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■議事録一覧■

中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会(第2回)
議事要旨


1.日時

平成24年9月13日(木)13:30〜15:10

2.場所

ホテルフロラシオン青山 孔雀

3.出席者(敬称略)

(部会長)

武内和彦

(部会長代理)

山岸 哲

(委員)

加藤順子、佐藤友美子(五十音順)

(臨時委員)

石井実、磯崎博司、磯部力、市田則孝、岡島成行、河田伸夫、神部としえ、小泉武栄、小菅正夫、小長谷有紀、桜井泰憲、佐々木洋平、敷田麻実、柴田明穂、下村彰男、白山義久、高橋佳孝、高村典子、田中正、田中里沙、辻本哲郎、土屋誠、浜本奈鼓、速水亨、福田珠子、マリ・クリスティーヌ、三浦慎悟、宮本旬子、涌井史郎(五十音順)

(事務局)

環境省(伊藤自然環境局長、亀澤自然環境計画課長、奥田生物多様性地球戦略企画室長、牛場生物多様性施策推進室長、岡本調査官、桂川国立公園課長、中島野生生物課長、堀内鳥獣保護管理企画官、堀上自然ふれあい推進室長、田邊動物愛護管理室長、奥山生物多様性センター長)

4.議事概要

(1)「生物多様性国家戦略2012-2020」答申案について

事務局より[資料1][資料2]に基づき国家戦略の答申案のポイント及び前回の合同部会において委員からご指摘のあった点に対する変更点等を説明した。さらに[資料3]に基づき、国家戦略の変更スケジュールを説明した。
事務局より説明のあった答申案をもって自然環境・野生生物合同部会の決定とすることが承認された。
この後、国家戦略の実施に向けたアドバイスなどについて御意見をいただいた。概要は以下のとおり。

(2)その他(報告事項)

IUCN(国際自然保護連合)の親善大使ということで2004年からいろいろな活動をしている。そのIUCNの総会が韓国の済州島で開催され、全部ではないが参加してきたので、その御報告をさせていただく。 まず、総会ではいろいろな選挙があるが、日本の北島氏が地域理事に就任された。 今回私が出席した中では、ジェンダーとREDD+に関する会合ついて、インドネシア、パナマ、ガーナなどから発言があった。森林についての取組の中では女性の果たす役割が大きいのではないか、ということで活発な意見が交わされていた。私からは堂本先生と一緒に、昨年の東日本大震災に際して、世界中からいろいろ御協力いただきありがとうございました、ということでお礼を申し上げた。 「生物多様性の子守唄」というテーマで、裾にはジュゴンなど、上の方にはトキの親子などの絵を描いた着物を着ていった。コンサートも行い、1万人ほどが集まり、モーリタニアのマローナさんと「まあるいいのち」など2曲を歌った。今後、いろいろな形で生物多様性と結びつけて活動していきたいと思ったことを報告させていただいた。(神部委員)
前回、生物多様性基本法との関係を発言させていただいた。先ほど事務局から御報告いただいたように、答申案に内容を反映していただきお礼申し上げる。それについて補足説明をさせていただく。最初の生物多様性国家戦略はかれこれ20年近く前につくられている。前回の合同部会において言いたかったことは、国際条約に基づく国家戦略と法律に基づく国家戦略では、意味合いが異なるのではないかということ。つまり、法律に基づく国家戦略は、国民が遵守する必要があるということ。そのことが国民に十分分かるように情報発信していって欲しい。コンプライアンスという面で、生物多様性国家戦略の実効性が上がる方向に、これから上手く運用していってもらいたい。(田中正委員)
途上国にも、先進国にも日本の姿勢を示す良い機会なので、できれば生物多様性国家戦略の全文を英訳して、世界に向けて情報発信してもらいたい。ヨーロッパ各国などにも通用する一つの要素として、今回の戦略では人間の生き方についても踏み込んできているので、今後は哲学の分野の人たちとの連携も考えて欲しい。   国家戦略に書かれていることを実行していくためには内閣直属で各省庁と強い連携をもって進めていくための新しい省庁が必要であると感じた。(岡島委員)
前回の議事要旨について、「IPM」ではなく「IBM」に訂正していただきたい。農業の世界では昆虫は、害虫、益虫、ただの虫の3つに分類する。しかし、例えば水田において、好ましいと思っているカエルやアカトンボなどの益虫にいてもらおうとすると、その餌となる害虫もいてもらわなければならない。害虫は益虫の餌と認識して、害虫も薄い密度でいた方がよい。そうしないと、害虫が大発生して、いざという時に益虫に天敵として活躍してもらえない。害虫、益虫、ただの虫の3つ全てを管理していかないと上手くいかない。(石井委員)
英訳について、日本の中での感覚でつくっている文脈は英語として成り立たず、翻訳不能なものがある。その点で英訳を行うことは、国家戦略を書いている側のロジックをチェックするのにも有効。国家戦略の中で生物多様性が分かりにくいということが書いてあるが、生物多様性は分かりにくくない。なぜ生物多様性が国家戦略になるのかが分かりにくいのであって、その理由は条約や法律で定められているからではない。(小長谷委員)
国家戦略は、副題にある「豊かな自然共生社会の実現に向けたロードマップ」の「豊かな自然共生社会」を実現するための戦略であり、生物多様性はそれを可視化するためにある。副題があることによって、本当の目的が明示されたものになっている。みんなが真似をしたくなるようなライフスタイルにつなげ、国家戦略をひとりひとりの生き方に落としていくことができれば浸透していくのではないか。(小長谷委員)
第2部のロードマップに関連指標群が多くある。何年か後に達成度、費用対効果などを取りまとめて評価をするのか。(宮本委員)
国家戦略を教育にちゃんと使って欲しい。日本では生物多様性が学校教育では出てこないなど、自然教育は非常に貧弱。環境教育といえば、地球温暖化など悲観的なことばかりを扱っている。日本にはすばらしい自然環境があるので、まずはそれを学んで欲しい。国家戦略には地球の成り立ちと生命の誕生や大絶滅などが書かれている。この中に日本の地形地質は生物多様性の基盤であり、大切ということも入れていただきたかった。こういう地形地質があるから生物多様性が豊か、という説明をすると人の理解・関心が高まる。日本全体の教育が悲観的な方向に進んでいることを危惧している。(小泉委員)
多くの具体的施策があり、各担当がそれぞれ実施していくことになると思うが、全体としてどのように進み、評価していくのか。モニタリングを行い、次の国家戦略につなげていくためにどのようなアイデアがあるのか。(土屋委員)
私が国家戦略に関わるのは今回で3回目であり、内容は良くなってきているが、トキやコウノトリなどについては多くの取材を受けるが、国家戦略についてマスコミから取材を受けたことはない。マスコミへの呼びかけはどのように行っているのか。(山岸委員)
国連生物多様性10年国内委員会の委員長として、2020年まで多様なステークホルダーよる議論がもつのか、国民的関心をつなぎとめていくことができるのかについて危惧している。国家戦略が軸となって各ステークホルダーの議論を維持していけるのであれば、愛知目標は達成できると思う。国家戦略を通した日本の取組は世界モデルになり得るものと考えている。(涌井委員)
もっと民間人の方にということで、教育にしても「こういうことをする」といろいろ書いてあるが、小さいところで活動している私たちのところにはなかなか降りてこない。施策、取組についての情報を流すということをきちんとすれば、戦略はもっと上手く使える。(福田委員)
前回、森林に関して「もっと民間の力を」と発言し、それに対する説明では、国家戦略は国の方針なのでということだった。それは間違いではないと思うが、様々な事業は民間の力が絡まないと実行性が乏しくなる。民間団体の役割など、ステークホルダーをもっと広く見る必要があると思う。森林だけでなく全てにおいて民間の活動を評価するとともに、政府の施策を民間がいかに活用していくのかということを考えて施策を動かしていくのかが勝負だと思っている。(速水委員)
この国家戦略によって、国の基盤づくりの立派な計画ができたと感じている。国の基盤に関わる計画は、他にも国土形成計画などもある。生物多様性国家戦略としては良い物が出来たが、実行していく時に、他の基本計画にどのようなものがあり、国家戦略がどのように関わっているかを検討すべき。各省の施策メニューと国家戦略の関連性をチェックすることが必要。地球温暖化や循環型社会などとの関係性についても同様であり、統合的に取組を進めていくことが重要。そういうことが見えてくると、国の中での生物多様性の主流化が見えてくる。この国家戦略をもとに、地方でも同じようなマスタープランを作ってもいたい。企業などにも役立ててもらうこと、広めていくことが必要。(辻本委員)
自然側の記述が厚いが、都市人口が80%を超えている中で、その背後にある人々に対する、マーケティングの視点が重要である。新たな自然環境とのつきあい方を形成する時期を迎えている。エコツーリズムはそのような新たなつきあい方をつくっていくものである。(敷田委員)
新聞などで、普段はなかなか「生物多様性」の文字が出てこない。このままでは、生物多様性が一般に浸透していかないという危惧がある。企業のCSR活動報告書などで、地球温暖化については記述されていることが殆ど。生物多様性についても記述するよう働きかけ、企業にも意識を持ってもらうことが必要。一般の人に伝えていくために、簡易版パンフレットなどのツールをつくっても見る人はもともと興味がある人など限られる。スマートフォンやインターネットなども使い、何かのきっかけで全く関心の無かった人が情報に触れられるような仕組みが必要。(田中里沙委員)
第3部第1章第2節の重要地域に「世界農業遺産(GIAHS)」が入っていないが、生物多様性の保全上重要な地域である。世界農業遺産は地元の人の関心も高く、多くに人が集まって取り組んでいる。(高橋委員)
世界農業遺産について関わっているので説明する。世界農業遺産はもともと開発途上国で伝統的な農業の仕組みを大切にしていこうということで始めたものである。言葉にインパクトがあり、現在は地域の営みの再評価などにつながっている。地元の人がやりたいということ、それを通じて地域の産業振興に繋がっていくということが重要である。FAO(国際連合食糧農業機関)が中心となって進めており、これまで進めてきた農業の大規模化ではなく、小規模でも付加価値を付けていくということで、生物多様性とも関わりがある。(武内部会長)
英語に訳しづらいという話があったが同じ意見。愛知目標を原文の英語で読むと、目標の実行まで書いてあるが、日本語では目標として言い放しになっている。今後の改定では、目標と実行体制などをバランスよく書いた方がよい。COP10の原点は地球温暖化によって生物多様性が失われていることへの危機感があった。その温暖化を起こしているのは大企業であり、そうした企業を抑制していくことが重要である。そういうこと対するガイドラインが日本から出ることが重要である。環境省は国民にとっての駆け込み寺であり、自然や環境を守るために重要な役割を負っているので、国家戦略が企業や団体の営利活動に使われるのを懸念している。(マリ・クリスティーヌ委員)
生物多様性が分かりづらいという議論があったと思うが、言葉が分かりづらいのではなくて、そこで何をしているのかが分かりづらいのだと思う。マスコミの関心は人々の食いつきにある。希少動物の話は、絶滅に至った過程などを整理して説明すると、地元の関心は高まっていく。将来に向かってどのように進めていくかという意識が無いと進んでいかない。(小菅委員)
英訳については、今後行う予定。広報パンフレットも分かりやすいものをつくる予定。マスコミについては、カメラはNHKだけであったが、多くの記者の方々に参加していただいている。目標値の進捗状況、見直しなどについては、基本的に2014年又は2015年に予定している戦略の点検時に行う。具体的な現状値の公表などは、毎年発行している環境白書などの利用も検討していきたい。 国の計画であることによる記述の限界についてはご説明のとおりだが、民間等のステークホルダーを取り込んでいくことは重要と考えている。地方については生物多様性地域戦略の策定の推進を図るとともに、民間については生物多様性民間参画イドラインの活用についても検討していきたい。(奥田生物多様性地球戦略企画室長)