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中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会
第4回環境税の経済分析等に関する専門委員会議事録


平成17年6月28日(火)

環境省総合環境政策局環境経済課

午前10時00分開会

○鎌形環境経済課長 おはようございます。まだおそろいでない先生方もいらっしゃいますけれども、定刻を回りましたので、これより環境税の経済分析等に関する専門委員会の第4回会合を始めさせていただきたいと思います。
 それでは、神野委員長、よろしくお願いいたします。

○神野委員長 それでは、お暑い中、どうも朝からご苦労さまでございます。
 本日は、お手元の議事次第にございますように、5つ議事を準備いたしております。
 1つは環境税の技術、産業構造等に与える影響について。つまり環境税の与えるよい影響についてが第1番目の議題でございます。それから2番目は環境税の価格転嫁について、それから3番目は国境税調整について、4番目はリーケージについて、それから5番目は北欧諸国の環境税導入の経緯についてという5つの議題を準備いたしております。
 事務局から、これらについてご説明していただいた後、議論をしていただければと考えております。
 本日は皆様にもご連絡が行っておりますように、おおむね12時までで終了したいというふうに思っておりますので、議事運営についてご協力をいただければと思います。
 まず初めに、議題1、2、3までについて一括して事務局の方からご説明していただきますのでよろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 それでは、資料に基づきましてご説明いたします。
 ちょっとその前に、少しばらばらと議題を出させていただいて、若干統一性がないように思われるかもしれませんので、一応、これまで何をやってきたかを口頭で恐縮ですけれども、補足いたしておきます。前回までのところ、環境税というものが環境政策あるいは税制全体のどういう位置を持つのかということの議論、あるいは環境税の効果ということで、アナウンスメントの効果の議論、あるいはエネルギーの価格弾力性の議論、こういったことをしていただいてまいりました。
 それから、今回は環境税の、先ほどご紹介がありましたけれども、プラスの影響というのはどういうものがあるのかということ、それから価格転嫁、国境税調整、リーケージ、あるいは諸外国における環境税の意義、位置づけなど、こういったものにつていの議論を進めていただきます。
 それで、次回以降、大きく残っているものといたしましては、前回もAIMモデルなどの紹介を若干いたしましたけれども、環境税のマクロ経済への影響とか、あるいはいろいろな業種への影響とか、そういったものが今後の課題ということになろうかと思います。
 それから、いわゆるアンケート調査についても、前々回ご相談申し上げましたけれども、これもただいま実施に向けて準備しているというところでございますので、実施の後に、結果についてはご報告いたしたいと思います。
 それでは、今回の資料でございますけれども、まず資料1から参ります。
 環境税の技術、産業構造に与える影響についてということでございます。
 1ページ目には、これまでの中央環境審議会における議論についてまとめております。環境税の効果としては、価格インセンティブ効果などによりまして省エネ機器、設備の普及が進むということがまず挙げられておりますけれども、このほか技術開発の促進などを通じて長期的に社会全体が、より温室効果ガスの排出の少ない構造になっていくためのきっかけとなる、こういったことも期待されているということでございます。
 四角にくくったところが、これまでの審議会における理論のエッセンスでございますけれども、まず平成15年8月の、いわゆる専門委員会報告でございますけれども、そこにおきますと、温暖化防止のための施策が強化されると、温暖化防止のための対策技術を活用した製品・設備への需要が増大することにより、さらに革新的な技術進歩が生じる、そういったダイナミックな動きが進んでいくというようなことが指摘されております。こういったように世界全体で大きな需要が将来生まれてくると考えられる、そういった対策技術について、我が国企業が他国の企業に先んじて革新的技術を開発し、先行者利益を得ていくということになりますと、優位を得るチャンスも大きい、こういうような指摘になってございます。
 それから、昨年12月の小委員会のまとめにおきましても、技術の開発、あるいは環境ビジネスという産業振興といったものの指摘がございます。
 それから、2ページ目、3ページ目でございます。
 2ページ目、3ページ目には、IPCCの第3次報告書からの記述を引用しておるところでございます。記述を引用しておりますのは、技術変化ということに着目したチャプターでございますけれども、ここではインベンション、イノベーション、ディフュージォン、こういったようなそれぞれのプロセスを念頭に置きながら、環境政策が技術にどういった影響を与えるのかというようなことを述べております。
 下線部で、一応エッセンスと思われるところを示しておりますけれども、例えば2ページの下の方には、いわゆる理論的分析というところがございますが、下線があるところでございます。
 新技術を採用するためインセンティブは直接的な規制よりも市場に基礎を置いた方策の方が大きいと、こういうようなことが挙げられております。
 その次のパラグラフに行きますが、ここでは市場ベースの諸方策について、排出権取引とか、あるいは税金、補助金とかいうものの指摘がございますが、そのパラグラフの一番最後、直接規制はインセンティブを与えるに当たって最も効果的でない、というような指摘がございます。
 それから、3ページ目に参ります。いわゆる経験的な分析とされておりますさまざまなデータからの実証分析ということでございますけれども、2番目のパラグラフで1つの分析が紹介されています。
 1979年から88年までの新規の住宅建設における断熱技術、これについての分析を行ったということでございまして、そのパラグラフの最後の方でございますが、エネルギーの価格変化ということと、エネルギー効率の反応ということで、経済的に見ても統計的に見ても正で大きなものであるということでございます。
 それから、その次のパラグラフでは、家庭部門の課税の研究ということでございます。それは税の免除とか控除というのは、エネルギー価格が変化するということよりも効果的であるという主張がございます。1つの研究では8倍効果的だということが指摘されているということです。そこのパラグラフの最後、下線は引いていませんが、エネルギー価格の動きは一時的なものということが、もう一つ差異の理由として挙げられているということでございます。
 それから、次のパラグラフの研究では、科学技術変化とエネルギー価格変化の反応は驚くほど早いということで、例えば特許を与える活動とか新モデルの導入に関して5年もかからないというようなご指摘がございます。
 以上のように、IPCCの分析におきましても、技術開発に与える影響ということが述べられているということでございます。
 それから、4ページ目、5ページ目、6ページ目ということで示しておりますが、これは実際に環境税がいろいろな業種にどんな影響を与えたということの1つのケースでございます。
 ドイツの事例でございますが、これは既に前々回の委員会におきまして環境税の影響という中でざっとご紹介、資料だけはつけさせていただいたものでございますけれども、ドイツの連邦環境庁が企業16社へ環境税の効果・影響についてのヒアリングを行った。その結果でございます。前回はエッセンスということで、非常に要約したものを示してございました。その16社のうち幾つかの社におきましては、会社自身が環境税についてプラスの影響を受けたというような趣旨の回答をしているというものがございますので、そういったものに関しまして、再度、ここではかなり詳し目に訳出させていただいて資料に載せさせていただいております。
 かいつまんで申しますと、1番目には、カーシェアリングというような業態ということでございます。2番目のパラグラフにありますが、年間15%の顧客増を見込んでいるということです。それで3番目のパラグラフに行きますと、カーシェアリング全国連盟の分析として、「顧客の増加は、環境税制改革によってガソリン価格が引き上げられたことが専らの原因である」、こういう指摘をしております。
 それから、2)は、バイオエネルギーを使った会社でございますけれども、これもこれからの計画として、今、1日当たり数百リットルしか生産していないものにつきまして、20万トンのプラント5基を計画しているというような生産拡大の予定があるということです。
 次のパラグラフの2行目には、環境税制改革は多大な貢献を果たした、こういうような会社の見解があるということでございます。
 3番目のパラグラフでは、新設される各プラントでの雇用に関しての雇用増についての記述がございます。
 それから、5ページへ行きまして、3)ですが、いわゆるESCOの事業者でございますけれども、ここでも2けたに上る売上の拡大ということが指摘されているところでございます。
 それから、4)のこれもバイオエネルギーの関係でございますが、バイオエタノールの製造プラントということでございまして、これも大規模な投資が行われると、こういうようなことになっております。
 それから、5)、これは住宅関係の会社でございますが、いわゆる省エネ住宅の建設を手がけているというところでございます。
 次、6ページ目の上のパラグラフの4行目でございますが、環境税制改革の影響によって、エコハウスの償却期間は、この数年間で約5年までに半減したということでございます。税制改革のいい影響を記述しているということでございます。
 それから、6)はパソコン用の待機電力削減機を製造している小さな企業でございますけれども、これも環境税制改革がエネルギー消費に対する意識をより一層高めたということについての会社がそのような分析をしているということでございます。
 それから、7)は、いわゆる再生可能エネルギーの供給をしている会社ということでございます。エコロジー基準に基づいて発電をしているということですが、これは100%再生エネルギーということでございます。これにつきまして、2番目のパラグラフには大幅な拡大傾向が一貫して続いているということが記述されているということでございます。
 以上が、簡単でございますがドイツの事例でございます。
 それから、そのほか幾つかのいろいろな実証分析がございますけれども、今回、2つの実証事例研究について紹介してございます。
 7ページ目、1)、1つ目の事例でございますが、技術誘導仮説と省エネルギー技術進歩というような論文でございます。エネルギーを消費する耐久消費財の製品別のモデルを活用したということでございまして、ここではアメリカの事例ですが、活用データというところにございますが、米国のルームエアコン、セントラルエアコン、ガスウオーターエアコンについて、それぞれ数百の製品モデルデータを使いまして、製品の性能とそれから価格、あるいはエネルギー価格、こういったものとの関係を分析したということでございます。
 結論というところにございますけれども、分析の中で、通常の技術開発の効果、あるいはエネルギー価格が技術革新を誘発した効果、そういったものを分解して分析しておるものでございますけれども、ここにございますように、幾つかの3つの製品のうち2つの製品は通常の技術開発効果の寄与が大きいという分析でありますが、ただ、エネルギー価格の技術革新誘発効果というものも十分ポジティブであったと、こういうような分析結果になっておるということでございます。
 次のページに数値が示されております。8ページの下の表でございますが、エネルギー効率の変化に対する技術効果の内訳ということでございます。下の表にございますが、エネルギー効率の変化全体、ルームエアコンのところが29.7という数字がございます。これはいわゆるベースラインケースということでございまして、エネルギー価格が1973年レベルで一定と仮定した場合の値がこうだということでございます。
 それで、それぞれその下にエネルギー価格誘発効果、基準誘発効果、通常の技術革新効果ということでございますけれども、例えばエネルギー価格誘発効果というところでございますと、価格の変化があるわけでございまして、そういったものを見込んだときの動きがベースラインとどれだけ乖離しているかということを示したものでございまして、ルームエアコンの場合には8.2、センラルエアコンの場合には16.1、ウオーターヒーターの場合5.1というふうに、それぞれエネルギー価格が技術の革新をもたらした、そういった部分があるということをそれぞれ数値で示しているというものでございます。
 それから、次に9ページ目に参りますが、これはもう一つの分析でございまして、これもやはりエネルギー価格が技術革新にどのような影響を与えるかという分析でございます。これは1970年から94年、アメリカの特許のデータを用いて、そのエネルギー価格の影響を分析したということでございます。
 それで、具体的にどういう分析かと申しますと、手法というのがあります。いわゆる被説明変数にエネルギー分野における技術革新、これは全特許取得件数に占めるエネルギー特許取得件数の割合ということで、その数値が大きいほど、その部分でのエネルギー関係の技術革新が進んでいると、こういうような説明をするということでございます。そして、その説明変数につきまして、エネルギー価格、あるいはここに知識の蓄積とございますが、当該分野の特許取得数の絶対値というようなものが挙げられてございます。こういったものをそれぞれここに11の技術分野について分析したというものでございます。
 結論ということでございますが、エネルギー価格は技術革新に対して強い正の影響を与えるというような結論が示されているということでございます。このような実証的な研究も幾つかあるということでございます。
 それから、10ページに参りまして、産業界からの視点ということでございますけれども、今度のサミットに向けまして、産業界で気候変動ラウンドテーブルというものが設けられまして、それによって1つの声明が出されているということでございます。6月に出されたものですが、我が国からはトヨタといった企業が参加しているというものでございます。24の世界的な企業ということでございます。
 そのG8気候変動ラウンドテーブルの声明ということでございますが、その中でキーとなる原則というのを幾つか掲げてございます。2番目のところでございますが、長期にわたって明確、透明かつ持続する価格シグナルを設定する市場に基づくメカニズムを活用した政策枠組みは、必要な技術革新と競争を促進する上で、最も期待されるものであるということで、価格シグナルの設定ということについての政策、これに対する期待が述べられているというところでございます。
 それから、11ページ以下は参考でございますけれども、これは経済的な手法という意味ではございませんが、環境規制というものが技術や産業構造に与える影響というものについての論文がございますので、その紹介ということでございます。
 11ページ目、いわゆるポーター仮説ということでございますが、マイケル・ポーターという方の論文で、環境規制の強化が適切に設計された環境規制というものがあれば、費用節減・品質向上につながるイノベーションを刺激する、こういうようなことで、他国に先駆けてそういった環境規制が導入されれば、他国企業に対して競争優位を得るというようなことがございます。
 ただ、11ページの後段にも書いてございますけれども、ポーター仮説にも反論は多いということでございます。こういった規制がなくても、企業は合理的に考えれば、そういったイノベーションに取り組むのだというような反論もあるということでございます。これはさまざまな見解が今展開されているというところでございます。
 それから、12ページにつきましては、規制が与える影響ということの事例研究ということで、1つは1970年代の日本の自動車公害規制ということでございます。日本で強い規制があったために、日本の自動車メーカーが競争力を持ったというようなことの分析をしているということでございます。
 それから、後段の2)のロサンゼルス地域での石油精製業ということでございますが、ロサンゼルス地域での大気環境規制というものについての分析ですけれども、一番下にございますように、規制に適合するための高いコストがあるという事由にもかかわらず、ロサンゼルスの大気区域の精製業者の生産性は、規制があった期間に急上昇している。そして、この期間、他の地域では逆に生産性が低下している、こういったことが分析されているというところでございます。
 以上が資料1でございますが、参考資料の1には、先ほどのIPCCの報告書の該当部分の原文、それから参考資料2には、ドイツの環境税導入が与えた企業に対する影響、これはそれぞれの企業の部分につきまして、参考までに全訳を載せております。
 それから、参考資料3は、先ほどの産業界におきますG8気候変動ラウンドテーブルによる声明の原文でございます。その参考資料3の一番最後には、それぞれ参加企業が掲げられてございます。
 それから、資料2−1、2−2に参ります。環境税の価格転嫁ということでございます。
 1番目は、これまでの審議会における議論のまとめでございますけれども、まず、これまでの議論では、環境税というものは二酸化炭素を排出するもの、または化石燃料の消費者が負担するということが適切という立場に立っているということでございます。こういった場合、いわゆる上流課税、輸入段階や蔵出し段階で課税した場合には、化石燃料の最終消費者が負担せずに、流通段階で吸収されるというようなことがある、こういうことについての課題が指摘されているということでございます。それが1ページ目ということです。そういう意味で価格転嫁ということが課題になっているということでございます。
 まず、2ページ以下は、エネルギー製品の価格に、原料である例えば原油価格の変動がどのように転嫁しているかということの分析をしたものでございます。原油価格の上昇というのが、いわゆるガソリンなどのエネルギー製品の1つのコスト要因となるわけでございまして、そこのアップが実際の店頭価格にどう影響しているかということでございます。環境税が仮にかかった場合には、そのコストの変化が、例えばガソリンなどの価格にどのように影響を及ぼすかということの試算になるというようなことで分析しているというものでございます。
 それぞれのデータでございますが、1996年の特定石油製品輸入暫定措置法の廃止後のデータということで挙げてございます。
 まず、2ページはガソリンでございますけれども、グラフをざっとごらんいただきますと、上の方が店頭価格、ガソリンスタンドの価格、下の線が原油価格ということでございます。大体ちょっと見たところ、同じような変動を繰り返しているわけでございますが、ここでは仮に相関係数というものをとってみました。両者の相関係数です。それで、真ん中の表でございますが、当月の原油価格と店頭価格の相関係数、それから前月の原油価格との関係、あるいは2カ月前の原油価格との関係、こういったものを示してございます。ここにございますように、相関係数、2カ月前の原油平均価格との関係をとった場合、0.648ということで、ある程度の相関が見られるというようなことでございます。1カ月ないし2カ月のタイムラグを置くと、この程度のタイムラグであれば相関係数が大きくなる、こういうような傾向が見られます。 それから、3ページ目は軽油でございます。3つ線がございますが、一番下が原油価格の変です。一番上がガソリンスタンドでの価格の変動です。真ん中でございますが、これはいわゆる大口の需要家に対する供給の価格ということでございます。それで、大体ざっと相関係数も見ましたところ、それぞれ原油価格の変動と高い相関が見られるということでございます。ただ、大口需要家の販売価格につきましては、変動の幅が原油の変動の幅よりも少しなだらかな傾向がある、こういうような分析ができようかと思います。
 それから、4ページ目は灯油でございます。同じような分析をしてございますけれども、灯油につきましては、ここにございますように、真ん中の表でございます、相関係数0.3から0.4の間でございますが、割と低い値になっているということでございます。これは灯油につきましては結構季節変動もございまして、そのあたりとの関連もあろうかというふうに思います。
 それから、5ページ目はC重油でございます。C重油につきましては、一番下が原油価格でございますが、1番上が電力の関係、それから2番目が製紙との関係でございます。これはそれぞれ、いわゆるチャンピオン価格といって、大きな大手企業との関係で、交渉で決まった価格がどうも業界に参考にされるという慣行があるようでございまして、そういったチャンピオン価格で比較いたしますと、非常に強い相関が見られるということでございます。
 それから、6ページ目はガスでございます。これはLNGの価格の変動と都市ガスの変動を見たものでございますけれども、ここにございますように、相関係数は0.4から0.5で、余り高くない値ということで、グラフを見ましても同じような動きというのはなかなか言いがたいところがあるのかなというふうに見られます。
 それから、電力についてでございますが、電力は原料さまざまございます。ここではLNG、石炭、C重油との関係を見たものでございますが、真ん中の一番平坦な「×」の線が電気代ということになりますが、それぞれの燃料との関係はなかなか説明しがたいという形になっています。相関係数も低い、あるいは負の値ということになってございます。
 ガス、電力につきましては、次のページにございますが、原燃料費調整制度というのがございまして、原燃料費の変動に応じて料金を変化させる調整制度というものが導入されているということでございまして、そういう意味で価格転嫁をそれぞれするシステムはあるということでございます。ですから、先ほどのグラフをどう読むかということは、ちょっと別の解釈も必要かと思います。
 仮に電力に関しましてでございますけれども、それぞれLNG、石炭、C重油などございます。もちろん炭素のない原発というものはあるわけでございますけれども、どうも価格変動に応じて、それぞれの燃料種の構成を頻繁に変えるということもあるようでございますので、単純に燃料価格と電気料金との比較とでは、なかなかそういった転嫁問題を分析するのは難しいということかと思います。
 それから、9ページ目は、消費税を導入したときに、それぞれの燃料がどう上がったかということでございます。ここでございますが、線が引いてあるところが消費税導入時点ということでございます。この時点で注意しておかなければならないのは、例えば消費税導入前は、電気に関しましては、電気税というものが電気料金の5%かかってございました。それからガスについては、ガス料金の2%がかかっていた。それぞれ廃止されて3%の消費税が導入されたということでございます。
 ここで、電気につきましては、上の表のグラフの消費税導入時点で下がっているものでございますけれども、5%の電気税が廃止されて3%の消費税が導入されたというところで、2%余りの下落があったということでございます。都市ガスについては、逆に2%のガス税が廃止されて3%の消費税が導入されたということで、都市ガスについては1%程度上がっている、こういうようなことが見受けられます。
 それから、次の10ページにつきましては、消費税導入時に資源エネルギー庁が行ったアンケート調査ということでございまして、ガソリンスタンドの調査ですが、完全に転嫁しているというスタンドが95%以上ということでございます。その数値がここに掲げられているということでございます。
 それから、消費税の引き上げ時はどうだったかということが11ページにございます。3%から5%に引き上げたときのグラフでございますけれども、それぞれ非常にわかりにくい部分もございますけれども、97年4月、導入時点からそれぞれの燃料費について1%から2%の上昇ということがグラフから見てとれるというふうに思います。
 それから、12ページ以下は最近の原油価格上昇が、やはりそれぞれ価格転嫁ができているかということの調査でございます。17年6月ですから、発表されたばかりのデータでございます。
 資源エネルギー庁の調査でございますけれども、まず石油精製業と販売というところに着目しての調査でございます。調査結果の概要でございます。石油精製業につきましては、ほぼ全油種について60%から100%の範囲での転嫁ということでございます。
 それから、石油販売業、ガソリンスタンドについてでございますけれども、コストのすべては転嫁されていないということではございますけれども、13ページをごらんいただきますと、油種別の転嫁状況というものがございます。ガソリンのところでいいますと、転嫁率というところをごらんいただきますと、消費者向けは98.1%ということでございます。それから下に参りますが、軽油ですと81%、灯油95%、全油種では91%、こういったようなデータになったというところでございます。
 以上が、大体燃料への転嫁というところのデータでございます。
 それから、資料2−2は、それから先でございますが、燃料が上がった場合に、それぞれの製品、サービスにはどういう影響があるかというものの分析でございます。ここでは鉄鋼、石油化学、セメント、それからパルプ、運送についてのデータを示してございます。
 まず1ページ目、鉄鋼でございますが、石炭製品と普通鋼鋼材の関係を見たというものでございます。グラフはそれぞれなだらかで、わかりにくいところもございますけれども、相関係数を見ていただきますと、非常に高い相関があるというふうな結果になってございます。
 それから、2番目は2ページ目、石油化学ということで、原油の価格とナフサ、ポリスチレンの価格の変動を見たものでございます。ここも相関係数のところを見ていただきますと、0.8、0.7のあたりでございまして、高い相関が見られるというようなことでございます。
 それから、3ページ目、(3)セメントでございますが、これはセメントの価格と石炭の価格を見たものでございます。セメントの価格自体は非常に安定しているというような状況でございまして、相関係数をとりますと負の値というような形になっているということでございます。石炭の値上がりを転嫁するのはなかなか難しい状況があるのかもしれません。
 それから、(4)はパルプでございます。パルプにつきましては、これも製品の価格自体が最近は非常に安定していると、横ばいという形でございまして、これも相関係数をとりますと、マイナスというような値が出ているということでございます。
 それから、5ページ目以下、運送費に関する問題でございます。これは国土交通省の分析でございます。貨物、旅客につきまして、原油価格の変動との関係を見たものでございますけれども、国際貨物輸送に関しましては、ここにございますように[1]、[2]というような傾向がございます。99年半ばから上昇して2001年初めをピークに、2002年半ばまで下落、2002年半ば以降上昇、こういったことが、次の行、原油価格の変動との関係で、数カ月から約半年おくれで似た傾向を示す、こういったようなことが挙げられています。
 ただ、「しかし」というところで、次の「○」になります。国内貨物輸送については、道路貨物及び内航貨物の運賃は2004年1月以降も上昇していないということで、ほとんどの事業者は原油価格の高騰を経営努力で吸収しているというふうに考えられるというような分析でございます。
 2番目の旅客でございますが、国内の陸上旅客輸送の運賃は変動が小さいというような分析がございます。
 それから、6ページ目、7ページ目はその辺のグラフを示したものでございます。
 それから、8ページ目が軽油と貨物輸送の価格の推移を見たというものでございます。物価指数で調べたものでございますが、貨物輸送につきましては四角のグラフでございまして、長期的に少しずつ下がっているというところでございまして、相関係数をとるとマイナスというようなことでございます。ということで、これもなかなか燃料価格の変動が吸収しにくいというようなことがあらわれているかというふうに思われます。
 それから、9ページ以下は、これまで中環審の中でヒアリングをやりました。そこでの物流団体からのヒアリングの資料の抜粋を示しております。時間の関係で簡単に申しますが、1行目から、荷主側から選別が行われる立場に置かれておって、現下の経済情勢では輸送コスト削減の要請も強いので、新たなコスト増となる税の適正な転嫁は困難な状況と、こういうようなことをヒアリングで述べておられたということでございます。
 10ページ目、11ページ目につきましては、そのヒアリングのときに提出された資料でございますが、いわゆる買い叩きとか、あるいは契約内容の変更ということで、荷主との関係を、運送業者の方が弱い立場にあるということを運送業者のアンケート調査から示しているというところでございます。
 以上が、いわゆる価格転嫁につきまして、原油価格などの変動がエネルギーに占める影響、それからエネルギー価格の変動が製品や輸送などのサービスに与える影響、こういうことを示したものでございます。
 それから、資料3でございます。国境税調整についてでございますが、これは前回もご説明させていただきました。それで、実はその後、きょうはちょっとご欠席でございますけれども、天野委員から若干のご指摘がありましたので、そのご指摘に沿いまして修正を加えておりますので、そこだけご報告いたします。
 資料の体裁につきましては、まず1ページ目は審議会におけるこれまでの検討の要約、それから2ページ目はアメリカの化学物質税、オゾン層破壊物質税についての国境税調整の実例の紹介ということです。
 4ページ、5ページ、6ページ、7ページとそれが続きまして、3.文献や国際機関での議論というところでございますが、1)GATT、WTOに関連する課題ということで、GATTやWTOのルールというものについての記述をしているとろでございますが、そのうちの[2]というところでございます。これは、輸出産品については、同種の国内産品に課せられる課税額を超える範囲での軽減を輸出補助金と見なして禁止しているということが原則としてあるわけでございますが、前回、この原則につきまして、例外措置についての記述をさせていただいておりました。累積的な間接税に関するものが例外として認められているというような記述がございました。
 ただ、炭素やエネルギー税については、この累積的な間接税には含まれないというような見方がある、こういった紹介をしてきたことでございますけれども、実は、例外規定の解釈につきまして、例外規定の中に炭素税、エネルギー税が具体的に示されていないというようなことで、だから例外に当てはまらないから炭素やエネルギー税については、国境税調整がしにくいのだというような、あるいは否定的な見方だというような記述になっていたわけでございますけれども、そこは何ら記述がないので、結局、いまだにGATTのパネル裁定のような判断が過去になされていないために、最終的な結論を明確に示すことはできないと、こういう表現にとどめるべきだ、こういうようなご指摘がございましたので、そういった変更を加えさせていただきました。
 それから、「まとめ」のところでございますけれども、まとめのところでも、従前のトーンは、国境税調整につきまして、炭素やエネルギーについての国境税調整の導入というのは、なかなか困難ではないかというようなトーンで記述させていただいておりましたけれども、天野先生からのご指摘では、そもそも国境税調整というのは、産業の国際競争力に配慮するための手段ということでありまして、結局、そこを完全に否定するのではなく、それ以外の手段も含めて、大きな立場から総合的に検討を進める必要があるというようなご指摘がございました。
 そういう意味で、一番最後のパラグラフでございますけれども、今後は、国境税調整の導入が技術的に困難か否かの検討とともに、税率の軽減措置など、産業の国際競争力に配慮するためのさまざまな手段の実施可能性なども含めて、総合的に検討を進めていく必要かある、このような記述にさせていただいているというようなところでございます
 簡単ですが、以上、資料1から3の説明ということでございます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 引き続いて、議題4、温暖化抑制政策と炭素リーケージについて。これは国立環境研究所の藤野研究員からご説明いただくことになっておりますので、藤野研究員、よろしくお願いします。

○藤野研究員 よろしくお願いします。国立環境研究所の藤野と申します。
 私、ここの増井委員とAIMのモデルの方を一緒にやっております。炭素リーケージのことについて、モデルの方の見地から説明するようにと言われましたので、非常に簡単ですけれども、まとめたものを報告します。
 まず、最初のページ、A3のページを折り曲げて読んでいただければと思います。
 もう皆さん既にご存じのように、IPCCの第3次報告書(TAR)の方で、モデルに関する、その時点でのそういった世界モデルを用いた炭素リーケージの幅みたいなものは大体示されていて、そのときに5%から20%程度の幅になっていると。その幅というのは、その前の第2次報告書では0%から70%までと非常に広い幅があったんですが、その後に幅が収斂してきた。
 その下のテーブル1のブルノーの文献にも出ていますけれども、大体この文献がそのTARにも載っておるんですけれども、こんな感じで、中にはグリーンのように小さい数値を示しているモデルもありますが、大体5%から20%程度の値を示している。
 まず、SAR(第2次報告書)では、京都議定書のような共通の枠組みもなかったために、それぞれが枠組みを設けて計算していたために幅が出ていたものということと、あと共通の世界データの方がそれぞれ使っていたところも恐らくあって、そういったものが原因だとされています。
 しかし、依然として問題がありまして、まず輸入材と国産材の代替性の想定、アーミントン仮定を一般に使われていますけれども、それだと不完全代替でしか表現できないため、完全代替のモデルよりもリーケージの影響が小さく評価されるということが指摘されています。
 あと、炭素市場をどう想定するか。排出取引ですけれども。
 それから、あと電力や鉄鋼では異なる排出係数を持つ技術が複数含まれているんですけれども、こういった一般均衡タイプのモデルなどで計算するときには、かなり簡略化して計算しますので、その影響がどうなのか。
 そして、原油市場競争度合いの想定というものが、そのTARのところでも問題として挙げられていました。すべては、今回網羅できていないかもしれませんけれども、可能な範囲でそれについて新しく研究されている文献を紹介します。
 まず、アーミントン仮定、それから炭素市場の想定についてですけれども、ここでは感度解析をやられている文献を幾つか挙げて、TAR以降、どういう数値を示しているかを示すことにしました。
 まず、バンケルという人がラムゼー型の成長モデルで動学化した多地域一般均衡モデルというものを用いて、資本の国際流動性の制約があるかないかという点に関心を持ってシミュレーション解析を行ったものがあります。ここでは世界7地域、財7種類と、簡略化した世界モデルで計算しておりますけれども、そうなると、どういう結果が出たかといいますと、2005年以降、OECD諸国に共通制約というのを徐々に課していったときに、炭素リーケージというものが2005年で約15から16%、それ以降ほぼ直線的に減少して2040年に10%になっている。この減少傾向というのはOECDの原油需要減少による価格低下か、それ以外の地域の石炭から原油への代替を促して、エネルギー集約度が高まったことが原因だと彼は指摘しています。
 一方、そこで原油の供給代替性に関する感度解析の結果では、ベースケースで弾力性を1と見積もったものをローケースでゼロ、ハイケースで5としてみますと、前者では約10%のリーケージはほぼ一定なのに、ハイケースをしますと、2005年に約35%、2040年に約22%ということで、原油供給弾力性というものが効いてくるということを示しています。
 最後に、アーミントンの仮定、弾力性の方で、ベースケースからローケース、ハイケースというものを用いてやっておるんですけれども、それでどういうことがわかったかというと、下に図がありますが、この図の読み方ですけれども、下の方に2つあるのがローケースの結果で、「CC」と書いてあるのが資本流動制約したケース、「CF」と書いてあるのは、資本流動無制約のケースで、制約するとその分リーケージが若干おさまる。上の方は、アーミントンの仮定が大きい係数で、それで下で13%ぐらいから始まって、上で19%前後で始まって、大体収斂されていくんですけれども、この差が大きいと見るか、小さいと見るかというのはあるんですけれども、アーミントンの仮定で、ここでは2倍ぐらいの数字を想定して、あと資本の流動性というものに着眼してやるとこういう結果が出ております。
 続いて、ほかの資料ですけれども、ボーレンという人が逐次動学的一般均衡モデルのワールドスキャンというものを用いて排出権取引の有無と、アーミントン弾性値に関する感度解析を行っています。このワールドスキャンというものは、RIVMのイメージのモデルに組み込まれているモデルで、そのために計算されています。
 次のページの表2の方を見ていただきますと、それぞれの差を示しているんですけれども、この場合ですと、標準係数に対して、それぞれの財に対してアーミントンの想定を5から16の数値を与えているんですけれども、この数値を半減させると若干リーケージの値も小さくなるという結果が出ています。
 また、ちなみに以前、炭素税の計算のときに出しましたAIMトップダウンを用いて同様の感度解析を試みたところ、我々は標準係数として4から8ぐらいのアーミントン仮定を置いているんですけれども、倍増させると若干ふえるという結果が出て、傾向としては大体皆さん同じような傾向を示していて、その中でやはり10から20ぐらいの間でおさまる傾向が、どうもどのモデルでも見えるかなというのが、今回、文献を見た感想です。
 それから、次に電力や鉄鋼部門等の扱いについて文献を探したところ、鉄鋼部門に関する文献がありまして、ミスタットと読むのでしょうか、その人がやられた文献で、鉄鋼部門に特化した部分均衡モデル、SIMモデルというものを――これは図をつけていませんでした。失礼しました。――これを用いて、炭素税が鉄鋼部門に及ぼし得る影響というのを分析しています。
 これは、実は1995年時点の需給関係でやっているので、若干データは古いんですけれども、炭素税25ドル/トンCOでやりまして、それでどういういうことがわかったかというと、OECD内で8.8%減少、そのうちBOF高炉で12.5%減少、一方、EAFの電炉で1.7%減少という傾向が出て、それに対して非OECDの方で全体で4.6%、BOFで5.6、EAFで1.5%というようなリーケージか起こっている。COの排出量の方を見ますと、120.4メガトンCO、OECDで減った分が非OECDでふえている。そんな炭素リーケージがこの場合だと45%ということになって、先ほどから見ている10から20という全体の数字から見ると、比較的大きな数字になっています。
 この場合は排出取引を想定しているんですけれども、もし想定しないとさらに負担がふえるという結果は出ていますが、一方、ほかの感度解析もやられていまして、その集めた炭素税を鉄鋼部門に補助金として戻したりとか、先ほどご説明ありました国境調整税を行うなどして緩和策をとると、全体で鉄生産量の減少というのは1%程度、ほかの比率はもうちょっと大きいかもしれませんけれども、一番よくやるとそれぐらいまでおさえられ得るというところが示されていました。
 他方、ギーレンという方がやられた鉄のモデルで、日本の鉄鋼の影響を分析しているんですけれども、日本とEUだけに1万AIMトンCOなどの課税をかけますと、同様の計算で約70%、炭素リーケージが起こる。
 ただし、途上国の鉄鋼技術も進み、効率が改善すると想定しているため、リーケージが100%を超えることはないという報告です。この炭素税の云々で値が大きい小さいというのもあって、小さい、例えば1,250円というようなもので想定しますとどうなるかというと、炭素リーケージが、鉄鋼部分だけですけれども、30%程度になるというような形で、鉄の部分だけ見ると、やはり大きな影響は出得るんですけれども、うまく緩和してやる方法もあるのではないかということです。
 あと、文献スザボと読むのでしょうか、2006年、これも「エナジーポリシー」の方でオンラインで載っている文献なんですけれども、こちらでは、セメントのシミュレーションモデルを使ってセメントの影響を評価しているんですけれども、それですと生産量のリーケージというのは29%程度ということで、上よりは小さいんですが、地場産業の色合いの強いセメント業では、1997年の国際貿易力というのが全体の7%に過ぎないということですので、もし今後、貿易量がふえていくと、一方でふえる要因もあるということで、個別の分野については注意が必要なのかなというところが今回レビューをした感想です。
 あと、原油市場の方に関しましては、バーネットという人が「エナジーポリシー」で論文を書いていたんですけれども、彼も最初に、まず炭素リーケージの全体の傾向として8%から16%程度の幅というのを見ていまして、あと原油価格の変化によって産業の再構築というのが起こるんだけれども、例えば米国のエネルギー集約産業におけるエネルギーコストの割合というのは、せいぜい10から20%程度に過ぎないために、大規模なものは起こらないのではないかという指摘をしています。
 そして、それよりも労働コストとか熟練工を確保できるかどうか、税制度、市場への距離、インフラコスト、投資環境、そして利用できる技術の方が産業の再構築というか立地に対して必要な条件であろうということを指摘しています。
 でも、いずれにせよ、政府が炭素税などの導入により、国際競争力を失うおそれのある産業には目配りしておくことが必要だと指摘しています。
 以上、簡単ですが、レビューのまとめとしましては、第3次報告書以降の文献についても、炭素リーケージという意味では、おおむね5から20%以内に全体ではおさまっていまして、それ以上の途方もない数字というのはちょっと見つけられませんでした。
 複数の文献から、アーミントン弾性値の変更というのは炭素リーケージを大幅に変えるほどの影響というのは及ぼさない。また排出取引を行うと緩和する方向になる。
 鉄鋼部門の方を詳細に分析すると、京都議定書による影響というのは大きい場合があります。これは、部門だけを詳細に扱ったために、ここの表現がまだ正しくないと思うんですけれども、技術を非常に細かく見ていますので、その技術間の代替が起こりやすくなっているのか、起こりにくくなっているかというのは問題なんですけれども、または、例えば最初に説明しました部分均衡モデルですと、性質の近い製品への代替というところが十分に扱われていないと、鉄の生産量が減るという影響が非常に大きく出てしまいますので、その分が強く出てしまうおそれがあります。
 いずれにせよ、そういった部分は、その影響を緩和する方法について補助金の変換など、さまざまな視点から検討する必要があるだろうという指摘です。
 あと、原油市場について、一般的に温暖化抑制地域の需要が減少すると価格が低下するため、それ以外の地域の消費が増加する傾向がある。その前に、ここでは、例えば中国のように石炭をよく使っている国に対して原油の価格が安くなると石油の方に向かうので、全体としてCOの排出係数が低くなる可能性もあるということが、ほかの文献で指摘はされていたんでけれども、ただ実際の原油市場の今の動きに対してどれぐらい影響を及ぼし得るかということは検討する必要があると思います。
 最後に、文献には紹介していませんでしたけれども、今、一般的に京都議定書のような制約を課すと、内生的発展が進み、技術革新が促され、その技術が枠外の排出量削減にもつながる可能性もあるというような、内生的技術発展の話もちらほら論文化されていまして、そういったものも、今後モデルに取り込んでいく必要があると思います。
 以上、簡単ですけれども、ありがとうございました。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続いて、5番目の議題でございますが、北欧諸国の環境税の導入経緯について。これは、飯野委員の方からご説明していただきますので、よろしくお願いいたします。

○飯野委員 それでは、北欧の環境税の導入の経緯と最近の動きについて、スウェーデンを中心にして、簡単に報告させていただきます。
 もともと北欧の人たちは、環境と言いましょうか自然というものに対して非常に思い入れの深い国民でありまして、最初はそれらに対して経済的手段というようなものを使うということには強い抵抗感がありました。というのは、神様が人間に下さった自然という恵みを人間が勝手に汚したり、汚す権利を売買できるとは考えられなかったからであります。
 しかしOECDが汚染者負担の原則というものを認めるようになってから、経済的手段というものも受け入れるようになって参りました。
 経済的手段というものそれ自体はスウェーデンでもかなり以前から利用されておりました。たとえば飲料容器には1973年から課徴金が課せられておりました。しかし今日では環境目的で課せられているこの課徴金も、当初は食料品価格の引き上げを凍結するための財源として課せられたものでありました。したがいまして今日でもスウェーデンでは、環境政策の手段としては、規制という手段が第一義的な重要性を持っておりまして、税ないし課徴金という手段はその補完的な手段と考えられております。
 スウェーデンでは1991年に世紀の大改革と呼ばれる税制改革が行われ、勤労意欲を殺ぐという意味で評判の悪かった所得税を減税し、代わりに間接税を増税するという改革が行われました。間接税の増税は付加価値税の税率を25%に引き上げるという形で行われましたが、それだけでは所得税の減税分をまかなえないということで環境税の導入がすんなりと決まりました。
 環境税の導入は、具体的には(二酸化)炭素税、硫黄税、(窒素酸化物への課徴金も同時に導入されましたが、課徴金収入は改善企業に還元されたので、収入的にはゼロでした)という形で導入されました。従来、燃料には二重課税を避けるという意味で付加価値税は課せられていなかったのですが、新税の導入と同時に付加価値税も課せられるようになりました。となりますと燃料に対する税が重くなりすぎるということで、従来から課せられているエネルギー税が半分に軽減されました。
 こうした改革について多くの政党はおおむね賛成したのですが、保守党はそれらの税収を一般財源とすることに反対をいたしました。というのは、スウェーデンは伝統的に赤字財政が続いていましたので、その穴埋めに使われることを警戒したからであります。しかし最後は多数決で、これらの税収は一般財源とされました。
 スウェーデンで初めて炭素税を導入されたときには、スウェーデンは環境先進国として率先して税を導入して、他の国の手本にならねばならないという自負がありました。しかし他の先進諸国がすぐには追随してこなかったために、産業界からこれでは国際競争に負けてしまうという批判が起こってきました。そこで1993年に、産業界の負担するエネルギー税、電気税、炭素税について大幅な軽減が行われました。
 そのほかディーゼル自動車については従来キロメートル税が課せられておりましたが、EUの規則に合わないということで廃止され、代わりにディーゼル油税(軽油税)が導入されました。EUの規則では、有料道路のような特定の道路を走る自動車には課税をしても良いが、普通一般の道路を走る自動車には課税をしてはいけないということになっているからだそうです。
 これらの税がその後どうなったかということは、資料5−1に書いてありますのでそれをご覧いただきたいと思います。
 資料5−2には、最近のスウェーデンのエネルギー関連税の動向が示されております。スウェーデン語でいうところのPunktskattは我が国でいうところの「規制税」でありまして、一方では資源の配分と民間消費に影響を与えることを目的とし、他方では税収を得ることを目的として課せられる税であります。我が国で環境税が税収を目的として課せられると言うと何か目的違いという印象を受けますが、スウェーデンでは環境税は環境目的と税収目的を同時に達成する税であると考えられています。
 表1をご覧いただきますとお分かりのように、近年、炭素税の占める割合が少しずつ増えてきているのに対して、一般エネルギー税の割合が減少してきております。
 表2には、それらの税の納税者数が示されておりますが、燃料や電気に対する税の納税者数は我が国と比べると格段に少ないので非常に税の徴収が容易であるということが言えるかと思います。表3には納税額別納税者数が示されておりますが、多額の納税者数ばかりでなく石油、LPG、ガソリン等エネルギーの納税者数も少ないことが分かると思います。
 スウェーデンで最初にエネルギーに税が課せられたのは1929年でありまして、ガソリンやモーター用アルコールに課せられました。1937年から自動車用ディーゼルガソリン(軽油)にも税が課せられるようになりました。電力に消費税が課せられるようになったのは1951年からで、1957年に一般エネルギー税が導入されました。その後1991年の世紀の税制改革の際にエネルギー税が改変されて、今日のようになりました。
 スウェーデンでは近年、税制のグリーン化が強力に進められておりまして、6ページに書いてあるように炭素税の占める割合が急速に増えてきております。
 7ページには、特定産業に対して税の大幅な軽減が行われていることが示されておりまして、こうしたことはスウェーデンだけでなく、環境税を導入している国すべてにおいて行われております。
 電力に対する課税は、通常の場合、電力そのものへの課税か、電力生産の時に使用する燃料への課税のどちらかでありまして、その両方に課せられるケースというのはあまり多くありません。
 京都議定書で決められたスウェーデンの二酸化炭素の排出可能量は、2008年から2012年までの平均値で1990年水準の4%増しで良いとされましたが 、 スウェーデン政府は3.5%減を目標に努力しております。そのために経済的手段、特にエネルギー税と炭素税の役割が大きく考えられています。また排出量取引にも関心が寄せられていますが今のところその効果が未知数なので、税制が中心に考えられています。
 次にノルウェーについて報告させていただきます。ノルウェーはご存じのように山国で水力発電が非常に盛んなものですから石油の消費はそれほど多くありませんが1931年からガソリン税、1970年から鉱物油税が導入されておりました。ノルウェーでも当初はガソリン税の目的は環境目的ではありませんで、道路整備費用をまかなうためのものでありました。1991年にスウェーデンと同じように所得税が減税され、その財源をまかなうために、従来の税制に上乗せする形で(二酸化)炭素税が導入されました。
 この点もまたスウェーデンと似ているのでありますが、ノルウェーでは1992年に石炭コークスにも炭素税が課せられるようになったのですが、一方では鉱物油に対する税が引き下げられました。このようにノルウェーでも一時期、環境税は揺り戻しがあって引き下げられるのですが、その後次第に引き上げられてきております。
 次にデンマークについて報告させていただきます。全般的に北欧諸国では比較的多くの政党が存在しているのですが、デンマークは特に連立内閣が一般的であります。その政府与党は炭素税の導入に慎重だったのですが、議会で多数派を占める野党が導入を決定してしまいました。デンマークの炭素税の場合には、二酸化炭素の排出量の少ない天然ガスやバイオ燃料への転換を促す補助金と組み合わされているということ、および省エネルギー対策をとる企業に対して減免措置がとられているということが特徴だと思います。
 次にフィンランドについて報告させていただきます。フィンランドでは1980年代から多くの環境課徴金が課せられておりましたが、燃料については自動車燃料だけにしか燃料税が課せられていませんでした。しかし1990年に燃料税法が改正され、すべての燃料に税が課せられるようになり、炭素含有量に従って課せられる(二酸化)炭素税が導入されました。
 最後に北欧ではありませんがオランダについて報告させていただきます。1984年にオランダでは6つの環境関連法というものがありまして、それについて7種類の課徴金がございました。しかしその課徴金制度は複雑すぎるということで、1988年に燃料に対する環境税というものが導入され、それに統合されました。1990年からその税の課税基準として二酸化炭素が使用されることになり、いわゆる(二酸化)炭素税が導入されました。
 以上のように最初に導入された(二酸化)炭素税は、従来からあった税に上乗せ、ないし取り替えるという形で導入されております。つまりほとんどの国で、所得税ないし社会保険料の減税に見合う税として炭素税が導入されております。したがって他の税の軽減を考えることなしに炭素税の導入だけを考えるというのはきわめて困難な課題であると考えております。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、第1番目の議題でございますけれども、環境税の技術や産業構造などに与える好影響といいますか、それについて資料に基づいてご説明いただきましたけれども、これについてご質問やご意見ございましたらお願いしたいと思います。よろしくお願いします。どなたからでも結構でございますが。
 どうぞ、金本委員。

○金本委員 資料1の最後のページの、日本の自動車公害規制のところですが、ある研究会で、1970年代の日本の自動車公害規制についてお聞きして議論したことがあります。少し、このまとめと自動車会社の方々は違うパースペクティブを持っておられるということなので、そのことをちょっとお話ししたいと思います。
 基本的に日本で環境規制がきつくて、それで日本の自動車会社の環境技術が進んで、それですごくよかったということでは必ずしもなくて、日本の環境規制がというところの効果というのは、それほど重視されておられないという感じでございます。
 あと、日本の環境規制によって環境関係の開発にすごくシフトしたということがあって、自動車固有の、走る・とまる・曲がるという、そういうところの技術開発がかなり削減された。その間、主としてドイツの自動車会社にかなりのおくれをとったというふうなことを言われておりました。その後、日本の自動車会社も環境関係の開発が一段落してから、基本的な自動車の動力性能に資源をつぎ込んで、今はちゃんと競争できて、マーケットがちゃんとできていると、こういうことのようなんです。必ずしもこういう環境規制がバラ色だったというわけではないというふうなことをお聞きしました。
 以上です。

○神野委員長 今のは、日本の廃ガス規制その他について、規制が大きな戦略的規制みたいな役割を果たしたという認識は、自動車業界の方は持っていらっしゃらない、そういうことですか。

○金本委員 それで世界のマーケットを席巻してすごくよかったという認識では必ずしもないと思います。

○神野委員長 環境にいい車を出したから世界の市場を席巻したわけではないと。だけれども、規制が環境にいい車を、廃ガス規制にいい車を出すという技術的な面では影響はあった……。

○金本委員 それは環境関係の開発をふやすという面ではあったということですけれども。

○神野委員長 市場の拡大につながらなかったと……

○金本委員 若干はつながった面はありますが、ここで言われているほど一面的な話ではないということと、あの時期の環境関係の研究開発が、今となって本当に有効というか、資源配分から見て有効だったかということについても、いろいろな意見があるという……。

○神野委員長 それは低公害だったので、燃費を多くするような車をつくっちゃった、そういう意味ですか。

○金本委員 そうではなくて、要するに、あの時期、技術者のかなりの部分を環境関係にシフトしたわけです。

○神野委員長 そのシフトを強めるような車にシフトできなかった。

○金本委員 ならなかったと、そういう意見も……。

○神野委員長 どうぞ。

○佐和委員 2ページ目の理論的分析というのが下の方にございますね。ここのところで書かれていることはもっともなことなんですが、市場経済というのは、よく消費者主権というふうな言い方をしますが、消費者のプリファレンス、選考に影響を及ぼすような政策の方が望ましい、あるいはより効果的であるというのが、ここに書いていることの背景にある―別に理論というほどのことではないですけれども―ことだと思うんですね。
 日本でも京都会議の直後に、いわゆる省エネ法というのが導入されて、生産者の側に対してトップランナー方式ということで、まさに直接規制が課せられたわけですね。それ自体は大変効果的ではあろうとは思うんですけれども、しかし、トップランナーがみんな横並びになりなさいというわけですね。そうすると、それぞれ以上の努力をしても仕方がないというような点で、さらなる努力をモチベートしないという、そういう欠点があると思うんです。
 ですから、むしろここに書かれていることはいわば排出権取引だとか、あるいは税の方が望ましいという趣旨で書かれていると思うんですが、それはやはりさっき最初に申し上げましたように、市場経済のもとでは消費者主権である。だから消費者のプリファレンスに影響を与えて、それが生産者の技術革新を促すというようなんです。そういうふうな考え方の方が望ましいということを意味しているのだと思います。
 それから、技術革新ということに関しては、確かに税を課するにせよ、トップランナーの場合は、これは最初から既にあるものですから、そこにアチーブするということは非常に簡単なわけですけれども、さらなる技術革新とか、あるいはつまり消費者のプリファレンスを変えることによって、それによってどういう技術革新が達成されるかということについては、非常に不確実なんですね。ですから、確実に技術革新が達成できるとは必ずしも限らないし、この辺にかなりの不確実性があるということは、一応念頭に置いておく必要があるというふうに思いました。

○神野委員長 どうぞ。

○中上委員 きょうが初めての出席で申しわけございません、4回とも欠席で……

○神野委員長 最初にご紹介するのを忘れまして失礼いたしました。

○中上委員 いえ。自己紹介いたします。住環境計画研究所の中上でございます。
 今の佐和先生のお話とも絡みますので、ちょっと補足と私なりの意見を述べさせていただきます。ヨーロッパ諸国でマーケットトランスフォーメーションの効果というのは非常に大きいというのは、ここ数年の学会に出ておりまして、それだけでセッションが立つぐらいです、ある意味で省エネルギーに対する市場メカニズムをいかに使うかということは非常に有効だと思いますけれども、向こうのやり方と日本のやり方は若干違うような気がしております。向こうでは、市場メカニズムの成功した例として非常に有名なのがテクノロジープロキュアメントでありまして、スウェーデンで政府が電球型の蛍光灯を安く、しかも効率のいいものをスペックを出してメーカーに競争させて、しかも受け入れ側としましては、ある量は調達を保証するというふうなスキームでやったわけですが、これが非常に功を奏しまして、今、スウェーデンの白熱灯から電球型の蛍光灯に物すごい勢いでシフトしているわけです。それが当然起爆剤になって、プロキュアメント以外の一般的の市場にもその効果が浸透している。これを非常に評価したという論文はよく見るんですが、その後、それほど画期的な成功例が余りないものでから、この文献がいつの時代に何をテーマにしたかによっては、評価が若干違ってくるのかなという気がします。
 もう1点ですけれども、今、佐和先生がトップランナーはそれ以上の努力はしないとおっしゃいましたが、若干メーカーの応援をしますと、例えば電気冷蔵庫はトップランナーの目標値を既に倍以上超えるようなものを達成しています。ということはトップランナーの決め方が緩かったのかなと、私自身が反省しておりますけれども、そういう意味では日本のトップランナーの最終的な効果表示はいわゆるラベリングでありまして、ご承知のように緑のEのマークがついた目玉のようなやつですが、これで数値の中に達成率を示す数字を書き込むことになっているんです。したがってこれ1ポイントでも多ければ、より競合するメーカーより省エネだということが訴えられるものですから、ある意味では101から102ぐらいから始まって、110、115とか、今お話しした冷蔵庫が200ぐらいいっているということがありまして、必ずしもトップランナーが頭打ちの規制ではなくて、メーカーサイドとしては、さらに幾ら超えたかということをセールスにしているという例もありますので、基準の決め方の問題がもしあったにせよ、多少はその辺は頭を完全に打ったわけではなくて、影響するように働いているということを申し上げておきたいと思います。
 もう1点ですけれども、市場メカニズムでやるのか、それから規制でやるのかというんですが、私は時間的な軸をどう見るのか。短期的な場合には、市場メカニズムに任せておくと、どうしても間に合わない、したがって規制をかけるという場面もあるのではないかと思いますから、やはり時間軸を考えて、短期的な戦略と長期的な戦略というのは仕分けの仕方があっていいのではないかと思います。
 もう1点は、市場メカニズムでうまくいったという例はありますけれども、日本の場合はそういうケースがないわけではないんですが、規制がうまくユーザー側の注意を喚起してマーケットを広げたというところもありますものですから、長期的には日本人も当然そちらの方へ行くと思いますけれども、日本は欧米と異なり短期的には経済的手法ではなかなか動いてくれないので、市場メカニズムだけではきついのかなというのが私の個人的な意見です。
 以上でございます。

○神野委員長 ありがとうございました。
 どうぞ、藤井委員。

○藤井委員 今の技術革新を市場によって誘導するか、規制によるかという議論はポーター仮説と呼ばれて、90年代中ごろから10年間ぐらいで、かなりの論文数がありまして、特に温暖化をめぐっても、ポーター仮説が成り立つかどうかという議論をする人たちがいます。
 ご存じのように、ポーター仮説の1つの大きな材料になっている事例は、日本の、先ほどからも先生がおっしゃったような、70年代の日本の自動車だとか窒素酸化物、あるいは脱硫技術の技術開発だとか、が多いに参考にされいると思いますし、ドイツでは、今の環境政策の主流派になっているのではないかと思いますが、例えばイエニケ等のエコロジカル・モダナイゼーションなんていう概念は、つまり技術革新を起こしながら、高度社会をつくっていこうというイメージだと思いますが、ゼロ成長ではないというようなフレームワークを持っているので一般に受け入れやすいという性格も持っていると思いますが、そういう意味では主流派になっていると思うんですけれども、イエニケたちがやったことというのは、むしろ70年代の日本の公害規制と競争力の関係を一生懸命分析したところから始まっているのであって、そういう意味では70年代の日本の環境政策とか、競争への影響というのは非常に高く評価しているというのが一般的な流れではないかと、私は思います。むしろ日本での方の評価の方が低いのではないかという気がします。これは植田先生がご専門だと思いますが。
 市場でやるか、規制でやるかという議論も、私が見る限りは、経済学者の方もフレームワークがすごくかた過ぎて、もう少し、これは植田先生がまとめていらっしゃいますが、市場構造の影響とか、いろいろなケースが経済学的にも考えられるわけで、私が分析する限り、日本では例えば2番手、3番手のメーカーが、わずかな投資でも、市場の順位をひっくり返してしまうような、非常に技術開発を過剰に、投資を過剰にやるようなインセンティブがあったとか、いろいろなモデルを経済学の方々が主張されるような範囲を超えたような議論がいっぱいあったと思います。そういう意味ではダイナミックな規制をやって、技術開発を起こすという仕組みというのは、十分これからもあり得ると思いますので、肯定的にぜひ議論していただければと思います。

○神野委員長 ありがとうございました。
 植田先生、何かコメントしていただけますでしょうか。

○植田委員 私も市場における消費者の選好ということがありますし、一種の相対価格を変えるというようなことから、技術開発の方向を誘導するというような、そういうところがあると思うんですが、同時に産業組織が競争的であるかどうかという問題が、効果が発揮されるかどうかの場合に非常に大きな影響を与えます。日本とアメリカの自動車排ガス規制のときの大きな違いの1つは、アメリカはビッグ3で寡占的市場になっていたという問題が技術開発を遅らせた大きな要因になっていたのではないかと、こういうふうに思います。
 それから、先ほど金本先生のおっしゃったことは重要な話だと思うんです。すなわち技術開発を考えた場合に、環境技術と本体技術というのでしょうか、そういう区別をするのがいいかどうかという問題はありますけれども、環境技術への技術開発投資が、もし研究開発のお金が限られているとすると、片方へ資源を配分すると片方がやはり少なくなるという問題は起こり得る問題というふうに思います。ただ、温暖化にかかわると、ますます環境技術と本体技術が一体化してきているというふうに考えられるようにも思います。
 以上がちょっと申し上げたかったことですが、あと質問というか、もし今後整理していただいたらと思うのは、補助金の話がこの中にはほとんど入っていません。ところが、現実には随分補助金が入っているケースは多いと思うんです。その効果に関する評価の問題というのがあると思いますし、それからもう1点、きょうはどちらかというと技術の開発とか普及とかの方なんですが、産業構造という話ももう一方であるかと思うんですが、それももし今後検討していただけたらありがたいというふうに思いました。
 以上です。

○神野委員長 事務局の方から何かありますか、歳出面を含めて。

○鎌形環境経済課長 補助金に関しましては、ご指摘のように、今回余り取り上げていないというか、ほとんど取り上げておりませんが、分析の方法なりいろいろアドバイスいただきながらやっていきたいと思います。
 産業構造への影響ということに関しましては、確かに抽象的には経済構造、産業構造が変わっていくんだということは前の中環審の専門委員会とか、書いていただいたりはしているんですけれども、どういうふうに分析したらいいのかというのは、なかなか難しいところがございまして、この辺も何かヒントをいただければ少し勉強はさせていただきたいなと、ぜひやりたいところではあるんですけれども、そんな状況で、なかなか分析が難しくてできていないというところではございます。

○佐和委員 最後におっしゃったことについては、過去80年代半ばぐらいからずっと最近までの、まずGDPに占める製造業の比率というのは、僕の記憶が正しければ85年に29.5%だったのが2002年ぐらいには22%まで下がっているんですね。ですからその趨勢というものをとりあえずフォローして、同時に製造業の付加価値といいますか、生産するGDPに占めるエネルギー集約型産業というんでしょうか、鉄鋼を初めとするものの比率というのは激減しているんですね。つまり加工組立型産業の方にシフトしている。その辺を少し、過去の統計を見るだけでも随分参考になると思います。

○鎌形環境経済課長 どうもありがとうございます。

○神野委員長 どうぞ、金本先生。

○金本委員 もう少し深めていかれるときに、1つは技術というときに、基礎的な、例えばトヨタのハイブリッド技術の開発というのと、それから具体的な車につくるときの開発段階の話というのと区別していただきたいと思います。
 大きな技術、ハイブリッドというのは別に環境のためにやったわけではないわけで、これはおもしろいからやったという側面が非常に強いというふうに言われています。ただ、そういう基礎があったときに、具体の車をつくるときに、いろいろなガソリン価格がどうとか、税制がどうとかということに対応して、巨額のお金を使って開発されますので、多分、そちら側のところに焦点を当てないと、いろいろな政策の効果というのは見えてこないのかなという気がいたします。
 あと、規制と補助金と税制等で価格を動かすということの相体的な評価ですが、日本の場合、規制といってもトップランナーは規制ではないですね。そういったものが有効だったというのは、基本的には省エネというのは消費者にとってコストが安くなるということですので、消費者側のインセンティブと、それからそういった環境面とが同じ方向にあった。必ずしも価格インセンティブは十分ではなかったかもしれませんけれども、同じ方向にあったということで、ラベリングをうまく設定すると、我々、ラットレースといっていますが、生産者同士が競争を激しくして開発競争したという、そんな感じで動いているというふうに思います。ですから、基本的に重要なのは、規制でうまく動いたということでは必ずしもなくて、価格インセンティブとそういったものがうまく組み合わさったということかと思います。
 あと、補助金については、企業の方々に聞くと、どういう方々かによって意見が違うんですが、一般に消費財をつくっておられる方々は、補助金をいただてもいただくためのコストが高くてインセンティブになりませんね、ということを言われる方が多いですね。製造設備をつくっている方々は、メリットがかなりあるようで、補助金をいただきたいという方が多いですが、これがどの程度、本当に全体としてメリットがあるかというのは、もう少しきちんと考える必要があるかなという気がいたします。
 とりあえず以上です。

○山地委員 今ちょっと話題になった補助金のことで少し考えたんですけれども、先ほどのIPCCの論文のところでもちょっとSchumpeterを引用して書いていますね。要するに、インベンションとイノベーションがあって、その次にディフュージョンがあります。技術のディフュージョンのことが今回余り出ていないなと思うんですけれども、補助金も使い方次第で消費財の方は補助金を好まないというけれども、新しいマーケットをつくるときには導入促進の初期過程で補助金というのは、太陽電池の政策がよかったかどうかは、これまた政策評価を要するところですけれども、一定の効果を持ったわけですね。だから、技術というのを抽象的に扱うのではなくて、段階に分けて、ディフュージョンの段階というのにも十分目配りをしておいて、それに対して補助金がいいのか、規制がいいのか、税制がいいのか、そういう組み合わせの議論をしないと、ちょっと大事な点が見失われるのではないか。そういう意味では、ディフュージョンのところ、導入促進、そこのところにももう少し目配りしていく必要があると思います。

○神野委員長 森地先生。

○森地委員 冒頭の金本先生のお話の資料1の最後のところですが、正確には私の認識ではこういうふうに記憶しています。日本の廃ガス規制のころは、廃ガス規制と燃費というのは全く別物で、廃ガス規制をやろうとすると燃費の効率がすごく悪くなるので、同時にそれをやらざるを得なかった。それを各社が一生懸命同時にやっていて、99年のオイルショックでアメリカでガソリンを並んで買わなければいけないようなことになって、大型車から突然小型車にシフトした。そのときに鉄板を薄くするとか、あらゆることの燃費競争をやっていて、そのことから、今度、廃ガス規制から燃費自身をよくする方がアメリカのマーケットに合うということで、各メーカーがそういう努力をし出した。こういうふうに認識しています。
 そのことは、我々の議論のときに、製造業に関していうと、国内のマーケットではなくて、外国のマーケットの影響が、少なくとも市場優位な産業については強かったんだろうと思います。
 それから、前回申し上げたことで、佐和先生のさっきのお話で、製造業の比率がすごく下がっているのと、我々のターゲットは交通分野と民生部門、ここのCO排気量をどうするかという大きなターゲットがあるときに、製造業のところばかり議論をしているのではなくて、こっちにどういう影響を与えたらいいのかという議論が必要なんだろうと思います。結局はアナウンスメント効果が非常に大きいということになってしまうんだろう。
 ちょっと次の話題とも絡むんですが、結局、運輸とか、あるいは家庭用と企業用、あるいは運輸、民生で見ますと、家庭用で使っているガソリンなんかは消費量を下げる方に動かないで、安いガソリン屋を探すという方向に行動が動いてしまって、結局価格転嫁ができませんということになってしまうような、そういう構造になっている。したがって、アナウンスメント効果をどうやったらだんだん上げていけるのかという、そこに環境税の入れ方とか、ほかの政策との入れ方の組み合わせが大変重要なんだろうと思います。
 最後、それを環境問題と全く関係ないんですが、物すごく日本はうまくやったのは、交通事故の問題で、警察というのは大体3年に1回ぐらいずっとルールを変えてきました。昔は、一たん停止は絶対許さないとか、シートベルトはどうだとか、ヘルメットがどうだとか、そういうことを物すごく高頻度にやっているのを、私自身はちょっと異様かなと思っていたんですが、結果的には安全意識が物すごく高まって、それを低頻度でやっているところよりも交通安全についての感覚とか、シートベルトをつけるとか、そういうことについての社会教育に物すごく影響を与えたというような、こんな例が交通安全の分野ではあります。
 それに比べると、交通分野のエネルギー感覚というのは、ずっと余り自動車の利用に関してはうまくいかなくて、ヨーロッパでは完全におくれをとってしまった。自動車の規制なんかもそうです。そんなことを思いました。

○神野委員長 今のは安全面でということですね、ヨーロッパよりおくれをとったというのは。

○森地委員 いいえ、安全面ではやったけれども、環境面では、例えばモールにしてもトランジットモールにしても、だんだんそれを面に広げていって、自動車はだんだん使わないようにしてとか、そういうことを段階的にやってきたのに比べると、この国は歩行者天国をやって、非常に安易な方法をやって、それも途中でやめてしまって、段階的に行動を変えるような、アナウンスメント効果を高めるような戦略をほとんど持ってこなかった。
 言いたいのは、最終的に環境税の話と人間の最終消費者の民生運輸部門の行動を変えるのにどういう段階的な手があるかという話が重要なのではないかということを申し上げたかったんです。

○神野委員長 ちょっとすみません、私の運営が悪くて、最初の議題で、もう既に時間が終わりに近づいているので、今のお話、第2番目の議題にも踏み込んでおりますので、環境税の価格転嫁の方、もちろん第1番目の議題に戻っていただくこともあり得べしということで、できれば第2番目の議題の方にシフトさせていただいて、ご議論いただければと思いますが、いかがでございましょうか。

○佐和委員 まず、これは統計的な話なんですけれども、資料2−1の2ページ目のところで、ガソリンの段階別価格間の相関係数というので3つ並べていますけれども、これはせめて分布ラグの程度のものぐらいは、どういうタイプの分布ラグにするかどうかはとにかくとして、そのぐらいの気の効いたことはやられた方がいいと思います。
 それから、その次に資料2−2につきましては、結局、ざっと見たところ、要するに原燃料の価格の上昇が必ずしも製品価格に、総じて言えば転嫁されにくいとか、されていないというようなことが言えるかと思うんですが、これは基本的には結構エネルギー多消費型産業と言われるような産業でも、実はトータルのコストに占める、例えば鉄鋼でも石炭のコストシェアというのはそんなに高くない。よく知りませんが、人件費とかいろいろなコストがあるわけですから、仮に50%石炭の価格が上がった、あるいは税の結果が、あるいは単に市況の成果はとにかくとして、50%上がってもコストシェアが20%であれば10%しか上がらないということで、ですから、一見、想像されるほど原燃料の価格上昇というのが製品価格には、一見転嫁されていないようだけれども、転嫁されていないということは、「経営努力で吸収している」というような表現がさっきありましたけれども、そういうこともさることながら、結局実はそんなにコストに占める率は高くないということだと思います。

○神野委員長 ありがとうございました。
 資料を今後出す際に、少しご忠告いただきましたので注意していきたいと思いますが、事務局の方から何かございますか。

○鎌形環境経済課長 相関係数を出したことについてのご指摘につきましては、手間を省いたことになるかもしれません。これからどうやるべきか、少し検討したいと思います。

○金本委員 2番目の点について、少しデータがばらばらのような気がいたします。コストのところ、コスト増分をちゃんと計算しているものと、生の数字で入っていて、実はコストシェアが非常に低いので、余り意味がないというものが紛れ込んでいるようでありますので、少しコストシェアまで入れて、コスト増がどれぐらいなのか、それに対応して価格がどう動いているかというグラフをつくっていただくと、皆さんおわかりになるかと思います。

○神野委員長 横山先生、どうぞ。

○横山委員 2−1の示唆、政策的なインプリケーションは、かなりあるのではないかと思います。今回の価格転嫁の分析は、いわゆるハイブリッド型の環境税の1つの根拠にもなるのではないか。電気、ガスについては、このファクト・ファインディングが正しいとすれば、公共料金体系との兼ね合いも含めまして、上流課税と下流課税を考えるときの示唆になっているというのが1点です。
 それから、もう一つ大きな考え方の中で、京都議定書の国際約束の遵守において、こうした短期的目標を税そのものでどの程度達成しようとするのかということも考えておいていただきたい気がいたします。税は京都議定書の国際約束の遵守の手段ということで、もちろん色々な検討会でも研究会でも専門委員会でも議論すべきことなのですが、私としては、そうではなくて、税制調査会そのもののあり方の中に、大きなグリーン税制改革の方向性が全く議論されていないことを指摘すべきなのではないか。両方から考えていかないと、うまい方向には収斂しないのではないか。
 あと一つは、補助金か規制か課税かといったときに、COを排出している主体からすれば、あるいは産業界からすれば、自分のコスト・ベネフィットからすると、やはり課税が一番自分の純便益を減じてしまうという厳然たる事実があるとすれば、そこをどうやって受け入れるような政策のパッケージを用意するか、ここも重要になってくるのではないか。この3点を申し上げたいと思います。

○神野委員長 大きな方向性の議論まで入っておりますが、事務局からコメントございますか。

○鎌形環境経済課長 ございません。

○神野委員長 もちろん租税体系全体をどういうふうにしていくのかということと、それからまた税の公平の概念なども、「環境」という字句を入れていくとかというような指摘はしなければならないことだとは思いますが、それは今後、全体でまとめる段階、その他で考慮させていただければと思います。

○和気委員 ちょっと1点だけ確認なんですが、価格転嫁の中で、前半の3の灯油ぐらいまででしょうか、ここは全部CIFでドルベースだと思うんですね。ドルベースの輸入価格と国内のでそれぞれの最終燃料がどうなるかというんですが、その後の方の電力等は国内物価ですので円ベースだと思うんですね。したがって、為替レートの変動を先読みして、為替ヘッジしていれば、その分はさや取りできますので、この辺ちょっとドルベースか円ベースかによって、ちょっと相関の意味合いが大分違ってくるんです。ですから、その辺ちょっと確認だけしていただきたい。

○神野委員長 CIF価格はどっちでとっているんですか。ドルでとっているの。円でとっているの。

○金本委員 グラフは円ですね。

○神野委員長 グラフは円と書いてありますね。それでは、ちょっと後で調べていただくことにして、何かございませんでしょうか。

○後藤委員 価格転嫁の可能性ということですね。これは恐らくこの検討会等で環境税の影響を評価するときに、極めてクルーシャルなファクターだと思うんです。こうしたグラフをどの程度一般化できるかというところに興味があるんですけれども、単純に経済学者的な観点からいうと、高い相関があるようなものは消費者の方の価格弾力性が低い、あるいは企業と企業家の長期契約があって需要が減らないとか、そういうふうに見て取れる。小さいというのは比較的価格弾力性が高いので、価格転嫁ができないというふうに、ただ単純には思えるんですが、このグラフのもうちょっと裏にあるというか、そういう情報をインタビューとかそういうものもつけ加えて一緒に出していただけると、もう少し一般化しやすいのかなという気がしますが、質問と意見ということで……。

○神野委員長 今のご質問については、ちょっと後でということで。
 増井先生、何かございましたら……。

○増井委員 ありがとうございます。ちょっと戻ってしまうんですけれども、資料1の方では環境税導入によってプラスの影響が出る業界が見られますが、例えば逆に悪くなる、先ほど来、佐和先生なり、植田先生方の方から産業構造の転換というような話が出ていましたけれども、これまでオイルショック等で、産業構造が転換してきたかと思うんですけれども、そうした状況において、例えば失業者等の受け入れ等をしてきたのかが参考になると思います、今の環境税の議論におきましても、悪影響を受ける業界に対してどういうふうな手当をするのかというようなことが重要かと思いますが、過去のオイルショック等で産業構造の転換が起こったときの実例が一つ参考になるのではないかなと思いました。

○神野委員長 どうぞ。

○山地委員 テクニカルな点だけ簡単に……。
 電力価格ですけれども、今、電気料金、多様化していますし、自由化対象では明らかにならないところもある。これは多分総括的なものをとっておられると思うんですけれども、時間帯別の料金とか、ほかのメニュー別の電力料金との関係をチェックされてもいいのではないかなと思いますが。

○神野委員長 含めて事務局の方からちょっとコメントをよろしいですか。

○田村総合環境政策局長 一般化のご議論、あるいは今の電力を含めて、いろいろ精緻化すべきであるというご議論、もう少し分類分けしたり、あるいはインタビューというお話もありました。全体的に、これはとりあえずの感覚を見てもらうために相関一本でやっていますけれども、少し検討して、もう少し詳しいものでまたご披露したいと思います。ちょっと時間をいただきたいと思います。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 そろそろ残り時間を10分切っていて、毎回毎回、説明だけ聞いて終わるようなことになりかねない事態になっているのですが、あと残り3つの議題がございまして、国境税調整の問題と、それからリーケージについてと北欧の環境税の導入の経緯についてご発表いただいております。こちらの方で何かご質問、ご意見ございましたら。
 佐和先生、どうぞ。

○佐和委員 まず国境税調整についてなんですけれども、国境税調整はなかなか難しい問題だというのは、例えば鉄鋼とか、つまりエネルギー多消費型の素材に対して税を還付する、あるいは輸入するときに税をとるということだけを考えれば、それほどテクニカルの難しい問題はないと思うんですけれども、では、自動車をどうするのかというようなことになってくると、どこまでそれを広げるかという問題が出てくるんですね。炭素原単位は一々申告してということで、いわゆる製品をどう扱うのかという問題がここに全く書かれていないので、その辺の難しさをとりあえず1つ指摘しておきたいということと、もう1点、資料4に関しては、途上国といいますか、まさにリーケージの大きさを評価するに当たって、そっちの方のテクノロジーをどういうふうに想定しているのかということに大きく依存してくると思うんです。
 以上です。

○神野委員長 ほかに、この3つの問題で……。

○金本委員 スウェーデンのところで、特定産業への税の軽減のところが、何か余りフィロソフィーなく、ばらばらにやられているような感じがあるんですが、これについて、もう少しすっきりした説明が本当にあるのかどうかとか、どういう経緯でこんなふうになっているかということを、きょうでなくてもよろしいのでご説明いただけると大変ありがたいと思います。

○神野委員長 フィロソフィーは難しいかもしれませんが。後ほど、ご説明していたくことにいたします。
 後藤先生、どうぞ。

○後藤委員 最後のスウェーデンのケースと関連しているんですけれども、この委員会で一番最初に、この政策を議論するとき、大事な尺度として公平性と効率性というようなことが書いてあったんですが、私の知っている限り、公平性というのは、その後、ここでは全く議論されていないと思うんです。もちろんPPPという、そういうのが1つの理念で、これを徹底して根拠に置くというのも1つのあり方ですけれども、PPPというのはもともと会部費用の内部化、汚染者と被汚染者、こういうイメージから出てきたものであって、地球環境というのをグローバルコモンズと、こう位置づけをすると、PPPというよりはもっと別に公共財の維持費用をいかに負担するかと、こういう観点からの公平性に近いものでありまして、もう少し公平性というのもどこかで議論に組み入れていくべきではないかというふうに感じております。

○神野委員長 おっしゃるとおりで、公平性の場合、もう一つ応能的な負担も入ってきちゃうと話がちょっと混乱してくるのと、それからPPPについていうと、余りこれを前面に出すと、委員の先生、その他でスウェーデンでももめていますように、税か課徴金かという問題に踏み込んでくるというような難しい問題がかかってくるだろうと思います。その点も少し気をつけて議論を進めたいと思いますが。
 ほかに。

○中上委員 国の置かれている状況がいろいろ違うと思いますので、一概にほかの国のものを我が国にというわけにいかないと思いますが、そういう意味で国際的な輸出入に非常に大きく携わっているようなことに傾斜している国と、国内に余り製造業を持たないような国と、やはり全然スタンスが違うと思いますから、その辺はきちっと誤解なきように、一般の方はみんな一緒にしてお考えのケースがありますのでそれをお願いしたい。それからこれはちょっと書きにくいかもしれませんので資料で結構でございますから、反対意見は日本と同じような論調なのかどうかそれも見てみたい。いつも賛成意見は出てくるんですが、反対意見がないので、ぜひ海外の代表的なのがありましたら教えてください。これは、ここでなくて結構です。

○神野委員長 輸出依存度は、北欧の場合には問題にならないぐらい輸出依存度が高いので、国際競争力が死命を制します。スウェーデンは40%ぐらいですから、日本の15%に比べたら圧倒的ですね。
 ご意見ございますでしょうか。
 ちょっと尻切れトンボになってしまったのですが、税の方の専門に曲がりなりにも勉強している人間からすると、国境税調整は、本音としては国際競争力を強めるという政策手段だと考えられなくもないんですが、税の仕組み方と密接に結びついてできるかできないか、つまり国境税調整というか輸出を免税にするためにどういう仕組み方をするのかということと深く結びついているので、納税義務者をどうするか、それは担税者が別に転嫁される税と想定するかから始まって、課税客体といいましょうか、どういう段階でインパクト、課税をするか、課税をする税金として仕込むか、その他含めて、税構造とで、シュムケジゲンセキがとられるのか、オリジンプリンシプルがとられるのか、ディスティニーションプリンシプルがとられるのかが決まってくるという側面もあるので、少しここら辺は気をつけて議論をしていかざるを得ないかなというふうに思っております。
 そのほか、北ヨーロッパの例、あるいはリーケージについては、今後、引き続き委員の先生に、例えば導入の経緯などについてフォローしていただくということにして、そろそろ時間でございますので、事務局の方には、きょう出たご意見を踏まえて、少し次回以降の議論に役立てていけるような方向で検討をしていただければというふうに思っております。
 次回は。

○鎌形環境経済課長 次回につきましてはまた日程を追って連絡させていただきたいと思います。最初に申し上げましたように、課題としては、いわゆるマクロ経済への影響とか、各業種への影響とか、そのあたりが残っておりますので、資料をそろえていきたいと思っております。

○神野委員長 それでは、ちょっと時間配分その他、私の方の不手際で皆様に十分ご議論をいただいてご意見をお出しいただいたかどうか、心もとないのでございますけれども、予定の時間でございますので、ここら辺で終了させていただければというふうに考えております。
 どうも長い間、ありがとうございました。

午前11時59分閉会