■議事録一覧■

中央環境審議会 総合政策・地球環境合同部会
第12回地球温暖化対策税制専門委員会



<日時> 
 平成15年7月25日(金)14:00〜16:00

 
<議事>

午後 2時00分 開会

○飯野委員長 まだ少々委員がおくれておりますが、定刻となりましたので、ただいまから地球温暖化対策税制専門委員会第12回会合を開催したいと思います。
 初めに、前回以降、環境省の人事異動があったようですので、ご紹介をお願いいたします。

○佐野環境経済課長 前回以降、私どもで人事異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
 まず、総合環境政策局長、松本でございます。

○松本総合環境政策局長 松本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○佐野環境経済課長 それから、同じく総合環境政策局の調査官、御園生でございます。

○御園生調査官 調査官の御園生でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○佐野環境経済課長 地球環境局長、小島でございます。

○小島地球環境局長 地球環境局長の小島でございます。よろしくお願いいたします。

○佐野環境経済課長 同じく、地球環境局担当の審議官、竹本でございます。

○竹本審議官 竹本でございます。

○佐野環境経済課長 地球環境局の総務課長、石野でございます。

○石野地球局総務課長 石野でございます。よろしくお願いします。

○佐野環境経済課長 次に、私どもの松本局長よりごあいさつを申し上げます。

○松本総合環境政策局長務局 今、ごあいさつさせいただきましたけれども、7月1日付で総合環境政策局長を拝命いたしました松本でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 委員の先生方には、この専門委員会の設置以来ほぼ2年にわたりまして温暖化対策税制の検討に大変なご尽力をいただいておりまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。今後、私、温暖化対策税制の検討に全力で取り組んでいきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ご案内のとおり、政府といたしましては、昨年の3月に策定をいたしました温暖化対策推進大綱に基づきまして、京都議定書の6%削減約束の達成に向けましていろいろな取り組みを実施してきているわけでございますけれども、2000年の時点でのCO2排出量は1990年比で8%増加ということでございまして、合わせて今からですと14%分の削減が必要になってくるということで、なかなかこの目標を達成することは容易ではないというふうに認識をいたしております。
 それから、京都議定書の発効の見通しでございますけれども、先月のエビアンサミットで小泉首相がプーチン大統領に対して働きかけを行っておりますが、プーチン大統領は議定書に前向きに取り組んでいきたいと発言をいたしておられますし、また先月末には私どもの望月環境大臣政務官がロシア政府の、あるいは議会の要人に対しましていろいろと現地でお会いをしていただきまして、働きかけをしてきたわけでございますが、ロシア政府部内での京都議定書の批准に向けた手続きが着々と進められているというふうに承知をいたしております。ロシアのことですから、まだまだ断定的なことは申せないわけでございますけれども、早ければ年内にも批准をする可能性があるというふうに私ども考えております。ロシアが批准をいたしますと、その90日後に京都議定書が正式に発効するということになるわけでございます。
 このような状況の中で、私ども環境省といたしましては、温暖化対策推進大綱のステップバイステップ、こういうアプローチに基づきまして、第1ステップの取り組みに全力を注いでいくということと同時に、第2ステップ、これは2005年からということになりますが、第2ステップにおいて追加的な対策あるいは施策が必要とされた場合に備えまして、新たな施策手法の検討も合わせて進めているところでございます。温暖化対策税につきましては、本専門委員会のご提言を踏まえまして、必要とされた場合には第2ステップ以降、早期に導入をするという方針に沿いまして、その場合に備えた検討を本委員会において進めていただいているということでございます。現在は、今年の2月の鈴木環境大臣の発言を踏まえまして、国民的議論のたたき台となるべき温暖化対策税の具体案を盛り込んだ報告のとりまとめに向けて精力的に検討を進めてきていただいているわけでございますが、このたび3月以来進めてきていただいておりますワーキンググループでの作業を終えて、これを素材としてこの専門委員会でのご審議をお願いするということになったわけでございます。
 私どもの希望といたしましては、8月末ごろを目途に専門委員会としての報告を賜りますことを期待していると、こういうことでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 専門委員会からのご報告をいただいた後は、私ども環境省として国民の皆様や、関係方面の理解が得られるように最大限の努力を重ねていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

○飯野委員長 どうもありがとうございました。
 さて、ただいまの松本局長のごあいさつにもありましたとおり、本専門委員会では鈴木環境大臣の発言を受けまして、この夏をめどに国民的議論のたたき台となる温暖化対策税の具体案をとりまとめることとしております。本日は、2月25日以来の会合ですけれども、この間ワーキンググループにおいてこの専門委員会で議論するための素材を作成いたしました。本日は、ワーキンググループで作成いたしました報告を受けまして、これについてご議論いただきたいと考えております。
 本日の会合は16時までの予定でございますので、よろしくご協力のほどお願い申し上げます。
 それでは、事務局の方から資料の確認をお願いいたします。

○事務局(西村) それでは、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料、上から順にごらんくださればと思います。まず、表紙をおめくりいただきますと、議事次第と資料一覧でございます。次に、横長のものでございますが、資料1−1といたしまして温暖化対策税の具体案検討に向けて(報告)でございます。次に、資料1−2といたしまして、今の資料の参考資料でございます。次に、資料2といたしまして、地球温暖化対策税の税率とその経済影響の試算でございます。
 以降、参考資料でございますが、参考資料の1は名簿でございます。参考資料2といたしまして、ロシアの京都議定書締結に向けた動きでございます。次に、資料番号はふっておりませんが、参考資料の3といたしまして、政府税制調査会が6月に出された中期答申でございます。最後に、これも資料番号入っておりませんが、参考資料4といたしまして、「環境と経済の好循環を目指して」、環境と経済活動に関する懇談会の報告書でございます。
 以上でございます。

○飯野委員長 はい、ありがとうございます。
 本題に入ります前に、京都議定書の発効を左右するロシアの批准に向けた動向につきまして、政府税調の方でも話題になったということでありますので、事務局からご説明をお願いいたします。

○事務局(瀧口) 温暖化対策課の瀧口でございます。それでは、座ってご説明させていただきます。
 参考資料2をごらんください。ロシアの京都議定書締結に向けた動きという資料でございますが、先月、6月の1日、2日とフランスのエビアンでG8サミットがございまして、その場で小泉総理等から京都議定書の批准に関しましてロシアに働きかけがありまして、プーチン大統領は、この議定書には前向きに取り組んでいるという発言をしております。それ以降、事態は動いている感がありまして、6月5日、モスクワで開かれました環境問題に関する国家評議会幹部会、この国家評議会と申しますのは大統領の諮問機関で、地方の指導者で構成されるわけですが、その場で大統領が6月末までに議定書の問題に答えるように指示したというふうに言われております。
 また、その後の6月17日、日本の森前総理からプーチン大統領に対しまして、京都議定書批准の働きかけを行ったところ、大統領は、9月にロシアの立場を決定するというふうに時期を明示して発言をしております。その9月といいますのが、モスクワで世界気候変動会議という、プーチン大統領の提唱でモスクワで開催されることになりました国際会議が予定されておりまして、それまでに立場をきっちりするということだというふうに理解されております。
 また、6月23、24日には望月環境政務官がロシアを訪問いたしまして関係者と会談をいたしましたところ、政府内の準備作業は既に終了している、現在批准に反対している省庁はないという情報が得られました。この時点でフリステンコ副首相の判断が二、三週間のうちに下される見込みという情報を得ております。その後、6月の末にプーチン大統領はイギリスのブレア首相と会談しておりまして、その際、ガスパイプラインの建設とともに議定書についても議論されたというふうに報道されております。
 また、その同じ日に、ロシアの国会の下院になりますが、国家院の環境委員会でラウンドテーブル会合というのが開催されまして、このラウンドテーブル会合の結果としまして、大統領及びロシア政府に議定書締結を呼びかけるということになっております。また、29日には川口外務大臣がフリステンコ副首相と会談をいたしまして、このとき副首相は、その「議定書批准の経済的評価は、社会経済中期プログラムとエネルギー戦略を踏まえて行う」というふうに発言をしております。今月に入りまして15日にフリステンコ副首相が報道機関のインタビューに対しまして、「GDPを倍増させたとしてもロシアの議定書の義務を履行できる。議定書は我々を質的な発展へと後押しする」というふうに発言をしております。これは、5月にプーチン大統領が、2010年にロシアのGDPを倍増させるということを声明しておりまして、それを受けた発言だと思われますが、GDPを倍増させたとしてもエネルギーの効率向上等により、議定書の義務を履行できるという意味だと理解されております。
 また、関係省庁の作業もずっとこれまで続いておったわけですが、もう6月末時点でほぼ終了しておりまして、今現在フリステンコ副首相のところに託されているということです。今後、閣議でこの議定書批准について決定をした後、国会の下院、ロシアの立法機関に当たりますが、ここでの議論を経て、上院である連邦院、最後は大統領の署名という流れになっております。
 国家院の秋の会期が9月1日から12月25日なんですが、選挙が12月14日にあるものですから、選挙の前、年内に批准をするためには、9月末までに政府により議定書批准の案件が提出されることが必要という情報が入ってきております。
 以上、簡単でございましたが、ロシアの状況でございます。引き続き、注意深く見守っていきたいと考えております。
 また、続きまして、この議定書の発効要件ですとか、ロシアの組織や体制、それから望月政務官のロシア出張結果等について資料をつけていますので、ごらんいただければと思います。
 以上です。

○飯野委員長 ありがとうございました。
 本日は議題が詰まっておりますので、ただいまの説明に対して何かご質問があれば、後ほどお伺いすることといたしまして、早速本題に入りたいと思います。
 まず初めに、ワーキンググループからの報告について、私から報告の趣旨、とりまとめの方針などについて簡単にご説明申し上げたいと思います。
 最初からやや言いわけめいたお話でございますけれども、税制がいい税制か悪い税制かを判断する基準として租税原則というものがございますが、この専門委員会でいただいた租税原則はいろいろございまして、それらを全部同時に達成しようということは非常に難しゅうございました。出来上がった我々の案をごらんいただいても、それぞれの原則から見ますとややもの足りないところ、非常に不十分なところがあるかと思いますけれども、できるだけ多くの原則が同時に成り立つような税制を考えてみました。それをきょう皆様にご紹介したいと思いますので、忌憚のないご意見をいただけたらと思います。
 まず、私たちが第一に気をつけたことは、よく産業界の方から批判がございます、最初に税ありきというそういう印象を持たれることはできるだけ避けたいという立場でございました。したがって、一番最初に考えましたものは、とにかく地球温暖化を阻止するために我々は何をやらなきゃいけないか、そのためにどういう手段があるか、そしてそういう手段の1つとして税制というものを考えました。したがって、我々は税を最初に考えたというよりは、むしろ、いろいろな政策を考えた上で、やはり税は必要ではないかという結論に達し、そういう中での税というものはどういうものであるべきかという検討をいたしました。
 しかしながら、来年見直しをする、どれぐらい自主的努力によって温暖化対策が満たされたかということを来年見直すことになっておりますので、具体的にはどれぐらいの税率でなければいけないかとかいう具体的なものは来年に持ち越すことにいたしまして、やはり一般論としてこういう税制だったらいいだろうというものを考えたわけであります。
 もう1つ我々が気をつけたのは、環境省に出入りされる方は多分そういう方が結構いらっしゃると思いますけれども、環境のためにはすべてを犠牲にしていいんだという立場はとらなかったということであります。我々は環境のためには経済を無視していいという立場をとらなかったというよりは、むしろ環境と経済は両立しなければいけないという立場から検討いたしました。それを難しい言葉で「環境と経済の統合」という言葉を使っておりますが、少なくともその趣旨は環境のために経済を無視していいという立場もとらなかったし、経済のためには環境を無視していいという立場もとらなかったということであります。
 そして、検討はできる限り現状とエビデンスに基づいて行ったつもりであります。その結果、資料が非常に厚くなりました。皆さんのところにいっておりますこの資料1−2というものの厚さをごらんいただければおわかりのように、我々はできるだけエビデンスに基づいて検討したということでございます。
 それから、もう1つ注意したことは何かというと、環境省は金が欲しいから税制を考えてる、税を考えてるんだと言われることのないようにしたいということであります。もちろん、財政支出として環境のためにたくさん使うということは結構なことでありますけれども、それと今回の税制とを結びつけることはないということであります。お金のためだけであれば、消費税を増税してもいいわけでありますけれども、消費税の増税というものと、今、我々が考えている環境税というものと、一体どう違って、環境政策のために、あるいは日本のためにどちらがいいのかということを考えながら検討したということであります。ただ、それが完全に、完全主義をとれなかったものですから、やや妥協の産物と見えるところもあるかもしれませんけれども、一応我々はそのような心、気持ちで検討に当たりました。
 もう少し具体的に申し上げますと、地球温暖化対策ということを考えてみますと、短期的には当面の課題として、京都議定書の6%削減約束を達成するという目標がございますが、長期的には気候変動枠組み条約の究極目的を達成するという目標、あるいは地球温暖化を阻止するという長期的な目標がございますので、短期の問題だけにとらわれずに、長期的にこれから我々が持続的に実行可能な政策を考えたということであります。
 このように、長期にわたって厳しい課題を克服していくためには、経済というものを無視するわけにはいきません。したがって、経済との統合ということも考えたということであります。
 中でも環境と経済を統合していくという考え方は非常に重要でありますので、3ページでございますけれども、社会全体として温暖化対策のコストをできるだけ小さくするということのみらず、今後世界全体として温暖化対策が進展することをビジネスチャンスととらえて、我が国企業が環境関連技術、ビジネスの分野の世界市場で大きな位置を占めていくことができるような仕組みとしていくことが今後の我が国の経済発展にとっても極めて重要であるという位置付けをしたわけであります。
 その結果、4ページの中ほどの段にありますけれども、なぜ温暖化対策税は検討に値するのか、どのような機能を我々は期待してるのかということを整理いたしました。そして、なるべく1つの一貫した論理のもとに制度の全体像を描くように努力いたしましたけれども、それは皆さんから見まして、多分、不完全であり、不満なところがございますかもしれませんけれども、それはいろいろな原則を同時にできるだけ多く達成しようということを考えたがゆえの結果でございます。
 しかしながら、考え得る制度の案は我々はそこに提示したものを考えましたけれども、論点によっては考え得る複数の案もお示しいたしましたけれども、皆さんがここがこうすべきだとおっしゃるご意見があれば、きょう忌憚のないご意見を伺いたいと思っております。
 そういうきょう我々の案を検討していただきまして、そういう税制が必要だという結論に達したといたしましても、先ほど申し上げましたように、来年の見直しを待たなければ具体的に決まらないところが多々ございます。例えば、具体的な税率をどうするのか、あるいは税負担の軽減を行うとした場合、どのような対象をどのような方法で行うのかといったような問題。あるいは税収を温暖化対策のために活用することとした場合の具体的な使途の内容や充当する仕組み。あるいは、これが多分一番難しい問題だと思いますけれども、既存エネルギー諸税との具体的な関係の整理といった問題等は、来年また検討しなければいけないことだと思いますけれども、今回はそういうことが検討できる条件が整っていないといいましょうか、枠組みがまだはっきりわかりませんので、今回は触れておりませんので、どうぞその点はご了承ください。
 大体私から申し上げる点はそれぐらいです。私の雑感といたしまして、今日に至るまでワーキンググループとして本当によく勉強をしたという気持ちでございます。特に私は専門が財政論でございますので、今まで当然のこととしてお話ししてきたことが全く違った分野の方から、そんなお話では現実には何も通らないということを言われまして、今まで私自身も机上の空論をやっていたんだなということをつくづく感じさせられました。
 例えばのお話でございますけれども、我々はこの税をどこにかけるかということは、結局市場によってその転嫁の結果が決まるんだから、どこにかけようと我々は対して問題ではないというふうに思っていたわけでありますけれども、実際にそういう税をつくるときには課税対象がないといけない、転嫁はどう起こるかわからないけれども、そういう課税対象をちゃんと税法に書かなきゃいけないということを言われまして、ああ、そうか、我々の目は転嫁された後、だれにその負担がいくのかということにのみ目を奪われていたわけでありますけれども、実際に税を仕組むというときにはそういったことまで考えなきゃいけないんだなという意味で、私が一番多分勉強になったと思いますが。私どもが今まで勉強してきたことを皆様にご披露申し上げて、皆様の忌憚のないご意見をきょう伺いたいと思っている次第でございます。
 それでは、報告書のもう少し具体的な中身につきまして、事務局から説明をお願いいたしたいと思います。

○事務局(西村) それでは、資料1−1に沿いましてご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、この資料1−1、ワーキンググループの報告の全体の構成について申し上げたいと思います。1ページをごらんいただければと思います。1ページの中ほどにボックスがございます。ここに目次とほぼ同じ内容構成について書いてございます。
 まず、第1章及び第2章におきましては、税がなぜ検討に値するのか、他の政策手法と比べてどのような特徴があって、どのような効果を期待し得るのかといったようなことを整理しております。
 それから、第3章におきまして、具体的にどのような仕組みの税になるのか、課税物件、課税標準、納税義務者はどのようになるのか。また、税以外の施策と組み合わせて実施するということもありますので、その場合の税負担の軽減について検討する必要があるのではないか。軽減する場合の方法や対象についてはどのように考えるのかといったようなことを整理しております。
 それから、第4章におきましては、税収をどのように使うのか。温暖化対策のために活用するのか否か。その場合には、その対策の内容についてどのような考え方で検討し、具体的にはどのようなイメージの対策が考えられるのか。
 そして、第5章では、我が国には既存のエネルギー関係諸税が存在するわけでございますが、これらとの関係についての考え方はどうあるべきか。
 それから、最後に第6章におきまして、温暖化対策のための税にはどのような効果があるのか、そういった効果を試算することはできないのかということで試算をいただいております。
 それで、この報告で取り扱っておられない内容につきましては、先ほど飯野先生の方からご紹介がありましたが、1ページの下の囲みに書いてございます。
 以降、2ページ、3ページ、4ページのあたりの「はじめに」につきましては、飯野先生のお話の中で触れていただいておりましたので、説明は割愛をさせていただきたいと思います。
 それでは、5ページ、6ページの第1章をごらんいただければと思います。
 第1章は、「温暖化対策・施策全体における税の位置付け」ということで、なぜ税が検討に値するのかということでございます。
 まず、「これまで活用されてきた主な施策手法とその限界」ということでございますが、温暖化対策においては規制的手法、自主的取組、それから経済的手法の中の補助金といった助成措置、こういったものが既に導入をされているわけでございますが、これらについてはおのおの一定の限界があるのではないかということで、例えば極めて多数で多様な発生源を対象として規制を行うためには多大な行政コストがかかるということ。また、そうだからといって、一部の大規模なところにだけ削減を義務付けるということは公平ではないということ。また、一律規制によっては個々の規制対象の削減コストの差異も無視されるので、社会全体としての削減コストは最小化されないということ。それから、規制値を越えた削減、それから技術開発へのインセンティブは働かないということ。
 また、自主的取組においては、決められた約束が達成されるという保証はないということ。また、フリーライダーが存在するということ。
 また、助成措置についは、これも限られた対象のみを促進する手法でございますし、また追加的な財源にはどうしても限りがあるということ。
 ということで、これらの手法は非常に重要でありますし、今後もこうした取組というものは重要であるわけでございますけれども、これらの施策手法を単に強めるということを検討するだけではなくて、新たな発想に基づく施策の活用も検討すべきではないかということで、下の6ページの方で税・課徴金をはじめとする経済的手法の特徴について整理をされております。
 まず、税・課徴金の1つ目の機能といたしましては、課税による価格インセンティブ効果の発揮ということで、すべての主体を対象にして対策へのかかわりを求め得る。特に一般家庭ですとか、あるいは自動車の利用にまで実効性の高い影響を及ぼし得る施策はほかにはないのではないかというふうにされております。また、社会全体として最小のコストで削減が行われるということ。また、長期的、継続的に排出削減やそのための技術開発のインセンティブが働き続けること、このようなことが整理をされております。
 それから、2つ目の機能といたしまして、税・課徴金においては新たな収入が期待できるということであります。これをどのように使うかということについてはいろいろ議論があったわけでございますけれども、これを温暖化対策に活用するとすれば、さらにそこでも効果が期待できるということでございまして、このような税・課徴金の持つ機能が環境と経済の統合に資することが可能な仕組みとなり得るのではないかというふうにされております。
 また、6ページの下の※のところに書いておりますが、よくアナウンスメント効果ということで言われるものでありますけれども、税制に対しては社会的な関心が非常に高いということで、急速な対策の進展の原動力にもなり得るのではないかというように整理をされております。
 次に、おめくりいただきまして、8ページをごらんいただければと思います。7ページにおきましては、税・課徴金等が効果を発揮した事例ということで、自動車税のグリーン化、環境にいい自動車については税を軽くして、そうでないものについては税を重くするという手法が非常に効果を発揮したという事例でございますとか、あるいは既に温暖化対策税を導入しているEU各国において、政府がその事後評価を行った事例を見ると、いずれも一定の効果があったというような結果が出ている点について紹介をされております。
 引き続きまして、第2章、8ページでございます。先ほどのような税・課徴金に期待される2つの機能を果たすという税はどのようなものであるのか、どのような考え方で税負担を課して、何を対象として税を課していくのかということでございます。まず、左の方のボックスでございますけれども、課税による価格インセンティブ効果を発揮するという観点からは、環境負荷に課税をするということになりますので、温暖化の場合、温室効果ガスまたは化石燃料に対して、その排出者や消費者等に対して、その排出量、消費量等に応じて課すことが適当ということでございます。
 一方で、税収を何らかの方法で温暖化対策のために活用するという観点からは、温暖化の原因、すなわち温暖化対策の必要性を生じさせた原因であるやはり温室効果ガスまたは化石燃料に対して、その排出者や消費者等に対して排出量、消費量等に応じて負担を求めていくことが適当ということで、いずれにしましても、温室効果ガスまたは化石燃料を対象として課税をしていくべきであるというふうに整理されております。
 そして、次の9ページ、10ページをごらんいただければと思います。実際に税が担うべき役割につきましては、9ページの3つ目の○にございますが、最終的には2004年の大綱の評価・見直しの結果を踏まえて決まるものでありますが、先ほどの他の手法に対して税の有している特長を踏まえますと、税には一般家庭や自動車利用までも含め、温室効果ガスを排出する幅広い主体に対して公平に対策への関わりを求める役割、そして、社会全体としてできるだけ小さなコストで長期的・継続的に排出削減や技術開発への一定のインセンティブ効果を働かせていく役割、こういうものが考えられるというふうに整理されております。
 さらに、特定の期間に厳しい約束を達成しなければいけないという状況におきましては、その達成に向けてさまざまな施策手法の検討を行うことが必要でありまして、そこにおける税の役割というものは他の施策手法の導入と併せてさらに検討する必要があるというふうにされております。
 次に、10ページの各種施策間の役割分担についての基本的な考え方でございます。10ページの上の方の段の2つ目の○をごらんいただければと思いますが。必要な削減を達成するために税を導入するのか、あるいは他の追加的施策を導入するのかという点については、それぞれの施策の効果・効率の見地、またはいずれの施策が環境と経済の統合に資するものなのかという観点からよりよい選択を行うべきであるというふうにされております。仮に温暖化対策税を導入いたしまして、この課税によるインセンティブ効果だけで必要な削減のすべてを達成しようとすれば、その場合の税率が最も高いものとなるというふうにされております。
 これに対しまして、他の施策手法も併せて導入することによって、相対的に低い税率で必要な削減を達成することも可能となっていくというふうにされております。
 このような他の施策手法の一つとしては、経済的助成措置というものも考えられるわけでございますが、それについては先ほどございましたように、通常財源が限られている等の限界があるわけでございますが、温暖化対策税の税収をこの措置に活用することも考えられるというふうにされております。
 このページの下の段でございますけれども、ワーキンググループでのスタンスということで、ここでは「相対的に低い税率で、税収は何らかの方法で温暖化対策のために活用する」という場合を仮定をいたしまして、その場合の税収の使途の考え方なども含めて検討が行われております。これにつきましては、そこまで検討しておけば、将来いずれどのよてを制度設計となっても対応が可能と考えられるためということでございます。
 一方で、2004年の評価・見直しを踏まえて、また経済全体を見渡した税財政全体の議論の中で、高い税率として、税収は温暖化対策のためには活用しないというような結論が導かれた場合におきましても、その価格インセンティブ効果で必要な削減を達成できるということであれば、これも温暖化対策として有効な施策として考えられるというふうにされております。この場合には高い税率によって経済への影響が懸念されるということもありますので、別途これを緩和するための方策も講じることが適当であるというふうにされております。例えば、ドイツにおいてはこのような仕組みが考えられているということでご紹介をされております。
 最後、3つ目の○では、『最も高い税率』の場合、『最も低い税率』の場合の中間というものも考えられるだろうというふうに書かれております。
 次に、11ページ、12ページの見開きをごらんいただければ思います。こちらでは検討のプロセスで議論されたことが補論として3つ並べられております。
 まず、補論1でございますが、先ほど税収を何らかの方法で温暖化対策のために活用するという観点からはその負担は温暖化の原因に対して求めるというような考え方がとられておりましたが、議論の過程では受益者負担の考え方を取り得るかどうかというような検討もなされました。まず、ボックスの1つ目のポツの方でございますけれども、温暖化対策によって受益するのはすべての人々であるので、すべての人々が同じ額を負担すべきであると、こういう考え方についてはどうかということでございますけれども。温暖化問題への責任の大きさというものを踏まえる必要があるということを考えますと、すべての人々が同じ額というのはなじまないのではないか。また、既に期待されているもう一方の議論である価格インセンティブ効果というものが働いていかないということから考えても、これはなじまないのではないかというふうにされております。
 他方で、いわば温室効果ガスを大気中に排出するという行為は環境を利用しているのであって、税はその利用料を払っているということであれば受益者負担の考え方となって、やはり温室効果ガスまたは化石燃料に負担を求める、このような考え方もあるのではないかというように書かれてございます。ただし、環境を利用する、『環境公物』というような概念は確立しているものではないというふうにされております。
 次に、補論2につきまては、大綱の評価・見直し、2007年に行われることになっておりますものでございますが、この結果を踏まえて、追加的に取組を強化するとこにだけ課税をするという考え方についてはどう考えるのかという議論がございました。これにつきましては、温暖化問題の性質が長期にわたって、国民各界各層が一体となって取組を継続していくべきだという性質。それから、2007年という一時点の取組の進捗状況だけで制度をつくって、その評価・見直しのために税の根幹から大きく制度を変動させるというようなものは税にはなじまないのではないかというふうにされております。
 ただし、大綱の評価・見直しを踏まえた柔軟な配慮というものにつきましては、幅広く課税をしていくということを基本としている本論におきましも、後ほど出てまいります税負担軽減の考え方というところにおいて対応を検討しているところでございます。
 最後の補論3の税と課徴金のいずれなのかという点についてでございます。これにつきましては、価格インセンティブ効果を発揮させるということ、それから温暖化対策の財源調達、考えられる2つの機能をそれぞれ果たし得るのかという観点から検討をいたしたわけでございますけれども、結論が一番最後の○に書いておりますけれども、租税とした場合でも、課徴金または負担金とした場合としても、2つの機能を期待するような機能は仕組み得るというふうにしております。ただし、租税の既存の徴収体制を用いない場合には、新たな徴収体制の整備・運用に行政コストがまたかかっていくということで、ここでは租税として検討することが望ましいというふうにされました。
 以降、温暖化対策税として検討を進めております。
 それでは、13ページ、14ページの見開きをごらんいただければと思います。第3章「課税要件」とございまして、具体的な税の仕組み、何を対象にどなたから税をいただいていくのかという点でございます。先ほど温暖化対策税は温室効果ガスまたは化石燃料を対象とする税というふうにされておりましたけれども、温室効果ガスの排出そのものをとらえて、その排出量に応じて排出者からいただくというのがこの排出量課税でございます。
 一方で、温室効果ガスの大部分はCO2でございますが、これについてはほとんどが化石燃料を燃やすことによって排出をされているということで、化石燃料に課税することも考えられるということで、化石燃料課税というものを表の右の方に並べております。化石燃料課税につきましては、化石燃料の流通の諸段階を分けておりまして、一番我が国に入ってくる最上流、すなわち輸入されてきたところで保税地域から引き取られる量に課税をするというもの。それから、上流、製造場から移出をされるところで課税をするというもの。それから、下流、販売段階で課税をするというもの、このような、最上流、上流、下流の3つの課税のタイプというものを挙げております。以上の4つの案が考えられるということで、これをどのように絞り込むかということについては、次のページで議論をされておるわけでございますが、その前に、14ページの補論について若干紹介させていただきたいと思います。
 13ページのところでは下流課税でございますとか、あるいは上流課税におきましても、発電用燃料について課税をするというふうにしております。
 一方で、電力そのものに課税をしてはどうかというような考え方も存在したわけでございますけれども、温暖化防止の観点からは、水力ですとか、あるいは原子力による発電電力に対して課税をするということは適切ではないというふうに考えられております。したがって、電気そのものにかけるという場合には、CO2を排出しない電源分を除いて、「化石燃料起源の電力の消費」だけに対して課税できるのかと、このような大幅な割り切りを行って制度の構築を図る必要あるのではないかというふうに整理をされております。
 それでは、15ページ、16ページをごらんいただければと思います。先ほどの4つの課税タイプからの絞り込みでございます。絞り込みを行う評価の基準としましては、[1]といたしまして、課税事務を効率的に執行することが可能なのかということと、[2]といたしまして、ポリシーミックスの観点、それから課税による価格インセンティブ効果をしっかりと発揮できるのかという観点、2つの観点を挙げております。
 まず、[1]の課税事務の方でありますけれども、最上流課税と上流課税のグループにつきましては、納税義務者は比較的少数であり、また既存の制度を活用することも可能だということで、問題なく執行できるだろうというふうに整理をされております。また、下流課税又は排出量課税につきましては、逆に執行面で困難ではないかというふうにされております。
 [2]の方につきましては、16ページの下に注がございますが、ポリシーミックスの観点ということの意味でございますが、温暖化対策におきましてはほかの施策と組み合わせて税を導入するというようなポリシーミックスの考え方があるわけでございますが、実際に税と他の施策とのポリシーミックスを行う場合には、他の施策手法の対象となる人やものについては税負担の軽減を検討することが必要ということで、このような税負担の軽減をエネルギーの消費者、実際に消費をしてCO2を排出する人に対してそういう軽減ができるのかという観点からの検討が必要という意味でございます。
 これつきまして、最上流課税、上流課税、それから下流課税、排出量課税のグループを見た場合に、下流課税、排出量課税というのはエネルギーの消費者ですとか、あるいはCO2の排出者といったところで課税をしているわけでございますので、今のようなポリシーミックスも可能だろうというふうにしております。逆に、最上流課税又は上流課税につきましては、燃料の流通の上流の方で課税をしておりますので、エネルギーを実際に消費している人たちに対して減免・還付措置を講じていくことは困難であろうというふうにされております。この場合に、ポリシーミックスを行う際には他の税目の減免でありますとか、あるいは歳出面での補助金等により負担軽減を図ることが適当であろうというふうにされております。
 一方、特定用途についての減免・還付につきましては、4つの課税タイプいずれでも制度設計が可能だろうというふうにされております。
 また、価格インセンティブ効果の発揮につきましては、どの段階で課税をいたしましても転嫁というのは前方にも後方にもいたしますので一概には言えないわけでございますけれども、これまでの化石燃料につきましても輸入価格の変動、それから卸価格の変動、小売り価格の変動等を見ておりますと、最上流、上流の方で課税をしたとしましても、下流、排出量課税に近い水準の転嫁が起こっていくのではないかというふうに整理をされております。
 以上を踏まえまして、現時点における評価ということで、税として導入するためには、課税事務を執行することが必要であり、下流課税及び排出量課税を採用することは難しいのではないか。したがって、最上流課税又は上流課税が有力な候補となるのではないかというふうにされております。
 なお、最上流課税又は上流課税と、2つ目の先ほどのポリシーミックスの観点、という評価基準をよりよく満たすことができる下流課税とを組み合わせて双方の長所を生かすことはできないか、ハイブリッド型のようなものはできないかというような問題提起がございまして、これについての検討も次のページで行っておりますが。結論を先に申し上げますと、現時点では相当の割り切りを行った上で制度化を行うことが必要となることに留意する必要があるというふうにされております。
 次に、今のハイブリッド課税について、17ページ、18ページをごらんいただければと思います。ポリシーミックスを実際に行う、他の施策手法の対象とするということが考えられるのは、現実問題としては大口の燃料消費者でございます。大口の燃料消費者につきましては、下流においてそれぞれの燃料消費量が把握されておりますので、下流課税でも可能であろうということでございます。
 しかしながら、現在の温室効果ガスがご家庭ですとか、あるいは自動車からもたくさん排出されておりますので、家庭や車を除いて大口燃料消費者に対してだけ下流でかけるということはできませんので、家庭やあるいは自動車利用で使われるような燃料については上流でかける。そういう意味で、大口には下流でかけて、小口には上流でかけるというようなハイブリッドができないかというのがハイブリッド型課税の意味でございます。
 これにつきましては、表にございますように、大口のところで使っている燃料、それから小口のところで使っている主な燃料というものに、大ざっぱに○、×を入れておりますけれども、かなりの燃料につきまして大口でも使われ、また小口のところでも使われているということで、二重にかからないようにする、また漏れる人が出ないようにすると、こういう観点から考えますと、現時点ではなかなかきれいな制度をつくることは難しいということで先ほどのような大幅な割り切りを行う必要があるというような結論になってございます。
 それでは、次に19ページ、20ページの税負担の軽減についての考え方をごらんいただければと思います。温暖化対策税はその温室効果ガスの排出又はそれにつながる化石燃料に対して課税をするという性格を持っているということ。また、ほかの施策手法と併せて導入されるということも考えますと、税負担を軽減することついても初めからある程度検討を行っていく必要があるというふうにされております。
 具体的に税負担を軽減する方法といたしましては、温暖化対策税そのものを減免または還付をするというやり方、それから、他の税目の減免を行うというやり方、それから歳出面での還流を行うというやり方、これら3つが主に挙げられているわけでございます。具体的にどのようなものに対しては負担軽減行うことができるのかということで、考え方は[1]から[5]まで挙げられております。
 まず、[1]、[2]につきましては、税の趣旨に照らして負担を軽減していくものということで、温室効果ガスをそもそも排出しないというような化石燃料の使われ方に対しては課税をする必要はないのではないかというふうにされております。また、[2]につきましては、どの税でも同じなのかもしれませんけれども、課税による影響が極めて大きいところに対しては負担の軽減を考える必要があるのではないかというふうにされております。
 一方で、右側の[3]から[5]につきましては、温暖化対策をうまく進める観点から負担を軽減すべきものということで、[3]につきましては、温暖化対策の観点から推進すべきものということで、例えばヨーロッパの温暖化対策税などにおきましても公共交通機関が使用する化石燃料のようなものが減免をされたりしているというようなことをイメージして[3]が挙げられております。
 また、[4]につきましては、再三出てきておりますけれども、温暖化対策税と他の施策手法をポリシーミックスすることによって、そちらの施策手法のもとで成果を上げた、または今後成果を上げることが期待できるもの、そのようなものについても考えられる。
 最後に、[5]といたしましては、これも冒頭の方で出てまいりましたが、大綱の評価・見直しの結果に照らして「成果を上げている」といえるものについては一定の期間負担軽減を行うことは考えられるのではないかというふうにされております。
 [2]のボックスの中に※で書いておりますけれども、影響が大きいという観点から負担の軽減を行う場合につきましても、負担軽減を行った結果、CO2排出削減効果がただ単に失われるだけとならないように、何らかの形で[4]や[5]のような条件を満たすこととなるように検討すべきであるというふうにされております。
 それでは、21ページ、22ページをごらんいただければと思います。これまで、第3章におきましては、我が国の温室効果ガスの排出量の9割を占める化石燃料又は化石燃料起源のCO2を対象として議論をしてきたわけでございますが、ここでは化石燃料起源以外のCO2、それからCO2以外の5つの京都議定書での温室効果ガスへの課税について一通りの検討を行ったというものでございます。
 OECDのメルクマールに沿いまして、税に向いているのかどうかという観点から整理いたしておりまして、1つ目のメルクマールは排出量をそもそも把握ができるのかということでございます。2つ目は課税対象の数がどれぐらいあるのか。3つ目のメルクマールが、現在及び将来の排出量から見て重要性が高いのかどうか。4つ目につきましては、他の施策手法との観点でどうなのかということでございます。
 現時点の結論といたしましては、いずれのガスにつきましてもすぐさま税が適切であるというような結論は出されておりませんで、22ページの下のボックスにございますとおり、2004年の大綱の評価・見直しを踏まえて引き続き検討を行う必要があるというふうに整理をされております。これらのガスについて課税をする場合には改めて化石燃料課税とは別の制度設計を行う必要があろうというふうにされております。
 それでは、23ページ、24ページをごらんいただければと思います。税収の使途についての考え方でございます。まず、(1)でございますが、世の中の納得が得られる透明な使い方についてということで、租税の基本的な考え方に照らしますと、目的税・特定財源じゃなく、一般財源とすることが基本的には望ましいとされております。ここでは、こうしたことを念頭に置いているわけではございますが、冒頭にありましたように、税財政に係る何らかの方法でその税収を温暖化対策のために活用するというふうに仮定をして議論をしております。
 その場合、具体的にどのような方法・仕組みで温暖化対策に活用するかという点につきましては、例えば目的税や特定財源として特別会計に繰り入れるといった従来型のやり方も考えられる一方で、一般財源として一般会計に繰り入れつつ温暖化対策のために活用するということでもCO2対策として同様の効果を発揮し得ると考えられるというふうにされておりまして、こうしたさまざまな方法について、既存税との関係も踏まえつつ、別途検討を行う必要があるというふうにされております。
 なお、いずれにいたしましても、世の中の納得が得られる透明な使い方をすることが望ましいということで、国民各界各層から幅広く提案を募集すべきである。あるいは、関係府省は説明責任をしっかりと果たすといったようなことについて挙げられております。
 24ページは参考資料でございますので割愛させていただきます。
 25ページをごらんいただければと思います。ここでは、税収を温暖化対策のために活用することとした場合に考えられる使途を考える際のメルクマールについていろいろな形で整理をさせていただいております。
 [1]から[6]まで掲げておりますけれども、まず[1]大綱に示された対策実施量が確保されるかどうか。[2]といたしまして、削減量が大きく、必要な削減の絶対量を確実に確保できるかどうか。[3]といたしまして、対策の費用対効果が高いかどうか。[4]といたしまして、大綱の評価結果による重点分野かどうか。それから、視点が違いますが、[5]といたしまして、日本の経済発展や技術優位につながるのかどうか。それから、[6]といたしまして、税負担による影響を軽減する配慮の対象となるのかどうか。こういったメルクマールを総合的に勘案しつつ、また下の※にありますように、確実な排出削減につながっていくべきものであるといったようなことを踏まえて温暖化対策に活用する場合には使途を検討すべきであるというふうにされております。
 具体的にどのようなイメージの温暖化対策が考えられるかということにつきましては、27ページと28ページの方で整理をされておりますけれども。この27ページ、28ページをさらに表にまとめたものが29ページにございますので、こちらをごらんいただければと思います。
 まず、基本原則といたしまして、効率的、効果的、確実かつ直接的な対策に対する集中的な支援の実施。また、我が国の経済発展から、国際競争力の強化の同時達成に寄与というふうにされております。具体的には、左側の上から順に申し上げますが、主に事業者の取組支援といたしましては、例えば、自主的に高い目標を掲げた事業者の目標達成への対策支援。先駆的な対策技術の導入支援。国際競争力上の影響を受けるエネルギー多消費産業の対策支援。廃棄・使用の際に温室効果ガスの排出が少ない製品を生産する設備の導入支援といったようなものが挙げられております。
 右にまいりまして、一般家庭の取組支援といたしましては、例えば、省エネ機器買い換え促進。あるいは省エネ・新エネ新築やリフォーム。次に、運輸部門の取組支援としては、例えば、低公害車、低燃費車、さらには燃料電池自動車の普及促進。また、公共交通機関の利用促進やモーダルシフトや物流の効率化といったようものを挙げられております。
 それから、左の方にいきまして、吸収源対策となる森林の保全・整備。あるいは京都メカニズムの有効利用ということでのCDM等の加速的促進。さらには、温室効果の高いその他のガスにつきましてもいい対策があれば活用することが考えられるのではないかということで挙げられております。
 こうした対策を税収を活用して補助でありますとか、あるいは税を減免する、あるいは既存のその他の税を減免する、あるいは融資制度をとると、こういったさまざまな手法に税収を活用しつつこのような対策を進めるべきではないかというふうに整理されております。
 次に、30ページでございますけれども、地方公共団体の温暖化対策との関係についてでございます。地方公共団体におきましてもさまざまな温暖化対策を実施することがが期待されているわけでございますが、下の方のボックスにございますように、温暖化対策税を導入し、その税収を何らかの方法で温暖化対策に活用することとした場合において、その対策が、地方公共団体によって実施されることが求められる場合には、その財源の確保を図るため、税収の一部を地方の財源とする必要があるというふうにされております。
 具体的に税収の一部を地方公共団体の対策に活用する方法としては、温暖化対策税の一部をもともと地方税とするということ。あるいは、地方譲与税の仕組みを活用すること、といったようなものが考えられる。ただし、確実に削減につながるような対策に活用される必要があること。また、現在の国・地方の関係についての議論も踏まえて、可能な限り地方公共団体の自主性を損なわないようにする必要があること、こういったことを勘案して制度設計を行っていく必要があるというふうにされております。
 次に、31ページ、32ページをごらんいただければと思います。第5章でございまして、「既存エネルギー関係諸税との関係についての考え方」でございます。化石燃料に対しましては、既に様々な税が存在しておりまして、これらの税につきましても温暖化対策を目的とするものではありませんが、副次的な効果としてCO2の排出抑制効果も有しているということでございます。ただし、このような効果も含めて既存の施策では不十分となった場合には、追加的な施策が必要となるであろうというふうにされておりまして、実際に温暖化対策税を導入するとなった場合に、どのような観点から関係を検討する必要があるのかということで、31ページのボックスの中で目的が「重複」する場合、使途が「重複」する場合、課税物件が「重複」する場合というふうに分けられております。目的が重複するような既存の税はございませんが、使途が重複するものとしては、昨年度の改正で石油石炭税の税収の一部がCO2排出抑制対策にも充当されることになったということがございます。また、課税物件が重複するということに関しましては、温暖化対策税を課税する場合の課税段階にもよりますが、何がしかの既存税と重複をしてくるであろうということでございます。
 実際にこのような重複が起こった場合、どのような考え方で関係付けを行っていくのかということにつきまして、32ページの方で整理をされております。まず、32ページのボックスの右側の方でございますが、課税物件のみが重複をするという場合につきましては、課税物件が重複するということ自体にはほかにも例がありますので、制度上問題があるとはいえない。ただし、制度上の問題というよりは、追加的に税負担をお願いするということについて、納税者の理解が得られるのかどうか、ここが重要な問題であるというふうに整理をされております。
 それから、使途が重複するという場合につきましては、それぞれの税の役割分担の考え方を整理して必要に応じて調整すべきではないかというふうにされております。その場合は、併せて課税面の調整を行う必要性についても検討すべきではないかというふうにされております。実際にどのような税とどのような調整を行うかについては、より具体的な温暖化対策税の内容を踏まえて検討することになるというふうにされております。
 それでは、33ページと34ページをごらんいただければと思います。こちらにつきましては、温暖化対策税の効果と経済への正負の影響につきまして、国立環境研究所のAIMモデルを用いて試算を行っていただいたものでございます。試算の対象といたしましては、エネルギー起源CO2に関し2010年におきまして現状から90年比でマイナス2%の水準まで削減するとした場合の税率のイメージについて試算をしていただいております。かつてもこのような試算を行っていただいておりましたが、今回前提を新たにしていただいたこととしましては、税導入のタイミングをかつて2000年としていたものから2005年というふうにしていただいております。また、近年の景気低迷や、あるいは最新の対策技術も組み込んでいただいております。
 この結果でございますが、33ページの左のボックスにございますとおり、課税による価格インセンティブ効果のみで期待した効果を得るためには、炭素トン当たり4万5,000円の税率が必要であるというふうにされております。また、課税よる価格インセンティブ効果に加えて、税収も温暖化対策に活用するという場合には、炭素トンあたり3,400円というような税率が必要であるというふうにされております。
 一方、経済等への正負の影響につきましては、成りゆきシナリオ、温暖化対策を行わない場合と比べてということございますが、GDPへの影響といたしましては、2010年頃のGDPを0.06%、それは先ほどの炭素トン当たり3,400円のケースであります、〜0.16%、これは4万5,000円のケースでございますが、程度引き下げるというふうにされております。
 産業別に見ると、エネルギー炭素、素材製造部門で減少しておりまして、電気機械・サービス部門では増加をしているということでございます。
 また、雇用への影響につきましては、我が国全体において、4万5,000円のケースにおきましてはマイナス、3,400円のケースについてはプラス。いずれにしましても、0.1%前後の範囲内の変動となろうというふうにされております。
 なお、※のところに書いておりますけれども、そのモデルの試算におきましては、課税によって促進される技術開発ですとか、あるいは市場経済の効率改善といったような経済のプラスの影響については反映されていないので、マイナスの影響だけが強く出ております。あるいは、温暖化対策を行わない場合との比較でありますので、他の施策手法で温暖化対策を行った場合の比較ではないことに留意をする必要があるというふうにされております。
 詳しくは後ほどご説明をいだたくことになっております。
 では、最後に、36ページをごらんいただければと思いますが、「おわりに」といたしまして、今後、この報告が専門委員会での議論において活用されることが期待されるということ。それから、税につきましては、あるいは温暖化問題については国民的な議論が必要であるということで、環境省は国民各界各層と幅広く議論を行うべきであるというふうに書いております。
 以上でございます。

○飯野委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのワーキンググループの報告につきまして、ご意見、ご質問等あればお願いいたします。なお、先ほども申し上げましたけれども、このワーキンググループの報告書はかなり細かく、専門的なものとなっております。したがって、これをもとにした本日のご議論も踏まえつつ、専門委員会としては8月末頃をめどに国民的議論のたたき台となる温暖化対策税の具体案についてもっとわかりやすい仕立ての報告書を今後まとめていきたいと考えております。
 なお、最後に説明のありましたモデルによる試算につきましては、後ほど詳しい説明をお願いする予定ですので、まずはその部分以外の点について、皆さんご意見、ご質問等がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。

○佐和委員 そんなに大きな問題じゃないんですけれども、ちょっと表現の問題でやや誤解を招くんじゃないかと思われる点が2カ所あるんですね。3ページの3つ目の黒ポチで、「費用を社会全体として最小化しうる特性を有する」という表現があって、同じような表現が6ページの[1]の2つ目のポチの2行目にもございますね。これ、最小のコストで削減が行われうるというのは非常にあいまいというか、わかりにくい表現なんですが。例えば排出権取引のようなものを考えると、例えば6%削減ということをとにもかくにも、つまりルール違反を犯すとかじゃなければ達成できると。そのときに、排出権の取引価格というのがいわばマーケットで決まって、そしてそれが事実上、要するに6%削減、数値目標を達成するためのいわば税率のようなものになるわけですね。
 ところが、この炭素税といいますか、こういう化石燃料への課税というもののこういう税の1つの欠点として指摘されるのが、要するに確かにある税率の税を掛ければ、炭素税を払うよりは費用をかけた方が得だというような、そういう対策がどんどん講じられていくわけですね。そういう意味で、もし事業が限界的な費用が炭素税率よりも高いような対策というのは逆に講じないと、逆に。ですから、そういう意味で非常に企業も消費者も賢ければ、ちゃんと炭素税に見合っただけの、炭素税を議論としたときに既に経済的に見合うような対策は行うということなんですね。見合わないやつは行わないということで。費用はミニマムになるんだけれども、そのとき削減量というの単にその結果として違うわけじゃないわけですね。結果としてこれだけ、例えば何トン削減されたか。それを達成するには課税をしておくことによって、削減量というのは結果として決まるわけですね。
 ですから、普通費用が最小化される云々というようなことを言う場合には削減量というのが最初に与えられて、それを達成するのに一番費用が最小になるというのがこの政策であります、というふうな議論であるわけなんですね。だから、ここで別に間違いというわけじゃないんですけれども、やや誤解を招くという。
 それと同じように、5番目の自主的取組のところで、6%の削減約束を達成されるだけの対策が行われる保証はないと書いてあるんですね。税の場合もかけて見たらそれだけどうも6%達成はできそうもないということで、それじゃあ税率を上げるかということで、ある種試行錯誤的な面を折り込んで初めて6%削減が達成できるわけですね。あるいは、6%以上削減されるとなれば、それは税が重すぎるということで急いで引き下げるというようなことで。いわば試行錯誤をやった上でないと、税の場合も保証されないわけですね。ということです。

○飯野委員長 はい、ありがとうございました。
 天野先生、どうぞ。

○天野委員 今の佐和委員のご意見、確かにそういう面はあると思います。ここで例えば排出取引と課税の 対策費ですか、この2つを比較するとしたら、普通、もし不確実性がなくて、ある一定量の削減をするときにどれだけの税を課すべきかということで両者をくらべると、対策費用はどちらも最小化されて、同じだという関係があるわけですね。どこが違うかというと、実際にはすべてのことがわかっているわけではないので、不確実な状況で判断をしなければいけない。そのときにどういう不確実な状態のときには削減コストを決める政策がいいのか、あるいはどういう状態のときにはコストが余り過大なコスト負担になくならないように削減量を決める政策がいいのかという議論をする。
 ここはそういう学問的な議論をしているわけじゃありませんので、ある量の削減をするとすればという前提を置けば、その量を実現するときに排出量を決めても税率を決めても、データがちゃんとわかっている限りは同じ削減ができて、最小のコストで削減できるという言い方自身は私は間違っていないというふうに思います。

○飯野委員長 はい、ありがとうございます。
 はい、どうぞ、奥野先生。

○奥野委員 2つほど申し上げたいんですが。1つは、今、両先生がおっしゃられたことに少しは関係するんですけれども。要するに、5ページ、6ページに書いてあることで、もう少し問題意識を含めてもうちょっと書いていただいた方がわかりやすいんじゃないかということが1つあります。それは、例えば6ページの[1]の「課税による価格インセンティブ効果の発揮」というところの最初に、「温室効果ガスを排出するすべての主体に対策への関わりを求める」と書いてあって、「特に、一般家庭や自動車利用にまで実効性の高い影響を及ぼし得る施策は税・課徴金の他にない」と書いてあるんですけれども。これはそのとおりであって、ここはもっと強調されるべきではないかと思うんですね。それは2つの意味でですが。
 1つは、現実の、今、現状を考えてみると、産業部門はそれなりに自主対策とかいろいろなことをやっていて、それなりにコントロールしているわけですが、それからは非常に漏れていて、90年期で非常にふえてしまっているのが民生――物流がですね。ですから、そういう意味で一般家庭や自動車利用に実効性を及ぼす対策が、今、求められいてるんだということをもう少し1つ強調されるべきではないかということが1点です。
 それから、多分これだけだとちょっと意味が、なぜそうなのかというのが説明がないので、もう少しそこを説明していただいた方がいいんじゃないかなというふうに思います。その規制的手法とか自主的取組とか上にいろいろ書いてありますけれども、こういうのは基本的に大規模な排出主体であれば、規制とか自主的なことをどのくらい出せるかというのがすぐわかるわけですが。家庭とか個々の車なんていうのは、それをどのくらい出しているかということをはかる費用が莫大なものになってしまうとか。それから、大規模な排出源であれば、社会的な評判とか業界内の評判を非常に気にせざるを得ないわけですが。小規模なところはそういうことは余り気にしないで、フリーライダーとどこかに書いてありますが、そういうことが起きてしまう。だから、そこら辺のことを何かもう少しちょっと論理的に説明していただけるとかいいかなという感じがします。
 それから、もう1点は、ページでいくと20ページとか一七、八ページの、ここら辺課税のやり方を話をされていて、それに伴って、いわゆる減免とかそういう話をどうしますかということがいろいろ書いてあって、ここは私自身まだ読んでいてよくわからないところも幾つかあるので、本当はそちらもお聞きしたいんですが。例えば、後で出るのか、これむしろややつけ足しの質問ですが、15ページの左側、最上流課税、上流課税で上から2つ目の○のところに、最上流課税・上流課税をしておいて、しかし下流・排出段階に位置する化石燃料の最終消費者、つまり典型的な鉄鋼とかそういうところなんだと思うんですが。そういう産業に対して上流課税、つまり例えば石炭とかそういうそもそもがエネルギー、化石燃料に課税した対策税の減免・還付措置を講ずることは非常に困難だと書いてあるんですが。ある程度どのくらいの量を使ったのかというのは、例えば鉄鋼は余り例を出していけないのかもしれませんけれども、大規模な企業であれば、先ほどから申し上げたとおり、どのくらい使っているかというのは割と簡単にわかるわけで。それを推定でもって還付するということは法律上問題があるということなのか、ないのか。これをもし還付できるんだったら話はかなり簡単ではないかという気がいたします。
 一番言いたいことはちょっとそれとは違うことでありまして、なぜ減免措置を考える必要があるのかということについて書いてあるのが多分20ページのあたりであって、例えば国境税調整とか国際競争力上の影響とかいうことがいろいろ書いてある。余りストレートに書いてありませんから、もう少しなぜ減免を考えてあるのかということをもう少し強調されてもいいんじゃないかというのが1点です。そういう意味で、国際競争力というふうに書かれた、あるは国境税調整というふうに書かれてしまうと、これは多分現在の京都プロトコルが環境規制に参加する国と参加しない国との間で、例えばアメリカみたいな国があって、そこにも国際競争力の問題が起きてくるという趣旨だと思うんですが。
 このほかにもう1つ、かなり重要な減免のための理由があると思うんですね。それは何かというと、温暖化ガスを排出することに対して課税をするということは、それの価格が利用者にとって非常に上がるわけですね。要するに、石油ショックのときに石油価格が非常に上がったようなものですね。そうすると、石油ショックのときに石油を非常に使っていた、例えばアルミ精錬産業というのは事実上、競争力、これ国際的な意味ですべての国においても事実上競争力が低下したということなわけですが。そういうことが起きる可能性がある。
 つまり、温暖化ガスを対策税とか温室効果ガス対策を講じることによって、エネルギー集約度の高い産業というのは縮小せざるを得ないという側面があるわけですね。それはしたがって中長期的にはそういう産業を縮小していかざるを得ないことは割り切るしかないわけですけれども。他方では、そういう産業に勤めている、例えば技術者とか工員とかで、その産業にスペシフィックな技能を持っていて、容易にほかの産業に移れない。移ろうとしても生産性が低いために失業してしまうというような人たちが例えばいるわけで。そういう、いわば産業調整といいますけれども、産業構造が変わることに伴って新たに調整をせざるを得ない。それをするためには、温暖化ガスの排出に関しては限界のところが非常に高い税をかけておいて、しかしそれ以外の救済措置といいますか、そういうものを例えば税を減免して平均税率を下げるとか、何らかの形で対応する必要があるんだということをお書きになった方が、つまり減免する理由というものをもう少し整理されてお書きになった方がわかりやすいのではないかというのが2番目の私の発言です。
 すみません、ちょっと長くなって。

○飯野委員長 はい、ありがとうございました。
 横山委員、どうぞ。

○横山裕道委員 この議論に加わってて、今回の報告書が素人にとっても非常にわかりやすくつくられたのではないかというふうに思います。言うならば、国民の立場に立っているというか、そういうような印象を受けます。例えば、10ページの相対的に低い税率で税収は何らかの方法で温暖化対策のために活用するというふうにきちんと言ってるということは、私は評価したいと思います。なぜならば、前回も高率にするか低率にするかというような議論になって、私も高率にしたら、今、そんな高率といっただけで通るわけはないというふうに思いまして、そのとおりだと思うんですけれども。それがきちんと相対的に低い税率でやるというふうに、これなら一般の人たちもやむを得ないと、むしろこれで省エネに取り組もうというように思うのではないかと思います。
 しかし、その中で議論の蒸し返しになるかわかりませんけれども、14ページの一番下で、「温暖化防止の観点からは、水力、原子力等による発電電力のような発電過程でCO2を排出していないものに課税することは適切ではない」と断言しているのは、私はどうしても納得いきません。というのは、やはりここの報告書で価格インセンティブ効果というのを強くうたってるわけですよね。それなのに、原子力あるいは水力も課税されないということになれば、電力については少なくとも価格インセンティブ効果が非常に低まるのではないかというふうに思います。しかも、原子力にすれば安上がりになるということで、言葉は悪いかわかりませんけれども、無理な原子力開発が進んで、今後進めなければならない新エネの開発とかにマイナスに働くのではないかというふうに私は思います。しかも、原子力に有利な条件で進んだ場合のデメリットとしては、いろいろあると思うんですけれども、何かあった場合、例えば今度のようなトラブル隠しとかで原発がとまっちゃうというときにものすごいCO2が排出されちゃって、それで目標を達成できないと、そういう不安定要因を抱えているということだと思います。それから、2点目は新エネルギーの価格が相対的に高くなって開発普及が進まないというふうになるのではないかと思います。
 それで、少なくとも、やはり炭素・エネルギー税にするという方法があるし、2点目では原子力、水力については別途何か検討すると。ほかの5ガスとかエネルギー起源でないCO2については別途の制度設計を行うとありますけれども、そのぐらい言うか。あるいは、税の使途で新エネルギーに特別の配慮をするとか、そういうことを何か書くべきであって、一番悪い何もしないことで断定的にこういうふうに書かれた場合は、やはりこの報告書を理解しようとしても一般の国民は何だろうというふうに思うと思います。
 原子力を進めるというのは政府の方針だということはよくわかりますが、中環審なり環境省がそれに目をつぶってこういうような中身にして、原子力が今のような状況でも有利になるような報告書であってはいけないなというふうに思います。
 以上です。

○飯野委員長 私もその点につきましては、私自身も個人的にはそう思っておりますが、ただですから、ここでは非常に書き方にちょっと気を使いまして、「温暖化防止の観点からは」というのがその文章の前に入っているわけで。その観点からはこうであるとだけ書いてあるわけで。おっしゃるとおりに個人的には私もそう思ってますけれども。とにかく我が国自身が原子力発電を推進するということを決めている状態のもとで、ここだけ、この委員会だけでおかしいというのはちょっと難しいなという気がしたからこういう書き方にしたということです。

○横山裕道委員 例えば別途制度設計とか、その辺をにおわせるだけでも違うと思うんですが、その辺を全部切り捨てる中身になっているのではないかという点が不満なんです。

○飯野委員長 わかりました。また検討させていただきます。
 ほか、何かございますでしょうか。どうぞ。

○中里委員 23ページに、税収の使途についての考え方のところで、一般財源と目的税なり特定財源ということで両者平行して書くような形になっておりまして、環境の常識からいうと、それは特定財源化するのが望ましい、それから一般的にも理解を得やすいということなんだろうと思いますけれども。この理論武装の根拠になっております8ページの右下に、金子先生の租税法の17ページからの引用がありまして、揮発油税、地方道路税等も道路整備の財源に充てるためにということでそういう課税もあり得るんだという書き方ですよね。道路というのは、これは国や地方公共団体がつくるもので、そのための財源をある種揮発油税等で得る、そのための特定財源ということですね。
 それから、似たようなものとして、航空機燃料税というのがございますが、これは空港整備のための特定財源。空港というのは私企業が、今後どうなるかわかりませんが、提供するものではない、ちょっと関空とか多少の例外ありますけれども、基本的にはパブリックセクターがということですね。この場合の炭素税が特定財源とするとなぜ望ましくないかというと、特定財源としても筋が悪いわけです。それ、私企業に配る金なんですね。国が何かをやるということではありません。だから、道路よりもさらに、道路特定財源よりもさらに程度の悪い特定財源だから引っ込めてあるとい感覚なんです。だから、全くいけないとは申しませんけれども。だから、単純にそういうふうに特定財源だからおさえたというんじゃなくて、特定財源の中でもさらに質の悪い方だという、質の悪いというとちょっとあれですが、難しいところがあるということだと思います。

○飯野委員長 わかりました。
 どうぞ、横山委員。

○横山彰委員 今の中里さんのお考えにちょっと反するようなことなんですけれども、1つは、受益者負担というような観点で考えられないかということは、公益性ですね、CO2を削減することの意味づけとしてはやはり道路と同じだけの公益性があるのではないかという観点からすると、筋が悪いとは必ずも言えないんじゃないか。これはあくまで私の個人的意見でございますけれども。例えば、森林整備で、それは所有権としては国が持っていたり地方が持っていたり組合が持っていたり、あるいは普通の私人、私が持っているということもあり得るんですけれども。そうした森林整備みたいなものについて、じゃあ公益性というものは道路とどう違うんだというようなこと。それから、空気なり温度というようなものの公益性というものをどういうふうに考えるのかといったときに、一時的な戻し方としての私企業に戻すということでの問題点というのはあろうかと思いますけれども、道路が持つ公益性と、あるいは環境そのものが持っている公益性についての解釈からすると、必ずしも中里さんが言ってるような観点にはならないんじゃないかということです。この辺はちょっとまたご異論があろうかと思いますが、あくまで私見です。

○飯野委員長 どうぞ。

○中里委員 おっしゃるとおりなんです。これは、経済学的にはそのとおりだと思うんですけれども。例えばですね、空港については特定財源がある、道路については特定財源がある。でも、鉄道については特定財源がないわけです。これ、かなりパブリックなものですよね。なぜないかというと、私企業だからですよ。そこは経済学的にどうかではありませんでね、だから原理原則があるということではないんだろうと思います。確かに環境というのはパブリックなものの最たるものなんでしょうけれども、まだそこまで法制度が追いついてないのかもしもません。説明に少し、立証責任が重くなるという意味で、だめだと申し上げているわけじゃないですね。

○飯野委員長 わかりました。どうぞ。

○水野委員 一言だけつけ加えさせて。今のお話ですけれども、今、報告書をつくって全部一通り説明を伺ってみますと、やはり財源のところがどうも気になるんですね。今、お二方の議論もまさにいわゆる環境税で得られた収入をどういうふうに使うかというとこすに焦点が出てきまして、本来環境税ですと、この環境税を採用することによってどういう効果が得られるだろうかということが中心にならなきゃいけないんですが、やはり議論が環境税の歳入をどういうふうに使うかと、いわゆる森林を植えたりどうのするという、そちらの方に比重がどうしても動いていくということで、それが結局世間一般から財源論だろうと言われてしまうようなことになるわけですね。相手がまた悪くて道路財源といったものでありますので。それで、非常に環境税のあり方、どう考えたらいいのかなというのは難しいところですけれども。
 これから、この専門委員会で議論していただくわけですけれども、その歳入と歳出の問題をどういうふうに議論したらいいのかということ、非常に歳出にウェイトがかかってきますと、結局環境税による価格インセンティブというよりも、むしろ使うことによって木を植えるのどうのという話になってまいりますで、その点、やはり先生方に留意いただいて、どういうふうに歳入と歳出の問題、議論したらいいのか検討していただければと思います。

○飯野委員長 わかりました。
 はい、どうぞ。

○安原委員 ワーキンググループでこの素材の整理をよくやっていただいたと思います。非常にわかりやすくなっていると思います。それで、冒頭書いてございますように、この専門委員会でさらに8月まで議論して、できればそのパブリックコメントにかける国民的議論を巻き起こすための案を提示するわけでございますから、1つの案に絞らないで、重要な論点について複数の考え方を提示して、複数の案をつくってきちっとそのメリット、デメリット、よく分析した形で示して、国民が選択できるような案を考えていただければと思います。これは、要望でございます。
 それから、もう1つは、税が重要な施策でございますけれども、先ほどの佐和委員、天野さんの議論にありますように、この税だけではきちっと対策効果がどのくらい出るかやってみないとわからないということがございますので、できるだけほかの施策と併せてきちっと対策効果が確保できるような工夫をしていくということが非常に重要ではないかと思います。そうだとすると、税と併せてポリシーミックスというほかの施策を考えて、それと組み合わせるということが重要かと思いますが。今の段階では税の方の検討は大分ここまで進んできたわけですけれども、ポリシーミックスのほかの施策が余り検討が進んでないんですが。その検討をどのように進められて、必要な場合に税とミックスする案を考えるかどうかですね。それはどうも夏までに間に合いそうにないんですが。ポリシーミックスの案を組み合わせた案についても、できれば提示していくべきじゃないかというぐあいに思いますが、その点はどう考えたらいいのか、これは質問でございます。
 それからあと、税の制度の仕組みでございますけれども、なぜ税をとるかと、それは主として価格インセンティブ効果に期待するということでございますね。そうだとすると、ここに書いてございますように、需要者に直接そういう税負担を感じていただいて排出を抑制する行動に移してもらうということでございますから、下流課税が望ましいというのが出てくるんでしょうけれども。ここのペーパーではその案もあるけれども、課税の問題があって、課税の簡素化ということから考えて、上流課税の方が現実的であるということになっているんですが。じゃあ、上流課税の場合にはきちっとその流通段階何段階か経ていくわけですけれども、最終利用段階まで税の負担がうまく転嫁されていく仕組みを併せて考えないと、今、非常に競争が激しいわけですね。そうしますと、なかなか転嫁できないというのは実態じゃないかと思うんですね。したがって、市場に任せておけばそれは適当に転嫁していきますよということではなくて、仕組みとして本当にうまく転嫁させ得るのか、そこの検討もさらに十分やっていただきたいなと思います。
 それで、その下流課税はなかなか難しいというのは、税の実行面の配慮からきているわけですけれども、果たしてそんなに難しいのか。税もいろいろな段階の税がございますが、工夫すればそんなにコストをかけないでできる面もあるのではないかというぐあいに思います。例えば最終段階の需要者に化石燃料を販売する事業者の段階で課税すれば、転嫁の問題なしに税負担が最終需要者に行くわけですね。ですから、そこら辺のもうちょっと、何か余り説明なしにいきなり税の簡素化の見地から下流課税は無理だというような感じが非常に強く出ておりますが、もう少し両者をよく検討していただいて、私はやはり下流課税と上流課税、2つの案があり得るのではないかと、最初のお願いにも関係するんですが、そういうぐあいに思います。
 それから、電力の課税というのは非常に重要だと思うんですね。民生とか、あるいは先ほど来議論がありましたように、民生とかあるいは自動車等に、産業部門でもそうなんですが、結局産業部門が非常に対策効果を、今、自主的に取り組んで上げているということですが、それのかなり大きな要素は電力の原単位が減っているということがあると思うんですね。これから放っておけば電力需要というのはどんどんふえていきますし、電力消費をできるだけ節電するような形でみんなに行動していただくためには、電力に対する課税を相当重視して、円滑にそういう効果が出るような工夫をすべきだと思います。
 その場合、発電用化石燃料を購入する段階ということだと、余り響かない可能性があるんですね。ですから、今、電源開発促進税なんかがございますが、ああいう制度をよく参考にして、電力消費者が消費量に応じてきちっと税負担を意識して税を払っていくという仕組みをぜひ考えていただきたいというぐあいに思います。
 以上でございます。

○飯野委員長 はい、ありがとうございます。
 天野先生、どうぞ。

○天野委員 今回のとりまとめで、私は非常によくわかったなという点がありまして、それは6ページにこれまでの施策手法と異なる機能を持つような手法の導入が必要であるということで、価格インセンティブ効果が発揮できること、それから政策措置を実施する際の財源調達ができること、この2つを持った新たな施策というのが重要であるという点を指摘していただいたのは大変いいことだと思うんですが。
 先ほど来問題になっているのは、財源を何に使うかという点につきましては、ずっと後ろの方で、25ページあたりに税収を温暖化対策のためにどういうことに活用するのがいいかというふうなところに書いてある。そこに3行目にアンダーラインがありまして、「効率的・効果的な温暖化対策のために活用することが適当」と。これはもうちょっともとの最初の原則に戻りますと、やはりここでも価格インセンティブが十分に働くようなところに税収を使うという視点をもう一度繰り返して強調していただければ、何のために税収が入ってきているのかという、そういう活用する場合にどういう視点が重要なのかということも最初の2つの原則と一致するようになるかと思うんですね。ですから、そのあたりもうちょっとこのあたりで書き加えていただければいいんじゃないか。
 つまり、温暖化対策であればいろいろなことに使ってもいいわけだけじゃなくて、やはり本来の新しい税の導入の趣旨である、人々のインセンティブに働きかけて対策効果を上げるというふうなところに税収の使途も出るんだというふうなことを強調していただければと、これが私の要望です。

○飯野委員長 どうぞ。

○佐和委員 これまで出てきたご意見について、二、三コメントさせていただきたいと思います。1つは、横山委員がおっしゃった、原子力、14ページの件ですが、ここに書かれていることは私はそのとおりだと思うんですね。つまり、温暖化防止の観点からは水力や原子力は少なくとも発電過程において1トンもCO2を出さないわけですから、それを石炭や石油でつくられた電力と同じように課税するというのは、筋が通らないと。温暖化対策税という観点からすればですね、というのはそのとおりだと思うんですね。
 問題は、恐らく横山委員が問題とされるのは、こういうふうな課税を、つまり化石燃料にのみ課税するというような課税の仕方をすれば、それは原子力発電に対してアドバンテージになるのではないかと、多かれ少なかれですね。そういうことで、原子力推進の後押しをするのではないかということ、多分そういうご意見だと思うんですが。
 これから申し上げるのは私の意見というか、私見なのですが。少なくとも、電力が自由化されたもとでは、普通の会社となった電力会社はもはや原子力発電所を現状のままでも、あるいはこの程度の炭素税が課されたとしても、建設を全くやらないだろうというふうに思うんですね。なぜか、理由は2つあって。1つは電力需要が、さっき安原さんが伸びるというふうにおっしゃいましたけれども、非常に伸びが鈍化している。ですから、高度成長期のように、あるいは70年代から80年代前半、あるいは80年代末までといったらいいんですかね、かけての頃のように、とにかく年率五、六%ぐらいの率で電力需要が伸びていると。そうすると、例えば原子力発電の建設のためには10年、20年というような歳月を要するわけですよ、用地を探して云々というところから始めれば。そうすると、もう10年先に電力需要が、今現在の1.8倍ぐらいになっていることは確実であるというふうに例えば東京電力が判断すれば、じゃあ立地するような決断ができたわけですね。
 ところが、電力需要が今非常に伸びが鈍化してて、しかも民間のIPPが参入してくるということになれば、九電力会社に対する電力需要というのは明らかに減ることはあれ、ふえることは非常になさそうであると。しかも非常に不確実であると。そういう状況のもとではとても採算ベースからして新しい建設には乗り出さないだろうということが1つ。
 それから、もう1つは、やはり原子力の費用というときに5.9円/キロワットアワーというような数字がありますが、これはあくまでも政府のやった試算であって、実は電力会社はその建設を躊躇するもう1つの大きな理由というのは、そういう直接的なコストだけではなくて非常に間接的な費用が莫大にかかると。それで、今までは地域独占というのが保証されていたわけですから、それに対する見返りとして電力会社は無理をして原子力発電所を立地させてきた、建設してきたと思うんですね。しかし、もはや普通の民間会社になるということならば、もう大政を奉還しますという感じになると思うんですね。それは原子力に対する私の意見です。
 それから、もう1つは、その使途についてですけれども、使い方でさっき中里先生が、税法の専門家の先生がなるほどと思われることをおっしゃったわけです。特定財源の。こういう場合には特定財源というのは十分正当性を持つんだけれども、こういうふうに個別の企業とか家庭に対して支援する財源とするのは非常に異例であるという趣旨のことをおっしゃったと思うんですが。それに対して、こっちから右横の横山さんの方は、いや、そうじゃなくて、温暖化防止という公共的目的のために云々ということをおっしゃいましたね。そのときに、やはり、恐らく後ほど簡単に説明があると、AIMというモデルに関して言えることなんですが、結局、政府はラプラスの悪魔のようであって、つまり日本全体を見渡して、どこの産業があるか、どこの会社がどういう整備更新をやれば一番最小費用で、つまり費用対効果で最も望ましい削減がなし得るのかということを見ていって、そこに、はい、お金つけましょうと。そうすれば、私のうちの古い10年たってるようなエアコンが、あれは効率が悪いからラプラスの悪魔がそれを見て、あいつのうちのエアコンを新しいのに買い換えるための補助金を出してやれというようなことですね。そうすると、私にとってはそれによって新しくエアコンを買う費用が半分になるから大変助かると。それは私の私利に、要するに私利を得ることができるわけですけれども。
 だけれども、それは要するに国全体として見渡したときに、やはり費用最小の投資なんだということで、お金の使い方をそういうふうにしてざっと、非常にまさに政府が神様であるという前提で初めて横山さんのおっしゃったようなことになるんであって。そうじゃないとすれば、やはり中里さんのようなご懸念というのはぬぐえないのではないかというふうに思います。
 それで、例えば太陽光発電を普及させようということでかねて補助金を出していたわけですけれども、補助金を出すというのと、今度は逆に電力を買い上げるときに、今までなら仮に電力料金がキロワットアワー当たり25円だとすれば、25円で買い上げてくれると。そうじゃなくて、35円で買い上げましょうというのも1つのやり方なわけですね。これはドイツのアイアンというところでは4倍だか5倍だかで買い上げると。そうすると、非常に早い期間にもとがとれるというわけですね。だから、そうするとまさにそれは政府としては、例えば補助金を配るとなると、それなりに人を雇って補助金配りをやらなくちゃいけないということで、行政コストもかかるし、いろいろな意味で、さっき中里さんのおっしゃったようなことにもなる。ところが、一律電力買い上げ料金を10円アップしましょうということで、それによってその10円の買い上げ料金のアップというのは、別に電力会社が負担するのではなくて、それは国が温暖化対策税収でそれを補助するというようなことで。なるべくパブリックなといいますか、政府がだれそれさんのエアコンを買い換えましょうとか、だれそれさんが家を建てるときに断熱材を入れるための補助金を出しましょうというふうに、何かそういうふうなアイショウ申請型というような余地をできるだけ少なくする必要があるというふうには思います。

○飯野委員長 はい、どうぞ。

○奥野委員 2つだけ、なるべく簡単に述べたいと思うんですけれども。ちょっと気になる点がありますので申し上げます。1つは、税収の使途ということで、これは23ページに書いてあることですが、1の最初の○のところに租税の基本的な考え方に照らすと目的税・特定財源ではない方がいいと書いてあるわけですが。経済学で普通考える場合には、これはピグー課税であって、ピグー税の場合にも、実はこれは被害者に戻すとか、要するに外部性に関係するところに税は戻すということはすべきではないというのが本来の考え方なので。もちろん、だからといって、政治的な理由とかそういうことで目的税・特定財源にしてはいけないということを申し上げているわけではないですが。租税の基本的な考え方だけじゃなくて、経済学の基本的な考え方からいっても本来目的税・特定財源ではなくて一般財源とする、ないしは減税の財源とするというふうに考えるべきではないか。正しいかどうかという話はいろいろありますけれども、例えば二重の配当というような形で、苦みがある既存の税の減税にした方がいいというような議論もありますので、もう少しここら辺書き方を工夫していただけないかなというのが1点です。
 もう1点は、31ページの第5章、「既存エネルギー関係諸税との関係についての考え方」ということで、書いてあることに反対する気は毛頭ないのですが、ただ地球温暖化税という視点から既存エネルギー関係諸税を見ると、基本的に既存エネルギー関係諸税の税率は、特に炭素含有量で比較した場合の税率というのもものすごくばらつきがあるわけですね。それをできるだけ平準化すべきだというのが地球温暖化課税から見た場合の考え方であるべきであると思います。ですから、炭素比例の税率が非常に低い既存エネルギーについては特に税を上げるという方向を考えるといいますか、そういうニュアンスのことは少しお書きになった方が、せっかくの報告書ですから、多分地球温暖化という視点からの報告書ですから少し筋が通るのではないかというふうに思います。
 以上です。

○飯野委員長 ありがとうございました。
 では、どうぞ。

○飯田委員 これは地球温暖化防止対策税ですね、地球温暖化対策税ですから、その最も大きな目的は、インセンティブ効果によって排出を減らすということだと思います。その使途については二次的な、副次的な問題で、これは重要な問題じゃないと思います。ですから、私としては目的税でなく、一般財源に繰り入れてもいいと思っております。
 もう1つ大事なのは、国民に対する啓蒙だと思うんです。国民が温暖化に対する意識を高めるという視点が欠けてるような気がします。それが最上流課税というところにきているんだと思います。安原さんもおっしゃったように、それを下の方に転嫁するったってこれは現在の経済状況からみて難しいと思います。それから、仮に考えられている税率がそのまま採用されるとすれば、ガソリン1リットル当たり2円だそうですが、2円で一般の国民が2円も高くなるなら車を走らせるのはやめようとは言わないと思います。それよりも高速料金の方がよっぽど高いんですから。
 ですから、これはやはり絶対にこれでなきゃいかんということではないんですが、安原さんと同じような考えでいえば、両論併記でもいいと思うんです。
 それから、もう1つは、最初は課徴金という話がちょっと出ましたが、途中から消えちゃったようだったんですが、今回盛んに税・課徴金というのが出てきて、12ページのところでようやく、これは最後はワーキンググループとしては税でいくというふうに書かれていますが。その理由としては、それからこれも1つなんでしょうけれども、最下流ですと徴税経費がかかりすぎるということ、これは確かにそうだと思いますが、これは方法はないとは思わない。これも私は安原さんと同じになっちゃうんだけれども。消費税のような形で最後の小売り過程で実際の商品を売るときに外税として取れば、それほど難しいことではないというふうな気がします。
 それから、どうしてこれを租税とするのか。租税だとやはり特にガソリン、石油関係は非常に複雑な税制が、今、取られています。これにさらに新しい税をつけ加えるというのは税の専門家、例えば財務省ですか、そのあたりから嫌われると思うんですね。それなら課徴金の方がいいじゃないかという私は前からの持論なんですが。課徴金だって、行政コストがかかるというけれども、これだって別に課徴金を取るのが環境省の人が取るわけじゃないので、今の国税局でいいわけですから。そういうふうにして取ったらば、そんなに行政コストが高くなるというふうにはならないと思うのですが。

○飯野委員長 寺西委員。

○寺西委員 時間が大分迫って大変恐縮なんですけれども、全体として私はこのワーキンググループのまとめられたこの報告、大変ご苦労されてよくまとめられていると思って高く評価するんですけれども、この委員会としてこれを踏まえてどういうふうな委員会メッセージをしかるべきところへ出すのかというときに、一体これはだれに向けて、だれを説得しようと思って書かれているかということをもう少し意識された方がいいんじゃないか。最初の書き出しでは、本報告の考え方で、国民的な議論が必要不可欠な問題なんだと、だから国民各層に向けて、つまり国民的に納得のいく、国民がそうだと、これはやむを得ないねというふうに納得するようなもの、そういうものを出すということで国民向けのことをもし考えるんだとすると、私は4つの条件をクリアしないと、今の国民は納得しないと思うんですね。
 1つは、掲げている理念がやはり国民にとって納得できる理念じゃないと困ると私は思うんですね。それでいうと、例えば環境と経済の統合に向けてとか幾つか考え方書いてありますけれども、ちょっとわかりにくいですね、はっきり言って。これ、統合って中身みたら、要するに温暖化対策のビジネスでもうかりますよということを言ってるのであって、それでもうけようと思ってない多くの国民にとっては、そんなものがもうかるかもうからないかどうでもいいんですよね。なぜ、今、温暖化対策のために税を変えなきゃいけないのか、あるいは新しい税を考えなきゃいけないかということについて、国民がその税負担を納得してできるような理念をまず明確に理念性として出すことが必要。
 それから、2番目は、ここに一貫した論理のもとにと書いてある、これは非常に重要だと思うんですね。論理が説得性がないといけない。論理が一貫してなきゃいけない、あちこち論理をいろいろと構築した結果、論理的には何か一貫しないというのではやはり説得性はなくなります。価格インセンティブ機能ということを一方で言っておきながら、他方では徴税のところへいくと、徴税の現実からいって、既存の税制の徴税システムを使わなきゃしょうがないから、末端の国民のところにというのはちょっと無理だからといって、これ全体で読むと一貫性があるとはとても思えないですね。
 それから、もう1つはやはり具体性があるということは非常に重要で、具体的にどういうことが求められているか、具体的に何が提起されているかということがやはり必要だと思うんですね。その意味では具体案がかなり下ろされて、実際に例えば幾つかの目標でいえば、リッター当たりで言ったら2円ぐらいなんだというようなこととかと、要するにわかりやすい、国民が理解しやすい、具体性を持つということ、そういうことも大事だと思うんですね。
 その具体案のときに、複数案を選択肢として示すという考え方を非常に国民が議論する上で大事なことだ。この案しかないというんじゃなくて、こういう考え方とこういう具体案を考えていくとこうだと、そのうちの選択肢を幾つか示して、あなた方がどれを選択するかということを議論してほしいんだという投げ方をすべきだと思うんですね。そういう位置付けでこの報告書を何とかつくり上げてもらいたい。
 ただ、全体として見ると、ある部分は何か産業界を説得するために書いてある、ある部分は税調を念頭に置いて書いてある、ある部分は経済産業省を説得するために書いてあるみたいな、何かそういうニュアンスがちょっと私はざっと見て、これ印象的に申し上げるんですけれども、そういう感じがある。やはり本筋はこの報告書が国民的に向けて出しているんだということで、きちんと筋を通していただきたいということを申し上げたい。
 特に、この「税制に対しては社会的関心が高いため」云々という1文が6ページにあるんですけれども、ここ先ほど事前レクチャーでこれはどういう意味かわからなかったので聞いたら、ある種のアナウンスメント効果、つまり税にみんな関心を持ってるから環境税とか炭素税、地球温暖化対策税と、温暖化対策についてみんな議論沸騰してアナウンスメント効果が出て、みんな温暖化対策の問題に関心を持って、それが原動力になるというような趣旨だということだったんですけれども。私は税制に対して、今、国民はものすごく関心を持っているのはなぜかということを考えたら、既存の税にゆがみがあって不公平であって、もう税負担に対して拒否感もあって、国家を信用しない、というような状況の中で税に対する不満がものすごく高いということがこの関心の背景だと思うんですね。そうすると、この税、ここで提案される炭素税が既存の税制のそういうゆがみとか矛盾とかを改革していく突破口になるような位置付け方をしてほしい。僕はこの委員会全体の出発点のときに申し上げたんだけれども、これ対策税制検討会なんです、もともと。だから、温暖化対策税の単独の検討会でないはずなんですね。日本の税とか財政全体の制度の中でどう位置付けるかということを議論する専門委員会だと私はずっと今でも思っているんですね。
 そういう観点からすると、先ほど奥野先生がご指摘になった、4章の既存税制との関係のところは、非常に不満を感じてしまいます。これは何か、ここで提案しているやつを入れてみたら、既存の税法とか税制の間でどういう調整問題が起こってくるか、この調整を一生懸命こういう考え方でしましょうということをいって、これは多分政府税調向けのメッセージなんでしょうね。だけれども、国民からすると、この税を入れることによってどういうふうに既存の税制全体の改革が進んでいくか、そういうことに関心があると思うんですね。
 諸富さんがワーキンググループで出されているドイツの環境税制の第3ラウンドは、もう既存の温暖化対策だとか、環境政策上望ましくない租税特別措置とか、既存の望ましくない補助金だとか、こういうものの改革にも踏み込んでいく。そういう意味ではグリーン改革の方に議論いってるんですよ。だから、そういう議論の視野で位置付けていただかないと、やはり国民から見ると、何か炭素税だけが単独で議論されてるような印象がぬぐえないと思うんですね。やはりもしインセンティブ効果とかこういう税制の政策手段が第2ステップの追加的措置として必要だということを言うんだとすれば、要するに既存の自主的取組とか行政の規制だとか、単なる啓蒙ではない、経済的な仕掛けが必要ということであれば、その人々の温暖化にかかわるビヘイビアとか選択を価格体系とか税とか租税体系を組み換えることによって、人々の選択行動を変更させるんだという考え方でいかなきゃいけない。そうするとやはり、既存の税制全体の中でゆがんだ方向に選択肢がいってる構造があるわけですよね。そこを変えるということまでやはり言わないと、国民は納得しないんじゃないかと思います。
 そういうようなことをいろいろと私なりに要望させていただきたいということであります。

○飯野委員長 ありがとうございました。
 まだいろいろご議論あるかと思いますけれども、まだ議題が残っておりますので。ただ、いずれにしても、きょう皆様にご提示したものは完成品でもありませんし、どちらかというと皆さん向けのメッセージでありまして、国民の皆さん、国民といっても私は寺西さんのおっしゃるように、我々だけが国民じゃない、やはり産業界も国民の一部だと思ってますので、すべての人ができるだけ納得し得るような案をつくりたいというふうに思っておりますので。そういった国民というものを対象にしたもっとわかりやすい報告書をつくりたいというふうには思っております。それは次回以降、乞ご期待というところですけれども。
 まだきょう残っておりますのは、最後にモデルによる試算というものがございましたが、森田先生を初め、国立環境研究所のAIMモデルチームの皆さんから説明をお願いしたいと思います。

○森田委員 時間も押しておりますので、当初15分いただいておったんでございますけれども、何とか3分以内で説明を終わりまして、あとはペーパーを読んでいただくということにさせていただきたいと思います。資料2に基づいて、約3分で説明させていただきます。
 この目的は、現在の大綱の目標数値達成のための税率と、その税率を導入したときにどのように経済に影響を及ぼされるかということで、この2つのことについて可能な限り現実的な前提のもとで定量化、予測をしたということでございまして。実は、ちょうど3年前に同じような予測をやりましたけれども、今回、それを全面的に計算の見直しをやりました。すなわち、最新のデータとか、あるいは技術開発の最新の状況を勘案しまして、全面的な改訂を行ったわけでございます。
 この試算に当たりましては、ワーキンググループの各委員の先生の大変いろいろなご指摘を反映することに、特にワーキンググループの委員ではないんでございますけれども、天野委員には特に幾つかのご助言を適時いただきまして、それを全面的に反映いたしました。
 この今回の試算の特徴といいますのは、1ページ目の図1−1にございますように、3つのモデルを併用しまして整合性をとって、より予測の精度を向上させたというところにございます。この3つのモデルといいますと、1つは技術選択モデルでございまして、どの程度の技術が導入されるか、それを予測いたしまして、この技術がどの程度導入されるかというのが予測の基礎になりまして、ここがしっかりしてないとなかなか予測の値に説得力がなくなるわけでございますので、今回の分析の非常に手堅い分析の基礎になったわけでございます。
 これとともに、一般均衡タイプのモデルを動かしまして、それの日本の経済部門間の相互作用を再現させまして、その結果、経済の影響がどのくらい出るかということ。さらに技術選択にどういうふうなフィードバックが起こるかということも見ました。
 それから、最後の1つのモデルは、世界全体の経済モデルでございまして、これは国際マーケットを勘案しまして、それとの相互作用を再現したもの。これによりまして国際競争力への影響というようなものも推計いたしました。これを3つ併せて相互の整合性をとったということが最大の特徴でございます。
 この分析のために新たに経済モデルを改良してもらいまして、きょうはその専門の研究者、隣にいます一般均衡モデルを担当した増井さんとか、そのさらに隣にいます、世界経済モデルを開発しました藤野さんにも来ていただいたんですけれども、ちょっときょうは時間ございませんので、私がまとめて結論だけ申し上げさせていただきます。
 ずっと全部飛ばしまして、一番最後のページを開いていただきまして、試算結果のまとめというのがございます。3つの異なるモデルを用いた、これを整合させた全体からどういうことが言えるかといいますと、4つの点が言えると思います。1つは、炭素税のみで地球温暖化推進大綱の達成計画を実現する場合には、単純な炭素税をかけますと、約1トン当たり4万5,000円の税率が必要である。これを補助金で還流する場合には、約3,400円ぐらいの税率で十分であるということでございます。なお、低い税率、この3,400円ぐらいの低い税率でもインセンティブ効果は認められるということでございまして、約2%ぐらいの削減効果はこれでもあるということでございます。これはかなり大きな効果でございます。
 3年前と違いますところは、単純炭素税、3年前はトン3万円と計算したんですけれども、今回は4万5,000円になったということですね。それから、補助金で還流する場合、3年前は3,000円といっていたのが、大体3,400円ぐらいになったということでございます。経済の成長がかなり低迷しておる中で税率は下がってもいいわけなんですが、なぜ税率が上がったかといいますと、まず目標値として置いたのが、3年前は大体ゼロ%、あるいは多少ゼロ%を超える、1990年レベルも少し大目ぐらいのところを目標に置いておったんですけれども、今回は2%減まで、すなわち大綱で言う革新的な技術を導入するというところまで勘案した目標を置いたということと、達成期間を2005年から一気に税を導入して達成していく。だから、こういうかなり大目の税率が必要になったということでございます。
 それから、2番目の結論は、我が国への経済影響でございますけれども、前回は大体0.3%ぐらいの経済ロスが生じるだろうと推定したのが、今回、税率が高いにもかかわらず、大体0.16、0.2%を切るという数字でございます。補助金導入の場合には0.06%ぐらいにとどまるということです。これはどこが変わったかといいますと、経済モデルが非常に現実的なメカニズムをうまく表現できるようになりまして、省エネ投資が経済をさらに活性化させる効果というものが非常にうまく表現できるようになりまして、ここの部分でかなり経済ロスが少なくなったということでございます。
 なお、きょうはご説明する時間ございませんけれども、失業者はどのくらいふえるか。今までの経済モデルというのは非常に単純にそこを見ておりましたものですから、失業者はふえるだろうというふうに推定していたんですけれども、今回、必ずしも失業者はふえない。むしろいろいろな分野の経済活動が活性化することによって、失業者はむしろふえるのがかなり出てくるというような結果が出ました。
 3番目、この税率というのは今後いろいろな条件が変わることによって、かなりまた変わってくるだろうということで、幾つかの感度分析をやったわけでございますけれども。経済成長率、それから原子力発電が入るか、どの程度入るか、これによって税率が変わってくるということなんですけれども、当初想定したものよりもそんなに変わらないというのが実感でございます。ただ、原子力発電所が1基どうなるかどうかということよりも、むしろ経済成長率によって今後税率が変わってくる可能性は大きいです。ですから、経済成長の度合いによりまして、一定期間で税率を見直すということも必要になってくるだろうというのが今回のモデルから得られた結果でございます。
 最後の結論、国際マーケットの影響を考慮した場合どうなるかといいますと、最も影響多く出てくると予想されるエネルギー集約産業で、平均的に見ますと、単純炭素税の場合でも生産額の減少というのは1.5%以下であったために、補助金を導入した場合にはもっとこれが少なくなると思われますので、国際競争力が影響が軽微であるというふうな結果が出ております。ただし、ごく一部の産業につきましては、確かに大きな影響が出ます。それは、先ほどありましたようないろいろな緩和措置もしなければならない特定のごく限られた業種はあります。
 それで、最後ちょっと、私のコメント少し長くなるんですけれども、このモデルに関して、佐和先生からラプラスの悪魔を描いているのではないだろうかと、こう言われるんですけれども。モデルも日進月歩いたしておりまして、できるだけラプラスの悪魔から逃れるモデルの設計をやっておりまして、そのためにある程度政府がすべてをわからなくても、効果で、すなわち、経済的インセンティブを補助金で出す方法というのは、すべての限界費用がわからなくてもそういうことが出せるような構造にもっていっております。
 それから、飯田委員から2円で果たしてこんなにインセンティブがわくのかということでございますけれども、2円導入すれば国民に向かって、これは少なくとも損にはならない、むしろ得になるよということをかなり宣伝することによって、そういった考えが入ってくるというふうなことが考えられます。これは、環境にいいということと、得になると。経済的にも得になるし、環境にもいいということで、例えばハイブリッドカーなんかは40万高くても環境にいいということだけで支払いますから、そういった環境プレミアムというのはすごく雰囲気って高まっております。ましてや、経済的に損をしないということであれば、それは入ってくる。これはある種のアナウンスメント効果を利用していかなきゃいけないので、やはり幾つかの広報活動もどうしても必要になってくるだろうと思いますけれども、そういうことはこのモデルから言えると思います。
 それから、最後に、奥野委員帰られたんですけれども、ピグー税では云々ということでございますけれども、ピグー税の非常にピュアな議論で論じられるんだったらこういうモデルもいらないわけでございまして。政策というのはむしろタフな形でどんどん日進月歩いたしておりまして、その中でやはり経済モデルの最先端が世界的に大きく動いている中で、やはりピグー税のピュアな議論ではとても耐えられないなということを実感しているのが私どもの経済モデル開発の現場にいる者の感想でございます。
 以上でございます。

○飯野委員長 はい、ありがとうございました。
 もしご質問ありましたら、ごく手短に。

○浅野委員 今の資料2の7ページのところに部門別の補助金額というのが出てくるわけですが。これはこのモデルを動かしたときの根拠になっているものという理解でいいわけですね。

○森田委員 はい、そうです。

○浅野委員 そうしますと、こちらの方は直接つながるとは言えませんけれども、資料1−1の対策のイメージとの関連が多少気にはなってるわけで、こちらの最初のところで前提で、低い税率で、しかし補助金を交えてやればこれでいけますというのは、このペーパーの2の方に出てきている話ですから、それとこちらの方の話とは、どこまでうまく合わせるかというのは難しいかもしれませんけれども、ある程度の共通項があるようにしておいていただいた方が話はわかりやすいなという気がしますが。このあたりでよろしくお願いします。

○飯野委員長 よろしいでしょうか。
 すみません、時間が過ぎてしまいましたので、本日の議論を踏まえまして、次回、8月18日月曜日午後に会合を予定しております。そこに専門委員会としての報告の案を提出いたしますので、またご議論いただきたいと考えております。
 さらに、その後、8月27日水曜日午後にも会合を開催し、そこで専門委員会としての報告をまとめたいと考えております。委員の皆様にはよろしくお願いをいたします。
 それでは、もう何か発言ございませんでしょうか。
 佐和先生、どうぞ。

○佐和委員 一、二分で。さっき寺西さんが大分大演説をなされたわけですけれども、私は理念というのはやはりなかなかこういうところには書きにくいと思うんですね。だけれども、一言で要約して言えば、要するに日本は自由主義国家であると、だから何かを禁止したり義務付けたりするような規制的措置は必要最小限にとどめるべきである。平たく言えば、そういうことだと思うんですよね。だから、こういう経済的措置をと。
 それから、他の税制との関連ですけれども、それを言いだしたらきりがないんですよね。私たち、自動車税のグリーン化の当時の運輸政策審議会にかかわったことがあるんですけれども、あのときも自動車諸税は非常に複雑だと、そこにまた燃費効率に比例して税金入れるのかというようなことになると、複雑なものをさらに複雑にするのかという議論になるわけですね。じゃあ、全部を見直して、完全に燃費効率ですべて保有税を決めればいいと、そういう一気にそういう単純なところまで簡素化するなんていうことは事実上不可能なわけですね。ですから、ここまでがまあいいところかなという感じがしますけれどもね。

○寺西委員 ちょっとご指摘があったので、私の真意を誤解されると困るので。私が申し上げたのは、もしこれをもとにしていろいろまとめるとすると、国民向けにまとめるときはやはりそういうメッセージでまとめた方がいい。もしこれを税調に持っていくとか、何とかって、やはりいろいろな書き方の工夫が必要だということが1つと。そのときに、こっちで書いてるのとこっちに書いてるのがゴチゴチじゃ困るので、全体を貫いているこの炭素税制に関するこの委員会の考え方のプリンシプルはどこにあるかということをやはり明確に出してほしい。私は前から言ってるんですけれども、既存の税かと財政がゆがんでいるんだと。それをまともにするんだと、環境の方から、という考え方をすべきではないか。
 森田さん、先ほど、きょう非常に興味深いことをちょっとおっしゃったので、炭素税でリッター当たり2円くらい入れて、そしていろいろな価格体系とか税体系をいろいろ組み換えてやると、温暖化対策も進むし国民も得するんだと。国民ももっと性能のいい機器の車とかというようなことがあるんだということをおっしゃられたけれども、それをリストにしていただきたいですね。こういうことをやるためにこの2円の負担がポジティブに効いてくるんだということをやはり国民的には具体性を持って説得的に示してほしいということですよね。このモデルからだけでは国民はわかりませんのでね。そういうことをもしやっていただけるならありがたいということです。
 佐和先生がおっしゃった点ですが、私は別に単純化しろと言ってるんじゃなくて、やはり我々が目指しているもの、つまり税とか財政に手をつけようとしている、そのつけ方の目指しているところは何なんだと。決して追加で炭素対策やるために、追加で財源が必要だからちょっとした財源欲しいんだということじゃないんでしょう。だから、その目指していることは何かということをやはりきちんとメッセージとして伝わるようにしないといけないということを申し上げたかっただけです。現実は私もそんな単純な議論で、この日本のいろいろな政策決定が動くとは思っていませんけれども。そこのところのプリンシプルだけ明確にしていただきたいということです。

○飯野委員長 ということだそうですので、できるだけ努力をいたします。
 それでは、きょうはどうも長い間、ありがとうございました。


午後 4時20分 閉会