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中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第4回)


平成13年12月10日

午後1時30分開会


●自然環境計画課長(小野寺) 中央環境審議会、今日で第4回目になります生物多様性国家戦略小委員会を始めたいと思います。議事の進行につきましては、辻委員長よろしくお願いいたします。

●辻井委員長 それでは開会といたしますが、議事に入ります前に11月13日第2回小委員会でご確認いただいた各省ヒアリングに追加質問につきまして、関係省庁から回答が来ております。それを事務局から説明をしてもらって、それから始めたいと思います。どうぞよろしく。

●自然環境計画課長(小野寺) お手元に配布した厚い資料が各省ヒアリング追加質問事項に対する回答書の様式になっております。配布のものでありますので後でお目通しをいただきたいのですが、1つ、2つご説明申し上げます。
 まず質問では、「緑の政策大綱改定の中で生物多様性の保全をどのように位置づける予定か示してください」、これは国土交通省に対する質問ですが、その答えとして、「緑の保全と創出による自然の共生」の中では、生物の生育・生息環境の確保に配慮した都市公園の整備や緑地保全地区の指定など自然の生態系と調和した緑の基盤(グリーン・インフラ)の積極的な整備を推進しており、生物多様性の保全にも努めている。国土交通省として新たに作成する緑の政策大綱の改定においては、新たな生物多様性国家戦略を踏まえつつ、「生物多様性の保全」を大綱の基本方向の柱の一つである「緑の保全と創出による自然との共生」の中に重要な要素として位置づけ、生物の生息・生育空間の保全・創出を積極的に推進するため、所管施策のさらなる充実を図ることにしたい、という答えが来ております。
 また、農水省に対しては「農業は自然に人手を加えることによって成立しており、だからこそ生物多様性の確保については注意深く行う必要があるとの認識が重要と思われる。農林水産省として、農業と生物多様性の関係をどうとらえているのか示してください」というのが審議会からの質問であります。
 答えとして、ご質問の中の「自然」が、人手がほとんど加わらない場合に成立する自然植生(わが国の場合、多くは森林)を指しているのであれば、確かに農業は人間がそれらの自然植生を水田、畑、牧草地等に改変し、さらに、その土地の自然遷移を継続的に停止させることにより成り立っているものである。
 他方、自然界の循環機能を利用することによって成り立つ農業生産活動が、長期間にわたり安定的に繰り返されることにより2次的な自然環境が持続的に形成・維持されている。
 また、農業は、生産基盤整備の手法や、農薬・肥料の使用方法等によっては、活動地や周辺地域の生物多様性に影響を与えるものである一方で、育種素材等を確保するという観点から、農業の発展にとっても生物多様性の保全は不可欠な要素となっている。
 農林水産省としては、農業生産活動が、自然界の循環機能や生物多様性との深いかかわりをもって成り立っているものであることを踏まえて、自然生態系の健全性の維持や生物多様性の保全等に配慮した生産手法の普及や生産基盤整備の推進等に努めてまいりたい、というような答えが参っております。後ほどご確認いただければありがたいと思います。
 また、WWFジャパンから前回のヒアリンの意見に追加するものとして、今回提出することとされておりましたバイオテクノロジー関連の意見について添付いたしましたので、これについてもご確認願います。
 それから、多分一番下にあると思いますが、「環境大臣 川口順子殿 造園学会会長輿水肇」という2枚紙の資料があります。12月6日付で生物多様性国家戦略について日本造園学界から提言が既に届いております。1ページはぐっていただいたものが1から7までありますが、これが提言の概要であります。網羅的な全体をにらんだ提言の中身になっております。これも後でご覧いただきたいと思います。
 造園学会からたまたま極めて早く提言をいただきましたけれども、事務局の方ではできるだけ広く他の学会、あるいは他のいろんな団体・機関を含めて意見を聞く機会を速やかにつくりたいと思っております。
 横に1枚紙が毎回置いてありますが、全体のスケジュールの中で、当然素案ができた段階でパブリックコメントというのをやることになっておりまして、ここに至るまでの審議会のプロセスの中でも、インターネットにホームページをつくって随時意見を受け付けておりますし、この審議会を含めて資料その他は全部インターネットで見られる仕組みにしております。当然その一環として、パブリックコメントに至る前でもいろいろご意見をいただいて、むしろそういう力を背景にして素案づくりをしていきたいと思っております。
 以上です。

●辻井委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、今の説明、ちょっと分量が多いものですから一遍にという訳にはいかないかもしれませんけれども、差し当ってご質問等ございましたらば出してもらいたいと思います。いかがでしょうか。
 一遍に全部今読んでというのも難しいことですから、また後ほどもしお気づきの点ございましたら事務局の方へお知らせいただくということでよろしゅうございましょうか。
 では、今の追加質問事項についての各省からの回答はそんなところです。どうもありがとうございました。
 それでは、回答は公開ということになるのでしょうか。

●自然環境計画課長(小野寺) 既に質問事項については公開でインターネット上で発表しておりますし、答えもすべてオ−プン、公開でやりたいというふうに思っております。

●辻井委員長 ありがとうございました。
 それでは、改めて議事に入りたいと思います。
 いよいよ今まで随分続けてのご審議をいただきましたけども、さらに進めて骨子案に取りかからなければならないという時期になっております。今日は議事の(1)が、生物多様性国家戦略骨子案の検討ということです。まず事務局から説明をお願いして、それから始めたいと思いますので、よろしくお願いします。

●生物多様性企画官(渡辺) 計画課の渡辺でございます。それでは、資料1の束を取り出していただきまして、戦略の骨子案について説明をしたいと思います。失礼して着席させていただいて説明いたします。
 資料1に国家戦略骨子(事務局案)というのをおつけしております。今日のこの骨子案の説明の中では各項目の間で少し重複感があるかもしれませんが、素案までには調整をしていきたいというふうに思っております。また、里山など幾つか何度か出てくる事項につきましては、より後から出てくる方がデータや事例などによって詳しく述べるというような関係になってございます。
 始めに、戦略の見直しの基本スタンスということなんですけれども、これまでの委員会のご議論を踏まえまして、第1に人類生存の基盤であり、豊かな生活・文化・精神の基礎である生物多様性の保全と、その持続可能な利用を目的とする。
 また第2として、我が国社会経済が成長から安定化に向かっていることや、社会のいわば環境意識が向上し、成熟していることなど、時代が大きな変曲点に差しかかっていることを戦略改定の基本認識とする。
 第3には、狭義の多様性のみではなく広義の多様性、すなわち我が国の自然環境保全施策全般に関する中長期方針を記述をし、「自然と共生する社会」を実現するためのトータルプランとして位置づける。
 第4には、同時に戦略策定後に速やかに着手すべきもの、少なくとも5年の計画期間中に実施すべきものについては可能な限り明示的に述べ、実践的な行動計画としての性格をあわせ持たせる。
 第5として、生物多様性の危機の現状やそれらに対する国民意識の向上・成熟を踏まえて、「新戦略」が示すべき大きな柱として、1点目として種の絶滅や湿地の減少などへの対応としての「保全の強化」。2点目として、里地里山問題など多義的な空間へのいわば「保全的な調整原理」(すなわち多様性の保全と生活・生産上の必要性などをうまく調整していくための社会的な仕組みや手法)によるアプローチ。3点目として、保全に加えて失われた自然をより積極的に「再生」していくことの提案、の3点を掲げる。これらの点を基本スタンスとして持って今回の骨子案を作成をしたところです。
 まず、骨子案全体の構成です。1番、「前文」で、戦略の目的、性格や経緯を記述、2番、「生物多様性の現状と課題」では、まず現在我々がどのような危機に直面しているのか、その現状認識を述べた上で、その認識の基礎となる社会経済状況の変化や生物多様性の現状に関するデータ、そしてそれらを受けての課題について記述をいたします。3番、「生物多様性の理念と目標」では、多様性の持つ意味や共生の考え方といった理念と戦略の目標について記述をいたします。4番、「生物多様性の保全及び持続可能な利用の基本方針」では、施策の基本方向を述べた上で、国土をマクロにとらえた場合の取扱方針、あるいは特記すべき主要テーマ別の方針について記述をします。5番、「具体的施策の展開」では、環境省及び各省の施策について、項目別に考え方、あるいは具体的な施策内容について記述をいたします。最後の6番、「戦略の効果的実施」では、戦略の実行体制、各種計画との連携、戦略実施状況の点検と見直しについて記述をしていくということで、6つのパートで構成をしています。
 次に、パートごとの具体的内容について、説明をいたします。
 まず前文です。1)の目的、性格の項では、見直しの基本スタンスとして最初に述べた点を記述をしたいと思います。2)の見直しの経緯では、条約や現行戦略策定の経緯、あるいは新環境基本計画での位置づけ、戦略を取り巻く大きな情勢の変化、そういったことについて述べた上で、新戦略検討の経緯として懇談会、審議会、各省連絡会議の経緯、あるいは広範なヒアリング、情報公開等、開かれた手続きによる計画づくりについて記述をしたいと思います。
 次の2番、『生物多様性の現状と課題』です。始めに、『1)生物多様性の危機の構造』といたしまして、現在我々がどのような危機に直面をしているのか、その現状認識を述べています。生物多様性保全上の危機、問題は、いずれも直接・間接を問わず人為によって引き起こされている現象であって、原因や結果を大別すれば3つに区分されると考えました。ここに挙げました『第1の危機』は、人間活動ないし開発が直接的に種の減少、絶滅をもたらすもの、あるいは生態系の破壊、分断、劣化によって生息域の縮小や消失をもたらすものです。『第2の危機』は、社会経済の変化に伴って、むしろ人間活動が縮小撤退することによってもたらされる里山等における環境質の変化、あるいは種の減少ないし生息状況の変化です。『第3の危機』は、近年その問題が顕在化するようになった移入種、あるいは影響が懸念される遺伝子組み換え生物や、化学物質等による生態系の攪乱です。
 こうした3つの区分が、妥当かどうかも含めてご意見をいただければと思います。そして、この区分ごとの「危機」の現状について以下のような記述をしていきたいと思っております。
 まず『第1の危機』では、個体の捕獲、各種開発、水質汚濁など、人間活動ないし開発に伴う負のインパクトによる影響である。脊椎動物や維管束植物全体の2割前後と、日本の動植物の多くが絶滅の危機に瀕しており、その主な要因として乱獲による直接的影響、開発による伐採や土地造成等による生態系の破壊、分断、劣化が挙げられる。
 生態系のタイプの中では、特に湿地など陸水域や干潟、藻場などの浅海域の生態系が各種開発や埋立等により大きな影響を受けている。また、二次林や農地等からなる里地里山の生態系も都市近郊における道路、宅地、ごみ処分場などの開発に伴って、消失、劣化が生じている。南西諸島など島嶼生態系は、固有種、依存種を含む特有の生物相を有しているが、開発に伴うインパクトに対して脆弱であり、多くの種が絶滅の危機に瀕している。
 この第1の区分のインパクトの動向を幾つかの指標で見てみると、年間の森林伐採面積や沿岸域の埋立面積は、高度経済成長期などと比較して減少している。都市的土地利用への転換面積も同様に高度成長期と比べて低下しており、バブル期にいったん増加したものの、この10年の間に再び減少し、全国総体として見れば安定化に向かっている。
 しかしながら、都市周辺の里地里山など、地域限定的に土地利用転換が依然として進行し、干潟・藻場等を含む浅海域の埋め立ても続いている。また、道路等の分断要素の増加に伴い生息空間の連続性が低下するなど、生息環境の質が悪化している。都市部の大気・水環境に対する負荷量は、依然高いレベルにある。
 これらの危機に対しては、人間活動ないし開発に伴う負のインパクトを適切に回避、または低減するという対応が必要となる。加えて、既に消失・劣化した生態系の再生・修復を積極的に進めることが必要となるなどの点について記述をしたいと思っております。
 次の『第2の危機』では、逆に人為、人間活動が縮小、撤退することに伴う影響である。特に中山間地において顕著に生じており、今後この傾向はさらに強まると考えられる。農山村部における人口の減少、生活生産様式の大きな変化に伴って、これまで薪炭林や農用林としての利用が行われていた二次林が放置され、例えば手入れされずに放置されたコナラ林では、遷移の進行に伴いカタクリ、ギフチョウなど二次林特有の生物が消失したり、竹林、ネザサ類の侵入・繁茂により樹林の更新や遷移が阻害されるなど、植生のタイプや立地の特性に応じてさまざまな生物多様性保全上の問題が生じている。また、採草放牧地として利用されたいた草地も放置されることによって樹林化が進み、ハナシノブ、オオウラギンヒョウモンなど、二次草原に特有の生物が消失しつつある。こうした変化に伴い生息状況が悪化した生物も絶滅危惧種として数多く選定されている。
 また、山間部の人工林についても管理の担い手不足から、間伐等の管理が十分に行われず、森林の荒廃が広がっており、土砂流出防止など森林の国土保全機能が低下し、生物の生息環境としての質も低下している。
 一方、人口が減少している中山間地を中心に、シカ、イノシシなど一部の大型・中型哺乳類の個体数、分布域が著しく増加、拡大している。その結果、深刻な農林業被害が発生し、厳しい条件下で営まれてきた農林業に大きな打撃を与えている。また、シカの増加の影響に見られるように、一部の地域では農林業被害のみならず、湿原植物や森林植物への被害など生態系全体への影響が顕著に現れてきている。
 こららの第2の危機に対しては、現在の社会経済状況のもとで、対象地域の特性に応じて人為的な管理や利用を行っていくための新たな仕組みの構築、人と自然の健全な関係、バランスの再構築、そういった観点に立った対応が必要となるなどの点について記述をしていきたいと思います。
 『第3の危機』ですが、ここでは移入種や遺伝子組み換え生物、あるいは化学物質など、近年その問題が顕在化あるいは影響が懸念されるようになったものが、生態系の中に持ち込まれることによる影響である。移入種は、国外または国内の他地域から意図的・非意図的に移入された種であり、人間活動、特に交易活動の拡大に伴い移入される種が増加し、日本の在来の生物相に及ぼす影響が広がっている。
 移入種の種類によって、日本に定着し分布拡大するものもあれば、定着しないものもある。定着している例をあげると、マングース、ブラックバス等による捕食、タイワンザル、タイリクバラタナゴ等と在来近縁種との交雑、ノヤギ等による植生破壊など、さまざまなタイプの影響が生じている。絶滅危惧種の中にもこれら移入種の影響を強く受けているものが少なくない。固有種の多い島嶼生態系は移入種に対して特に脆弱と考えられる。
 また、遺伝子組み換え生物については、実験室など閉鎖系の利用段階から野外の開放系利用段階に移行しつつある。これまで、組み換え農作物の栽培などの開放系利用に伴って、在来生物や生態系に悪影響を及ぼした例は報告されていないが、遺伝子組み換え生物は利用に際して十分な影響評価がなされないと在来生物や生態系に悪影響を及ぼす可能性がある。
 またさらに、近年、環境中に存在するDDT、クロルデン、ノニルフェノールなどの化学物質が、たとえ微量であっても動物の体内のホルモン作用を攪乱することを通じて、生殖機能の阻害や、免疫機能の低下などの悪影響を及ぼしている可能性があるとの指摘がなされている。内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)問題である。
 これらの危機、第3の危機に対しては、移入種や遺伝子組み換え生物、化学物質の利用に先立ち、生物、生態系への影響を科学的知見に基づき評価をし、利用の可否、対策実施の必要性、緊急性を判断する環境リスクの考え方を基礎とした予防的な対応が必要となる。もちろん既に国内に定着し顕著な影響を及ぼしている移入種への早急な対応も必要である。
 こうした形で3つに大別をして、危機の現状認識についてまず記述をしたいと考えています。
 次に、これらの3つの危機とも深くかかわる要因といたしまして、2)のこの10年の社会経済状況の変化ということにつきまして、「総じて社会経済は安定化に向かい、国民の環境意識は急速に高まり、社会全体が成長型から安定・成熟型に転換しつつある」こと、そして「時代が大きな変曲点に差しかかっている」ことを、人口や土地利用など、主な社会経済指標の動向、あるいは国民意識変化の分析などをお示ししながら記述をしていきたいと思います。
 次の3)世界における日本の生物多様性です。まず、[1]で世界の生物多様性の概観を述べまして、その上で[2]世界における日本の生物多様性の特徴といたしまして、「日本は温帯に位置し、国土面積が狭いにもかかわらず、生物相が豊かで固有種の比率が高いこと、大陸との分断・接続の歴史が特有の生物相を形成したこと。大陸との近縁種が多く、渡り鳥の行き来などアジア地域とのつながりが大きいこと」など、世界と比較しつつ日本の特徴を挙げていきたいと思います。[3]では、その日本の特徴を成立させている地理的・地史的条件、気候、地形等の自然環境特性や植生、生物相の概観、主な分類群ごとの特徴について記述をしたいと思います。
 次の4)我が国の生物多様性の現状のところでは、まず[1]で生物多様性保全のための国土区分を挙げております。日本の自然環境は極めて変化に富んでいるため、自然を一律にとらえるのでではなく、地域による特性の違いをまず理解することが大切と考えられます。そこで、ここでは日本列島の特性から幾つかの指標を設定した国土区分を試みた結果を示したいと思います。
 お手元の資料集の85ページをちょっとお開きいただけますでしょうか。85ぺージに載せましたように、「大陸島であるか海洋島であるかの別」「動物の分布境界線」「気温」「年間降水量」の4つ指標から国土を10に区分しています。他にもさまざまな区分が考えられますが、1つの考え方による区分として示すものです。そして、区分ごとの特性や現状について記述をしていきたいと考えております。
 次に、[2]国土における生物多様性の現状というところでは、始めに述べました危機の構造の基礎となります各種データについて、『生物種の生息状況』『森林・植生』『里地里山』『陸水域・浅海域』『島嶼地域』『都市地域』といった項目別に記述をしていきたいと思っています。
 『5)生物多様性に関連する制度の現状』のでは、自然環境保全を直接目的とした、あるいは保全に資する地域指定制度の目的や指定状況の一覧を示した上で、例えば国立・国定公園は、面的カバー率や規制内容から国土レベルの保全に大きく寄与している。しかし、その配置は山岳部に偏っている。また、生態系、特に動物保護の面からは十分な規制内容になっていないことなど、保全の現状について分析を記述したいと考えています。
 『6)生物多様性に関する課題』では、これまで述べてきた危機や問題を踏まえまして、多様性保全に取り組む上での課題を構造的に整備して述べていきたいと考えています。
 次に3番、『生物多様性保全の理念と目標』です。まず、『1』理念』では、『[1]生物多様性の持つ意味』という項を立てまして、そこでは、人類生存の基盤である環境は、生物多様性と自然の物質循環を基礎とする生態系が健全に維持されることによって成立をしている。
 生物多様性は人間生活を豊穣にするために不可欠な要素であり、豊かな生活・文化・精神の基礎である。
 生物多様性のもたらすさまざまな恵みなしに人類が将来にわたって生き続けることは不可能である。
 国土レベルの空間スケール、そしてまた30年、50年先といった長期の時間スケールから見ると多様性の保全は安全な飲み水の提供、あるいは自然災害の防止など、国土利用、国土経営上の安全性や効率性の確保に通じ得ると考えられる、などの点について記述をしたいと考えています。
 次に、『[2]自然との共生の考え方』といたしまして、ここではまず人間は生態系のすべてをわかり得ないことを認識し、慎重に行動すること、予防的な観点に立って対応することが必要である、としています。
 生態系が複雑で絶えず変化し続けているものであることを認識し、その価値を将来にわたって減ずることのないように、自然の管理と利用を順応的に行うことを原則とすべきである。
 生物の母体に着目するだけでなく、生物間のつながりや生物と環境のつながり、生態系の構造と機能を維持するという考え方が重要である、などのエコシステムアプローチの考え方をまず述べたいと考えています。
 続けて、「自然と共生する社会」を実現するためには、原生自然など、限定的な自然の保護という考え方から、国土全体の生物多様性の保全及び持続可能な利用という考え方にその範囲を広げていくことが必要である。
 その場合、人の生活・生産活動域を含む里地里山などの中間地域、あるいは都市域においては絶対的な価値を持つ貴重な自然を厳正的・排他的に保護するという従来の保護の論理だけでは問題が解決できない。身近な自然のように相対的に価値をとらえるべきものにも光を当て、それらを人の生活・生産活動とのかかわりの中で保全をしていく。そのための保全を基礎とした調整原理が必要である。
 これら多様な価値や機能が錯綜する地域において、利便性や経済性のなどの価値と、多様性の保全を調整し両立させていくためには、すべて一律の水準を設定することによって対応するのではなく、それぞれの地域における社会的合意形成プロセスを通じて、最適な水準を目指し見出していくという考え方が必要である。そして、この水準は固定されたものではなく、社会の環境意識の向上に伴って上昇をしていくものである。
 地域の生物多様性はそれぞれの地域に特有な歴史や文化とも深い関係を有し、活性化、個別化を目指した地域づくりのための重要な要素にもなり得るなどの点についても記述をしたいと考えています。
 そして、ここの理念の最後に、『生物多様性を基礎とした国土のグランドデザイン』、こういう項を起こすことも検討したいと考えています。すなわち、国土スケールでの多様性保全の意味や、ライフスタイルや価値観における多様性保全をイメージとしてアピールすることを目的とするものでございまして、例えば「自然優先地域の奥山・脊梁山脈地域と人間優先地域としての都市、そしてその中間に位置する農山村が、河川や道路沿いのグリーンベルト等による縦軸・横軸によって有機的に連携する国土であり、奥山のみならず都市にも巨木があり、猛禽類が悠々と舞う国土を100年、200年がかりでつくり出していくこと」、こうした考え方を示すことについてもあわせて検討していきたいと考えています。
 『2)目標』の項では、まず「自然と共生する社会」を構築するための長期的目標ということで、現行戦略(資料2)におつけしていますが、現行戦略に示された2つの目標を変えずに長期目標として上げたいと思っています。
 骨子案の2ページの頭に掲げましたように、まず[1]日本全体として及び代表的な生物地理区分ごとにそれぞれ多様な生態系及び動植物が保全され、持続可能な利用が図られていること。また、都道府県及び市町村のレベルにおいてそれぞれの地域の自然的、社会経済的特性に応じた保全と持続可能な利用が図られていること。
 [2]将来の変化の可能性も含めて生物間の多様な相互関係が保全されるとともに、将来の進化の可能性も含めて生物の再生産、繁殖の過程が保全されるように、まとまりのある比較的大面積の地域が保護地域等として適切に管理され、相互に有機的な連携が図られていることの2つを長期目標として挙げたいと思います。
 また、具体的な政策目標といたしましては、現行戦略では3つの当面の目標を挙げております。今回もう少しそれに具体性を持たせまして、骨子案には書いておりませんが、例えば、次のような7点ほどの点を挙げてみたいと思っています。1点目として、奥山、里地里山、都市、水域等、国土の生物多様性を成立させているマクロな構造を把握して、それぞれの地域の生態系の質、機能を維持、向上させること。
 2点目として、生物の生息上重要な地域を保護地域等により適切に保全管理すると同時に、地域個体間の存続を保証するために必要な相互の有機的な連携を、森林や水系の連続性や生息空間の適切な配置などの観点から確保することによって、質の高い生態的ネットワークを形成すること。
 3点目として、自然の消失・劣化が進んだ地域では、その再生・修復を積極的に進めること。
 4点目として、絶滅要因を解消することにより、種に絶滅の恐れが生じないようにすること、またそれぞれの地域個体群を消失させないようにすること。
 5点目として、生物多様性に正または負の影響を及ぼし得る他の関連する政策、計画に生物多様性及び持続可能な利用の視点を必須の要素として組み込む。
 6点目として、生物多様性に関する国民の関心と参加を促進すること。
 7点目として、地球規模、とり訳アジア地域における生物多様性の保全と持続可能な利用に寄与する、などの点について挙げていきたいと考えています。
 また、こうした目標の達成状況を図る具体的な指標というものといたしまして、例えば植生自然度、重要地域の保全状況、生態系タイプ別の自然再生事業の実施面積、あるいは指標値の回復状況、モニタリングサイト設定個所数、多様性保全のためのボランティア活動への国民の参加延べ数などなど、目標に具体性を持たせるためにさまざまな指標を検討、工夫をして、基本方針や具体的施策等の中で記述をしていきたいと考えています。
 次の4番、『生物多様性の保全及び持続可能な利用の基本方針』のところでは、原生自然など、限定的な自然だけではなく国土全体、野生生物全体を対象として生物多様性の保全と持続可能な利用を確保するために基本方針ということで、「施策の基本的方向」、「国土をマクロにとらえた場合の取り扱いの方向」、「特記すべき主要テーマ別の基本方針」について述べていきたいと考えています。
 まず1)国土の多様性保全施策の基本的方向というのものとして、多様性の危機の現状国民意識変化などを踏まえまして、次の5つの方向を掲げたいと考えています。
 第1は、冒頭に多様性の危機といたしまして挙げた種の絶滅、湿地等の減少、移入種問題などへの対応としての保全の強化。
 第2は、里地里山等の多義的空間における保全と持続可能な利用の確保や身近な自然など地域の相対的価値をきちんととらえて、それらの保全と生活生産上の必要性等々を調整していくための保全を基礎とした調整原理によるアプローチです。
 第3は、自然の消失・劣化が進んだ地域では、現状維持の保全だけではなく自然の力を人が手助けする形で自然の再生・修復に向かうこと。
 第4は、科学的知見に基づく適切な保全と持続可能な利用を図るために欠かすことのできない自然環境データの充実。
 第5は、国民の環境に対する関心を喚起し、環境意識のレベルや参加の意欲を高め、希薄化した人と自然の関係を再構築する上からも欠かすことのできない環境教育・環境学習の推進です。
 こうした5つの方向を示す意味についてここでは記述をしてまりたいと思います。
 また、施策を展開する上で大切な視点として、「統合的アプローチ」、「情報公開・参加・合意形成」、そして「国際的視点」の3点を掲げたいと考えています。
 『[1]統合的なアプローチ』のところでは、人の生活・生産活動域を含む国土全体を対象に多様性の保全と持続可能な理由を確保するためには、環境の側面だけを切り離しては問題が解決されない。社会的側面、経済的側面を含め統合的に問題をとらえていくことが不可欠である。また、多様性の問題は国土や土地と切り離すことができないことから、国土利用に関する計画や地域計画とも関係づけていくことが特に重要である。大気・水環境等への負荷をできる限り少なくし、循環を基調とする社会経済システムを実現するための施策とも一体的に進めることが必要であるなどの点について記述をしていきたいと思います。
 『[2]情報公開・参加・合意形成』におきましては、積極的な情報公開によって国民を初め多様な主体の参加を促していくこと。そして、科学的な知見に基づいて関係者すべてが広く自然的・社会的情報を共有し、社会的な選択として自然の管理と利用の方向や水準について合意形成を図っていくことが必要であるなどについて記述をしたいと思います。
 『[3]国際的な視点』では、我が国の社会経済活動は世界と密接な相互依存関係にあり、地球環境からさまざまな恵沢を享受する一方で、大きな影響を及ぼしていること。一方、生物や環境のつながりなどから日本と世界、とり訳アジア地域は多様性保全上深い関係を持つこと。このため、アジア地域と国際的な生物多様性の保全、地球環境の保全に積極的に貢献すると同時に日本の社会経済活動がアジア地域等の生物多様性に悪影響を及ぼさないように配慮する、そういった視点を持つことが必要である。地球温暖化京都議定書等からも特に国内森林の管理が大変重要になることなどについて記述をしたいと考えています。
 次に、『2』国土のマクロなとらえ方と取扱方針』のところです。生物多様性を成立させている国土の骨格的な要素をマクロにとらえて、その要素ごとの特性や生物多様性保全上の役割、取り扱いの基本的な方向を記述をしたいと考えています。ここでは、その骨格的な要素といたしまして、『[1]奥山自然地域』、『[2]里地里山等の中間地域』、『[3]都市地域』、『[4]河川・湿地等水系域』、『[5]海岸・浅海域海洋』の5つの要素を掲げました。この区分の仕方も含めてご意見がいただけたらと思っております。
 [1]脊梁山脈など奥山の自然地域のところでは、国土における自然性の相対的に高い地域であり、原生的森林、クマ等の大型哺乳類の中核的生息域、水源地などが含まれる。国土区分ごとの典型的自然植生性がまとまって残されている地域であり、各地域の代表的な動植物を将来にわたって存続させていくための、いわば中核的な役割を果たす地域である。
 このため、自然優先の管理を基本的な方向とする、などについて記述をしたいと思います。
 [2]里地里山など中間地域は、国土における位置、自然の質、人為干渉の程度において奥山と都市の中間的な地域である。
 中核をなす2次林だけで国土の約2割、周辺農地等を含めると国土の4割程度を占めている。2次林や水田、水路、ため池等がモザイク状に混在する環境が絶滅危惧種を含む多様な生物の生息空間となっており、都市近郊では自然との触れ合いの貴重な空間にもなっている。と同時に、多様な価値や権利関係が錯綜する多義的な空間となっている。
 中核をなす2次林は、植生によりミズナラ林、コナラ林、アカマツ林、シイカシ萌芽林の大きく4タイプに分類され、管理されずに放置された場合に樹林の更新や遷移が阻害されるなど、多様性保全上問題が大きいのはコナラ林とアカマツ林である。積極的に手を入れて2次林を維持する地域と、放置をして自然の遷移に委ねる地域を区分するなど、里地里山を自然的・社会的特性から大まかに区分をして、その特性に応じた取り扱いを行うこことが必要である。
 農業については、農薬や化学肥料の使用、農地の改良整備など、農業に伴う人為がその方法、やり方によっては自然界に大きなインパクトを与え得るものであり、一方農地を含む里地里山地域が生物多様性を支える基盤的な地域でもあることから、十分な生態的・技術的配慮によって、農業の生産性と生物多様性のバランスを保つことが大切であるなどの点について記述をしていきたいと考えています。
 [3]都市地域のところです。都市地域は高密度の土地利用、高い環境負荷の集中に伴い、多様な生物の生息できる自然空間は極めて少なくなっており、現状では生物多様性の貧弱な地域となっている。一方、こうした居住地周辺において身近な自然との触れ合いを求めるニーズは急速に高まりつつある。
 都市域に残された斜面林、社寺林、屋敷林、崖線、湧水、河川などの空間は貴重な生物生息空間であり、こうした空間の分断、消失に歯止めをかけると同時に、積極的に都市や臨海部に緑地・水辺地を創出をし、都市域の生物生息空間のネットワークを確保することが重要な課題である。
 その一環として、地下水・土壌等の条件から自然環境基盤としてのポテンシャルを把握しつつ、数百ヘクタール規模の森を整備するなど、まとまった規模の生物生息空間を創出することも検討をする。
 都市公園、道路、河川、港湾等の公共空間の緑地に加えて、学校ビオトープ、民間企業、個人の緑地など、さまざまな主体の緑地間の連携を強める。屋上緑化についても積極的に推進をする。
 また、都市への人間活動と負荷の集中の結果として、生ごみに依存するカラス類などが増え、都市周辺の生態系にも大きな影響を及ぼしている。こうした問題への対応も必要である。
 こうした都市域における多様性の回復にあたっては、都市域周辺の森林、農地などとの生態的関係や顕在的自然である河川、浅海域を主軸として、既に述べた土壌、地下水などのポテンシャルともあわせて多様性の回復の方法を検討していくことが必要であるなどの点について記述をしていきたいと思います。
 [4]河川、湿地など水系域のところです。河川を軸とする水系域は、生物生存の重要な基盤的構成要素であり、水系の特殊な形とし湿原や地下水系、湧水などが存在する。また、水系は森林、農地、都市、沿岸域の生態系をつなぐ要素であり、国土の生態的ネットワーク形成上重要な要素でもある。
 これまで、河川沿いの氾濫原野湿地帯、河畔林は農地、宅地等として営々と開発利用され、また河川改修や水質汚濁等に伴って陸水域生態系は大きな影響を受けてきた。
 生物の生息場としての重要な湿地等は保全を基本とする。加えて河川そのものの自然化を基調として、河畔林や河川周辺の湿地も含めた陸水域生態系全体の保全・再生・修復を進める。
 水系における健全な水の循環、良好な水質を維持・回復すること、上流から河口、沿岸域までの水系の連続性や自然状態の流況が持つ変動性を維持・回復することも陸水域生態系の保全のためには重要な課題であるなどの点について記述をしていきたいと考えています。
 [5]海岸、干潟・藻場など浅海域、海岸、海洋のところです。干潟・藻場、サンゴ礁などの浅海域は、多様な生物の生息場所、豊かな生物資源の生産の場所、水質の浄化、自然との触れ合いなどさまざまな重要な機能を有している。一方、これまで埋め立て等の強い圧力を受けて面的な減少や劣化が進んできた場所でもある。
 生物の生息場として重要な干潟等は保全を基本とする。加えて人工的海岸の修復、干潟や藻場などを含む浅海域生態系全体の保全・再生・修復を進める。その際、浅海域の生態系は、埋め立て等による直接改変の他にも、海水の流動、水質、底質、流入する土砂など、物理化学的な要素の変化によって容易に大きな影響が急激に生じることに留意が必要である。また、内湾におけるヘドロの堆積や貧酸素水塊の発生などの問題を改善していくことも欠かせない。
 海鳥、ウミガメ類、大型魚類など、海洋に生息する生物は、その生活史において極めて長距離の移動・回遊をするものが多く、海洋生物の保全のためには広域的、国際的な視点が不可欠である。また、海洋生物の保全に配慮した持続可能な漁業の確立も大変重要であるなどの点について記述をしていきたいと思っております。
 次に、植生自然度区分ごとの取扱方針ということで、多様性保全の観点から自然の区分ごとにその質を高めていくための取扱方針なり配慮事項を示していきたいと考えています。植生自然度は自然の価値尺度ではなく、自然に対する人為の介入の程度によって我が国の植生全体を区分したものです。それぞれの区分の特性に応じて保全・修復を進めていく方針をここに示していきたいというふうに考えております。
 例えば、国土の約24%を占める自然度7と8の二次林のところでは、先に述べましたようにミズナラ林及びシイ・カシ萌芽林を含む自然林に近い二次林については、基本的には放置をして自然の遷移に委ねていくこと。一方、管理されずに放置されたコナラ林で、竹林やネザザ類の侵入・繁茂によって樹林の更新や遷移が阻害されていたり、あるいはアカマツ林で松枯れ跡地にツツジ等の低木の藪が形成されるなど、多様性保全上の問題が生じているケースでは、問題の内容や地域の特性に応じて積極的に手を入れて二次林の質を維持・回復したり、あるいはどうか手助けをして自然林への誘導を図る。
 国土の約25%を占める自然度6の人工林に関しましては、森林・林業基本計画を踏まえて手入れが行き届かず荒廃した人工林について、間伐等を進め国土保全機能や生物生存環境の質を高めていくこと。また、単一の針葉樹の一斉林から複相林や広葉樹との混合林への転換、あるいは高齢林への誘導など、場所それぞれの立地特性に応じて森林の質を高めていく。
 そして、自然度4と5の二次草原のところでは、大正期と比べ大幅に面積が減少し、現在国土の約4%と小さいものの、草原特有の動植物の貴重な生息空間となっている。火入れなどが行われずに放置された草原では、樹林化が進み草原特有の生息環境が消失しつつあることから、自然的・社会的特性に応じて草原の質の維持・向上を図る。このため、健全な畜産経営をベースとしつつ、加えて希少な生物や景観保全の観点からの保護管理、野焼きや防火帯への整備など農家負担軽減のために公的支援、法律的な管理技術の開発、ボランティアの導入など、地域特性に応じた複合的対策を進めていくといった形でそれぞれの自然度の特性に応じた方針を記述していきたいと考えています。
 次の『3』特記すべき主要テーマ別の方針』です。
 その『[1]重要地域の保全と生態的ネットワークの形成』のところでございます。国土区分ごとの生物学的特性を示す典型的な生態系など、生物の生息場所として重要な地域について、十分な規模の保護地域化を進める。保護地域化に加え森林、農地、湿地、都市など、さまざまな生態系において環境配慮の徹底、自然の再生・修復など各種手法によって生息空間の確保とネットワーク化を進める。
 特に、森林、緑地の連続性、水系などの観点からの連携を強める。その際、林野庁の緑の回廊設定や農地、河川、道路、公園緑地、港湾、漁港における取り組みなど、関係各省の取り組みを総合的に進めることが重要である。また、物理的な連続だけでなく生物の移動・分散が可能な距離内に湿地や干潟などが適切に配置されることによるネットワーク形成という視点も大切である。
 脊梁山脈を中心に国土レベルで相当程度の面積をカバーしている国立公園等の自然公園については、その立地特性に応じて従来の風景保護の視点に加えて、生態系、特に動物保護の視点を制度上位置づけて、国土における生物多様性の骨格的な部分、屋台骨としての役割をより積極的に担う。また、国土レベルで鳥獣の保護繁殖上重要なまとまりのある地域については、国設鳥獣保護区を設定し、核となる生息地の確保を図っていくなどの点について記述をしていきたいと考えています。
 「[2]里地里山等の中間地域における保全」のところです。従来型の保護地域指定、囲い込み型の方策のみでは問題に対応ができないため、従来の規制的手法だけでなく、NPO活動支援、地権者との協定、税制や助成等の経済的手法、社会資本整備における環境配慮の徹底、生態的配慮技術手法の確立・提示など、多様な手法を組み合わせた緩やかな保全の仕組みを構築していく。
 その際、モデル事業の実施などを通じて具体的に生じている問題を分析・整理をし、里地里山の特性に応じた実践的な保全方策について検討していくことが重要である。里地里山の問題は、地域の生活・文化にもかかわる非常に広い範囲にわたる問題であり、それらを一体的、総合的にとらえていくことが必要である。そのため、地域における問題解決に向けての社会的合意形成が不可欠である、などの点について具体的な事例やデータをここでは掲げながら記述をしていきたいと考えています。
 「[3]湿原、干潟等湿地の保全」のところです。ラムサール条約の登録湿地選定基準が、水鳥の個体数だけではなく生物多様性保全上重要なさまざまなタイプの湿地に拡大されたことも受けまして、湿原、河川・湖沼、遊水地、農地におけるため池や水路、浅海域の干潟・藻場、サンゴ礁など、さまざまなタイプの湿地を対象に生物の生息場所として、全国的観点から重要な湿地を選定をしたところである。これらの重要湿地について鳥獣保護区や自然公園、自然環境保全地域などによる保護地域指定を進めたり、事業における環境配慮を徹底することなどにより保全を強化する。
 湿地の保全に際しては、湿地の環境条件の維持と深く関係する周辺の土地利用、森林管理や水の流れ、土砂の流出・移動、水質などに関し、流域や沿岸域等広域的な視点からの保全の取り組みを社会的合意形成を図りつつ進めることが重要である。また、湿地の生物相や生息環境、浄化機能に関する情報など、保全のために必要な基礎データの収集・整備を進めるなどの点について記述をしていきたいと思います。
 「[4]自然の再生・修復」です。自然の再生・修復のための事業は生態系のまとまりを重視した総合的な観点のもとで関係省庁が連携をして政府一体となって効果的、効率的に推進する必要がある。このため、例えば関係省庁などで構成される自然再生事業推進会議を設けるなどして、連携を強化する。
 また、複雑で絶えず変化する生態系を対象とした事業であることから、事業の実施によって逆に生態系の機能を損なうことがないよう、順応的管理の考え方を取り入れ極めてきめ細かい、丁寧な実施手法及びそのための体制づくりが求められる。このため、事前の十分な調査と事後のモニタリング、及び科学的評価、それに伴う事業内容の柔軟な修正が必要である。
 調査計画段階からモニタリング、維持管理段階に至るまで、市民、企業、NPO、研究者、行政等の多様な主体の幅広い参加・連携によって検討・実施することが重要である。自然再生の目標水準や手法については、地域の関係者が一連の自然的・社会的情報を共有して、社会的な選択として水準や手法を決定してく必要があるなどの点について記述をしていきたいと思います。
 『[5]野生生物の保護管理』の1、「種の絶滅の回避」です。レッド・データ・ブックはリストに載せることが最終目標ではなく、種の個体数を回復させ、リストからダウンさせる、削除することが目標である。また、新たな種がリストに掲載されないようにすることを目標とする。種の保存法に基づく国内希少種指定はレッド・データ・ブック掲載種全体の2%に過ぎない。今後、国内希少種の指定を進め、生息地保護区の指定、繁殖固体の野生復帰・再導入を含めた総合的な保護増殖事業の実施などによって、絶滅要因を解消するための取り組みを加速化させる。
 加えて、個別の種ごとの対応だけでなく、レッド・データ・ブック掲載種が集中する場所や、全国的に減少が著しい生息地タイプにおける生態系の保全、再生、修復を進めることによって種の絶滅のおそれを未然に回避する予防的な措置を講じていく。そのためには重要生息地の選定、そして公表、他の保護地域制度の活用やアセスを通じた環境配慮の徹底などさまざまな手法を組み合わせて対応していくことが有効と考えられる。また、それぞれの地域の個体群を消失させないという観点が大切であるなどの点について記述をしたいと考えています。
 『[5]−2 猛禽類保護への対応』です。猛禽類は豊かな生態系の指標と位置づけられるが、レッド・データ・ブック種に選定されている猛禽類も少なくない。その中でイヌワシ、クマタカは近年繁殖成功率の低下が著しい。イヌワシは強く執着する特定の営巣環境の確保、クマタカは十分にわかっていない生態や生息実態の把握が特に緊急の課題である。また、オオタカはその分布特性から全国各地の開発事業との間で問題が生じているが、生態分布等についてのデータを充実させ、生息域での土地利用に際してのきめ細かな対応方針の作成や、地域個体群を支える生態系のまとまりを保全するという考え方の検討、そして良好な採餌空間の確保を目的とした森林の管理など、総合的な保護対策の検討を進めえていく。
 あわせて、各種猛禽類の全国分布や生態等に関する情報の収集・整備をアセスメント調査結果や専門家、NGOの知見なども活用しながら進めていく。また、過去の開発行為が猛禽類の生息に与えた影響の追跡調査等を行って、猛禽類と開発行為との関係について科学的な分析を進める。さらに、里山における猛禽類の生息状況調査や生息環境改善などをモデル事業として積極的に展開するなどの点について記述をしていきたいと考えています。
 『[5]−3 海生哺乳類保護への対応』です。生物多様性保全上重要な生態系や種については、陸上・海中の区別をすることなく積極的に取り組むことが必要である。海生生物の中で、海生哺乳類は絶滅の危惧が懸念されている種が少なくない。ジュゴンなどの希少な海生哺乳類については、生物多様性保全の視点から、不足する科学的知見の充実を図りながら個体の保護措置のみならず、生息環境の保全などの取り組みを進めていく。また、保護にあたっては地元関係者などの理解・協力が不可欠であることから、調査段階からの地元参加、情報公開などを通じた合意形成の仕組みづくりについてもあわせて検討をしていくなどの点について記述をしたいと思います。
 『[5]−4 科学的手法による個体群管理システムの確立』のところです。シカ、クマ等特定の鳥獣の地域個体群が著しく増加あるいは減少している場合に、農林業被害や生態系影響等を抑えつつ、個体群の安定した維持存続を図るために、平成11年鳥獣法改正で特定鳥獣保護管理計画制度が創設をされ、その後、環境省として計画策定のガイドラインを作成し、都道府県に示したところであります。
 この制度については、保護管理の目標設定の考え方などに関し事例を積み重ねながらさらに検討を加えていく必要がある。保護管理に不可欠な個体数把握や変動予測にはいまだ不確実性があり、今後その制度を高める技術開発も必要である。また的確な制度の運用を支えるモニタリング体制の整備も大きな課題である。こうした課題への取り組みを進め、野生鳥獣の地域個体群を安定的に維持するためのより科学的手法に基づく管理システムを確立していくなどの点について記述をしたいと思います。
 『[5]−5 移入種問題への対応』です。生物多様性条約締約国家会議で決議をされた移入種の中間的原則指針にも示されました。第1に移入の予防、第2に影響の早期発見と早期対応、第3に定着した移入種の駆除・管理といった3段階の対策が必要である。このために8点ほど挙げますが、1点目として現に影響がある、またはそのおそれのある要注意種のリスト作成、2点目は新たな国内利用に際してのリスク評価の実施、3点目、飼育下の要注意種の管理の評価、4点目として、非意図的移入の経路の特定と予防、5点目として要注意種の新たな移入や定着に関するモニタリングと早期対応の実施、6点目として定着した移入種の影響把握と駆除・管理等の実施、7点目として、上記対策に必要な経費及び体制の整備、8点目として、業界、国民等の各主体の移入種問題への理解と取り組みの推進などの対策を複合的に推進することが重要である。
 特に、固有の生物相を有する島嶼地域や湖等の閉鎖性水域は、移入種に対して脆弱な地域と考えられ、こうした地域の自治体と相談をして侵入の予防や初期段階の撲滅のためのモデルシステムづくりを進めていくことも検討する。マングース、ブラックバス等定着した地域での影響が顕著で、駆除の緊急性の高い移入種については、専門家、地元関係者等各主体の協力を得て駆除事業を推進するなどの点について記述をしたいと考えています。
 「[6]生物資源の持続可能な利用」です。この項では、バイオテクノロジーによる生物資源の利用の基本的考え方、利用に伴い生物多様性に悪影響を及ぼさないようにするための配慮の方針などについて記述をいたします。
 「[7]自然環境データの整備」です。この項では、全国の自然環境の現状と時系列的変化を的確にとらえる科学的かつ客観的な自然環境データの収集・整備という要請に応えるために、昭和48年以来継続実施してきた自然環境保全基礎調査のおよそ30年にわたる成果と限界点をまず述べたいと思います。その上で今後の方向として国土の自然の創出や人工化の進行に警鐘を鳴らすという役割に加えて、生態系の特性に応じた具体的保全策、あるいは自然の再生・修復、あるいは開発に際しての環境配慮指針の検討などに資するデータ整備を進めていくことが重要である。このため、これまでの調査の継続性と新たな課題に対応した調査の質の向上という相反する2つの要請にこたえつつ基礎調査の質的転換を図っていく必要がある。
 新たに取り組むべき内容例として、第1として、自然環境の劣化を早期に把握し、要因を特定するなど、戦略的保全施策の推進に資するより質の高いデータを継続的に収集するために、地域の専門家やNPO等のネットワークを活用したデータ収集の仕組みを構築して、全国1,000カ所程度の定点における動植物や生息生育環境の長期的モニタリングを展開していく。第2として、開発や汚染の影響を受けやすい浅海域を中心に、生物生態系情報の整備に本格的に取り組むことなどが挙げられます。
 また、収集したデータについて社会経済的テータも含めた重ね合わせでありますとか、個別地域や課題について進化した、深めた研究成果をフィードバックさせるなど、調査結果分析の分野を充実させることも重要な課題です。さらに、国土交通省の河川、水辺の国勢調査や、農林水産省の森林資源モニタリング調査を初めといたしまして、国、地方、NPO等の各セクターにおけるデータ整備の進展を踏まえ、相互の情報交換等を進める連絡組織を設けるなどいたしまして、これらデータを広く保全施策に活用するための情報の共有化と公開の仕組みづくりを進めるなどの点について記述をしたいと考えています。
 「[8]効果的な保全手法の活用」です。この項では、保護地域指定、いわゆるゾーニングによる手法だけでなく、対象地域の自然的・社会的特性に応じて、その他の多様な保全手法を組み合わせて、効果的に対応していくことが必要である。その他の保全手法としては、環境アセスメントによる環境配慮の徹底、レッド・データ・ブックや重要地域などのリスト化、保全配慮指針や基準の策定、生態的・工学的配慮技術手法の確立・提示、税制・助成などの経済的手法、自発的取り組みの促進、住民参加による計画策定手続き、合意形成システムなどがあり、保全対象の特性に応じて効果的な手法、あるいはその組み合わせを用意をし活用をしていくことが重要である。
 平成11年より施行された環境影響評価法では、絶対的価値を持つ絶滅危惧種や傑出した景観だけではなく、身近な自然などの相対的に価値をとらえるべきものも対象に加えて、よりよい環境配慮を事業内容に組み込むことを求めている。この制度をより効果的に機能させていくためには、1点目として影響の予測評価や、環境配慮のために技術手法を向上させていくこと。2点目として、自然環境の基礎的データの整備・提供を進めていくこと。3点目として、事業者が積極的な情報公開を通じて住民や専門家等と幅広く効果的なコミュニケーションを図ること、などが重要な課題と考えております。
 さらに、個別の事業実施段階に先立つ上位の計画や政策における環境配慮のあり方について、諸外国で「戦略的環境アセスメント」と呼ばれている仕組みも参考としながら、現在その内容・手法などに関する具体的な検討が進められている。特に、自然環境影響の回避、低減のためには、立地段階の柔軟な環境配慮が重要であり、この仕組みの有効性が高いものと考えられるなどついて記述をしていきたいと考えています。
 「[9]多様な主体間の連携」です。ここの項では、多様性保全と持続可能な利用に関する各省の施策について、省庁の枠を超えて一体的・総合的な取り組みを進めることが新戦略の大きな役割である。自然再生事業、里地里山の保全、環境学習、自然環境データの整備など、施策テーマに応じて関係機関の連絡会議を設けるなどして、効果的な形で各省間の連携と共同化を図る。また、地域の生物多様性保全は、日常的にかかわる地域の自治体や住民が主体となって、地域の特性に応じた計画づくりや取り組みを進めていくことが大切である。国は指針の作成、事業の助成、情報の提供などを通じて地域の取り組みを積極的に支援する。
 また、地域が社会的な合意形成を行う際には、科学的な知見や情報を関係者が広く共有した上で選択がなされる必要があり、適切な専門家の関与が極めて重要である。このため、専門家の組織化や地域への派遣などの体制整備、あるいは支援方策についても検討する。そして、国、自治体、住民、企業、NPO、研究者などの多様な主体の幅広い参加と連携を促していくなどについて記述をしていきたいと思います。
 10番目、最後の「[10]国際的取組」です。地球サミットを転機として、それまで不熱心との批判を受けてきた日本の自然環境分野の国際的取組が積極的に動き出した。生物多様性条約には、先進国中2番目と早々と締結をし、ワシントン条約やラムサール条約締約国会議の日本開催も実現した。環境ODAも地球サミットの約束に基づき大幅に増額され、この10年、自然環境分野の専門家派遣数も増えてきている。しかし、これまでこの分野の国際協力は、全体としては受身的かつ単発的な取り組みが多かったのが実態であり、協力の基本方針、戦略を十分練らずにこれまでは進めてきたと言える。
 今後の展開については、まず生物多様性条約、ラムサール条約、ワシントン条約等の関連諸条約の効果的な実施や、国際サンゴ礁イニシアティブ、水鳥保全戦略、あるいは地球規模生物多様性情報機構、あるいは森林の保全・持続的利用などに関する国際的な取り組みの推進に積極的に貢献していく。途上国への協力についても、アジアにおける日本の立場や、生物自然環境のつながりを考慮して、重視すべきテーマや対象地域、基本的な方向を設定しつつ展開する必要がある。
 今後の重要なテーマとして、例えば第1にアジア地域等における生物多様性・生態系に関する基礎的データの整備ですとか、土壌等の環境資料、生物標本などの系統的な収集、蓄積などへの協力。第2に渡り鳥のモニタリングネットワークの強化や、重要湿地の保全など、渡り鳥、湿地分野の協力。第3には、希少種が集中し危機に瀕した生物多様性保全上のいわゆるホットスポット地域における保全活動など、希少種保護分野の協力などが挙げられるといった点について、この「[10]国際的取組」では記述をしていきたいと考えています。
 そして5番、『具体的施策の展開』のところです。環境省及び各省の施策について、項目別に施策の考え方と具体的施策内容の記述をいたします。各省には特に各省が生物多様性の保全や創出についての役割をより積極的に担うという観点から、記述をしていただくことを考えております。
 『1』国土の空間的特性等に応じた保全と持続可能な利用』では、[1]森林・林業、[2]農地・農業、[3]都市・公園緑地・道路、[4]河川・砂防・海岸、[5]港湾・海洋、[6]漁業・漁港、[7]自然環境保全地域・自然公園、[8]名勝・天然記念物という8つの項目に分けて具体施策を記述いたします。
 『2』野生動植物の保護管理』のところでは、[1]絶滅のおそれのある種の保存、[2]鳥獣の保護管理、[3]化学物質対策等も含めた移入種等、生態系の攪乱要因への対策、[4]動植物園、水族館等の取組などの飼育栽培下における種の保存の4つの項目に関する施策を記述いたします。
 『3』生物遺伝資源の保存と利用』では、[1]ジーンバンク等の生物遺伝資源の保存、[2]バイオテクノロジーによる遺伝資源の利用、[3]遺伝子組み換え生物の安全性確保の3項目について施策を記述いたします。
 続いて、4)が自然との触れ合い利用、5)はペット等の動物の愛護や管理、6)は生物多様性に関する情報整備と調査研究、7)は環境教育・環境学習、8)はさまざまな社会資本整備における環境配慮、9)が生物多様性保全に資する助成金、補助金、税制上の措置などの経済的措置等に関する施策について記述をしていきたいと考えています。
 10)国際的取組では、[1]生物多様性関連諸条約の実施、ここでは条約に基づく保護地域指定も含めて記述いたします。[2]国際的プログラムの推進、[3]開発途上国への協力の3つの項目に分けて施策を記述していくことを考えております。
 最後の6番、『戦略の効果的実施』です。1)では、各省及び多様な主体の連携による戦略の実行体制、2)では、関連の深い他の各種計画との連携、3)では、毎年の戦略実施状況の効果的な点検の方法、そして5年後を目途とした次回の戦略見直しのあり方について記述をしたいと考えております。
 説明が長くなりましたけれども、事務局が用意いたしました骨子案の説明、以上です。本日はこの新戦略の骨子案の構成でありますとか、今後素案に盛り込んでいくべき重要な点などにつきまして幅広いさまざまな角度からご意見を頂だいできればと思っております。どうかよろしくお願いいたします。

●辻井委員長 どうもご苦労さまでした。かなり長くなりましたけれども、以上で骨子案の説明をしてもらいました。ひとつご自由にご意見をいただきたいと思います。
 要するに、今のここに提示されましたのは、リポートの目次というようなことになります。ですから、項目として欠けるところはないかとか、あるいはまとめた方がいいということもあるかもしれませんし、内容については今の説明にあったようなことなのですけど、お気づきの点ございましたら是非どなたからでも、どの場所からでも結構です。渡辺さん、どうぞ。

●渡辺委員 どうも大変長いご説明をいただいたんですが、幾つか申し上げたいんですけれども、私としてはこの各項目のもとに事務局が考えていらっしゃること、素案でもその前のでもいいんですけれども、伺っていると多分原稿があるように思うんです。もう少し、できればその原稿そのものも欲しかったと思います。
 例えば、最後のほうの3ページ目の「[5]−5 移入種問題の対応」でも7つぐらいあったのですけども、そういうものでも、簡単なものでもいいのですが、それがないと私もちょっと意見の言いようがないんです。
 わずかに今日いただいた骨子から申し上げられるのは2つあります、1つは現行とどこが違うか。長期目標については、現行のままなのか。前回、阿部委員から「戦略というのはそうしょっちゅう変わってはおかしいではないか」というご意見がありました。長期目標は維持しながら、具体的にどこが変わったかということのご指摘があれば、どれが新しくて、どこが従来と変わって違うことを考えているかというご説明をいただきたい。
 それから、二つ目として、私は実は環境基本計画の時にもしみじみそう思ったのですが、この会合でも申しましたけれども、なるべく具体的な指標を考え、具体的な数値目標のようなもの出して、そして、それが1年1年どの程度達成をされてきているかという、この国家戦略に掲げられたいろいろな施策の実地状況をチェックする効果のあるシステムというか方法を工夫をしなければいけないんじゃないか。その数値目標のようなものは、ここにもありますから大変結構なのですが。
 今、最後の戦略の効果的実施のところの実行体制、各種計画との連携、実施状況の点検と戦略の見直し、これはほとんど現行の戦略そのままですけれども、できることならば中身を少し工夫していただけないだろうか。
 どういうことかと申しますと、各省、本当にほとんどすべての省庁がこれに関係していろいろな施策を講ずる訳ですけれども、ここに新しく書かれた国家戦略の中で、各省がこの1年間、毎年どれだけのことをなされたか自らチェックをした上で、これを書いている訳ではありません、関係省庁連絡会議で点検講評するということだけありますけれども、各省で自らチェックをし、そしてできるなら、この審議会にも毎年かけて、各専門家の委員のご意見をお聞きになったらどうだろうかと思います。環境基本計画と同じような仕組みを、この効果的実施のところにお入れいただけるとありがたい。最後が一番具体的なものですけれども。

●辻井委員長 ありがとうございました。ただいま2つほど質問がございます。
 1つは、前のとどこが違うんだろう。どこが違うといってもいろいろ違うところがあるんだろうと思うんですけれども、その中でも例えばこういうところは少し書き込んだんだ、あるいは書き込みたいんだというところがあればひとつお話しくださいますか。

●自然環境計画課長 うまくきれいにどこがという説明は割と難しいんですが、企画官が説明の冒頭で申し上げました前回の計画に対するやや批評的な見方が今回の計画策定の出発点になっているということが事務方で作業しているところの実は正直なところで、前回は、実は余りデータ的な分析をしたり、議論したりする時間が十分でないままに計画というものをつくるプロセスになったんです。計画ができた後、平成7年から既に着手して一部申し上げました、例えば生物地理区分のデータの蓄積と区分でありますとか、里山に関する分析でありますとか、干潟に関する分析みたいものを、かなり蓄積して議論した上で今回の計画をつくっているということが大きい違いだと思います。
 また、渡辺委員の最後の質問とも絡むんですが、前回の計画時と今回の計画時で各省の取り組みがものすごい勢いで変わってきているということが前提であって、したがって今骨組みの段階ではちょっと連携という言葉だけになっているので必ずしも十分に意を尽くしていませんが、具体的な実践の中で共同事業をむしろ実施するという形で、おそらく1月にお出しするものの中では形を整えていくことになると思います。
 それから、もう1つ、実は理念と具体的なこととかかわるんですが、環境庁ができてから30年の自然保護局の行政の仕方は、学術的に非常にはっきりした保護を必要とする対象について、保護を図るべきであるというのが基本的な理念だったと思うんです。それは依然として変える必要はないと私は思っておりますが、今回の中で申し上げている2番目は、特に里山等の中間地帯など、いろんな価値の中でその中の一部を構成している生物多様性というものを、何らかの手法、手段をもって守るための新しい仕組みを考えたいということです。調整云々というふうに申し上げてまだ生煮えの言葉なんですけれども、従来の考え方ですと中間的な価値を持ったものに多様性保全の観点から光を当てて、何らかの仕組みで保全を図る、そういう考え方を、これは初めてと言ってもいいと思いますが打ち出したいと思っておりますし、特に都市域の、あるいは失われた自然生物多様性の創出に関して、これは政府の計画として言葉としてはかなり前から言われていることだというふうに思いますけれども、そこの生物多様性という観点で相当準備をしプロセスを決め、計画上の考え方も整理した上で、なおかつ具体的な多分モデル事業的な展開になると思いますが、実施する。つまり、創出についてもかなり明快に提案したいということだろうと思います。
 それから、具体的指標の問題については、まとめて項目という形で提示するかどうかというのはちょっと技術的な問題がありますので考えさせていただきたいと思いますが、とにかくおっしゃっている趣旨をできるだけ満たすように、何とかして進度を端的にとらえられるような工夫は、計画全体の中で随所に考えていきたいというふうに思っております。
 それから、各省の進捗状況ないし各省連絡会議の内容について、審議会で1年に一回ぐらい数字なり実態を整理した上で審議会に報告するということについては、それは我々もそういうことでやっていただければ誠にありがたいと思いますので、そういう形で進めるように内部で少し調整してみたいと思います。

●辻井委員長 どうもありがとうございます。

●自然環境局長(小林) 前回の計画現行計画と今回違うところというご質問で、もう少しかみ砕いて言いますと、前回の計画、資料2のところに現行計画というのが入っていますけれども、第2節で長期的な目標と当面の政策目標という節がきて、その後すぐ施策の展開という説明になっていました。ここでは、各省はどういうことをやっているかということで、個別の現在の施策を列挙してあった訳です。その現行計画に対する批判の中で、先程計画課長からも言いましたけれども、崇高な目標はあるけれども、どうもやろうとしてることは今やっている各省の政策をまとめてがちゃんこさせてるだけじゃないかと、こういうようなご批判がありまして、それをどうやってクリアしていくかというのが今回の大きな流れです。
 そこのところが今日の資料1の1ページ目の一番下のところの「生物多様性保全の理念と目標」の理念のところ、ここに生物多様性条約の中でも言われているエコシステムアプローチという考え方をもう少しはっきりしたということと、次の2ページ目のところの4番に書いてありますように「生物多様性保全と持続可能な内容の基本方針」、ここを目標と施策の間に基本方針ということで具体的に書こうと。ですから、これからのご議論の中で一番肝心なところです。基本方針、ここのところを少しいろんなご注文をつけていただいたり、関係各省の今日傍聴に来ていらっしゃる方もご意見を賜れればありがたい。ここにちょっと力を入れて、目標はどうしても抽象的にならざるを得ない部分があるものですから、目標と施策をつなぐものの考え方、方向性、ここを出したいというのが眼目でございます。

●辻井委員長 ありがとうございました。どうぞ。

●渡辺委員 ありがとうございました。最初、私は言葉をぼかしたのでストレートに通じなかったと思いますけれども、せめてこの4の「保全と利用の基本方針」の部分ぐらいは今日企画官が口頭でお話しした原稿を頂だいしたいと思うんです。次回1月の末ですから、お手元の原稿をちょうだいして持って帰って、よく検討をしたい。多分、この4の基本方針のとこがみそかなと思います。

●辻井委員長 ありがとうございます。岩槻先生、どうぞ。

●岩槻委員 前の戦略から比べると小林局長がおっしゃったみたいに環境省の理念がはっきり出てくる形でおまとめいただいていて、私は非常にわかりやすかったのですけれども、それだけに話を伺ってるうちに二、三気になったことがありますんで、多少枝葉末節にかかずらうところがあるかもしれませんが、申し上げたいと思うんですけれども。
 まず最初の、第1、第2、第3の危機のところの整理の仕方なんですけども、例えば移入種というのを第3の危機のところでだけ取り上げられていますけども、実は移入種ということになりますとこれはそれこそ自然帰化植物の話になってきますので、里山の問題とも非常に密接な関係がある訳ですよね。ですから、ここのところはむしろ第2の危機というのは、人間が歴史的に新石器時代以来自然に影響を加えてきた、余り好きな言葉じゃないですけどもここでは2次的自然と呼ばれているそれに対する人為の管理が行き届かなくなったことに対する影響な訳ですよね。
 それに対して、第3の危機というのは、むしろ科学技術というものが20世紀に入って、特に後半になって科学技術というものが非常に強い影響を与えるようになってきた環境に対する影響ということだと思いますので、むしろそういう形で整理をされた方がここのところはわかりやすくなるのじゃないかという気がするんです。僕自身は、そういうふうに考えたのですけども。
 それから、それに関連することかもしれませんけれども、全体を50年、100年、政府対応設計が当然そうな訳ですけども、50年、100年の計でお考えいただいているというのがご説明のあちらこちらで出てきて、それは普通、政府の施策というのは近未来しか話をしませんのでそういう意味では非常にいいと伺っていたんですけども、それにもかかわらず最近10年間において、環境に対する国民の意識が非常に高まったという評価があったんです。これは考えようによってはバブルがはじけて景気が後退したためにそういうところへ向いたという側面がむしろあるんじゃないか、過去10年だけについて言いますとですね。国民全体の価値観、物質エネルギー志向の価値観というものは、基本的にはやっぱり変わってないと思いうんですよね。バブルが戻るということはまずないと思いますけども、また景気が非常にいい状態になったら本当に今のような形で環境に対する意識が強まっていくということが確保できるのかどうかということは、非常に心配な側面がある訳ですね。
 そういう意味では、国民に対する普及活動が大切であるとおっしゃっているところは非常に重要だと思うんですけども、そこのところは価値観そのものを変えるというそういう形でご記述願えたら、非常に強くなるんじゃないかと思います。
 それから、これはまさに国家戦略であって環境省の戦略ではない訳ですから、例えば私が非常に気にします生物多様性の情報整備というようなことに関しては、ご説明のところでは自然環境調査のことを中心にご説明になりましたけれども、生物多様性に関しては科学的な評価ができないという基本的な理由は科学的な情報が不足しているということなのです。国家戦略としてはやはり生物多様性に対する基礎的な情報というのは、もっともっと解明されないといけません。特に、日本は研究のレベルが遅れている訳じゃないんですけども、生物多様性に関しては個別の研究だけであって、全体から言いますと特に電子化された情報の整備ということ等になりますと非常に遅れているということが歴然としてくる訳ですけれども。そういうところをやっぱりきっちりやらないといけないということは強調していただけないか。
 同時に、国際対応も、条約の対応だとかそういうことも必要なんですけども、やっぱり国際対応で一番必要なのは、日本は環境に対してこういう大きな国内での貢献をやっているんだと、だから諸外国もまねをしなさいというぐらいの意味での国際貢献ですね。それはやっぱり国際貢献として一番大きい部分だと思います。もちろんその条約についても必要ですし、いろんな側面があるかと思うんですけれども、基本的には生物多様性の保全に関してはこれだけのことをやるんだ、だから諸外国も見習いなさいというスタンスが強く出てきた方が戦略としては生きてくるんじゃないかと思うんです。
 それから、もう1つはこれから開発ということは当然必要になってくる訳です、人間生活の多様化に伴ってますます必要になってくる側面がある訳で、それを持続可能な開発というものにどういうふうにつなげていくかということがむしろ戦略としては重要な訳なので、そのためにより正しい開発の企画というのをどう組み立てていくのか。それに対して、組み立てたものをどう実現させていって後のモニタリングをどれだけ完全にやっていくのかというそういうスタンスがあって初めて、修復なんかのところは非常にきっちり生かされてくるんだと思います。修復だけじゃなくてこれからある開発に対する対応というのも生物多様性の保全のための要素にとっては基本的に重要なことだと思いますので、それがどこに入るのかちょっと今お話を伺っていた間ではすぐ思いつきませんでしたけれども、是非そういうことは触れていただけたらというふうに思います。
 幾つかあるんですけども、主なところはそういうところなので、まずそういうところを願いしたいと思います。

●辻井委員長 ありがとうございました。どうぞ、大沢さん。

●大沢委員 先程の渡辺委員の現行との違いということとも関連しているんですけれど、確かに現行のものと比べると構成は整理されてるような感じはするんですが、その間にいろんな省庁で随分やっぱり多様性の保全とか自然環境の保全ということを積極的に扱うようになってきて、逆に言うと、この国家戦略が環境省が中心になってまとめたということの顔が見えないというか。どこでも言っているようなことが同じように並んでいるという印象がちょっと強いんですね。
 他の省庁との違いというのは、環境省が日本の自然を積極的に、その自然に対するこれまでの蓄積と知見を十分に持った上でそれをきちっと守っていくという、ただ守ることが必要だということを言うのではなくて、きちっとしたデータに基づいて責任を持って生物相なり自然なりというのを管理していくといところが環境省の一番の目玉だと思うんですね。それで、そういうところがまとめた国家戦略ですから、自分たちの持っているそういうノウハウに基づいて他の省庁がそれを、いわばお手本にしながら自分たちのところのいろんな施策を講じていくぐらいのそういう姿勢が見えてほしいと思うんですよね。
 いろいろ里地や里山の大事さというようなことはもちろん一方である訳ですけれども、日本の原生的な自然についても環境省が持っている保全地域というのは原生自然環境保全地域とか自然環境保全地域なんかたくさんあるですけど、そういうものがきちっと生かされて、しかも管理して定期的に調査をするということをうたっている、そういうものをベースにした日本の自然の的確な把握といいますか、「そういう情報が今どうなってるんですか」と聞いたときに、お答えできるような情報をきちっと把握されているのかというようなところが非常に気になるんですよね。
 ですから、こういう戦略ですから姿勢を示すということと同時に、具体的にそれが実行に移されるという保証を、こういう機会にある程度主張しておくというようなことが、多分環境省全体の内部での自然保護にかかわる部局の姿勢であるとか、あるいは日本の政府全体の中での環境省の位置づけであるとか、そういうものをもうちょっと具体的に、自然を責任を持って守れる省庁であるということの保証を何か戦略の中で取りつけていくとか、そういうことをお考えにならるれ方が実効性があるんじゃないかという気がするんですよね。
 例えば、先程申し上げた原生自然環境保全地域について10年ごとに調査をするということになっていますけど、その間何が起こっていてもほとんど情報が入らない状況ですよね。しかしながら、各地に、例えば屋久島であれば世界遺産センターであるとか、他の島嶼にはいろんな野生生物保護センターとかそういうことは持っておられて、だけど実質的には許認可で忙殺されていて1人か2人の人しかいなくて、それで本当に日本の自然を生物多様性国家戦略というものをうたった中で、きちっとモニターしながら守っていけるのかというところに非常に私は不安を感ずるんですよね。
 例えば、天然記念物なんかですと、保全上の留意事項というので定期的にそれぞれの場所を審議会の委員なり何なりが回って保全上問題がないかどうかなんてことをしょっちゅうチェックしてる訳です。そういうこともある訳ではないし、そうすると、生物多様性センターもできてそこでそういう情報を本来きちっと集約して、日本の自然の現状がどうなっているのか、あるいはそれを保全していくにはどういうふうなことが知識として、知見として研究的なレベルのことも含めてわかっていく必要があるのかとか、そういうことを具体的にやっていただけるのかと思ったら、やっぱり人が余りいなくて、わきにある例えば山梨県の環境科学研究所の方が遥かにスタッフは充実してるとかですね。
 そういうことを言ったら失礼かもしれませんが、それは何も環境省に問題があるというよりは、日本のそういう自然環境に対する保全とかそういうことを考える全体の空気の問題がそういうことを結果的にもたらしているんだと思うので、こういうものを訴えかけるときにこそまさにいいチャンスなので、そういう具体的にモニタリングなり調査なり、あるいは情報なりというものをきちっと集積してやっていけるようなことを、戦略というからには盛り込んで将来につなげるような方向性が見えてほしいと思うんですよね。
 環境研究所とかいろいろそういう類したものを工夫しながら、主体的に取り組めるような体制を何とかつくっていけるような、具体的には無理かもしれませんけど、少なくともそういう方向性を訴えるようなことがあると次の顔が見えてくる、そういう印象を受けます。ちょっと長くなりましたが。

●辻井委員長 ありがとうございます。戦略の実効性を担保するにはそれだけのシステム、準備が必要だろうということですね。どうぞ。

●自然環境計画課長(小野寺) おっしゃっておられることは私も全くそのとおりだと思います。説明がちょっと十分じゃなかったところがあるのかもしれませんが、自然環境行政をするにあたって、自然環境に関する基礎的なデータをどう押さえていくかということは、極めて重大というか、あえて言えば一番重要なテーマであると言ってもいいというぐらいのことをずっとここ半年ほど内部で議論しながら作業してきたつもりであります。
 ちょっと全体的にいっぱい言わなきゃいけないことがあり、かなり縮小して発言したので、そこが強弱が明らかでなかったということと、全体の構成の中で内部的にもそういう事務的な位置づけがあるのであれば、方針レベルのところで強く書くとか、そういう工夫を少し素案をつくるまでにやってみたいと思います。

●辻井委員長 ありがとうございます。他にどなたかございますか。どうぞ。

●服部委員 2つばかりお願いしたいんですけれども、この前提としてプリミティブな話なんですけれども、この戦略の持続性を、どういうふうに見ておくかというのを前段のところにちょっと入れてもらったらどうかと思います。非常に激動の時代ですので、社会的背景についての見直しの経緯のところで話がありましたけれども、それすらさらに変わってしまう可能性もあるんじゃないかという気がしますので、知見とか社会的背景が変わることに対応するような規範みたいなのを入れておいてもらった方がいいんじゃないかなということが前段です。
 そこで2つ申し上げたいんですけども、多様性の保全の重要性とか必要性というのは、ここの部屋におられる方、委員の方とかあるいはこっちに座っておられる方というのは十分におわかりといいますか、当たり前のことというふうに認識された人ばっかりじゃないかと思います。行政側にしても国民全般にしても、「生物多様性が何で必要なの」というのがわからない人がほとんどだというふうに認識した方がいいと思うんです。また、行政自身も縦割りですから、多様性の危機防止とか回避系で仕事をしている人と、そうでなくて開発系なり危機創出系の仕事をしている部門とがありますので、もう一度多様性の重要性をうまく、定性的ではなくて定量的、できれば計量的に述べてもらうようなところを、この1ページの3の1)の理念のところでもう少しきちっと書いてもらいたい。エコシステムアプローチをとるよという言い方よりも危機の防止あるいは回避型部門の人が危機創出型のところに説明するときにも、いちいち個別の論理で言わなくて総論として言えるというメリットがあるので、そういうところで押さえてもらった方がいいんじゃないか。
 この中にも、湿地だとか渡り鳥だってレッド・データ・ブックでこんなに減ってるよというところまではわかるんだけれども、それでどうなるのというところですね。それで大切なのはどういうことなんだというところがない。あるいはサンゴ礁とかイワシの漁獲量がこんなに減ってるよというふうなのがあるんですけれども、イワシの漁で蛋白源が少なくなったという、それはイワシの方から見ればそうなのかもわからんけども、他の蛋白量から見ればイワシでなくたっていいよということがあるかもわからない。だから、そういうのを統合的なアプローチの話の中で検討していただきたいなということです。
 それをやるためには、人間の都市といいますか、開発された地域と奥山と里山的中山間地と都市と、あるいは海域との関係で定量的なやり方というのは違うんじゃないかなということがありますので、地域別にそういう理論構成をできるだけやっていただけたらいいなというのが1つです。
 それに関連しまして、危機創出型の部門というのは、どうしても経済的に「安いよ」とか、「こっちの方が安いよ。だから、日本じゃなくて外国から木材輸入するんだよ」という話になってくるんですね。だから、日本の山林で木を切り出すよりも輸入材の方が安いよという経済的な面で突破されてしまう。
 それから、いわゆる公共事業なんかでは、国土交通省の中の話かもわかりませんけれども、そういう道路のつくり方をするとものすごく工事費が高くなってしまう。だから、多少多様性の自然を壊して、そっちの方をとるという形のものが、出てくる。だから、人間の社会経済活動と保全との天びんの掛けぐあいみたいなのはどういうふうにとるか。あるいは、輸入木材なんかで安くなる分は財政的に支援したり補助金出したりという制度は、先程渡辺委員かな、おっしゃったと思うんですけども、新たに日本でそういう里山保全をすることで生物多様性を保全することによって、たとえば木材の経済的価値にギャップが出てくるような場合は、それについて補助金を出すような制度も検討して、この際盛り込んでいただけたらいいなというふうに思いました。
 以上です。

●辻井委員長 ありがとうございます。今のは、ご希望というか意見としてということで承っておいてよろしいんじゃないでしょうか。
 では、川名さん、お願いします。

●川名委員 この見直しは非常にいい時期で、今非常に関心が高まっている時で、世間に多様性を認めてもらうのに非常にいい時期だと思いうんです。そのためには、社会に受け入れられるような戦略をつくるべきだと思うんですけれども、世間に受け入れられるべきというのは、素人にもわかるような、私のような専門家でもない者にもわかるようなものをつくってほしいと思うんです。
 さっき岩槻先生がこの三つの危機の分け方がおかしいとおっしゃいましたけれども、素人の私なんかが見るとこの3つの危機は非常にいいような気がするんです。つまり、自然を保全するということと、他の人間の欲望とか価値観の対立によって起きた危機なんだと思うんです。例えば、第1の危機というのは、経済性とか豊かさを求め過ぎたための危機であり、2番目は効率性を求め過ぎたことの危機であり、3番目は快適性などを求め過ぎたような危機だと思うんです。ですから、非常に私などの素人から見るとこの危機の分け方はいいような気がするんです。
 最初に危機を出したということは、何となく聞いておりましてこの戦略というのはこの危機への対応をお書きになるのかと思ったらば、あとは大体前と同じようになってしまって、なぜここで危機が出てきているのか。全体として、この危機と他の価値観、他の価値基準とどう折り合っていくかということ、自然保護と他の人間の価値基準とどう折り合っていくかというのを書くのが今回の改訂の趣旨じゃないかと感じたんです。
 ですから、例えば基本方針というところを見てもこの3つの危機に対してどういうふうに対応するのかというのはわかりませんし、それ以外のところもこの3つの危機についてどういうふうに対応しているのかというのがちょっとわからないような気がします。
 2と3については、随分きちんとした対応ではないですけれどもで出くるんですが、第1の危機に対応してどういうふうにするかというのはかなり少ない。1、2、3、並列にしておりますけれども、世の中で一番問題なのは第1の危機じゃないかと思います。世の中で大体ごたごた自然環境と何かが問題が起こるというのは、この第1の危機だと思うんですけども。今、服部先生もおっしゃられたように法のところをもうちょっと住民と開発との調整のときに基準になるような数値とまではいかなくとも、何かあんなごたごたの末に暴力沙汰が起きないような基準みたいなものをこの中に書いていただきたいと思います。
 以上です。

●辻井委員長 どうもありがとうございました。他にいかがですか。どうぞ、鷲谷先生。

●鷲谷委員 私は普段絶滅の危機にさらされている植物を研究したり、あるいは外来種が生態系に及ぼす影響などを見ている立場から、今日の今お考えになってる案をお聞かせいただいて、今の生物多様性保全上の課題ということで、取り上げられるべき範囲であるとか問題というのは、かなり明確に把握してくださっているんじゃないかという認識で、次はこれから戦略として書いていただくことの実効性を確保することかなという印象を受けています。
 危機の構造に関してなんですけれども、こういう3つの意識というのは、おそらくこれまでもこういうことが提案されたりということがあったと思うんですが、ここでそれぞれの危機に関してはその危機を回避する手法というのがやっぱり大分違うと思いますので、こういう形で整理されて、おそらくもう既に今日お話しになったことの中には、それぞれの危機に対処する方向性とか手法が入っていたと思いうんですけれども、記述の中にも多少それが明瞭になるようなところがあればいいのかなというふうに思いました。
 それで、第2の危機なんですけれども、人間活動の縮小・撤退の他に、それは1の方になるのかちょっと難しいんですが、活動の内容の変化というのもあるんじゃないかと思いうんですね。里地里山地域なんですけれども、例えば労力をかけないで生産を上げるというようなことに伴って、伝統的なやり方というのじゃない近代的やり方というんでしょうか。それは経済性を追求するためにはどうしても必要なことかもしれないんですけれども、生物多様性の保全ということとはやや矛盾する面があるのかなと思いうんですね。経済性の制約をを少し緩めたような場所では、生物多様性保全に資することがもう既にわかっているようなことを見直したりということも意義があるように思っています。具体的に言えば、前は草刈をしていたのを農薬で草をコントロールしてしまうとかそういう変化です。
 ちょっと話が飛んでわかりにくくなるかもしれませんけど、例えばウエットランド、についてはおそらく伝統的なやり方で農業が行われていたころには、水田というのはかなり質の高いウエットランドという側面を持っていたと思います。しかし、今水田をなかなかウエットランドとして認識できないというのは圃場整備で二次耕作がしやすくなって、また農薬とかふんだんに振って作物をつくっているからだと思いますます。それでもかなり生き物でにぎわっていると思うんですけど、昔に比べたら非常に貧弱なところになってしまっています。そうすると、ウエットランドという項目では何かそんな見方もあってもいいようにも思いますし、そういう変化、それから生物多様性というからには、環境を重視したような提案というのがここではできると思うんです。経済と多少対立することはあるかもしれませんが、保全ということを考えたらこういうやり方や見方もあるのかなと思いました。
 それから、第3の危機にもう一言だけなんですけれども。第3の危機は、私たちはこれまでもこういうことはすごく問題だと思っていたんですけど、あまり社会ではこれが危機というふうに思っていただけていなかったんですが、ここではっきり取り上げていただけたのでとてもありがたく思っているんです。生態系に今までいなかった生物だとか、全くなかった物質、新規生物とか新規物質と言ってもいいと思うんですが、そういうものに関しては進化的な経験が全くないので、在来の生態系を構成している生物というのが、場合によってはとても大きなインパクトを受けてしまって、それが絶滅要因になるということもある訳なんです。新規のものですから、やっぱりリスクの評価みたいなことがとても重要になってくるように思います。
 リスクを評価するに当たっては、かなり調査・研究も必要で重視しないといけないけないんじゃないかと思います。外来種に関しては、最近は研究も少しずつですけれども進みつつあるように思うんですけれども、化学物質で内分泌攪乱物質のようなものが野生生物にかなり影響を与えていそうだということはわかっているんですが、その化学物質自体の効果を把握したりというところにとても難しい問題があるので、まだ余り化学的な情報が蓄積していないように思うんですね。
 ですけれども、その問題というのは、生物多様性保全上の問題であるとともに、人間にも影響があることのインパクトを先にあらわしてくれるということを考えると、人の生命とか健康にとってもとても重要な問題だと思いますので、リスク評価ができる状態をつくるといういうことがとても重要なのではないかと考えています。今まで余り出てきていなかったんですけれども、ここで取り入れていただいてよかったと思います。
 1回、他の方のお話聞いてもしお時間がありましたら、また発言させていただきます。

●辻井委員長 ありがとうございました。では、篠原先生、どうぞ。

●篠原委員 戦略を霞が関の中央でやることも重要なんでしょうけど、これからは地方のNPOの方とか市町村の方とかが一生懸命やってくれないと実効性は上がらないと思うんですね。ですから、例えばもともと事務系出身で50歳ぐらいの町役場とか村役場の担当の課長さん、あるいは課長補さんが、「何でこれやらなきゃいかんのか」というふうなのがわかるように書いてもらわないと、「何で、また仕事がふえた」と思うだけなんですよ。最近そういう人と付き合ってるもんですから、ちゃんと言わないと全然動かない。
 2点目は、こういう報告の宿命なんでしょうけど、今日の説明を伺ってるだけでも、大体リポートもそうなんですけど、何回も同じ様なことが繰り返し出てくるので、前提とか課題とか基本方針とか具体的な施策と書いていくと。でも、何か整理できないだろうか。
 その代わりに、もし入れられるとすればどこかに入れてほしいのは、これは生物多様性の問題ですけれども、従来から言われている、あるいは環境省がやっているさまざまな環境問題と戦略との関係はどうなっているんでしょうか。例えば、地球環境とこの問題はどう関係するのか。あるいはエネルギー問題とはどう関係するのか。あるいはリサイクルとはどう関係するのかというのを、文章はそんなに多くなくていいと思うんですけど、平易に書いていただくと、この意味が非常によくわかると思います。
 第3部2節の「基本方針」の2のところで、「国土のマクロなとらえ方」というので、1番が奥山です、2番が里地里山です、3番が都市、4番が河川・湿地、5番が浅海域です。国土の特性ごと、あるいは土地利用に応じてきれいに分けて書いてあって、じゃあこれがそれぞれの地域ごとにどうなのかなと思うと、最後のところで、森林・林業、農地・農業ぐらいはそれと対応してますけれども、道路とか漁業とかと出てくると、これは各省庁がやっている事業になっちゃうんですね。
 だから、一番望ましいのは、各省庁にこういう施策を出してもらって、それを環境省の人がそのくくりでまとめて書き直してやってくれれば、一番報告書としてはすっきりする。そうじゃないと、割とうまいとらえ方できてるのに、各省から出してもらったのを最後のところはホッチキスでとめてあるのかということになってしまうし、各省に事業別に書いてもらうと抜け落ちているところが結構出てくると思うんです。そこのところやっぱりちょっと踏ん張って書いていただけるといいと思います。この国土の5分類は非常にいいと思うし、それから、「保全」、「中山間地」、「自然の再生・修復」という3本柱も非常にわかりやすくていいと思うんですけど、そこだけちょっと直せないかなと思います。
 最後に、これが一番難しいと思うんですけれども、里地里山とか都市とか人間の生活とか経済活動とかかわってくるところでどういう政策を展開するかというような話です。「NPO活動の支援をする」とか「地権者と協定する」や「税制を考える」とか「モデル事業をやる」とか書いてありますけど、もうちょっと、それは何をねらっているのか。僕は別に、例えば財務省とか他の省庁の合意がとれなくても方向性としてやるべきだと思うのは書いた方がむしろ僕はいいんじゃないかと思うんですが。
 以上です。

●辻井委員長 どうもありがとうございます。
 今の何人かの方がおっしゃったように、最初の危機の出し方は、確かに見た目、ぱっと見た時にはちょっとおもしろそうだというか、よく読んでみようという気になるから、私もいい書き出しだと思うんですけど、それをどう書くかが問題だということで、今の、それも篠原先生がおっしゃったように、わかりやすくというのがあったり、それから必要だろうということで、言い回しが整理できないか。この辺は何とでもできるんじゃないかと思うんですけれど、そのあたりどうですか。

●自然環境計画課長(小野寺) 詰まるところ、皆さん今出た意見の根底に共通してるのは、もうちょっとわかりやすく具体的に書けということなので、それに関するご提案、例えば地球環境なり他の環境問題との関係をクリアにするとか、あるいは開発と保全の関係を書くとか、そういういろんな形でご提言いただきましたが、全体の構成も含めて、ちょっと交通整理したいと思います。これから文章を書いていく時に実際は目次どおりに行かないことというのは現実の文章の中でかなり起きることと思いますので、そこでもう一度重複関係を整理したり、論理的な順を追って説明していくそのストーリー性を少し強く出すように、これから1カ月ちょっとありますので、文章化の段階でやってみたいというふうに思います。
 篠原先生の各省が書いた施策を環境省がまとめて書く、というご意見はもちろんそのとおりだと思うんですが、本音から言いますとここが大体、政府関係の大計画の中でなかなか越えようとして越えられないところです。おっしゃっていることは実によく、我々計画をつくる側の人間としてはそうしたいという気持ちは非常に強く大体持って事務局も行っているんです。それで、おっしゃるような形で何とか全体を統括するように努力はしてみたいと思いますが、一方でこういうある程度は大きな計画にとっては仕方がない部分もあるということを、ちょっと最終的にはお許し願うかもしれません。努力はしてみます。

●辻井委員長 ありがとうございます。

●和里田委員 先程から皆さんのお話を伺って私も痛感したのは、2つ目の計画である国家戦略として、その際に書き出しのところで「前文」のすぐあとで「現状と課題」にぽんと入っていっちゃっているんですが、それが一番わかりにくくしているんじゃないかと思うんです。やはりこれまでの計画の成果と評価みたいなものが明確に書いていないことと、それから、それを踏まえてこの計画としては何をねらっていくのかという戦略の策定の方針みたいなものをずばりと書くほうがよいのではないでしょうか。前文という形で、たらたらとした形ではなくして。これもバックグラウンドみたいな話なんでしょうけど、やっぱりこの計画として戦略を条約に基づいてつくって、その5年間というものは、それによってこういう成果はあったという評価があるべきです。しかし例えば、いろんな状況の変化もあって成果として出なかったものもあったし、あるいは新しくどんどん蓄積してきたことからいってこういう施策的な展開というのも必要になってきたからこうしていくんだということが、もう少しずばりと切り込んで方針として書いていただいた方が、この計画を初めて見る方もわかりやすいんじゃないかと思います。それが抜けているから皆さん胸が欲求不満な状態になっているんじゃないかなという感じがしました。
 それと、私も篠原先生と同じように、最後の具体的施策のところが気になりましたけれども、これも施策のところのそれぞれのところで、何か総論みたいな形で環境省さんでおまとめいただき、そして各省に書いていただくというような形にすれば、少しはその辺ができるのかなという感じがします。
 それから、指標化の話がございましたけれども、往々にして計画における指標というのはいい面と悪い面がありまして、悪い面というのはどうしても政策遂行サイドが恣意的に作成した指標というのがひとり歩きするというのがあります。そういうことの危険に陥らないような指標化する際に相当やっぱりこの辺、多様性、自然が相手のものですからなかなか指標化というのは難しいでしょうし、それを余り乱暴に指標化に走ってしまうと、それがともすると誤解を生んだまま歩き出してしまうということにも陥ってしまいますので、その辺はやはり気をつけていただく必要があると思います。
 それからあと、確認なのですが、4番の基本方針のマクロなとらえ方のところで、国土要素がいろいろと書いてありますけれども、そのときに河川・湿地等水系域と書いてありますが、そこはご説明伺っていて大体理解はしたつもりなのですが、ぱっとここに書いてあるのだけを見ると、水のあるところを4番にしてまとめたという印象なんですが、これはやはり流域的な観点、水循環というお話もありましたから、やっぱり生物の多様性、あるいは生活史というときには、流域界みたいなものを大きく仕切りにしながら来てるんでしょうし、一般領域という観点も含めた河川・湿地等水系というふうなとらえ方というふうに理解してよろしゅうございますね。
 それからあと、国土区分で、先程85ページかなんか資料をお見せいただきましたけど、これは相当オーソライズされたものというふうに理解していいですか。まだ試案というふうには書いてございますけれども、この計画でもう定義づけて踏み出していこうと、こういうことですか。

●自然環境計画課長(小野寺) ある程度の指標を使ったプロセスとして国土を区分するというのは、かなり学問的な蓄積も含めて間違っていないと思いますが、それをもって国土の区分のかなりの社会的な影響力の何かを持つということについては、まだオーソライズされていません。したがって、書くにあたっては今私が申し上げたような限定の中でどれだけ有効性を持つかというちょっと丁寧な、誤解をされないような書き方に気をつけたいと思っています。

●和里田委員 国土区分という言葉で言い切ってしまっていますが、その辺誤解を受けるんじゃないかと思いました。

●辻井委員長 ありがとうございます。では、次の方。

●篠原委員 先程の発言で、霞が関レベルでそうやってまとめるのは難しいかもしれませんが、例えばどこかの市とか町をとってみれば、いろんな事業が入っていますし、それから環境指標も施策も来るし、国土の施策も来るし、農水省の施策も来るんだけど、実際は1つの空間しかない訳ですよね。だから、そのレベルで何かまとめるような勧告というのか、義務づけというのか、何かそういうのがあった方がいいんじゃないかと思います。
 例えば、もちろん国立公園であればこれは環境省の所管でしょうから、野生生物についてもいろいろ、一応一元的にできる訳です。私は農水の方はよく知らないんですけど、国土交通省の方は各市町村で都市マスタープランをつくることになっていまして、実際にもやっていますね。それのベースマップに必ずこういう生物多様性マップを使いなさいとか、何かそういうことをやっていけば徐々に私は浸透していくのではないかと思いますので、何かそういうことができないかと考えております。

●辻井委員長 ありがとうございます。他に、どうぞ。

●熊谷委員 もう大勢の委員の先生方がおっしゃったので繰り返しにならないように気をつけて発言しますけども、私はこの生物多様性国家戦略というのは、実践につながるものだというふうに割り切って考えております。つまり、生物多様性調査報告でもなければ、生物多様性研究報告でもない訳ですから、とりあえず実践につながるということに最重点を置くということであって、例えば理念は普遍的であっても戦略はいろいろな状況で変えていくのがむしろ戦略であるので、思い切って変えても構わないというふうに、そういう位置づけです。
 もう1つは、戦略であるからにはわかりやすくなくちゃいけないということで、今日企画官のお話を聞いていて、1つ、わかりいいなと思ったのは生物多様性による国土のグランドデザインを出したいと言われた。これはすごいなと思いました。もしできれば一番国民にも、あるいは事業主体にもわかりやすい。
 例えば、合言葉にもなる。例の全総のガーデンアイランド、あれもあれだけで大変国民の中に浸透しましたから、同じように生物多様性での国土のグランドデザインというのを何かわかりやすくつくっていただけたらいい、これが1つあると思います。
 もう1つは、今の篠原委員とかぶるんですが、各省庁の事業を統一的にできるようなモデル地域とか、あるいはそういうのも環境省がすべてを何となくリードできるような奥山から中山間地域、里山、そして都市、そして海洋と、こういうような地域をモデル地域として設定するなり設定していこうということで提案をしたらいいんじゃないか。
 現状のままなら、私は多分縦割りはうまく整理できないと思います。ですから、そういうモデル地域を使ってここ10年なりの間には、環境省が戦略の中で国土のグラウンドデザインに基づいてモデル地域で壮大な実験をしてみるというようなことがあっていいんじゃないかと思います。
 もう1つ、戦略を実践するためには、私は一番大事なのは人材だと思いますから、先程いわゆる国立公園のレンジャーとかそういう人が少ないということはありましたけれども、私はこれだけの国家戦略を推進するには人材養成というのはもっと打ち出していいと思います。今回の中では、環境教育等はありましたけれども、人材養成に対する熱い思いは全く見えてこなかったので、そこは是非入れていただきたいところです。
 以上です。

●辻井委員長 どうもありがとうございます。大変、それこそ実践的なご意見だと思いますけども、モデル地域なんていうのは非常にいいんじゃないか、提案として、私も大変結構だと思います。それに人材育成をつなげてもらう訳ですよね。それをやるのにはこういうのが必要だというふうに、やった方がより具体的なことになるのかもしれません。
 他にいかがでございましょうか。どうも失礼しました、どうぞ。

●三浦委員 生物多様性に関する広汎な分野をよくまとめていて、包括的だと思います。その一方で私も熊谷先生の意見に全く同感なんですが、少し平面的、解説的で、戦略という方向からいくと、要するにこういう戦略目標に対して施策や政策がどう配置していくべきかといったような展開がやっぱりないことには、よく分からない、そこのところを非常に網羅的に書かれてもですね、これは少しワーディーで、今渡辺企画官が解説しただけでも1時間超かかっている訳でして、一体どこがポイントなのかというキャッチフレーズそれぞれに見えていないという点があると思うんですね。
 1つ言いたいと思うのは、前回も国家戦略であった訳ですから、前回の国家戦略に対して、生物多様性の維持と保全とかというのは、より危機が進行しているのか進行していないのか、この点は明確に押さえていく必要があると思います。もし、危機が進行しているんだったら、現状の法律や施策や展開が十分だったのか不十分だったのかという総括がないといけない。その時に、不十分だとすれば―私はほとんど不十分だという前提で話しますけれども、何と何が必要なのかということを基本目標の中で明確にうたわれる必要があるのではないかと思います。
 それは小林局長がご指摘のように、私は法的なもので、保全及び利用の基本方針というところでそれぞれの問題点を渡辺企画官は非常に網羅的に、総括的におっしゃったので、もうちょっとポイントを明確にしてもらいたいと思います。
 例えば、5つの方向で保全の強化という方向がある訳でして、これは保全の強化ですから、制度を強化するか、新たな制度を設ける必要があるのかという点があると思うんですね。そこのところを明確にしてもらいたいなというふうに思います。
 それで、主要テーマ別の基本方針に一つ一つを述べていく、最初の方は先程小野寺課長が言ったように指定主義ですね。指定主義の限界ということを言ってるんですが、私自身はやっぱり指定主義が限界なのかどうか、まだまだ不十分なんじゃないかという点があると思うし、しかもなおかつ指定が十分にオーソライズしているレベルに達しているかどうかというところが、私自身は検討の問題になるんじゃないかというふうに思います。
 例えば、海生哺乳類の保護等についても、これはやはり国内希少種が2%しか指定されていない状況がずっとそのままという状態なんですから、こういうものをどう扱う方針なのか。あるいは例えばボン条約を入れるとかいったような問題も、具体的にこれはそういう問題とかかわる訳です。
 それから、生物資源の持続可能な利用、これもバイオテクノロジーだけ挙げていますけれども、基本的に生物の利用というものは持続可能なエコロジカルサスペンドでいかないといけないということを、これはいくつかの分野でかなり問題点があるし、希少種問題でもジュゴンの他にも幾つかにそういう波及している問題があるといったところは、拾い上げていかないといけないんじゃないかということを感じます。
 国家的な保全手法の活用で、これもゾーニングだけの、指定主義だけではない方向の1つとして私は重要なポイントだと思うんですが、その時に戦略アセスメントをどう位置づけるのかというのを、ポイントとしてはそこをやっぱり挙げるべきなので、次の戦略までにはこういうものを導入していくといったような具体的なことを挙げていくということがポイントになるのではないかというふうに思います。
 そういうことで、私は戦略全体として統合的なものを挙げていただいたのはいいと思うのですが、一つ一つの環境省がとるべき重点なりこういう方向性なりというのを、挙げていただいたらいかがかというふうに思うんですが。ありがとうございました。

●辻井委員長 ありがとうございました。

●自然環境計画課長(小野寺) 余りうまいことは言わないんですが、わかっているかわかっていないかと言われれば相当程度わかっているつもりではいますので、何とかその方向で努力したいと思います。
 何度も議論に出ている話でありますが、もう少し全体を少し、量の問題ではなくて、論理性を少し枝葉を取ってきれいに整理をして、おっしゃるとおり強弱も少しイメージづけするように文書化とあわせて、あと1カ月ぐらいで整理したいというふうに思います。
 そういう意味では、三浦先生にご指摘いただいたことは相当参考になると思いますので、文書化の中でまた生かさせていただきたいと思います。

●辻井委員長 はい、どうぞ。

●岩槻委員 今出ているような議論というのは、むしろ一番最後のところの具体的施策の展開の環境省版が出てくれば、ある程度見通せるんじゃないかと期待してるんですけども、それはそうじゃないんですか。

●自然環境計画課長 こういうところで言うべきかどうかわかりませんけど、ちょっといろいろあるものですから、具体的な方向を環境省がやるということについては、そのつもりでもちろんおりますし、全体の中でどこかに書くということについても相当程度頑張るつもりですが、まとめてものすごく書くかということについては、いろんな人と相談しながら決めたいと思います。

●大沢委員 具体的な提案、1つだけ。

●辻井委員長 はい、どうぞ。

●大沢委員 先程の現行との違いということをお伺いした訳ですけど、2−(2)というところに、この10年の社会経済状況の変化というのがありますが、この社会経済状況の変化というのは、大方皆さん国民はご存じだと思うので、むしろ生物多様性戦略の前回から今回への変化について書いたらどうですか。例えば移入種による影響対策なんて前回は入っているんですよね、ちゃんと。それから二次的自然環境の保全というのも入っているので、それがうまくいかなかったからいまだに問題になっている訳ですけど、そうだとすれば何で具体的にうまくいかなかったのかという、そこをきちっと詰めたような文書を入れられたらいかがかと思いますが。

●辻井委員長 ありがとうごさいました。瀬田さん、どうぞ。

●瀬田委員 できるだけ数値的な目標というふうに皆さんが言っておられるのが多いですけど、さっき和里田さんもおっしゃったように、余り無理をすることもないと思ってるんです。
 ここに1つ例を挙げますと、2ページのところの「上記の達成を図る具体的指標」として、例えばなんですけども、「生物多様性保全のためにボランティア活動への国民参加延べ数」なんて書いてありますけど、こんなのは無理な話であって、それはなぜかと言いますと、今日の資料の中にある森林・林業基本計画で参考部表というところがありますけれども、この4ページのところでもやはり森林環境教育の推進という12年度、平成32年というふうに目標数字が書いてありますけれども、これは閣議決定の対象ではない訳ですね。そういうものを無理に無理にというふうに数字をつくっていくのはやめた方がいいというのが1つ。
 それから、、一番初めの生物の多様性の保全と生態系の保全というものは、手法なのかどうか。
 実は生物の多様性という問題について、これは哲学かもしれませんが。ちょっと例を挙げますと、随分昔なんですが、手塚治虫さんと昆虫クラブというのをつくったときに、「どうして昆虫に没頭したんですか」と言ったら、「鳥は日本で600種類ぐらいしかいないけど、昆虫は何万といる。そのたくさんのものとつき合えるということは人生を豊かにするんですよ。多ければ多いものとつき合うということが人生が豊かになるんだ」と、こういうことを言われたことがありました。「まあ、きっとそういうことかな」というふうに私は思っておりますし、熊谷さんがさっきガーデンアイランドと言われたんだったら、何か1つはわかりいいことで表現しなければ一般の人にはやっぱりわからないというふうに思っています。
 なお申し上げれば、人種の多様性、民族の多様性、いろんなところで多様性という言葉が出てきていることを考えれば、その一番の広がりは生物かもしれないけれども、場合によれば人間の性格の多様性まで含めてある延長上にあるものだというふうに思った方がいいのかなというふうに思いました。

●辻井委員長 どうぞ。渡辺さん。

●渡辺委員 2つ申し上げたいと思うんです。1つは、岩槻委員がおっしゃったことで、確かにと思ったのは最近国民も、あるいは各省の取り組みも目覚しく変わってきた。自然環境保全への関心が高まってきたというお話がありましたけれども、我々が最終的に目指すべきは持続可能な社会を構築するために生態系なり生物多様性の保全をしていくということで、どうもこれは環境基本計画づくりのときにさんざん議論しましたが、やはり価値観の転換というものを図らない限りは無理なんだと思います。関心が高まったとか各省の取り組みが真剣になってきたということは大変結構なことですけれども、従来の利便性重視、物質的な豊かさ重視の価値観から、そうでない生活の質の豊かさを重視したものへの価値観の転換を図る。これを事務局におかれても基本的なスタンスとして取り組んでいただきたいし、そういう考え方がどこかに出てくることがいいんじゃないか。
 第2点は、わかりやすくということですけれども、この生物多様性国家戦略も閣議決定なりそれに準ずる関係閣僚会議決定か何かになるんだと思うんです。そうすると、わかりやすくというのは明らかに限界がありますね。それならば戦略は戦略として、もちろんできるだけわかりやすい文章でつくっていただきたいんですけれども、これを公にするときには別途非常にわかりやすい簡単な、できれば絵や図を入れたわかりやすい普及版といいますかを是非考えていただきたい。ちょっと気が早いんですけど、その2点をお願いいたします。

●辻井委員長 ありがとうございます。

●服部委員 ちょっといいですか。

●辻井委員長 どうぞ。

●服部委員 今の渡辺委員のに関連しまして、どっちが先かなんですけどね。これだというのがこのぐらいの程度でまとめられれば戦略も見やすい、わかりやすくなる。これが戦略の目玉みたいなものを後からめくっていってこれを戦略の目玉にしようかじゃなくって、最初にそういうのをつくっちゃった方がいいのかなという、私はそういう感じがしています。
 もう1つ、価値観の変化だけでいけるのだろうか、私は皆さんの意見にもかかわらずそういうふうにいまだに思っています。というのは、都市の中で緑化を進める仕事をしてきたんですけれども、道をつくる方が、あるいはマンションつくる方が、極端には日比谷公園をつぶしてあそこにオフィスビルをつくったりマンションつくったらどれだけの価値があるかという議論にさらされてきた経験があるものですから。さて、こういうふうなことを時代が変わった、価値観が変わってきたという中で、それで通るかなという気がしまして、それはこういうふうにメリットがあるんだ、こういうふうな重要性があるんだというのを計数的、定量的に言ってもらいたいというふうな感じを、いまだに強く持っている次第です。
 以上です。

●辻井委員長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。どうぞ、阿部さん。

●阿部委員 もう既にたびたび多くの方からご指摘があったことなんですが、1ページの方に3つの危機の問題ですが、1番と2番というのは既にこれからの行動の方向性が転換されていると思うんですでけれども、まだ3番の問題というのは法律問題を含めてまだ、やろうやろうとは言っていますけれども、具体的に法律的な問題なんかでその方向に向いていないと思うんです。ですから、3の危機が同じ重要性というのではなしに、これは今後ますます問題が大きくなるのが第3番目の危機だろうと思いますので、この点に関しては特に重要視していただきたいというふうに感じました。
 それから、大沢委員から先程ご指摘がありましたけれども、今、日本の特に公的な関係で実際にこれを具体化する中では、実行体制が非常に貧弱だということですね。ですから、この点は特に戦略として何年か先に向けて整理をしていけるような書き方、少なくともこういう戦略の中でやっておけばそれの改良というのができると思いますので、是非そういう実行体制の整備というところ強調していただきたいというふうに思います。
 以上です。

●辻井委員長 ありがとうございました。

●三澤委員 先程来もう話が出ておりますので繰り返すことはありませんけれども、今の危機感と理念の関連ですね。ここを特に強調していただきたいというのでもう1回申し上げます。
 これは今も哲学の問題といいますか価値観の問題という話が出ております。そのとおりだと私も思います。それで、特に今回は国際的な感覚というか視野といいますか、それを十分重く見ると、こういうお話がございますので。要するに、豊かな暮らしというのはそもそも一体なんだと、日本人だけ、おまえだけ豊かな暮らしになればいいのか、物質的に豊かな暮らしになればいいのかという問いかけをもっとしてもらったらいいんじゃないかと、僕は思います。
 それでは、国際的な視野を入れれば南北問題というのはまだ大きくある訳ですね。だから、一部にはまさに餓死するような人たちもいて、一方ではたらふく食ってごみを捨てて、またごみの排出問題を新たに環境問題をつくるというこういう世界がある訳ですから、その辺に対して、どこまで断定的に書けるかということが問題だと思います。余り断定的にどぎつく書くと、その辺は総反発を食らうことは間違いないと思いますので、その辺どの辺まで書けるかということはありますけれども、要するに生活というか生き様の問題と環境問題、そして生物多様性と、こういう論法が特に今回は重視されていいのではないかと、このような感じを持っております。
 もう1つ、経費や予算の問題という話が、移入種問題は今、移入種問題だけにひょっと出てきたのでちょっと気になるんですけども、経費や予算の問題というのはすべての各事業に全部絡む問題で、もしこれをこの一発ですべて経費問題を解決するような態度でお書きになると、事務当局は大変ご苦労されるだろうと思います。何のことかおわかりかと思いますけど。そういう意味では、余り経費の問題を突出することをやらなくて、先程のお話し出ておりますように、環境省が独自の環境政策の一環として多様性を維持するためにやる政策と、それから各省庁の有機的な連携のもとにやるもの、そういうふうにちょっと立体的に区分して書かれたら、その辺は余りどぎつく言わなくて済むのではないかという気がしております。
 もう1つ、、ちょっと出ました生物資源の持続的可能な利用というのにバイオだけをお書きになるようにちょっと受け取れるお話だったかという気がするんですけど、これは生物資源はまさに全般的に持続的利用しなければならないというのはそもそもの哲学だろうと思うんですね。だから、バイオだけにこれを書くとしたらちょっとそこは違うので、バイオはバイオとして独立して書かれたらここはいいんじゃないかと、こんなふうに思います、もしお書きになるのならですよ。そんなような気がいたします。ちょっと思いついたことで申し訳ありませんが、そんなことを申し上げます。

●辻井委員長 どうもありがとうございました。他にいかがでございましょうか。大沢委員。

●大沢委員 ここに政府開発援助のパンフレットがあるんですけど、今諸外国の環境問題に対する協力みたいなことがありましたけれども、私が調査をやっているブータンという国があるんですけど、そこでヨーロッパの国はすごく研究的な協力をしてるんですね。森林をどうやって利用していくかというようなことについても科学的な根拠なんかを示しながらやってるんですけど、日本はJOCVの人たちがいるだけで、「どうしてそういうことをやらないんですか」と聞いたら、「ああいう国はまだインフラ整備の段階だから」と言って環境そのものについての知的な貢献みたいなことは全然考えてないみたいなんですね。
 だから、環境省がそういうのに対してどういうふうにかかわれるのかちょっとわかりませんけれども、途上国なんかの環境問題に対して具体的にいろいろ貢献できる部分というのはすごく大きいと思うので、何かこれにかかわれる、そういう形で関与できるんだったら是非考えていただきたいなと思います。ちょっと戦略とは余り関係ないかもしれません。戦略の中の文章にあるものですから。

●辻井委員長 他にいかがですか。大体ご意見いただいたように思いますが。はい、どうぞ。

●篠原委員 モデル事業云々というのは、今日の説明にも幾つかありましたけれども、先程熊谷さんが発言したように、僕はモデル事業というよりもモデル地域、モデル市とか何かそういう方がいいと思います。そこはどういうふうにお金が毎年つくかわからないけど、5年間なら5年間、環境省が一応音頭をとって実験しますよと。そういうことを打ち出したらやっぱり知事さんでも市長さんでも随分先進的にやろうという人が出てきますから、僕はかなりいけるんじゃないかなと思うので、是非とも事業じゃなくて地域の方でいくのがいいんじゃないか。

●辻井委員長 地域でね、より具体的ですね。ありがとうございました。はい、どうぞ鷲谷先生。

●鷲谷委員 もしそういうことですと、おそらく生物多様性ということでモデルになるようなところというのは、農業と観光で生きていこうとしているような場所ではないかと思うんですね。今のところ、観光というのは全くこの中には取り入れられていないんですけど、生物多様性と観光というテーマも戦略の中に一言、二言でも触れられるといいなと思います。

●辻井委員長 なるほど。
 では、そろそろまとめさせていただいてよろしいでしょうか。かなり全般にわたってさまざまなご意見をちょうだいして大変ありがとうございました。まとめというほどではありませんけれども、この10年の社会経済状況の変化については、むしろ変化そのものを淡々と書くよりもこれを機としてかくあるべしというふうな書き方がいいんじゃないかというふうなご意見もありましたし、あとは大体順を追って申し上げますと、前とどこが違うかというのが大事だと。それから、戦略の持続性を書き込めというご意見がございました。わかりやすい表現でやるべきだというのが大方の委員のご意見にありました。
 いわゆるグランドデザインというのは非常にいい表現ではないか。どういうふうにそれを書き上げるかというのが問題かと思いますけれども、それに関連しては、例えばモデル事業、あるいはむしろモデル地域というのを、例えば人材の育成に関しても非常にいい例としてやるべきではなかろうか。
 全体としては特徴を出せと。これはさまざまな特徴が出てくるかと思うんですけれども、インパクトのある特徴だというふうに思います。これは目玉という表現もございました。
 もう1つは、わかりやすくに関連するんでしょうけれども、要約版が欲しい。できれば英文も含めてということかと思います。
 幾つか申し上げましたが、まだ省庁間の連携、これは非常に重要な問題だろうと思いますが、これも含めて今の目玉になり得るのかと思います。
 そこで、私からちょっと質問を2つほど。ここに国土の多様性の現状というのを書くんでしょうけれども、南千島というのは入れるんですか。さっきのこっちの図にはちゃんと出てるんですけども。

●自然環境局長(小林) そんな広いところまでは考えてない。北方四島ぐらいにしてください。

●辻井委員長 北方四島ぐらいですか。でもしかし、特徴としては含めて書いておいた方がいいんじゃないかと、私は思いますけど。

● 努めて、地図やなんかにはそういう情報は入れるように努めていますので、どこまで書くかは別にして、そこは指定に入っているという感じにはしておきたい。

●辻井委員長 そうですね、それは入れておいた方がいいんじゃないかと思います。
 それと、全体、委員の皆さんの、いわゆる特徴とか目玉をどこにというので、結局これはボリュームの問題じゃないかと思うんですね。これは全部章と節に分けてばっと書いてある訳ですけれども、これは別に全部同じボリュームでいく訳じゃないだろうと思う。逆に言うと、全体のボリュームはどれぐらいになるのか知りませんけども、おそらくこういったものが想定されて、その中でこれは何ページぐらい、あるいは何字ぐらいというふうな割り振りが出て、それがおのずから強弱が特徴になるんじゃないだろうかと思います。おそらく、これは伺うというよりもむしろ、多分私の感じではそういったことで強弱がつくんじゃないだろうかというふうに考えます。
 あと、是非私としては、先程鷲谷先生もおっしゃったけれども湿地に水田、近ごろは水田はかなり湿地の機能という点で見直されてきているんじゃないか。人工の湿地ということでですね、というふうに思いますが。ラムサールの関連だと、しばしば鳥が重視されて他の生物はあまり重きを置かれずちょっと主と従のような関係に置かれていたんですけど、是非私としては他の湿地の生物も含めた認識で書き込んでいただければと思っております。
 以上ですけれども、よろしゅうございますか、こんなことで。
 それでは、大体時間が予定通り来ましたので、これで今回の委員会を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

●生物多様性企画官(渡辺) 次回の予定をちょっと事務連絡申し上げたいと思います。今日は長時間にわたりまして大変貴重なご意見たくさんいただきましてありがとうございました。次回、年が明けまして1月の28日の午後、時間は今の段階の予定では2時から5時ということで、場所はこの環境省第1会議室で次回の小委員会を開催したいと思います。次回は、今日いただいたご意見を受けまして、事務局、それから各省庁とこれから素案のたたき台というのでしょうか、それをつくる作業を進めて、次回の小委員会ではそれについてご検討をいただければと思っておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

●辻井委員長 毎回のことですが、この委員会で配布されました資料、それから議事要旨、議事録、公開ということになりますので、どうぞご承知おきいただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

午後4時30分閉会