■議事録一覧■

平成19年度 中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第2回)
議事要旨


1.日時

平成19年6月8日(金)9:30〜12:30

2.場所

中央合同庁舎5号館22階 環境省第1会議室

3.出席者

(合同部会長)
熊谷洋一
(委員)
石坂匡身、川名英子、鹿野久男、篠原修、中静透、中道宏、服部明世、速水亨、三浦愼悟、森戸哲、森本幸裕、鷲谷いづみ、和里田義雄(五十音順、敬称略)
(事務局)
環境省:
自然環境局長、大臣官房審議官(自然環境担当)、自然環境局総務課長、自然環境計画課長、生物多様性地球戦略企画室長、国立公園課長、鳥獣保護業務室長、外来生物対策室長、自然環境整備担当参事官、生物多様性センター長ほか
(関係省庁)
文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省

4.議事概要

○前回の小委員会(第1回)の感想等
  • 各省の取組が点在しているという感じで、線や面になっていない。次のステップとして何らかの統一目標を示すことができないか。
  • 生物多様性国家戦略が霞ヶ関では広まったが、国民一般には広まっていない。
○生物多様性国家戦略の見直しに関する論点について
全体に係る論点
  • 1次、2次戦略が果たしてきた役割、到達点、問題点などを総括的にまとめ、次へのステップとしてほしい。
  • 目標を示し、タイムスケジュールを含めたアクションプログラムをつくって進めていくことが必要。
  • 現行戦略は非常に網羅的で、ポイントがわかりにくい。簡潔な骨子の部分とその他の年次報告等の部分に分けてはどうか。
  • 一般の国民は自分のことではないと危機感が薄いのではないかと思う。生物多様性の問題が将来的に命に関わる問題だということを明確に打ち出してほしい。
超長期的に見た国土の自然環境のあり方
  • 国土利用計画、国土形成計画等を反映した超長期的な国土自然環境計画のガイドラインとなるようなスタンスで書くべき。
  • いきなり各論に入るのではなく、どのような国にしたいのかという全体像を示し、それを受けて農業は何をするのかという示し方としたほうがよい。
  • 実際に温暖化の影響が出る前に、様々な環境変化に適応できる生態系を念頭とした対策を講じておかなければ、手遅れになりかねない。また、病気など他のリスクに強い生態系を作る必要がある。
  • 従来の経済的視点等とは違う生物多様性の視点で国土を見た場合どうなるかということであるため「生物多様性からみた国土のグランドデザイン」ではないのか。
  • 現行戦略では、グランドデザインと個別施策の間の関係が切れいていることが問題。今後は「今よりも少しでもよくする」ではなく、将来像を明確にし、バックキャスティングで進めていくことが必要。また、グランドデザインとしては、あるべき美しい姿を示すだけではなく、生態系が危機的状況であることも示すべき。
  • 10年後、20年後の地方の人口分布の変化をふまえ、管理ができない里地里山がどのくらいになるか予測することが必要。
  • 100年先を見通したグランドデザインは重要。温暖化の影響など不確定な部分については当委員会でどういうコンセンサスを持つか考えねばならない。
  • 100年後を考えるような不確実性の高い予測については、ミレニアム生態系で用いられたようなシナリオ分析の手法が適用できる。
  • 100年だけでなく30年くらいの中長期スパンの視点も必要。
地球規模の生物多様性保全への対応
  • 温暖化分野ではIPCCが各国政府に大きな影響を与えたが、生物多様性条約ではそのような影響力を持った仕組みがない。COP10誘致を機に、国際的に実効性のあるシステムを提案するなど、日本の国際的な役割についての記載を検討されたい。
  • 森林の違法伐採などについては、産出国側の規制よりも消費国側の意識改革や対応が重要。
  • 地球規模の生物多様性に支えられている」というより「生物多様性に大きな影響を与えている」という認識が必要。
学習・教育と普及広報、地方・民間の参画
  • できるだけ若い時期に生き物に対する驚きなどの感性を養うことが重要。
  • 絶滅のリスクだけでなく、失われる生態系サービスについて広く認識されていない。リスクコミュニケーションが重要。
  • 景観計画は自治体全域で作成されるので、その中に生物多様性の観点をしっかり組み込むことにより、市民の理解が向上するのではないか。
  • 地方版戦略を作ることはよいことであるが、単純に行政区域で区切るのは短絡的であり、行政区域をまたいだ自然的な区域で考えるべき。
沿岸・海洋域の保全
  • 沿岸・海洋に関する情報は少ないのでデータ整備が必要。
  • 海岸部の既存施設を取り壊して、景観の改善や、藻場の回復等が図られた事例があり、そのような取組を推進してはどうか。
国立公園等保護地域と生態系ネットワーク及び自然再生
  • 生態系ネットワークについては、構想だけでなく、設計図を描いてほしい。
里地里山の保全
  • 将来世代に引き継ぐ重要な里地里山を示すことは重要。
  • 地元の人の意識や価値観の改革が重要。生物多様性上すばらしい里地里山でも、地元の人が価値を認識していないために、多様性が失われることが多い。
  • 森林管理は、その時代の経済状況によって方向性が決まってしまう傾向にあるので、長期的な生物多様性の観点を盛り込む必要がある。民間の認証制度の活用も含め、林業の担い手の教育に生物多様性の視点を取り入れることも必要。
  • 農地と異なり、森林は10〜20年に1回の手入れでも維持できるので、その地域に人が住まなければいけないということはない。
  • 農林水産業における生物多様性を考える上では、輸入・貿易の部分に踏み込むことが不可欠。
  • SATOYAMAイニシアティブを、アジアをはじめ国際的に広めるには、日本のような先進国でもうまくいっているということを示す必要がある。
野生生物の保護管理
  • 鳥獣の保護管理に関する人づくりについては、研修レベルでなく、資格制度にレベルアップしなければ十分な養成ができない。
  • 農地や集落と奥山との間で放牧を行い鳥獣と人とのすみ分けを行う方法は、人手をかけずに実施でき、窒素の循環の面でもよい。
自然環境データの整備
  • 調査による新たなデータ収集だけでなく、研究活動等で得られる研究者等のデータを集約する仕組みも必要。
その他の論点
  • 生物多様性保全のための技術開発も位置づけが必要。
  • 様々な施策、意志決定のメカニズムに生物多様性の考えを内部化する必要がある。
  • 既存の社会資本ストックの保全、改良の際に生物多様性の視点を盛り込むべき。
  • 生物多様性の保全手法には、従来の規制や補助金などの手法だけでなく、社会システムのなかにインセンティブを付与することによるマネジメント型の仕組への転換が必要である。