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中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会
第1回環境税の経済分析等に関する専門委員会議事録


平成17年5月10日(火)

午前10時02分開会

○鎌形環境経済課長 おはようございます。まだお見えでない先生もいらっしゃいますけれども、定刻となりましたので、ただいまから環境税の経済分析等に関する専門委員会の第1回会合を開催したいと思います。
 委員会の始まりに当たりまして、田村総合環境政策局長よりご挨拶申し上げます。

○田村総合環境政策局長 環境省の総合環境政策局長の田村でございます。
 環境税の経済分析等に関する専門委員会の開催に当たりましてご挨拶申し上げます。
 このたびは、委員の皆様方におかれましては、大変ご多忙中にもかかわりませず本専門委員会委員へのご就任をご承諾いただきまして、また本日、早速こうしてご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 地球温暖化問題に関しましては、もうご承知のとおり、京都議定書が本年2月16日に発効いたしました。我が国といたしまして、温室効果ガスを1990年度比で6%削減するということが国際的な責務となったわけでございます。しかしながら、我が国の排出量は、2003年に1990年比でプラス8%増加しておるところでございまして、このため既存の対策、施策に加えまして、さまざまな追加的な対策、施策が必要であって、このような状況を踏まえまして京都議定書の目標達成計画が先月末に閣議決定をされたところでございます。今後この計画に盛り込まれました各種の地球温暖化対策を実施に移して、そして、確実に効果あらしめることが必要となっております。地球温暖化対策、まさに待ったなしの課題である、そのように存じております。
 そして、その中の有効な対策、施策の一つとして、さまざまな角度から議論されております環境税につきましては、この中央環境審議会におきましても、一昨年でございますが、地球温暖化対策の税制専門委員会から具体的なたたき台ともいうべき案をご提案いただきまして、さらにその後、昨年施策総合企画小委員会におきまして活発にご議論いただきまして、さまざまな論点あるいは留意点について取りまとめをしていただいたところでございます。
 こうした検討とあわせまして、環境省といたしましては、昨年の夏に環境税の創設を税務当局に要望いたしました。そして、昨年の11月には環境省としての具体案を発表いたしまして、政府の税制調査会あるいは与党の税制調査会においても議論を進めていただいたところでございます。その結果、環境税につきましては、早急に検討することとされたところでございます。また、京都議定書の目標達成計画におきましても、こうした議論あるいは経緯を踏まえまして、環境税につきましては「地球温暖化対策全体の中での具体的な位置付け、その効果、あるいは国民経済や産業の国際競争力に与える影響、あるいは諸外国における取り組みの現状などを踏まえて、真摯に総合的な検討を進めていくべき課題である」と、そのようにされたところでございます。
 環境省としましては、これらの経緯を踏まえまして、今後具体的な税の議論を進めていく上で、例えば環境税の価格インセンティブ効果はどうなのかとか、あるいはいわゆるアナウンスメント効果、あるいはマクロ経済とか、産業の国際競争力に与える影響等、主として経済分析に係る事項等につきまして検討を深めておくことが必要である、そのように考えております。このため、学識経験のある諸先生方にご参集いただきまして、これらの事項につきまして技術的、そして専門的な見地からの分析、あるいは幅広い見地からの率直・闊達なご議論を行っていただくために、本専門委員会の設置を中央環境審議会にお願いいたしまして、本日こうして開催する運びとなったわけでございます。
 委員の諸先生方におかれましては大変ご多忙中と存じますけれども、以上の趣旨にかんがみまして、よろしくご審議賜りますようお願い申し上げたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○鎌形環境経済課長 それでは、本日は第1回目の会合となります。まず、委員のご紹介をさせていただきたいと思います。お手元に座席表と名簿がございますので、適宜ご参照いただければと思います。
 それでは、まず、本委員会の委員長をお願いしております東京大学大学院経済学研究科教授でいらっしゃいます神野直彦委員でございます。

○神野委員長 神野でございます。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 慶応義塾大学経済学部教授でいらっしゃいます飯野靖四委員でございます。

○飯野委員 飯野です。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 京都大学大学院経済学研究科地球環境学堂教授でいらっしゃいます植田和弘委員でございます。

○植田委員 植田です。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 東京大学公共政策大学院・大学院経済学研究科教授でいらっしゃいます金本良嗣委員でございます。

○金本委員 金本でございます。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 東京大学大学院総合文化研究科教授でいらっしゃいます後藤則行委員でございます。

○後藤委員 後藤です。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 京都大学経済研究所所長でいらっしゃいます佐和隆光委員でございます。

○佐和委員 佐和です。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 文教大学国際学部教授でいらっしゃいます藤井美文委員でございます。

○藤井委員 藤井と申します。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 国立環境研究所社会環境システム研究領域主任研究員でいらっしゃいます増井利彦委員でございます。

○増井委員 増井でございます。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 政策研究大学院大学教授・財団法人運輸政策研究機構運輸政策研究所所長でいらっしゃいます森地茂委員でございます。

○森地委員 森地でございます。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 中央大学総合政策学部教授でいらっしゃいます横山彰委員でございます。

○横山委員 横山でございます。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 ご出席の委員の他、浅野委員、天野委員、奥野委員、中上委員、山地委員、和気委員からご欠席の連絡をいただいております。
 それから、本日出席しております環境省の関係の紹介をさせていただきたいと思います。
 先ほどご挨拶申し上げました田村総合環境政策局長でございます。

○田村総合環境政策局長 田村でございます。

○鎌形環境経済課長 総合環境政策局の小林総務課長でございます。

○小林総務課長 小林です。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 小林環境管理局長でございます。

○小林環境管理局長 小林です。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 小島地球環境局長です。

○小島地球環境局長 小島です。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 清水地球温暖化対策課長です。

○清水地球温暖化対策課長 清水です。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 総合環境政策局の上河原企画官です。

○上河原企画官 上河原です。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 同じく総合環境政策局の御園生調査官です。

○御園生調査官 御園生でございます。よろしくお願いします。

○鎌形環境経済課長 それでは、会議に入りたいと思いますけれども、先ほどもご紹介申し上げましたが、本委員会の委員長につきましては、中央環境審議会運営規則第8条第2項に基づく部会長の指名によりまして神野委員にお願いしております。今後の進行は神野委員長にお願いいたしたいと思います。
 それでは、神野委員長、よろしくお願いいたします。

○神野委員長 東京大学の神野でございます。
 ただいまご紹介にあずかりましたように、私、この委員会の委員長という大役を仰せつかりました。ただいまも田村局長からお話がありましたように、大変重要な委員会でございます。しかも、この委員会には「環境税の経済分析等」と書いてありまして、ここの委員の多くの方々がご存じのとおり、私経済学者でありますけれども、経済分析はできません。財政学をずっと専門にしておりまして、租税論的な観点からは議論ができますが、何分にも素人でございます。皆さんのご指導をいただければと思います。
 この商売をしておりますと学生からというか、教え子からよく仲人を頼まれます。私はずっと長い間サラリーマン生活をしてから学者の道に入りましたので状況はよく推察できるわけです。いろいろな事情を考慮して、誰かに頼むとこちらの角が立ちというような状況があって私のところにお鉢が回ってきたんだろうと思い、話があったときにはすべて引き受けております。今回もさまざまな事情があって私のところにお鉢が回ってきたのだろうと思い、引き受けておりますので、皆様の特段のご協力をお願いしたいと思います。
 名前からご推察いただけますように、私の家は祖父の代まで神々に仕えておりました。日本の神道ではあらゆる自然に神々が宿っております。私の家では木を切ることができせん。植えかえることはできますけれども、木は切れませんので、そうした私どもの重要な自然、経済は必ず自然がある限り発展しますけれども、自然がなくなると経済発展しないはずでございます。重要な自然を皆様のお教えを受けながら考えていきたいと思っております。
 以後、着席して進行させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 お手元に議事次第が行っているかと思いますけれども、本日は2つの議題が用意されております。第1回目でございますので、専門委員会の運営について、つまりこの委員会の運営についてご議論をいただきたいと思っております。その後、2番目の議題ですが、環境税に関するこれまでの議論の状況及び当面の検討事項についてということで、環境税に関するこれまでの議論の状況をご報告していただいた上、当面の検討事項についてご議論をお願いしたいと考えております。
 委員会を始めるに当たって、できればこれから行うべき検討事項やさまざまな問題に関する状況、考えは同じにしなくても、どういう問題に取り組んでいくかという認識だけは、今日できれば共有させていただきたいと考えております。
 本日の予定は一応12時までということにしておりますので、議事運営に皆様方のご協力をいただければと思います。
 それでは、第1番目の議題でございます「環境税の経済分析等に関する専門委員会の運営について」、事務局からご説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○鎌形環境経済課長 それではご説明させていただきます。私、大変失礼いたしました。申しおくれましたけれども、事務局を務めさせていただいております環境経済課長の鎌形でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、この専門委員会の運営につきまして、お手元の資料1から資料3に基づきまして簡単にご紹介いたします。
 まず、資料1の「設置について」というペーパーですけれども、この専門委員会、中央環境審議会の中の総合政策部会、それから地球環境部会、この2つの合同部会のもとに置かれているものでございます。このペーパーは、その部会におきましてこの専門委員会の設置をお決めいただく際にご審議いただいた、そのペーパーでございます。
 設置の趣旨とありますけれども、まず、この3月には中央環境審議会で、地球温暖化対策の関係で答申が出されております。いわゆる第2次答申というものですけれども、ここにおきまして、環境税について、その具体的な姿、仕組みについて早急に検討していく必要があるとされております。それから、4月に京都議定書目標達成計画が政府において閣議決定されております。内容は後でご説明したいと思いますけれども、その中で環境税につきまして、真摯に総合的な検討を進めていくべき課題だと、こういうようなことが決められたということでございます。
 そうしたことを踏まえまして、先ほど局長からもご挨拶申し上げましたが、今後環境税の検討を進めるに当たって経済分析等を深めていく必要があるということで、総合政策部会・地球環境部会の合同部会のもとに技術的・専門的な見地からの分析・調査を行うための専門委員会を設置するということでございます。
 2番の調査事項、これも後ほど詳しくご議論いただきたいと思いますけれども、環境税の価格インセンティブ効果、アナウンスメント効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、環境税額の価格転嫁等について、技術的・専門的観点からの調査を行うということが本委員会の課題でございます。
 資料2はこの設置についての規定でございます。ここにありますように、中央環境審議会議事運営規則に基づきまして総合政策部会・地球環境部会の合同部会のもとに、施策総合企画小委員会のほかに本専門委員会である「環境税の経済分析等に関する専門委員会」を置いているということでございます。
 資料3は委員会の運営についてでございます。この総合政策・地球環境合同部会のもとにおける小委員会ないし専門委員会につきましては、既に平成15年の段階に運営方針が部会長により定められております。内容としては、会議の公開と会議録などを中心としたものでございます。
 1が会議の公開及び出席者でございます。(1)原則として会議は公開するということで、非公開になる場合が[1]に掲げてあります。「公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合又は特定の者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合には非公開とし、それ以外の場合には公開とする」ということでございます。現在もこの委員会につきましては公開という形で取り扱わさせていただいております。
 出席に関しまして、代理出席は認めないという趣旨でございます。
 2番目が会議録でございます。会議録は作成いたしますけれども、会議録の調製に当たりましては、出席した委員の了承を得るという形にしております。
 それから、会議録は各委員に配布いたしますし、会議録と議事要旨は公開するという形にしてございます。
 3番のその他でございますが、これらのほか、運営に関し必要な事項は委員長が定めるということでございます。
 以上、資料1から3についての説明でございます。
 それから、追加でございますけれども、先ほど本委員会の委員のご紹介をいたしました。本委員会の委員につきましては、4月28日の時点でご了解をいただいていた委員についてこちらの責任で発表させていただいておりますが、実は、慶応義塾の常任理事の黒田先生に委員にご就任いただくことに了解を得ていたわけですけれども、その後、先生から日程等を再度検討した結果として、委員会参加をご辞退したいという連絡をいただいたわけでございます。4月28日に発表した時点と委員の名簿が変わっておりますので、その旨、申し添えたいと思います。
 以上でございます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 議事運営にかかわることでございますと、この専門委員会につきまして、特段非公開にする理由はないと思いますので、今ご説明がございましたように、公開をするということにさせていただきたいと考えております。場合によって、環境という問題を議論するときに、皆様の自由な議論、ここで言うと「公正かつ中立な審議」を妨げるような事情が生ずることも考えられないわけではありませんが、そのときには皆様にお諮りした上で非公開なり何なりの措置をとらせていただくということにさせていただければと存じております。
 ただいまの事務局からの説明につきまして、ご意見、ご質問ございましたらお願いいたします。
 特段ご意見、ご質問がなければ次の議題に移らさせていただきたいと思います。
 それでは、お手元の議事次第の2番目になります「環境税に関するこれまでの議論状況及び当面の検討事項について」ということで、事務局より説明していただきます。繰り返すようでございますが、本日は初回でございますので、今後の検討事項について事務局から案を出していただきました。これについて事務局の方からご説明をいただきたいと思います。

○鎌形環境経済課長 それでは、お手元の資料4、次に資料5に即しましてご説明させていただきます。
 資料4は「環境税に関するこれまでの議論の状況について」というものでございます。お開きいただきますと、環境税に関するこれまでの議論の状況というところから始まっております。昨年、環境省といたしましては、税制改正要望という形で環境税の要望をさせていただきまして、さまざまご議論いただいております。
 これまでの経過ですけれども、十年来、環境庁の時代から環境税につきましては、温暖化対策のための一つの手段として検討なり、研究を進めてきたわけですけれども、最近の一つの節目といたしましては、平成15年の段階で、中央環境審議会の地球温暖化対策税制専門委員会、ご出席の飯野委員に委員長を務めていただいた委員会ですけれども、ここで平成15年8月に温暖化対策税制の具体的な制度の案というものを報告いたしまして、国民の間で議論をしていただくということを開始したものでございます。その後、その年の12月には中央環境審議会に施策総合企画小委員会というものを設けまして、ここではいわゆる専門家以外にも、産業界の代表とか、NGOの関係者、あるいはマスコミの関係者等いろいろな関係者にお加わりいただいての検討を開始したというのがこの時点でございます。それから、その間、自民党でも議論が続けられておりました。
 昨年の8月に中央環境審議会地球環境部会の中間取りまとめ、中央環境審議会の施策総合企画小委員会の取りまとめというのがあります。
 まず、地球環境部会のところをごらんいただきますと、『「地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しについての中間取りまとめ」公表』となっておりますが、この時期、政府の地球温暖化対策の政策パッケージをまとめておりました「地球温暖化対策推進大綱」の評価・見直しを行っておりました。そういう中でさまざまな施策の議論がなされていたわけですけれども、その中で価格インセンティブ効果、財源効果、アナウンスメント効果をあわせ持つ温暖化対策税制が有力な手段であるという位置付けがされたわけでございます。その後、施策総合企画小委員会でも、有力な追加的施策であり、今後検討すべきものという流れができております。
 税制に関しましては、毎年8月末に各府省から税務当局に要望を提出するということになっておりまして、昨年の8月末には、環境省と農林水産省が平成17年度の税制改正要望といたしまして、「地球温暖化対策を推進するため、環境税(仮称)の創設等、必要な税制上の措置を講ずること」という要望を提出させていただきました。ただ、この時点では、具体的に環境税の姿というものについての提案はせずに、その後の具体的な検討にゆだねているという形にしたわけでございます。
 秋には、自民党、公明党などを中心にさまざまな議論が行われました。次のページに参りまして、11月には環境省として環境税の具体案を発表いたしました。これは後ほどご説明いたします。その後、与党の中でもいろいろ議論がありまして、自民党の中では環境部会、農林水産部会が税制改正要望を行うということ、それから政府税調でも議論が行われました。それから自民党、公明党の税制調査会でいろいろ議論が行われたということでございます。政府税調は11月25日に答申、与党につきましては12月に税制改正大綱が出されました。これも後ほどご説明させていただきます。
 中環審の方としては、施策総合企画小委員会におきまして「論点の取りまとめ」をしております。これは本日参考資料としてお配りしておりますので、後ほど適宜ご参照いただきながら説明したいと思います。
 それから、温暖化対策に関しましては、地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しの時期に当たったということを申し上げましたけれども、それがこの4月には京都議定書目標達成計画ということで閣議決定に至っているわけですけれども、3月には中央環境審議会から地球温暖化対策の方向性についての第2次答申がまとめられております。今の段階は4月28日に京都議定書目標達成計画が策定されている、こういう流れになっております。
 昨年、環境省として提案した環境税の具体案は3ページ、4ページにございます。簡単に申しますと、まず、趣旨として、企業、家庭などすべての主体に対して二酸化炭素の排出量に応じた公平な地球温暖化対策への参加を求めるということ、雇用の推進など企業活力の維持・向上にも資する、こういうコンセプトでありまして、課税対象はすべての化石燃料と電気ということです。それから、課税段階につきましては、ものによりましていわゆる上流、下流ということで、精油所からの蔵出し段階、ガソリン、軽油、灯油、LPGにつきましてはいわゆる上流課税、石炭、重油、天然ガス、都市ガス、電気、ジェット燃料につきましては最終消費段階、いわゆる下流課税という形をとります。
 税率につきましては、炭素トン当たり2,400円という形で、ガソリンにしますとリッター1.5円ぐらいということでございます。
 税収規模が4,900億円ということでございます。
 4ページにまいりまして、軽減措置ですけれども、国際競争力の確保、産業構造の激変緩和などから鉄鋼等製造用の石炭、コークスとか、あるいはエネルギー多消費型製造業に属する企業が消費するものなどについての軽減、あるいは運輸事業対策、あるいは低所得者、中小企業等への配慮などを軽減措置として提案させていただいたところでございます。
 税収の使途につきましては、一般財源といたしましたが、企業、家庭などの温暖化対策に3,400億円、雇用の促進など企業活力の維持・向上に1,500億円ということで、実施時期は平成18年1月ということで提案させていただいたものでございます。
 この提案の内容によりますCO2の削減効果は5,200万トン、基準年、いわゆる1990年比約4%強というふうに見込んでおりました。これが環境省の案として出させていただいたものでございます。
 その後、自民党などでも議論がありまして、自民党としては、環境部会、農林水産部会で別の案が出ております。それが5ページ、6ページです。税率を炭素トン当たり3,000円、税収額6,000億円としたことと、税収のすべてを温暖化対策の財源とすべきだ、こういうような案でございました。
 7ページ、8ページが公明党の環境部会の案でございます。これも税率3,000円/炭素トン、それから、すべての税収を温暖化対策に充てるという点では同じですが、軽減策の部分で若干違いますので、税収額6,700億円という形になっております。
 このような案が議論されたということですけれども、9ページ、政府・税制調査会の答申でございます。まず、2つ目のパラグラフの3行目、今年3月、地球温暖化対策推進大綱の見直し作業、京都議定書目標達成計画を策定いたしました。そういった作業の中で京都議定書の目標達成を念頭に環境税の果たすべき役割が、具体的かつ定量的に検討されることが必要ということとされました。
 次に、環境税の役割としては、本来、価格インセンティブを通じた排出抑制効果を重視すべきだという指摘がございます。
 最後のパラグラフですが、環境税に関しまして、国民に広く負担を求めることなので、国民の理解と協力が不可欠ということでございます。
 さまざまな検討課題があるので、今後の温暖化対策全体の議論の進展を踏まえて環境税に関する多くの論点をできる限り早急に検討せねばならない、こういうことになっております。
 10ページ目は自民党・公明党の税制改正大綱でございます。与党でさまざまな議論がなされておりまして、最後の文章になりますけれども、「あらゆる政策的手法を総合的に検討した結果を受けて、いわゆる環境税については、必要に応じ、そのあるべき姿について早急に検討する」ということでございます。
 以上のように、昨年の税制改正の議論では、政府税調あるいは与党の大綱におきましても、早急に検討を進めていくということが一つの結論になっているということでございます。
 その後、京都議定書目標達成計画、これは政府の方でこの4月末に策定したものですけれども、11ページにその全体像を掲げております。京都議定書の6%削減の目標を達成していくための政策パッケージをここで定めたということございます。その中で、横断的施策というのが下にあります、その一番右側に「ポリシーミックスの活用(※環境税等も検討)」ということで、検討課題として掲げております。
 12ページが環境税関連の京都議定書目標達成計画の関連部分でございます。これは閣議決定されたということですので、現在の政府としてのスタンスでございます。横断的施策、ポリシーミックスの活用という中に位置付けがありまして、まず、経済的手法というものに関しまして、市場メカニズムを前提として経済的インセンティブの付与を介して、各主体の経済合理性に沿った排出抑制等の行動を誘導するということで、また、地球温暖化対策の経済的支援策としての有効性も期待されているという指摘がございます。
 (6−2)、その経済的手法の一つである環境税ということですが、二酸化炭素の排出量または化石燃料の消費量に応じて課税するものとして論議がされているということ、そして、価格インセンティブを通じた幅広い主体に対して対策を促す効果、あるいは二酸化炭素の排出削減対策、森林吸収源対策などを実施するための財源としての役割等をねらいとするものとしてさまざまな観点から検討が行われる、こういう認識が示されております。
 環境税につきましては、国民に広く負担を求めることになるためということで、さまざまな政策的手法の検討にも留意しつつ、地球温暖化対策全体の中での具体的な位置付け、その効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、諸外国における取り組みの現状などを踏まえて、国民、事業者などの理解、協力を得るように努めながら、真摯に総合的な検討を進めていくべき課題ということでございます。
 ちなみにこの京都議定書目標達成計画の前身に当たります地球温暖化対策推進大綱におきまして、環境税というものは明確には位置付けられていなかったということでありまして、この京都議定書目標達成計画におきまして環境税を真摯に総合的な検討を進めていくべき課題だということで政府として位置付けたということでございます。私どもとしては、環境税という課題に真正面から取り組んで検討を進めていくということが求められているというふうに認識しております。
 以上が京都議定書目標達成計画でございますけれども、その策定に至る過程で、中央環境審議会でもさまざまな議論がなされましたので、その中のエッセンスだけ、13ページ、14ページで3月に出されました第2次答申のご紹介をしております。実は京都議定書目標達成計画にさまざまな対策、施策を盛り込んだわけですが、それぞれのさまざまな対策の実効を確保していくためにいろいろな政策が必要だということのために検証作業を行いました。どういう政策が求められるかということの検証作業を行いました。まとめにありますけれども、結局、あらゆる政策手法を総動員して、対策の裏付けとなる施策について一層強化を図っていくことが必要であるということでございます。
 2番目のマルで経済的手法の重視ということが言われております。3番目のマルで環境税について、価格インセンティブ効果、あるいはライフスタイルやワークスタイルの変革を促す強いメッセージということでのアナウンスメント効果、こういうものが期待されているということでございます。4番目のマルですが、検証作業の中で、地球温暖化対策を進めていくために相当規模の追加的な経済的支援が不可欠であるということが明らかになって、そのための安定的な財源の確保が必要だということが言われました。その中で環境税というものが、その税財源として適当だという形でございます。最後に、今後環境税について、具体的な姿、仕組みについて早急に検討していく必要がある、審議会としてはこういう結論をいただいております。
 最後のページは、温暖化対策には相当な経済的支援が必要だということで、環境省の試算を審議会に報告させていただきまして、それが答申の中でも紹介されております。ここに表がありますけれども、左側に各部門ごとにさまざまな対策があります。それに実際どのくらいの費用がかかるかということを試算したものですけれども、まず、社会全体で企業、個人が対策をとる、それに対して政府が支援するという意味で、誰かが払わなければならないというものを試算したところ、年間2兆円を超える規模になるのではないかというような試算でございます。そのうち実際に政府が経済的に支援していくものについては、およそ年間4,000〜7,000億円必要になるのではないかという試算を紹介させていただきまして、環境税を議論する上で、一部ですけれども、安定的な税財源が必要というのはこういうところの試算を根拠にしているということでございます。
 以上が今までの議論の経過でございます。繰り返しになりますが、京都議定書目標達成計画で真摯に総合的な検討を進めていくべき課題ということでございまして、その対策をしっかりと進めていくために検討していく課題として環境税が位置づけられているということでございます。
 それでは、今までのこのような経過を受けまして、本委員会にどのようなことをお願いしていきたいかということについて、資料5に基づいてご説明させていただきます。
 資料5をご説明する際に、これまでの成果を少しごらんいただく上で、参考資料をお配りしておりますけれども、適宜ご参照いただきたいと思います。その中で特にご参照いただくのは、参考2というのが昨年12月に施策総合企画小委員会で取りまとめました「温暖化対策税制とこれに関連する施策に関する論点の取りまとめ」というものでございます。この冊子は環境税をめぐるさまざまな課題につきまして議論いただいた結果を、こういう税にすべきだという結論ではなくて、さまざまな論点を整理したものでございます。1ページお開きいただきますと目的がありますが、基本的考え方、効果、経済影響、課税標準、税率の水準、課税段階、軽減方策、税収の使途、こういった課題について論点を整理したということでございます。この参考2には後ろに参考資料という形で資料集がついております。この辺はこれまでの分析の成果でございます。こういった分析もしてきたわけですが、さまざまな議論がなされているということで、さらに検討を深めていただきたいということでお願いしたいということでございます。
 もう一つ、参考資料3は先ほどご紹介いたしました第2次答申でございます。
 それから、参考4−1からとじたものがございます。これも、これまでさまざまな場面で、例えば専門委員会や小委員会に資料として提出してきたものをまとめたものでございます。
 資料5を中心にご説明いたしますけれども、適宜参考2、参考4−1というものも参照させていただきたいと思いますので、お手元に置いていただければと思います。
 それでは、資料5「当面の検討事項について」ということでございます。まず、環境税の価格インセンティブ効果、アナウンスメント効果などについてさらに検討を深めたいということでございます。
 まず、検討課題ですが、環境税につきましては、経済的手法の一つだということで、他の施策と比較して公平性、透明性、効率性、現実性、確実性の観点から優れていて、京都議定書に掲げられる対策の実効性を確保する手法として有力な手段という考え方がある一方で、国民に負担を求める「税」という手法だということで、国民、事業者などの十分な理解と協力を得ることが必要であるという指摘が一方であるということでございます。
 もう少し補足いたしますと、京都議定書の6%目標を達成するための手段として有力なんだと、こういうような議論がなれている一方で、そのためには、まださまざまな政策手法があるのだから、「税」というのは最後の手段でいいのではないかというような議論もございます。そういったことをめぐって、環境税というのはどういうものとして意義付けるか、京都議定書の目標達成のためなのか、あるいはポスト京都も含めた将来の新しいルールづくりとしてとらえるのか、そういったことを含めて検討を深めることができないかということでございます。
 特に価格インセンティブ効果につきまして、2番目のマルになりますけれども、最近、原油価格が高騰しているんだけれども、原油の需要が減少していない。だから、結局環境税を導入してもその効果が乏しい、限定的ではないか、こういうような指摘があります。この点につきましては、昨年の施策総合企画小委員会の取りまとめでは、過去のエネルギー価格の変動が需要に与える影響の分析などを行っております。そこでは短期的にはともかく中長期的には効果があるというような結論をいただいておりますけれども、部門ごとにどういうような効果があるのかということをさらに検討を深めることができないか、こういう課題でございます。
 それから、アナウンスメント効果に関しましては、実はこれまでほとんど議論が行われてきていないということで、実際どういう効果、あるいはどういうメカニズムで効果が発揮できるのか、こういったことも検討を深めていくことができないかということでございます。
 検討の方向性というところですが、まず環境税の意義でございます。先ほどの検討課題1つ目のマルに対応していることですが、環境政策において経済的手法の一つである「税」という手法を用いる。要は、環境負荷に対して価格付けを行っていき、市場メカニズムを活用していくということの意義ということについてでございます。経済学の教科書にそれぞれ書かれていることかと思いますけれども、再確認する意味で検討を深めたいということと、もう一つは、税制に環境という視点を組み込むということの意義についての検討、この辺は中央環境審議会ではあまり議論がなされていないということでございます。例えば所有とか所得に着目した税というものと、環境負荷というものに着目した税というのはどういうふうに考えたらいいのか、あるいは税制のグリーン化ということをどういうふうな意義としてとらえたらいいのか、こういったようなことも検討を深めてきたいということでございます。
 2番目のマルですが、他の分野ということで、いわゆる環境税、二酸化炭素の排出抑制、温暖化対策を進めるという意味で議論されているわけですが、例えば自動車のグリーン税制とか産廃税とか、ごみの有料化とか、さまざまな部門で税をはじめとした経済的手法が検討されていますが、そういったものについての意義・効果というものを考察して、それを環境税の意義・効果ということに関して少し応用して考えていくことができないかということでございます。
 次に、諸外国における環境税の意義・機能についての検討ということでございます。諸外国の関係はこれまでもいろいろと調べてきております。例えば昨年の施策総合企画小委員会の論点の取りまとめ、参考2の参考資料の121ページ以下に諸外国の温暖化対策税制の概要を取りまとめております。ここではフィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、オランダ、ドイツ、イタリア、英国、スイス、フランス、こういった国々の環境税について、導入の経緯、具体的な仕組み、課税対象、税率、そういったものも含めて整理をさせていただいております。こういった調査をしておりますが、実際にそれぞれの国でどういったことが環境税に期待されて、あるいはどういった機能を期待されているのか、もう一回整理をしてみたいと思います。
 例えば我が国で今議論している中では、環境税をかけると同時に、その税収を温暖化対策に充てるということが多く議論されてきておりますけれども、ヨーロッパの国々におきましては比較的そういう例は少なくて、いわゆる一般財源として充てる、あるいは社会保障の関係の財源として充てる、そういったような部類が非常に多くございます。そういったものはそれぞれの国情の違いによりいろいろあるということかと思いますけれども、そういったこともレビューして環境税の意義というものをどういうふうに考えていくのか、その辺を再整理したいということでございます。
 資料5の2ページに参りまして、エネルギー価格が需要に与える影響、エネルギーの価格弾力性についての分析ということでございます。昨年は、施策小委で短期的にはともかく中期的には効果があるという結論を出しているところでございます。資料4−1という天野先生の論文、これも審議会に提出されたものですけれども、エネルギーの最終消費に与える価格弾力性の分析ということですが、2ページ目をお開きいただきますと一番下に表があります。産業部門、民生などの部門に応じまして、短期の価格弾力性と長期の価格弾力性を示しておりまして、その一番下に全部門というのが掲げてありますが、短期の価格弾力性が−0.176、長期の価格弾力性が−0.515ということで、この長期というのは7〜8年というタームを考えておりますが、このように長期、短期で見ますと、エネルギー消費に与える価格の影響というのは長期にはきいてくる、こういうようなデータがあります。これを活用させていただきまして、さらに分析も踏まえて審議会でも、短期はともかく中長期には効果があるということを言わせていただいておるわけです。ただ、これにつきましてもさまざま議論がございますので、データをさらに収集して、再度分析をしてみたいと思いますので、それも先生方にご議論いただきたいと思います。
 もう一つ、エネルギーの価格弾力性の分析について、モデル上でも効果の分析をいたしております。実は議論といたしましては、高税率なら効果があるのですが、低税率なら効果が乏しいという議論になっているわけですが、果たしてそうかというところも議論をさせていただきたいと思っております。例えばモデルなどで分析いたしますと、参考2の参考資料の1ページ、2ページをごらんいただきたいのですが、環境税の効果ないし経済影響を分析するためにモデルを回して分析いたしております。モデル分析の中でもどういった価格の効果が出てくるかということですが、端的に言いますと2ページの上のところですが、さまざまな機器を導入する際にイニシャルコストとランニングコスト、その合計を比較して安い方に流れていくという分析をしているわけです。
 ここで言うと機器A、機器Bの比較になるわけですが、何も対策がない場合には機器Aの方が安い。温暖化対策税が導入された場合には機器Bの方がランニングコストも含めると安くなるので、そちらの方にシフトしていくという分析ですが、これはある価格の差が逆転したときに一気に導入が進む、こういうような分析をしているわけです。実際に人々の行動がそういうふうにいくかどうかということに関してさらに検討が必要ということで、まだ分析がなされていないわけですが、エネルギー消費者の行動をアンケート調査などで明らかにしつつ、分析結果を解釈するということができないかということも検討してみたいと思っております。
 また資料5に戻りまして、(3)アナウンスメント効果ですが、これにつきましてはほとんど議論がなされていないということで、先ほどもありましたが、例えば自動車のグリーン税制、ごみの有料化、こういったものも見ながら、アナウンスメント効果についてさらに検討を深めていきたいと思います。
 それから、諸外国の環境税の効果ですが、先ほど諸外国の表をご紹介いたしましたが、その中で、諸外国の政府当局などによる効果の分析がありますけれども、それについてさらに情報を仕入れて検討を深めていきたいということでございます。
 (5)温暖化対策全体の中での環境税の位置付けでございます。昨年の環境省の具体案を先ほどご説明いたしましたが、その中で効果を4%強見込んでいるということをご紹介いたしました。これは一応モデルによる価格インセンティブ効果を試算して、これを大体0.5%と見ました。それから、税収を温暖化対策に充てることによる削減効果、あるいは吸収効果、これを4%弱と見たわけですけれども、こういった中で4%強というのを温暖化対策全体の中で位置付けるということをやりました。
 ただ、アナウンスメント効果については、実は定量的な見込みを立てていないわけですが、こういう意味で価格インセンティブ効果、アナウンスメント効果、それに税収を温暖化対策に充てる財源効果、こういったことも踏まえて全体の中でどう位置付けていくかということを考察するということでございます。
 (6)その他ですが、既存エネルギー諸税の温室効果ガスの削減効果について検討するということでございます。もちろん環境税が導入されなくても、既存のエネルギー課税というのがあります。揮発油税とか、石油石炭税とかさまざまありますけれども、こういったものについて実際に削減の効果を上げているのではないかということで、かつて、実は揮発油税の暫定税率見直しの際にモデルで試算したということがあります。それは一回試算しただけでございますので、既存の税制というのはどういうふうな効果を持っているのか、この辺も検討してみたいと思います。
 次に、資料5の4ページ目、環境税額の価格転嫁ということでございます。ご承知のように、我が国のエネルギー流通は非常に複雑ですが、そういう中でこれまでの効果や、経済界で分析をしている中では、私どものいわゆるモデル分析では、たとえ上流課税、つまり蔵出し段階の課税であっても、エネルギーの消費段階まで税額が転嫁される、こういう仮定で議論してまいりました。実際に転嫁できるのかということがいろいろな議論の中でも指摘されているわけですが、これまでの検討では、原油の輸入価格の変動と、卸売価格や小売価格、そういったものの変動を比較しての分析をしていますけれども、ここでは概ね小売りまで価格転嫁されているという分析結果が出ておりますが、昨年来の原油価格の高騰に伴う動きによってはどうなのか、こういったこともさらに新しく分析してご検討いただきたいということを考えております。
 さらに、実際に価格変動がどういうふうに影響しているかという分析のほかに、実際にガソリンや電力の小売価格というのはどういうふうに決まっていくのかというあたりももう少し詳細に調べた上で、税額の転嫁についてどういうふうになっているのか、あるいは転嫁を進めるためにどうすべきなのか、その辺について検討を深めていきたいと考えております。
 5ページ目に参りまして、国民経済・産業に与える影響ということでございます。これまで環境税の影響に関しまして、マクロの経済影響に関しましては経済モデルによる分析をしたということです。それから、業種別の影響については、一部経済モデルで業種別の分析をしたほか、業種別にエネルギーコストの比率がどうかということで検討をしてきたところでございます。全体的にこれまでの検討では、経済全体に与える影響は軽微だと、ただ、業種ごとに影響が違うということで、その業種ごとというのは、エネルギー多消費産業について影響が大きいだろうというような分析をこれまでしてきているところでございます。ただ、具体的に各業種にどういう影響があるのかということはあまり詳しくは分析してこなかったということでございます。そのあたりを深めたいということでございます。
 検討の方向性の(1)各業種に与える影響ということですが、まず、各産業部門に及ぼす影響という中では、具体的には、例えば一定の税率を決めるとどのくらいの課税額が各業種に行くというのが試算できるわけですが、それが各業種にとってどういう影響があるのかというのは、その業種の生産額とか、設備投資がどうなっているのかとか、利益がどうなっているのか、そういうようなことと比較して分析しなければいけないということかと思いますけれども、そういった分析もこれまでなされていないということでございますので、そのあたりも資料を取りそろえてみたいと考えております。
 あと、諸外国での分析ということで、OECDにおいてヨーロッパで導入されている環境税についての分析がなされているということですので、このあたりについても分析結果を手に入れまして、ご紹介して、ご議論いただきたいと思います。
 (2)エネルギー価格の変動の消費財価格や輸送価格への転嫁ということです。先ほどの税額の転嫁というところでは、消費段階までの転嫁ということを申し上げましたけれども、逆にエネルギーを消費するところから、その製品あるいは輸送価格との関係ということでございまして、その辺の価格転嫁についての分析はこれまでよくなされておりませんので、分析してみたいということでございます。特に昨年来の税制改正の議論の中では、例えば運輸部門については転嫁するのが難しいので、こういう税金がなかなか理解できないというようなご意見もございましたので、その辺が実際どうなっているのか、その辺を検証したいということでございます。
 次に(3)国民経済・産業に与える影響という形で、雇用とか新たなビジネスの創出といったようなところの、マイナス面の影響のみならずプラス面の影響も含めて検討を深めていきたいということでございます。
 (4)その他ですが、環境税の導入などの温暖化対策、それと経済への影響との時間的な関係と、ちょっとわかりにくい表現になっておりますけれども、基本的に温暖化対策、今待ったなしの課題でございまして、対策というのは早く講じるほどいいんだというのが一般的な言われ方ですけれども、実際に対策が遅れればコストが増える、対策が早ければコストが少なくて済むということは言われておりますけれども、実際に具体的な検討がなされておりませんので、このあたりについても検討を深めたいということでございます。
 7ページ目、産業の国際競争力に与える影響とリーケージということでございます。まず、国際競争力という観点ですが、産業の業種別の影響は先ほどのところで検討するということですが、実際にそれを緩和する方策として国境税調整というのが提案されております。これまで環境税を導入した国で国境税、つまりCO2の排出量、あるいは化石燃料に着目して課税しているという国の中で、それについての国境税調整を行っているという事例は見られないということですが、フロンなどの課税に関してアメリカで国境税調整が行われた前例があるということで、この辺を分析いたしまして、実際に環境税について国境税調整というのがあり得るのかどうか、この辺も検討を深めたいと思います。
 ただ、直感的には、実際にそれぞれのエネルギー消費があるわけですけれども、それに基づいていろいろな製品ができていってということで、実際に輸出される製品の中で、これがどれだけCO2を排出してきたのか、実際にどれだけ税がかかってきたのかということをすべてについて把握するというのは難しいことだと直感的には思っておりますけれども、その辺まだ実質的には分析をしていないので、その辺もできればということでございます。
 次にリーケージということでございます。注にありますように、一部の先進国が環境税の導入などで二酸化炭素の排出削減策を講ずるというときに、その国と他国との関係で、他の国の産業の国際競争力が増す。特にそれが途上国に移転するということで、その効率の悪い生産活動が拡大すると排出量がそこで増加していくということで、先進国で抑えることが、排出量が漏れるという意味のリーケージですが、途上国で増えてしまうというような議論があります。この議論の中では、特に日本で環境税を導入して対策をとることで、生産が途上国に移って、かえって全体として見れば排出量が増加してしまうのではないかという議論がございます。
 これにつきましては、気候変動に関する政府間パネル、IPCCの報告書がありまして、その中で確かにリーケージ、先進国で減ると途上国に一部漏れていくということは起きるのですが、その起きる度合いがどれだけかということで、ここに数字は書いてありませんけれども、先進国で減らした分の15%〜20%ぐらいまで途上国で伸びるんだというような分析を出しております。つまりトータルとしては先進国で減らした分の方が勝つということが全体として言えるということですが、これは複数のモデルの計算結果を踏まえての分析ということでございまして、リーケージの議論は、議論として非常に大きく出ておりますので、さらに原典も当たって議論を深めたいというふうに考えております。
 大体1から4まで、検討を深めていただきたいと思う事項は以上でございます。ちょっと長くなりまして恐縮でございました。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまご説明いただきましたが、大きく2つに分かれておりまして、1つはこれまでの環境税に関する議論の状況についてご説明いただいた上で、今後検討していく事項についてたたき台を出していただいたわけですが、大きく4つの柱に整理されていて、1番目が価格インセンティブ効果、アナウンスメント効果、2番目が転嫁の問題、3番目が国民経済・産業に与える影響、4番目が産業の国際競争力に与える問題などについて、これまでの検討を踏まえて、ここの委員会で詰めていかなければならない論点についてご提示いただいたわけでございます。
 どこからでもご質問、ご意見をちょうだいしたいと思います。

○佐和委員 資料4についてですが、環境省の環境税制案と自民党の案がございます。2つ質問したいことがあるのですが、一つはジェット燃料と書いてありますが、ジェット燃料というのは国内航空だけに関してなのか、それとも国際線をも含んでいるのかどうかということです。
 もう一点は、電力に関しては、環境省の案では25銭/KWhということになっております。これは年間に生産され消費される電力の電源構成からキロワットアワー当たり0.25円という数字が出てきたのですよね。すなわち、石炭火力への依存度が高い北海道電力も、原子力に対する依存度の高い関西電力もすべて同じ税率だということですね。他方、自民党案の方では全国平均で0.31と書いてあるということは、電源構成に応じて、電力会社別に変えるべきだということなのですね。在来の10電力会社はさておくこととして、いわゆるIPPはほとんど火力で発電していますから、自民党案は、IPPにとって不利な税制だということになりますよね。
 以上の2点についてお伺いします。

○鎌形環境経済課長 2点ご質問がございました。まず、ジェット燃料ですけれども、これは国内のジェット燃料にかけるという想定でございました。
 次に、電力の電源構成についてですが、環境省の具体案と自民党の部会の案と微妙に書き方が違っているわけです。環境省の場合には、電源構成の違いによりどうするかということについては白紙でした、オープンでやりました。つまり考え方としては全国一律にするという案もあったし、それから電源構成に応じて会社別にやるという案もありましたけれども、この段階ではどちらとも決めずに、全体としての平均を出させていただいたという形でございます。
 自民党の方の部会案につきましては、ここにありますように、「(全国平均)」としてあって、かつ下の注で、「なお、電気については、原子力、水力、火力など発電の構成の違いにより、税率を調整する」ということになっておりまして、もちろん9電力もありますけれども、IPPについても、火力が多ければ、そういうものによって税率の調整、つまり石炭火力が多ければ高いということになりますけれども、そういうことを念頭に置いておられたというふうに理解しています。

○佐和委員 一つつけ加えさせていただきますが、そうした案に対して、いわゆる電力自由化に対する障害になるといいますか、IPPに対して不利になるというような意見は出たりはしなかったのですか。

○鎌形環境経済課長 電力の発電構成の違いによる税率の問題に関して、私ども環境省としてはいろいろな考え方があるというご説明はしていたと思いますけれども、IPPに関してどうかという議論はあまりなかったのではないかと思います。私どもは両論あるんだという議論をしておりました。

○神野委員長 ただいまのことに関連して、議論の前提になりますので、これまでの議論の状況について何かご質問がございましたら最初に承っておきたいと思います。

○後藤委員 一つだけ質問させていただきます。環境税の影響ということでいろいろ試算されています。例えば環境税の骨子という自民党案でも環境省案でもいいですが、3,000円/炭素トン当たりかけたときに、家計の負担が幾らと書いてあります。これはどういうふうな前提で計算しているのか、いろいろあると思うのです。価格効果というのを期待するとすれば、人々が消費を減らせば負担はゼロということもあり得るわけです。あるいはこの値が全く家計が行動変化をしないという前提のもとに試算しているとしたらかなり矛盾したことをあちこちで言っているわけです。これはどういう根拠で試算されているのか、ご説明いただきたいと思います。

○鎌形環境経済課長 いろいろな議論の過程で出した資料の中からですけれども、ちょっとお手元の資料には入っていないようですが、基本的な考え方を申しますと、ご家庭でエネルギーを使われるという場面は、電気、ガス、車のガソリン、こういったものがあります。ご家庭で最終的にエネルギーを消費するものの統計をまず既存の統計から引っ張ってきまして、それについてどのくらいの消費があるかという平均的なものが出ますので、それに各税率をかけて出すというようなことでご家庭で幾らというのを出しました。ということで、税がかかることによって行動が変化するとか、その辺は捨象した上で、今の消費の状況に応じて税がかかればこれくらいの負担になりますという試算をさせていただいたという形でございます。一つの目安という形でございます。

○神野委員長 ほかにご質問ございませんか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、またもとに戻っていただいても構いませんので、お出しいただいた当面の検討事項案、資料5を中心にご説明いただいたわけですけれども、これについてご意見を含めてお出しいただければと思います。

○金本委員 一つは、これからいろいろ検討されるのですが、検討結果の妥当性を評価する情報が出てくるのかどうかということが気になっておりまして、いろいろな試算とかモデルとかが出てきますけれども、詳細情報が公開されないことが多くて、結果が妥当かどうかという評価が難しいということが多い。それについてなるべく詳細情報を、こういう委員会で出していただいても時間はないのですが、全面的に公開していただきたいというのが一つです。
 もう一つは、具体的な検討について、一つ注意していただきたいのは、例えば税収を温暖化対策に充てることの効果というところの検討について、実はきちんと考えると非常に難しい。これは基本的に対策にお金を出したケースと出さなかったケース、この両方を予測しなければいけないのですが、実際にはどちらかしか過去のデータがないということがほとんどです。こういったことについてきちんと考えていただきたいということです。
 もう一つは、往々にして、効果というのは何パーセントとか一つだけ数字が出るのですが、それの不確実性についての評価がないというのが日本で一番問題で、この辺をきちんと考えて出さないと我々として後の扱いが難しいということがあります。とりあえずそういう点について気をつけていただきたいということでございます。

○神野委員長 これから出していただく資料などについてのご要望ですが、いかがでしょうか。

○鎌形環境経済課長 これから例えばモデルを使った分析とか、あるいはさまざまな過去のデータのトレンドを回帰分析するとか、いろいろあろうかと思いますけれども、もちろんバックデータも含めてご紹介できるように、この場にこんな分厚いものを出すのかということはございますけれども、参照できるような形にはしていきたいと思います。
 それから、税収を充てる効果に関してのご指摘でございますけれども、確かに出したケース、出さなかったケースというものでの分析が必要ということかと思いますけれども、先ほどご紹介しました審議会で、税収として逆にこれぐらい必要になるのではないかというような議論はさせていただいたことがありまして、それは計画に掲げられた対策を進めていく、そのためには大体このくらい必要になるのではないか。逆に言うと、4,000億か7,000億というものを出しましたけれども、そういうものを出せばこのくらい対策が進むという考え方で出したことはございますけれども、実際に出してどうかというのは、モデルを回してとか、そういうことはまだやっておりません。

○金本委員 モデルを回して出てくるかどうかというのはなかなか怪しいところがありまして、この辺は過去の補助政策の評価をして、その結果を使う必要があるだろうということで、この点、実際にやると非常に難しくて、できるかどうか私は全く自信がございませんけれども、そういうことをやらないと補助を出しても効果がないだろうという人がたくさんおりまして、そういった意見に対するクレディビリティーはないだろうという感じがいたします。

○神野委員長 出てきた資料について、その都度問題点をご指摘していただくとして、事前に金本先生の方から何かございますか。今のようなご注意だけでよろしいですか。税の方にもありますよね、ゼロの場合とゼロでない場合と。

○金本委員 あまり皆さんに予断を持たせるようなことは、具体的なことについて言わない方がいいかなと思いますので、ただ、こういう問題の分析というのはあまり易しくないので、その点はきっちりとやっていただきたいということでございます。

○神野委員長 これは、言うは易し、実際に出すのは大変なものですから、できるだけご要望に沿うような形でご努力いただきたいと思います。

○森地委員 もともと非常に大きなシステムで、しかも、過去のデータで支えようとすると、ものすごく変動しているものに対して額としては小さいものの影響を見るということですから、ものすごく難しいのはよくわっています。しかしながら、この議論が、ものすごく精緻に計算されたのに、この何年か見たら全然違うじゃないかとか、極めてプリミティブなところに戻って、それに対して、そうではなくてここは当たっているけれども、ここは当たっていないというような、そういう答え方ではなくて、きちんと読んでなくて、今初めて聞いたのですが、短期は当たらなくてもよくて、長期は当たるんだと、何か議論がすれ違っていて、専門技術的な議論には思えないのです。
 基本的に、この膨大なこれからのプラン、大変興味があるのですが、この中で今までのシステムで問題があって、こういう項目が入っていなかったから、これも追加してやりましょうという話と、全く検討もしていなかった項目だから入れましょうという話と、今までのモデルの、先ほどの金本先生のお話のように、どこかに問題があったので、そこは修正しましょうと、何かテクニカルな部分についての表現が全くなくて、これからやることが併列にずっと来ていて、具体的にどこをどういう格好で検討するのかという話があまりクリアではないように私は思いました。こういうことにずっとかかわっておられる方はよくおわかりのことだから、こうなっているのかもわかりません。
 しかしながら、もし議論が極めて単純なところで世の中で批判されて、それに対して単純レベルの話でああでもない、こうでもないとやっていたら、いつまでたっても議論は集約しないので、論理的に言えることは論理的にやった方がいいし、言えないところは、これはもう政策判断ですから、ここは非常に不確かだけれどもこうだという格好で支えなければしようがないだろうと思うのです。その辺のスタンスがこの資料5にはあまり見えなくてずっと来てるので、ちょっと気になりました。
 もう一つは、アナウンスメント効果についてどうするかという話のときに、ここでモデル上言われていることに対して、そのほかの効果があるのではないかという意味のアナウンスメント効果と、本来のアナウンスメント効果と、ここの本来のという意味は、全く経済的影響がないところで、完全に意識レベルだけで起こることがあまりクリアに分けられてなくて、その他大勢をアナウンスメント効果と呼んでいるようにも見えてしまったのです。そうだとすると、もともと論理的に言っているのは何で、それ以外のところとしてどんな問題があって、そこを追求するのにどうするのかという話を意識しないと、アンケート調査をするにしてもやりようがない。どんな質問項目をつくるのか、あるいはそれに対してどう答えてもらうのかという話がクリアにできないのではないかという気がしました。ちょっとテクニカルな話ばかりで恐縮です。

○田村総合環境政策局長 2点、大事なご質問だと思います。最初の方の資料5の政策スタンスでございますけれども、基本的には、環境税について、ここには4つほど論点といいますか、今後の検討すべき課題として書かせていただいておりますが、今課長からご説明申し上げたように、一応検討はしてきたし、それなりの資料も一応は用意して今まで勉強してきたわけでございますけれども、昨年、税制改正要望をして、その後さまざまな賛成、反対いろいろな議論を聞いた中で、ここのところはもっと検討を深めるべきだとか、ここのところは少し足りないのではないかというところを特に絞って、これは単なる例示でございますから、まだいろいろあると思います。これはまた先生方から教えていただきたいと思いますが、こういうふうなところについてきちんと、本当に効果をどういうふうに考えるのか、あるいはリーケージについてどう考えるのか、あるいは転嫁についてどう考えるのかということをもう少し検討を深めておく必要は客観的にもあるし、それはおっしゃられたように、確かに実際に難しい分野ですし、それが定量的に、具体的に答えが出せるかどうかわかりませんけれども、広く国民に負担を求める以上、みんなで環境税というのはこういうふうな効果があって、こうということを議論しておく必要があるだろうという例示として掲げております。
 ですから、それらについてこれまでの議論をさらに深めるという意味で、あるいは反対論の中でも耳を傾けるべき議論もたくさんありましたから、そういうものを踏まえて、もう少し幅広い分野からきちんと議論を深めたいという例示として掲げているということでございまして、それらをもう少し詰めながら、今後環境税の具体的な議論を考える、仕組みを考える、さまざまな際に参考にしていきたいというつもりでございます。
 もう一点、アナウンスメント効果の話は森地委員おっしゃるとおり、非常に難しい議論で、そもそもどう定義するかということからあるのですけれども、ここで言っておりますのは、環境税というものを国として、あるいは一つのシステムとして導入することに伴う国民の認識、環境税というものが入ることによる、発表されることによって、CO2の削減というものを自分でも身の回りでやっていこうかという、いわゆるアナウンスメント・エフェクトと言うのでしょうか、ただ、アナウンスメント・エフェクトというのは、言葉自体非常に幅が広いものですから、例えばケース・バイ・ケースでいろいろな意味合いが異なってくるのは事実でございますから、そこら辺も含めて少しアナウンスメント効果をやるときにご議論いただきたいと思います。
 ちょっと答えになっていないかもしれませんけれども、そんなつもりでございます。

○森地委員 1点目に関しては、全体的なこういうモデルがあって、今まで使っていた幾つかのモデルがあって、その中でこういう問題が、もう一つ議論があるから追加的にやりましょうとか、例えば価格弾力性でやりましょうとか、何とかの調査でやりましょうといったときに、もとの話の中の全体とこれの関係をはっきりしておかないと、もとのところをやり直さなければいけないのか、ここはもうよくて、補強するためにやるので、これはいいんですよという位置付けでやられるのか。
 私がこのフロチャートを書けと言われたら、全体の問題を、この問題についてはこういう格好で解き、この問題については、金本先生おっしゃったように、こういう格好で世の中に応え、これについては補強材としてこうなりますというような、そんな枠組みを想定するのですが、こちらはどちらかというと目的オリエンテッドな格好で書かれているので、どこかの段階ではそれをやっておかないと、自分で今までつくったモデルのうち、これはこれありきで、数字はこれですと言っておきながら、ここは別の数字でやりますというと、ここで出すアウトプット自身の論理整合性が保てないようなことがちょっと気になりました。

○神野委員長 私の理解では、アナウンスメント効果というのは多分ピグーですよね、言い始めたのは。いずれにしても、私どものやっているドイツの財政学では、租税の作用を3段階に分けていまして、1つは知覚段階、もう1つは納付段階、納税段階、もう1つは負担が帰着していく段階、その3つに分けるのです。アナウンスメント効果というのは知覚段階で作用します。それから、納税する段階では、2番目に出てくる転嫁の問題が機能します。それから、インセンティブのような誘因は帰着された段階で機能しますと、こういうふうに単純に分けて議論をいたしております。これは答えになっておりませんが、一応分類学上そういうふうに私どもの方では議論しながらまとめております。
 ほかにございませんか。

○佐和委員 2点か3点申し上げたいのですが、まず、資料5の2ページ目の冒頭にエネルギー価格が需要に与える影響についての検討というのがありますが、先ほど天野先生の計算された結果ということで、総じて言えば、短期の弾力性に比べて、中長期の弾力性はかなり高いという結論が得られています。この推計結果はいわゆる分布ラグ・モデルを使って導かれたものです。ラチェット効果、すなわち急に価格が上がったからといって、消費者は即座に反応するのではなく、じわじわと生活習慣を変えていく、そういう意味での中長期的な効果なのです。
 ところが、私は、特にこういうエネルギー関連の消費に関しては、機器の取り替え、例えば次に自動車を買い替えるときに、ガソリンの値段が上がったから、低燃費車に買い替えようとか、あるいは不必要に大型な車に乗るのはやめようとか、あるいはエアコンを買うときにも、電力料金が上がったからということで、パンフレットを見比べて効率のいいエアコンを取り付けるということで、機器の取り替えまでも含めた期間、それが6年か8年か知りませんけれども、そのぐらいの期間で考えれば十分効果があるのではないでしょうか。ですから、中長期的な効果があるというのは、モデルで計算することも無論必要ですが、私が今申し上げたような常識に照らしての議論をするほうが説得力があると思います。
 それから、アナウンスメント効果についてですが、環境税に関連して次のように主張される人が少なくありません。いわゆる上流課税にすると、消費者の行動にあまり影響が及ばないのではないかとよく言われます。ところが、2次エネルギーに課税されれば、電力料金の請求書を見たときに、「環境税○○円」と書いてある。たとえその金額がわずかであっても、「何でこんな税金がかかっているのだろうか。そうそう地球温暖化を防止するためだ」ということで、またガソリンを買うたびに、たとえ2円にせよ「環境税がかかっていますよ」ということが領収書に明記されておれば、温暖化防止のために自分も貢献しなければという意識を高める。これがアナウンスメント効果なのです。
 アナウンスメント効果を数量的に測るのは、ほとんど不可能だと言わざるを得ませんが、自動車税制のグリーン化の効果は思いのほか大きく、低燃費車のみならず低公害車が予想外によく売れました。あれなどはまさしくアナウンスメント効果そのものではないでしょうか。グリーン化により保有税が軽減されたからといって、例えばプリウスを買って元が取れるかというと、元が取れるほどの減税額ではなかったわけです。しかし、そういう軽減措置が講じられたというアナウンスメント効果の結果として低燃費車がよく売れたのです。アナウンスメント効果の前例として貴重な経験だったのではないでしょうか。
 それからもう一点、価格転嫁の問題がありました。これは経済学のABCに照らして言えば、価格の需要弾力性が非常に高ければ、価格転嫁は緩やかといいますか、費者が負担するのはごくわずかで、供給者が大部分を負担せざるを得ません。逆に、需要の価格弾力性が極めて低ければ、仮にゼロだとすれば100%が価格に転嫁され、消費者が全額を負担することになります。経済学の専門家の委員の方も多いので、頭の中で需要曲線と供給曲線を描いていただいて、供給曲線が左にシフトした場合、需要曲線が立っている場合と寝ている場合との違いをお考えいただければ、おわかりいただけると思います。経済学のABC的に答えるとすれば、今申し上げたような結論になるわけですが、エネルギーの短期の価格弾力性は低いと言われていることからすれば、環境税を価格に転嫁しやすいというのが答えになるのではないかと思います。
 以上です。

○鎌形環境経済課長 ポリシーミックスに関しましては、ご承知のとおり、例えばイギリスなどで政府と協定を結んだ業界ないし企業に関しまして、イギリスで言いますクライメートチェンジ・レビーが80%軽減されるとか、そういうようなことがある。そういう中でのポリシーミックスという中で環境税が構築されて、それがどういう効果を上げてきているかということの議論になろうかと思います。実際、昨年来の議論では、ポリシーミックスという中での議論ということがありますけれども、具体的な案としては、まず環境税というものを提案して議論をいただいてきました。また、こういった制度をどう仕組んでいくかということは、さらに進めばポリシーミックスの議論とか、そういうものもさらに発展して進んでいくことになろうかと思うのですけれども、当面は環境税に着目して少しデータなり、資料をお出しいたしますが、その辺でご議論いただきたいと思っています。ただ、制度的な検討をいろいろ進めていく中でいろいろな課題が出てきましたら、その都度またご紹介あるいはご相談させていただきたいと考えます。
 それから、環境税の意義という中でCO2の少ない技術開発の動機をつくり出す、そういったものについてはどういう分析を進めていくか、こういうようなお話だったかと思いますけれども、確かにこれまでの分析の中では、税をかけることによってより効率のいい機器が普及する、そういったものがどれだけ普及するか、それで効果をはかってきたということがあります。そういう意味で普及の動機付けという意味の分析はしてきたということかと思います。ただ、開発の動機付けということは、抽象的には、そういった開発が進むんだという議論はして、あるいは主張もさせていただいてきておりますけれども、詳細な分析をした上で、こういう動機付けがどういう量的な意義を持ってくるのかとか、その辺についてはまだやったことがございませんので、もし何かうまくできる方法があれば検討してみたいと思いますが、抽象的にはそういうことも考えたし、主張もしてきたということでございます。

○神野委員長 ありがとうございました。
 飯野先生、初回ですので、進め方その他について何かございましたらお願いいたします。

○飯野委員 前回委員長を務めた者として、一言今日の議論の進め方について説明させていただきます。前回私達が提案した環境税に対して色々な批判がございましたが、あまりデータに基づいた批判はなかったように思っております。したがいまして今回の委員会では、そのような批判に対してデータを示しながら疑問点に答えていこうというのが趣旨ではないかと理解しております。
 しかしデータに基づいた根拠というものにもいろいろとあると思います。前回はAIMモデルという、とても精緻で整合性のとれた計量モデルで根拠をお示ししたのですが、金本先生が指摘されましたようにそのモデルの前提を1つ1つ検討してみないと本当にそれが正しいかどうか分からないということもある上に、一般の国民の皆様に本当にご理解願えたかというと必ずしもそうではなかったような気がしております。他方では今回もう少し理解しやすい弾力性という概念を利用して根拠を示そうということになっておりますが、先ほど森地先生が言われたように、その場合にAIMモデルと同じ結果が得られない可能性も考えられます。そのような場合にどうするのかということを検討しなければなりませんが、私個人の考えでは、その2つの数値が違っても方向が同じであれば良いのではないかと思っております。
 もう1つの問題は、提案された環境税は新税であり、単なる増税であるということです。「新税は悪税」といわれるように、元々新税や増税に対して国民の批判が強いのは当たり前だと思っています。私達は通常、税の長短を議論する際には同じ額の税収を前提にしていくつかの税を比較しますが、ここで検討する環境税の場合には見返りの減税がなく単なる増税なので、国民の皆様に環境税の必要性を理解していただける根拠を探していくことは大変骨の折れる作業になるだろうと覚悟しておりますが、やらねばならないと考えております。
 以上です。よろしくお願いします。

○神野委員長 横山先生、いかがでしょうか。

○横山委員 中央大学の横山でございます。私は、税制に環境という視点を組み込むことの意義付けを明確にすべきではないかという考えです。短期的には、環境税の導入の成果指標はCO2の削減ということで、いわゆる政策評価の観点から言うと非常に明確な目的を持った政策手段としてどうかということで位置付けられると思うのですけれども、もう少し税制全体の中で環境に対する税の取り扱いというものを議論して、その一環として位置付けるべきではないかというのが、第1の私個人の考えでございます。
 それから、部門別の影響というのはかなり重要で、この環境税を入れることによってマイナスの影響を受けると予想されるステークホルダーといいますか、そういう人たちの反論が予想できるわけですから、どういう方々にどの程度の痛みがいくのか。その痛みについてどういうような用意をすれば、パブリック・アクセプタンスが得られるのかということも考えておかなければいけないのではないかと思います。
 3点目が、長期と短期の関係でもあると思うのですが、あるいはアナウンスメント効果にも関連すると思うのですが、これまでの計量分析はすべて生産関数や効用関数をギブンにして、価格が上がったときの最適生産要素の組み合わせや消費の組み合わせを考えるといったような形で計量してきているわけですけれども、これが本当にギブンで議論していいのかどうかということで、バックワードで考えればそうだと思うのですが、フォワード・ルッキングでいったときに、アナウンスメント効果として効用関数が変わる、あるいは生産関数が変わるような議論がやはりどこかで必要になってくるのではないかと思います。
 そういう点で言うと、価格弾力性の議論というのは、今までのビヘイビアを所与にして、その延長で人々が行動するという前提で数量分析をしているのではないか。ですから、長期的に考えたときに、税制に環境を組み込むことのメッセージは、人々の効用関数を変えられる、あるいは生産関数を変えられるということをどうにかつかまえられないかと思っております。
 以上です。

○藤井委員 皆さんがかなりいろいろなポイントを指摘されているのでつけ足すことは少ないのですが、先ほどから出ておりますポリシーミックスの議論でひとこと述べておきたいと思います。ヨーロッパでは、特に経済産業省のトップランナー方式の評判が高くて、ああいう規制的措置というのは非常に有効であると考えている人たちが結構いると思います。そういう意味で、環境税と、今回は財源としての配分という議論がありますけれども、その後の話、4%の効果を生む効果のところのメカニズムというのももう少しきちんと議論しておかないといけないのではないかと思います。
 産業別の効果においても、環境省原案では、例えば最大の排出業界であります鉄鋼業などを考えても、今石炭、コークスは免税すると言っているわけですが、削減ポテンシャルの高い装置の導入にその財源をあてるとすれば、私の試算では一番大きな削減ポテンシャルを持っているのは鉄鋼業界なので、そこに補助金が行くことになると思うのです。このように、税金を払わなくて補助金をいっぱいもらうという産業も多分出てくるのではないかという気もするわけです。ですから、そういう意味では、産業別に税の利用も含めてもう少しきちんと見ておく必要があるのではないかいう気がします。
 それから、ポリシーミックスの有効性に関しても、植田先生がおっしゃった技術開発の重要性に関してもトップランナー規制のようないわゆるダイナミック・レギュレーションのような、将来に向かって技術の進歩を期待してレギュレーションしていくような仕組みも、この枠組みの中でもう少し議論していただけるとおもしろいなと思います。
 それから、アナウンスメント効果については、皆さんもおっしゃっていますように、ヨーロッパでは環境レジームがかなり議論されて、ガバナンスのフレームワークというのが、全部できているとは言いませんが、議論が大分進んでいます。日本の場合には、特に環境ガバナンスがどういう仕組みになっていくのかというのがよく見えなくて、今までのお役所対お役所の議論が中心で、法制化の後の消費者と企業の行動変化しか期待されないといった枠組みだけで、税の使い道やその効果に対するモニタリングといった役割なしにアナウンスメント効果の議論をしようとするなら大きな効果を望むのは難しいと思います。先ほど横山先生が効用関数がシフトするというふうにおっしゃいましたけれども、誰がその大きな役割を果たすか、消費者が大きな役割を果たし得るんだというフレームワークが少し見えないと、税金を払っただけ、あとは良いものを買いなさい、効率の高いものだけ買いなさいという議論だけに終わってしまうような気がします。そういう意味では、環境レジームをこの中で見せろというのは難しいと思いますが、税を入れたときの効果として、次のステップにつながっていくようなフレームワークも少し中に入っていると楽しいなというふうに思います。
 以上です。

○増井委員 先ほど佐和先生とか植田先生の方からAIMモデル、価格弾力性の話が出ていましたけれども、試算した立場の者から言わせていただきますと、基本的に税がかかろうがかかるまいが消費者あるいは企業などの行動は変わりません。例えば消費者の行動でいきますと、自動車の使用を控えるということは一切考えずに、佐和先生もおっしゃったように、機器の買い替えの時期に、より効率的な機器に置き替える、その際の効果を示してまいりました。
 今回非常に話題となっておりますアナウンスメント効果、これをどのように定義するのか、先ほどからかなり盛り上がっておりますけれども、これによって、例えば消費者が自動車の使用をこのくらい控える、冷房の設定温度をこのくらい上げるということを議論し、その効果が果たしてどのくらい実際にCO2削減につながっていくのかということについて、藤井先生がおっしゃったように、一人一人の行動がこれだけの効果をもたらしているということをきちんと見える形で、説明できるような形で提示していく必要があるのではないかと考えております。
 もう一点、諸外国でさまざまな対策がとられているということを事務局の方からご説明がありましたけれども、環境税として今回提案されておりますような価格の効果と財源の効果、これを組み合わせた効果というものを、ヨーロッパ各国がどのように評価しているのかというところに私自身非常に興味があります。といいますのは、多くは税収が一般財源に組み込まれているということで、ヨーロッパ、比較的温暖化対策に関して先進的な地域の方々、政策担当者あるいは経済学者が、この日本の提案をどのように評価されているのか。そのあたりぜひともこういう場で明らかにしていっていただきたいと思います。
 以上です。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 そろそろ予定の時間でございますので、ほぼ全員の委員の方々にご発言いただいたわけですけれども、事務局の方でお出しいただきました検討の枠組みについては、皆さん方ほぼご了承いただいたのではないかと思います。ただ、進めるに当たってさまざまなご注意をいただいておりますので、事務局と相談しながら、この案を一応ご了承いただいたということを前提にした上で、ご注意をいただいた点について勘案しながら議論を進めていきたいと思います。
 生産的な議論をありがとうございました。皆様からご指摘があったように、租税の作用を量的に把握しようとすると非常に難しいので、時々新しい税金をつくるときに出てくる言葉として、必ず「旧税は良税なり、新税は悪税なり」という言葉が出るわけです。「これは誰が言った言葉ですか」という問い合わせが時々来るのですが、これはカナールという財政学者が言った言葉で、結局、税というのを変えても、負担はずっと分散していってまた前と同じような状態になるので、税を幾ら変えても意味がない、長期的に見ると同じことだというのがカナールの議論です。したがって、カナールに言わせれば、余計な混乱を起こさないように、旧税は良税であって、新税は悪税なのだという言葉が生まれたわけですが、先ほど横山先生がご指摘になりましたように、とはいえ、税制は大きく、非常に長い時間で見ると、お酒やたばこの税金を中心にしてきた時代から徐々に変わり、恐らく今後は環境というのが大きな税制の基軸に入っていく時代を迎えるであろうということは間違いのないことでございますので、新税は悪税なりということに甘んじることなく、量的な、困難な努力を積み重ねて、少なくとも未来を見失わないようにしたいというふうに思っております。
 次回の予定については一応5月下旬ということですが、私の責任が非常に大きいようですけれども、事務局の方からお願いいたします。

○鎌形環境経済課長 今のところ5月27日ないし31日の午前中ということで調整中でございますけれども、まだ委員長はじめ確定していないところがございますので、できるだけご出席の委員の多いところで決めたいと思います。近日中にご連絡を差し上げたいと思います。次回は5月下旬ということですが、その後、6月についても2回ぐらいと思っておりまして、これについてもそれぞれの先生方にご予定をお聞きしている最中でございまして、ご出席の多いところが固まってまいりましたらご連絡を差し上げたいと思います。
 あと内容につきましては、今日いろいろとテーマを挙げさせていただきましたけれども、結構作業がございます。データをそろえたり、場合によってはモデルを回す必要があるかもしれませんし、あるいは諸外国のものを取り寄せてとかということがございますので、何からというのははっきりしませんが、環境税の効果に関しては結構時間がかかりそうな感じがいたします。できたものからお出ししてご検討、ご議論あるいはご指導をいただきたいと考えておりますので、そういうことでちょっと前後するような資料の出し方になる可能性もございますが、それはご了承いただきたいと思います。

○神野委員長 皆様の方から特に何かございますか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、今日はお忙しい中をご参集いただきまして、本当にありがとうございました。不手際がございましたけれども、どうにか進めさせていただきました。次回から本格的な議論が始まりますので、ご協力をよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

午前11時57分閉会