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中央環境審議会 総合政策・地球環境合同部会
第5回施策総合企画小委員会 議事録



平成16年4月14日 午後 3時01分 開会

○佐野環境経済課長 定刻になっておりますので、開始をいたしたいと思います。ちなみに、今回、ちょっと先生方の配置を変えさせていただきましたが、いつも森嶌委員長と同じ並びの先生方が手を挙げていらっしゃるのが見えにくいというのがあったものですので、ちょっと工夫をしてみましたが、それ以上の他意はございませんので、それでは会長よろしくお願いしたいと思います。

○森嶌委員長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから施策総合企画小委員会第5回を開催させていただきます。
 今回は、まずヒアリングをさせていただきまして、その後、燃料課税の転嫁というテーマにつきまして議論を行います。
 本日の会合は17時まで、2時間という予定でございますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、まず最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料確認をさせていただきます。
 お手元に中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会と表紙に書いてある紙の束がございますが、その次に、資料一覧、議事次第が書いた紙がございまして、資料1、いつもどおり委員名簿となっております。その次が資料2、日本物流団体連合会様からの資料、平成16年4月14日と右肩に入っているものです。
 その次、クリップでとめてありますので、これ1度、資料確認のために恐縮ですが外していただきまして、資料3はすべて炭素税研究会様からの資料になりますが、3−1、ヒアリング意見要旨というもの、1枚の紙。その次が3−2、「炭素税の早期導入を求める」という何ページかある紙。3−3が斜字体で「地球温暖化対策推進のための『炭素税』の早期導入に向けた制度設計提案」となっている紙。割と厚めのもの。その次の3−4が、右肩ではありませんで、左上の方に資料番号が入っております「炭素税研究会と地球温暖化対策税制専門委員会の制度案の比較表」。その次に資料3−5、1枚の紙で、「気をつけよう!炭素税、3つの落とし穴」。その次は、資料4「環境経済・政策学会ヒアリング説明資料」。そして、最後に資料5「価格転嫁の状況」という資料になります。資料5までで以上となります。

○森嶌委員長 資料はそろっておりましょうか。
資料の不足等がございませんようでしたら、先に進みたいと思います。
 それでは、ヒアリングを始めたいと思いますが、本日は社団法人日本物流団体連合会から理事長の中田洋さんにおいでをいただいておりまして、その次に、炭素税研究会からコーディネーターの足立治郎さんにおいでいただいております。それから、環境経済・政策学会から常務理事の植田和弘さんに来ていただくことになっておりますが、後ほどおいでになると思います。
 それぞれ15分ほどご説明をいただきまして、15分程度質疑をしたいと思います。
 それでは、まず最初に日本物流団体連合会の中田理事長からお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○中田氏 ただいまご紹介いただきました社団法人日本物流団体連合会の理事長、中田でございます。本日はこの席で発言の機会をお与えいただきまして、本当にありがとうございます。私ども物流団体連合会としての意見を発表させていただきたいと思います。

○森嶌委員長 どうぞ、おすわりになってお願いいたします。

○中田氏 どうもありがとうございます。
 お手元の資料でございますけれども、資料の2をごらんいただきたいと思います。私どもが用意いたしました資料でございます。
 まず、第1番目に「当連合会の環境問題に対する取り組みについて」ということでございます。
 私ども、日本物流団体連合会は、主たる物流企業、物流関係団体を会員として、平成3年9月に設立されて以来、物流業の、主に横断的な課題を取り上げ、物流インフラ整備、物流の効率化など、物流全般、経済社会と物流のかかわりなどについて、委員会活動を初め、さまざまな活動を行っております。
 環境問題につきましても、物流業界の重要課題の1つとして位置づけ、調査研究、啓蒙、提言などの活動を行っているところでございます。
 例えば、モーダルシフトフォーラム、各種環境講演会などの開催、また、物流環境大賞による表彰、あるいはモーダルシフト取り組み優良事業者公表制度の創設、さらには物流環境管理士講座の開講などによりまして、物流と環境について、啓蒙、啓発を推進するとともに、課題の解決に向けた取り組みを推進しているところでございます。
 地球温暖化対策推進大綱では、環境負荷の小さい交通体系の構築策として、モーダルシフト・物流の効率化等が重点施策として挙げられておりますが、モーダルシフトにつきましては、昨年までにフォーラムの開催が全国一巡するなど、広くその促進に向けた取り組みを推進するとともに、物流環境大賞や、あるいはモーダルシフト取り組み優良事業者の公表制度によりまして、物流事業者の取り組み意識の向上などを図る一方、具体的施策の推進を図るために、貨物鉄道施設の整備拡充や、あるいは内航船、フェリーにかかる石油税の減免措置などの必要性を関係行政機関に提言しているところでございます。
 また、物流効率化につきましては、前述の施策のほか、昨年度、 300近い地方自治体に向けて、貨物車の駐車スペースの整備を初めとした物流インフラ整備の重要性を提言しているところでございます。
 このほか、私どもの環境問題委員会では、より多くの物流事業者が採用できるCO2排出量の定量的な把握方法を現在開発中でございます。
 このように、環境問題に対しまして、業界の健全な発展と企業の社会的責任の両面から、物流業界共通の課題として取り組んでいるところでございます。
 2番目といたしまして、「温暖化対策税制に関する当連合会の意見」ということでございます。
 先般の温暖化対策税制の具体的な制度の案に対するパブリック・コメント募集の際には、地球環境問題についての重大な懸念と、これに対する当連合会及び企業団体会員の積極的な取り組みを踏まえまして、別紙のとおり反対理由を取りまとめた次第でございます。
 別紙の反対理由につきまして、補足を以下に記述しておりますので、読み上げさせていただきます。
 反対理由の補足1)現行の地球温暖化対策推進大綱の各種施策のうち、民生部門、国民各界各層によるさらなる地球温暖化防止活動の推進に遅れが目立つのではないか。まず、これらの分野でライフスタイル・ワークスタイルの変更を含む省エネに向けての普及啓発のさらなる強化などを急ぐべきである。
 一方、運輸部門のCO2排出量は自動車の占める割合が高く──約9割ぐらいだと思います──中でも、自家用乗用車がその半分を占める上、90年から2001年までの22.8%の運輸部門の増加の内訳を見てみますと、貨物車が 1.3%の増加であるのに対しまして、自家用乗用車が51.9%と増加が非常に著しくなっております。したがいまして、自家用乗用車から公共交通機関へのシフトなどの対策を優先的に講ずるべきであると思っております。
 2)といたしまして、既存のエネルギー関係諸税は他部門に比べ、運輸部門に過重に課されており、収益力が伸び悩む中で、経営を圧迫しております。また、運輸部門においてエネルギー転換の革命的技術が実用段階にない現在、輸送機関ごとに使用されるエネルギーの選択肢は極めて少ないのが実情でございます。これ以上のエネルギー課税は回避していただきたいと思っております。
 3)番目といたしまして、既に石油石炭税は石油備蓄の目標──98年に 5,000万キロリットルと伺っておりますが──これを達成済みであり、相当額の剰余を生じていると聞いております。この税につきましては、温暖化対策をも使途としておりまして、剰余分を温暖化対策に使用するシミュレーションをされてはいかがかと思っております。
 4)番目といたしまして、物流業者は荷主側から選別が行われる立場に置かれており、また、現下の経済情勢では、輸送コスト削減の要請も大変強うございまして、新たなコスト増となる税の適正な転嫁は困難な状況にございます。すなわち価格インセンティブ効果はコスト削減の効果から、主として物流事業者側における物流効率化などとして限定されたレベルでは想定できますが、適正な転嫁がなければ荷主側への波及が期待できません。税負担か、あるいは税負担を回避するための効率化といった投資コストが物流事業者側に残される。そういう結果になることを非常に危惧しておるところでございます。
 次に、私どもがパブリックコメント提出をするに当たりまして、企業会員から寄せられました個別の意見、若干でございますけれども、抄として、そこに記述してございます。
 例えば低公害車の導入を図りたいがコストアップになる。また、大型トラックの低公害車化の技術が確率されていない。あるいは、税は最終消費者が負担を感じる仕組みにすべきである。また、化石燃料は経済全体の必需品、課税により使用量が減るかどうかは疑問である。エネルギー転換の促進できる諸施策が必要である。
 また、税以外の他の幾つかの選択肢も具体的に検討する必要性がある。さらに、取り組みが遅れているのは、一般国民の対応。したがって、現状をもっと広く国民に理解してもらう必要性があるのではないか。また、価格インセンティブ効果により、使用の減少が予測されているが、代替燃料、超低燃費車等が登場しない限り、運輸部門では既存のものを使わざるを得ない。そういう結果では、事業者にとって増税だけが残る。さらに、自家用乗用車への優先的対策の必要性。
 こういった意見が私どもの会員から寄せられております。
 さらに、私どもといたしましては、私ども日本物流団体連合会以外にも、物流関係団体、幾つかございまして、そのようなところと合同で国土交通大臣に対しましても、要望書を提出しているところでございます。
 その趣旨につきまして、次の3の3行目でございますが、私ども物流関係団体はそれぞれ事情の異なる課題を抱えていますが、景気の長期低迷による収益力の低下、既存エネルギー関係諸税と自動車関係諸税の過重な負担、荷主との関係において税の適正な価格転嫁が困難な状況、新税導入前にとるべき措置がさらに存在すること、石油石炭税等の財源の洗い直しの必要性などにかんがみ、新たな税負担となる温暖化対策税の導入には適切に対処していただきたい。
 このような趣旨の要望書を国土交通大臣にも提出しているところでございます。
 以上が陳述の内容でございますが、2ページ送りいただきまして、参考資料というところをちょっとごらんいただきたいと思います。これは、私ども物流業界が非常にさらなる税に対して脆弱な立場にあるということをお知りいただきたいために用意した資料でございます。
 まず、四角で囲みましたIに、物流業の概要というのが一覧表として掲載しております。左側に物流事業の区分を記述しておりまして、横の軸に営業収入、事業者数、従業員数とございまして、最後に中小企業の割合というのを書いております。この中小企業の割合の欄をごらんいただきたいわけでございますけれども、たとえばトラック運送業におきましては、99.9%が中小企業ということになってございます。
 また、上から3段目の内航海運業につきましては、99.3%。その次の次の港湾運送業ですと、92.6%。また、下から2番目の倉庫業ですと、83.9%。それからトラックターミナル業ですと、94.4%ということで、大変中小企業が多い業界であるということを示したかったものでございます。
 それから、次のページに四角のIIとして、表題がちょっと示していないところでございますけれども、先ほど、私、物流事業者が荷主に対する転嫁が非常に困難であるということを申し上げましたけれども、その裏づけとなるデータとして、私どもが平成10年度に、物流事業者に対してアンケート調査をした結果を取りまとめております。その中から抜粋したのがこの資料でございます。
 この中で、これはトラック事業者の例でございますけれども、荷主からどのような扱いを受けているかというのをアンケートでとった結果でございまして、一番上は買いたたきということでございます。相手の一方的な理由で契約時、または更改時に実勢から見て不当に安い運賃、料金、または協力金を強要されて引き受ける、いわゆる買いたたきというのの事例でございます。
 下のグラフをごらんいただきますとわかるわけでございますけれども、買いたたきのところごらんいただきますと、例えば運賃につきましては、約60%のトラック事業者が買いたたきによく遭う。あるいはときどき遭うというふうに答えております。また、料金につきましても、約45%がよくある、ときどきあると答えております。また、協力金を求められた例でございますけれども、約37%。また、付帯作業を無料で強要されたことが44%程度あるという答えになってございます。
 それから、次のページをごらんいただきますと、契約内容の変更というのがございます。これは一たん契約した後、その契約が有効な期間中に、自社にというのは、物流事業者側にということでございますが、責任がないのに一方的な理由で契約条件が悪くなるような契約内容の変更というものに、どんなものがあったのであろうかという問い合わせに対しての回答でございまして、そこに帯グラフで書いてございますように、全面的な解約でございますとか、運賃料金の減額、協力金の要求・増額、付帯作業の増加、契約期間の短縮、支払条件の悪化といったようなことがしばしば行われているというのが、この調査結果からおわかりいただけるかと思います。
 最後に、次のページの四角い箱で囲みましたIIIでございますが、貨物輸送関連の企業向けサービス価格指数の動向ということでございまして、これは平成7年を 100とした場合の運賃料金の指数というふうにお考えいただいて結構だと思います。ちょっとグラフが錯綜しておりまして、見づらいのでございますけれども、例えば1点鎖線に丸がついておりますのが、これが内航海運業の運賃・料金でございまして、平成7年から平成15年まで、単調減少といいますか、単調に低下しているといった様子がうかがえます。また、実線に四角い印のついておりますのが、道路貨物輸送というふうに凡例が載ってございます。いわゆるトラック輸送ということでございますが、やはり平成7年以降減少傾向にあるということでございます。
 一部の業種におきまして、例えば外航海運でございますとか、そういうところにおきましては、これは市況の変動によりまして、かなりアップダウン激しいわけでございますけれども、特に国内輸送産業におきましては、運賃・料金については、現在までのところ単調に低下する、そういう推移があるということでございます。
 以上で、私の方からご説明終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

○森嶌委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、どうぞご質問、ご意見だとか。札を上げていただけますか。それでは佐和委員、それから浅野委員。

○佐和委員 主として2ページの4)のところに関連して、一番下、2ページから3ページのところについてのご質問を申し上げたいのですけれども、結局、この温暖化対策税の効果というのは、要するにディマンドサイドとサプライサイドと、それからモーダルシフトという3つに大きく分けられると思うのですね。つまり、ディマンドサイドというのは、要するに、今度は実際に物流業にお願いする、荷物を運んでもらう側のディマンドサイドは、当然、価格に転嫁されない限りは、何の効果もない。おっしゃるとおりですね。
 なんですが、しかし、その輸送コスト削減の要請が強いので、新たなコスト増となる税の転嫁は困難な状況になると、この辺のこの文章がいま一つわかりにくいということと、むしろサプライサイドの方が、例えば積載率を向上させるとか、あるいはできるだけ低燃費な走行の方式を改めるとか、その他もろもろサプライサイドに対する効果があるということは、お認めになられるわけですね。
 それから、もう1つのモーダルシフト、これをお伺いしたいわけですが、モーダルシフトに関しては、例えば船舶にトンキロ当たりのエネルギー消費といいますか、そういうもので比較すれば、船舶なんかは圧倒的にいいはずなのですね。だから、そういうモーダルシフトというのは、どの程度期待できるのか。
 それから、燃料費というのが、輸送業のコストに占める燃料費が、例えば仮に炭素トン当たり1万円の税金がかかれば、ガソリンでいえば6円か7円ぐらい値上がりするというふうに言われていますが、そういうことで燃料に値上がりがあるわけですが、それが一体全コストをどの程度押し上げるのかということをお伺いしたい。
 以上です。

○森嶌委員長 全部伺ってからというふうに思っているのですけれども、ただ、割合テクニカルなので、サプライサイド、モーダルシフト、それから燃料費のコストが全体に及ぼす影響という、その点について、お答えいただきましょうか。

○中田氏 今、ご質問のあった4点全部お答えしてよろしいですか。

○佐和委員 はい。

○中田氏 最初、文章の表現のところでございますけれども、2行目に輸送コスト削減の要請も強いのでと書いてございますけれども、これは輸送コスト、そもそも運賃料金そのものを下げろという要請が強い。その状況下において、新たな転嫁が非常に難しい。こういう趣旨でございます。
 それから、2番目のサプライサイドの問題でございますけれども、確かに物流事業者にコスト負担がかかってくると、サプライサイド側での転換というものが必要になってくるということは痛感すると思うのですけれども、その場合、例えば低燃費車の、その時点における価格、あるいはそれに対する助成制度、それいかんによって実際の行動が伴ってくるかどうかということが決まってくるのではないかと思っております。
 それから、第3点の船舶でのモーダルシフトということでございますけれども、これは我々物流業界では44%という目標を現在立てておりまして、実際には42%程度にしかなっていないわけでございますけれども、目標年度に向けて、この44%を達成したいと思っております。
 それから、第4点の燃料費でございますけれども、これ実は、全物流業についてまとめてお話しするのも乱暴でございますので、トラックだけに絞って申しますと、燃料コストは大体総コストの11%程度ということでございます。ちょっと炭素に換算した場合どうなるかというのは、トラックの場合軽油でございまして、ガソリンの場合2円ということだと思うのでございますけれども、軽油の場合どうなるかって、ちょっと私試算しておりませんので。

○佐和委員 ということは、軽油が10%値上がりしても、コストは1%アップするだけということですね。

○中田氏 そういうことですね。約1%アップするということになると思います。

○森嶌委員長 それでは、浅野委員、それから平松委員、平尾委員ということで、追加される方いらっしゃいますか。なければ、一応そこで打ち切りにして、15分たつかどうかで、その後追加を。それでは浅野さん。

○浅野委員 佐和委員のご質問に関連することなのですが、モーダルシフトについて、今のご説明で44%の目標を立てておられることは、よくわかりました。
 私もモーダルシフトがなかなか進まない理由はどこにあるんだろうかということが、かねてからの関心事なのですが、コスト面でモーダルシフトの方がコストがかかるという理由があるのかどうか、その点をおたずねいたします。手間がかかるとかというような理由なのでしょうか。単なるそういう理由か、それともやっぱりモーダルシフトというのは、トータルとしてはコストアップにつながっていくので、なかなか進まないと理解をしたらいいのでしょうか。
 と申しますのは、その点は、だから場合によっては、このような環境課税によって、コストの構造が変わるということが予想できるので、それを政策的には取り入れる可能性があるのではないかと逆に思うわけですが、いかがでしょう。

○中田氏 コストの問題もございますけれども、やはりトラックから一般船舶に移しかえる手間暇の問題、それから移しかえる場合に、そこに搭載される、通常RORO船とか、フェリーとかになるわけですけれども、車両そのものを搭載する場合の、いろいろな規制のあり方、そういったところに若干の問題があるのではないかと思っておりまして、私どもとしてはその規制につきまして緩和していただくよう、関係ご当局にもお願いしているという状況でございます。

○浅野委員 コストの要素というのは、それほど重視しなくていいと考えてよろしいでしょうか。

○中田氏 内航海運の場合、モーダルシフトがふさわしい距離というものがございまして、恐らくある一定の距離を確保できれば、コスト面についてもクリアできるのではないかと思っております。

○浅野委員 ありがとうございます。

○森嶌委員長 それでは、平松委員。

○平松委員 2点お伺いしたいのですが、先ほど佐和委員からお話が大分出た分と、ちょっと重複するのですが、3ページのところ、価格転嫁の問題で、税は最終消費者が負担を感じる仕組みにすべきと、確かにそのとおりだと思うのですが、価格転嫁をする場合に、何が一番ネックになるのか。後ろの方にご説明を参考資料でいただきましたが、荷主側の問題だとか、最終消費者の問題だとか、どういうことを実際問題突破すればいいのか、いま一つ、ちょっと書かれた中ではちょっとわからないなという感じ。
 もう1点は、このパブリックコメントのところで、既存税制の見直しの論議が十分にされないまま、新たな税論議があるとおかしいではないかと。結果的に既存のエネルギー税制の負担水準さえ下がれば、事が済むのかどうか、やはり既存のエネルギー税制、それぞれ目的が違うと思いますので、負担が大変だということは、私もいろいろ話は聞いていますが、この辺で、ただ税が減ればそれで済むという話ではないのではないかなと、今の地球温暖化の問題を論じたときに。その辺、どんなふうにお考えになるのか、お聞かせ願えればと思います。

○森嶌委員長 これもお答えください。

○中田氏 よろしいですか。第1点についてでございますけれども、価格転嫁ができない最大の理由は、やはり景気の動向にかかわらず、物流事業者というものは、大変荷主に対して、ある意味で隷属的な立場にあると、そういう置かれた立場から来る問題だと思っております。それは先ほど先生の方からご指摘がありましたように、それについては後ろの方でご説明したつもりでございます。
 それから、既存エネルギー税制の見直しの点でございますけれども、私ども現在でも、エネルギー関係税制というのは、運輸部門に非常に偏って課税されているというふうに感じておりまして、非常に重圧を感じているところでございます。これは理屈ではないのですけれども、これ以上エネルギーに関して税金を課せられるということは、非常に私どもの収支というものを圧迫する、経営を困難にするものであるから、ぜひともこれだけは回避していただきたいというお願いに近い話でございます。

○森嶌委員長 それでは。

○平尾委員 平松委員の関連みたいですけれども、価格転嫁について、競争条件に置かれているときに、価格転嫁すると大変難しいということで、このスポットのときと、専業のときとほとんど同じパターンで価格転嫁が難しい。買いたたきがある。その中で、あれば聞かせてほしいと思いますのは、力関係で、運んであげなければいけないという立場にあるような輸送形態の場合、価格転嫁というのは、そういう買いたたきがないケースがあるのかどうか。一般的には競争の場合は、私は価格転嫁というのは、大変難しいというのは、同感でありますけれども、そういう例がありましたら、教えていただきたい。

○中田氏 私が聞いている範囲では、そういう例は皆無だと思います。

○平尾委員 ということは、常に選ばれる立場、状態に、要するにサプライが過剰だと、こういうことですか。

○中田氏 はい。

○平尾委員 わかりました。

○森嶌委員長 それでは、そこに。

○天野委員 2点ご質問したい。3−3ですか、3ページの価格インセンティブ効果による使用の減少が予測されて云々と、こういうところがありまして、代替燃料とか、低燃費車が出てこない限りは、使うものを使わざるを得ないということなのですが、流通業界なんかでは、例えば、従来トラックで輸送していたやり方を改めて、輸送量をうんと減らして、しかし、ロジスティックスのサービスをきちっと提供するような仕組みに変える。ですから、輸送量は減るわけですから、輸送料の収入は減るのですけれども、ロジスティックスのサービスを提供する方の収入がうんと入って、従来よりも収益が上がると、こういうふうなやり方をしておられる会社もあるわけです。
 ですから、全く従来と同じような車を使って、従来と同じような燃料を使っていれば、税が増えれば、当然コストアップになりますけれども、そういった経営方針あるいはサプライチェーンなんかの仕組みを変えることによって、こういうものを克服しようというインセンティブは、私は当然働くのではないかと思うのですが、その辺、どういうふうにお考えなのか。つまり、全くすべて既存のとおりという発想でお考えなのかどうか、その辺をちょっと伺いたい。
 それと、もう1点は、一番最後のグラフなんですが、普通、こういった一括の動向を示す場合には、実質的にどうなのか。あるいは運んでいるものの価格と、運ぶサービスの価格の関係から見たらどうなのか。そういった実質表示で書かれるのが普通なのですけれども、そういうふうに書かれても、全く様子は変わらないというふうに理解してよろしいのでしょうか。私はちょっと疑問があるものですから。以上です。

○中田氏 第1点につきましては、そういうインセンティブは全くないわけではないと思います。ただ、先生がおっしゃるようなサプライチェーンマネージメントとか、これ、ロジスティックスの中でも、かなり高度な部分でございまして、物流業のほとんど大半を占める中小の物流業者にとりましては、非常に難しい経営形態だろうと思っております。そういうところが、非常に大きなネックになるのではないかと思っております。
 それから、価格の問題でございますけれども、ちょっと実質価格につきまして調べておりませんので、申し訳ございませんけれども、本日ちょっとお答えできない。ご容赦いただきたいと思います。

○森嶌委員長 予定している時間は過ぎておりますけれども、もうお一方だけ、はい、それでは。

○久保田委員 連合の久保田と申しますけれども、労働組合の関係なんですが、端的に環境税の問題ということが非常に大きな、大変な痛みを伴う状況になるということはお話しされたとおりが実態ではないかと思うのですが、ただ、その前に環境税云々の前に、業界が抱えている産業政策的な構造問題だとか、そういうこと自体が今、大変なところに来ているのではないかと、そのことを解決をするということを同時にやっていくということと、この環境問題に業界としてどう対応していくのか。あるいは日本の国策としての環境目標に対して、どう努力をしていくのかということを、やっぱり分けて考えるといいますか、そういうふうに問題を整理しないと、常に難しい、難しいということに、結局なってしまうのではないかという感じがいたします。
 中で働いている労働者だとか、そういうところの問題も非常に過重な残業だとか、あるいは道路交通法も含めた普通のルール以内で、やれるのかという、いわゆる規制緩和が裏目に出ているのかどうか、その辺のこともあるのですけれども、要は過重な競争と何でもありみたいな競争自体が、大変な状況になっているのではないかという問題があるので、環境問題に対する、環境税に対するあれというよりは、その以前に、正常化しなければならない部分が非常に大きいのではないかというふうに思うのですが、その辺についてどういうご見解かですね。

○中田氏 政策的に、どうあるべきかというのは、ちょっと私の立場では申し上げられないのですけれども、仮に供給が非常に過多であって、ある程度淘汰が進んでいるということであったとしても、ここに書いてある現実の姿というものは、そんなに大きく変わらないのではないかというような気がしております。

○森嶌委員長 それでは、まだご意見おありかと思いますけれども、時間もございますので、次に進ませていただきます。
 炭素税研究会の足立さん、よろしくお願いいたします。

○足立氏 ご紹介いただきました炭素税研究会の足立と申します。本日はこういう場を設けていただきまして、本当にありがとうございます。座らせていただいて。

○森嶌委員長 はい、どうぞ。

○足立氏 そうしましたら、我々の資料の中に、1枚紙で最初要旨(資料3−1)がありますけれども、基本的にこのパワーポイントを見ていただきながらお話しさせていただきたいと思います。配布資料の方にもついておりますので(資料3−2)。

○足立氏 私ども、炭素税研究会の少し紹介をさせていただきますが、私が働いておりますジャクセス(「環境・持続社会」研究センター)という団体や、気候ネットワーク等のNGOのメンバー、研究者の方、税理士、企業のサラリーマンで、炭素税の導入がこれからの産業の活性化に非常にいいんだというふうに信じていらっしゃる方とか、そういった方々で構成している緩やかなグループで、炭素税の早期導入に向けて研究・提言活動を行ってきました。2001年に炭素税の制度設計案(Version1)を出し、以来提言の改訂作業も行ってきました。我々、地球温暖化対策税制専門委員会のヒアリングで、意見を1回述べさせていただいたこともありました。そういった団体です。
 本日は、我々は明確に炭素税の早期導入が必要なんだという立場のご意見を述べさせていただきたいと思います。次お願いします(資料3−2スライド2へ)。
 本日の内容はこういうふうになっております。次お願いします(資料3−2スライド3へ)。
 まず、炭素税早期導入の必要性ということなのですが、これはもう基本的なことですけれども、基準年からCO2では8.2%増えている、温室効果ガス全体でも5.2%増加しているのは事実です。この6%削減という削減目標の達成から全く乖離している状況を何とかするためには、温暖化対策を強化することは、全くもって当然のことです。そのために、炭素税だけではないですが、政策の強化が必要になってくるということです。次お願いします(資料3−2スライド4へ)。
 これがその日本のCO2排出量の増加の状況です。次お願いします(資料3−2スライド5へ)。
 これは環境省の資料ですけれども、これだけ多様なCO2排出というものを減らしていくためには、炭素税というのは非常に有効です。これも当たり前のことですが、小口の排出者には炭素税ぐらいしか、実質的な施策がありません。また、企業や公共部門関連で、約80%のCO2を出しているわけですね。そういう意味では、小口の排出者だけに炭素税をかけるということには、全くなり得ず、産業部門を含めて、ちゃんとすべての部門に課税するということが必要です。その早期導入が必要というのが、我々の立場です。次お願いします(資料3−2スライド6へ)。
 炭素税課税の有効性ですけれども、これも非常に基本的な話ですが、課税ベースの広さということと、温暖化防止型の経済・産業構造への移行が不可避であるということ、また、フリーライダー、つまり全く対策をとらない企業なりが、非常に頑張っている企業に比べて不公平に利益を得るというようなことを防ぐということ。市場による低コストオプションの選択・実施を誘導できること。CO2削減効果が継続すること。これはつまり規制は、規制値を超えれば、それで概して排出者の削減努力は終わってしまうわけですけれども、経済的手法である炭素税であれば、継続的に皆さん頑張れば頑張るほど炭素税の支払いを減らすことができるので、排出者の削減努力が継続することになります。また、イギリスのように排出量取引や、協定などとのポリシーミックスも可能です。次お願いします(資料3−2スライド7へ)。
 特に反対意見に対するコメントということなんですけれども、まず1番目、今回パブリックコメントをなさったときに、産業界の方中心に反対意見が多かったわけですけれども、基本的にやっぱりこれは温暖化対策の強化が必要で、炭素税導入がそのために非常に有効であるということの理解が進んでいないのではないか。例えば課税段階はどうであるべきか等、なかなか炭素税の制度は複雑ですから、一般の方にわからないわけですね。そういう意味で誤解もありますし、炭素税は経済に絶対悪いんだということが非常に広まっていますけれども、そういった誤解を解き、正しい理解を進めていく。そのために環境省を中心に説明を強化していかなければいけないということですね。
 また、確認しておかなければならないのは、各種調査から明らかなように、多くの国民は環境税を実際支持はしている。パブリックコメントの機会にわざわざ意見提出まではしないけれども、支持している国民は多いということですね。
 また、炭素税に対する反対意見の表明者の方は、基本的に温暖化対策を進めなくていいよというのであれば聞くに値しない意見だと思いますけれども、そうでなければ、代替案を出さないといけないのではないか。炭素税もだめだし、排出量取引もだめだし、何でもだめというのだったら、もう何か非常にわがままな感じに聞こえてしまいますので、特に6%削減を担保する、中長期的な温暖化対策を実現する、というための代替政策まで出さないと、やはり炭素税に反対をするのは難しいのではないかなというふうに考えます。次お願いします(資料3−2スライド8へ)。
 次に、個別の反対意見に関してですけれども、「京都議定書が未発効である。議定書に米国が批准していない。議定書に途上国の削減義務がない。」などのご意見もありますけれども、基本的に議定書発効有無にかかわらず、中長期的に温暖化対策は不可欠です。議定書を批准した日本というのは、国際社会にそれを宣言しているわけですから、議定書の約束を守るのは当然です。そして、米国以外の大多数の先進国は、議定書に実際に賛同して、ご存じのように、もう欧州諸国は炭素税を導入している。世界全体で炭素税を入れなくても、個々の国で入れているということです。
 温暖化の主な原因となっている先進国がまず義務を果たすべきです。1人当たりCO2排出量を見れば、日本を含む先進国は非常に大きいわけですから、まず義務を果たすべきだということですね。
 温暖化防止のために中長期的に大規模削減が必要なことは明らかなので、京都議定書のことばかり言っていないで、その先を見て、即刻そのための社会づくりをしていくということが重要です。先ほど申し上げたように、中長期的に温暖化防止型の経済社会をつくっていかなければいけないので、そういった産業を早くつくっていった国が、国際競争力も高めていくことにつながる。そういう意味では省エネルギーあるいは自然エネルギーをどんどん推進していくような産業構造にしていくことが急務です。私も前企業にいましたから実感しましたが、企業はやはり短期的に1年2年先のコストしか考えにくいわけです。けれども、やはり5年10年先のことを考えていったら、炭素税の導入によって産業構造を変えていくことが必要であるというふうに考えています。次お願いします(資料3−2スライド9へ)。
 「炭素税には、CO2削減効果がない」との意見もありますけれども、これは多数の経済モデルとか、欧州での事後評価がその削減効果を提示しています。特に長期的には削減効果が大きいというふうに示しています。なかなか短期的には、効果は出ないかもしれないですけれども、長期的には非常に効果が出てくるということだと思います。
 経済へのマイナス影響が大きいという意見ですけれども、これも先ほど申し上げたように、基本的に、例えば炭素税の税収を減税に使えば、つまり欧州のように税収中立型にすれば、減税になる企業と増税になる企業、活性化する企業とそうではない企業が出てきます。これはいつも佐和先生がおっしゃっていますけれども、あるいは温暖化対策に使ったところで、税収がちゃんと社会に還元されれば、それによってプラスになる企業はいっぱいあるわけで、一概に経済・雇用が絶対マイナスになるという論は、もう通用しないというふうに考えております。次お願いします(資料3−2スライド10へ)。
 次に特定業種にマイナスの影響があるとの意見に関してです。確かに全体とすると、経済・雇用にはマイナスにならないかもしれないけれども、特定業種にはマイナスの影響があるのではないかということはあり得るかもしれないと考えています。ただ、マイナス影響が懸念されるエネルギー多消費産業というのは、同時に省エネによるコスト減も大きいと期待される業種です。事実、エネルギー効率の向上は、オイルショックのときに頑張ったことによって、日本の産業は非常に活性化しました。炭素税の課税が本当に日本の産業を圧迫するのか、という意見には非常に疑問があります。
 仮にマイナスの影響が予測される場合には、我々が提案していますように、イギリスやデンマークのように、一定のCO2削減の達成を条件とする軽減措置を実施すればいいのです。ただし、その際には、環境フリーライダーを防ぐために、真摯に削減に取り組む事業者との公正さを欠くような制度にしないことが必要です。そのためには、やっぱり基本的には、CO2排出量に比例した課税が公平であり、基本にそうべきなのだけれども、どうしても軽減措置導入が必要であれば、やはり排出削減をその条件とすることが必須になってくるということです。
 先ほど申し上げましたように、基本的に非常にプラスになる業種も多いといえると思います。次お願いします(資料3−2スライド11へ)。
 日本の産業界は優等生で、削減は限界との意見もあるという点ですけれども、これも日本の産業界の効率は90年以降悪化していることを示すデータもあります。次お願いします(資料3−2スライド12へ)。
 これがそのデータです。次お願いします(資料3−2スライド13へ)。
 また、日本の産業界の効率は、欧米よりも必ずしもよくないというデータもあります。ただ、このデータのとり方もいろいろありますから、絶対よくないとは、我々断言はしませんけれども、現実にそういうデータもあるわけですね。次お願いします(資料3−2スライド14へ)。
 また、二重課税だから反対ということもありますが、既存エネルギー税というのは、道路財源、エネルギー対策財源、空港財源等をとってくるための税であって、課税目的が異なります。目的の異なる既存税と重複して課税する事例は多く存在し、制度上全く問題がないということですね。
 また、今の話にありましたが、国際的に見て、環境省の資料にもありますように、既存のエネルギー税は必ずしも日本は高くないわけです。ですから、エネルギー税が高いから炭素税が不要という理屈は成りたたないというふうに思っております。
 それと、税収の使途が不明確だから反対という意見もありますが、基本的に温暖化対策は待ったなしであって、早急に課税しないといけない。使途はいろいろな案がありますけれども、みんなで議論して、広い議論でいい使途を選べばいいので、税収の使途が不明確だから反対するということをずっと言っていても仕方ないというふうに考えております。次お願いします(資料3−2スライド15へ)。
 最後に、我々炭素税研究会の制度提案(資料3−3)を少しご紹介させていただきたいと思います。炭素税のCO2排出削減効果を向上させ、課税面と使途面での公正さを確保するためには、やはり広い議論が必要です。地球温暖化対策税制専門委員会の案もよくできた案だと私も考えますが、それ以外の代替案と比較評価しながら、広く議論していかなければならないというふうに考えています。
 我々の提案との違いというのが幾つかありますが、ちょっと皆さんにお配りした後ろの方に、炭素税研究会と地球温暖化対策税制専門委員会の制度案の比較表というものがございますので(資料3−4)、それを見ながらお話をお聞き願えればと思います。まず、炭素税研究会の全体の制度案の特徴と申しますのは、環境税の本来の機能である、課税の価格インセンティブ効果による削減を基本としているということです。それに対して、専門委員会の方は、低率で導入して、補助金等に充ててCO2削減を確保するという考え方になっています。
 次に導入時期ですけれども、我々は早期導入をうたっています。2008年から2012年の京都議定書の約束を達成するためには、例えば2007年に炭素税を導入したところで、消費者がその後すぐ機器を買うかというと、現実には今使っている製品が古くなるまで買わないですよね。炭素税の効果があらわれるには時間がかかる。そうすると、2008年から2012年の削減目標を達成するために、とにかく早く導入しないといけません。もう2005年ですから、そうすると、とにかく早期導入するしかないと思うのです。2007年、2008年に導入したら遅いので、我々はとにかく早期に導入しなければならないというふうに考えています。
 また、課税主体なんですが、1つ目は地方分権の観点から、また、2つ目に温暖化対策を進めるためには地方自治体の取り組みが重要であるとの観点から、国と地方とのセットということを考えているところです。
 課税段階については、基本的に上流、最上流でいいと思っていますけれども、ポリシーミックスの観点から、下流課税も検討に値するというふうに考えています。
 税率なんですが、我々は炭素1トン当たり6,000円から1万5,000円と考えてまして、そのときに税収中立型の制度とすることを考えています。環境省の報告書で税収中立にすると、税率を4万5,000円にしなくてはいけないと書かれていますが、基本的にそんな高率の税を海外で導入している国はありません。しかし、炭素1トン当たり4万5,000円よりも低率の環境税を導入している環境税導入国は全て、税収中立型の制度を採用しているのです。その上で、ほかの温暖化防止政策とのポリシーミックスを行うという形をとっているわけです。我々の案は地球温暖化対策税制専門委員会の案より少し高い6,000円から1万5,000円です。これの現実可能性があるかどうかというのは、これから議論していただければと思います。環境税の税率が地球温暖化対策税制専門委員会の案より高いかわりに、その他の税は減税する税収中立型の制度とすることを提案しています。あるいは税収の一部を温暖化対策に充て、一部を減税に充てるということを考えています。
 ただ、これは絶対地球温暖化対策税制専門委員会の案がだめだと我々が考えているわけではありません。いろいろな制度のオプションを比較検討して、これから決定していけばいいという意味で出しております。
 それと、特に逆進性への対応ということなんですが、やはり低所得者への影響というものを考えて、例えば減税に回し、1人当たり定額で返していけば、低所得者に影響を与えないような制度にできるのではないかというふうに考えております。スライド次お願いします(資料3−2スライド16へ)。
 最後に、我々の提案の全体像なんですけれども、課税と税収の活用、その他の温暖化防止政策とのポリシーミックスを行うことによって、6%削減を担保し、低所得者対策、雇用対策も進め、環境と経済が両立する社会をつくるという提案になっております。
 以上です。どうもありがとうございました。

○森嶌委員長 どうもありがとうございました。
 それでは今の足立さんのお話についてのご質問あるいはご意見どうぞ。それでは桝本さん。続きまして平尾さん、平松さん、西岡さんということで。それではどうぞ。

○桝本委員 ご趣旨は私は非常に論理的でよくわかります。
 しかし、幾つか驚きと同時に、本当にそうかなと思うところがあります。例えば、ここに炭素トンあたりの、一番最後のところですが、税収の活用2兆円から5兆円とお書きになっていらっしゃいます。これは消費税、今、5%であったとして、およそ1%からあるいは倍ぐらいになるというようなオーダーかと私には存じます。そういうような高率の税をかければ、効果があるであろうということは、モデルを使わなくても何となく推察はつくわけです。それにもかかわらず、経済に対するインパクトはモデル等で証明されているように、余りマイナスのものはないというふうにご主張になるのか、これだけの高税であれば、今のご主張と違って、経済へのマイナスの影響があるかもわからないとお考えなのか、そこの点を1点を確認させていただきたい。
 それから、2は税は削減策として極めて高いものにつきます。これ、炭素の単位で書いてありますが、例えばシカゴで取り引きされている二酸化炭素は、ご案内のとおり、5、6ドル。植林で対応しても、 1,000円いくかどうか。いわばお金を使って、限られた資源を使って、削減する策には、税の対応策は、極めて効率悪く、極めて高いものにつきます。この辺についてのお考えはどうか。それが2題目です。
 それから、3点目は専門委員会の報告書には、一種の国民や消費者に対する期待といいますか、教育的効果、私の表現ですが、そうしたことを期待するという言葉が書かれています。この教育的効果あるいは消費者に対する期待をどういうふうにお考えになるのか。
 3点お伺いしたいと思います。

○森嶌委員長 多分、ずらっと並んでいて、似たような質問、あるいは反論的質問と好意的質問とがあると思いますので、一通り伺って、メモしておいて、取りまとめて答えてください。それでは、平尾委員。

○平尾委員 似たような質問ではないのですけれども、1つ意見と質問です。
 僕の意見は環境産業、そういうもので稼げばいいということがありましたけれども、そういう稼ぐ場がいるということを見せていただきたいということで、その中にいろいろな日本の産業構造の成り立ちとか、社会構造の成り立ちというの、もう少し深掘りされるべきではないかといいますのは、中環審の資料で、日本の産業の効率は欧米より必ずしもよくない報告がございまして、これ、それが全部ではないというふうなご指摘ございましたけれども、こういう国別の比較するときに、日本の製造業というのは、どうしてこう大きいのか。あるいは家庭というのは、どうしてこう質素、質素という表現を使ってございましたけれども、そういうようなのかって、もう少しマクロではなくて、深堀りして見られたらいかがなのかというふうに思います。
 例えば、アメリカなんていうのは、運輸が大きいというのは、これは広大な土地でございますから当然だし、イギリスはやはり外部から富を得るという、そういう構造でもありますし、ドイツも西ドイツと東ドイツ合わせているのか、西ドイツならもう少し日本に似ているかもわからない。家庭については、やはり日本というのはもう身につまされていますけれども、夜遅くまで仕事しています。家庭で団欒で使うということも余りないでしょう。どっちが幸せなのかどうかわかりませんけれども、そういうこともあります。
 したがって、このデータというのはもう少し研究会であれば、少し深掘りされるべきではないかというのが1点でございます。
 それから、質問はちょっと立ち入ったことでございますけれども、この1ページ目のところで、削減は必須で炭素税早期導入が必要というふうに、三段論法ではなくて、一段論法的に論を展開されておられますが、この炭素税というものの、どういうすべきということから出発されたのか。炭素税がどういう位置づけであるのかということから、この研究会を出発に当てたのか、いずれか。その関連で、企業人というのが構成されておりますが、その企業人というのは、このメンバーの中の何パーセントぐらいのウエイトをお占めになっているのか。ちょっと立ち入ったことですが、お聞きしたい。以上です。

○森嶌委員長 それでは平松委員、西岡委員。

○平松委員 非常に明快な内容でびっくりしましたけれども、何点かちょっと教えていただきたい。
 先ほど、ご説明の中で、この炭素税の活用という部分、余りそういうところ重要視していないのかなという感じがあったのですが、いわゆるインセンティブをねらうのが主なのか、その税収を使って、温暖化対策をやる財源にする。よく税制論議であるのですが、どちらを主に考えておられるのか、その辺がいま一つわからないなと。使い道のことを余り軽視しますと、それは負担者に理解がされないのではないか。その辺でどんなふうにお考えなのか。
 それから、経済の効果という部分で、マイナスの部分というものを、経済界が享受すればいいというのは、ちょっと考え方が。逆に炭素税が導入されて、経済がそれによって新しい産業ができるとか、いいプラスの面になるようにしないと、なかなか企業なり、経済界からは、好意的にとは言いませんが、受け入れられないのではないか。その辺はどんなふうに思っておられるのかな。
 3点目、これは国民の、アンケートか何かだと思うのですが、国民の支持を得ているというお話がありましたが、私、神奈川で日夜現場で苦しんでおるものですから、国民の税に関する意識として、総論はほとんど賛成します。具体論になった場合には、99%は反対しますので、その辺アンケート調査で、温暖化のためだからといって賛成するからといって、実際に負担する立場になった場合に、先ほどの物流団体の方のお話もありましたが、かなり反発が出ます。その点は、研究会の中で現場での、実際そういう形になった場合に、反発が出るということをご論議されたのか、その辺をちょっと教えていただきたい。以上です。

○森嶌委員長 それでは、西岡委員。

○西岡委員 私が考えていた質問は、今、一番最後に平松さんのおっしゃった件なんです。一体NGOとして、非常に国民に近いところで活動しておられて、国民の税に対するアクセプタンスって、どうなんだろうか。何か実感あるいはデータで示していただければありがたいな。今でも年金の、消費税の問題等々で論議があるわけですけれども、結局国民がOKすれば、かなりのところまで行くのではないかと思います。その辺が1つのキーではないかと思っておりますので、何か認識がありましたら、教えていただきたい。

○森嶌委員長 それでは、佐和委員、それから天野委員。その辺で一遍打ち切ります。

○佐和委員 まず、報告に対するコメントをする前に、桝本さんがおっしゃった消費税を倍にするぐらいに等しいではないかとおっしゃったけれども、これはちょっと完全な間違いでして、そこに財政学の専門家の植田君がいますので、僕の意見が正しいかどうか、1%が2兆 5,000億ですよ。だから、約、これ1ないし2%消費税を上げるに等しいということです。
 それから、そうですよね、植田君。

○植田氏 5兆円からですか。

○佐和委員 いや、2兆円から5兆円と変わりますね。だから、消費税だと1%ないし2%の税率を上げるに等しいということですね。税収という点からすると。
 それから、やはりどなたかがご指摘なさったとおり、使途の問題というのは、やっぱり重要だと思うのですね。やはり財務省の立場からすれば、当然、これでもって財政赤字の削減に当てようということで、一般会計に繰り入れるということになりますね。もし仮にそういうことになれば、少なくとも短期的には、明らかに経済にはマイナスです。つまり、個人消費が仮に消費支出が減るという分だけ、あるいはそれにさらに付随してマクロ経済に対してはマイナスの影響が及ぶ。
 しかし、ですから、要するにGDPというのは、国内総支出という面があるわけですから、その税収を上手に政府が使ってくれれば、決してGDPが減るわけではないです。加えて、さっき1つご提案があったように、例えば所得減税をやるということになると、それによって可処分所得がふえますから、個人消費がふえる。では、差し引きしてどうなのかと問われても、それはやってみないとわかりませんと言うしかないわけで、ただし、プラスであれマイナスであれ、絶対値そのものが小さいであろうという。
 それから、経済全体に対するポジティブな影響というものも、やはりもっと言ってほしいとおっしゃいましたけれども、私もそう思うのですね。やはり、私は技術革新を促す。例えば、オイルショックのときに、これで日本経済は壊滅するというふうに言われたわけだけれども、しかし、結局日本の非常に省電力の電化製品とか、あるいは低燃費車というのがどんどん売れるということで、結果的には、トータルに、少なくとも中期的には日本経済にとってオイルショックはプラスに働いたわけですね。そして、1987年に、1人当たりGDPでアメリカを追い抜くというところまで行ったわけではないですか。
 だから、今回でも、そういう技術革新を促して、例えば低燃費車の開発を、トヨタ自動車を初め、どんどん世界に先駆けてやるということで、むしろ日本の産業、それは当然、自動車産業というのは、これはすごい波及効果の多い産業ですから、それは鉄鋼等々にもポジティブな影響が及ぶという、そういう点をやっぱり強調すべきではないかなというふうに思います。
 以上です。
 それから、早期のうちにやれということは、確かにそのとおりで、やっぱり短期的な効果というのはほとんどないに等しい。しかし、中長期的に、機器の取り換えということまで含めれば、効果があるのだから、やはり早く始めることは必要だと思います。

○森嶌委員長 今のご質問というよりも、足立さんの部分的に答えていただいたという側面も非常に多いのですが。
 それでは天野委員どうぞ。

○天野委員 1点お伺いしたいのですが、いろいろな炭素税あるいは温暖化対策税導入反対論に対する説明、大変説得力があって、それは私は感銘いたしますが、1つお伺いしたいのは、地球温暖化対策税制専門委員会の案以外の代替案と比較をして、そういった議論をこれから広めていこうというご説明、この趣旨にも私は賛成なのですが、ただ、私自身の個人的な考えでいいますと、現在の地球温暖化対策税制専門委員会の案というのは、あれで全部完成してしまって、ほかは何もしないということでは決してなくて、恐らくは今後、さまざまな政策手法を組み合わせた広い意味での政策パッケージのような形ででき上がっていくのではないかというふうに考えているのですが、そういう意味では単純に税制として、税率が低いか高いか、あるいは税収をどういうふうに使うかということだけで比較をして検討をするというのではなくて、例えば自主協定というのをどういうふうに取り組んでいくか。恐らく軽減措置のようなことを考える際には、きょうもご説明ありましたけれども、削減効果を殺してしまわないような形で、免除措置を考えるというふうにしますと、やっぱり自主協定のような手法が、1つの候補として挙がってくるのではないかというふうに思われますし、それから、排出量取り引き制度、これもEUとか米国等で検討されていますし、しかもこれは国際的にリンクをして使うというふうなことを、欧州の方も、米国の方も考えています。
 これは米国政府が考えているというよりは、むしろつい最近、下院の方へ出されました案ですね、それなんかは、そういう考え方をとっているわけですが、そういう意味では、国内の排出削減措置として、国内排出量取り引きを使うという面が考えられるわけですね。ですから、そういうふうな制度との組み合わせ、これは日本ではまだ政策論としては出てきておりませんけれども、実際に試行事業として、各省がそういうことを実際にやってみているということもありますので、そういうものとどういうふうにかかわりができるのか。
 あるいは、今度は国際的な排出量ということで、京都メカニズムというのがありまして、CDMはもう既に動いているわけですから、EUが今回の取り決めで、それがすぐに国内の事業者によって使えるような、そういう制度を立ち上げたわけなんですね。
 ですから、これも日本では当然候補の1つに入れて、それによって、どの程度の削減のインセンティブが与えられるのか。これも非常に幅広い選択手法というのは、これから今後、近い将来、我々考えていかなければいけないと思いますので、そういう意味で、今回のご検討の中で、そういった、さまざまな政策措置がどの程度視野に入っているのかと、その点だけ、ちょっとお伺いしたい。

○森嶌委員長 これだけ、いろいろ出て、お答えになるのは、まともに答えたら、30分過ぎるかもしれませんが、できれば5分ぐらいでお答えいただきたいと思います。

○足立氏 すみません。さきほど15分だったので、弾丸のようにしゃべりましたが、少しゆっくり目に要点別にしゃべりたいと思います。
 最初の桝本さんの経済への影響ということなのですけれども、ちょっと時間がなくてちゃんと説明しませんでしたが、ほとんどの方はおわかりだと思うのですけれども、我々の制度案では、環境税の税収を社会保険料なり、法人税の減税等に充てていくというヨーロッパ型のものを考えています。そうすると、環境税の増税とその他の税の減税を総体として考えたときに、増税になる企業と減税になる企業が出てきます。だから、全体として雇用がプラスマイナスゼロぐらいではないかと。ヨーロッパはモデル研究がいっぱいありますけれども、確かに全体として雇用がマイナスになるというふうに出している研究もあるのですけれども、プラスになるという研究もすごく多くて、大体半々ぐらいかなという状況です。
 我々もプラスだと言い張っているわけではありません。実は我々の提案している制度の影響を経済モデルの専門家の方に試算していただいて、そこでは、若干GDPがマイナスになるかなという形で出しています。短期的に必ずプラスになりますと言い張るつもりはないのですけれども、基本的にやっぱりプラスマイナスゼロぐらいではないか。でも、そのときに、今、佐和先生がおっしゃったように財政赤字に充ててしまうとマイナスになってしまうかもしれません。地球温暖化対策税制専門委員会の案も我々の案も、それはちゃんと社会に税収を出していきますという形なので、それであれば、マイナスにはならないのではないかということです。財政赤字に回すということは我々は今のところは考えていないですし、そうなるとすると、確かに経済影響があるのではないかということかと思います。
 次に、税は高コストであるということなのですけれども、今回発表した低コストというのは、最小費用コスト、経済学的な話から来ているもので、ちょっと議論は違います。1つ申し上げたいのは、ここでも議論が出ていますけれども、よく国際排出量取り引きがコストが安いという議論があるのですけれども、炭素税は税収を取って、それを国内に流していくわけですよね、基本的には。そうすると、温暖化対策に熱心な企業や消費者は経済的にも得をし、そうでない人はその逆で、社会全体とするとプラスマイナスゼロになります。国際排出量取引は国内の産業なり、消費者に還元していけばいい税収を海外に出してしまうものです。そっちの方が低コストだというのは、ちょっと論が合わないなというのは、常々感じています。
 3番目の教育的効果に関しては、まさにおっしゃるとおりです。NGOは政策もそうなのですけれども、教育というのを一緒にやっていかないといけないということで、日々、そういう活動はやっていて、それとともに政策も必要だという意味では、桝本さんと我々は考えは同じです。教育もやるし、何でもやる。政策もやるということです。教育も強化しなくてはいけない。政策だけに頼ってはいけないということかと思います。
 4点目の環境産業についてどうか、産業ごとに深掘りしなければいけないのではないかということも、おっしゃるとおりで、我々がもう少しやっていかなければいけないかなと考えています。ただ、我々も個別産業ごとの一応データをいろいろ持っているのですけれども、その裏づけ等が余りなくて、出すと、これはどうなんだという話もありますので、現在あるデータを公に示すのには慎重になっています。我々は実はいろいろと分析しており、それによると、ほとんどの産業にプラスだという結論が出ているのですよね。そのデータを出してしまうと、本当かと言われ、NGOがいいかげんな、という話になりかねず、まだ公表していません。そういうデータをちょろっと見せますので、これは違うよとか、逆に教えていただけるといいかなと思います。今後よろしくお願いします。
 5点目、私達の研究会に企業の方が何パーセントぐらい入っているかということなんですけれども、実際サラリーマンでやっている方は皆さんお忙しいので、正直20パーセントぐらいしかいないです。ただ、私もそうですけれども、NGOスタッフも、みんな大体企業勤めを経験しています。私もメーカーにいたので、特に何でメーカーに炭素税をかけるんだと思う気持ちも多少わかります。メーカーにも何とか僕は稼がせたいと思ってやっており、炭素税の課税がメーカーの収益構造の強化につながると考えています。そこは信じていただきたいと思います、ちょっと話が脱線して申し訳ないのですけれども。
 6点目、炭素税はインセンティブ効果か財源効果かということです。我々はやっぱり補助金は大きな問題をかかえており、1兆円規模の予算を、なかなか温暖化対策で効果的なものに回すことが難しいと考えています。我々もいろいろ試算しているのですけれども、ちゃんと効果的な温暖化対策に使えるような案ができていないので、ならば減税に回した方が、経済にとってもいいし、国民の理解も得られやすいのではないかなと考えているのです。1兆円環境省が、我々が同意できるいい温暖化対策を積み上げ、確実にそれらのみに税収をあてるなら、それでいいのではないかと思いますがそれはほとんどあり得ないと考えています。
 そういう意味では、やっぱりまずインセンティブ効果を働かせていくことが重要です。財源効果もやっぱり徐々に考えていこうということで、我々も実は研究チームをつくって、実は4月ぐらいから動こうかと考えています。
 7点目の新産業の活性化というところをもう少し強調したらという話は、すみません、全くおっしゃるとおりで、ちょっと時間の関係もあったので説明不足でした。それはもうやっぱりそういうことを本当に考えていかないといけないし、そのために私達は炭素税の導入を提案している。経済、雇用活性化のためでもあるのであって、ただ単に温暖化防止のために産業がだめになってもいいとは、我々は全く考えていないのです。
 8点目は国民の税に関してのアクセプタンスの話です。これは西岡先生のお話にもありました。我々も勉強会を地方でやっていたりすると、「環境税は必要と思うが、一方で不信感もある」という意見も出てきます。政治家の方に会っても、「国民はアンケートでは賛成するけれども、最後に反対するのではないか」という方もいます。何で不信感を抱かれるかといえば、制度がよくわからないからです。税収が財政赤字に充てられてしまうのではないかという話に対しては反発も大きいです。やっぱり私はちゃんとしっかりとした効果的な温暖化対策に充てられる、あるいは減税に充てられるということがわかれば、私はほとんどの方々が賛成するというふうに言ってくれると思います。でも、財政赤字に充てるのではないかというちょっと不信感もあったりして、そういう意味では、もう何が何でも賛成するという状況には多くの国民はなっていないでしょう。けれども、こういった検討を積み上げていって、いい使途が出てくれば、そうしたら絶対ほとんどの方が賛成するだろうという実感をもっています。基本的にそういう状況にあり、それ故アンケート調査等では国民の多くが導入に賛成しているのだというふうに私は理解しています。そのための政策提言と普及啓発を、我々NGOも日々やっており、まだ足りないのですけれども、今後もやっていくつもりです。
 次、9点目の技術革新、ポジティブなところも言わなければいけないということは、そのとおりです。
 10点目の政策パッケージについてなのですが、本当におっしゃるとおりです。ただし、これも非常に難しいのは、我々協定と言ってしまうと、何か変なすごい緩い条件が産業に認められるような協定ができてしまうことを、実は恐れていたりする部分もあります。どういう協定制度がいいのかを提案していかないことには、下手にただ協定制度を導入しなさい、というだけでは不十分だと思います。どういう排出量取引がいいのかを検討することが重要で、ただ単に排出量取引を導入しなさいと言っても、あまりしょうがないのではないかとも思っています。ポリシーミックスについては、実は我々も研究しているのですが、なかなかまだ見えていないのが現実です。気候ネットワークさんが中心になって、大綱の見直し作業に対する提言活動も行っています。この炭素税と排出量取引と協定とか、その他のポリシー全体について研究はしていて、まだまだちゃんとここに出せるようなものになっていないので恐縮なのですけれども、今後も勉強させていただきたいと思っています。
 以上です。

○森嶌委員長 どうもありがとうございます。我々も今後検討を続けていきますので、そちらの研究会も外から眺めていて、あなた方は何をやっているのだということがありましたら、ぜひ意見書なり何なりを出していただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
 それでは、植田さんよろしくお願いいたします。

○植田氏 植田でございます。よろしくお願いします。

○森嶌委員長 ちなみに15分ほどご発表いただいて、15分ほど質疑を受けるということにしております。なお、植田さんは環境経済政策学会からおいでですので、研究者として、諸外国を含めて、学会でどういう議論がなされているか。学術的に、中環審で出された専門委員会の報告がどのように評価されているかというようなことも含めてご意見を承りたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

○植田氏 ということでございまして、環境経済政策学会という学会の立場からと、こういうことでございますけれども、学会というのはご存じのように、何か1つの結論を出しているわけではございませんで、1人1人の研究者がそれぞれの考えを持っていると、こういう面でございます。したがいまして、私のきょうの報告も、そういう学会でどういう議論がなされているか。全体としてどういう研究の動向にあるかというようなことを中心にしながら、お話をさせていただきたいと思います。
 限られた時間ですので、早速お話を始めさせていただきたいのですけれども、一応最初に少し、いわゆる温暖化対策税制が議論になっているわけですが、いわゆる一般的な意味での環境税研究というものがどういうふうに発展をしてきたかという点について、最初簡単に概括をしておきたいと思います。
 環境税研究の出発点というふうにいわれておりますのは、ピグーという、いわゆる厚生経済学の創始者でありますが、このピグーによる環境、当時、ピグー税と後に呼ばれるわけですが、そういう税の提唱に始まるといわれておりますが、その理論的根拠というのは、いわゆる外部不経済の内部化ということでございまして、これは皆さんよくご存じように、ある生産なり、活動なりがつくり出す物の価格というものが、いわゆる環境費用を不払いにしているということによって、第三者、社会に何らかの被害が及んでいるような状態。そういうことは、資源配分上も非効率でありますし、社会的にも不公正であるということだと思うのですが、そういう意味で内部化を図る。そのための手段として税を考えると、こういうことでございました。
 この考え方は、私は今日までの環境税研究に一貫して受け継がれている、最も基本的な点だと、こういうふうに思います。要するに、何かと申しますと、価格シグナルが重要であるということが一番大事な点の1つであります。価格シグナルが間違っているというのは、大変問題があるので、この価格シグナルを是正するということは、一番基本的な点である。この点を抜きにはできないということでありますし、その価格シグナルの是正するための環境税というものが、いわば汚染削減のための動機を制度的につくり出す。いわゆるインセンティブだと思うのですが、そういう点が一番重要な点であると、こういうことかと思います。
 実はピグーの提起以来、長らくこの環境税の議論は眠っておりました、率直に言うと。やはり戦後の経済成長の中での、いろいろな環境問題が起こる中で、環境政策が制度化されてくるということが、やはり大きな点だったと思うのですが、これは60年代、70年代ということになってまいります。ただ、その環境政策の制度化を基本的に直接規制でするんだと、政策手法という意味ではあったと思います。これはやはり環境問題の、当時の環境問題の質ということもございますし、ピグー税の持っている実行可能性の問題ということもあったかと思います。
 それを受けて、実はボーモルとオーツという人が、1971年にプライス・アンド・スタンダードといいますか、価格と基準というのを組み合わせるという考え方で、政策的な目標それ自体はオプティマルな点を求めるわけではなくて、例えば環境基準ということを考える。あるいは今日的に言えば持続可能性という観点で何らかの基準を考える。あるいは議定書に基づく基準でも。そういう基準というものを達成するための手段として税を活用すると、そういう考え方を提示したわけであります。これは実行可能性という点では、ピグー税に比べますと、圧倒的に高まると、こういうことでございます。
 ただ、そのピグーもボーモル&オーツも一貫して、最初に申し上げた限界削減費用の均等化ということを含めた価格シグナルを重視した考え方、これを貫いている点では同じだろうと思います。
 ボーモル&オーツは71年に提起するのですが、これはやはりそれなりの私は意味があったと思います。実は、2枚目、次にいきますが、長らく環境税は理論上の税であったわけですけれども、一番具体的なものとしては、1976年にドイツで排水課徴金というものが制度化されますが、これの制度設計の提案をしたのは、ハウスマイヤー、ケルン大学教授でありますけれども、私も直接お話を聞きましたが、これはボーモル&オーツ税を適用するということで、実際に計算をされて提案をされたと、こういうことでございます。これは81年から具体化されると、こういうことになりました。ただ、実際に導入された課徴金は、提案された課徴金率よりはかなり低いものでございました、現実にですね。ということでございます。
 ということで、その80年代から、だんだん90年代に至って、長らく理論上でしか議論されてこなかった環境税が、現実にさまざまな形で導入されてくると、こういうことにになったと思います。それに伴って、環境税研究の幅がぐっと広がったというふうに私は理解しております。それはいろいろな面がございまして、こちらに載っている方から先にいきますと、やはり環境税を導入しますと、しかも90年代はご存じのように、いわゆる炭素税といわれるものが導入されてまいります。
 炭素税は一面でエネルギー課税ともいえる面がございますので、エネルギーに関係のない経済活動などありませんので、非常に課税ベースの広いもので、税収が大きく上がると、こういう面を持っています。税率は低くても。それですので、これは90年、91年ぐらいだったと思いますが、ピアス、あるいはオーツという、これはイギリス、アメリカの環境経済学者でありますが、この人たちの論文が税収の使途に着目するべきだということを提起するようになるわけです。それまでは、政策の手段としての側面だけを議論していたのですけれども、税収の使途が大いに問題になると、こういうことになりました。
 ここからが、ややヨーロッパ的なところもあるのですけれども、税収の使途が問題になりますので、それを何に使うかによっては税の体系、例えば税収中立でやるとしますと、何かを減税すると、こういうことになりますので、何を減税するかと、こういう問題あります。ドイツなんかでは、『環境破壊なき雇用』という本が出まして、大変大きな影響を与えるのですけれども、つまり雇用をふやすということと環境を改善するということの両方を実現したい、税制改革によって。そういう議論が出てくるわけであります。
 確かに、その2つともどちらも大事だと、こういうことなので、単なる環境税の導入ということではなくて、環境税制改革という議論があります。私の見ますところ、大きく2つの内容があったと思いますけれども、1つは二重の配当論といわれているものでありまして、今、申し上げたようなことですが、取った税収を社会保険料の減税なんかに使いまして、そのことで雇用回復を図るというような、そういうことですし、経済学的にはゆがんだ既存の税体系を是正するというようなニュアンスもございますけれども、いずれにしろ、そういう2つの配当を追求するということであります。
 同時に、多分環境税制改革の議論は、先ほども若干議論がございましたけれども、大きな意味で産業構造の転換を、より環境神話的なものに転換していくという、そういう一種のイノベーション論といいますか、そういうものが含まれていたように思います。これも独自のもので、これはいろいろと関連する議論がたくさんありまして、資源生産性を抜本的に上げるだとか、そういう技術革新論と結びついた形で、この税制改革の議論がされていたように思います。
 ということで、税制上も重要な問題だというふうに、だんだんなってまいりましたので、1994年だったと思いますけれども、ハーバード大学で国際財政学会というのが開かれますけれども、これのメーンテーマが環境と税制というふうになると、こういうふうにもなりまして、税制上どういうふうに位置づけていくかということも、国際的な議論になってくるということでございます。私の率直な印象は、それにも参加いたしましたけれども、やはり従来は環境政策上の位置づけだけだったのですけれども、それに加えて税制上の位置づけも出てきたので、議論の幅がぐっと広がった形でやられるようになってくると、こういうことになったかと思います。
 同時に、次のをお願いしたいのですけれども、政策論としても、大変発展してくるとこういうことになった。というのは、具体的に導入されるということにもなりましたので、当然ながら実証的に効果を検証するとか、こういうことも非常に実際例が出てきたということもありまして、効果と影響の評価問題というのは、大変重要な問題になりましたし、同時に従来は規制的な手法でやっていたのに対して、こういう一種の経済的手法、しかもちょっと今日は時間の関係ではしょっておりますけれども、排出量取り引きの原点は、確か1968年にトロント大学のデイル教授が言い出したというふうにいわれているわけですけれども、ほぼ同時期に議論が始まっていることもありまして、そういう手法あるいは同じ経済的手法の中でもいろいろある。あるいは情報的な取り組み方とか、いろいろ政策手法が多様化してくるわけですね。そういうことがあるので、政策手法の相互に比較する。
 あるいはこれはドイツのガーベルという若い研究者が91年に提起したことだと思いますけれども、既存に既に制度が、環境の政策上の制度があるではないかとか、あるいは経済的手法を導入する。あるいは環境税を導入するといっても、ピグー的な観点からは、資源配分の効率を高めるということなのですけれども、ただ、政策の目標というのは、それだけなのかと問われると、そうではないのではないか。複数の政策目標が当然あるではないか。そうすると、複数の政策目標は復讐手段がないと達成できない。これはピンバーゲンという人の原理というふうにいわれたりしていますけれども、そういう面もある。あるいは分配問題が発生するというような、そういう幾つかの事情があって、このガーベル氏はやっぱりポリシーミックスの重要性を提示するということになります。
 そのポリシーミックスは、そういう意味で確かにそのとおりではないかと思うのですが、いわゆるエフィシェンシーの議論をする経済学の重要性は一面で変わらないのですが、同時にさまざまな政策目標を同時に達成するような制度はいかにあるべきか。どういうミックスをするべきなのかという、これはなかなか難問だと思うのですが、そういう提起が91年に行われ、それ以降、やはり制度の設計問題というのは、非常に現実にも動きますけれども、同時に研究としてもいろいろされてくると、こういうことになったのではないかというふうに理解しております。
 今日でもここに書いた税の面と、それから政策の側面の両面で活発な研究が続けられているというのが、今の現状だと、こういうふうに理解をしております。次お願いします。
 それで、温暖化対策税制としてはどうなのか。こういう今までのは環境税議論一般といいますか、そういうことでございますけれども、それに加えて、温暖化対策税制としてはどうなのか。この問題がございます。これは当然専門委員会報告を巡る論点とかかわるわけですけれども、これを考えます場合に、やっぱりどういう視点で評価するかということを、やはりそれなりに確立しておかないと、議論できないというか、議論の基盤を明確にしておく必要が、やはりあろうかと、こういうふうに思っております。
 評価基準として、通常、国際機関OECDなんかでもよく言われておりますし、これは法学、経済学問わず、ほぼ共通した評価基準ではないかというふうに、私は一応現時点では理解をしておりますが、1つは当然ですけれども、環境効果があるということでございます。ですから、環境目標が達成される。そのためにまずやっているわけですから、その環境効果があるのかどうか。
 それから、その効果が、仮に環境目標が達成されるとしても、驚くべき費用がかかるというような場合というのは、困るというか、大変なわけですから、可能な限り費用効率性のいいものをということが、当然1つの基準になってくると思うのですが、その場合に、通常いわれますように、スタティック静学的なものと、動学的なものがあると思いますし、ダイナミックというのは、やはり技術革新といいますか、そういうものが引き起こされることによってということが考えられるということかと思います。
 それから、もう1つやはり公平性をめぐる問題というのがございます。これは次の問題とも非常に関係しているのですけれども、つまり制度が確実であるということも大事でしょうが、同時に先ほどもご議論がありましたようなアクセプタンスといいますか、そういう問題、これは分配影響、経済学ではやはり分配問題というふうに言ったりすると思うのですが、そちらの面の影響がどうかという問題とかかわって、この問題はあると、こういうことです。
 ただ、これはなかなか難しいのは、効率性というのは効率がいい方がいいということで、それで決まっているわけですけれども、分配影響というのは、分配の影響がどの程度あるとどうなのかというのは、一種の社会の判断みたいなところに係る部分があるという点が、なかなか難しい問題ではあろうかと思うのですが、いずれにしろ評価基準としては、ここに書いてございますようなことが挙げられると、こういうことかと思います。次お願いします。
 同時に、やはり税ということになってまいりますので、これはやはり租税としての評価基準という問題が、やはりあるのだろうと思います。これはこれで実はなかなか難問といいますか、考えるべきこと多い点がございます。つまり、それは税の体系として環境税といいますか、温暖化対策税はどういうふうに位置づくのか。もちろん、これは政策目的がある税でありますから、一種の政策課税というふうになると思うのですけれども、その場合に、基幹的な税というものと政策課税、こういうものがどういう関係を持ちながらいくのかというようなことも明らかにしておく必要があるのだろうというようなことはあると思います。
 それから、もう1つ温暖化対策税制を考えていく場合には、当然ですけれども、日本の現状という、そういう日本の置かれている条件というようなものを念頭に置いて議論をする必要があると、こういうことがあろうかと思います。これはいろいろな内容がありますけれども、特にやはり温暖化対策にかかわってのこれまでの政策の評価とか、あるいは税制という面では、これまでの既存の税制の評価の問題というような問題があわせてかかわってくると、こういうことになろうかと思います。次お願いします。
 最後に、専門委員会報告をめぐる論点と、こういうことでございますけれども、これは専門委員会報告の内容の全面、全部をすべて議論していくって、なかなか膨大な量になりまして難しいわけですが、やはり1つ基本的な点としては、地球温暖化対策をどういうふうに進めていくかという、これは大綱の見直し問題とリンクしている問題だろうと思いますし、その対策の制度設計のあり方という問題、これはやはり今後もますます活発に議論していかないといけない。
 つまり、先ほどもご議論がありましたけれども、税ということと同時に協定とか排出枠取り引きとかがどういう、これ最後にもうかかわっているのですが、ポリシーミックスというようなことで、どういう組み合わせ方をするのがいいのか。あるいは組み合わせない方がいいのかとかいう、そういう問題は当然ありまして、そういう議論をしていくということを前提にしております。
 それから、2番目に温暖化対策税の効果あるいは影響の問題というのがあります。これは私は今回の専門委員会報告にある温暖化対策税の1つの特徴をなしていると思うのですが、これは最初に申し上げたピグーとか、ボーモル&オーツというような、いわば税を導入することによって政策目標とか、最適な資源配分を、それ自体で達成すると、そういう税としては仕組まれていないという特徴を持っているわけであります。
 ですから、温暖化対策税自体の効果というのは、そういう意味でいうと、限定的になっていると、こういうことになります。ですから、低いとか高いというのは、相対的なので、何を目標につくられているかと、こういうふうに考えますと、もし削減すべき目標を税だけで達成するという税率、その税率と比べるとかなり低いと思いますね。そういうことははっきりしております。
 しかし、一応AIMモデルによる分析ということになっているわけですが、それで取った税収を補助金として活用するということで、全体として目標を達成するという、そういうつくり方になっている。ということは、私の理解では専門委員会の報告はこういう判断をしたというふうに理解しているわけですが、税のみの導入によって、目標を達成するという税率というのは、確かに非常に価格シグナルを極めて明確に出すということにもなりますが、同時に非常に急速な摩擦を生む可能性といいますか、そういうことがあって、調整がなかなか難しいということ、それに対応、レスポンスするというのが、なかなか大変であるということがあるのだろうと思います。そういうことも判断をして、これは金額ベースでもいろいろ先ほどのあれですと、1トン当たり4万 5,000円でしたか、税率が、そういう税率になるということのようですが、ということでございますね。
 そうではなくて、低税率とその税収の補助金ということで、これは通常、税という、温暖化対策税だけでなくて、環境税の場合、インセンティブ課税か財源調達税かという2つの、どちらかというふうにいわれますが、これは今回の専門委員会報告はどちらでもないというか、一応何か比率的には税率の方で、低税率といいますか、税率の方のインセンティブ効果で5分の1ぐらいでしょうか。残りが補助金で達成すると、そういう理解をされているようであります。そういうタイプを報告は選択したということなんですね。
 AIMモデルというのは、ご存じの方多いと思いますが、我々の学会の非常に中心的なメンバーでありました森田恒幸氏等が中心になって開発し、それに基づいた分析をしているもので、我々もよく知っているわけですが、国際的にも大変高い評価を受けているものだと思います。もちろん1つのモデルでありますので、モデルというのは、いろいろ前提条件を変えたり、あるいは違うモデルでやれば計算結果変わってくる面があると思いますが、一応のそれなりの国際的評価を受けたモデルとして分析された結果、そういうふうになっていると思います。
 温暖化対策税の影響というのは、今のような低税率の補助金というふうになりますと、影響それ自体、つまり成長率が大きく下がるというような、そういことはちょっと考えにくい。AIMのモデルの結果もそういうふうになっていると思います。むしろ、多分、温暖化対策税の影響という観点から見ますと、つまり、この税の導入によって影響を受ける産業セクター、業種と申しますか、そういうものと比較的むしろ好影響を受けるといいますか、そういう産業セクターが、違うセクターがある。こちらの方がやはり大きな問題になるのだろうと思います。
 ということは、逆にいいますと、制度の設計によって、その問題に対処するという面、これは可能性は高まると、こういうことではないかというふうに思います。競争力への影響というのは、そういう問題とかかわった問題だろうと思います。
 もう1つ、税制の設計上、私はそれなりに重要だというふうに思いましたのは、課税のポイントといいますか、課税段階の問題でありますけれども、この課税段階について、上流課税というのが選択されているというのが大きな特徴になっていると思います。この上流か下流の課税かという問題、当然あるわけですけれども、私はどちらかというと、経済学あるいは先ほどから言っている環境政策の制度設計的な観点からいいますと、どちらかというと、上流を徴収するというのは、徴収コストが優先している面がやはり強いのではないか。こういうふうに思います。やはり下流の方が、どちらかというと、いろいろな協定とか、そういうものとも含めたミックスをやりやすい面があるというふうに思いますし、いろいろ国際競争への配慮とか、そういう可能性も高いのではないかと、こういうふうにも思います。
 という点で、これは制度の一種の選択の問題ですが、私の印象は上流をとったというのは、徴収コストの問題が優先しているのではないか。上流をとりますと、やはり転嫁の問題というのが、どの程度本当にきくのかきかないのかという問題がありまして、これがどちらかというと低税率になっているものですから、それほど大きく転嫁の効果がうまく出るのかなという点も、ちょっと気がかりであるというような点が、私なりに感じた点と、こういうことでございます。
 すみません。ちょっと時間オーバーしたかもしれません。一応まずこういうことで終わらせていただきます。

○森嶌委員長 どうもありがとうございます。この後、今、植田さんが心配なさった転嫁についての事務局の報告がございます。実は環境経済政策学会が会長が佐和委員でおられますので、きょうのお話は大変わかりやすく、委員の方もピグーから始まって、ここでピグーから始まる講義をきょう聞こうとは皆さん思っておられなかったと思うのですが、大変わかりやすいお話いただいてありがとうございました。
 ただ、個別の質問については佐和委員が常時出ておられますので、質問はむしろ会長の方に、会長ではなくて理事長ですかね、今後質問についてはしていただくことにして、もしもどうしてもきょう聞いておきたいということがありましたら、あと数分質問をするということで、桝本さん、今それで挙げられたのですか。どうしても。それでは、お一方だけ、その後、天野さんも、それではお二方だけということで、それではどうぞ。

○桝本委員 お許しいただきまして、ありがとうございます。
 植田先生のお話、おっしゃるとおりに非常に明快によくわかりました。ただ、地球温暖化問題には「地球」という冠がついております。ピグーその他のいろいろご説明があったところは、極めて地域的な環境への対策は国の政策として内部化を、コストの税金という格好でできるわけですが、地球規模の場合には、若干違う側面がないだろうかと、私はお伺いしたいと思います。
 最適な資金・資源の配分、これも重要です。しかし、日本は世界の全体のCO2排出の5%ちょっとです。そこだけで改善することで良いのだろうか。外部不経済の内部化ということであれば、これは産業革命以降残したことですから、やっぱり先進国全部が地球規模で取り組むべきで、そして地球規模で資金・資源の再配分を図っていくという考えをどう思われるのか、お伺いしたいと思います。

○森嶌委員長 では天野先生。

○天野委員 1点だけお伺いします。インセンティブ効果なのですけれども、地球温暖化対策税制専門委員会報告の税率の方は低いのですが、それに見合っているのが排出削減助成金なんですね。これ単純な助成金でなくて、削減に対して助成金を出すと、これはインセンティブそのものなのですね。ですから、税率が低いからインセンティブが低いというのではなくて、税率プラス削減助成金率でこのシステムのインセンティブが働いているというふうにお考えいただきたいと思うのですが、これは一般の方はなかなか理解できないので、経済学者こそ、そこがインセンティブなんですよということをおっしゃっていただかないと、ここの税率低いから、インセンティブこの程度ですよとおっしゃられると、経済者としては非常に納得できないというのがあります。

○森嶌委員長 法律学者としてはインセンティブの定義の問題だというふうに思いますが、、ではお答えください。

○植田氏 桝本さんのお話は全くそのとおりでございます。私の理解はやはりグローバルなレベルでも資源の最適配分、同時にナショナルなレベル、ローカルなレベルというのは全部ございますので、そういうそれぞれのレベルで、どう調整しながら最適な配分をしていくか。そういうことが理論的な意味では最も重要なことの1つでありますが、現実には世界政府というのは現状でないということでもありますし、やはり一種の国際協調をしながら進めていくというのが、今の現状の唯一可能なことなので、それはそれなりに努力しながらも、私の理解はやはり世界的に見れば削減できるということを示していくと、こういう制度のもとで。それはやはり大変大事なことではなかろうかというふうに思っているということでもございます。
 それから、天野先生のご指摘は全くそのとおりで、従来ちょっと私の説明が不十分だったかもしれませんが、環境税研究の政策手段の比較のときに、補助金というのはどちらかというと経済学者が最も否定的に、ネガティブに評価する傾向が長らく強かったという面があったと思います。ですので、そういう補助金ではなくてといいますか、排出削減の動機づけがうまく働く。逆にいうと、補助金の制度設計がすごく重要な問題になってくると、こういう理解かと思いますので、それとあわせて、つまりトータルに見て、税率だけで削減目標を達成するようなインセンティブと同じ効果が出るような補助金を含めた制度のつくり方という問題があるというふうに了解いたしました。

○森嶌委員長 はい。

○浅野委員 たった1つだけです。植田先生の報告で5の(2)というのが出てきて、(3)というのが出てきて、とても重要だと思うんですね。経済学の方のご議論と法律の議論という対比で、少し単純に議論されていますけれども、法律の中にも環境法の学者と税法学者ではアプローチの仕方や発想にちがいがあるようです。税法学理論は、むしろ植田先生の財政学に一番近いところであっていいはずなのに、そこのところのハーモナイズが非常に悪いですね。ですから、その問題は非常に大きな問題であるということで、お答えはいりませんが、これはちゃんと意識して議論していただかないと、余り法律はなどと一元的にお話をされると少し困るということと、一言申し上げます。

○森嶌委員長 そうですね。
 時間の関係がありますので、植田先生に感謝をいたしまして、どうもありがとうございました。
 それでは、この後、またどうぞ。

○佐和委員 僕からはまとめというよりは、むしろ恐らく皆さん方が疑問に感じられた点で、財政の専門家にちょっと、専門的見地から、3つあるのですが、1つはさっき税法学者と言いましたが、要するに炭素税というのは税源を減らすような税なわけですよね。つまり、本来は酒やたばこに税金をかけるというのは、税源が安定しているからかけるわけですね。そういう意味で、非常にこれは税ではなくて、レビーであるというような言い方をするわけですね。ですから、イギリスの場合はクラミック・チェンジ・レビーと言っているわけでして、その辺の財政学者としてのお考え。
 2つ目は一体、この4の制度の確実性と受容性とありますけれども、欧州諸国では、ヨーロッパ諸国では、日本では産業界の方が事業者が言っているふうに、非常に強くおっしゃっているわけですけれども、果たしてヨーロッパの産業界というのは、いかがなものだったのかということですね。
 3つ目が産業セクターで、ウイナー・インダストリーとルーザー・インダストリーがあるというふうにおっしゃったけれども、むしろ、それはザ・ビッゲスト・ルーザーは石炭であるということで、ビッゲスト・ルーザーの石炭が日本には不在である、石炭産業が。そういう意味では日本は一番炭素税を導入しやすい国だというふうに私は思っているわけですが、むしろ同じ業界の中で、ウイナー・カンパニーとルーザー・カンパニーに分かれるというところが、むしろ問題ではないかと思うのですよ。以上。

○森嶌委員長 では、簡単に。

○植田氏 そうですね。最後はもうご指摘のとおりかと思いますが、ただ同時に、こういう問題もあるかもしれません。炭素税だけの導入、地球温暖化対策税だけの導入だと、例えば原子力の問題なんかも議論になりますけれども、そういうこともあって、ヨーロッパ的な炭素エネルギー税というか、そういうことが必要だというような、こういう議論も起こり得ると、こういうことはあると思うので、おっしゃったとおりで、ウイナーとルーザーの問題は正確にいろいろ分析した上で、対策を考えると、こういうことがやはり必要かというふうに思います。
 ヨーロッパの産業界がどうかというのは、私必ずしも全面的に知っているわけではないと思いますが、私どものような学会の間の交流から感じることということを申し上げるとすると、やはり先ほど少し申し上げたイノベーションの考え方が非常に強くあるのではないでしょうかと、こういうことが1つ、やはりいえるかと思います。新しいコンセプトと申しますか、そういうものもほとんど、そういう文脈から出てきている。抜本的技術革新論といいますか、環境に配慮した、そういうものが非常にたくさん出てきているというのは、特徴的な点で、そういうのを一丸となって取り組むような面があるというのは事実かというふうに思います。
 それから、確かに税源を減らす税ということなんでありますけれども、つまり政策効果が出れば出るほど、税源が減るということではありますと、こういうことです。ですので、1つはだから、先ほど申し上げたように基幹税というふうにはなかなかなりにくくて、政策課税ということに、やはりなるのではないかと、こういうことなので、税の体系上どういうふうに位置づけるかということが、やはりあるので、性格的には確かにレビーというような、そういうあるいはチャージというような、そういう位置づけをできると、こういう面は確かにあるんだというふうに思います。
 ただ、同時に税源が政策効果によって減るとはいっても、これゼロに直ちになるものでは全然なくて、一定の水準のところという、そういうものですね。そういうふうにもなるという面もあるということも理解しておく必要があるかと思います。

○佐和委員 それでは、最後に一言、桝本さんと平尾さんにちょっとお願いしたいことがあるのですけれども、何か本来ならば鉄鋼連盟とか電気事業連合会に来てもらってヒアリングするのが当然かと思っていたら、それで担当者に聞いてみたら、それこそ何か経団連と結局基本的には考え方同じだから、出る必要はないというふうにおっしゃったそうですけれども、むしろ鉄鋼連盟から一体石炭に課税されたら、どの程度生産コストが上がり、どれだけの国際競争力の低下というけれども、例えばどれだけ低下するのかとか、あるいはいわゆる産業が、特に鉄鋼業なんかは海外のものを、つまり日本で生産をやめて、海外に生産拠点を移転するとか、あるいは中国から石炭輸入するとなれば、一体リーケージという言い方しますけれども、CO2が世界全体でどのくらいふえるのかとか、そういう数字を、産業の事情を説明していただかないと、何か一般論ばっかり意見言っていたのではあれです。
 それから電気事業連合会についても、やはり今後の原子力の展望とか、そういうことについて、ぜひお話をお聞かせいただきたいと思います。

○森嶌委員長 どうも座長にかわって要望していただいてありがとうございました。それはぜひお考えいただきたいと思いますが、ところでこの後の転嫁のご説明に大体何分ぐらいかかりますか。

○佐野環境経済課長 急いでやりましたら、では5分強ぐらいでやらせていただきます。

○森嶌委員長 時間が5時ではなくて、少し延長しますけれども、あらかじめお許しください。そんなに長くは延長しませんが。
 それでは事務局。

○佐野環境経済課長 恐れ入ります。
 資料の5でございます。専門委員会報告でおきました、まず税を負担すべきは化石燃料を消費してCO2を発生させるものであるというところから出発しているわけでございますが、専門委員会報告のように、上流、最上流に課税ということの場合には、それが化石燃料を消費する方まで、本当に転嫁されるのかということが問題になるわけでございまして、その点についての検討を試みたわけでございます。
 税が入ったときにどうなるかというのは、余りあることではございませんので、まずは原油価格の変動なり、為替レートの変動なりで、その国に入ってきます石油価格が変動したときにどうなっているのかという検討を検証いたしました。
 資料の1ページ、2ページでガソリンの場合ございますが、このグラフの見方でございますが、下を動いておりますひし形の四角がつながっておりますのは、これが原油価格の推移でございます。横正方形でありますのが、大手元売りのガソリンの仕切り価格、バツ印がつながっておりますのが、ガソリンスタンドの転倒価格の推移でございます。このように、ガソリンの価格というのは、おおむね原油価格の変動の波をやや時間遅れがありながら、トレースをするという格好で動いている。特に、元売りの仕切り価格は非常によくトレースしておるということがお見取りになれると思います。
 右側がこれを1996年4月をゼロとしましたときの推移でございますが、元売り価格はほとんどぴたり一致して動いているといってもよろしいかと思います。店頭価格は下がっておる、1997、1998年ごろは下がっているトレンドにあったようでございますが、その後はおおむね原油価格とほぼ平行して動いているというのがお見取りになれると存じます。
 このように、この後ろに軽油、灯油、C重油と後ろへつけてございますが、程度の差、あるいはタイムラグというようなものはあろうかと存じますが、このように輸入価格の変動というのは、おおむね価格に変動、卸売価格、小売価格に反映されているのではないか。特に卸売価格のベースでは非常に正確、敏感に転嫁がされておるのではないかというふうに見られます。
 3、4ページが軽油の例でございますが、同様に、統計がまとめてしか公表されないので、途中で切れてしまうのですが、特に元売り仕切り価格というのは、原油価格の変更を非常によく反映しておる。むしろ、大口向けの価格はこれの方が恐らく安定的な契約になっているのだと思いますが、余り価格変動がないというような傾向が見てとれます。
 灯油も同様でございます。
 それからC重油でございますが、これはチャンピオン価格というのだそうでございまして、最大手の供給者、ユーザーが交渉して価格を決めて、ほかはそれに右へ倣えをするという商習慣があるそうでございますが、これも同様に原油価格の変動を極めてよく対応しておるのが見られるかと存じます。
 9ページからは、実際に税が入ったときに何が起こったかということでございますが、まず消費税が入ったときに何が起こったかということでございますけれども、実は消費税が入りましたときに、ご存じのとおり3%入ったのですが、一方で既存の電気税が5%、ガス税2%というのが廃止されております。
 したがいまして、差し引きで電気についてはマイナス2%、ガスについてはプラス1%になるというのが理論であるわけでございますが、10ページにございますように、ものによって時間遅れがあるものがあったり、誤差があったりするものがございますが、電気はおおむね少し余計に下がった。都市ガスは2カ月たつとほぼぴたり1%になった。プロパンガスはなぜか1%上げ損なって2%になった。プロパンガスと灯油ですね。ガソリンは3%上がったというような反映のされ方がされておるという結果が見られます。
 それから、では消費税が3%から5%に上がったときには、何が起こったのかということでございます。11ページでございますが、これもグラフで見ますように、ぴんとそれぞれの燃料は上がっておるわけでございますが、例えば1か月、その月に電気、都市ガスはすぐに2%上がった。プロパンガスはややタイムラグがあって、2カ月かかって上がった。
 逆に灯油は1%しか上がっていないわけでございますが、これは1つは灯油というのは季節商品でございまして、消費税が上がった4月というのは、むしろだんだん暖かくなってきて需要が減るという時期に当たっているということがあろうかと思います。それから、ガソリンも1回 1.7%、おおむね2%上がったのですが、このグラフのように全体として下げトレンドになったということであろうかと存じます。それから、実は軽油引取税については、1993年に税率が 7.8円上がるということをやっておりますが、そのときもこれはおおむね反映をされておるというふうに読み取れるかと存じます。
 13ページでございますが、消費税が導入をされました際に、資源エネルギー庁の方で石油流通の関係者にアンケートをいたして、転嫁できたかというアンケートをしたという例がございますが、実はこの際には直営の給油所あるいは大口分、いずれもほとんどの業界関係者の方が完全に転嫁をしたという回答をされておられるようでございます。
 では、具体的に転嫁のためのどのような手立てがあるのかということでございますが、これは関係の皆様方はよくご存じだと思いますが、消費税導入の際には、消費税法に、導入するときは税制改革法に1条設けまして、事業者は消費税を適正かつ円滑に転嫁するものとするという規定が置かれております。この際に合わせて、いわゆる独禁法が改正をされまして、価格そのもののカルテルではないのですが、転嫁の方法に関するカルテル、あるいは税の表示に関するカルテルを結ぶことは3年間認めるという特例措置が設けられております。
 実際にそれぞれ 2,000件ほどずつのカルテルがあったわけでございますが、一方、このようなカルテルというのは、法制的にもおかしいのではないかという意見もあり、消費税を上げたときには、このような措置はとられていなかったという例がございます。
 さらに、こういうこともあるというくらいのことであろうと思いますが、ガソリンについては、例えばこの領収書のコピーがつけてございますが、元売り会社が主導しまして、レシートの中にガソリン諸税が幾らであるということを示して販売をしているという例も見られるところでございます。以上でございます。

○森嶌委員長 何かご質問。はい、平尾委員。

○平尾委員 私はこれでどういうことを語られているのかよくわかりませんが、価格転嫁ということを、これでもってご説明されるとするならば、極めて一部を、特殊な例をご指摘だと思うんです。ガソリンとかそういう原油等につきましては、付加価値が非常に部分が少ない。いわゆる原油と税で成り立っているような品物でございます。そういう意味での価格転嫁の弾力性というのは、非常に特殊な例ではないか。それから、消費税というのも、レジで消費税がついているから買いませんと言って、帰る人いませんわね。そういう問題と、もっと経済全体を成り立たせておる、産業全体で流れておるものの価格転嫁というのは、先ほど植田先生がご指摘ありましたように、またそれはウエイトが小さい部分についてはやりにくいという実態がございますし、先ほど日本物流団体連合会のご報告にもありますように、実態はなかなか進まない。そういうことがございますので、非常に価格転嫁ということをご議論される場合には、もう少し現場の実態というのをお調べになられた方がいいのではないかと、こういうふうに思います。

○森嶌委員長 そこで、先ほどの佐和先生ではないですけれども、おつかみになるのは、先ほどの議論にもありましたけれども、おつかみになかなか、関係者でもなりにくいのですね。そこで、いやこういう実例が逆にあるよということを言っていただいた方がいいわけで、それも多分、全般的にではないわけですけれども、こういうぐあいの悪い例があるよと、これはごく一部、役所がつかむのもごく一部でしょうけれども、電気事業会でも、あるいは鉄鋼でも、あるいは場合によっては、ほかの業界もそうかもしれませんけれども、全国的にしっかり調査をするというのは非常に難しいわけですけれども、ぜひ先ほどから出ておりますように、巨大な金額ではないわけで、ある意味では非常に余り大きくない金額で、しかも、もとの上流の場合と下流の場合、私もこれ見て、一番つまり消費者の方からすれば、書いてあって、これだけ上がりましたよと言われたら、嫌だと言ったって、ガソリン買わなければならない人と、先ほどのトラック業界のように、トラックの業者がガソリンが上がりましたから、運賃上げますよと言っても転嫁の持っていきどころが違う業界と、いろいろあるわけですね。
 ですから、ぜひ仮に炭素税なり何なりというのが、上がることがあるとしたら、それが転嫁というのは、どういう形で働くのかということをいつも平尾委員がおっしゃるように、それぞれの業界で深掘りしたら、どういうことになるのだということを、深掘りしろしろと言っても、深掘りの全然手立てがないわけですから、せいぜい自分の周りでやってみたら、こういうことあるのだよという知恵がおありでしたら、ぜひ持ってきていただいて、それでもなかなかない知識を絞るというのは難しいとは思いますけれども、もっと調べろと言われても、これも事務局に聞きますと、これでもなかなか大変だったというふうに言っておりますので、ぜひとも、これでは十分でないので、こんなのもあるよということがありましたら、ぜひ、それぞれNGOの方も含めて、転嫁しやすい例、あるいは逆にしにくい例。こういう業界ならだめだねというのがありましたら、議論のためにも出していただければというふうに思いますので、ぜひ、これはきょうこの委員でなくて、そこに皆さん参加しておられる方も、こんなルートがあるのだよということがありましたら、ぜひ、この委員会のためにご協力いただければと思います。植田さんも何かいい知恵がありましたら、ぜひ、よろしくお願いをいたします。
 それでは、何か事務局の方。
 ごめんなさい。はい、どうぞ。

○五十嵐委員 東急電鉄の五十嵐でございます。たまたまきょう転嫁の話ということで、この制度が発表されて、我が社なりにちょっと試算をいたしました。ちょうど今の具体的な例になるのですけれども、我が社の鉄道部門の炭酸ガスの排出量から計算しますと、ラフに見て、その税額というのは約5億円になります。我が社の輸送人員というのは、年間約10億人弱でございます。
 そういう意味で見ると、1人当たりに換算すると非常に低いということがあるわけですが、ここで1つ問題は、鉄道運賃というのは、10円玉単位だということで、現実にこれどうするのかというようなことが、今、たまたま具体的な例ということで申し上げますと、そういう状況でございます。
 そうすると、結果としては上流課税である場合には、恐らくこれ転嫁できないだろう。私どもは割合大手の私鉄でございます。日本全国で鉄道会社あるいはバス会社、小さいところはほとんど転嫁できないのではないかということで、東急グループのいろいろな会社の数値を出してみているのですが、極めてこれ対応には苦慮するなということでございます。
 もちろん、私どもの所属する民営鉄道協会としましても意見を表明しておりまして、基本的には反対だということですが、それはさておいて、現実にはこういう問題があるという、たまたま今、そういう話になりましたので、1つの例という、非常にラフな計算です。

○森嶌委員長 どうもありがとうございました。

○久保田委員 最終的には、やっぱり国民1人1人がどう意識改革をし、受容するかというのは非常に大事だと思いますので、この価格転嫁、あるいは上流か下流かという問題は、税そのものの議論はありますけれども、もし検討するにしても、非常に重要な問題ではないかと思っています。
 そういうことで、質問があるのは11ページのグラフのうちの、ガソリンがそういう転嫁に必ずしも指数にリンクしていないという、この理由と、どういう背景かというふうに分析をされているのかということについて、お伺いしたいのですが。
 とりわけ、先ほどからも運輸業界の方からもありましたけれども、やはりどういうのでしょうか、その業界が置かれている取引関係といいますか、そういうことの中でも、力関係とか、あるいはその業界の過当競争体質的な問題とか、そういうものが非常にきくのではないかといいますか、関係してくるのではないかというふうに思っているのですが、そういうことを是正するためにも、一番最後の14ページ等々にあります、何か消費税のときのような、ある種の仕組みや法的な転嫁を1本筋を貫くような政治的仕組みが可能ではないかというふうに考えているのか。それについて、このガソリンの価格の推移との関係の中で、どういうふうに分析をしておられるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○森嶌委員長 何かこの点について。

○佐野環境経済課長 11ページでございますが、個々の燃料の動向について、詳細な分析をしているわけではございません。ただ、このガソリンのカーブを見ますと、恐らく消費税の値上がりをしたときには、その部分、 1.7というのが、その 2.0ではなくて、 1.7だったということをどう考えるべきかということはあろうと思いますが、転嫁はされたけれども、ここでごらんになります、あるいはもとの1ページのグラフを見ますように、ちょうどこの時期ガソリン価格というのが何らかの事情でずっと低下トレンドにあったわけでございますので、一たんは転嫁されたけれども、またそのトレンドによって下がっていったということなのではないかと想像はいたしております。

○森嶌委員長 これからまた議論を始めると非常に長くなりますので、きょうのご意見も含めて、なお事務局にも議論していただきたいと思いますし、委員の皆さんにも、なおきょうお願いしたことも含めて、なおご検討をいただきたいというふうに思っております。
 事務局から、事務的なことで何かございますか。

○佐野環境経済課長 結構でございます。次回もよろしくお願いしたいと思います。

○森嶌委員長 それでは、次回でございますが、5月の18日の火曜日ですけれども、16時から、場所が経済産業省の別館、9階の 944会議室で、今、別に地球温暖化の地球環境部会で検討していただいている地球温暖化対策推進大綱の検討をしていただいております。その評価見直しに関する議論の、地球環境部会での議論の状況の報告などについて、これを予定しておりますので、ご出席をよろしくお願いをいたします。
 もう十分といっても、まだご発言したいということもあるかもしれませんけれども、何かどうしてもというのございますか。
 それでは本日は少し時間を超えましたけれども、これで終了いたします。どうもありがとうございました。

午後 5時15分 閉会