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中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会
第19回施策総合企画小委員会 議事録



平成17年8月23日 午前10時31分 開会

○鎌形環境経済課長 おはようございます。
  まだ、そろっておられない委員もございますけれども、時間となりますので施策総合企画小委員会の第19回会合をただいまから開催させていただきます。
  それでは森嶌委員長よろしくお願いいたします。

○森嶌委員長 おはようございます。
  きょうは私はネクタイと上着を着ているんですけれども、別に環境省に対する嫌がらせでやっているわけではありませんで、この後すぐ別の会合があるものですから、クールビズというのは別に強制的なあれではなくて、きのうも法的強制はよろしくないというお話がありましたけれども、別に着ていたからといって経済的なディスインセンティブもありませんのでこういう格好をしておりますが、決して環境省の政策に反旗を翻しているわけではありませんので、ご了承いただきたいと思います。ところで、私はウォームビズをやっているわけでもまたありませんので、これもご了承いただきたいと思います。
  それでは、今回は7月から8月の間に全国6カ所で開催いたしました環境税に関する地方ヒアリングについてご報告をしていただくわけでありますが、地方ヒアリングをなぜ開くかということにつきましては、開催する前に既にご説明をいたしましてご了承をいただいているわけでありますけれども、今まではかなり専門委員会等で専門的な立場からご議論をいただいたわけでありますけれども、税の導入という国民に負担をかけるものにつきましては、必ずしも専門家が了承をしたからといって、国民が受け入れてくれるわけのものでもありません。そしてまた、環境税が少なくとも私が周りに聞くところ、例えば私のベターかワースか知りませんがハーフに聞きますと、一種の人頭税のような認識がございまして、環境税というのは環境省は当然にみんながわかっているだろうと思っているようなものとして国民が受けとめているわけでは決してございません。
  そこで、1つは環境税というものがどういうふうに国民に認識されているのかという点、それからもう1つは、どういうふうに認識されているかと同時に、環境税というものについて国民はどういう問題が、国民といってもこれは多様ですけれども、どういう問題があるというふうに考えているのかと。これは、取る側と取られる側とでは認識は大いに違っているわけであります。
  そういう観点から、これは6カ所のヒアリング、しかもごく少数の人たちから聞いたからといって、それですべての問題がわかるというわけではありませんけれども、少なくとも国民の立場をそれぞれ代表しておられる。ここにおられる委員も、これもまたある意味では特殊な人種でありまして、最近私も含めていろいろな委員会に出ていますと、どうもこの中環審の委員というのは特殊な人種ではなかろうかという認識がだんだん強くなってきておりまして、評論家集団にしかなっていないのではないかという気もいたしますので、むしろ率直にいろいろな意見を聞いた方がいいのではないかと。
  特に環境税については、申し上げるまでもなく非常に賛成がある。しかし、これもどういう賛成なのかよくわからない。それから、反対も非常に強いわけですけれども、これもどういう根拠で反対しておられるのか。環境税ありきというのは反対だというのを、反対ありきというところから出発していたりして、これも反対というのがどういう反対なのか必ずしも明確でないというところから、一度きちっと、できればグラススルーとまではいきませんけれども、問題を委員会として聞いてみるべきではなかろうかというのが、地方ヒアリングの問題意識の出発点であります。
  私は、できるだけと思ったんですけれども、3回しか出られませんでしたけれども、それでもいろいろと収穫があったように思います。そこで、今回もすべての委員がご出席いただいているわけではありませんけれども、少なくともいろいろな国民各層の方が提起された問題認識、あるいは問題意識をここでシェアをして、今後私どもが議論をしていくときの出発点にしたいということでございます。
  ただ、時間の制約がございますので、概要というのが皆さんの手元に配られていると思いますので、概要は後でお読みいただくということにして、それぞれの会場に出ていただいた代表の方から、とりあえずざっとご説明をいただいて、1カ所にお1人ずつご説明をいただいて、その後、短時間、全体としてこういうことが問題になったということを事務局の方から論点だけ、事項だけ、こういうことがございましたということを、例えば賛否の根拠、それから税収についてどういう考え方があったかというようなことを簡単にまとめてもらおうということにいたしまして、その後、できればご質疑ということにしたいと思いますけれども。きょうは議論を想定しているわけではありませんので、ヒアリングについての経過をご報告をするというセッションにしたいと思いますので、よろしくご協力いただきたいと思います。
  それでは、まず最初に7月12日に京都で開催をしましたヒアリングは、私も含めまして奥野委員、小林委員、速水委員、永里委員が出席なさいまして、京都のリサーチパークというところで3時間にわたって開かれまして、綾部市長の四方さん、それからコンシューマーズ京都の原さん、それから松下電器の菅野さん、それから地域計画建設研究所の三輪さん、それから主婦の松井さんのご意見を伺ったので、それについてまず私の方からご報告いたします。それぞれ、10分というのはちょっと多過ぎますので、六、七分というぐらいでご報告をいただきたいと思います。事務局で用意してもらったんですけれども、どうも事務局というのはどうしても丁寧に問題遺漏なきを期してされますので、遺漏なきは概要をお読みいただき、かついずれ全部の概要でしょうかね、出ますので、それをまたお読みいただくことにして、私の方からはこの概要の中から簡単にご説明をいたします。
  綾部市長は、環境税というのはこれは地方のために使うべきだと。そして使途はきちっと明確にして使うべきだと。森林対策に使うべきであって、この税収を荒廃している山林のために使うべきだと。今、日本はもう山林は荒廃していて、もうどうしようもない状況になってきているので、地方自治体が山林を買い上げて維持・管理をする、それに使うべきだということで、ついでに道路特定財源などの既存財源も、ついでに環境省は取りまとめてこういうことに使う。つまり、環境税というのをこれを日本の森林再生のために―まあこれは極端といいますか、私は先ほど申しましたようにピックアップをして申し上げているので、詳細についてはこれをご覧いただきたいと思いますが―森林再生のために使うべきだというようなご趣旨の発言がございました。環境税イコール森林再生税というような、地方のための森林再生ということでございました。
  それから、コンシューマーズというのはこれは一種の生協といいましょうか、原さんはこれは賛成したいんだけれども、やっぱりコンシューマーとしては賛成というには踏み出しかねるという極めて慎重でありまして、既に5兆円ぐらいの全体としてのお金を使っている、温暖化のためにいろいろの関係の税金が使われているんだから、それをエネルギー関係の税金があるんだから、そのエネルギー全体の税金として、環境税を炭素税ではなくてエネルギー全部のお金として、それを根本的にエネルギー税を見直して、その中から見出すべきだと。そして、その中から今環境省が考えているようなものも使ったらどうかと。そして、税収については地域の取り組みに重点を置いた配分をしていくべきだと。しかも、一般の家庭で一定消費量を下回る需要家に対しては免税扱いにするような、そういう政策的な考慮をきちっとしなければ国民の納得は得られないということであります。
  それから、松下電器の菅野さんからは、既に松下電器などのようなところではチーム・マイナス6%も参加しているし、いろいろなことをもう既にやっているのだから、そして国際競争力にも影響が及んでくるのだから、そこでいまさら環境税ということについては賛成できない。しかし、環境税がなくても少なくとも松下電器はちゃんとやっておりますということでございまして、自分の会社はちゃんとやっていますと。そこで日本国全体としての環境税には賛成しかねるというご意見でございました。
  それから、地域計画建築研究所の三輪さんは、これは環境税、税金を取ってもいいだろうと。税収は地方自治体に交付金として出すべきだと。そして、使途は森林対策や何かに使うべきだと。そして、エコファンドとかそういうものに使うべきだということを言っておられます。三輪さんは環境税はやはり、この方は商工会議所の方ですけれども、商工会議所の中でもいろいろな意見があって、賛成の方もあれば反対の方もあるけれども、やっぱりこういうものはコストに影響を及ぼすからタイミングを見てやらなければいけないということで、積極的に反対ということではないけれども、タイミングを見て、いろいろなほかのものの選択肢と温暖化排出削減の手段等の、ほかのものとの選択肢の1つとしてきちっと考えてうまいタイミングでやらなければいけない。そして既にいろいろなエネルギー税があるので、一般消費者にとっては環境税というのはわかりにくくなるということ。そして、環境税がどういう効果があるのかということもしっかりとしてほしいというようなことでございました。
  要するに、環境税を使ってこれは効果があるだろうけれども、それをどういうふうにしてみんなの行動を動かしていくのかということをきちっと制度設計をしていく必要があると。商工会議所にもかかわっている方のようでしたけれども、非常に積極的といいましょうか、ポジティブに問題を押さえながら提言をされました。
  松井さんという主婦の方は、これも非常におもしろい見方をしておられまして、自分の夫は会社でも取られている。自分も主婦として家庭でも取られる。二重に課税されるんではないかという、家庭でも企業でも負担をするということになるので、どれぐらいのところで税を取るのかということを考え、どれぐらいの負担をできるのかということをきちんと検討してくれと。これはある意味では税という観点からいくと、理論的には違うんでしょうけれども、負担をする側から言えば、ともかく税負担のレベルを考えてほしいというようなご意見で、しかもきちっと省エネなどをしたらちゃんと割り戻してもらうようなことを、例えば省エネ何かあったらポイントなどで還元をすると。つまり主婦らしく、税金を入れるとしたらあんまり高くなく、しかもちゃんと省エネをしたら戻ってくるようなそういう仕組みの環境税としたら使い道がはっきりして、そして子どもにもお年寄りにもわかりやすい制度にしていただきたいということです。
  全体としましては、極めてまだ環境税というのが国民にとってわかりにくい制度だということを、それぞれの立場から我々に訴えておられるように思いました。それから、委員との質疑がございましたけれども、これは省略をさせていただきまして、会場からは今までにやりましたけれども、森林づくり―京都のやはり森林関係の方が来られたんだと思うんですけれども、森林づくりを目指した環境税というご意見であるとか、あるいは、税ができると必ずそれをめぐっていろいろな利害関係があらわれる、それを注意しろとか、それからまた、ちゃんと税を取ったらそれはどういうふうに返ってくるのかというそういうことははっきりわかるように、きちっと、多分使途を明らかにしろということ、そういうふうにしてくれというようなご意見がありました。
  それでは、次がさいたまですね。さいたまで開催されました7月15日でございますが、須藤委員、よろしくお願いします。

○須藤委員 須藤の方から埼玉の会場の概要について報告をいたします。
  出席者の委員は私須藤、それから天野先生、中里先生、速水先生、松田先生、それから環境省からは副大臣以下多数の方がご出席なさいました。それから意見発表者は、所沢市長の斉藤さん、サイサン代表取締役会長の川本さん、それから日本鋳物工業会の会長の児玉さん、それからNPOのソフトエネルギープロジェクト理事長の佐藤さん、それからさいたま市環境会議の会長であり主婦でもある秋元さんでございます。
  では、非常に活発な議論が展開されましたので、それぞれの発表者の概要とそれから委員とのやりとり、それから発表者同士のディスカッション、それから会場からの意見を簡単に取りまとめて報告をさせていただきます。
  まず、発表者の意見でありますが、所沢市長からはもっと国民に理解をしてもらう必要があるということと、その使途を目的にして透明性を確保する必要があるということと、さらにその使途について、環境教育や森林保全に活用することが必要だということであり、この市長は全国市長会のたしか会長をされているんで、全国市長会は環境税に非常に前向きであると、こういう意見がありました。
  それからサイサン社の川本さんですが、企業の方でございますが、非常に環境の問題に熱心でございまして、自身で非常に活動をたくさんやられて、企業として活動されています。基本的には賛成であるということで、さらなる増税をしないと難しいということも認識しているということでございまして、個人から平等に1,000円程度を徴収する制度ならば、税という形をとるのではなくて、環境保全への参画意識をもたらすんだということが必要なんだというふうに主張されました。そしてその税ですか、それは地方自治体が徴収して、二、三割程度を国に納めるようなそういう仕組みがいいんではないかというご意見でございます。
  児玉さんでございますが、企業の方でございますので、環境対策は必要だけれども、それだけれども増税しての環境税には基本的には反対であると、こういう立場を明確にされました。そして、目的税的な形で対策をとる必要は十分認めてはいるけれども、これは既存税で対応して、それで足りない場合に税は一本化すべきであるということで、これは消費税で対応するのがよろしいんではないかというようなことをおっしゃられました。それから、昨年11月に環境省が環境税への案について、使途に社会保障費が含まれているというのがあったそうでございますが、これは趣旨に異なるんではないかという意見も出されました。
  それから、佐藤さん、NPO法人でございますが、環境税の導入には賛成だということでありまして、目的税として温暖化対策に用いることを明確にすることと、環境産業への転換を図り、地域経済を活性化すること、それから市民意識の啓発や環境教育の推進がまず必要であるということは指摘されました。地球温暖化対策の推進に当たっては、他省庁との連携ということがもっと必要だということは強調されました。
  秋元さん、これは主婦で環境会議の会長でございますが、幾つかの点で国民のコンセンサスが必要であると。それから、既存の税と一本化してもっとスリムにすべきで、自治体でも環境税導入の動きがあるので、地方でも国でも一本化すべきであると、こういうことでございます。消費者の排出削減を促すために、下流課税とすべきであると。それから、税の使途をもっと環境目的に明確化するということであります。それから、温暖化対策に努力した者が得をするという仕組みをつくってほしいというような意見であります。
  以上が、それぞれの意見の概要でございまして、結構その後、委員とのやりとりがございました。まず、環境税を目的税とすることは財源の硬直化になるんだという委員からの意見がございまして、さらに発表者の佐藤さんは、消費税の増税という形での対応だと実現が難しいので、温暖化対策の目的税ならば実現しやすいのではないかという、そういう発言もありました。
  それから、京都議定書の約束を達成するために、環境教育だけでは不十分であるので、もう1つのツールとして環境税を検討するのが必要だということを出席委員がおっしゃったわけでございますが、主婦の秋元さんからは意識啓発を進めることは大変難しいものでありますので、環境税導入によってみんなに環境意識を持ってもらうという意味でのアナウンスメント効果は重要であるという発言がなされました。
  それから、佐藤さんからが今度同じ委員の児玉さんに対して、対立ではなくて対話として解決するとしたらどんな術があるのかという質問が出されたのに対して、児玉さんは、企業の方ですが、環境対策を行うこと自体に反対しているわけではないということを明確にした上で、大多数のコンセンサスが得られれば、現在の財政から対策費用を捻出するということは可能であるにもかかわらず、環境税を導入しようとすることが反対なんだということを改めて説明されました。
  それから、会場からたくさん手が挙がったんですが、時間が不十分だったので幾つかの意見をここで紹介を、全部伺えなかったんですが、おっしゃった意見の幾つかを申し上げますと、埼玉県地球温暖化防止活動センターの方から、税の使途について2012年以降も効果を持つような事業に対しても有効活用し、産業界にプラスの効果があるような使い方をしてはどうかと。それからもう1つは、別の方から、製造業は既に合理化を最大限進めており、さらに合理化を求めるならば製造業の痛みを理解した上で議論すべきであるという指摘もなされました。さらに、環境カウンセラーの方もご出席でありましたが、環境保全について努力をしている者がいる一方で、責務を果たしていない者もいるのが現実であり、お金を通して責務を果たすことが公平なあり方ではないかという指摘がなされました。
  さいたまでございますので猛暑の中で、会場も28度設定ですから30度以上になっていまして、そういう中でこういうような議論がなされ、もう私も汗びっしょりでございまして、そういうことを説明をして、私の概要を終わらせていただきます。
  以上です。

○森嶌委員長 続いて7月20日に新潟で開催されましたヒアリングで、小林委員からご報告をお願いいたします。

○小林委員 それでは、私の方から新潟会場についてご説明をさせていただきます。
  委員の方からは森嶌委員長、それから須藤先生と私、3名でございましたが、意見発表につきましては、新潟県の高橋副知事以下6名の方からのご発言がございました。
  簡単にご説明をいたしますと、新潟の副知事の方からのご発言としては、環境税につきましてはその税収が省エネ促進とか森林整備などに充当されることが有効である。また、環境税によっていろいろなビジネスチャンスが生まれるということを期待したい。それから、税収については、地方に配分することによって、いわゆる地方自治体における温暖化対策は強化されるということを期待したいと、こういうご発言がございました。
  それから、新潟市の環境対策課長の方からは、地球温暖化対策の必要性、それから京都議定書の意味、こういうことを市民に理解してもらうことが必要だという中で、道路特定財源を一部温暖化対策に活用した上で、環境税の税収の使途を明確にし、その中でまた、一部は地方に配分すべきであるというご意見がございました。あわせて、所得とか資本を中心にした課税をしてきたこれまでの税体制、これを資源・エネルギーに対する課税へシフトすべきであるというご意見がございました。
  それから3番目には、NPO法人でございました田中さん、この方は新潟経済同友会にも入っておられるわけですが、この方からは環境税は基本的に賛成である。ただ、国民を巻き込んだ質の高い議論、合意形成が必要であると。税収は温暖化対策と技術開発、環境教育、それから科学教育、人間教育、こういうものに使うべきであるということ。それと、環境税の導入によって期待される効果ということについては、アイドリングストップの機器を導入する等、新たな環境ビジネスを生み出すことが挙げられるんではないか。こういうご発言がございました。
  4番目に、長岡産業活性化協議会の会長の松原さんの方からは、環境税を特定財源にすることについては反対である。一般財源とした上で、国の予算全体からどの程度温暖化対策に充当すべきかというようなことについて意思決定をすべきではないか。膨大なエネルギーを消費せざるを得ない輸出向けの加工組立産業等については、ある一定の配慮が必要であると、こういうご発言がございました。
  5番目に、NPO法人の理事長でございます古澤さんの方からは、やはり環境税について賛成である。市民の皆さんに聞いたところ、京都議定書目標達成のための対症療法的な意味ではなく、もっと広い意味で環境税というのは必要であろうというご発言があったということでございます。また、環境税の税収については、一般財源とするならば環境対策に使うべきであるし、また特定財源とする場合は使途を明確にすべきであると、こういう意見が出されました。
  それから、会社の社長でございます大野さんの方からは、既存エネルギー諸税との関係に配慮する必要がある。税率は炭素含有量に比例したものにして、課税段階は最上流とすべきである。また輸出品については、外国で処理される物まで日本人に負担させるのはおかしいということから、輸出免税措置を講ずべきであると、こういうご発言がありました。その後、各委員との質疑応答があったわけでございますが、内容的にはご発言になられた内容を深めるという意味で、ここで新たなご発言というのは特にございませんでした。
  それから会場の方からのご意見でございますが、3人の方からのご発言があったわけでございますが、そのうちのお1人は、環境税というよりは地球温暖化対策そのものについて市民活動をもっと活発にすべきであるというご意見で、環境税についてのご発言はございませんでした。
  あとのお2人につきましては、お1人の方は、税体系全体の見直しをする中で、企業、新しいビジネスを生み出していくんだと。市民に対してはアナウンス効果の観点という意味から、課税対象、効果、使途についてわかりやすいPRの機会が必要である。税収は、環境教育等を含めた特定財源にすべきであると、こういうご発言がございましたし、もう1人の方は、これは産業界の方でございますが、環境税は認識、範囲、それから目的が絞られていないという意味で、反対であると。新たな課税負担を国民に対して求めるということであれば、国民の合意形成に時間をさらに割くべきあるというようなご発言がありまして、そんな中で、今この委員会の中でも議論が出ておりますが、温暖化対策に既に1兆円の予算が使われているので、これの効果を検証することが先決ではないかと、こういうご発言がございました。
  新潟については以上でございます。

○森嶌委員長 はい、どうもありがとうございました。
  それでは、7月25日に広島で開催されたヒアリングにつきまして、久保田委員から。

○久保田委員 27ページ以降でございます。広島における報告を久保田の方から申し上げます。
  まず、宇部市の藤田市長は産業部門80%、民生10%、運輸10%というような土地柄でございまして、非常に産業のウエイトが高い。したがって、結論的に言うと、環境と経済の調和・両立を非常に強調されておりまして、やはり環境税によって産業の海外移転等々、あるいは雇用への打撃ということにならないかということをかなり懸念をされておりました。また、既存の財源からの捻出ということも検討してほしいという意見を言われておりました。
  2人目、松尾さん、これはエフピコという食品の発泡トレイメーカーの方でございますが、15年ほど前から拡大生産者責任というようなことで、使用済みトレイの回収の自主的な回収リサイクルをやられている社長でございますが、大変熱心に環境問題に取り組み、しかも規制や法的なそういうものがない前に、自ら危機感を感じ、そして消費者の対話といいますかそういうことをやりながらやられているという方でございます。そして一番大事なことは、企業の自主的な取り組みといいますか、その知恵を絞って対応することが最も大事で、行政やあるいは税があるからするということではうまくいかないんではないかというのが、彼の一番言いたいことでございました。そういう意味では、環境税というのは必ずしも、どちらかといえば反対という立場でございますが、むしろもっと知恵を出して自主的にやることができるのではないかと。
  また、15年、2年ほど前からグリーン購入ということで各市の取り組みも非常に変わってきたということもありまして、結局さまざまな環境への対応ということは、コストダウンであり、それは企業の経営者として当然のことだということと、その環境への取り組みが差別化という形で、むしろ企業にとってプラスになっているという認識をされておりました。そして最も大事なことは、消費者とのダイアログ、対話だということを強調されたのが特徴的でございました。
  3人目、本田さんという方は、化学品の製造メーカーの方でございまして、トータル的な温暖化対策、そしてフロン対策等々に、企業として懸命にやられているということについて強調されておりました。自主的取り組みを促進していきたいということで、環境税の導入については反対するという姿勢を言われておりました。
  4人目、NPO法人の吉村さんという方は、まちづくりという視点から環境問題に取り組んでおられる方でございまして、例えば現在、市民からてんぷら廃油を集めてその燃料でシャトルバスやカーシェアリングを行うというような環境配慮型のまちづくりをやられています。吉村さんが強調されていたのは、今現在のこの文明社会というのはあまりに工業化社会で、分業システムが精密になり過ぎているために、その環境への対応ということも簡単ではないと。つい、その延長線上の文化や発想でまた環境対策もしてしまうということは、結局そのドグマに入り込んでしまっているのではないかという問題意識を言われていました。したがって、もっと可視化して、目に見えるところで、いわゆる地域とか住民が参加をする形で変えていくという必要性を強調をされていました。そういう意味では、環境税についても、その税収や税を入れるということが地域社会にどういう恩恵としてを還元されるのかということも含めた参加観、あるいは環境税に対する共通認識をつくっていくことが非常に重要ではないか。そのためには、小さなことでも身の回りの地域から、あるいは一人一人が参加をするところから変えていくという発想を強調されておりました。
  最後に、平城さんという方、主婦の方ですが、個人的意見ということで言われておりましたが、温暖化対策に多額のお金がかかるのであれば、新たな税負担をいとわないという声は市民の間でも強い。そして、平城さん自身、環境税がかけがえのない地球のために使われるのであれば喜んで負担するというような発言はありました。強調されていたことは、やはり環境教育、そしてさまざまな今の課題についての一人一人の市民のところへの情報の徹底やその共有化というところが、やはり圧倒的に不足しているんではないかということと、もう1つ、一人一人の市民も地球の将来のためには多少の不便も我慢しなければならないという厳しい現実を、市民側も認識しなければならないのではないかということを言われておりました。
  委員との質疑応答は、32ページ、33ページに書かれていますので、ご覧になってください。大変工夫をされている先ほどの松尾さんに対して、環境税は追い風になりませんかという質問がありましたが、過当競争の段階であるためにあまり追い風とは考えない。それよりは、経営者のアイデアといいますか、マネジメントの方が大事だというようなことを言われていました。
  あと、会場の方からは吸収源対策の重要性と、そのためにも環境税の導入で吸収源対策に活用をしてほしいという意見と、トラック事業者の方から、これはほかの会場でもあったと思いますが過当競争の中で、大変な状況になっている、そしてそういう中でも、業界として自主努力を行っている、しかし、エネルギー関係税もかなりの金額を納めていて、軽油単価が上がっているけれども、必ずしも燃料消費量は減っていないという意味からすると、環境課税が燃料使用量を削減することはないのではないかというような発言がございました。
  以上です。

○森嶌委員長 はい、どうもありがとうございました。
  それでは、7月29日に福岡で開催されましたヒアリングにつきまして、浅野委員からお願いします。

○浅野委員 福岡の会場の報告は、39ページ以降に書かれています。200人以上集まりまして、佐和先生おいでになるという前宣伝があって、ものすごく集まったんですがおいでにならなかったものですから、大分みんながっかりしておりました。
  ご報告いただいたのはそこにありますように5名の方でありますが、まず矢部の村長の中司さんは賛成というご意見でございます。特に森林の保全が喫緊の課題であるので、森林の保全のために経費が必要である。そのために環境税を使うということが必要であろう。特に地域でもお金が使えるということが必要である、というようなご指摘でございました。
  それから、蓼原さんも賛成というご意見でございます。この方は、特に今までのエネルギー諸税というようなものは、もうこれは一般庶民にとっては価格の一部という意識があるわけだから、調整はしないでもいいと。それに、さらに上乗せで税をかけるということでなければ意味がないというようなご発言がございました。
  しかし、これに対して、次に発表されました板倉さんは、トラック協会の理事でありますが、反対ということでございまして、少なくともガソリン価格は大変高くなっているんだが、それが全然消費の抑制にはつながっていないではないかというようなこととか、あるいは、現実にはなかなかその価格転嫁が難しくて、トラック業界も苦しい立場にあるんだが、環境税をかけられてもその分だけ自分たちの負担が重くなるだけだ、だから反対である、ということを言われました。少なくとも仮に課税をするのであれば、ということですが、もしどうしても導入するのであれば、少なくともエネルギー関係税については整理をしてほしいということでありました。ですからこの点は、さっきの蓼原さんとは全く対立的なご意見であったということが言えると思います。
  それから、4番目に発表されましたのは、大分で石油スタンドを経営しておられる清家さんでありますけれども、この方も反対というご意見でございました。この方も環境税を導入したからといって、本当に効果が上がるかどうか期待できない。それに対して、地域経済や雇用には大変大きな影響を与える。この方も自分のところは中小企業だとおっしゃっていましたが、税がかかったからといって必ずしも価格転嫁がうまくできるような状況ではない。ですから、アメリカや中国の参加などのような、そういう観点の取り組みをまず先にすべきであるというようなご意見でございました。
  最後に、主婦ということでございますが、この方、実は企画関係の仕事をしておられる会社の社員でもいらっしゃるんですが、野口さんでございます。野口さんは、多分これが一般国民のかなりの感覚に近いのかなという気もしながら聞いておりましたんですが、たばこやアルコールが幾ら税が上がっても消費量を減らす人が少ないなら、環境税も同じではないか。どうも効果がよくわからんというようなことを言われました。仮に導入するのであれば、少なくともその税額をレシートに表示するとか、といったようなことをしっかりすべきであるし、それから税収は温暖化対策に用いる、それを国民にちゃんと理解できるようにしない限り意味がないだろうということであります。さらに、そのためにも下流課税が望ましいということも言っておられました。
  この方のご発言の中で、ほかのところでもあったんですが、やはり温暖化防止以外の使途があるというようなことを聞いて全く驚いたというようなご発言がございました。こんなこと聞いてみますと、確かに先ほど小委員長がおっしゃいましたように、やはり我々のところでは常識だと思っていることが、必ずしも常識になっていないなと。これは大変申しわけないんですけれども、少しコメントをさせていただいて、要するに、企業の社会保障負担の部分を緩和することによって、ある種の負担軽減につながるということはインセンティブにつながるんではないかというような趣旨なんだということは申し上げましたが、わかっていただけたかどうかよくわかりません。
  会場との質疑・応答については、そこに記しておりますので、ご覧いただきたいと思います。フロアからのご発言でございますが、おひと方は電力会社の方でございまして、大体どの電力会社の方も言われることと同じことをおっしゃいました。ただ、これはちょっとあまり反論する気もなかったんで黙っていましたが、省エネ機器に変えるのはお金のある人で、余裕のない人はいつまでたっても非効率な物を使わざるを得ないんだと、だから税がかかった分、どうにもならんというようなことをおっしゃったんですが、ちょっとこれはかなりひどい誤解だなと思いましたが、反論はしませんでした。
  それから、環境カウンセラー協会の方からのご発言がありまして、この方は賛成論なんですが、価格転嫁がしっかりできるようにしなければいけないんで、消費税のような仕組みがどうして組み込めないんだろうかというようなご発言がございました。それから、使途については、市民活動に対する補助がぜひ必要で、これはぜひ伝えてほしいということで私が申し上げますが、温暖化対策活動推進員に対しては年間2,000円しかお金が出ていない、もっとちゃんとお金出してほしいということでありましたから、しっかりそれは事務当局に伝えておきますという約束をしましたので、今申し上げておきます。
  以上です。

○森嶌委員長 はい、どうもありがとうございました。それも全然知りませんでした、2,000円と。中環審の委員に対する報酬も少ないんではないかというのも聞きましたけれども、それに比べたら高過ぎるんではないでしょうか。
  それはともかくとして。それでは、最後でありますけれども、8月5日に札幌で開催されましたヒアリングについて、私の方からご報告いたします。
  最初に下川町長でございますが、これはほかでもそうでありましたように、やはり農村といいましょうか、森林のあるところからいらっしゃったものですから、やはり環境税というのは目的税として、森林整備やバイオマスなどの資源エネルギーの用途に活用するものとしてほしいということが出ておりました。
  それから2番目は、コクヨの北海道販売営業開発副部長からでありますが、この方は企業の方でありますけれども、環境税の目的導入が消費行動に変化を起こして、税収を地球温暖化対策に当てるということであるならば、基本的には環境税の導入には反対をしない。しかしながら、やはり企業に痛みをもたらすものだから、過去に企業が行った設備投資、温暖化対策をしたことに対して、それを評価して一定の評価基準を達成した企業にはちゃんと優遇措置を設けるなどの仕組みをとっておいた上で、導入をしてほしいということをおっしゃいました。
  それから3番目は、トラック協会の大友さんでありますけれども、これは今まで広島や福岡などでもそうでござましたけれども、トラック業界では価格の転嫁はこれは困難であると。環境税を価格転嫁するといったことは困難である。もう既に既存エネルギー税制の負担が大きいと。そして、では課税によってエネルギーの消費抑制効果があるかというと、それはもう期待できないのではないかということから、反対をしておられました。
  これに対してNPO法人の北海道グリーンファンド、これは北海道でつくられたグリーンなことをやるのに対してそれに投資をするというファンドでありますが、環境税に対してポジティブ、すぐに導入すべきだと。しかしながら、国際競争力へ影響があるような場合には、免税措置を検討しておく必要があるし、少なくともそれは環境税については一般財源化をしておくべきだと。これはなぜならば、それは先ほどもちょっと話が出ましたけれども、税収を上げるということに目的があるのではなくて、人の行動を変えるというためであるということで、そこで石油特会とかそういうようなものも活用して考えるべきだと。そして、どこから取るかということもきちっと考えて、行動を変えるために考えておくべきで、環境税を負担しているということが市民にわかるような形の制度としなければ意味がないということでありました。
  それから、最後の南信子さんという方、この方は主婦というよりも北海道消費者協会の理事、それから札幌消費者協会の会長の方でありますが、消費税の導入には賛成でありますけれども、やはり強調しておられたのは、消費税の導入についての市民、消費者への情報提供が足りないから、ぜひそれを充実をしてほしい。そして、地域の環境対策、地域の活性化にもこの消費税を充当してほしい。そして課税の対象は大口のところに課税をすべきであって、既存税を含めた税の見直しをしてほしいということでありまして、一般家庭の負担はできるだけ少なくすべきだというお話がありました。
  委員からのご意見については記録をご参照いただきたいと思いますが、会場からは安斎町長に対して、森林整備というのは大事だけれども、それは環境税の問題だけではないではないかということで、全部、森林整備というのはもう全体としてやるべきだと。これはどこかで、京都で永里さんもおっしゃったんではなかったでしょうかね、オールジャパンとしてやるべき問題だというご指摘もありました。
  それから石油業界からは、サルファーフリーの導入なんかで3,000億円以上の投資も行っているし、いろいろなCO2の原単位削減の努力もしていると。しかもガソリン価格の上昇によって、ガソリンの消費量が減っているかというと、そういうことはないではないかということもご指摘がありましたし、むしろPRをしてこれだけ例えば室温を、これがちょっとよくわかりませんでしたが、室温を2度下げたら灯油は年間170リットル削減できますよというような、そういうことをやった方が税金を上げるよりは効果があるんではないかというようなお話もありました。
  それからまた石油販売業者からは、もう消費者は1円でも安いところにみんな行ってしまうから、価格転嫁できませんというお話のご発言もございました。
  以上でございます。
  なお、概要にはみんな人数書いてありませんけれども、福岡は200人ぐらいでしたか。札幌は140人ありましたか。京都は先ほど申しませんでしたけれども、80人。ほかはどれぐらい。埼玉は。

○須藤委員 埼玉は先ほど申し上げましたが160人。

○小林委員 新潟は80人。

○久保田委員 広島は100ですね。

○森嶌委員長 そういうことで、少なくとも私はそういうふうに会場をしつらえたのかもしれませんけれども、先ほど須藤委員おっしゃったように、なかなかそれぞれのところは盛況でございまして、皆さん発言も、こちらが司会が抑えると申しましょうか、するのに精一杯で大変熱気あふれていて、我々としては環境税を小委員会の中で、小委員会といいましょうか中環審の中で議論をしていて、国民を置いてきぼりにして議論していたのではないかと。もう少し我々としてはどういう形でとかはともかくとして、もう少し国民と一緒に考えないといけないことはたくさんあるのではないかということを、多分ご出席の皆さんはお感じになったのではないかと思います。
  ご出席の皆さんお感じになったことはこの後、事務局からの報告を受けた後で少し意見を追加していただきたいと思いますが、それでは事務局の方から、全体を通じてこういう事項が取り上げられていると、これも全部網羅的にというわけにはいきませんけれども、重点的にご紹介いただきたいと思います。

○鎌形環境経済課長 それではお手元に資料2ということでお配りしておりますこれに基づきましてご説明させていただきます。
  タイトルでございますが、地方ヒアリングにおける意見の項目別整理としております。今、6つの会場についてそれぞれご報告をいただきましたけれども、それにつきまして項目別に並べかえて整理をしてみたというものでございます。この中で、どんなものが出たのかというのをちょっと少し見やすくしたということでございます。さらに整理が必要かと思いますが、現段階の整理ということで受けとめていただければと思います。
  それで、項目としてまず総論的には環境税の導入、導入すべきかあるいは導入すべきでないかとこういうことについての意見がまず多くございました。それぞれ根拠とかあるいは条件とか、多様でございます。ここにまださらに整理が必要かと思いますけれども、国民のコンセンサスというようなものを強調するようなご意見もございましたし、あるいは京都議定書目標達成という目的を強調されるような意見、あるいは未来世代への適切な環境を残すと、そういったようなことでの根拠を示されるものもございました。便宜上、似たような意見をまとめてございます。
  2ページ目には比較的反対の意見が多く集まってございます。ここにも企業活動や雇用の影響とか、あるいは国際競争力、こういったようなことから反対の立場というご意見がここにまとめてございます。とりあえず一つ一つの意見を抽出して並べたというだけでございますので、まだちょっと整理が足りないかと思います。
  それから、3ページ目にまいりまして、環境税ということについてどういう課題があるかということにつきましても、さまざまなご意見がありました。ほかの選択肢との比較というような課題、あるいはどんな政策が必要か、そしてどんな財源が必要か、こういった検討過程を経るべきとか、あるいは使途を明確にすべきとか、それから財源といった狭い視野で議論するのではなく、大きな方針を示してほしいと、こういったような課題。
  4ページ目にまいりまして、使途の透明性とか、あるいは雇用・地域経済への悪影響への懸念とか、あるいはこれはもう委員からの意見でございますけれども、環境負荷を与える行動に対する正当な対価の支払いというような位置づけ、こういったような意見がございました。
  それから2番目に、環境税の効果に関してのものでございます。まず価格効果に関してですが、一定の効果があるという方もいらっしゃいましたが、節約効果はまずないであろうとか、節約的な効果は疑問だというようなご意見も多々ございました。
  それから、5ページ目にアナウンスメント効果というようなところもございますが、環境税について国民に理解されるのかどうかは疑問であるとか、あるいは税の導入前に行動を移すなどの効果、そういう指摘がございました。
  それから、価格転嫁につきましては、ここに掲げられている意見はこの価格転嫁がなかなか難しいというようなご意見が掲げてあります。
  その他、その財源効果についての意見とかがございました。5ページ下の方でございます。
  それから、6ページ以下でございますが、今度は環境税の経済への影響という意見の部類でございます。国際競争力に関しては、やはりご懸念がございました。(2)には産業の空洞化、あるいは炭素リーケージということで、途上国、特に中国などへの企業の移転とかいうようなことへの懸念が示されてございます。
  それから、経済への影響緩和策ということでございまして、例えば輸出品に対する配慮とか、それから省エネや環境税に貢献する企業活動への優遇とかいったことが述べられております。
  それから、経済へのプラスへの影響というのも議論になりました。追い風にならないという意見もございましたが、事業のチャンスとか、あるいは大きな企業にとってのインセンティブというような指摘がございます。
  それから、その他と掲げてございますが、特に先ほどの紹介にもございましたけれども、トラック事業者、あるいはガソリンスタンドといったところについて、税がそれぞれの業者への負担になるというようなご主張がございました。
  それから、7ページの下の方、環境税の仕組みに関してでございますが、課税対象でございますが、化石燃料に課税するということでの議論を進めてございますが、例えば国民一般に広く薄く同額を課税するといったようなご意見とか、8ページにまいりまして、消費税とする方がいいとかいうような意見もございました。
  それから、税率に関しては、少額でもやるべき、あるいは少額ではだめだと、高い税率にすべきと、さまざまな意見がございました。
  それから、課税の段階についてでございます。[3]でございますが、上流課税の方がコストなどの関係から望ましいというご意見、あるいはインセンティブの観点から下流課税が望ましいというご意見、それぞれございました。
  それから、軽減措置につきましては、企業への軽減。これにつきましては、影響に配慮しての軽減という意味と、それから省エネや環境保全に貢献する企業への優遇というものが述べられております。それから、低所得者も含めた一般家庭、それから企業・家庭共通するのは努力している人に配慮と、努力する人が報われる仕組み、こういったようなご意見が目立ちました。
  それから次のページにまいりまして、税収の使途でございます。税収をどのように用いるかということに関してはかなり関心が高くて、いろいろご意見ございました。一つの切り口としては、いわゆる一般財源として使うのか、あるいは特定財源として温暖化対策に当てるのか、こういうそれぞれのご意見がございました。そこに10ページから11ページにかけて掲げてございますけれども、特定財源として使途を明確にするというようなことについて環境税の導入の是非をめぐる議論と絡めて、そういった使途を明確にして議論すべきと、こういうような議論があったのが印象的かと思います。
  それから、11ページの下の方からは、温暖化対策に充てる場合にはどう用いるかという論点でございますけれども、森林対策との関係について述べられた意見が相当多くございました。11ページの下から12ページにかけて掲げてございます。吸収源対策としての森林対策に充てるべしというご意見です。それからもう一つ目立ったのは、地方公共団体の取り組み、あるいは地域での対策、こういったものにその税収を充てていくべしというような意見もかなり見られました。12ページ下の方のご意見でございます。
  それからその他、13ページの方には、省エネ支援でありますとか、あるいは技術開発、環境教育などなど、さまざまな観点の使途についてのご意見がございます。
  それから、13ページの下から、既存エネルギー関係諸税との関係ということでございますけれども、やはり5兆円の道路特定財源、こういったものに関しての関心が高かったということでございます。こういったものについての、その見直しを図っていくべきというような意見もございました。
  それから、温暖化対策について、既に温暖化対策関連予算で1兆円余りということについての、これについてのどう効果が上げているかというような検証も求められたということでございます。
  それから既存税そのものの見直しということでございまして、やはり現行のエネルギー関連税の見直しということに触れた意見が多くございました。これが14ページの下に掲げてあるということでございます。
  簡単でございますが、項目別に整理してみると以上のような状態であったということでございます。さらに整理は必要かと思っております。

○森嶌委員長 はい、どうもありがとうございました。
  先ほどご報告しましたように、8月5日が最後でございまして、それから記録を起こして概要をつくってということでございまして、そして職員の数も何人かわかりませんが、それで夏休みもみんなは取っているときに多分、環境省の人間だけが人権がないということではございませんので、その中で私の方からいろいろ注文をつけて、大変私としては心苦しかったんですけれども、これだけまとめていただきました。
  私の方としては、さらにここに挙げられておるこの皆さんの意見の中から、論点となるべきものを抽出していただいて、あるいはこういう質問といいましょうか、こういう質問が出ていると。それからこういうことについて、例えば国際競争力に影響を及ぼすのではないかというのがあるんですけれども、それに対して我々がかつて議論をしています。それに対して、国際競争力というのにこれぐらいの影響があり得るとか、例えば鉄鋼などについては原料に対して重油というのはこれだけのパーセンテージだから、それに対してこれだけのものをかけると、これぐらいの10何パーセントなんかの負担になるとかいうことを前に試算したものがあります。そういう今まで我々の中で論点整理をしたものから、ある程度の資料を用意したものもあります。そこで、ここで国民の方から出てきた論点の中で、ある程度これも正確なものでないかもしれませんが、ある程度我々の方で論点、資料を用意したものもありますし、それから資料が全くないものもあります。
  それから現在、専門委員会でいろいろ議論をしておられるものもあって、その専門委員会の中で新たに議論をしていただき、ここに出てきている質問に対して、ああいう質問やあるいはご意見に対して、こういうご意見も専門委員会から出ているというものもあります。そういうものを少しこれを整理すると同時に、今までの既存の我々がやってきた中から、データなりあるいは意見なりを、少し対応をさせておくということも今後必要ではないか。そうでなければ、こういう疑いがある、こういうことはどうかというだけで、全く腰だめで議論していたって反対は反対、賛成は賛成ではだめなんで、賛成にしろ反対にしろ、こういうデータの上でここは十分でないから、これに対する判断が対立していったのでこの委員は賛成できない、この委員は反対をというのがなければ、単にこういうことは懸念があるから賛成すると、そんな懸念は大したことないから賛成するというのでは、やっぱり国民に納得してもらうわけにはいかないわけですから、できないこともたくさんあると思いますけれども、できるだけそういうことを今後用意していかないと説明はできないと思います。
  その上で、どうやったらわかりやすく説明できるかということをまた考えていかなければならないと思いますが、当面、これだけのことを事務局にやっていただいたことを、私としては感謝したいと思いますが、同時に我々は先ほども申しましたけれども、そう高い報酬をいただいているわけではありませんけれども、最近の委員会はどうも皆さん評論家みたいな顔をして、あれやれ、これやれと言っているだけで、全く委員として貢献をするということを忘れているのではないかということを、私も含めて思いますので、これをご覧になってこういう点がまだあるのではないかということをお気づきでしたら、もう皆さんも夏休みもおしまいになっているでしょうから、今意見書とまでは申しませんけれども、メモをおつくりいただいて、これについてはこの点はまだあるということを事務局の方にお寄せいただいて、少しこれを整理をする時間をいただきますので、その間に委員の方からも例えば、まあ何でもいいですけれども、軽減措置、企業への軽減等というのでヒアリングでこういうのが出ているけれども、こういうところはまだ論及されていないんではないか、落ちているんではないかということをお気づきの点があればメモを出していただいて、さらにそれについて今後の論点整理をしておきたいと思いますので、ぜひとも委員の方も単に出かけていって座って人の話を聞いているというのではなくて、よろしく委員としての責任を果たして、国民に対する責任を果たしていただきたい。お説教ばっかりしていて中環審でも嫌みを言われる会長というのが大体定説になってまいりましたけれども、ぜひお願いをしたいと思います。
  それでは、まだ時間が20分ありますので、ぜひこの際に今私が申し上げたことも含めて、ヒアリングにお出になってお気づきになった点も含めて、あと20分ぐらい自由討論をしたいと思います。
  どうぞ。

○浅野委員 天野委員が別の機会にもご指摘になったんですが、アナウンスメント効果という言葉の使い方がかなり混乱している。この辺は少ししっかり整理をする必要があるだろうということと、それから環境目的に使うということと特定財源にするということは、必ずしも一致しないんですが、どうもこのあたりが混乱をしていて、議論がかみ合っていないという気がしますから、一般財源、特定財源という言葉、あるいは環境目的に使うというその辺のところ、一般財源にしろとおっしゃっている方は大体わかって発言しておられるんですが、むしろ環境目的が即特定財源だとか特別会計だという短絡的なご理解が多いという印象がありましたから、この辺はちょっと是正しなければいけないのではないか。
  それから、ポリシーミックスとの関係で、我々が考えている社会保障の目的に使うと言っているような、そういうことの意味も全くわかってもらっていないなと。ここはもっと、どういう意図でそういう議論が出ているのかということをはっきりしておかないと、いたずらな混乱を起こすなと。
  それから、一番ちょっとショックを受けたのは、広島の会場で某大学の教授がいきなり手を挙げまして、そもそも何で環境税かねという質問をされました。これはさすがにびっくりしたので、私やむなく七、八分講義をさせていただきましたけれども。何かその環境税だけですべて問題が解決すると言っているのかねと言われて、そんなこと言っていないですよといろいろ説明したんですが、どうもそのくらいの理解がまだまだあるということははっきりしましたので、このあたりのところは我々はいろいろな選択肢の中にこれも入れ、あれも入れ、全部をまとめてやらなければうまくいかないという立場で議論をしている、ということが理解されるように努力をしなければいけない。こんなことを感じました。

○森嶌委員長 どうぞ、天野委員。

○天野委員 地方ヒアリングでたくさんの意見が共通した部分が幾つかあると思うんですが、1つは地方税を増やしてほしい、環境税収を地方に回してほしいというご意見で、私はこれはある意味で現在の税制全般に対する批判というか、地方から見てそういうご批判があって、それがこの環境税の場合には、環境税収が入るのでということで出てきているのではないかということがありまして、税制全体に関して、その環境税の導入が自分たちにとっていい改善の方向につなげてもらえるのかという視点が非常に大きかったと、私は受けとめております。
  それから、それと関連してですけれども、その環境税というものの性格ですね。これは環境省というのは環境問題をやるところで、税の話は財務省がやるところだというふうに一般の方は認識されていると思うんですけれども、環境税というのは非常に特殊な税といいますか、日本ではまだ大々的には使われていない税なんですね。そういう税を我々は考えているという点についての認識が、必ずしも普及していないという点が私は大きな問題ではないかと。ですから、これは環境省ももちろん説明は必要でしょうけれども、例えば財務省とか政府税調とかそういうところで環境税というのはどういうものだと、これから日本の税制の中で環境税というのが占める位置というのはこういうものだという認識を、きちっと国民に示していただくということも非常に重要なことで、これはいろいろな文献を見ておりましても、環境政策というのは環境省だけでやれることではなくて、必要な場合には財務省、必要な場合には国交省、そういうところと協力しながらやる必要があるという意見があるわけですけれども、そういうことを非常に痛感をいたしました。
  ですから、環境税というのは単に、これは次の問題にも関連するんですけれども、単に税収を上げる手段ではなくて、今まで日本国民は持っていなかった、税というものがこれから導入される必要があるという点の認識が必要だろうと、そういう普及ですね。
  それから、2つ目に非常に多かった点は、税収を必ず環境目的に使ってほしい。これはいろいろなところの地方で聞くことですが、特に産業界というよりは一般の人々からこういう意見が非常に強く出される。しかも、ある程度環境問題に強い関心を持っておられる方のほうが、こういうご意見を出されるということです。これは環境税という言葉から、環境政策をするために税収を上げて、その税収を使って環境効果を上げるのが環境税だという認識があれば、当然こういうご意見は出てくるわけですね。ですから、そういう意味では、環境税をかけることによって、どうして環境がよくなるのかというあたりの説明が、やはりまだ十分に一般的には理解されていないという点があろうかというふうに思います。
  これと同じことですけれども、新税の導入というふうに受けとめられて、税収を使うんであればどうして既存のいろいろな税の税収を使わないのかと、既存の税収を環境目的に回せば同じことができるんではないかということも、同じような類推からこういうご意見が出てきていると私は思います。
  こういったご意見は私、それなりにもっともなご意見だろうと思いまして、先ほど森嶌先生がおっしゃられたように、我々の方でどういうふうにしてそういう問いかけに答えていくかということが、これからの課題ではないかというふうに思います。
  一番初めに申しましたその現行税制に対する地方からの批判というのは、これは環境省の仕事ではありませんので、これは財務省にやっていただくとして、2つ目の環境税に関する理解をもっと普及させるといいますか、一般の方々に環境税というのが税という名前を持っているものの、これら環境政策の1つの手法であると。ただし、これは環境政策手法であると同時に、税収を伴うものですから、税制一般のほかの問題とあわせて考える必要がある。このあたりをきちっと理解していただく。ですからやはり、我々の方は税制の中での位置づけというのをきちっと皆さんに説明をしないと、なかなか理解がいただけないというふうに思います。今まではそういう説明が足りなかったとは申しませんけれども、なかなかご理解いただいていないという実感を持ちました。
  それから3つ目の点は、非常に多かったのは、具体的に環境税を導入する、あるいはされる際の細目が見えていないというご意見ですね。ですから、どういう負担の大きいところに対するどういう減免措置があるのかとか、あるいは炭素リーケージというのが大きいと言われているけれども、それに対してある程度の炭素リーケージがあるときに、どういうことを考えてこの税を投入するのかとか、森嶌先生がおっしゃったように、専門委員会7回やっておりますけれども、そこでいろいろ議論をしている資料はあることはあるんですけれども、必ずしも全面的にわかりやすい形で皆さんにお伝えできるだけの資料を、我々は必ずしも持っていないものもかなりあるということで、やはりこれは環境税をきちっと国民の皆さんに理解していただくためには、環境税を具体的に実際に導入する際に、どういう細かい点まで含めて案をつくっているのかということを、早い段階で我々の方で詰めていく必要があるんではないか。
  今、専門委員会が1つ終わりましたけれども、必ずしもあれで税の細目まで決まったとは私は思いません。ですから、減免措置がどうなっているかとか、どういうところが課税対象になるのかと、どういう業界がどれだけの負担をするのかというふうなことを含めて、もっと検討を深めていく緊急の必要があろうかと。
  以上のようなことを考えていました。

○森嶌委員長 どうもありがとうございます。それでは、久保田委員。

○久保田委員 簡単に言いますが、今、天野先生のお話もありまして、私がちょっと感じた印象でございますが、今環境税はやっぱりほかの税とは違う、その辺をきちっと理解してもらわなければならないというご発言もございましたが、その辺は本当にものすごく根本的なことだと思います。
  行ってみて、やはりその地域に居住する企業もありますし、市民もありますし、そこで生活をしているというレベルからすると、我々はどうしても縦割り、何々省何々省、そして同じ環境のものでもさまざまな地球温暖化対策と環境税というような、こうなっていますけれども、やっぱり生活というのは全部ワンセットでやっておりますので、そういう感覚から見たときにどう映っているだろうかというところを、もう一度この原点に戻って、それをどういうふうに解きほぐすかというみたいなことを本当にそういうところから考えないと、ちょっと相当大きなギャップになっていくんではないかという感じがいたします。
  そういう意味では、もともとこの環境税だけではなくて、税そのものや自分たちが払った税金が一体どこにどう、お上に取られて、要は自分たちのところのどこに戻ってきているかみたいなことについて、市民一人一人が関心を持ち手を挙げて発言をしなければならないという感覚というものが、やっぱり出てきているのではないか。
  そういう意味では、非常に行ってやることは大事だと。しかも国民一人一人に何か負担をかけるというか、お金をかけるということを含めて、どっちをチョイスしますかみたいな議論の立て方で議論することは大変大事ではないかなというふうに感じていまして、実はこれは環境問題だけではなくて、むしろ社会保障の問題とか、国の税金の使い方の問題というようなことを、こういうことで本当にもう少し時間をかけながらずっとやっていたら、何か出口がもうちょっと見えてくるんではないかという感じがいたします。
  そういう意味からすると、環境税はほかの税と違うという感覚の問題を、私はそう受け取ってはないのではないかというふうに思います。それから、下流課税の問題や価格転嫁の問題やそういうことも、そういうことには結局ならないというふうに受け取っているのではないかというのは、一般の印象だと思いますので、そこの問題をどういうふうに整理するのかが非常に大事な問題ではないかという感じがいたしました。

○森嶌委員長 あとで申します。私は、全く久保田委員と同じところから出発して、この問題を組み立てていきたいと考えておりますので、連合でしたか、連合の委員がそうおっしゃったのは大変心強く思います。
  どうぞ。

○武田委員 私は今回のヒアリングに参加できなくてまことに申しわけございませんでした。今、ご報告を聞きまして感想を若干述べさせていただいてよろしゅうございますか。

○森嶌委員長 どうぞ。

○武田委員 この地方ヒアリングというのは、今回、私、前回参加させてもらったんですが、前回よりもさらに大変熱心な議論がされているなという印象を受けました。
  それから、もう1つは、いろいろお立場を超えて非常に幅広くといいますか、皆さんがご理解しておられるというかそういう感じを受けました。国民が理解していないんではなくて、理解していないのは、説明する側ないしは原案自体があんまりはっきりしていないんではないか。

○森嶌委員長 私はそう思っているんですよ。

○武田委員 そういう感じを受けました。それで、全体的に感じるのは、環境対策は必要だというのは皆さんもちろん同じ立場なんですが、だからといって環境税が即賛成かというと、必ずしもそうではない。賛成の方もいろいろな前提条件がたくさん述べておられます。したがって、結局安易な増税といいますか、国民が負担するだけで結果どうなのかよくわからないと、こういうふうに受け取られている可能性があるわけで、このままでは国民の理解は得られないのではないかという感じがします。
  いろいろお話もご意見もありましたが、やはり何で環境税が必要なんだというところは、エネルギー既存税収との関係というのはやっぱり避けて通れないんではないかと思うんですね。ここはやっぱりはっきり説明しないと、国民は理解していただけない。
  それからもう1つは、それをどう使うのかという目的税というか、目的、何に使うかという使途の問題ですね。ここのところがもう一つやっぱりはっきりしていない。国民は取られるだけで、結局効果がどうだかもどうもはっきりわからんということで、環境対策は賛成だけれどもなかなかこの税には賛成しづらいという意見が、これは決して悪いことではなくて、非常に幅広い視点を持ったご意見だと思うんですね。ですから、ここのご理解を得られるより、アナウンスメント効果とインセンティブ効果だけではなくて、財源そのものをどう使ってどういう効果を出すのかということをよく説明しないと、なかなか合意が得られないんではないか。そこのところはやっぱりはっきりする必要がある、というふうな感じを非常に強く受けました。
  以上でございます。

○森嶌委員長 はい、鳥井委員どうぞ。

○鳥井委員 私も唯一参加できたところが札幌なんですが、わざわざお電話をいただいて、たくさん委員が来られるから参加する必要ないよというお電話をいただいたもので、それに便乗して参加をしなかったとこういうわけです。
  4点申し上げたいと思います。第1点は、今回の議論を見ていますと、そろそろ国民のコンセンサスができたというような状態というのは、どういう状態のことを指すのかということを考えておかないといけない段階に入ってきたかなという感じです。
  2番目が、企業の方が皆さんおっしゃっていることなんですが、やっぱり自分でやっているからいいではないかというお話。自分たちがおやりになるのはそれは立派なことなんですが、国民皆さんにその努力をどうやって広げていくかという視点を、しっかり考えなくてはいけないだろうというのが2番目であります。
  その関連で3番目でありますが、価格転嫁ができるのかできないのかという議論ではなくて、価格転嫁はどうやったらできるのかという議論をきちんとすべきだというふうに思います。
  4番目、アナウンスメント効果の問題でありますが、多くの方がいろいろな場面で情報が足りないとおっしゃるんですが、幾ら情報を出しても情報は足りないのであります。なぜかというと、幾ら情報があっても絶対読まないからであります。川に馬を連れていくことはできるんですけれども、水を飲ませることはできないというわけですから、こういう税を入れることで水を飲みたくなる状況をつくり出すことはできるはずなんですね。その辺がやっぱりアナウンスメント効果の一番大きなところだろうというふうに思いますんで、そこを強調すべきではないかと。
  以上であります。

○森嶌委員長 私はまず、国民を馬に例えてはいけないんですけれども、川に連れていかなければいけないと思うんです。まだ私は川にまで行っていないんではないかというので、いろいろ申し上げているんです。
  どうぞ、永里委員。

○永里委員 ありがとうございます。感想を述べます。
  たくさんの議論がなされていると思うんですが、そこで抜けている点もここにあるということで、まあしようがないのかなと思うんですけれども、議論されなかったらこの報告書に出てこないという、そういう点がちょっと懸念されます。

○森嶌委員長 そこでさっき、ぜひメモを出してくれと、申し上げたのはそういうことです。

○永里委員 ほんの一例なんですけれども、例えば企業にとって環境税をかけるということは国際競争力をなくすんだという視点のときに、その研究開発費の原資を奪うというようなことは、企業の人にとっては国際競争力で大変重要なんですけれども、こういう視点はここには出ていないということですね。
  以上です。

○森嶌委員長 ぜひ、そういう点も含めて、これにこういう論点を入れろというメモをぜひ、先ほども申し上げましたけれども、出してください。
  それでは、水野委員どうぞ。

○水野委員 私、こちらのヒアリング出られなくて申しわけなかったんですが、先ほど天野先生がおっしゃいましたが、いわゆるこの具体的な税制として制定するために、どういうプロセスを経ていくんだろうということが気になるわけです。昨年、環境省から案が出された、例えば私の記憶では5,000億円の環境税でそれで研究開発に充てれば、温室効果ガスは三、四パーセント下がるというお話だったんですが、これは非常に率直に申しますと、税制調査会では非常に評判が悪かった。全くこれはただ単なる数字合わせで、具体的な根拠も何もないではないかと。そこで原点に立ち返れるような答申の中で、環境税についてはこれは温室効果ガスを減らすんだということで、いわゆる財源調達して研究開発やっていかれる、環境対策をするんだというそういうものではないんだということを、はっきり税制調査会の答申には書いたわけなんです。
  今年、どうなるかということはわかりませんですけれども、どういう形で具体的に税制をつくる財務省と協調していくのかということですね。いわゆる予算に例えると、こちらの中央環境審議会の環境省の方は要求官庁で、財務省が査定官庁になりますので、その査定にちゃんとオーケーが出るような仕組みでないといけないということですね。それを考えるというのは今8月の終わりですから、この段階でこういう抽象的な議論をやっていて、具体的に11月、12月に本当に具体案が出てくるんだろうかと。去年、おととしとああいう形でしたんですけれども、ですから一つには、いわゆる財務省に対してどういうアプローチが重要であるかという点ですね。それと具体的に実際に向こうで検討できるような案というものを持っていくのがこちらの仕事なのかなと思っておりますけれども、これは役所の方には伺いたいんですがいかがでしょうか。

○森嶌委員長 では、どうぞ。

○鎌形環境経済課長 これからどういうふうに進めていくのかということだと思うんですけれども、昨年の場合には11月の時点で、私ども環境省の責任で具体案ということで今ご指摘があったような案を、具体的な税率とか軽減措置とか、あるいは税収をこういうふうに使ったらどうかということの提案も含めて、世の中に出させていただいて、それはもちろん財務省に対しても税務当局に対してもご説明をして、であるから政府税調でもご議論いただいたんだと思うんですけれども、そういう形で議論はさせていただきました。ただ、そのときにさまざまな意見が出て、今ご指摘のような評判が悪かったようなご指摘もございましたけれども、いろいろなご意見があり、あるいは与党の中でも議論があって、課題はまだまだたくさんあると、議論すべき内容があるということで引き続き議論をすると、早急に検討をするというのがそれぞれの与党なり政府税調の結論であったと思います。
  それで、さらにこの4月には京都議定書目標達成計画、政府として「真摯に総合的な検討を進める」というスタンスで、検討を進めるという形になってございますので、そういう流れの中で議論を進めております。ただ、やはり国民の理解と協力を得るという意味では、さまざまなご意見を得る必要があるということで、こういったヒアリングなども、審議会としてやっていただいて、我々にまたインプットいただいて、その検討の材料をいろいろそろえていただいている、こういう段階だと思います。
  それで、では具体的に今後どうするかということですけれども、今、審議会のベースでは専門委員会で専門的な事項を議論いただいています。それから、国民のご意見というのを施策小委員会のヒアリングということで、非常に幅広く聞いていただいているということでございます。そういう意味で、私どもがその具体的な案を検討するような際に、必要な留意事項なり材料なり、そういうものをそろえていただいているんだというふうに理解しております。時間的に非常に遅れているんではないかということでございますけれども、直ちに具体案を今ここで、すっとこれでお願いしますという状況にないかもしれませんけれども、今いただいているような様々な留意点、材料というものを踏まえて、私どもの責任で案をつくり上げていくと、こういうようなことになるかと思います。
  それで、多分スケジュール的な問題もご指摘なんだと思いますけれども、これはいろいろな材料、あるいは状況を踏まえて、私どもも具体案を練り上げていくということに尽きるかと思います。その辺はどういうふうな、どういう時期にアウトプットされていくかということに関しては、ちょっと具体的な検討の状況を踏まえてということでございますので、ちょっと直ちに今申し上げる段階にはないと思います。

○森嶌委員長 小委員長としての考えだけを申し上げておきますと、環境省のみの所管の事項でしたら、私は環境省の決断で国会にお出しになるんならお出しになればいいわけですけれども、これはむしろ所管事項としては最終的には財務省の所管事項ですから、これは財務省を経過して出ていかなければならないわけですけれども、私は去年の経験からしても、税の問題であり、しかもいろいろな反対があるときにいろいろなものを整理といいましょうか、議論をしていかないで、それでは予算の編成時期はこれですから、ではこういうスケジュールでこれやってくださいと言っても、少なくともきちっとした審議会の結論としては私は出せませんと。
  そこで、我々が議論をしている限りで、それをベースにして役所として役所の責任において、予算の申請というのか予算を提出されるのはこれは構いません。しかし、審議会としてこういう結論を出すということについては、やはりここでいろいろな議論をして枠組みをきちっとできないと、私としてはそれに応ずるわけにはいきませんと言って、着々としてやっておりますので、今回もスケジュールを立ててスケジュールに合わせるようにこういう重大な問題をやるわけにはいきませんし、ある国の首相は自分の決めたことでだめなら、刺客を送ってでもやってやることができますけれども、そういうわけにはいきませんので、やはり議論を尽くして、もちろん反対の方もおられるでしょうし、これでは十分でないと考えられる方もおられるかもしれませんけれども、これは学識経験者、いろいろな方が委員としておられて、こういう議論をした上ならば賛成も反対もいるけれども、国民に問うていいんではないかという結論、結論というかそういった段階に至るまでは、私はこの小委員会としては議論を進めていくべきであろうと。それは、ほかの場合でも基本的には同じですけれども、特に消費税というような、財務省にもかかわるし、しかし私はこれは財務省の専管事項だとはちっとも思いませんけれども、国民に負担をかけるようなものについては、きちんとした議論をやらないで出すということは、私は小委員会としての責任を果たしたことにならないということです。
  ただし、やっている段階で、役所として役所の所管事項の中で役所の責任でおやりになることについては、我々としてはそれを妨害するということは全くできません。ただし、今の例えば天野委員も言われましたように、環境税というのはかなり税そのもの、それから武田委員も言われたように、税そのものにかかわっていて、単に環境省の所管事項だけにはかかわっていないわけですから、最終的にそれをどういう形で提案をされるかというのはともかくとして、私は環境省の所管事項のところだけを議論して国民に問うても、これは久保田委員がおっしゃいましたように、国民の方から見ればこれは一体何のことだと、自分の生活には関係ないではないかということになるわけですから、我々は少なくとも議論をするときには、環境省の所管事項で環境のことだけではなくて、そこから入っていくけれども、議論をするときにはその枠を超えて、国民の生活の中で議論をしていく。そして、政策もオルターナティブとしてどれだけ効果があるのかという、そういう観点から議論をしていただいて、それを提示するということが我々の役割だと思うんですね。
  それをどういうふうにテクニカルに環境税としてこれの構成をするかというのは、それは我々はそこまでは幾ら幾ら減税しますとか、税率は何パーセントにしますというのは、そこまでは我々はやることはできませんし、それだけの時間もスタッフも我々が持っているわけでありませんから、そこまではやらない。しかし、基本的な考え方をきっちりと我々としては議論をして、それを場合によっては税調とも合同委員会、これはわかりませんけれども、合同委員会を開いて議論をするということも含めて考えなければならないかもしれません。
  私は、そこまでやるだけの十分意味のある、あるいはしなければならない議題かもしれないというふうに考えております。特にヨーロッパなんかを見ますと、これはまさに環境税という名前はともかくとして、これは所得税などに変わる税としてとらえられたり、いろいろな税そのものの根幹にかかわる問題も提起しているわけですから、そこまで我々というのか日本が踏み込むのかどうかも含めてやらなくてはなりませんし、環境税を提案された石さんが政府税調の今会長ですから、石さんにもある意味では火つけ役の責任があるわけですから、石さんは政府の税そのものとしてどうお考えなのかも含めて、私は、いずれ我々の議論があるところに来た段階で、日本国として何を考えるかということをきっちり我々としてもお話をしなければならないと考えています。
  それは、政府の予算が何月に決まるから何月までに上げてしまわなければならないというわけには、委員会としてはいかないのではないか、というふうに考えておりますので、この委員会としてはそういうふうに考えて、どういうふうにお考えであるかはともかくとして、どういう意見であるかはともかくとして、最大限国民に責任を果たすべく、皆さんとしては貢献をしていただきたいということをお願いをしますけれども、もう1本挙がっていますので、松田さんいつも最後になるとご発言なさいますが、どうぞ。
  松田さん、はい、どうぞ。

○松田委員 私も会場の方に参加したんですけれども、私の印象では個人個人の企業の方たちのご発言と、それから組織を代表されていくときの産業界の方のご発言というのに微妙なずれがあると感じました。それで、やはりもう1つ感じたのは、森嶌委員がおっしゃったように、まだまだ国民はこの環境税に対してまだまだ知らないことが多過ぎる。だから、参加されてきた方たちも自分が選ばれたから勉強してきたのであって、そのときにこういう発言しておけば無難だろうというところで発言されているんだなということも感じました。
  次に、主婦という肩書きがございますけれども、このごろの女性の方たちほとんどが何らかの形でNPOに所属しながら活動している方たちがいまして、ある意味では、これは女性の代表という形での見方の方がいいかもしれません。そうなると、女性という発言しているのから見ていきますと、概ね女性たちは次の世代のことを考えますから、だから環境税というのは受けていかねばいけない1つの通路であるというふうに発言されていると思います。男性たちの方は組織の中から来ていますから、組織代表として建前は反対というふうになるんではないかということをつくづく感じました。
  ですから私は今回のヒアリングは非常に効果があったと思います。この効果の中で、森嶌委員がおっしゃったような問題をきちっと整理していきながら、議論と理解を深める活動というのは続けていきますけれども、やはり京都議定書に向けて日本の政策がどう動いていくのかというところでも、この審議会の中でやはりきちっと議論をしていかないといけないと思いますので、企業の皆さんにお願いなんですけれども、どうぞもう少し企業の中で本音で話し合ってみていただきたいなと。
  以上でございます。

○森嶌委員長 それでは、先ほど申し上げたようなことで、事務局もちょっとオーバーワークというか、非人道的に働いていただいておりますので、一応これだけまとめていただきましたけれども、先ほど申しましたように、これと今までの論点整理などでいろいろ出た、資料を用意していただいたものと論点ごとに突き合わせていただいて、まだ何が足りないか。
  かといって、税制全体を含めて、それから産業活動におけるある負担の効果、それから国際競争力全部を今からみんなが勉強していた日には何年経ったって終わるわけではありませんので、ある程度のスケジュールでやっていかなければならないと思います。できるだけ効率的にやっていこうと思いますけれども、その整理にしばらく時間がかかると思いますので、この後しばらくお時間をいただきたいと思いますし、幸か不幸か郵政解散などというのがございまして選挙もございますので、選挙前にはもちろんのことながら、選挙が終わってもしばらくはごたごたしていると思いますので、また、いずれ日程等お伺いして、ある程度論点整理ができたところで、実質的に論点ごとにまたご議論をいただきたいというふうに思っております。
  何か事務局で。はい、どうぞ。

○鎌形環境経済課長 それで、今回のヒアリングでまとめさせていただいていますけれども、森嶌委員長言われたように、足りない点がないかというメモ、お書きになる場合には、大変恐縮です、作業の都合上、今週中に私どものところに、もしあればいただければと思います。それでその後、それを含めて私どもの方で委員長のご指示のとおりに作業を進めたいと思います。

○森嶌委員長 永里委員などはもう用意しておられるんではないでしょうか。武田委員もお出でにならなかったので多分お持ちでしょうし。皆さん、日ごろから大変環境税には関心をお持ちでしょうから、もう既に今日中にメモは出せるかもしれませんので。

○鎌形環境経済課長 今日は火曜日ですので、金曜日中にいただければと思います。

○森嶌委員長 火曜日ですか。ではよろしくお願いをいたします。
  ほかに何か、事務局からありますか。
  それでは、どうもありがとうございました。
  それではまた、いずれご連絡をいたしますのでよろしくお願いいたします。

午後0時18分 閉会