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中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会
第3回グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会議事録


午後1時00分 開会

○環境経済課長 定刻となりましたので、ただいまからグリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会第3回会合を開催したいと思います。
 本日は8名の委員のうち、6名の方にご参加いただいております。本日ご欠席の委員は植田委員と和気委員でございます。
 それでは、以降の進行を神野委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○神野委員長 それでは、委員会を開催したいと思います。
 委員の皆様方にはお忙しい中ご参集いただきまして、本当にありがとうございます。重ねて御礼申し上げます。
 議事次第にございますように、本日は2つの議題を用意してございます。最初の議題は、国民経済や産業の国際競争力に与える影響ということでございますが、この件に関しましては、事務局と諸富委員からご説明をいただいた後、議論をしたいと思っております。
 2番目の議題は既存エネルギー関係諸税との関係ということでございますが、これについては事務局からご説明をいただいた後、議論を行いたいというふうに思っております。
 本日の会合は15時までを予定しておりますので、議事の運営に関しましてご協力をいただければと思います。
 それでは、第1番目の議題、国民経済や産業の国際競争力に与える影響に関して、まず事務局のほうから資料1をご説明いただき、関連する参考資料1及び2を紹介していただくということでございます。よろしくお願いいたします。

○環境経済課課長補佐 それでは、資料1、産業の国際競争力や家計に与える影響関係資料でございます。
 それでは、1枚おめくりいただきまして1ページですけれども、データ集ということでありまして、過去の専門委員会でも同様のデータをとらせていただきまして、これを基本的に直近のデータで更新している内容でございます。
 まず、(1)で1つ目ですが、業種別の生産額に占めるエネルギーコスト比較ということでありまして、この図1ですけれども、エネルギーコストの対生産額比較ということでありまして、5%を超える業としましては、例えば窯業の関係、鉄鋼業、パルプ、繊維あたりが高い比率となってございまして、逆に輸送用機械器具ですとか情報通信器具ですとかそういった関係が低い比率を示してございます。
 2ページですけれども、こちらもデータになりますが、経済、GDPとの関係の観点から、業種別の単位付加価値額当たりの二酸化炭素排出量比較を出しておりますけれども、付加価値額100万円当たりのt−cの数字でありまして、高いところでは鉄鋼業が13.58t−cと、石油製品・石炭製品製造業が5.22t−cであり、プラスチック製品製造業が4.13t−cという高い数字になってございます。
 3ページですけれども、各業種の課税額と生産額との比較ということでありまして、こちらも前身の環境税の専門委員会の資料をベースに最新のデータをもとに更新しているものでありますけれども、仮にということで環境省がこれまで環境税の具体案として要望してきておりますt−c当たり2,400円の税率で課税した場合の生産コストに占める課税額の割合がどの程度になるのかということで3本棒がありまして、左からまず課税をした場合の純粋な課税額というものの比率と、真ん中の棒が一定の条件で軽減措置を設けた場合、さらに右が一定の別の条件で軽減措置を場合を設けた場合ということでありまして、軽減措置の内容はこのページの一番下から4行目に書いてございます軽減措置ということでありまして、環境省の具体案で、まず前提としまして税率はt−c当たり2,400円ですけれども、軽減措置としてこれまで考えてきましたのは、[1]で灯油について5割軽減と、あわせて鉄鋼等製造用の石炭、コークス等は免税ということ、これが1つ目の軽減措置の内容とで、これに加えて[2]ですけれども、大口排出事業者において削減努力をした場合は8割軽減ということで、試算上は排出規模にかかわらず一律8割軽減となっておりますけれども、実際上はこの環境省の案でもそうですけれども、削減努力をした場合は8割軽減で、実効性ある削減の仕組みとあわせた軽減の検討が必要ですが、何らかの実効性ある削減があれば8割軽減すると、そういう前提でこの結果を見ていただければと思います。棒グラフに戻っていただきまして、生産額に占める課税額の比率ということで、鉄鋼業がまず純粋に課税して1.1%と、窯業・土石製品製造業が0.4%の水準と。これらにつきまして、まず1つ目の軽減措置、鉄鋼等製造の石炭等を免税した場合という真ん中の棒グラフですけれども、大体0.2%ぐらいの水準まで下がると。さらに削減努力をした場合の8割軽減ということをしますと、さらに低い水準になるということでございます。
 続いて4ページですけれども、これもあわせて同様の前提で税率のみ過去に環境税の関係の専門委員会において環境税の試算としまして設定しておりましたt−c当たり3万円という税率水準で同様の試算をした場合というものでございます。こちら、2,400円の税率で試算するのとおおむね比例になってございますけれども、例えば鉄鋼業、窯業なんかはもともとの課税額は高くて生産額に占める課税額の割合は、鉄鋼業については12%強、窯業につきましては5%弱ぐらいです。それをまず鉄鋼等の石炭等を免税した場合につきましては、どちらも3%を下回る水準になると。さらに取組みを行うことによって税を8割軽減した場合につきましては、さらに全体的に低い水準となるという試算でございます。
 続きまして、5ページですけれども、こちらは製造品出荷額等に占める直接輸出入額の割合ということでありまして、例えば繊維や化学の業を見てみますと、輸出生産比率と輸入生産比率、いずれも高い水準になっておりまして、鉄鋼や機械につきましては、輸出の比率が高くなっております。
 続きまして、6ページですけれども、こちらは産業連関表を用いた環境税導入による物価上昇に関する分析でございまして、こちらもまずt−c当たり2,400円の税率で課税した場合の生産者価格の上昇率はどの程度になるかということでございまして、鉄鋼につきまして特に高く1.21%の上昇と、続きまして、有機化学製品が0.51%の上昇となっております。
 7ページがこちらも同様にt−c当たり3万円にした場合の上昇率でございまして、こちらも比例関係になっているわけですけれども、鉄鋼につきましては生産者価格が15.1%上昇する、続きまして、有機化学製品につきましては6.4%上昇という試算になってございます。
 8ページ、9ページは今の産業連関表を用いた物価上昇に関する分析の試算の前提を掲げておりますけれども、2行目、産業連関表(2000年)に基づく均衡価格モデルを用いて試算しているものでございます。先ほど税率でt−c当たり2,400円、3万円とご紹介いたしましたが、9ページの右下のところにありますけれども、各燃料ごとにしますとt−c当たり2,400円がこちらの石炭で1キログラム当たり1.58円と。例えば揮発油・ガソリンにつきましてはリットル1.52円、t−c当たり3万円になりますと、この15倍ですのでそれぞれ約20円になるという水準になっておりまして、それに基づく試算が先ほどの結果でございます。
 10ページですけれども、基本的にこれまでのデータを更新したものをご紹介させていただきましたけれども、これまでこれらに関する議論がされてきたわけですけれども、そうした産業の国際競争力への影響や、いわゆる炭素リーケージ等に関するこれまでの議論の例というものを紹介させていただきます。
 まず、16年12月に中環審の施策総合企画小委員会での取りまとめの中で、国際産業競争力への影響、産業空洞化問題といたしまして、エネルギーコストの上昇によって、国際的には中国を始めとするアジアの近隣諸国との間で競争にハンディを背負うこととなると。我が国産業の国際競争力に深刻な影響を与えるのではないかという指摘。あるいは海外との競争の結果、海外移転や国内の工場の閉鎖といったいわゆる産業の空洞化が起きるのではないかという指摘もあると。国際競争力については、エネルギーコスト以外にも為替レート、賃金、現地での製品への需要、インフラの整備状況等様々な要因に依存すると。とりわけ工場の海外移転は市場を海外に求めるために起こるものであったり、海外との差が著しい労働コストの軽減のために行うものという場合が多く、課税によるエネルギーコストの上昇はこれらの要因の中で大きな比率を占めるものとは考えにくいことが指摘されている。また、比較的エネルギーコスト上昇の影響を受けやすいと見込まれるエネルギー集約産業の中には、輸出入の割合が低い業種もあると。
 3つ目の3行目ですけれども、日本が温暖化対策税制を導入した場合、日本の工場が海外に移転したり、海外の安価な同種商品の輸入が増えたりすることとなると、先進国での操業よりもエネルギー効率が悪い施設で操業が行われることとなる。このため日本からの二酸化炭素排出量は減るが、工場の移転先あるいは製品の製造元の国からの排出量が大幅に増えてしまい、世界全体の温室効果ガス排出が増えてしまうという懸念であると。
 この点に関し、IPCCの試算では、先進国等が税等の温暖化対策を講じ、排出量の削減をした場合、開発途上国の排出量の増加は先進国における排出削減量よりも少なく、世界全体としては削減が進むと指摘されていると、こういう取りまとめを過去に出しておりまして、11ページですけれども、こちらの前身の環境税の専門委員会で17年8月に審議を整理していただきまして、この中でも(3)で国際競争力への影響、開発途上国への生産の移転ということで、さきの関係で二つ目ですけれども、IPCCで幾つかの試算を引用し、レビューしたところ、先進国の削減量の5%から20%程度が開発途上国に移転するものの、世界全体としては削減が進むと指摘されているというような報告をいただいているところでございます。
 関連しまして、12ページですけれども、今紹介しましたIPCCの報告の関係を改めてこちらでレビューさせていただきまして、IPCCにおける炭素リーケージに関する言及の例ということでありまして、1、2とありまして、1は2001年のIPCC第三次報告書でありますけれども、炭素リーケージが5%から20%程度の幅に収斂したと報告している。ここで炭素リーケージ率ですけれども、13ページの参考を見ていただきまして、Kuikによると、オランダの環境研究所の学者による炭素リーケージの程度に関する比較ということで、枠の中には炭素リーケージの定義を引用しておりますが、炭素リーケージは京都議定書において削減目標を持つ国で温室効果ガスの削減措置を講じた結果、削減目標を持たない国で排出量が増加することと定義される。炭素リーケージ率ですけれども、4行下がっていただきまして、炭素リーケージの程度は、炭素リーケージ率で表されると。これは削減目標を持たない国における排出量増加分を削減目標を持つ国における排出量減量分で割り算したものと定義されるということで、括弧は引用ではありませんが、仮に削減目標を持つ国で10Mtの排出削減が実施されたものの、削減目標を持たない国で2Mtの排出量が増加した場合、炭素リーケージ率は0.2となるということで20%になるということであります。これが炭素リーケージ率の定義でありまして、12ページのさっきのところに戻っていただきまして、第三次報告書では炭素リーケージが5から20%程度の幅に収斂したと報告している。
 1つ飛びまして3つ目のポツですけれども、ただ、輸入財と国産材の代替性の想定ですとか炭素市場の想定、電力部門や鉄鋼部門における異なる排出係数を持つ技術の想定、原油市場競争度合いの想定などにより、リーケージの程度に差異が生じる可能性が指摘されています。
 4つ目ですけれども、環境上有効な技術やノウハウの移転により炭素リーケージを低減させる可能性があるというような指摘もあります。
 続きまして、2で2007年の第四次報告書ですけれども、この中でも先のオランダのKuik博士の研究の2つの推計を報告しておりまして、リーケージ率については不確定な幅としまして5%から15%なり6%から17%の幅のものを紹介しているところであります。
 2つ目のポツですけれども、他の研究としまして、削減目標を持つ国による行動が世界経済及び世界の排出量に影響を与える可能性を指摘している。ただし、リーケージの程度や評価には依然として不確実性が残るとされております。また、炭素リーケージは先進国による途上国向けの技術移転を促し、途上国の排出削減に寄与する側面があると。また、このようなリーケージの有益な効果はエネルギー多消費型産業において特に重要であると指摘されているという言及がIPCCからございました。
 続きまして、14ページですけれども、経済発展と排出効率ということで、炭素リーケージによって海外で排出量が悪化するという議論があるわけですけれども、こちら横軸が1人当たりGDPで縦軸がGDP当たりのCO排出量を示しておりますけれども、上半分が先進国ですけれども、先進国では1人当たりGDPが大きくなっていきますと、これを見ますと排出効率が緩やかに改善していると、右下にどんどん下がっていっているわけですので、排出効率は改善しているというように見られるんですけれども、下を見まして、例えば京都議定書義務国炭素リーケージが起こるおそれと言われておりました中国を例にとりまして、中国も70年代あたりはかなり排出効率が悪かったというのが急激に2000年ごろではかなり顕著に排出効率が改善してきているというのをこちら世界経済の潮流の中で紹介されてございます。
 続きまして、15ページも、主要産業セクター別の原単位比較ということでありまして、日本と諸外国でのそれぞれの原単位、海外進出した場合に排出量がどの程度影響があるのかということを考える参考になるかと思うのですけれども、例えば左上で電力につきまして、電力を火力発電で1kWh作るのに必要なエネルギー指数比較をいたしまして、日本で100に対して例えば中国で145というような数字が出されております。真ん中下は鉄1トンを作るのに必要なエネルギー指数比較でございまして、日本で100に対して、中国では大規模では110、全国では120というようなデータが出てございます。
 以上が国際競争力関係の資料でございまして、最後に16ページに家計への影響ということで、前回問題提起があった関連でもありますけれども、収入階級別の光熱費とその収入に占める割合ということでありまして、まず、1は光熱費のデータでありますけれども、総世帯の年間収入五分位階級別ということでありまして、収入ごとに2割ずつ割り振っているんですけれども、例えば光熱費の合計額ですけれども、真ん中のIII分位の方で年間で17万202円と。光熱費の収入に対する割合は3.7%という数字があります。これが2の税額で仮にt−c当たり環境省がこれまで要求してきた2,400円のもので試算してみますと、これは環境省の具体案で2,400円で家計あたりの平均額、年間約2,000円程度という説明をさせていただいてきておりますが、大体III分位の真ん中の方々の平均は2,329円となっておりまして、これが光熱費の収入に対する割合としまして3.7%で、I分位の方につきましては1,571円で6.7%、V分位の方につきましては3,103円で1.9%という数字が出ております。こちらさらに先ほどの別の試算の税率のt−c当たり3万円の税率を課した場合で同様の検証をいたしますと、III分位の方で約2万9,113円、年間光熱費がそれぐらいです。I分位の方で1万9,638円で7.7%ということで、V分位で一番所得の高い方は3万8,788円で2.3%ということで、収入に占める割合は低所得者層ほど大きくなる傾向があるということでございます。
 以上、資料1の説明を終わります。

○神野委員長 では、引き続いてお願いいたします。

○環境経済課長 この議題に関連しまして、参考資料1と2をご紹介したいと思います。
 参考資料1には毎年さまざまな産業界の団体、それから私どもと関係の深い団体、さらにはNPO、NGO等からの翌年度の税制改正に関するさまざまな提言や要望をいただいております。今日はそのうち代表的なものとして、参考資料1が日本経団連、それから参考資料2がNGOの団体である炭素税研究会、この2つをご紹介したいと思います。
 まず、参考資料1、日本経団連の提言でございます。
 最初のページはこの提言の概要を1枚にまとめたものでございます。その次からが提言の本体になります。非常に幅広いご提言をいただいているんですけれども、このグリーン税制に関係するものだけご紹介をしたいと思っております。
 まず、下にページが振ってございます。9ページをご覧ください。
 住宅関連税制の拡充ということでございます。住宅関連につきましては、現在もさまざまな税制の措置がございます。例えば冒頭にあります住宅のローン減税が今年度末に期限を迎えますので、その延長ということが重要であるということ。さらにこの住宅ローンに限らず、自己資金で省エネ型の住宅を建てる場合には減税制度の導入が必要であるというふうに述べられております。
 それから、最後の段落「さらに」というところでございますけれども、既存の住宅の改修に係る各種特例制度、既存の住宅の改修にもこれがもう現在でも省エネ改修促進税制がありますけれども、この期限の延長をし、さらに内容の拡充が必要であるという提言でございます。
 続きまして、11ページをご覧ください。
 環境関連税制、道路特定財源というところでございます。
 1番の環境関連税制の最初のほうは、第2段落の「わが国としては」というところでございますが、環境と経済の両立を目指して、経済発展を維持しながらCO排出量の削減に取り組むべきであり、そのような観点からの税制のグリーン化を推進すべきであるということがまず述べられておりまして、その次の段落は、産業・エネルギー転換部門での税制の措置としてちょっとかいつまんで読みますけれども、省エネ技術の革新に対してインセンティブを引き出す税制の拡充を講じるべきである。また、省エネ機器の製造や設備投資、リサイクル技術の開発などの資源生産性向上に向けた取組み及び省エネ設備への投資に対して、税制措置を講じるべきである。
 次に、家庭・業務部門につきましては、家電、自動車等の省エネ機器への買換えの促進を始めとする省エネ製品への優遇等の税制措置を講じるべきであるということが求められております。
 次に、環境税に関するものでありますけれども、環境目的に新たな負担を伴う新税を導入することについては、エネルギー効率が低い他国への生産移転によりまして、地球全体の温暖化が促進される。また、国内産業の空洞化の懸念がある。また、研究開発費の原資を企業から奪うということを理由に強く反対をするということが述べられております。
 続きまして、12ページでございますけれども、道路特定財源につきましては、昨年、今年についての経緯が述べられた後、第2段落でございますけれども、道路特定財源はもともと受益者負担の原則に基づいた制度であります。ですから、一般財源化するのであれば、その課税根拠を失うことから関係諸税の抜本的見直しがなければ理解は得られないということで、一般財源化するのであれば抜本的な見直しが必要であるということが提言されています。
 最後の段落でありますけれども、自動車・燃料関係諸税については非常に複雑であって過重な制度になっているという認識のもと、税目の廃止等も含めて見直して公平・簡素な税制とすべきであるということが述べられております。
 以上で参考資料1の紹介を終わりまして、次に参考資料2をご覧ください。
 この炭素税研究会というのは、1ページの下のほうに説明がございますけれども、環境・持続社会研究センター、気候ネットワーク、グリーンフォワード、WWFジャパンなどのNGOのメンバー、研究者、税理士、企業の方々などで構成される全体としてはNGOでございます。
 ここから1ページの要望事項というところにありますように、4つの要望が出されております。
 まず、1番は炭素税(環境税)の導入ということで、炭素税、いわゆる環境税を創設するということが述べられております。
 [2]としまして、道路特定財源、自動車関係諸税につきましてでありますが、まず、自動車燃料諸税・自動車諸税の税率を保つこと。もしも下げる場合には、同時にその税率を下回らない[1]に述べた炭素税、環境税を導入すること。
 それから[3]といたしまして、石油石炭税の改革ということで、この中で特に石炭への課税を強化すること。また、石油石炭税の課税標準にCOの排出量を組み込むことも一案という要望でございます。
 最後に税財政のグリーン化の推進ということで、政府の歳入・歳出両面において環境保全の視点を入れ込む「環境税財政改革」を明確に位置づけて推進すること。例えば自動車の保有に関する税の課税標準にCOの排出量を組み入れて、さらなるグリーン化を図るということが例示として示されております。
 次の2ページにはこの炭素税研究会が試算したものとして税率1万5,000円t−c当たり掛けた場合にどういう税収額になるし、使途としてこういうものが考えられるというようなことを一つの案として提言をされているところでございます。
 また、4ページ以降は同じくこの炭素税研究会が地球温暖化対策推進のための炭素税の早期導入に向けた制度設計提案というリーフレットを公表して配布しておりますので、参考につけさせていただいております。
 以上で参考資料の説明を終わらせていただきます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。後ほど委員の皆様からまとまってご意見をいただく機会を設けますので、差し当たり今ご説明をいただいた産業の国際競争力に係る影響についてご質問、ご意見がございましたらちょうだいしたいと思います。いかがでございましょうか。
 横山委員、まとめて何か。いいですか。

○増井委員 今回説明された資料にはちょっと載っていなかったんですけれども、運輸ですとか業務、あるいは家庭の中でも光熱費以外にガソリン代等も含まれるかと思うんですけれども、そのあたりについてはまた次回以降ご説明があるという理解でよろしいんでしょうか。

○神野委員長 排出量、家計の中で。

○環境経済課課長補佐 その論点もあるかと思いますので、ちょっと調べたいと思います。今回は、前回までの環境省の具体案を出すときに、家計負担というと光熱費の負担が年間で約2,000円ということで、それをベースでお出ししていますけれども、今ご指摘の点につきましては、次回以降出したいと思います。

○神野委員長 諸富委員、いいですか。特に何かございます。いいですか。
 それでは、ただいまのご説明というかテーマに関連して、税の軽減措置について前回の専門委員会で少し議論をしていただいていますので、資料2の説明をお願いいたします。

○環境経済課課長補佐 前回、諸外国の環境関連税制の取組をご紹介させていただきまして、そのほか軽減方策についての問題提起もありまして、こちら調査をいたしまして、調査した限りの情報ということでございますが、紹介させていただきたいと思います。
 地球温暖化対策に関連して導入された税制に係るEU諸国の軽減方策の主な例ということであります。
 (1)、まず原材料として用いられるものといたしまして、石油化学用ナフサや鉄鋼原料炭等の原材料は免税ということで、主要国といいますか、前回紹介させていただきましたイギリスの気候変動税やドイツのエネルギー税、オランダ、フィンランド、デンマーク等においていずれも免税となっているところでございます。
 続きまして、(2)の大口排出者に対する措置ということで協定などがあるわけですけれども、イギリス、オランダ、デンマークと把握できていまして、1つ目がイギリスの気候変動税の例です。2000年の歳入法に基づきまして、鉄鋼、セメント等のエネルギー集約産業において政府とエネルギーの効率改善またはCO削減目標に係る気候変動協定を締結したセクター等は8割軽減という取組みでございます。
 続きまして、オランダのエネルギー税ですけれども、事業用に使用する電力が1,000万kWhを超える場合において、エネルギーの効率改善に係る協定を政府と締結し、エネルギー集約産業として指定された場合に免税という取組みでございます。
 最後、デンマークのCO税、二酸化炭素税ですけれども、まず排出量取引制度の対象となっている企業については課税の対象とならない。排出量取引制度の対象となっていない企業のうち、法令において列挙されたエネルギー集約的な工程、溶解・濃縮・乾燥等を有する企業については、まず税額の18分の13が還付され、さらにデンマーク・エネルギー庁と自主協定を締結すれば、税額の30分の29まで還付という取組みがございます。
 その他調べておりますが、例えば温暖化対策の観点だと思われますが、再生可能エネルギーにより発電された電気は免税というようなイギリス、ドイツ、デンマークの取組みですとか、CHPにより発電された電気は免税といった取組み、あるいは別の観点から鉄道等で消費される石炭、天然ガス、電気は免税ですとか、軽油、天然ガス、電気は免税といったイギリス、デンマークの取組み、あるいは温室栽培に使用される軽油、重油は液体燃料税の一部を還付というような取組みもございます。
 参考でEU諸国においてはということで、EU諸国においてこちら発電用燃料は免税としておりますが、ただし、電気については、発電用燃料は免税ですけれども、電気の消費の段階では我が国よりも高い税が課されているということで、前回お配りいたしました資料を3ページにつけておりますけれども、改めてご覧いただきまして、日本と比べ、例えば一番右側の電気の税率ですけれども、日本についてはkWh当たり0.375円で、例えばイギリスの気候変動税やドイツの電気税につきましては日本よりも高い水準となっているということでございます。
 続きまして、3ページですけれども、こちらも前回の問題提起を受けまして、EU諸国における課税の効果の例ということで調べましたので、ご紹介させていただきたいと思います。
 まずはイギリスですけれども、2001年に導入しました気候変動税、あるいは炭化水素油税、これは温暖化対策等を目的として93年から段階的に引き上げているわけですけれども、導入効果といたしまして、気候変動税の試算としまして、こちらは欄外の注1に書いておりますが、2001年に国連機構変動枠組み条約第3次国別報告書に提出した時点のものでありまして、その当時の試算におきまして、気候変動税を2001年に導入して、2005年には年間で370万COトンが削減できると。さらに5年後、2010年には730万COトンの削減ができると。炭化水素油税の増税につきましても、この効果といたしましては370万から920万COトンの削減が2010年の時点で年間で削減ができます。この[2]の気候変動税につきましては、これは改めて2005年に試算をしましたら、さらに2010年に1,280万COトン削減の効果が見込まれたということでありまして、参考で気候変動協定の削減効果の試算も出しておりますけれども、2010年で約700万COトンの削減効果の試算をしておるところでございます。
 さらに[3]の気候変動税、CO排出量削減ですとか温室効果ガス削減の2010年時点の試算ということで、こちらは諸富先生の資料の中から引用させていただいてございます。[1]、[2]、[3]いずれもケンブリッジのエコノメトリクスによる試算ということであります。
 続きまして、ドイツですけれども、ドイツも1999年に環境税制改革といたしまして、まずエネルギー税を段階的に引き上げたということと、99年に電気税を導入したわけですけれども、その効果といたしまして、2005年で1,000万COトンの削減と、2008年から2012年の期間平均で年間2,000万COトン削減という試算でございます。[2]につきましても、諸富先生の資料から引用させていただいております。
 続きまして、オランダの例ですけれども、エネルギー税、1996年に入っておりますけれども、例えば[1]ですけれども、民生部門における天然ガス使用量の変化、削減ですが、別の試算でありますが、民生部門における電気使用量の変化ということで、それぞれマイナスの試算を、こちらは事後評価でオランダの研究所で評価をしている数値でございます。
 続きましてフィンランドですけれども、1990年に液体燃料税や電気・特定燃料税の税制に付加課税分としましてCO比例の税率を追加した取り組みですけれども、ここでも400万COトン削減が98年の時点にそれだけ削減するという試算がなされております。
 最後、デンマークですけれども、1992年にCO税が導入されておりますけれども、96年に導入されたグリーン税パッケージというものの中の税制については120万COトンの削減の試算をしてございます。
 関連しまして、最後4ページですけれども、前回問題提起がございまして、環境関連税制の税収につきまして、右側が環境関連税制の対GDP比の水準でありまして、デンマーク4.8、オランダ3.6でイギリス、ドイツ、フランス2%台で日本は1.7%と低いということでありまして、デンマーク等を含めてこれを税収構成比で見たら、どういうバランスになるかということで今回追加をいたしました。デンマークは9.8、総税収に占める環境関連税収の占める割合が9.8と高い水準となっておりまして、例えばフランスでは4.9、日本では6.4ということで確かにGDP比に占める割合ほどはデンマークとそこまで大きな開きはありませんけれども、フランスに比べると日本が高い水準になっているということであります。ただ、これにつきましては、GDP比に占める総税収の割合をさらに見てみますと、これはGDP比から税収構成比を割ればそういう数字が出てきますけれども、例えばフランスはこの2.1割4.9で43%、日本は27%で、OECD平均は31%という数字なんですけれども、そもそもGDPに占める総税収の割合が日本は低い、そもそもフランスは高いということに留意が必要であるということだと思います。
 資料2については以上です。

○神野委員長 続いて、関連して諸富委員に税の効果について資料を出していただいていますので、ご説明いただければと思います。

○諸富委員 資料2とも関連しまして、私のほうから資料3ということで「環境税の効果について」というタイトルの資料が配付されているかと思いますので、これに基づいてお話をさせていただきたいと思います。
 主としてイギリスを中心にお話をするわけですが、先ほどからも紹介がございましたように、2001年4月1日からClimate Change Levyという名前の気候変動税がイギリスで導入されたということでして、よく知られていますように、課税ベースがLPG、ガス及び石炭、電力というふうになっておりまして、税率はこのようになっているということですね。この税の課税対象がなぜこういう形になっているのかという点は必ずしもよく分かっていなかったわけです。もっと広く化石燃料になぜ課税しないのかという疑問もありました。この点については、実はちょうどたまたま先週末に大阪大学で環境経済・政策学会というのが開かれていまして、そこで名古屋大学のエコトピア科学研究所の林希一郎先生が、財務省の財務総合研究所の研究会でもご一緒した方ですが、彼が相当詳細に課税ベースを調べて、ちょうど炭化水素油税と、これも先ほど税率に関して山田さんの方から紹介がありましたけれども、こちらの炭化水素油税が1909年ぐらいから入っていて、その課税ベースがどんどん広がっていく中で、ごく最近までちょうどこの気候変動税がかけようとしているこの課税ベースが、炭化水素油税では課税対象に含まれていなかったために、ちょうどそれを埋めるといいますか、課税ベースとして抜けていた穴を気候変動税が埋める形で導入されたということが明らかにされていたんですけれども、これは非常になるほどなということで、気候変動税がいわば炭化水素油税を補完する形で実は入ってきたということがわかったという話だったんですね。
 ですから、実は私もイギリスといえば気候変動税ばかり見ていたんですけれども、炭化水素油税というのを見ていかないとだめなんだなと思って反省している次第です。でも、英国環境・食料・地域省もホームページでは別に炭化水素油税を扱っていなくて、気候変動税だけを温暖化対策の手段として書いてあって不思議なんですけれども、林先生の議論はそういうことを明らかにしたというものですね。要は既存エネルギー税の中で環境税を位置づけていく必要があるし、既存税のある種のリフォームによって現行化石燃料の環境効果を高めていくようなアプローチで、実は気候変動税は入っていったということが林先生のご研究によって明らかになったということだと思います。。
 ただ、税率がどういう考えに基づいて定められているのかについては林先生も依然としてわからないとおっしゃっています。先ほども税率についての資料、これも2で税率表を2ページに諸国との比較において書いてくださっていますけれども、これがなぜこうなっているのかという根拠はいま一つ不明です。炭素含有量に直しますと、石炭が本来課税されるべき水準よりもやはり軽課されているのではないかという印象を持ちますけれども、税率に関しては依然として考え方がよくわからないということですね。
 さて、先ほども負担の問題が出ていましたけれども、環境税を入れるとやはり産業影響というのがどうしても出てしまうということで、軽減税率、軽減措置というのが入っております。イギリスの場合にはよく知られていますように、税率の20%にすると。ただし、軽減税率をやるだけだと環境悪化が起きるので、協定を結ぶということを条件にします。逆に協定上の目標が守れなければ事後的には税率がもとに戻りますというような仕組みにしているわけです。これを模式化したのが図1のほうになります。Eというのが協定上の目標でこれを満たせば税率は割り引かれるということになっています。さらに協定を結んだ企業同士の間で排出量取引ができるようになっているということで、税、協定、取引制度の3つの政策手段のポリシー・ミックスとなっているわけです。もっともUK ETSというものが当初は入っていたわけですが、これは2005年以降はEU ETSで置きかえられました。ただ、UK ETSはもうなくなったのかというと、そうではなくて、UK ETSのカバーした範囲がEU ETSの範囲よりは広いので、EU ETSに含まれない範囲については、UK ETSが依然として生きているということです。
 さて、2ページにまいりますけれども、これは増井先生のほうからも以前この検討会の前身の専門委員会で詳細な報告をなされたようなんですけれども、そこと若干繰り返しになる部分があるかもしれませんが、ケンブリッジ・エコノメトリクスが気候変動税の評価をしております。これはトップダウン型の計量モデルでMDM−E3という名前がつけられたモデルが利用されているんですけれども、イギリスの経済構造をモデル化した上で予測を行うものだということですね。
 それで、ここで価格効果とアナウンスメント効果というのが出てくるわけですね。価格効果というのは実際にエネルギーの価格体系が変化したことで引き起こされるリアクションのことですね。それに対して、アナウンスメント効果というのは実際に税が徴収されていないにもかかわらず、気候変動税が法案として可決され、来年、あるいは再来年から導入ですよとアナウンスした時点で企業はもう既に対応に着手するということです。ですから、徴収が始まる前にあらかじめ何年から環境税が徴収がされるということはわかっているわけですから、企業はそこまで手をこまねいているのではなくて、もう既に対応を始めていくわけですが、このことが生み出す効果のことをアナウンスメント効果と呼んでいます。これは企業としては非常に合理的な対応といいますか、何年から入るということがわかっているんだったら、あわててその時点で対処するんじゃなくて、あらかじめ手を打っておくという効果ですね。ただし、これは不可逆的なものでないといけないということでして、一時的なものはアナウンスメント効果には入れないということです。ケンブリッジ・エコノメトリクスのほうとしては、参照ケースとして何も政策が導入されないケースというのを想定しておきまして、それに対して気候変動税が入ったケースを計算し、両ケースの乖離を見ながらそれがどういう効果をもたらしたかを計算しているということになります。
 主たる結論ということで、要はシナリオのRという何もしないケースならばこうなったであろうという状態に対して、政策を入れたことによってどうなったのかという効果を見ていくというのが基本的な考え方ですけれども、1999年の予算で気候変動税の導入ということが告知されたわけですけれども、そのアナウンスメント効果が早くも2000年には表れたということを言っております。先ほども紹介があったわけですけれども、最終エネルギー消費者の需要が1.2%減少して、その後時間を経るとともに、その効果は拡大をしていったということになっております。それから、先ほども言いましたように、協定との組み合わせであるということですね。ちょっとおもしろいのは、2ページ下のあたり、最後の行あたりから書いていますように、気候変動協定の目標というのは、協定がなかったとしても達成されていた可能性が高いということを言っておりまして、3ページ頭に入りますけれども、逆に言えば、気候変動税の軽減税率で協定が狙った排出削減目標を達成するには十分であったということになります。気候変動税さえ入っていれば、そのインセンティブ効果によって、協定が想定していた目標は達成できていたんだということが分かってきたということなんですね。敷衍すれば、図1にある軽減税率ですが、1ページの図1を見ていただきますと、ちょうど排出量で言いますとOとEの区間に太線で書かれていますこのP1、Hというこれが軽減税率を示していますけれども、これ非常に低い税率ではあるんですが、以上の研究によればこれら非常に低い税率ですら、政策効果として意味があるということなんですね、環境政策上意味があると。このオプションとしてOEの部分はゼロ税率にするあるいは還付することによって、事実上ゼロ税率で設定することも場合によっては可能なんですけれども、このケンブリッジ・エコノメトリクスの議論に基づけば低税率であっても課したほうがよいということになるのかなというふうに思います。
 では協定の意味がなかったのかというと、そうではないということもかなり議論していまして、それが知覚効果、英語では Awareness effect というふうに呼ばれています。このAwarenessというのは何と訳すかということで知覚というふうにここでは訳しておきましたけれども、これを生み出したという意味で、協定は意味があったというのがケンブリッジ・エコノメトリクスの議論であります。この点についてはのちに再び詳しく議論しますが、続きまして、(3)気候変動税は、再生可能エネルギーの促進あるいはCHP、これはコジェネですけれども、それらの拡大にも寄与したというふうになっております。これらが気候変動税による課税から免除されているからだということですね。同じような措置は先ほどご説明いただいた資料2の1ページにもありますように、ドイツとかデンマークでも環境税を入れた場合に同様の措置をとりまして、これらを税制の面からも支援するような規定になっております。
 2番目、気候変動税と気候変動協定のポリシー・ミックスの効果ということで、Ekinsらの論文ですけれども、この解釈ですね。以上のようなケンブリッジ・エコノメトリクスが出したような結論というのはどう解釈できるのかということですね。とりわけ気候変動協定上の目標は、ほとんどの産業で達成され、相当程度の超過達成も見られています。20%程度目標を上回って達成している産業も見られます。なぜ、ではこういうことが出たのか。通常は経済合理的に見れば、1ページの図1をもう一度ご覧いただきますと、例えば限界排出削減表がMCAのような企業であれば、ちょうどこのMCAとP2の高さで書かれている税率が交わるところで排出量を決めるのが企業にとって経済合理的です。つまり、EAですね。ここで決めるのが合理的ですし、限界排出削減表がMCBのような企業であれば、ちょうど排出量でいえばEですね。協定の水準とちょうど合致するようなところで排出量を決めるのが合理的なんですけれども、それを超えているということですね。費用効率性という観点からすれば、これはなぜかなということなんですけれども、そこで(2)知覚効果の存在であろうということを彼らは議論していますね。実際には、潜在的に費用効果的な排出削減機会はあったんだと。にもかかわらず、それらが気候変動税と気候変動協定が導入されるまでは利用されていなかったということです。こういうことはよくありまして、昨年バッテンフォールといいまして、スウェーデンのエネルギー会社ですけれども、そこが出した推計図でどれぐらいのコストをかければどれぐらい温室効果ガスが減るのか。どういう技術オプションを使っていればどれぐらいのコストでどれだけ減るのかということを世界中の削減オプションを見て推計したわかりやすい図があるんですけれども、それによればマイナスコストの排出削減オプションがかなりあるということです。マイナスのオプションというのは削減機会に着手すれば、実はリターンがあるにもかかわらず、つまり、もうかるにもかかわらず、使われていないということなんですね。そういうケースが間々あると。ところが、協定を締結していくと政府と企業の間でぎりぎりと交渉するわけですけれども、その中で政府はもちろん、ちょっとでも厳しい削減を求めてきます。これに対して企業は、そんなことをすれば大変コストがかかると言いながら交渉していくわけですけれども、その中で企業からは自分たちの企業の排出削減機会について幾つかの投資シナリオをもとにどれだけコストがかかって、どれだけ減るだろうかという分析を、幾つかの「シミュレーションに基づいて議論するということが行われたということなんですね。それまで、そこまで厳しく規制がかかっていなかった段階では、削減機会に関する真剣な検討というのは必ずしもしていかなったし、したがって、バッテンフォールが言っているような、マイナスのコストで削減可能にもかかわらず、実際には使われていないオプションというものが、協定の締結を媒介にして浮かび上がってきたということで、それが一種の学習過程というものが働いて、目標超過達成につながったのだというのが彼らの解釈であります。
 最後に全体的なまとめですけれども、確かにそういう意味では交渉の過程でもっと精査してみればさらに厳しい協定目標を締結できたのではないかと。そのことを政府が知っていれば協定をもうちょっと厳しくしておけばよかったわけですが、そこはちょっと化かし合いのようなところがありまして、企業の側もそこは情報を全面的に政府の側に開示しているわけではないということで甘めの目標に結果的になってしまったのはあるのかもしれないけれども、そういう交渉の過程を通じて、エネルギー効率性の向上が実はエネルギーコストの削減につながって、企業の真の競争力強化につながることに気がついたというのが、以上のストーリーです。つまり、短期ではコストは確かにかかるけれども、長期的にはエネルギーコストが下がることになり、この点は企業にとってむしろプラスだったということになります。それから、それによってかえって競争力が上昇する。これは日本が石油ショックのときにまさに経験したことですね。それからもう一つは、多分将来的に規制はずっとさらに強化が段階的にされていくであろうという予想が企業の側にもあって、それであるならば現時点から早めに着手をしていく方が望ましいということがあったのではないかと私自身も思います。
 以上がご紹介です。

○神野委員長 どうもありがとうございました。それでは、委員の皆様からご意見、いいですか。では、天野委員、よろしくお願いいたします。

○天野委員 1つ2つほど意見を申しますが、まず既存税制の扱いというのが前回からも問題になって、今日もいろいろ出てきましたけれども、例えばイギリスの炭化水素油税制ですか。こういった税が既に炭素税以前から存在していると。確かにこれはそういう課税対象というのは炭素を含んでいますから、こういう税をかければ炭素は削減されるわけですね。だけれども、この税というのはもともと炭素を減らすためにかけた税ではないんですね。ないんだけれども、実際に炭化水素油というのを減らせば自動的に炭素は減ると。だから、先ほどイギリスが炭素税と気候変動税を導入したときにそれを一生懸命強調して、こちらは余り強調しないのは当たり前だったんですね。炭素税というのは炭素を減らすための税なんです。ですから、炭素を減らすためでない税というのは、それはある意味でほかの目的で存在しているわけですから、それが炭素を減らすためにかかっているとは考えられないんですね。事実その税が仮に減らされたとしたら、炭素はふえちゃうわけですね。そうなると、これは炭素をどうこうするためにかかっている税としては全く考えられないと。日本の既存税制と全く一緒なんですね。エネルギーにかかっていますと。だから炭素を減らしています。だけれども、それはあくまでもほかの目的、道路をつくるためにかかっている、そういう制度ですから炭素税ではないんですね。ですから、まさにそういうものを要件としてそれで現在の排出量が多過ぎると、炭素の排出量が多過ぎるから炭素税をかけましょうというわけで、炭素税というのはその目的が炭素を減らすことにあるんですね。それ以外の税が炭素を減らしているからといって、それを炭素税に加えるというのは、私は理論的に間違っていると思うんですね。ですから、そういう扱いをしないで炭素を減らすため税というのは、炭素を目的にかけると。その税に限るべきなんですね。それが1つ。
 それから、2つ目の点もよく似ているところがあるんですけれども、日本は石油ショックの際にエネルギーの安全供給にものすごい懸念を持ったわけですね。特に石油に依存していると。しかも、特定の国から大量の石油を買っていると。そういう意味でエネルギーの安全保障ということに関連して省エネ対策がほかの国に比べて圧倒的に強力に推進されたわけですね。これはもちろんエネルギーを減らしていますけれども、石油以外のエネルギーまで極端に減らす必要はなくて、要するに特定の国に集中して、エネルギーの種類として石油というものに過度に依存し過ぎれば、そこで何かショックが起きたときに日本経済が大打撃を受けると、そういった安全保障上の観点から省エネ政策が推進された面があるわけです。ですから、省エネ政策というのは炭素を減らすためにあったわけではないんですね。しかし、日本というのはそういう非常に特殊な状況にあったんですけれども、イギリスはそんな状況にはないわけです。北海がありますし、油種が幾らでもあります。ですから、エネルギーを減らさなきゃいかんという痛切な意図というのは全くないと思うんですね。しかし、今回はそうではなくて炭素を減らさなきゃいかんということで、こういうものが入ってきました。ですから、そういうものに対する認識がこれから入れますよということを言われただけできいてくるわけですね。日本は既にそれをやっちゃって、炭素を減らす以外のところで一緒に炭素を大幅に減らしちゃったわけですから、ですから、イギリスのまねをしてこういうアナウンスメント効果が日本でも出るだろうというふうに期待するのは、私はちょっと無理なところがあるんじゃないかと。もう日本は既にアナウンスメント効果はアナウンスメントじゃありませんけれども、エネルギー安全保障に対する懸念という形で、もう十分に経験しているというような側面がありますので、私はこれはもちろんアナウンスメント効果がないというふうには言いませんけれども、しかし、炭素税がかかりますよという気配が出ただけで、企業がどんどん炭素を減らすような政策をとるかというと、私はちょっとイギリスとは比較できないんじゃないかと、こういうふうに思いますので、その2つの点を申します。

○神野委員長 それでは、諸富先生、何かコメントありますか。いいですか。

○環境経済課課長補佐 1点だけすみません。先ほど諸富先生からご紹介があった林先生のレポートがたまたま手元にありましたので。そこから炭化水素油税の関係ですが、諸富先生からご紹介がありましたが、1909年から入ったということで林先生が書いておられます。道路改善資金へ充当するための税として炭化水素油税が1909年に入って、こちらは1955年にこの道路改善基金を廃止しまして、それ以後一般財源ということになりまして、ですから、まさにこの道路整備目的、特定財源というものが一般財源となりまして、課税の趣旨といいますか、課税根拠みたいなところの変更がまさにあったのかなということで、それ以降、イギリスの炭化水素油税につきましては、ご紹介させていただきました93年に例えばということですけれども、温暖化対策等を目的としつつ、税率を引き上げるというような取組みを行っているところでありまして、まさに環境の観点からその炭化水素油税のあり方についても検討がなされたというふうに理解しておりまして。今般まさに日本の揮発油税につきましても、これまでが道路整備目的という明確な課税目的があって、これが来年度から一般財源化という中で、イギリスの取組みのような環境の観点からも議論というのがそれはそれで検討をしていく必要があるのではないかなと思っておりますが、それとは別にまさしくCO排出量を主目的とした炭素税は、それはそれで引き続き検討していく必要がある、ということかと思っております。

○天野委員 今のお話は、道路の目的を外して、それを炭素削減に使うということなんですね。ですから、今までの税率を固定しておく限り炭素はもう減っていますから、税率を上げていかないと効果は出ないんですね。やっぱりそれをすると。目的を変えて炭素を減らすためにどんどん増税をしていきますということであれば理解できますけれども、今かかっているから、もうそれは炭素を減らしているんだというのは、それは当たり前の話で、今後ふえるということにならないんですね。ですから、どんどん増税をしますと。それは炭素を減らすためですというふうに切りかえれば、まさにそれは炭素税ですよ。名前は道路税だと思うんですけれども、道路税ではなくなったわけですから、明らかに炭素税化すると、それだったらわかります。

○神野委員長 イギリスは今日も出ましたけれども、既存の税率を引き上げつつ対象を広げたということですよね、気候変動税で。課税対象というか、それを広げていくと。既存の税制の税率を引き上げつつということでいいんですよね。

○環境経済課課長補佐 イギリスは93年から99年にかけまして、既存の炭化水素油税の税率を引き上げまして、その後2001年にこの炭化水素油税の対象外のエネルギーにということで石炭、天然ガス、電気等に対して気候変動税として導入したところでございます。

○神野委員長 諸富先生から発表していただきましたが、イギリスはこういうふうに気候変動税を入れたり、税率引き上げをやっていますが、国際的に見るとGDP比で2.6なので負担率そのものが3%台を超えているスカンジナビア諸国なんかに比べると低いと。今日の国際競争力との関係でいくと、環境税、環境関連税制のウエートの負担率の非常に高い国というのは、国際競争力の指標、これは世界経済フォーラムとかいろいろ出していますが、大体トップを占めているかトップを争うような国々、つまり国際競争力が非常に高いと評価されている国々が環境税のウエートが高いと。そういう国々は、早めに知識集約産業化に成功して知識を集約させて自然資源を多消費しないような産業構造にいち早く変えるということに成功しているからということですかね。いずれにしても、一般的な普通出されている国際競争力の指標から言うと、非常に高い国が環境税のウエートが高いということですよね。
 今の天野委員のものについて何かコメントがありましたら。

○諸富委員 山田さんがお答えになったので、税率の部分については結構だと思いますが、つまり何をもって炭素税と言うかということなんですけれども、確かにこれ炭化水素油税にせよ気候変動税にせよ、課税ベースにおいてCO排出量だとか炭素含有量を採用しているわけではないんですね。純粋に化石燃料の物量に対して幾らという税率のかけ方ですから、純粋な炭素税ではないということはあります。ただ、山田さんが説明されたように、一般財源化されて以降は課税目的が温暖化対策に変わったんですよね、公式的にも。

○経済課課長補佐 一般財源ですので、課税目的が温暖化対策というわけではないです。

○諸富委員 使途はそうなんですけれども、確か林さんの週末の報告では、大臣の答弁においてなぜ税率を引き上げるかというと、財源が必要だからというよりは、むしろ課税のインセンティブ効果を上げていくために税率を上げるんだと、そういう説明であったんですが・・・。

○環境経済課課長補佐 そうですね。このレポートにもありますけれども、確かに一つの理由としまして環境にも配慮してというのが理由の一つに入っているかと思いますけれども、環境へ配慮するという目的ですとか、あるいは一般財源としての税収確保ですとか、さまざまな目的の中の一つとして説明がなされていると、そういうレポートになります。

○天野委員 それは炭素税じゃないですね。

○環境経済課課長補佐 いわゆる炭素税になりますと、炭素税と言葉どおり諸外国で入れている炭素税、これはCOの排出量に着目して設定しておりますのが二酸化炭素税になります。それとはどうしても異なるものでありまして、考え方としまして課税をして燃料の消費抑制を図るというところが、温暖化対策税制の考え方を入れているということです。

○天野委員 燃料一般を減らすわけでしょう。そうしたらエネルギー税ですよね。違うんですか。燃料一般を減らすという税であればそういうことでしょう。風力発電も減らせということですよね。

○環境経済課課長補佐 エネルギー税ですと一義的な定義がないものですから、恐らくエネルギー税なんかはむしろ我が国における既存エネルギー税といいますと、もう既に燃料にかかっている税そのものが…。

○天野委員 いやいや、ですから名前はともかく要するに二酸化炭素の排出を減らす目的じゃないんですよ。要するに環境のために配慮するようなことに使いましょうというわけですから。じゃないんですか。はっきり二酸化炭素を減らすことと目的が掲げられているんですか。

○神野委員長 では、横山委員、いいですか。

○横山委員 天野先生はピュアな炭素税こそが環境税だと。

○天野委員 いやいや、課税対象が炭素であって……

○横山委員 わかります。それはわかります。そのときにOECDで言われているEnvironmentally Related Taxesというような広い観点で環境関連税制といったときに、その課税目的がともかくどういうものであれ、化石燃料を課税ベースにするような税もその環境関連税制の中に含めてOECDの統計でもやられていますし、EUの観点も環境税といったときに狭い意味での炭素税だけを考えているのではなくて、税として環境にプラスならばそれが潜在的な炭素税というんでしょうか、課税目的は道路財源など財源調達型だとしても、それは環境関連税制として理解されているということもあると思いますので、先生のおっしゃるような定義づけで議論をしていくと、非常に狭い観点で考えていかねばなりません。
 イギリスの事例を見ても、それからドイツの事例を見ても、あるいは他の北欧で入った炭素税についても、ピュアな意味でのいわゆる炭素含有量に応じた税率を考えた新税というのは、私の知る限りではデンマーク以外はヨーロッパ諸国においても炭素税という形で入っていないのではないかと思っています。そのことだけまず一点です。
 それからあともう一つ、考え方として、これは諸富さんがおっしゃった財務省の財務総合政策研究所で私自身がまとめたというか試算した観点があります。既存の化石燃料諸税の税率をいわゆるCOなり炭素含有量当たりの税率に直したものと、それからさらにその既存税制に炭素税なりあるいは新税という形で付加されたもののCOあるいは炭素含有量当たりの税率と合算した既存税制プラス新税の合計の税率を、それもCOあるいは炭素含有量当たりの税率に変換したものの変動係数を調べたんです。そうしたときにイギリスの場合は、この気候変動税というのは確かに地球温暖化対策税として入っていますが、非常に、COの含有量あるいは炭素含有量当たりの税率としてはピュアな税率ではないわけですよ。ところが、2つ既存税制と新税と合算したもののCOあるいは炭素含有量当たりの税率を比べたみたときに、その変動係数で見たときにどういうようなばらつきがあるのかといったら、変動係数が小さくなる。変動係数が小さければそれだけピュアな炭素税に近いわけですから、税率構造として。そういうのを調べてみると、やはり合計でその税制全体でどれだけのCOに対して、あるいは炭素含有量に対して税がかかっているのかということで税制全体を見てみる必要があると、こういうことだと思います。

○天野委員 結構です。私、OECDの環境関連税制の翻訳の監査をしましたので、環境省の人たちと一緒に訳していますから、環境関連税制というのがどういうものはよく知っております。私が申し上げておるのは、環境関連税制が温室効果ガス削減効果がないと言っているんじゃないです。ピュアな炭素税しか削減できないと言っているのでもないんです。おっしゃったように、どちらも炭素削減の特徴を持っていますから、ですからピュアな炭素税を入れなくても既存の環境関連税制をどんどん引き上げていって減らすことは十分に可能です。だけれども、既存の税制は道路税として今まであったわけですから、これ以上道路は要らんわけですね。そうすると、道路税ではない既存の税制は炭素税というふうに名前を変えましょうと。名前を変えた上でどんどん増税をしますというのであれば私は大賛成です。

○横山委員 その話はまだこの委員会がしていないと思います。

○神野委員長 いや、というか既存の税制との関係であれば次の議題がありますので、ちょっと……

○横山委員 私が申し上げたいのは、天野先生がおっしゃっているような今のガソリン税を上げるということだけを議論するのではないと思います。それだけ申し上げておきます。

○天野委員 私はわかりやすいようにそう言っただけなので、別に既存税制が効果がないと言っているんじゃないです。だけれども、もっと有効なものが炭素を対象にした炭素税を入れるのがもっと効果的だということを言っているだけの話です。

○横山委員 くどいようですけれども、そのときに従来の環境省がおっしゃっていた、あるいはデンマーク方式で新税を入れることがエフェクティブかどうかということについて私は留保したいと思います。と申しますのは、石油石炭税を上げると、かなり上げるということだって先生のおっしゃるCOを減らすという意味でいえば効果的で、だからそういう意味で言うとオプションはいろいろあるわけで、それをやっぱりピュアな炭素税を入れることだけが問題ではないと、そこはご理解いただけると思います。それだけです。

○神野委員長 1番目の産業や家計に対する影響に関して、増井先生、何かございますか。いいですか。
 それであれば、今の議論はちょっと中途半端ですが、2番目の議題と深く関連いたしますので、2つ目の議題の既存エネルギー関係諸税との関係についてということで事務局の方から資料5を説明していただけますでしょうか。
 それから、ついでにきょう欠席されている植田先生からもちょっとさっきの議論にかかわるような定義づけというか、問題提起されていますので、意見書を出していただいていますので、あわせて説明していただければと思います。

○環境経済課課長補佐 まず資料5、OECD環境統計において「環境関連税制」とされている我が国の既存税制についてということで、基礎情報ではありますが、ご紹介させていただきます。
 課税対象、税率、税収、使途とありますけれども、揮発油税以下電源開発促進税までがエネルギー税制で、その下の重量税から取得税まで車体課税関係でございまして、使途から見ていきますと、自動車税、軽自動車税を除きまして特定財源ということになっておりまして、うち道路特定財源につきましては、揮発油税、地方道路税、石油ガス税、軽油引取税、自動車重量税、自動車取得税が道路特定財源で、これは閣議決定におきまして来年度から一般財源ということになってございます。
 個々に見ていきますけれども、揮発油税、地方道路税、こちらの揮発油は製造場から移出し、または保税地域から引き取る揮発油を課税対象といたしまして、税率につきましては暫定税率といたしまして、kl当たりで4万8,600円、地方道路税で5,200円ということで合わせてリットル53.8円ということでありますけれども、税収につきましては揮発油税で2兆7,685億円、地方道路税で2,962億円ということで、使途につきましては道路整備ということであります。
 続きまして、石油ガス税につきましては、自動車用石油ガスを課税対象としまして、税率は1kg当たり17.5円ということで、税収は280億円で使途としましては道路整備と。軽油引取税につきましては、揮発油税は移出の段階ですが、軽油は特約業者または元売業者からの引取りで当該引取りに係る軽油の現実の納入を伴うものがこの軽油にかかりまして、暫定税率でklで3万2,100円と、税収は9,900億円ということで使途は道路整備であります。その他、航空機燃料税につきましてもklで2万6,000円で税収は1,000億円程度で使途は空港整備等となっています。
 続きまして、石油石炭税につきましては、原油、石油製品、ガス状炭化水素、石炭を対象としておりまして、採取場から移出し、または保税地域から輸入段階によって引き取るものということでありまして、税率につきましては原油、石油製品でkl2,040円、LPG、LNG等で1t1,080円、石炭で1t700円ということで税収は5,210億円ということで、使途につきましては、こちらも特別会計法に規定があるわけですけれども、燃料安定供給対策とエネルギー需給構造高度化対策に充てるということでありまして、燃料安定供給対策としましては、石油及び天然ガス等の開発、備蓄などの措置と、エネルギー対策につきましては省エネ、新エネ対策等の措置及びエネルギー起源CO排出抑制対策などの措置に充てるということであります。
 続きまして、電源開発促進税につきましては、販売電気を課税対象としまして、1,000kwh当たり375円ということで、税収は3,480億円、使途につきましては電源立地対策と電源利用対策に当てることとされております。
 続きまして、車体課税の関係で自動車重量税につきましては、自動車検査証の交付等を受ける検査自動車及び車両番号の指定を受ける届出軽自動車を対象としまして、例えば乗用車につきましては重量に応じまして、こちらは暫定税率の定率水準でありますけれども、自家用で6,300円、営業用で2,800円と、税収につきましては約1兆円で、使途は道路整備です。自動車税、軽自動車税もそれぞれ自動車、軽自動車に課されまして、例えば税金については自動車税、自家用で1.5から2リットルで年間3万9,500円、税収につきましては1兆7,000億円程度で一般財源、軽自動車税は税率は年間2,500円で、税収で1,690億円。最後、自動車取得税につきましては、こちらも暫定税率の税率ですけれども、自家用で取得価額の5%、営業用・軽自動車は取得価額の3%で、税収は4,000億円で道路整備に当てているというのが税制の基本的な状況でございます。

○環境経済課長 続きまして、参考資料3をご覧いただきたいと思います。
 これは今日ご欠席の植田委員からいただいたものでございますけれども、ECOマネジメント地球環境問題というインターネットのサイトに植田委員が投稿されたもので、参考になるからこの場に提供してほしいとご依頼いただいたものでございます。次回は先生にご出席いただく予定でございますので、これに関連してご議論をさらに深めていただければと思っておりますが、今日は資料の紹介をさせていただきたいと思います。
 この資料は3回に分かれておりますが、第1回は「排出増加への懸念含む日本のエネルギー税制」という題で、今日の議題2に直接かかわりますが、既存のエネルギー関係税制との関連を述べたものでございます。最初のところはEUの排出量取引制度の紹介で、ヨーロッパの取組みを紹介されています。そのあと「環境税制改革に強く言及した福田ビジョン」ということで、これも第1回、第2回の専門委員会でご紹介したとおり、エネルギー関係税制も含めた税制のグリーン化の中でどういうふうに考えていくかということが問題提起されているということが紹介されています。
 また、2ページの下のほうでは2008年度税制改正、これは昨年度要望した環境税の中身を紹介していただいております。。
 それから、3ページの後半ですけれども、「似て非なるエネルギー税制と環境税制」との関係です。これは先ほどご議論のあったところでございます。第2段落は、OECDの環境関連税制と言われているものがここに紹介されています。第3段落ですけれども、「以上のエネルギー税制を見て直ちに気づくことは、既に多種類の税があること、税収額がかなりの規模に及んでいること、そしてその使途が開発促進向けになっていることである。揮発油税や軽油引取税は道路整備に用いられ、電源開発促進税は電源立地対策・電源利用対策である。つまりエネルギー税制は、課税自体は環境税に似た効果を持つ可能性があるけれども、その使途はむしろ開発を促進し、結果的に温室効果ガスの排出量を増加させることになりかねない。その意味で、エネルギー税制を環境配慮したものに転換していくことが考慮されるべきであろう」というのが第1回の結論になっております。
 続きまして、4ページからが第2回で「電源開発促進税をどう使う?低炭素時代にあう見直しを」ということで、ここでは電源開発促進税に注目して論じておられます。最初のところは電源開発促進税の紹介でございますので、省略させていただきます。また、5ページにはそのもとになっている電源三法につきましてその内容を論じているというところでございます。
 この第2回の結論は6ページの「電源開発促進税の抜本的改革を」というところでございます。この第3段落のところから読ませていただきます。この電源開発促進税はもちろん現在は目的税であるわけでございますけれども、「財政の原則に立ち戻るならば、そもそも目的税は財政の硬直化を招きやすいので、望ましい税とは言えない。恐らく目的税は、その課題から特に推進する必要があると考えられた場合に導入されるものであろう。しかし、しばしば問題になるのは、税導入時点では明らかに必要だったとしても、状況が変化して不要になった場合に廃止されず、一種の既得権益として維持される場合である。
 電源開発促進税の場合にも、そうした面があり、そうした評価に基づくならば、電源開発促進税は廃止ということになろう。しかし、課税の目的はすべて達成されたわけではなく、依然として必要であるということならば、現状の必要額に近い税収が入る程度にまで税率を下げることも考えられる。さらに、「減税」の経済効果は小さく、むしろ電気への課税から得られた税収の使途はもっと広くてもよいと考えるならば、減税するのではなく、逆に、税収の使途を拡張するというのも一案である。
 いくつかの選択肢で、わかりやすいのは一般財源化することであろう。また、もともとの課税目的を基礎に置きつつ、地球温暖化防止を新たな目的に加えて使途を拡張していくオプションも考えられる。その場合も、制度的には一般財源化しつつ、使途に配慮するということもあり得るだろう」と述べられております。
 7ページから第3回で、今度は揮発油税に着目した論文になっております。7ページから8ページの前半まではこの揮発油税の現状について述べられています。
 そして、8ページの後半からは、政府で方針決定された一般財源化が自然な流れということを述べています。
 最後に9ページが結論になっておりまして、最初のほうで「揮発油税の税率が下がればガソリンの消費を刺激することになるから、次善の環境税としての温室効果ガスや汚染物質の排出抑制効果は弱くなろう」ということで、エネルギー税制ではあるのですが、温室効果ガスの排出抑制効果がある税制としての効果が薄められていることを懸念して述べられています。
 それから、第3段落は使途についてでありますけれども、「税収は道路特定財源として今まで道路建設に使われてきた。仮にこれが環境税的な効果があるとしても、これまではその排出抑制効果を税収の使途が相殺していたと言わざるを得ない。全体としては温室効果ガスの排出を増加させていたかもしれない。」
 次の段落を読ませていただきますと、「地球温暖化防止が論じられる中では、税収の使途を道路建設だけではなく、環境保全にまで拡張することも考えられてよいだろう。その考えを推し進めれば、先ほど歳出の優先順位をめぐる問題で言及したように、揮発油税を一般財源化するという方向もあろう。しかし、同じように一般財源化するという場合でも、地球温暖化防止への取組みの緊急性を重視するならば、地球温暖化防止への支出が他の公共サービス(あるいは政治課題)よりも優先順位が高まるということもあり得る」ということで、揮発油税の一般財源化に伴う使途についての先生の考え方を述べられたところでございます。
 この後もまたシリーズが続くと先生から伺っておりますが、とりあえず現状までに出されたものを紹介させていただきました。
 以上です。

○神野委員長 それでは、今のご説明をいただいた資料などを手がかりにしながら既存税制との関連を議論していただければと思いますけれども、繰り返しの部分があっても構いませんので、横山委員から少し総合的にまとめてご意見をいただいたほうがいいかなと思いますから、お願いできますか。

○横山委員 日本の税制はまた少し議論させていただきますが、ヨーロッパの特にEUの環境対策についてよく言われるのは、最初炭素税が入りましたと。それから今度排出権取引が入りました。そのときオルタナティブ、二者択一的な議論をなさる先生も多くて、EU−ETSが入ってもう環境税の意味はなくなったというようなご意見の先生方もいらっしゃいます。EUの動向を見て、それは税収が入ってくるから、それをゼロにするということはないというようなことで、いわゆる財源対策としての意義は残っているけれども、環境のCO削減というのはEU−ETSでいいんだというような議論をなさる方がいますが、私はそうではないと思っています。これは天野先生がおっしゃったように、漢方としてのやはり長期的・中期的な効能というのは、EUはかなりしたたかに制度設計として入れているのではないかと。それは、この専門委員会資料でも2回目の資料ですかね、この専門委員会でもEUの最低税率がEC指令で2010年に税率がまた引き上げられるということで、EUの最低税率というようなものがやはりEC指令ということで、EU諸国で共有されている。さらにEU−ETSの進化をさせようとしているわけですから、そういう点で我が国でももう少し税制としてグリーン化をしていくことの意義づけを共通認識として持つべきではないかと思っています。
 そのときに先ほどの繰り返しなんでございますけれども、ヨーロッパの経験からしてピュアな炭素税を新たな税として組み込むというのは、私はかなり例外的なグリーン化のやり方なのではないかと。むしろ既存のいわゆるImplicit carbon taxesと言われているような既存の化石燃料諸税をベースにしながら、天野先生おっしゃるように、税率を上げていくとかあるいは今までかかっていなかった油種にかけたり、そういうような努力をしていっているのではないかと。だとすると、我が国でもそういう方向のグリーン化ということが一つの方向としてあるのではないかと。ピュアな炭素税を入れるということになった場合には、それはそれでまたそういうオプションも否定せずに可能性として考えていくべきではないかと思います。
 私個人は、やはり植田委員のペーパーにもありましたように、税制だけではなくて歳入歳出合わせたグリーン化という観点から言うと、1回目のときに神野委員長からもご指摘があったように、例えば森林環境税みたいなものは、課税ベースは環境負荷への活動ではないわけですね。ところが、使い方としては歳出の活動としてはかなり環境保全型な活動に資する。そうすると、税だけではなくて使い方についてまで考えると、この植田さんが言うような形の道路特定財源の姿や、それからほかの電源開発促進の税にしても考えねばならないというのはご指摘のとおりだと思いますが、少なくとも使い方は置いて税のあり方として考えたときに、私は既存の税制をやはり大切にしていくというのも一つなのではないかと思います。だからといって、私も潜在的炭素税と言われているものをピュアな形で、その潜在的炭素税と言われているものの税収を一定にして、石炭にかかっていない、ガソリンにいっぱいかかっているというようなものをならして税収中立でピュアにしたら、COの削減ができるのではないかと試算したことがありますが、そういうことは今のガソリン税率を下げることになりますので、それよりもむしろガソリン税率のCOあるいは化石燃料あたりの炭素含有量当たりの税率を基準にして、なるべくそこに近づけるような税制改革というのも一つなのではないかというふうに考えています。
 以上です。

○神野委員長 どうもありがとうございました。天野委員、何かございましたらどうぞ。

○天野委員 既存税制というのは目的はともかく、その炭素を減らす効果があるわけですね。ただ、これはEUが排出取引と税と同時にやっているというのはそれなりの理由がありまして、ECで決定できるのは排出取引であれば決定できますけれども、各国の税をコミッションが決めるということはできないんですね。もちろん統一税です。統一税を決めることができないので排出取引制度を世界に先駆けて導入したと、こういう経緯があるわけです。ですから、両方並行して進むのはいいわけですが、私はどちらもピュアな炭素税にしろ、排出取引制度にしろ、その将来を見ると、先ほどのアナウンスメント効果に近い効果が期待できるのは、その炭素の価格が目に見えるわけなんですね。これは排出取引制度はまさにそのとおりで、炭素税も炭素税という形で導入すれば炭素1トンについて幾らというのが目に見えるわけですから、それが現在の値だけではなくて、将来どうなるかということを見通して、いろんな経済主体は動くわけですね。特に企業、大企業は。個人もそうだと思いますけれども。ですから、その炭素の価格が見えるようにするということの意義は非常に大きくて、それを何かわけがわからない形で何かかかっていますよということであれば、その効果はゼロになっちゃうんですね。ですから、そういう意味で私が申し上げているのは、今後長期のことを考えれば炭素の見える化といいますか、炭素価格の見える化ということに貢献をできるだけ制度的にできれば、そういうことが見えるような制度をつくるのが必要だと。
 英国は私、一つ参考になりますのは、もちろん個々の政策についてはいろいろ問題があるんですけれども、非常にきれいなポリシー・ミックスを初めてつくっているわけですね。ですから、もちろん炭素税もありますし、排出取引もありますし、協定もありますし、補助金もありますし、非常にきれいなポリシー・ミックスをつくって、ECはそれを手本にして動いているような側面があるんですね。私は税率の動向とか税の負担の動向とかという点は必ずしも見習う必要はないと思いますけれども、ああいうポリシー・ミックスをつくって経済主体の非常にたくさんの層の人たちに炭素の値段が将来必ず上がるんですよということを見せたと。これは大いに私は学ばなきゃいかんと思います。
 以上です。

○神野委員長 どうもありがとうございました。諸富委員、何かございましたらどうぞ。

○諸富委員 私も天野先生のお考えにやっぱりなるほどなというふうに思います。やっぱり炭素税でピュアな炭素税ということを我々としても理念型としてはそれがやっぱりベストなんだということを共有していく必要があるなというふうに思います。先生がおっしゃったように、何か既存税の税率を上げ下げするだけとかというのでは、メッセージとしては余り明確ではなくて、何を目指してその上げ下げをしているのかということを考えると、これは横山先生もおっしゃったんですが、ピュアな炭素税に近づけていくという表現もされましたけれども、現行の化石燃料課税はいろいろかかっていますけれども、そのかかり方が果たしてグリーン化という名称にふさわしいものになっているのかという問題があって、きちっとそのグリーン化のために効果を出すにはどうしたらいいのかということを考えますと、天野先生がずっと強調されていますように、やっぱりピュアな炭素税を入れるというようなことが理念型としてはまずあると。だけれども、現実にはそれをいきなり導入するわけにはいかないときに既存税をどうリフォームしてそういう理念型に近づけていくかという問題意識からいろんなオプションが出てきて、そこは幅広くこの場でも議論のオプションとして見ておいてもいいのではないかというふうに先生方の意見を聞いて思いました。
 あと、その炭素税に代表されるように、きちっと炭素に価格をつけているのだということが見えるようにするというのは大事なんです。炭素税には非常に重要な役割がありますが、他方でやっぱり排出取引をカバーするというのもこれまた非常に重要な役割で、もう天野先生ご指摘のとおりですが、排出取引だとどうしても大口しか実際にはカバーできないという事情がありますから、排出量取引か税のどっちかだという議論をやるのは、私はやはりまずいのではないかと思います。どっちに転んでも、何らかの形で政策的にカバーされているという状態をつくるということが非常に重要で、その意味でも税は非常に重要だなというふうに思います。

○神野委員長 どうもありがとうございました。増井委員、ありますか。

○増井委員 天野先生の先ほどの見える化という話は私も実は大賛成でして、今回の議論を聞いていますと、どちらかというと産業対策に偏っているのかなという気がしていまして、先ほど諸富先生のほうからも大口だけではだめたというお話がありましたけれども、炭素税は、特に民生対策としてやはり消費者がどういうふうなものを買えば、あるいはどういう行動をすればより低炭素化社会に近づけていけるのかということを一つ考えさせる契機でもあると思いますので、そういう意味で民生といいますか、家庭部門でもどういうような効果があるのかということ、今回の資料も一部出てはいましたけれども、少しそのあたりをもう少し検討していただいたほうがいいのかなと思いました。
 それとあと、今の話と異なるんですけれども、今回資料2でいろんな軽減措置が調べられています。税率の話でも難しいということがありましたけれども、どういう背景でこういう軽減措置が出てきたのかということですね。恐らくそれぞれの国の事情といいますか、こういう産業をぜひとも守りたい、伸ばしていきたいと、そういう背景があってこういう軽減措置というのが出ているかと思うんですけれども、日本の場合、長期的に見てどういう産業を国の重点施策として考えていくのか、そのためにはどういう軽減措置が必要になってくるのか、そういう戦略的なことも必要なのかなと思いましたので、可能であればこういう軽減措置がどういう背景で出てきたのかというそこも何らかの形で我々の目に触れられると、軽減措置を検討する上で有効な資料になるのかなと思いました。
 以上です。

○神野委員長 事務局、これは軽減措置その他はあとでというか、宿題出てたんだね・・・。資料はまだ出ていない。
軽減措置がどういう経緯で入ってきたのか、あるいはどういう軽減措置が入っているか。産業的な国民経済的なというか、そういう意図か、あるいはさっきの場合によってはあれですよね。家計負担が逆進的だということを緩和するとかというものも考えられないわけではないので。あと、もしもあれでしたらば、その還付とか協定とかあるわけですよね。それは前回から問題になっている税務行政上というか、執行上の問題にかかわってくるので、どういうことが考えられるかを含めて何か資料を。

○環境経済課課長補佐 軽減措置の動きを結構調べてはみたんですけれども、なかなか各国でそれぞれ産業政策ですとかエネルギー政策さまざまなことがありまして、なかなかひとくくりで整理するのは困難なところもありまして、すみません、なので今回お示ししたのが一応精一杯の内容でありまして、例えばさっきの大口排出者のところなんかは、これはもちろん温暖化対策に取り組まなきゃいけない中で、例えばしっかりと協定なりを結べば、そういうところにはバランスよく環境税を軽減したりだとか免税したりするような取り組みもございますし、あるいは一番下に参考で発電用燃料を免税したEU諸国のところなんかも、これも若干調査中のところではあるんですけれども、例えばEU内ではこれは電気が国境を超えて取引されますので、発電用燃料の段階で課税した場合には輸入電力に係る国境調整を行うのが難しくて、国内市場における競争上、輸入電力が優位になってしまうとかそういう事情があるようですとか、そういう若干まだ調査中ではありますが、こういう背景なんかは若干情報が出ておりますけれども、ちょっとなかなか個々にそれがどういう理由で軽減というところまではちょっと調べるのが難しかったところです。

○神野委員長 では、中里委員、どうぞ。

○中里委員 私以外は全員、経済の先生方で何か場違いなことを申し上げるので大変申しわけないんですけれども、今の私たちの憲法に定められている財政の制度というのは、1215年のイギリスのマグナカルタと、それから1314年のフランスの三部会エタージェネロー以来、議会と王権の間の対立の中でできてきて、1688年の権利章典で完成したものでございまして、それがさらに今のフランス人権宣言とか日本の明治憲法とかアメリカの独立宣言とかを通じて憲法制度の基礎となったものです。つまり今の近代国家というのはすべて財政をめぐる王権と議会、国民とその主権者たる王なり何なりとの対立の中からできているものでございまして、これは非常に重要な話、国家体制そのものにかかわる話なんですね。そうやってできてきた財政の制度というのは、お金という項目を介することによって、いろんなところからとるんだけれども、特定の活動だけに着目しないで、みんなお金というフィルターを通して、また、コスト、支出のほうもいろんなところに使わなきゃいけないんだけれども、みんなお金というフィルターで同じ局面に並べるということなんですよね。その上で、入るほうと出るほうの関係は分断するわけです。担税力を無視して炭素含有量のみに着目してというのは、これは租税としてはあり得ない。それから、とった金をある目的にだけ使うというのも伝統的には望ましくないとされてきました。つまりピュアな炭素税というのは憲法体制に対する挑戦でございまして、余り筋がよくない議論なんですよ。いや、だからいけないと言っているんじゃなくて、私はどちらかというとそれに賛成なんですが、そういう、ぎりぎりの可能性の中で財政の原則にあわせて環境にお付き合いをしているというところなんですよね。特定のことだけ着目すれば、例えば環境だけに着目すれば、とるほうも使うほうも環境だけに着目して物事を考えるのであれば、世の中は簡単なんですよね、きっと。環境だけ考えればいいんですから。あと少子化対策なら少子化対策だけ考えるというのであれば、ある意味簡単なんですが、考えなきゃいけないことはいっぱいあるわけです。国民はいろんな活動をしており、いろんなところに金を使わなきゃいけない。それを全部財政というフィルターで平面的に並べるということなので、環境経済学の方から見れば、環境さえよければそれでいいんでしょうけれども、それでは財政はというか国家そのものはもたないんでして、冷や水をぶっかけるつもりは全くなくて、ここに来ているからには私も環境派ではあるんですが、どうかそこをご理解いただいて、余りピュアな炭素税だけにこだわらないで、それも一つの選択だと思うんですが、既存の税制を尊重し、税制という制度を使う以上、それを前提にしてプラスアルファでお考えいただきたいと思います。歴史も発展していくでしょうから、世の中の変化に応じて天野先生のおっしゃるような理想も少しずつ取り入れながら、ステップ・バイ・ステップでして、一挙に環境のためだけに財政の原則をゆがめるというのは、それはちょっとおそろしいことで、それこそマグナカルタとか三部会からの歴史を全部ぶち壊してしまうんじゃないかなという話だと思うんですね。いろんな活動があるということですね。それを忘れないでいただきたいと。環境だけのために政府があるわけじゃありませんので。

○神野委員長 天野委員。

○天野委員 何か私、環境のことしか考えていないような表現なんですが、経済学はあらゆる財・サービスを対象にしているわけですね。それをある特定のやり方で現在市場経済体制というんですけれども、あらゆる財・サービスの生産消費を管理していると。その一番大きな一つのやり方というのは、いかに資源を無駄にしないかと。要するに効率的なやり方というのはどういうところ、どういうやり方をすればいいか、そういう議論をしているわけです。ですから、たまたま環境というのがその中に入ってきましたけれども、今までは環境を考慮しない経済制度、市場制度が運用されてきて、しかし、環境というものがあって、これも経済の中で対応しなければいけないということで、どうしてやればいいかということになったときに、人々の自由に任せたのでは環境が保全できないということから、環境に対する効率的な対処の仕方として、一つのやり方として税というのが入ってきます。
 しかし、この税は私は何度も前から言っておりますように、収入を上げる目的ではないんです。

○中里委員 それは税じゃないんですよ。

○天野委員 税じゃない。

○中里委員 環境省で徴収するわけにはいかないでしょう。

○天野委員 そういう問題があります。だけれども、経済としてはそうせざるを得ないと。しかも、その税という制度がそういう環境を考慮しない形で税制という制度ができてしまっていますから、その中で議論せざるを得ない。ですから、私たちがそれを扱わないとおっしゃるのは、新しい問題が出てきたときに、その解決を私たちがしないということをおっしゃっているのと同じなんですね。

○中里委員 同じじゃないですよ。国家というのは法制度で動いておりまして、それを歴史的に形成されてきたものを一切無視して経済理論では押せないんですよ。経済理論というのは憲法上の根拠はありませんで、租税は租税なんですよ。租税じゃないものを租税と呼んで無理やり租税制度に乗っけるというのは意味がわからなくなっちゃうんです。それをかろうじてかすかすのところで乗せようと努力しているところをピュアじゃなきゃだめだと言われたら、もうそれはそっちでやってくださいと。そういうことを言いたくないものですから、できる限りぎりぎりのところを環境省も努力なさっていると、そういうことです。ですから、ピュアな炭素税にこだわらずに、まずは、既存の税制の有効活用を考えて、そして、税収の確保という租税の本質的役割を無視しないようにしてください。

○天野委員 わかりました。それぞれは、そのぎりぎりのところで議論をする努力をいたしますが、しかし、これは世界じゅうの人たちがやっていることなんですね。日本だけではないんですね。ですから、世界じゅうでできていることが日本でできないというのはやはり困りますので、そちらのほうでもぎりぎりの努力はしていただきたいというふうに思います。

○神野委員長 私の理解が正しければ、前にも言いましたけれども、スウェーデンはリジットに定義していて、使い捨てのバッテリーや自動車のタイヤに税というか負担をかけておいて、正確に言うと、それは税収目的じゃないんですよね。つまり収入目的じゃなくてそこにかけて、きちんと処理すればバックするだけじゃなくておまけを、つまり運び賃だといってプラスアルファでバックしているんですよ。そういうものについては税と言っていないんですね。スウェーデンがCO税という言葉でして、これはネーミングは別として、この税金についてタックスというのを使っているのは、収入を目的にしているからなんですよね。多分フィンランドも税と使っているけれども、収入を目的にしているので税というふうに言っているんだと思います。
 そこはそうなんですが、税の課税標準についてはおっしゃるとおり、どういうものを指標にして共同負担していくのかということだから、区別するように何かを限定するものはできないというのはおっしゃるとおりなんですが……

○中里委員 税収を確保するということが租税の本質なので、お金が入ることが重要です。

○神野委員長 そうなんだけれども、しかし、課税標準については推計課税みたいな場合もあるし、例えば税率をかける対象ということであれば、窓の数とかそういうことでかけるのもフランスで昔から認められているわけですよね。炭素税そのものも多分リットルか何かにかけているわけですよね。重量にかけているんだけれども、ドイツの概念を使えば課税指数みたいに推計しているわけですよね。これは許されると。

○中里委員 それはオーケーです。

○神野委員長 オーケーということでいいですね。それは共同負担をしていくときの原則としてどうしても推計していくわけだから、実際の排出量なんてかけられないからね。事実上、これにはこれだけ含まれているのだということを根拠にしながら、何リットルあるいは石炭はトンでかけているのかな、トンでどのぐらいというときの課税標準の算出の仕方としてやるのはいいわけですよね。これは世界でも認められているから、ということでいいんですよね。それで整理していただければと思います。

○中里委員 少しだけ不純ならばいいんです。つまり、税収確保を無視しなければいいのだと思います。

○神野委員長 少しだけ不純ならばいい。
 それで、そろそろちょっと予定の時間をオーバーしておりますので、この辺で本日の議論を打ち切りたいと思いますが、次回は今日論点になりました既存のエネルギー関係諸税との関係や課税の効果など指摘事項を中心に議論していくということにさせていただきたいと思います。
 事務局のほうから連絡事項ございましたらお願いいたします。あと何か事務局のほうからつけ足すことがあればお願いいたします。

○環境経済課長 それでは、次回の予定だけ申し上げます。予定と申しましても、まだ日程はきょうのご欠席の委員も含めて最終的な調整ができておりませんので、10月中旬をめどに再度調整をして決めてお知らせしたいと思っております。議題は今、神野委員長がおっしゃられたとおり、今日の議論を踏まえたものを中心にまた用意してご議論いただきたいと思っております。
 それから、今日お手元に第1回と第2回の資料も参考資料として置かせていただいておりますけれども、これは私どもで保存をして、また次回以降も使わせていただきますので、どうぞ置いたままお帰りいただきたいと思います。

○神野委員長 あとすみません、ちょっと排出源のデータか何かを出しておいてくれますかね。既存の税制から議論していくときに、排出源というのはCOというか自動車関係で幾らとか。つまり既存の税金から出発するときにどのぐらい、どこのCOの排出源にCOがどのぐらい出ているかというデータを出しておいてくれますか。すみません。

○総合環境政策局長 ありがとうございました。そういった資料もだんだん回も進んできたのでご用意して、なるべく早くいろんなことが進むようにしていきたいというふうに思っております。
 私もこの環境税を最初に公式に環境省が具体案を出す以前から大体ご出席の先生方と一緒に専門委員会をやらせていただいてメンバーもそう変更はなかったかと思うんですが、ずっと聞いておりまして、もともとは大分幅をもった議論だったと思うんですけれども、本日思いましたのは、理念と制度の現実との間でぎりぎりの知恵を出そうということで、こんなに一致しているのを見るのは初めてでございまして、大変感激をいたしました。補足でございますけれども、よろしくお願いします。

○神野委員長 それでは、よろしいですかね。この辺で打ち切らせていただきます。
 お忙しい中お集まりいただきまして、本当にありがとうございました。
 どうもありがとうございました。

午後3時04分 閉会