平成19年6月26日(火)9:30~17:30
東京国際フォーラム G701
学会、地方自治体、NGO及び企業からのヒアリングを実施した。(敬称略)
→ 伐採の計画があると、話を聞きに行ったり、要望したりするが、現場まではまだ十分理解されていない感触。
→ 「公共」の「公」にのみに負担を強いるのではなく、NPOや企業等の「共」を含めた幅広い財源を考える必要がある。
→ 伐採の計画があると、話を聞きに行ったり、要望したりするが、現場まではまだ十分理解されていない感触。
→ [1]学会員の中には、一般の人に見てもらうためのモニタリングの指標について研究をしている人もいる。一般の人がデータを取って、それらを集約する仕組み作りにお金がかかるが、仕組みを作った後のランニングコストは下げられる。[2]担い手については、生業の現代の生活の中での再構築を考えている。また、「生業と自然との関わり」を、教育に反映することで、一次産業の担い手とのコミュニケーションが図れると思う。
→ [1]JAが最初から係わってやっており、最近では経済的に成り立つということが分かって積極的になっている。
[2]野鳥の会の人が購入しているかどうかは把握していないが、(日本野鳥の会会長の)柳生博氏はコウノトリファンクラブの会長で、あちこちでアピールしてくれている。また、コウノトリをロゴに使っている九州石油では1ヶ月社員食堂で使用。生活協同組合で購入する人の中には生きもの調査に参加する人もおり、結びつきが強まりつつある。お米の方が足りないのが現状。
[3]ビオトープ水田には10aあたり5万4千円、冬期湛水水田には4万円の補助金を出している(それぞれ半分は県から市への補助金)。冬期湛水水田については、補助金なしでもペイすると考えており、補助制度の撤退も考えている。マーケットの支持で成り立つ方向にしたい。
→ 正確にはわからない。コウノトリの郷公園の整備に50億円のほか、人件費をあわせると相当かかっていることは確かだと思う。
→ 使っていない。コウノトリの話は「種の保存」というところから始まり、環境問題、人間の環境、経済、を経て自分たちの誇りにつながるというところまで意識が広まった。あまり専門用語では考えないようにしている。
→ 河川改修をしっかりしろという声がとても多かった。加えて、行政頼みではなく、自分でやらなければならないという認識が市民に芽生えた。市民、地域社会、行政が直接災害に向き合う取り組みが増加している。洪水もコウノトリも根は一緒という認識が広まった。母なる円山川の理不尽な振る舞いに、子である自分たちは腹が立つけど、やっぱり好きという認識が広がっている。
→国交省の事業として、実際に湿地を作っている。農家との折り合いを付けていくのは大変で、この矛盾は抱えていかなければならないと思っている。
→ 印旛沼に高速鉄道を通すという件では、知事はアセスの審査と工事の完成と両方の責任を負う立場であり、苦渋の決断を迫られた。印旛沼をはずすことはできなかったが、アシを植えて代替の生息地を創出するなど、配慮型の事業とした。徹底はしていないが、以前よりは生物多様性の視点を取り入れることができるようになったと思う。
→研究者、行政、市民が有機的に連携することが大事で、市民は県境を意識せずにつながっていると思うが、周りの知事に生物多様性の視点は少ないと思う。生物多様性が温暖化と同じくらい有名になるといいと思うので、国全体がそういうムードのときに役にたてるならばうれしい。
→臨海工業地帯の緑化率を20%にしていたところを国の基準である10%に下げたいという話が発端。工場の緑化率を10%に下げるかわりに工場外での緑化をすることになった。里山で活動しているNPOに財源を出す、実際に工場の職員が自ら作業をするというように、いろいろな形態が可能なようシステム化した。
→環境のタウンミーティングを始めたころには他の政策分野での実績ができており、それが県庁でも当たり前になっていた。福祉などでは計画の策定だけでなく、実施にも県民が取り組むようになった。国家戦略でも、国民参加の政策づくりができればすばらしいと思うが、国レベルではやりにくく、県、さらには市のように小さいほどやりやすいと思う。環境については、市町村が市民にモチベーションを持ってもらうような政策づくりをすることが重要だが、公害以来の環境対経済の対立の歴史から脱却することが課題。国において、ボトムアップを誘導するような制度を作ることが大事だと思う。
→行政としては、生態系サービスの金銭化もせざるを得ない。琵琶湖の水供給・生物・景観などの価値は数兆円という研究者の試算もある。
→田んぼに魚がいたらよいという文化的共感で予算を付けている。大学や博物館を、共感の輪を広げるプラットホームとしている。
→滋賀県で急速に工業化したのが昭和30年代。昭和38年に名神高速道路が開発され、昭和40年代には工業の内陸化の影響が出始めた。目標とする時代はそれぞれの地域によって異なると思う。博物館で昭和30年代の生活について展示した際の反応や、家の中に湧き水を引いて利用している集落の価値が再認識されていることなどから、県民の合意は取れていると思う。
琵琶湖博物館には、県の職員を学芸員として出している。田んぼのゆりかごプロジェクトはその中でできたものである。その2~3年の間に影響を受けて帰ってくる。今後は博物館や大学から県に人を入れたり、5~10年の期限付きの動きのきくスタッフをつくったりすることも必要と考えている。
→ 森林認証制度(FSC)、漁業認証制度(MSC)を積極的に使いながら、水産資源・森林資源を持続的に使っていくという方向性で活動している。
→日本の実情にあわせた認証制度を作るべきだという声があがり、現在手がけている。
→ホームページや機関誌の他、生物多様性についてのブックレットによる普及や、シンポジウムの開催などの取組みをしている。
→普及啓発のモデル事業で作成し、モデル校となった沖縄と奄美の高校それぞれ1校ずつと、南西諸島における外来種対策のアンケートに協力してもらった小中学校に配布。また、沖縄や奄美のNGOで活用されている。いずれ南西諸島だけでなく、さまざまなローカル版を商品化したいと考えている。
→たとえば、保護地域制度でいえば、自然公園、自然環境保全地域、林野庁の保護林など、それぞれ役割は違うが、もう少し整理をして、位置づけを明確にすべき。
→IUCNの保護地域のカテゴリーが参考になる。現在、保護林や国立公園のカテゴリーは様々であり、見直しが必要だと思う。
→油汚染については、少なくとも、、野生生物の保護の責務に関して、国家緊急時計画に明記をした上で、関係省庁連絡会議をつくり、環境省・都道府県の関係者に海上保安庁からすぐ報告が入るようにすることが必要。疾病については、野生生物健康センターのようなものを設置するのが理想だが、少なくとも省庁横断的に定期的な会合を持つこと、国立環境研究所の機能の拡大などが良いと思う。
(質疑は特になし)
→地球規模の生物多様性への対応についてもっと強力に打ち出していいのではないか。クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)のように、日本が貢献している例もあるのだから、その知見を生かして、ODAで生物多様性と貧困削減に関するプロジェクトを増やすなどすべき。
また、企業と生物多様性の関係について、市民側からの厳しい目というものが日本にはない。市民側の啓発も、国家戦略の役割と考える。
→NGOへの寄付に関する優遇措置は存在するが、非常に小規模であるため、もっと社会全体で行えるような税制は必要ではないか。また、NGOへの寄付だけではなく、企業の活動自体についての措置も必要と考えるが、欧米でもまだあまり進んでいない。グリーン購入を生物多様性分野に広げていくという方法はあるのではないか。
→アサザ基金には田んぼの管理を委託している。また年間5、6回の行事の企画についても相談して進めている。かかった費用はこの委託費の年間600万円である。
→この活動自体は、生物多様性を目的にしたものではない。事業が生物多様性とどう関係を持っているか整理・理解し、企業活動と生物多様性との関係の強さを認識することが本当の企業としての対応責任ではないかと思う。
→グループの活動計画に盛り込んだ時には、特に大きな批判はなかったが、実施の段階になって、経営層というよりは事業の最前線から、どういう効果があるのかという意見はあった。しかし、現在では社内でも高い関心を得ており、経営層においても、宣伝・広告効果やお客様とのコミュニケーションツールとして理解が深まっている。
→単に寄付することで貢献するのではなく、ビジネスとして貢献することが本来の社会貢献と考えており、ビジネスモデルを活性化できるようなものなら協力したい。
→単なる寄付では狭い意味の社会貢献にすぎず、安易に考えるべきものではない。
→京都議定書が問題になった時にはCO2削減の社内目標つくった。環境はイオングループを結びつける最大の共通テーマとして重要な位置づけとしている。
→企業としては、NGOとの交流の中から情報を得たり、企業として認証制度などの情報をいち早く取り入れて、長期的な企業活動の仕組みの中に盛り込んでいくことを考えている。例えば、ショッピングセンターの出店にあたって、当社の植樹など環境への取組が理解を得られて当社の出展案を採用してもらった。メセナ的な活動については、財団として独立して実施している。
→有機農産物などは、食品商品部が品質基準を決め、それを担保するためのマニュアルを作って生産者へ働きかけている。
→2割以上価格差があると買ってもらえない。しかし、減農薬・有機農産物のニーズは年々高まっている。
→収支報告書をきちんと作成する団体であれば支援対象としている。また、財団には、イオンの社会貢献部とは別に、担当スタッフが10名程度いる。
→規制でできる部分は政府にやってもらうが、既にプランテーションが拡大しているという部分は購入が必要。
→現在でもアブラヤシプランテーションの分布は拡大している。土地所有者との交渉次第ということもあり、全体を回復するのにかかる時間は予測不可能である。
→10月には原料の調達状況を消費者に公開する予定で、現在準備をしている。
→基本的に国産品を扱っている。日本で生産できないものはバナナなど少数である。生産者と消費者の信頼関係を築くことで産直が成り立っているのだと思う。
→生物多様性というか生きものの循環を生かした農業の価値を経済的な価値と別のものとして組合員に理解してもらえるよう進めている。また、消費者が購入時に生産者の活動に寄付できるような仕組みも検討している。