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中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会
第8回グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会議事録


午前9時30分 開会

○石飛環境経済課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまからグリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会第8回会合を開催いたしたいと思います。
 本日、中里委員は少し遅れておいでになるというご連絡をいただいております。
 それでは、早速でございますけれども、議事の進行を神野委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○神野委員長 本日は、委員の皆様方にはご多忙の折、ご参集いただきまして本当にありがとうございます。重ねて御礼を申し上げる次第でございます。
 本日は、議事次第にございますように、10月30日に環境省が発表いたしました平成22年度環境省税制改正要望の概要につきましてご説明をいただいた上で、とりわけ、この中に盛り込まれております地球温暖化対策税の骨子についてご報告をいただいた後、議論したいというふうに存じております。
 前回、環境税の具体化をするに当たって、今回の委員会でもって私のほうから、議論のたたき台のようなものを提示させていただくというお約束をいたしました。その後、10月末に税制改正要望を出し直す期限のタイミングとなりまして、委員の皆様方から意見を頂戴して、たたき台を作ってから環境省のほうでまとめていただくという手順とやや日程がずれてまいりまして、環境省のほうから地球温暖化対策税の骨子の相談を私は受けることになりました。
 本来ならば私が委員会でたたき台を出し、それに基づいて環境省に骨子案を作成していただくということになるのですが、何分にもそうした余裕がございませんでしたので、結局、当委員会で昨年、ご検討いただきました案に基づいた要望を出していただいておりますので、私のほうからまた、たたき台をここで出しても意味がありませんので、これをたたき台とすべく、委員の皆様方に事前に骨子案が出る前にご検討いただくように配付をというか、ご意見を頂戴すべくお配りをしたところでございます。
 本日は、したがいまして、この委員会としての運営を生産的にしていく上で、この骨子案に基づいてご検討いただいて、さらに環境省がこの骨子案をリファインしていくためのご意見や、それからコメントを頂戴したいというふうに存じております。本日の会合は、概ね11時半までとする予定にしておりますので、議事運営方にご協力をよろしくお願い申し上げる次第でございます。
 それでは、第1番目の議題でございます。今もお話しいたしました地球温暖化対策税の骨子について、事務局からご報告をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○川上総務課長 それでは、ご説明申し上げます。お手元の資料2というのをご覧ください。平成22年度環境省税制改正要望の概要という資料でございます。先ほど神野委員長からもご紹介がございましたように、これが去る10月30日、小沢大臣から公表させていただきました環境省税制改正要望の概要ということでございます。
 特に地球温暖化対策税でございますが、資料2の1ページ目、(1)地球温暖化対策税を含む税制のグリーン化という部分をご覧いただきたいと存じます。最初のところで、環境省はこれまでもCO2に着目した新税の創設を要望してきたという経緯に触れました上で、その次でございますけれども、今般、2020年までに1990年比で温室効果ガスを25%削減するという新しい目標が設定をされたと。その下であらゆる政策を総動員して、この実現を図っていかなければならない中で、地球温暖化対策税の平成22年度からの導入ということを求めているわけでございます。
 その下のパラグラフでございますが、地球温暖化対策税につきまして、まず環境の観点から税体系を再構築する税制のグリーン化の根幹をなすものであるという指摘をさせていただいた上で、次は新税のいわばセールスポイントの部分でございますけれども、課税によるCO2削減に加えて、確保した税収を温暖化対策に使うということで、削減への二重の効果があるということ、あるいは環境関連産業の成長を通じた経済活性化にもつながるというようなことに1つ触れておりますのと、それから2つ目といたしましては、家庭部門あるいは運輸部門の多くの部分を含めまして、幅広い分野でのCO2排出削減効果が期待できるというようなことを挙げておりまして、25%削減のための最重要な政策手段であるという位置づけをしているところでございます。
 それから、次に8ページ目のほうに飛んでいただきまして、ここに具体的に地球温暖化対策税の骨子ということで、昨年の当委員会の論点整理にも沿わせていただいた制度設計の考え方といったものを書かせていただいております。
 まず、課税の対象でございますけれども、原則としてご覧のような全ての化石燃料を対象に、幅広く負担を求めるということが原則であると書かせていただいております。
 次に、税率についての考え方でございますけれども、全体としてCO2削減効果、温暖化対策に必要な所要財源を勘案しつつ税率を設定するということ、それから、各化石燃料間で極力CO2排出量に応じた税負担に近づけることを旨としつつ、各化石燃料の担税力、あるいは他の主要国の課税の状況、国際的な税負担のバランス等も勘案するということ、それから、3つ目に各化石燃料ごとに今も環境関連税制として位置づけられ、事実上、CO2削減効果を発揮している既存税制がございます。この既存税制の負担も視野に入れつつ検討するというようなことで、3点、税率についての基本的考え方を書かせていただいております。
 次に、3つ目に課税の段階、納税義務者の関係でございます。これにつきましては最初の丸のところでは、原則として原油・石炭等の輸入者・採取者に課税をする、いわゆる現行の石油石炭税の徴税システムを活用いたしまして、いわば最上流のところで広くご負担をいただくということが、1つ、最初の丸でございます。それから、2つ目の丸として自動車燃料については、他の主要国でも他の化石燃料に比べて高率の課税が行われていること、それから、仮に今後、国内排出量取引制度が導入されたとしても、運輸部門の多くの部分には排出量取引が直接カバーされないという中で、こういうものにも効果を発揮するということで、他の化石燃料よりも高い負担を、具体的には現行の揮発油税等の徴税システムも活用してご負担を求めると、いわゆる上乗せ課税ということを挙げてございます。
 ここの部分が今回、昨年の当委員会の論点整理からやや踏み込んで書かせていただいている部分かと存じますけれども、従来、この上流課税についてはいろいろメリット、デメリットについてご議論を頂戴しているところでございますが、今回はこの2つの丸、上のほうでございますけれども、1行目に家庭を含めた幅広い分野をカバーし、執行が容易・確実となるような簡素性というようなことを、いわば簡素・公平性ということを重視させていただいたこと、さらには冒頭ございました来年度から直ちに実施できるような現実的な選択肢ということで、今回、上流課税とする判断をさせていただいているところでございます。
 それから、4つ目に既存税制との関係、ここは昨年の論点整理の中でもいわば既存税制も一種の事前の環境税として、低炭素化、グリーン化の方向での改革の有効性ということをご指摘いただいている部分でございますけれども、ここについても幾つかの指摘をさせていただいております。
 1つは、自動車の車体課税について、一層の制度のグリーン化を検討する必要性ということを最初の行に書かせていただいております。2つ目には、現行の石油石炭税において、原油と石炭、天然ガスの税率格差があるわけでございますが、これについての問題意識ということでございまして、新たな地球温暖化対策税と合わせた全体の負担の均衡化というようなことに触れてございます。
 その次の丸からは、むしろ導入時の個別の制度の要検討事項ということでございますけれども、3つ目の丸といたしましては、今後、国内排出量取引制度が導入される際、これにつきましては各国の例も参考に、排出量取引に参加している事業者の負担の軽減措置を検討するというようなことを今後の要検討事項として触れてございます。
 それから、9ページのほうに移っていただきまして、国際競争力強化の観点からの特定産業分野への配慮、あるいは低所得者等への配慮に触れてございます。今回、上流課税ということで、簡素・公平な税制の観点を踏まえた提案をさせていただいているわけでございますけれども、その中でもこれらの分野について、まずは使途となる歳出・減税で対応した上で、個別に減免の必要性を検討するというようなことで、これについても触れてございます。
 特にその次の丸でございますけれども、現行石油石炭税において減免対象となっているような、具体的に列挙されている3つの分野につきましては、減免の必要性を検討するということで、1番目のポツはいわばナフサ等でございますけれども、製品原料としての化石燃料、それから2つ目には鉄鋼製造用の石炭・コークス、3つ目には農林漁業用A重油ということでございます。これらは従来の環境省案におきましても、配慮を明示していた分野というふうに承知をしてございます。
 最後に使途でございます。使途につきましては最初の丸にございますように、温暖化対策の歳出・減税に優先的に充てることとするけれども、特定財源とはしないという書き方をしてございます。具体的な使途の例示ということでございますが、例えばということで、チャレンジ25プロジェクト、これは去る10月15日に環境省が22年度予算の事項要求として要求をさせていただきました10項目でございまして、グリーン課税の普及促進でございますとか地域まちづくり、あるいは融資による支援等々のプロジェクトのことを指してございますが、そのプロジェクトを始めといたしまして革新的技術開発等々、ここにご覧いただくような幅広い温暖化対策、その真に有効な温暖化対策について、優先的に充当していただいてはどうかということでございます。
 最後の下の丸でございますけれども、新税につきましては、ともすれば経済へのマイナス効果ということが強調されがちでございますけれども、これらの施策を通じまして、国際的な低炭素社会への流れにいち早く対応した経済構造が形成されるということは、経済に好影響を与えることも期待できるということも、あわせて指摘をさせていただいております。
 なお、今回の要望内容の位置づけでございますが、従来でございますと、8月末にお出しをしておりました定性的な要望というのがございました。これを現下の状況を踏まえてやや今回、具体化をした形で10月末に出させていただいたものでございます。ただ、ご覧いただきますようにまだ税率等を含めた具体案というのは、今後、この骨子を基にしまして、本日、まさに当委員会でのご意見も踏まえさせていただきまして、11月のしかるべき時期までに詰めていきたいというふうに考えております。
 この具体案の策定に当たりましては、今後、また地球温暖化対策全体についての検討状況も見つつ、必要なCO2の削減効果あるいは温暖化対策に必要な所要財源を見極めてまいりまして、要望すべき具体的な税率水準あるいは税収規模というものを詰めてまいりたいと思っております。いずれにいたしましても、25%削減という新しい目標が表明されました新しい状況のもとでございます。昨年までの環境省案とはいささかオーダーの違う大きな議論を今後、いただく必要あろうというふうに考えているところでございます。
 あと、また、1ページ目に戻っていただきまして(2)以下でございます。こちらは、(2)以下に地球温暖化対策税以外の個別の税制につきまして、住宅、自動車あるいは金融、更には、後ろのほうでは森林、研究開発等、さまざまな分野でのいわば低炭素化に資する個別税制の要望もあわせて、今回掲げさせていただいております。ご案内のように昨年度、住宅あるいは自動車を中心に、グリーン化について大きな前進があったところでございますが、それに加えまして、今回も追加でこのようなご要望をさせていただいているところでございます。個々の説明については省略をさせていただきます。
 私からのご説明は以上でございます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 ただいまご報告いただきましたように、環境省の税制改正要望の中で、とりわけ地球温暖化対策税に関わる部分について、詳細にご報告をいただきました。前回、私のほうからも申し上げました論点がございますが、論点別に課税対象、税率、それから課税のインパクトといいますか、課税の段階、既存税制との関係、使途など論点別に骨子案はでき上がっておりまして、ご説明をいただいた中でも触れていただきましたが、昨年までのこの委員会の検討の延長線上で作成していただいたのですけれども、一つ課税段階のところでいえば、上流で課税するか、下流で課税するかという点については、こちらの委員会でも議論が分かれていたところですが、この案では上流課税を税務執行面ないしは導入の時期その他を考えて、上流課税のほうにシフトした絵になっているというところが大きな特色になっているのではないかと思います。
 委員の皆様方から忌憚のないご意見を伺って、そして、また今も事務局のほうから説明がありましたように、これをよりフェーズを上げた案を環境省のほうとしても検討されていくかと思いますので、そうした際に有益になるようなアドバイスを頂戴いただければと思います。いかがでございましょうか。どなたからでも結構でございますので。
 では、天野委員、お願いいたします。

○天野委員 差し当たり2つほど気がついたことがあります。
 まず、1ページで家庭部門、(1)の一番下の黒ポツのところですが、家庭部門や運輸部門というこの2つの部門について、検討することが強調されておりますけれども、これは私は重要な部門だと思いますけれども、ほかに業務部門というのがあるんですね。普通、分けるときは、産業部門、業務部門、家庭部門、運輸部門と、こういう4つの大きな分け方になっているんですが、その業務部門が外れているというのが私はちょっと理解に苦しむんですね。
 といいますのは、業務部門というのは製造業ではないんですけれども、サービス業が非常にたくさん入っておりまして、特に例えば東京都はサービス業、特にビルの化石燃料の使用量が非常に多いというので特別に強制的な政策をとって、ビルのエネルギー需要を減らすような独特の政策をとっているわけですね。これは東京都だけではなくて、ほかの大都市圏もそうですけれども、家庭部門も含めて電力の使用というのは非常に多い、しかも、これは今後、どんどん増える傾向があるわけですが、電力というのは、電力会社は電力を生産するときに化石燃料を使うと炭素税がかかりますから、電力会社はそういう意味では炭素税がかかれば化石燃料の消費を減らしますけれども、一方で、需要のほうで電力の消費量がどんどん増えていくとなれば、電力会社は何ともしようがないわけですね。そういう視点をどういうふうに考えておられるのかと。私はやっぱりこの中に業務部門というのを入れるべきだと思いますね。
 どうして業務部門を入れるかといいますと、家庭部門と業務部門のエネルギー消費全体を見ますと、電力の消費の割合が圧倒的に高いんですね。ですから、そこで例えば所得が増えていって、それに伴って電力の需要が増えるということになりますと、少々、電力会社が化石燃料発電をやめて、水力とか原子力に移転するということをやっても、一方で、電力消費がどんどん増えていくと、しかも発電のときに例えば石炭を全く使用しないで発電しようとしたら、やっぱり電力会社は非常にコストがかかっちゃうわけですね。そういうことを考えますと、私はやっぱり業務部門というものをもう少し重視して、特に電力の消費をいかに炭素の排出の少ない形にするかという、そういう点を考えていただく必要があるんじゃないかと、これが一つの第1点です。
 それから、もう一つの点は9ページなんですが、一番最後に丸がついておりまして、ここはいろんな施策を上に並べて書いてありますが、そういった施策をすることで国際的な低炭素社会へ移行すると、いろんな産業、新しい産業が出てくるので、経済的構造が変わって経済にも好影響が出るという主張がされているんですけれども、確かにそういう面もありますけれども、具体的に数値分析というのをして、国民の皆さんにこういう効果が確かに数量的にも考えられるんだということを理解していただくためには、こういう抽象的な議論だけではなくて、今後の作業の中でお取り上げになることだろうと思いますけれども、やはり数値分析というのをぜひ根拠になるような形で行っていただきたい。
 この2つです。

○神野委員長 最初のところは表現ぶりが誤解を招いているようで。

○川上総務課長 すみません、誤解を生じさせたようでございますも、ここで私どもが意図したかったのは、いわば排出量取引との比較においてのセールスポイントのようなことを少し強く意識して実は書かせていただいておりまして、今後、国内排出量取引制度が導入された場合にもカバーしにくい部分をいうのを考えますと、一つは家庭部門であり、一つは運輸部門の多くの部分であると。
 もちろん、業務部門というのは私どもはカバーすべき領域とは思っておるんですけれども、ある程度は排出量取引でカバーできるのではないかということで、そういう意識を持って、割とここがいわば一番税しかカバーができない部分というセールスポイントを明示するという意味で、ここに書かせていただいております。ただ、私どもの意識としては当然、この業務部門についても、当然、抑制をしていかなければいけないという気持ちを持っておりますので、そこがちょっともしも誤解を生じるような表現でございましたら、また、今後の機会には考えていきたいと思います。
 それから、電力を通じての抑制というお話がございました。一つは、私どもは今の石油石炭税の中でも、石炭・天然ガスと原油の間の税率格差があるということ、先ほどの骨子の中でも1行、問題意識として触れさせていただいたものでございまして、そこのいわば税率格差があることによって、いわば石炭・火力みたいなところに非常にウエートがかかっている、それによってCO2が増えているというところの問題意識を持っておりまして、そこら辺の税率格差というのを直さなければいけないのではないかということは、今回、一つの問題提起としてさせていただいております。
 それから、当然、こういう新しい税負担をお願いするということになりますと、全体の電力のコスト、それを通じての転嫁ということを通じまして、電力価格に影響してくるのは事実でございまして、電力価格の動向を通じて、いわば家庭での節約効果をいうことまで、私どもは期待しているというところでございます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 1ページ目のところは少し誤解を招かないように、つまり、業務部門などは当然なんだけれども、含めてというふうにというか、あるわけですよね。表現ぶりが含めという。

○川上総務課長 私どもの気持ちとしては、含め、幅広いというところで。

○神野委員長 ということですよね。だから、含めのほうの読み方とかが誤解を招くといけないので、少し丁寧に書いていただくということでしょうか。

○天野委員 今のご説明で、業務部門というのは排出量取引を適用するので、問題ないとおっしゃっているんですけれども、業務部門というのは非常にたくさんの主体が動いているわけです。

○神野委員長 いや、そういう価値観を入れないで、業務部門を含めてということ。

○天野委員 ですから、果たして排出量取引で4部門の多くの排出をカバーできるかどうかというのは、私はちょっと疑問じゃないかと思うんですね。その辺はいかがですか。

○川上総務課長 そこは、また今後の排出量取引のほうの制度設計にもよると思いますので、私どものやや認識が不十分でございましたら、ちょっとそこはよく精査をして、今後の表現ぶりには気をつけたいと思います。

○神野委員長 ここは排出権取引はニュートラルに書いておいてもらって、当面、全部課税するんだということが課税というか、それを抑制することは可能になる手法なんだということを強調してもらって、特にという点で、家庭部門や運輸部門などというところも対象になるということを特色として指摘していると。

○川上総務課長 私どもとして一番強調したかったのは、あらゆる部門、すべての部門に幅広くということがもともと強調したかった部分でございますので、そこで若干この表現が誤解を招くとすれば、そこは今後の機会においては見直しをさせていただきたいと存じます。

○天野委員 私の申し上げているのは、すべての部門という意味で言っているのではなく、特に業務部門に集中的に何か政策をすべき問題点がありますよということを申し上げているんですね。でも、ここの全般的にと書かれたら、それが消えちゃうわけですよ。運輸とか家庭部門というのは、ここでは特に取り上げられているので、これは私も問題はないと思いますけれども、これと同じぐらい業務部門って大事だという認識はないと思うんですね。そのあたりの認識の違いというのをもう少しクリアにしていただければと。私は業務部門って非常に温暖化対策としては大事な部門だと思いますね。東京都の例を見てもわかります。そこだけやっているんですからね、ほかのところには規制をしないで、直接規制を業務部門のビルの電力使用に対して、非常に強い強制的な政策をとっている。そういう点をどう考えていらっしゃるかですね。

○神野委員長 いいですよね。いずれにしても東京都がやっているような意味で、業務部門が重要だということは認識していただいて。

○川上総務課長 そこもよく承知をしております。

○神野委員長 ただ、税という手段の特色としてその面を強調したということですので、もし問題があるようだったらニュートラルに書いておいてもらえばいいんじゃないでしょうか。

○川上総務課長 わかりました。

○神野委員長 誤解を招かないようにして、例えば業務部門は当然入っているので。

○川上総務課長 当然入っているという認識でございました。

○神野委員長 という意識で、つまり、手段の特色を説明されているのだと思いますから、そこはちょっと誤解がないように書いておいていただければと思います。
 あとはいかがでございますか。数値分析については、9ページ目の。

○川上総務課長 数値分析の関係は、地球環境局からもう少し補足でご説明いただければと思いますけれども、これはまさに私どもも問題意識を持っておりまして、どういうふうに具体的にプラス面を世の中に出してアピールするかということにつきましては、今、閣僚委員会のもとで設けられておりますタスクフォースでも、こういう具体的な分析をして、どういうふうに世の中に対してご説明できるかということを検討していただいているというように承知をしております。

○鎌形総務課長 今、川上課長からお話があったとおりですけれども、閣僚委員会のもとで25%削減、こういった目標を達成していくという政策を進めていった場合に、一体、世の中、経済がどうなるかということの試算をやっているということです。その中で前政権でも同じような分析がございました。25%という意味ではないですけれども、温暖化対策を進めた場合の分析がございましたけれども、ともすれば負担面が強調されがちであったというご指摘があります。そういう指摘を踏まえて、実際に新しい経済構造あるいは新産業というものを、こういうモデル分析でどういうふうに生かしていけるかということも含めてやっているというところでございます。順次、モデル分析の結果が出ていくことになると思います。

○神野委員長 よろしいでしょうか。また、委員にもご協力いただくことになるかと思います。
 ほかにいかがでございますか。
 横山委員、何かございましたらちょっとお願いいたします。

○横山委員 中央大学、横山です。前回、出席できずに失礼いたしました。
 新政権のもとで新たな削減目標が設定されて、それに向けてどう取り組んでいくのかということの中で、経済的手法として挙げられている2つの排出量取引の話と、それから温暖化対策税の兼ね合いと、この両者を同時に活用していくというのが、前回までのこの専門委員会の基本的な総意だったのではないかと。それぞれの特徴があると、これは天野委員のほうからかなり明確に理論的な裏づけもなされていると。それから、財源としてというんでしょうかね、補助金を合わせ技で税とそれから歳出の2つを使うということについても、学問的な知見から重要だということも、この専門委員会である程度合意ができたのではないかと。
 それを踏まえて、今後、どういう方向でといったときに、25%削減というかなり大きな削減目標をどうやって達成していくのかといったときに、今あるインフラとしての政策手段をどこまで活用できるのかといったときに、既存の徴税の仕組み等もやはり考えていく必要があるんだろうと。それから新たに制度設計をしなければならない、導入するまでにかなり時間がかかる制度の排出量取引については、かなり集中的な準備が必要なんでしょうと。そうすると、やはり地球温暖化対策税というようなものをどういうふうに今後、入れていくのかということは、私はかなり重要になってくるのではないかと。
 それから、環境の観点から税体系を再構築するという税制のグリーン化ということは、環境立国としての日本をやはりヨーロッパあるいはアメリカ、中国等の諸外国にメッセージとして送るときに、全く地球温暖化対策について、税制を活用していないという姿のままで時間が経過してきているわけですから、新政権のもとで野心的な目標を達成する一つの見える化というんでしょうかね、姿として何らかの形で諸外国に対して、早急にこうした対策を実現するんだということを示していくことは、私は非常に重要な意味があるんだろうと思っています。
 そういう点で、もう一つ今回の事務局関係諸案について、私がかなりご苦労なさった上でのお考えなのかなと思っていますのは、上流課税ということに力点を置かれていると。これは地方環境税というようなものの配慮もどこかにあるのかなということで、そういう点で国と地方のグリーン税制なり、税制のグリーン化における役割分担というものも、かなり今後、重要になってくるとすれば、こうした上流課税で国が課税をすると、地方は地方で下流について、それぞれの地方のお考えでやっていく余地も残しているという点では、私としては第一歩として、いい方向に行っているのではないかと、かように思っています。
 以上です。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 では、増井委員、お願いできますかね。

○増井委員 特にないんですけれども、2点だけつけ加えるといいますか、コメントさせていただきます。
 9ページのところに、使途でいろいろなところが書かれてありまして、一番最後のところに国内対策を補う海外クレジットの取得ということが書かれているわけなんですけれども、これの文言だけですと、何か海外から本当に排出枠を買ってくるというようなところだけしかとれないわけで、本来、意図されているのは、日本における日本が持っている技術の国際貢献というところだと思いますので、海外に対する技術移転というふうなところについても、こういう使途、使えるようにしていただけると、日本の国際貢献というところがもっと明確になって、いいのではないかなというふうに思いました。
 あと、もう1点なんですけれども、今回、排出量取引との関係ということで、さまざまな記述がなされておりますけれども、今回、25%削減に向けましていろんな政策というふうなものが今後、提案されてくるかと思います。実際、使途のところに書かれていますような太陽光発電、バイオマスのような新エネルギー対策というふうなところも、含まれているものとは承知しておるんですけれども、そういう他の政策との関係、やっぱりこの環境税、温暖化対策税というのはある意味、ベースとなっているものであって、ほかの温暖化対策とどういうふうな関係にあるのかというふうなところについても、少し記述があったほうがいいのかなというふうに思った次第です。
 以上、2点です。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 事務局のほうから横山委員のことを含めて何かコメントはありますか。横山委員のほうからは国税と地方税との関係などにも触れていただきましたが。

○川上総務課長 地方のほうは、先日、たしか税調のほうに、地方団体からも地方環境税の要望等も出ているというように承知しておりますし、私どもは今、まだ国の温暖化対策の観点から、環境省としての案を出していただいたというレベルにとどまっておりますので、今後、地方の側からのご要望を含めて、また税調のほうで両案が出てまいったところで、いろいろご議論、調整がなされるんだろうと思っております。そういう意味では、そこの分までそんなに意図してというか、そこまで深くということでお出しをしているということではございません。地方との関係はまたよく税調の場で全体をご議論いただいて、調整がなされる話だろうと思っております。

○神野委員長 今の点。では、ちょっとまってください。では、天野委員、いいです。

○天野委員 横山委員もおっしゃいましたけれども、中央の政策と地方の政策というのをどういうふうに考えるかというのが、今の議論ではあまり詳しくは書かれていない。だけれども、非常に重要な点なんですね。
 私もいろいろ環境税なんかの影響の分析を勉強していますけれども、例えば温暖化対策税、こういうものを国がぱんとやると全国一律になっちゃって、そうすると地方と大都市圏というのは随分性格が違って、地方のほうはとにかく自動車を使わざるを得ない、鉄道がそんなに発達していませんし、距離も非常に遠いし。そうすると同じ税率をかけても、大都市圏と地方区域で負担感が全然違うんですね。ですから、国の政策で全部やっちゃうと、そういった不公平性というのは当然出てきますので、おっしゃるように地方にその部分をどういうふうに対応してもらうかということも一緒に検討しないと、ある意味で導入する前に不公平だという反対論がばっと出てくる心配があるんですね。
 ですから、地域のことをよく考えて、地域がどういう対策をとって、国はどういう対策をとってということも含めてやっぱり議論していただかないと、一律に炭素税を全国同じ率でかけますよというと、今のような問題がやっぱり当然出てきますので、それはぜひお考えいただきたいと思いますね。

○神野委員長 ありがとうございます。
 では、引き続いて次のご説明いただく論点を。

○川上総務課長 今のまず天野先生のご指摘にちょっとコメントさせていただきますと、当然、それは国、地方の税源の配分ということにもかかってまいりますので、そこはまだ今後、税調でご議論があるかと思います。その中で間接税ですと、なかなか地域ごとに税率を変えられないという部分と、例えば車体課税等で地方独自の財源というのもあるかもしれません。いろいろそこはそれぞれの税の性格に応じた役割分担ということも、これからご議論があり得るのではないかと思いますし、それから、使途のほうにつきましては特に今、例えば軽油引取税はご案内のように地方財源でございますから、それについてのまた地方側からのご心配というのもあるかと思います。したがって、そこら辺のまた税をどう張るかという話と、それからまた使途として、それを全部国の温暖化対策に使っていいのか、地方財源をどうするのかというようなご議論もやはり総合的に今後、税調の場で恐らくご議論があるんだろうと承知はしております。
 それから、先ほどの増井先生のほうのご質問でございますけれども、実は経費的に申しますと、先ほどの使途のところのチャレンジ25というのがございまして、この10項目の中に実は鳩山イニシアチブというのが入ってございます。
 これはまだ中身としてはこれからのご議論でございますけれども、先ほど先生のご指摘のあったような国際貢献というのも今後、その要素としてご議論があろうかと思っておりますが、いずれにしてもまだこの話は今後、年末にかけていろいろご議論がある話というふうに承知しておりましたものですから、実際にここに大体例示をさせていただいておりますのは、主として今足元、京都議定書の第一期間にどういう施策をしているかという整理を、オールジャパンとして実施している既存のものがございます。そういうもののいわば大項目を中心にいたしまして、こういう広義の温暖化対策のメニューがあるよというようなことをお示ししているものでございます。あくまで暫定的な例示というところでございますけれども、当然、年末にかけてチャレンジ25の中あるいは外を含めまして、国際貢献のご議論というのは出てくる、また、年末の段階では、そこは一つの大きなメニューになってくる可能性があるというふうに承知をしてございます。

○神野委員長 ありがとうございました。
 では、植田委員、お願いできますか。

○植田委員 私も、他の委員がご指摘なされた点については共通した理解といいますか、意見を持っております。特に横山委員がおっしゃられたように、地球温暖化対策税が2つの意味で大変重要な意味を持っている、つまり意欲的な削減目標25%削減を総動員で政策的に達成する場合の私の用語でいえば中核的政策手段というか、そういう面が地球温暖化対策税に与えられているということと、それから税の体系を環境の観点から再構築するという観点、この二重の意味を与えた大変重要な税になっていると、こういう理解をしています。そういう意味で、大変大きな意義を持つということなので、なおさら温暖化対策税のあり方について、慎重にかつ積極的に検討していくということが大事だと、こういうふうに思っています。
 それで、まず細かいことなのですけれども、8ページのところで地球温暖化対策税の骨子の中の既存税制との関係、「等」というのは何でも入るのかもしれないのですけれども、この3つ目が排出量取引制度との関連で言及されている部分ですね。ただ、その他は税そのものと関わった記述で、私は確かに税に関する骨子なので、こういう書き方になるのかもしれないのですが、先ほど申し上げたような意味で、よくポリシーミックスと言われるような問題との関係で、別途、記述を分けたほうがわかりやすいのじゃないかなと感じました。
 やはり国民的関心としても、地球温暖化対策税は税収あるいは税収の使途という、あるいは税体系を変えるという意味でとても大事であると同時に、やはり25%削減を達成していくために、他の政策手段とどういう関係にあるのかということが大きな関心事の一つであろうと思いますので、別立てで少し記述しておいたほうが望ましいような気がしました、これ以外の点についても政策体系で。
 もう1点は、論点との関係ではまさにこのとおり、課税対象、税率、課税の段階、こういうことになっていくわけですけれども、地球温暖化対策税がどういう税なのかとか、あるいは地球温暖化対策税でどういうことまで勘案して、この税は考えているのかということが少し、それぞれの文章の中を全部まとめれば出てくるのかなという気はいたしましたけれども、一つは要するにいわゆるCO2排出量に応じた税にするんだというような意味の、いわゆる汚染者負担という考え方の税というのもあろうかと思いますし、一方では必要な財源をどう調達するかという観点を持っているので、いわば公正な負担を求める税として考えようとしているというような側面というようなこともあろうかと思います。
 そういう何か基本的な考え方に関わって、先ほどもご説明がありましたように、中央と地方の税源の配分問題という側面が一方でありますけれども、もう一面では、日本の経済や社会の抱えている課題との関係で、どういう税であるべきかという観点をあわせて組み入れているというご指摘もあったかと思うので、そういう点も踏まえた税であるともし今後考えていくなら、少し明確にしていったほうがいいかなと思いました。
 以上でございます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 事務局のほうからコメントなんかはよろしいですか。
 ほかに。天野委員、どうぞ。

○天野委員 諸外国の温暖化対策税あるいは炭素税、そういうのを見ておりますと、税収を全部環境に使うというのは、例としては少ないんじゃないかという気がするんですね。補助金と税と組み合わせて同時に行って、それで環境目的だけを達成するというのが今回のご報告の趣旨のように思うんですが、そういうやり方をしますと、今後、ほかの国がやっているような形で税収はかなり一般財源に入れると、税率のほうで環境対策を求めるというふうなやり方とかなり違うやり方になるわけですね。
 その辺で、何か制約みたいなものがあるんじゃないかという気がするんですが、環境省としてこういう案を出すというのはわかりますけれども、これが国全体の税制と関連するわけですから、そういう意味で、こういう形がすんなり一般的に受け入れられるのかという点で、ちょっと気がかりなところがあって、日本の場合には諸外国と違って、特に税収のほうも環境対策に使わざるを得ないという特別の理由があれば、それはそれとしてお示しいただいて、説明していただく必要があるんじゃないかという気がしますね。どうしてほかの国とかなり違ったやり方をするのかという説明も、場合によっては必要かなという気がしないでもありません。
 以上です。

○神野委員長 いかがですか。当面、財源は一般財源にしているわけですか。

○川上総務課長 まず、9ページに書かせていただいているように、今回、特定財源とはしないで、一般財源とするということでございます。もちろん税でございまして、全体の財源調達手段でございますから、その使途について、私どもはまず温暖化対策に優先的に充てていただきたいということでございますが、その後、またオールジャパンでいろいろご議論があるということは、あり得ることだと思っております。ただ、今の25%を達成するための温暖化対策の歳出に相当お金がかかるということは、まず眼前の事実としてございますので、その意味では環境省としてはまずは一般財源にはするけれども、まずそこに充てていただくのだけでも、なかなか大変ではないかという気がしております。
 それから、私どもが承知しているところ、昨年の委員会でも税の使い方については、むしろ税による抑制効果だけではなくて、税収をまた温暖化対策に使うことによる財源効果と両方が相まって、比較的少ない税収であっても、全体として高いCO2削減効果が期待できるというふうな試算も、先生方にしていただいているというふうに承知をしてございますので、その意味では優先的に温暖化対策に充てていただいて、両面の効果をねらうということは、当座、25%の新たな目標を達成する、できるだけ必要最小限の税収でお願いをするということでは、そういう意義があるのではないかという気持ちは持っております。

○神野委員長 あと、いかがでございましょうか、委員の方々から。いいですか。
 そうすると、今まで委員の方々のご意見を伺ってきて、ほぼこの方向でお進めいただければと思いますが、位置づけというか、何か私の個人的な見解ですが、暫定税率が廃止になるので、私はそういう言い方をしてきたところがあるので、そのためにそれを入れていくというか、それとの見返りで入れていくというような議論がありますけれども、この委員会としてはいわば一貫して、地球環境のために環境税を導入しなければならないというふうに主張し続けてきているわけですから、しかも25%という大きな目標が設定されて、より逼迫したというか、切実としたくらいになっているという点が第一ですよね。
 あらゆる政策を総動員せざるを得ないのだけれども、その中で植田先生の言葉を使えば中核的な存在として、この地球温暖化対策税を位置づけなければならないという意味を訴えていくような書き方にしてもらうということで、先ほどの他の政策との関係づけなどや、それから、したがって、暫定税率の廃止なども言いかえれば既存の税制を活用するというときに、既存の税制がもしも変わるとすればということになるかと思いますので、どういう書き方をするかはちょっと別ですが、少なくとも重要なというか、こちらで訴えていく一つの意図は、むしろ緊急でかつ緊要な政策課題となっている地球温暖化の対策をする、これに対しての中核的な手段だということを訴えていくということが一つかなと思いました。
 それから、もう一つ、この間、税制調査会にお招きいただいたときにも申し上げたんですが、ここでもの先ほどご指摘がありましたように、今後の税体系をどう考えていくのか、税体系は10年、20年経つと大きく変わるわけですね。例えば30年ぐらい前までは付加価値税、消費税なんか存在しなかったので、79年は存在していないですね、していなかったわけですので、今後、長期的に見たときに、20年、30年たつと、確実に環境関係税が税体系の一環として位置づけられていると、しかも、今、重量といいますか、量に関わる税金、従価、価格に関わるのではなく、重量税の存在意義をどう考えていくのかというような、今はお酒とかたばこにかけているわけですですが、今後、どういうふうに税体系を組み直す上で考えていくのかというような問題を考える税体系を考える上で、この問題はやっぱり避けて通れない。
 かつ課税の公正の概念というのは時代とともに変わるわけですが、私たちのさまざまな国民の共同事業を公共サービスとして提供するわけですけれども、それをどうやって負担し合うか、その構成の概念のときに、地球の環境に好ましくないような行為を負担し合うときに、そこに重い負担を求めていくということが正義か否かということにも関わるかと思いますが、そうした今後の税体系というか、今後の環境政策とそれから今後の未来への租税施策という観点から、正当化をきちっとやった上で、議論していくということのほうがいいのではないかというのが多分、今、意見をお伺いした委員の方々から感じられたコメントでございますので、多分、ここから少し要綱といいますか、そのレベルに引き上げていくときには、そうした趣旨が言外に読み取れるような構成の仕方をお願いするということでしょうかね、というようなことを感じました。
 事務局のほうから何か全体についてコメントがあれば。

○川上総務課長 まさに今、神野委員長からご指摘いただいておりますように、単に暫定税率廃止による廃止による税収の穴埋めみたいな誤解を招かないように、きちんと税体系全体での位置づけ、あるいは緊要な温暖化対策との関係、その中での非常にメーンの施策手段であるというようなことがきちんとわかるような形での位置づけ、文章構成というのは今後、また新たな文章を作成する機会には、よく考えてまいりたいというふうに思っております。
 今回の要望の1枚目のところでも、神野委員長のご指摘も踏まえまして、環境の観点から税体系を再構築する税制のグリーン化の根幹をなすというような表現を入れさえていただいていますし、それから昨年の当委員会での論点整理の中で新しい構成の概念、それにかなうところでの環境税の税体系における位置づけというようなことは触れていただいておりますので、そういうことを私どもは酌み取らせていただきながら、今後、そういう機会に文章作成するときには、よく心してまいりたいと思っております。

○神野委員長 あと、よろしいですかね。どうぞ。

○天野委員 先ほど植田委員のほうからもちょっとご指摘がありますけれども、ここは税の話をする委員会ですが、私は最初から申し上げておりますように、温暖化対策という対策手法にはもちろん税もありますけれども、排出取引というのが非常に大きな新しい政策手法なんですね。これは日本ではまだ全く新しいという受け止め方ですけれども、先ほどのお話ではありませんけれども、遠い将来を見れば、これはもう一つの定着した政策手法として位置づけられるようなものだと私は考えておりますけれども、例えば2020年に25%削減するといったときに、排出量取引で何%削減するのかということが全然わからないで、私たちが税率の議論をするというのは大変おかしな話なんですね。
 ですから、私はここで排出量取引の議論をしろというんじゃなくて、ほかでおやりになっている排出量取引の議論が現在、どういう形で進行しているかという情報をこちらにいただいて、逆に税のほうでこんな議論が進んでいますよということを向こうの委員会に返すというやり方をして、両方で考えていく必要があると。一緒にやれば一番いいんですけれども、それは規模が大きくなりますから今のやり方でいいと思いますが、その両者の連絡が全くなしに、こちらは税だけを考えるというのは、私は間違ったやり方だと思いますね。

○神野委員長 何かコメントはありますか。

○川上総務課長 また、しかるべく当委員会の委員の方々への情報提供ということをさせていただきたいと思います。
 それから、さまに全体の中での削減効果なり、財源効果というのをどう見るかというところで、この後、また各委員の方にいろいろ作業を、昨年もいろいろこの論点整理をつくるに当たって作業をいただき、ご教授いただきました。それについてはまた本年もいろいろ作業をお願いすることがあろうかと思いますので、むしろ専門家である先生方からのいろんなご教授をお願いできればと思っております。

○神野委員長 あとはよろしいですかね。特に課税段階はいかがですか。いいですか、大丈夫ですか。
 それでは、一当たりご意見をいただきましたので、この辺で次の議題のほうに移っていきたいと思います。議事次第の2番目に書いてございます。次の今後の作業についてに移っていきますが、これは地球温暖化対策税の具体案を検討するために、財源効果、それから価格効果、それから経済影響などへの先ほどのご指摘もありますが、数値分析、試算をする必要がございます。私のほうから事務局にお願いをいたしまして、委員の皆様、また事務局にどのような作業をしてもらうかということを整理いたしましたので、事務局のほうから今後の作業について、ご説明していただければと思います。

○東條環境経済課長補佐 ご説明させていただきます。資料3とあと参考資料を使いながらご説明させていただきます。
 今後、税率とか税収を決めるに当たって、昨年お願いしたのと同じようなことをお願いしたいと思っておりまして、資料3に6項目ほど掲げております。
 まず、1の価格弾性値・価格効果の試算というものを昨年と同じように、天野委員のほうにお願いしたと思っております。参考資料1の6ページ辺りに去年は書いていただいておりますけれども、表5の辺りですけれども、炭素トン当たり2,400円の炭素税によるエネルギー最終消費量の変化率というような表の形で整理していただいております。こういったようなことをまた情報提供、分析いただきたいというふうに思っております。
 2つ目の財源効果の試算、もう一つ、3のマクロ経済への影響の試算でございますけれども、これは参考資料2につけております。増井委員のほうにお願いしたいと思っていることでございます。4ページ目、表3ですけれども、昨年の税収、軽減措置も勘案しながら税収を出していただて、それがBaUケースと比較してどれぐらいの削減効果があり、あるいは表3のほうですけれども、ページ4から5にかけてになっていますけれども、GDPにどれぐらいの影響を与えるかというようなことをまとめていただいております。こういったようなことを今年もお願いしたいというふうに思っております。
 4番目の家計への影響の試算、5番目の産業部門への影響の試算ですけれども、これは参考資料3でございます。これは事務局のほうでまとめたいと思っております。家計への影響は最後のページになりますけれども、家計調査年表を使って、所得の階層別にどれぐらい収入に対していろんな負担が増えるのかと、割合がどれぐらいになるのかというようなことを試算しておりましたので、今年も同じようにやりたいと思っております。産業への影響ですけれども、これは例えば同じ参考資料の3ページをご覧いただきたいと思いますけれども、産業部門の中で課税した場合、あるいはいろんな軽減措置を講じた場合に、課税額と生産額との比較がどうなるかということで、課税をしたときあるいは軽減措置をいろいろ講じることによって、産業部門への影響も減らすことができますというようなものを示したものでございました。こういったようなことをまた分析していきたいというふうに思っております。
 最後、6番が暫定税率廃止がCO2排出量に与える影響の試算と、これは増井委員のほうにお願いしたいと思っております。参考資料4でございます。先ほどお話がありましたように、暫定税率が廃止されるから地球温暖化対策税ということではないんですけれども、関係しているということで去年も試算いただいておりましたし、前回の委員会でも今、新しくする作業をしている途中でお示しいたしますというお話をしておりましたので、増井委員にお願いいたしまして、新しいものを分析する作業をしたいというふうに思っております。3ページに結論というのがございまして、去年は京都議定書第一約束期間終了時の2012年までの4年間平均で720万トン増加するというようなことが分析されておりました。
 以上、簡単でございますけれども、こういった作業をお願いしたいと思っておりますので、委員の皆様にはよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、今後の作業方針についてご説明いただきましたけれども、これについてご質問、ご意見がありましたら、ご協力いただける天野委員、何かございますか、よろしいですか。どうぞ。

○増井委員 1点というか、2点あるんですけれども、1点目は単位の問題ですね。今回の資料を見ておりましても、例えば参考資料3等では炭素トン当たりの税率が書かれております。一方、中期目標検討等では二酸化炭素トン当たりの税率が示されております。そのあたり、テクニカルな意味ではすぐに換算できるんですけれども、一般に示すというふうなことを考えたときにはやはり混乱が生じるかと思いますので、単位のほうはぜひとも共有といいましょうか、共通化していただきたいというのが1点目でございます。
 あと、2点目、私のほうに課せられた宿題のほうなんですけれども、今、ちょうど植田先生が座長となってタスクフォースのほうの議論を進めているわけなんですけれども、その中でもう一度ベースラインを見直しましょうというような議論もありまして、つまり、2020年の姿、それをどうするのかというふうな話も今、現在進行中で行っております。実はそういうふうな姿というのが昨年まで想定していたものとかなり違うというふうなこともありますので、そのあたり、ちょっと作業の効率化というふうなこともありますので、できれば、今、進めている作業に合わせてオンするような形で、今回、いただいております宿題をするということをご理解いただければと思います。
 以上、2点です。

○神野委員長 事務局のほうからコメントいただければいいと思うんですが。

○東條環境経済課長補佐 単位の問題は、昨年は環境税を出すときには炭素トン当たりで、括弧のほうで二酸化炭素当たりというのを出してあったと思いますけれども、ちょっと全体の今の状況を踏まえて、統一して出すようにしたいと思います。
 2点目のほうは、タスクフォースのほうで作業が進んでいるというのも承知しておりますので、できるだけご負担にならないような形でお願いしたいというふうに思っております。
 以上でございます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 横山委員、どうぞ。

○横山委員 先ほどのご議論の中で、天野委員のほうから業務部門へのインパクトも重要なんだというご指摘があったことを反映させるとするならば、今後の作業の中にどの程度可能なのか、ちょっと私はその作業量はわかりませんが、家計への影響の試算、産業部門への影響の試算以外に業務部門への影響の試算というようなものも……。

○天野委員 運輸部門。

○横山委員 ええ、その辺のところもつけ加えていただくようなご配慮をいただいたほうが、天野委員のご趣旨にも合致するのではないかと、このように思いますが。

○神野委員長 これはいかがでしょうか。

○東條環境経済課長補佐 今、ちょっとどういうふうにできるのか、すぐにはわからないんですけれども、検討させていただきたいと思います。

○神野委員長 植田委員、どうぞ。

○植田委員 何か作業が増えていくようになるので、大変恐縮なのですけれども、マクロ経済、産業別とか部門別というのはよく分析結果で出てくるし、とても大事なことなのですが、もう一つは地域別という問題が本当はあるのじゃないかと思いまして、少しチャレンジングになるかもしれないのですけれども、考えていただければと思いました。
 以上です。

○神野委員長 地域別は産業連関表みたいなのはできているんですか。つまり、データの、やれるような資料があるのかどうか。

○天野委員 私は価格弾力性とか価格効果の試算というのが割り当てられているんですが、今までは全国ベースでやっていましたけれども、47都道府県でやってほしいと言われて、今、一生懸命、それをどうやるかというのを考えているところですので、いずれは地域的な話も、当然、ここへ上がってくるというふうには思います。ただ、全国と違ってやっぱりデータの制約が非常に多いので、どこまでできるかわかりませんが、一応、今までやったぐらいのことはできるだろうという見通しはついております。

○神野委員長 事務局のほうとか、増井委員、実行可能性、つまり、我々の産業連関表の知識でいけば、こっちの最終部門とそうじゃない部門との影響を掛け合わせるようなことになるようなことにもなるんだと思うんですが、大丈夫でしょうかね、できそうですか。

○増井委員 今の地域別でというお話でしょうか。

○神野委員長 地域とそれからあと運輸とか業務とか。

○増井委員 運輸や業務については産業連関表の中にすでに入っていますから、ある程度は可能なんですけれども。

○神野委員長 だけれども、こっちベースでやるのと、こっちベースでやるのとちょっと違ってくる可能性が。

○増井委員 一般均衡ですので大丈夫なんですけれども、地域はさすがに今のところはちょっと対応できませんので、ちょっと全国ベースになってしまいます。

○神野委員長 いいですかね、できる限り可能な努力をしていただくというようなことで。
 ほかにこの作業についてのご意見はありませんでしょうか。
 中里委員がお見えになったのですけれども、既にここでの本題のほうを思慮しておりまして、お手元にお配りした骨子案について何か、ちょっと今のところ、その問題にまた戻るというようなあれではないので、いいですか。
 期日的にはというか、税務行政的な問題については上流課税になっているので。

○中里委員 大分楽です。

○神野委員長 ええ、楽になるかと思いますので、特に中里先生からの目から見て問題点が大きいと思いませんけれども、何かございましたら、また、事務局のほうにアドバイスをいただければなというふうに思います。
 そうしますと、予定の時間が大分余っているんですが、あと、特に事務局のほうでこれをという話題がなければ、あとのことにつきましては私と事務局を中心に調整作業を行わせていただきながら、今年は大きな政権交代ということがあり、通常の手続どおりに進まないというか、どういう議論で進んでいくのかということが見えにくいところもあるのですが、税制調査会の議論やそれからお願いしている試算作業などの進捗状況を見て、気負いするわけにもいきませんので、適宜、対応させていただきながら、皆様へのご連絡やご協力をちょうだいするということで進めさせていただこうかというふうに思っております。
 事務局のほうから何かございましたらどうぞ。

○石飛環境経済課長 ありがとうございます。
 今、神野委員長のほうからお話があったとおり、これからそれぞれ事務局もそうですけれども、天野委員、増井委員には多大な作業をお願いすることになりますけれども、よろしくお願いしたいと思っております。今後のスケジュールは先ほど神野委員長からお話のあったとおり、先が明確に見えているという状況ではございません。また、それぞれお願いする作業、事務局の作業も含めまして、進捗状況をお互いに横を見ながら、よく連携させて作業は進めさせていただきたいと思っているところでございます。その上で、また、ほかの委員の皆様方からもいろいろご指導いただきながら、地球温暖化対策税の具体案を早急に固めていきたいというふうに考えておりますので、引き続き委員の皆様方にはよろしくお願いしたいと思います。
 事務局からは以上でございます。

○神野委員長 どうもありがとうございます。
 特にご発言がなければ、これでこの委員会を閉会したいと思いますが、よろしいですか。
 それでは、わざわざお忙しい中、ご参集いただきましたことに感謝申し上げまして、本日の議事をこれにて終了したいと思います。どうもありがとうございました。

午前10時47分 閉会