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中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会
第3回環境税の経済分析等に関する専門委員会議事録


平成17年6月14日(火)

環境省総合環境政策局環境経済課

午前10時00分開会

○鎌形環境経済課長 おはようございます。定刻を回りましたので、まだ、ちょっといらっしゃっていない先生方いらっしゃいますけれども、遅れて来られるという連絡もいただいているようですので、ただいまから環境税の経済分析等に関する専門委員会の第3回会合を開催いたしたいと思います。
 それから、ちょっと事前にご協力お願いしておりましたが、政府では6月1日からいわゆる軽装の励行をしております。冷房設定温度を28度に、冷房設定温度を高めにするということで、温暖化対策を進めようということで軽装で失礼させていただいておりますので、あらかじめご了承いただきたいと思います。
 それでは、神野委員長、よろしくお願いいたします。

○神野委員長 それでは、第3回目になりますけれども、専門委員会を開催したいというふうに思います。それから、本日お忙しいところ、ご参集いただきまして、本当にありがとうございます。
 今日、天野委員が初めてご出席されていらっしゃいますので、一言ちょっと自己紹介をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○天野委員 体調を少し崩しておりまして2回ほど欠席いたしました。今回から参加させていただきます。どうぞよろしくお願いします。

○神野委員長 それでは、議事の方に移らせていただければと思いますが、今日は本日お手元にお配りしております議事次第にございますように、大きく3つのテーマを準備をいたしております。1つは環境税の効果、価格弾力性について。それから、2番目が「環境税による経済影響」、ただこれちょっと後で事務局の方から説明があるときにあるかもしれませんが、ちょっと少し内容について、準備の行き届かない点について少し省略させていただくのと、天野先生から別途追加的に。1の方ですか。天野先生から1の方について補足的な発表をいただくということになっております。
 それから3番目の議題が「国境税調整」という議題でございまして、この3つの議題について議論をしていただければというふうに思います。今日の会議は、12時をもって終了したいというふうに思っておりますので、議事運営につきましてご協力をいただければと思います。
 それでは、3つの議題につきまして、一括事務局からご説明をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 それでは、まず事務局から資料のご説明させていただきます。その前に前回は環境税の位置づけと、それからアナウンスメント効果、それからアンケート調査についてご議論いただきました。そのうちアンケート調査については、相当いろいろと先生方からもご指摘をちょうだいいたしまして、その後個別にもお話をさせていただいておりますし、アンケート調査のやり方について、既存の論文なども送っていただいた先生もありました。そういう意味で、今そういうものも含めてアンケートの内容については、まだ精査中ということで、実際とりかかっておりませんけれども、引き続き調整をいたしまして、実際に調査を実施して、またこちらにご報告させていただきたいというふうに考えておりますので、申し添えておきたいと思います。
 それでは、本日の課題でございますけれども、今委員長からご紹介いただきましたように、環境税の効果と経済影響、国境税調整です。
 環境税の効果につきましては、先日アナウンスメント効果ということでは、さまざまなご議論いただきしまた。ここで、価格弾力性の分析を中心にさまざまな論文なり分析がございますので、そういったものを利用させていただきたいと思います。それから、天野先生から最新の論文のご提供をいただいておりまして、参考資料につけておりますので、補足的にご説明をお願いをできればというふうに考えています。
 それから、経済影響に関しましては、これまでいわゆる国立環境研究所と京都大学の共同で開発いたしましたAIMモデルという分析を昨年度まで行ってきているところでございます。それで、今回その他の分析も含めてちょっと用意させていただこうと思いましたが、若干準備が整わない点がございますので、この第2の議題につきましては、従前の中間審における議論の成果というものをこちらで再確認させていただいて、また次回への議論につなぐという形にさせていただきたいと思います。
 それから、3番目は「国境税調整」ということでございますが、大きく見れば国際影響というものをどういうふうに考えるかという中での議論かと思いますけれども、昨年来の税制改正の論議の中で環境税をかけると国際競争力上問題が生ずる。それを、国境税調整により解決すればいいのではないかとの議論もさまざま行われましたので、これに対する考え方を整理したという形でございます。全体そういう流れでございます。
 まず、環境税の効果ということで、資料1、価格弾力性についてということで、お話を始めたいと思います。資料1でございますけれども、環境税の効果と価格弾力性についてということでございますが、これにつきましては、さまざまな論文でエネルギー需要の価格弾力性に関しての分析がございます。それにつきましては、メインテーブルのみになりますけれども、参考資料として、今回レビューいたしました論文を参考資料1から参考資料7までお配り申し上げております。適宜御参照いただければと思います。
 それでは、資料1に基づきまして、ご説明をいたします。まず、価格弾力性に入ります前に、環境税の効果を分析する際に、結局これまでどういう手法を用いてきたかということでございますけれども、もちろん価格弾力性だけではございませんで、これに[1]から[4]のような形で行ってきているということでございます。
 [1]マクロ経済全体の集計的なモデルを用いていくという手法、あるいは[2]でございますが、いわゆるAIMモデルのボトムアップ型のモデルということで、AIMエンドレスモデルということでございますけれども、エネルギー使用機器の選択というものを、コストを最小化するように行い、こういう機器選択をした場合にCOの排出の変化がどうなるか、つまり環境税の効果がどうなるということを試算するという手法。
 それから[3]がエネルギーの価格弾力性を求めると、今回のテーマでございます。
 それから[4]でございますけれども、人々の行動にどういう影響を与えるかということで、アンケート調査による分析する手法ということで、これにつきましては、前回のアンケート分析をこれから行うということを申し上げておるところでございます。
 こういったことがございますが、そのうち価格弾力性ということを今回テーマといたしました。もちろん、2番目の価格弾力性についての定義ということでございますが、エネルギー価格が1%上昇したときに、エネルギー消費が何%変化するか、こういうことでございます。
 それで、日本国内におけるさまざまな価格弾力性の分析、部門ごと、エネルギーごとにつきましては、これまでさまざまな分析が行われてきております。この価格弾力性に関しての検討を行う上で、価格弾性値を算出している研究のうち、前提条件や推計手法がある程度明示されているものを可能な限り集めまして、分析の対象といたしました。
 それで、今回のレビューに当たりまして、1ページ、一番下の〇でございますけれども、エネルギーの価格弾性値につきましては、対象とするエネルギーの種類や部門などによって、相当異なってくるということがございます。例えば、産業の部門を対象にするとか、あるいは民生の家庭とか業務とか、あるいは運輸部門、そういったもの、あるいはエネルギーの種類、ガソリンなのか電力なのか、そういったことにより異なっていくということ。それから、時間的な時間軸の問題で、短期の効果を見るのか、長期の効果を見るのか、こういった試算の前提の違いがあるということでございます。
 ここに今回ご紹介いたしますものも、エネルギーの種類や部門もさまざまでございますし、短期長期という観点もさまざまでございます。ということで、そういった前提条件の違いにより分析結果に影響が生じる、すなわち違いが生じるということになりますので、その前提条件の違いに留意することが必要ということでございます。単純に出てきた数字を並べて比較するということは、なかなか意味が薄いということだと思います。
 ただ、こういった部門、エネルギーの種別とか、あるいは短期、長期の時間軸というものを、切り口を踏まえた上で、全体で大まかな傾向を把握することができるのではないかということで、今回やってみたということでございます。
 2ページ目にまいりますが、[1]から[7]まで論文がございます。[1]斉藤光雄先生ほかの「エネルギー価格の変動とエネルギー需要」。[2]藤井先生ほかの「わが国製造業のエネルギー代替に対する価格、非価格要因の影響分析」。[3]園田先生、佐和先生ほかの「エネルギー価格低迷を考慮した価格弾性値の計測」。[4]奥島先生、後藤先生の「日本経済の生産・代替構造分析」。[5]戒能さんの「エネルギー政策の展開」。[6]天野先生の「わが国の温暖化対策とエネルギー需要の価格弾力性について」、今回新しい論文ということでご紹介いただきました。それから[7]、沈中元さんの「日本におけるエネルギー需要の所得と価格の短・長期弾性値の計測」ということでございます。
 それぞれ3ページ以下に結果の概要というものを書いてございます。それぞれの論文は、先ほど申しましたように、参考資料につけているというところでございます。
 それから、すみません、今ミスがございました。2ページ目の[6]と[7]でございますが、順番が逆転しておりました。申しわけございません。天野先生のご論文が[7]ということでございます。[7]と載っているのは[6]ということでございます。訂正お願いいたします。申しわけございません。
 それでは、各論文の概要というところでございますけれども、3ページ目でございます。まず[1]の論文でございます。斉藤光雄先生ほかのものでございますけれども、これは、対象期間は1955年から1985年というふうにおきまして、産業連関表のデータ、5年おきに求めまして7年分、7回分と申しますか、そういったものをデータとして取っております。推計の対象は産業部門ということでございまして、論文自体に24の産業別に推計しております。エネルギー種別の区別はしていないということでございます。
 この論文の趣旨自体は、エネルギー価格の変化が資本、労働、非エネルギー原料、エネルギー、各生産要素の需要に与える影響。あるいは逆に各生産要素の価格がエネルギー需要に与える影響を価格弾性値として算出しているというものでございます。
 ここで推計結果の概要ということでございますが、私どもの関心事項であります、エネルギー需要のエネルギーの価格弾性値というものをこの論文の中から引っ張ってまいったものでございます。ここにございますように、全産業あるいは全製造業、軽工業、重工業、あるいは素材型製造業、加工型製造業、それから、第1次、第2次、第3次の産業別と、こういうような分類になってございますが、ここにございますが、全産業では弾性値としては−0.411、それから全体として見ますと−0.28から、大きいのを言うと第1次産業全体を集めた−0.516、このような数字がそれぞれ出ているということでございます。
 分析の概要ということでございますが、第1次産業と第3次産業は、第2次産業よりも値が高いということがございます。この分析としての概要自体はこの論文に書いてあるものからの引用ないし要約でございます。この論文の中ではこの2次産業よりも、第1次、第3次産業が高いということも分析として、製造業を中心とする2次産業は、設備の機械化が進行しているため、価格が変化してもエネルギー消費量の変化に限界があることを意味するだろうというふうな解釈をしております。
 それから、製造業の中でも重工業は、軽工業よりも小さいと、同様の理由というふうな解釈をしております。
 それから、エネルギー部門に関しましては、ここはエネルギー部門、上に書いてございませんけれども、論文には詳細がございますが、石油石炭製品、電気、ガス、水道が、それぞれ値が小さくなっておるということで、エネルギー部門では価格弾力性が低いというような結論結果が出ております。
 それから[2]の論文でございます。藤井先生ほかの論文でありますが、これは対象期間が1980年代です。80年から88年ということでございます。この推計の対象は、産業の7部門ごとに、エネルギー種別ごとに推計をしているというものでございます。
 論文自体の趣旨は、1980年代の製造業を対象として、エネルギー需要の量的変動や代替がエネルギー間の価格変化や各種政策によってどの程度影響を受けたかを定量的に示した、こういう趣旨の論文でございます。
 このうち、製造業のエネルギー需要の短期の価格弾性値に関しまして、推計結果の概要ということで抜き出してまいりました。まずそれぞれ食品、機械、製紙、鉄鋼、繊維、科学、窯業土石とこうございますけれども、括弧の中に2つ数字がございます。左側の数字が電力の価格弾性値、右側の数字は重油の価格弾性値ということでございます。それで、それぞれ数字、ここに掲げてあるとおりでございますけれども、小さいところでは−0.2台、それから大きいところでは−2を超えるような部分も、長期の重油の部分についてはあります。
 それで、この分析の概要ということで、論文自体に書いてある限りでございますけれども、自己価格弾力性の推計に関する特徴は、すべての部門及び燃料について負の数値が得られたということで、価格が上がれば、需要が減るという関係がここで出ているということでございます。
 それから、特に従来価格に対して弾力的ではないとされてきた機械産業などの燃料の寡消費型、燃料を余り使わない産業でも高い弾性値が得られたという結果が出ております。
 次のページにまいりまして、[3]でございます。[3]番、園田先生、佐和先生の分析でございますけれども、対象期間は1965年から1997年ということでございまして、これはさきの2つの論文が産業部門を中心に分析していたのに対しまして、民生部門、運輸部門につきまして、エネルギー種類毎に推計をしたということでございます。
 それで、推計結果の概要というところにございますように民生の家庭の電力、民生業務電力、それから旅客の軽油、旅客のガソリン、旅客の重油、それから貨物の重油、貨物の軽油と、こういうふうにそれぞれ分野とあるいは燃料種、ここでは電力とガソリン、重油、軽油となってございますけれども、その別にその弾性値をお載せしたということでございます。
 なお、この分析におきましては、価格弾性値が価格の上昇期と下落期に異なるかということもあわせて分析をしておりますけれども、ここに推計結果の代表として抜き出してきておりますのは、全体的な分析での価格弾性値ということでございます。
 それで、分析結果の概要ということでございますけれども、これは上昇期と下落期の違いというものについて述べておりまして、家庭部門におけるエネルギー需要の価格弾力性は、上昇期と下落期で異なるということで、下落期には需要は増加するけれども、上昇期ほど弾性値は大きくないというようなベクトルが出ています。
 それから、全体的な弾性値の分析の概要といたしましては、2つ目の・でございますが、家庭部門については、ほとんどが価格上昇期の影響を受けるのに対して、業務部門・運輸部門に関しては、過去の最高価格の影響を受けるということが指摘されております。これは、この解釈としては、エネルギー利用機器の効率改善は、エネルギー価格が過去の最高値を更新した場合に促進されるということで、過去のエネルギー価格の範囲内であれば余り進まないというような分析がなされております。
 それから、[4]になりますが、これは1960年から1995年からの分析の推定値ということで、これは全産業・産業部門別、エネルギー別に推計をしたというものでございます。
 論文の趣旨自体は、価格弾力性をまず推計すると、価格弾性値を推計するということ。そして、炭素税等の温暖化対策が我が国で有効に機能し得るかということについて、論文自体はそこまでということでございますが、推計結果につきましては、その推計された弾性値についての引き抜いて書いているということでございます。
 ここにございますように、全産業ではエネルギー全体では−0.4、電力に関しては−1.22という数字がございます。それから、その他エネルギー全体に関して、ここにあります農林水産、鉱業建設業、あるいはエネルギー多消費型製造業、その他の製造業、運輸、サービスということで、ここに数字が掲げてあるとおりでございます。すべて一応マイナスの数字が出ているということでございます。
 分析の概要でございます。全産業の価格弾性値は−0.4ということでございます。
 それから、産業部門別に見ると、ここにございますエネルギー多消費型製造業は−0.72ということで、比較的大きいと。それから、サービス業における値は−0.17、小さいということで、この場合にはエネルギー消費量の多い産業を中心に影響を与えるというふうなことが分析結果として出ております。
 それから、5ページ目にまいりまして、経済産業省の戒能さんという方の分析でございますけれども、1975年から1999年の期間についての分析ということでございまして、部門毎、エネルギー種別毎の推計を出しているということでございます。
 論文の趣旨自体は、弾性値を出すこと自体が目的ではなくて、エネルギー政策についてエネルギー安全保障、環境問題等の観点から、問題を解決する1つの具体的適用について分析している、こういう広いテーマとなっております。その中でエネルギー需要の価格弾性値を試算したものにつきまして、下の方に説明させていただいております。ここでは短期と長期に分けた分析をしているということでございまして、それぞれの欄の左右ということで、カンマで区切ってありますけれども、その左側が短期、右側が長期の推計結果ということでございます。それぞれ、ここに掲げたような数字でございますけれども、分析の概要ということで、ここでは産業部門、家庭部門では、エネルギー価格の動向に対して直接反応するのではなくて、今機器の更新時に中長期的なエネルギー価格の動向を踏まえた対応を行っていくというふうな分析をしています。
 それから、業務用の主要なエネルギー源に関しましては、短期の因果関係があるということでございます。そういう意味で課税によって、消費の減少が見込まれるという分析になっています。
 それから、3番目の・、仮に環境税を課す場合というような分析でございますが、結局ここでも直接的にエネルギー消費が抑制されるのではなく、エネルギー多消費産業の構造調整や消費支出が実質的に変更される結果、経済に打撃を与えることで二次的に削減がなされる、こういう分析結果となっているということでございます。
 それから、[6]番でございます。沈中元さんという方の論文でございますが、6ページ目でございます。対象期間は1971年から2000年ということでございまして、7種類のエネルギー、エネルギー種毎に弾性値を出したというものでございます。これが各部門に分けているというのではなくて、エネルギーの種類ということで、ここにございます電力、ガソリン、重油、軽油、都市ガス、LPGと、こういうふうな分け方になってございます。短期、長期ということで、数字がそれぞれ掲げてございます。それぞれすべてマイナスにはなってございますが、分析結果の概要というところでございます。
 6ページ目であります。エネルギー需要につきましては、短期の価格弾性値はLPGや都市ガスを除き−0.1前後ということでございます。それから、長期の弾性値につきましては、ガソリン、電気、軽油という形で高い順に出てくるということが指摘されます。短期の場合とは逆というようなことで、価格に対する長期反応についての違いが個人と企業の場合であるというような分析になっているということでございます。
 それから、[7]番につきましては、天野先生の最新の論文ということでご提供いただいたものでございます。対象期間は1978年から2003年ということでございます。推計は部門毎に推計をしているということで、産業、業務、運輸のうちの貨物ですね。それから、運輸の旅客、家庭、こういった部門ごとに分けて弾性値の分析をしているということでございます。
 ここの数字、引用されている数字にちょっと誤りがありますので、別途、修正したいと思います。
 参考資料7は7ページ目に先生の推計値のエッセンスがございます。産業部門、民生家庭、民生業務、運輸旅客、運輸貨物につきまして、短期の価格弾力性、長期の価格弾力性という数値が挙げてございます。要約の方に、資料1の方に引用したのは、数字の間違いがございますので、こちらをご参照いただければと思いますけれども、いずれにしてもここの結論といたしましては、エネルギー、いずれにしても短期より長期の方が数字が大きく出ているということで、絶対値が大きく出ているということが言えます。
 それで、短期ではあらわれにくいけれども、長期では効いてくるということが示されております。結局、電気製品とか設備の買い替え時など中長期的には効果があるということが示されているということでございます。ということで、短期長期の区別をした分析ということでございます。これにつきましては、後ほどちょっと天野先生から補足的にコメントをいただければというふうに思います。
 以上が全体の弾性値のそれぞれの分析ということでございますが、資料1に戻りまして、資料1の7ページ目は、今までの分析結果の価格弾性値の具体的数値をそれぞれ論文ごと、あるいは分野、それからエネルギー種ごとに表の形でまとめているものでございます。これまですべてご紹介した数字をそのまま引き抜いたという形でございます。
 それから次は、8ページから少しその図で示したという形になります。まず8ページのエネルギーの価格弾性値と書いてございますが、図の1でございますが、これは産業部門に関しまして、各論文でどういう弾性値が出ているのかというものをプロットしたというものでございます。これは右側の場合には、短期と長期でいうと、長期のプロットということです。
 それから図2は、電力についてのものを引き抜いたということでございますけれども、産業、民生、いずれにつきましても短期と長期を比較すると、長期の方が絶対数が大きいということでございます。
 それから、9ページ目にまいりますと、ガソリンと軽油の価格弾性値ということでございまして、ここにもプロットございますように、ガソリンの方は長期と短期の差が大きいという形になってございます。
 それから、図4は灯油と都市ガスの価格弾性値について、それぞれの論文の値をプロットしたというものがございますが、それぞれ長期の方が少し強く出ているということでございますが、ちょっと灯油の方がばらつきが大きいという形になってございます。
 以上が大体それぞれの論文のレビューという形になりますが、10ページ目にまいりまして、以上の結果から、これは私どもなりに整理したものと、それから以下のことが指摘できるのではないかということでございます。
 それで、まず一番重要なことは、エネルギー消費の価格弾力性は、いずれの試算結果でも負の値であるということです。価格が上がれば需要が減るという関係が明確に出ているということです。
 それから、短期の弾性値につきましては、一部の例を除きまして、ここにございますが−0.04から−0.2の範囲内にあるということで、1よりもかなり小さく、いわゆる非弾力的というものではない。
 それから、3つ目の丸ですが、一方、長期の弾性値は短期に比べて大きい傾向が見られるということで、燃料種や部門によって異なりますけれども、各試算の平均は−0.2から−0.8程度ということでございまして、短期の価格弾力性は燃料使用の抑制効果ということだけと思われますが、長期の弾力性は機器の買い替えのインセンティブ効果も含まれるというふうに考えていいのではないかということでございます。ただ、試算によっては−0.1を下回るものとか、あるいは−1.0を超えるものまでさまざまあるということで、引き続き精査して分析を深めるということが必要があるということでございます。
 それから、個別の分野でいいますと、長期についてみますと、軽油よりもガソリンの方が価格弾力性が大きいということ。軽油は営業用途が多いので、事業活動に密接な関係を有しているということがこれにはあらわれているということがあります。
 それから次に民生部門におきましては、都市ガスよりも灯油の弾性値のばらつきが大きいということでございます。
 それから、製造業につきましては、エネルギー多消費産業を中心に価格弾力性が大きいという指摘が幾つかあるという一方で、逆にエネルギー部門自体は、例えば石油石炭製品や電気ガス水道等の価格弾力性が低いということで、製造業全体としても低くなっている、こういうような指摘があるということでございます。
 それから、以上の分析には、結局主に市場における実際の価格変動についての分析を行ったというものであります。そういうことで、エネルギーの市場価格の変動と環境税とどう見るかということでございますが、環境税は長期にわたり政策的に価格を上昇させていくというようなことでございますので、これが同一の次元で比較できるのかということについては、留意が必要ではないかということでございます。上下に変動していくというような価格の変動と、それから政策的に長期的に上げていくと、こういうものとも異なりというのは注意する必要があるというようなことでございます。
 それから、11ページ目でございますけれども、最近のガソリンの価格上昇というのをどういうふうに解釈するかということでございますが、ここは正直よく解釈できていないというところでございます。ここにグラフにありますのが、平成14年から平成17年までの各月別のガソリンの店頭販売価格と、それから販売量の推移を示したものでございます。具体的な分析をちょっと今まだしておりませんけれども、一見して相関があるというふうにはなかなか言いにくいということかと思います。これをどう考えるかということでございますが、これまでのガソリンの価格の上昇が始まってから、まだそれほど時間がないということで、高値がということでございます。高値が相当続くことによって、初めて車の買い換えなどに効果があるという、そして、またガソリンの使用を控える効果も大きくなる、こういった考え方もあるということ。
 また、短期的には、価格以外の要素による需要の変動も大きいんではないか。例えばとありますが、行楽シーズンに好天が続くと行楽需要の増加が見込まれると。あるいは景気のよい年は全体として需要は増えるというような点がございまして、年度としての要因も大きいんではないかということで、こういったものを除いて、今のガソリン価格の上昇とガソリン需要の関係について、つまり価格が上がっても需要が減少していないではないかというふうに即断するというのは、なかなか困難が伴うということではないかというようなことでございます。
 それから12ページ目は、これ参考までにということでございますが、ガソリンの店頭販売価格と販売量の推移につきまして、中長期のデータをグラフに起こしたというものでございます。これにつきましては、こういったことにつきましては、先ほどの弾性値分析でさまざまなところで、その弾性値の分析がなされているというところでございます。
 それから、13ページ目は海外の事例ということでございますけれども、OECDのサーベイにつきまして引用したものということでございます。OECDのサーベイにつきましては、OECD諸国に関しましてさまざまなデータを取りまして、価格の弾性値という形で分析したものでございますけれども、一番上の場合にありますように、短期的にはむしろ非弾力的であるということ。しかし、長期の弾力性はそれよりも高くなるというような分析でございます。
 それから、ガソリンに対する価格弾力性についての研究に関しましても、やはり短期的には低い。それから、長期的には高いということが出ているということでございます。
 3番目でございますけれども、エネルギー需要は比較的非弾力的、これは1よりも小さいということだと思いますけれども、としても、価格弾性値はゼロから有意になっているということで、価格上昇がエネルギー需要量をかなりの程度削減できると。環境関連税は、特に長期的にエネルギー需要量を削減する上で、重要な影響を及ぼすと。これがOECDのサーベイという形でございます。参考までにご紹介させていただきました。
 以上が資料1でございます。
 それから、次に資料2にまいりますが、「環境税による経済影響」ということでございます。先ほど申しましたように、さまざまなモデルについて、複数のモデルについてご紹介して、ご議論いただく予定でございましたけれども、ちょっと準備が間に合いませんでした関係上、従来の中央環境審議会における議論を再確認するというのにとどまっておりますが、簡単にご紹介いたしたいと思います。
 まず、いわゆるAIMモデルによる試算ということでございますけれども、これここに紹介いたしますのは、平成16年10月、昨年10月に行ったものでございまして、前提としては2010年にエネルギー起源二酸化炭素の排出量を90年比0.5%増ということを前提にしたものでございます。
 それで、下に用いたモデルは、以下の2つでございまして、いわゆる技術選択モデルということで、各主体が費用を最小とする機器選択を行う。こうした観点から、そういった二酸化炭素の排出量はどうなるかということを試算するということでございます。こういった機器選択が行われた場合に、では実際どういう経済影響が出てくるかというのを、[2]の日本経済モデルということで試算しているということでございます。
 まず技術選択モデルにつきましてでございますけれども、モデルの特徴といたしまして、エネルギーサービス量というものをモデルを所与としているということでございまして、モデルの前提条件といたしましては、それぞれのそのエネルギーサービス量を満たすのに最も経済効率的な技術/製品を選択していくということがございます。そのときのコストにつきましては、イニシャルコスト+ランニングコスト3年分ということを比較しているということでございます。
 2ページ目にまいりまして、ここにございますように、図でございますと、エネルギーサービスというのは、例えば粗鋼生産量とか業種別の付加価値額とか冷暖房の需要、これを主要なものとしまして、これを得るためにどのような機器選択を行う、技術選択を行うか。そういった技術選択を行った場合に、どういった排出量になるか、こういうことを推計したということでございます。
 2ページ目の下には、経済成長率などの限定を置いておるということでございます。
 それで、3ページ目にまいりまして、モデルのシナリオでございますけれども、技術が一定のケース、あるいは何も、いわゆる市場選択ケースということで、自然体で技術選択を合理的に行っていくというケース、それから、炭素税を掛けたケースということ、それから定率の炭素税を掛けて補助金に充当したというケースの4つのケースを計算しておりまして、下の表にござこいますように、2010年のところで一番下の部分を見ていただきますと、技術一定のケースは、だんだん技術のシェアが変わらないことを前提としておりますので、少し放っておきまして、いわゆる自然体の市場選択のケースでは、2010年で一番下110とあります。90年比10%増というところ、3,600円の炭素税と、それを補助金に充当するという場合には、ここに100.4とございますが、0.4%増にとどまると、こういうような試算が得られているということでございます。こういった試算を前提にいたしまして、経済影響を試算したのが、4ページ以下の日本経済モデルということでございます。
 ここでは、技術選択モデルで、今の技術選択モデルによって試算されました技術選択、どういう技術が選択されるかということを前提にいたしまして、どのような経済影響が与えられるかということを、いわゆる逐次均衡型の応用一般均衡モデルで試算したということでございます。生産部門、財・サービスの分割というのは、表4、5ページ目でございますけれども、非常に細かい表になってございますけれども、これだけのその部門、あるいは財・サービスに分割して試算をしたと、それぞれの均衡を取って分析をしたというものでございます。
 それで、6ページ目にまいりますけれども、シナリオは3つ用意してございます。現状推移シナリオということで、先ほどの技術選択モデルの、私自然体とご説明しました市場選択ケースの場合どうなのか。あるいは、次に炭素税シナリオということで、炭素税の税収を税収中立に基づいて所得税減税を行うケースでどうなるかということ。それから、補助金シナリオということで、炭素税の税収を補助金として還元するケースではどうなるかということでございます。
 それぞれの結果でございますけれども、GDPに対する影響でございますが、現状推移シナリオの場合には、経済成長率は2010年には年率2.2%ということでございまして、2000年から2012年まで平均成長率は毎年1.9%ということになりますが、炭素税シナリオ、つまり炭素税をかけて減らしていくという場合につきましては、2008年から2012年におけるGDPのロスは平均して0.19%、年率換算で0.04%ということになります。いわゆる補助金シナリオの場合には、同じように0.1%、年率換算0.03%という数字が出ておるということでございます。
 7ページ目、部門別の生産額がどうなるかということが出ております。下の表が第一約束期間、2008年から2012年、5年間でそれぞれの業種につきまして、どのような生産額の変化があるかということをグラフで示したということでございます。石油・石炭製品、それからここでいいますと石炭火力などが左側に大きく出ているということでございます。
 それで、上にまいりまして、製造業をはじめとして多くの部門の生産額は炭素税導入で減少する傾向にあるということでございますが、ただ、電気機械や一般機械などの部門では、増加するというようなことがございます。それがエッセンスでございます。
 それから、補助金シナリオの場合につきましては、炭素税のみのものに比べまして多くの部門で生産額が増加するということがございます。
 それから、8ページ目、9ページ目でございますけれども、これはモデルの分析ではございませんが、業種別のエネルギーコスト比率をまとめたというものでございます。8ページ目の表はそれぞれの業種別に工場生産額の中でエネルギーコストが何%を占めるかというようなものを見たものでございます。左側から、ちょっと大きなものといたしましては、繊維、それからパルプ・紙、それから窯業・土石、鉄鋼、このあたりが大きなものが出ているということでございます。
 それから、9ページ目はエネルギー価格上昇の業種別の影響ということで、仮にこのケースでは、このときは分析したときは、エネルギー価格上昇を3,400円の環境税が課せられたと、どういうふうになるかということでございますけれども、この9ページの上の表の見方でございますけれども、まず左側のエネルギーコストが2.5%以上、2.5%未満ということで、上下に区分していますが、その中で温暖化対策税の割合が、仮に1トン当たり3,400円とした場合に、0.5%以上のコストになるというものが、ここにあります鉄鋼、石油・石炭、それから窯業・土石、パルプ・紙、こういうものが大きく出てくるということでございます。
 以上のような業種別の分析をしているところでございますけれども、結局今回資料間に合いませんでしたが、ただモデルによる分析とか、あるいは業種別の影響について、さらに細かい分析につきましては、別添提出させていただきたいというふうに思います。
 それから、資料3の国境税調整という部分でございます。なぜ、国境税調整ということでございますけれども、先ほどもご説明申しましたように、昨年来の税制改正の議論の中で国際影響がいろいろあるんだから、国境税調整によって、その影響を緩和したらどうかと、こういうような議論がございました。それで、この審議会におけるこれまでの議論といたしましては、8ページ目にございますように、まず国境税調整の考え方、定義といたしまして、輸出品に対しては、製造工程で払った税を輸出時に還付する。輸入品に対しては逆に課税すると、こういったものでございますけれども、結局課題[1]とありますけれども、ちょっと上にございますが、温暖化対策税に国境税調整を導入した例はないということでございます。
 それで、課題が幾つかあるということでございまして、まず国境税調整する際に、輸出品に温暖化対策税が、環境税が課されないということになりますので、結局輸出品に関して価格のインセンティブ効果が失われるという意味で、温室効果ガスの排出抑制効果が失われるという課題。
 それから、国際貿易のルール上認められるかどうかということでございまして、WTOのルールのもとでは、製品の特性とか物理的にその製品に取り込まれた投入物についての国境税調整を行うということが認められていますけれども、結局温暖化に関するその環境税にように物理的に製品の中に入ってこない、つまりエネルギーを消費して使ったということだけが残っていて、製品の中に対価されていない、こういったものについて実際認められるかどうかというには、意見の一致が見られないということ。
 それから、課題の3つ目といたしましては、これは技術的に可能かということでございますが、国境税調整を実施すべき製品数が膨大になるということ。それから、全ての製品について製造行程でどれだけのエネルギーが投入されているか、そのための税額が幾らかということを把握するのがなかなか難しいだろうということです。特に組立型の産業では、エネルギーをどのように使っているかとかというのは、難しいんじゃないかということ。それから、これまた世界で例えば輸入品に課していくという場合については、世界中でどういう精算方法が採用されているか、こういうことを把握するのがなかなか難しいというような、こういう分析をしてございます。
 それで、国境税調整の実例というものはどういうものがあるかということで、ここでは2つ紹介しています。いずれもアメリカでございますが、化学物質税というものと、オゾン破壊化学物質、ODC税というものでございます。
 化学物質税につきましては、スーパーファンド法に基づいて、輸出段階、輸入段階でそれぞれの調整を行っているということでございます。それで、実際にどういうふうに調整するかということでございますけれども、下から2つ目の米印でございますけれども、ここで輸入段階における国境税調整方法ということでございますが、輸入者が指定された、つまり課税される化学物質の使用量を示してその情報に基づいて課税するか、あるいは、標準的な生産方法を想定してリストにする。あるいは、そうでない場合には一律価格の5%、こういう割り切りをして課税すると、こういうような形でございます。
 これにつきましては、一番下にございますように、カナダ、メキシコ、EUから国境税調整についてGATTに提訴がされているということで、87年にGATTパネル裁定が出されていますが、この上でいう、実際の使用量を示した情報に基づき課税する場合、あるいは標準的な生産方法を想定する場合には、矛盾するものではないとありましたが、一律5%というものは、実際5%以上の高い税を課す可能性があるときに違反になると、こういうようなことになるということでございます。
 それから、3ページ目がいわゆるオゾン破壊税ということでございますけれども、これはオゾン層破壊物質についての国境税調整ということでございますが、おおむねの趣旨は先ほどのと同じような趣旨で行われております。それで、GATT、WTOでの提訴の事例は特にないということでございますけれども、ここでちょっと注意すべき点は、化学物質税と異なって、非常に製品価格に占める課税額が大きいということで、脱税や密輸ということが懸念されているということで、相当程度税関職員に対する研修などの点で協力が必要だというようなことが言われております。
 それから、あと4ページ目から、4、5、6、7ページ目の上までが非常に細かい表がございますけれども、これはオゾン破壊税につきまして、具体的に実際に平均的な使用量というものをどういうふうに表にしているかというものを、これごくごく参考までにということですが、示しているということでございます。ただ、ちょっとここで注意すべきは、オゾン層破壊物質の場合に、フロン、ハロンのたぐいでございますけれども、実際に製品の中に、例えば冷蔵庫とかエアコンのように製品の中に含まれているものというもの以外に、例えば電子機器のように製造過程で洗浄で使うと、つまり製品ができてしまった場合には、もうオゾン層破壊物質は、その製品には何ら含まれていないというようなものについても数多く含まれているということが言えるということでございます。それは、若干温暖化対策に対する課税と類似する部分があるということでございます。
 それから、7ページ目の下の方には、日本の消費税のものを参考までに掲げておりますけれども、日本の消費税は輸出、輸入場面での国境税調整が行われているということでございます。この場合、エネルギーコストについての部門はどうなるかということでございますけれども、いずれもエネルギーコストを含めた価値全体についての調整ということになりますので、国内でエネルギーにかかった消費税は、国外に出るとき調整されますし、逆もまた同じということになります。
 それから8ページ目にまいりまして、その他文献や国際機関でどのような議論がなされているかということについてのまとめでございます。
 その炭素税、エネルギー税の課題ということでございますが、GATT、WTOに関する課題ということでございます。8ページ目の1)の[1]でございますが、GATTでは、輸入する産品については、内国税に相当する課徴金を課すことは認められていますが、そして、化石燃料等の課税対象物件そのものが最終製品に物理的に含まれる場合には許容されるということが考えられます。また、ただその生産過程において、エネルギーを消費した産品に対する課税が、内国税に相当するというふうなものについて、そう言えるかどうか明確な答えがないということでございます。
 それから、輸出産品に関しましては、同種の国内産品に課せられる課税額を超える範囲での軽減等を実質補助金とみなして禁止するという形になっているということでございます。
 それから、その次の課題が、累積的な間接税に関するものについての記述でございますが、ちょっとこれにつきましては、直前に精査がかなり必要ということがわかりましたので、説明はここでは省略させていただきたいと思います。
 それから、いずれにしてもGATTのパネル裁定での判断は過去になされていないということで、この部分についての最終的な結論は明確に出てこないということでございます。
 それから、実行面はどうかということでございますが、アメリカの先ほどの化学物質税、ODC税についての課題や指摘事項を示した論文がございます、報告がございましたので、そこに引いてございますが、初めの〇でございますが、最終的な製品に課税対象物質が含有されている否かはではなくて、製造過程で使用されたものについて国境税調整を行っているという、そういう点が特徴的であります。
 それから、課税額が過少の場合には、裾切りをするというようなことが行われていると。それから、課税額が製品の最終価格の中で大きな割合を占める場合には、不法取引を含む脱税が横行するというような課題があるというようなことが指摘されているということでございます。
 それで、最後まとめでございますけれども、9ページの下でございますが、化学物質税やODC税の例というものを見ますと、理論的には国境税調整は可能であろうということでございます。
 環境税についても、エネルギーそのものの輸出入という場合には可能だと考えられますが、温暖化対策を目的とした環境税として炭素やエネルギーに課税する場合には、自由貿易ルールの観点から可能かどうか明確ではないということです。
 それから、化学物質税やODC税の場合には、特にフロンの場合ですが、用途が限定的ということで、仕分けが比較的容易ですが、二酸化炭素はなかなか難しいのではないかということ。
 それから、課税額を決めるという場合には、標準的な製造方法をもとに税額を試算するということが必要になってまいりますけれども、エネルギーは生産工程のさまざまな局面で使われているので、標準的なものはなかなか困難が伴うということがございます。
 それから、仮に国境税導入が技術的に困難とするならば、実質的にその意味を汲んで、産業の国際競争力を配慮するためには何らかの軽減措置の仕組みを導入するということが考えられるということが必要ではないか、こういうような課題ということでございます。
 ちょっと最後雑駁になりましたが、以上3つの課題についての説明とさせてもらいます。長くなりまして恐縮でございます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。今、ご説明があった事情で、第2番目の課題につきましては、少々ちょっと付け足すといいますか、これまでのご議論に付け足すような資料が準備できていないということでございますので、とりあえず第1の議題から入りますけれども、本日は少々、第1番目の環境税の効果という点について時間をかけてご議論をいただければというふうに思っております。
 それでは、先ほど1のその環境税の効果について、補足的に天野委員の方からご説明していただくことがあれば、お願いいたしたいと思います。

○天野委員 どうもありがとうございます。参考資料の7がお手元にあったと思うんですが、これは、私が最近書きましたものです。先に委員会に幾つかの資料を提供しましたが、それらをまとめて新しく推定をし直したものですが、その際環境省の方から頂いたコメントも含めて取りまとめております。簡単にご説明いたします。
 まず、エネルギー需要というのは、価格に反応しないんだという議論が多くありますが、多くの場合、価格の変化が起こった時点と同じ時点の需要量の変化を比べて判断をしている。今グラフが2つ最初にありますけれども、これを見ましても関係ないですね。これを見て、エネルギー需要は価格に反応しないという結論を下すのは、経済学的に大変間違っている。これは、佐和委員が以前から、短期と長期の効果をきちっと認識すべきだとおっしゃっていることなんですけれども、その2ページの下の方に、少し長期に見たエネルギー価格の変動と、それから、これはエネルギー消費量、最終消費全体ですけれども、グラフを書いております。ごらんいただきますとわかりますように、エネルギー消費量というのは、趨勢的に増える傾向がありますね。所得が増えることによって増えますので。しかしその増え方が、価格が下がっているときに非常に増えまして、上がっているときには増えない、どちらかというと横ばいで、価格が下がるとまた増え始めて、最後90年代の終わりから、価格がまた上がり始めるとまたフラットになっていると。こういうことから、価格の影響というのは長期に判断するべきだということは、この図を見ればすぐわかるわけですが、それを推計によって統計的にどういう関係があるかというのを調べるのが、価格弾性を推定すると、こういうことだと思います。
 ちょっと私のペーパーと離れますが、今日いただきました資料の1で、これは環境省もそうですが、経済産業省の方も全く同じ間違いをしておりまして、価格だけがエネルギー消費への影響を与えるという形で推定を行っている。所得の変化とかそういうことを一切無視して、需要量と価格の間の直接的な関係だけを考えて推定すると、弾力性が非常に小さくなる。これは当たり前の話でして、価格が全く変化しなければ趨勢的に増えるエネルギー需要なんですね。ですから、その増える部分まで、価格変動のせいにしてしまうというのは、これは明らかに間違いでして、資料1の5ページの[5]というデータを見てみると、これはそういう誤りをしておりますので、ここの結論は、信用できないというふうに思っています。
 同じような間違いは11ページ、12ページに、価格の変動と販売量の変動と比較して、これも私は短期であれ長期であれ、間違いだと思います。エネルギー需要の趨勢的な変動を除いた変化と価格の変化を対応させるんであればいいんですけれども、そういう点ではお役所は経済学を本当にわかっていないと私は言わざるを得ないですね。
 元に戻りまして、今回のペーパーではページ以降に国際的な推定結果を私なりにサーベイをしまして、やはり短期的には小さいけれども長期的にはかなりの影響力があるという結論がそこでも導かれています。
 7ページに新しい推定結果が示してありまして、表の3の左、一番左の欄、短期の弾性、2つ目の欄が長期の弾性で、大体何年ぐらいで反応が終了するかというのが書いてあります。10年ぐらいで全ての反応がでるということであります。
 今回推定で注意をしましたのは、価格変動というのは、エネルギーの種類によってかなり違うということです。ご承知のとおり電力価格は変動が小さい期間が多いですが、ガソリン価格とか軽油、重油は変動率が大きい。したがって、エネルギー需要の種類に見合ったエネルギー価格を対応させて弾力性を推定することが重要になります。環境省のご指摘がありましたので、今回はその点に十分注意を払って再推定を行いました。
 それで、8ページ、9ページは、それぞれの推定結果から、価格の変動だけで、需要量がどういう変動をしているかという変動率を書いております。ここでは所得の増加とか、それから天候の変化とかという要素は取り除かれておりまして、価格が変動することによって、その年に価格の影響を含めてどういう変動をしているか。特に私が申し上げたいと思いましたのは、1999年以降、石油価格がずっと上昇してきておりますが、それをきれいに反映して、需要量は下がってきている。特に産業部門とか運輸部門はかなりの影響が出ていて、もし2003年の価格がそのままずっと継続するというふうに考えますと、縦線から右の方、当分の間需要の減少が続くだろうと予想されます。ただ、民生家庭部門は、やはり大変価格に対する反応が小さい。これはいろんなやり方をしましてもこういう結果が出てきますので、そういうことが言えるかなというふうに思います。
 それから、エネルギー需要の反応が小さい例として、大口電力やガソリンに対する需要というのがよく挙げられます。これは確かに推定をしてみますと、他のエネルギー需要に比べると反応が小さいということが言えますが、これは他の推定結果でも同じような結果が出ておりますけれども、長期的にはやはり0.3ぐらい影響が出ますので、価格上昇率の3分の1ぐらいの反応は、長期的には出ているということが言えます。
 それから、11ページ以降は、長期の弾性値の値が得られましたので、例えばここでは、AIMの結果なども念頭に置きまして、炭素1トン当たり4万5,000円の炭素税がかかったらどういう効果が出るかを概算してみました。4万5,000円というのはかなり高い税率ですが、その意味については後ほど申しますけれども、4万5,000円ぐらいの税率かければ、大体エネルギー価格が30%ぐらい上がるということで、長期の弾力性を0.5としますと、15%のエネルギー消費量の減少ないしは二酸化炭素排出量の減少が出てくるというのは大体直感的にわかるんですね。
 そうなりますと、この4万5,000円の炭素税が実施可能かどうかという次の問題になりますが、AIMモデルの特徴は、4万5,000円の効果を出すためには、決して4万5,000円をそのままかけることが必要条件ではなくて、例えば3,400円の税とその税収を助成金に充てるということで、トータルで4万5,000円の効果を出すことができるということをモデルで示したことです。最近、環境政策の手段として、ツーバーツ・インストゥルメント、要するに2つの部分を持った手段、手法という議論がされています。一番皆さんご承知の例としましては、デポジットリファンドシステムというのがありまして、デポジットというのは上流で課徴金かけるわけですね。そして、環境に優しいことをすれば戻ってくる。あとの方は補助金ですから、その課徴金と補助金、あるいは税金と補助金というものをワンセットにして、ツーバーツ・インストゥルメントにして使う。これは、いろんな環境問題に適応した議論が最近出てきておりまして、ここの議論もそういう意味では一種のツーバーツ・インストゥルメントというふうな位置づけができるかと思います。
 どうしてこういうことを申し上げるかと言いますと、ここでいう補助金とは、税金を取って税収を特定財源に充てて、それを支出する従来型の単独の補助金とは性質が異なるからです。2つあわせて、1つの単一の手段として使うというのが、この提案でして、そういうのをはっきりさせるという意味で、こういう議論を追加したということです。
 以上でござます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。それでは、今の天野委員のご説明を含めて、第1番目の環境税の効果について少しご議論いただければと思いますが、いかがでございましょう。
 佐和先生、はい、どうぞ。

○佐和委員 今、天野先生がおっしゃった当たり前の、当たり前のと言いますか、要するにエネルギー需要にせよ何にせよ、価格だけで決まるわけではなくて、きわめて簡潔にいえば、少なくとも価格と所得という両方の変数があって、ですから、所得は少なくとも過去にごく最近は別にして特に70年代から80年代にかけては、ずっと経済成長率が平均年率何%ぐらいで、とにかく増えている感じですね。そうすると、当然自動車の台数も増えると。場合によったら走行距離も増えるということで、仮に価格が一定だとしても、ガソリンの消費は確実に増えるわけですね。それで、電力消費も家庭電化製品がどんどんと普及する。特にエアコンのようなものが70年代、80年代に急速に普及したわけですね。確実に増えるわけですね。それで、実は、飯野先生が座長していらっしゃる専門委員会というのがございましたね。この専門委員会で日本経団連のヒアリングがあったときに、ガソリンの価格とガソリン消費を2つのグラフを書いて、それでガソリン価格が上がっているのに、減っていないじゃないかと。それから、同じように電力の価格も上がっているのにもかかわらず、電力消費減っていないじゃないか。だから、炭素税なんかかけても、あるいは環境税をかけても、全然そんなもの効果がないということを主張しておられたので、僕はそのときに、あなたがおっしゃることは、その方がおっしゃることは、単相関と変相関を要するに取り違えるというか、これは統計学のA、B、Cをわきまえない議論であるというふうに批判した覚えがあるんですが、そういう誤った議論が余りにも横行し過ぎている。あるいは、自分の都合のいいようなデータを持ち出して、それで何か効果がないということを、いわば説得力をもって示していたかのように言うのはおかしいし、やっぱりそれは我々学者というと大げさですけれども、研究者の立場からそういうことはきちんとそういう明らかな誤りというのは、声を大にして指摘していかなければならないと思います。
 それから、ここでさっき天野先生が問題にされた11ページ、12ページ、11ページを見ますと、これはごく最近の直近の4年間、4年足らずの間の期間ですけれども、これ見るとあれですね。完全にガソリン消費というのはほとんど季節変動ですね。だから、これは別に1月、2月が少なくて、8月からぐんと増えるということで、そういう意味で季節変動だということと、それから、さっき天野先生のこの中には短期と長期というのをお聞きになっていましたけれども、大体すべての部門について平均的なラグということですか、平均的な平均ラグが5年ぐらいですね、大体。5年前後ということは、むしろ中期と言うべきであって、むしろ長期の方が何が考えられるかというと、サプライタイムだと思うんですよ。つまり、要するに自動車で言えば画期的な低燃費車が登場すると。それには、やっぱり10年、場合によってそれ以上の時間がかかるとか、あるいは家庭電化製品は、大幅な省電力が実現されるとかというようなことで、むしろサプライサイドの面で長期的な効果と、つまり消費者は低燃費車を需要し、欲しがり、そしてまた例えばエアコンを取り替えるときには、省電力設計のものを消費者が選考するというか、選ぶようになるというようになれば、今度は電気メーカーが一生懸命省電力設計のものをそういう技術開発をすると。そうすると、そのときに物すごい画期的な省電力設計のエアコンが登場すれば飛ぶように売れるだろうというようなことで、そしてそのことは、飛ぶように売れていくということが、エアコンが消費する電力というのは、トータルで見れば目に見えて減るということで、むしろサプライサイドの技術革新というものを長期的な効果というふうに3つに分類して考えるべきじゃないかと。
 以上です。

○神野委員長 どうもありがとうございました。今のご意見承っておきますが。
 金本委員、どうぞ。

○金本委員 佐和先生と天野先生のお話は、そのとおりということではあるんですが、こういう研究結果をどういうふうに解釈するかというときに、1つは、アメリカの政策評価のマニュアルには、いろんな結果を引用するときに、その信頼性をきちんと評価をする必要があって、ちゃんとピアレビューされているかどうかというふうなことを見るべきだという話がございました。今、佐和先生から、いろいろこれまでの研究についてコメントがございましたけれども、ちょっときちんとしたピアレビューをしている論文が見当たらないというのが残念だなと、こういうような。もうちょっと文献あるんならと思いますので、もう少しきちんとレビューをする必要があるのかなと。
 あと、ほとんどすべては天野先生のものも含めて時系列で大体年データ、場合によっては産業連関表の5年おきかなんかを強引に変換しているようなものもございます。30年ぐらいの時系列データでどの程度のものができるかというのがなかなか難しいところで、私自身も別の研究でやってなかなかいい結果が出なくて苦労した覚えがございます。
 そのときの問題は、例えばエネルギー需要に所得とかいろんなものが影響して、それを取り除かなければいけないということですが、取り除くべき要因というのは所得だけではなくて、技術進歩とかいろんな要因がございます。当然、データは完全ではないんで取り除けない要因がほかにあるかもしれない。それでバイアスが出てくるということがあります。それで、変数をたくさん入れればいいと思うんですが、ただサンプル数が三十幾つかということになりますと、変数をたくさん入れると係数の推定値のばらつきというか、精度が低くなるということもございます。そういったことを考慮に入れてどの程度のものかという評価が必要なんだろうというふうに思います。
 天野先生の結果は、直感的に非常にこの程度かなと思わせる結果なので、かえって、何と言うか、これをあと20年後に追加されたデータでやってみると全然違ったかなというふうなことも思わせるので、その辺を少し評価をして進むべきかなというふうに思います。その辺について、ちょっと、天野先生、佐和先生の感触をお聞きしたいなと思いますが。

○神野委員長 いかがでございましょう。

○天野委員 最初に申し上げたいのは、現在、ピアレビューをいただいている。もし、リジェクトされたら皆さんにおわびをしなければいけない。
 それから、もう1つ、今日の資料には出ておりませんけれども、この推定方法は以前委審議会に提出した資料でも使われています。それ以前からも何回か同じような推定をその都度得られるデータで行っていますが、大体同じような値が得られている。そういう意味では、結論が時期によって大きく変わるものではないと言える。
 それからもう1つの点は、おっしゃるように、私は時系列でやっておりますけれども、時系列で得た数値が海外でいろいろ研究されているものと、大きく違っていればやはり問題でしょうけれども、余り違っていない。それから、海外では時系列以外のデータを豊富に持っているところもあります。例えば、ここには私のペーパーではデンマークの例を挙げておりますけれども、そういうところ、あるいは米国の電力会社のデータですね。こういうのを見ましても、私の得た結果よりはむしろ高めの数字が出ているということで、私の推定値が過大推定というふうに考えられるということはないんじゃないかというふうには思っております。
 それから、政策論の話が出ましたけれども、学者が政策論に研究結果を持って参加するということは難しいですね。おっしゃったように学会では、ちゃんとレビューをやらなくちゃいけない。それから、学者の先生方皆さんを満足させるような理論や推定方法やデータを使わなければならない。そういうことを言っておりますと、政策論に役に立つような研究結果はなかなか出てこない。むしろ、そういうふうなコメントをいただく場合には、私はこういうことであって、こういう結果が出たので、これと取り替えて議論してみたらどうかというご提案がいろいろ出てくればと思っております。
 以上です。

○神野委員長 どうもありがとうございます。補足して。

○佐和委員 以前のペーパーというんでしょうか、あるいは今回のこの資料の[7]というところに記載されている、古いのが記載されているわけですね。そこと、参考資料[7]との大きな違いというのは、家庭部門の弾性値が、短期も長期も一緒だったのが、今度は長期が相当に大きくなっているということは、これはここに書かれているように、暖房と冷房を入れたことによってそうなったということですか。

○天野委員 そうではありませんで、以前に委員会に提出した結果では家庭部門についてはよい結果が出なかったですね。始めの部分で説明しましたように、価格変数をきちっと家庭部門の需要しているエネルギーに合ったような価格変数を使っていなかったということがあります。今回は、家庭部門、業務部門、それから輸送部門、すべてについて需要されているエネルギーの種類ですね。それに合ったような価格を加重平均して、そういうのも使っているというのをやりますと、こういう結果が出てきた。こういう違いだろうと。

○神野委員長 どうぞ。

○佐和委員 それと、この資料の一番最後のページのこと、説明なさらなかったですよね。これは、鎌形さんがおっしゃったことも関係するんですよ。要するに、国別、いわゆるクロスセクションを使ってやっている例もあるんですね。OECDの、いわゆる内部データ的なものを使って。だけれども、これ、意味がちょっとよくわからないんですね。どうも下を見ると、OECD、ニュージーランド、それぞれ3つの国のOECD加盟国と、それから何か時系列とクロスセクション、プールしたのと、クロスセクションのみと時系列のみというふうになっているわけですけれども、だけれども、クロスセクションのみで、米国の弾性値がこうで、何とかの国が何でそうなるのかなというのがよくわからない。

○鎌形環境経済課長 すみません、これ以上のところ、ちょっと調査が行き届かないというか、よくこのもとがよくわからないものですから、この表自体がOECDの報告に出ていて、それがクロスセクション、時系列、こういうふうな分類になっておりまして、申しわけありません。これ以上、ちょっとたどれない状況でございます。

○天野委員 今、ご指摘の最後のページの表ですね。これ翻訳の方から、本の方から取られているんですが、この本のベースになったOECDの論文がある。そのペーパーには、ずっと文献が全部リストアップされていますね。それを、チェックすれば元のところ行けるんではないかというふうに思いますが。

○神野委員長 それでは、ほかに。横山委員。

○横山委員 佐和先生がおっしゃられた長期ではないんではないかという点で、そのラグの話に関連することをちょっとお尋ねしたいんです。あるいはお願いなんですけれども、このラグ項をどうやって入れているかということについて、やはりそれぞれの参考資料で挙げた論文で、少し長期の類型を考えていただきたいと思います。私が共同論文で、これは私が推計したわけではないんですが、共著者がやったのも、ラグがない形で推計した場合、それは当然、今までのご議論のように所得も入っていますし、四半期データで所得が入っていて、価格データが入っていて、ラグがなくて推計したものを何と呼ぶのか。これを短期と以前の地球温暖化対策税専門委員会で言ってしまって、佐和先生から、それはちょっと問題ではないかというご指摘を頂きました。ラグつきでパラメーター推計した後で、被説明変数とラグ変数が等しくなるという条件で求めた場合の長期の意味と、ラグ項がなくて推計した弾性値をどういうふうに理解するのかということも、少し整理しておかなくてはいけないのか。私どもの共同論文についてはそういう反省がありますけれども、私がお願いしたいのは、各論文で言っている長期ということの意味が、すべての論文において同じなのかどうかを確認をしていただきたいということです。

○神野委員長 これ、長期、定期があるからですね。我々のあれでもね。ちょっと短期、長期と言っても、短期の均衡、長期の均衡という話なのか、どうなのかあれですので、これはどう。
 いや、それぞれ事務局の方で後で。

○天野委員 短期・長期を分ける一番簡単な方法は、被説明変数の1期ラグを入れて、1からその係数を引いた値で短期弾力性を割る方法ですね。これは、ご承知のとおり推計上や理論上の問題も多い方法ですが、それを回避しながら行った場合、そのとき長期とは無限大の期間ということになってしまいます。それから、私の行ったような2次とか3次の曲線を使った分布ラグを推定する場合の長期とは、やはり違います。それから、ラグをつけない価格変数を用いた場合は、それを短期とは言えないと思いますね。短期というのは明らかに何らかの方法で短期、長期が区別できるような推定方法の場合に使えるのであって、単に価格変数が導入されているだけの場合は、おそらく平均値が推定されているという理解があると思います。それからもう一つ、私が読みましたペーパーの中には、四半期データを使った推定で、短期の弾力性がいくら、長期の弾力性がいくらと書いてあるのですが、その場合の長期というのは1年を指しているといった類のものもあるくらいなので、おっしゃるように文面どおりにとるのは危険ですね。

○佐和委員 今のご質問に対しては、仮に影響が短期的な要するに効果、長期的な効果と、長期というか、中長短期の効果が両方があるということを前提とすれば、要するに当期の点数だけしか入れていないモデルというのは、スペシフィケーションエラーであると。だから意味のない式だということになる。ですから、もちろん効果が短期的なものしかないというふうな、いわば付帯的なアサンプションのもとでの推定されたモデルであって、では出てきた係数は何なのかといったら、それは、効果はもともと短期ラグしかないんですよという前提で考えればそれでいいのかもしれないけれども、だけれども、実はいろいろあらゆるところに出てきていますように、やっぱり機器の機会とか、そういうことも含まれれば、やっぱりその効果というのは、かなり実際に効果が出てくるまでには時間がかかると、それはかなり説得力のある説明だと思うんですね。そうすると、やっぱり効果は、中長期効果も入れなくてはいけないという意見については、これはスペシフィケーションのモデルだということになると思うんです。

○横山委員 その論文のモデルは置いて、佐和先生のおっしゃられた、天野先生のは中期と言うべきではないかという先ほどご発言に関連するんですけれども。そうしたときに、長期の弾力性というのは、この今までのラグつきの形でやって、それが長い期間をとること、ラグを長くすることが、先生のおっしゃる意味の置き替え需要というんですか、新しいニーズ革新のものを含めた長期の価格弾力性を推計するというのは、どういうふうな、それはまさに生産関数なり、先生がおっしゃったような供給側が変わっているということで、生産関数シフトみたいな形で弾力性が測れるのかどうか、その辺がどう考えたらいいか教えていただきたいんです。

○佐和委員 僕が言った意味の長期ということですか。

○横山委員 ええ、そうです。

○佐和委員 それは、どうですかね。やっぱり実際問題として、結局ある人が10年自分の使っているエアコンが、10年だともううるさいし効率がよくないと、新しいのに買い換えたら、その人が何も省電力とかそんなこと1つも考えていなくても、何も知らずに買ってきたものが、実は消費電力が3分の1ほど減っていたというようなことはあるわけですね。そういうことで、消費者が積極的にそういう選択をしたわけではないんだけれども、実際に結果として、受け身の形でそういう技術進歩というものが反映されるというふうに思っていいんじゃないでしょうかね。ですから、それはこのエネルギー消費ならエネルギー消費という数字の上にあらわれてくるということではないでしょうか。

○天野委員 私のペーパーの17ページをちょっとごらんいただきたいんですが、3の2というのがありまして、これはあるペーパーを見ておりましたら、乗用車の燃費効率というのは技術進歩で起こるんだと書いてありまして、燃費効率の変化によって誘発されるエネルギー需要すべてが技術進歩によって誘発された需要であるかのように書いてありまして、本当かなと思って調べてみたのですが、この推定式は、ガソリン乗用車の新車の燃費効果ですね。それを被説明変数として、価格、ここではガソリン価格ですけれども、それに長いラグをつけて、それで推定すると非常にきれいなサイクリカルな変動が説明できるわけです。燃費効率の動きはサイクルをもっているのです。新車の燃料効率は、ガソリンで上がると効率がよくなりますね。逆にガソリンが安くなりますと、ぐっと下がるのです。これは技術進歩といえるのですかね。ガソリンが安くなると大型車が売れますから、新車にはいろんな機能をいっぱいつけて重くするのですね。しかしエネルギー価格が高くなると、そういうことをすると売れませんので軽い車に変える。当然メーカーは消費者のことを考えてそういう設計をする。ですから、燃費効率はすべて技術的要因だけで決まるというのではなくて、燃費効率も価格の影響を受けているという意味で、技術も価格の中期的変動に査通されると見る必要がある。非常に長期の技術については、今ご議論がありましたように、価格の影響を推定するというのは非常に難しい。むしろイノベーション、大きなイノベーションを何で説明するかという議論になってくると思います。そういう影響がエネルギー需要を動かしている要因だとおっしゃる意味での長期という捉え方はある。ただし、それへの価格の影響をとらえるのは大変難しいでしょうね。

○神野委員長 横山委員のあれはあれですよね。つまり長期と短期の概念、少し今後も使うときには整理して。それぞれ使っていてもいいんだけれども、こういうことで注意しましょうねということと、ここで出ているような議論について、相違がわかるのであれば、後ででも説明していただければと、そういうことですね。

○横山委員 もう1点、これは信憑性がなくて、ピアレビューではないので、ちょっと申し上げていいのかどうか。少し聞いていただきたいんですけれども、ある研究会で市民グループがやっている団体が、ある電気製品を旧型から省エネが高い新型に買い替えることで電気料金の節約が大きく見込まれるので、買い替えるためにお金を融資して、新型に替えて、節減された費用を原資にしてその返済をしてもらうような活動を提案していました。技術の方がよくわからないんですが、旧型を一番ベストプラクティスというんでしょうか、新しいものに買い替えるというのは、おそらく森田さんのモデルでも想定されていると思うのですが、その新しいものに替えることで、省エネのベネフィットがどの程度あるのかということの情報は意外に一般の国民はよくわかっていない。ただ、これはエネルギーの部分でいえば、環境にとって好もしいんですけれども、COの排出等については。ところが、旧式のものを陳腐化させるという埋没コストの部分があって、廃棄のコストも出てくる。森田さんのモデルでは、新しいものに変えることで、省エネのあるいはCOの排出のベネフィットは図られるけれども、廃棄する部分の環境コストをどういうふうに考えるのか。技術進歩で生産様式を変えることによって、従来型のものをどういうふうに考えたらいいのか。この点は私、整理できていないもので、教えていただきたいもう1点です。

○鎌形環境経済課長 今のAIMモデル、増井先生の方がよろしいかと思いますけれども、私の理解では、あのモデル上の機器の代替というのは、早めて行うというのではなくて、既に機器の更新というか、更新期間が来たものが変わるときに選択するときに、どのものを選択するか、そういうことだったと思うんですが。

○横山委員 埋没コストはないという。

○増井委員 もしも、まだ使えるのに新しく購入したという場合には、埋没コストになります。
 1点よろしいですか。ついでと言っては申し訳ありませんけれども、AIMモデルをこうして取り上げて頂いていますが、AIMモデルの中で価格弾力性をどのように表現されているのか補足的に説明させていただければと思います。
 資料1の方では、こういうコスト最小化のモデルという形で表現されておりますけれども、実は短期的に見た場合には、厳密にはエネルギーサービスと定義されているものに対してですが、価格の弾力性というのは0と定めております。というのは、資料2の2ページ目の方にございますように、あらかじめ社会経済のシナリオを想定しておりまして、そのシナリオを達成するようにエネルギーを消費することになっておりますので、エネルギーの価格が変わろうが、とにかくこの経済活動を行う、それに必要なエネルギーは最低限使うことが前提となっております。エネルギーの価格が変化しても、エネルギーを使う実際の機器選択において、その機器を変えるだけであり、エネルギーの価格弾力性は0というに計算しております。ですから、今回いろいろ議論ございました価格弾力性、短期的に見ても幾らかマイナスの値が出ているということですので、もし仮にそういう値を入れると、資料2の3ページ目のところにございますようなCOの削減効果はさらに大きくなると思っています。
 それと、あとすみません、もう1点、ちょっとこれ質問なんですけれども、長期という話がいろいろ出てきていましたけれども、この専門委員会の議論そのものが、京都議定書を達成するというもくてきを達成するためのものであれば、すぐにでも対策を実現しないと、長期的な効果があると言っていても、その効果が出るまでにもう第1約束期間は過ぎてしまうんじゃないかなというおそれを私自身持っているんですけれども、その辺はお考えなのでしょうか。

○鎌形環境経済課長 もちろん第1約束期間が2008年から12年になりますから、結局AIMモデルでいろいろ計算していただいているのも、2010年にどうなっているかということで出していただいているということもありますよね。一応、まず第一のターゲットはそこかと思いますので、先ほど中期か長期かという議論がございましたけれども、やっぱりもう今2005年でありますので、ここ数年から長くて2012年までというと7年ですか、そういう間にどうかという議論をしなければならないとは思っております。そういう意味で、ちょっと各論文を、短期と長期がありますので、そのまま引いてきてしまいました。長期というものはどういうものか精査せずにあったのを私どものまとめ方、まずかったかと思いますけれども、そういう意味でどのデータにターゲットを絞って見ていくかということは、非常に重要なことだと思っています。
 ただ、読み方がまずかったになるんですけれども、天野先生から提出いただいたものですと、いわゆる平均ラグというのが、5年ないし、その前後ということですが、その程度で大体効果が、出てくるのではないか、間違っていたら申し訳ございません。

○天野委員 私の推定していた長期の弾力性というのは、フルに10年とか13年とかのここは全部入れたときの影響で、任意ラグというのは、ラグにそれぞれのウエートをかけたときの平均ですから、その平均のところでフルの効果というわけではありません。

○神野委員長 ちょっとお待ちください、後藤委員、では。

○和気委員 ちょっと今の議論とちょっと角度が違うかもしれませんが、過去のデータがある時点で示されたパラメーターを使って今度の政策シミュレーションをするというときに、とても重要な視点は社会経済シナリオをどういうふうに読むかというときに、よく産業界からこの環境税に対してはかなり慎重論が出ています。どういう視点から出ているかいろいろあるんですが、国際競争力という1つのキーワードで出ているんですが、実は環境税導入によって、もっとCO排出がもっと削減しちゃうかもしれないという可能性もある。といいますのは、例えば自由貿易協定が今後アジアで進みます。そうすると企業は日本国内で生産するというインセンティブが、かつてのエネルギー価格というのは、世界全体でエネルギーが上がったり、下がったりということですから、エネルギー価格の変動は日本国内で生産しても、海外でしてもある程度同じように効いてくるコストだったんです。ところが、ある種の税を課すということは、日本の国内である種差別的に効いてくるという影響が産業界に出てきます。そうすると、海外へ出ていくというインセンティブは強くなってしまうと。そうすると、中国へ出ていくという状況もある。ただし、さりとて例えば人民元がどうなるかということも、実は切り上がるという状況から見ると、中国に出ていくというインセンティブはそれによって下がるかもしれない。したがって、そのどんないろんな社会経済シナリオを、とりあえずいろいろ考えてみて、それで特に産業界に対してどういうふうな影響があるかということをある程度見越した上で、それを見て私は、天野先生のご提案を含めてこの方法で行くのがいいと思っている。つまり、国内排出権取引制度も含め、それからリファンド方式も含めて、パッケージでこの問題を国民に問うと、よりわかりやすく表現していく形で研究のレベルから、実際の人々がよく理解できるようなパッケージを表現していくという方法で進めばいいのかなと思いつつも、やはり今申し上げたように、社会経済シナリオが今後どうなるかを、もうちょっと丁寧にさきを読むという議論を、どこかで必要かなと常々思っていまして、貿易だけの問題だけではなくて、企業がどこに生産拠点を置くかによって、産業構造がアジア的レベルで変わってきちゃうかもしれないので、そこをちょっと議論しておいた方がいいというか、いろんな不確定の要素があるので、どうこうということが言えないんですが、一応考えておく必要がある。
 実は、ちょっと話長くなって恐縮なんですが、弾力性ペシミズムと弾力性オプティミズムというのが、実はいろいろずっと国際経済学で、かつて変動相場制に議論が出たときに、為替レートが変動すると、経常収支の不均衡がある程度それによって調整できるというような、弾力性オプティミズムで為替レートが変動に移ったという、かつての1970年のような状況なんですが、実は、そのときの見込み違いは、結局今のような形で金融市場、資本市場がこんなに流動化して、そしてそれによって為替相場が決まってしまうというようなことを、余り人々は強く予想していなかった。したがって、金融的な側面で決まってくる為替相場では、持続的な経済投資である経常収支の均衡がなかなか保証できないという、ちょっとそんな見込み違いというか、変ですけれども、そんなこともあるので、こういう例は幾らでもあるかと思うんです。したがって、弾力性の高いものは弾力的であったと、この検証は私は非常に意味があることなので、私自身はこの式はやったことはありませんが、こういう議論はとても重要だと思いますので尊重しますし、この方向をベースにしながら議論をしていったらいいんですが、やはりあくまでも政策決定の段階でこれをどう解釈し、使っていくかというときには、もうちょっと議論を幅広くした方がいいかなというふうに思います。

○神野委員長 では、後藤先生、さきにご発言いただいて。

○後藤委員 それでは2点ほど、弾力性に関してですが、1点目、先ほどから長期短期というのが話題になっておりますね。天野先生のはラグを用いた複雑なモデルですけれども、僕のは先ほどの1つだけ出た推計ですが、あれで推計した場合は、ある意味では、影響が一定率で減少していくという、そういう前提のもとでの推計ですから、これは先ほどからの話で、長期の弾力性が高くなる傾向を持つというのを何度もおっしゃいましたけれども、これはモデルを特定化したときの前提でありますので、そういう前提のもとで推計しているということですので、結果として、長期の方が短期より大きくなるというような次元ではないという気がしますね。ちょっと気になりましたので。
 2点目ですが、天野先生から価格以外にも所得とか、いろんなマターを、影響を与えるマターがあると、それを考慮するというんで、確かに私もいろいろやっておりますが、その都度いろんな結果が出てきますね。天野先生、所得と価格でラグで推計されておりますが、先ほど、鎌形先生おっしゃいましたように技術進歩率のようなものも入れれば、それなりの精度のある推計を得られるわけですね。例えば天野先生のこのガソリンの需要価格弾力性というところで、そこでは燃料効率が考慮されているのに、こちらの推計では説明変数として入っていないですけれども、これをやってみた結果、技術進歩というのは影響ないというふうな、そういうふうに我々は理解すべきなんでしょうか。

○神野委員長 それでは、天野先生。

○天野委員 私が推定で言いたかったのは、燃費効率にはトレンドがあります。それは技術進歩を表すものであって、そのトレンド以外の部分は価格によって誘発されるような効果の変化ですね。大型が小型になったり、車種が変わったりというのは、普通の需要の価格弾力性の中に織り込まれているというように考えまして、燃料価格の変化によって消費者の需要に合わせて技術が換わっているような部分というのは、需要の変化として価格弾力性の中に織り込まれている。それに加えて何か外生的な技術進歩を考えるとすれば、そういうものを正確に要因別に説明するのは非常に難しいと。

○後藤委員 ですけれども、それは我々がそういうふうに考えたということで、その結果をお出しになっているのか、違う考えもあるということで、技術進歩を説明変数として入れて推計した結果、こちらの方が統計的にいいとか、そういうことでしょうか。

○金本委員 後藤さんの最初の話ですが、私も素人なんですが、簡単なラグを入れて、そのラグの係数がどの値で、その精度というか、係数の標準偏差がどれぐらいでということで、多分長期と短期の差が違い得るということがありますので、単にそれを入れたから、長期、自動的に大きくなるということでは必ずしもないんだと思います。ただ、それの推計値とか、精度みたいなやつをきちんと出しておられるかというと、私もちょっと全部把握できていないという感じはございます。
 あとは、この自動車に関してはいろんな研究がございまして、最近のデータを入れると、普通車の定義が変わったことによって非常に大きな影響が出たりいろんなことが起きていますので、これをまともに取り上げようとすると、もうちょっといろんなことをしなければいけないのかなという気がいたします。
 あと、こういうものを使うときに、我々研究者としては自分の研究をこれがベストだといって、当然言っていくんですが、政策として使うときは、そういうのをやっぱり並べてみて、どれがどういうくせを持っているかということをきちんと見て使うべきだろうという気がいたします。
 事務局のまとめのところに、弾力性はマイナスだというふうに見えるという研究を、なるほどそうだということは、私自身は多分マイナスであるというのは正しいだろうというふうに思いますが、研究を並べてマイナスだというのは、通常の場合、プラスの研究成果というか、推計結果が結構出ちゃうんですが、それを出すと認めてもらえないので、出さないということが多いので、並べて見ていてマイナスだったからどうこうというのは、余り強調すべきではないのかなという気がいたします。

○神野委員長 どうぞ、森地先生。

○森地委員 1つは質問で、1つは先ほど佐和先生のお話に関係するんですが、結果的に90年代の需要が非常に低迷したときに、交通部門についてはどんどん車が増えてきて、消費が増えているというわけですね。ここでもモデル、天野先生のモデル、全く私そのとおりだと思うんですが、対象化していることが、我々はその90年代ランダムしようとすると、相当違うことを社会的に導入しない限りは達成できないという、そういう問題を、特に民生業務部門について持っているんですね。産業部門については、まあまあこういう格好で推移している。ターゲットは多分民生部門と、民生といっても、これはオフィスの話と家庭の部門と、運輸部門も、いわゆる運輸事業者の問題と個人、こういうことがあるので、結果的に90年代、佐和先生がおっしゃったように全体が伸びているときに、弾力性のバブルなんていうのはおっしゃるとおりだろうと思うんですが、我々は弾力性を大きく見せることが目的ではなくて、減らすことが目的ですので、そこを我々として、環境税の効果をどうやるかというときに、弾力性の値が小さい、大きいという議論だけでは十分ではなくて、もうワンステップ何かいるような気がします。これは、抽象的なコメント。
 天野先生のお話の、3,400円で1万幾らの効果があるから、結果的にはそういう格好でできるんだというのは、多分ここで想定されているのは、つまり今まで起こっているようなことに対して価格操作をすれば結果が得られるという、こういうシナリオと理解をしました。現実には、私自身は価格の弾力性というのは、需要変動とかということについては山のように計算をしているんですが、世界中で自動車の利用が公共交通に移るというのは、弾力性でやると、1つはものすごくばらつきますと。もう1つは、そうは言いながら短期はほとんど効果がありません、世界中そういう結果が出ています。しかしながら、やっぱり同じように中長期には効果が出てきます。その効果の出方は、機器の変化はもちろん技術革新とかにあるんですが、それよりも、結果的には、例えば地下鉄ができると、そのそばに住む人は最初からそれを目的に住む人たちで、意識が全く違って機関分担がらっと変わります。同じ都市で、地下鉄ができた、さあ3年、5年でどう変わったかというとほとんど変わりませんと、バスから移っただけですとなるんですが、少し長くみて、あるところとないところと比べると、明らかに差が出てきます。これは、居住行動だとか、その人のアナウンスメント効果というよりも、意識の変化による差だと思うんです。
 結論から言うと、ではヨーロッパでうまくいっているのは、何度も申し上げているように、自動車を価格だけで整理をしようとしても、ほとんど不可能で、もっといじめないとだめだと。つまり都心に入れないとか、駐車場をたくさん用意しておくけれども、駐車場代をうんと高くする。駐車場を絞って、いろんな内側を、違う政策を入れてきたときに、初めてそういうことです。
 それから、公共交通の問題も同じように鉄道がどうしてもっと使われないのか、早いのに使われないのか、これについても、いろんな法則がまだ残っているように僕には思えます。そういう話と環境税という、あらゆるところに整合的に入ってくるやり方と両方やるのか、片方しかやらないのか、そういうところは多分政策判断だろうと思います。そのときに、環境税の弾性値だけが大きいとか小さいという、この議論をやっていることは、世の中に対して説得的なのかというのは若干疑問。ただ、逆もちょっと矛盾しているのかもしれません。この国ではほとんど自動車いじめを受け入れてきませんでした。そういうところでもうだめだとすると、むしろこういうやり方でやるよりしようがないと、相当大きなダメージを与えるようなやり方を、ダメージというのは行動を変えるぐらいの価格でしかできないのかもわかりません。そこの判断をどういうふうに考えるのかということは、私自身は交通の専門家としては悩むことです。ただ、この弾性値の話がタイムラグ、もちろんタイムラグはちゃんと入れた方がいいですし、値がどうかというのもおそらくこんな格好じゃないかと直感的には思いますが、しかしこれをやることが、そのまますっと政策の方に結びつくかということについては、もうちょっと、もう一歩何か議論を入れた方がいいのかなという気がします。

○神野委員長 収入目的税であれば、弾性値は小さい方がいいわけで、作用目的税として想定すればということを前提にして議論しているということでしょうかね。

○佐和委員 いいでしょうか、今の運輸のことで。運輸部門というのは、とにかく90年代に96〜97年にかけて、ものすごく増えているんですね。僕の記憶が正確だとすれば、排出量が2億1,000万トンぐらいから、2億6,000万トンぐらいに増えていますね、6年間ぐらいの間に。ところが97年度以降は、上がったり下がったりしながら、ほぼ横ばいなんです。何でそうなったのかというのは、これはやっぱり1つ、これもちろん景気が悪くて物流が減ったということなんかもあるかもしれませんが、それにも増して何て言うのかな、これは突拍子もないことを言うようですけれども、ライフスタイルの美意識みたいなものがあって、これ要するにバブルのころは、90年代の前半というのはまだまだバブル経済の余韻を引きずっていたわけですね。3ナンバーの高級車とか、今のようにどんどん買い替えがあったわけですね。それだけ、要するに3ナンバーの高級車に乗る、さらに買い替える人がいたと。ところが、そういうのが、大体97年ぐらいになると、サチレーションを起こして、たとえて言えばシーマ現象からヴィッツ現象へというような感じで、それでかなり減っているんじゃないかということです。そういう効果、つまりライフスタイルの美意識の変化とか、必ずしも価格とか、経済変数だけでは説明しきれないようなことが、あまたあるというふうに私も思います。

○森地委員 多分、1つ起こっていることは、90年代の終わりごろから相当不況がきつくなって、企業ベースでは、物流部門についての構造的な変化が随分起こり出しましたね。それから営業車についても、企業が資材調達部門の物理コストをうんと下げるような努力を始めました。もう1つは、90年代の終わりのころから、若い人の人口減が始まって、複数種類の部門の伸びがもう止まっちゃったというようなことがもう1個あろうかと。多分、そういう類の変化が、車の一台一台を、どっちに変えるかというよりむしろ効くかもわかりませんし、ただこれからやっていることは、今までと違うことを共用しなければいけないわけですから、そのときにはこういうやり方がいいのか、おそらく僕は同時に違うことをやらないとだめじゃないかと思っていますけれども。

○神野委員 どうぞ。

○天野委員 私、こういうペーパーを書きましたのは、環境税を導入すれば、ほかに何もしなくてよいと主張するためでは毛頭ありませんで、環境税には効果がないという議論がありますので、そうではないという根拠を示しているわけです。環境税以外にすることがたくさんあるというようなことを議論する場ではなくて、環境税の効果がどうかというものかという議論をするという理解でこれを出していただきたいわけです。
 それから、原油価格は大きく変動しているわけですけれども、価格が高騰したらどうかという議論はよくされるのですが、暴落したらどうなるかという議論はあまりされませんね。実は、86年に暴落しましたけれども、あの影響でエネルギー需要、特に運輸部門のそれが急速に増えだした。その後、不況の影響もありますけれども、その価格効果が出尽くしたあたりで価格が下落した効果は消えているわけですね。価格が下がったときには環境にまで影響を及ぼすのだという認識をもう少し持って頂いた法がいいのではないかと。弾力性を調べるとそういうこともわかってくるということだと思います。

○神野委員長 金本先生。

○金本委員 1つだけ。今の自家用乗用車の話、それから、国民のパーセプションとか、考え方ということだけでは多分ないだろうと私思っていまして、89年か90年かに、普通車の定義が変わって、普通車の税金が変わったと、安くなったと。それで、それまでと違ってストックベースのアジャストメントが起きた。それまでは、普通車の保有税というのが日本で非常に高くて、実は森地先生、自動車いじめられていないと言いましたけれども、保有税はすごくいじめているんです。そこで、今安くなっても年間4万円とか5万円払わなければいけないですね。それががたんと下がったものですから、重い普通車にストック全体をシフトしていったと、それが10年ぐらいかかって起きて、その後、もうそれは終わって、省エネ効果が出てきていると、そんなこともあるだろうと思います。パーセプションが非常に効いたという例はディーゼル車の需要が一時期すごく増えたんですが、がたっと落ちました。それは、どうも経済変数で説明できなくて、やはり環境意識の高まりで、目に見えて黒いのが出ているというのは、皆さん嫌だということで減ったという感じがいたします。

○神野委員長 すみません、時間オーバーしていますので、2と3も含めて、植田先生、何かございませんでしょうか。

○植田委員 いや、2と3じゃなくて。

○神野委員長 1でも結構ですよ。

○植田委員 もう簡単に。大変勉強になったんですが。つまり環境税の効果に関して、誤った議論が誤っていることを確認するというか、そういう点では大変重要な確認がいろいろな意味でできたという点があると思うんですが、同時に効果の面を議論していく上で、ちょっと私、環境税の効果の中でやはり技術革新を促していく動機にどの程度なるのかという問題ですね。これ、ちょっとやはりもう少しいわゆる技術進歩率と言われるものだけではない要素もあるかと思いますので、その点ちょっと今後考えておく必要があるんじゃないかと、その点だけ、1つ指摘して。

○神野委員長 ありがとうございます。ちょっと時間もないんですが、3の方については、私、国境税調整、これ環境税、間接税だと考えて通常納税、人税と物税みたいに、人税と違って納税義務地原則ではなくて、課税客体、つまりどういう事実が発生したときに税をかけるかということの帰属地で普通課税権を割当てるわけですね。そのときに、オリジン・プリンシプルと、ディスティネーション・プリンスプルあるわけですけれども、ちょっとこれ、これまでの議論なのでしょうが、飯野先生、これ含めて今日の全体の質問と、ちょっと私これ伝統的な租税論でいくと混乱しているような気もしないでもないですが、ご説明いただくとありがたいです。

○飯野委員 国境税調整については、とにかく環境税をすでに導入した国においても実際に実施している国がないので、考えなければならないということは分かりますけれども、ちょっと今考えあぐねているというのが実情だと思います。
 それから、環境税は効果がないから止めろというのが環境税反対論の中心となっていますので、効果があるということを証明できると良いのですが、計量モデルによる分析ではいろいろな結果がでていて困っています。もう1つは、先ほども議論されたように環境税だけで目標とする削減効果を出すのが理想ですが、それだと税が高くなりすぎて実現性が弱くなるので税収を使って目標に近づける政策についても検討してみたわけです。この政策の場合には低い税で目標達成ができるのでより好ましい政策だと思うのですが、この政策は実際は環境省がただ金が欲しいだけなのだとか、道路財源や経済資源を環境省にまわせば税などいらないという議論につながっていくので、慎重に議論していかなければならないと考えています。

○神野委員長 そろそろ時間なんですが、何か。

○天野委員 この国境税調整、議論しないんですか。

○神野委員長 どうしましょうか。まだやりましょうか。

○鎌形環境経済課長 次回に。

○神野委員長 ちょっと時間がありませんので。

○天野委員 では次回に。言いたいこと、いっぱいあります。

○神野委員長 そうですか。和気委員の提起していただいた社会経済シナリオというのは、今後ずっとここの委員会で議論していく過程でいただくということで、議論させていただくときの参考にさせていただくということにさせていただいて、今差し当たってだれに振ったらいいかわからないので、横山さん、何かある、その今の件について。

○横山委員 私も1回目のときにお話申し上げましたが、和気先生と同じ考え方です。やはり今までの人々の振る舞いや行動のもとで、過去こういうような価格弾性値が計測できましたと。では、それを使って将来どうするのですかといったときに、植田先生がおっしゃられたように今度は技術進歩なり、佐和先生がおっしゃっている本来の意味の長期の、あるいは人々のプリファレンスが変わる、効用関数が変わる、その辺のところの分析がやっぱり何らかのインパクトを計量分析できるのかわかりませんが、すごく重要になる。あとシナリオを少し考えてみて、いろんなシナリオの中で効果を見ていくというのは必要で、説得力があると思います。

○神野委員長 ちょっと私の司会の不手際でもって、時間をオーバーしておりますので、国境税調整、その他第2の論点についても、まだちょっと準備を事務局の方からきちっとしていただくということでございますので、今日はとりあえずここで収めさせていただいて、国境税調整や第2の論点については、引き続き検討させていただくということにさせていただければというふうに思います。
 それでは、事務局の方からご連絡事項ございましたら。

○鎌形環境経済課長 次回でございますけれども、こちら国境税調整の関係の議論、引き続き。また資料若干変更があったと思いますけれども、用意させていただきます。
 それから、経済影響のところでは、ちょっと従来の中間審の作業しかご説明できなかったので、新しいさらに深めたものをそれまでに準備をした上でやりたいと思いますし、それから、ちょっと悩んでおりますのが、先ほど植田先生からもご指摘ありましたが、技術革新の論議をどうするのか、これはその影響をどうしていくかと、この辺をちょっと悩んでおりますので、ちょっとまた先生方に個別に相談して出ていくのか。それから、社会的な視点から、どうしてもリンケージの議論とかいろいろしていく上で、例えば外に出ていく、出ていかないということの判断がどうされるのかなというところも、なかなか難しい問題があって、ちょっとこの辺も僕は個別に少しご相談させていただいて、何かイシューができればと思う。ちょっとそれは間に合うかどうかあれですが。そういったところと、あと効果と影響が大体中心、この辺で議論、コメントや議論していただきたいということですけれども、効果という中に、効果や影響の中に、例えば展開がどういうふうに進んでいくのかということについても、若干まだ議論が必要な点があるかと思いますので、そのあたりも課題として残っております。そのあたりの課題を少し資料にまとめまして、次回、6月28日になりますが、やりたいと思っています。

○神野委員長 それでは、事務局の方からお話がありましたように、次回は6月28日火曜日、10時、場所、ちょっとまた変わりますので、お間違えにならないようにということでございますので、三田の共用会議所大会議室ということですね、を予定をいたしております。詳細につきましては、別途ご連絡を事務局の方から差し上げますので、ご臨席方よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、どうもありがとうございました。

午後0時07分閉会