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■議事録一覧■

平成21年度中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会(第2回)
議事要旨


1.日時

平成22年2月4日(火)09:30〜12:00

2.場所

三田共用会議所 3階大会議室

3.出席者

(部会長)

熊谷洋一

(委員)

有路信、石井信夫、石井実、石坂匡身、磯崎博司、磯部力、市田則孝、岩熊敏夫、大久保尚武、岡島成行、河田信夫、川名英子、神部としえ、是末準、桜井泰憲、鹿野久男、竹村公太郎、田中正、田中里沙、土野守、土屋誠、中川浩明、中静透、中道宏、中村太士、西岡秀三、浜本奈鼓、速水亨、福田珠子、三浦愼吾、森戸哲、森本幸裕、山岸哲(五十音順、敬称略)

(事務局)

環境省:副大臣、自然環境局長、大臣官房審議官(自然環境担当)、参与、自然環境局自然環境計画課長 他

4.議事概要

(1)生物多様性国家戦略2010(案)の検討

自然環境計画課長より、資料を用いて以下について説明。
第三次生物多様性国家戦略の実施状況の点検結果
生物多様性国家戦略2010(案)
生物多様性国家戦略2010(案)に関する意見募集の結果

(主な質疑・意見)

◆前文・第1部

P68にビジネスと生物多様性について、「「ビジネスと生物多様性イニシアティブ」のような枠組みを検討します」とあるが、例えば社会的責任投資の推進についての記述があってもよい。また、生物多様性オフセットについても検討が進んでおり、そういった新たな枠組みを検討することが示せるとよい。「オフセット」という言葉を入れてみてはどうか。P77の都市緑地について、都市が立地していた「もともとの自然に配慮する」というような言葉があったほうがよい。P80の基本戦略「地球規模の視野を持って行動する」に、グリーン・ディベロップメント・メカニズム(GDM)のような取組についてイニシアティブをとって進めていくといった記載ができないか。
ビジネスと生物多様性もCOP10に向けての非常に重要なテーマの一つ。オフセットやGDMについては、多くの議論が交わされており、国家戦略では、生物多様性と経済的な評価をするプロジェクトに日本も積極的に参加し、経済的評価を受けた政策オプションの検討をしていくという表現を記載している。オフセットの問題やGDMの問題についても、どうとらえていけばいいのか検討していきたい。
P70の35行〜37行について、二次林や人工林としての適切な管理を推進する場合と、自然の遷移を基本とし、自然の機能を維持発揮できる森林への移行を促進させる場合とあるが、これはどちらも管理である。もし、管理を行わずに誘導する場合は、そのことをはっきりと記載するべき。管理することを前提とするならば、35行目の「適切な管理」を「より積極的な管理」とし、36行目の「自然の遷移」を「自然の遷移を誘導する管理」とするべき。P77の3〜5行目について、多様性を林齢でとらえたり、単純に生物多様性でとらえていたりしており、理解しにくい。5行目の「間伐の実施」を、「人工林において植栽された樹種のみでなく、多様な植生種を確保する間伐等の施行」という文章にし、「広葉樹林化、長伐期化」の順番を「長伐期化、広葉樹林化」にすれば、この箇所が人工林の話だと分かりやすい。
里山の扱いについては、御指摘のとおり、何らかの人手の管理が必要だと認識しているので、記載を工夫したい。森林の保全整備の箇所についても、林野庁とも相談したい。
P79の6〜15行目の海洋の記述は、文章としてはよいが、本当にこの記載のとおり取り組んでいけるか疑問。また、「海洋保護区については、海洋基本法に基づいて関係省庁が連携して設定のあり方を明確化したうえで、設定を推進します。」とあるが、共通の認識として、大規模な砂利採取を禁止することを明確化することが大切。砂利採取については、瀬戸内海をはじめ多くの地方公共団体で禁止条例ができており、こうした取組を政府としてももっと応援するべき。
海域の生物多様性の重要性については、小委員会でも議論があり、COP10でも重要なテーマの一つ。自然公園法も改正して、保全を図っている。早く手を打つべき所と、まだ分からない所を整理しながら、優先課題について対応していきたい。
P85で科学的基盤の強化を取り上げているのはよいが、議長国としてイニシアティブをとりながら、ベースとなるデータを権威ある国際機関でつくっていくという姿勢をもう少し出してほしい。また、IPBESやTEEBに積極的に関わって、それらの存在意義を明確に打ち出してほしい。経済的な問題への対応と学術的なデータの把握を両輪でとらえていくことが必要。
科学的基盤の強化については、今回の戦略で追加すべき重要な部分だと認識。指摘の点をもう少し強調できないか検討してみたい。
第三次生物多様性国家戦略の問題点に「生物多様性」という言葉が定着していないことがあったが、現在もあまり定着していない。「生物多様性」をさらに一般の方々に知ってもらうために努力が必要である。現在の案では、P11に「生物多様性」の説明が記載されているが、「生物多様性」の説明は最初に記載したほうがよいのではないか。また、舌足らずの文章が多い。アルファベットの略語については、解説をつけた方が分かりやすい。最後に、「生態系ネットワーク」という言葉は「コネクティビティ」と同義か確認したい。
全体的に分かりやすくする作業に力を入れていきたい。生態系ネットワークについては、単に物理的に保護区がつながっているということだけではなく、生態系の機能が十分連結するという考え方も含めて表現されている。
生物多様性国家戦略2010の位置づけが不明。4次になるのか、3.5次になるのかイメージがわかない。また、この分厚い冊子を読む人は少ないと思う。概要版やパンフレットを充実させてほしい。三次戦略のパンフレットは、読み手の視点にたっていない。今回の概要版なりパンフレットは、国内や海外の読み手のニーズにあうようなものをつくるべき。
第三次生物多様性国家戦略をベースとして、同じ計画期間という点からも、3.5次戦略が適切か。概要版は重要だと認識。COP10でも世界に広め、また国内の主流化をさらに図るため、読み手の視点にたったPR版を作っていきたい。
生態系の多様性とは、どういうことを指し、どのように測ればいいのか分からない。もし、これが本当に分からないものであるのなら、生態学者に調査してもらうといったことを戦略に書く必要があるのではないか。
生態系の多様性を測ることは難しい。生態系の多様性が重要なのは、ある一つの生態系では生きていけない種が多いからである。指標化は難しいが、引き続きその問題を考えていく必要がある。(委員)
生物多様性国家戦略2010と第三次生物多様性国家戦略の位置づけは明確にしておくべき。生物多様性基本法ができた後の国家戦略という位置づけをはっきりさせるために、法律第11条の記載を前文にきちんと表現してはどうか。
指摘の点をこの戦略の中に書き込んでいけるようにしたい。
世界の生物多様性の利用に、日本は大きな責任を負っていることを第1部でもっと強調すべき。

◆第2部

P111について、自然公園の海域普通地域の保全と、自主的な地域での管理との組み合わせが必要。具体的施策に追記できないか。また、海洋保護区との関連でも、海域保護の拡大という観点から、もう少し積極的な書き込みができないか。
海洋保護区の中で、地域の自主的な管理を法の保護区と組み合わせていくことは大切であると認識しており、どのように反映できるか検討したい。
P144について、「鳥獣被害を軽減するための里地里山の整備・保全の推進」の記述を、被害額や頭数、補助金などについてふれるなどして、もう少し具体的なものにしてほしい。また、鳥獣被害防止特措法についても具体的に記載してほしい。
全般的に昆虫に関する記載が少ない。生息域外保全の取組の主体に昆虫館を入れてほしい。また、昆虫を飼っている人が、野外に昆虫を放す行動が、遺伝子レベルでの多様性を攪乱している。この問題についても記載してほしい。P53について、里地里山の保全と、レッドリストに掲載されている昆虫を守ることは同義に近い。それをアピールするために、39行目あたりに、日本固有種、あるいは日本を含む東アジアだけにしかいないものがとても多いということを記載できないか。P56について、汽水域などに生息する昆虫は危険な状態だが、そのことに関する記載が足りない。P50の12行目の都市地域は、「人間活動が優先する地域」となっているが、生物多様性の観点から、もう少し自然を再生するといったニュアンスが感じられるような文言にできないか。
P239について、バイオマスの利用促進について、エネルギー供給構造高度化法を記述してほしい。また、バイオマスについては国内に限定された記述になっているので、国際的な視点でのバイオマス利用に関する記述を追加してほしい。
P249の「自然とのふれあい活動の推進」について、(現状と課題)には「行政とNGOの連携などによって進められ」という記載があるが、(具体的施策)の中で、関係省庁がトータルで考えるという視点がない。個々の取組だけでなく、総合的な取組について記載できないか。
個々に出ている施策を束ねたような記述ができないかどうかを各省とも相談し工夫したい。
第1部と第2部の結びつきが分かりにくい。ネットワークの問題については、行動計画でどうやるのかが見えてこない。REEDについて、具体的にどう取り組んでいくのかが明確に書かれていない。日本にはたくさんの生物多様性のデータがあるが、埋もれてしまってなかなか表に出てこない。例えば、森林資源データの利活用の重要性をもう少し意識した書き方にできないか。また、データは今後の生物多様性の評価にも必要となることから、統合化していく方向性を明確に出していくことが必要。
環境影響評価の記述内容が古い。現在の検討状況を踏まえ、時点修正することが望ましい。
環境影響評価についても現在、議論が進んでいる最中であることから、どのあたりまで記載できるか分からないが、環境影響評価の部局と相談したい。
ラムサール条約湿地は、生物多様性の保全のためにも国際的に重要な湿地だという観点を意識した記載にしてはどうか。また、全体的なバランスとして、一般の人が読みやすいように、思い切って分量を減らすと読みやすくなる。
ボン条約について、入る入らないは別として、対応をしないということはあり得ない。
日本は、条約で捕獲が禁止されている動物について意見を異にする部分があり、条約を締結するとどのような義務を負うことになるのかという点を、慎重に検討していきたい。最近は、アホウドリに関する協定の締約会議のオブザーバーとして環境省職員が参加し、協力できるところを協力し、情報の提供などを行っている。ボン条約に関する協定の動きについて情報収集を行いながら、協力について検討を進めていきたい。
外来種をなぜ駆除しなければならないか、鳥獣を個体数調整しなければならないかといった説明が全体的にわかりにくい。また、鳥獣の捕獲個体の有効活用について、経済的・倫理的な観点からの記述できないか。また、ワシントン条約では、持続可能な商業利用というのは野生生物の保全に貢献するという決議があり、日本も方針を決めているので、そのことを記載できないか。
生物多様性という言葉が、広報の際にあまり活用されていないことが問題。情報発信側は、生物多様性をまとめの言葉につかうなどといった広報シナリオが重要。メディア側は、生物多様性をどのように伝えればよいか分からず悩んでいる。対象を持っている人たちが使える材料を提供するといった観点で情報を出してほしい。
先日行われた国内委員会には、多くのマスコミが来ていたが、メディアにあまり取り上げられていなかった。生物多様性の普及に関しては、個人的な活動では苦しい部分もあり、国を挙げて取り組み、環境省がリーダーシップをとって、メディアでも大きく扱ってもらえるようにしてほしい。生物多様性が社会に浸透しなければ、個人が活動しやすい環境もできない。そういう点からも、一般人への普及は重要。
具体的施策をきちんと取り組んでいくことが、普及・広報と国民参画の推進につながると思う。ただ「〜をやります」だけではなく、調査結果を、過程も含めて国民に知らせることに力を入れて欲しい。
子ども達への教育に関しては、教員の指導力の向上が大切。教員は忙しさもあって、生物多様性の教育がなかなかできないということを聞く。人材の育成に関する当面の課題は、教員の問題だと思う。
生物多様性国家戦略が第1部と第2部からなる構成は、非常にすぐれている。この戦略を活用するかどうかは、行動する側にかかっていると思う。
意見を生かして、今後の国家戦略の点検にもつなげていきたい。
経済的な枠組はCOP10でも重要な課題になる。TEEBを通して、効果的な保全のための指標を開発し、費用の分析や、枠組みの開発についても力を入れてほしい。

(以上)