■議事録一覧■

中央環境審議会 総合政策・地球環境合同部会
第2回地球温暖化対策税制専門委員会


  1. 開催日時 : 平成13年10月30日(火)10:00〜12:00

  2. 開催場所 : 虎ノ門パストラル 新館6階 橘

  3. 出席委員 : 16委員
    飯野 靖四 委員長
    飯田 浩史 委員
    大塚 直 委員
    竹内 佐和子 委員
    寺西 俊一 委員
    水野 忠恒 委員
    諸富 徹 委員
    横山 彰 委員

      天野 明弘 委員
      植田 和弘 委員
      奥野 正寛 委員
      土屋 俊康 委員
      中里 実 委員
      森田 恒幸 委員
      安原 正 委員
      和気 洋子 委員

  4. 議 題
    1. 諸外国における温暖化対策税制の導入・検討状況等について
    2. 我が国のエネルギーフローとCO2 排出量について
    3. 温暖化対策税制に係る制度面の論点について
    4. その他

  5. 配布資料
    資料1諸外国における温暖化対策税制の導入・検討状況等について
    資料1−1 主な導入国における経緯・制度について
    資料1−1(別添) 主な導入国における関連税の課税段階・課税対象(暫定版)
    資料1−2 ドイツ・英国における温室効果ガス排出削減について
    資料1−3 エネルギー価格・税額の国際比較
    資料1−4 諸外国の温暖化対策税制の概要(暫定版)
    資料2我が国のエネルギーフローとCO2 排出量(1999年度)
    資料3温暖化対策税制に係る制度面の論点整理
    参考資料1委員名簿
    参考資料2「OECD諸国における環境関連税制−論点と戦略」について
    参考資料3英国気候変動政策調査報告

  6. 議 事

    午前10時00分開会

    ○飯野委員長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから地球温暖化対策税制専門委員会第2回会合を開催したいと思います。
     今回から新たに来られました委員の方をご紹介いたします。
     何か一言、まず植田先生からどうぞ。

    ○植田委員 京都大学の植田です。よろしくお願いします。

    ○飯野委員長 それから、水野先生、どうぞ。

    ○水野委員 水野でございます。よろしくお願いいたします。

    ○飯野委員長 済みません、あと、竹内先生がもうしばらくしたら見えると思います。
     それからあと、前回、途中から参加されました寺西先生、一言。

    ○寺西委員 どうも、寺西です。よろしくお願いします。

    ○飯野委員長 中里先生、済みません。

    ○中里委員 どうも遅れてきて、中里でございます。よろしくお願いします。

    ○飯野委員長 さて、本日は、まず諸外国における温暖化対策税の導入状況、それから我が国のエネルギーフローの状況について事務局から説明を受け、これらについて質疑応答を行いたいと思います。
     その後ですけれども、温暖化対策税に係る制度面の論点を事務局に整理していただきましたので、その説明を聞いてからこれらについて議論を行いたいと思います。
     本日のこの会合は、一応12時を目標にしております。
     では、事務局の方から資料の確認をお願いいたします。

    ○三好環境経済課長 資料の確認に先立ちまして、本日、参議院の環境委員会が開催されておりまして、出席しております総合環境政策局長の中川が途中退席いたしますので、あらかじめご報告いたします。
     では、資料の確認をお願いします。

    ○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。
     机の上にございます、黒いクリップでとめてある資料を上から順にご説明させていただきます。
     まず、表紙をおめくりいただきますと、議事次第、それから資料一覧がございます。次に、資料1の表紙でございますが、「諸外国における温暖化対策税制の導入・検討状況等について」。次に、資料1−1でございますが、「主な導入国における経緯・制度について」。次に、ただ右肩に「参考」と書いてある1枚紙がその次にございます。その次に、A4横置きの紙でございますが、資料1−1(別添)といたしまして、「主な導入国における関連税の課税段階・課税対象(暫定版)」でございます。次に、資料1−2でございますが、「ドイツ・英国における温室効果ガス排出削減について」でございます。次に、資料1−3でございますが、「エネルギー価格・税額の国際比較」でございます。次に、A3の大きな紙を半分に畳んである紙でございますが、資料1−4でございまして、「諸外国の温暖化対策税制の概要(暫定版)」でございます。その次に、これもA3の紙1枚を折り畳んでございますが、資料2でございまして、「我が国のエネルギーフローとCO2 排出量」でございます。次に、資料3でございますが、「温暖化対策税に係る制度面の論点整理(たたき台)」でございます。
     資料は以上でございまして、あと、参考資料が幾つかついておりますが、まず、参考資料1といたしまして、委員名簿をつけさせていただいております。次に、参考資料2といたしまして、「『OECD諸国における環境関連税制−論点と戦略』について」という紙が、1枚でございますが、あります。そして最後に、参考資料3といたしまして、「英国気候変動政策調査報告」という分厚い束がございます。
     以上でございます。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。資料に過不足はございませんでしょうか。
     ございませんでしたら、まず、「諸外国における温暖化対策税の導入・検討状況について」、事務局から資料1に基づいて説明をお願いいたします。

    ○後藤総政局調査官 それでは、早速説明に移らせていただきます。
     資料1の関係の前に、お手元に今、参考資料の2と3という形で諸外国の状況に関連するものを配らせていただいておりますので、その内容について、若干簡単に冒頭ご説明いたします。
     「『OECD諸国における環境関連税制−論点と戦略』について」というペーパーが参考資料2として添付されてございますけれども、これは、前回の会合のときにご紹介しましたとおり、ことしの春に、OECDの閣僚理事会におきまして、環境税を含む経済的措置に関する推奨文が入ったわけでございますけれども、そこに至る過程におきまして、これまでOECDの中で、租税委員会という税制を担当する委員会と環境政策を担当する環境委員会が合同部会をつくって、環境税について研究してきた成果が、先月の9月末、正式に英文の刊行物として発刊されました。ここでは、そのエッセンス、結論部分と要約を日本語として要旨をまとめたものでございます。また後ほどごらんいただければと思います。この内容は、パリのOECDのインターネットでも公開されております。
     それから、もう一つが参考資料の3でございますが、「英国気候変動政策調査報告」というものでございます。これは、中環審の国内制度小委員会のメンバーという形で、10月1日、2日、2日間にわたりましてイギリスの気候変動税、気候変動プログラム全体を視察調査するというミッションが行われました。その報告書でございます。
     内容につきましては、気候変動税のところに関しまして後ほど別の資料でご説明いたしますが、イギリスの制度は全体としていろいろな施策を組み合わせたパッケージになっておりますので、その点につきましてはこの資料をごらんいただければと思います。
     それでは、資料の1、本題の方に移らせていただきます。
     まず、資料の1−1からご説明させていただきたいと思いますが、資料の1−4、全体の各国の導入状況をまとめた大きな資料がございます。本来でありますれば欧州諸国の導入状況を各国ごとに網羅的にご説明すべきところでございますけれども、内容をそれぞれ、バックグラウンド等々、この限られた時間内でご説明するわけにはまいりません。ここの大きな資料では、導入された順に、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、オランダ、それから、その後、主要国として90年代末以降入ってきましたドイツ、イタリア、イギリス、それから今後導入予定のスイスといった国に関しまして、それぞれの項目にわたって比較表の形でまとめたものでございます。全体につきましては、これもお手持ち資料ということで後でごらんいただければと思います。
     今回、この資料の1−1につきましては、そのうち4カ国を取り上げまして、典型的なパターンとしてご紹介したいと思います。選びましたのはスウェーデンとドイツとイギリスとスイスでございますが、スウェーデンは北欧の国々の中の一応代表選手ということで、90年代初頭に炭素税型の温暖化対策税を導入した例であるスウェーデンを選びました。また、2番目のドイツでございますけれども、これは、従来から存在していた化石燃料に課されている鉱油税の税率を引き上げるような形をとって、温暖化対策の全体としての税制を築こうとしているパターンとしてご紹介したいと思います。そして3番目にイギリスでございますけれども、先ほど申しましたように、気候変動全体の中で京都メカニズムのほかの施策とのパッケージを念頭に組み合わせた例として、そして、しかも、ことしの4月から導入された直近の目新しい例としてイギリスを紹介させていただきたいと思います。そして最後のスイスでございますけれども、まだ正式な導入は行われておりませんが、将来にわたって入れるとすればどういう温暖化対策の税を入れるのかということに関して、法定化した形で既に制度的に入っております。その導入時期は今後の状況を勘案しながらということでございますので、導入の手法、パターンとしてユニークだということでご紹介させていただくということでございます。
     それでは、まず最初にスウェーデンでございますが、ページをおめくりいただきまして、第1ページ目でございます。
     まず、この「温暖化対策税制」とこの専門委員会で称しているものに関しましては、新税としての新しい包括的な環境税としての温暖化対策税を入れる場合と、既存の税制を調整しながら導入していくというような両方の概念を含んだものとしてまとめてございます。スウェーデンの場合は、90年代の初頭、全体の税制の大きな改正がございまして、ここの中におきまして、税制体系の中で社会保障負担や直接税から間接税の方へ移行していくという大きな流れの中で、炭素税というオプションがその一つとして導入されたという経緯がございます。この税制は、炭素含有量というものに着目した比例配分で税率を張っているという意味におきまして、典型的な炭素税という言い方ができようかと思います。そして、ことしに入りまして、また新たなグリーン税制改革というものの一環でこの炭素税が増税されている。既存のエネルギー税というものを逆に減税しているという方向が打ち出されております。
     まず、既存のエネルギー税制は、それでは何があったかでございますけれども、この下の表の右側にございますように、エネルギーに関しまして個別エネルギーの個別消費税がかかっていた。そのカバレッジは、交通用のガソリンから、以下ずっと広く覆っておりまして、電気まで課されている。つまり、化石燃料プラス電気エネルギーにもかかっていたというような税目でございます。炭素税として新しい税が入るときに、この既存エネルギー税につきましては税率を2分の1に一時減額し、既存税制との調整が行われました。ただ、炭素税の導入額と、この既存エネルギーの減税された後の額を足し合わせますと、化石燃料には実質増税という形で、(その調整が)導入当初行われております。それから、課税対象は、ここにございますように、新しい炭素税につきましては電気を除いた部分でございます。ガソリンからこの下の天然ガスまでであります。それから、95年より、この炭素税とエネルギー税ともに、税率をこのインフレ率に応じまして自動的に上昇させるインデクセーションの方式がとられているところに特色がございます。
     そして、2ページ目でございますけれども、課税段階。執行機関としては国の徴税機関が担当する形で、既存のこのエネルギー物品税、エネルギー税制の徴税システムをそのまま活用する形で、新しいこの炭素税についても対応しているという状況であります。
     それから、納税義務者は、ガソリンやディーゼルといった燃料に関しましては、卸売もしくは製造業者になっております。それから、その他の燃料、また天然ガスでありますとか石炭、ピートに関しましては、これらの燃料を製造、加工する者、また卸売者も該当しています。天然ガスはほとんどが輸入で、輸入業者が購入負担等をする形になります。それから、ピートに関しましては採掘者が納税義務者に定められております。
     それから、第1回目の論点にもございましたけれども、個別の産業部門などに対する配慮がどのように行われているかでございますが、産業部門に関しての措置は、ここにございますように、製造業、農林業、それから養殖業というものに関しましては35%の軽減税率。それからまた、課税額を一定額超過した場合については、その超過分については軽減するという調整措置も入っております。それから、製造業や農林業、養殖業に熱としてエネルギーを供給する熱供給業者につきましても、炭素税が65%還付されるという特別な措置が講じられております。
     また、それぞれの燃料の使われ方につきましての減免措置でありますけれども、金属業の加工過程に使用される石炭でありますとかコークス、これは非課税になっております。それから、鉱物油、石炭、石油コークスといった製造に用いられるものも非課税ということであります。それから、セメント、褐炭、ガラスといったようなものを製造する際に投入される燃料というものに関しては軽減措置があります。更に、発電用の燃料に関しましては、この炭素税は非課税になっています。
     それから、環境に関する配慮としまして、ガソリン以外の燃料につきましては、鉄道輸送に使う場合には軽減措置が講じられています。
     税収の使途でございますけれども、一旦はこれは全部一般財源に組み入れられて、所得税等の減収分に充当されているということで、これは、冒頭申しましたように、直間比率の見直しの大きな税制改革の一環で入ってきています。
     それから、実際に導入されて既に10年でありますけれども、その間に政策当局としていろいろな施策評価、実際にどれだけ効果があったのかに関しても一通りの分析が行われています。1つは、この95年10月、スウェーデンの自然保護庁で行ったものでありますけれども、スウェーデンで行われてきた施策、地域暖房でありますとか産業部門、住宅部門、業務部門、それぞれでいろいろな施策が行われてきましたけれども、87年から94年のこの排出量が削減されたうちの約60%が、91年に導入されて以降の、この炭素税の効果だということになっております。特にこの地域暖房といった部門に関しては、この炭素税の効果が大きかったという報告になっております。また、その2年後の97年7月の報告書におきましても、エネルギーに関する課徴金の効果につきまして、この炭素税が、既存エネルギー税とともに地域暖房部門における、いわゆるそのバイオ燃料−−これはバイオマスに相当スウェーデンは力を入れているわけでございますけれども、このエネルギー転換を図っていく上で効果があったという評価がなされております。
     以上がスウェーデンでございます。
     それでは次、ドイツでございます。
    ドイツは、皆様もご承知のとおり、98年に政変がございまして、SPDと緑の党の連立政権が樹立し、包括的な環境税制改革を実施するという連立協定が結ばれております。その一環で、99年4月に第1次の環境税制改革が実施されました。冒頭申しましたけれども、ドイツの場合は、既存の税制である鉱油税( mineral oil tax)の税率を引き上げる形で温暖化対策の税制が築かれておりまして、この既存税制でカバーされていなかった電力に関しましては、新たに電気税というものを新設し、その穴埋めを行っています。2000年1月、昨年の1月から第2次の環境税制改革の実施に移されておりまして、徐々にこの税率が引き上げられていき、2003年1月1日、暫定的な目標税率に到達すべく、今、段階引き上げの途上にございます。税率の引き上げ状況は、この次のページの4ページ目の上の方にあるとおりでございまして、ガソリンなどにつきましては、98年の時点から、徐々に毎年、1キロリッター当たり60ドイツマルクごと税率が引き上げられていく形になっております。
     主な課税対象と税率でございますけれども、既存のエネルギー税に関しましては、このガソリンからLPGまでカバーされています。そして、あと天然ガスが入っていますが、温暖化対策税はこの税率の引き上げでございますので、カバレッジはまさに同じです。つまり、既存税目の引き上げということで、その引き上げ分を温暖化対策税として位置づけています。それから、電気につきましては、ここにございますように、1kWh 当たりの 0.025ドイツマルクという水準で税率が張られています。
    そして、4ページ目の表は、先ほど申しました段階引き上げの状況で、ガソリン、ディーゼル、軽油、それぞれ引き上げられています。それから、電力に関しましても毎年徐々に引き上げられていくという形になっております。
     それから、課税の段階でございますけれども、納税義務者は鉱油税の納税義務者と同じです。これは主に石油の供給企業になります。新たに導入された電気税に関しましての納税義務は、この電気が電気供給事業者から実際最終消費者に買い取られる際に、その課税義務が発生するわけでありますが、実際の納税者は電気供給事業者になります。
     それから、同じく減免措置でありますけれども、産業部門に関しての減免措置としましては、零細製造業、それから農林業に対する軽減措置が入っております。これは、鉱油税から引き上げた分に関しては、その引き上げ分の20%だけでいいということになっております。80%分は払い戻す制度になっております。それから、産業部門での自家発電に関してでありますけれども、2MWまでに関しましては電気税を非課税にするという足切りがあります。
    それから、環境配慮に対する措置でございますけれども、月間稼働率70%を超える、いわゆるコージェネレーション。コージェネに関しましては鉱油税は非課税という政策誘導があります。それから、99年の年末以降導入されました発電形態としまして、高効率複合サイクルガスタービンを用いた発電に関しましては、鉱油税が向こう10年間、すべて非課税という制度も入っております。それから、再生可能エネルギーの発電に関しましては、電気税との関係から見て非課税という扱いになっております。それから、鉄道の消費分についての電気は50%の軽減適用で、ここもモーダルシフト等々に対応する形になっています。それから、公共交通機関で消費される燃料油に対する軽減措置もあわせて講ぜられております。
    それから、用途に関しましては、発電用の燃料は鉱油税の引き上げた部分について、温暖化対策として引き上げた分については免除になっております。
    それから、いわゆる逆進性の関係でありますけれども、低所得者層への配慮で、低所得者層が使う可能性の高い夜間蓄電式の暖房に関しては、50%の軽減税率が適用されています。これは電気税に関してでございますけれども、そうした配慮がなされています。
    税収の使途でございますが、このあたりは、雇用関係の問題が欧州の場合は最重要課題になってございますので、雇用者、被雇用者、双方の国民年金保険負担の軽減に重点的に充てられています。そのほか、一部は再生可能エネルギーといった環境政策にも充当されています。
    それから、効果につきましては、ちょうどことしの6月に、ドイツの環境省に当たります連邦環境・自然保護・原子力安全省の方から報告書が発表され、90年の時点で見た成り行きケース、いわゆるBaUケースとの比較においてどれだけ削減されたかを見てみますと、この環境政策として講じた税制改革によって 700万トン、二酸化炭素トン当たり 700万トンの削減になっています。ドイツとイギリスの削減状況につきましては、また別途のペーパーでお話しいたします。
    それから次に、イギリスであります。
    イギリスは、98年に我が国の経団連に当たります産業連盟の元会長でいらしたマーシャル卿が取りまとめた、このマーシャルレポートが、温暖化対策、気候変動政策についての全体的な方向を築きました。そして、これに従って、99年3月、政府予算案の中で産業部門、商業部門のエネルギー消費に対する気候変動税の導入が盛り込まれたわけでございます。
    片や、この税が入るまでの状況でありますけれども、いわゆるガソリン等の炭化水素油に関しましては、炭化水素油税( Hydrocarbon oil tax)が既に課されておりまして、90年代、この税率が徐々に引き上げられていました。既に温暖化対策は、90年代を通じて、イギリスでは、この気候変動税が入る前からそうした配慮が税制面でも加味されていたということであります。
    その引き上げ状況につきましては、ちょっと小さな数字でございますけれども、資料にその表を掲げてございますのでごらんいただければと思います。90年の3月時点からこの2000年の3月時点まで、相当な税率の引き上げになっていることが見てとれると思います。
     次に、7ページ目、今の気候変動税の課税対象と税率でありますけれども、既存のエネルギー税が油の関連の燃料にかかっていることから、それ以外の部分について、穴埋めをするような形でこの気候変動税がカバレッジを張っています。LPG、それから石炭、天然ガス、電気といった既存のエネルギー税でカバーされていない部分が入ってきています。
     課税段階ですが、電力供給企業等のエネルギー供給事業者が最終消費者から料金とあわせて徴収して、国税当局に納税するというシステムになっております。いろいろなきめ細かな産業政策上の配慮などもなされているわけですけれども、そうした執行を支えているのが、インボイス方式のこの付加価値税の体系でございます。
     それから、以下に掲げる部門に関しましては、供給事業者に環境政策当局が発行した証明書を示した上で、税額の80%が軽減されるという軽減措置がとられています。具体的に申し上げますと、主な減免措置の欄にございますけれども、政府との間で気候変動協定という協定を締結すると、そこには二酸化炭素の削減目標を盛り込んでいるというようなものでございますけれども、80%の税額の減税があるということであります。現在、エネルギー集約産業等々、40業種の団体とこうした協定が締結されているということであります。
     それから、環境に対する配慮としましては、再生可能エネルギー発電でありますとかコージェネの効率のよいもの、公共交通機関等々については非課税となっております。
     それから、地域的な配慮としまして、北アイルランドにおける天然ガス消費は、パイプライン計画進行中ということから向こう5年間は非課税です。
     それから、用途につきましては、発電用燃料は非課税。原料として用いられる場合も非課税。それから、アルミ精錬等、電気分解工程で使われる電気は非課税であります。
     それから、税収の使途でございますけれども、これもイギリスの産業の国際競争力を損なわないということがマーシャルレポートの中に明記されています。税収が年間で約10億ポンドでございますけれども、すべて民間産業界に還元されていくという税収中立のシステムをとっております。税収の大半は社会保険の雇用者負担の引き下げ。それから、これはイギリスの炭素基金でございますけれども、エネルギー効率の改善でありますとか再生可能エネルギーの促進のための技術開発への支出ということで、毎年 5,000万ポンドが充当される。それから、エネルギー効率改善の投資を促進していく財源として、1億ポンドが2001年、2年間に出ていくということであります。
     それから、イギリスのこの気候変動プログラムに関しまして、導入当初の効果の試算でございますけれども、2010年における効果を見通した場合に、この気候変動税で約 730万トン、二酸化炭素トン当たり 730万トン削減できると見込んでおります。
    イギリスにつきましては以上でございます。
    そして、最後のスイスでございます。
    スイスの場合は、ここにはちょっと書いてございませんけれども、90年代に入ってすぐに、温暖化対策の関連から、エネルギー2000行動計画で既に再生可能エネルギーや省エネに関しての推進施策が従来とられてまいりましたが、炭素税についてはなかなか導入ができていなかった。97年の段階に新しい税制を入れる必要があるのではないかという議論が開始され、昨年の5月に法律が施行されております。これが、二酸化炭素削減連邦法という法律でございまして、内容は、化石燃料エネルギー使用に由来する二酸化炭素削減をするために、この2010年までに90年比で10%の削減を行うことを法律でうたっております。そして、その目標を達成するために、まず、エネルギー・交通・環境・財政施策といった全般的な総合施策を通じて、または自主的な取り組みを促進することによってこの達成を進めることとなっております。しかし、その取り組みだけでは困難な場合は、補助的手段として、将来、この二酸化炭素に関する税を入れると法律の文章になってございます。課税標準は炭素含有量。この二酸化炭素税は、早くても2004年。2004年まではまだ導入しない。それまで状況を見ていく。そこで必要あらば(導入する)という判断をしていく形になってございます。
    法律の要点は、そこに書かれているとおりでございます。
    10ページ目の方で主な課税対象と税率が書かれてございます。スイスの場合も、既存のエネルギー個別消費税がございます。ガソリンやディーゼルの軽油、それから軽油と重油、石炭と天然ガスに、鉱油税(mineral oil tax)がまたドイツと同じように課されている。こうした課税対象を念頭に、今後具体的に必要なときに導入を検討していくという形になっています。つまり、実際にこれから導入される際には、この既存のエネルギー税制の上乗せという形で新税が入ってくるという仕組みになっております。
    課税段階でございますけれども、スイスの場合、石油製品として輸入される部分が非常に多い。また、精製過程が国内に余りないということから、ほとんどが税関で通関する際に取られているということであります。今後、温暖化対策の税として新たな二酸化炭素税が入った場合も、このシステムによるということになろうかと思います。
    それから、減免措置につきましては11ページに書かれてございますけれども、今までご説明してきたものとほぼ類似した形の優遇措置がとられております。スイスの場合も、先ほどのイギリスと同じように、二酸化炭素の排出量の上限を定める公式な約束を連邦政府と取り交わす場合は、将来導入される二酸化炭素税は非課税になる形で規定されています。
    資料の1−1に関しましては以上でございます。
     先ほどから炭素含有量という概念が炭素税に関して出てまいりますので、参考資料として化石燃料の排出係数という1枚紙が入ってございます。ちょっとごらんいただければと思います。要するに、それぞれの燃料にどれだけの炭素が含有されているかということであります。体積でありますとか重量でありますとか、燃料毎に単位がばらばらですので、ここでは、その含有量の大小がはっきりわかるように、単位を揃えたCO2 の排出係数で示してございます。共通単位のMJはメガ・ジュール、 100万ジュールという単位でございますけれども、大体石炭関係では、上の方にあります練炭や豆炭あたりまでは90から 108ぐらいの数字になります。それから、原油から潤滑油のあたり、油関係でありますと65から70幾つという水準。そして、天然ガス等は60以下、50台ということで、大まかには大体この3つぐらいの分類になり、それに応じて税率が炭素税の場合張られているということであります。
     それから次に、横長の「資料1−1(別添)」として書かれてございますけれども、これも「(暫定版)」と書かれてございます。先ほどの全体の国の一覧表もそうですが、なかなか既存の税制について詳細をすべて正確に示すまでには至っておりません。事務局でも継続的に今調査を進めてございます。執行体制ともなりますとさらに詳しい調査が必要ですので、ここで出されているポンチ絵は、大まかに今までの4つの国の紹介を図式化したものです。今後、必要があれば、さらに修正を加えていくべきものということでご認識いただければと思います。
     スウェーデンの場合は、ここにございますように、既存の税制に炭素税といったものが入ってきて、電気については既に課されていたということであります。そして、課税のポイントは下流ということです。
     それから、ドイツに関しましては鉱油税が入っていて、この下流の鉱油税に上乗せする形で温暖化対策がなされ、一番右側の電気に新たに穴埋めをする形で新税が入った。
     それから、3番目のイギリス。イギリスの場合は、既にございました炭化水素油税が、やや色の黒いところでございますけれども、上流ないしは下流のどちらかのケース、これは二重課税ではございませんで、必ずどちらかのケースで課税されているということでありますけれども、そうした燃料のうちカバーできていなかった部分、一番左の石炭、石油製品のLPG、そして天然ガスと電気をふさぐ形で新しい税制が入ってきて、一つの税目として気候変動税が入ってきたということです。
     それから、スイスの場合は先ほど申しましたとおりでありますが、これを、上流での課税としていますのは、大体輸入の段階で課税されてくる率が多いことを想定して上流に位置づけてございます。詳細はさらに調べる必要がございます。
     以上、ポンチ絵でございました。
     それから、資料の1−2は、これは、従来、ドイツとイギリスに関しましてはCO2 の削減がかなり90年代に進んでいるが、特殊要因が大きく効いているとよく言われるわけであります。そこで、ことしに入ってドイツの環境省がまとめた削減内容についての研究成果で、これは先般の中環審の国内制度小委でもご紹介させていただいた資料であります。ドイツの場合は、効率の悪い東ドイツを統合したことによる効果。イギリスの場合は、エネルギー構造として石炭から天然ガスへの大きな燃料転換があったといわれます。したがって、ほうっておいても二酸化炭素は減ったのではないかという意見に対して、いや、そうではなくて、政策的にその間進めてきたものがかなりの効果があったんだということを結論づけているものであります。
     2ページ目に図示されているグラフをごらんいただくと、その結論がおわかりいただけるかと思いますが、90年を出発点としまして、先ほど申し上げたような、この両国における特殊要因がなかった場合、そして政策的な手段を何らとらなかった場合、一番上の成り行きケース、BaUというような形のラインになります。これに対して二酸化炭素もしくは非二酸化炭素の効果ガスに対して施策を講じたことによって、どれだけ下にシフトしたか。さらに、特殊要因で全体としてどれだけ削減されたかといった点が示されています。
     この中での税制の位置づけですが、3ページ目はドイツの例が書いてありますが、政策効果として、削減された額、これは 100万二酸化炭素トン当たりの 127.4と書かれてございますけれども、うち二酸化炭素が70.7。そのうち先ほどご紹介しましたエコロジカル税制改革という形で、700万トンが削減されています。一番右側の欄の中ほどにエコロジカル税制改革と出てきますけれども、それなりの効果がBaUと比較においてあったんだという結論になっております。
    それから、イギリスに関しましても炭化水素油税が順次引き上げられてきている状況がございましたので、同じように見てみますと、政策効果として削減された 100万トン単位当たり83.5というもののうち、二酸化炭素が46.7削減。そのうち燃料物品税の増税による対応が11.0ということで、それなりの効果がここでも示されています。
    それから、恐縮でございます、資料の1−3でございますけれども、これはお手持ち資料ということで整理させていただきたいと思います。国際エネルギー機関、IEAの資料をもとにしまして、それぞれの燃料ごとに、今どのような各国の課税状況になっているか、末端価格に対してどれだけの税額が負担されている形になっているのかを棒グラフであらわしたものでございます。ガソリンのところを最初に表にしてございますけれども、右から2番目が日本であります。価格としては中ほどで、税の負担の比率といっても、それほど日本だけ際立って大きいというわけではないというような状況でございます。そのほか、軽油、重油、それから石炭等々、個別の燃料ごとに図示していますので、後でごらんいただければと思います。
     資料の1の説明に関しましては、雑駁でございましたけれども、以上で終わらせていただきます。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。
     質疑応答は、資料2の説明をいただいた後にさせていただきたいと思います。
     続きまして、「我が国のエネルギーフローとCO2 排出量について」、資料2のご説明をお願いいたします。

    ○後藤総政局調査官 お手元の横長に広がった資料でございますけれども、これはちょっと表と裏がわかりにくくなっていますが、「資料2」と書いてある方が表で、まず、こちらでごらんいただきたいと思います。全体のエネルギーのフローが書かれているわけでございまして、これは初回にご説明した内容を、日本の場合、全体としてエネルギーがどのように流れているのかをやはり認識しておきませんと、どのようなところに課税すべきかという議論がなかなか出てこないということからまとめたものであります。エネルギー単位は、これはすべてペタジュールという単位で統一していますので、ここに掲載されている数字は相互に比較可能な形になっています。
     まず、一番左側の一次エネルギー総供給で見ますと、全体を 100とした場合、石油が52%を占めている。石炭は17.4、天然ガスが12.7、原子力は13%という比率になっています。石炭に関しましては、ここ輸入量が趨勢的に増加しているということですけれども、このあたりは、実際にこの石炭の欄を右側にずっと矢印をたどっていただきますと、大きな数字が電力に吸い込まれていまして、火力発電で石炭が相当使われていることが見てとれます。
     実際に、この電力部門のエネルギー転換部門でのCO2 の排出量、これはぎざぎざの形で少し黒くなっている部分ですが、ここで大きな排出が行われています。この排出量が、右側の方の消費段階までいきますと、実際に最終エネルギーを消費されているところでは、割り振られている数字がスラッシュの右側にある数字です。電力部門で発生した排出量を最終のところに割り振った段階と割り振っていない段階というものを2つ掲げてございます。こうしてみますと、産業部門なかんずく鉄鋼と化学工業で大きな排出があることが見てとれます。
    それから、民生部門に関しましては家庭と業務で大体同じような形の比率になっています。それから、運輸部門が全体の中でも2割方を占めるような形で排出されていることがわかります。
     今度は裏をごらんいただきますと、先ほどの単位は全部ペタジュールにしておりましたけれども、税制との関係で単位を多少変えて、それぞれのエネルギーの単位で示したものです。これは第1回目の資料の拡充版です。最初の段階、一番左側で原油等の関税がかかってくる。その上で、次は石油税が入ってくる。そして、エネルギー転換部門では石油精製やコークスの製造、それから電力の転換、そして都市ガスの製造といったような工程を経て、それぞれの部門で使われていくということですが、一番上の石油精製でガソリンとなったところで、実際に運輸部門等で使われていくところにガソリン税、つまり揮発油税と地方道路税がかかってくる。
     全体としては以上のような流れということで、前回の資料の補足版としてご活用いただければと思います。
     資料の2に関しましては以上です。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。
     それでは、資料1及び資料2についてご質問がございます方はどうぞ。
     どうぞ。

    ○天野委員 きょう確かお配りいただいた資料にもあったと思うんですが、環境負荷を高めるような、そういう財政措置、助成金とか補助金とか、あるいは税制、金融上の優遇ですね。そういうものがあれば、それを先に除くべきだという議論があると思うんです。OECDなんかでそういう議論があって、きょういただいた資料にもどこかに書いてありましたが、きょうのご紹介ではそこは余りなかったように思うんですけれども、今後、日本でいろいろな制度を考える上で、やはりそれも一つ考えておくべきことではないかなと思いますので、そういった点についても、きょう触れられたような国でどういうことが行われているかというふうなことも、もしわかれば調べていただけたらいいのではないかと思います。

    ○飯野委員長 大塚先生、イギリスのミッションに行かれて、何か感想でもございましたらどうぞ。

    ○大塚委員 では、ご指名ですのでちょっとだけお話しさせていただきます。後ろの参考資料の41ページだと思いますけれども、今回の視察に一員として加えさせていただきましたが、「財務省との懇談会」というところが、税の関係のお話の一番中心だったわけです。
    先ほどもちょっとお話があったかと思いますけれども、イギリスのこの気候変動税というのは2001年4月に導入されましたが、家庭の電力消費が課税対象外になっているというところが非常に特徴的なところだと思います。燃料貧困、フューエルポーヴァティー(fuel poverty)というふうに言われていまして、貧困者が燃料を買えなくなるのは困るということで、家庭が対象外になっているというのが一つの大きな特色ではないかと思います。
     それから、上流課税か下流課税かという問題もあるわけですけれども、これについては、(2)のところにありますように、これは下流課税にしているということでございます。
     それから、税率の設定については、国際競争力を失わないようにということが配慮されているというのはほかの諸国と似ているわけですが、減税に関しては、先ほどもお話がありましたように、気候変動協定に参加している業界、あるいは企業については、80%の減税ということが行われています。これは政策パッケージの問題と関係してくるわけでございます。協定の話を多少してしまって恐縮ですが、気候変動協定のような協定手法を温暖化との関係で使った場合に特に問題になる点は2点ございます。1つは、協定に参加するインセンティブをどういうふうに与えるかという点でございます。これは、協定なんかに自主的に参加したいという企業は、普通考えればそれほど多くはないわけで、そのインセンティブをどうやって与えるかということが1つであります。それからもう一つの点は、加わっていただいた後、協定に参加していただいた後、どういうふうにそれを守っていただくかというインセンティブをいかに与えるかという点でございます。これは、もちろん非常に厳しい協定の条項を入れれば、裁判所で強制執行するというようなことは不可能ではないわけですけれども、この問題についてそれをするのはほとんど不可能ですので、どういうふうにそのインセンティブを与えるかという2点の問題がございます。
     イギリスの場合には、税を入れて、協定に参加すれば80%減税するというインセンティブを与えて、その協定に参加することのインセンティブを与えたということで、今の第1点の問題はクリアしております。それから、第2点についても、この協定の期間は2年ですけれども、2年終わったときにもし目標を達成していないという場合には、次の2年について減税の効果は得られないという、そういうことで、守ることの、遵守のインセンティブを与えているということで、税プラス協定という方式が非常に機能的に使われているということが大きな特色であろうというふうに思います。
     あと、税収の使途については、先ほどご説明がありましたように、基本的には税収中立の立場でございますが、省エネの目的のために、あるいは再生可能エネルギーへの助成等のために一部使われているということでございます。
     それから、徴税方法等の執行面について多少注目されるのは、還付の仕組みを採用しなかったということでございます。軽減対象者について還付の仕組みを採用しなかったということでございまして、これは、その方が行政コストが少なくて済むからだということでございます。本当に最初から軽減対象について完全に明確にできるのかということは少しねちねち聞かせていただいたわけですけれども、それはできるんだという答えが返ってきました。
     大体その程度でございます。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。
     あと、イギリスについて、安原委員、何かつけ足すことがありましたらお願いします。

    ○安原委員 私も調査団の一員に参加させていただきました。事務局の説明、あるいは大塚委員の説明にもう尽きておりますが、若干補足申し上げますと、税の導入についてそう大きな反対がないように見受けられたものですから、そこはどうしてこの新税の導入というのは理解が得られたんだということを聞いたわけですけれども、いろいろなところでやはり異口同音に、冒頭説明がありましたマーシャル卿ですね。マーシャル卿がいわば産業界の一番のトップなんですね。たしかBAの会社の代表者でもあるということで、非常に発言権のある方。その方が中心になってこのマーシャルレポートをまとめられて、それに基づく制度化ということで、比較的産業界では、マーシャル卿がまとめた案であるならば、そういうことで理解していくしかないというような雰囲気があったということが説明でございました。
     中環審の国内制度小委員会でも中間取りまとめをやっておりますが、その中でもいろいろな政策がございます。政策をパッケージするのが効果的だということで幾つかの案を示しているわけですが、まさに英国は、説明がありましたように、このパッケージを非常にうまくつくっているという印象を受けました。そのベースに気候変動税がありまして、先ほどおっしゃいましたように、協定を結ぶと80%の減税があるということでインセンティブを与える。それから、それをベースにして、また国内の排出量取り引き制度を来年の4月から実施に移していくということで、それも協定参加者が中核になっているわけでございます。そういう形で非常にうまく結びついている。
     その協定と、それから国内排出量取引のところのつながりは、協定参加者の場合には、ターゲットを過剰達成すればその達成したものを売ることができる。それから、未達であればその市場で買ってくることができるということですね。それだとその排出量の売却が少ないのではないかということが危惧されるわけですけれども、そこは、協定外の事業者であっても、1998年から2000年の排出量を基準にとって、それよりも排出が下回る場合にはクレジットが与えられて、それを売却することができるというような形で、協定外の方も参加するということで参加者をふやす形にしているようです。これはあくまで自主的な、実験的な制度で、2008年にはもう一回制度を見直して、完全な形の制度に移行するということのようです。
    それからあと、協定のところのポイントは、どういうぐあいにしてターゲットについて協定するのかというところですが、それぞれの企業のいろいろなデータを第三者機関もチェックしまして、それを共通の情報としましてBaUの場合はどのくらいとまず設定、それから、今その産業部門で使える、省エネルギーだとかいろいろな技術を全部使って実施に移していった場合、その効果が出る。それを下限として、その間で交渉で決まるというような形で決めていったようでございます。統一基準ということでフォーミュラがあって、それに当てはめてぱっと出るというものではどうもないようでございます。それは総じて関係者は非常に厳しいターゲットだと言っておりましたが、NGOなんかで一部に、必ずしもそうではないのではないかという見方をする向きもございました。そこは、評価がある程度分かれるところはやむを得ないかと思いますが。
    これはあくまで産業界に対する対策なんですが、先ほど冒頭ありましたように、電力につきましてはリニューワブル・オブリゲーション制度というのをとることになっていまして、2010年までに、再生可能エネルギーによる発電は現在 2.8%なんですが、これを10%まで段階的に上げていくということが義務化されるというようなことで、電力への対応をとっているようでございます。
    それから、燃料課税については、もう説明がありましたとおり、フューエルデューティーという別の税があって、これを段階的に上げるプログラムになっている。そういうことで、全体として英国としてかなり積極的な取り組み、総合的な取り組みがとられるシステムができ上がっている。あとは国内排出量取引制度の構築とその実施が残された課題で、これは着々と進んでいる。その場合も、非常に感心しましたのは、政府とか公共部門だけがいろいろ議論して、それをおろしていくということではなくて、もう国内排出量取引制度自体のどういう仕組みにするかということについて、産業界も入れたグループができていまして、そのグループが中心になって細目の詰めをやっているというところは非常に感心した点でございます。
    以上でございます。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。
    せっかくイギリスの専門家がいらっしゃるので、ご質問はございますか。
    奥野先生、どうぞ。

    ○奥野委員 単にわかっていないだけなのかもしれないんですが、1つは、イギリスの話もそうなんですが、そのほかにドイツの話もちょっとお聞きしたいんですが、私、経済理論なので、理論で考えると、こういう炭素税みたいなもので、排出係数が固定しているようなものに課税するのが一番各燃料に中立的で、望ましいように思うんですけれども、それにもかかわらず、ドイツの場合には、下流課税で個別の燃料に別々の税率を課していると。これは何が理由なのか。つまり、普通の炭素税ではなくて、なぜこういう税金を選んだのかということについてのご説明がもしあればお願いしたい。
     それからもう一つは、電力なんですが、電力についても、これは下流課税にイギリスの場合はなっているわけで、なぜこれを上流課税にしないのかはよくわからなくて、今、大塚先生の方から参考資料3の41ページに説明があるとおっしゃられたのですが、私にはちょっとよくわからなくて、上流で課税すると、転嫁されて電力を消費する家庭の負担になると書いてあるわけですが、それは、電力税をやれば当然家庭の負担は出るではないかと。どこが違うんだというのが1つわからないんですね。
     それからもう一つは、上流課税をすると電源構成に影響を与えるとおっしゃるのですが、むしろ電源構成に影響を与えて、例えば水力発電とか、そういうものをふやした方がいいのではないか。なぜそれをしないんだというのがちょっとよくわからないので、もしそこら辺についても教えていただければと思います。

    ○飯野委員長 そうですか。では、横山さん、その関連の質問ですか。

    ○横山(彰)委員 奥野先生のご質問と関連するのは、それぞれの具体的な税率がどうしてこういう数字になったのかということですね。そこがわからない。何か情報があれば教えていただきたい。

    ○飯野委員長 済みません。まず、ではイギリスからお答えできたらお願いしたいんですけれども、どうでしょうか。

    ○安原委員 今の横山委員のご質問でございますが、英国の場合は、先ほど数字が出ていましたように、EU全体でCO2 の排出を抑制するターゲットが決まっていまして、英国に割り当てられたのが12.5%なんですね、これは全部の6ガスの温室効果ガス全体としてですが。英国は、政府の方でいろいろ検討しまして、CO2 だけをとらえて20%やるという国内の政府の目標を決めているわけですね。それを実施に移すために、いろいろな部門でバランスを考えて恐らく設定したんでしょうけれども、排出目標というもののブレークダウンをしておりまして、そのブレークダウンした目標を達成するために、それぞれの分野におけるいろいろな政策手段を整理しております、いわゆる気候変動プログラムというものでございます。その中で、この税でどのぐらいやるというようなのがありまして、そこから恐らく税率というのは出てきているのではないかと。これは、後は推測でございますが、そう思います。
    あと、大塚先生、お願いします。

    ○大塚委員 質問ができるようになっていますので、詳しくはちょっとまた電子メールなどで聞いてみたいというふうに思います。まず、税率がどういうふうに決定されているかという話は、そこでも伺ったと思いますけれども、それほど明確な答えは出てこなくて、炭素との関係で、従来の既存税との関係で最もバランスのとれたことを議論しながら政策的に決定したという話は出てきましたが、それほど明確な答えは出てきておりませんので、そこら辺についてはもう少し詳しく伺っていきたいと思います。

    ○飯野委員長 ありがとうございます。
    どうぞ。

    ○事務局 イギリスの話ですので、先にちょっと済みません。
    奥野先生のお問い合わせでございますが、なぜ上流でかけないのかということでございます。燃料構成に影響を与えたくないということははっきり言っていたのですけれども、確かに環境施策だけを考えた場合には、CO2 の排出の少ない燃料構成になればそれでいいということなんですけれども、やはりほかの政策、エネルギー政策ですとか、そうした観点への配慮があるということを言っておりました。
     家庭の方に関しましても、今は電力消費の方でかけておりまして、かつ、その電力の消費者を産業界と限っておりますので、家庭に完全にかけないようなことはできるんですけれども、もし上流で発電燃料にかけてしまった場合には、家庭だけ除くということは難しくなってしまいます。英国は貧富の格差が激しくて、フューエルポーヴァティーという問題があるということで、それに配慮したということを言っておりました。
    以上です。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。
    ちょっとお待ちください、済みません。先に、ドイツについて諸富先生に一言コメントをお願いしたいと思います。

    ○諸富委員 私もこれまでいろいろ調べてきて、なぜこういう税率決定になっているのかというところは正直なところわからないわけなんですが、今回の事例を見ていますと、例えばイギリスのケースでいえば、こちらの資料の1−1のイギリスの状況のところ、7ページに書いてありますように、これまでの既存エネルギー税に対して、それまで非課税であったような部分のベースをうまく埋めていく、それを穴埋めしていくようなアプローチをとっているんだなということがわかるかと思います。
     それから、ドイツに関しては、鉱油税が比較的最終消費段階で広いベースを既に持っているために、それを上乗せ課税していく、最終消費段階の課税を強化していくという形で課税したのではないか。ただし、これは、同じ資料の3ページに出ていますように、灯油と石炭が非課税になっているということがございまして、本来ならば、そういうアプローチですと、灯油と石炭に関してもこの段階で課税していくというアプローチが必要なんですが、これはかなりポリティカルな問題で、社民党政権の支持団体であります石炭の労組が非常に強いですから、石炭は非課税のままということになったわけですね。
     そこから、なぜ電力かということなんですが、先ほどから電源構成の話が出ておりますが、余りカーボンに重課して、むしろ、先生がおっしゃるように、水力シフトならば問題ないかもしれないんですが、原子力シフトは避けたいというのが緑の党の非常に強い意向としてあったと思うんですね。ですから、単にカーボンだけにかけるのではなくて、電気にかけて、そこの電源構成は変化させたくないというのがございまして、そうしますと電力が二重課税になるおそれがあるので、電力生産に使われる化石燃料は非課税にしておくというアプローチになったんだというふうに思っております。
     それで、ドイツの場合、したがって、これをカーボン含有量に対して幾ら、カーボン1トン当たりにどれだけの税金がかかっているかということを計算した結果があるんですけれども、環境税制改革の前と後でどういう変化が起きたかということですね。それを見ますと、かえって税制上のゆがみが大きくなってしまったという結果が出ています。つまり石炭が非課税のままで、ほかの税を重課しために、かえってゆがみが大きくなった。そういう意味で、奥野先生のおっしゃるとおり、ちょっと合理的な方向ではなくて、むしろ非合理な方向へ行ってしまったのかもしれないというふうに思います。ただ、非常にいろいろな政治的な制約の中で漸進的なアプローチといいますか、もちろんピュアなカーボンタックスをきれいにかけるということが、それはベストなのかもしれませんが、なかなかそういうことはできない中でこういうことが起きたんだということが言えると思います。

    ○飯野委員長 水野先生、ご質問ありますか。
    どうぞ。

    ○水野委員 先ほどからちょっとイギリスの税制をご説明いただいているんですが、私にはまるでわからないんです。こちらを読み比べて、例えば最初の資料1−1の7ページの課税対象ですけれども、主な課税対象はこういったLPGから電気。これは、電気その他の消費ということなんですか。

    ○事務局 はい、消費です。

    ○水野委員 そうしたら、課税対象は「消費」と書かないと。これでは何の意味かわかりませんよ。

    ○事務局 はい。

    ○水野委員 それから、気候変動税は産業及び商業のエネルギー消費がその対象であると。産業や商業のエネルギー消費というのは、それぞれの産業の製造物、あるいは商業のサービス、これを通じて消費者に転嫁されるのは当然だと思うんですけれども、電気の消費だけ、これだけが家庭での電力消費が課税対象外となっていると今度は参考資料の41ページに書いてあるんですけれども、これは何か非常にアンバランスを感じるんです。
     それからもう1点ですけれども、41ページのところですが、「課税対象は石炭、天然ガス、LPガス、電力消費であり、これは既存の税の課税対象となっていなかったものである」と。これの意味ですが、「付加価値税を除く」とありますが、普通の場合、付加価値税をかけたら、これは個別の消費税がなくなるのは当たり前なんですよ。だから、これは既存の税の課税対象となっていなかったというのは、既存のエネルギー税制の対象ではなかったと、こういう理解をするということでいいんでしょうか。

    ○後藤総政局調査官 おっしゃるとおりでございます。ちょっと舌足らずでございました。

    ○水野委員 ということで、ちょっとご説明を補足していただきたいんですけれども、何で電力消費だけが、これは家庭の電力は対象外にしていると。あとのほかのもののあれだって、みんな最終的には最終消費者に負担が来るはずなんですけれども、そこまでは考えない。

    ○後藤総政局調査官 イギリスの気候変動税に関しましては、私の理解では、いわゆるドメスチックセクターとイギリスで呼んでおりますけれども、一定の消費量以下の通常の家庭でありますとか小規模事業者は、最初から対象外というような形で設定されているということでございます。ですから、課税目的との関係で若干そごを来すところがあろうかと思いますけれども、そこは、先ほどの説明の中にもございましたが、負担者の能力といったものに応じた配慮が広く行われた上で課税対象を絞っているというような説明を受けてございます。
     よろしゅうございますでしょうか。

    ○飯野委員長 大塚先生、どうぞ。

    ○大塚委員 では、簡単にですけれども、理論的には非常に、今おっしゃっていただいたような問題があると思うんですが、この家庭を除いたというのはかなり政治的な意味もあったようで、選挙対策のような意味もあったという話はあちこちで出ておりましたので、そういう理論的な見地からだけで割り切れる話では必ずしもないということだろうというふうに思っております。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。
     まだご議論、ご質問があるかと思いますけれども、まだやらなければいけないことがありますので先へ進ませていただきます。
     それでは、今後、本専門委員会で検討を進める温暖化体制税制に係る制度面の論点について、資料3に基づいて事務局からご説明をお願いいたします。

    ○三好環境経済課長 それでは、資料3、「温暖化対策税に係る制度面の論点整理(たたき台)」というのを簡単にご説明いたします。
     第1回の前回の会合におきまして、最後に飯野委員長のおまとめでご指示いただきましたが、その際、上流、下流でありますとか課税標準でありますとか、納税者といったようなパターンを整理してみるということと、その上で温室効果ガスの削減効果や国際競争力への配慮、あるいは逆進性への配慮というような観点、それからマイナスの影響に対しての配慮というような観点を論点として挙げられたわけでございますけれども、そのあたりをどういうふうに整理していくかということで、論点の整理の仕方として事務局で用意したものでございます。また、前回の本専門委員会で先生方からいただきましたご指摘に関しましても、できるだけ論点として含めるように配慮いたしたところでございます。
     それでは、資料の内容のご説明に入らせていただきます。先ほど申し上げました、まず、税の基本的なパターンといいますか、税の制度についてということで1ページ目に(1)以下がございます。それぞれ(1)の課税段階、(2)の課税対象、(3)としてその他制度に直接関わる論点、(4)として既存税制との関係整理、それから(5)として執行可能性というものを挙げております。先ほど資料1に関連いたしまして諸外国の制度をご説明いたしまして、そのときに資料1−1として幾つか状況をご説明し、それから、資料1−1の別添ということで4つのポンチ絵のようなものをご説明いたしましたが、基本的にそこで採用させていただいております、例えば課税段階で申し上げれば、上流課税ということなのか、あるいは下流課税ということなのか、納税義務者を具体的にどういうふうに設定するのかということがございます。それから、これはまさしく今ご議論いただいていたところでございますけれども、課税対象としてそもそも包括的な見方をするのか個別燃料ごとに見ていくのか、包括的に見た場合でも、個別燃料ごとに見た場合でも、それぞれ固有の問題といたしましては、石炭をどういうふうに扱うのかということでありますとか、個別の製品についての扱いもありますし、これも今ご議論がございました、電力についてどういうふうに見ていくのかというような論点が出てまいろうかというふうに考えております。
     その他制度に直接関わる論点といたしまして、これもまさしく今ご議論がございました、具体的に、ではそれぞれ税率というのは何に着目して、どういうふうにかけていくのか、どういうふうに決めるのかということが論点になりますので、課税標準でありますとか税率というものもございます。それから、これは前回ございました、温暖化対策税ということで通常全国一律の税・地方税ということが念頭にあるわけでございますけれども、それ以外にも、地方独自税という仕組みも我が国はございますので、その中でどういうふうに位置づけていくのかという論点があろうかというふうに考えております。
     それから、既存税制との関係整理でございますけれども、以上、(1)から(3)の基本的な枠組みの中で、既存税制がどうなっているかということを踏まえたオプションということで、これもイギリス型、ドイツ型、あるいはスウェーデン型と、もう既にご説明したとおりでございますけれども、いろいろなやり方が考えられるだろうと思われます。ここには、黒丸が2つ、その中で[1]、[2]ということで例示させていただいております。
     それから、執行可能性ということで、例えば、これも先ほどイギリスのところで出てまいりましたけれども、細かい調整をする場合には、やはり間接税としてのインボイスという制度がかなり前提となるのではないかとか、さまざまな論点があろうかというふうに考えています。ここでは執行可能性ということで整理させていただいております。
     続きまして2ページでございます。先ほど申し上げました大きな四角1番の基本的な設計という論点を踏まえて、制度のオプションについての評価として幾つかの観点があるのではないかということで大きな四角の2はございます。これには、CO2 の排出削減効果というものについてどういうふうに見ていくかということがございますし、それから、マクロ経済への影響、産業の国際競争力への影響、それから、前回も議論に出ていました逆進性でありますとか公平性でありますとか、そういったものについての観点からの評価が必要ではないかということでございます。
    それから、大きな四角3といたしまして、税によるネガティブな影響の緩和の方策ということで、これは逆に−−これは諸外国でも既に取り上げていることでございますけれど
    も、どういうふうな点をネガティブな影響と見て緩和することにするのかという、そのこと自体が大きな決定事項でございますけれども、それにつきまして税の減免措置による対応ということと、それから財政的措置による対応ということで大きく分けてございます。税の減免措置の対応といたしましては、もちろん課税対象等の減免でありますとか国境調整でありますとか、あるいは他の税との関係で税収中立にするとか、そのあたりの配慮をするというようなこともあろうかというふうに考えております。逆に、税は税の面での調整ではなくて、歳出の方で調整するといいますか、緩和していくという考え方もあろうかということで、この点を(2)というふうにさせていただいております。
     それから、大きな四角の4番といたしましては、その他の論点ということで、その他の温暖化施策との組み合わせ、(1)と、課税目的についての考え方、(2)ということで整理させていただいております。これはイギリスにおいては典型的であったわけでございますけれども、政策パッケージの観点からの論点ということがその他の論点としてはあろうかということでございます。ただ、これは前回もご質問がございましてお答え申しましたし、今、安原先生からもお話があったわけですけれども、温暖化対策の政策パッケージ全体につきましては、別途、国内制度小委員会においてご審議されているところでございます。
     それから、課税目的についての考え方ということで、排出削減のために課税するというそもそものそういう考え方と、それから、そういう意味では我が国になかった考え方という見方もできるわけでございますが、従来の課税原則との整合性でありますとか、それに関連しまして、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、税収についての考え方というのも一段整理しておく必要があろうかというようなことでございます。
     以上、ごらんいただければわかりますように、まさしくこれからご議論していただくときに、こういう視点が必要ではないかというもののあらあらのたたき台でございまして、さらにこういう視点が必要であるというようなことは当然ご指摘があろうかと思いますし、それを踏まえてのご議論をお願いいたしたいというふうに考えているところでございます。
     それで、次のページは、参考といたしまして、大まかな制度を検討するための様式ということで整理したものでございます。上流、下流ということと課税段階と課税対象というふうに分けまして、上流、下流と、それから、先ほど申し上げました個々の製品といいますか、エネルギーといいますか、そういうものに着目した縦横の表になってございまして、試みに、既存税制がカバーしている範囲ということで黒く網かけしたものを参考として下に用意させていただきました。ちょっと先ほども申し上げました、上流、下流の見方は若干異なるんですけれども、諸外国のところをご説明いたしました資料の1−1の参考資料として、試みにそういう見方をした場合にどういうふうになるかというようなことを少しポンチ絵的に整理したものでございます。
     簡単でございますけれども、私の説明は以上とさせていただきます。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。
     今までの議論と、それから前回皆さんからいただいた議論をもとにこういうふうにまとめていただいたんですけれども、これからこういったことを中心に議論していきますので、どうぞこれらのたたき台について積極的なご議論をいただきたいと思うんですけれども。
     はい。

    ○横山(彰)委員 たびたび恐縮です。きょうはちょっと早目に中座いたしますので、一言、意見というか、ご検討願いたいということがございます。私自身は、既存税制と、それから、このCO2 税の炭素税の関係について、まず、現存の制度がどういう意味を持つのかということを中心で研究してきましたけれども、これから政治的なマターになったときには、非常に単純な方がいいだろうと。すなわち、簡素という形でいえば、上流ですべてピュアな炭素税を入れる。そしてその調整を、既存税制をそのピュアな炭素税に合わせて、例えば暫定税率を直していく、あるいは固定のものについてそれぞれの地域地域でアローワンスを認めるような形も考え得るだろう。ただ、原則として、やはり一つの政策提言という場合には、既存の税制を見直すという前提のもとでピュアな炭素税を入れるというのも一つのオプションとしてかなり明確になるのではないか。
    五、六年前に、石弘光先生が座長の第2回目の環境税委員会で幾つかの経済団体との会合を持ったときに、こういう炭素税を入れて、いわゆる経済へのマイナスのインパクトをどうするのかといったときに、私は法人税を減税してもいいのではないかと申し上げたことがあります。法人税自体が、これは中里先生とかなり意見は一致していると私は個人的に思っているのですけれども、本当に「ぬえ」みたいな税制で、税制として体をなしていない。だから、法人税改革とあわせてやったらどうかといったときに、その経済団体の上層部の方のお答えは、いつもそれでだまされてきたというお答えでした。そういうことでいうと、やはりそのいろいろな既存の税制を見直していくような複雑な提案はやめた方がいいというのが私の考えで、政策提言としては単純な方がいい。それが政治的にどこまで通るかということについては、私の個人的意見ですけれども、協定や、それから既存税制はガソリンに余りにも重課ではないかとか、そういうことについて直していくというような方針の方がいいのではないかと思います。あくまでこれは私見です。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。
     中里先生、何か法律的な問題と絡めて少しお話しいただけませんか。

    ○中里委員 水野先生に伺った方がよろしいのかもしれませんけれども、法人税は今なかなか減らせるような状況−−自然に減っていく状況ですから、それ以上足を引っ張っても何か気の毒な……

    ○横山(彰)委員 いや、レベニュー・ニュートラルという意味でね。

    ○中里委員 環境問題と税制の議論をするときには、環境の方は常にこのPPPでいくわけ、常にというか、PPPでいらっしゃるわけで、排出量に応じて排出者に課税しろというのが割と強い考えで、それはそれでとてもよくわかるんですけれども、課税の原則とこれは真っ正面から衝突してしまって、一つは、執行上、無理だというのもあるんですが、それはちょっと置いておくと、課税の原則というのは、その汚染者に汚染量に応じて課税するという課税原則はないわけですから、もうその瞬間、環境税はだめだとなってしまう可能性がございますね。そういうのはパニッシュメントですから、課税というのは何かをパニッシュするために行うわけではない。例えば、法人税というのは法人が利益を上げることはけしからぬからかけているわけではありませんし、それから、酒税というのは酒を飲むことがけしからぬからかけているわけではないと。そのことがいいことだから少しくださいということなんですよね。すると、CO2 を排出することがいいことだから少しくださいというのは、ちょっとなかなかこれは難しいわけでして、その論理矛盾をどう説くかということがスタートポイントになってくるんだろうと思います。
    この点は、両者の環境政策と租税の原則のコンビネーションを考えるということで解決はある程度つくんだろうと思うんですが、つまり、税収を上げる過程で一定の政策目的を盛り込むということは、租税特別措置という形で、それは租税上は余りいいことではないのですけれども、一定程度考えられるということですね。ですから、仮に環境税を仕組むとすると、排出量に応じて排出者に対してPPPで課税する直接税的なものは、もう執行の問題が仮にクリアされたとしても難しい。そこで、間接税として行くと。それから、新税をつくるのであれば一定程度税収を上げることを目的とし、その過程でCO2 の排出量が削減されたらいいというのが唯一の道ではないかというふうに。だから、何らかの理屈である税金をかけておいて、それで排出量に応じて特別措置的なものをそこに盛り込むという。新税でつくるとしてもそうなるし、既存の税でいくとしてもそういうことになるんだろうと思います。ただ、既存の税制を変える場合には、税収中立で、今と同じ負担でCO2 が減るように既存の税制を変えられれば、これはこれで一つの進歩ですけれども、既存税制だけではなかなか難しいところはあるんだろうと思いますね。
     ただ、先ほど事務局のたたき台の一番最後の方に、従来の課税原則との整合性というところがあったんですが、もしかすると、租税の財政学や租税法の方でも一歩踏み出して、PPP的なものを課税原則の中に入れる、これはパニッシュメントというのとはちょっと違いますが、入れるところまでいくということが、地球環境の問題ですからそういう方向に踏み出すこともあり得るのかなとは思いますし、それはこの中で議論していけばいいわけですよね。だから、対立にしないで、アウフヘーベンみたいな形に−−古い言葉を使ってしまいましたけれども、いけたらいいのではないかなと思います。
    そうすると、仮に踏み出すことが難しいとなったときの一定の税収を上げる、その過程でCO2 が減るように。そうすると、税負担はふえてもいいわけですね。その税収をどう使うかということは、これは環境経済学の先生方とちょっと意見が合わないのかもしれませんが、取った税収を環境目的に使うということは一たん切り離した方がいいのではないかというふうに思います。というのは、環境税を取ってCO2 の排出量を減らす。それから、ある金を使って環境政策を行って排出量を減らす。金を使えば使うほど排出量が減るのは当たり前のことで、この取った税金をこっちに回さなければいけないというのは論理的には全然別の話でして、そこは一たん切り離して、切り離すといっても政治的にはいろいろあると思うんですが、一たん切り離して考えて、税金のことだけを一たん考えた上で、さて、税収を赤字国債の方に充てるか、環境目的に使うかというのはまた別途ということで、まず、その課税原則のところの調整が、ずっと環境庁の研究会ではピグー税のことばっかり聞かされてきたので、そろそろこういう議論をしてもいいのかなと思います。

    ○飯野委員長 ありがとうございます。かなり経済学者に近い法律家のお話でしたので、法律家らしい法律のお話を突然割り振って申しわけないんですけれども、水野先生、何か一言。

    ○水野委員 今、中里さんが言われましたが、重なりますけれども、経済の先生は、もう昔からピグー税という名前がありますので、ピグーが税金という名前をつけたから割とそれで簡単に済みますが、今おっしゃいましたように、2ページの最後の課税目的ですね。さて、原因者に負担させるというところの議論ですが、この辺は、どうもやはりよく−−正確ではないのですが、このドイツも環境税を入れましたが、かつては歳入の目的がなくてはいけないというものであったんですが、従たる目的だろうかと。それが、憲法裁判所でもそういう発想は要らないと。政策目的だけでいいという判断が示されたんですね、だから日本でもいいとは言いませんけれども。だから、そういうことがありますので、やはり世界的な流れとしてこういうことになっていると。幸い−−幸いといいますか、日本には環境基本法がありますので、環境基本法の中に租税をどう位置づけるかと。そういう立法がありますとかなり柔軟に税金は動かせるかなと、こういうことになろうかと思うんですね。
     それで、ちょっとやはり検討いただきたいのは、この3ページで参考になっておりますが、この課税対象ですね。さっきちょっとお話ししましたが、さて、課税対象と−−これは課税の対象というんでしょうか、これをどう料理するかという題目が並んでいて、これのいわゆる重さでいくのか、これは従量税といいますが、あるいは値段でいくのが従課税ですが、さらに消費量とかいろいろありますので、この辺をさらに幾つかに分けていただいて、どういうものを議論の台に乗せていくのかなということをご検討いただいたらどうかなと思うんです。
     例えば、消費だとかいうことでやってしまいますと、そのピグー税なりよりも、いわゆる消費課税ですからそういう議論がもう要らなくなってしまうと。それを、先ほどのスウェーデンで教えていただきましたけれども、ああいうものが出てくると、これは日本の税制になかなかなじまないので、さあ、そのためには環境基本法で租税の位置づけをどうするかと。ちょうど土地基本法をつくったのと同じような格好でやらなければならないことになってきますので、課税の対象としてのこれらの、いわゆるCO2 排出の物質といいますか、鉱物ですね。これの何に注目して課税するのかなと。やはり選択肢が出てくると思いますので、そこをちょっとご検討いただいたらよろしいのではないかと思います。

    ○飯野委員長 どうもありがとうございました。
    あと、実務的に……。竹内先生、何かありますか。どうぞ。

    ○竹内委員 済みません、前半の議論を聞いていないので若干とんちんかんかもしれませんが、今、課税対象というか、課税段階の話が出たんですけれども、このガソリンから重油、それから天然ガス、電力等、こういうふうな格好で出ているんですが、その抑制の問題と、それから技術的な問題からいくと、ちょっと大ざっぱな表になっているのではないかと。つまり、最終消費者へのちらばりぐあいというものを考えますと、その石油供給業者に対して課税することによって、果たして抑制効果があるかといいますと、ガソリン税などは最終消費者の段階で抑制効果がなければ意味がないわけです。他方、重油のようなものについては、工場ですとか産業用ということになりますので、むしろメーカーですとか工場ですとか、非常にこの下流でも上流に近い部分でかなり把握ができるということでいきますと、その課税の仕方は違う。それから、天然ガスのようなものはどのように扱うかと。つまりCO2 の削減効果をもたらすのであれば、その機械といいますか、いわゆるガスを少なく使う技術開発の方がよっぽどきくわけで、メーカーに対して技術開発を促すような税制というのもまた一つ重要なポイントになってきて、使うなという税制と何らかの技術開発を促す税制というのもまた考えられるわけですし、下流の動き方がちょっと大ざっぱ過ぎて、今のピグー課税という大ざっぱなくくりについていえばぴたっとはまらないし、もう少し技術的なレベルの違いみたいなものを細かく分類した方がいいのではないかと思います。

    ○飯野委員長 ありがとうございます。
    ほかに。天野先生、どうぞ。

    ○天野委員 私は経済学者ですが、こういう政策論を考えるときには幾つかのやはり大まかな原則ないしは基準ですね。そういうものを最初にご議論いただくのがいいのではないかと思います。いろいろな課題があって、これをどうするかあれをどうするかという問題はたくさんあるんですけれども、その判断の基準とか原則がわからないと非常にばらばらな決定を積み上げてしまうということになると思うんですね。
     私、いろいろなご議論を聞いていまして、1つは、課税のポイントというのは、その課税をすることによって行動、要するに温室効果ガスの排出削減を変えられるような主体、効果的に対応ができるようなところにかける。今お話がございましたけれども、消費者の場合には生産の方法を変える手段を持たないわけですから、自分の消費量を変えるだけなんですね。しかし、生産者の方はいろいろな手段が使えて、それによって最も効果的な削減をどうするかというところへかけるというふうな基準が、ひとつやはり必要ではないかと思うんですね。これは、全体的に非常に少ない費用で、いかに最大限の効果を発揮するかということを考えるときには、その課税ポイントは最も削減の対応がとられやすいところにかけるというのが一つの考え方ではないかと。ですから、上流にするとか下流にするとか、大まかな議論ではなくて、どこが一番効果的なポイントかということを考えるというのが一つの原理ではないかなというふうに思います。
     それからもう一つは、これは今の話も費用に関係するのですが、費用効果的な手法を探るためにそういう基準をつくるわけですが、もう一つは、これは行政の手法ですから行政的なコストというのもやはり考える必要があると思うんですね。ですから、いくらピグー的にピグー税だといっても、行政コストが膨大にかかるようなやり方は避けなければいけない。普通は、その両方のコストというのは何か別々に議論されているような印象があるんですが、私は、やはり両方含めて、トータルのコストがどうかという見方が要ると思うんですね。最初、費用効果的な方法は、経済学の原理でピグー税と。その後、実際にやるときには、その制度の費用を幾らというふうに分けてやるというのはどうもおかしな感じで、私は、全体としてやはり行政コストが少ない、例えばヨーロッパの税制はいろいろありましたけれども、既存の税制を使うというのは行政コストを下げる一つのやり方なんですね。ですから、同じことをやるにしても、新しく制度を導入しようとしたら非常に膨大なコストがかかって、多少次善的であっても、経済学的な費用効果が多少劣っても、行政コストがはるかに少なければそちらを採用するという考え方が要ると思うんですね。
     それからもう一つ、今の話は大体経済学的にいうと効率性の議論ですが、公平性の基準というのがもう一つありまして、残りは、公平性といいましても幾つかのレベルがあると思うんですね。1つは、所得分配の上で、例えば先ほどのフューエルポーヴァティーのような考え方ですね。所得分配上の不公平をさらに荷重するようなやり方では困るという基準と、もう一つは、新しい制度を導入するときに、それが政治的に受け入れられるものでないと、幾らきれいな絵をかいても実現できない。ですから、政治的な重要性といいますか、受け入れやすさですね。そういう点での公平性の考え方もあり得ると思うんですね。これは、経済学と公平性というときにはその話は余り出てきませんけれども、政策を実施するときにはやはりそれは必須だと思います。その中で公平性の議論というのがそういう形をとることもありますけれども、最初からこの問題は政治的な反応が非常に大きいだろうから、あるいはセンシティブな問題だろうから、その点は別途考えましょうと。イギリスの家庭を外したというのは多分にそういう面があると思うんですが、そういう特別な政治的な配慮が要るものは何かというのを洗い出して、それを普通の議論と混同させないような整理の仕方というのはやはり必要ではないかというふうに思います。
     それから、これはかなりの規模になる新しい制度をこれから始めようというわけですから、イギリスなんかもやっておりますけれども、ほかのドイツなんかの例を見てもわかりますように、規模の大きさと、それから実際、最初に試行する段階の規模というのは必ずしも一致しないでいいわけですね。ずっと将来的に大きな効果が出るやり方でも、最初は小さいところから始めて、だんだんと斬新的に実施していく。こういう考え方はこの問題については絶対に必要だと思うんですね。最初から大きなものをぼんと入れるということはできないという、そんな考え方も要るのではないかと思います。
     それから、あとは多少大変原理的な話になりますので、長期的というか、余り長期的に議論していては間に合いませんけれども、先ほどの課税原則の話ですね。これは国際的な流れもいろいろ変わってきているというお話もありましたけれども、やはり伝統的な税制に対する考え方がずっと変わってきていて、それは廃棄物といった環境問題よりももっと大きな気候変動のようなものが出てきたときに、その伝統的な税制の考え方というのが生き延びられるのかどうかという検討はやはり必要であって、これは決して対立意見を述べているわけではありませんで、それだけ大きな課題に我々は直面しているということが言えるのかなというふうに思います。
     それからもう一つは、これは、こういう気候税にしても、あるいは排出取引にしても必ず出てくる問題は、一国だけがやるわけですから、国内制度としてやるわけですから、国際競争力をどうするかという話がありまして、必ず税の場合には減免措置というのが出てくるわけですね。そのときに2つやはり考えるべきことがあって、1つは、せっかく税をかけて、減税してしまうと効果がなくなってしまう。だから、効果のなくならないような形で産業の競争力を下げないやり方は何があるかと、こういうふうに考えないと、負担を減らすために減税するというところへ一足飛びに行くのはだめだと思うんですね。
     これは外国でもいろいろな工夫をしておりまして、例えば英国の例がありましたけれども、これは2つのやり方を入れているわけですね。1つは、政府と協定をするという、協定によってエネルギー効率を高めるというインセンティブを与えれば税が免除されるというわけですから、効果は残るわけですね。それからもう一つは、独立参加によってアローワンスを無償で配分される。イギリスの場合は無償配付という形を直接とらずに、財源を用意して、その分の税金を取った上で還付するというふうな形の入札を、オークションをやるわけですが、これは、もうちょっとわかりやすく言いますと、排出取引制度を導入して、グランドファザリングで無償で提供するのと内容は一緒なんですね。ですから、そういうふうにしますと、効果はきちんと残って負担は減ると、こういうやり方ができるわけです。
     それから、これは税収の使い方にも関係すると思いますけれども、税収でエネルギーの関係の助成をするのではなくて、労働コストを下げるような、そういう助成に使うと。そうすると、一方では競争力が下がりますけれども、他方で競争力が改善するというのが組み合わされる、そんなやり方をいろいろ考えているわけですね。ですから、そういう手法をとって、両者の両立、2つの目的を両立させるような工夫をする必要があると。
     それからもう一つは、これはWTOなんかでいろいろ議論されている、国境調整というのがこの際使えるような国際的な素地ができているのかどうかですね。いろいろな環境政策で個々の国がWTOと議論しながら導入していくという−−今回日本がそれをするのは大変だと思いますので。しかし、WTOの方では、あるいは国際的な環境協定の方では、国境調整をWTOの枠組みでどういうふうに考えるかという議論はあちこちでされておりますので、そういう動向をもうちょっと教えていただければと。それで、もし可能であれば、そういう動向に乗った形で国境調整が使えるというふうなことがあれば大変やりやすくなるのではないかと、そんなことをちょっと考えた次第です。どうも長時間とりまして。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。
     では、奥野先生、どうぞ。

    ○奥野委員 いろいろな論点を天野先生からご紹介がありましたから、私は2点だけに絞ってもうちょっとお話をさせていただきたいと思うんですが、できるだけ短時間で。
     この論点整理ということなんですけれども、私の理解では、これは、論点を整理したときにどういう税体系にするのかという問題と、その税体系がどういうメリット、デメリットを持っているかという判断基準、その2つを少なくとも分けて議論する必要があると思うんですが。恐らく2の部分が、税による効果影響というところが判断基準ということだろうと思うんですね。ついでですけれども、普通、税の議論をするときには、大きく、公平、中立、簡素と、さっき横山先生もおっしゃいましたけれども、その3つの論点からいうので、3つの論点をきちんと出されたらいいのではないかと思います。
     そういう意味では、この2の1から5の中に公平というのはかなりちゃんと書いてありますし、それから効率というのもちゃんと書いてあるんですが、中立が余りきちんと書いていないというのが1つと、それから簡素も余り書いていない。それから、逆に言うと、1−5の執行可能性というのは、これはどちらかというと広い意味での効率性とか中立ということですから、これはむしろ2の方に移して、その上で、この2の視点から1の各論点をどういうふうに見ますかというような形で問題を整理された方がよろしいのではないかと思います。そのときに、繰り返しになりますけれども、公平、中立、簡素というものをできるだけ立ち入った形で議論すると。だから、中立といいますか、効率性みたいなことを考えるときにも、単なる経済的な効率性だけではなくて、行政費用とか執行費用とか、そういうものも含めた意味での、あるいはコンプライアンスコストなんかも含めた意味での、広い意味での効率性というようなものまで広げたらどうなるかというような形で議論されたらいいのではないかというのが1点です。
     それからもう1点は、ややこれは天野先生に対する反論にもなるのかもしれないんですが、私自身は、政治の問題があるから政治的に受け入れられる案を考えなくてはいけないということは、この委員会では余りお考えにならない方がいい。考えてもいいかもしれない、考えるべきなのかもしれないんだけれども、最初からそこを譲るべきではないと思うんですね。つまり、政治というのはかなりいやらしく、ストラテジックに出てくるところですから、最初からこちらは受け入れるという対応をした段階で、当然それは政治的にはもう理の当然ということになってしまうわけですね。そうではなくて、正論はこっちなんだということをまずはっきり打ち出されて、その上で政治が出てくるような、受け入れるようなもののコストは幾らぐらいかかるのかということをはっきりさせると。そういうことをさせた方が世の中の議論のためにはよっぽど整理がつくというふうに私は思っておりますので、できればそういう形で議論を進めていただければと思います。
     以上です。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。
     では、ちょっと。

    ○天野委員 私が申し上げたのは、判断の基準というのがあって、その基準に引っかかって政治的な反論が出てくるようなものは最初から考慮した方がいいと。ですから、その判断の基準から外れたところで政治的には対応しなさいといっている意味ではありませんので、その点は誤解のないように。

    ○飯野委員長 それでは、中里先生、どうぞ。

    ○中里委員 時間は。

    ○飯野委員長 大丈夫です。どうぞ。

    ○中里委員 天野先生と奥野先生の一流の経済学者というのは、法律家としても多分一流に議論できるということが証明されました。天野先生がご指摘なさった点で、企業の方が行動調整の範囲が広いから、そこに課税して云々というのは大変大きなポイントでして、エコノミックスではそれは当たり前の考え方ですよね。私も、「法と経済学」の授業ではそういうんですが、租税法の授業ではまた別のことを言わなくてはいけなくて、租税法では、最適課税論を仮にとると、所得税、法人税というのは逃げ足の遅いやつに課税しろということですよね。それは、所得税、法人税を逃げることはいいことではないから、なるたけ逃げ足の遅い人に課税しろと。ところが、炭素税は逃げ足の早い人に課税しろと。つまり、課税することによって税収が減るような人に課税するのがいいことなわけですよね、というのは二酸化炭素の排出量が減りますから。真っ正面からこれは対立するところでございまして、炭素税の税収が減ることはいいことだという前提でスタートしなければいけないところに、かなり租税の人間としてそれをどう財政の理屈というんですか、その中に組み込むかというのが大きな問題になるんですね。
     そうすると、そこはやはり、これは法律家への大きなチャレンジなのではないかと思いますが、水野先生がおっしゃいましたように、ドイツのブンデスフェアファッスングスゲリヒトですか。憲法裁判所の方でのアップガーベンオルドヌング、国税通則法の規定を乗り越えたんだろうと思いますけれども、規制目的だけでいいというのが出たということですが、やはりここは課税原則を一つ、天野先生がおっしゃったように、今までの伝統的な課税原則を乗り越えて、環境税的なものも課税の一部としてそういう財政原則をつくり出すんだという意気込みがないと、とてものこともたないやはり時代に来ているということは、これは小さな一歩かもしれませんが、とにかく始めませんと大変なことになってしまうということを法律家としては非常に真摯に反省しているんです。
     1つだけ実は質問があるんですが、半年か1年ぐらい前にたまたまあることがあって、ジョージ・スティーグラーですかね。エコノミック・セオリー・オブ・レギュレーションという論文を、書庫の奥の地下の方でベル・ジャーナル・オブ・エコノミックスで探していたんですね。そうしたら、同じ号にポズナーの、これはタイトルは忘れてしまったんですが、レギュレーション・アズ・タクセーションか、タクセーション・アズ・レギュレーションか、いずれにせよ、ピグーの言ったことですよね。課税と規制は同じものだということについてリチャード・ポズナーが書いた論文を見つけまして、そうすると、これは環境税の議論にかぶってきたときに、「既存の税」というふうにここでは書いてありますが、既存の規制を税額に換算してという視点はなくていいんでしょうかね。つまり、規制ばっかり受けていて、税金は軽いけれども、これはどうしてくれるんだということも入れないと業界から文句が−−これは来て当然ですかね。ちょっと経済学的なことはわからないものですから、いかがなんでございましょうか。

    ○飯野委員長 ありがとうございます。ちょっと非常に答えが難しい……。
     天野先生、ではどうぞ。

    ○天野委員 私はそのポズナーの論文を読んだわけではないのですが、恐らく環境問題を解くときに、外部費用とか環境費用をどうやって市場の方へ内部化してくるかという話であれば、規制をかけても、その費用は企業が負担するわけですから内部化しているわけです。それから、環境税をかけても内部化できる。ですから、内部化するという手法としては規制も税制も同じなんですね。もしその規制をかけるときに政府が十分な情報を持っていて、非常に効率よく規制をかけられると。さっきの逃げ足の早いところですね。逃げ足の早いところに規制をかけていって、その程度もそれにあわせてかけるということができれば同じになるんですね。ところが、規制の場合は普通はそれができませんで、逃げ足が遅い人も早い人も一律にかけてしまうわけですね。ですから、内部化はするんですけれども、内部化をするときのコストというか、産業界全体の犠牲が非常に大きくなってしまうという点で、直接規制よりは税を使った方が、同じ内部化という目的にとっては適切であろうというところで違いが出てきていると私は理解していますので、そういう意味では内部化については両方とも同じだという議論はできると思うんですね。ただ、違いもあるというのは、そういう違いがあるということだと思います。

    ○飯野委員長 竹内先生、どうぞ。

    ○竹内委員 今、規制か税制かという議論があったんですけれども、環境時代における政策のメソッドというものは、規制と税制という以外にどういう方法があり得るのか。ざっと見ただけでも、ドイツの場合には、1つは段階別の、いわゆる政府と業界との目標値の設定というものをポジティブに両方がコミットメントするというような形。一方的に規制するのではなくて、両方でぎりぎりの線を探るというような方法もあるし、それから、日本の場合に、果たして政策パッケージというものがきちんとできているのかどうかと。つまり税制だけで対応できるということはとんでもない間違いで、このエコロジカルな税制改革とドイツも書いてありますけれども、それはワン・オブ・ゼムであって、これに非常にウエートをかけるということも非常に問題があると。
     それから、2つ目に非常に疑問なのは、今までの課税の考え方は公平、中立、簡素という非常にすばらしい原則があるんですけれども、奥野先生もおっしゃったんですが、環境時代に応じた原則というものが何なのかと。税制の中も公平、簡素、中立と言っていますけれども、現実には全然できていませんから、えらく曲がっているところがたくさんございますし、原則と現実が極めて離れてしまうような原則をつくってもいけないわけで、その場合に、例えばガソリン税一つを考えても、ガソリン税は環境税ではないわけで、これをもし将来、ガソリン税といって環境税にしたのでは、これは問題があるわけで、例えば鉱油税とか電気税とか、何か全然違うものをつくっているわけですね、ほかの国では。では、日本は一つでも環境税と言えるものをつくる意思があるのかどうかと。まずスタートラインが明確でないと思うんですね。つまり、上乗せとか既存税制を使ってとか言っていますけれども、それでは意味がないので、きちんと上乗せなら上乗せ部分を環境税的なものであるということを明言するかどうかなんですね。その場合に、税制だけでやろうとしているのか、それともほかの政策パッケージの中の一つであるというような言い方をするのか、それによっても負担感というのは異なってくるわけで、そこのちょっとスタートラインがどうもこの議論ははっきりしないという感じがする。

    ○飯野委員長 ありがとうございます。
     課長、どうぞ。

    ○三好環境経済課長 済みません、今はっきりしないというお話があったんですけれども、実は先ほどの私の方の説明でもございましたけれども、まさしく、すべての環境政策ということになるとちょっと議論が大きくなりますが、温暖化対策税という、この専門委員会の前提といいますか、別途の検討といたしまして、温暖化対策の政策パッケージの議論が当然あるわけでございまして、そちらは、先ほど申し上げましたが、お見えいただいてございます安原小委員長のもと、国内制度小委員会の方で議論しております。実は、それとの関係をどういうふうに考えるのかというのは前回もまさしくご質問があったわけなんですけれども、少なくとも当面は、先回ご説明したスケジュールでとりあえず考えをまとめようとしている中では、ある種の、ある特定の政策パッケージを前提にしてということはなかなか難しいのではないかというようなことで、そういう意味でまさしくはっきりしないわけでございますが、税というものを考えた場合に、他の政策パッケージと組みやすいとか組みにくいとか、そういう点をむしろ論点として挙げていただけないだろうかということで、その他の論点というのを4番として挙げさせていただいた、現時点ではそういう状況でございます。

    ○飯野委員長 いろいろまだご議論があるかと思いますけれども、時間の関係で、またご議論は後日やっていただくということにいたしまして、皆さんのご意見を聞いておりますと、方向としては、上流、下流という区分に加えて、さらに効率的な段階で税はどうかを検討した方がいいと。それから、税についても、いわゆる既存税制をどうするのか、あるいは新しい税をつくるのかというような観点でやはり分類するのが望ましいのかなというふうに思います。
     次回は、経済団体とか労働組合とか消費者団体、環境NGOなどからヒアリングをするわけですけれども、ただヒアリングといっても話がまとまらないので、きょう皆さんにご議論いただいた論点を示して、それについてヒアリングを行いたいと思っております。
     次回は、11月8日木曜日、9時半でございます。場所は、第1回会合と同じ環境省第1会議室でございます。
     あと、まず、去る24日に経済産業省の産業構造審議会地球環境小委員会でご報告されました安原先生に、その様子を簡単にご紹介いただけたらと思うのですが。

    ○安原委員 私は、今おっしゃいました小委員会の委員を務めております。そこで報告とか何かということではないのですが、前回の小委員会では、今後、温暖化対策の国内制度をまとめていく上での基本原則とか基本的な考え方の整理が示されまして、その考え方を踏まえて、今後、段階的アプローチをしていくのがいいのではないかと。と申しますのは、批准が2002年ということが政府の方針に出ているわけでございますが、実際の排出抑制が働き出すのは2008年から12年ということで、時間的に大分先になるわけですね。それで、一番最初からパーフェクトな形ではなかなか政策形成が難しいし、その間、いろいろ時間の経過もありますので、まず必要と思われる対策を打ち出して、それを政策レビュー、評価しながら、不十分であれば対策を追加していくというようなことで考えたらどうかというような議論が行われました。そして、それの具体的な中身というのは、やはり今産業界がやっております自主行動計画を中心にして、それをどう改善していくのかというのが議論の中心でございました。
     したがいまして、環境税制につきましての議論というのにはまだ入っておりません。税制の問題は、別途、エネルギー関連ということで、総合の資源エネルギー調査会の地球環境小委員会というのがやはりございまして、むしろそちらで検討する場合はそちらが分担するということになっておりまして、産業構造審議会の方は、そういう計画とか、あるいは必要な場合の排出量取り引きの問題、そこを中心に検討する。それで、ほかに技術開発の問題がありますから、経済産業省の関係の審議会を総合していく作業は産業構造審議会でやると。そんな分担になっておりまして、いずれにしましても、まだ具体的な税制の議論までは入っていないというのが現状でございます。

    ○飯野委員長 ありがとうございます。
     また、去る26日に政府税調の基礎問題小委員会が開かれ、そこでこの委員会のことが紹介され、また環境税について議論されたそうですけれども、その点について、奥野先生、少しご紹介をお願いしたいんですが。

    ○奥野委員 政府税調の基礎問題小委員会で先週金曜日に一応報告したんですが、時間の関係で、非常に限られた時間の中での議論だったので本当に少数の意見しか出ませんでしたけれども、基本的には、抽象的なレベルとか理念的なレベルでの税制は既に明らかになっているので、環境税に関しても、むしろ具体的な手法とか具体的な問題点を考える時期に来ていると。そういう意味で、こういう委員会の設置を歓迎するということだと思います。
     それから、もう一つの意見としては、同じような意味で、過去の抽象的、理念的なレベルの議論から、今回は政治絡みの話に移っているというのが1人のご意見であって、そういう意味で、環境省のこの委員会でも、もし政府税調と協同歩調をとっていただけるならば、ぜひ優先順位がついた選択肢を示すようにしてほしい。そういうことをしてくれると政府税調としても協力しやすいということでございました。
     それから、それに関連して税調はいつから行動を起こすつもりなのかということのご質問がありまして、これは、以下は会長のご回答ですが、先ほども安原さんの方からもご説明がありましたけれども、2008年から実施ということから考えると、実際に実行するのはかなり先の話になるだろうと。他方、京都議定書を批准するために税制活用の議論を進める必要もあるだろう。そういう意味では早くやる必要もあるだろう。ただし、一、二年ではちょっと無理かという、行ったり来たりというような議論でございまして、結局、いつから始めるかは、すぐにはできないけれども、もしやるんだったらばきちんとした体制づくりをつくる必要があるだろうということで、そういう意味でもぜひ環境省の方の委員会にも頑張ってほしいというニュアンスのご回答でした。
     以上です。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。
     そういうことで、頑張ってこれからちゃんとした案を煮詰めていきたいと思います。
     次回は、そういうわけで8日木曜日の9時半でございますので、ちょっと早いんですけれども、よろしくお願いいたします。
     本日は本当にどうもありがとうございました。

    午後12時00分閉会