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中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会
 第21回施策総合企画小委員会 議事録


平成17年10月17日 午後3時00分 開会

○鎌形環境経済課長 定刻を回りました。まだおそろいでない先生もいらっしゃいますが、ただいまから施策総合企画小委員会の第21回の会合を開催させていただきます。
 それでは森嶌先生、よろしくお願いいたします。

○森嶌委員長 雨の中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 前回までにこれまで小委員会で議論をされてきました問題点、それから地方ヒアリングで提起されました問題点など、どういう論点が提起されたかということについて事務局に整理をしていただきました。その上で今まで環境税、いわゆると言ってもいいと思いますが、いわゆる環境税をめぐってどういう問題点が提起をされているのかということで、まだ残されている問題はあるかと思いますが、今までに提起されている問題点を整理した上で、それではそれらに対してどういう資料なり、あるいは答えられるものならばどういうことが回答として現時点であるのか。あるいは、答えられない点があるのか。そして、それに向けてもし判断が違うものがあるとすれば、我々としてどういうことを議論していかなければならないのかということで、今回からは提起されたさまざまな論点を押さえながら、事務局に現存するデータの中からその資料を整理してもらいまして、今回から議論を進めていきたいと思います。
 今回はこういう資料がありますということと、それから第1回ですのでご議論いただいて、こういう点はもうちょっときちっと議論をしていかなければならないのではないかということにお気づきでしたら言っていただく。あるいは、こういう資料がほしいということであれば、その点も言っていただくということにしたいと思います。
 議論の出発点に当たっての整理ということを今日していただければありがたいと思います。
 なお、私は事務局が大変馬力をかけて整理していただいたのを見せていただいて、先ほど私たちはいわゆる環境税と申し上げたのですが、地方ヒアリングなどでは環境税と言っているとき、環境税なるものが人によって大いに違って、同床異夢といいましょうか、狭く言いますと炭素税と考えている人がいます。それからエネルギー税、この辺はそれでも共通性がありますが、人によっては森林の再生に関わる税金ということで、環境という言葉が広いこともありまて、環境税というのが焦点が合っていない。
 焦点が合っていないというのは非難すべきことではないのですが、さほどに環境税というものに対して国民に対する理解をしていただいていないということがあります。賛成するにも反対するにしても、きちっと環境税というものについての説明責任を我々が尽くしていないといいうこともあります。
 その点でこの資料は環境税というところから出発しなければならないはずですが、そこは抜けておりますので、事務局は少し整理してみよう。しかし、今まで出てきているところではこういうは指摘された、こういうことが指摘されたということで整理をしていただいております。今日の議論で皆さんのほうでもここをもうちょっと整理したほうがいいのではないかというお気づきの点がありましたらご指摘をいただければと思います。
 それでは、まず初めに配布資料につきまして事務局からご説明をいただきたいと思います。

○鎌形環境経済課長 配布資料についてご説明いたします。今回の資料は資料番号はございません。資料は「環境税をめぐる諸論点について」という表題がついたものです。
 それから、参考資料と二部構成になってございます。資料、「環境税をめぐる諸論点について」という資料でまずご説明をさせていただきます。
 1番表には目次として付けてございますが、ただいま森嶌先生からもございましたが、今回は環境税の位置付け、環境税は何を目指すのか、そういうものに関しての部分。
 もう1つは具体的な形としてどういうものがあるのか、諸外国の事例を紹介します。これまでも議論あるいは紹介させていただいたものもございますが、再整理という形で議論に供したいという趣旨でまとめさせていただいております。
 おめくりいただきまして2ページ目でございますが、環境税の位置付けです。環境税の趣旨、目的、まだ不足はあるかもしれませんが、総論的には……。

○森嶌委員長 配布資料全体をまず言って、それから説明を始めて。そうでないと皆さん、初めて見てあれですので。そのものついて、それから説明を。

○鎌形環境経済課長 わかりました。それでは、「資料」は大きく二部構成になっていることをご紹介いたしました。
 参考資料と掲げてあるところでございます。各資料の中で言及がある部分につきましては、参考資料として置くべきものを幾つかピックアップして置いてあるものでございます。そういう意味で本体の部分と関連のあるものをご紹介しているというものです。
 参考資料は目次が1枚目についてございます。環境税の効果、機能、何を目的とするかという中で既存の予算がどうなっているのかという意味で18年度の京都議定書目標達成計画の予算、概算要求しているものでございますが、そのとりまとめの資料でありますとか、あるいは価格ということに関しまして原油価格高騰による影響の関連で、最近の新聞記事でどういう取り上げがなされられているかということ。
 もう1つ価格効果の面で参考資料3です。これは前回、鳥井委員から道路特定財源の暫定税率がどういう意味を持っているのかというご指摘がございました。国立環境研究所で試算していただきましたので、ここに掲げてございます。この点につきましては後ほど国立環境研究所から増井先生にお越しいただいておりますので、この点についてのご説明をお願いしたいと思っております。
 そのほか、既存の税との関連という意味で特定財源に関連する資料。あるいは特定財源の改革に関係する資料を4以下に掲げているという構造になってございます。
 元に戻りまして、資料本体からご説明させていただきます。
 本体の2ページ目、環境税の位置付けについてというところでございます。環境税の趣旨、目的、総論的なところにつきましては前回まで取りまとめさせていただきました地方ヒアリングではさまざまな意見が出ていたわけです。この資料のまとめ方として、主な意見としてこんなものがあった。これは再確認の意味で前回までの資料を再掲しています。2ページ目の上のほうの四角です。
 それから、それ以下の部分につきましてはこれまでの審議会における議論ということで、この小委員会における論点の取りまとめ、あるいは専門委員会における中間整理、その他新たな資料がございますれば、私どものほうで整理したもの、こういった資料をつけるという構成をしてございます。
 各テーマにつきましてどんな意見があったのか。それについての審議会での議論の状況、あるいは現在のデータはどうなっているのか。そういうものを並べさせていただいています。それを材料にご議論をいただければという趣旨でございます。
 2ページ目、環境税の趣旨・目的についての主な意見ですが、総論的に環境税に頼らずに自主的な取組みを促進していくべきだというご意見、あるいは逆に自主的な取組みをさらに引き出すために環境税が役割を期待されるとか、あるいは環境へのコストを市場に載せるということが期待される。
 あるいは民生部門や一般社会の対策としての効果が期待される。さまざまな意見がございました。
 趣旨、目的に関しましてはここには先ごろの専門委員会の中間整理からの抜すいをさせていただいてございます。これは前回ご紹介をさせていただきました。項目だけ申しますと、環境税が議論されているのは、まず環境負荷への価格付けをするものとしての環境税という位置付け。これは従来経済学の分野でも議論されていたということでございます。
 それから、もう一つは2ページ目の一番下のところ、汚染者負担の原則に即した費用負担のルールの一つとして環境税が考えられているということでございます。
 右側のページにまいりまして、税制のグリーン化など税制全体の中で位置付けられる環境税、こういった議論もございました。スウェーデンやドイツなどの事例を挙げておりますが、環境問題が同時に雇用問題などのテーマとパッケージで議論された税制改革の中での環境税、こういうような議論もあったということです。
 4ページ目です。環境税の効果・機能ということで、環境税が何を期待するのか。あるいは期待することが実際にうまく動くのかという議論がさまざまございました。ここでは小委員会の取りまとめに応じまして価格のインセンティブ効果、財源効果、アナウンスメント効果、この3つに分けまして論点、資料を紹介しております。
 価格インセンティブ効果につきましては、主な意見といたしましては長期的に環境税の価格の効果が表れるのだというご意見。あるいは、最近のガソリン価格の上昇をあげましてインセンティブ効果があるとは言えないのではないかという意見。
 石油ショック時には排出量が横ばいだったので効果があるのではないか。こんな意見がございました。
 それぞれについてでございますが、まずいわゆる長期的な影響、短期的な影響あるいはガソリンの価格の影響などについての部分です。4ページの下にございますのは、この小委員会におきます論点の取りまとめからの抜すいです。4ページの一番下のところ、短期では表れにくい。次のページ、7~8年後にはエネルギー価格1%増加に対応して0.5%程度の消費量、需要量の減少の試算が紹介されています。長期という点での効果が紹介されています。
 最近のガソリン価格の上昇に関しての分析はどうかということです。5ページの下半分のグラフです。これはガソリンの価格と消費量、消費量は前年同月比のデータを比べているものです。ただ、昨年と今年の比較をした場合には、例えば消費量につきましては景気とか所得、気候などの要因を除いた分析はしてございませんが、生のデータを掲げたものです。
 このグラフでございますが、2つの線がございます。まず正方形のプロットがある部分はガソリンの消費量です。前年同月比、左側の目盛りに対応しております。
 昨年の8月は前年同月比9%ぐらいの増になります。右側にまいりますと、この5月、6月、7月あたりですと前年同月比でいいますとマイナス2、4、6ぐらいになりましょうか。そういった点がプロットされています。
 ◆のプロットされている部分のグラフがガソリンの価格、これは右側のガソリン価格の軸に対応するというものです。
 ということでございまして、これをどう評価するかということでございますが、事実としてはこのところガソリンの消費量の減少が見られます。
 次のページです。原油価格の高騰に伴って影響があるかどうかということです。6ページ目は最近、原油価格の高騰に伴って燃料使用の節約の傾向、省エネ機器の選択、省エネ投資の傾向、こういった新聞記事からの抜すいを掲げています。
 1ページ分だけ掲げてございますが、参考資料の2番目に7、8ページにわたって新聞記事の要約を載せてございます。とりあえずピックアップした本体資料の部分で幾つかご説明いたします。
 例えば一番上の・です。燃料代替の動きを紹介しているものです。運輸関係で軽油と廃食油の混合燃料の使用を開始している。あるいは、ビール工場で重油に代えて排水処理で生ずるメタンガスをボイラー燃料に使用する。そういった代替燃料を使う動き。
 2番目の・も代替燃料です。工場のボイラー燃料を重油からバイオマスに切り替える動きというもの。
 3番目の・は、運輸の関係ですが、燃料価格上昇に対する対策としてハイブリッドガス自動車、天然ガスの導入を進める。
 一つ飛びまして、これは電気関係です。原油高による灯油の高騰などを契機にエアコンの省エネ化が進んでいるので、省エネエアコンの販売拡大を図るということで、こうした対応もあるということです。
 それから、もう一つは中国も原油高騰の影響を受けていますが、中国での省エネ支援サービス、いわゆるESCOといった事業に乗り出していくという意味で、省エネビジネスに向かっていく、こういうような対応もあるということです。
 原油価格の高騰がいろいろな行動の変化を少しずつもたらしていることを示唆する新聞記事です。ただ、あくまでも新聞記事です。定量的な分析ということではございません。
 7ページ目にまいります。これもガソリン価格の上昇に伴っての行動の変化ではないかと思われるものを掲げてございます。ここに掲げておりますのは、車の新車の販売の動向です。どういう動向かといいますと、普通車、小型車、軽乗用車と掲げてございます。普通車、小型車、軽乗用車の順で同じ走行距離であれば燃料を使わない。省エネ的であるというような順番になろうかと思います。
 ここに掲げてございますのは、普通車の売り上げが前年比で落ちている。一番濃いグラフになります。前年同月比がマイナスのほうに行ってございます。それから、小型車、軽乗用車の売り上げの伸びがあります。これも価格だけの影響によるのではないのではないかというような見方もあるかもしれません。事実として、この1年こういう動きがあるということです。
 もう1点、価格に関係するもので、次は原油価格高騰とは関係はございませんが、前回、鳥井委員からご指摘がありました道路特定財源の暫定税率にどれぐらいの意味があるかということです。これは後ほど国環研の増井先生から詳しくご説明いただきますが、ここに掲げておりますように揮発油税、軽油引取税、地方道路税について暫定税率を廃止した場合に、2012年の段階で弾力性の見方もございますが、1,500万トンから2,200万トンのCOの増加という試算がございます。これは後ほどのご説明ということにさせていただきます。
 次に8ページ目です。地方ヒアリングの意見の指摘でもございましたが、石油ショック時には価格の上昇がエネルギー消費に影響があったのではないかということがございました。ここに掲げておりますグラフは、石油の消費量をプロットしたグラフでございます。これは四角でプロットしたものでございますが、第1次石油ショック、第2次石油ショックというところで吹き出しで指し示してございます。その部分でそれぞれ石油消費量の減少があったということを示したものです。
 価格につきましては◆のプロットした部分のグラフになってございますが、第1次石油ショック、第2次石油ショックで価格の大きな上昇が見られます。
 次に9ページ目、財源ということでのものです。まず、財源効果ということに関しましては、既存の温暖化対策予算との関係ですでに年間1兆円以上の予算が使われているのではないか。これをきちんと検証すべきだ、こういうようなご意見がございました。
 ここで掲げておりますのは、この8月に概算要求がございましたが、平成18年度概算要求の中で京都議定書目標達成計画関係予算というものの取りまとめをしてございます。これは各省それぞれの要求のものを掲げたものでございますが、ここにありますように京都議定書6%削減約束に直接の効果があるものがおよそ5,000億円。それから、以下温室効果ガスの削減、中長期的な効果があるものが1,400億。結果として、温室効果ガスの削減に資するもの4,000億円弱。基盤的な施策など410億円とございます。
 少し詳しくご説明したいと思います。参考資料をごらんいただけますか。参考資料1ページですが、平成18年度京都議定書目標達成計画関係予算概算要求についてということで、10月7日付のプレス発表資料を掲げています。参考資料1ページです。
 2.の数字が今ご説明したような数字です。
 2ページ目に円グラフが出てまいります。京都議定書6%削減約束に直接効果があるもの5,175億円というものです。これは各省別に金額あるいはパーセンテージを示しまして、主なものを示しています。
 経済産業省の省エネ、新エネ関係の予算。あるいは農林水産省の森林環境整備の関係の予算などが上がってございます。
 3ページ目はその分野に関しましては分野別の分類ということで、森林吸収源対策、エネルギー供給部門の対策等々が上がってございます。
 4ページ目は温室効果ガスの削減に中長期的な効果があるものということで、技術開発などがこれに相当するということでございます。
 5ページ、結果として温室効果ガスの削減に資するものということでございまして、例えば環境省関係でいいますと廃棄物の処理の関係予算がここに掲げてあります。
 国土交通省関係では地下鉄というモーダルシフトの関連もここに掲げてございます。
 6ページ目、基盤的な施策など。観測という文字が見えるかと思いますが、モニタリングなどの費用がこの410億円に入るということです。
 とりあえずは参考資料は以上です。京都議定書目標達成計画予算の中でおよそ半分の5,000億円余りが6%削減に直接効果がある、こういう評価ということです。
 9ページ目の下半分です。必要な追加的財源ということで、追加的にどの程度必要なのかをしっかり示すべきというご意見もございました。ここではこの審議会で第2次答申、京都議定書目標達成計画を策定するに当たりましてご議論いただいたときに出していただきました第2次答申からの抜すいです。環境省の試算を審議会で紹介しました。そこでの環境省の試算ということで追加的な支援額4,000億~7,000億円程度(年間)ということをここに再度掲載しております。
 10ページです。アナウンスメント効果についての議論です。地方ヒアリングでの意見としては、アナウンスメント効果に期待、あるいは疑問である。あるいはアナウンスメント効果を税導入の目的とすること自体疑問である。こんなような意見もございました。
 ここに紹介いたしておりますのは、先ほどの専門委員会の中間整理からの抜すいです。前年もご紹介しましたがイギリスの気候変動税のアナウンスメント効果の試算例ということで、14.6%の気候変動税の削減効果のうち、13.8%分がアナウンスメント効果という分析事例です。
 それから、日本の一般廃棄物の有料化に関して、下半分ぐらいですが、実施当初は金銭的な動機でのゴミ減量が促されるが、定着するにつれて金銭的なものでなくて、ゴミ減量そのもののために減量するのだという意識を植えつける効果があるという分析です。
 11ページです。3つ目のテーマとして環境税の位置付けということで、既存エネルギー関係諸税との関係をどう考えるかということでございます。現行のエネルギー関係諸税の有効利用を図るべきといった趣旨のご意見もございました。
 11ページから12ページにかけてはこの小委員会におきます昨年12月における取りまとめから関連部分を抜すいしてございますが、どういうものがあるかについて再確認の意味で13ページをごらんいただけますか。
 既存エネルギー関係諸税、エネルギーに関する税金ということで掲げているのがここでございます。揮発油税、地方道路税、石油ガス税、軽油引取税、これは道路関係のものです。道路財源として、一番右側にはどういうふうに予算が使われているのかでございます。道路整備の特別会計のほうに行っています。
 うち軽油引取税については地方税でございますし、地方道路税につきまして地方の道路財源ということで地方に譲与する形になっています。
 航空機燃料税は空港整備のために使われているということ。石油石炭税ですが、石油対策あるいはエネルギー需給高度化対策。総体としてエネルギーの安定供給という観点から使われています。
 一番下が電源開発促進税。電源立地対策、電源利用対策で使われる。こういうような対応関係です。
 いずれも使途の特定された特定財源という形での扱いです。
 次のページにまいりまして、14ページ目です。それぞれの税についての歳入、歳出の特徴をまとめている主なものです。これも小委員会の取りまとめでまとめてある資料から抜すいさせていただきました。一番上の道路関係のものです。歳入のところの一番目の○、道路整備の費用を利用者が負担するという受益者負担、そういった考え方のもとに課税され、右側道路整備費用に充当されます。
 一つ飛びまして石油石炭税です。これもエネルギー対策の費用をエネルギーの利用者が負担する。これも受益者負担の考えのもとに課税しています。
 そういうことでエネルギー対策費用に充当するということですが、税収の一部についてはCOの排出抑制対策に当てられています。
 電源開発促進税は電源開発の費用を電気の利用者が負担する。こういう受益者負担の考え方です。
 一番下には温暖化対策税をどういう考え方でやるかということです。これはCOの排出者に汚染者負担の原則を踏まえた公平な負担を求めるという考え方のもとに炭素含有量に比例した税率で課税するというもので、使途についてはここにございますように温暖化対策あるいは一般財源、その組み合わせといったようなものが考えられるという整理です。
 15ページにまいります。以上が環境税をどう位置付けるか。他の税との関係をどう考えるかの整理です。次は具体的な制度の類型がどう考えられるか、諸外国の例をもとにまとめてみました。
 欧州各国における環境税の位置付けです。これも専門委員会の中間整理からの抜すいです。2番目の○ですが、オランダ、イギリス、デンマークでは二酸化炭素への価格付けによる効果を主たる狙いとしての環境税ということでございますが、そういった削減目標の達成を目指しつつ、税収につきましてはその主要な部分が取得税の減税、企業に対する社会保険への軽減などに当てられる。こういう位置付けになっています。
 ドイツの事例ですが、所得税や社会保険料の軽減とのパッケージとの環境税制改革ということです。社会保険料の負担の増大への対処という課題への対応も含めて行われたということです。
 スウェーデンの事例ですが、ここではそもそも所得税が高いということで、勤労意欲阻害とか、あるいは貯蓄阻害という経済にとっての障害をなくすという意味での所得税の大幅減税と、その中での間接税の増税、二酸化炭素の排出抑制を目的とする炭素税導入の組み合わせというような流れでの税制改正改革であったという流れです。
 16ページ、17ページにはそれぞれの税の導入の趣旨、制度の特徴的な点、それから一番右側に既存のエネルギー税との関係を掲げてございます。
 オランダにつきましては、一番右側をごらんいただきたいのですが、温暖化対策目的の税を既存エネルギーの税に上乗せして課税した。電気については新税として課税した。こういうような特徴です。
 イギリスにつきまして既存エネルギー税で課税されていなかった油種に新税として課税したというものになってございます。
 デンマークにつきましては温暖化対策税を既存税に上乗せした。
 ドイツの場合には新しく電気税の新設、鉱油税という既存税を引き上げるというパッケージの環境税制改革。
 スウェーデンに関しては温暖化対策目的の税を既存のエネルギー税に上乗せして課税する。こういうような関係でいわゆる環境税が構成されています。
 18ページ以下はそれを図で示したものです。オランダの例でいいますと、ここにグラフがございます。それぞれ油の種類、ガソリン、ディーゼル、軽油等々が並んでいます。このそれぞれの棒グラフの長さが炭素トン当たりの税率を示しています。一番濃く塗ってある部分が既存のエネルギー税、いわゆる温暖化対策、環境税ということでの導入がある前からあった税です。
 白抜きの部分が一般燃料税という形でいわゆる環境税としてかけられたものです。白抜きの部分、非常に薄くすべての油種にわたってございますが、概ね炭素比例でかかっているという部分です。
 さらにエネルギー規制税という形で上乗せされたのが、少し薄く塗ってある部分です。こういうように既存のエネルギー税に上乗せして税が構成された事例です。
 19ページは英国の事例です。黒く塗ってあるのが既存の税です。ここで間違いを訂正させていただきます。一番右側の電気の部分、黒く塗らずに白抜きであることが正しいものです。申し訳ございません。
 基本的に既存の税がかかっていた部分が黒く塗ってある部分ですが、それ以外の部分に白くしてあるものです。LPG、石炭、天然ガス、電気ということになりますが、既存税がかかっていない部分に新しく税がかかった、こういうような構造です。
 デンマークの事例は20ページですが、これも塗ってある部分が既存の税金の部分で、塗っていない部分がCO税ということでございます。無鉛のガソリンを除きまして、ほぼ炭素比例のCO税がかかっています。
 21ページはドイツです。これも電気の部分、白くあるべきところを黒く塗ってございます。申し訳ございません。そこも訂正させていただきます。
 ドイツの場合、鉱油税が左側の燃料にかかっていたわけです。黒く塗ってある部分です。それに対して一部新しくかけていないところもございますが、既存税の引き上げをという形で環境税制改革が行われた。電気については電気税という形で新しく税金がかかったという形になってございます。
 最後のページはスウェーデンの事例です。これにつきましても既存税があって、その上にCO税というものが、概ね炭素比例に近い形でございますが、上乗せされて課税されたという構造です。これが諸外国で税が導入された状況です。
 簡単でございますが、以上でございます。道路特定財源の暫定税率の影響につきまして、国環研の増井先生からご説明をお願いしたいと思います。

○森嶌委員長 増井委員、どうぞ。

○増井委員 国立環境研究所の増井です。道路特定財源の税率変更による炭素排出量の影響を試算していだきたいということで、モデルを使いまして評価してまいりました。
 今回ごらんいただく結果はあくまでも試算の段階ですが、とりあえず計算結果が出たということでご報告させていただきます。
 参考資料の23ページから概要について説明がございます。今回、試算に用いましたモデルというのは、我々が10年近く分析しておりますAIMモデルの中の経済モデルを使って評価をいたしております。
 この経済モデルの1つの特徴ですが、マクロ的な整合性を見るということが一番の目的です。そのためには各主体、ミクロベースにおける各主体の行動変化をあらかじめ前提条件として与えてやらなければいけない、そういう前提がございます。今回の試算におきましては税率変更によりましてエネルギーの価格が変化する。それが各消費者、事業者にどういうような行動の変化をもたらすのかということをあらかじめ前提条件として与えてやりまして、その結果、世の中全体のCOの排出量がどう変わってくるのかということを分析しております。
 税率変更によりまして税収が減るという設定になっていますが、税収が減った分、道路関係の公共事業が減るというような想定を行っております。また、それによって自動車が減るということも想定としては入っておりませんので、その辺はご注意いただきたいなと思います。
 価格変化の前提ですが、23ページの概要の真ん中あたりに書いてあります。税率の変更により価格がガソリン、軽油ともに2割ほど低下すると想定しております。ガソリンは120円から130円ぐらい、軽油で80円から90円ぐらいの間の価格を想定しております。本来、都市によってエネルギーの価格が変わってくる。それによる消費の影響も入ってくるはずですが、今回はそういう想定は行っておりません。
 価格の変化によりまして、次のところですが、価格弾力性が短期的には-0.1、長期的には-0.4で推移すると想定しております。
 これは環境省の環境税の経済分析等についてという、8月に出されました中間報告、ここの中で価格弾力性の分析、レビューが行われています。その数字を参考に想定を行っています。
 短期的に-0.1、長期的には-0.4という想定をしていますが、天野先生が短期から長期にかけてどういうふうに変わるのか。分布ラグを用いた価格弾力性の想定を分析されておりまして、その結果も併せて使わせていただきます。
 本来ですとガソリン、軽油それぞれについて弾力性がどう変わるのか、個別に見ておかないとミスリードしてしまう可能性はあるのですが、今回時間があまりなかったということでこういう数字を使わせていただいております。
 結果から申し上げますと天野先生が推定されました価格弾力性が分布ラグに従って変化していくという場合、第1約束期間終了までに二酸化炭素の排出量は15メガトンCO、1,500万トンほど税率が変わらない場合と比べ増加する。
 長期的な価格弾力性-0.4という数字を使っております。これはエネルギーの価格が1%上昇すると需要が0.4%増えるという想定ですが、この場合には2,200万トンCOという二酸化炭素の排出量が増加しております。
 この数字の評価ですが、運輸部門におきましては京都議定書目標達成計画におきまして、トップランナー基準による自動車の燃費改善、それの削減見込み量が2,100万トンCOを見込んでいるということで、この2,100万トンを上回るCOの排出量の増加が見込まれるということで、トップランナーという対策の効果が税率変更によってキャンセルされてしまう、そういう可能性があるのではないかと思っております。
 計算結果の中身等につきましては23ページ目以降をごらんいただければと思います。26ページの図2で書いてございますような形で基準ケースの二酸化炭素の排出量が変化しております。そこの実線のところで書いてある状況で変化しております。
 そういう状況に対して先ほど申し上げましたような税率変更の価格の変更と、それに伴う需要の変更を導入しましたときの二酸化炭素の排出量が27ページの図3のような形で変化しております。
 図3で×印で示していますのは価格変更が行われた最初はそれほど変化しないが、需要量は増えないが、その影響がジワジワと出てくるという想定の場合です。その場合先ほど申し上げましたように第1約束期間終了時点までに1,500万トンCOの排出量が増えてくるという結果になっております。
 もし後ほど質問等がございましたら詳細に説明したいと思います。

○森嶌委員長 鎌形課長のご説明も増井さんのに至ってはなおさらですが、エッセンスだけなのでご質問おありかと思いますが、ここは専門委員会で理論的に議論をするということではありませんので、何か具体的なことでご質問があればお伺いすることにして、それよりも議論をしていくうえで、まず環境税の位置付けの中で環境税の1の趣旨、目的、環境税の効果、機能、まとめにつきまして質問、意見もけっこうです。なるべく短くというとあれですが、言論の自由を妨げる。短くではなくてあまり長くならないようにお願いしたい。

○浅野委員 この事務局資料については前回もコメントがあったことですが、なおまだ専門委員会中間整理がそのままに出されているという点について、森嶌委員長からもご指摘がありましたが、気になる点です。つまり専門委員会の中間整理の環境税のはじめの部分は広義の環境税を想定した表現が出てきている。ところが、実際にここで我々が議論をしようと思っているのは目標達成計画の59ページの6-2にあるように、二酸化炭素の排出量、または化石燃料の消費量に応じて課税するものとして、関係審議会等において論議されている環境税であるという、一応そういう前提があるわけです。
 専門委員会はあくまでも勉強の場所ですから、教科書に書いてあることを全部並べたということであり、そのような材料から先程指摘した検討テーマに絞り込むというプロセスはまだ十分進められていないわけです。それをここにいきなりこの形で出す議論がおかしくなるかもしれない。そこで、この記述はたしかに教科書的な整理であり、自分でも完全な整理になっているとは思っていないのですが、おそらく環境税の概念は人によっていろいろです。最も広い意味では例えば森林税のようなものも含めて環境税という人があります。この中に例として出てきている廃棄物なども税のうちで考える人がいるわけです。そういうことがまずあるのだということをどこかできちっと押さえておいて、その上で我々が取り上げようとしているのは温暖化対策に資する環境税ですが、この場合でも目標達成計画では二酸化炭素、化石燃料だけを言っているのです。
 論理的には3ガスについても環境税の対象にする余地はあります。ただ、日本ではその部分はそんなことを言わなくても事業者に自主的にとり組んでいただいてそれで効果が十分に上がるから十分だというだけのことです。論理的には温暖化対策に資する環境税の中には温室効果ガス排出抑制に資するという意味での広い意味の税というのもあるはずです。その中で炭素の排出抑制に資するという場合、ここにもう1つぐらい中間の選択があって、燃料に税をかけるというやり方もあるでしょうが、それ以外にももっと広めにとれば燃料消費、エネルギー消費それ自体に税をかけることもあり得るわけで、このぐらいの幅のある話だと思われます。
 他方、今度は環境税導入の手法という観点からからいうとこれを機会に税制の全般的な大改革をしようとう議論もあるだろう。新税導入という主張や考え方もあるだろう。それと共に加えて既存税を調整するという考え方もあり得る。また、もっぱら既存税の組換えだけでもいいのではないかという考え方もあるわけです。 
 このぐらい議論には幅があるわけですが、2ページ、3ページの趣旨、目的の整理は、今私が言った2つのことがごちゃごちゃになっているうえに、さらに環境税の概念については非常に茫漠たるものがそのそのまま出てしまっています。ですから、ここはもう少し整理をし直さないといけないのではないか。そのことを前提にした上で、我々がこれからやる議論はもっぱら目標達成計画に出ている環境税を環境税と呼ぶのだという前提で議論をしておくということが必要ではないか。そういうことを申し上げたいわけです。
 3ページにはスウェーデン、ドイツでは税制改革というのが出てくるものですから、導入のための議論と環境税とは何かという議論がごちゃごちゃになっています。
 もう1つ大変気になるのは、理論的にはこういうことなるかもしれないのですが、14ページです。ここに既存エネルギー関連税制という中に温暖化対策税制が出てきて、そこに汚染者負担の原則を踏まえた考え方での課税という説明が出てくるわけです。頭の体操としてこういう整理をしたことが悪いとはいいませんが、これについてはすでに当小委員会の委員の自由な発言の中では汚染者負担の原則が温暖化対策のところでなじむのかという議論があったわけです。広い意味で言えばそういう意見はあり得るわけです。
 従来の汚染者負担というのは目の前で被害が出てくることを想定したわけですが、温暖化対策の場合、被害が出てくるのは50年~100年後という話をしている。そういう分野についてこの議論が同じような並び方で議論できるかどうかという議論はあるわけで、その点が汚染者負担の原則に基づいての税なんですという説明がいきなり出てくると、ここでまた無用な議論か起こってしまう恐れがあるという気がします。
 そこで、概念については学問的にはという意味ではないけれども、少なくとも審議会が出す文章、役所の出す文章としては定義を明確にして、その定義があまり学問的ではなくて、だれにでもわかるような定義が示されて、ここで議論しているのはこういう枠の中の議論です。それを超えたところの議論はもちろんやっていいけれど、それはここの議論では差し当たり直接議論の対象にならないものである可能性があります、とそういうことがわかるようにしておかないと、議論がかみ合わなくなるという心配があります。

○森嶌委員長 まとめてしまえというのではないのですが、できれば事務局におっしゃるとき、例えばこういうような方向でという問題まで言っていただければありがたいと思います。この段階になってきますと、もはや学会や何かで理論的に整理していくのではなくて、税というのはまさに負担の問題ですから、私は繰り返し申し上げますが、だれだっていいなんていう人はいないわけです。その意味ではある選択です。ポリティカルなというか政策的なあるいは政治的な選択なわけですから、それを賛成するにしろ反対するにしろ、議論するとすればこういう政治的な、あるいは政策的な観点から議論をしていくべきだという形で提示していかないと、今、浅野委員がおっしゃるように理論的にこういう整理がありますなんていうことを何回やっても、だれもそうですか、その先どうするんですかという話になりますので、できればこの段階になってきたら議論を進めるためには例えば自分ならばこういう点をこういうふうに出していく。おれはこういう結論を出すのだというのではなくて、議論の仕方を言っていただければ座長としては事務局に指示していきやすいと思います。

○浅野委員 私の答えは今申し上げました。目標達成計画に定義があるだから、まずはそれを前提にしてはどうか。さらにそれを発展させるということについても考えてはいますと書けばいいのだろう。
 同じことは10ページのアナウンスメント効果というところについてもいえそうです。これは専門委員会の議論の中でも出されたのですが、この言葉もいろいろな定義があるようです。専門委員会中間整理の中ではこういう税が導入されることが明らかになることによって出てくる効果を学問的にはアナウンスメント効果と言っているようです。
 しかし、人によって環境税を導入した後に人々の行動を変える効果もアナウンスメント効果と言う人がある事も事実です。論理的には導入後の効果は税そのものインセンティブ効果とどうやって分離して算出するかという点で、分離しづらい気がします。だから、事前のものだけをアナウンスメント効果と呼ぶのだというのなら、それはそれで1つの言葉の使い方ですから、このあたりのところも整理しておかないとまだまだ議論が起こるという心配があります。

○森嶌委員長 佐和委員。

○佐和委員 僕は非常に簡単なことしか言わないのですが、まず新しく入ったデータとして5ページにグラフがあります。非常に上手につくられたグラフだと思います。ガソリン価格が上がれば、対前年同月比のガソリン消費量は目に見えて減っている。あるいは対前年同月比の増減の割合とガソリン価格は明らかに負の相関にあることが見てとれて、非常にいいグラフだと思います。
 同時に、1枚めくったところにある図2も確かにガソリン価格は上昇するに伴って、普通車といいますか3ナンバーの車の売り上げが目に見えて減っている。逆に小型車指向が強まっている。これはガソリン価格だけのせいではくて、よくシーマ現象からヴィッツ現象へなんて言われますが、小型車を指向するというのは別の理由もあると思いますが、この関係もかなりあざやかに出ている。
 次のページのグラフ、これも第1次と第2次石油ショック以前の急勾配の石油消費量の増加と照らし合わせて考えれば、これも価格に対して敏感であることを示している。この3つともとてもいい図をつくられたなと思って感心しております。
 ただし、浅野先生がアナウンスメント効果ということをおっしゃいましたが、経済学者がアナウンスメント効果と言う場合、88年度から消費税を上げるということがアナウンスされました。その結果、86年、87年度の消費はものすごく増えた。経済成長率も2~3%台まで戻った。88年度に消費税が3から5になったことによってガクッと消費が減った。事前に通告されたことによって買い急ぐ。結局、上がってからはその反動が起きるというのがアナウンスメント効果です。
 普通、環境税といいますか炭素税の議論をするときには昔からアナウンスメント効果というと炭素税が導入されましたよということに対して消費者がどう反応するか。ガソリンの値段が2円、3円しか上がっていないが2円、3円の値上がり分は炭素税です。あるいは環境税なんですよということを消費者に知らしめる。そのことで地球温暖化防止のためにはできるだけ小さな車を買おう。燃費効率のいい車を買おう。走行距離はできるだけ減らそうというふうに消費者が行動を変えてくれる。そういう効果だという使われ方が従来からしています。それはそういうふうに理解すればいいことであって、アナウンスメント効果はこういうものでなくてはいけないんだということではないと思います。

○森嶌委員長 須藤委員。

○須藤委員 事務局のご説明を伺っていて、論点の整理は従来の議論を踏まえてよくやられたと思いますので、適切なものだと思います。ただ1点、委員長も浅野先生も言われたが、最初の出だしの趣旨、目的で、ここで環境税というのは化石燃料の節減に資するものだという前提で始まる部分というのは、幾つかヒアリングに出てみて、国民というか、プレゼンテーションをする人はそのように思っていないんです。消費税をもっと上げればいいじゃないか。森林を豊かにするための森林の費用を出せばいいではないか。水を守るべきではないか、廃棄物を少なくすべきだとか、そういうもののための税金をとったほうがいいのではないかという話がたくさんあって、今ここの定義であるような環境税についてそんなにきちっと議論をされなかったのではないかと私は理解していました。
 そういうことも踏まえて、だけども緊要な課題からここから始めるだというふうに、それで環境税と定義していかないと、せっかく今までいろいろな意見を聞いてきたのに何の整理もなくてやられてしまったというような気がしなくはないと思うので、そこの整理は参考資料でもいいですが、位置付けのところでされたほうがよろしいのではないでしょうがというのが私の意見です。
 もう1点、質問です。各国のところで電気のところ、新税で入れられていますが、新たに新税になるということはエネルギーからすれば二重にかかると理解してよろしいんですか。これが質問です。あとでそれはお答えくださってけっこうです。

○森嶌委員長 まとめて。関澤委員。

○関澤委員 今日初めて出てきました関澤でございます。よろしくお願いいたします。
 非常に単純な質問を幾つか。わからないので教えていだたければ。特に事務局にあとで教えていただければと思います。
 1つ目は5ページ、佐和先生が言われたところですが、細かく見ていてよくわからなかったのは、04年10月から11月は価格も消費量も両方アップしている。今年の2月、3月も同じです。5月、6月になると両方ともダウンしている。
 価格が上がれば消費が下がるということをこれで導き出せるのかどうかというところがまだピンと来ていないというのが1点でございます。
 2点目は8ページのオイルショックのときのグラフです。オイルショックのときは価格の上がり方は何倍かになっている大変な上がり方をしています。ここをとらえて環境税も一定の削減効果があるということでいいのかなと感じたのですが。こういう上がり方をすれば効果があるのでしょうが、そうでないときでもこういう効果があるのかないのかよくわからない。
 9ページですが、18年度の京都議定書目標達成計画の概算要求額、5,175億以下書いていますが、これを全部足すと1兆900億ぐらいになります。これの17年度あるいは16年度の数字がどうなのかということをお聞きしたいと思います。
 私は1兆3,000億とか2,500とかいろいろな数字が過去出てきたような気がします。そういうところから見て減ったような気がするので、ここのところはどうなのでしょうか。
 一番上の5,175億円というのは過去に比べてどうだったのか。その辺も教えていただければと思います。
 もう1つ、9ページの一番の下のところ、2006年から10年の平均で年間4,000から7,000億円程度という数字が出ています。追加財源ですね。これはどういう計算になっているのかわからなかった。初めてなのでぜひ教えていただきたい。

○森嶌委員長 これもあとでまとめてお答えいただきます。武田委員。

○武田委員 ありがとうございます。簡単に質問を1つと意見を1つ申し上げます。
 質問のほうはAIMチームの試算のところ、価格弾力性が短期的には-0.1、長期的には-0.4で推移すると想定した場合の影響となっている。このような数字で想定した根拠、この辺を教えていただきたい。これが1つ。
 意見のほうは、先ほど委員長から学問的理論は理論として、ことここに至れば政策的な意見も、こういうお話がございましたので申し上げさせていただきたいと思います。最近の小泉内閣で言っている状況からすると、財政支出の見直しなくして増税なし、こういうふうに強く言われているわけです。ですから、環境税を議論するのはもちろんいいんですが、支出構造をどう見直すかを合わせていないとなかなか実際には通っていかないという気がします。
 それがまず1点。
 もう1つはここにも資料が出ておりますが、道路関係に使われている膨大な予算をどうするのか。これも政策テーマに上がってきているわけですが、確かに私も道路、箱ものに対する支出が必要な時期から環境に対する支出が必要な時期に来ていると思いますので、そのように財政支出をどうやって変えていくのかということは、これからの非常に大きな政策テーマになろうと思います。
 その2点から考えますと、どうしても既存エネルギーないしは既存税制との関連をもっと掘り下げて議論をしないと政府全体に対してはなかなか。
 既存の税制の議論もさらに見ていますと、諸外国ないしはここの先生方の意見の中にもございますが、所得税、社会保険料を含めて見直しをする、こういう意見が非常にある。もう1つは既存のエネルギー税制との関係でやるという意見がある。
 前者は非常に大きなテーマになるわけで、これは2007年以降になるのか、消費税の議論等々とどうしても絡んでくるので、これはちょっと置いておいて、少なくとももっと議論しやすいのは既存エネルギー税制と環境税の関係をどう議論して、どう支出をしていくのかということを、もっと深く具体的に議論をしていくというふうにしないと、なかなか議論は議論として実効性のある政策テーマになりにくいのかなという感じがいたします。

○森嶌委員長 ご質問の点について、あとで一括します。今のエネルギー諸税との関係は、この後(3)についてはご意見並びにご質問を伺いますので、あとでご意見があったら伺いたいと思います。永里委員。

○永里委員 ありがとうございます。今回の環境税をめぐる諸論点についてというのは、百科事典的に網羅して、Q&A形式になっているのですが、その項目のすべての疑問点について答えているわけではないので、哲学的な思想みたいなものは感じられない。強いて言えば編集方針があるのかな。
 すなわち都合のいい解釈をするという編集方針、極端な言い方をわざとしているのですが、例えば都合の悪いことについては述べていないというように見られます。私はスタンスが編集方針のスタンスと違うものですから、そう見えるのであって、例を申しますと、先ほど浅野先生もおっしゃっていましたが汚染者負担というのが出てきていますが、汚染者負担というのは環境税とはなじまないということ言っているから、それについて真っ向から答えていなくて、汚染者負担の考え方がヨーロッパにありますという言い方をしている。ヨーロッパにおいては財源対策としての意味があって、それを環境税として徴収しているようなところがあるということについては、そういう答え方にはしていない。別の答え方でしている。
 ある種の編集方針があって、その編集方針に則っているという感じがします。
 まだあります。本文の6ページに新聞記事が出ています。ここでガソリンの価格が上がったら、企業は使用を抑えていきます。代替エネルギーを使います。それは事実ですし、そういう行動を企業はとるわけですが、これも非常に暗示的です。だから、これによってどんどん消費が減っていくということですが、別の言い方をすると、こちらが言っている企業にとって研究開発の原資を奪うとか、企業の国際競争力を奪うとかいうような観点のQ&Aにはまだなっていないと思います。
 その点で、1本の筋のもとに書いてあるというよりは非常に都合のいいようなところをつまみ食いして持ってきているという印象を受けたということです。、ちょっと言い過ぎたかもしれませんが、すみません。

○森嶌委員長 私は前からそう申しているのですが、何か筋があって書いていれば、それなりに私としては処理しやすいのですが、今まで出てきたのが全部並んでいるから私としてはかえってやりにくい。ある意味、永里委員は少しうがちすぎなので、ありましたらどんどん出してください。これが足りない。これはねじ曲げている。こんなのはないから、こういうデータを探してこいとかおっしゃっていただいて、ある程度勢ぞろいところで、みんなの議論の中から筋を出してこようと考えています。何回も申しておりますが、お気づきの点があったらどんどん出してくださいと申し上げているので、あまり少数意識を持たないでどんどん出していただければ、最終的にどっちへ動くかはともかくとして、出発点では全部出しておいて、その上で議論をやっていくつもりです。今、議論を開始するところですので、そこはよろしくお願いいします。西岡委員。

○西岡委員 最初の浅野委員のご意見に啓発されての意見ですが、ほとんど武田委員のほうがカバーしていただいたみたいに思います。
 この何十年の間に環境資源を利用して経済成長する時代から環境資源を保護していこうという時代に変わりつつあります。成長から安定であったり、ものをつくるところから維持していく、キープしていくことに移りつつあるという大きな流れの中で問題も考えていく必要があるだろう。
 今までずっと見せていただきました特定財源は新しい投資に使われていることを考えますと、そういう税制から維持するための税制に移っていかなければいけない。これは非常に大きな流れだということを武田委員もおっしゃったし、私もそういう観点から単なるガソリン税、エネルギーの税だけではなく、環境税という言い方はそれなりに意味があったのではないか。
 これを見ますと、一番最初のあたりに環境税の趣旨として大きな流れについては書いていないものですから、ぜひ書いていただきたいというのが1つであります。
 現在、そういう基本的な話だけしていいかという話になりますが、武田委員からはエネルギー税との間ぐらいで詰めていったらいいのではないかというご示唆があったと思います。これも大分時間がかかりそうです、何度も申しますが、今温暖化の事象としても相当いろいろなものが出てきたという危機感が我々のほうからあります。だんだんとこの問題についての不確実性等々を論議する時代でなくなってきたということはありまして、なるべく早く環境税のところで、エネルギー税となるのか、環境税になるのか、そういうところで早めに手を打っていただきたいというのが私の意見です。

○森嶌委員長 これもご議論いただきたいのですが、我々のところで手を打ったら全部解決するなら早く手を打ちたいですが、我々のところで打ったって、どこかへ持って行ったらけとばされるかもしれませんので、できるだけ我々のところで詰められるものは議論をして、残った問題はこういうところはこういう形で残っていますという形まで持っていかないと、ここでは難しいからというので放り出したら、どこに持って行っても何も議論してもらえない。難しいことは先送りするとどこまでもみんなそういうことをなさいます。できるだけのことはやる。あとは政府税調、官邸などのポリティカルな動きがありますから、タイミングをずらさないように我々として十分議論したいと考えますので、先ほどの永里さんにもお願いしますが、斜に構えていないで、ここはちゃんとやらなくてはだめではないかということをぜひ言っていただきたい。平松委員。

○平松委員 私の意見ですが、冒頭委員長が地方ヒアリングをやったとき、環境税についての認識がバラバラというお話がありました。その後、浅野先生からお話があって、私も思うところがあるのですが、環境税について国民に対して何を打ち出すのか。例えば環境税の目的をより重点的に打ち出すのか。仕組みを打ち出すのか。あるいは直接的な負担者、間接的な負担者、負担水準。すべてが網羅されて税制ができるのでしょうが、国民にどういうものを打ち出していくことによって理解が進むのか。先ほどほかの委員さんから専門的とか、あるいは理論的という話がありましたが、普通の国民はその論議にはなかなか乗れない、わからないという面があるので、何を打ち出していくのかをもうちょっとはっきりさせたほうがいいのかなというのが1点ございます。
 それから環境税の効果、ABCDでございますが、これまで現場で5か年、地方で環境税をつくるためにいろいろやってきた。そういう感想から申し上げますと、何々を目指すではなくて、どういう仕組みとか、どういう打ち出し方をすれば価格インセンティブが効果が出るんだ。あるいは財源効果が出る、アナウンス効果が出る。
 1つの例としてグリーン化税制というのが今入っています。当初、あれが入るとき、新しく車を買った方は二酸化炭素を出さないような車を買おうという意識よりも価格が安い。それが広がっていくうちに価格だけではなくて、環境にもいいんだ。そういう相乗効果で総務省が考えていたよりも売れてしまった。
 ですから、単一の理由で事が起こるわけではなくて、こういう条件、こういう条件があると財源効果、アナウンス効果があるんだ。いきなり何々を目指すというよりもどういうことをやるとこういう効果が出るとか、地方ヒアリングの中でいろいろな方々が言われたイメージがそれぞれ違ったイメージを持ったうえで考えているのかなと思います。
 ここに整理された内容は私もそうだなと思うのですが、このどれかというよりも、いろいろな条件がつくとこれがもっとはっきりするな、そういう感じがします。以上です。

○森嶌委員長 五十嵐委員。

○五十嵐委員 私がこれを立てたときに武田委員が発言を始めて、重複することなので簡単に申しますが、国民の負担をどうとらえるのかという議論が大事なポイントで出ていたと思います。11ページの主な意見という箇所で、『○新税を導入する前に・・・。』と書かれていますが、これら二つの○の前に、国民の負担について記述されるべきと考えます。

○森嶌委員長 鳥井委員。

○鳥井委員 2点申し上げます。1点、ガソリン諸税の効果を計算していただいて大変ありがたかったのですが、価格弾力性を与えてしまうところで、本当にどう言う効果があったのかちょっと見えにくい。別の試算の方法があるのかないのか、よくわからなかった。大変申し訳ないんですが。
 2点目です。参考資料の別紙の8ページから見ますと、京都議定書6%削減約束に直接効果のあるものが5,175億円という、どういう予算が使われているか一覧表が出ています。A-1がバイオマスの環づくり交付金が160億円。これは本当に効果があるのでしょうか。160億円分の効果があるのかという疑問があります。
 A-3、固定高分子型燃料電池実用化戦略うんぬん。水素社会が2つある。燃料電池システム実証研究。これは2008年には絶対に間に合わないですね。ほとんど効果がないと考えるべきだと思います。
 A-5、電源立地地域対策交付金。原発の立地地域の交付金のことをおっしゃっているのでしょうが、新たに立地されるものだったら効果があるわけですが、立地されたところにあとからあげているのは効果はない。
 遠心法ウラン濃縮事業推進費補助金。これは何の関係もないと考えるべきだと思います。
 同様に次のページにいきますと、森林環境保全整備事業。一部は関係があると思うのですが、主にはCO対策のためではない。森林の保護のためのお金。
 かく言うようにこの中には本当の意味でのCO、6%削減に対してどの程度効果がある施策なのかという評価がされていない。
 これで全体が5,000億ですよと言って、1兆円ありますね。5,000億直接効果があるんですよ。じゃあ、新たに環境税をとって同じように使うのでは、何の効果もないはずです。これでは説得できないと思うんです。この施策はコストパフォーマンスはどうなのか。僕がざっと見ただけでも投じた額の3%ぐらいしか効果がないですね。そういうふうに見えるのがいっぱい入っているわけです。
 環境税をとって何か対策をするというのなら、こういうことをやるのではない。もっと効果のあることをやるんですよね、きっと。
 既存の予算がどういうふうに使われていて、それがどのぐらいコストパフォーマンスがあるのか。ちゃんとやるのはとても大変だと思いますが、詰めて環境税の使途の議論をしないと説得力がない。1兆円使って効果がないではないかと言われるとそのとおりだと思う。1兆円を使っていないんです。直接効果があるのは5,000億だというけれども5,000億なんて全然使っていない。1,000億も使っていないかもしれない。よそのお金がみんな紛れ込んでいるだけ。国の予算はみんなそうなっています。これでは出す効果はないと思います。

○森嶌委員長 最後におっしゃったところはまさにそのとおりです。国の予算というのはそうです。予算を出すときには効果の評価がないものですから、今ここにいる人に効果があるかと言われても、みんなうちの省ではございませんと言いたいような顔をしています。

○鳥井委員 どこかで調べてもらうことが必要かと。

○森嶌委員長 どうぞ。

○関澤委員 欧州各国の税の話いただいたのですが、この中でオランダ、イギリス、ドイツ、デンマーク、スウェーデンとあげておられますが、この中でオランダ、ドイツ、デンマークのCO排出量は基準年に対して現実には増えている。環境税の効果をどういうふうに見ておられるのか。併せてお聞きでしたら。
 スウェーデンにつきましては、健在、EU-ESTとの二重負担問題が議論になっていて、環境税の実質廃止が議論されていると聞いているのですが、実態はどういうことか、もしわかったら教えていただきたい。

○佐和委員 質問というよりは意見です。5ページの上の四角、その最後の2つの○。環境税の議論をするに当たって、この2つの○にほとんど尽きていると思うんです。長期にわたり政策として取り入れる税による価格への影響は企業や投資家、企業、家庭等に与えるメッセージとして、ライフスタイル等を変えさせるということです。エネルギーの市場価格の一時的な上昇と同一の時限で比較するのは適切でない。
 中長期の影響に関しては技術開発の進展等の影響の可能性も考慮して、分析結果を解釈すべきである。この2点にほとんど尽きると思います。
 先ほど永里委員が税金がかかったら研究開発費が減って、国際競争力が低下してとおっしゃいましたが、日本でもと言うべきかもしれません。課税することによって、前回の数字で出ていましたように各産業が負担する。企業が負担する。それによってコストが上昇する分は微々たるものです。
 関澤さんをはじめ企業の方にお伺いしたいのですが、それで本当に研究開発費を削ったりするでしょうか。むしろ研究開発に対するインセンティブになるとわけです。燃料が高くなるということは、あるいは自動車メーカーにとってはもっともっと燃費効率のいい車の開発にお金を注ぎ込むということ。わずかに税がかかって、それで研究開発費を減らす企業、企業というのはそういうことをするでしょうか。化石燃料の価格の上昇に適応するための対応をして、技術革新に対してもっと投資をするというのが本来の企業ではないかという気がします。

○森嶌委員長 質問ということで始めておりますし、一巡していますので、まず質問のところにこの時点で答えてもらって、それから速見委員のが立っているのも見ておりますので、その次のものを含めて議論していただきます。

○鎌形環境経済課長 多岐にわたってご質問いただきました。漏れがあったらご指摘いただきたいと思います。
 1つは諸外国の事例で電気の課税とその他の化石燃料の課税との関係。二重課税になっているかどうかというご指摘だったかと思います。
 これまで調べた限りではマチマチのようです。昨年、この小委員会で論点を取りまとめたときの参考資料に、今お手元にもお配りしておりますが、諸外国の制度の一覧を表にして掲げてございます。そこでわかる限りのことですが、発電用燃料を免税としている国が幾つかございます。明示的に書いてあるのはデンマーク、イギリス。そのほかの国も記述がないものがありますが、それがそういう仕組みが導入されていないのかどうか、そこは明示的にはわかりません。
 オランダでは発電用の天然ガスだけは免税と書いてある。ということは、逆にほかのものは課税しているということがありますので、若干マチマチの構造かと思います。
 それから、関澤委員のご質問と思いましたが、今日ご説明申し上げた資料の中で5ページのガソリン価格と消費量の変化につきまして、必ずしも価格の上昇と消費量の上昇現象、それが完全に負の関係にはグラフ上はなっていない。ご指摘のとおり、ある月については両方伸びて、ある月については両方減っている。それは事実としてそういうことでございます。
 これにつきましては、私どもも全体としての傾向が見えるかもしれないということで提示したということでございます。
 もう1つご注意申し上げておかなければいけないのは、消費量は景気の動向、所得、季節、例えば暖冬とか冷夏、そういうものによって変わってきますが、その要素を全然考慮しない。生の数字、消費量の数字で書いてある。分析の足りない部分ということは確かです。
 オイルショックのときのグラフにつきまして、確かにオイルショックのときに下がっている。このときの価格の上がり方は倍とかそういうような状況なので、環境税の議論と直接リンクしないのではないかというご趣旨であったかと思います。価格に対してどういう反応をするのかということがここで1つわかるということだと思います。ただし、価格変動の量がどう影響するのかはまた別の分析が必要かと思います。
 専門委員会の報告では価格の動き方に対して弾力性の分析とかそういうものについてはしていただいたところでございます。
 もう1つは、必要な財源ということで本体資料9ページに4,000億から7,000億円という数字があったけれど、これはどういうものかというご指摘がございました。お手元の分厚い中で「会議後回収」というシールが張ってありますが、参考3という形で平成17年3月11日付の中央環境審議会の第2次答申という冊子がございます。京都議定書目標達成計画を策定する過程におきまして審議会からその方向についてご意見をいただいた、こういう位置付けの答申でございます。その中で京都議定書目標達成計画を達成するためにさまざまな対策が必要である。その対策を裏打ちするためにどういう政策が必要か。こういう議論をいただきました。その中で必要な財源がどういうふうになるか。環境省の責任で試算をしました。
 冊子の123ページ、上から7、8行目あたりでしょうか。追加的な支援額について環境省において試算したところ、それらの合計は年間で4,000億から7,000億円程度と見込まれる。こういうような記述をさせていただいております。
 具体的にどういう中身かは冊子の参考の資料、160ページ以下に表が幾つかございます。追加的な経済的支援が必要と考えられる対策の事例とどういった支援の内容が考えられるか。かなり大胆な仮定をおいて試算をした。そのものがここにございます。
 それから、諸外国の環境税の効果は上がっているのかというご質問があったかと思います。これにつきましてもご指摘の国に直接お答えになっているかどうよくわかりませんが、この小委員会の昨年12月の論点取りまとめ、お手元に参考2、会議後回収というシールが張った冊子ですが、10ページ、11ページに諸外国における温暖化対策税制の効果の言及がございます。それぞれの国において、それぞれの政府が環境税、温暖化対策関連の税制の効果の分析をしているというものです。
 1例だけ申し上げますと、例えばオランダ、エネルギー規制税による、それは1996年に導入されていますが、99年の天然ガスに絞ってございますが、天然ガス使用削減効果は2.3%。それから、電気の資料削減効果は6.3%、こういった試算をそれぞれの国がしています。
 ご指摘のあった国すべてがこれで網羅されているかどうかわかりませんが、ここに幾つかの例が紹介されてございます。
 スウェーデンでの廃止の動きですが、申し訳ございません、私ども把握しておりませんが、次回までに調べてみたいと思います。
 目標達成予算の関係は清水課長から。

○清水課長 地球環境局から京都議定書目標達成計画関連予算についてご説明いたします。
 参考資料の1ページから京都議定書目標達成計画予算概算要求ということで一連の資料をつけております。昨年まではこの計画予算という形では取りまとめておりませんで、地球温暖化大綱の関連予算という形でとりまとめ、ここの場でも1回ご報告しました。
 手もとに詳しい数字はありませんが、大綱予算は1兆2,500億円程度が17年度予算要求額としてとりまとめられたと記憶しております。
 これはこの委員会にお示ししたときに、特に鳥井先生から1兆2,000億、3,000億という大規模なものについて内容を精査してきちんとしたクライテリアで分ける必要があるのではないか、この中には直接に温暖化に関係なく、名目だけこれに入れられているのもあるのではないかという厳しいご指摘を受けました。
 今回の京都議定書目標達成計画の予算の取りまとめに当たってはこうしたご指摘を踏まえてもう1回ゼロベースで具体的にどうなっているのかを示すために、環境省からクライテリアを示しまして、ABCDとございますが、こういうクライテリアを示して各省と調整しながらこれをとりまとめたということです。
 例えば大綱予算の中には新幹線の予算も入っていました。新幹線予算がなぜ温暖化対策になるか。確かに新幹線に車から乗り換えればCOの削減はあるかもしれないが、そういったものにまで広げていいかどうかという議論もありまして、今回の計画予算の中ではそういった予算は排除した形になっています。
 ABCDという形になっていますが、Aに書かれているのは京都議定書目標計画の別表という形で、ここでは削減量を積み上げた、それぞれ対策を何万トンという形で積み上げた形である量です。
 それから、Bの部分は中期、長期的に削減の効果がある予算。技術開発などが主に入っております。
 Cでは温暖化を目的とはしないが、結果として効果がある関連予算、Dは削減には直接関係ありませんが、地球観測でありますとか調査でありますとか、温暖化対策として重要な予算、そういったものがABCDという分類で示しまして、各省に示したものです。
 これが参考資料2ページ、3ページ、4ページ以下に示されています。そういう形で我々は厳しく分類してきたわけですが、先ほどバイオマス予算のご指摘がありました。バイオマスにつきましては新エネルギー対策として太陽光、バイオマスなどを含めて4,690万トンのCO削減という大きな政策パッケージになっています。新エネルギーの中のバイオマス利用ということで先ほどご指摘された予算に入っているということです。
 森林につきましてもけっこう厳しく見ています。森林でAの分類に属するものは植林に限定しています。Bの長期的なところにつきましては人づくりといいますか、体制整備。それからCのところでは治山事業に伴うものという形で、それぞれ区分しておりますので、かなり議論を経て予算も絞られてきたということです。
 なお一層のご批判があるようですので、さらに各省と予算を編成するときによく見るようにしたいと思います。
 それから、目標達成計画の予算ですが、こういう政策は毎年毎年きちんと点検するということも計画の中に書かれています。そういったプロセスを経ながら、PDCAサイクルを経ながらよりよいものにしていきたいということです。
 ただ、申し上げておきたいのは昨年お話ししました1兆2,000億、3,000億というものはやめまして、こういう形でこれでも絞って議論が深まり、内容も改善してきているということであります。
 関澤委員から昨年との関係でどうなっているかというご指摘がありました。この目標達成計画関連予算は昨年との関係で申しますと、全く新しく組み換えましたので、昨年のこれに相当する数字はございません。ただ、各種そのほかの統計などで見ますと、環境保全関係経費などの統計がありますので、それで類推いたしますとこの規模は昨年とほぼ同じようなものだと思います。
 今指摘がありまして、17年度予算で直接の効果があるものについて限定しますと、4,827億という数字もございます。これは18年度予算の概算要求の5,175億円と同程度の規模だと思っています。概算要求でありますので、ここは少し膨らんだ要求になって査定で少し下がるということも考えますと、ほぼ同じような規模とご理解いただければと思います。
 以上です。

○森嶌委員長 増井さん。

○増井委員 武田先生、鳥井先生からご質問をいただきました。まず最初にお断りしておかないといけないのは、今回使ったモデルは本来ならば技術選択モデルと呼ばれるモデルとペアで使うモデルです。ただ、技術選択モデルを用いましても使われる技術によってエネルギーの消費量が変わってくるということですので、例えば価格が上昇したからエネルギーの消費を減らそうということまでは入っていないモデルです。
 そういうところを反映させるためには、価格弾力性という非常にあいまいといいましょうか、そういう理屈を持ってこないとどうしても定量化できないということで、今回は価格弾力性の話を持ってきております。
 その根拠ですが、お手元のほうにございますが、「環境税の経済分析等について」という今年8月に出されました報告書、そこの中に括弧書きで書かれてございますが、54ページ以降のところにこれまでの価格弾力性のレビューがございまして、そこの数字を参考にさせていただいております。数字そのものは参考資料の25ページ目の表3に書いてございます。当然、どういう弾力性を使うのか。あるいは価格が何パーセント上がるか。下がるのかという、その値によってもかなり影響は変わってくるので、本来は線1本で終わりというのではなくて、こういう条件の場合にはこれぐらい、また別の条件にはこれぐらいという、そういう幅を持った、そういう試算であるとご理解していただければと思います。

○森嶌委員長 いつものことですが、私のほうで前半の1の(1)(2)についてと申し上げましたが、(3)についても(2)についてもすでに質問が出たりいろいろしておりますので、この後はセカンドラウンドで言い足りなかったこと、ご質問で残っていたことがありましたら、あるいは前半部分でこういうことも言いたかったことがございましたら。
 また、遅れて来られてファーストラウンドでご発言にならなかった方がおられます。その方にまず優先権を差し上げますので、速水委員、それから大塚委員、どうぞ。

○速水委員 遅れてきまして大変失礼しました。これを読ませていただきました。私どもこういう科学的な部分では素人でございます。その者にとっては効果の部分、あるいは諸外国の部分に関しても丁寧に評価されていてわかりやすいなと感じておりました。
 ただ、先ほども議論になりましたが、永里委員が以前から研究開発費は下がる可能性があるとよくおっしゃられていた。今まで幾つか意見が出てきたものに対して、非常に単純なところなのかもしれないけれども、きっちりとデータとしてこたえていくという姿勢がもうちょっと欲しかったのかなと感じております。
 もう一つ、先ほど鳥井委員が今使っている予算、効果の中でいろいろな問題を評価としてもう一度ちゃんとしなければいけないのではないかという話があって、いつも思うのですが、森林のことを申し上げると、森林関係に関しては2つとらえ方があると思います。1つは純粋にその森林が年々どのぐらい吸収していくのか。それに対して技術的にどういう森林の管理が必要なのかという議論が1つあるのと、もう1つはあくまでも京都議定書の3.9%の確保を現実のものとして日本の国民が手に入れるためにどういうやり方が必要なのか。森林の問題に関してはそれをかなりはっきりと、分けて見ながらやっていかなければいけないのだろうというとことを個人的には思っております。その辺を混ぜたような議論は今の段階ではしてはいけないだろう。もちろん将来的に京都議定書の段階が進む課程によって、より精密な評価が出てくれば、それなりに森林の評価というのは進んでいくのだろうと思いますが、今のところ3.9%を確保する、現実のものに国民が享受するためにはどうすればいいかというところをまず見ておかないと混乱が起きると思っています。以上です。

○森嶌委員長 永里委員。

○永里委員 先ほどの佐和先生のお話で、製造業の立場で申し上げますと、製造業というのはコスト削減に汲々としています。私が言っているのは研究開発でして、画期的な製造法、製品をつくれば国際競争力が増してきます。これは企業が一番狙うところです。そのためには研究開発資金が必要である。この大前提があります。
 ところが、今一生懸命につくっている製造業はコスト削減に汲々としていまして、1円のコストを下げるのに一生懸命です。削減できればまた競争力が増します。
 一方、エネルギー多消費産業が環境税を導入したとき、紛れもなくコストアップになります。コストアップということから考えたら海外で生産している企業が有利となることは間違いがないわけです。繰り返しますが、コスト削減に汲々としている企業はいわゆるコストをアップすることについて研究開発投資の原資をそこから奪っていくということになります。私が言っているのはそういうところで頑張っている企業がこのことによって海外と比べて不利になるだろうということを申し上げております。
 申し訳ございませんが関澤委員、このことについて私と違うお考えがあったら。

○関澤委員 基本的には永里委員の言われたとおりだと思います。2つだけ申し上げたいと思うのですが、企業は必ずしも順調に利益が上がるというわけではないです。私は鉄鋼業ですが、過去十何年かは社員の給与を削る、賞与を落とす、こういうことをずっと続けてきた状態でございます。ここに来て諸外国の状況に恵まれて、何とか利益を1年間出したわけでございますが、そういう意味でのコスト意識は極めて強いのが企業でございます。
 もう一つは製造業は、要するに省エネというのは税金があるからやるとかいう問題ではなくて、省エネというのは永遠の課題です。省エネをするために莫大な金を投入しております。京都議定書の始まる1990年までの20年間、鉄鋼業は3兆円の環境、省エネ投資を突っ込んで、世界最先端の省エネ技術を保持する、そういうことになっているわけでございます。それからさらに10%の高い自主管理の目標を立てて、現在、それに取り組んでいる、こういう状況でございまして、省エネ対策は製造業にとっては永遠の課題です。常に金を投資している。
 したがって、利益が上がらないとき、あるいは省エネ投資にどれだけ回すか。研究開発にどれだけ回すかというのは、まさにそういうバランスの中でギリギリ、さっき1円までと言われましたが、まさにそういった調整をやっているわけでございます。
 もう1つだけ付け加えさせていただきますと、鉄鋼業の場合は新しい水素製造技術の開発、あるいはCOの貯留、こういった先進技術につきまして研究開発投資も行っております。それから諸外国との環境技術交流、とりわけ中国鉄鋼業界との連携を今一生懸命とって、中国に対する環境技術協力を進めようとしております。中国は同じ鉄をつくるのに日本の1.5倍のCOを排出いたします。地球温暖化問題に国境はない、こういうことで協力を一生懸命にやっていることを付け加えさせていただきたいと思います。

○森嶌委員長 浅野委員。

○浅野委員 先ほど平松委員がご指摘になった点は私も指摘しなければいけない。それをどうやって説明の中で出していくかは難しいのですが、説明のために価格インセンティブ効果、財源効果、アナウンスメント効果と一応分けているわけですが、もともとこれはパラバラではないはずだという理解があるはずです。例えば目標達成計画と予算の関係という議論をやっていくと財源のところだけで目についてしまいますが、清水総務課長が一生懸命に説明をされたにもかかわらず、私も鳥井委員同様、さっきの説明をきいていてもそれだけ資金を投入しただけの効果が上がるかどうかわからないと思っています。これはやってみてのお手並み拝見ということでしょうから、その施策で何トン下がったかということをあとで計算して、いくら費用がかかったかということをはじけば、どの施策が一番費用に対する効果があるかどうかということはすぐわかるだろうと思います。
 と申しますのは、こういう形で直接的に財源を投入することによって出てくる効果。それからたびたび言われているように、佐和委員は帰られましたがここしかポイントはないとおっしゃった。極端な言い方をされたわけですが、その極端なご指摘のこのポイントというのが本当に効いてくるのはどの部分かということは税の組み立て方によるのであって、はっきり下流に転嫁ができて、そこでの行動を大きく変えるがすごく効果をもたらすような税であれば、表の中の目標達成計画のある施策がそれによって相当加速されたという結果が出てくるはずです。
 しかし、全く上流課税ままで下流転嫁ができないような組み立てにした場合はどうなるか。それはまた別の結果になることでしょう。こういう事は各論を進めていく中で具体的に議論をしなければいけないのだろうと思いますし、さっきの永里委員のお話を私も産廃審の部会で化学業界の大変な様子は伺っていまして、全く同じ製品を外国と日本の企業が張り合ってつくっているという状況の中ではコストが競争力に大きく響いてくるということはよくわかるわけです。しかし、別の業界はまた別の業界の立場もあるわけでしょうから、こういうものも全産業が一色ではないはずで、それぞれの業種企業がそれぞれの事情を抱えているという要素があるということもだんだん明らかになってくるだろう。
 そこで最大公約数、一番うまく方法は何だということを考えるのが、森嶌委員長もおっしゃっている政策の立て方だろうと思うわけです。説明のために価格とか、財源ということを言ってはいるわけですが、それをもう少しわかりやすく説明していく工夫は必要だし、価格インセンティブというときにどこのところでは実際にそれは効いてくるのかという分析は、実は目標達成計画の前段階での我々の地球環境部会の議論でも十分にはつめきってはいないんです。つまり税というこ話を言葉に出すことすら許されない雰囲気の中では、こういうような経済的手法を導入すれば、この部分の施策はもっと加速できるというような形での議論をしっていなかったのですが、本当を言うと、それをきちっとやっていかなければいけないのではないか。
 啓発普及とあとは直接予算を投入してやらせるようなやり方だけではだめなはずです。いつ頃から効果が出てくるかということも、対策、施策の中には長期的に2015年、16年ぐらいには劇的に効果が上がりそうなものも含まれているはずです。しかし、目標達成計画は当面は2012年までに目標を達成しなければいけないという前提の下で計画をたてていますから、計画それ自体にもやや現実を無視したところがあることは否定できないことだと思います。それはそれでしようがないので、先のほうできっちり効果を上げる可能性のある対策や施策には今しっかり資金を投入することがいいわけで、2012年までに効果が上がらないものは消してしまえなんていうようなことを申す気は毛頭ありません。
 それから、これは温暖化対策の面から見たら効果があまりないから、こんなものは国の予算から削れなんていう話も理不尽な話です。それにはそれなりの目的があるのだからそれはそのような目的の施策としてで進めればいいわけです。それを無理矢理に温暖化対策のためだと言わなければいいというだけのことです。
 つまり、これだけので予算を投入したら温暖化対策にこれだけ効きますというのではなくて、ここの対策、施策にはこういう実現手法がある。具体的にはここで言っている意味の環境税が投入されて、こういう環境税の仕掛けにしておけば効果が上ってくるのではないかという形での議論を、本当はきちっとやらなければいけないのに、まだ十分にできていない。地球環境部会でもできていない。この先、目標達成計画を毎年のレビューするということですから、その中では必ずそのような議論に行かざるを得ないと正直思っています。
 いくら予算を投入したらいくら効果があるというのは、ある切り口のところだけの費用対効果論ですから、それだけでは意味がないのではないか。そういう形で費用対効果を考えるのではなくて、こういう施策についてプラスこれを加えたらもっと費用対効果が上がりますという話であるわけです。現に経済産業省も環境基本計画のヒアリングの中ではっきりそうおっしゃいました。環境基本計画をつくるときには、ポリシーミックスでやってください。経済的手法もちゃんと入れてくださいとおっしゃっていました。まさか経済産業省が経済的手法というときにはこの中の助成措置だけを言うではないでしょうね。その後にもちゃんと他の経済的手法も書いてありますよ、と私は申し上げましたが、それに対しては何の反論もありませんでしたから、そういうことはお考えになっていると言わざるを得ない。省庁みんなそれを考えておられるということがはっきりしてきたのなら、この三つについては説明上三つに分けるんだけれども、それがプラスされて効果が上がるという部分があるだろう。しかし、逆に言うとマイナス部分があるかもしれない。その中には産業界の方がいろいろご心配になっておっしゃっていることも含まれるわけですから、それはミクロの問題にしろ、マクロの問題にしろしっかり出しておいて、調整できるところは調整しようというのがもともとこの委員会での共通した意見です。ある部門だけは徹底的に損をするようなことを導入していいというものでもないだろう。もっと合理的な方向は何だという議論をやっていけばいいのだろう。実はそう思っていまして、平松委員のご指摘は全くそのとおりだと思いました。

○森嶌委員長 大塚委員、あまり時間がありませんが。

○大塚委員 日程がたまたま合わずにさぼっておりますので、皆さんのご意見を伺ってからでないといけないのですが、一言だけ質問というか意見を申し上げておきます。
 エネルギー多消費産業について、そのコストとの関係で日ごろ闘っておられて、少しでも環境税がかかると困るのだというご指摘があって、それはよくわかりますが、今まで考えていたものの多くは諸外国のものなどを見るとエネルギー多消費産業については減免税をしていますので、ここはどういう仕組みにするかによって変わってくるのだろうと思いますが、おそらくそれほどの影響はないような仕組みの仕方をまさにするのではないか。ですから、ご指摘のようなことは当然配慮していくのではないかと私自身は思っておりますので、一般的に環境税を入れることに関しての問題ということにはおそらくならないだろうとは考えているということだけをとりあえず指摘させていただきます。

○森嶌委員長 まだあるのかもしれませんが、今まで何回も議論していまして感ずるのは、あまりいいたとえではないかもしれませんが、クラスの中にかなり出来の悪い生徒がいるとき、補習授業をやるかどうかというときに、やらなくたってちゃんと勉強している学生は、おれはこんなに勉強して、こんなにいい成績を収めているのに、何で補習授業をやるんだというような議論がしばしばあります。それでは補習授業を必ず入れたらいいのかというと、ろくでもない先生がいて、ろくでもない補習をしたからといってクラスの全体のレベルが上がるか。これまた話は別です。
 ちゃんとした生徒がいるときに、どういう生徒については補習授業は必要ではないのか。それともその生徒も含めてやはり補習をやったほうがいいのか。どういう生徒について補習をしたらいいのか。そこで補習授業の内容はどうすればいいのか。どの程度のことをすればみんながハッピーになるのかということを議論しないうちから、補習授業がいいのか悪いのか。どうしてもやるべきだ。どうしてもやるべきではないという議論が今まで横行しているので、せめてここでは実態をそれぞれ言っていただいて、どういうことなのだろうかということを議論していきたいと思っています。
 だんだんそういうふうに近づいているとは思うのですが、ぜひともご協力をいただいて、だれしも補習授業なんていう余計なことは、夕方になっておなかもすいたのにやりたくないことは確かですが、クラスが、クラスとは日本国でありますが、よくなっていくために本当に必要なのだろうか。やらなくてもいい人もいる場合、その人はやらなくてはいいのか。それともその人も含めて成績の悪いのを助けていくような方法はあるのだろうかということを皆さんに知恵を絞って議論をしていただきたいというのが私の願いであります。
 これこそは唯一の方法ということではないと考えておりますので、ぜひ積極的に議論に参加していただいて、私としては結果的にこういう補習ならいいということならばやればいいし、そんなのは要らないのではないかということならば、皆さんがそういうご意見ならば、そういうことで政府に言っていただければいいでしょう。学校の先生、環境省は何としても補習はほしいとおっしゃるかもしれない。それは環境省のほうでお考えになればいい。
 ということで、我々としてはきちっとした論理が立って、国民に対してこういうことだから補習は必要なんです。こういう補習をやればいいんです。こういうことならばやったって、あまり効果はないんです。あるんです。そういう議論をみんなの前に出して見せることが我々の役割、我々の任務だと考えています。
 鳥井さん、何かありますか。

○鳥井委員 前々から感じて、今日も感じたことですが、企業から来られている方は自分たちはよくやっている、自分たちはこれでひどいめに遭う。自分たちの話ししかされていない。だけど、本当は日本の社会をどうするのかという議論をしている。企業がよくやっているのはよくわかる。だけど、一般の市民の意識をどうやって変えていくのか。なぜそういう議論をされないのか。補習授業の話と似たような感じではあるのですが、そこはよく考えて発言していただきたいと思います。
 私たちはよくやっている。だから要らない。それでは社会全体の話はしていないんだということをご自覚いただきたいと思います。

○森嶌委員長 私はクラスをよくしたいので、優等生のお話をここでみんなでいいとか悪いとかしているのではないという、私のほうは鳥井さんよりはもう少し説教くさくなくお話をしているつもりですが、元はといえば私は学校の先生で、鳥井さんはあとから学校の先生ですから鳥井さんのほうはお話は下手なんですね。
 それではちょうど時間となりましたが。

○関澤委員 今の関連で。鳥井先生に対してお答えを申し上げるつもりはないのですが、1つだけ確認しておきたいのですが、この施策総合企画小委員会は今のお話の中で考えると、あるいは鳥井先生とちょっと絡むかもしれませんが、どこまでの範囲を扱うのか。環境税の議論をするだけの場ではないと思いますが、そこはいかがかということと、あとのスケジュールがどうなっているのかを教えていただきたい。

○森嶌委員長 あとから来られたら、あんた来る前にちゃんと調べておけと言ってもいいんですが、申し上げますと、我々の役割は従来の、これは政府のあれですが、真摯に環境税を検討するというのが、環境省というよりも政府から我々に与えられた役割です。
 環境税を検討するということにつきましては、これは決まっておりまして、環境税というのは先ほどから議論されているように税の体系の中で環境税のあり方まで検討するのか。それとも先ほど武田さんがおっしゃったエネルギー諸税の中での環境税をやるのか。それとも、そこまで踏み込まないで例えば温暖化対策としての税というところだけに絞ってやるのか。そこは必ずしも政府から与えられているマンデートの中に入っていませんが、私はやはり出発点をもう少し広いところに置きながら議論していかないと、この問題はそうは簡単にいかないだろう。
 ただし、行き着き先は環境税について議論をするわけですから、天下、国家をここで議論したって仕方がないとは思っておりますが、基本的には広い立場から十分に検討すべきだ。
 かといって、5年、10年皆さんにご議論いただくわけにはいきませんので、一応の目安としてはこの間も申し上げたのですが、役所は役所で予算を出していかなければなりませんので、ここの議論をにらみながら役所は役所で、環境省の行政責任としての政府の予算案はつくっていらっしゃいますが、我々としては平成17年度の会計年度の終わりぐらいまでに我々として論点をきちっと整理して、どういう方向性を。ただし、我々は税法の専門家でありませんし、財務省でもありませんから、何パーセントの例示で何を置くというのではなくて、基本的な考え方について、そしてまた繰り返し私は申しておりますが、このメンバーで満場一致なんていうことは考えられないです。今日で21回ですが、客観的に冷静に、冷静でなくてもちょっと判断すれば満場一致ということはありえません。反対意見があってもいいのですが、少なくとも国民の目から見て我々が出すレポートについてどういう根拠でどういう考え方のプロセスでこういう点について一致し、こういう点について一致しなかったかということを説明できるような形で本会計年度の終わりぐらいまでに中間報告ということになるかどうかはともかくとして、あるレポートが出せるような、そういうスケジュールで考えたいと思っています。
 今日は2時間ですが、そうだとするともう少し頻度を上げて、1回あたり3時間ぐらいの検討を願うことになるかもしれません。一応前回、そういうご質問がありましたので、スケジュールとしてはそれぐらいのことをしないと国民の皆さんに申し訳ないだろうということを考えております。

○鎌形環境経済課長 後半部分でご議論があった中で速見委員から研究開発費の関係、ちゃんとデータを出して議論すべき、こういうご指摘があったのですが、置いてある資料、専門委員会の報告に若干そういうところが。ご紹介だけさせてください。
 この8月に中間整理しました専門委員会の17年8月付の「環境税の経済分析等について」という冊子の132ページです。仮に去年の環境税案で税を導入した場合に経常利益、研究開発費にどれぐらいの影響があるかということを業主別に表にしたものでございます。例えば環境税案での軽減後のケースでいうと、研究開発費に占める環境税額の割合が食料品ですと1.28%とか、繊維衣料では少し高くて7.77%、以下電気機械機具の0.17%、そんな数字も試算したのがございます。そういうのも1つの参考として見ていただければと思います。

○森嶌委員長 次回は日程調整をしたうえで、皆さんこのご都合もお伺いした上でご通知申し上げます。
 どうもありがとうございました。

午後5時05分 閉会