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平成19年度 中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第4回)

議事録


1.日時

平成19年7月17日(火)14:00〜17:00

2.場所

経済産業省別館1028会議室

3.出席者

(委員長)
熊谷洋一
(委員)
石坂匡身、川名英子、桜井泰憲、鹿野久男、高橋佳孝、土野守、中静透、中道宏、浜本奈鼓、速水亨、三浦愼悟、森本幸裕、山岸哲、和里田義雄 (五十音順、敬称略)
(事務局)
環境省:
自然環境局長、大臣官房審議官(自然環境担当)、自然環境局総務課長、自然環境計画課長、国立公園課長、野生生物課長、生物多様性地球戦略企画室長、鳥獣保護業務室長、生物多様性センター長ほか
(関係省庁)
農林水産省:大臣官房環境調整課長ほか、
文部科学省、厚生労働省、国土交通省

4.議題

(1)
第三次生物多様性国家戦略 骨子(案)の検討
(2)
その他

5.配付資料

  • 小委員会 座席表
  • 小委員会 名簿
  • 生物多様性国家戦略見直しのスケジュール(案)
資料1 生物多様性国家戦略 構成の比較
資料2 第三次生物多様性国家戦略 骨子(事務局案)
資料3 第一次戦略、第二次戦略のレビュー
資料4 骨子(事務局案)のポイント
資料5 第3回小委員会(各種団体ヒアリング)追加質問事項に対する回答
資料6 農林水産省生物多様性戦略(平成19年7月)
[参考資料]
  • 新・生物多様性国家戦略
  • パンフレット いのちは創れない
  • 生物多様性国家戦略の見直しに関する資料集
  • 中央環境審議会関係法令等

6.議事

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会第4回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。
 なお、7月10日付で事務局に2名異動がございましたので、お知らせいたします。まず、自然環境局長に着任いたしました、桜井局長でございます。

【桜井自然環境局長】 7月10日付で、自然環境局長を拝命いたしました桜井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【事務局】 次に、総務課長に着任いたしました、奥主課長でございます。

【奥主総務課長】 奥主でございます。よろしくお願いいたします。

【事務局】 それでは、本日の審議のためにお手元にお配りしている資料につきまして、議事次第の下にあります配布資料の一覧のとおりとなっておりますので、確認をお願いいたします。それと、委員の皆様のお手元にのみ、参考資料といたしまして、新・生物多様性国家戦略、パンフレット『いのちは創れない』、生物多様性国家戦略の見直しに関する資料集、中央環境審議会関係法令をお配りしてございます。配布漏れがございましたら、事務局にお申しつけください。
 それでは、これよりの議事進行につきましては、熊谷委員長にお願いいたします。
 熊谷委員長、よろしくお願いいたします。

【熊谷委員長】 はい、かしこまりました。
 それでは、ただいまから、第4回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。
 開催に先立ちまして、7月10日付で新しく着任されました桜井局長がお見えでございますので、一言ごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いをいたします。

【桜井自然環境局長】 先ほどもご紹介をいただきましたように、新しく自然環境局長を拝命いたしました。よろしくお願いいたします。
 生物多様性国家戦略、最初にできましてから、もう2回目の見直しということで、この小委員会も、もう既に今回で第4回ということで、本日はもう骨子案までお示しするというところまで来ておるわけでございます。骨子案から肉づけをしていくという段階でございますので、現在の我が国における、その生物多様性の議論の集大成でございますし、また、国際的な動きも反映させつつ、さらに、既にご承知のように、COP10の日本への誘致ということも今進めておるところでございますので、国際的にもこの第2回目の見直しになります生物多様性国家戦略が、日本からある意味世界に発信をしていくという性格を持つべきだろうというふうにも考えております。そういった意味で、いろんなご議論を今までしていただきましたものを踏まえまして、さらに骨子、素案という形での肉づけに向けて、議論をよろしくお願いいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、本日の議題は、第三次生物多様性国家戦略骨子(案)の検討についてでございます。事務局より、内容についてご説明をお願いいたします。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 地球戦略企画室の亀澤でございます。
 資料の説明に入る前に、タブルクリップをとっていただいて、議事次第のついた紙、両面で2枚紙のホチキス留めのものが一番上に乗っていると思いますが、それの一番最後、資料1の手前ということですけれども、スケジュール、これについて触れたいと思います。
 前回以降、日時・場所が確定したものを追加しております。左側のゴシックのところが追加の部分ですけども、第5回が8月22日、14時から17時まで。場所は、本日と同じこの会議室でございます。それから、第6回は9月6日、15時から17時、これは環境省の第1会議室を予定しております。
 スケジュールに関しては、以上でございます。
 続きまして、資料の方を座って失礼いたします。
 まず、資料1、これはA3の横紙でございますけども、大きな構成を見ていただきたいと思います。左側が、第三次戦略の構成の案、右側が現行の戦略でございますが、その構成を比較もしながら説明をしたいと思います。
 まず、大きな構成といたしまして、全体を1部・2部の2部構成として、1部を戦略的な部分、2部を行動計画部分とするということで、よりわかりやすい構成にしたいというふうに考えております。
 第1部の戦略的部分の方ですけども、第1章では、毎年の点検の審議会でも、それから、これまでの小委員会でも、生物多様性とは何か、生物多様性はなぜ重要かということが世の中に浸透していないというご指摘をたびたびいただいております。そういうことも踏まえまして、まず最初に、第1章として、生物多様性の重要性について、身近な暮らしに結びつけて、できるだけわかりやすく説明するところから入りたいというふうに考えております。
 続いて、第2章、現状と課題ですけども、これは現行戦略の第1部で書いたものを基本としながら、それに新しく温暖化と多様性の関係について第2節に追加をしたいというふうに考えております。第2章の3節の危機の背景、こちらは現行の戦略では、現状分析の中の社会経済状況として書いている部分ですが、この部分を危機の背景として、3つの危機に対応する形で整理をしたいというふうに考えております。
 それから、第3章の目標のところですが、まず第1節、目標と評価ということで第一次戦略から引き継いできております三つの目標に加えて、2010年目標ですとか、それに関連して、我が国における生物多様性の総合評価を行うことなどについて書きたいというふうに考えております。それから、第2節の方は、生物多様性から見た国土のグランドデザインということで、現行戦略の第2部・第2章で、国土空間における生物多様性のグランドデザインとして、海藻、海草の間をジュゴンの群れが過ぎていくといったことを書いた部分がございます。これと現行の3部の基本方針の中の第3節、生物多様性から見た国土のとらえ方。こちらでは、地域区分ごとの記述を行った部分がありますが、その二つを統合した形で、新たにグランドデザインとして整理をしたいというふうに考えております。
 それから、第4章、基本方針ですが、まず第1節では、基本的視点、こちらは現行の視点をベースに、少し充実をしたいと考えております。それから、第2節の基本戦略では、今後5年間程度の間に取り組むべき施策の大きな方向性を具体的なたまも交えつつ、書きたいというふうに考えております。これは現行戦略で言うと、第3部第2章の七つの主要テーマに相当する部分かと思います。この基本戦略を踏まえた具体的施策を第2部の行動計画部分でまとめて書きたいというふうに考えております。
 第2部の行動計画部分の方ですが、現行の戦略では、具体的施策というのは、第3部第2章の七つの主要テーマと第4部にまたがっておりましたが、それをまとめて、第2部で行動計画として切り分けられるようにしたいと考えております。行動計画と呼べるように、それぞれの施策の実施主体ですとか、どことどこが連携をするかというようなことですとか、あるいは数値目標も、入れられるものはできるだけ入れたいというふうに考えております。
 それから、第2部の構成は、第1章と第2章に分けておりますけれども、第1章の方は、国土空間的施策として、土地に張りついた施策。その中でも、上半分、第1節から第4節までは、国土全体を通ずるもの、広域的なもの。それから、後段の第5節から9節の方は、地域のそれぞれの空間特性に応じた施策ということで、森から海という順番で書きたいというふうに考えております。
 それから、第2章の方は、横断的・基盤的あるいはソフト的な施策としての野生生物の保護管理や普及・広報、国際的取り組み、情報整備などでございます。
 それから、右側の一番下、現行の戦略の第5部には、戦略の効果的実施として、各主体間の連携や戦略の点検、見直しのことなどが書いてありますけども、これは第三次の戦略では、前文に移したいというふうに考えております。
 資料1は以上でございますけれども、戦略的部分と行動計画部分を分けることで、一般の方々に、少なくとも第1部は最後まで読んでもらえるようにしたいと考えておりますし、第1部だけで戦略の全体的な姿ですとか目指す方向がわかるようにしたいというふうに思っております。また、第2部は、フォーマットをそろえて、実施主体ですとか数値目標を入れることで、毎年の点検のベースとすることができるようにというふうな、実務的な意味もあるかと思います。
 続いて、資料2で骨子の中身についてご説明をいたします。
 資料2、三次戦略骨子(案)と書いたものですが、まず、前文です。生物多様性とは何か、なぜ重要かということが浸透していないということから、本文にももちろん書きますけども、前文の最初にも簡単に、その点に触れた上で、条約と戦略の関係、一次と二次の戦略の簡単なレビュー、三次戦略策定までの経緯、三次戦略の性格――これは先ほど申し上げました行動計画部分を切り分けることですとか、地球規模の視点を加えることなどかと思いますが、そういった現行戦略の前文にあることを書いた上で、先ほど申しましたように、点検と見直しについては現行の戦略の第5部から前文に移したいというふうに考えております。
 続きまして、第1部、戦略的な部分ですけども、まずは、生物多様性の重要性について、身近な生活に引き寄せて、よりわかりやすく説明したいと考えております。
 現行戦略では、第2部・第1章の理念に書いてありますけれども、場所も第1部の最初、第1章に持っていきたいというふうに考えております。第1節の1では、まず、生物多様性の恵みを、暮らしを支える生態系サービス、概念を入れて分析をした、国連主唱のミレニアム生態系評価も引用しながら説明をしたいと考えております。あわせまして、暮らしとの関係で、農作物や魚介類など、食糧や木材、さらに木材の多くを輸入に依存する我々の日常の暮らしや、世界各地から珍しい動植物をペットなどとして輸入していることが、海外の生物多様性を利用し、影響を与えていることについても、ここでまとめて触れたいというふうに考えております。
 それから、2番以下はいろいろあります。生物多様性の恵みの中でも、暮らしに身近なものから書きたいというふうに考えております。
 まず、2では、特に身近な食べ物について、生き物のつながりの中から生まれるという意味で、生物多様性との関係を書きたいというふうに思っております。それも、田んぼや海からいきなり食卓に届くのではなくて、間に農林水産業という営みがあるということも含めて、記述をしたいと考えております。
 続いて、3番では、森林の働きですとか、木材や紙など、森からの恵みについて書きたいと思っております。
 4では、生物多様性の恵みの産業利用の側面として、医薬品や食品などにおける遺伝資源の利用とか、バイオミミクリーといわれる生き物の形や機能に学ぶ技術。これは例えば、新幹線500系の先頭車両の形が空気抵抗を減らすためにカワセミのくちばしの形をまねたもの、そういったものでございますけれども、そういうさまざまなものについても書いていきたいと思っております。
 それから、5番目は、文化と生物多様性ということで、古来、やおよろずの神として自然を崇拝してきたような日本人の自然観ですとか、長い農耕の歴史の中で、限られた資源を有効に利用しようと、里地里山などで、自然と共生してきた日本の知恵と伝統について記述するほか、地域に固有の自然が生み出す文化の多様性が、地域性豊かな行事ですとか、食文化等を通じて、地域の個性や活力にもつながっていることも書きたいと思っております。
 それから、6番、こちらは人間の生存基盤としての空気や水ですけども、植物の光合成による酸素の供給や二酸化炭素の吸収は、人間の呼吸ですとか気候の安定にとって重要なことや、土壌の形成などを通じた水源の涵養、水質の浄化等が飲み水につながっていることについても書きたいと思っております。
 それから、7番は、防災などの安全面ですけれども、自然の地形や河川の自然の流れに逆らった土地造成を避けるということが、長期的に見れば、安全性の確保ですとか、公共投資の抑制にもつながるということです。
 以上、7項目ですけれども、内容的には現行戦略にも大体書いてあると思いますが、最初に書くということと、よりわかりやすい言葉で、できるだけ身近に感じてもらえるように書いてみたいと思っております。
 それから、第2節では、2ページになりますけれども、生物多様性の保全と持続可能な利用のための理念として、「人間にとって有用な価値をもつ」こと、「豊かな文化の根源となる」こと、「人間が生存する基盤を整える」こと、「人間生活の安全性を長期的、効率的に保証する」ことの4点を、第1節のまとめとして書きたいと思っております。これは現行の戦略で、五つの理念として掲げたもののうちの四つです。五つ目の予防的・順応的態度というのは、生物多様性の重要性というよりは自然に対する接し方ですので、後で出てくる基本的視点に移そうと思っております。
 続きまして、第2章、生物多様性の現状と課題ですけども、その第1節では、生物多様性の危機の構造として、現行戦略で書きました3つの危機とともに、その3つの危機に深刻な影響を与えている要素についても書きたいと思っております。現行戦略で整理をした3つの危機は依然として進行していると思いますし、一方で、世の中にも3つの危機というのは少しずつ浸透しつつあるというふうに考えておりますので、それを維持する形で取り上げたいと思っておりますけども、温暖化につきましては、生物多様性の影響があらわれつつあり、生物多様性全体に影響を及ぼすという意味で、3つの危機の前に、1で取り上げたいというふうに考えております。
 2で書く3つの危機につきましては、基本的に現行の戦略と同じでございますけども、新たなリスクとして、カエルツボカビにつきましては、第3の危機に含まれてくるのではないかというふうに思っております。
 また、3つの危機を深刻にしている要因として、生物多様性に対する理解が進んでいないことですとか、分野横断的な取り組みが不足していること。さらには、自然環境データなど、基礎的な知見が十分ではないことなども書き加えたいと思っております。
 これらの点は、昨年4月に閣議決定をいたしました環境基本計画でも、3つの危機に書き足しているところでございます。
 続く第2節は、地球温暖化と生物多様性です。温暖化につきましては、第1節でも触れますけれども、温暖化と多様性の関係につきましては関心も非常に高まっておりますし、改めて一節起こして取り上げたいというふうに考えております。1と2は、温暖化による影響で、1は生態系への影響、2は農業や感染症なども含めた人間生活への影響について書きたいと思っております。さらに3では、吸収源対策として、生き生きとした森林を整備することは、生物多様性の保全と両立するというようなことですとか、バイオエタノールなどバイオマス利用は、石油代替エネルギーとしての意義が大きいという面と、特に途上国でトウモロコシやサトウキビなどを原料として生産される場合には、新たに森林を切り開いて生産されるものではないかといった、生物多様性上、懸念される面もまたあるといった、両方の側面について書くことを想定しております。
 それから、第3節、こちらは3つの危機の背景についてでございます。現行の戦略では、現状分析の中の社会経済状況として全般的に書いておりますが、3つの危機に対応した形で整理したいと思っております。
 1は、第1の危機の背景として、高度経済成長期を含む戦後50年なり60年の大きな変化について。それから、2は、第2の危機の背景として、特に里地里山等における農林業従事者の減少・高齢者化ですとか、エネルギー革命など、資源利用の状況の変化について書きたいと考えております。それから3は、外来種問題など、第3の危機の背景に、グローバル化の進展による人や物の移動の増大があるであろう、ということについて書きたいと考えております。
 続きまして、3ページですが、第4節、生物多様性の現状。
 まず1では、世界の生物多様性の現状として、ミレニアム生態系評価、MAですとか、条約事務局による地球規模生物多様性概況、GBO2も引用しながら、第1章の生態系サービスに着目した部分とは重複しない形で整理をしたいと思っております。
 2では、我が国の生物多様性として、四方を海に囲まれ、南北に長く地形の変化があることや、大陸との接続・分断の歴史などから来る特徴ですとか、気温、降水量、地形等から来る地域ごとの特性、さらには現行戦略策定後のこの5年の間の動きとして、レッドリストの更新ですとか、シカ、イノシシ等、哺乳類の分布の拡大といった変化や、外来種をめぐる状況などについて書こうと考えております。
 それから、3では、渡り鳥のほか、ウミガメなどを例に、我が国の生物多様性がアジア太平洋地域初め、世界とつながっていることを書きたいというふうに思っております。
 自然資源の輸入については、第1章で暮らしと結びつけて書きたいと考えておりまして、ここでは地球規模で移動する生き物について書きたいというふうに考えております。
 続きまして、第5節ですけども、生物多様性の保全の状況ということで、制度など取り組みの状況です。この点について、現行戦略では、地域指定制度、いわゆる保護地域に特化して書いておりますけども、それは2で書きつつ、1で種の保存ですとか外来種対策など、保護地域制度以外の制度についても書いて、1、2をあわせて多様性保全に関する制度全体を概観したいと思っております。
 第3章は、生物多様性の保全と持続可能な利用の目標です。
 第1節では、目標と評価として、1で三つの目標を、現行戦略を継承する形で書きたいと考えております。一つ目は、地域に固有の種や生態系などの生物多様性を地域の特性に応じて保全すること。二つ目は、とりわけ、種の絶滅に着目して、新たに絶滅の恐れを生じないようにすることと、絶滅の危機に瀕した種の回復を図ること。三つ目は、多様性の減少をもたらさない持続可能な方法によって、国土や自然資源の利用を行うこと。というのが現行の戦略に書いてあるわけですが、これらは長期的な目標として、一次の戦略から基本的に変えておりません。三次戦略でもこれを引き継ぎつつ、地域特性に応じた保全については、生態系ネットワークの視点を加えるとか、持続可能な利用については、地球規模の視点やライフスタイルの転換といった視点も書き加えることも考えたいと思っております。
 それから、2では、現行戦略の策定直後、平成14年の6月に採択をされました2010年目標について書くとともに、その達成に貢献する上でも、その前提となる我が国の生物多様性が、現在どういう状況にあるのかを把握するためにも、条約事務局によるGBOあるいはMA、そういったものの手法も参考にしながら、社会経済的な側面も踏まえた国レベルの総合評価として実施しようということを書きたいと思っております。これは6月に閣議決定をした環境立国戦略にも盛り込まれているものでございます。条約事務局によるGBOでは、幾つかの指標を設けて多様性の評価を行っておりますので、我が国でも環境基本計画の中に幾つかの指標は盛り込みましたが、それではまだ十分とは言えませんので、この多様性の総合評価を行う中で、各省とも連携をしながら、よりよい多様性の指標についても考えていきたいというふうに思っております。
 続きまして、目標の第2節は、多様性から見た国土のグランドデザインです。これは立国戦略で、生物多様性保全に携わる多様なセクターが、共通のビジョンのもとで取り組みを進められるよう、第三次の生物多様性国家戦略において、100年先の生物多様性の将来像をグランドデザインとして提示し、自然と共生する国づくりを進めるということを盛り込んだことを受けて書くことになります。
 1では、まず、100年後といった長期的な視野で、国土のグランドデザインを考えるに当たっての基本的な認識や方向。具体的には、我が国の人口が半分程度に減少し、高齢化も進むことですとか、とりわけ農業を初めとする一次産業従事者の減少・高齢化、さらには、温暖化をどう見込むかといったことなど、グランドデザインを考える上での前提条件のようなことですとか、地域特性ごとのグランドデザインを2で整理をしておりますけども、それぞれの地域間のネットワークも考慮に入れるべきことなどをこの2節の1で書きたいと考えております。
 それから、2の方では、国土の空間特性に応じたグランドデザインとして、地域特性別に将来目指すべき目標像というものを書きたいというふうに考えております。何分、100年先のことでもあり、「こうなるであろう」という予測よりは、「こうしたい」という目標像ということかと思いますけども、事務局として必ずしもイメージを固めているわけではありませんので、この部分については、特にいろいろとご意見をいただきたいというふうに考えております。
 まず、[1]の奥山自然地域ですけれども、その前に、ここでは何も書いておりませんけども、まず、国土全体を見渡したイメージを少し書くことも考えたいと思っております。それは自然を優先すべき地域としての奥山自然地域と、人間活動を優先する地域としての都市地域があって、その中間に、自然と人間の関係が再構築された里地里山等中間地域が広がり、さらに国土全体を取り巻く広大な海があるということ。その中で、河川や海岸や道路も含めて、縦軸・横軸のネットワークによって、奥山、里地里山、都市から海までが結ばれていて、森に囲まれた都市ですとか、田園に溶け込んだ都市があり、国土全体で見れば、ライフスタイルも含めて、緑や海に抱かれたような暮らしがある。そんなイメージも出せればという気がしております。
 その上で、[1]の奥山自然地域に入っていきたいと思いますけども、植生自然度で言うと、9とか10の自然林や自然草原を中心とする地域で、現状で言うと、国土の2割弱を占める地域かと思います。自然性の高い、国土の生態系ネットワークの中核的地域であり、大型哺乳類や猛禽類を初めとする、豊かな動植物相を育むエリアとして、原生的な天然林や針葉樹、広葉樹が混じった森林など、多様な森林が広がり、比較的大面積のまとまりを有する国立・国定公園や、国有林の保護林などをコア、緑の改良や河川等でそれらをネットワーク化することで、海までのつながりが確保された状態を書ければというふうに考えております。
 続きまして、4ページ、[2]里地里山等中間地域でございます。里地里山等中間地域は、現状でいいますと、二次林と農地が混在する地域として、国土の4割を占めているという里地里山のほかに、人工林が主体の地域ですとか、いわゆる穀倉地帯など、広大な農地を含んで、全体として、およそ国土の7割から8割近くを占める地域かと思います。将来の姿としては、生き物が生き生きと暮らす中で農林業が営まれ、環境保全型農業の定着や耕作放棄地が解消している状態ですとか、森林については、人工林における間伐のおくれは解消され、広葉樹林や長伐期化も含めて、多様で豊かな森林が広がっている状態。また、農林業はもちろんですが、エコツアーやバイオマス利用によって、地域資源の活用が進んで経済性が向上し、地域も活性化しているというイメージです。さらに里地里山については、都市住民や企業の参画も得て、積極的に手入れされているところと、自然の遷移にゆだねてきた結果、100年たって自然性の高い森林になっているところに分かれているというイメージでございます。それから、人と鳥獣の関係については、人口減少による人の居住地域の縮小ですとか広葉樹林化等、自然性の高い森林の増加などの状況の変化もありますし、山すそのやぶの刈り払いによる緩衝帯の整備などによって軋轢が減り、すみ分けというか共生ができているという状態を書きたいというふうに考えております。
 [3]の都市地域については、人口減少により都市地域自体が縮小していると考えられますが、都市の中でもさまざまな都市機能がコンパクトに集約され、環境負荷も小さいコンパクトシティ化が進んでいる状態です。それから、都市地域の中にも、都市公園や都市内河川、街路樹、湧水などを軸とする水と緑のネットワークが形成され、明治神宮のような森と呼べる大規模な緑地もあって、生き物と触れ合える空間が都市の中に身近にあるという状態で、暮らし方で言いますと、都市近郊のフィールドでの活動に参加したり、都市での消費もMSCですとかFSCといった、持続可能な形で生産された認証製品を買うのが当たり前といったライフスタイルについても、書ければ書きたいというふうに思っております。
 それから、[4]は河川・湿原等でございますが、水田も含めた湿地帯ですとか河畔林など、河川や湖沼の流域全体で豊かな生態系が形成され、上流の森から海までのつながりが確保されている状態を書きたいと思います。これは上流からの栄養分や土砂が海まで届くということもありますし、サケなどが遡上できるということもあろうかと思います。また、自然に流れが変動するという、川らしい川が保全され、過去に直線化された河道の再蛇行化なども進んでいる状況で、渡り鳥がやってくる湖沼や湿原、あるいは河口部も干潟が保全され、国内だけでなくて、アジア太平洋地域とのネットワークが確保されているといったイメージも書きたいと思っております。
 [5]の沿岸・海洋域では、北ではアザラシ、南ではジュゴンの群れを見ることができるような、豊かな浅海域が広がり、多様な海の生き物がすみ、海の幸も豊かな里海があって、漁業は持続可能な形で行われ、我が国の周辺海域からの漁獲量も大きく増加をしているという状況を書きたいと思います。それから、干潟、藻場、サンゴ礁の再生が進み、森から海までのつながりを意識した上流域での漁場保全の森づくりが定着をしていることですとか、河川を通じた土砂の供給も増えることで砂浜が復活をしており、サンゴ礁の保全やウミガメが産卵に訪れる砂浜の保全によって、アジア太平洋地域とのネットワークが構築されているといったイメージも書きたいと考えております。
 続きまして、第4章ですが、こちらは生物多様性の保全及び持続可能な利用の基本方針として、第1節ではそのための基本的視点を書き、第2節で取り組みの大きな方向性を基本戦略という形で書きたいというふうに考えております。
 第1節の基本的視点は七つ掲げておりますけれども、一つ目は、科学的認識と予防的順応的態度。これは現行戦略では五つの理念の5番目として書きましたけども、生物多様性あるいは自然に対する接し方ということで、この基本的視点のところに移したいと考えております。これはいわゆるエコシステムアプローチの考え方で、科学的な認識やデータの重要性と、生物多様性はわからないことが多いという前提のもとに、謙虚な行動と柔軟な見直しが必要という視点でございます。
 それから、二つ目の地域重視というのは、国が国家戦略をつくるだけでなくて、それがそれぞれの地域で地に足のついた活動につながることが重要だという点と、地域での活動が地域の文化ですとか誇りとして地域活性化にもつながるという点でございます。
 三つ目の連携と協働。これは国の関係省庁間の連携は徐々に進みつつあると思いますが、それをさらに推進していくということと、2の地域での活動が大事という視点とも関係をいたしますが、国の各省間の連携だけでなくて、国と地方、民間との連携・協働、さらには民間でも各主体間の連携・協働が大事だという点です。それから、ここにはちょっと書いていませんけども、人と情報のネットワーク化とか情報公開、あるいは連携・協働する主体としての人づくりという視点も重要かと思っております。
 それから、四つ目は、社会経済的な仕組みという点ですが、生物多様性の保全は持続可能な利用とあわせて考える必要があり、その意味でも、私たちの暮らしや世の中の社会経済的な活動の中に定着させていくためには、なりわいとの関係を含めた、あるいは企業との活動の関係を含めた社会経済的なシステムの中に生物多様性を組み込むことが重要という点でございます。
 続いて、五つ目は広域的な認識。5ページですけども、国内だけでなくて、国際的な認識が必要ということや、個々の地域だけでなくて、上流や下流、海までのつながりなど、流域の視点ですとか、周辺地域とのつながりなど、個々の取り組みを行う際には、広域的なネットワークの中での位置づけを認識しておくことが重要だという点でございます。
 それから、六つ目は、統合的な考え方として、環境立国戦略にも盛り込まれておりますように、目指すべき持続可能な社会の側面としての自然共生社会・低炭素社会・循環型社会とか、あるいは生物多様性の3つの危機といったようなことについては、それぞれが単独で存在しているわけではなくて、相互関係を踏まえながら、取り組みも統合的に考えていくべきという点でございます。
 それから、七つ目は長期的な視点・観点です。これは目先の短期的な生産性や効率性を追求するだけでなくて、長期的な観点から、生態系サービスといった生物多様性の恵みを将来世代に確実に引き継いでいくことが大事という視点でございます。
 現行戦略にも基本的視点というのがあり、今申し上げたような点は大体入っていると思いますけども、地域重視、社会経済的な仕組みですとか長期的な観点といった点は、改めて今回書き出したいというふうに思っております。
 続いて、第2節では、グランドデザインという長期的な目標像を踏まえ、念頭に置きながら、そこに向かって、当面する5年間程度の間に取り組むべき施策について、幾つかの具体的なたまを交えながら、大きな方向性を基本戦略として、四つの柱を立てております。
 一つ目は、生物多様性を社会に浸透させるということ。これはいつもご指摘いただきますように、多様性の重要性を世の中に浸透させていくことがまずは重要という観点から、その基本的な考え方を書いた上で、戦略的、重点的な取り組み方向として、立国戦略に盛り込まれたものも含めて、具体的なことを書き込みたいと思っております。立国戦略で、「いきものにぎわいプロジェクト」と位置づけたものを中心に、広報の充実、市民参加型モニタリング、官民パートナーシップの構築、地方自治体版戦略の策定を促すことですとか、企業活動のガイドラインの作成、生き物に対する理解を深めるための教育・学習、さらにはライフスタイルの転換といったことも書いていきたいというふうに考えております。
 ほかの2以下も同じですけども、ここに例示したものだけでなくて、今後、素案として文章化する際に、さらに各省とも調整をしながら、追加とか充実も考えていきたいと思っております。
 二つ目の柱は、地域における人と自然の関係を再構築することです。人口減少に向かう中で、人と自然の関係の再構築や、地域に根差した活動の充実を図るという観点から、基本的な考え方を書くとともに、里地里山の保全の推進や、今は軋轢が深刻化している鳥獣との共生を目指すこと。あるいは、自然の恵みを生かした農林水産業ですとか、野生復帰や外来生物対策を含めた多様な野生生物と共存できる地域づくり、地域の中での自然体系の充実や、都市と農山村との交流などを書いていきたいと思っております。
 それから三つ目は、森・郷・川・海のつながりを確保することです。森から川を通じた海まで、これには農地も含めた流域全体を視野に入れて、そのつながりを確保するという観点から、その取り組み方向として、国土レベルの生態系ネットワークについて、国土形成計画や、それに基づく広域ブロック計画とも連携して具体化を図ることですとか、その中核となる国立・国定公園や保護林のあり方、あるいは自然再生の今後の方向性、さらには河川や湖沼・湿原などの保全と再生とネットワーク化。森林については、広葉樹林化や長伐化等を通じた多様で豊かな森づくり。沿岸・海洋、これについては、立国戦略にも盛り込まれた豊饒の里海づくりですとか、知床を先例とした漁業と両立する海の保護区や、海洋におけるデータ整備なども書いていきたいというふうに思っております。
 それから、最後の四つ目の柱は、地球規模の視野を持って行動することです。国内の生物多様性だけでなくて地球全体を視野に入れるという観点から、立国戦略で里山イニシアティブとして打ち出した自然共生のモデルを世界に発信することや、日本版MAなりGBOというべき生物多様性総合評価ですとか、温暖化の影響を含めた国土の生態系の総合監視、生物多様性保全施策と地球温暖化対策の統合的推進、さらにはサンゴ礁や渡り鳥に限らず、二国間・多国間のネットワークを構築することなどを掲げたいというふうに思っているところです。
 続きまして、第2部の方へ入りますけども、第2部は行動計画として、具体的な施策を盛り込みたいと考えている部分です。各省で協働・分担をしながら書いていきたいというふうに考えております。先ほども申しましたように、行動計画と言えるように、施策ごとの実施主体や連携省庁、あるいはその数値目標もできるだけ入れていきたいというふうに考えております。
 第1章は、国土の空間特性に応じた施策という意味で、国土空間的施策という表題にしておりますけれども、土地に張りついた施策というイメージです。
 その前半は広域連携施策で、これは国土全体を通じた取り組みですとか、広域的な取り組みが必要なものとして生態系ネットワークやそのコアとしての国立・国定公園、保護林などの重要地域の保全や、コアエリアをつなぐ上でも重要となる自然再生の取り組みのほか、第4節では、国土の自然資源の持続可能な利用という観点や、農林水産業を通じて、国土の生物多様性保全を図るという観点から、農林水産業についても一節設けたいと考えております。ここでは、後ほど農水省から説明がありますけれども、農水省版の生物多様性戦略も踏まえて、その基本的な考え方を書くことになろうかと思います。
 後段の地域空間施策の方は、地域特性ごとの施策ということで、森から海までという順番で書きたいというふうに考えております。この順番は、グランドデザインのところの並びにも合うものであります。農林水産業につきましては、広域連携施策の方で基本的考え方を書いた上で、森林のところで林業、田園地域・里地里山のところで農業、沿岸・海洋のところで漁業について、それぞれ農水版戦略も踏まえて書いていくことになると思います。
 続いて、第2章の方は、横断的・基盤的な施策です。
 まず第1節では、野生生物の保護管理について、第1の危機から第3の危機への対応を念頭に、1で希少種関係、2で鳥獣保護管理、3で外来種関係などを書きたいと考えております。
 それから、第2節では、生物資源の中でも、特に遺伝資源や微生物資源、バイオマス資源を取り出して書きたいと考えております。
 それから、第3節以下は、第2章の中でも特に基盤的で、ソフト的な施策ということかと思いますけども、第3節では、広報を含む普及と実践を書きたいと考えております。実践というのは、国家戦略部分を受けて行われるそれぞれの地域での多様性保全のための活動というような意味でございます。この節では、いろいろな手段を活用した普及広報の充実ですとか、2で国民的な参画の推進。その中では、地方版の戦略・策定を促すことですとか、企業活動のガイドラインなどについて書きたいと考えております。また、民間活動を初め、多様性保全のための取り組みを支える経済的措置ですとか、3では、エコツーリズムの推進など自然との触れ合い。さらには4として、教育学習や地域での活動を担う人づくりについて書きたいと考えております。
 第4節では、国際的取り組みとして、アジア太平洋地域とのネットワークや、COP10の開催も念頭に置いた国際的なリーダーシップの発揮。2で、生物多様性条約のほか、ラムサール条約などいろいろな条約に基づく取り組みを書き、3では多様性に関するデータベースの構築を初めとする国際的なプログラムへの貢献。4として生物多様性分野での途上国等への協力などについて書きたいというふうに考えております。
 第5節では、7ページですけども、情報整備・技術開発として、1では、我が国の生物多様性の総合評価を実施するということや、それに関連する指標の検討。2では、自然環境保全基礎調査の充実を初めとする自然環境データの整備。3では、生物多様性に関する各種研究や技術開発――これには自然環境データの充実のための衛星等を活用した解析技術ですとかGPS等の応用技術、あるいは自然再生のための技術手法の蓄積といったことも含まれるのではないかと考えております。
 最後、第6節は環境影響評価の関係ですけども、環境影響評価、環境アセスメントについては、点検の審議会のときにも、特に第1の危機の回避・軽減に貢献している面もあるというご指摘もいただいておりますが、アセス法に基づく取り組みですとか戦略アセスなどについて書きたいと思っております。1は制度的な取り組み、2は、それ以外にも環境影響の軽減のための取り組みが行われておりますので、1、2として書き分けているというところです。
 以上が資料2の骨子の案の中身の説明でございます。
 あと、資料3と4を簡単に説明いたしますけども、資料3は、一次戦略と二次戦略のレビューということで、この三次戦略の前文でもちょっと触れたいと思っておりますけども、まず、平成7年につくりました一次戦略につきましては、評価できる点として、平成5年の条約発効から2年足らずという早期に策定をしたことですとか、生物多様性という新しいキーワードのもとに関係省庁が初めて連携をしたという点は評価できるんだろうと思いますけれども、一方で、各省の施策の羅列にすぎないという点とか、目標を達成する筋道が明確でないとか、現状分析が社会経済面でも、生態系等の面でも十分ではなかったということですとか、あるいは、策定の過程で専門家やNGO等の意見を十分に聞かなかったといった、批判的な面もありました。
 それから二次戦略、これは14年の3月に決定をしたわけですが、こちらでは、「3つの危機」ですとか「7つの主要テーマ」など、全体として抜本的な見直しを行った上で、体系的に整理をいたしました。その中で、例えば自然再生といった新しいテーマを提案したことですとか、自然再生のほか、里地里山などで各省連携が必要なテーマを強化したことですとか、法改正とかモデル事業など具体的提案を盛り込んだこと、あるいは、会議や資料の公開、パブコメ、ヒアリングなど、全体としてオープンなプロセスで進めたことが、評価できる点として挙げられるのではないかと思います。
 その一方で、改善が必要な面としては、実行に向けた道筋が必ずしも明確でないこととか、各省施策の並列的記載という面が、これは第4部ですけどもまだ残っているのではないかという点。あるいは、多様性の重要性など、国民向けのアピール度に欠けるのではないかという点とか、地球規模の視点が弱いのではないか。あるいは、地方・民間の参画の促進しようという考え方が弱いといったようなことがあったかと思います。これらは、第三次の戦略で、できるだけ改善していきたいというふうに考えている点でもございます。
 それから、資料4、これは骨子、先ほど説明をいたしました骨子のポイントをこれまでのまとめとして簡単に整理をしたものでございますが、一つ目は、第1部・第2部の2部構成にして、2部を実行に向けた道筋を明らかにする行動計画として、よりわかりやすい構成としたこと。2点目として、生物多様性の重要性について、身近な暮らしに結びつけた説明を第1部の冒頭に位置づけて、特に強調をしたこと。3点目として、地球温暖化の影響を地球規模で移動する生物、輸入を通じた日本と世界の生物多様性のつながり、2010年目標など、全体的に地球規模の視点を強化したこと。4点目として、国家戦略を地域での活動に結びつけるために、地方や企業による取り組みの必要性を強調したいということ。それから5点目としては、四つの基本戦略として、地球規模、全国、地域というそれぞれの地域と流域圏を基軸とした相互のつながりという視点から、戦略的に取り組むべき大きな方向性を提示したいということの5点が言えるかと思います。
 資料4までは、以上でございます。
 最後に、資料5として、前回の小委員会、第3回の小委員会の各種団体ヒアリングのときに、宿題あるいは追加質問事項としていただいていたものに対する、各団体――造園学会と千葉県、滋賀県からですが、それぞれ回答をいただいております。これらについては後ほどご覧をいただいて、もしお気づきの点があれば、事務局までお知らせをいただきたいと思います。
 大変長くなりましたが、私からの説明は以上でございます。ありがとうございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。ただいま事務局よりご説明をいたしました、第三次国家戦略骨子(案)の議論に入る前に、農林水産省が、7月6日に農林水産省生物多様性戦略を決定されたということでございますので、農林水産省よりご紹介をしていただきたいと思います。
 では、ご説明をよろしくお願いいたします。

【西郷農林水産省環境政策課長】 どうも、農林水産省で先週から環境政策課長になりました、西郷と申します。よろしくお願い申し上げます。
 本日は、農林水産省の生物多様性戦略について説明させていただく機会を設けていただきまして、ありがとうございます。15分ほどいただきまして、概略ご説明申し上げたいと思います。
 資料6をご覧いただきたいと存じます。資料6に三つございますけれど、その1枚紙が2つございまして、そこに資料6の一枚紙の中に、「農林水産省生物多様性戦略検討会の設置について」というのがございます。まず、これからご覧いただきたいと存じます。
 ご承知のとおり、農林水産業というのは、考えてみれば、生物多様性の恵みをいただいて、ずっと成り立っているところでございます。ですので、そこについては、わかっていながらわかっていないというようなことで、ずっと恵沢にあずかっていたわけでございますけれども、だんだんだんだんいわゆる持続性の問題などを検討してまいりますと、循環がうまくいかなくなったりとか、そういったことなどを考えてみますと、生物多様性について、若干いろいろ考え直さなくちゃいけないのではないだろうかといったことについては、省の内外からの指摘なり提言があったところでございます。
 そこで、ここにございます生物多様性戦略検討会というのを立ち上げまして、そのメンバーにつきましては、この紙の裏に、このようなメンバーに集まっていただきまして、やりました。この委員会ですと、浜本委員につきましては、農水省の検討にも加わっていただいているところでございます。ことしの3月から、このような問題の提起といたしまして――それから、失礼しました。浜本委員と、もう一人、速水先生も加わっていただいているところでございます。
 それから、3月29日でございますが、問題の提起と、このようなことをいたしまして、ずっとそこに書いてございますようなヒアリング、フリーディスカッションなどをいろいろやってまいりました。コウノトリの話だとか、鳥獣害でございますが、最近、本当の鳥獣害は、農村部に参りますと大変なことになってございます。それとか、森と海の関係だとか、いろいろ今までわかっていてわかっていなかったようなことにつきまして、勉強を続けておりました。それで、何回か練りまして、ご議論いただきまして、7月6日に、農林水産省内に新基本法農政推進本部と、これは要するに省の意思決定機関でございますけど、ここで決定して、公表されたというものでございます。
 公表されたものは、この中の一番分厚い「農林水産省生物多様性戦略」19年7月というものでございますけれども、これは非常に長うございますので、ポイントといったところでご説明を申し上げたいと思います。ポイントというのは、一枚紙がございますので、見ていただきたいと思います。
 なぜ、この戦略を策定したかということについては、先ほども若干触れましたけども、農林水産業というのは、人間と自然との関わり合いで成り立っているところでございますけれども、ややもすると、自然と対立する形で通ってきたというふうなところも、効率性を求めたと言われるとあれなんですけれども、そうすると、若干、自然にも限界があるということはわかってきたところでございまして、循環と言っておりますけども、そういったことで、農林水産業が成り立つということは生物多様性の保全につながるのであるという、そういうWin−Winアプローチと申しますか、そういったところをねらっているところでございます。
 なぜ、また今ごろということでございますけども、もちろん、この生物多様性国家戦略の三度目の策定ということもあったわけでございますけれども、省の内部事情を申しますと、農林水産省というのは、農・林・水、いつもばらばらにやることがございまして、こういったことは、やはり、もうちょっときちんと第一次産業というか、そういった自然との触れ合いと似たようなところで働きかけているのだから、お互いに影響を及ぼすこともあるので、農・林・水一体となった戦略にしましょうというふうなことが叫ばれて、一緒にしたということでございます。
 そこに書いてございますけれども、括弧の中の二つ目のポツでございますけれども、国土の8割というのは、農地と森林をあわせますと、もう8割ぐらいになる。それから、いわゆる排他的経済水域と申しますが、魚を排他的に日本がとれるところでございますけども、これについては大分広いところがあるわけでございますけども、こういったところで、少なくともきちんとした生物多様性の保全戦略が、産業側としてもなきゃいけないということで考えているところでございます。
 見てみますと、2番目の丸でございますけれども、よく、これ、ずっと前からも言われてございますけれども、効率性とか経済性を優先するが余り、農業で申しますと、農薬と肥料の使い方が不適切であったり、それから、効率性を求めた農地・水路の整備をすると、当然、今まで行き来ができてきた動物たちが通れなくなったりとか、そういったことだとか、あるいは海の方でも、藻場とか干潟などは、生物多様性上、非常に重要だということは叫ばれておるわけでございますけれども、それが非常に減少をしたり、活性が失われたりしたといったようなことがございまして、要するに農林水産業が本当はその恵沢にあずからなきゃいけない生物多様性そのものに、天につばを吐いてきたようなところが若干あったのではないかということが認識されております。
 それと、それ以上にというか、農林水産業の内部の問題といたしましては、担い手というか、そういったことをやっていく人、農林水産業をやる人がどんどん減ってきちゃって、困ったと、停滞してきたということでございまして、そうすると、手入れをしないものですからいろんな弊害が出てまいりまして、鳥獣害などというのは、まずその典型的な例ではないかというふうに言われているわけでございます。
 これらの、政府と、簡単に政府の影響というのはお互いに非常に複雑な関係でございますから言いにくいかもしれませんけれども、とにかく持続的な活動ができるということのために、生物多様性保全を重視したというか、要するに、逆に言うと、農林水産業でもって生物多様性が保全できるような仕方に考えていかなくてはならない、という戦略にしたというつもりでございます。
 タイミング上こうなっておりますものですから、こちらでもっていろいろご審議いただいております第三次生物多様性国家戦略の農林水産関係部分につきまして、いろいろご審議の上、反映をいただければというふうに考えているところでございます。
 それから、次に、農林水産省内部について、施策の反映でございますけれども、ここにちょこっと書いてございますけど、20年度予算はこれから要求ということになりますので、まだ予算の裏づけがあるわけでは全くございませんけれども、これからこの戦略に合った形でもって要求をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 裏側を見ていただきますと、中身でございますが、先ほど環境省から、この国家戦略につきまして、いろいろ戦略のポイントなどのご説明がありましたところでございますけども、基本的には似たようなことでやってございますが、「生物多様性保全をより重視した」と。この「より重視した」という言葉を決めるまでに、実は相当な議論がございまして、要するに、生物多様性保全のためにやっているんじゃないよという人も、中には、当然、経済、仕事のなりわいである人もいるわけでございますけれども、そこをいろんなところで、農・林・水の全体の中でどういうふうにしていけばいいかといったことをみんなで点検したところ、「より重視した農林水産施策」といったことが、一番、今の段階では適切といったことで出てきた言葉でございます。
 それから、国民各層、当然でございますけれどもご理解をいただきたいという点と、それから、この生物多様性というのは、今までは、物言わぬ神というか、そういったことで地域にあったわけでございますけども、これをよく理解した上で、地域の創意工夫を、ここを生かした取り組みをどんどん促進できればということでございます。
 それから、当然のことながら、先ほどから申しておりますように、日本で農林水産業を適切に営むということが、生物多様性の保全については地球環境の保全に貢献できるのだという意気込みでもって取り組むということにしております。
 実際、各地域でございますけど、ここにこの農・林・水と並べてございますが、先ほど環境省でいろいろご説明がございましたけども、今、農林水産業の前線では、里地里山・田園地域といったところで見ますと、基本的にはそんなにひどいことになっていないということもまだあるのかもしれませんけれども、そこにありましたように、生物多様性をより重視した農業をやるといっても、じゃあ、どうしたらいいのかというのがわからないところもあるわけなので、そこにつきましては、いろんな農法を示した何なりでもって、ご協力をいただくことをしていきたいと思っております。
 それから、鳥獣害、これにつきましては、本当に今、何と申しますか、手入れができなかったということと、それから、耕作放棄地などが出てきているところだとか、いろんなことがございます。それからまた、猟をする人も減ってきたということもありまして、かなりの、えっ、というところまで、結構動物たちも出てきて、お互いがびっくりしてひどいことになっているということがございますので、里地里山をきちんと整備してすみ分けができるようなことだとか、それから、水田や水路、ため池なども、ただ農業用に水が行けばいいんだということではなくて、そこの生態系をよく考えて、上・下流のネットワークなどもきちんと考えた上での政策をとっていきたいと。
 次は、森林の保全でございますけれども、森林につきましては、結構昔からいろんな保全されているところもございますけれども、多様な森づくりというのが、今、国を挙げて行われて、初めてのことでございますけれども、国有林、民有林を問わず、このような適切な保全・管理の推進を行っていきたいと。保護林を設けたいと。「緑の回廊」と申しますのは、いろいろな取り組みをつなげた形で、生物多様性の回廊という言葉でもございますけれども、そういったことで、国有林野の保全・管理の推進を民間の協力を得ながら進めたいといったことが中心でございます。
 それから、最近は里海という言い方がございますけれども、里海・海洋の保全ということでございますが、先ほど申し上げました藻場・干潟の保全のほかに、海洋生物資源の保存・管理。これはやっぱり、例えばいろいろ資源管理がございますけれども、皮相的な見方をすれば、クジラが増え過ぎて魚が少なくなったとかいうお話も中にはございますし、一方では回遊性のマグロなどをとり過ぎてこんなことになっているとか、いろんなことがございますけれども、基本的にうまく資源管理をするだとかといったことを進めていくといったことにしております。
 それから、要するに、よく目につくというか、陸に近いというか、里海というか、また漁港だとか、あるいは浜辺、磯でございますけども、そういったところの保全・管理とか、そういったところにどのような生き物がいるかといったことにつきましてもよく調べた上で、漁業についてもきちんとやっていきたいと思っております。
 それから、森・川・海を通じた生物多様性。これは、森と海は恋人みたいな話でございますけども、昔から知恵としてよくわかっていて、森林からいろんなものが流れたものが、要するに海にも影響して、よく、漁民の方々が植林をされる伝統のあるような地域もあるわけでございますけども、それだけではなくて、そういった物質の循環、エネルギーの循環、それと生物多様性がどのように成り立っているかといったことも光を当てて、どのような手を加えていけばいいのかと。その一端を農林水産業はどのように担えばいいのかといったようなことでも、施策を推進してまいりたいと。
 それから、遺伝資源の問題でございますが、これは非常に国際的にもいろんな問題がございまして、遺伝資源の結果がうまく育種できたものはだれのものだとかいったようなことが、特にいろいろ議論になるわけでございますけれども、これもいろんな国際条約と整合のとれた上で、有用な遺伝資源の保全と持続可能な利用を図っていきたいと思っております。また、遺伝資源でよく議論される遺伝子組換えにつきましても、これはいろんな、カルタヘナ議定書に基づきます制度が根づいておりますので、それにつきまして、関係省庁と協力して、生物多様性の確保に努めてまいりたいと思っております。
 それから、国際協力でございますけど、当然、生物多様性だけの協力というのは、なかなかそれだけを切り出すというのはあれかもしれませんけれども、水資源の問題、砂漠化の問題あるいは温暖化対策等を含めまして、地球環境保全のための農林水産分野の国際協力といったことにつきましても、我が国だけの知見ではなくて、いろんなところと協力しながらやっていきたいというふうに考えてございます。
 それから、先ほども申しましたけども、生物多様性というのはどのようになっていればいいのかと。特に農林水産業について、どういうふうになっていればいいのかという、定量的に判断できる指標というものが、なかなかイメージとして、こういう景観をつくる生物多様性がいいのだとかといった話でございますけれども、どうなっていればいいんだと、どういうのがベストなんだといった、政策目標をつくる上で、要するに指標がなかなかうまいものができていないということがございますので、我が国の農林水産生態系に合った、我が国の生物多様性に合ったような、そういった指標を開発して、政策の目標にしていかなければならないといったようなことを考えてございます。
 以上、雑駁でございますが、このようなことにつきまして盛り込んでございまして、この本文の後ろ半分には、もろもろ、平成24年度までどのように進めていくかという工程を一応つけまして、これからの予算要求その他の施策の進め方に反映させていきたいというふうに考えているところでございます。
 以上、雑駁でございますが、生物多様性戦略についてご説明申し上げました。ありがとうございました。

【熊谷委員長】 はい。環境政策課の西郷課長、ありがとうございました。
 農林水産業の活性化を通じて国土の生物多様性保全を図るという視点から、農林水産省が独自に生物多様性戦略を作成されたことは、大変すばらしいことだというふうに思います。第三次生物多様性国家戦略の方は、小委員会でこれから構成や骨子を議論しようという段階ですので、今ご説明いただいたこの農水版戦略をそのまま入れるということにはならないとは思いますが、内容的には、国家戦略の案に入ってきたときに、改めてこの小委員会で議論をしていただきたいというふうに思います。
 では、これより、先ほど環境省から説明がありました国家戦略の骨子(案)につきまして、委員の方々からご意見、ご質問等をいただきたいと思いますが、あと約2時間近い時間がございますので、幾つかに区切ってご議論をしていただければというふうに思います。
 まず初めに、資料1の構成についてご議論いただき、次に資料2、骨子(事務局案)の第1部、戦略について。そして、その次に、資料2、骨子(事務局案)の第2部、行動計画についてご議論いただきまして、最後に、資料3、4も含めまして、もう一度全体を振り返ってご議論いただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
 それでは、まず初めに、資料1の構成について、約20分程度でございますけれども、ご意見、ご質問等をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 はい。それでは、中静委員、お願いをいたします。

【中静委員】 余り大きなところではないんですけれど、現行の生物多様性国家戦略の一番最後、4部の一番最後に経済的措置というのがあったのですが、これが第三次の方では、いろいろちりばめられているというふうに解釈できるのだと思いますけれど、むしろ経済的措置で、今の生物多様性の新戦略の方で書かれているようなことというのをもう少し発展させた形で、経済的な仕組みを導入するというようなことを含めて、例えば100年後というようなことを考えたときに、経済的なことを、いろんなところにそれは出てくるんだとは思いますけれども、どこにもはっきり書かないというのもあれなのかなという。もう少し、もうちょっときちんと出していただいた方がいいのかなというような感想を持ったんですが。

【熊谷委員長】 はい。今のご質問に対していかがでしょうか、事務局。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 経済的措置の方は、現行戦略のレベルでは確かにはっきりと出てきているんですが、左側の構成のレベルではちょっと埋もれてしまっておりまして、第2部の第2章の第3節、普及と実践の中に経済的措置という項目も設けて書きたいというふうに思っております。このレベルではちょっと出てきていないのですけれども、経済的措置というのは重要だと考えておりますので、その中でしっかりと書きたいというふうに思っております。それぞれの地域での活動を支えるという意味で、書いていく必要があろうかと思っております。

【熊谷委員長】 どうぞ、中静委員、お願いいたします。

【中静委員】 例えば、私たちは国際的な生物多様性のプログラムの中でちょっと議論が出ていたのは、例えばCDMに相当するような、生物多様性のCDM版ですね。要するに、生物多様性の利用を不適切にしたことに対して、あるいは適切な生物多様性利用に対して、経済的効果を生むような仕組みを考えていくようなことも考えてはどうかというような議論をしたことがあるのですが、そういうのは、むしろ、本当は積極的に、もし、そういうアイデアとか実践の見込みがあるのであれば、考えてもいいかなというふうには思ったんですけど。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 温暖化の世界で、そのCDMのようなものは、多様性の世界ですぐできるかどうかというのは難しい面もあろうかと思いますけども、その関連で言うと、我が国の生物多様性の総合評価をしようというところがありますので、そういうところとの関連でも書いていくことは可能かと思っております。
 総合評価に関しましては、左のこの構成の中では、ここでも第5節の中にちょっと埋もれておりますけども、第5節の中に、一つ、多様性の総合評価という項目を設けておりますので、その中でも、そういうことについて触れられれば触れたいというふうに思っております。

【熊谷委員長】 よろしいですか。
 それでは、和里田委員、お願いをいたします。

【和里田委員】 国民が親しくも入りやすいようにということから、今回は持続可能な利用ということに特に焦点を当てておられるということで、資料2の、1章のところに、随分、利用という観点から、私たちの暮らしとの関わりとかなんとかということは入っているのですけれども、やはり、そもそも、この生物多様性というものの意味といいますか、この地球というものは何とすばらしい星であるのか、あるいは、我が国土は何とすばらしいところなのかということを、まずイメージをしっかり国民に持ってもらって、そして、生物多様性の国家戦略に入ってもらうという意味で、どこかに何かもう少し、地球の歴史から始まった、この魅力がある地球、そして我が国土ということを、さらに、生物多様性というのが地球の健全性のバロメーターであるということかと思いますので、何かそういうものをしっかり書いて、この中に位置づけられる必要があるんじゃないかという印象を持ちました。

【熊谷委員長】 はい。今のご意見、いかがでしょうか。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 資料2の方に入ってしまいますけれども、1枚目の第1部の第1章第1節で暮らしのことについて書きたいというふうにお話をしましたが、その1で、いきなり「生態系サービスの現状」というタイトルで書くということで、利用の面を強調したというふうにとらえられる面もあるのかもしれませんけども、例えば、ここに「生態系サービスの現状」といきなり書かずに「生物多様性の重要性」というようなタイトルにして、その中で、地球の成り立ちとか、日本の自然の成り立ちとか、そういうことも含めて、その上で、生態系サービスというところに入っていくという書き方もあるのかもしれませんし、あるいは、その生態系サービスの前、第1節とその1の間に、前文、そこの前書きとして書き込むというような考え方もあろうかと思いますので、その辺はご指摘を踏まえてちょっと検討したいと思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、山岸委員、お願いをいたします。

【山岸委員】 今の和里田さんのご意見と全く同じなんですが、書かれた内容を見ないと、きっと細かいコメントというのはできないのかもしれませんが、見たところ、例えば、余りに人間の勝手な利用に偏っておって、持続可能にしても、持続可能ではないにしても、利用というものを全部とっちゃったら、生物多様性は要らないんだといったら、そうじゃないと思うので、どうしたって倫理的な面とか、私たちに課せられている責任とか、そういうものは格調高く入れてほしいというのが、恐らく和里田さんのおっしゃりたかったことじゃないかと。全く、僕は和里田さんと同感です。もうちょっと、中の細かいときに、もう一度申し上げます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、さらに資料2以降の中でもご意見をいただけると思いますので、今のご意見の中身について、ひとつ今後も十分ご検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 ほかにございますでしょうか。
 三浦委員、ではお願いいたします。

【三浦委員】 骨子と構成、非常にきめ細かく記述されているというふうに思います。
 基本的に賛成なんですが、先ほどの生物多様性、農水の報告にもありますし、それから、100年後を見据えながら、この第三次戦略は2008年、来年ぐらいからどれぐらいですか、5年ぐらいのタームを想定するということで、第一次も第二次もそうだったんですが、戦略ですので、さっきの農水の報告でも工程表というのがついているという。それで、やっぱり最終的な出口として、100年を見据えるとはいえ、短期的な戦略目標というか、そういう、数値化されているかどうかは別問題としても、かなり具体的なそういう出口を最後の章で記述するということが、せっかくの戦略だから必要なんではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

【熊谷委員長】 今のご意見についてはいかがでしょうか。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 第2部の方は、5年間の行動計画という意味で、行動計画と呼べるように、実施主体ですとか目標が入るものは入れたいというふうに考えておりますし、それをよりわかりやすくするための工程表というのも、農水省版にもついておりますから、その辺は各省とも相談をして、つけられるかどうかについても考えたいと思っております。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。それでは、高橋委員、お願いをいたします。

【高橋委員】 戦略ということなので、私だけがピントが外れているのかもしれないのですけれども、努力目標ではないんだろうと思っていたんですけど、そこからどうやって脱出するかで、非常に難しいところだなとは思うのですけれど。
 私が戦略とかと言ったときは、例えば生物多様性、どうしても今から税金をどんどん増やすわけにもいかないだろうし、よその省庁から分捕るというわけにもいかないだろうし、じゃあ、どうやって守るためのお金をつくるか。例えば、企業がそういう生物多様性保全のために、自分の法人税を使いたいとかいうことができるようなシステムをつくるとか、何かそういうものが戦略かなと思っていたんですけれども、その辺まで立ち入ることはできるのかどうか。例えば、消費者が、これはちゃんと、例えば地球温暖化に優しい農産物ですよというものがどこからでも目に見えて、そういうものを買うということが簡単にできるとか、あるいは、そうでないものはどういうものかというのが、消費者にちゃんとわかってしまうようなこととか、あるいは、だれでもがモニタリングできるような、そういう本当の簡単な指標だとか、何かそういうものを組み立てていく戦略ということは、余りにも立ち入ったことなんでしょうか。それとも、国家戦略としては余りふさわしくないことなんでしょうか。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか、今のご質問。
 では、計画課長、お願いいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 今回の戦略の中で、今の説明の中にもありましたけれども、企業なり地方がどう、政府だけじゃなくて、参画を広めていくかというのが重要な課題というふうに考えていまして、大まかに今回の戦略の中でも、100年先を見通した将来像の中にも、そういう企業の関わりなり、企業がより積極的に参加していく姿というのを含めて書けないかなと思っていますし、第2部の行動計画の中で具体的にそういう施策レベルの話が出てこなきゃいけないわけですけれども、第2部と100年先の将来像の間をつなぐような形で、第1部の最後に基本戦略という形で四つほど挙げて、これは資料2の方の議論に入っていくかと思いますけれども、その基本戦略の中で企業が参加していくインセンティブを高めるような方向性、基本的な方向性というのを書いていければと。それを受けて、第2部の行動計画の中で、具体的に企業がより参加するためのガイドラインづくりなり、認証制度の展開なり、そういう企業がより参加を広めていくための具体的な手段について、第2部の方は、できるだけ5年の間にこういう施策をここまで進めるという形で、各省と協働して書いていけたらなと思っています。その辺、どの辺まで書けるか、これから各省とも協議しながらつくっていきたいと思っています。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。
 それでは、桜井委員、お願いいたします。

【桜井委員】 多分、前文に入ってくると思うんですけれども、資料3の一次戦略、二次戦略、それから三次戦略ありますね。これのレビューを踏まえて、当然、前に進むわけですから、その一連の流れの中で、今回の第三次多様性国家戦略そのものが、過去のものを踏まえて、どういうふうに前へ進むかということは、かなりわかりやすく前文のところで書かないと、目標とするものが見えないと思うんですけれど、その辺はそういう路線でよろしいですか。

【熊谷委員長】 どうぞ、事務局、お願いいたします。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 前文のところで、わかりやすく、具体的に書き込みたいというふうに考えております。

【熊谷委員長】 それでは、石坂委員、お願いをいたします。

【石坂委員】 一次、二次、三次――三次はまだ書いていませんけれども、一枚紙でまとめたのがありましたけれども、一次はとりあえずつくったという計画でしたし、それに比べて、二次の計画というのはかなり進歩した計画になっているのは間違いございませんですね。その構成をさらに今度のこの案は、もっとわかりやすく編成をし直していると思うんですね。そういう意味で、細かい点はいろいろあると思いますけれども、全体としてはこの構成はよくできているんじゃないかと思います。
 構成とそれから言葉遣いという点で考えておいていただきたいのは、これをやがてでき上がって、公表されるわけですけれども、PRしなきゃいけないわけですね。そのときに、世の中の人が、あ、そうだなと思うようなキャッチフレーズというんでしょうか、標語というんでしょうか、そういうものをこういう文章の中に織り込んでいっていただきたい。それを拾い上げていけば大変わかりやすいということがアピールできるような、そういう工夫を織り込んでいただきたいと思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 全体の構成については、ご賛同いただけたご意見だというふうに思いますが、今、キャッチコピー、いわゆるキャッチフレーズを十分に検討して文章化に進んでほしいというご意見ですので、よろしくお願いしたいと思います。
 ほかにございますでしょうか。
(なし)

【熊谷委員長】 よろしければ、資料1の第三次生物多様性国家戦略の構成につきましては、生物多様性の保全及び持続可能な利用という、こういう表題で一応つけると。それをさらに戦略と行動計画に分けて構成するという、こういう大きな構成についてはお認めいただけたというふうにしてよろしゅうございますでしょうか。
(了承)

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、構成につきましては、第1部・第2部の構成案、特に戦略と行動計画に分けてわかりやすくしたという点をご評価いただいたということにいたしまして、資料2の第三次生物多様性国家戦略骨子(事務局案)について、ご意見をいただきたいと思います。あるいはご質問でも結構でございますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
 森本委員、よろしくお願いをいたします。続いて、浜本委員、速水委員の順に、とりあえずお願いをいたします。

【森本委員】 はい、ありがとうございます。一番最初のご質問とも関係するんですけど、前文に、ぜひ格調高い、一般向けに簡潔に生物多様性の重要性を書いていただけたらと思います。そのときに、生き物というのが、バロメーターという意味とともに、環境をつくってきたという、シアノバクテリアが活躍して、大幅に酸素を増やして二酸化炭素を減らしたという、あれに始まる生き物の働きで今の地球環境が成り立っているんだという、いわば環境をつくってきた面というのがあって、必ずしも生き物の適応という形で、現在の環境に生き物が適応していて、環境を人間が壊して生物が住めなくなるという、単にそういう一方通行ではなくて、もっと共進化的な仕組みがあって、今の危機というのは実は根が大変深いんだという認識が要ると思うんです。根が深いという意味は、生き物がすんでいるのが、いわゆる生物圏と申しますか、生命圏と申しますか、地球のごく表層のところ、異質のものが交わる接点なんですね。これは、ちょっとマクロな意味でも、ちょっとミクロな意味でも、実は同じだとも思っていまして、例えば森林なり自然地域と都市の働きとの接点をどうしていくかという問題とか、海と陸とのつながりをどうしていくとか。川、もっとミクロに言うと水辺をどうするかという、そういう問題とか関わってくるのだと思うんですね。そういう、実は生き物の活性、生き物の働きが、すごく活性の高いところをちょっと間違って利用すると大変なことになりますよという、生き物の働きをもっと妨げないような、うまいワイズユースの仕組みですね。特にウェットランドなどを見ると、かなり具体的な例が挙げられるかと思うんですけども、そういうものを目指すのが本来ですよという、その辺のちょっと格調高いところを書いた方がいいのではないかという、個人的な意見でございます。
 それから、二つ目は、温暖化が今度入るというのが大変大きなところかと思うのですけれども、これに関しては、温暖化は大変ですねというのがあって、実は、それが温暖化で生物多様性が損なわれて、一体それがどんなふうな、例えば経済的な被害に結びつくのだろうかというのが、世界的にも検討されようとしていると思うんですけども、もっとそれを日本としても検討していくというか、何というか、モニタリングなり評価なりをやっていくという、そういう姿勢が要るんではないかなというのが一つと。それからもう一つは、いろいろ産業界等の動きも含めて、その影響を提言しようというミティゲーションとか、あるいはアダプテーションという考え方が出てきております。これは生態系に限りませんけれども、生き物の、生物多様性の視点からもアダプテーションをどうするかというのが課題になっていると思うのですね。温暖化で追われる生き物をどうするのかという。これは結論、単純には出ないと思うのですけれども、少なくとも、どうしていくのかというのを検討していくんだという、そういう姿勢は要るんじゃないかと思います。それが一つでございます。
 もう一つは、絶滅危惧種が問題になってということが、実はこの新戦略がかなりよくできた戦略だったと思うんですけども、絶滅危惧種に関する評価がきちんとされた上で、それに基づいて戦略が立てられたという、3つの危機という形でまとめられて、特にキキョウだとかメダカさえ危ないんですよという、そういう話からいったというのが割合わかりやすかったかなと思うんですね。そういう意味で言うと、今度は、国連のミレニアムアセスというものが一方でベースにあるわけですけども、じゃあ、もう少し、この前の新戦略以来5年間でそれはどうなったんだろうかというその視点が、ここにいらっしゃる方はかなりご存じかと思うのですけれども、やはり、どうも危機というのは、依然として解消される方向にないという、そういうのがあると思うんですね。だからこそ改定が必要だと思うんですけれども、その辺をいわゆる単に感じだけじゃなくて、まともな評価をしていくという。ちょっと書き込まれるようですけれども、日本版のGBO2とか、そういうことが書き込まれるので、これは大変いいことだろうと思うんですけれども、こういう実態を踏まえて、これからのやり方、戦略、政策なりなんなりを考えていくという、こういう姿勢が大変大事だろうと思います。
 とりあえず、そういうところでございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 森本委員のご意見は、多分、前文のあたりでの、いろいろほかの委員の方からもご指摘のある、格調の高さといいますか、特に生物そのものの機能とか、正確な知識をきちんと踏まえてという、それでワイズユースとかアダプテーション、ミティゲーションまで触れてというようなことだと思いますけども、格調は皆さんがおっしゃっていらっしゃるので、これから十分に検討させていただくことで。第2点のあれは、3ページ目の2のところでよろしいでしょうか。3ページ目の3章の第1節の2についてのご指摘というふうに。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、浜本委員、お願いをいたします。

【浜本委員】 何点かございますが、まず最初に、第1部第1章の1節のところなんですけれども、一番最初から「生態系サービスの現状」、これは本当に先ほどから何人かの委員の方がおっしゃっているように、人間の側からだけの利用だけという、そういう意味での持続可能というのは何かちょっと違うような気がするので、できたらここ、6番目とか5番目とかが上位に来るような書き方のほうが、本当の意味での、国家として、日本やそこから始まる、世界につながる生物多様性をどのようにしていくかという戦略が、より具体的になるんではないかな。その中で、生態系サービスが出てきたり、2番目のところの食べ物、食糧に関することというものが、まずは自分たちだけがこれからどう利用していってということではないところを、精神的なものや、今までどうだったかとか、そのようなものが最初に来るのが、私たちの暮らしとの関わり、日本人との関わりというところに大きく作用するのではないかなというふうな印象を受けました。
 その中でも、特に、今現状で2に書いてある「生きもののつながりの中から生まれる食べもの」というのがありますが、このタイトルだと、あとの文章の中で、「農林水産業を通して水田や森林、海からもたらされる」と書いてあるんですけれども、最初で「生きもののつながりの中から生まれる食べもの」と書くと、実験室の中でつくったものも「生きもののつながりの中でできる食べもの」というふうに、変なふうな広域な意味にもとらえられるので、タイトルのところで、「水田や森林、海などからつながる生きものからの食べもの」。その下の方に、「そういう農林水産業を通して生きもののつながりの中から生まれる」というふうに、何かそういう具体的なものをタイトルに挙げた方が、よりわかりやすいのではないかなというふうに感じました。
 二つ目が、小さいことなんですが、これは文章の中で出てくるのかもしれませんが、4節の3の「世界とつながる日本の生物多様性」のところで、「渡り鳥などを例に、」の中に、渡り鳥、ウミガメもというふうにおっしゃったのですが、ウミガメだけではなく、回遊魚ですね、これ、内陸、海洋まで含めて、例えばウナギだとか、そういうように、日本の内陸、内水面のものが海洋に出てというようなことなどにも、大きくアジアの生態系に関わっているので、そういう魚類のようなことも具体的にちょっとここには触れていただきたいなと思います。
 その下の第3章2節のグランドデザインのところで、やはりこれも細かく書いたところで、また意見が分かれるところだろうと思いますが、100年後、人口が半減というのは、統計的に大体わかるのですが、高齢化も進みというふうな説明が先ほどありましたが、100年後はもう高齢化社会は終わっているので、そのあたりのこともしっかり書かないと、ずっと誤解を生み続けると思うんですね。一般的な方って、高齢化はずっと進んじゃう、おかげで荒廃も進むというふうな理論が成り立っていますので、100年後どうするかという視野に立ったときには、高齢化、超高齢化社会を経て、大きな人口分布の変革がそこに社会が成り立つ、その上で、そういうことを経ていった状態でのグランドデザインのあり方、その経過のあり方というものをここにしっかり書くべきではないかなというふうに感じました。
 最後なんですが、基本戦略、5ページの第2節の3のところで、これは立国戦略とかに出てくる言葉なのでしょうけれども、森・郷――ゴウという字ですね、川・海の、この「郷」という字がいきなり出てきて、すごく違和感を感じる。今まで、里地里山の簡単な「里」だったのに、どうしてここがいきなり「郷」になっちゃったのか、ちょっとそのあたりのことは少し説明をいただきたいなというふうに思います。
 以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 今、ご意見とご質問をいただいたんですが、ご質問にまずお答えして、それから順にいかがでしょうか。事務局から説明をしていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 最初の第1章の暮らしとの関係では、先ほど来ありましたように、いきなり生態系サービスの現状ということじゃなくて、そこは生物多様性そのものの重要性ということが、もう少し強調できるような書き方をちょっと工夫をしてみたいと思っております。
 それから、その順番についても、できるだけ一般の人の身近なものからというような意味で、食べ物から書いてみたのですけれども、その辺は、その前文といいますか、重要性を書くこととの関連でも、もう一度考えてみたいと思います。タイトルについては、できるだけ簡潔なものにしたいということにしておりますけども、内容、文章をこれから書いていきますので、その文章を書いてみて、またタイトルについても考えてみたいと思います。
 それから、世界とつながる多様性の中で、渡り鳥、ウミガメだけでなくて魚もというお話もありましたので、もちろん、文章化するときには、ウナギ初め、日本人に縁の深い魚についても触れていきたいというふうに考えております。
 それから、グランドデザインの中で、高齢化に関しては、人口に関しては2100年の推計として高位推計から低位推計まであって、中位推計で半減ぐらいという数字があるんですが、年齢別の長期的趨勢というのも同じような推計がありまして、2100年で40%が65歳以上ということで、現状が17.4%ですから、2050年で39.6%、それから、2075年で42.2%、そこがピークのようですけども、2100年で40%以上ありますので、必ずしも高齢化が終わってしまって若い人たちが増えているという状況でもなさそうなので、そこはこの推計によればということですけども、そういう状況が一つの前提としてあるのではないかなという。それはこちらの考えでございます。
 それから、基本戦略のところの森・郷・川・海の、この郷という字ですけれども、郷ということを入れたのは、森・川・海の川の流れだけじゃなくて、川の流域の農地とかそういうことも含めて広いところという意味で、「郷」を入れました。字に関しましては、この難しい方の「郷」というのは、6月に閣議決定をした環境立国戦略、その中でも、人と自然が元気な郷ということでこの難しい字を書いて、その中で、農林水産業の活性化というのを書いているんですけども、この難しい郷と簡単な方の里と、大した違いといいますか厳密な違いがあるわけでもありませんので、ちょっとイメージが違うという。郷の方は、ちょっと広がりがあるかな、町場も含めて広がりがあるかなという程度、そのイメージ程度の差でありますので、ここはほかのところで使っている里地里山の、簡単な方の里であっても構わないというふうに思っております。ここだけ、急に「郷」という字が出てきて違和感があるということであれば、簡単な方の「里」にしたいというふうに思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、速水委員、お願いいたします。

【速水委員】 ありがとうございます。この第2節の里地里山の説明が入っているところなんですけれども、少し後の方と関連するんですけど、第2部の方の第1章の5、6のところで、森と田園地域・里地里山と分けて、こちらの方では書いてあるんですよね、地域空間の施策のところで。そうしますと、第2節の[2]のところの里地里山等中間地域というふうに、多分ここに、先ほどご説明いただいていると、さまざまな森林というのが全部入っていて、全部で国土の七、八割をここで占めてしまうというふうにおっしゃられたのですけど、あとの部分で、行動計画のところであえて森というふうに出して、その下に里地里山を残して、農業なんかを中心にして、そこでかかってくると思うのですけれど、少しどこかできっちり説明をしておかないといけないのだろうと思うんですね、森の扱い方を。どっちにつくのだと。森って、やっぱり面積が結構大きいですし、私から言わせてみれば、戦後植えた森林のさまざまな問題の中で、多様性の欠落というのが起きてきて、農林水産省もそこの部分で多様性のある森づくりにどうシフトしていくかという悩ましいところで、戦略の中で森林の部分を扱ってきたわけですから、かなりさまざまな部分で影響が大きいところなので、余り、私は里地里山に入ってもいいだろうし、別に森を特別出してもいいんでしょうけど、そういう、もう、森自体があちこちしちゃうと困るなというふうに思うんですよ。それで、余りあちこちいくと、結局、極めて狭い意味の里地里山に注目され、奥地森林に注目され、その中間にある日常的に管理をしなきゃいけないような人工林を含んだ大半の森林がほとんど消えてしまう、意識から消えてしまうということになりかねないので、その辺を上手に整理をしていただきたいというのが私のお願いでもあり、意見でもあります。
 それと、第4章のところで、第1節で、地域を重視するというふうなことで、2のところで地域重視が書いてございます。その後、次のページの上に、広域的な認識とか統合的な考え方というふうに入っているんですけど、生物多様性を考えたときに、どうしても地域でという話になると、かなり地域性だけで見てしまうことがよく出てくると思うんですね。私なんかは本当に田舎に住んでいるのでそういう感じが見えるんですけど、そういう意味では、5のところの広域的な認識という部分は、随分ここをしっかり打ち出しておかなければいけないんだろうと思うんです。それと、「国際的な」というふうに、ここに入っているんですけど、どちらかというと、地球規模での日本のさまざまな活動が地球規模での生物多様性に対してかなり大きな影響を与えているところが大きいと思うんですよね。その辺の書き込みをどこでするかというのが問題なんでしょうけど、ここの広域的な認識で書くのか統合的な考え方で書くのか、その辺はやっぱりしっかり抑えておかなきゃいけないなというふうに思っております。私の場合は、また森林の部分から見れば、かなり木材を大量に輸入していて、その2割が違法伐採の木だというふうな指摘もされているようなことになってくると、そういう部分に関しては、日本での木材消費のかなりの部分が海外の多様性に対してインプットを与えていると。では、それに対して日本の森はどういうふうな扱いをすべきなのかというところに当然絡んでくると思うんですね。非常に大きな問題としてあると思うので、その辺をチェックをしていただきたいなというふうに思っています。
 以上、それと、さっきの「さと」は、私も郷か簡単な里かという、歌でも歌い出しそうな「郷」になっちゃったので、普通の「里」の方がわかりやすいのではないかなと思っております。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 今の、特に森林についてのご意見、ご指摘についてはいかがでしょうか。何かお答えできる範囲でお答えをお願いいたします。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 基本戦略の中の、2の人と自然の関係のところと、3の森・郷・川・海のところとの関係かと思いますけれども、森の方、大きな固まりとしての森は、その縦のつながりの森・川・海・郷の中の方で書きたいというふうに考えておりますけども、2等、3等と、きれいに切り分けられるわけでもありませんので、そこは実際にちょっと文章化をしてみて、また、素案の段階で見ていただければと思います。

【熊谷委員長】 はい。
 それでは、次に中静委員、そして中道委員、石坂委員、川名委員の順でお願いしたいと思います。その次に、鹿野委員、桜井委員という順でお願いいたします。

【中静委員】 ありがとうございます。たくさんあるか、五つぐらいあるかもしれません。
 まず、第1部の1章なんですが、ここは大変難しいところで、ぜひ頑張って書いていただきたいなというふうに思います。特にといいますかこれを見て思ったのは、7番の「生きものに守られる私たちの暮らし」というようなところで、「防災など」と書いてあるんですけれど、私は、やっぱり生物多様性は、害虫防除だとか病気のことに関しての方がむしろ重要なんじゃないかなと思っていまして、例えば、先ほどの農水省の戦略なんかでも、生物多様性と調和した農業というような考え方なんですけど、本当はそうじゃなくて、生物多様性を重視したようなやり方をした方が長期的に見たら得なんだというような視点の方が、むしろ重要なんじゃないかなというふうに思います。そういうふうな考え方で書いていただいた方が説得力があるといいますか、新しいライフスタイルにもつながるような気がします。
 それから、順番でいくんですが、第2章第5節の生物多様性の保全の状況なのですけれど、ここで述べられようとしているのが、一応、法制度ですとか指定制度とかという、いわゆる行政的なあるいは法的なものだけのような感じがちょっとして、いろいろなほかの仕組みについても、将来を見る意味ではちょっとレビューしていただいて、その方針を考えていただいた方がいいのではないのかなというふうに思いました。
 それから、第3章第1節の2番のところで、2010年目標というのは、この生物多様性戦略ができるのが2008年であることを考えると、もう既にその後を考えたような記述にした方がむしろいいのではないかと思います。2010年を目標というのは、ちょっと余りにも遅過ぎるのではないかなという印象を持ちました。
 それから、あとは第4章第1節の2番、地域重視のところと、それから2節の2番の地域における人と自然の関係を再構築するというところに関係するんですけれど、言葉の中にはもう入っているんだと思うんですけれど、私が特に強調していただきたいと思うのは、地域が同じことをしないようにお願いしたいという。要するに、どこの地域も地域重視で、同じような補助金をもらって同じような政策をするというようなことをやめるような書き方をしていただきたい。要するに、地域は地域で、自分たちの住んでいる地域の固有性を重視するという方向を何とか打ち出してほしいなというふうに思います。生物多様性って、結局、地域がそれぞれ独特であるということが大事で、地域がみんな同じように同じような守り方をしてしまっては、全然その生物多様性の保全あるいは利用という意味でも、意味が薄くなってしまうのではないかなというふうに思いました。
 それから、これはちょっと温暖化のところとそれから森・郷・海・川のつながりのところに関係するんですけれども、生態系ネットワークというのはとても僕は重要だと思っていまして、非常にいい施策になるんではないかなと思います。それで、やっぱり温暖化の予想がかなり難しいということを考えると、そのネットワークを通じて、できるだけ生態系を結んでいくという、自然性の高い生態系を結ぶということと、本当はもう一つ、単純な、あるいは農業生態系でよく見られるような単一作物の広面積な栽培ですとか、非常に、鳥の物すごく集中的な、利便的に均一なものを集中的にカルチャーするというような、そういうものというのは両極にあって、できれば、例えば温暖化なんかで病気がはやるというようなことも考えたりとか、それから、保護地域だとかそういうものの影響を考えたとき、あるいは病気の広がりを防ぐというような意味でも、本当は生物生産をしていく単純なシステムはできるだけフラグメント化させるというような、両方の視点があった方が、要するに同じことなんですけど、自然性の高いものはネットワークで結び、単純なものはフラグメント化させるというようなニュアンスが、僕は非常に有効なのではないかなというふうに思います。
 それから、その次の4番目のところ、多くなって申しわけないんですけど、ほとんど意見ですので考慮していただければありがたいということなんですが、地球規模の視野とか国際的な視野を持って行動するというところで、先ほどから出ていますように、速水さんがおっしゃったように、やはり国際的に日本が輸入しているものが、例えば日本の環境にとっては、あるいは、例えばオイルパームのように、日本の環境にとってはいいんだけれど熱帯雨林を壊してやっているというようなことを考えると、日本の生物多様性を守るとか日本の環境を守るためにいいことというのが、必ずしも国際的には生物多様性を守っていないというような、そういう視点もあるんだということを意識して書いていただきたいなというふうに思いますのと、そういう意味では、最終的にと言っちゃおかしいですけれど、生物といいますか、食物ですとか生物材料の輸入とか貿易に関しての何らかの生物多様性を考えた場合に、どういうふうにあるべきかというようなビジョンなんかも盛り込んでいただけるといいなというふうに思います。
 以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。今、たくさんのご意見、ご要望をいただきましたけど、現時点でよろしゅうございますか。
 では、計画課長、お願いいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 今後の策定の中でそれぞれ反映していければと思うのですけれども、保全の状況について、制度以外のものについても触れられないかということで、例えば地方自治体でありますとか、民間レベルでの保全の動きというのについて、網羅的には書けないと思うんですけれど、大きな流れみたいなことについて書けないかどうか、ちょっと考えてみたいなと思っています。
 それから、2010年目標の部分ですが、あと3年後ということで、条約の方でも、COP10、2010年にある会議の大きな議題がポスト2010年目標の検討ということになって、今後、その3年の間に、2010年目標、著しく生物多様性の劣化にブレーキがかけられたかどうかというのを幾つかの指標で見ていこうというのが、2010年目標ですけれども、その達成状況を3年の間に評価することと同時に、2010年以後の目標の検討というのをしていくことになります。その辺に触れたいと思いますし、日本の生物多様性総合評価ということで、今回の第三次の戦略を受けて、日本の多様性の総合的な評価をやる中で、どういう指標で評価していこうかということを検討していきたいと思っていますけれども、そういった検討がポスト2010年目標の検討にも生かしていけるような形で展開できればなと思っておりまして、その辺、この戦略の中でもうまく触れられたらと思っています。
 それから、温暖化の影響に対して、きっちりモニタリングをしていくということに加えて、自然の側がどんな備えをしたらいいのかというのは、今回の戦略の中でどう触れるかと、大事な点かなと思っていまして、今、中静委員の方から、そのときに生態系ネットワークというのが大事なんだと、自然性の高い固まりを結んでいくことが大事であるというようなことをご指摘いただきましたので、その辺についても、ほかの委員の皆さんの意見も聞かせていただきながら、ぜひ盛り込んでいけたらなと思います。よろしくお願いいたします。

【熊谷委員長】 はい。
 それでは、中道委員、お願いをいたします。

【中道委員】 大変なご苦労をされて、いい構成になっていると思います。大変なご苦労だったと思いますけど、4点ほど意見を言わせてください。
 多くの方が言われたのと似たような感じですけど、私たちの暮らしと多様性の問題をどうとらえるか。わかりやすく書いてくれというのは、ここの委員会の大方の意見だったと思うんですね。非常にわかりやすくなっていると思うんです。ただ、例えば、ここに「いのちは創れない」と書いていますよね。命はつながっているという認識をする。それから、我々が知らない命もたくさんあるという感じ。それから、日本は仏教国ですから、すべての生き物に命がある。そういう感じからすると、もう少し、生命誌ですね、そういうようなものに配慮したこと。それから、我々はまだわかっていないのだということだから、もう無条件でそういうものは大事にしないといけない、という意識があった方がいいんではないかなという感じがいたします。それが一つです。多分、これは条約ですから、ほかの国とのバランスからいくと、ちょっとおかしな格好になると思うんですね、そういうことを書くと。アミニズムではないかとかいう話も出てきやしないかと思いますし、ちょっとそこを工夫して書くと、日本らしい、いい計画になるんじゃないかという感じがいたしました。
 2点目ですけれど、2ページの第2章第1節の1、深刻な影響(地球温暖化による影響)とされています。地球環境問題は、やはり大気圏、土壌圏、水の圏、水域のところですね。あらゆるところに起こって、その集約されたものが生物多様性に来ていると思うのですね。そうすると、温暖化の話は第2節で取り上げるわけですから、やっぱり地球環境問題全般の深刻な影響とした方がいいと思うんです。確かに日本には砂漠化が余りありません、森林破壊もないですけど、結果として外国にそういうことを起こしていることもありますから、もし、日本には確かにないけれど全体としてはそれがあるという印象をきちんと言っておいた方がいいんではないかという感じがいたします。
 3点目ですけど、第4章第1節に、これも先ほど話が出たけど、地域重視、それから、5、広域的な認識、7、長期的な観点――外国の話がどこかにありましたね。要は、ネットワークという、エコネットワークは、先ほどの説明で空間的なものをエコネットワークだと、空間的にとらえるという話をされましたけれど、例えば、人とか組織が入ったネットワークがあります。それから、ネットワークというのは、大きなネットワークが一つあるわけではなくて、小さいネットワークが幾つも重なって、重層的に重なっていると思うんですね。だから、そういうことがどこかにあると、この2番の地域重視、広域的な認識というのが生きてくるんではないかなと思います。
 4点目は、私もよくわからないで言ってお恥ずかしいんですけど、5ページの上から2行目、6、統合的な考え方とあります。それで、そのあとほかに、この文章の中に、「総合的な」とか「総合評価」とかいう言葉が幾つか出てまいります。こういう地球環境問題とか生物多様性みたいな複雑な問題をどういうふうに見るかというのは、これはすべての科学技術分野が、今、非常に苦労している分野だと思います。よく使われる言葉が、総合化とか統合化ですね。それから、俯瞰的に見るとか、そういう言葉が使われています。やはり、これ、どういうことかというと、私は視覚と展望を持って見るということではないかなと思うんです。視覚も展望も、英語で言うとパースペクティブになりますけれど、やはり切り口があって、それをもとに評価することでないと、いろんな整理が難しいと。総合的に見るとか統合的に見るというのは、何でも全部まとめて見るということで、何でも持ってくるという感じだけのニュアンスしかないと思うんですね。そこを今、各分野、非常に苦労している言葉ですから、多分これについてはどういうことだというのは、方々から出ると思いますから、できたら、考え方を統一された方がいいんではないかと思います。
 以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 貴重なご指摘をいただきましたが、特にございませんか。今後の素案づくりに十分生かしていただければというふうに思いますので、ありがとうございました。よろしくお願いします。
 それでは、石坂委員、お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。

【石坂委員】 ありがとうございます。四つほど申し上げようと思いますが、一つは、第3章第1節2の総合評価ということですけれども、これは、いろんな指標を用いながら、かなり具体性を持った総合評価をしていただくというふうに理解をしておりますけれども、そういうことでよろしいんでしょうね。つまり、中道委員も今おっしゃっていましたけども、ある切り口を持って具体的に評価をしていかないと、評価にはならないと思うんですね。総合といっても、ただいろんなことを並べて、大体いいやというんじゃ総合評価にならないと思いますので、その辺をきっちり、事柄を認識した上で書いていただきたいと思います。
 二つ目は、100年後のグランドデザインということで、人口減少とか高齢化社会については触れておられましたし、温暖化も前提として織り込んだということを言っておられました。温暖化を盛り込む、あるいは、それよりもっと広く織り込んだらどうかというご提案もございましたけども、温暖化をどう盛り込むかはなかなか難しいと思うんです。今温暖化について、2度の温度上昇にとめられれば成功であるというのが、一般的に言われていることだろうと思います。それ以上どこにコンセンサスがあるかというのは、今のところないですね。
 ですから、今書くとすれば、2度世界の気温が上昇したとすればどうなるのだろうかということを頭の中に置きながら、100年後ということを書いていくことになるんだろうと思いますけれども、人口の問題もそうですけれども、ふわっと書くんじゃなくて、前提をはっきりした上で書いていく必要があると思いますし、書いた事柄が夢物語であっては、説得性を持たないと思いますので、そこは現実性のある100年後の姿を書くことに十分意を用いてもらいたいと思います。
 それから、三つ目は、統合的な考え方ということで、自然共生社会、低炭素社会、循環型社会、三つは統合的にとらえていく必要があるのはそうなんです、全くそのとおりなんですね。とらえていく必要があるという視点だけで書いたんじゃいけないので、もう一つ、この三つが必ずしも同じ場で議論されているわけではないので、じゃあ、それをどうやって統合するんだという仕組みまで踏み込んで書く努力をしてもらいたいと思います。これはいろんなところとの調整が必要でしょうから、そう簡単な話ではないでしょうけども、例えば環境審議会はこの三ついずれもやっているわけですから、環境審議会で何か統合しようと思えば、できない話じゃないんですね。ですから、そういうことで、単なる言葉に終わらせないでほしいということです。
 それから、四つ目は、あるいは、その次の具体論のところとの関係かもしれないんですけれども、国際協力と国内の財源というんでしょうか、投資というんでしょうか、その問題だと思うんですが、今、サミットでも生物多様性が議題の一つに取り上げられていますし、それから、総理の構想でも、生物多様性が非常に大きなアイテムになっているわけですね。ですから、今、予算を獲得していくとか、あるいは、いろんな協力を得ていくとか、働きかけていくという意味においては、非常にチャンスなんですね。時あたかもこの戦略ができるわけですから、このチャンスを多いに利用してほしいと思うんです。
 その一つは、国際援助と言うとちょっと狭いので、国際協力と言ったらいいんでしょうけども、それにかなり大きな、これはもちろん財政だけでは制約がある話なので、全部を入れての話だと思いますけども、こういう規模で、例えば5カ年間でやるとか、3カ年間でやるとか、あるいは、国内の生物多様性に対する調査とか投資とか、そういうものについて、やっぱり5カ年でも、例えば1兆円を投資するとか、そういうふうなことがこの審議会の文章に書けるとは思いませんけれども、そういう計画的な、財源を含めた姿がぜひ必要だと。そして、それが今非常にいいチャンスだと思うんですね。そういう意味で、何らかの形で、この計画の中、戦略の中に踏み込んだ記述をしてほしいと思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。まことにごもっともなご指摘ですので、今後、十分に事務局で他省庁との調整も考えて詰めていただけたらと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、川名委員、お願いをいたします。

【川名委員】 皆さん言われて、もう、私、新しいことは余りないんですけれども、やっぱりこの三次案は二次案よりずっとよくなって、わかりやすくなっていると思うんです。二次と大きく違うことの一つが、皆様が言われたように温暖化だと思うんですけれども、2章の書き方、3つの危機の上に「深刻な影響(地球温暖化による影響)」とありますけれども、影響であって危機ではないのかというのは、ちょっと書き方だけの問題なので。割合大きな問題なので、3つの危機の下に「深刻な危機(地球温暖化)」というふうにした方が、大体、目次しか見ない人もいますので、地球温暖化というのが深刻な危機であるということが目次で見てわかるようにした方がいいんじゃないかという気がします。
 そして、続いて地球温暖化ですけども、そこもやはり、深刻な危機、地球温暖化、それと生物多様性との関係に決まっているのでして、そこをもうちょっと膨らませて書いた方がいいような気がします。要するに、地球温暖化が3つの危機を上回る危機であるというようなイメージを出された方がいいんじゃないかという気がするんです。
 3節は、ここでは温暖化のことはもう言わないですから、「3つの危機の背景」とした方がいいのではないかと思います。
 以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。この構成について、十分これからの参考にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、鹿野委員。

【鹿野委員】 何点か申し述べたいと思います。
 まず一つは、全体の構成の中で、第1章の第1節、わかりやすく解説するというのは非常にいいと思っております。ただ、先ほど来各先生方からお話が出ましたように、格調高くですとか、もっと、生物多様性の根っこにあるような、例えば生きものはつくれないというのは、前の戦略のタイトルになっていますね。そういうものですとか、人も生き物の一員であるとか、やっぱり、そういうのがこの記述の中の根っこにちゃんと流れていなきゃいけないんだというふうに思います。
 それから、第2点目ですが、国土のグランドデザインというところでしょうか、例えば100年後の国土を見据えるとか、そういうことがあります。この中で、一つ視点として取り上げていただきたいんですが、我が国土を見ますと、本当の自然林は大体2割、それもほとんど東日本、特に北海道に偏って、それで2割なんですね。そういうことからすると、国土全体、特に西日本の方では、全体として自然林が全く足りない。基本的に、国土のデザインをするに当たって、やはり自然林は国土全体の中にちゃんとバランスよく配置されているべきだと思います。ですから、その辺を全体のグランドデザインの中の一つに据えていただきたい。特に、100年後といえば、今の二次林は、上手に管理すれば、当然、もう、ほとんど自然林になるわけですから、そういう観点で全体のデザインをしていただきたいというふうに考えております。
 これは大面積であれば二次林で、例えばここでいえば[2]の里地里山の中間地域から[1]の奥山自然地域へ、むしろ、ここで整理した地域の移行ということにつながるんじゃないかと思います。そういうことからすると、[1][2]で現時点の評価でばっさり割り切るだけじゃなくて、当然、移行していくというのも、長期を見据えればあり得るんだという観点の整理をお願いしたいと思います。できれば、それに続いて、都市であっても、大面積は無理ですけども、明治神宮とは言いませんが、もっと小さくてもいいんですが、やはり点々と、郷土には、それぞれ気候風土に合った自然林の存在がどうしても必要だと思いますので、かつての鎮守の森とは言いませんが、新しい時代のそういう森が都市地域にもあればいいと思っております。
 なお、これは全体として、あとで述べられる、例えば生態系のネットワークですとか、そういうものをどこにどう配置するかというときにも、森林が時間とともに推移していくということは念頭に置いて、全体のネットワークだとかそういうものの配置については考えていただきたいと思います。
 それから、さらにそれに関連して言えば、例えば里地里山等中間地域は国土の8割から7割と先ほど説明がありましたけれども、100年後、高齢化はもうなくなっちゃっているという話がさっきありましたが、ただ、少子化で国土全体の我々国民のマンパワーが落ちるのは間違いないわけでして、そういうことからすると、これだけの面積を二次林として維持していく、そういうマンパワーはないだろうと思われます。そうしますと、単に生物多様性という観点だけじゃなくて、国民が国土を管理していくという観点からも、二次林の地域は、より人手をかけなくて済む自然林の地域にしていくということが重要じゃないかと思います。
 それからもう一点、長くなりましたが、あとは海域の問題です。やはり海域は、環境保全、生物多様性保全という点では、陸上に比べても大いに反省するところがあるんだと思います。かなりおくれていたのかなという反省があると思います。そういうことで今度書き込まれておるのは大変いいと思いますが、一つちょっと気になるのは、例えば持続可能な漁業の確立と藻場、干潟の保全と、こう並列されておるわけですが、実は漁業の観点から見ても、海の生物多様性の保全というのは資源確保と同じですから、漁業の確立と保全が別々にあるのではなくて、むしろ漁業と連携した保全の推進という観点の記述を増やしていただきたいと思います。
 以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 時間に限りがございますので、まず、ご質問、ご意見を伺いまして、まとめて事務局の方から、お答えできる範囲で答えさせていただければと思いますので、桜井委員、三浦委員、山岸委員の順で、まずご意見、ご質問をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 桜井委員、よろしくお願いいたします。

【桜井委員】 はい。まず、先ほど浜本委員が言われた第1部の1章の構成ですけれども、6の「生きものがうみだすきれいな水と空気」ですね。この部分で、ちょっと参考までにお話ししますけれども、日本というのは、先ほど言いましたように国土と海があります。海の生き物、実はこれ、非常に重要でして、陸から出てくる栄養塩とか、炭素、窒素、リンも含めて、それの物質循環というのが非常に重要な担い手です。同時に再生をしています。同時に保存もしています。ものすごい、莫大な量を保存しておりますね。こういった部分で、むしろ、6の部分はもっと大きなくくりで、日本の国土ではなくて、日本の海も含めたものをもっと大きく書いて、全体に生物多様性の重要性の中で、最初にもってくるべき部分じゃないかというふうに思います。
 それから、次に、第2章の地球温暖化と生物多様性ですが、これは、温暖化という概念からくる、常に危機という言葉を使いますが、ただ、最近私たちいろんなところで対応していますと、メリットとデメリットが出てくるんですね。必ずしもすべてが悪ではない、温暖化がプラスに働く場合もあるという発想があるんです。ですから、これについては、しっかり、IPCCのシナリオ、これ、いろんなシナリオがありますけども、第4のシナリオにしても各国で違いますし、特に日本で言えば、地球シミュレータなどを使われた、国立環境研なんかもやられていますけれども、非常にすばらしいシナリオができております。そういったものをもう少し取り入れて、陸域生態系と海の生態系も含めて、どういうふうに変わっていくのかということもやっぱり明記していただきたい。
 ここは、おっしゃるとおり、非常に重要な部分だと思います。むしろ、ここでは危機とかいう問題もありますし、こういう温暖化という議論、あるいは100年後にどんな……もシナリオとしてあります。そういったものを科学的にむしろはっきり書き込んだ上で、それを押さえるにはどうしたらいいか。そこに当然メリット・デメリットが出ますので、何かそういう、多様性については、温暖化が非常に大きな問題ですから、むしろここは、今、日本でやられている、非常に最近よくやられていますので、その辺の議論もしっかり加えていただければと思います。
 それから、次、海域のところですか。その前に、4節の世界とつながる日本の生物多様性ですが、先ほどウミガメとかウナギってありましたけど、これ、実は、いわゆる森の回廊とか水の回廊と言われていますけども、空には空の回廊もあって、海には海の回廊もあるわけですね。実際には、生き物が通る道があるわけです。ですから、そういう発想でもう少しここからつなげていきますと、これ、日本の国土だけではなくて、近隣国あるいは地球とのつながりの中に日本は位置づけられるということで、何かそういう大きなくくりで書かれたらどうかなという気がします。
 それから、次に、先ほど出ました、海の問題ですね。これは[5]の沿岸域。これについては、私、農林水産省から出されたものを見ますと、これはどちらかというと、生産者の側から見た海の書き方をしたんです。それはそれでいいと思うんです。ですけども、もし、この生物多様性国家戦略を書くときには、環境、生態系という観点から、沿岸・海洋域を提言して、例えば沖岸域、沿岸域、湾とか干潟とか半島とか島とかあるわけですから、そういったエコリージョンの考え方を取り入れて、もう少し分けた方がいい。ただ、沿岸・海洋域という大きなくくりで書くというのではなくて、何かそういう書き方が必要だろうと。
 それから、最後、これは第2節の基本戦略のところですが、ここの「森・郷・川・海のつながりを確保する」。ここでは何か、これは多分あとに書いた方がいいのかもしれませんが、具体的な事例ということで我々よく使うのは、多分ご存じだと思いますが、ホットスポットという概念があります。今、北極を取り巻く、中でもホットスポットの概念で今ディスカッションしていますが、やはり、非常に、そこをしっかりモニタリングしておくと、何か変化が見えるという場所があります。日本で言えば、今回、私たちは知床を提案していますけども、そういったホットスポットといったものを、例えば、陸域でも、海でも、それから、湖でもいいですけれども、そういったものを提案して、それに対してモニタリングあるいはモデリング、それから、順応的な管理、こういったふうにつなげていくようなスタイルをとっていただければと思います。
 以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、引き続いて三浦委員、お願いをいたします。

【三浦委員】 私も個別的に要望をしたいというふうに思います。
 まず、第1章の第1節ですが、それぞれの危機を、人間の生存基盤という格好からこういうふうに書いていただいて、これはこれでいいんですが、5番目の「日本の文化と生物多様性」という、この書き込みを見ますと、「文化的な多様性に繋がり、」とあって、伝統行事、祭り、あるいは伝統工芸等が挙がっているんですが、ぜひここでは風土の問題にも踏み込んでいただきたいなというふうに思います。それで、自然景観の保全とか、居住景観といいますか、そういうものも書き込みをお願いしたいと思います。それが一つ。
 それから、「生物多様性から見た国土のグランドデザイン」ですが、ここは、今鹿野委員が指摘したように、もうちょっと仕分けをしていただきたいなというふうに思います。里地里山等中間地域という格好なんですが、これは具体的な中身を読みますと、中山間地の話であって、農地といいますか、平野部分の記述ではないということで、きょうは農水省から生物多様性の報告が出ていますから、農地という格好か、平野部という格好かというカテゴリーでここの記述が要るのではないかという気がします。
 それからもう一つ、奥山の自然地域の中で、これはむしろ農林水産省への要望なんですが、原生的な天然林という──これは環境省側の書き込みなんですが、原生的な天然林というからには、原生的でない天然林もあるわけで、つまり、人工林との対比で天然林という格好なんですけれども、森林の多面的な機能とか生物多様性の評価という観点からすると、もうちょっと今後は、この仕分けというのを、例えば自然林あるいは原生林といったような、単なるそういう二分ではないような区分が必要ではないかなというふうに思います。
 それから、第4章の「基本的視点」の中で、「社会経済的な仕組みの考慮」というのがあって、ここら辺、先ほど来の議論で非常に重要なポイントの一つだったというふうに思うんですが、生物多様性の保全と持続可能な利用の実際の中身が、市場や流通のメカニズムをどう構築するかということを書き込むのが大切なんですが、ここでは、生業といいますか、なりわいといいますか、伝統的な産業レベルでは、今後、食の安全とか自給率を上げるとかいった観点からするとちょっと弱いのではないかなというふうに。ここの書き込みといいますか、具体的な盛り込みをお願いしたいというふうに思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、山岸委員、お願いをいたします。

【山岸委員】 ありがとうございます。新しい国家戦略にアクションプランがきちんと入ったというのは、これはものすごく評価すべきできる点だと思います。再度、格調にこだわらせていただきますと、恐らく、前文やそれから第1部第1章第1節に出てくるものはどこから来るかというと、2ページの「4つの理念」から来ると思うんですね。この理念の中に、先ほどから出ている、「いのちは創れない」という一番大事な理念が欠けているんじゃないかということを僕は思うんですが、いかがでしょうか。それは「豊かな文化の根源となる」の中に入るんだと言われてしまえばそれまでですが、ちょっと違うような気もいたします。その理念があれば、前文も、その前も変わってくるんじゃないかと思うわけです。
 どんなに科学が進歩しても、我々、命は絶対つくれないんだ、だから、1種なりともつぶしちゃいけないんだと言うと、今度は逆に、病原菌はどうするんだとか、そういう人間の身勝手さが非常に出てまいります。その辺までやっぱり突っ込んで考えないと、絵にかいたもちになってしまうんじゃないかと。前回の国家戦略の一次の見直しのときに、私は病気のことを取り上げろと言って、できればこの委員の中にお医者様を入れろという提案をしたはずなんですが。果たされていないんですけど、ぜひお医者様の意見なんかも私は聞きたいと思います。
 それからもう一点は、石坂委員の言われたことに関連するんですが、私は先般沖縄で、太平洋学術会議でこの問題を取り上げて、そのときに外国の人の前でこれを振りかざして、日本にはこういうものがあるんだと言ったんだけど、全然読めないよと言われちゃったので、ぜひ、来年のサミット、安倍さんが行くのかどうか僕は知りませんけれど、それまでに、特別なお金をもらってでもこれの英語版をぜひおつくりになって、外国にアピールされることがよろしいんじゃないかと思いました。
 以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、土野委員、お願いいたします。お待たせをいたしました。その次に高橋委員、お願いいたします。

【土野委員】 この「生物多様性」という言葉自体、非常に難しい専門的な言葉で、私どもの市で言えば、住民の方はほとんど知らないというのが実態でございます。住民の方が今熱心にやっていただいている環境問題というのは、どちらかというと温暖化ということについては非常に理解が進んできていると思います。そういう意味で、CO2削減のためのいろいろな施策とかいうことについては非常に熱心に活動していただいておりますし、また、やはり一番大きな課題はごみの問題で、資源化とかあるいは減量化というようなことについてはかなり進んできていると思います。
 そういう意味で、生物多様性ということについて国民なり地域住民の理解を得ようとすれば、かなり具体的な、どうしたらいいかということを説得力ある形で記していただく必要があるんじゃないかなと。そういう点で、恐らく「基本的視点」の中の「連携と協働」とか、そのようなところでお触れになるんだろうと思いますけれども、その辺についてぜひ力を入れていただければと思っておりますし、もう一点、やはり将来を考えますと、子供たちに対する教育、啓発が非常に重要だろうと思っております。基本戦略の中の1のところで、教育・学習の推進という項目がございますので、恐らく、そういうようなことでお触れになるんだろうと思いますけれども、将来を担う子供たちに対する教育・啓発ということについても、できるだけ具体性のある方法というようなものをお示しいただくことが必要ではないかなと、こんなふうに思っておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 高橋委員、お願いいたします。

【高橋委員】 今、安倍さんが総理大臣になっていらっしゃるんですけど、小泉総理はかなり長期間政権を保った。自民党の中ではそんな基盤はなかっただろう。省庁間で言えば、こう言っては失礼ですけれども、環境省もなかなか予算がないし、大変なところでやられているんだろうと思うんです。それでもやっていくというのは、やっぱり、国民の支援があってこそ、国民がわかってこそ、一緒にやってこそだと思うので、もう一度わかりやすく具体的な戦略を出していただきたいというのが、総論的なお話として一つですね。
 それから、きょうとっても残念なのは、農水省の方が退席されたんですけれども、私の専門のことで、ささいなことをお話ししなければいけないんですけれども、草地というのがあります。これは里地里山の中に多分含まれるんでしょうけども、先ほど、森林というのも両方含まれるというお話があったように、草地も、例えば林縁だとか、田んぼの周辺だとか、道路の周辺だとか、湿地の後背だとか、そういうつながり、移行帯と言ってもいいバッファゾーンは非常に重要なところですよね。そういうものをどうやっていくかというのは、実は先ほど緩衝帯というお話があったんですけれども、鳥獣害を防ぐ上でそこに草地帯をつくるというのも各地域では行われるようになっていますし、そういう観点から言えば、かなり広範な内容を含むものだろうと。面積的には非常に少ないかもしれないけれども。
 もう一つは、ホットスポットであるということもあるわけですね。例えば環境省のレッドデータブックの中にちゃんと記述されていますけれども、ここ何年かで絶滅に瀕している顕著なところでは湿原と草地というふうに具体的に書かれているように、県レベルのレッドデータブックを見ても、4割近く草地の植物が取り上げられているわけでして、そういう意味でも大事だと。
 それからもう一つは、つなぎ役。例えば循環的な農業をやるとか、持続的な農業をやるといったときに、昔使っていた草の利用というのは、具体的にここで「草のバイオマス」というふうに書いていただいているんですけれども、そんな大々的なものでなくても、草地を見ることによって、今おかしくなっている世界というのがよくわかるんですよね。これは何も阿蘇・九重のような広大な場所ばかりではなくて、例えば水田のあぜというのは、それは先ほどからずっとお話のある、いわゆる生態系ネットワークですね。森林だけのネットワークじゃない、そういう草地のネットワークがずっとあるわけですし、そこにホットスポットとしての植物もいるということになれば、かなり広範な内容を含むものがわかるだろうと思う。強いて一つの言葉で言わせていただくとすると、子供たちが元気に遊んでいる原っぱを復元するとか、原っぱを取り戻すというような言い方もあると思うんですね。そういう意味では、環境学習とか、都市周辺の緑地の管理とか、そこでの生物の保全だとか、いろんな意味であるわけです。そういうものを何らかの形で書いておいていただきたい。
 自分が草地の専門だから言うんですけれども、里地里山の中で結構ですので、そういう文言を書いていただきたいというのと、農水省の場合、非常に欠けていると言ってはなんですけど、草地の方からいっても、外来種の問題が全然書いていないんですよ、ここの中に。先ほど工程表とおっしゃったんですけれども、草地に関する工程表を見ると、外来牧草地をつくっていくという工程表になってしまっている。これはやっぱりおかしな話でして、環境省から農水に、そうやって圧力がかかるような一つの提案をぜひ出していただきたいというのが希望ですけれども。
 以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 山岸委員、まだおありでしょうか。よろしゅうございますか。
 一応、資料2の戦略についてご意見を賜りましたけれども、あと若干の時間でございますけれども、6ページ、7ページのアクションプランといいますか、行動計画の方については特にまだご意見をいただいていないようなんですが、もしおありでしたらお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
 それでは、森本委員、よろしくお願いをいたします。

【森本委員】 「国土空間的施策」というところにはまるのかなと思うんですけれども、国土全体の生態系保全を目標にした計画のあり方みたいなのを本当に今までちゃんとやられたのかなと思っていまして、これ、国土計画の中で、緑のネットワークですか、生態系ネットワークですか、それなりに記述はあるようなんですけれども、もう少しブレークダウンしたようなところが要るのかなと思っております。そういったことをきっちり書いていくということが必要。省庁としてどこが適切なのかというのがよくわからないんですね。例えば旧国土庁の関係での大きな計画もあるでしょうし、それから、もっと小さな整備局レベルの話もあるでしょうし、あるいは農水のレベルでもあるんですけれども、ブレークダウンしていくと消えてしまうようなネットワークがやっぱりあるんじゃないかなと思います。
 奥山に関しては比較的書きやすいのかなと思うんですけれども、実は、絶滅の危機に瀕しているのは里地里山というのが大変大事でして、この辺のネットワークをどう再構築するのかというのが大変大事かなと思います。そのときに、空間の連続性だけではなくて、時間の連続性というのがあるんじゃないかと思っています。それは、例えば手入れされずに造林された森がずっと残っているのは時間が連続していないわけで、いわゆる遷移の段階をうまく踏まえた連続性がある。草地の話も実はそういうところにあるのかなと思いまして、空間的な連続性が途切れて劣化したというだけではなくて、時間的な連続性がうまくいかない。ギャップダイナミクスなりなんなりがうまく働かないみたいな、そういうことで生態系が劣化しているという面も、里地里山を中心にあるのかなと思いますので、その辺の連続性の再現というのをどうやっていくのかというのをちゃんと書き込むべきだろうなと思います。
 それからもう一つは、可能な限り具体的なことにすることが必要だと思います。その前の戦略までは実はかなりよくできていて、文字をよく読めば、僕の言いたいことは何かみんな書いてあるので、新たに言うことはないかなと思うんですけれども、例えば生物多様性に配慮したそれなりの農林水産業なり、あるいはさまざまな工業活動をやっている製品を私たちは買いたいし、いろいろ生活に生かしていきたい。そのときに、やっぱり認証制度がこれからの一つの決め手かなと思います。FSCはそれなりに機能しているようなんですけども、もっとこれを大々的に、いろんな生活全般にわたるようなものに展開していくような施策をとるべきじゃないかなと思っています。これは今後のいろいろな検討課題かなとも思うんですけども、認証制度をどうするか。
 それからもう一つは、市場経済でどううまく生物多様性の持続可能な利用を図っていくか、いわゆるWin−Winの関係をどうつくるかが大事だと思いまして、その辺のサポート体制を具体的にどうしていくのか。これが二つ目に大事な問題だろうと思っています。
 もう一つ、「自然再生」という言葉が出てきています。この中にぜひ「氾濫原」というキーワードがあればいいのではないかなと思っています。それと、今まで湿地という言葉は出てきていまして、干潟という言葉も出てきています。この重要性というのはかなり認識されています。その具体的なあり方として、都市が非常に広範に立地していて、危機に瀕している実態を場所の特性とともにうまく表現する言葉が、氾濫原じゃないかなと思っています。
 実は先週オランダで国際景観生態学会というのがあって、いろいろこの手の話の国際的な動向を聞いてきたんですけれども、氾濫原の自然に対する見方が非常に進行していまして、例えば河口域も、いわゆる海の浅いところ、それから、汽水、内陸だけじゃなくて、その中間のフレッシュウオーターの卓越する、氾濫する場所ですか、こういったものの生物多様性、生産力はすごいんだという話もあります。それから、ヨーロッパなんかでは、河川にもっと場所をと、ルーム・フォー・リバーというんですか、こういう動きもございます。このあたりを踏まえて、自然再生というときには、「氾濫原」というキーワードが今度一つあればいいかなと思いました。
 以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。行動計画に関して、特に「国土空間的施策」の中の第1節、第3節、第8節あたりについてのご指摘だと思いますので、よろしく参考にしていただけたらと思いますが、ほかにございますでしょうか。
 和里田委員、お願いいたします。

【和里田委員】 この行動計画ですけども、前の計画をまとめた際には、各省が、我が省はこう行動するぞというような書き方でありまして、それを結果としてフォローアップする際に、地方公共団体がどう活動したのか、あるいは民間の人々がどうされたのか、あるいは国民がどうしたのかという視点でのフォローアップをしたかと思います。今度、この行動計画というものをまとめるときに、どういう視点で書くのか、どういう立場の人がどういう行動をするかという視点の役割分担というものを少し明確にする必要があるだろうと思いますし、もう国民的な参加を促すというような時代じゃなくて、もう3回目の計画になるわけですから、国民が自ら行動していくというところに来ているんじゃないかという感じもいたします。そういう意味で、それぞれの立場での役割分担というものをもっと明確にし、国民をもっと、積極的にやれよ、やろうじゃないのというものにしていただければと思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。本来のアクションプランであるべきだというご指摘だと思いますが、ほかにいかがでしょうか。
 浜本委員、お願いいたします。

【浜本委員】 今のご意見に関連した意見なんですが、第二次戦略の改善が必要とされる点のところにも、「各省施策の並列的記載という面がまだ残っている」と書かれておりまして、この行動計画の中にたくさん出てきて、今回特に温暖化に関するものというのが新しくきちんと記載されてきて、温暖化に関することは、国レベルでも、アジェンダ21から始まりまして、もう、かなり各市町村のレベル、市民レベルでも、どのようなアクションプランを起こせばいいのかとか、例えばどのような啓蒙活動をすればいいのかということが具体的に出てきているのですが、私も、自分の地方の県であるとか地域の中でたくさん関わっているんですけど、その中に、この生物多様性の考え方が全く入ってきていないんですね。温暖化に関するもので、例えば子供たちや一般の方たち向けの啓蒙の教材などというのはあるんですけれども、先ほどもご意見がありましたが、それは割と一般生活に関するもので、こういう生物多様性に準じたものの温暖化に関する資料みたいなものや教材が、まだほとんど出てきていない。
 この中にも、例えば第2章の「横断的・基盤的施策」とありますが、「野生生物の保護と管理」であるとか「普及と実践」のようなところになってくると、これは各省間の本当の意味でのきちんとした連携をとった行動計画への関わりが出てこなければ、例えば文科省は文科省で勝手にやっているとか、経産省は経産省の考え方でやっているのではなくて、少なくとも、温暖化のことも出てきたように、その中の国家レベルとしての、日本という国が地球規模で及ぼすさまざまな関わりにしても、生物多様性に関することは、環境省の生物多様性の国家戦略がすべての省庁における上位施策であるというぐらいの、それぐらいの強さを持って関わりを進めていかなければ、また、第四次とかそのあたりになってくると、やはり弱かったというのが出てくる。手おくれになりましたとか、復元すらもできませんでしたとか、「生態系に関する生物多様性」という言葉はまだまだ一般的に普及されていませんというのが、また次の段階でも出てくるような気がします。そのあたりが、第2章の「横断的・基盤的施策」の中でもう少し強くアクション的に、これはここの省庁が責任を持ってというぐらいの感覚で取り組むべきではないかなというのを強く感じました。
 今回、農林水産省の側のものに少しかかわらせていただいたんですが、その中でも、やはり施策をつくるまでの時間的制約であるとか、農林水産省が行う農林水産業の中でどのような関わりをしていくかという制約などもありまして、すべてにおいて網羅できていないところもありますが、それでも、今まで生物多様性の考え方が農林水産業の中でも、特に水産にかかわる部分ではすごく薄かったところが、この施策の中では、これからどのようなアクションプランを農林水産省の中で起こしていくかということには、かなりカウンター的なものが出てきたのではないかと思われますので、どうか、これが、第2章の「横断的・基盤的施策」以下のところに、より具体的にどのような関わりで目標数値とか関わり方の具体的な例まで入れて、できればそれにかかわる省庁のところにまでもある程度しっかりした意見が言えるぐらいの行動計画というものをつくっていただけたらなというふうに強く望みます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 山岸委員、お願いをいたします。

【山岸委員】 同じようなことなんですが、国家戦略なんですから、毎回言われているように、子供の教育をどうするかというのにかかっているということを毎回毎回言われているんですが、もしそうであるならば、文部科学省に働きかけて、学習指導要領を変えて、小学校の理科には全部、生物多様性ということを学ばなければいけないというようなことをさせるのが国家戦略じゃないかと僕は思うんですが、いかがでしょうか。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 一応ご意見をいただいたと思いますので、資料2につきまして、戦略と行動計画について、現時点で事務局から何かお答えするなり、あるいは、次回の素案のまとめに当たって委員の先生方にお聞きする点も含めて、発言をしていただけたらと思います。よろしく。
 それでは、計画課長、お願いいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 たくさんの貴重な意見をありがとうございました。今後、各省と一緒に素案づくりをしていく中で、それぞれ生かしていけたらと思います。
 理念の部分、なぜ多様性を守らなきゃいけないかというところを、いかにわかりやすく、かつ格調高くということで、前回の現行の戦略で「4つの理念」というのを書いたときも、どちらかというと、人にとってなぜ多様性は大事なのかということで、できるだけたくさんの人が理解を共有できるようにということで、「4つの理念」を書きました。きょうの話の中では、命というのはつくれない、生き物自体が大事なんだというあたりのことは、前回の戦略の中でも余りしっかりと触れられていない部分かもしれません。その辺の入れ方なんかも含めて考えていきたいなと思っています。
 それから、グランドデザイン、100年先を見通した将来像、それを描いた上でこれから5年どうするかということで、今回、将来像についてもいろんな意見をいただきました。温暖化の影響も含めて、前提条件を明確にした上で書いていくことが必要なんだということでありますし、1、2、3、4、5と区分をして書きました。その区分がオーバーラップするような部分もあって、その辺の区分の分け方についても少し考え方を整理しながら、わかりやすいようにつくっていければなというふうに思います。
 その将来像の中で、鹿野委員からもお話がありましたように、区分間の移動というか、国土全体のバランスを見たときに、西日本で自然林が非常に小さい。そういうところにあっては、二次林を自然林に移行させていく、国土管理上から見ても、そんなデザインというのがあるんじゃないかというお話をいただきました。全国一律ではなくて、国土の将来像といったときに、やはり現状としての地方によっての違いはかなり大きくあります。その辺も見据えた形で、ここの将来像のところを書いていければなというふうに思っております。将来像の中で、きょうは、温暖化の影響のためにも、それを受ける自然の側でネットワーク、自然性の高い固まりをつないでいくネットワークということが大事なのだというご意見もいただきました。将来像を書く中で、そのネットワークとのつながりみたいなことについてもしっかり出していければなと思います。
 そういう大きい自然の固まりだけじゃなくて、草地でありますとか、都市の中の鎮守の森であるとかあるいは遊水池であるとか、そういった規模は大きくないけれどもネットワークを構成していく上で大事な自然、そういう要素についてもしっかり触れたいと思いますし、自然再生のところで意見をいただいた氾濫原の話も、大変重要な要素として入れていけたらなと思います。
 それから、今回の戦略では、海の部分が前回非常に弱かったというところで、前回以上に強化していければということで考えていまして、海に関してもいろんな意見をいただきました。海のデータを充実させることも含めてですけれども、海にも回廊があるんだよという視点でありますとか、「沿岸海洋域」という一言でくくるのではなくて、湾があり、沖合があり、海の中でのエコリージョンの区分みたいな考え方、そういうことに応じた生態系の視点からの記述が書けていければなと。陸にホットスポットがあるように、海にもホットスポットがあって、そこにおけるモニタリングなり、モデリングなり、順応的管理というのを示していくことの大事さというようなこともご意見としていただきましたので、その辺についても書いていければなというふうに思います。
 でき上がったものの英語版についてなんですけれども、前回もちょっと時間がかかってしまったんですが、第二次の戦略を英語にしたものを多様性条約の事務局に提出をしましたけれども、できるだけ間を置かずに、英語版のこの本体、あるいはパンフレットについても、日本語版、英語版を発信していけるようにしていきたいなと思います。
 行動計画のところでの、いろんな主体の、各省も含めた役割分担を明確化していくということを、今回それぞれ、主体を書くとか、連携をするときにはどういう範囲で連携をするのかというのをしっかり書いていこうということで、各省とも話をしております。その辺しっかり書き込んでいければと思っています。
 いろんな意見をいただきました。これから各省と共同で素案づくりの作業を進めていきたいと思います。ぜひその過程で、小委員会自体は8月22日が次回になるんですけれども、作業をする過程で各委員個別にも、いろいろテーマごとにご相談をさせていただきながら、素案づくりを各省と一緒に進めていきたいと思っていますので、ぜひその面でもご協力よろしくお願いしたいと思います。

【熊谷委員長】 本日の委員の先生方のご意見に対して、今、課長の方からまとめてお答えをさせていただきました。一応、資料4の骨子(事務局案のポイント)は、ポイント1からポイント5までございますけれども、多少の修正は必要とは思いますが、この五つのポイントについて、特に大きなご異存はなかったように、私、承りました。例えばポイント3の2010年の目標がちょっと近過ぎるとか、あるいは、ポイント5の「郷」の字は何だというようなご意見もございましたけれども、基本的にはこの五つのポイントを軸にして、それから、きょういただきました先生方のご意見を十分に参考にさせていただいて、次回までに素案づくりを事務局の方でお願いをしたいと思います。
 まだいろいろご意見がおありかと思いますが、いかがでしょうか。何か、特にございましたらお伺いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(なし)

【熊谷委員長】 それでは、本日の議論については、これで一応終了させていただきます。また、本日言い残したご意見等がございましたら、7月20日の金曜日中に事務局までご提出をいただけたらと思います。本日の骨子案に対する議論と、後日提出いただきました意見を十分に踏まえて、事務局で、次回小委員会に向けて素案の執筆作業に入っていただきたいと思います。次回は、その文章化された素案を確認していただきながら、それに対してより具体的なご意見をいただきたいと思います。
 なお、本小委員会の運営方針に基づき、本日配付の資料、議事録は公開することになっておりますので、ご承知おきをいただけたらと思います。
 それでは、以上をもちまして、第4回小委員会を閉会いたします。本日はありがとうございました。
 それでは、事務局にお返ししますので、連絡事項等ございましたら、お願いをいたします。

【事務局】 委員の皆様、本日は熱心なご議論ありがとうございました。
 次回の小委員会は、8月22日水曜日14時から17時まで、本日と同じく、こちらの会議室で行いますので、ご出席をよろしくお願いいたします。
 なお、本日配付の資料につきまして、郵送ご希望の委員の方は、封筒にお名前をお書きの上机に置いていただければ、事務局から後日郵送させていただきます。
 また、本日は雨が降っておりますので、お持ちになった傘をお忘れになりませんようお願いします。
 本日はどうもありがとうございました。

(以上)