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平成19年度 中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第1回)

議事録


1.日時

平成19年5月29日(火)9:30〜18:00

2.場所

丸の内ビルディング8階 コンファレンススクエアRoom 4

3.出席者

(委員長)
熊谷洋一
(委員)
石坂匡身、磯部雅彦、岡島成行、川名英子、桜井泰憲、佐藤友美子、鹿野久男、篠原修、高橋佳孝、速水亨、三浦愼悟、森戸哲、森本幸裕、山岸哲、和里田義雄(五十音順、敬称略)
(事務局)
環境省:
自然環境局長、自然環境局総務課長、自然環境計画課長、生物多様性地球戦略企画室長、国立公園課長、鳥獣保護業務室長、外来生物対策室長、自然環境整備担当参事官、生物多様性センター長ほか
(関係省庁)
農林水産省、外務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省

4.議事

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会第1回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。恐縮ではございますが、携帯電話をお持ちの方がいらっしゃいましたら、電源をお切りになるかマナーモードでお願いいたします。
 では、議事に入ります前に本日はご欠席ですが、新たに大久保尚武氏が臨時委員に任命されましたので、ご報告申し上げます。新しい小委員会の名簿はお手元に配付してございます。
 それでは、本日の審議のためのお手元にお配りしている資料につきまして、資料一覧のとおりとなっておりますので、確認をさせていただきます。配付資料といたしまして、まず、各省ヒアリング時間配分、小委員会座席表、小委員会名簿、各省説明資料、こちらは環境省、農林水産省、外務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省と並んでおりまして、経済産業省の資料につきましては、後刻配付させていただきます。
 それと、委員の皆様のお手元にのみ参考資料といたしまして、新・生物多様性国家戦略、パンフレット「いのちは創れない」、生物多様性国家戦略の見直しに関する資料集、中央環境審議会関係法令集をお配りしてございます。配付漏れがございましたら、事務局にお申しつけください。
 それでは、議事に入ります前に、自然環境局の冨岡局長よりごあいさつを申し上げます。

【冨岡自然環境局長】 皆さんおはようございます。本日はこの生物多様性国家戦略小委員会に早朝からお集まりいただきましてありがとうございます。また、夕方までという大変長い会議でございまして、改めてお礼申し上げます。
 平成14年3月に現行の生物多様性国家戦略を策定しているところでございますが、これによりまして、関係各省の取り組みは着実に進展してきているものと考えられますし、我が国におきます生物多様性に対する理解というのも前進したのではないかと考えられるわけでございます。今年の初め来日されました生物多様性条約事務局のジョグラフ事務局長さんは、我が国がこの生物多様性国家戦略を策定し、改定し、さらにまた、今年新しいものに改定を計画しているということにつきまして、世界でも非常に先進的な取り組みだというふうに高く評価しておられました。
 国際的な話を申し上げましたところでありますが、ご案内のことと思いますが、2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させるという2010年の目標の達成、これはなかなか厳しいものがあるところでありますが、その節目となります2010年の第10回締約国会議COP10を愛知県名古屋市で開催すべく閣議で決定しまして、立候補しているところでございます。来年のドイツでのCOP9で正式に決まるところでございますが、地元も含めましてぜひとも大きく前進する会議とすべく準備してまいりたいと考えております。
 そういうわけでございまして、この第3次国家戦略につきましても、こういうふうなことを背景としたものとしていく必要があるし、そうやっていきたいと考えているところでございます。
 なお、これもご案内のことと思いますが、ことしの3月のドイツでの環境大臣サミットにおきまして、地球温暖化と並びまして生物多様性が議題の二本柱となっているところでございます。
 そういうことで、日本政府のかなりハイレベルの皆様におかれましても、生物多様性ということの重要性と申しましょうか、意義につきまして、かなり認識が広まっているような気がしております。来月開催されますサミットにおきましても、生物多様性についても何らかの議論がなされるのではないかと期待いたしているところでございます。
 こういった状況の変化に対応して、ぜひとも取り組みの強化を図っていきたいと考えておりますので、これからの小委員会、先生方の積極的なご提案を期待いたしております。
 最初に申しましたように、今日は1回ではございますが大変長い会議でございます。よろしくお願い申し上げます。

【事務局】 それでは、これよりの議事進行につきましては、熊谷委員長にお願いいたします。熊谷委員長、よろしくお願いいたします。

【熊谷委員長】 かしこまりました。
 それでは、ただいまから第1回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。
 なお、大久保委員につきましては、経済団体のお立場からのご意見をいただきたいと思い、部会長としてこの小委員会に追加で入っていただくことにいたしました。
 それでは、本日の議題に移りますが、議題は生物多様性に関する各省施策のヒアリングでございます。
 初めに、事務局であります環境省より生物多様性国家戦略の見直し検討の進め方及び生物多様性の現状と環境省としての施策の概要を説明していただき、その後、各省から施策の説明をしていただきます。
 昼食を挟みまして、夕方6時までの長丁場となりますが、国家戦略の見直しに向けて各省の施策に対する委員の方々からの忌憚のないご意見をいただきたいと思います。
 では、まず環境省より説明をお願いいたします。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 生物多様性地球戦略企画室長の亀澤でございます。右肩に「環境省説明資料」と書いたものに基づいて説明をさせていただきます。座って失礼いたします。
 まず、[資料1−1]をめくっていただきまして、今後の進め方でございますけれども、本日5月29日の第1回小委員会は、4月26日の合同部会のときには2日間の予定とご説明しましたが、2日続けて先生方の日程を確保することが難しかったので、本日1日でヒアリングを実施することとし、その分、若干長目の設定とさせていただきました。以降は会場も確定した第3回までについて日時と会場を書き込んであります。第2回の見直しに関する論点等につきましては6月8日の午前中、第3回の自治体、民間団体等のヒアリングは6月26日、こちらは1日を予定しております。全6回の小委員会、その後、パブコメを経て10月下旬に答申をいただきたいというスケジュールは、前回ご説明したとおりで考えているところでございます。
 続きまして、我が国の生物多様性の現状等について[資料2]により説明いたします。まず[資料2−1]、環境省の自然環境保全基礎調査による植生自然度の図です。植生自然度というのは、植生に対する人為の影響度合いによって10段階に区分したものです。それぞれの自然度ごとのメッシュ数の割合を左に載せておりますけれども、自然度6から9が森林で、合計で国土の67%を占めております。東日本には自然度9の自然林の濃い緑色が多く、西日本には自然度6の植林地の薄い緑と自然度7の二次林の青色が多いという違いが見てとれます、ちょっと見にくくて恐縮ですが。下の棒グラフは過去からの推移ですが、一番上の白色の第1回調査時に比べますと、自然林、二次林と農地が減って植林地、市街地が増えている状況です。
 続いて[資料2−2]ですが、これは国土の利用について昭和40年から平成16年までの40年間の変化を追ったものです。40年と平成16年の比較は下の表にまとめておりますが、森林はほとんど変化がありません。農地は600万ヘクタールから470万ヘクタールへと2割減少、下の表の右の方の道路、宅地といった都市的利用は拡大してきたという状況でございます。
 続いて[資料2−3]ですが、こちらは森林の状況です。昭和30年代以降、上の棒グラフの森林の面積はほとんど変わっていませんが、折れ線の天然林の比率が昭和30年代半ばから昭和40年代にかけて減少していることから、この時期に人工造林が進んだことがわかります。下の森林の蓄積、すなわちボリュームで見ますと、白抜きの天然林の方は余り変わっておりませんが、着色した人工林の方はボリュームが4倍ほどに増加しております。
 [2−4]は埋立面積の推移です。棒グラフの毎年の埋立面積は昭和40年代に比べると少なくなってきましたが、それでも埋立地は今も増え続けているという図でございます。
 続きまして[2−5]ですが、こちらは自然環境保全基礎調査で見た沿岸域の状況です。上は構造物のない自然海岸が減少して、人工海岸がふえてきているという状況。下の方は干潟が戦後4割減少したという状況を示しております。
 [2−6]にいきまして、こちらは湿地面積の変化、陸域の方ですが、陸域ですので干潟、サンゴ礁などは含んでおりませんが、明治・大正期から現在までに6割以上の湿地が主に開発により失われております。下の図は大変見にくくて恐縮でございますが、北海道の図です。現在の右側の図で見ますと、釧路から根室にかけてと北の日本海側、サロベツのあたりにまとまって残っているのみという状況でございます。
 続いて[2−7−1]、鳥獣の分布状況と捕獲数を見たものです。こちらもちょっと地図が小さくて恐縮ですけれども、78年と2003年を比較して25年間の分布の変化を見たものです。肌色のところが78年にはいなかったが2003年には確認されたところで、シカ、イノシシとも肌色の部分が多くなっておりまして、全国的に分布を拡大している状況です。下はそれぞれの捕獲数が増大している様子です。生息数そのものではありませんが、上の分布拡大とあわせて考えると、ともに生息数が大きく増えていることがうかがえます。
 右の[2−7−2]ですけれども、こちらは一方でノウサギのように捕獲数が大きく減少している種もあるということで掲げております。ウサギは毛皮をとるための利用が減ったという要素もあるでしょうが、草原など、その主な生息環境が減ったことで減っているのだろうとも言われております。
 [2−8]は外来種関係ですけれども、これは先日の合同部会でも使った資料ですけれども、北海道を例にアライグマが分布を拡大している状況と、奄美のマングースの例でございます。マングースの方は先日、石井委員からもご指摘がありましたが、一番外側の線が重なっているように、最近では拡大に歯どめがかかっております。これについては、また後ほど触れたいと思います。
 [2−9]の方は里山における竹林の拡大状況について、静岡県の調査で下田の周辺を見たものです。2000年の衛星データを77年の航空写真に重ね合わせたものですが、赤いところが拡大した部分で、全体的に竹林は広がっており、23年間で2.2倍になっております。ただ、こうした画像データというのは全国で整備されているわけではありません。
 続いて[2−10−1]、こちらは温暖化が生物に与える影響についての事例です。多摩地区、八王子で確認されたもので、一番上の二つのグラフで左右とも黒い丸はトウキョウサンショウウオ、右のグラフの黒い四角はモリアオガエルですが、それぞれ産卵が確認された日が年々早くなっているという報告です。それぞれの下には産卵直前の気温が折れ線で示してありますが、長期的に上昇傾向にあって産卵開始が早まっているという上のグラフとの相関が認められるというものです。
 右の[2−10−2]は、ソメイヨシノの開花が早まっているというデータです。実線の折れ線が開花日でメモリは右の方にありますけれども、1月1日からの日数で、上の方が早く開花しているという状況です。点線の折れ線の方が3月の気温の変化ですが、徐々に温暖化しており、それに連れて開花日が4月初めから3月中旬へと早まっている傾向でございます。
 次からは社会経済的な状況の推移ですが、[資料2−11]へいっていただきまして、こちらは国連の呼びかけによるミレニアム生態系評価です。先日の合同部会の資料にもありましたので簡単に触れますと、真ん中右側にありますように、生態系からの恵みを生態系サービスとして取り上げ、24の生態系サービスの変化を評価した結果として、漁獲、木質燃料、遺伝資源といったより自然への依存度が高いものを中心に15項目で悪化したというふうに分析しております。
 次の[2−12−1]は、気候変動と経済に関するスターンレビューの概要です。2の概要の一番上のところにありますように、温暖化への対応策を講じなかった場合のリスクとコストは、最悪の場合、GDPの20%を超える可能性があるが、直ちに対策を講じれば1%で済むといったことが盛り込まれております。3の気候変動が与える影響については、次のページにございます。右の表で縦に1度上昇するごとの影響が書いてありますが、右から2番目、環境の欄に網かけがしてあります。1度上昇すると全世界のサンゴ礁の80%以上が白化することとか、3度ですとアマゾン熱帯雨林の崩壊が始まること、4度では北極圏の半分以上のツンドラが喪失するといったことが書いてあります。左から2番目の食料のところでは、5度上昇するとCO2が溶け込むことで海の酸性化が進み、海洋生態系や漁業資源に深刻な影響があるという記述もあります。
 次の[2−13]、これは国内の状況ですけれども、我が国の人口については、今後確実に人口減少に向かうとされており、中位推計では2050年に今より3,000万人以上少ない9,500万人、2100年には3分の1以下、4,500万人にまで減るという予測になっております。下の方は年齢構成ですが、65歳以上の老年人口の割合が折れ線のように高くなっていきまして、2050年では40%と、2000年の17%の2倍以上になるというふうに予測されております。
 右の[2−14]の方は産業別の人口を見たものです。およそ50年前の1950年までは5割程度あった第一次産業の人口が2005年、平成17年にはその10分の1の4.8%にまで落ち込んでおります。点線より下は将来予測ですが、2025年にはさらにその半分以下の2.3%にまで低下すると推計されております。
 続いて[2−15]は農業とか農地をめぐる状況で、先日の合同部会でもご説明した資料ですが、一番上の基幹的農業従事者については折れ線のように65歳以上の割合が一層増加し、真ん中の耕作放棄地も増加しております。一番下の農地から都市的土地利用への転換面積は、2002年以降は減っていないというような状況です。
 右の[2−16]の方は森林・林業の関係ですけれども、上の林業従事者について見ますと、グラフ全体が低くなっておりまして、ピークが右にずれてきているという状況で減少、高齢化が進んでおります。また下の林地から都市的土地利用への転換面積は農地と同じように2002年以降は減っていないという状況でございます。
 続いては、環境省自身が進めている施策についてご説明をいたします。
 [資料3−1]ですけれども、これは制度の全体像ですが、現行戦略の策定以降、自然再生法、外来生物法やカルタヘナ法を新たに制定するなど、制度的にはかなりの部分をカバーできてきたというふうに考えております。ただ内容的には今後とも充実に努めていきたいと思います。
 次の[3−2−1]、ここからはいくつかのテーマごとにご説明をしますが、まず重要地域の保全としての保護地域についてです。上からその種類、根拠、目的と具体的な指定箇所数や面積を掲げております。数字のところの矢印の上と下は、上が現行戦略策定時の平成13年度末の数字、下が平成18年度末の数値で、それぞれ着実に拡充を進めてまいりました。国土面積に対する比率については、自然公園と鳥獣保護区等が重なり重複がありますので、単純に合計したものにはなりませんが、左から2番目の保護地域の中核をなす国立・国定公園などの自然公園で見ていただきますと、都道府県立公園まで加えて約540万ヘクタールと国土の14%を占めております。
 右の[3−2−2]の方は同じく保護地域ですけれども、各省関係のもので、これらについては後ほど各省の説明の中でも触れられるかと思います。
 次の[3−2−3]、横紙ですけれども、各種保護地域の指定状況を環境省の方で日本地図に落としたものです。データ化されていない都道府県の自然環境保全地域は入っておりませんが、都道府県指定でも自然公園とか鳥獣保護区は入っております。保護地域の全国的な配置状況を眺めるためのものということで、色が煩雑にならないように国立・国定公園などは同じ色にしてあります。それなりのまとまりがあって、国土の14%をカバーする緑色の自然公園が中心的な役割を果たしていることが見ていただけるかと思います。今後は、こうした保護地域を核として、それらを有機的につなぐ生態系ネットワークを国土レベルで形成していくことが課題かと思っております。
 次の[3−2−4]は、環境省関係の国指定の保護地域、国立・国定公園や国指定の鳥獣保護区ですが、それについて生物多様性保全上、重要と考えられる地域のどの程度をカバーしているかを見たものです。円グラフの白い部分が保護地域によりカバーされている部分です。左側の上から三つ目、四つ目のようにちょっと字が小さいですけれども、希少種の生息する範囲のカバーが低いことや、右側三つの沿岸域の中で見ますと、真ん中の干潟のカバー率が低いという状況になっております。
 次の[3−2−5]ですけれども、こちらは現行の戦略策定以降の自然公園法関係の動きですけれども、平成14年の法改正で生物多様性の保全を国の責務として明記したことや、それまでの指定植物に加えて指定動物の捕獲規制を加えたこと、時期や場所等を限って指定地域への立ち入りを制限する利用調整地区の制度の創設などを行いました。それぞれについて、2にありますように施行を進めてきておりますし、3にありますように区域の拡張ですとか、乗り入れ規制地域や海中公園地区の指定などを行ってきました。今後はすぐれた自然の風景地という国立・国定公園の評価の中に、生物多様性の観点も積極的に取り入れて、例えば照葉樹林ですとか里地、里山、さらには海域についての指定も進めていきたいというふうに考えております。
 次の[3−3−1]は野生生物の保護管理ですけれども、先ほどの保護地域以外の取り組みとして種の保存法に基づく種の指定や、それを踏まえた保護増殖事業計画の策定などを進めてきております。一番右、鳥獣保護法に基づく特定鳥獣保護管理計画というのは、地域的に著しく増加しているシカ、イノシシなどや、地域的に絶滅の恐れがある西日本のクマなどの計画的な保護管理のために知事が策定するものですけれども、これまでに88の計画が策定されております。県版のレッドリストについては、全都道府県で策定されておりまして、それを踏まえて希少種の保全条例の策定等も進められております。鳥獣保護法については一番下にありますように、現行戦略策定以降、14年の改正で捕獲個体の放置規制ですとか、アザラシ類などを鳥獣保護法の対象に追加することなどを行い、18年の改正では、保護施策の強化として輸入鳥獣の識別措置や、ふえ過ぎた鳥獣への対応として休猟区における特例措置などを導入したところです。
 右の[3−3−2]は、外来生物対策ですけれども、現行戦略策定後の平成16年に新たに外来生物法を制定しております。それに基づく特定外来生物の指定を進め、輸入規制ですとか防除事業等を積極的に取り組んでおります。これに関連して下の横書きの平成17年のところにありますように、国内由来の外来生物、すなわち国内の他地域からの持ち込み等に対する措置として、まずは特に大事なところである国立・国定公園の特別保護地区、原生自然環境保全地域において動植物を放つことを規制する措置を講じております。また、右端は遺伝子組みかえ生物による影響への対応としてのカルタヘナ議定書の国内担保法として、いわゆるカルタヘナ法を平成15年に新たに制定しております。
 続いて[3−3−3]ですが、こちらはレッドリストです。現行戦略の策定以降、分類群ごとに見直し作業を進めてきておりまして、下の表にもありますけれども、鳥類、爬虫類、両性類、それとその他無脊椎動物について、昨年12月に見直し結果を公表しております。その結果を入れたものをリストとしております。下にありますように、中には見直しでランクが下がったものもありますけれども、全体的に絶滅のおそれのある種の数がふえております。母数となる評価対象種も変わってはおりますけれども、評価対象種に対する絶滅のおそれのある種の比率というのは、爬虫類、両生類で特に高まっている状況です。このほかの分類分についても、今後見直し結果がまとまり次第、順次公表していく予定にしております。
 次は[3−3−4]、こちらは種の保存法に基づく国内希少種に関して丸印が保護増殖の取り組みを進めている38種、黒い四角は生息地等保護区の印で、現行戦略策定時の7地区から現在は9地区になっております。
 右側[3−3−5]は、保護増殖の取り組みのうちトキについてですけれども、野生絶滅という状態から飼育下で現在94羽までふやしてきておりまして、来年、2008年の試験放鳥に向けて野性復帰のための施設や餌場となる湿地環境の整備に取り組んでいるところでございます。
 次の[3−3−6]はカワウですけれども、近年生息数の増加によって、特に内水面漁業に対して被害が大きくなっております。圏域を越えて移動することもあって環境省が関係省庁や都道府県、自然保護団体などに呼びかけて広域協議会を設置する取り組みを関東及び中部・近畿の両ブロックで進めております。また、GPSを活用した移動実態の調査を進めているほか、6月には狩猟鳥獣として指定をする予定にしております。
 次に[3−3−7]の方は鳥インフルエンザへの対応ですけれども、平成16年の高病原性鳥インフルエンザの発生の際に、野鳥への感染状況や渡り鳥の経路について調査を環境省で行いました。それも踏まえまして、平成17年度からは都道府県向けに対応マニュアルの配布や衛星による渡り鳥の飛来経路の解明、野鳥のウイルス保有状況のモニタリングなどを総合的に実施しております。
 次のページの[3−3−8]は、外来生物法による指定種の防除の取り組みです。環境省では特に希少な生物の生息地において優先的に取り組むこととしておりまして、奄美や沖縄におけるマングース、ラムサール湿地におけるオオクチバスなどの防除を直轄で実施しております。また下の方にありますように、特に広域に分布して複数の自治体が連携して取り組むことが有効なアライグマなどについては、モデル事業を実施し、防除方法や連携体制の確立についてマニュアル化する予定にしております。
 右の[3−3−9]は、そのうち奄美大島におけるマングースの防除事業を見たものですけれども、下の図の18年度における生息確認メッシュを上の17年度までの確認メッシュと比較していただきますと分布域が減少しておりまして、12年度からの駆除の効果が出てきたことがわかります。また生息密度も低下をしているということで、一定の効果が見られていると考えております。
 [3−3−10]の方は、遺伝子組みかえ生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律、いわゆるカルタヘナ法ですが、環境省のほか財務、文科、厚労、農水、経済の6省でつくったものであります。真ん中の左側にありますように、環境中への拡散を防止しないで使用する農作物の栽培や遺伝子治療などの第一種使用では、生物多様性への影響評価書を添えて主務大臣の承認を受け、右側のように環境中への拡散を防止しつつ行う使用、つまり工場内での生産ですとか実験室内での試験などについては、定められた拡散防止措置をとるという仕組みになっております。
 右の[3−3−11]は、そのうちの第一種使用の承認状況ですけれども、施行後3年で約100件ほどありまして、ほとんどは農作物ですが、試験栽培も多く除草剤耐性ですとか害虫抵抗性などの付与というのが目立っております。
 次の[3−3−12]は野生生物保護に関する国際的取り組みです。野生生物につきましては、国境を越えて移動したり取り引きされたりということから、国際的取り組みが特に重要になっておりますが、ワシントン条約ですとかラムサール条約に関する対応のほか、渡り鳥に関して2国間条約などの取り組みを進めております。
 [3−4−1]は里地里山の保全についての環境省の取り組みですけれども、16年度から20年度の予定で里地里山保全再生モデル事業を実施しております。関係各省の協力も得て実践的な活動も行い、地域における多くの関係者の連携による体制づくりを進めております。
 次の資料の[3−4−2]と[3−4−3]というのは、先日の合同部会でご説明をした資料そのままを載せております。
 次の[3−4−4]、こちら活動内容についてという表紙をつけたものは、合同部会で石坂委員からご指摘がありましたが、地域ごとの具体的な取り組みを先日ご説明した秦野地域も含めまして4地域分全部をつけておりますので、これは後ほどご覧いただければと思います。
 続いて少し飛ばしますけれども[3−5−1]、これは自然再生ですけれども、平成14年の現行戦略の策定後に自然再生推進法が新たに制定されまして、基本方針の閣議決定を経て15年度から本格施行されております。この法律は環境、農水、国交、3省の共管でございます。自然再生を進めようという地域が自主的に協議会を設置し、協議会で自然再生の全体的な方向性を定めた全体構想を策定します。その全体構想を踏まえて、自然再生に参加する各実施者が具体的な事業の実施計画を策定することになっております。左からですけれども、協議会は現在18設置されております。全体構想は15件、実施計画は12件で策定をされている状況でございます。
 次の[3−5−2]、横紙ですけれども、今申し上げました18の協議会の一覧表です。左端にありますように、河川、湿原、森林、干潟、サンゴ礁から里山まで、さまざまな生態系タイプでの取り組みとなっております。事務局は国の出先機関だけでなくて、県や市町村が務めているところもあります。11番のサロベツ、13番の宮城県の蒲生干潟など、NPOやNGOなどの民間団体が事務局に入っている例はありますけれども、全体として見ると事務局は行政中心という感じでございます。それから右から三つ目、構成員のところは、透明性・公平性の確保という観点からメンバーを広く募るようにしておりまして、阿蘇や釧路のように120名という大所帯のところもございます。
 次の[3−5−3]ですが、こちらは自然再生法に基づく協議会も含め、環境省が予算事業として実施をしている自然再生の箇所を地図に落としたものです。星印が再生法に基づく協議会の箇所です。左上にありますように国立公園、それから19年度に入ってから国指定鳥獣保護区もですけれども、網かけをしたところについては直轄で実施しております。それから国定公園については、交付金事業として実施しております。保護地域以外のアスタリスクの箇所については16年度までは補助事業でしたが、三位一体の改革後、県単事業として実施されているところです。北海道から沖縄まで、あるいはサンゴ礁から森林、里山まで幅広く取り組んでいる状況です。
 続いて[3−6−1]、こちらは沿岸・海洋域の保全についてですけれども、まずは保護地域の関係を整理したものです。国指定のものとして国立・国定公園、自然環境保全地域、国指定鳥獣保護区を掲げておりますけれども、現行戦略策定時点ではGISデータが十分ではなかったこともあって、数値は現在の指定状況を示しております。鳥獣保護区は渡り鳥などの生息地としての干潟を中心に約5万ヘクタールあります。国立・国定公園では海域は約2万ヘクタールありますけれども、そのほとんどを占める海面の普通地域というのは、基本的に陸域のバッファーとして指定されておりまして、今後は海を主体にしていくということも課題かと考えております。
 次の[3−6−2]、これは知床の関係ですけれども、平成17年に世界遺産に登録された知床は、登録に際しまして海域部分の拡張と海域管理計画の早期策定を求められました。海域管理計画については、今年度中にまとめる予定にしておりますが、漁業と海洋生態系の保護の両立を目標として、新たな規制をかけるのではなく、漁業者による禁漁期ですとか禁漁区の設定などの自主的なルートとモニタリングによる順応的な管理を基調とする方向で策定作業を進めております。これは海域の保護エリア内で漁業と両立を図るという一つの先例になり得ると思い、ここに紹介いたしました。
 次の[3−6−3]は沿岸域における自然再生の事例です。1は沖縄における環境省直轄のサンゴ礁再生の事例です。オニヒトデの駆除や赤土流出対策とともに、右の写真のように産卵時にセラミックの着床具を設置して、少し育ったものを穴をあけて移植する手法で取り組んでおります。2番は山口県の椹野川の河口干潟です。かつてはアサリをとることで維持されていた軟らかい干潟ですけれども、今は人も入らずにカキが一面を覆って固くなっておりまして、その改善のためにカキ殻の粉砕や砂の交換とともに源流の森づくりも含めて流域一体で里海再生に取り組んでいる事例です。
 [3−6−4]の方はジュゴンの調査の例です。丸が航空機によるジュゴンの目視調査の結果、四角が潜水による結果で、藻場を食べた跡です。色の濃いのが環境省調査ですけれども、これは調査の結果というか調査結果の中身を見ていただくというよりは、平成14年の改正で鳥獣保護法の海棲哺乳類の一部を鳥獣保護法の対象としたことを受けて、環境省としても海棲哺乳類について少し詳しい調査を行ったという意味で、ここに例示として掲げております。
 次の[3−6−5]、こちらは沿岸・海洋域におけるモニタリングについてです。干潟、藻場、サンゴ礁及び砂浜という沿岸域について環境省では14年度から基礎調査の一環としての浅海域の調査や、15年度からのモニタリングサイト1000によって生物等の調査にようやく本格的に取り組み始めたところでございます。深い海洋の方については、これから取り組んでいこうという状況でございます。
 次の[3−7−1]、こちらは環境教育や普及広報の取り組みです。体験型の自然環境教育として、自然体験プログラムの展開などを実施しているほか、多様な主体の参画のための体制づくりとして、各種の研修や地域における体制づくりの支援などの取り組みを進めております。普及広報の関係ですけれども、平成16年のアンケートでは、生物多様性について知っている人が1割、聞いたことがある人を加えて3割でした。国家戦略については知っている人はわずか1.4%、聞いたことがある人を加えても6.5%に過ぎないという結果で、認知度向上のための取り組みの強化が大きな課題と考えております。
 次の[3−7−2]は、環境省科学局が体験型の自然環境教育として取り組んでいる事例を、実施状況も含めて整理をしたものです。
 次のページの一番上にあります子どもパークレンジャーについては、国立公園をフィールドとして進めている文科省との連携事業ですけれども、今後は学校や地域における生物教育などについても文科省との連携をしながら、充実をしていきたいというふうに考えております。
 次の[3−7−4]は、多様な主体の参画のための体制づくりについてですが、地域における里地里山モデル事業や、エコツーリズムモデル事業での取り組みですとか、青山に設けた地球環境パートナーシッププラザにおける取り組みなども含めて整理をしております。生物多様性の保全のためには国だけでなくて自治体や地域の方々、NPO、NGOあるいは民間企業によるそれぞれの地域での具体的な取り組みが重要なことから、今後ともより幅広い参加が得られるような努力をしていきたいというふうに思っております。
 [3−7−7]にいきますけれども、生物多様性の普及広報の取り組みとしては、「いのちは創れない」という戦略のパンフレットのほか、一番上にありますような「生物多様性キーワード辞典」という本の作成協力、中高生向けハンドブックなどの作成を行ってきましたほか、最近では下にありますようにビジネスと生物多様性などのシンポジウムに積極的に参加したり、先日の5月22日の生物多様性の日というのはまだまだ知られておりませんけれども、今年は初めて環境省としてシンポジウムを行いました。今後、三次戦略の策定、さらにはCOP10に向けて、より効果的に広報活動に力を入れていきたいと思っております。
 [3−8−1]、こちらはデータの関係ですけれども、自然環境保全基礎調査を昭和48年から実施しております。このうち植生調査は当初5万分の1の植生図を作成してきましたけれども、平成11年からの第6回調査から順次2万5,000分の1の植生図に更新をしております。そのカバー率が現行戦略策定時に20%だったものを35%にまで進めてきております。モニタリングサイト1000については、15年度からサイト設定を進めてきておりまして、今年度中に1000サイトを設定する予定です。右の生物多様性情報クリアリングハウスメカニズムというのは、さまざまな主体が収集・整備したデータ情報を広く共有化するためのシステムでございます。
 次の[3−8−2]に基礎調査のことが書いてありますけれども、2にありますように、自然環境保全の施策を科学的・客観的に進めていく上での基礎資料として、全国的観点からおおむね5年ごとの繰り返し調査として実施しております。その成果をデータバンクとして蓄積してきております。調査の実施体制としては、予算が少ないということもありますけれども、全国の研究者のほかに一般市民のボランティアの協力も得て広く情報収集に努めているところです。
 右の[3−8−3]の折り込みの資料は字が小さくて恐縮ですけれども、現在実施中の第7回調査までの概要をまとめたものです。大まかに申し上げますと、植生調査のように継続的に繰り返して実施している調査と、海岸調査ですとか藻場、干潟調査などのようにその回ごとの特定課題としての調査があります。これに平成15年度からのモニタリングサイト1000が新たに加わっております。下の方の調査費用の欄ですけれども、第1回調査は48年、単年度で4億円の予算がつきましたけれども、30年以上たった第7回ではモニタリングサイト1000の分を入れても単年度6億円ですから、予算的には非常に厳しい状況でございます。
 次の[3−8−4]は、モニタリングサイト1000です。先日の合同部会のときの資料を入れておりますけれども、全国的な分布状況の把握を中心としてきた従来の基礎調査に対して、定点で長期継続的なモニタリングを行うというものです。1000サイト設定後、将来にわたって着実なデータの蓄積を進めていきたいというふうに思っております。
 次の[3−8−5]ですけれども、自然環境データに関する各省の連携です。2は環境省の基礎調査のほか農水省、林野庁、国交省の各省の生物関係のデータを岡山市で試行的に重ね合わせてみたものです。
 次のページの図2、図3とも重ね合わせの事例ですけれども、これらの試行をしてみてデータ形式などの課題はありますが、重ね合わせ自体は技術的に可能なことが確認できました。ただし、右のページの図の3の下の方にも書いていますように、各省の調査というのは調査の目的ですとか手法が異なりますので、単に重ね合わせるだけでなくて、そういう違いを認識した上でより効果的な連携のあり方を探っていきたいというふうに考えております。
 最後は折り込みですけれども、現行の戦略策定以降の動きを環境省の方で年表的に整理をしたもので後ほどご覧いただければと思っております。ただ、年表の一番下の右から2番目のところにあります、21世紀環境立国戦略につきましては、総理の指示ということもありまして、中環審でご審議をいただいておりましたが、中環審の特別部会からの提言をいただくべく本日別の会場で最後の特別部会の会合が開催されております。多様性関係では、里地里山などにおいて自然と共生してきた我が国の知恵と伝統を現在に再考し、世界に発信していくことやCOP10開催を契機に国際的な視野のもとに各種の取り組みを進めていくことなどが盛り込まれる見込みで、6月のドイツでのサミットに向けて6月初めにも閣議決定される運びとなっております。
 以上、盛りだくさんで駆け足になりましたけれども、私の説明は以上でございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいま事務局から説明がありました生物多様性の現状等について、ご質問ご意見ございましたらお願いしたいと思います。
 恐れ入りますが、またご質問あるいはご意見のある方、ネームプレートを立てていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは磯部委員、お願いいたします。

【磯部委員】 時間がないので、多くの説明はできなかったのかと思いますけれども、前半でご説明いただいたのが、主に生物多様性の国家的な視点というデータをたくさん見せていただいて、その後、個別的な事業ということだと思うんですけれども、環境というのはかなり地域性があって、相当固有性があるので、随分国全体というのと個々の場所というのにギャップがあるなという気がしていまして、そこで例えば今議論されている国土形成計画、持続可能性について議論されているところがありますけれども、ここでは例えば流域であったり、地域というようなことが大きく入っているのだと思います。特に環境ですから流域というのは非常に大きなファクターなので、そういう意味で、生物多様性国家戦略からいわば生物多様性地域戦略のようなものを中間的な橋渡しとして個々の事業に結びつけるというような、そういうものはどこで考えられているのか。あるいは私の意見としては、そういうところをかなり重視していくというのが大事なことではないかというふうに思います。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。戦略上の国と地域との関係。

【亀澤生物多様性地域戦略企画室長】 国家戦略というのは、条約に基づいて国が策定するものですけれども、ご指摘がありましたように、それぞれの取り組みというのは、やはり地べたに張りついたもので地域の中で地方公共団体なり民間団体が取り組んでいくものだと思っております。そういう意味で、国家戦略だけでなくてそれを地面におろしていくための手順といいますか、そういう中をつなぐものが確かに必要だというふうに考えております。国が戦略をつくるだけでなくて、地方公共団体のレベルでも地域戦略のようなものをつくるというような動きも、一部千葉県で県版の戦略をつくるような動きもありますので、今後はそういう間をつなぐ地域戦略の取り組みを促進するようなことも国としても支援していくようなことを考えていきたいというふうに思っております。

【熊谷委員長】 ほかにいかがでしょうか。それでは三浦委員。

【三浦委員】 今回の環境省の報告を現状認識への情報の整備という格好でとらえると、少し要望があるんですが、その最も大きな点は、[資料2−10]ですか、温暖化の影響です。これについては、生物季節とサンショウウオの生活史の変化等の貴重なデータが載っているわけですが、もう少し温暖化を示す情報がかなり深いところ、つまり生活史だけではなく、例えば群集の置換といったような格好であらわれてくると思うんですが、その辺の情報収集というのを、もう少し整理というんですか、収集整理していただきたいなと思います。それで、いろんな研究者たちがやっている情報というのがまだ統合されていないというか、まとめられていないという現状があるんではないかなという、この日本の中で過去から続いている温暖化の中で、どれぐらい生態系や生物群集や生物の生活史が変わったのかということ、ちょっと収集をしていただきたいなというふうに思います。

【熊谷委員長】 それでは渡邉課長、お願いいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 今回の第3次の戦略づくりの中で、温暖化と生物多様性、温暖化が生物多様性に及ぼす影響ということをどう位置づけていくか、大変重要なテーマだと思っております。前回の第2次戦略の中では、あまり触れられなかった点だと思っています。そういう意味で、三浦委員ご指摘のような形でなかなか温暖化が生態系、生物群集にどういう影響を及ぼすかという情報がきちんとまとまっていないところもあるんですけれども、できるだけこの見直し検討の過程で集められる情報を集めながら、議論に活用していけるようにしていきたいと思います。

【熊谷委員長】 ほかにございますでしょうか。それでは高橋委員、お願いいたします。

【高橋委員】 何もないようなので、ちょっと細かいところ。広報、環境教育が次の生物多様性の大きな、多分私は一番大きなテーマだと思うんです。一般の国民にとって全くリアリティがないというのが現実。実感がないんです、多分ね。
 [3−7−1]の報告を見てもほとんど知らないということで、これも含めて先ほどの情報収集等も含めて、普通の人が簡単にモニタリングできるようなシステムというのを、幅広く募る体系化というのは必要なんじゃないかなと思っているんです。モニタリングサイト1000の内容をまだ私は詳しくは知らないんですけれども、また専門家に特化したようなかたい内容で持続性がなくなってしまったら、また元の木阿弥になってしまう可能性があると思いますんで、これは里地里山のモデルについてもやっぱり同じことが言えるんではないかと。これは例えば生態系を再生することはできましたというモデル事業なのかもしれないんですけれども、現実は里地里山というのは前もお話ししたように持続性が担保されない、人間の生活なり活動が担保されないとどうしようもないわけで、持続可能性というのをどこで評価していくか、環境省ができないんだったら、農水省も一緒になってこのモデル事業の中に組み込んでいくような形のもの、テーマのようなものがあるといいのかなと思うんですけれども。
 もう一つは、私は阿蘇の方かかわっているんで、公園管理団体、阿蘇グリーンストックが我が国最初に指定されて実際の活動をしているんですけれども、全国レベルを見るとほとんど増えていないんです。もしかしたら全然増えていないのかもしれないんですけれども、先ほどから里山等の活動の中に、やはり多様な担い手が参画してやるという方向では、ある意味では画期的な方向性を出したんだと思うんですけれども、それが実際にほかの地域へ定着していないという理由をきちんと検証して、今後どういう形でそれを広げていくか、あるいはどう見直していくかということをきちんと考えていっていただきたいなと思います。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。自然環境計画課長、お願いいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 高橋委員ご指摘の、どう広報戦略を、この見直しとあわせて進めていくかというのも、今回第3次戦略の中で非常に重要な課題だと思っています。今回の第3次戦略を受けるのと、もう一つ、COP10、2010年、生物多様性条約の締約国会議を日本として立候補しているわけですけれども、そのCOP10に向けてどう、政府だけじゃなくて、自治体やNGOや企業や一般の人たちが多様性の保全に向けて立ち上がるうねりを起こしていくかというところを今回はぜひ起こしていきたいなというふうに思っています。その意味で高橋委員からもご指摘のあった一般の市民の人たちに参加してもらって情報を集める、市民参加型の調査というのをこの第3次の戦略の中でうまく打ち出していくことができないかなというふうに考えています。また、里山についても第2次の戦略を受けて農水省や国交省と連携して全国4地域5地区で里地里山のモデル事業というのを始めたところですけれども、その中で実際の実践的な管理の手法を確立したり、体制づくりをしたりというのを、それぞれの地域では進めてきているんですけれども、それをどう全国に展開していくか。そのときに企業や市民の方たちへの参加の仕掛けというのをどうしていくか、非常に里山の展開をどう全国に広げていくかといった問題を、どう全国の中で考えていくかということもあわせて、第3次戦略の中で検討を図っていければと思っているところです。

【熊谷委員長】 高橋委員、よろしいでしょうか。

【高橋委員】 はい。

【熊谷委員長】 それでは、山岸委員お願いいたします。

【山岸委員】 今の高橋委員のご意見とも関係するんですが、生物多様性とか生物多様性国家戦略が浸透していない理由というのは、広報も悪いんですが、多分私も生物の多様性についての講演やなんか頼まれてやって、自分自身で一番困るのは、なぜ生物多様性を守らなければならないかという説明が、そこへ行くと私自身が行き詰ってしまうんです。確かに本人は利用的価値とか、それから非利用的、倫理的価値とかあるのですが、それのじゃあ具体的にどうみんなに説明したらいいかというときになると、はたと講演がそこからしらけてしまうんですね。多分その辺をもう少しみんな勉強する必要があるんじゃないかと。多分これは研究者にも責任があるんで、よくわかっていないんじゃないかというふうに僕は思うんですね。わかっていないものを説明しようとするから相手に伝わるはずがないので、その辺をまじめにもう少し、私も含めて勉強し直す必要があるんじゃないかということを、最近も講演してみてしみじみと感じました。以上です。

【熊谷委員長】 はい、ありがとうございました。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 まさにご指摘のとおりで、私もあちこちで話をする機会があるんですけれども、なかなかその辺の説明がうまくできなくて、常に頭を悩ませているところなのですが、やはりできるだけ身近な私たちの生活に近いものとして説明できればいいのかなと思っていまして、例えば食べ物ですとか、そういうものに引きつけてうまく説明できればいいのかなと思いまして、例えば自分の子どもなどに説明してわかってもらえるようなことを、これからも考えていきたいと思っています。

【熊谷委員長】 それでは、森戸委員どうぞ。

【森戸委員】 今の山岸委員のお話と重なるかと思うんですけれども、私がちょっと気になっているのは、一般国民の間に浸透していない、わかりにくいということで広報、PRを工夫すればよい、若冲のパンフレットみたいなことをまた別の形でやるとか、そういう話にあまりいってしまうと問題ではないのかなと。本当は、本来の国家戦略としての本体のつくり方に問題があるのかなという気がするんです。これは次回の論点だと思うので、余り詳しくは触れないようにしますけれども、要するに普通の人、といっても私が気にしているのは、例えば永田町とか霞ヶ関とか、企業のリーダーとか地方の自治体の首長というかリーダー、そういう人たちが頻繁に言及できるようなメッセージが入っていないんじゃないかと。だから、メッセージ性がやはり欠けていると。それが国家戦略の基本的な部分であって、それがしっかりしていれば、広報とかPRがどんどんついていくんじゃないか。そういう意味では、これは次回に触れたいと思いますけれど、国家戦略というのは何かということ、それは通常の行政基本計画でいいのかどうか、それをちょっと区別した方がいいのかなという気がしているんです。第2次を見ると、国家戦略と書いてあるけれど、副題は基本計画と書いてあるんですよ。だから、こういう分厚い基本計画みたいな形、3次もこういう分厚い基本計画を改訂しながらつくることでいいのか、そうではなくて国家戦略の部分といわゆる計画の部分を分けて考えて、戦略は戦略でもっとメッセージ性のある、ストーリー性のあるものを練った方がいいんじゃないかなと思うんです。
 以上です。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 確かにこれ分厚い戦略で、最後まで読んだ人というのはほとんどいないんじゃないかと思うんですけれども、読んでみてもらわないと意味がないと思いますので、構成も含めて最後まで読んでもらって、ちゃんと言及してもらえるようなものにしていきたいと思います。そのときには、戦略的な部分とアクションプラン的な部分を切り離すとか、そういうような構造的なことについても、ちょっと考えていきたいというふうに思っております。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。鹿野委員、お願いします。

【鹿野委員】 温暖化対策と多様性保全ということで、実は少し資料をお願いしたいというお願いなんですが、先ほど温暖化影響、多様性に温暖化がどう影響するかという話が出ていましたけれども、多分今度の国家戦略の見直しでは、温暖化対策と生物多様性保全というものとの関係がどうあるのかというあたり、一つ重要なことになるんじゃないかと思います。よく温暖化対策で森林の吸収源と言われます。新しく更地に林をつくれば、それは炭素固定するので対策になると、これはよくわかるわけですが、そのほか例えばサンゴ礁の保全、よく議論になるんですが、これが対策に寄与するのかどうか。多分ストック、石灰岩というストックまで含めて何か考えていただきたいんですが、そういうあたりをひとつ、いろいろ調査したデータがあると思いますので、そのあたりがどう温暖化に寄与するのかといった観点。それから森林についても、例えば更地に植林すればこれは対策に寄与するというのはわかるんですが、じゃあ、今の放棄林みたいなものを立派な森林もしくは生産力の高い森林にしていったら、一体どういうように温暖化に寄与するのかと。もしくは全く極相林になった自然林は、温暖化対策にそういう観点から見たらどうであるのかと。特に森林の中の、サンゴ礁も同じなんですが、炭素をどれだけ蓄積しているのか。森林を壊してしまえば、それはどう放出されるのかといったあたりを気にしているんですが、そういったようなことで、地球温暖化対策、それに多様性国家戦略、それのこれから講じる方策がそれとの関係でどういう効果を生むのかというあたりを見たいと思います。それに関係する資料があったら用意願いたいと思うんですが。

【熊谷委員長】 何かございますか、計画課長、お願いいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 ご検討いただくための材料や資料、できるだけあるものを集めてご紹介していけるようにしたいと思います。

【熊谷委員長】 それでは、石坂委員お願いいたします。

【石坂委員】 現在の国家戦略は私は非常によくできていると思うんです。確かに一般に浸透していないというのは、そのとおりだと思いますけれども、例えば三つの危機とかあるいは五つの理念とか、あるいは三つの目標とか、これは割合簡明直截に書いてありますし、わかりやすいんです。私はどう章立てをどうするかとか、そういう問題はあると思いますけれども、中身としてはなかなかよくできていると。これをもう少しわかりやすくする、あるいは進化をする、あるいは時代の変化にあわせたものにするということが必要なんじゃないかなと思うんですね。
 それともう一つは、この生物多様性という言葉が、自然というと誰でもわかるんです。およそのものが頭の中に浮かんでくるんですね。どういう自然を思い浮かべるかというのは、それはそれぞれの個人差があるかもしれませんけれども、自然というとわかりやすい。それを生物多様性というとよくわからなくなってしまうんです。学問的には生物多様性の方が正しいんだと思いますけれども。ですから、生物多様性国家戦略はそれでいいんですけれども、これを世の中にアピールするときに、もう少しわかりやすい言葉で言うということが必要だと思いますし、先ほどどなたかがどういうキャッチフレーズといいましょうか、そういうものをつくることが大切だということをおっしゃっておられましたけれども、そういうことに大いに意を用いるべきだと思います。それから、どうしても行政のつくるものとしては厚くならざるを得ないと思うんですね。これを薄くすることは難しいと思うんです。ですから、今、若冲  さんの絵のこれですね。こういうものをいかに上手につくってアピールしていくかということが、極めて大切ではないかと思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。速水委員、それではお願いいたします。

【速水委員】 少し森林のところの話なんですけれども、[資料2−3]のところに二つのグラフが出ているんですけれども、森林の場合は特異というと語弊があるのかもしれませんが、現状の森林の状態というのがわかると将来の姿がほとんど予想できるんですね。特に人工林に関しては植えられていく面積が急速に減って、山も余り切られなくなったみたいな状態があったり、逆に切られても今度は植えられないと、俗に言う更新がされないというんです。その状態を10年後、20年後、30年後をもう今やっている行為が単純に10年後の姿にすぐ置きかえることができるというのが森林の便利な姿なんですね。30年後もわかると。そうすると、現状の木が植えられているとか植えられないとか、どんだけ切られたとかというので、もう少し将来予想みたいなものが、これはもう簡単にできるんで、そこと森林のそれぞれの樹齢のステージにおける多様性の問題というのは、これはもう研究でかなりわかっている。特に人工林の場合はわかっているんですけれども、そこをあわせたような形の、少なくとも国土の、人工林の場合は半分以下ですけれども、そのぐらいの森林の部分の多様性の将来予測というのはできてしまうんです。それは多分、できてしまうものだったらやっておいた方がいいだろうというふうに思っております。
 それと、森林管理で日常的にやっていますと、私自身はその辺が多様性に関しては自分で自分の森林管理の中に生物多様性に対する対応はどうすべきかというのを項目で書いて、従業員に教育をして、例えば私どもはオオダイサンショウウオというサンショウウオが山にいるんですけれども、それが出てきたらどういう対応をすべきかとか、細かく書いてあるんですけれど、普通森林の管理をやっているときに多様性に対してどういうことをすべきかなんていうのは、だれも考えていないわけですね。やはり、そういうことは比較的先ほどのお話じゃないけれど、地域ごとに見ていくと案外簡単に押さえられていくところがあるんだろうと思うんですね。林業、水産業、農業、これは自然の中で、つまり植生であったり海域であったり、自然のど真ん中で作業をする人間の行為でございますから、それに関しては、かなり生物多様性なんかに関しての対応を本来持つべきだと思うんですね、産業として。その辺が定義できていけば、かなりおもしろいんではないかなと思うんです。無理があるところは無理があるでいいんですけれども、そういうことがそうすべきなんだというところが出せれば、非常におもしろいというふうに思っております。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。貴重なご意見として承っておきたいと思いますが、佐藤委員よろしくお願いいたします。

【佐藤委員】 広報がなかなかうまくいっていないというところで、これはデータもかなり全国区ということでとっていらっしゃると思うんですけれども、たまたま兵庫県のコウノトリの里公園というのがありまして、自然放鳥とか、この前、ヒナがふ化したというようなことで大分話題になっていまして、たまたまちょっと出かけましたら、本当に一般の方がたくさん来ていらっしゃるんですね。地域で具体的な生物がいると、全然関心が違うんじゃないかと。なので、上から網をかぶせていくのか、下からボトムアップでこういうものを育てていくのかという、二つの戦略があるんじゃないかと思うんです。この中は環境省ですから、どうしても上からという感じになりますけれども、下から実は盛り上がってきているものというのがあって、そういうものきっちりくみ上げていくような仕組みがあると、大分違ってくるのではないかというふうに思いますので、例えばそういう地点と普通の地点で調査をしてみたらどのぐらい差があるかとか、そういうことも少し調べていただくと、どういう拠点をつくっていったらいいのかとか、地域での生物、先ほどもおっしゃっていましたけれども、それぞれの固有のものというのがあるので、そこを大事にしていくことから始めないと、なかなかいかないのではないかというふうに思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。大変貴重なご意見をたくさんいただいておりますが、本日の趣旨なんですが、それぞれの省庁にご説明をいただいて、ご質問をしていただくんですが、時間が限られておりますので、特にご質問があれば、その場でお答えできない場合もありますし、それから時間の関係もございますのでご質問をどんどんしていただいて、後ほどそれについてお答えをさせていただくというような形で進めさせていただきたいと思います。
 そんなことで、できましたら次のプログラムである農林水産省の施策についてのご説明をお願いしたいと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 それと説明をされる方はお一人ですが、大体関連する担当の課の方々も同席しておられますので、委員の方々、どうぞ細かい点でも結構でございますので総括的な質問だけではなくて、どんどんご質問ご意見をいただけたらと思います。よろしくお願いをいたします。
 それでは、準備ができ次第、農林水産省の施策についてご説明をお願いいたします。

【農林水産省】 それでは、[資料1]と[資料2]というもので「平成19年5月29日農林水産省、農林水産業・農山漁村における生物多様性保全について」という資料についてご説明したいと思います。
 [資料1]をまずおめくりいただきたいと思います。
 こちらは、生物多様性をめぐる情勢ということで、もう既にいろいろご説明がされているところでございますが、現行戦略におきましても農林水産分野の各施策についてはいろいろ戦略に位置づけられておりまして、それを踏まえまして今回の新しい国家戦略の策定に向けまして農林水産省の生物多様性というものを現在検討しているところでございます。
 もう1枚めくっていただきまして、農林水産業・農山漁村における生物多様性の保全の視点ということで、現在の国家戦略の理念というものを左側に記載してございます。それに対します農林水産業・農山漁村における生物多様性の視点ということで、それぞれに対応するものということで記載しております。多くは生物多様性が農林水産業・農山漁村における基盤であるということでとらえております。また、いろいろな有用なものを生み出す源泉であるということでございます。また、それぞれの豊かな里地里山をはぐくむ地域社会、農山漁村における根源であるということで考えております。その下の予防的順応的態度ということでございますが、これにつきましても多様な視点において取り組んでまいりたいと考えております。こちらが現行の国家戦略に対して農林水産業・農山漁村においての生物多様性保全の視点ということで考えている点でございます。
 続きまして3ページをお開きいただきたいと思います。農林水産業・農山漁村における生物多様性の保全ということで、生物多様性をどのようにとらえるかということを整理しております。一番上の四角でございますが、農林水産業は、自然界の循環機能を利用し、動植物をはぐくむことによって行われる生産活動であると。それは持続可能な農林水産業の維持・発展のためには生物多様性の保全は基本的な課題であるという認識でございます。また、自然と人間が共存してきて形成されました農山漁村におけます自然環境を維持していくことが重要であるということで、生物多様性は農林水産業・農山漁村における基盤であるというふうなことで考えております。
 また、生物多様性を基盤とした農林水産業の場というものは、真ん中の枠にございますように、国土の生物多様性の多くを占めているということでございます。農地面積で見ますと約481万ヘクタール、水環境ですと200万ヘクタールの水田、40万キロの水路、約21万カ所のため池がございます。森林につきましては、約2,500万ヘクタール、人工林1,000万ヘクタール、国有林で764万ヘクタールを占めております。漁場で見ますと、日本の排他的経済水域面積は447万キロ平米で世界第6位という面積で、こういう場で業が営まれているということでございます。
 右の方でご覧いただきますと、それをグラフ化しております。さらにその右側にございますけれども、いろいろなものを我が国は輸入していると、木材、輸入農産物、水産物等を輸入しているということも留意していく必要があると思います。
 その下で、4つに分けております里地里山、森林、里海、海洋という、こういう区部でそれぞれの場で業が展開されているということでございます。また、いろいろな農産物におきましては、バイオテクノロジーを使いまして新たな品種をつくったりしていると、そういう遺伝資源の利用という点も重要であるというふうに考えております。その右側の下のところでございますが、先ほど輸入ということで国際的な視点ということで、そういうものを輸入しているということは他国の自然環境、生物多様性を利用しているということにも配慮していく必要があるというふうに考えております。
 続いて4ページをお開きいただきたいと思います。以上のような点を踏まえまして、現在の生物多様性の保全に向けた課題ということで、これはいろいろ言われていますが、背景としまして人口減少・高齢化、生活様式の変化、国産農林水産物の利用の減少、自給率等の向上がなかなか進んでないというところがございます。そのような中で、里地里山の中では耕作放棄地の問題と、また、農薬・肥料等の使用のあり方等、また森林につきましては施業等がまだ十分でないこと、里海・海洋等でも藻場・干潟の減少、または水産資源では混獲等の問題があるということでございます。海外からは、先ほどお話ししています輸入の問題ということがございます。遺伝資源等につきましては、環境悪化で種が減少しているというようなことが現状の課題でございます。
 それらに対応しまして、右側の方で一番上でございますが、農業生産活動と生物多様性との調和に向けた環境に配慮した農林水産業へ移行していくということが今後の課題ということで考えております。その下に、健全な農林水産業の営みと多様な主体である国民参加による農山漁村特有の自然環境の維持、また業の振興によります自給率の向上、また森林におきましては、重視する機能に応じた適正な整備と保全等に努めていくと、また、水産関係ですと、水産動植物の生育環境の保全、また多面的機能の発揮、またいろいろございますけれども、外来生物等への対応、また違法伐採等、世界の持続可能な森林経営の推進等を行っていくということを課題として考えております。
 次の5ページをお開きいただきたいと思います。それを踏まえました施策の基本的な方向ということでまとめたものでございます。幅広い国民の理解と参加のもと、生物多様性に立脚した持続的な農林水産業・農山水産業を推進していくということで、左側に方向として2つございます。生物多様性に配慮していくということと、その下に、業を通じてつくられてまいります農山漁村において、その自然環境を維持していくということでございます。
 具体的には真ん中にございますとおり、目指すべき姿、どのようにしていくかというのを明確にした上で、環境と調和した農林水産業を推進していこうというものでございます。3つ丸がございますけど、環境保全に配慮していくと、またその関係をよりわかりやすくするために指標等の開発ができないかということでございます。また、それらを用いて主要施策において生物多様性保全の検証・反映をしていくということでございます。
 その下でございますけれど、国土の生物多様性保全に向けた地域の多様な取り組みを支援していこうということでございます。下に具体的にございますが、これは後ほどご説明したいと思います。
 それらを用いまして、右側にありますとおり、それらに向けた安全で良質な農林水産物を供給していくということ、農山漁村の活性化、地球温暖化防止、国土の保全等を図ってまいりたいと考えております。
 一番下の左側の下でございますが、戦略の視点としまして多様な主体による取り組み、多様な分野との連携、実践的な行動計画、また国民的な行動に向けたインセンティブの定時と、わかりやすくいろいろな方々と取り組んでいこうというふうに考えております。
 6ページをお開きいただきたいと思います。現在、全体的に今度進めていこうというものの各分野での行動計画のイメージでございます。現状は先ほど申し上げたとおりのものを記載しております。それを踏まえまして右側の方で、里地里山里海など全体的なつながりの中でいろいろ施策を展開していこうということでまとめております。右側の方の「これから」というところでございますが、森林、農業、藻場・海、水産関係、これら全体とつながった上で生物多様性の保全を推進していこうということで現在考えているところでございます。
 続きまして、先ほどございました各分野における生物多様性に関する現状と課題ということで具体的な個別事業についてご説明したいと思います。
 まず7ページをお開きいただきたいと思います。現在行っております環境保全型農業の推進ということでございます。最初の上の枠でございますとおり、農業生産活動、その活動そのものは自然にインパクトを与えながら展開されるわけでございますが、その中でさらにいろいろな二次的な自然環境を形成している農地において行われており、適切な農業生産活動を通じて自然環境の保全、また良好な景観など、環境保全上の多様な機能を発揮しております。一方で、効率の過度の追求、または不適切な資材利用・管理などによって環境に負荷を与えるおそれがありますので、周辺の自然生態系への影響や河川湖沼等の水質の悪化などを防いでいく必要があるということから、環境保全型農業を推進していこうということにしております。
 この左側の図でございますが、農業生産活動に伴う環境へのリスクということで過剰な施肥、不適切な農薬の使用などによりさまざまな影響を与えるということで虫が減少したり、土壌中の微生物などが減少する、またいろいろなものが川の方に流出して水環境の方に影響を与えるというものでございます。それを下の方にあります施策を通じて右側にあります環境と調和のとれた農業生産ということで、肥料の関係は適切な施肥、また虫・除草などは適正な防除の実施を通じて、右側にありますように、ある程度の一定の生物と調和した形で生産活動を行っていこうというものでございます。
 その下の欄のところで、環境保全型農業推進施策の概要ということで4つほどございます。まず一つ、現在やっておりますのが4つございまして、農業環境規範の普及・定着というものでございます。環境と調和のとれた農業生産活動の確保を図るために、農業者が最低限取り組むべき規範、これを農業環境規範と申しますが、を策定し、各種支援策を実施する際の要件としております。そのような形で普及・定着を図っていこうというものでございます。
 その次のエコファーマーの認定促進でございますが、持続農業法、持続性の高い農業生産方式の導入に関する法律というものがございまして、それに基づきまして、たい肥等による土づくり、また化学肥料・化学合成農薬の使用低減に一体的に取り組む農業者の方をエコファーマーと認定しまして、促進していこうと、増やしていこうというものでございます。今現在、エコファーマーの認定者で約11万件が認定されております。
 次に先進的な営農活動への支援ということで、農地や農業用水等の資源の保全向上活動と一体的に、化学肥料また化学合成農薬の使用を大幅に減少されるなど、地域でまとまって環境負荷を低減する先進的な営農活動を行っている方々に対して支援を行うものでございまして、農地・水・環境保全向上対策というものを19年度より実施しております。これは地域でまとまって大幅に減少させるという、そういう活動を行っている方々に支援しているというものでございます。
 その下ですが、有機農業の推進ということでございます。平成18年12月に議員立法において成立しました有機農業推進法に基づきまして、生物多様性の保全等に資する有機農業を推進していこうということで現在取り組んでいるところでございます。
 次の8ページをお開きいただきたいと思います。全体的な農業のやり方、進め方については、今ありましたとおり、農業環境規範とまたエコファーマーの認定、先進的な営農活動、また有機農業の推進ということでございますが、その中で取り組んでいくということでございますが、病害虫または除草の管理についてもどのように進めていくかということでまとめたものでございます。いろいろ環境問題に対しまして我が国農業生産全体のあり方を環境保全を重視したものに転換するということで進めております。その中で、病害虫につきまして、農薬等を用いているわけでございますが、それらにつきまして総合的病害虫・雑草管理ということで転換していこうということにしております。
 総合的病害虫・雑草管理と申しますのは、左の黄色いところにございますとおり、左側の下のところで「予防的措置」と、上の方で「判断」、「防除」という3つを組み合わせていくというものでございます。最初の予防的措置というのは、病害虫・雑草の発生しにくい環境の整備というものでございます。例えば、輪作体系の導入、または土着天敵の活用などを用いて病害虫または雑草等を管理していくというものでございます。その上の判断というところがございますけれども、防除の要否またはタイミングの判断というものを、発生予察、どのような状況になっているかというものを踏まえて判断すると。それで右側の方になります多様な手法による防除ということで病害虫発生が経済的被害を生ずると判断する場合に防除するということでございますが、生物的な防除、または物理的な防除、化学的防除というふうにいろいろできるだけ環境に影響を与えないようなやり方で防除していくというものでございます。
 この際の生産者のメリット、消費者のメリットということで書いてございますが、生産者に対しましては経済的に受け入れ可能なコストで、消費者に信頼される農作物が生産できる。消費者側のメリットといたしましては、人の健康に対するリスクと環境への負荷が軽減される。また、農薬を使用した場合には、その履歴等の栽培管理状況を知ることができるということがございます。
 このようなものをIPMと申しますが、普及定着に向けた今後の取り組みということで、右側にございますとおり、IPM実践指標の作成、またモデル地域の育成等に努めております。実際の管理項目、管理のポイントということでございますとおり、水田及びその周辺の管理、また病害虫発生予察情報の確認、防除の要否の判断というようなことを項目として挙げまして、その右側でポイントということで、それをチェックしていくという形にしております。
 その下にIPMを効果的かつ安全に実施するための実施基準の策定ということで、現在、化学農薬の天敵に対する影響の評価等、いろいろ基準の策定に取り組んでいるところでございます。これらにつきましても左側に下の方に記載してございますけれども、IPMの普及に対しまして国民の皆様によく知ってもらおうということでいろいろ関係者・関係機関との連携強化等を図っているところでございます。
 続いて9ページをおめくりいただきたいと思います。現在、鳥獣害防除ということでかなりいろいろな被害が多くなっております。この一つ、生態系で見ますとバランスが崩れている結果ではないかと、多様性としてはバランスが崩れているのではないかなということでございます。そのための対策としまして、上にございますとおり、里地里山における人の活動の低下、また管理の低下、または少雪化、雪が少なくなっていることに伴いまして、中山間地域を中心に猪等の野生鳥獣の生息分布域が拡大しております。それに伴いまして捕獲数も増加し、それに伴い被害が深刻化しているという状況でございます。そのような状況のもとに、環境省を初めまして、関係省庁と連携のもと、いろいろな対策を行っているところでございます。
 左側の方に鳥獣被害の現状ということで、生息分布域の拡大、有害捕獲数の増加、それに伴います農林水産業への被害の状況ということで、金額では農作物被害金額では17年現在で187億円になっております。このような鳥獣害が出ていることも耕作放棄の発生の要因の一つというふうに考えております。
 それに対する施策でございますけれども、真ん中にありますとおり、関係省庁と連絡会議を設置しまして、個体数の調整、また生息環境の管理、被害の防除を基本に取り組みを推進しております。真ん中にございますとおり、人と鳥獣のすみ分けが重要ということで、それを踏まえまして、この3つの取り組みを総合的に推進しているということでございます。農林水産省としましては、被害の防除を中心に、下にありますとおり4つの点を中心に行っております。効果的な被害防止技術の開発、技術指導に当たる人材の育成・確保、地域の取り組みに対する支援、また居住地周辺の里地里山の整備活動を進めてまいっております。
 今後の取り組み方向としましては、右側にございますとおり、関係機関と協力体制を強力にしまして推進していこうということでございます。3点ほどございます。有害鳥獣の個体数管理及び捕獲体制の強化を進めていこうと。真ん中でございます。新たな視点に立った防除対策の推進ということで被害の発生しない周辺地域やNPO等との連携や捕獲獣の地域資源としての活用等、いろいろなこれまでにないことで対応をしていこうということでございます。また、鳥獣を引き寄せない新たな営農管理技術の開発、また、被害の面的拡大を防ぐための対策を行っていこうということでおります。下でございますが、生息環境管理対策の強化ということで、里地里山等の管理対策の促進、または針広混交林化、また広葉樹林化等多様な森林づくりを進めることによって対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
 10ページの方をご覧いただきたいと思います。こちらの方は、環境に配慮した農業農村の整備ということでございます。農業農村の整備事業につきましては、その目的としましては、国民に安全な食料を安定的に供給する、または力強い、経営的にしっかりした農業を実現していくと、また農林水産業が展開されております農山業者の暮らしをよりよくすること、また、農林業の多面的な機能の発揮に役立つように整備事業を行っております。整備事業を展開しているところにおきましては、生物の生息・生育環境である二次的自然が形成されておりまして、業を通じてそれが保全されているという状況にあります。ただ、事業の実施が生物多様性に影響を与えることもありますので、そういう点に留意しながら農村の環境整備に配慮して事業を実施しているということでございます。
 左側に背景と課題ということでございます。多様な環境要素を持つ農村空間ということで水田等の農地・水路・ため池・二次林などをもとに農村環境が形成されております。そういう中で事業を実施するわけでございますけれども、左側の下のプラスとマイナスという面がございます。プラスの面で申し上げますと、農業生産性の向上、経営の合理化等に役立つと。下の方でございますと、区画の拡大・乾田化による影響等、またはため池、湿地・緑地等の減少等というのが見られるということで、下の方にちょっと写真がございますけど、そのような影響がある部分があるということでございます。
 それらに対しまして、施策の現状ということでございますが、法や基本計画に施策を位置づけてございます。土地改良法で環境と調和に配慮しつつ事業を実施していくということにしております。現在、講じている主な施策としましては、まずマスタープランをつくってしっかり環境に配慮していくということにしております。また、情報・技術の整備、また研修会・セミナーなどで知識や技術の習得、意識の啓発等、そういうことを現在講じているところでございます。
 それをさらに向上させるということでございますが、農村地域における生物のネットワークの保全・形成を推進していくということで4本ほどございます。定性・定量的な基礎情報の充実を図る、また、生物多様性を何らかの形で図れないかというということでの検討、また事業における環境配慮の一層の推進、いろいろな方々と行っていくということで住民参加等による生物ネットワークの保全ということでいろいろな方と一緒に整備を推進していくということで検討しているところでございます。
 次の11ページをお開きいただきたいと思います。こちらの方は、農村地域での農業振興というのは、業を通じて展開されています二次的自然・生態系の保全の点からも重要ということで、その保全と利用にも生物多様性の観点を盛り込んでいこうということでございます。
 背景と課題としましては、農村部におきましては、過疎や高齢化が進行しているということで、いわゆる第二の危機が進行している、生物多様性が絡みますと第二の危機が進んでいるというところでございます。人口の動き、また高齢化、また耕作放棄地面積の推移等でございます。
 そういう現状につきまして、施策としまして中山間地域等直接支払制度を現在実施しております。また、農地・水・環境保全向上対策ということで、先ほど申し上げましたとおり、いろいろな多様な関係者と一体となって農業が本来有しております自然循環機能を維持・増進するということを目的に実施しております。このほか、景観保全活動や自然再生活動を行っているNPO等に対して、公募方式により直接の支援を行っております。
 これらにつきまして、さらなる向上のための検討ということで、右側になりますが、人の働きかけの継続による二次的自然・生態系を保全するために、こういうふうな農業・農村が生物多様性に果たす役割についてさらなる国民の理解を得られるようなことを進めていこうということで環境教育や生物多様性の認識を深めるため、現在生き物調査をやっておりますが、そういうものをさらに進めていくということでございます。そのほか里地の維持・保全活動ということで、これも多様な参加者を交えて保全活動の担い手を確保していこうということを考えております。
 続きまして12ページでございますが、森林・林業と生物多様性ということでございます。すべての森林におきましては、多種多様な生物の生息・生育の場として生物多様性の保全に寄与しているということでございます。また、生物多様性等森林の有する多面的機能というのは、森林の適正な整備・保全により発揮されるということでございまして、現在、平成19年2月23日に美しい森林づくりのための関係閣僚会議ということがございまして、その場で「美しい森林づくり推進国民運動」を行っていくということになりまして、現在、今後6年間での330万ヘクタールの間伐を実施し、また100年先を見据えて広葉樹林化、長伐期化等の多様な森林づくりを行うと、そういうことを通じて生物多様性の保全に努めるということにしております。
 左側に森林・林業の現状がございますが、先ほどありましたとおり、国土のかなりの部分を占めていると。また、そのうち人工林につきましては、国土の緑化により約4割の1,140万ヘクタールを占めていると。また、森林資源の面から見ますと、ここ40年間で面積は横ばいでございますが、蓄積は人口林を中心に2倍以上に充実してきていると。林業の現状とその影響ですが、現在、木材価格は若干上向いているところもありますが、全体的にはまだ木材価格は低下して、経営コストの増大等から厳しい状況にあると。また、いろいろな間伐等の森林施業等は十分に実施されていないと。最近の豪雨等により災害が頻発していると、そのような状況。また森林に対する国民のニーズはさまざまであるということでございます。施策としましては、森林整備事業を初め、さまざまな事業を展開しておるところでございます。
 それを踏まえて今後の取り組む方向としましては、森林・林業基本計画が見直されたところでございますので、それに基づき着実に推進していくということで多様で健全な森林への誘導、国土の保全等の推進、森林を支える山村の活性化、国民参加の森林づくりと森林の多様な利用、さらに林業の持続的かつ健全な発展ということで取り組んでいこうということでしているところでございます。
 13ページをお開きいただきたいと思います。こちらが、持続可能な森林経営の推進ということで世界的な状況を踏まえたものでございます。2000年に開催されました持続可能な開発に関する世界首脳会議、地球サミットにおきまして採択されております実施計画で、森林の多面的な便益の重要性が認識されております。それとともに、持続可能な森林経営が持続可能な開発に不可欠な目標として位置づけられており、そのような流れの中、違法伐採の国際的な取り組みが盛り込まれております。
 左側の方は、国際的な協調のもとでの持続可能な森林経営の推進ということで国際的な動きでございます。国連森林フォーラム、アジア森林パートナーシップ、モントリオール・プロセス、G8による森林保全の取り組みなどございます。
 真ん中で世界森林の状況ということで、世界の森林は急速に減少・劣化していると、地球的に見ますと生物多様性が非常に危機的な状況にあるということでございます。真ん中の下のところで、世界の森林の面積がございますが、全体的に減少しているというところでございます。
 右側でございますけれども、我が国の国際協力・違法伐採対策等ということで、このような状況に対して各国における生物多様性を構成する森林に対してさまざまな協力をしていこうということでございます。国際機関を通じた多国間協力、JICA等を通じた二国間、またNGOなど民間協力、一番下で違法伐採への取り組みということで考えております。
 続いて次の14ページをお開きいただきたいと思います。これまで農業と林業ということで生産方法のやり方で生物多様性に配慮していくということで申し上げてまいりましたが、国有林野のすぐれた自然環境を有する森林の維持・保存の取り組みということで、業でもありますが、そういうある一定のかなりの広大なところですけど、そこを維持・保全することによって生物多様性に資するというものでございます。
 上の括弧でございますけれども、国有林野は国土の2割、森林の3割を占めております。その多くが奥地脊梁山脈や水源地域に分布しておりまして、原生的な天然林が残されているという状況でございます。このため、そのようなところの箇所を貴重な自然環境として保護林または保護林をつなぐ緑の回廊として設定するということで行っているところでございます。
 保護林の設定・保全の推進ということで、歴史的なものでございますが、保護林は大正4年に発足した先駆的な自然環境保全制度であり、今順次設定しているところでございます。保護林の設定におきましては、委員会を設けて学識経験者等の意見を聴取した上で植生の状況に応じて植生の回復等に必要な措置等を実施しております。現在、18年4月現在で約68万3,000ヘクタール、850カ所となっております。国有林面積の約1割に相当しております。
 左側のところで、知床の保護の情勢でございます。
 右側で保護林の設定状況ということで、種類としましては、森林生態系保護地域、森林生物遺伝子資源保存林、林木遺伝資源保存林、植物群落保護林、特定動物生息地保護林、特定地理等保護林、郷土の森がございます。それぞれ目的がございまして、箇所数、面積、850カ所の68万ヘクタールということで、いわば生息域内の保全というふうなことに資するものかと思います。
 続いて15ページをお開きいただきたいと思います。先ほどは保護林ですが、これをつないでいこうというものでございます。緑の回廊の整備の推進というものです。これは、平成12年に発足したものでございまして、個体群の交流を促進し、種や遺伝的な多様性を確保することを目的に、保護林相互を連携するネットワークを形成し、生物多様性を保全していこうというものでございます。こちらの緑の回廊につきましても、設定に当たりましては委員会を設け、学識経験者等の意見を聴取した上で行っております。また、野生動植物のモニタリングや希少野生動植物の採餌環境の整備等のため、例えば人工林であれば、その抜き伐り等を実施しているということでございます。18年4月現在の緑の回廊の面積は、42万ヘクタールで22カ所になっておりまして、国有林面積の約6%となっております。
 17年度を見ますと3カ所、3万1,000ヘクタールの緑の回廊を新たに設定しております。
 右側の方で緑の回廊の設定状況ですけれども、22カ所で面積42万ヘクタール。図がございますとおり、図の赤いところになりますが、北海道、東北、四国、九州では南の方に設定されております。
 16ページの方をお開きいただきたいと思います。水産関係、海の方についての生物多様性の保全とその取り組みについてでございます。水産業と生物多様性、水産業は、海の豊かな恵みの上に成り立っており、持続可能な水産業の維持・発展のためには、生物の多様性が健全に維持されていることが重要と、それが基本であるということでございます。それぞれ国際的、国内、海洋ということでございますけれども、まず国際的な海洋生物資源の保全及び持続可能な利用につきましては、世界的に現在見まして、水産資源の減少により適切な漁業管理が不可欠となっております。そのため、地域漁業管理機構を通じた水産資源の持続可能な利用を基本的な考え方に実施しております。我が国としましても太平洋マグロ類国際保存委員会を初めとしましたさまざまな地域漁業管理機関に積極的に参加して、国際的な水産資源の保存・管理、また持続的な利用に努めているところでございます。
 また、海洋生態系の維持保存と有効利用を図る観点からは、漁獲対象生物の資源データのほか、漁業の操業に伴い、偶発的に捕獲される漁獲非対象生物につきましても、漁船や調査船を通じた情報収集を行い、現状把握に努めるとともに、サメ、海鳥等、偶発的捕獲対策としまして、捕獲回避装置の技術開発、また漁業者への普及・啓発活動等を行っているところでございます。
 真ん中の国内の海洋生物資源等の保全及び持続可能な利用につきましては、我が国の排他的経済水域内における魚などの水産資源につきまして、資源量を勘案した上で上手に利用していこうと、ある一定量の中で利用していこうということでございます。海洋生物資源のうち水産資源は、適切な管理により持続的な利用が可能な資源でありまして、水産資源を適切に保存・管理することは、国民に対する水産物の安定供給の確保とともに、我が国周辺水域における海洋水産資源の生物多様性を保つためにも重要であるというふうに考えております。また、このような保存・管理は、国連海洋法条約により沿岸国に課せられた責務ともなっております。このような保存・管理の第一歩としまして、生産の場であります漁場の状況把握をすることが必要でありまして、そのために海洋生物の資源調査・研究を進めております。水産庁におきましては、独立行政法人の水産総合研究センターに委託しまして、主要な水産資源について調査船による種々の調査を行ってデータの分析・解析と資源の動向等の把握・評価を実施しております。
 一方、現在いろいろ出ておりますが大型クラゲ、または外来魚等の野生生物によります漁業被害につきましても、防御体制の構築等に取り組んでいるところでございます。
 第3の右側のところで、一番右側でございますけれども、漁場の海洋環境の保全です。これは魚など、棲む環境が、えさ・生育・産卵に適したものとなるようにするというものでございます。この中で漁場環境の保全ということで、その下に漁民の森づくり、また漁業者を中心とした環境・生態系保全活動に対する支援等が行われております。このほか、漁場保全の森づくりの一環としまして、漁業者、NPOによる植林活動の促進を図っていこうというふうに考えております。さらに漁村の整備につきましても、水質保全対策等などを図り、環境保全に配慮した施設の整備に努めていこうということでございます。
 このように、水産資源におきましても、そこにおります生物の多様性に配慮して実施していこうということでございます。
 続きまして、17ページをお開きいただきたいと思います。国際的な枠組みに基づく野生生物への対応ということでございます。左側がサメ・海鳥に関する国内行動計画、右の方で希少な野生水産生物の保護というものでございます。このように希少な野生生物の保護・管理の一つとしまして、漁獲非対象生物の群発的捕獲を避けるための漁具の開発を行っております。左側の方にございますけれども、サメ・海鳥に関する国内行動計画の中の具体的な例としまして、マグロ延縄漁業における海鳥を回避するための装置としましてトリポールというものを普及しているところでございます。
 また、並んで示しておりますけれども、右側の方の希少な野生水産生物の保護としましては、ウシモツゴ、イタセンパラについて人工増殖等を実施して、希少な野生水産生物を保護しているというところでございます。
 次の18ページをお開きいただきたいと思います。国内における海洋生物資源等の保全及び持続可能な利用であります。水産資源の保全・管理、右側に生物多様性に配慮し増養殖の推進ということでございます。近年、先ほど申し上げましたとおり、水産資源の多くが低水準にあり、その資源管理の強化が求められているところでございます。そのため、水産資源の保存管理の積極的な取り組みとしまして、主要魚種の漁獲量の上限を設定する漁獲可能量制度、TACと申しますが、それを行っていくということと、減船または休漁等の資源回復計画の実効性を担保し得る措置としまして、漁獲努力可能量制度、TAEを実施しているところでございます。いずれにしましても一定の量を管理しながら適切に業を行っていくということでございます。
 なお、資源回復計画につきましては、対象資源に対しまして減船、休漁等の漁獲努力可能量削減や種苗放流、漁場環境改善等の取り組みを総合的に推進する対策でありまして、国・都道府県・漁業者が一体となって取り組むものとなっております。
 また、栽培漁業、養殖業につきましても、生物多様性に配慮しながらつくり、育てる漁業を推進していこうと。また遺伝子の多様性、漁場の健全化等に配慮しながら自然の増大を図っていこうということにしております。右側にあります栽培漁業推進、さけ・ます増殖、養殖漁業推進、内水面漁業・養殖量の推進ということで生物多様性に配慮しながら進めていこうというところでございます。
 19ページをお開きご覧いただきたいと思います。漁場環境の保全及び改善を図るために行う主要な取り組みというところでございます。干潟造成、藻場造成、底質改善ということで、森から海を通じました環境保全の推進としまして、水産動植物の繁殖にとって重要な藻場・干潟の減少を食いとめるために、海域環境に応じた手法によっていろいろな取り組みを行っております。このような、ここに図のあるとおりでございます。藻場・干潟を造成する、または、底性生物のための底質の改善ということで浚渫、作れい、耕うん、覆砂ということで取り組んでいるところでございます。
 次の20ページをお開きいただきたいと思います。こちらは、遺伝資源の利用ということでバイオテクノロジー等による生物資源の持続可能な利用というところでございます。生物多様性の構成要素であります貴重なさまざまな遺伝資源を収集、保存しまして、バイオテクノロジー等による研究、また利用によりましてさまざまな新品種の育成、または新産業の創出を推進しまして、食料・農業・環境問題等の解決に貢献していこうというものでございます。
 左側の現状と課題でございますけれども、生物資源の持つ有用性の価値ということで、我々の生活は多様な生物を食料、医薬品、燃料などの資源として利用して成り立っております。このように生物資源は、科学技術に進展に伴い、このようないろいろ食料、農業、環境問題の解決に役立つことが記載されております。そのような重要な一つの大きな基盤になっているという状況でございます。
 現在、遺伝資源をめぐる状況としましては、環境の悪化、または開発等によりまして種の減少等があり、遺伝資源の面から見ましても減少していると。中には滅失の危険が増大しているという状況にあります。今回のこの多様性条約の発効以来、遺伝資源の保有国の主権的権利が認められてきておりまして、遺伝資源保有国以外による遺伝資源の収集が困難になってきている状況にあります。このような状況から、我が国としましても貴重な遺伝資源、少なくなっている遺伝資源等を初めとしまして、さまざまな遺伝資源の収集・保存に取り組むことが必要だということでございます。
 国際的な取り組みとしまして、食料及び農業に用いられる植物遺伝資源に関する国際条約というものが2004年6月に発効しておりまして、各国共通のルールのもとで食料、農業用植物遺伝資源の利用・提供を行うことができる他国間のシステムの構築を行うことにしております。これによりまして、条約に加わっている国々が、他の加盟国が保有する遺伝資源等を簡易な手続で収集できるようにしようというものでございます。育種の研究の発展、また農林水産業、食品の産業の振興に寄与することが期待されております。このような現状の状況でございます。
 それに基づきまして現在の取り組みでございますけれども、遺伝資源の研究利用等がございます。ジーンバンクにつきましては、さまざまな国内の遺伝資源を収集・保存しておるもので、これは昭和60年から実施しているものでございます。現在の保存の内容につきましては、植物、微生物、動物等で林木では3万2,000、水産では1,200点、そのほかDNA等で26万8,000点ほどが現在保存されている中身になっております。これらが研究に利用されておりまして、バイオテクノロジー等による遺伝資源の利用、またアグリ・ゲノム研究の総合的な推進に活用されております。
 これらを用いまして、将来期待されるものとしましては、バイオテクノロジーによる遺伝資源の利用で食料問題等の解決に貢献できないかというところでございます。食料、環境、エネルギー、また物質・医薬品等、さまざまな将来に発生が予想されますさまざまな課題にこたえられるのではないかということで期待されているところでございます。
 一番最後のところでございますが、遺伝子組み換えの農産物等の規制による我が国の生物多様性の確保ということで、遺伝子組み換えの観点から、それを規制することによって多様性の保全を図っていこうというものでございます。遺伝子組み換えそのものにつきましては、多様性、自然環境に与える影響があるということから、品種ごとに安全性を科学的に評価した上で、安全性が確認されたもののみを使用するということになっております。その際の規制する国際的な枠組みとしまして、カルタヘナ議定書というものがございまして、それに基づきまして俗称カルタヘナ法が成立しております。16年から施行ということになっており、現在、これに基づきまして、安全性を確認して、その農作物を現在利用しているという状況でございます。
 遺伝子組み換えの農作物の現状につきましては、左側にありますとおり、世界での栽培面積が年々増加しております。2006年では1億ヘクタールを超えているということで、これに伴い輸入されるものにつきましては増加していくのではないかというふうに考えられます。また、遺伝子組み換え農作物等につきましては、先ほど申し上げましたとおり、生物多様性に影響を与える可能性があるということから、十分に安全性を確認した上で使用できるという仕組みにしているところでございます。具体的には真ん中のところで段階的な安全性確認の実施という、それぞれの段階で安全性を確認した上で承認をしていくという状況です。右側に現在の承認状況ということで一般的な使用で62件、栽培が可能なもの35件、隔離ほ場試験栽培が31件という状況になっております。
 また、安全性の評価に加えまして水際検査といった管理措置を着実に実施するということで安全性未確認の遺伝子組み換え農作物が流通することを防止していこうということにしております。
 以上が農業・林業・水産業また森林等保全管理等によって生物多様性の保全を図っていこうという取り組みでございます。
 [資料2]のところで何点か事例についてご説明したいと思います。簡潔にご説明したいと思います。
 まず一つが、集落ぐるみで環境保全型農業の取り組みで、環境保全型取り組みの一つの事例でございます。これは、宮城県大崎市田尻通木地区というところで取り組まれている例でございますが、地元の農協青年部の農業者が中心となりまして、地域ぐるみで地域が一体となりまして、化学肥料・化学合成農薬の使用を慣行栽培、従来のものから5割以上低減すると、そのような環境に配慮した農業を推進している事例でございます。
 取り組みのきっかけとしましては、地域の航空防除の状況に疑問を抱いた方々の働きかけによりまして、その防除方法の見直しと農薬使用の低減に取り組んだことが発端となっております。
 このような取り組みが定着した理由としまして、3のところで4点ほど書いておりますが、地域リーダーの存在、消費者との交流による販路、つくったものを売るところの確保をしたこと、担い手に対する農地の集積、実際に行うところに農地を集積したこと、4点目としまして関係機関の協力・支援というのがございます。これはいろんなさまざまな方々と取り組んだというところでございます。
 右の方で取り組み規模、環境負荷低減の内容ということが書いてあります。
 取り組みの効果としましては、絶滅が危惧されますマガンやニホンアカガエル等の生存が確認されるなど、生物種が増加していると。また、消費者との交流、活動成果を発表などによりまして、マスコミ等、いろいろな方々との関係が広がってきたというところでございます。これが環境保全型農業の取り組み事例でございます。
 続きまして、環境創造型農業の取り組みということで、これは先ほどございましたコウノトリの復活でございます。上の方で昭和35年の絵がございますが、この後ろの方にたくさんコウノトリが、ちょっと見にくいのですがおります。そこで牛がおりまして、こういうふうな風景があったと。そういう中でコウノトリが絶滅しました。それをかえそうということでいろいろな取り組みが行われているということでございます。コウノトリが生息するためには、水田にドジョウなどのえさ、いろんなドジョウを初めとしますさまざまな生き物がいることが必要不可欠でありまして、冬期灌水、農薬の削減などの取り組みを進めることによってコウノトリの生息環境を保全したというものでございます。このような取り組みの結果、環境に配慮した結果、そういうところでとれるものが安全なお米としてブランドとなって高く評価されているということにもつながっております。このように環境と経済がうまくつながった事例だというふうに見ております。
 次は、鳥獣実態ですけれども、これは先ほどご説明したとおり、いろいろなところで各地で被害が増大しているというものでございます。イノシシ、シカ、サルということでございます。
 次の4ページでございますが、その鳥獣被害に対する取り組み事例ということでございます。ここでは、上の方で写真がございますけれども、緩衝地帯のやぶを払うなどで隠れ家をなくして被害を減少させるというふうな取り組みでございます。そういうところで家畜放牧などで山際、生息区域から農地の方に出てくる中間地帯に放牧で飼育するというものです。または、モンキードックの取り組み、またえさとなります果実等を残さないように取り残し果実の除去等に取り組んでいるものでございます。
 次の5ページをお開きいただきたいと思います。こちらが、普及指導員がコーディネーターとして被害対策を推進していこうということで滋賀県での事例でございます。いろいろ取りかかるというものではなくていろいろ戦略会議、地元の方々、行政、地域、NPOさまざまな方々と意見交換をした上でいろいろな取り組みを実施していっているという事例でございます。
 真ん中のところでございますけれども、中山間地域等で直接支払制度を活用した対策ということで防護策、または集落入り口道路に防護策を設置して対応をしていこうというものでございます。一番下のところは猿を警戒音、ロケット花火等を用いて追い返すと、そういう取り組みでございます。
 6ページでございますけど、魚のゆりかご水田プロジェクトということで、こちらも滋賀県の事例でございますけれども、かつては琵琶湖から水田まで魚が溯上し、水田に産卵繁殖していた状況でございます。左側にありますとおり、湖から水田の方に、内湖、水田に来ていたと、そういう流れがありましたが、そのような状況をまた再現しようということで、真ん中で「実施」というところにございますけれども、排水路堰上げ式水田魚道というものを設けて水田で産卵繁殖して、それがまた川に戻っていくという取り組みをしていこうというものです。この真ん中の写真は、比較的簡易な魚道を設けることにより、水田の河川の連続性を確保して、水田の生態系の回復を図るというものでございます。これらにつきましても右側にありますとおり、地域が一体となっての取り組みということが重要な点かというふうに考えております。
 7ページでございます。トキの野生復帰に向けた取り組みということでございます。これも先ほどのコウノトリと同じように、自然環境下でトキを初めとしますさまざまな生物が生きるためにはエサとなる生き物が必要ということで、この場合ですと地元住民からなります活動団体や県・市・国など関係機関が連携しまして水田内の山際に「江」という深みを設けることや、水田魚道の設置、また冬でも水田に水をはるというような取り組みでえさ場となる環境づくりを行っているという取り組み事例でございます。
 8ページをお開きいただきたいと思います。先ほど、これは水産のところでご説明しましたけれども、魚の資源回復計画というもので、どのくらい今取り組まれているかというものでございます。左側の上で魚種別資源回復計画で、今現在38計画、59魚種を実施しているところでございます。このような一定の管理のものに資源を確保していこうという取り組みでございます。
 9ページをお開きいただきたいと思います。こちらが我が国の内水面での多様性に配慮したアマモの造成ということでございます。我が国の内水面では、埋め立て、環境の変化等によりまして水源資源の増殖に重要な役割を果たしますアマモの場が減少しております。それらの場をNPO法人、市民団体などが主体となりまして、アマモの藻場の再生の取り組みが行われているという事例でございます。
 10ページをお開きいただきたいと思います。土壌生物多様性に関する研究の取り組み状況というものでございます。土壌の中にはさまざまな微生物、小動物等が生息しまして、生産の基盤にあります土、土壌の肥沃度、または土壌病害の発生抑止などに大きな影響を与えておりまして、作物の生育を支えているところでございます。土壌の中にあるこのようなものをうまく活用していこうというものでございます。
 一番最後、11ページでございますが、森林の面積ということで、先ほどもありましたとおり、昭和35年以降、ほとんど面積は変わらず推移しております。左下の蓄積につきましては、先ほどのとおり、蓄積自体は充実している現状にあります。
 これは具体的な事例ということでいくつかご紹介しました。以上でございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 ただいまご説明をいただきました農水省の農林水産業に関する説明につきまして、ご質問、ご意見がございましたらいただきたいと思いますので、また、ネームプレートを立てていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず岡島委員からお願いしたいと思いますが、よろしくお願いをいたします。

【岡島委員】 一つは要望というのですけれども、農水省さんの方というよりは、全体にかかるかもしれないんですけど、人の視点といいますか、野生生物専門に言っているんだけど、そこには人が住んでいるわけだから、人とのかかわり合いの視点をやはり全部にわたって少し欲しい。
 どういうことかというと、国土形成計画を今つくっているので、この答申が出るころじゃないとわからないかもしれないんですけど、じゃあどんな国にしたいんだということがまずあって、そして農業はその中で何をするんだ、農業の役割はという大きなところが1ページの最初にちょっと出てこないと、いきなり各論に入ってくると野性生物の話だけになってしまうので、一般には非常に飲み込みにくい状況になるかと思うんですね。ですので、これは今、農水省さんだけじゃなくて計画全体のところの頭のところで出てこないと、自分自身がどこにいるかわからないんですね、野生生物の話ばっかりで。だからその辺のところをちょっと配慮して各省庁の場合でも国というのがあって、そこで我がフィールドはこういうことをやるんだと、その中における野生生物との関係だというところを1枚ぐらいできちっとまとまっていると、非常にそこから一般人も入っていきやすくなる。それが1点と、質問が3点あります。
 農業で実際に携わっている方々が、野生生物の間には非常に軋轢もあるし、それからまた、人によっては豊かな自然を守りたいという人もたくさんいるんですね。両方あわせて農業高校とか農業大学校とかいろんなところで、農協でもいいんですけれども、地域の自然に対する誇りというのでしょうか、そういったものを持つような教育というか、講座とか、自分たちの住んでいるこの田んぼがあるこの町はいいところなんだと、いいところというか、自然が豊かな方がいいんじゃないか、いろんな要素があると思うんですけれど、そういった基礎的なところの教育のようなものは行われていらっしゃるのかが1点です。
 それから、もう1点質問としては、海外の方に植林するときにNGOと協力するというのがありましたけれども、どういう政策なのかということです。具体的なところをちょっとお聞かせいただきたい。
 それから、水産というのはやっぱりNPOを入れるのは難しいのでしょうか。里山・森林とか、いろいろ農業政策にはいっぱい出てくるのですが、水産は、私もなかなか難しいところがあると思うんですけど、その辺のところの水産部門とNPO・NGO、もしくは都市との交流、この辺のところで何かご意見ございましたらお聞かせいただきたい。以上3点質問です。

【熊谷委員長】 それでは、農水省いかがでしょうか。

【農林水産省】 1点目の地域の自然に対する誇りというか、基礎的教育ということでございますが、これはいろいろ我々の方、業を展開しながらいろんな自然環境を、業をつくって、まず食料生産、また木材とか、それを供給していくのが第一義だと考えております。その上で、当然、基盤である生物体系を保全していこうということでございます。業をまず理解してもらうということで、その業の理解を通じて、ただこういうことをしているというのではなく、業の理解を通じてこのような生物多様性、また自然環境とかを理解してもらおうということで、そういういろんな取り組みは行っているところでございます。
 森林なんかですと森林環境教育等で山の重要性とともに山の働きとか、それを通じての基礎教育、基礎的なというか、体験を交えた取り組みというのは行っております。農業につきましてもいろいろなところで、田植えとか、そういうのを通じて業の大切さとともに、それをつくっている環境というものをあわせていろいろ生で説明等をしているところでございます。
 NGOの協力はどこの箇所での。

【岡島委員】 13ページにあるところです。

【農林水産省】 海外のNGOという観点ですけれども、一つには、緑の募金の運用ということで、これで海外でいろいろ活動されておりますNGOの方の支援ということで行っております。
 それから、政府間協力の中で小規模無償という形で外務省担当で海外で活動しているいろいろなNGOの方々が使えるようなファンドというものがございます。以上でございます。

【農林水産省】 最後のご質問の水産とのNGO、NPOの扱いはどんなものはあるかということで、今日ご用意した資料の中で第2別冊といいますか、参考事例の9ページの中にもちょっと示しておりますけれども、こういうふうにアマモ場の造成に関しまして、右の上の方なんですが、各NPO法人とか市民団体などを参加させて、やはり一緒に漁場をつくっていきましょうと。つまり漁場というよりは親しみやすい水産の場といいますか、海岸というのをつくっていきましょうということを進めておりまして、このほかにもごみの拾いの話とか、あとは森は海の恋人だという動きの中で森に植林をしましょうとか、そういうような話の中でNGOとかNPOとか、協力できるものについては、というよりは、協力というより一緒にやっていきましょうということで、何も漁業者だけがすべてやるものではなくて、国民運動の中で守っていきましょうということでいろいろ進めようということは動いております。

【熊谷委員長】 よろしいでしょうか。それでは森戸委員、お願いいたします。

【森戸委員】 大変勉強になりました。これまでのいろんな施策というか、事業を生物多様性の観点から見るとこういうふうに整理できるということで大変勉強になったのでいいと思うんですが、生物多様性ということを特に頭に掲げたというとおかしいけれども、基本にしたような新規の事業というか施策みたいものはこの中にあるのかどうか、ちょっとそれがわからなかったんですね。
 例えば里地里山のモデル事業というのは、多分ある種の新規事業だと思うんですね。それ以外にあるのかどうかちょっとお聞きしたかったんです。なければないで別にいいと思うんですけれども、あればということで。
 それからもう一つは、10ページに生物多様性の指標を検討されているというのが出ていますね。これは恐らく、生物多様性を基本に据えた施策というか、そういうものだろうと思うんですけれども、具体的にこういうふうなものが挙がっているのだということがわかれば教えてください。

【熊谷委員長】 2点についていかがでしょうか。

【農林水産省】 新規の施策ということでございますけれども、農地・水・環境対策というのは一つ新たに展開しているものでございます。

【農林水産省(農村振興局)】 農村振興局でございます。1点目のご質問で、多様性を基本にした施策が里地里山モデル事業のほかに何かあるでしょうかということでございますが、生物多様性を出発点ということよりも、我々農林水産省でございますので、農業生産基盤の適切な管理ですとか、そういったことから農地・水・環境保全向上対策ですとか、各種の施策をさせていただいているところです。それが農林水産業の持続的な活動が行われるとともに、生物多様性にも配慮されるということで事業なり対策を進めさせていただいております。
 また、新年度の施策についてもただいま検討しているところでございますので、具体的にどういうものというのは、まだお示しはできませんけれども、そういった中で今後さらに取り組みを強化、推進していきたいというふうに考えております。
 それと2点目のご質問でありました10ページの指標の検討というところでございますが、この部分も資料を見ていただくとあれなんですが、さらなる向上の検討というところでございまして、具体的などのような評価指標を設けて図っていくのがより事業の中で適切であるのかということを今後検討していきたいというものでございますので、具体的なものが今あるというわけではございません。以上でございます。

【熊谷委員長】 では、森戸委員。もう一度お願いいたします。

【森戸委員】 わかったような、わからないところがあるんですが、例えば、農地・水というのは、新規事業であるけれども生物多様性という話ももちろん加味はされているんでしょうけれども、私は現場に立ち会ったことがあるんですが、生物多様性という言葉は、例えば県の担当者から一言も出ないです。要するに農家の人たち、特に集落の人たちにやってもらうわけだから、そういうやりとりは結構それなりに激しくあるんだけれども、生物多様性という言葉は全然出ないんですね。だから、出ないから悪いとかいうよりも、生物多様性に基づく新規施策ではないのではないのかなというふうに私は思っていたので、ちょっとそれを確認したかったんです。でも立案者というか、当局の意図としてはそういうことで実はやっているんだということなら、ああ、そうですかということなんだけれども、少なくとも現場にはそういう話が行ってないということだけは言えると思うんですよね。

【熊谷委員長】 それでは、三浦委員、お願いいたします。

【三浦委員】 生物多様性を各省庁の施策に組み込んでいくという観点から、いくつか要望といいますか、これから各省庁の施策の展開といったようなことで国家戦略の中に書き込まれていくと思うんですが、その際のところの要望といいますか、それを気のついた範囲で出したいと思うんですが、最初は、今報告をいただいた7ページで、環境保全型農業の推進というのは非常に大切なことだと思うんですが、要するにこれは、安全・安心の食料を生産するということで、これを推進していくという、これを担保しているこれまでの施策ですが、全体として流れを変えていくほどの施策かどうかということ、これで十分かどうかという、それから、今後どうしていくのかという記述をぜひお願いしたいというのが一つです。
 同様に、10ページ、農業農村の整備ということで、これも非常に長い間にわたって行われてきた補助事業といいますか、補助整備の現段階での位置づけだと思うんで、これについてもお願いしたいと思うんですが、これは環境配慮型の位置づけという格好で、ちょうど真ん中の施策の現状で、これはいくつかの事例が設けてあるんですが、これはこれで私は大切なことだと思うんですが、こういう今後の整備事業に当たっての中に、生物多様性が前提としてどう入れていただくのか、ある意味でこれは一番最初のイントロの中にもありましたけれども、21万カ所のため池があるという現状ですね。このため池も水辺の平地の生物多様性のホットスポットであり続けてきたわけですが、これが補助事業の大きな流れの中で調整池という格好で転換されてきたと。今後そのため池をどう保全していくのか、それと、この補助事業との関連をどう位置づけていくのかといったような点で、この整備事業についても、特に生物多様性のことについて今度どうしていくのか、それから整備事業そのものの中に、どう組み込んでいくのかというのを記述していただきたいというのが2点目。
 それから、3点目が林野庁の施策なんですが、人工林への転換と、それから非常に大きなストックが蓄積されてきたというのは、[資料2]の一番最後のところに蓄積量があります。それで、これはこれで結構なことで、人工林を伐採しながらこれから需要にこたえていくという方向は基本的にはいいと思うんですが、その一方で、天然林については、非常に原生的なものについては保全してもらいたいという要望が各自然保護団体からも出ていますし、結局のところ、開かれた国有林としてはNGO等と連携しながら施策の展開を進めていく必要があると思われるんですが、そういう要望に対して、今後、原生林や自然林に対してどういう対応をしていくのか、私は基本的にはこれは保全する方向で行っていただきたいというふうに思います。林業活動そのものは、蓄積された人工林の中で活性化させていく必要があるということだと思いますけれども。それが3点目。
 それからもう1点、せっかく出てきたので、ここで里地里山の整備なんですが、これについて先ほどの一番最初の環境省の説明からいっても、里地里山のことについては、2030年、2.4%という、こういう第一次産業従事者の人口構成になっていくわけですね。その中で里地里山を生産基盤のないまま整備できるかどうかという問題が非常にあって、この裏返しとしてはモデル事業としていくつか展開されていますけれども、環境的な要素や環境学習といったような要素の中で、里地里山整備ということを組み込んでいくという流れは一つありますけれども、あと生産の中で里地里山の整備ということを、その後、生物多様性の維持ということとドッキングさせるような施策がもう一つ踏み込んで書き込めないかなという、これは環境省に対してのお願いでもありますけれども、その4点の書き込みをお願いしたいなというふうに。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。今ご要望を含めて4点のご指摘があったんですが、今の時点で何かお答えできることがあれば、農水の方からお答えしていただければと思いますが、お願いいたします。

【農林水産省(農村振興局)】 農村振興局です。2点目の補助整備の関係で一つご指摘をいただきまして、現在取り組んでいることについてのご紹介をさせていただきたいと思います。同じく資料10ページの中ごろに「施策の現状」というところにございます「情報・技術書の整備」というものがございます。ちょっと手元に用意させていただきました。こういった形で環境との調和に配慮した事業実施のための調査計画設計の手引きといったもの、これはため池に限らず水田、畑、ため池、農道あるいは基本的な考え方といったものを整理させていただいて、すべての工事において事業を環境と調和した、環境に配慮した形で進めさせていただいていること、またあと生態系配慮の技術指針という形で同様に技術的なことについても整理をさせていただいております。
 それからまた、ため池の話でそういった場所が非常に生物のホットスポットになっているというお話がございましたけれども、実際こういった事業で整備した後、農家の方々あるいは地域住民の方々に使って、その環境を守って手入れをしていただくというようなことが生物にとってもまた重要でございますし、営農面からも重要であるということで、次の11ページの農地・水・環境保全向上対策の中で、このような施設についての管理をすることによってため池としての機能の発揮、それから多様性についても恒常的な人手が加わることによって確保される生物多様性の保全というものにも配慮してまいりたいと、このような施策を講じているところでございます。以上でございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 それでは、桜井委員、高橋委員、石坂委員の順でまずご意見をいただきたいと思いますので、桜井委員、お願いいたします。

【農林水産省】 座長、すみません。ちょっと今のに対しての回答、ちょっとよろしいでしょうか。申しわけございません。

【熊谷委員長】 どうぞ。失礼しました。

【農林水産省(生産局)】 生産局でございます。環境保全型農業の推進という点でご要望をいただきまして、環境保全型農業の推進という点で農業生産の環境負荷を低減するという形で7ページにまとめさせていただいておりまして、主なものを4つ並べさせていただいております。それで、取り組みのレベル、あとは難しさに応じて、広がりに応じて支援策その他、政策として実施させていただいております。エコファーマーとかを例えば挙げますと、かつて平成11年に法律を制定しましてから10万件を突破すると、かなりふえてきておりまして、生産現場における環境への意識というのは、かなりかつてより高まってきているというふうに思います。
 あと生物多様性という観点をしっかりと位置づけまして現場に普及・推進していく必要があると考えております。

【熊谷委員長】 大変失礼しました。林野についてのご指摘についてはいかがですか、よろしいですか。

【農林水産省】 国有林の原生的な自然の保護ということで、14ページの資料にもありますように、脊梁地域に多い国有林におきましては、保護林制度とか、それから保安林制度、こういったものを活用して、その必要なところの貴重な自然を守っていくということについてやっておりますし、保護林については内部的にいろいろ今後どうやっていくかということについてもまた今検討しているという状況にございます。以上です。

【農林水産省】 里地里山のところでございますけど、この整備の中、里地里山におきましては、農林産業の基盤の一つということでございますので、生産と生物多様性というのをうまく組み合わせながらやっていこうというように考えております。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それでは、お待たせいたしました。桜井委員、お願いいたします。

【桜井委員】 私、水産関係の大学にいるものですから、水産も含めてちょっと質問しますけれども、水産も林業も含めて、どちらかというと生物多様性ということより生態系をベースとした持続的生産という意味があると思うんですね。その中に多様性という言葉があるんですね、次に環境も含めて。
 そうすると、水産の話をしますけれども、16ページのところにありますように、実際には生物多様性を維持したというよりは、生態系をベースとするという持続可能な水産業なんですね。そうしますと、例えばそのためにどういう施策をするかというときに、具体的に日本でも進めた事例がありまして、例えば伊勢湾でイカナゴの資源を持続的に使っているとか、あるいはハタハタ資源を絶滅しかかったものを保護区を設けて管理して復元させたとか、それから京都の沖ではズワイガニが減ってしまったときに、人為的に漁礁等を入れてズワイガニを保護したとか、そういう形で林業もそうですけど、水産もそうですけれども、人がかかわらないと生態系ベースで維持できない、実際には。そういう意味では、むしろ堂々と水産そのものの生態系をベースとした今後の方向性というものを多様性という言葉に置きかえなくても説明できるだろうと。
 それから、もう一つは、その観点からいきますと、これだけ農業にしても水産にしても、いわゆる食料生産の世界的な動きが非常に変わってきつつある中で、日本が、例えば水産に限って言えば、200海里のこの広大な海をどうやって使おうかとする、はっきりしたフィロソフィーといいますか、そこについても何か提言をしていただけると、恐らく海に関しては皆さんわからない、水のものだからわからないというような表現で、なかなか意見ができないと思いますけれども、少なくとも食料生産の場であり、生態系をベースとした持続的に利用できる非常にすばらしい世界をどうやってこれから維持していくか、つまり哲学的なというか、理念的なものと、それからもう一つは具体的な事例といいますか、そういったものも書き込んでいただければなというの、これは希望です。以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。ご希望ですのでお受けしておいて、また今後いろいろご検討いただければと思いますので。高橋委員、どうぞお願いをいたします。

【高橋委員】 5年前に比べたら、私がこういうことを言ったら失礼なんですけれども、随分と農水省の施策の生物多様性なり環境にかかわることはたくさん増えてきたなと思っています。非常にある面ではうれしいんですけど、ある面ではやっぱり皆さんおっしゃったようにかなり不足しているところがあるだろうと思います。
 また、この「更なる向上の検討」というのは、今回の資料の中に入っていたので、多少期待はしていたんですけど、今のお話を聞くと、まだまだ海のものとも山ともわからないような状況のようであるんですけれども、一つにはやはり環境とか、特に生物多様性というのは、生産の副産物というとらえ方をやはりどうしても農水の方はされるんですけれども、そうではなくて、農林業の活動によるサービスだというふうに位置づけてほしいと、これが一番大きな希望なんです。
 それで、もう一つは、農水は、先ほどの環境省からのご説明と違って、いわば地域版が作れるよさがあると思うんですよ。いろいろと先ほどお話があったように国家戦略だけではわかりにくいんだから、地域でそれぞれ目につくようなところで頑張ったらという話があったのと同じように、農水のよさを地域の中でつくっていただきたい。
 例えば、今、先ほどの資料の中で、造成や開発行為に使われる農地というのは今ほとんどなくて、農地自身あるいは管理ができなくなっているのは耕作放棄だという話がまさしくあったんですよね。多分、農水にとって一番重要なところはそこじゃないのかなと思うんです。そのためには、いわば縦割りを廃した一つのプロジェクトチームみたいなものをつくっていかないとだめなんだろうと思うし、現実に農政局レベルでは、耕作放棄地プロジェクトチームというのができていますよね。県レベルでいけば、耕作放棄地を含む森林とのバッファーゾーンをさっき紹介があったような、例えば家畜の放牧によってバッファーゾーンをつくっていくというような施策を森林環境税でやっているところもあります。そういう形で下におりればおりるほど、縦割りというのを廃止することが容易になってくるので、地域版の生物多様性の保全のモデルをどんどんもっとふやしていただきたいというのが一つ。
 それから、鳥獣害の話、どうしても農水というのは被害というふうにとらえがちなんですけれども、じゃあこの前お話ししたように、被害として認められない、えさを求めて鳥獣が来ている場合もありますよね。あるいは、そのえさ自身を被害と考えているけど、逆に言えば、そのえさが被害として認識されるえさがあることによって鳥獣害を誘引しているわけですよね、逆に言うと。そういう意味では、農村側が被害者であると同時に加害者であるという、非常に複雑な状況に置かれているわけで、そうなると、個体管理をしたらいいとか、柵をしたらいいという話ではなくなって、先ほどお話があったように、人あるいは集落をどうしていくかというのが非常に重要だと思うんですね。その辺のこともやはり今後重要になるのかなと。
 もう一つ、最後ですけど、国家戦略の中で組み込んでいく以上は、成果が今後次の見直しのときまでに各省でどういう施策をして、どういう成果がありましたよと、多分重要な問題になってくるんだと思うんです、嫌だとは思いますけれども。そのときにこういう事業をやりましたでは、本当の意味の成果とはなかなか言えないだろうと。具体的に生物多様性がどういうふうに向上しましたと、あるいは向上するような施策を講じて基盤となる担い手の数がどういうふうにふえましたとか、どういう人たちがあれしましたとか、あるいは種が絶滅しないで済みましたとか、具体的なそういうモニタリングというのを農水自身もきちんと全国を網羅するのは難しいと思うんですけど、さっきお話ししたようなモデル的な地域レベルでつくって、そのためにはある程度目標値をつくっていかなければいけない難しさはあるとは思うんですけど、そういう覚悟でやっていただけたらいいんじゃないかなと思っています。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 いかがでしょうか、何かこの段階でお答えできることがあれば、その部分だけで結構ですのでお願いしたいと思います。

【農林水産省(生産局)】 生産局でございます。先ほど、鳥獣害のところでえさ場になっているのではないとかという、まさしくそこのところも含めて、単に鳥獣被害では私どもが被害者だということではなくて、資料のところにも何点か9ページのところに書いてございましたが、環境の整備、3つのところ、防除、生息環境管理、個体数調整含めてやっていかなきゃいけないなと。その中に当然、収穫をしない果樹なんかの撤去をしていかないと、みずからがそこの鳥獣害の被害のえさ場を提供しているという形になりますし、そこらを総合的に進めてまいりたいというふうに考えております。そこは必ずしも、私どもが被害だと、みずからがその集落全体の全員でそこは取り組まなければどこかで、例えば使わないものをそのまま置いておくということになったり、もしくは農作物でなくてもごみであるとか、そういうようなものをそこに捨てるということになれば、そこにえさ場をつくるということになって野生鳥獣をそこに引き寄せるという結果にもなりますので、そこらも含めて農業者だけでなく集落全員の皆さんの合意形成をもとに全体として取り組んでいくことが必要だというふうに考えております。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。

【農林水産省(農村振興局)】 農村振興局でございます。耕作放棄地の関係でございしたので1点お話しさせていただきます。
 耕作放棄地につきましては、2月の中環審の部会の会議のときに出させていただきました資料で各施策取り組んでいますということをお話しさせていただきました。縦割りでなくて、PT的なような横割りで進めていくべきだというお話で、PTが実際使われているかどうか、ちょっと私も担当ではないのでちょっと今お答えできないのですが、ここに書いてある各種の施策、例えば耕作放棄地の解消のためにやはり業としてどのように成り立っていくのかということが、まず大事だというふうに考えております。そういった意味から、担い手の確保ですとか、あるいは集落営農として集落全体で農地を保全していくというようなさまざまな取り組みを、いろんな局にまたがるさまざまな取り組みを進めさせていただいているところでございます。そういった状況でございますので1点つけ加えさせていただきます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それでは、石坂委員、お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。

【石坂委員】 三浦委員、高橋委員のご指摘とちょっとダブるんですけれども、里地里山と言いましょうか、中山間地帯の問題です。里山の荒廃がありますし、それから耕作放棄地が今40万ヘクタール近くまでなっている、これからも増えていきそうだというお話もありました。
 これは、新聞等の報道ですからよくわかりませんが、経済諮問会議でもそれを使ったらいいじゃないかというふうな提言が出ているというふうに聞いております。恐らく農林水産省としましても耕作放棄地の問題は、農業という面からも大きな問題だろうと思うんですけれども、これからもまだ増えるという可能性は十分あるわけですね。ですから、農業の業という面からどうしようかということはもちろん農林水産省としてご検討になるのは当然ですけれども、しかし、それではカバーできない、業としてカバーできない分野がたくさん出てくるんだろうと思うんですね。そこにそれを自然との共生といいましょうか、生物多様性といいましょうか、そうしたものの中でどう見ていくか、鳥獣の被害の問題もありますけれども、言ってみれば環境省とかかわり合いながら解決していかなきゃならないという問題が多いと思うのです。そういうことをぜひ今後のこの戦略の中に共通認識として、対応も含めまして書き込んでいただきたいということを要望として申し上げておきます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それでは、環境省と、それから農水省と十分にご検討をいただけたらというふうに思います。
 ほかにございますでしょうか。では、高橋委員、そして佐藤委員の順でお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【高橋委員】 夢物語のようになるかもしれませんけれども、先ほどの生物多様性の評価というところで、種を保存する活動とか、生物を守る活動がコウノトリの場合もそうだし、ほかの場合もそうですけど、地域振興や地域起こしに役立っているわけですよね。そういう経済的評価をしていきますというようなことをぜひ今後の施策の方針の中に盛り込んでいただきたいし、それを明らかにしてほしいと思うんです。恐らく、ヨーロッパあたりでものべつ幕なしというか、網かけのように環境支払いをやっているけど、それぞれの地域ではそれをもとに付加価値をつけたり、環境保全的なという、あるいはツーリズムの役に立つということで経済を起こしているというものがたくさんあるわけですから、そういうものをやはり日本版というもので提案していただければありがたいなと思います。
 それから、さっきの環境指標あるいは生物多様性指標の評価の中に、もしできるのであれば、生き物指標みたいなものの提案ができたら非常にありがたいなと思っています。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それでは、佐藤委員、お願いいたします。

【佐藤委員】 今、高橋委員がおっしゃったこととほとんど同じようなことを考えていたんですけど、農林水産業というのは非常に消費者に近いレベルのことをやってらっしゃるところだと思うんですね。というか、最終は消費者に還元されていくのだと思うので、先ほどもあったように、サービスとして付加価値がどうついていって、今の人たちは非常に安全意識とか環境意識が高いですから、そういう人たちに対してどういうメッセージが出ていて、それが評価としてどんなふうに消費されていくかというところをはっきり示していただくことが、一般の市民の方にとっても、じゃあ例えば消費のときの選択肢の一つとしてこのサービスを受けられるかどうかというようなことを考えるいいきっかけになるんじゃないかと思うんですね。そういう意味では、人というのが絡むところで、最終消費者まで含めた人というのを意識していろんなものをまとめていただくとより生物多様性というようなことが広がっていくんじゃないかというふうに思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。多分まだご質問、ご意見おありかと思いますが、時間の関係もございますので、とりあえずここで少し先へ進めさせていただきたいと思います。農村振興局の方から海岸についての説明を準備されておるようですので、これについてお願いしたいと思います。よろしければお願いいたします。

【農林水産省(農村振興局)】 それでは、農林水産省農村振興局防災課長でございます。お手元の資料に「自然豊かな海岸づくりの推進」についてということで縦紙のペーパーがございますので、それに基づきまして、海岸事業の生物多様性国家戦略につきましてご説明したいと思います。お手元の資料、縦書きでございますけれども、下の方に海岸省庁、4省庁ございます。海岸につきましては、この4省庁で担当しておりますが、今年度の幹事省庁の担当が農林水産省農村振興局ということでございますので、私の方からご説明させていただきます。
 1ページ目をお開きください。日本の海岸の概況とその特質でございます。下のグラフにございますように、日本の海岸線につきましては、およそ3万5,000キロメートルと極めて長大でございます。そのうちの堤防等海岸保全施設を設置して海岸を保全しなければならない海岸、これがおよそ1万5,000キロメートルにも及びます。この海岸保全区域で高潮、津波、浸食等の災害に対します海岸事業を行っているところでございます。
 また、海岸につきましては、陸域と海域とが相接する空間でございまして、下の写真にございますように、砂浜、岩礁、干潟等、生物にとりまして多様な生息・生育環境を提供しておりまして、こういうところには特有の環境に依存した固有の生物も多く存在しているという、こういう状況でございます。下のところに3枚写真がございますけれども、海岸が多様な動植物の生息・生育の場になっていると、こういう写真でございます。
 次に2ページ目をお開きください。海岸事業の変遷と生態系の保全につきましてご説明申し上げます。昭和24年以前につきまして、海岸事業につきましては、個人または集落等で海岸・堤防等を行っていました。それから、干拓事業、埋立事業、それから県の単独事業、こういうことで海岸を行ってきたわけでございますが、たび重なる台風等で25年に海岸事業が予算化されまして、昭和31年には海岸法が制定されました。その後平成8年には海辺や磯の創設を行い、自然環境と調和した海岸を創設するということでエコ・コースト事業を創設したところでございます。また、平成9年度には美しい港の創設ということで、渚の創生事業をつくりました。また、平成11年度には海岸法を一部改正いたしまして、防護・環境・利用の調和が事業の基本となりました。今までは防護一辺倒であったものを環境にも配慮して、海水浴等の海岸利用にも調和した事業を推進するということでございます。また、平成12年度には自然豊かな海と森の整備対策事業ということで白砂青松の創設を行う、こういう事業をつくってきたところでございます。
 次に3ページ目をお開きください。生物多様性の取り組みでございます。平成11年度に海岸法を改正したわけでございますが、その際に海岸の保全上支障となるような行為、例えば海岸の汚損、海岸保全施設の損傷、それと自動車の乗り入れ、船舶の放置等の禁止条項を設けたところでございます。
 下の事例でございますけれども、愛知県の遠州灘の事例でございます。愛知県渥美半島の太平洋側海岸につきましては、アカウミガメの産卵地でございまして、また海浜植物も相当ある地域でございます。近年、オフロード車が無秩序に乗り入れされるということから、砂浜の自然環境条件を保全するということで自動車の乗り入れを規制している、こういう事例でございます。
 次に4ページ目をお開きください。防護・環境・利用の調和のとれた海岸整備でございます。災害に対して粘り強く、また施設の耐久性にもすぐれているということと、環境や利用においてもすぐれているということから、面的防護の導入を図っているところでございます。
 上の図につきましては、かつて行ってきた従来方法でございますけれども、線的防護ということで直立堤を設置いたしまして、その前に消波堤、ブロックですけれども、こういうのを設置いたしまして波が来ないようにしてきたわけでございますけれども、こういう設置状況でございますと、波が砂浜を洗掘してしまう、洗掘して堤防が破壊され、もしくは前浜がなくなってしまうものですから、堤防を波が越波してしまうという、こういう状況が生じていました。このため、最近では下の図にございますように、緩傾斜堤防と人工リーフによりまして海辺を侵食されないように施設の耐久性を高め、侵食対策も含めた質の高い海岸保全対策を図っております。また、生態系の保全もあわせて図っていると、こういう状況でございます。下の図のように緩傾斜堤防を導入いたしますと、人も海岸に入りやすく、海辺も利用しやすくなります。また、人工リーフそれと海辺、この周辺の波が穏やかになってきますので、生物がすみやすい環境になると。ここに多くの生物が生息していくと、こういう線的堤防から面的な防護ということで基本的な方向を変えているところでございます。
 次に5ページ目でございますが、多様な生物の生息・生育の場となっている砂浜の保全でございます。砂浜につきましては、白砂青松等の美しい海岸景観の構成要素であるとともに、触れ合いの場、海水の浄化の場としても重要な役割を有しておりまして、多様な生物な生息・生育の場所でございます。
 このため、侵食対策ということで養浜、離岸堤、突堤、ヘッドランド、こういったものを整備いたしまして、砂浜の保全・回復に努めているところでございます。
 砂浜がどのくらい侵食されたかということでございますが、昭和53年から平成4年の間、約2,400ヘクタール、年間160ヘクタールの砂浜が消失されているという、こういうデータがございます。
 下の写真でございますけれども、離岸堤でございます。堤防と離れた海の中に波の力を弱めるための堤防、これは離岸堤でございますけれども、これを設置いたしまして砂浜をつくっていく。それとサンドリサイクルでございますけれども、砂がたまっているようなところから浜辺が侵食されたようなところにトラックで砂を運びまして養浜を行う、こういう事業でございます。それからヘッドランドです。T型の突堤をつくりましてここのところに浜辺をつくっていこうと、土砂を堆積していこうと、こういうものでございます。それからサンドバイパスでございますけれども、港等をつくりますと海流が変化いたしまして砂が堆積するところと、砂浜が侵食されなくなってしまうようなところ、こういったところができますので、こういうところにつきましてはパイプラインで土砂とそれから海水、これを一緒に運んで足りないところに補給すると、こういう事業でございます。
 こういう形で浜ができますと波のエネルギーが減少され、また海岸の防護にもなるとともに、生物にとっても生育しやすい、そういう条件が出てきています。
 それから6ページ目でございますが、生物多様性に配慮した事業制度につきまして四つほどご紹介させていただきたいと思います。まずエコ・コースト事業でございますが、ウミガメ、カブトガニといった貴重な生物が生息しているような場所、または自然景観と調和を図る必要が高い海岸、こういうところにつきまして、施設の構造を工夫したり、干潟や磯の創出、こういったものを行いまして自然環境と調和した海岸をつくっていこうという、こういう事業でございます。
 下の写真の事例でございますけれども、兵庫県の明石市の事例でございます。砂浜の整備を始めまして、その後にアカウミガメが産卵に訪れるようになったという、こういう写真でございます。下の図につきましては、先ほど申し上げましたように、突堤をつくりまして、そこのところで砂浜をつくるという、こういう事例でございます。
 次に7ページ目をお開きください。渚の創生事業でございます。下の図のところ、サンドバイパスの概念図というのがございますけれども、この図にございますように、河口、河道、ダムに堆積している土砂、砂防施設に堆積している土砂、それと漁港港湾、これらに堆積しているような土砂を侵食が進んでいる海岸へ流用するサンドバイパスと呼んでおりますけれども、こういう流用をすることによりまして美しい砂浜を復元するとともに、経済的、効果的な海岸侵食対策を実施していくという、こういったものでございます。
 下の事例は、観光地で有名な天橋立でございまして、中央の部分の浜が侵食を受けていたということで、両枠部分、ここのところに土砂がたまっていたということで、この土砂をとりまして中央部分、浜が侵食されている部分のところに投入したという、こういう事例でございます。
 8ページ目でございますが、自然豊かな海と森の整備対策事業ということで、白砂青松の創出でございます。海岸侵食によりまして白砂青松が失われる海岸につきまして、海岸事業と治山事業、治山事業のうちの保安林を維持して造成する事業がございます。これらの連携によりまして、自然環境と利用に配慮した白砂青松を創出していこうという、こういう事例でございます。
 下の写真につきましては、福井県の敦賀港の海岸の事例でございます。
 それから9ページ目をお開きください。海をはぐくむ海岸づくりということで、水産基盤整備事業と海岸事業、これを一体的に実施することによりまして沿岸漁業の安定的な発展とともに、生態系にもやさしい海岸施設をつくるものでございます。
 上の写真、整備前でございますけれども、離岸堤がなくて波が堤防を超えて民家の方まで押し寄せてきている、こういう状況でございました。これを下のように整備いたしまして、海岸事業では、先ほど申し上げました離岸堤をつくりました。離岸堤を設置する際に、下の図のように水産基盤整備事業で藻場、藻が生えるような、海草が生えるような、こういう場所をつくりまして、その後、利尻昆布が繁茂しているという、こういう状況でございます。こういうところにつきましては、利尻昆布だけではなくて、多くの生物の生育場所になっているという、こういう状況でございます。
 それでは10ページ目をお開きください。今後の生物多様性の確保に向けた海岸事業の取り組みの方向でございます。防護、環境、利用、これが基本方針でございますけれども、調和のとれた海岸の形成を図りつつ、海岸保全基本方針における生物多様性の確保に関する方針に沿った取り組みを行っていきたいということでございまして、海岸保全基本方針、ここの具体的な事例でございますが、自然と共生する海岸の保全と整備を図ること。それと、海岸保全施設の整備は、海岸環境の保全に十分配慮するとともに、良好な海岸環境の創設を図るため、必要に応じ、砂浜等を整備すること。それと、多様な生物の生息・生育の場となっている砂浜の保全と回復を主体とした整備をより一層推進すること。離岸堤、潜堤、人工リーフ等は、多様な生物の生息・生育の場となり得ることから、自然環境に配慮した整備を引き続き推進していくということ。それと、海岸における美化につきましては、地域住民やボランティアの協力を得ながら進めていくと。最近、ボランティア、非常に注目されておりますので、地域住民、ボランティアの協力を得ながらこういったものを進めていくという、こういう方針を挙げているところでございます。
 これらの海岸保全基本方針に沿って、生物多様性の確保に今後とも取り組んでいくことにしていきたいと思っているところでございます。説明の方は以上でございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの海岸についての説明につきまして、ご意見、ご質問をどうぞお願いいたします。それでは、磯部委員、お願いいたします。

【磯部委員】 3点意見を述べさせていただきたいと思います。
 1点は、砂浜の重要性というのは、ただいまご説明いただいたとおりだと私も思っていまして、そのときに特に砂浜の長期的な持続性といいますか、再生といいますか、侵食されている状況ですから再生というところが入ると思いますけれど、そこをぜひお考えいただきたいということです。
 そこで、ただいまのご説明は時間も限られていますのでありませんでしたけれど、特に海岸だけではなくて、河川との連携は言わずもがなでありますし、また、実は沖合との関係というのも考えてもいいのではないかというふうに思っていまして、欧米などですと、海岸の目の前の沖合から砂を持ってきて養浜をするというのが常識的な工法というものの一つなんですが、日本では余りやられていません。そういう意味では、少なくとも沖合にどのくらい養浜に使える砂があるのかということぐらいは知っていてもいいのではないかというふうに思っています。それで、そういう意味で、全体を含めて砂浜の回復とか維持とかということを考えると、絶対的に土砂が不足しているという状況なので、基本的には土砂というのは非常に貴重な資源であるというとらえ方をするのがいいのではないかというふうに思っています。これが1点目です。
 2点目は簡単なのですが、防護、環境、利用という平成11年の海岸法の改正があっても、私が聞いている範囲ではなかなか防護が入らないと事業の予算化が難しいというふうにも聞いていまして、それはやはり防護、環境、利用という目的になったのだから、環境というものが単独の目的であったとしてもぜひそういう事業も進められるようにご努力をお願いしたいということであります。
 3点目は、IPCCのレポートも出るところで、海面上昇というのが、かなり、それは避けなければいけないわけですけれども、それにもかかわらず確実に起こってしまうだろうという言い方もできるのだと思います。そうだとすると、最も影響を直接受けるのは砂浜ですので、それに対する対策を海面上昇がこれだけと決定しなくても、確定しなくても、もし起こったとしてもいいように今から対策をする、考えていく必要があるのではないかと。つまり、海面上昇の予測が決定論的に決まってその後何かするのではなくて、決まる前からもし起こってもいいようにということで考え始めないと、実際に起こったときには間に合わないというようなことになってしまうのではないかというふうに思いますので、そこも考えていくべきじゃないかということです。以上3点です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。何かございますか。

【農林水産省(農村振興局)】 3点ご質問をいただきました。まず第1点目の砂浜の重要性でございますけれども、7ページ目をご覧いただければありがたいと思っております。従来ですと、河川から土砂が供給されてきたということはございますけれども、最近はなかなか途中にダムだとか、そういうものがなくて土砂が海岸の方に供給されないと、委員の言われるように土砂につきましては貴重な資源というふうに考えております。
 それとともに、土砂につきましてはゼロサムといいますか、あるところでたまるとあるところがなくなると、あるところが侵食されていて、あるところにたまっていくと、そういう動作を繰り返していきますので、こういったものについて委員の言われるように長期的に調査をするなりして、土砂の動向を考え、そしてこういった事業でサンドバイパス等を使いながらやっていきたいというように考えております。
 それと、委員ご指摘のように、こういうことでやりますと、この図にございますように、流域という概念だとか、そういったものも取り入れていかなきゃいけないと。この間には、例えばダムの事業だとか、それから頭首工があったり、いろんな事業があります。こういうところでほかの省庁と連携しつつ、そういったものについてやっていきたいと。なおかつ、こういうことをやりますと漁業にも影響するということで、関連の省庁とも連携をとりながらこういった事業を進めていくということを現在考えております。
 それと2点目の防護が入らないとなかなか環境ができないのではないかという状況でございますけれども、確かに、今、公共事業非常に厳しい予算でございます。海岸事業につきましてもピーク時の4割カットということで60%ぐらいになってきているということです。一方で、生命や財産を守らなければいけないということでゼロメートル地帯の脆弱さ、これはハリケーンカトリーナの事例でわかったわけでございますけれども、そういうところ、それと、耐震性を調べてみますと、なかなか耐震性に満たないところもあるということで、堤防の改修、補強が喫緊の課題になっていると、こういう状況でございますけれども、ただ、そういう堤防とか潜堤、こういったことを整備する際にきちんと環境に配慮した事業を行っていくと、こういったことが我々にとって非常に重要なものではないのかなというふうに考えております。
 それと3番目のIPCCの海面の上昇の影響でございます。IPCCによりますと、数十センチから1メートル近く海岸が上がるということ、どこら辺まで上がるのかということが予測できないということで、我々としてもなかなか対応はできないわけでございまして、それを設計に直接入れるということもなかなか難しいわけでございます。ただ、徐々に海面上昇が起こりますと、そこの中で我々の設計の中でも既往最大の波を適用するとか、そういう形でやっておりますので、そういった方向でやっておりますので、海面が上がって既往最大になると、そこの部分で設計に反映させるということができるかと思います。ただ、委員ご指摘のように、そういう形でやりますとまだまだ遅いのではないかと、そういうご指摘もございます。これにつきましては、関係4省庁集まりましてIPCCの報告もございますので、海面上昇をした場合にどのような影響があって、それに対してどのようなことをやるべきなのかということについて議論している最中でございます。

【磯部委員】 すみません。一つだけ。

【熊谷委員長】 どうぞ、磯部委員お願いします。

【磯部委員】 最後の点ですけれど、アイデアとしては、例えば海水面を100年前の海水面、古い海水面を使うということじゃなくて、例えば喫緊の10年間の海水面を使って設計をするというような格好で考えていけば、施設が更新されてしまえば、順次、その海面上昇対策になっているとか、そういう何か、IPCCで言われている19センチなのか58センチなのか、それはわからんという話ではなくて、どれでもいいような対応の仕方というのも考えられるような気がするので、そういう考え方というのか、技術的なことでクリアしながら対応することも可能なのではないかと私は思っています。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それでは、篠原委員、お願いをいたします。

【篠原委員】 僕の言うのは簡単で、確かに離岸堤というのは養浜だとか防災に役立ちますけれども、景観法もできた時代ですから、醜いものをつくらないで欲しいと思います。それだけです。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それでは、速水委員、お願いをいたします。

【速水委員】 一つは、養浜のときに砂をたくさん入れますよね。私のちょっと知っているところで砂を入れて養浜をしたら、その辺にないような植物が出てきたりとか、貝が出てきたりして、みんなどこから来たんだろうねという話題になっているんですけど、そういう、これは海岸を守ることで多様性を確保しようというお話だったと思うんですけど、使ってくる砂自体が、先ほどの磯部先生の話だったら、沖からあるよという話であれば、それはそれで近いところですからいいんですけど、ちょっとどこから来たのかわからないような砂が、もともと白い砂じゃなかったところに真っ白な砂浜をつくろうということで砂を持ってきて生えてきた草はどこの草かわからんというような、これは何か、実はそれは農業海岸だったんですけど、農業海岸環境何とか事業という、50本ぐらい生えている梅を守るために28億使った事業で問題だったんですけど、やっぱり砂の出所ってかなりちゃんとしておかないといけないなと最近思うようになってきたんで、それが1点。
 それから、今言ったような、昔、農業海岸だとか、いろんな理由でつけていった堤防ってありますよね。それが時代の変化とともに、そこに農業というのは条件の厳しいところではどんどんやらなくなってきたわけです。それを守るか、守らないかという議論はしっかりしなきゃいけないにしましても、単純にそこに堤防があったから、海岸事業がやられていたからある条件に、例えば地震の問題だとか、そういうことで堤防を直さなきゃいけない、基準に合わなくなったと。そのときに、本来それを直すんじゃなくて、もう崩してしまうと、なくしてしまうと。つまり、農地自体がほとんど使われなくなって人命的な問題がなければきれいさっぱりとってしまうというのが多様性にとってはかなり僕はメリットがあるんだろうと思うんですね。
 全国を見ればたくさんはないだろうけど、本来そうすべきであって、お金をそれ以上入れる必要はないというところだってあるわけですから、それ自体も負の公共事業として、公共事業としては非常にプラスになるんだろうと。やっていることはマイナスを消してしまうという事業なんですけど、多分、海岸事業ってそういうところ、私はかなり県の事業をチェックしてきた身だったので、ここはもうやめちゃってよかったねというのが結構あったわけですね。それを冷静に判断すると、もう少し別の視点から多様性を確保する仕組みというのができるのではないかなというふうに感じております。
 それから、砂に関しては、私もリーフで潜堤をチェックした記憶があるんですけど、メートル1,000万円ぐらい、ちょっと深いところだったのでかかって、その海岸が20キロぐらいあるわけですね。もともと砂利が足りないので、潜堤をつくれば養浜されるんですけど、やっぱり先ほどのお話、ないところはどんどん削れてきて走っている道路まで崩れてくる。僕は、議論したとき、一体これ全部つくるのかと、大体2,000億ぐらいかかるわけですね。2,000億で作ってもとの状態に戻るわけですね、砂の取り合いですから、場所的に言うと。そういう意味では、もうさすがにそこを全部つくる予算はないんでしょうけれど、その辺の発想をもう少し整理をして、生物の多様性だとか、自然環境とどうバランスを合わせていくのか、人間の安全とどうバランスを合わせていくのかというのは、かなり土の問題というのは、海の問題というのは真剣に考えないと、水の中にお金をどんどん見えないところに入ってしまっているという状態があるような気がして、せっかくやっても効果が出ないんじゃしようがないなと思います。以上です。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。ほかに何かございますでしょうか。大分時間が押してまいりましたので、終わりでしょうか。ほかによろしゅうございますか。では、お答えは結構でございますので、ご質問だけお伺いして、また後でお答えをお願いしたいと思いますので、三浦委員と鹿野委員で順次お願いをしたいと思います。

【三浦委員】 私の方は簡単でして、先ほど環境省の方から配られている沿岸域の状況の[資料2−5]で自然海岸がこの20年以上で1,300キロメートル失われているということなんですが、これに直結するのが今の海岸事業というか、海岸法なわけでして、それで、今、速水委員のご指摘のとおり、私も一つの選択肢としては、大きな選択肢として手をつけないというところがあるんだろうというふうに思います。そういう点では、自然海岸を保全していく、保存していく、そのままにしておくということは非常に大切な施策なんだろうというふうに思いますけれども、質問は、海岸法それ自体の達成目標というのが、明確にどのように記述されているのかということを教えていただきたいなというふうに思います。

【熊谷委員長】 それでは、鹿野委員、一応ご質問だけお伺いしたいと思います。

【鹿野委員】 私もちょっと似たような話なんですが、先ほどの環境省の海岸域の状況という中で自然海岸が減っていると。これは自然海岸、海岸のすべてなんですね。ただいま説明があったような砂浜海岸だけにとってみれば、この自然海岸の減少状況というのはもっと激しいものがあって、本当に自然海岸である砂浜海岸というのは今はもうかなり貴重であると思うんです。そういう意味からすると、そういうふうな状況になったようなところを何か壊れたから対策するんじゃなくて、そういう貴重なものをどう保全していくのか、海岸サイドはそれをどう保全しようと考えているのか、それをわかったらお教えいただきたいと思っています。

【熊谷委員長】 もし今簡単にお答えできるようであればあれですし、じっくり十分にお答えするのであれば、後ほどでも結構でございますので。

【農林水産省(農村振興局)】 まず、砂の移動でございますけれども、その中に生物の種だとか卵がいて、それを移動することによって生態系が乱されるのではないかというご指摘でございますけれども、これにつきましては十分に配慮しながらやっていきたいと思っております。ただ、海岸事業につきましては、コストの関係でできる限り近いところの砂浜からとっていくということが原則でございます。委員のご指摘、十分重視しながらやっていきたいというふうに考えております。
 それと、堤防、農地海岸のところで例えば後ろが農地として使われないから、この堤防をとってしまえばいいのではないかという、そういうご指摘でございますけれども、農地は、とられたとしても国土保全という観点から、例えば侵食が進んでいるとか、そういうことであれば、これはやはり必要なものということで一応進めさせていただきたいと思っています。ただ、これは愛知県の事例なんですけれども、アカウミガメが海岸の方に来まして、すぐそばに設けられました護岸のところで産卵ができなかったと。ずっと護岸のところをかなり何百メートルも移動していたということがございまして、NPOと協力して、ここの護岸を一部撤去したと、そういう事例がございます。そして、先生にも入っていただいて、学者にも入っていただいてどういう形で撤去したらいいのかということを検討していると、こういう事例もございますので、貴重な生物のいるようなところについては、こういう対応をとっていきたいというように考えているところでございます。
 それと、海岸のところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、海岸全体3万5,000キロメートルにも及びます。このうち都道府県の知事の要望によりまして、海水だとか地盤の変動によって、こういう被害から海岸を防護するため、海岸保全、施設の設置を行ってほしいというところが全体で1万4,000キロメートルございます。この差っ引きにつきまして、一般公共海岸、その他ということになっておりまして、海岸事業につきましては、海岸保全区域で事業を行っていくというところでございます。
 それと、海岸法のところでございますけれども、海岸事業につきましては、津波、高潮それから波浪、こういったものから国土を守っていくんだと。海岸環境の整備と保全及び公衆の護岸の適正な利用を図るということも海岸法にうたわれておりますので、この3つ、防護それと公衆の海水浴場等としての利用だとか、それから環境の保全、こういったもの、3つを一体的に行っていきたいというように考えているところでございます。

【熊谷委員長】 それでは、ほかに多分ご質問がおありかと思いますが、時間が大分過ぎておりますので、午前の部はこれで終わらせていただきたいと思います。午後は外務省の施策の説明から始めたいと思います。それでは、事務局へお返しいたします。どうもご苦労さまでした。

【事務局】 委員の皆様、熱心なご議論ありがとうございました。それでは、メインテーブルにお座りの皆様には昼食を用意しておりますので、そのままお席でお待ちください。また、休憩が大変短くて恐縮でございますが、午後の部は30分後の13時20分から開始したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

(休憩)

【事務局】 それでは、大変短くて恐縮でございますが、これから午後の部を始めたいと思います。熊谷委員長、よろしくお願いいたします。

【熊谷委員長】 それでは早速ですが、外務省の施策についてご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【外務省】 外務省地球環境課の宮野でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 お手元に資料を二つお配りしてございますが、ご覧いただけますでしょうか。縦長の説明を書いた紙と、環境ODAというパワーポイントの資料をお配りしてございます。よろしいでしょうか。よろしければ資料に沿ってご説明させていただきます。
 外務省は、大きく分けますと二つの施策をやってございまして、一つは条約、国際約束のもとでの取り組みの推進、もう一つはODAのもとでの途上国の支援ということをやってございます。こちらは何かと申しますと、このA4の方の説明資料の一番最初の「基本的な方針」というところをご覧いただきますと、こちらに書いてございますが、基本的に生物の多様性を保全すること、そして生物資源の持続可能な利用を行うこと。こうした地球環境問題は一つの国だけでは解決できる問題ではございませんので、必ず人類共通の課題として多数国で取り組む必要がある。そういう考えのもとで我が国の外交政策の主要な課題の一つとして対処しているということでございます。
 すみません、今ちょっと聞こえていなかったようでございますので、最初からご説明いたしますと、A4の縦長の説明の紙の1.基本的な方針のところをご覧いただけるとありがたいのですが、こちらの最初に書いてございますように、生物の多様性の保全、それから生物資源の持続可能な利用というものを地球環境問題と呼んでおりますが、一つの国で解決できるものではなくて、必ず多数国間で取り組むべき人類共通の課題であると考えまして、外務省としても外交政策の主要な課題の一つとして対処してきております。
 こちらは毎年わが国の重点外交政策としまして、外交政策の中で重点的に取り組むべき課題を挙げたものをつくっているのですが、こちらの中でも大きな柱の一つとして取り組んでございます。
 具体的には大きく分けまして、二つのことを実施してございますが、それがその紙の2と3に分けて書いておりますけれども、2の方が、国際約束を通じた多数国間の取り組みの推進、それから3の方がODA、我が国の政府開発援助を活用しました開発途上国への支援というものをやってきております。
 その二つに分けまして簡単にご説明をいたしますが、その簡単なまとめのところが、1.基本的方針のところに書いておりますように、簡単に申しますと国際約束の方は生物多様性条約、それからそのもとにございますバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書、この二つの国際約束を中心として取り組みを行っているということでございまして、それからODAにつきましては後ほどパワーポイントの資料でご説明したいと思いますけれども、我が国の環境ODAについて、大きな基本的な政策がございますので、こちらに沿って取り組みを行ってございます。
 まず2.生物多様性条約等に関連した取組の現状というところをご説明いたします。まず、生物多様性条約は、もう委員の先生方はよくご承知のとおりだと思いますが、簡単にそちらに書いておりますとおり、地球上の多様な生物をその生息している環境とともに保全すること。それから、生物資源を持続可能であるように利用すること。最後に遺伝子資源の利用から利益が生ずる場合に、これを公正かつ公平に配分すること。これを目的とした多数国間の条約でございまして、現在は189カ国と欧州共同体、全部で190のメンバーがいるという、ほぼ地球上のすべてをカバーするような条約となっております。
 これは、我が国もこの条約のもとでいろいろと取り組んできているのですが、最近の取り組みを申し上げますと、(ロ)のところにございますけれども、2006年3月に一番直近の締約国会議がございました。締約国会議はその条約に参加しているすべての締約国が集まって、条約の運営等について決定していく場、意思決定を行う場でございますけれども、この2008年の第8回締約国会議においては、その前の前の2002年のCOP6と読んでおりますけれども、第6回締約国会議で採択されました2010年目標、これが2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させるという目標でございまして、必ずしも明確な数値目標ではないのですけれども、すべての国が合意できるものとして顕著に減少させるという目標を掲げておりますので、この達成に向けて我が国がいろいろと取り組んでいることを紹介してまいりました。その一つが国家戦略の改定、それから施策の実施状況の点検ということでございます。
 この条約のもとにはいくつかの作業部会が設置されておりまして、これはその条約のもとで特に今問題になっていることを議論するところなのですが、一つは遺伝資源のアクセス、これが最初に申し上げました目標の中で、遺伝資源から生ずる利益を公正に配分するということで、そのアクセスと利益配分について作業部会が一つございます。
 それからもう一つ保護地域といいまして、保護区を設定するような場合、最近一番問題になっておりますのは国家の管轄権の外、例えば日本ですと、領域領海においては管轄権が及びますけれども、それを超えたような公海の中に存在する生物資源をどのように保全していくかという海洋保護区の設定ですとか、そういうことが問題になっておりますので、これについても作業部会が設置されておりまして、それぞれには議論に積極的に参画をしてございます。
 それから恐らく環境省さんからもご紹介があったのではないかと思いますけれども、この条約については第10回の締約国会議が2010年にございますけれども、これについては我が国での開催をしたいということで、今立候補しておりまして、これに向けていろいろと準備を行っているところなのですが、先ほどの遺伝資源のアクセスと利益配分につきましては、2010年までにある程度取り組みを完了させるということが決議されておりまして、その内容は、今は法的拘束力のないガイドラインのもとで遺伝資源のアクセスという利益配分というのをやっているのですが、これについて法的拘束力がある国際的枠組みが必要かどうかということを含めた、この枠組みに関する検討作業を2010年までに終わらせるということが決議されておりますので、我が国で恐らく開催されるであろうことを念頭に今後とも取り組みを行っていくということでございます。
 次のページへまいりますと、(ハ)でございますが、こちらはお金の面なのですけれども、我が国はこの条約が発効して以来、義務的拠出金と申しますのは条約運営に必要な資金でございますけれども、これの最大の拠出国として財政的な支援を行っております。具体的に申し上げますと、その拠出金に必要な額の22%で、およそ年間2億円程度を拠出しております。このような多額のお金を拠出していることからも、この条約が効果的に実施されるようにということで、締約国会議の予算委員会などを通じて、その効率的な執行に取り組んでおります。
 以上が生物多様性条約でございまして、次にカルタヘナ議定書について申し上げます。カルタヘナ議定書は、こちらも皆様よくご存じのとおり、バイオテクノロジーにより改変された生物、いわゆる遺伝子組換え体でございますけれども、これが生物多様性の保全や持続可能な利用に環境的な影響を及ぼす可能性があるということで、これについて措置を定めた議定書で、生物多様性条約に基づいて採択されたものでございます。こちらは今、140カ国とECが加盟しておりまして、若干生物多様性条約よりは数が少ないですが、割と早い勢いで多くの国が参加してきているところでございます。
 これにつきましても同じく2006年3月に直近の締約国会議がございまして、ここでカルタヘナ議定書発効以来、一番大きな争点になっておりました組換え体を輸出入する際にどのような文書を添付するかという、若干詳細にわたるのですけれども、これが大きな議論になっておりまして、これについて具体的な内容を決定することができました。これに際しても日本から外務省、農水省、環境省、文科省、経産省で代表団を派遣しておりまして、大きく貢献することができたと考えております。
 この議定書のもとでも同じように作業部会が設置されておりまして、現在大きな議論になっているのは、責任及び救済という分野でございまして、これは遺伝子組換え体がもし仮に環境に何か影響を及ぼした場合にその責任の配分をどのようにするか。いわゆる損害賠償をどのようにするかという議論が行われております。これに対しても我が国として積極的に参加をしております。
 最後の(ハ)でございますが、こちらにおいても生物多様性条約と同じように義務的拠出金の22%を拠出しておりまして、我が国が第一の拠出国として大きな貢献をしております。大体年間5,600万円程度の拠出を行っております。
 それから続きまして(2)ですが、その後の方で大きい3でODAのお話を申し上げますけれども、(2)は条約のもとでどのような途上国への協力を行っているかということを簡単にまとめておりますが、この生物多様性条約、それからカルタヘナ議定書のいずれも、地球環境ファシリティ、これは世銀と国連開発計画(UNDP)、それから国連環境計画(UNEP)、その3者が運営しているメカニズムでございまして、地球環境になるべく影響を与えないような形で途上国が開発プロジェクトを行うような際に、その環境に資する部分にお金を提供するという資金メカニズムですが、この二つの条約、国際約束はこの地球環境ファシリティを資金メカニズムとして指定しておりまして、この条約のもとで途上国が条約の義務を実施するために必要なプロジェクトにこのファシリティからお金をもらっているという形になっております。我が国はこの地球環境ファシリティが最初に立ち上がったころから主要なメンバーとして参加しておりまして、これまでずっとアメリカに次ぎまして第2の拠出国となっております。こちらのファシリティにつきましても資金供与方針ですとか、どのようなプロジェクトを支援対象とするかという議論を行う評議会に積極的に貢献しております。
 最後に(3)ですが、今まで生物多様性条約とカルタヘナ議定書を中心に申し上げましたが、このほかにも水鳥の保護、湿地の保全を対象としたラムサール条約ですとか、絶滅が危惧される種の国際取引規制を目的としたワシントン条約、それからこちらには挙げてございませんけれども、森林保全の関係観点からは国際熱帯木材協定など、関連する条約がいくつかございまして、こうしたものについても我が国として積極的に取り組んでおります。これらの条約の実施を通じても生物多様性の保全に貢献することができると考えております。
 以上が国際約束の部分でございまして、次に3.ODA政策のところをご説明したいと思いますが、こちらをご説明するに際しましては、パワーポイントで我が国の環境ODAという資料をお配りしておりますので、こちらをご覧いただけますでしょうか。
 まず1枚めくっていただきまして、最初の2ページは簡単な概要でございまして、環境と開発の両立を図るために環境のODAをやっていますということなのですが、その次の3ページをご覧いただきまして、2003年8月にこのODA大綱というのが閣議決定されているのですが、この中では、こちらにちょっと細かく挙げておりませんけれども、四つの援助実施の原則というものを挙げておりまして、その一つとして環境と開発の両立というのを挙げております。この原則は四つございまして、その一つ目が環境と開発の両立、二つ目が軍事用途への転用とか紛争助長を回避すること、三つ目が平和安定の維持ですとか、大量破壊兵器に注意すること、四つ目が民主化、人権といったような基本的な原則が挙げられているのですが、そのまず第1の原則として環境と開発の両立というものを挙げてございます。
 その観点から、環境ODAを実施しているのですが、その柱になっていますのが、持続可能な開発のための環境保全イニシアチブ、略称でEcoISDと呼んでいますが、こちらが環境全般について我が国の方針をまとめたもの、それから京都イニシアチブ、これは温暖化対策についてまとめたもの、これに基づいて具体的なODAを実施しております。
 具体的に生物多様性分野についてどのようなものがあるかと申しますと、後ろの方に行っていただきまして、最後の一番後ろの10ページをご覧ください。こちらに主要な例を二つ挙げさせていただきましたが、生物多様性の保全といいますか、自然環境保全というふうになっておりますけれども、いずれも生物多様性に大きく貢献するようなプロジェクトとして実施しておりますので、例としてご説明させていただきます。
 左側はマレーシアのボルネオで生物多様性や生態系を保全するためのプログラムというものをやっておりますが、これは2003年までにインドネシアで生物多様性保全プロジェクトというものをやってきたのですが、これをさらにマレーシアのサバにおいても実施しようということで、2002年から開始したものでございます。このプロジェクトはこちらに書いてございますように教育研究ですとか、それから行政、環境への一般市民の啓発というものを統合した形で包括的な自然環境保全を進めるために、どのような手法、体制があったら持続可能であるかという、その持続可能な手法、体制を確立するために行ったプログラムでございまして、いったん供与したらその場限りというものではなくて、その後も持続可能な形で続いていくような体制をつくるというものでやっております。この協力を開始してからは、その最後のパラグラフに書いてございますけれども、関連機関の間で実際に意思疎通がよくなり、お互いの情報を共有するようになったり、それから一般市民の方々の意識向上が認められておりまして、実際の成果が上がっているのではないかと考えております。
 もう一つ、右側にございますのは、こちらはパラオの例なのですが、ここではサンゴ礁センターを強化するというものをやっております。これはどちらかと言いますと研究活動というところが多いのですけれども、こちらでもなるべく一般の方への啓発活動というものをプログラムに取り込むようにして、その全体としてサンゴ礁を中心とした生物多様性の保全が図れるようにというようなプログラムをやっております。
 環境ODAの資料にはこの2点がわかりやすい事例として挙げられておりますけれども、A4の説明紙の資料に戻りますと、そのほかにも我が国に各国の関係者を招聘して生物多様性の情報システムを研修させるですとか、マングローブ生態系、我が国にも南の方にマングローブがございますので、持続可能な管理と保全といったような我が国の持っている知見を各国の関係者に共有できるような研修というものを数多く行っております。
 以上で簡単ではございますが外務省で中心として行っている取り組みをご説明いたしました。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それではただいまの説明に対してご質問、ご意見があればお願いをしたいと思います。
 では森本委員、お願いをいたします。

【森本委員】 最後の日本の環境ODAの取り組みで、生物多様性保全のプロジェクトだとかのご紹介をしていただいたのですけれども、これは環境省なんかと連携してやられているのですか。それとも割合専門的なところがあろうかと思うのですけれども、専門家の協力とか、どんなふうな体制で役所あるいは専門家等がかかわっていられるのかというのをちょっとお伺いしたいと思います。

【外務省】 ありがとうございます。基本的には技術協力につきましては、JICAを中心に行っておりまして、そちらの方でもともと知見がおありの方もいらっしゃいますし、外部の専門家の意見をお聞きする場合もございます。外務省の中には余り知見、環境そのものについて知見を有する者というのは余りおりませんので、基本的にはJICAですとか環境省さんですとかの外部の方の知見を活用してやっているという形になっております。

【熊谷委員長】 桜井委員、お願いいたします。

【桜井委員】 ちょっと知っているかどうかわかりませんが、中国との関係なのですが、特に今年もそうですけれども、黄砂の問題とか、いわゆるかなり産業が大きくなってきていまして、日本との関係からすると日本がどちらかというと下流側になっていますよね。その辺のところで中国と日本との間での環境、こういう、これを含めた部分での何か取り組みというのは別にあるのでしょうか。

【外務省】 ありがとうございます。中国につきましては、これまで中国に供与してきましたODAも随分多くの部分が環境関係でございまして、それから今後、中国へのODAが減っていく中でも、先日温家宝総理が来られたときに両国の外務大臣が署名した文書がございまして、それがちょっと正式な名称かどうかわかりませんが、日中環境保護共同文書のようなものをつくりまして、その中で今後、両国で引き続き技術ですとか知見を共有し合って、特に中国の環境問題に取り組んでいくということを合意してございますので、これに基づいて、ほかにいろいろな場もございまして、日中環境保護合同委員会ですとか、そういう環境問題に協力して取り組む場を設けておりますので、そういうところを通じて実際に具体的な協力を考えていきたいと考えております。
 すみません、ちょっと私、担当ではないので、実際に詳しい内容は承知していないのですが、黄砂につきましては、これまでも環境省さんと一緒にプロジェクトを実施させていただいていると承知しております。

【熊谷委員長】 ほかにございましたらどうぞ。お受けいたしますが。では磯部委員、お願いいたします。

【磯部委員】 先ほど午前中にいろいろなお話を聞かせていただいて、日本についてはかなりいろいろなデータが調査されているし公開もされているわけですけれども、外国になるとなかなか調査されていないとか、調査されていてもそれが公開されていないとか、そういう意味でこういうODAなどをやりながら、その国全体から見たときにどういう位置づけになっていて、そこで重要な環境ODAをやっているかという判断をするのは難しいのだと思いますけれども、そういう点でODAをやりながら環境データを手に入れるというような努力はされているのでしょうか。

【外務省】 ありがとうございます。ちょっと詳細には承知していないのですが、おそらく私が知る限りでは、環境データを取るという観点からはやっていないのではないかと思います。ただ、ご指摘ありましたように、プロジェクトを決定していく段階で、アセスメントを行ったりする、必ずしますので、その過程では必ずデータを取っているかと思います。それをどのように、取ってきたものを何と言いますか、研究する視点から適切な形で集めているということはないと思いますので、ご指摘の趣旨は関係課に伝えたいと思います。ありがとうございます。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、予定の時間も過ぎておりますので、どうも外務省、説明者の方、ありがとうございました。ご苦労さまでした。
 それでは引き続いて、文部科学省の方からのご説明をお願いしたいと思いますので、担当の方、どうぞご準備をお願いいたします。
 よろしいでしょうか。一応それでは20分を目安にお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【文部科学省】 文化庁記念物課の本間と申します。まず最初に、文部科学省のプレゼンペーパーの中の最初のページにあります、文化財の保護を通した生物多様性保全ということで、天然記念物、あと重要文化的景観の保護ということの説明をいたします。
 天然記念物というのは、我が国多様な自然、それからいろいろなもの、自然物を保護するもの、それから地域の自然と人間の働きかけにより形成されたような景観を保護する文化的景観ということで、簡単に生物多様性保全に貢献している面というものを説明したいと思います。まず、重要文化的景観の保護に関して説明いたします。

【文部科学省】 文化庁記念物課の鈴木と申します。我々文化庁としましては、文化財保護法に基づいてさまざまな文化財の保護を図っているところですが、平成17年4月に文化財保護法が改正になりまして、新たに文化的景観というものが文化財の保護のカテゴリーに入ることになりました。法律の方なのですけれども、文化的景観を次のように定義しているわけなのですけれども、地域における人々の生活または生業及び当該地域の風土により形成された景観地で、我が国民の生活または生業の理解のため欠くことのできないものとなっております。その文化的景観の中でも重要なものにつきましては、都道府県であるとか、あるいは市町村の申し出に基づいて重要文化的景観に選定することとなっております。
 現在のところ、まだ法律改正されて制度が始まって間もないということもございまして、重要文化的景観はペーパーの方に挙げさせていただいております2件、近江八幡の水郷、及び一関本寺の農村景観、この二つが重要文化的景観に選定されております。
 先だって5月の文化審議会で答申が出ておりまして現在官報告示待ちとなっておりますものとして、北海道アイヌの伝統と近代開拓による沙流川流域の文化的景観、及び愛媛県宇和島市なのですけれども、遊子水荷浦の段畑、この2件が現在重要文化的景観としての選定を官報告示待ちという段階になっております。
 文化庁といたしまして、文化的景観の保護にかかるさまざまな都道府県であるとか市町村であるとかの取り組みに対して、国庫補助事業で支援を行っているところなのですけれども、一つは文化的景観の調査事業で、文化的景観保存計画の策定事業、そして重要文化的景観に選定された後なのですけれども、修理修景にかかる整備事業、それから地域におけるワークショップであるとか勉強会であるとかを開催するための費用であるとかの普及啓発事業を支援しております。
 文化的景観によって地域における生活であるとか生業であるとかを評価して、さらにそれを保護して活用していく取り組みを支援する中で、地元における活動であるとか、あるいは保護意識の向上というものを、地元主体のシステムを確立するところの取り組みを通じて促しているところであります。

【文部科学省】 続きまして2ページ目の天然記念物の保護ということでご説明いたします。天然記念物というのは動物、植物、地質鉱物のうち学術的価値が高く日本の自然を記念するものということで指定されております。天然記念物の保護制度というのは、大正8年の史跡名勝天然記念物保存法においてということでさまざまな自然物を保護する目的でつくられた制度であります。その当時にもあったものですけれども、動物、植物、地質鉱物ということだけではなくて、一定の地域内の動物、植物、地質鉱物すべてを保護するという、今で言う生態系保存に近い考え方で天然保護区域というものが設けられておりまして、これらによっていろいろな生物の多様性保全に貢献してきたという面があります。現在、国指定天然記念物としては合計975件、動物が192件で、この中に地域定めずという、いわゆる種指定と呼ばれているものが96件あります。種指定というものは動物だけのものでして、あと植物、地質鉱物天然保護区域というのはすべて保護地域を定めた指定となっております。
 天然記念物の保護に関する施策としては、やはり文化財としては地元公共団体などが管理するということになりますので、地元公共団体などが実施するいろいろな保全事業、保護対策事業、整備事業とか、保護増殖事業とか、そういうものに対し、一定の割合で国庫補助を行っているということです。
 そこに写真が出ておりますけれども、特別天然記念物のコウノトリについては野生絶滅した後、野生復帰に向けて保護増殖の事業を進めてまいりましたけれども、それに対して一貫して文化庁の方で補助を出してこれを支援してきたということです。以上です。

【文部科学省】 続きまして資料の3ページ目をご覧いただきたいと存じます。初等中等教育局教育課程課の井上でございます。私からは学校教育分野における取り組みにつきまして、ごく簡単に説明をさせていただきたいと存じます。
 まず、環境教育・環境学習の推進についてでございますが、文科省といたしましては一人一人が環境と人間とのかかわりですとか、自然などの環境の価値につきまして、その認識を深め、また環境に配慮した仕組みに社会を変革していく努力を行うことが必要であるという、こういう基本的な認識に立ってさまざまな環境教育、環境学習推進のための施策を、環境省等と連携協力を図りながら推進をしているところでございます。
 具体的にはこの下でございますけれども、まず法律的なことを申しますと、教育の最も根本的な法律でございます教育基本法といいますものがございます。これは昨年12月に約60年ぶりに全面改正がなされたわけでございますが、ここの教育基本法の第2条に教育の目標という条項があるわけでございますけれども、ここに新たに、生命を尊び自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うことという環境保全といったことが教育の最も根本的な法律に明確に教育の目標として位置づけられたわけでございます。
 またさらに、この教育基本法の理念をより具体的なものにするため、現在国会においてご審議をいただいているところでございますが、学校教育法等関連法案につきましても、鋭意ご審議をいただいているという状況でございます。
 続きまして、1枚おめくりいただきまして、4ページ目をご覧いただきたいと存じます。学校における環境教育の推進についてでございます。学校におきましては、文科省としましてどのような理念で環境教育を推進しているかと申しますと、一番上のところにございますが、子どもたちに対しまして環境に対する正しい理解、関心を深め、また高めるということもねらいにおいておりますが、単に子どもたちが環境への知識を深めるだけではなくて、子どもたちが一人一人自ら自主的に環境保全のために具体的な責任のある活動がとれるようにしたいという、そういう思いで環境教育を実施しているところでございます。
 具体的には、学校における教育は学習指導要領といったものに基づいて実施をされているわけでございますが、小学校、中学校、高等学校を通じまして、こどもたちの発達の段階に応じて、社会科、理科、家庭科、総合的な学習の時間、また道徳ですとか特別活動など、学校の教育活動の全体を通じて、それぞれの地域の実情に応じて実施されているという状況でございます。文科省といたしましては、そのような学校の環境教育の取り組みに対しましては、環境省とも連携をして、環境教育推進グリーンプランという補助事業がございまして、それによって、例えばESDですとか、今いろいろと環境教育を取り巻く新しい動きがございますけれども、そういう新しい動きに対応した環境教育のあり方に関する調査研究でございますとか、環境教育のモデル校の指定事業、またさらには環境教育を実際に担っていただくための先生方の資質の向上を図るための環境教育の研修会の実施、また環境教育の各優れた学校における取り組みをご紹介するための全国大会の開始などを実施しているところでございます。
 ここで、学習指導要領による環境教育に関する主な内容というのがこの下にございますけれども、それもまたご参考としてご覧いただければと存じます。
 小学校の理科でございますと、自然環境を大切にする心や、よりよい環境をつくろうとする態度を養うこと。また、生活科でございますと、自分と身近な動物や植物などの自然とのかかわりに関心を持ち、自然を大切にすることなどを教育しているということでございます。また、中学校は内容が高度になりまして、自然環境を調べ、自然環境は自然界のつり合いの上に成り立っていることを理解し、自然環境保全の重要性を認識するといったこと。また、高等学校では地球温暖化、生物の多様性、生態系における生物と環境とのかかわり、人間と地球環境とのかかわりなどを理解させるなどにつきまして、鋭意教育は実施されているという状況でございます。
 文科省としましては、改正されました教育基本法等の趣旨も踏まえまして、今後とも環境省や関係省庁とも連携を図りまして、学校における環境教育の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。私からは以上でございます。

【文部科学省】 続きまして、5ページをおめくりください。宇宙利用推進室の千原でございます。私の方からは、宇宙から人工衛星によりまして地球を観測する、モニタリングをする、そういう取り組みについてご説明をさせていただきます。
 ここに最初にあります「だいち」とカギ括弧で打ってありますが、これは宇宙航空研究開発機構、JAXAと呼んでおります、前身宇宙開発事業団でございますが、これが昨年1月に打ち上げました人工衛星でございまして、陸域観測技術衛星「だいち」もしくは「ALOS」と呼んでおります。これは去年の10月から本格運用を開始しておりまして、3つの地球を見る目を持っております。簡単に言いますと、デジカメの白黒版、カラー版、それからレーダーを発して雲を透過して地球を見る。また、夜間でも見られる、そういったセンサーを持っています。これによって広域に地球を観測するということによりまして、例えば従来の航空写真よりも一度に広い地域を撮れる、そんな特徴がございますので、例えばここに最初に挙げております環境省でやられている「緑の国勢調査」、こういったところに活用ができないかという研究などをやっております。
 またその下には同じくこのだいちを活用して、農水省と一緒にやっておりますが、水稲面積調査、これも例えば先ほど申したセンサーのうちの二つぐらいを組み合わせますと、水が張ってあるかどうかで本当に稲作をしているかどうかがわかります。それによって、本当に稲作をしているところとしていないところをセンサーによって摘出することによりまして、もう少し詳しく区画面積とかを精度よく観測することができると言われております。その研究をしております。
 6ページをおめくりください。この図の上に衛星観測監視システムとありますが、その左の陸域観測技術衛星(ALOS)、さきほどはこれのご説明をいたしましたけれども、そのほかにもちょっとローマ字で恐縮ですが、その右にありますGCOMという衛星とか、GOSAT、これは温室効果ガスを観測する衛星ですが、これは環境省と一緒に開発を今しておりまして、平成20年度に打ち上げる予定でございますが、とか、いくつか人工衛星、地球観測をする衛星の開発計画がございます。
 例えば、ALOSは今申し上げたような研究を実際にもう既に使ってやっておりますし、今後、計画しておりますその隣のGCOMという衛星では、例えば光合成を行うクロロフィルの量がわかるようなそういうセンサーを積んでおりまして、これによって植物の活性度がわかる、元気度がわかるとか、その右隣のGOSATではCO2とかメタンの濃度分布を観測できる。そういったことで生物多様性保全とかそういったことに活用できると思っております。また、そうしたそれぞれの衛星で撮ったデータを、この後ご紹介させていただきますけれども、統合して解析、モデル化、そういったことによって、生物多様性の的確な状況把握とか、そういったことに資することができるというふうに考えております。

【文部科学省】 続きまして7ページをご覧いただければと思います。地球・環境科学技術推進室長の坂本と申します。
 今衛星のご説明をさせていただきましたけれども、文部科学省といたしましては第3期科学技術基本計画、昨年策定されましたけれども、その中で地球観測という分野、非常に重要な分野と考えておりまして、総合科学技術会議でもご指定いただき、国家基幹技術という位置づけをこの7ページの一番上の方にちょっと小さい字で書いておりますが、海洋地球観測探査システムというものについて国家基幹技術という位置づけをいただいております。
 今衛星のご紹介がございましたけれども、この衛星、あるいは海洋の観測もございます。さらには、そういった観測データからいかに科学的・社会的に有用な情報を抽出するかというところがポイントでございまして、そういったところを私の室が担当しておりまして、その中核となるシステムというのは今ご紹介するデータ統合・解析システムでございます。このデータ統合・解析システムを使った生態系、生物多様性保全の分野での取り組みについてご紹介をいたします。
 このデータ統合・解析システムというのはこちらに書いておりますとおり、多種多様な観測データ、これは大規模かつ複雑な処理を必要とするものでございます。そういったものを集めて、品質管理、フォーマット変換を行うとともに、一般のユーザーがそのデータから必要な情報を引き出すための検索、可視化、時間的空間的な相関関係の解析、そういった高度な情報処理を集中的に行うことによって有用な情報を抽出するというシステムでございます。特に生物多様性の分野につきましては、市民参加の活動とも連結をいたしまして、当面目標としておりますのは、特定の外来生物に関する目撃情報、あるいは市民が参加しての調査といったモニタリングの結果を、1ペタバイトを超える非常に大容量の情報処理空間を使いまして、衛星データ、あるいはそのほかの気候・気象観測データと統合して処理しまして、外来生物の分布地図といったような保全対策に必要となる情報を生み出し、一般の人々にも理解できるような形でデータの解析結果を作成、公開するというものでございます。
 イメージが、今申し上げたのはこの7ページに書いておりますけれども、重要な指標となる生物としまして、現在セイヨウオオマルハナバチを対象にしておりますけれども、必要な生物を今後も拡充していきたいと思っておりますけれども、こういった外来生物の分布状況というものを把握、あるいは予測することによりまして、環境省で策定をされております防除計画、そういったものに必要な科学的根拠、科学的情報というものを提供させていただけるのではないかということを考えております。
 具体的にどういうことを進めているかということを簡単にご説明いたします。次のページをおめくりいただければと思いますが、実施機関を、すみませんちょっと飛ばしましたので、このシステム自体の開発主体は東京大学海洋研究開発機構、宇宙航空研究開発機構でございますが、このモニタリングシステムというものについては、東京大学大学院農学生命科学研究科の方で進めていただいております。
 成果の目標を飛ばしまして、平成18年度のこれまで進められた成果のところをご覧いただきますと、具体的には北海道ほぼ全域を調査対象といたしまして、先ほどのセイヨウオオマルハナバチにつきまして、道庁あるいは多くの道民の方々の参加協力を得てモニタリングが進められた。まずそのモニタリングのマニュアルを作成するところから始められたわけですけれども、そういったマニュアルをつくり、モニタリングが進められ、その情報を集約して分布データベース、あるいは分布地図をつくったというところが18年度まででございます。
 さらに19年度につきましては、ここで科学的な活動が入ってまいりますけれども、生息場所の選好性等の生物に関する情報、土地利用などの衛星データ及び機構データなどを入力情報として生態学的分布の予測モデルを作成いたしまして、セイヨウオオハナマルバチの潜在的分布可能性を示唆する侵入警戒地図というものを作成するということを予定しております。これによりまして、外来種の分布拡大予防策の立案にも資する。あるいは先ほどの防除計画の策定にも貢献できるのではないかと考えております。

【文部科学省】 続きまして、ライフサイエンス分野における取り組みについて、ご説明させていただきます。ライフサイエンス課の坂下と申します。よろしくお願いいたします。
 まずライフサイエンス分野に関しまして9ページ目でございます。ゲノム機能解析等の推進、ゲノムネットワークプロジェクトという研究を現在行っております。これにつきましてはご存じのとおり平成15年、2003年に国際協力によりまして人のゲノムがすべて、その塩基配列が解読されたわけでございます。その後これを受けまして、平成16年から開始しておりますのが、このゲノム機能の解析をするというプロジェクトでございます。人の全遺伝子の構造、たんぱく質に変換される転写の開始点、転写制御系の分子間相互作用というものをすべて明らかにしていこうということを目的としておりまして、これを進めているところでございます。これによりまして、発生ですとか分化といった生命科学に関する基本的な問題を解析する基盤というものが構築されると考えておりまして、こういった研究はすべての生物学に貢献できると考えております。
 それから10ページ目、ナショナルバイオリソースプロジェクトでございます。こちらにつきましては、ライフサイエンス研究を支える基盤といたしまして、2010年までに世界最高水準のバイオリソースを整備するということを目的といたしまして、こちらにありますようなマウスのような実験動物ですとか、それから細胞のようなもの、そういった遺伝子材料の中で国として戦略的に整備することが重要であると考えているものにつきまして、体系的に収集、開発、保存し、提供する体制を整えているものでございます。こういったことも、生物学研究の基盤になると考えております。こうした取り組みを通じまして、生物多様性の基盤に貢献していきたいと考えております。以上でございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの文部科学省のご説明に対してご質問なりご意見をいただけたらと思います。石坂委員、お願いいたします。

【石坂委員】 質問です。4ページの環境教育のところのご説明がありまして、学習指導要領に書かれてある事柄自体は大変立派なことが書いてあると、今拝読いたしました。私は学校の現場の実態というのがよくわからないんですが、それでちょっと教えていただきたいと思うのですけれども、一体これが実際の教科書、あるいは先生の教育の中に、どういうウエートで環境が小中高それぞれ教えられているのかなという、何と言うのでしょうか、物理的などれくらい入っているのかということですね。
 それからもう一つは、この中でも実践ということが書いてありますけれども、実践ということが教育そのものの中で行われているのであろうか。どの程度行われているのか。あるいは教育の中では実践を指導するだけであるとすれば、その実践が学校教育の延長線上でどういうふうに行われているのだろうかということ。それから教材ですね、教材の中でのどういう扱いになっているかということも教えてください。
 それから、自然というのはそれぞれ各地で大きく違うと思うのですね。そういう各地の身近な自然といいましょうか、そういうふうなものが教育の中で教えるときにどう取り組まれているのか。それの前提として、先生方にはどういう研修をしているのだろうかということをちょっと教えていただきたいと思います。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

【文部科学省】 どうもご質問ありがとうございます。まず教育における環境教育の物理的な量というご質問でございますが、正式にどの程度時間が充てられているかということは数量的には大変難しいわけでございますが、学習指導要領は、先生方ご案内のとおり、いわゆる最低基準という位置づけでございます。このため学習指導要領に記述されております内容は、学校で行われているというものでございます。
 ここでお載せしておりますものは、環境教育に関する主な内容のうち、自然や生命に関するものということでございまして、限定的に載せさせていただいております。このため小学校、中学校、高等学校における環境教育に関する記述といいますものは、これよりも多いわけでございます。このため、各学校においては、まさに理科ですとか社会科、家庭科などを通じて、また総合的な学習の時間を通じて、より多くの時間を割かれて実施をされていると考えております。
 また、実践活動はどうかというお問い合わせでございますが、実践活動につきましても、具体的にはまずは社会科とか理科、家庭科、技術・家庭科などの各教科によって、子どもたちは環境に関する知識を学ぶわけでございますが、それら学んだ知識を生かしまして、具体的には総合的な学習の時間、また特別活動を通じまして、体験学習といいますものもかなり力を入れて実施をしているところでございます。また、特別活動や総合的な学習の時間以外でも理科などの教科教育におきましても、実験をしまして、教科、知識だけに偏るのではなくて、実際に子どもたちが自然に触れたり、手を動かしたり体を動かしたりしまして、環境教育に関する体験活動も多く実施されています。
 教材でございますが、教材につきましては、まず学校は教科書を用いて教育が実施されているわけでございまして、教科書の実例を1点ご説明させていただきますと、例えば高等学校では、理科の総合Bでございますと生物多様性の保全という項目があって、例えばなぜ生物多様性が大切なのか、また生物多様性が減少しているという現状、さらに生物多様性を保全する取り組みなどにつきまして、生物多様性を保全するために考えなければならないことといったような、まさに生物多様性ということを一つのテーマとして立体的に学習をしているという状況がございます。
 教材につきましても、文科省のみならず環境省等の関係省庁、また関係団体がさまざまな優れた教材をつくっているところでございまして、それら多種多様な環境教育に関する教材の中から各学校等が自主的に選定して使用しているという状況でございます。
 先生ご指摘の、日本は確かに北海道から沖縄まで、その地域によって、雪が降りましたり、気象条件が多種多様にわたっているわけでございますが、それらの自然条件も生かしながら、学校が具体的にそれぞれの実情に応じて、多様な環境教育を総合的な学習の時間等を活用して推進をしているわけでございます。抽象的になってしまい恐縮ですが、以上でございます。

【熊谷委員長】 石坂委員、よろしくお願いいたします。

【石坂委員】 そういうご説明は全く1点非の打ちどころもなくて、よく理解できます。ですけれども、現実にどれぐらいそれが行われているのだろうかということを私は知りたいので、もしお分かりになっていなければ一遍調べてみていただきたいと思います。

【文部科学省】 あと、研修についてでございますけれども、これも環境省と共同して実施をしておりまして、全国7箇所で環境省の地方環境事務所が中心となって、学校の教員と、あと地域の環境教育のNPO、NGOの指導者の方々と合同で1泊2日あるいは2泊3日の合同での宿泊研修を実施しております。それによって、学校の先生方と地域の環境教育のNGOのリーダーの方々が寝食をともにしてお互い語り合いながら、それぞれの交流を深め知識を深めているという状況でございます。

【石坂委員】 それも大変結構だと思うのですけれども、それがどれぐらいの広がりがあるのか、そういう実績といいましょうか、現在行われている物理的な量を教えていただきたいと思います。

【文部科学省】 研修会につきましては、おおよそ1回の研修会で学校教員約30人、またNPO等の方々が約30人、それが全国で7箇所。あともう1点、文科省が行っております環境教育の研修会もございまして、そちらは全国2カ所で実施をしております。おおよそ全体で110人ぐらいでやると承知をしております。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。ほかの省庁さんにもお願いしているのですが、今日は限られた時間と、それから委員の先生方には自由に忌憚のないいろいろな観点からご意見をいただいていますので、本日すぐにお答えいただかなくても、後ほどそれなりのデータがある場合には、あとで説明の資料をつくっていただけたらというふうに思いますので、その辺どうぞお気楽にお答えいただければと思いますので。それでは、佐藤委員、お願いいたします。

【佐藤委員】 今は学校教育のお話が話題になったのですけれども、この問題は地域の問題でもあるので、生涯学習という観点が一点、抜かせないのではないかと思うのです。生涯学習という意味ではどのぐらいのことが行われているかというのを一つ教えていただきたいのと、それから地域にミュージアム、博物館とかいろいろな施設があると思うのですけれども、そういう現場でも多分いろいろなことが行われていると思うのです。ただそのときに、例えばインタープリテーションをする人たちがちゃんといるのかどうかということも非常に大事で、ただ施設があったら分かるというようなものではないと思いますので、そのあたりどういう手当がされているかということも教えていただきたいと思います。
 それと、子どもたちだけのことではないのですけれども、これは非常にライフスタイルとの関係があって、生物の側だけから見ることができないような複雑な問題だと思うのです。そういう意味で、高校とか大学になると、そのあたりの何と言うのですか、生きているものだと思うのです、生物多様性というのは。一方方向で何かやれることではないので、その複雑さというか、営みと自然界の関係とか、そういうところまで深く理解ができるような、そういうような教育が行われているのかどうか。ちょっといくつかの質問になりましたけれども、その辺ちょっと教えていただきたいと思います。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。お答えできる範囲で結構ですから。

【文部科学省】 まず生涯学習における環境教育の取り組みでございますが、今先生ご指摘のとおり、まさに環境教育といいますものは学校のみならず社会、地域と一体となって推進すべきものでございます。私、直接は学校担当でございますが、文科省としましても、生涯学習の分野におきましても、公民館ですとか図書館など、社会教育施設を活用して、鋭意環境教育が推進されていると伺っております。
 具体的な手当でございますが、これは環境教育推進法といいますものができておりまして、それに基づきまして、環境教育の人材バンクなども整備をされております。このため社会教育施設も単に社会教育施設が単独で実施するのではなくて、環境教育の専門家がどこに行けば大体、だれに聞けばわかるようになっておりますので、そういう環境教育の人材バンク等も活用しながら推進をしていると理解しているところでございます。
 また、高等学校における環境教育でございますが、確かに生物と一口に申しましても、多種多様なものがあるわけでございます。そのため、これは一つの例ですが、生物の分類と系統、また進化の過程とその仕組み、生物界の多様性と歴史的な変遷などについて実態的に理解させるということで、高等学校ではしっかりと教育がなされています。

【熊谷委員長】 ほかに何かございますでしょうか。では桜井委員、お願いいたします。

【桜井委員】 教育としての中身はよく理解できるのですが、実はこういう事例があるのです。例えば最近の子どもたちは森に入れない。漁師の息子が、子供たちが海に入れない。こういうことがあるのです。つまり、何かもっと実感的に自然に触れるというようなプログラム、本当の何か真のプログラムがあるのかということをあえて聞きたいのは、文章とかいろいろなシラバスができてがっちりしたのがあるのはいいのですけれども、では具体的に本当にそういうところに触れさせる仕組みがあるのかとなると、意外とそこまでは十分立ち入ってない、あるいはそれが小中にまたがっていてお任せしてしまうとか、先ほどあったみたいに博物館なら博物館に人をお任せしてしまうとか、そういうシステムとしての教育の取り組みが何か見えないのですけれども、その辺はどうでしょうか。

【文部科学省】 今ご指摘いただきました体験活動ということは、大変に文科省としても重要であると認識をしているところでございまして、この資料にはお載せをしておりませんが、約7億円ほど豊かな体験活動推進事業の推進をしているところでございまして、今まさに先生がおっしゃられたような豊かな体験活動の実施ということです。具体的なことを申しますと、体験活動推進地域、推進校を指定いたしまして、そこで鋭意、例えば農村ですとか漁村に行って体験活動を実施させるとか、また子どもたちが1週間程度の長期宿泊体験を伴った、長期宿泊体験活動推進プロジェクトといったものも文科省としては実施をして、支援をして、まさに体験活動に関するプログラムも充実をしているところでございます。
 ちなみに、昨年度は約4億7,000万円の予算額でございましたが、今年度は体験活動が重要であるという認識のもと、7億1,000万円に増額措置をしたという状況でございます。
 先ほど環境教育の具体的な実施量はどのくらいかというご質問でございますが、総合的な学習の時間を例にとりますと、平成16年度でございますと、公立の小学校の約75%の学校で実施をされております。また公立中学校でございますと、約53%の学校で実施をされているということでございます。これは総合的な学習の時間に限っただけでございます。

【熊谷委員長】 それでは高橋委員、それから鹿野委員、それから川名委員、そして磯辺委員の順でお願いしたいと思います。

【高橋委員】 時間がなければいいのですけれども、今佐藤委員から全部言われてしまったのですけれども、一つは、例えば総合学習の中で環境学習をしますと言ったときに、例えば私がかかわっている阿蘇なんかでは、阿蘇の草原による学習はほとんどやられていないのですよ。では何を題材にするかといえば、例えば水俣であるとか、それから知床であるとかという話になってしまう。これが現実の問題で、それで、まず地元学ではないけれども、地元を学ぶと言うことが基本にやはりないとまずいのではないかなと、自然に。
 もう一つは学校の先生だけでは完結できないと僕は思うのです。先ほど話があったように博物館というのは非常に大事であり、その連携というのは非常に大事だというのはわかるし、具体的な例を挙げますと、芸北というところに山焼き、火入れを再開して草原を再生したところがあるのですけれども、そこで総合学習の中で博物館の学芸員の提案で、学校の中で全体取り組んだ事例があって、その中で実は大学生や高校生をターゲットにしている項目まで、実は小学生でも十分理解できるのだということがわかったのです、自分たちでやることによって。それを講じて、さらにそれを自分たちの親や地域の人に知らせようと言うことで、自分たちでオペレッタをつくって、オペレッタを公演して、それを見た地元の人たちが今度家族の中で自然について会話をしていくというような波及効果がやはりあるわけですよね。そういうものを考えると、まさしく音楽の授業にもかかわるわけだし、歴史の授業にもかかわっていくということで、理科の先生だけが自分一人でやっていくという世界ではないわけですね。地域全体として総合学習のような形で、小学生たちのうちにやっていくというのは非常にすばらしい方法であると思って、ちょっと紹介をさせていただいたのですけれども。
 もう一つは、実は小学校レベルでの環境学習なり歴史の学習というのは、実は地域の担い手づくりなのです。学校から外れたときに非常に役に立つもので、例えばそういう環境学習にかかわった子どもたちというのは、次の環境活動を担ってくれる担い手なのですよね。そういう人の循環をつくり上げるというのはものすごく大事なところがあって、そういう点でぜひ地元の人たちや地元を見直すということを具体的に書いて、提案をしていただけたらありがたいなと思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。では鹿野委員、お願いいたします。

【鹿野委員】 ありがとうございます。2点ありますが、まずは天然記念物の天然保護区域とか、最近新しくなった重要文化的景観だとか、この辺についてなのですが、例えば天然保護区域というのは日本の自然の中でも一番重要なようなところが指定されているのですね。文化的という方は割と人文景観といいましょうか、割と身近な景観地域だと思うのですが、そういったところの生物多様性の現状を把握されているかどうか。さらにそういったものがモニタリングされているかどうかというようなことを聞きたい。これが1点です。
 もう一つは、先ほど来話になっている教育の点なのですが、実は認識として私などは、少なくとも今の子どもたち、動物、生き物に触れないとか、自然の中に怖くて入っていけないとか、もっと言えばどうも命の大切さに対して、ちょっと感情が変なのではないかというような現状だというふうに思っているわけです。ほかの先生方の質問もそういうところを踏まえての質問だと思いますね。結局はどうしてこうなったのか。それは決して学校教育だけではなくて地域での教育もありましょうし、また子どもたちの住んでいる環境という問題もあると思うのですが、疑問としてはどうしてこういうふうな現実に、こういうふうになってしまったのかという疑問を持っています。これはすぐお答えいりません。きっと難しいのだと思いますからいりませんが、そういう疑問を基本的に持っているということでございます。以上でございます。

【熊谷委員長】 それでは、川名委員、お願いいたします。

【川名委員】 文科省が出されてきたこと、例えば重要文化的景観の保護ですとか、それから天然記念物の保護、こういうのは生物多様性国家戦略1995年以前からやっていることですよね。この国家戦略ができた1995年以降、特にこの戦略に沿って新しいことというのはやってないのですか。それとも前々から文科省はこれをやっているということを言われたのですか。
 それから教育のこともそうなのですけれども、環境教育なんていうのは、もっと前からやっていることで、その中に国家戦略の中を少し入れたというだけで、何かここに出されてきたことは文科省でやっている環境省寄りの施策を出してきただけみたいに見えるのですけれども、いかがでしょうか。

【熊谷委員長】 それでは磯部委員、引き続いてお願いいたします。

【磯部委員】 データ統合・解析システムというので、ペタバイト超級のデータをハンドリングしてアーカイブしていただけるというのは非常にありがたいことで、環境というのはやはり環境情報をどれだけ蓄積していくかということが非常にキーになりますので、ぜひ積極的にいい成果を上げていただくようにお願いしたいというのがまずメインです。その上で、余力があれば、あるいは機会があればということですけれども、生データ全部をあるところにそろえるというのは、なかなかみんな努力してもできない話なので、いろいろなところにあるデータをどうネットワーク化していくというようなことについても、どこかで機会があれば取り組んでいただけると非常にありがたいということでございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。一応委員の方々からご質問をお受けしましたので、今の段階でお答えできることについて、もし文科省の方で発言いただければと思います。時間も限られておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。今先生方の中で、ご意見はともかく、ご質問についてお答えできる範囲で結構でございます。

【文部科学省】 天然記念物とか文化的景観に関する現状、どうしているのか、あときちんとモニタリングをしているかどうかということですけれども、天然保護区域については非常に多くの部分が国立公園とかそういうものとオーバーラップしている部分がたくさんあります。それで、オーバーラップしている部分については、管理とかそういうものが国立公園側に行っているので、こちらできちんと把握していないというわけではないですけれども、こちらでデータを取っているということはありません。それ以外の地域については、古いものについてはちょっとできていない部分もありますけれども、できるだけ多くの情報を得るようにしております。それとともに、文化的景観については、選定の際にきちんとした景観調査をしておりますので、その辺の把握はきちんとできているということです。
 95年以前から行われているもので、文部科学省の環境寄りの施策ではないかということですけれども、確かに95年以前から続いているものですので、その点ではそういう面もあるのですけれども、その後新たにやはり指定自体はこれまでと変わっているところは少ないのですけれども、自治体での保護対策とか、そういうものに関してはできるだけそういうものに配慮するような形でやっていくという形にしております。

【文部科学省】 環境教育関連で先ほどご質問いただいた件でございますが、今子どもたちの状況を見てみますと、日の出日の入りを見たことがないとか、自分の背丈よりも高い木に登ったことがないとか、いわゆる自然体験活動がかなり、一昔前に比べると減少してきているという状況があるようでございます。このため、文科省としましても、子どもたちの豊かな人間性を育む、社会性を育むといった観点から、体験活動推進事業の充実でございますとか、また教育基本法でございますけれども、生物を大切にするという観点から、「生命を尊び自然を大切にし」という趣旨を教育基本法に入れさせていただいたという状況でございます。先生ご指摘の件は十分に認識をさせていただいているところでございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。予定の時間を超過しておりますので、一応これで文科省に対するご質問なり、それに対する回答をいただいたということにさせていただきたいと思います。また後ほど委員の方々からご意見なりご質問が出た場合には、書面等でお伺いすることもあろうかと思いますので、ぜひよろしくご協力をお願いしたいと思います。どうも文科省の皆さん、ご苦労様でした。ありがとうございました。
 それでは引き続いて、厚生労働省からご説明をいただきたいと思いますので、ご準備の方、よろしくお願いをいたします。大変恐れ入りますけれども、一応予定は10分ということを目安にご説明をいただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

【厚生労働省】 それでは厚生労働省でございます。どうぞよろしくお願いいたします。厚生労働省の関係といたしましては、大きく3点ございまして、本日資料を用意させていただいておりますが、遺伝子治療臨床研究の関係、それから遺伝子組換え技術応用医薬品の関係、そして食品分野の取り組みというものがございます。お手元、資料あると思いますので、資料に添って順に説明させていただきます。
 資料の1ページ目、厚生労働省ヒアリング資料1と書いているところでございますが、こちらは遺伝子治療臨床研究に関する資料でございます。表題にありますように遺伝子治療臨床研究に関しましては、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律、この法律に基づく第一種使用規程承認審査の手続等についての通知を出しているところでございます。遺伝子治療臨床研究のうち、この法律、いわゆるカルタヘナ法と呼んでおりますが、こちらの適用対象となります遺伝子組換え生物等の使用等、こちらには保管、運搬、廃棄も含まれるということなのですが、そういうものの使用等を行う研究につきましては環境中への拡散を防止せずに実施される第一種使用等として取り扱われることになりますので、この通知で本法の適用に関しまして遺伝子治療臨床研究における第一種使用規程承認審査の手続に必要な事項を定めているところでございます。
 例えば、生物種の異なる治療用遺伝子を搭載しました遺伝子組換えウィルスベクター、こういうものは遺伝子組換え生物等に当たりますので、そういったものを使用する遺伝子治療臨床研究につきましては、当該ウィルスベクターの環境中への放出を防止するために、この通知に従って、第一種使用規程申請書、それから生物多様性の影響評価書を事前に厚生労働大臣、環境大臣に提出して承認を得る必要があるということで、この取り組みをしているわけでございまして、平成17年9月以降、遺伝子治療臨床研究にかかる第一種使用規程に関しましては8件承認しております。
 1枚めくっていただきますと、同じ法律の関係でございますが、遺伝子組換え技術応用医薬品にかかる拡散防止措置の確認ということの関係でございます。こちらの方は先ほどのカルタヘナ法第13条に基づきまして、遺伝子組換え技術応用医薬品にかかる第二種使用等、これは下の方に注釈をつけておりますが、施設、設備、その他の構造物の外の大気、水、又は土壌中への遺伝子組換え生物等の拡散を防止する意図をもって行う使用、加工、保管、運搬、及び廃棄等を指すということで、隔離した中でやられるというふうにイメージしていただければいいと思うのですが、そういったものの拡散防止措置の確認ということを医薬品関係の方でやっておりまして、平成16年度から平成18年度までに確認を行った品目は、この表にございます90品目でございます。ただ、メーカーにつきましては注釈がありますように、重複がありますので、合計と一致しませんが、全部で21社ということになっております。
 もう1枚裏をめくっていただきますと、食品関係の取り組みについて2枚まとめた資料がございます。遺伝子組換え食品は、こちらにありますように組換えDNA技術、食品として用いられている植物等の性質機能を上手に利用するため、ほかの生物から有用な性質を付与する遺伝子を取り出して、その植物等に組み込むといった技術でございまして、食品の生産を量的、質的に向上させるだけではなく、害虫や病気に強い農作物の改良とか、日持ち加工特性の品質向上ということで、もう既に利用されております。そういう実態があるということでございます。
 そして(2)に書いてありますように組換えDNA技術応用食品及び食品添加物、この添加物も含めまして、以降では遺伝子組換え食品と記載しておりますが、平成13年4月1日から、食品衛生法に基づく規格基準に規定しまして、安全性審査を法律上義務化しております。これによりまして、安全性審査の手続を経た旨が公表されてない遺伝子組換え食品、あるいはこれを原材料に用いた食品は輸入、販売等が禁止されるという措置をとっております。
 なお、平成15年7月に内閣府に食品安全委員会が発足しまして、それまで薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて厚生労働省の方で行っておりました遺伝子組換え食品の安全性評価につきましては、食品安全委員会の意見を聞いて行われる食品健康影響評価と呼んでおりますが、そういうふうに制度が変わっております。現在は食品安全委員会の定める安全性評価基準に基づきまして、個別の品種・品目ごとに安全性評価が行われております。
 これまでに、我が国では大豆、とうもろこしなど、77品種の食品と14品目の添加物の安全性審査を行って、人の健康に影響がないということの確認をしております。また、未審査の遺伝子組換え食品の輸入に関しましては、遺伝子組換え食品の輸入時の届け出が正しく行われているか検証するため、各検疫所において輸入時にモニタリング検査を行っているところでございます。
 3ページの下の方、(3)でございますが、調査研究、こちらの推進も行っております。遺伝子組換え食品の安全性確保のために、そういった食品の検知に関する試験法、それから海外で開発されております組換え体の安全性評価状況等に関する調査研究を厚生労働科学研究というところで行っているわけでございます。
 最後の4ページでございます。
 (4)といたしまして、国民への情報提供、こういう分野は非常に重要でございますので、安全性審査に関する具体的内容の紹介をしたQ&Aとか関連資料はホームページに出しておりますし、パンフレット、そういったものをつくっておりますし、安全性審査にかかる申請資料も公開ということでやっております。また研究につきましても、そういう成果について適切に公表するということをやっているところでございます。
 最後に、この分野の国際的な取り組みといたしまして、FAO/WHO合同食品規格計画、コーデックス委員会というところがございます。そちらでバイオテクノロジー応用食品特別部会というものがありまして、こちらは我が国が議長国を務めまして、平成12年から15年まで計4回開かれております。4ページの中ほどに書いてありますように、こちらの方では三つのガイドラインを取りまとめまして、第26回のコーデックス総会で採択されて、この特別部会任務を終了して解散が承認されたのですが、バイオテクノロジー応用食品に関しましては、さらに検討すべき課題が多くあるということで、平成16年にまた再設置が決定され、再度我が国が議長国を引き受けております。
 こちらの特別部会では、こちらに書いてございます[1]から[3]に関する課題、そちらの方に取り組んでおって、引き続き我が国でこの特別部会を開催しておりまして、平成21年のコーデックス総会までに最終報告を提出することとされている、ということでございます。
 厚生労働省の関連の取り組み、以上でございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それではただいまのご説明に対して何かご質問なりご意見ございましたらお願いをしたいと思います。
 特にもし今の時点でないようでございましたら、本日はちょっと時間が押しておりますので、後ほどご質問なりご意見をお伺いするということで、私なり事務局の方へご意見をいただければ、それをまた厚生労働省のほうにお尋ねするというようなことにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

【熊谷委員長】 それでは、どうもありがとうございました。厚生労働省の皆さん、本当にご苦労様でした。
 それでは引き続きまして、経済産業省からのヒアリングをお願いしたいと思います。それではご準備ができたらお願いしたいと思いますが、まことに恐縮ですが10分間を目安にご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【経済産業省】 経済産業省でございます。お手元の資料、後ほど配らせていただきました資料に基づきまして、簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
 経済産業省ではこれまでの各省からのご報告とは少し異なるかも知れませんけれども、産業で生物資源を利用していくという視点に沿った一つのご紹介とお願いをさせていただければと思います。
 1ページめくっていただきますと、生物資源の生物多様性の中には生物の多様性の保全に加えまして、その構成要素の持続可能な利用ということと、そこから生じる利益の公正な配分と、こういうことが柱として定められております。ただ、この利用及び公正な配分のところが、なかなか進んでこなかったというようなこともございまして、前回の国家戦略等におきましては、多様性の保全に配慮した利用でありますとか、利用に当たっては保全を基本という形で、保全が中心の整理の仕方という形になっております。
 一番下の参考のところ、あとでまたご説明させていただきますが、生物資源のうち微生物資源、我々産業利用を昔から進めてきております。しょうゆやみそなどという伝統的なものに加えまして、最近では医薬品でありますとか、あるいは土壌汚染の改良とか、汚染物質の分解と、こういったようなところで利用しておりまして、こういったような利用の側面ということについてもぜひご配慮いただければと、こういうことでございます。
 1ページめくっていただきまして、2ページ目のところ、実は生物多様性条約が発効して以降、非常に利用にかかわる大きな問題がありました。発展途上国、資源保有国といわれておりますが、こういった国においては取得の許可制でありますとか、高い利益配分率の設定、こういったようなことを行い、またそれぞれの国に微生物を的確に把握をするという技術がないという状況で、その利用が停滞をしてしまったということがございます。このため、真ん中のところに書いてございますけれども、締約国会議においても持続可能な利用というものをどう進めるのかということが非常に大きなテーマになっておりまして、昨年行われましたCOP8の会議においても、COP10までに結論を得ることと、こういうようなことになっておりまして、次回の平成22年の締約国会議、我が国での開催というものを想定して準備を進めておりますけれども、そういったときまでに結論を得なければいけない、こういうような状況になっております。
 また、OECD、主要先進国の間におきましてもこういう事態を解決するためにどんな取り組みが必要かというようなことを議論してまいりまして、来週にも報告書が公表されると、こんなような背景がございます。
 それで次ページを見ていただきますと、前回の戦略が取りまとめられて以降、平成14年でございますけれども、微生物の利用を促進しようということで、製品評価技術基盤機構という中に生物遺伝資源センターが設立されまして、国内の微生物資源の収集・保存・提供ということはもとより、資源保有国との国際的な枠組みづくりに取り組んできております。小さい字のところ、あとでご紹介しますけれども、インドネシア、ベトナム、ミャンマー、こういった各国との二国間の技術移転とか協力を通じまして、途上国が安心して自分たちの国から微生物資源を利用のために移転ができると、こういったようなところを進めてきております。
 その下のところにございますように、生物資源の利用から生じる利益の公正配分について、COP10までに結論を得ようと、こういうことになっておりまして、我々がこれまで進めてきております持続可能な利用についての積極的な取り組みについて、こういう戦略の中に位置づけていただき、また各国との協力関係の構築ということの必要性等について触れていただければありがたいと、こういうふうなことでございます。
 2枚めくっていただきまして5ページ目をご覧いただきますと、微生物の利用というものがどういう形で進んでいるかということでございます。国内、あるいはいろいろな環境、アジア等の資源国の環境から、微生物を収集して分離してそれを保存をして増やして、必要な人に提供をするという取り組みを進めております。研究機関でありますとか、大学あるいは企業の方に微生物を提供し、そこから右側のところにございますような医薬品でありますとか、環境修復、土壌改良でありますとか、最近では抗菌加工というようなものが大変はやっておりますけれども、そういったようなものの性能試験、こういったようなところに微生物資源を利用するという形で進めております。
 最後の紙、6ページ目を見ていただきますと、今まで平成14年度以降進めてきておりますアジアとの協力関係の構築でございますが、右側にありますのが多国間の取り組みということで、アジア・コンソーシアムという関係機関のネットワークをつくりまして、問題点を共有するとともに、人材の育成に取り組んでおります。またそういう中から個別の信頼関係が構築されたところにつきましては、左側のところにございますように、現在までにインドネシア、ベトナム、ミャンマー、タイ、中国、モンゴルと、二国間の協定を結びまして、技術移転を行うとともに、こういう資源国の微生物資源を分析をいたしまして、保存し、国内の研究機関に提供するということで、そこに実績として箱の中に書いておりますけれども、各国数千の微生物、新しい微生物が非常にたくさん含まれておりますが、こういったものの保存とか提供ということを進めてきているところでございます。
 以上でございまして、ぜひともこういったような利用という視点についても触れていただければということでご紹介をさせていただきました。ありがとうございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの経済産業省のご説明に対して、ご質問なり、ご意見がございましたらどうぞ、よろしくお願いをいたします。
 それでは桜井委員、お願いをいたします。

【桜井委員】 この中で一つ重要な、今注目されているのでバイオ燃料の件、ちょっとお聞きしたいのですが、もしこれが現実にバイオ燃料に、いろいろな野生のそういう木材とか草木類も含めて、あるいは海草までも考えられていますけれども、こういったものが入ってきた場合、それがいわゆる生態系、あるいは多様性に与える影響ということがこれから当然考えなければならない大きな事態だと思うのですけれども、この方向性については何かありますか。

【経済産業省】 私どもでは、そういう生物資源をどう利用するかというところが中心でございますけれども、今おっしゃいましたように、そういう生物資源を何に求めるかということによっては、生態系との関連というのが問題になってくるだろうというふうに思います。ただ、国内で何かつくっていくということは余り現実的ではないということで、既存にある生物資源、バイオリソースをどう使うかということが主流になってくると思いますので、国内では大きな問題になるとは思っておりません。

【熊谷委員長】 ほかにいかがでしょうか。高橋委員、お願いいたします。

【高橋委員】 そのバイオマス利用のときに、バイオマスを利用することにより、生物多様性の直接的影響と同時に、バイオマスを利用することのシステムがつくられることによって、例えば森林の生物多様性が保全される場合も逆にあるわけですね。里山という感じで。そういう理念とか、考え方というのが、例えばNEDOの事業なり、この経済産業省の生物多様性国家戦略へのかかわりの中の大きな枠組みの一つとして求めていくつもりがあるのかどうかお聞きしたいと思います。

【経済産業省】 なかなかそこまで気が回ってないのだろうと思いますが、当面経済産業省がバイオ燃料と言ったときには、やはり経済性が非常に重要でございまして、既存にあるシステムに経済的に乗っかってくるものは何かという目で見ていきますと、なかなかそういう形で新しいものを国内に求めていくというのは難しいであろうと。むしろ、より地域施策的な観点で、今おっしゃっていただいたような地域にある資源をどう活用するかといったような視点での施策というのは別途あるのだろうと思いますけれども、経産省としてはどちらかというと、今燃料という形で考えておりますと、経済性が先に立って、既存のものの利用ということが多分、当面は中心になるのだろうと。そこから先、地域、ローカルな問題でありますとか、今言ったような多様な側面というのを求めていくというのは、その次のステップになっていくのではないかなというふうに考えております。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。ほかにございますでしょうか。森本委員、お願いいたします。

【森本委員】 それは、こういうことはあろうかなと思うのですけれども、微生物というのは余り保全というのは、具体的なイメージがちょっと僕浮かばないのですけれども、具体的な事例というか、そういうことも少しご紹介していただけたらと思います。
 それから、目に見える昔からの、何と言うか、薬になる植物であるとか、あるいは作物の中の有用なやつとか、例えばジャガイモだとかトウモロコシの原種だとか、そういうふうな保全だとか利用が課題になるということは、こういうのは全くないのでしょうか。

【経済産業省】 なかなか目に見えないものですから、保全というのをイメージするのは非常に難しいのですが、我々で言うと、要は自分たちの、例えば日本にある微生物というのを少しずつでもいいからはっきりと整理をしていくということがまず今、しかもそれは漫然と取っていくと物すごい数になりますので、極限的な環境でありますとか、そういう産業利用に資するところから微生物を分離して理解をしていこうと、こういうところが中心になっております。
 それともう一つは、さまざまな産業利用をする際にそれが生態系に影響を及ぼさないようにという配慮というのは必要になると思います。特に最近では遺伝子の組換えとかそういう話ではございませんけれども、土壌の改良とか土壌に含まれる難分解性の物質を微生物を使って分解をするというようなことを行う際には、それが外の生態系には影響がないということを確認した上で実施をするというようなことを実施しておりまして、その辺のことが必要になってくるのではないかというふうに思っております。

【森本委員】 微生物の探索というのは、大体そういう極限的なところからいろいろ取ってきて試してスクリーニングをやってみるというのが基本かなと思っていたのです。そうすると、微生物そのものを保全するというよりも、そういう環境というのか何というのか、極限的な環境を含めて、国内の多様な環境というのを、あるいはいろいろな国のそういうような環境というのを保護していくというか、この前テレビで見ていたらほら穴みたいなやつとか、結構人工的なやつでもそういうものが中に何かあったりとか、結構今は何か目に見える生き物がいるというのがわからなくても微生物の視点から見ると結構そういう極限的な環境というのが保存していく値打ちがあるというふうな可能性が、微生物屋さんの目から見るとあるかも知れません。例えばそういうことかなと思って聞いていたのですけれども、それでいいのでしょうかということと、それから、さっきの質問、もう一つあったのですけれども、ほかの目に見える何というか、例えば我々の食べている有用作物ありますね、それの遺伝子資源みたいなものの保全みたいなやつは今回産業省さんとしては全然関係ないのかなという。

【経済産業省】 植物的なところは農水省さんが種子というような視点で植物の遺伝子という形ではやっております。したがいまして、多分農水省さんの方でそういうことはやっておられる。我々はそういう、例えば植物と根粒細菌のような共生をしているようなものについては興味はございますけれども、植物そのものは農水省さんの方でやっていただいているというふうに理解をしております。
 それから、極限的な環境を保全するのがいいのか、その変化がいいのかというのはよくわからないところであります。国内にある環境というのはやはり限られているので、ここでいう、例えばモンゴルとの協力なんかでは、モンゴルではものすごく厳しい乾燥条件でありますとか、塩湖でありますとか、寒暖の差の激しさとか、いろいろな環境がありまして、そういうところを利用させていただくと、このようなことでやっております。

【熊谷委員長】 佐藤委員、お願いいたします。

【佐藤委員】 今日、ご説明のところとちょっと違って、高橋委員がおっしゃったこととよく似ているのですけれども、やはりライフスタイルを変えていかないといけないという側面があると、経産省と非常に関係があると思うのです。例えば温暖化の問題がこれから生物多様性と関係があるというと、やはり経済活動とのリンクも非常に問題になるのではないかと思うのですが、そのあたりとか、さっきおっしゃった燃料の問題とか、経済活動と絡めたところをどういうふうにこれから、今後考えていこうとしていらっしゃるのかを、もう少し詳しくお話しいただきたいと思うのですが。

【経済産業省】 多様性となかなか絡まないものですから、我々の部署は生物科学産業課という部署でございますので、バイオマス等の利用を促進する、それによってカーボニュートラルというような発想で地球環境に対する負荷を減らしていくというようなことは考えております。ただ、経済活動そのものをどうするかというのは、また我々とは別の視点で考えていく必要があるというふうに思っておりまして、我々はいずれにせよ、生物の機能を活用することによって、環境と調和をした、環境負荷の少ないシステムにしていこうと。先ほどから燃料の話をしていただいておりますけれども、我々は化学原料にもバイオマスを転換していくべきだというような議論を今進めておりまして、そうすることによって、化学プロセスの環境に対する負荷を低減していく、こんなような話もしておりますし、最近でやっと普及してまいりましたけれども、バイオプラスチックというようなもの、最近自動車のバンパーとか、携帯電話にも植物あるいは微生物のつくったプラスチックを使っていこうと、こんなようなことをやっておりまして、そういう側面から我々の方は進めさせていただいていると、こんなようなことでございます。

【熊谷委員長】 それでは森戸委員、お願いいたします。

【森戸委員】 特殊なテーマになっているから、ちょっと聞きたかったのですけれども、今まで生物多様性というのは、人類の安全で安心な暮らしの実現というふうに、一足飛びに人類一般に行ってしまうところがあるのだけれども、この持続可能な利用のところの中身で言いますと、要するに資源保有国とか、利益の公平な分配とか、わかりやすく言えばキーワードは国益ですよね。国益という言葉はとりあえずは避けているのだろうけれども、恐らくこういう二国間の取り決めでも何でも、そういう国益の交渉みたいなことだけれども、そういう視点を基本的に確認した上で打ち出すというようなことは余り考えてないのですか。それは例えば他の部署でやるような話なのですか。

【経済産業省】 国益ということは当然あるのです。特に途上国なりは、自分たちの国にある資源というものをどう国益に結びつけていくかということは非常に重要なテーマになっております。
 モンゴルとこの前、モンゴルの科学院の総長が来られましたけれども、モンゴルにある鉱物資源をもうすべて調べ尽くしたと、次は微生物資源なのだと、こういうような話をされております。ただ、我々は当然利益が上がるものについては適正にお返しをしていくということではありますけれども、実はバイオの研究というのは、国益を超えて、例えば薬というものが開発されますと、その薬による利益というよりも、この薬によって世界の病気になっている人が救われるという、そういうような国益を超えたところにも意味がある。発展途上国の中にある部生物資源がそこに埋もれたままだと、そういうことができないというようなこともございまして、国益を超えて、それを人類益につなげるような取り組みをぜひしたいというのが基本的な考え方でございます。
 国益ばかりを追求しますと、もともとこれが生物多様性条約が締結された背景にバイオパイラシーというような話がありまして、先進諸国の大手企業が知らないうちに資源をどんどん取っていくと、こんなようなことがあったわけでありまして、そういうところを超えて、それがみんなのためになる、そういうところをぜひ目指していきたいと、こういうようなことを我々としては考えているところでございます。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、時間も過ぎておりますので、経済産業省さんからのヒアリングをこの程度にさせていただきたいと思います。どうも担当の皆さん、ご苦労様でした。ありがとうございました。
 それでは、私の手元のシナリオでは、ここで休憩ということになっておりますけれども、事務局の方からちょっとご説明をお願いいたします。

【事務局】 それでは、ここで10分間の休憩を挟んで、再開を3時15分、10分ちょっと切れますけれども、3時15分からとさせていただきますので、どうぞご休憩ください。

(休憩)

【事務局】 それでは、時間になりましたので、休憩を挟みまして、国土交通省ということで、熊谷先生、お願いいたします。

【熊谷委員長】 それでは再開いたします。
 午後は、これから国交省の部局ごとにご説明いただいて質疑ということになってございます。ちなみに、国土計画局、都市・地域整備局、河川局、港湾局、総合政策局という、そういう順でお願いできればと思います。
 それでは、まず、国土計画局から、恐縮ですが10分間の説明ということで目安でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【国土交通省(国土計画局)】 ありがとうございます。私、国土交通省国土計画局の計画官をしております深澤と申します。先生方には国土交通行政につきまして、日ごろからご指導くださいまして、まことにありがとうございます。本日は、このような機会をいただきまして、まことに感謝申し上げている次第でございます。
 私の方から国土計画絡みの話題につきまして10分でご紹介したいと思います。お手元の資料の束の中から経産省さんの資料の次の資料で、これは4枚紙で、国土計画における生物多様性に関する主な取組み、国土計画局という資料がございますので、これに沿いまして、かいつまんでご紹介したいと思います。
 まずちょっと前半、枠組みと申しましょうか、国土形成計画についてやはりご紹介しなければいけませんので、それにつきまして簡単にご紹介して、その中で生物多様性につきまして特にご紹介したいと思います。
 表紙をおめくりいただきますと、国土形成計画についてというページがございます。1ページでございます。このたび、国土形成計画法が昨年の7月に施行されまして、それ以来、現在、国土形成計画を国土審議会におきましてご審議いただいて、今、策定中ということでございます。
 国土形成計画の枠組みにつきまして全国計画と広域地方計画の2階建てでございます。全国計画は、長期的な国土づくりの指針であると。それから広域地方計画が、右側の日本地図がありますけれども、このように東北ですとか北陸ですとか、このような広域ブロック、この広域ブロックごとに策定していくと。それを国、それから地方公共団体、経済団体等でいわばラウンドテーブル式に策定して審議していただくというふうな仕組みに改めました。従来、国土総合開発法という枠組みの中でやってきたものでありますけれども、昨今のいろいろな情勢の中で、このように2階建てに改めて、現在、全国計画につきまして審議会でご審議いただいているところでございます。
 2ページにまいりますと、実はこれは昨年の11月に審議会から計画部会中間とりまとめということで、中間的におまとめいただきまして出していただいたものでございます。これにつきまして、大体議論の方向性につきましてご紹介する目的がありますので、これにつきましても簡単にお目通しいただきたいのですが、四つのポイントがございます。
 一つが、人口減少が国の衰退につながらない国土づくりをやっていこうじゃないかということで、特に人口減少下において我が国初めて国土計画を策定するということでございます。
 それから、東アジアの台頭が著しいわけでありますけれども、その中で各地域の各ブロックの独自性をどのように発揮していくかということが二つ目のテーマでございます。今回、初めて空間的視野を東アジアまで広げた計画になってございますのと、東アジアの中で、東京対地方ということだけではなくて、東アジア全体の中で個性と魅力、国際機能等をとらえ直すのだというふうな視点がございます。
 三つ目に、地域づくりに向けて地域力を結集していくということで、多様な民間主体を担い手として位置づけるということですとか、従来のパブリックの領域に加えまして、パブリックとそれからプライベートの中間領域でいろいろな形で協働すると。これもお上からのアウトソーシングというふうなことではなくて、まさに新しい形でのパブリックな形、新たな公という概念を前面に打ち出しまして国土づくりを行っていくということでございます。
 それから、四つ目のポイントが、多様で自立的な広域ブロック、これもまさに多様性、それから自立ということをキーワードにいたしまして、しかしながら、全部が一つ一つ自立するということもなかなかこれは現実的ではありませんので、広域ブロックを単位として、これでまとまって、そこで成長のエンジンなどを確保しながら自立的な圏域を形成していくのだというふうな考え方を全面的に打ち出すものでございます。
 3ページにまいりますと、その中でも特に新しい国土像実現のための戦略的取組ということで、五つの戦略的取組をここで打ち出していただいております。
 大きくくくりますとと三つでございまして、左上のグローバル化や人口減少に対応する国土の形成と、これはいわばこれから新しくつくっていく部分、静と動というふうにいいますと動の部分、それから、右側の安全で美しい国土の再構築と継承、これはいわば営々と管理して、これからもしていくというふうな部分でございます。
 左側のシームレスアジアの実現ですけれども、先ほども申し上げましたように、東アジア諸国との相互依存関係の深まりの中で、各分野での交流・連携を強化していくというふうなことなどを中心にシームレスアジアの実現について述べております。それから、持続可能な地域の形成ですけれども、拡散型都市構造の是正を目指していくのだというふうな方向性を打ち出しております。
 それから、右側にまいりますと、災害に強いしなかやな国土の形成でございます。それから、4番目に、美しい国土の管理と継承ということで、このあたりからだんだんこの会議の趣旨に沿ったものになってくるわけでございますが、国民の環境保全への感心の高まりをとらえて、循環と共生を重視した国土管理を進めていくということですとか、アジアの成長ということをにらみますと、食料・森林資源の需要の高まりを見越して我が国の自給能力を向上していくのだというふうな方向性を打ち出していただいております。
 それから、このようなものを支えていくプラスアルファの新たな地域づくりの仕組みとしまして「新たな公」による地域づくりというふうな視点を横断的なものとして取り込んでおります。これにつきましては、先ほどご紹介したような考え方を、いろんな随所にこのような考え方で支えていくのだということ。もちろん、これだけではありません。もちろん、国、地域、自治体の役割は当然あるわけですけれども、新たな力ということで位置づけているわけでございます。
 それから、4ページ、5ページが本題になってまいります。国土形成計画の検討におきます生物多様性に関する指摘ということで、この1ページ前で五つの取り組みにつきましてご紹介申し上げましたけれども、その中の一つが、美しい国土の管理と継承でございます。問題意識といたしまして、国民各層の環境保全に対する意識の高まり、それから、循環と共生を重視する美しい国土、あるいは、食料や森林資源の確保、自給能力というふうなキーワードが並んでおります。
 特にその中でも循環と共生を重視し適切に管理された国土の形成ということで、自然界の物質循環だけではなく、社会経済活動を通じた物質循環、それから、既存のストックの有効利用など、人間活動と自然のプロセスとが調和した物質循環の構築を図っていくというふうな考え方のもとに、危機的な状況にある生物多様性の維持・回復、あるいは、人と自然の共生を図ることが重要な課題になっているというふうなことを入れております。あるいは、土地利用の総合的な管理ですとか、人間活動と自然が良好な形で相互作用を及ぼしながら、よく調和していく地域づくりですとか、あるいは、人の営みや自然の営み、そういうものの相互作用が地域の特色をつくっていくとかというふうな考え方で、ランドスケープというふうな概念を打ち出して、地域づくりのあり方として打ち出しているところでございます。
 それから、5ページにまいりますと、その中で、特にエコロジカル・ネットワークというとものを今回打ち出すこととしております。特に健全な生態系の維持・形成ということで、原生的な自然地域等の重要地域を核といたしまして、生態的なまとまりを考慮して、森林、農地、都市内緑地、それから海、その中に分布する湿原・干潟、こういうものを有機的につなぐ生態系のネットワーク、エコロジカル・ネットワークの形成を通じて自然の保全・再生を図っていくのだということと、それから、ネットワークの形成によりまして、野生生物の生育・生息空間の確保を行っていく。あるいは、生態系の多面的な機能がありますので、そういうものを期待していくのだと。それで、ネットワークは全国レベルの検討が当然ありますけれども、そこではどちらかといえば共通の理念ですとか、考え方ですとか、そういうことを中心に打ち出す、もちろん全国的なスケールで考えなければいけない大きな渡り鳥ですとか、そういうふうなものもありますけれども、基本的な共通の理念みたいなものをここで中心に打ち出すのと、今度は広域ブロック、先ほど冒頭にご紹介しましたように、広域ブロックでいろんな経済社会のまとまりをつくって、自立的に圏域をつくっていこうというようなこともしておりますけれども、例えば県境と県境、A県とB県の県境地帯というのは、しばしば豊かな生態系の大事なところですけれども、行政的にどうしてもなかなかお見合いになって抜け落ちてしまう部分もあるものですから、そういうふうなことを念頭に置きまして、広域ブロック程度の広がりを持った、そういうふうなスケールでエコロジカル・ネットワークを一つの行政の仕組みとして考えていきたいということでございます。かつての自然が失われた環境ですとか、里地里山、あるいは、都市内の低未利用地、これも国土利用の際には出てまいりますけれども、こういうものを積極的に自然の保全・再生プロジェクトを推進していくのだとか、あるいは、外来生物の侵入防止、野生鳥獣の獣害の人と鳥獣のあつれきの防止、あるいは、エコツーリズムの普及・定着、このようなことを盛り込んで、いろいろな多様な主体の参画のもとに、広域ブロックでのエコロジカル・ネットワークを形成していきたいというふうなことを打ち出しております。
 6ページは、そのイメージのポンチ絵でございまして、模式的に、エコロジカル・ネットワークは申し上げるまでもなく大変重層的なものでありますので、この二つしかないという趣旨ではもちろんありませんけれども、一つの行政の仕組みに乗せる必要もありものですから、全国とそれから広域レベルというふうに二つに分けまして、ここに例示的にお示ししているところでございます。
 今、全国計画を審議会で審議していただいておりますけれども、次の段階の広域地方計画レベルの段階で、このような具体的なものを地域でつくっていただくようご期待し、それからまた、促進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの国土計画局のご説明に対して何かご質問なりご意見がございましたら、お願いしたいと思います。それでは森本委員、お願いいたします。

【森本委員】 現在の状況を計画部会中間とりまとめ等のご説明をいただきまして、大変格調高いことが書かれておりまして、それなりに実現すれば、生物多様性の面からとっても有意義な計画なのかなというぐあいに思うわけですけれども、これの実現へ向けた担保性というのですか、そういうことはどうなっているのでしょうか。ちょっとこれをもし、差し支えのない範囲で聞かせていただければと思います。

【国土交通省(国土計画局)】 これにつきまして、まさに審議会でご審議いただいて、それから、いろいろな関係省庁等の合意形成をいろんな場面で行いながらつくり上げていくものでありますので、その策定過程を通じていろんな合意形成がなされていくということでございますのと、今回、広域地方計画を新たにつくることになりました。これにつきまして、このような理念的なものを受けて、今度は、現場ではだれが何をするのだというところを、どこまで何が書けるかというのは、これからまさに、最初のケースですので見ていくのですけれども、そのようなより現場に近いレベルでの議論の場を通じて、さらに合意形成がなされていくものと期待しております。

【熊谷委員長】 それでは、森戸委員、お願いいたします。

【森戸委員】 目指すべき国土像といいますか、あるいは、6ページのイメージ図でもいいのだけれども、これは時間を捨象しているのだと思うのですね、今のところ理念的だから。ただ、森本委員が言われたように、担保していくという場合には、ある時点というのがあるべきだし、節目みたいなものがあると思うのですが、それは大体どういう時点を想定しているのでしょうかね。

【国土交通省(国土計画局)】 国土形成計画、政策評価の仕組みに乗っておりますので、もちろん5年おきにいろいろにレビューを行っていくと、これは一つの行政の仕組みとして確立しておりまして、今後やっていくということでございます。
 それから、こういうふうなものにつきましては、国家百年の大計と申しましょうか、そういう部分ももちろんございます。タイムスケールとしても、すぐあしたやるべきことと時間をかけなければいけないものが当然ありますけれども、そこも含めまして、みんなで関係者が集まって段取りを考えていくということでございます。

【森戸委員】 前の全国総合開発計画のときには、目標年次みたいなものを設定していたんですけれども、今回は、その辺はどういう了解になっているのですか。

【国土交通省(国土計画局)】 議論の過程では、目標年次は、計画期間はおおむね10年間ぐらいを想定して議論をしております。それは100年のことを考えて、今後10年やるべきことというふうなこととして理解しております。

【熊谷委員長】 それでは、大体予定の時間でもございますので…、佐藤委員、失礼しました。佐藤委員よろしくお願いいたします。

【佐藤委員】 エコロジカル・ネットワークって、生物のことは書いてあるのですけれども、多分、今回のあれで、マルチハビテーションみたいな、生物多様性でも、人のかかわりが減ることによって生物多様性が担保されなくなったという視点がありますけれども、それは国土計画上、どういうふうに人の配置というものを考えていらっしゃるかをちょっと聞かせていただきたいと思います。

【国土交通省(国土計画局)】 そこはむしろ国土計画ならではのところだというふうに考えておりまして、ちょっと文章力が及んでいないところもあるのですけれども、例えば、農地のような二次的自然ですとか、まさに人とのかかわり合いをどう考えていくかというのは、大事なテーマだと承知しておりますので、おっしゃったような観点は当然、むしろ中心に近い部分として据えていくべきものと考えております。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。これからまだまだ細部まで詰めていかれると思いますので、委員の方から、今日はちょっと時間の制限もございますので、また国土計画レベルでのご質問なり何かありましたら事務局を通じてお伺いすることもあるかと思いますが、そのときには、ぜひ、ご協力をお願いしたいと思います。今日は本当にご苦労さまでした。ありがとうございました。

【国土交通省・国土交通局】 どうもありがとうございました。

【熊谷委員長】 それでは、引き続いて、都市・地域整備局からの説明をお願いしたいと思います。ご準備ができたらお願いしたいと思いますが、説明は目安として25分を一応めどにお願いをしたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

【国土交通省(都市・地域整備局)】 私、都市・地域整備局公園緑地課緑地環境推進室長の角南でございます。公園緑地における生物多様性保全ということについて、私の方からご説明いたします。座ってご説明いたします。
 お手元に公園緑地における取組という刷り物を用意させていただいております。かなり多目に用意させていただきましたので、要点をかいつまんで説明をさせていただきたいと思います。
 まず、見開いていただきまして、都市の緑についての施策の体系をご説明させていただきます。都市の緑につきましては、保全と創出というものに取り組む必要があるわけですけれども、その中で国、私ども国土交通省では、社会資本整備重点計画、あるいは緑の政策大綱というような計画に基づきまして基本的な方向、あるいは目標を定めて、それを受けて地方公共団体が具体の取り組みをされておるということになっております。
 地方公共団体では、右側にありますように、市町村が緑の基本計画というものを都市緑地法に基づいて定めていただいておりまして、その中で緑地の保全、それから緑化の推進、公園緑地の整備といったものを計画的に実施しているということでございます。それぞれの具体のメニューについては、その下に書いているようなものを、それぞれの公共団体が計画に取り組んで実施をするということでございます。
 一番右にありますように、さらに、技術開発・普及啓発というものも私どもで進めさせていただいているというところでございます。
 次のページに、社会資本整備重点計画のことを少し載せさせていただいております。これはもう皆さんご案内のとおりでございますが、平成15年の10月に、従来の九つの分野別の計画を一本化いたしまして、新しく社会資本整備重点計画というものができております。この中では、特徴として、真ん中のところに計画事項と書いてありますが、従来のような総事業費は内容としないで、アウトカム目標に重点を置くというようなことと、その下にありますが、事業間の連携の確保といったものについて力を入れて、今取り組んでいるところでございます。
 次のページを見ていただきまして、その社会資本整備重点計画において、公園緑地に関する目標等がどうなっているかというところを整理させていただいた表でございます。
 重点計画におきましては四つの重点目標というものがございまして、1.暮らし、それから、2.安全、3.環境、4.活力と、この暮らし、安全、環境、活力というのが重点目標になってございまして、それぞれその中にサブの目標があるということで、公園緑地にかかわるものをここに掲げさせていただいておりますが、本日は、その中でも生物多様性の関係で申し上げますと、1の(2)水・緑豊かで美しい都市生活空間の形成等というような目標に対して、具体的な指標としては、その右にありますように、都市域における水と緑の公的空間確保量を、平成14年度に12m2だったものを1割増ということで、19年までに13m2にするというような目標を掲げて、今取り組んでおります。
 さらに、3の(4)でございますが、良好な自然環境の保全・再生・創出という中で、その右の方にありますけれども、水辺の回復、あるいは湿地の回復の後に、生物多様性の確保に資する良好な樹林地等の自然環境を保全・創出する公園・緑地をおおむね2,400ha確保するといったようなことを目標に取り組んでおります。
 次のページを見ていただいて、今ご説明した内容ですけれども、都市における水と緑の公的空間量につきましては、平成17年度末現在12.7m2/人というところまで今至っているということでございます。ちなみに、それ以前の5カ年計画、個別の5カ年計画のときには、都市公園の面積だけで、この目標値を設定していたのですが、社会資本整備重点計画では、都市公園以外に港湾緑地ですとか、国民公園ですとか、公的なそういう公園緑地、さらには特別緑地保全地区といったような地域性の緑地で確保されるものも含めて、この対象面積にカウントをして目標量を設定して取り組んでいるところでございます。
 それから、生物多様性の確保に資する良好な樹林地等のものについては、2,400haの目標に対して、今、1,400haというようなところに達しているという状況でございます。
 それから、その次のページ、緑の政策大綱、これは国土交通省、以前建設省の時代に、建設省に係る、所管施策に係る緑の保全、再生、創出についての基本目標を定めたプランでございますけれども、平成6年に定めたものに基づいて今までやってきましたが、今年新たな緑の政策大綱をつくるべく準備を進めてございます。
 その中では六つの基本方向を掲げておるのですが、水と緑の美しい国土の形成等書いてありますけれども、多様な生物たちとの共生といったものもその目標の中に、基本方向の中に盛り込みたいというふうに考えております。それらのもとに政策の総合的な展開ということを図っていきたいと思っているところでございます。
 次のページ、都市の緑についての事業の体系ということで、先ほど一番最初にご説明したものの再掲的な格好になりますけれども、多様な事業手法・制度によって都市における緑の総合的な保全・整備を今推進しております。基本になるのは緑の基本計画でございまして、この中で都市公園の整備、それから、緑地の保全、緑化の推進といったものについて、そこの下にありますようなさまざまな事業・制度を活用しながら、計画的に実施をしていただいているというところでございます。
 次のページからは、それぞれの個別の制度・事業を少し簡単にご説明させていただくものでございます。
 まず、緑の基本計画制度でございますが、これは都市緑地法に基づいて市町村が策定をする計画ということで、都市公園の整備、緑地の保全、緑化の推進に係る総合的な計画というものでございます。住民の意見を反映しながら定めていくということでございまして、左の下の箱にあるような内容、必須事項と選択事項ということで定めていっていただくことになりますが、その中で、ここでお示ししているのは国立市の緑の基本計画、ここは「生き物と共に暮らせるまち・くにたち」というものをコンセプトにエコロジカル・ネットワークの形成を目指したプランを今つくって、それを受けて具体的な取り組みを進められておるということで、中核となる緑、あるいは拠点となる緑、あるいはネットワークといったものを、こんな格好でマスタープランをつくり、具体的な事業化等を図っておられるというところでございます。
 それから、次のページでございますが、そのエコロジカル・ネットワーク等を形成する上での一番の中核となる都市公園等でございますが、これにつきましては、施設整備、用地取得に国庫補助を用意して、さらには借地公園の場合には、そこにありますような税制措置も用意した上で公園緑地の整備の推進を図っているということでございまして、そこの下にありますようないろんな取り組みが今されておるということでございます。
 具体的な、どれぐらい今整備しているかというのは次のページでございますが、昭和47年から5カ年計画に基づいて鋭意整備をしてきておりまして、最近は社会資本整備重点計画というのがありますけれども、17年度末現在で10万9,000haほどの都市公園を整備してきております。1人当たりに直すと9.1m2というような状況になっておるというところでございます。
 それから、次のページは事業手法の中で、水と緑のネットワークを形成するに当たっては、公園事業単独というよりも、いろんな事業を組み合わせてネットワークを形成していくということが必要になりますので、緑地環境総合支援事業というのを平成16年度につくりまして、都市公園整備だけではなくて、緑地保全事業、あるいは市民緑地事業、借地公園といったものについて地区採択をして、その中で柔軟に事業執行ができるというような制度を設けて、今推進しております。
 それから、さらに次のページでございますが、特に自然の再生ということに特化した事業として、平成14年度に自然再生緑地整備事業というものをつくってございます。この事業につきましては、事業計画、調査の段階でも調査費の補助をつけながら、具体的な事業の実施に当たっては、植生回復、湿地、干潟の再生等についても補助をするということで、最近、補助については統合補助ということで一括まとめて補助をするというケースが多いのですけれども、ここの場合、個別補助ということで重点的に補助をさせていただいております。
 それから、そこから先は、今度は緑地の保全の制度でございます。都市緑地法に基づく特別緑地保全地区制度、これは以前からある制度でございまして、行為規制をして、現状を凍結的に保全をすると。そのかわり土地の買い入れをするというような制度でございまして、これによれば都市の緑をしっかり保全ができるということでございまして、従来からの制度なのですが、真ん中の指定要件のすぐ上のところにありますけれども、相続税の評価減というものが以前はそれぞれのケース・バイ・ケースだったのですが、平成16年度からは8割評価減と一律の評価減をしていただけることになりまして、地権者の皆さんからいえば税の負担が軽減できる。特に最近、都市内の山林、樹林地が相続を契機に失われているというケースが多いのですけれども、相続税対策という関係でも非常に期待されているということで、最近の指定が進んでいるところでございます。ちなみに、特別緑地保全地区の指定要件の中の3−ロとして、動植物の生息地としての緑地というものも指定できるということになっております。
 それから、次のページ、緑地保全地域制度、これは平成16年度に新たにつくった制度でございまして、今ご説明した特別緑地保全地区は許可制なのですが、もう少し緩やかに、届出・命令制で保全をするというような制度で、例えば里山等比較的大規模な緑地を保全するための制度としてつくったものでございます。特別緑地保全地区の場合は、買い入れをしなくてはいけないということで公共団体が少し二の足を踏む場面があるのですけれども、こちらの方は緩やかな規制ということで、買い入れの申出はできないという制度になってございます。現在、名古屋市さんほかで、今、地域の指定の準備をしていただいているところでございます。
 それから、次のページ、市民緑地制度、これも樹林地の保全のための制度なのですけれども、地権者と公共団体が契約を結びまして、保全をするとともに公開をするということで、公共団体が管理に必要な施設整備をし、地権者にとっては固定資産税が非課税になる、あるいは相続税が一定の場合には2割評価減になる、というようなことで今進めております。着実に指定がふえてきているというところでございます。
 それから、その次のページは緑地管理機構制度ということで、これは行政にかわってNPO等が緑地の保全管理ができるようにということでつくった制度でございまして、現在、四つの団体が知事から指定をされて頑張っておられるという状況でございます。
 それから、その次、管理協定制度、これにつきましては樹林地の管理を土地の所有者の方がやるのは、なかなか高齢化というようなこともあって大変になっているのですけれども、その緑地管理の負担を軽減しようということで、地方公共団体とか機構が緑地保全地域内の土地の所有者等と協定を締結してそれを管理するという仕組みで、これを適用すると、評価減がさらに2割評価減になるというようなことでございまして、今、いくつかの市区町村で協定締結に向けて検討いただいているところでございます。
 あと、風致地区制度、これは一定の規制をかけながら良好な都市環境を守っていく。建築許可はできるのですけれども緑は残しながら開発をするという制度でございまして、今17万haぐらい、ずっと横ばいの指定の状況でございます。
 それから、次の生産緑地制度、これも都市内に残っている農地、これの緑地機能に着目をして、その保全を図ろうというものでございまして、17年度末現在、1万5,000haほど決定をされているというところでございます。
 あと、そこから先は、今度は緑化の関係でございます。緑化を進めるための制度として緑化施設整備計画認定制度、平成13年度に創設をさせていただきまして、建築物の敷地内の空地、あるいは屋上、こういったところの緑化の計画を市町村長が認定をすると、その緑化施設に係る固定資産税を少しまけるということでインセンティブを与えることによって、そういった緑化を進めようということでございまして、18年度4月現在18カ所が今指定をされているということでございます。例えば、ここにありますなんばパークス、非常に立派な屋上緑化等をやっていただいますけれども、こういったものもこの制度を活用していただいているというところでございます。
 それから、その次、緑化地域制度というものを平成16年度に創設しております。これにつきましては、都市計画で地域地区として緑化地域を定めると、敷地面積の一定割合以上の緑化を義務づけるということができるという制度でございます。緑が不足している市街地等にそういう指定をして緑化を進めようということで、現在、左にありますように、名古屋市の場合は市街化区域全域を対象に地域指定を今進めておられるところでございます。今年度中には指定になるというふうに聞いております。
 それから、それと同等の効果を持つ、地区計画を定めることによって緑化地域と同等の規制を行うことができる制度がございまして、これについては、もう現在、3市区町村で実績が上がっているというところでございます。
 それから、地区計画緑化率制度のところで、「平成17年度末創設」と書いておりますが、これはちょっと間違いでして、「平成16年度創設」の誤りでございます。大変恐縮ですが訂正のほどお願いいたします。
 それから、緑化の推進のための施策として、社会・環境貢献緑地評価システムということで、これは民間企業が緑の保全創出活動を頑張っておられるものについて、客観的な基準で評価・認定することによってそれを進めようと、シージェスと呼んでいるものが、財団法人都市緑化基金によって始められております。そこに出ているようなトヨタの森ですとか、あるいは幸田テックさんの工場といったような、大変すばらしい緑を民間企業で保全・管理をされているものについて評価をすると。そういうことによって民間事業者のそういう活動を進めようという取り組みも始まっているというところでございます。
 その次のページ、今ご説明したようなさまざまな制度・事業を活用して、都市のエコロジカル・ネットワークを形成していただこうということでございますが、例えば、中核地区については、緑地保全地域、あるいは特別緑地保全地区等の指定によって緑の保全をすることによってそういう地区を確保する。拠点地区につきましては、大規模な公園緑地の整備をすることによって拠点地区を確保していくと。回廊につきましては、道路、河川、あるいは港湾、緑道といったようなもので確保するし、さらには緩衝地区については、風致地区、生産緑地地区といったようなもので民有緑地の保全をすることによって図っていくという中で、都市のエコロジカル・ネットワークの形成を図っていきたいと考えております。
 そこから先は個別の事例でございます。ちょっと大分時間が経過しましたので飛ばしますが、まずは公園緑地における拠点地区の創出の事例ということで、国営昭和記念公園、東京の立川の米軍の跡地につくっている国営公園、150haぐらいの公園ですけれども、右の写真の上のところが開園の前ということで、米軍の基地の跡、あるいは住宅の跡を、全く何もないところに樹木を植え、水辺をつくり、その結果、右下のような格好になってきております。生物調査をした結果、左下のように、昭和55年の調査に比べると平成15年の段階で倍ぐらいの種数、鳥類、昆虫、あるいは植物も物すごい数のものが出ているということで、森ができ上がってきていると、大規模な自然再生先駆事業として我々は考えているところでございます。
 ちなみに、このあたりについては、今日、お手元に「公園緑地がつくる都市のエコロジカル・ネットワーク」というパンフレットを配らせていただきました。これは生物多様性の保全の必要性ですとか、あるいは、それを実現するためにどんな施策があるかとか、あるいは具体的にどんな取り組みがされているかというものをお示しして、地方公共団体でそういう取り組みをやっていただこうということで、国土交通省がつくって地方公共団体等に配っているものでございます。昭和の例なんかは、この中にも書かせていただいておりますので、後で時間があれば見ていただければと思います。
 また、資料の方に戻っていただきまして、公園緑地による生き物の生息成育環境の創出の事例として京都市の梅小路公園のいのちの森というものをご紹介させていただきたいと思います。今日おいでの森本先生が中心になってモニタリング等を実施されているというふうに伺っておりますけれども、左下にあるように、国鉄の貨物の駅の跡に、全くの市街地の中にビオトープをつくって自然を再現しているというようなことでございまして、継続的にモニタリングを実施しながら、生態系に配慮した環境管理というものをやっている中で、広葉樹林がだんだん発達をしてきて、里山で見られるような昆虫類がもう既に確認されるようになってきているというような事例がございます。
 それから、その次のページは、今度は公園による自然環境の保全の事例でございます。谷戸の地形がだんだんなくなっている中で、それを残しながら公園として供用している、座間谷戸山公園というような例もございます。
 それから、その次のページは、これもすごく有名な事例ですけれども、ラムサール湿地になっています谷津干潟、これの保全も都市公園事業でやらせていただいているというところでございます。
 あと、公園の管理運営の中で生物多様性の保全等にも配慮したものをやっているという事例を次にご紹介しますけれども、里地里山については、先ほどありましたように人の手による継続的な管理が必要なわけでございますけれども、そういったものを都市公園の中に取り込むことによって、市民の参加も得ながらやっているというような例として、横浜市の舞岡公園というのがございますし、さらにそのあと、八王子の小宮公園、これも公園友の会という方々の協力を得ながら、ここでは観察会や体験学習といった環境学習プログラムを提供しながら公園をそういうものに役立てているという例もあるところでございます。
 あと、国営公園でも頑張っているぞというのが、その次の里地里山保全リーディングプロジェクトということで、国営公園、二次的な自然を有するところが多いわけで、里地里山の管理を多様な主体によってやろうといういろんな取り組みをやっておりまして、それを全国のモデルにしていこうということで、リーディングプロジェクトということで、今取り組んでいるという例もあるということでございます。
 それから、その次、ちょっと飛ばして恐縮ですが、自然再生の関係でいいますと、国土交通省、合同庁舎の3号館ですけれども、これの屋上に屋上庭園というものを平成12年の12月につくってございます。500m2の広がりですけれども、中央合同庁舎では初めての本格的な屋上庭園、これは屋上緑化技術の適用の検討と効果の検証をやろうということで取り組んだわけですけれども、左下の写真にあるような格好で、既存のビルの屋上ですので、耐荷重の問題があって、180kgまでしか乗っけられないのですが、人工軽量土壌を乗っけ、その植えに植栽をして、空調の水、天水がたまるような流れもつくってやった結果、6年間に10種の鳥類、それから180の昆虫類が観察されたというようなことで、大都市の市街地の中でも、そういった緑を屋上につくることによってもそういった生物の生息・生育空間をつくることができるというようなことを実際に実証を今しているところでございます。
 それから、環境教育というものにも力を入れておりまして、プロジェクト・ワイルドというものを国営公園でいろいろ実施してきております。それによって既に1万3,000もの指導者、これが誕生してきているといところでございます。
 あと、みどりの普及啓発については、ことしからみどりの月間というのが新たに定められましたけれども、こういう中でみどりの普及啓発にも鋭意取り組んでおりますし、その次のページ以降、都市緑化月間、全国都市緑化フェア、あるいは全国「みどりの愛護」のつどいということで、みどりの普及啓発に関する取り組みをずっとやってきております。特に全国「みどりの愛護」のつどいについては、ことし、国営公園アルプスあずみの公園、長野県であるのですけれども、これで国営公園を一巡するということで、来年度からは全国に展開をしていこうということで、愛護のつどいの精神といいますか、これを全国に広めようということで今考えているところでございます。
 あと、普及啓発としては顕彰制度、いろいろな顕彰制度がありますけれども、そういったものを使いながら緑に対する取り組みを進めようということをやっております。緑の都市賞、屋上・壁面緑化のコンクールといったものをやっております。
 最後、技術開発の関係ですが、公園・緑化技術五箇年計画というものを平成6年度から実施しておりまして、公園緑化分野で取り組むべき課題を官・民・学が連携して実施しようということで取り組んでいるものがございまして、その中に環境の分野で自然環境の保全・再生のための技術といったものにも取り組んでおります。その下にいくつか事例がついていますけれども、国営備北広陵公園で公園区域内のオオムラサキの生育環境の保全・利活用についての調査・研究、あるいは淀川河川公園、大阪にありますが、冠水による生物生育環境の復元に関する研究、あるいは国土技術政策総合研究所、ちょっと字が、「政策」という字が抜けて恐縮ですけれども、その上も、特定という「特」も抜けている、特定外来種二次指定植物の駆除手法に関する調査といったものについても鋭意取り組んでいるというところでございます。
 ちょっと長々となって恐縮ですが、公園緑地では、さまざまな事業・制度を使いながら、市町村の皆さんに、先ほど言ったようなパンフレットも配る中で、エコロジカル・ネットワークの形成に向けて取り組んでいるところでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。
 ただいまの都市・地域整備局のご説明に対してご質問、ご意見をちょうだいしたいと思いますので、どうぞお願いをいたします。
 和里田委員、お願いします。

【和里田委員】 一つだけご質問させていただきたいのですが、4ページに書いてある都市域における水と緑の公的空間量の下に、生物多様性の確保に資する良好な樹林地等の自然環境を保全・創出する公園・緑地と書いて、下に指標で、平成14年初期値ゼロと表現しているのですが、これは自分たちの十四、五年ぐらいから始める事業やら制度を明確に示したいためにつくった指標のように見えて、ここに書いてある自然環境を保全・創出する良好な樹林地等云々の公園緑地という表現では、じゃあ今まであなたたちは何もしてこなかったのですかということ、非常に大きな誤解を与える感じで、これは事業を進めるための指標としか評価できないのですけれども。

【国土交通省(都市・地域整備局)】 まさに、今言われるように、社会資本整備重点計画で今から5年間にどれだけ事業をするかという観点で、今から新たにつくる事業量をお示ししています。ついては今言われるように、もともと本来ストックがあって、そのストックにそれを積み重ねるという部分なのでしょうけれども、それが実際、日本の都市域の中に具体的にどれだけかという数字が、この社会資本整備重点計画をつくったときには十分把握し切れていない。例えば、公共団体で緑の基本計画をつくられているところは、それなりに現況調査をして把握されているのですけれども、相当の市町村が今やってくれていますが、まだ全国すべてというわけにはいかないものですから、そのあたり、残念ながら国で把握できないので、フロー分だけをこの計画の段階では入れさせていただいたということになっているものです。

【和里田委員】 5年ぐらいはいいけれども、将来的には誤解を生ずる指標になりかねないから。

【国土交通省・都市・地域整備局】 少し工夫をするというか、公共団体にぜひ、緑の基本計画を早く皆さんにつくっていただいて、現況把握をしっかりしていただいた中で、国として次にどうするということができるように、さらに努力をしたいと思います。

【熊谷委員長】 ほかにいかがでしょうか。磯部委員、お願いをいたします。

【磯部委員】 不勉強で余りわからないのですが、こういったもので緑地を増やして、その後、維持したり管理したりというのがまた大事なのだろうと思いますけれども、その中では大きな話として、例えば、谷津干潟のご紹介なんかもありましたけれども、今、谷津干潟の状況というのは余りよろしくない、アオサの問題等があって。あのぐらい大きくなると、随分維持管理といってもお金がたくさんかかるという話になると思うのですが、そういうそこの話ではなくて、一般的な話として維持管理が相当費用もかかるようなものについて、国土交通省としてどのようなサポートいいますか、ということがあるのかということについて教えていただけたらと思います。

【国土交通省(都市・地域整備局)】 都市公園の場合、先ほどご説明させていただいたように、整備の段階では、用地取得、あるいは施設整備に補助をさせていただいているのですけれども、基本的に維持管理についてはそれぞれの設置者が負担をしていただくということで、国庫補助は制度はございません。今お話のように、公園面積が増えますし、あるいは公園の管理のやり方についても、いろいろ現地の状況に合わせて、あるいは住民の意見を聞きながらということになると、なかなか公共団体だけで管理ができないという状況もございます。そういう中で、できるだけいろんな主体の参画を得ながら管理ができるようにというようなことは我々としても考えておりまして、そのためのいろんな仕組みについて、今、次の社会資本整備重点計画で、まさに多様な参加による管理をどうやって進めるかみたいなことも検討してございまして、そういう中で、なかなかすぐ補助金というわけにはいかないのですけれども、何がしか支援をする仕組みづくりというものを考えていかなくてはいけないかなというふうには考えておるところでございます。

【熊谷委員長】 鹿野委員、お願いをいたします。

【鹿野委員】 都市内の公園緑地における多様性というのでしょうか、そういう点について、ただいま大変よくわかる説明をいただいたのですが、国交省全体というか、都市全体ですね、としては、日本の都市における生物多様性がどうであるのかという、そういう視点でつかまえたい感じがするのですが、そういった場合に、都市の中の公園緑地、いわば点々と説明されたのですが、都市というオープンスペース全体をつかまえて、そこの生物多様性がどうであるかという説明材料というのは国交省さんではお持ちなのでしょうか。ちょっと面倒くさいのですが、要は住宅地だとか、ビルだとか、民間のいろんなもの、もしくは都市内の道路沿線、そういったものを含めて都市内の生物多様性全体がどうなってきたかというあたりを説明できる資料というのをお持ちでしょうか。

【国土交通省(都市・地域整備局)】 先ほど緑の基本計画を少しご説明させていただきましたけれども、ちょっと説明の仕方が悪くて、何か点々にしかやっていないような感じが伝わったのかもしれませんが、都市全体について、それぞれの地方公共団体が都市内の緑、あるいは自然環境の現状について、さまざま調査をされる中で、どこが非常に保全すべき中核のところになるのか、あるいは緑の多い住宅地、これをどう保全するかというようなことについて、例えば住宅地であれば風致地区というものを活用しながら残していく、拠点であれば、中核のところであれば緑地保全地区で地域性の緑地を使いながら残す、何もないけれども、ぜひここには拠点が要るというところについては、例えば都市公園事業で整備するというような格好で、公共団体レベルでは、都市の自然環境の現状を調査・把握した中でやられていると思うのですが、それの全国の状況について、私どもいくつか、緑の基本計画をいただいているところについては拝見できるのですけれども、全体がどうなっているかについては残念ながら国では把握ができていないという。国として、国がみずから調査するというような格好でも今のところは残念ながらないと。地方公共団体の情報は地方公共団体が調査した内容を我々が集計して全国の状況という格好にして入れているものですから、今ご説明したようなことを私ども把握をしているということにとどまっております。

【熊谷委員長】 森本委員、お願いをいたします。

【森本委員】 ちょっとご説明もあったのですけれども、都市緑地の保全で、例えば特別緑地保全地区で買い取りをやって、京都の吉田山の写真が出ておりましたけれども、ああいう形で町の中の貴重な拠点確保していくというのが、ほかに歴史的風土の特別保存地区というのもあって、既に買い取りが、僕の記憶では200haは超えているように思うのですよ。ところが今問題になっているのは、そういうところの買い取ったものの後のメンテができないので、何か今、例えば竹が生えてきていて、切りたいんやけれども、だれも切る人がいないし、下手に切ると、風致地区とか古都保存に引っかかるとか、いわゆる緊急避難的に現状維持型で指定してきたところが、実は今現在は管理がちょっとできないことことによって、生物多様性の見地からするとまずくなっているという、そういう面が結構あろうかなと思うのです。
 だから、いわゆる、寄るな触るな型の緑地保全から、これからうまく管理していく、そういう仕組みをどうつくっていくかというのが課題だろうなと思っているのですけれども、これは従来の緑地保全地区とか歴史的風土とか、いわゆる凍結型みたいなものをやっているところについて、何か政策転換とかというのが、何かあり得るのでしょうかね。何かちょっと、もしありましたら。

【国土交通省(都市・地域整備局)】 今お話がありましたように、緑地法に基づく特別緑地保全地区、それから古都保存法に基づく歴史的風土特別保存地区、昭和40年代にできた制度です。そのころ、都市開発圧力に対してどうやって守るかということで、現状を凍結するような規制をかけることによって守るということでやってきた制度でして、それによって守れてきたということはまさにそのとおりなのですが、一方、今お話がありましたように、最近は土地の所有者が例えば高齢化をするですとか、あるいは昔のような産業構造ではなくなって山にだれも手を入れなくなったというようなことで、開発圧力ではなくて、中から壊れるといいますか、いうような部分も出てきているのが事実でございまして、そういった観点で、凍結保存だけではなくて、今度は維持・保全・活用をどうしていくかというのが、まさに古都法の中でも今課題になっているところです。ただ、これについても、先ほどお話がありましたように、維持管理補助というのも、なかなか財務省は非常に厳しいものですから、国がみずから補助金をつけてという選択肢がなかなか厳しい中で、どうやってそういう維持管理に対して支援をしていくかというのを今、知恵を絞っている、なかなかいい答えはないのですが、まさに課題というふうに受けとめて検討しているところでございます。

【熊谷委員長】 あと、いかがでしょうか。もし、ご質問だけでもあればお伺いしておきたいと思いますが。では、高橋委員お願いします。

【高橋委員】 都市緑地は詳しくないのでちょっと教えていただきたいのですけれども、さっき維持管理の問題があったのですけれども、国立公園でさえも都市住民が受益者として負担をしようかという話が出ている時代なのですが、都市公園というのは都市住民が当然受益者になるわけですよね。その住民の方たちが公園管理に具体的にお金なり労力を払うとか、あるいは地域の学校公園みたいな形で学校の子供たちが活動して、整備もある程度、その子供たち自身がやるわけではないにしても、それにかかわる人たちがやるとか、そういう事例というのはないのですか。

【国土交通省(都市・地域整備局)】 まず、都市公園の場合、例えば国営公園なんかは受益者負担をとるということで有料で供用している公園もあります。市町村あるいは都道府県の公園でも、規模の大きいものであればそういうものもございます。また、今お話のように、それを地域の皆さんが一番受益を受けるわけでして、その受益を受ける方々が、例えば公園愛護会みたいなものをつくられて実際の公園の管理に参加をして、清掃ですとか、あるいは花の管理をするとかというものについては、もう全国の都市公園で相当数ございます。ただ、全部をなかなか地元の皆さんだけでできないということで、さらに、そういうものにどうやって、例えばNPOですとか、あるいは民間企業とか、さらに多様な参加を得ながら地方公共団体の負担も減らし、さらには公園のストックを有効活用するという観点でも、そういういろいろな方々の参加で管理することによって、そのストックがさらに有効に使われるという観点も含めて、そういう多様な参画を得ながら維持管理をどうやって進めていくかというようなことについて今検討しているというところでございます。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。森戸委員、お願いをいたします。

【森戸委員】 今の関係ですけれども、指定管理者制度というのは始まったばかりみたいですけれども、状況をどういうふうに見ておられますか。これはどんどん広がるとか、いろいろ問題があるとか。

【国土交通省(都市・地域整備局)】 ちょっと、問題があるかどうかについてはなかなかコメントしにくい部分があるのですけれども、今、指定管理者制度が始まって3年ぐらいの期間で、まさに今ちょうど途中ぐらいの段階です。公共団体側から見ると、指定管理者ということで、民間のそういうノウハウを入れることによって、より安く、より高いサービスを提供してもらおうというようなことで始まっているのですが、どっちかというと、何かより安くのところが非常に表に出て、受けている側も本当はもっとお金をかけていいサービスをしたいのだけれども、安くみたいなところで厳しく見られていると。受けた側から見ると、評価がどこでどうされるかみたいなこともあって、3年たった後、それが公共団体から見て指定管理者に出したのがどうだったかという、またそこも評価が必要ですし、指定管理として受けた側、民間企業から見ると、何か始まったら手を挙げて受けなくちゃみたいな部分があって相当受けられたところもあるのですけれども、それを民間側がどう評価されるかというのが今から出てくるのだと。ただ、その評価尺度が余り明確なものがない部分があって、そのあたりについて、何がしかやっぱり国としても、例えば指定管理者をやるときの資格要件をどうするかとかみたいなことも含めて、この指定管理者制度を、始まった制度を、本当に公園から見ると、意味のあるといいますか、よりいいサービスを提供するためのシステムとして動くように、我々としても何がしか考えていく必要があるのではないかと思っております。今のところまだ、評価は今からかなと思っております。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。今日は本当に限られた時間でヒアリングをさせていただいておりますので、委員の方々からまた後ほどご質問なりご意見が出ろうかと思いますので、そのときには事務局からまたお尋ねすると思いますが、ぜひ、ご協力をいただきたいと思います。
 それでは、都市・地域整備局からの説明については、これで終らせていただきたいと思います。どうも担当の皆さん、ご苦労さまでした。ありがとうございました。
 それでは、引き続いて、河川局の方からご説明をいただきたいというふうに思います。ご準備ができたらお願いしたいと思いますが、説明時間の目安として25分を一応めどにお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【国土交通省(河川局)】 ありがとうございます。私、河川局の河川環境課から参りました河川環境保全調整官をしております小俣と申します。よろしくお願いいたします。それでは、座って説明をさせていただきます。
 お手元にA4横で河川・砂防における生物多様性に関する取組みということ資料を配付させていただいてございます。
 河川局でございますけれども、海岸保全も担当してございますが、海岸につきましては農水省さんの方で一括してご説明をいただいているということで、この中では省略をさせていただいてございます。
 それでは、まず早速でございますけれども、1枚めくっていただきまして表紙の裏からご説明をさせていただきます。
 まず、全体的な取り組みの経緯をざっとご紹介いたします。河川局でございますので、明治政府ができて、まずは治水ということから行政がスタートしてございますけれども、その後、我が国の地形、降雨特性から見て、とにかく雨が降ると洪水、照れば渇水になってしまうという特徴から、水系を一貫的に管理して、水全体として、水系として管理しようということで、治水と利水を一体とした現在の河川法の体系ができたのが高度成長期の昭和39年でございます。
 その後、いわゆる治水・利水ということで、いろんな整備をしてきたわけですけれども、やはり河川は自然公物でございます。いろんな世の中からのご批判もあって、平成9年には河川法改正しまして、我々としては、治水・利水にあわせて、環境もあわせて河川管理の目標として設定しまして現在に至っているという流れでございます。
 その環境面についての少し細かい経緯についてご紹介したのが2ページ、それから、その次の3ページでございます。
 まず、河川といいますと、高度成長期はやはり水質汚濁ということから環境面の取り組みが始まりまして、その後、特に東京オリンピック以後、河川の空間に目がいきまして、その空間をグラウンドとか公園とかに使うという、いわゆる利用型の河川の環境面の取り組みが進んできたというのが40年代以降でございます。その中でのルールを決めるですとか、あるいは関連する事業を行うとかということが進んでまいりました。
 その後、やはり元来、河川というのは自然な場であるということの、そういった意識が高まってまいったということで、河川の空間をいかにみんなで分けて、あるいはいろんな方が、多くの方が使っていくかということもあって、河川環境管理をどう考えていくのかという議論が始まったのが昭和の後半になります。
 その後、地域とともに河川の環境を考えるような形でいろんな形の事業が始まり、そして河川改修をやはりコンクリートだけではなくて、自然のことを考えて、河川の自然をいかに保全しながら、あるいは場合によっては再生しながら河川改修をやっていくのかということで、多自然型川づくりという試みが始まったのが平成の初めでございます。
 それから、裏面になりますけれども、さまざまな自然、あるいは生き物に着目した取り組みが始まりまして、先ほど申しましたように平成9年には河川法改正ということで、河川環境の整備と保全というものを河川法の目的化したということでございます。
 その後、環境教育、あるいは自然再生、さまざまな環境面の取り組みが始まりまして現在に至っているということになります。
 ことしは河川法改正から10年の節目の年になってございまして、この10年間の取り組みについて、今、振り返るレビューもやっておるところでございます。
 それでは、最近の具体的な取り組みについてご紹介をさせていただきます。5ページを開いていただければと思いますが、先ほど平成2年に多自然型川づくりということで、いわゆる私どもがやっている河川改修に当たって、ただ単にコンクリートを張って洪水を流すということではなくて、もともとある川の自然の姿をできるだけ改修後の川の中によみがえらせると、あるいは保全するという形の河川改修に取り組み始めたということでございます。それを河川局の呼び方として「多自然型川づくり」として呼んでまいりました。
 その後、平成2年、その前から各地で取り組みがあるのですが、平成2年に河川局としてかけ声をして取り組み始めて、今17年がたったわけですけれども、果たして現地の川が本当に我々が思っているような形で、いい自然なり、いい環境なりを現地にもたらすことができたかという反省をしなければいかんという事態に立ち入りました。それは例えば、このページの左の下の方でございますけれども、魚がすめるような穴をあけたブロックを置いたけれども、例えば砂の上に浮いてしまっているとか、あるいは川の護岸をできるだけ緩やかにして、植物が再生するとか、そういうことも考えながらやったつもりではあるのですけれども、結果としては川全体に石を張ってしまうとか、いろいろな形で大きな誤解なり、あるいは勘違いも出てきてしまっているという現状がございました。
 そういったことで反省をするためのレビューの委員会を設けまして、昨年度になりますけれども、昨年の秋に多自然川づくり基本指針という形で、改めまして全国に対して、もう一回、下世話に申しますと、ふんどしを締め直して取り組み、再出発をしようということで再スタートを切ったところでございます。
 「型」というものを取りまして、型といいますと何かそういう多自然という型があって、その型の紋切りの改修をすればいいみたいな誤解もあるだろう。あるいはモデル的な取り組みで、普遍的なものではないような誤解を与えてはいかんということで、一般名称として「多自然川づくり」と呼ぼうということに切りかえをしたということでございます。
 また、こういう工事を河川改修にあわせてということを申し上げましたけれども、やはり河川は生き物でございます。洪水もあれば渇水もあるということで、そういった移ろいの中で川が変化していくことも含めて、我々河川を管理していく立場でございますので、つくったらおしまいということではなくて、河川管理全体の中でそういったものをとらえていくということ、あるいは、そういった取り組みについての全体のレベルを上げていこうというようなこともあわせてご提言をいただいて、今その提言に基づいていろんな取り組みを進めているところでございます。
 次のページ、6ページでございますけれども、少しパーツの議論になりますけれども、多自然型川づくりというものを言い始めたのとあわせまして、やはり川には多くの横断工作物がございます。特に下流部ですと、農業用の取水堰、あるいは工業用水や浄水の堰があって、魚の遡上あるいは降下を妨げるというようなことをことが盛んに言われるようになりました。そういった中で、魚ののぼりやすい川づくり推進モデル事業というものを平成3年度から取り組んでまいりまして、いわゆる魚道の設置、あるいはそういった工作物の改良を進めてきたところでございます。
 ここに書いてあるモデル河川の中でということでございますけれども、これはちょっとデータが古くて申しわけございませんが、例えば延長で申しますと、この川の対象延長3,000kmのうち2,000km余りが移動可能になるようになったというような事業の進捗を見たということでございます。
 また最近では、もう先ほど申しましたように、川の自然全体を考えるということで、魚が上る、上らないだけではないということでございますので、私どもも今は魚の上りやすい、このモデル事業というものはもう終了しまして、多自然川づくりの中で一体的にやっていこうということでございます。
 その中で特に最近言われていますのが、本来、川は氾濫しながら平野をつくってきたという長い歴史がございます。その中で周辺の湿地とか、あるいは新しい歴史の中では周辺の農地とつながりながら生物の多様性を保ってきたということもございます。その周辺の水路や湿地とのつながりが川との間で断たれてしまっているという現状をかんがみまして、そういった流域との連続性の確保ということについても、関係者の方々のご支援をいただきながら、あるいは協力いただきながら進めているということもございます。
 1枚めくっていただきまして、7ページからが自然再生関係の取り組みでございます。今ほど申しましたように、私どもが治水なり利水なりの目的のもとで川を改変するという中での自然への取り組みということをご紹介しましたけれども、既にそういった形で損なったもの、失ったものに対して、それを取り戻す取り組みということで自然再生についても取り組みを進めているところでございます。
 釧路湿原につきましては環境省さんの方からもご説明があったかもしれませんが、私どもとしても、間を貫きます釧路川が1級河川でございます。この釧路川につきまして、過去直線化した河道の再蛇行化の工事をするというようなことですとか、あるいは、上流の河川から流入する細かい砂あるいはシルトをできるだけ湿地に入れないような工夫をするとか、そういったものを協議会の中で皆さんとご相談しながら進めているということもやってございます。
 また、8ページでございますけれども、これは円山川の事例でございますけれども、円山川も国の管理する1級河川がこの地域を貫いて流れてございます。ご存じのように、ここではコウノトリの野生復帰の地域を挙げた取り組みがなされてございまして、私どもも県の河川部局と一緒になって、河川として湿地の再生であったり、ここに書かれていますようなことを関係機関の方と連携しながら取り組みを進めさせていただいているところでございます。
 それから、9ページでございますが、これも同じく自然再生への取り組みでございますが、佐賀県の松浦川という川で、この右上に、ちょっと見にくいかもしれませんが湿地の再生をした写真がございます。これはもともと農地でございまして、ここを治水のために水を一時的に貯留する遊水地というものを整備するというような計画がございました。その際に、遊水地に当たる部分を地域の方とさまざまな議論して、右下の方に書いてございますけれども、主にこの周辺は農家でございますので、先ほども一部ご議論がございましたが、将来的な維持管理も含めて地域の中で自然再生した湿地を維持していくということも含めた議論をずっとしてまいりまして、現在、再生された湿地があって、その湿地を地域の方々が守っているというような状況の事業も進めてございます。以上が自然再生に関する取り組みのご紹介でございます。
 それから次のページ、10ページは外来種に関係するご紹介でございます。河川も植物、あるいはさまざまな動物、特に魚類につきましては外来種に関する問題が出てございます。河川局の方では平成12年ごろからこの研究会をつくりまして、外来種、まずどういったものが一体河川の外来種としてはびこっていて、それがどういう生態を持ち、あるいはどういう課題をもたらしているのかというような勉強をしてまいり、その事例集等を作成してまいりました。
 また、現地の河川におきましては、この右側に、これは多摩川の例を書いてございますけれども、ハリエンジュ、外来の木本ですが、繁茂したところを昔ながらの河原に再生するような取り組みをしているところもございますし、また最近、非常に全国各地で、例えば植物ですとアレチウリが蔓延しているとか、そういったものの駆除活動を地域の方と一緒になってやるとか、そういったような取り組みもしてございます。
 ただ、なかなか根本的な抜本的な解決に至っていないというのが現状でございますので、今後、魚類あるいは植物双方について、もう少し集中的な検討をして、そういった対策事例を積み重ねていきたいというふうに考えてございます。
 それから、11ページ、12ページでございますけれども、ダム関係の話題をいくつかご紹介します。
 ダムができますと、特に11ページは、発電をするようにダムができますと、水を川と違うところを通して下流に持っていってしまって、川に水がなくなるというようなことがございました。そういったいわゆる減水区間と我々呼んでいますけれども、そういう水が減るということに対して、発電事業者さんといろいろご相談しながら、川に水を戻す取り組みを進めてきたというのが11ページのご紹介でございます。
 それから、もう一つ、ダムができますと、これは発電ダムに限らずでございますが、どうしてもダムの目的そのものが洪水を緩和する、あるいは洪水の水をためてそれを使えるようにするということでございます。ただ、結果として、その反作用として、下流に洪水の自然のインパクトがなくなって川のダイナミズムが失われるというような反作用がいろいろ言われるようになってきてございます。
 そういった中で、我々が水利用なり治水なりの問題が生じない範囲の中で、いかにそういった反作用を緩和するかという実験的な取り組みをいくつかの川で今やっておるというご紹介でございます。
 それから、時間も限られていますので、少しはしょらせていただきますが、13ページは都市部での水環境の改善のご紹介でございます。上の段は、湧水の復活ということで、千葉県の方で高台が都市化されてしまって、非常に地下水の涵養機能が損なわれてきたという中で、下の湧水が枯れたというときに、その高台での貯留浸透機能を向上させるような取り組みをして湧水を復活させているというような例、あるいは、都市域の停滞型の水路あるいはお堀が非常に水が汚くなったということについて、川の水を活用する、あるいは下水道の水質浄化を行うということとともに地域の方と一緒になって、こういう観光地の復元に資するような水質改善も取り組んできているということでございます。
 ちょっと14ページは飛ばさせていただきまして、15ページからが砂防関係のご紹介でございます。まず、16ページ左側が足尾銅山、このようないわゆる荒廃山地について、荒廃した山地表面について、これはほっておくと土砂崩壊、土砂流出を招くということで、いわゆる緑化の取り組みをして、現在、昭和62年から平成16年にかけて、このような形で山地の緑を回復してきているですとか、あるいは阪神・淡路大震災のありました兵庫県の六甲山地の山腹、都市の頭に位置するような山腹の斜面の緑化を図っているですとか、そういった山腹の保全、土砂流出の保全とともに、山中の森林環境の回復を図っているというような事例でございますし、次のページ、17ページにつきましては、これは長野県の方の北アルプス関係での砂防工事でございますが、当然、中央構造帯に隣接するような地域で、非常に土砂生産が盛んで、いわゆる土砂災害も頻発するということになります。そんな中で工事をするわけですが、同時にそういった地域は、景勝地であり観光地であるということで、景観に配慮したようなさまざまな工夫をしたり、あるいは17ページの右上は、ちょっとわからないかと思いますけれども、床固工というふうに矢印で打ってございますが、こういう川の中に溶け込むような形で構造物を設計し整備するというような形の工夫をしておるというようなご紹介でございます。
 また、18ページでございますけれども、砂防やダムに関係しまして、山から海までの土砂の流れを遮断してしまうと、一部の反作用がございます。そういった中で私ども総合的な土砂管理といいまして、山地から海まで、いかに土砂を環境面あるいは生態面に配慮した形で土砂の流れを復活させるかというような取り組みも、今、試験的な部分も含めて進めているところでございます。
 それから、最後になりますけれども、20ページからが調査・研究関係のご紹介でございます。私ども、先ほどのような多自然川づくりや自然再生を進める、あるいはアセスメントを行うということが私どもの仕事として非常に重要な部分を占めているわけですが、それを行うに当たっては、どうしてもやはりデータとして、その川の生物相なりが一体どうなっているのかということを把握しておく必要がございます。そういったことで、現在、河川水辺の国勢調査という、直轄水系を中心でございますけれども、同じ場所で、同じような調査を行うという形で、(4)のところにちょっとバーチャートを書いてございますけれども、5年に1回一巡するような形で、左下に書いてありますような調査項目について、各生物相あるいは川の物理環境について調査、データセットをつくりまして、これが15年続けてまいりましたので、一応、3セットデータとしてそろっているような形になってございます。そのようなものを使って、この右下にございますような河川環境情報図と私ども呼んでいますけれども、こういう河川の生態マップのようなものをつくりまして、河川工事に当たって、あるいはアセスメントに当たって活用しているということでございます。
 また、次のページでございますけれども、我々、工事をやったインパクトが一体生態系にどのような影響を与えるのかということを、やはりまずは科学的に明らかにしていくということが何よりも大事だということで、私どもの研究機関に自然共生研究センターというものがございます。ここでは写真に書いてありますような、少し大きな現地での実験河川を設けていまして、その中でいろいろな魚の生態であるとか、藻類の挙動であるとか、そういったようなものの実験なり研究をしたり、あるいは現地でフィールドを持って、生物系の先生方と一緒になって、物理環境と生物環境との関係を研究するというような取り組みもここ10年来進めているところでございます。
 それから、次のページでございますけれども、ダムにつきましては、当然環境へのインパクトが非常に大きいということで、アセスメントあるいはさまざまな保全措置に取り組んでいるところでございます。この右上にございますようなダム事業における環境影響評価の考え方という、写真ではちょっとわかりにくいかもしれませんけれども非常に厚いマニュアルでございますけれども、こういったマニュアルのもとで各地のダムにおけるアセスメントを行なったり、あるいは各地でここに例示していますようなさまざまな環境保全措置をとることによって、ダムの環境影響評価の緩和、あるいは自然界の保全に取り組んでいるということでございます。
 お時間ももう迫ってございますので、あと、環境教育とか、市民の方々と自然とのふれあい関係の取り組みについて24ページ、あるいは25、26ページにご紹介をさせていただいてございます。
 26ページにつきましては、これは環境省さん、あるいは文科省さんとも一緒になりまして、地域の環境学習の活動を支援し、あるいは支えるような取り組みを、私どもとして川を素材として進めていただいているということでございますし、また、そういった活動をする際の指導的役割を果たす方々、各地の市民団体がそういう活動をされてございますけれども、そういった方々の指導者を育成するような取り組みへの支援をしているというようなことでございます。
 また最後、経済的措置ということで、河川整備基金のご紹介を28ページの方にさせていただいてございます。さまざまな各地の取り組みについて支援をさせていただいているところでございます。
 非常に雑駁で、ちょっとはしょらせていただきましたが、以上で河川・砂防関係の取り組みについてのご紹介を終わらせていただきます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの河川局のご説明に対してご質問なりご意見がおありでしたら、どうぞよろしくお願いをいたします。
 森本委員、お願いをいたします。

【森本委員】 11ページでご説明にあったことでちょっとお伺いしたいのですけれども、発電ダムの減水区間の清流回復というやつなのですけれども、ちょっと僕、減水区間の水量を変えないまま、どれだけ生物の生息環境を再生できるやろうかという5年間の実証実験みたいなものを全国何河川かでやったことがあるのですけれども、そのとき維持流量のままでという話を、流量を変えることはものすごく難しいと。こんなことはできへんという前提で始めたのですけれども、これを見ていますと、水の水量そのものをふやすという減電すると書いてあるんですけれども、これは例えばどのぐらい発電量が減ったらどのぐらいの自然が再生するとか、そういう検討がされているのでしょうか。ちょっと意味を教えてください。

【国土交通省(河川局)】 まだ、そういう生き物との関係でどういう今回こういったやったことのインパクトがある、効果をもたらすかということの全体的な調査までは至っていませんけれども、まず、今、先生おっしゃったように、もともと発電するためにつくった施設、そのために使っている水ですから、事業者さんからすれば川に戻すことは非常に苦渋の選択ということになるわけですけれども、やはり川のある地域の方々の非常に強い思いがあって、私どもとしてまず、このぐらいの流域を持っている発電所、ダムであれば、このぐらいの水は返してくださいと、一定のルールを、ガイドラインをつくってございます。これを経済産業省さん、あるいは電力事業者さんとのある意味で合意事項ということで、そのもとで水利権を更新するような、節目節目で、そういうルールにのっとって水を返していただくというような調整をさせていただいているというのが、まず一つでございます。
 それプラスさらに、あるいは非常に小規模のものですと、そういうルールにも該当しないものがございますので、その中でもやはり地域の中で非常に大事な川であれば、粘り強く、これは交渉、お願いベースになりますけれども、そういうご相談をしながら、まだそれでも残っている川はございますので、こういったものについてもできるだけ調整をさせていただいて進めていきたいなということを考えていくというのが今現状でございます。
 まだまだ効果面について、これを量的にご紹介できるような状況の資料は私どもは持ち合わせていないということでございます。

【森本委員】 実はさっき21世紀環境立国戦略という特別部会に出ておったのですけれども、あれは要するにオルタナティブ、こういう水力というのも、いわゆる化石燃料を使わない、依存しないやつですので、それなりに評価したお話が出てきているんです。この場合は、それよりも生物多様性が大事だという場所でこういう話が、あるいは本来川というのはこうあるべきだという前提で初めるのか、この辺、何かコンセプトをちゃんとはっきりしておかないと、ガイドラインを定めと書いていますけれども、この辺の中身というのが大変興味があるのですけれども。どの辺まで減電するのかとか、こういうことでやるというのは、今までつくっているダム、みんなほんならもう壊してしまうのかとかという話になりますので、結構これ、ものすごい本質的な問題を含む話かなと思っていたんですけれども。ちょっとコメントで。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。ほかにございますでしょうか。では桜井委員、お願いいたします。

【桜井委員】 温暖化の話をして申しわけないのですけれども、いわゆるダムの考え方です。今の話にもつながるのですけれども、例えばことしのように非常に雪が少ないようなことが、これから多分予測としては出てきていますね。特に本州については、積雪量が減っていって、降雪量も、非常に極端な雨の降り方をするとか。そういう形で治山治水といった意味での水をいかに保水するかという問題と、それからあと、河川から流れていった水が今度沿岸域の生態系に影響を及ぼしますね。そうすると総合的な視野で、そういった河川行政そのもの、ダムも含めて見られるということを、議論は当然されていると思うのですけれども、それは今回の生物多様性との関係では、どうなっているのでしょうか。

【国土交通省(河川局)】 まず、もともとの目的の治水・利水という目から見て、今の地球環境の変動のトレンドがどういうふうに作用するかということについては、例えば平均的な降水量は減る、あるいは地域によってはふえると。ただ非常に変動が大きくなって、非常にそういった意味ではコントロールしにくい国土の方向になるとか、あるいは現在、ここ10年ぐらい非常に集中豪雨が多発していて、これが本当に今後それが常態化するのか、それとも今の時期だけなのか、そこら辺は我々もまだ見極めがオフィシャルにできているわけではないのですけれども、少なくとも今までよりも、今までとは違う状況になるだろうと。それを見据えて、今後の我々の物の、治水なり利水なりの考え方はやっていかなくてはいけないということは、私ども今、中期計画の中でそういう議論をしてございます。ただ、具体的にそれがこういうものだということはまだ、今まさにそういった議論をし、研究を始めたというところでございます。
 次に、先生のご質問、それが環境面にどうなのかというところも、それもまだ我々自身としても、今申しましたように、どちらかというと今、高度成長期にいろいろとインパクトを与えたものについて、なるべくそれを再生していくという方向の仕事で、ある意味では、そこまだまだ道半ばというところなのですので、まだそっちの方の議論にまでは至れていないというふうに考えていただいていいと思うのですが。
 例えばヒートアイランドだとか、そういう地球環境ということではないのですけれども、今ある新たな都市問題とか環境問題とかについては、例えば河川がいかにそういったものに寄与できるかとか、そういう具体的な議論はございます。

【熊谷委員長】 ほかにございますでしょうか。磯部委員、お願いいたします。

【磯部委員】 ご説明があった中の流砂系の総合土砂管理というのは、生物の生息場を、地形を決めるのでそれが生息場になるという意味で、ぜひ早く推進をしてほしいというふうに思っています。
 それに関連して、ご説明の中でフラッシュ放流というのがあったのですが、こういうものをやったときにどれだけの粒形の土砂がどのぐらい出るかというような知見について、かなり蓄積されつつあるというという状況にあるのでしょうか。

【国土交通省(河川局)】 まず、フラッシュ放流そのものは、まず基本的には水の放流ということで、そのときにあわせて、例えば下流に土砂を人為的に置きまして、そのフラッシュした水によって下流に還元するというような取り組みをやっている事例はございます。ですから、その場合には、まさに置いた砂に支配されるということになります。
 あと、もともとダムの標準装備としてそういう土砂を流すシステムを持っているもの、それについては今いろんな調査をした結果として、どんな形のものが流せているかというようなデータはある、そういったデータを持っているダムもございます。
 ただ、今日ご紹介したものについては、今ほど申しましたように、まずは基本的に水を、洪水を、小さな洪水になりますけれども、それを川にもたらすことによって下流の川の改善を図るというような取り組みが主でございますし、その中であわせて砂を還元しているようものもやっている例があるということでございます。

【熊谷委員長】 いかがでしょうか。ほかにございますでしょうか。それでは高橋委員、お願いいたします。

【高橋委員】 河川もよくわからないのですけれども、河川の場合の、例えば種の多様性とか生き物ということを考えたときに、最も受益をこうむるであろうと想定されるのは漁業者でないのかなという気はするのですけれども、河川の場合は、もちろん農業用水ということもあるし、漁業権を持っている人たちというのもあるので、管理の意思決定というのはものすごく難しそうだなと思うんですね。今後そういう治水だけではなくて、いろんなふれあいも含めて、アクセスの問題もあると思うんですけれども、物を考えたときに、どうやって協議会をつくればいいのかわかりませんけれども、合意を得ていくかというのを何かかなり想定されて、有望なあれがあるのでしょうか。

【国土交通省(河川局)】 まず、仕組みとしてのお話を先にさせていただきますと、平成9年に河川法を変えましたときに、私どもこういった形で環境を行政目的の中に入れたということで、今ほどまさに先生がおっしゃったように、環境面ということであれば治水利水とは違って、行政が上から下にこういうことでやるということではやはりだめだろうということで、計画を決めるに当たって地域住民の方、あるいは学識者の方の意見を聞くというシステムを一応ビルトインしたということになってございます。
 ですから、中期的な河川の計画をつくる際には、そういう形で現在、学識者の方を入れた場合は、そういう委員会なり協議会、あるいは地域の住民の方とのひざを交えた懇談会であったり公聴会であったり、そういった形で議論をして計画をつくってきているというのが一つございます。
 それから、もう一つ個々の取り組みとしては、先ほどご紹介した、これは国土交通省だけではございませんけれども、釧路川もそうですし、円山川もそうですし、関係住民の方、関係団体の方一堂に会して、その中でいかにこの地域の自然を戻していくかという議論をして、そのもとで納得あるいは妥協のもとで進んで進めていくという形、これは先ほどの多自然川づくりもそうですし、そういった形で地域の方と一緒になって進めていくというのが個々の、特に地先の工事であったりプロジェクトであったりする場合には、そういった形がかなり標準化されつつあるというふうに考えてございます。
 ただ、そのやり方についてはいろんな部分で、むしろそのやり方はおかしいという批判もございますし、そういったものは、まだかちっと固まっているというような形ではないのですが、私どもとしては今そういう形で行政を進めているというところでございます。

【熊谷委員長】 ほかにいかがでしょうか。ありがとうございました。それでは、委員の先生方からまたご質問なり何なり出ました際にはペーパーにてお尋ねすることがあるかと思いますが、そのとき、ぜひよろしくご協力をお願いしたいと思います。
 それでは河川局の担当の皆さん、どうもご苦労さまでした。ありかどうございました。
 それでは引き続きまして、お疲れでしょうが、港湾局の方からのご説明をお願いして進めていきたいと思いますが、また、説明の目安として25分、あるいはそれ以内でお願いできたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。

【国土交通省(港湾局)】 今ご紹介いただきました港湾局でございますが、私、港湾局国際・環境課で環境企画官をしております春日井と申します。よろしくお願いします。もう一人、研究所の方から樋口部長が来ております。また、二人続けてご説明させていただいて、その後ご質疑という形で対応させていただきます。よろしくお願いします。
 では、まず私の方から、港湾における環境への取組ということで表題でございまして、港湾における環境への取組と、港湾分野における生物多様性に関連する研究の取組についてということで、前半の港湾における環境への取組について、私、春日井の方からご説明させていただきます。
 まず港湾局で環境についてどのような取り組みをしているかということにつきましては、3ページでございますが、港湾行政のグリーン化という名称で、平成17年の3月に交通政策審議会の方で答申をいただいております。港湾における環境行政について、港湾行政のグリーン化という名称で、港湾の開発・利用と環境の保全・再生・創出については車の両輪であると位置づけております。港湾におきましてはどうしても国際競争力の確保という観点から必要な開発はする必要があるわけでございますが、それとあわせて環境の保全・再生・創出というものをやっていきましょうというものを打ち出しているわけでございます。
 その中の重点的に取り組む分野としまして3ページの右下に書いてございますが、今日の大きな議題になります閉鎖性海域の水質改善について打ち出していることと、2点目がみなとや海辺を市民の手に、これは利用という観点でございます。3点目が美しいみなとづくり、4点目が循環型社会の形成、5点目が国際的な環境問題への対応という形で大きく五つの分野を重点的に取り組むということでございます。
 4ページがそれぞれの重点分野を簡単に紹介した資料でございます。
 1点目は閉鎖性海域の水質改善でございます。自然再生の推進、「海の再生」に係る知見の活用、環境データベースの充実など、閉鎖性海域の水質改善に向けた総合的な取り組みを推進するという形でいくつかここに書いてございます。左中にございますが、これは自然再生の推進と順応的管理ということで、これは干潟の再生を港湾の事業の中で行っていることや、左下にございますけれども、環境情報データベースの充実、これは油・ゴミ回収などを行うのにあわせて環境情報について取得し、それをデータベースで公開するという対応などとか、右にございます背後流域圏における対策との連携や、再生計画に係る知見、これはいろんな再生行動計画、大阪湾や東京湾や伊勢湾などの再生計画がございます。これは各機関と連携して、そういう知見を集積しているというところでございます。
 2点目のみなとや海辺を市民の手にというのが5ページにございます。環境をよくするための取り組みとしまして市民が利用しやすい水際線の解放や、それを実現するための多様な主体の参加、これはNPOの協力を得ながら、いろいろな方がみなとや海辺に参画し、経験や体験できるという取り組みを進めていくものでございます。そのほか運河の再利用や、港湾環境の利用促進など、全体のビジョンをもとに策定していこうというものでございます。
 6ページが美しいみなとづくりということで、これも港というものは本来、無機的な要素が非常に強いものでございますので、港湾施設や自然環境等が共存する景観をきちっとつくっていこうということでございます。
 7ページ、4点目が循環型社会の形成ということでございまして、都市活動の中で出てまいります廃棄物などを再利用して循環型社会を形成、しようというものです。これは3Rという形で言われておりますけれども、廃棄物をできるだけ減らし、最終的には最終残渣というものを海面処分場などを用いて処理を行なおうということで、港湾局におきましては、こういう3Rを実現するための施策としまして、リサイクルポートという形での循環型社会の形成に資する政策も進めているところでございます。
 5点目が国際的な環境問題への対応という形でございます。国際的な環境問題への対応と申しますと、通常、国際海事機関IMOでございますが、その中でいろいろな条約が従来から結ばれておりますし、今後も結ばれていくということで港湾に関係する各種の国際海事機関の活動を通じて港湾の環境政策について着実に対応していこうというところでございます。
 具体的に本日の生物多様性の関係の部分を中心に9ページ以降でご説明させていただきます。
 10ページでございますが、港湾局におきましては、港湾の活動を維持するために泊地や航路の浚渫という、海の中の泥を掘って、それを通常は廃棄物海面処分場で埋め立てをしている場合が多いわけでございますが、良質の砂であれば覆砂や干潟の再生、藻場等の造成等に使っております。そういうものが底質の改善につながります。また、海域につきましては、干潟、浅場、藻場の造成や、そのほか深堀り跡の埋め戻しなどを現在進めているところでございます。
 具体的な事例としまして、11ページに浚渫土砂の活用による干潟造成ということで、これは三河湾の事例でございます。三河湾の入り口、渥美半島と知多半島の間に中山水道という開発保全航路があります。これは三河湾や衣浦港に入る航路として整備の必要があったわけでございます。そこの浚渫で620万m3のきれいな砂が出るということでございまして、これを三河湾におきましては事業期間平成10年から16年にかけて三河湾の中39カ所に、合計620haの干潟や浅場などを造成しまして、干潟につきましては、漁業関係者の方から、水質改善やアサリなどの底生生物の増加、そういうものを含めて喜ばれているところでございます。そういう干潟の機能というものを愛知県水産試験場で試算をしておりますが、自然干潟である一色干潟では大体10万人の計画処理人口に相当する浄化機能があるということでございます。
 12ページでございますが、三河湾の中の西浦地区というところの干潟の写真と底生生物種類数の経年変化を示しています。平成10年から事業を始めているわけでございますが、こういう干潟の部分においては、かなり生物相が豊かになり、かつ底質のCODの経年変化を見ていただきますように、干潟区域につきましてはかなり低く維持されているという形で、環境的にも大分いいものになっているというものでございます。
 13ページが別の地域でございますが、これが広島県の尾道糸崎港というところで、有名な尾道の東部にございます地区の干潟造成の写真でございます。この尾道につきましては松永湾というのが最北部にございまして、ここが港湾区域としまして、港の整備をさせていただいているところでございますが、ここの土質は泥なのですけれども、浚渫土砂を処分する先がないということで、地元の漁業組合さんとの協定を結びまして、アサリ場にしたいということもございまして百島とか海老地区におきまして、沖合200mに潜堤をつくり、そこに浚渫土砂を入れ、かつ表面に砂を入れることによりまして干潟を造成したものでございます。
 干潟造成面積56haという形で、海老、灘、百島で3カ所で造成したわけでございますが、干潟造成による効果としまして、近隣の自然干潟と比べまして、かなりの出現生物数が復活したことと、貴重種につきましては、特に海老地区では、近くの自然干潟と比べましても遜色ない結果となっているわけでございます。海老地区に関しましては、単調な砂浜干潟ではなくて、磯場とか澪筋ができたことによりまして、非常に底質が豊かになり、貴重種も含めた自然の生物の数も種類数もふえるということがよくわかったわけでございますが、場をきちっと用意すると十分な自然環境が再生されるわけでございます。そのほか、アマモ場もその干潟の前についてはかなり復活しています。もともと急深の底質が余りよくないところに干潟をつくったことでアマモがかなり増えたということでございます。このような形で自然再生を進めているというところでございます。
 また、そのほか、次のページが、16ページが深堀り跡を埋め戻しているということの事例紹介でございます。深堀り跡につきましては、浚渫土砂をたくさん使っているわけでございますけれども、それだけではなかなか再生用の用材を確保することが難しいということで、17ページでございますが、シルト系の浚渫土砂に高炉水砕スラグを混ぜるなど粒度調整をして、干潟などの再生に使っている事例もございます。今後そういうものを含めて検討をさらに進めているというところでございます。
 あと、その次のページが広域活用、浚渫土砂も近場ではなかなか使えない場合は、遠くにおいて、そういうものを再利用するなどの検討を進めています。
 そのほか19ページ以降は、これは自然再生というよりは危機管理的な油回収などの話でございます。港湾局では全国48時間以内に現地に到着できる大型油回収船を3隻配備しているということと、20ページは、閉鎖性水域における環境整備船ということで、ごみ回収や油回収も行っています。
 さらに21ページには、海洋短波レーダーによる流況把握でございまして、これはごみを回収するという目的で、表面流を観測しまして、それでごみの集まる場所を確認するとともに、水の流れを環境のデータベースに登録することによって環境の変化の基礎データにしているというものでございます。
 22ページに環境データベースの構築という形で全体を取りまとめたものを示しています。東京湾、大阪湾、伊勢湾、有明、東北沿岸、いろいろなところで運用開始をし始めたということで、情報公開をしているところでございます。特に東京湾、伊勢湾、大阪湾などの自然再生については、港湾局だけではなくて、河川局さんや他省庁、保安庁さん、環境省さん、農水省さんなどと連携して、いろいろな再生プロジェクトを進めているところでございます。最後のページにございますように、全国海の再生プロジェクトということで、東京湾、伊勢湾、大阪湾、広島湾など、再生プロジェクトについて現在連携して進めているところでございます。では、私の説明は以上でございます。

【国土技術政策総合研究所】 引き続きまして、次の資料、港湾分野における生物多様性に関連する研究の取り組みについてということで、若干ご説明させていただきます。
 まず、2ページを見ていただきますと、問題意識と研究のターゲットというようなことで若干書いてございますけれども、生物多様性確保を目指した港湾なり沿岸域のあり方は何かというようなことを考えたときに、港湾のエリアというのは、基本的には防波堤で囲まれた静穏な水域ということがございますから、静穏であるとか、また閉鎖性があるとか、それから、また河川の流入というようなことで、塩分などの関係で陸域と海域との結節点になっているエリアだということがあるだろうということで、一つには沿岸環境と生物生息の関係に関する基礎的な研究というようなことをやっております。
 それから、また港湾のエリアは、外来種の移入が生じやすい場所と。これは次の説明で、バラスト水の話とかいろいろ出てくるのですけれども、それとの関係で、外来種移入の現状であるとかリスクの評価とかについて考えていこうということをやっております。
 それからまた、今後の沿岸域の生態系回復に向かってということを考えたときに、特に人口、産業が集積した三大湾などについて言えると思うのですけれども、総量規制によって汚濁負荷自体は減少してきているということがあるのだけれども、同じ負荷レベルにあった昔の生態系には回復しているとはいえないと。それは赤潮の問題であるとか青潮の問題であるとか、いろいろあるわけですけれども、それはやはり干潟、浅場、藻場とかいった状況というのが昔とは変わっているし、海底地形の大規模な窪地というのがあったりとか、そういう問題が出ているのではないかということで、その差を埋めていくというような努力を考えていかなければいけないだろうと。また、それをするためには、事象についての理解を深めるという意味で環境をモニタリングして、またそれを評価していくというようなことが必要だろうというふうに考えている中で、3としては、干潟域の海域生態系と環境修復に関する研究というようなことを掲げております。
 それからまた、それとも関連するのですけれども、そういう自然再生みたいなことに取り組んでいく際に、順応的管理手法といったことで、どういう手だてで物事を進めていくかというようなことについての試行錯誤を行ったりしていると。
 それから、海底の窪地の、深堀り跡という言い方をしますけれども、そういうものの埋め戻しというようなことを、どうやって図っていくかというようなことについて考えているだと。
 それから、6番目としては、毒物というか、トクシックな物質がどういうふうな影響にするかということについてもいろいろと検討しているというふうなことになってございます。
 3ページを見ていただきますと、そのうちの1番の沿岸環境と生物生息の関係に関する基礎的な研究ということで、4ページを見ていただきますと、石垣島のある場所、河口域ですけれども、そこでは上流はマングローブの川から海に向かって流入があって、海草藻場、サンゴ礁というふうに連続しているわけなのですけれども、そこでの現象というものを把握していくという趣旨で、河川上流域から栄養塩であるとか懸濁物が流れ込んできて、そこがマングローブの林で懸濁物の沈降みたいなことが起こって、その結果、栄養塩が海草藻場で吸収されたものがサンゴ礁に流れているのではないかと。そうすると、そこで例えば河川流域からのマングローブの林が失われると懸濁物の流出というようなことが、回り回って富栄養化によるサンゴ礁へのダメージといったことにつながるのではないかといったような観点で、そこの河口で現象の把握というこということに努めたりしたりしているというような例でございます。
 それから、2番目が外来種移入の現状とリスク評価ということで、これが後ほど出てくる話なのですけれども、バラスト水管理条約ということでIMOでいろいろと取り組みがなされていて、今後バラスト水についてもいろいろと規制がかかってくるということになるのですけれども、そういう舞台となる港湾における外来生物については、必ずしもちゃんと把握されているわけではないという現状がございまして、これについて、これは今年度から開始ということで、これからこういうことに取り組みますということなのですけれども、日本の港湾域における生物調査をきちんとしておいて、外来生物について把握するとともに、そのリスク評価みたいなことを勉強していきたいというようなことでございます。
 それから、3番目が干潟についての話でございます。沿岸域での生物多様性がいい場所というのは、干潟・藻場・サンゴ礁みたいなことになるのですけれども、ここでは干潟浅海域での研究ということで、そこでは1、2、3、4と四つ挙げてございます。1は自然干潟を研究すると。それから、2番は実験室というか実験生態系をつくって、そこでいろいろ研究をすると。それから、3番目は人工干潟といいますか、現地で造成した干潟でうまくいくのだろうかというようなことを研究するという3本柱みたいな感じで取り組んでいて、あと、ちょっと4番目は若干毛色が違うのですけれども、そういう研究については割合水系でアプローチしていることが多いのですけれども、それだけではなくて地盤工学の立場からもいろいろとアプローチしているというご紹介であります。
 3−1というのが8ページにございまして、これは東京湾の盤洲干潟での例ということで、こういう場所で干潟の生態がどのように動いているのかということをいろんな手だてで調べているということで、例えば9ページについては、これは特殊なセンサーを用いて干潟の上から0.1mmピッチでそこの光合成の状況とかを把握していくというようなことで、黄色い方は曇った日で、オレンジの色は晴れた日というようなことで、そういう天気の影響とかで光合成が活発なエリアが若干変わってきているというような状況を示している図であります。
 それから、10ページについては、これはちょっと青色と赤色の線が見にくいのですけれども、干潟潮間帯とかで窒素がどのような循環をしているかということをいろいろと研究していったところで、そこの右の上から二つ目のところの地先にある植物プランクトンから、右下のビバブルというのが、二枚貝、アサリとかに窒素が有機体で取り込まれて、それがまたアサリの排泄物として無機窒素として出ていって、それが沖合との間でまた出入りしているというような状況を示した図であります。
 それから、3−2というのが実験施設での研究ということで、そこに掲げてある写真は、そういう干潟実験槽の実験施設でありますけれども、そこで盤洲からとってきた泥を焼いて、生物を一たん死滅させておいて、それを使って経年的な干潟の生物相の遷移みたいなものを調べていくということで、それが12ページであります。
 上二つの枠がヨコエビ、エビの仲間で、三つ目と四つ目がゴカイの仲間で、一番下がマキガイというか、ブドウガイというマキガイなのですけれども、そういう生物が6年、7年の間にどういうふうに動いていっているかということを調べた例であります。これは見ていただきますと、一番左なんかだと、まず、マキガイが出現して、それがゴカイにかわって、それがまたエビにかわっていくという生物の遷移というか、そういうのが示されているものであります。
 それからまた、13ページには、それを、例えば嵐の影響を再現するという趣旨で、どろどろに踏んで、乱して、そうすると一たん生物は個体数としても種類としてもゼロになるのですけれども、それがまた割合早く回復していくような状況を示しています。
 それから、3−3が現地の造成干潟における調査研究ということで示していますけれども、人工干潟というのが、先ほどの春日井の説明でもございましたけれども、いろんなところで取り組まれてはいるのですけれども、それについての評価というのは、なかなかいろいろ問題があるところもあるというふうに理解しておりますけれども、そこの15ページでは、大阪湾での人工干潟の実験ということで、これは国とかの研究施設だけではなくて、民間とか大阪府とかも共同して進めていて、今そこに書いているようにさまざまな調査を進めているところでありますけれども、17ページで見ていただきますと、ラインに沿っての生物相がどんな状況になっているかということが示されていて、ゴカイであるとかヨコエビであるとかイガイであるとか、そういうものが出ているような状況、それから、18ページを見ていただきますと、そこの人工干潟でのどんな生物が来ているかというようなことで、例えば鳥なんかについても、以前は海だったので、それはカモメとかしかいなかったものが、結構多くの鳥が来たりするようになっているというような状況が伺えます。
 それから、4番が干潟についての地盤工学的なアプローチということで、ちょっと時間も限られているので余り詳しい説明はしませんけれども、22ページを見ていただきますと、干潟の水が引いたときというのは、砂の中が浮圧、サクションの状態になって、その状況がないとカニの巣も掘れないというような状況がありますよということの中で、どういう干潟の素材、マテリアルをつかっていたら生物にとって住みやすい干潟になるのかということを考えられれば、そういうふうに干潟の土質を調整していくということも人工干潟でやっていったりすることができるのではないだろうかというような問題意識で取り組んでいる話であります。
 それから、4番は自然再生における順応的管理手法に関する研究ということで、そういうような環境を戻していくというようなことをしようとすると、トライアンドエラーでいろんなことを試行錯誤していかなければいけないということがある中で、場の理解をして、目標を設定して、手法を開発して、システム化していくというようなことで、いろんな取り組みをしているところであります。
 24ページ、25ページあたりは、その辺のことを踏まえて、東京湾での環境の現況というようなことについての調査をした結果をあらわしたものでありまして、例えば25ページの東京湾マップというのは、G1からG14というのが、護岸の1から護岸の14までということで、護岸の1は24ページの右上の表でいう横須賀の新港埠頭でありまして、そこから時計回りに野島堤防、横浜の金沢木材埠頭、大黒埠頭と、G14というふうにずっと回っていって、最後G14は千葉の第二海保のところというふうになっていて、この調査の結果とかで見ますと、例えば、G6、7、8のあたりというのは、植物がほとんどついていないというような状況がわかりますねとか、そういうことのデータであります。
 それから、27ページからは京浜運河環境調査ということで、これは東京港の中の京浜運河という細い運河があって、そこでの現象を把握するということで、かなり潮汐の影響を受けるので、そういう状況がどうなっているかということと、それからあと、例えば下水道からの排水みたいなものがあったときに、それの量とかが海水交換とか汽水域の広がり方とかにどういう影響を及ぼしているのかとか、そういうことを把握した上で、少しでも例えば水の交換がよくなるようにするにはどうしたらいいかとか、そういうようなことを検討したりしているとともに、運河部でも小さな干潟というわけではないのですけれども、生物がつけるような場所をセットできないかというようなことを検討したりしているところであります。
 それから、5番が海底窪地の埋め戻しによる修復ということで、深堀り跡という言い方をしましたけれども、例えば東京湾なんかだと、千葉港の全面の埋め立てを昭和30年代、40年代にやったときに、かなり前面から土砂をとって、その跡が深堀り跡になっていて、それが貧酸素水塊の青潮と言われる酸素のない水が沸き出てきたりするものの原因になっているのではないかというようなことがある中で、その辺が実際にそういうことになっているのかとか、ではどの程度埋め戻したらどの程度の効果があるのかとか、その辺のことを研究しているということであります。
 それから最後、32ページが底泥中有害化学物質の生態系影響に関する研究ということで、これはよくトリブチルスズとか、そういう船の船底を塗装するための材料とかが毒性があるということでいろいろ問題になってきているようなことがある中で、その辺の物質がどういう悪さをしているかというようなことを生物への影響という観点から調べたりしているところであります。
 ちょっと駆け足になってしまいましたけれども、研究での取り組みということについてご紹介させていただきました。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。ただいまの港湾局のご説明についてご質問あるいはご意見があったらお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 桜井委員、お願いいたします。

【桜井委員】 干潟の再生のことでお伺いしたいのですが、三河湾の例でも、非常にこういった一つ事業を行ったものを、また新たな再生事業に使うという形でいきますと、これは、いわゆる順応的管理の意味では非常に合意形成が重要だと思うのですが、その事例として、例えば実際に漁業者との合意形成とか、それからあと、かかわった研究機関も非常にたくさんあると思うのですね。そういうプロセス全体のものといったものも、私はある意味でこれは成功事例だと思うのですけれども、そういったものも、こういう形でつくった合意形成で順応的管理をした事例として、何か生物多様性にかかわる、人間がかかわって場所を保全するような場合に、事例として具体的に、こうなりましたではなく、そのプロセスも含めて紹介していだけるとうれしいし、それからもう一つは、その後、そうなったけれども、ではそれを維持するためにはどうしたらいいか、さっきのあれではないですけれども、実際にその砂がそのまま維持されているのかどうか、生態系が維持されているのかどうかも含めて、将来的なことも含めてどうするのかとか、そういうようなものも私はあるとすごくいいなと思っていますけれども、感想ですけれども、もし、ご意見ありましたらお願いします。

【国土交通省(港湾局)】 三河湾につきましても、当初中山水道の砂を使って、そういう覆砂をやろうといったときに最初はやはり強い反対がありました。とはいってもそういう試験的な施工を行うことによって、実際上、砂がついて生物が非常にふえるという現象を、実証的にやることによって、漁業者の方々から理解を得られて、あっという間に各漁組がうちに砂をまいてほしいという要請が逆に来て、それの調整にかえって困るというぐらいの形になったというふうに聞いております。
 したがいまして、やはり我々港湾で、海の工事をやっている場合は、必ず漁業組合の方、水産関係の方と、いかに合意を図っていくかという、これはいろんな工事をやるに当たっても重要なことでございますけれども、少なくとも砂をまくということに関しては大分ご理解が得られたのかなと。いい砂ですのでそうなのですが、今後はいい砂でなくても自然再生に使えるために合意をいただくような努力をしていく必要があると思っております。
 また、維持するためには沈下とか砂の流出とかで、なかなか干潟も維持できない場所もございます。そいうものについては、やはりそういう条件ができるだけいいところを選んでやっていくというのが一つの手段ではございますけれども、やっぱり将来的にどうしても維持できないところになると、余り無理してやるというのは避けて、逆に条件を整えることがまず先決かなと考えております。

【熊谷委員長】 ほかにいかがでしょうか。磯部委員、ご専門家からよろしくお願いいたします。

【磯部委員】 干潟の再生ができたというのはとてもいいのだと思いますけれども、別のところで、今日、そのときに土砂が圧倒的に今不足している状況なので、土砂は貴重な資源と考えるのがいいのではないかということを申し上げたのですが、そういう意味で、現状として港湾ではほとんど定期的といっていい浚渫をするのだと思いますけれども、そういう浚渫をしながら、どのぐらいの粒形の土砂がどのぐらいのペースで出てきそうかというようなことはつかまえられているのでしょうか。粒形に、さらに言えばちょっと土質的なものも含めて、そういう見通しが立つと将来どのぐらいの事業ができそうかということがわかってきそうに思いますけれども、いかがなものでしょうか。

【国土交通省(港湾局)】 航路や泊地の浚渫がある程度事業化が決まりますと、やはりその予定地点でボーリングを行いまして、その底質の状況は把握しているところでございます。
 三河湾なんかは今、先ほど深堀り跡の埋め戻しの話もちょっと出ていますけれども、航路、泊地の浚渫の土砂の中でいい砂が出るところからは、それは深堀り跡の埋め戻しの表層に使いましょうとか、そういう計画に基づいて、要するに出る量、土砂の品質に基づいてその使い方を事業化のときに検討して実施しているところでございまして、それ以外の地域でも、やはり浚渫する計画があった場合に、ボーリングで事前に土砂については品質を確認していると。そういうのが基本だと我々も考えてございます。したがいまして、それをもとにいろいろ使い道を検討していくというふうに考えております。

【熊谷委員長】 ほかにいかがでしょうか。鹿野委員、お願いいたします。

【鹿野委員】 すみません、ちょっと教えていただきたいのですが、この干潟造成の例で三河湾とか尾道がありましたが、これは干潟の再生なのですか。それとも新しく造成したのですか。

【国土交通省(港湾局)】 三河湾は、これは浅場も含めていろんな場所でやっておりまして、これはやはり漁組さんが、底質が悪くなっていっていて生物相が余り豊かでないところを干潟状に浅くして底質をよくして生物相を豊かにするという形で、ある意味で造成でございますね。尾道の例も、これは海老地区も百島地区も急深な斜面のところで、余りその先は底質はよくないというところを200m沖まで潜堤をつくりまして、干潟をつくったことによって生物相や底質もすごくよくなったということで、これも造成という形で考えております。

【鹿野委員】 そうしますと、三河湾の例でいうとかなり造成箇所が多いですね。主体も三つぐらい分かれて。これはそうしますと、もともとの底質と、ここで埋めたのは良質の砂だと聞いていますので、そうするともともとの海とかなり全体として変わってしまったと。多分、水質なんかで言えばいい砂ですからいい方に変わったのだろうし、漁業の面でいえば、多分アサリがつくられる砂になって、そちらの面もいいのだと思うのですが、環境そのものは一体どう変わったのでしょう。

【国土交通省(港湾局)】 確かに620haという底質改善を行ったわけでございまして、かなりの効果はあるとは思うのですが、三河湾全域、例えば夏場から秋口にかけては、三河湾の半分のエリアが貧酸素水塊になるというぐらい底質が非常に悪いところでございます。したがいまして、干潟の部分はかなり絶えず波があらわれていて状態はいいのですが、ちょっと深くなるともうこれは貧酸素水塊の影響を受けるということと、圧倒的にまだ底質が悪いエリアが多いわけでございますので、その効果が三河湾全体としては、なかなかまだあらわれていないのかなと思っております。

【熊谷委員長】 ほかにいかがでしょうか。森本委員、お願いをいたします。

【森本委員】 いろんな取り組みが行われていてという紹介で、それ自体は大変よろしいかと思うのですけれども、日本全国のこういう浅場であるとか、海辺の劣化状況に対して、全体として今どんなふうな再生、試みがあって、今後どういうぐあいにしていくのかというプランニング的な考え方というのですか、量的な考え方というか、その辺について何か計画はお持ちなのでしょうか。

【国土交通省(港湾局)】 私の資料の最後でございますけれども、閉鎖性水域としましては、都市再生本部の三次決定で湾再生という形でございまして、それで東京湾、伊勢湾、大阪湾というのは再生プロジェクトが現在、再生行動計画を策定して進めているところでございまして、それは特にそういう環境が非常に厳しい状況にあるところ、それは上流から海まで含めた全体の行動を各省庁連携してやっていこうという形で進めているわけでございますので、それはそれで、量的なものにつきましては具体的にちょっと私も、すみません、よくわかっていないのですが、そういう行動計画に基づいて対応して、それをちゃんとフォローアップして見直してという形を今後やっていくという形でございます。
 ただ、外洋を含めたところとなりますとなかなかそこまでの具体的な計画はございませんが、ただ、社会資本整備重点計画の中では、この干潟の再生というものを指標にして評価する形にしておりますので、そういうものが全国的な手法としては使われているというところでございます。

【熊谷委員長】 それでは磯部委員、お願いをいたします。

【磯部委員】 都市再生プロジェクトのお話が出たので、港湾局だけではないのだと思いますけれども、こういうものをやって、東京湾でいえばアピールポイントというものをつくって実際に東京湾再生をやっていくということなのですが、その効果がどれだけ得られたかということをやっぱり測定しながらやっていかなきゃいけないと思います。もちろん、そのこともモニタリングというのを書いてありますけれども、そのモニタリングの体制がまたまだ貧弱だという印象を受けていまして、それぞれの閉鎖性内湾に対してやっている事業のスケールが非常に小さいので、よっぽど注意してモニタリングをしないと効果があったのかないのかが出てこないと思います。そういう意味では、かなり連続的に水質を観測するタワーをつくるとか、そういったことも含めて、相当微妙な変化というのは、毎年気象条件、海象条件は変化するわけで、その変化の変動の枠の中に事業の効果というのは隠れて見えなくなってしまうわけです。それが検出できるようにするためには、かなり綿密なモニタリングをしなくてはいけないと思うので、その辺のところについて、これはまた行政全体に対する私の希望ですけれども、もうちょっとモニタリングができるよう体制を強化するということが必要ではないかというふうに思います。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。ほかに何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、また港湾局の方にも後ほど追加のご質問等があるかもしれませんので、そのときには、ぜひ、ご協力をお願いしたいと思います。本日はどうもご苦労さまでした。ありがとうございました。
 それでは、最後になりますが、引き続きまして総合政策局の海洋室の方から、本日は船舶のバラスト水問題に対する取り組みという、そういうことでご説明をいただけるというふうに伺っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 大変恐縮ですが説明の目安は5分ということでございますので、ご協力をお願いしたいと思います。それでは、ご準備できたら、よろしくお願いをいたします。

【国土交通省(総合政策局海洋室)】 ただいまご紹介いただきました総合政策局の海洋室長をしております馬場アと申します。
 本日は、船舶のバラスト水問題に対する取組についてご説明させていただきます。座ってやらせていただきます。
 お手元のパワーポイントでつくりました7枚の資料、表紙を除くと6枚の資料をご用意しておりますので、それに沿って簡単にご説明をさせていただきます。
 ちょっと何というか、基礎に属する、基礎というか、少しわかりやすくするためにあえて簡単に書かせていただいているところはお許しください。
 ご案内のとおりバラスト水ですが、バラスト水というのは船舶の空荷のとき等に船舶を安定させるために重石として積載する海水と、主に貨物を積み込む港において排出されるということでございます。
 世界では年間30億から40億トンのバラスト水が移動していると推計されています。それから、これも推計ですが、我が国が年間およそ1,700万tのバラスト水が海外から持ち込まれて、約3億tが持ち出されているというような推計もございます。そういうような状況になっています。
 その中でバラスト水問題とはとなっておりますが、バラスト水の中に存在する生物が、船舶を介してというか、船舶のバラスト水によって運ばれて本来の生息地でない海域に移入し繁殖すると。今まで割と著名な被害として以下のようなものがあるということで二つほど挙げさせていただいております。
 若干古いお話でございますが、被害例として、1982年にクシクラゲ、これはアンチョビーやその稚魚を捕食するクシクラゲというものがいるのですが、これがバラスト水を介して黒海に浸入し、その地域のアンチョビー漁獲量が減少したと言われているということでございます。
 それから、もう一つが、これは1988年となっていますが、ゼブラ貝という、このような絵が出ておりますが、これが北米の五大湖で異常発生して、発電所の冷却水を取り入れる管内に密集したために水がせきとめられて発電所が停止したといったような例があるというふうに言われております。
 こういうことを受けまして、1990年代に入りまして、国際海事機関、船の場合、特に船舶の構造や設備などについては、船というのは世界各国行き来するということもありますので、基本的に世界統一の規則で規制をしていくというのが基本になっておりますが、それを取りまとめて行う国際海事機関、IMOと呼んでおりますが、において1990年代から船舶のバラスト水を通じて外来性有害水生生物の移動により発生する環境及び漁業資源等への危険性を防ぐことを目的としていろいろ議論がなされ、その中で、我々バラスト水管理条約と呼んでおります。横文字ではそこに書いてあるとおりでございます。というのが2004年2月に採択されているような状況になっているわけでございます。
 そのバラスト水管理条約の概要でございますが、バラスト水中の生物の数を一定数以下に処理、これは殺滅それから除去する装置の搭載を義務づけるもの。これが基本になっています。
 いくつか基準があるわけですが、こちらに挙げております例で申し上げますと、0.05mm以上の生物の場合、バラスト水1m3当たり10個体未満まで処理するといった排出基準が設けている。それを船舶に装置した設備によって達成させるということでございます。これが大きな条約の規制内容となっております。
 それで、ただ、新しい装置を載せていくということもあるものですから、船舶の大きさ等によって、2009年以降の新造船より処理装置の搭載が順次義務づけられるということで、要は経過期間が2009年から最後2017年まで、これは船の大きさによって違いますけれども、あるということでございまして、2009年以降に建造されるバラスト水容量5,000t未満の船舶、バラスト水容量5,000tというのは、大体船舶の総トンでいいますと1万tクラスということのようですが、の船舶から順次装置の搭載が義務づけられ、2017年までに現存船を含めてすべての船舶に搭載義務がかかるというようなのが条約の内容になっております。
 条約の発効後から装置を搭載するまでの間、経過期間があるのですが、その場合、原則として水深200m以上、かつ陸地から200海里以上離れた海域においてバラストの交換をしなさいと。要するに港の中ではやっちゃだめよというのが、この条約上義務づけられておるということでございます。
 この条約の発効要件ですが、30カ国以上の国が締結し、それらの合計商船船腹量が世界の全商船船腹量の35%以上が満たされた日の1年後、12カ月後に発効するという形で規定されております。これは締結状況ということですが、今のところまだ8カ国というのにとどまっております。合計商船船腹量も3.2%ということでございますので、すぐに発効するという状況にはないということになっておりますが、それは次のページ以降でご説明いたしますが、これまで条約の実施に向けて国際海事機関の方では、実は条約は、先ほどの規制の重立った中身のところは条約で規定されておりますが、その後の技術的なことについてはガイドラインという比較的緩い形での技術指針ですね、に詳細をゆだねているという格好になっておりまして、そのガイドライン、一応14本ガイドラインをつくるということになっておりまして、今のところ、今日現在までに11つくられているということでございます。14ガイドラインをつくるということが目標になっているということでございますが、それを策定している、あるいは策定しているところということでございます。
 それから、この条約の基本は、バラスト水を処理する装置の搭載を義務づけていくということでございますので、当然、その処理装置の開発ということが大きなポイントになるわけですが、2009年の新造船から処理装置の搭載が順次義務づけられるというのが条約の内容であるのですが、今のところ、条約の技術基準を満たす、先ほど申し上げた基準を満たす処理装置の開発というのが、「終了しておらず」と書いておりますが、まだどこも十分に開発がされていないと。基礎的な条件をクリアしたいくつかの装置というのはありますが、まだそういう意味で実用化されているというわけではないということでございまして、各国で装置の開発が今急がれているというような状況になっております。
 我が国の取り組みはとして書かせていただいていますけれども、我が国はご案内のとおり、世界有数の海運・造船大国でございますので、このバラスト水管理条約の採択に積極的に貢献してきたというふうに思っております。
 今現在、条約の実施に向けて、次の取り組みということで、残るガイドラインの策定等に、これはIMOで会議をやっておりまして、それに私どもも参加しながら議論を進めているということ。
 それから、先ほど申し上げましたが、バラスト水処理装置の開発というのがポイントになっておりますので、我が国では現在4社が2009年の製品化を目標にバラスト水処理装置を開発しているという状況になっております。この開発状況等の見通しがなかなか立っていないというのが現状ということでございますので、発効がいつになるかというのは見えにくい状況になっております。その中で、私どもといたしましては、IMOでの議論を通じて、あるいは国内のバラスト水処理装置の開発を積極的に支援していくということで、この条約の実施に向けた努力を今後とも進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
 雑駁な説明で申しわけございませんが、簡単にご説明させていただきました。とりあえず以上でございます。

【熊谷委員長】 ありがとうございました。ただいまの海洋室のご説明についてご質問、ご意見ございしましたらお願いしたいと思います。それでは桜井委員、よろしくお願いをいたします。

【桜井委員】 このバラスト問題というのは、我々、沿岸生態系の比較研究でも、非常に大きな問題になっていまして、特に動植物プランクトン、それから付着生物、これを含めるとかなりのものが世界じゅう移動しているということなのですけれども、5ページのところでちょっとお聞きしたかったのは、とりあえず当面、対策としてバラスト水の交換が、沿岸で、港ではやらないと、沖でやりなさいということなのですけれども、この場合に、例えば空船が港で水を空船に積んだと、バラストを積んだと。そうしますと、それが沖に行って、それの海水を入れかえなさいという意味なのでしょうか、これは。

【国土交通省(海事局安全基準課)】 この交換の意味ですけれども、通常、空荷の状態のときにバラスト水を積んで航海するわけです。それで、積み荷がある目的地に近づく前、例えば、ボーキサイトをオーストラリアまで買いに行くという船の場合は、オーストラリアに入る200海里より遠くのところで、まずバラスト水を交換して、それからオーストラリアまで行って、そこでバラスト水を排出して、それで積み荷を積むと、そういう意味であります。

【桜井委員】そうしますと、一応ある程度の対策はこれでできるのですけれども、ただし、その下の発効要件と締結状況を見ますと、実際にはまだ30カ国入っていないという現状で、この条約は発効されないということですけれども、いつごろこれはできるのでしょうか。

【国土交通省(総合政策局海洋室)】 申しわけございません。正直申し上げて、いまのところ見通しは立っていないと言わざるを得ないと思います。この条約の中心的な骨子は、やはり装置を積んで、それによってバラスト水にいる生物等の処理をしていくということでございますけれども、それのポイントとなる機器の開発というのが、正直申し上げてIMOが最初この議論を始めたときに想定したよりもかなりおくれ気味だというふうにご理解いただければと思っております。

【熊谷委員長】 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、特にご意見が今のところないようでございますので、お忙しいところ、どうもご苦労さまでした。また、最後のご説明、ご苦労さまでした。ありがとうございました。
 本日予定しておりましたヒアリングにつきましては、以上で一応終わったということにさせていただきます。ただ、ご質問等の中で必ずしも説明された各省庁の方が十分にお答えになっていなかった部分もあったかのようにも思いますし、その辺につきましては、事務局の方と本日の委員会の状況をもう一度確認しまして、必要に応じて各省庁へペーパーで回答いただくような形で対応していきたいと思いますが、その整理については、もしよろしければ、事務局と私の方にお任せいただきたいというふうに思います。
 本日、実はご欠席の委員もいらっしゃいますし、それから、いろいろお忙しい委員の方もいらしたので、もし再度、ご質問、お気づきの点がございましたら、どうぞ遠慮なく事務局の方にお申し出いただきたいと思います。ただし、スケジュールがございますので、今月いっぱいぐらいですかね、お気づきの点があったら、ぜひ、お願いしたいと思います。
 なお、本小委員会の運営方針に基づきまして、本日の配付の資料、議事録は公開することになっておりますので、ご承知おきをいただきたいと思います。
 それでは、以上をもちまして第1回小委員会を閉会いたします。本日はまことに長時間ありがとうございました。
 事務局にお返ししますので、連絡事項等がございましたらよろしくお願いいたします。

【事務局】 委員の皆様、本日は午前午後と長時間にわたりまして熱心なご議論をありがとうございました。次回の小委員会は、6月8日金曜日9時半から12時半まで、環境省第一会議室にて行いますので、ご出席をよろしくお願いいたします。
 なお、本日配付の資料につきまして郵送をご希望の委員の方は、机の上に置いてあります封筒にお名前をお書きの上、そのまま机に置いておいていただければ、事務局から後日郵送させていただきます。
 それでは、熊谷先生の方からもお話がありましたように、ご質問がありましたら、今月中ということで、よろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。