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中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第1回・3日目)


平成13年11月1日

                             午前10時32分開会


●生物多様性企画官 昨日に続きまして、生物多様性国家戦略の小委員会の各省ヒアリング3日目を行いたいと思います。
 本日、辻井委員長がご欠席でございますので、岩槻先生に委員長をお願いして議事の進行をよろしくお願いしたいと思います。

●岩槻委員長代理 おはようございます。辻井先生はきょうお見えにならないというので司会をさせていただきますけれども、よろしくご協力のほどお願いいたします。座って失礼します。
 昨日から国土交通省お願いしておったのですけれども、今日はその国土交通省の残りと、それから午後には文科省、経済産業省、厚生労働省、外務省といろいろの省庁からのお話を伺うということです。時間があまり延長しないように上手にやっていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
 それでは、午前中は国土交通省の中で、昨日お話を伺えなかった都市・地域整備局からのお話を伺うということで、最初は緑地課緑地環境推進室長の末永さんからご説明をいただくということでよろしくお願いいたします。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) 緑地環境推進室長の末永でございます。座らせて説明させていただきます。
 手元に、公園緑地に関係します生物多様性という観点からの資料をまとめております。
 まず3ページを開いていただきたいと思います。3ページが国土交通省におけますといいますか、緑地関係の総合的な施策の体系でございまして、従来よりこういう形で進めてまいっております。
 1つには、公有地の緑地、これの緑の創出という観点から都市公園の整備というものを都市公園法、あるいは都市公園等整備緊急措置法、これは五箇年計画ですけれども、こういうものによって進めてきています。当然都市公園の整備ということですけれども、緑の創出ということだけではなく保全という観点からも公園の整備をしているところでございます。
 また、都市公園以外につきましても、河川、道路等において公共公益施設の緑化というものも進めております。これについても都市緑化の植樹五箇年ということで1次から4次まで進めてきておりまして、2000年まで、もう2000年は過ぎていますけれども、グリーンプランという形で進めてきているものでございます。
 それから、公有地の緑地の他に民有地の緑につきましても緑地の保全という観点からいろいろな施策を進めてきております。そこにも右側にございますように、都市計画法に基づく風致地区、あるいは樹木保存法での保存樹、保存樹林、それから歴史的風土保存地区、これはいわゆる古都法とか明日香法でございますけれども、こういうものでの特別保存地区と。それから、首都圏とか近畿圏の近郊緑地、それの特別保存地区、そういうものでございます。また、緑地保全法における緑地保全地区、生産緑地法による生産緑地、その他でございます。
 また、民有地の緑につきましても、同様に現在緑地協定ということで都市緑地保全法がございますけれども、前は緑化協定といっていたものでございます。こういうものとか市民農園とか、そういうものがございます。また後ほどそれぞれについてご説明をさせていただきたいと思います。
 その他に、緑に関しては普及啓発ということもいろいろ進めているところでございます。これも後ほど資料がございます。その他緑化に関する研究、そういうものも進めております。
 次のページ、4ページを開いていただきたいと思います。
 現在、緑の保全・創出という点で、国及び地方公共団体での施策の体系的なものの考え方でいますが、国レベルでは平成6年に、今年1月国土交通省が統合しておりますので国土交通省としてのものではないんですけれども、平成6年に旧建設省としての「緑の政策大綱」というのを設けております。これも当時の自然環境への関心の高まりとか、あるいは生物多様性条約の制定とか、そういうものも受けたものでございますけれども、国として緑の政策大綱というのを設けております。
 それに対応する形で、市町村レベルでは「緑の基本計画」というものを策定するようにしております。この緑の基本計画は都市緑地保全法での法定の計画でございまして、これも平成6年に制度創設されております。これも順次説明いたします。
 緑の政策大綱に基づきまして、営造物公園ということで公共施設としての都市公園の整備というものを、先程申し上げました都市公園等整備五箇年計画というもので進めてまいっております。また一方、民有地の緑地の保全、管理というものは都市緑地保全法で対応しております。また、緑化の推進というものを進めております。
 緑の保全・創出につきましては、現在その都市公園法と都市緑地保全法が2つの大きな柱になって施策を進めているところでございます。この他にも、当然都市計画法とかそういうものもその上の上位計画としてあるわけでございます。
 この緑の政策大綱、緑の基本計画、都市公園、それから緑地保全、そのような順番でご説明させていただきたいと思います。
 5ページに入っていただきます。
 緑の政策大綱ですが、平成6年に「緑の保全と創出による自然との共生」という基本方向を持って、都市公園等の緑の積極的な保全・創出と。それから、自然の生態系と調和した緑の基盤の整備を推進しているところでございます。
 基本目標としましては、21世紀初頭までに豊さを実感できる緑の質と量を確保していこうということでございまして、その下に具体的な構想がございますが、高木本数、植栽高木を、平成6年当時ですけれどもその3倍にしていきましょうと。あるいは緑の公的空間量を3倍にしていく。個別の建設省時代の個別の事業についていいますと、道路でいえば植栽等の道路延長割合を3割にしていこうと。あるいは河川でいいますと、多自然型川づくりを実施する延長の割合を1割にしようと。あるいは都市公園でいいますと、住民1人当たりの都市公園面積を20平米を目標値としようと。緑地保全地区は1万 1,000ヘクタールにしようとか、そういうような長期の目標を定めております。
 また、市街地についての緑地については3割を確保していこうと。永続性のある緑地として3割以上を確保していこうと、こういうような構想でございまして、この「3、3、3」というのはごろ合わせでございますけれども、これを受けて「緑サンサン・グリーンプラン」というふうな名前をつけております。これに基づいて緑の政策を進めてきているわけですが、省庁再編ということもありましたので、改めて国土交通省としての緑の政策大綱というものをつくっていきたいと考えております。
 この緑の政策大綱は平成6年に策定しておりますので、生物多様性国家戦略が平成7年ということもございまして、ここの中には「生物多様性」という文言は記載されていないというのが実情でございます。今後新たにつくる緑の政策大綱では、「生物多様性」という観点も十分反映させながら策定をしていきたいと考えておるところでございます。
 次に6ページ、先程の枠組みの順番で説明いたしますが、緑の基本計画でございます。これも平成6年の緑地保全法の改正におきまして、市町村が策定することができるようになったものでございます。
 緑の基本計画におきましては、動植物の生息・生育地となる緑地の保全等を初めとしまして、緑の保全・創出に関するさまざまな施策が定められることになっておりまして、これは市町村が自由に策定できるものです。その内容の濃淡につきましても、その市町村の実情にあわせて策定して構わないということで私の方でも指導しておりまして、緑の基本計画の計画事項といたしましては、その市町村における緑地の保全及び緑化の目標、それから緑地の保全及び緑化の推進のための施策に関する事項、こういうものを定めております。
 それから、3番目以降は必要なものということで、緑地の配置の方針、あるいは緑地保全地区内の緑地の保全に関する事項です。これは、緑地保全地区というのは行為の規制の強いものでございまして、その中での例えば必要な施設について整備に関する事項とかが書いてあれば、それについては行為の規制の対象にならないとか、そういうようなこともありまして、ここではっきり書いておくという意味で事項として上げられているものでございます。
 また、土地の買い入れ及び買い入れた土地の管理に関する事項ということでございますけれども、緑地保全地区は買い取りという制度がございまして、都道府県が買い取る対象になっております。ここでは、例えば市町村が買い取るとか、後で出てきますけれども、緑地管理機構という民間の団体が買い取るということもあり得るということで、そういうものをあらかじめこの基本計画に書いていこうというものでございます。
 また、管理協定に関する事項、これは今年の8月の法律改正で加わったものです。これについてはまた後ほど説明いたします。
 それから、緑地保全地区は、今言いましたような行為規制の厳しい緑地保全地区以外についても、その土地の中で重点的に緑地の保全に配慮する地区も定めるということができます。また、緑化という視点からの重点的に図るべき地区というものも指定できるということになっております。
 その下に藤沢市の基本計画の例でございます。ちょっと目次を載せていますが、この中で生物多様性という観点から関連するものとしては、ちょっと上げてみますと、第5章の1の総合的な緑地の配置、方針ということになります。特に、そこでの(3)番にありますような「ビオトープネットワークの形成」というものは、その生物多様性との関連があるかと思います。
 また、系統別配置計画といいますのは、緑地とか公園というものには生物多様性という視点は当然でございますけれども、従来から防災系統、あるいは景観系統、環境保全系統、レクリエーション系統と、こういう視点からネットワークというか配置を考えておりまして、こういうものも計画するようになっております。生物多様性という観点からいえば、この(3)番の環境保全系統の配置計画というのが関連するのかと思います。
 この基本計画は藤沢市における基本計画でございまして、構成的には基本計画の計画事項という法律で定められた項目に沿ってつくられているのが多いわけでございますが、その辺のつくり方も全く自由なつくり方がされております。
 7ページに藤沢市の例でございますが、四角の囲みがありますが、これが本来は引き出し線になっております。藤沢市の緑の将来図としてこういうような計画を立てている。川に沿って、あるいは海岸に沿っての緑の軸線、あるいは緑の拠点、保全する斜面、あるいは主な都市公園、それから風致地区、農地、こういうものを基本計画の中へ定めて、それぞれの緑についてはどういうふうな緑にしていくんだというような視点での将来図をまとめております。これは藤沢市の例でございますけれども、市町村によってはもっと漠然とした絵であったり、あるいはもっと測地的な場所がわかるまでの計画を立てている市町村もございます。その辺はいろいろな度合いがございます。
 その次のページは、先程目次にありましたビオトープネットワーク図でございます。このような計画を策定しているということでございます。
 現在、一番下にございますが、緑の基本計画というのが平成11年度末で 305の市町村で策定しております。また、今は 300以上の市町村において策定の準備が進められているというふうに聞いております。
 それで、緑の基本計画は平成6年に法定化されたわけでございますが、それ以前は建設省の指導として、緑のマスタープランというものを各市町村でつくるように指導しておりまして、それに基づいて公園緑地の整備保全を進めていたわけでございますが、この6年に法定化して緑の基本計画としたものでございます。
 以前の緑のマスタープランというのは、どちらかと言いますと行政の内部指導的なものでございましたけれども、この法定化によって緑の基本計画は公表が義務づけられております。今年の法律改正で、さらに策定に当たって公聴会等による住民意向の把握というものがまた義務づけられております。
 それでは、続けて9ページ、都市公園でございます。
 都市公園につきましては、先程申し上げましたように、昭和47年の第1次五箇年計画以来整備を積極的に進めているところでございますが、そこにございますが、都市公園の機能・役割といたしましては5つ上げてございますけれども、この上げ方についてはいろいろなあり方があるかと思いますが、1つには都市環境の改善という視点でございます。樹林等による大気の浄化、あるいは植物の蒸散機能による風の道、ヒートアイランド現象の緩和、そういうもの。あるいは、都市に潤いを与え、良好な景観をつくるというような機能がございます。
 また、特に今重要視されておりますが、都市の防災空間としての機能・役割でございます。地震等の災害時における避難地・避難路。あるいは延焼の防止帯。あるいは復旧・復興の拠点と、そういうような視点での公園というものの役割もあります。
 また、もう一つ大きな公園の機能でございますけれども、公園につきましていいますと、利用という機能も大きな機能でございます。そういう意味で、レクリエーション・コミュニティ活動の場というものでございます。あるいはスポーツの活動の場、そういうような機能・役割もございます。
 それから、4番にございますように、動植物の生息・生育空間としての役割というものもございます。
 それから、そこに首里城の絵がございますけれども、地域活性化の拠点というような位置付けの公園の整備というものもございます。
 次に10ページでございますが、特に公園の整備には、今申し上げましたようにレクリエーションとか防災とか、いろいろな機能・役割がございますが、特に生物多様性の確保という観点から取り上げてみますと、都市環境の保全・改善や自然との共生への対応ということでここに上げられているような施策を進めてきたところでございます。
 環境ふれあい公園ということで、市民の環境活動や指導者育成の拠点として、あるいは野生生物の生息地等として、自然生態園や野鳥観察所の施設を整備というような公園でございます。
 それから、都市緑化植物園ということで、都市住民の都市緑化意識の高揚、植栽知識の普及、あるいは教材園、植物展示、そういうような緑の相談所というものの整備も進めてきたところでございます。
 また、建設副産物等の有効利用ということで、環境事業団の事業でございますが、産業廃棄物処理施設と一体的につくる公園。あるいはごみ焼却場の廃熱を利用した公園。廃棄物処理場の跡地の公園とか、そういうものもございます。
 それから、いろいろございますけれども、平成の森というようなことで平成の森づくりをしたり、花と緑のまちづくり、あるいは市民農園と、いろいろな施策を進めてきているところでございます。
 次のページに、その具体的な事例を少し上げてきております。
 まず一番最初は、ラムサール条約で有名になっております谷津干潟公園でございます。
 谷津干潟につきましては、都市公園として整備し管理しているところでございます。現在も、野鳥観察とか野鳥の観察会などいろいろ活用されている公園でございます。
 また、その下にも横浜市の鴨池公園、自然にふれられる貴重な空間として整備さてれいる例でございます。
 また、千葉市の花島公園、これも生き物のための水辺づくりと、こういうものもございます。
 次のページも同じような例でございますが、栃木県の那須野が原公園でございますが、昆虫の生育環境というものを配慮した間伐材を並べて配慮した整備。あるいは下の絵にございますが、横浜市の舞岡公園ですが、横浜の野兎の保全、それと稲作とあわせた里山づくり、そういうような整備をした公園の例でございます。
 次に13ページでございますが、これが都市公園の現在の状況でございます。
 13年度の事業予算額が 3,625億円、国費で 1,673億円でございます。現在の都市公園の整備状況でございますが、全国でいいますと、市街地の1人当たり 8.1平米という状況でございます。当然、下の地図にございますように、関東、大阪、というような都心部では1人当たりの面積が少ないという状況です。
 次に、公園における環境保全への取り組みということで14ページ以降でございますが、私どもの方では国営公園というのがございまして、国が直轄で整備している公園でちょっと事例を上げさせていただいております。
 最初のページの14ページにつきましては、立川にございます昭和記念公園でございます。昭和記念公園は、米軍の立川基地として一度、その前にも陸軍とかそういうので開発されたところですが、そこに公園を整備し、緑の回復を図っている公園でございますが、その中で環境保全への取り組みということでは、まず自然とのふれあいの場を提供するということで、環境学習とか普及啓発の場を提供しております。多様な自然解説のシステムを導入したり、あるいは自然体験型レクリエーションの場を充実したりというようなことをしております。また、環境イベントを開催したりもしております。
 また、豊かな自然環境形成、生物多様性の保全という視点から自然環境の保全ということで定期的な動植物調査、あるいは適正な生態管理というものを行ったり農薬の使用を極力制限したりというようなこともやっております。草地性の生物の生息に配慮した草地管理、そういうようなこともやっております。例えば、バッタの生息に対しては、芝生を刈るのを少しずつずらしながら一度に刈ってしまわないとか、あるいは昭和記念公園には関東タンポポがたくさんございます。それをタンポポの種が飛ぶまで草刈りをしない、それが終わった後に草刈りをするとか、そういうような配慮とかいろいろ工夫をしているところでございます。
 その下にまいります。多様な生物の生育・生息環境の創出ということで、なくなった樹林の、武蔵の森の復元とか、あるいは水辺の創出、多様な草地環境をつくる、そういうこともやっております。
 また、環境への負荷軽減ということでは、特に植物性の廃棄物、剪定枝とか草刈りの草とか、そういうものの堆肥化というリサイクルも行っておりますし、園内は利用者がたくさんいらっしゃいますのでし尿等もたくさん出ます。そういうものも循環しながら中水利用していくというふうなこともやっております。
 その下にございますように昭和記念公園というのは、一番下にもございますが、明治40年頃の土地利用といいますと、狭山丘陵とか多摩丘陵からつながった丘陵地の緑が伸びてきていたわけでございますが、平成2年には右のような状況で、緑がなくネットワークとしての機能という面でも好ましくない状況でございますが、昭和記念公園、一たん開発されたところについて緑を回復して、現在では上にありますように動物もたくさん来ていると。鳥なんかでも年間 200種ぐらいが確保されたりしておりますけれども、生物の生息拠点というふうになっているというふうに考えております。
 次のページ、15ページでございますが、今度は環境保全活動の事例を、同じく国営公園の事例で例示させていただいております。
 武蔵丘陵森林公園でございますが、雑木林のボランティア活動でございます。市民参加による公園管理・育成の試みといたしまして「雑木林ボランティア」というものを設けまして、管理育成を管理事務所側と一緒に行っている事例でございます。
 それから野草ボランティア、これは昭和記念公園でございますが、園内の野草の提供を受けて除草、腐葉土づくり、あるいは清掃も含めていろいろやっていただいている例でございます。こういう例は他の公園でもいろいろやっております。
 それから、絶滅危惧種の保護・増殖という取り組みでございますが、常陸海浜公園ではサクラスミレというものの増殖を実験的に行っているところでございます。また、その下にございますように、ササの除去ということによってヤマユリが増加したというようなこともございます。
 次、16ページでございますが、環境教育という点からの事例でございます。
 公園の持っている自然環境の特性、あるいは自然の素材というものを生かした環境教育プログラムというものを、これは木曽三川公園でございますが通年開催いたしまして、さまざまな実体験を通じて楽しく遊びながら環境について学ぶ機会を提供しているというものでございまして、その環境教育プログラムというものを設けております。
 ここでは、公園管理センターとNPOがパートナー契約というのを結んで、実質の運営等をNPOにお任せしているという事例でございます。右にございますように、環境教育のプログラムといたしましては、フリープログラム、レギュラープログラム、それから専門家向けの環境教育指導者講座というようなものもやっております。フリープログラムでは、下にございますようにミニガイドプログラムということで、1時間ぐらいのコースでNPOの指導員が解説しながら歩く、あるいはセルフガイドといいますのは、受付などに、自分でパンフレット等を見ながらいろいろネイチャーハントができるというようなものでございます。
 それから団体向け、そういうものとか、それから環境教育指導者講座では、特にプロジェクト・ワイルド指導者ワークショップというのが、木曽三川だけではなく昭和記念公園なんかでもやっているわけですけれども大分人気でございまして、学校の教員の人たちもそれを受けに来ているというような状況もございます。
 これは、先程の前の2ページを含めまして、私の方の直轄公園での事例を申し上げましたが、当然これは都道府県、あるいは市町村レベルでも盛んにいろんなさまざまな活動がされております。当然行政、あるいはボランティア、そういう人たちによって環境保全、環境教育というもののいろんな実践が行われているところでございます。
 それから次に、今度は緑地保全という視点でございます。17ページでございますが、先程申し上げましたように、都市公園法と緑地保全法の2本の柱で進めてきておりますが、特に昨今公園の整備ということだけではなくて、民有地の緑の保全というのが重要視されてきておりまして、緑地保全法の改正がここ6年、7年、それから13年と行われております。
 緑地保全法は昭和48年に制定されておりまして、ちょうど47年に列島改造計画が作成され、その列島中の開発ブームの中で環境保全法が47年に制定されていますが、それと期を一にいたしまして、48年に都市部における緑地の保全ということで制定された法律でございます。48年制定当時は、その緑地保全法の柱は、2番目にあります緑地保全地区制度とその下の緑地協定、これは、当時は緑化協定と申しておりましたこの2つが大きな柱で法律がございまして、一方で、開発に対して緑を守るということで厳しい行為規制がかかった緑地保全地区が設けられ、また一方では、減っていく緑に対して住宅とか民有地の緑化を進めていくということで緑化協定という制度が設けられました。
 その後、緑化協定につきましては、緑を増やすというのは緑化という視点だけではなくて、それぞれの庭とか、あるいは裏山とかにある緑も保全するということも重要だということで、緑地協定という制度に変わっております。
 この2つの柱の流れできたわけでございますが、その後、生物多様性とかそういう時代の背景もありまして、平成6年に緑の基本計画制度というものを、先程申し上げましたように、それまでは行政側の資料的な緑のマスタープランというものを行政的に指導していたわけですが、それを法定化したわけでございます。それで公表を義務づけた。今回13年の改正では、公聴会等による住民意見の反映というものもさらに義務づけ、住民と一緒になってその都市の緑を考えて、それでつくっていく計画という制度に改善したわけでございます。
 それから、緑地保全地区制度はもともとある制度ですが、これについても幾つかの改正がされております。これも、後ほどこれに沿って順番に説明させていただきたいと思っております。
 それから市民緑地制度、これは緑地保全地区以外の樹林とかそういうものについて、公共団体と契約を結んで一般の市民に開放し、緑を守っていこうという制度でございまして、これ自体は緑地保全地区についてもできる制度でございます。緑地保全地区以外でもできるというような制度でございます。
 それから、その次にありますのが緑化施設整備計画制度、これは最近屋上緑化ということで大分話題になっておりますが、屋上緑化だけをいっている制度ではございませんけれども、これもまた後ほどご説明します。
 それから、緑地保全地区というのは、先程ご説明いたしましたが都道府県が買い取りの相手になっておりましたけれども、これについて民間の団体がトラス的なものですね、そういうものが緑を保全していこうとか、そういうような流れを受けて、平成7年に民間でもその土地を買い取ったり、あるいは緑地保全を管理したりということができる制度を設けております。それを緑地管理機構という名称で制度化したわけでございますが、今回13年、この8月の改正では、それにNPO法人も対象になるように法律改正しているところでございます。これについては続けてご説明いたします。
 18ページでございますが、緑地保全地区制度でございます。これによる動植物の生息・生育地の確保という視点でございますが、緑地保全地区、近郊緑地特別保存地区につきましてもほぼ同様でございますのでひっくるめてここに記載しておりますが、緑地保全地区の48年当時の指定要件は、そこにございますように、まず[1]緩衝地帯等として適切な位置、規模、あるいは形態を有しているもの。[2]伝統的、文化的意義を有するもの。[3]風致・景観が優れているものということでございましたけれども、平成6年に「動植物の生育・生息地として適切に保全する必要があるもの」というものも追加して指定できるようにいたしております。
 動植物の生育・生息地といいますのは、必ずしも都市において快適な環境のものばかりではないわけでございますが、そういうものについても都市の中では緑として保全していこうという、生物多様性とかそういうようなその当時の流れからこういうものを指定の対象にしたわけでございます。現在、緑地保全地区、近郊緑地特別保全地区から近畿と首都圏がございます。これを含めまして、現在 4,762ヘクタールということでございます。これの指定をどんどん増やしたいと考えているわけでございますが、公共団体が買い取り請求に対して対応しなくてはならないというところがありまして、なかなか公共団体側が指定を躊躇する面があるというのが現状にございます。
 平成13年度には公共団体だけではなくて、緑地管理機構という制度は平成6年につくっておるわけでございます。それから、そこにあります13年度の改正といいますのは、昨今樹林を持っている方たちが高齢化したことにより、なかなか自分でその森を管理できなくなってきているという実態もあるというふうに考えておりまして、そういうものについては公共団体が管理協定を結んで、公共団体がみずからその所有者にかわって管理をするというような制度も設けたわけでございます。
 なお、緑地保全、都市の樹林の問題といいますのは、大きな問題というのは相続税の問題が大きな問題として横たわっておりますが、緑地保全地区に指定されますと、さらにその管理協定、あるいは次にあります市民緑地という契約を結びますと、指定されていない樹林に比べて緑地保全地区で指定し、しかも管理協定または市民緑地の契約をした樹林は、相続税評価で4分の1以下になるような評価がされる実態がございます。この辺についても今後PRしていきたいというふうに考えております。
 それから市民緑地でございますが、これも公共団体と土地所有者との契約に基づいて、個人が持っている裏山の緑とか斜面林とか、そういうものを市民に開放しながら管理していこうというものでございますし、さらにそういうものを緑地管理機構のNPO法人とかそういうものが管理するということも可能なわけでございますが、これは緑地保全地区に指定されていない、先程も言いましたように、緑地保全地区については公共団体、指定は大分躊躇するような面もございますが、これについては指定されていないものについても契約してできるということで制度化されております。現在、96地区に72ヘクタールというものがございます。このほかにも、条例に基づいて市民緑地と同様の制度を設けている市町村もございます。
 次は19ページでございます。このほかにも動植物の生息・生息地の確保という視点から関連する制度といたしましては、歴史的風土特別保存地区ということでございまして、これはさらに厳しい行為規制がされているところでございます。現在、51地区 5,920ヘクタール、明日香につきましては、全村がこういう特別保存地区がかけられているという状況です。
 また、そのほかに風致地区という制度、これは都市計画の制度でございますが、これにつきましても自然的な景観を形成している土地を指定するようにしておりまして、これについても県あるいは政令市の条例におきまして、風致地区における例えば高さの制限とか建ぺい率の制限とかということが設けることができるというふうになっております。今回、ことしの3月に風致政令の改正がございまして、緑地率というものも条例で定めることができるというふうに政令条文化されております。今までは行政指導として緑地率ということを定めてもいいというふうに指導はしてきておりましたが、これは根拠がなかったわけでございますが、今回その政令改正でそういうものも設けております。
 そのほか、市街地における生産緑地制度、それから、都市における樹木及び樹林の保存制度、これも保存樹が現在 4,240本、保存樹林が樹林地で98万ヘクタール、生け垣で 1,500メーター、こういうものが指定されている状況でございます。
 緑地保全の事例を少し上げてみました。20ページでございます。
 これは川崎市の多摩緑地の保全地区の状況でございます。また、事例2は緑地管理機構に財団せたがやトラスト協会が指定されておりまして、ここが住民と市民緑地契約を結んで管理し市民に開放している事例でございます。
 また、事例3は古都保存でございますけれども、八幡宮の歴史的風土特別保存地区、鎌倉の八幡宮で、その神社を含めた周辺の森。鎌倉につきましては、その市街地を含めた周辺の緑が特別保存地区に指定されているわけでございます。
 続きまして21ページでございますが、先程ちょっと申し上げました屋上緑化に関連するものでございます。
 緑化施設整備計画認定制度というものを今回設けております。これは、建築敷地において20%以上の緑地、緑化を確保しようという制度でございまして、当然地上面の緑地が多ければ多いほどいいわけでございますがなかなか20%はとれないということで、屋上の緑化もそれに含めてもいいという制度でございます。そういうものを市町村の認定を受けた場合には、その緑化にかかわった施設の固定資産税について、5年間評価は2分の1にするという制度でございます。
 屋上緑化というものが生物多様性にどれだけ効果あるかということがあるかと思うんですが、生物多様性という観点が大きな目的ではございませんけれども、当方で調べた例がございます。都心のビルの屋上でこのようないろんな、昆虫類とかそういうものが確認されております。そういう意味では、空中を飛ぶ昆虫とか鳥とか、そういうものの移動の中継点としての十分な意味もあるのではないかというふうに考えております。私どもも国土交通省の上に屋上庭園を設けておりまして、そこでも50種ほどの昆虫が確認されております。
 以上が大体都市公園法、それから緑地保全法についてでございますが、そのほか緑化の推進に関しての普及啓発というものも進めております。
 簡単に申し上げますと、「みどりの愛護」のつどいということで、全国から緑を守り育てる団体や人を表彰するという制度。それから、「みどりの愛護」の功労者。例えば、公園の愛護協会、愛護団体とかそういうものを表彰するもの。それから、全国緑化フェア。これは、今現在石川県金沢城、もともと金沢大学のあった跡ですが、それを公園化しているものでございまして、ここで今都市緑化フェアを開催しております。これも都市緑化の普及啓発ということを目的に実施しているものでございます。また、そのほかに都市緑化功労者国土交通大臣表彰というものもございます。
 そのほか、私どもの関連の団体が主催で行っている顕彰制度としては、緑の都市賞、都市とか地域とか、あるいは緑の活動団体を表彰する制度でございます。
 それから、緑のデザイン賞。これは緑のデザインを応募しまして、それに対して助成をしていくという制度でございます。
 また、都市公園のコンクール。設計あるいは施工、管理、そういう面で都市公園を通して優秀な者を表彰していくというものでございます。
 また、花のまちづくりというもので、これは農水省と一緒に行っておりますけれども、花いっぱい、あるいは緑化推進、そういうもので努力されている市町村、あるいは個人団体等を表彰する制度でございます。
 次に、24ページ以降に、参考資料として現在の都市公園等整備七箇年計画を添付しております。
 これは、26ページがそれの表でございますが、7兆 2,000億円に対して来年度で 116%というような状況がございます。また、公園の1人面積につきましては、12年度の末で 8.1平米と。目標が 9.5と高いわけでございますが、なかなか進んでいないという状況でございます。それから、歩いていける範囲の都市公園というものも、65%まで伸ばそうというものについては61%の整備率と。それから、災害時における広域避難地の確保という視点からは、今現在重点的に整備をしているところでございます。
 次に27ページでございますが、これは来年度の都市公園の関係の予算要求の資料でございます。
 ご説明は以上で終わらせていただきます。

●岩槻委員長代理 どうもありがとうございました。
 非常に詳細なご説明をいただいたのですが、どなたからでもご質問なりコメントなり、ご発言をお願いいたします。はい、どうぞ。

●瀬田委員 武蔵丘陵の森林公園のことで伺いたいんですが、この絵ではボランティアの人たちが落ち葉拾いとか何かしているんですけれども、もうできて30年ぐらいになるんでしょうかね。その木がいわゆる里山の木といいますか、薪炭林に切られているというのがどんどんどんどん延びていくと、これは最終的に手を当然加えるのか、あるいはそのままにしておかれるのかということを伺いたい。というのは、実は海上の森の時にもオオタカがいるからどうだこうだというのがあって、愛知万博のが縮小になりましたね。その時に、最終的には国営公園にしたらどうかという議論がありました。
 その時に相談もされたんですけれども、国営公園にしてずっとその木を置いておけばいずれ切らなきゃならないかもしれませんね、その里山といいますか、二次林であれば。その時に、今度はオオタカの巣がどうだとか言われるかもしれないから、そう簡単にそれがいいというふうにはならないかもしれないよというようなことを、相談を受けた人には話したことがあるんですが、武蔵丘陵も、今これをこれからどうされるのかということがそ
の生物多様性とも関係していくるのかなと思います。ちょっとその辺を教えてください。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) 武蔵丘陵森林公園は、ご存じのように武蔵野の雑木林、それから松林と、そういうような状況でございますが、武蔵野国営公園では、その場所場所に応じて将来的に手を入れないで放置するエリア、あるいは雑木林としてずっと管理していくエリア、そういうものをゾーニング分けいたしまして管理しておりまして、当然雑木林については伐採をして下草刈りをして、そこにある植物もございますし、そういうものを管理していくというような考えで進めておりまして、全く木を切ってはいけないという考え方は持っておりません。むしろ、武蔵の雑木林とかそういうものは、当然木を切って管理しなければ成り立たないというふうな考え方をしております。
 ただ、現実的にボランティアさんとか、あるいは、昔の自然保護とはちょっと違うのかもしれませんけれども、自然保護的な考え方の人たちがやはりかかわってきますと、絶対切ってはだめだとか、そういうことを主張される人がおられるのも事実でございまして、現場ではそれでの軋轢はたびたひだ起こっているところでございますが、公園としては切るものは切るというスタンスでおります。

●岩槻委員長代理 ほかいかがでしょうか。はい、どうぞ。

●鷲谷委員 2つ、ご質問というよりはコメントというような感じなんですけれども、1つは緑化ということについてなんですけれども、緑という日本に独特の言葉で、植物を一括して量的にとらえるというとらえ方だと思うんですが、その緑化ということだと、時に生物多様性の保全と矛盾する面が出てくることが、実際にももう出ていると思うんですけ。それで、これからは量もとても重要だと思うんですけれども質ですね、中身を問題にする時代に緑化も入っていくのかなというような感じを持っております。
 場所とか、その緑化に用いる材料や方法によっては、とても生物多様性に寄与する効果があることもあるし負の影響もあることもあるという、そういう正負の生物多様性に緑化が及ぼす影響というものを具体的に検討して、負の影響は及ぼさないための方針というようなものをつくることも重要かなと思うんですね。
 どういうことを気にしているかといいますと、雑木林の中に緑化で使われたいろいろな樹木が入っていってしまって、園芸的な植物のいっぱいある雑木林というものができてしまうというような、一例はそんなことがあります。
 それから、実のなる木を植えるというのはとても鳥にとっていいことだというようなことで推奨されたりするんですけれども、でもそういう場所があると、本来だったら移動する鳥のはずなのにそこにとどまってしまうという問題が出てきたりするんですね。ですから、緑化して植物だけを見るのではなくて、その植物を利用している動物とか、あと移動分散、種というのは分散されるものですよね。そういうようなことを意識して、どこだったら何をやればよりプラスになって、あるいは、やってしまうと周りの生物多様性保全という目標と矛盾するかというような整理というんですかね、それがもし生物多様性にも寄与するということを緑化や緑地の事業の中に取り組むとしたら、そういうことが必要。ただ、量が増えれば生物多様性に寄与するというだけではないと思います。
 それから2点目なんですけれども、先程の話題ともちょっとかかわるんですが、国営公園というのは、里地里山地域にあってかなり拾い面積を確保している場所も多いと思うんですね。うまくそれを使えれば、その地域に特有な自然と人とのかかわりというものを残していく場になるんではないかと思うんです。今、そんなにたくさん見ているわけではないんですけれども、先程話題になった常陸海浜公園とか幾つか見せていただいたことがあるんですが、どちらかと言えば園地とか遊園地的な利用のゾーニングとか整備というのが優先されているような気がして、そのもともとの自然の持っているよさですよね、それがあまり生きていないなという、それは私が生物大学という立場なのでそういうふうに感じるのかもしれませんけれども、そういうふうに思いました。
 例えば、常陸海浜公園の話が出たんですけれども、あそこは海浜公園という言葉からもわかるように、やはり海浜の自然がすごく重要な場所ですね。関東地方でもうあそこしか残っていないと言えるような砂丘があります。ですけれども砂丘はやせてきてしまっていますし、砂丘のところまで花壇をつくっているというような感じの利用になっているんですね。
 砂丘の生き物というのはかなり今厳しい現状です。日本中砂丘的な環境がなくなっていくので、そういう海浜の生物の生息・生育場所を確保して、また、そういう特殊な生態系を観察できる人々が、そういう場となったらとても、ほかに全国どこにでもないものですから、地域の特性を生かした利用という面にも寄与すると思うんですね。どこにでもあるような施設にしてしまうと、利用する方にもそのうち飽きられてしまうではないかなという印象を持ちました。ちょっと話がそれてしまいましたけれども、以上です。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) まず、1点目の緑化でございますが、緑化につきましては、私どもで考えている緑化というのは、緑化と保全という言葉はちょっと分けて考えているところがありまして、緑化というのは新しく植えて緑を入れていくという視点を強く持っております。現実的に、先生のおっしゃるとおり多様性というものを考えて樹種の選定が必要だと思っています。
 ただ、場所によりましては、例えば市街地の真ん中とかと市街地の周辺では環境が全然違うわけでございますね。道路の街路樹に……

●鷲谷委員 私が申し上げたのはそういうことでなくて……

●国土交通省都市・地域整備局(末永) それは十分考えて、特に市街地の周辺では、その里山の保全とかそういう視点での今後整備管理というのを進めていきたいなと思っています。
 それから、園芸のものが入ったりとかという問題も現実にありまして、例えばの例でございますけれども、昭和記念公園では北の森というのを全く建設残土で山をつくっただけなんですけれども、そこには最初は森をつくればいいという発想で、ちょっと今具体名がふっと出ないのですけれども、日本の樹種を入れようと思ったんですけれども市場にないものですから似たような外来種を植えちゃったとかですね、とにかく森をつくるということを目的にしたという面がございます。
 でも、最近は生物多様性とかそういう観点がございますので、今後はそれを抜いてでももとあった樹種を変える必要があるだろうと。あるいは、もともと表土が全部なくなったところでの森の造成ですから、もともとあった武蔵野の野草というものが当然入ってこないわけですね。先程の絵にございますように、もう飛び地になっていますから飛んでくるところが遠過ぎるわけですね。そういうのも今考えていますのは、どこかの武蔵野の表土を持ってきてまいていくということも考えなくてはならないかなと。それもこういう生物多様性とかそういうのが大きな話題になってきたということを受けたものでございまして、昔はとにかく緑を増やすとかそういう視点でございましたので、そういう視点までいっていなかったというのが現実だと思います。
 ただ、今後公園の整備とか緑化という点ではそういうことが重要だと思っていますし、今回は、先程申し上げましたような緑の政策大綱というものをこれから策定するわけですが、その中でも生物多様性という視点を十分入れて大綱をつくっていきたいと思っています。
 例えば屋上緑化というのも特殊な場所ですから、そこで自然のというのはもともとおかしいわけでございますけれども、そういうところでも多少なり生物多様性に貢献することもあるのかなと。目的がちょっと違うので、そういう場所場所でのまた、公園とか緑化というのは目的もいろいろございますからいろんなバリエーションがあるわけですが、常にそういう視点は必要だというふうには考えております。
 それから、2番目の国営公園でございますけれども、先生が行かれたところはどうしても花壇を植えたとか、一般の人が行くところはそういうところが多いということもあるのかもしれませんけれども、どちらかと言うと地方につくる公園の場合は、利用という面が地元から要求されるということもあって、常陸海浜公園は遊園地的なものもございますけれども、常陸公園の中には松林も随分残っています。その中で、例えば森林の管理をするごとにオウメガサソウがどんどん増えていくとか、そういうこともありまして、今はまず人を入れるという観点から施設型の整備を進めてきたということがありまして、今後はそういう地元の人と環境教育とか環境観察とか、そういうものをやるものをつくっていきたいと……

●鷲谷委員 雑木林はよくやっていらっしゃるというのは存じ上げているんですけれども、砂丘が一番重要だと思うんです、あそこでは。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) 砂丘についてもですね、ちょっと名前は思い出せなかったんですけれども、何とかハタザオ……、ありますね、そういうものも十分残していこうというふうなことも考えておりまして、公園というのは利用と存在と、自然公園だと保護と利用ですけれども、公園の場合は存在機能と利用機能ということで、その辺のバランスを考えながら公園等を整備していきたいと思っていますし、今は国営公園でも、この時代の流れだと思うんですけれども生物多様性とか環境保全とか、あるいは環境教育とか、いろんなことを今積極的に取り組もうとしておりますので、先生のお話の……

●鷲谷委員 あそこしかないんですね、守れる場所が。砂丘の自然を守れる場所が、今はもうずっと開発されてしまったりしてあそこしかないものですから大事にしていただきたいなという……

●国土交通省都市・地域整備局(末永) わかりました。事務所の方にも伝えておきます。

●岩槻委員長代理 そのほかいかがでしょうか。

●三浦委員 きのうから国土交通省さんのレポートを受けているんですが、最初に基本方針のところで、都市・地域整備局の方にこのことを質問するのはどうかなとは思うんですが、全体との関連で、旧国土庁だったと思うんですが、全総の計画の中で、これは前もそうでしたけれども「自然のネットワークを重視して」といった作文とかですね、「国土規模での生態系ネットワークの形成」というふうにうたっていて、それで、これが基本方針にあって河川の方の説明を聞き、それから海洋、港湾、海岸といったわけですが、最後に都市緑地に至ったわけですけれども、今の説明の中で緑の生態系ネットワークというその全体構想の枠組みの中で、今の都市緑地の話が、例えば小田原の例が、藤沢ですか、ある市町村のこういう、これはビオトープネットワークというふうに書いてあるんですが、その辺の日本全体の中で多様な生態系をネットしながらつくり出していくといいますか、再生していくといいますか、そういう枠組みの中に国土交通省さん全体が、ちょっとグラウンドデザインの枠組みの中ですと見えにくいのかなという印象を受けたんですが、その辺の位置づけをお聞きしたいんですが。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) 私のところも、ちょっとその観点ではなかなか答弁しづらいところがございまして、都市については緑が少なくなってきたということで緑を守り育てようと、増やしていこうということで、その中で生態系のネットワークというものを考えていこうと。都市という場合に、当然首都圏とか近畿圏とか名古屋圏みたいに連帯した都市ですと、当然都市を越えて緑のネットワークというのを考える必要があるというふうに考えておりまして、そういうものについては、内部的にはいろいろ首都圏の緑のネットワークとか保全の計画とか、そういうものを内部的にはいろいろつくってみたりとかはしていはいるわけです。
 実際、それ以外の市町村というのは、私どもは都市という視点だけなものですから、それの周りというのは最終的には農地が囲んで、樹林の森林が囲んでその森林、それから山とかの中での大きな自然のネットワーク、生態系のネットワークといいますとちょっと都市サイドからは荷が重い話になってしまうと。それは、むしろ自然公園とか林野庁の森林とかそういうところで受け持っていく話だと思いますし、国土交通省も河川、道路の線のところではいろいろ考えられるわけですけれども、日本国土の尾根の緑とかそういうものになると、そうしてまで国土交通省といいますか、私どももまだまだ建設省なものですから、そこまでは議論されていなかったというのがあるのですが、国土庁も建設省に入ったという意味では、その辺も本来説明しなくちゃならないものかと思いますけれども、申しわけないんですけれども、今回はちょっと私の方では説明できないという状況でございます。

●三浦委員 その点でやはりお願いがあるわけでして、特に全総の中で、これがグラウンドデザインとして展開されていくわけで、私自身はこういうものを大きくうたっているその点は積極的に評価したいと思うんですが、その実態となると、やはり都市公園地域の中で一生懸命やっていらっしゃることはよくわかりましたし、生態系そのものを回復していくという志向、方向性も了解できるわけですけれども、にもかかわらず、例えば環境省の方が重要な生態系の抽出といったようなことが、これは都市近郊にかかわらず、あるいは河川、あるいは湿地等々でそういう試みをしているわけですから、国土規模での生態系ネットワークといったところで、これはまさに省庁間のネットワークの方が重要なんだろうというふうに思うんですが、その辺の連携が生物多様性という観点からするとまだまだというか、かなり立ちおくれているんではないかという印象を強くしたんですが、だからその辺を国土交通省全体の中で、こういう文言をうたう以上は核の取り組みとして位置づけていただきたいというふうに思います。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) それでは、国土庁も一緒になったということで、ある意味でちょっと私は失念しているようなところがあったのかと思いますけれども、国土計画局という組織もございますのでそちらにも十分伝えて、各省庁を取りまとめるという意味での国土計画というものについても伝えていきたいという、ちょっと私の方では荷が重いんですけれども、そういうことで先生の意向を伝えていきたいと思っております。

●三浦委員 そういう位置づけの中で、都市公園がその部分を構成しているという位置づけがやはり必要なんではないかというふうに思います。

●服部委員 三浦委員の意見と関連するんですけれども、緑の政策を説明していただいてわかったんですが、これが生物多様性に関する「緑」と、今説明いただいた公園緑地系統の「緑」というのとが、ダブっている部分とダブっていない部分があって、それが鷲谷委員の質問にもあったような感じになっているんだと思うんですよね。
 藤沢市の緑の基本計画の中で説明がありましたように、緑の基本計画が、系統別に、防災系統だとか景観系統、環境保全系統、レクリエーション系統という、切り口で立てられおり、環境保全系統が今回の生物多様性にリンクするのかなと言われたんですけれども、生物多様性という切り口はこれまでなかった。緑の政策大綱を今度つくり直されるというのは、タイミングがどのぐらいになるかわかりませんけれども、その時には生物多様性の保全という切り口を入れてもらったら良いと思う。総論としては、国土交通省の所管のところは、旧建設省で・旧国土庁も含めたエリアでそれを検討してもらって、全省的な緑の政策大綱、その中に生物多様性をどういうふうな位置づけにしていくかというのを入れてもらったら、三浦委員のおっしゃるようなのにも入るんではないかなと思うんですね。
 それが総論であって、それぞれ都市計画区域ごとにつくられる、あるいは市町村ごとにつくられる緑の基本計画というのは各論です。さっき鷲谷委員の言われた常陸海浜公園、あるいは武蔵丘陵森林公園の中ではどういうふうな扱いになるかという各論と総論とダブルでやってもらったらわかりやすくなるんではないかと思うんです。
 さらに、それをもっと省庁を渡っていうのが環境省で、今まとめてもらっているものが出てくれば、各省でどういうふうに分担するかというのがよくわかるようになる。まとめが大変ではないかと思うんですけれども、少なくとも国土交通省の中で緑の政策大綱を検討される中では、そういう観点というか切り口を綿密にきちっとやっていただけたら良いのではないかと思います。

●岩槻委員長代理 何か、ご発言。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) 十分先生の意見を受けまして、検討させていただきたいと思います。

●和里田委員 今のにも関連するかと思うんですが、この6ページの藤沢市の緑の基本計画を一応国土交通省の都市緑地サイドとして承認されているとすると、このビオトープネットワークの形成というのを柱として上げていますが、では、それは指定しっぱなしなのか。その趣旨を生かしていくということのためにはどういう工夫がされているから認めてあげているのか。
 先程から伺っている都市の緑化の問題でのいろいろな土地の管理だとか、その他に関するコントロールの制度もありますが、必ずしもそれは都市のみだけではなくて、川だとかその他のいろんな要素があるんだと思いますけれども、そういうものをネットワークとするというならば、それを生かしていく方策についてどうするのかということまでちゃんと見きわめた計画の認め方、あるいは今後の指導のあり方。また、制度的に足らないものがあるならば、少なくともそれはよその省庁云々だけではないと思いますから、少なくとも国土交通省で持っているいろいろな所管のところでのコントロールの仕方だとか、いろいろな方法も議論した上でこのネットワークというものを承認していくのでないと、単に建前上ネットワークというのを認めました、はやりですからということで終わってしまうんでは意味がないんではないかと思います。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) 緑の基本計画でございますけれども、これは市町村が独自につくる計画でございまして、そのつくり方については、国としてはあまりうるさく言わないという方針で、基準とかそういうものもございません。法律にございますように、これを決めなきゃならない、決めてもいいという制度になっております。それから、これはもう、この計画自体国が関与するような計画になっておりません。ですから、承認するとかそういうものでもございません。
 市町村が独自につくる計画でございますが、ある意味では行政的に前つくっていた緑のマスタープランのように、行政の内部資料になったのでは問題だということで公表を義務づけたり、住民の意見反映を義務づけたりという制度の改正をしていきているわけでございまして、この計画をつくるためには当然市町村によっていろいろなやり方があるわけでございますけれども、公共公益施設の所有者とか住民とか、そういう人たちといろいろ情報を交換しながら練り上げていくという計画になっているのが最近の例でございます。最初のころは行政がぱっとつくっちゃったというのもありますけれども、計画自体はそういうものでございます。
 国といたしましては独自に、最初に申し上げましたが、ですから中身の疎密というのは市町村によって随分違う計画でございます。国としましては、こういう計画に基づいたもの、公園でいいますと緑化重点地区を指定されたエリアについては包括的に補助金をやりますよと。個別ではなく統合的な補助金をやりますとか、緑地保全についても箇所別に補助するわけではなくて、そういう計画に基づいてやるものについては助成しますというようなこととかやっておりまして、国が承認するしないというものではないと。むしろ自治体が、そこの河川サイドなら河川サイド、道路サイド、いろんな港湾とかそういうところと協議した上、あるいは住民と話し合った上でつくっている計画でございます。
 緑の基本計画については、市町村独自に独自の工夫でユニークなものをどんどんつくって構わないということで指導している状況でございます。国としてもできるだけそれに応援していきたいとは思っておりますが、河川とかそういうところについては、十分計画をつくる段階で議論しているはずでございます。

●和里田委員 計画を認めた、認めないと、そういう大上段の話ではなくて、せっかく、しかもこういうところにあなたが持ってこられたならば、少なくともその市町村が描いたものが生かしていける仕組みというものを、国として政策的に助けていくということの視点でのお答えが欲しかったんです。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) いろいろ私どももいろんな手段を持っておりますので……

●和里田委員 民有地の場合の税控除とか、そういうものはないの。

●国土交通省(末永) 申しわけございません。いろんな施策を、国土交通省はいろいろ手段を持っておりますので、お互いの局と連携をしながらいろいろな施策を進めていって、また市町村がこういう制度をつくったものについては、制度面とか、あるいは補助とか助成とか、そういうものも含めて応援していきたいというふうに考えておりまして、今後も、その緑の政策大綱とかそういう中でもそういう政策を考えていきたいと思っているところでございます。

●岩槻委員長代理 私も2つほどコメントさせていただきたいことがあるんですけれども、1つは、公園緑地というのは緑に関係していますから、その生物多様性と国土交通省の中でも一番かかわりが深いところで、きょうのご説明の中でもそれが如実に出ていたと思うんですけれども、ただその説明の中で、例えば今問題になりました6ページの表の説明の時も、ここの部分は生物多様性に特に関係がありますというような説明の仕方だったと思いますし、それから、生物多様性というものが話題になったからますますこのことを取り上げなければいけないんだという、その項目として取り上げるというような形のご説明があったと思うんですけれども、実はそうではなくて、公園緑地の施策そのもの全部がもう基本的に生物多様性に非常に深くかかわりがあるんだという視点でやはり展開していただけたらと思うんですよね。
 それはどういうことかといいますと、例えばさっき緑化というのを、疑似かどうか知りませんけれども、自然を回復させるために緑化をするという部分と、それから新しく緑を導入するという部分があるという、それを明確に意識されているのはいいんですけれども、それで、例えば一番わかりやすい例は屋上の緑化のような例だと思うんですけれども、これは確かに新しく環境をつくるという形での緑化であるわけですけれども、そういう緑化をする場合に、これはもう都市のために非常に必然なことであって、それは非常に重要なことなんですけれども、それを緑化することによって何が起こってきたかということは、やはり十分モニターする必要があると思うんですよね。
 そのモニターをする場合に、例えば今日の表にも出ていますように、こういう時には大抵どういう虫が飛んできたかというような象徴的な例だけで語られることになるんですよね。それは、第一義的にはそういうことは非常に重要だとは思うんですけれども、だけど本当に起こっていること、生物多様性がそこでどういうふうに変化を来しているかということはそれだけでは見えてこないんですね。
 例えば、その土壌の中でどういうことが起こっているかというようなことは、やはりその生物多様性ということについていいますと基本的に重要なことなので、そこのところがモニターされて、それでその屋上緑化というのがどういうふうに有効に都市に機能しているかということがわからない。
 これまでもいろんな緑化とかいろんな植物の導入、具体的な例は上げませんけれども導入がされてきて、それが失敗であったというような事例もあるわけですけれども、それはやはり初めから悪いことをしようと思ってやったわけではなくて、いいことをしようと思ってやったことが結果としてそういうことになったという事例が、やはり日本の生物多様性に対する非常に大きいプレッシャーになってきていると思うんですけれども、その意味では、特に新しく緑化をするという場合には、僕は昭和記念公園もそうだと思うんですけれども、もっと回復されてきているといわれているその緑がどういう状態になっているのかということをモニタリングをしていただいて、それで、これは実はきのうも申し上げていたことなんですけれども、その結果、今何をやるべきかということを常に見ていただく必要があるんではないかと。
 その意味では、この計画全体がその生物多様性、もともとあった自然のよその生物多様性を保全するという意味と、それから、新しく生物多様性が導かれてくるのがそのもともとある自然とどういう並行関係を持つかという、それを知りながらこういう施策を展開していくということが基本的に必要だということが1つと、それからもう一つは、もうちょっと小さい問題かもしれませんけれども、例えば、公園というのが住民にとって非常に楽しい場所であるということが必要だということは、これは非常によくわかるんですけれども、その楽しいということを普及活動の中で、国民に対してどう伝えていくかということなんですよね。これはこびてしまったらいけないと思うんですよね。
 例えばリサイクルということを、落ち葉を集めて堆肥をつくってもとへ戻すというやり方というのが基本的、基本的かどうかは知りませんけれども一つの例として上げられましたけれども、本当のところからいいますと、自然のサイクルというのは落ち葉が落ちますと、そのところで腐葉土に変わっていくことの方が本当なんですよね。ところが今、特に都市公園でそういうことをやりますと、住民が汚いからとか虫がいるとかといって反対するということがあるわけですよね。
 その場合に、その普及というのは、住民と意見をあわせて話を進めていくというのは、必ずしも住民がそれを求めているから掃除をするということではなくて、本当に生物多様性という視点で都市公園を展開させていくなら、全部を一遍にそんな落ち葉を残す状態にはできないと思いますけれども、そういうことを住民に普及させながら進めていくというのが、都市公園を維持するという意味で僕は非常に重要な普及活動とのかかわりだと思うんですけれども、そういう視点をもし持っていただければ生物多様性という、生物多様性条約の意図が生かされた活動になるんではないかというふうに思うんですけれども。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) わかりました。生物多様性という視点を一つ大きな柱に、公園とか緑化とかというものをぜひ考えていきたいというふうに考えております。
 身近な公園につきましても、ぜひ環境教育とかそういう視点も踏まえて自然というものを理解してもらいながら、公園を運営、管理できるようなということも重要だというふうに思っていますし、考えていきたいと思います。

●岩槻委員長代理 どうぞ、阿部委員。

●阿部委員 5ページに多自然型の川づくりということで、川延長の約1割を目指すということが書いてあるんですが、この場合に、先程の緑のネットワークとこの川というのは当然リンクさせなければいけない問題で、それぞれが別個にあるものではないと思いますので、そこのところをどういうふうにお考えになっているのか。
 恐らく川の方では川で、しかも1割ぐらいという、これは当面の目標かもしれませんけれども、当然修復する場合には、全体を考えて多自然型を仮にやるとしても計画が必要であろうと思いますし、それと、川は川だけで成り立っているものではなくて、当然周辺の緑とのかかわりが必要だと思うんですけれども、その点に関してどういうふうな計画があるのかということをお聞きしたいと思います。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) ここで多自然型1割と、それぞれの事業ごとに1つの大きな目標として進めておりました。当時は数パーセントだったかと思うんですけれども、当然先生のおっしゃるとおり、川と緑というのはネットワークとして意味を持つという面があると思います。今、国土交通省では、省内ですけれども局間を越えた緑と水のネットワーク、当然道路の緑、それから公園、民有地の緑、それから川の緑、川の水もそうですけれども、それも含めたネットワークというものを考えて事業を進めていこうということで今検討しているところでございます。

●岩槻委員長代理 森戸委員でしたか、手を挙げていらっしゃった、どうぞ。

●森戸委員 大体言われたからいいんですけれども、ちょっとお聞きしたかったのは、緑の政策大綱ということをベースにして実際に進めてきているけれども、個別の法律では少しずつ改正が進んで、それから、多分これは藤沢だけではないんですけれども、各市町村のレベルでは現場において、当初の一番上に位置しているこの緑の政策大綱からはみ出したといいますか、緑に対するとらえ方をもっと多様にして進めているはずですから、こういう緑の政策大綱というのは、今策定しているというのですが、具体的にはどういう検討をされて、また、同じようなこういう政策大綱という形で進めるのか。あるいは、もう少し他の省庁との連携をとった別のタイプの大綱にするのかとか、その辺はどういうふうに考えられているんですかね。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) 今考えていますのは、もともと旧建設省の中での事業について、建設省としてこういうことを進めていこうということでまとめた計画なわけでございますが、そういう4省庁が統合したというのを機に、国土交通省でできる緑の関係の施策をまとめて国土交通省で進めていこうというふうな考えでおりまして、他省庁を取り込んでその政策大綱をつくっていこうというところまでは現在は考えていない状況でございます。

●岩槻委員長代理 ほか、どうぞ。

●篠原委員 13ページ目に、都市公園の種類と現状の面積がありますよね。もっと前の方のページには、ほかのも含めて全部公園緑地課でかかわれている緑関係のあれがあって、さっきからの議論を聞いていて思ったんですけれども、こういう施設とか、緑地保全とかすべてでその生物多様性に貢献できるなんていう無理をしないで、現実にどういう部分でどこを担えるのかというのをはっきりしてもらった方が僕はいいんではないかと思うんですよね。
 恐らく、近隣公園とか地区公園でやれることはかなり限られているでしょうし、一方でさっき鷲谷さんが言いましたけれども、国営公園ではできる部分がかなりあるんではないかと思いますし、何かその辺をはっきりさせてもらうのが生物多様性の国家戦略をつくる方にとってはありがたいんではないかなと思うんですね。ただ何かいっぱい書いてあるけれども、実際はなかなか物にならないという。
 それは私の意見なんですけれども、1つ、藤沢でもそうなんですけれども、河川との連携は非常に強く出てくると思うんですけれども、もう一つは、日本の都市計画の範囲は広いから本当は農村みたいなところも入っているわけですけれども、田舎の方のそういうところに行くとかなり屋敷林みたいなのがありますよね。あれは農水の関係なので国土省としては関係ないんですか。ああいうのが僕は小さなビオトープとしてかなり役に立っているんではないかなと思うんですよね。お答えいただかなくても、ちょっと農水と話していただいて、あれも維持するのに大変なんだけれども、僕の専門の景観の方でいうと地域を特色づけているし、ビオトープとしても非常に重要な要素ではないかなと思っているんですけれども。

●鷲谷委員 もう言ってしまったのですけれども、国営公園がかなり広くて、そういう地域で整備されるような時には積極的にそういうものを取り込んで、何かそういう風景を復元しているところがありましたよね。木曽三川公園、屋敷林まであったかどうかはわからないんですけれども古い農家みたいなものをつくって、景観的には再生しているような印象を受けたところもあったので、やろうと思えばできるんではないかなと思いますが。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) まず、篠原先生の件でございますけれども、先生おっしゃるとおり都市公園には、一番最初に、9ページにございましたようにいろんな機能がございまして、それぞれに目的を持って整備しております。ですから、当然生物多様性という視点とはかけ離れた公園もあるのは事実でございます。そういう中で、その生物多様性という視点で、それを一つの柱として公園の整備、緑化というものを考えていきたいと。当然、それぞれが違うということも踏まえた上で考えていきたいというふうに考えております。
 それから屋敷林の話ですけれども、農水省自体は、森林としての扱いで関係するのもあるかもしれませんが、都市計画区域であれば、調整区域の中の屋敷林であってもそれは緑地保全地区の指定は可能でございます。ただ、なかなか公共団体側が指定を躊躇しているという現状はあるわけでございますけれども、ぜひそういうのも指定ができればというふうに考えております。
 それから、鷲谷先生のお話の国営公園でございますけれども、国営公園の中に木曽三川の水屋ですか、それからビオトープ丘陵公園では昔ながらの屋敷をつくって、森をつくって、これは新しくつくっておりまして、あるいは道の森の湖畔公園では、東北6県を農家を移築してそういう村をつくっていると。それはあくまでモデル的なものとして残しているわけでございまして、都市公園はどうしても公共施設ということですので、通常ある屋敷林とかそういうのは、むしろ民有地の保全という視点からいろんな施策を展開していきたいというふうに考えているところでございます。

●岩槻委員長代理 時間は来たんですけれども、ほかにどうしてもというご発言はございますでしょうか。

●篠原委員 都市緑地保全法にするのは難しいと思うんですけれども、この緑地管理機構というのなんかで救えないんですかね、屋敷林とかそういうものは。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) 市民緑地とかは当然救えます。屋敷林の問題というのは、どちらかと言うと相続税の問題、つまり税金の問題の方が大きくて、先程ちょっと申しました緑地保全地区とかいろんな規制をかけると相続税は4分の1以下ぐらいになるという事実はあるわけでございますけれども、現実的には、そういう大きい土地を持っている人は宅地も大きく持っておりまして、宅地の税金が大きいということから屋敷林の方を売却するという、特に都市近郊でございますけれども、そういうような例があって、いろんな議論の中では、そういう屋敷林とかそういう都市の緑というものを相続税猶予、生産緑地の制度における相続税猶予、そういうような制度が本来あるとその保全が現実的にできるんではないかという議論はございます。
 ただ、国税についてはまた財務省が相当厳しい対応をいたしておりまして、なかなか税金については、税金での緑の保全というのをいろいろ要望したりしているんですけれども、現実的には大変厳しい状況ということでございます。

●森戸委員 屋敷林という個別のテーマが出たので、もう一つ具体的テーマとして考えてほしいのは、斜面緑地だと思うんですね。
 斜面緑地に関しては、はっきり言って自治体はなすすべがない。しかも、マンションとかの新しい技術開発ができちゃって、従来斜面でこんなところに家が建たないといったところに家を建てる技術ができて、それでだんだん緑がなくなっているわけです。これは、僕は政策的にターゲットとしてぜひ国の方で対応をしていただかないと、自治体はもうお金はないし法的にも対応できない。しかも周りの住民は斜面緑地がこうなっちゃっているから、とりあえず身近な自治体に苦情といいますか文句を言っているわけだから、そういうのはほったらかしにできない状況なのではないかなと。これは多様性という問題からは少し離れますけれども、都市の緑の中ではやはり争点として考えてほしいなと思うんです。

●国土交通省都市・地域整備局(末永) 斜面緑地というのは、特に都市の景観とかビオトープネットワークでも当然なんですけれども、特に見えるということから言いますと特に重要なものだというふうには考えております。ぜひ何とか残していきたいと、特にネットワークというのを残していきたいというふうに考えておりまして、そういうものについては緑地保全地区の指定が一番ふさわしいんだと思っているわけでございまして、国としてもそういうものを指導しているわけでございます。そういうものについては、補助とかそういうものでも応援していこうというふうに考えております。
 現実にはなかなか斜面的な、宅地化されていくというのも現実にはあるかと思います。国としても数年前の風致地区の制度の中でも、今まで斜面林での住宅の建て方を、結局建物の高さのカウントの仕方を、斜面林の場合は今までですと途中から測ってカウントするのを、それをできなくする制度を設けたりとか、いろいろ工夫はさせていただいている状況でございまして、自治体も斜面林については大変危機感を持っているのが現状でございます。

●岩槻委員長代理 ほかはよろしいでしょうか。はい、どうぞ。

●和里田委員 今斜面のお話が出たのでふっと思ったのですが、国土交通省の総括のお立場の方にちょっとお伺いいたします。道路の施工の際に相当斜面を切ったりして、一時はウィーピングラブグラスを植えたりとか何とかということはありましたけれども、やはり道路の整備に当たって、相当生物多様性についての配慮、努力というのはなされてきていると思うんですが、その辺の姿勢等についてお聞かせいただく機会が今回はなかったので。

●国土交通省道路局(富樫) 道路局から参りました富樫と申します。
 道路を整備することによって自然破壊とか、かなり地元住民等から強く批判等を浴びているという現状について十分承知しております。例えば斜面を切るとかという場合には、その表土を、普通であれば、例えばブルドーザーなりショベルカーなりで全部削ってしまえばよっぽど早いんですけれども、そういうことをしないで、表土を残してそれを保存しておいて、施工した後にまたそれを戻すなど、費用的には2倍、3倍ぐらいかかってしまうんですけれども、そういったことについて今後積極的に取り組もうとか、あとは、切り土、盛り土を極力減らして、できるだけ高架構造にしています。それもやはり額的には相当高くなってしまうんですけれども、極力そういった自然を破壊しないように、また極力保全できるようなそういった工法、そういったものについて積極的に今取り組んでいっています。
 どうしてもコストの面でいろいろと問題はあるんですけれども、しかしながら、自然を保全するということは非常に重要なことだというふうに考えておりますので、そういったところについては積極的に取り組んでいっているというような状況でございます。

●鷲谷委員 今、保全の努力をされるということだったんですけれども、ちょっと見聞きするいろんな事例ですと、今里山的なところに計画される、例えば北海道などを見ますと、もう既に牧場として土地利用されているようなところは、道路の土地が確保できないので里山的なところに大体計画がもちあがりますね。コスト面からミティゲーションもしないというようなことがあるようですが、こうしたことはだれかが指摘しないといけない。
 私は、北海道でサクラソウの研究をしているんですが、わざわざサクラソウの自生地をつぶしていくような道路計画になっていたんですね。今ミティゲーションをお願いしているところなんですけれども、気がつかないとやはり、今おっしゃったようなことが事業実施の標準になれば問題は少ないと思うんですが、まだまだ現場では標準になっていませんし、十分な調査もなく計画がつくられているというところもあると思います。現場隅々まで今おっしゃったような方針をお伝えいただけたらと思います。

●国土交通省道路局(富樫) 特にそういう自然に関しては首都圏でかなり強く言われていて、地方部ではなかなかそういう批判がないということで、我々自身もなかなかそういう意識を持っていないということについてそれは確かに認めるところでございますので、全国的に積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。

●服部委員 ちょっと済みません、各論はいろいろあるんですけれども、和里田委員もおっしゃったと思いますが、国土交通省内で、縦割りでやってしまうと今みたいな話が発生する。さっきの説明の時もうちの所管ではないんだけれども国土庁か何かになりますよね。生物多様性全体の戦略として国土交通省としてどう当たるかみたいな、それは一体となって何か考えてもらった方がいいんではないかなと思います。省庁はまたがるような、国土交通省と農水省みたいな話は環境省でまた音頭をとってもらうなり、この戦略でそういうのを調整していくと。省内で何か緑の政策大綱でやるのかどうかはわかりませんけれども、そういうのを検討していただけないかなというふうに思います。

●国土交通省総合政策局(板屋) まさにこれから検討していかなければいけないというところだと思います。1月に統合してそれぞれいろいろ今までやってきた中で、これからそういう観点で連携をとって考えていきたいというふうに思っております。

●岩槻委員長代理 では、よろしいでしょうか。
 大分時間が超過しましたけれども、どうも長時間ありがとうございました。

 午前中はこれで終わりにさせていただいて、午後はまた1時に再開させていただきますのでよろしくお願いします。

                             午後12時11分休憩

                             午後 1時00分再開


●生物多様性企画官 それでは、1時を過ぎましたので午後の部を始めたいと思います。
 岩槻委員長、お願いいたします。

●岩槻委員長代理 それでは、午後のヒアリングを始めさせていただきます。
 それでは、最初に文科省からお願いいたいしたいと思いますけれども、文部科学省は教育・研究バイオテクノロジーというのと、天然記念物というのと2本立てでご説明いただくというふうに伺っていますけれども、まず天然記念物の方からということでよろしいですか。
 では記念物課の大木課長からよろしくお願いします。

●文部科学省文化庁(大木) ご紹介を賜りました文化庁の記念物課長でございます。座らせていただきます。
 私ども文部科学省の行政につきまして説明のお時間をいただきましてまことにありがとうございます。今、ご紹介がございましたように、私どもの行政の中身、今回の案件にかかわるものは多岐にわたっておりまして、私は前段で文化財としての天然記念物に関しまして、文化庁の立場からご説明をさせていただきます。
 甚だ申しわけございませんが、途中で説明者を交代させていただきますのでお許しをいただきたいと思います。
 お手元の資料をご覧いただきながら説明を進めさせていただきたいと思いますが、1つはヒアリング資料の本体でございます。後ほどこれに則しましてご説明を差し上げるようにいたします。もう一つは、「天然記念物って、なに?」と題するカラーのパンフレットが配られておるかと思います。こちらをまずご覧いただきまして、私どもが所管をいたしております天然記念物行政のアウトラインにつきましてご理解を賜れればと思っております。
 表紙をあけていただきますと、中ほどに「天然記念物とは?」ということで、まず横に長く上の方に書いてあろうかと思います。天然記念物という切り口でございますけれども、その冒頭の説明のところの中ほどより少し下の部分にございますが、「学術上貴重で、わが国の自然を記念するものとして指定された動物、植物、地質・鉱物、そしてそれらに富む天然保護区域」という定義をいたしております。したがいまして、今回のかかわりでいいますと、動物、植物というのがこの中に含まれておりまして今回のヒアリングの対象になってきたものと考えております。
 天然記念物を保護する意義でございますけれども、かなりざっくばらんな言い方でもって上げてございます。パンフレットの右側をご覧いただきますと、1つは「歴史の証人」と称しまして、日本の自然の成り立ちを知る上で欠かせない学術的価値のあるもの、主として日本列島の成り立ち等と、地質的なものが多い部分でございます。
 それから、「日本の自然誌」ということで、日本の風土や文化を育んできた自然、すなわち「自然誌」としての意義を持つものだというとらえ方。それから、「人と自然とのかかわり」という観点から、日本人と自然とのかかわり方、また、心象風景を語る上で欠かせないもので、少し文化的な要素も含むようなものでございます。
 その保護手法といたしまして、「どうする?」ということで、パンフレットの右にまた掲げてございますが、1つは「まもる」という観点から、天然記念物は地域保全の原点だという認識に立ちまして、天然記念物をまもることは、自然全体と、自然にまつわる文化をまもることにつながるということで行政を進めております。
 それから、「いかす」ということで、最近非常に言われておるわけですが、一つ「まもる」という観点から保護をしつつも、やはり社会的にご理解をいただかないことには保護行政自体が成り立っていかないところがございますので、それを積極的に理解していただくべく、活用という言葉を使っておりますけれども、皆さんに理解していただけるためにこのような施策を講じていくことになってございます。
 そこの左下に移ってまいりまして、「まもる」というところをご覧いただきますと、パンフレットの緑で囲んで書いてございますが、「調査」、そして「保護増殖」、「行為規制」、「管理」というようなことを行っております。時間がございませんのでご紹介だけにとどめます。
 それから「いかす」というところですが、右側をご覧いただきますと、まず「観る」ということで、私どもは学校教育と社会教育をも所管しているという観点から、天然記念物を観察する機会をいろんな形でもって設けまして、学習や研究ができるようにしております。また、主として施設の整備という観点から、その中身の点からも充実を図っているところでございます。
 それから一番下、「識る親しむ」ということで、「観る」と関連いたしますけれども、シンポジウムや観察会、ソフトと申し上げましたがこのようなことも含めましてやっているところでございます。
 さらにパンフレットを大きく開いていただきますと、先程ご紹介いたしました3つの視点、「歴史の証人」、それから「日本の自然誌」、そして「人と自然とのかかわり」が、左から右に順次配列してございますが、歴史の証人ということからすれば日本列島の成り立ちということで、地質、鉱物の関係、あるいは化石の関係を行ってございます。
 それから「自然誌」ということで、そこに写真で掲げてございます諸々の動物、植物、それから自然のさまざまな景観に近いようなものまで含めて行っております。
 それから「人と自然とのかかわり」ということで、非常に長い間人々に親しまれてきたもの、例えばその写真をご覧いただきますと土佐のオナガドリでありますとか、それから日光杉並木街道のようなものも含まれてございますが、こういったものを広く対象にしておるということでございます。
 少し前置きが長くなってしまいまして恐縮でございますが、それでは本体の資料でご説明をさせていただきます。まず1ページ目をご覧いただきたいと思います。
 第3部1章第1節の7ということで、「保護地域の設置及び管理」の中の天然記念物という部分でございます。
 まず、私どもにかかわります記述といたしまして端折って申し上げますと、その(1)のところで「天然記念物の指定と保護管理」ということで、現在文化財保護法という法律の中で、史跡と名勝と、名勝というのは庭園ですとか、それから自然の景観ですけれども、これと天然記念物とをあわせて今現在保護を図っております。天然記念物は少し異質な要素が多うございますけれども、このような一体的な行政を展開いたしております。
 これは、古くは、その下にございますように、1919年の「史蹟名勝天然紀念物保存法」という戦前の法律がございまして、これが戦後間もないころに議員立法で文化財保護法という形に新たに装いを改めておるということでございます。
 その下にございますが、今現在で総数は 1,000件近くに上っております。我が国の生物多様性の保全にも大きく寄与してきたものであろうかというふうに考えております。
 (2)といたしまして、「天然記念物保護制度の充実」というのがございますが、こうした天然記念物の保護の一層の充実を図ることは、自然との共生の考え方の理解の促進に大いに資するものと理解しています。
 次のページをご覧いただきますと、指定の推進を図ることによって、自然環境の保護思想の普及啓発に役立つ施設の整備等を、地方公共団体等との連携も図りつつ一層推進する必要があるとのご指摘をいただいております。
 これまでの取り組みをご覧いただきますと、「2.当省におけるこれまでの取組み(平成8年度以降)」ということでございますが、古くからのものを含めればたくさんあるわけですが、ここ数年のものに限って申し上げますと、まず1つ目として、天然記念物の指定及び追加指定ということで、そこに掲げてございますようなものを中心といたしまして、11件ほど新規の指定を平成8年度以降行っておるところでございます。
 それから、さらには、既に指定されている天然記念物につきまして、そこに掲げてありますようなものを含め、4件ほど新たにその天然記念物の隣接地域を追加して指定するという措置をとってございます。
 それから2つ目でございますが、地方公共団体等による保護管理及び活用に係る諸事業への国庫補助ということで、例示してございますように、緊急調査、保存管理計画の策定、保護増殖、生息・生育環境の整備、土地の公有化、食害対策等、このような事業につきまして、地方公共団体が行うものについて国庫補助を行っているという進め方の仕組みが既に確立をいたしております。
 それから、天然記念物の保護体制の充実に関する諸々の調査研究も進めてきておりまして、指定や保護管理のあり方、活用方策等全般につきまして、平成10年度から調査研究を進めているところでございます。
 これらの関連の予算でございますが、額としてはそこに掲げてあるとおりでございますけれども、一部「*」印を付したものにつきましては、天然記念物という動物、植物、鉱物以外にも記念物行政全般、すなわち史跡とか名勝も含めますが、緊急調査事業 1,800万円、それから保存管理計画策定事業 1,600万円、保護増殖、環境整備、食害対策、土地の公有化、そのようなものにつきましてこれだけの予算を投入しておるところでございます。
 今後の予定でございますが、我が国の歴史・文化の特色を示す半自然環境等についてより体系的な指定を図るとともに、地方公共団体との連携のもと、より多くの主体の参加を得ながら、この天然記念物の総合的かつ計画的な保護管理の推進に資するための社会的環境の整備に努めることを重点に置きたいと思っております。
 また、持続的かつ循環型の地域社会の創生にも資するために、地域文化財としての天然記念物の効果的な活用につきましても引き続き検討を行いたいと思っております。
 引き続きまして、3ページをご覧いただきたいと思います。
 施策の展開第3部でございますが、その第1章1節の10といたしまして、「国際的な保護地域」ということで、(3)の「生物圏保存地域」ということでございます。
 この部分は少し毛色の違う施策でございますが、国連教育科学文化機関(UNESCO)と申しますけれども、その中の「人間と生物圏計画(MAB計画)」でございますが、これに基づきまして、屋久島等の4地域が生物圏保存地域としてユネスコ事務局長の認定を受けております。合計面積は約11万 6,000ヘクタールということになってございます。
 このようなことにかかわりまして、当省におけるこれまでの取り組みでございますが、ユネスコ、MABの要請を受けまして、我が国の生物圏保存地域のカタログが1999年に完成をいたしております。指定から10年を経過した時点での見直しと動植物相のリストの作成を行っているということでございます。
 関連の予算でございますが、ユネスコ事業計画の推進という観点から、開発途上国への科学技術協力事業の中で措置をしておるところでございます。
 今後の予定といたしましては、引き続きこのような事業、すなわち生物圏保存地域の指定を推進していくということにいたしております。
 それから、4ページをご覧いただきたいと思いますが、第3部第1章第3節の中の4といたしまして、「天然記念物制度による野生動植物の保護」ということでございます。
 諸々のご提言が関連する記述の中にございまして、端折って申し上げますと、(1)で野生動植物の保護ということにつきまして、体系的な指定の推進が必要であるということでございますが、すなわち系統的な指定の推進は、生物多様性の保護に一層効果をもたらすという観点からのものでございます。
 それから(2)といたしまして、「保護管理計画の策定と実施」ということで、保全生態学等の科学的手法の導入によってより的確な保存管理方策の策定及び技術体系の確立に努める必要があるというご指摘でございます。
 (3)は、「食害防止対策の充実」。それから(4)は、「生息・生育環境の整備」。それから、(5)といたしまして「指定地の公有化」と、こういう5項目にわたりまして施策を実施してきているところでございます。
 平成8年度以降の取り組みでございますが、これは先程ご説明申し上げたものと基本的に同じでございまして、天然記念物の指定及び追加指定を行うこと、それから既存の指定物件につきまして、その周辺地域等について追加的に指定をすることによりまして保護を図ってございます。
 それから、地方公共団体等による諸事業への国庫補助ということも先程ご説明いたしましたが行っておるところでございます。
 関連の予算がその次のページに出てまいりますけれども、平成13年度予算ということでこれも先程のものと重複いたしますけれども、そこにございますような金額を投入いたしておるところでございます。
 今後の予定でございますが、我が国の歴史・文化の特色を示す半自然環境等につきまして、より体系的な指定の促進を図ってまいる予定にしてございます。
 一方で、地方公共団体との連携のもと、天然記念物の総合的かつ計画的な保存管理の推進に資するために、適切な保存管理計画の策定を促進するためのマニュアルの整備、それから、食害防止対策としての総合的な保護管理方策の具体的実施の推進、それから、二次植生の維持管理に資する計画的保護管理方策のための体制の整備、安定的な生息・生育環境の確保のための指定地の公有化の推進等につきまして引き続き予算の拡充等に努めてまいりたいと思っております。
 次のページをご覧いただきたいと思いますが、第3部第1章第4節の2の「各種取組」、「保護地域の周辺地域の開発の適正化」にかかわります各種の取り組みでございますが、当省に関連する記述といたしましては、(4)で「天然記念物指定地」ということで、周辺地域における開発行為等による保全への影響を回避・防止するため、あらかじめ調査とそれに基づく措置の実施等の調整が行われており、生物多様性の保全に資する制度運用がなされているという記述をいただいております。
 これまでの取り組みでございますけれども、地方公共団体は行為者と開発行為を行う者と事前の協議を行いまして、影響評価の調査、保全方策の検討、保全措置等が適切に実施されるよう努めることといたしておりまして、このことにつきまして地方公共団体の担当者の会議等を通じまして、その普及を指導助言ベースで図ってきているところでございます。
 今後の予定でございますが、天然記念物の適切な保存を図るためには、指定地域周辺の緩衝機能や生息・生育環境の維持機能が重要である場合が多いということを認識いたしまして、環境影響評価に関する諸制度との的確な連携も含めまして、周辺地域の保全に適切に対処できるよう、今後とも地方公共団体との連携に努めてまいりたいと考えてございます。
 ここで一応一区切りでございますが、どういたしましょうか。

●岩槻委員長代理 どうもありがとうございました。
 引き続きそうしたら、今度はライフサイエンス課の方からご説明いただくということですか。

●文部科学省文化庁(大木) 私の分担部分の後半部分がこの後ございますので、そこまでご説明をさせていただきます。

●岩槻委員長代理 引き続きお願いできますか。

●文部科学省文化庁(大木) もう少しやらさせていただきます。
 9ページまで恐縮でございますが飛んでいただきたいと思いますが、第3部2章第1節の1、絶滅のおそれのある種に関する措置にかかわります基本的な考え方及び対策の現状でございます。
 このことにつきまして、当省に関する記述といたしましては、そこにご紹介いたしておりますような基本的な考え方及び対策の現状につきましてご指摘がございまして、今後の展開についても、文化財保護法に基づく事業を行う場合にあっても、十分な計画に沿って適切かつ効果的な事業の推進をするようにというご指摘でございます。
 この絶滅のおそれのある種に関する措置にかかわりましてはその次のページでございますが、当省におけるこれまでの取り組みといたしまして、平成8年度以降のものといたしましては、千葉県、埼玉県、神奈川県下において取り組まれている野生復帰を目標とするミヤコタナゴの飼育繁殖事業に補助金を交付したり、兵庫県下におけるコウノトリの野生復帰に向けた総合的な事業について補助金を交付するなどの対応を個別にいたしておるところでございます。
 関連予算は、保護増殖を目的としたものが 7,500万円ほどでございます。
 今後の予定といたしましては、天然記念物の生息地であった地域において、当該動物の野生復帰を図ることは地域の自然環境の総合的な見直しを必要とし、効果的に良好な自然環境の計画的な維持回復につながることから、近時、文化財を活用したまちづくりのテーマとされる事例も出てきております。こうしたことから、野生復帰の目標達成に向けた方策についてのマニュアルを整備するなどして、地方公共団体との連携を図ることといたしたいと、このように考えてございます。
 以上でございます。

●岩槻委員長代理 そうしたら、今までご説明いただいた範囲でご質問、コメントございましたらよろしくお願いします。鷲谷委員、どうぞ。

●鷲谷委員 質問なんですけれども、3ページで紹介していただきましたMAB計画に関してなんですが、調査と指定ということで割合簡単にここに記述されております。生物多様性の保全にMABが有効に機能するとしたら、調査したり指定したりということがあると思います。保全のアクティビティが国立公園と関連していたりとかいろいろあると思うんですけれども、どういうふうに保全に生かそうとお考えなのかを説明していただければありがたいんですけれども、もう場所を指定するだけなんですか。あとは何もしないということなんでしょうか。

●文部科学省国際統括官付(井村) このMAB計画の方でやっております生物圏保存地域の指定というものは、この生物多様性の保護、開発、文化的保護価値の維持を目的としたネットワーク活動を中心にしておりまして、保全、条件整備、開発の3つの機能を持つ地区ということで指定をされておりまして、現状としましては、昭和56年にこの4カ所、屋久島、大台ケ原、白山、志賀高原等が指定されましたけれども、指定されたことをどう生かしていくかというところが国内のMABの活動の一つの課題でもあるんですが、実は自然遺産よりも1年早くこの事業は始まっておりますが、世界遺産ということと比べましてもなかなか一般に知られていないということもありまして、今も日本ユネスコ国内委員会の方でもその辺をいろいろ先生方にご検討いただいているところです。

●鷲谷委員 これからの課題としてそういうこともお考えいただくということなんですよね、はい。

●岩槻委員長代理 その他ご意見、コメントはございませんでしょうか。はい、どうぞ。

●和里田委員 9ページの生息域外保全の関係で、当省におけるこれまでの取組みというところで、野生復帰を目標とするその飼育繁殖事業に補助金をつけたとかいろいろ出ていますが、この事業はどんな方がなさるんですか。

●文部科学省文化庁(花井) 失礼します。私天然記念物を担当しております花井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 先程ご指摘の点ですが、こうした事業につきましては大半の部分が地方公共団体が行います。コウノトリの事業でいいますと、これは兵庫県が取り組んでいる事業であります。その他の事例をミヤコタナゴで上げてございますが、これはいずれも市町村、市であったり町であったりが事業者になります。その事業者に対して2分の1の率で国庫補助をさせていただいているという形をとっております。

●和里田委員 それは業者の方がなさるんですか、そういう専門の学者の方がなさるんではなくて、業者の方がなさるから補助する、そういうような感じなんでしょうか。

●文部科学省文化庁(花井) いえ。実施するに当たりましては、まず有効に進めるために手法を検討し、それから、その検討結果に沿って手順を踏まえながら実施をしていくわけですが、事業者が第三者に委託するということはあまり例がないです。ほとんどの場合は市町村、都道府県が事業者の主体となりまして、適切な分野に渡る専門家の方々の参加を得ながら進めていく、という形態をとっております。

●文部科学省文化庁(大木) 通常は調査委員会のようなものを設けるのが普通でございまして、行政の現場だけでもって専門家を抜きにしてやるということはあまり考えられません。しかしながら、行政の現場でもって実際これら常勤の専門家をすべての分野に渡ってということは考えられませんので、具体的には大学の先生方にお願いすることが多いわけですけれども、大体そのプロジェクトを立ち上げる際に調査委員会を組織し、専門的な立場からのご助言をいただきながら進めていくという手法が一般的でございます。

●和里田委員 大所高所から見た、こういうものを保全する方向づけみたいなものがあって、それを受けてやるのか、それともちょこちょこっと事業が自発的に出てきたやつを適時対応してやるという計画性のなさなのか、どちらなんでしょうか。

●文部科学省文化庁(花井) 計画のなさというふうにおっしゃられましたが、それぞれ都道府県、あるいは市町村がその事業の意義ということをまず十分検討し、その上で野生生物の復帰を図るということですから、当然のことながら目標を達成するためにはさまざまな関係者の協力を得る必要がありますから、思いつき、あるいは場当たり的ではできることではないというふうに考えております。

●三澤委員 ちょっと話が飛びますけれども、今の問題と関連して、トキは特別天然記念物になっているわけですね。これは環境省がああいう形でいろいろ増殖等に努力しているわけですけれども、恐らく皆さんにそういうことを聞くと返ってくる答えはわかっているんです。片や天然記念物であるから文部省でそういう行政をやるんですと、こういう答えが戻ってくるんだろうと思いますけれども、行政の一元化というようなことについて、効率的に鳥を増殖していくという目的は同じだろうと思うので、その辺のことについてのお考えはいかがでございますか。

●文部科学省文化庁(大木) 要は、環境保護行政と文化財保護行政との区分けの問題であろうかと思いますが、これもかねてから随分言われていることでございまして、実は去る1月の省庁再編の際にも一つにテーマになった事柄でございます。
 私どもで言いますと、学術的な価値という観点からやっておりますし、環境省の方は環境の保全ということからやっておられるんだろうかと思いますけれども、実際に進める上では、形式的に学術だ、環境保全だということではなくて、事務ベースではかなり連絡をとりながらやっておるところでございまして、どこか抜け落ちるところがあったりとか、それから縄張り争いで重複があったりとか、そういったことは排除するように努力はしておるつもりでございます。ただ、役所の、どうしても設置目的との関係でいいますと、やはり学術的な観点でどうするかということにつきましては、学術的行政というものが従来から旧文部省でやってきたということもございますので、そのような観点から今文化財保護法の体系と、それから環境関係の法令の体系と分かれてしまっているということは確かにあるわけでございます。

●岩槻委員長代理 よろしいですか。他はいかがでしょうか。
 そうしたら、次へご説明を進めていただけますか。

●文部科学省研究振興局(郡) それでは、引き続きご説明させていただきます。私、研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室の郡と申します。よろしくお願いします。
 まず最初のところでございますが、7ページにございます。施策の展開、第1章生息内保全、第8節遺伝子組換え生物の安全性確保、2実験段階における安全性確保というところでございます。これに関連する記述が第5章の方にもございますが、主として、その第1章第8節の方が中心的な記述ということでまとめて書かさせていただいております。
 この点につきましては、組換え体が、組換え生物が環境中に放出された場合の影響につきましては必ずしも明らかでない部分がたくさんあるわけでございますが、ただ、その影響評価を適切に行っていくですとか、あるいは組換え体を扱う場合には適切に封じ込めて取り扱っていくと、こういったことが昭和50年代から連綿と努力が続けられてきておるわけでございますが、文部科学省といたしましては、特に組換えDNA技術におきますその実験段階のところ、それからそれに伴います組換え体、組換え生物の取り扱いに関するところにつきましてその他関係省庁との連携をとりまして担当しておるという状況でございます。
 特に、資料中にも記述しておりますが、この件につきましては昭和54年に、当時科学技術会議の方で答申を受けまして、組換えDNA実験指針(内閣総理大臣決定)ということで制定されまして、それから同じ年、若干先立つわけなんでございますが、文部省告示という形で大学等の研究機関等における組換えDNA実験指針が策定され、それ以降20余年に渡りまして運用し続けております。ただ、技術の進展が著しいこの分野でございますので、技術的な知見の集積等に伴いまして適宜改訂を積み重ねてきているということでございます。
 この運用の歴史と特段変わらないわけなんでございますが、8年度以降につきましてもその指針を適切に運用することに努めてまいりまして、組換えDNA実験指針につきましては平成8年3月、それから、大学等における組換えDNA実験指針につきましては平成10年1月に改訂をしております。
 さらにまた、最近の技術動向を反映させる必要があること、それから13年1月に科学技術庁と文部省が統合したわけなのでございますが、今両指針が並行して運用されているという状況にございますので、これを統一してそれらの観点からまた新たな改訂を行うべく作業を進めてございます。これにつきましては、できるだけ早期の策定運用を開始したあというふうに考えております。
 資料中にはございませんが、生物多様性条約のもとのバイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書というのが、もう既にご承知のとおり昨年1月に採択されておりまして、我々の担当は実験段階ということでございますので、環境中の放出が主として目的とされるものは少ない、逆に言えば封じ込めて扱うものが主なわけなのでございますけれども、十分関係がございますので、関係省庁と連絡をとりながら、また、研究開発の中では組換えDNA技術というのは必要不可欠な技術になってございますので、その適切な利用が図られるように配慮しつつ、これらの国際的な動きに歩調を合わせた検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

●文部科学省研究振興局(渡辺) それでは引き続きまして、ライフサイエンス、バイオリソースの関係の生物遺伝資源の保護と、それから残りあと教育関係の部分がございます。私ライフサイエンス課の渡辺と申しますが、よろしくお願いします。
 まずライフサイエンスの研究開発に関連したバイオリソース、生物遺伝資源に関連する保護の状況といったことにつきましてご説明をいたします。資料は11ページをご覧下さい。
 特に国家戦略の中でも第3部の第2章、それから第3章に記載をされている生物遺伝資源、特に第3部の第2章においては、従来旧科学技術庁における理化学研究所が行っておりました動・植物の細胞でありますとか遺伝子材料、こうしたもののジーンバンク事業、それから微生物の収集・同定、といった事業を実施してまいりました。
 それから、そのほかに生物遺伝資源では、特に最近、本年2月にヒトゲノムの概要解読の結果が公表されましたけれども、今後バイオテクノロジーの分野、特にポストゲノムと言われる研究分野で、生物遺伝資源を使う研究というのが活発化してまいります。そうした視点からも、生物遺伝資源の確保、あるいはその適切な保存についても配慮を行うということは重要と考えておりまして、そのための施策を平成8年度以降続けております。
 具体的に文部科学省におきましては、旧科学技術庁の時代から所管法人であります理化学研究所、あるいは旧文部省の所管の国立遺伝学研究所は、別々に運用されてまいりましたけれども両省が統合されまして、両研究機関は現在ライフサイエンス課が統一して所管をしているという状況にございます。
 また、生物遺伝資源の基盤開発の重要性を踏まえまして、理化学研究所におきましては、動・植物の細胞材料、遺伝子材料、それから動物個体のマウスやシロイヌナズナといったものを収集・保存・分譲する機能を拡充し、本年1月、筑波研究所内に、バイオリソースセンターというものを発足させております。
 当センターにおきましては、国内外の関係機関との連携により、各種リソースを国内外から収集をして標準化をし、さらにはリソースの研究開発も行いまして、関連情報等もあわせて提供するといった体制を徐々に蓄えつつございます。
 また、大学等におきましては、従来から動物、植物、それから微生物等の系統保存を行うための生物遺伝資源センターと生物遺伝資源に関する情報の収集発信を行います生物遺伝資源情報総合センターを整備してまいりました。このうち生物遺伝資源センターについては、各生物種ごとに幾つか、また生物遺伝資源情報総合センターにつきましては、国立遺伝学研究所といった研究機関に対しまして資金の援助を行っておるという状況でございます。
 12ページには、この関連予算としまして、今年度予算を示しています。バイオリソースセンターに関しては約30億円、それから微生物の系統保存、あるいはそのほか学校の系統保存関係にそれぞれ所要な経費を措置いたしております。
 来年度以降につきましては、バイオリソースの整備体制の重要性というものについて、改めて議論しており、新たにナショナルバイオリソースプロジェクトを推進するための経費を現在構造改革特別要求で要求しております。これは、従来まで各大学とか、あるいは理化学研究所も含めてですが個別に行ってきましたバイオリソースについて、国として整備することが重要なものについて、しっかりと収集保存整備等についてサポートしていくという体制を整えるというものであり、現在財政当局等と議論しているところでございます。
 続きまして13ページでございます。
 こちらは、特にバイオテクノロジー関連でございますが、DNA解析の推進という視点から旧科学技術庁を中心にこれまで解析が行われております。
 具体的な記述としましては第3部第5章にございますが、ヒトゲノムの塩基配列の解析、国際的なゲノムデータベースの供給体制の整備といった視点についての施策が紹介されております。特に、1995年から、当時の日本科学技術情報センターを中心にしまして、国際ヒトゲノム計画の一翼を担いましたDNAの塩基配列の決定についても参加をいたしております。
 こうした活動についての具体的な平成8年度以降の動きとしては、特に平成10年の10月に、理化学研究所の横浜研究所にこうしたゲノム科学研究を中核的に行うゲノム科学総合研究センターが設置されております。このセンターにおいてはヒトゲノムの塩基配列の解読、それから、後ほど出てまいりますタンパク質の構造解析といった研究を行っております。
 我が国は、このヒトゲノム計画について、当初は日本科学技術情報センターが中心でございましたけれども、途中からゲノム科学総合研究センターを中心に解析を行ってまいりました。その結果、我が国が主として参加してまいりました21番と22番染色体につきましては完全解読を終了いたしておりますし、また、その後現在は、資料の一番下にありますけれども、11番、18番については理研、8番染色体については慶応大学で精密解読を継続しております。
 本年2月に発表されましたヒトゲノムの概要解読の結果でございますが、そこでも特に21番染色体につきまして、既知の遺伝子に加えて新たな約 100種類の新規遺伝子が発見をされております。
 また、ヒトの遺伝子の総数につきましても、従来約10万個と推定されておりましたが約3万 1,000個ということが2月の段階で明らかにされております。こうしたヒト遺伝子の数の推定におきましては、このゲノム科学総合研究センターで行ってまいりましたマウスの完全長cDNA、こうしたデータが活用されております。
 関連する予算としましては、理化学研究所のゲノム科学総合研究センターにおきまして、ヒトゲノム解析については約15億円という経費が措置をされております。
 続きまして14ページでございます。
 こちらも同じく第5章のバイオテクノロジー関連でございますが、タンパク質の構造・機能解析に関してでございます。
 具体的には、ヒトのDNA、遺伝子は、生体内におきましてタンパク質を発現し、そのタンパク質がいろんな生体内の遺伝子、あるいはタンパク質の相互作用において複雑な生命活動を担っておりますが、こうしたタンパク質の構造と機能について解析を行っております。
 先程申し上げました理化学研究所のゲノムセンターにおきまして、大規模なNMR施設の整備を行っております。具体的には、現在既に20台のNMR、これは 600メガから 900メガまでございますけれども、整備をしておりますが、来年度はこれを40台にまで拡充をすべく、現在予算要求を行っております。また、結晶化したものにつきましては、兵庫にございますSPring−8という施設を使って解析を行っております。
 タンパク質については、今後、およそ10万種あると言われるタンパク質のうちの約1万の基本構造を網羅的に解析しようという試みが日米を中心に計画されております。我が国はその3分の1を今後5年間で解析をしていくということで、「タンパク3000プロジェクト」というものを現在計画しております。
 それから、ちょっと説明関係資料の順番が飛びますけれども、19ページをご覧いただけますでしょうか。ここからは国際関係の協力についてご説明いたします。
 国際協力の視点では、UNEP、FAO、OECDを初めとする国際機関等の開催する会議に参加をして、さまざまな情報交換、あるいは多国間の条約等に基づく協力を行っております。
 具体的には、OECDのCSTPにおきまして、生物多様性に関する地球規模の問題についての科学技術上の取り組みについて対応を検討しております。本年3月には、このCSTP議論を踏まえまして、世界中の生物多様性に関するデータをすべての人が自由に利用できることを目的にしまして、地球規模生物多様性情報機構、GBIFといっておりますが、こうした機構が設置をされております。このGBIFの理事会の副議長には本日の委員長代理でございます岩槻先生が選出されておりますし、そのほかの委員会にも我が国からメンバーが参加しております。また、事務局はデンマークに設置をされることが決まっておりますけれども、事務局にもしかるべく人材を派遣するように現在調整をしております。
 また、科学技術振興調整費におきましては、「我が国のリーダーシップの確保」という制度が今年から採択されておりまして、この中でも生物多様性の情報基盤に関する課題を採択して、こうしたGBIFの活動等にも発信を適用しまして、生物種標本に関するデータベースの構築等を行っております。
 そのほか、先程議論にございましたユネスコのMAB計画等につきましても積極的に参加をしているところでございます。
 関連予算につきましては、国際取り組みの推進に関します予算、それから振興調整費、そのほか本GBIFに対する拠出金、それからユネスコ事業への協力を行っております。今後ともこうした事業については、引き続き推進していきたいと考えております。
 それから、20ページでございます。
 こちらは、地球圏・生物圏の国際共同計画(IGBP)という事業がございます。従来からこのIGBPにつきましては全地球を支配する物理的・科学的な、あるいは生物的諸過程とその相互作用を究明するということを通じて、過去から未来に至る地球環境の変化、それから人間活動等について理解し解明する研究を行っております。こうした中でも、地球の温暖化とか、あるいはオゾン層の破壊等の問題、そうしたことが生物に関してどういう影響を与えているかということについても研究を行っております。
 特に平成8年度以降では、地球のサブシステムごとのコア・プロジェクトとそれらを統合する枠組みを提供して、地球の環境変動研究を推進しております。例えば、地球変動と陸域の生態系との相互作用、あるいは土地利用との関係、温暖化や汚染、海洋生態との関連等の解明を1990年から進めておりますが、こうしたものを統合する取り組みとしまして、全地球規模の生物化学システムモデル開発といったことを行っております。
 また、国内におきましても、学術会議の地球環境連絡委員会のもとにIGBPの専門委員会を設けまして、各大学や研究機関と連携をとりつつ活動しております。また、第2回の「IGBPコングレス」というのを99年に開催しております。
 今後につきましても、「フェーズII計画」というのがこれから始まってまいりますが、国内の大学研究機関の貢献等を含めまして、IGBP事務局への支援を継続したいというふうに考えております。
 それから21ページでございますが、こちらは南極地域の観測事業でございます。こちらは1956年から南極地域の観測を実施しておりますけれども、南極の生物相を対象にした調査研究等を行っております。
 特に平成8年度以降におきましては、「南極地域観測第V期5か年計画」におきまして、「南極域から見た地球環境変動と電磁圏−大気圏−生物圏の総合結合作用」につきまして研究を行っております。こうした中で地球規模の温暖化現象やオゾンホールの出現等、環境変動と生物圏の中・長期のモニタリング等について力を入れておりまして、地球規模の変動、南極研究国際計画等の推進を呼びかけて、諸外国ともリンクした研究を行っております。
 今後につきましては、「南極地域観測第VI期5か年計画」というのが今年度から始まっておりますので、こうしたことを通じまして、季節ごとの海氷域における表層の生態系、それから中・深層の生態系の栄養循環、それから南極の湖沼生態系の構造等についての研究を行っていくことにしております。
 それから22ページでございますが、ここでは、OECDにおけますバイオテクノロジーに関する活動についての参画についてでございます。
 このうちOECDにおいては、CSTPのもとにバイオテクノロジー関連の諸問題を検討するワーキングパーティが設けられております。特にこの中でも、さらにサブワーキンググループが設けられておりまして、知的所有権、それからバイオリソースに関するあり方についての検討が行われておりまして、当省からも具体的にこの活動に参加しております。来週この会議が開催されますし、特にバイオリソースについては、今月の中旬に同じくワーキンググループ等が開催されることになっておりまして、今後とも引き続きこの活動には積極的に参加していきたいと考えております。
 続きまして、特に教育に関する取り組みにつきまして紹介いたします。

●文部科学省生涯学習政策局(山下) 文部科学省生涯局政策課の山下でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私の方からは、学校教育、社会教育等の文部科学省の取り組みについて説明させていただきます。
 文部科学省においては、学校教育及び社会教育において生物多様性に関する理解を深めさせることとしております。まず、学校教育における取り組みでございます。済みません、資料の15ページを見ていただけますでしょうか。
 学校教育においては、従来から国が定める教育課程の基準である学習指導要領に基づいて、小・中・高等学校を通じて、児童生徒の発達段階に応じ、主に理科を中心に植物や動物の生活と種類、生物のつながり等、生物多様性やその保全の重要性について指導が行われてきているところでございます。
 小学校、中学校、高等学校と、学校段階が上がるにつれて、理科において生物を観察し、生物と環境とのかかわりについて学習するなど、具体的な活動を通して、順次生物の多様性、生態系、自然環境の保全の重要性などについて、より深く学習していくこととしております。
 また、理科以外では、小学校の生活科で動・植物の飼育、栽培や観察を行うこと、中学校の技術・家庭科で作物の栽培や栽培に適する環境条件を知ること、道徳の中で自然の大切さや生命尊重の観点を学習すること、特別活動の中で学校行事などで体験活動を行うことなどを通じて自然環境にかかわる学習が行われているところでございます。
 新しい学習指導要領は、平成14年度から小・中学校において全面実施され、高等学校において15年度入学生から実施されますが、引き続き理科を中心として生物多様性やその保全の重要性について指導することとしておりまして、特に自然環境に関する学習をこれまで以上に重視しているところでございます。
 中学校理科では「自然と人間」という項目を設けまして、自然界のつり合い等について学習し、自然に対する総合的な見方を育成する中で、自然環境保全の重要性について認識させることを重視したり、高等学校理科では、生物とそれを取り巻く環境を中心に多様な生物と自然界のつり合い、自然の探究の仕方などについての学習する「理科総合B」という科目を新たに創設したりしまして学習を進めていくということとしております。
 また、新学習指導要領では、新たに「総合的な学習の時間」を設けまして、地域や学校、児童生徒の実態に応じて体験的、問題解決的な学習を通じまして、教科横断的・総合的に自然環境などについて調べる学習などもできるようになっております。
 文部科学省としましては、今後とも、各学校において自然環境などに関する学習が適切に行われるように、新学習指導要領の趣旨の理解推進を図っていきたいというふうに考えております。
 具体的には、関連予算のところに上げておりますが、都道府県や市町村教育委員会の指導主事や教員等を対象として新教育過程説明会を開催しまして、新学習指導要領の趣旨等に基づいた教育が各学校で行われるように指導しているところでございます。
 あと、初等、中等教育以外でも、高等教育の取り組みといたしましても、この資料では特段触れておりませんが、概略の中で新たな生物の多様性を称した要因を解析するような授業科目等を受けているところもあるようでございます。
 次に、資料の16ページ、今度は学校外の関係、社会教育なんですけれども、社会教育における取り組みについて説明させていただきます。
 社会教育の分野では、特に子どもたちに自然とふれあう自然体験活動などの体験活動の機会を提供することによりまして、子どもたちが自然に対する理解と認識を深める学習という取り組みを進めてきているところでございます。
 文部科学省におきましては、平成14年度の完全学校週5日制の実施に向けて、地域で子どもを育てる環境を整備することを目指した「全国子どもプラン」を関係省庁の協力を得ながら推進しているところでございますが、その中の重点施策として、地域における子どもの体験活動の情報提供などの体制の整備とか、子どもたちの活動の機会の場の拡大を上げてさまざまな事業を行ってきております。
 それが当省におけるこれまでの取り組みというところでございますが、例えば、地域のさまざまな分野の官民の協力を得まして、親や子どもたちにさまざまな活動の情報の提供を行う「子どもセンターの全国展開」とか、自然体験活動等の体験活動を各省庁と連携して実施している「子ども地域活動促進事業」というようなものを行っております。例えば国土交通省さん、環境省さんと連携した「子どもの水辺再発見プロジェクト」など、さまざまな活動を促進するような取り組みというものを行ってきております。例えば「子ども長期自然体験村の設置」も行っております。これは農林水産省さんと連携しながらやっているところですが、子どもたちが夏休みなどに自然の中で親と離れて2週間程度の長期宿泊をして、農業体験などを実施するものです。
 それで、あと先般の通常国会においても、そういう体験活動の促進を図ることを目的としまして学校教育法や社会教育法を改正したり、民間団体の行う体験活動等に対して助成を行う「子どもゆめ基金」等の創設をしてきているところでございます。
 次に、18ページをあけていただけますでしょうか。
 天然記念物を通じた取り組みということで、文部科学省や文化庁がございまして、その中で取り組みを進めているところなのでございますが、天然記念物というのは学術上価値が高く、我が国の自然を記念する貴重な財産として保存されているところでございます。これまで天然記念物の公開や活用については、ともすれば、その貴重さのゆえに慎重になりがちだったところでございますが、近年環境やふるさとへの関心が高まって、天然記念物を地域の貴重な財産として見直し、生涯学習や環境教育の場として活用し保護していこうとして県が盛り上げてきているところでございます。
 このため、天然記念物に触れ、その成り立ちやメカニズムを目の当たりにすることによって、天然記念物が我が国の歴史や文化を育んできた第一級の自然であることについて、地域住民や広く国民に理解を深めてもらい、その保護の一層の充実を図っていくことを目的として天然記念物を整備活用する事業を行ってきているところでございます。それがこの18ページの資料になっているところでございますが、関連予算として、補助金総額 1,259百万円という形で計上してきているところでございます。
 その関連する資料「天然記念物って、なに?」というパンフレットで配布させていただいているところでございます。詳細についてはそちらを拝見していただければと思います。
 私の方からの説明の方はこれで終わらせていただきます。

●岩槻委員長代理 それですべてですね。どうもありがとうございました。
 詳細なご説明をいただいたのですが、どなたからでもご質問なりコメントなりお願いいたします。鷲谷先生、どうぞ。

●鷲谷委員 2つあります。
 1つは科学研究の方なんですけれども、文部科学省が管轄されている大学等での科学研究において、バイオテクノロジーにとても力が入れられているということは日頃からよく存じ上げておりますし、今日の新戦略に向けての説明も、主にそういうところだったと思います。大学でも細々とですけれども、生物多様性の保全に具体的に資するような野生動植物の生態の研究などが行われていると思うのですが、そういう生物多様性の保全に資する研究ということに関してはどんな方針をお持ちでしょうか。あるいは、そういうような研究は社会的にあまり重要ではないとお考えなのかというようなことも含めて、第1の質問です。
 それから、2番目は学校教育における新たな取り組みということなんですけれども、新しい学習指導要領で自然環境を調べるような学習が強化されるということはとても歓迎したいことだと思います。ただ、総合的な学習なので、小学校とかのお手伝いをさせていただいたりした経験から言いますと、今の先生方は自然を余りに知らな過ぎるように思うんですね。
 それで、これからなすべきこととして、学習指導要領の理解、説明ということに力を入れられるということなんですけれども、それだけではちょっと不十分というふうに考えておりまして、むしろその部分については学校の外から指導者を招くようなことが必要かと思います。総合的な学習では多少はそういうようなことも計画されているんだと思うんですけれども、大々的にやらないとなかなかうまくいかないのではないでしょうか。自然に関して本当に意味のある学習というものを子どもたちにできるかどうか心配をしております。
 以上です。

●文部科学省研究振興局(渡辺) まず、最初にご質問のありました、特に野生の動植物等についての保全に関する取り組みでございますが、先程ご説明した中で、11ページの方で少しご紹介しました生物遺伝資源のセンターというのは、比較的これは組織としても措置されているわけでございますけれども、そのほかにも系統保存ということで、これは特に、例えば野生のメダカでありますとか、生物でいうとカキとか植物でもいろんな種類、これらについて全国についていろんな大学、これも特定の学部に偏らず医学部、農学部、薬学部、それから理学部等が行っていますこういった保存に関する事業につきましては、系統保存のための予算というのが措置されております。
 そうしたところを通じまして保全をしていっておりますし、あるいは、さらに個別の基盤的な研究という過程でこうした保全をやっていくことに対しましては、科学研究費の補助金等を使って措置をさせていただいておるというところでございます。こうした特に基礎研究の重要性ということからこの科学研究費補助金につきましては、近年大幅な増額等を行っておるところでございまして、個人研究に対する支援ということについても十分に行っていきたいというふうに考えております。

●文部科学省生涯学習政策局(山下) 学校教育の観点についての質問というよりもご提言というふうに承りたいところだと思うんですけれども、確かに学習指導要領を今度実施していく時の説明会だけでは足りないではないかと。むしろ、説明会というよりも外の人を学校に積極的に導入するような取り組みを進めるべきではないかというご提言だと受けとめさせてもらいますが、もちろん全体的な、これは生物多様性とかそういうのだけではなくて、さまざまな例えばITにしろ何にしろ、学校の先生だけではこの時代の変化に通じてすべてオールマイティ、オールラウンドに教えられると考えておりませんで、外部からのいろんな人たちと協力しながら学校教育を推進していくと、これはもう大きな学校教育の今の流れでございます。
 その中で、例えばいろんな生物多様性との関連についても、確かに小学校の先生にも、理科とかがうまく指導できないような方もいらっしゃるのではないかとのご懸念をお持ちになった上でのご提言ではないかと思いますし、そういう声を聞くこともございます。外部の人たちと協力しながら授業を行うということはすでに行われておりますし、今後とも、例えば説明会等でもそのようなご意見があったというのを反映させていければというふうに考えております。

●岩槻委員長代理 渡辺委員、どうぞ。

●渡辺委員 組換えDNA実験の安全性を確保するための指針といいますか、実験指針というのがありまして、科技庁関係と文部省関係と2つに分かれていたものを統合したんですね、これは省庁統合の一つの小さいかもしれませんが効果的だと思います。
 しかし、既に私どもヒアリングで、農水省がやはりバイオテクノロジーをいろいろ研究を進めていらっしゃると、実験をしていると。この後経産省、厚労省がやっていますが、この実験指針について他の省が持っているその安全性のガイドラインと、文科省が統合されたそのガイドラインと相当違うものですから、何か全体で統合しようというような動きはあるのかないのか、これが1つです。
 それから、もう一つのご質問は11ページですが、バイオリソースセンターができた、あるいは生物遺伝資源センターがある、さらには生物遺伝資源情報総合センターがあるということなんですが、この辺はみんなそれぞれ趣旨があって違うセンターなんだろうとは思いますが、これも場合によっては、統合することによってより効率的なむだのないものができるかもしれないなと、まことに素人的、事務的で恐縮ですけれども、その辺の考えをお聞きしたい、2点です。

●文部科学省研究振興局(郡) 1つ目の点でございますけれども、ただいま先生からご指摘がありましたとおり、組換え体の安全管理といいましょうか、安全確保に関します取り組みは、実験段階が文部科学省、それから利用段階ということで経済産業省、農林水産省、厚生労働省ということで指針がございまして、むしろその後者3つの省庁は人なり環境なり、あるいは産業への利用に向けての安全性評価ですとか、そういった形での取り組みを中心に行っています。非常に省庁多岐に渡っておりまして構造的には複雑なのでございますが、今それぞれよく連携をとりまして、今までのところ円滑に業務が進んできているのではないかというふうには考えております。
 ただ、先程もちょっと触れましたが、遺伝子組換え生物を環境中にといいましょうか、その遺伝子組換え生物の国境を越えた移出入により関します新しいカルタヘナ議定書というのが今度採択されております。それには各関係省庁力を合わせて対応していかざるを得ませんので、こういった議論の中で連携体制についてまたいろいろと議論が出てくることと思いますが、現時点ですべての取り組みを一本にしようということは出てきておりませんけれども、そのあたりは、さらにそういったことをきっかけに連携に関して充実した議論をしていきたいというふうには考えております。

●文部科学省研究振興局(渡辺) 2つ目にご質問いただきました11ページのバイオリソースに関する点でございますけれども、ご指摘のとおり、例えば理研のバイオリソースセンターはマウスやシロイヌナズナ、細胞遺伝子等について行っており、その他の大学等においては生物遺伝資源センターとか生物遺伝資源情報総合センターがありますけれども、まさにこうした各研究機関で行われている取り組みを、より一体化して連携を持たせるという意味を込めまして、次の12ページの今後の予定に書いておりますナショナルバイオリソースプロジェクトというものを考えております。
 ただ、もちろん様々なバイオリソース、生物種につきましてはいろんな機関で研究がなされておりまして、それらをすべて一つの機関に集約をするというところまでは効率的ではないし、またできないと思っておりますけれども、少なくとも、例えばある生物種についての研究を行っている、バイオリソースを使って研究を行っている機関というものがばらばらに研究を行うのではなくて、相互に連携をするとともに、そうした各生物種についても情報についてはすべて1カ所に集約をさせて、立地等を整備していくということを含めて考えております。
 したがいまして、すべてについてということではないかもしれませんが、少なくとも関係する重要な生物種については、情報については少なくとも国として一元化をし、関係する機関についても中核機関を中心としたネットワークを構成していくということを来年度以降考えておるところでございます。

●三浦委員 総合学習について、鷲谷先生の質問をもう一度繰り返す格好になるんですが、総合学習それ自体私は否定するつもりもありません。ただ、総合学習を進めるに当たって十分な先生がいるという状態ではありませんで、これについての制度的な保障は十分かどうかということです。17ページあたりには博物館の活用ネットワーク、「親しむ博物館づくり」といったようなものや天然記念物の活用事業といったものが、これを支えるいわばハードとして担保しようという試みだと思うんですが、ただ、各中学校で展開される、これから総合学習の中でやっていくその外部的に支えていくそのサポートの体制として、果たしてそれで十分かどうかという問題が1つあると思うんですね。
 それともう一つは、今全体の科技庁の研究費の中でDNAの関連が非常に多いわけですね。それで、いわば総合学習の関連でいえば、中学生に教えていくんですから、これは生物多様性の観点から言えば、生物の損害というのはDNAであることは確かであっても、まずは生息地の中でいろんな形態の生物が多様に生きているというところから始まるのが総合学習だと思うんですね。
 そういう視点から言うと、大学教育の中で非常に大きなDNAでないと科学ではないような、といったらちょっと大げさかもしれませんけれども、一方でやはり保全生態学的な、あるいは環境と生き物との結びつきといったそういう広がりの大学教育というのがもうちょっと十分に展開されないと、総合学習を支える先生も十分できないだろうし、それから現状で、博物館といってもこれは学芸員の人が非常に少ないという中で、果たして実際の生物多様性に貢献し得るようなそういう総合学習といいますか、そういう環境教育というか、そういう広がりが果たして担保し得るかどうかということは一つ考えていただきたいなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
 もう一つつけ加えますと、その総合学習をするに当たって、私先週ですけれども、立て続けにまだ始まってもいないのにある中学校から3件ほどの依頼が来まして、この調子で本格的に始まったらどうしようかというふうに、中学生の先生たちの気持ちもわかるので我々は極力応援するようにはしたいと思うんですが、これが本当に洪水のように押し寄せてきてしまったらどうしようかという、もう一方でそういう、大きな悩みがあります。

●文部科学省生涯学習政策局(山下) 総合的な学習の時間を展開するに当たって、もっとハード的なところでサポートする必要があるというご提言だと思いますが、確かに、今回総合的な学習の時間を設けた目的というのは、自ら課題を見つけて自ら学び、自ら考えて問題を解決する力いわゆる「生きる力」を養うためのものであり、各学校では様々な生物多様性に関係するような内容であるとか、国際理解、情報、など内容は国で限定しているわけでないので、情報提供などのサポートの方法を考えていかないといけないと思います。
 今先生がお話になったように、もう3件ぐらい相談があったということですが、確かに新しく始めることもあり、各学校の先生も手探りの状況ですので、実際に取り組むに当たっては、専門家の方に依頼するなどして取り組みをしようというところだと思います。今の先生のご意見等を踏まえてまた、例えば予算についてや各学校からとか、各教育委員会からの行為を受けて、改善を図っていかない部分については改善を図っていくということになると思います。

●岩槻委員長代理 他いかがでしょうか。阿部委員、どうぞ。

●阿部委員 今の問題とは違って、先程の天然記念物に関しまして。天然記念物の中で、動植物の保護に関連して、いろんな環境の復元とか何かの保護増殖事業なんかで出ておりますけれども、その中では、例えば農村計画とか、だから農水省が関連するものとか、あるいは川の場合ですと国土交通省との関連が出てくると思うんですけれども、それとの当然共同作業がなければいけないと思うんですが、そこのところはどういうふうになっておりますでしょうか。

●文部科学省文化庁(花井) 阿部先生のご指摘の点ですが、その必要性についてはそのとおりだというふうに思います。しかしながら、私どもが現状で進めている限りにおいては、他の省庁が類似の取り組みをなさる場合において、天然記念物を対象とされる際には具体的内容について当該市町村、または都道府県にお話がありますけれども、実態上連携をとりながらという体制にはなっておりません。
 しかしながら今後につきましては、例えば、今農業に関係する分野での文化的景観という側面で今後この辺の指定をどうするか、あるいは指定した上で保存をどう図っていくかというふうなことを、個別でありますけれども検討の場が設けられておりまして、現在専門の先生たちにもお入りいただいて検討が行われております。
 したがいまして、そういう中で指定するなどして、制度のもとに置かれますと、効果的な施設等を含む活用のあり方として、当然のことながら連携が図られていくのではないかと思っております。

●阿部委員 例えば河川で、広島県なんかでちょっと見たことがあるんですが、オオサンショウウオのために河川の構造物をつくって、オオサンショウウオが住めるようなということが、つくったところを見たことがあるんですが、ほとんど機能していないのが多いんですね。一部しているところは当然あると思うんですけれども。そういうのはどういうふうになっているのでしょうか。

●文部科学省文化庁(花井) 今のお話は、むしろ整備という観点よりは、入り口としては私ども文化財保護法の80条で規定されている現状変更への対応に関することかと思います。生息している場所について改変を加える時に影響ができるだけ及ばないような方策を用意し、できるだけ影響を軽微にするような措置をとることを事業者に求めることになります。
 ご指摘のオオサンショウウオ等河川生物についてですが、従来生息環境の十分な担保という点について技術的、あるいは工法的に十分な取り組みがなされてこなかったことがありますが、次第に技術面での開発が進められてきているといえます。確かに現段階では、必ずしも効果が十分でないというようなことがあるのかもしれません。取り組みを進める中で効果のないことを行っても仕方がないわけですから、効果測定、モニタリング等を通じて改善が図られていくのではないかと考えておるところであります。

●瀬田委員 20ページ、21ページを見ていまして、その研究開発局の海洋地球課と、随分大きなセクションだなというふうに思って、これは質問というかお願いなんですが、まずその生物多様性の国家戦略というものと、普通に行政がいういろいろな基本計画というものの違いが一体どこにあるのかなというふうに思いますと、多分地球環境、あるいは条約というものを、それぞれの国が持ち寄っているものが多分国家戦略なんだろうなというふうに思うんですね。
 そうしますと、昨日も三澤委員がおっしゃったように、日本の森林といった時、日本の森林だけではなくてやはり海外の森林という話、それから一昨日私が申し述べたのは、海洋の中の鯨の持っている、いわゆる海洋という環境の中での鯨の意味といいますか、そういうようなことも含めるとなると、いわゆる沿岸領域、藻場であるとか珊瑚礁、干潟という部分ではなくて、もっと大きな、実はどこの国に属しているかというものを越えたもの、
場合によれば地殻内生命という名のものがあるのかどうかわかりませんけれども、そういった分野にまで及ぶことをこの生物多様性の国家戦略で議論をするとなりますと、例えば水産庁でしたら資源としての魚、あるいは海生哺乳動物ではなくて、もっと広いいろいろなものについて海洋という環境の中で研究をされる、あるいはその保全の対策をお述べになるというようなことが必要になるのかなというふうに思います。ここの20ページ、あるいは21ページは南極ですけれども、20ページも研究というテーマでありますけれども、もう少し保全戦略的なもの、これは文部科学省に言うことか、あるいは環境省に言うことかちょっとわかりませんけれども、そういう視点が今回の国家戦略に必要なのかどうかというふうに私は思ったわけです。これはお答えというよりも感想になるかもしれません。

●岩槻委員長代理 何か発言されますか。

●文部科学省研究開発局(梅田) 参考にさせいただきます。
 今ちょっとお話の中で1点海洋という話がありましたが、当然こういう生物多様性の戦略につきましては、その海洋生物などの問題も当然重要になってくるわけでありますけれども、海洋につきましては、文部科学省の科学技術・学術審議会の下に海洋開発分科会というところがございまして、ここで各省の皆様もお集まりになり、政府全体としての海洋保全の推進方策等の検討を行っておりますが、そこでは海洋生物の多様性等も念頭に生態系なども含めた今検討を行っておりまして、来年の6月にその答申をまとめることにしておりまして、こういう観点もぜひ入れてそういう答申に反映していきたいと考えております。

●岩槻委員長代理 先程鷲谷委員から文科省とその生物多様性国家戦略とのかかわりからいうと、やはり一番大切なのは基礎的な研究にどう貢献するか、それから生物多様性に関係する人材をどう要請するかという点だと思うんですけれども、その意味で、先程鷲谷委員のご発言は、細々と研究をしているものがいますがという話だったと思いますが、まさにそれが問題だと思うんですね。
 文科省は決してそれを無視されていると僕の立場からは言いにくいので、例えば科研費で、生物多様性という時限付きの文化財もつくっていただいていますけれども、残念ながらその応募者が必ずしも多くないんですね。時限付きから本当は永久のものに移してほしいんですけれども、そのためには応募者がたくさんいないとだめなので、そういうふうにはどうもなりそうにないという雰囲気があります。それから、東京大学には進化多様性大学講座というのをつくっていただいて、その貢献者のトレーニングに新しい基軸でやれるようにはなっているんですけれども、非常に細々としてしかない。
 確かにその中から新しい卒業生がやっと出始めて、それがGBIFにかかわるPDFを受けるような機会ができたりして、全然意味がなかったとは申し上げているのではないんですけれども、非常に細々としているということなんですね。
 実はそういうことを申し上げるとおまえらが悪いんだと言われそうなので言いにくいというところがあるんですけれども、私は、生物多様性の基礎的な研究の日本で質が低いとは決して思っていませんが、生物多様性という非常に膨大なテーマに関していいますと、量的にはほんのささやかなんですね。
 例えば、ヒトゲノムに関係している研究者の方からいいますと、1桁がというよりも、けたが3桁も4桁も低いんではないかというぐらいやはり量的に弱い。それを抜本的に改造していく、研究者サイドもそれはもちろんそういうことが必要なんですけれども、やはり文科省とてもそうするためにはどうしたらいいかというようなことを、その生物多様性国家戦略に対する対応としては基本的に取り組んでいただけたらというふうに思うんです。これはもう単にお願いで、別にお答えは要求しませんけれども。
 他にどなたかご発言。渡辺委員、どうぞ。

●渡辺委員 今の岩槻先生のご指摘は非常に重要な問題だと思います。
 したがって、的確な表現はわかりませんが、必要な分野への人材の供給確保をどうするかということは国家戦略の中に、現状がこうであってこう持っていかなきゃいけないと、そのためにこういう努力をするという記述をぜひ入れるように、これは文部科学省なり環境省なり関係する皆さん方にぜひお願いをしておきたいと思います。

●岩槻委員長代理 どうもありがとうございました。他にご発言ございますでしょうか。
 もしなければ、ちょうど時間が来ておりますのでこれで終わりにさせていただきたいと思います。どうも長時間ありがとうございました。

                             午後 1時32分休憩

                             午後 1時34分再開


●岩槻委員長代理 再開させていただきたいと思います。
 経済産業省からは生物化学産業課からおいでいただいています。全体が1時間という予定なのでその範囲で質疑が終わるようにご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

●経済産業省製造産業局(塚本) 私生物化学産業課長の塚本でございます。よろしくお願い申し上げます。
 本日は、お手元の資料に基づきましてご説明をさせていただきたいと思います。お手元の資料を1枚あけていただきますと、そこで本日説明させていただく全体概要が出てございます。
 1つ目は、現行の国家戦略に関する取り組みということで4項目、そして2つ目としまして、生物多様性の保全、持続的利用に関する今後の取り組みについて2項目ご説明をさせていただくという形で進めさせていただきたいと思います。
 先程も文科省の説明のところで少しございましたけれども、いわゆる産業利用段階のところで、特に工業的利用ということで私どももその組換えのDNA工業化指針というのを定めてございまして、これの中身についてはあまり立ち入りませんけれども、1つとしまして第1種利用、これが通常非常に多いいわゆる閉鎖系での利用及び第2種利用、これが開放系の利用。こういうものについて一つの工業化指針が定めてございまして、現在までのところ約 400件弱の確認申請がされていまして、そのうち開放系利用に関しては2件のみでございます。このような形で、この指針に基づきましてそういう確認行為をやっているという状況でございます。
 続きまして実際の工業利用の具体的事例でございますが、1つは、まだ今大々的には出てきておりませんが、今後非常に多くなってくるのがいわゆるバイオレメディエーション、PCBとかトリクロロエチレンなどが土壌を汚染している場合、そういうものを微生物の力で浄化を行う技術のことでございますが、今後いろんな申請も出てくる可能性があります。
 それとともに、有用物資の生産ということで、これは今までは石油に依存したそういう経済だったわけですが、再生可能な資源に転換していくということが求められています。いわゆる植物工場とか動物工場などが一つの対象になってくる可能性が出てきます。
 3つ目としましては、鉱物のバイオリーチングということで、日本国内でその鉱物自体、工業自体が非常に少なくなってきていますが、海外においては事例があり、こうしたものが想定されるということでございます。
 閉鎖系利用では、これは一般的でございますけれども、触媒、酵素、試薬、医薬品中間体、ファインケミカル、こうしたものの生産に多く組換え体を利用して閉鎖系で生産がなされるというようなイメージでございます。ここまでが大体工業化指針の関連でございます。
 続きまして3ページ目でございますが、これは現行国家戦略の環境保全への応用に対応するものでございますけれども、具体的にどういうことをやっているかということで、これは土壌汚染等の修復技術開発というのを平成7年から平成12年度まで進めさせていただきまして、いわゆるバイオレメディエーションを実際にやるということで、基本的にはその環境中、特に土壌中に長期間残留するおそれがある難分解物質をその分解・無毒化という形の取り組みをやっております。これは工期制の条件で簡単にできるものしかやっておりませんけれども、そういうことを取り組んでいるということでございます。
 研究の内容としましては、微生物の探索、分解遺伝子の解析、あと土壌汚染の微生物の実際の処理、技術の開発、そして微生物相がどういうふうに変化するか、そこら辺をモニタリングする技術の開発をやっているということでございます。
 4ページ目をお願いします。
 その典型的な例でございますけれども、1つは、バイオスティミュレーションと申しまして、メタン等注入して土壌中にある微生物を活性化し、土壌中の難分解物質を分解させるという取り組みでございます。メタンを実際注入しまして、そのメタンを資化する菌が活性化されてトリクロロエチレンの分解が起こって、実際バイオの寄与というのが実際実験で確認されました。そして、メタン注入後は、以前の微生物も観測されて変化が可逆的だということを観測しております。
 続きましてバイオオーギュメンテーションというものをやっております。これは、そこの場所にない微生物をよそから持ってくる技術でございます。実際は千葉県の君津でやっておりますけれども、その時に川崎で見つかった菌を持ってきまして、注入しております。これも実は組換え微生物ではございませんけれども、安全指針に基づいて安全性評価を行って安全性確認をやっております。これはトルエン資化菌というもので、しかもそのトリクロロエチレンを分解する菌を実際に入れて、そして一定の分解の程度をきちっと確認したということでございます。こういうのがバイオオーギュメンテーションという形でやってございます。
 次のページをお願いいたします。
 6ページ目は、バイオテクノロジー関連の項目で、生物遺伝資源機関について書いてございます。
 これにつきましては、世界的に微生物の利用というのは非常に重要にはなっているんですけれども、ちょうど生物多様性条約が90年代の初めにできてから、微生物資源とか生物遺伝資源の囲い込みが起こっていまして、従来は割と自由に活用できていた時代から、フィリピン、コスタリカといった海外からはそういう生物資源がなかなか研究所でも何でも持って来れなくなっているというような状況が実際ございます。
 ただ、将来的なバイオの発展ということを考えますと、今はゲノムとか人のゲノムとかそういうことが非常に注目がされておるわけでございますけれども、中長期的にはやはりその微生物の活用というのが非常に重要になるわけでございまして、その意味でそういう微生物の資源というのは非常に重要であり、それを整備するために生物遺伝資源機関というのが極めて重要ということになっていまして、それで経済省におきましては、微生物を中心にして生物遺伝資源機関を整備しようという形でやってございます。
 日本ではIFOというところが一番多く整備していますが、経済産業省はそのIFOとの連携のもとで、これは本格的連携のもとでそういう生物遺伝資源機関を整備しようということで考えております。日本学術会議の方からも、2000年の3月に「中核的微生物・培養細胞カルチャーコレクション・センターの設立」を提言されており、OECDでも、「各国にナショナルBRCを設立し、互いに協力できるグローバルBRCネットワークを構築すべき」と提言されております。まさにこのOECDの議論につきましては、日本からこういうような議論を提案し、そして今OECD諸国でグローバルなBRCネットワークを構築しようというような形で議論が進んでおります。
 次に、7ページをお願い申し上げます。
 7ページには、製品評価技術基盤機構というところで、この微生物を中心とした中核的生物遺伝資源機関を整備ということを進めてございまして、かずさのアカデミアパーク、(千葉県)の中に建設を進めていまして、来春事業をスタートするということでございます。
 その主要なアイテムといたしましては、微生物を中心としたカルチャーコレクション、これは従来型のカルチャーコレクションですが研究者の方々に入っていただいて実施するということでございます。特に大学などの問題は、ある先生がやっておられる時はそういうコレクションがあるんですが、その先生がおられなくなると散逸したりとか、海外に渡されるというような場合もございまして、このような場合の受け皿にもなるであろうというふうに思っております。
 それとともに、いわゆるインテリジェント・アドミニストレーションというのが左側に書いてございますけれども、特に知的財産権などの観点から、海外のやつが活用できなくなっていますものですから、そういうものは、いわゆる国内の企業とか大学の方々が海外の生物遺伝資源を入手する際のコンサルタント的機能を考えてございまして、あと、人材育成ということで右側の真ん中に書いてございますけれども、この機関で、実際生物遺伝資源というものを取り扱えるような研究者、人材の育成もやろうというふうに思っております。
 あと、将来的には特許の生物寄託というようなものも取り組んでいこうということでございます。それが主なところでございます。
 続きまして8ページに移らさせていただきます。
 これは個別分野における協力ということで、生物多様性と持続的利用に関する研究協力としては、平成5年から平成10年まで実施し、そして11年、12年とフォローアップさせていただきました。
 これにつきましては、バイオインダストリー協会と、あとタイ、マレーシア、インドネシアの主要な生物を取り扱っている機関との間で研究協力を具体的に実施しまして、その3カ国の研究機関に対して日本から研究者を派遣したりとか、あと共同研究をしたりと、そして3カ国の研究者を日本の研究施設に受け入れるという形で、実際膨大なことをやっていまして、研究者としましては述べ約 400人を派遣し、そして相手国研究者を 200人ぐらい受け入れているということでございます。
 こういうような形の協力を通して、相手国政府とは非常に強いパイプが今築けておりまして、実際藤沢薬品がマレーシアで現地企業との共同研究契約を締結したりとか、あと、現在いわゆる日本のBRCとインドネシアとの間で共同研究スキームについて現在検討中です。このような協力関係の構築につながったり、それとともに生物資源のインベントリーを共同作成して、これは現地で使われているとか、相手国のカルチャーコレクションの充実等々やってきております。
 次は9ページでございます。
 ここからは、2つ目の、今からどういうように取り組もうとしているかという項目が書いてございます。ここの循環型社会の構築ということについてご説明させていただきたいと思いますが、9ページで最近の動きをちょっと再確認させていただきたいと思います。
 まず1つは、気候変動枠組条約ということで、森林という問題が非常に重視され、新規植林とか再植林というのが期待されており、企業の関心も高まっているということでございます。
 アメリカの場合は、いわゆるCOP6の気候変動枠組条約の問題では微妙な問題を抱えているんですが、ただ、そういうことは別にしまして、米国は大統領令を出して、実際2010年までにバイオマスの利用を3倍にし、バイオ製品の利用を今から10年間で3倍にするとしており、そのような形を方向づけていまして本格的な取り組みが行われております。EUにつきましても、全エネルギーの 8.5%はバイオマスエネルギーを利用するとしており、資源諸国、エネルギー諸国では日本よりもある意味でははるかに進んだ取り組みがされているということでございます。
 また、米国の企業を中心にしてバイオマスの工業利用とかバイオプロセスの活発化が見られます。実際にデュポンでは、2010年まで売上に占めるバイオマス由来製品の割合を25%まで高め、温室効果ガスの排出を65%削減するとしておりますし、カーギルにおきましても、トウモロコシを原料にしたプラスチック、これは実用レベルで、今年年産15トンのプラントを建設し稼働させるというような状況になっています。総合エネルギー資源調査会では、2010年にバイオマス発電を6倍に拡大と書いてございますけれども、これに向けて取り組まなければいけない状況になっているということでございます。
 10ページに今後の課題を書いてございますけれども、いわゆる生物の多様性と、そしてそれの積極的利用ということを特に考えておりまして3つの項目、1つは生物遺伝資源の利用促進という形で、その遺伝資源の探索、そして権利化の促進ということも含めて取り組みたいと考えております。あとバイオマス資源の充実と利用促進、そして、活用するという面で、ゲノム情報に基づいたバイオプロセスの開発のための基盤をつくっているということでございます。
 11ページにちょっと関連の資料がございます。
 これは総合科学技術会議で「平成14年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」が出てございます。[1]ライフサイエンスについては、ライフサイエンス全体がア)というところの、いわゆる疾患の予防・治療技術とか、人の医薬とか医療が非常に重点化されていますが、ある意味ではイ)の、いわゆる物質生産及び食料・環境への対応が非常に重要だと思っていまして、そちらについても本格的にやっていくということで重点項目に掲げられてございます。
 そして[3]環境関係のところにもア)、イ)とございます。イ)のところでゴミゼロ型・資源循環型の技術研究について、資源消費とゴミ発生が少なく、しかも環境負荷を最小化するような物質循環・低環境負荷型の技術とシステムの開発ということで、バイオの技術を活用したものなどを内包した表現がされております。
 続きまして12ページ、これが我が省が昨年、今年からまた本格化させようとしているものでございまして、生物機能活用型の循環産業システムの創造プログラムというものがあります。ここで狙っていますのは生物機能を活用した産業システム創造のために、1つは石油に依存しているものを植物など原料転換する、そういうプロジェクトを具体的にやることでございます。
 それとともに、[2]でございますけれども、バイオプロセスを利用して、いろんな化学物質の生産を行うということでございます。もともと、アセトンとかブタノールと、そういうような今でも大規模に工業生産されているものは、たどっていけば昔は全部微生物でつくられたもので、それが安価の石油化学に置きかえられたという経緯を持っております。現在ゲノム情報がわかってきて、ある程度コントロールできるという状態になってきていますから、石油化学のプロセスを微生物で展開できる時代になってきており、それのための研究開発をするということでございます。それとともに、できた種々の化学物質を分解して地球に戻すというその分解処理、生分解・処理の高度化、こういうようなプロジェクトを具体的に進めようとしております。
 それのベースとなる生物遺伝資源というのが非常に重要でございまして、ゲノム情報に基づいたその未知微生物のライブラリー構築、海外からいろんな微生物とか資源が持ってこれなくなっていますのでそのためのルールづくりをやる事業を始めます。さらに、いわゆる開放系での利用、これについてはやはり国民に信頼されないような形ではできませんので、開放系で使った場合のリスク評価について知見を重ね、そして安全性に関する過去の取り組みを体系的に整理して、リスク管理の充実を図るための取り組みをやろうとしております。あと、微生物の環境中でのモニタリング、そういう技術の開発もあわせてやろうとしているということでございます。
 これが実は今やろうとしているプログラムの全体像でございまして、その具体的なプログラムの進め方が13ページ、これは説明を省略させていただきますけれども、典型的なものだけ14ページ以降ございますのでご説明させていただきます。14ページは、植物を利用して工業原料をつくろうということで、遺伝子を植物の中に移入し、例えば根なら根、葉っぱなら葉っぱ、その目的とするところに目的とする物質を生産できるものを開発しようとしているものでございます。
 続きまして15ページは、生物機能を生産プロセスに活用するために、例えば大腸菌なり酵母なり、いろんな宿主がありますけれども、そういう宿主に機能遺伝子を入れるための研究開発をやっているということでございます。
 16ページについては、先程も少し申しましたけれども、生分解・処理のメカニズムについて特に、従来は好気性の菌を利用する技術はありましたが、ダイオキシン、パークロロエチレン等は嫌気の技術を利用して分解する研究開発を考えております。
 続きまして17ページ、これはゲノム情報に基づいた未知微生物の遺伝資源ライブラリーの構築でございますけれども、これは生物多様性にちょっと大きく関係するのかもしれません。今は実はいろいろ学術的にも利用できる微生物として集められているのは、培養可能な微生物で、世の中にある微生物資源の1%以下だと言われております。培養困難な微生物について収集をし、それについていろんな活用を行うニーズも高まってきておりますので、培養困難な微生物についてどうやってそれをコレクションをする技術を開発するか。それとともに、微生物は収集できなくても、一定の機能を果たす遺伝子のレベルだけでそのコレクションができないかと、そういうようなことを両方兼ねてこの具体的な取り組みをやろうというふうに考えてございます。
 続きまして18ページ。
 18ページは、生物多様性条約発効以降遺伝資源のアクセスが難しくなってますので、それで今どういうことが起こっているかということが書いてございます。
 生物多様性条約においては利益配分に関する規定も含むアクセスルールのあり方について先進国と途上国が対立しており、そういう状況で、途上国は生物遺伝資源に関して規制強化の方向にあります。このような状況の中で欧米先進国は個別の企業が行ってアクセスを行っていますが、日本企業はなかなかアクセスのルールが不透明なのでほとんどアクセスできなくなっているというような状況でございますので、これでルールづくりというのを東南アジアの今までパイプをつくった国々をやりかけようとしています。そして、使われた時に一定の利益が出たら、何らかの形でそういう資源国も一定の利益が得られるような仕組みづくりができないかということで今まさにトライをしていますし、またこの事業で具体化を図りたいというふうに思ってございます。
 続きまして19ページです。これはいわゆる今後の取り組み、今やりかけようとしている取り組みの2つ目でございますけれども、カルタヘナ議定書への対応でございます。
 2000年の1月にカルタヘナの議定書が採択されたわけですけれども、これの場合は、いわゆる遺伝子組換え生物が国境を移動する時にルールを入れて、そしてその多様性への影響などをチェックをし、そして入れるものは入れる、入れないものは入れない、そういうような仕組みをつくろうということでございますけれども、これにつきましては、外務省を中心にして検討する体制になっており、これにつきましては関係省庁の会議がずっと開かれていまして、関係省一体となって必要な担保措置をどうするかということが議論されています。経済産業省といたしましても、この10月に産業構造審議会化学・バイオ部会というところに遺伝子組換え生物管理小委員会というのを設置しまして、そして議論をスタートさせているところでございます。
 議定書の経緯だけ書いてございますが、ちょうど2000年の1月に議定書が採択され、そして政府間会合がことしの10月に開かれました。現在 102カ国が署名、そして7カ国が批准しており、これは、主な未署名国に米国とかタイ、豪州とかそういう主要国が入ってございますので、今後全体的な動きをよくウォッチしつつ検討を進めていくという状況でございます。
 次のページ、20ページの最後でございますけれども、産業構造審議会の中にこのような申しました遺伝子組換え生物管理小委員会というのを設けまして、10月3日に第1回をスタートしております。まだいろいろ意見をお聞きするということが中心でございますけれども、第2回目は11月に開催して、できれば本年度中に一定の、中間報告をまとめて今後の議論に資するようにしたいというふうに考えてございます。
 以上が経済産業省の取り組みでございます。

●岩槻委員長代理 どうもありがとうございました。
 どうぞどなたからでもコメントなりご質問なりお願いいたします。どうぞ、鷲谷委員。

●鷲谷委員 2つあります。1つは遺伝資源のアクセスに関する点なんですけれども、海外の資源に目を向けて一生懸命それを獲得することに心を砕いていらっしゃるようなんですけれども、日本にはもともと多様な環境があって生物資源が豊かな場所ですね。それの十分な理解のもとに保全をしつつ、そういうものを生かしていくというような政策はあまり重要視されていないんでしょうかということが1点です。
 それから、いろいろ新しいタイプの生き物、特に微生物ですけれどもそういう新しい生き物をつくって、開放系で使われるということなんですけれども、現段階では微生物の生態とかがあまり理解されていない状態ですし、恐らくすごく変動の大きい生態系なんですね。ですから、安全性を確認する時に何回か実験して、その実験条件では、例えば微生物群集が維持されていたから安全だというふうに、あまりに単純に結論を出すのは難しいと思います。むしろ、微生物生態の基礎的な研究とかを重視するということから、根本からきちっとリスク評価ができるような体制を整えることが重要ではないかと思います。
 以上です。

●経済産業省製造産業局(塚本) 非常に重要なご指摘だと思っています。
 まず1つ目は、日本も非常に豊かな多様性を持っているということですが、先生がおっしゃるとおり、日本というのは何千キロに渡って非常に幅広いエリアで、亜熱帯の地域から寒帯の地域まであり、資源という意味で大きいと考えております。国内の生物遺伝資源の収集については当然ながらそれは大前提として行うことを考えております。
 それだけでなくて、やはり熱帯からも収集することも重要であります。ここのところは単に今まですごく国際的というか、世界の批判というのは発展途上国からそういうものを持っていって、それで結局先進国のその企業が活用して、例えば医薬品をつくる。それをまた発展途上国に売って何か二重に搾取されているというような途上国側の不満がありまして、そのためそういうところの権利をどうするかというルールがないとなかなかうまく進まない。ですから、ここら辺については国際的に非常に議論はあるんですけれども、ルールをつくってやるということをやっていかないといけないということでございます。
 海外の企業というのは戦略的に個別のところとやったりするんですけれども、なかなか日本ではそういうこともできませんし、だからルールをつくるという全うなところで環境をつくっていくのは非常に重要だと思っています。
 もう一つ、その微生物の生態系が理解されていないので単純に結論を出すのはよくないというご指摘ですがこれはもう全くおっしゃるとおりでございまして、実際資料の中にも開放系二つを実施したと書いてございますが、今私どもがやっている開放系のガイドラインというのは組換え生物を念頭に置いていますが、それ以外のものも、とりあえずこのガイドラインを使うようお願いしております。1つの目的が、組換えの前に普通の微生物でもどういうふうに挙動するかと、いろんな蓄積がありませんと、結局組換えの生物に対しても判断が下せないということでございまして、普通の既知の微生物でも積み重ねながら、先生がおっしゃられたとおり、生態系の中でどういう挙動が、遺伝子伝搬とかいろんなものがございまして、だからそういうものはどういうふうにいくかというところからまさに来年度予算でやろうとしていまして、まずそういうところをきちっとやっていかないと、まさにそういうもののデータの積み重ねがないと、やはり世の中には受け入れられないだろうという認識がございまして、そこのところについてはとても軽視できるような話ではございませんので、非常に重点的にやりたいというふうに考えております。

●岩槻委員長代理 よろしいですか。他、どなかたかございませんか。どうぞ。

●熊谷委員 バイオテクノロジーについては大変詳細なご説明をいただいたんですが、担当がちょっと違っておるかもしれませんが、経済産業省の所管されている特にエネ庁の所管であるような発電所の設置であるとか、そういうような事業というのは、自然環境や、あるいは地域又、生物多様性と私はかなり強い関連があるというふうに認識しております。過去にも発電所の設置に関しては環境調和型であるとか、あるいは地域貢献型であるとか、非常に周辺の環境とか地域を意識されていろいろ配慮されてこられたと思いますが、この生物多様性ということに関しまして、経済産業省としてどのように取り組みをなさっておられるのか、あるいはなさろうとされているのか、もしおわかりになったらお答えいただきたいと思いますが、今無理であれば後ほど資料をいただければと思いますが。
 以上でございます。

●経済産業省製造産業局(塚本) 今先生のご指摘は、その発電とかそういうことに関連してということでございますか。

●熊谷委員 発電所も含めまして各種の事業がございますね。そういう自然環境の非常に卓越したところでそういう事業が行われるものですから、当然生物多様性ということと深い関係があると私は認識しておりますので、その点についても経済産業省としてどのようなお考えかということをお尋ねしたわけでございます。

●経済産業省製造産業局(塚本) 直接そこを所管していませんので、責任を持った発言はできないということをお断りした上で、私の経験に基づいて発言させていただきたいと思いますけれども、私自身大分前に、発電所ではございませんけれども、工業団地に関係するところの部署にいたことはございます。そういうところでもやはり開発ということになりますと、そこの生物種がどうだとか、オオワシがいるのかとか、かなりセンシティブで、事前のところでかなり調査するように今すごくなってきていると思います。
 ですから、私自身関与していなくても、まさにそういうところの調査でそういうのは引っかかるようなところ、これは大変だぞということを物すごく意識しているような形になっているのではないかと思いますけれども、少なくとも私が、もうこれは10年近く前ですけれども携わった時には、開発の時にも自然環境の問題というのはきちんとやらなければいけないという意識になってきていますので、かなりそこは意識されるようなことがほかでも行われていると思っております。

●服部委員 今の話に関連して、これは事務局の方に聞いた方がいいのかわからないですけれども、戦略として攻めていく側のポジティブな話はずっと聞くんですけれども、今のような、これまでやってきたのはちょっと違うんではないかとか、反省するとか、あるいはこういうのは今後こういうふうに変えていくんだみたいなところは、今回の国家戦略としてはどういうふうな取り扱いになるのかということをお聞かせ下さい。

●自然環境計画課長 ちょっとよくわからなかったんですが。

●服部委員 今熊谷委員が言われたように、これまで無頓着に開発していた発電所の設置を今後は環境とか、生物多様性について配慮した格好でないというように変わってきているわけですよね。
 だから、今後新しいところをこういうふうにやっていくよというポジティブなところはいいんだけれども、これまで進めてきたのは今の時点で考えると適正でなかったから見直すとか、こういうふうに政策や事業を転換するといったことは、戦略の中において書きこむ必要があるという気がしたんですけれども、それをどういうふうに扱うかということです。

●自然環境計画課長 世の中が進んで環境に対する要求水準も高くなっておりますし、自然そのものの保全を強化するというのは、その多様性国家戦略の中で柱というか中心的な思想ですから、それは当然のことながら中枢的課題として国家戦略に書かれるものであるというふうに思っていますが、その書きぶりは今までのことをざんげして書くということになるのか、少し工夫して前向きな話で書くのかというのは、我々が原案をつくる際に、関係の省庁とも相談しながら書きたいというふうに思っていますが、これまでのことを忘れて一部の前向きな話だけを言及して、それをまとめたものが戦略というふうには当然のことながらならないと思います。

●岩槻委員長代理 その意味では、戦略というのは生物多様性条約に対応するものですよね。生物多様性条約というのは、生物多様性の保全と持続的な利用と、それから利益の公平な分担というのが3本の柱になっていると思うんですけれども、今の経済産業省からのお話は、後の2者は割合はっきり積極的な姿勢をお出しなったんですけれども、第1のことに関しては、今のご質問に応じての積極的なご提案はなかったですよね。戦略をまとめる時には、各省庁全部がそれに関係しているというわけではないんでしょうけれども、やはりそういう3本柱を各省庁から出てきたものを1本にどうまとめるかということに意味があるかと思うんですよね。
 そういう意味で、生物化学産業課が経産省の窓口だというふうに伺っているんですけれども、例えばその保全のことを議論する時に、今の生物多様性の保全ということに関しては移入種の問題というのが非常に重要な問題になっているんですね。その移入種の問題にかかわりますと、経産省の所管される部分というのは、ペットなんかで入ってくるものに
関することでは非常に大きい部分があるんですよね。それについての対応はどうですか。

●経済産業省製造産業局(塚本) ペットの問題ですか。

●岩槻委員長代理 ペットは農水省ですか。

●経済産業省製造産業局(塚本) 移入種のかなりの部分はペットの関係かと思いますけれども。

●岩槻委員長代理 経産省はあまり関係ないんですか。

●経済産業省製造産業局(塚本) もちろん貿易の関係の手続はあるんですが。

●経済産業省製造産業局(渡辺) 当然利用する時にも、保全しつつ利用するという両面必要ですし、そういう観点でさっき我々、さっきは発電所の話とかはここにはちょっと入っていませんけれども、今までやられていなかったものをやっていこうという時にも、やはり我々としても利用が中心になってきますけれども、それは当然裏返しにきちんと保護するところはしましょうということで安全性の研究を並行して進める、あるいは生物資源の状態をいろいろ調べる、あるいは有用なものは権利化していくと、並行してそこは進めているというふうにご理解いただけたらいいと思うんですけれども、どちらに重点を置くかということだと思うんですね。
 むしろ、これまで反省すべき点は、あまりにもその保護といいますか、保護だけが目的になって、多分森林とかはこれからいろいろ議論になってくるんだと思うんですけれども、それをうまくどう利用していくのか。それは、その自然を学習する場としての機能もあるでしょう。しかし、その地球温暖化を克服していく時の資源としてのまた側面もありますしそういったところの、まさにこの場がそういうことを議論する場なんだろうと思うんですけれども、我々はどうしても利用側に立ってその説明をしますが決してそれだけではなくて、裏側にはどう保護していくかということも念頭に置いてプログラムをつくっているつもりでございます。

●岩槻委員長代理 そういう意味で今申し上げたトレーディングの問題だとかそういうことも含めて、今の鷲谷委員がご指摘になった微生物の生態系の問題もまさにそれに関係することだと思うんですけれども、あまり所管の範囲内で安全を確認しているからと簡単におっしゃらないで、安全が確認されない部分をどうするのかということまで含めてのレポートにしていただけると我々としては非常にありがたいと思うんですけれども。

●経済産業省製造産業局(塚本) これは我が省だけで、多分できる云々というわけではないと思うので、ここの議論の中でどういうふうに取り扱っていくかということになるかと存じます。

●岩槻委員長代理 最終的にはそういうふうに取りまとめられると思うんですけれども、変な言い方ですけれども、経産省からはいい話だけが出てきて、バイオハザードの問題が出てくるというような悪い話になると、取りまとめる時に恐らく難しいことになると思いますから、どういう分野でもそういう問題をはらんでいるという考え方でのご提言にしていただきたいということなんですけれども。

●熊谷委員 私も全く委員長と同じような観点から、国家戦略として生物多様性を考えていく場合に、いろいろ関連されているところを資料としてお出していただければということで申し上げたので、今すぐお答えをお願いしているわけではない。例えば送電線のルートとか、それからいろいろな発電所に代表されるような事業は、大変私は日本の生物多様性とは切っては切れない部分があると認識しているものですから、こういうことを今後考えていく上で、やはりその点についてはいろいろ検討すべきではないかというふうに私自身考えております。そのための検討のできる資料をお出しいただければということをお願いしたわけでございます。ですから、今すぐお答えを求めたということではございませんので。

●経済産業省製造産業局(塚本) わかりました。

●岩槻委員長代理 その他、鷲谷委員、どうぞ。

●鷲谷委員 10ページの今後の課題のところにちょっと目がとまりまして、バイオマス資源の充実と利用促進というところなんですけれども、かつての日本では里山で再生可能な植物資源を得て、それでエネルギーを賄っていたということがありました。それは縄文時代以来の伝統で、そういう行為を通じて植物の資源をとったり管理したりということを通じて生物多様性が高まり、維持されていたという面もあると思うんですね。
 今資源としての経済的な価値が全くなくなってしまっていて、そのために生物多様性保全上の問題が生じているということもあると思うんです。新しい高度な技術でバイオマスエネルギーを取り出す、例えばかつては燃焼させるということだったんですけれども、発酵とかいろんな高度な技術というのがあり得ると思いますけれども、そういうことで植物資源が生す。それで本当に日本のエネルギーがどのぐらい賄えるのかという問題はあるかもしれませんが、一部でもそれで賄って、里山の植物資源に価値が認められるようになることは、日本における生物多様性の保全ということでとても意味のあることだと思います。石油のような化石燃料は、やはり幾ら伸びたとしてもいつかは枯渇する可能性がありますけれども、日本のように植物の成長が盛んな国では、植物資源というのはうまく利用していけば持続可能ですし、それから生物多様性ということともうまく両立できると考えられると思うんですね。このバイオマス資源の充実と利用促進というのは、そういう観点からはぜひ進めていただけたらと思います。

●経済産業省製造産業局(塚本) 今、委員からご発言あったように、非常に難しい分野であるんですけれどもやはり地道にやっていかないと、やはり中長期的な社会変革ということをやっていかなければいけませんので、その意味では非常に難しいけれどもきちんと取り組んで行きたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

●岩槻委員長代理 その他、どうぞ、森戸委員。

●森戸委員 バイオテクの関係なんですけれども、生物資源ではアクセスに関して共同戦線といいますか、各省庁で共同戦線を張ってルールをつくっていこうといってますね。多分そういう欧米先進国に対する日本の国益というと大げさだけれども、そういう面では共同戦線というということですね。この国内のバイオテクノロジーの分野で、分野ごとにすみ分けといいますか、所管を変えているわけですけれども、共同で連携している分野、あるいは所管があいまいで両方で攻め込んでいるといいますか、担当しているという分野は特にどこなんですか。

●経済産業省製造産業局(塚本) 生物多様性に関係するところで生物資源の話、先程の文科省の時にも少し質問が出ていたかと思うんですけれども、例えば文科省の関係の理研は、動物の関係をかなりやっておられます。我が省は、実は先程のIFOと連携して、今度かずさに微生物を中心にした生物遺伝資源機関をつくります。今我が省も幹事役になって関係省庁会議ということをやりながら、今情報交換をやるようにしています。昔に比べたらかなり連携体制がとられるようになってきていると思います。
 あともう一つは、ちょうど今年の1月から総合科技会議というのができて、そちらの方が科学技術の取りまとめをやっておられますので、そちらの方でも各省連携委員会を設けたりとか、そういうような動きになってきていますので、徐々に連携が増えていくと思います。お答えになったかどうかはわかりませんが、ただ生物資源については、もう既にそれができる前からもう何年も我が省が幹事役になって連携体制をとっています。

●岩槻委員長代理 よろしいでしょうか。
 予定の時間はもう来ているんですけれども、特にご発言がありませんでしたら終了したいと思います。どうもありがとうございました。
 休憩時間なしですけれども、そのまま続けさせていただいてよろしいでしょうか。
 厚生労働省ですけれども、医薬局からのご説明です。どうぞよろしくお願いします。

●厚生労働省医薬局(中島) 厚生労働省の医薬局でございます。よろしくお願いいたします。
 私ども医薬局の方では、医薬品とあと食品保健部の方の食品ということで、最初は医薬品のことについてご説明をさせていただきます。
 医薬品の関係につきましては、我が医薬局におきましては承認と許可というところを主に担当させていただいております。そこで関連するところでは、主に製造工程でバイオ技術が使われるということで、今回機会をいただいてご説明をさせていただくということになっております。医薬局関係はあまり多くございませんで、2枚紙の方をご覧ください。別紙という形になっておるかと思います。
 先程簡単にご説明をいたしましたけれども、医薬局では医薬品の承認、許可という形で適切な製造をやっていただいているかどうかと、その上で適切な医薬品ができているかどうかということを見ております。その製造の過程で、遺伝子の組換え技術、応用技術が使われるということで、それに対する環境への配慮も含めた指針というものが幾つかできておるということでございます。
 2枚紙の1枚目の方がつい最近できたもの、新しい技術に対応してできてきたもの。それから2枚目の方が、もうこれはかなり古いものでございまして、先程の通産省さんが一番最初にご説明されたものと同じ「組換えDNA技術応用薬品等の製造について」という2つの指針でございます。
 1枚目のものでございますけれども、最近ヒトの由来細胞・組織加工薬品というものが新しい技術の開発に伴って出てきております。例えば、ヒトの体からリンパ球とか、あるいは免疫系の細胞をとってきて、それをある種の加工をしてあげてまたもとの患者さんに戻してあげると。そういった技術を使うことによって患者さんの免疫系を上げたりとか、がんをたたいたりとかと、そういった技術がございます。その中に遺伝子組換え技術を使って、例えば遺伝子組換え技術でできた細胞を使うというようなものが多くなってきております。
 1枚目のものは、それに関する品質及び安全性の確保に関する指針でございます。これは、あくまでも環境という部分については少しずれているところがあるかもしれませんけれども、3番の「主な概要」というところで製造方法でございますけれども、細胞・組織加工医薬品の利用目的、そういったものが書かれておるところでございますが、その(5)に、細胞に遺伝子工学的改変を加える場合の条件づけがございます。こういったものが適切に行われているかどうかといったところを見ております。
 具体的には、目的遺伝子の構造、導入遺伝子の性質、あるいは目的遺伝子産物の構造や整理活用及び性質、そういったものを幅広く見ておるというところでございます。
 医薬品の品質及び安全性ということで、すべてが生物多様性ということではないですけれども、こういった製造の過程でこういったところも考慮をしてやっているということにつきまして、つい最近できたばかりでございますのでご報告をさせていただきます。
 それから2枚目でございますが、こちらが特に環境中への影響ということで、昭和61年度に、先程の通産省さんのご説明にもありましたとおりでき上がったものでございます。と同じ時期にでき上がったものでございます。
 組換えDNA技術応用薬品等の製造についてということで、こちらも指針を定めまして、使う宿主とか、あるいはベクター、装入遺伝子、そういったものの安全性に応じて適切な施設、あるいは保管設備を持っているかどうか、そういったものを定めているものでございます。この指針に基づきまして、昭和61年から確認を受けなさいということで、医薬品を製造する際には製造計画を出していただいて、私どものバイオテクノロジー部会、そういったところで適切なものであるか、適切な施設を有しているかどうかというのを確認をさせていただいているところでございます。最新の平成12年も含めまして累積が 227件ということになっております。
 簡単でございますけれども、医薬局関係は以上でございます。

●厚生労働省食品保健部(牛尾) 同じく厚生労働省の食品保健部からご説明をさせていただきます。
 お手元に資料を配布させていただいているかと思いますが、ヒアリング資料として七、八枚のものをつけてございます。
 きょうの説明ですが、前回の国家戦略後どのような変化があったか等の説明を行うようにということでしたので、資料に基づきまして前回記載させていただいておりますものと、特に変化があったところについてご説明させていただきたいと思います。
 1枚めくっていただきまして、「遺伝子組換え食品の安全性確保の推進」というところでございます。
 1番の「遺伝子組換え食品は」というところについては説明を省略させていただきますが、2番の「安全性審査の義務化について」、これが今回ご説明させていただく一番大きなポイントでございます。
 最初の3行ぐらいに書いてございますように、平成3年に「安全性評価指針」というものを策定しまして、食品衛生調査会における審議を経て、安全性審査を実質的に行っていたわけでございますけれども、これは法律に基づかない任意の仕組みでありました。それを、「しかしながら」というところに書いてございますように、実態の方が先行するといいますか、遺伝子組換え食品が国際的に流通する中でいろんな食品が開発されるだろうということも予測され、やはり安全性に未審査のものが国内で流通されるということにつきましては国民の不安もあるだろうということで、本年の4月1日から安全性審査というものにつきまして法律で義務化したわけでございます。
 皆さんもご記憶があるかもしれませんが、ちょうど1年ぐらい前、人間の、アメリカにおきましても食料としてはまだ認められていなかったスターリンクというふうなものが日本にも入ってきたわけでございますけれども、その時点では、日本では法的な措置は取れなかったわけでございますけれども、本年の4月1日からは、そこに書いてございますように、我が国における安全性未審査の遺伝子組換え食品は、輸入、販売等が禁止されることになったわけでございます。
 その(2)番の一番下に書いてございますけれども、これまでに大豆、トウモロコシ等39品種の食品と7品目の添加物、食品と添加物、両方ともこの安全審査を行っておりますが、そういったものについて、人の健康に影響がないという観点から厚生労働省としては判断をしているわけでございます。
 それで、その同じページの一番下に(3)とございまして、遺伝子組換え食品の表示の義務化、これも少しご説明させていただきたいと思います。
 既に農林水産省の方からこれについては若干ご説明があったかもしれませんが、農林水産省と時期を同じくしまして、厚生労働省におきましても、これも本年の4月1日から遺伝子組換え食品の表示を義務化したところでございます。
 次のページをおあけいただきますと、そこの3番に「表示の具体的な在り方」というふうに書いてございますように、分別生産流通管理が行われた遺伝子組換え食品の場合には、遺伝子組換え食品であるということを義務表示しなければならない。それから、遺伝子組換え食品、あるいは非遺伝子組換え食品が分別されていない場合には、不分別である、この2つが義務表示化されたわけでございます。
 なお、参考までに分別生産流通管理が行われた非遺伝子組換え食品の場合には、遺伝子組換え食品でありませんよという非遺伝子組換え食品である旨は任意表示、してもしなくてもいいですよということになっております。
 それでもう一つご説明させていただきたいと思いますのは、その次のページでございます。(6)に「国際的な取組」というところがございますので、それをちょっとおあけいただきたいと思います。
 これも前回の国家戦略と動いておりますのでご説明させていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、我が国がこのCODEX委員会の中のバイオテクノロジー応用食品特別部会の議長国をしておるわけでございますけれども、第1回を開催し、そして本年の3月に第2回の特別部会を開催したところでございます。
 その次のページをおあけいただきますと若干詳しく書いてございますけれども、第2回の会合が平成13年3月25日から29日、千葉の幕張で行ったわけでございます。
 このバイオテクノロジー特別部会の第2回で主として議論を行いましたのは、3行目に書いてございますように、バイオテクノロジー応用食品のリスク分析のための一般原則、それと同時に、組換えDNA技術応用植物由来の安全性に関するガイドラインというものについて議論しておるわけでございます。この2つの文章につきましては、この部会での議論を経まして、ステップ3からステップ5に進めることで合意されまして、7月に開催されました親委員会といったらいいんでしょうか、CODEX総会でそのように承認されたわけでございます。
 なお、1つ注目すべき動きとしましては、そのページの「また」以下でございますけれども、「また、今後組換えDNA技術応用植物由来食品のアレルギー」失礼しました、その次の行ですね、「及び組換えDNA技術応用微生物由来食品の安全性評価のガイドラインに関するワーキンググループを設けて、具体的な検討を進める」と。つまり、これまでは組換え応用植物由来の食品の安全性評価でしたが、来年の3月にまた特別部会が開催されるわけですけれども、DNA組換えした微生物由来の食品の安全性評価に関するガイドラインにつきましても新たな仕事として検討することになっておる次第でございます。
 簡単ですが、以上でございます。

●岩槻委員長代理 どうもありがとうございました。
 どなたかご質問かコメントはございますでしょうか。
 大分バイテク関係の話題が続いたので、皆さん食傷ぎみという……
 私も特にお伺いすることがないんですけれども、どなたかご発言ありませんか。
 特に、それではご発言がなければ、お伺いしたいということでよろしいですか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 そうしたら、ちょっと休憩をとらせていただいて、もうお見えにはなっているんですか。そうしたら、ちょっと45分ぐらいに始めさせていただきましょうか。それでも予定より15分前ですけれども、45分までそうしたらちょっと一休みをさせていただきます。

                             午後 3時34分休憩

                             

午後 3時43分再開


●岩槻委員長代理 約束の時間よりもまだ1分ほど早いかもしれませんけれども、よろしいでしょうか。皆さんおそろいだったら……、そうしたら再開させていただきたいと思いますが、次は外務省ということで条約関連の問題と、それからODAに関することについてのご説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

●外務省総合外交政策局(貴島) 外務省地球環境課の首席事務官をしております貴島と申します。現在、実は気候変動の関係で、うちの課、室とも相当な者がモロッコに行っておりまして、私首席事務官の方から説明させていただきます。
 外務省の方からは外交面ということでございますので、大きく生物多様性条約の関係でどういう協力をしているか。それから開発途上国への協力、支援という形でどんなことをやっているか。それと、最近の国際面での動きなんですが、生物多様性条約のみならず環境関係ではいろんな条約がございまして、それぞれがある程度重複したり関係を持ったりしておりますので、その辺の重複をなくし、いかに有機的に協力していくか。つまり条約同士の関係、シナジーというものが大きなテーマになりつつありますので、その面でどういうことをやっているかという3つの側面からご説明させていただきたいと思っております。
 まず条約そのものの関係での取り組みでございますが、生物多様性条約ができまして、もともと条約ができた時、それから最近のカルタヘナ議定書につきましても、これを策定するに当たりまして相当な条約交渉をやったわけですが、そういう交渉の中では外務省なんかも積極的に取り組みまして、最後までまとめるというところで努力をさせていただきました。また、我が国の考え方が反映されるようにということで交渉には積極的に参画してきたつもりでございます。
 現在は、生物多様性条約のもとでは、いろんな形でこの条約に書かれているようなことを各国が実施していかないといけないわけですけれども、我が国自身の実施ということに関しましては、基本的には我が国の国内でのその取り組みというのは現況のいろんな各省さん、特に環境省さんなんかがやっていらっしゃるので、そちらの方が中身についてはやっていらっしゃるわけですけれども、途上国なんかがこういったものについて実施していくために彼らの取り組み、特に彼らが議論に参画していくことがまだまだ必要なんですが、そういうものについても支援をさせていただいております。
 さらに、条約を実施していく上でさらに細かいガイドラインづくりというのがいろんなふうに進んでおりますが、その交渉に関しましては、いろんなところから専門家の派遣をいただきまして、我々も交渉に参加させていただいているというところでございます。
 これからの課題ですが、今度はカルタヘナ議定書をどういうふうに我が国の方で締結していくか、そしてまたこれを実施していくかというのが今後の課題になると思いますが、こちらに関しましても、できる限り早く我々の方でも締結したいと思って今調整中でございます。
 次のテーマですが、外務省が一番実行していくという面で活躍できるところは、やはり途上国に対する支援、協力というところだと思うんですが、大きく分けて、環境に関する支援ということではGEFと言っていますが、地球環境ファシリティという支援資金メカニズムができております。こちらにつきましては、実は日本はアメリカに次いで第2位の大きな出資国でございます。その中でいろんなプロジェクトをさせていただいております。同時に、我が国の2国間支援、いわゆるODAのバイの支援といっておりますが、そちらの方でも各国でプロジェクトを進めさせていただいております。
 環境そのものに関しましては、最近の我が国のODAは3分の1近くが環境に費やされるようになってきていますように、環境と開発の両立ということをテーマに環境分野に非常に力を入れておりますし、この傾向は今後とも続くと思います。我々は環境の面についての支援ということについてはますます重きを置いていますので、この辺が頑張っていきたいと思っているところでございます。
 先程申しましたシナジーと言っておりますが、いわゆる環境に関してはどんどんこの10年で条約、議定書ができておりますが、それぞれの関係というのが今後大きなテーマになってくると思います。特に言われておりますのは、来年環境サミット、正式には持続可能な開発に関する世界サミットといってヨハネスブルグで開催されるんですが、ここではやはりこういったこの10年間、初めのリオサミットで環境を重視しようということで環境に目を向けて、その後いろんな条約、議定書ができましたので、今後は、その条約がどんどん林立している中でむだなところを省いて、いかにそれから条約ごとの活動の調整をしていって、浮いた分は活動に回す、それから条約のむだな部分もなくす、そのかわりもっと有機的な活動にさせると、これがテーマになると思われます。一個一個そういうふうにいうと非常に理想的なんですが、一たん交渉しだしますと、それぞれ条約の事務局を誘致したところは自分のところに引っ張ってきたかったので、なかなかうんと言わない。かつ、それぞれのところは、自分はこの条約で頑張りたいとか、自分はここでイニシアチブを発揮したい。途上国自身も自分のこのプロジェクトは絶対金が欲しいと、それぞれなかなか譲らないところがありますが、そういったものをこういった国際会議の場でどういうふうに、有機的な活動こそが実はあなた方にとっても身になることなんですよというふうに説得していくか、ここが外交交渉たるところなので、どんなアピーリングな言葉で彼らを説得していけるというところが、これからの私たちの知恵の絞りどころかなと思っている次第でございます。
 その意味では、一番生物多様性条約との関係が深いところといいますと、水鳥の保護及び湿地の保全を目的としたラムサール条約、古い条約ですが、こういうのもありますし、またワシントン条約といっておりますが、希少種の国際取引規制を目的とするワシントン条約と非常に関連の深い条約でそれぞれの活動もやっております。
 アメリカなんかが言っておりますのは、それぞれの国の中でこそこういったワシントン条約の意義、それからラムサール条約の意義、そしてこの生物多様性の意義をかんがみながら、国の政策としては生物多様性という観点に重きを置けばそれで有機的な政策をしているわけであって、別に条約が幾つかあるからといって同じことを同じようにやっているわけではないので、それぞれの国が自分の中での政策という意味では、生物多様性、貿易面というふうに分けてきちっと政策をとっていけばよいと主張しています。そういった面が、今度はどうして国際面ではできないのかと。ワシントンはワシントンだけで、ラムサールはラムサールだけで、生物多様性は生物多様性だけでというふうにちょっと重複しているところがあるので、そこを国内も見ながら、またそれを反映していくと。それと同時に、お金の取り合いになったり事務局の誘致合戦になっているような、ちょっとそういった政治的な形の交渉になりつつある面を我々がいかに説得していくかというところだと思っております。
 あと、バイの政策のところについてですが、バイのODAについてでございますが、先程も簡単にご紹介させていただきましたが、我々日本政府でやっておりますODAにつきまして、4つの基本原則の一つが環境と開発と両立ということで、これについては最近もどんどん重視して、いろんなプロジェクトを見つけて発掘して、そしてそれを実施していくという経験を積み重ねてまいりました。その結果、現在では約3分の1程度が環境面のプロジェクトに使うようになってきたというのが現状でございます。
 生物多様性に関するODAの事業で主なものを例を上げて申しますと、インドネシアにこの生物多様性センターというのをつくりましたが、これは生物多様性条約から来ているんですが、これにはもちろん日本の支援のみならず、先程申しました地球環境ファシリティからもお金は出ていますし国際機関も支援しています。そういったところに連携をとりながら、我が国としてもこういうところに協力をさせていただいていると。
 また、あとパラオに珊瑚礁保全センターというのができておりますが、これについてはパラオからも大変感謝されておりますし、パラオの大統領なんかが日本に来られたりすると、日本のこのセンターについては本当に感謝しているという言葉が何度も聞かれているぐらい、非常に珊瑚礁関係では有名なセンターでございます。
 あと、アフリカでも砂漠化問題が非常に深刻になっておりますので、緑の推進協力プロジェクトなどというようなプロジェクトもさせていただいているところでございます。
 こちらからの説明はこれぐらいにさせていただきます。ありがとうございました。

●岩槻委員長代理 どうもありがとうございました。
 それでは、どなたからでもご質問なりコメントなりお願いいたします。
 鷲谷委員からどうぞ。

●鷲谷委員 勉強させていただいてどうもありがとうございました。
 ちょっとよく知らないので質問をさせていただくんですけれども、ODAの事業の中での生物多様性にかかわる事業ということなんですが、ODA全体の予算の中で、生物多様性にかかわる事業の予算というのはどのぐらいを占めているんでしょうか。

●外務省総合外交政策局(貴島) 昨年度でございますが、無償、有償、技協というのが中心でございますが、この合計で約 100億円ぐらい(*)になります。ちょっと今調べていますので、全体の中に占める割合は後でお答えさせていただきます。

●岩槻委員長代理 むしろ環境省の方がご存じということはないんですか。

●自然環境計画課長 この審議会の前に勉強会をやっていまして、その時完全なものではありませんがまとめたものがありますので、後でちょっとコピーが間に合えばお配りしたいと思いますが、整理している時に一番大変なのは、何をもって生物多様性に係るその技術協力というかということが、今多分、外務省の方もなかなか簡単に出ないのはそこがあります。環境というトータルで数字をまとめるのはそれなりに、割と広い意味でまとめるということがそれなりに可能なんですが、さらにその環境の中で自然環境関連というのをどう積み上げていくかというのが意外と難しくて、そこからさらに生物多様性に非常に直接的にきいてくるものはどれかというと、またさらに難しくなると。
 今申し上げたのは、大体つかみでいいますと、難しくなる順番に金額が大分下がってくるということになります。例えば植林協力みたいなことで、それも大きくは生物多様性というふうにとると金額が相当大きな形で上がるという、そういう関係になっていると思います。

●生物多様性企画官 先程生物多様性関係が 100億円ぐらい*ですね。政府のODA全部ひっくるめて、平成12年度で約1兆円でございますので、1兆円における 100億円程度という比率です。

●岩槻委員長代理 渡辺委員、どうぞ。

●渡辺委員 それとの関連なんですが、最近10年ぐらいで、まずこのODA大綱で4つの基本原則が上がって、中に環境と開発の両立というのがあるそうですけれども、全体が幾らで、そしてこの4つの原則が何と何で、もしそれぞれに配分が可能なら、一応区分けが可能ならそれが幾らで、環境と開発の両立の中の、知りませんが自然保護関係だか生物多様性だかの全体像がわかるような資料がいただきたい。それはただの金額だけではなくて、中身もある程度当然にあるんだろうと思うんですね、改めてつくるまでもなく。詳しいので困る、嫌だということを申し上げるつもりはありませんので、ODAの中身について今のような見地から頭の中に整理できるような資料を、これは後で結構でございますからぜひお願いをしたいと思います。

●外務省総合外交政策局(貴島) 外務省でございますが、実は外務省からは毎年ODA白書というのを出させていただいております。それで、その中で一つ一つの技術協力にせよ、無償にせよ、有償にせよ、プロジェクトを一つずつ全部リストアップされておりまして、必要であればうちの方で出していますそのODA白書、厚い上下版になっているんですが持ってくることも可能ですし、言っていただければ皆さんにご提供できるんです。
 それで、どういう形になっているかということなんですが、もともとODAというのは開発のためのものでございますので、開発にも資するし環境にも資するというのもありますし、それから、生物多様性というのは先程も申しましたように生物多様性は生物多様性だけ、それから砂漠は砂漠だけとかそういう形ではなくて、割と細かい小さな技術支援であれば時々生物多様性オンリー、そのためだけの小さなプロジェクトもございますが、実はそれをやりつつそれは森林のためにもなっている、もしくは砂漠化の問題への対処のためにもなっている、もしくは、全然違いますが生態系保存のためにもなっているいろんな価値を追及している時もあります。
 なので、例えばなんですけれども、技術協力にしましても森林保全と緑化の両方に役立っている、それはもちろんそうなんですけれども、というふうに分けたり、生物多様性の保全に役立っていると一応分類分けもされております。
 そういう形に実はリストがあるんですが、余りに分厚い、こんな資料なので、2分冊で。なので今回はお持ちしていないんですけれども、そういう形で最近は分類もきちっとするようにしておりますし、統計を出そうと思うとできます。ただ、何%と分けようと思いますと実は重複したりしていますので、かつそれは必ず何%とするというものではなくて、大体ODAというのは要請ベースですし、それが意義に合っているという、まず大体大きくは、環境のために役立っているものは重視していこうという大きな4原則のような形で方針を立てれば、必ずしもそれが絶対何%にしなければいけないとか、生物多様性のためにもっと増やそうとか、あまりそちらの方を頑張り過ぎると各国のニーズにも合わなくなるのでかちっとしたもので出してはいなかったと。ただ、今のようにお聞きになられますと、うちの方から割り振った中から生物多様性と一応仕分けしたものをだっと足し算をして約くくりで 100代ぐらいになりますと、こう申し上げている次第でございます。

●渡辺委員 まず何%でなきゃいかんなんていうことを申し上げたつもりは全くありません。
 それから、2分冊のODA白書を10年分20冊いただいても、これはちょっと困りますので、生物多様性の前にこの環境関連という区分けのもので、2分冊を何枚かに要約して、それを私は10年分いただきたいと思いますけれども、ほかの皆さんは去年のだけでいいのかもしれません。生でぽんといただいてもさすがに困りますね。適宜わかりやすいようにしていただいたらと思いますけれども、環境に関連する部分は中身がわかるようなものが欲しいですね。

●岩槻委員長代理 今のはよろしいですか。

●外務省総合外交政策局(貴島) すぐにその資料ができるかどうかはわかりませんが、我々はこういった各省との関係での生物多様性に関する取り組みをやっておりますので、ある資料とつくれる資料という形で、統計のとりやすい形にしたものは提出できると思います。ちょっと理想どおりになったものが直ちにあした、あさってできるかというと、ちょっとそこはご相談させていただきたいと思います。

●渡辺委員 全く新たに創造するんでは大変ですよね。何かいろんな段階で使われたのがあるんではないですか。

●外務省総合外交政策局(貴島) ちょっと既存のものを探してみますので。

●岩槻委員長代理 よろしくお願いします。それでは、鷲谷委員、どうぞ。

●鷲谷委員 世界的に見てシンボリックな絶滅危惧種、例えば熱帯アジアのオラウータンみたいなものの保護に役に立つような援助ということだと国際的にアピールする面が多いと思うんですけれども、そういうような視点というのはありますでしょうか。あまりそういう視点はないんでしょうか。

●外務省総合外交政策局(貴島) ちょっと私も個々のプロジェクトまではわからないんですけれども、やっているかもしれませんがどういった形でやっているかはちょっと私も今すぐはわかりません。あまりにたくさんプロジェクトがあって、かつ去年やっているかどうかというのも……

●岩槻委員長代理 むしろ環境省さんの方が情報をお持ちではないんですか。何かそういう話題性があるといいますか、そういうプロジェクトとしては、すぐにはやはり出てきませんか。

●外務省総合外交政策局(貴島) あと済みません、希少種の件なんですがよろしいでしょうか。生物多様性というよりもその希少種の保護ということに関しますと、我々の中ではむしろワシントン条約にかかわる協力という形で、条約の中である程度私たちも国際機関への拠出、そしてその中での国際的な取り組みということでやっている可能性もあります。
 なので、ちょっと生物多様性という観点からはどういう形でやっているかといいますと、条約としてもこちらでやっていない可能性があります。ただ、例えばインドネシアへのもうちょっと大きな形で何とかセンターという中で、例えば先程申しましたようなインドネシアの生物多様性センターというのがありますが、もしそこがオラウータンやゴリラとか、そういったあそこにある希少種についても研究をしているということになれば、我々がそこのセンターに出したODAが間接的にではありますが貢献している可能性もございます。

●生物多様性企画官 こういった野生生物保護分野の国際協力というのも、今後の小委員会の議論の中でもまた改めて私どもの方のデータも整理してご説明していければと思っておりますけれども、自然保護分野の中で鷲谷先生がおっしゃられたような希少な野生生物の保護というテーマ、今までの日本の協力の中でもテーマとしては結構重点を置かれているテーマでございまして、例えばマダガスカルの霊長類の保護のプロジェクトですとか、フィリピンですとかキューバのワニの保護に関したプロジェクト、あるいはカラパーゴスの野生生物を対象にしたプロジェクトといったぐあいで、そういった希少野生生物保護回復プロジェクトというのについては結構重点が置かれてきております。その辺はまた改めて、詳しく次回以降までご説明していきたいなと思っています。よろしくお願いします。

●岩槻委員長代理 よろしいですか。それでは三浦委員、どうぞ。

●三浦委員 ちょっとお聞きしたいんですが、多様性関連あるいは野生生物関連で日本が入っていない条約ってありますか。

●生物多様性企画官 野生生物自然保護関係の条約で入っていないということになりますとボン条約、国境間を移動する動物の保護に関する条約というのがございまして、それについては日本は加盟をしておりません。

●三浦委員 その理由をもうちょっとお聞きしたかったんですけれども。ボン条約が入っていないのはわかっていたんですが。

●岩槻委員長代理 そういう条約に入る時にはその関係する省庁から外務省への協議を申し出られるということなんですか。外務省が主導的にということですか。

●外務省総合外交政策局(貴島) その条約が、例えば国連でとか地域でということで、日本もその交渉に携わる場合は、日本が意義を感じてこれが必要だと思えばそれに参加もしますが、先にできている時、もしくは入ればどうでしょうかと、初めに存在していたものが広がっていくといろいろな場合があります。
 もう一つは、条約そのもののできた経緯は、ちょっと今あまり手元に資料がないので確とは言えませんが、もし既に日本が必要な内容について2国間の協定等を持っていると、ほとんどのことはこれでカバーされているから今はこれに入る必要性は認められないなと考えられて入らない場合もございます。それと、その交渉の過程でできてはみたけれども、ほかの国も全然入っていない、それで、だんだんそうやっているうちに実は2国間協定の方が先に進んでしまって今や無意味化してしまったというような時は、それは別に環境条約に限らず他の分野にもそういうことは発生するんですが、それで入らないという決断をした場合もあります。
 では、どの省からそういうものについてイニシアチブをとるかなんですが、最終的に国益の全体を見ながら条約を署名する、締結する、もしくは交渉するというのが外交交渉でございますので外務省の方で取りまとめをするんですが、ある時はある利益を反映している省庁がこれは必要なのでぜひ入りたいと言ってくれば、あとは我々の方で関係すると思われるすべての省庁にお声をかけてその必要性や利益損失等両方を検討した上で入る、入らないというのを決めるという形が普通でございます。

●岩槻委員長代理 三浦委員、今の続きですか。

●三浦委員 2つばかりお願いがあるんですが、これはもちろん環境省も含めてですけれども、1つは、ODAで特にアジア諸国に非常に多額の協力を生物多様性も野生生物も含めてこれまでやってきて、それから2国間の条約もある程度ありますね。それから3カ国も含めて幾つかあると思いますが、日本がこれまで貢献してきた枠組みの中で、やはり東南アジア全体で野生生物の保護や多様性を図っていくためにどういう枠組みや条約などといった単なるODAでプロジェクト形式だけではなくてもうちょっと恒久的なといいますか、経常的な枠組みというのが多様性の中で特に私は重要だというふうに思うんですね。それが一点。
 それからもう一点が、ODAを含めてですけれども、先程鷲谷先生が質問なさったオラウータンの件にも関連しますがこれまでこういった海外青年協力隊という枠組みでかなり入っていて、何人かの人がオラウータン野生復帰のリハビリに関しての知識や実際の経験を積んでいらっしゃいます。
 それから、アフリカの諸国でもマラウイ等も含めてさまざまなプロジェクトがあったと思うんですが、やはり海外青年協力隊に入って、野生生物現場で非常にたくさんの知識を蓄積していらっしゃいます。だけど、この方々たちは日本に帰ってきちゃうとほとんど無職で、転職してしまうかそのままになってしまうんですね。悪い言い方をすると使い捨てというかそういう格好になってしまう。野生生物保護とか多様性保全といったような経験をもうちょっとストックできないかなと。それが他の国々への支援とかという時に、我々がいつも動員されるわけですけれども、せっかく持っている蓄積していたものがその場で消費されてしまうだけで、その方たちの経験をもうちょっと生かすような何か仕組みが、JICAというレベルかODAというレベルか僕はよくわかりませんけれども、何かそういう仕組みがつくられてもいいんではないかなというその2点なんですけれども。

●服部委員 今の三浦委員の話は最もだと思うんですけれども、そもそも外務省でそういった類の自然環境なり生物多様性の問題に関する政策的判断というのはどのぐらいできるのか。条約を取り仕切っていくだけの話なのか、いや、こういう観点で必要だからこの条約は要るんだとか、何かそういう政策判断をする余地というのはあるのか。あるいはそれを担当するどこかの省があって、それと連携して条約を取り仕切るだけが役目なのか、そのあたりはどのぐらいのウエートで外務省が持っているのか。それがもしないとすれば、今三浦委員が言われたようなことは外務省に対して無い物ねだりしていることになってしまう。
 したがって、何がいいたいかと言うと、外務省がこういうことを取りまとめるについてどういうことをやってほしいか、国家戦略で決めたらそれに対して外務省はどういうことをやってほしいかみたいなことがあるのかないのかというのを聞きたいと思います。

●森戸委員 地球環境課というのは、今回の生物多様性に限らず環境に関する条約関連は一手に引き受けている窓口と解釈していいんですか。

●外務省総合外交政策局(貴島) そうですね。外務省の中ではうちでございます。

●森戸委員 いろんなタイプの条約の中で環境関係は全部そこで扱うと。そうすると、特に対外的なことも含めた環境政策のある程度の総括的な作業はやるわけですね。さっきのシナジー(共同・協力)みたいな話もそうですし、多分条文だけではなくて、もう少し中身に入り込んで検討するようなことをやるとすれば、それは外務省内部でやっているのか、あるいは環境省などの関係省と何か連絡会議みたいなのをつくって対応しているのか、その辺のことをちょっとお聞きしたいんです。

●岩槻委員長代理 むしろ関連質問から先にお答えいただいて、最初の三浦委員の質問に戻っていただけたらと思いますけれども、お願いします。

●外務省総合外交政策局(貴島) まず役所としての我々の任務といいますか、どういう形で我々政策をつくってそういった施策の実施をしているかなんですが、外務省の中では環境に関する外交はうちの地球環境課が一応担当しておりますので、環境と思われるありとあらゆる条約、議定書が出てくればもちろんうちの方で扱います。また、これから新たにつくっていかないといけないという時もうちの課が多分扱うことになると思います。
 それから、そういったもの全体をどうバランスをとっていくか、それから地球環境サミットのような環境というものをテーマにしつつ、国際社会の議論の流れがどうなっているかを把握する。同時に、我が国としてそういった場で何を発信していくかということを一応まとめるのというのは、うちの課が一応その担当ということになっております。
 では、一体我が国として環境について、国際社会の議論の流れを把握するというのは情報収集でございますので、国際的な情報収集はうちの課の方でも一生懸命やっておりますが、在外公館等を通じたり、もしくは各省とも一緒になって国際会議に行っている時にそれを情報収集するわけですが、ではうちの課が、もしくはうちの外務省として、外交として、もしくは我が国政府全体として、役所というのはその担当しているところが一応分担してそれの一番初めの案を書くということなんですが、その中でどうやってやっているかといいますと、まずそれは勝手に私たちの課が好きなように書いて好きなようにやれるということではありません。
 特に、私たちは、外交についてはそれぞれ経験を積んでおりますが、環境そのものについての細かい話、我が国が一体どんな環境の政策をとってきて、こういうものが実は日本人にとってぴったりだと、このぐらいのレベルが必要だと思っているか。そしてそれはいいものだと誇れる。だったら国際社会にそれをアピールしようと。国際社会のルールをそういうふうにさせようということになれば、そういうふうなことにしようということを環境省さん、もしくは経済産業省さん、もしくはほかの省庁の皆さんと協議して、うちのは誇れるものなのか、足りないものなのかを見きわめた上で、足りないのであれば早くキャッチアップしましょうということになりますし、うちが誇れるものであってほかの国にもやらせたいと思うものであればやらせる、もしくはそういうルールづくりにうちの持っているこういういい基準がある、これをみんなにやらせようと、ルールづくりの中に反映させようということになります。
 もう一つは、例えば、今一番典型的なものは気候変動もそうですが、各国もしくは我々の考えるこのぐらいのバランスがちょうどいいと思うものと、ほかの国やグループが考えているちょうどいいと思うものは違う。さらに途上国にとってみれば、うちらはまず開発だといって彼らが持っている重点、比重が全然違うという時に、それでも環境というのが特に地球環境にかかわるもの、例えば生物多様性ということであれば、全体的に生物多様性を保存しようということは、これが日本にとってもアジアにとってもヨーロッパにとってもアフリカにとっても価値観としては絶対同じであるはず、もしくは同じであるべきと考えるわけですね。アジアだからアジアの人はとても重要だけれどもアフリカの人は重要でないということはないわけであって、まず地球規模でその価値観というものを統一にすべきということでいけば、我々はすべての世界で統一の条約をつくろうと、こういう方向にいきます。
 今度は、我々の日本が考える価値観がいいということであればそのようにさせようと。でも、ほかの国は違う価値観がいいというのであればそこを折り合いをつけないといけないわけであって、我が国の思うものが絶対にどの国にも適用できるわけではない場合はそこが交渉ということになって、妥協点を探るということになります。
 そういう形で、交渉、妥協点を探る、アピールでいくか、キャッチアップでいくか、それは情報収集の上、私たちの知らない特に環境、それから経済に与える、もしくは我が国の経済活動に与える影響等々については環境省さんももちろんですが、経済関係のいろんな省庁さんと話をして、どのくらいなら我が国としていけるか、保てるか、持ちこたえられるか、もしくはアピールできるかと相談した上で、外務省がとりまとめて外交政策に形づくるわけです。
 もし日本国内での政策だけであれば、それは我が国の国民が納得するものだけをつくればいいんですが、それをほかの国にも適用させよう、もしくはほかの国にも関係ある地球規模の問題である時には交渉事になってくるので、そういう時には我々が出てきて、では皆さん調整しましょうということになります。通常、条約交渉というのはこういう形になるので、確かにうちの課でいきましても二十数名の課でございますし、我々はみんな環境のプロでもなければ経済のプロでもなくて交渉だけはプロという、いわば営業マンもしくはこういうしゃべり屋なんですが、何分我々はやはり代表部や大使館を持っているということ、それから、やはり私たち外務省は何カ国もの交渉をする時のその交渉のやり方というんですかね、営業のうまい人がいるように、私たちはやはりしゃべりと交渉で落としどころを何とか探るということに関しては、我々は一応外務省という役職にあるので、その技術をいつも研磨しているわけでございます。なので、それをできる限り生かすようにしたいということで、交渉について一応責任を負わさせていただいているということでしょう。その結果としてあらわれるのが、でき上がった条約であったり議定書であったり、もしくはそれを採択するということであったり、我が国が締結するということであったりするわけです。そういう形で大体交渉事とか政策立案については携わっております。
 その関係で、大体いつも私たち本当そうなんですけれども、1人で2つ、3つの条約なんかを担当しないといけないぐらい最近条約が増えてきて、忙しくしております。また、外務省としても環境関係、環境外交には力を入れなきゃと、最近やっとちょっと力を入れ出してきているところでございます。
 そういう感じで実務を進めているんですが、それでご質問いただいたまず一つのアジアについて、もしくはアジアについての取り組みということで、条約面での取り組みというのと、それから支援についての取り組みという2つの面があると思うんですが、条約についてどういうふうに地域で取り組むかという時には、例えば渡り鳥のようにこの国この国、もしくはアジアの例えば日本海あたり、ここだけ飛んでいる鳥であれば、そこだけで協定を結んだ方が実はいいんですね。全然違う鳥と飛んでいかないところの国と協定か条約を結んでも関係ない国に要らないことを言われるだけなので、それは関係諸国だけでやった方がいいというのもあります。
 例えば、酸性雨のように、この地域だけでとりあえず完結している問題の場合は、まずはその地域だけでモニタリングシステムを結んだ方がいい時もありますね。そして、そこで培った経験、もしくは日本が一応技術を持っているわけですから、日本が中国や韓国のようなところに技術を移転してそれで完結すると。そういう場合はそれだけで協定を結び、そしてそこにどんどん資金を入れて彼らにしっかりやってもらうという発想もあり得るでしょう。
 それの発展段階なんですが、そのアジアについて我々が望んでいることは、やはり地球規模の問題にかかわる時は地球規模の条約ができて、その中でそれを実施していく上で、同じ途上国でもやはり私たちはアジアにもっと頑張ってほしいと思っているので、条約を実施していく上でアジアの国がよりよく実施できるようにしてほしいと思っているわけです。なので、限られたODAという資金を配分する時には、アジアに多めに使われるよう配慮し、早く技術や知識を得て成長せよといってアジアに頑張ってもらうと。技術協力でも、まずアジアに行ってアジアの人材を育てて、そしてアジアの人材が育ってアジアの人材がさらにほかの国で教育とか、そういったその支援に携われるようになれば、それはアジアとしての積極的な行為でございますし、もともとは日本が教えたものであったりすると、我々は誇らしく思えるというふうに考えております。
 ということで、アジアの枠組みということでいけば、すべての条約をアジアだけでつくれるかというと、地球規模の問題の時は初めにまず世界ありきなので、次の実施段階でアジアには多めにということもあります。アジアだけで完結する時は、協定とか条約もアジアだけですし、さらに支援についてもアジアだけというふうに、アジアに割と重点を置いてというふうな形で配分をとっているというのが実情です。
 最後にJICA、それから知見の蓄積というご質問をいただいたわけですが、まず初めに、こういった技術指導をしていただくような方を青年海外派遣などで派遣する場合、それからシルバーボランタリーの形で、退職された方なんかも最近非常に海外で活躍されていたり、それと今JICAのそういった海外の派遣の中では、昔必ず2年だったものを最近は企業で勤めていらっしゃる方も行きたいという方が出てきましたので、そういう方が企業に戻れるように1年というようなシステムもつくったりして、可能な限り日本の知見が海外に生かされるようにという方は少し工夫をし出したところでございます。
 では、今度そういった人たちが海外へ指導するという指導技術をどうやって蓄積するかということに関しましては、なかなかそういう人たちがその後ずっと一生技術畑で、いわゆる指導、技術支援の畑で生きていけるかというと、ずっと全員をJICAで雇うというわけにもいかないし、かつ途上国のニーズというのも、彼らが自力で成長できるように、自力でやっていけるように指導するので、あまり長くずっと指導していると彼らが頼りきりになるので、そこは一たん引き上げなきゃいけないわけですよね。
 なので、ニーズも変わり同じことはずっと続けることはできないということで、次々支援内容を変えていった方が政府にとっては理にかなっているわけです。だからといって指導部分を蓄積しないというわけにはいかないので、そこはJICAの研修センターとか、それからJICAのみならずUNEPという国連環境計画という国際機関がありますが、そこの技術センターという支部のような形のものですが、それは今日本に誘致しておりまして、大阪、滋賀に部署がありましてそこでいろんな活動をしております。そういうところにソフトとなって蓄積されています。また、そういった経験のある人は、そういうところに行って講師になって講演してもらうとかシンポジウムでいろんな話をしてもらうとか、もしくは、一番大きいのはやはりJICAなんですが、JICAの研修制度というのは非常に大きなものがあって、必ずしも海外に行ったきりでなくても、我々は海外から人を呼んでくるという研修コースもいろいろやっています。そういう時には講師になって来ていただくということもあり得ると思います。
 ただ、あとそういう人たちを国内でどうやって置いておくかということに関しますと、JICAだけではとても人が増え過ぎちゃって困りますし、次々と変わるニーズに対応できるように、こういった短期でニーズにあわせた人を国内のいろんな機関や会社で、国の機関のみならず特に会社、企業なんかで働いている人を臨機応変に活躍してもらえるような制度をもうちょっと柔軟にしていきたいと思うんですが、これはなかなかJICAのちょっとした工夫だけではだめで、我が国の社会システムや就職とか、そういった雇用システム自体にもちょっとかかわってきますので難しい問題かなと思います。そこまではちょっと外務省としてもコメントできかねないので、社会の動きに応じてある程度JICAの方で努力させていただいているという報告にとどめさせていただきたいと思います。

●岩槻委員長代理 交渉のプロらしく、非常に行き届いたご返答でしたけれども、よろしいですか。
 他にどなたがご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、特にほかにコメントがないようですので、どうもいろいろとありがとうございました。

●外務省総合外交政策局(貴島) どうもありがとうございました。
 一応昨年度のODAなんですが、技協、有償、無償の合計で約 130億ドルでございます。だから、円はいろいろ動きますが、やはり1兆円ぐらいという感じでしょうね。

●岩槻委員長代理 どうもありがとうございました。
 5時までかかわらずまだ4時半なんですけれども、もう皆さんもお疲れなのかもしれませんけれども、これで3日間のヒアリングを終わりにさせていただくわけですが、幾つかの省庁のヒアリングの時に出てきましたように、その場で完結しないで後でお答えをというふうなお願いをいたしましたけれども、それは環境省の方からまとめて各省の方へ改めてお願いをしていただいて、それでお答えをしていただいた上で取りまとめをしていただくということになるかと思うんですけれども、その質問の取りまとめに関しては、きょうは辻井先生いらっしゃいませんけれども辻井委員長に一任ということで、辻井先生はご了承いただいているようなので、そういうことで取り扱わせていただきたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。
 それでは、どうも長時間ありがとうございました。ヒアリングが終わったらおしまいというのではなくて、まだあと宿題が残っているようですけれども、そういうことについて環境省の方から。

●生物多様性企画官 3日間に渡りまして長時間ご審議いただきまして、本当にありがとうございました。次回以降のちょっと予定をご連絡したいと思います。
 次回は今月の13日でございます。次回は多様性に関する課題でありますとか、見直しに際して重要な論点についてご議論をいただければというふうに考えております。
 今月13日の午後2時半から、場所は東条インペリアルパレス2階の千鳥というところで行いたいと思います。また、今月中もう一つ11月20日、この日はNGOからのヒアリングということを予定しておりますが、20日に関しましては10時から午後にかけて経済産業省の別館9階、この各省ヒアリングの初日の会議室でございますが、 944という会議室でヒアリングを行いたいと思います。頻繁な開催が続いてしまうということで大変恐縮でございますが、どうかよろしくお願いいたします。
 お手元の資料、重くなってきているので、事務局に言っていただければ郵送いたしますのでよろしくお願いいたします。
 本日は本当にどうもありがとうございました。

                             午後 4時28分閉会

*のちほどの調整で、生物多様性に関するODA総額は 192億円(無償資金協力 1,035百 万、有償資金協力12,000百万、技術協力 6、200百万)であるとの報告あり。