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中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会
 第20回施策総合企画小委員会 議事録


平成17年9月29日 午前10時00分 開会

○鎌形環境経済課長 おはようございます。
 まだ、お見えにならない先生方もいらっしゃいますけれども、定刻がまいりましたので、ただいまから第20回の施策総合企画小委員会を開催させていただきたいと思います。
 それでは森嶌委員長よろしくお願いいたします。

○森嶌委員長 お久しぶりでございます。
 今日は、決して28度まで上がっていないんですけれども、ネクタイを締めておられない方もおられますので、これはコールドビズになったのかと思っておりますが、それはさておきまして、小委員会第20回会合を開催させていただきます。
 今回2つの議題についてご議論いただきたいと思いますが、1つは5月から8月まで開催されました環境税の経済分析等に関する専門委員会で審議をしてきまして、中間的に整理がなされておりますテーマにつきましてご報告をいただきます。その後に2番目としまして、先般一連の地方ヒアリングでご意見をいただいておりますので、その意見の中から論点となるものを抽出いたしまして整理をいたしました。この後この小委員会でご議論いただけるわけでありますけれども、どういう点が今後議論をしなければならないかということで、論点整理をしてもらっております。また、委員の方からも、これが抜けているのではないかというようなご意見いただいておりましたので、これも含めてご議論いただければと思います。
 まず初めに、環境税の経済分析等に関する専門委員会における審議につきまして、事務局から説明をいただきたいと思います。

○鎌形環境経済課長 それでは、資料1に基づきましてご説明をさせていただきます。
 この資料は、総合政策部会と地球環境部会の合同部会の下に設置されました環境税の経済分析等に関する専門委員会、5月から8月にかけて7回会合を開催していただきました。それで、それまでの審議の中での結果を中間的に整理したという位置づけのものでございます。
 まずお開きいただきますと、目次の後、委員の名簿がございます。こちらに掲げられております委員の方々にご議論いただきました。丸がついております神野先生が委員長ということでございます。
 次をお開きいただきますと、4ページに「はじめに」というところがございます。今も申し上げましたけれども、下から2番目のパラグラフ以下でございます。この中間整理の趣旨でございますが、「主として環境税の経済分析に係る事項等について」、「技術的専門的な見地から」の分析ということでございます。そして、これで、「関係各方面においてこの分析の成果を広く活用することができるように」検討したと。そしてまた、「特定の案にとらわれることなく検討を行うように留意した。」と。これが、この専門委員会の検討のテーマでございます。
 それで、「これまでの審議の整理」という話につきましては、「これまでの技術的専門的な議論の成果をできる限り分かりやすい形で中間的に整理した」と、こういう位置付けとなってございます。
 それで、5ページ目には審議経過、7回分のその結果が掲げてございます。
 6ページ以下が、具体的な中身でございますけれども、全体の構成としてはこの1枚。6ページのタイトル1に「環境税の位置付け」とございますが、環境税がどういう位置づけで議論されているのかということ。それから、後ほどのご説明になりますが、環境税の効果についての議論。それから、マクロ経済及び産業に与える影響についての議論。3部構成となってございます。
 あと、1番目の「環境税の位置付け」ということでございますが、まず理論的にどういうような議論がなされてきたのかということの整理がされております。
 (1)環境税の位置付けというところで、まず環境負荷への価格付けとしての環境税というタイトルのところです。理論的に「ピグー税」でありますとか「ボーモル=オーツ税」でありますとかということで、外部不経済を内部化してその私的限界費用を社会的限界費用に一致させるとか、あるいは一定の環境目標を費用効果的に達成するための課税とか、そういう理論的な議論がなされてきたという紹介でございます。
 それから中ほどにまいりまして、汚染者負担の原則に即した費用負担ルールの1つとして環境税が議論されているという、こういう側面もあるということでございます。汚染者負担の原則を実現するための手段、様々ございますが、その1つとしての税という議論で、1970年前後からフランス、オランダで導入された排水課徴金は、そのようなものに該当するというような紹介がなされてございます。
 それから、下の方でございますが、税制のグリーン化など税制全体の中で考える環境税の位置づけということになってございまして、スウェーデンやドイツなどの雇用問題などのテーマと一緒に税制改革の一環として導入されている、そういう議論がなされて、位置づけがなされてという紹介でございます。
 それから7ページ目にまいりまして、それでは日本では経済的な手法というのがどういうふうな扱いになっているかという部分がございますけれども、いくつか事例を掲げて紹介をしておる部分があります。
 1つ目が自動車税のグリーン化、[1]とございますけれども、こちらの紹介でございますけれども、導入後の税制優遇対象の増加が見られることとか、一定のインセンティブ効果を及ぼしているのではないかとの見方、あるいは逆に、そういったものがグリーン化だけの効果であることが実証されたわけではないというご指摘、そういったものの紹介でございます。
 それから、2番目がごみの有料化ということでございまして、これも、そのリバウンド効果を考慮しても家庭ごみの減量効果が見られるといった、これは既存の研究論文のレビューでございますけれども、そういうことでございます。
 それから3番目に、いわゆる公害健康被害者の汚染負荷量賦課金ということでございますけれども、これについても、部分的にインセンティブ効果が存在したと、こういう分析が紹介されていますということでございます。
 それから、三重県などに見られる産業廃棄物についての、これも調査のくくりということでございますけれども、最終処分量の減少に一定の寄与をしたという調査の紹介でございます。
 それで、それぞれ今のような形で論文とか論文のレビューとか、調査の紹介をしてございますけれども、これは別途参考資料という形でまとめてございます。専門委員会には、それぞれ論文を提出して、議論されるという形でございます。
 次のページにまいりまして、欧州各国で環境税が具体的にどういう位置づけで導入されてきたかということのレビューでございます。
 ここにございましたように、オランダ、イギリス、デンマーク等の形として、二酸化炭素への価格づけによる効果を主たるねらいとしての環境税というところでございます。ただ、その税収の主要な部分は、所得税減税や企業に対する社会保険料の軽減等に充てられるということでございます。
 それから、ドイツでございますけれども、温暖化対策のみならず、所得税や社会保険料の軽減とのパッケージによる環境税制改革。それから、スウェーデンの事例でございますけれども、税制のゆがみというような認識のもとに、所得税の大幅減税、それから間接税の増税、そして二酸化炭素の排出抑制を目的とする環境税の導入をパックとして、こういうような形で出しているということでございます。
 そういった各国の導入の背景、それからそれを受けた制度上の特徴的な点などにつきましては、9ページ、10ページとそれぞれまとめてございます。
 それから、11ページにまいりまして、税制全体の中で環境関連税制をどう位置づけていくか、こういう文脈の中で議論されているということのレビューでございまして、これも、いくつかの論文でどのような議論がなされているかということのレビューでございます。
 この四角の中にございますけれども、1番上のポツで言いますと、税制の新たな公正課税の原則としての汚染者負担原則を位置づけて、これまでの応能原則、応益原則に匹敵する公正課税原則に基づく税というような環境税の位置づけ。それから、2番目のポツで言いますと、いわゆるグッズ減税、バッズ課税、こういう文脈の中での位置づけ。それから、3番目のポツでございますと、税収全体の中で環境・エネルギー関連税の比率を高めていく、そういう税制の全体の「グリーン化」というような中での位置づけ。それから、一番下のポツでございますが、いわゆる「二重の配当」ということで、排出量の削減効果と、それから既存税制のゆがみを持つ税の超過負担を小さくして、こういう「二重の配当」。こういう議論があるということの紹介でございます。
 いろいろな、さまざまな議論を踏まえて、議論をすべきというようなことでございます。
 それから、13ページ以下でございますけれども、第2部ということでございますが、環境税の効果はどうかということでございます。
 まず、課税による効果ということでございます。いわゆる価格を上昇させることによって削減効果があるということについての議論でございますが、昨年来の議論で、例えばガソリン価格の上昇がガソリンの需要減少につながっていないのではないかと、だから効果がないのではないかというような指摘、いろいろございます。こういったことを踏まえまして、エネルギーの価格の変動が需要に与える影響の分析ということを、対策目的観点から行ったということでございます。
 まず、価格弾力性の分析ということでございます。過去のエネルギー価格と消費量との関係の分析ということでございます。価格弾力性、エネルギー価格の変化が需要にどれだけの影響を与えるかということを、数値で表したものでございますけれども、12ページの4つ目の○ですが、エネルギー消費の価格弾力性に関する、ここでは全体7つの論文のレビューをしていますけれども、多くの研究では、負の値、つまりエネルギー価格が上がると消費量が減る傾向があるという分析結果が出てます。例えばということで、専門委員の天野委員の提出資料からの引用になってございますが、過去25年分のデータの分析という部分でございますが、エネルギー価格の影響として、1%上昇した場合に1年後には0.1%程度の需要量の影響、それから、7、8年後には0.5%弱程度の減少、こういう試算の紹介でございます。短期というよりは中、長期のところで効いてくるという特徴でございます。
 それから、13ページ以下に行きますが、これを含め7つの研究の分析をしたということでございます。個々の研究の要約につきましては、この報告書の参考資料という形でつけてございます。実際には、会議の場には提出してご議論いただいたというものでございます。ここにはそのエッセンスをまとめてございますが、短期の価格弾力性の推計値は、基本的に0.04から0.22ということで、低い範囲であると。非弾力的という評価でございます。長期の推計値は、短期に比べて大きい傾向が見られると。燃料や部門によっては異なってくるということでございます。というような傾向があるということでございます。
 ただ、ここの最後の行にございますように、各試算の前提を引き続き精査した上で、分析を深めるということでございます。
 それからもう1つは、需要の価格弾力性の推計値について、技術の開発や普及による効果があるのではないかというような指摘について議論がございました。つまり、技術の開発や普及が進むので、燃料価格の上下の価格にかかわらず省エネが進んでいるとか、そういう傾向があるんではないかと、こういうような議論がございました。
 ここで、いろいろ議論があるということの紹介でございますが、例えば1つ目の・では弾力性の推計値というのは、技術の普及の効果も含めて分析をしているのだから、その部分は価格の影響が分離されずにできているものだというふうに考えるのが妥当という意見。あるいは、価格が一定でも技術開発や普及で省エネ化が進展する傾向があるということで、必ずしも価格変動だけで需要が動くのではないんではないか、こういうような考え方。それからもう1つは、オイルショックの前とかあるいはバブル期には、技術の普及と開発によって多機能・大型化が進展して、省エネというのが悪化するという傾向があったので、そういうことを踏まえれば、時間がたてばおのずと技術開発が進んで省エネ化が進展するということには、必ずしも言えないんではないかと、こういう議論がなされました。さまざまな議論がこれによってはなされたということでございます。
 1番下には、時間の経過による技術の進展を考慮した分析で、ガソリン価格の上下が燃料効率に影響を与えているという試算の論文も紹介がございました。
 それから、次のページにまいりまして14ページでございますけれども、経済モデルによってその効果を分析するというものでございます。
 従前からこの小委員会にも、いわゆるAIMモデルの分析というものをご紹介させていただいておりました。ここでは、そのほかにも違ったやり方ということで、ここでいわゆるGAMESと書いてございますけれども、複数の部門に対して、いわゆる弾力性を生産関数に組み込んだ需給均衡のシミュレートというようなモデルをご紹介いただきまして、議論をいたしました。
 そこで、それぞれのエッセンスでございます。
 AIMモデルの特異なところが、14ページの2つ目の○でございますけれども、これも、この2点を従前ご紹介したものがございます。特に追加的対策を講じない場合には、2010年度に90年比10%増加すると、こういうモデルになってございますが、仮に炭素1トン3,600円の税を課して、温暖化対策にすべて充てるということをしますと、この施策のみで9.5%分削減が試算されたというような内容でございます。
 それから、次に15ページには、もう1つのモデルの紹介がございます。いわゆるGAMESモデルという別のモデルでございますけれども、これでいきますと、この場合にはモデル上炭素1トン当たり10,000円程度の税ということになっていますが、2010年で対BAUシナリオで10%分の削減があると、こういうような試算がなされているところでございます。
 それぞれ、モデルの違いはございますけれども、それぞれの削減効果というのが試算されているということでございます。
 それからもう1点、価格の影響として、アンケート調査による分析を行いました。これは、専門委員会にご相談をした上で、環境省においてアンケート調査をし、それを紹介して、また、ご議論いただいたということでございます。
 全体の1,600人の母数についてのアンケート調査でございます。この調査対象を[1]から[4]までございますが、4つのグループに分けての調査であり、何も課税をしないというそういうケースと、それからエネルギー価格が2%上昇するという環境税が導入されたというケース、それから10%上昇するというグループ、それから[4]ですが、いわゆるアンケート上環境税ということを全く言わずに、単にエネルギー価格が上がった場合にどう工夫をするかと、こういう4グループに分けた分析でございまして、それぞれ、例えばエアコンのフィルター掃除などの心がけの対策を実行するかどうか、それから買いかえ時に省エネ機器を選択するかどうか、あるいはドライブの時のエネルギー消費を控えるようなエネルギー使用抑制、こういった3つの分野で、具体的な省エネ行動の質問をしたということでございます。
 それぞれ3つの類型の行動に関して環境税が導入された場合、つまりエネルギー価格が2%、10%上がったという場合には、導入されないという場合に比べて行動の変化が有意に見られるというようなケース、16ページ目にまたがっておりますが、そういった対策が多数ありました。それからもう1つは、2%上昇の効果と10%上昇が、統計的に有意な差がないというような部分もあったというようなことでございます。いずれにしても、価格の上昇というのが一定の原動力となるということは示唆されたということでございます。
 それからもう1点、16ページの下の方でございます。エネルギー価格2%上昇を想定したアンケートのグループのうち、一方は環境税だと言って、一方ではそうしたことは言わずに聞いたということでございます。これについての分析でございましたけれども、環境税だというふうに明示したグループが、環境税だとは言わなかったそういうグループに比べて、省エネ行動の選択率が有意に高くなるケースはいくつかある。逆に逆のケース、つまり環境税と言わない方が有意に行動が高まるというケースは見られなかったと、こういう説がございます。
 この分析については、どういうふうに言えるかということについては、専門委員会でもさまざまな意見がございました。事実としては、今のような結果だということでございます。
 それから17ページ目でございますが、このアンケート調査につきましては、例えばグループ間で地球環境問題に対する意識の差が見られるということがございましたので、そういうベーシックの意識の差が結果に影響した可能性についても差が出たというような総括となってございます。
 それから、17ページの(2)アナウンスメント効果でございます。これにつきましては、この小委員会でもいろいろご議論いただいてございましたが、詳細ないわゆる理論的な分析とかいうものはなかったものですから、こちらの専門委員会にもご議論いただいたということでございます。
 17ページの下から2番目の○は、従前のアナウンスメント効果の議論として、小委員会の「中間取りまとめ」が引いてございますが、税の認識によっていて、認識が高まるとそのことが効果を及ぼすのではないかと、こういう意味のアナウンスメント効果でございます。
 17ページの1番下でございます。一般的にアナウンスメント効果と言われる場合の、どういうふうに言われるかということの紹介ですが、金融のマネージで主に言われているということでございまして、事前の告知、事前に何か政策的なことを言うということによって、それが効果を発揮するというようなことが一般的に言われるということが、紹介がございます。
 それで、従前この委員会で議論されたのは、事前とかいうことにかかわる議論をされていると聞きましたけれども、一般的に金融の分野で言われるのは、事前の診断というような議論だということでございます。
 それからもう1つは、アナウンスメント効果という意味で、市場におけるエネルギー価格の一般的な変動と、それから、環境税ということで長期的にわたり政策として行われる価格上昇、これも1つのシグナルを発するということですが、そういうものの間では効果が異なるのではないかと、こういうような議論をしたということでございます。
 それについて、後者、つまり環境税ということで長期的に政策として行われるものということでございますが、それについては、環境税が認識されるということで地球温暖化対策の必要性が実感されるという効果、それから短期に価格上昇するということではなくて、継続的にするものだというようなことに対しての効果があるのではないかというようなことがございます。
 それからもう1点、18ページの2番目の○ですが、アナウンスメント効果についての研究事例ということの紹介がございます。1つはイギリスの気候変動税のアナウンスメント効果についての、これは分析がございまして、ここに紹介されておりますように、2010年度までのエネルギー消費について、全体で税の14.6%の削減の効果があったという分析でございます。効果があるという分析でございますが、そのうち13.8%分がアナウンスメント効果であると、こういう分析の紹介でございます。
 それから19ページ目でございます。もう1つは、日本における一般廃棄物の有料化ということについての事例でございますけれども、有料化でごみの手数料の支出を節約するために減量化するかどうかと。あるいはそうでなくて、一般的に資源の無駄遣いをなくすんだと、そういう意識が高まってごみを減量するというようなことについてのアンケート調査の紹介がございます。ここでは、手数料の節約のために減量化するという人に比べて、無駄をなくそうという意識が高まって減らしていくという人の割合が増えている。こういう1つのアナウンスメント効果ではないかという分析事例でございます。
 19ページの最後でございますけれども、いずれにしても、環境税の導入についての普及啓発というのが効果を上げるため必要だというふうなことでございます。
 それから、次に20ページでございます。もう1つは環境税の効果ということで、環境税の技術、産業構造に与える影響。これは、プラス面の影響ということでございますけれども、まず1つ目の○でございますが、環境税に関して、いわゆる温暖化対策の技術の開発・普及が促されるということで、環境ビジネスを初めとする産業振興が促され、産業構造の持続可能なものへの変化というようなことも期待されるという議論がなされている、これについての分析ということでございますが、2番目の○、いわゆるIPCCの第3次報告書の紹介でございますが、エネルギー価格上昇が新技術の開発を促してきたということが述べられていると。それから、3番目の○、ドイツの連邦環境庁が企業に対してのヒアリング調査を行ったということでございまして、環境税が入ってどうだったかというような調査でございますが、CO低減に資するような事業を行っている事業者が、自社の商品が市場で有利になったとかということで、業績が上がっているという事例がいくつかございます。
 それから、イギリスの事例でございますが、「気候変動プログラム」、いわゆる気候変動税を入れるときのプログラムでございますが、そのプログラムでも英国の国際競争力を保護し高めることも目的にするということが示されてございます。
 それから、いわゆるG8気候変動ラウンドテーブルということで、日本のトヨタを含みます24の世界の大きな企業のトップによって構成されるラウンドテーブル。いろんな議論がされたわけございますけれども、今回のG8サミットに向けた声明の中で、市場に基づくメカニズムを活用した政策枠組みが技術開発を促進する上で最も期待される、こういうような傾向がございます。
 それからもう1つ、税ということではございません。環境規制ということに関しまして、規制が適切に設計された場合には、技術革新を刺激して競争優位を得るという、いわゆるポーター仮説というものがございますが、その紹介がございました。この妥当性については、さまざまな議論があったというような段階でございます。
 それで、21ページに、先ほど紹介しましたドイツにおけるヒアリングの結果のエッセンスというのを抜粋したものを紹介してございます。
 22ページ目でございますけれども、環境税額の転嫁ということでございます。仮に燃料の製造、輸入場面で税が課された場合に、その燃料使用に影響を及ぼすには、価格が転嫁されているということが前提でございますけれども、これが実際どうなのかという分析を製油別にいたしました。
 それで、そのエッセンスでございますけれども、原油価格の変動が石油製品のガソリンとか重油とかの小売価格にどう転嫁しているかということでございます。
 ガソリン、軽油、C重油については、4ヶ月程度のラグを見ると、比較的相関の高い動きをしているということ。それから、電力、灯油などは、そういった分析ができなかったということがございます。これは、季節変動とかあるいは他の石油以外のエネルギー源を使うとかいうような、いろんな条件があるだろうということでございます。
 それから、いずれにしても、2番目の○にございますように、もし環境税の導入ということであれば、消費者の認知、理解を高めるために十分な価格転嫁を図るというので、レシートなどが有効でございます。
 それから23ページ以下、第3部でございます。マクロ経済及び産業に与える影響という部分でございます。
 まず(1)、経済モデルによる分析ということで、先ほど紹介した2つのモデルでございます。AIMモデル、GAMESというモデルでございます。
 AIMモデルのものでございますが、マクロ経済の影響は2010年までの間でGDPの成長率を毎年の平均で0.03%ずつ低下させる。ただ、業種別に見ると、省エネ機器の導入の増加で生産額が増加する部門、あるいは石炭火力とか石油製品製造などの部門での生産活動の減少が見られると。
 それからもう1つのモデルでございますが、これもトン当たり10,000円を課した場合でございますが、2010年以降GDP比で0.09から0.19%の損失、年平均で0.02%程度というような試算が出てございます。ただ、やはり業種ごとの影響があって、特に鉄鋼業の生産の減少などの、エネルギー集約産業の負担ということがダメージを受けているということでございます。
 次のページにまいりまして、24ページでございます。業種別に、ではどういった影響が出るのかということの分析でございます。従前、業種別にエネルギーコスト技術がどうかというようなことは、この委員会にも提示させていただいてご議論いただいたところでございます。ここでは、まず短期的な影響として、実際に環境税がかかった場合に、その税額とその各企業の売上高とか経常利益、こういったものの経営指標とを比べてみて、どの程度の影響があるのかということを見る1つの目安にできないかというようなことをやってみました。
 具体的にどういうことをしたかということですが、経営指標につきましては、有価証券報告書などから引っ張ることができます。それから、COの排出量、つまり税額に影響してくるCOの排出量につきましては、なかなかデータが難しいのでございますけれども、省エネ法の対象の事業場につきましては届出がなされると。そのうち、情報公開請求でもって出てきているというもの、世の中に明らかになってきているというものがございます。そういうものを材料といたしました。それを材料といたしまして、各業種別に上位10社程度のうちデータのそろったものをまとめて、売上高と税額、経常利益と税額、こういったような比較をしてみたということでございます。
 その試算例の1つは、グラフでございますけれども、環境税を入れた場合に、これ去年環境省が具体案として出させていただいたトン当たり2,400円というものを、仮置きして試算をしたというものでございます。ここにございますように、各業種がございます。一応データがそれなりにそろってきた業種につきまして、何社かまとめたデータを記したということでございますが、これ売上高に占める納税額ということでございますが、左側に白い棒とそれから右側に黒い棒がございます。昨年の環境省の案をベースにして、軽減の前、軽減後ということで比較をしてございます。
 ここで、いずれにしても、例えば軽減ということがない場合に、紙・パルプで例えば0.4%に届くとか、あるいは繊維・衣料、窯業・土石、非鉄・金属なら、それぞれ0.05%、あるいは0.1%以上いくというものがあるということでございます。その他は、0.05%以下の範囲には収まってくるようでございます。それから、軽減の効果というのも、白い棒と黒い棒でわかるということでございます。
 こういったようなものが、試算として出てきたということでございます。
 それで、25ページの2つ目の○でございますが、この環境税額と経営指標との比較の試算ということのほかにもう1つ、実際に各産業の製品価格にどういう影響を与えるかということを、産業連関表を用いた分析によって示してきたということでございます。
 これは、26ページの図に表してございますけれども、これも昨年の環境税案というものを前提にして計算してみたということでございます。ここでも、鉄鋼でありますとか、棒が長いところでございます、軽減前生産者価格には1.1%の影響があるということ。有機化学が0.47%などの数字が挙がってございます。薄いグラフが、軽減前のもの。それから濃いグラフが軽減後の姿ということでございます。各業種の生産価格にこういった影響があるというような分析でございます。
 ちょっと、25ページに戻りまして、いずれにしても、25ページ下からの2つ目の○です、エネルギー多消費産業には、他に比較して環境税の影響が大きい業種があるということがはっきりしてきたということでございます。それで、こういった影響の緩和のための分析を加味する必要があるということでございます。
 それからもう1つ、エネルギー価格変動が、それぞれの製品や運送にどう転嫁されるということを、実際に分析をしてみました。ここでは、鉄鋼、ナフサなどの製品、素材製品、そういったものは転嫁が比較的なされている。あるいは、セメントやそれから製紙パルプ、それから貨物運送につきましては、価格転嫁がなされにくいと、こういうような分析結果が出ております。
 いずれにしても、価格転嫁ができない製品、サービスを多く抱える企業に対しては、影響が大きく出るだろうということでございます。
 それから27ページ、最後でございますけれども、もう1つは国際競争力、開発途上国への生産の移転ということへの懸念についてでございます。いわゆるリーケージの問題、先進国で対策をとると途上国にその生産が移転してしまって、そこでかえってCOが増えるのではないか、こういう懸念がございます。
 まず2番目の○、IPCCの分析でございます。これは、ここの委員会でも従前紹介させていただきましたが、全体の分析をし、いくつかの論文をレビューしたところ、先進国で削減した場合、リーケージで漏れていく部分はそのうちの5%から20%、それが開発途上国に移転していくというようなレビューがあるということでございます。
 そして、この専門委員会では、そのレビュー以後、いくつかの論文のレビューもしてもらいました。そこで、もうおおむねこの範囲に収まっているというような結果でございました。
 それから、いずれにしても、ただこれは経済全体に対するということなので、個々の業種で見れば、鉄鋼業などエネルギー多消費産業への影響ということにも留意する必要があるということが、指摘されてございます。
 それからもう1点でございますが、環境税を採用した国、しない国が出た場合に、それを調整する手法として国境税調整ということが話題になりました。これにつきましては、アメリカで化学物質やフロンについて行ったような事例がありますが、対象製品がCOの場合は幅広いとか、行政コストの問題があるのではないかというよう指摘もございます。
 それで、今後は技術的に困難か否かの検討ということと同時に、税率の軽減措置などの全体的な国際競争力配慮という中で、検討を進めていく必要があるのではないかというようなことがございます。
 ちょっと長くなりましたが、以上が専門委員会の中間的な整理でございます。

○森嶌委員長 これまでも小委員会で議論されていた論点のかなりの部分が、専門委員会でさらに検討していただいたということになりますが、この中間のまとめにつきまして、まだこれからも議論が進められると思いますし、私どもの方でもまた議論をしていくことになると思いますけれども、現時点で何かご質問等ございましたら。

○小林委員 私の方から、この専門委員会に対する期待ということなんですが、今までいろんな議論がなされてきているんですが、やはり今回のこの専門委員会に対する期待というのは、この環境税に関する経済分析を一般の国民がわかりやすい形でまとめていただきたいというのが本音でございました。今までまとめられている議論の中で、まだまだ学術的な報告書の域を出ていなくって、一般の方ではこれを読んでわかるということがちょっと難しいんではないかなというふうに感じます。
 その中で、やっぱり一番大きな問題点は、その環境税の位置づけという部分で、今までの環境税についてのものの考え方、議論について、整理をされてきてはおられるんですが、今回国が、また環境省が考えている環境税というのは、今どういう位置づけで考えているのかというのが、実はここに全く書かれていない。つまり、一般論で全部書かれていて、その中のどれを取り上げて考えているのか。以前から議論していただいていますけれども、要するに、税収効果をねらってやっているのか、課税効果をねらっているのかというのもよくわかっていないという。そこのところ、もうちょっときちっと整理をしていただかなければならないのではないかというのが1つございます。
 それからもう1点は、その環境税という言葉なんですが、今回のヒアリングをやっていて、またヒアリングを含めて地方の方々と意見交換をする中ですごく感じたのは、環境税という言葉にいろんな意味があるわけですね。その中で、今回の場合は気候変動に係る環境税を議論しているわけで、やはりそれは気候変動に係る環境税というふうに限定して議論していただかないと、地方へ行って話をしますと、その森林環境税とか産業廃棄物とかそういうものと、皆さん混同して議論をされてしまうという部分があるので、その辺はやはりきちっと、表現は明確にしていっていただいた方がいいのではないかというのがございます。
 それから、7ページ。これ言葉じりだけで申しわけないんですが、(2)日本における経済的手法のところの例示の[2]で、「家庭ごみ収集の有料化や、主として対策の必要財源への充当を狙いとする」というふうに書いてありますが、現在やられている家庭ごみ収集の有料化というのは、対策の必要財源の充当が目的ではないと思います。これは、要するにアナウンスメント効果の方を大きくねらって有料化というのをやっていて、実際にごみ処理費用の1割も有料化されていないと思います。そういう意味で、ここの言葉はちょっと修正をしていただいて。これは、実際のその次の、[2]のごみ収集の有料化についてというコメントの部分のところは、アナウンスメント効果とか、そういう書き方にはなっていないんで、ここは誤解をされない方がいいんじゃないかと思います。
 それからもう1点。一番大きな問題点は、いわゆる課税効果を書いてある部分と、それから一番最後の方に行きますが、いわゆる経済影響に係る記述の部分。ここのところが、どうもうまくリンクしていない。つまり、逆に言うと、課税効果がありますよと書けば書くほど、経済影響がありますよということになるわけで、経済影響がないということは、逆に言うと課税効果がないということにもなるわけです。その辺をうまく整理をしていただかないと、ここはやっぱり今一番わからなくて、経済界と一番議論の衝突をしているのもここだと思うので、ここのところをもっとわかりやすくしていただきたいというのがございます。
 それからもう1点は、これの中に例示が何回か出てくるんですが、税率を整理していただきたい。トン当たりが10,000円で書かれたり、2,400円だったり3,600円であったり、いろんな例が書かれているんですが、それがあちこちで使われていて、できたら、3,600円だったらどうだ、2,400円ではどうだ、10,000円だとどうだというふうに、統一して整理をしていただいた方が理解がしやすいのではないかなというふうに思います。
 それから、これは以前から議論をしていて、これはこんなこと言うと佐和先生に怒られるんですが、AIMモデルの内容が実はよくわからない。ここのところ、もっとわかりやすくしていただけたらどうかな。例えばこの中で、導入によって長期的影響が云々というのが大分書かれているのですが、いわゆるその課税額が3,600円だったらこうだ、2,000円だったらどうだというのがどうもわからなくて、要するに、課税をすると消費的に買い換え効果が出ますよと書いてあるんですが、その買い換え効果というのは、1,000円だったら出ないけれども5,000円だったら出るということなのかというのが、ちょっとよくわからないという点がございます。そういう意味で、もう少し長い文章じゃなくて短く、国民の皆さんがわかりやすい形で、できたら整理していただいたらというのを、大変期待をするところなんですが。
 以上でございます。

○森嶌委員長 今の小林委員に対して、経済分析等に関する専門委員会ということですので、我々の方の小委員会ということは何をするのかということもありますけれども、ともかく、私も大学の人間ですので、大学の先生とか専門家にあんまりやさしく書けというと、あんまりちゃんとやりませんというと語弊がありますけれども、私はむしろきちっとやることをやってもらって、それを料理し直すというのは役所の仕事、あるいは我々の仕事だと思いますので、むしろ、わからないからやさしく書き直せではなくて、難しくやったことの中でこういうことをやっていないじゃないかと、あるいはもっとこういうことをちゃんとやってくれと。
 今おっしゃったモデルの中で、今の例がいいのかどうかわかりませんが、1,000円ならば効かないけれども5,000円なら効いてくるという、そこのところがモデルでどう効いてくるのか、そこをちゃんと専門家が説明してくれとかですね、それから、いくつかのオルタナティブで、先ほど挙げられた、3,000円とか5,000円とか2,000円とか、それらを整理して出してくれとかですね、そういう注文ならば、私は専門委員会にしていただいていいと思うんですけれども、国民にわかりやすく、小学生にもわかりやすくということを専門家におっしゃるのは無理なので、専門家にはきちんとした仕事をやってくれと。それでその後我々の方で、この小委員会で、どういう形でわかりやすくやっていくか。それから、それをもとにして、ここにおられる良識ある委員に、どういう形でどういうふうに考えていくかということを議論していただくというふうに考えておりますので。
 それからまた事務局の方にも、これを前提にして今後論点を議論していくときに、もう少しこれをベースにどういう資料をつくっていくかということを、私としては、かねてからお話をしていますし、前にもお話したことがあると思うんですけれども、やはり、小林委員と同じように、環境税と言うとみんな言っていることが違うんですね。それから、環境税という言葉だけではなくて、専門家が一生懸命考えていることと、皆さんが受けとめておられることと、経済界の方がおっしゃることとか、みんなすれ違っているわけですけれども、それを、ここの委員会はまさに、いいか悪いか、賛成するか反対するかは別として、きちっと合わせながら、では全体として国民はどう考えるのかということは、私はここの小委員会の仕事だと思いますので、小林委員のおっしゃることはよくわかりましたけれども、それを全部専門委員会の方にやれというのは、私はむしろ専門委員会に対して注文が多すぎるので、我々がやらなくちゃならないことだというふうに思っております。

○浅野委員 私が代表して答える筋ではないのですが、今森嶌委員長からお話があったように、この専門委員会はあくまでも専門的な知見に基づいて、できるだけ客観的に資料を提供するということが役割になっていると思います。ですから、推進をしていくという観点から言うと、これでは困るというようなことはもちろんあり得るわけで、むしろそういうことをきちっと全部出していくことが大事だと思うわけです。
 私が取りまとめの段階で申し上げたのは、こういう報告書が出ることによってますます議論が混乱するようなことにならないようにして欲しい。むしろ今回は、前回の専門委員会の場合にはやや具体案を出しすぎたような面があって、多少議論がそちらの方に引っ張られるというような疑問があったのですが、今回は客観性を保ってデータをきちっと出すということに徹しておいた方がいいだろう。わかりにくいという点はおっしゃるとおりなのですが、これを、さっき森嶌先生がおっしゃったように、わかりやすい文章に直していく仕事は、むしろ経済学者にお任せするんじゃなくて、もっとほかの者がやればいいだろうというふうに思っています。
 環境税という言葉の使い方については、おっしゃるとおり、私もヒアリングの場でもしたし、あえて温暖化対策のための環境税という断りをつけて、皆さんにご発言をお願いするということにしたのですが、おっしゃるようなことはあると思います。この報告書はしかし、とりあえず全部まとめて整理しようという意図があったものですから、まずはそもそも環境税とはという一般論から始まって、その中では例えば汚染者負担の原則に基づいたというような記述もあるわけですが、これは、こういう考え方で環境税というものが論じられたことがあるんだという紹介をしているだけですね。だから、これを推奨しているわけではないし、こういうようなやり方でやれと言っているわけでも何でもないわけで、そこはちょっと誤解を与えるような面があるかもしれません。
 そして、次の経済的手法という部分も、これも広義の環境税からまず説き起こしていって、そこから、温暖化対策のための政策手法としての環境税は、というふうに話を整理したつもりだったのですが、ちょっとその整理が悪かったということは事実だと思います。その点は、もう誠に申し訳ありませんでした。
 それから、必要財源充当をねらいとするという点は、これちょっと句読点の打ち方か[3]の付け方を誤ったと思います。申しわけありません。「主として」の前に、実は[3]がなくてはいけないんですが、そうなりますと、今度は[4]はどうなのか、[5]はどうなのかになるんですが、どうも森林環境税は財源のような気もするんですが、三重県の産廃税が財源というと、ちょっと気の毒のような気もするんで、ここももう少し整理をしなければいけない。ただ、ご指摘になった必要財源の充当をねらいとするというのは、意識的には公健法のものを考えていて、これは明らかに、SOの排出量が下がっても負担は増えたという過去の経験がありますし、明らかにこれは財源目的だったんですが。にもかかわらず、そのようなものでも、間接的には企業にはSOの排出削減というインセンティブになったということは、論文などできちっと指摘されていますので、そのことを言いたかったというだけであります。ですから、これは家庭ごみの有料化が財源ということではありません。ちょっと句読点の付け方のミスではないかと思います。
 それから、あとの点は森嶌委員長もおっしゃったとおりでありますし、それから、効果とそれから影響のところについては確かにご指摘のとおりなんですが、冷静に議論をすればこうなるということで、あんまりリコメンデーションのようなものは入れていないんですが、やはり、こういうような結果、ここのところについては軽減措置を考えなきゃいけないであろうというようなことが、ちょこちょこと入ってはいるわけですね。この専門委員会報告にも、リコメンデーション部分がつまみ食い的にちょっと出てきているんですね。客観的なデータを示すというならそれだけに徹しておけばいいんですが、そうじゃない部分も若干あったので、今小林委員がおっしゃったような話になるのかもしれませんが、いずれにせよ、こういう客観的な、少なくとも専門家の目から見てた先行研究の分析や、新たに今回やってみた分析の結果出てきたものがこういうものであるということは、一応客観的な事実として認められるのではないかということなんだと思いますね。
 私は、必ずしも経済が専門ではありません、素人に近いんですが、専門委員会では相当皆さん冷静に議論しておられてるように見うけられますので、客観的に、都合のいいことも悪いことも、私どもの目から見るといろんな見方もあるんだろうと思いますが、しかし、余計な議論が起こらないようにという配慮は十分行われて議論が進められている専門委員会であるということは申し上げておきます。

○鳥井委員 1つご質問申し上げたいのですが、石油関連諸税がかかっているわけですね。あれは、削減効果があったか無かったかという、そういう分析は可能なんでしょうか。そういう論文はあるんでしょうか。もし削減効果が無かったとすると、なぜ無かったのか、あったとするとなぜあったのかという、その辺わかるんでしょうか。

○鎌形環境経済課長 ちょっと今手元に資料を持ち合わせていないんでございますけれども、いわゆる既存のいろんな税金の中で、道路関係で暫定税率が見直しを今5年おきにされておりますけれども、そういう文脈の中に、前回のいわゆる揮発油税などの暫定税率の見直しの際に、やはり同じ中央環境審議会の専門委員会で、その暫定税率というものがあった場合なかった場合、どういう影響があるかというような分析はなされたことがございます。その時、私も今にわかには思い出せないんですけれども、いわゆる基本税がベースにあることによって、無かった場合に比べて少し排出量が落ちているだろうというような分析があったというふうに……

○浅野委員 かなり落ちている。

○鎌形環境経済課長 失礼いたしました。浅野先生がおっしゃるとおり、そういう結果がございます。

○佐和委員 専門委員会の一人としてですね、今おっしゃっているんですが、結局過去のデータというものを見てみますと、例えばオイルショックの後に当然ガソリンの値段が上がったと、電力料金も上がったというようなことがあるわけですね。しかし、ガソリン需要あるいは電力需要というのは、多少上がったことによって伸びが鈍化するということはあっても、趨勢的にはやっぱり伸びているんですね。これは、実は要するに、ガソリンの消費とかあるいは大型車志向とか、あるいは電力消費というのは、単に価格効果だけではなくて、大ざっぱに言えば所得効果というのがあるわけですね。この間ずっと所得が増えてきているわけですね。ですから、その所得効果による消費の増加と、価格効果による消費の抑制、削減というものを、いわば統計的にうまく分離して検出するということは非常に難しいということを申し上げておきます。
 それから、ついでですので小林委員がおっしゃったつながりについて、いくつか申し上げたいのですが、基本的にこういうAIMモデルであれ何モデルであれ、基本的にモデルというのは連続的なのですね。だからそれは、3,000円の税金をかけた場合、あるいは4,000円、5,000円、突然5,000円にしたら急に効果が飛躍的に高まるということはないわけですね。それで、このAIMモデルの一つの特徴というのは、例えば90年代の初めごろに2000年に標準年レベルに安定化させようとするならば、炭素1トン当たり3万円の税金をかけないとあるいは3万6,000円の税金をかけないといけないと。その結果、経済成長率が%単位で鈍化するというような、そういうふうなモデル分析をやってらっしゃった方がいらっしゃいまして、よく見ると、実は税金を金庫にしまっておくだけなんですね。そうすれば、経済成長にネガティブな影響があるのは当たり前なんですね。
 ところが、税というのは基本的に、場合によっては生産者、場合によっては消費者の財布から、あるいは懐から政府の金庫にお金が移るわけですね。でも、金庫にしまっておいたままだと、経済成長に対してマイナスの影響を与えるのは当たり前なんですね。ところが、それを政府が上手に使えば、結果的には経済に対して、そのこと自体はプラスの効果があるわけで、個人の自由な消費に任せておくというような、政府がある目的のために徴収した税を使うというのとはそんなに、上手に使いさえすればそんなに差が出ない。
 ただし、一番の問題は現下のように膨大な財政赤字を抱える現況で、仮に新税を導入して、それを財政赤字の削減に使うということになると、これは金庫にしまっておくことと同じことですよね、政府支援は全く出ないということになります。
 ただし、アメリカのあるモデル分析によると、財政赤字が減れば要するに金利が下がるわけですね。金利が下がって、その結果、民間企業の設備投資とか個人の住宅投資が増えるから、4、5年というやや中期的な時間幅で見ると、環境税の導入は、むしろ経済成長にとってはプラスの効果がある。初期のころは、最初の2、3年はネガティブな効果だけれども、4、5年たつと今度は、申し上げたように金利の低下による投資の増加ということで、むしろGDPの成長率は高まるというような結果を、アメリカの権威あるモデルが今から10年ぐらい前、ちょうど京都会議のころですけれども、出しておりました。

○森嶌委員長 どうぞほかの方で、何かどうでしょう。

○鳥井委員 先ほどのお答えから考えまして、今度の環境税というのは、ガソリン税だとかとどう違うんだということ。ガソリン税は効果があると、環境税も効果があるよという言い方をするのかですね、ガソリン税はあまりアナウンスメント効果がなかったけれども、環境税ならアナウンスメント効果があると、こういう言い方をするのかということを考えますと、やっぱり、佐和先生がおっしゃったように難しいことはよくわかるわけですが、どこが違うのかということを、もう少し効果の方を明確に議論ができると、いやいや違うんだよと言えるというところがあって、その辺が専門家の方が少しご努力いただけるとという感じはします。

○浅野委員 それは、大事なことです。

○佐和委員 それは、一言申し上げると、ここで言っているといった環境税というのは、原則として炭素含有量に応じて化石燃料に課税するということで、普通の石油諸税とは異なると。

○鳥井委員 それは、わかる。

○佐和委員 というのが1つとですね、それからやはり、今おっしゃったとおりアナウンスメント効果と。何のために税金を払っているかというと、COの排出を削減するため、化石燃料の消費を抑制、削減するためだという、そういう税の目的というのが非常にはっきりしていれば、それによって消費者の行動あるいは企業の行動に対してこれが持つ効果は、単に税金が上がりましたよと、さっきアンケート調査にありましたように、単にエネルギー価格が上がりましたというのと比べれば効果は大きいというふうに思います。

○鳥井委員 定性的にそうだというのは、よくわかるわけなんですが、その辺を少し詰めていただけるとありがたいなという。

○森嶌委員長 いや、専門委員会に対するのもそうですけれども、僕は中環審でよく言うんですけれども、我々は委員なんですから詰める仕事は我々もやらなくちゃいけない。

○鳥井委員 その能力がない。

○森嶌委員長 人の仕事でありませんので、ぜひ今後、我々も議論しますので、お考えいただければと思います。

○水野委員 今、いろいろ議論を伺いまして、やはり基本的に環境税が何であるかという定義がなされておりませんので、それは恐らく小委員会の議論の流れで大体一致する考え方があるのかなと、今の議論を伺っていて感じたわけですけれども。それに僕はいわゆる地球温暖化を抑制すると、こちらの問題が、今度は歳入という形で税収を使って、昨年末に言われたことですけれども、税収を使って設備投資をすれば、またさらに炭素別の排出を抑制されるのではないかと。そういう話になってくると、一体環境税は、どの次元のどういうものをそういうふうにしているんだろうというのがわからなくなるんですね。
 それから最後のところに、いわゆる国際的競争力ということで、国境税調整という話が出てくるんですが、これGATTの話も書いてありますが、国境税調整というのは、消費課税について、輸出する物品にかかる税金をゼロにする、場合によっては還付するということですけれども、環境税の中身がはっきりしないままで今度は国境税と言って、もう環境税は消費税であるかのような形で出てくるんですけれども、炭素含有物質を使用することが消費という従来の税金とは違うものですね。これを説明するものに使われているんですが、恐らくこれ国境増税調整と書いてありますけれども、実際には輸出について、国際的競争力を考えた上で政策的な配慮をすると、こういうものではないかと、ここでの議論はそういうものではないかと思うんですね。ですから、国境税調整と出てくるけれども、これは税法の立場では完全に消費課税であるということで縛りがかかるんですけれども、環境税が何であるかという最初の議論がなくて、最後に消費課税であるようなまとめ方をされますと、非常に混乱するので、環境税の議論の中身ですが、いろいろ議論いただいていますけれども、ここをある程度はっきりさせておかないと、先へ議論が進まないのではないかと思うんですが。

○森嶌委員長 ありがとうございます。これは、専門委員会に対してですね、水野委員からそういうことを言われたと。環境税にはいろいろあるけれども、我々が議論しているのはそれは少なくとも温暖化対策としての環境税であると。温暖化を、しかもそれは炭素税であるのかエネルギー税であるのかというのはまだ議論していませんけれども、少なくとも森林を保全するとか、そういうものではないということを、どういうふうに定義するかはまだですけれども、ともかくとして、そこははっきりさせないと。もうこの辺で、はっきりさせたところから出発しよう。
 それから、今水野委員がおっしゃいましたけれども、その税収を財源として使うかどうかということについては、環境省案では財源に使うということになっていますけれども、ここではまだ議論をきちっとは詰めてはいない段階ですけれども、一つの考え方としては財源に使うとありますし、それから一応ニュートラルで、それは一般財源に振り向けるということは考えられるわけで、その場合には税を取るということによって抑制効果があるという。抑制効果もなくて一般財源に入るなら、何のためにやるのか、それこそわからないわけですから、そういうことも、取ったものをどうするかということ。これは、一つには税率との関係で、環境省案は税率を比較的低くとって、その意味ではすぐさま効果が効いてこないけれども、その財源を対策の方に使うことによって、それと組み合わせると温暖化対策として意義がある、アナウンスメント効果と温暖化対策に、その財源として使うことによって、温暖化対策になるのではないかというそういう前提で、そういう論理で環境省案があると思うんですけれども。
 我々はこれも含めて今後議論をしていくことになると思いますが、私は少なくとも専門委員会は、去年のいろいろご議論いただいたところから出発して、難しいというお話が小林委員からありましたけれども、かなりこう詰めていただきました。それからまた、水野委員がおっしゃいましたように、突然消費税が出てきたりですね、そういう問題はあるかもしれませんけれども、どこに問題があるのかということについてはかなり議論をしていただいたと思いますが。
 そこで、最初の議題を打ち切るつもりはありませんけれども、実はここでまだ議論をしていないことで、地方ヒアリングで、必ずしも理論的ではないのですが、地方ヒアリングで新たな視点も出てきておりますので、もう一度地方ヒアリングで、この間一応ご報告はいたしましたけれども、どういう意見が出てきたのか、それから、それをどういうふうに整理をしたのかということについて、事務局からご報告があります。

○鎌形環境経済課長 それでは、資料2に基づきましてご説明します。
 この前に、資料2の補足に参考資料1、参考資料2ということでございます。
 参考資料1につきましては、委員提出の意見ということでございまして、前回ご報告させていただいたときに、論点として落ちているところとかそういう部分がないかということを、森嶌委員長から意見があれば提出してくださいというお話が、各委員にございました。それで出てきたご意見を、参考までにご配付させていただいたというものでございます。
 永里委員、服部委員につきましては、そのときのご意見。それから久保田委員につきましては、従前お出しいただいていた意見がございまして、そこの論点が落ちていないようにというようなご指摘がございましたので、その従前のご意見をつけさせていただいているものでございます。
 それからもう1つ、参考資料2というのは「地方ヒアリングにおける意見の項目別整理」というタイトルのものでございますが、これは前回ヒアリングで出た意見を、事務局が整理して説明させていただいたものです。これにつきましては、項目別に分けてはあるんですけれども、その意見が生の形で並んでいるということ、ここをもう少し論点として整理するようにというご指示が委員長からあったというふうに受けとめております。それで、それをもとに資料2「地方ヒアリングにおける主な意見とこれまでの検討状況」という形で、取りまとめてございます。
 冒頭の点線の四角にございますように、7月から8月の6ヶ所のヒアリング、これにつきまして、意見を項目ごとに整理して、そしてこの論点という意味で、それぞれの意見について審議会でこれまでどういう検討がなされていたのかというものも、あわせて整理をしているというものでございます。
 1ページ目、まず総論からございますけれども、総論的なご意見としては様々ございます。1番目の四角、環境税に頼らず、自主的取り組み、国民運動を中心とした推進をすべきと。あるいは、国民が平等に負担する仕組みにすべきとか、あるいは、財源ありきではなくて、まずどんな政策が必要かを検討して、それで必要財源を検討すべし。あるいは国民的なコンセンサスを得ることが必要、こういったご意見。あるいは環境税の目的として、いわゆる外部不経済に対して環境の使用者が正当な対価を支払う仕組みを確立すると、こういうことなんだというふうなご意見がございました。
 それから2ページ目にまいりまして、環境税の効果というような部分でございます。これもいろいろな意見を、エッセンスをまとめてきているものでございますけれども、効果一般につきましては、公平性、実効性に優れるとか、一般社会への対策として効果が高い。企業の自主的な取り組みを引き出すことが期待される、こういった積極的なご意見のほか、環境税の導入で追加的な取り組みを引き出すことは期待できないと、こういう否定的なご意見、それぞれございました。
 それから、価格インセンティブ効果につきましては、石油ショック時の事例を挙げて、一定の削減効果があるというご意見。それから、長期的に省エネ機器の買いかえなどで効果が現れるのだというご意見。それから、最近のガソリン価格の上昇と消費量が減っていないということから、インセンティブがあるとは言えないというご意見。それから、家計に占めるエネルギーコストの比率が増加しているんだから、インセンティブ効果は期待できないというご意見。あるいは、電力自由化で電力料金が低下傾向にある、こういう中では、導入しても効果は期待できない。こういったそれぞれの意見がございました。
 これにつきましては、3ページの上の方には少し網掛けの部分がございますけれども、これ先ほどの専門委員会での議論を紹介しているということでございます。ただ、これまで十分検討、検証が行われていない、そういった論点もあるので、引き続き検討が深められる、こういうことが必要かということでございます。
 それから、価格転嫁でございます。化石燃料などが上昇しても製品価格に転嫁することはできないので、インセンティブ効果は期待できないと、こういうご意見があります。これにつきましても、専門委員会のご議論のエッセンスを紹介してございますが、さらに、転嫁されると分析されていないものもあるので、引き続き精査が必要ということでございます。
 それから、アナウンスメント効果でございます。3ページの1番下。まずアナウンスメント効果が期待できるんだと、こういうようなポイント。それから4ページ目になりますが、そもそもそのアナウンスメント効果についての疑問、あるいはそれ自体を新税導入の目的とすることへの問題ということの指摘。それからもう1つは、化石燃料には既にほかのエネルギー税が課されているということで、どこまでが環境税でどこまでがエネルギー税だかわからない、こういうところでアナウンスメント効果がどうなのかというようなご意見がございました。
 ここでも、専門委員会における事例が紹介されているということを触れてございます。引き続きの検討が必要ということでございます。
 それから、財源効果ということでございます。(5)ですが、既に年間1兆円以上の予算が使われているという点をどう考えるかと。これを評価・検証をして、その上で環境税の必要性を判断すべきというご意見がございました。
 これにつきましては、こちらの施策総合企画小委員会で昨年12月に「論点の取りまとめ」を行っておりますけれども、そこでの言及。確かに1兆2,000億円が計上されているというようなことがございますけれども、それについての分析。すなわち、温暖化対策を主な目的にするものと、結果として効果があるもの、それぞれあるのだというような取りまとめがございます。
 それから5ページ目でございますけれども、新税導入の前にまずやることがあると。追加的にどの程度の財源が必要なのか、詳細に計算してやるべき。今の財布でやりくりをすることを十分考えるべきということでございます。
 この点につきましては、地球環境部会の、いわゆる3月に出されました第2次答申。目標達成計画に向けて議論が行われたときに、その答申をまとめる際に環境省としてその必要額というのを試算したことがあるということの紹介でございます。ただ、引き続きの検討がやはり必要だということでございます。
 それから6ページ目でございます。環境税の経済への影響ということでございまして、ここではプラスの影響、マイナスの影響ということで、少し分けてございますが、プラスの影響につきましては、1つは海外の事例を見ても、国際競争力や経済活動を阻害するんではなくて、事業チャンスを生み出すインセンティブになるとか、あるいは地域社会の新しいコミュニティシステムの構築のきっかけになる。こういったような意見がございました。
 この点につきましては、先ほどご紹介しました専門委員会の中間整理に言及されている部分を紹介してございます。
 それからマイナスへの影響ということでございます。やはり雇用や地域経済への悪影響、不景気を招く懸念。それから、特に運輸業界ということでございますが、価格転嫁が困難ということでの事業者の負担増。それから、企業の技術開発費の削減。研究開発力を奪ってしまうと。次世代への新規事業の芽を摘む。こういったご意見がございました。
 いずれにしても、こういった影響については引き続きの検討が必要ということでございますけれども、先ほど専門委員会の中間整理でご紹介いたしましたように、経営指標との比較の分析でありますとかモデルの分析などなどあったということでございます。
 それから、国際競争力の低下、産業の空洞化、炭素リーケージというようなことについてのご意見です。まず、そのコスト上昇で、特に輸出産業の国際競争力を低下させる恐れというのがございます。それから、生産拠点の途上国への移転、産業の空洞化を招くというご意見。そして、結局エネルギー効率の悪い途上国で生産が増加して、結局世界的に二酸化炭素が増加してしまう、こういうご意見がございました。
 これにつきましては、いわゆる炭素リーケージに関して小委員会の「論点取りまとめ」の中でのまとめというものをここに出してございます。
 それから、次8ページ目でございますが、環境税の仕組みに関しての意見でございます。課税対象について、化石燃料の炭素含有量に比例した税率とすべきというご意見がございました。それから、税率に関しましては、低率でも一定の効果が期待できるというご意見。あるいは、低率では効果が低いので、削減効果を引き出すために高税率にすべきというようなご意見がございました。
 ここでは下の四角には、この小委員会での「論点取りまとめ」で税率について言及したものを載せてございます。
 それから9ページ目でございますけれども、課税段階につきましては、いわゆる上流、下流ございますけれども、徴税費用ということから考えると、それが少ない上流課税になるのとのご意見。あるいは、消費者に削減インセンティブを与えるということで下流課税が有効とのご意見。それから、それをそれぞれ組み合わせたものが現実的であるとのご意見。それからもう1つ、それぞれのメリット、デメリットがあるんだけれども、少なくとも環境税がかかっているか、これは一般市民がわかると、こういう仕組みが大事だというご意見がございました。
 昨年12月のこの小委員会の「論点取りまとめ」では、それぞれの長所・短所というものが併記されてございます。
 それから、軽減措置ということでございます。いわゆる省エネなどに努力した企業や人、それからエネルギー多消費型産業、低所得者、高齢世帯、一般家庭、こういったような軽減措置が必要だと、こういうようなご意見がございます。
 昨年のこの小委員会での「論点取りまとめ」で、いわゆる軽減措置の考え方ということで、いくつか類型をまとめてございますので、それを9ページから10ページにかけて載せてございます。
 それから、ちょっと先ほども話題になりました国境税調整ということでございますが、輸出産業の国際競争力を保つために、輸出品への免税措置が必要だと、こういうご意見がありました。
 これにつきましては、さまざまな課題があるということが、この小委員会の「論点取りまとめ」においても示されているということでございます。
 それから、税収の使途ということでございます。1つは、財政の硬直化につながるので特定財源にせず、一般財源にすべきという。それから、欧州の税も参考にして、税収中立型にすべきというご意見。それから、温暖化対策の特定財源として使途を明確にすべき、ほかに使うべきじゃないという意見。それから、特定財源でも一般財源でもいいんだけれども、やはり使途は温暖化対策に限定すべしと、こういったようなご意見がございました。
 これにつきまして、小委員会の取りまとめから、目的税・特定財源の考え方、あるいは実際に一般会計でもその温暖化対策に充てるということも結局同様の効果を発揮するということの考え方がございます。
 それから次に、森林関係でございますが、林業の衰退という背景の中から、森林吸収源としての機能を評価して、その財源として環境税に期待するというご意見。それからもう1つは、森林整備は環境税とは別の問題であって、国が一般財源などから財源を確保して、そういった全体の重要な問題に当たる、こういうご意見もありました。
 これについては、中環審の2次答申でも、森林の吸収源の確保を図ることが可能だというご指摘がなされていますが、引き続きの検討が必要な課題でございます。
 それから、12ページ目でございます。地方との関係でございますが、地方自治体への還元、あるいは地域市民による地道な活動に税収を振り向けていくべきだというようなご意見がございました。
 これにつきましては、小委員会の「論点取りまとめ」では、税収の一定割合は地方の財源とする方向で検討する必要があるんではないかと、こういうような指摘になっていると。
 それから、地域経済の活性化につながるような、産業界にプラスの効果があるような環境税収の使い方をというようなご意見も、地域に関連してございました。
 それから、その下の方でございますけれども、環境税収につきまして透明性の確保、それから政策効果・効率性・公平性に関する評価システムの構築というものが課題だというご意見。それから、新たな税には利権に群がる人たちが現れるので、それをできる限り排除して欲しい、こういうようなご意見がございました。
 小委員会の取りまとめでも、税収につきましては支出効率を念頭に置く、あるいは税収を用いて行った対策の効果を評価するシステム、こういったものが重要だというような指摘がなされています。
 それから、既存税の見直し・調整についての意見がございます。新税を導入する前に、現行のエネルギー関連税の有効活用を図るべきと、こういうご意見。それから、道路特定財源が余っているからといって環境税の代替財源にするのは反対だと、こういうご意見がございました。
 これにつきましては、小委員会の取りまとめでは、既存エネルギー関係税は、それぞれ受益者負担の考えのもとに課税されていて、内容が温暖化対策税制とは異なるんですけれども、例えば石油石炭税については、課税対象が似ている点があるということもございますので、その辺のあたりの関係については、整理というものの必要がございます。
 最後にその他でございますけれども、企業、市民、行政が連携すべき。あるいは、環境省と他省庁との連携も進めるべきというご意見。それから、環境税の制度として、子どもとお年寄りにもわかりやすい制度にしてほしいと。子どもと一緒に取り組めるようなやさしいパンフレットもつくってほしい。市民に対しては効果、使途をわかりやすくPRする機会も欲しい、こういうようなご意見がございました。
 それぞれ、その企業、市民との連携、各省との連携、あるいは国民へのPRということで、それぞれ必要だというようなご意見でございます。
 以上が、前回お示ししたばらばらになったものを、少しまとめてみたというものでございます。

○森嶌委員長 なお、このほかに参考資料1として、永里委員、服部委員からは、こういう論点を効かして議論をすべきではないかというご意見をいただいておりますし、久保田委員からは、この論点についてのむしろ内容的なご意見をいただいております。
 前回もご紹介をしておりますけれども、何かむしろこういう論点がほかにもありはしないか等ですね、この論点のまとめ方について、もう少しこうしたらどうかということがございましたら、ご議論いただきたいと思います。
 なお、現時点で私が考えておりますのは、先ほど申しましたが、これは専門委員会のご議論でありますので、それをデータとしてベースにしまして、国民の皆さんに環境税とは何なのかと、賛成するにしても反対するにしても、何なのかということをわかっていただく、あるいはそれに対して意見を出していただけるような形に。先ほど申し上げましたけれども、そうしていただきたいと委員がおっしゃるんじゃなくて、我々の方で議論をして、そして賛成にしろ反対にしろ、それを国民の側から見て、なるほどそうかと、それはおかしいではないかということを判断していただけるようなものを、論点ごとに整理していきたい。それを表に出すことによって、私としては今までの経緯から見て、ここの委員会が論点ごとに結論が一致するはずはないと。これは、あんまり私が最初からそんなことを言うのはおかしいんですけれども、はずはないと思っていますけれども、少なくとも論点ごとに各委員がきちっとした議論をしていただければ、それを外側から見て、なるほどもっともだとかですね、何を言っておるかということを判断していただけるわけでありますから、それをみんながわかるようにわかりやすくきちっと、私どもも一緒になって事務局に整理してもらって出して、それを最終的には国会で議論してもらうような形にしてもらえば、今度の新しい議会はちゃんと改革だと言っているわけですから、やってもらえるだろうと私は思っておりますので、これから議論をしていく論点整理として、論点としてはこういうことでいいのかどうか、それも含めてですね、この地方ヒアリングにおける主な意見の整理について、ご議論いただければと思います。どうぞ。
 では、鳥井委員、それから武田委員、どうぞ。それから久保田委員。

○鳥井委員 前から大変気になっていたことなんですけれども、この環境税を日本が導入すると、地球の温暖化が防止できるという話ではないですね。日本が6%削減しますという話と、温暖化を本当に将来にわたって防止するという話は、全く違う話ですね。

○森嶌委員長 違います。おっしゃるとおり。

○鳥井委員 ここは明確にしておかないと、約束が違う。2012年以降、新たな規制が出てきて、また何かやらなくちゃいけなくなったときに、約束が違うじゃないかという反応をされかねないという感じがするんで、そこのところは、今まで何も言わずにやってきたわけですけれども、そこは明確にしておく必要があるんじゃないかなという気がいたします。

○森嶌委員長 それは、環境税の議論だけでなくて、およそ京都議定書についても、我々は対策をやること自身が、何をあくせくやっているんだと。アメリカはああやっているのに何だということになりますね。これはもう、我々はなぜやるのかということも含めて議論をしなきゃならないと思います。
 それでは、どうぞ。

○武田委員 2点申し上げたいと思います。
 1つは、まさにこの整理の仕方の問題でございます。ヒアリングでは、非常に幅広いいろんな意見がございますね。これを、どのように整理をして、どのように取り上げるかということが、一番大事になると思います。それで、この取りまとめ方を拝見しますと、ヒアリングでの意見をそれぞれ書いて、それに対して専門委員会の「審議の整理」、ないしは小委員会の「論点取りまとめ」の中から、ちょうどよさそうなものを持ってきて回答のごとくまとめてある。こういう形になっていると思うんですね。これは、その回答も中には一部、今後検討を要すると書いてあるところもあるんですが、多くは、そういう質問に対してはぜひこのように検討して、このように回答があるんだよというふうに、もう検討済みであるかのごとき印象を与えるような取りまとめになっているように、私は感じます。

○森嶌委員長 ごめんなさい。その点については、ちょっと。

○武田委員 そうですか。

○森嶌委員長 繰り返し申します。これから我々としては議論していくので、先ほど申しましたように、これは専門委員会もそれから我々がかつてやったことも含めて、これをベースとして、こういう資料としてあります。それからまた、今事務局に言っているのは、今まで資料のないものについては、資料を用意しろと。そのためには、これからこう論点整理していきますと。もうもはや、これは議論しなくてもいいというのが出てくる可能性がありますけれども、一遍全部、何が問題になっていたのかということを全部出して、その中から我々として、先ほど出ておりました温暖化対策としての環境税ということを考えていく上で、何を議論するべきかと。そこで、単に賛成だとか反対だじゃなくて、どういう根拠で賛成をし、どういう根拠で反対をするのかということを、きちっと整理しておくといいんじゃないかと。どういうデータと言いましょうか、どういういい文書があるのかということをここに出しているわけですので、今ここで、武田委員がおっしゃったような意図で出しているわけではありませんので、こういうものがありますよということを示したので、その点だけはご理解いただきたいです。

○武田委員 それなら結構なんですが、そのまま読むと、ちょっとそういうふうに誤解する面もありますので、いろんな意見を謙虚にくみ上げると。1本にまとまらなければ、きちんと両論を書くと。

○森嶌委員長 はい、それも、おっしゃるとおり。

○武田委員 それからもう1点はですね、これは中身についてのことで、これから議論することになるんでしょうが、13ページの(7)既存税のところにございますけれども、ここに書かれているのは、まさに理論的にはこのとおりだと思いますね。要するに税の考え方、目的とか使途とかいうことからすれば、このとおりだと思います。しかし、必要なら法改正というのはいくらでもできるわけですから、国民の負担がふえないような形でどのような温暖化対策効果を上げるのかという視点もあっていいと思うんですね。ですから、ここに石油石炭税のみに矮小化しないで、エネルギー課税全体についての議論、これも排除しないであっていいんじゃないかと。新しい環境税を導入するほどのエネルギーがあるんであれば、法改正はもちろん可能だと。そういう観点も当然排除しないでいきたいという話です。

○森嶌委員長 ぜひ、国民の負担を増すことなくですね、温暖化対策が進むという案があれば、ぜひデータとしてお出しいただければ、もちろんそれをもとにしてここで議論をしていただきますので。なかなかそれがないものですから、一生懸命、場合によっては無駄になるかもしれないようなデータを一生懸命かき集めているわけです。
 それでは、久保田委員。それから佐和委員、お願いします。

○久保田委員 地方ヒアリングの総括的な意見とそれを聞いた印象を含めて、この委員会としてどうするのかということについて、宿題が出ておりましたので、お手元の参考資料1で出しています。これは去年の12月に出したものと全く同様でして、手を抜いたわけではございませんが、私個人の意見も含め、我々連合としての基本的考え方は変わっていません。逐一の説明は繰り返しませんが、7ページ目に3つ出している疑問点というのはやっぱりどの会場でも出ていたのではないかと思います。それから、8ページの[3]の、基本的コンセプトの問題、すなわち税か課徴金か、あるいはインセンティブ重視型か財源効果重視型か、そのあわせ技的なところのコンセプト論議が依然として出されている。これでどうだという出し方よりは、むしろいくつかの選択肢を用意しながら、みんなで考えていくというような進め方が、必要ではないかということを述べています。
 それから、9ページ以降の既存エネルギー税制の見直しだとか、税収の使途をもう一遍見直すとかいう作業はどうしても避けられないのではないか。政治的な意味も含めて、これらを抜きにただ導入するということではやっぱり納得がされないのではないかという感じがいたします。
 それから、10ページ目の7.ですが、連合として、過日ドイツとイギリスに調査団を派遣をいたしました。ドイツ、イギリスの環境税なり排出権取引制度等々を、現地において調査する目的です。私自身は参加をしておりませんが、それらの関係性の中で、温暖化対策税だけではなく、排出量取引制度や、イギリスで行っているポリシーミックス的な考え方というのは、一体どこの場でどういうふうに議論をするのかということについて、問題意識をもっています。この委員会でも取り上げるのか、税の問題だけに絞るのか、どこかで方向性を出していく必要があるのではないかというふうに思います。
 もう一つ言いたいことは、会場でも出ておりましたけれども、結局税に対する抜きがたい不信感みたいなものがやっぱりあるその背景には、日本の行政システム、政治官僚主導でしかもお上意識的なものをずっと引きずったまま、圧倒的多数を占めるサラリーマンは源泉徴収で、国タックスペイヤー意識が非常に薄い。そして税金を取られるという被害者意識が大きい。そういう中で、税や社会保険料等の使い道について、不祥事やむだに使われているというような事件が出てくる、そこに非常に大きな不信感がベースとしてあると思います。それは、大きくいえば、日本の民主主義の成熟度と相関関係を持っているのかもしれません。しかしそういう中でも、環境税の問題とか、それから例えば年金や社会保障を支える目的税的なものについては私ども組合員と接するところでは、少し違う反応も出てきているのではないかというふうに感じるところがございます。それはやっぱり、1人1人の普通の国民レベルでも、漠然とした不安感や、今のままで行けるはずはないということを、みんな感じ出しているというふうに思うんです。そう言う素直な善意とか、何か自分もしなければならないのではないかとか、そういう気持ちを本当に育てていく、大事に育てていく仕組みの問題として、日本の税のあり方とか、この環境税論議も、本当に今、実は問われているのではないかという感じがいたします。国民的議論野中でしっかり個人個人にも考えてもらうと。打出の小槌はない、そこで自分はどうするんだみたいなことを含めて、本物の議論にすることが一番大事じゃないかというふうに思っています。そういう意味では、8ページの[2]で触れていますので、一度もっと広範な国民意識アンケートみたいなものを、やってみる必要があるんじゃないかというふうに思います。この機運を大事にしながらも、急がば回れで、膠着状態を打破していく、そういう観点が必要じゃないかと思います。
 最後に、経済界の対応について、少し感じたことがあります。同じ企業の中にいる組合員という立場で、全くコインの裏表なんですが、しかし、どの会場に行っても経済協力企業の代表の方は本当にオウム返しのように同じような表現がされるというのは、ちょっと違和感を感じました。それだけ、日本経団連を中心にこの環境税については断固反対する姿勢の、初めに反対と言いますか、ということが非常によくこう徹底されているという感じがいたしたんですが、本当にそれで済むのか。6%達成だけではなく、ポスト京都議定書を含めた21世紀の温暖化問題について、本当に長期的に見たときにどうあるべきか。宇宙船地球号の中で経済界や企業が、国民やさまざまな団体と一緒に共同して責任を果たしていくためには、一体どうあればいいかという代替案も含めて、何かそこの入り口が少し変わらなければ、堂々めぐりの議論を何回やっても仕方ないような気がいたします。経済界の中からもさまざまな意見が出てくると言いますか、そういう前向きで創造的な国民的議論をするには一体どうすればいいのかということにつきまして、経営者の皆さん方からも一度真剣に考えていただくことが必要じゃないかというふうに思います。
 以上です。

○森嶌委員長 佐和さん。

○佐和委員 まず、この地方ヒアリングのいくつか、3つぐらいになりますが、まず3ページの(3)のところ、価格転嫁についてですが、確かにこういうことはかねてからよく言われていたことなんですが、少なくとも、例えばきのうの夜のニュースか何かでトラック協会か何かが経団連の奥田会長に会って、そして要するにどうしても軽油の高騰で値上げせざるを得ないということで、荷主の方もよろしくという申し入れがあったと。それに対して奥田さんは、では荷主とか実務操業者はこれから個別の話し合いでそういうことを考えましょうというような、そういうような答えを言ってらっしゃったと思うんですが、直ちに価格転嫁するということになっているわけですね。ですから、その意味で、要するにガソリンも現に上がっているというそういう意味で、直に化石燃料と結びつくようなものは確かに上がるんですよね。
 それからもう1つは、確かに競争が激しいから製品への価格転嫁は難しいとは言うけれども、しかし、だからこそ生産プロセスにおいて一生懸命化石燃料の消費、あるいは電力の消費を減らそうというふうに努力をされるんじゃないでしょうかね。そして、そういうことの意味で効果が十分出るということ。
 それからその次に、6ページのところの下のほうに、環境税は「技術開発費の削減につながり、研究開発力を奪い、次世代への新規事業の芽を摘んでしまう」と。これは、永里委員のコメントの(4)のところに全く同じことが書いてある。永里委員がまるでフロアに出席されたんじゃないかと思われるような、同じ意見が書かれているわけですね。今の点について申し上げますとですね、これは要するに先の資料の24ページを見ると、仮に軽減後で見ると一番影響があるのは紙パルプで、これも売上高の0.15%を税に払うと、これがこの程度の課税が、果たして研究開発費を削減というふうなことになるのかどうか。あるいは、研究開発費に対する補助金というような手段、そういう対策も講じられると思うんですね。ですから、研究開発をもっとやりなさいよと。税を取ってその税を返しますから、研究開発やりなさいよというふうなことですから、決してこのステートメント自体は、いろんな意味で矛盾をはらんでいる。それからあるいは、法人税減税ということで対応するということもあり得るわけですね。そういうものを考えればつまり税制中立ということですから。
 それから、この永里委員の意見の中に、まずガソリン価格が上がったにもかかわらずガソリン消費がそんなに減っていないじゃないかというふうにおっしゃいますが、これは天野先生の計算されたこの12ページをごらんいただければおわかりいただけるように、運輸旅客部門及び貨物部門の短期の弾力性というのは、とりわけて低いわけですね。だけど、長期の弾力性というのは結構高いと。つまりですね、次に車を買いかえるときには小型車に、あるいは燃費効率のいい車に買いかえるという、そういう機器買いかえということも含んで考えるときには、十分効果がある。しかし、誰も不必要に、必要だからこそ車に乗っているわけですから、だからそんなにすぐには効果が出ないのは当たり前だと思います。
 それから、ここで(5)のところで「アナウンスメント効果が環境税の効果の一つとしてあげられている」らしいというところで、「税や規制で国民のライフスタイルを変えるのではなくて」、教育の場でと言いますが、初等中等段階での教育も含め、国民のこういう環境に対する関心なり知識なりを高めることが、実はアナウンスメント効果を高めることになるわけですね。おわかりいただけたでしょうか。
 それから、そのページの上のところで、何か行政コストがものすごくかかるというふうにお書きになっていますが、確かにですね、僕は補助金というのはあんまり好きじゃないんですね。だからむしろ租税特別措置で、例えば自動車の保有税を燃費効率のいい車の保有税を、思い切って下げるというようなことで、低燃費車の普及を促進するとかですね、そういうふうにしたらほとんど行政コストはかからないですね。太陽電池を屋根につける人に対して、今新エネルギー財団で補助金出しています。これも、ものすごくコストがかかる。そのかわりに今度は、屋根でつくった電力は2倍の値段で買いましょうというようなことをすれば、電力会社のコンピュータのソフトウエアをちょちょっと変えるだけで済むわけですからコストはかからない。そういうふうな対策を考えるべきだと。
 以上です。

○森嶌委員長 中里さん。

○中里委員 取る方の話ではなくて使う方の話ですけれども、税収の一部を仮に特定財源か何かにするとして、何かうまい、そういう支出をするとドラスティックに二酸化炭素の排出量が減るというようなうまい方法、支出先の目安というのはあるんでしょうか。それとも、漫然といろんなところに配ってみて、やってみなきゃわからないということなのでしょうか。そこの説明があると、説得力が大分違ってくると思うんですね。ただ特定財源化して配りますでは、どこに行くかわからないわけですから、そこの議論は何か私ども技術者じゃないとわかりませんけれども、目安というか目当てがあると、大分違ってくると思いますけれども。

○森嶌委員長 去年環境省が出された案の中には、何に使うかというプランは入っているね。ですから、一応。決まったわけではないけれども、こういうことを考えておりますというのは説明していただけますか。

○鎌形環境経済課長 昨年議論をさせていただいた中では、使い道として企業の省エネ設備とか、あるいはご家庭の省エネ製品を伸ばしていきたいということで、1つは補助金を入れたらどうか、あるいは減税措置を入れたらどうか。あるいは、例えば住宅の断熱を進めるために減税措置を入れたらどうかとか、あるいは吸収源のために森林整備をしたらどうかと、そういうようなメニューとしては一応の候補というのは挙げさせていただいています。
 ただ、どうやって効果を出すかという先生のご指摘のとおり、いろんな手法があると思います。補助がいいのか税金がいいのか。あるいは補助の出し方にしても従前のやり方がいいのか、あるいはもうちょっとその排出量に応じた何か出し方があるのかとか、そういうような議論はいろいろあるかと思いますけれども、その辺はまだこれからの議論ということだと思います。

○森嶌委員長 先ほど佐和先生が言われたけれども、補助金というと行政コストがかかって、結局はあまり効率的ではないんじゃないかとおっしゃるでしょうね。

○佐和委員 そのとおりだと思います。

○森嶌委員長 一応そういうことを、去年の環境省の環境税のプランの中には述べられているということです。
 では。

○永里委員 実は私の出した意見書が反映されて、この今回の資料になっているんで、ありがとうございます。だから佐和先生のおっしゃった、私の意見がいろいろ会場で言われているということじゃなくて、その辺がなかったからそれを指摘したためにここに入っているということです。それは、感謝いたします。

○佐和委員 上で発言をされたと、壇上で。

○永里委員 いや、壇上でもなくて、そういうことが話されていないので私が意見書を出した。だから、私非常に森嶌先生に感謝いたしております。
 それから久保田さんの各会場で、何か産業界の代表と思われるような人たちが同じような意見を言っているということについては、私もそう思います。産業界というのは、各地域同じように考えているわけですから、この産業界の考えと外れてとっぴなことをみんな言うわけがないんで、経団連か何かがそういうのを押しつけているということではないと思いますが。
 私が言いたいのは、産業界の人があれこれ言ったときに、新税としての環境税反対なんです。反対しているんですが、それについて今佐和先生がおっしゃったように、産業界の言っていることの逆のことを分析すればいいわけで、産業界が言っていることをよくよく分析なされば、そこにまた一つの回答が出てくるんだろうと思うんですよ。ですから、聞きっぱなしだと、いつも産業界は同じことを言っているということになるんですけれども、産業界の言っている人のことをよく分析して、それに対して対策を立てるんだったら、また話は変わってくると思います。
 その点において、今佐和先生が私のここに書いていることにいろいろおっしゃっていますが、そういうことだろうと思いますね。
 ただ、先生と私は見方が違うんで、先生がそうおっしゃっているがゆえに、だから私はこういう意見を言っているんですという、反論をしたいのです。内部留保に関しましては、恐らく企業経営なさっていない方にわからないと思うんですが、内部留保から研究開発が行われてきますんで、これを取り崩すというのは非常に問題があるんですね。だからこの新税としてのこの環境税が、内部留保を取り崩すような、そういう業種とか企業にとっては大きな影響があるということで、この書き方も「恐れがある」という書き方にしてありますね。実際は、マクロで見たらですが、たいしたことないよと佐和先生おっしゃいましたが、個別企業にとっては意味がある場合があります。
 そこで、お尋ねしたいのですが、この資料2の6ページで、私が研究開発の余力を失い、次世代への新規事業の芽を摘む恐れがあるということについて、6ページから7ページに回答が書いてあるんですが、本当にその研究開発の芽を摘むということについて、分析して摘まないよというのが23ページに書いてあるのかどうかを、私はそれを知りたいということ。そういう分析があったのでしょうかということと、それからもう1つは、この資料2の7ページですが、いわゆるIPCCのことについて書いてあるんですが、このIPCCのこの分析は、何年前のデータで分析しているのかということを知りたいんですね。
 中国というのは、すごくそれから勃興してきているわけです。ものすごく中国の世界環境に与える影響というのは大きいと思うんですが、中国がこれほど経済成長をして、エネルギーをたくさん使い、環境悪化にも寄与しているということなどを踏まえた上で、かつ、13ページにIPCCの論点というのが書いてありますが、以上の私の指摘を考慮したとき、こういう結論としていいんでしょうか。そういうことをちょっとお聞きしたい。
 以上です。

○森嶌委員長 答えてもらいますけれども、さっき武田委員がおっしゃったことと同じことなんですけれども、これは私の方は事務局に信用しまして、我々は委員でして、我々はこれをもとに勉強して議論をするために、ここにこういうのがありますから、今度論点を議論するときにちゃんと皆さん読んできてくださいよという趣旨でありまして、ここに書いてあるからこれで答えだよという趣旨ではありませんので。そうでないと、片方で分厚いのは、きょうのこんな簡単なのではなくて、もともとはもっとありますので、それを読んでこられないでまた1から出直したのでは、何のために専門委員会に頼んだのか、専門委員会にやってもらったのかわかりませんので。それから、専門委員会だけでなくて、今までの論点の整理をしたものもありますので、ともかく今までやったことをちゃんとここにデータと言いましょうか、資料として並べておいてくれと。それから、今までなかったものについては、これから事務局で整理をしてこれから出してくださいというふうに言ってありますので、先ほど武田委員にも申し上げましたが、あくまで回答ではなくてですね、皆さんにこれから議論をしていただくために、いわばリファレンスとしてありますので、そこはぜひとも誤解のないように。
 それから、先ほど申しましたけれども、もう最初からこの場で議論して、みんながそうだそうだと、それで賛成と言って、全員が手を挙げるなんてことは私は最初からあり得ないと思っていますので、きちっとした論理で賛成であれ反対であれ、きちっとした論理を皆さんがやっていただければ、結論が一緒にならなくたってそれはいいんで、判断するのは国民で、何てばかなことを言っているんだろうというふうに言うか、なんと立派なことを言っているんだろうと言うか、それは国民が判断をされることでありますから、そういう議論をしていただければ、私としてはまとまらなくても、論点さえきちっと議論していただければ、それで私としては議長の役をしているというふうに思っております。
 では、どうぞ服部委員。

○服部委員 今の森嶌先生のお話がありましたので、私が質問と言いますか、解明を求めるようなことは必要ないのかもわからないんですけれども、これだけ立派なと言いますか、地方ヒアリングで非常に賛否両論バランスのとれた意見が、私は出てきたというように思います。それに対する、これは回答ではないということなんですけれども、回答というふうに若干受け取ったところもありまして、これで済ませてしまうのはあまりにも説明責任を果たしていないんじゃないかと。きっちり説明責任を果たすべきだというふうに思っております。
 そういう中で、かなりのところで引き続き検討が必要というふうなまとめ方をされておりますので、そういう意味からいうと、検討を深めてきっちり説明責任を果たしていくと、そういうことからすれば、あまり拙速に答えを出すべきではないというふうに思っております。
 そんな中で、後ほど説明があるのかもわかりませんが、資料3で、今税制改正の要望を出されたということなんですけれども、ご案内のように原油が非常に高騰しております。そういうもので、燃料価格だとかあるいは製品価格が上昇するというような、そういうふうな局面の中で、大変企業経営を圧迫している状況があります。環境税導入という新たな負担を強いるということになりますと、これはいかがなものかというふうに考えてしまうんですけれども、そういう中で、このタイミングで環境税導入ということを、あえてと言いますか、なされたからにはそれなりのお考えがあろうかと思いまして、ちょっとそこのところは確認をさせていただきたいというふうに思った次第であります。
 それからもう1点は、先ほどから出ておりますけれども、細かい話で恐縮ですが、資料の4ページから5ページにかけて、財源効果のところが触れられております。それで、これは回答ではないということではありますけれども、5ページの頭のところに、各省庁において政策評価が実施されているというんですけれども、その結果を踏まえてさてどうするのかというところが大事なところだというふうに思っております。そこで終わってしまうのではなくて、ということで、ここのところのものをしっかり進めていただきたいというふうに思っておりますし、先ほどの中里先生からの質問に対するご回答がありましたけれども、昨年環境省として出された財源、4,000ないし7,000億という試算をされておりますけれども、どの対策にどれだけ財源が必要でその効果はどうなのかというところについては、まだまだ十分国民に説明されていないというふうに思っておりますので、この点につきましてもよろしくお願いしたいというふうに思っております。
 以上です。

○森嶌委員長 最初の問題とたった今の問題につきましては、これは次に環境省の方からよろしいんですけれども、ご報告ありますけれども、我々として何をすべきかということについては、去年から繰り返し申しておりますけれども、中環審の委員会としては、ともかく国民に対して、さっきから久保田委員もおっしゃっていましたけれども、税というのは、これは私も何回も言いましたけれども、税というのは取られる方からすれば1円であっても税なんですね。ですから、国民に対して私はきちっとした説明をしていかなければならない。ですから、環境省の方はどういう形で予算要求などでなさるとしても、中環審としてはきちっとした、できるだけきちっとした、といったって未来永劫にいつまでも議論しているわけにはいきませんけれども、きちっとした議論を積み重ねていく必要があると思っていますので、この論点整理をし、そしてそれに対して資料を用意し、そして皆さんに議論をしていただく。
 それで、先ほどから繰り返して申しておりますけれども、議論をするのは皆さんでありまして、事務局ではありませんし専門委員会でもないわけですので、今まで整理したことに基づいて今後も議論していきますし、検討するのは皆さんですので、これからできるだけ、なかなか日程調整が難しいんですけれども、日程調整をしながら、委員会としては、役所の方は役所の方の予算とかそういうもののスケジュールでおやりかもしれませんけれども、これと中環審が審議会としてきちっと議論をするということとは、本当は一緒に粛々とやるのがいいんでしょうけれども、なかなかそういかないところもありますけれども、我々としてはあくまでもきちっと国民に対して説明責任を果たしていくということをやっていきたいというように考えておりますので、その点は今の服部委員のご意見もありますので、説明責任を果たさないでいい加減なところでどんどん切り上げていくということは、したくないというふうに考えております。
 それでは、まだご意見あると思いますけれども今たまたま服部委員もおっしゃいましたので、3番目に税制改正要望が載っていますので、環境省の方からの説明に移らせていただいてよろしいでしょうか。
 では。

○鎌形環境経済課長 それでは、資料3でございます。1枚ものでございますけれども、環境省による平成18年度税制改正要望ということでございます。
 税制改正手続きの仕組みといたしまして、毎年8月末に翌年度の税制改正につきまして、各省が税務当局に対して要望するということになってございます。
 今年でございますけれども、今年も8月末に、ここにございますように「環境税の創設について、京都議定書目標達成計画等を踏まえ、国民、事業者などの理解と協力を得るように努めながら、真摯に総合的な検討を進め、平成18年度税制改正において適切に対応すること。」こういった要望を出してございます。
 ここにございますように、具体的にどのような税にしてくださいという具体案というものを掲げて要望しているというふうでございませんで、平成18年度改正において適切に対応することということで、具体的な中身は引き続き詰めていくということでございます。税制改正手続きにおいて議論を進めるということをお願いするという形で、税制改正要望を出させていただいたということでございます。
 簡単ですが、以上ご報告でございます。

○森嶌委員長 何かご質問等ございますか。

○田村総合環境政策局長 今のところを若干補足させていただきます。先ほどの服部委員のご質問にもお答えする形で申し上げたいと思います。
 8月末に今の説明のとおり、私ども環境省として環境税の創設要望をいたしたということでございます。
 春に京都議定書目標達成計画が閣議決定されて、いわばみんなで全員参加のもとにこの京都議定書の達成、地球温暖化対策を進めていこうと。そのためには、いわば各種の政策を総動員してやっていこうということだと思います。総動員の中には当然、いろいろ議論の中にもございましたさまざまな普及・啓発活動を始めとして、あるいは企業の行自主的動計画をいろんなレベルで、いろんな部分でともかくこれを進めていくということだと思います。
 そして、その政策の中のうちの1つとして、環境税というものを私どもは非常に有力な施策だと思っておりますから、こういうことで要望させていただいているわけでございます。
 今おっしゃられたように、原油価格がこれだけ高騰している状況でございますし、さまざまな難しい状況があるということも十分承知をしている次第です。
 これから、環境税の設計の具体的な勉強をしておるところでございますが、その中で、今おっしゃられたようなことも十分念頭に置きながら、また今回ヒアリングをして、森嶌先生のご指導のもとずっとやってまいりました。あるいは専門委員会ということで、いろんな先生方のもとにいろんな専門的な分析もいただいております。それらも全部含めながら、あるいはこれから当小委員会で行われるいろんな議論なども十分置きながら、きちっとした議論に寄与していきたいというような気持ちで、この要求を出したということで補足させていただきます。

○森嶌委員長 よろしゅうございましょうか。
 それでは、今日はこれで終わりたいと思いますが、次回の実施日程で、今事務局で日程調整をしていただいているんですが、実を言いますとこの小委員会も、今日もご出席者が大いに少ないんですが、なかなか日程調整が難しいので、今できるだけたくさん集まっていただけるように。今までは、幸か不幸か選挙がありましたので、ちょっと日程が入らなかったのですけれども、これからできるだけすべて、せめて月に1回は必ず入れるようにというふうに考えているんですけれども、ご協力いただきたいと思います。日程調整の上、ご通知をしたいと思いますので、よろしくご協力いただきたいと思います。

○久保田委員 よろしいですか、質問。
 今後のこの小委員会としてのスケジューリング的な、中期的な、いつごろまでにということ、こういうふうなまとめるということは、何かあるんでしょうか。もしありましたら。

○森嶌委員長 私としては、できれば本年度中にはある程度のご議論をいただければというふうに思っているんですけれども、恐らく、役所としてはですね、予算の問題になる本年度ではなくて本年中にと思われていると思うんですけれども、今までの選挙で休みとかそういうことありましたので、なかなかそうはいかないとは思うんです。先ほどから出ておりますいろんなものをまだ検討していないところもありますので。しかしいつまでも、これは京都議定書目標達成計画で真摯にやりますということを言っているのにですね、のんべんだらりとやっていたら、それは真摯ではありませんので、ジェントルマンかもしれないけれども、あんまりジェントルにやっているわけにもいきませんので、できるだけ日程を詰めて、先ほど申しましたように、論点に従ってご議論いただいて、これで決まりというふうなところまでは私は考えておりませんけれども、論点を明らかにして、賛成の意見、反対の意見ともにきちっとまとめて、それを出していくということにしたい。できれば本年度中には、それを形を明らかにしたい。そして、中環審のというよりも、それを世に問う形にできればと思っております。
 その前に、環境省の方はそれをご覧になって、行政としてどういうふうに判断なさるか。これは、行政の方の責任でお考えになることだというように思いますし、ここの議論をお聞きになりながら判断をされることです。ここは、行政がやることで、税ですから、ほかとはまた違った考えで。例えば法律上の基準なんかですと、中環審の専門委員会が判断しないうちに行政が勝手に理由を何かつくっちゃう。これは問題ですけれども、そうではありませんので、これは行政庁がやるほかないと思いますけれども。我々としては、国民に対する関係で説明責任をきちっとしながらやっていくということを、一応考えています。ただし、皆さんがサボタージュされれば、私はまた変則的に皆さんとご議論しながら考えますけれども。

○田村総合環境政策局長 今の委員長のお話をよく念頭に置いてまいりたいと思います。
 ただ1点、ご理解願いたいのは、税制改正全体の手続きがあります。予算編成のときにございますから、具体的に具体案みたいな話については、これは環境省が責任を持って、私どもの責任で出させていただきますが、その際にもちろん、これまでの議論あるいはこれから行われる議論も十分加えて作成することとなると思いますが、手続的なこともございますので、日程のずれと言いますか、これはせざるを得ないものですから、そこはよろしくお願いしたいと思います。

○森嶌委員長 それから、また我々が、そんな具体的な税の、考え方はともかくとして、税の具体的な仕組みまで、例えば税率何%にするとかですね、どこでどの業種を減税にするとか、そんなことまではここでは到底、税の専門家はおられますけれども、とてもそんなことはできませんので、それはもう全部役所の責任においてこの後おやりいただく。しかもスケジュールは、これはまた要するに別な国の予算の問題もありますので、これはもう役所の責任においておやりいただくと。
 それは、その際には我々の議論をよくお考えいただいておやりいただくという考え方です。
 そういうことで、よろしゅうございましょうか。
 それでは、時間を少々越えましたけれども、どうもありがとうございました。

午後0時08分 閉会