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中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第2回)議事要旨


<日時>平成13年11月13日  14時30分~17時30分

<場所>東条インペリアルパレス2階「千鳥」

<議題>(1)生物多様性に関する課題、国家戦略見直しに係る論点について
(2)その他

<議事>会議は公開で行われた。
  1. 第1回小委員会(各省ヒアリング)を踏まえ、辻井委員長名で各省に「追加質問事項」(回答締切:11月末)を提示したことが報告された。委員から、3日間のヒアリングを通じての次のような感想が出された。
     ・各省からバイオテクノロジーの話が多く出たが、遺伝子改変生物の扱いには注意が必要。
     ・森林が荒れている現状が生物多様性に重大な影響を与えていると感じた。
     ・各省で生物多様性関連の施策をやってはいるが、その認識にズレがある可能性がある。各省で連携したシンボル的プロジェクトを実施すべきではないか。
     ・各省も正面から多様性保全の問題に取り組むべき転換点にきていると感じた。
     ・各省の取組を聞いても、また前回の計画時の状況と比較しても、開発圧力による生物多様性の危機感は消えない。残された重要な自然の保全を徹底することが大きな課題。

  2. 生物多様性に関する課題、国家戦略見直しに係る論点について事務局より説明し、委員から次のような質問、意見があった。
    (総論)
     ・生物多様性保全についての説明はクリアであったが、持続的利用についての整理は不十分。生物多様性と持続的利用が矛盾するか否かも考えるべき。
     ・地球の将来や日本の文化といったことを考える際の根底にあるキーワードが生物多様性であり、各省施策もこうした考え方に基づいて行われるべき。
     ・国家戦略は、生物多様性論を論じるのが目的ではなく、保全と利用を含めた国家の行動計画を示すことが目的。網羅的な記述ではなく、ストーリー性のあるポイントの絞った記述とすべき。

    (生物多様性の現状認識)
    経済社会状況の変化を踏まえる視点が重要である。経済の効率性、生活水準とどれだけ折り合いをつけるかが課題ではないか。

    (生物多様性の理念)
     ・例えば草原の野焼きによる生物相の維持など、生物多様性が伝統文化により支えられてきたという視点が必要。
     ・「戦略」の基本部分は見直し毎に変える性格のものではない。
     ・生物多様性の基盤が危うい現状にあっては、「戦略」を大きく転換することも必要。
     ・施策の効果的実施には数値目標が必要。できる限り数値目標を取り入れるべき。
     ・点検で施策の進捗状況を測れる指標が必要。モニタリングにより成果を的確に検証していくことも大切。

    (保全のための仕組み)
     ・保全のための仕組みの検討は重要だが、誰が実行するのかも含めた検討が必要。
     ・種のレベルの保全はある程度制度的な担保があるが、生態系レベルの保全ではそれが不十分。
     ・里山、干潟など、多様性のある国土の特徴を示すことが重要。
     ・人為による適度な自然の撹乱により成立している里山等は、人と自然との関係が希薄になってきたことが課題。
     ・国土の4割も占める里地里山の全てを同等に保全するのは困難ではないか。一部は放置も必要ではないか。
     ・移入種問題は、生物多様性の脅威となる重要な課題。輸入制限等が必要ではないか。
     ・木材自給率低下が森林の管理不足に結びついているなど、資源問題と生物多様性との関連の視点が必要。

    (その他:役割分担、国際協力)
     ・各省が本当の意味で連携できる具体的なモデルプロジェクトを明示することが必要。
     ・生物多様性を旗印とした公共事業については、これまでより厳しい審査の指針が必要ではないか。
     ・国家戦略の施策をNGOも含め多様な主体が評価する仕組みが必要。
     ・国際協力というより、国際的視野に立った全体の取組が必要。