■議事録一覧■

中央環境審議会 総合政策・地球環境合同部会
第6回地球温暖化対策税制専門委員会


  1. 開催日時 : 平成13年12月19日(水)10:00〜12:00

  2. 開催場所 : 東条インペリアルパレス 扇

  3. 出席委員 : 15委員
    飯野 靖四 委員長
    飯田 浩史 委員
    奥野 正寛 委員
    竹内 佐和子 委員
    寺西 俊一 委員
    森田 恒幸 委員
    安原 正 委員
    和気 洋子 委員

    天野 明弘 委員
    大塚 直 委員
    佐和 隆光 委員
    土屋 俊康 委員
    水野 忠恒 委員
    諸富 徹 委員
    横山 裕道 委員
  4. 議 題
    1. 温暖化対策税制に係る制度面の論点について(これまでの審議のとりまとめ)
    2. その他

  5. 配布資料
    資料我が国における温暖化対策税制に係る制度面の検討について(これまでの審議のとりまとめ案)
    参考資料1委員からご提出いただいた意見
    参考資料2スイスの「CO2排出削減に関する連邦法」(仮訳)
    参考資料3平成14年度環境省関係税制改正の結果について
    参考資料4政府税制調査会「平成14年度の税制改正に関する答申」

  6. 議 事

    午前10時00分開会

    ○飯野委員長 定刻となりましたので、ただいまから地球温暖化対策税制専門委員会第6回会合を開催いたします。
     さて、本専門委員会は、10月にスタートしましてから大変密度の濃いスケジュールで議論を進めてまいりましたけれども、本日が年内最後の会合ということになります。まだまだ検討は途上でありますけれども、これまでの議論を一応の区切りとして取りまとめたいと思います。本日の会議は12時までの予定でございますので、よろしくお願いいたします。
     では、事務局の方から資料の確認をお願いいたします。

    ○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきたいと思います。こちらのクリップでとめた資料を外して、ごらんいただければと思います。
     まず、表紙をおめくりいただきますと、次は議事次第、資料一覧になっておりまして、その次に2ヵ所でとめた厚めの冊子をつけてございます。「我が国における温暖化対策税制に係る制度面の検討について」ということで、これまでの審議の取りまとめの案でございます。その後に参考資料が4点ついてございます。まず前回以降委員からご提出いただいた意見、参考資料1。次に参考資料2といたしまして、前回天野委員の方から提出するようご指示がございました「スイスの「CO2排出削減に関する連邦法」(仮訳)」でございます。次に参考資料3といたしまして「平成14年度環境省関係税制改正の結果について」、最後に参考資料4といたしまして、先週12月14日に決定されました政府税制調査会の「平成14年度の税制改正に関する答申」でございます。
     以上でございます。

    ○飯野委員長 資料に不足がなければ早速議事を進めたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
     前回は取りまとめの骨子についていろいろご議論いただきまして、さまざまなご意見をいただきました。前回の議論やその後委員から書面でいただいたご意見を踏まえまして、これまでの審議の取りまとめとしてまとめていただきました。それでは、事務局から説明をお願いいたします。

    ○三好環境経済課長 それでは、資料に基づきましてご説明を差し上げたいと思います。
     1ページの目次をごらんいただければと思いますけれども、まず「はじめに」といたしまして、前回の議論でもございましたが、この段階で取りまとめることの意味づけといいますか、本専門委員会の検討の方向と今回の取りまとめの意味づけにつきまして書かせていただいております。その後、第1章といたしまして、これまでご議論いただきましたもののうち、諸外国における温暖化対策税制の状況と我が国における既存関連税制の概要をまとめております。その後、温暖化対策税制に係る制度面の論点整理ということで、ご議論いただいてきたものにつきまして取りまとめた上で、第3章といたしましては税制のオプションということでまとめておりまして、最後に「おわりに」ということで今後の課題をまとめております。
     それでは、早速内容に入らせていただきます。
     2ページから「はじめに」ということで始まっておりますけれども、大きな1番といたしまして「中央環境審議会における地球温暖化対策検討の経緯」、2番といたしまして「地球温暖化対策税制に係る検討の経緯」、環境税を初めとする経済的手法につきましての我が国での動向と、3ページに参りまして環境省あるいは環境庁時代からの検討の概要についてまとめております。
     その中で、3ページの中ほどに[1]から[3]ということでございますが、これまでの検討作業の結果としての成果といたしまして、税制の活用が自主的にみずからの消費や投資の行動を温室効果ガス排出の少ないものとするように促進する効率的な手法であることでありますとか、地球温暖化対策として一定の成果を期待し得ること、特にマクロ経済モデルを用いたシミュレーションの結果等を書いております。3番目といたしまして、税に係る主要な論点の析出とその整理をしたということでございますけれども、これまでの検討の中で、課税物件や課税標準、課税段階といいましたような税の制度面での検討、とりわけ我が国の既存関連税制との関係を整理した上で、我が国の実情に合った具体的な制度面の検討が十分になされていない状況にあったのではないかという状況認識を述べております。
     それから、平成12年7月に政府税調が公表した中期答申におきまして、引き続き幅広い観点から検討を行っていくとされていることにつきましてご紹介しております。
     以上、これまでの経緯をまとめました上で、3の「本専門委員会での検討について」[1]といたしまして、温暖化対策としての税制導入は、京都議定書締結の必須の前提として位置づけられるものではないが、かかる税制を導入することにより、より効率的に京都議定書の目標を達成できる可能性があることと、[2]といたしまして、京都議定書の目標を超えましてより長期的な温室効果ガス排出削減を視野に入れて、経済活動のルールを確立していく上で将来あり得べき制度の姿の提示が求められているのではないか、ということを課題としてまとめております。
     以上を踏まえまして、本専門委員会での検討といたしまして、「我が国の実情に合った温暖化対策税の制度面に重点に置き、我が国のエネルギーフローの実態や既存関連税制を含めた包括的なものになるよう配慮することとした」ということにいたしておりまして、特に前回ご議論ございました新しい税を入れるということのみならずといいますか、それと同じような意味で関連税制についても包括的に検討するということで、本専門委員会の名称も税制専門委員会としていることに言及いたしております。
     他方、ご議論ございました他の温暖化対策とのパッケージの観点につきましては、当面、当専門委員会での検討は税制としての基本事項を優先して、他の施策との組み合わせを想定した場合の課題を整理するにとどめたということにいたしております。
     そして、今回の取りまとめでございますけれども、これまで行いました会議の状況につきまして簡単に触れた上で、今まで申し上げましたような制度面に関して十分な検討がなされてこなかったことを踏まえまして、まず極力幅広く論点を俎上にのせることに重点を置かせていただきました。したがいまして、幾つかの論点につきましては意見が並列されておりますし、また提示されたオプションにつきましても、より具体的な精緻化と相互比較という作業が今後の課題となっていることについて述べております。
     以上が「はじめに」の概要でございます。引き続きまして委員名簿、検討経緯と参りまして、第1章「諸外国における温暖化対策税制及び我が国の既存関連税制」、7ページからでございます。諸外国の状況につきましては、第2回会合におきまして導入の状況、検討状況等につきまして事務局の方からご報告いたしまして、ご議論いただいたところでございます。
     ここにおきましては、炭素税タイプのものを導入いたしました北欧の代表としてのスウェーデン、既存税制を活用しているドイツ、京都メカニズム等との組み合わせに配慮した英国、さらに将来の税の導入をあらかじめ法定化してプログラムしておりますスイスの4ヵ国を取り上げて、内容を詳しく見ていくこととするということでございまして、以下7ページの下の方から(1)スウェーデン、(2)ドイツ、(3)イギリス、(4)スイスということで、その状況の概略を取りまとめて述べております。
     時間の関係で飛ばさせていただきまして、10ページでございますけれども、以上4ヵ国の特色ある事例を概観した上で、その他欧州諸国のケースも含めてということで、1番から8番まで8つのポイントをまとめさせていただいております。
     まず1番といたしまして、主要国はいずれも化石燃料あるいは電気を課税対象とする単段階の個別燃料・エネルギー税の形態をとっていることを挙げております。逆にいいますと、排出量に応じて直接課税するいわゆる排出税、あるいは多段階でかかってまいります消費税型温暖化対策税の実例はないということでございます。
     それから、課税対象もさまざまでございまして、化石燃料につきましては石炭・灯油が除外されている場合もあります。税率に関しましても、必ずしも炭素含有量に基づいたものとはなっていないものもございます。電気の扱いもさまざまであるということでございます。関連いたしまして、欧州では原子力発電も電力課税の対象になっていることに言及いたしております。
     3番といたしまして、これはアプローチでございますけれども、新たな税目として包括的な新税を導入するアプローチと、既存の燃料・エネルギー関連税を基本として、これの税率引き上げ等によって対応するアプローチと2つあることを述べております。
     4番といたしまして、いろいろな形での減免税が行われているということで、原材料として使用される場合でありますとか、エネルギー集約産業への配慮、あるいは地球温暖化対策を促進するという観点で再生可能エネルギー利用促進等の環境配慮の視点からの措置もあることを紹介いたしております。
     それから、この専門委員会でも何度かご議論ございました国境税調整につきましてでございますけれども、CO2削減を目的とした税制においてはこれまで事例が存在していないことを5として述べております。
     6といたしまして、英国は現に行われております、スイスは将来のプログラムということでございますけれども、政府と協定を締結するという協定締結のインセンティブを目的として減免税を講じるケースが登場してきていることを紹介いたしております。他方、税の負担者を選別する制度を支える制度面でのインフラとしてのインボイス方式の意味づけについて言及いたしております。
     7といたしまして、さまざまなやり方をしておりますけれども、いずれにいたしましても実際の税制面の対応といたしましては段階的な対応を行っている例が多いことを取りまとめております。
     8といたしまして税の使途でございますけれども、我が国のような特別会計と結びついた特定財源という意味での目的税はございませんで、基本的に一般財源に充当されているということでございますが、税収中立、社会的にという考え方あるいは社会的ニーズの強い社会保険負担・雇用コスト削減や、再生可能エネルギー促進策への支出に充てることを予算面でコミットしているケースがあることをまとめております。
     以上が諸外国の特徴として取りまとめましたポイントでございます。
     続きまして、11ページ、「2 我が国における既存関連税制の概要」ということでございますけれども、海外の事例を念頭に化石燃料、エネルギー課税のあり方を温暖化対策の観点から検討していく上で、我が国の既存税制との関連を理解することは不可欠であるということで取りまとめております。
     (1)は「我が国におけるエネルギーフローとCO2排出状況」ということで、基本的にデータを中心に、エネルギーフローがどういうふうになっていくかを取りまとめているものでございます。
     (2)は「既存の関連税制」ということで、その特色をまとめております。
     まず、エネルギーフローの特色を反映してということで、輸入段階・保税地域からの引取の段階で課税される石油税と、精製後の個別の石油製品といいますか、そういう段階で課税される揮発油税とに二分されることを述べた上で、それぞれ原油でございますとか、あるいは石炭、天然ガス、電気といったものにつきまして、どういう税が既存税として存在しているかということについて概観いたしております。
     既存関連税制の特色と温暖化対策税制の構築を検討する上での留意点を取りまとめるという観点で、5点取りまとめております。
     1点目といたしまして、我が国におきましては石油についてはほぼ全量輸入しているということで、引取段階の上流と燃料種別に区分された後の下流に大別される。
     石炭については、以上の上流、下流のいずれの段階においても課税されていないことを述べております。
     3番といたしまして、下流の中では石油製品の種別の課税状況を見ても、重油・灯油等に課税されていない。炭素含有量という観点から見ますと、ガソリンと軽油を比較すれば軽油が低くなっているという傾斜といいますか、格差が存在している。
     電気につきましては、既に電源開発促進税が課税されているということでございますけれども、電気課税を導入するケースはもちろんでございますが、化石燃料課税を検討する場合にもこの税との調整を検討する必要があるということを述べております。
     それから、既存税の中に、例えば石油税につきましては、原材料として使用される場合の免税でございますとか特定用途免税ということが講じられており、温暖化対策税においても同様の措置が考えられる。ただし、欧州型のインボイス方式の付加価値税が存在しないということで、特定の者を選択的に扱う制度面の執行には一定の限界があるのではないか、ということをまとめとして述べております。
     以上が既存税制のレビューのまとめでございます。
     2章以下は、ご議論いただきましたことにつきまして、先ほど申し上げましたように各委員から書面でいただいた場合もございますし、この委員会でご発言いただいた場合もございますし、個別にご連絡いただいたものもございますけれども、重要となる項目ごとにできるだけ俎上にのせるという観点で取りまとめたものでございます。
     まず1といたしまして税の目的でございますが、前回もかなりご議論ございましたところですけれども、旧来の課税原則とされております税収確保・公平・中立・簡素という観点について温暖化対策税をどのように位置づけるかということでございます。
     2つ目の丸、既存の租税特別措置や税制のグリーン化、あるいは先ほどご紹介いたしました諸外国における動向にかんがみれば、温暖化対策税制も広い意味での税制度と言えるという考え方が大勢ではなかったかというふうに考えているところでございます。
     それから、PPPとの関係でも前回ご議論があったところでございますけれども、汚染者に対して環境への負荷といった外部不経済の内部化を図る手法としてのPPPなのか、あるいは法的責任としてのPPPなのか、そういう内容を明確にした上で議論する必要があるだろうというご意見がございましたので、その旨紹介いたしております。
     それから、税ということがもし仮になじまないのであれば、課徴金あるいは負担金として構成することを検討すべきではないかというご意見がありましたので、これをご紹介いたしております。これに対して、政策目的に照らして罰則的な性格を持つ課徴金はなじまないのではないかというご意見もございましたので、あわせて紹介いたしております。
     続きまして、2番の税の制度ということでございますけれども、税の制度を設計していく上で必要な項目を整理したということでございます。
     ここでの検討におきましては、先ほど申し上げました新税という形で導入する場合と既存税を活用して調整するという2つのアプローチが考えられるわけでございますが、この章の取りまとめの観点は、新税導入アプローチでやった方が幾つかの問題がはっきりと現れるだろうということで、それを中心に整理いたしております。これは後ほどオプションのところでもあらためて出てまいりますけれども、この段階では新税導入アプローチを優先する意図はない。これは前回もご議論がございましたので、まとめの方法論ですが、その趣旨を明らかにしたところでございます。
     個々の課税段階等の議論に入ります前に、まず制度の検討に当たってということで、化石燃料に対して課税するのか、あるいはCO2の排出そのものをとらえて課税するのかというご議論がございましたので、その点につきまして若干の取りまとめを行っております。
     丸の後半の部分でございますけれども、すべての排出を把握しようということになれば、それは非常に大きなコストがかかるということがあり、実施に当たっての課題が多いのではないかという意見があったわけでございますけれども、他方、それに関しては、大口排出者については排出税、あるいは小規模なものについては化石燃料課税で対処する制度が考えられるのではないかというご意見もございました。
     以上のような議論を踏まえますと、少なくとも主要な個別企業ごとにCO2の排出を的確にモニタリングして、その結果を検証する制度を整えることが重要であるということでございますけれども、現時点におきまして諸外国の例はございませんし、モニタリングする制度も確立しておりませんので、この専門委員会の検討では、いわゆる化石燃料課税を中心に検討するということにしたところでございます。
     なお、注といたしまして、OECDで排出税(直接課税)と化石燃料課税(間接課税)につきましての見解がまとめられておりましたので、ご紹介させていただいているところでございます。
     引き続きまして、課税段階以下、個々の項目につきましての検討でございますが、これまでご議論いただいておりました項目立てにつきましては大きく変わっておりません。
     まず上流と下流ということで分けて取り扱うことといたしておりまして、それぞれにつきまして、17ページの一番最初の丸でございますけれども、上流と下流に大別した上で検討するということをしておりますが、何を課税対象とするか、だれを最終的な負担者と想定するか、納税義務者をどう設定するかについて吟味していこうということでございます。
     なお、上流、下流につきまして若干議論が混乱する場面がございましたので、念のためでございますけれども、ここで申し上げております上流、下流といいますのは、あくまでも化石燃料に関しての上流、下流であるということで、例えば化石燃料を使って製品を製造する企業は、製品に関しましては上流という見方もできるわけですけれども、ここの整理では、あくまでも化石燃料を使用するという意味で下流に当たるということで整理いたしております。ただ、石炭や天然ガスに関しましては、石油とルートが異なりますので、単純に上流、下流の区分になじまないものがあることにつきましてはこれまでもご説明してきたところでございます。
     以上、上流、下流ということで幾つかの観点を整理してまいりますけれども、まず簡素という観点からは、取扱事業者の数が限定される上流課税が望ましいという見方と、逆にいいますと、最終消費に近い段階で課税する下流課税は簡素な制度でなくなるという一般的なことが申し上げられるわけですが、他方、既存税制を活用するということを考えれば、上流、下流いずれであっても対応の容易さにおいて大きな問題とはならないのではないかというご意見がございました。
     それから、実際にCO2の排出が削減されるということを考えますと、CO2排出者に確実に税負担が転嫁されていくことが必要といいますか、望ましいわけでございますけれども、そういう観点から見ると、化石燃料の消費者・使用者を念頭に置いて、きめ細かく課税することができる下流課税が望ましいのではないかというご意見がございました。これにつきましても幾つかご議論がございましたけれども、そういう詳細な情報がない場合にもある一定の効果を得られる税という政策手法のメリットの観点でありますとか、あるいは十分な情報に基づかない場合の公平性の問題についてのご意見がございますので、紹介いたしております。これに関連いたしまして、大口に絞ってやるという考え方もできるのではないかというご意見もございましたので、それをご紹介いたしております。
     関連いたしまして、税負担の転嫁と帰着ということでございますが、基本的には化石燃料の市場の状況、代表的なものは競争条件だと思いますが、そういうものに依拠するわけでございまして、一概に転嫁の程度を論ずることはできないわけでございます。したがいまして、化石燃料市場の状況についての詳細な分析が必要となろうということでございますが、一般的に申しまして、上流課税の場合は、石油製品に分化される前でございますので、価格弾力性に応じて炭素含有量とは無関係に転嫁されることが考えられますので、炭素含有量が大きい燃料であっても、価格弾力性も大きいために転嫁割合が小さいといった状況を回避する観点から、下流が望ましいのではないかというご意見がございました。
     それから、多段階で課税している現行消費税を活用することも考えられるのではないかというご意見がございました。
     今までは化石燃料でございますけれども、電力課税の扱いについてのご議論といたしまして、ここにございます[1]から[2]、すなわち発電燃料に課税して電力消費には課税しない、発電燃料は非課税にして電力消費は課税する、それから双方に課税する、3通り考えられるということで、これまでのご意見を踏まえまして、[1]の場合は電気事業者に発電用燃料転換のインセンティブを与えることに重点が置かれていて、[2]は電力消費者に電力消費削減のインセンディブを与えることがあるのではないかということでございます。[1][2]の両方のねらいのバランスをとろうとする[3]につきましては、諸外国においても例が少ないということでございます。
     最後に2点、民生・運輸部門対策の促進に効果のある課税段階とすることが望ましいということでありますとか、あるいは個人のライフスタイルの変革に効果があるものが望ましいというご指摘がございました。
     (2)といたしまして課税対象でございます。ここは(1)の整理を踏まえまして化石燃料及び電力について検討を行っておりますが、包括的に課税するアプローチと、個別燃料ごとにその実情に応じて課税の要否や水準を検討するアプローチをとるか、2つのアプローチがあり得ることを挙げさせていただいております。
     そうした上で、個別燃料ごとに検討する場合といたしまして、現在課税されておりません石炭の問題でありますとか、あるいは課税の状況がさまざまでございますから、原油あるいは各種石油燃料についてどのように扱うか。それから、石油系ではございませんけれども、天然ガスにつきまして下流で個別課税が行われておりませんので、どう扱うかという論点があるだろうということでございます。
     このうち石炭につきましては、もはや石炭産業はほとんど存在しないということで、先進各国の中で温暖化対策をやりやすい国の一つではないかというご意見がございましたのので、ご紹介させていただいております。
     それから、化石資源の用途が燃料ではなくて原料である場合にどういう対応をするかについても論点として挙げております。
     以上が課税対象をめぐります論点でございまして、その他の制度上の検討項目といたしまして、まず課税標準・税率といたしまして、従量税とするか従価税とするかということでございますが、CO2排出削減という観点からは従価税というのは目的にそぐわないのではないか、諸外国にも例がないということをご紹介いたしております。
     それから、法定外税として地方公共団体ごとに独自に導入するというより、全国一律の形で国税または地方税とすることが望ましいであろうというご意見でございました。ただ、国税とした場合でも、税収を地方自治体が使うということが考えられるのではないかというご意見があったことを紹介いたしております。
     (4)といたしまして、今まで述べました(1)から(3)の項目につきまして、既存税制の現状を踏まえて検討を進めることが必要ということで、さまざまなアプローチがあるわけでございますけれども、そのアプローチごとに既存税とどういう形で調整しているかにつきまして、スイス、ドイツ、オランダ、英国等の例を引きまして(4)の中でご紹介いたしております。
     3番といたしまして「税による諸影響の緩和等について」、税の導入に伴う諸影響の緩和が(1)でございます。このことにつきましても幾つかご議論がございました。
     まず、ミクロレベルでは温暖化対策の導入はウイナーインダストリーとルーザーインダストリーに分かつことは避けがたいということで、その中で後者のロスを最小限に食いとめるための適切な政策措置について検討すべきというご意見がございました。
     それから、税制度の中での諸影響の緩和措置といたしまして、燃料種別、燃料の特定用途別、納税義務者別、税負担者別の区分に応じた税の減免を行うことが考えられるということが[1]でございます。
     [2]といたしまして、マクロ経済への影響という観点からは、国全体の税収の中立化を図るということでございます。これに関しまして、温暖化対策税の導入は政府への所得移転をもたらしますけれども、所得を適切に支出するならば経済成長率が鈍化するわけではないというご意見がございましたので、それにつきまして言及いたしているところでございます。
     それから、国際競争力への配慮からの緩和措置といたしまして、国境税調整のご議論がございますので、ここで簡単に取りまとめております。これまでご議論ございましたとおり、執行が難しいという問題でありますとか、WTOとの関係で問題があるのではないか、あるいはWTOとの整合性について働きかけていくべきではないかというご議論がございましたので、ここに取りまとめております。
     それから、税という形での還元ではないわけですけれども、税収を補助金等の形で民間部門に還元するという財政的措置を講じたことによって温暖化対策税の影響緩和措置になることが考えられるのではないかということでございますが、いずれにいたしましても影響緩和措置全体を通じまして、所期のCO2排出削減効果を損うことがないように慎重に考えていくべきであるというご意見がございました。
     (2)は環境政策との整合性でございますが、これにつきましては温暖化対策を促進するという観点でさまざまな減免税が行われるということで、諸外国の例につきまして言及しているところでございます。
     4「その他の論点」といたしまして、他の温暖化対策との組み合わせですが、これは冒頭「はじめに」のところで申し上げましたが、これまでの取りまとめということでは、まず税本来の仕組みについて検討してきたということでございます。逆にいいますと、他政策との組み合わせの可能性につきましては、正面から議論いたしておりませんが、幾つかの組み合わせの例を挙げた上で、例えばということで、[3]の排出量取引に関しまして、多数の主体が参加することが望ましいということであれば下流課税が望ましいとか、あるいは[2]の協定ということを考えた場合、細かい減免措置を行おうとした場合には、インボイス制度が存在しない我が国の現状においては、上流で課税したものを下流で還付することは容易ではないということで、そういう組み合わせの対象といいますか、組み合わせの相手方の施策との関係で、必要な項目につきましてさまざまな検討事項があるのではないかということをご紹介いたしております。
     その他といたしまして、税収の使途につきましては、これまで集中的なご議論をいただいておらないわけですけれども、議論の仕方といたしまして、一たん切り離して議論するか、あるいはあらかじめ温暖化対策に充当するとしないと国民の理解が得られないのではないかというご意見がございました。
     さらに、欧州等で現実に行われております二重の配当論が参考になるのではないかというご意見がございました。
     それから、温暖化対策としては必ずしも整合的でない他分野の政策との調整関係、例えばエネルギーセキュリティーの観点からの石炭の位置づけと温暖化対策とをどういうふうに考えていくかにつきまして論点としてあるだろうということでございます。
     導入に際してのアプローチといたしましては、これも先ほど少し触れさせていただきましたが、できるだけ早期に導入することが小さなコストで対応することとなる一方で、段階的なアプローチあるいは柔軟なアプローチ、その2つがあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても段階的に引き上げていくことを織り込むことにおきまして、急激に大きな影響を与えないことを旨とする激変緩和と、各経済主体に計画的な温暖化対策を促進する効果をねらうことでありますとか、あるいはCO2の排出状況を見ながら、そのレビューを踏まえて柔軟に導入していく考え方があるということを整理したものでございます。
     参考といたしまして、これまでの既存税制につきまして、一体どういう分野について税がかかっているかということを見やすくするために絵の形で整理したものでございます。
     第3章「論点整理に基づく税制のオプション」でございます。
     まず、オプションを設定する際のアプローチといたしまして、化石燃料につきまして以下の項目における選択肢を組み合わせていくということで、1)といたしまして課税対象、2)といたしまして課税段階を挙げております。
     アプローチといたしましては、制度整備の導入プロセスや実施面での対応の容易さが異なってくるであろうということで、すべての化石燃料に対して包括的な新税を課税するアプローチと既存税を活用するアプローチでございます。[2]の場合にも幾つかの派生的な選択肢を設定し得るというふうに考えております。
     それから、これまで述べてまいりました上流、下流という区分でございまして、それを簡単に図示いたしますと、上流、下流とアプローチの2つの違いで4つの象限が出てまいりまして、今回の取りまとめは先ほどご説明いたしました1)、2)の基本的区分に基づくものにとどまっておりますけれども、今後は、3)に挙げております項目にも留意しながら、具体的なオプションを設定していくことが考えられるということにしております。
     それから、電力でございますけれども、第2章で述べましたとおり、[1]から[3]につきまして3つのパターンが考えられるということを述べております。
     それから、前回のご議論を踏まえまして一回整理したものと評価の項目との関係がわかりにくいということがございましたので、2といたしまして、これまで整理いたしておりました課税原則の観点からの評価でありますとか、あるいは(2)といたしまして政策目的の観点からの評価につきましては、こちらのオプションの評価をしていく際の項目という形で改めて整理する形をとらせていただいております。
     (1)は課税原則の観点からの評価でございますけれども、[1][2][3]、公平、中立、簡素という観点がございますが、公平におきましては、特に温暖化対策という観点から、あるいはCO2の排出を削減していくという目的の観点から、旧来の水平的公平、垂直的公平という課税原則による公平以外に、ここにまとめておりますような新しい公平の考え方を考慮すべきではないかというご意見がありましたので、ご紹介いたしております。
     中立でございますけれども、温暖化対策税はCO2排出削減という政策目的により経済活動に一定の変更を加えるために課税するということでございますので、そういう意味で中立な課税とはもともとならないわけでございますが、そういう場合であっても、マクロ経済への影響とか、産業分野・企業別への影響につきまして対応していく必要があるし、また対応する余地もあるのではないかということでございます。
     簡素は、制度のわかりやすさ、実施面での対応の容易さということでございます。
     (2)は政策目的の観点からの評価ということでございます。これは、つづめて申し上げれば、CO2排出に伴う外部不経済を前提として、その内部化を図るという政策目的が効率的に達成できる制度かどうかということでございます。その観点から評価する必要があるということですが、CO2の評価に当たりまして短期的な化石燃料の需要抑制効果と価格弾力性の問題でございますが、短期的なものと長期的な技術革新のインセンティブや、技術開発・燃料転換による効果、両方考慮する必要があり、長期の価格弾力性は短期の価格弾力性よりも大きくなるということで、米国の例を注として挙げさせていただいております。
     以上を踏まえまして、温暖化対策税制のオプションということで、先ほど図の形でごらんいただいたわけですが、オプションIからIVまでに分けております。
     オプションIは、上流ですべての化石燃料を対象とする包括的な新税であります。上流で課税されている既存税としては石油税がございますので、調整の要否については検討の対象となるということでございます。
     オプションIIは、上流で既存の石油税率を適切な水準とするということでございますけれども、既存税の対象外、石炭について考える必要があるということでございます。
     以下オプションIII、オプションIVということで整理いたしております。
     各オプションについての評価ということでございますが、今回は課税対象、課税段階のみに着目して設定したオプションに対する評価でございますので、評価項目も課税原則の一つである簡素と効率的なCO2排出削減といったものに限られております。したがいまして、今後、公平等ほかの重要な評価項目に照らした検討をさらに具体的なオプションを設定して行っていく必要があることを述べた上で、1)といたしまして簡素という観点からの評価、2)といたしましてCO2排出削減等の観点からの評価ということで整理いたしております。
     まず1)、税制のわかりやすさということでございますが、オプションII、IVは、既存税の法体系を活用し得るという点でわかりやすいということですが、既存税の対象外の燃料等に課税を行う場合には制度構築の対応が必要となる、行わない場合はCO2排出削減のための税制としての意味合いが異なってくるということでございます。
     実施面での対応の容易さでございますが、既存税を活用することはもちろんですが、新しい税を導入するものでも、既存税の実施体制を活用し得るというふうに制度化すれば差はなくなるのではないかということです。ただ、取引の把握の容易さという観点、あるいは税務当局、納税者の負担という観点からは、特に既存税の対象外に課税する場合には上流の方が優れているということがいえるのではないかという整理でございます。
     CO2排出削減の観点からでございますが、実際にCO2排出削減を行う主体に税負担が帰着することが望ましいということでございますが、先ほど申し上げましたように、市場の競争条件等に依拠するわけでございます。一般論といたしましては、上流より下流における課税の方が最終的に税負担が帰着する度合いが大きくなるだろうということを述べております。
     それから、諸影響の緩和措置とのなじみやすさの観点、きめ細かくやっていくという観点では、下流のオプションが優れているということ、自主協定や排出量取引といった組み合わせの容易さにつきまして、個別業種や事業者ごとの税負担が明らかになっているためには下流課税が優れているということでございます。ただ、確実な税負担の転嫁状況を把握できるインボイス制度が導入されれば、上流課税の課題も克服される可能性があるということでございます。
     以上を取りまとめまして、CO2の効率的な排出削減、諸影響の緩和措置となじみやすさ、他の温暖化対策との組み合わせの観点から、下流課税であるオプションIII、IVということでございます。さらに、両者を比べれば、税のわかりやすさから既存税制を活用するIVが優れているということでございますが、既存税の対象外の取り扱いが残るということでございます。一方、上流課税であるオプションI、IIにつきましては、既存税の対象外の燃料等への対応しやすさの観点から優れているのではないかという整理をいたしております。
     電力につきましては、何度も申し上げております3つの区分がございますが、CO2排出の少ない電源構成とする効果を重視すれば[1]、電力消費者における対策促進効果を重視すれば[2]が優れているということがございましたので、そういうふうな整理をいたしているところでございます。
     以上が第3章でございまして、最後に「おわりに」といたしまして、「はじめに」で申し上げましたことでございますが、これまでのまとめは、あくまでも開始されたばかりの議論の一区切りで、検討に必要な項目の整理にとどまっているということでございまして、中ほどに3つほど掲げておりますけれども、意見が併記されておりますものにつきまして、その方向づけや優先順位をつけていくための議論の深化でありますとか、さらに具体的なオプションの設定でありますとか、あるいはこれから具体的な制度構築が進む他の温暖化対策としての組み合わせのあり方の検討というものが主な課題として考えられるのではないかと考えております。
     他方で、税収や経済面での導入インパクトに関する計量分析を含めたオプションの数量的な評価を行うことも考えられるということでございまして、「はじめに」で述べたとおり、温暖化対策税は効率的に対策を進める手法として期待される一方で、慎重に対応すべきという意見がございますので、広範な関係者を巻き込んだ国民的な議論が行われることが不可欠であるということを述べております。
     最後に、12月14日に政府税制調査会が行った平成14年度税制改正に関する答申においての温暖化問題につきましての言及について簡単に要約して、ご紹介させていただいております。これは、特にご説明いたしませんけれども、参考資料4の16ページに書かれているものでございます。そういうことも踏まえました上で、本専門委員会としては来年以降も検討を継続していくことを述べさせていただいております。
     ちょっと長くなりましが、私からの説明は以上でございます。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。
     続きまして、書面でご意見を提出していただきました佐和委員と奥野委員から簡単にご説明をお願いいたします。まず佐和委員からお願いします。

    ○佐和委員 それでは、かなり長いレジュメでございますが、今のご報告の中でオープンクエスチョンとされている問題点なり論点が幾つかあったかと思いますので、それに対する私の考え方を――別に意識してまとめたわけではないんですが――まとめたものだというふうにご理解いただければいいかと思います。
     順々に見ていきますと、まず温暖化対策としてどんな対策が考えられるのかといいますと、おおむね自主的取り組み、規制的措置、経済的措置、この3つに分けるというのが従来型の分類のようでございます。私の意見といたしましては、市場を尊重する立場に立つならば経済的措置が優先されてしかるべきであるということです。特に日本は統制経済の国ではなくて市場経済体制の国でございますから、経済的措置を主として、足らずを規制的措置で補うというのが真っ当な温暖化対策である。
     しかし、自主的取り組みということに対しても一定の評価を与えております。どういうことかといいますと、アマルティア・センというインド人の経済学者がおりますが、彼によりますと、企業の行動規範あるいは個人の行動規範もそうですけれども、単に利潤極大化あるいは効用極大化に尽きるわけではなくて、コミットメントとシンパシーというのも利潤極大化にまさるとも劣らぬ行動規範である。そういう意味では、経済団体連合会等が唱えていらっしゃる自主的取り組みには敬意を表すべきである。
     しかしながら、コミットメントやシンパシーを利潤極大化に優先させることができるのはおおむね大企業に限られるのではないか、中小企業の場合はそれどころではないということです。したがって、自主的取り組みを中小企業あるいは個人に対して促すための経済的措置がどうしても必要ではないか。つまり、経団連のように「自主的取り組みをやるからほうっておいてくれ、政府は何もするな」という意見は私は賛同しかねるということでございます。
     それから、過去の趨勢をざっと見ますと、80年代後半から90年前半にかけまして民生部門のCO2排出量が著増しておりますが、それはエアコンを初めとする電力多消費型の家電製品がこの間急速に普及したからであります。また、ご承知のとおり、待機電力消費つき家電製品の普及もこの間に大変進みました。そして家電製品の大型化も進んだ。そういうことの結果として、80年代後半から90年代前半にかけまして民生部門のCO2排出量が激増いたしております。運輸部門も同時期に著増いたしておりますが、それは乗用車の大型化、いわゆる3ナンバーの高級車の普及、RVの普及などがその原因として挙げられるのではないかということでございます。
     しかし、私の見るところ、近年といいますか、90年代後半以降、こういった電力多消費型家電製品の普及とか燃費効率の悪化というのは飽和状態に達しつつあるのではないかというふうに見ております。省エネ法による機器の効率向上が期待されること、そしてシーマ現象からヴィッツ現象へという言い方がなされるようでございますが、要するに小型車へのシフトです。そういう点を考慮に入れますと、従来の温暖化対策推進大綱の中に盛り込まれておりますような、いわゆるビジネス・アズ・ユージュアルの予測というのは過大にすぎるではないか。つまり、単にGDPの成長率はかくかくしかじかであろう、GDP弾性値はかくかくしかじか、それを掛け算してこのぐらいの率で伸びるといった予測の仕方は余りにもナイーブにすぎるのではないか。
     それから、インフォメーション・テクノロジーがエネルギー消費をふやすのか減らすのかということについても十分な検討を要するでしょう。実際、97年度と98年度と2年間続けてCO2排出量が減少いたしましたが、これは、もちろん経済成長率がマイナスだったことも一因ではございますが、飽和現象の影響も読み取れるのではないかということでございます。
     今後10年あるいは20年先を考えるときには、産業構造の転換ということも見落とすべきではない。数字を挙げますと、85年のGDPに占める製造業の比率は29.5%だったのが97年には24.3%まで低下しております。また、製造業に占めるエネルギー多消費型産業の比率は24.3%から16.5%にまで低下しております。この趨勢は今後も続くというふうに私は予想いたします。京都議定書の第1コミットメントピリオドである2010年前後には、製造業のGDPに占める比率は恐らく欧米先進国並みといいますか、20%前後にまで低下するものと予想されます。その結果、GDP当たりのCO2排出量は漸次低減するであろう。
     それから、生産拠点の海外移転が今後進むでしょうけれども、そのことも製造業のGDP比率低下の一因になるものと予想されます。これは、今、中国の問題が取りざたされているようでございますが、こういった生産拠点の海外移転に伴う産業構造の転換は、産業の空洞化というふうな言われ方もいたしますが、これは先進国に共通する現象でございまして、別に日本だけが中国のせいでそういうことが起こっているわけでは必ずしもないことを強調しておきたいと思います。
     こういった産業構造の転換は日本の経済構造の一つのトレンドといいますか、潮の流れというふうにみなした上で、そういった潮の流れにどのように適応させていくか、これが適切な産業政策ではないかというふうに私は考えております。
     過去の日本経済の歴史をひも解いてみますと、制約と不足が経済発展や経済成長の原動力として働いた事例を数多く見出すことができます。そういう意味で、京都議定書に基づくCO2排出削減は新たな経済発展のバネ仕掛けとして働く可能性があり得るし、そうしたバネ仕掛けを円滑に働かせることが政府の果たすべき役割だというふうに私は考えております。
     以上見ましたとおり、6%の温室効果ガス排出削減は決して不可能なことを要求しているわけではなくて、適切な対策を速やかに講じることによって、この目標は国内対策によって十分達成可能な範囲内にあるというふうに私は見ております。
     さらに、いわゆるクリーン開発メカニズムを有効に活用することによって相対的に安い費用でCO2排出クレジットを入手できるわけですから、国内での排出削減に不必要に高い費用を支払うことなく、費用対効果にかんがみつつ、国内対策とCDMの適切な組み合わせを目指すべきではないでしょうか。
     仮に目標が達成されなかった場合、先ほども強調いたしましたように、我が国は統制経済の国ではございませんから、数値目標達成の見込みが外れることは十分あり得るわけですが、その場合には排出権取引により埋め合わせすることができるということが京都議定書によって担保されているわけでございます。
     次に、地球温暖化対策の経済影響についての私の考えを申し上げたいと思います。
     北西ヨーロッパの5つの国は1990年代初頭に炭素税を導入いたしております。ドイツがやや変則的な炭素税を99年に導入し、イギリスは今年というふうに、既にヨーロッパでは多くの国で導入がなされておるわけでございますが、いずれの国も増減税同額を原則としているように見受けられます。
     よく炭素税制を導入すると経済成長率が低下するということが言われますし、またマクロモデルを用いてのシミュレーション結果というのは、おおむね経済成長率が多かれ少ななかれ低下するようなシミュレーション結果が示されておりますが、それは単にモデルがそういっているだけであって、モデルのいうことは決して普遍的な結論ではないというふうに思っております。CO2排出削減に費用がかかるのは否定しがたい事実ではございますが、だからといってその結果、マクロの経済成長率が低下するわけではございません。
     ところが、発展途上国におきましては、排出削減に要する、あるいは環境対策一般についていえることですが、そのために必要な設備投資と生産力増強のための設備投資とは相互にトレードオフの関係にございます。環境投資が政府によって企業に対して強制されれば、中期的には生産力増強のための設備投資が抑制されることになるわけですから、その結果、潜在的な経済成長率は低下するといわざるを得ないわけです。
     今日の日本のような成熟化いたしました先進国におきましては、ご承知のとおり多くの産業が過剰設備を抱えており、しかも設備投資自体が往年に比べてIT化といいますか、軽薄短小化しているため、CO2排出削減のための設備投資は、相対的には重厚長大な設備投資が多いわけですから、結果的に経済成長に対してプラスの効果を持つ傾きの方がむしろ強いというべきではないでしょうか。
     97年、ちょうど京都会議の数ヵ月前でございますが、アメリカのDRI(データ・リソース・インスティテュート)という有名な研究所が行いましたシミュレーションによりますと、炭素税制を導入いたしますと、当初、内需の減少によりGDPは減少するけれども、四、五年後には財政赤字が削減され、金利が低下し、設備投資や個人住宅投資が増加するといったメカニズムが働く結果、GDPはビジネス・アズ・ユージュアルに比べてかえって増加するというシミュレーション結果を得ております。
     結局、炭素税制の導入というのは、消費者と企業から政府への所得移転をもたらすだけであって、政府が移転された所得の使い道を誤らない限り、それによって経済成長率が必ずしも鈍化するわけではございません。あるいは、増減税同額(税収中立)の原則にのっとって炭素税収に等しいだけの個人所得税減税を行えば、結果として炭素税による個人消費支出の減少と所得税減税による消費支出の増加を合算したものがプラスなのかマイナスなのかということは予見しがたいことでございますが、経済のさまざまなパラメーターに依存するわけです。いずれにせよ、増減の幅は微々たるものにとどまると見てよいのではないでしょうか。
     炭素税は二酸化炭素排出量を本当に減らすのか、こういう疑問がせんだっての経済団体連合会のヒアリングでも出されておりました。それについては次のように答えるべきではないでしょうか。
     炭素税制の導入に反対する向きは、その有効性に対して疑義を呈するようであります。確かに電力・ガス・ガソリンはいずれも生活必需品であって、ゆえに需要の価格弾力性は乏しい。しかしながら、それはあくまでも短期の話であって、中期的な効果のいかんは別である。例えば、ガソリン価格が上昇した場合、それに応じてガソリン需要の減少は軽微にとどまるであろうことは間違いないことではございますが、3年ないし6年後に自動車を買いかえる際に低燃費車への志向が高まるはずだから、中期的にはガソリン需要は価格に対して十分弾力的なはずであります。先ほどの報告書の中にアメリカの例もございました。
     経団連のヒアリングの中で示されたガソリン価格とガソリン消費、電力価格と電力消費の時系列の折れ線グラフを見せて、価格が上がったにもかかわらず消費が減ってないじゃないか、したがって価格弾力性は小さいと言うのは、経済学のABCをわきまえない暴論と言わざるを得ません。なぜなら、ガソリンや電力需要を定める要因といたしましては、価格だけではなく、所得、機器の大型化・省エネ化、ライフスタイルの進化などが挙げられます。価格以外の要因の影響を取り除いた上での消費量の変動が価格と逆相関の関係にあれば先の所説は裏づけ得るわけでございますが、電力価格と電力消費の時系列の折れ線グラフを見せただけで減ってないじゃないかというのは、単相関と偏相関を混合するという統計学の初歩的な誤りの典型例でございます。
     次に、炭素税の問題点と副次的効果について述べさせていただきます。
     炭素税制の導入に当たっての問題点の一つは、税収を一般財源に繰り入れるべきか、特定財源とするべきか、増減税同額とするべきかでございます。財政当局としては当然一般財源に繰り入れたい、温暖化対策関連官庁は特定財源とすべきであるとおっしゃる、そして経済学者の多くは税のグリーン化という観点から増減税同額、つまり税収中立を支持する傾きが強いというふうに見受けられます。
     化石燃料への課税がエネルギー多消費型輸出産業の生産コストを上昇させ、それらの国際競争力を損う可能性は十分あり得ます。そのための手当てといたしましては、例えば鉄鋼を輸出する際に水際で炭素税を払い戻し、鉄鋼を輸入する際、例えば韓国から輸入する際に水際で課税するという国境措置(ボーダー・メジャーズ)を講じることにより影響を緩和することができるのではないでしょうか。実際、アメリカでそういった前例もございます。あるいは、スウェーデンに倣ってエネルギー多消費型産業に対する炭素税免税措置を講じればよいのではないでしょうか。
     炭素税制導入等による温暖化対策の推進が技術革新のインセンティブを仕掛ける効果を見落とすべきではないというように私は考えております。CO2排出量の少ない代替燃料、低燃費車等の研究開発競争が激化することは確実ですから、京都議定書は産業界に新しい研究開発を促す契機を提供したことになるというふうにいえるのではないでしょうか。
     炭素税導入等の温暖化対策の推進は、先ほど報告書の中にもそういう文言がございましたが、産業をウイナーインダストリーとルーザーインダストリーに分かつことは避けがたい、ルーザーインダストリーのロスを最小限に食いとめるべき適切な政策措置を講じることも考えるべきではないか。
     最大のルーザーインダストリーは石炭産業であります。だからこそオーストラリアを初めとする産炭国の多くが温暖化対策に消極的とならざるを得ないのであります。他方、日本の石炭産業は事実上絶滅に近い状況にございますから、日本は、最大のルーザーである石炭産業が存在しないという意味で、先進各国の中で最も温暖化対策のやりやすい国の一つであります。
     石油産業はどうなのかといいますと、石油の副産物である天然ガスの需要がふえること、また石油にかわる液体燃料の開発が難しいこと、石油の可採年数が40年余りであることから、必ずしもルーザーとは言い切れない、つまり温暖化対策を推進することによって石油産業は得るところも少なくないのではないかということです。
     また、同一業界内でもウイナーカンパニーとルーザーカンパニーとに分かたれることも避けがたい。例えば自動車産業についていいますと、低燃費車の開発に先んじる自動車メーカーは当然ウイナーカンパニーですし、省電力設計の電化製品の開発に先んじる電機メーカーはウイナーであるということです。
     そういったウイナーとルーザーの選別が国内規模にとどまらず、国際的規模で進展するということにかんがみますと、我が国が他国に先んじて温暖化対策を講じることは、中長期的に我が国企業の国際競争力を高めるためのてことして働くという意味で望ましいのではないでしょうか。
     ただし、京都議定書による国際約束の履行、そのための国内対策の実施という人為により、産業や企業をウイナーとルーザーに分かつことの当否をフェアネスという観点から吟味する必要があろうかと思います。新しい競争条件を人為的に政府が市場に導入することは、何らかの産業を衰退させたり、企業を敗者と勝者に分かつことになるわけであります。そこで考えなければいけないのは、敗者への保障措置が果たして必要なのか否かという問題を公正の観点から吟味する必要があるということです。
     京都議定書は自動車産業再編成の契機を提供したといえます。研究開発のターゲットの時期(2002年)が決まっており、研究開発の目指すべき方向が明確に定まっている熾烈な研究開発競争が始まったからであります。98年のダイムラー・ベンツとクライスラーの合併は、京都議定書が駆動する自動車業界再編成のはしりであるというふうに私は見ております。
     排出量取引制度の導入について一言申し述べておきたいと思います。
     京都議定書は京都メカニズムと総称される国際制度を導入いたしました。国別に差異化された排出削減義務が合理的である、つまり各国の限界削減費用が等しくなるよう、そして削減総量が1990年の排出総量の少なくとも5%になるよう国別の排出削減量が決められておれば、京都メカニズムはもともと不必要なわけでございますが、各国の限界削減費用曲線というのは知りようがございませんので、そのためこうした制度を導入することによって差異化の非合理を補てんする役割を担わせたというふうに私は理解いたしております。
     国内排出権取引制度の導入は、所与の排出削減量を効率的に達成するという意味で、理論的には最も望ましい温暖化対策であります。京都議定書は、2010年を挟む前後5年間――第1コミットメントピリオドですが――の温室効果ガスの平均排出量を1990年に比べて6%削減することを我が国に義務づけております。そのことは、90年の排出量の96%と書いていますが、実は94%の誤りでございまして、94%の5倍に等しいだけの同期間内に有効な排出権を我が国が取得したことを意味するわけであります。
     化石燃料販売業者は、化石燃料を販売する際に、政府の発行する排出権を炭素含有量に等しいだけ添付することを義務づけられる。必要な排出権は民間の排出権取引市場で購入する、これが排出権取引のアイディアリスティックなものでございます。実際には、昨年度の実績に応じて各企業に排出権を割り当てて、過不足を市場で売買する制度が望ましいというふうにされているようでございます。
     国際的な排出権取引市場が次第に整うに伴い、国内にも排出権取引市場が発生することは確実であります。特にクリーン開発メカニズムにより企業が手に入れたクレジットを有価にするためには取引市場の存在が必要不可欠となるわけであります。詳細に立ち入る暇はございませんが、炭素税制と排出権取引を組み合わせた措置が今後講じられることが望ましいというふうに私自身は考えております。
     以上でございます。時間をとって恐縮でございました。

    ○飯野委員長 どうもありがとうございました。
     それでは、奥野先生、簡単にお願いいたします。

    ○奥野委員 私は簡単にお話しいたします。
     私が申し上げたい基本的なことは、きょうご報告いただきました取りまとめの骨子案を郵送でいただいたんですが、その骨子案を見た段階では、素人の方にわかりにくいというのが率直な印象でございまして、委員会のメンバーはわかるでしょうけれども、普通の人にもわかるように書いていただけないのかなというのが私の希望でございました。
     例えば温暖化対策税ということを言うときには、いわゆる炭素税であるとか、排出税であるとか、さまざまな税制の議論がありまして、そういうものとここで議論している上流税、下流税とか、そういう概念とはどういう関係にあるのかが見えないまま議論に入っている、というのが私の率直な印象でございました。そこで私としては、本来は炭素税をきちんと議論して、排出税をきちんと議論して、その上で上流と下流とは何であるかということを議論したらどうですかということで、一番最初に「上流と下流の区別について」ということで申し上げております。
     大体案の方に取り入れていただきましたので、結論だけを申しますが、私の印象では、上流税、下流税というのは普通は使われない言葉のような気がします。とりわけ下流税というとき、それが排出税とどういう関係にあるのかが必ずしもよくわからないし、上流税といった場合には、それが炭素税とどういう関係にあるのかがよくわからない。そういう意味では「精製前」「精製後」というような言葉を補完的に使って、もう少しわかるようにした方がいいのではないかというのが1点。
     それから、後でお話ししますが、これは佐和先生の最後の点とも関連しますが、排出税及び排出取引についてもう少しページを割いて議論した方がいいのではないかというのが私が申し上げたい点です。
     電力の問題についてですが、非常に強調されているのが私にはよくわからないところがございます。仮にここでいう上流課税を主張すれば、電力に課税しなくとも当然電力価格には転嫁されるはずであって、上流でも下流でもいいんですが、燃料に課税して発電に課税しないということと、燃料に課税しないで発電に課税するということは、転嫁の程度の問題を除けば基本的には同じ経済効果を生むことになるはずであって、両方に課税するということもよくわからない。だから、そこの転嫁のことをもっときちんと議論した上でないと議論するのは無意味ではないでしょうか、ということがIIで言いたかったことです。文章は意を尽くしていませんが、申し上げたいことはそういうことです。
     IIIの排出税ですが、日本では排出税が議論されなさ過ぎますし、今回の議論で排出税は全然議論されていないのは少し心外であるというのが私の印象でございます。経済的な効果からいえば、リンケージとの関係で、いわゆるモニタリングコスト、エンフォースメントコストという話を除けば、一般的な温暖化対策税の中で一番望ましいのは排出税であるということは常識であって、ではなぜ現実に排出税がうまく機能しないのかということを少し議論して、その上で、典型的にいえば、さっき言いました排出量をモニターしたりすることがとりわけ中小の事業者であったり民間の家計は非常に難しい。そうすると、排出税とか排出取引はそういう事業者、家計にかけられない。しかし、大規模事業者、典型的にいえば、例えば鉄鋼会社であるとか電力会社にかけるのはそんなに難しいことではないし、どのくらい排出しているのかも既にわかっているということですから、こういう事業者にはむしろきちんと排出税をかける方向をもう少し具体的に検討したらどうかというのが私の印象でございます。
     さっき佐和先生もおっしゃいましたけれども、税金をかけるというのは非常に難しいことなので、ほんとは排出権取引をすることが望ましいだろう。そのときに、国際的な排出権取引制度、京都メカニズムですが、それとリンクさせた形での国内排出権取引をつくるのか、独立の排出権取引をつくるのか、またいろんな問題がありますが、私は独立させてつくるのだろうと思います。そういうことをすれば、例えば電力事業者とか、経団連で非常に大きな反対をしている人たちが、排出権についてグランドファーザー方式によって一定量を権利として与えることによって、普通の炭素税とか排出税の負担に比べるとはるかに少ない負担でもって彼らをこういう仕組みの中に入れることができる。佐和先生の言葉でいえば、ルーザーインダストリーとかルーザーファームというものに十分配慮した税制を構築することができるはずである。だから、そういう意味でも、もうちょっとこういうことをきちんと考えていただけなかったかなというのがもう一つです。
     IVの精製前課税と精製後課税というのは、先ほど説明のところでご説明がありましたが、どちらで課税するかによって転嫁の問題が出てきて、転嫁と、炭素税の炭素の課税標準、つまり炭素税に応じた課税は弾力性の違いで転嫁の程度が変わってしまうことによって、炭素含有量が多いのに価格弾力性が非常に大きいために価格が十分上がらないという産業ないし製品が出てくるのではないか、そういう意味では精製後課税の方が望ましいのではないかということを述べてあります。
     以上でございます。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。
     ただいまの意見は、取りまとめの中に一部取り入れられておりますけれども、これからそういう問題も含めてご議論いただきたいと思います。
     どうしましょうか。取りまとめを全部一挙にやりましょうか、それとも分けてやりましょうか。
     では、とりあえずこれまでの審議の取りまとめ案の「はじめに」というところと第1章につきまして何かご意見がありましたら、どうぞ。
     水野委員、どうぞ。

    ○水野委員 第1章を拝見した感想として、論点を明確にしていただきたいと思います。こういう意見もあった、こういう意見もあったでやりますと、結局、何を言っているのかよくわからないんですね。あるいは答えが出せないものであれば、論点を指摘するだけでもよろしいかと思いますが、それが一般的な印象です。
     ちょっと気になりますのは、国境税調整、インボイスという言葉がよく出てまいりますが、付加価値税を頭に置かれていると思いますけれども、租税の理論からしますと、付加価値税のような多段階の消費税というのは、できるだけ課税対象を広くして、例外的な課税を少なくする、それによって最終的に消費の段階で税負担の割合を等しくする、これで中立的な税制になるというのが理想ですが、こちらの環境税を見てみますと、インボイスが入れば複数税率を適用して税制を仕組むことができる。こういう表現をされますと、環境問題から消費税の今の仕組みが崩れて、今度は食料品は非課税だとか、そういう話へと発展していくような格好になるわけですので、逆に環境に対する税金の側から多段階の消費税という仕組みを崩していく、こういう方向づけをされることは非常に困りますので、これはちょっと注意していただきたいと思うわけです。
     それから、それに関連しますが、国境税調整もよく出てまいりますが、確かに輸出で免税になりますから、国際的競争力から見た場合には輸出産業に有利でありますけれども、だんだん理論的に純化されてきた趣旨というのは、仕向け地と原産地ではどっちで課税するか。例えばドイツのような工業国は製造地で課税、これに対してフランスのような消費地は、いや、そうではなくて仕向け地である。こういうようなヨーロッパの争いの中で、付加価値税という基準のもとに国境税調整というものが認められてきているわけです。ですから、これも制度的にでき上がってきたものでありまして、重複した課税を避けるために国境税調整、輸出免税というものが認められているわけです。現実問題としてみますと、産業界から見れば、負担がかかるから、それは輸出する外の段階で返してほしいということだと思いますが、いかにも政策的に国際的な競争力から認めているのが国境税調整であるというような認識は改めていただきたいと思うわけです。
     あわせて申しますと、付加価値税が何となく一つの選択肢に見えてきますけれども、先ほど申しましたように、我が国、多少中小の事業者のところで問題がありますが、できるだけ課税対象を広くして、なおかつ多段階で課税する、そういうような形にしますと本来インボイスというのは要らないものでありますし、国境税調整を行うことによって大体これで落ちつくというものなんですね。
     私が気になるのは、付加価値税についてインボイスが当たり前であるという頭の方が非常に多いんですが、インボイスというのは、逆に付加価値税をどんどん物品税化させていく力があるわけで、現実にヨーロッパの税制を見ますと、複数税率なり非課税になっているのがやたら多くなっているわけです。それの動機づけのような形に環境税がなってしまうということは非常にまずいことでありますので、この点については慎重に検討していただきたいと思います。租税の観点から見て議論すべきではないかと思っております。
     以上です。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。ほかに。天野先生、どうぞ。

    ○天野委員 「はじめに」のところですけれども、現在検討の途中段階にあって、今後引き続き幅広い観点から検討を行っていくというまとめ方になっておりますし、最後の部分でも、「温暖化対策税制のさらなる検討を進めていく必要がある」という記述ですが、現段階としてはこういう状況であるというふうに思います。
     これは京都議定書に関連するような議論でありますので、第1約束期間というのはちゃんと決まっているわけです。その間に日本がどういうことをしなければいけないかということが決まっているわけで、要するに終わりがちゃんと決まっているわけですから、いつまでもいつまでも検討を続けることはできないと思います。そうすると、いつごろまでに我々は結論をまとめなきゃいけないのかということを、いろんな根拠から検討していく必要があると思います。ある制度をつくるためには何年ぐらいの余裕期間が必要である、そういうところから逆算していくと、具体的な案でないにしても、方向性を決めるような結論はいつまでに出さなければいけないかということを今後検討する必要があるのではないかと思いました。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。ほかにございませんか。森田委員、どうぞ。

    ○森田委員 海外の例のところで少し触れていただきたいことがあります。それは、税のみによって京都議定書とか、あるいは10年ぐらいの目標を達成しているのは多数の例ではないということで、税というものが一つの手段として使われていることは明確にしておいた方がよろしいのではないかと思います。
     といいますのは、我が国でも京都議定書を税のみによって達成するといいますと、非常に高い税率で導入しなければなりませんし、むしろここで導入する税というのは、京都議定書をにらみつつも、もっと長期的に我が国の社会を循環型の社会に変えていくというインセンティブを与える大きな役割を持っていますし、また技術革新を誘導するということがございます。したがいまして、100年かけて温暖化対策というのはやっていかなきゃいけない、そういう長期的なインセンティブを与える第一歩であるということを、海外の事例のレビューの中でも、また「はじめに」のところでも明確にされた方が、この税を考える意味がよくわかるのではないかというふうに考えます。
     以上です。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。ほかにございますか。
     それでは、これまでの審議の取りまとめの全部について何かご意見がございましたら…。
     では、奥野先生からお願いします。

    ○奥野委員 1点は、電力のことに関しては先ほど申しましたので、もういいと思います。要するに、燃料に課税するのか電力に課税するのかという転嫁の話をもう少しきちんとフォローしてほしいということです。
     もう一つ、26ページの温暖化対策税制の評価項目について、「課税原則の観点からの評価」と書いて、[2]に中立と書いてあるんですが、ここで書いてある中立というのは、現状の経済活動に関して中立な課税になっているかどうかというニュアンスで書かれていて、佐和先生の意見、委員からの意見というところでも、ルーザーインダストリー、ウイナーインダストリーと書いてあるので、温暖化対策税を入れると損する産業と得する産業があるという話がバーッと出てきていて、それがしかも中立という言葉で語られているという気がします。
     私に言わせれば、これは逆であって、温暖化対策税というのは、外部性を内部化するわけですから、内部化することによって中立性を回復するという形で文章を書いていただきたい。そうすることによって、本来負担していなかった負担、ただ乗りしていたところを正当な負担をさせることによってルーザーインダストリーになってしまう、そういう意味でやむを得ないということをもう少しきちんと書き入れていただけないものかなというふうに思います。
     ついでに、時間をいただきましたので、もしよろしければ……。さっき水野先生がおっしゃった国境税の問題に関して一言だけ申し上げておきたいんですが、水野先生は税法の観点からそういうことをおっしゃいますけれども、温暖化対策の場合には少し話が違っているというのが私の理解です。つまり、本来は温暖化に対して炭素税なり排出税なりを世界一定の税率でかけることが望ましい。しかし、京都議定書は一部の国しかそれをカバーしていないがために、そういう税制をかける国とかけない国ないしは対策をとる国ととらない国が出てくる、とった国の産業が非常に不利な立場に置かれることを避けるために国境税調整をする。
     これは税法の問題では全くなくて、経済論理の問題であって、これをインボイス形式でやるのがいいかどうか。これも私は異論が少しはありますけれども、問題があるかもしれませんが、そこはきちちんと国境税調整をやらなければ、日本はアメリカあるいは途上国に対して非常に不利な立場に置かれるということは明らかですから、何かそこで書くならば、そういう問題があるのだから国境税調整をできればやらなくて済むように、全世界に京都メカニズムを普遍しろということをお書きになった方がよほどしっかりした文面になるのではないかと思います。
     以上です。

    ○飯野委員長 それでは、次、大塚委員、どうぞ。

    ○大塚委員 先ほど佐和委員と奥野委員からお話があって、私も基本的に賛成ですが、奥野委員の先ほどのペーパーとも多少関係しますが、前回私、欠席しましたので、どういう議論があったかによるんですけれども、もしできたらもう少し詰めていただきたいということです。
     15ページの1の税の目的のところの3つ目の丸ですが、「PPPの関係をどのように考えるかにも留意する必要があるとの意見があった」で終わっていて、「その場合……」以下は別のことが書いてあるので、これはこれでいいんですが、PPPが基本的な背景にあることをもう少し重要視した書き方をしていただいてもいいんじゃないかというのが私の意見です。3ページのところに、平成12年の税制調査会の考え方にも「PPPの原則に立って」というふうに書いてありますが、もともと温暖化対策税制というのは、京都議定書との関係で当然考えているわけですから、先ほど奥野委員からも外部不経済の内部化の話が出ていましたが、こういう考え方に立って税制を導入するというのが基本的な考え方ですので、税とどういう関係にあるかという問題ももちろんあるんですけれども、PPPとの関係をもう少し重要視した書き方をしていただきたいということです。
     それと関連してその次の丸ですけれども、負担金でいくというのは一つの考え方だと思っているんですが、課徴金と負担金を一緒にするというのはできたらやめていただいた方がいいかと思います。財政法でいう課徴金の意味ならいいんですけれども、独禁法でいう課徴金のような意味でお使いになっておられると「罰則的な」という話が出てくるんですが、負担金というのは必ずしも罰則的なものではないと思いますので、「罰則的な性格を持つ課徴金はなじまない」というこの表現はできたら変えていただきたいと思います。
     これもPPPとの関係があって、もともと負担金でいけるなら負担金という方法もある。そうすると、従来の税の議論との微妙な関係というか、今回のこの議論は政策的なものが中心であると思いますので、従来の税の議論とのあつれきがいろんなところで出てくる。しかし、負担金であればその点がかなりうまくいくと思います。ただ、他方で、徴収主体が問題だとか、あるいは負担金でいくと、上流で課するというのはどうしても無理になる。上流か下流かどっちがいいか、結論としてどっちをとるかというのは当然考えていかなければいけないことですし、ここでも書いてあるわけですが、負担金というと、上流はほとんど難しくなるかなという問題があります。こういうほかの問題があるので、結果的に負担金とするのは難しいと私も思ってはいるわけですけれども、基本的にはPPPがあって、負担金という考え方も当然あって、そういうものを背景にもって税というものを導入していくというところがラインとして出てくることが望ましいと思います。
     例えば、従量税か従価税かという話とか、PPPの考え方をもとにしているかどうかは、ほかのいろんな点の結論に影響するところも出てくると思いますので、一言申し上げさせていただきました。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。それでは、次、横山委員、どうぞ。

    ○横山(裕)委員 全体的なことをお話ししたいと思います。
     私は、これを数回読んで、よくわかったと思いましたけれども、全体的には非常に難しい。しかし、難しいということはメンバーとして言えないなと思っていたら、専門家の奥野委員も難しいということで意を強くしたわけですが、温暖化問題そのものが難しい。なぜ温暖化するのかとか、それにどうやって対策を打つのかというのも非常に難しくて、なかなか理解できない。そういう中で温暖化対策税の報告書も非常に難しいということですと、国民の理解を得て考えていくんだというような方向性が出てこないのではないかと思います。
     全体的に見て難しいと思うのは、明確な方向性が示されていない。議論がまだ途中段階ですからやむを得ないんですけれども、ほんとに温暖化対策税をやらなければ温暖化防止につながらないというような哲学が欠けている、もう少し強調すべきではないかというふうに思っております。私は個人的には、温暖化対策税がなければ6%削減とか、あるいは第2約束期間以降の排出基準削減ということは、とてもじゃないけれども、難しいと思います。そういう意味では、環境省はこうやってやっていくんだという方向性を今後の議論で打ち出してほしいと思います。
     他の役所の方と議論したとき、その方は「環境省は温暖化対策税制と言っているけれども、こうでもない、ああでもないと言うだけで、最終的には泥をかぶらない」、「泥をかぶらないってどういうことか」と私が聞いたら、「例えば、きちんとした報告書を出して、根回しまで含めてやるかというと、そんなことをやる役所ではないんですよ」というようなことを伺って、そういう観点でこの報告書を読むと、正直なところ、そう思われてもしようがないなというような感じを受けました。ぜひとも明確な方向性を示して、こうでもない、ああでもないではなくて、これがないともうだめなんだということをここでの論議を通じて打ち出していただきたいというふうに思います。
     以上です。

    ○飯野委員長 ありがとうございます。安原委員、どうぞ。

    ○安原委員 天野委員とか今の横山委員の発言にも関連するんですが、この中間まとめでは23ページの段階的なアプローチの[2]のところですけれども、「直ちに導入してその制度を維持するのではなく、定期的に点検しつつ、そのレビュー結果を踏まえて導入のタイミングを決定し……」云々と書いてあるんですが、これが気になります。
     と申しますのは、国内制度小委員会の方で段階的アプローチというのを打ち出しておりますが、約束期間までまだある程度の年数がありますから、それを2つのステップに分けてレビューしながら、対策が必要であれば追加していくということで、京都議定書の目標の達成を確実にやっていこう。それは現実的なアプローチであると思いますが、その場合、対策というのは効果が出るまでに物すごく時間がかかるわけです。ですから、できるものから早期に実施していくことが非常に重要だと考えられます。
     その観点からいえば、今、国内制度小委員会で議論しておりますけれども、ここでは2002年に策定する京都議定書目標達成計画というものを考えて、その計画で第1ステップの施策によって、京都議定書の6%の削減目標を数量的にも確実に達成することを明らかにする、そういうことを答申しようということで最終調整が行われている段階にあるわけでございます。
     したがって、税の問題をどうとらえるかというのは、とりあえずは計画策定のときに一つの判断する時期が来るのではないかと思います。そうだとすると、ここの表現だと少し先送りというような感じが出るんですが、税制の活用ということの要否、必要な場合の導入時期、それによって削減効果をどの程度期待するかということの判断が計画策定時に議論されるとすれば、ここの専門委員会としては、それまでにそういう判断ができるような具体的な幾つかの試案をまとめることが望まれると思います。そういう意味で、最後のところで、引き続き検討して、具体的なオプション等について検討するということになっていますから、それはそれで結構ですが、23ページの表現がこれでいいのかどうか、もう一度議論していただければと思います。
     以上です。

    ○飯野委員長 ありかどうございました。それでは、お隣の天野先生、その後、水野先生。

    ○天野委員 幾つかございますが、まず16ページの小さい字のすぐ上のところですけれども、奥野委員がおっしゃった排出税に関する論述です。
     排出税と炭素税というのはちょっと比較がおかしくて、排出税に対応するのは生産物課税だと思います。炭素を排出するのが排出税ですから、それは別ですが、排出税については、「主要な諸外国にも例がない」というふうに片づけておられるんですが、税としては確かに例がないかもしれませんが、ご説明のときには、モニタリングとか測定のところでも例がないとおっしゃったと思いますが、これは間違いだと思います。米国が1990年、大気浄化法を改定したときに全部測定しているわけです。ですから、SO2、NO2、CO、CO2、それが入って、ちゃんと連続的にモニターしているわけですから、例がないというのは間違いであって、米国はちゃんとそれをやっているわけで、全米でかなりの数の企業に直接測定器をつけて、連続的に環境庁にデータが入ってくるようなシステムをとっていますので、コストがかかるというのも少し弁明が難しいかなと。
     ただ、今申し上げましたような数の企業だけに実施できるわけで、国民全体に対してこういうことをやろうというのは大変コストがかかることは事実ですが、排出税は実施が非常に難しいということはいえないわけです。事実、SO2に関しては、そのデータをもとにして排出取引をやっているわけですから、このあたりはもう少し正確に書いていただけたらというふうに思います。
     それから、もう一つの点は、今、安原委員もおっしゃられたんですが、将来この問題をもう少し具体的に検討する際には、どういう税の設計をすればどんな数量的な効果が出てきて、例えば国民経済的に見ていろんな意味でのコストがどれだけかかるかという具体的なイメージ、全部網羅するわけにはいかんと思いますが、代表的な幾つかのオプションについてはそういう姿が見えるということが非常に重要なことであって、それがこういう税制を入れるかどうかの判断に非常に大きな貢献をするというふうに思いますので、そういった作業、私はかなりの時間がかかる仕事だと思いますので、できるだけ早く着手して、それを判断の材料にして提供するという方向を打ち出していただけたらと思うわけです。
     特に費用というのは、こういう制度をつくるとき、どちらかといえば制度をつくるための費用に目が行きがちですけれども、経済学では普通に議論されることですが、同じだけの目標削減率を達成するのに、直接規制で実現する場合と、経済的手法で実現する場合とで、国全体が負担する費用が何割も違ってくるということがあるわけです。ですから、そういうことを数字として、もちろんばらつきはあるでしょうけれども、日本経済の場合にはこれぐらいの違いがある、ですから経済的手法を使わないで、それ以外の在来型の手法でやるときには、国全体としてこれだけ余分の費用を負担する覚悟か要る、そういうデータをきちっと出していただくこともあわせて非常に重要なことではないかというふうに思っております。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。それでは、水野委員、どうぞ。

    ○水野委員 先ほど奥野先生が言われたことへの意見ですが、21ページに国境税調整が出てまいります。こちらに説明がありますように、国境税調整で輸出免税ということになりますと、すぐWTOの問題が出てくるわけです。
     WTOというのは、輸出に対する補助を禁止していますけれども、間接税の場合であれば輸出しても免税することはオーケー、直接税はだめだということで、ヨーロッパの国々は付加価値税だからいいわけですが、アメリカ合衆国のように法人の所得税を持っている国では法人税も認めろという議論になっているわけですが、少なくともここで税金とは意味が違うということであれば、国境税調整、しかもボーダー・タックス・アジャストメントまで書いてありますから、この言葉は使うべきでないので、制度として税金ではない趣旨で、国際的な競争力を排除しないと企業がもたないというのであれば、違う仕組みを考えざるを得ないと思うんですよ。これで税金を還付する仕組みをとったら、どう転んでも国境税調整で、なおかつWTOにひっかかってきますから、もっと大きな問題になって、京都議定書とはまた違ったグループとの交渉も必要になってくるわけです。
     ですから、そこは、日本語であるかどうかを問わず、輸出の段階で税金を返すということ、これがWTOに当たらないような仕組みを考えざるを得ないということであるわけで、国境税調整という言葉を使ってしまいますと意味が固定しますから、そこは検討しなければいけない問題ではないかと思いますし、必ずそういう問題は出てくると思います。仮に環境税の観点からは構わないということになりましても、今度はWTOといった貿易関係では必ず問題になりますので、それは何らかの合意がない限り、従来の考え方で対応しなければいけないというのは当然ではないかと思います。
     以上です。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。それでは、諸富委員、どうぞ。

    ○諸富委員 この報告書といいますか、中間取りまとめ全体は、確かにはっきりとした一つの方向は出していないんですが、論点が網羅されていまして、各論点がきちっと論じられているという意味で、よくまとまっているのではないかと思います。そして、委員の間で一致が見られない点に関してはオープンな形で論点を出しておく、この時点ではこういうまとめ方がいいのではないかというふうに私は思っております。これ以外でまだ解決のついてない問題については、今後さらに検討していかなければいけない問題として明示しておくことで今回は良いのではないかと思います。
     私が議論したい点は19ページですが、(2)課税対象についてはきちっと議論がなされているわけですが、同じぐらい重要な課税標準については、(3)その他の制度上の検討項目で、第1番目の丸の「課税標準・税率を具体的にどのように設定するか」という点でさらっと触れられているだけですが、これは非常に重要な点で、別項目を立てて、課税標準を議論してもいいくらいなのではないかというふうに思います。
     先ほど奥野先生から、排出税か化石燃料課税かという選択肢を提示されて、議論されたわけで、本来なら排出税が望ましいという議論もありました。しかし、諸問題によって化石燃料課税を選択した場合、化石燃料課税を炭素含有量に応じてかけていく、その場合、課税標準は、CO2カーボントン当たり幾らというような税率の設定の仕方になりまして、カーボントンというのが課税標準というふうになるかと思いますが、別の選択として、ここにも書いてありますように、各燃料種別ごとにかけていくアプローチもあるかと思います。もしそういうふうになるとカーボントンではなくて、課税標準は、例えばガソリンであればキロリットル当たり幾らというような課税標準になりまして、化石燃料課税を選択した場合の課税標準には、合わせて2つの選択肢が考えられる。
     そうすると、どちらをとるかによって全然違った税制になってくるわけです。本来ならば、温暖化対策税の趣旨からいえば、カーボントン当たりということに課税標準を置くのが望ましいわけで、そうすると一切他に何も考えることなく、全部カーボントン当たりですぱっとかければ、各燃料ごとにどういうふうにかけていくかを考える必要は全くなくなるわけです。
     ところが、燃料種別ごとというふうになりますと、この報告書でいいますと、23ページの参考に書いてありますところで、例えば天然ガスは現在税が下流でかかってない、灯油はかかってない。「重」と書いてありますから、重油ですかね、重油にはかかっていないというところで、空いているところを課税して埋めていくアプローチは当然あり得るかと思いますが、そうなると税率はどうやって決めるのか。カーボントンなら非常に明快ですが、既にかかっている化石燃料もあって、なおかつ空きを埋めていこうとする場合は、どういう基準で税率をかけていくのか、論理をつけるのが難しいという話になります。PPPから見て明らかにカーボントンが望ましいという論点もございますし、環境に与える効果も全然違ってくるということもございます。
     したがって、この点、もう少し選択肢を明示して、奥野先生のご意見で、排出税か化石燃料課税かという選択肢がまずあって、さらに化石燃料課税の中で炭素含有量に課税標準を置くか、燃料種別ごとに課税標準を置くかという選択肢が次にあって、その利害得失をもう少しはっきりと議論していただく必要があるかと思います。
     もちろん燃料種別ごとも悪くはなくて、理想からは遠いわけですが、ドイツでもやっているように、まず第一段階でとりあえず埋めていく。そして、徐々にもっとましなものに長期的には移行していくというようなアプローチもあり得ると思いますが、少なくとも論点提示をはっきりとしていただければと思います。
     以上です。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。それでは、竹内委員、お願いします。

    ○竹内委員 全体的にこの問題へのアプローチに関して申し上げますと、どちらかというと、インダストリアルなソリューションを強調している部分と、最終消費者の抑制というか、ガソリン税などがそれに当たるんですけれども、それに当たるようなもの、それから税収をいかに効率的に上げるかという観点が入り乱れてこの報告書に書いてありまして、何を中心的にポイントを出したいかというのが見えにくいというのが一つございます。
     結果的に見ると、この報告書の最終的なターゲットは何か。この段階で考えると、どちらかというとガソリン税のところと電力産業のところに表現ぶりがはっきり出ているように見えます。そうなりますと、日本全体の環境税制として、当面の目標とフレームワークの問題で幾つか統一性がとれなくなるんじゃないかというのが、今、皆さんの意見を聞いていてわかり始めたポイントです。
     例えば、先ほど挙がっていたような燃料的な問題と、発電のようなオペレーショナルな部分にどういうふうな効率基準を入れていくか。つまり、コジェネとか効率エネルギーの問題などは課税すべきではないという区分けがあって、従来型の火力発電みたいなものには課税すべきだというふうに書いてあることは、明らかに何らかの意味で電力産業に対して何がフェーバーであって、何がフェーバーでないということもはっきり書いてしまっているところがありまして、この場合はどういうふうに帰着させるのかという部分をもう少し技術的にというか、はっきりと効率基準を明確にすべきではないかというように思います。
     燃料別とかオペレーションに対しての段階的な課税の問題については、既にいろんな議論がのっかっておりますが、少なくとも燃料種別か、あるいはオペレーションの効率の問題なのかというのは、もう少しはっきり、技術的な面からも基準を明確にしておかないと、電力産業から見れば、これはねらい撃ちだというふうに見えなくもない、最もかけやすい産業であるというふうに見えなくもない。他方、ガス業界は、これはしめたものだというふうに見えなくもないところがありまして、そこが出過ぎる感じかなと。
     最後の一点ですけれども、報告書は課税の目的というところがはっきりしないんですね。課税対象等々の前ですから、税の目的ですが、15ページの頭の税の目的そのものが、いろいろ書いてあるんですが、この会として何を税の目的にするのか、結局逃げているというか、幾ら読んでもよくわからなかったんですね。後の課税段階のところも、大混乱の極みで、上流、下流の問題もすっきりいかないし、ここも混乱いたしておりますし、課税水準とか課税基準といいますか、そこも具体性がはっきり出てこないし、こういうものを本当に出していいんでしょうか、そういう印象がございます。
     つまり、何をしたいのかというのがはっきりしない、税の目的がはっきりしない段階で細部を詰めてみたという感じがいたしまして、税の目的をきちっとさせるべきである。政策目的なら課税していいのかというと、根拠がなければいけないわけで、ここはちょっと遠慮し過ぎなのかなという印象で、この中で唯一数字的にきちっとできているのは参考資料2のフローとCO2排出量、我々としては数字的な根拠はこれですというものがあるんですが、これも若干ごたごたなのではないか。発電効率とか操業効率というふうな面から見ると、ちょっと大ざっぱで、もう少し精緻化できないものなのか、これは私の疑問です。
     以上です。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。それでは、森嶌会長、先に天野委員。

    ○天野委員 さっき諸富委員の方から課税標準の話が出たんですが、ここでは税制の話をするということですけれども、森田委員がおっしゃったように、税制とそれ以外のいろんな手法を組み合わせるような方向が各国でとられているわけでして、そうなりますと、排出取引制度あるいは京都メカニズムでは炭素トン等量(Carbon Ton Equivalent)というのが基準になって、すべてがそれで動いていくわけです。ですから、これは二酸化炭素だけではなくて、ほかのガスも含めるとそういうことになってくるわけです。したがって、制度をパッケージにして使うというときに、片側では燃料の種別で課税して、片側では炭素トン等量でやるというのは大変複雑な制度をつくることになるわけです。
     ですから、税制を考えるときだけでも、炭素トン等量のような考え方であれば非常にすっきりした税制ができるものを、わざわざ品種別にかけて、それが非常に具合が悪いから、後で徐々に炭素トンの方へシフトしていくような制度をつくるというのは、非常に大きな問題があったり、コストがあったりするのではないかという印象があるので、ほかの制度を考えると炭素トン等量という考え方はかなりの根拠があるのではないかというふうに思います。

    ○森嶌中央環境審議会長 私はこの専門委員会の委員ではないわけですが、現在やっております中央環境審議会としては、京都議定書を批准するに当たって国内対策をどう進めていくか、さらには批准後にどういうふうにして国内の施策を進めていくかということで総合政策部会、地球環境部会でそれぞれ考えているわけでありますが、先ほどから多くの方がご指摘のように、税というのは施策のうちの一つとして非常に重要なものであります。
     ただ、現時点では、この報告書にも書いてありますように、必ずしもいろいろな方の意見が制度としてだけではなくて、政策としてもどういうふうな税制とすべきかということについて同意されていない段階でありますので、私はこの専門委員会がこのような形で論点を整理していただいたということは大変感謝しております。しかしながら、先ほどからいろいろな方がご指摘のように、これだけでは国内政策の一つとしてそのまま使うというわけにはいかないことも確かでありまして、現段階でここまでまとまったということであります。
     他方、中環審としては、先ほど安原委員もおっしゃいましたけれども、国内政策の検討のところで、ステップ・バイ・ステップでやろう。2段階で施策を進めようということで、第1期としては2002年から2004年を考えておりまして、そこで十分削減が達成されないときには、2005年から2008年までに対策を強化する、あるいは今までやっていなかった対策を追加するというような形で、ツーステップでやるということになっております。
     現段階では望むと望まざるとにかかわらず、税が第1段階で使えるところまで検討が進んでいないことは確かでありますけれども、点検は2004年の初めからやっていなくちゃならないと思いますが、あと2年ぐらいの間に、現在ファーストステップとして考えているさまざまな施策がどれだけの効果を上げるかということを点検して、税というものをどういうふうに位置づけるかということを考えなければならないわけです。その意味では、私の感じでは、遅くとも2003年中には具体的に税制として組む場合にどうあるべきか。導入するかしないかというのは全体的な判断の中で行われるわけですが、少なくともきちっと施策として使えるものを2003年までにぜひ準備していただきたい。
     それから、先ほど竹内委員の方からご指摘がありましたけれども、税の目的がこれでははっきりしないということですが、私どもは税制そのもの、あるいは環境税という仕組みそのものを議論しているわけではなくて、我が国の温暖化対策の国内施策の一つとしてということであります。
     全体的なところでは、例えば産業がどうなっているのか、民生がどうなっているのか、運輸分野がどうなっているのかということで議論しておりまして、産業の方はやや増え気味でありますけれども、理由はともかくとして、現時点では90年から横ばいの状態である。これに対して、民生といっても家庭部門ですけれども、これはたしか16%ふえている。運輸が二十何%、きちっとした数字は覚えておりませんけれども、伸びているわけです。これを第1ステップで考えている施策によってマイナス6%へ向けてやっていこうということでありますが、2003年に点検したときには、その増え方あるいは減り方の動向がさらに明らかになってくると思います。
     そうすると、例えば税によって削減を図っていくとすると、分野ごとに別のものにするのか、ある分野についてだけこういう税制を入れることが可能なのかどうか、またそれが効果的なのかどうかということをその時点で議論していかなければならないわけで、先ほど天野先生から、今後検討するのはいいんだけれども、いつまで検討するんだというお話がありましたが、私は、2003年までにはぜひとも、いろいろな場合に応じて、どういう税制を組めるかということを技術的にも、また税としての体系から見てもフィージブルといいましょうか、妥当なものをぜひお考えいただきたいと思います。
     その意味でこの報告書については大変感謝いたしておりますし、この段階としては大変ありがたいものと思いますけれども、できれば今後こういう検討をする。しかも、中環審全体のスケジュールから見て、私は今、2003年と申し上げましたが、事務局と話をすると、「2004年に中環審が新たな施策を決断するわけにいきませんよ」と言ったら、2002年のうちにやらなきゃいならないのか、その辺は必ずしもわかりませんけれども、2004年の見直しで、2005年から新たな施策に踏み出すのに間に合うように税制のご検討を願いたい。
     それは必ずしも皆さんの意見が一致して、これをやれというのではなくて、むしろ全体の検討の中で、こういうところは削減が進んでいない、それに対して税制がどういうような効果を持ち得るだろうかということがお答えいただけるように今後もご検討いただきたい。とりわけ飯野委員長には大変勝手なことをお願いいたしますけれども、ぜひお願いしたいというふうに思っております。

    ○飯野委員長 まだご意見があるかと思いますけれども、一応時間が参りましたものですから、ただいまの森嶌会長のお話をベースに今日のご意見をまとめさせていただきたいと思います。年内の区切りとしてこれを公表したいと思いますけれども、本日のご意見の反映といたしましては、私に一任させていただきたいんですが、よろしいでしょうか。
     ありがとうございます。それでは、森嶌会長のお話をベースに、事務局と相談いたしまして、「おわりに」にもありましたように、議論は途上でございますので、来年以降も引き続き検討を進めてまいりたいと思います。
     ほかに何かご意見はございますでしょうか。――ございませんでしたら、本日の議論はこれくらいにさせていただきたいと思います。この3ヵ月間お忙しい中を熱心にご参加いただきまして、ありがとうございました。来年の検討におきましてもよろしくご協力をお願いいたしたいと思います。どうもありがとうございました。

    午後12時00分閉会