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■議事録一覧■

中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
(平成21年度 第1回)
議事録


1.日時

平成21年7月9日(木)午前10時00分〜午前11時13分

2.場所

都市センターホテル3Fコスモスホール

3.出席者

(合同部会長)
熊谷洋一
(委員)
有路信、石井信夫、石坂匡身、磯崎博司、市田則孝、岩隈敏夫、大澤雅彦、加藤順子、河田伸夫、川名英子、神部としえ、是末準、近藤徳光、齋藤勝、桜井泰憲、佐藤友美子、鹿野久男、篠原修、高橋佳孝、高村典子、竹村公太郎、田中正、田中里沙、土屋誠、中川浩明、中静透、中村太士、野田節男、浜本奈鼓、速水亨、福田珠子、森戸哲、矢原徹一、山岸哲、鷲谷いづみ、(五十音順、敬称略)
(事務局)
環境省:
大臣、自然環境局長、大臣官房審議官(自然環境担当)、自然環境局自然環境計画課長、生物多様性地球戦略企画室長他

4.議題

(1)
生物多様性をめぐる最近の動向について(報告)
(2)
生物多様性国家戦略の策定について(諮問)
(3)
小笠原諸島世界自然遺産の推薦に向けた状況について(報告)
(4)
その他

5.配付資料

資料1 生物多様性をめぐる最近の動向について
資料2−1 生物多様性国家戦略の策定について(諮問)
資料2−2 生物多様性国家戦略の策定について(付議)
資料2−3 生物多様性国家戦略小委員会の設置について(案)
資料2−4 生物多様性国家戦略小委員会の運営方針について(案)
資料2−5 生物多様性国家戦略の策定に係る検討の進め方について(案)
資料3−1 小笠原諸島の世界自然遺産への推薦に向けた状況について
資料3−2 世界遺産条約の概要
資料3−3 外来種対策の実施状況と今後の取組について
資料3−4 世界自然遺産候補地小笠原諸島管理計画(案)について
資料4 トキ野生復帰に関する取組の概要
[参考資料]
  • 第三次生物多様性国家戦略(冊子・パンフレット)
  • 生物多様性基本法(冊子)
  • 中央環境審議会関係法令等

6.議事

【事務局】 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会を開催いたします。
 開催に先立ちまして、本日の出席委員数のご報告をいたします。
 所属委員51名のうち過半数の35名の委員にご出席いただいておりますので、中央環境審議会令の規定に基づき定足数を満たしており、本部会は成立しております。
 なお、中央環境審議会の委員につきましては、任期満了によりまして、本年1月、新たに任命が行われております。当合同部会長につきましては、中央環境審議会令第6条第3項に基づき、鈴木中央環境審議会会長より改めて熊谷委員が指名されていることをご報告いたします。本日は、その後初めての合同部会でございますので、ここで新たに合同部会にご参画いただくこととなった委員をご紹介させていただきます。
 有路信委員でございます。
 神部としえ委員でございます。
 近藤徳光委員でございます。
 河田伸夫委員でございます。
 高村典子委員でございます。
 竹村公太郎委員でございます。
 田中里沙委員でございます。
 福田珠子委員でございます。
 次に、本日の審議のためにお手元にお配りしている資料につきましては、議事次第の裏面にあります資料一覧のとおりとなっております。もし配付漏れ等がございましたら、事務局にお申しつけください。
 それでは、議事に移りたいと思います。これよりの議事進行につきましては、熊谷部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【熊谷部会長】 おはようございます。それでは、ただいまから平成21年度第1回中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会を開催いたします。
 まず初めに、本日は斉藤環境大臣がお見えでございますので、一言ごあいさつを賜りたいと思います。よろしくお願いをいたします。

【斉藤環境大臣】 皆様、おはようございます。環境大臣の斉藤鉄夫でございます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、当会議にご出席をいただきまして本当にありがとうございます。また、日ごろより環境行政の推進についてご指導いただいていることにつきまして、この場をお借りして御礼を申し上げる次第でございます。
 さて、来年10月に、愛知県名古屋市におきまして生物多様性条約第10回締約国会議、いわゆるCOP10が開催されます。COP10では、生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させるという目標、いわゆる2010年目標の達成状況を評価し、その後の目標、ポスト2010年目標と言っておりますけれども、この目標を検討するという大変重要な議題が予定されております。
 また、国内におきましてもCOP10を契機に、この生物多様性の問題を広く社会全体に浸透させていくことも近々の課題でございます。環境省では、「地球のいのち、つないでいこう」というキャッチフレーズを掲げて、さまざまな普及啓発の取り組みを進めております。
 このような状況のもと、昨年6月には生物の多様性の保全と持続可能な利用を通じ、自然と共生する社会の実現を図る生物多様性基本法が制定されました。この基本法によって生物多様性国家戦略の策定が法的にも明確に位置づけられたところでございます。政府といたしましては、生物多様性国家戦略を早急に法定計画として位置づけるとともに、COP10開催に向けた国内外の状況の変化に的確に対応し、生物多様性に関する取り組みをさらに強化する必要があると考えております。
 このたび中央環境審議会に生物多様性国家戦略の策定についてお諮りすることといたしました。私どもといたしましては、今後幅広い視点からご審議をいただきまして答申をいただいた上で、生物多様性基本法に基づく国家戦略を年内に決定し、来年のCOP10に臨んでまいりたいと、このように考えております。
 加えて、本日は小笠原諸島の世界自然遺産登録について、世界遺産委員会に推薦する準備が整ってまいりましたので、その状況をご報告させていただくこととしております。
 以上のとおり、本日は生物多様性国家戦略や世界自然遺産などの事案についてご議論をお願いすることになりますが、ぜひ忌憚のないご意見を賜りますようお願い申し上げまして、私のあいさつとかえさせていただきます。どうかよろしくお願いをいたします。

【熊谷部会長】 大臣、ありがとうございました、なお、大臣におかれましては、しばらくこのままご同席いただけるとのことですが、公務ご多忙のため、途中でご退席されると伺っております。あらかじめご承知おきをお願いしたいと思います。
 それでは、まず、本日の議事に入らせていただきます前に、中央環境審議会令第6条第5項により準用する第4条第3項においては、部会長代理を指名するということが決められております。私といたしましては、引き続き山岸委員に部会長代理をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

(山岸委員了解)

【熊谷部会長】 ありがとうございました。山岸委員、それではよろしくお願いをいたします。
 それでは、最初の議事に入らせていただきます。
 今回、合同部会としては、平成19年11月以来の久しぶりの開催となっておりますので、まず生物多様性をめぐる最近の動向について、事務局より説明をお願いいたします。

【徳丸生物多様性地球戦略企画室長】 生物多様性地球戦略企画室長の徳丸と申します。生物多様性をめぐる最近の動向について、パワーポイントを用いましてご説明させていただきたいと思います。失礼ですが、座ってさせていただきます。
 まず、条約から始まります国際的な議論の流れの概略でございます。生物多様性条約につきましては、その案が1992年5月22日にナイロビで開催されました会議で採択され、92年6月の地球サミットで署名に付され、翌年93年12月に発効しております。日本は、地球サミットでこの条約に署名をし、1993年5月に締結をしております。その後、順次締約国会議が開催されております。重要な成果といたしましては、まず2002年のCOP6でいわゆる先ほど大臣からも話がありました2010年目標が採択されております。COP8では、特に企業の参画を促すための民間参画に関する決議が採択されております。そして2008年、昨年ですが、ドイツで開催されましたG8環境大臣会合やサミットで初めて生物多様性が議題となっております。そして、その重要性が強調されております。そして、昨年5月、ドイツのボンでCOP9が開催されまして、COP10の日本開催が決定しております。同じ5月にはG8環境大臣会合が神戸で開催され、神戸生物多様性のための行動の呼びかけが合意されております。ここにはございませんが、6月には国内で生物多様性基本法が公布・施行されております。続いて7月の洞爺湖サミットで再度生物多様性の重要性が強調されました。9月には環境省主催でエコアジア2008・名古屋を生物多様性をテーマに開催し、日本が世界への発信を考えておりますSATOYAMAイニシアティブなどについて議論をしたところでございます。今年になりまして、4月にはイタリアのシラクサでG8環境大臣会合が開催され、2010年以降を視野に入れ、生物多様性の取り組みの強化を確認するシラクサ宣言が合意されております。そして、今行われておりますイタリアのラクイラサミットでもシラクサ宣言の履行が首脳間で確認される予定となってございます。
 さて、COP10でございますけれども、来年2010年10月18日から29日まで、土・日を除いて10日間の日程で、愛知県名古屋市の名古屋国際会議場で開催される予定です。生物多様性条約のもとにつくられましたカルタヘナ議定書の締約国会議、MOP5と呼んでおりますが、これも同時に開催されることになっておりまして、こちらはCOP10の前の10月11日から15日までの日程で、同じく名古屋国際会議場で開催される予定となっております。
 議題でございますが、COP10の方は2010年以降の新目標を含む条約戦略計画の改定とABS、いわゆる遺伝資源へのアクセスと利益配分に関する国際的枠組みの検討完了の2つが、これがどうしてもまとめなければいけない重要な課題となってございます。そのほかにも保護地域の拡大、管理の強化や持続可能な利用の推進、そして資金の問題、温暖化など、二十数項目が議題として予定されているところでございます。
 MOP5の方ですが、遺伝子組み換え生物の輸出入による生物多様性への影響について、その責任と救済についての規則の制定を検討することになってございます。
 これは、先ほど議論の流れの中にございました神戸でのG8環境大臣会合で合意されました「神戸・生物多様性のための行動の呼びかけ」でございます。日本の取り組みとしましてSATOYAMAイニシアティブ、東アジア・サンゴ礁海洋保護区ネットワークの構築などを宣言しております。
 これは、昨年の洞爺湖サミットでの首脳文書の概要でございます。温暖化対策と生物多様性保全の両者に資するコベネフィットアプローチなどが含まれております。
 次が、イタリアでの今年の4月のシラクサ宣言でございます。気候変動への適応策、経済とビジネスなど、4項目の活動内容を提示した上、2010年以降の枠組みに向けた共通の道筋が提案されてございます。
 そして、生物多様性基本法でございますが、その位置づけは、この図のようになってございます。環境基本法のもとに環境基本計画がございまして、その下に生物多様性基本法、そして国家戦略、個別法という形になってございます。
 法の目的でございますが、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する施策の総合的そして計画的な推進による自然と共生する社会の実現と地球環境の保全となってございます。後ほど諮問の説明をさせていただきます戦略策定の義務規定がございます。また、国だけでなく地方においても戦略をつくるという努力義務規定も含まれてございます。
 次に、自然公園法と自然環境保全法でございますが、今年の5月に一部を改正してございます。自然公園法の主な改正事項でございますが、目的規定に生物多様性の確保を追加しております。また、海中のみを対象としておりました海中公園地区制度につきまして、海上も含めて一体的な保全を可能とする海域公園地区制度を創設しております。また、シカによる生態系への被害等に対して、予防的観点を含めて総合的な対策を講じるための生態系維持回復事業の創設もしております。国立・国定公園の特別地域において生態系に被害を及ぼす動植物の放出、あるいは木竹の損傷行為等について規制を強化しております。また、政令に位置づけられておりました公園事業に関する改善命令等の規定を法律に位置づけ、違反に対する罰則を追加することなどによりまして、公園事業に関する監督権限の強化を図ったところでございます。資料の下の方に米印がついておりますが、この中に米印がついております項目につきましては、自然環境保全法においても同様の改正を講じております。この改正法は、来年4月をめどに施行する予定としております。
 次に、生物多様性につきましてさまざまなセクターに参画を促すための環境省の行っております事業について、簡単にご説明申し上げます。まず、国民の方々に対して3点ございます。先ほど大臣のごあいさつで申し上げましたが、コミュニケーションワード、「地球のいのち、つないでいこう」という言葉をつくりまして、あらゆる国民の方々に使用していただくようお願いをしておるところです。また、右側にございますが、地球いきもの応援団を発足し、こちらにございます4方にほぼボランティアベースでそれぞれのご活動の中で生物多様性をご紹介いただいたり、各種行事にご参加をいただいたりしておるところです。また、下の方にございますが、国民の行動リストを、これは国民の方々から自らの宣言をいただくという形で今まとめておるところでございます。
 次に、地方公共団体の取り組みに関しましては、基本法にもありました地域戦略の策定をお願いするために、本年9月をめどに手引きを作成しておるところです。また、国の関係機関におきましては、省庁連絡会議を設置しております。地元の愛知県名古屋市では、多様な関係者の参画を得まして支援実行委員会が発足し、活発に活動いただいております。また、あらゆるセクターの参画する円卓会議を環境省の方で開催いたしまして、COP10、MOP5に関する情報の共有と意見交換を図っているところです。
 また、民間の事業者の参画を促すための手引きとなります民間参画ガイドラインを策定中です。8月初めには完成する予定でございます。また、地域の草の根レベルの生物多様性保全あるいは再生活動等の支援も実施しております。地域住民の方、NGOそして企業、自治体の方々などに協議会を作っていただいて、動植物の保全、外来種の防除、保全再生などを行う場合に、事務局経費の10割、そして事業費の2分の1を支援するもので、現在、全国26カ所でこの事業を展開しているところでございます。
 以上、生物多様性をめぐる最近の状況につきまして、駆け足ではございますが、ご報告申し上げました。

【熊谷部会長】 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明について、この際ご質問がございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。特によろしゅうございますでしょうか。

(なし)

【熊谷部会長】 ありがとうございました。
 それでは、次に議事の2番目に入りたいと思います。一昨日に斉藤環境大臣より中央環境審議会に諮問され、同日付で当部会に付議されました生物多様性国家戦略の策定についての内容と国家戦略の案の検討を行うための小委員会の設置について事務局より説明をお願いいたします。

【徳丸生物多様性地球戦略企画室長】 ご説明申し上げます。お手元の資料のパワーポイントのカラーの資料の後ろの方に議事(2)としまして生物多様性国家戦略の策定について(諮問)という資料がございます。資料2−1から資料2−5まで一つにまとめてございます。
 1枚めくっていただきまして、資料2−1でございますが、一昨日7日付で環境大臣から中環審の鈴木会長あての諮問の文書でございます。
 生物多様性国家戦略の策定についてということで、生物多様性基本法第11条第4項の規定に基づき、生物多様性基本法に基づく生物多様性国家戦略の策定について、別紙のとおり貴審議会の意見を求めますとしております。
 裏面に別紙として諮問理由をつけてございます。昨年6月に施行されました生物多様性基本法第11条で、政府が生物多様性国家戦略を定めることとされたことを受けたものでございます。生物多様性基本法が施行される前から生物多様性条約の規定に基づきまして国家戦略を策定しておりますが、現行の第三次国家戦略が平成19年11月に閣議決定されております。その後の国内外の状況の変化を踏まえつつ、これを見直すということでございます。詳しくは後ほどまたご説明させていただきたいと思います。
 それから、次の資料2−2でございます。これは、中央環境審議会の鈴木会長から自然環境・野生生物合同部会熊谷部会長あてに、戦略の見直しについて合同部会に付議をしますというものでございます。
 続きまして、資料2−3でございますが、国家戦略の策定をご検討いただく生物多様性国家戦略小委員会の設置についてでございます。こちらについては、本日決定していただきたくお願いをしたいと思っております。中央環境審議会議事運営規則第8条の規定に基づいて、次のとおり決定したいとしております。
 1でございますが、自然環境・野生生物合同部会に、議事運営規則第8条に基づく小委員会として、生物多様性国家戦略小委員会を置く。
 2、小委員会は、生物多様性国家戦略の案の検討を行う
 3としまして、小委員会の決議は部会長の同意を得て、合同部会の決議をすることができるというものでございます。ここで設置をする小委員会におきまして、まず戦略見直し案のご検討をいただいた上で、本合同部会においてご審議をいただくという進め方を予定しているところでございます。
 次に資料2−4でございます。これは、設置をいたします戦略小委員会の運営方針でございます。この内容は、中央環境審議会全体の運営方針に沿って作成をしているものです。1番は、小委員会は原則として公開。公開する場合には、委員長が入室の人数の制限、その他必要な制限を課すことができるというものでございます。
 2ですが、出席者については代理出席でなく、ご本人の出席をお願いしたいということです。
 3(1)で会議録の作成は、出席した委員等の了承を得て行うということ、また(2)で会議録・議事要旨の公開についての規定を載せてございます。こちらについて、本日部会長に決定していただければと思っております。
 以上、小委員会の設置についてのご説明でございます。よろしくお願いいたします。

【熊谷部会長】 ただいま事務局からご説明がありました諮問内容、進め方について、ご質問等はおありでしょうか、いかがでございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

【熊谷部会長】ありがとうございました。それでは、国家戦略の検討のため、生物多様性国家戦略小委員の設置について、中央環境審議会議事運営規則に基づき合同部会として決定することにご異議ございませんでしょうか。

(異議なし)

【熊谷部会長】 ありがとうございました。それでは、事務局案のとおり、部会として生物多様性国家戦略小委員会を設置することを決定させていただきます。
 なお、あわせて事務局より説明がありました生物多様性国家戦略小委員会の運営方針については、中央環境審議会の運営方針に基づき、部会長として事務局案どおり決定をさせていただきます。
 次に、ただいま設置が決まりました生物多様性国家戦略小委員会に所属する委員について、中央環境審議会議事運営規則に基づき、部会長である私から指名をさせていただきます。

(事務局から「小委員会名簿(案)」を配付)

 ただいま小委員会の名簿案を配付しておりますのでよろしくお願いをしたいと思います。
 ただいまお手元にお配りいたしました委員の方々を小委員会委員に指名させていただきます。小委員会での検討予定については、後ほど事務局より説明があります。ご多忙のところ恐縮ですが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、小委員会の委員長については、中央環境審議会議事運営規則によれば、部会長が指名することになっております。甚だ僭越ながら、前回の小委員会に引き続きまして、自然環境部会長の私が委員長を務めさせていただき、また、委員長代理の指名については、中央環境審議会の運営方針に基づき、野生生物部会長の山岸委員にお願いをしたいと思います。山岸委員、よろしくお願いをいたします。
 それでは、次に国家戦略の策定に係る検討の進め方について、事務局から説明をお願いいたします。

【徳丸生物多様性地球戦略企画室長】 それでは、続けてご説明させていただきたいと思います。先ほどの資料の束の2−4の次に資料2−5ございます。生物多様性国家戦略の策定に係る検討の進め方(案)というタイトルの資料でございます。
 この資料の1ページ目と2ページ目につきましては、生物多様性条約及び生物多様性基本法における戦略に関する規定の条文をお示ししたものでございます。既にご説明いたしましたように、これまでは戦略につきましては条約の第6条の規定により閣議決定しておりましたが、今回より生物多様性基本法11条の制定により、今後はこの条文に基づいて策定することにしたいと考えておるところでございます。
 現状、この法律に基づく戦略がない状態ということで、今回の戦略策定は、いわば条約のもとの戦略を法定化するというふうに申し上げてよろしいかと思っております。そして、現行の第三次生物多様性国家戦略は一昨年の11月に策定したものでございますので、内容的に根底からつくり直すというところまでは考えなくてよろしいのかなと思っているところでございます。
 そこで、3ページ目の国家戦略策定の基本方針をごらんいただければと思います。[1]でございますが、来年のCOP10に向けて政府の取り組みを追加する必要があろうかと思います。また、一昨年の11月以降の施策の進捗や状況の変化を反映する必要もあろうかと考えております。
 [2]でございます。そのほかの第三次国家戦略の、今ある国家戦略の構成だとか、あるいは計画の期間、現行は平成24年度を考えておりますが、などの骨格部分は維持していきたいと考えておるところです。
 [3]、しかしながら、内容の点検作業については同時に実施したいと考えております。
 [4]でございますが、来年COP10で新しい条約の戦略計画が採択され、また新たな施策等も決議をされていくと思いますので、それらを反映した本格的な内容の改定につきましては、2011年以降に行いたいと考えておるところでございます。したがいまして、今回の策定につきましては、従来からの施策に加えて、あくまでCOP10までの国の姿勢や方針、そして一昨年から現在までの状況の変化を盛り込むということでご検討いただければと考えております。
 3番ですが、COP10に向けて国家戦略に盛り込む具体的な事項の例でございますけれども、COP10関係で申し上げますと、その成功を期さねばならないということや、新しい目標制定への貢献をする、あるいは、生態系サービスの経済評価に見られますような経済的視点の導入の重要性、科学的基盤及び科学と政策の接点の強化、具体的にはIPCCのような組織を生物多様性の方においても必要になってくるのではないかというようなこと、また、日本が発信を考えておりますSATOYAMAイニシアティブのこと、そして、COP10や生物多様性の社会の認識を高めるための主流化に関する記述などを加えていけばどうかというふうに考えておるところでございます。また、加えまして、最近の状況を踏まえました国内施策の推進なども盛り込んでいけたらと思っております。
 次に、その裏にスケジュールの表がございます。概要だけ申し上げますと、本日の諮問の後、7月28日と8月26日、そしてまだ日は決めておりませんが、9月から10月の日程で小委員会を開催させて、合計4回の小委員会を開催させていただきたいと思っております。その後にパブリックコメントを行いまして、案を取りまとめ2回の合同部会で検討いただき、12月下旬には閣議決定をしたいと考えているところでございます。
 まだここには記述しておりませんが、具体的な方法もまだ未定でございますが、4回の小委員会で検討しておる、その中間段階で小委員会に入っていただかなかった合同部会の委員の方にもご意見をいただけるような機会を検討したいと思っているところでございます。
 ご説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【熊谷部会長】 ありがとうございました。今後、小委員会での議論を進めていくことになりますが、ただいまの事務局からの説明について、ご意見・ご質問等がございましたらお願いしたいと思います。もしご発言の委員の方がいらっしゃったら、会場が広うございますので例によってネームプレートをお立ていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。ご質問・ご意見ございませんでしょうか。それでは、岩熊委員、いらっしゃいますか、お願いをいたします。

【岩熊委員】 大した意見ではございませんけれども、小委員会にしてはちょっと人数が多いのかなと思うんですが、集中して審議されるのでお集まりいただける人数も考えてこういう構成にされたのかと思うんですが、ちょっとその人数の多さについてご説明いただけますでしょうか。

【熊谷部会長】 事務局、いかがでしょうか。

【渡邉自然環境計画課長】 ありがとうございます。計画課長の渡邉でございます。生物多様性の問題、非常に多岐にわたるテーマを抱えておるということで、従来3回の国家戦略をつくってまいりました。そのときにも合同部会のもとにこういった小委員会を設置して突っ込んだ議論を重ねていただきながら戦略づくりをしてきたんですけれども、大体20人台の人数で今までも小委員会をやって、どうしてもこの多様性の問題が抱えているいろんなテーマをカバーしようということで、こんなぐらいの規模が必要かなということで今回も考えたところでございます。

【熊谷部会長】 では、できるだけ人数、大人数ですが、精力的にかつ真摯な議論を進めていきたいというふうに思います。どうもご指摘ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。大澤委員、お願いいたします。

【大澤委員】 先ほどご説明の中で3ページ目に科学的基盤及び科学と政策のインターフェースの強化という項目のところで、IPCCのような組織が必要となるのではないかというようなことをおっしゃったと思うんですけど、生態系サービスに主眼を置いた、そういった科学的な検討をする機関と言いますか組織として、MAが、ミレニアム生態系評価というのがあると思うんですけど、日本のSATOYAMAイニシアティブというのも一種のそれのサブグローバル・アセスメントという位置づけでやられていると思うんですけど、それとの関係については何かお考えが、既にお持ちなんでしょうか。もしあるようでしたらちょっとご説明いただきたい。

【熊谷部会長】 事務局、お願いいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 このIPBES、生物多様性と生態系サービスに関する政府間プラットフォームというのを設立することに向けた検討が始まっています。UNEPが主体となって各国に呼びかけて、どういう性格のものにしたらいいのか、どういう体制にしたらいいのかという検討が動き出しているところでございます。
 まさに生物多様性に関する科学的なデータと政策をつなぐ役割を強化していこうということで、IPCCの生物多様性版の機能をどうやってつくっていけばいいかという議論がなされています。その中で、今、いろんな政府や専門家が集まっての新しいプラットフォームづくりのための検討会議が始まっていますけれども、その中で今ご指摘のあった、例えばミレニアム・エコシステム・アセスメントでありますとか、いろんな既に先行しているこういう科学的な基盤強化のためのプログラムや体制というのがあります。それとどういう役割分担をして、どういうふうな性格分けをして、この新しいIPBESという組織を立ち上げていけばいいかと。そういう意味で、現在動いている科学的基盤強化のためのプログラムの中で、どこが足りないのかというギャップ分析というのをUNEPが中心となって今進めておりまして、そういうギャップ分析の結果も受けながら、この新しいIPBESのあり方を検討していく。その中でMAとの関係も整理をしていこうと、そんな議論が進んでいるところです。

【熊谷部会長】 ほかに何かご質問・ご意見ございますでしょうか。

(なし)

【熊谷部会長】 ありがとうございました。それでは、次に議事の3番目に入りたいと思います。3つ目の議題は、報告事項ですが、小笠原諸島の世界自然遺産の推薦について、事務局から説明をお願いいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 ありがとうございます。それでは、小笠原諸島の世界自然遺産の推薦に向けた状況について、ご報告をいたしたいと思います。
 世界遺産条約に基づいて、我が国でこれまでに屋久島、白神山地、知床と、3つの地域が世界自然遺産に登録をされています。そして4番目の自然遺産として小笠原諸島を推薦しようということで、環境省・林野庁・東京都・小笠原村が中心となって、相互に連携をしながら準備を進めてきたところです。そして、推薦に向けた準備が整ってきたということで、今回、合同部会に報告をさせていただくものでございます。
 お手元の資料の3−1が関係資料でございます。その1ページに推薦を予定する区域を下の方の図の緑色の部分で示しております。そして、島の位置関係は、さらに後ろについているA3の図面が折りたたんでありますけれども、A3、1枚の大きい図面がついています。それが広域の図面で、島の位置関係はこちらの方であわせて確認いただきながら見てもらえたらと思います。
 推薦を予定する区域ですけれども、北は聟島列島から南は南硫黄島までで、南北およそ400キロほどにわたるその間にある島々が対象になります。合計の面積は約7,500ヘクタールということでございます。
 推薦をする省庁ですけれども、環境省、林野庁、文化庁の3者が共同で推薦をする予定です。
 資料3−1の2ページ目にスケジュールを掲げてございます。平成15年に専門家による検討会を開きまして、知床と小笠原諸島、琉球諸島、その3地域を世界自然遺産の追加候補地として選定をいたしました。この世界遺産登録のための条件ですけれども、世界的に顕著で普遍的な価値を持つこと、そして、その価値を将来にわたって保護していくことを示すことが求められます。小笠原諸島の場合、推薦に向けた主要な課題ということとして、この世界的な価値の証明をしていくということ、そして、それに加えて、小笠原諸島の外来種対策、そして保護地域の強化という課題が挙げられました。
 平成18年には、地域の関係者間の協議の場として地域連絡会議を設置し、そしてさらに科学的な助言をいただくための科学委員会を設置いたしました。そこでの議論で整理をしつつ、翌19年1月に本推薦の前提となる暫定リストを世界遺産委員会事務局に提出をしたところです。
 主要課題でありました、その一つの外来種対策でありますが、19年度から関係機関の連携で総力を挙げて取り組んでまいりました。今3年度目に入っています。外来種の種類や場所によって進捗が異なりますけれども、一定の対策の成果が上がりつつあるという段階でございます。
 そして、もう一つの課題の保護地域の強化であります。まず、これに関して林野庁が平成19年に小笠原諸島の国有林を対象に森林生態系保護地域を大幅に拡張をしております。そして、さらに今回、国立公園の保護を強化するための公園区域そして公園計画の変更について審議会にお諮りする運びとなったところであります。
 今後の予定でありますけれども、推薦書そして管理計画の作成を進めて、推薦する省庁がそれぞれ省庁の審議会に報告をした上で世界遺産条約関係省庁連絡会議という場がございます。その連絡会議で推薦について政府としての正式決定を行って、まず9月には世界遺産委員会事務局に対して推薦書類の仮提出をし、来年1月には本推薦を行うという予定にしてございます。その後の動きですけれども、来年中に自然遺産の諮問機関でありますIUCNの現地調査が行われて、そのIUCNの勧告が出され、その勧告をもとに翌23年7月ごろの世界遺産委員会で登録の可否が審査されることになります。
 最近、世界遺産委員会の審議の状況ですけれども、大変新規登録の審査の厳しさが増してきております。増してきていますが、ぜひ小笠原諸島の登録が実現するように関係機関と協力をして最善を尽くしていきたいというふうに考えております。
 続きまして、自然環境計画課世界遺産専門官の羽井佐の方から、スクリーンの方で小笠原諸島の世界的な価値、そして保護管理の内容についてスクリーンを見ていただきながら説明を続けたいと思います。

【羽井佐自然環境計画課世界遺産専門官】 自然環境計画課の羽井佐と申します。画面とお手元の資料でご説明いたします。
 世界遺産として登録されるためには、クライテリアと呼ばれる登録基準に合致しなければなりません。お手元の資料では3−2に世界遺産条約の概要をお配りしております。自然遺産の場合には、4つのクライテリアのどれか1つに該当する顕著な普遍的価値、Outstanding Universal Valueというのが認められなければなりません。それと同時に、この顕著な普遍的価値を将来にわたって保全できるよう保護制度や管理計画などが必要となります。
 推薦地は、このクライテリアG、H、Iに該当する価値を有すると考えており、価値の中身とその保護管理について、これよりご説明いたしたいと思います。
 それでは、先ほどの資料3−1の3ページをごらんください。初めに、クライテリアのGについてご説明いたします。画面ですが、伊豆から小笠原にかけて、このように列状に並んだ島があります。その東側には深い海溝があります。ここで東側の太平洋プレートが西側のフィリピン海プレートに下にこちらから沈み込んでおります。この図は、沈み込み帯の断面の様子を模式的にあらわしたものです。沈み込みは、今から4,800万年前に始まりました。沈み込みを開始した当時は、地殻の下のマントルが非常に厚く、浅い位置でマントルが溶け出し、この赤い矢印で示すように、マグマが上昇し海底火山活動をもたらしました。この沈み込みの最初の特殊な条件でしか発生しない溶岩がボニナイトです。推薦地は、このボニナイトが地殻変動の影響を受けず地上で大規模に露出している世界唯一の場所です。このボニナイトマグマの発生で始まる火山活動は、やがて現在の聟島列島と父島列島のもととなりました。こちらがボニナイトの溶岩です。
 その後、4,400万年前には、海溝からより離れた位置で母島列島を形成する火山活動が起きました。現在は沈み込みがさらに進み、温度と圧力が一定に落ち着いたことから、海溝から一定の距離の西之島・火山列島を結ぶライン上で火山活動が起きております。
 推薦地では、陸上に露出した岩石や地層から、このような4,800万年前から現在に至るプレートの沈み込みという地質学的なイベントを確認することができます。このような島弧の下では、大陸のもとをつくる地質が形成されています。これは、原始は海だけだった地球からどのように大陸が形成されたかという謎を解くかぎでもあり、推薦地は地球の進化史の見本と言えます。
 続いて、クライテリアHについてご説明します。お手元の資料は4ページでございます。推薦地は、大陸と一度も陸続きになったことのない海洋島であり、しかも非常に小さな島々が数多く連なる海洋群島です。このような地理的条件において、例えばカタツムリの仲間では、写真のように起源を同じくする種が環境に応じてさまざまな種に分化する適応放散の歴史を、現在生きている種や化石になった種との比較によりたどることができます。このほかに、もとは草だった植物が木に進化する草本の木本化や雌株と雄株が分かれる雌雄性の分化など、さまざまな海洋島独特の進化の形態を観察することができます。このことから、推薦地は生物の進化の過程を示す顕著な見本と言えます。
 続きまして、クライテリアIについてご説明します。資料は5ページになります。推薦地は、ごく小規模な島地でありながらも、面積当たりの固有種の数が非常に多い地域です。特にこのような乾性低木林と呼ばれる原生的な植生では、木本の構成種の81%が固有種であり、多くの希少種の生息生育地となっています。国際的な希少種では、IUCNレッドリストでごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高いCRに分類されたオガサワラオオコウモリや、近い将来における絶滅の危険性が高いENに分類されたクロアシアホウドリなどの生物にとって、推薦地はなくてはならない生息地となっています。このことから、推薦地は北太平洋の生物多様性保全上、不可欠な地域であり、希少種や固有種の重要な生息生育地として世界的な価値を有していると考えています。
 このような価値を有する小笠原諸島を世界自然遺産として推薦するに当たり、これらの価値を構成する地形・地質や生態系・植生などの各要素が含まれるように推薦範囲を設定しました。この赤い線で示す推薦区域内は、その価値が法的に適切な保護を受けている必要があります。南硫黄島については、原生自然環境保全地域、そのほかの陸域については、この後行われます自然環境部会にてご審議いただきますが、厳しい規制のかかる国立公園の、オレンジ色の特別保護地区や紫色の第一種特別地域に、あるいは、国有林につきましては、原生的な自然を保存するための森林生態系保護地域の保存地区に指定されています。また、父島南部の南島周辺海域については、国指定の天然記念物に指定されています。ここは、沈水カルスト地形であり、陸産貝類の化石を多く含む場所であります。さらに推薦区域の内外にわたりまして、環境省・林野庁・文化庁・東京都・小笠原村とで策定する世界遺産候補地小笠原諸島管理計画によって適切な管理を実施します。この計画は、推薦地の周辺も含めて小笠原の持つすぐれた自然環境を保全するための計画であり、外来種対策を初めとする生態系の保全管理、エコツーリズムの推進、モニタリングなどについて基本的な方針を示すもので、推薦書に添付して提出する書類となります。
 さて、推薦に向けて保護担保措置の強化と並ぶもう一方の課題である外来種対策ですが、これまでの対策の状況と今後の取り組みについて、資料3−3にまとめております。例えば、東京都が兄島のノヤギをほぼ根絶したり、環境省と東京都の連携によって弟島のノブタを根絶し、ノヤギをまた半減させるなど、これまでの取り組みにより一定の成果が得られております。母島の南崎では、NPOと環境省が連携してネコの排除のための柵を設置したことで、海鳥の繁殖地が回復するなど、目に見える成果も上がっております。また、東京都獣医師会との連携による、捕獲したノネコの里親探しや適正飼養の推進など、民間団体の主体的な参加による取り組みも進んでおります。
 お手元の資料3−4には管理計画とそのもとに策定するアクションプランについてまとめております。今後は、これらの計画に沿って関係機関がより効果的に連携し、外来種対策に取り組むこととしています。管理計画には、島の生態的を保全するための長期的な目標と対策の方向性を示し、アクションプランでは具体な対策について3年程度の短期目標を定めて取り組んでまいります。これらの取り組みは、この図にあるように、島ごとに異なるさまざまな生物同士の相互関係を踏まえて対策の優先順位をつけ、関係機関が連携して実施するものです。外来種対策という課題に対しましても、これまでの実績と今後の具体的な計画をあわせて示すことで、諮問機関であるIUCNや遺産委員会に対して説得力のある説明ができるようにしていきたいと考えています。
 以上、小笠原諸島の世界自然遺産への推薦に向けた状況についてご説明いたしました。ありがとうございました。

【熊谷部会長】 どうもありがとうございました。ただいま事務局から報告のありました小笠原諸島世界自然遺産の推薦について、ご意見・ご質問があればお伺いしたいと思います。よろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、矢原委員、お願いをいたします。

【矢原委員】 九州大学の矢原です。屋久島の科学委員会の委員長を拝命しまして、世界遺産等についていろいろ勉強をさせていただいているところです。その経験を踏まえて少しお伺いしたいんですが、まず、クライテリアIの生物多様性に関してです。屋久島の場合は、この生物多様性が評価されていません。その理由を調べてみましたところ、屋久島には多くの固有種があって、環境省のレッドリストにも50を上回る種がリストされているんですが、これらが1種もIUCNのグローバルなレッドリストに載ってないんですね。そのためにIUCNとしては国際的に評価された絶滅危惧種というふうにみなしていないということが多分主要な理由だと思います。
小笠原の場合も、日本の絶滅危惧種のホットスポットであって世界的にも極めて重要な場所であることは間違いないのですが、環境省のレッドリストに載っている小笠原の絶滅危惧種は、1種もIUCNのレッドリストに載っていないはずです。ですから、この登録作業を早く進めないと、生物多様性の評価のところで非常に不利になるだろうと思います。これに関しては、私も多少責任はあるんですけれども、環境省のレッドリストの国内の編集作業にずっとかかわってきたんですが、国際的な登録に関して、今まで全く行政的なサポートがないので、やるとしたら研究者が自分でボランタリーに時間を割いてドキュメントをつくってIUCNに登録するということをせざるを得ない状況で、やりたいと思っていながら、その時間はずっと見出せないできています。
 ですから、少なくとも小笠原・屋久島等のホットスポットに関しては、国際的なレッドリストへの登録作業のための体制をとっていただく方がよいかなという気がします。
 それから、生態系のクライテリアなんですけれども、適応放散と雌雄性の分化と草本の木本化という3つの特色が挙げられているのですが、いずれもハワイ等の他の海洋島で見られる特徴で、しかも小笠原の方が規模が小さいということがありますので、この説明だけで普遍性のある価値というふうに国際的に評価されるかどうかというのは、多少不安を感じるところです。多分、ハワイ等の比較で、どこが小笠原の特色かというのをもう少し鮮明にする必要があって、ハワイの場合ですと、ハワイミツスイと植物との共進化による適応放散というのがあるわけですけれども、小笠原の場合は、京大の加藤先生なんかが詳しく調べてられておりますけれども、鳥ではなくて、チビムカシハナバチという固有種をたくさん含むハナバチ類がいて、それと固有の植物との間の共進化というのが見られますけれども、そういう、ハワイ等ほかのところにない特色というのを、もうちょっと鮮明に打ち出す工夫が必要かと思いました。
 以上です。

【熊谷部会長】 ただいまのご意見に対していかがでしょうか。渡邉課長、お願いいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 ありがとうございます。今まで日本の自然遺産で生物多様性という項目で評価されたのは、知床が1つでございまして、知床の場合、国際的な、まさに今矢原委員おっしゃったような、IUCNのレッドリストに掲載されている種の重要な生息地であるということを強調し、生物多様性の項目でも評価してもらったということでありました。
 小笠原についても、そういうIUCNのレッドリストでどう掲載された種の重要な生息地なのかというあたりが大事な点になろうと思っています。現在登録されている中でいきますと、IUCNのリストで57種の種が小笠原諸島に生息生育しているということで、それは推薦書にそういうことを説明していきたいと思っているんですけれども、さらにIUCNの登録がふえるようなことがあれば、そこが強化されるということなので、専門家の皆さんの協力も得ながら、その辺のことも考えていきたいなと思います。
 もう一つの生物進化の点で、小笠原ならではの特徴を出すということは非常に重要なポイントだと思います。他の地域との比較分析というのが、遺産委員会での審査のときには非常に重要なファクターになります。今ご指摘いただいた共進化としての特徴も含めて、小笠原の特有の生物進化の過程を持っているんだというあたりの説明を磨いていければなというふうに思います。
 ありがとうございます。

【熊谷部会長】 それでは、山岸委員、お願いをいたします。

【山岸委員】 私が申し上げることも矢原委員の今話したことと関係するんですが、クライテリアIについて、そこの鳥類にアホウドリが載ってないんですが、環境省ご自身が今、絶滅させてしまったアホウドリの復活事業をあそこでやっておられます。多分まだ成功したとは言い切れないからここへ書かなかったのもしれませんが、そういうアーティフィシャルな努力というのは、委員会で評価される対象にならないのかどうか、私、よくわからないんですが、その辺何かありましたら、ご意見をいただきたいと思いますが。多分、IUCNの絶滅危惧種にもなっていると思うんで、非常にそういう意味ではアピール力があるんではないかと私は考えますが、いかがでしょうか。

【熊谷部会長】 計画課長、お願いいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 ありがとうございます。推薦書の中では聟島列島でアホウドリの繁殖地を回復する取り組みが始まっていることを説明をしていきたいと思いますし、IUCNの評価団が来たときにも、そういった取り組みが動き出しているということはぜひアピールをしていきたいなと思っています。

【熊谷部会長】 ほかにございますでしょうか。
 それでは中村委員、お願いいたします。

【中村委員】 よく場所の特徴をわかってないのでピンボケになるかもしれないんですけど、海域の保護設定がある程度されてはいるんですけど、知床みたいに陸域と海域とつながった形での設定になっていない、南島のところで方形的な形になっている、この辺の知床みたいにサケの栄養塩が陸に帰ってという、そういうつながりを強調しているわけではないというのはわかるんですけど、多分、さまざまな陸域と海域のつながりって、ここでもあると思うんですけど、その辺、私詳しくないんですけれど、この海域の設定の理由をある程度教えていただければと思いました。

【熊谷部会長】 計画課長、お願いをいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 ありがとうございます。今まで科学委員会地域連絡会議でその点についても検討をしてまいりました。小笠原が持つ価値については、先ほど申し上げたような3つの観点からの価値を持つということを説明していこうということなんですけど、それは、陸域に主としてある価値ということで、推薦の区域については陸域が主体になっているという形であります。南島周辺の海を含んでおりますのは、これはさっき説明の中でもちょっと出ました沈水カルスト地形ということで地形的な特異な景観があるということと、さらに、そこの地層の中に生物進化の歴史をたどるために重要な陸産貝類の化石を非常に多くその地層の中に含んでいるということで、この部分について海の部分も含めて推薦区域に含めているという関係でございます。
 例えば海については、クジラ類の生息地として重要な海域でありますし、サンゴ礁も国内的には重要なサンゴ礁が分布していますけれども、それは、世界のほかの場所と比べたときにクジラの生息繁殖地あるいはサンゴ礁として、世界のほかの場所よりすぐれているという説明は難しいだろうということで、今のような推薦範囲の設定ということにいたしました。
 しかし、この推薦範囲を保全していく上で、周りの海との関係というのは大変大切だということで、推薦するときにあわせて添付する管理計画の中では、管理計画の対象区域というのを資料3−1の地図の右側に橙色の線で示していますけれども、これは後ほど自然環境部会で国立公園の見直しについて公園区域の変更についてお諮りしますけれども、定線から沖合い5キロまで含むような国立公園の区域になります。その範囲について、管理計画の主な対象範囲ということに設定をし、そこでの保全管理というのを遺産の推薦区域の外側でありますけれども、管理計画の対象範囲にして、そこの生態系保全の取り組みをしていきます、いろんな配慮をしていきますということを管理計画の中で説明をしていければというふうに考えているところです。

【熊谷部会長】 ほかにいかがでしょうか。ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

(なし)

【熊谷部会長】 ありがとうございました。それでは、議事次第では議題4、その他とございますが、事務局から何かございますでしょうか。ご説明をお願いしたいと思います。

【星野野生生物課長】 資料4、トキの野生復帰に関する取組の概要について、野生生物課長の星野から、簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
 昨年の9月、10羽のトキを新潟県の佐渡島に放鳥いたしました。トキは、昭和56年、野生の状態では佐渡島に5羽が残るという状況になっておりました。これは、明治時代の乱獲、その後の環境の悪化ということでございました。この5羽をそのままの状態では存続が非常に難しいということですべて捕獲いたしまして、人工下で繁殖に本格的に着手したわけでございます。その後、さまざまな努力をしたわけでございますけれども、なかなか難しい状況が続きました。
 平成11年に、中国から洋洋・友友のペアが日本に寄贈されまして、その翌年にはさらに雌の美美、この3羽をもとに順調に繁殖が進みまして、100羽を超えるような状況になったということでございます。
 この間、野生にトキを帰す取り組みも進めまして、平成15年には、関係する機関、地元の関係団体等と協力をして、佐渡でトキと共生できる地域づくりを進めるための環境再生ビジョンを策定いたしました。この中で60羽程度のトキが自然の状態で安定的に生息できる、そういう状況を佐渡に出現させようという目標を設定したわけでございます。これに基づきまして、国では種の保存法に基づく計画の改定を行ったり、佐渡に野生復帰のための施設を整備したりということを進めまして、ようやく昨年9月、10羽のトキを野生下に放したということでございます。
 その後、1羽の死亡、さらに放鳥直後から行方不明になったトキ等ございまして、現在、4羽の雄のトキが佐渡島で生息を確認しております。また、雌の3羽、糸魚川・黒部・新潟それぞれ確認してございまして、雌の1羽は3月18日に新潟県内で確認された後、現在まで確認をされていないというのが現状でございます。
 今後、十分な数のトキが佐渡で定着できるように放鳥を繰り返しながら、トキの本来の生態を見きわめて、定着できるためのさまざまな取り組みを地元関係省庁、関係機関と協力して行いたいと考えております。
 第2回目の放鳥は9月下旬、より佐渡に定着することを期待いたしまして、佐渡市が造成しているビオトープで一定期間飼育をして、その後に放す、ソフトリリースという方式で放鳥することを検討しているところでございます。
 以上でございます。

【熊谷部会長】 ありがとうございました。ただいまの報告につきまして、何かご質問あるいはご意見ございますでしょうか。いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

(なし)

【熊谷部会長】 それでは、時間もないようでございますので、これで本日の議事を終了させていただきたいと思います。
 最後に、黒田自然環境局長よりごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いをいたします。

【黒田自然環境局長】 自然環境局長の黒田でございます。本日はお忙しい中、大勢の委員の先生方にお集まりいただきまして、生物多様性国家戦略それから小笠原の世界自然遺産の登録に関してご審議いただきましてありがとうございました。
 先ほどの事務局、環境省側の説明と少しダブるところがございますけれども、国家戦略の改定につきましては、現行の三次の国家戦略、それからその骨格であるとか計画期間であるとか、そういうものは今の中身と言いますか、今のものを維持して法定化とあわせ、生物多様性基本法に基づく国家戦略にするということ、それから、中身の充実を図って少し前進させるということで、三次の次なんですけれども、四次をつくるというよりは、3.5次をつくると、こういうイメージでございます。
 まずは来年の10月、愛知県名古屋市で開催いたしますCOP10、少なくとも7,000人、1万人ぐらい参加するのではないかという見通しもございますが、このホスト国であり、また、議長国として、そういう立場になりますので、COP10を前に生物多様性基本法に基づく国家戦略としてしっかりしたものをつくっていくと。そして、そういうことを通じて我が国の生物多様性に対する取り組み姿勢というものを国際的にもアピールしていくと、こういうことを目標としていきたいというふうに思っています。
 この国家戦略に関しましては、先ほどのスケジュールのところでもご説明しましたが、年内ということでちょっとタイトなスケジュールになりますけれども、小委員会でご審議をいただきまして、パブリックコメントもして、その次の段階にまた合同部会を開催させていただいてご議論をいただきたいと思います。
そして、ちょっと先の話になりますが、来年のCOP10は、ポスト2010年目標あるいはABSの枠組み等、生物多様性条約が本当に意味のある条約なのかどうかということがある意味試される会議でありまして、新しい方向も出てくると。そういう方向性が決まってくるということで、COP10の後に我が国の国家戦略も、それこそ一から見直すと言いますか、さらに強化をするという方向で、いわば第四次というか、次のニューバージョンをつくっていくと、こんなことを考えていきたいと思っておりますので、長い道のりなのかもしれませんけれども、委員の先生方には引き続きよろしくお願いをしたいと思います。
 それから、世界自然遺産に関しまして小笠原、来年年明けの推薦、再来年夏の遺産委員会での登録というものを目指して進めていきたいというふうに思っておりまして、まずは政府内の合意を形成しようと思っています。
つい先日、ことしの遺産委員会がスペインのセビリアで開催されました。やはり全体として文化遺産の方が数が多いという現状で、今年もそういう傾向がございました。自然遺産に関しましては、遺産委員会に付議されました2件とも、新規2件、それから拡張が1件ございましたが、ともに認められました。その意味におきましては、非常に打率がようございます。しかしながら、全体として、これはどこにもはっきりは書いておりませんが、人類の遺産が1,000も2,000もあるものかと、こういう議論は、実際、遺産委員会の会議場の裏あたりでいろいろ議論をされていて、ちょっと扉が閉まりかかっているということもございます。例えば、ことしの自然遺産にしてみましても、当初は5件審査されるだろう、6件ですか、審査されるだろうと言っていたものが、どうも形勢を見て取り下げというのをやりまして、と言いますのは、ちょっと細かい話ですが、1回これは登録不可であるというと、2回目の登録申請ができないというルールになっていますので、形勢が不利だと取り下げるというのを各国よくやりますね。そういう中での打率100%ということでございます。全体としては非常に厳しくなってきている。
先ほど矢原委員からもご指摘ございました。ほかの委員からもございましたが、世界じゅうに島はたくさんあって、そこにしかいないコウモリがいる島はたくさんあると、こういう指摘もありまして、そういう中で小笠原がOUV、Outstanding Universal Valueがあるかないかという面できちんと世界の議論に耐えられるよう、いろいろ理論構築をし、また世界遺産委員会の中で最終的に決議されるということですから、その中での理解を得ていくような努力も外務省の協力も得て進めていきたいと思っておりますので、きょうのご指摘、こういうものも念頭に置いて、入念にストーリーをつくり上げていきたいというふうに思っております。
 本当にきょう2つのこと、非常に実は内外にわたって大きな話題と思っておりまして、環境省、各省庁とも連携をしながらしっかり進めていきたいと思いますので、これからもご指導をよろしくお願い申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

【熊谷部会長】 ありがとうございました。本日は、ご意見を委員の皆様方からいただきありがとうございました。本日の各委員の意見も踏まえまして、今後4回程度の小委員会で生物多様性国家戦略の案についてのご議論をいただき、さらにパブリックコメントを実施した上で、秋ごろをめどに再度この合同部会を開催したいと思います。
 それでは、事務局にお返しをいたします。

【事務局】 本日はありがとうございました。本日配付の資料につきまして、郵送ご希望の委員の方は封筒にお名前をお書きいただければ、事務局から後日郵送させていただきます。
 なお、自然環境部会にご所属の委員の皆様におかれましては、この後11時20分から自然環境部会を開催いたしますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 またお席の変更はございませんので、自然環境部会の委員の皆様にはお時間までにお戻りくださいますようお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。