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■議事録一覧■

平成23年度中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会(第1回)
議事要旨


1.日時

平成24年2月9日(木)10:00〜12:30

2.場所

TKP赤坂ツインタワーカンファレンスセンター7F「ホール7A」

3.出席者(敬称略)

(会長)

鈴木基之

(部会長)

武内和彦

(委員)

磯崎博司、磯部力、市田則孝、岡島成行、加藤順子、神部としえ、小泉透、小長谷有紀、桜井泰憲、佐々木洋平、柴田明穂、下村彰男、白幡洋三郎、白山義久、高橋佳孝、高村典子、土屋誠、橋本光男、浜本奈鼓、速水亨、福田珠子、堀内康男、マリ・クリスティーヌ、三浦慎悟、宮本旬子、山岸哲、山極壽一、涌井史郎

(特別委員)

あん・まくどなるど

(環境省)

細野環境大臣、渡邉自然環境局長、小林大臣官房審議官、上河原自然環境局総務課長、塚本自然環境計画課長、桂川国立公園課長、亀澤野生生物課長、奥田生物多様性地球戦略企画室長、牛場生物多様性施策推進室長、宮澤鳥獣保護業務室長、関根外来生物対策室長、堀上自然ふれあい推進室長、西山動物愛護管理室長、奥山生物多様性センター長、大庭自然環境整備担当参事官

4.議事概要

中央環境審議会令に則り、山岸野生生物部会長が本合同部会の部会長代理として指名された。

<議事1> 生物多様性国家戦略の変更について

事務局より、資料1−1〜1−5を説明。
生物多様性国家戦略小委員会の運営方針(資料1−4)については、同日付で決定された。
生物多様性国家戦略小委員会委員については、武内部会長より指名があり(資料1−6)、委員長は武内部会長が、委員長代理は山岸部会長代理が務めることとなった。

<議事2> 生物多様性を取り巻く状況及び生物多様性国家戦略2010の実施状況の点検結果について

事務局より資料2−1及び2−2について説明。

(主な質疑・意見)○・・・委員の質問及び意見 →・・・質問に対する事務局回答

(1)全体について

パブリックコメントの意見が1件と少ないが、こういうものか。
第三次生物多様性国家戦略の点検時には、3名から6件の意見提出があった。広報不足については改善していきたい。
次期国家戦略の計画期間をはっきりさせて欲しい。愛知目標の中には、海洋酸性化のサンゴ礁への影響に関するものなど、2015年までをターゲットとしたものもある。
計画期間はこれまでの国家戦略を踏まえ、2012年から2017年の5ヶ年で考えている。その間にある2015年までの目標への対応については次期国家戦略に書き込んでいく。
多くの事業が点検されているが、これをどう構造化して、総合的にどのように評価するかを考えて欲しい。
狭い国土で人口密度が高く森林が国土の67%を占めている日本が、国土利用に関するビジョンを示し、持続可能な国の姿を作り上げていくことは、これからの途上国の目標にもなる。
省庁横断的な戦略づくりが大事。特に森・里・川・海のつながりを確保するための取組などは、農林水産省や国土交通省も含めた横断的な政策を進める必要がある。

(2)東日本大震災を踏まえた対応について

災害復興の過程では、地域のコミュニティーが重要であり、生物多様性の保全とも関わりが深い。土地や自然と人との縁、地縁結合型社会について、論点として記述して欲しい。
生物多様性の保全は長期的な視点が必要であり、復興に当たってもそのような視点を入れて欲しい。
災害と生物多様性の関連は各国からも注目されている。次期国家戦略も、1000年に一度の震災を踏まえた肉付けをして欲しい。

(3)生物多様性の主流化について

生物多様性の意味が広くて分かりづらいため、国民への理解が進んでいない。国民が興味を持つ問題から話題を広げ、興味を喚起するアプローチの仕方が必要。

(4)教育について

文部科学省と連携し、小、中、高の学習指導要領に「生物多様性の重要性」に関する内容を取りいれ、学校教育のカリキュラムの中で生物多様性や生きものとの関係について学ぶ機会を増やすべき。
環境教育としては、環境省全体で文部科学省と話をしており、その中で生物多様性についても議論を進めていきたい。
アメリカのEPA(環境保護庁)の例にならい、環境教育は環境省として責任をもってやるべき。少なくともコンテンツに関しては、環境省が考える必要がある。

(5)生物多様性地域戦略について

地方公共団体による生物多様性地域戦略の策定を促進し、日本中の生物多様性の考え方を国家戦略に取り込んでいくことを強化して欲しい。
緑の基本計画や景観行政の中に、生物多様性という尺度を具体的に盛り込んでいるところもある。生物多様性地域戦略を検討する際には、こうした取組を進めてきた先駆的な事例を紹介するとよい。

(6)多様な主体による取組について

「ビジネスと生物多様性」という資料は、日本がさらに途上国の資源をビジネスに利用しようとしているように誤解されかねない。生物多様性に配慮したビジネスとしては、FSC、MSCなど既存の認証制度を紹介してはどうか。
ビジネスが生物多様性に与える影響を低減する取組の促進、生物多様性に関する優れた企業活動の奨励など、ビジネスの分野ではまだまだできることがあるという趣旨。
FSC、MSCなど民間の認証制度、民間環境保護林の育生、市町村によるFSCを利用した森林管理、CO2オフセットと生物多様性をマッチングする制度などの取組にも注目して欲しい。
政府主導や民間の農林水産ファンドが動いているが、こうしたファンドの中に生物多様性への配慮を組み込んでいくことを考えて欲しい。

(7)農林水産業における取組について

農業環境政策においても、森林分野で行っている機能面でのゾーニングを参考にして欲しい。また、そのために土地の所有や利用に関するデータベースを充実させて欲しい。
巻網、刺網、はえ縄など、漁法によって生物多様性にどのような影響を与えているかについて検討が必要。

(8)化学物質の影響について

1970年から2000年にかけて使われてきた有機リン系農薬に代わり、2000年以降主流となっているネオニコチノイド系農薬は、昆虫類などに影響を与えている。化学物質への対応について十分に考えて欲しい。

(9)生態系ネットワークについて

生物多様性は日本列島に生息する動物の広域性、個別性とも関係する。生物多様性を国民全体、地域としてどう考えるかを生態系ネットワークにも反映させる必要がある。
これまで設定してきた生態系ネットワークが、動植物の保全等にどのように機能してきたのか。
生態系ネットワークの包括的な評価はまだできておらず、今後の課題である。

(10)モニタリングについて

長期間継続したモニタリングは、生物多様性の変化を明らかにするために非常に重要。モニタリングは同じ事を続けるから意味があるのであり、予算要求時の新規性などを考慮して違うことをしては意味がない。
長期的に生物多様性が回復してきたかどうかを評価していくにはモニタリングが必要。

(14)地球温暖化と生物多様性の関係について

もっと温暖化対策と生物多様性保全の連携があるとよい。

(15)国際的取組について

日本が国際的なリーダーシップを発揮していくため、COP10で採択された名古屋議定書と名古屋・クアラルンプール補足議定書を早期に発効させることが重要。次期国家戦略に、議定書の締結に向けて努力していくという日本政府の意気込みを書いて欲しい。
名古屋・クアラルンプール補足議定書の締結に向けた作業についてどのように考えているか。
遺伝子組換え生物により生物多様性に影響が生じた際の対応措置を国内制度に位置づけ、補足議定書の早期発効に貢献していく。3月6日の期限までに署名できるよう、関係省庁間で最終調整をしているところ。
先進国が途上国の自然を搾取し、公正かつ衡平な利益の分配が行われてこなかったことがABSの問題を注目させた。日本はアジアの途上国の資源をある意味で搾取しており、こうした反省も踏まえ、次期国家戦略を改定することが必要。
環境に関する世界的な事例の積極的な情報提供が必要。GBO3(地球規模生物多様性概況第3版)における達成度の評価なども参考に、国際的な動きと比較した日本の位置付けを踏まえ、国家戦略を改定する必要がある。日本の位置づけについて、現時点ではどのように考えているのか。
GBO3も踏まえ、日本でも生物多様性総合評価をCOP10前に実施した。IPBESのような生物多様性の評価等に関する取組に対し、日本がどのような位置づけで貢献していくかについては次期国家戦略で整理したい。
違法伐採木材や持続性が確保されない木材を市場から排除すること等、国内外の森林の生物多様性の確保に、積極的に取り組むべきである。

3.地域主権改革について

地域主権改革は進めなければならないが、国立公園は複数の都道府県にまたがっており、また、保護と利用のバランスを地域で判断することが難しいため、国が責任を持って守っていくべき。その中で、都道府県あるいは市町村も役割を果たしていくことが大事。
渡り鳥や有害鳥獣の問題は国境や県境を越える問題であり、都道府県だけで判断することは難しい。渡り鳥の状況を考えた保護区の設定など、アジア全体の視点で国がするべきことがたくさんあり、それに向けた国としてのロードマップを示して欲しい。
国立公園は日本の顔であり、国がある程度コントロールしないと国際的な発信力が弱くなる。
国立公園の管理には、長い歴史の中で培ってきた全国的な視野が必要。
日本における地域制の国立公園では、協働型管理の手法なども検討されており、国と地方の関係を構築する良いモデルである。
関西広域連合のような組織が全国にあるわけではなく、また、地域の全ての自治体が参画しているわけではないという状況で、分権を進めていくのは疑問。特に、国立公園は過去の経緯でも、国が責任を持つということで整理されてきたはず。
生態系の広がりと行政的な区画が一致しないため、国が管理すべき。世界遺産条約やラムサール条約など、国に対して保護担保を求めている条約がいくつかある。また、条約から指定区域内外を含めた総合的な管理が求められており、連携の確保が重要。
国立公園の移管は、環境省としても国民としても死守すべき課題。国立公園は日本の宝だと思っているので応援したい。