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中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会

生物多様性国家戦略小委員会(第3回)


平成13年11月20日

午前10時00分開会


●自然環境計画課長 10時になりましたので、中央環境審議会自然環境野生生物合同部会、第3回生物多様性国家戦略小委員会を始めたいと思います。
 議事の進行につきましては、本日、辻井委員長、岩槻委員長代理ともにご欠席でありますので、前回委員会で辻井委員長からご指名のありました熊谷委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 今日は、またほぼ丸一日かけてNGO4団体からのヒアリングで活発な議論になることを期待しております。
 また、これは蛇足で余計なことですが、我々事務局からも少し質問その他審議会の委員のお邪魔にならない程度で参加させていただきたいと思っておりますので、それも含めてよろしくお願いいたします。
 それでは熊谷委員、よろしくお願いします。

●熊谷委員長代理 それでは、これより本日の議事に入らせていただきます。
 議事の1はNGOヒアリングということでございますが、ヒアリングの進め方について事務局よりご説明をお願いいたします。

●生物多様性企画官 計画課の渡辺でございます。
 お手元の資料の議事次第の次に小委員会プログラムという1枚紙をおつけしております。このプログラムにありますように、本日4つの団体、全国的な規模で活動をされている自然保護のNGOということで、日本自然保護協会、WWFジャパン、日本野鳥の会、日本生態系協会という4団体からヒアリングを行いたいと思っております。
 まず、各団体ごとに50分ずつ程度ヒアリングを進めてまいりたいと思います。
 その中で50分の半分程度、25分程度を各団体から発表をいただいて、残り半分で発表を受けて質疑、意見交換を行っていただければと思っています。
 順番は、日本自然保護協会、WWFジャパン、日本野鳥の会、昼食を挟みまして日本生態系協会を午後行いまして、最後1時間程度、4つの団体の発表全体を通じまして総括的な意見交換を行っていただければと考えております。
 以上、プログラムの説明でございます。よろしくお願いいたします。

●熊谷委員長代理 それでは午前から午後にかけて大変長時間の会議になるということでございますが、各委員の方々にはどうぞよろしくお願いいたします。
 また、発表されるNGOの皆さんにはそれぞれ25分の発表ということでございますので、時間内におさまるようにお願いしたいと思います。
 それでは日本自然保護協会、保護部長の吉田さんからご説明をお願いいたします。

●日本自然保護協会(吉田) 日本自然保護協会の吉田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私の方からは、本日パワーポイントを使って自然公園と生物多様性、里山と生物多様性、野生生物保護法制度、生物多様性、特に種と生態系のモニタリング、この4点について意見を申し上げたいと思います。
 資料はお手元の方にNGOヒアリング要旨というので私の名前が書いたA3、2枚がとじてあるものがございます。それをごらんいただければと思います。
                 〔OHP〕
 今日のヒアリングの中ではまず、自然公園と生物多様性についてお話しさせていただきます。自然公園に関しては自然公園制度検討小委員会もできるようですので25分の中で4つもやるのはちょっと大変ですのでこちらは多少はしょらせていただくかもしれません。日本自然保護協会は昨年国立公園制度検討小委員会というものをつくり報告書を出しました。またシンポジウムも開催し、小林局長にもご参加いただき、その報告書をまとめております。その報告書の中に書いてある提言の要旨が資料の二枚目にございますので、詳しくはそれをご覧いただければと思います。
 日本自然保護協会は、1951年、尾瀬の保護問題をきっかけに創立して今年で50周年を迎えます。自然公園法の前身の国立公園法も1931年にできましたので今年で70年を迎えます。自然公園は日本を代表するような雄大な景観、風景を守る、そういう趣旨でつくられているわけですが、生物多様性ということが言われている時代にはいささかそぐわない部分も出てきているのではないかと思います。
 まず、その法律の目的の中に、日本を代表する生態系、生物多様性の保全の場とするということを書き込んでいく必要があるのではないかと思います。例えば国立公園の普通地域のような場所であっても、あるいは規制のやや弱い二種や三種の特別地域の中でも、野生生物の生息地として非常に重要な場所がある。そういった場合には今までのゾーニングとは別に保護地域が設定できるということも必要なんではないか。あるいは自然体験の提供という趣旨からのゾーニング、例えば知床なんかではヒグマがかなり人がいる場所の方まで来ますけれども、人との遭遇を避けたり、あるいは本当の野生状態を見ることができるようにするためには、やはり今までのゾーニングとは違った形で生物多様性から見たゾーニングというものを考えていく必要がある。それにはやはり、国立公園制度自体に生態系と生物多様性保全という趣旨を入れていく必要があるんではないかと思っております。
 2番目に、国立公園というものが質の高い自然との触れ合いの場である、そしてそういう社会的なサービスを提供する場であるという位置づけをする必要があります。現在でも教化の場であるということは書いてあるわけですけれども、それだけではなくて積極的な位置づけが必要ではないか。保護計画、利用計画というのがございますけれども、それ以外に教育・サービス計画というものをつくって、生態系の価値や公園の管理方針などを利用者や地域住民に伝えるということも大事だと思います。それから国立公園の自然環境の維持あるいは利用者の体験の質を保つためにもオーバーユースに対する枠組みをつくっていくということが必要なんではないかと思います。
 オーバーユース対策については、今までも例えばマイカー規制というような形では行われておりますが、これは自然公園法に基づいて行われているわけではなくて、道路交通法とか別の法律を根拠に行われているわけです。やはり自然公園法の中にもそういった制限のための条項というのが必要ではないか。現状のマイカー規制というのは混雑、例えば上高地とかで駐車場に入るまで何時間も待たなくてはいけないという状況を避けるためにやっています。自然との触れ合いを楽しむため、あるいは野生動物との触れ合いという場を確保するための規制というのはもっと低い密度で行わなくてはいけない。あるいは入山者や歩行者に対しても行わなくてはいけないとなると、やはり道路交通法では無理ですので自然公園法の中にそういった制度が必要になってくるんではないかと思います。
 国立公園、自然公園というものは地域に開かれたものであるということが日本の制度としては非常に重要なところです。地域制の公園ですので、市民や地域住民、民間団体、企業などの協力がなくてはこれは成り立ち得ません。公園計画等をパブリックコメントにかけていくというような制度は今もできてきておりますけれども、やはりもっと将来的なビジョン、そういったものも早い段階から国民と話していくことが大切です。その一つの例が早池峰国定公園です。
 早池峰国定公園では山頂のトイレに穴があいていて、そこから漏れた大腸菌が沢で検出されるということがあったわけですけれども、それに対してそこに大きな水洗トイレをつくろうという計画が作られた。そうすれば非常に快適にはなるわけですけれども、その周りの高山植生も破壊されてしまいますし、快適になればなるほど人が入ってしまうということでそれに反対する自然保護団体や登山者の人たちともじっくり話し合う懇談会を県が設けました。今年そういう大規模なものをつくるのは10年ぐらい延ばして、その間携帯トイレを持っていくというようなことを普及する。ごみを持って帰るんであればし尿も持って帰る、そういうことを常識にしていこう。そしてその間たまったものはみんなで担ぎおろそうというので登山者の方たちが担ぎおろしのため準備をしているスライドです。私も参加して担ぎおろしてまいりましたけれども、こういったパートナーシップが可能なわけです。こういった意味でパートナーシップの構築というのは非常に重要なことかと思います。
 そして大事なことは、自然公園の中身のレベルを上げるには人材の配置というのが非常に重要です。欧米の国立公園ですとプロのレンジャーの方がいて、そして動植物に関しても、地形や地質に関しても専門的な説明をしてくださる。それが教育やサービスの場になっているわけですけれども、日本にはボランティアの方を中心とした組織は80年代から随分できてまいりましたが、専門職員が少ないんではないかと思います。そして今全国レベルでの受け皿となる組織や財団などございますけれども、アメリカの国立公園などを見ますとヨセミテ協会など、その国立公園ごとに団体があって、そこで教育、サービス活動をしているということがあります。日本でもそういった地域ごとの財団ができてそこに地域の若者を雇用するというようなことができないものかなと思います。
 そういったことを実行するためには、お金という先立つものが必要なんですけれども、それにはやはりサービス(サービスというのは自分に戻ってくる自然解説などの具体的なサービスのほかにも、水や大気などいろいろな環境サービスというものもあるんではないかと思うんです)の対価を受益者が負担するということが必要だと思います。いきなりお金の話を始めるとすぐに反対意見が出てしまいますけれども、いかにそういったサービスが重要で、お金を投資していくことが必要だと、そういう国民的な理解を広げていくことが必要です。
 それから、アメリカの国立公園などだと民間企業もスポンサーになるというような制度がありますけれども、そういった受け皿なんかもあってもいいんじゃないかと思うんです。そういった国立公園や広い意味での自然公園を社会資本として見ていくことが必要です。一番最初に言いました生物多様性の場であるということも一つの社会資本だと思います。アメリカは60年代にそういう考え方で、国立公園を社会資本として整備しました。ヨーロッパには例えばルーブル美術館があるけれどもアメリカにはない。それに匹敵するものは何かといったときに、国立公園だということで社会資本整備をしたわけです。日本でもやはりそういったすぐれた自然の場を社会資本としてきちっと守っていく、それにお金をかけるということが必要なんではないかと思います。
 二つめのテーマは、里山と生物の多様性です。
 里山に関しましては、環境省が近ごろ日本の里地、里山の調査分析についての中間報告を発表されまして、その中で絶滅危惧種が5種類以上分布する集中地域というのが、動物の場合49%、植物の場合55%が里地、里山に分布しているということがわかってきたわけです。10年ほど前は原生的な自然を守ることが生物多様性の保全の重要な問題であったかと思うんですけれども、今や里山を守れないとその生物多様性は守れない、そういう時代になってまいりました。ですから生物多様性保全上重要な地域、レッドデータブックの記載種の集中する地域については早く場所を特定してその保全を図っていく必要があるんではないかと思います。
 これはギフチョウの食草になっているカンアオイです。私どもが関係したものとしては、愛知万博の予定地になりました愛知県瀬戸市の海上の森、ここに都市計画道路を真ん中に通して黄色い地域、赤い地域で万博を開く予定をしていた。そしてそこにその後住宅をつくるという計画をしておったわけですけれども、95年の閣議決定の時点で、レッドデータブックにも記載されるような大変貴重な植物が分布しているというので黄色いゾーンは外すことにしたわけです。しかし、黄色いゾーンの中にあるようなシデコブシだとかサクラバハンノキが分布する理由は、実はこの赤い地域や青い地域、ここに支えられているわけです。この赤い地域や青い地域のところは中生代の花崗岩で成り立っています。そして黄色い地域はその上に土岐砂礫層という扇状地の時にできた礫とか砂があるわけですね。つまり、テーブルの上にスポンジを乗っけたような形でそこに水が浸み出してくる。そういう構造をしているので、ここは植物をとっても動物をとっても多様性が高い。植物の種類で調べてみますと、このグラフは面積と種数のグラフで、面積の方は対数で表してあります。 540ヘクタールの海上の森であれば通常であればこのグラフでいけば 300種か 400種ぐらいが一般的なんですけれども、 1,000種類を超える種類がある。これはやはりさまざまな地層の上に成立した生息地の多様性、そして水が湧き出ているということが非常に重要なことだと思うんですね。他の地域ですと、今北九州市で学術研究都市をつくっている場所も、たくさんため池があり非常に重要な地域です。ですからこういった地域を早く場所を特定してギャップ分析をして、ここは保護地域から抜けているよということを早く警告しないとどんどんなくなっていってしまう、そういう感じがいたします。
  次に、人と自然との豊かな触れ合いにとって重要な里山ということなんですけれども、環境省では里山を4つに分けまして、東北地方を中心としたミズナラの二次林、それから関東地方を中心としてコナラの二次林、西日本を中心としたアカマツの二次林、南日本を中心としたシイ、カシの萌芽林、そういうふうに分けております。私たちも環境省からの委託を受けまして 1,000件ぐらいのふれあい活動が行われている里山をピックアップしたわけですけれども、人と自然との触れ合いという場から分析すると、奥山の里山、それから中山間地の里山、それから都市に近い里山、それからどれにも属さない劣化した里山の4つぐらいに分けられるんじゃないかなというふうに思っています。そのうち、人と自然との触れ合いの活動が行われているところのほとんどは大都市から50キロ圏ぐらいに分布しております。3分の1ぐらいがその中に入ってしまいます。そこで行われているふれあい活動としては、自然観察会、調査活動、雑木林の管理、それから植物種群落の保護、ネイチャーゲームなどの野外活動、植林、間伐、農作業などの農林業の支援活動、そういったものがあげられました。
 それから保全上の問題点としては、住宅開発やごみ処分場などの開発事業、それから雑木林や植林地の手入れ不足、ごみや廃棄物の投棄、そのほか例えば耕作放棄田の水田の増加とか農家の営農継続が難しくなっているというような問題。それから大きな問題として、地権者の相続の問題というのがございました。こういったものに対処していかなくてはいけないわけですけれども、都会に近いところは都市緑地保全法とか都市公園法とか、あらゆる手を使って何とか土地を確保していく以外はないんではないかなと思います。
 それから中山間地の里地、ここが多分一番大きな面積を占めると思います。農林業の多面的な機能の維持ということは農林水産省の方でも今強調されていますけれども、このグローバル化した社会の中ではこの地域で生産される材木だとか、あるいは産物を使って成り立たせるということはもうちょっと不可能に近い。これにはちょっとげたをはかせてあげないといけない。げたというのはやはりそこに水源涵養機能だとか、あるいはアメニティー、私たちが訪れても豊かだなと思うような環境だとか、あるいは小動物の生息地だとかそういった環境を提供してくださっているわけですから、そういったことを仕事にしているということに対して直接支払いを行うデカップリングのような制度も考えていく必要があるんではないか。そうでないと、とてもグローバル化した社会の中では里山は維持できないんではないかと思います。
 それから保全上の問題として大きなものに里山維持のための税制があります。固定資産税とか都市計画税等については地方自治体で契約して自然保存林などにすると自治体が負担してくれる制度がありますけれども、残念ながら国税である相続税についてはそういった制度がありません。私は埼玉県の新座市というところで練馬区の隣に住んでいるんですけれども、1回相続が起きるともう何億円という税金を払わなくてはいけない。家屋敷から売るわけにはいかないのでどうしても雑木林から売ってしまう。そうするとそこにマンションが建つということになってまいります。いろいろな制度をつくって、自治体としては努力しております。例えば私たちの市の場合には、マンション業者は面積当たりに対して幾らという形で緑のまちづくり基金に寄附しなくてはいけないことになっているんですね。その寄附でたまったお金を使って、もしこういう相続が発生したようなときにはその基金を市が買い取り資金に使うという制度をやっているんですけれども、7億円ぐらいこの間たまったんですけれども、小学校の隣の教育林的に使われていた林 0.2ヘクタールぐらいだったですね。すごい狭い面積でしたけれども、その相続が発生したときに、その土地を買っただけで7億円ほとんどなくなってしまいました。そういうことで非常に都市近郊の里山については維持が大変ですので、生物多様性保全のために里山を残すのであれば相続税についても減免するというようなことが考えられてもいいんではないかなと思います。
 最後に、行政はどんな役割を果たしたらいいですかということがよく聞かれます。私たち市民ではできないことは相続税などの改正の問題で、国会議員の方なんかを含めて検討していただかなければなりません。地方自治体からは、ノコギリを買いましょうかとかクワを買いましょうかとか言われるんですけれども、そういったものなんかはいろいろな助成金制度がありますので、そういったもので買うことができるわけです。でも一番難しいのは、今ここに写真が出ておりますけれども、雑木林で手入れが長年されなかった里山を管理しますと、大変な量の落ち葉、下枝、こういったものが出るわけです。これはちょっとかごだけですのでどのぐらいの量かわからないと思うんですが、5分の1ヘクタールほどの林をぱっと掃除しただけで2トントラック5台分ぐらい出ました。これをまちの中で処理しようとしたら大変なごみになってしまいます。たまたまこのときはこのまちの中で有機農業をやっていらっしゃる農家を探してそこで引き取っていただいて、それは堆肥になるということで昔のサイクルが戻ったわけなんですけれども、こういう農家を探し出すということは大変なことです。ですから今は炭や薪として使えないんであれば、例えば木質発電のような形で電気に変える、あるいは温水に変えるとかして新たな使い道を考え出し、そして昭和30年代で途切れてしまった循環というものをもう一回取り戻していく。これはNGOだけではできません。行政も一緒にならないとできない。そういった取り組みをぜひ行政にお願いしたいということです。
 さて、三つめのテーマは野生生物保護法制度です。今、野生生物保護法に関しましては私どもの協会の中に小委員会をつくって検討しております。大きく分けますと、絶滅を防ぐということ、それから鳥獣保護法を人と野生生物が共生できるような法律にするということ、それから外来種による影響を防ぐということ、その3つがあるわけです。
 種の保存法に関しては、今は絶滅を防ぐというところが目標になっております。環境基本計画の中でも、それから国家戦略の中でも絶滅を防ぐということになっているんですね。これを一歩踏み出して回復を図るというところを目標にしなくてはいけないんではないか。レッドデータブックの絶滅危惧種に記載されているのは 2,500種もあるのに政令指定種はわずか57種、しかも海生哺乳類、ジュゴンやクジラ類とか、ウミガメ類は含まれておりません。ジュゴンについては、今年3月に国会の中で農林水産大臣と環境大臣が種の保存法の方にも含めていくということになってきたようですけれども、ぜひこの機会に海生生物も種の保存法の対象にしていただきたい。それからツキノワグマが、四国で見つかったということが今日新聞に出ていましたけれども、西日本ではもう地域個体群として絶滅の危機に瀕しているわけです。ところが、日本全体では今だに狩猟獣になっている、そういう状態の動物もいます。こういった場合に、今の種の保存法の中では種あるいは亜種に関しては対象になりますけれども、地域個体群まで政令指定ができない。やはり地域個体
群にも政令指定をできるようにしていく必要があるんではないかなというふうに思います。
 種指定は行政が専門家の方の意見も伺いながらやっているんだと思うんですけれども、これは種指定しないと危ないよということをきちっと言ってくれる科学諮問委員会のようなものが必要なんじゃないか。これはカナダの種の保存法を最近研究して、カナダの自然保護団体の方から伺ったんですけれども、やはりこういう科学諮問委員会がございました。それから、アメリカの絶滅危惧種法の場合には、種指定しないんであれば市民が裁判を起こすこともできる。
 それから、すべての指定種に回復計画をということが必要ですが、現在は保護、繁殖増殖計画が本当に絶滅のおそれのある状態になったものに関して、いわば病院でいけば集中治療室に入っちゃったようなものに対して保護増殖計画がつくられているわけですが、それよりもうちょっと前の段階、病気が治る程度の段階のときに回復計画をつくって治す方がもっとやさしいわけですね。ですからすべての種に回復計画を義務づける必要がある。カナダの場合には絶滅危惧種になった場合1年とか2年以内に回復計画をつくらなければいけないという義務づけがあるそうです。そして生息地等保護区の指定が少な過ぎるという問題。生息地等保護区を指定しようとしても私有地に絶滅危惧種が多いというわけですからなかなか難しいと思うんですけれども、公有地に関しては早く保護区をもっと設定してほしいです。私有地に関しては保護区指定以外の方法、例えばスチュワードシップと書きましたけれども、広大な森林を持っているような製紙会社この土地の中に絶滅のおそれのあるフクロウがいる場合もあるわけですね。そういった企業のイメージアップのためにも、自分のところでそういう保全計画を立てられる。それに対して国が援助できるというような制度をつくったらいいんじゃないか。それをアメリカではスチュワードシップと呼んでいるようですけれども、そういった方法も法律の中に入れていったらいいんじゃないかと思います。
 最後に、いろいろな法律に経済調和条項が入っておりますけれども、アメリカの絶滅危惧種法の場合には経済の発展と比較考量してはならないということが書いてあります。幾らお金を積んでも絶滅した生物をもう一回つくることは絶対できないわけですから、経済発展とてんびんにかけられるものではない。ですからアメリカの種の保存法のように経済調和条項というのはなくすべきではないかなと思います。
 鳥獣保護法に関しては、法律の目的が鳥獣の保護繁殖と農林水産業の発展ということだけではなくて、もっと広く生物多様性の保全というのを目的とした法律にしていく必要があるんじゃないかと思います。それには鳥獣保護区というものの位置づけをもっと広いものにしていくべきでしょう。今のところ鳥獣保護区や銃猟禁止区域以外は全国どこでも撃てるということになっているんですけれども、私どもとしてはそうではなくて逆に原則として全国禁猟で、狩猟をするというのは管理猟区で行う、そういう方向に転換する必要があるんじゃないかと考えています。
 それから今大きな問題になっているのは農林業被害対策です。これにもっと被害防除の予算を投入し、補償制度をつくっていく必要があると思います。
 先ほどは狩猟のお話をしましたけれども、有害鳥獣駆除に関して、一番問題なのは例えばツキノワグマの熊の胆が流通したり、ニホンザルの生体が医学実験用に使われる、そういった実態があるわけです。そうすると有害鳥獣駆除のためにやっているのか、熊の胆が欲しいためにやっているのかどっちかわからなくなってしまう。ですから有害鳥獣駆除の目的は被害防止なんだということではっきり割り切って、駆除個体の利用の禁止しなくてはいけない。本当は有害鳥獣駆除というもの自体が公的に行われることが望ましいわけですけれども、将来的にきちっとした専門家がいれば民間ベースでそういった駆除が行われるということも考えられるわけですけれども、そのときに絶対に捕獲個体の横流しはしないことが必要なんじゃないかと思います。
 そういった意味で野生生物の調査とか被害防除に人材の配置が絶対必要であります。鳥獣保護センターなどには十分な人材がまだ配置されていない。それから、鳥獣保護員などもハンターの方が多いので、もっときちっとした専門家の方が必要なんじゃないかと思います。
 時間が大分なくなってきました。ちょっと急ぎます。次は外来種対策です。
 外来種については、環境省の方でも移入種の委員会をつくっているということです。今、ペットだとか甲虫類とかいろいろなものがどんどん入ってきています。これから新しく入るというものについてはちゃんとリスクアセスメントをして絶対大丈夫だ、シロだと証明されない限りはもう入れてはいけない。
 それから逆に、もう既に入ってきていてこれはもう危ないとわかっているものについてブラックリスト(種を特定するというよりはブラックリストの群のような形だと思うんですけれども)を作り、それについては水際で防ぐという検疫体制(ニュージーランドなどでは犬を使うとかいろいろな形で検疫体制がしっかりしているようですけれども)をととのえることが必要だと考えます。
 それから既に入ってきて人間の管理下にあるもの、例えばサルなどが野外に逃げ出したりしています。人間の管理下にある動物にはマイクロチップを埋めるとかちゃんと管理して、絶対にその人の責任で管理しなきゃいけない。その後飼いきれないからといって勝手に、放すようなことは絶対許さない、そういう体制をつくる必要がある。
 そして、野生化してしまった場合にその駆除にかかる費用というものを今のところ全部被害を受けている側が払っているわけです。行政が払っているというのも被害を受けている側の一つだと思うんですね。それを原因者に払わせる。具体的には輸入業者にデポジットを課して、もしそれが管理できずに外に出てしまった場合にはそこからお金を取りますよ、そういうことも必要なんじゃないかと思います。
 済みません、時間がなくなってきました。最後は種と生態系のモニタリングということです。
 生物多様性地理情報というのは環境省の自然環境保全基礎調査とか国土交通省の河川水辺の国勢調査、林野庁の国有林野台帳、随分いろいろできてまいりましたが、今のところまだフォーマットが統一されていない。この間林野庁の方にも伺ったんですけれども、全部重ね合わせできるようになっていないので、重ね合わせができるようなフォーマットの統一が必要なんじゃないかと思います。
 あるいは、せっかくデータが集まっているんだからホットスポットについては抽出して、ここはもう開発やめた方がいいよと早くから言っておく。それから今国レベルのお話をしましたが、都道府県レベルのレッドデータブックも大分できてまいりました。98年の方が青で、2001年はちょっと濃い色になっていますけれども、20県以上発行済みになってまいりました。こういった県レベルのレッドデータブックの作成を支援して、そして県レベ
ルの種の保存条例についてはできているところはまだ少ないので、推進する必要がある。
 それから生物多様性保全上重要な地域については国のモニタリング地域をもっと指定してきちっとした調査をしていくことが重要です。今のところ、北海道、埼玉県、静岡県、兵庫県、沖縄県で生態系総合モニタリングが行われていますが、もっとモニタリング地域の指定が必要なんじゃないか。
 それから事業で壊してしまったところのモニタニングというのも非常に重要です。それを生かさずに次々と同じ失敗を繰り返すということはあってはならないわけです。これは諫早の干拓事業の水門です。私たちもこういったところや長良川河口堰、利根川河口堰など、壊してしまったところのモニタリングをやっているんですけれども、アセスメントには何億円というお金がつくのにモニタリングにはほとんどお金つかないんですね。研究者の方もモニタリングでは余り研究にはならないので研究されない。やはりモニタリングにお金をきちっとつけて今後同じ失敗を繰り返さないようにということをしないといけないと思います。
 そしてこういった実施体制ですが、行政だけですとどうしても人がかわってしまいます。生態系モニタリングのなんかの場合ですと、5年後にやってみると都道府県の方は全部担当がかわっているのでゼロからこの調査の意味を説明し直さなくてはいけない。ですから学会とかNGOなどの参加を得た実施体制を整える必要があると思います。
 済みません、時間が30分ほどかかってしまいました。どうも失礼いたしました。ありがとうございました。

●熊谷委員長代理 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明についてご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。
 瀬田委員、お願いいたします。

●瀬田委員 非常に的確なお話で勉強になったんですが、私は吉田さんのおっしゃった中の自然公園と多様性の中の提言の1だけは実は納得しがたいと思っているんです。
 その後の文はまさにそのとおりだと思いますけれども、地域制の国立公園、都道府県立公園でも自然公園でいいんですが−−というときの土地利用の一つの純化といいますか、都市計画でも何々ゾーンというふうに非常に明確化していくことが果たしていいのかどうかというのと非常に似ていると思っておりまして、何でも自然公園に一つ一つの使命を重ねていくといいますか、かつては風景の保護と言い、それからいわゆるレクリエーションがあり、まして種の保存、あるいは生物多様性というふうに重ねていくことによって、自然公園が非常に性格をあいまいにしていくと思うんですね。ですから必要な生物多様性のためのエリアをつくるというんならば、新しい制度をそこにかぶせてもいいですから、つくるというふうにされた方がいいのかなと僕は思うわけです。そうでなければ国立公園をもっと身をそぐといいますか、その目的に沿ったもので身をそいでいくということがあっていいかと。そうするとまた自然保護団体の人は国立公園、保護地を減らすというふうに言われるというようなことがあって、実はその辺のところは私は現役時代から随分悩んでいるところだと思います。
 もう一つ伺いたいのは、アメリカの絶滅種のことをおっしゃったんですが、自然保護協会も野鳥の会もWWFも、これは後でお聞きした方がいいのかもしれません。アメリカでは自然保護団体が訴訟をしますよね。そういう訴訟という直接の行為、これは絶滅法で言えばだれがその訴訟をしてもいいというふうに法律はなっているからということもありますけれども、そういうようには余りなさらないで、要請であったりだというところ、そこの辺のところのNGOとしての所感を伺いたいと思います。前半の方は私の考えですからまた結構ですけれども。

●熊谷委員長代理 お願いいたします。

●日本自然保護協会(吉田) では、1番目の方からコメントを申し述べさせていただきたいと思うんですけれども、国立公園制度というのはやはり一番早くできてきた制度ですので一番たくさん面積がとれているわけですね。新しくできた制度ではとてもこんなに面積とれないわけで、国立公園にレクリエーションが必要とされる地域だとか、あるいは原生的な保護が必要とされている地域だとか、あるいは特定の動植物の生息地が入っていたりということは面積が広いだけにやむを得ざることではないかと私は思います。
 国立公園にいろいろな目的が入ってきてしまうではないかということなんですが、IUCNの国立公園の定義では、生態系の保護とレクリエーションの場ということですので、そういった面では私の申し上げた生態系と生物多様性の場という目的を入れるということは決しておかしくはないと思います。その中で何も国立公園の全部を生物多様性優先にしろと言っているわけではございません。国立公園の中にも生物多様性上非常に重要なところが幾つかあるだろう、あるいは場合によっては里山の保護なんていうのも自然公園の中に入ってくるかもしれない。そういったところで使えるところは使っていったらいいんじゃないかと。ただ、そのときに法律の目的に書いてございませんと、そういった地域を設けるという裏づけがございませんので入れた方がいいんじゃないかなということです。
 それから2番目の絶滅危惧種法の訴訟に関してですけれども、アメリカではそういった訴訟をよく行います。なぜその方法をとるんですかとアメリカのNGOに聞きますと、それが一番お金が安いからだと。費用対効果の問題です。訴訟して勝つことができるので一番最短の道なんですね、日本は司法の判断というのは三権の中で一番遅いと思います。日本で訴訟をやると、せっかく皆さんから集めた寄附金を効率的に使えない。敗訴のために使っているような形になってしまいますので訴訟という手段はとっていません。
 もちろんそれをやっていくことで一歩ずつ進んでいくというところがあるんですけれども、むしろ私はカナダの絶滅危惧種法の方が何か日本に合っているんじゃないかなという感じがしています。それは先ほどお話ししましたようにスチュワードシップとか、民間の土地所有者の方にも協力を求める。日本の場合、ほとんど絶滅危惧種がそういったところにあると思いますので、そういった政府を相手取って訴訟を起こすという方法よりはスチュワードシップとかその方が実がとれるんじゃないかなというふうな感じがしております。他の団体の方はどう考えるわかりませんが、私はそう思っています。

●熊谷委員長代理 よろしいですか。

●瀬田委員 またあとで。

●熊谷委員長代理 それではまた最後の議論もございますので、他の委員の方でご意見、ご質問がおありでしたらお願いいたします。
 森戸委員、お願いいたします。

●森戸委員 時間がありませんから簡単でいいんですけれども、国立公園の費用負担ルールというか、費用負担のシステムというのは先程は民間企業のスポンサーみたいな話が出ましたけれども、利用者負担の仕組みとしてはどういうことを考えておられるのかというのが一つ質問です。
 それからもう一つは、財団法人として活動する上で直面している団体としての抱えている課題みたいのはどういうことかというのをお聞きしたいなと思ったんです。

●熊谷委員長代理 それではお願いいたします。

●日本自然保護協会(吉田) 2つとも難しいですね。1つ目の方は方法としてはいろいろあると思うんですけれども、アメリカの国立公園の場合、基本的には国が予算を出すわけですけれども、入園料を取っても入園料がそのまま国立公園の予算に回っているわけではないことはこれは確かなんですね。ただ、日本の場合にはかなり自治体がごみ処分だとかそういったものに費用負担をしております。そういったことがかなりの負担になっているんだけれども、自治体の直接の収入には入ってこない。民間業者はもうかってそこから税収はあるのかもしれませんけれども、例えば上高地なんかだとほとんど松本市の方の経営者で、地元の安曇村には税金は入らないと聞きました。そういった意味で本当にいい国立公園をつくっていこうという地元にお金が入るようなことを考えなくちゃいけないんじゃないか。知床の国立公園の関係者の方の試算だと、1人 200円いただいたら配置したいレンジャーの理想的な数まで全部賄えるそうです。そういう試算もあります。
  それからもう一つは、NGOとしての直面している問題点ですが、スタッフ不足というのが一番の最大の問題でして、プロジェクトに関してはいろいろな助成金などがいただけるような時代になってきましたけれども、やはり職員に関しては自前で賄わなくてはいけないと思いますので、それは会員を増やすということが一番だと思います。ところが、自前のお金といっても、財団としては金利はすごく低いですから金利には頼れない。会員を増やすといってもアメリカなんかNPOはわずか3セントで会員募集の、あるいは会員から会費を請求する郵便を送れるんですね。日本の場合だと80円とか90円とか出さなくちゃいけないですね。そういった面でも、NPOにとってのインフラの差があるんじゃないかなというふうな感じをしております。

●熊谷委員長代理 よろしゅうございますか。それでは、他にご質問、ご意見おありの委員の方、よろしくお願いいたします。
 それではおありでないようですので、またお気づきの点がありましたら後ほど総合討論のときにでもお願いしたいと思います。吉田さん、どうもありがとうございました。
 それでは、次にWWFジャパン自然保護室次長の草刈さんからご説明をお願いしたいと思います。

●WWFジャパン(草刈) WWFジャパンの自然保護室次長の草刈です。よろしくお願いします。
 まず、一つ議長にお願いしたいのですが、この後の野鳥の会のお話なんですが、野鳥の会の方の4番に書いてある渡り鳥生息地の保全の部分が私の話すところとダブっておりますので、私の方でもうちょっと時間をいただければと思いますが、よろしいでしょうか。

●熊谷委員長代理 調整をとっていただけましたか。

●WWFジャパン(草刈) はい。では、よろしくお願いします。
 WWFジャパンの方は、お手元の資料にありますように8点まとめてまいりました。というのは、WWFジャパンの方での活動としては、森林の保全、南西諸島の島嶼域の保全ですとか渡り鳥の問題ですとか地球温暖化問題、化学物質など、さまざまなことをやっておりますので質問する項目が結果的に多くなってしまいました。
 まず最初に、ことしの3月から8月までの懇談会、それから今回の各省庁のヒアリング、それから先日の2回目の小委員会で委員から出されたことで幾つかわかってきたのは、「各省庁が生物多様性について真っ向から取り組んでいる印象が薄い」ですとか、「各省庁のヒアリングはデモンストレーションに過ぎず、各省庁との連携が希薄ではないか」、また「どの省庁が何をやっているのか全体が見えない」とか、「7年度の国家戦略の策定時と比べて危機感を持った」ですとか、「このままでは、この国の自然環境と生物多様性が今後ますます減少していくおそれを感じた」などと委員の先生方から意見が出されています。まさにこういった意見というのは過去5年間の国家戦略の評価と言っても過言ではないのかなというふうな感じを持ちました。
 それで新しくつくられる生物多様性国家戦略は5年間の戦略ではなくて10年、20年先を見越した戦略「Strategy」でなければならないのではないかと思います。その内容としては、多くの具体的で現実性のあるアクションプランと実行可能な体制が明記されるべきではないか。
 そのためには、環境省の中に生物多様性の専門の部局を設けて専属のスタッフと各事業をフォローすると同時に、各省庁の担当者及びNGO、NPOが加わるようなタスクフォースを設置してはいかがではないかというような感じを思いました。
 まず、森林保全のあり方、ギャップアナリシスのことについてなんですが、現在の森林簿などの森林生産をベースとしたデータ管理を生物多様性等を考慮した形に整えていく必要があるのではないか。それから、緑の国勢調査の植生自然度のリンクも検討して現状の保護規制のかかっている地域と生物多様性などのデータを照らし合わせて保護規制地域の線引きの検討が必要ではないか。
 もう一つは既存の保護区だけではなくて、森林においてはいち早く荒廃している平地の森林とその多様な生物相の回復がぜひ必要と思われます。これについては社寺林ですとか都市緑地の連携を考えた上で管理・回復に必要な財政的支援も必要ではないか。
 それから、通常の木材生産の対象地域等を含めて林業者が行う経営の基準を国際的にも求められている基準。これは第4回の懇談会でもお話ししましたが、森林の認証制度、ラベリングの導入なんかが必要ではないかということです。
 それから国際協力としては、日本の木材自給率は2割というようなことで、海外からの依存率が非常に高いのでそのように海外からいろいろな森林を持ってきているというふうな自覚と責任をちゃんと考えた上で行うべきではないか。同じように、この部分についても森林の認証制度については生産現地での先住民団体ですとか環境団体のヒアリング等も含まれて審査されているものですから、ここの点についても非常に有効な手段ではないかということです。
 それから2番目の保護地域、島嶼地域を含む問題点の部分なんですが、自然公園や保護水面、保安林など既存の幾つかの保護地域制度がありますが、これについては各省庁の連携が十分とれていないのではないかということで、各種の保護地域の目的、役割を踏まえながら生物多様性の観点から相互に機能できるような体制をつくる必要があるのではないか。
 それからゾーニングの部分なんですが、ここについては今までの小委員会とかでも指摘があったと思うんですが、同心円状にゾーニングをとってきていますが、水系や流域単位の保護地域のゾーニングの仕方、森、川、海の一連を図った保護が必要ではないか。特に島嶼地域についてはこの方法がワンセットの生態系として重要なのでそういうゾーニングが必要ではないか。
 それから、原生的な自然保護地域は別として、多くの保護地域では人間活動による改変が進んでいるのでこの里山の変化、過度の利用、湿地の変化など人々の生活・生産活動との共生を意識した復元・再生が必要ではないか。
 それから管理については、保護地域の特性に基づく保全目標を設定して人為的な環境の変化、移入種・侵入種の攪乱の問題等予防的な措置や事後の対策が速やかにとれるように管理方針とその実行体制を戦略の中に取り入れるべきではないか。
 利用については、自然観察、野外教育など生物多様性を重視した活用に変えていくべきではないかという部分です。これについては先程吉田さんが指摘されたのと同じようなことになっていると思います。
 それから3番目の渡り鳥生息地の保全なんですが、ちょっと配付した資料よりも膨らませて資料をつくってきましたので、OHPを使いながら説明させていただきます。
                 〔OHP〕
 干潟やサンゴ礁など生物の多様性が高くて生産性も高い環境が干潟、湿地であって、その機能と経済的な価値については科学的にも明らかにされつつあります。しかしながら、まだ多くの湿地の保護の手が差し伸べられておらず開発の危機にさらされているのが現状であるということです。このケーススタディとして2つのケーススタディでちょっとご説明しようかと思いますが、生態系の上位に位置するシギ・チドリ類の国際的な重要渡来地と全国的な保護区の設定のギャップの事例とケーススタディ2として、多様な生物群の生息する水域である有明海・八代海沿岸域の重要湿地と複数の保全政策による保全の状況を説明します。
 まずケース1として、シギ・チドリ類の個体数変動モリタニング調査の結果から 110カ所余りのシギ・チドリ類の調査をして、その中で現在改訂中の東アジア−オーストラリア地域フライウェイにおける最少推定個体数1%もしくは0.25%の基準へ適合したところを評価したものとして71カ所が該当されています。これらの地域は、東南アジア−オーストラリア地域シギ・チドリ類重要生息地ネットワークの参加基準を満たすと同時に、ラムサール条約の登録湿地の候補地であって、国際的には重要な湿地だと考えられます。
 しかしながら、これらの71カ所の地域のうち国設鳥獣保護区はわずか4カ所、ラムサール条約の登録湿地は2カ所のみで、県設鳥獣保護区を含めても全体の3分の1の保護区しか設定されていないのが状況だというふうなことです。自然公園などの設定地域を含めても約半数が保護の手がついていないという状況だというのがわかってきました。
 それからケーススタディ2として、多様な生物群の生息する水域である有明海・八代海の重要生息地についてですが、これもお手元の資料に入っていると思いますが、全国で500 カ所抽出された重要湿地のうち13の湿地がこの中に含まれています。
 これらの生物群・生息域に関して分類すると36に細分されまして、シギ・チドリ類ではなくて他の水鳥類、両生類より貝類などの底生生物、塩生の植物、サンゴ礁等多様な環境を有していると考えられます。
 この重要湿地の分布状況に国立公園、国定公園、海中公園の設定状況を重ねた図がこの図になります。
 これらの地区の地域指定は普通地域であって生物の保全にとっては十分な保護策がとられていないというのがわかってくると思います。
 さらに、これに鳥獣保護区の設定状況を重ね合わせたのがこの図です。有明海は第8次鳥獣保護事業計画に国設鳥獣保護区の未設定地域11カ所の一つとして名を出していますけれども、具体的な動きがまだ見られていない。この沿岸地域の国設鳥獣保護区の設定されている箇所はまだ少ないというふうな状況になっています。これに保護の水面等指定状況を合わせてみますと、こういった図になります。
 お手元に配られた図はこれらの図を全部統合して重ねた図になっていると思いますが、保護水面域の指定状況を合わせてみると、熊本県で5箇所が保護水面として設定されていますが、重要湿地としてリストアップされている地域としては入っていないというふうなことです。
 これらのことからまとめとして2点、国設鳥獣保護区の設定の推進としてまずどの湿地がどのような生物群にとって重要なのかを調査分析し、重要湿地の目録を作成して配布してはどうか。これらの重要湿地に関しては、生物多様性の保全の観点から国設鳥獣保護区の設定とラムサール条約の登録を検討し、設定に際しては特に地元住民、関係団体との間に起こり得る問題、課題を明らかにする必要があるのではないか。
 それから2つ目として、多様な生物群集の包括的な保全と管理というふうなことで、生物の多様性を維持していくためにも重要湿地をより広域的な視点でとらえ、保護の状況の把握と分析を行うべき。特に鳥獣保護自然公園法、漁業法などの現行制度との連携、運用に関してはモデルを作成してそれらのギャップを埋める方策が必要ではないかということが湿地の部分からの提言です。
 OHPはこれで終わりです。
 それから4番目になりますが、野生動植物の取引が生態系に及ぼす影響として、今までの小委員会の中でもいろいろ議論がありましたけれども、日本は世界の三大野生生物の消費国の一つとなっています。世界各国から野生生物とその製品を輸入しています。これらのことは日本の消費が世界の野生生物の存続、生物多様性に影響を与えていると十分考えられるのではないか。例えばワシントン条約の対象種の生きたインコ、リクガメ、爬虫類の皮の輸入は世界一でして、リクガメについては世界の54%を輸入しているという状況があります。
 それから、消費行動が海外の生態系・多様な生物相に及ぼす影響を配慮して国際条約に基づく厳しい国内法と体制整備が必要ではないか。海外で保護策をとっている野生生物に対して協力できるような国内法の整備が必要ではないか。例えばオーストラリアではすべての野生生物の輸出を禁止していますが、日本の税関でマツカサトカゲが見つかっています。これについては、輸出国の法律には違反しているけれども、国内ではこれを規制する法律がないという状況になっています。関係法令の実行体制として、税関の職員の能力の育成ですとか関係省庁の連帯の強化が必要ではないかと思います。
 それから、海外からペットとして輸入された野生生物が販売、飼育されて山へ逃げたりして生態系に影響を及ぼしているという外来種の問題があります。例えば沖縄県の天然記念物のセマルハコガメは附属書・ですけれども、海外からも同じ種類が輸入されて販売されている。国内で違法に採集されたものが海外のものと合法的に輸入されたものとで市場で混在する可能性が見出されるというふうなことです。
 海外の生息地で保護策を支援することが一つは重要ではないか。その方法として、日本の原材料を輸入するのではなく、生息している国で可能な産業を育成し、その国にとって保護のための経済的な誘因を設置していくことが必要ではないか。それから国内の普及啓発として、野生動植物は人類の共有財産であるというようなことを環境教育の場でも話をしていく必要があるんではないか。
 外来種の問題について一つ追加したいのは、吉田さんがブラックリストの話をちょっとされましたけれども、鷲谷先生が外来種対策法が必要ではないかということを最近よくおっしゃっていますし、また日本獣医畜産大学の羽山先生は、当面期待される輸入種の対策制度として、輸入販売、飼養、それから逸脱・遺棄、野生化という大きな流れの中で、例えば輸入の中ではブラックリストリスク評価が必要ではないか、それから輸入販売の中では貿易統計の整備が必要ではないか、それから飼養のところでは業者の許可制度、個体登録制度が必要ではないか、逸脱・遺棄の場合では原因者の責任制度、野生化したものについては科学的管理計画制度が必要ではないかというふうなことをおっしゃっています。
 外来種の対策法ですとか当面期待される対策案、法制度のほかに私の方で一つ提案したいのは、レットデータブックというのがありますが、それとは別にブラックデータブックをつくってはどうか。環境省の方でブラックデータブックをつくって、レッドデータブックと同じように5つのランクでそれをまとめたらどうか、緊急対策種、これはIUCNのワースト・ワンハンドレッドで世界で一番危険である 100種を挙げていますけれども、そういった緊急対策種、それから準緊急対策種、対策種、未調査種、それからその他外来種、それとまた地域個体群と同じように国内移動禁止種のようなブラックデータブック、BDBをつくって、こういうのができれば都道府県も都道府県版のBDBをつくっていくと思いますので、各自治体もそれについての対応、対策ができるのではないかと思います。
 5番目の化学物質、生物多様性に及ぼす影響について、環境に放棄されている化学物質の種類と量は増加の一途をたどっている。化学物質の安全性管理は主に人の健康に影響するものだけを考えられていまして、生態系への影響についてはほとんどと言っていいほど考えられていない。内分泌攪乱物質や残留性有機汚染物質の野生生物への影響の報告が最近されるようになりましたが、まだまだここについてはおくれていますし、化学物質が国内の生物多様性に及ぼす負の影響についても評価していく必要があるのではないかと考えられます。
 それから6番になります。沿岸及び海洋生物の保全、漁業・水産生物についてなんですが、日本の水産業は水産生物の持つ膨大な再生能力を使って我々は生活しているわけですけれども、陸上の集水域を含む健全な海洋生態系と生物多様性に依存しているということをまず忘れてはならない。これについて生物多様性国家戦略に反映すべき6項目として挙げています。
 まず1つは、沿岸漁業と陸上の集水域も含む沿岸生態系の関係を量的、質的に把握して生態系の保全とそれに付随する生物多様性の保全の姿勢を強化する。日本の水産業の漁獲高は戦後どんどん増加している状況で、1988年には 1,278万 5,000トン、これはその次のページの図を見ていただければと思いますけれども、著しく増加している。これについては漁船の動力化と大型化、安価な燃料を背景にして海外漁場の拡大とか歴史的なマイワシの捕獲などが起因しているのではないか。しかしながら、その後年を追うごとに減少して、99年にはご覧のとおり1960年の生産高と同じ程度まで減少してしまっているというのがわかっています。
 その減少の原因としては、乱獲ですとか内外の漁獲規制の強化、埋め立てなどによる産卵生育場などの重要生息地の減少・劣化が挙げられるのではないか。産卵場や生育場の保全は、漁業にとってだけではなくて生態系の観点からも非常に重要なので、これらの地域を保全していく必要があるのではないか。
 例えば諫早の干潟の問題ですとか、沖縄県の林道開発などで集水域が大規模開発されて海岸域が汚染されたりですとか、サンゴ礁やマングローブ林の減少や劣化が起こっているのではないかということです。
 2番目が、海洋汚染と漁業の関係を量的質的に把握し、生態系保全とそれに付随する生物多様性の保全の姿勢を強化する必要があるのではないか。日本の沿岸で漁獲された漁種のPCBによる汚染がすごく深刻になっている。一部の貝類については内分泌攪乱物質が影響を及ぼしていることが認められている。
 それから3つ目は、保護水面あるいはノンフィッシングゾーンの効果を量的質的に把握し、その効果を最大限利用できるように努める必要がある。日本は古くから入会権など禁漁の制限が存在して資源の保護に役立ってきているという例があります。
 それから4番目が、混獲対策を進める必要があるのではないか。底引きのトロール漁船による混獲ですとかそういった混獲対策を進める必要があるのではないかというようなことです。
 それから国際的な枠組みの中での消費のあり方を考えるというふうなことで、FOC船などIUU漁業による漁獲物が輸入されないように細心の対策が必要であるということで、FOCというのは便宜置籍船のことですし、IUUは違法無法国無規制の略であります。
 それから6番目として、生態系の保全とそれに付随する生物多様性の保全を実現するための予算を増やす必要があるのではないか。日本の水産関係の予算は必ずしも大きくはないんですが、漁業地域の振興と水産基盤の整備というインフラに利用されていて、資源管理施策の強化や技術開発や試験研究といった生態系保全と生物多様性を実現する項目は非常に少ないので、十分な予算措置が必要ではないかということです。
 一つ、これまで集中的にいろいろな議論をされている中で海洋性の哺乳類の保全問題については余り議論されていないということで、資料を2枚つけてきましたが、これについてはぜひ後の総合討論で議題にしていただいて、フロアからも意見を聞いていただければと思います。
 それから7番目の生物多様性保全のための環境教育としては、環境学習という場で市民のレベルで生物多様性という概念自体が理解されていないのではないかということで、まずは学校教育として学校現場を支える専門的な知識を持った人材の活用がなくしては生物多様性を理解する学習が成り立たないおそれがあるのでそういった人材をこれから育てていくということ、そういった制度をこれから整備していかなければならない。それから、それらに関する予算措置も必要ではないかということです。
 それから、自然体験のそういう活動経験が不足しているので教員向けの自然環境についての研修会ですとか、先ほど吉田さんがおっしゃったように自然体験の場として積極的に里山、里地の保全を利用していくこともいいのではないか。
 それから市民の意識の啓発として、環境学習講座のようなものを設けて市民の意識啓発を図っているけれども、これについても各地の自治体の環境行政がどんどん実施していくべきではないか。それから、これらの講座が終わった後で講座の修了生をデータベース化して一般市民に知らせていくことも必要ではないかということです。
 それから、8番目の生物多様性保全とNGOの果たせる役割についてですが、今までの懇談会とか小委員会でも市民NPOなど市民団体の重要性が指摘されてきて、しかしながら国家戦略を念頭に置いたNPO、NGO、市民活動団体はほとんどないのではないか。これから21世紀は環境の世紀とか市民の世紀と言われていますので具体的な実施体制、役割分担を明確にすることが必要ではないかということです。
 森林の保全については、先程も申しましたけれども、日本国内にNPOで森林の管理協議会をつくる必要があるのではないかということです。森林認証協議会については、国内の協議会がまだできていませんので、今は国内の協議会を立ち上げるべく努力しているところです。
 それから、里山や里地の保全活動については多くの市民やNGO、NPOが参加しているということで、この辺については吉田さんの提言と同じなんですが、地域の団体、生物関係の研究者、地域計画や造園のプランナーなどの専門家の参加が必要で、生物多様性の保全の活動には市民と地域の団体や研究者、これらの地域のプランナーなどのコラボレーションが重要ではないか。
 それから、WWFジャパンでは設立当初からこれまで日本の国内の自然・環境保全活動を行っているさまざまな市民団体や研究者に助成金を出しています。2001年、ことしまでの延べ数になりますが、 643件、総額3億 7,492万円を出していまして、特に最近は里山地域ですとか干潟、サンゴ礁、南西諸島といった重点地域をテーマとした団体に助成しています。これとは別に2000年度から始まりました新しい助成事業として、WWF・日興グリーンインベスターズ基金を設けまして、これらの基金を使って助成した団体は延べ49件、8,200 万円を助成しています。この新たな基金の対象事業は、自然や環境と持続可能な発展への貢献を目的とした環境保全活動で、その活動の成果が将来社会や経済、環境との統合を目指すものとしている。これについてのテーマはライフスタイルの見直しですとか環境教育、自然・環境の保全というものをやっています。
 生物多様性保全の観点から全国のさまざまな市民団体や研究者の保護、調査・研究活動へのサポートが今後ますます重要になってきますし、同時に新・生物多様性国家戦略と連携して効果的な事業展開をしていったらどうかというふうなことを考えております。
 最後に、私の資料の中につけ加えさせていただいていますが、前回の小委員会でも配らせていただきましたけれども、12月16日にシンポジウムを開催する予定です。「新・生物多様性国家戦略を考える」ということで予定しています。
 1つは、今までの懇談会や小委員会でも、海外の生物多様性国家戦略の事例というのは余り議論されていなかったし、海外の生物多様性国家戦略がどのような経緯でつくられてきたのかというのもぜひ聞きたいということで、ニュージーランドから生物多様性国家戦略の策定をしたチームリーダーの方を呼んで、どういった形でつくられたか、それから生物多様性の条約が求めている国家戦略とはどういったことかを話をしていただいて、午後、3名の先生方から報告をしていただいた後で全国のいろいろなNGOからの意見発表ということでシンポジウムを企画していますので、委員の先生方はお時間があればぜひおいでください。
 以上が私の話です。

●熊谷委員長代理 草刈さん、どうもありがとうございました。
 8項目にわたってご説明いただきましたけれども、ご質問なりご意見がございましたらどうぞお願いいたします。
 瀬田委員、どうぞお願いいたします。

●瀬田委員 自然保護協会、WWFは自然保護協会が国内の問題では非常に多分野にわたっていらっしゃるし、WWFは国際的にかつどういらっしゃるということで、多分バイオテクノロジーというものをどうお考えになってここのテーマの中で言えば3分の1ぐらいがバイオテクノロジーの話があったんですけれども、9番目にそういう視点でどう考えるかということを入れていただければよかったなと思うんです。
 それは今回の資料にはありませんけれども、次の例えばシンポジウムでも話があるといいし、また今少し後でもいいんですが考えをお聞きしたいです。日本自然保護協会の吉田さんにもその辺を伺いたいなと思います。

●熊谷委員長代理 いかがですか。

●WWFジャパン(草刈) 化学物質が生物多様性に及ぼす負の影響という5番のところにちょっと触れさせていただきましたが、バイオテクノロジーに関連してはうちも専属の化学物質に関する担当がおりまして、ちょっと多忙でしてこの程度しかまだ意見を取りまとめてこなかったということですので、バイオテクノロジーについてWWFジャパンとしてどうしていくかというのはちょっと持ち帰らせていただいて、まとめて次の小委員会の資料としてでも提出させていただければと思います。よろしいでしょうか。

●熊谷委員長代理 それでは資料をぜひお願いしたいと思います。
 他に何かご意見ございますでしょうか。
 三浦委員、お願いいたします。

●三浦委員 WWFはFSCの協議会のことに一貫して取り組んでいらっしゃるんですが、文面によりますと国内委員会を立ち上げるという格好になっているんですが、これはどういう目的で、つまり認証を国内の森林に対してやっていくというプログラムなのか、そのあたりを伺いたいんです。

●WWFジャパン(草刈) 今まで日本で3カ所、三重県の速水林業と高知県の檮原町の森林組合と、それから広島のアサヒビールの持っている森が認証されているんですが、日本の国内認証をするにおいては、海外の認証機関の人たちを呼んで認証しなければいけない状態になっているんですね。そのために認証を進めるための費用として 300万円とかかなりの値段をかけないと認証が売れないということで、国内の認証を進めるにもある程度のお金がないといろいろな森林組合が認証できないという状況になっていますので、ぜひ日本の国内の認証機関をつくってFSCの森林認証協議会の中で日本の認証協議会はこういった形でやることを認証してもらって、国内でなるべく国際的な認証の制度に合った形の日本国内の認証林をどんどん増やしていって、持続的なベースで日本国内の森林を扱えるような形にしていきたいということで、国内での認証機関をつくっていくということを努力しています。
 海外でもいろいろな国で認証機関というのは持っているところはあるのですが、日本は持っていませんのでそういったことを進めていきたいということです。

●熊谷委員長代理 いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 ほかに。服部委員、お願いいたします。

●服部委員 非常にプリミティブな意見なんですけれども、NGOは2つ聞いてあと2つあるんですけれども、生物多様性国家戦略を進める上でのNGOのこの4つ以外、逆に言うと4つを選んだ理由というのか、他にないのかどうかです。
 そもそも私は名前を聞いたことはあるんですけれども、守備範囲がそれぞれのNGOでよくわからない。だから、定款の設置目的とかそれぞれの団体がどういう守備範囲なのか、前の自然保護協会もそうなんですけれども、協会としての問題点は、自分の守備範囲のところから発想してこういう問題点があるということなのか、それとも守備範囲はともかく広く、提言をされているのか、そのあたりもよくわからないんですよね。だからそれぞれの団体のもともとの守備範囲、どういうことを目的としている団体かというようなところがあって、初めて提言が「あ、そうか」と理解できる面があると思われます。それぞれのNGOの守備範囲がどういうふうになっているのかというのを知りたいと思うんですよね。
 以上ですけど。

●熊谷委員長代理 いかがでしょうか。4つの団体が代表しているかというような意見のようでしたけれども。では、計画課長の方から。

●自然環境計画課長 半ばほどは事務局の方の責任ですので、決定的な理由というのは、実はNGOは物すごく膨大になります。また、活動も多岐にわたっている団体が多い。NGOの範囲にしても公益法人というふうに例示をすれば3万近くあるという状態で、任意の活動団体も含めればもう数え切れないぐらいあるというのが現実です。我々が今日4団体にお越しいただいたのは、全国的ベースでどちらかというと自然環境保全の活動を積極的にやっておられる、会員数その他組織も一定規模を持っているということでこの4団体ということにしました。
 ここに呼ばれなかったところが何かちょっと落ちるとか活動の質が、という意味では全くありません。審議会という限られた時間の中で最も効果的に全体を代表して言っていただくというちょっと定性的ですけれども、線を引かせていただいたということになると思います。
 それぞれの活動団体の分野については、むしろそれぞれの方から端的に言っていただいた方がいいんじゃないかと思います。

●熊谷委員長代理 それではお願いいたします。
 自然保護協会の吉田さんから。

●日本自然保護協会(吉田) 今後の団体の紹介は多分冒頭に言っていただいたらいいんじゃないかと思うんですね。それが抜けた私とWWFだけ先に言わせていただいて。それで私どもの団体は後で、もし必要でしたら委員の先生方に団体の概要等お配りいただくような準備はしたいと思いますので。
 日本自然保護協会は1951年に創立しました団体でございまして、尾瀬の保護から始まりましたので自然公園というのは一番最初のテーマですね。それから森林の保護、湿地の保護、野生生物の保護、あと自然環境に関する調査研究というものも大きなテーマとしておりますので、この4つの提言分野とも全部私どもの事業の範囲内でのスコープに入っている提言でございます。

●WWFジャパン(草刈) WWFのことをご存じない方もおられるというようなことなので。
 WWFはスイスに本部がありまして、WWFインターナショナルは1961年に発足しています。WWFがなぜあるかというと、IUCN、国際自然保護連合というのがありますが、それは科学的なベースで調査研究するというふうなことでつくられた組織なんですけれども、IUCNの科学的なベースで調査をやっていくにしてもお金がなかなか集まらないとかいった状況があって、IUCNの双子団体として資金を調達する組織が必要だというようなことでつくられたのがWWFです。ですから最初のWWFの名前は世界野生生物基金というふうなことで、基金となっています。先ほどお話しした環境の化学物質ですとか地球温暖化の問題も広くなってきていますので組織の名前を世界自然保護基金というふうなことで幅広く変えたわけなんですが、最初はIUCNの科学的なことを実証するための資金援助というふうなことでつくられたんですけれども、徐々にいろいろなところから資金が集まるようになってきて、今は全世界で25カ国に各国委員会という委員会があります。WWFアメリカですとかイギリスですとか、オーストラリアとか日本とか、そういった各国委員会があります。そういった委員会とは別に、そういう委員会がない国々をWWFインターナショナルがダイレクトにプロジェクトを進めています。そのプログラムオフィスというのが世界25カ国にありますので、世界50カ国に自然保護のある拠点として動いているということです。
 今WWFでやっていることは6つの重点課題というのがありまして、森林、それから淡水域、スピーシーズ、種ですね、それから沿岸海洋地域、化学物質と気候変動という6つの重点分野があります。それはインターナショナルがつくった重点分野でして、そのインターナショナルの重点分野に沿って全世界のNGOが活動していると。そういう流れがあって私の報告の中にも森林ですとか化学物質ですとか沿岸海洋の話が出てくるというふうなことです。これとは別に、世界 200カ所を重点保護地域としてエコリージョンというふうなことで保護しなければいけないということで活動していまして、この 200カ所の中には南西諸島、琵琶湖が入っています。エコリージョンを保護するという面で南西諸島を重点的にやっているし、これからは琵琶湖なんかもやっていこうというふうなことでいっています。そういった面では、国際的な方針にのっとって国内でそれに照らし合わせた活動をしているというようなことです。

●熊谷委員長代理 服部委員、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

●服部委員 ありがとうございました。

●熊谷委員長代理 瀬田委員、お願いいたします。

●瀬田委員 有明海、八代海のことについて非常に詳しくシギ・チドリを中心にお話をされたわけです。4県、長崎、福岡、佐賀、熊本というところで閉鎖性水域についてWWFなりあるいは自然保護のNGOの方でもいいんですが、何か特別の、かつて瀬戸内法ができたようにそういう法律をつくってでもひとつ有明海の環境保全というものにかかわっていこうという運動はなさるのかどうか。
 実は、この地図を見ていまして諫早のところに毒々しいマークがありますけれども、化学物質のマークというふうに考えれば土壌汚染、そしてそれが干潟の砂なり何なりというふうになるともっと北の方にそういう問題があるはずなんです。ですから、今確かに化学物質のことも読んで少し触れられましたけれども、多分この有明海で一番大きな問題になってくるのは、物理的な諫早湾のような問題もありますけれども、蓄積されている土壌汚染をどういうふうにするかということが大きなテーマになってきたときに、それも含めてWWFで、あるいは自然保護協会でもいいんですけれども、お考えになるんだろうか。そういう方針というかその一端をお伺いできればと。

●熊谷委員長代理 それではまず、WWFの方から。

●WWFジャパン(草刈) 諫早とかあそこら辺について新しい法制度をつくって保全していくべきかどうかというようなことについては、今のところはあそこは考えていないと思いますが、諫早と干潟、湿地の問題については自然保護協会、野鳥の会、3団体連携でいろいろと保護活動をしていますので、いい課題をいただいたのかなという気がするので、そこら辺についても検討していきたいと思います。

●熊谷委員長代理 自然保護協会の方から。

●日本自然保護協会(吉田) 日本自然保護協会では今年3月にこの諫早干拓事業に伴う海側への堆積ヘドロの増加を調査しましてその時点で意見書を出したときに環境大臣に対して瀬戸内法と同じような特別立法を持って諫早湾だけではなくて有明海全体についての環境回復を図るべきであるという提言をしております。それから、現在今日から行われております国際EMECS会議、閉鎖性海域の会議の方にも私どもの職員が参加しましてこの実態を調査した結果を出します、例えば今年の夏はもう有明海北部全体に貧酸素水塊が広がっているということも突き止めたわけですけれども、そういったことを発表しまして、ぜひそういう特別法が必要であるという提言も会議の中でする予定でございます。

●熊谷委員長代理 ありがとうございます。他にご意見ございますでしょうか。
 それでは次へ進めさせていただきたいと思います。
 次は日本野鳥の会からご説明いただきたいと思いますが、日本野鳥の会の自然保護センター副所長の古南さんからご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

●日本野鳥の会(古南) 日本野鳥の会の古南と申します。
 先ほど草刈さんから言っていただいたんですが、今日のプログラムが私の方は4つの議題になっていたんですが、WWFジャパンの方と時間の調整をしまして、4番目の湿地における生物多様性保全というのを話題がかぶりましたのでカットいたしましたので、一応3題でお話しをさせていただきたいと思います。
 ヒアリング資料というのを後から配らせていただきました。
 それともう一つ、レジュメとちょっと順番が変わってしまっていまして、2番目と3番目が逆転しておりますが、その順でお話をさせていただきたいと思います。
 私どもは昭和9年に設立した財団法人でございますけれども、現在会員が5万 2,000人おります。もともと野の鳥は野にというのがキャッチフレーズといいますか哲学でして、野鳥といえばとって食べるか飼うかというような時代がございましたけれども、そういう中で鳥、野鳥というものを一つの文化として愛でる、あるいは科学的な興味の対象として観察する、研究するといったようなところから野鳥とともに暮らせるような社会をつくっていこうというようなことで現在自然保護活動にかかわっているわけでございます。そういうわけで、私どもの自然保護活動の主な対象というのは鳥類とそれからその生息地の保全ということがメインの対象でございます。
 私どもは全国に88の支部がございまして、大体どの都道府県にも(滋賀県を除いては)1つ以上支部がございまして、この支部の方たちはボランタリーな形でバードウオッチングを普及するというような活動から、あるいは先程の諫早ですとか藤前ですとか海上の森ですとか、そういったような地域の自然保護活動にもかかわっているという地域グループの連合体という側面が一つございます。
 それからもう一つは、私どもは国際的な鳥類保護の団体の連合でありますバードライフ・インターナショナルというところのパートナーになっておりまして、このパートナー団体というのは各国で1団体がバードライフに加盟するという形をとっております。後で渡り鳥のお話をさせていただきますけれども、そういった意味では鳥には国境がございませんので、国境のない鳥を守るために国際間の協力活動も行っているというようなことです。
 以上が自己紹介です。
                 〔OHP〕
 1番目のお話に入らせていただきます。1番目は生物多様性国家戦略を推進するための体制の整備ということで、これは鳥とは直接関係ございませんけれども、多様性国家戦略の懇談会からずっと参加させていただきまして痛感していることを2点申し述べさせていただきたいと思います。
 1点目は、まず生物多様性国家戦略のベースになっております生物多様性条約に関してなんですけれども、この多様性条約の動きに関して日本語で手に入る情報が非常に少なかったというのがNGOとしては非常にとっつきにくかったということがございました。現在、「生物多様性国家戦略小委員会資料集」という立派な資料集もつくっていただいてこれから変わるのかなという感じもいたしますので、そういうつもりでお聞きいただければいいと思います。
 例えばラムサール条約の締約国会議に関しては、決議・勧告が毎回かなりの数出ますけれども、決議・勧告集とその概要などは全部日本語に訳されて、これは例えばWWFジャパンなどの方たちのご努力があったとお聞きしておりますけれども、ホームページ上で公開されています。ところが、生物多様性条約締約国会議に関しては会議の報告書の目次と会議の概要というのはプレスリリースで出ておりますけれども、毎回の決議が大体20本から30本ぐらい出ておりますが、これは全部もとの生物多様性条約事務局のHPに行って英語で読まないといけないという形になっております。条約のベースがあって国家戦略を検討していく、というように、国際的な枠込みの中でつくられているのが国家戦略だと思います。今後改善されていかれると思いますけれども、情報公開という意味でも、あるいは私どものようなNGO、市民セクターをパートナーとみなして市民参加を図るというのであれば、そのベースとなるような情報を提供するという意味でも、もう少し整備された方がよろしいと思います。例えば移入種のガイドラインですとかエコシステムアプローチですとか、そういったかなり重要な概念の和訳もホームページ上に掲示されてはいるものの非常に探しにくい形になっておりますので、このあたりももう少し改善が望ましいのではないかということを申し上げたいと思います。
 決議に関しては、クリアリングハウスシステムに関する部分だけが全文日本語に訳されておりますけれども、要するに情報公開に関するところだけが全文訳されていて他は訳されていないという状況ですので、中身の部分をもう少し読みたいなというふうに思っております。
 それからもう一つ、国家戦略を樹立する手順、それから戦略ができた時点で持続的に推進していく仕組みということについてです。先程WWFの方もちょっとおっしゃっておりましたけれども、この国家戦略は現在省庁間連絡会議ということで原案作成されて関係閣僚会議で決定されるというような形をとっておりますので、国家的にきちっとオーソライズされるという形になっていますが、これに加えて毎年の点検であるとか見直しに至るまでの推進において統合的な事務局が必要ではないかと思っております。この生物多様性国家戦略、生物多様性保全に関しては非常にさまざまな省庁がかかわってきておりまして、それぞれの事業によって縄張りといいますか縦割りがあるわけですけれども、それらの省庁が協調的にかかわって初めて達成されると思われますので、市民の立場からすると省庁間の連携をもう少し図っていただきたい。これはそれぞれの官庁がそれぞれ努力されるということも必要なんですけれども、連携を促進する、あるいは各省庁からある程度独立したような形でチェックをするというような常設的な機関が設けられるべきではないかという感想を持っております。この推進機関には、関係分野から、例えばこの小委員会の委員の先生方のような関係分野、科学者から成る、第三者機関としての科学委員会というようなものを置いて施策がどのように効果を上げているのかということをチェックしていただくというようなことも今後検討されてはいかがかと考えております。
 生物多様性国家戦略の樹立に関しては、あまり各国の状況を詳しく勉強したわけではないんですけれども、主務である官庁を中心にして運営委員会のような形で、関係省庁会議というよりはもうちょっと密接な形でタスクフォースとして動く形をとっている国も多いと聞いておりますので、この際、環境の世紀を迎えてということですので生物多様性条約あるいは国家戦略がどこで行われているかということが中心としてきちっとわかるような形をとられてはいかがかと思います。
 以上が1番のお話です。
 次に、希少種保護から生息地目録、重要生息地の保護区設定へということでお話をさせていただきたいと思います。
 先程もちょっと申し上げましたが、鳥類の保全という分野では日本は特に渡り鳥の割合が多い国ですので、国境を越えた形での保護というのを考えないと、日本の国の中だけで考えていては多様性が保全できないという側面がございます。これは先程WWFの発表にもありましたけれども、希少種の目録としてのRDB、レッドデータブックを作成するというところから生息地目録を作成し、重要生息地保護区に設定していくという一連の流れ、種から生息地のインベントリへという流れの一例として、日本の国境を越えてアジアにも目を向けていただきたいということをお話ししたいと思います。
 今年の6月に環境省の委託で私どもとバードライフ・インターナショナルはアジア版の鳥類レッドデータブックというものを取りまとめさせていただきました。アジア各国でつくりまして非常に分厚いものになったわけですけれども、この結果としてアジアに生息する鳥類のうち12%に当たる 323種が絶滅の危機に瀕しているということが明らかになりました。アジアに生息する鳥類が 2,700種ですので、そのうちの12%ということです。それから準絶滅危惧種を合わせるとアジアの鳥類の25%が危機に瀕しているということがわかりました。この結果はアジア地域の生物多様性が低下しているということを示唆していると考えられます。鳥類以外の生物種についても絶滅の危機が広がっているのではないかということが推測されます。
 こちらがレッドデータのカテゴリーですが、絶滅危惧の・類、・類合わせて 300種、それから絶滅危惧・類も合わせて 300種ちょっと。合計でリストに載ったものが 664種というような形になっております。
 私どもが鳥類のレッドデータをなぜ重要視するかというと、生物群の中でも鳥類というのはほとんどが昼間に動きますので非常に目立ちやすいということで、ある種の生物多様性の指標になるであろうということを考えているわけです。国別に見ますとインドネシアが非常に絶滅危惧種が多くて、その次が中国、インド、フィリピン、ミャンマーといったような形になります。アジアの中で日本はどこにいるかというと、9位という比較的高い位置におります。
 この中にはノグチゲラですとかオオトラツグミですとかヤンバルクイナですとか、日本の固有種で日本の中でも限られたところにしかいないような非常に危惧度の高い鳥が入っているということでございます。
 日本の国家戦略を考える中で、アジアの中で果たす日本の役割を考えますと、鳥の場合には移動するということが大きな要素としてございますけれども、それ以外の生物分類群に関してもこのような国際的支援事業がもっと推進されてもよいのではないかというふうに考えております。
 それから私どもが特にバードライフのネットワークの中でただいまのレッドデータブックと並んで中心的に進めておりますのはインポータント・バード・エリア(IBA)、鳥類重要生息地の目録づくりということでございます。これは一般論としては生息地目録を整備していってその中での重要生息地をピックアップしていくという優先度を明確にすることを目的としたプログラムの一例として聞いていただければと思います。
 このIBAというのは既にかなり長い歴史がございまして、もともとバードライフというのはヨーロッパのNGOの連合体から出発しましたので、一番最初が1989年にヨーロッパ全域のものが出版されておりますが、このような形で鳥類にとっての重要な生息地がどこかというようなことを選択していくやり方です。既に日本国内でもラムサール条約の枠組みの中で、シギ・チドリ類渡来湿地約録ですとか先日中間報告された重要湿地 500とかいうような形で湿地のインベントリづくりということが行われておりますけれども、IBAは湿地に限りませんで選定基準を4つ用意しまして、このような基準で重要な生息地をピックアップしていくというやり方です。これは鳥類に適合するようにヨーロッパで開発されたやり方ですのでその一例ということですが、他の分類群にも適用していくことも可能ではないかと考えております。
 カテゴリーのA1というのが、世界的に絶滅が危惧される種。これは先ほどのRDBができて、その種が定期的にあるいは相当数生息している場所であるという基準です。
 カテゴリーA2というのが、生息地域限定種。これは固有種あるいはそれに近い種が複数種生息すると考えられる場所ということです。例えば日本で言いますとヤンバルクイナ、ノグチゲラのような固有種が生息している場所ということです。
 それからカテゴリーA3にバイオーム限定群集というのがあるんですけれども、これはちょっとわかりにくいんですが、分布域の種群といいますか、群集のすべてあるいはほとんどが1つのバイオームに含まれているような種群が生息している場所ということです。
 カテゴリーA4は、ほとんどラムサール条約と近い形になっておりますが、群れをつくる水鳥の地域個体群の1%以上が生息する、あるいは群れをつくる海鳥、また陸鳥の世界の個体数(地域個体群ではなくて種の個体数)の1%が生息する。あるいは1種類で2万羽以上の水鳥、あるいは1万つがい以上の海鳥が定期的に生息するということ。あるいは渡りの隘路に当たる場所で渡り鳥のために定められた閾値を超えるか、あるいは超えると考えられる場所ということ。例えばこれは日本でもヨーロッパでもありますけれども、猛禽類、タカの仲間で渡りをするものがたくさん通るような渡りの要所のような場所という基準になっております。
 こうしたバードライフのIBA調査というのは、先ほどもお見せしたようにヨーロッパの全域、中東といった地域で国境を越えてかなり広くつくられておりまして、ヨーロッパでは41の国、 2,444カ所のIBAが記載されております。この中で重要地域ということを指定していくわけですが、その中での保護区化がどの程度進んでいるかということが欧州委員会の中で評価されるという形で使われております。
 アジアに関しては、95年からバードライフの音頭取りで始めまして、フィリピン、ロシア、中国、台湾、タイ、カンボジア、マレーシア、インドネシア、シンガポールなどで調査を行っております。このようなインベントリ調査、特に鳥は調べやすいということがございまして、アジアは非常に危急度が高いということがありまして、その文献調査を先に行って、足りないところを実際に現地調査を行うという形で進めてきております。
 こういった形で、アジア全域に目を向けた形で多様性にとって重要な生息地の目録づくりの支援といったようなことも考えられていいのではないかと思います。
 最後に、渡り鳥の保全について多国間の条約が必要であるというお話をしたいと思います。
 先程も申し上げましたように日本の鳥の中で渡り鳥が占める割合というのは高いのですが、その中で日本は二国間渡り鳥条約というものを幾つか批准しておりまして、日本とオーストラリア、中国、アメリカ、ロシアとの間で二国間の条約を結んだりしております。しかし実は渡り鳥というのはこの二国間条約で結ばれた間だけを渡っているわけではないということです。例えば1998年のレッドリストで、今まで普通種とされていたのに急にレッドリストに入りました夏鳥、森林性あるいは草原性の鳥で私たちを驚かせた鳥がおります。チゴモズというモズの仲間ですとか、それからサンショウクイという森林性の鳥がその例で、これらは鳥類の全国繁殖分布調査を行った78年の時点で既に少なかったんですけれども、98年、99年に調査するとこの辺のあたりがもうほとんどいなくなっている。これは中間報告で全部のメッシュ調査が完了しているわけではありませんけれども、非常に急激な減り方をしているような鳥がおります。これはサンショウクイの分布ですが、これもやはり普通の里山の鳥であったものが90年代になりますと限られたところだけにしか渡ってこないというような形になっております。こういった鳥たちは、先程申し上げたように渡り鳥条約の対象国との間を渡っているわけではなくて、例えばマレーシアとかベトナムとかタイとかといった東南アジアの諸国を越冬地にしていると思われております。
 あるいは、これは水鳥なんですが、クロツラヘラサギという東アジアで 600羽ぐらいしかいないと言われている鳥に衛星発信器をつけて追いかけたところ、北朝鮮から韓国、中国といったかなり難しい地域を渡っていって、朝鮮半島の本当に限られたところでしか繁殖しない鳥がおります。
 これは冬、日本にも渡って来る鳥なんですけれども、こういう鳥の保全を考えるときには二国間の条約を一つ一つ重ねていくということではもう間に合わないという状況が少し前から指摘されております。そのために、渡り性の鳥の保全するための多国間の枠組みが必要ではないかと考えております。鳥以外でも特に移動性の動物の保全を考える時には国際条約の枠組みの中で守っていくことが非常に重要ではないかと考えております。
 こうした国際間で移動性の動物を保全していく枠組みの一つにCMSというのがあります。これはボン条約とも言われていますけれども、「移動性野生動物の種の保全に関する条約」という正式名称です。この条約は生物多様性条約、CITES、あるいはラムサール条約などの他の環境条約をうまく補完するような形で種に注目して動物自身が国境を越えて動いていくというようなものに対しての対処を行うという条約です。これは鳥だけではなくて、例えば移動性動物ですからウミガメですとかあるいはヨーロッパですとアザラシですとか、そういったような国境を越えて動く動物には皆適用の可能性があるわけです。もともとはラムサール条約が湿地というハビタットを相手にした条約であったところに対して、これは水鳥のような特定の種を対象にするという条約になっています。
 ボン条約というのは非常におもしろくて、条約に加盟していない国でも、条約の枠組みの中の協定には参加できる仕組みがあって、特定の種類、例えばシロハラチュウシャクシギという小さな水鳥がいますが、それの協定には条約加盟以外の関係国も参加している、といったような形をとっている。非常にフレキシビリティーが高い条約です。アジア地域はご覧のように白く抜けておりまして、フィリピンとオーストラリアが入っているだけという状態なんですが、アジア地域の中での日本の責務ということを考えますと、そろそろ日本は率先してボン条約に加盟して、ボン条約の条約事務局からいろいろな科学的なアドバイスを受け、そういったものをもとにしてアジア全体の渡り鳥なり移動性動物、海域の動物も含めて考えてよろしいかと思いますけれども、そういったものの保全のために踏み出す時期が来ているのではないかと考えております。
 以上です。

●熊谷委員長代理 ありがとうございました。
 それでは、ただいま日本野鳥の会の古南さんからご説明いただきましたが、ご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 三澤委員、お願いいたします。

●三澤委員 ボン条約に日本がまだ加盟していないということですけれども、この主な理由はどういうことで今まで加盟していないんでしょうか。

●熊谷委員長代理 それでは、まず事務局から。

●野生生物課(鳥居) 野生生物課でございます。
 ボン条約の場合はたしか附属書・と・でありまして、・の方で必ず締約国が保全を図らなければいけないという種が規定されております。その中に鯨類、クジラが幾つか入っているということもありまして、なかなか今いろいろそういう問題で解決しなければいけない前段の部分がありますので、もちろんそれだけではございませんけれども、そういったのも一つの理由になってございます。

●日本野鳥の会(古南) 私の方からも一言。多分今のご説明は今まではそうだったんだと思うんですけれども、ボン条約の附属書・に入っている鯨類というのはシロナガスクジラ、ナガスクジラ、ナンキョクセミクジラとあと1種の合計4種類がおりますが、現在の世界的なクジラの生息状況を見ると、これらは経済動物として扱われることは今後も恐らくないだろうというような種類だけです。そういう形になっておりますので、クジラが入っているからということで日本の国がここで躊躇する理由はあまり見当たらないんじゃないかと思います。

●熊谷委員長代理 他にご意見ございますでしょうか。あるいはご質問でもございましたら。
 それでは阿部委員、お願いいたします。

●阿部委員 私は余りよくわからないんですが、教えていただきたいんですけれども、ボン条約の中では漁業に関係するものはどういうふうになっているんでしょう。例えばサケ・マスの問題はどういうふうな関連があるんでしょうか。

●野生生物課(鳥居) 野生生物課ですけれども、私も定かに記憶をしているわけではないんですけれども、余り漁業の対象になっているようなものは附属書・の方には掲げられてはいなかったと記憶しております。

●熊谷委員長代理 よろしゅうございますか。
 篠原委員、お願いいたします。

●篠原委員 済みません、今日発表いただいた話ではないんですけれども、野鳥の会は先程説明があったように5万人以上の会員がいて、この種の団体としては飛び抜けてパワーがある団体だというふうに思っているんですけれども、学校における自然環境教育とか、あるいは自然保護協会の話もありましたように自然保護の現場では圧倒的に人手が足りないというような話でした。県、あるいは国というのはなかなか難しいのかもしれませんけれども、例えば県立公園とか県立の自然保護地域とかいろいろなものがあるんじゃないかと思うんですけれども、その辺の教育の問題とか実際の活動にどんな形でかかわっておられるのかちょっとお話しいただければありがたいと思うんですけど。

●熊谷委員長代理 では、まず野鳥の会から教育に関して。

●日本野鳥の会(古南) 学校教育は、正直申し上げて今まではあまりキャンペーン的なことはやってきておりません。もちろん88支部があって例えば愛鳥モデル校とかそういったようなところと提携して子供たちの教育を取り入れたりといったような活動をしている支部はございます。
 それから、県と国のとおっしゃったのは……。

●篠原委員 例えば県立公園、県立の鳥獣保護区でも何でもいいんですけれども、そういうことで業務に携わっている方というのは非常に少ないですよね。だからそういうものについて何かNPOとして連携して活動されているのかいないのかというあたりを伺いたいわけです。

●日本野鳥の会(古南) 自然公園。

●篠原委員 いや、何でもいいんですけれども、県がやっている自然保護のたぐいの、行政とか活動とどんなふうにリンクされているのか。

●日本野鳥の会(古南) 私どもは野鳥の聖域、サンクチュアリづくりという運動をしております。これが全国に10カ所ほどあるんですけれども、北海道に自前の保護区がございまして、そういうところで野鳥を中心とした環境教育活動をやっております。
 それからそれ以外のところは行政と提携をしているところで、例えば東京都ですとか横浜市ですとか福岡市ですとか、そういった自治体が整備された環境教育施設の中で業務を受託して、そういったところでの教育活動もやっております。この場合は野鳥が中心になる場合もそうでない環境もあり、里山環境もあります。ただ、なかなか数が増えないといいますか、箱物をつくって2人、3人と人を置いて運営していくといった形が予算的になかなかとりにくいということがあります。こちらとしては全国的なネットワークがありますので新しい形をいろいろ開発する可能性はあると自負しているんですけれども、そういった現場はございます。
 そういう拠点を持って大人も子供も受け入れていく環境教育の活動というのは非常に重要だと思っております。野鳥というのはある種、多様性の一つの非常にきれいでかわいくてわかりやすい指標だというふうに思いますので、できればそういうところは積極的に増やしていきたいというふうには考えております。

●自然環境局長 今野鳥の会のお話があったんですけれども、文部科学省と環境省で支援をして学校の先生に環境教育、自然環境の教育を進めるのにどうしたらいいかというようなセミナーを野鳥の会が開いたりしているんですけれども、それが制度的にまだずっと広がっていくというところまでいかない。試行錯誤的にやっているというような段階で、なかなか学校教育の中に自然環境教育なり環境教育が浸透していくのにちょっと時間がかかるみたいですね。

●熊谷委員長代理 今自然環境局長からコメントがございましたが、自然保護協会の方、いかがでしょうか。お願いいたします。

●日本自然保護協会(吉田) 日本自然保護協会は会員が1万 8,000人ほどおりますけれども、多分半数以上、1万人ぐらいは自然観察指導員というのを受けた方たちです。ただこれはボランティアでございまして、この活動も70年代の後半ぐらいからやっておりますけれども、先程篠原先生から学校のお問い合わせがありましたけれども、その方たちは地域で、学校なんかにも依頼を受けてそういう指導に行ったりもしております。それはあくまで自然観察指導員の連絡会など各県に連絡会がありますのでそういったところに依頼が来たりとか、あるいは環境カウンセラーのようなところに登録してそこからの連絡で出かけていってボランティアとして指導するというようなことはやっております。これから総合的科目などが始まってまいりますのでそういったものへの取り組みというものが必要になってきているんですけれども、それへの取り組みというのは今のところ各県ごとに指導員の方たちが、たくさん依頼が来たらどうしようかと。ボランティアで、本職もありますので全部できないのでそういったへの対処というのはこれから検討していかなくてはいけない状況です。
 あともう一つ、都道府県等の施設、自然公園施設等への派遣というところですけれども、これは80年ぐらいからサブレンジャーという制度でボランティアとして自然公園へ自然解説をするボランティアを派遣するということをやってまいりました。これにつきましては、10年ぐらいたったら、国あるいは都道府県の方でもそれぞれボランティア制度をつくっていくという時代になりましたので、その時点でパークボランティア制度などへ移行していって、私どもはそれに対して研修の機会とか、それからテキストなどを提供するという立場に変わっております。
 それからもう一つ、プロに関してですけれども、自然解説の本職の解説員を派遣するというのを82年から10年ぐらいやりました。私自身も高尾国定公園の山頂にあります東京都のビジターセンターで解説員を5年ぐらいやりました。最高15人ぐらいいたときもあるんですけれども、現在はプロの解説員の派遣というのは実施していない状況です。

●熊谷委員長代理 いかがでしょうか、篠原委員、よろしゅうございますか。
 それではほかにご質問、ご意見ございますでしょうか。
 1つだけ私からちょっとご質問したいんですけれども、今ご説明いただいて自然保護協会と野鳥の会というのはある意味で大変オーバーラップするような部分があるように思ったんですが、5万 2,000人の会員と1万 8,000人の会員のそれはすみ分けているのか、それともどのぐらいダブっているのか、そういうことをもしおわかりならば。あるいは今無理であれば後で教えていただけると大変参考になるんですが、いかがでしょうか。トータルで6万 4,000人いるのか……。

●日本自然保護協会(吉田) 当然5万何千人と1万何千人ですから、ダブっているとすれば自然保護協会の会員と野鳥の会の会員に両方なっている人、野鳥の会の会員だけになっている人などたくさんいるという状況だと思うんですね。
 先ほど申し上げましたように、会員層が日本自然保護協会の場合には、ご自分が自然保護活動を地域でしている固定層が数千人かいまして、それから教育活動をするという面で積極的にかかわっている会員が1万人ぐらいいて、ですから5割か6割ぐらいはそういった自分自身が行動的な会員である。あとの方は会報をとっているだけの会員ですので、その辺の方はかなりダブっているかもしれないですね。ちょっとしっかりした数字はわかりません。

●熊谷委員長代理 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。大変朝早くから、また3つのNGOのグループの方に大変時間内で要領よくご説明いただきました。ありがとうございました。
 それではよろしければここで午前の部は終了させていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
 何か事務局からございますか。

●生物多様性企画官 それでは、午後の部でございますが、45分ぐらい昼食の時間をとりまして1時5分過ぎから午後の部開催ということでよろしくお願いいたします。

●熊谷委員長代理 どうもありがとうございました。

午後12時20分休憩

午後  1時08分再開


●生物多様性企画官 それでは、1時5分を過ぎましたので午後の部を再開したいと思います。
 熊谷先生、よろしくお願いいたします。

●熊谷委員長代理 それでは午後の部を始めたいと思います。
 この委員会の後いろいろご予定の先生方もおありですので、できれば3時をめどに進めさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、日本生態系協会事務局の関さん、それから環境政策室長の青木さんからご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

●日本生態系協会(関) 日本生態系協会の関といいます。よろしくお願いします。
 まず、このような意見発表の機会をいただきましたことを大変感謝いたします。ありがとうございます。
 まず、会の説明ですけれども、私どもの会は1992年に当初は任意団体として設立しました団体です。そういった意味では、まだ設立後10年足らずということで今日の午前中に説明をいたしました3つの団体より随分新しい団体だということが言えると思いますけれども、活動の守備範囲といいますか活動内容につきましては名前も大きいんですけれども、生態系保全に関する事業、活動全般について行っております。
 特にその中でも大きく分けて調査研究のセクションと、調査研究をもとにした政策提言をしていく団体ということでいくつかのセクションに分かれております。調査研究のセクションの中には、1つは生態系の指標として見る場合に割ととらえやすい野生生物を調査する。そういった中で生態系の状況を見ていくという野生生物を調査していくセクション。もう一つは、特に土地利用計画に関する活動を行っている場所。ここは持続可能な土地利用というものを考え方の基盤にして国土づくり、または地域計画、そういったものをターゲットにした活動を行っております。
 それ以外には、調査研究と密接に結びついておりますけれども、今日一緒に来ております青木のセクションですが、特に調査研究に基づいた政策提言を、これは各個別法、または個別法に基づいた各計画、特に開発官庁で持っている法律が多いんですけれども、こういったところへの政策提言を行っていく。これが政策室の大きな役割になっております。
 先程ご質問の中でも出ていました環境教育というのも我々も活動の範囲に入っておりますけれども、ここで特に最近行っているのは、文部省の一つの事業の中にエコスクールという事業がありますけれども、通産との合同の共管の事業になっておりますが、こういった委員の中に入って学校のカリキュラムというよりも学校そのものをどういう形でエコ的に持っていくのか。特に我々の会では学校の校庭のあり方、特に土地利用的な観点で物を見ていくということで、学校の校庭をどんなふうに変えていくかというようなことで文部省と一緒に仕事をさせていただいております。
 また国際部のセクションを持っておりまして、アメリカとドイツのボン、アメリカはニューヨークですけれども、職員を1人ずつ駐在させております。各国のNGO、または行政機関との連携をとりながら日本のあるべき政策というものを考えるときに相談に乗ってもらっている。または、アジア地域では数は多くありませんけれども、おおむね3年ごとのプロジェクトを持っておりまして、ベトナムの国立公園の管理計画を立てるプロジェクトというのを昨年まで3年間行ってきました。今行っているのはネパールの農村地域における生態系保全のあり方、これも地域計画の関係ですけれども、そんな活動もネパールの地域のNGOと連携をとって進めております。
 ちょっと長くなりましたけれども、早速本日の意見に入らせていただきます。
 お手元に資料を配布させていただいておりますけれども、意見の概要に関しましては1ページと2ページについてまとめてあります。
 1つ目の意見は、自然の保全・再生に向けた国土のグランドデザインの策定(エコロジカルネットワークの形成)、もう1点は環境NGOを含めた点検システムの構築で、この2つについて絞って今回は提案させていただきたいと思っております。
 私の話としては2つの意見に入る前に、なぜこの2つに我々の会は意見を絞ったかという背景について若干説明をさせていただきますけれども、ちょっと順番が逆になって申しわけありませんが、資料の後ろの方、17ページから説明をさせていただきたいと思っております。
 まず、これは日本の国土に関する諸計画の体系をあらわした図になっておりますけれども、先程も申し上げましたように生物多様性の保全を図るということに関しては土地利用をどうするかということに我々の会は一環して重点を置いて活動してきたわけですけれども、まずこの図について日本の土地利用に関する計画体系がどんなふうになっているかということを説明させていただきたいと思っています。
 図の右側の上のちょっと四角く黒く大きく囲ってありますけれども、国土利用計画の全国計画というのがありますが、これが日本ではまず国土利用に関する大もとの計画として国土利用計画法に基づいてつくられているものになっておりますけれども、これを受けて国土の利用に関しては全国計画を基礎として、基本として、左側の点線に囲ってある全国総合開発計画、いわゆる全総計画というものですけれども、策定されることになっています。また戻って全国計画から今度下の線で降りますけれども、国土利用計画、(全国計画)を基本として国土利用計画、(都道府県計画)というものがつくられる。さらにこれを基本として右側にずれますけれども、土地利用基本計画というものがつくられていきます。土地利用基本計画の下に今度は個別のものが書いてありますが、都道府県の土地利用基本計画に即して都市計画などの個別規制法などに基づく諸計画というものが立てられる体系になっております。したがいまして、日本において国土の利用という場合には、国土利用計画法の全国計画の内容がどうなるかということが非常に重要ということが言えると思います。
 次に、18ページですけれども、それではそれぞれがどんなふうになっているかということですが、これは平成8年2月に閣議決定されました現在の全国計画の一部を抜粋したものです。生物多様性に関するところをあえて抜粋したものになっておりますけれども、ちょっとその部分をそのまま読ませていただきますと、1番の国土利用に関する基本構想の(1)国土利用の基本方針のイ(イ)というところでは「地球環境問題の顕在化により、我が国の国土が地球規模の環境と密接に関係し、現在の影響が将来世代に及ぶ可能性が認識されるようになり、国土の利用に当たっては、長期的な視点に立って自然のシステムにかなった持続可能な利用を基本とすることが求められる」という箇所ですとか、ウ(ア)を飛び越して(イ)にいきますと、「自然と共生する持続可能な国土利用の観点からは、自然の健全な物質循環の維持、都市的土地利用に当たっての自然環境への配慮、生物の多様性が確保された自然の保全・創出とそのネットワーク化等を図ることにより、自然のシステムにかなった国土利用を進めていく必要がある」。
 その下もずっと続くわけですけれども、大変率直に申し上げて非常にいいことといいますか、生物多様性保全の観点から言えばいいことが既にもう国土利用計画の中には書き込まれているという状況があります。
 私たちの協会でまた各県の国土利用計画も目を通していますけれども、生物多様性の観点から見ていくと都道府県レベルでも例えば北海道とか秋田とか岩手であるとか埼玉、また南の方の沖縄までそれぞれかなりいい形で入ってきております。今日はご説明はすべ
てはもちろんできませんけれども、例えば各県の国土利用計画なんかでは文言としては「環境と共生する県土利用」というところで「県土の自然が本来持っている健全な生態系及び物質循環の保全と回復を実現し、豊かな環境を将来の世代に引き継ぐ持続可能な計画的土地利用を進める必要がある。」とか、「失われた自然を回復し、新たな時代に対応する自然環境及び生活環境を創造する土地利用を推進する。」こんなことが国土利用計画の県版に書かれていたり、土地利用計画の基本計画になってくると、例えば埼玉県土地利用基本計画では「環境と共生する県土利用を図るため生物の多様性の確保を考慮しながら保全・回復、創造された自然環境のネットワーク化を図るなどして豊かな自然環境を将来の世代に引き継ぐ持続的な計画的土地利用を進める。」とあります。これは現行の計画書から変更するときに変更理由が出てくるわけですけれども、変更理由のところは国土利用計画(全国計画)の変更に伴い内容の整合性を図るためという理由で、全国計画の変更が平成8年にあって、現状では文言としてはもう国土利用計画の県計画などにもすべていいことが入ってきている。しかしながら、現状ではこの委員会でも再三先生方から意見が出ましたように実際にはほとんど機能していない結果、生物多様性はことごとく劣化していく状況に日本はあると。
 これは我々の方では今回は国土計画の指針性を向上させるという最も重要な検討課題として、19ページになりますけれども、これはまだ出たばかりなんですが、国土審議会の基本政策部会の発表、10月29日の素案になりますけれども、これをちょっと引用させていただきます。これは公表されているものなんですが、何ページかあるものの目次の中に本文の内容を切り張りしてつくったもので重要なというか、今回お話しさせていただく内容に関係しているところだけ切り張りして張り込んであるんですが、大きく2点あります。
 まず1点目は、第・部の国土計画体系の改革の(3)の指針性の充実というところですけれども、計画があるけれども、具体的にシステムとして指針性を充実させるためにどんなふうに考えたらいいのかという検討については、国土計画の関係主体への指針性を向上するために国土計画を目標管理型の制度とし、国土計画のマネジメントサイクルの確立に向けて計画の策定、推進、評価の各段階で改善を進める。このシステムの問題が1点。
 もう一つは、現況の国土計画が実際の土地利用に対して機能していないと。機能していないというのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そういった観点から国土計画の指針性を充実させるために、国土計画の内容を図面に表示していく。これが大変重要だという議論が出てきております。
 それが特に3の広域計画のあり方の(5)・、最後の部分ですけれども、広域計画の総合性・具体性を向上するための図面の作成とか、20ページの冒頭4.土地利用に関する計画制度、(2)新たな国土計画(全国計画)というところの・のビジョンの図による表示。特に2番目のパラグラフ、最後のところですが、こうした基本方針を国民にわかりやすく示す観点から、従来の文章による提示に加え、例えば保全すべき自然などそのありようを概略的な図で示す。または(3)の地方公共団体の土地利用に関する計画も一番最後のところですけれども、市町村の土地利用に関する計画の一番最後の2行ですが、「土地利用のあるべき姿」がより明確になるよう図面により示すことも含めて検討すると、こんなふうに書かれております。
 このように新しい国土計画においてはそれを図面で表示していくということが強く打ち出されているわけですけれども、問題はより即地性の高い生物多様性保全に関する計画図が整備されていない場合はどうなるかということだと思うんですけれども、一方では道路なんかの開発関係の計画ですか、開発関係サイドの計画というのはかなり即地性の高い計画図が多く存在している現状がある。そういう中で保全に関する計画図の策定というのも早急に必要になるというふうに我々は強く感じております。
 現在の全国の国土利用計画、3次になりますけれども、この計画については平成8年2月につくられているものですけれども、おおむね10年ごとの見直しということですので次の見直しまでに我々としましては生物多様性保全に対してより即地的であってしかも有効力のある図面が必要になるんではなかろうかということを考えております。
 今回は具体的なグランドデザインについて国外の事例等もちょっと踏まえましてこれからご説明を少しさせていただくというのと、より実効性が高い戦略となるために点検システムをどんなふうに持っていったらいいのか、その2点について具体的なところは環境政策室の青木から説明させていただきたいと思います。

●日本生態系協会(青木) それでは説明させていただきます。
 資料の3ページをお願いします。
 まず1つ目、自然の保全・再生に向けた国土のグランドデザイン、エコロジカル・ネットワークの形成についてなんですけれども、一言でどういうことかと申しますと、国土の利用に関する例えば森林計画等の各種計画、あるいは道路整備といった各種施設整備に生物多様性保全というテーマを効果的に織り込んでいくためには、それを支援する基礎資料として行政実務で使えるスケール(縮尺)の生物多様性を回復するための土地利用計画図をまず最低限必要な水準で結構ですので、全国的に整備するということが重要ではないかと考えております。
 どういったものをイメージしているのかということで、今日はドイツ(ヨーロッパ)の事例とそれからアメリカの事例を紹介させていただきたいと思っております。
 資料3の下のところなんですけれども、これはドイツ北部のシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州の自然保護法に基づく計画図と国土整備法に基づく計画図の関係を整理したものになります。この下の一番右側に保護地域・ビオトープ結合システムとありますけれども、これがエコロジカル・ネットワークのコンセプトに基づいた生物学的な観点からだけの計画図になります。この保護地域・ビオトープ結合システムというマップですけれども、国土計画に生かすということで縮尺を国土計画と同じ25万分の1に合わせております。これをベースにして自然保護法に基づきまして景域プログラム、ちょっと聞きなれない言葉なんですけれども、簡単に言ってみますと自然の保全とか再生を目指した計画図なんですが、こういったものが策定されております。これがさまざまな土地利用要求と比較衡量しながら州の国土整備計画に位置づけられる、こういった形になっております。実態としては、基本的に景域プログラムに、例えば湿地でここは重要だというところは基本的に州の国土整備計画に位置づけられるといったことになっております。
 2段目は地域のレベルなんですけれども、やはり地域は地域のレベルで重要な地域というのを抽出しまして、それが保護地域・ビオトープ結合システムのところなんですけれども、左に行きまして、それが自然保護法に基づく計画図に位置づけられて、最後、国土計画制度の地域計画に位置づけられる、こういった流れになっております。
 これを絵にしたものが次の4ページになります。先程の表の一番右にありました保護地域・ビオトープ結合システムがこれになります。お手元の資料でちょっと字が小さいんですけれども、軸空間と重点空間とあるんですけれども、特に面として重要なのが重点空間なんですけれども、こういった地名のリストとともに一定の行政レベルで使えるスケールでのマップ化が行われております。こうした全域を一目でわかるようなこういったマップをつくりまして、それが2段目ですけれども、自然保護法に基づく計画図に位置づけられて、それが最終的に国土計画に位置づけられる、こういった体系になっております。
 州の国土計画には「自然のための特に重要な空間(留保空間)」という名前で一番最初の重要空間とか軸空間というのが位置づけられるんですけれども、この国土計画に「自然のために特に重要な空間(留保空間)」として位置づけられますと、この土地に関してはまだ自然保護法に基づくさまざまな保護地域にはなっていないんですけれども、他の行政機関が土地利用を検討する場合には、自然の維持とか改善に高い価値を置かなければならない、こういった制約がかかるようになっております。
 次の5ページはこれを地域のレベルで見たものです。地域のレベルでやはり重要なエリアを網羅的に抽出しまして、それを自然保護法に基づく計画に位置づけまして、さらにそれを最終的に、ここが重要なんですけれども、国土計画上のマップに表示させるということになっております。国土計画上のマップに表示されますと、まだ保護地域にはなっていないんですけれども、先程と同じように「留保空間」ということで、他の行政官庁がこの土地を利用する場合には自然保護ということに特に高い価値を置かなければならないということで例えばミティゲーションに生かせる。例えば道路を回避するとか、こういったことに生かされるといったことになっております。
 以上のことをまとめますと、ドイツ、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州ではエコロジカルネットワークの考えをもとに州レベル、地域レベルで生物多様性保全に向けた計画図を策定し、その内容を州レベル、地域レベルの国土計画に反映させ、各種土地利用等に際しての当該保全重要地域への保全配慮ということをシステム化しているということになるかと思います。
 資料の6ページをお願いします。
 次はアメリカ、フロリダ州の事例になります。これはちょっと小さいんですけれども、一番左の上はランドサットのデータをもとにフロリダ州を22のランドカバータイプで表現したものになります。自然環境保全基礎調査の場合でもそうなんですけれども、植生図をどういうふうに動物の生息地として読みかえるのかという問題があるんですが、いろいろなやり方はあるかと思うんですけれども、とりあえずフロリダの方では22のランドカバータイプをベースにしながらそれを何とか動物の生息地として読みかえると、こういった作業をやっております。
 幾つか指標種というのが選定されております。これは生息エリアが広いものとか絶滅のおそれが高いものとか、こうしたものが最終的には合計30種、哺乳類、鳥類、爬虫類。特に鳥類の中に絶滅のおそれがあるものが多いんですけれども、これは鳥類に関する地点情報が多いということと、それから鳥類の生息地に対する要求というのがかなり研究されてきていてわかるということから鳥類を重点に置きながら指標種が選定されております。
 例えば2つ目の四角ですが、これは重要な湿地を抽出するための一つの手法なんですけれども、湿地性のコウノトリ目の鳥類8種の一つ一つにとって重要な湿地はどこかを抽出しているマップです。これも結局フロリダでは3種以上のコウノトリ目の鳥類にとって重要な湿地を赤いマークで示している。
 3番目の四角になるんですけれども、午前中もありましたギャップ分析といったものをしまして、コウノトリ目の鳥類3種以上にとって重要な湿地であるにもかかわらずまだ保護区になっていないところを1枚のマップでぱっとわかるように表示しております。
 同様の作業というのが30種について行われておりまして、その下に例えばということでアメリカグマですね。アメリカグマの場合には最小存続個体数をとりあえず 200と置きまして、移動距離とかいろいろ考えましてアメリカグマを将来的に存続させていくためには赤い部分をさらに追加して守っていく必要があるということを表示しております。
 こういったものを30枚つくりまして、最後1枚の絵が総合戦略図とありますけれども、こうしたものをつくっております。
 生物多様性の保全に向けた計画図、こうしたものを1枚ぱっと目で見てわかるような地図をつくりまして、フロリダの場合には主な生物多様性保全のための施策として、向こうは土地が安いということもありまして、どんどん土地買収をしていくということを行っております。これが土地取得のリストなんですけれども、80年代から買い始めておりまして、約36万ヘクタール、膨大な予算を毎年組んでいるんですけれども、ラフに計算すると1年間に 100億円ぐらい組んでいるんですけれども、今日までに36万ヘクタール。先程のようなマップをベースにしながら土地を確保していく。さらにリストの一番手前に出ている土地取得予定リストというところには、さらに 140万エーカー、約56万ヘクタール、さらにその土地を先程のようなマップをベースにしながら戦略的に確保していく、こういったことが予定されております。この3枚の用紙の右側には既に取得した土地、取得した土地というのは緑色で表示されております。黄色はこれから取得していく予定である土地と、ぱっと見てわかるこうした図がつくられております。
 一つこれは事例なんですけれども、自然の再生ということで土地を確保しながら、これはフロリダ、キシミー川の自然再生の事例なんですけれども、かつて一度農地の造成とか、あるいは船、航路の確保とかいうことで、水路を直線化して排水をよくしたわけなんですけれども、今は自然の再生ということが積極的に行われておりまして、2枚目の写真というのは今埋め戻しているところなんです。埋め戻しまして3枚目の写真になるんですけれども、旧河道にまた水を流して湿地の再生を図っていくと。こういった事業も行われております。
 以上、簡単にイメージとして自然の保全・再生に向けた国土のグランドデザインということで、私どもの方でイメージしているものというのはこういったもので、こうしたマップが次の国土計画の体系に基づいて全国計画がつくられるんですけれども、その議論が具体的に始まる前までに策定しておいて、これをオーバーレイさせるということが大変重要ではないかというふうに考えております。
 今日は時間の都合もあって持ってきていないんですけれども、こういったことを可能にするためにも自然の保全とか再生に向けた法整備も必要ではないかというふうに思っております。
 9ページにはつい最近議会を通った、これは埼玉県志木市なんですけれども、自然再生条例の抜粋をのせました。線の引いたところだけちょっと読ませていただきますと、例えば前文に当たるところで「長い年月をかけて四季の風土に育まれた身近な自然をこの数十年の間に失ってしまった私たちは、残された自然を守ること、さらには失われた自然を再生して将来世代に身近な自然を残していく責務を有している」というようなこと。
 例えば第8条のところ、自然保全再生計画。「計画は、次に掲げる事項について定めるものとする」。(1)に「自然の保全及び再生に関する短期・長期及び超長期の計画図」ここが重要なんですけれども、「計画図及び目標」と。超長期というのは志木市では22世紀を考えているということです。
 第9条で計画との整合で、市は、すべての施策を策定し、及び実施するに当たっては、この自然保全再生計画との整合を図らなければならないとしています。地方においてはこういった条例も出てきております。
 海外でも先程ドイツの説明をさせていただきましたけれども、先週の木曜日に、ドイツでは連邦自然保護法が改正されました。これは自然の再生に向けた、保全しながらさらに再生に向けてのかなり積極的な内容の法律です。こういうのも出てきておりますので、日本でも保全をベースとしながら自然の再生にも大きく道を開くような法体系を整備することも重要な課題ではないかというふうに考えております。
 日本の方ですけれども、先ほどから話が出ておりますが10月11日に重要湿地 500が発表されました。それから重要な生態系ということで 1,000カ所以上リスト化されております。これは大変重要な資料なんですけれども、こういったものを是非急ぎマップ化していただきたい。ぱっと見てわかるような形で。一応出ているんですけれども、日本地図に点としてしかあわられていない。これがある程度のスケールで面として見えるような、例えば半分ぐらいは今例えば鳥獣保護区の特別保護地区になっているけれども、半分はまだ守られていないとかということが明らかになるようなそういったマップ化というのが必要ではないかと。そういったマップ化を図ることによって国土の利用に関する計画とか各種施設整備に当たってのミティゲーションということが効果的に導入できるのではないかというふうに考えております。
 結局、先程国土計画の話を関の方からさせていただきましたけれども、こうしたものをつくることの意義ですが、環境省の政府の中における調整機能を充実させていくためにはこうしたこうしたマップの作成というのは大変重要じゃないかというふうに考えております。
 次に、点検についてお話しさせていただきます。資料の11ページをお願いします。
 国家戦略をつくった後、推進管理ということが大変重要なことなんですけれども、毎年生物多様性国家戦略の点検の結果と、それからそのもととなる点検個票というものがインターネット等を通じて公表され、またそれに対する国民意見の募集ということも行われております。点検システムがあるということは大変頼もしいことなんですけれども、ただ今回の国家戦略の見直しに当たって何点か点検という部分についても見直すことができないだろうか、見直していただけないだろうかというふうに考えております。
 内容は主に3つです。資料の12ページと13ページをお願いします。
 これが毎年インターネット等を通じて公表されている点検個票です。一部を冊子の中から抜いていますので、タイトルが本当は一番上の方に出ているんですけれども、お手元の資料を見ていただきますと、例えば4で「水辺地における二次的自然環境の保全」という項目がありまして、従来施策ということで例えば海岸環境整備事業の実施、それから下に海と緑の健康海岸地域づくりの実施とか、あるいは渚の創生事業とか、下の方には農村環境整備計画の策定と、こういったものがあります。これに対してその右側が、平成11年度に新たなこうした施策があればここに記述することになっていて、その右側は成果及び効果ということで実施箇所というのが挙げられております。例えば海岸環境整備事業の実施であれば、平成10年度 323カ所だったんですけれども、平成11年、これは減っています。302 カ所になっていると。それから海と陸と緑のネットワーク事業の実施であれば、平成11年度までに3海岸を指定したとか、こうしたことが出ております。その右側には当面の措置。一番右側は中長期の目標。こういった形で整理がされております。
 ただ、この個票とか別途これに基づいて点検結果報告というのが出されているんですけれども、この点検結果報告だけでは、それぞれの施策がどういう施策で生物多様性保全の観点からどういう効果があったのかということが読み取ることができないんですね。環境基本計画というのは環境基本法に基づいてあるわけなんですけれども、「循環」、「共生」、「参加」、「国際的取り組み」という4つの長期目標があるわけなんですけれども、生物多様性国家戦略はその中の共生の部分を特によく見て点検していく必要がありますので、こういった事業ベースでよく精査するということが求められるのではないかと思います。その場合に、今の公表されている資料だけではなかなか読み取ることができない。ちょっと不足している部分があるのではないかと思います。
 それから2点目に不足している部分で、点検というのは国家戦略の場合にはこれまでのところ、省庁連絡会議といういわば当事者だけから成る組織で行われていたということがあります。これに関して、ではどうすればいいのかということなんですけれども、例えば参考として埼玉県の環境基本計画で使われている点検個票の様式を見ていただこうかと思いました。資料の14ページになります。
 点検個票の様式をまずうまくつくるということで、点検をより効果的なものにすることができるのではないかというふうに思います。ここに載せさせていただきましたのは、埼玉の環境基本計画の点検に当たっての個票の用紙の一部です。本当はこれだけではなくて、このほかにも他の事業部局に対して、環境配慮の充実に関する各部局の今後の考え方を記述してもらう項目とか、あるいは環境配慮を充実させていくために解決が必要だと感じている課題、こうしたものを書いていただく項目などが設けられております。こうした様式の点検個票がつくられていて、こういったものを各部局で書いていただいて環境サイドに集めるといったを行っております。
 この表の右側ですが、埼玉県では点検に先立って、点検の物差しになるような「埼玉県環境配慮方針」というものを事前に作成しております。それぞれ事業をおやりになられる部局での点検は、物差しである「環境配慮方針」というものを見ながら左側の点検個票に記入していくという方法で行われております。例えば資料14の右側ですけれども、基本的配慮事項として「地域の健全な生態系の維持に配慮する」。具体的に・で、さいたまレッドデータブックの活用等により希少野生生物の生息・生育状況を把握したかどうかとか、ビオトープの創造手法等により野生生物の生息・生育空間の確保に努めたかどうかとか、こういったことをチェックしていくんですね。チェックしていった数が何%だったら自己評価として、左側なんですけれども、AAかAかBかという判断をしていく。AAとAとBで何でCがないのかというのは大きな問題なんですけれども、こういった点検の仕方をしております。
 資料の次、15ページを見ていただきたいんですけれども、埼玉の推進管理システムというのは基本的に国家戦略と同じになっております。この上の表の真ん中の下のところなんですけれども、まずその各部局の方で配慮方針という物差しに従いまして、まず自己評価をしていただきます。それを環境部局に集めて、環境部局の方でその自己評価結果を評価して取りまとめて行政内部の横断的な組織である環境政策推進会議に出すことになっています。それから外部にパブリックコメントなどをかけて意見をもらって、また内部のサークルに入っていくという形になっております。
 以上、埼玉県の環境基本計画の点検システムについて説明させて頂きました。ただかなりよくできているのですが、これはやはり行政の内部で行っているということもあるんだろうと思うんですけれども、点検の結果というのは毎年大体15ページの下にあるようにAかAAばかりといった状況になっております。
 資料16をお願いします。環境基本法に基づく環境基本計画の見直し、これは昨年行われたわけですけれども、その際には点検についても新たに、上が旧環境基本計画で下が昨年見直しになった新環境基本計画なんですけれども、点検の部分の記述が厚くなっておりまして、中央環境審議会の点検は各府省の自主的な点検結果を踏まえて実施しますと。関係府省の点検が、施策の環境改善効果に関する分析、評価を可能な限り含めて実施できるよう政府は適切な点検手法の開発を図りますという記述が加えられております。そこでこういったことも踏まえまして、生物多様性国家戦略の点検に当たっても、まず点検の個票の様式を見直しつつ、NGOの力を活用しながら点検を充実させていくことができないかというふうに考えております。
 具体的には、資料の1ページ目のところに環境NGOを含めた点検システムの構築というところで、2枚目の2つ目の「・」からなんですけれども、「そのために先ず」というところで、例えば経済産業省とか農林水産省とか点検個票の様式をまず変えまして、各施策において生物多様性保全を正面から取り組めない場合にはどうしてかとか、あるいは環境省とか文部省とか、あるいは環境NGOのどういった支援があればいいのかとか、そういったことについて記入していただくことができるような様式の点検個票を作成する。その次に日本にはNGOというのがいっぱいあるわけで、海を対象にしているところから奥山を対象にしているところまでさまざまな団体があるわけで、そういった団体は新規施策についてもかなり周知しておりますので、いきなり例えば環境審議会とかに点検個票を出すのではなくて、NGOがその点検個票を一度検討しまして課題点を明らかにするという作業を入れたらどうだろうか。最後に、それは多分膨大な量になりますからわかりやすく整理しまして、その整理した資料を用いながら、行政だけではなくて中央環境審議会のようなこういった生物多様性の保全に関連するさまざまな分野の専門家とそれから環境NGOが参加した場で、オープンな場で建設的な意見交換を行って施策の充実を図っていくということができないだろうかというふうに考えております。
 ちょっと長くなりましたが、最後に予算について。大変重要なことなので。生物多様性保全に向けた施策が進むかどうかというのは結局は予算の確保にかかるのではないかと考えております。資料に戻りまして16ページに新しい環境基本計画においては、「中央環境審議会の点検結果については、毎年国会に対して行うものとされている年次報告などに反映するとともに、環境保全経費の見積もり方針の調整に反映する」という記述が追加されております。ですから、新しい国家戦略の決定にあたってもこうした予算がうまく確保できるようなそういった記述を入れていただければというふうに考えております。
 大変長くなって恐縮ですけれども、以上、説明を終わらせていただきます。

●熊谷委員長代理 関事務局長、それから青木室長、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの日本生態系協会のご説明に対してご質問なりご意見があったらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 それでは鷲谷委員、お願いいたします。

●鷲谷委員 最後にご説明いただいた埼玉県の点検システムに関してなんですけれども、自己評価というのは恐らく何かその評価の証拠になるようなものがないと客観性というのが確保できなくて、一応評価をしてみたけれども、有効に何かを改善していく力にはならないと。自己評価でも証拠を伴って自己評価をすればきっとそういうことは保障されると思うんですね。恐らくこれは丸をつけるだけということになると、その人の主観的な判断というか担当者のいかようにもなるような感じがしてしまうんですね。こういう点検制度を導入してから事業配慮という点で何かもうちょっと客観的に、そちらの協会でご覧になってということでもいいと思うんですけれども、改善がなされた点があるんでしょうか。
それともまだ導入されて間もないので、その効果というのは見られないんでしょうか。

●日本生態系協会(青木) 埼玉は私も何度か県庁に行ったことがあるんですけれども、この環境基本計画、昨年ぐらいだと思ったんですけれども、見直しがありました。そのときに埼玉県の幾つものNGOがやはり点検の仕方、あり方が問題ではないかと指摘しました。いつもAAとかAばかりなものですから、今先生の言われるように証拠になるようなものを合わせてとかそういった制度の改善のようなことをお願いはしていました。
 点検のあり方も例えば実は細かく見ますと、先程ちょっと読ませていただいた資料の14ページの「さいたまレッドデータブックの活用等により希少野生生物の生息・生育状況を把握する」とあるんですけれども、どの程度をもって把握したかと、ぱっと見て見回って把握したということで丸がついてしまうとか、次の「確保に努める」というのも、努めたけれどもうまくいかなかったというものでも丸がつくなど幅があるものですから、これをもう少し幅を狭めるような物差しにすべきではないかという意見を出しました。また点検が埼玉でも行政の内部で基本的に完結しています。この点検システムの中では各部局が自己評価をしたものを環境部局が取りまとめまして、それに対して環境の観点からさらに評価を加えるということが書いてあるんですけれども、実質的にこれはほとんどただ集めてホチキスでとめているだけというのが現状です。ホチキスでとめるだけということであれば各部局の自己評価結果を早く一般にオープンにしてパブリックコメントなりかけた方がより早く、例えば次の年度のその事業に生かせるんじゃないかという意見もありました。これについては埼玉県の環境審議会でも、私ども知っているだけでも3人の先生が指摘はしたんですけれども、ここの部分は変わらないまま新しい環境基本計画がつくられました。そういったことがありました。

●熊谷委員長代理 よろしゅうございますか、鷲谷委員。
 それでは阿部委員、どうぞお願いいたします。

●阿部委員 全く同じところなんですが、埼玉県のこの場合に、評価というのは事前評価との比較か何かをやっているんでしょうか。それがないと何を評価しているのかよくわからないんですが。その点ちょっと教えていただきたいんです。

●熊谷委員長代理 いかがでしょうか。

●日本生態系協会(青木) 事前評価といいますのは……

●阿部委員 例えば15ページでいろいろな河川・ダム整備とかありますね。それをやる前の評価とやった後の評価との比較がないという、ちょっと評価のしようがないんじゃないかと思うんです。

●日本生態系協会(青木) やるというのは、具体的に事業とか工事を。

●阿部委員 はい。

●日本生態系協会(青木) これはここに書いてあるんですけれども、この点は埼玉県の点検システムは優れております。このところに配慮の時期・段階という、例えば河川・ダムの整備のところですと1からありまして、土木部、その後に設計段階とか施工段階とかあるんですね。各段階でチェックするということになっております。
 ですから、理論的には予算がついた初めの年から点検の俎上に上るということになります。毎年大体 200前後のものがリスト化されております。

●阿部委員 例えば総合評価という場合には、最終的に総合評価するんでしょうか。そうでないと意味がないと思うんです。

●日本生態系協会(青木) 一通りのことを終わって、それはちょっと私どもが知っている範囲で、間違いかもしれませんけれども(県の方に問い合わせるのが一番正しいんですけれども)私どもが今頭の中にあるものでは最終的にどうだったか、そういった評価がなかったのではないかというふうに思います。

●熊谷委員長代理 鷲谷委員も阿部委員もおっしゃっていることは評価の客観性のことだと思いますので、鷲谷委員は根拠をきちっと示しているのかというご質問だし、それから阿部委員の方は事業前と事業後の相対評価でないとこういうものは絶対評価では出てこないので、絶対評価すると全部AになったりAAになりますので多分相対評価をきちっとしているかどうかというご質問だと思います。私もそれは重要だと思いますので、今でなくても結構ですので、その辺のもう少し詳しいことがおわかりになったら後で結構ですから、客観性について少し、今日は余り時間がございませんのでひとつ。

●日本生態系協会(青木) 環境配慮方針に関しては見直すということが新しい環境基本計画に当たっての約束事項になっております。ただ、現在どうなっているのかということは私ども把握しておりません。私どもの意見としましてはこういった物差しだけでは難しいと考えております。最初のレジュメの2枚目にありますけれども、NGOが一つの物差し、客観的なものを使って評価していくというのはなかなか難しいと思うんです。生物多様性というもの、特に生き物を対象にした場合には。それでいろいろなところから意見をいただいて、いろいろ議論を建設的に行っていきながら事業をよくしていくという手法が今私どもの方で考えていることで、そういったことを提案させていただきました。

●熊谷委員長代理 わかりました。
 それでは三浦委員、よろしくお願いします。

●三浦委員 いろいろ海外の事例なんかも研究していただいて大変ありがたいと思っているんですが、1つ質問したいんですが、ドイツについても、それからフロリダについても基本的な方向が重要な生態系やそういうものを基本的なスタンスとしては守っていこう、保全していこう、あるいは回復していこうという方向にあるわけです。それは連邦の自然保護法がそういう位置づけにあると思うんです。だから日本の場合の背景とはかなり違っていて、法律を運用する背景のインセンティブが日本的に言えば開発するという方向の中で問題になる点は何かという格好でそういうものを挙げ、それをクリアしながら基本スタンスとしては開発していこうという方向になるわけです。
 例えばフロリダの例ですと、土地を取得していこう、生態系を回復していこう、こういうのがあるんですが、これは基本的にはどういう法的なベースにあるのかということ。それから、その法律がどういう位置づけにあるのかということを明らかにしないと、他の開発法との関連の一体どういう関係にあるのかといったようなところをもう少し明らかにしてほしかったということが1点です。
 それからもう1点は、全く私も鷲谷先生と阿部先生の意見と同じなんですが、個票をつくるということは私は非常にいいことであることは確かだと思うんですね。これをどう発展させていくかということが重要なポイントの一つではあると思うんですね。ただ、これはご指摘のように開発するという側から言えば、配慮するだとか考慮するだとか検討するだとかということであれば、スコアは全部Aになっていくわけですね。歯どめにならないんですね。だからその点、これはアセスの問題でもあるわけですけれども、日本生態系協会さん側が例えば生物多様性という視点から見たときのあるべき個票というのが一体何なのか、それから先程Cがないとおっしゃってましたが、Cをどうやってスコア化させていくのかその義務づけみたいなもの、そういうものが一方でないことにはこれは作業が一つ多くなるだけの話で非常に煩雑になっていって、否定的な意見を言うのも何ですが。

●熊谷委員長代理 今のはご質問というよりもご意見もあったので、お答えになれる範囲で結構ですから、もしあれば。

●日本生態系協会(青木) 逃げるわけではないんですけれども、埼玉県の環境基本計画の点検個室の様式、点検のあり方を出したというのは一つの事例として出させていただいたところです。
 私どもの提案の本体というのは先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、2ページ目にあるように、現時点では例えば海を対象に活動しているところから里地、里山を対象に活動しているところとかいろいろなNGOがあるわけなんですけれども、いろいろ意見を出し合って議論しながらわかりやすい表なりにしまして、それをベースにしながら開かれた場で建設的な意見交換を行うと。埼玉方式のようなそういった物差しというのは現時点では私どもの感覚としても国レベルでこういった配慮方針のような物差しを事前につくっておくとか書いていただくとか、そういったことというのはちょっと私どもの方も考えていなくて、感覚にもそういったものはないんですけれども、一応こうしたものがあるということで出させていただきました。

●熊谷委員長代理 森戸委員、よろしくお願いいたします。

●森戸委員 今までの委員の方と同じ論調なんですけれども、まず最初の埼玉県のことでお聞きしたいのは、そちらが提案するための参考資料として埼玉県を出したというのは、この程度のレベルなんだということを示したいから出したのか、いやもっといい事例があるのか。例えば私の知っているのでは三重県なんかで評価進んでいますよね。あえて埼玉県を出したのは大体こんなものだというレベルで出したのか、あるいは手近にあったから出したのかお聞かせ下さい。その辺の根拠とちょっとギャップがあるんですよね、そちらが言おうとしていることと挙げた事例が。
 それから外国の場合もたしか例があって、こちらは先進的な例なんでしょうけれども、ドイツの場合なんかで言えば、計画図というのはもうほとんど法律なんですよね。だから法律的に計画図が違っていればそれ自身が問題になっちゃうんだけれども、日本でこういう地図を全国的につくったときにはそういう計画図というタイプの図になるのか、それとも現況を把握するための参考図という言い方は悪いけれども、そういうベースとして使うための提案なのか。もし前者のドイツ型でいくならば、システムを基本的に変えないと、それこそ法体系を変えないと効用を持たない部分があるんじゃないかと思います。提案としてどの辺をねらっているのか。そこをもう少し、せっかくですからお聞きしたいと思うんです。

●熊谷委員長代理 よろしくお願いいたします。

●日本生態系協会(青木) 1つ目は三重県ですね。私の記憶では三重県の公共事業の評価システムというのはよくできているんですけれども、自然環境の保全を図っていこうという大きな方向性の中でそこに重きを置いて、あるいはそれを前面に出しながらの評価システムではなかったんじゃないかと。私どものいろいろ提案するにあたって事前にいろいろな自治体の点検システムを見ているんですけれども、自然環境の保全という観点からの点検システムとしては手近というか私どもがかかわったということもあるんですけれども、今のところ埼玉県の例を出すのがベストなのかなというふうに考えております。この程度かというご指摘に関しては、そういう面が多々あると。ただ、これは環境部局が各部局に書いていただかないといけないものですから、なかなか厳しいことも現実ご協力いただかないといけないという面もありますのでこういったことなのかなと、そういった理解も我々はしております。
 それから地図の方ですけれども、私どもの感覚としてはもちろん法に基づいてこうした計画図というものができればそれにこしたことはないんですけれども、当面思っておりますのはここでも重要湿地とか重要な生態系というのがありますけれども、これは例えば重要湿地の場合にはラムサール条約の登録湿地の基準を参考にしながら拾っているわけですけれども、それは純粋に生物学の観点からこうであるということというのは特に財産権を侵害するということでもありませんし、こうした生物多様性保全をするためにはここは重要だからもうちょっと守らないといけないという。再生とかいうことになってきますと、ではどこをという難しさが技術的にも出てくるんですけれども、とりあえず例えば重要湿地とか重要生態系とかそういうものに関してはある程度のスケールでマップ化をして広報するということは、今でも特に問題はないのではないかなというふうに思います。何とかの法律に基づかなければならないとか、そういった必要はないのではないかと思います。
 我々の感覚では、ちょっと今日提案させていただきましたけれども、平成8年に国土利用計画(全国計画)が閣議決定されておりますので、計画期間がおおむね10年ですと改訂が平成7年になるので、その1年ぐらい前から具体的に議論が始まってしまいますので平成6年度中に、もうここは重要だから守らないといけないと科学的なマップを国家戦略に基づいて明らかにするということが必要と考えています。私どもの感覚ですけれども、何かの法律に基づかなければならないとか、直ちに行為制限とか財産権に影響するということはありませんので今すぐにでもできるんじゃないかなという感覚を持っておりますし、ぜひお願いしたいと思っております。

●熊谷委員長代理 森戸委員、よろしくお願いします。

●森戸委員 私の聞きたかったのは、私もドイツへ行って聞いたんですけれども、まさにこの地図が法律なんだというのが向こうの説明なんですよ。しかしそういうものは日本の場合にはすぐにつくれない。とすると、今日そちらで提案されている地図は、単なるという言い方は悪いんだけれども、開発構想図というのは大抵の場合には基本的には裏切られる図であるわけです、いろいろな意味で。そういうものをあえてつくるエネルギーとかいろいろ考えると、何か日本で地図をつくるにはもう一工夫あった方がいいのではないかと思います。データがないからデータとしてつくるという意味でつくるのか、何かもう少し積極的な意味合いを持った地図づくりというふうにしないと、もったいないのかなと。日本的な地図づくりにおいては何か別な仕掛けがないのかなと。そこをちょっとお聞きしたかったんです。

●熊谷委員長代理 いかがですか、お答えになりますか。ご意見としてお伺いしておいて、また総合討論の時間もございますので。
 他にご意見、ご質問。
 篠原委員、お願いいたします。

●篠原委員 森戸委員が言うことももちろんもっともなんですけれども、僕は地図にするというのは非常に意味があると思っているんです。文章でいろいろ書いてありますと、開発側は開発側で書くし、保護側は保護側で書くしいろいろなことが書いてあって、それらが相互にどういう関係にあるのか、どこが矛盾しているのかなかなかわからないですね。ところが、地図にまとめてしまえばここが矛盾しているとかというのがすぐわかるわけだから、こういう手法は僕は今後取り入れていくべきだと思っているんですよ。森戸委員と同じように、やはり地図をつくるといっても誰がどういうお金でつくるのかということが問題になるわけで、せっかく提言されたんだから、そこのところをもうちょっと踏み込んで提言されるといいんじゃないかなと思います。
 僕だったらどう提言するかという話ですけれども、最初からそんなに大げさにやってもしようがないので、一応地方分権法で今まで県が都市計画をやっていたけれども、みんな市町村がやるようになりましたね。そうすると市長さんなんかで熱心なところはこういうことに熱心な人も結構いると思うんです。それは都市のマスタープランをつくるわけだから、都市地域についてはそれでつくるし、周辺の農村とか山林もそれなりの考えはあるでしょうからそれにのせてもらってデータをもらって試みにつくっていくとか、何かいろいろな方法が考えられるんじゃないかと思うんです。日本生態系協会はいろいろ勉強されているから、きっとそういうことに熱心な所はどこかとかデータが豊富に得られるところはどこかとかご存じだと思うので、もうちょっと突っ込んで提案されると僕は非常におもしろいことだと思いますけれども。

●熊谷委員長代理 鷲谷委員。

●鷲谷委員 今の議論の流れでの発言なんですけれども、個票であるとか地図というのは確かに役に立つ表現のためのツールではあると思うんですが、そこに表現されたり整理されたりする評価なり計画というものが生物多様性の保全ということから見てどのぐらい有効なものかという内容の議論が先にあるべきじゃないかと思うんですね。それがあった上でその手段としてより役に立つ個票なり地図なりがどんなものであるかというのが次の議論になるような気がします。
 以上です。

●熊谷委員長代理 一言よろしくお願いいたします。

●篠原委員 僕は鷲谷先生みたいにこういうことについて専門ではないからつくづく思うんですけれども、地図にして住んでいる市民とか住民に配らないと、生物多様性というのは何をやっているのかほとんどの市民はわからないと思いますよ。だから僕はそっちの方が先じゃないかと思うんです、むしろ逆で。

●熊谷委員長代理 一応ご意見としてお伺いしておいて、これから総括的な討論の時間がございますので、今の日本生態系協会の説明に関して何かご意見なりご質問があれば、とりあえず。
 阿部委員、よろしくお願いいたします。

●阿部委員 ちょっとだけお話ししたいと思うんですが、地図であらわすのは実にわかりやすくていいとは思うんですが、日本の場合にもう一つは危険があると思うんです。と申しますのは、今まで法がかぶさっているのは大体山奥、山の上の場合が多いわけです。むしろ環境として一番重要なのは里山とか身近な部分だと思うんですが、そこにはほとんど重要地域と認識されている場所が少ないということがありますので、地図分けしますとそういうところが全部はまってしまうということで、むしろ開発を振興させるというようなこと、あるいは破壊が進行するというようなことになりかねないんではないかという危惧を私は持っております。
 ですから、そこのところの評価をきちんとした上で、午前中のご紹介ではたびたびそういうことが指摘されておりましたけれども、ですからその部分の評価をきちんとした上でやらないと危険が大き過ぎるんではないかと感じます。
 以上です。

●鷲谷委員 一言だけいいですか。地図が情報を伝える上でとても役に立つというのはわかるんですけれども、その地図に書き込むデータをとることの方が先で、データが大きく欠如している現状だと思います。

●熊谷委員長代理 他に違った観点からご意見ございますか、あるいはご質問。よろしゅうございますか。
 それでは、日本生態系協会の皆さん、ありがとうございました。
 本日は朝から日本自然保護協会、WWFジャパン、日本野鳥の会、そして日本生態系協会と4つのNGOのグループの方からそれぞれ熱心なご意見なりご説明をいただきました。これから総合討論ということでございますが、予定では3時までということでございます。
 まず総合討論に入る前に、今日はNGOということでそれぞれの方にご説明をいただいたわけですが、傍聴の方の中で関連省庁として林野庁なり水産庁なり交通省なりからお見えの方がもしおいででしたらばご意見なりあるいはコメントでもあればお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか何かございますでしょうか。
 特にございませんでしょうか。朝からのご報告を聞いていますと、かなり各省庁に関連する部分もあったので、もしご発言をされたい方がいらっしゃればいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
 それでは、本日は多くのNGOの方々がやはり傍聴にお見えになっておられますので、総括的な意見交換に入る前に特にご意見あるいはご発言をされたいという方がおありでしたら数名の方からご発言をいただきたいと思いますが、もしおありでしたら挙手をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それではお二方お見えのようですので、所属とお名前をおっしゃっていただいてからご発言いただきたいと思います。

●傍聴者(羽山) ご指名ありがとうございます。私、日本獣医畜産大学の羽山と申します。野生動物の研究をしております。
 一連のご議論を伺っておりまして、海洋生態系の保全に関しての議論というのが非常に少なかったという印象を持っておりそれに対して大変残念だなと思います。我が国は海に囲まれた海洋国でありますので、海洋国日本としてこの議論の中で国家戦略がつくられていくということになりますと大変寂しい限りであるという印象を持っております。そこで、その問題に関しまして私申し上げたいことはたくさんありますけれども、多様性保全の上で最優先の課題というのは絶滅回避ということでありますので、その点について、特に海の生き物の中では哺乳類というのが深刻な事態になっているということをご指摘したいと思いまして、その問題に限って意見を述べさせていただきます。
 たまたまWWFさんがつくられました資料の中に大変いい絵がありましたので、それをもとにお話をしたいと思うんですが、16ページになります。
 これをご覧になっていただきますと、哺乳類という分類群が陸上の生き物とそれから海の生き物とで大きく股裂きになっておりまして、関係する省庁、陸上は環境省、それから海は水産庁、そういう仕分けになっております。それぞれに対してかかわっている法律というのをその上に模式的に書いてありますけれども、陸上の動物につきましては、例えば種の保存法などの制定を受けまして、曲がりなりにも保護のための法制度というのは整備されてきたというふうに言えると思います。
 この表は、海の生き物につきましては状況が非常に比較しまして悪いということを示ししたものだと思うんですが、ここに学会のRDBというのは哺乳類学会という学会のレッドデータブックのデータだと思いますが、陸上の哺乳類ではこのレッドデータブックに41%が記載されております。これは事態が極めて重大で深刻な事態だと言っていいと思うんですが、それに比べましても海の生き物に関しては実に72%。こういった事態になっておりまして、この絶滅に瀕した生き物たちの回復、あるいは絶滅の阻止というのをいかにしてやるかということが緊急の課題だろうと思っております。
 ところが、そこにありますように重要な法律、鳥獣保護法、それから海の動物については水産資源保護法と2つの法律がありますけれども、そこに含まれない動物というのが数多くおります。特にそこにアザラシと書いてありますが、私は北海道におりますゼニガタアザラシという絶滅危惧種の動物に20年ほどかかわってまいりましたけれども、これは私も何度も水産庁に足を運びましたが、漁業被害があるということで一切保護の対象に指定されないで今に至っております。つまり無法状態のまま現在に至っているということであります。
 それから、私が思うに最も今日本で絶滅のおそれのある野生動物というのは沖縄のジュゴンだと思うんですが、これは一方で文化財保護法と水産資源保護法という2つの法律に規制をかけられまして、極めて厳しい規制がかけられているはずなんですが、最も絶滅のおそれが高いという状況になっております。これはどういうことなのかと申しますと、やはり海の生き物に関しての法律というのが効果的ではないんではないか。これは水産庁の方やあるいは文化庁の方が行政的に怠慢をしていたということでは決してありませんで、法律上、制度上の構造的な欠陥に問題があるというのが私の考えです。
 そこでその次のページをめくっていただきますと、海の動物と陸の動物でそれぞれの法律の特徴が書かれているんですが、その観点としましては、成熟度と書いてあるのはこれから成熟した市民社会を迎えるに当たって野生動物の保護管理というものが市民社会に合った形に成熟しているかどうかというのを両方の法律で比較したものというふうに言えます。例えば鳥獣保護法の場合ですと、捕獲対象種というのは今の場合ですと対象種をつまり狩猟対象鳥獣というのを定めて、そしてそれ以外はすべて捕獲を制限するという仕組みになっているわけです。これは既に鳥獣保護法の場合、大正7年からこの制度が使われているわけですけれども、一方で水産資源保護法の場合には要保護種だけを指定する、こういう仕組みになっているわけです。これは鳥獣保護法では明治25年からこの仕組みを使っておりましたけれども、結局効果がないということで大正7年に現在の仕組みに変えたわけです。ですから水産資源保護法は相変わらず明治時代の仕組みが今だに使われているということが指摘できると思います。
 それから重要なポイントは、以下書かれてあります計画制度が存在するかどうか。科学性、計画性、そして市民参加を保障した公開性、この3つがこれからのキーワードになっていくと思うんですが、5年ごとに見直すこういった制度というのは、鳥獣保護法の場合昭和38年から導入されております。一方で、水産資源保護法ではこういった計画制度を持っておりません。つまり効果的な対応措置ができないというのがこの法律の欠陥です。それから以下に示しました市民参加、あるいは見直しのためのフィードバックを備えた順応的管理制度とか、あるいは減少種に対する計画制度、こういったものを曲がりなりにではありますけれども、平成11年の鳥獣保護法改正で制度的に整備されたわけです。ですから、残念ながらこういったものが海の動物に適用されないということが大きな構造的な問題であろうということだと私は思います。
 そこで私の意見といたしましては、やはり絶滅を阻止するというための法律は種の保存法です。ですから、種の保存法の対象種に海洋生物をぜひとも広げるべきであろうということです。実際に先の国会では環境大臣、それから農林水産大臣がこういった趣旨の答弁をされているわけですけれども、実際この会議に出されました水産庁の資料を拝見いたしましてもこういった問題は反映されていないということが極めて残念だと思います。私としては、国家戦略でこの問題についてぜひとも宣言すべきであろうというふうに思っております。
 ありがとうございました。

●熊谷委員長代理 ありがとうございました。
 それではもう一方、お願いいたします。

●傍聴者(竹下) 日本雁を保護する会というNGOの竹下信雄と申します。
 3つほど簡単に申し上げます。1つは、最初に地図づくりが重要という話がかなり出まして私もそれは大賛成なんですが、たしか阿部先生がおっしゃいましたようにそれから漏れた場所が非常に危なくなるという欠点もあるだろうということはぜひ念頭に置いていただきたいということが1つ。
 それからもう一つ、重要な場所を選定するにつきましても、我々野生動物の資料を全部持っているわけではないんです。具体的にある例を申しますと、九州で冬を過ごしてシベリアあるいは中国北部で繁殖するツルが1万羽ぐらいいますけれども、それの渡りコースを衛星などを使って、かなりの研究がすすみました。どこに降りて餌をとって転々と北上しまた南下するということがわかったわけですけれども、それでデータから落ちている場所が非常に多いということがわかっています。
 非常にドラスティックな劇的なことがわかったんですが、それはある韓国の地方でツルを密猟している場所があったんです。密猟の仕方は簡単で、麦に毒をつけてまいたわけです。それで毎年殺している。それがたまたま地元のマスコミが知ってニュースになってツルがそこに渡来していることがわかった。それは衛星を使ったシステムでは調べられていなかった場所だった。そういうこともあるということです。
 それからもう一つ、愛知県の藤前干潟がシギ・チドリの飛来地で非常に重要なんですけれども、20年、30年前は藤前干潟という名前なんかありませんでしたし、鳥を見る人たちもほとんど見向きもしない場所だった。それが非常に周辺が埋め立てとか干拓が進んで最後に残って非常に貴重になったのが藤前干潟であると思います。それを守るということは非常にいいと思いますけれども、そういう例もあることもぜひ念頭に置いてご議論いただきたいと思います。
 それからもう一つ全然別な話ですが、内分泌攪乱化学物質などの調査などはぜひそれも必要だと思いますけれども、調査に非常に必要なのは、健康な個体の群れのそれがどのくらい汚染されているかで対象群とすると思いますけれども、これも非常に完全に人工的な物質の場合はいいんですが、野外にもある物質、自然にもある物質の場合は非常に気をつけないと危ない。これは私ども雁を保護する会が水鳥鉛中毒問題に取り組んでいるときに気がついたことなんですが、鉛は縄文時代の日本人と現在の日本人と骨を調べると、今日本人は10倍ぐらい鉛に汚染されていると。一応健康でいる。それからもう一つは、現代人なんですけれども、アンデス山中の人たちとイタリアの人たちを比べるとイタリア人の方がはるかに汚れている。これは結局ガソリンなど、あるいはそういう化学物質が非常に大量に放出された以降汚染されたということがわかるわけです。ですから、今健康な野生の鴨、あるいは雁を調べますとそれなりに出るわけですが、それが本当に健康なのかどうかわからない。人間の場合は赤ちゃん、小さいときに鉛が体に入ると大人になってから知能の発達がおくれる、それから粗暴になるということがあるわけです。全く科学的な根拠はありませんけれども、私たちも実はそういう汚染を受けて頭は縄文時代より悪くて非常に怒りやすくなっているかもしれません。そういう問題があることはぜひ忘れないでいただきたい。それが2つ目です。
 もう一つは、野生動物と家畜と人の間にウイルスや細菌がやりとりして非常に大きな問題が起きています。今アメリカで起きている炭疽病ももともとは牛などの病気だと思いますけれども、1つ例を挙げますと腸管出血性大腸菌、O-157でございます。これは人間には非常に害がありますが、牛などはキャリアになってもほとんど病気になることはないようです。問題なのは、野生のシカがどうもこれで汚染され始めている可能性があります。今までに北海道でエゾシカ猟に行ってそのエゾシカの肉を食べてO-157にかかったのがケースが2つあります。こういう場合、牛、シカ、人間の間で汚染がやりとりされています。しかしその場合特に野生動物に対してどうインパクトがあるかというと、シカはO−157 で病気にはならないんですが、例えば家畜が守るために、又人を守るためにそういう伝播の可能性があるということでシカを殺してしまう。これは国家戦略でこの場で議論すべき枠組みのものかどうかわからないんですけれども、そういう問題もあるということはぜひご承知おきいただきたいと思います。
 以上です。

●熊谷委員長代理 ありがとうございました。
 まだいろいろご意見あるかと思いますが、時間も限られておりますので、貴重なご意見をありがとうございました。
 それではただいまのご意見も踏まえて、そして午前中からの4つのNGOのグループの方々のご報告を踏まえて、これから30分程しかございませんが、総括的なご意見の交換をしていただきたいと思います。委員の先生方、どうぞよろしくお願いいたします。
 篠原委員、お願いいたします。

●篠原委員 ちょっと誤解があるかもしれないのでちょっとしつこいですが、申し上げますと、地図をつくった方がいいというのは普通、例えば市なら市でもいいですけれども、福祉の計画をつくる、あるいはコミュニティの計画をつくる、あるいは交通の計画をつくるといったときにやはり一番頼りになるのは地図なわけです。それをもとにいろいろ考えていくので、そういうもろもろの計画をする人が生物多様性の情報がそこに入っていて、そういうことを考えないと市町村の計画もできないというふうになるのが僕はいいと思っているわけです。一部の人しかそのデータを持っていなくて、市役所でプランする人は知らない、市民は知らないというのではやはりまずいんじゃないかということでちょっと申し上げました。情報漏れがあるとまずいというのはそれは確かにそうですけれども、逆に言うとその地図上でここは生物多様性が豊かで重要ですよということになれば、そこはもう周知の事実になって、それを無視したような民間の開発もできなくなるわけですよね。そういう意味で、第1ステップでそういうのをつくっていった方が私はいいんではないかと思ったので申し上げました。
 フロリダの方もそうなっていると思いますけれども。つまり重要だと指摘されているんだけれども、法律で守られていないところはこういうところですよというのがはっきりするわけですから、非常にいいと思うんです。
 今日総括的な話というのでちょっと漠然とした話になりますけれども、WWFの方の前書きで今回の改定についての会員の認識なんですかいろいろ書いてありまして、7年度にやったときよりも危機意識がちょっと後退しているんではないかとか、省庁のヒアリングを聞いてあまりまじめに取り組んでいるようには見えなかったとかいろいろ書いてございまして、私は7年度のときは存じ上げませんので、その辺の今回の環境省の取り組みとそれから各省庁の取り組みについて皆さんがどんなふうに認識されているのか、その辺のことを少し議論した方がいいかなと思ったんです。

●熊谷委員長代理 ありがとうございました。
 では、草刈さん。いかがですか。手短で結構ですから感じをお願いいたします。

●WWFジャパン(草刈) 会の認識というか、最初の懇談会からずっと傍聴してお話を聞いてきていて私が個人的に得た感覚としては、余り進展性がなかったかなというのを思っていて、先日の委員の先生方からのご発言なんか聞いていても、やはりそういう状況ではないのかなというのを思いましたものでそこに書かせていただきました。

●熊谷委員長代理 他にいかがでしょうか。
 瀬田委員、お願いいたします。

●瀬田委員 午前中吉田さんに伺った論点なんです、訴訟の問題。私は行政に携わっていましたからなるべく訴訟がない方がいいという、円満に片づける方がいいということではあるんですけれども、吉田さんがおっしゃった中にいわゆる費用対効果、訴訟することによって時間がかかる、費用がかかる。そのことよりは反対運動をして手を打った方がいいというふうに言っていいかどうかわかりませんけれどもそういう話がありました。アメリカの例で言えば、あるいは奄美のクロウサギの裁判でもいいんですけれども、ああいうものがあって初めて論点が非常に明確になってくる。そしてその分だけ生物の多様性であり、絶滅種でもいいんですが、セットアップされるといいますかステップアップしていくわけです。そういうことを実は日本で言えば地域の人たちが訴訟をしている。ヒシクイにしてもそうかもしれません。それが全国的なNGO、いわゆる全国展開をしている人たちはもちろん後方から支えていらっしゃるかもしれないけれども、前面に立たないというところの不思議さと言うと変ですが、そこを少しこういう時に議論をした方がいいのかなというふうに私は思っているわけです。
 もう一つは、これは一般論になりますけれども、IUCNの国立公園、ナショナルパークがそうじゃないかということはおっしゃったし、WWFの方もおっしゃっているんですけれども、日本の国立公園でいえば15はそういう地域だけれども、あとの8つは違うわけですね。そういう面から言えばイギリス型であるというか風景地ということもありますから、すべての国立公園をそういう生態系の維持あるいは生物多様性に当てはめるというのが私は合わないよということを申し上げたわけです。

●熊谷委員長代理 吉田さん、お願いいたします。

●日本自然保護協会(吉田) ちょっとわかりやすく説明するために極端に訴訟の費用対効果のことだけで説明しましたけれども、やはり根本には生物多様性とかあるいは野生生物というものをどうとらえるかという共通決議の問題があります。例えば先ほどちょっとツキノワグマの熊の胆だとか、有害鳥獣駆除されたサルの個体の医学実験利用で使われてしまう問題とかそういうお話をしましたけれども、その根本にあるのは民法上、日本の野生動物は無主物でありとった人のものになってしまうということがあるわけです。やはりこれは中央環境審議会の野生生物部会の98年12月の答申でも、野生生物は国民の共有財産だというふうに書かれているわけですけれども、実際の法律では共有財産にはなっていないわけです。ですから、そういう共通認識がないと訴訟してもやはり日本の法律上では勝てないあるいは自然の権利ということに関しても全く開発する側は違法なことはしていないとなるわけですね。
 それがアメリカの場合には絶滅危惧種法というのが非常に強いものですから、違法であると認定もできるぐらいの強い法律があるわけです。ですから訴訟した場合に裁判長はこれは違法ではないかと言うこともできる。やはり先ほど私も経済調和条項をとってほしいと言いましたけれども、だとかいろいろあって、日本の場合は法律的には非常に弱いので、その中で必ず絶対逃げられてしまうだろう。貴重な資源(皆さんからいただいた寄附金)を使う場合に確実に守れる方法をとった方がいいんじゃないかという判断、これは判断の問題です。ただ、私達もこのままでいいとは思っていません。やはり野生生物の位置づけについても国民の共有財産であるべきだし、それから野生生物そのものが生きる権利を持った存在だと、内在的権利を持った存在だと、そういうふうに認めてレベルアップしていかなければいけない、それは認識しております。それをやっていく方法が裁判がいいのか、あるいは教育なのか、もっといろいろな方法があるので私たちは裁判だけにこだわらずにやっていきたいなと思っています。
 それからIUCNの国連リストにははおっしゃるとおり日本の国立公園のうち15ぐらいはカテゴリーに国立公園というところに入っておりまして、残りのものはカテゴリー5、景観保護区に入っているわけです。国立公園でもいろいろなタイプのものがありますし、いろいろな対応があってもいいわけです。イギリス型といってもイギリスの中でもやはり自然公園の中で非常に生物学的な重要な地域についてはスポット的にそういうサイト、そういう地域制の公園でも指定したりしているわけです。ですから、日本でもやはり地域制公園であってもその中に生物多様性保全上重要なところがあればスポット的に景観保護区のカテゴリー5の中であっても指定するということはあるでしょう。例えば箱根はもう景観だと、それから大雪山は生態系だと完全に分けられるものではないと思うんですね。

●熊谷委員長代理 ありがとうございました。それでは他にご意見を。
 では川名委員、お願いいたします。

●川名委員 私はNGOの運動というのはよく知らないのでわからないんですけれども、この4つの自然環境保全に関する運動は環境省か何かで意見の統一とか何か指導とかというのはするんですか。全くない。何をしてもいいんですか。
 要するに質問したいのは、最初の2つの方針でちょっと細かいことはわからないんですけれども、片一方は経済調和条項の撤廃というと全くそういうこと関係なく自然環境を保護しようとしていますし、もう一つのWWFの方は生活、生産活動との共生を意識したとちょっと違うニュアンスなんですよね。こう考えると、全く環境省と違うようなことをやるNGOがあったり何かするのか、そういうところを排除したのかとか何かちょっとよくわからなくなってきているので教えていただきたい。

●熊谷委員長代理 それでは計画課長、お願いいたします。

●自然環境計画課長 私が答えるべき質問かどうかちょっとよくわからないんですけれども、公益法人の認可とか適正な経理が行われているかというような意味では環境省の所管法人、今日のは全部そうですかね。なので、そこはしっかり見ます。ただ、中身の活動がどうであるかというのはむしろほかの役所は知りませんけれども、環境省は伝統的に民主的でありまして、やられている各公益法人の主体性をほぼ重視してかかわるということにしておりますので、比較的ご自由な発言、活動というのがなされる。別にそれは我々の認識としてもおかしいとか間違っているというふうには思ってはおりません。

●熊谷委員長代理 川名委員、いかがでしょうか。よろしいですか。
 では服部委員、お願いいたします。

●服部委員 国家戦略見直しの時に何をどうするのかというのと、それがどういうふうにきいてきたか、どういうふうに効果があったか、現在までどうなっているかといった効果評価と、それからだれがどうするというのと両方あるんですよね。戦略を立てるときに行政云々があったんですが、行政というのは、どちらかというと他省庁に対しては所管外は手を触れない、言わないのがルールということになっていますので、これは縦割りになってもしようがないだろうと思います。たまたまグレーゾーンのところはみんなして手を突っ込み合うというような感じになっているのが通常なので、それがもろに出たのが草刈さんの印象だったんじゃないかなと思うんです。そういう場で横のつながりをどうするか、省庁間にまたがるようなことは生物多様性の国家戦略を立てるときには非常にたくさん出てくるんじゃないでしょうか。それをどうコントロールするかというのが今後我々が検討するときに非常に重要になってくるんじゃないかなというのが1つ。それからNGOの役割というのも非常に重大になってきて、縦割りで行政とか役所に期待できないところをカバーしてもらう部分が大きく、私自身も期待するところ大なんです。けれども、それぞれ目標が多少違っていて、川名委員が今言われたようなところが出てきたり、生物多様性の国家戦略を立てたときにそれぞれのNGOはどういう目標でどういうふうに参加してどういう役割分担を認識し果たしていくかというのは、今計画課長おっしゃっていましたけれども、独自にやっていったら全然国家戦略と違う事態だって出てくる可能性があるわけですね。これまでだと環境汚染については環境庁は何が良く、何が悪いかと判断していても役所の立場上言えなかったことがあったと思います。それを代弁してNGOが通産に対してがっと言うとか、そういうことを期待していたから割に黙っておくことも多かったんじゃないかと私は想像するわけです。今後は、むしろ生物多様性の国家戦略というのは環境省自身が中心になるわけだから、それに反するようなことをNGOがやってくれたら困ってくるんじゃないかなと想像するんですけれども。そういうときにやはりうまくそのあたりを調整して意思の疎通をし合っていい方向に持っていくというのをだれがどういうふうにするのかというのは戦略の中で要るんじゃないかなという気がする。
 それからもう一つ最後にですけれども、ボランティアというのも非常に期待するところ大なんですけれども、ボランティアというのは任意の奉仕活動みたいに思われていますが、それではいけないんだろうと思う。ボランティアでも何らかの形のメリットがあって、それは高齢者の生きがい論であったり、任意に奉仕するという本当に犠牲的精神であったり、あるいは場合によってはそれなりのお金が入ってくるような活動としての位置づけが必要なんじゃないでしょうか。さらにもう少し専門的になると、職業的にそういう活動が一部であるようですけれども、ボランティア活動のようでかつ職業として成り立つような位置づけを考えないといけないんじゃないかと思う。それにつけても、14年度の予算の要求概要を見ると、環境省の生物多様性国家戦略に関する予算が数千万で1億に足りないぐらいしかのっていない。これはちょっと何とかならないのかなというふうな、ほかの部局の予算も寄せていくとあるのかもわかりませんけれども、生物多様性国家戦略の切り口で切ってみるとどのぐらいなのかちょっとわかりませんが、それらしき費用としては1億弱ぐらいだったので、もっとあってもいいのかなという気がしました。
 以上です。

●熊谷委員長代理 ありがとうございました。今日は結論を出す討論でもないので意見交換をするということですのでご自由にご発言をいただきたいと思うんですが、今の服部委員のご意見に賛成の方、あるいは関連するご意見でも結構ですし、また全体的な他の観点からでも結構でございますので。
 森戸委員、よろしくお願いいたします。

●森戸委員 私は環境省とNGOの関係というのは余り興味ないんです。両方で頑張ればいいんでしょうけれども、強いて言えば応援団なのか圧力団体なのか、庇護団体ということはないだろうと思いますけれども。先程は例えばこちらの方でしたね、生態系協会の方からは評価というのが行政なんか自己評価していると、どうしても自己正当から始まるのでそういうことに関心を持って実際にやっているNGOがもっと評価のシステムの中に入るべきだというようなお話がありましたよね。そういう意味で、これからのNGOが行政とパートナーシップという時に、具体的にはどういうかかわり方を希望されているのか、提案されているのか、その辺を少し具体的にお聞きしたい。今すべての計画にはパートナーシップと出てくるでしょう。しかしパートナーシップだけでは迫力がないです。だからもう少し中身の仕掛けとしてこういうことでやるべきだとか、人事交流みたいなこと、あるいはNGO同士の中でこんな関係の仕組みというものをつくった方がいいんじゃないかといったことです。そういう仕組みの問題を少し率直に教えてほしいなと思うんです。できれば皆さんにみんなお聞きしたいと思うんです。

●熊谷委員長代理 いかがでしょうか。それでは、日本生態系協会から順にお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

●日本生態系協会(関) ちょっと生々しい話になるかもしれませんけれども、NGOを我々がつくったのは新しいと申しましたけれども、10年ほど前につくったそのときにアメリカとドイツ、特にヨーロッパの中でもドイツを参考にしました。議会制民主主義の国でなぜNGOが発達してくる国があるのか。そういう国はどうして自然の生態系保全というのが進んだものになったのかというところに着目して活動を展開しているところがあるんですけれども、それぞれ議会のある国ですから、通常やっていただきたいことを本当は我々もロビー活動をして法律をどんどん強化していくと。これはどこの国のNGOも同じようなことをやっております。
 それはなぜかというと、アメリカ、さっき訴訟の話が出ましたけれども、環境を守るための武器をどれだけつくれるかということを中央にあるNGOが率先して行って、それをどう利用するかという点で各地域の団体と連携をとる。これは開発官庁は特にNGOというものができる前ですと、業界というところがずっとやってきたもので、自然保護に関してはなかなか業界というのが強くなくてそういったものを強化する仕組みが大変弱かった。
しかも、客観性ということに関しては、生物をどれだけ調べていただいてもなかなかきちっとした物差しが出てこない。それを今度は世論にアピールして客観性を高めていく、これが僕らの戦略だと思っています。なるべく自然保護関係のNGOが必要だと思っている理由としては一つに、法律の強化であるとか、今日は国土利用計画をやりましたけれども、土地利用計画などなるべく上位のところで法的に担保されているものを使って生物多
様性国家戦略が生きるような仕組みに変えると。生かすという点にあります。もちろん
我々は環境省が何と言ってくれるかわかりませんけれども、応援団のつもりでやっております。かといって、では開発官庁の応援団じゃないのかというと、最近ではなかなかそういうことも直接的に言えなくて、それぞれ自然環境という枠組みをみんな取ろうとしているところがありますから、そういった意味では自然環境保全をやっていただけるところの個別法についても強化していただく。ひいてはそれが日本の持続可能な社会のあり方を充実させていくということにつながると思っております。NGOの役割は以上申したようなことで活動しております。

●熊谷委員長代理 それでは日本自然保護協会、お願いします。

●日本自然保護協会(吉田) 簡潔に。やはり法律づくりに関与することだと思います。70年代はとにかく個別の自然保護問題にぶつかると、もう開発されてしまうという挫折の時代でしたけれども、80年代ぐらいから少しずつ行政の方も制度を変える。例えば林野庁が森林生態系保護地域をみずからつくるというときに制度を変えるというところに関与するというところまではいきました。河川法が変わるきっかけになったのがやはり長良川河口堰の問題です。衝突した問題をきっかけに変わっていったわけで、衝突したという経験を法律づくりに変えていくと。これから鳥獣保護法、種の保存法、自然公園法、そういったものについてもやっていかなくてはいけないと思うんですけれども、そういったものの法律改正にNGOが関与していくということが大事だと思います。

●熊谷委員長代理 WWFお願いいたします。

●WWFジャパン(草刈) WWFジャパンは国際的なネットワークもありますし、生物多様性条約なんかでもNGOのブースとかが出ていたりとかしますので、本来であれば日本も生物多様性条約の中ではWWFインターナショナルがそういう結んでいて動く中で、日本もリンクしながら、かつまた環境省が企画を立てる生物多様性国家戦略のそれぞれの事業の中でお互いに協力できるところは協力していく必要があるだろうし、先ほど助成事業のことを言いましたけれども、具体的な国家戦略のアクションプランとかいろいろなものが出てきた中で、地方のいろいろな中小の団体とかの活動でも国家戦略の活動にマッチしたような事業があればうちはそういう人たちに資金的な援助もできますし、意見も言って協力関係はつくっていきたいと思いますし、時には環境省のおしりをたたくこともありますけれども、一応応援団ということでやっていきたいと思っています。よろしく。

●熊谷委員長代理 ありがとうございます。それでは野鳥の会からお願いいたします。

●日本野鳥の会(古南) ちょっと違う視点から申し上げますけれども、先程ずっと地図づくりの話が出ていて、多分もしかしたらコストの問題というのを皆さんお考えになっていたのかなと思うんですけれども、これから特に高齢化社会というか割と社会にゆとりが出てきて暇を持て余す人がたくさん出てくるというところで市民の科学というか、いわゆる日本には今までないと言われているナチュナルヒストリーといいますか、そういう部分で市民が一人一人がデータを積み上げていくことはできるんじゃないかなと思うんです。
 もちろん政策づくりも私たちもやっていきたいと思っていますけれども、そういうロビー活動みたいな面とはまた別に、市民が生物多様性に貢献する調査なり研究なりに入っていくというか参加していくというか、そういうことはできるんじゃないかなと思っているんです。そのときに例えば生物多様性センターなりほかの官庁でもいいんですけれども、何らかの受け皿が欲しい。例えばいろいろな海岸でいろいろな鳥の調査をしている人がいて、それを受け取ってGIS化してくれる人がいるとか、そういう受け皿となる仕組みがあると、あまり低コストでと言ってはいけないのかもしれないんですけれども、今まで私たちが非常に欲しかったものが手に入る。やった人は非常に満足するという関係はできるんじゃないか。ただ、今、市民セクターと行政セクターがちょっと溝があるといいますか、そういうことをお金の介在なしにやるという習慣がないというか文化がないというか、ちょっとそんな感じがしているんですけれども、そういう部分をもっと超えられないのかと思います。
 先程地図化するのにお金がかかるというのは、業界価格みたいな話も一つはあるのかなと思いますし、何でもかんでもボランタリーな調査で賄えるとはもちろん思いません。必要なところにはちゃんと予算をとっていただきたいんですけれども、そういうおつき合いの仕方というのもあるんじゃないかなと思います。
 日本にはナチュナルヒストリーがなくてイギリスから何百年おくれているとかいう話をよくします。私たちは特に鳥を見たり記録したりするのが好きな人たちが集まっている団体ですからそう思うのかもしれませんが、市民一人一人ができることはあるんだけれども、そういう力が向かう先がないという感じがしているんです。特に生物多様性の保全ということには個々の生き物のデータというのは非常に重要だと思いますので、そういう市民が参加する調査というかデータづくりというかナチュナルヒストリーとかそういうところには何がしかの貢献はしていきたいなと思っています。

●熊谷委員長代理 ありがとうございました。他にご意見ございますでしょうか。
 計画課長、お願いいたします。

●自然環境計画課長 せっかくNGOの方がたくさん来られているので、ちょっと自分自身が悩むというか、これから戦略をつくるに当たって考えていることを少しお話ししたりお聞きしたりしてみたいと思うんですが、1つは保全をより強化しろということに関しては割とこれはすっきりしていて、大事なものを大事であるように制度なり現実の姿をきちっとしていきなさいというのは実によくわかる。そのプロセスは実はとても難しい問題があってそう簡単にいかないことがたくさんあるんですが、少なくとも頭の中を整理するという意味では、頑張れとおっしゃっていただいているし、自分自身でもそう思っているわけですから頑張ってやればいい。そういう意味ではすっきりしている。
 ただ、今お話を伺いながら、あるいはここ一、二年ずっと悩んできていることは、もう少し広げたある種保全のための調整みたいなやつをどうするかということに至っていると思うんです。今までの保全の考えとして貴重な種とか風景とか原生林とかということはそれなりに非常にすっきりしてわかるわけだけれども、今保全をすべきものあるいは配慮すべきものというのははるかに対象が広がって地域も広がって、ちょっと言い方は誤解を招くかもしれませんけれども、例えて言えば中間領域の中間程度の価値を持った保全対象も保全対象とするかあるいは視野に入れないと、多分多様性保全ということは全うできないということになりつつあるんだと思うんですね。そうすると、例えば安全性の問題と多様性保全の問題というようなことをどう整理をすればいいか。もうちょっと地域を限定して言うと、地域の人がある種の利便性、あるいはある種の経済性、ある種の快適性みたいなものを求めるということと生物の多様性の保全ということをどういうバランスで考えればいいか、あるいはどう考えるべきであるといって地域の中で説得するかということでもあるわけです。
 私は現場でほぼ今申し上げたような考え方でいろいろな方と話してきた経験をそう少なくなく持っている人間だと思っていますが、今日のこの場では多様性保全で盛り上がるという人が恐らくほとんど 100%に近い率だと思うんです。ところが、実際現場でやろうとするとあっさり逆転して、逆の中で「そうは言っても」という言い方で何とか説得しなければいけないところが具体の中ではほぼ全部と言ってもいいぐらいだと思うんです。そのときにもちろん現場の話は現場ですけれども、多様性保全の国家戦略をつくるときに前回の審議会で熊谷先生がおっしゃったように、多様性保全と持続的利用ないし開発の問題をどうとらえるかというのは実は最初にして最後みたいな大テーマだと思うんですね。その辺を私自身もなかなか悩んで答えていないんですけれども、印象でも結構ですから、何か聞かせていただければ。

●熊谷委員長代理 今の計画課長のご希望にお答えできる委員。
 森戸委員、よろしくお願いいたします。

●森戸委員 今の関連でお聞きしたいんですけれども、行政というのは厳密に言えば環境省のような中央省庁と地方公共団体があるわけですけれども、皆さんの中では自治体みたいなものとはどういうかかわりを持つのか。今の段階で現場の中で、今小野寺課長が言われたように環境省のレベルでは、霞が関レベルの攻防はそれなりにやっていると。自治体の現場におりれば今の道路問題なんかと同じようにまた別の利害が働いているから、必ずしも地方自治体というのは環境に関して生物多様性型で進んでいるとは思えない。そういう中で今は地方分権の時代だし自治体をどういうふうに味方につけて強化していくかという戦略がやはり国家戦略としてあってもいいのではないか。
 先ほど私が地図の話を出して多分コストと言ったのは私かもしれない。それはむだを省こうというだけの話で、私は地図づくりに反対しているわけじゃないんです。地図つくるのは大好きですからね。地図づくりに反対していないけれども、なるべくむだをやめようと。そういう中で先ほど古南さんですか、言われたように市民レベルで全国組織じゃないローカルNGOが活動している人たちのエネルギーや知見を吸い上げて、それが結果的に市民がつくった地図というふうになって、それを行政が後押ししてような方がプロジェクトとしては浸透力があるだろう。大予算をつけて上から統一的に全部メッシュでやれというようなタイプがいいのか、むしろ先ほど言われたようなそういうローカリティを大事にして、その力を生かして仮にコストとして高くなっても、コストといっても金額ではなくて時間とかその他で高くなっても、そういうやり方もあり得ると思うんですね。そういう意味で少しローカルな話をどう考えているのかという点も、小野寺さんのお話と一緒に聞かせてほしいなと思うんです。

●熊谷委員長代理 それでは自然保護協会と野鳥の会、お一人ずつお願いいたします。

●日本自然保護協会(吉田) 小野寺課長のご発言に関連することですけれども、第1回の生物多様性国家戦略というのはやはり環境配慮というレベルだと。大事なところはとっておきましょう、あるいは公共事業をやるときは環境には配慮しましょう、でも目的は利便性、快適性を追求することであるが環境には配慮しなければいけないというレベルであった。ぜひ環境省にお願いしたいのは、第2回の国家戦略は目的がもう生物多様性とともに生きることなんだと。
 ちょうどいい時期だと私は思うんですね。経済的にも非常に昔のようなバブルの時期ではありませんし、都市もそうですけれども、特に中山間地などは非常にもう、雇用状況が厳しい状況になってきています。だからといって今までのように公共事業、道路づくりをどんどん進めていけば国の借金が膨らむだけで、行き先はもう私たちの子孫がその借金を全部返さなければいけない。そういうことをやっていくんではなくて、中山間地の中で里山を守ることで例えばそれをエネルギーに変えていくとかそういう新しいやり方をしていってそこで雇用をつくっていく。あるいは自然公園で野生生物の保護とか調査とかいろいろかかわる人の声を増やしていく。そういう方向に目を向けて、それこそそういう雇用が全体の何%を占めるようにしていくんだとか、そういう方向に向かわないと日本はやっていけないと思うんですよね。生物多様性で雇用を創出するとかいうと、ちょっと誤解があるかもしれませんけれども、そのぐらいの意気込みで国家戦略を柱をつくらないと環境配慮で、先ほど小野寺課長が言われたとおり貴重なところは守りましょう、あとは公共事業に当たって配慮しましょう程度で終わってしまうので、ぜひその辺の転換をすべきじゃないか、ぜひすべき時期だというふうに感じています。

●熊谷委員長代理 では、野鳥の会の方から。

●日本野鳥の会(古南) 私も今の吉田さんのご意見に同感です。一つ例を出してみます。私たちは今割と「厄介な鳥」とおつき合いすることが多いんですけれども、その中にカワウという鳥がいまして、川に突然あらわれて鮎をたくさん食べちゃうという鳥がいます。橋を架けたり埋め立てしたりとかというような事業のレベルとはちょっと違うんですけれども、やはり鳥がいると不利益を被る人がどうしても出てくるわけです。内水面漁協の人たちはそこでカワウを殺してほしいという話が必ず出てくるんですけれども、昔だとそこで野鳥の会なんか口もききたくないという感じでした。つい最近まで農家の方たちとかも割とみんなそうだったんです。鳥は害鳥だというところで終わりになってしまう。
 ところが、今は非常に時代が変わってきたなと思うのは、準協の人たちに、でもカワウという鳥は20年ぐらい前まではすごく少なくて絶滅しそうになったこともあるんだよという話をすると、それじゃ多少はしようがないかという話になってくるわけですね。そういうところで僕らが何をやるかというと、一つの川の流域で被害があると、どうしたらいいんだという話を、漁協の人たち、カワウの代弁者としての野鳥の会のメンバーで調査をしたりしている人たち、研究者、水産庁、河川管理者の方に来ていただいたりして、話し合いをします。要は漁民も魚をとるのが仕事だけれども、カワウだって魚をとるのが仕事なんだから、両方もうかればいいじゃないか、という話をします。川の自然は今非常に、例えば水量が減ってしまったりとか瀬と淵がなくなってしまったりとかで魚がすみにくくなっている。では魚がすみやすい川をどうして戻したらいいんだということをみんなで考えていくというようなことを結構あちこちでやっています。カワウというと大体そういう人たちがそろって、最初は難しい顔をして顔を突き合わせて、何となくだれもすっきりしないけれども、まあしようがないかといって帰っていくということを割と何回かやっています。そこで絶滅が悪であるという話は割と今常識になりつつある。生物多様性というのが何だという話をもうちょっと社会通念として普及するようになるともうちょっと何とか、みんなしようがないなと言いながら、吉田さんの言われるようにみんなにこにこしてみんなもうかれば一番いいんですけれども、そういうことはできるんじゃないかなという気がしておりますけれども。
 それからローカルNGOに関しては、先ほど森戸先生がおっしゃったことで、まさに私もそういうことが言いたかったんですが、ローカルなところから例えば鳥の調査をして国勢レベルのデータを出していくというのは実際私たちもやっているんですけれども、先ほどメッシュの鳥の地図を出しましたけれども、あれは私たちの会員が70年代とここ3年ぐらいかけて、これは無給ではありませんけれども、有給のボランティアぐらいの形でやっております。やはりああいうものが一つの生物多様性を支える市民のかかわり方じゃないかなというふうに思っております。

●熊谷委員長代理 ありがとうございました。今の点についてですか……お願いいたします。

●WWFジャパン(草刈) 地域の人が快適性を求めていく中で、その地域の人たちをどのように説得するかというようなことで。
 私の経験では2年ほどオーストラリアに赴任していたときに、合意形成を得ようというときにAという団体とBという団体があったときに対立しますよね。そういったのを解決するのにコミュニティソリューションズというのがあって、両方の言い分をきちんと聞きながらそれをきちっと整理して、でもそこで結果を出さずにさらに次のステージとして議論させるというふうな自然保護団体と行政とかの間に入ってうまく仲をとりもって方向性を見出すということを商売としているようなグループとかいるんですね。だからこれから多分そういった人たちというのがすごく必要になってくるのかなという気がしていて。一つはNGOもそういう仕事だとは思いますけれども、NGOの考え方と方針というのと対立することがありますから、そういった問題点を解決するようなものを専門に扱ったようなグループですとか専門者を育成していくことが、結構こういう問題点を解決するのには近道ではないかなということをちょっと思いました。

●熊谷委員長代理 ありがとうございます。では、日本生態系協会からもお願いいたします。

●日本生態系協会(関) まず森戸委員の質問ですけれども、先ほどとちょっとダブるかもしれませんが、会を設立する際に地域の自然保護団体の集団として我々の会を中央につくったわけですけれども、地域のといったときに考えたことは、10年ほど前ですけれども、地域で自然保護活動をするための武器が大変少ない。武器というのは具体的に法律であったり事業であったりということです。それはモデル的に今日もちょっと出しましたけれども、条例、モデル的な条例ができたりというのは間々あることはあるんですけれども、ボトムアップよりもトップダウンの方が当時日本の効率を考えた場合につくりやすい。自然保護もそちらの方向で効率性を考えてやりたかった、これが率直なところです。今どうなっているかというと、法律を改正したり個別の事業をつくるというのは行政の方嫌がりませんので開発官庁の方たちとも新しい自然生態系保全のための事業というのはどんどんつくります。
 ただ、残念なことに今度は下に−−上下関係ないんですけれども、県、市町村とおりていくごとに新規事業というのが使われない。しかも、自然環境保全ということには使われないので、これを地域のNGOに今度は地域の市町村に圧力ということはないですけれども、連携をとって事業をしっかりやってもらえるよう、武器を使ってもらえるような常に連携をとっております。そういう意味では日本の行政組織と同じように国、県、市町村というレベルで日本のNGOもきっちり体系づけられてそれぞれの役割の中で動けるような時代が来ればそれは大変すばらしいことだなとは思っております。
 もう一つ小野寺課長の方の意見ですけれども、僕は多分公共性と公共性のぶつかり合いということだと思います。具体的に例えば自然環境との例えば開発関係とまたは経済関係とのぶつかり合いというのは最近になって大きく取り上げていただけるようになったんじゃないかなと思っておりまして、もともと公共と公共というのはたくさんぶつかっていて、しかし例えば10年も20年かけてでも、しかも人をどかしてでも公共事業を行ってきた。そのときの正義となる公共ということに関してはそれぞれの官庁が力を入れてそれだけ信じて何十年もかけて人をどかしてやってきたという実績があって、そういう部分では今まさに生物多様性というのが国の中にどのくらいのレベルに来たのかな。それをこの戦略では一番とはいかなくてもなるべく、前回三浦委員の方からも出ましたけれども、大変危機的な状況にあるという認識を強く持って何とかこれを守るんだ、そういう意味で武器を充実させていくというのに傾けていただきたい。もちろんそれは政治的に公共と公共とのぶつかり合いで綱引きがあるんでしょうけれども、その武器だけはしっかり今つくっていただきたいなと。そのために我々はぜひ応援をさせていただけるようなシステムをつくっていただく。それをオープンにして世論に喚起していく、そんな制度ができればなと思っております。

●熊谷委員長代理 ありがとうございました。多少予定の時間を過ぎてございますが、ご意見がございましたら。
 岡島委員、お願いいたします。

●岡島委員 小野寺さんがおっしゃったことと吉田さんがそれに対して言ったことと、私は同じことではないかと思うんですね。小野寺さんがおっしゃったのは恐らく今まででいう環境省の役割をかなり大きく出なければいけなくなってきているということではないかと思うんですね。ですから、今この国家戦略をつくっている最中というこの作業というのは、吉田さんがおっしゃるように日本人の生き方というかありようをある程度描かないとできないという作業ではないかと思うんです。ある意味で方法論でいろいろやるのはいいんですけれども、それと同時に前文なりどこなりでその位置づけですよね、そこをかなりきちっと書くということが大事ではないかと思うんですね。
 もしかしたら環境問題全部がかかわっている問題は小野寺さんの悩みと言いましたけれども、これは国民みんなそういうふうに考えているわけで、環境省だけがそう考えているわけではなくて、いろいろな人たちがここに池をつくったらどうだ、ここはどうだということはみんな考えているわけですから、それは今国民がある程度抱えている、地域でも抱えている課題であり、そこでもう一歩突っ込むというときには、NGOと地域社会の問題でも基盤的なお金を野生生物のところにどう出すか、例えばカウントするのに中山間地域のお年寄りたちがしてくれたらそれに対してお金を出すとかいろいろなことも含めて、環境省だけの力ではないと思うんですけれども、予算の配分も含めていろいろな意味で位置づけの問題ではないかと思うんです。ですから、その辺にどこまでここの国家戦略で踏み込めるかというのが一つのせめぎ合いのところではないか。
 これはNGOも環境省もなくて、日本の国のためにやるわけですから同じ立場にあるわけです。それぞれがいろいろな意見を言えばいいわけであって、NGOがいろいろな意見を言うと、これを取りまとめる立場の環境省が困っても関係ないんです。困ればいいと思うし、困った上でもっといいことをつくればいいんでありますから、そういう意味ではちょっと今小野寺さんがおっしゃったことと吉田さんが受けたこととの部分をどこかの時点でもう少し突っ込んだらいいんじゃないかなと感じております。

●熊谷委員長代理 ありがとうございました。他にご意見ございますでしょうか。
 和里田委員、よろしくお願いいたします。

●和里田委員 今日はNGOの皆さん方のお話を伺っていて、相当政策提言まで踏み込む時代に入ってこられたと非常に心強く感じました。そういう意味で、そういうお立場の役割というようなものもこれから戦略の中に位置づけされていくんだと思いますが、先ほど既にお話も出ていましたけれども、それぞれの団体が相当の数のメンバーをお持ちでそれぞれの地域でご活躍ということでやはり国民レベルでの教育とか、あるいはそれはもう小学生からすべて国民への教育というような役割の中でも相当これまで活躍されてこされたNGOの方々の蓄積されたエネルギーというものが相当あるんじゃないかということで私ども大いに期待していきたいと思いますので、その辺また先ほど単なるボランティアだけではもう限界がある時代に来たというお話もありました。そういう意味では各省等の機関のご支援もあってそれがより効果を上げるんだと思いますが、そういうものをはっきり書き込んでいく必要があるんじゃないかと思いました。

●熊谷委員長代理 ありがとうございました。いかがでしょうか。
 よろしゅうございますか。

●生物多様性企画官 委員長、会場と各省の方がお二人ほど手を上げていられるので、もう時間ないんですけれども、端的にちょっとおっしゃっていただいて。

●熊谷委員長代理 どうぞご発言ください。所属とお名前だけおっしゃってから。

●水産庁 水産庁の漁場資源課、小泉と申します。
 先ほど日本獣医畜産大の先生からご意見をいただいたんですけれども、WWFの方の資料を出されて、17ページの表を説明されたんですが、ちょっとこれを見るとどうも水産庁は何もしていないというような感じを受けるんです。そもそも評価項目が鳥獣保護法に合わせた形にされているというのがあると思うんですけれども、水産庁の方でも例えば水産資源保護法の中で保護水面の設定とか、あと採捕してはならない、所持、販売も含めてですけれども、禁止というようなこととか、増殖事業等できるような制度、仕組みになっております。
 あとそれに関連しまして、野生水産動植物の保護に関する基本方針というのを平成5年の時点につくっておりまして、ここの中にもレッドデータブックをもう既に作成しているんですけれども、これに基づきまして資源状況に関する調査・分析を計画的に行うということにしております。それからそれを受けまして要保護野生水産動植物の特定というのをして、さらに保護、増殖事業の積極的展開、それから保護水面の制度の活用とそういったことで最終的に必要があれば採捕等の禁止ということで制度的にできるような仕組みになっています。ちょっとそれをつけ加えさせていただこうと思いました。
 それとあと水産庁としましても、今後とも資源の持続的な利用だけでなく、希少種の保
護という観点で野生水生生物の保全というのに全力を尽くしていきたいと思っております。

●熊谷委員長代理 大変適切な補足をしていただいて、ありがとうございました。
 もう一方、どうぞよろしくお願いいたします。

●傍聴者(多田) 生物多様性研究会の多田と申します。
 大変多岐にわたる問題と対応すべき課題があることを改めて認識させていただいたんですが、移入種の問題が非常に扱いが小さいということがちょっと驚いているんですけれども、後ろにある資料を拝見しましたところ、 230ページのうち移入種についてはメモれる程度のことしか書いておりませんね。対応の検討という時期ではない種類もあると思います。
 特にブラックバスとブルーギルですね。問題としては非常に単純な問題ですので、要はアメリカとかニュージーランドとかああいうところで行われている法規制の整備を日本でも早急に検討するべきじゃないかということです。具体的に言いますと、ブラックバスで言えば釣った後の再放流の禁止、これは新潟県と岩手県で現在行われて、違反者は罰金50万円ということになっておりますけれども、これを全国的な規模で法整備をしていただくということが、もう検討するとかいう段階ではないと思います。
 あとマングースも非常に重要だと思います。 2,800頭年間とるというのは実績としては非常に優秀な数字だと思いますけれども、ご存じのとおり奄美大島だけでも10万頭、二、三年前の数字ですね。繁殖力も非常に強いので、最低万単位で駆除する体制を整えていただければと思います。
 ありがとうございました。

●熊谷委員長代理 どうもありがとうございました。まだまだご意見がおありかと思いますが、時間の都合もございますし、一応これで意見交換は終わらせていただきたいと思います。今日は朝から本当に熱心なご説明をいただきまして、また委員の方々には本当に長時間真摯に議論をしていただきましてありがとうございました。

●生物多様性企画官 朝から長時間にわたりまして本当にありがとうございました。
 次回の開催の予定のご連絡でございます。
 次回、第4回小委員会ということになります。12月10日の午後1時半から4時半ということで、場所は環境省の第1会議室で行いたいと思います。次回第4回におきましては、戦略の骨子案の検討ということをお願いしたいと考えております。
 日程等のご連絡、以上でございます。

●熊谷委員長代理 ありがとうございました。
 本当に本日はありがとうございました。次回から骨子案ということでございますので、今日のご報告、ご意見を十分踏まえてさらに詰めてまいるように座長にお伝えしたいと思います。
 毎回のことでございますけれども、小委員会で配付されました資料、議事要旨及び議事録は公開となりますので、ご承知おきお願いいたします。
 本日はこれにて閉会といたします。

                             午後 3時30分閉会