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中央環境審議会 総合政策・地球環境合同部会
第7回施策総合企画小委員会 議事録



平成16年6月18日 午前10時03分 開会

○佐野環境経済課長 時間になっております。若干まだお着きになっていらっしゃらない先生おられますが、久保田委員は少し遅れられるというご連絡が入っておりますので、始めてまいられてはいかがかと思います。

○森嶌委員長 それでは、施策総合企画小委員会第7回会合を開催させていただきます。今回は議題を2つ考えておりまして、最初は以前にヨーロッパ諸国の環境税について議論をしたことがございますけれども、その際にもご指摘ございましたが、もう少し詳細にやったらどうかというご指摘もございましたので、最初はイギリスとドイツの税制、地球温暖化防止のための税制とそれに関する施策に関しまして議論をしていただきまして、もう1つは、先月行われました地球温暖化対策の推進本部の結果の報告をしていただくということにしたいと思います。その最初のものにつきましては先ほど申しましたようにイギリスとドイツの地球温暖化防止のための税制とこれに関連する施策でございますけれども、いわゆるポリシーミックスといわれるものでございますけれども、今回は多少詳細に事務局から説明をしていただくということにしたいと思っております。今回の会合も一応12時までという予定をしてございます。
 では、最初に事務局から資料の確認をお願いします。

○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。議事次第の次に資料1として名簿がございまして、その次に2−1、英国のというものになります。その次は資料2−2、ドイツ、資料3が地球温暖化対策推進本部資料、そして資料3の参考として次に大きな枠で囲ってあります「2002年度の温室効果ガス排出量増減の要因について」があります。以上となります。

○森嶌部会長 よろしゅうございましょうか。それでは早速、議題の1でイギリスとドイツの「地球温暖化防止のための税制及びこれに関連する施策」について、まず事務局から説明をしていただきます。よろしくお願いします。

○佐野環境経済課長 ご説明をさせていただきます。現在、中央環境審議会の地球環境部会で我が国の大綱の評価見直し作業が順次進んでおるわけでございまして、だんだんそこで追加的対策の姿等々が見えてくるわけでございますが、私どもそれがある程度見えてまいります間に、一つは前回、3月26日の会でご説明をいたしました諸外国の環境税の制度につきましてもご指摘のありましたドイツ、英国のポリシーミックスの姿についてご指摘もございましたので、もう少し詳細に調べてみました。かなり我が国の今後の方向を考える上でもいろいろ示唆にとんだ仕掛けといいますか制度が盛り込まれていると思われますので、今回はこれにつきましてご説明をさせていただき、ご議論をいただきたいと思います。
 資料2−1と2−2に分かれておりまして、2−1で最初に英国の仕組みについてご説明をさせていただきます。最初の制度の概要のところは概ねの構造でございまして、3月26日の委員会でご説明をしましたもののある種おさらいでございます。資料の4ページに3月26日の会でご説明をしましたグラフが付けてございまして、英国の場合は既存のエネルギー税のエネルギー関係税がこれまでかかっておらなかった LPG、石炭、天然ガスに課税をする。炭素トン当たりに直した税水準が LPGで炭素1トン当たり2,000円強、天然ガスで6,000円、石炭が中間ぐらいで3,000円ぐらいということでございまして、あまり強くない税率の課税をするという制度でございます。
 英国の非常に特徴がございますのは1ページ目の3つに分かれております表の真ん中の気候変動協定によります減税という制度があるわけでございまして、政府が業界あるいは個別事業者等、エネルギー消費量あるいはCO2の絶対削量の削減目標を設定して達成をしますと、気候変動税が80%減税になるという仕組みでございます。さらにこれを補完するものとしまして、この目標を達成するために排出削減量の売買ができる。しかもその売買には協定を結んだ税対象の事業者に加えましてインセンティブ資金、一定の削減をするという、またこれも政府との約定の下に補助金を受け取った事業者が政府と約定しました目標を超えて削減をした場合に、その余ったものを売りに出せるという制度を持っておりまして、こういった人たちが加わって排出量取引をやっているという特徴がございます。
 ちなみに英国がどの程度の、ここで削減量がいくつか数字が追々出てまいりますので、それの目安として英国は大体約5億トン台、1990年で5億8,000万トン、直近ですと5億4,000万トンぐらいのCO2を出している国でありまして、大体国の大きさ、経済の大きさからいっても日本の4割ぐらいということでそれ相当の数字であろうと思いますが、これに対しまして京都議定書上、12.5%の削減を求められている、そういう国でございます。
 それでは、7ページに特徴のございます気候変動協定の概要がありますので、そこから詳細のご説明に入らせていただきたいと思います。英国の場合、まず一義的には協定の対象は企業の業界団体でありまして、1枚後ろに折り込みでずらずらと入っております。いろいろ団体名が並んでおりまして、これは日本の何とか連盟に当たるものであろうと、あるいは日本の何とか協会に当たるものであろうという対応をするようなものがありそうなものでございますが、こういった業界団体、現在主にエネルギー多消費の産業を中心としまして44業種、44業界団体と協定が結ばれているという状況であります。
 電力関係は、これは電力については電力に課税、すみません先ほどのグラフからは比較がむずかしいので抜けていますが、この LPG、石炭、天然ガスに加えて電力についても課税がされますので、逆に発電用の燃料あるいは発電用のエネルギー消費については、これは課税対象外であるので協定の方も対象外という構造になっております。政府が業界と協定を締結するにあたりまして、3種類のやり方がある。1つは、政府と業界団体の間のみで結ぶ。それから政府と業界団体、それから政府と個別企業がそれぞれ2つ、2ライン並行というような格好で並列といったような格好で協定を結ぶということもできる。それからオプション3とございますように、政府と業界団体、それから業界団体から個別企業というふうに、これは直列型といった方がいいかもしれませんが、こういう協定の仕方もできる。
 これはどうもいろんな業界が自分の都合を主張して、じゃ、どれでも選べるようにしようということにしたようでありまして、私どもの資料のよりますと、例えば製紙業界は関係の事業者は全部業界団体が入っていて、業界団体が全部グリップしているので、要するに個別企業の状況、情報は政府にいかないという格好でオプション3を選んだということだそうであります。一方、自動車業界というのは非常に裾野の広い会社まできっと入っているのだと思われますが、全体が一つの目標に取り組むのは困難である。それから個別企業の情報はすでにオープンになっているということでオプション2を選んだと。それから化学業界は各企業がそれぞれ自分のところが独自に責任を持ちたいという意思を示したので、オプション2を選んだと。こういうようなそれぞれの業界の構造によってこれが選べるというようになっているわけでございます。
 オプション2、オプション3の場合、まず業界全体の目標を達成していれば、これはそうなりますとその傘下の企業は全部合格ということになるそうですが、一方、業界全体の目標が達成されていないという場合にも、今度は個別企業の数値が効いてまいって、個別企業ごとに個別企業が目標をクリアしていれば、その企業は達成と。そういう二段階の合格方法があるということのようであります。
 では、約定を結ぶ目標でありますが、これは実はあまり一律あるいは一定の計算式をあてはめるというようなものではありませんで、我が国の環境省にあたります環境・食料・地域省と各業界が交渉し、かつこの民間のAEA Technology社というところがコンサルタントとして加わり、要は相対にいろんな状況を、各業界の状況をぶつけあってそれぞれに決めるということのようでございます。
9ページのところの裏表にこの44業界がこういう顔ぶれとどういう目標あるいはどういう方式を選んだかという一覧表がついておりますが、非常に主要産業から何かずいぶんマイナーなものまでいろいろ並んでおりますが、例えば典型的なエネルギー多消費産業ですと、6番のセメントであるとか9番の化学工業であるとかいうところで、例えばそれぞれオプション2で原単位目標を、例えば1990年比例、セメントですと25.6%の改善あるいは化学工業界ですと、98年レベルに対して18.3%の削減あるいは90年レベルで換算をすると34%の削減という原単位目標を結んでいるという例がございます。
 裏へまいりますと、やはり大部分の業界団体がエネルギーを単位とする原単位目標を選んでおるようでございますが、例えば25番の自動車であるとか27番の製紙であるとかというのも、先ほどご紹介しましたように我が国の紙パルプに関しましては、これはオプション3を選んで1997年比で24%、1990年比で40%の削減、限界目標で削減というものを約束している。それから一方、全部原単位かというと必ずしもそうではなくて、代表的なエネルギー多消費産業であります鉄鋼が38番にございます。ここは絶対値目標を選んでおりまして絶対値で11.5%の削減、こういった目標を結んでおるそうでございます。
 では、こういった約定を結んだときの検査といいますか検証はどうするかというルールでありますが、基本的にはそれぞれの、各社が各社の排出量を算定し、業界で提出すると。それだけ政府の監査員の監査を受けるということですが、この方法ですが、ちょっと日本的な感覚でおもしろくて、2年ごとに期間を区切って、さらにその特定の1年間がマイルストーン期間であると。要するに検査期間が設けられていると。この時点で目標をクリアしていないと、次の2年間は先ほどの80%減の措置が認められないと、優遇措置停止という措置がとられる。こういうやり方をとっているようでございます。
 さらにこれを満たす方法として、もちろん自分のところで削減をする必要があるわけでございますが、さらにほかから入手をしてくるということが排出量取引という格好で認められておりまして、11ページからその制度の概要につきましてご説明をさせていただきます。ここにございます制度はとりあえず2006年までということでEU全体の排出量取引との関係、整合性についておそらくここで調整をする予定ということになっているのだと思いますが、これは2つの参加の方法がありまして、1つは先ほどの横線で項目になっておりますが、その下の方の目標、下の方の横線になります。政府との気候変動協定を結んで排出削減目標を結んだという企業。これについては自分の達成目標の余剰不足の取引ができる。それからもう1つは、インセンティブ資金と書いてございます上の横棒のところでございますが、インセンティブ資金と呼んでおられるようでありますが、これは一種の補助金でございまして、後ろで出てまいりますオークションによりまして、補助金と引き換えに一定の削減を約束するという約定を政府と 結びまして、これも超過達成をしますと、その超過した分を売りに出すことができるという、こういう制度でございます。
 さらに、「なお」と書いてありますように排出削減プロジェクト、補助金はいらないで削減をするから削減した分を売らせてくれという参加の仕方。それから単にブローカーをやるから売り買いの構造だけをつくるというやり方があるのだそうでございますが、下にございますように、今のところ例はないと書いてございます。
 こういった方々について、先ほどの上の横棒の インセンティブ資金と引き換えに削減を約束をしたというグループについては、結局その約束した削減目標量がキャップになりまして、そこから超過達成をすると、その分を売ってよいと。それから業界ごとの協定を結んだ企業については、それぞれのマイルストーン期間、先ほどの監査がされる期間に目標達成している場合には、超過達成分のクレジットを受け取って、これは取引ができるという格好でございます。ただ、ここの一番下にありますように、業界団体との約定で原単位を結んでいるところの方が多くなっておりますので、この原単位のところで余ったところから絶対値へどんどん取引をしますと、絶対値目標の意味がほとんどなくなってしまうということで、絶対値目標を達成したところから原単位目標の方に譲るのはどんどん譲っていけるけれども、逆は制限をするというふうになっています。
 資料の12ページにまいりまして、制度を遵守いたしませんと直接参加のグループについては、その交付された補助金を返せということになる。それから協定参加者については、その次の2年間減免が受けられないというふうなところで。それで状況でございますが、非常におもしろい傾向を見せておりまして、制度運用当初は大体この取引価格が5ポンド、約1,000円程度であったと。最初のうちは、実はご説明をいたしませんでしたが、この超過達成の枠というのは売りに出すこともできますし、自分のところで持っていて繰り越すこともできるという制度だったようでありまして、みんな最初はその様子を見て、かつ自分のところが達成できないと困るので、自分で持っていて売りに出さないということで取引が活発にされないで、5ポンド、1,000円程度であったと。
 これに対しましてだんだん目標達成の時期を確認する時期が近づいてまいりますと、これは当然危ないところが買いに出ますので値段がつり上がって12ポンドほどに上がったと。そういうふうになりましたら今度は出物がいっぱい出てきて、実は大体みんな超過達成をしたようで、今度は値段が下がって2ポンドになってしまったというような、こういった経過をたどったのだそうであります。この取引された排出枠は722万トンのCO2、この一段、段の上で200万トン取引によって削減をするという見込みがありますから、それの数倍のものが動いて、結果削減がなされたという傾向を見せているようでございます。
 このときのオークションという、直接参加をするグループの補助金の配り方についてはこれまた特徴がございまして、オークション方式という方法をとっております。要は最初の予算2億ポンド、約400数十億円用意をいたしまして、いったいあなたの会社はいくらでどれだけの削減を約束してくれるのかというオークションをします。最初の競りのスタート値段をCO2、1トン当たり100ポンド、2万円というくらいからスタートをして、これは非常にきっと割がよい取引なのだと思いますが、希望者がいっぱい出てくる。そうすると当然予算が足りませんので、400億円の予算がちょうど使い切れるところまでだんだん値段を下げていく。トン当たり100ポンドからだんだん値段を下げていくと、ペイをしない事業者は挙げていた手を降ろすという構造になりますので、だんだん買いたいという手を挙げる人が減ってまいりまして、ちょうど予算に足りたところで打ち切るという方法をとりますと、大体奨励金の枠、CO2、1トン当たりの奨励金の額が約1万円。要はこれがこれらの方々の削減コストに似合う水準だということになるのだと思いますが、こういったところで取引が成立をしたというふうに報じられております。
 次に14ページ以降、それでは、こういった制度がどういう経緯で導入をされたのかということにつきまして、これもなかなか示唆に富むものでございますので少しご説明をさせていただきたいと思います。やはり英国の場合におきましては97年に労働党政権ができたというところが、どうも契機になっておりますようでございまして、98年3月に財務省が英国産業連盟の代表でありましたマーシャル卿に経済的手法と産業セクターにおけるエネルギー利用に関する報告書の作成を依頼。同年11月にこのマーシャルレポートというものができてまいりまして、これが現在の英国の温暖化政策の土台となっているものでございます。翌99年に政府予算案に気候変動税が盛り込まれまして、また関税消費税庁、実施にあたる庁でございますが、ここがコンサルテーション・ペーパーという格好で制度の素案を発表して、パブリックコメントを受けるというような格好になり、そして2000年の7月に、どうも当初の案では先ほどの協定を結んでこれを達成した場合の減税率が80%ではなくて50%で提案されているようでございますが、これを80%に修正をして財政法が成立をしたという経緯になっております。
 これを中心とします気候変動プログラムの中で、先ほどの英国の達成目標は12.5%なわけでありますが、これで6,400万トンCO2を削減、90年比8.83%をこのプログラムで作成をすると。残りの部分はおそらくそのエネルギー転換にともなう自然減でいけるというふうなことのようでございます。
 それでは、そのマーシャルレポートの中身でございますが、マーシャルレポートでは以下のような基本的な考え方です。京都議定書は温暖化防止の国際的取組みの端緒に過ぎず、議定書の目標タイムスケジュールを越えた長期の削減対策を設けるべきであると。それから協定・規制と組み合わせた政策パッケージとして経済的手法の導入が効果的であると。それからそれらを踏まえて英国で導入すべき国内排出量取引制度と環境税の素案を提示する。産業の国際競走力を損なわないような形で税を導入すべきというようなのが骨子としまして、16ページにございますような排出量取引、税の基本的な考え方を述べております。
 特に税のところを見ますと、仮に将来国際的な排出量取引制度が導入された場合においても、中小企業等々が直接参加するというのは現実的ではない。これらの企業からの排出量がビジネス部門の約6割を占めている。こういうものに対するには税というのは企業規模に関わらず、全部門の企業においてエネルギー効率改善に寄与する効果がある。税を導入するにあたっては将来の投資に関する事業計画を立てやすくするために税率の引き上げは徐々に、かつ事前に明らかにすべきである。かつ産業の国際競争力を損なわないように配慮して導入すべきである。そしてエネルギー最終消費段階において炭素含有量に応じて課税をすべきである。というようなことが提言をされております。
 これが法案の格好で議会にまいりますと、この辺がちょっと日本の制度と違うようですが、下院の貿易・産業委員会と環境監査委員会と2つ、我が国でいえば経済産業委員会と環境委員会の両方にかかったものというようなことであろうと思いますが、それぞれで審議がなされておりまして、貿易産業委員会ですとエネルギー多消費産業に影響を与えるとか、それからエネルギー費用負担の増大が社会保険料負担の軽減より大きいので特別な措置が必要であると。あるいはそもそも石炭産業を保護する方針とCO2の削減の必要性というところに矛盾があるのではないかというようなこと。それから一方、環境委員会では課税されていることをレシートに明記すべきであるとか、エネルギー集約型産業の競争力への影響について分析・公表すべきであるとか、逆にクリーンエネルギーの電気料金には課税すべきではないとか、エネルギーの効率化のために税収を下げるべきであるとか、というような議論がなされたということです。
 これが今度、下院にかかりまして、これは我が国と違いまして下院そのものでも相当な議論がなされるようでありまして、一方1990年7月20日、311票中162票の賛成といいますから、相当な僅差であったようでありますが、これで可決をされております。この際の議論も反対の方々はエネルギー集約型産業が海外に移転をするとか競争力を下げるとか、あるいは気候変動を防止するといっているけれども単なるエネルギー課税ではないかとか、あるいはすでにエネルギーの効率化に投資をした企業への特典がない。あるいは中間的な方々からも炭素含有量に比例した構造になっていないというのはおかしいとかいうご議論もあったということです。一方では、産業界と継続的な協議があって、国内産業の国際競争力を弱めないようにして導入をされる。あるいは税収の使途は中立的であり、新たに雇用を生み、エネルギー集約型産業を保護できるというようなご主張があったそうであります。
 当時の産業界からの反応でも、例えば化学工業界は当然ながら化学工業というのは装置産業でございまして、労働者は比較的少なくエネルギー消費が大きいのは不利であると。で、6,000人の雇用が脅かされる、あるいは環境規制の緩やかな国へ汚染が輸出される可能性があるといったところで、協定の選択肢をあらゆる産業部門に適用すべきであるとか、気候変動税はエネルギー効率改善に関する協定を取り交わすことのできないような企業だけにかけようとか、それから国民保険料の負担軽減から逆算をして税率を決めるというのはよくないとか、というような主張がございました。
 あるいは鉄鋼業界からは、国際競争力に支障があるとか英国の鉄鋼業界も自分たちはエネルギー効率と生産効率において既に最高水準にあるのではないかとか、国民保険料の控除で得る額よりも気候変動税の方が大幅に上がって、国際競争力の強化にならないといったような、あるいは英国産業連盟といったようなところは、課税は必然的に勝者と敗者ででこぼこがあるけれども、取られる方が大きいという敗者の大部分が製造業であるというような議論がされたようでございます。
 こういった税の効果につきましていくつかの機関が検証をしておりまして、2004年、ことしの4月に英国監査局、会計検査院にあたるような制度であろうかと思いますが、というところが評価をいたしまして温室効果ガスの排出量削減について費用対効果を向上させたと。ただ、制度が導入されなくても一定の削減が可能であったのではないか。かつ先ほど直接取引、補助金を受け取っての削減約束評価達成分を取引に出すという制度について、実はこのIneos社、Invista社、Rhodia社というのは、あとBP社はよくわかりますが、この4社で80%の削減を稼いで補助金の50%を受け取っていると。その削減量の34%、3分の1ぐらいはこの制度がなくても削減されていたのではないか。そのために余分のインセンティブ資金を払っていることになっているのではないかといったような指摘をしています。
 それから2003年に英国環境省、これが自ら協定制度を評価をしまして、これでは結論でございますが、総排出削減量は協定制度のおかげで1,350万トンCO2、政府目標の約3倍にあたります。この協定によりまして税額控除が約3億ポンド、600億円に相当するというレポートがございますが、直接の税収そのものは2001年で6億ポンドあるいは2003年で9億ポンドと見積もられていますから、概ね税収そのものの半分あるいは3分の1ぐらいのがいわば影の税収として効いているということがいえようかと思います。こういったものが英国の制度の概要でございます。
 続きまして、ドイツの制度につきましても同様にご説明をさせていただきたいと存じます。資料2−2の方でございます。同様に資料の4ページに3月の審議会におきましてご説明をいたしました際のグラフを付けてございます。ドイツの場合は、まず既存のエネルギー税、鉱油税と鉱物油の税金というようでございますが、これの値上げとそれから電気税の新設、このグラフからは抜けておりますが、電気に新しく課税をしておりまして電気税の新設、そういういわば税制改正のカバーのようなものをエコ税制と呼んでいるようでございまして、乗っけた税率を炭素トンあたりでみますと、産業用燃料系統、軽油、重油、 LPG、灯油、天然ガスといったところが大体トン当たりの5,000円前後という、これは比較的低い税率をかけて、それで後から出てまいりますが、減免措置で対応をする。
 自動車用の燃料系統、ガソリンと軽油に対しましては、これは炭素1トン当たり3万円前後というような、これは我が国でも非常に強い税制として検討されているような高い税率を乗せるということで、これは主に税率そのものによってこういった燃料の消費削減を図るという、こういう政策意図がうかがえる制度であります。
 ドイツの場合は排出量が大体10億トンぐらいでございまして、これも大体日本と国の大きさ、経済の大きさを比べて日本の7割ぐらいの国でありますからそのくらいであります。それに対しまして、京都議定書上の目標といたしましたものが21%削減がかかっている。こういった国でございます。
 この制度の概要でございますが、5ページのところに概要がございます。多少3月の会のおさらいになりますが、この辺からご説明を始めさせていただきたいと思いますが、基本的には下流の課税、要は電気税の場合は電気供給業者から最終消費者に買い取られる。これはどこの国でも電力会社を供給業者にすれば簡単にできます。それから鉱油税につきましては、基本的には消費の際に成立するという課税でありますが、鉱物油供給会社、これがちょっとどのくらい会社があって、どういう流通体制がとられているのかがちょっとわかりません。ある程度大きな石油会社ということであれば、むしろわりあい上の方でまとめて取っているということもいえようかと思います。
 こういったものに対しまして、農林水産業への優遇、エネルギー転換部分への優遇、例えば再生可能エネルギー、風力等々からつくったものは免除であるとかいうようなこと。そして産業分野でありますが、製造業。これはよくみますといエネルギー多消費分野、素材産業のことのようでございますが、こういったものと農林業に対しては税額を60%に下げる。それからここも税収の大部分を社会保険料の負担分引き下げに、当然これもエネルギー主役型産業では払う税が多くて、労働者の数が総体的に少ないので恩恵が少ない。逆に労働集約型の産業ですとエネルギーはそれほど使っていなくて、労働者がいっぱいいますから戻ってくる部分が多いという構造になりますが、税の負担増が社会保険料の減額で戻ってくるより多くなってしまった場合には、要は上回った部分の95%オフということで、この部分の負担の軽減をしておるといったような形をとっております。
 そういたしますと税収額、これが6ページの税収額でございますが、2兆5,000億円。2003年から2004年の見込みで出ておりますが、日本の人口と経済からみて大体半分ぐらいの大きさの経済のところから、仮に当専門委員会でご報告と提言をいただいた我が国の専門委員会報告の案ですと、年当たり9,500億円というぐらいの案でございますから、半分の経済のところから倍の税額を上げているということで4倍ぐらいの負担、税の強さがあると。こういった制度でして、産業部門を今申しましたように相当程度減額をした上で、このくらいの税額を上げているということで、これは自動車用燃料に相当きびしい税であるということがいえようかと思います。で、この税収の90%を年金保険料の負担軽減に当てている。これによってほぼ税収中立に近い。そして残り10%で建物の改築であるとか、おそらく旧型の暖房システムの改善と廃止に当てているということであります。
 これといわば引き換えというか対というかの格好でドイツ政府と産業界との協定が結ばれておりまして、温室効果ガスを2012年までに35%削減する。CO2ベースで28%削減をする。これの検証のためにライン=ヴェストファーレン経済研究所というところが検証をしています。本協定を遵守する限りにおいて政府はこれ以上、一方的に環境税制を変更することはしないと。税制の強化はしないという意味であろうと思いますが、こういった約定を結んでおりまして、こういった方法も一つの考え方であるのかというふうに考えられます。
 こういったものができてまいりました経緯でございますが、ドイツにおきましても1994年ごろから研究がされていたとかいう資料がございますけれども、コール政権は環境税をやらないと約束をしたといっておったところが、1998年に政権交代が起きまして社会民主党、緑の党の連立政権ができたというところから、動きが活発化してまいったようでありまして、社民党、緑の党はそれぞれ暖房用の石油、ガス、電力消費の課税をするが、エネルギー関連の企業には配慮をする。それから一方、緑の党は炭素を課税標準にする税を導入して、エネルギー関連の企業へにもそれなりの税率を課すという主張をしておったようでございます。これが98年に連立政権の統一見解の合意というものができまして、電気税の導入、ガソリン税の引き上げを骨子とし、一方で社会保険料の雇用者負担率、これは何の割合かといいますと、我が国では社会保険料は労働者側、使用者側折半でございますが、どうもドイツでは42.3%を雇用者側が負担しておったものを40%まで、要するに全体の負担割合ということのようですが、これを42.3%負担しておったものを40%以下に下げて、その差額分は国が出すと。そういった格好に進む。
 それに対してエネルギー集約型産業と石炭産業には優遇措置を講ずる。それから再生可能エネルギーの買取等をふやしていく。こういった政策パッケージの政策合意をしたというふうに報じられております。
 8ページにまいりまして、これに対しまして自動車工業連盟は鉱油税を増税しますと自動車業界の景気と雇用に打撃を与える。あるいはエネルギー集約型の経済団体は即、雇用に影響を与える。一方、環境保護団体等々は石炭が非課税であるとか微々たる増税ではエネルギー節約にならないというような批判をした。
 これにつきまして98年の連立政権内の合意ということで製造業、これもどうもエネルギー多消費型、何か二十七業種とかいう資料がありますが、エネルギー多消費型の製造業には税率を軽減あるいは特にエネルギー集約型のところには免除、あるいは11月13日の連立政権の合意では1,000マルク相当以上の電気を消費する製造業では電気税を75%減であるとか、生産コストの6.4%、これは我が国の例で見ますと非常に高い部類であろうと思いますが、エネルギーで占められる企業は電気税を免除というようなこことが示されたわけでございます。
 こういった格好で法案が提出をされたわけでございますが、実際に提出された法案は9ページの(3)というところでございまして、素材産業を中心としましてエネルギー多消費産業については、鉱油税の値上げ分は免税、電気税は75%、それから生産コストの6.4%以上をエネルギーに配分している企業の電気税は免除。実質的に産業部門の約3分の1ぐらいが免税されるというような内容でございます。
 これに対しまして例えば野党でありますキリスト教民主同盟は、その産業に対する例外規定では足りないと。あるいはEU全体で導入されるまで工業全体について免除せよとか、あるいはバス・鉄道会社はエネルギーコストが高い自分のところへかかってくるのは適当ではないと。交通相は、いや、負担をすべきであると。それから農業連盟は農業も免除されるべきだと主張したというような議論がありました。
 それで資料によりますと、99年の1月に連邦議会の財務委員会の公聴会というのがありまして、ここで実は急にこの案の改正が浮上したと。この※印のところでございますが、、鉱油税を免税するといっておった製造業、エネルギー多消費の製造部門に、いやいや、やっぱり免税はひどいから80%オフで20%かける。それから一方、今まで免除されていなかった企業にも一部負担を軽減するという案が突然浮上し、この下の[3]というところでこういったところは20%の課税、ただし年金費用が減額されて返ってくる分の差し引きで1.2倍以上の損というところになった場合には、このときの案は1.2倍以上の損になったらそこで頭打ちという制度が提案されて成立をしています。この後、鉄道が恩恵を受けられるとか、それから農業も同じ恩恵が受けられるというような修正がされまして、[5]でございますが、99年3月に、これも332票賛成、299票反対でなかなかこれも僅差であったようでありますが、可決をいたしております。
 実は、これに対しまして、ただやっぱり与党のキリスト教民主同盟は意味のない例外規定があって管理費は高いし、つまらん制度だという批判、産業界は反対である。それから国民も
実は62%が反対であったということで、特にその制度の直前に急旋回をしたこともあって、かなりいろいろな批判が起こってきた。さらに2002年に実は現行制度への改正がされておりまして、エネルギー多消費の素材型製造業、農林事業者、それから農林業等々に適用されていた割引税率80%オフだったものが40%オフに引き上げられた。で、一方で先ほどの社会保険料の減額で戻ってくる分は、前は1.2倍のところで頭打ちという制度だったものが、ちょっとでも上回れば95%オフという格好で激変緩和みたいになだらかに少しずつ負担が増えるというような格好に改正をされた。という格好になって現在に至っているということのようでございます。
 この中で知られておりますのは2003年の10月に環境税の税制改革をいたしまして、道路運送の業界団体、我が国のトラック協会にあたるようなものでございましょうが、というところとそれから冷凍倉庫業者が違憲であるという憲法裁判所へ提訴をしたわけであります。提訴した団体は、トラック業界については、ヨーロッパは国境を接していますので、これだけ燃料費がかかると、おそらくよそで燃料を積んでくるであろうから外国の運送業者との競争に負けてシェアを失っていく。それから冷凍倉庫会社は自分のところが軽減措置がないという主張をしたそうでございますが、これは結局、憲法違反ということでの訴えについては棄却をされた。電気税、鉱油税の値上げは「職業の自由」、「所有の保証」にも抵触をしないと。それから優遇措置については、これは法制定者の決断の範囲であるということであるという判決であったようでございます。

 これも事後の評価がいくつかなされておりまして、ドイツ経済研究所が産業連関モデルとマクロ経済モデル、一般均衡モデル、それぞれ分析しまして、両モデルとも二、三パーセントの排出削減、約2,000万トンから2,500万トンの削減がこの税のおかげでされた。ただし、この税だけでは目標の達成は保証できない。そして、ただしこういったものを通じた高効率の発電技術等々によってもう少しいける可能性がある。それから経済成長への影響は軽微であると。PANTA RHEIモデルの産業連関モデルの方は、最初やや減少を示し、あるいは一般均衡モデルでは最初やや増加するという傾向を示すが、いずれにせよその影響の幅はわずかという分析がなされております。
 それからこの税については世帯収入に対して若干の影響があると。やや低所得者層についてはいくぶん負担が重い。あるいは中所得世帯では絶対額とては多くの負担になる。さらに包括的な税制改正の一部分であることに留意する必要があるというような分析がされているところでございます。
 ちなみに、これも3月の会での説明でございますが、では、2,500万トンぐらいがこれで削減をされたということにして、残りどうなっているかというと、実は東西ドイツの統合であらかた稼いでしまっているのではないかという主張がされることもあるわけでございますが、これは3月のおさらいでございますが、概ね6%ぐらいの削減、これが東西ドイツ統合の影響であろうということで、これまでの15%の削減のうち約6割ぐらいは、つまり9%ぐらいの削減はその他の施策の影響でありまして、そのうちの二、三パーセントぐらいは税で稼いでいると。こういったような分析がなされているそうでございます。
 以上、両国におきますポリシーミックスにつきましてのご説明でございます。

○森嶌部会長 かなり複雑なことを簡明にご説明いただいたのですけれども、時間はかなり長大にわたりました。あまり時間ございませんけれども、ご質問等ございましょうか。

○小林委員 すみません、何点か質問させていただきたいのですけれども。イギリスの方なんですが、4点ございまして、1点目は、これ重量課税ということになっているんですが、具体的な徴税方式についてはどうなっているのか。要するにそれによる作業が膨大なのかどうかという問題が1点目。
 それから2点目は、協定の方なんですが、業界団体とそれから個別企業というふうにあるんですが、この業界団体のシェア率、企業に対するシェア率ですね、これがどの程度なのか。100%なのかどうかということ。それから協定関係の2つ目は、オプション2の場合に、業界団体と政府、それから政府と個別企業という2段協定と書いてあるのですが、これについては先ほどのシェア率との関係で団体に入っていない企業と政府の個別協定というのがあったのかどうか。それが協定の2つ目です。
 それから3つ目は、業界団体ごとの協定一覧があるんですが、この中のオプション1、いわゆる政府と業界団体のみの協定というのがないんですね。これはなぜなかったのかという点です。これがイギリス側の4つです。
 それからドイツ側について同じような協定の部分なんですが、ドイツ政府と産業界との協定があるんですが、この協定の中で経済団体がいわゆる削減に対する責任を持てる団体としての体制を持っておられるのかどうか。この1点でございます。
 以上です。

○佐野環境経済課長 お答えできる範囲でございますが、まず具体的な徴税方法でございますけれども、英国の場合は、これは基本的には大口の消費者だけの課税でございますので、英国の資料の5ページでございますが、ここにございますように家庭部門の少量のエネルギー消費は課税対象外、これはいわゆる我が国でいう業務部門のようなもの、ホテルでありますとか商店でありますとか、この中にもスーパーマーケットなどとありますが、こういったものにはかかっていますが、一般家庭にはかかっていない。それから一般家庭以外でも足切りがあって、少量の電力使用にはかかっていないという構造がありますので、納税主体の数がだいぶ少ないということがありまして、これはおそらく個々の企業が、当然協定に参加していれば業界が束ねるわけでございますが、我が国でいえばその申告・納付であるという格好をとっているものと思われます。
 それで業界と個別企業との関係でありますが、おそらく業界が約定を結んだら業界団体に入っていない同業種の会社まで恩恵をこうむるということには多分なっていないのではないかと思いますけれども。一方で、この中でいったいシェアがここの44業種で、例えば排出量なりGDPなりのシェアがどのくらいであるのかということについては申しわけございません、資料がございません。
 それからオプション2の先ほどの団体に入っていない会社はというのは、おそらく申しましたように業界団体に入っていないけれども同業であるという理由で自動的に恩恵が及ぶということには、多分なっていなくて。もしそういうところは、もう一つの削減に対して手を挙げて補助金をもらって、削減量を取引に出すという方法を選ぶ。税負担を軽減するためにはですね、補助をもらうという方法であろうかと思います。
 それからオプション1がなぜないのかということも、これも文章になった資料は申しわけございませんが、ございません。おそらくこれですと自分の企業がちゃんとやっていれば減税が受けられるという道がなくなるわけでございますので、これはまったくの想像でございますが、それは自分の企業だけ助かるという道がないというのは、やっぱりおもしろくないということであろうかと思います。
 それから、ドイツの方の例でございますが、ちょっともし実際に調査をやった担当の者があれば情報持っていれば報告をしてもらいたいと思いますが、資料の限りではこの団体がどのくらいの、一つはどのくらいの経済量あるいは排出量をカバーしていて、どのくらいのグリップをしているのかということについては資料がございません。何かわかることありますか。

○森嶌部会長 どなたか……。

○佐野環境経済課長 すみません、これ以上の情報を持っている者がいないようでございます。

○森嶌部会長 本まで出された方もおられますけれども、何か今のことでどうですか。

○佐野環境経済課長 すみません、これ以上、情報を持っている者いないようでございます。

○森嶌部会長 それではご質問ということで。今回はご質問に限ります。

○天野委員 今の点に関してです。納税義務者というのがあると思うんですけれども、こちらの方は施設ごと特定されているということですから、かなり少ないし、負担されているところもされている、そういう施設だろうと思います。それからこれは私の考えですが、オプション1がないというのは、一つの業界団体が協定した場合、もし業界全体ではずれたら全部の企業が免税の機会を失ってしまうわけですね。これはある意味では個々の企業にとっては非常に具合の悪いことですから、そういうことに業界全体が賛成するはずがないと私は思います。うまくいっている場合は、うまくいかない企業も免税の対象になりますけれども、業界全体としてはずれたときに、大きな問題が起こるというので、これは私は外れるのが普通じゃないかと思います。

○森嶌部会長 どうもありがとうございました。

○速水委員 英国の部分の排出量の取引の中で、これはCO2に換算して取引されているのですが、それぞれ目標がエネルギーの原単位であったり目標少し違いますよね、それぞれ。その辺がどういう換算になっているのかちょっとわからないのと。もう1つは、排出量で、私ども森林の方で吸収の方なのですが、ここの中に何らかの吸収の部分の取引は入っていないのでしょうね。

○佐野環境経済課長 1点目でございますが、たしかに原単位のところは何らかの操作を行なってCO2の量に置き換えるというプロセスが行われていると。ただし、そこをあまりいい加減にやると、結局その原単位ですと量自体を決めていませんので、原単位の方から、原単位組から絶対値組へどんどん移転をさせると全然実効が上がらないということで、そこで制限をして穴にならないようにしているということであろうと思います。それからおそらく吸収源に対してはこの仕組みの中には入っておりませんで、そもそも英国の場合、森林の比率もあまり大きくなくて、おそらく吸収源をあてにしている量自体がほとんどないということであったかと思います。

○森嶌部会長 それからシンクの点はさっきうなずいたので入っていませんというお答えですね。

○佐野環境経済課長 はい、ただ英国は吸収源で0.3%を稼いでいいということにしかなっていませんので。

○森嶌部会長 では、佐和委員。

○佐和委員 印象として2つ申し上げるだけなんですけれども、1つは、やはりイギリスにせよドイツにせよ、結局、議会で十分な議論をしてですね、そして賛否両論を戦わしてそこで決めているということですね。これまさしく、いわゆる普通の民主主義なんです。ところが日本はまさしくハーバーマスがいう大食主義でありまして、仮に選ばれたこともないような審議会みたいなところでですね、選挙で選ばれていないこういう委員が勝手に議論して、このことを決めようとしている。この委員会がいったいどれだけの力があるかどうかは別にして、形式的には審議会なるものは、だれも選挙で選ばれていない委員から構成される審議会と、各省が政策を決定すると、そして議会はそれを事実上、内容にほとんど立ち入ることなく、場合によっては強行採決をして決めてしまうという、これは単なる大衆民主主義であって、いわゆる理念型の民主主義でないということを痛感いたしました。それが1つです。
 それからもう1つは、反対派の人たちの意見というのを見てもGDPの経済成長率が低下するなどという議論はまったく出てきていないわけですね。つまり、GDPなどというのは、実はこれはつくられた数字であって、目に見えるものでも何でもないわけですね。ですから問題はルーザーインザストリーと、つまり損をする産業がいい。例えば国際競争力にさらされる企業がが非常に不利益、ダメージをこうむるのではないかと。そういう議論はあって当然なんですね、あるいは雇用が失われる。雇用というのは目に見えるものですよね。ですから、そういうレベルの、雇用に対してどうなのかとか、それからどういう産業がダメージをこうむるのか。それは不公平ではないかという、そういう観点での議論がなされているというのは極めて健全であって、日本のように景気に水を指すとか、あるいはGDPの成長率の0.何パーセント低下させるからよくないとか、そういうふうに繰り返しになりますけれども、要するにGDPというのは、あくまで人間が勝手につくりあげた一つの物差しなんですね。それが低下するとかしないとかいうようなことで議論するのはやはり、ですから日本でなかなかこの議論が煮詰まらないのも、まさに民主主義のあり方の問題。それからどうも焦点がGDPでわけのわからないものを絶えず、それが表に出てくるというところにあるのではないかなという印象を持ちました。
 以上です。

○森嶌部会長 ありがとうございました。大事な点について申しますと、どういう対象の認識かどかは別として、きちっとした議論を、しかもこういう公開の席で、どっかでしっかりやっておかなければならないということなんですね。しかもこれはあとで申しますけれども、今後の審議のところで申します。
 実は権限がある、ないはともかくとして、きっちりした審議はまだなされていないというところに問題があるので、私はこの委員会で問題をきっちり出して審議をしっかり、どこに問題があって、どういうことをやるのかと。ここで今日出てきたようなイギリスやドイツで出てきているような問題を、やっぱり我々としてはしっかり議論しておくべきではないかと。ただ、国際競争力がなくなるからだめであるとか、あるいは環境税は入れるべきだから環境税入れろとかですね。総論だけやっておりまして、具体的な議論はしていない。今までのところはその総論で賛成とか反対とかいう話を今まで聞いてきて、これから議論をしようというところですから、私はあと最後に申しますけれども、これからきちっとこういう問題について議論をしていこうということを皆さんにお話を。その上で、あと我々はどっちにしても決定権はありません。審議をする権限は多分私はあるのだろうと思いますけれども、それを国の政策として決定するかどうかということについて我々はありません。
 しかし、その審議をした結果を省がどういうふうに、環境省はどう受けとめ、どういうふうにお使いになるか。あるいはそれを国会でどう審議されるかというのは、これはそれぞれの省の権限であり責任であり、国会の責任だというふうに思っております。それに対してきちっとした情報を提供するのが、我々の責任だというふうに考えております。

○佐和委員 別に反論するわけではないですけれども、ただ、以前から言っていますように、だからこそ、私がさっき言ったことの延長をもっと具体的にいうわけですよね。例えば鉄鋼連盟とか電気事業連合会がここに来て、いったいどれだけダメージがおよぶのかと。そういうことをはっきり言ってもらわないとですね、経済団体連合会が出てきて、経済成長率が低下するとか、炭素税、環境税は有効でないとかいうことだけを一般的に言ってもらったのでは仕方がないということです。

○森嶌部会長 我々としては別に経団連とか何とかだけ言っているのではなくて、我々としてきちっとした議論を、この委員会としてやっていかなければいけないということを申し上げているのです。

○佐和委員 ですから、その材料がなさ過ぎるということです。あまりにも。

○森嶌部会長 事務局に対しても資料をきちっと用意するように指示をいたしましたし、それと同時に関係団体あるいはこれはNPOも含めてですね、持っておられる資料を事務局に対して提出していただきたいという協力を要請するつもりであります。これは最後に申し上げます。今後の議事の進め方についてお話をするときに申し上げます。
 大塚委員。

○大塚委員 細かい点を含めて4点ほど。ちょっと質問ではなくて申しわけないのですが、今の佐和先生がおっしゃったこととの関係で申し上げますと、例えばイギリスだとよくいわれることですけれども、マーシャル卿という先ほどご説明にもあった人が非常に社会的な権威を持っていて、この人は産業界の人なんですけれども、この人がリードをしてこういうパッケージの制度をつくったということがございますので。ただ、それはイギリスではそうだったということで、そういうことになれば非常に大変結構なことだと思いますが、日本でそれは今できない状況なので、どうするかという問題なんだろうと、私自身は思っております。
 それからやや細かい点ですけれども、先ほどご質問があった点でいくつか、私が知っている限り少し申し上げておきますが、小林委員からあったドイツの協定について業界団体が責任を負う体制があるかということですけれども、これはあくまで自主的な協定ですのでそういう体制には必ずしもなっていないということだと思います。ですから、各業界で頑張るということだと思います。ドイツについては、これは25団体が確か2001年の協定には入ったと思いますので、相当のシェアだと思いますけれども、ちょっとシェアが何パーセントか私はわかりませんが、そういう状況だと思います。
 それから小林委員がご質問になっていた点で、もう1つイギリスについて税を下流でとっているようだけれども、どうしてうまくいくのかというお話ですが、先ほどお答が事務局の方からあったように、あまり小さいところは確かに入っていないのですけれども、ただ、エネルギーの供給業者が、例えば燃料の供給業者等が証明書をとってそれを動かすことによってどのくらいの販売があったかということを確認できるようにしているようでございまして、そういう証明書を移転するというような方法でどれだけの量がだれに売られたかということがわかるようになっているということでございました。

○天野委員 私の記憶ではですね、スタート時点でそういうオプションがあったのでそれを取り入れなければいけないという問題があって、しかし大量に集中してしまっては困るので、かなり原単位方式の取引が規制されているという点はあります。これは確か年限が切られていて、将来は廃止するという形をとっていると思います。
 それから私も質問というよりもコメントですが、英国、ドイツそれぞれ我々がこれから検討する際の参考にすべきというか学ぶという点がいくつかあると思います。1つは気候変動協定ですが、これは例えば現在検討されております温暖化対策税を採用したときに国際競争力に非常に大きな影響があるところをどういうふうに扱うかという話が当然出てきますので、その1つのやり方としてそういう政府との協定によってきちっと削減目標が設定できる場合には温暖化対策税を減税なり免除なりするという仕組みをつくるという問題は1つあります。
 もう1つは、温暖化対策税は低い税率で税収を上げて、それよりかなり高い率のインセンティブが生まれるように使おうということですので、排出削減補助金をどういうふうに配るかということがあるんですけれども、まさに今ご説明のありましたイギリスのリバースオークションですけれども、政府が排出削減機会を買い上げる。買上げ型のオークションなので、たくさんの参加者を得ようとしますと、高い価格から始めることになります。一たん最初に入っておきませんと、途中から参加できませんので、高い価格を設定して削減補助金のオークションを始め、だんだん価格を下げていって、一番低い削減費用で削減できる応募者に補助金をあげると、こういう仕組みですので、この温暖化対策税での配り方、について参考になるのではないかと思います。ただし、評価のところで本来何もしなくても削減できるはずのところに補助金が出てしまっていると、そういう問題の指摘があります。これは実は英国がオークションを設定する場合に、参加のときにベースラインを申告させているわけです。このベースラインというのは本来慎重に検討して、あるベースラインからどれだけ削減するかということを調べるべきなのですけれども、過去3年間の平均ということで非常に単純なやり方をしておりますので、例えば生産量が将来下がりそうなところは、過去3年間をベースラインにしますと何もしなくても補助金がもらえるということがありますので、我々がもし何か参考にするのであれば、このベースラインの設定のところをきちっとやるというふうにすれば、こういう問題は起こらないと思います。しかしこれはいつもいわれることですけれども、このベースラインの設定というのは、きちっとやればやるほど行政費用がかかるということで、その行政費用を節約するために非常に単純な設定の仕方をしたというふうに理解しますので、この辺は兼ね合いで考えればいいことではないかというふうに思います。
 それからドイツの場合ですけれども、先ほどの説明でわかりますように補助金を一律に適用しないでいろんな格差を設けて、それによって環境効果を誘発するというのを随所に設けております。ここでは温暖化の話ですからエネルギー関係あるいは炭素関係の税についての問題なんですけれども、税制をかなり包括的に導入しますので例えば硫黄分の多い少ないによって税率を変える。そういうことも一緒に入っていまして導入をしている点が、私は大変参考になって、今ではそういう形の税率格差というのを使う際に参考になるのではないか。これが1つです。
 もう1つは、これは英国とも共通しておりますけれども、産業界と政府との協定とかあるいはコミュニケーションが非常に緊密に行なわれているという点があると思います。ドイツの場合は再生可能エネルギーであるとか交通であるとか電力会社であるとか、あるいはエネルギー集約産業であるとか、そういうたくさんの違った業界と、もちろんBDIというドイツ産業連盟とも交渉しますけれども、そういった個々の業界とのコミュニケーションが非常によくできているというふうに思います。
 もちろん、資料の7ページにありますけれども1995年、だいぶ前になりますけれども、政府とドイツ産業連盟との自主取り決め等が協定の形でスタートしているんですね。これは私の記憶が正しければこの政府の合意が成立した翌年に日本経団連の自主取組みが始まったのですね。このときにドイツ産業連盟をお招きして日独で同じような仕組みができたという発表をされました。日本の場合には政府の合意がまったくない産業界だけの取組みでしたが、他方ドイツではちゃんと政府の合意を得て産業連盟の取組みがちゃんと評価できればきびしい規制は導入しないという政府との合意がついた、そういう取組みだったという点で日本とは違うのですね。そういうのはドイツ産業連盟だけではなくて、いろんな業界とコミュニケーションをしながらこういう制度をつくり上げていっている。例えば英国はドイツほどではありませんけれども、似たところがあるという点は私は多いに参考にすべきだと思います。

○森嶌部会長 まだおありかとも思いますけれども、だいぶ時間も押しておりますので、特にということでなければ次の議題に。あっ、ごめんなさい。失礼しました。

○永里委員 佐和先生のご指摘の点ですね、産業界としてちょっと反省しなければいけないです。例えば今回の資料でもイギリスの例で18ページに化学業界とか鉄鋼業界ですね、こういうのがイギリスで反対しております。それから19ページで産業連盟とありますし、ドイツの方でも8ページ以降、自動車工業連盟とかいろいろとそのほかドイツ商工会等反対出ております。こういうことについて、この場で今までそういう説明をしていなかったという点において私は非常に反省したいと思います。というのは、我々中にいる人間は例えば電気業界、鉄鋼業界、化学業界とかそういう人たちが各々反対表明をして、ペーパーにしております。ですが、どうも今の話でそれは経済産業省の方にいろいろと出しているようであって、こちらの方に出していないと思われますので。いや、これは私もちょっと正確に調べたわけではございませんが、我々はその資料を見ておりますので、そういう点ではちょっと反省しなければいけないなというふうに思っております。
 以上でございます。

○森嶌部会長 私の方からも申しますと、一般論として例えば鉄鋼業界が、例えば鉄鋼なら鉄鋼が鉄鋼についてこういう環境税が入るとこれだけの国際競争力に影響を及ぼす。あるいは電力、電力も国際競争力があるのですけれども、電力がこういうふうに負担がかかると、化学業界も、それぞれあるわけなんですけれども、一般的に国際競争力に影響を及ぼすから環境税に端的に反対だというと、非常に外側から見ていますと違和感があるんですね。自分たちの問題と一般論が結びつくものですから、そこで何か反対の論理がきっちりしていないという感じがしますので、私はあとで申しますけれども、もう少し、私は産業界が反対だというのは十分わかりますし、その論拠もある部分ではきちっとあると思うのですけれども。それで佐和さんおっしゃるのは、それならそれでちゃんと出してごらんなさいというのもそういうところだと思うんですが、外から見えないで一般に国際競争力がなくなるから、だから環境税一般に全部反対だというふうにおっしゃるものですから、それは論理がわからないということになるのだろうというふうに思いますので、ぜひ、そういうデータがおありでしたら、この業界はこういう観点から、こういう論理で賛成できないということを出していただけるとわかるというふうに思います。どうぞ。

○事務局 先ほどの小林委員からのご指摘のところ1点だけ補足をさせていただきたいと思うんですけれども。小林委員のご指摘は英国の業界団体の組織率、それがいったいどのくらいなのかと。そのご指摘の背景はおそらく組織率が低いような業界団体とそれから政府の間で協定を結んだ場合に、メンバーではないほかの業者の方々の取扱いをどうするのかということであったかと思います。手元の資料を今見ておったのですが、そこを見ますと英国政府の方針として業界団体と交渉はしますが、その業界団体と交渉をするにあたって、その業界の団体の構成員以外のメンバー、その人たちも含んだ協定を結ぼうとする業界団体としか交渉しないと。こういった方針をとっておるようでございまして、したがいまして業界団体の構成メンバーであるか構成メンバーでないか。これによって不利益が生じないように措置がされているようでございます。
 以上でございます。

○森嶌部会長 契約社会ですから必ず外側の人にもですね、普通は業界の中に入っていなくてもその政府と協定を結ぶときは必ずその人たちもその協定に関しては、契約上入ってくるようなそういう交渉の仕方をしているのではないか。私もその話を聞いていますので、これは業界団体がポンと代表が出るのではなくて、かなりシリアスな交渉をやったみたいですよ。
 まだございますか。はい、どうぞ。

○水野委員 今、森嶌先生おっしゃいました契約の、契約社会といわれましたが、租税の場合にはこれはあくまでも法律の世界ですので、イギリス、ドイツのいわゆる業界との協定が合意というのがどういうものだというのはわからないのですけれども、いずれにしましても 合意をして負担を軽減すると。これは単なる契約なり合意だけではできないので、それに基づいて施行令なり政令なり省令の施行ということがあってやらなければならないわけですね。

○森嶌部会長 向こうもそうだと思うのです。

○水野委員 ですから、おそらくこれに基づいた上でそういう形でこういった団体にはそういうような形でなされると思うのですけれども。

○森嶌部会長 それはそうです。

○水野委員 それで、またちょっとはずれて恐縮なんですけれども、先ほどのイギリスでしたでしょうか、いわゆる現行の税制の仕組みを変えるという方向で行なったということだったのですが、我が国の場合はありていに申しまして、いわゆる減税が今行なわれていますけれども、それをストップすることは非常にむずかしい状況であって、そういう状況を踏まえた上で新税を取り入れるというのは非常に困難というか不可能な話に思われるわけですね。そうしますと、現行のエネルギー税制を、それをやはり何とか変えていくということになる可能性が高いと思うのですが、今度はそうなったときに経済面でよその省が握っているという問題がありまして、非常に先行きいろいろむずかしい面があります。ただ、少なくとも議論をするということは有益でありますし、またいろいろ反対が出たときにデータを示すなりできますので。

○森嶌部会長 ありがとうございました。それではまだおありかと思いますけれども、だいぶ押しに押しておりますので次の議題にいきまして、なお時間が、仮に余ることがあればまた戻るということにいたします。
 それでは、議題の2を事務局の方から説明を。

○清水温対課長 地球温暖化対策課長の清水です。よろしくお願いします。それでは資料3に基づきまして地球温暖化対策推進本部、5月18日に開催されましたが、そのご報告をしたいと思います。
 資料3の表にありますように5つほど議題がございまして、1つは温室効果ガスの排出量の報告、これはインベントリーといわれるものでございます。それから毎年、地球温暖化推進大綱の進捗状況についての点検を行うというふうになっておりますので、その点検結果の報告を行いました。それから第3番目、これは地球温暖化対策推進本部と申しますよりは同時に開催されております地球環境保全に関する関係閣僚会議の決定事項ということになりますが、地球環境保全調査研究等推進計画の決定を行い、それから4番目でその実施状況を報告し、最後に、京都メカニズムの個別プロジェクトの承認結果について報告したということになっております。
 それでは1枚ページをめくっていただきまして資料3の1というふうに書いてございます。これが2002年度の温室効果ガス排出量についての報告でございます。ここの資料にございますように、まず2002年度の温室効果ガスの総排出量でありますが13億3,100万トンということになっております。これは前年度の総排出量、これが13億トン余りでありますが、これと比べまして約2.2%増加ということであります。後ほど申し上げますが、これは原子力発電所の停止の影響が非常に大きいということがございます。それから京都議定書の規定によります基準年、これは原則1990年を基準にしておりますが、その総排出量が12億3,700万トンぐらいになるわけでありますけれども、これと比べますと2002年度におきまして7.6%上回るという、そういう状況でございます。ですから京都議定書の目標がマイナス6%ということを考えますと、13%程度のギャップがあり、これを対策で埋めていかなければならないということになってございます。
 特にこの資料におきましては、総排出量のうち9割以上を二酸化炭素が占めますので、その二酸化炭素の排出につきまして部門別にここに挙げております。この部門は産業、運輸、業務その他、家庭というような4分野で分けておりますが、それぞれ1990年度と比べまして、今どれぐらい増減があるかということであります。産業部門はマイナス1.7%、運輸が20.4%、業務がプラス36.7%、家庭部門は28.8%という形で、運輸、業務、家庭ということになっていると思います。従来この業務、それから家庭を含めて民生といっておりましたけれども、この民生の中にはオフィスとかデパートとかスーパーとかそういういわゆる業務系、企業系のものが入っておりまして、これを業務その他部門となっております。今、一番伸びているというようなこともありまして、対策の必要があると。そんな状況であります。
 1枚めくっていただきまして2002年度の温室効果ガスの排出量ということでございます。この表1が各温室効果ガス別の排出量の推移ということであります。ここに書かれておりますように6つの種類のガスがいわゆる京都議定書の対象になっておりまして、それぞれGWPというふうなことで書いてありますように、二酸化炭素に換算する場合はポテンシャルをかけてやっております。例えばハイドロフルオロカーボンとかいわゆる代替フロン類は、1トンを排出してそれが換算するときは1,300倍とか何倍とかそのような形になっておりますが、基準年で見ますと、上の方の3つのガスが1990年、下の方の3つのガスが1995年を基準としておりますので、先ほど申し上げましたように基準年の排出量が12億3,700万トンとなります。
 以下の各個別のガスの排出量については時間の関係上省略したいと思います。ただ、前年との比較におきまして資料3の参考ということで別紙を付けておりますので、そちらの方をちょっとごらんいただければと思います。特に2002年どの排出量が前年である2001年度の排出量から比べまして増減をしております。その排出量増減の要因についてという形で資料3参考という形の資料になっております。
 1つは、まずエネルギー起源CO2ということで見るわけでありますけれども、一番最初に書いてありますのが電気事業者の発電分から直接排出量というところでありますが、これは前年度に比べて2,820万トンというような形で2%以上の増となっております。ここに2つ要因が書いてありますが、原子力発電所が実は東京電力の報告問題などを引き起こしまして、2002年度の後半におきましてかなり停止しております。この原子力発電所の運転停止にともないまして火力発電所で発電量を担っておりますので、その分が8.2%ふえていると。それから電力の需要量も2.1%伸びているというようなことから、発電にともなう排出、これが2,800万トンと。
 それから産業部門につきましては、前年から1,600万トンの増加と。この産業部門以下は間接排出で出ておりまして、電力の使用にともなう部分もそういう形で出ておりますが、電力の排出で単位が増加したことというのが大変大きなことですし、もう1つは生産活動の上昇ということがあります。
 それから運輸部門で見ますと、自家用車のエネルギー消費効率などがかなり減少しています。それから貨物の走行量の減少、貨物部門からの排出量も減少しているということを合せまして、520万トンほど減少しています。
 それから業務その他部門につきましては、業務の床面積があいかわらずふえており、電力の原単位の増加で830万トンほど増加しています。
 それから家庭部門からの排出ですが、1つは家庭部門の特殊要因としまして冷暖房需要ということで前年に比べて灯油の消費が高くなりまして、それから電力の原単位、それから世帯数の増加、これを合せてちょっとページをめくっていただきまして3ページ目に、各エネルギー起源二酸化炭素の排出増減の要因分析をしております。今申し上げたこととほとんど同じなんですが、例えば一番左側の産業部門のところを見ますと、産業部門の増減の要因は、一番左側のグラフがCO2排出原単位要因というふうにございますが、これがエネルギーの1単位を使ったときのCO2排出量、つまり電力などにおきまして原発が停止になったときに排出熱が悪化しているというような要因で。エネルギー消費原単位というのはエネルギー効率が進んだということで調べております。それから産業構造要因ということがありまして、これは産業構造自体が変わっていくことによってということです。それから生産指数要因というのは生産量がふえたというような形です。こういう形でそれぞれの産業・運輸・業務・家庭におきましていろいろな排出増減を分析しております。
 それではまた、資料3の方に戻っていただきまして、資料3の3−2ということでございますが、これは毎年地球温暖化推進大綱の進捗状況について点検を行うという形をとっております。ページ数が統一していないのでちょっとめくっていただかないとわかりにくいのですが、資料3−2と右側に書いてあります。
 今回の点検は大綱策定後2回目ということでございまして、228の施策につきまして進捗状況を点検しております。その点検の結果におきましてはさまざまな分野において施策の進展が見られましたが、なお一層の取組みが必要な施策や効果が表れるまで時間を要する施策もあるということであります。6%削減約束に向けて対策を勘案して進める必要があるといったことです。最後のマルでありますが、特に16年度は大綱の評価見直しの年でありますので、定例的な評価を行い、必要な追加的な対策・施策を講ずるということを指摘しております。
 次のページは15年度に講じた施策一覧であります。ここは省略させていただきます。それから資料3−3というのが地球環境保全関係閣僚会議の決定事項でございます。基本的事項というところに書いてございますように、関係閣僚会議の申し合わせに基づきまして、毎年、地球環境の保全に関する調査研究、観測・監視、それから技術開発についての計画を決定する。そういう計画を定めることにしております。2のところに書いてありますように、温暖化のみならずさまざまな地球環境問題についての対象とした計画でありますが、特にこの中では地球温暖化を重点分野として点検していきます。3に書いてございますように、平成16年度におきましては4,158億円余りの調査費用について決定を行います。
 それから次の資料3−4が計画の実施状況の概要ということで、前年である15年度の実施状況について報告を行います。ここでは額しか書いてございませんが、4,497億円の実施額でありました。
 最後の資料、資料3−5になりますが、京都メカニズムの実施プロジェクトの承認結果について報告しています。右肩に京都メカニズム活用連絡会というふうに書いてございますが、これは関係省庁の担当課長レベルの検討会でございます。そこで京都メカニズムの個別プロジェクトについて議論を行っています。今回の報告にかかるものは、15年12月、ベトナム関係でCDMのプロジェクトについて我が国として承認しました。全体像は次ページに参考というような形で書いてございますが、これまで6件、約300万トンを超えるようなプロジェクトが承認されたという、そういう状況になります。
 それから国別登録簿というものを整備するということになっておりまして、これは経済産業省と環境省が共同して整備するということで、その進捗状況について報告をしたということでございます。
 今回、地球温暖化対策推進本部は以上のような報告事項を行ったわけでありますが、今回特に大綱の評価・見直しのプレイボールというような意味もございまして、関係各省の審議会、地球環境審議会等でございますが、現在の大綱について評価を行っておりまして、現在の対策のまま推移するのでは6%削減達成はむずかしいというような認識が共有されまして、さらに追加対策についての検討が必要ということであります。
 以上であります。

○森嶌部会長 どうもありがとうございました。それではこの点に関してご質問。浅野先生どうぞ。

○浅野委員 資料の3−1の5ページの備考の部分ですが、ここにありますように最新の知見に基づいて修正が行われているので、毎回毎回数字が動いている可能性があります。今回は1990年までさかのぼって再計算したと書かれているのですが、概ねこれで基準年の排出量の数字としては落ち着いたと考えていいんでしょうか。あるいは、今後この数字はかなり大きく変わる可能性があるのか。その辺を説明してください。

○清水温対課長 ご指摘のとおりでございまして、毎年精度を上げていっております。実は表の1などを見ていただくと、京都議定書での基準年が12億3,700万トンというような形になっておりますが、昨年の報告ではここも12億3,500万トンということで200万トンほどふえておりまして、これはマグネシウムなどをさらに精査したということであります。
 それから、今後大きく変わる可能性があるかどうかというご質問があったわけでございますが、2ページを見ていただきますと注3があります。2ページの注3で今回、排出量の算定に用いた方法では、炭素収支の確保について必ずしも十分に考慮されていないということがございます。ここは専門家の間でも改善の余地があるということを指摘しておりまして、この改善、結論如何におきましては、排出量もかなり変わってくる可能性があるということでございます。

○森嶌部会長 天野委員。

○天野委員 3の参考資料ですが、要因分析をしていただいているのですが、これは一つの方法だろうと思うんですけれども、例えばCO2排出原単位要因、普通原単位といいますと生産性が上がると下がるのが普通ですが、ここはむしろ燃料供給の構成が変わってきてふえているんですね。そういう燃料供給の構成要素みたいなものもこういう要因に入ってくるだろうと思っていますが、もう1つ、私は経済学者ですので、エネルギー価格ですね、エネルギーの相対価格がどんどん上がるような情勢になれば、当然影響が出てくる。そういう要因はこの中でどこに入ってくるのかですね、そういった点。
 例えば家庭部門ですと、当然気候要因がありますが、気候要因というのはエネルギー消費原単位の要因とは独立していて、いいのですが、むしろ、例えば税の影響等を考えるためにはエネルギーの値段とかあるいは今後、炭素の値段とか、そういうものが変わったときにどういう影響を及ぼすのかということを分析するのが、私は要因分析の非常に重要な役目だろうと思うんですね。そこのあたりをどのようにお考えになっておられるのか。特にこういう価格面への影響というのは前年の影響が翌年すぐ出るというものではありませんので、非常に長い期間にわたってじわじわ影響が及ぶわけですから、要因分析の仕方もこれはむずかしいわけですね。しかしだからといって、それをしないと税の効果はどうかといわれても返事ができなくなるわけで、そのあたりの研究をぜひお願いしたいと思います。ご質問と要望と両方一緒になりましたが、この要因分析ではそういうことができるのかどうかというのが質問です。

○森嶌部会長 もちろん、私の方からすれば経済学者の方からこうやればいいと言ってほしいと思うんですけれども。

○清水温対課長 ご指摘の点はCO2排出原単位と要因という中に当然、さらにこれを細かく分析すればやらなければならないのかなというふうには思います。このCO2排出原単位要因というのは、石油から石炭とか変わってくれば当然ここの数字が変わると思いますが、さらに中をより精緻に分析してというご指摘ですので、これがどういう形で出てくるかについての宿題としたいと思います。

○森嶌部会長 ほかにございましょうか。はい、どうぞ。松田委員。

○松田委員 市民の立場から、資料3の参考の家庭部門からの排出量の前年対比のところの記述の方法なんですが、冷暖房需要の増加というのはとてもわかるんですけれども、前年比よりも冬期は寒く、夏期が暑かったというこの表現なんですが、すべて前年度よりもというのは比較をするときに、何をもって前年よりも暑くとか寒くとかいう表現になっているのか、少しマンネリになっているのではないのかなという気がしました。もっときちんと、こういうこと書かなくても「冷暖房需要の増加」だけでわかるのではないかなとか思ったんですけれども。
 東京電力なんかの方たちに言わせますと、火力発電所で賄えたのはこれは夏が例年に比べて寒かったからですと言われているんですが、ここでは暑かったと書いていますでしょう。だから人によってこだわるそのところの表現というのを形容詞で書き過ぎちゃうと、読む人はどうなんだろうと思ってしまったんですが、ただこれ感想ですけれども。

○清水温対課長 今の点は、まず年度が違うと思います。2003年の原発のときの議論が東電のいわれた寒かったということだと思いますので。

○松田委員 あっ、そうか。2002年のね。

○清水温対課長 2002年までの分析でありますので。

○松田委員 わかりました。

○清水温対課長 それで定性的な分析といいますよりは、さらにもう少し定量的な分析を試みておりまして、資料3参考の18ページから19ページをごらんいただければというふうに思います。実は冷暖房につきましては、冷房度日あるいは暖房度日というような概念がエネルギーのグラフがございます。18ページの注1、注2に書いてございますが、暖房度日というのは24℃を超える日の平均気温と22℃との差を合計したものだということで、24℃を超えると冷房をつけ始めるというようなことなのかどうか。これは統計的に。それから暖房度日も14℃を下回る日の平均気温と14℃との差を合計したもので、これを全国的に統計しております。
 で、このグラフが19ページの方にございまして、これによって客観的に暖房需要、それから冷房需要というものを数量化しておりまして、このことによりまして毎年の暖房需要、冷房需要を客観的に把握しながら、そういうところの比較におきまして暑い、寒いと言っているわけでございまして、感覚的に暑かった、寒かったというようなことではなくて、もう少し定量的な分析を進めております。

○松田委員 質問してよかったです。どうもありがとうございました。

○森嶌部会長 それでは武田委員、それから鳥井委員。

○武田委員 質問というよりは全体についての若干意見的になるんですけれども、よろしゅうございますですか。

○森嶌部会長 はい、どうぞ。

○武田委員 この数字を見ましてですね、このままじゃいかんなというのは皆さんもそう思っていると思うんですね。企業も個人も今まで以上に何かをやっぱりしなければならないということだろうと思うのです。それで具体的に何をやるかという議論について先ほどお話もありましたように、出てこない、けしからんという話が出ているんですが、それは確かにけしからん面もあるんでしょうが、具体的にどう進めるかについては先ほどの英国ですね。協定というのは非常に私は参考になるのではないかと思うのです。税の問題はちょっとまだ別途議論を要すると思いますけれども、協定についてはあそこにありましたように関係者が非常に参加しやすい形を工夫しているというふうに非常に感じました。いろんな範囲の取り方とか自主的参加とかいろいろですね、インセンティブを与えるとかいうことの工夫と知恵があるのではないかと思うんですね。ですから、そういう形でもって参加しやすい方法を考えていこうと。
 ヨーロッパなんかではこういう政府との協定というのは過去にも経験があるようでございますけれども、日本の場合は非常に少ないのでなおさら非常にスタートするには取り組みにくい状況にはあると思いますので、関係者が参加しやすいような知恵をこういう諸外国の中から得て、こういうところで議論をしやすい。そういう枠組みをお互いにしていかなければならないと強く思いました。

○森嶌部会長 ありがとうございました。では、鳥井委員。

○鳥井委員 資料3−3に関してご質問なんですが、環境に関する技術開発、調査研究に4,164億円使ったということなんですが、例えば大学における科学研究補助金1,700億というふうに比べますとね、これはものすごい額が投入されているという感じがするんですが、これのアウトカムというのでしょうか、何ができて、何ができなかったというようなことはきちんとチェックをされて、こういう投資がなされていると考えてよろしいんでしょうか。

○清水温対課長 毎年、報告書などにおきましてきちんとした統計が出されていると思いますが、ちょっと今、担当の課の者がおりませんので、またあらためてご報告をしたいと思います。

○浅野委員 このぐらいの分厚い報告書が毎年出ています。

○鳥井委員 はい、そうだと思うんですけれども。この技術開発というのが環境問題にどれだけ力を持つかというのは、長い目で見るには力を持つことは確実なんですが、温暖化みたいなものというと、なかなか普及しなかったり思ったほどの成果を上げなかったりするわけですね。そこは少しよく考えてこういう戦略を立てないと、5,000億近く使っているわけですからね、という感じがいたします。

○森嶌部会長 私もこれに関与していますから。我々、各省庁に環境とついたのは全部あれしてきて、環境省何やっているかというとそれを集計するだけなものですからね。確かに全体としての戦略性なんて。各省庁が環境という名前がつくと予算が入りやすいというだけで、足したら4,000億になったという話なので、鳥井委員の言われたようにもっと各省庁でこれやったら環境のどこに効いてくるというのを、ちゃんとした戦略を持っていないといけないんですよね。そういう問題ありますが、あとで調べて、ぜひともお願いします。

○天野委員 今のご発言にちょっと関係するのですけれども、私が、だいぶ以前ですけれども中央環境審議会に確か前年度の細かいデータを出していただいて、それを委員が見る機会があったんですけれども、そのときに私、どういう目的で、どういう政策手段に予算が使われているかというのを荒っぽい計算ですけれども、それを集計しました。そのときに当然といえば当然ですけれども、あまりお金のかからない効果的な手段、たとえば環境税を導入しようとかということにほとんど予算が回らないで、政府が事業を直接行うとかあるいは研究開発の助成をするといったものが多い。私なんか経済的な手法とか、効率性とか費用対効果とか、そういうことを言うのですが、当然、こういった検討のための予算はほとんどないということがわかりまして、そういうコメントを出した記憶があるのです。そしたら翌年度からそのデータが出てこなくなってしまった。私は別に皮肉を言っているわけではなくて、政府の中で評価をするというのは義務づけられておりますから、それは膨大なものをおつくりになっていると思うのですけれども、私のように審議会のメンバーでなく第三者に見てもらうのが必要だと考えたのですけれども。

○鳥井委員 今の天野先生のおっしゃった社会科学部分については、今かなり力を入れていて、その部分ので予算枠もふえていますし、それからそれについてちゃんと分科会もできていまして、かなり開催されているんですね。それから結果についてはインターネットでかなり公表されていると思いますので、こんな分厚い資料をもらっても本当に書斎のスペースを防ぐだけなので、どういうところを見ればその情報がわかるかというのをちょっと委員の先生方には、ぜひ、お知らせをしていただきたいと。

○天野委員 膨大なものを出すのは決して親切な出し方ではないですから。

○鳥井委員 ですから、多分インターネットであるんだろうと思うんですね。ですから、どこを見ればいいかということは、ぜひ。

○森嶌部会長 では、時間がないので、その情報を出してください。では、速水委員。

○速水委員 今の研究の話ではないのですが、今回、進捗状況の中で吸収源としての森林の問題というのは 3.9 の確保というふうなことで、ずっと我々業界でやっているわけですが、なかなか林野庁なり政府なりがやっていらっしゃることと、林業界というのは非常に小さな単位で経営しておりますので、そこが理解するまでに時間的なギャップもあるし、組織的にも非常にむずかしいというふうなところがございますので、現実に林業の現場でCO2の吸収と果たしてどのような形で対応していけばいいのかということは、あまり理解されていないのが1つです。それと非常に林業経営が今、むずかしい時期でございますので、そのむずかしい経営の中で森林管理を実行していかなければいけないというのは、あくまでも経済の原則の中では。そういう中で今までと同じような補助体制でずっとやってきて、非常にむずかしくなっているという現状の中で、3.9 確保しろといわれてもなかなかむずかしいなというのが正直な感想でございます。
それこそGDPの中で極めて小さな業界が0.1を切るような業界が、3.9 を確保しなければいけないという話になっておりますので、もう少しその辺の議論を、私はもっと広い形でしていただけないのかなと。そうすると林業政策、林野庁の中の政策だけの議論ではどうも無理であろうという感じがしております。私はこういうところへ出させていただくとともに、地元の森林組合の組合長をやって、自分の森林の経営もやっているということで上から下まで全部見える立場にいますと、つくづくその辺の、上の、霞が関で決まっていく政策あるいはそこで議論されている部分と、現場の森林を管理している者の立場というものとの違いを猛烈に感じるのです。そういう意味ではもう少し広い議論をしていただかないと、この3.9 の部分というのは砂上の楼閣のように崩されるのではないかというふうな疑問がしなくもない気がいたしますので、これは質問というより意見ですけれども。

○森嶌部会長 それでは、大塚委員。

○大塚委員 先ほど武田委員がおっしゃったことに関して、私も同意見ですのでサポートさせていただきたいのですが、細かいことを5点ほど申し上げます。第一に、私自身は協定を手法として使っていくというのが、この温暖化対策では我が国の第一段階になるかなというふうに、個人的には思っております。今の経団連の自主行動計画を制度の協定という形にするというのが一つの、ブレークスルーする一つの第一段階になるのではないかというふうに思っております。今はいろんなふうにおっしゃっていると思いますけれども、基本的に経団連の自主行動計画というのは自主的な宣言なのです。それも広い意味での協定なんですけれども、ボランタリーアグリーメントなんですけれども、それを双方向にコミットをする協定にしていただくと大変いいのではないかと思っております。
 第二に、協定手法の最大のメリットの1つは、交渉によってきめ細かく目標を立てられるというところであって、それは産業界のそれぞれにいろんな事情があって、政府にも必ずしもよくわからないところも当然あるからです。もちろん、税でやるという方法もあるのですけれども、それがなかなかむずかしいということがとりあえずあるとすれば、環境省なりが出ていって交渉して協定を締結する。合意ができるものですから、それについてコミットしていただくというところが、この手法の最大のメリットではないかと思っております。
 第三に、先ほどヨーロッパについては歴史があるという話がありましたけれども、確かにそのとおりで、フランスとかオランダは1970年代に、別に環境に限らず協定手法の経験がありますが、イギリスとかドイツはそういうものがなくても今回の温暖化のようなことで、あるいはほかの廃棄物とかでもやっていますけれども、環境関係ではじめていますので、ぜひ日本でもご検討をいただきたいということです。
 第四に、機能的にはこれは各事業者に計画を立てていただいて、政府が承認するという方式と、あまり変わりません。ですから、どっちでもかまわないのですけれども、どちらでもやりやすい方からやっていただけると大変ありがたいと思っております。
 第5点目に、では、税との関係はどうかということを一つだけ申し上げておきますが、実は税というのは、イギリスのような考え方をとると、協定と極めて密接な関係がございます。というのは、税を一般的に入れる、しかし協定に参加した人には8割減額するということによって、まさに協定に参加していただくインセンティブを与えるという機能を持っているわけで、そこで税との関係というのが出てまいります。しかしもちろん、協定だけでいくという方法もあるというふうには思っております。
 以上です。

○森嶌部会長 それではまだご意見もおありかと思いますけれども、時間が過ぎておりますので、以上にさせていただきたいと思います。以上で本日の議会をお終いにしたいと思いますが、次回以降の点についてでございますが、次回は7月12日の月曜日の4時からということになっておりますけれども、それ以降につきましては次回も含めてどういうふうに進めていくかということでございますが、だいぶ今までで一応いわば前座と申しましょうか、ご意見をうかがう。あるいはよそはどうなっているかというようなことについての、イギリスやドイツなとを含めてきたわけですが、今までの議論からご理解いただきましたように、細かい点たくさんあると思うのですけれども。
 1つは、今日、清水課長のご報告にもございましたように、まず最初に何のために我々はこういう議論をしているかというと、京都議定書はまだ発効しておりませんけれども、一応京都議定書は発行するとして、2008年から2012年に向けて毎年6%の削減の義務を負うと。仮に京都議定書をさておいても、既に政府としては京都議定書を批准したということで、政府としての誠実な義務を負っているわけであります。仮に京都議定書が発行しないとしても、IPCCCということで一般的に削減義務は負っているわけです。我々としてはCO2の削減ということを議論するということでありますけれども、当面は京都議定書を前提として今第1ステップの議論をしているわけでありまして、そこで、じゃ、第1ステップとして考えたらどうかというと、先ほどいいましたように7.何パーセントも現時点ではふえていて6%も考えると13%以上を削減しなければならない。
 そうだとすると、追加的な施策をとらなければならないのではないかというのが現時点でのことでありまして、そこで追加的施策の1つとして環境税をどう考えるかというのが当面の我々のここでの課題として議論されているわけであります。そこで追加的施策、対策としての環境税ということで今考えているわけでありますけれども、そういたしますと、今までの議論から出てきたことで3点はきちっとこれから議論をしていかなければならないと考えております。
 1つは、今までのあれではいわゆる産業ですね、産業部門は一応マイナス1.7%になるということ。問題は業務その他はプラス36.7%、これは今日、細かい議論としまして、業務、運輸、家庭がそれぞれ大幅にプラスをしているということであります。そこで産業といいましても、これは製造業がマイナスでありまして、それでは産業界、経団連が代表している産業界は全部マイナスかというと、業務その他、それから運輸も含めますと、実は産業界はプラスには全然関係がないかというと、メインオフィスも含めてプラスの方にも関係があるわけでございます。そこで製造業に対して環境税ということは意味があるかどうかはともかくとして、業務その他、あるいは運輸という観点から考えたときに、環境税というものがCO2削減ということで意味があるのかどうかということを、我々としては考えなければならない。
 それから家庭という観点から考えた場合に、家庭部門という観点から考えた場合に有効かどうかということを考えなければならない。その場合にずっとそれでいくかどうかは別として、専門委員会が出した一つの案というもの、いわゆる上流でかけるということですね。これは今までにもいろいろご批判がありますけれども、あの案を仮にそのまま置くとして、部門別ごとに状況が違う中で、そういう環境税で果たして追加対策として考えた場合に削減、つまり、製造部門はまあまあとして、決してこれでよろしいということではなくて、まあまあとして業務、運輸、家庭部門、それぞれに環境税を通じてそれの削減をしていくということの有効性というものはどうかと。
 これは今日出てきましたようにドイツ、それからイギリスそれぞれでやり方は違うわけですね。家庭にかけるのもあれば、家庭にはかけないというのもありますし、それから石炭にかけるのもあればかけないのもありますから、環境税といっても先ほど私申しましたように、何か総論的に環境税というと反対だとか、環境税というとやれと、いろんなやり方はあるわけですから、今申しましたように我々日本での問題点というのは、業務その他、運輸、家庭、それをどうするかという観点から環境税というのは考えなければならない。そこで我々としてはその課題に向けて具体的にどういうことを考えなければならないかということが、まず第1点であります。
 第2点は、これは先ほど話にもございましたように、環境税を入れると国際競争力がなくなると。あるいは中小企業も含めて日本の経済に大きなマイナスがあるというご議論がございます。仮に国際競争力に影響力があるのかどうかと。仮にではなくて国際競争力に影響力があるのかどうか。仮に国際競争力に影響があるとするならば、それは全部になのかどうか。自動車の輸出にも関係があるのかどうか。それは鉄鋼だけなのかどうか。そういうことも含めてです。だとすると、仮に国際競争力に影響力があるところがあるとすれば、それに対して環境税を、これは環境税のマイナスの影響を及ぼさないためにはどういう環境税があるのか。これは現にイギリスではかつては石炭にかけないとか、ドイツでは鉄鋼でしたか、かけないとか、いろんなやり方をとっているわけですから、仮に国際競争力に問題があるとすれば、それとの関係で環境税をどう考えるか。あるいは中小企業との関係で何かあると。それはそれに対する環境税としての対策はあるのかどうかと。
 その前におよそそういう国際競争力とか経済にマイナスになるのかどうかということについて、我々としては検討しなければならないだろうと思うのです。そしてそれが第2の問題であります。
 第3には、我々は環境税を入れるために議論しているのではなくて、CO2の削減の方策として、政策の1つとして環境税というものが有効かどうか。他の政策とおいしいミックスとして有効かどうかということを議論しているわけでありまして、先ほど速水委員がおっしゃいましたように、吸収源との問題ということもあるでしょうし、先ほど武田委員がおっしゃったあるいは大塚委員がおっしゃった、じゃ、協定というのがあるじゃないかということでありまして、どれが唯一であると。例えばほかのものをやめちゃって全部吸収源でいくというわけにはいかないけれども、いくつかのポリシーの中で、じゃ、この環境税というものはどういう位置を占めるのか。環境税は今までお話いたしましたように、いろいろな感情的なものを含めて、あるいはポリチカルなものもを含めていろいろな反対もあります。
 それから先ほど水野委員がおっしゃったように、税法の伝統的な枠組みがあって、この枠組みを外すということだけで外すというか、換えてもらうというだけでもこれは大変な、ポリチカルなコストが大きいわけですね。いろんなコストがあるわけですけれども、そういうことも含めた場合に、追加的な対策としての有効性と。ポリシーミックスとして考えた場合の有効性、コストとして、CO2の削減という点でどうかという、これはこの委員会の冒頭に松本局長からもお話がありましたように、いろんな政策との比較ということも我々としては考えたいということでありますので、日程的にどういうふうな日程でいくかはともかくとして、施策の一環として、今我々がやっているのは環境税を中心にやっていますから、環境税を中心に据えていくということは確かだと思いますけれども、ここで一挙に全部ほかのものもみんなということではありませんけれども、環境税を議論する場合に、ほかの対策との比較ということを忘れるわけにはいきませんし、少なくとも今申しましたような3つの点について、我々としては議論しないで環境税だ、あるいは環境税に反対だ。環境税に総論だけやっていたのでは少なくとも各々の委員会の役割を果たしたことにはならないと。
 そして日程的にも制約がありますので、最大限やると同時に役所は役所としての日程、他省庁との関連などもありますから、我々が議論している素材をつかまえて役所としての活動はありますけれども、我々は先ほど佐和さんではありませんけれども、何とか民主主義、いい加減な民主主義では、私はないと思っていますけれども、我々としてはきちっとした議論をして、きちっとした素材を用意して、役所に提供し、国会に提供していくための議論をしていきたいというふうに思っておりますので、ぜひとも、そのためにはゆっくりというわけにもいきませんので、私の方から役所の方にも今言った3点についてはきちっとした議論のための素材を、役所には限界がありますけれども、素材を準備してほしいというふうに指示をいたしておりますので、ぜひとも関係の、私は産業界だけに向かって言っているわけではなくて、ほかのところもみんなそうなんですけれども、ぜひとも今の点について、我々としてきちっとした、冷静なと申しましょうか、客観的な議論を尽くして環境税をめぐる客観的な議論を尽くしていくんだということでやっていきたいと思っております。
 私は経産省の産構審の委員でもありますけれども、経産省も今のところ環境税の議論はあまりしておりません。で、環境税の議論についてはまだまだ一般論の議論でありますので、私は多分財務省もかつてはちょっと関係がありましたけれども、今全然関係ありません。多分、先生のところでもあまりきちっとした議論はしておられないだろうと思いますので、せめて役所の中で大衆民主主義の中で、せめてここぐらいはきっちりとしたいろんなご意見をうかがいながら、議論をしていく場としたいと思いますので、そのためには多少、多少ではなくて大いに夏、秋と、場合によっては冬と集中的に皆さんにお集まりいただき審議を願わなければならないかもしれませんけれども、ぜひご協力いただきたいと思います。
 もう一度申しますが、次回は7月12日でございますけれども、この間、私事務局とも相談をいたしまして、ともかく今言ったことについて大変だと思うけれども、できるだけの資料を集めてくれということで産業界にも一枚岩で、産業界としては総論だめというのではなくて、きちっと協力をお願いをしてほしいということですので、ぜひ経団連の入り口に行ったら、入り口が閉ざされているのではなくて、ぜひよろしく武田委員、永里委員の方からもそういう趣旨であると。そして非難をしたり何かではなくて、日本国のために、ぜひ意味のある議論をしていきたいと。あくまでも環境税を通すための議論ではなくて、CO2を削減するために環境税はどうあるかという議論を我々としてはしているのだということを、ぜひ産業界にもご議論をいただいて、環境税が親の仇みたいな顔しないでくれというふうに、ぜひお伝えいただきたいというふうに思います。
 事務局の方からは7月12日の16時からということ以外に、一応7月29日と8月6日とかいうのは今のところ考えているのでしょうか。

○佐野環境経済課長 はい、先生方にはいつも日程についてやいのやいの申し上げる格好になって大変申しわけございません。調整をさせていただきまして、何とか一番お集まりいただける方のタイミングということで、その次7月29日、その次8月の6日、これ実は地球環境部会とのまたダブルヘッダーになってしまいますが、恐縮でございますがお願いをいたしたいと思っています。

○久保田委員 最終のこの委員会のまとめの時期というか目安みたいなものをどういう時期においているのか、イメージは委員長におうかがいした方がいいのかということなんですけれども。

○森嶌部会長 私はこれは先ほど水野委員もおっしゃったように、環境省の所管で、環境省が法案を出せる事項であれば、例えばいついつのいつに出しますと。これ環境省が考えを出して、最終的にはこれあれですね、税制改正ということになるわけですか、よくわかりませんけれども。

○松本環境政策局長 事務方の環境省サイドとしての気持ちでございますが、これからの温暖化対策税なりその関連諸施策についてということで、今後小委員会で昨年来、ご議論をいただいてきているわけでございますけれども、私どもの作業スケジュール、役所としての観点からいいますと、第1ステップの大綱の政策の評価・見直し、その結果、追加対策。そしてその中での有効な経済的手法の1つ、それが本当に必要であるのであれば第2ステップをできるだけ早く。こういう構図になっておりますから最短でいきますと、今年の12月の時点で一つの、17年度の税制改正に向けてどういうふうに一つの答えを出すのか。いうのが当面のスケジュールとしてのターゲットになってくると思っております。
 したがいまして、この小委員会でも先ほど森嶌小委員長、いろいろと言われましたような課題含めて、そこの辺までにはそれなりの一つの答えがいただければ大変ありがたいと思っておりますし、それからもう1つ、役所の段取りからしますと8月の末に税制改正要望というのを出す、必要があれば出さなければいけないわけであります。突然12月に生まれ出るわけではございませんので、税制改正要望を出すとしたらその8月の段階で一定の議論というのを、粗粗のものということになろうかと思いますけれども、それなりの中間まとめみたいな形でしょうか。そこを一つ何らかの形で一つの区切りをしていただくと大変ありがたいなと。その二段構えかなと思っております。

○森嶌部会長 なお、私としては最終的には他の省庁ということと、それから同じくいろんなところでやっている問題もありますし、それからいろんな巷間言われているように、いろんな省庁がいろんな思惑でこの問題に着目しているわけでありますし、それからごく最近、これは全然違いますけれども、年金のように結論あれして突っ走ってしまって、幸か不幸かはともかくとして通りましたけれども、あまり税という、どちらにしてももともとだれにも歓迎されるはずのないものを提案する以上は、私はきちっとした議論をすべきだと。そして最終的にはこれはドイツでもイギリスでもそうですけれども、反対者がいるのは当たり前なんですけれども、それでも反対する人たち、まあ、それなら俺は反対だけれどもそこまで言ってやるなら、これは反対だけれどもやる分には、まあ。というところまで、私は議論すべきだろうと。
 そこで環境省が省として例えば税制について手を挙げられるかどうか、それはこの小委員会として議論はしていくけれども、そういう手を挙げられるかどうかは、この小委員会の決定ではない。それまでにどういう議論をするかを見て、省の責任としておやりになるわけでありまして、それは先ほど言ったことなんですけれども、それだけじゃなくて最後に、例えば12月にどうなさるかということもそうなんですけれども、省としてどういう行動をおとりになるかというのは、これは省の責任においておやりになることでありますし。
 なぜ、こういうことを申し上げるかというと、ちょっとあまりここで申し上げるのは適切ではないかもしれませんけれども、今まで環境アセスメント法というのがかつて環境庁のころございました。そのうちに法律になった環境アセスメント法については、私は責任者としてやりましたけれども、これは環境省が所管でありながら、これも強い反対のあるときでして、この環境税よりはむしろ私はいろいろな形で反対をしておられる方たちとも話をいたしました。それにも関わらず大変理解をしていただくことに苦労いたしました。
 今の段階ではそれさえできていないという、私はあれを持っています。で、そうだとすれば最終的に仮に環境税が国民に受け入れられるとしても、プロセスというかもう少しきちっとやらなければ、特にこういう国民にどういう形であれ負担をかぶせる以上は、やはりその税というものの政策をとる以上は、その政策を提案する側は、そのプロセスをきちっと踏んでいかなければならない。その提案をする様子を見ながら、そのプロセスを見ながら、省としては省としてのポリシー、省としての責任においておやりになればいいわけで、やはり審議会というのは役所ではありません。役所のために先ほどいいましたように、きちっとした情報を出すのが我々の責任ではありますけれども、それを通すか法律とするかどうかは、これは役所の権限と責任の問題ですから。我々としては我々の与えられた仕事をきちっとやるということだと思います。先ほど申しましたような課題をここできちっとこなしていくことだろうと思います。
 その意味では久保田さんのご質問に答えると、役所としてのスケジュールはおありでしょう。それで我々としては役所の方のスケジュールになるべく呼応できるように、なるべく日程を詰めるけれども、じゃ、役所はこれだけにこうしますからと、それに合うように駆け込むようなことは私としてはしない。議論の内容でやっていく。だから12月末に出せるかどうかというのは、これは中での議論をしっかりやれるかどうかということに関わっていますし、そういうふうにできればいいと私は思っていますけれども、それまでにきちっとした議論ができなければ、別に2008年から12年ですからね。そこはここにおられる方はどっかの党と違って、何とかを挙げて2時間ずっとやるなんて、そんなことはなさらないはずでありますから、きちっとした皆さんが議論をしていただいて、我々としてできるだけのことをしながらやっていきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

○久保田委員 よくわかりました。

○森嶌部会長 では、何かございますか。役所の方もご不満かもしれませんけれども、その方が結果的には役所のためになると思っていただきたいと思います。
 じゃ、本日はこれで終了いたします。

午後零時30分 開会