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中央環境審議会 総合政策・地球環境合同部会
第10回施策総合企画小委員会 議事録



平成16年8月6日 午後3時04分 開会

○鎌形環境経済課長 まだお見えにならない委員の方もいらっしゃいますけれども、時間になりましたので、ただいまから施策総合企画小委員会を開催させていただきたいと思います。
 森嶌先生よろしくお願いいたします。

○森嶌委員長 それでは、ただいまから第10回施策総合企画小委員会を開催させていただきます。
 それでは、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。最初に座席表、議事次第、資料一覧、委員名簿と続きまして、その次に資料2「平成16年度地球温暖化対策推進大綱関係予算について」、資料3「地球温暖化対策税制とこれに関連する施策に関する中間取りまとめ(素案)」、続きまして、その後、参考資料1・2・3と参考資料が続きます。最後に、本日いただきました国際競争力に関する永利委員のご意見を添付しております。

○森嶌委員長 資料2・3については後で説明がありますか。わかりました。
 それでは、資料等について補足等ございましょうか。よろしゅうございましょうか。
 それでは最初に、前回、環境予算は1億円以上の大変なお金を使っているけれども、ちゃんとどんな金を使っているのだか説明しろという宿題が出ておりますので、地球温暖化対策推進大綱関係予算につきまして資料を用意してもらいましたので、簡単にですけれども報告をしていただきます。
 では、よろしくお願いします。

○清水地球温暖化対策課長 温暖化対策課長の清水です。座って説明させていただきます。
 今回、資料2という形で、平成16年度の大綱関係予算の内訳などをご用意いたしました。
 ここに書いてございますように、平成16年度におきましては、総額が1兆2,586億円というような形です。これを表1で見ますと、府省別の予算案になっているわけでありますが、1,000億円を超えるようなところでは、上の方から文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省となっております。
 それがどういう内訳で使われているかというのが次のページ、対策分野による分類であります。この対策分野は、現在の地球温暖化対策推進大綱の対策別に整理した、そういうようになっております。
 1が6%削減約束の達成に向けた地球温暖化対策の推進ということで、(1)エネルギー需要両面の対策中心とした二酸化炭素に係る排出量削減ということで、ここは大変多うございます。
 この中で1,000億円を超えるようなことですと、例えば運輸分野の環境負荷の小さい交通体系が1,200億円であるとか、エネルギー供給面の二酸化炭素削減対策の推進の中の新エネルギー対策あるいは原子力の推進。それから(2)非エネルギー起源二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素の排出抑制対策の推進。(6)吸収源、その中でも森林・林業対策の推進ということ、ここら辺が1,000億円以上の対策予算になっております。この分類に沿いましてさらに詳しくご報告したいと思っております。
 3ページに、大綱関係予算に含まれる主な予算ということで整理いたしました。
 これを見ていただければおわかりなのですが、この関係予算と申しますのは、大綱に書いてある施策に関係する予算ということを機械的に計上したものであります。大綱に書いてあるということは、必ずしも温暖化対策を主目的とする施策とは限りません。つまり、ほかに行政目的があって、主な目的があって推進されている。それが温室効果ガスの削減なり吸収に効果があるという側面があるものは、その効果が多いとか少ないとかは全く判断せずに、単純に計上したということであります。ですから、関係するということの意味がどれほどのものかというのは、それぞれの予算によって強かったり弱かったりするということが大前提でありますので、そういう前提で見ていただければと思います。
 まず第1番目に、産業部門の需要面での対策ということで、160億円とあります。ここに主なものとして4つほど挙げておりますが、まずエネルギー使用合理化事業者支援補助金ということで、これは民間企業に対する支援を経済産業省が行っているわけであります。2番目の省エネルギー・新エネルギー対策導入促進事業費は排熱を利用する関係です。エネルギー使用合理化支援事業費補助金は、従来以上の目的を持つような削減対策に対して経産省の方で支援を行っているなど、ここに挙げております。
 2番目の機器の効率改善対策で挙がっておりますのが、次世代高速通信機器技術開発プロジェクトということで、これは高速・高信頼の情報ネットワークを衛星にする。その際に、低消費電力化するというような部分が含まれておりますので、そこでもって入っているということであります。
 4ページの3、住宅・建築物の省エネルギー性能の向上ということで、これが250億円であります。住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業費補助金というのは経産省において行われておりますが、モデル事業を行うものです。2番目のグリーン庁舎の整備等の推進は、国土交通省の官庁営繕で行っておりまして、こういう政府の庁舎などをグリーン化していくというようなそういうケースでございます。それから建築物改修モデル事業あるいは高効率エネルギー利用型住宅システム技術開発の補助金がわずかでありますけれども含まれています。
 4、エネルギー需要マネジメントの強化ということで、これはIT技術などを活用しながら電力のエネルギー需要をマネジメントしていくようなものを支援するというものであります。HEMS、BEMS関連予算と言ってもよろしいかと思います。
 5、自動車交通対策、99億円となっております。1番目に上がっておりますのが低硫黄(サルファーフリー)の石油、いわゆる硫黄分が10ppm以下のガソリンとか軽油を措置する、そういう事業であります。これは当然大気汚染ということが主目的で対策を考えているわけですが、温暖化対策にも当然一定の効果があるということで、この項目を入れています。それから政府による低公害車の導入経費でありますとか、次の低公害車の技術開発の促進は、大型ディーゼルに代替するような車種を開発していくような予算。交通需要マネジメント、燃料電池自動車実用化促進プロジェクトなどがここに含まれております。
 次に5ページ、6、環境負荷の小さい交通体系の構築、1,244億円ということで、1,000億円を超えるような予算がここには使われているわけであります。その内訳を見ますと、新幹線鉄道を整備するような予算、地下鉄を整備するような予算が非常に大きなものとして含まれております。そのほか、ニュータウンの鉄道とか交通施設のバリアフリー化を行うというのも温暖化対策予算に含まれております。これは公共交通機関の利用促進というような意味において関連予算ということになろうと思います。
 7、新エネルギー対策、これも1,000億円を超えるような大きな予算でありますが、まず新エネルギー事業者支援対策費補助金ということで、これは法律に基づきまして認定された計画に基づいて行われるような対策を支援していこうという経済産業省の事業でございます。太陽光関係の技術開発なども入っております。それからクリーンエネルギー自動車の導入促進ということで、低公害車、プリウスなどを初め導入促進に対する補助を行う。次に水素安全利用と書いてありますが、これは燃料電池関連の予算であります。それから、ここに住宅用太陽光発電導入促進対策費補助金とあります。これが例の住宅に各家庭が太陽光を設置するような場合に、個々の住宅に対して、一部ではありますけれども補助しているような関係の予算です。それから防災関係も含めて太陽光をフィールドテストしていこうという予算、あるいは地域、地方公共団体向けの新エネルギー導入・省エネルギー導入の普及促進対策費などがこの新エネルギーに入っております。そのほかにもいろいろありますが、割愛いたします。
 次の6ページ、8、燃料転換等、97億円です。最初のエネルギー多消費型設備天然ガス化推進補助金と申しますのは、石炭から天然ガスへの燃料転換を促進するような、そういう補助金であります。2番目に書いてあります石炭火力発電天然ガス化転換補助金というのは、発電所を対象としまして、エレンジコンバイトサイクルなどに転換していく、その補助の予算であります。
 それから、9番目に1,000億円を超える大きな予算が書いてありますが、原子力関係であります。文部科学省関係の原子力開発利用の推進が1,265億円、それから原子力施設の立地を促進するときに使われます電源立地対策費、経済産業省の予算でありますが、これが1,000億円を超える額ということです。
 10、非エネルギー起源二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素の排出抑制対策の推進ということで、これは2,066億円でございます。廃棄物処理施設整備費(環境省)1,315億円と書いてあります。廃棄物はメタンの発生源ということになりますので、廃棄物対策を行うことによって、メタンの削減に資するという観点から入っております。農業集落排水処理事業あるいは漁業集落排水処理事業も同じような趣旨です。
 7ページ、11、代替フロン関係、3.5億円ということで小さな予算でありますが、技術開発関係あるいは国際問題関係が入っております。
 12、革新的な環境・エネルギー技術の研究開発の強化ということで、374億円です。これはそれぞれ地域新生コンソーシアムとかさまざまな技術開発予算になっております。こういったものが関連するという政府認定で分けているわけであります。
 8ページ、13、国民各界各層による更なる地球温暖化防止活動の推進ということであります。これは実は前回、この場でもご説明いたしましたけれども、主に普及啓発と地方公共団体の率先実行を支援するようなそういう2つから主な予算が上がっております。最初の省エネルギー設備等導入促進情報公開対策事業といいますのは、省エネルギーの広報活動ということで48億円、経済産業省が取っております。二酸化炭素排出抑制対策事業等補助金(設備整備)となっておりますが、これが前回も申し上げましたが、地方公共団体の率先的技術導入に関して環境省が支援しているものであります。それから地域の省エネ普及促進事業、経産省となっております。次に、実は前回、12億円ほどで環境省が普及啓発を推進しているということで詳細にご報告申し上げましたが、その予算がこの2つの予算です。二酸化炭素排出抑制対策事業委託費と普及啓発分の補助金ということです。これは8億円と3億円と書いてありますが、これを足した額が前回12億円ということでご紹介した内容であります。
 14、森林・林業対策の推進ということで、3,000億円を超えるような額があります。治山関係の事業費、森林環境保全整備事業ということで、それぞれ1,000億円を超えるような額が農林水産省を中心についております。
 9ページ、15、京都メカニズムの活用ということで、特にCDM/JIの普及を中心に環境省、経産省両方で予算をつけております。
 16、その他ということで、これは分類上その他としておりますが、教育関係の予算とか長期エネルギー技術戦略策定等調査委託費などをつけております。これは全般にまたがるということで、整理の問題でその他というような形にさせていただきました。
 17、定量的な評価・見直しの仕組みということで、評価見直しの仕組みということで幾つかついております。国土交通省関係です。
 18、温室効果ガス排出量算定のための国内制度の整備ということで、農林水産省が5億円になっています。
 ここら辺の予算を実は整理の問題がありまして、ほかの分野とダブルで受けているものについてどういう形で議論していいかという問題がありましてこういう整理になっておりますが、このほかにもわずかでありますが予算はあるということはご承知いただけると思います。
 10ページ、19、観測・監視体制の強化及び調査研究の推進ということで、134億円ありますが、南極地域観測事業費などもこの中には含まれております。
 20、地球温暖化対策の国際的連携の確保、104億円ということで、最後のページになりますが、経済産業省、国土交通省、外務省など、これらの予算が計上されているということであります。
 こういうふうに表を見ますと、一番最初に申し上げましたように、温暖化を主目的としないものも含めて計上されている。いわゆるノーリグレットポリシーと言われるような、温暖化対策ではなくてもその他の目的を持って推進される予算も中には含まれていることが温暖化対策その他で当然推進される予算も含まれている、そういうような関係予算という形で整理したときは、そういう形の整理になっているということは留意していただきたいと思います。
 以上です。

○森嶌委員長 何かご質問があれば。
 ご意見、どうぞ。

○天野委員 随分以前ですけれども、中央環境審議会にこの地球温暖化対策推進大綱関係の予算案で非常に詳細なデータを全部見せていただいたことがありまして、2年くらい続いたと思います。そのときには、先ほどのご説明からもわかりますように、対策に多少とも関係していることも入るということで、混雑解消のための道路建設費、年間8兆円というのが入っていたわけです。そういうことから比べると、少しはまともな計上の仕方になったのかなと思うんですが、詳しい資料をいただいたときに私がやりましたのは、どういう政策手段に対してどういう予算が講じられていくかというのを調べました。そうしますと、今日の資料をご覧になってもおわかりのように、補助金というのが圧倒的に多いんですね。その次に多いのが、政府が直接やる事業費です。ですから、補助金を出す事業費をその事業として行うかということで、今日の資料では、実証実験の推進のための予算というかなり変わった新しい企画が入ってきておりますので、そういう意味では、少しずつ政策の傾斜も変わってきているのかなと思うんですが、残念ながら、定量評価のための予算というのは本当のスズメの涙みたいなものでして、評価とか見直しの仕組み、あるいは政策分析、それから政策評価、数量的な評価、そういった研究体制をつくるための、調査体制をつくるための予算というのはほとんど見当たらない。しかし、そういう中で、政策形成をしていくときに、政策論では普通、代替案をたくさん出して、それぞれの効果を逐一数量的に評価をして比較をして選択をするという手法をとるんですけれども、そういう体制をつくるための予算というのは全然ないんですね。これはやはり全府省に共通している点ですので、こういう問題は環境政策に限りませんけれども、特に環境の場合には関連する府省が多いので、そういう体制をつくるような予算の構成に一日も早く近づけていただきたいと私は思います。

○森嶌委員長 以前にも天野委員、総合政策部会とおっしゃいましたけれども、これはこの小委員会が議論するには余りにも大きな問題ですけれども、いずれにしても、これはやはり環境省の中環審としては問題提起をしなければならないことだと思います。
 それでは大塚委員、それから佐和委員どうぞ。

○大塚委員 今、天野委員が言われたこともそのとおりだと思いますが、よく私もあちこちで言っているんですけれども、新幹線とか地下鉄の大江戸線とか周囲の基盤の整備、例えば発電所の基盤の整備とか廃棄物の処理の費用とか、こういうものはかなりの額に上って1.2兆円になっていますので、この1.2兆円を組み替えれば温暖化対策ができるというものではなくて、かなり間接的な温暖化対策にしかなっていないものもどうしても入ってしまっているということなんだろうと思います。よくこの1.2兆円を組み替えれば、もう温暖化対策税を使うことは必要ないというようなご議論もあるようですけれども、恐らくそうではないということを示しているのではないかというのが私の意見として申し上げておきたいところでございます。

○森嶌委員長 では、佐和委員どうぞ。

○佐和委員 私も補助金に関連してですけれども、ほとんどが、約半分ぐらいの項目が補助金ということになっているわけで、これは日本の行政の一つの大きな特色をあらわしていると思うんですよね。
 例えば太陽光発電をつけるということで、今現在は幾らか知りませんが、1kwhあたり補助金が出るわけですね。そのために財団法人を1つつくって、そこで何百人の人を雇う。これはものすごくもったいないというかむだ遣いだと思うんです。こんなことするんだったら、むしろ屋根でつくった電気を電力会社に1.5倍ぐらいの値段で買ってもらう。今は25円なら25円程度、同じ値段です。そうしますと、それだけ屋根に取りつけるインセンティブが高まるわけです。そして、しかも、そのときにはコンピュータのプログラムをちょっと変えるだけで済むわけです。ですから、そういう意味でコストはほとんどかからないということで、補助金というのは行政コストがかかり過ぎるという大きな難点があるので、もっと賢いお金の使い方、あるいは費用対効果という点でより望ましいものに制度・政策のあり方を変えていただきたいと思うんです。

○森嶌委員長 平尾委員、どうぞ。

○平尾委員 質問みたいなものですけれども、今日のこの使い道を拝見させていただいて、いろいろ大体出そろっているというか、いろいろな私ども議論してきた中身のアイテムは大体あるんですけれども、例えば普及促進というのをやらなければいかんとかいろいろ議論していますけれども、将来それをずっと実際にやるとすると、どのぐらいのお金が要るだとか、いわゆる温暖化対策をふたしめるのに、予算の皮算用みたいなのがありますよね。そういうふうなのは省庁をまたがっていろいろご議論されて積み上げておられるんだろうか、その中から税とかいろいろな出費をどこからどのぐらいの規模を捻出したらいいんだろうか、そんな具体的な議論が何かネタは出そろっているような気もするんですけれども、そういうのはやられているのか。

○森嶌委員長 これは施策を出して、それを積み上げてというんじゃなくて、各省が予算要求のときに、これにこれだけ予算要求をするというのがたまたま温暖化対策のあれというのを寄せ集めた、寄せ集めたというと語弊があるけれども、そういうものですね。

○清水地球温暖化対策課長 基本的に要求されたもの、あるいは査定されて決まった額ということをそれぞれまとめたものです。もちろんそれぞれの省庁において、今後どうしていこうというような方針はあるのかもしれませんが、そこまでの将来像をここで示したものでは残念ながらないということです。

○平尾委員 ないということは、やっぱり必要になる財源というのはどのぐらいであるというのを見ておかないといけないような気がするんですが。

○森嶌委員長 本当はそうなんですけどね。

○浅野委員 大綱は本来それでなければいけないんでしょうけど、ただ、それを言った途端に、じゃ、ごみはどうだとか、道路はどうだという話になって、またまた天野先生のおっしゃったように、何もかもとなりかねないので、なかなか苦しいところです。だからおっしゃるように、普及啓発とか、ある新技術を普及させるためにどのぐらいかかるかという、ここだけきちっと切り離して議論ができれば、もっとクリアになるんだろう。

○森嶌委員長 それでは、松田委員。

○松田委員 桝本さんが1兆円は出しているのに効果はどれだけかとか、使い道はどうかとおっしゃってくださったので、私も市民的な気持ちから、ぜひ出してくださいとお願いして、今日出てきて、唖然としています。プロの先生の方たちは、これはご存じだったかもしれませんけれども、私、初めてこの審議会に入って、このデータを見まして、何でこれ国民だましているんじゃないのというような気がしました。国民にわかりやすく政策を説明するということであれば、電源立地のお金だとか地下鉄の建設だとか廃棄物建設費などは絶対私たちから見れば、温暖化対策とは思えないものです。それでお金があるからいいだろうというふうなプログラムを組んでくるこの経済界の方たちの発言の仕方というのも、もう少しここで方向性を変えないといけないということは、このデータで合意を得られたんではないかというふうに思います。
 環境省というのは、私たちは大変期待を持って誕生していただきましたけれども、こんなに環境省というのに力がなかったんだということも初めて、情けないなという、本当にため息ついております。だからといって諦めてはいません。わかりやすく国民にデータを開示することによって、さらに国民の意識と応援団を得ていくスタイルをとりたいと思いますので、わかりやすくこれはこうなんだ、だから僕たちは環境税という手法を持っていくんだということをやっぱり伝えていかないといけないと思います。
 今のは感想ですけれども、だからどうすればいいのかというのは、これから産業界の方も本式になって一緒に考えていただきたいということを述べさせていただきます。

○森嶌委員長 これについて、ほかに何かご発言。
 小林委員、どうぞ。

○小林委員 どれぐらい必要かという話の中で、私自身すごく感じますのは、やっぱり民生・家庭部門が進んでいないと言われるわけですが、そこにかかる費用というのはやはり供給圧しかないわけですね。そういうふうに考えたときに、例えば自動車メーカーが車1台売るのにどれだけのPR費用をかけているか、化粧品会社が化粧品1種類を発売してPRをするのにどれだけ経費をかけているか、それを考えたときに、今、環境省なり経産省がかけている普及啓発費用、ほとんどそれの1%にも満たないんではないかなと思うんですよね。そんなので本当に普及啓発ができているかというと、大問題だろうと思うんです。そういう意味では、やはりそれに必要な経費というのは確保するし、またそれに対してきちっと予算要求をしてやっていただきたい。ぜひお願いをしたいと思います。

○森嶌委員長 ほかにこの予算。どうぞ。

○佐和委員 これから先の議論に関係することで、今現在、人口1人当たり1万円のお金を使っているわけですよね。それで、いわゆる温暖化対策税を導入して、それを温暖化対策費に充当するというときには、仮に例の3,400円というのを前提に考えると、約1兆円強でしょうかね、それはこの上に乗るという格好になるんでしょうか、それともこれの財源にするということなのか。つまり、事実上、温暖化対策費が倍増するというお考えなのでしょうか。そのあたりはっきりした明確なあれはございますか。

○森嶌委員長 課題としては、既存の税制との関係をどうするかというのは、私どものところの議論だけで進むわけではありませんけれども、それは税としてニュートラルなものにするかどうかという問題はあります。ただ、少なくとも今ご質問ありましたけれども、それはむしろ検討課題だということだと私は思います。
 ただし、これは上に乗せるのかどうかとおっしゃいましたけれども、これ自身が今まで温暖化対策と、先ほど松田さんおっしゃったけれども、温暖化対策と関係のない費用を温暖化対策の名においてありますから、それを乗せないで入れかえると、今まで関係がないけれども名前がついていたのをどうするかという問題がありますので、その議論をもしも仮に振りかえると、仮に今1兆円と1兆2,000億円ですけれども、仮に同じだとして、振りかえるとすると、その場合に、穴があいた方をどうするかという問題はかなり政治的にも大きな深刻な問題になると思いますけれども、これは今日のところのお返事としては、現時点で既存の税制との関係をどうするかというのは、課題としてこれから検討するということになっているというお答えです。

○浅野委員 ちょうど自治体でごみを有料化したら、その場合は完全に環境の予算が増えるんですかというのと同じような議論に属するんでしょうね。そもそもこの中にあるもので本当に環境なのか、環境も含まれるものも、もう一回この大綱予算そのものについては、その性格をきちっと分析して、あるいはもう一つ別なやり方としては、これで本当に削減がどのくらいあるのか、費用対効果を考えてみてやっていくと、例えば地下鉄でCO2を削減できる部分は実はこのぐらいであるということになる。しかし、他の個々の予算には政策要素もある。そこの切り分けをきちっと大胆にできるならやってみて、それで実費はどうなっているのかということをふまえて議論をしなければいけないでしょうから、1兆2,000億円を前提にしてという議論にはならないだろうと思われます。いずれにせよ、本当はこの小委員会はそこまで突き詰めて議論ができれば一番いいことだろうと思いますし、今、森嶌委員長がおっしゃったように、できる限りそこまでやりたいと思います。地球部会ではそこまでは細かい議論ができないと思います。

○森嶌委員長 はい、どうぞ。

○田村総合環境政策局長 今のご意見でございますけれども、私なりに頭の中で整理いたしますと、ここに今日提示申し上げましたのは、平成16年度の地球温暖化対策関係予算、これが地球温暖化対策に直接結びつくかというのはカバー率の問題はもちろんございます、今、両先生おっしゃったようなことは当然ございます。それはさておいて、とりあえずこれは現行の予算として、いわば現行対策として入っている予算でございます。
 一方の、今ご提示になった9,500億円というようなモデルで出したあのときの約1兆円というものは、要するに、マイナス6%に持っていくために、基本的な予算を持っていくために、現行対策部分では足りない部分を仮に全部ああいうふうな手法でやった場合には、9,500億円ぐらいの予算が、それぐらいの税源が必要であるということでございますから、そのお答えならばこれに上乗せをするということでございます。

○森嶌委員長 私の意見としては、さはさりながら、そう簡単にそれに入ったら上乗せですよというのでは皆さんは納得なさらないということですから、私はそれも含めて、それだけの対策のためにはそれだけ必要だということは確かですけれども、じゃ、税を設けることによって、そのまま何ら議論なしに乗せるということを、この小委員会としては当然の前提とするわけではないということは、少なくとも委員長としては申し上げておきたい。ただし、その議論はしなければならない。けれども、ただ、今のこれが、今、局長おっしゃるように、全然別の筋ですから、それじゃ、これを突き合わせたら、そして技術的に調整すればできるかというと、そんなものでもないと思いますので、私は、きちっとした検討課題だということを今の時点では申し上げたいというふうに申し上げましたけれども、ただ、前にも申しましたけれども、税というのは、私は国民の一人として申しますと、取る側から言えば簡単かもしれませんけれども、取られる側から言えば、取ることに決めたら取りますよというわけにはいかない。きちっと、こういうことだから、こういうことですと、仮に1兆円プラスするなら、なぜ、これでプラスするかということはきちっとした説明をしなければならないので、局長のおっしゃるように、アイデアとしては、これだけの対策をするとして、環境税を導入するとすれば1兆円になりますよということになりますけれども、余り簡単に、この委員会としてプラスですよというのを最初から申し上げるというわけにはいかない。議論した上で、結果的にそうなるということは十分あり得るけれども、しかし、小委員長としては、議論した上で環境税を入れるという場合には、その議論をきちっとしましょうということを申し上げたいと思います。

○永里委員 既存のエネルギー税制との調整とか、整合性などを踏まえて、その上で炭素税なりを検討すべきだと思います。

○森嶌委員長 それは逆でして、検討する際にこれも議論をするということでありまして、しばしばおっしゃるのは、全部検討した上でやる、これは言葉の言い方かもしれませんけれども。

○永里委員 見解の相違ですね。

○森嶌委員長 言い方かもしれませんけれども、私は、議論をしながらどうするかということを議論するので、全部やらないとおよそ門口に入らないというのではなくて、議論をしながら最終的にどうするかということを決めていこうというのが私のスタンスです。

○永里委員 おっしゃることはわかります。私のスタンスと少し違うのは、既存の税制があるんだから、まずそれを精査して、むだなことをやめてという感じから入っていて、そして、炭素税導入が本当に必要かどうかということを検討すべきだ、これは私のスタンスです。

○森嶌委員長 桝本さん、どうぞ。

○桝本委員 ひとつ細かいことになるかと思いますが、例えば国連ですかね、GEFというようなものはこの中に入っているのか、入っていないのか。種の多様性に対する資金なんかも出るわけですけれども、そうしたものはどういうところに入るのかな。

○清水地球温暖化対策課長 今手元に資料がないもので、ここで一番最後のページの環境問題拠出金(外務省)と書いてあるのがどこまで含んでいるのかどうか、精査してまたご報告したいと思います。

○桝本委員 恐らくこの中ではないんじゃないかというちょっと気がするんですけどね。
 それから、仮にワールドバンクのカーボンファンドに国として参画するというケースもあるわけで、そうしたものに入った場合には、この22に入れられるというふうにお考えになりますか。

○清水地球温暖化対策課長 22になるのか、あるいは10で京都メカニズムというのがありますので、こちらになるか、そこは少し調査したいと思いますが、どこかに入ることになると思います。

○桝本委員 それから、これは小林さんが同じことをおっしゃられたので、ダブって大変恐縮ですが、私もこれだけの多様で非常にある意味ではわかりにくい、松田先生いわく、がっかりしたというお話ですけれども、わかりにくいものがあって、これらを、実は私は費用対効果を考えてくれと申し上げようと思っていたんですが、これじゃちょっとそういうお願いもしにくいですから申しませんけれども、どうやってこれが地球温暖化対策かということを国民にどう説明するか、非常に説明しにくいのではないか。そういう意味で、これから我々企業もそうですが、説明責任というものを求められるという意味も含めて、ぜひ、国民にアピールをし、あるいは普及啓発に大いに力を尽くすというような予算も、もっともっと当然、小林さんおっしゃるとおりあってしかるべきだし、それが行われて初めて環境問題に関心が高い国民を巻き込むことができるんではないかというふうに思います。

○森嶌委員長 私もかねがねそう思っておりまして、天野先生先ほど言われましたけれども、何年か前からこれを総合政策部会で出してもらって、何とまあわかりにくい話で、そこで、この間、桝本さんが出せと言われて、説明しろと言われても、これは環境省1省ではとてもできませんで、内閣府も連れてきて、あるいは内閣府ではなくて財務省でも連れて来ないとだめですかね、財務省でもわからないでしょうかね、という奇怪なものです。おっしゃる趣旨はよくわかりました。
 ほかに何か。

○浅野委員 今の桝本委員のご意見は、おっしゃるとおりだと思います。つまり、これは現行大綱の体系に従って予算を分類するとこうなりますということですから、だから、まさに大綱でやってみてどのぐらい効果が上がったということがちゃんと出てくれば、これで費用対効果が出てくるわけです。先程も申しましたように、新幹線をつくるのにこれだけのお金を突っ込むと、そうすると、それでCO2が下がりましたというふうになれば効果が定量的にわかるけれども、それ程簡単なことではないでしょう。だから、大綱の点検のときにも、その点が不明確だという議論をしているわけです。桝本委員がおっしゃるように、すっきりと、本当にきちっとわかるものだけを並べていくとしたら、恐らくもっと数字が小さくなってしまうでしょうから、この部分が足りないということはもっと明らかになるということであります。

○森嶌委員長 久保田さん。

○久保田委員 すみません、遅れてまいりまして、ちゃんと説明を聞いていなかった部分もあるかもしれませんが、私も印象は全く同様でございます。結局、予算を取るためにITだとか環境だとか看板をかければ取りやすいというようなことも含めて寄せ集めてという、そういうことは非常に多いんだろうというふうに思いますので、せっかくこういう税の問題、あるいはそのためには何にどういう施策が必要かという観点からの切り込み方が必要だと思いますので、1つは、やっぱりここにあるものを環境予算AとかBとか、結局、非常に効力を発揮しているというものと、やはり環境もということでなっているというようなことを、A、B、Cなのか、何かもう少し分けて切り込むことはできないのかどうかというのが1つ。
 それからもう一つは、今度の環境税は、やっぱりあわせ技である程度の、いい、悪いは別にして、それを追加的施策にしっかり投入して効果を上げるという、そういうストーリー性からすれば、やはり現在は入っている。入っているけれども不足、あるいは入っていない、そういうものを、バグってもいいからどういうものがあるのかという、施策に直結する政策として、その財源としてどういうものがあるのか、とにかく集めて、まずきたと、それをどう配分するかみたいなことではなくて、そういうことでやっぱりちゃんと筋道の通ったことでなければ一般国民を含めて説明責任ということにならないんじゃないか。あるいはまた環境省が自分のところの自由に使えるお金を持ちたいからだみたいな、また変な批判といいますか、そういうことではないと私は思っておりますので、そういうことに対してしっかり透明性を確保するためにも、施策と、それに対するお金のつけ方という現実の問題からアプローチをしていく切り口の仕方もあるのではないか。ただ、一定の期間の中でどこまでの作業ができるかというのは大変だとは思いますが、何かやっぱりこの辺、一回ただ出しましただけで終わらせてはまずいんじゃないかというふうに思います。
 以上です。

○森嶌委員長 ありがとうございました。
 今日は、これは宿題で出しておりますので、この用意を政府の全体の地球温暖化対策予算を議論することは今日の審議の中心的な課題ではありませんので、特段のことがなければ、今日のご意見はありがとうございました。次へ進みたいと思いますけれども、何か事務局の方で今の何か特にありませんか。よろしいですか。
 それでは、鳥井さん。

○鳥井委員 今まで出てきたご意見は非常にごもっともだと思うんですよね。環境問題というのは多分長い課題で、いつまでたってもこれが出てくるようじゃ中身はわからないんだと思うんですよね。環境省として、ここを改善する方法はあるのかないのか、ある意味では、例えばシンクタンクみたいなところを使ってきちんと精査すればできるかもしれない。その辺、環境省はどうお考えなのか、そこをお聞きしたいと思いますが。

○森嶌委員長 なかなか難しい質問ですけれども、いかがですか。

○清水地球温暖化対策課長 この大綱関係予算を取りまとめるに当たりまして、先ほど関係性が大きいものもあれば小さいものもあると言ったので少し誤解したかもしれませんが、私どもは、やはり温暖化大綱の中で明確に位置づけられるものをこの中でも計上しようという努力は続けておりまして、かなり各省から来る予算について、もちろん各省とお話をした上ではありますけれども、とんでもなく関係ない予算というものは当然入らないわけでありますので、そういう作業は続けております。さらにそういう作業をしようという、そういう仕方もありますので。

○鳥井委員 例えば私は原子力の予算は少し知っているわけですけれども、ここで出てきている原子力予算というのは、今の温暖化対策にきいているかというと、余りきいていない。なぜきいていないか、これは技術開発費みたいなもので出ているんですね。今の30%なり40%原子力発電していますよというのは、電力会社が、みんなが、我々が払ったお金で電力会社がやって、それで出てきたあれなんですね。これはその原型になってサイクル機構というのが使っているお金が出てきている。そういう意味だと聞いていないんですよ。だけど、堂々と出てきているんですよね。それはやっぱりまずいんだと思うんですよ。そこを文部科学省に聞いても経済産業省に聞いても、それはやっていますとおっしゃるでしょう。だけど、実態は違う。そこは、少し専門家とシンクタンクを集めればそのくらいのことはわかるんですよね。そういう努力をされるかされないかということで、国民が、ああ、なるほど、環境省で言っていることは正しいと思うか思わないかというところの分かれ目にあるんだと思うんですよ。今、課長がおっしゃったように、これで努力していますからいいんですと言われると、それはやっぱり今後、環境政策をやっていく上でこういうことが非常に障害になると思うわけであります。

○田村総合環境政策局長 先ほど課長が申し上げたのをちょっと付言して申し上げますと、ただいまのご質問に直接答えられるかどうかわかりませんけれども、今お示しした地球温暖化経費あるいは環境保全経費みたいなまた別のくくりもございますけれども、本当にその中で、先ほど来いろいろご意見等を伺っているように、いろいろな問題が入っているし、現実にこれがどれだけ効果を持っているかということが疑問だということも事実です。
 これは、例えば先ほどおありになった、本当に密接に関連して、A、B、Cぐらいにランク分けしてきちっと分析することも非常に大事だとは思います。結局そういうことは、温暖化対策経費にどれだけ入っているか、どれだけCO2排出に具体的に当たっているかというのは、まさに一方で、今計算している、例えば2002年にマイナス6のところがプラス7.6になっているというのは、その切り口は違いますけれども、一つの答えをいただいています。プラス7.6になっている。そうすると、やっぱりこの中で十分に効果を発揮していない。その効果を発揮するためには、例えば地球部会でご議論いただいているようなもの、200編にわたるようなさまざまな対策がある。さまざまな対策に努めると、こういうところをもっと充実しないといけない、支援しなければいけない、いろいろ言葉は書いてございますが、結局それらは支援するのはやっぱり資金が必要でございます。資金が必要でないというグループもある。これは資金でなくて、もっと自主的取り組みであるなんて言われたら、この資金は要りません。そのそれぞれについては、結局、それを実現するためにはどういう手段を持ってやるのか、補助金でやるのか、あるいは税をどうするかと、これもお金がかかります。あるいはもっとみんなの普及啓発を進められるのか、さまざまな視点がわかりますから、一元的にこれぐらい温暖化対策をここにまで持っていくには何千何百億円必要になるということをぴたっと出るようなことは、そこはないと思います。そこはありませんけれども、大体の我々の考えで、あるいはみんなのコンセンサスでこれはやっぱり財源がいるだろう、これをもっと税でやるよりは、もっと自主的取り組みはきくだろうと、そういう一つ一つ200ぐらいにわたるやつをふるいにわけて、トータルとしてこれぐらいの、結局、金がいるんではないかという作業はやっぱりいるんだと思います。そこは避けてはいけないので、そこはやっぱり各省みんなで考えて、このぐらいの、現行予算では足りない、いろいろな名前の名目が入っているけれども、効果的なやつもあるけれども、効果的じゃないやつもある。したがって、温暖化対策推進大綱を今度見直して、いろいろな対策を並べられるけれども、その対策を実際に実施する政策なり施策なりをどういう手段でやるのかというのを本当の意味で吟味して、それでどれだけ財源が足りないのか、どれぐらい違う措置でやるのか、どれが民間取り組みでやるのか、本当はそれを全部ふるいに分けて差し引きこれだけ足りません、そういう答えが必要なのでございますけれども、なかなか難しい作業ですけれども、それはやっぱり我々としてもやる義務があると思いますし、それにできるだけ近づくような作業をしなければいけないと思います。

○浅野委員 今、自主的取り組みはお金が要らないとおっしゃったんですが、そうでもなくて、自主的取り組みとして進められているメニューには色々と補助金が出ていることは事実です。規制はよろしくないと言い、お上の介入を不必要と言いながら、一方で補助金が出ているということを全く黙って自主的取り組みが進んでいるからそれで十分といった議論を行うのもフェアではない。実は自主的取り組みというものにも全く自腹を切ってやっている自主的取り組みというのと、ちゃんと補助金の裏づけのある自主的取り組みというのがある。その辺のところをもっと明らかにしていかないと話は混乱してしまう。しかし補助金をしっかり出すことによって自主的取り組みが一層進むということも十分あり得るわけです。そのための財源はどうするんだという話もあるわけです。私は補助金が悪いと言っているわけではない、その辺のところを全部ひっくるめてというか、きちっと整理をし、まとめて議論をしていかないと話は混乱するだろう。つまり、政策実現手法として、社会的システムとしての自主的取り組みということと、費用をだれが持つかということとは必ずしも一致していない、事実はそうだということは明らかにしておくべきです。

○森嶌委員長 それから、今、お金の話をしていますけれども、それと同時に、環境基本法では環境基本計画というのが出てきていまして、環境基本計画の定期点検というのをしているわけですね。今まではヒアリングとか、それから地方に出かけていって意見を聞くということで、私が責任者でありながらそんなことを言ってはいけないんですが、これもややマンネリ化をしたという言葉を使ってはいけないんですけれども、あるパターンができてきて、ぼつぼつ基本計画の点検をどういうふうにするかということを今新しく環境基本計画をこの次の第3期というんでしょうか、環境基本計画をつくるに当たってこれから検討をするわけですけれども、今度はどういうふうにレビューするかということを組み込んだ計画をつくっていかなければならない。そのときには、定量的なレビューの方法、あるいはそのためのクライテリア、手続を考えると同時に、そこには、これは政府であれば予算、それからいろいろな施策を伴うものであれば、施策のコストあるいはコストパフォーマンスということも含めたような計画をつくっていかなければ、実は本当の計画の名に値するものではない。単なる施策のアナウンスメントと、そしてみんなでこれは重要であろう、やろうではないかということにすぎないので、実際にやっているか、やっていないかはわからないということになるので、日本は余りそういうことに今まで習熟してこなかったわけですけれども、だんだん外側の目も厳しくなっていますし、外側というのは、国民といいましょうか、目も厳しくなってきましたし、何年か経験を積んでくると、政府も、それから産業界も含めて、だんだんとどういうふうにやればいいかというのが少しずつわかってきていますから、ぼつぼつこの辺で、完全なものというわけにはいかないでしょうけれども、コストパフォーマンスも含めて、そういうレビューをするやり方を組み込んだ計画をつくっていくというやり方に切り換えていく。それに各省も全部協力をしていくという仕組みができていけばというふうに考えているところであります。
 はい、どうぞ。

○桝本委員 今、森嶌先生、浅野先生が総括的にお話しになった、総合環境政策局長がおっしゃったこと、私もそのとおりだと思うんです。全体の今の歳出並びにエネルギー関係税収全体をレビューするということが本来の議論に入るわけですけれども、やっぱり欠かせない。その場合に、くれぐれも現在のエネルギー関係税制の税収、歳入というのは5兆円を超えているわけです。それに加えて9,500億円を取ろうと。私は一般企業であったら、この右肩上がりの時代でなくなったときは、今日の午前中の会議で、どなたかが国民の痛みを伴うかわからない、私は全くそうだと思う。だったら、各省庁の今の歳出についての痛みも伴いつつ、環境税というものが議論される。さらには、今の歳入、そして歳出全体がレビューされるということが、本来であれば一番望ましい。やっぱりそこのところを踏まえながら環境税議論というのをぜひしていただきたいし、くれぐれも企業の場合には、新しい収入を取るという努力もしますけれども、今の支出を見直すということを必ずするわけです。そのことをないまま、しかも、それが環境省1省にとどまらない。ここにあるだけの関係省庁にかかわらないような形で見直しをした結果、私は、歳出が見直されて、結果として環境税議論というのがほかのお金をやり繰りで済むという余地だって相当あるというような意味でお三方のご議論には全く賛成ですし、ぜひ、そういう努力をしていただきたいし、したいものだというふうに思います。

○森嶌委員長 私が前から申し上げていますけれども、この今のテーマをこの小委員会でやる際に、一遍にすべての税制をすべての省庁にわたって、しかも、税を超えて、産業構造から何からという検討というのは一遍にはできないと思います。先ほど永里委員、何か全部終わらないと始まらないというわけにはいきませんということを申し上げましたけれども、しかしながら、少なくとも我々としては、私も先ほど申しましたけれども、税というのは負担である、取られるという前提で、そして、ほかにももう既にそういう税があるという前提で、そういうものを視野に入れながら、将来的にそういうものとの調整あるいは合理化というものを常に視野に入れながら議論をしていくという観点はぜひとも忘れてはいけないというふうに私自身は思っていますし、今までも折に触れてそういうことを申し上げてきたし、それから、午前中も桝本さん、三原則と言われたけれども、私はそんなに原則をかけているつもりはないと言いましたけれども、問題のあるところはきちっとその都度抑えながらやっていくつもりですし、それから、私はこの環境に関する税も、そう簡単にはいかないけれども、いずれは日本の労働に対する、あるいは所得に対する税ということじゃなくて、むしろ今ヨーロッパがそういう方向を向いていますけれども、負荷に対する税ということで、社会福祉なんかはもうそういう方向に転換をしていく、税全体の仕組みとをにらみながら少しずつ税を変えていくという視点を持ちながらやらないと、まさに今桝本委員がおっしゃったように、今あるところに一つ乗せてというような話では、私は、産業界が反対されるだけではなくて、国民の同意を得られないだろうというふうに思っております。
 どっちにしても、負担の話をするわけですから、経団連だけでなくても、あちこちから反対が出てくることは私は当初から予想していますけれども、しかし、国の将来を考え、全体にどう公平であるべきかということを一つ一つ議論をしながらやっていきたいと思いますので、前にもお話ししましたけれども、産業界も門に入る前からだめだ、だめだとおっしゃらずに、一つ一つこの点はこういう理由でまずいんだ、だからこういうふうにすればいいんではないかという議論を一つ一つしていっていただきたいというふうに、ぜひお願いをしたいと思いますが、それでは、本題の方に進むことにしてよろしゅうございましょうか。
 はい、どうぞ。

○鮎川委員 すみません、環境NGOとしては、いろいろな税収がどういうふうに使われるかという、温暖化対策として何が上がるのかということが大きな関心事であり、また懸念材料でもあって、今日のこういうリストを見ると、ますますその懸念材料が増えるわけなんですけれども、今のお話ですと、やはりこれは検討、この上に既存税収等の関係とか、これ自体に上乗せされるということはれからの検討課題だというふうに委員長の方もおっしゃられましたけれども、一体いつそういうことを、この会議で議論するのかとか、いつ議論するのかとか、その議論の中で、今のところは増税の方向でしか話がないんですけれども、やはり厳正に使うとか、いろいろなほかのところに戻すというか、税収中立の方向も含めた形の議論をもっとしなくてはいけないのではないかと思います。

○森嶌委員長 いつするのかとか、どのぐらいするのかといっても、この小委員会のこれだけのメンバーでその議論を始めたら、終わってみたら、21世紀が終わるかもしれないので、問題は山積していますけれども、時間は限定されていますから、どれぐらいのことをどれだけ議論できるかわかりませんが、私が繰り返し申し上げたいのは、問題点をきちっとすべての委員が頭の中に入れながら議論を進めたいということを申し上げているので、すべての問題は一つずつ全部片づかないと先へ進まないということではありませんので、議事の進行について、それじゃこういう問題があるということがあれば、いつでも私におっしゃっていただければ私が考えますけれども、一定の前提の中で問題点をできるだけクリアにしながら、できるだけオブジェクティブリーに客観的に議論を進めていきたいと考えています。

○永里委員 先生は時間もないし、限られているとおっしゃるんですけれども、鳥井委員がおっしゃるように、これはシンクタンクにやらせて、環境省の徹夜もいとわないような方と一緒にやったら、この辺のむだなことが全部出てくるはずなんですよ。実際に環境とか何とかと冠をかけて取っている予算がたくさんあるんですよ、ですけれども、国民の税金のむだ遣いが随分出てくるんじゃないかと思いますので、そこはあわせて検討してほしいと思います。

○森嶌委員長 問題が出てきて必要があれば、事務局とも話をして外注するかどうかも含めてやりますけれども、できるだけ効率的に議論を進めてまいりたいと思います。ぜひよろしくお願いをいたします。
 それでは、本題の方に進みたいと思います。資料3ですが、これも効率的に進めるために、何をどういう目的で議論をしようとしているのかということも改めておことわりするまでもないと思いますけれども、まず議論を始める前に申し上げたいと思います。
 この資料3のタイトルが、「地球温暖化対策税制とこれに関連する施策に関する中間取りまとめ(素案)」と書いてございます。それで、今日も午前中、浅野委員が部会長である地球環境部会の部会がございまして、ここでは正式なタイトルは忘れましたけれども、ここでも中間取りまとめというのがございました。それから、昨日は経済産業省の産業構造審議会の地球環境小委員会の中間取りまとめというのがありました。実はこれは前にも申しましたように、地球温暖化対策推進大綱というのがございまして、この中で2004年に第1ステップで、京都議定書が仮に効力を発生したとすると、2008年から2012年までに日本は6%の削減をするという約束をいたしまして、日本政府は批准をしたわけでありますから、発効いたしますと、そういう義務を負うことになっております。
 そして、そこに至る段階として、2004年までが第1ステップ、それから2005年から2007年までが第2ステップ、そこでいわば助走段階でありまして、それから2008年から2012年の約束期間に入る。そこで2004年までにどれぐらい削減ができているかということをチェックしまして、そして削減がもしも余り思わしくできていないのであれば、そこで今までやってきた対策に対して追加策をとる。そして、2005年から2007年までで、その追加策がどれぐらい効果を発したかを見まして、そして2008年を迎えるという仕組みになっているわけでありまして、そこで2004年に今まで京都議定書を批准した後の対策の効果を、どれぐらい対策が進んでいるかということをチェックするということであります。そしてご承知のように、これは浅野先生のところで、あるいは産構審でチェックをされたように、残念ながら、6%の削減の方向どころか、実は8%ぐらい現時点ではプラスになっている。そして、恐らくこのまま、今の対策が少しずつ実を結んだとしても、このままでいくと2008年ごろを迎えるときには5%ぐらいプラスになるのではなかろうかということでありまして、追加対策をとらないと間に合わないのではないかというのが現時点での2004年での評価であります。その評価と、それからどういう追加対策をとったらいいのかというのが現在中環審の地球環境部会、それから経済産業省の産構審の地球環境小委員会が今やっているところでありまして、これはいずれ政府全体として、その評価をしまして、取りまとめて2004年度の終わりまでにこれは閣議の対策推進本部でこの大綱に基づいて見直しをして、さて、何をするかということを決めるわけであります。そこで、それに向けて現在までのチェックをしたものを中間取りまとめという形で今現時点で取りまとめられて、そして、それに伴う予算要求などもされているわけですけれども、これは何も環境省と経済産業省だけではなくて、ほかの農林水産省とか国土交通省などもそれぞれの関係審議会で、そうした点検をしておられるところであります。それぞれ8月から9月にかけて中間取りまとめをしておられるところであります。
 この小委員会は、地球環境部会で全体的な中間取りまとめ、中身の点検をされるところで、環境に関する税制というかなりテクニカルな問題と、それから、これは施策のうちの一つでありますから、そこで点検した結果、何も追加的な対策をしなくてもいいということであれば、わざわざしなくてもいいわけでありますから、そこで我々の審議は専門委員会でテクニカルなことを審議してもらいましたけれども、むしろ地球環境部会の方でほかの施策についての審議が進んでいる段階で、我々はいわば一歩遅れたといいましょうか、それを待ちながらやってきた、これは皆さんご承知のとおりであります。そこで、地球環境部会における中間取りまとめというのは、いわばサブスタンスについてどこまで対策が進んできたのか、それで、これからどういうことを第2ステップについてやっていけばいいのかということについてサブスタンスについての中間取りまとめ、そして2004年の終わりまでに中間取りまとめじゃなくて取りまとめをなさるということでありますけれども、我々は皆さんもう既に十分ご承知のように、まだいろいろ課題を残しているわけでありまして、我々の方はまだ、これをこういうふうにやるというサブスタンスについての取りまとめの段階には至っておりません。
 そこで、2ページの最後の3行に書いてありますように、本小委員会では、これまでの審議経過と地球環境部会の中間とりまとめを踏まえ、本小委員会で行われたこれまでの議論を中間的に整理する。今まで何をやってきて、どういうことをこれから審議をすべきかという、そういう審議を中間的に整理をし、中間取りまとめとする。つまり、ずっと皆さんサブスタンスをやっておられるけれども、我々は地球環境部会のサブスタンスを引き受けて、この税に関することについて、これからこういう問題をきちっとやっていきますよということをここにまとめておきますということでありまして、そういう趣旨の取りまとめをここに書いているわけであります。
 中身というか何を審議したかということ、それから何がこれからきちっと詰めなければならないのかということにつきましては事務局の方で説明をいたしますので、ご議論いただきたいと思いますが、この中間取りまとめと称する文書が地球環境部会や、それから経産省の産構審の中間取りまとめとは性質が違うものだということはまず出発点で認識した上で議論をしていただきたい。しかも、これはこれからどういうことを議論するということを整理をしたものでありますから、皆さんがご議論いただく場合も、そのことをきちっと頭に入れて議論をしていただきたいと思います。
 それでは、今日と次回、何を議論するかということについて枠づけをいたしましたので、この後は事務局にこの中身を説明してもらいます。

○鎌形環境経済課長 では、資料3に基づきまして概要を説明させていただきます。
 背景につきましては、今、森嶌委員長からお話があったとおりでございます。
 それでは、「はじめに」でございますけれども、第一番目のパラグラフは地球温暖化問題の重要性についてまとめております。それから第2番目のパラグラフでは、昨年8月に専門委員会の報告が出されたということを記述してございます。
 3つ目のパラグラフは、この小委員会が設置されたこと、その小委員会の審議の経過を記述してございます。それで、その審議結果につきましては、右側の3ページに表の形でまとめております。
 その次のパラグラフは、先ほどからも話題になっておりますが、地球環境部会で温暖化対策推進大綱の評価・見直しの審議が行われているという状況を書いてございまして、中間取りまとめが間もなく行われるということでございまして、それに即してこの本小委員会の審議事項との関連、温暖化対策税の関係の記述を若干書き加える予定でございます。それは地球環境部会での中間取りまとめに従って書くということを考えてございます。
 それから一番下は、先ほど委員長からも指摘がございましたように、この中間取りまとめの趣旨を、これまでの議論を中間的に整理するということで位置づけを明らかにしたものでございます。
 4ページでございますが、ここから具体的な中身でございますが、まず、地球環境部会で行われている地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しの状況というものを記述してございます。そういう意味で、この記述につきましては、地球環境部会での議論のまとめ、あるいは今日は座長一任という形では整理されるということになっておりますけれども、その整理に従って書きかえるということになろうかと思います。
 それで、そのエッセンスを引き出しているわけでありますけれども、○が打ってございますが、1番目の○は、2002年度の排出量が基準年7.6%増ということで、議定書の目標と13.6%のギャップがあるということ。
 2番目の○につきましては、2010年の排出量の見通し、現状対策をこのまま続けていた場合の削減量の不足分というものを書いてございます。
 そして3番目に、そういう意味で、京都議定書の目的達成のために追加的な対策・施策の導入が必要ということ。
 最後の○でございますが、その中で、この中間取りまとめの中で温暖化対策税の位置づけというものを書いてございます。
 本日、地球環境部会に出されたバージョンから引いてございますけれども、温暖化対策税が有力な手段であると考えられる。そして、この小委員会でもさらに検討することを期待する、こういう趣旨を書いてございます。
 繰り返しになりますが、地球環境部会でもそのまとめに従って整理するということに、この点はそういうことにいたしたいと思っております。
 それから次でございますけれども、小委員会で議論いただいてきた内容をまとめてございますが、まずは、温暖化対策税と他の施策との比較ということでございます。
 これは、前回、前々回、他の施策のいわゆるマトリックスの表をつくりまして、それぞれの特徴を比較するということについて審議をいただきました。その中身をエッセンスという形で整理したということでございます。
 (1)各施策の特徴ということをまとめてございます。それぞれ括弧書きがあるところにそれぞれの施策の手法を掲げてございます。
 まずは事業者等による自主的取組の促進ということでございますけれども、構成といたしましては、3つの段落に分かれておりますけれども、例えば施策の例示として、経団連による自主行動計画ということが掲げてございますが、そういう施策がどういうものかというのを示すのがまず1つ。
 次のパラグラフでございますけれども、このケースでいきますと、自己について詳細な情報を持つ事業者が費用効果的な対応を行うことができるというような比較的メリットと考える。
 それから、一方ということでございますけれども、その目標を達成できるだけの取り組みが行われる制度的な保証がないというような課題と思われる、そういったものを、それぞれの項目についてまとめているという形をとってございます。
 次は情報提供、教育及び普及啓発ということでございますけれども、これは具体例として、環境ラベルなども挙げておりますけれども、まずこの特徴といたしましては、生活者の取り組みを促して生活者自身が選択していくという利点を掲げてございます。
 課題としては、取り組みの促進効果や削減量を確実に見込むのは難しいということを記述してございます。
 次に規制でございますけれども、規制については、一番下にございます、確実かつ迅速な効果が規制対象については期待できますが、家庭を含めた多数の者を対象とするのは現実的ではないということを書いてございます。
 次は、補助金、租税特別措置等でございますけれども、特徴といたしまして、対策を行う者にとって負担が軽減されるということがございます。
 そのほか、課題として補助金交付にかかる行政コストの問題、あるいは財源確保に限界があることなどを掲げてございます。
 それから、温暖化対策税、課徴金でございます。これにつきましては、特徴といたしまして、すべての主体に対して公平に系゛夷狄権限を与える。削減を最小のコストで行う。インセンティブ効果が働く。税収の活用が検討しうるようなことが書かれております。
 ただ、やはり税の負担がありますので、特にエネルギーコストの割合が大きい者にとって負担感があるということを課題として掲げてございます。また、課徴金については、徴収コストの問題も課題としております。
 それから、国内排出量取引でございますけれども、市場原理を通じて最小のコストで削減するということ。あるいは全体として所定の目標を確実かつ迅速に達成できるということを掲げてございます。
 それから、次のページでございますが、家庭などの多数の発生源に対しては、やはり行政コストではかるので、現実的ではないだろうということでございます。
 それから、京都メカニズムでございますけれども、これにつきましては、京都メカニズムを活用した国内で削減を進める費用対効果が高いという指摘がございます。
 ただ一方、京都メカニズムは京都議定書などにおいて補足的なものというふうにされていること。京都議定書などが採択された際の考え方は、国内対策で4.4%まで削減するということでの採択であったというふうな経過を書いてございます。
 以上が各施策の特徴を記述したものでございますが、(2)といたしまして、それでは温暖化対策税と他の施策を比較するどうかというところの記述でございます。
 その記述の視点として、3つ掲げてございます。前回、前々回、議論いただきましたマトリックスにございましたいろいろな視点がございました。その中で、1つは公平性、幅広い主体に、排出量に応じて取り組みを促す、そして透明性の高い高いということ。それから効率性、それぞれが選択的かつ費用効果的な対応を行うことができる。次に確実性、所定の目標達成できる。こういった視点を掲げてございます。
 それで、(1)で整理した各施策の特徴にかんがみますと、温暖化対策税は、こうした3つの視点に照らしても、十分検討に値する有力な施策であることができるというふうに整理させていただきました。
 それから、次の○でございますけれども、それぞればらばらな特徴の比較ということではなくて、それぞれの特徴を生かしたポリシーミックスというものについて、英国の事例も参考になるという記述ございますが、具体的な案についても検討を今後行っていくということが必要だというふうに整理してございます。
 次に3、温暖化対策税の効果ということでございます。
 この効果につきましては、(1)で3つの効果について述べてございます。この3つの効果は、既に専門委員会の報告の中でも述べられておりますけれども、まずは価格インセンティブ効果ということで、設備・製品の買い換えなどに際して、より排出量の少ないへと代替を促すということ。あるいは排出そのものを控えるようにする。あるいは省エネ技術などが進むためのインセンティブ効果もあるということでございます。
 2番目の○でございますが、価格弾力性をめぐって若干の議論がございました。課税の価格インセンティブ効果は低いのではないか、特にエネルギーは国民生活や事業活動には必要不可欠なので、弾力性が低いんじゃないか、こういう指摘がございました。この点につきましては、確かに短期的には必ずしも高くないということがございますが、長期的には相当高いということがご指摘の中にございました。そういうことで整理させていただいています。
 次の効果として、財源効果ということでございます。税収を温暖化対策を進めるために活用すれば、さらに排出量を削減し得るということが期待されるということでございます。
 削減の専門委員会の報告では、相対的に低い税率の税、そしてその税収を温暖化対策に用いるということが提案されてございますが、これに対して、低率の税ではインセンティブ効果が限定的で効果が期待できないのではないか、こういう指摘がございました。一応専門委員会報告の提言でございますと、低率であっても価格インセンティブ効果と税収を用いるという効果、これはあわせて高い税率の温暖化と同等の効果を生ずるということが見込まれているということでございます。さらに、削減対策を講ずる者に対する措置によりまして、例えば自動車税のグリーン化で低公害車が急速に普及した例、こういった例も後で短期的な効果が相当期待できるのではないかということでございます。
 次に、アナウンスメント効果でございますけれども、温暖化対策税を導入するということ自体が対策を普及させる原動力となるということが期待できるということでございます。
 以上が定性的な効果でございますが、それを経済モデルに効果の試算というのは(2)でございます。これが国立環境研究所及び京都大学のいわゆるAIMモデルでございますが、2つございまして、まず、炭素トン当たり4万5,000円の温暖化対策税を課すということにしますと、このモデルの計算で、2010年においては1990年比2%削減が可能であるとの報告もございます。
 この同じモデルで炭素トン当たり3,400円とその税収を温暖化対策に用いるということにした場合にも、上の4万5,000円の課税の場合と同等の削減量が達成されるという試算があるということでございます。
 (3)欧州諸国での効果はどうかと、既に温暖化対策税を導入しているところの効果はどうかということでございますが、それぞれ各国が政府が事後的に評価をしているということでございまして、その評価の効果を並べてございます。
 オランダでいいますと、エネルギー規制税によりまして、例えば天然ガスの使用料の削減効果は2.3%、電気使用量削減効果は6.3%、こういった評価がございます。このあたりの数字は、過去この小委員会で諸外国の関係についてご報告させていただいたときに資料としてお示ししてご説明したものから引いているということでございます。あとフィンランド、スウェーデン、ノルウェーなども評価を掲げてございます。
 次の12ページにまいります。
 以上は、温暖化対策税と他の施策の比較、そして効果についてまとめてまいりましたが、4以下は論点という形でまとめてございます。
 まず第1が、国際競争力への影響や産業空洞化への懸念、国民生活への影響、さまざまな意見があったところでございます。これについて、意見を中心にまとめているということでございます。
 まず、景気、雇用、賃金への影響でございますが、新たな課税が、企業マインドを冷やして、景気回復に水をさして、産業活動の足かせになるのではないかという指摘がございました。そして、これが雇用や賃金、そして国民生活に影響を与えるのではないかという指摘でございます。
 これにつきまして、2番目の○でございますが、税収を国内で還流させるということであれば、例えば石油危機の際は資金が海外に出たわけですが、これに比較して影響は軽微ではないかということでございます。
 それから、エネルギーコストの関係でいいますと、一部のエネルギー集約産業は別ですが、それを除けば生産額に占める割合というのは5%以下ということで、影響も限定的であるという見方もございます。
 それから、石油危機の際の話でございますけれども、長期的には日本の省エネが大きく進んで発展につながって景気が回るということをまとめてございます。
 それから、国際産業競争力への影響、産業空洞化問題でございます。前回の資料を提出いたしまして議論をいただいたところもあります。
 これにつきましては、エネルギーコストが上がることによって、例えば中国、米国など、今現在、議定書の削減義務を負っていない国々との競争にハンデを負うということで、国際競争力に打撃を与える。あるいはそれによって工場が海外に移転し、産業の空洞化が起きているのではないかという指摘が実際にございます。
 これにつきましては、エネルギーコスト以外にもさまざまな要因が国際競争力については関係する。それから、工場の海外移転につきましては、市場をどこに求めるかという問題、あるいは労働コストの問題などがあるということでございます。そういう意味で、温暖化対策税の課税でエネルギーコストの上昇があった場合、その影響は大きな比率を占めないものではないかということでございます。
 13ページの次の○でございますが、エネルギー集約産業の中にも輸出入の低い業者もあるということでございます。
 ただ、その次になお書きでございます。企業は、たとえわずかであってもコスト上昇に敏感に反応する。いわゆるコストコンシャスというようなご指摘もしっかりございました。こういうこともございますので、エネルギー集約型で輸出入の比率の高い業種については、その影響や長期的見通しを精査した上で、その影響の軽減策について検討を行うことが適当ということでございます。とまとめさせていただいてございます。
 それから次、世界規模でみた排出量の増減について、いわゆる炭素リーケージについてのご指摘でございました。
 海外の工場に移転して、発展途上国で効率が悪い生産になって、結局、世界全体として排出量が増えてしまうのではないか、こういう懸念でございますが、これにつきましては、日本の企業が仮に外に出た場合には、生産効率がよい日本の工場が移るというととで、それほど悪化しないんではないかという指摘。あるいはIPCCの試算によりますと、結局のところ、世界全体としては削減が進むという指摘があるということでございます。
 それから、エネルギー関係諸税のほかの税の負担でございますけれども、税負担そのものについて諸外国に比べて高いというご指摘もありますけれども、結局、我が国の税金を具体的に見てみますと、米国に比べると高いけれども、欧米を含めたOECD諸国で比較すると中位程度であるということでまとめてございます。
 以上の点につきましては、モデルの試算を述べたのが、次の14ページになりますけれども、これにつきましては、先ほどと同じAIMモデルということでございますが、まず、GDPの影響につきましては、一番上の○でございますが、炭素トン当たり4万5,000円の課税という前提でありますと、2010年ごろのGDPは、2000年比で15.0%増。それで、追加対策を行わなかった場合は15.2%と試算されておりますので、その差は0.2%の減ということです。
 次に、炭素トン当たり3,400円で、かつ税収を補助のために活用するといった場合のことでございますけれども、この場合には、GDPは15.1%増、すなわち、何も対策を行わなかった場合と比べて0.06%の減少という試算になってございます。
 次は、雇用に関してでございますが、それぞれのケースについての試算でございますが、上下ございますが、変動幅は0.1%前後の範囲内ということでございます。
 それから、世界規模で見た排出量の増減につきましては、この米豪のモデルの試算につきましても、全体として世界全体ではトータルでは減少するという試算結果になってございます。
 (2)税の具体的な施策ということでございます。これにつきましては、14ページの一番下、[1]から[5]のような論点があろうかと思います。これについては、各界の議論の中で、それぞれいろいろといろいろな場面で意見かでてまいりました。それを取りまとめているというものでございます。
 具体的には15ページ以下でございますが、課税対象ということに関してでございますが、二酸化炭素の排出量または化石燃料の消費量、こういったものに応じて課税しているという基本的な仕組みについては、基本的にこの方向でということでまとめさせていただいております。大きな異論はなかったかと記憶しております。
 それから、課税段階や納税義務者ということに関しましてでございますが、専門委員会の報告におきましては、最上流課税または上流課税が有力な候補と、こういう提案になってございました。
 真ん中あたり、「しかし」以下でございますが、この委員会におきましては、さまざまな議論がありました。上流課税では、消費者が税の負担を感じにくい。そういうことで価格インセンティブ効果が期待できない。価格の転嫁を行いにくい、あるいは特定の主体を対象として税の権限を行うことが技術的に難しい、こういった面の指摘がそれぞれございました。
 また、下流課税に関して、これにつきしまては、価格インセンティブ効果の期待はできますが、徴収コストの問題、あるいは徴収漏れの問題があるという指摘もございました。
 こういったそれぞれの指摘がございましたので、今後、こうした課題についてさらに具体的検討を進め、課税段階を適切に設定していく必要があると、こういうまとめをさせていただいております。その際、納税義務者についてもあわせて検討する必要があるという課題をまとめてございます。
 次に、税率の水準でございますが、初め、昨年の専門委員会の報告では、相対的に低い税率の温暖化対策税であっても、その税収を前提として助成措置等を導入いたしますとねその効果というのは高い税率を導入した場合と同様である、こういう提言があるということでございます。ということ、低い税率プラス税収の活用という方法には一定の合理性があるものと考えられるということでございます。
 実際に具体的な水準につきましては、専門委員会報告で、炭素1トン当たり3,400円、税収にして9,500億円と試算がなされておって、これが一つの目安というともできるということでございますが、今現在、地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しが行われておりまして、これによって必要とされる追加的対策を実現するために、温暖化対策税といったものをどう位置づけ、どういうふうに役割づけるのか、こういったことを踏まえて適切に決定していくべきということでまとめさせていただいています。
 いずれにしても、国民に負担を求めるものでありますから、税率は必要最小限ということでございます。
 それから、国際競争力への影響等も踏まえた温暖化対策税の軽減方策ということでございます。
 エネルギー集約産業で国際競争にさらされている業種につきまして、さまざまな懸念の指摘があるので、軽減策について検討するというのは、既に前で書いたとおりでございます。
 次の○、「一方、」のところでございますけれども、軽減策の検討に当たって、温暖化対策税はそもそもま社会全体で公平な負担を行おうということで構成しようと思っているものである。それから、特定の産業を軽減した場合には、その部分で排出削減努力をそいでしまうのではないか、こういった指摘もありますので、こういったものにも留意すべきという意味でここに掲げてございます。
 そういう意味で、軽減につきましては、諸外国の制度も参考といたしまして、どういう手法でやるか、あるいはどういう条件を設定するか、こういったものを公平性の観点とかに指摘しながら、それから先ほどの指摘にも留意しながら検討をする必要があるというふうにまとめさせていただいています。
 それから、所得に対して逆進的なものになるという部分がございますので、これについては、配慮すべきという指摘がございました。これにつきましては、実際に税率の水準がどうなるかということを踏まえて、今後さらに検討する必要があるというまとめにさせていただいています。
 それから、既存エネルギー関係諸税との関係でございます。
 石油石炭税や揮発油税など既存のエネルギー関係諸税でございますが、燃料価格を上げることによって、結果的排出抑制効果を持つということで、これらと整理すべきという指摘がございます。
 これにつきましては、2番目の○でございますけれども、特に「したがって」以下のところでまとめておりますが、既存の税と温暖化対策税というのは歳入・歳出の趣旨や内容が異なるということがございます。それから、既存の税とは別の形で温暖化対策税は、いわゆる追加的施策として提案されている、こういったものに留意する必要があるだろうということでございます。
 次の○でございますが、ただし、特に石油石炭税のように、その石油石炭税は見直しが行われましたけれども、その税率の中に炭素税的な要素があって、かつ、税収の一部が排出抑制のための施策に充てられる、こういったものがございますので、こうしたものについては必要な範囲で調整を検討していく必要があるという、こういうまとめにさせてもらっております。
 (3)税収の使途でございます。
 使途につきましては、活用方法としては、補助金でありますとか他の税の軽減でありますとか、あるいは利子補給のようなものが考えられますけれども、具体的にどういうふうにしていくかということについては、これもやはり地球環境部会の中間取りまとめを踏まえて、具体的な施策がいろいろあるわけでございますから、そういうものを踏まえて今後具体的な検討を進めていくということがございます。
 具体的な使途の内容につきましては、まず、原則としては、次の18ページでございますが、政府全体で、効率的で確実な削減につながるというものである。
 それから、その具体的な内容、専門委員会報告では、省エネ機器の買い換えとか低公害車の普及促進などが掲げられてございます、ここにあるようなことですが、そういうことが例示されておりますが、この委員会の審議中でもいろいろ意見ございました。
 まずは森林の関係で吸収源でございますが、森林整備などの森林吸収源対策に積極的に活用すべきという指摘がございました。
 あと、自然エネルギーに活用すべきというような指摘もございました。
 それから、使途の内容や効果などを明確に示して、透明性のある使い方をすべきという指摘もございました。それから、温暖化対策に関連する毎年の政府予算、先ほどもご紹介させていただきましたように、こういったものの評価・見直しを十分踏まえるべきという指摘もございました。
 具体的には、今後こういった点に十分留意しつつ、早急にその具体像を提示していく必要があるということでございます。
 それから、特別会計か一般財源かというところの論点がございました。
 税について、国民の理解を得るために、温暖化対策に使うということを明確にして、これは目的税とし、特別会計にすべきだという指摘もございました。ただ、特別会計につきましては、予算の硬直化を招くというようなおそれもございますので、ここでは、特別会計を設けないという場合であっても、税収が温暖化対策に用いられるため、どうするべきか、そういった措置を検討すべきであるということでございます。
 それから、19ページにまいりまして、地方公共団体の役割でございます。
 地方公共団体でも、その温暖化対策を推進するために、その税収を地方にも配分すべきだという指摘がございました。こうした場合につきましては、その税収が温暖化対策に用いられるというための措置を検討すべきという課題を掲げてございます。
 (4)その他でございます。
 消費税の増税をいたして、それを温暖化対策の財源に充てておる、こういう指摘もございます。これにつきましては、消費税というのは、さまざまな財の消費に対して一律に税を課しているということでございまして、排出量に応じて下がるというわけではございません。ということで、温暖化対策税の持つ価格インセンティブ効果、あるいはそもそも排出量に応じて出たというアナウンスメント効果自体も期待できないということでございます。それから、排出量に比例しないということで、温暖化対策という意味での公平性ということからも問題があるということでございます。
 最後に20ページでございますが、以上、さまざまな論点について、この委員会でのご意見などを紹介して、それぞれの論点を整理しておるわけでございますけれども、今後の検討の進め方ということでございます。
 それぞれ、この4の論点の中で、あるいはそれ以前も含めて課題としてあげられたことをここにまとめてございます。
 まず1つは、いわゆる複数の施策の特徴を生かして組み合わせていくというポリシーミックスの考え方を踏まえて税を含む施策の組み合わせの具体的な案について検討するということが課題として残されているということ。
 それから、税そのものにつきましては、エネルギー集約型で輸出入比率の高い業種についての軽減策の検討を行うこと。あるいは課税段階・税率を適切に設定するための具体的な検討。あるいは既存エネルギー関係諸税と温暖化対策税との関係の調整についての検討。それから、税収の使途について、その具体像を明らかにする、こういったことが課題として残っているということでございます。
 2番目の○でございますが、そういう意味で、本小委員会では、引き続き、こういった事項について、その方向づけを行うために議論を深める必要がある。そして、その際には、国民的議論が不可欠でありますので、引き続き透明性を確保して、国民各界各層の参加を積極的に求めていくということでございます。
 最後の○でございますが、政府部内においても、この税率について中間取りまとめの趣旨を十分に踏まえつつ、検討を進めることを求めるということでございます。
 以上が素案の概要のご説明ございます。
 それから、参考資料1・2・3というのをつけてございます。これは前回、国際競争力に与える影響について資料を提出させていただきまして、さまざまな意見をいただきました。その中で具体的に直すべきというようなものがあったものについて少々直してお配りしてあるのが参考資料1でございます。
 例えば1枚おめくりいただきまして3ページ目で、なお書きで、税以外の施策を導入した場合でも、経済への影響があるという、そういったことをちゃんと考えるべきだというご指摘もありました。
 それから、モデル上の話で、産業への影響のとろで、減少する業種の影響だけがなくて、プラスの効果がある業種についてもモデル上出てくれば書くべきだというのがございますので、記述しました。以下、ご指摘があった点を修正したというのが参考資料1でございます。
 それから、参考資料2・3でございますが、前回の国際競争力の関係の資料の中で、モデルの分析の試算の結果を掲げてございましたが、その根拠をしっかり明らかにしてほしいということでございましたので、根拠となりましたそれぞれの論文をそのまま資料として配らせていただきました。
 以上でございます。

○森嶌委員長 事務局も大変一生懸命働いていただいたんですが、なかなか準備に時間かかかりまして、皆さんのお手元にはあらかじめ事前に十分時間を置いてお配りをするということができなかったので、今日のところは細かい字句であるとか、そういうことは皆さん検討する時間がなかったと思います。今から10分休憩をいたしますが、むしろ全体の、先ほども申しましたように、全体の構成とかストラクチャーとか、そういう点についてご意見を承って、字句とかご意見、もう少しこういうものを入れた方がいいんじゃないかというようなことは、むしろ文書で後ほど承ることにしましてということにしたいと思いますので、10分の間にこういうことを入れたらどうかとか、この辺はこうしたらどうかということを、お考えいただきたいと思います。
 それでは、10分休憩をしまして、5時から再開をいたします。
午後4時50分 休憩
午後5時00分 再開

○森嶌委員長 2分くらい前ですけれども、先ほど桝本委員がご質問になったGEFの話を清水課長が持ってこられましたので、簡単にご説明を願います。

○清水地球温暖化対策課長 GEF、地球環境ファシリティーの関係予算についてご説明いたします。
 この予算は財務省予算でありまして、毎年120億円ほどになっております。現在、地球温暖化のみならず、生物多様性も、それから国際水域汚染防止、オゾン層保護、土壌劣化、残留性有機廃棄物というような6分野で支出されています。実は、拠出した120億円のうち幾らの分を温暖化ということで、使うかはイヤーマークした予算ではありませんので、予算の段階でどこどこが温暖化ということを特定することができません。このため、今お示ししました温暖化大綱の関係予算の中には含まれていないという整理になっております。
 以上です。

○森嶌委員長 それでは、ちょうど5時になりましたので、どうぞご発言、今、一番先に天野委員挙げられましたけれども、どうぞ皆さん。では、この順で回っていきますが、どうぞ、天野委員。

○天野委員 少し全体的な意見を申しますが、まず、温暖化対策税という表現と、それから専門委員会でつくりました具体的な提案というのとが少し紛らわしい形で使われているんではないかというのが私の印象です。つまり、温暖化対策税と単純に言いますと、これは税だけの話ですが、専門委員会の方の具体的な提案というものには、これは税と補助金とを組み合わせた政策パッケージとして提案がされているわけで、これもそういう意味で専門委員会が考えている温暖化対策税だといえばそうなんですが、しかし、単純な政策パッケージでない税だけを実施するというものと、専門委員会の提案とは同じ温暖化対策税という名前で使われると混同が起こりますので、そのあたりはきちっと区別をして使う必要があるのではないかというふうに思います。後ろの方になりますと、最初の方は単純な温暖化対策税課徴金あるいは補助金というふうにばらばらに書いてあるんですが、だんだんと読んでいきますと、専門委員会の提案ではこういうふうな税の使われ方をするという、そういう提案が書いてあるとか、少しずつ追加されていって、終わりの方まで来ると、大体専門委員会が考えているような判断というものが浮かび上がってくるという形なので、またそこでわからない人が読めば非常にわかりにくい表現になっているというふうに思います。特にポリシーミックスという表現がでてきました。そこの部分は、実は温暖化対策税と、例えば自主的取り組みとかそういう専門委員会で提案しているようなものではない、ほかのやり方を書いてあるんですが、これはむしろ書くとすれば、専門委員会が提案した小さ目のポリシーミックスがあるわけですが、それと自主的取り組みとか排出量取引とかいうものと組み合わせたらいいというふうに読むのが一番いいわけですね。そうじゃないと、専門委員会の考えているようなポリシーミックスは、ここで言っているポリシーミックスに入ってこないということになりますので、その辺はきちっと両者が区別できて、しかも、それを包含するような、もっと大きなポリシーミックスもあるんですよという書きぶりにしていただいた方が読む人にとってはわかりやすいと思います。ですから、私の提案は、温暖化対策税という言葉を使うときに、温暖化対策税そのものの議論と、それから専門委員会では、それプラス税の組み合わせた特有の提案があって、それをこういう名前で読むというふうに2つをまぜたことに対して、それからこういうふうにしていただくというのがいいんじゃないかというふうに思います。
 どうしてそういうことを言うかと申しますと、温暖化対策税、単純な温暖化対策税に対する問題点、課題というのは幾つもあるわけですね。そういうものはここに書いてあります。これはそのとおりですが、専門委員会がそういうことをよく理解しているわけですから、その課題とか欠点を少しでも少なくするような形の制度とかをつくって提案したというんですから、単純な温暖化対策税に当てはまる批判というのも、そのかなりの部分というのは専門委員会の提案には当てはまらないですが、しかし、これを読んでいる人にとっては、この区別がわからないために、専門委員会の提案しているものに対しても同じ批判が当てはまるというふうに理解されてしまいますので、これは非常に重要な点だろうと思います。両者はきちっと区別をして議論はしていただきたい、それが1つ。
 それから、2番目は、いろいろな政策手法が列挙してありまして、それぞれのメリットが書いてあって、その次、課題というのが書いてあるんですね。これはそのとおりなんですけれども、これだけを普通の人が読みますと、課題というのはかなり深刻な欠点だと。そうすると、こういう政策手法はとらない方がいいという意識を持ってしまうと思うんですが、しかし、課題という指摘がありますけれども、それを軽減したり除去したりするような追加的な政策をとることはできるわけで、どういう追加的な措置をとれば、その課題が克服できるのかということを一緒に書きますと、さっき言いましたような政策を組み合わせることによって、欠点の少ない、しかし、有効な効果を持たせる案ができるということがわかりますので、課題を書かれた後で、それを提言するための政策手段としてはこういうものがあるということを追加していただくのが、政策論をするときには大変有益な情報ではないかというふうに思います。
 それから3つ目、これは言葉の問題ですが、税収を何に使うかという議論をするときに、温暖化対策に使うという表現があるんですね。しかし、これは先ほどの予算のときにも出てきましたけれども、温暖化対策という名目で予算は幾らでも組めるわけです。幾らでも補助金を使えるわけです。しかし、効果は全く上がらない。これでもしかし、税収は温暖化対策に使ったことになるわけですが、専門委員会で考えているのはそれではないのですね。最も費用効果的な排出削減ができる、そういうところに税収を使うという提案をしているわけですから、温暖化対策に税収を使えば、専門委員会と同じような議論ができるかというと、それは全くそうではないわけで、この辺の温暖化対策という表現の中身をきちっと書く必要があるというふうに思います。
 最後の点ですが、アナウンスメント効果というのがかなり重要な効果として書いてありますけれども、一体何をアナウンスメント効果と言うのかというのが非常にわかりにくいですね。私は、これは世界じゅうの国もそうですけれども、炭素制約型の社会になったというふうに言われているんです。要するに、二酸化炭素を排出するのに制約のかかっている状況に我々はある。これはどういう制約かといいますと、成層圏には温室効果ガスを僅かに含んだ層がありますけれども、それが地球の温度を安定化するような資源ですが、我々はそれを変化させるようなことをしている、そういう意味の制約なんですね。ですから、変化させるような使い方が制約されるようになったということがちゃんと市場で目に見える形であらわれるような、そういう効果というのが広い意味のアナウンスメント効果だと思うんですが、しかし、ここを読む限りでは、そういうことは一切わかりませんので、何の効果かということがわかりません。それもきちっと書いていただきたいと思います。
 以上です。

○森嶌委員長 今の天野委員の発言に対して申し上げますけれども、冒頭に申し上げましたように、この文書は、今まで我々が議論してきたことについて、その議論を整理をしたわけでありますから、こういう対策があります、これに対してこういう方法がありますということを我々は議論しないことについて全部ここに教科書風に書くということはまだ議論していないわけですから、ここは、例えばこういう論点というのを、我々議論しているところでこういう問題がありますよということをいろいろな方が提出されたので、それに対してこういうことをこれから議論しましょうということを言ったので、そういう論点に対して、それが最も重要で、ほかに温暖化対策に関する税についてほかに議論がないとか、あるいはこの論点について、それを解決するためにこれとこれとこれがありますよということを今まで全部議論して、それをこうこうになるから失敗することはないということをここでやっているのではなくて、あくまでも冒頭に申し上げましたように、これまで議論してきたことについて、その論点を整理したものだということであります。それをもう一度念を押しておきたいと思いますし、それから、我々小委員会は、専門委員会の報告を前提に、それを受け取って、それを議論しておりますけれども、我々が議論しているのは、専門委員会が提出された、その環境税を議論しているのではなくて、あれは一つの案としてやっているわけですから、あくまでも我々が議論しているのは、専門委員会の温暖化対策税を議論しているのではありませんから、もしも今のようなお話があるとしたら、専門委員会はこういっているというような話は別で、ここはここでの議論をする。それで、ここの議論をしたものを整理しているということですので、今の話だと、何か専門委員会のあれを前提にして、その要望を我々は扱わなければならないというふうに聞こえますけれども、我々はそういうことはやっていないので、それもひとつ、専門委員会の要望から見ると、こういうふうに使った方がかえっていいんじゃないですかというご提言ならわかりますけれども、専門委員会はこう使っていたんだから、それでいけということだとすれば、少なくともこの文章はそういう前提には立っていないということは申し上げておきたいと思います。

○天野委員 専門委員会が言ったからこう言えと言っているんじゃなくて、2つありますよということをはっきり区別してくださいといっているわけです。

○森嶌委員長 それは、1つのはわかりました。それから、ポリシーミックスも、あくまでもここは専門委員会が考えたミックスではなくて、ここはあくまでも税と、例えば自主的取り組みかほかのものかはともかくとして、ほかの施策とのミックスをここでは議論しているというふうに、そういう前提であります。
 それでは鮎川さん、どうぞ。

○鮎川委員 私もちょっとアナウンスメント効果のところがちょっと疑問に思ったんですけれども、温暖化対策税を導入するというだけで温暖化対策を急速に普及させることができるかというのはちょっと疑問だと思います。やっぱりこのアナウンスメント効果が出てくるというのは、人が一人一人がこの税を払っているという負担感を感じるということだと思うので、やはりその辺、どうやったらそのアナウンスメント効果が出るのかということまで踏み込んだ形の、やはり一人一人が払うということがわかるような方式をとれば、そういう効果があるというような形にした方がいいかなというのがまず1つです。
 それから、炭素リーケージのところなんですけれども、一応増えてしまう懸念はあるけれども、IPCCとかいろいろな部分、2番目のパラグラフのところで世界全体としては、削減が進むと指摘されているというふうにあるのでいいと思うんですけれども、やはりグローバルな企業というのは、もう既にグローバルに削減しようというふうにしているところがほとんどであります。そういう意味で、この温暖化、結局、海外に行けば自由に排出ができるんだというようなことで移転するような時代ではもうなくなってきている。炭素制約社会に世界的に向かっているわけですので、そういう意味では、そういうふうにならない、というふうにというかできない、それは許されない時代になってきているんじゃないかというふうに思います。そういう意味で、温暖化対策イコール海外移転という想定自体がもう時代に合っていないのではないかというふうに思います。
 現に、中国に関してなんですけれども、先日開かれたボンでの自然エネルギー2004の国際会議においては、2010年には10%で自然エネルギーで賄いたいという非常に日本に比べると高い目標を掲げておりますし、CDMなどを通してクリーンな技術移転を途上国としては期待しているということがあるので、そういう意味で、こういうふうに想定するということ自体がもう既に時代後れではないかというふうに思います。
 それから、最後に使途の問題なんですけれども、先ほどもちょっと言ったんですが、ここに書いてある使途の内容はすべて温暖化対策に使うということで増税の前提で書いてあるんですけれども、やはり税収中立とか一部企業への減税とか、そういうようなオプションもあるんだということもここでは触れた方がいいのではないかというふうに思います。

○森嶌委員長 ありがとうございました。
 それでは久保田委員。

○久保田委員 1つ質問と、それから全体の構成についての意見と、あと内容面について意見でございます。
 1つの質問は、私の不勉強なのかもしれません。この委員会でも議論がしっかりあったのかもしれませんが、7ページの温暖化対策税と課徴金と単にぱっと並べて書いているんですが、税と課徴金というのはそもそも概念としてどう違うのか、そして、我々が議論しようとしているザ・対策税というか、専門委員会報告は一体どういう性格と見るべきなのか、ヨーロッパと比較しても、現在入っているヨーロッパ諸国のあれとはどう見るべきなのかということについてちょっと記述や性格づけ等々がなければ、ぱっと書いただけではよくわからないところがございますので、これは事務局としてどういうふうにお考えになっているのか、1点お伺いしたい。これは質問です。
 2つ目に、全体の構成についてですが、一言で言えば、中間取りまとめ素案という題名をつけるのにはふさわしくない、まだ段階ではないかなというのが率直なところなんですが、私は、少し心配いたしますのは、私自身は中環審のさまざまな部会にも出ていますし、産構審にも出ていますし、これにも出ていますので、それぞれどういう議論を行って、何合目まで来ているかというのは肌でわかりますが、全くわからない一般の国民やそういうものは、例えばマスコミを通じてどういうふうに受けとめるのかという観点からすると、その辺が十分認識されないままでなってしまうのは、果たしてどうなのかなというふうに思います。たまたまほかの部会で中間取りまとめというのが勢ぞろいを今する時期なだけに、この委員会という意味では、まだ戸口のところを議論している段階ではないかな。私の労働組合という組織から言えば、さまざまな産業を代表しているところがありまして、特にこの税については賛成、反対からさまざまあります。したがって、ここに出るときには、最初から税はだめという立場にもないけれども、いきなり税ありきというところに落とし込むための議論ということでもない、非常に冷静に客観的にどこまで分析ができるかということを素直に持ち帰って、またそれを往復キャッチボールをしたいという立場で出ておりますので、じっと胸に手を当てると、ここまで書いて論点整理をするというところまでいって誤解をされないかなというふうに思います。そういう意味からすると、例えばキューズの仕方で、例えば今後の検討の進め方等々が課題として残された主な事項はこういうことだとか……。

○森嶌委員長 これはパブリックコメントなどに出しません。これはほかは全部中間取りまとめは出ていますので、我々としては、今後議論を進めていくに当たって、これから我々がやる、どういうことを議論するかということについて、今までの議論を整理をして、2ページの一番下のところで、議論を中間的に整理をしたということでございます。ほかはサブスタンスはある程度中間的にサブスタンスをまとめてパブリックヒアリングをかけて、そして出すという趣旨であります。ですから、これから何をやるかということですので、そういう点はおことわりをしておきます。

○久保田委員 すみません。外から見てということでございます。

○森嶌委員長 ですから、その意味では、ここにおられる方はあれですけれども、外にこれを出して、皆さん、これについてご意見どうですかという形には現時点ではなりません。これでサブスタンスを議論したときには出しますけれども。

○久保田委員 はい、わかりました。
 あと意見で内容面ですが、労働組合の立場でちょっと申し上げておきますと、国際競争力の問題、あるいはそれとの関係からすれば、他の要因からすれば、この環境問題についての要因は少ないのではないかという記述がございますが、それはそのとおりだと思います。ただし、現場の感覚で見ますと、さまざまな制約要因が重なり合っている中で限界的に、今、集中してきているということからすると、実は、産業界の半分、そういう性格づけを持っているわけですが、容易なことではない時代が今来ているという感じはまさに実感でございます。比較的プールの底を打ったような状況が見られていますが、中期的に見れば、中国や韓国や台湾との競争条件も含めて、特に地方の工場レベルでどこまで雇用を維持できるのかということについては相当容易ではない事態が来ている中で、さまざまなそういうコスト要因は重なり合っている中でどうトータル的に考えるか、複眼的に考えるかということについては、やはりバランス感覚を持って判断をしていくことは必要だろうと思います。ただし、環境は必ずしもしもコストという側面だけではなくて、投資という側面もあり、競争力を思い切ってここで中国に対しても広げていくという側面も持つのではないか。したがって、そこは両面がありますが、やっぱりバランスということが必要じゃないかと思いますので、多少ここの記述の企業にとって、小さいけれども、たとえわずかであってもコスト上昇に敏感に反応するものであるというような記述は、企業の現場の実感からすると、もうちょっと違う書き方をしないと誤解をされるのかなという感じがいたします。そういう意味で、13ページの下の世界規模で見た排出量の増減というのも、こういう角度で書いて何か意味があるのかなというのは私の実感ですが、要は、そういう状況の中で、税を入れるということとの比較においては、国境がない、京メカ等々を使いながらアジア地域の中でもう少し安いコストで地球環境に貢献をする道があるのではないか。ヨーロッパは同じ共通土俵の中で1つの島の中でそういうことが可能、今やる仕組みづくりを必死になってやっているけれども、アジアの場合は必ずしも中国を含めてそういう関係になっていないよねと、そういうことの中で一体費用対効果という面でどうなのかという視点のむしろ議論があつたと思いますので、そういうことについてどう考えるのかということを掘り下げるべきではないかなというふうに感じました。
 以上です。

○森嶌委員長 税と課徴金のは私がお答えしてもいいんですけれども、一通りご意見を伺ってからテクニカルのことですので、お答えします。
 それでは小林委員。

○小林委員 まず1点目は、全体のイメージなんですが、先ほど天野先生が言われて、森嶌先生の方からお答えをいただいたんですが、この記述の中に、環境税の一般論の議論だということなんですが、記述の中に、いわゆる専門委員会で提案された数値が引用されて使われている部分が結構あるんですね。そのことについておことわりがない部分がたくさんあります。そういう意味で、一般論で議論をするんであれば、そういう議論の中で、ここの部分は専門委員会の提案を例えば例にとればというようなことをおことわりいただかないと、何か混乱をするんではないかなという感じが1点しております。
 それから、具体的な話で7ページの一番上なんですが、規制というところで、このただし書きの書きぶりは、いかにも規制否定型で書いてあります。ただし書きは、一つの場合を書いてあるので、例えば、文書でいいますと、ただし、家庭、中小企業といった不特定多数のものを対象とする場合はとか、そういうような書きぶりにしないと、何かこの書きぶりですと、いかにも規制はだめだという言い方になっています。ちょっとここはご配慮いただきたい。
 それから、次の補助金、租税特別措置等のところのやはり真ん中のただし書きのところなんですが、「補助金交付には行政コストがかかる」とずばっと書いてあるんですが、これもこのレベルでコストがかかるということを課題として書くのはどうなのかなという感がいたします。
 次は、12ページの論点整理のところなんですが、(1)国際競争力への影響や産業空洞化への懸念、国民生活への影響と書いてしまっているんですが、やっぱり国内で受ける国民生活への影響と、それから国際競争力に関する部分というのは切り分けた方がいいんではないかと思います。そういうふうに整理した方がわかりやすい。
 それから、2つ目の括弧の国際産業競争力への影響、産業空洞化問題を一緒くたに書いてある。これは別の問題ではないかと思います。そういう意味で、国際競争力はそういうふうに整理をして、また産業空洞化の問題は産業空洞化として問題を整理した方がいい。
 次の世界規模でみた排出量の増減について記述されているんですが、これは前の産業空洞化と工場移転にかかわる問題として書かれていますので、これは産業空洞化と一体化して整理をし直した方がわかりやすいんではないかという感がいたします。
 それから15ページなんですが、課税段階・納税義務者、ここは言葉だけで申しわけないんですが、○の2つ目のところの「しかし」、3つ目の「一方」という接続詞がつけてあるんですが、意味がわかりません。これは要らないんじゃないかという感がいたします。しかしとか一方という意味合いがあるような書き方をされているんですが、意味合いがないんじゃないかという感がいたします。これは併記型の方がわかりやすいと思います。
 それから、18ページの使途の内容のところなんですが、使途のところで、一般論的にさらっと書きながら、3つ目のパラグラフで、森林経営の問題だけは数字まで入れて具体的に延々と書いてあるんですが、なぜここまで書かなければいけないのか。それだったら、ほかにもいっぱい使途の内容の議論があってしかるべきで、ここについてもう少しわかりやすいというか、併記型でもう少し量を少なくしてお書きいただいた方がいいんじゃないかと思います。
 それから19ページ、地方公共団体の役割と書いてあるんですが、中に書いてあるのは税の分配のことが書いてあって役割ではないと思います。ですから、地方公共団体に対してどう分配するのか、分配の必要性があるかという議論であればいいと思いますが。
 以上です。

○森嶌委員長 どうもありがとうございます。
 それではどうぞ、佐和委員。

○佐和委員 まず、6ページから7ページにかけてのところですが、各施策の特徴というのがございますね。後々、税を勝ち取ると、企業の生産コストが上昇するというような議論が出てきますが、この自主的取り組みにせよ、あるいは規制にせよ、結構その規制を生み出すためのコストがかかるわけなんです。しかも、仮に一律10%削減なんということを、あるいは6%削減でもいいですが、すべての企業なり産業なりを課するとすれば、産業によっては、それを果たすために膨大な費用を要するようなのがあるわけです。だから、そういう意味で、規制の欠点である。
 それからもう一つは、規制さえ満たせば、それ以上の努力をする必要はないということです。それ以上の努力のインセンティブをそぐというのも規制の欠点、そういうことも明記すべきだ。
 それから、一つ問題なのは、温暖化対策税のところで、4行目のところで、必要な削減を最小のコストでと書いていますが、実は必要な削減を必ずしも達成できないというのが税金の問題なんですよね。税金をかけてみたら、思いどおり削減できなかったら、また税率を上げる、一生懸命トライ・アンド・エラーを繰り返さなくちゃいけないわけですね。
 その次のページをめくると、その判断基準として、公平性、効率性、確実性と3つ挙げていますね。温暖化対策税は3つの視点に照らして十分に検討するに値すると書いていますが、実は確実性がないんです。その予算が排出検討のメリットというのは実は確実性があるという点なんですね。
 それから、この10ページのところでいきます。冒頭のところに出ています。いわゆるAIMモデルの結論がまとめているわけですけれども、これは念のためにつけておくだけですけれども、AIMモデルというのは、すべてのアベーラブルな技術を知っている、制度の神様のような存在で、費用対効果から論ずるのに一番望ましい比率はこれだということで補助金をいいものから順番に与えていくという、ラプラスの悪魔のような世界のものであるということで、非常にある意味では理念型のケースであるということです。それを一応、一々書いておかれる必要はないと思いますけれども。
 それから、いわゆる炭素リーケージの問題とか、それから例えば日本の鉄道を地方から輸入するなんということになると、それでCO2の排出量がかえって増えるんじゃないかというような議論がよくなされるわけですけれども、実はそれは仮に地方の製鉄所の効率が非常に悪いとすれば、これはCDMの非常にいいオプチュニティーが与えられたということで、日本の、例えば新日鉄が出かけていって、そして何かの技術を提供して、そこで排出量を削減するという、そういうオプチュニティーが目に見えた形であらわれるということで、そういう意味で僕は今日出てきたのは非常にうまくできているというふうに思います。
 それから、これは言葉の問題ですけれども、14ページの2つ目の○のところで、最後から2つ目の行で、年々約0.01%が出る。これは年率でしょう。年々約じゃなくて、年率約。
 それから、この上流課税と下流課税の比較で、上流課税の場合は消費者が税の負担を感じにくいんじゃないかということは、それは確かにそうなんですが、これは例えばガソリンスタンドでガソリンを売るときに、1リットルが百幾らとすると、実はこの中には炭素税は、何が含まれていますよということを領収書に明示することに義務づければ、必ずしもこうとは言い切れないと思うんです。
 それから、16ページのところで、いわゆる軽減方策ということに今のところで書かれているわけですが、国境措置のことについては一切触れられていないですね。ですから、これも前のペーパーにはたしか出ていたと思うので、多少は触れておかれる方がいい。
 それから、最後に人の内容なんですが、やはりこれは使い方には、さっきも太陽光発電に関連して申し上げたことですけれども、余計なコストがかからないようにするということと、ですから、なるべく補助金という形はとらない方がいい。そして、例えば自動車の低燃費車の普及を促進するために、燃費効率のいい車の保有税を安くする。そうすると、自動車税は当然減収になりますね。そこのところに温暖化対策税を補てんするとか、そういうやり方が望ましいと僕は思います。
 最後に、特別会計とするか云々というところは、確かに特別会計というのは大変評判が悪くて、特に道路特別会計というのは特別会計そのものの評判を悪くしているわけですけれども、しかし、それは道路というのは全国津々浦々敷き詰められれば、もう要らなくなるわけですよね。そこが問題です。ところが、温暖化対策というのは、実はこれは未来永劫続けなければいけないという意味で、道路特会というようなものとはちょっと違うんだということは、これは一々書く必要はないかもしれないけれども、というふうに私自身は思っております。
 以上です。

○森嶌委員長 武田委員、どうぞ。

○武田委員 これずっと拝見していますと、そこはかとなく温暖化対策税に持っていきたいなという感じが、私だけかもしれませんが非常に感じられます。それはまだいろいろな意見を議論しているところなので、そういうニュアンスの中間答申は今の段階じゃないんじゃないかという感じがいたします。
 それで、具体的に若干申し上げますと、4ページの地球環境部会の引用の記事が、この中間報告の主体である小委員会とどこが主体なのか、この4ページから5ページにかけての文章が非常にわかりづらい。

○森嶌委員長 これは、今日の午前中に議論をされまして、それで佐和委員を初めとする幾つかの訂正が出まして、そして、浅野部会長に一任といってもいろいろ出まして、こういう趣旨でということで、それで、ここは部会でこういうふうになりましたということですので、これは前のバージョンですので、ですから、これは全面的にというか、今日の最終バージョンに直って、部会でこういう議論がなされましたというのは、ここに出てきます。

○武田委員 私の申し上げたいのは、この4ページの下から2行目に温暖化対策税が有力な施策であると、環境部会がおっしゃるのは、これは環境部会がいうんですけれども、この小委員会とは別ですから、ここを誤解のないように表示してもらいたい。これがまず1つ。
 それから2つ目でございますが、13ページのエネルギー関係諸税の負担のところでございますが、これは前々回、かなり前ですか、資料に出ていたと思いますが、ここに国際比較の中で、エネルギー関係諸税は決して高くないと書いてあるんですが、これは多分付加価値税を含めた税率で物をおっしゃっているんじゃないかと思うんです、この前にいただいた資料からしますと。付加価値税というのは、直接税との直間比率の問題で変わってくるものでございまして、若干変わってはきているんですけれども、日本はまだ少ない。直間比率を改善すれば付加価値税は多くなるということなんです。その問題は別なところで議論する必要があるので、このヨーロッパあたりの付加価値税と日本の付加価値税を一緒に足して、それぞれ足して比べるというのは必ずしも実態をあらわしていないんじゃないかと思います。ここの誤解を招かないような表現をしていただいたらよろしいんじゃないかというふうに思います。
 それから、もう1点でございますけれども、第1ステップの見直しを今やっておるわけでございますが、第1ステップで何が問題かということを明確にしないと、第2ステップの対策が出ない。第1ステップにおいて、この枠組みにおいて、産業界、新しい前々回の枠組みは、産業部門、運輸部門、家庭及び業務その他となっておりまして、この中で目標対比パフォーマンスが最も悪いと見込まれるのが家庭及び業務その他ということでございまして、我々が仕事をするときは目標対比どうなっているのかというのは必ずやるわけです。目標対比が悪いところは、そこに焦点を絞って対策を立てるということでございまして、今後の対策についても、そこにどれだけ焦点が絞れているか、そこにどれだけ効果が見込めるかということを、より明確に出していかなければいかぬと思うんです。その場合に、ここにいろいろ書いているんですが、公平性、公平性と、役所がやるんですから、公平性という大事ですけれども、公平性も大事ですけれども、問題のところに対して集中的に対応するということもまた必要なわけでございまして、そういう視点をぜひ入れてもらいたいと思います。その前に、じゃ、何らかの対策をするのに財源がいるという話で、これは前回申し上げましたけれども、財源が要るから温暖化対策税の新規税が必要だとは必ずしもつながらない。先ほどからご意見ございましたね。ここの既存税制との関係のところですね、ここに書かれておる、この表現自体が、やはり一度取った税金は変えられないんだということがありありと出ているんですね。こういうことだから、国民は新たな税金を取るのに非常に抵抗感があるわけで、やはり時代に応じて税の使用目的を変えていいわけなので、ここの表現も、既存税は別な目的とか、炭素比例していないという話がございますけれども、この辺はエネルギー税制であれば、そういうエネルギーに関する税でございます。ここを避けて通って、これは無理だから新税というふうな言い回しというのは幾らあるのか、既存税制についての検討というか取り組みというか、そういうものをもっと重点を置いてやるということが私は必要だと思います。
 以上です。

○森嶌委員長 ありがとうございました。
 それでは、永里委員。

○永里委員 ありがとうございます。いろいろ言いたいことはございますが、1点、国際競争力という点に絞って言いたいと思います。
 まず最初の方にページ、10ページのところにきますと、欧州諸国における温暖化対策税の効果と書いてありまして、オランダとかフィンランド、スウェーデン、ノルウェーとか効果があったと書いてあります。それは事実でしょう。ですから、そのときに、このままでいくとちょっとよくないと思われるのは、実は、彼らは産業界と取引しているわけですから、減税と、あるいは課税しないというようなことを踏まえた上で効果があったわけです。それは、このことを記述なさっている方はわかってらっしゃるはずなので、そういうことをちょっと触れてほしいんです、国際競争力ということを考えた上で、実はこの税金はなされているということであります。諸外国に効果があると書いてあっても、そういうことであります。
 12ページに国際競争力について今度は本格的に触れてらっしゃるんですが、エネルギーコストという言い方をしていまして、このコスト、コストで議論なさっていますけれども、国際競争力というのは、実は2つ目の○になっていますが、エネルギーコスト以外にも為替、労働力、市場、インフラ整備等いろいろな要因が関係すると書いてらっしゃるんです。実は、国際競争力について企業が一番重要なのは、研究開発力なんですよ。研究開発力があるかどうかということが国際競争力につながるんです、少なくとも先進国においては。後進国の話を今していませんから。したがって、研究開発力をそぐようなことをしてはいけないわけです。
 例えば今回の炭素税というか環境税によりますと、化学業界は700億円ぐらい取られるんですけれども、別な言い方をすると、内部留保が700億円吹っ飛ぶわけで、研究開発費がすっ飛ぶんですね。私が知っている旭化成は、過去ずっと大体利益に相当する分を全部環境投資としてやってきております。ですけど、またこれで税金を取られると、内部留保できなくなりますので、今度はこういう投資をできなくなって、国際競争力を著しく失います。そういうことを考えますと、税金の持つ意味というのは非常に重要なので、一番最初に冒頭に言いましたけれども、こういう税金をとることになったら、それまでの税金をよく精査してくださいよということを言ったわけです。
 それで、先ほどちらっと中国のお話が出て、政府当局は、今や環境に優しい中国に変わりまして、アナウンスしています。だから、新エネルギー10%ぐらいになるまでやりますと言っていますけれども、言っている人たちはどういう人たちかといいますと、非常にぴちぴちと若い立派な人たちなんですが、日本の資源エネルギー庁に相当する、資源エネルギー庁というのが日本にあるんですけれども、これは相当な人数がいますが、中国はたったの27名で能源局というところでそれをやっていまして、その能源局は水力発電に三、四人、火力発電に三、四人、石炭石油、天然ガスに三、四人、原子力に三、四人とこんな感じでして、そこの中の資源エネルギー担当の方がそれを言っているんです。そういうことを局長が、全体のプレスで言うのですけれども、そういう国と日本とを余りごっちゃになさらない方がいいと思うんです。
 言いたいのは、国際競争力ということを踏まえて、例えば日本の企業は、日本にも工場あるし、向こうにも工場がありますので、税金を取られるんだったら、向こうで研究開発をやればいいというようなことにもなりかねませんので、それも含めまして、よく考えてほしいと思います。
 以上です。

○森嶌委員長 速水委員。

○速水委員 先ほど、小林委員から少し使途のところで、林業の部分が多過ぎると言われた上にこういうことを申し上げたら大変心苦しいんですが、4ページのところに、森林の吸収量は現状では3.1%というふうに出ておるわけでございますが、我々は森林の経営者側して、ここでヒアリングでも3月の末でしたか、ヒアリングのときにも意見が出ていたと思うんですが、国有林が3割、森林面積を占めていましたよ、残りが民有林というふうな形、この民有林が今までの林業の歴史上、近代の歴史上最も経営の危機というのが今ちょうど来ておりまして、そこにその3.9というふうな数字を期待されているというか、吸収の上限を可能性量をおかれている部分でね日常的に経営あるいは森林管理の状況を見ている者として、果たして本当にそれが最終的に認められる状態までいくのだろうか、毎年毎年森林管理の状況が悪化しているような森林経営から見てあるわけです。そういう意味では、18ページの書き方のところは、そのときも議論出ていたと思うんですけれども、単純に森林吸収源対策に積極的に活用するということだけでなくて、森林吸収源として機能する森林をつくるための森林経営の活動が活発になるような形で動かしていくというふうなところが非常に大事だと思うんです。そうしないと、ただただお金で公的な費用だけで森林管理をするというふうなことになって、どうしても民間の活動を利用して、より有効な吸収源対策、森林の吸収源の活動というふうな形に続いていかないと、もう少し言えば、京都議定書を達成するだけのことになってしまう。今後はやっぱり森林の管理というのは吸収源としてずっと維持、活動されていかなければいけないし、固定したものを固定し続けるために非常に重要だというふうなところから言えば、そういうことがあったんではないかなというふうに思っています。
 それと、一部お話が出ていたと思うんですけれども、吸収のクレジット化みたいな話が少し出たという記憶がしております。それを上手に使うことによって、海外の部分もあるでしょうし、当然国内の部分というのも考えられるんだろうというふうに思いますので、その辺の議論があったんではないかなというふうに記憶しておりますので、よろしくお願いいたします。

○森嶌委員長 平尾委員、どうぞ。

○平尾委員 3つの視点でお話ししますが、1つは、このまとめのスタンスというんですか、この小委員会のあり方なんですが、冒頭に第1回の会議のときに委員長の方から、環境税ありきでは反対だという議論じゃ前へ行かない。したがって、私の認識は、これは環境税問題というのは時間がかかるんです。したがって、その技術的な問題を平易にあった場合にどうするかという形で議論していくんだという、そういうスタンスで臨んできたわけでございます。その中で、例えば途中で反対意見だとか賛成意見出ましたけれども、それもその反対、賛成じゃなくて、そういう視点から見ればどういう問題があるのかということをクリアにして、我々は今後解決していかなければいけない課題を抽出していく、それで今後の議論を深めていく、ということだったと思うんです。そういった意味で、今回の中間取りまとめのところで、環境税が有効であるとか有効でないとかという議論は、この論点、この小委員会に出された議題ではないんではないか。したがいまして、先ほど何度か指摘ございましたけれども、第3章ですか、そういったところら辺はどうも環境税を入れなければいかぬ。それから、8ページ目の下の方は有効であるというようなことまで踏み込まれておりますけれども、私はこれは踏み込み過ぎではないかというのが1つの確認でございます。そういった意味で、3章のところは相当肩に力が入っておりまして、プラスサイド環境税が有効であるというふうな論点に資する議論が多くなっておりますが、例えば欧州諸国の温暖化対策税につきまして、例えばフランスの議論を一度私質問しましたけれども、フランスはもめておりますし、英国はほかの税制も含めた形でバランスを議論して納めておると、そういった実態もございますから、そういう意味では、プラスマイナスを客観的に記憶しておく。この場で議論が出たことに対してプラスマイナスが両方お書きになるべきではなかろうか。そういった意味で、書きようの問題です。書きようの問題で、14ページ以降の記載の仕方というのは、小林委員もご指摘もありましたけれども、併記されたやり方で、非常にわかりやすい。なおとか、しかしとか、インテンションをきかさずに、併記してやっていくやり方が、私はいいんじゃないか。
 それで気になりますのは、4の論点のところが、書きっぷりが細かい中身のことはまた書面でご報告しますが、切り捨て型になっているんですね、質問を提起して、それをそうではないよという切り捨て型の論調になっている。これは私は併記していくべきではないかと、テレビでよくありますけれども、最後のコメンテーターがぱしゃっとやって、そんなものかと思うようなことにならないように、今後の議論を深める意味では、そういうふうにすべきではないかと思います。
 その中で2点だけ申し上げておきます。1つは、13ページの移転のところです。先ほど議論していますが、ここは少し間違っている、日本企業が海外に出て仕事をするんではなくて、日本の企業が破れさって海外に物が移転する、そういったときには、全体としてCO2が増える。それで、先生がおっしゃるように、それはそこでちゃんとCDMで稼げばいいじゃないかということですが、これは輸出貿易で成り立っている我が国がそういうことでいいのかどうかというのは別の議論がございます。それは1つです。
 それから、14ページのところで、AIMのところの議論がずっと入っているんですが、これは佐和先生もご指摘のとおりでございます。例えば輸出入という問題に関しては議論がありましたけれども、途中これはやはりまだ今後解決しなければいかぬ、ブラッシュアップしなければいかぬ問題だという点、日本は貿易がベースでございますから、その辺のところを少しコメントを入れながら、今後の議論を深めていくという視点で整理をしていっていただければいいんではないか。
 それから最後です。今回の議論は、温暖化対策税ということに限った話ですが、施策総合委員会の仕事はこれだけではなくて、地球温暖化のいろいろな施策、したがいまして、CDMをどうしていくんだとか、あるいは普及促進はどうしていくんだとか、もっと深く切り込んでいかなければいけない点がございますので、これだけに終わらないということをもう一度確認しておきたいということでございます。

○森嶌委員長 今の小委員会のマンデートは割合入り口といいましょうか、入り口は狭いですけれども、私自身は総合施策部会の部会長でありますし、やらなければならないことはたくさんありまして、今、平尾委員おっしゃったように、もっとCDMかどうかはともかくとして、もっと広く切り口を持っていかないと、この問題も矮小化されてしまうと思うんです。税自身も環境税というよりも、むしろ税制そのものを、先ほどちょっと申しましたけれども、税制そのものを、これは環境省だけでできる問題ではありませんけれども、そこにも我々の方から提案をしていくという姿勢がないと、単に、それこそ炭素税が何だなんといって、それで産業界は反対して、そうでないところは入れろというような話になって、余り展開が、21世紀の広範に向けて展開ができないということですので、できるだけ私は、先ほどお話がありましたように、何か最初から環境税を入れていくというにおいがして仕方がないというお話もありましたけれども、これはマンデートが環境税を入れるとすればどういう問題があるのか、入れられるのかどうかということですから、最初からそういうにおいがするのは仕方がないですけれども、きちっと問題点を深めていく、その段階で、ほかの施策とか、あるいは税そのものの問題点ということをできるだけ、これだけの人数ですけれども、議論をしながら、問題が出てきたら、できれば施策総合企画小委員会に持っていくとか、そういう形でやっていきたいというふうに思っていますので。
 それから、ぜひ、先ほど書面で出されるということでしたけれども、この文書に対する書面だけではなくて、何かお気づきの点がありましたら、こういうものも少し事務局として参照したらいいんじゃないかというような参考文献等がありましたら、出していただければと思います。
 それじゃ、桝本委員、どうぞ。

○桝本委員 恐れ入ります。実は、これは森嶌先生が再三おっしゃっている基本的なことでございますが、余談になりますが、亀井静香さんが発泡酒に税金をかけるというアイデアに対して、悪代官みたいなことをするなと、こういう表現をして批判をされました。私は、たとえ温暖化税であっても、税というのは国家権力の最高の一つの切り札であります。納税者は、いわば年貢を納める人で、税を徴収する人は、まさに徴収という言葉があるとおり、お代官様です。ですから、この策は、私はかねがね最後にするべきだと言い続けておりまして、さらに、税の前にしていただくことがあるというお願いを非常にソフトな、かつわかりにくい表現かもわかりませんが、再三させていただいております。
 例えば、6ページに情報提供・普及啓発で取り組みの促進効果や削減量を確実に見込むことは困難であると、こういう感想のもとに、いわば国民全体に対する呼びかけや発揚、逍遥、運動についての否定的なコメントが最近多いと私は非常に気になります。私は、国民に訴え続けてくれ。しかも、これは仮に税をやるにしても、続けなくてはいけないことであります。したがって、取り組みの促進効果や削減量を確実に見込めない、こういうことであっても、これを形式的にしていいということではありませんで、私のお願いとしては、この6、7、8、この辺のどこかにだれかがしつこく税の前に国民に訴えるということ、情報提供するということを含めてやるべきだという主張をし続けたということを記録にぜひ残しておいていただきたい。私は、納税者、年貢を納める者になるかもわからない一人として、ぜひお願いを申し上げます。それが1点です。
 それから、実は先ほど、武田先生が同じご指摘をされまして、私も全くそう思います。17ページの既存エネルギー関係諸税との関係は、既に防衛戦を張っているというような見方ができるというのが私の感想です。先ほどお話ししましたように、これは3月26日の委員会で配られた資料でございますが、エネルギー関係諸税というのは5兆2,000億円になって、15年度の予算ベースですが、それがそれぞれ使途として使われている。当然、一番大きいのは道路整備等の4兆3,000億円というお金でありますけれども、ここに手を入れずして、9,500億円をぽんと乗っけて歳入歳出をバランスとるというのは、私はやはりいかがなものかというふうに思いますし、むしろ、最も避けてもらいたい案であります。
 先ほどくどく申して大変すみませんけれども、我々企業は、1つのどうしても支出用途があれば、どこかの経費を落とすわけです。それを国、各府省を超えておやりいただくというのが本筋でありまして、その努力をなくして、ただ範囲をすべて対象にしているものではないという17ページ、そして留意する必要があるという、このコメントでそうしたご努力を放棄するのは、私は大変に異論があります。
 それから、18ページの先ほどの森林のご指摘ですが、私も実は森林については非常に重要だと思い、我々国民が大いに森林保全に努力するべきだというふうに思います。しかし、ここでの記述のこの行の多さは、使途の内容としては、やはりバランスを少し欠いていると私は思います。もともと思えば、3.9%というものの前の数字は3.2だったか3.4だったか、そういう数字で、それをEUからビンボールを投げられて、ふたをあけたら3.9というものが転がり込んできたというような交渉経緯があるわけで、私はそこまで考えると、やはりこの記述はもう少しバランスよくあった方がいいんではないかというふうに存じます。
 それから、国際競争力等については、先ほどの平尾委員や永里さんの意見に全く賛成でございます。
 ありがとうございます。

○森嶌委員長 ありがとうございました。
 松田委員。

○松田委員 恐らく税に対しては、産業界の意見というのは桝本さんだとか武田委員だとか永里さんのような意見になるのは当然だと思います。じゃ、それを実現していくためにはどういうふうなバックアップをこの環境省、力の弱い環境省にしていくかということも、この委員会では議論していかないといけないと思います。こうすべきだ、こうすべきだという議論があったとしても、じゃ、どうすればそういうふうに税全体の中から環境税に相当するものをくみとっていくのかというところの議論をしてあげないと、環境省としては責められるだけで動いていけない。というところでは、ぜひ産業界の方たちに、その点のいろいろなお知恵をおかりしたいという点で、論点として残しておけばいいことだと思います。産業界としても、この問題については重要な課題なので、ともにテーブルについて知恵を出し合いたいというのが今後の検討の進め方の中の結論として出てくることを私は強く要望したいと思います。
 それから、全体的な書きぶりなんですけれども、私自身を含めて、この税の問題はとても難しいです。ですから、これをまだ中間取りまとめでない前の段階として、この審議会の中でどういう議論があったかということを国民にわかりやすくするためには、私がこの委員会で理解していった過程で非常にわかりやすかったのは、運輸・民生の部門についての削減努力が必要であるという、この明確な記述をどこかですべきだと思います。
 それから、1兆円のお金があるというふうに言われていたんだけれども、実を言うと中身はこういうふうだったんだということも明確に記すべきだと思います。そして、全体としては、税の問題はこういうようないろいろなことがあるけれども、いずれにしても、もし可能な課題としていろいろなところから税というものが持ってこれたとしても、それは環境税として使っていく税だから、この環境税の使い方をどういうふうに効果的にしていけばいいのかという議論は残されたと思います。だから、ごちゃまぜに考えないで、一つずつわかりやすく国民に問題点を提起していくという点では、私はこの答申の今後の取りまとめ方、進め方というところはいいと思います。
 最後に、いろいろ考えていたんですけれども、この税の問題は消費税の問題のように、やはり税金を払う立場から見ると、小泉さんだとか小池さんなどがどういうふうに温暖化対策を国として進めていくかということで、もっと表舞台に立たないとだめだと思います。そういう点では、やっぱり国の政策として予算全体から見ると、私の今日の印象だと、何か環境省に任せておけばいいみたいな感じがするんですけれども、国の中で本当に大きな重大な課題だということを見ていくためには、やはり大臣だとか首相の意見をもとに本格的な議論を、この審議会の提案をもとにしていくべきだと思います。
 以上です。

○森嶌委員長 6時を過ぎましたが、鳥井さん、大塚さん、それから浅野委員、時間を超えているということを認識した上でご発言ください。
 どうぞ。

○鳥井委員 一言だけ申し上げたいと思います。幾つかちょっと誘導的だよというような議論があったかと思うんですが、それは修正すればいいと思うんですが、多少バランスの悪さということもあると思うんですが、今までの段階の議論としては、そこを修正すれば、こんなものかなという感じがいたします。
 それともう一つ、今後の議論のために申し上げたいのですが、産業界側から出席されている委員の方にぜひお願いなんですが、環境税を導入するとすれば、ミニマムにどれだけのことをやるべきだと考えてらっしゃるのかを具体的にこの委員会に出していただくと、もうちょっと前向きの議論ができて、いや、それは無理だねと、入れない方がいいよねという議論になるかもしれませんから、それができるような気がしますので、ぜひその辺をお願いしたい。
 以上です。

○森嶌委員長 大塚委員。

○大塚委員 4点ありますが、簡単に申し上げていきますが、6ページの情報提供、普及啓発のところが大事だということは、私もそのとおりだと思いますが、この議論と税・課徴金が必要だという議論は別に相反するとか排他的なものではなくて、まさに両方やっていっていただくといいということではないかというふうに考えております。それが第1点でございます。ですから、この2つは排他的なものではないということを確認しておきたいということでございます。
 それから、16ページのところの温暖化対策税の軽減のことですけれども、永里委員が言われたことは、私もそのとおりだというふうに思っているところもございまして、ここで軽減のことはかなり書いてあると思うんですけれども、これでもなお不十分なのかということをお伺いしたいというところがございます。
 それから、17ページ、18ページに関してでございますが、17ページについては、既存エネルギー関係諸税との関係でございますが、いろいろな委員の方がおっしゃっていることはよくわかるんですけれども、前に道路特会の暫定税率をもとに戻すかという問題が起きたときに、もとへ戻すことは可能かもしれないけれども、そうするとまたCO2が増えるんじゃないかという議論はあったわけですよね。これをもし減税するというようなことになった場合に、その分CO2が増えるということも同時にあり得ますので、そこはどういうふうにお考えかというところが恐らく問題としては残っているだろうと思います。
 それから、18ページのところの下から3つ目ぐらいの○のところですけれども、使途の内容とか効果を明確に示して透明性のある使い方をするというのは大変結構だと思いますが、前から私は結構主張させていただいていますけれども、費用効果性を非常に高めるということにために、オークション方式のようなものも、財務省との関係で結構大変だと思いますけれども、ぜひご検討いただきたいと思います。そういう文言が書けるかどうかということはなかなか難しいかもしれませんが、ぜひご検討いただきたいと思っております。
 以上です。

○森嶌委員長 どうぞ。

○浅野委員 今、お二人の鳥井委員と大塚委員がおっしゃったことと少しダブる面がありますが、この報告書について、松田委員は、答申とおっしゃっていますけれども、そうじゃなくて、単なるこの委員会のメモランダムのようなものだという位置づけだと委員長も言っておられるわけです。これから先の議論をどうやって整理するかということです。ですから、その意味では、中間取りまとめという言葉が適切でないかもしれない、これまでの論議の取りまとめでもいいかもしれないし、あるいはよく役所が使う言葉では、第一次中間取りまとめ、そういうことだと思うんですね。
 ところで、このメモの目次について今日特にこれで悪いというご議論が積極的には出ていない、と私はお聞きしていたのですが、そういう目で見ていきますと、例えば、第2章は、温暖化対策税と他の施策の比較をしている。そういう意味では、一つの分析をしていて、これは例えば専門家の目が見れば十分でない書き方であろうとか、あるいは温暖化対策税・課徴金という表記になっているのは一体どうなのかというご議論はあるかもしれません。どうもこの第2章のところは、どっちかというと、言ってみれば、教科書的な書き方がしてある。そして、効果についてというところも、ある意味では教科書的な書き方をしてあるわけです。そして、第4章の論点というところにいきますと、単なる教科書的な意味での論点と、具体に税を導入すると考えたときに問題となることが十分整理されないで混在している。そのために、この委員会の議論もたびたび混乱をしているという気もするんですが、ある方は具体的にこういう括弧付き何とか税を導入するということを想定した上で議論をなさる。ある方はそうじゃなくて、もっと一般論としての学問的な議論をしておられる。それがごっちゃになっています。この点はもう少し事務局に精査をしていただき、これまでの議論を洗い直して、両者がはっきり切り分けられるようにしておかないと、これをほかの人が見た場合にも混乱が起こるのではないか。これは、まだ我々の議論の仕方に問題があるからかもしれませんが、そういうことではないかという気がいたします。
 そこで、特に課題・論点というところについては、実際に導入するときの問題と理論的な問題の区別が少しわかるように、あるいは項目の中でこういうのがわかるようにしておかなければいけないのではないかという気がいたしました。
 それから、やや事務局の整理は、遠慮がちな整理の部分があるような気がするんです。というのは、どうしても専門委員会報告にある種のこだわりを持ってしまっている面もある。そのために、例えば先ほどから、このところ二、三回かなり既存の他の税との関係についての議論を積極的にこの小委員会でもやっているわけですけれども、前にも申しましたように、専門委員会はどちらかというとこの点は避けて通るというスタンスでいますから、同様に専門委員会報告に引きずられますと、何となくここで言っているのは既存税とは違うという言い方ばかりになってしまう。その部分もあるし、それから、そうじゃない部分もあるかもしれない、既存税制でできる部分もあるかもしれない。森嶌委員長がおっしゃるように、もっと長期的に言えば、我々の本当に考えなければいけないことを、先々のことまで見ていけば、税の構造、歳入構造のあり方にまで議論が発展していく可能性もあるだろうということはここでも既に論じられていますから、その辺のところを上手に整理をし、書き分けをすることによって、我々の論点が今日と行きつ戻りつ同じことがあっちへこっちへ議論しないで済むように、このメモを整理される必要があるんではないか。ぜひ、次回までにはそのような整理をされたらいかがかと思います。

○森嶌委員長 せっかくそこまでいったんですけれども、まだ行きつ戻りつになりますか、天野委員。戻らないように短くお願いします。

○天野委員 議論の進め方として、この小委員会というのはいろいろな施策を全部含めて考える、広い視点でこの審議を進めるというお話で、私も当然そうだと思いますが、そうなりますと、いろいろな政策パッケージというのは次から次から出てくるという可能性があるわけですね。ですから、そういう点で、例えば税はこれで議論が終わりということではなくて、あるいは排出量取引制度が出てくるかもしれない、京都メカニズムの利用等関連が起こるかもしれない、いろいろな組み合わせを将来考えていくというふうな考え方で議論していただかないと、何かの施策手段はこれで終わりという結論が出てしまったら、ほかのものを組み合わせてせっかくいい成果ができるのができなくなってしまうという点がありますので、そういう議論の仕方もぜひしていただきたい。

○森嶌委員長 なお、一応ほかは名前はともかくとして、中間の取りまとめということで、それから役所の方は大分前に申しましたように、予算編成なんということもありまして、予算要求がありまして、先ほど浅野委員が言われましたように、これは中間取りまとめという言葉がいいかどうかは別としまして、一応中間取りまとめですが、一応の議論の整理ということで、次回にまとめたいというふうに思っております。しかし、我々はようやく入り口に入って、これからやるぞということですから、夏の暑いうちはちょっと休むかもしれませんけれども、9月過ぎたら、できるだけ精力的に議論すると同時に、まだ事務局と十分相談していませんけれども、できれば少し国民的といいますか、いろいろな人とダイアログをするような形でご意見を伺いながら、我々もそれに参加をしてというようなことでやることも考えたいと思っています。
 つきましては、今日はこれを見て、今日もいろいろなご意見を伺いましたので、事務局に検討してもらいますが、なお、またお気づきの点がおありかと思いますので、文書で、メモで結構ですから、出していただきたいと思います。
 次回は8月27日の10時から、東条インペリアルパレス、東条会館を予定しておりますので、ぜひ、意見を来週の10日火曜日までに、また私も実を申しますと、その後、イランに行ったりしますので、その前に私も見ておきたいと思いますので、恐れ入りますが、イランに行ってオーストラリアに行って、25日か何かに帰ってくるということですので、その前に私も見させていただきたいと思いますので、ぜひよろしくご協力いただきたいと思います。
 それでは、税と課徴金ですが、税は税務当局が取るタックスということで、いろいろな目的税もあります、一般税もありますが、課徴金というのは、ある行為に対して課徴するので、普通はそれをコントロール行政庁が取るんですが、イギリスなんかの炭素税は、レイビー、課徴金と言っていますけれども、中身は同じです。ですから、一応区別はありますけれども、性質的にはここでは同じ。つまり炭素の排出に対して、その量に対して取っておりますので、結果的には同じということで説明はいいですか。何かあれば、もっと細かいのがあれば1時間でも2時間でも鎌形さんは喜んでお答えをいたしますので。そんなところで。税はタックスで、こっちはレイビーと言いますが、中身は、この炭素に関しては、イギリスでは同じ、結果的には同じです。
 それでは、ほかに特になければ……、どうぞ。

○桝本委員 1点お伺いですが、先ほど午前中の会議で森嶌三原則なんて失礼なこと言いましたが、森嶌先生の3つの宿題は大体いつごろ答えが出る、あるいは案が出てくるんでしょうか。

○森嶌委員長 いやいや、案が出るのではなくて、それは皆さんと議論をして詰めていく。

○桝本委員 そのとりあえずの案を先生はたしか事務局にこういうことを……。

○森嶌委員長 ですから、今ぼつぼつと少しずつ出しては皆さんにたたかれたり、あるいは皆さんから……。

○桝本委員 そういうふうな形。

○森嶌委員長 そういう形で進めてまいります。ですから、何かこれで国際競争力は大丈夫だよなんというんじゃなくて、やってまいります。それで、先ほど言われたように、あくまでも交通とかトランスポテーションとかあるいは民生、業務、そことの関係で環境税を考え、他方で、環境税の組み方によっては、一般の企業とかの国際競争力とかそういうところにかかわってくるかもしれない。そのときに、そのままでいいのか、それともそうでないとすればどういうやり方があるのかということを議論しながら詰めていくほかないわけで、メニューをぽんと見せて、さあ、どうですというわけにはなかなかそう簡単にはいかないだろうということです。ですから、ぜひご協力ください。
 それでは、終わります。

午後6時18分 閉会