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中央環境審議会 総合政策・地球環境合同部会
第1回施策総合企画小委員会 議事録



平成15年12月2日 午後 2時00分 開会

○佐野環境経済課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより施策総合企画小委員会第1回の会合を開催いたしたいと存じます。
 委員会の開始に当たりまして、松本総合環境政策局長よりごあいさつ申し上げます。

○松本総合環境政策局長 総合環境政策局長をいたしております松本でございます。よろしくお願いしたいと思います。
 施策総合企画小委員会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。まず、委員の皆様方におかれましては、環境行政の推進につきまして日ごろから大変なご理解とご協力をいただいておりまして、この席をお借りして、厚く御礼を申し上げたいと思います。また、このたびは大変ご多忙中にもかかわりませず、この小委員会委員へのご就任、そして本日の第1回へのご出席をいただきまして、大変ありがとうございます。
 この小委員会では、地球温暖化防止のための税制とこれに関連する施策とを総合的に議論していただくということにしているわけでございます。温暖化対策税は、京都議定書の約束を達成するために必要とされた場合に備えて、準備のためといいますか、備えて検討を進めているものでございます。京都議定書は、ご承知のとおり、昨年6月に日本が締結をいたしまして、発効まであと一歩のところまで来ておるわけでございます。一方、我が国の温室効果ガスの排出量を見ますと、2001年時点で温室効果ガスは1990年比5.2%の増ということになっております。昨年策定をされました地球温暖化対策推進大綱に定められました対策に全力を尽くしていくということがまず大前提でございますけれども、来年の大綱の評価・見直しの結果を踏まえまして、新たな対策についてもいろいろと検討を進めなければいけない状況だと感じているわけであります。
 とりわけ、温暖化対策税に関しましては、地球温暖化対策推進大綱におきまして、次のようにコメントされております。ご紹介いたしますと、「税、課徴金等の経済的手法については、他の手法との比較を行いながら、環境保全上の効果、マクロ経済・産業競争力等国民経済に与える影響、諸外国における取り組みの現状等の論点について、地球環境保全上の効果が適切に確保されるよう、国際的な連携に配慮しつつ、さまざまな場で引き続き総合的に検討する」と、このように大綱の中でコメントをされているわけでございます。また、本年6月の政府の税制調査会の中期答申におきましても、地球温暖化等の環境問題に対する税制の対応について検討を進めることとされております。
 このような状況もありまして、環境省といたしましては、2004年の地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しの結果、温暖化対策税の導入が必要とされた場合に備えて温暖化対策税についての議論を進めているというわけであります。具体的に申しますと、平成13年に設置をされました地球温暖化対策税制専門委員会、ここにおいて昨年6月には中間報告、そして今年の8月の末には最終報告をまとめていただいたわけであります。とりわけ、後ほど飯野専門委員長からご報告をいただく最終報告であります「温暖化対策税制の具体的な制度の案」につきましては、今後の国民的議論のためのたたき台としてご用意をいただいたものでございます。環境省としても、この報告書をもとに、各界、各層と幅広い議論を進めさせていただいているという状況にございます。
 こうした報告書、あるいは各般の状況を踏まえまして、本小委員会では、学界の専門家の方だけではなくて、産業や経済、あるいは国民生活の現場を知る専門家の方々にもご参画をいただきまして、地球温暖化防止のための税制と、これに関連する施策を総合的にご議論いただくために開催をしていただくわけであります。とりわけ、税という問題・課題は、国民すべてに関係することでございます。広い立場の方々のご意見を拝聴することによりまして、よりよい対策が進むものと考えております。どうぞ委員の皆様方、よろしくお願いしたいと思います。

○佐野環境経済課長 それでは、本日は第1回目の会合となりますので、委員のご紹介をさせていただきたいと存じます。お手元に資料1の名簿と座席表がございますので、適宜ご参照ください。
 中央から、本小委員会の親委員会ということになります総合政策部会の部会長かつ中央環境審議会の会長であります森嶌委員でございます。
 同じくもう片方の親委員会であります地球環境部会長の浅野委員でございます。
 天野委員でございます。
 鮎川委員にお願いしておりますが、本日ご欠席でございます。
 五十嵐委員でございます。
 大塚委員、少しおくれていらっしゃるというご連絡をいただいております。
 お隣にまいりまして、奥野委員でいらっしゃいます。
 久保田委員でございます。
 小林委員でございます。
 佐和委員でございます。
 武田委員でございます。
 鳥井委員がいらっしゃいますが、ご欠席でいらっしゃいます。
 中里委員でいらっしゃいます。
 永利委員でいらっしゃいます。
 西岡委員でいらっしゃいます。
 速水委員にお願いしておりますが、本日遅れておいでになられると伺っております。
 お隣へまいりまして、平尾委員でいらっしゃいます。
 平松委員にお願いしておりますが、本日ご欠席でございます。
 桝井委員でいらっしゃいます。
 桝本委員にお願いしておりますが、本日ご欠席でいらっしゃいます。
 また、松田委員も本日ご欠席でいらっしゃいます。
 水野委員でいらっしゃいます。
 それから、専門委員会のご報告をまとめていただきました飯野専門委員長にもご参加をいただいております。
 続きまして、本日出席をいたしております環境省の職員をご紹介申し上げます。
 先ほどごあいさつを申しました松本総合環境政策局長でございます。
 総合環境政策局担当の小林審議官でございます。
 地球環境局の石野課長でございます。
 同じく地球環境局の清水課長でございます。
 総合環境政策局の御園生調査官でございます。
 最後でございます、私総合環境政策局の環境経済課長をいたしております佐野と申します。
 本委員会の委員長につきましては、中央環境審議会運営規則第8条第2項というのに基づきまして、小委員会の委員長というのは部会長にご指名をいただくことになっております。この小委員会には、部会長であられます森嶌昭夫会長にご参加をいただいておりますので、同じく総合政策部会長であられます森嶌委員のご指名という格好になりまして、本小委員会の委員長につきましても、森嶌昭夫会長にお願いをいたしております。ということで、今後の進行は森嶌委員長にお願いをいたします。
 それから、プレスの方、冒頭のカメラ撮りはここで終了ということにいたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、森嶌委員長、よろしくお願いいたします。

○森嶌委員長 ただいまのご紹介ですと、何か自分で自分を任命しているような感じですが、事務局の方からおまえ委員長をやれということでしたので、決して私が俺が部会長だから俺を指名すると言ったわけではございませんけれども、今後委員長を務めさせていただきます。
 この施策総合企画小委員会を設置いたしました趣旨につきましては、先ほど松本総合環境政策局長のお話しにございましたので繰り返して申し上げる必要はないと思いますけれども、来年、2004年という年は、温暖化対策推進大綱でいわゆるステップ・バイ・ステップの方式をとっているわけでございますが、その第1段階、ファーストステップの最終年に当たるわけでございます。そして、セカンドステップ、2005年から2007年が終わり、京都議定書が発効いたしますと、サードステップの2008年から2012年までの間に日本は6%の削減義務を負うことになっておりますが、仮に京都議定書が発効をしないとしましても、温暖化の問題というのはそこで問題が生じないわけではなくて、さらに一層厳しい削減を将来に向けてしていかなければならないということでございまして、温暖化対策に向けて我が国は6%であるか、10%であるか、20%であるかはともかくとしまして、温暖化対策に対して厳しい政策を考えていかなければならない事態に立ちいたっているわけでありまして、ある意味では2004年というのは、我が国が初めて正面から温暖化対策の現実的な対策をとる最初の段階ということでございます。
 そして、先ほど局長からご紹介がありましたように、ステップ・バイ・ステップの中で2004年に検討して、もしもそれまでに既存の施策を進めてきちっとした削減ができていないのならば、環境税あるいは炭素税などの経済的な手法を含めた、新たな手法について、どういうような施策をとっていけばよいのかということについて検討をして、2005年以降の第2ステップに向けて日本としての施策の展開を図るべきだということを既にうたい上げているわけでありまして、その意味で、環境税を最初から導入するという前提を置いて、何でもかんでも環境税を入れるということではなしに、現在の施策できちっとした削減ができるのかどうか、そして、できないとすれば、経済的手法がどれぐらい有効なのかを検討しようということなのであります。
 その際、経済的手法の中で環境税というものがどれぐらいの効果を持っているのか。その場合に、環境税というのをどう組んでいけば日本の経済に対して大きなマイナス影響を持たずに、かつ、将来的な日本の経済に向けて長期的に見てプラスの展望を持ちうるような、そういう改革に結びつくような環境税を構想できるだろうかどうかという観点から、お隣におられます飯野先生の専門委員会でこれまで十分検討していただきました。私もその報告を読ませていただきましたが、細かいところまではまだ詰めておられませんけれども、十分に議論をした上で方向性を示していただいたと思っております。この専門委員会報告書をこの小委員会において議論をしていただいて、その議論の結果を詰めて世に問い、かつ、中央環境審議会で結論を出していただくわけですが、中央環境審議会は別に立法機関であるわけではありませんから、それを国会にて議論していただく、あるいは国民に議論をしていただくということで、我々として将来の日本のために、あるいは将来の世界のためにここで議論を展開していくというまず第一歩でございますので、我々の責任は非常に重いと考えております。目の前の現象にとらわれて、初めに何とかありきは反対であるというようなことではなしに、我々の将来の世代に対する責任、将来の人類に対する責任を十分お腹に据えて、ご議論をいただきたいと思います。
 しかしながら、時間的な制約もありますので、なかなか十分なご議論ができないかもしれませんけれども、その場合にはまた書面等で事務局にお寄せいただければ、それを事務局に整理をしていただくというようなことも考えたいと思いますので、ここは公開の席でもありますので、ぜひ十分オープンにご議論をいただければと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、私が出席をできないということもございますので、私の代理といたしまして、委員長代理を浅野地球環境部会長にお願いしたいと思っておりますが、よろしゅうございましょうか。それでは、委員長代理として浅野委員を指名させていただきます。
 本日は初回ということでもございますので、本委員会の運営について審議をさせていただきます。その後、地球温暖化対策についての最近の状況、これは委員の中には十分にご承知の方もあろうかと思います。また、地球温暖化対策税制専門委員会の報告についても報告をしていただきますけれども、これもこの審議にご参加になられて十分ご存じの方もおありかと思いますけれども、初回でもございますのでこの点についても報告を受けまして、これについて議論を行いたいと思います。
 本日の会合は、おおむね4時までの予定でございますので、ご協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、最初に事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。

○事務局(永見) それでは、資料の確認をさせていただきます。
 資料は1番から8番までになっております。まず、資料1は「『施策総合企画小委員会』委員名簿」ということで、先ほど委員のご紹介のときにご参照いただいたかと思います。資料2、「施策総合企画小委員会の設置について」という1枚の紙。資料3、「中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会の小委員会及び専門委員会の設置について」という1枚の紙。資料4、「中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会の小委員会及び専門委員会の運営方針について」という、これも1枚の紙になります。次に、資料5ですが、「2001年度(平成13年度)の温室効果ガス排出量について(概要)」という4枚の紙になります。その次は、クリップでとめていると思いますけれども、資料6、「平成14年度における地球温暖化対策推進大綱の進捗状況」ということで、1枚まず概要というのをつけさせていただいておりまして、それとともに冊子で配付させていただいております。その次、資料7ですが、こちらは番号がついておりませんが、「温暖化対策税制の具体的な制度の案」、地球温暖化対策税制専門委員会からの報告になります。最後に、資料8、「施策総合企画小委員会の今後の検討について(案)」という1枚の紙になります。
 以上になります。

○森嶌委員長 資料の不足等ございましょうか。よろしゅうございますか。もしも資料の不足等ございませんようでしたら、先に進めたいと思います。
 それでは、最初の議題であります施策総合企画小委員会の運営について、事務局から説明をお願いいたします。

○佐野環境経済課長 本日は初回でございますので、若干の小委員会の運営等につきましての決定をお願いいたしたいと存じます。
 1枚紙で資料の2、3、4とございますが、まず、資料の2というのは、総合政策部会、地球環境部会におきまして決定をされましたこの小委員会の設置要領のようなものでございます。本小委員会の設置につきましては、9月24日に中央環境審議会の総合政策部会、翌日25日に地球環境部会、それぞれいわば持ち回りという格好で開催をいたしておりまして、設置のご承認をいただいております。
 資料3が、その設置根拠に当たりますような部会決定でございまして、この1番という格好で施策総合企画小委員会の設置を決定してございます。運営規則第8条に基づきます小委員会として施策総合企画小委員会を置くと。施策総合企画小委員会は、地球温暖化防止のための税制及びこれに関連する施策について総合的に審議を行うということを使命とするわけでございます。
 それで、お諮りをさせていただきたいのが公開の扱いでございます。資料の4でございますが、本小委員会は総合政策部会、地球環境部会の合同部会のもとに置かれるということになりますので、もともと両部会ではそれぞれ同じような決めをしていただいているんですが、合同部会という形で改めて決めをいたしまして、これは実は中央環境審議会共通の公開の基本的な考え方でございます。
 1番に会議の公開というところがございまして、「小委員会及び専門委員会は、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合又は特定の者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合には非公開とし、それ以外の場合には公開とするものとする」というのをルールといたしまして、「前項の公開又は非公開の取り扱いは、当該小委員長又は専門委員長が決めるものとする」というルールになっております。これに基づきまして中央環境審議会の中でも、例えば希少な野生生物の生息地の情報を俎上に乗せてご審議いただく部会とか小委員会とか、こういったものは非公開にすることもあるわけでございますが、本小委員会におきましては、そのようなここに当たりますような特段の事情は事務局としてはないのではないかというふうに存じております。
 このほか、例えば会議録の取り扱いにつきましては、会議録を調整した場合には、出席した委員の了承を得まして、この小委員会に属する委員に配付をさせていただきます。その後、公開をいたしました委員会の会議録は公開をするというような扱いでやらせていただきたいと存じます。
 以上のようにさせていただければと存じますが、いかがでございましょうか。

○森嶌委員長 既に中環審のいろいろな部会にお出になっておられる方はもうおなじみのルールでございますけれども、特に例外的な措置をする必要はないと思いますが、特に会議の公開等について問題はないと思いますけれども、よろしゅうございましょうか、公開ということで。先ほど私は、当たり前なものですから公開と既に言ってしまいましたけれども、よろしゅうございましょうか。
 それでは、通常のルールに従って、今さらここにおられる方に公開じゃありませんから出ていってくださいというわけにもいきませんけれども、よろしゅうございますね。はい、それでは、通常のルールに従って、特に特定のものに不当な利益、もしくは不利益をもたらすおそれなどはなさそうでございますので、では、そのように取り扱わせていただきます。
 それでは、そのほかに何か……よろしいですか。
 それでは、2番目の議事であります地球温暖化対策の最近の状況について、事務局から説明いただきます。

○清水温暖化対策課長 地球温暖化対策課長の清水です。座って説明させていただきます。
 資料5と資料6を用いて、温暖化対策の現状についてご説明いたしたいと思います。何遍目かもう聞いているよという先生方もいらっしゃるかもしれませんが、初めての方もいらっしゃいますし、また、大変基本的な資料ですので、簡潔にご説明したいというふうに思います。
 まず、資料5の方でありますけれども、これは2001年度の温室効果ガスの排出量でございます。これは条約、あるいは京都議定書におきまして、インベントリー、これは排出源別の排出データということになりますが、それに相当する、そういうデータであります。毎年集計上の結果から2年おくれというような形になっておりますが、この2001年度のデータが最新データでございます。2001年度の温室効果ガスの総排出量が12億9,900万トンという形になっております。これは、前年度2000年度と比べますと2.5%減少でございます。ただ、京都議定書の規定によります基準年の総排出量に比べますと、これは原則1990年でありますが、5.2%上回っているという、そんな状況であります。
 これは、一番下に※がありますけれども、これは算定方法などを毎年改善しておりまして、数値自体が毎年精度が高まっていくという関係から数字が変わっていく可能性もある、そういう数字でございます。
 この総排出量を部門別に見たのが真ん中ぐらいに書いてあります。産業部門で1990年度に比べて5.1%、運輸部門、これは自家用車と業務用の自動車などを含んだ、鉄道も含んだ運輸でありますが、これが1990年度と比べまして22.8%という大きな伸びを示しております。それから、業務その他部門、これは実は上でいいますと産業部門というのは1次産業、2次産業が中心でありまして、サービス産業など、あるいはこういったビルですね、こういったところからの排出は業務その他部門ということでカウントしております。これが30.9%という大変大きな伸びを示しております。それから家庭部門、これは家庭におけるエネルギー使用のうち、自動車などは上の方でカウントしていますので、そのほかの部分ですが、これが19.4%という形になっております。これは前年度に比べて少し減ってはおりますものの、いずれもこういう形でありまして、運輸部門、業務その他部門、それから家庭部門、これが1990年と比べまして大きな伸びを示しているという、そういうデータになっております。
 後ろの方に詳しい資料が、例えば総排出量の推移とか、あるいは、さらにめくっていただきますと温室効果ガス別の排出量という実績が載っておりますが、説明は省略させていただきたいというふうに思います。
 それから、次の資料6でございます。これは地球温暖化対策推進大綱を毎年点検するという形になっておりますので、その点検結果を踏まえた進捗状況ということであります。本体は、後ろの方に大きな冊子がついておりますので、ちょっとだけぱらぱらとめくっていただければと思いますが、例えば10から11ページを見ていただきますとどういう作業をやったのかというのがよくわかります。10ページ、11ページの見開きのところを見ますと、左側の方の上に「大綱の記述」というふうに書いてございます。それから、右が「点検結果」になっております。左側の「大綱の記述」というのは、大綱の記述をそのままここに写したものであります。現在の大綱の構造がどういうふうになっているかということでありますが、左側を見るとわかりますように、現行対策とその削減量、それから追加対策とその削減量、それから国の施策という形になっております。
 現行施策とその削減量というのは、2002年3月時点でこの大綱をつくりましたので、その時点でもう既に対策を行っているもの、それによる削減量というのが、例えばこの10ページでいいますと、一番左の欄の下で、3,040万トンに相当するCO2削減の効果のある対策をもう既に行うと。それに対して追加対策とその削減量ということで、さらに2002年3月の時点で追加的対策として、例えばトップランナーなどの適用拡大によって290トンのCO2を削減する。あるいは、高効率の給湯器の普及促進などもろもろの対策を行うことによって削減を図ると。
 この左側の1番目と2番目が現行対策と追加対策ということでありますが、その対策を実行するためにどういう施策が必要かという、ここでは対策と施策ということを明確に書き分けてあるわけでありますが、施策がこの右側のところに出ているわけであります。例えば、一番左の現行対策に対応しては、省エネ法改正でいろいろなものをトップランナー基準を導入していく。それから、機器の拡大に対しては従来対象となっていなかったものを追加するというような、これが施策のレベルです。
 今回の点検におきましては、この左側の一番右に書いてある施策レベルで具体的に何を行ったか、それが右側の方の点検に書いてあることであります。例えば平成14年度にどういう施策を講じ、それについてどういう現状と課題があり、それから15年度以降どのような施策をさらに講じていくかという、そういう形で点検を行ったということであります。
 一々個別の点検内容については触れませんが、こういう形で大綱に掲げられました施策、200以上の項目になったわけでありますが、これは全部洗い直し、それぞれ点検し、それぞれについて現状と課題を分析し、それから15年度以降に講じる施策、これを明らかにしたということであります。これは大綱に基づく点検ということでありますが、さらに2004年と2007年には評価・見直しという形で、さらにこれを進めた形で定量的な評価、あるいはその評価に基づく対策の追加的事項の検討ということが行われるということが前提であります。
 1枚紙の進捗状況の方に戻っていただきまして、点検結果の総論のところだけちょっとお話しておきます。点検結果、総論といたしましては、一番目の

○にありますように、平成14年度におきましては、大綱に示された施策の全般にわたって進展や具体化が見られているという評価にしております。それから、2番目の○で、施策の中には効果があらわれるまでに時間を要するものもあるけれども、こういった施策効果があらわれるまでのタイムラグがあるということの期待に甘んじることなく、施策を確実に進めていくということが必要という形にしております。それから、3番目の○ということでありますけれども、資料5でご説明したとおり、2001年度の温室効果ガスの総排出量、これが京都議定書の基準年を5.2%上回っているという、そういう現状でありますので、今日の段階で実施可能な地球温暖化対策は直ちに実施して、温室効果ガスの総排出量を早期に減少基調に転換した上で、京都議定書の6%、約束の達成を図ることが必要という形にしております。それから、最後の○でありますけれども、特に来年2004年、第2ステップに向けた大綱の評価・見直しの年であり、すべての主体がそれぞれの役割において総力を挙げて地球温暖化対策に取り組むことが不可欠という、そういう形にしております。
 私の方からは以上です。

○森嶌委員長 事実関係、あるいは中身についてご議論がおありかと思いますけれども、今日は初回でもありますので全体を眺めたいと思いますので、事実関係についてのご質問等につきましては後でお願いをすることにしまして、引き続きまして3番目の議題であります地球温暖化対策税制専門委員会報告につきまして、これを取りまとめていただきました専門委員会の委員長でありました飯野先生から、資料7についてまずご説明をいただきたいと思います。

○飯野委員 ただいま森嶌先生からご紹介にあずかりました温暖化対策税制専門委員会の委員長を務めさせていただきました飯野でございます。私からは、専門委員会報告書につきまして説明させていただきたいと思います。
 もともと地球温暖化対策税制専門委員会は、平成13年10月2日から、財政学、経済学、そして法学などの専門的・中立的観点から温暖化対策税制の制度面について主として検討を進めてまいりました。昨年6月には中間報告を取りまとめまして、2004年までの第1ステップにおいては、関連税制のグリーン化を進めるべきであるということを提案し、また、2004年の温暖化対策推進大綱の評価・見直しの結果において必要とされた場合には、2005年以降できるだけ早く温暖化対策税制を導入すべきである旨提言したところでございます。
 こうした中、去る2月に鈴木前環境大臣から本年夏までに国民的な議論のたたき台となる温暖化対策税の具体的な制度の姿を示し、国民的な議論を進めていきたいとのお話がございました。これを受けまして専門委員会としましては、去る8月29日に温暖化対策税の具体的な案について取りまとめまして、鈴木前大臣に報告いたしました。専門委員会報告では、温暖化対策税が他の施策手法と比べてどういう点で優れた手法なのか、あるいは何について税を課すのか、だれが納付するのか、税負担軽減の考え方や税収の使途についての考え方、あるいは既存エネルギー関係諸税との関係についての考え方などについて、国民の皆様方にできるだけ理解していただきやすいものとなるよう努力したつもりでございます。
 簡単ではございますが、報告書の内容につきまして説明をさせていただきます。まず、お手元の冊子、一番厚い冊子でございますが、ページが2つございますが、左端にある両括弧のページで説明をさせていただきます。(8)ページをごらんください。
 ここでは、なぜ温暖化対策税が検討に値するのかについて考え方をまとめてございます。京都議定書の6%削減約束を達成するために、これまでも規制や自主的取り組みなどの取り組みが進められてきたところでございますけれども、こうした既存の取り組みには、さまざまな限界がございます。実際にも二酸化炭素等の排出量は、京都議定書の目標を大幅に超過しているわけであります。一方、温暖化対策税は規制や自主的取り組みなどと異なりまして、一般家庭や自動車利用も含むすべての人や企業に対して温暖化対策への動機づけを与えるものでございます。それぞれの総意工夫による合理的な対策を促し、社会全体で対策を担っていく合理的な仕組みであると言えると思います。温暖化対策税の具体的な利点につきましては、(11)ページの上の欄のボックスに6点ほど簡単にまとめてございます。
 次に、(14)ページをごらんいただきますと、温暖化対策税の導入が二酸化炭素を減らす仕組みについてまとめてございます。税の導入によりまして、省エネ型の設備や製品が今より一層魅力的になることが期待できるわけであります。
 次に、(15)ページをごらんください。課税の仕組みといたしましては、輸入・採取の時点で課税を行う最上流課税案、あるいは製油所など製造者からの出荷時点で課税を行う上流課税の2つを有力な候補としております。
 また、(16)ページをごらんください。仮に税を活用するとしましても、税率の水準につきましては、2004年の評価・見直しを踏まえないと決められないものでございますけれども、現在の経済や雇用の情勢などを踏まえますと、相対的に低い税とすることが望ましいと考えております。税率が低くなることによって不足する効果につきましては、この税の税収を前提とした助成措置を含めまして、追加的な削減に結びつく他の施策手法をあわせて導入することとしてはどうかというふうに提案をしております。
 次に、(18)ページをごらんください。温暖化対策税は、温暖化対策の実施を後押ししようとする施策でございますので、例えば対策を積極的に行った人や企業もなお税金を払わなければならないのかというご意見もあるかと思います。このため専門委員会では、(16)ページの中ほどのボックスにおきまして、税負担を軽減すべき対象についての考え方を整理しております。具体的には、課税による影響が極めて大きい、温暖化対策の観点から推進すべきといった観点から、税負担の軽減についても検討しております。
 次に、(19)ページをごらんください。ここでは温暖化対策税の税収を何に使うのかについてまとめております。税率を低いものとする場合には、必要な削減量全体の5分の1程度が課税による価格インセンティブ効果で確保されるわけでありますけれども、残りの部分は不足が生じることとなります。必要な削減量をさらに確保するために、税以外の施策が追加的に必要になるわけです。この施策のための資金をどう賄うかが問題となります。消費税や所得税、あるいは法人税の税収を充当するのは筋ではございませんので、この温暖化対策税の税収を温暖化対策のための補助金や他の税の減税財源として活用することを考えました。この場合の具体的な仕組みにつきましては、確実性からいえば目的税や特定財源とする方法も考えることはできるわけでありますけれども、一般財源経由で温暖化対策に活用するということでも同様の効果を発揮し得るのでないかということで、両方の提案をしております。
 いずれにしましても、世の中の納得が得られる透明な使い方をしないといけませんし、確実な削減につながる施策への支援を行うことを基本としなければいけませんし、また、我が国の経済活性化や国際競争力強化の同時達成にも寄与するものでなければならないということを基本としているわけであります。また、地方公共団体が行う温暖化対策の財源確保のため、税収の一部を地方の財源とする必要があるともしているわけであります。具体的な使途につきましては、(22)ページの図をごらんください。あくまでも2004年の見直しを踏まえて決定されるべきものでございますけれども、ここにあるようなものがイメージとして例示されております。なお、次の(23)ページにおきましては、温暖化対策税の導入が各家庭にどのような影響や効果をもたらすのか、国民にわかりやすいよう簡単な絵にしてまとめてございます。
 次に、(24)ページをごらんください。ここでは既存エネルギー関係諸税との調整の考え方についてまとめてございます。化石燃料に対する税としては、別目的でございますけれども、既に石油石炭税や揮発油税等があり、これらの税による結果としての二酸化炭素排出抑制効果が生じていることや、これらの税の税収の使途としても一部温暖化対策となるものが実施され、あるいは助成されております。このようなことを踏まえまして、既存税との関係につきましては、同じものに重ねて課税することにつきましては、納税者の理解が得られるよう十分な議論を尽くすべきであり、また、使途が重複する場合にはそれぞれの税の役割分担を整理し、今後の具体的段階で必要に応じて必要な調整をするべきであるというふうに考えているわけでございます。
 次に、(26)ページをごらんください。ここでは、温暖化対策上の効果及び経済等への影響について、国立環境研究所及び京都大学が開発したモデルを用いて試算をしてございます。効果につきましては、何も追加的な対策を行わず高い税率をかけた場合と、低税率をかけてその税収を追加的な対策に充てた場合との2つのケースで比較検討しております。また、予測される経済影響につきましては、現在の経済状況の中では必ずしも小さいとは言えないかもしれませんけれども、決して非常に大きいというものではないというふうにしてございます。
 以上が報告書の本論でございますが、この税の制度といたしまして、幾つかのオプションも検討いたしましたので報告させていただきます。
 (30)ページからでございますけれども、1つは課税段階でありまして、制度としては複雑になりますけれども、二酸化炭素の排出に一層近いところで納税をしていただく仕組みが1つの代替案でございます。また、税率につきましても高めにして、いわば税制全体のグリーン化を行い、他の政策目的もにらんだ、いわゆる二重の配当といったことも考えられるという代替案も検討いたしました。
 まとめてみますと、(36)ページからの委員長としての私自身の談話がございますけれども、後半の(38)ページにもありますように、本報告書の本論の中で提案した制度案は、薄い税で広く国民に対策を促した上で、対策が十分にはできない方々が負担した税金を、支援を受ければ十二分な対策を行える方々に回し、控えめな税で生まれる貴重な限られた資金を有効に活用しようとする仕組みでございます。これによりまして、一部の大企業や環境に熱心な人々だけに担われていた対策を、国民全体が参加する形のものへと広げる大きな改革になるものと言えると思います。
 しかし、そもそも税というものは、国民の暮らしや経済に大きな影響を与えるものでございます。このため温暖化対策税につきましても、国民みんなで考え合意形成を図っていくべきものであると考えております。今後この報告書で示された具体案をたたき台として、さまざまな場で国民各界各層による幅広い議論が行われることを期待してこの報告書をまとめたわけでございます。
 以上で報告書の説明を終わらせていただきます。

○森嶌委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、今回は初回でもありますので、先ほどの大綱の進捗状況と、それからただいまの税制の報告書につきまして、事実関係について何かご質問がございましたら、そう長時間とるわけにいきませんけれども、事実関係についてのご質疑がございましたらお伺いしたいと思います。
 今なければ、後からはもう受け付けないということではありませんので……どうぞ。

○佐和委員 環境省の説明資料について、資料5ですね。先ほどご説明のときに、最近算定方法が少し変わってどうのこうのとおっしゃいましたけれども、これは過去にわたってすべて新しい算定法で計算をやり直しているのか、それとも年によって算定方式にかなりずれというかギャップがあるのか、その点はいかがですか。

○清水温暖化対策課長 算定方法が改善される場合は、過去にわたって全部データを同じ算定方法で洗い直してきますので、連続性は担保されます。

○佐和委員 わかりました。どうも。

○森嶌委員長 ただ、過去に発表されたデータは、今は直ってはいるけれども、過去に発表されたものは直してはいないわけですか。

○清水温暖化対策課長 例えば今年に発表したデータは、実は去年発表したデータと過去分においては違っておりますので、そういう意味においては、今年のデータで見ると過去発表したデータと数値の違いというのは微妙に出てくることはあります。

○森嶌委員長 例えば、業務その他の部門などというときは、過去の数字もそういうふうに直してあるわけですか。

○清水温暖化対策課長 そのとおりです。

○森嶌委員長 わかりました。
 ほかに何かございますか。
 なければ、追ってご質問等ございましたらまたこの後の議論の中でご質問いただくことにしまして、それでは、これも初回でありますので今日のところはご議論いただきましても──次回以降またご議論があればいただくということにしまして、特に今回温暖化対策税制専門委員会の報告につきましてご議論がありましたら伺いたいと思います。もちろん大綱の進捗状況につきましても今後の議論との関係でございましたらお伺いしたいと思います。できるだけ、細かい点というよりも、今後議論をする場合にどういうことを考えたら、どういう点について着目すべきだというような点で、幅広いご意見を賜りたいと思います。
 なお、本日ご欠席ですけれども、桝本委員からこれこれについてのお願いということで意見書が出ておりますので、念のため。これは番号がついておりませんけれども、1枚の意見書が出ておりますので、後ほどご参照いただければと思います。
 それでは、どうぞ。時間としては30分程度ございますので、どうぞ。今後の議論をしていく上で、こういうことを考えたらどうかというようなご意見がございましたらどうぞ。
 はい、どうぞ。

○永利委員 基本的なことでよろしゅうございましょうか。
 京都議定書を締結されてからやっている中で、日本だけが1人いっているような気がしてしょうがないんですね。アメリカがこれに入っていない、それからロシアも途中から抜けている、それからヨーロッパとの関係の中で、世界的な地球温暖化問題に対して、非常に日本がこういう形であらゆる角度から今真剣に取り組んでいく中で、今回環境税とかがまた入ってくるようになりますと、国際競争力という経済界の立場からいいますと、やはりそういう観点からますます中国やその他の規制の緩いところへどんどん流れていってしまうというようなことになっていくと、何か全体のバランスの中で、日本だけがこういう形でいって、何か非常に不平等感を──何もこれがいかんと言っているわけではなくて、そういった不平等感の中で非常に日本だけが厳しく問われていっている。
 それから、排出量のうち、産業部門が資料5によりましてもマイナス5%、運輸とかその他の部分というのが2けた台の伸びをしていっている中で、こういった全体をどう下げていくかというような、世界的な視点と今の時点におけるバランスをどんなふうに考えて取り組んでいくかというところがはっきりしていかないと、環境税の妥当性とかいろいろな問題が非常に、皆さんの合意を得るに当たっても難しいのではないかなと思いますので、その点をちょっとよかったら……。

○森嶌委員長 これも今後議論していく問題だと思いますが、運輸部門にしても家庭部門にしても、産業と全く無関係にCO2の排出が増えているわけではなくて、実は家庭部門でも、家の建材であるとか、冷房とか暖房とか、みんな実は産業でつくった機械とかそういうものが我々の家庭から出るCO2に関係しているし、運輸部門も、実は産業部門でつくる自動車からCO2を出しているのですから、家庭や運輸部門のCO2を減らそうとすれば産業のところでそのようなモノづくりを作るような仕組みにして行くほかないわけです。ヨーロッパは確かに京都では15%削減できると言っていたのが8%になり、当時は京都メカニズムを批判していたにもかかわらず、ヨーロッパの中で排出権取引をつくったり、イギリスがイギリスの中で、環境税に排出権取引を組み込んだ仕組みを作ってやっているのは、長期的に眺めた場合に、省エネ社会をつくって、産業としても省エネ産業をつくっていかないと、将来グローバル経済のなかで産業として生き延びていけないという意識があるのではないかと私は思っているのです。そうだとすると、たった今コストがかかるかどうかではなく、長期的に考えた場合、将来生き延びていくためには今コストをかけなければならないかどうかが問題なのです。そのときに環境税を使うのがいいかどうかというのはまた別の問題でありますけれども。
 少なくとも、今経済が不況だからコストをかけるのをやめた方がいいという議論は、少し近視眼的に過ぎるのではないかと思います。もうちょっと長期的に見る必要があるように思います。アメリカは今CO2対策に金を使わないように見えますが、アメリカは長期的に見ていないかというと、実はアメリカはヨーロッパとは別のところに戦略的ターゲットがあるようです。温暖化よりも先にエネルギー戦略にプライオリティをおいて、アメリカは自分のところの石油は使わずに、自分のところの石油はためておいてよそに行って石油を買ってきて、いずれ40年もたつと石油がなくなってくるだろう、60年たつと天然ガスがなくなってくるだろうというときの世界戦略を考えているようです。ここはそのような問題を考える場ではないのですけれども、政策を検討するには長期的な視野を持ち、こうした問題をやはり念頭に入れて、その中でエネルギー政策とか資源政策とか、将来の日本の産業構造を転換していく中で環境税というものがどういう役割を果たすのかということを幅広い視野を持って考えていただかないと、目の前の事象に左右された議論では、国民のため、日本の将来のために、私はいけないのではないかと考えます。
 ただ、抽象論として、将来のことを考えれば、今幾ら金がかかったってやらなければならないんだよということを私はここで議論しようということではありません。しかし、余り近視眼的な議論ではいけないのではないでしょうか。最近ちょっと、日本の経済が今大変なんだよという議論が一部で少し強調され過ぎているように思われます。アメリカでは確かに経済のプラスマイナスの議論をしているようにみえますけれども、他方では、アメリカでは、日本とはやり方が違い、コスト論などで長期的、戦略的に考えているということをわれわれは決して見過ごしてはなりませんし、ヨーロッパではもっと戦略的に動いているということを日本は忘れてはいけないと私は思っています。
 どうぞ、何かご異論あれば。はい、どうぞ。

○武田委員 武田でございます。
 今お話しの関連で、意見というか要望を申し上げさせていただきたいと思うんですけれども、今、永利委員からお話しがありましたような意見は、いろいろなところで議論していると必ずやはり出てくるんですね。それで、日本は京都議定書を批准しているわけですから、これは守らなければいかんと。この会も当然そのための施策を考える。これは大前提でございますけれども、やはり全地球的な環境問題を考えるという、目的がそれでございますから、排出量ナンバー1、ナンバー2が抜けている枠組みというのはいかがなものかとみんな頭の片隅では思っているわけですね。
 ですから、私の意見・要望ということで申し上げますと、本委員会の今申し上げたような任務とともに、2012年以降の枠組みについて、どのように主要国、ないしは発展途上国も含めて枠組みをつくっていくのかということを、政府に早めに動いてもらうための何らかの意見具申というものをできるようなことをこの委員会でもこの中に一部入れていただけるとありがたいなと。また、そうすべきではないかという意見を希望として申し上げたいと思います。

○森嶌委員長 ありがとうございます。
 中環審の存在というのは、そういうこともやらなければならないと思っておりますので、ただいまのご意見、この諸委員会で全部取り上げられるかどうかはわかりませんけれども、そういう視点はここでの議論でも必ず入れていかなければならないというふうに思っております。
 どうぞ、平尾委員。

○平尾委員 平尾でございます。
 冒頭に委員長の方から環境税ありきの議論はこの場ではないぞと、反対の議論はないぞというお話がございましたので、それは別途のところでやるといたしまして、やはり民生・運輸の問題が一番頭の痛い話だと思うんですね。それで、産業の方は自主行動計画等で、いわゆる定量的に因と果を結びつけて、それなりにブラッシュアップしていっている、いわゆる管理できる状態に置かれているわけですけれども、民生・運輸のところは非常に不特定多数が相手ですから難しい。それをどういうふうにしていくのかということが一番の焦点ではないかと。
 そのときにこういった税が一番有効にきくのかどうか、どういうふうにメカニズムとして働くのかどうか、その辺の議論が重要だと思うんですが、先ほど飯野先生からご指摘の(14)ページのいわゆる化石燃料の単価が上がれば公平にうまくいくよという話、これは1つの仮定でございますけれども、現実的に見ますとそう甘くないと。これは私も総合科学技術会議の温暖化対策技術研究開発の推進についての会議に参加させていただきまして議論したんですけれども、いろいろなアイテムがあるんですね。それで、そのアイテムがございますが、それを定量的に、あるいは2010年までにどうするのかと、こういったようなことの適用・普及という問題になりますと、これはよほどの覚悟がないと、あるいは政府のお金をどれだけ使うのかといったようなものを含めまして、そういうものがなければ本当にふたが閉まらない、非常にハードルの高いものばかりでございます。
 例えば、ソーラーの電池を使うと一言で言いましても、これを全国に普及するといったら、その製造能力があるのかというと、ないという話。一体どうするんだと。みんな言葉だけで何とかなるのではないかというふうにおぼろげに思っている。したがって、こういう税もこういうふうにインセンティブを与えるようなことをすればうまくいくのではないかというふうになっている。したがって、私はこの税を議論する前段といたしまして、民生・運輸の方がどういう姿になるのか、定量的に一旦乱暴でもいいからきちっと描いてみて、それでそのときに国民がどういう負担になるのか、どんなことを覚悟しなければいけないのか、これはお金だけではなくてライフスタイルそのものの変わるわけですから、そういう議論をまず深めていくべきではないかというふうに思います。
 そういたしますと、これも地球環境部会でお話ししたことですが、絵がございまして、ページ(23)ページですか、両括弧の。一般家庭の負担が460円だと。いや、大したことないんだと。自分の家庭と少し遠いところでトン当たり3,400円何かお金が動いていると。それによって影響する一般家庭は460円だ、大したことはないんだと。だからこういう税仕組みはいいから、みんな賛成しましょうということになったら、この裏に隠れておりますのは、先ほどお話にもございました、お父さんが日本の経済力、競争力が落ちて会社が火だるまになって、お父さんが持って帰ってくる給料が2万円とか1万円とか減るということはこの裏に書かれていないんですね。したがって、日本国全体がどういうことになるのかと。経済効果ってどうなるのかと。もちろん税で経済成長率が何%下がるとか、そういうシミュレーションもありますが、それが完全に正しいことなのかどうか、そういったことも含めて、広く国民生活にどういう影響を及ぼすのか、こんなことを私は税制度という前に、民生・運輸、我々の生活がどうなってくるのかということをもう少し深堀りして議論していくのが大事ではないかなというふうに思いました。
 長くなりましたが。

○森嶌委員長 ありがとうございました。
 ドイツでは税をかけるときに、例えば福祉とか雇用とかそっちの税を減らしてエネルギー開発とかそっちの方にシフトするとか、これは何も環境税だけではなくてほかの税もそうなんですけれども、私がそんなことをいうと佐和先生や天野先生に怒られますけれども、経済学者の議論というのは、実際やってみると違うことが多いんですけれども、事前に試算をしまして、それでやっているので、私は前からこういう議論をするときにはやはり外からこれは違うよということがあっても、やはり事前に試算をしてそれを出さなければいけないと思っておりまして、そんな意味では平尾委員のおっしゃるように、違うかもしれないけれども、試算をしてみるべきだと思います。実は今のお話も、国際競争力がなくなるかどうかというのは、実は皆さんおっしゃいますけれども、国内の税が上がって、しかもほかを減らすといっているときに、国際競争力がなくなるのかどうかちょっと実はよくわからないんですね。ところが、なくなるという方はいとも当然になくなるぞ、なくなるぞとおっしゃるんですけれども、そうなのかどうかということも含めて、一度やはり経済学者にきちっと試算をしていただいて、それをこういう場で議論するということもやはりしなくてはいけないのではないかと考えておりますので、ご意見ありがとうございました。
 はい、どうぞ。今私が言ったこと、怒られるんでしたら……事前に謝っておきますけれども。

○佐和委員 経済界の方が今お三方ご意見をおっしゃったわけですが、それに私のコメントをさせていただきたいと思います。
 まず、永利委員が日本だけが突出しているのではないかというふうにおっしゃいましたけれども、私の知る限り、EU、欧州連合の15カ国のうち、半数以上の国が既に導入済みであるということで、日本が突出しているわけでは必ずしもありません。

○永利委員 環境税を導入している。

○佐和委員 環境税を?炭素税をですね──なりそれのやや変形したものを導入している。真っ先に導入したのが北欧3国とデンマークとオランダで、90年代の初頭に導入しております。その後ドイツ、それからフランス、イギリス、そしてイタリアが2005年に導入予定といったような状態でございます。ですから、決して日本が突出しているわけではないということ。
 それから、アメリカとロシアが入っていないのにということに関しましては、アメリカは、確かにこれは──なぜアメリカが離脱したのかについては、これを一言で言えばアメリカの単独行動主義の1つのあらわれであるというふうに言うことができると同時に、森嶌委員長がおっしゃったとおり、そうはいいながら未来のスイシュ社会へ向けてのそれらの技術開発にはいとまがないということで、つまり京都議定書のタイムスパン、つまり2010年をにらんでどうするかということではなくて、もっと長期的な技術開発というのに重きを置こうということで、考え方の違いだと思います。
 それから、武田委員のおっしゃった2012年以降の枠組みについてもっと議論すべきではないかということにつきましては、森嶌先生がおっしゃったとおり、やはりそういう場は必要でしょうけれども、ここは私の理解する限りではちょっと、これ自体が大変難しい問題ですし、流動的な問題でもありますし、なかなか私どもで議論のできるようなテーマでも──難し過ぎるというふうに思います。
 それから、平尾委員のおっしゃった初めに環境税ありきという議論は、これは最初に一言お触れになったところですが、ちょうどこの桝本さんの意見書の中に、まさしく「税の前にやることがある」と書いているわけですね。例えば、環境教育。しかし、環境教育をやるということと温暖化対策税制を導入するということは、何ら関係のないことなんですね。つまり、どっちかをとるかという問題ではなくて、十分両立可能なことだし、それから下にいろいろ技術的なこととか都市の社会的なインフラの問題とか書かれておりますが、こういった機器の普及というものを促進するためにも、税制はその一助となり得るのではないかというふうに私は思います。
 それから、産業はさっきの数字から見ても5.数%が減っているではないかと。一方、民生・運輸が一向に減らない。運輸は最近グラフを見ますとほぼ横ばい状態が続いているわけですけれども、むしろ民生や運輸に対してポジティブな効果を──ポジティブなということは、削減を促すような効果を期待しているのであって、何も産業をいじめようということでこういう税金を導入しようとしているわけではないと。しかも、どこまで転化できるかどうかはともかくとして、実際は最終消費者である一般の──つまり消費者が最終的な負担をすることになるわけですよね。それから、企業の中にもいわゆる大企業のように、そういうみずからの実績、取り組みということをおやりになっている企業もあれば、それ以外の中小企業というのもあって、中小企業や消費者に対して省エネを動機づけると。それがこういう税制なり温暖化対策の目的だというふうに私は思います。
 それから、こういう税金を掲げて化石燃料の値段を上げても効果がないのではないかとおっしゃいますけれども、例えばガソリンの値段が上がると。そのときに、すぐに走行距離を減らすというような行動はだれもしないと思うんです。しかし、3年、5年たって次に自動車を買いかえるときには燃費効率のいい車にしようと、不必要に大きな車を買うのはやめようと、そういうふうなことで、中期的には十分効果があるというふうに私は思っております。
 それから、国民生活への影響ということに関しましては、もちろん税金は消費者ないし直接的には企業が払うわけですけれども、それが価格に転嫁されれば消費者の負担になると。それから、政府がそれによって税収を得てそれを金庫の中にしまっておけば、経済成長に対しては明らかにマイナスなわけですが、それを上手に使ってくれさえすれば、あるいは増減税、同額ということで、いわゆる所得減税が行われれば可処分所得が増えるわけですから、そこで小異が増えると。つまり、炭素税がかかった分小異は減るけれども、可処分所得が増えることよって小異が増えるということで、両方ではプラス・マイナスでどうなのかと言われても、それはやってみなくてはわかりませんというしか仕方がないし、恐らく相殺したプラス・マイナスの差額というのは、プラスであれマイナスであれ金額的には非常に小さなものになるというふうに私は思っております。
 以上です。

○森嶌委員長 では、小林委員どうぞ。
 2度目の発言者は後になりますけれども。

○小林委員 大変単純なことが問題として気になるんですが、まず、この温室効果ガスの排出量の概要が毎年出てくるわけなんですが、一番問題点は、いわゆる国民の皆さん、私たち現地でいろいろな方に説明をさせていただくときに一番問題になるのは、各部門で削減のための大綱をつくった、その施策を展開しているにもかかわらずなぜ下がらないのかという説明ができないんですよね。なぜかというと、例えば産業部門でいきますと、マイナス5.1%ですと書いてあるんですが、これが産業部門がそういう対策、大綱に書いてある施策を具体的に実行したから5.1下がったのか、それとも景気の冷え込みによって結果論として下がったのか、全く説明がないんですよね。ですから逆にいうと、定常の景気のままで進行し無施策であったらどうなっていたのか、それに対してこういう施策を打ったからマイナスになったのか、それともそうでないのかという議論がどこかに要るのではないかと。
 そうなってきますと、例えば運輸とか家庭も同じなんですが、無施策であればこういうふうに伸びたであろうと。例えば、運輸部門ですと無施策であったらこれがプラス40になっていたものが、ある一定の施策を打ったから20でとどまったのか、それとも想定が実は間違っていたというか、想定以上に運輸部門の伸びが見えたのか、その辺の説明がないのでどうしてもそこがわからない。わからないために、対策をとられる側ととらされる側との間で常に議論が平行線をたどっていて、終着駅に着かないというような議論の平行線があるのではないかと。
 そういう意味で、いわゆる景気があるとか、想定された伸び、その原因、それとその伸びに対してどういう施策を打って、その施策によって落ちたのか落ちていないのか、その施策のどこがだめだったのかというのが具体的によくわからないというのが今一番大きな問題点ではないかなと思うわけです。その辺をまず明らかにする必要性があるのではないか。
 それから、2つ目の環境税制の問題については、この推進大綱でマイナス6%になる想定であったと。その想定であった大綱の施策のどことどこができないから、それの対応としてこの環境税制を導入するのかという点も実はよくわからない。つまり、税制導入も初めから施策の中に盛り込み済みであって、ただ他の対策がある程度進むことを期待して税制については後回しで検討しようとしたのか、それとも、推進大綱に書いてある削減がうまくいかないから、その中のどの部分のうまくいかない施策を伸ばすためにこの税制を導入しようとしているのか、この辺が実はよくわからないためになかなか平行線をたどっているのではないかなと思うわけです。その辺をちょっと整理し、議論していただく必要性があると。
 それから、先ほどもう一つ、税金をとられるからその分景気が落ち込むというお話があるんですが、逆に税金をとったことによってそれを投資として出ていくために、その投資によってどれだけ景気が上がっていくかというのも算定の対象にする必要性があるのではないかと。そういうふうに考えたら、税制中立というものの考え方を導入すれば、税金をとられたから景気が落ち込む、日本の競争力が落ち込むということにはならないのではないかなという感を持っております。

○森嶌委員長 それでは、奥野委員どうぞ。

○奥野委員 経済学が専門なんですけれども、やや佐和先生とはちょっと違う視点からお話を、私の意見といいますか、感想を述べたいんですけれども、2つ申し上げたいんですけれども、1つは、率直に申し上げて私は京都の議定書というのはやはり日本政府はやや戦略的、戦術的に失敗したのかなというふうに思っておりまして、そういう意味で、産業界の方々が今環境税を入れることに日本の経済の現状を考え国際競争力を考えたときに非常に問題であるというふうにお考えになるのは、私はそれなりに非常によく理解いたします。そういう意味で、もし万一入れることになっても、きちんと産業界へのダメージが少なくなるような方法をきちんと考えるべきだし、それをやる場がここなんだというふうに私は1つは理解しております。
 しかし、それ以上に、ちょっと普通議論されていないことなんですけれども、やや冷めた目で私が見ますと、こういう問題があるんだということをちょっと述べさせていただいて、それについて産業界の方々がどう思われるのかということをお聞きしたいんですね。なぜかと申しますと、私は環境税を今やめてしまうというようなことを万一すると、それは多分日本の産業界にとっては自分で自分の首を絞めることにほかならないのではないかというふうに思っているんですね。どうしてかといいますと、今ご存じのように京都の議定書というのは唯一ロシアが事実上残っていて、ロシアが批准するか批准しないかで京都議定書が発効するか発効しないかが決まるわけですね。つまり、京都を発効するかどうかというのはロシアにかかっていて、ロシアがいつ批准するか、批准しないというチョイスもありますが、批准してしまえばその段階で発効してしまうわけですね。それに対してでは日本が何ができるかということなんですが、ついでですが、ロシアの状況というのは今経済が非常に不安定であって、外資が入ってこないという状況があって、ロシア自体非常に困っている。環境問題というのは、彼らに言わせれば経済問題だというふうに言っているわけですね。
 そういう視点から考えたときにどういうことがあるかということですが、万一ロシアがどこかで何かで批准してしまうと、京都は発効するわけですね。発効したときに日本は何ができるかというと、10%ぐらい今の現状から排出を削減するしかないわけですよね。これを環境税なしで削減するというのは非常に難しいわけですね。後で申しますけれども、非常に極端な強権的な政策でもって、場合によっては産業界の非常に大きな犠牲で削減するしかなくなります。
 もう一つの可能性は何かというと、ロシアから国際排出権を買うという、これは京都の議定書にあるわけですね。これがもう一つの可能性だと思います。どっちかということですね。それをロシアの今申し上げたような国内の立場から考えてみれば、ロシアとしては当然できるだけ高く売りつけたいに決まっているわけです。これは結局今の京都の状況では、ロシアだけが売り手であって日本だけが買い手ですから、価格はどう決まるかというと、これは相対で決まるわけですね。つまり交渉力で決まるわけです。ロシアは当然今言ったように高く売りつけたいわけですが、他方日本はどうかというと、万一環境税を入れなければもうやりようがなくなってしまうわけですね。強権で削減するしかなくなってしまう、排出を。要するに、相対価格でどう決まるかって、交渉力で決まって、どういう形で日本が交渉力を発揮できるかというと、要するに、おまえのものは買わなくてもいいということが言えれば安く買いたたけるわけです。それができない、要するに買うしかないということになると、物すごく価格がつり上げられるわけですね。どういう場合に買うしかないという状況になるかというと、結局準備ができていないと。環境税も何も準備ができていないというような状況になると、要するに強権的に排出権を減らすしかないと。要するに統制経済で減らすしかないわけですね。
 そうすると困るのはだれかというと、国民も困りますがとりわけ産業界が困るわけですよね。そういうことを考えれば、最後の国際交渉、ロシアとの相対交渉で日本が有利な立場に立つためには、少なくとも準備ができていなくてはいけない。排出を削減できる準備ができていなくてはいけない。そのための一番有効な手だての1つが多分環境税であると。環境税をどういうふうに入れるかというのもいろいろな入れ方がありますから、できるだけ産業界に犠牲のない形で入れる必要はありますけれども、これを今の段階で否定してしまうということは、基本的にはロシアに排出権を物すごい高い価格で売りつけられるということを国民が受け入れるんですねということをロシアに対して言明していることになってしまうわけですね。それはやはり日本にとって、とりわけ産業界にとって決してプラスにはならないというふうに私は思います。そういう意味でも、むしろ産業界に犠牲のない、しかしロシアに対する交渉力を十分維持するような環境税の入れ方、場合によってはロシアが入ってこなければ、ひょっとしたら要らないかもしれない。そういうことも含めた考え方、そういうことをきちんと考えておくというのが今我々が環境税に対して考えるべきことではないかと。そのためにこの委員会を使って少しきちんと議論した方がいいのではないか。少し戦略的な発想を財界の方にも持っていただきたいなというふうに思います。
 以上です。

○森嶌委員長 それでは、大塚委員。

○大塚委員 ちょっと別の会議でおくれてきて申しわけありません。
 今、奥野先生がおっしゃったことは、私も思っておりまして、一部でささやかれているシナリオだと思いますが、そういう高く排出枠を売りつけるということを考えて、ぎりぎりになってロシアが批准するという可能性も考えておかなければいけないと私も思っております。
 それ以外に3点ほど申し上げたいのですが、第1に、仮に京都議定書が発効しなくても私はある程度のことはやらなければいけないと思っていますが、日本が1番、2番ではないにせよ大きい排出国であると、CO2等の温室効果ガスの大きい排出国であるということを考えると、少なくとも応分の努力は早くからしておいた方がいいということはあると思います。今後、第1約束期間以降についてどういうことになるかというのはこれから議論されますので、よくわからないところがございますが、排出している量に応じた応分の努力というのは早めにしておいた方が、後から非常にたくさんの努力を要求されるということもなくなるという可能性もありますので、しておくべきではないかというふうに思っております。
 税というのはそのための1つの方法ですが、先ほど佐和先生とかもおっしゃったように、私はこれは1つのマネーリサイクリング政策だというふうに考えておりますので、使途について租税法学者の先生方からご批判はあったところでありますが、使途についてかなり気にして、費用効果的な使い方をするということが非常に重要だと思います。そういう使い方をすれば国際競争力に短期的な影響が多少あるにしても、中長期的にはむしろプラスになるということが当然考えられますので、とられたお金は返ってこないということではなくて、産業界には戻るということが非常に多いというふうにお考えになっていただいた方がいいと思いますが、そういう政策を考えているわけですので、その点ご配慮いただけると大変ありがたいというのが第1点でございます。
 それから、第2点ですが、そもそもこの産業・運輸・民生という分け方自体についても、地球環境部会の方でも多少議論がございましたが、業務の中に中小企業のものが入っているところが一部あるとか、あるいは産業界で運輸を使われるときに、今まで産業部門でやっていたものを運輸の方に回しているものがあるというようなものもございますので、その辺が統計にどういうふうに出てくるかという、あるいはどういうふうに正確に統計をとるかという問題があると思いますが、そういう問題もあるということは改めて指摘しておきたいと思います。
 それから、第3点ですけれども、イギリスにうかがわせていただいたときに特に感じたことですけれども、イギリスの排出枠取引、あるいは税と協定の3つのポリシーミックスの制度というのは、産業界が中に入っていろいろお考えになったという、その他の行政とか学識経験者等を含めて、産業界の方も入ってお考えになったということがございまして、ぜひ日本でもそういう前向きの取り組みを一緒に考えるということ、まさにこの会議はそういうことなのではないかと思いますが、していただきたいというふうに思っております。何か行政がやろうとしているから嫌だ、嫌だという話だけではなくて、むしろ積極的にどういう方法であればのめるところまでいくのか、あるいは、建設的に日本の産業も発展させながら、温室効果ガスも減らしていくことができるのかということを、もちろん個々の企業はお考えだと思いますが、経済界全体としてもそういうスタンスをとっていただけると大変ありがたいというふうに思います。
 以上です。

○森嶌委員長 もう一つ議題がありまして、この辺でこの議題を終わらなければいけないんですが、今ごろになって挙がってきますので、いや平尾さん、あれですが、今挙がっているところで切りますので、申しわけありませんが、挙げておられる方は少し短くご発言いただくということで、この順番でいって、あとこういう回りますので。
 では、天野先生、お願いします。

○天野委員 国際的に温室効果ガスに対する価格が形成されている時代なんですね。ですから、炭素1トン、二酸化炭素1トン幾らという値段がついておりまして、これはEUなんかでもこれを将来上げないようにするにはどうしたらいいかというふうなことを考えているわけですが、ですから、日本が炭素税をかけるかけないにかかわらず、国際的には二酸化炭素というのは費用のかかる排出源だということになっているわけですね。ですから、日本がそれを削減するようなことをしないで国際的な価格を押し上げるようなことをするということは、私は非常にマイナスが大きいというふうに思います。現在はそんなに高い値段ではありませんけれども、今後どういうふうな上昇の仕方をするかということは、エネルギー関係の人だけではなくて、世界中がそういうことを計算している、そういう時代だというふうに思います。ですから問題は、日本がそういう国際的な価格の動きに対して国内でどういう対応をするかということではないかと思うんですが。
 そうなりますと、資源もない、エネルギーもない、そういう国が温室効果ガスの排出だけどんどん増やすというふうなことはとても国策としてはできないんですけれども、かといって米国とか欧州ですね、そういうところと比べてきちっとした政策対応が現在見えているかというと、私は残念ながら見えていないと思うわけですね。アメリカはアメリカなりにちゃんとした政策スタンスを持っているわけですけれども、日本のスタンスがどうなっているかというのはなかなかよくわからないと。これは、どちらにしろやはり決める必要があるだろうというふうに思います。
 それから、3つ目の点は、今日ご報告いただきました提案ですけれども、これはかなり細かい点まで配慮して計算をされております。ですから、温暖化対策税そのものは低いんですけれども、その税収を使うと、どこかに書いてあったと思いますが、9億5,000万ぐらいの財源が上がって、それを全部温暖化対策につぎ込んだらどれだけの削減ができるかということを考えた上でこういうプランができているということですので、決して根拠のないシミュレーションではないと私は思います。かなり具体的な削減対象というのがこの裏にありますので、私はできたらそれも余り隠しておかないで、全部発表される方がいいのではないかと。そういうものをベースにして建設的な議論ができれば、私はその方がいいのではないかというふうに思います。
 ただし、助成金の使い方について、今のようなことが背後にありますので、助成金を無駄に使ってしまいますとこのプランというのは成り立たないわけですね。ですから今後の議論というのは、税率とか助成金率だけではなくて、どうやって効率的な削減の機会を、国内にある機会をフルに活用するかと。それを具体的な形で産業界の方とも一緒になって議論をすることが私はこれを生かす道だろうと思いますし、そういう議論に付随する議論として今日の最初にも書いてありますけれども、温暖化対策税制とこれに関連する施策とを総合的に検討するというのはそういう意味だろうと思いますので、もちろん助成金の配分の仕方、それから排出取引制度のあり方、それからそれに加えたような対策税の規模、そのあたりを全体として議論するという中で、先ほどの民生・運輸、それから産業界全部含めて細かいところの議論ができればというふうに私は思っております。

○森嶌委員長 それでは、中里委員、西岡委員、桝井委員にご発言いただいて、2回目ですので、武田委員、平尾委員はその次と。
 では、どうぞ。

○中里委員 ロシアが仮に入ったといたしましても、アメリカと途上国が入っていないわけですから、つまり京都議定書の枠組みによって地球温暖化は防止できないということは明らかなわけです。従って、これは地球温暖化を防止するための租税の話ではなくて何か別の話になっている。なぜ下げるのかという理由づけが地球温暖化防止ではないんだろうと。つまり地球温暖化を防止できるために十分な二酸化炭素を日本がいかに減らしたところで、どんな厳しい炭素税を導入したところで、この枠組みではできないわけですね。できないことを我々は議論しているということです。
 それから2番目、京都議定書に反した場合の制裁、つまり条約というのは守らなくてもいいわけですよ、制裁とのバランスで考えればいいわけで。守らなかったときに何があるのか、それとのバランスで、場合によっては約束というのは破ればいいので、私は破ることは法律家ですから反対ですが、経済合理的にはあり得る──きっと経済学の方はそういうふうに議論なさるのではないかと思います。
 そうすると、京都議定書以外の、つまり京都議定書が発効したら義務があるという、そういう規範的な理由づけ以外の何らかの理由づけがなければ、産業界は到底このようなものに賛成はしないだろうというふうに思うわけです。何かそれはあるはずだと私は思いますし、また、それを説明できなければいけないというふうに思っているわけです。例えば、京都議定書には二酸化炭素排出以外にも何か重金属がどうのこうのというのがありますけれども、アメリカは京都議定書に入っていないですからその義務は負わないんですが、ヨーロッパとか日本に製品を輸出する際に、やはり京都議定書にある重金属云々の枠組みについて考慮しなければ製品をつくれないということになっています。京都議定書が役に立つか立たないかはともかく、あるいはそれが我々を拘束するものかどうか、破った場合に制裁があるかどうかはともかく、それを守っておかないと例えば通商に差し支えるとか、何か産業界を説得できるための理由づけを明らかにする。その立証責任は産業界にあるのではなくてきっと我々にある──私は関係ないですが(笑)、環境サイドの方にあるのではないかと思います。それは恐らく僕はできると思っているんですが。

○森嶌委員長 議論する場ではありませんけれども、京都議定書だけではなくて、むしろ21世紀に向けて温暖化のこと議論せざるを得ないだろうと。だから京都議定書を発効するかしないかではなくて、その先を見たら、アメリカも含めていずれはやらなければならないと。そのための方策を今から考えておかなければならないということだろうと思いますが。これはこの報告書の冒頭にも書いてあります。
 では、西岡委員どうぞ。

○西岡委員 私の質問は、この小委員会でどれだけの範囲のことをやるんだろうかということです。京都議定書の約束を今守らなくていいという話もありましたけれども、サイエンスの立場からいいますと、ぜひ守るようなものをつくってもらいたい。それから、長期的には抑制の方向へ向いているならば、早めに対策をとった方が日本の国、あるいは産業界もふくめそれぞれのメンバーにとってもいい方向ではないかという前提がございます。
 既にもう奥野先生、天野先生、いろいろな方がご指摘なさったんですけれども、例えばEU等々は長期的に立ちむかうという体制でいろいろなメカニズムを作りつつあるが、アメリカも調べてみますと、エミッショントレーディングが世界的に動き出すという前提でいる。しかし、残念ながら日本では税と取引との組み合わせみたいなものについての話がなぜか出にくい。税だけではうまくいかなくて、やはり規制の方がいいなというような幾つかの論文なんかも出ているのを見ますと、やはりこれはある程度いわゆるポリシーミックスというものを念頭に置いた議論をしないといけないなと思います。
 中環審の中でも既に、先ほどから論議にあります京都議定書の次をどうするんだなんていう委員会はまた別に走っていますし、エミッショントレーディングの検討会も既にあります。そういう面からいいますと、この企画小委員会、これはいろいろな合同ですからもう少し幅広に検討できるのかもしれませんが、ここでのミッションを見ますと、税ということに非常に特化して見ていこうということになっている。しかし、周辺の状況も十分ふくめて検討する必要がある。特にはEUとかほかのところが仕組みを作りつつあるものですから、さきに作られて、それこそ日本だけ損をするような状況になりかねないなという心配もございます。そのあたり、どのあたりまでここで検討するんだろうかということについて、いつかで結構ですけれども、見解をいただきたいという具合に思っております。

○森嶌委員長 時間がありませんので後でお答えしますが、これは経済的手法の1つとしての税制ということを考えているので、政府税調ではありませんので、税のことだけをやるという趣旨ではありません。
 それでは、桝井委員どうぞ。

○桝井委員 非常に短く終わりたいと思います。
 経済界の方々が、いわゆる環境税絡みで国際競争力がなくなる云々と、そういう議論が次々出ているわけですが、あえてお伺いしたいのは、国際競争力とはどういうふうに考えておられるのか。例えばこの省エネ問題では、これから一番大きな市場となる中国においては、自動車の問題で、恐らくというかもう既にかなり進んでいますけれども、アメリカの省エネ基準よりさらに厳しいものをいきなり採用してくる可能性がかなり強いと思います。いわゆるトンネル効果というか、従来型の基準を上げていくのではなくて、いきなり高いハードルでくるということは大いにあることだと思います。事実動いている。そうすると、国際競争力云々言われるときに、非常に失礼だけれども、島国的な国際競争力をいってただ怖いと、危機感だとおっしゃっているのではなかろうかと。もうちょっと説明をしていただきたいなというふうに思います。
 それからもう1点、この桝本さん、経団連、部会長ですけれども、ここに紙を送ってきておられる。これはかねて税の前にやることがあるというふうにおっしゃっているわけですが、その中身を読んでみると、これは本当に本気でこんなことを思っておられるのかと非常に思います。要するに、教育効果、キャンペーンで国民に説けと。あるいは、省エネの新技術を実際に検証して、それがどれだけ効果があるかやってみろと、それが具体的な提案だと。しかし、この新技術は幾らでもある中で、そんなことをこの委員会でできるということは普通考えられないと思います。従って、いつも紙だけ来るけれども、一体何を考えておられるのかちゃんと説明していただきたいと思います。

○森嶌委員長 桝本委員は委員ですので、今度来られたときに言っていただければ。
 それでは、どうぞ、武田委員。

○武田委員 若干申し上げさせていただきたいと思います。
 先ほどから議論いただいておりますが、我々が今これからやろうとしていることは、京都議定書を守ることが目的なのか、地球環境をよくすることが目的なのか、これは二者択一ではないよとみんな当然おっしゃるわけですが、それは当然そうなんですが、必ずしも前者だけに余り偏らないで、後者の方も私は議論させてもらいたいと思うんです。これはどの国でも当然国益を考えて、これは産業界の益という意味ではなくて国民の益そのものでございますので、国益を行動するのはどの国も当然のことでございますので、そういうことを議論させていただきと申し上げたいのが1つ。
 それからもう一つは、環境税ありきではないというのはもちろんそのとおりなんですが、逆にまた環境税は絶対入れてはいかん、そういう人もいるかもしれませんけれども、税は絶対議論もしないということを言っているわけではないわけですね。ですから、どのような税を入れるのかと、経済的手法のうちの1つ、どの税を入れるのかということが大事なわけですね。余り細かいところまで入るつもりもないんですが、先ほどお話がありましたので一言だけ言わせていただくと、今示されている案については、やられた先生方はもちろん一番いいと思っておられるのは当然だと思いますが、私なんか拝見させていただくと、これは最終的なCO2の削減効果は極めて少ないというふうに思わざるを得ないわけです。ですから、どのようにすれば本当にCO2の削減になるのかと、そういう税があるのかないのか、そういう税をどうやって作るのかということを議論すべき。それは議論する価値があると思います。
 それからもう一つは、税を導入する場合にも、本当に増収をしなければいけないのか、既存税制との関連でやるのかと。ヨーロッパでいろいろ炭素税が入っているとおっしゃいましたが、いろいろなやり方でやっているんですよ、みんな増税とは限らないわけです。ですから例えば、ここまで言うと言い過ぎかもしれませんけれども、既存のエネルギーの税収について、道路関連税制たくさんあります、何兆円とあります。歴史的に非常に大きな意味があったと思いますが、ある意味ではその目的もある程度コウゲイ状態に来ている。日本国家としてこういう収入を今大事な環境に向けるという決断があってもいいと思いますし。そういうことを議論するならすべきであって、何も戦略的に考えていないわけではないわけです。頭から反対しているわけではないということをご理解いただきたいと思います。

○森嶌委員長 今回第1回ですので、これからどうぞ十分資料を用意してご議論いただきたいと。
 それでは、平尾委員どうぞ。

○平尾委員 すみません、2度目でございます。申しわけありません。
 私は、国民全体の問題だということ、これはもう異存ないと思うんですが、それを全面に押し出すような議論をしていかなければならんということでございます。
 それで、先ほど佐和委員がおっしゃいましたガソリンの問題とか、効果についての話がございましたが、それはエグザンプルではなくて、天野委員もご指摘のとおり、全体をどういう施策で民生・運輸の問題を解決するのかと、ふた閉めをしなければいかん。そのために、それを実行するに当たって税というものはどういう形で行使すれば有効に生きるのか、投資対効果、そういった考え方を私は定量的にシミュレーションしてみる必要があるのではないかというのが先ほどの意見でございます。
 それから、奥野委員のおっしゃったロシアに負けない、言い値でやられないためには、何か日本はやっておかなければいかん、これはしかりでございます。しかし、これは銭ではなくて技術がなければいけないわけですから、従いまして、技術開発をどうやっていくのかということの大きい問題があろうかと思います。そのときに、では税をとってそれをまたもとに戻してちゃんとやればいいではないかというご意見もございましたけれども、これも投資対効果でございます。従いまして、まず手段がどうなのかということを議論すべき問題ではないかというふうに思っております。
 それから、最後に1つ、価格転嫁の話がございました。この問題は、私ども現場でやっておりますと、価格を上げなければいかんということになりますと、お客が他で調達するということになる。これは競争原理ですから、出てまいります。そういうことで、価格転嫁というのはそうイージーにできる話ではございませんで、これがひとえに競争力を次第にむしばんでいく。そのためには技術開発が必要だということなんですね。そことのバランスがございますので、軽々に転嫁すればいいではないかといったような問題ではないと。しかも、日本の資源のないこういう国を前提にして議論をすれば、それは日本の産業構造全体がどうなるのかということまで踏まえて価格体系というのは議論していく必要があるのではないかと思っております。
 少し長くなりました。

○森嶌委員長 多分反論したいんだろうと思いますけれども、十分わかりますが、これはまた次回以降十分時間がありますので、後にしてください。
 浅野委員から、さっきあれでしたので、第1回だからと言ったらまとめをするから後にしてくれというので、では、まとめてください。

○浅野委員 政府の大綱は、確かに京都議定書が発効したときには京都議定書の実行計画になるということにはなるんですが、もともとその大前提は枠組み条約を前提にして、ともかくより先の方まで見た温暖化対策をやらなければいけないと。6%というのはとりあえず当面のゴールだと言っているだけですね。そういう大綱を今後評価し、見直しをしていく中で、足りない点があればそれはちゃんと足していかなければいけないということになっているわけです。ですから、京都議定書の6%を当面考えて、だから税ゼツという議論には多分なっていないんだろうと思います。
 先ほどからお話がありました2012年以降のという、このお話は、地球部会の方で実はもう既にパブリックコメントを始めておりますので、1月以降議論させていただきますし、それから、大綱そのものの評価についても1月以降議論をさせていただくこになりますので、先ほどからお話がありましたどの部分がどういうふうに足りないのかということについては、可能な限り検証していくということになると思います。
 そして、ここの小委員会の役割は、確かに合同部会の小委員会ですから両方にまたがるわけで、政策全体についての議論を当然やっていいわけですけれども、今まで既にパッケージとして出ているものについては、桝本委員のご指摘にもあるように、過去にやったことについてもう1回きちっと、こういうことをこれまで議論したということは明らかにする必要がありますから、事務局でこれまでの議論の経過を明らかにしていただくと思いますけれども、それをやりつつ、これまでパッケージとして十分ではなかった部分、すなわち、ポリシーミックスと言われている部分の具体的な中身について議論ができていないので、それをやりましょうということがこの小委員会の目的でございます。
 先ほどからしかし武田委員がおっしゃったようなことはまさに議論をしなければいけないことで、その点は実は専門委員会の中でも、表に出ておりませんけれども、かなり激しい議論がございまして、そういうことについての議論があったんです。ただ、残念ながら税調ではございませんので、税調の議論のようなことを露骨にここでできるのかねというようなことで表には出ていませんが、その議論も十分にやりました。
 それから、専門委員会報告については、時間の制約があっていつも委員長は大変残念な思いをしながら表だけ読んでおられるんですけれども、膨大な参考資料がついておりまして、実はいろいろご指摘になっている点は全部バックデータが出ているんですね。これもよく議論の種として使っていただいて、さらにこれに書いていないようなものがあるのかないのか、なければどこが足りないのかというような議論をやらないとこの議論はできませんので、既に書いてあることについてないないというような議論はちょっと困るなと思いますから、その点は今後のこの委員会の議論の中では留意をしていく必要があると思います。いずれにしましても、大きな枠組みは何も京都議定書のということにとどまらず、先ほどからお話があったようなことであります。
 それから、法律をやっているものの立場から言いますと、どう考えても規制的手法というものには限界があるというのがこの温暖化問題のいろいろな部分で、これまで例えば経済産業省がやっておられるような法律というのは、ある種の規制も交えながら枠組みでいろいろやってきて、産業界はその中で努力して下がってきたけれども、民生・運輸についてはその種のものが全くなかったわけですね。ではそこに同じようなものを持ち込んで、行政主導ベースで最後言うことを聞かなければ規制だというようなものが待ちこめるかといったら、まず無理ですね。そうすると、そこに何を持ち込めばいいか。経済的措置が必要だということは言われているわけですけれども、それについてもただ単に税だけを単体で議論するのは全くナンセンスですから、どういう組み合わせが一番いいのかということを議論しなければいけませんし、専門委員会報告はご指摘のとおりでありまして、全体の使途についてかなり突っ込んだ議論をやっていますから、それについても例示という形でしか実は出していないんですね。本当にこれできちっと全部計算し尽くしているかというと、必ずしもそうではない、率直に言えば。ですから、ここに本当はどういう政策を組み込んだら最も効果的であるかと。そのときにどういうようなところから財源を投入すればいいのかという議論はできると思いますから、いろいろな形でこの委員会の議論ができると思いまして、今日のお話、一渡りお聞きしますと、かなり共通点が出てきたと思います。そう何も議論が全然できないということでもないと思いますから、事務局も今日の議事録を熟読玩味していただいて、これから先の議論の方向を整理されればうまく議論は進むのではないかと思います。

○森嶌委員長 私の方のまとめと、それから飯野先生のまとめと両方されたので、最後に私、飯野先生の方に回そうと思ったんですけれども、無権代理がありましたけれども、何かありましたらどうぞ。

○飯野委員 浅野先生、どうもありがとうございました。浅野先生に全部言っていただいたので私はこれ以上申し上げる必要はありませんけれども、私自身も税金はない方がいいと思っています。しかし、それ以外になければ税金も考えましょうというところで考え出したので、決して税ありきでもなかったし、税でなければできないというお話でもありません。いろいろなことを検討しましたし、あと、税法関係の立場からこれを法律としてまとめるには、やはりできることとできないことがございましたので、そういう制約の中で考えたということでございまして、言われたことはそれなりに我々は考えて、すべて検討いたしました。その検討の結果がよかったか悪かったかはまたここで検討していただければありがたいと思います。

○森嶌委員長 その後事務局にファクチュアルなことで何かと思ったですけれども、時間がありませんので、きょうのご議論の中で事実関係であれば、次回以降お願いをしたいと思います。
 それで、実は議題がもう一つ残っていまして、次回以降どういう検討を進めるかということについて資料の8が出ておりますので、事務局の方からご説明いただきたいと思います。

○佐野環境経済課長 それでは、資料8の1枚紙を用いまして、これから何回かの間の進め方についてお諮りをさせていただきたいと存じます。
 まず、当然ながらこの小委員会での検討というのは、地球環境部会本体の方でやられております大綱の評価・見直し作業と当然シンクロさせて行っていく必要があるわけでございます。ただいまの議論でもご指摘がありましたように、ではどういう施策を講ずることを前提としてこの税なりほかの方策なりを考えるのかということも当然問題になってくるわけですので、そういう点、それをシンクロしてまいる必要があるわけですが、それを考えますと、当面、例えば年度内というくらいの間では、まずこの小委員会では国民各界といいますか、そういったところの意見の集約というようなことをまず進めていってはどうかと考えております。
 その手段というか段取りといたしまして、2番にございますような主要なというか、いろいろな団体からのヒアリングをやってはいかがかと存じております。ただ、今委員長のご指摘もありましたように、本日も話題になりました幾つかのポイントについて、例えば経済影響というようなこともあろうかと思いますが、そういったものにつきまして十分ご説明ができていない部分もあったかと思いますので、ヒアリングを一方やりつつ、そういった幾つかの塊につきまして対象を絞って、少なくともこれまでの検討がなされてきたことをご説明申し上げてご議論いただくということもやった方がいいのではないかと今ご議論を伺っておって思っております。
 そういったものを踏まえまして、今度は年度が変わりまして5月頃くらいをめどにヒアリング、あるいはパブリックコメントをやっておりまして、先週末で締め切って、約400件という意見をいただいているんですが、こういったものも用いまして意見の集約というようなものをやってみてはいかがかと思っております。それで、5月ぐらい、これは先ほど申しました親部会での大綱の評価・見直しの議論との進行の調整があるわけでございますが、それとちょうどシンクロする格好で小委員会としての議論を進めてはどうかというふうに考えております。
 ということで、当面のヒアリングにつきまして、例えば経済団体、それから個別業種の団体、あるいは労働界、消費者、NGO、学術界というようなところから意見を伺ってはどうかと思っております。特に経済団体というところでは、産業部門のみならず、運輸部門であるとか、あるいはその他業務という部分に属するような業界の方々ということも考えたいと思っております。
 3番は非常に事務的なご連絡でございまして、次回は、皆さん方にご日程を伺わせていただきましたところ、一番ご都合のよろしい方の多い1月27日としてはどうかと思っております。
 以上でございます。

○森嶌委員長 今日もいろいろご意見が出ましたけれども、存外にヨーロッパ、アメリカもそうなんですけれども、結構まじめにいろいろなコストベネフィット計算なんかもやっております。その意味では、それらの調査などもコンプリヘンシブなものから必ずしもそうでないものも含めて、結構資料もあります。それから、今日いろいろご指摘のありました点もあります。例えば国際競争力は何かと、どうなるのかというご指摘に対して、国際競争力は何を考えているのかというようなこともありましたので、できれば、ご疑問をお持ちでしたら、こういう点はどうなるんだということについて、直ちにそういう資料は用意できないかもしれませんけれども、委員の方から事務局の方に出していただきたいと思います。また、逆に委員の方で自分の団体等で持っておられる資料がありましたら、こういう資料があるよということをご指摘いただきたいと思います。
 それをまとめまして、例えば税制などについても、私もこれをもらって、実を申しますとざっと読んでいるんですがなかなかわからないのもありまして、飯野先生にも申しわけないんですけれども、なかなかいい資料があるんですけれども、まだまだ私自身十分にそしゃくできていないところもあるんですが、もう少しこういうことについてはこういう資料があるというようなことを事務局にも整理してもらって、そうでありませんと、ヒアリングなんかをやりましても、出てきてこれはどうなっているんだ、あれはどうなっているんだという、ないものねだりといいましょうか、十分に資料を見ないであれはだめだこれはだめだというようなことが、今までの中環審の経験では、けちをつける話はよく出てくるんですけれども、こういうことについてこうだというポジティブなところから、こういうことがあるんだからこれはだめだというのではなくて、全然資料がなしにあれはだめた、これはだめだというような意見が多いものですから、ぜひこの委員会ではどういう方向にステアリングをするにしても、こういう資料があってこれならばこういう問題があるではないかということで議論していきたいと思いますので、年度内はと先ほど言っておりましたので、年度内にこういう資料がほしいとか、こういう資料を用意しろとか、こういう資料が自分の手元にあるんだけれども、これをもう少しきちっとした方がいいというようなことがございましたら、ぜひ事務局の方にお寄せいただきたいと思います。できればヒアリングのときもこういう資料がありますよということを示した上でヒアリングをやっていきたいというふうに思いますので、ぜひご協力いただきたいと思います。
 それで、今後の検討についてといっても、中身はヒアリングを行いますということで、コンクリートではありませんけれども、こういうことで年度内はいろいろなところからご意見を伺うと。その過程でいろいろな論点を整理しながら、単にヒアリングだけではなくて、その過程で論点を整理して、できれば単にヒアリングだけではなくてその都度多少論点についてこの委員会で議論ができれば、ある論点について20分でも30分でも皆さんにご意見を伺いながら、また事務局で整理をしていくというような運びにしてはどうかなと思っておりますけれども、よろしゅうございましょうか。何か運び方についてご議論ありましょうか。
 全体としては、ほかの委員会が、いろいろな委員会が動いております。そして、先ほど冒頭に申しましたように、2004年に温暖化の問題についてどういうふうな進捗状況にあるかということを踏まえて、そしてここの委員会としては経済的手法としての環境税というものをどう考えるかということですけれども、それは環境税を考えるというよりも、いろいろな対策の手法として環境税というものをどう位置づけるかということですので、その点では排出権取引なども全然別のものではなくて関連しているわけです。経済界に対する関係でも、先ほど平尾委員は全然別なようなことを言われましたけれども、実は経済界にとってみれば、環境税はないけれども排出権取引で結局それを買っておかなければならないとしたら、環境税は払わなくて済むけれどもそっちが物すごく高ければ国際競争力を失うわけですから、どっちが得かということも考えなければならない。その意味では、なるべく幅広くご議論しながら、経済界にも考えてほしいですし、それから一般の生活者も、考えるというよりも選択、なかなか難しいかもしれませんが、知っていただきたい、関心を持っていただきたいというふうに思っておりますので、ぜひ積極的に参加をしていただきたいと思いますし、少なくとも議論のある程度のところまでは──余り議論を最初から絞り込まずに、いろいろな角度から問題を考えていきたいと思っておりますので、よろしくご協力ください。
 ほかに何か今の時点でありましょうか。
 はい、どうぞ。

○久保田委員 ヒアリングをする場合でも、どういう切り口でやるかというはちょっと詰めて、少しこの委員会としてやるということになれば、そこの議論をしっかりした上でやらなければ、どういう角度であれするかという内部的な、例えば私ども労働組合だったらたくさんのあれもありますので、これを素案として何かやるというのかということを含めてちょっと……

○森嶌委員長 今日いただいたようなあれもして、余り言論を統制するのではなくて、こういうことはここで、第1回ですけれども、議論して、その前にも専門委員会等で出ていますので、こういう観点のこういう問題が出ていますと、これが素材になると思いますけれども、こういう問題についてご議論いただきたいということで、論点を投げかけてご議論をいただくということにさせていただければと思いますけれども、何か久保田委員の方で、労働組合ということだけではなくて何かご意見をいただければ、事務局の方で整理させたいと思います。

○久保田委員 職場の感覚でいえば、わかっているようでわかっていないという情報が、日本国内のそういう影響や効果というのがどうかというようなこともありますし、それから海外の取り組み状況等々も、要はこういう議論を専門的にしてきた前提条件となるものを、しかもわかりやすく、ここは難しいんですが、少し整理をして、やはり少し大衆的に議論をできるような、特に労働組合の場合はそういうことが大事かなと。一方でライフスタイルのさまざまな運動の取り組みをやっていますけれども、みんな自分に結びつけて、特に民生部門、家庭部門で何かしなければならないという気持ちはあるんですが、そこが一体どうなのかということについて、やはり議論を本当にしていくためには、やはり専門的な一部のと、あとはこれしかないんだという形よりは、いかにそういう投げかけなり、あるいはこういう税なり、経済的手法が進んで、こういういいことをするということで、誇りを持って何かそういうふうにしていかないと、とりやすいところから、あるいはどこかでぽんととられていて、それがまた何かの補助金的にどこかにいくというようなことでは、私は全くこれはうまくいかないのではないかと、あるいは趣旨ではないのではないかというだけに、非常に難しいんですが、やはりどれだけ大衆化するか、みんなに議論に参加してもらうかということは非常に大事だと思います。その入り口の提起の仕方がこれまた大事ではないかと。生半可な形でおりていくのではちょっと、労働界の意見はどうですかと言われても、答えようがないかなというのがちょっと私の今の立場の……

○森嶌委員長 余り世論操作みたいのもあれですけれども、何かあれですか、佐野さんのところで、佐野さんのところでなくてもいいんだけれども、少しこの問題に関してのウェブサイトとかインターネットみたいなもので、参考資料として今こういう問題が議論されているというので、この問題ということでなくてもいいけれども、何かありますか。

○佐野環境経済課長 まず、私どものところでは、専門委員会報告が出てから随分たつではないかということでもあるんですが、専門委員会報告の提言とその前提となる温暖化問題がどういうことで、どういう問題が起ころうとしているのか、今日はまず京都議定書の国際約束があってというくらいのところからお話をさせていただいたわけですが、その前ぐらいからご説明をする、なるべくわかりやすく説明するパンフレットのようなものを準備しております。
 それから、ウェブサイトは、温暖化にだけ着目したようなのってありましたっけ。

○清水温暖化対策課長 全国地球温暖化防止活動推進センターという、これは温暖化対策推進法に基づく指定されたセンターでありますけれども、ここを中心にしながら、ウェブサイトを充実していますので、またそういう例もご紹介しながら対応していきたいというふうに思います。

○森嶌委員長 ですから、NGOなどに情報を送って、こんなものを今ごろ送ってきてばかにしているのかと怒られるかもしれないけれども、少なくともインフォメーションソースとなるものは、こういうのがありますのでご参考にということで、場合によってはウェブサイトの番号だけでも、情報を出して下さい。例えばこの間の基本計画の点検だけでもいいですが、場合によっては久保田委員のご要望なども含めて、それから、場合によっては経団連資料もご参考にということでお送りをして、もしかしたら素人っぽいものはお読みになっていないかもしれないので、そういうものを含めてなるべく情報は出すということでやったらどうでしょうか。ここでどういう質問を出すかというようなことは余り議論を──して無意味だとは思いませんけれども、皆さんのお時間をとるのも問題ですので、ぜひそういうサービスをしてください。
 それでは、時間を5分超過いたしましたが、ありがとうございました。

午後 4時06分 閉会