために活用するということもあって良いのではないか。さらに国民がこういう国土を守ることに自らお金を出すことも方向付けすべきではないか。
  • 内湾の赤潮や貧酸素水塊ということが記載されてあり、その対策として下水道の整備というのは分かるのだが、第1部にこのようなことの記載がない。唐突なので第1部に前触れのようなことを記載するべき。