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中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
(平成19年度 第1回)
議事録


1.日時

平成19年4月26日(木)10:00〜12:25

2.場所

虎ノ門パストラル 1F 葵

3.出席者

(合同部会長)

熊谷洋一

(委員)

石井信夫、石坂匡身、石原收、磯崎博司、磯部力、磯部雅彦、 市田則孝、大澤雅彦、加藤順子、川名英子、栗田亘、是末準、 近勝、齋藤勝、桜井泰憲、佐藤友美子、鹿野久男、 白幡洋三郎、高橋佳孝、土野守、土屋誠、中川浩明、中静透、 中道宏、中村太士、西岡秀三、野田節男、浜本奈鼓、速水亨、原重一、原田純孝、三浦愼悟、毛利衛、森戸哲、森本幸裕、 山岸哲、山極壽一、和里田義雄  (五十音順、敬称略)

(事務局)

環境省:大臣、自然環境局長、
大臣官房審議官(自然環境担当)、
自然環境局自然環境計画課長、生物多様性地球戦略企画室長、
国立公園課長、野生生物課長、自然環境整備担当参事官、
生物多様性センター長 他
農林水産省:大臣官房環境政策課 課長補佐 他
国土交通省、文部科学省、経済産業省

【司会】  それでは、定刻を少し過ぎましたけれども、ただいまより、中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会を始めたいと思います。
  開催に先立ちまして、本日の出席委員のご報告をいたします。
  所属委員51名のうち過半数の37名の委員にご出席いただいておりますので、中央環境審議会令第7条第3項により準用する同条第1項の規定に基づき、定足数を満たしており、本部会は成立しておりますことをご報告いたします。
  次に、本日の審議のためにお手元にお配りしている資料につきましては、資料一覧のとおりとなっております。もし配付漏れ等がございましたら、事務局までお申しつけください。
  それでは、早速議事に移りたいと思います。これよりの議事進行につきましては熊谷部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【熊谷部会長】 おはようございます。それでは、ただいまから平成19年度第1回自然環境・野生生物合同部会を開催いたします。
  本日は大きく二つの議題がございます。一つは現行の新生物多様性国家戦略の見直しの諮問について、もう一つは、前回2月26日の合同部会にて報告議論いただきました現行の国家戦略の第4回点検結果に関する2回目の審議でございます。本日の議事に入らせていただきます前に、中央環境審議会令第6条第5項により準用する第4条第3項においては、部会長代理を指名するということが決められております。部会長に事故あるときは部会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理するということになっておりますので、私といたしましては、山岸委員に部会長代理をお願いしたいと思いますがいかがでございましょうか。
(異議なし)

【熊谷部会長】 ありがとうございました。それでは、山岸委員、よろしくお願いをいたします。
  最初の議事に入らせていただきますが、去る4月23日に若林環境大臣より中央環境審議会に諮問され、同日付で当部会に付議されました生物多様性国家戦略の見直しについての内容と見直し案の検討を行うための小委員会の設置について事務局より説明をお願いいたします。

【渡邉自然環境計画課長】 おはようございます。自然環境計画課の渡邉でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
  資料の1−1というのをまず取り出していただいて、ご説明をいたします。一つ目の束の最初のものでございます。資料1−1が23日付で環境大臣から中環審の鈴木会長あての諮問の文章でございます。生物多様性国家戦略の見直しについてということで、「環境基本法第41条第2項第2号の規定に基づき、次のとおり諮問する。生物多様性の保全と持続可能な利用を目的として平成14年に策定された生物多様性国家戦略の見直しについて、貴審議会の意見を求める」という内容でございます。
  諮問理由というのをつけてございます。現行の国家戦略が生物多様性条約に基づきまして地球環境保全に関する関係閣僚会議で平成14年3月に決定をされています。その現行の戦略の中に、5年後程度を目途に見直す旨の記述があります。策定後5年を経過したということと、この5年の間の自然環境の状況、社会経済の状況の変化を受けて、戦略の見直しについて意見を求めますという諮問理由になってございます。
  それから、次の資料1−2であります。これが中央環境審議会の鈴木会長から自然環境・野生生物合同部会熊谷部会長あてに、戦略の見直しについて合同部会に付議をしますというものが資料1−2でございます。
  それから、続きまして資料2−1が国家戦略の見直しをご検討いただく生物多様性国家戦略小委員会の設置についてのものでございます。中央環境審議会議事運営規則第8条の規定に基づいて次のとおり決定するとしておりまして、1として、自然環境・野生生物合同部会に、議事運営規則第8条に基づく小委員会として生物多様性国家戦略小委員会を置く。2として、生物多様性国家戦略小委員会は生物多様性国家戦略の見直し案の検討を行う。3として、生物多様性国家戦略小委員会の決議は、部会長の同意を得て自然環境・野生生物合同部会の決議とすることができる、というものでございます。
この今回の見直し案の検討スケジュール(案)につきましては、後ほど改めてご説明をしたいと思います。ここで設置をする小委員会においてまず見直し案のご検討をいただいた上で、この本合同部会において見直し案についてご審議をいただくという進め方を予定しているところでございます。
  それから資料2−2ですが、これは設置をする戦略小委員会の運営方針というものです。この内容は中央環境審議会全体の運営方針というのがあります。それに沿って作成をしているものです。小委員会は原則として公開、それから、公開にする場合に委員長が入室の人数の制限、その他必要な制限を課すことができるというものです。出席者については代理出席ではなく、ご本人の出席ということです。3として、会議録に関しましては会議録を作成する際には出席した委員等の了承を得て行うということです。
  最後に、3の会議録の(2)で会議録、議事要旨の公開についての規定を載せてございます。
  以上、小委員会の設置についてのご説明でございます。よろしくお願いいたします。

【熊谷部会長】 ただいま事務局から説明がありました諮問内容、進め方について何かご質問がございましたらお願いをいたします。いかがでしょうか。特にご質問がないようでございますので、それでは見直しの検討のため、「生物多様性国家戦略小委員会の設置について」について中央環境審議会議事運営規則に基づき、合同部会として決定することにご異議ございませんでしょうか。
(異議なし)

【熊谷部会長】 ありがとうございました。
それでは、事務局案のとおり、部会として生物多様性国家戦略小委員会を設置することを決定いたします。
  次に、あわせて事務局より説明がありました生物多様性国家戦略小委員会の運営方針については、中央環境審議会の運営方針に基づき部会長として事務局原案どおり決定をさせていただきます。
  次に、ただいま設置が決まりました生物多様性国家戦略小委員会に所属する委員について、中央環境審議会議事運営規則に基づき、部会長であります私から指名をさせていただきたいと思います。
  それでは、事務局から名簿案をお配りいただけたらと思います。よろしくお願いをいたします。
(名簿案配付)

【熊谷部会長】 ただいま、お手元にお配りいたしました委員の方々を小委員会委員に指名させていただきます。後ほど事務局より説明がありますが、かなり頻繁に小委員会が開催される予定となっております。ご多忙のところ恐縮でございますが、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
  次に、小委員会の委員長については、中央環境審議会議事運営規則によれば部会長が指名することになっております。大変僣越ながら自然環境部会長の私が委員長を務めさせていただき、また、委員長代理の指名については特に規定はございませんが、中央審議会の運営方針に基づき、野生生物部会長の山岸委員にお願いをしたいと思います。山岸先生、どうぞよろしくお願いをいたします。
  ありがとうございました。
  それでは、次に、国家戦略見直しの経緯等について、事務局から説明をお願いいたします。
  ただいま、若林大臣がお見えになりましたので、ごあいさつを賜りたいと存じます。

【若林環境大臣】 おはようございます。環境大臣の若林正俊でございます。委員の皆様方にはお忙しい中、自然環境・野生生物合同部会にご出席いただきまことにありがとうございます。
  地球誕生からの長い歴史の中で形成されてきた生物の多様性は人間を含むすべての生物の生存基盤であると同時に、私たち人間に食料などさまざまな恵みをもたらしてくれております。しかしながら、地球上の生物多様性は人間活動にとって大きく損なわれつつあると言われております。
  こうした中、我が国では自然と共生する社会の実現に向けたトータルプランとして現行の生物多様性国家戦略を平成14年3月に策定し、これまでに自然再生推進法、外来生物法など、新たな法律の制定を含め、生物多様性の保全のための取り組みを着実に実施、前進させてまいりました。
また、国際的にもさまざまな動きがありました。特に現行戦略が策定された直後の生物多様性条約第6回締約国会議では、2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させるという、いわゆる2010年目標が採択されました。しかし、現時点でその達成は困難な状況にあり、各国における一層の取り組みが必要とされております。本年に入ってからも、先月のドイツでのG8環境大臣会合では、生物多様性が気候変動と並ぶ重要議題として取り上げられるなど、生物多様性保全の重要性に対する認識は国際的にもますます高まってきております。
  現行戦略は策定から丸5年を経過しましたが、そのこと以上にこうした国内外の状況の変化に的確に対応して、生物多様性保全施策をさらに強化する必要があると考え、このたび中央環境審議会に生物多様性国家戦略の見直しについてお諮りすることといたしました。私どもとしましては、本年の秋ごろを目途に答申をいただいた上で第3次国家戦略を決定したいと考えております。
  我が国は2010年の第10回締約国会議を愛知県名古屋市で開催すべく立候補しています。開催国が決まるのは来年5月のドイツのCOP9ですが、我が国がCOP10のホスト国となることを念頭に、それにふさわしい施策を盛り込んだ国家戦略とすることが必要であります。
また、総理からの指示を受け、本年6月の策定に向けて当審議会の特別部会にお諮りしている21世紀環境立国戦略でも生物多様性は一つの柱になると思います。この環境立国戦略がここ1、2年で取り組むべき環境政策の指針であるとすれば、生物多様性国家戦略は今後5年、10年の間に実施すべき具体的施策を示すものです。
  今後の検討に当たっては、こうした状況も踏まえて幅広いご意見をいただけることを期待しております。これから秋までの間、密度の濃いご審議をいただけるようお願い申し上げ、私のあいさつとさせていただきます。よろしくお願いします。

【熊谷部会長】 どうもありがとうございました。なお、若林環境大臣は所用がございますので、このまま退席をされるということでございます。どうも大臣ありがとうございました。
  それでは、次に国家戦略の見直しの経緯等について、事務局から説明をお願いいたします。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 この4月に新たに発足をいたしました生物多様性地球戦略企画室の亀澤でございます。よろしくお願いいたします。私から資料3のかたまりでご説明をさせていただきます。座って失礼をいたします。
  まず、資料3−1、これは国家戦略の見直しに関する経緯についてです。国家戦略は生物多様性条約に基づいて作成をしておりますが、第1回目の戦略は平成7年10月に策定をいたしました。その後、平成13年1月には環境省が発足したり、それから、右側の方ですけれども、河川法の目的に環境保全が追加をされたり、ほかの公共事業関係の法律でもいろいろな動きがありました。そういう動きも踏まえまして、平成14年3月には第2次となる現行の新・生物多様性国家戦略を決定しております。1回目の戦略は条約の発効後2年以内という早期に決定はいたしましたけれども、一方で各省の施策を並べただけとか、あるいは策定の過程でNGOの意見を聞いていないというような批判もありました。そういう批判も踏まえまして、現行の戦略の見直しの際には抜本的に見直しをいたしまして、生物多様性に関する3つの危機ですとか、7つの主要テーマというような形で全体を体系的に整理いたしました。
  現行の戦略ができて以降、矢印の左側でございますけれども、自然再生推進法を新たに制定したり、外来生物法を新たに制定したり、あるいは国土総合開発法が国土形成計画法に改正されたりというような、いろんな施策面での動きがありました。
  それから、矢印の右側ですけれども、毎年点検を行ってきております。その間、平成17年には人口が減少に向かうというようなことがありました。それから、網かけをした部分は国際的な動きですけれども、現行の戦略を策定した直後の平成14年の条約の第6回締約国会議では2010年目標というのが採択をされておりますし、平成17年にはMA、ミレニアム生態系評価というのが国連主唱で行われたり、それを基礎として、その下のGBO2と書いた地球規模生物多様性概況というものが条約事務局から発表されたりしております。
  それから、今年1月にはCOP10の日本開催について立候補するという閣議了解をいたしましたし、3月のドイツでのG8環境大臣会合では生物多様性が温暖化と並ぶ2大テーマになったというようないろんな動きがございました。5年経ったということ以上に、こうした国内外の情勢の変化を踏まえて、このたび現行戦略を見直すことにしたわけでございます。
  続きまして、資料3−2、見直しの作業を始めるに当たって、この審議会に先立ちまして、昨年の8月から環境省としての基礎的な勉強を行うために懇談会を実施してまいりました。当合同部会の石坂委員、中道委員、鷲谷委員をはじめ、6名の先生方に入っていただきまして、今年の3月まで7回にわたって幅広いテーマを設けて議論をしていただきました。途中NGOのヒアリングも挟みまして、今年3月の第7回の懇談会では懇談会としての見直しに向けた論点を整理していただきました。お手元にお配りしている参考資料の中で一番分厚い資料集というのがございますけれども、この資料集はこの懇談会で使用した資料を中心に整理をしたもので、今後の審議の中で必要に応じて使用していきたいというふうに考えております。
  続きまして、資料3−3、これは現行の戦略の中に7つの主要テーマというのがありますけれども、その7つの主要テーマ別にどのようなことをやってきたかというのを簡単にまとめたものでございます。かいつまんで申し上げますと、一つ目の重要地域の保全と生態的ネットワークの形成に関しましては、保護地域の新規設定や拡充、それから、今年策定が予定されております国土形成計画の中でも、エコロジカル・ネットワークの形成が必要というようなことが盛り込まれる方向であるというようなことを書いております。
  それから、2番目の里地里山の保全と持続可能な利用につきましては、環境省や農水省による事業の実施、それから、国土交通省による都市近郊の緑地保全、さらには文化財保護法の改正による文化的景観の保護などの取り組みが進んでいるところでございます。
  次の2ページにまいりまして、湿原・干潟等湿地の保全につきましてはラムサール登録湿地を3倍に増やしたことが入っております。
  それから、4番目、自然再生の関係では自然再生推進法の制定とそれに基づく各地での協議会の設立がありました。
  それから、5番の野生生物の保護管理の関係では種の保存法に基づく種の新たな指定ですとか、コウノトリあるいはトキでの野生復帰に向けた取り組み、それから、鳥獣保護法の改正等による鳥獣保護管理の取り組みや外来生物法の新たな制定と防除事業の推進などを行っているところでございます。
  それから、次のページの6番、自然環境データの関係では長期継続的な定点観測としての「モニタリングサイト1000」というのを現行の戦略に盛り込んで、新たに取り組みを始めております。それから、自然環境保全基礎調査の着実な推進にも努めております。
  7番目は、次のページにかけてですけれども、レッドリストの見直しを進めておりますし、遺伝子組み換え生物に関するカルタヘナ議定書の締結とそれを受けた国内法の制定、それから、国際協力ではさまざまな分野での協力を進めてきたことを書いております。
  続きまして、資料3−4は、今申し上げましたように、現行戦略の策定後さまざまな取り組みを進めてきたわけですけれども、現行戦略策定後、我が国の生物多様性の動向がどうなっているかというのを現行戦略の3つの危機ごとに概略を見てみたものでございます。
  まず第1の危機、これは開発等人間活動に伴う負の影響というふうに整理をしておりますけれども、これに関しましては下のグラフにありますように、林地から都市的利用への土地利用転換面積、これはグラフの一番上の合計で見ますと平成13年までの5年間、これは左側の四角で囲った部分ですけれども、それが年平均5,000ヘクタール程度だったのが、右側の四角、現行戦略策定の平成14年以降は年平均2,000ヘクタール程度へと量的には減少いたしました。ただ、減少率で見ますと、このページの一番下にありますように、13年までの5年間の平均はマイナス16%だったものが14年以降はマイナス4%ということで、減少率が鈍化をしているというような状況にございます。
  続きまして、2ページですけれども、こちらは農地からの都市的利用への土地利用転換面積で見たものですけれども、真ん中の囲みにありますように、策定前の5年間の平均がマイナス8%という減少率だったものが、策定後はプラス1%ということで、横ばいというか、わずかに増えているという状況にございます。
  それから、その下は沿岸域の埋め立て地の増加面積ですけれども、これは近年ずっと横ばいで推移をしているという状況です。
  それから、3ページは第2の危機、これは里地里山等における人為の働きかけの縮小後退による影響でございますけれども、里地里山の維持管理を担う中山間地域について、その中での農家人口の割合を折れ線グラフで見ますと、平成12年の32%から平成17年には19%にまで低下をしている状況です。
  それから、4ページへまいりまして、基幹的農業従事者、普段農業に従事している方ですけれども、その中でも65歳以上の方の割合、これを折れ線で示しておりますが、平成12年の51%から平成17年には59%と一層の高齢化が進行している状況が見てとれます。
  それから、その下は耕作放棄地ですけれども、平成17年には39万ヘクタールと、平成12年から4万ヘクタール増加zしている状況にあります。
  続きまして、5ページは第3の危機、これは外来生物等の持ち込みによる生態系の攪乱と整理をしておりますけれども、一つはアライグマの例ですが、全国のアライグマの捕獲数、生息数ではありませんけれども、捕獲数がこの14年から16年の3カ年の平均で31%と高い伸びを示しております。それから、その下の図は北海道における分布拡大の例ですけれども、色の濃いところから薄いところへと分布が広がっているという状況で、目撃情報が黒いところの10数カ所から17年には119市町村にまでふえているという状況でございます。
  それから、6ページは奄美大島のマングースの例ですけれども、現行戦略策定時の平成14年以降も年2,500頭程度の駆除をしております。その結果、数はかなり減ったというふうに言われておりますけれども、分布範囲は拡大する傾向にあって、右の図にありますように、真ん中あたりに79年の定着地点というのがありますが、そこから同心円状に広がっているというふうに言われているところでございます。
  以上、見てまいりましたように、各種の取り組みを進めてきてはおりますけれども、全体として3つの危機というのは食いとめられていない状況ではないかというふうに考えているところです。
  続きまして、資料3−5、こちらは国際的な動きでございますけれども、まず1番は条約の目的を掲げておりまして、一つは生物多様性の保全、それから、持続可能な利用、三つ目として遺伝資源の利用から生ずる利益の公正で衡平な配分という三つの目的となっております。国家戦略はこの第6条に基づいて各国が策定しております。
  2番は、条約に基づく2010年目標ですけれども、現行戦略の策定直後の平成14年オランダで開催された第6回の締約国会議で採択されておりまして、現在の生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させるという目標でございます。
  (2)はその2010年目標の進捗状況を評価するために条約事務局がまとめたものですが、15の指標を用いて評価が行われ、そのうち生態系の規模の推移ですとか、種の個体数の推移など、12の指標で悪化傾向にあるとされ、生物多様性の損失が進行し、2010年目標の達成は困難というふうに報告をされたところです。
  それから、(3)ミレニアム生態系評価ですけれども、2001年から2005年にかけて国連の主唱により実施をされました。世界95カ国約1,400人の専門家が参加して、生態系に関する大規模な総合的評価として世界初めての取り組みが行われました。これは(2)のGBO2の基礎となったもので、地球規模で生物多様性の損失が進んでいるということが示されました。
  3番は、条約のCOP10の日本招致の関係ですけれども、本年1月16日の閣議で我が国の愛知県名古屋市において開催すべく立候補することについて閣議了解をいたしました。今のところ立候補したという段階ですが、開催国が決まるのは来年5月のドイツで開催されるCOP9の場でございます。
  別紙1はGBO2の関係、別紙2はミレニアム生態系評価の関係ですので、また後ほど見ていただければと思います。
  それから、資料3−6は、最近温暖化と多様性の関係がニュースになることも多いんですが、4月6日に公表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第2作業部会の第4次の報告書でございます。最近の話題として資料に入れております。生態系への影響については次の2ページの中に要約がございますが、2ページの上から二つ目のポツに幾つか例がございまして、生態系への影響の具体例として、真ん中あたりに春季現象、春の発芽ですとか、鳥の渡り、産卵行動などが早まっていること、あるいは動植物の生息域が高い緯度の地域に移っていることや、高地の方へ移動していること、あるいは北極、南極の生態系あるいは食物連鎖上位捕食者における変化が見られるというような報告がありました。
  それから、四つ目のポツでは温暖化により絶滅リスクが高まることなどによって、多くの生態系の復元力が今世紀中に気候変化に追いつかなくなる可能性が高いというような報告もされております。
  それから、その下のポツでは海面温度の上昇によりサンゴの白化や広範囲な死滅が頻発するという予測も入っているところでございます。
  それから、続きまして、資料3−7へ移りますが、これは3月まで行っておりました懇談会の第7回でまとめていただいた論点整理です。第7回の懇談会に事務局から提出をした論点と第7回の懇談会の場でいただいた先生方からのご意見を一つにまとめたもので、全体の構成を見ていただきますと1番が全体に係る論点で、その中には生物多様性の理念とか基本的考え方、それから長期的に見た国土の自然環境のあり方、三つ目として生物多様性の評価・指標、四つ目として次の戦略の構成についてということを入れております。
  それから、大きな2番は個別テーマに関する論点ですけれども、一つ目が地球規模の生物多様性保全への対応、二つ目が学習・教育と普及広報、地方・民間の参画、それから、三つ目が沿岸・海洋域の保全、四つ目として保護地域と生態系ネットワーク及び自然再生、五番目が里地里山の保全、六番目として野生生物の保護管理、七番目が自然環境データの整備となっておりまして、このうちの(1)から(3)が現行の7つの主要テーマにはない新しいテーマかなというふうに思います。
  中身についてごく簡単にご説明をいたしますと、1ページですけれども、理念・基本的考え方に関しましては、生物多様性の問題は人類の生存にかかわることを改めて認識すべきことですとか、消費者としての視点が重要であること、あるいは生物多様性の価値や今後の処方箋を考える上では過去についても検証することが必要というようなご指摘がありました。
  それから、(2)の長期的に見た国土の自然環境のあり方ですけれども、2ページの方へまいりまして、これから人口減少に向かう中で人と自然の関係の再構築が必要であることとか、里地里山は日本人の暮らしの中で形成をされてきたものであるが、今後は政策的にどうするかが問われるというようなご指摘がございました。
  それから、(3)は生物多様性の評価とか指標ですけれども、3ページの上の方へ行きまして、3つの危機への対応として各種の施策を進めているけれども、その効果がうまくあらわせていないのではないかというようなご指摘ですとか、指標は大事だが生物多様性の評価は科学的にも難しいのでじっくりと取り組んだ方がよいというようなご指摘もありました。それから、評価の入り口として、指標を設けて数字を定期的に追うことはそれだけでも意味があるというようなご意見もありました。
  (4)は次期戦略の構成についてですけれども、これについては大きな構成は現行戦略と同じでよいが、理念とか目標の中に生物多様性の市民向けのわかりやすい普及広報という視点で書きかえていくべき部分があるのではないかというようなご指摘もいただきました。
  それから、個別テーマのうち地球規模の関係ですけれども、4ページへまいりまして、地球温暖化と生物多様性との重ね合わせが避けて通れないことですとか、温暖化によって生態系がどう変化するか、何種くらい絶滅するかなど、具体的なイメージも必要ではないかというお話もありました。それから、温暖化は3つの危機を超えたものというよりも、第1の危機の究極ではないかというようなお話もあったところです。
  それから、その下は世界との関係ですけれども、農作物や木材の多くを輸入に依存している我が国としては、国民の生活が地球規模の生物多様性に支えられていることに対する関心をもっともっと高めることが必要というようなご指摘がありました。
  それから、5ページ、教育と普及広報の関係ですと、特に生物についてのしっかりとした学校教育が必要であり、文科省との連携が重要であることですとか、一方で生涯教育というような意味から博物館が果たす役割が重要ではないかというようなご指摘もありました。
  それから、国家戦略自体は政府の計画であるが、一般市民のサポートがあって初めて意味があるので、生物多様性を市民や企業とつなげることがポイントではないかというようなご指摘もありました。
  それから、その下、地方・民間の参画では、6ページへまいりますけれども、特に企業の参画が重要であり、そのためにも戦略をわかりやすく伝えることが必要であるというようなご指摘もありました。それから、行政とNGO、市民がどういうふうに協働していくかが重要というご意見もありました。
  それから、(3)は沿岸海洋域の関係ですが、水産物という自然の恵みをずっと利用するためにも生物多様性保全を掲げた海域保護区の考え方が重要という点ですとか、それとも関係しますけれども、漁業資源を崩壊させないためにも漁業と生物多様性についてもっと掘り下げて考えるべきというお話がありましたし、沿岸域が特に重要で、里地里山だけでなくて、里海という考え方も追加してはどうかというお話もありました。
  次の(4)の保護地域と生態系ネットワーク及び自然再生に関しましては、国土の中での人と自然の共生のあり方、これを長期的に考えた上で国立公園などの配置を考えるべきというお話がありましたし、生態系ネットワークの関係ではアジア太平洋地域を視野に入れることが必要というお話ですとか、本来日本は森とウェットランドの国のはずなのに、今や人工林は手入れができず、水田は休耕田となっている、暮らし方の見直しも含めた広い意味での再生が必要ではないかというご指摘もありました。
  次、8ページは里地里山の保全の関係ですけれども、バイオマスエネルギーや環境直接支払いという点でのご議論がありましたし、人と野生生物の関係が問題になっていることとか、9ページの方ですけれども、そもそも里地里山全部を維持していくのかどうか、そういう議論がまず必要ではないかというようなお話もありました。
  それから、その下、(6)の野生生物の保護管理では絶滅のおそれのある種の保存の取り組みですとか、被害問題を含めた鳥獣保護管理、あるいは外来生物対策など、それぞれの取り組みをさらに進めていくべきことについてご指摘をいただいております。
  それから、最後10ページはデータの関係ですけれども、すべての基礎としてデータというのは重要なので、さらに充実すべきことですとか、アマチュアの研究者や市民や学校の力を借りた市民参加型のモニタリングも重要というようなご指摘もいただいたところでございます。
  それから、資料3−8は今ご説明を申し上げました論点を公表いたしまして、全国から意見の募集を行いました。それも踏まえて地方説明会をこれまで実施してまいりました。5年前の見直しのときには地方説明会までは手が回らなかったんですが、今回は戦略の案文という形になる前の、より早い段階で広く意見を聞くという趣旨で地方での説明会を、全国8カ所、環境省の地方環境事務所がある7カ所に加えて沖縄で開催をいたしました。意見としては全部で157件をいただいております。地方説明会には全国で400名以上の参加をいただきました。傍聴の方々からも含めて幅広く意見をいただいたところです。いただいた意見については意見集としてまとめるとともに、分野ごとに整理などしていきたいと思います。地方説明会の概要もあわせて、また、小委員会の方で改めて少し時間をいただいて報告をさせていただきたいと思います。
  最後、資料3−9ですけれども、見直しについての今後のスケジュールの案でございます。一番上は本日の部会ですが、5月以降、小委員会で6回ほどご審議いただくことを考えております。小委員会の1回目は2日間を考えておりまして、各省からのヒアリングを中心に行い、6月の第3回では地方公共団体や民間団体からのヒアリングも行った上で、6月の下旬以降、第4回、第5回、第6回と戦略の骨子案、素案、案と煮詰めていただいた上で、9月の半ばから10月半ばぐらいにかけてパブリックコメントを実施し、合同部会でまた2回ほど審議をしていただき、事務局としては10月末ぐらいをめどに答申をいただきたいと考えているところです。それを受けまして、地球環境保全に関する関係閣僚会議で第3次の新しい生物多様性国家戦略を決定していければというふうに考えております。この進め方は5年前の見直しのときと比べると、小委員会の1回目では当時は3日連続でやりましたが、それを2日にしていること以外は全体的に期間とか回数ともほぼ同じ形を考えているところでございます。
  最後、その裏は参考までですけれども、2010年のCOP10までの条約関係あるいはG8関係の国際会議の大まかなスケジュールを載せております。
  以上、駆け足で恐縮でございますが、私からの説明は以上でございます。

【熊谷部会長】 ありがとうございました。
今後、小委員会での議論を進めていくことになりますが、ただいま事務局から説明のありました国家戦略見直しの経緯等について、この際ご意見、ご質問等がございましたら、お願いをいたします。
  なお、2番目の議題の中でも次期戦略の施策の方向について、ご発言をいただく機会を設けてございます。いかがでしょうか、何かご質問、ご意見がありましたらお受けしたいと思いますが。

【毛利委員】 資料の3−8なのですが、意見募集及び地方説明会を実施されていらっしゃるわけですけれども、この地方説明会の意味と、それからこれに何を期待しているのかというのをちょっとお教え願いたいのですが。と申しますのは、全国で展開しているわりには参加者が余りにも少なすぎるのではないかなというふうは気がいたします。きっと少ないなりに効果を考えていらっしゃるのだと思いますが、これは本来の目的というのはなんでしょうか。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 5年前の現行戦略の見直しのときには、小委員会を6回ほどやったあとの案ができた段階で、文章ができたものに対してパブリックコメントというものを募集いたしました。今回はそういう文章になる前、要素としてどういうことを入れていくべきかというのをより早い段階で全国の方々から意見を聞くべく、懇談会でまとめていただいた論点をもとに意見募集をするという形をとりました。
  環境省として初めての試みでしたので、広報の時間が足りなかったりということで、会場の参加者が少なかったということはあります。ですが、参加をいただいた方々からは、かなり幅広く具体的な案やご意見をいただきましたし、会場の方々からも具体的な地域での悩みとか、あるいは次の戦略でやるべきことを具体的にいただいております。数は少ないかもしれませんけれども、より早い段階でいただいた意見も含めて、これから案を練っていく段階で、参考にさせていただこうという趣旨で開催をしたところでございます。

【毛利委員】 こういう全国展開の人数的には、広報は大変かと思うのですけれども、1桁ちょっと足りないような気がしました。そういう広報という観点での努力がもう少し必要ではないかなというふうに感じました。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 今回、実施をしていろいろ反省点もありましたので、今後それを十分に生かして、戦略そのものの広報も含めて、広報に力を入れていきたいと思います。

【熊谷部会長】 貴重なご意見をありがとうございました。
ほかに何がございますでしょうか。

【山極委員】 その生物多様性の理念の学校教育への取り組みというのは、非常に難しいということなのですけれども、例えば現在、教育指導要領の改訂が審議されていますし、どのように具体的な学校教育として、それから地域教育もありますから、環境省としてそちらの方に協力をお願いしているのか、具体的な進展状況をもう少しご説明いただければと思うのですけれども。ちょっとわかりにくい点もありましたので。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 教育との関係ではいろいろご指摘がありましたが、現実問題として、指導要領の中に生物多様性を入れるというところまではなかなか難しいのかもしれませんけれども、文科省の方でも放課後を活用して、地域の方々の力を得て、子どもたちにいろいろなことを教えていこうというような動きもありますので、その中で環境ですとか生物ですとか、そういうことも含めて地域の方々の力を借りて、子どもたちに伝えていくということにつきまして、文科省との連携も進めていきたいというふうに考えております。

【山極委員】 多分省の枠を超えると難しいとは思うのですが、ぜひともこれは国家戦略ですので、枠を超えて協力体制を強化していただきたいと思っています。

【渡邉自然環境計画課長】 ありがとうございます。この国家戦略の検討を審議会で審議していく過程と並行しまして、関係省庁の国家戦略策定のための連絡会議というものを設置しています。その中で、各省と共同で新しい国家戦略の検討作業もこの審議会と並行して進めていきたいと思っております。特に、今回の見直しに当たっては学校教育、生涯教育、そういう教育の中でこの生物多様性の問題をどう浸透させて、組み込んでもらうかというのは非常に大事な課題だと思っていまして、文部科学省とも協議、連携を密にして、中身の検討に反映させていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【熊谷部会長】 山岸委員、お願いいたします。

【山岸委員】 今の毛利委員、山極委員のご質問とも関係するのですが、たしか前回の見直しのときに生物多様性国家戦略というものが国民にほとんど浸透していないのではないかという意見があったと思います。先ほどの全国大会ですか、全国で意見を聞くのをやっても桁が違うというご指摘ぐらいの人しか今は集まらないというのは、一つにはやはり、子どもはさておき、大人の方も浸透していない。たしか、前回グラフで、生物多様性国家戦略という言葉を聞いたことがありますかとか、そういう分析をされましたよね。それが一体この5年間経って、どう変わったのかという、耕地面積がどうなったのかというのも結構なのですが、その辺を分析されると、今、言っておられる広報活動がうまくいったかどうかというものの反省点になると思うのですが、その点はいかがでしょうか。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 まさにご指摘のとおりで、そもそも生物多様性というものが何かというのが、まだまだ知られていない。その中でさらに国家戦略というものはもっともっと知られていないというのが現実でありまして、子どもだけではなくて、大人向けの広報というのが大変重要だというふうに感じております。
  生物多様性という、難しい、固い言葉にこだわらず、その中身をより噛み砕いて、世の中に伝えられるような努力を次の戦略の中でも一つのテーマとして考えたいというふうに思っております。

【熊谷部会長】 ありがとうございました。
いかがでしょうか、ほかに。では、土屋委員、お願いいたします。

【土屋委員】 後半の懇談会の意見交換の中で、生物多様性がなぜ大切かということをもっと強調すべきだということをご指摘いただいた点については、大変共感を覚えております。かねてから、私どもも強調していたところです。
  なぜ、大切かというところなどは、最近、国連が発表した、最初にご説明したミレニアム生態評価でも生態系が人間に対してどういう恵みを与えているかとか、あるいは生態系サービスという言葉で最近よく取り上げられているところですけれども、こういう新しいことを次の戦略にどのように盛り込ませていくかについて、どんな議論がありますでしょうか。もし、具体的になければぜひ、そのあたりについても加えていただきたいと考えております。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】国際的にも今、お話がありましたように、国連のミレニアム生態系評価で生態系サービスというような形でわかりやすく伝えるような試みも行われております。
  それから、今年3月にドイツで行われたG8環境大臣会合の中でも生物多様性というのが国際的にもまだまだ広まっていないというようなお話があって、それを伝えるためにも、生物多様性を経済的に評価する試みが必要ではないかと。温暖化の関係ではスタンレビューという、経済的評価に関するレポートがありましたけれども、それの生物多様性版みたいなものをつくったらどうかというような提案がドイツからあったりしまして、そういうような国際的な動きもありますので、そういう動きにも呼応して、我が国としても経済的な側面も含め、生物多様性が我々の暮らしとすごく密接につながっているということについて、次の戦略の中でもできるだけ書き込んでいきたいというふうに思いますし、そのための具体的な取り組みも進めていきたいというふうに考えております。

【熊谷部会長】 それでは、大澤委員お願いいたします。

【大澤委員】 今のご意見と関係するのですけれども、タウンミーティングとか地方説明会とか、あるいは各省庁間で連絡会を催しているというお話なのですけれども、地方説明会というのは非常に一般的な形で地域ということだけを切り口にやっているような印象を受けるのですけれども、もうちょっとターゲットを絞って、たとえば経済界と直接議論をするとか、あるいは省庁間での議論というのが、どういう連絡会のような形で開催されているのかわかりませんけれども、もう少しやはり国土交通省とか農水省とか、そういうところの、直接環境とかかわるところ、あるいは省庁の中の本体と言いますか、一番主体的な部分がもうちょっと生物多様性とかそういうことを具体的に取り込めるような形での協議というのですか、何かそういうターゲットを絞った取り組みが必要なのではないかと思うのです。
  一般的に社会で生物多様性という言葉は突然聞かれるようになって、それについて皆さん理解してほしいと言ってもやっぱり無理なところがあるので、先ほど来の初等教育のこともありますし、高等学校とか大学の中での、大学というと私自身のあれになってしまうのですけれども、具体的な取り組みとか、そういうものを考えていく必要があるのではないかなというように思います。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 例えば、経済界との関係で言いますと、最近ビジネスと生物多様性というシンポジウムが開催されて、そういう場でお話をさせていただいたり、あるいはそういうのとは別に、経団連の関係の方々とお話をさせていただくということも少しずつ始めております。それから、各省との関係でいうと、関係省庁連絡会議という、連携を進めていくような場もありますし、それはそれで随時開催をしておりますけれども、それとは別に、今後、国家戦略の見直しをしていく中では、個別にテーマを絞り込んで、各省と直接話をするという場をこれからさらにできるだけ設けていきたいというふうに思います。

【熊谷部会長】 いかがでしょうか。よろしければ次にもご発言の機会がございますので、2番目の議事に入らせていただきたいと思います。
  それでは、2月26日に行われました合同部会の議事の要旨の報告及び主な質問への回答について事務局から説明をお願いいたします。説明は資料番号の順にお願いをいたしたいと思います。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 まず、議事(2)という束がありますが、それの中で資料の4−3、こちらに前回の合同部会の議事要旨というのがございますので、それに基づいて説明をさせていただきます。
  2月26日の点検の1回目の部会の概要でございますけれども、4番の議事概要にありますように、まず事務局の方から第4回の点検結果として、17年度を中心に、一部18年に実施したことについて報告をいたしました。今回これの前についております資料4−2はその概要でございます。それから、別途4−1として報告書本体をお配りしているところでございますが、前回はそれとは別にパワーポイントで説明をいたしました。そのほかにこの点検期間中の主な施策として環境省から鳥獣保護法の改正等について、それから、農水省から第2の危機に対応した農水省の施策について説明をいたしました。それから、企業による取り組みとして全日空さん、鹿島さんからご説明をいただきました。こうした説明に対しまして、先生方からいただいた主なご意見としては、まず点検全般についてですけれども、戦略の実施状況の点検というのは大切である、その内容も少しずつ進歩をしている、今後はさらに施策の成果を、例えば指標をもって説明できるようにしていくことが重要というようなご指摘をいただきました。
  それから、2ページですけれども、地球温暖化による生物多様性への影響については、国家戦略の見直しの中では温暖化と生物多様性の問題をあわせて考えるべきというお話がありましたし、その際、温暖化すれば当然生物多様性は変化するのであって、そのときに生物多様性の側から温暖化をどう受けとめるか、そういうことを見直しの際に十分考えるべきというようなご意見もありました。
  それから、その次は多様性の損失の評価についてですけれども、3つの危機への対応をいろいろしてきた結果として、生物多様性の損失がどれだけ緩和されたのか、そういうことを評価していくことが重要であり、種レベルだけでなくて、生態系レベルも含めてその変化を施策の効果として評価することが必要というようなお話がありました。
これにつきましては先ほど資料3−4、諮問の関係でご説明をした戦略策定後の3つの危機の状況、土地利用の変化などで見たものですけれども、これに対するストレートな答えじゃないのかもしれませんけれども、一つの説明になるのではないかというふうに考えているところでございます。
  それから、企業の取り組みについては、全日空さんからはサンゴ礁保全や空港周辺での森づくりの取り組みについてのご説明がありましたけれども、そういう生物多様性保全の活動が今後中小企業も含めて広がっていくことを期待したいというお話がありました。
  それから、森林の関係とか緑の回廊に関しましては、森林管理についてはNPOやボランティアだけで管理できるわけではないので、まず専門の部門がきちんと管理をした上でNPO等と協力していくということが必要だというお話ですとか、国有林野における緑の回廊の設定は重要な保護地域を接続するという点で意味のある形になっているか否かを具体的に評価することが必要であるというお話がありました。これにつきましては、後ほど農水省から説明がございます。
  それから、里地里山の関係では、里地里山はこれから先もある程度の荒廃化は避けられないが、そういうことを生物多様性の観点からどうとらえ、どう対応していくのかという検討が必要というようなご指摘ですとか、環境省の里地里山保全再生モデル事業について概要とか成果についてのお尋ねがございました。これは後ほど、私の方から説明をいたします。
  それから、耕作放棄地については、土地所有権との関係がどうなっているかとか、耕作放棄の期間が長くなることで地目上農地でなくなっていく土地がどれくらいあるのかというようなお尋ねもありました。これについては、後ほど農水省からの説明があります。
  それから、耕作放棄地を自然に戻しているような事例も把握しておくことが望ましいというお話もありました。
  それから、前回、農水省から説明をいたしました農業環境規範について、環境対策として何を基準にどこまで向上させるかということがイメージできない、今後の道筋、どういうふうに発展させていくのかという道筋があれば教えてほしいというお話がありました。これも後ほど農水省から説明があると思います。
  それから、自然環境のモニタリングについてですけれども、原生自然の基本的なモニタリングをきちんとやることが重要というお話がありました。その点で、環境省で進めているモニタリングサイト1000について、その設定状況などと、それから国土の自然環境のモニタリングとしての有効性についてのお尋ねがございました。これは後ほど生物多様性センターの方からご説明をいたします。
  それから、公共事業の事業評価についてもお話がありました。公共事業の事業評価を各省が行っている中で、その評価項目について生物多様性の観点が入っている例もあるので、そういうものも把握することが望ましいというようなご指摘もいただいたところでございます。
  続きまして、資料4−4で、今ご指摘があった中で、環境省の方で行っている里地里山保全再生モデル事業の概要について、私から引き続いて説明をさせていただきます。
  めくっていただいて、1ページ、環境省の方では里地里山の保全活用の実践的手法や体制の検討を目的に各省の協力も得て、国、自治体、地域の方々や都市からのボランティア、NPOなどが連携した取り組みを支援するモデル事業というのを16年度から20年度までの予定で実施をしているところです。
  事業概要としては、里地里山、特に里山の2次林のタイプに着目して代表的な4地域をモデル地域として選定をしておりまして、予算の方は16年度は8,000万円ほどでしたけれども、その後は若干減っておりまして、19年度は5,000万円弱でございます。16年度から18年度までに実施してきたことが黄色の枠内に書いてありますけれども、まず、行政、NPO、地元の方々、それから専門家などが参加する懇談会や意見交換会を通じてそれぞれの地域の里地里山をめぐる現状と課題を整理し、今後何をやっていくのかという地域戦略を策定いたしました。次いで、その地域戦略に基づく保全活動を実践的に行ってきました。一番下の青い色のところは19年度、20年度でやることですけれども、これまでのモデル地域での取り組みを全国に発信することにより里地里山における保全再生活動の全体的な活性化を図ることとしております。
  次の2ページですけれども、これはどこでモデル事業を行ったかということですが、左側の日本地図は自然環境保全基礎調査のメッシュデータをもとに全国の2次林を樹種に応じて色分けをしたものです。このうち、緑色のコナラ林については東日本タイプと西日本タイプの二つに分けてありますけれども、それも含めて全国6ブロックのうち真ん中あたりに太い赤線が入っていますが、その赤い太線よりも北側の北海道から東北の日本海側にかけての薄緑色と紫色、このあたりの2次林は放置をするとやがて自然林に移行していくであろうというふうに考えられるので、赤線より南側の四つのブロック、こちらの方はそれぞれ植生変化の進行に伴って希少種の生息環境が劣化をしたり、あるいはササとかタケの繁茂、そういう問題があり、それへの対応として人手をかけた管理が必要だろうということで、赤線の南側の四つのブロックから1地域ずつを右の表のようにモデル地域として選びました。
  3ページの方にこれまでの取り組みと成果、それから、これからの課題を書いておりますけれども、左側の上の黄色の枠は地域の懇談会で地域戦略を策定したというものです。環境省のモデル事業では、主としてこの部分を担いました。それを踏まえた実践活動として、矢印の下の方に出てきます竹林の管理ですとか、耕作放棄地のビオトープ化、森林環境教育の拠点整備などは地域の自主的な活動であったり、農水省や林野庁の事業、あるいは交付金を活用しているという形になっておりまして、環境省のモデル事業が終了後も持続的な活動が続くことを目指しております。
  右側の上の方はモデル事業の成果ですけれども、関係者が実践活動を通じて体験を共有することで里地里山の保全管理の重要性を確認できたことですとか、地域が活動の主体になるにしても都市のボランティアなども含めた多様な主体の参画の必要性が認識をされたこと、鉄道会社との連携によるPRなど、多くの関係者が集まることでいろんな手法のアイデアが出てきたことなどが挙げられるかと思います。
  その下の課題ですけれども、モデル事業の成果を効果的に発信していくというモデル事業自体の課題もありますが、モデル事業終了後の全体的な課題としては、まず国土の中で将来的に人手をかけてでも維持すべき里地里山の考え方をまず整理すべきことですとか、民間企業やボランティアの掘り起こしなど、担い手を確保していくべきこと。それから、農林業の振興はもちろんありますけれども、エコツーリズムですとかバイオマスなど、新たな資源の活用策による経済性の確保も必要なこと。それから、二次林の植生変化ですとか、タケの侵入状況などのデータを迅速に把握することなどが考えられるところでございます。
  次の4ページと5ページは、参考までにモデル地域の一つである神奈川県秦野市の例を掲げております。東京、横浜という大都市に近いタイプですけれども、4ページの方は秦野市の中でも里山が多いエリアとか、里地が多いエリアなど、幾つかのエリアごと、それぞれの特性に応じてさまざまな取り組みが行われているという例でございます。
  それから、5ページの方はそれぞれの取り組みの活動のスケジュールですけれども、20年度でモデル事業が終わった後も持続的に活動を続けていくということになっておりまして、今回モデル事業に取り組んでいただいたことで、地域による自主的な活動の機運が高まってきているのではないかというふうに思います。
  私の方からは、以上でございます。

【鳥居生物多様性センター長】 続きまして、モニタリングサイト1000についてご説明をさせていただきたいと思います。私、生物多様性センターの鳥居でございます。よろしくお願いいたします。では、座って説明をさせていただきます。
  お手元の資料4−5をご覧ください。このモニタリングサイト1000の事業の実施背景といたしましては、既にご案内のとおり、現行の国家戦略の中のこの3つの目標、それから、7つの主要方針、この主要方針の中の一つに自然環境データの整備というものがございます。この中で新たにモニタリングサイト1000という考え方を打ち出して事業に取り組んでいるところでございます。
  1ページの2.モニタリングサイト1000の枠組みでございますけれども、まず、上位の目標といたしましては、我が国の代表的生態系の状態を把握し、継続的にモニタリングするということが主要なテーマでございます。そして、自然環境の異変をいち早くとらえ、適切な生物多様性保全施策に貢献していくということでございます。
  下位目標といたしまして四つ、生態系把握のための調査手法の確立、持続的な調査体制の構築と技術の向上、生物多様性保全施策への活用、そして情報発信と事業への国民の理解を得ていく、向上させていくという四つの目標がございます。その右側にそれぞれの目標ごとにどういう成果を上げていくべきかということを掲げてございます。
  こういうような目標、そして成果を上げていくという課題のもとに、次のページをごらんください、生態系把握のための調査手法の確立ということで、まず(1)といたしまして、対象生態系タイプと調査項目という表を掲げています。まず大きく陸域と沿岸域に生態系のタイプを分けています。陸域はその代表的な森林、里地里山、そして河川や湖沼あるいは湿地などの陸水域というものに分けています。それから、沿岸域は砂浜、干潟、藻場、サンゴ礁、小島嶼ということで区分をしていまして、それぞれの生態系のタイプごとに実施体制、それから集める基礎調査、そして指標となる生物というものを含めまして調査を順次始めているところでございます。例えば森林につきましては、コアサイトと一般サイトというふうにちょっと位置づけを二色に分けております。さらに、そのコアサイト、例えば大学の演習林などと連携をしてサイトを設けているんですけれども、このコアサイトの中にも毎年調査をするところと、準コアサイトというのをこの中に設けまして、ここは5年に1回の頻度でやるというような、ちょっと位置づけの違うサイトも設けているところでございます。
  実施体制といたしましては、そのほか地方の研究機関あるいは全国的なNGO、あるいは地域のNGO、そういった方々、また、自治体だとか専門の調査機関といったところと連携をしながら進めているところでございます。これまでのところ、非常に箇所数も多うございますし、地域とのつながりを重要視しながらすそ野を広くできるだけとってやっていくということで、全国で約6,000名のそういうNGOや機関の方々に協力をいただきながら調査を進めていっているところでございます。
  モニタリングサイトの配置でございますけれども、配置の基準はちょっと右側の地図が見にくいので、お手元に別途お配りしているパンフレットの一番最後、モニタリングサイト1000のパンフレットがございますけれども、この一番後ろのページを見ていただきますとより鮮明な図がございますので、こちらをご覧いただきたいと思います。この図で赤い点線で区分けされておりますのが生物多様性保全のための国土区分ということで、10の区域に分かれてございますが、そういった区域あるいは海域の区分などを踏まえて、できるだけ均等に配置するように考慮して、順次設定を進めているところでございます。18年度末で707のサイトが設けられてございまして、これを今年度中に1,000カ所程度を配置していこうということでございます。
  ご質問の中に、モニタリングサイトのサイズについてのお尋ねがございました。例えば森林ですと毎木調査を行うための永久コドラート、これは100メートル×100メートルのコドラートを設定したり、陸生鳥類の調査のためのラインセンサスのために長さ500メートル、幅100メートルのそういうラインを設けたりしまして、それをずっと調査をしていく。里地ですと里山、山林、畑や水田、そういった二次的な自然を含む100ヘクタール程度の調査地域を設けたり、サンゴ礁は後ほどご説明いたしますけれども、かなり広くサイトをとったりしてございます。
原生的な自然も含めてサイトを設定していくということにつきまして、私どもの方で今一部の自然環境保全地域については既にサイトの設定がなされているところもございますけれども、今後そういった調査手法の体制というのも検討していく必要がありますが、原生的な自然、自然環境保全地域なんかもサイトに含めていく考えでございます。
  次の3ページでございますが、これは一例といたしまして、サンゴ礁のモニタリングの事例を掲げてございます。サンゴ礁におきまして2003年から2005年の被度の変化を地域別にあらわしたものがこの表でございます。もちろん、増えていっているところ、減っているところというのがいくつかあるんですけれども、この中で特に石西礁湖につきまして4ページにより詳しく掲げてございます。サンゴ礁の主要な攪乱要因といたしましては、オニヒトデによる捕食とか白化現象とかいうのがございます。石西礁湖には四つのモニタリングサイトが、真ん中の航空写真になりますけれども、四つのサイトが設定されておりまして、そのサイトの中に大体20から30のモニタリングポイント、おおむね50メートル四方でございますけれども設けまして、いろんなことを調査しております。その一つがサンゴの被度、それからオニヒトデの出現の頻度といったようなものをずっと経年的に変化、これはモニタリングサイトが設定される前からの調査も含めたものがこの下の棒グラフ、それから折れ線グラフで示したものでございます。
  こういう結果で、オニヒトデの出現頻度が高まればサンゴの被度が減り、逆にオニヒトデの出現頻度が減ればサンゴの被度が上がっていくということがわかったわけで、近年そういうモニタリングといいますか、ずっと経年的な調査結果を踏まえましてオニヒトデを効果的に駆除することにより、2003年、2004年というところを見ていただきますと、オニヒトデの出現頻度は高いんですけれども、サンゴの被度も高い水準で維持できているというようなところに持っていけている状況でございます。
  こういうモニタリングの結果を踏まえまして、例えば石西礁湖ですと現在、自然再生事業の具体的な内容について検討がなされていますけれども、そういったものへの反映、あるいはモニタリングサイトは、このほか外来種の侵入の状況等も把握しているわけですけれども、そういったものは外来種の防除の方の施策に反映させていくとか、そういったいろんなことへ反映をさせていったところでございます。詳しくは、パンフレットをご覧いただければと思います。
  私の方からは、以上で説明を終わります。

【伊巻農林水産省環境政策課 課長補佐】 農林水産省の環境政策課でございます。前回ご指摘のありました質問について回答いたしたいと思います。
  資料の4−6をお開きいただきたいと思います。めくっていただきまして、まず1点目でございますが、農業環境規範に関しまして数値目標がどうなっているのかというご意見がございました。それにつきましてご説明いたします。
  まず1ページ目の四角の中にございますとおり、農業環境規範というものは環境保全に向けて最低限取り組むことが必要と考えられる事項につきまして示したものでございまして、すべての農業者が実践していくものとして策定したものでございます。そこの中で環境負荷低減に関します数値目標ということでございますけれども、例えば施肥につきまして申し上げますと、地域の土壌、気象条件などさまざまな条件がございますので、一律の目標を設定することは難しいのではないかと考えております。また、この農業環境規範の趣旨自体がある基準を設定しまして、それをクリアするということを主眼としたものではございませんで、営農上環境負荷低減のための具体的な取り組み内容を規定して、それを農業者の方々の自己点検、または生産活動の改善を通じまして農業者の環境保全への意識向上を図り、食物生産に伴う環境への影響の軽減を達成しようというものでございます。
  そういうことから、本規範自体には数値目標というものは設定してございません。ただ、基本的な事項の中には、例えば先ほどの施肥でございますと都道府県の施肥基準等がございますので、それに即して施肥の成分量等を調節する等となっております。そのようなことで具体的な数値についてはそれらを参照して取り組んでいくということになってございます。いずれにしましてもこれらを通じまして我が国の農業全体について環境保全を重視したものに転換していこうという考えでございます。
  続きまして、2ページ目、裏側をお開きしていただきたいと思います。この農業環境規範につきまして、さらにそれを超えたところでプラス面での取り組みはどのようになっているかというご質問がございました。
  その下のところをご覧いただきますと、真ん中で一番下に最低限行うべき取り組みということで農業環境規範というものを普及していこうというものがございます。その上でございますけれども、持続農業法に基づきまして土づくりと化学肥料、化学合成農薬の使用低減に一体的に取り組むエコファーマーを認定して、そういう取り組みを促進しております。
  その上でございますけれども、地域でまとまって化学肥料または化学合成農薬を地域の慣行から5割以上低減するなどの先進的な取り組みをしている方々を支援していこうということで、具体的には農地・水・環境保全向上対策等を現在推進しているところでございます。
  その一番上でございますけれども、化学肥料、農薬を使用しないことを基本といたします有機農業につきまして、技術体系の確立や普及指導体制等の整備など、条件整備を現在推進して、それぞれに取り組んでいこうとしているところであります。これらの取り組みのリスク、または化学肥料、農薬の低減割合等に応じてさまざまな支援策を講じているところでございます。
  これらの施策を総合的に実施することによりまして、これも同様に我が国の農業生産全体のあり方を環境保全を重視したものに転換していきたいと考えております。また、それが農業の持続的な発展を実現するとともに生物多様性の保全にもつながるようにしてまいりたいと考えておるところでございます。
  続きまして、次の3ページをお開きいただきたいと思います。3ページでは耕作放棄地対策と、所有権の関係がどのようになっているかということでございました。この中で右下のIII耕作放棄地の解消・発生防止のための各種施策の充実・強化というところでございますけれども、上から二つ目の担い手への農地の利用集積を例にご説明したいと思います。
この担い手への農地の利用集積の対策におきましては、例えば耕作放棄地の所有者が農地を売るという意向の場合におきましては、当然所有権も耕作者に移ることになります。ただし、所有者が農地を手放す意向がない場合につきましては、所有権はそのままにしておいて認定農業者、または農業生産法人など、地域農業の担い手に貸していただき、担い手が耕作していくということで耕作放棄地を解消していこうという対策でございます。
  そのほか、ここにございますとおり、集落営農組織における対策におきましても市民農園として利用している例におきましても、耕作放棄地対策等につきましては所有者の方の理解と意向を踏まえながら進めているということでございます。
  続きまして、4ページをお開きいただきたいと思います。こちらにつきましては農地から外れた耕作放棄地面積についてということでございます。委員がご指摘ございましたとおり、農地から外れました耕作放棄地面積について把握している統計はございません。ということで、農地から外れた土地ということで整理したものがこの表になります。ここで平成9年度以降の毎年の耕地面積と前年との差を青い線で示しております。この耕地面積の減少分が農地から外れた土地となりまして、農地から宅地、または道路、農林道などになった面積になります。
先ほど述べましたとおり、このうち耕作放棄地がどれだけあったのかということは統計がございませんが、この資料から見ますとおり、耕地面積の減少幅は、青い折れ線でございますけれども、年々少なくなっておりますことから、農地の減少につきましては徐々に歯どめがかかりつつあるということがおわかりいただけるかと思います。この農地の減少につきましては社会情勢、また、経済情勢などに左右されることもあり、その理由を特定することはなかなか難しいことでございますけれども、耕作放棄地対策につきましてさまざまな対策を行っておりまして、それらの一定の効果があるものではないかと考えております。今後ともさまざまな耕作放棄地対策、または優良農地の確保に向け施策を講じてまいりたいと考えております。
  続きまして、5ページ目をお開きいただきたいと思います。生物多様性の第1の危機への対応としまして、保護地域の拡大と自然再生の推進ということで、国有林で推進しております保護林と緑の回廊につきまして説明いたしたいと思います。どんなふうにこれがなっているのかというご質問に対して説明したいと思います。
  まず、国有林におきましては全体で約759万ヘクタール、国土の2割、森林の3割を占めております。それらを農林水産省、林野庁がその整備・保全を行っているところでございます。国有林の所在につきましては、多くが奥地にあり、原生的な天然のまま残されているということから、さまざまな国民の皆さんの期待にこたえるため、自然環境の保全に関しましてもさまざまな独自の取り組みを行っているところでございます。
  保護林につきましては、保護林の設定・保全の推進という枠にございますとおり、大正時代から始まった制度でございまして、貴重な動植物の保護等のために必要な森林を保護林として設定し、原則伐採を行わないなど、厳格な保全保護を実施しているところでございます。
  右の方に保護林の設定状況がございます。平成18年度当初におきまして850カ所、約68万ヘクタールの設定となっておりまして、国有林全体におきましては約1割を占める状況となっております。その事例としましては、その左下の枠にありますとおり、世界自然遺産にもなっております知床、また、そのほか屋久島、白神山地とその区域のほぼすべてが指定されておりまして、全体が国有林の保護林となっております。
  次の6ページをお開きいただきたいと思います。緑の回廊についてでございますが、こちらは平成12年度から始まった制度でございます。保護林相互を連結するネットワークを形成することにより、野生動植物の遺伝的な多様性を確保するということを目的としております。右側の枠でございますけれども、日本全国の地図で緑で塗ったところが国有林で、その中をオレンジで示したところが緑の回廊に相当しますけれども、平成18年度当初で22カ所、約42万ヘクタールとなっております。
  これらの保護林、または緑の回廊の設定に当たりましては、学識経験者等の意見を聞いた上で設定しております。また、モニタリング、植生の回復等の必要な措置を講じておりまして、それぞれの設定の目的が果たされるように努めているところでございます。今後とも自然環境の保全の観点からも重要な森林につきましては、保護林や緑の回廊に適宜設定するなど、その保全管理を行っていくということにしております。
  以上でございますが、なお、現在農林水産省におきましても生物多様性の保全ということへの取り組みにつきまして林良博先生を座長といたしまして検討会を設け、現在検討を進めているところでございます。
  以上でございます。

【熊谷部会長】 ありがとうございました。ただいま事務局から説明のありました「新・生物多様性国家戦略の第4回点検の結果」等について、これより審議に移りたいと思います。
事務局の方で審議の進め方の参考といたしまして、資料4−7のように、「第4回点検結果を踏まえた施策の方向について(意見項目案)」を作成しております。これを念頭に入れていただいて、進めていくことでよろしいでしょうか。
(異議なし)

【熊谷部会長】 それでは、よろしくお願いします。中静委員、お願いいたします。

【中静委員】 先ほどの、多分これは1番の国家戦略実施の点検の方法についてということに関係すると思うんですけれども、先ほどの資料3−4からいただいた、そういうグラフが幾つかありまして、その文脈をちょっと読むのが難しいなと思っているところなんですが、やはり国家戦略を策定して、それでいろいろな施策をやられたということはわかるんですけれど、そういう施策が実際にどういうふうに効果を持ったのかということを、やはり点検しないといけなのじゃないなかと思うのですね。
  例えば、3−4の林地から都市的土地利用への変化、これは本当に施策の結果として、こういうものが出てきたのかということをやはり考えるわけでして、これを参考にして、次の策定ができるかというと、余り関係ないかもしれないなと思うわけです。ですので、この前の委員会のご意見にもあったと思うのですけれど、どんな指標を用いて施策の効果を見るのかということ、もう一回、考えていただいた方がいいのではないかなと思います。
  例えば、ターゲット2010で、いろいろなことを言われていますし、GBOでも、資料の別紙の方にあったような指標とかいろいろ出てきているわけで、そういうものを、例えば新しい国家戦略ができてまだ5年、時間は短くて、施策の成果が出てくるまでには時間はかかると思いますけれども、実際にそのプラスの面で出てきているのはどこかというようなことも含めて、それを知らないと、やはり次の新しい戦略策定というところには、プラスはどこでマイナスはどこでということがわかるような形に評価ができた方がいいのではないかなと思いました。

【熊谷部会長】 今のご意見に対していかがでしょうか。事務局、特にございますか。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 今、ご指摘がありましたように、いろいろな施策を進めてまいりましたけれども、その効果をなかなかストレートにあらわせないというようなことがあると思います。資料3−4で、土地利用面積の変化というのをお示ししましたけども、そもそも生物多様性とは、いろいろな要因が複雑に絡んでおりますから、これは施策の効果なのかどうかというのはわからない面もあろうかと思います。
  そういう点で指標の開発といいますか、そういうものをもっと考えていくべきというご指摘だと思います。一つは、去年の4月に環境基本計画というのを閣議決定いたしましたが、その中の生物多様性分野、この環境基本計画全体として各分野ごとに指標を設けろというお話があって、生物多様性分野でも幾つか検討をいたしました。施策の効果とか、生物多様性の状況をうまく表現できる指標というのはなかなかないんですけれども、そうは言っても、指標を設けることで、施策の効果を間接的にでも評価できるとか、あるいは世の中に多様性のことを知ってもらう一助になるのではないかということで、何とか幾つかの指標を、10程度の指標を、各省の協力も得て設定をいたしました。それはそれで不十分なものかもしれませんけども、それをまた使いながら改良もしていきたいと思いますし、新しい指標についても考えていきたいと思います。そのときに、2010年目標の中でも指標の例という提案もありますので、そういう国際的な動きも踏まえて、次の戦略の中でもそういうことについて、さらに検討を深めていきたいと思います。

【熊谷部会長】 よろしいでしょうか。それでは、今、広い会場なものですから、私の方からもご発言の方がちょっとよく把握できなくて申しわけないんですが、今、ネームプレートを立てていただいておられる方がいらっしゃいますので、ご発言のご希望のある方、ネームプレートをお立ていただけたらと思います。順が若干不同になるかと思いますけれども。
それでは、まず石坂委員、それから中村委員、そして森本委員、まずその順でご質問いただけたらと思います。よろしくお願いします。

【石坂委員】 ありがとうございます。ここで1から5まで論点がございますけれども、この点検の方法といいましょうか。この点検をして、それを施策の実際の実行、実現にフィードバックしていくということが、点検とリンクしていると思うのですね。ですから、そういうシステムで点検をしていっていただく必要があるのではないかと思います。
  そういうことからいきますと、私は今年から委員になったものですから、これまでの点検の実行がどうだったか、よく承知していないのですが、点検もある程度項目を重点化して、深くやった方がいいのではないだろうか。平板的に全部やるということではなかなか深い掘り下げができませんから、そうしたことが必要なのではないかなと思います。
  それから、普及、啓発の点はいろいろなことが必要だと思うのですけれども、パンフレットが極めて重要だと思うのですね。現在の国家戦略のパンフレットは大変できがいいと思うのです。伊藤若仲の表紙で、その表紙自体にも意味があるわけですし、それから中の写真がすばらしくきれいですし、それから、文章は極めて簡潔で短いということで、これはPR用に使うときには、極めて優秀なものであると私は思います。ですから、これをどう利用するかということが問題なので、その利用の仕方もございますが、パンフレットを今度、新しい国家戦略ができて、作るときに、現在ものに勝るとも劣らないものをぜひ作っていただきたいと思います。
  それから、そのときに、これはそういうことができるかどうかわかりませんけれども、生物多様性という言葉はよくわからないですね。生物が多様なのは当たり前ですけれども、生物多様性国家戦略と言われても、一体どういうことが書いてあるのか、言葉だけからは想像がつかないわけです。したがいまして、これを何かもっと別の平易な言葉で言いかえて、生物多様性国家戦略はそれでいいのですけれども、平易に言うときにはこう言うのだという言葉が必要なのではないかなと、この点検につきましてはそう思います。
  それから、私が質問した里地、里山のモデル事業の件ですけれども、ご説明いただいたことで結構なんですが、この秦野のこれを見ますと、こういうことをしているというのはよくわかるのですね。ほかの三つの地区についても、こういう非常にわかりやすいものができているのかどうか。もしできていれば、またこれも後で結構ですけど、教えていただきたいと思います。
  それから、四つの代表例について、これをつくったということは、それはそれでいいのですけれども、果たして一つの典型例、なんていうのでしょうか、地域というのでしょうか、同じような植生の地域について、一つだけでいいのだろうかと、もっと見せなければ、余り普遍性を持ったPRができないのではないかなという気がしますので、予算の制約もあってなかなか難しいのでしょうけれども、お考えいただければ幸いだと思います。

【熊谷部会長】 それでは、事務局、お願いをいたします。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 点検の結果をフィードバックしていくことですとか、あるいは点検そのものを重点化して、深くというご指摘がありました。点検方法は毎年少しずつ改良はしてきておりますけれども、重点化をすべきというご指摘とか、あるいはそれをフィードバックしていく手法も含めて、新しい戦略ができてからも、点検の方法についてはさらに改良を重ねていきたいと思います。
  それから、広報の関係では、今のパンフは非常にわかりやすくていいというお話をよくいただくのですけれども、戦略を見直してからも、これを超えるのはなかなか難しいですが、より効果の高いパンフレットとなるように努力をしていきたいと思います。
  それから、生物多様性という言葉がやはりわからないということで、その生物多様性という言葉自体の言いかえですとか、あるいは生物多様性国家戦略というタイトルについても、もう少しわかりやすい、やわらかい副題を例えば考えるとか、そういうことも考えていきたいというふうに思います。
  それから、里地里山の関係では、秦野以外の3カ所についてもわかりやすい形で整理できますので、そういうものも用意をしたいと思います。
  それから、4地域では少ないのではないかという話もありましたけれども、それぞれの地域に固有のものもありますし、共通するような要素もありますので、少なくとも共通する要素についてはほかの地域にもできるだけ広める努力をしていきたいと考えております。

【熊谷部会長】 よろしゅうございますでしょうか。
それでは、中村委員、お願いいたします。

【中村委員】 先ほどの中静委員がおっしゃったこと、私も同様に思いました。この最初に出されたグラフというのは、基本的にほかの社会経済的な要因がきっと入っているんだろうなというふうに皆さん思われたと思うんですね。ということで、冒頭に議論された、生物多様性国家戦略自体の言葉が浸透していないとか、前回のときも私も聞きました。言葉が悪いんじゃないかとか、いろいろな議論があったと思うんですけれど、やはりどう具体化するかということで、環境基本計画のときも、確かに指標の議論はされたのですけど、やはりそれもまたうまくいかない。多分総論でずっと指標化しようとしても、もう無理なのだろうなという感じがします。
多分、無理だろうということを前提としてお願いしたいのが、新生物多様性国家戦略で言われた3つの危機を、例えば、具体的に地図化するということを考えられたらどうかなという感じがします。つまり、どこの地域でどの危機が起こっているのかということが具体的に地図としてあれば、これは皆さんが議論していく、地域でも議論する上で、身近な感覚としてとらえられるのではないかな。それがざくっと総論の中の生物多様性の危機という議論だけでいってしまうと、やはり日常生活の中には危機感として映らないということで、各省庁、前からここでも議論があったように、いろいろなデータベースを持たれていて、それの統合化の議論も随分ありましたよね。結果的にまだそれも統合化されていないということで、モニタリング1000もいいのですけれども、今現在あるデータで、一体この3つの危機を解析したら、一体どんな地域にどの危機があらわれているのか。それが例えば5年後に、この危機についてある程度回避できたということが示されれば、より施策としてもはっきりしたものが見てとれるんじゃないか。社会的にもアピール度が高くなるんじゃないかなという感じがします。その辺を検討いただければなと思います。

【渡邉自然環境計画課長】 ありがとうございます。いろいろな施策を実施した結果、どこが多様性の面でよくなって、どこが引き続き悪いのか。そういうことをできるだけたくさんの人から見えやすい状態にするということ、とても大切だと思っています。今回の3次戦略の検討を受けて、ぜひ、地図化をしていくということも含めて、各省のデータを有効に生かしながら、いろいろな施策の成果の結果、多様性の状況がどうなった、森林、河川、湿地、海域それぞれの状況がどのくらいよくなって、どこが悪いのかということがわかりやすく見えるような努力を検討していきたいと思います。

【熊谷部会長】 それでは、森本委員、お願いいたします。

【森本委員】 今の意見で半分言っていただきましたので、それをパスしまして。3つの危機という形で、危機を明確にだれでもわかりやすいようにしたというのは、すごくこの前の戦略のいいところだったと思います。
  ただ、対策等を考えていくときに、非常に統合的なアプローチというのが必要になります。昨年、淀川流域で残っていた、天然記念物になっていたイタセンパラが見つからなかったという話がありまして、あの絶滅の原因が、恐らくですけど、外来生物のウォーターレタスか何か、えらい繁殖してしまって、あるとき、みんな魚が浮いちゃったと、こういうのが直接的な原因じゃないかと言われてるんですけれど、ベースには外来種のブラックバスだとか、何とかの話がある。
  しかし、そこはもともとの本来の立地じゃなくて、本来は氾濫原の生き物なんだけど、要するに氾濫原環境がなくなって、例えば、二次的な自然でかろうじて残っていた。里地里山というのは多分氾濫原の代替的な環境だったと思うのですけれども、水源だとか何かを含む。そこで残っていたイタセンパラが最後に外来種でやられたという、第1の危機と、第2の危機と第3の危機が、本当は密接に関連しているのです。対策をやるときには、そういうことを踏まえた統合的なものが必要になるので、次期は統合的なアプローチというのを一つの新しい取り組みとして入れるのがいいのかなと、今考えています。
  そのときに一つの手がかりになる指標というのはなかなか難しいのですけれども、指標というのは、分解して考える、分解的な考え方がございます。それはそれなりに正しいのですけれども、もう一つは、統合的な手法というのも、ひょっとしてあるかな。美しいという概念なんかはいいかげんな概念のように思われるのですけれども、いろいろなところで例えば、昔、美しい何たら平野とか、八景とか、そういう見方がございます。それは結構裏づけが本当はありまして、文化的、あるいは自然的な立地関係をうまく取り入れた持続可能な一つのあり方という、当然、そこには生物多様性が入っている、ベースに上がっている。そういう何かすごい一般の人にもわかりやすい見方、統合的な指標というのもひょっとしてあるのかなと思っています。もちろん、それだけではありませんけれど。そういう新しい指標の取り方というのがひとつあろうかな、というのがございます。
  それからもう一つ、統合的な取り組みで、省庁間の連携について、ちょっとお伺いしたいんですけれども、前の議題とも関連するんですが、拝見していますと、経済産業省からのヒアリングというのはないのですね。これは基本的にウィンウィンというのですかね、生物多様性というのは本来的に長い目で見ると、やはり経済にすごくベースになっていますよという、そういう格調高い新戦略の宣言にもかかわらず、ないというのはちょっとまずいのかなという感じがします。
  なぜ、こういうことを言い出したかと言いますと、最近、工場立地法の見直しが進んでいるというのを小耳に挟んでいるんですけれども、見直しというのは、いい方向にいくんじゃなくて、規制緩和で既存不適格の工場を立て直すときに、緩和しようかという、どうもそういう感じなのですね、小耳に挟んだところによると。違うかもしれません。
  これはちょっとまずい話がありまして、本来的に工場立地法というのは、経済産業省の所管かと思います。そういうどうですかね、普通の経済活動で生物多様性がだめになっていくところの点検というのが、だれがどうしているのかなというのが、これがちょっとよく見えなかった。いろいろ資料では頑張ってやっていますよというのがあって、日本の生物多様性の問題は、どんどんいい方向にいくというぐあいに見られるわけですけれど、では普通の政策の中で、環境問題、生物多様性、保全の問題はどう内部化していくかというのがすごく課題で、この辺が実は重い課題がありますので、ちょっとじっくり考えた方がいいのではないかなと思います。以上です。

【熊谷部会長】 ありがとうございました。総合指標については、今後の小委員会の方でも十分議論をさせていただきたいと思いますので、今の経済的な問題と、経産省との関係等について、事務局の方からもしお答えがあればお願いしたいと思いますが。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 経済産業省については、前回の部会では説明の場はなかったんですけども、国家戦略自体は経産省も一緒につくっておりますし、次回、小委員会のヒアリング、各省ヒアリングの中には、経産省にも来ていただく予定にしております。特に生物多様性の関係は、経済活動とか、民間の企業活動ども大いに関係がありますので、そういう点についても考えていきたいと思います。

【熊谷部会長】 それでは、次に、私の方から順番を決めさせていただきますが、石井委員、西岡委員、速水委員、浜本委員、原委員、大澤委員の順でご質問いただきたいと思います。では、石井委員、よろしくお願いします。

【石井(信)委員】 ありがとうございます。私は項目の1と2について、意見というか、提案みたいなことを言いたいと思います。前回の会議は私、欠席しましたけれども、ご意見があったようですし、中静委員の意見もありましたけれども、いろいろな対策の効果を評価するということが重要であるというのを私も繰り返したいと思います。
  それで、そのときの指標についてもいろいろな議論があって、一つは全体的に見る指標というのが、これから検討されるのだと思いますが、もう一つ、やはり現場に深く入っていって評価をするということももう少ししていただきたい。
  例えばなのですが、資料3−4に、マングースの駆除事業の結果がまとめてありますけれども、先ほどの事務局のお話では、一生懸命やっているけれども、なかなか明るい方向が見えないということのようでしたけれども、私は直接かかわっているものとして、ちょっと違った印象を持っておりまして、多大な労力と経済的な資源を投入して続いているわけですけれども、マングースの個体数というのは、この1年で大幅に下がって、それから、分布も拡大していると言いましたけれども、もう少し細かく見ると、拡大はストップして、縮小に転じているという傾向も見られています。この事業に関しては、混獲の問題等も含みながら、いろいろ苦労しているのですが、効果はかなり上がっていると。ただ、今、手を緩めてはいけないというクリティカルな段階にあるのですけれども、こういう対策を講じることによってプラスの効果が出てくると。いろいろな在来種の回復というのも見られますから、そういうものを丁寧に拾い上げて、環境省がとってきたいろいろな対策の結果として、こういうプラスの結果が上がっているのだというのは、もっと見ていけば見つかると思いますので、そういうのをぜひ、次回の戦略をまとめていく際に生かしていただきたいと思います。
  指標というのは、法律を導入しただとか、保護地域の数が増えたとか、予算が増えたというふうなことは、直接現場でどういう効果が上がっているかということを直接反映しませんけれども、現場でのプラスの効果というのをもっと整理していただきたいし、そういうものがいろいろあると思います、実際に。例えばの例がマングースなんですが、そういう整理をしていただきたいと思います。
  それから、2点目なんですけれども、里地里山の例がいくつか出てきますけれども、里地里山がいろいろな多様性保全という観点から見ると劣化していると、それから、耕作放棄地も同じ問題を抱えていますが、これは社会経済構造の大きな変化でそういう事態が生じているわけですね。いろいろな事業が行われているわけですけれども、一体それは劣化している、そういう環境の面積というか、スケールに比べて、どのぐらいの規模でそういう事業が進んでいるのだろうかというのを考えると、かなり相当それは地図に落としたら、点的なスケールで行われているのではないかと、私なんかは詳しいことを知らないので思うわけですが。
これから、次期国家戦略の施策の方向というのが議論されるわけですけれども、やはりこの里地里山の問題についても、どのぐらいの面積を考えて、いろいろな手を打っていくかという目標値みたいなのが出ないだろうかと。多様性保全上、このぐらいのスケールで現状を変えていなかいと、プラスの効果があらわれないと、そういうなるべくでしたら、数値目標みたいなものを探っていって、今後の方向性を考えていただきたいと。それも経済的な持続性の確保が重要であると、中に書かれていますので、それだけのスケールの事業を展開していくために、どういう仕組みがあり得るのかということを、繰り返しますけど数値目標みたいなものを決めて、それに向かって何ができるかというようなことを考えていただきたいというふうに思います。

【熊谷部会長】 ありがとうございました。
ご質問というより、ご意見の部分が大変多かったです。何かございますでしょうか。特によろしいですか。
  それでは、今のご指摘のように、空間、時間、スケールをきちっと踏まえて検討を進めていくように努めたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、西岡委員、よろしくお願いいたします。

【西岡委員】 どうもありがとうございます。ほとんど皆さんのフォローみたいな形になりますが、全体的にシステム的な把握をしていただきたいということがあります。システム的把握というのは、例えば、いわゆるOECDの環境のとらえ方として、非常に人間圧力と、それからそれによる状態、それからそれに対するレスポンスといった形の枠がございますけども、こういった把握が今、お話に出ている中で、農地との共同の問題だとか、いろいろな点で役に立つのではないかなと思っています。
  二つ目ですけれども、観測の観点なんですけれど、これは既にかなり進んでおるとは思っておりますけれど、これをきちんと続けていくことは非常に大切だと思いますので、その体制を十分確保する必要があるかと思います。
  私はここにも挙がっております、IPCCの例なのですけれども、やはりIPCCのように、地球変動をとらえるには、10年、20年どうしてもかかるのですね。ふたを開けてみたら、非常に進んでいたというのが今回の報告のひとつの重要なポイントだったわけですけれども、これもなかなか変動をとらえるのは難しいのですけれども、地道にやっていかないといけないところがあるかと思います。
  3点目ですけれども、そのシステム的なとらえ方の中で、やはりサービスという話が先ほど出てきましたけれども、これについてもだんだんやっていく必要があるかと思います。私はMEAの方にもいくらか温暖化の関係でやったんですけれども、その中で例えば、生態系を保護すること、あるいは、温暖化を防止することによるベネフィット及びコーベネフィットというのがあって、それを徹底的に洗い上げるような作業をしております。
  例えば、土地の表面の変化、アルべドみたいなものだとか、それから、森林等々が大気の汚染にどう関係しているかとか、いろいろな要因を、ともかくたくさん挙げて、できる限りそれを定量化しようということで進んでおりましたので、そういうサービスに注目した評価というのが、国民の意識を高めるためにも非常に重要ではないかなというぐあいに思っています。
  それから、最後ですけれども、経済的評価、これはなかなか難しいのですけれども、一度は試みてもいいのではないか。スターンレポートなんかは非常にラフにやって、しかも大胆に、自然の価値というのが未来永劫ほとんど同じ価値を持ち続けているという思想が入っているわけですね。そういう意味で、そういう評価から見たときの自然の価値と、それから現在、我々がいろいろ壊していること、あるいはそれらを残して生かすといった形でやっていると思います。そういう評価もだんだん滅びるであろうかというところであります。それに委員会が本格的にどうやっていくかというのがあると思います。

【熊谷部会長】 大変貴重なご意見をいただきましたけれども何かございますでしょうか。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 サービスの考え方とか経済的評価というお話がありましたけれども、まさに生物多様性というのは社会経済と切り離せないという視点を忘れずに考えていく必要があると思っておりますし、その点でMAですとか、GBOという国際的な動きですとか、ドイツがやろうとしている経済的評価、そのような動きも踏まえて、日本でも日本の生物多様性の状況について、経済的側面も含めて評価するということについつても試みていくことを考えたいというふうに思っております。

【熊谷部会長】 よろしゅうございますでしょうか。
それでは、速水委員、よろしくお願いいたします。

【速水委員】 2点ございまして、多分3番の施策実現の体系と関係してくるだろうと思うのですけれども、私は以前、地元の県で、公共事業の再評価、あるいは評価の委員をやっておりまして、その時に、さまざまな公共事業をチェックをしていくのですが、そこにこの多様性の国家戦略の視点で見る評価というものがまったくなかったのですね。
  私は県には常にそういう視点をみんなで持とうではないかというふうに申し上げて、そういう努力もしていただいているとは思うのですけれども、最近はどういう形でやられているのか、私は今の情報は知らないのですけれども。その時に思ったのですけれども、日常生活、我々が生活の中で生物多様性に対してインパクトを与えていく部分というのは、国民運動として直していく、改善をしていく必要があると思うのですけれども、やはり国なり県なりの公共事業の中で大きなインパクトを与えていく部分というのが、より積極的に、極力避ける努力というのは当然していかなければ行けないのだろうと思うのです。それに対する、国交省だとか農林水産省のレベルでの配慮というのは行われているのですけれども、本当に現場サイドの担当の者、計画をつくる者だとか、予算を実行していく人たちに関しては、全く意識がないのですね。それは多分、その人たちが悪いのではなくて、その人たちに意識付けをさせられない制度が悪いのだと、私はいつも思うのです。
  その人たちに私が委員の立場で、そういう多様性に関して少し考慮した計画にしてみたらというと、結構一生懸命にやるのですね。ですから、ぜひとも、そういう現場で使えるチェックリストであったりとか、手法であったりとか、あるいは最低でも現場で計画をつくるときに多様性の国家戦略に対して、どういう対応ができるのかという意識を持ったような事業の展開というものを必ずやらせる仕組みをやれば、それはそれで、結構、啓蒙・啓発になると思うです。それで、一番大きい事だと思うのです。それが全くやられていないから、上の方ですばらしい計画ができても、実際には地域の中でかなり多様性の高い里山を道路がずっと走っていくときに、その道路はつくるためには一生懸命にやったり、景観的には一生懸命やるかもしれないけれども、多様性を配慮したものにはなっていないというのはよくある話で。偶然、今、高速道路が私の山の中をドーンと通る計画が進んでいるのですけれども、いろいろ用地交渉とかあるのですけれども、多様性に対して何を配慮すべきか意見はありますかということは一言も聞かれたことはない。本来そういう話というのは地元の人が一番詳しいのであって、そういう工事の計画段階なり実行段階で何か注意はありますかということは、当然あってしかるべきなのです。そういうことを聞くべきだということを最初の段階で入れておけば、必ず現場の人は正しくされる。そういう意識を全体でつくっておかないと、何回立派な計画をつくってもしだいしだいに劣化していくというふうな気がいたします。
  あと1点、里山の話に関しまして、いつも私は発言するのですけれども、日本の森林というのは7割近くが民が持っている森林でございます。特に里山に関しては大半が民所有のレベルです。そこに関して里山だけの発想でかかわっていっても、なかなか民の部分に関しては理解をしてもらえない。やはり、森林全体の中での里山の位置付け、そういうものをしっかりおさえていかないとだめなんだろうし、里山と背後に控える、既に開発された人工林とのかかわりというものの中での里山の維持というところをしっかりおさえないと、多分、地域に持っていったら先ほどの石井先生の話ではないですけれども、点の動きはあったとしても面の動きとして里山を再生していこうとか、森林の問題を解決していこうという意識は、地域としてはだれもサポートしてくれないだろうというふうに思っておりますので、その辺は注意していただければありがたいなと思っています。
以上です。

【熊谷部会長】 今のご意見はいかがでしょうか。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 まず、1点目の公共事業の評価に関しましては、前回もご意見をいただいておりますけれども、各省の公共事業の中にも少しずつ生物多様性の観点というのは入ってきております。ただ、生物多様性というのをストレートに評価をするようにはなっていなくて、その中の一部で生態系の多様性はどうなったのかというのをあくまで定性的に3段階ぐらいで評価をするというぐらいの試みでして、今後さらにいろいろな結果の蓄積を踏まえた上でさらに検討が必要な段階なのではないかなというふうに思います。
  それから、里山に関しましては、御指摘のとおり、日本の森林の多くは民有林ですし、そのなかにも小規模林が多いという特徴がありますので、いわゆる二次林だけではなくて、その周辺の人工林も合わせて、日本の林業のあり方というものをあわせて考える必要があろうかと思っております。

【熊谷部会長】 それでは浜本委員、お待たせいたしました。どうぞ、よろしくお願いいたします。

【浜本委員】 里地里山に関することはもう何度も繰り返し農林水産省さんの方からも出てきているのですが、今回のことに里海というものも考えてはどうかという意見が中には出てきておりましたが、私自身が干潟の再生事業を漁協だとか地域、大学なんかと一緒に進めている現場から見ましても、里地里山、要するに田んぼや畑と言われるようなところ、それを管理する農業者、林業をされる方と違いまして、里海、特に干潟というところはなんといいますかね、漁業の場としての沿岸部ですよね、そういうところが生物を管理していくエリアとしての境界がないのです。養殖イカダを組んで何かをしているとか、そういうところは別ですけれども、たとえば干潟ですと、そこに住んでいる、例えばモニタリングサイト1000などを見ましても、干潟に関することの調査というのは今のところシギ・チドリのみになっているのですが、シギ・チドリが食べている貝類がどんなになっているのかということに関しては、どうやって調査をするのかすら今行われていない状態なんです。
  私、実は、これはもう危機的な状況になっているのではないかなと、現場を見て、いろいろなところで思うのですが、数がたくさんいたとして、漁場として成り立っていたとしても、それは遺伝子レベルでもう既に日本の国内のものでないものがほとんどですし、そこだけのものではなくて、それは移動していきますから、そういうことを考えていきますと、これはもうちょっと積極的に調査もして関わっていかないといけないものなのではないかと。
  これは、全体的に見ますと、この点検の方法の1番だとか、普及啓発の4番に係わるところなのでしょうけれども、この普及啓発に関しましても、漁業に従事していらっしゃる方は、やはり干潟という場所などが今までで言うと、第1の危機の対象になる場所でありましたけれども、本当は第2の危機の対象にもなって当たり前なところなのにもかかわらず、なかなかその職業の方たちに生物多様性という分野からの理解はとても求めにくい。これから温暖化の影響も多分に受けるでしょうし、里地里山の中では、特に陸水域を通じまして、外来種の調査なども少しずつ行われておりますが、干潟に関しては、そういう見えるシギ・チドリだけではなくて、見えない砂の底の部分、底生生物までとは申しませんが、少なくとも貝類とか、そういうものの調査なども今後入れていかないと、漁業という、特に水産庁などがかかわる部分に関して、とても希薄なような印象を受けますので、ぜひともそのあたりは検討していただけたらと思います。

【亀澤生物多様性地球戦略企画室長】 里地里山に加えて里海もというお話は、地方説明会でも意見がありまして、里地里山里海というのはいいけれども、それぞれの「里」の意味がやはり違うのではないかというようなご指摘が地方説明会でも出ておりました。特に、干潟の場合は漁業との関係というのもありますし、あるいは野生生物のエサ場としての意味もありますし、いろいろな意味で重要な場所ですから、干潟そのものの生物多様性については、モニタリングサイトとしても設定をしておりますし、その中では底生生物も含めて調査をしておりますので、さらに充実をしていきたいと思います。

【熊谷部会長】 それでは、原委員、お願いをいたします。

【原委員】 質問とちょっと意見を述べさせてもらうのですけれども、まず普及ということとの関連で、たとえばこのパンフレットは何部刷ってどこに配っておわれるのかというのをお伺いしたい。
  これは今、さらっとご説明を伺うと、なかなかできていると思うのですけれども、これが生物多様性国家戦略の一環としてできあがったもので、今盛んにこういう線のモニタリングをやっているよという、その関連性は、パンフレットをさらっと見たところでは出てきていない。だから、私は環境省が、今こういうパンフレットをつくりあげたときには、必ずどこかに生物多様性国家戦略の一環としてのこういうものだよというのをきちんと書き込んでおくということが地道な普及にとっては非常に大事ではないかと。それと、モニタリングをするということの意味から言うと、こういうパンフレットをどこに配って、どういう人たちに渡っているかというモニタリングもきちんとしておくということが、お金の使い方の関係で大事じゃないかと。これが一つです。
  それからもう一つは、たくさんの人が里地里山の件では発言されているのですけれども、私は国立公園の会議でも申し上げているのですけれども、里地里山というのは、やはり生活とか生業というのに関係があって、つまりその集落というものとか、その集落がなくなってくるという、消えてくるという話と、その里地里山の関係は密接不可分に関連してくると。ただ単に環境面から環境省が追っかけていくという話には私は限界があると思っているのです。
  そういう意味から言って、国家戦略という話で言えば、もう少し自治体を所管するところとか、それから国交省のどういうところか、都市の問題とか、そういうところと、戦略的に国家戦略として、環境省がどこまでできるかというあたりを小委員会では少し議論した方が、それで環境省の役割は何かというあたりを少し議論された方がよろしいのではないかということをご意見として申し上げたいと思います。

【熊谷部会長】 ありがとうございました。
後半の国家的な視点にたった議論は小委員会の方で検討させていただくということにして、前半のご質問のパンフレットのことについてお答えをお願いします。

【鳥居生物多様性センター長】 パンフレットですけれども、印刷は1万部を作成いたしまして、調査にかかわっていただく人、もちろん一般のビジターセンターとか環境省の出先機関にもおいておりますし、あるいは調査に係わっていただく専門家の方々とか、あるいは地方公共団体の方に配布をさせていただいているところでございます。
それから、もっとこれをPRすべきということにつきまして、今構築中なのですけれども、インターネット上、生物多様性のホームページ上でもモニタリングサイト1000で得られた情報をどういうふうに配信していったらいいのかということを検討中でございますので、そういうことも含めて、今後、普及に努めていきたいと思います。

【熊谷部会長】 それでは、一応今、和里田委員と三浦委員からご発言のご希望がおありですが、他によろしゅうございますでしょうか。
それでは、和里田委員、三浦委員、それから桜井委員の順でお願いしたいと思います。

【和里田委員】 では、私から。今実行されております新国家戦略。これの行政の協力という視点で見た場合に、これの前の計画のときには各省はもうお手並み拝見というような状況であったのが、各省が積極的に踏み込んでいって協力した、あるいは実行したという計画だったと思うのです。ただ、この数回点検してきて感じますのは、先ほどからも幾人かの先生からもお話がありましたように、実行したことがどう効果が出ていたのか。確かに事業を行ったり、指定したり、あるいは認定したりということはやったということで、その数字の積み重ねは出ておりますけれども、しかし、相手が自然である、あるいは事業として行ってもその結果、それがまた後退する場合も出てくるでしょうし、認定された農民がそれを実行していたかどうかというのも怪しい場合があるでしょうし。
  そういう意味で、次の段階では各省が事業を行うと同時に謙虚な気持ちで、謙虚に評価・点検するということが非常に大事なのではないかというふうに思っております。
  それから、次にこの計画の始まりのときに経済的措置というところを書き込んでいただいたのですけれども、やはりこれを実行していくには、経済的な視野というのは非常に大事でありまして、これは公共団体としての財政的な問題も当然あるわけでして、非常に財政不振になってくるときには、こういう環境という部分がどうしても削られかねないという中で、環境省はご苦労なさっていると思うのですが、やはりこの辺をしっかりしたものにしていくと同時に、地球環境基金ですとか、みどりの基金ですとか、あるいは河川整備基金ですとか、いろいろな基金がありますし、先般も民間の企業がいろいろご努力をなさっている例も示していただきました。
  そういう形で、いろいろな形での資金的な援助があって、初めて戦略が功を奏するというふうに思いますので、そういう視点も次の計画の際にはしっかりとした計画、かつまたそのフォローもしていただきたいというふうに思っております。

【熊谷部会長】 ありがとうございました。貴重なご意見ですので、十分に肝に銘じて進めたいと思います。
  それでは、三浦委員お願いいたします。

【三浦委員】 私も要望を1点言いたいと思いますが、生物多様性国家戦略というものは、やはり基本的には生物多様性の意義を法律や政策の中にいかに組み込んでいくのかという、そこが一番大きなポイントだと思うのです。
  そういう点で言いますと、各省庁の取り組みということで、幾つかの名前が出てきていますけれども、先ほど何人かの方が質問していましたけれども、これまでの旧国家戦略、それから新国家戦略の間の10年といいますか、この生物多様性国家戦略の浸透状況というアンケートが大きな冊子の151ページに出ていて、非常に興味深い数値なのですが、生物多様性の認識度が3割程度あると。その一方で国家戦略ということになると、これは多分、平成16年にとられたアンケートだと思うのですが、6.5%だと。一割に満たないという状況ですね。こういう状況では、やはりこの意義を浸透させるという点でかなりやはり弱いのではないかと。
そういう点では、各省庁の取り組みの中で、やはり私は文科省といいますか、浸透度を促進していく上で、教育基本法の中に環境も含めて今回できているわけですから、そういう点ではやはり文科省の取り組みというのは、何とかしていただきたいということが1点と、それと同時に、これも速水先生他、何人かの方の発言と重なりますけれども、一方では、都道府県の役割が非常に大きいわけです。多くの施策は条例等で、これは都道府県がやっているわけですから、ここの担い手として、いかに国家戦略に組み込んでいくのかというところが重要で、そういう点では、モデルとなるような、あるいはモデルとしていきたいというようなそういう自治体を、これは市町村、都道府県も含めてこの国家戦略の見直しの中に入れていただきたいというふうに。それをどういうふうにやるかは非常に大きな問題だと思うのですが、ぜひ、そのことを要望したいと思います。

【熊谷部会長】 あるいはございました。
では、ご要望として承っておきたいというふうに思います。
  まだ、ご発言がいろいろおありかと思いますけれども、時間の方が若干過ぎておりますので、一応桜井委員で最後のご意見・ご質問ということにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【桜井委員】 簡単な話ですけれども、まず実は日本列島をごらんになるとわかりますけれども、ちょっとインターネットでいろいろ調べまして、海岸線の長さというのをご存じの方がいらっしゃるかどうかわかりませんが、調べてみましたら約3万5,000キロあるのです。これは地球を約1周弱ぐらいの海岸線が実はあります。
  先ほどお話しがありましたように干潟の問題とか、それから人工海岸、それから砂浜の海岸、そういうところも含めますと、非常に多種多様な沿岸が日本にはあるのです。これに対して、今回の考え方の中にも里海という概念よりも、むしろ日本はもともと海に接しているという前提のもとでもうちょっと考えるべきだろうと。それから、その時にこれは非常に複雑なのですけれども、各省庁が非常にたくさん入り込んでいる世界であるということも含めて、何かこれも先ほどから何回も発言されておりますけれども、手つかずというか、比較的人がかかわっていない海岸線のところと、人が直接かかわっているような場所と、非常にたくさんあります。
  ですから、どこかにそういうモデルをつくって、それに対してどういうふうに多様性が改善されていくのかというような考え方も必要ではないかということで発言いたしました。
以上です。

【熊谷部会長】 ありがとうございました。
このご意見もご希望とご要望とご指摘ですので、十分に検討の参考にさせていただきたいと思います。
  大変ありがとうございました。
  そろそろ時間となりましたので、本日の合同部会はこれを持って閉じさせていただきたいと思います。
  なお、本日の各委員のご意見をもとに、私と事務局で文案を作成いたしまして、各委員にご確認をしていただいた上で、成文として、今後の施策の方向についての意見として、中央環境審議会から環境大臣に対して具申することとしたいと思います。
  次回の合同部会は今後6回の小委員会及びパブリックコメントを実施したあとの秋頃を予定しております。
  また、きょう発言をいただきました委員の多くの先生方が小委員会のメンバーでもございますので、十分、この合同部会でのご意見を受けて審議をしていただきたいというふうに思います。
  それでは、以上をもちまして、本日の合同部会を閉会といたしたいと思います。大変ありがとうございました。
  それでは、事務局にお返しいたします。

【司会】
  本日は、長い時間ありがとうございました。次回の合同部会は秋ごろを予定しておりますが、先ほどもありましたとおり、まずは早急に小委員会の開催、これが必要になりますので、本日決定いたしました小委員会の委員の方々には至急、今日、明日中にはFAX等で日程調整のための事務連絡を送らせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  なお、本日配付の資料につきましては、郵送をご希望の委員の方は封筒にお名前をお書きの上、机に置いていただければ、事務局の方から郵送させていただきます。
  それともう一つ、最初にもご紹介をしました生物多様性国家戦略の見直しに関する資料集ですが、厚いのですがこれももしよろしければお持ち帰りいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
  本日はどうもありがとうございました。