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中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会
第5回環境税の経済分析等に関する専門委員会議事録


平成17年7月22日(金)

環境省総合環境政策局環境経済課

午前10時01分開会

○鎌形環境経済課長 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから環境税の経済分析等に関する専門委員会の第5回目の会合を開催させていただきます。
 開会に先立ちまして、今来ておりませんけれども、7月20日付で事務局の環境省の方に人事異動がございますので、その旨ご紹介申し上げておきます。
 本日、所用で欠席の予定でございますけれども、総合環境政策局の総務課長が小林から寺内に異動になっております。それから、後ほどおくれて出席の予定でございますけれども、総合環境政策局総務課の調査官、御園生から岸本に異動になってございます。
 以上、ご紹介させていただきます。
 それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

○神野委員長 それでは、第5回目になりますけれども、環境税の経済分析などに関する専門委員会を開催したいと思います。本日はお暑い中お集まりいただきまして本当にありがとうございます。
 きょうは、初めて浅野委員にご出席いただいておりますので、ごあいさついただければと思います。よろしくお願いします。

○浅野委員 欠席を続けて大変申しわけございません、浅野でございます。よろしくお願いいたします。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、早速議事の方に入りたいと思いますが、お手元に議事次第が行っているかと思います。本日は、4件議題を準備してございまして、第1番目の議題がアンケート結果、それから第2番目の議題が環境税のマクロ経済影響、第3番目の議題が物価への影響、それから4番目の議題が環境税の業種別影響ということになっております。
 いつものとおりに、事務局の方からこれらについてご説明していただいた上で、委員の皆様方からご議論いただければというふうに考えております。
 本日も12時までの予定で議事を行いたいと思いますので、ご協力をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本日の議題の中で、第1番目の議題と第2番目の議題が比較的全般的な、総論的な議題になっておりますので、まず1と2について説明をお願いした上で議論をしたいというふうに考えております。
 第1番目のアンケート結果については事務局の方から、2番目の環境税のマクロ経済影響については後藤委員の方からご説明をしていただくということになっておりますので、後藤委員もよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から第1番目の議題、それから引き続いて後藤委員の方から第2番目の議題についてご説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 それでは、資料1に基づきまして、アンケートの結果についてのご報告をいたします。
 このアンケート調査につきましては、専門委員会の第2回目の会合におきましてアンケートの調査設計についてお示ししていろいろとご意見をいただきました。そのご意見を踏まえまして実施したものの結果でございます。
 資料1の1ページ目でございます。調査の概要からご説明いたします。
 まず、目的といたしましては、環境税が導入された場合のエネルギー消費行動の変化、税率の違いによる行動の変化を明らかにするということでございます。対象は、いわゆる家庭の一般消費者ということでございます。
 それで、調査の中身でございますが、調査対象の選び方というか、調査対象を幾つかに分けて調査を行いました。実は、かつてこのような調査は何度か行われたことがございますけれども、例えば税率を変えた場合にどういう行動の変化があるのかと、こういうふうな質問を設定する場合に、同じ人に対して複数の税率についてのケースで質問した場合には、税率が違うから選択を変えるべきであろうと、こういったようなバイアスが生じてしまう可能性があるということで、今回4つのグループに分けて、それぞれ別々に質問をしたということでございます。
 ここにございますように、グループの[i]から[iv]まででございます。[i]は、全く環境税の導入とかそういうことがないというケースで、その行動について尋ねるというもの。それから[ii]が、環境税の導入によってエネルギー価格が2%上昇した場合どうするかということを尋ねるもの。[iii]が、10%上昇という場合にどうなるかということを尋ねるもの。それからグループ[iv]でございますが、環境税の導入ということを明示しないで、一般にエネルギーが2%上がったらどうするかということ。この4つのグループについての質問をいたしました。
 質問項目でございますけれども、全体を大きく3つに分けております。1つは、心がけ対策ということで、日ごろの心がけの対策をどう実施するかということで、例えばエアコンのフィルターの清掃などをどうしますかというような行動について、6つの行動について4グループに対してそれぞれ質問いたしました。
 それで4グループに対して、これからあなたはどういうふうにしますかというものを尋ねるということと、今まで実際に実施していましたかというものを尋ねるということでございます。税を導入した場合には、導入しなかった場合、あるいは導入した場合についての行動の変化がこれでうかがわれるということでございます。
 それから、2番目が機器の選択ということでございます。エアコン、冷蔵庫など4つの機器につきまして質問をしております。従来型の機器と省エネ型の2つの機器、商品価格。従来型の方が安いというようなケース、そして年間の電気代、これは省エネ型の方が安いというケース、こういったものの電気代とか税額などを示しながら、どの商品を選択するかを質問したものでございます。
 次のページへまいります。
 次はエネルギーの使用抑制に関するものということでございます。エネルギーの節約ということでございますが、ストーブの使用時間とか照明の時間、テレビの時間といった7種の行動について質問したということでございます。
 それから、調査の実施の実際でございますけれども、全体20歳以上1,600人を対象にいたしました。調査の時期は7月5日から13日、調査方法はインターネットを活用したアンケートということでございます。このインターネットを活用したアンケートは、あらかじめこの種のいろいろなアンケート調査に対して、登録されている方々に対して調査を行ったということでございます。1,600人、400人掛ける4つのグループということでございます。
 それから、分析方法でございますが、これにつきましては、具体的なものをごらんいただきながらご説明いたしたいと思います。
 それでは、実際の結果のところでございますが、少し飛びまして6ページをお開きいただけますでしょうか。
 心がけの実行に対する影響を見るということでございまして、ここはエアコンのフィルターの掃除の行動に対する影響ということでございます。まず、ここにございますような質問項目ですが、選択肢は一番下にございます。エアコンを使う季節にフィルターをこまめに清掃をするということをやるかどうかということで、2週間に一度清掃、2週間から2カ月に一度、2カ月から半年、ほとんど清掃しないなどなどということでございます。こういった選択肢を4つのグループにそれぞれ、これからどうしますか、今までどうしていましたかということを聞いております。
 税を導入したというケースの場合には、例えば税2%の上昇の部分でございますが、今後、環境税が導入されて電気の価格が2%上がった、こういう場合どうしますかということを聞く。それから、今までどうしていたかということを聞くということでございます。
 結果は右側7ページにございます。それぞれの日ごろの行動についての調査結果は一番上に掲げてあるものでございますが、例えば税なしのグループでありますと、左側から2週間に一度清掃というのが400人のうち40人、2週間から2カ月に一度というのは120名、このような数字の結果になってございます。
 それで、実際にエネルギー価格が上昇した場合、今後どうするかという行動についての回答でございますけれども、ここは一番左側がこまめにいろいろな行動をとるという行動でございまして、右側が何もしないという行動なのでございますが、右から左へシフトしていった人たちの数をパーセンテージで見たというものでございます。
 それで、税なしの部分でございますが、これまでやっていなかった人も省エネ行動にシフトするというのが、2週間に一度やるようにシフトする人が3%、それから2週間から2カ月に一度というのが7%、そして2カ月から半年に一度ということにシフトするのが2%ということで、より省エネ行動を今後とるといった人の数がこの図9にあらわれているということでございます。
 税なしの場合でも、これまでやっていなかったけれどもこれからやろうということをこのアンケート結果で答えた人が、全体で12%ということになります。税が2%上昇した場合ということも同じようにございまして、この場合全部足しますと27%の方、それから、税が10%上昇した場合どうなるかというと、28%の方ということになります。
 それから、環境税の導入ということではなくて、一般に価格が2%上昇したらどうかという質問に対しましては、24%の方が省エネ行動にシフトしたと、こういうような結果が出ているということでございます。
 以下、このような分析を続けまして、それぞれ変化について有意差があるかというのを検討をかけたということでございますが、その結果は後でご説明いたしたいと思います。
 それから、8ページ、9ページと、エアコンプラグ抜きとか冷蔵庫に物を詰め過ぎないとか、こういった行動についての結果を並べているということでございます。
 それで、次の部類にまいりますが、18ページをお開きいただけますでしょうか。18ページは、機器の選択についての影響でございます。エアコンの選択を質問項目にしているということでございます。
 ここにございますように、18ページの数字の入っている表の部分を見ていただきますと、例えばエアコンA、エアコンBとございます。Aの場合には、商品価格が11万円、年間電気代が2万4,000円ということで、Bの場合にはエアコンAと同じようなスペックですけれども、省エネ型ということで商品価格が若干高くて15万円、年間電気代が2万円、こういった場合どうしますかということでございます。その下にまいりますと、税を導入した場合の税額というものも、税2%導入、あるいは10%導入の場合の金額を示している、こういうことで聞いたということでございます。
 右側が結果でございます。どちらかというとA、従来型の機器を購入するか、あるいはB、省エネ型の機器を購入するか、こういうものを聞いたところでございます。税なしのグループのうち下の方の棒を見ていただきたいのですが、26%と書いてあるのが「Aを購入する」、あるいは「どちらかといえばAを購入する」とした人。それから右側の72%という数字が「Bを購入する」、「どちらかといえばBを購入する」とした、そういうグループでございます。
 以下、税2%の上昇の場合には、Aの方が21%、Bの方は74%。10%のときはAを購入する人が18%、Bを購入する人が79%、こういったような結果の数字となっているということでございます。これにつきましても、それぞれについて有意差があるかどうかというような検討をかけているということでございます。これも後ほど表でまとめてご説明いたします。
 それから、次のグループ、26ページよろしゅうございますでしょうか。今度は、エネルギーの使用をどう抑制するかというような行動でございます。聞き方でございますけれども、税を導入した場合、あるいは価格が上がった場合どういうふうに行動を変化させますかということで、選択肢としては、「かなり控える(10%よりも多く)」、「控える(6%〜10%程度)」、「すこし控える(1%〜5%程度)」、「今と変わらない」、「わからない」などというような選択肢を用意いたしました。
 それで、その結果は27ページにございますが、税2%上昇の場合には、「かなり控える」が22%、「控える」というのが29%、「少し控える」というのが35%といったような結果になってございます。
 これを、少し重みづけをして評価をしようということで、この下の表の場合には、仮にということでございますけれども、「かなり控える」というのは12.5%、「控える」というのは7.5%、「すこし控える」が2.5%と、こういうふうな平均値だろうというふうな想定を置いて重みづけをしたということでございます。その場合に、税2%上昇、税10%上昇、それから価格が単純に2%上昇というケースで、ここにございますように、5.9、6.4、5.7といったような数字が出てきたということでございます。
 以上のような結果でございますけれども、これを全体的にまとめたのが40ページのまとめのところでございます。40ページと41ページを両方お開きいただいてごらんをいただければと思うんですけれども、まず、環境税が影響を及ぼした省エネ対策がどうかということでございまして、41ページの表の方をごらんいただきますと、縦には心がけの実行、省エネ機器の選択、エネルギー使用の抑制と、それぞれの項目の欄がございます。それから、横でございますけれども、横の上が検討をかけた結果、税を10%掛けた場合が税を2%を掛けた場合よりもより多く出ていると、有意に差があるというようなケース。それから、10%の効果と2%の上昇の効果というのが、特段有意な差がないというケース。いずれもこれらのグループは課税によって行動の変化が有意にあらわれたということでございます。
 それから、その下、課税によって行動の変化が統計的に有意に出なかったというグループがございます。ここにございますように、例えばタイヤの空気圧調整という心がけ行動については、10%上昇のグループの方が2%上昇のグループよりも有意に、よくやられるというようなケースでございます。あるいは省エネ型のエアコンの選択というのも出てまいります。こういったような表になっているということでございます。
 左側にまいりまして、環境税の効果というところの、「これらの結果から」という部分でございます。右側の表の結果という意味でございますけれども、「エネルギー価格の上昇が2%程度の低率の環境税であっても、省エネ行動を促進させるための十分の駆動力を持つ」のではないか、こういったことが示唆されたということでございます。2%以上かかったグループが課税がなかった場合に比べて有意の差が出るという行動が非常に多いということが言えます。
 それから、2%上昇と10%上昇の場合の比較でございますけれども、余り有意な差が見られない部分が結構あったということでございますが、そういった部分につきましては、さらに今後分析を要するというふうには考えますけれども、エネルギー価格の上昇による効果だけでなく、環境税を導入するというアナウンスメント効果が働いたのではないかと、そういった可能性が示唆されるのではないかというような分析ができようかというふうに思います。
 それから、次でございますけれども、エネルギー価格の上昇の原因の差が行動に与える影響ということでございます。エネルギー価格2%上昇グループが2つございました。環境税だと明記したグループとそうでないというグループでございます。これら両者を比較したということでございますけれども、有意な差が見られたというものが、例えばエアコンのプラグ抜きなどの3種の省エネ対策の行動ということでございます。ただ、それ以外は特に有意な差が出ていないということでございますけれども、環境税を明記しない方が省エネ行動の選択率が有意に高くなるというような対策はなかったということでございます。
 ということで、環境税を導入するということによるエネルギー価格上昇の影響というのは、その他の原因によるエネルギー価格の上昇の影響とは異なった結果を示すというようなことが示唆されるということが結果として出ているということでございます。
 以上が今回のアンケート結果ということでございます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、後藤委員、2番目の議題につきましてご説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○後藤委員 後藤です。よろしくお願いします。
 本日報告させていただく結果でありますが、昨年、天野先生を座長としまして、幾つかの構造の違ったモデルを使って環境税等を入れたときの影響を比較分析するという研究会に参加させていただきまして、そこで行った試算であります。
 細かく結果を報告する時間は与えられておりませんので、一応この検討会でこれまでAIMによるシミュレーションというのが紹介されて議論されたと思いますが、そのモデルとの比較ということでポイントを絞ってご報告させていただきます。
 ご存じのようにAIMモデルのCO削減のメカニズムというのは、環境税等を導入することによってエネルギーの相対価格が変わると。その結果、末端部門においてさまざまな省エネ技術が導入されると。それでCOが削減されると、こういうのが基本メカニズムでありました。
 私のモデルの調整のメカニズムは大きく2つあります。1つがエネルギー供給面における資源・技術の代替、それから2番目が、これはこの検討会でも議論になってきましたいわゆる価格効果ということで、エネルギーの相対価格が変わったことによって需要部門でいろいろな調整が行われる、産業部門における生産の調整、それから民生部門における需要の調整ですね、価格が上がったことによって省エネの行動をとると、大きくこの2つが調整のメカニズムであります。ですから、AIMモデルとの比較でいいますと、価格効果による需要調整を中心とした分析というふうにご理解いただければと思います。
 ただし、この2つのメカニズムのうち、最初の方でありますが、供給面における代替については、ここで、今回のシミュレーションでは原子力とか自然エネルギー、それから新しい新技術、こういうものは外生といいますか、政府の政策どおりということで与見として与えられておりまして、調整のメカニズムとして自由変数として考えられているのは、石炭から石油、ガス、それから石油からガスという、こういう代替によるCOの削減ということです。
 それから、需要部門におけるメカニズムでありますが、ここは経済学の先生が多いですので、それほど詳しく説明はしなくていいと思いますが、ミクロ経済学の標準的なものでありまして、生産関数を抽象的に定式化しまして産業部門においては利潤の最大化、民生部門においてはエネルギーの消費から得られる効用の最大化と、こうした基準に基づいて行動をすると、その結果エネルギーに対する需要が決定されるということです。
 ちなみに、こうしたモデルからエネルギーに対する派生需要関数のようなものを導いたとしますと、その需要関数を特徴づけるクルシャルなパラメーターが弾力性ということになります。
 それでは、結果に移りますが、その前にGAMESによるモデルのシミュレーションというふうになっておりますが、多少私のこれまでの仕事をご存じいただいている方もいらっしゃると思いますが、いろいろこれまでインプットデータのアップデイトとかさまざまな拡張は行ってはきておりますが、基本的に以前のモデルと同じものであります。
 これまで、モデルの名称としてGDMEEMというのを使ってきましたが、本人でも口がろれますし、これまで10人の先生のうち10人とも覚えていただけませんので、こういうところでいろいろお役に立てていただくということも考えて、なじみ深いGAMESという名前に変えさせていただきましたのでよろしくお願いします。
 さて、試算結果ということでありますが、まずポイントをご説明させていただきます。
 資料によりますと最初BAUシナリオということで、実験室のようなものを想定するわけです。環境税等、あるいは温暖化対策を行わなかった場合というようなことでベースケースを設定して、それに対して温暖化対策を行ったときどうなるかと。それを比較して分析するという一般的な方法でありますが、これは最初のシナリオ設定ということですので、説明は省略させていただきます。
 ポイントは、ここで与えられたミッションというのが、2010年以降、COの排出量を90年レベルに落とすと。具体的には、ちょうど10%分落とさざるを得ないと。これをどういうふうに、先ほど言ったメカニズムで経済効率的に対応するか。あるいは市場メカニズムというふうな見方で、市場にゆだねるとするとどういう形でその対応が行われるか、そういうふうなのがミッションであります。
 数値を見るに当たって、大まかにこんなふうな数字が出るということをご紹介しますが、このモデルでは弾力性というものがキーパラメーターなわけですが、この弾力性の値というのは、私のモデルの中に入れたデータは、1970年から98年までの年次データから回帰推定したものです。ちなみに、産業部門を平均したものを言いますと約マイナス0.7、それで民生部門が約マイナス0.25と、こういう値が使われております。
 今、ちなみに需要量でウエートをつけて、この産業部門と民生部門の平均値、ですから日本経済全体の弾力性を算出してみますと、大体マイナス0.5という数字が出てきます。そうしますと、先ほどのメカニズムでざっと頭の中で概算すれば、今、仮にエネルギーの代替というものを考えないとしますと、2010年において10%のCO削減ということですので、近似的に10%のエネルギー需要の削減が要請されるということになります。
 そうしますと、価格効果で10%のエネルギー需要を削減するためには、弾力性がマイナス0.5でありますから、ほぼ20%のエネルギーの価格の上昇が必要とされると。それを炭素当たりにしますと、大体炭素税にしますと1万円ちょっとぐらいと。石油にしますとリットル7円ぐらいになるということです。
 もちろん、これは現実がこういうことということではなくて、モデルのメカニズムがそういうものだというご説明をさせていただきました。したがいまして、今のラフな概算値を見ながら計算結果を見ていただけるとおおむね理解いただけるのではないかというふうに思います。
 時間もあれですので、5ページにマクロ的なこうした温暖化対策を行った場合の影響というのがまとめられておりますので、これを中心にお話しさせていただきます。
 きょう、ご報告させていただきますのは、そうした温暖化対策、あるいは環境税を入れたということでもいいですが、COを2010年で10%相当を削減すると、この結果、経済的な影響をマクロ経済的な影響、それを部門別に分けた各部門における影響、それからそれに伴うエネルギーの消費量とか価格、こういうものがどういう変化をするかと、こういうことをまとめてご紹介させていただきます。
 ここで、まず注意点でありますが、マクロ経済的評価ということで、一番上の列には、GDP比でどのくらいこうした対策を行うと経済的なロスが生じるかというようなことが書いてあります。後で説明しますが、その後、部門別に各産業における収益等がどういう影響を受けるかというのをご紹介させていただきますが、一見するとそこで大きな違いが出てくるのでびっくりされる方もいらっしゃるかと思いますので、先に注意しておきますと、マクロ的な評価というのは、いわゆるデッドウエートロスといいますか、そういうもので評価しております。それに対して部門別の評価というのは、炭素税等を導入したときに各産業部門は税を払うわけですが、その納税額も全部含めた上での各産業部門における収益の変化ということであらわしております。したがいまして、部門別だと非常に大きな影響が出るようなものに対して、マクロ部門では極めて小さいという、何か意外な感じがするかもしれませんが、納税というのは所得移転でありますので、ロスではありませんのでこういう結果が出てくるということであります。
 さて、説明の仕方でありますが、モデルは先ほどのBAUシナリオに対してCO削減という制約条件を与えて解くという、そういう解き方をしています。その結果、CO制約のいわゆるシャドープライスというものが算出されるわけですが、数学的な同値関係からこれはちょうどそれに対応する炭素税率という解釈が可能ですので、ここではその炭素税率を入れたときにどういう評価が、影響が起こるかと、そういう文脈でお話しをさせていただきます。
 そうしますと、順番から行きますと、真ん中ぐらいに抑制の限界費用という項目があると思いますが、これが先ほどの2010年以降、COを90年代レベルに抑えるときに必要な炭素税率ということで、2010年でトン当たり1万円程度というふうなことが見積もれます。
 それに相当してエネルギー価格、先ほどラフな概算をご紹介しましたが、おおむねそれに対してエネルギーの代替が加わったりしますから、それから省略しますが、細かいいろいろな幾つかの調整も入っておりますので少しマイルドになって、エネルギーの価格の上昇というのは、例えばそのちょっと上ぐらいにありますが、18%ぐらいと。そうしたエネルギー価格の上昇に対して、先ほど価格弾力性によって特徴づけられる需要が減少するということで、エネルギーの需要量の減少が誘発され、その結果、付加価値生産量も多少落ちるということで結果が出ておりまして、上からマクロ経済的な損失というのがGDP比当たり0.09%ですか、こんなふうな値が出てくる。その他、エネルギー需要等云々に関しては、この表にお任せしたいと思います。
 それから、2010年以降対策をするということですが、それ以前にもいろいろな影響が出ております。ただ、このモデルは線形モデルということで、ご存じのようにジグザグ傾向が見られますが、そういうのをちょっと取り除いてもかなり前からそれなりの対策が行われるというのは、この検討会でも議論になりました、いわゆるアナウンスメント効果であり、モデルは経済的合理性とダイナミックにオプティマイズしておりますので、そういう観点から少し早目に対策をするということがより経済的にプラスだというようなことが見られる傾向の一つであります。
 それから、産業部門への影響ということで次に飛ばせていただきますが、8ページに出ております。
 8ページのこの表で、上の表が各産業部門における付加価値生産量がどういうふうに影響を受けるかと。それから下がエネルギー消費量というふうなものであります。こうした数値というのは、おおむね各産業部門におけるエネルギーの集約度、それからそれぞれの産業部門における弾力性の値、それからそれぞれの産業部門でどういう燃料費を使っているかと。おおむねこの3つのファクターで説明できるところであります。
 以上が計算結果で、あと細かいところは見ていただければと思いますが、最後に少し政策的なインプリケーションということでAIMとの比較で付け加えさせていただきます。AIMモデルの一つの政策的インプリケーションというのは、安い環境税とそれを効果的に補助金として使って、省エネの導入の促進すると、こういう一つのポリシーパッケージが打ち出されたわけですね。
 それと比べますと、私のモデルから得られる一つのポリシー、インプリケーションでありますが、ある程度高い環境税のようなもので経済的に効率的な対応を促す。しかし、見ておわかりになりますように、産業部門への影響というものを見ますと、かなり不均一といいますか、特にエネルギー産業に対しては大きな影響が起こるということが見てとれます。
 こうしたことから、前回の検討会でちょっと発言させていただきましたが、公平性というふうな一つの基準があるわけですが、経済的効率性というのとはちょっと別に、影響の負担の公平性というようなことから、税収を法人税減税とか一括還流とか、こういう形で各産業部門への影響を緩和する、こういう補完的に組み合わせたポリシーミックスと、こういうものもこういうシミュレーションの結果から示唆される一つの結論かなというふうに思います。
 以上です。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、第1番目の議題、アンケートと今の試算結果とはやや性格が異なりますので、別々にご議論をいただければというふうに思います。
 最初に、第1番目の議題でありますアンケートの結果についてでございますが、これはご説明があったように、第2回目のこの委員会でいただいた皆様のご意見を参考に踏まえて実施したものでございますけれども、このアンケートについてご質問、それからまた結果の読み方などについてご質問やご意見をちょうだいできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
 いかがでございましょうか。
 佐和委員、どうぞ。

○佐和委員 このアンケートは、1,600人の回答者を400人ずつに分けて、これは割と珍しいと思うのですね。つまり、ある一つのグループに対して税なしならどうしますかと、2%の税を掛けたらどうしますかと聞くというのが普通のやり方だと思うのですが、これは完全に税なしのときどう行動しますかという母集団のみたいなものと、それからその次の2%の課税をしたときにはどうしますかという、聞いている対象が次々と違うわけですね。そういう意味では非常に珍しいし、そういうやり方がいいのかどうかというのは、また皆さん方で議論していただければいいと思うんですが。
 ただし、いずれにせよ、こういうアンケート調査をする場合に、分けられた400人ずつのグループの属性ができるだけ均一であることが必要なわけですね。まず3ページのところを見ると、男女という意味ではちょうどは半々ということで全く属性は同じなわけです。その次に年齢の分け方もほぼ同じであると。30代といっても幅はあるわけですけれども、少なくとも何十代という意味では全く均一と、そういうサンプルのつくり方をされたわけですね。そして、その結果として、世代構成とか世帯所得等々については、若干の差はあるけれどもおおむね近いと。
 ところが、一番母集団間で属性が異なるのはどれかといいますと、5ページの図5と図6のところの地球環境問題に対する意識なのですね。そうすると、これは幸か不幸か税10%上昇したときどうしますかと聞かれる対象者たちが、一番環境意識のレベルが低いんですね。逆に2%ともともとは税なしのところが一番総体的には環境問題に対する関心が強いと、そういう皮肉な結果で、その結果として41ページの表2を見ますと、10%の効果が2%の効果よりも有意に大きいのはこれこれであると。ところが、10%の効果がほぼ2%の効果にイコールであるというのがこれこれ。しかし、これは意識の差というが一番こういう結果をもたらした最大の理由だと思うのです。ですから、そういう意味でこれはちょっと残念と言えば残念だなという感じがするのですけれどもね。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 事務局、何かコメントがございますか、検討の方法について。

○鎌形環境経済課長 サンプルにつきましては、結果的にそうなってしまったということです。できるだけ均一に性・年齢までは―要するにこちらで選び得る限りでは均一にやったつもりなんですけれども、おっしゃるとおりどうも認識の面というところではそういう結果が出てしまったということなのですけれども、このあたりを逆に何か補正して評価するような手法というのが、やり直すのもなかなか予算の問題もあるのですけれども、もし補正して考えるとか、そういうことができるんであればとは思うんですが、いかがでしょうか。

○佐和委員 補正のしようはもうないと思うんですね。ただ、非常に残念ですよね。これが仮に税なしのケースについての回答者と10%の対象者がひっくり返ったら、結果は非常に有意な結果が出たいたんじゃないですかね。

○神野委員長 ほかに。
 天野委員。

○天野委員 40ページのまとめのところで、アナウンスメント効果という表現があるんですが、私は以前から環境省の方がアナウンスメント効果というのをどういうふうな意味で使っておられるのか、ちょっとよくわからない点があったんですが、ここは2%にしろ10%しろ、税が実施されるわけですね。ですから、実施されることに対して、どうしてアナウンスメントという表現をするのか。
 先ほどの後藤先生のお話では、実際に環境税が入ってくる、あるいは大きな規模で入ってくるのはずっと後の方だけれども、入ることは前もって知っていると。その知っているというのはアナウンスメントですね。アナウンスメント、あるいは告知をするわけですから、告知をしてずっと期間がたって実際に実施されると。ですから、実施されるときに本来は効果が出てくるのですけれども、実施される以前に告知だけのところで効果が出るというのが、私の理解しているアナウンスメント効果なんですね。
 ところが、ここは2%も10%も両方とも実施したらどうかという話ですから、こういうのはアナウンスメント効果と言わないと思うのです。

○佐和委員 むしろ、鎌形さんのさっきのご説明を聞いていると、要するに例えば2%価格が上昇したという場合と、それから税を掛けて2%上がったというところに有意な差があるから、それをもってアナウンスメント効果と言っていると思うのです。

○天野委員 何のアナウンスですか。

○佐和委員 税の。

○天野委員 税は別にアナウンスメントしなくても実施しているわけです。

○佐和委員 要するに、ガソリンを買う人にガソリンは何円か上がっているけれども、これは環境税のせいですよと。

○天野委員 だけど、ここは10%と2%と差がないから。

○佐和委員 ここではそう言っていますけれどもね。ですから、その前に単に2%価格が上がったというケースがありますね。それと税の結果として2%上がったという場合を比較すると、両者の間に有意な差がある。逆に、2%と10%で余り差がないというのは、税を掛けたということによる効果が。税がかかってます……。

○天野委員 ですから、それは実施をした効果なんですよ。掛けるアナウンスした効果ではないんです。

○佐和委員 いや、実施して、価格インセンティブ効果としてあらわれるというのと、それと税がとにかくかかっているんだよということがアナウンスされているということ。

○天野委員 アナウンスされてない。実施されるわけです。

○佐和委員 まあ実施ですけれどもね。

○天野委員 だから、実施されることは英語ではアナウンスメントとは絶対言わない。

○神野委員長 これは、現実に導入されていないので、これは定義上どういう意味ですか。

○鎌形環境経済課長 確かに天野先生のおっしゃる定義とはちょっと異なるかもしれません。というのは、税ということで価格が上がると税がかかっているのだということが認知される。そういうことが、税が幾ら上がるかというそういう価格の上昇だけではなくて、価格の情報以外に税という情報が何か効いてくる。これが税の価格効果とは説明し切れないものがあるんじゃないか、それが……。

○天野委員 ですから、それは政策が実施されているということを認知しているという効果なんですね。

○鎌形環境経済課長 そうですね。ですから……。

○天野委員 新たに予告をして、実際にはないのだけれども予告をされたという情報で行動をとるというのとは違うんですよ。

○鎌形環境経済課長 おっしゃるとおり、そういう意味ですが、それは……。

○天野委員 ですから、アナウンスメントというのはそういう定義ですからね。だから、定義と違う使い方をしているというのが私の、変な受けとめ方をされると。そういうふうに解釈が入りますと、いろいろな解釈で勝手に内容を変えられるわけです。そうなりますと、何の議論をしているのかよくわからないので、私はこういうある程度アカデミックな議論で使われている言葉を使われるときには、定義から余り逸脱した使い方をしない方がいいと思うのです。
 というのは、これは地方ヒアリングに行きまして、やはり皆さん混乱しているのです。アナウンスメント効果というのを言っているときに、いろいろな議論が出てきて議論が混乱してしまって、どうなんだという議論になっちゃうんですね。これはちょっと私はまずいと思うんですね。

○神野委員長 金本先生、何かありますか。

○金本委員 言葉遣いをどうするかという話だと思うのですが、要するにラベリングをするかどうかということの効果を見ているだけだということだと思います。ちょっとその辺、すごく皆さん混乱をしているというか、ここでの議論もいろいろなことを広報していく、アナウンスしていくという広い意味でとらえている方がいらっしゃるようでして、これは税で上げるか、単にほかの要因で上がったかという区別をしているだけだということはきちんとしておいていただきたいと思います。
 ついでによろしいですか。
 有意、有意でないというやつがきちんと書かれていなくて、まとめのところに非常に大胆な結論が出ていてすごく気になるのですね。そんなに環境税の効果が有意かどうかというと、見ているとそうでもなさそうな、統計的には本当にどの程度の有意性なのかというのがちゃんと、ばっと説明を聞いただけではよくわからないと。有意水準68%等々というふうな書き方をされると、これは何なのかと。

○鎌形環境経済課長 この参考のところを見ていただきたいと思います。

○金本委員 参考、どこですか。

○鎌形環境経済課長 42ページ、43ページに一覧表として一応数字は掲げてございます。一応ここできちんと統計的検討をやっているわけです。

○金本委員 統計的検討よりまとめがほしいという、有意水準が何%で検定するとどれだけ入るというふうなことと、それからこれはディスクリートなものなので若干あれですが、どの程度の幅にあるかという、95%有意水準でどれぐらいの幅にあるのかとか、そういった情報を提示していただかないと、有意、有意で終わりとされるとちょっと困るかなという気がいたします。
 あと、今さっき佐和先生からもありましたけれども、10%と2%を比べて差がないからアナウンスメント効果があるよという議論は、かなり牽強付会に近いという気がします。最近、ガソリン価格が10%以上上がっていますが、そんなに目に見えた行動の変化があるかというとないので、2%、10%の差というのはエネルギー価格にすればもともと支出の中のシェアは非常に小さいものですから、それが1割上がったからといってそれほど大きな差が出るものではなさそうな気もするんです。
 そういったことも含めて、もう少しここのまとめはきちんと厳密な書き方をしていただきたいと思います。

○神野委員長 どうぞ。

○中上委員 私のところにもアンケートをなさる前にご相談に見えたので、例えばこういうふうにしたらどうかというのでやっていただいた部分がある。それが、実は環境税と名を打った2%とそうでない2%を比較してみたらどうかというご提案をしたわけですが、若干の差があらわれているから、それなりの傾向かなと思いますが、この種のアンケートを出しますと、一般に消費者というのは学校の答案を書くような態勢になって書くものですから、どうしてもおりこうさんの答えが出てくるわけですよね。
 今、何%ぐらいがクリティカルかというと、私の経験で言えば、主婦層がまず光熱費でどのくらいの節約になると動くかというと、待機電力がいい例でありまして、あれが私どもが発表したときに1万円を若干超えたわけですね。それが非常にクリティカルに主婦層が行動を起こしたというふうに言われたわけです。あのときに我々が五、六千円の待機時消費電力であると言ったら、あそこまで動かなかったと後で言われて冷汗をかいたものでありますけれども。
 そういうことからすると、20万円ぐらいが今の光熱費水準ですから、トータルでいけば全体の5%ぐらいが上がれば、恐らく主婦は動くと思います。
 車の行動というのは主婦の行動ではありませんから、ある意味では違うと思いますが、家庭ということで言えば、そういう意味では5%が一つのクリティカルなポイントだろうと思いますが、それが5%という言い方をしたらピンと来ない。1万円と言われるとピンと来る。だから、エアコンで2万円と2万4,000円と言われても、4,000円ぐらいがどう反応するかというのは、それだけが電気代ではありませんので、ほかと並べて話をしないと動かないのであって、こういうアンケートをするときは、非常にある意味では違ったビヘイビアというものを勘案してやらないと、なかなか正確には見ることができない。
 ただ、今回、非常に短時間でおやりになるというので、例えばこうやったらどうかということでやっていただいたわけで、それはそれなりの傾向が出ているかなと思いますが、余りにこれですべてうまくいくと考えると、若干危ない面があるという感じがいたします。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 どうぞ。

○和気委員 佐和先生の最初におっしゃられた、地球環境問題に対する意識についての属性がばらついているというところがとても気になりまして……。と申しますのは、私が最初に出席したときに、日本の社会をヨーロッパとかと比べると何が違うかというときに、意識は比較的高いけれども行動につながらないと。したがって、意識と行動のギャップをインセンティブのようなもので政策的に何らかできないかというのが最大の政策課題の一つだとすると、やはり意識がある程度属性において均一だというところから比較しないと、まずはちょっとミスリーディングかなという気もしないでもない。
 そこで、もしやるとすれば意識のギャップの部分をコントロールして統計的な結果を、アンケートの結果をもう一回解釈し直すことはできないかなと思いつつ、今考えているところなのです。
 もう一つは、アナウンス効果なんですけれども、アナウンス効果はまさに情報そのものなわけです。環境性という政策手段によってどんな情報が人々に伝わるかというところがすごく重要だと思います。
 実際に物を買ったり売ったりする場合には、価格情報はまさしくビヘイビアそのものなんですけれども、納税、つまり税を支払うというときの情報というものは、どういうもので税を支払うかというときに、例えば自分が電力料金を払うときに、今電源関連のエネルギー税は表示されておりませんね。後ろにCOチェックのリストみたいなのがあって、自分がどのくらい支払えばどのくらいというのは毎月来て、何となくそれは一つの自分のあれですけれども、もし、例えば電力料金を払うときに、一番上に環境税とか炭素税と入っていれば、まさしくそれは常に払うときの、あるいは電力料金を支払うときの情報としてそのままストレートに行動に影響を与えると。
 したがって、環境税を導入するときにどんな手法で、どんな情報を追加的に消費者に提供するかというのはすごく重要でありまして、非常にラフにアナウンス効果というのは、言葉としてはあれですけれども、本当に慎重に考えないと、何がアナウンス効果かというのがわからないんじゃないかと思いますので、ぜひ、どんな情報を一緒に、追加的に提供するかというスキームが絶対必要だなというふうに思います。

○神野委員長 はい、どうぞ。
 ちょっとお待ちください。浅野委員、どうぞ。

○浅野委員 今の和気委員ご発言のしりうまにのるような感じになりますが、これを見ると意識についてでは、10%上昇のところの意識が悪いのは使用時で、購入時はそれほど大きく出ていないですね。そうすると、最後のまとめの41ページを見ると、10%の方がより有意に効果を及ぼすとされている。ところが、使用が高い。ということは、これは環境税のアナウンス効果と言われていることよりも、こういうアンケートそれ自体の教育効果があって、そうか、こんなことができるんだと、なるほどなるほどと思って、そんなことを知らなかった人がここにまるをつけたという可能性があった、と読むこともできますね。
 ですから、確かに環境税を導入することの効果という整理はやや荒っぽいかもしれない。そこをどう上手に説明するかという問題があると思います。

○神野委員長 それでは、山地先生、お願いいたします。

○山地委員 今の議論に関係しまして、私も天野先生がアナウンスメント効果の定義について言われたときに申し上げれば一番よかったのですけれども、やはりラベリング、区分けが必要だということははっきりさせておいた方がいいんじゃないでしょうか。つまり、私が前出たときに、価格効果と税収の収入としての効果とアナウンスメント効果と3つを言ったわけですけれども、もしアナウンスメント効果が天野先生の言われる告知するだけの、実は実施されていないけれども実施するよと言ったときの予告の効果だというふうに定義してしまうと、それ以外の効果があるので、価格効果というのは価格に依存して多分効果が違うというイメージがどうしてもあると思うのですけれども、導入されるかどうかとオン・オフで、違いのある効果として、それを一部アナウンスメント効果とアバウトに言っているのが2%と10%で違わないということで使われているわけです。
 もう一つは、同じ2%上がったんだけれども、環境税で上がりましたというのと、そうじゃないけれども値段が上がりましたというので効果が違うだろうという話もある。この3つをうまく定義分けをすればいいのではないでしょうか。

○神野委員長 はい、ちょっとお待ちください。

○藤井委員 今の山地さんのご意見に関連して、消費者の税率の効果以外の要因にコメントさせて頂きます。前に質的選択モデルにならないかという話をしたと思うのですが、消費者は環境税に直面して、その上がった分とそれから今のアナウンスメント効果のほかに、2%の税率をとられる人と10%の税率をとられる人では、多分問題解決に対するコントリビュージョンが違って、要するに社会のCOの削減にうんとコントリビューションするのかしないのかというところを知るか知らないかによって、行動が大分違うのではないかという気がしています。そういう意味では、今、山地さんが言われた3点目の効果が僕は割と大きいんじゃないかというふうに前から思っていたのです。
 税率2%と10%の差というのは、ディスインセンティブの多寡というだけではなく、コントリビューションの効果というんでしょうか、10%払うことによって社会全体の温暖化物質の削減がすごく進むという効果のところを見てあげなければいけないのかなと。その効果は、質的選択モデルにもしするのであれば、先ほど佐和先生のコメントのつながりですけれども、今とられたデータでも効用関数のシフトとして幾つかの属性変数を説明変数に、例えばダミー変数みたいな形に入れれば、ある程度のフィルターはできるんじゃないかと私は思うのですけれどもね。
 佐和先生が指摘された、今回のアンケートの分析においても、以前にも試みたことがあるのですが、温暖化に対する意見というのをダミー変数のようなもので入れてしまうとか、何か連続変数のもので入れてしまうというふうにすれば、その効果がどのくらい最後の選択に、5段階なディスクリートのところのチョイスの選択に響いているかというのは計算できるので、そういうフィルターの除き方はあるかなという気がしています。

○神野委員長 天野委員。

○天野委員 私がさっきの発言をした理由は2つありまして、1つは、アナウンスメント効果について英国のクライメットチェンジレビーを扱って、それでアナウンスメント効果がかなりあったという実証研究があるのですよ。それを環境省が何かの文書で引用して、こういう研究もあるのでアナウンスメント効果はあるんだという議論をされているのですが、その場合のアナウンスメント効果は、私が今定義したような効果なのです。
 もう1つの理由といいますのは、これは地方ヒアリングで委員同士で議論になりまして、その理由はアナウンスメント効果というのは内容がよくわからない、非常に感覚的なことだと。環境税の効果がそういう感覚的なものに依存するということであって環境省が主張するのであれば、これは大変根拠のない議論だという話がある委員から出たのです。私は、そういうアナウンス効果というのは別にそんな感覚的なものじゃなくて、予知と実施の間の効果として計量的な分析もできるものだということを言ったのですけれども、どうも今、皆さんのお話を聞いていますと3種類ぐらいあって、それぞれ別にはっきりした理論づけも実証的な根拠もないわけです。そういう形で環境税は効果があるんですよというのは、これは私は非常に説得力を逆に欠くことになるのではないかという心配から、定義をもっとはっきりして使った方がいいということを申し上げたわけです。
 3つの効果があるというのは否定するわけではないですよ。

○神野委員長 はい。
 金本先生、どうぞ。

○金本委員 一つは、検定結果の表を見ていて、これはどういう基準で有意があるというのかというので、そんなに普通の統計をやっている目で、有意があるのが非常に多いという感じ、2と4の差ですか、税と価格の差が有意なものが多いというふうには思えないというのが1点。
 もう1点は、この差があったとしてもこれがどの程度の効果を持つかというのはまた違うのですね。差があるところが本当にきく人たちの差なのか。それが、省エネ等に効果があるのかというところがわからないというのがあって、実際にこの差がどういうタイプの人たちのアクションに影響を及ぼして、それがどういう効果を持つか。その効果の統計的な分布を考える必要があるというふうに思います。
 もう1つは、この設問のところについて、若干細かい批判をする人がいるとすると、価格2%上昇ということについては、今後、そうでないものに比べて2%ずっと上がるということのイメージがないんですね。環境税というのは、マーケットプライスで2%ずっと上がるということなので、これは印象も大分違うかもしれない。あした上がって、また下がってみたいなことをイメージするという可能性がかなりあるというのが1つあります。
 もう1つは、一般的な話ですが、こういうアンケート調査で注意しなければいけないのは、今さっき教科書的な回答をするというふうに中上委員がおっしゃいましたけれども、自分で本当にやるときには違う行動をするような回答が出てくることが多いと。環境税であると、その結果、行動を変えた方がいいのではないかというふうに思うという傾向がかなりあって、ほかの、特に環境価値に関するアンケート調査ですと、大体一般人が考えていいと思うものについては5,000円見当の答えが必ず返ってくる。これに1億掛けると5,000億が必ず便益として出てくると、こういうことがありますので、こういうアンケート調査ですぐに政策に直結というのははなはだリスキーだというふうに考える必要があると思います。

○神野委員長 ありがとうございました。
 今の、はい、どうぞ。

○鎌形環境経済課長 アンケート調査をすると「いい子」の答えが出てくるというご指摘があったかと思うんですけれども、一応ちょっと工夫してありますので、そこだけご紹介しておきます。聞き方として、今どうしていますかという話を聞いて、では今度税が上がったらどうしますかと聞くと、必ず税がかかったときにいい行動をとるという、そういう答えになるかと思ったので、今回のアンケート調査においてはそれを逆転させて、真っさらなところで、これから税がかかるとします、そうしたらどう行動を変えますかというのをまず聞いて、その後に、では今あなたは何をしていますかというふうに聞いて、できるだけ「いい子」の答えを排除するような工夫はしたつもりでございますけれども、それがうまく効いているかどうかはあれですが、一応そういうことだけ申し上げておきます。

○神野委員長 はい、ちょっと増井委員を先に。
 増井委員、どうぞ。

○増井委員 アナウンスメント効果につきまして、2回目か3回目のときに私の方から報告させていただいたのですけれども、天野先生がおっしゃられるように、イギリスでは確かに税を告知した段階でアナウンスメント効果が発生すると、きちんと定義されておりました。
 ただ、イギリスの分析の中では、エネルギーの需要行動が税の告知によって変化するということで、アナウンスメント効果が単に告知された段階で発生するだけではなくて、実際に導入されてからも実際幾らか効果があるとして定量化されておりましたので、補足とさせていただきたいと思います。
 このアンケート自身についての質問もよろしいですか。
 今、税がかかった前と後を比較されておりますけれども、結果として2週間に一度、あるいは必ず実行しているというようなことを比較されておりますけれども、どの属性からどの属性に変化したのかということもやはり重要になってくるのかなと思います。今、いろいろアンケートそのものの中身で議論されていますので、そこまできちんと見て有意な結果が出るのかという問題はあるかと思うのですけれども、どの属性の人たちがどのような行動に変わったというところも、私としては非常に興味があるのですけれども。
 以上です。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 では後で、ちょっと総括的に、経済政策論の立場からまとめるような形でお願いできますか。

○横山委員 金本先生のコメントと同じことを申し上げたいのですけれども、ラベリング効果といったときに、6ページに書かれている書き方にも関連しますが、単なる上昇というのとは違って、税で上昇するというのは、ある程度継続的な価格上昇として認知されている可能性がある。単なるラベリングだけではないですね。
 それから、電気料金の価格が2%上昇した場合という場合には、先ほど金本先生がおっしゃられたように、これは一時的な価格上昇なのか、これからずっと2%上昇するのかということについて、アンケートに答えた人々がどういうふうに認知しているのかということにも依存するのではないか。だから、税で上昇しているのか単なる上昇かというのは、ラベリングだけではない。環境税という制度を導入するとある程度継続的に2%ずつ長期的に上昇すると認知された場合と、単なる一時的な価格上昇との違いもここに含まれているのではないか。だから、その辺をどう理解したらいいのか、ということに注意が必要なのではないかと思います。
 以上です。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、タイムプレッシャーの中で物事を進めざるを得ないので、このアンケート調査については、今ご注意をいただいた点を踏まえて、幾つか読み方について限界がありますので、ただ、やり直すというわけにもいきませんから、限界や、それから定義もその都度違ってもしようがないと思うのですね。ですから、この場合にはこういうことで使っているということをできるだけ正確を期すというような使い方をするなどして、まとめの段階で利用させていただくということにさせていただければと思います。
 どうぞ。

○佐和委員 藤井さんがさっきおっしゃったことですけれども、確かにいわゆる選択モデルというのか、できますよね。それぞれサンプルが1,600あって、そして仮に二者択一という場合だと1かゼロかと。それらに対してそれがどのグループに属しているかということと、それから、さっきの環境に関する関心というようなことで、これはどこかの大学院生にでもデータをあげれば、一生懸命やるのではないかと思いますけれども。

○神野委員長 そうしたらば、そうしたアドバイスを含めて、委員の方々からアドバイスを今後もいただくということにさせていただいて、利用させていただきたいというふうに思っております。
 では、2番目の議題の方ですが、後藤委員からご説明いただいた環境税のマクロ経済の影響について、ご質問、ご議論、特にご質問をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
 山地委員、どうぞ。

○山地委員 マクロ経済の影響ではない方でちょっと恐縮なのですけれども、エネルギーに与える影響の方なんですけれども、化石以外のところの原子力、水力、その他は、絶対量で固定しているわけですね。化石燃料だけ調整されているんですけれども、この調整で私がどうも理解しがたいと思うのは、石炭が減るのはよくわかるのだけれども、LNGが減っているのですよね、すごく。しかも電源の中でもLNGが随分減っている。これは常識的に考えると非常に解釈しにくい結果なんですけれども、どういうふうに説明されるんですか。

○神野委員長 後藤委員から説明いただけると思います。

○後藤委員 減っているというのは、BAUにおいてということですか。

○山地委員 いやいや、減っているということは比較ですから、もちろんBAUに対して京都ケースになったときに石炭が減るのはわかるのだけれども、LNGが随分減っている。むしろ、石油が減ってLNGは相対的にふえてもいい。そうなっていないのはどうしてかという質問です。

○後藤委員 どの表を見ればいいでしょうか。

○山地委員 例えば、6ページの上の表とか、これはLNGは、例えば2016年でも2010年でもいいですけれども、560という値が入っていますけれども、BAUは753なんですよね。石炭も569ですけれども、BAUは762なんです。だから、石炭もLNGもBAUと比べてほぼ同じように減っているのですね。むしろ原油は余り減ってない。そういうところですね。
 あるいは、7ページの電源構成比でも、BAUと京都シナリオの比較がありますが、京都シナリオで随分LNGが減っているんですよね。これはなぜか。

○後藤委員 やはり、考えられる理由を幾つか、全部合っているかどうかわかりませんけれどもね。
 先ほど言いましたように、原子力とか水力とか新しい技術が、外生的に入れているというのは申し上げましたね。その外生的に入れた導入の増加率、それと需要量の伸び率との相対関係によって、比較的原子力によってエネルギー自体が要らなくなるといいますか、価格が上がりますから需要の方が減りますね。その結果、代替よりもむしろ価格崩壊による減少分と原子力による補い分で、必ずしもLNGが大きく入る必要はないと。今のところはそんなふうに解釈といいますか、考えられる理由です。

○山地委員 個人的には納得はいきませんでしたけれども……。

○後藤委員 きょうはちょっと主としてマクロ的な結果しか用意してきませんでしたけれども、ミクロ的なものが必要であればもうちょっと調べてお答えしますが。

○神野委員長 これは、カーボンt当たり1万円程度のシャドープライスで、それでLNGと石炭・原油の間の相対的なシャドープライスがどうなるかというのを見てみると、種は少しわかるかなという気がいたします。

○山地委員 明らかに石炭の方が相対的上昇率が大きい、もともとの価格が低いですからね。そうすると、石炭がもっとぐっと減るはずなんです。また、原油ももっと減るはずなんです。

○金本委員 その上がる分が、全体として非常に小さければ相対的な差というのは余り効かないという話に多分なると思いますね。

○後藤委員 モデルの説明というのもかなりはしょっておりますので、代替関係はただ単純にそれぞれの資源が代替というふうに言ってしまいましたが、モデルは逆に代替のリジディティ(硬直性)というのも入れているわけですね。もちろんガスがナフサに変わったりコークスに変わったりはできませんから、ある一定量は石炭でなければいけないとか、そういうものもモデルの中には入っておりますので、ただ単純に、今、金本先生がおっしゃったように、ラフリーに数値を計算してみて、この程度入れかわるということにはちょっといかないんですよね。

○神野委員長 山地委員、当面、よろしいですか。

○山地委員 はっきりした理由がわかれば後で説明していただければ。

○後藤委員 もうちょっと時間いただければわかりますよ、もちろん。

○神野委員長 では、ちょっと時間をいただいて、できれば宿題とさせていただくということにさせていただければと思います。
 ほかに何かございますか。佐和先生。

○佐和委員 全体として、細かいことはとにかくとして、この計算からといいますか、シミュレーションから得られた一つ一つの重要な結果というのは、要するに環境税をかけたことによる経済影響というのは、マクロではほとんどネグリジブルにスモールであると。実際、5ページの表のGDPのところを見ても、一番ネガティブな効果が多い場合でも2014年にビジネス・アズ・ユージアルと比べて0.19%GDPが少ないというだけですから、あとはそれ以下ということですね。ですから、非常にマクロに対してほとんど影響は少ない。
 ところが、ミクロにといいますか、この8ページの部門別の影響というのを見ると、取り分けて鉄鋼などに対する付加価値生産額に関して、上の方の表を見ますと、目に見えて鉄鋼に対するネガティブな影響が働いているというようなことがある。
 ですから、これは僕もかねて言い続けてきていることなのですが、やはりミクロ影響というのを十分計量的にはかる必要があるというようなことで言っていましたけれども、確かにこれは顕著にそういう結果が出ているということですね。そういう意味では、たしか昨年の環境省の案には、鉄鋼は免税ですか。

○鎌形環境経済課長 例えば原料炭の免税とか、そういう形にしていました。エネルギーの多消費産業についての軽減ということも組み合わせておりました。

○佐和委員 ですから、やはりそういう配慮を加えることが必要であるということを、この計算結果は示唆しているのではないかと思いますね。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 金本先生。

○金本委員 今の点については、逆の見方もあり得て、そういうエネルギー多消費産業が減らさないと大きくは減らないですね。そこを免税にしてしまったら余り減らないということになりますので、その辺は若干どちらに転んでも難しいということになります。
 通常言われているのは、そういう生産量とかエネルギー消費量に関しては大きな影響は欲しいわけですね。ただ、企業の所有者、働いている人たちの所得については余り大きな影響は避けたいということで、それについて免税でいくというのは必ずしもいい方策ではなくて、所得保障的なものは別の手段を使った方がいいというふうなことではないかと思います。

○神野委員長 あと、何かございますか。
 増井先生。

○増井委員 幾つか質問があるのですけれども、まず1つ目は、今回1ページ目のところで一次エネルギー価格が原油の場合キロリットル当たり1万5,000円で一定とされています。現在、実際の石油価格の変化を見ていますと、かなりまだ上昇しておりますね。中にはこういう原油の上昇というものが、炭素税と同じような効果をもたらすんじゃないかというような意見もあるのですけれども、もし仮にこういう後藤先生のモデルで原油価格が上昇することを想定する場合、答えはどの程度変わってくるものなのかどうかというのが1点。
 あと、ちょうどきのうですか、中国の人民元の切り上げというような話で、かなり国際情勢も大きく変わってきています。以前、和気先生の方からもコメントがございましたけれども、そういう社会的ないろいろな状況によって税の影響、あるいは経済影響というふうものもどれぐらい変わってくるものなのかという、そういった幅みたいなものも出しておいた方がいいのかなと個人的には考えているのですけれども、その点についてもし後藤先生の方から意見がございましたら教えていただきたいなと思います。

○神野委員長 よろしいですか、お答えをいただいて。

○後藤委員 いろいろな答え方があると思うんです。まず、大きく変わるかということですが、私は途中、注意深くいろいろつけ加えながらお話ししようと思ったのですが、今回のシミュレーションは基本的に2010年でCО2を10%落とすと。それを価格効果で落とすと。ベースシナリオをそれなりにコントロールして調整しているわけです。ですから、例えば石油価格を高くしても、ベースラインを合わせてCOをフィックスさせたとしますね、これと同じように。そうしますと、価格効果は要するに20%分だけの価格上昇が必要だという、ここは変わりませんので、定性的な結論に関する限りは変わりません。
 ただ、変わるのは、今度は原油とガスとその他のエネルギーとの相対価格の比が変わりますから、必要な炭素税率とか、そういうところでは変わってくるというふうに思います。
 それから、国際情勢云々というのは、もちろん非常に重要なファクターでありますけれども、このモデルの扱う範囲をとりあえずは超えているというお答えしかありませんね。

○神野委員長 天野先生。

○天野委員 きょうの後藤先生のモデルは、ある程度高い炭素税をかけてその効果を見るという研究だったのですが、私はAIMのこれまでの結果と比較すると、一つ非常にわかりやすいことがあると思うのです。それは、削減のインセンティブをどういう形で与えるか。ここはプラスのというか、税という形で全部与えてしまうという形をとっているわけです。ですから、エネルギー集約産業などで非常に大きな影響が出てくるということですが、AIMの方はプラスの炭素税とマイナスの炭素税と両方合わせて幾らかかけるというインセンティブの与え方をしているのです。
 全部がプラスの炭素税ではないわけですから、それだけエネルギー集約産業にかかる負担というのは小さくて、ごっそり減税をする必要もその程度小さくなってしまう。しかし、トータルとしてはかなり高いインセンティブを与えている。そういう意味で両者を比較することによって、私は逆にAIMモデルの持っているよさといいますか、日本の、既に省エネを非常にやってしまって、限界削減費用が非常に高くなった国にとっての一つの新しい政策手段として、AIMの提案しているような政策のとり方というのをもう一回見直しをする、一つのいいきっかけを与えてくれたのではないかというふうに思いました。

○神野委員長 和気委員、どうぞ。

○和気委員 このモデルで、本当にいろいろなインプリケーションがあると思って伺っていまして、ほかの先生方もおっしゃられた部分を含めてなんすが、いわゆるできるだけ価格メカニズムというかマーケットメカニズムを使ってやるという方向で、できるだけ徴税コストも含めて、行政コストもできるだけなくすと。それから、政策的な失敗もできるだけ、市場にも失敗はあるのですけれども、政策の失敗もあり得るので、できるだけそれを排除しようということでマーケットにある程度ゆだねようと。
 ただ、一方でやはり価格効果も含めてですが、世界の情勢がいろいろな形で動いています。したがって、非常に不安定要素があるので、要するにこの目的はCOをある意味である一定の排出量を物量において減らすということが最大の政策課題ですので、それがいろいろな不安定要素によって必ずしも担保できないという部分は一方にあると。
 そこで、私が前から申し上げているのは、ポリシーミックスをきちんと視野の中に入れて議論すべきだというのは、例えば産業において、本当にメジャーな排出源の産業を含めてですけれども、きちんと国内排出権制度みたいなものを入れて、きちんとある一定量に抑えるという一方で担保をしながら、つまりそれはいわゆる排出枠という、CAPという言葉がいいかわかりませんが、そこを入れながら、その一方で天野先生がおっしゃるようなポリシーミックスを考える、つまり補助金と税金を考えると。大体この辺のフレームワークを頭に入れておくということがすごく重要かなというところが、後藤先生のモデルも含めて非常に印象を強くしたという感想です。
 以上です。

○神野委員長 横山先生、どうぞ。

○横山委員 後藤先生にお願いがあるのですけれども、これは金本先生のコメントにまた関連しますが、エネルギー多消費型産業に対して軽減税率を適用すると、それだけ環境税の効果が薄れるというのはわかるのですが、先生のシミュレーションの中で、例えばエネルギー多消費型産業をどういうふうに特定化するかは仮説にもよるのですが、一律の税率ではなくて、軽減税率を適用した場合のシミュレーションというのはできるのでしょうか。
 例えばエネルギー多消費型産業について、普通の税率よりも半分にした場合とか、あるいは40%にした場合に、COの削減量がどうなるか、あるいはそれぞれの産業に対するインパクトを、数値例として結果が出せるのかどうか。出せたらやっていただきたいなという気はするのですが、いかがでしょうか。

○神野委員長 はい、それでは……。

○後藤委員 今は入っていませんが、一応モデルビルダーですから10分でできますね、やろうと思えば。それは、そのうちにやってお見せします。

○神野委員長 では、そうしましたら時間もありますし、また次の議題とも関連するかと思いますので、第3番目の議題、つまり物価への影響と環境税の業種別影響について、事務局からご説明いただければと思います。また戻っていただいて構いませんので

○鎌形環境経済課長 それでは、資料3と資料4に基づきましてご説明いたします。
 まず、資料3でございますけれども、環境税が仮に導入されたとした場合、それぞれの物価にどういう影響があるかということをどう分析するかということでございますが、今回は産業連関表を用いまして、環境税の導入によってエネルギーの価格が上昇したときに、それぞれの分野の、ここでは各産業分野の生産者価格ということで代表させてございますが、それがどのように上昇していくかということを分析したというものでございます。
 分析手法にございますけれども、分析モデルとありますが、それぞれの単位生産当たりの付加価値額、総付加価値率の変化が生産者価格をどのように変化させるかということを産業連関表を用いて、ここにあるような式に基づいて算出したということでございます。
 それで、ここにございますような単位生産額当たりの総付加価値額につきましては、一番下にございますように、それぞれのある産業、ここでは産業税とありますが、産業税の国内生産額と、それから仮に税をかけた場合の環境税額というものから算出するという形で算出してございます。
 次のページにまいります。一応この分析モデルは物価への影響を調べるというものですが、幾つか限界がございますので、それは一応ここに明らかにしておきたいと思います。
 それで、このモデルは、費用の増分は製品価格に転嫁すると、こういうふうにしたモデルでありますので、需給バランスというもので価格が決定されるというメカニズムは考慮していないと、こういう限界がございます。
 それから、価格転嫁に関しては、現実にはそのとおりにいかずに途中で消滅したり増幅されたりというような場合があると、こういうことも考慮に入れていないということでございます。それから、価格の変化が及ぼす需要の代替効果というものも考慮していないということです。それから、価格の波及は、産業連関表ということで産業相互間に限定された波及効果を見ているということで、家計部門との相互関係というものは考慮されていない。こういった限界がございますけれども、一つの目安として試算したものというふうにご理解いただければと思います。
 それで、3ページ目にグラフでその結果を示してございます。これは、あくまでこの環境税額というのは、昨年環境省が11月に具体案として出させていただいたものを仮にということでございます。今、私どもその案に拘泥しているということではございませんが、一つの目安を示す意味で示させていただきました。
 そして、ここにありますように、各産業分野が縦にずらりと並んでございますけれども、この棒グラフ、それぞれ各分野に2本ずつ棒がございます。上の方は、昨年の環境省の案は炭素トン当たり2,400円ということで提案させていただいておりますが、そのすべての分野について2,400円をそのまま掛けた、いわゆる軽減前というものでございます。それから下の黒く濃い方の棒でございますけれども、軽減措置を導入した場合のグラフということでございます。
 この経過をご説明する前に、5ページ目にこの分析の前提とした案をお示ししておりますので、一応簡単にご説明しておきますと、税率は炭素トン当たり2,400円ということです。それから、軽減措置でございますけれども、ここにございますように鉄鋼等の製造用の石炭が―原料炭ですね、こういったものの免税とか、それからその下にありますエネルギー多消費型製造業に属する企業が消費する石炭、重油、天然ガスなどについての軽減とか、あるいは運輸対策として軽油の軽減とか、それから低所得者、中小企業への配慮の電気、都市ガスの免税等、このような軽減措置を置いたというものでございます。
 それで、3ページ目に戻りますけれども、ここにございますが、まず軽減前というところでございますと、上から例えば金属工業とかあるいはパルプ・紙、有機化学、それからもう少し下にいきまして鉄鋼、金属製品、下の方にいきまして運輸、このあたりが生産者価格の上昇率という意味では0.3を超えるような程度になってございます。
 それで、軽減措置を導入した後どうなるかということでございますが、もちろん軽減ということでそれぞれ下がっておりますけれども、一つ大きく軽減が出ておりますのは、鉄鋼の部分をごらんいただきたいと思いますけれども、これは前提とした軽減措置が原料炭の免税などという措置もあった、そういうような効果もあろうかと思います。そういった意味で、軽減前は1.10%の上昇というのが0.11%の上昇と、こういうような結果になっております。
 その他、鉄が下がるということによりまして、例えば金属製品とかにつきましては、鉄の軽減前から軽減後への変化というものが大きく効いているというような分野もあるということでございます。
 4ページ目は、以上のような分析を書いて、繰り返しになりますが、エネルギー多消費の素材産業と運輸で上昇率が大きいということ。鉄鋼は特に大きいのですが、軽減措置で大きく低下していると。それから、鉄鋼の上昇率の低下ということで、鉄鋼を使用する部門について上昇率が低下したということでございます。製造業の中では、加工組立産業が素材産業と比較して上昇率が小さい。サービス業は、運輸については大きいのですけれども、他産業と比較して総じて上昇率が小さい、このような分析が得られるかと思います。
 それでは、引き続き資料4にまいります。
 今回、業種別の影響というものをまた見てみるということで、これも一つの試算をしたというものでございます。環境税が導入された場合の各業種への影響というのは、もちろん制度設計その他もろもろの条件によって変わってくるということでございます。また、もう一つは製品の需給の弾力性などいろいろな要素も考慮に入れなければならないということもございますが、ここでは短期的な影響として、環境税を入れた場合の税額がどうなるのかということと、それぞれの各業種の売上高と経常利益と、こういった経営指標等を比較して、そのそれぞれの産業にどれぐらい影響、マグニチュードがあるのかということを仮に見てみたということでございます。
 ただ、これも統計上のいろいろな制約がございまして、各業種ごとに環境税額が全体で幾らになるのかということと、その各業種の売上高全体とか、あるいは経常利益全体とか、こういったデータがそろっていればいいんですけれども、なかなかきちんとしたデータがございません。ここでやりましたのは、各業種のエネルギーの排出、すなわち環境税の税額を示すデータと、それから経営のデータと、カバレッジを一致させるということをしたということでございます。そういう意味でサンプル的な調査をしたということでございます。
 そして、ここでも環境税の案につきましては、仮に昨年11月に環境省が提案した、先ほどご説明した軽減措置も含めてでございますけれども、そういったものを例として試算したということでございます。
 データにつきましては、1ページの(1)の[1]にございますが、対象事業者は、帝国データバンク資料に基づく各業種の売上高上位10社というものをまずサンプルとして選びました。対象年次は2000年度でございます。
 まず、二酸化炭素の排出量、環境税額を出すための数字でございますけれども、この上位10社のデータにつきまして、おおむねいわゆる省エネ法に基づく届け出の範疇に入っているものが多いというこれに着目いたしました。この省エネ法のデータにつきましては、情報開示請求によって明らかになっているものがございました。それはいわゆるNGO気候ネットワークが集計して公表しております。このデータにつきまして、気候ネットワークにデータの提供を求めまして、そのデータを用いて算出をしたということでございます。
 この場合、その省エネ法のデータですが、各企業におけるオフィスに使われる部門、業務部門は入っていないということ。それから、このような省エネ法の対象とならない規模の工場・事業所のものについては入っていないということで、税額を計算する場合には少し少な目に出るということをご留意いただければと思います。
 2ページ目にまいります。
 各社の経営指標につきましては、それぞれの有価証券報告書から引っ張ってきたということでございます。その上で、[5]除外した企業というのがございますが、データがそろわないものについては、上位10社といっても今回の試算からは除いたということです。
 1つは、情報開示請求に対して非開示とした工場がその企業の中に1つでもある、こういった企業は除外いたしました。それから、省エネ法の第1種エネルギー管理指定工場、データの提出義務がないというところも除外しました。それから、合併とかその他の理由で有価証券報告書がうまく入手できなかったというものについても除外したということでございます。
 そういったもので、各業種について当初10社から選んだわけですけれども、そういった企業を除外していって、1業種の中に3社未満の企業しか情報が得られない場合には、その業種について試算を行わない。つまり、ある業種で3社以上についてデータがあるものについては、それを合計して比較すると、こういうようなことをしました。
 [6]は、そういった除外をした後にどれぐらいの企業が残ったか、そして業界全体でどれぐらいのカバーをしているかということを示したのが下の表でございます。一番上に食料品製造ということでございますが、対象企業7ということで、売上高でいうとカバー率17.5%ぐらい、こういうようなことでそれぞれ数字が挙げられてございます。
 2ページの一番下でございますけれども、これらの対象は会社数にして81社、事業者数494、二酸化炭素の排出量にいたしまして日本全体の3.2%と、こういう数字という意味でごらんいただければと思います。
 3ページ目がその結果を示したものでございます。試算結果とありますが、その前に参考というところで実額が出ておりますけれども、食料品から電気機械器具までについて、一番左が対象者数が挙げられております。食料品の場合は7ということでございます。それで、それぞれの先ほどの省エネ法のデータを利用してCO量を積算して、かつそれで環境税額を計算した場合に、例えばここでいいますと軽減前は7社全体で12億、それから軽減後は7億というような数字になります。
 それから、その右側にいきまして、売上高ということでございますが、食料品の場合一番上で4兆6,000億、それから経常利益の場合では1,400億ということ。それから、設備投資額ということは1,100億、それから研究開発費ということでは560億と、こういったような数字が並べてございます。
 これをそれぞれ税額と比較したというのがこの上の表でございます。食料品のところでいいますと、例えば環境税額対売上高比率でいうと、軽減前は0.03%、軽減後は0.02%ということ。対経常利益比率、それから対設備投資額比率、対研究開発比率、これをそれぞれ数字として掲げたものでございます。
 ただ、ここにございますように、先ほどの基準からその業種で10社の中からデータが得られないものを除いていくと、3社に満たないような業種もありました。例えば鉄鋼業とか、それから製油精製業、鉱業などでございます。こういったものについては全体的な分析を行わなかったのですけれども、二酸化炭素の排出量のデータは別途それぞれの企業が出している環境報告書、これから得られるという場合がございます。
 今回、下には業者A、B、Cと書いてありますが、これも一つの参考という形で挙げてございますが、環境報告書の二酸化炭素の排出量、そして各経営指標につきましては有価証券報告書から取り出して書いたということでございますが、ここでいうと、例えば鉄鋼業者のAというところにございますが、税額は軽減前は390億、軽減後は37億ということ。対売上高比率は軽減前2.1%、軽減後0.2%。以下、このような数字が並んでございますけれども、こういった試算結果が出たということでございます。
 もちろん、それぞれの数字が、今回2000年度というものを選びましたけれども、そのときの景気の状況、あるいは個々の企業の経営の状況というのがございますので、そういった限界はあるかと思いますけれども、一つの目安として試算したというものでございます。
 それで、4ページ目、5ページ目は今の数字をグラフであらわしたものでございます。4ページ目、5ページ目、4つのグラフがございます。対売上高比率、対経常利益比率、対設備投資額比率、対研究投資比率、それぞれをグラフにしたもので、白いものが軽減前、色を塗ったものが軽減後ということでございます。
 ここにございますように、例えば売上高比率で見ますと、多くは0.05%以下ということになってございますけれども、やはり紙・パルプとか、エネルギーを多消費するというような産業では多目に出ているということでございます。もちろん軽減前と軽減後を比較すると、軽減後はそれなりに緩和されているという結果が出ているということでございます。
 以上でございますが、6ページ目に簡単にまとめをしてございます。環境税額、くどいようですが、省エネ法のデータから来るいわゆる工場の部分の排出量のみということでございますが、売上高比率ではほとんどの業種で0.05%未満ということですが、紙・パルプなどのエネルギー多消費産業といった一部の業種では高くなっているということ。それから、設備投資や研究開発と比較した場合でも、多くの業種は環境税額、軽減後は3%未満ということでございますが、一部比較的税額の割合が高いものが出ているということです。ただ、業種によって設備投資とか研究開発にどれだけお金をかけるかというものも異なっているので、そういったことには留意する必要があろうかということでございます。
 そういうことで、政策的なインプリケーションとしては、実際に環境税の制度設計をするということでは、今回の結果も踏まえて業種間の不公平を是正するなどの軽減等については考慮する必要があるのではないかと、こういうような分析ということでございます。
 7ページ以下は試算の前提について参考までにつけているというものでございます。
 以上でございます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、産業連関表に基づいて分析していただいた物価への影響と、それから環境税の業種別影響についてご質問やご意見や、あるいはアドバイスをいただければと思いますのでよろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。

○金本委員 単純な質問ですが、経常利益に課税額の比率で、繊維・衣料が非常に大きいというのは若干不思議なのですが、この理由はわかりますでしょうか。

○鎌形環境経済課長 繊維・衣料もエネルギーを多消費という形になってございまして、それは染色の過程で相当熱のエネルギーを使うというふうに聞いてございます。そういう意味で生産額に占めるエネルギーコスト比率もかなり高い水準であるということでございます。

○神野委員長 ほかにございますでしょうか。

○浅野委員 最初から今のデータは相当いろいろ留保があるわけですけれども、省エネ法の報告の対象がかなり大量にエネルギーを使うところだけですから、繊維の場合にもやはりそれほどの規模のものというのはそう多くはないのでしょうけれども、突出して出てくるんでしょうから、中小の一般的な企業を想定するとこんなにはひどくないだろうと思うのですけれども、そういう目で一つ一つの業種についてカバー率なども見ながら、もうちょっと丁寧に分析をしておかないと、これだけでいいとか悪いとかという議論をしても、余り説得力がないという気がいたします。

○神野委員長 天野先生。

○天野委員 この資料3で、ちょっと細かい質問で恐縮なんですが、5ページの一番最後のところに、ガソリン等の化石燃料の輸出免税というがあるんですね。これは、輸出免税ですから物価に与える影響というのは余り考える必要はないかなと思うのですが、逆に、輸出免税をしているということは、化石燃料にかかっているわけですから、恐らく国境税調整のようなことをお考えなのかなと。そうすると、むしろ輸出免税と輸入課税というのが一緒に出てくるはずで、そうなると輸入品に課税しますので、物価には影響が出てくるわけですね。ですから、そのあたりの扱いをどうされているのか、細かい点ですけれどもお伺いしたいと思います。

○神野委員長 どうぞ。

○鎌形環境経済課長 まず、この軽減措置あるいは制度設計自体の話といいますと、化石燃料、いわゆるエネルギーに着目したときには、エネルギーだけについては国境を越える場合、輸出の場合には免税するし、逆に輸入された燃料も含めて環境税がかかるという制度設計になっていると。

○天野委員 輸入課税はちゃんと入っていると。

○鎌形環境経済課長 はい。もちろん、ですから原油はほとんど輸入でございますから、それについて、これはまた製品別にガソリンとか軽油とかになったときにそれぞれかかっていくわけですけれども、輸入も当然に入っているということになります。

○神野委員長 生産及び海外から、つまり保税地域から出てきたときにつかまるということですよね。だから、全部かかっちゃうということですね。

○鎌形環境経済課長 実際にこの環境税の具体案で制度設計をしたときは、輸入されたものも石油精製の段階で、ガソリンとかに精製された、精製所から蔵出し段階で上流の場合はかけると。それから、下流で一部かけるものもあります。
 それから、もう一つは完全に製品で輸入する、ガソリンを輸入するとか、そういうものがあった場合には輸入されたところでかけると、こういうような形になります。

○神野委員長 だから、保税地域から出るということですね。

○鎌形環境経済課長 そうです。

○神野委員長 ほかにございますでしょうか。
 佐和先生。

○佐和委員 資料3の3ページの結果というところですけれども、これを見るといわゆる消費者物価をどのぐらい押し上げるかというと本当に微々たるものですね。ですから、そうなると一体価格インセンティブ効果などというのは、その辺がほとんどないに等しいというような感じがするのですけれども。
 だから、これはそんなに、つまりこの結果をどう読むかということですね。つまり、仮に免税措置などしなくても鉄鋼の生産価格を押し上げるのはわずか1%強であると。だから、要するに大したことないんですよと読むのか。そういうふうに、しかも軽減すればわずか0.11%しか生産者価格を上昇させませんというふうに読むのか、それとも物価にはほとんど影響がないですねということで、何かその辺はどう読めばいいのですか。

○鎌形環境経済課長 この表の読み方の一つとしては、いわゆるエネルギーの価格自体はこの案の場合ですと、ガソリンでいうとリッター1.5円とか、そういう意味で1.何%かは上がるということになるわけですね。それが各製品にばらけてたときにどうかということでございまして、例えば自動車とかいろいろな製品を、その需要そのものをコントロールするということまで環境税の目的にするかどうかということでございまして、そういう意味では、そういった最終製品においては非常に価格は上がらないので、そういう意味でのインセンティブ効果というのは、確かにもうほとんどネグリジブルになってしまうというところだと思いますけれども、環境税のねらうのは、エネルギーの使用という場面でその価格のシグナルをどう見てもらうかということなので、そういう意味ではちょっと違うかなというふうに思っておりますが。

○神野委員長 ほかに。

○藤井委員 1つだけ質問で、もう既に議論されているのかもしれないのですが、鉄鋼業だとかセメントだとか、そういう大きなエネルギー消費産業が最近リサイクルのエネルギー、例えば消費者や産業が廃棄物にしたプラスチックを集めてきてこれを燃やすというような量が、もうかなりの量進んできているのですが、これについては課税されていないからというふうに考えてよろしいのでしょうか。
 つまり、このぐらいの小さな税の効果として、燃料代替を促進させるとか、リサイクル品をたくさん消費させるというような、そういう効果があるのかどうかをちょっとお聞きしたかったのですが。

○鎌形環境経済課長 これは、昨年の環境省の提案におきましては、化石燃料の消費ということに課税をするということでございましたので、例えばプラスチックなどについて燃やすということについての課税はしないという前提での計算になってございます。その辺の議論はまたいろいろ制度設計上もあるかと思いますけれども。

○神野委員長 山地先生。

○山地委員 資料4の3ページを見ますと、鉄鋼業者の実際のデータを使ってみますと、税率が非常に低い場合、2,400円では効果がないのではないかと言われているようなものでも、個別の業者から見ますとやはり相当な税率なわけですね。経常利益比率を見ると、軽減前は鉄鋼業者Bなどは118%になっているわけです。こういう実態をどういうふうに理解するかと。
 例えば、後藤先生の案ではトンカーボン当たり1万円と。5倍というようなですね。こういうようなときに、それぞれの産業の価格の転嫁を次にできるのかというのは前のこの検討会の資料でも出てきたように、やはり鉄鋼業界における転嫁の可能性みたいなものとの兼ね合いもあって、一部の業者にこれだけのインパクトがあるということは、やはり政策的に何らかの措置をしなければならないと思います。政策的なパブリック・アクセプタンスということ、あるいは税を入れるといったときにこういうところもかなり重要な考慮すべき点になるのではないかとは思いました。
 したがって、マクロ全体で見たことと、確かにCOの排出をしているということで言えばフェアなんでしょうけれども、実際にこういうような税率が出てきてしまうことをどういうふうに理解するかといったときに、税はやはり納税者の納得が得られない限り受け入れられないと思うのです。そういう点では、やはり軽減税率の適用なり、何らかの措置もやむを得ないのかなという印象は受けました。この数値だけ見るとですね。

○神野委員長 はい、和気委員。

○和気委員 経営指標のところで、鉄鋼にせよほかの業界にせよ、先ほど天野先生がおっしゃられた輸入物価、為替レートが円高になるか円安によって、今、しかも資源価格が石炭を含めて物すごく上がっているわけですね、原油もそうですけれども。当然、コストに物すごくプレッシャーがかかっています。ですから、この比ではないかもしれない。つまり、輸入原材料価格が上がる分だけコスト、収益を圧迫している。そういう意味で大きいか小さいかというのはなかなか難しい判断になると思うのです。つまり、それだけマーケットが物すごく動いているので、1.1を大きく見るか小さく見るか。例えば1.1というのを企業の経営努力で何とかなるというのであれば非常に小さいかもしれないけれども、どんな場合でも1.1%支払っている、まさに納税は義務ですから。それはまさしく通常のコスト感覚とは違う、経営指標を圧迫するそれぞれ違う意味合いを持っているのですね。
 そういう意味では、先ほど横山先生おっしゃったように、税というものは他の税との比較も含めて、やはり通常の経営指標に与えるコストプレッシャーとは違う視点できちんと考えておかなければいけないというふうに私なんかは、当然、他のエネルギー税も含めてなのですけれども。ですから、これだけで高いとか重たいとか軽いとかという議論をしちゃうのは余りにも難しいかなという気はいたします。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 ほかに何かございますでしょうか。

○佐和委員 さっきどなたかが問題になさった資料4の3ページの一番下の表ですね。例えば、鉄鋼業者Bの場合は対経常利益比率というのは118.5であると。Aの場合は同じ鉄鋼でも50%弱であるということは、要するにAというのは大変もうかっている鉄鋼業者で、Bの方は余りもうかっていない鉄鋼業者だということが推察されますが、いずれにせよ、税を完全に全く価格に転嫁しないと想定した場合の話なんでしょうね、これは。ですから、これを大きいと見るか小さいと見るかというのは……。

○横山委員 おっしゃるとおりです。

○神野委員長 それはそうですね。

○横山委員 転嫁しないと、単に経常利益が減るわけではないということですね。

○佐和委員 Bの場合は、黒字から赤字になってしまうということになりますね。

○神野委員長 細かいことを言いますと、鉄鋼で使っている原料炭というのは、通常の燃料炭の3倍から4倍しますよね。ローアッシュでローボラタイルの……。

○鎌形環境経済課長 税金では全部免税になっています。

○神野委員長 免税なのですけれども、つまり、がんと減っているけれども、それは減っているといっても価格が非常に高い。そこは関係ありませんか。

○鎌形環境経済課長 税率自体は、価格ではなくて炭素の量でかけておりますので。

○神野委員長 後藤先生。

○後藤委員 今の影響の大きさ、それによっていろいろ緩和措置と。それで、先ほど税の軽減というお話がありましたね。私、自分の先ほどの報告をしているときもずっと気になっていたのですが、緩和の仕方で税の軽減という形でやるのと、税はそのままだけれども、同じのを還流という形で別なルートで損失を補償すると。こういうモデルでやると合理的モデルだから一緒になっちゃうんですよね。だけど、恐らく違うと思うのです。税がそのままかかっていると価格効果は残りますから、損失分が一括で返ってきても、それが帳消しになって行動をキャンセルするということにはならないような気がするのですけれども、この2つの差というのをどう考えたらいいか、いつも迷っているところであるのですが、どなたか意見があればお聞きしたいような気がします。

○神野委員長 和気委員。

○和気委員 詳しくは知らないですが、例えばイギリスのスタイルで、ある一定以内でCOの排出量を抑えれば、その部分についての支払った分はカウントするというやり方で、いわゆるCAPと税の組み合わせということもあり得るわけですね。したがって、最低このCOの排出量までは制度的に担保できる。それ以上は少なくとも価格、高い税がかかるので価格インセンティブでCO排出量を抑えるという。どちらかというとイギリスはそういう方式を多分とっていると思います。

○横山委員 恐らくそのときに、最初から軽減税率を適用すると、そういうインセンティブはない。

○和気委員 ないですよね。モラルハザード。

○横山委員 モラルハザードのような状態がある点、先生のおっしゃるとおりだと思うのですが、戻し方の工夫で、同額戻すのかどうかということもあり、やはりどういう前提で考えるかではないですか。

○神野委員長 天野委員。

○天野委員 今ちょうどお話に出ましたように、何もしないで軽減前にどれだけの影響が出るのかというのはよくわかるのですね。ですから、何かしなければいけないと。そうすると、あと今おっしゃったように、いろいろな返し方があって、丸々減税する場合、それから協定をする場合、あるいは労務費の減税をするような場合もあり得るんですね。そうすると、人件費というのはかなり大きいですから、その影響というのはかなり出てくると思うのです。
 ですから、確かに返し方である意味で効率性を失わないように、経済的には効果はちゃんと確保するというふうなことを考えた返し方を別途考える必要があるので、ここの軽減後というのは余りシリアスにとらない方がいいのではないか、僕はそう思います。むしろ軽減前がこうだということですね。

○神野委員長 局長、どうぞ。

○田村総合環境政策局長 実際の税を仕組む際の考え方から申し上げると、この環境税というものが温暖化対策というものを前提にして考えられて、課税対象も考えられ、かつ使途も考えられているわけですから、やはりエネルギー多消費産業に対して大きな税負担になる、そして実際の経済にも大きな影響を与えてしまうということは、少しでも相殺していかなければならないと思います。
 そういう意味では、やはり前回いろいろご議論はありましたけれども、かなりのエネルギー多消費産業に対する軽減措置というのは必要なのではないかと基本的には思います。それらを税の枠内ではなくて外でやるということは、理屈上はそうであってもなかなか温暖化対策の使途とかいろいろ考えた場合に、これだけ大きな税負担になるものをそちらの方でオフセットするというのはなかなか難しい問題であると思いますから、やはり税の中で、税の公平とか税の中立性とか、税理論からするといろいろな議論はありますけれども、やはりかなりここは思い切ってエネルギー多消費産業に対する経過措置は、実際の仕組みを考える際に必要だと思いますし、諸外国における環境税制と言われているようなものをとっても、税の理屈をやや越えても、いろいろ実際に各産業に対する軽減措置があると思いますから。
 税の中でかなりの措置を考えざるを得ないと思いますので軽減後という数字も大事なこととして見ていただきたいということで申し上げておきます。

○神野委員長 ありがとうございました。
 金本委員、どうぞ。

○金本委員 必ずしも局長と同じ意見ではないのですが、いろいろなことを考えて一番いい仕組みを組んでいけばいいということだと思いますが、税でやるとしても免税枠をどうするかとか、いろいろな設定の仕方は当然あるだろうと。
 基本的には、限界的な税率を高くしないと、それなりの形にしないと、そのインセンティブがないということなので、それを高くしたまま負担を軽減するということができればいいということになる。ただ、実際それを具体的に仕組むとするとパーフェクトな方式がなくて、必ず少しは損をするとか得をするとか、いろいろな人が出てきますし、そういう仕組みの中でいろいろな弊害が出てくるということだと思います。
 今、天野先生が盛んに言っておられるような、補助金とセットでする仕組みも、補助金の配り方みたいなやつが、AIMモデルだとうまくいくようにモデルをつくっていますからいくのですが、あれが本当にどれぐらいうまく機能するかというとなかなか問題だろうと思います。
 もう一つの論点としては、単に国内でクローズされているわけではないというのが一番大きな話で、特に素材産業というのは日本で税率を上げると外に出ていってしまうと。これで地球全体でメリットがあるのか。わざわざよその国に出させるようなことを日本でやるのかという論理があると思いますので、もしこういう素材産業、エネルギー多消費産業について、軽減措置を全面的に入れるとなると、論理展開としてはそっち側から論理展開をするべきであって、単に負担が大きいからという論理展開はまずいのかなという気がいたします。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 ほかに何かご意見はございますか。
 なければ、そろそろ時間でございますので、きょうの委員会はこれで終わらせていただきたいと思いますが、一応委員会の運営としては、これで資料その他でもってご議論いただくというのは最後になると思います。そうした点を含めて何かアドバイスがございましたら承っておきますが、特にございませんか。
 どうぞ。

○浅野委員 この委員会はあくまでも経済分析等について、専門的な見地からの議論をしっかりやっていただいているわけですが、検討結果の使い道についてもこういう点には限界があるということもはっきりと表示していただいているので、従来の専門的な報告に比べてもかなりいただいた側がにとっては使いやすいのではないかと思われます。
 この専門委員会の報告を、制度設計そのものについてはこの先親委員会でいろいろな観点から議論をやらなければいけないのでしょうし、それから理論的にはこれがいいということと、それから現実の制度の中でそれがどうなるかというのは、またちょっとずれがあります。さらにもう一つ厄介なのは、税という話をする以上は、それを実際に社会に導入するとためのプロセスの問題があり、そこでは単に制度論だけでも済まないものがある。だから、二重三重にそこでは修正を加えなければいけない要素が出てきて、必ずしも理論道理にすっきりいかないということはやむを得ないことだろうと思います。しかしベースのところの理論はこうなのだと、こういうことが考えられるんだということをはっきりさせておくことが、後々のぶれをより少なくすることだろうと思うんです。
 ですから、専門委員会の報告としては理論的にはこうなんだということはかっちり固めておいていただいて、しかしそれで外に出たときにこの通りの内容でやらなければいけないと言っているというふうにとられないような配慮をしていただけると、ご報告を受ける側の小委員会としては大変ありがたいということでございます。

○神野委員長 ありがとうございます。
 どうぞ。

○佐和委員 さっきのアンケート結果で議論しているときに僕が一番最後にちらっと申し上げたことですけれども、念のために伺いますが、個票のデータはちゃんととってあるんですか。

○鎌形環境経済課長 はい、あります。

○佐和委員 そうしたらば簡単ですよ。

○神野委員長 まとめ方のところですね。アンケート調査の処理の仕方ですね。アンケート結果の処理の。もっと別な処理の仕方もあると。

○佐和委員 そういうことですね。

○神野委員長 ほかに何かいただいておくアドバイスございますか。
 それでは、なければ本日の議論をこれで終了させていただきます。
 次回は7月28日木曜日で、場所は申しわけありません、また変わりますので、ご留意いただければと思いますが、竹橋のKKR東京、連合会のホテルでございますので、そちらの方で行います。ご出席方をお願いしたいと思います。
 それでは、本日は遅くまでどうもありがとうございました。

午後12時05分閉会