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■議事録一覧■

中央環境審議会 第1回自然環境・野生生物合同部会
議事録


1.日時

平成24年2月9日(木)10:00〜12:35

2.場所

TKP赤坂ツインタワーカンファレンスセンター7階 ホール7A

3.出席者(敬称略)

(会長)鈴木 基之
(部会長)武内 和彦
(委員)磯崎 博司磯部  力市田 則孝
岡島 成行加藤 順子神部としえ
小泉  透小長谷有紀桜井 泰憲
佐々木洋平柴田 明穂下村 彰男
白幡洋三郎白山 義久高橋 佳孝
高村 典子土屋  誠橋本 光男
浜本 奈鼓速水  亨福田 珠子
堀内 康男マリ・クリスティーヌ三浦 慎悟
宮本 旬子山岸  哲山極 壽一
涌井 史郎  
(特別委員)あん・まくどなるど
(環境省) 細野環境大臣
大臣官房審議官
渡邊自然環境局長
小林大臣官房審議官
上河原自然環境局総務課長
塚本自然環境計画課長
桂川国立公園課長
亀澤野生生物課長
奥田生物多様性地球戦略企画室長
牛場生物多様性施策推進室長
宮澤鳥獣保護業務室長
関根外来生物対策室長
堀上自然ふれあい推進室長
西山動物愛護管理室長
奥山生物多様性センター長
大庭自然環境整備担当参事官

4.議題

生物多様性国家戦略の変更について(諮問)
生物多様性を取り巻く状況及び生物多様性国家戦略2010の実施状況の点検結果について(報告)
その他

5.配付資料

資料1−1生物多様性国家戦略の変更について(諮問)
資料1−2生物多様性国家戦略の変更について(付議)
資料1−3生物多様性国家戦略小委員会の設置について
資料1−4生物多様性国家戦略小委員会の運営方針について(案)
資料1−5生物多様性国家戦略の変更に向けた今後の進め方について(案)
資料1−6生物多様性国家戦略小委員会名簿(案)
資料2−1生物多様性を取り巻く状況
資料2−2生物多様性国家戦略2010の実施状況の点検結果報告書(冊子)
参考資料生物多様性国家戦略2010(パンフレット)
生物多様性条約COP10の成果と愛知目標(パンフレット)
地域主権改革の状況に関する資料
現代日本のイノシシ・シカ大問題(パンフレット)

6.議事

【事務局】 それでは定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会を開催いたします。
 開催に先立ちまして、本日の出席委員数のご報告をいたします。所属委員50名のうち、過半数の28名の委員にご出席をいただいておりますので、中央環境審議会令第7条第3項により準用する同条第1項の規定に基づきまして、定足数を満たしております。本部会は成立しております。また、本日は鈴木中央環境審議会会長にもご出席をいただいております。
 なお、中央環境審議会の委員につきましては、任期満了により、昨年1月、新たに任命が行われています。同合同部会長につきましては、中央環境審議会令第6条第3項に基づき、鈴木中央環境審議会会長より、武内委員が指名されております。
 次に、本日の審議のために、お手元にお配りしています資料につきまして、確認をさせていただきます。議事次第の裏面にあります資料一覧をご覧ください。資料一覧、まず委員名簿になります。次に座席表になります。次に資料1−1生物多様性国家戦略の変更について(諮問)、次に資料1−2生物多様性国家戦略の変更について(付議)、資料1−3生物多様性国家戦略小委員会の設置について、資料1−4生物多様性国家戦略小委員会の運営方針について(案)、資料1−5生物多様性国家戦略の変更に向けた今後の進め方について(案)、資料1−6生物多様性国家戦略小委員会名簿(案)、資料2−1生物多様性を取り巻く状況、資料2−2生物多様性国家戦略2010の実施状況の点検結果報告書(冊子)となっています。
 参考資料としまして、生物多様性国家戦略2010(パンフレット)、生物多様性条約COP10の成果と愛知目標(パンフレット)を配付させていただいております。
 なお、資料番号を付しておりませんが、その他の議題としましてご報告予定の地域主権改革の状況に関する資料及び鳥獣被害対策に関する普及教材の学習漫画をあわせて配付させていただいております。もし配付漏れがございましたら、事務局にお申し出いただきたいと思います。
 それでは、議事に移りたいと思います。これよりの議事進行につきましては、武内部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【武内部会長】 皆さんおはようございます。武内でございます。これから平成23年度第1回中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会を開催させていただきたいと思います。本日は合同部会の最後のほうで、細野環境大臣がお見えになる予定ですが、まずは開会に当たり、渡邉局長から一言お願い申し上げます。

【自然環境局長】 ありがとうございます。皆さんおはようございます。自然環境局長の渡邊でございます。お忙しい中、本日の合同部会にご出席をいただきまして、大変ありがとうございます。また、自然環境あるいは生物多様性に関して、さまざまな取組についてご指導をいただいております。本当にありがとうございます。
昭和6年に、自然環境行政の原点であります国立公園の制度が日本で創設をされてから、今年80年がたったところです。また、リオの地球サミットで生物多様性条約の署名が始まって、日本の環境政策に生物多様性という考え方が導入されてから、今年は20年目の節目に当たるということになります。
そして、一昨年に愛知県名古屋市で開催されました生物多様性条約のCOP10から早1年が経過をいたしました。COP10では人と自然との共生という長期ビジョンを掲げた愛知目標や、ABS名古屋議定書をはじめとして、多岐にわたる数多くの重要な決定が採択されました。世界に先駆けてこれらの成果を実行へと移していくことが、COP10議長国としての責務と考えております。今年10月にはインドのハイデラバードで、COP11が開催されます。このCOP11までに生物多様性国家戦略の見直しを終えて、愛知目標の達成に向けたロードマップを世界に示していきたいと思います。
名古屋のCOP10の場では、生態系の悪化が後戻りできないほどに進んでしまう限界点、Tipping Pointを超えないようにするためには、これからの10年が正念場であるという指摘がなされました。こういった議論を受けて、そして日本の市民団体からの提案がきっかけとなって、2020年までの10年間を、愛知目標の達成のために政府だけでなくて、自治体や企業、NPO、国民などのさまざまな主体が一体となって取り組む、国連生物多様性の10年とすることが、国連総会で決定されました。今回の生物多様性国家戦略の改定に当たりましても、こういったさまざまなセクターの皆さんと、これまで以上にしっかりと連携を図ることによって、効果的で参加型の国家戦略づくりを目指していければと思います。
 昨年3月に発生しました東日本大震災から、間もなく11カ月を迎えます。今回の震災を通じて、豊かな恵みをもたらす自然が、時に厳しい災害をもたらすということを私たちは改めて認識をいたしました。こうした自然とどのようにつき合っていけばよいのか、災害のリスクを減らす国土管理と、国土全体にわたって生物多様性の質を高めていくことをどう結びつけていけばよいのか、こういった点についても今回の国家戦略では重要なテーマとして検討をしていく必要があると考えております。また、大震災を機に、私たちは自分たちの暮らしのあり方を問い直すことになりました。今後の社会経済状況の変化を見据えながら、愛知目標が掲げた自然共生社会を実現していくための道筋と、将来像を提示していくことができればと思います。
今回の生物多様性国家戦略の見直しにつきましては、本日の合同部会を皮切りに、具体的な検討がスタートすることになります。これからおよそ半年間と、限られた時間の中での作業となりますけれども、密度の濃いご審議をしていただけるように私たちも関係省庁と連携を強めて努力していきたいと思いますので、皆さんのご協力をいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

【武内部会長】 渡邉局長、どうもありがとうございました。
 本日の議事に入らせていただきます前に、中央環境審議会令第6条第5項により準用する第4条第3項においては、部会長代理を指名するということが決められております。私といたしましては、野生生物部会長である山岸委員に部会長代理をお願いしたいと思います。山岸委員はまだ来られておりませんけれども、事前にご了承いただいていると私としては理解しておりますので、そのようにお願いできればと思います。ご了承いただければと思います。
 それでは、最初の議事に入らせていただきたいと思います。
 1月27日に、細野環境大臣より中央環境審議会に諮問され、同日付で当部会に付議されました生物多様性国家戦略の変更について、諮問内容と国家戦略の案の検討を行うための小委員会の設置等について、事務局より説明をお願いいたします。

【生物多様性地球戦略企画室長】 環境省の生物多様性地球戦略企画室長の奥田でございます。
それでは資料1−1から1−5まで、束になっているかと思いますけども、こちらに基づいて説明をさせていただきたいと思います。まず資料1−1をご覧ください。生物多様性国家戦略につきましては、生物多様性基本法に基づいて、第11条第4項で中央環境審議会の意見を聞いて策定しなければならないということが定められております。今回、第6項が変更する場合には、それを準用するということになっておりますので、それに基づいて中央環境審議会のご意見を伺うという内容の諮問でございます。法案・条文につきましては、お手元の生物多様性国家戦略2010の320ページにございますので、必要に応じ、ご参照いただけたらと思います。
その下にある諮問理由でございますけれども、現行の生物多様性国家戦略2010が、平成22年3月に閣議決定されておりますけれども、これが概ね平成24年度までを計画期間としているということ、それから、同年に開催された第10回締約国会議(COP10)の成果を踏まえて見直しに着手するということが書かれております。このため、今回国家戦略の変更について審議会のご意見を伺うということで、諮問をさせていただく次第でございます。
 続きまして、資料1−2をご覧いただきたいと思います。資料1−2は、この諮問につきましては審議会の運営規則第5条に基づいて、自然環境・野生生物合同部会に付議するということで、審議会会長の鈴木会長から武内部会長に付議をされたというものでございます。
 続きまして、資料1−3をご覧ください。これは平成21年に既にこの合同部会で決定されているものでございますけれども、議事運営規則第8条に基づいて小委員会として生物多様性国家戦略小委員会を置くということが定められております。そこで国家戦略の案の検討をするということが既に決定されておりますので、今回の国家戦略変更の作業につきましては、これに基づいて小委員会を設置して検討を行っていただきたいと考えております。
 続きまして、資料1−4をご覧ください。こちらは生物多様性国家戦略小委員会の運営方針についてということでございます。これにつきましても既に過去の部会長決定というのがあるわけでございますけれども、資料の「2出席者」というところをご覧になっていただきたいと思います。審議会の「委員、臨時委員又は専門委員」というのを指名することもできることになっておりまして、それも含めて出席者として位置づけるという必要があることから、非常にマイナーな変更でございますけれども、今回はそこの部分を変更して、改めてこうしていただきたいということでございます。内容につきましては、会議の公開・非公開につきましては原則公開ということで、必要な場合には制限することができるということ、また、会議録については確認をしていただいた上で、了承の上で配付するということで、こちらも公開ということで定められているところでございます。
 続きまして、参考までに次のページに運営規則がつけておりますので、ご参考いただけたらと思います。第8条に小委員会についての規定がございます。
 最後に資料1−5をご覧ください。国家戦略の変更に向けた今後の進め方について、事務局で用意したペーパーを(案)としてお付けしております。既に冒頭の局長ごあいさつの中でもお示ししたように、平成24年10月にインドで開催されるCOP11に間に合うよう、今年9月の閣議決定を目指して、見直しを実施するということを考えております。背景につきましては、先ほどの諮問理由の中に書いておりますので、割愛させていただきます。
また、次の国家戦略の作業方針につきましては、一つは愛知目標の達成に向けた道筋を提示するということ、それから二つ目に掲げてございますのは、地域戦略というものが自治体の努力義務規定で策定することになっておりますけれども、そういったものの策定に向けた指針というものを示していく必要があるんではないかということ、そして3番目に、やはり分かりやすさ、読みやすさの工夫というのを、これまで以上に進めていきたいということでの方針をお示ししてございます。
 以上、事務局からの説明でございました。

【武内部会長】 どうもありがとうございました。ただいま事務局から説明がありました諮問内容、小委員会の設置及び運営方針(案)、国家戦略の変更について、ご質問、ご意見がございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(なし)

【武内部会長】 よろしゅうございますか。それでは、このようなことで進めさせていただきたいと思いますが、先ほど少し説明がございましたけれども、資料1−4生物多様性国家戦略小委員会の運営方針について、中央環境審議会議事運営規則第8条第2項において、「小委員会に属すべき委員、臨時委員又は専門委員は部会長が指名すること」とされていますが、現行の決定では「委員等」に専門委員が含まれていないという点の修正をしたいというものでございます。特にご異議がないようでございましたら、本日付で本案を決定したいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)

【武内部会長】 よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。それでは今後そのように進めさせていただきたいと思います。
 国家戦略の案については、生物多様性国家戦略小委員会において、事務局から説明のありました運営方針にのっとり、今後検討を進めていくことといたします。
 次に、生物多様性国家戦略小委員会に所属する委員について、中央環境審議会議事運営規則に基づき、部会長である私から指名をさせていただきたいと思います。資料1−6をご覧ください。資料1−6に小委員会委員の候補者(案)が示されております。この資料にお示しした委員の方々を、私としては小委員会委員に指名させていただきたいと思います。小委員会委員におかれましては、ご多忙のところ恐縮ですが、ご協力をいただきますよう、お願い申し上げます。
 次に小委員会の委員長については、中央環境審議会議事運営規則によれば、部会長が指名をするということになっております。大変僭越ではございますが、自然環境部会長の私が委員長を務めさせていただき、委員長代理の指名については中央環境審議会の運営方針に基づき、野生生物部会長の山岸委員にお願いしたいと思います。ご了承いただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題である生物多様性を取り巻く状況及び生物多様性国家戦略2010の実施状況の点検結果について、事務局から説明をお願いしたいと思いますが、本日、神部委員が所用により間もなく途中退席と伺っておりますので、今後の生物多様性施策などについてご意見がありましたら、今の時点でご発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。

【神部委員】 ご配慮いただきまして申し訳ございません。唐突なので、まだいろんなお話がこれから出てくると思いますのであれですけれども、私、IUCNの親善大使としましては、9月にIUCNの4年に1度の世界自然保護会議がございまして、そちらの大きな国際会議に向けて、いろいろ準備を進めております。それは韓国のチェジュ島で行われます。
そして、IUCNの親善大使が、今まで2004年から私一人だったんですけれども、昨年新たにアメリカ、アフリカ、フランス、スウェーデンという形で、4名の親善大使が選ばれましたので、そちらの皆様ともこれから手を結びまして、生物多様性はもちろんですけれども、いろいろなことにおいて、今までよりももっともっと密ないろんな行動ができるように力を注いでまいりたいと思っております。
チェジュ島でも、IUCNからぜひコンサートをやってほしいというご意見もいただいたんですけど、外務省から経費がないということをはっきりとこの間もご意見を伺いまして、わかりましたが、そのことに関しましても、やはりある程度の経費がなくては行動には移せないというお話をしてまいりました。今のところ韓国政府が何らかの形で援助をいたしましょうということを非常に前向きに言ってくださっているということですので、これから直接いろんなお話をしまして、是非とも世界中の皆さんと少しでも生物多様性、いろいろな形でつながっていけるように、コンサートもその形で進めていければいいなと思っております。よろしくお願いいたします。

【武内部会長】 どうもありがとうございました。それでは事務局からの説明をお願いいたします。

【生物多様性地球戦略企画室長】 それではお手元の資料2−1、パワーポイントをプリントアウトした資料、生物多様性を取り巻く状況という資料に沿って、ご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、最初のページの下にございます生物多様性関連の主な動向について、簡単にご説明いたします。現在の国家戦略の原形である第三次国家戦略が決定された2007年以降の生物多様性関連の主なものについて示してございます。2008年には、先ほどもちょっと引用しましたけれども、生物多様性基本法が制定されております。従来、国家戦略というのは生物多様性条約の第6条に基づいて策定されてきましたが、この制定により、国内でも法に基づく戦略として位置づけられております。そして2010年は国際生物多様性年ということで指定されておりまして、国内外で生物多様性に関する活動が行われております。
5月には条約事務局によって、地球規模生物多様性概況第3版、GBO3と呼ばれていますけれども、こちらが公表されまして、「生物多様性の損失が継続している」という問題点が指摘されております。また、10月にはご承知のとおりCOP10が日本で開催されて、12月の国連総会で、そこにおける決議を受けて2011年から2020年までを国連生物多様性の10年と定め、各主体が協力して取り組んでいくことが決められております。
 今年の6月には、92年のリオデジャネイロの地球サミットから20年となるということで、リオ+20が再びリオデジャネイロで開催されます。リオ+20ではグリーン経済、そして持続可能な開発のための制度的枠組みといったものが議論される予定になっています。また10月には、第11回締約国会議(COP11)がインドのハイデラバードで開催されます。また、この間、昨年3月には東日本大震災が発生し、現在も復興に向けた取組が進められておりますけれども、今後の人と自然の共生のあり方について、いま一度見直すことが必要になってきているということかと思います。
 1枚めくっていただきまして、2ページ目の上の図をご覧ください。こちらは生物多様性の状況について、今申し上げたGBO3に基づいた図をつけております。こちらのほうは2010年5月に発表されましたけれども、実は2010年というのは2002年に決定された、「2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」という、2010年目標のターゲットイヤーだったわけですけれども、これが達成されなかったということがこのGBO3で明らかにされております。
例えば右側の図にあるレッドリストインデックスという一つの指標がございます。これはある生物の種類群の絶滅の可能性を示した指標でございますけれども、数値がゼロに近いほど、絶滅のおそれが高いということを示しております。ご覧になって分かるとおり、サンゴ類については急激にそのリスクが高まっている。右肩下がりになっているほか、両生類は非常に低いレベルとなっています。絶滅リスクが非常に高いということがこの図から分かるかと思います。
またGBO3では、生息地が損失している、劣化している、また過剰利用とか非持続的な利用が進んでいる、過剰な栄養素の蓄積による汚染が進んでいる、侵略的外来種や気候変動、そういった五つの問題が、生物多様性の損失に直接拍車をかけているインパクトとして指摘されております。また、GBO3では野生の動植物だけでなくて、作物や家畜などにおいても、遺伝子の多様性が失われたりということも指摘をされています。
 その下の図をご覧ください。GBO3では、このまま損失が続けば、どこかの時点で転換点、英語ではTipping Pointといいますけれども、これを超えて、生物多様性とそれを支える生態系サービスに甚大な変化が生じるということが強調されております。この転換点に関しましては、一つには人類社会というのは、生物多様性や生態系サービスに依存していて、劇的な変化に適応することは非常に難しいということ、また転換点を超えてしまうと、以前の状態に戻すことは非常に困難である、無理ではないかということです。それから、こうした転換点を回避するためには、今後10年から20年の行動が決定的に重要であるということがこの中で指摘されているわけでございます。
 3ページ目、右側のページをご覧ください。上のほうは生物多様性条約の概要を示してございます。ご承知のとおり、リオのサミットの前に、92年5月に採択されて、6月の地球サミットで気候変動枠組み条約等とともに、各国の署名が行われて、93年12月に発効しております。生物多様性条約には三つの目的がございまして、一つ目は生物多様性の保全、それから二つ目が生物多様性の持続可能な利用というものを掲げております。そして三つ目が遺伝資源の利用から生じる利益の公正で衡平な配分ということで、いわゆるABSと呼ばれているものでございます。非常に当初から活発な議論、保全を中心に行われてきていますけれども、近年は特に持続可能な利用、遺伝資源から得られる利益の公正で衡平な配分、ABSに関する議論というのが大きな注目を浴びているかと思います。現在、生物多様性条約にはEUを含め、193の国と地域が参加しております。
また2000年には条約に基づくカルタヘナ議定書というものが採択されております。これは遺伝子組換え生物の国境を越える移動に焦点を当てて、生物多様性の保全や利用に影響がないよう、安全な利用等を行うための措置が規定されております。こちらも162の国と地域が締約国として数えられております。
下のスライドをご覧ください。一昨年10月に名古屋で開催されたCOP10の概要でございます。ここでは、先ほど申し上げたように、2010年目標というのが達成されていないと、この危機的状況を次の目標を定めて、どうしていこうかということでCOP10が開かれております。そういう状況の中で開かれております。1万3,000人以上、交流イベントも含めると10数万人が参加したという、大きな会議になりました。日本は議長国として会議の成功に貢献したというものでございます。
1枚めくっていただきまして、4ページ目をご覧ください。上のほうではCOP10の主な成果をお示ししております。COP10で特にハイライトすべき点は上の二つです。戦略計画2011−2020と書いてございますけれども、これはポスト2010目標として新たに策定された長期目標でございます。条約及び生物多様性に関する目標でございます。これは「愛知目標」と呼ばれております。また、それからABSに関する名古屋議定書、長年の懸案だった国際的な枠組みというのが決定されたこと、この二つがまずは大きな成果として掲げられるかと思います。
また、このほか温暖化ではIPCCという政策と科学者が一緒になって議論するプラットフォームができておりますけれども、これと同様のプラットフォーム、IPBESと呼ばれるものを早期設立しようということが決定されたり、また日本の提案に基づいて二次的な自然環境、もしくは生産活動の場としての地域において、その保全と持続可能な利用の両立を目指すSATOYAMAイニシアティブというものが、この機会にパートナーシップという枠組みも構築されたといったようなこと等々、またビジネス関係ではTEEBと呼ばれる生態系と生物多様性の経済学、経済評価を行っていくような最終報告書が発表されて、またそのビジネスと生物多様性のイニシアティブ間の連携を図るためのグローバルなプラットフォームを設置することが奨励されたり、また、先ほどご紹介したカルタヘナ議定書に関しましては、その責任及び救済に関する補足議定書が採択されたといったことがCOP10の主な成果として掲げられます。お手元にその概要をまとめたパンフレットがございますので、後ほどご参照いただければと思います。
それから4ページ目の下でございますけれども、先ほど申し上げました戦略計画2011−2020、愛知目標と呼ばれるものの構造でございます。新戦略計画は2050年までの長期目標、それから2020年までの短期目標、そして、それを達成するための20の個別目標である、狭義ではここを愛知目標と言っているわけですけれども、それで構成されております。長期目標では、2010年1月に事務局に日本提案というものを出して、その中でも掲げていた自然との共生という概念が長期目標で盛り込まれております。我が国によって古くから培われていた自然共生の考え方が、世界の共通の理解を得たということかと思います。
また、2010年目標が達成されなかったという反省から、新しい戦略目標は野心的かつ実現可能で具体的検証可能な目標となるように検討されています。日本は、COP10から今年の10月のCOP11まで議長国としての役割を果たします。愛知目標の達成に向けて率先して取り組む必要があるということは、我々も深く認識しているところでございます。
続きまして右側のページ、5ページ目の上をご覧ください。こちらは愛知目標の20の目標を掲げてございます。個別の説明は省かせていただきますけれども、今後我が国の状況や取組の優先度に応じて、国別にそれぞれまたこれをブレークダウンして目標を設定することが求められております。次期戦略では、この愛知目標の達成に向けた我が国としての国内目標、またロードマップというのを示すことが必要かと思います。
右下をご覧ください。こちらは国家戦略、これまでに四つできておりますけれども、その経緯について示しております。最初の戦略というのは93年締結して、2年後の95年に最初の国家戦略というのが決定しております。その後2002年、2007年に改定をしておりまして、この間、既にご説明したとおり、COP10が開かれるということが決まったり、生物多様性基本法が施行されて、生物多様性国家戦略が法定計画になったということで、改めて2010年3月に国家戦略2010というものを閣議決定している次第でございます。この国家戦略2010、お手元に資料が置いてあるかと思いますけれども、こちらの計画期間そのものは第三次戦略を踏襲して、概ね平成24年までとされておりまして、また戦略計画をCOP10で策定されたものへの対応を踏まえて、今回見直しに着手するということでございます。
1枚めくっていただきまして、6ページ目をご覧ください。生物多様性基本法の位置づけについて示してございます。基本法は国内外における生物多様性の関心の高まりと、日本でCOP10が開催されるということが決まったという背景のもとに、議員立法で策定されております。法的な位置づけとしては、環境基本法の下に位置づけられる基本法として整理されております。平成20年5月28日に成立して、同年の6月6日に施行されました。
その下に基本法の全体の概要、構成について示しております。目的としては条約の目的にあるような国際的な動向を踏まえて、多様性の保全だけでなく持続可能な利用をバランスよく進めるといったことが規定されております。またそういった施策を進める上においては、国だけでなく、多様な主体が参加することが必要なことから、地方公共団体、事業者、国民、民間の団体の責務についても規定がございます。また戦略に関しては、国家戦略の策定が義務規定としてされているほか、地方公共団体が策定する地域戦略については努力義務として規定がなされております。
右側、7ページ目の上をご覧ください。生物多様性国家戦略2010、現行の計画についての構成をポンチ絵にしてございます。生物多様性国家戦略2010は2部構成になっておりまして、第1部はストラテジー、戦略の部分と、第2部は行動計画、アクション・プランの部分、平成24年度までの政府の行動計画の2部の構成になっております。
第1部においては、ポスト2010年目標に続く日本提案というのが、先ほど申し上げたように2010年1月に提出されています。それを踏まえまして、中長期目標は2050年までに多様性の状態を現状以上に豊かなものにする。それから短期目標(2020年)は、ここに書いてあるようなものを設定しております。
そして、右側に書いてございますけれども、目標年次である平成24年度までに重点的に取り組むべき施策の方向として、4つの基本的な戦略を掲げております。1つ目は社会への浸透、2つ目が人と自然の関係の再構築を行うということ、そして3つ目が森・里・川・海のつながりを確保するということ、そして4つ目として地球規模の視野を持った行動をするという、この4つを掲げております。この四つの基本戦略に基づいて、COP10の成功への貢献ですとか、実際COP10で提案されたさまざまな提案事項、SATOYAMAイニシアティブですとか、科学的な基盤の強化、途上国の支援など、そういった国際的な取組の推進みたいなものが、4のところでは規定されてございますし、また上のほうでは、社会への浸透、主流化の促進ということかと思いますけれども、そういったものですとか、地域レベルの取組の推進、海洋の保全、再生の強化など、COP10で議論されるような議題も踏まえながら、国際政策の充実強化、そういったところを第三次戦略から間もなく改定していますけれども、その辺を中心につけ加えて改定されたのが国家戦略2010ということでございます。
続きまして7ページ目の下をご覧ください。生物多様性国家戦略の点検について、ご説明をしたいと思います。生物多様性国家戦略関係省庁連絡会議というものが設置されておりまして、国家戦略2010において、国家戦略の施策の着実な推進を図るために、毎年国家戦略の実施状況を点検して、中央環境審議会に報告するということが定められております。この作業は生物多様性国家戦略関係省庁連絡会議が行うということが、生物多様性国家戦略2010で定められております。
従いまして、これに基づいて対象期間を、2010年3月から2011年7月までとして点検を行いました。点検の冊子につきましては、お手元に白い表紙の冊子をお配りしているかと思いますけれども、これが全体の結果をまとめたものでございます。構成としましては、二つに分かれていまして、四つの基本戦略に関する取組状況を指標も踏まえて整理したもの、それから2番目として行動計画に当たるところについて、具体的にそれをチェックしたものという2部構成になっております。平成23年、昨年の11月から12月にかけてパブリックコメントを実施しております。点検報告書自体は今申し上げたとおりではありますけれども、この大部を全部ご説明できないので、8ページ目以降のパワーポイントで、簡単に四つの基本戦略ごとの取組についてのみ、ご説明をさせていただきたいと思います。
それでは8ページ目をご覧ください。基本戦略に関する取組状況についてということで、まず基本戦略の1番目、生物多様性を社会に浸透させるというところについて、どういう点検かということを説明いたします。例えば、生物多様性に関する認知度、当初値が36%、目標値50%ということで、これ政府の世論調査に基づいて示した数字ですけれども、実はこちらの点検値は入ってございませんけれども、別途行ったウェブ等での調査では、COP10後に80%が認知しているといったようなデータも出ているところがございます。COP10を契機に高まってきたということが顕著にあらわれておりますけれども、実際には既に1年以上経っていますので、そういったところはさらに関心が薄れているんじゃないかという指摘もございます。ここは、さらに具体的な取組につながるような政策展開が必要かと思います。
その下にございますのは、そういった主流化を進める上において、2011年−2020年が、国連において国連生物多様性の10年と定められましたので、愛知目標達成のため、国連システム全体では、持続可能な利用と保全に取り組むということを定めております。これを受けて、日本でも経団連の米倉会長を委員長として、昨年9月に国連生物多様性の10年日本委員会というのを設立してございます。右側のページ、9ページの上に、この10年日本委員会についての簡単な構成を示してございます。経済界、市民団体、メディア、地方自治体など、幅広い主体が参画しておりまして、こういったものの連携によって、生物多様性の主流化を図っていこうという取組を行っております。
右側の下をご覧ください。地方公共団体でも、真ん中のところにあるCOP10でも、期間中に生物多様性国際自治体会議というのが開催されて、地方自治体と多様性に関する愛知名古屋宣言というものが採択されてございます。またCOP10では都市と地方自治体に関する行動計画というものが承認されて、締約国その他政府に関して行動計画実施の奨励が決定されております。これを受けて国内でも昨年、生物多様性自治体ネットワークというものが設立されてございます。
1枚めくっていただいて、10ページ目をご覧ください。生物多様性に関する自治体の取組として、生物多様性地域戦略というのを自治体ごとに策定してきてございます。現在15都道府県が策定を済ませておりますけれども、目標としてはすべての都道府県において作業が取り組まれているということが、生物多様性国家戦略2010の中でも書かれております。この目標に向けては、これからの取組が必要ということで、環境省としてもこの推進を図っていきたいというふうに考えております。
また、その下のビジネスと生物多様性の関係についても注目が集まっているところでございます。2009年の3月には経団連が経団連生物多様性宣言を策定するなど、独自の取組というものも行われています。環境省でも民間参画ガイドラインをその年の8月につくっておりますが、右側のグラフにございます3,000社の企業に実施したアンケートでは、3分の2の企業が、取組の重要性は認識しているけれども、自分の会社との関係というのは、関連性は低いという考えを持っておりまして、実際にはまだまださまざまな意味での企業と生物多様性との関係するのはあろうかと思います。こういったものをご認識いただいた上で、取組を進めていくというための周知もしくは普及が必要かと思います。COP10では、ビジネスと生物多様性のイニシアティブの国際的な連携を深めようということで、グローバル・プラットフォームをつくろうということも決定されておりますけれども、こういったものに基づいて昨年12月には最初のグローバル・プラットフォームの会合というものが日本で開催されております。
続きまして、右側のページをご覧ください。11ページ目、基本戦略の2番目、地域における人と自然との関係を再構築するというところに移りたいと思います。里地、里山の保全や野生鳥獣との共存に関する取組、農林水産業に関する取組、さまざまな実施状況について、ここに点検値を整理してお示ししております。例えばマングースなどはかなり取組が進んできてはおりますけれども、これからが低密度下での根絶に向けた一層の取組が必要ということもあろうかと思います。数字だけではあらわれていない部分があろうかと思います。またその下をご覧ください。野生鳥獣との共存に関しては、ニホンジカなど、非常に一部の野生鳥獣の増加により、生態系もしくは農林水産業への被害が深刻化してございます。ここに示した特定鳥獣保護管理関係の策定数も増加しておりますけれども、また国立公園内では生態系維持回復事業、鳥獣被害特別措置法に基づく取組なども、進められておりますけれども、これは引き続き重要な課題として、私どもも認識しているところでございます。
1枚めくっていただいて12ページをご覧ください。12ページの上には、基本戦略3「森・里・川・海のつながりを確保する」という数値目標の達成状況が示されてございます。例えば国立・国定公園の指定状況の見直し、今後の方針を点検したということで実施されてきております。それから保安林指定などの取組についても一定の進展が見られますけれども、愛知目標では陸域17%、海域10%の保護地域を保全するという個別目標も定められておりますので、今後この目標達成に向けた具体的な取組を考えていかなければいけないというふうに思います。
また、12ページ目の下でございます。生態系ネットワークの形成について、核となる自然公園の指定状況の見直しですとか、保護林の拡大、重要地域の保全の強化を図っているところでございます。また保護林を相互連結して生態系ネットワークを形成する緑の回廊の設定も進んできております。都市では生態系ネットワークの形成を推進するため、昨年10月に「緑の基本計画における生物多様性の確保に関する技術的配慮事項」を定め、その推進が図られているところでございます。
13ページの右上をご覧ください。自然再生について示しております。自然再生協議会、この生物多様性国家戦略2010の策定以降、新たに2地域で設置されております。全国で23カ所になっておりますけども、目標達成に向かっては一層の取組が必要、また、国土レベルでの観点での取組も必要かと思います。愛知目標では劣化した生態系の少なくとも15%以上の回復をするといったことも定められております。また気候変動の緩和と適用に貢献するといった個別目標もございます。そういった観点からも自然再生の取組を考えていく必要があろうかと思います。
最後に基本戦略4「地球規模の視野を持って行動する」という部分でございます。数値目標、こちらのほうはCOP10の成果を中心に国際的なモニタリングですとか、生物多様性に関する情報整備の取組を進めていこうということが基本戦略の中でも整理されているわけですけれども、地球温暖化の緩和と適応などの取組については、おそらくまだまだこれからの取組や推進が必要かと思います。数値目標として植生図の整備状況というのが掲げられていたわけですけれども、この中で現在60%をカバーするという目標が定められております。現段階での点検値が55%ということで、順調に進んでおりますけれども、さらなる取組を進めていこうというように考えております。また、先ほど説明したIPBESといったような取組を推進していくためには、自然環境情報の整備ですとか活用、新たな技術の開発普及といった点についても、国際的な取組を視野にしながら進めていくことが求められております。
最後のページ、14ページ目の上のところは、先ほど説明したSATOYAMAイニシアティブの構造について、図に示しております。COP10期間中に国際的なパートナーシップというのが立ち上がっておりまして、現在105団体が世界で、国の政府機関も含めて参加して連携を図っているところでございます。また一番下のところは、IPBESの概要について整理しております。こちらは昨年10月に第1回の総会がナイロビで開催されておりますけれども、具体的な組織の構成ですとか、その体制の取組の中身については、まだ議論が続いているということで、今年の4月に第2回の総会がパナマで開かれることになっておりまして、そこで全体の枠組みが決定される見込みとなっております。
かなり長くなりましたけれども、私からの説明は以上でございます。

【武内部会長】 どうもありがとうございました。ただいまの事務局からの説明の中で、国家戦略の点検結果について報告がございましたが、現行の国家戦略において中央環境審議会は国家戦略に基づく関係省庁の施策の進捗状況について、生物多様性の観点から点検し、必要に応じ、その後の施策の方向について意見を述べるということになっております。これから約1時間ということでお願いしたいと思いますが、ただいまの事務局からの報告を受け、ご質問のほか施策の進捗状況、今後の施策の方向性、さらには次期国家戦略に盛り込むべき事項等について、ご意見をお願いしたいと思います。
 大変大勢の委員の方がおられますので、ネームプレートを立てていただいて、若干私から見えづらい委員の方もおられますので、私のほうに向けて札を立てていただけると大変ありがたいと思います。質問についてのお答えについては逐一ということではなくて、後ほど一括して事務局から答えるようにさせていただければと思います。なお、発言が終わった際は札を戻していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、質問あるいはご意見のある方、札を立てていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。それでは市田委員からお願いいたします。

【市田委員】 今まで環境省で取り組んでこられたさまざまな施策が、結構数値目標などを掲げて、きちんと進んできているということについては、本当に頑張っていただいてありがたかったなと思います。
こういうふうに、たくさんの会議だとかプログラムだとか事業が動いているということはとても重要ですし、すばらしいことではあると思うんですけれども、ただ、実際の生物多様性、例えば鳥の世界であるとか虫の世界だとか、そちらを見てみると、まだまだこれから、つまり減少が止められなかったという程度でもなくて、例えば鳥はこの40年間で本当に劇的に減りました。夏鳥なんてコーラスが聞かれないぐらいの状態に減っていますし、この5年ぐらい、実はチョウ(蝶)のことをやっているんですけれども、虫は鳥よりも多分もっと減少が激しいと思います。
その理由は何かということで今いろいろ調べているんですけれども、どうも1970年から2000年にかけて、主に使われてきた有機リン系の農薬がいろいろ問題を起こして使われなくなったわけですが、有機リンの農薬のときにはまだそれでも頑張っていたアカトンボであり、ゲンゴロウであり、いろんな昆虫が、2000年から使われ出したネオニコチノイド系の農薬で最終的にとどめを刺されているという状態があるんだろうと思います。ゲンゴロウなどもこの5〜6年で、普通にいたものがぱったりいなくなったということがあります。
このネオニコチノイドの問題は、今の農薬の主流はネオニコチノイドですけれども、あまり環境のほうでは議論がされていなくて、健康被害があるというところで、そちらで議論が始まっていますけれども、これからの国家戦略の中で、もちろん事務局で考えていらっしゃると思いますけれども、農薬の規制というか化学物質に対する考え方、対応の仕方についても十分に考えておいていただければと思います。農薬問題なんてもうないんじゃないかと思われるような状態ですけれども、実はフィールドに出てみると非常にびっくりするような状態が続いていますので、ぜひその辺は十分ご検討いただければと思います。

【武内部会長】 どうもありがとうございました。それでは岡島委員、お願いいたします。

【岡島委員】 1の目標、社会への浸透というところについて、ちょっと申し上げたいと思います。
浸透はいろいろするように努力されているのはよくわかりますし、しかし、社会一般に見ますと、ほとんど分かっていないということが大きいと思います。名古屋のときは会議があったということは覚えているんでしょうけども、多様性ということについて、ほとんど理解がいってないのではないか。1点には多様性の意味が広くて、非常に分かりにくいことがあるのではないかと思うんです。基本的に言うと、いろいろ野生生物が少なくなって、それを何とかしたいんだということからスタートして、基本的な概念というのは何かと言えば、人が生きるということはどういうことなのか、自然とどうやって折り合いをつけているのか。
それから、具体的な広がりとしては農業だとか、ここにありますように基本法、それから循環型社会の形成、ありとあらゆるところが関係しているということで、これ全部理解しろというのはとても無理だと思うんです。私は一つの意見として、例えば京都議定書、温暖化ということはみんな分かっていると思うんです。しかし、京都議定書の中身はほとんどの人は分かりませんね。でも温暖化というものは分かっている。そして議定書というものは何らかの形で意味が分かっている、中身は分からないけれども。生物多様性はそこまでもいっていないという感じがしております。というので、これはあまりに広過ぎて、理解のしようがなかなか難しいということだと思うんです。
私の意見としては、国民が非常に興味を持っているところを取り上げて、そこから入っていくような形をされたらどうかなと。例えばバスフィッシングのときに、外来種問題が大変大きな話題になりましたけれども、あのような形で話題になっていくと、そこから入っていける。富士山の登山口がたくさんあるように、1カ所突破して上に上がっていくような作戦を立てられたらどうか。例えば、今でしたらイノシシとシカの問題、これは非常にわかりやすい課題です。東京のすぐそばの千葉だって困っている。日本中至るところで困っている。そこは逆説的ですけど、野生生物が増えて困っているという課題がある。それなんかは都市部の人間もどこの人間も、非常に興味のある課題だと思うんです。
ですから、そんなようなところから入っていって、実はこれは生物多様性ということにつながるんですよというようなアプローチの仕方、そういったことで全体を考える浸透戦略といいますか、浸透作戦。そして最終的には用意はしておくわけです、ホームページなどでも。多様性の中身とか、里山にいろんなものがあるんですよ、世界の生物までたくさんあります。それをちゃんと用意しておいて、少し興味がある人はそこに入っていってくださいというような仕組みで、興味をちょっとでも引っ張ってくる一つの戦略というか、作戦というか、その辺のところをきちんとつくらないと、行き当たりばったりで里山が大事だ、こっちが大事だといっても頭に入っていかないということがあるんじゃないかと思うので、ぜひその辺のところを次の委員会でもご議論いただければと思います。以上です。

【武内部会長】 ありがとうございました。それでは小長谷委員お願いします。

【小長谷委員】 今後の参考のために教えていただきたいです。7ページの下にありましたパブリックコメントの数です。絶望的に少ないという印象を持ちましたけれども、これはこういうものでしょうか。普通だったらどれぐらいであるんだけれども、今はある意味非常事態で、多くの国民が国土の生物に関して関心を持っているが、その関心と違うところにあるからこういうことなのか、それともこういうものだったら普通で、実際にいただいたご意見を見ますと非常に専門的ですので、こういうものが普通なので、もともと少ないものなのか、その辺りを教えてください。

【武内部会長】 ありがとうございました。それでは柴田委員お願いします。

【柴田委員】 ありがとうございます。生物多様性への日本政府の取組、国内向けとおそらく国際向けの両方をしっかりやっていただきたいと思っておりまして、私の専門、国際法の観点から、国際的な取組についてコメントと若干の質問をさせていただきたいと思います。パワーポイントのほうでいきますと4ページのCOP10の主な成果のところで、大変重要な二つの日本の都市の名前がついた新しい条約が採択されました。一つはABS名古屋議定書、もう一つが責任と救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書、この二つであります。
 おそらく名古屋の会議をお祭りで終わらせるのではなくて、その後の国際的な取組を継続して日本がリーダーシップをとっていくためには、この二つの条約をできるだけ早くに発効をさせて、日本がこの分野でのリーダーシップを引き続きとっていくということであるかと思っております。私、ABS名古屋議定書についてあまり心配をしておりません。既に戦略の中にも、そして実施検討の結果にも、締結に向けて努力をされるということが明記されておりますし、名古屋議定書の中身を見ましても、それほど大きな困難を日本政府がかかるだろうということは思っておりません。
 少し気になっておりますのは、もう一つの新しい条約でありまして、名古屋・クアラルンプール補足議定書であります。まず2010年の国家戦略を見ますと、いただきました冊子の221ページですが、名古屋会議が開かれる前に、どういう姿勢で日本政府がこれに取り組むかということに関しまして、遺伝子組換え生物等の国境を越える移動から生じる損害についての責任と救済に関するルール等手続などについて議論されることになっていると。我が国は締約国会議の開催国として、遺伝子組換え生物等に対するさまざまな立場を持つ各国にとって実施可能な内容となるような検討作業に参加しますということで、各国、日本も含めて実施可能な内容になるような条約にしていくんだという、その意気込みを語っておられたわけであります。
 それに対して、いただきました点検結果の該当部分は44ページと、それから細かい表になっています230ページのところに関連する記述があります。この名古屋・クアラルンプール補足議定書の採択がされたということは書いてあるんですが、それに対する評価が全く書かれていないんです。つまり日本も含めて受け入れ可能な内容になったかどうか、なるために努力をするというのが2010年の国家戦略であったわけですが、実際になったのかどうか、どのように名古屋・クアラルンプール補足議定書を日本政府として評価されているのか。
かつ、今後、名古屋・クアラルンプール補足議定書は署名期間があと3週間ほどに迫っております。3月6日までが署名期間なんですが、おそらく私が考えるに、日本政府は署名できないであろうと思われます。なぜ署名が期間内にできなかったのか。今後この分野におけるリーダーシップをとっていくために、署名ができなくても早くに締結をしていただきたいわけですが、締結に向けた作業をどのようにお考えなのか。できれば国家戦略の改定のときには名古屋・クアラルンプール補足議定書の締結に向けて努力をしていきますというような形での、日本政府の意気込みを書いていただければというふうに思っております。ありがとうございました。

【武内部会長】 ありがとうございました。白山委員お願いします。

【白山委員】 ありがとうございます。小委員会の委員にも指名されているので、少し改定作業の中身というかイメージを伺いたいと思っているんですけれども、2010年に現在の国家戦略がつくられて、その前は概ね5年に1回の改定だった。2010年はちょっと短い期間でつくられたわけですが、次の国家戦略は2012年からの5年間で考えるのか、それとも2010年に対しての5年で考えるのかというのをはっきりさせていただきたいということです。
 というのも、愛知目標の個別の2020年目標の中に、実は2015年までの目標が幾つかございまして、私が深く関わっている海洋の生物ですとサンゴ礁等という、海洋酸性化に影響を受け、脆弱な生態系の悪影響を最小化する、2015年までの目標になっております。それについては、2015年をターゲットとした何らかの戦略を2012年に策定するというふうに考えなければならないということでよろしいかどうかということを確認させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【武内部会長】 ありがとうございました。高村委員お願いします。

【高村委員】 ありがとうございます。生物多様性国家戦略2010を見直していただくんですが、その後にCOP10があったということと、東日本大震災があって、その復興の過程に生物多様性の保全をどういうふうに入れ込んでいただくのか。これは新しい項目になると思うんですけれども、ぜひそのところをよろしくお願いしたいと思います。
私自身は、こういうふうな災害の復興の過程で、やはり地域コミュニティの大切さを非常に感じておりまして、生物多様性の保全というのは、まさにそういうふうなことと非常に深く関わっております。それともう一つは、やはり生物多様性の保全は、復興という短期的な視野というのは、人間社会ではもちろん必要なんですが、生物の場合は非常に長期的な視点を持って復興していかなければならない。そういうふうな視点をぜひ入れ込んでいただきたいと思います。
モニタリング1000とか、いろいろ生物のモニタリングというのは、今まで公的に行われておりませんで、環境省はモニタリング1000で非常に予算をとっていただいて、ご努力していただいておりますが、私の担当させていただいております陸水はかなり予算が厳しくて、最初20の湖沼が今は5つというような、予算の関係でそういうような状態になっていたりということで、なかなかモニタリングの予算を継続的にとることが非常に難しいということもいろいろお伺いしているんですけれども、やはり長期的に生物多様性が回復してきたかどうかということを評価していくためにも、そういうようなモニタリングはぜひ必要ですので、その辺も強化していただきたいと思います。

【武内部会長】 ありがとうございました。マリ・クリスティーヌ委員、お願いします。

【マリ・クリスティーヌ委員】 先ほど各委員のお話しされたことも含めてなんですけれども、むしろ今回、生物多様性の国家戦略を考え直すといいますか、また不足なところをつけ加えるということも含めてだと思うんですけれども、もともと生物多様性を国家戦略として考えるときに、国の中でどのように私たちがこれを守っていくかということが大変重要だと思うんです。考えてみますと、ABSができ始めた理由の一つには、先進国が発展途上国のそれこそ自然のものを搾取してきて、それが公平に分配されてこなかったということがとても大きな問題の一つであり、どのようにこれを世界の人々と環境資源の富を分配していくのかと。日本の場合はアジアや発展途上国の中で、たくさんの資源を活用しつつ、ある意味での搾取をしてきている中で、日本も今回の国家戦略というものを考えたときに、そういうことも反省した上でやらなくてはならないと思うんです。
 10ページのところに、ビジネスと生物多様性と出てきて、これが非常に簡単に書いてあって、流れの中で、突然何でビジネスなのという感じなんです。まして環境省であるわけですから、ビジネスと生物多様性というのは別項目で、経済産業省でつくっていただいてもいいんではないかと思うんですが、これからもっとそういうものを探しにいって、もっとそれをビジネスにしていくのかということを思われがちじゃないかと思うので、もしビジネスをここに書くのならば、もっと具体的に何がCOP10のビジネスになるのかということをきちんと書かれないと、また日本は何かいろんなことを考えてビジネスにしようとしているのかという話になるかと思うんです。
 もちろん、生物や環境破壊をされているところを、最先端技術でもう1回復興させるとか、もう一度元のように、例えば水を浄化したりとか、またきれいな水に戻すとか、そういう環境技術というものが日本はたくさんあるわけですので、そこの分野をもっと強調していくのならば、もうちょっとこういうところに具体的に書いていっていただかないと、また同じような形でその資源を求めて、私たちの国に来るのかというようなイメージを持たれることに違いないと思うので、それと、もしそういうビジネスのことを考えるのならば、それこそ速水さんもいらっしゃいますけれども、FSCとかあとPEFCとかMSCというの、そういうところはそういうふうにビジネスがやり過ぎないように、そして持続可能なという形での、むしろ彼らの専門的な分野がちゃんとあるわけですので、そういうところがもっときちんとした形でビジネスとつなげていくということはわかるんですけれども、いきなりここで何で日本政府がぽんとビジネスと生物多様性というところが環境省の中からこういうものが出てくるのかなというところに、ちょっと私は疑問があるので、ぜひそれをお答えいただきたいと思います。

【武内部会長】 ありがとうございました。山岸委員、お願いします。

【山岸委員】 ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。1点は岡島委員の先ほど提案された社会に浸透という点で、2点目は高村委員が言われたモニタリングについてです。
 まず1点目ですが、社会に浸透という点については、2010年の国家戦略を変えるときにも申し上げたことの繰り返しになるんですが、新聞に幾つ掲載されたとかアンケートをして、その言葉を知っているかというようなことは非常に皮相的なことだと思うんです。そのときに申し上げたのは、この中に省庁として文部科学省が入っているんだから、なぜ初等・中等・高等教育について、きちんと生物多様性のことを位置づけないのかというのを申し上げました。再度申し上げますので、今度の改定においては、そのことをしっかり書き入れてほしいと思います。それとまた、文部科学省と、もしこれまでに何か折衝されてきたのなら、どの辺りまでいっているのかというのをここでお聞かせいただきたいというのが1点です。
 2点目は、モニタリングですが、環境省は非常に長い間渡り鳥の標識調査をやられてきました。これはものすごく重要なことであって、高く評価できることで、現在どんな生物がいるかということよりも、大正時代から環境省の前には農水がやっていて、ずっとやってきているわけです。今こそそういうものが、生物多様性がどう変わったということにものすごい貴重なデータになるにもかかわらず、環境省が財務省に予算を要求すると、何か新しいことをやれ、新規性があれば予算をくれるというらしいんです。同じことをやってきたことはどんどん減らされていってしまう。これは同じことをやるから意味があるんであって、違うことをやったのであればほとんど意味がなくなってしまうわけです。そのことをぜひ強調しておきたいと思います。この2点です。

【武内部会長】 ありがとうございました。山極委員お願いします。

【山極委員】 生態系ネットワークについてお伺いしたいんですが、パワーポイントの資料ですと12ページ、点検結果の冊子ですと32ページ辺りのお話なんですけれども、そもそも生態系ネットワークというのは、脊梁山脈を中心に相当大がかりな構想のもとに幾つか設定され、運営されてきたと思います。それは近年のクマだとかイノシシ、シカ、サルの被害の防除とも関連をしている。それからもう一つ大きなことで言えば、日本列島に棲んでいる動物の広域、それから個別性といったことにも関連する。言うならば生物多様性というのを日本国民全体として、あるいは地域に棲む生物としてどのように考えるかというのが、この生態系ネットワークにも反映されているはずです。
というのは、動物には移動性の動物と、移動しない動物がいるわけです。例えばシカは移動しません。クマは移動するわけです。そういう動物にとって、例えば緑の回廊だとかいうものがどのように機能しているのか。そして我々はその生態系のそれぞれと、日本列島全体の生態系ネットワークをどのように生物多様性の中に位置づけるのかということがかかっているわけです。既に設定されて何年も経過して、幾つか成果が上がっていると思うんですけれど、それが日本列島の特に哺乳動物、あるいは植物の防除、あるいは保全についてどのように機能してきたのか、そして今後その生物多様性の認識の浸透にどのように位置づけるのかという点についてお伺いしたいと思います。

【武内部会長】 下村委員、お願いいたします。

【下村委員】 大きくは1点で、細部で2点ということになろうかと思うんですが、今度の見直しが、もちろん生物多様性国家戦略2010のときに設定した基本戦略で、どこまで進んできたかというのを踏まえて、どうしようかという話が一つもちろんあるんだと思うんですが、そのほかにこの間、第三次生物多様性国家戦略から生物多様性国家戦略2010も含めてですけれども、いろんな国際的な動きもあったわけで、そういう国際的な動きに対して、日本の位置づけがどうなのかというような作業を踏まえて見直しをする必要があると思うんです。そういうことをどうやられているのか、あるいはやられようとしているのか、あるいはどう考えておられるのかという辺りのところを教えていただきたいということです。
 具体的には、例えば今日もご紹介いただきましたGBO3は、かなりいろんな具体的なゴールを設定して、それから、非常に乱暴ですけれども、達成度をいろいろ国際的に見られているわけです。そういったものをある程度日本で適用すると、国際的な中での日本の位置づけというのがどの辺りにあって、どこが弱くてというのがわかるんじゃないかと思うんですけれども、研究者から言うと非常に乱暴だとは思いますけれども、そういうこともやられるのか、やられようとしているのかというような辺りですね。それから、同じように愛知目標も20の(個別)目標があって、その中で日本の場合はどの辺りが効果的だとか、あるいはこの部分が弱いから頑張らなきゃいけないとか、そういう目標の中で、世界全体が目標とする中で、日本の位置づけというのが見えてくる可能性があると思うんですけれども、そういった点に関しても現時点でどう把握されているのかというような辺りについてお伺いしたいというふうに思います。

【武内部会長】 ありがとうございました。高橋委員お願いします。

【高橋委員】 環境行政をやる場合、生物多様性一つをとってもそうですけれども、できれば何らかの形で政策に反映できたらいいんだろうなと思うので、そういう観点からちょっとお話しさせていただきます。
今回COP10でSATOYAMAイニシアティブというのが世界に向けて提唱されました。二次的な資源をどううまく管理、それを利用していくかということの提案だと思うんですけれども、見落としているのかもしれませんが、点検作業の中にそういう二次的自然等について、いわゆる農林水産省関係の点検というのは、ほとんどやられていない状況にある。今後やられるんだろうと期待しますが。
例えば農政一つ考えてみると、農業基本法というのがあるわけですけれども、それは既存の農業を維持していけば多面的機能を発揮するという予定調和論がやっぱり色濃く出ているような気がするんです。環境面でこれをもっと牽引していくためには、今、森林のほうでやられているような、ゾーニングに近いようなものなんですけれども、ふれあいの森林とか、多面的機能を発揮する森林とか、持続的に利用していく森林とか、そういうふうに三つに分けるという、ある意味先駆的なことをやられているわけで、そういうものを参考にして、農業環境政策のようなものを引っ張っていっていただきたいなと思っております。そういう意味で、農林業政策を洗い直して点検していくという作業もやっていただけたらいいのかなと。
森林の場合、そういう三つのゾーニングについてやっているわけですが、現実にはなかなか難しい。環境政策を実際に取り入れるのは難しいのは、一つはちゃんと土地の所有とか利用とか、そういうものがきちんとしたデータベースがあまりないということです。そうなると農地というのは、なおさらひどい状態にあるわけで、例えば耕作放棄地の点検を全国レベルでやったわけですが、結局それをやらなきゃいけないぐらい、そういうデータベースが非常に不足している。ゾーニングしたり、政策を当てはめるためのデータベースが非常に不足しているんじゃないのかと思われます。あるいは不在地主というのがやっぱりあって、製作がうまく機能する上で障害になっているとか。そういうさまざまな要因が生まれてくると思うんで、その辺りも点検していただいて、今後の農業環境政策へ反映できるようなものを、何らかの形で提案していただけたらありがたいなと思います。

【武内部会長】 ありがとうございました。それでは浜本委員。

【浜本委員】 先ほどの山岸委員や高村委員のご意見と少しダブるところがあるかもしれませんが、前回のこの戦略をつくるときにも、先ほどありましたが、学校教育の教科の中において、理科、生物や地学に当たるようなものをきちんと学ぶ機会を、これ以上教科の中から減らさないようにという、あまり前向きではない意見というか、本当は増やしてほしいという言い方をしたかったんですけれども、なかなかその辺りの調整が文部科学省と最後までつかなかったような記憶があります。
今回のこの点検を見ましても、学校教育や子どもたちに関することは自然とふれあう活動とか、そういったものは数値としても出てきているんですが、実際に学校の教育のカリキュラムの中で、きちんとした生物多様性やそれに伴う自分たちの国のさまざまな生き物との関係みたいなものを学ぶ機会が本当に増えているのかというのは、自然とふれあうだけではなくて、きちんとした科学的なことを子どもたちが学校教育の現場で学んでいく、それをしないと生物多様性に関することも理解ができないレベルの子どもたちがとても増えているんだという現状があるんですが、その辺りのことがなかなかこの点検を見ても出てきていないので、新しく見直しをする場合には、ぜひともその辺りは強調して、そういうところで学んで理解をしていった子どもたちが、長い時間かけて日本の国の生物多様性、生態系の再生であるとか、生き物との付き合いとかという、そういうものを国家戦略の中で、それぞれの地域の中で実践をしていくデータを積み重ねていって、少しでもいい状態に再生をしたり、土地のあり方を考えたりという最先端のところに10年、15年経ったら子どもたちはそこの現場にいるはずですから、そういったことをもう少しきちんと学んでいけるというところを、今回こそは何とか外さずに国家戦略の中に入れていただきたいと、とても強く思っております。
 それと並行しまして、地方公共団体の生物多様性地域戦略の取組というのも、震災があったり地方の予算がなかったりということもあるんですが、まだまだ少ない。中には地方の都市が先に県庁所在に都市がつくって、県はまだつくっていないとか、そういったところもあって、新しくつくろうと思っているところも二の足を踏んだりしているところもあるというのを、いろいろなところからお聞きしますので、外側から内側から日本の中における生物多様性というものの考え方、それを国家戦略にするということへの施策というものを、もう少し強調、強化してつくっていくべきではないかなというふうに思っています。

【武内部会長】 ありがとうございました。それでは速水委員。

【速水委員】 ありがとうございます。森林の問題ですけど、政府が森林林業再生プランというものを動かし始めている。森林、林業の構造的なさまざまな、今まで抱えてきた問題を解決しろと、意欲的な計画を立てたんですが、もう一つ木材価格というのは市場経済で決められていくので動かしようがないと見られているわけですが、実は日本に輸入されている木材というのは、かなり他国の違法伐採の木であったり、持続的でない木材が比較的入りやすい国だというふうに言われているわけです。それらの伐採現場では、生物多様性の問題が非常に大きな問題として、各国で問題になっているようなところからの木材というのが、比較的簡単に入ってきてしまっている。
日本の政府自体は、かなりそこを意識してさまざまな法律だとか制度設計をされているんですけど、諸外国から見ると木材主要利用国の中で日本が一番そういうのが遅れているという評価を、例えば英国の研究所は名前を出して指摘をしておりますし、あるいはFAOの昨年出した森林の報告書も、例えば政府調達の木材に関しては、他の国というのは大体持続性というものを確保しなさいというふうに言っているんですけど、日本は合法性のみで、合法であれば問題ないですよという形で政府調達しているということもあって、世界の先進国の中では、日本の木材のビジネスというのはかなりグレーな部分を持った国なんだという視点で見られているわけです。
 最近、米国だとかEU、近々オーストラリアも行うらしいんですけど、例えば違法伐採の木材を国内で利用していくということに関して、かなり厳しい規制、罰則をかけるという法律をつくろうとしておりまして、日本はなかなかそこも進んでいないということで、そういう木材自体は再生を目標としていませんので、安く売れるわけです。国内でもそういう問題があるんですけど、やはり森林が持続的に生物多様性を配慮しながら続けていくためには、そういう木材を市場からどう排除していくかということをかなり明確に、法規制も含めて輸入材は日本の国の中も同じでしょうけど、しっかりとした制度をつくっておかないと、結果的にはさまざまな森林への政策を打っても、木材価格というのがそういう非持続的な木材管理を前提につくられてしまう。そういうことのないような制度というものを積極的に環境省が関わるべきだろう。そうでないと、生物多様性というものは、世界の生物多様性も、日本の森林の生物多様性も確保できないというのは、現場で身をもって感じておりますので、そこは意欲的に環境省が関与していただきたいというふうに思っています。
 長くなったんですけど、先ほどマリ・クリスティーヌさんがおっしゃっていた、民間型のFSCだとかMSC等の認証活動ですけど、かなり活発に動いております。そこで例えば民間の環境保護林をつくろうとか、そんな活動まで動いておりまして、市町村がFSCを利用しながら森林管理の一つのターゲットにしていこうとか、かなりはっきりした動きが出てきているということもございますので、環境省もその辺は生物多様性と絡めて、きっちりと見ておいていただきたいと思います。また、CO2のオフセットなんかも、ただの森林のオフセットだけではなくて、森林管理の一定レベルを要求しながらオフセットをしていくというような、常に生物多様性とのオフセットとのマッチングを行うような制度もできております。
 また、農林水産省のファンドを政府主導でやろうとしていますし、民間でも農林水産のファンドが動いているんですけど、米国等は、例えば森林ファンドなんかですと民間認証をつくって、生物多様性をきっちりと確保しない限り、そういうファンドは売りにくいという形になっておりますので、今後そういう農林水産系のファンドが動いていくときにも、生物多様性の配慮というものをしっかり仕込んでいくということを前提に考えていただきたい、そのように思っております。以上です。

【武内部会長】 ありがとうございました。涌井委員、お願いします。

【涌井委員】 国家戦略について、資料1−5の2のAの中に書いてございますように、実は非常に地域戦略というのは、私は重要なんだろうというふうに思うんです。既にこの地域戦略に近いものを、かなりの自治体が取り組んでいるわけですけれども、そこでぶつかってくる問題点は都市計画との対応と、先ほどもご指摘があったように、農林水産地というものの評価をどのように位置づけるのか、こういう問題が常にこの地域戦略を具体的につくり出していこうというとき、とりわけエコロジカルネットワークをこの地域にどのように形成していくのかというときに、非常に大きな問題点になっているわけです。
 片方では、都市の縮退現象というものが、宅地用緑地として位置づけられていた農地が非常に中途半端な形に終わってしまっているということがありますし、片方では集落崩壊が進んでいるような、奥地における生物多様性の維持を一体どうするのか、こういう問題が、それぞれ具体的に今、地域戦略をつくっている自治体の中では、いつも抱えられている問題であると思います。
その反面、都市計画分野では緑の基本計画の中に、生物多様性という尺度をかなり取り込んで、具体的に計画立案をやっているところもありますし、あるいは景観行政という範囲の中にそれを取り組んでいる例もあると。したがってこの地域戦略をご検討いただくときに、是非そうした既にそういうことに取り組み、いろいろ苦しみながら解を見出そうとしている先駆的な事例をご紹介いただくことによって、何かヒントが出てくるんではないかと、そのような気がいたします。
 2つ目は、先ほどもお話がありましたように、東日本大震災との絡みになります。国際的には実はこの問題に非常に関心があって、しかも生物多様性という論点とも私は無関係ではないというふうに思います。とりわけ人と生き物がどのように共存してきたのか。まさに愛知目標のいわばコンセプト、それそのものの現状というものが東北の地域にあって、復興計画の中で何を一体優先すべきなのかという問題が出てまいりますと、必ずこの問題に突き当たってくるという現実があります。
そこで、ある種国家戦略の中で、被災されたのは東日本でありますけども、これは日本全国どこでもそういう可能性があるわけですから、そうした地域とその土地、あるいは自然との人間の縁といいますか、地縁結合型社会形成のいわば人と生物との関わりということについての論点も、ぜひその中に記述をしていただくとありがたいなと、この二つでございます。

【武内部会長】 ありがとうございました。あん・まくどなるど委員お願いします。

【あん・まくどなるど特別委員】 今までの委員の発言とダブっているところが多いかと思いますが、主に2つで、1つ目は4つの基本戦略を見ると、特に1、2、3を見ると、環境省だけが声を大きくしていろいろポジティブに動くということは、ちょっと無理が出てくるんじゃないかなと思って、やはりもっとインターミニステリアルというか、横断的な戦略づくりが大事じゃないかなと思います。今まで農業の話がいっぱい出てきたんですけど、その後、例えば森・里・海のつながりを見ると、これが農林水産省と国土交通省などの、もっと活発的な具体的な横断的な政策づくりがなければ、主流化は不可能じゃないかなと私は個人的に思います。
 環境省がいろんな旗を上げることによって、他の省庁に刺激を与えていくことは何より望ましいんじゃないかなとも思ったりはしています。例えば低次元な例にすぎないんですけど、農法の見直しとか。農法はいろいろ少しずつ動いたりもしているところもあるんですけど、漁法の見直しで見ると、やはり農林水産省の中で行き詰まっているところがあって、巻網から刺網、はえ縄、そういった漁法によって生物多様性にどういう影響を与えていくのかみたいなことも、いずれそういう検討も必要じゃないかなと思います。
 また震災なんですけど、たまたま昨日まで岩手県と宮城県の幾つかの漁村に行ったんですけど、震災と生物多様性との関連性で、幾つかの動きがそちらで見られますので、ぜひ今年そういうところに注目してもいいんじゃないかなと思います。日本列島は世界中の震災の11%ぐらいが、こちらで生じたりしていますので、生物多様性と災害との関連性が他国から注目されているところもあるので、1000年に1回の震災に去年遭ったので、是非それをもうちょっといろんな肉付けしていただけたらと思います。
 最後ですけど、連携とかつながりを考えると、ぜひもっと温暖化対策と生物多様性保全との連携があればいいんじゃないかなと思います。以上です。

【武内部会長】 ありがとうございました。それでは鈴木会長、お願いいたします。

【鈴木会長】 私は多分、オブザーバーという位置づけなのかもしれないんですが、皆様のいろいろなご発言を伺って大変触発されるところが多くて、少しお願いなんかも申し上げたいと思います。
 この生物多様性に関しては、ご承知のように、生物多様性という言葉ができてからまだ30年もたっていない。非常にある意味では新しい概念なんでしょうが、それがなかなか一般論のところには言葉としては伝わっても、どこまでいけば生物多様性と言えるのか、どれが最終目標なのかというところが、なかなか分かりにくいということもあろうかと思います。しかしながら、CBDに伴って国家戦略をつくるようになり、それが環境省の中では環境基本計画の枠組みの中に位置づけられているようなことなんですが、環境政策の中の一部というにしても非常に大きいんですね。やはり自然環境局そのものが非常に多様な対象を持っていろいろ行政を進めておられるわけですから、非常にそれ自身が多様であるということもあって、なかなかつらいだろうと思いますが、しかしながら、自然を扱うということが、一般国民にとって、環境省に対するある種の信頼感のようなものを醸成する上で、非常に大きな意味を持っていると思っています。
そして、自然というときに、一般国民は単に生き物であったり何であったりということよりは、総合的に全体として捉えるということが重要だと思いますので、先ほど来お話が出ていますように、もちろん環境省というのは、予算的にも非常に小さなところですが、他の省庁等々と、まさに国土計画というか、狭い国土にこれだけ多数の人間が暮らしていて、そして森林面積が67%というような国土を一体将来どうしようとしているのか、自然環境局としてはどういう将来像を描くのか。これはもちろん他省庁に手を入れてやっていくことにならざるを得ないわけですが、そういうビジョンが是非出てくるようになると分かりやすいのではないか。
今、こうすべきであるという基本方針、基本計画的なものはいろいろあると思いますし、先ほどの白表紙の点検チェックを見ると、もう絶望的にたくさんの事業がこれだけ点検されているんですが、じゃあこれでどうなのかという、これをどういうふうに構造化して、どう位置づけて、総合的にはどういう評価をするのかという辺りを次の国家戦略の中では少し考えていただけるとありがたい。是非そうしていただきたいと思います。
しかしながら、愛知目標というDPSIR的な、構造化された目標がきっちりと出ていますので、これをより一般国民にわかりやすく、先ほども環境教育というお話が出ていましたが、文科省にとっては環境教育というのは本当にワン・オブ・ゼムで、食育であったり、外国語教育であったり、情報教育であったり、情操だの社会だの何だの、何とか教育のうちの一つでしかない。やはり環境教育というのは、もちろん自然環境局だけの問題ではないんですが、環境省としてむしろ責任を持って、アメリカの場合にはEPA(米環境保護庁)が環境教育に責任を持つという形になっているので、少なくともコンテンツに関しては環境省が省を挙げてちゃんと考えていくということが必要なのかな、そんなふうに思いますが、なかなか環境省の中の環境教育推進室というのがあって、文科省に出かけていくと、文科省は適度にというような感じで終わってしまうというのが、これまでのことではないかと思います。
 いろいろと申し上げて恐縮ですが、狭い国土で非常に人口密度の高いこの国が、どういう形で持続可能な人間活動を続けていくのか。もちろんそれは自然も含む。この姿をつくり上げるということが、いろいろな途上国がこれから目標とすべき生物多様性に対してのホットスポットとなっているような地域も一杯あるわけですが、そういうものに対するある種お手本になっていく。二次的な自然をつくっていくとしても、どういう形でどうなのかということを考えていく、非常にいい場であろうかと思いますので、是非そういうことを念頭に置いて、次の小委員会ですばらしい国家戦略をおつくりいただければと願っております。

【武内部会長】 ありがとうございました。福田委員お願いいたします。

【福田委員】 ありがとうございます。多くの委員の方と同じような関連なことになってしまうんですが、(この紙面では)数値目標の達成状況というのは出ていますが、一般の人はどのような場所でどんな理解をしたらいいのかということが分からないと思うんです。生物多様性というのはとても大きなことだとは思いますけれども、とても簡単な例で言いましたら、山に道ができて、そこで光が入って新しい草花が出たよ、それは生物多様性の一つだよというふうな言い方をしますと、ああそうかというんです。それを大きくすれば本当に生物多様性だと思うんです。そういう簡単なことも分からないんです。
ですから、先ほど委員の方がおっしゃったように、これをしっかり教育の中に入れてくださいと言いますと、必ずあいまいな感じで済まされてしまう。こういう感じで入っているからいいでしょうというふうに、どこの委員会に行っても、それは文科省じゃないんですかと言われる。よく見てみてくださいといっても、必ずごまかされてしまうという言い方はおかしいんですけれども、大体そういう感じになってしまうんです。やはりこれは一番大事なことなんじゃないかなと思っていますので、その辺のところをよろしくお願いいたします。

【武内部会長】 どうもありがとうございました。それでは事務局から、特に質問に対して回答をお願いしたいと思います。

【生物多様性地球戦略企画室長】 それでは、さまざまなご意見をいただいたので、意見の部分については拝聴させていただいて、個別のご回答は時間の都合上、割愛させていただきたいと思います。
 まず質問の中で、パブリックコメントが一つというのはどうだという小長谷委員からのご質問がございました。第三次生物多様性国家戦略の点検のときには、前回3名、6つの意見というようなデータがございます。一方、例えば動物愛護管理法の小委員会の報告書では、平成23年に12万件とか5万件というのが来たということもありまして、これは関心の向きとか、私どもの広報不足というのは、もう一回改善を図っていきたいとは思っておりますけれども、この辺の原因についてはもう少し分析をしながら、どうすれば皆さん方のご意見をもう少しいただけるかというのは、引き続き検討していきたいと思っております。
 それから、柴田委員の名古屋・クアラルンプール補足議定書については後ほど担当室長から、その評価についてはご回答を差し上げるようにしたいと思います。
 それから、白山委員の時期国家戦略の計画期間につきましては、2012年につくった場合には5カ年ということで、2017年を次の改定に向けてということですけれども、当然長期的な部分もございますけれども、ですからその間に来る2015年の目標部分についてはどうするかというのは、今回の戦略の中で書き込んでいかなければいけないというふうに思います。
 それからマリ・クリスティーヌ委員から、ビジネスとの関係についてのご質問がございました。ちょっと言葉足らずだったんですけれども、一つには、ビジネスというのは要するにそれぞれの企業活動がどういうふうに影響を与えていて、それを軽減するにはどうしていったらいいかというのを促進しようとするのも、このパートナーシップとか、我々の言っているビジネスの生物多様性関係の一つあるというのが一つです。それからもう一つは、逆に優秀な取組とか、実際先ほどの途上国の話で言えば、フェア・トレードみたいなものがございますけれども、環境に優しい形で、先ほど森林のお話もございましたけれども、ものについてより奨励するようなことでビジネスが働ける部分というのがあって、それが逆に途上国の経済に対しても貢献しつつ、環境も守って持続可能にしていくということができるという意味において、ビジネスでできることというのはまだまだあるんじゃないかと。そういった観点で、イニシアチブというものが今いろんな議論をしているというところでございます。
 それから山岸委員からは、学校教育について環境省がどういう働きかけをしてきたのかというところでございますけれども、残念ながら生物多様性に特化した私の部屋のほうから、少なくとも私が昨年来てからは、直接この件でやりとりはしたことはございません。ただ、先ほどもありましたように環境教育ですとか、自然とのふれあいという中では、個別に文科省との連携もやっているところでございまして、その中でもう少しより具体的に生物多様性というのをどう働きかけていくかというのは、この戦略づくりを機会に、もう少し進めて議論をしていきたいと。むしろ現場レベルでは出前事業ですとか、さまざまな形でのビジターセンターに学校が来ているという形で、個別にカリキュラムに取り入れられている部分もあろうかと思いますけれども、やはり戦略的にそれをどう入れていくかというのは、大きな課題ではないかなというふうに思っております。
 それから、山極委員からは、生態系ネットワークの現在の取組自体が哺乳類の現状とか、どのように機能しているかの評価はどうなっているかということでございますけれども、それそのものを全体的に包括的に評価するということは、点検結果をご覧になっていただいても、そこまでできていない部分もあろうかと思います。個別の鳥獣被害対策につきましては、それぞれの原因の分析、究明等は地域ごとにやられているかと思いますけれども、この辺はちょっと我々としても課題で、現在どういう形で何が言えるかというのは、今後検討していかなければいけないと思います。
 それから、下村委員から、GBO3をはじめ国際的な動きの中でどういうふうに日本の今の生物多様性に対しての評価ですとか、どういうものが効果的かと評価されているかというような、その位置づけをどう評価しているかというご質問がございました。こちらにつきましては、実はJBO(生物多様性総合評価)というのもCOP10の前に行って、日本の生物多様性対策がどうなっているかという、GBO3も踏まえながらやったという作業がございます。
あともう一つは、個別のさまざまなIPBESですとか、そのほかの生物多様性情報、もしくはその評価に関する取組を、日本の技術みたいなものでリードしていくという位置づけの中で、今、日本が本当にどうなっているかというところを明確な形で整理しているというのは、必ずしも十分でないかもしれないですけれども、その動きの中で今回の国家戦略の中でも、その辺は少し整理できればというように考えております。
 それから、その他はご意見というものが主だったかと思いますけれども、さまざまなご指摘の部分について、やっていること、既に書き込んでいることもありますけれども、それが不十分で、今後進めていくべきという指摘だったかと思います。化学物質の問題ですとかモニタリングの問題、我々としても非常に重要な認識と思っています。
それから各省連携、環境省がある程度音頭をとりながらも、関係省庁をどう巻き込んで一緒にやっていくかというのは、これは国家戦略の中でも、これまで各省の施策を720集めるプロセス、それから各省からもヒアリングをする形でやっていくプロセス、そしてこれ自体をつくっていくプロセスの中で、関係省庁間で議論させていただいて、その中で新たなプログラムとかプロジェクトをつくっていくというものを、少しずつではありますけれども、今まで、例えば自然再生事業などをはじめとしてやってきたところでございまして、今日のご指摘を踏まえて、それをさらに広げる取組をしていきたいと考えております。
 私からは以上ですけれども、名古屋・クアラルンプール補足議定書については担当室長からお願いしたいと思います。

【武内部会長】 どうもありがとうございました。

【外来生物対策室長】 外来生物対策室長の関根でございます。名古屋・クアラルンプール補足議定書についてでございますけれども、当然我が国が議長国となりまして、COP10で採択されたものでございますので、今回その補足議定書で、遺伝子組換え生物によって生物多様性に影響が生じた際の対応措置というものが新たに求められておりますけれども、それについては国内制度に位置づけて、補足議定書の早期発布に貢献していくべきものというふうに考えております。
 それから、署名等の手続面についてでございますけれども、署名につきましては、現在最終的に関係省庁間で調整をしているところでございます。まだ政府としての正式決定は現時点では終わっておりませんけれども、現時点の見込みといたしましては、署名開放期間の3月6日までに署名できる見込みというふうになっております。署名後につきましては、早期に締結できるように、国内法でありますカルタヘナ法の法改正など、必要な作業を関係省庁と連携して進めていきたいと考えております。

【武内部会長】 どうぞ。

【自然環境局長】 非常に貴重な今回の戦略改定に向けてご意見いただきまして、ありがとうございました。ぜひ小委員会の議論に生かしていきたいというふうに思います。各省との関係で、この審議会での議論に先立って、生物多様性国家戦略の関係省庁連絡会議ということで、各省間の共同の作業もスタートを切っております。これまで4回、国家戦略をつくってきましたけれども、回を重ねるごとに各省との連携というのは強まってきているというふうに考えておりまして、今回の改定でもそれをさらに強めて、この戦略改定の作業に各省との共同の形でいろんな材料を提供していければというふうに思います。
 そういうことを通じて、生物多様性に対する国土の目指すべき姿というのを今回の戦略改定で示していけるように、今後の作業を進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【武内部会長】 ありがとうございました。マリ・クリスティーヌ委員と、涌井委員は追加でしょうか。手短にお願いします。

【マリ・クリスティーヌ委員】 こういう公的な文章が外に行きますとひとり歩きするので、今言われたことは理解しましたけれども、もうちょっとここにはいろんな企業を出されたほうが、というのは、ここにある二つの団体だけを環境省が認めていて、他のところはということになったときに、むしろここに書かないほうがいいと思うんです。国家戦略ですので、誰がどうするかということは、ある意味では企業が勝手に動いたりすることを支えるということがおそらく国の役割であると思います。例えば、それこそFSCとか、他のいろんな団体がビジネスをちゃんと、志高くきちんとした形でしていく上においての企業の取組をしているか、この488に入っていない企業だってあるわけですので、ここだけを認めているというような印象を与えられると、非常に国の国家戦略としてのイメージがよくないと思いますので、むしろそういうところで、もうちょっと配慮していただいたほうがいいのではないかなと思います。

【武内部会長】 どうもありがとうございました。なお、国家戦略の点検結果に対する中央環境審議会としての意見の取りまとめについてでございますけれども、点検結果に関する報告書は大部にわたり、本日欠席の委員もおられますので、さらにご意見のある方に関しましては、2月中旬を目処に、事務局あてに書面により意見を提出していただき、本日の部会で出されたさまざまなご意見とともに事務局において取りまとめ、それを私が確認し、中央環境審議会の意見として取りまとめることにさせていただきたいと思います。それでご了承いただけますでしょうか。
(異議なし)

【武内部会長】 ありがとうございます。それでは事務局において、欠席委員も含めてその旨を連絡し、取りまとめを行っていただくようにお願いいたします。皆様のご意見を踏まえ、今後小委員会で議論を進めてまいりたいと思います。
 それでは、次に3番目の議題として報告事項となりますが、地域主権改革の状況について、説明をお願いいたします。

【自然環境局総務課】 自然環境局総務課、熊倉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 今、お話のありました地域主権改革の現状についてご報告をさせていただきたいと思います。資料としては一番最後にアクション・プランというのが書いてある右とじの資料があるかと思いますので、そちらをご覧ください。
 現在の状況でございますけれども、政府の基本的な方針として、国の出先機関の原則廃止というのが出ております。これを実行するために、アクション・プランというものが一昨年の12月に閣議決定をされています。従来議論されていましたのは都道府県への国の権限の移譲、出先機関の移譲の関係でございましたけれども、一昨年のアクション・プランにおきましては、都道府県が集まった形の広域連合という仕組み、これについて活用して、そこに出先機関を移譲せよというものになっております。ここにありますように、出先機関単位ですべての事務権限を移譲することを基本ということで、今年この通常国会に法案を提出して、平成26年度中の事務権限の移譲を目指すという内容になっております。こういった閣議決定を受けまして、昨年5月に関西の広域連合から具体的な出先機関の移譲要望が出ております。
この関西の連合というのは、府県の知事から構成される特別地方公共団体でございまして、一昨年の12月に設置されています。その要望の内容でございますけれども、数ある国の地方出先機関の中から三つを選びまして、国に移譲を求めるという内容になっております。その三つが近畿経済産業局、近畿地方整備局、そして近畿地方環境事務所でございます。
近畿地方環境事務所の移譲理由でございますけれども、山陰海岸国立公園を管理しているということで、関西広域連合で推進を図っている山陰海岸ジオパークと連携をして、地域の活性化、観光振興といったところを総合的にやっていきたいという内容でございます。同じこの3機関につきまして、九州の地方知事会も同様の要望を提出しておりまして、少しずつ全国に広がりつつあるという状況でございます。
次のページをご覧ください。地方環境事務所の具体的な事務でございますけれども、平成17年に設置ということで、全国7カ所でございます。定員が399名という比較的小さな組織でございます。次の2ページ目でございますけれども、地図がございます。各ブロック単位に事務所を設置しておりますけれども、さらに小さな赤い丸で書いてありますように、国立公園ごとに自然保護官事務所というのを配置しまして、現場での事務を行っております。
次の3ページ目でございますけれども、具体的な主な業務について書かれています。右上の国立公園・保全整備課というところが特に大きなウエートを占めているわけでございますが、国立公園に関する公園計画の策定・見直し、それから開発行為に対する許認可の規制、それから自然とのふれあいを進めるための施設・整備等を行っております。
自然環境関係では、さらに野生生物行政でございまして、国指定鳥獣保護区、ラムサール条約登録湿地の関係の保護でありますとか、希少種の保護増殖といったような仕事を行っています。これ以外にも廃棄物・リサイクル対策であるとか、公害・地球温暖化対策といった環境省全体の総合的な地方出先機関となっております。
最後のページでございますけれども、これは歴史でございますが、平成17年設置と申し上げましたけれども、国立公園の管理という意味では厚生省時代、昭和28年から国立公園管理員というのを現地に駐在させまして、長く保護に当たってきたところでございます。これに野生生物行政も加わり、さらに省庁再編で自然保護以外の業務も入ってまいりまして、最終的に平成17年に地方環境事務所となったものでございます。
以上が状況でございますけれども、次に環境省のスタンスでございます。先月27日に内閣府に意見を出しております。大臣も申し上げておるところですけれども、今課題になっています国立公園につきましては、環境省の自然保護官、レンジャーが中心になって地方の開発に対して議論をしながら守ってきたという長い蓄積がございます。地域の住民の方だけでなく、国民全体、さらには国際社会に対する責任を果たすため、引き続き国で保護すべきというような意見を出させていただいております。ただ、地域主権改革自体は進める必要があるということでございまして、それ以外の、例えば住民の健康に直結するような公害対策のようなものについては、広域連合が業務の受け皿としてしっかりしたものになるのであれば、積極的に検討をすることとしております。
今後のスケジュールでございますけれども、政府としては今年3月に個別に移譲する事務権限について、全体像を閣議決定する予定になっております。環境省としては、先ほど申し上げたような意見に沿って、関係者との調整をしっかりやっていきたいと思っております。ちなみに、本日夕方も政府の本件についての会議がございまして、環境省の政務官にご出席いただいて、意見を述べたいと思っております。自然環境行政の将来にとって重大な岐路となるところでございますので、中環審の先生方にもご報告をさせていただいた次第でございます。以上でございます。

【武内部会長】 どうもありがとうございました。特に国立公園をはじめとする環境行政にとって大変重大な問題であるというふうなことでございますけれども、地域主権改革の状況についてのご説明に関してご質問、ご意見ございましたらお願いしたいと。どうぞ。

【堀内委員】 国立公園関係都市協議会の会長を務めております堀内でありますが、今ほどの件につきまして、地域主権改革は進めなければならないというふうには思っております。そういう中で、先ほどもお話がありましたように、これからの国立公園をどう守っていくのかということは大変大事な問題でありますので、これにつきましてはやはり国が責任を持って進めるべきというふうに考えております。そして、そういう中で維持管理などについては都道府県、あるいは市町村に役割を明確にして、お任せできるものについては任せていただくということが大事ではないかなというふうに思っております。なぜならば、この国立公園につきましては、複数の都道府県がまたがっているということもありますし、また各地方におきましては、保護と利用のバランスといいますか、それはなかなかその地域だけで決めるということは難しい点がございます。
私のところの国立公園は中部山岳国立公園になりまして、その中に、例えば黒部峡谷に欅平というところがあります。そこに1本の道路が今あるわけでありますが、その道路の管理などにつきましては、林野庁、環境省、そして国土交通省、それぞれの省庁が複雑に絡んでおりますし、またそれらの整備とか維持管理につきましては、多額の費用が要るということでありますので、一概に地方に任せて管理ができるというようなことは大変難しいというふうに思っておりますので、それらの保護と利用につきましては、きちんとこれからも国で方針を決めていただくということが大変大事ではないかなというふうに思っておりますので、環境省としても政府に強く働きかけていただきたいというふうに思います。

【武内部会長】 ありがとうございました。どうぞ。

【市田委員】 ただいま国立公園についてのお話がありましたけれども、鳥のほうも、渡り鳥は国境を越えて渡っていくわけで、前にこの審議会で話が出たと思いますけれども、例えばイノシシの有害鳥獣の問題で、県境まで駆除はできるんだけれども、イノシシが向こうの県に逃げてしまうと、なかなか手が出ない。調整すればいいじゃないかというけど、それがなかなかできないんだという話があって、それを思い出したところなんですけれども、この渡り鳥の問題は県だけでなく国を越えていくわけです。アジアならアジア全体で、この鳥がどういう状況になっているかということを考えて、そして保護区の設定とか管理が行われるわけです

ですから、それはなかなか県で判断するというのは難しいことだろうと思うんですけれども、今日は朝から生物多様性国家戦略の話が出ていますけれども、これはイギリスが最初に国家戦略をつくったときに、冒頭の文章に、イギリスはヨーロッパ各国のモデルになる国家戦略をつくるんだ、それを実施することによって、ヨーロッパ全体の生物の多様性を守るんだということを書いてある。そうしないとイギリスの多様性は守れないんだと、そういう姿勢で臨んでいるわけです。今朝の渡邉局長のお話で、COP10の議長国として世界にロードマップを示すんだ、こういうお話があった後に、そのやる主体が今度は県庁やなんかに行ってしまうというのは、全く逆の話だと私は思います。むしろアジア全体を見てやらなきゃいけないことはたくさんあって、それに向かって環境省は大いにロードマップを示していっていただきたいと思います。ですからぜひ頑張って筋を通していただきたいと思います。

【武内部会長】 ありがとうございました。どうぞ下村委員。

【下村委員】 ちょっと動きをご紹介させていただきたいと思うんですが、年末にこの話を伺いまして、地方主権そのものは非常にいい動きだと思うんですが、やはり今話題になっている国立公園の問題は、同じように扱ってはまずいだろうというふうに考えております。年末にこの話を伺いまして、私は日本造園学会という学会に所属しておるんですが、他にも野鳥の会さんですとか生態学会さんも、ある程度まとめて意見を出されているというふうに伺いましたので、私たちの学会もここはゆゆしき問題だなということで、意見を出させていただこうということで、緊急に意見を取りまとめました。
 学会全体で動くというのはなかなか難しいので、こういうときに私どもの学会では、研究委員会というのをつくっておりまして、その中にランドスケープ・マネジメントという研究委員会がございます。東京農大の金子教授が委員長をしておりますけれども、そこから、細野環境大臣あてにということで、国立公園は別に扱っていただきたいというふうなことでご意見させていただきました。
 大きな趣旨としては3つ理由を挙げまして、1つは国際的な情報発信力、国立公園はやはり日本の顔ですので、国がある程度コントロールしておかないと、国際的な発言力が弱くなってしまうだろうというような趣旨と、それから先ほど市田委員からもございましたけれども、COP10で議長国になって、これからいろいろ生物多様性をやっていこうということで、その基盤になる国立公園がばらばらになってしまってはまずかろうという視点が1つ。
それから、やはり全国的な視野がいる管理、そういう側面です。渡邉局長から80年になるというお話がございましたけれども、これまでの長い管理の過程の中で、日本の国立公園はさまざまなタイプのものもありますし、そういった中で、いろんな調整をしながら管理をしてきているわけです。そういう中で、これまで培ってきた全国的な視野というものをちゃんと持って、国が保護行政に当たっていくということが、重要だろうというのが2つ目の視点。
 それから3つ目は、今日もSATOYAMAイニシアティブのような新たなモデルの話がありましたけれども、日本の場合は地域制の国立公園というものを世界に先駆けて出して、国と地域との関係という点では非常にいいモデルなんだろうと思うんです。そういったものがまた今いろいろ、環境省の中でもいわゆる協働型の管理のような形での検討がされていますので、そういう国と地域との関係、地方との関係とか、そういったものをモデル的にしっかり構築していく上で、国立公園は非常にいいモデルじゃないかというふうに考えております。
 ですから、そういうモデル構築を国がしっかりする上でも、国立公園は国がしっかり管理をしていく必要があるだろうというような、3点の理由を挙げさせていただきまして、ご意見をさせていただきました。先ほど申し上げましたとおり、他の組織もいろいろ出されているようですので、そろそろ遅くなるのかもしれないんですけれども、いろいろ積極的に出されたほうがいいのかなというふうには考えております。以上です。

【武内部会長】 時間もございませんので、今4名の方がさらにご発言したいということで札を立てておられますけれども、手短にお願いしたいと思います。磯部委員お願いします。

【磯部委員】 国立公園について、地方に関することが問題だという、そういう議論は十分発言ありましたので、私も同感いたしますけれども、それは国立公園だからなんですけれども。私、専門が行政法でございまして、地方分権論というのはかなり専門にやってきたわけで、2000年の地方分権推進にも携わったわけなんですけれども、あのときにも何が何でも分権すればいいということではなくて、仕分けをしてきたはずなので、ちょっと今回のこの受け皿のほうが全国的にきちんと、すべてのブロックについて広域連合ができているならば、それは道州制論だといったら話はもっとはっきり分かるわけなんでしょうけれど、関西広域連合というのは完全にあの地域すべての自治体を構成メンバーとしているわけではないんだろうと私は理解しております。
時間があったら質問したいところですけれども、さらに全国すべてのブロックに広域連合はできているわけでもないというところで、できるところからやっていこうというのは、ちょっと分権論の進め方としても一般的に疑問があると思います。国立公園に関しては、さらに国定公園というのもあるわけなんですけれども、国と地方の仕事をきちっと分けて、国が責任を持つということで整理されてきたはずのものなので、非常に疑問を感じます。

【武内部会長】 今、議論の途中でございますけれども、お見えになっておられます細野環境大臣のご都合がございますので、大臣からごあいさつを先にお願いしたいと思います。

【環境大臣】 環境大臣の細野豪志でございます。大事な会議の途中で割り込む形になりまして、大変恐縮でございます。今日から予算の審議が始まっておりまして、この後もまたすぐ委員会ということがございますものですから、ご容赦をいただきたいというふうに思います。
 貴重な時間ですので、簡潔に申し上げたいと思うんですが、皆様にはさまざまな重要な課題、特に生物多様性国家戦略についてご議論をいただく、さらには国立公園であるとか、また環境省が取り組んできたさまざまな取組についてご議論をいただくという、そういう大事な役を担っていただくという形になっております。その中で、今日は若干お時間をいただいて、私が是非皆さんにお願いをしたい、さらには環境省としてはこういう形で取り組んでいきたいということについて、皆さんにご説明をさせていただきたいと思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。ちょっと座って話させていただいてよろしいですか。

【武内部会長】 どうぞ。

【環境大臣】 一昨年、いわゆるCOP10、生物多様性条約締約国会議が開催をされまして、これは日本が議長国として行った会議でございますので、非常に環境省としては力を入れて取り組んできた、そういう会議でございました。当時の松本龍大臣がこの問題に心血を注がれまして、その中で生物多様性に関する新たな世界目標となる愛知目標であるとか、遺伝資源へのアクセスなどについて定められた名古屋議定書の採択などの成果が得られたことは、もう皆さんよくご存じのとおりだと思います。
 愛知目標の中では、日本から提案をいたしました人と自然との共生が長期目標に位置づけられておりまして、その目標を日本で、さらには世界で達成していくために、特にCOP11までは私自身が議長ということでもございますので、大きな役割が期待をされているというふうに考えているところでございます。もう既に渡邉局長からも提起があり、また皆さんにこの国家戦略についてはもう実質的なご議論をいただいているとは承知をしておりますけれども、改めて、COP11において人と自然との共生を目指す愛知目標の達成に向けた日本のロードマップとして、新たな生物多様性国家戦略を世界に示し、議長国としての責任を全うしたいと考えておりますので、ぜひ皆様に活発なご議論、さらにはより高い目標というのを掲げていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
 そして、国立公園についても幾つか皆さんにお願いがございます。改めて指摘するまでもありませんけれども、生物多様性ということを考えたときに、我が国にとって国立公園というのは非常に貴重な資産ということになってまいります。先ほど地域主権との関係でご議論がございましたけれども、そういったことも含めてこの国立公園、しっかり国として守っていく、環境省として取り組んでいくという、この決意には全く揺らぎがございませんので、そこはご安心をいただきたいと思っております。
 この国立公園につきましては、平成22年に公表いたしました国立・国定公園総点検の結果を踏まえまして、奄美群島・慶良間諸島の新規指定、さらには白山・西表島での大幅拡張などに向けた取組を進めているところでございます。また、全国の国立公園において、海域公園地区の大幅な拡張を進めていきたいと考えております。さらには被災地の復興に貢献をする意味で、これまで陸中海岸国立公園という形で存在したこの国立公園を、さらに拡充をいたしまして東北地方の太平洋岸をずっとつなぐ形で、三陸復興国立公園というものの創設に向けて、来年度から予算をつけて実質的なスタートをいたします。そういった中で国立公園そのものの充実というのを図ってまいりたいと思っております。
 また、来年にはアジアでの保護地域に関する協力体制を構築したいと考えておりまして、世界へ向けて発信していくことを目的といたしまして、できればこれはまだ決まったことではございませんけれども、東北のいずれかの都市でアジア自然公園会議を開催したいと考えております。また、我々がこうした意欲を持っているということについては、アジア諸国の中では理解が広がっておりますので、しっかりと旗を掲げることができれば、実現というのは可能なのではないかと考えているところでございます。
 こうした場を活用することによりまして、日本の80年にわたる国立公園の歴史を生かしまして、自然との共生のモデルを示す国立公園の新たな役割というものを、三陸復興国立公園を切り開くということであるとか、地域の自治体や住民の皆さんの声を取り入れながら、地域と協働での国立公園管理を行うという、日本の国立公園の管理手法、いわゆる協働型管理手法と呼んでおりますが、これを世界に発信をしていきたいと考えております。
 次に、世界自然遺産について少し話をさせていただきたいと思います。皆様からもさまざまなご協力をいただきまして、昨年6月に小笠原諸島が世界自然遺産に登録をされました。これに引き続きまして奄美・琉球諸島地域において地元の関係者との調整を図りながら、できるだけ早期に世界自然遺産登録を目指して準備を進めるよう、既に指示をしているところでございます。世界遺産への登録というのは、ご承知のとおり科学的な知見の集積とともに、地域の皆さんがどうそれに対して関わっておられるか、さらには地方も含めた行政の協力体制、連携体制というのが非常に重要になってまいりますので、その点も含めて前向きにやってまいりたいと思っております。
 また、文化遺産ということではございますけれども、既に私の地元でもある富士山については、世界遺産への登録を目指して推薦を行ったところでございます。こちらは、国立公園の中に富士山はございますので、実質的には環境省が大きな役割を果たしていきたいというふうに考えているところでございます。地域における努力と地道な作業のもとで、地域の宝が日本の宝になり、そして世界の遺産という形で宝物として認められる過程というのは、地域を見直して郷土を愛し、保全する取組が発展をし、そしてそれが経済効果をももたらすという意味で、非常に大きな意義があるものと考えております。
 日本の世界自然遺産は、平成5年の屋久島をはじめとした登録に始まりまして、平成15年には知床、小笠原諸島及び奄美・琉球諸島地域を世界自然遺産登録候補として選定をいたしまして、知床は平成17年に、そして小笠原諸島は昨年6月に、先ほど申し上げましたように登録がされてきたところでございます。こうした諸情勢を見極めた上で、さらに今後どのようなところが新たな世界自然遺産を目指した取組を進めるべき場所としてふさわしいのか、さらにはそれに向けてどういった形で環境を整える必要があるのか、各地域の最新の科学的知見を収集しながら、特に林野庁などの関係者との協議をしながら、検討を進めてまいりたいと考えております。これまでも幾つかの地域についてさまざまな検討が行われてきてはおりますけれども、こうした経緯も含めて、さらに前進をさせていきたいと思っております。
 また、あわせまして、国際的に認められた保護地域であるユネスコのエコパークであるとか、世界ジオパークについても各地で関心が高まってきておりますので、国立公園との連携強化による管理の充実や新たな登録に向けた協力も検討していきたいと考えております。
 そして、次に湿地の保全についても強化をしていきたいと考えておりますので、一言申し上げたいと思います。この湿地の重要性については、皆さんもよくご存じ、十分承知をされていると思いますが、この重要性が指摘をされる中で、環境悪化についての懸念も各地で表明をされております。そうした中で、世界的に重要な湿地であるラムサール条約の湿地については、今年7月にルーマニアで開催されますCOP11に向けて、敦賀市の中池見湿地であるとか、与那覇湾などの新たな湿地の6カ所の登録を目指すなど、今後とも地域の皆さんの賛同のもと、計画的に登録を進めたいと考えております。また、そうした日本の重要な湿地を水源地域も含めた生態系全体としてとらえて点検をいたしまして、それらのつながりの強化などを通じて、例えばトキであるとか、コウノトリも暮らせるような湿地の保全や再生を進めてまいりたいと考えております。
 最後になりますけれども、こうしたさまざまな取組を環境省として進めているわけでありますけれども、その一方で、そうした取組であるとか、そうした地域が必ずしも世界の中で十分に、それこそ皆さんに知っていただくという状況になっていない。さらには今、日本に来る観光客の方が、去年の原発の事故もあって減っているという現状があるわけですが、そういった方々に関心を持っていただいて、日本のこの自然や生物多様性のすばらしさを見ていただくという面でも、私は広報活動、海外へ向けての広報活動は極めて重要になってくるのではないかと考えております。その意味でも環境省もこれまで努力をしてきたわけでありますけれども、さらに体制を拡充して、こうした取組が世界にしっかりと伝わるような努力をしていくことをやってまいりたいと思っております。
 長々と申し上げてまいりましたけれども、中央環境審議会の皆様にはさまざまな議題についてお願いをするという形になってまいります。言うまでもなく、環境省にとりましては、この国立公園の問題、これはわが省が誕生したときの原点でもございます。また生物多様性の問題というのは、そこからさらに発展をして、近年、世界の中でも非常にこの問題に対する関心が高まっているという状況でもございます。是非そうした問題の重要性についてご理解をいただきまして、皆様のご協力、さらには前向きなご議論とご判断を心よりお願いを申し上げたいと思います。貴重な時間をいただきました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

【武内部会長】 細野大臣、大変ご多忙の中お越しいただきまして、非常に我々にとって印象深いメッセージをいただきまして、どうもありがとうございました。
 それでは、先ほどのご議論いただいていることについて、引き続きご意見を賜りたいと思いますが、磯崎委員、お願いいたします。

【磯崎委員】 今まで出た意見と大分重なりますけれども、生態系の広がりと、それから行政的な区画が一致しないことで、それも一つの移管の理由にはなっているようですけれども、それはどのような形で、それから、ここに出ている広域連合の場合でも出てくることであるというのがまず1点です。
 それから2点目ですが、これも既に指摘をされているんですが、国際条約の中で法的な責任を求めている、そういう地域指定をしている条約が幾つかあります。世界遺産条約、ラムサール条約が代表例ですが、それらのもとで区域指定されているところについては、国に対しての責任があるということですので、これは1点目と2点目、両方重なるのですけれども、その場合、制度をいじるのではなくて、他のやり方でできるのではないか。それから、条約のほうからも指定された区域の周辺の生態系、指定されていない場所の生態系の関わりについて、総合的に考えて連携した管理をすることが、条約からも求められているという点がありますので、そこも制度をいじるのではなくて、連携を確保するというやり方、そちらで対応ができるのではないかと考えています。

【武内部会長】 ありがとうございました。岡島委員。

【岡島委員】 今、皆さんのおっしゃったとおりで、これは環境省としても国民としても、死守すべき課題だと思います。つまらないことを言うといけないんですけれども、事務所なんていうのをつくったところに、公園事務所を入れたのがそもそもの間違いのもとじゃないかな、ちょっと思うんですけれども。ともかくこのような話、細野大臣がいたら申し上げようと思ったんですけれども、こんなものを通したら民主党政権1日でつぶれますよと言いたかったくらいですので、私も国立公園は日本の宝だと思っておりますので、全力を挙げて応援したいと思います。以上です。

【武内部会長】 どうもありがとうございました。少し時間が超過してしまいましたが、本日の各委員の意見も踏まえ、今後5回程度の小委員会で生物多様性国家戦略の案についてのご議論をいただき、パブリックコメントを実施した上で、8月ごろを目処に再度合同部会を開催したいと思います。これは、要するにCOP11に間に合うようにということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは事務局から連絡事項ございましたら、お願いいたします。

【事務局】 ありがとうございました。本日の配付資料の郵送をご希望の先生におかれましては、後日郵送いたしますので、封筒にお名前を書き入れていただければと思います。なお、小委員会の委員の先生方につきましては、別途開催案内等を送らせていただきますので、何卒よろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

【武内部会長】 どうも長時間、ありがとうございました。これにて散会とさせていただきます。どうもありがとうございました。