環境省独立行政法人評価委員会 第30回国立環境研究所部会 会議録

1.日時

平成25年7月5日(金)10:00~12:15

2.場所

航空会館501、502会議室

3.議題

  1. 1.部会長の選任について
  2. 2.平成24年度独立行政法人国立環境研究所の業務実績の評価等について
  3. 3.その他

4.配付資料

資料1指摘事項等への対応状況
別紙平成23年度業務実績評価書(平成24年8月20日環境省独立行政法人評価委員会)への対応状況
資料2平成24年度業務実績報告書
資料2-2平成24年度業務実績報告書 資料編
資料2-3平成24年度財務諸表
資料2-4平成24年度事業報告書
資料2-5平成24年度決算報告書
資料2-6監査報告書
資料3平成24年度業務実績評価の総合評価に用いる評価比率について(案)
資料4平成24年度業務実績評価シート
資料4-2平成24年度政策評価・独立行政法人評価委員会指摘事項への対応状況評価シート
資料5平成24年度業務実績評価に係る今後の予定
資料6独立行政法人国立環境研究所役員退職手当規程
参考資料1環境省独立行政法人評価委員会国立環境研究所部会委員名簿
参考資料2独立行政法人国立環境研究所の業務実績評価に係る基本方針
参考資料3平成23年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価書
参考資料4平成23度における環境省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価の結果についての意見について
参考資料5独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点
参考資料6平成24年度業務実績評価の具体的取組について
参考資料7平成24年度国立環境研究所年度計画
参考資料8独立行政法人国立環境研究所中期計画(H23~H27)※H25.3改正前版
参考資料9国立環境研究所パンフレット
参考資料10東日本大震災後の災害環境研究の成果
参考資料11災害環境研究の俯瞰
参考資料12独立行政法人改革に関する最近の動き

5.出席者

委員:
泉 淳一委員、大久保規子委員、小池勲夫委員、西間三馨委員、花木啓祐委員
臨時委員:
萩原なつ子委員
環境省:
大臣官房
鎌形審議官
総合環境政策局
上田総務課長
吉川環境研究技術室長
小林環境研究技術室長補佐
国立環境研究所
住理事長
原澤理事
德田理事
村上審議役
石飛企画部長
高木総務部長
岸部環境情報部長

6.議事

【吉川環境研究技術室長】 定刻となりましたので、ただいまより環境省独立行政法人評価委員会第30回国立環境研究所部会を開催いたします。
 本日は委員7人のうち6名の方がご出席になっておられますので、環境省独立行政法人評価委員会令第6条第1項の規定によります、定足数を満たしておりますので成立していることをご報告申し上げます。
 議事に入ります前に、審議官鎌形より、ご挨拶申し上げます。

【鎌形大臣官房審議官】 おはようございます。審議官の鎌形でございます。よろしくお願いいたします。月曜日に引き続き、先生方、本当にお忙しい中、ご出席賜りまして、ありがとうございます。
 今日は、国立環境研究所部会30回目ということでございます。月曜日に、いわゆる委員の改選後、初めての委員会ということでございましたので、部会の所属についても決定させていただきまして、その決定に従って、ご出席いただいているということでございます。評価委員会全体としてもスリム化で委員を削減するということ、これは月曜日に局長のほうからも申し上げましたとおり、政府全体でいわゆる会議の関係をスリム化していく、こういう流れに沿ったものでございますが、この国立環境研究所部会も所属委員は9名から7名ということで、スリム化させていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 今日の会議でございますけれども、国立環境研究所の業績の評価ということでございます。多岐にわたる評価でございまして、膨大な評価シートについてご検討いただいた上で評価いただくということで、委員の皆様方に大変大きなご負担をおかけするということになろうかと思いますけれども、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 国環研は23年度から第3期目の中期目標期間ということでございまして、今回お願いするのは2年目の平成24年度ということでございます。本日は、報告書などに基づいて、ご説明をさせていただきまして評価をお願いするということで考えてございます。
 一つ申し上げておかなければなりませんのは、中期目標というのは23年度からということでございますけれども、平成23年、2011年は震災が起きた年でございます。それで、震災に対する対応についても、国立環境研究所は機動的に対応してきているということでございますが、中期目標、中期計画自体の変更は今年3月となったということでございまして、平成24年度に事業を行っている期間は、ある意味、古い計画に従って業務を進めてきた、形の上ではそういうことになります。
 ただ、古い計画自体でも大きな意味では環境政策に貢献していくとかいうこと、あるいは例えば廃棄物の対策とか、それぞれの研究分野というところで震災後、国立環境研究所が対応した部分というのは、大きく言えば大まかにはカバーしているということかと思います。
 それで、評価に当たりましては、まず形式的には改定前の中期目標、中期計画に基づく評価というのが、形式上の形でございますけれども、震災対応についてどうやってきたかと。それなりに機動的に対応してきたということでございますので、そういったことの評価については、その中でどう表現していくかということはご議論いただいたらいいのかなと思います。
 ただ、形式はくどいようですけれども、古い計画に基づきやったかというところの中で、端的にいう評価シートはそういう形になるということでございます。
 そういうことで、そういった問題がございますけれども国環研の関係について、今日はご報告いたしますので、活発にご議論いただきたいというふうに思っているところでございます。
 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

【吉川環境研究技術室長】 お手元に配付資料がございます。大量にございますので、ここで確認は省略させていただきます。説明を順番にやってまいりますので、その中で欠けているものがありましたら、適宜そこで手を挙げるなど、述べていただければ事務局で足りないものをお持ちさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、本日、ご出席の先生方の紹介をさせていただきます。今回、メンバーのご変更をさせていただきましたので、改めて紹介させていただきます。
 (出席者紹介)

 本日は先ほども申しましたように、委員、新規任命後の最初の部会でございますので、しばらく私のほうで議事を進めさせていただきます。
 それでは、早速でございますが、新しい部会長の選任に移りたいと思います。
 独法評価委員会令の第5条第3項によりますと、部会長は部会委員の皆様の互選により選任することになっております。つきましては、部会長の候補者についてご意見のある方はございますでしょうか。

【西間委員】 西間です。部会長は、小池委員を推薦させていただきます。小池委員は、平成17年度から委員をされておりまして、これまで第1期の中期計画の評価、第2期及び第3期の中期目標・計画の策定に関わっておられて、十分な実績がございますので、前期に引き続き、ぜひお願いしたいと思います。

【吉川環境研究技術室長】 ありがとうございます。
 その他、ご意見はございますでしょうか。
 ご異論ないようでございますので、小池委員に部会長をお願いすることで、皆様、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【吉川環境研究技術室長】 ありがとうございます。それでは、席の移動をお願いいたします。
 部会長にご選任されました小池部会長におかれましては、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。

【小池部会長】 小池です。平成17年から、大分長いことやらせていただいていますけれども、昨年は、先ほど審議官から話がありましたように、震災対応で中期目標・中期計画を変えないといけないということがありましたけれども、今年はそういうイベントは多分ないと思います。淡々とやれることを希望しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、環境省独立行政法人評価委員会の第5条第5項に部会長に事故があるときは、当該部会に所属する委員のうちから、部会長があらかじめ指名する者が職務を代理すると規定されておりますので、部会長代理としては花木委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。初めの議題は、平成24年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価等についてです。
 まず、事務局からご説明をお願いいたします。

【吉川環境研究技術室長】 お手元の資料1と打ってありますA4横の資料、それからその後ろにあります資料1別紙の資料を説明させていただきます。
 これは、一つには表紙にございますように、総務省の政策評価・独法評価委員会の指摘事項、国環研に対する指摘事項も独法全体に出す指摘事項もありますが、これに対してどんな対応を国環研、環境省として講じてきたか整理をしたもの。
 それから、そのほか、2ポツ、3ポツ目にありますように、これまで出てきております閣議決定ですとか、報告書に対する対応状況でございます。これは、中身は重複しているものも多くございますので、全部を逐次説明ということではなく、主立ったところをかいつまんで説明をさせていただこうと思っております。
 特に、総務省の評価委員会の指摘事項につきましては、今年度、国環研の24年度の評価をいただくに当たりまして、ポイントになるところかとも思っておりますので、そういう観点で聞いていただければと思っております。
 それでは、1枚めくりまして、1ページからでございますが、これが前回の指摘事項に対して国環研はどう対応し、昨年この部会でどうコメントいただいて、さらにその後1年間どう対応してきたかというものでございますが、一番左の項目を見ていただきます。まずは内部統制についてです。これはかつて何度も指摘をいただいているところでございまして、内部統制の充実強化をすること。3段目の昨年のこの部会での評価、これについては組織的な体制で進んでいると評価をいただいております。引き続き、24年度に国環研としましても、取組を進めてきているところであります。
 それから、基本方針に基づく措置について、これも適切に進められているという評価をいただき、24年度も進めてまいりました。
 1枚めくりまして、2ページでございます。震災関連でございます。震災の話について、国立環境研究所のミッションであるかどうかということを評価することが必要であると指摘をいただきまして、これに対しては昨年のこの部会の評価で、これについては環境大臣から研究の要請も受けて、国環研が集中的に取り組んでまいりました案件でございまして、国環研の本来のミッションによるものという評価をこの部会からいただいております。
 その後、国の法令体系も変わりまして、その環境省の業務としても放射性物質関連も入ってまいりました。ということで、一層、国環研に関して、震災あるいは放射性物質による汚染対策に対して任務としての重要性が増してきているという評価をいただいています。これにつきましては、昨年1年間、国環研としても力を入れてやってまいりました。この後、理事からも説明があるところかと思います。
 続きまして、3ページでございます。3ページは、25年1月にこれも実績評価について意見をいただいたところでして、これもかなりかぶったところがありますが、一番左側の項目を見ていただきますと、まず内部統制の充実強化、それから保有資産の見直し、資産について不要なものを持ち続けていないかといったようなこと。
 それから、独法評価指標を項目立てしていただいて、評価いただいたわけですが、その項目立て等が妥当かどうかというところを注意するようにという意見を1月にいただいております。これについて、環境省、国環研としては右半分にあるような考えも持っておりまして、内部統制についてはしっかりシステムを組んで国環研として取り組んでいるところであり、特にその中で、法人の監事の監査について重要性が指摘されておりまして、例えばこの評価委員会でも監事から直接、報告を受けたりすることが有用ではないかという点がございます。
 実は、今日も国環研のほうで監事をされている方にお越しいただくということを、ただ、なかなか日程が合わず今日はいらっしゃいませんでしたが、できるだけ今後、出席いただく、あるいはペーパー等でコメントを提出いただくようなやり方で、このあたりの対応をしていきたいと思っております。
 保有資産の見直し、それから評価指標の妥当性につきましては、それぞれきちんと取り組んでいると承知しております。
 続きまして、4ページ以降でございます。これも、独法の業務評価について、こういう視点を重視してくれという評価の視点、これが22年5月、25年5月に出ております。たくさんありますが、項目をざっと見てみますと、政府方針との整合ですとか、財務状況、保有資産の管理、資産の運用、8ページ以降には、例えば人件費の話、契約の仕方、そして内部統制といった事項が挙げられているところでございます。
 それぞれに対する国環研の考え方は、右側に書いているところでございます。幾つかピックアップいたします。例えば、5ページの真ん中に、運営費交付金の毎年の執行率みたいなものが書いてあります。毎年、環境省から運営費交付金が出ているのですが、24年度につきましては22%、期末の残高が出ております。この辺は、どうしても入札でお金が安く上がったとか、契約を次年度にまたがってやるとか、あるいは最後のお金の整理を年度をまたいで5月までにやるといったようなことがあって、発生しているところでございまして。業務をお金をもらったけどやらなかったとか、そういうことはございませんので、ここのところは適正かと考えています。
 以降、6ページ、7ページと資産関係、債務関係のところが出ております。それから、8ページ、9ページ、人件費関係のところでございます。給与水準を、国家公務員と比較してという辺りの指摘がございまして、8ページの真ん中辺りにございますが、給与水準は国家公務員と比べまして100に対して100.7とか、研究職員では102.8といった水準でございます。
 研究所でございますので、大学院修了者等の割合が高うございます。そういったことや、研究の実態等を考えますと、これについては妥当な、少なくとも高いという批判を浴びるというレベルのものではないかと考えております。
 以降、9ページに契約、それから繰り返しておりますが、内部統制の話等々のポイントが出てきております。
 それから、11ページ以降が、古いものになりますが、22年の基本方針ですとか、13ページでございます、22年の総務省の報告書に対してのポイント、として上げられているものに対する対応状況です。これは、かなりかぶっているところがございますので、説明は割愛させていただきます。
 続きまして、資料の1の別紙としてついておりますA4縦長の資料があるかと思います。これは、外部というよりはこの部会ですね。環境省独立行政法人評価委員会とそれから国環研部会から、昨年、評価に当たっていただいたコメントに対して、その後1年間、国環研としてどう取り組んできたかという、昨年のこの場での宿題に対する対応状況をまとめたものでございます。
 これも結構かぶっているところがございますが、ポイントを申しますと、例えば1ページ目の環境研究の戦略的な推進のところでは、特に災害対策につきまして、予算面でもちゃんと増額・増員をするなど、対応すべきであるといった意見をいただきまして、これは環境省でもご指摘を踏まえて力を入れたところで、補正予算等で金額を増加し、また人件費を福島県に環境研究のセンターをつくるという、そこに国環研も加わるということで、25人分の人件費の増額をさせていただいております。
 それから2ページ目以降、研究の構成でございますとか、研究成果の評価について整理しております。それから、環境情報の収集や整理について、研究成果の提供について、これらについて、実際にやってきた1年間の実績について、整理しております。
 4ページ以降につきましては、運営の効率化等につきまして、これもやったことを整理させていただいております。
 4ページの下半分のところにございますが、特に体制につきましては、福島県が今後、整備する予定の福島県環境創造センターに国環研も加わるということで、この準備チームをつくばに設置しまして、検討を進めているところでございます。
 5ページ以降、財務の効率化や内部統制を初め、種々の事項についての指摘についての対応状況を記載しております。
 全部の整理は、説明はちょっと無理ですので、かいつまんだ説明になって恐縮ですが、この辺り外部、それからこの委員会での指摘事項に対するこの1年間の対応状況について説明させていただきました。

【小池部会長】 引き続いて、国立環境研究所から説明をいただきます。
 それでは、最初に理事長のほうから、お願いいたします。

【住国立環境研究所理事長】 知っている人には、またかという話になるのですが、初めての方もおられますので、一応、概要をご説明したいと思いますので、国立環境研究所の概要というのをご覧になっていただきたいと思います。
 1ページめくっていただきまして、国立環境研究所の沿革が書かれてございます。1974年、環境庁が発足してすぐなのですが、国立公害研究所として発足をしてまいりました。当時は、公害が非常に大きな問題であったわけで、主として公害等に取り組む研究所という形で発足したと思います。
 88年にベルリンの壁が壊れたりして、地球環境問題、グローバルの温暖化等が問題になってまいりましたので、その時点で国立環境研究所と名前を変えまして、グローバルな問題も広く研究するという形になってございます。
 それから、2001年、独立行政法人へ移行し、2006年、非公務員化しました。これは、国の施策に基づいて行っておりまして、2001年から現在まで、現在は第3期中期計画なのですが、第1期、第2期、第3期と研究を展開してまいりました。前からも出ていますが、2011年に東日本大震災がありまして、それは環境研には非常に大きな影響を与えました。
 それで、震災対応のことがございますので、それに取り組んでまいりました結果、やはり中期目標、中期計画を変えて、それを取り組むべきということになり、活動を始めたという状況になっております。
 その次が、組織構成でありまして、基本的に八つの基本分野を八つのセンターで行う、分野間でつながっている研究についてはプロジェクトで領域間をつないで研究を行うという、そういう体制でやっております。
 まためくっていただきますと職員構成なのですが、全ての職員は837名ですが、正規の役職員数が256名と、30%ぐらいですかね、非常に少なくて、契約職員のほうで研究を担っているという構造をとっております。その理由は、やはり新しい研究所でありまして、人件費等が抑えられているということにあろうかと思います。
 何回となく、正規職員が少ないご指摘を受けているのですが、こればかりは、環境研がフリーハンドになって、はい、増やしましょうというふうにできるようなものではありませんので、ぜひとも増やしていただきたいという形で、環境省を初め政府のほうにお願いをしている段階です。
 そういう過程の中で、福島の復興予算という枠なのですが、一応、人件費が認められたということは、100%の成功というわけではないでしょうが、非常に大きな進展だと思っておりますし、現在ついた25人というのは、正規役職員の256人のほぼ1割ですので、1割、単年度に人がついたというのは大きなことかなと思っております。
 その次、5ページですが、予算規模です。予算規模は、それほど大きな変わりはございません。粛々とやっているという形だと思います。
 それで、6ページが、いわゆる第3期の研究の構成とテーマと、それを担う八つのセンターのマップであります。そのセンター間でどういうふうに研究がまたがるかというようなことも含めて絵が描いてございます。
 その次の7ページなのですが、震災を受けまして、災害と環境に関する研究というのをやらざるを得ない、やるべきであるということになりましたので、それを行ってまいりました。
 それを、今のままやっていればいいではないかという議論もありますが、やはり筋として新しいことになっておりますので、中期計画を変えたほうがいいということで、昨年度、7ページにありますように、中期目標も変更し、中期計画を変更したという形になっております。それで、主な変更点を書いてございますが、災害と環境に関する研究を推進するということと、福島県に研究の拠点をつくるということでございます。
 そして、一番最後が、新しい今年度以降の体制を絵にしたものであります。八角形から九角形に変えて、1個入れるとか、災害と環境に関する研究をどこに入れるかとか、いろいろな議論をしたのですが、どうも九角形は非常につくるのにおかしい、真ん中にぼんと置くというのも、それもちょっと置き過ぎだとか、いろんな議論がありまして、現在のところは福島ということもありまして、災害と環境というのは全ての分野に関係することが考えられますので、一応、横出しにしまして、そこに書いてありますように、四つの項目を立ててやっているところでございます。
 とりわけ、廃棄物問題や放射性物質の動態等、現在行っている研究がございますが、そのほかに、生物生態系の影響評価というのは、環境研しかやっておりませんし、それから災害後の地域環境の再生、創造に関するというところは、やはり環境研としては非常に重要なところだろうと思っております。福島は、放射能を除去したらそれでいいというわけではありませんので、震災を受けてどういう新しい福島にするか、東北にするかということは非常に大事だと思いますので、それをやっていきたいと思っております。
 その下に、環境研究の基盤整備と書きましたのは、いわゆるいろんな環境で基本計画に関するデータベース等、いろんなものをやっているということです。さらに特出しますと、GOSAT-2という二酸化炭素を観測する衛星の後継が決まりましたので、これは今、日本が先頭を走っているのですが、やはり衛星プログラムは非常に大きいことでありますので、力を入れてやっていく必要があるだろうと思っております。
 一方、右のほうには、エコチルのことが書いてありますが、このエコチルも非常に大々的なコホート調査で、このデータを使っていろんな研究がこれからされてくるだろうと思います。そういうような環境研究に関する基盤というものをきちっと整備をしていくことが大事だろうと思っております。
 あと、詳細にわたりましては、次以下、原澤、德田のほうからご説明したいと思います。

【原澤国立環境研究所理事】 では、引き続きまして、研究業務関係の報告をいたします。資料2、業務実績報告と、その参考資料というのが資料でございますけれども、そのエッセンスをパワーポイントにまとめました。お手元にあるかと思います。
 1ページめくっていただきまして、これは業務実績報告書の目次になってございます。研究関係の黄色い部分とその他の関係で、黄色のほうは私のほうが説明して、その後につきましては德田理事のほうでご説明いたします。
 3ページですけども、環境研究に関わる業務ということで、環境研究の戦略的な推進の中で、特に中核的な研究機関としての連携機能の強化、環境政策立案等への貢献、研究環境の質の向上というところでご説明したいと思います。
 1ページめくっていただきまして、4ページですが、中核的研究機関ということで、連携が必要になってくるということ、その強化がうたわれております。
 (1)ですけども、連携強化のための体制構築ということで、3点掲げてございます。国際的な研究を推進するためのタスクフォースを設置いたしまして、また予算もつけて活動を始めたというのが1点目です。さらに、環境研究機関、13機関の連絡会をつくりまして、毎年、環境シンポジウム等を行っているということが2番目であります。また、日中韓で三カ国環境研究機関長会合(TPM)と呼んでおりますけども、昨年は第9回目ということで、韓国のピョンチャンで開催しました。こちらにつきましては、8分野についてそれぞれの研究機関が担当分野を決めて、国際的な研究を進めているということでございます。
 国内における連携につきましては、共同研究契約及び協力協定を結んで共同研究を積極的に進めているということでありますけれども、大学の交流協定については21件、あと客員研究員制度をつくっておりますので、そちらによる協力。さらに、昨年度、連携研究グループ長制度ということで三つ設定して進めております。一つはデータ統合利用、二つ目が都市大気科学、三つ目は野生生物ということで、現在の研究グループではカバーし切れない部分を大学の先生等と協力して進める、そういった制度をつくって進めてまいっております。
 (3)ですけれども、全国環境研究所交流シンポジウムということで、地方環境研との協力を密にしまして、研究を進めてございます。
 4番目が、環境放射線に関する主要研究機関の情報・意見交換のための環境放射線研究連絡会を、昨年、立ち上げまして、1回目を7月12日に開催しています。今年度になりますけども、5月に第2回目という形で震災後、いろいろな研究がいろいろな機関でやられていますので、各機関の知見を一堂に会して、情報共有・蓄積していこうという会合でございます。
 また、環境研のこの2年間の震災対応の研究成果を「東日本大震災後の災害環境研究の成果」という形で、これも資料の中にございますけども、まとめて公表してございます。
 一方、海外との連携につきましては、国際研究活動の主導的な推進ということで、地球環境研究センターのほうでは、グローバルカーボンプロジェクトオフィス、GCPオフィスと呼んでおりますけども、そういった活動ですとか、最近ですと、特にインベントリー関係は非常に重要な役割を持ってきておりますけども、温室効果ガスインベントリーオフィス(GIOオフィス)、さらにアジアフラックスネット等々を通じて国際的な研究活動を進めてございます。
 2番目は、国際機関等への活動ということで、COPですとか、IPCCあるいはOECDへの協力という形で進めてございます。3番目でございますけれども、国際的活動の推進のための体制整備ということで、これは先ほど連携の強化というところでタスクフォースの設置をご報告しましたけれども、その中で研究拠点を海外につくっていく際、あるいは国際的な連携を進めていく際のインキュベーションのための研究も実施を開始しております。
 5ページにまいりますが、環境政策立案への貢献ということで、(1)審議会、検討会への参加ということで、この場合は延べ655人が貢献してございます。(2)番目の政策貢献に対する評価に関しましては、後でもご紹介いたします外部研究評価委員会で評価をいただいたりとか、あるいは研究者個人につきましては、職務業績評価という形で学術的な貢献と、政策的な貢献、両方を含めた形で評価を行ってございます。(3)番目は、環境の状況に関する情報、環境研究・技術に関する情報の提供ということで、この後、德田理事のほうから説明がございます。特に中期目標におきましては、当面の課題ということで、地球温暖化、エコチル調査、化学物質のリスク評価、生物多様性の保全、加えまして東日本大震災からの復旧・復興について、特に重要な研究課題といったことで、こちらを進めております。具体的には、後でご紹介いたします。
 6ページ、研究環境の質の向上ということで、まず研究費の配分につきましては、工夫いたしまして、各センターに配分すると同時に、所内公募型の研究を進めております。また、外部競争的資金の獲得も奨励しているという状況であります。人材育成につきましては、特に若手研究者を対象として、新発想型の研究を設定いたしまして、募集をしてヒアリングを行う等で進めてございます。施設につきましては、震災放射線研究に対する新たな研究スペースを確保ということでやっています。また、その他ということで、一時預かり保育所とか、外国人の生活支援とか、研究のやりやすい環境をつくってきております。
 (2)番目ですけど、所内公募型提案型研究ということで、もう既に一部ご紹介いたしましたですけれども、所内の交付金を使いまして、分野横断型の研究ですとか、新発想型の研究を進めています。(3)番目につきましては、震災で被害を受けた施設が復旧の工事が完了したということで、今年度からは本格的に研究を進めているということであります。節電も一昨年、昨年とアクションプランをつくりまして、こちらは大分節電ができて、例えば80%、83%という形で節電ができてございます。
 7ページに行きまして、研究の構成についてご説明いたします。先ほど、住理事長のほうから話がありましたように、8研究センター構成で各研究センターがそれぞれの研究分野を担う体制にしております。例えば、地球環境研究分野でございますと、地球環境研究センターが主として担うということです。そういった研究センターで、重点研究プログラム5件、先導研究プログラム5件、問題解決型の研究プログラムを設置して進めているということで、昨年度が2年度目ということでございます。
 そのほかに、環境研究の基盤整備ということで、さきほどもご紹介いたしましたけども、モニタリングの関係ですとかエコチル関係は、事業的な側面もあるものですから、基盤整備という分類をして進めています。加えまして災害と環境に関する研究を8分野の中で連携をとりながら進めているという状況であります。
 今回につきましては、特に重点研究プログラム、これは緊急かつ重点的に進める研究ということで、先ほどの中期目標で重要な研究ということで地球温暖化等が挙げられておりましたですけども、そちらについてご説明したいと思います。
 9ページが、地球温暖化研究プログラムということで、環境研の場合は、観測、気候モデリング、影響、適応、対策まで総合的に研究を進めてございます。例ということで右端にありますが、昨年度は震災後の原発の停止ですとか、エネルギー問題ですとか、温暖化対策が非常に重要な時期だったわけですけども、その際に、例えば原発の比率ですとか、温暖化対策の強度を変えたときに2030年、2020年にどれぐらいの温室効果ガス削減ができるかといったようなことにつきましては、研究プログラムの中で、統合評価モデルといったものをつくって計算をしております。そういった計算をいたしました結果を中央環境審議会等々にお出しして、使っていただいているということであります。そういう意味で、一定の貢献はできたのではないかと思っております。
 次に10ページでございます。循環型社会研究プログラムということで、こちらは主として右上に担当するセンターの名前を書いておりまして、循環センター、社会環境システム研究センターが担って進めているという研究プログラムでございますけども、左端にプログラム全体像ということで、アジア地域も含めた、かなり広い地域を対象にして資源の循環、廃棄物の循環等を研究しているということでございます。循環センターが主として進めてございますけども、これに加えまして廃棄物の問題と災害放射性廃棄物の研究ということも、この2年間はあわせて進めてきているということでございます。
 例ということで、最近ですと、サプライチェーンというのが非常に重要な、国際的にも国内的にも資源あるいは廃棄物の移動を考える場合、重要だということで、例えばタイで洪水があったときに、意外なことなのですけど、日本の企業が影響を受けるというようなことで、世界中にこういった産業・企業が分散しておりますので、こういったサプライチェーンの考え方も重要ということで、そういった研究もして、その一例をお示ししております。
 11ページ、化学物質評価・管理イノベーション研究プログラムということで、左側にプログラムの全体像をお示ししております。生態リスク評価でありますとか、ナノ粒子評価あるいはそれを踏まえまして、環境リスク管理戦略といったものをつくることによって、政策にも貢献していこうという研究プログラムであります。
 例えば、化学物質につきましては、挙動がまだ非常に複雑でございますので、そういった挙動を予測、評価するようなモデル開発もあわせてしております。農薬ですとか、POPsといったような化学物質が世界中をどう回るのか、その中で日本にはどういう影響があるのかというようなことも解析をしております。こういったモデル研究が、後でご紹介いたします災害対応の研究にもうまく生かされているというのが現状であります。
 続きまして、12ページに参ります。こちらは東アジア広域環境研究プログラムということで、地域環境研究センターをはじめ、多くの研究センターが関わっている研究プログラムであります。観測から始まって、特に越境大気汚染等と、あるいは東シナ海の海洋汚染等について研究を進めて、広域的な環境管理手法を提案していこうというものであります。
 たまたまですけれども、今年1月には大陸からPM2.5が越境してきたということで、急遽シミュレーション等を行いまして、2月の時点ですけども、越境大気汚染が影響していた可能性が高いといったような報告をすぐに出しているということで、こういった研究プログラムの研究成果が生かされたという例かと思います。
 13ページは、重点研究プログラムの一つであります生物多様性研究プログラムということで、こちらについては、左側に示してございますように、遺伝子レベルから景観レベルまでの多様性を扱うということと、多様性に関連した国土利用グランドデザインですとか、侵略的外来生物、遺伝子組換え生物などの影響といったものを、幅広く多様性を捉えて研究を進めております。
 その一つの成果の例ですけども、温暖化が進むと、これは温暖化研究プログラムのほうにも関わるのですけれども、海洋の温暖化と酸性化が同時に進行しつつあると、そういう中で、サンゴ礁はどうなるんだというようなことも研究しております。一部は、もう既に記者発表等で、あるいは学会等で報告をさせていただいてございます。
 以上が、5つの重点研究プログラムの全体像と一部の研究例を紹介いたしました。
 続きまして、二つの主要な環境研究の基盤整備ということで、地球環境の戦略的モニタリングということでありまして、これは地球センターが中心になって進めておりますけども、航空機によるモニタリング、船舶によるモニタリング、先ほど、ご紹介があったように、衛星を使ったモニタリングを総合的に進めております。
 その一つの例ということで、大気中のCO2の濃度につきましても環境研で測定した値がつい最近400ppmを超えたということがわかってきております。温暖化は、確実に進んでいるということのあかしではないかと思います。
 15ページが、「子供の健康と環境に関する全国調査」、エコチル調査の最新の情報をまとめたものでございます。こちらについては、胎児期から小児期にかけての化学物質等の曝露が子どもに与える影響を解明するということで、10万人規模の非常に大きな事業でございます。
 現在の状況といたしましては、下のほうに書いてございますけども、母親同意者数が6万5,515人ということで、今年度いっぱいでリクルートを終わりますので、担当者の方に聞いたところによると、予定した95%ぐらいの割合でリクルートできているということですが、非常に協力していただける方が多くて、うまく進んでいるという評価であります。
 被災地につきましては、福島県と宮城県が対象地域ですけれども、福島県につきましては、従来設定されていた地域を広げて、県域全体を対象にエコチル調査を進めておるということで、被災地は大分心配したんですけれども、当初、予定されたとおり進んでおりますし、福島地域については、先ほどご紹介したように全県に広げた形で進めているという状況でございます。
 16ページに参りますが、こちらが災害と環境に関する研究ということで、これは既に8分野の研究につけ加える形で研究を進めております。その例ということで、17ページに放射性物質に汚染された廃棄物等の処理処分技術のシステム確立ということで、詳しくは資料16に出てございますけれども、左側が焼却施設内の放射性セシウムの挙動把握と予測モデルの開発・検証ということで、従来、私どもでやった研究を踏まえて、こういった放射性物質を対象にして研究を進めて成果が出次第、データを提供しているということであります。
 右側が除染廃棄物仮置場あるいは埋立処分場の適正管理の手法の確立ということで、こちらも今まさに中間貯蔵施設が検討されている状況の中で、非常に重要な成果になってきているということです。こういった知見も蓄積しながら、かつ政府のいろいろ検討会等への参加と情報の提供を引き続き行ってございます。
 18ページ、廃棄物関係ともう一つ重要なのは、多媒体中での放射性物質の動態ということで、環境研のほうでは計測そのもの環境動態計測と多媒体中の環境モデリング、ヒトばく露の解析と生物・生態系影響調査といったほかの研究機関ではできないようなことも、私どもの研究所では調査研究しているということが特徴と思います。
 19ページですけども、災害廃棄物いわゆる多媒体の放射性物質の挙動に加えまして、被災地における都市の再生復興という形で、例えば福島県の新地町、こちらは政府の環境未来都市の一つとして選択されていますけれども、そちらと協定を結びまして、新地町あるいはその地域の将来のシナリオを開発したりとか、エネルギーあるいは環境資源の活用を検討するような研究も進めてございます。
 右にあるのは、その一例ということで、将来のシナリオを想定した場合に、エネルギー需給はどうなるか、地域の環境資源を活用した将来像を描くにはどうしたらいいかということを具体的に新地町の方々とも協力しながら進めているという状況でございます。
 20ページに参ります。過去2年間の研究成果を昨年4月には、災害環境研究の俯瞰ということで、どちらかというと、こういう研究が必要だというような、そういった報告書をお出ししたのですが、その後、この2年間の成果をまとめまして、さっきご紹介したように「東日本大震災後の災害環境研究の成果」ということで、100ページ強の報告書としてまとめまして、当初はPDFで、最近は報告書という形で提供をしているということであります。
 21ページに参ります。研究成果の評価ということで、22ページにありますのが私どもの研究評価の体制ということで、研究の中身につきましては外部研究評価委員会を設定いたしまして、そちらで評価いただいているということであります。
 その結果が、業務実績報告書の中に載せられているということであります。あわせて、国際的な有識者による評価・助言ということで、6名の外国の著名な方に来ていただいて、研究所の研究活動等についていろいろなご示唆をいただいております。こちらにつきましては、既に結果等をホームページで公開してございます。
 23ページが、具体的な評価の結果ということで、1点から5点満点の研究評価を行っていただきまして、環境研究の柱となる研究分野全体で評価結果が4.3ということで、昨年が4.1でしたから、少し上がってきています。研究プログラムについては3.9から4.2、研究の基盤整備については4.2から4.6と、昨年度よりもいい評価をいただいているということをご報告したいと思います。
 24ページですが、環境研の場合、第2期の中期計画の追跡評価をするということで、こちらにつきましては、重点研究プログラム四つにつきまして追跡評価を行って、こちらについてもしっかり終了後の活動もやっているという評価をいただいてございます。
 最後になりますけども、25ページの3ポツの研究成果の積極的な発信と社会貢献の推進という中で、発表論文数について取りまとめたものが最後のページ、26ページでございます。平成24年度は、誌上発表が599件、そのうち査読付き論文が400件、口頭発表1,304件ということで、誌上発表、査読付き論文等については、若干、第2期の平均に比べてちょっと少な目ということをご報告せざるを得ないんですけれども、一人当たりの論文誌につきましては、第2期よりも若干上がっているということで、この辺の理由は今、検討中ではあるんですけども、こういう状況であるということのご報告です。
 以上、研究業務に関してのご報告です。

【小池部会長】 ありがとうございました。
 ただいままでのところで、何かご意見、ご質問があればお願いしたいと思いますけど、いかがでしょうか。

【西間委員】 国立環境研究所の概要のところですけれども、一番最後のページに、研究の全体構成で中期計画変更後ということでこの図がありますが、ここで以前の委員会でも私はたしか指摘したと思うのですけれども、福島のほうで環境創造センターというものができるときに、ここの本体との関係がどのようになるのかということが懸念される材料の一つにあるのではないかと思っていたのですけれども。この図を見ると、右のほうに「災害と環境に関する研究」ということで完全に外出しされて、これは結局、東日本の大震災をターゲットとした研究のプロジェクトというか研究所というか、そういうイメージでいいのでしょうか。
 そうすると、例えば上と下で放射性の物質と、それから下のほうの災害後のという、上の二つと下の二つというのは、かなり内容を異にしているわけです。福島に関しては両方がミックスするとしても、研究としてはそれぞれがある程度単独で研究が進んでいて、最後に地域として総合的に分析されるというものではないかと思います。
 つまり、それから考えると、左側にある従来、国環研がシステマティックにやってきたそれぞれの分野が、全てにこっちに関わってくる問題であるし、ある程度おさまれば、この問題は左側のほうに吸収されていくということになろうかと思いますけれど、組織がどうなるのか、かなり懸念されますが、どう整理されていますか。

【住国立環境研究所理事長】 今回の福島に関する人件費は、復興庁の特別会計なのです。それを例えばつくばの経費と一緒にして運用しますと、流用問題とか言われたりする可能性がございまして、とりあえず福島の現場において、福島の問題を研究するということにしないといけないと考えています。
 それから、例えば災害環境という問題はもっと広い問題を含んでいますので、当然第4期なり取り組むべき問題に発展していくものであり、当然そういう位置づけをしています。福島に答えを出さないで好きなことを研究していてもしようがないじゃないかという批判もあり得るので、やはり我々は福島の問題に答えを出すという覚悟で研究を展開していきたいと思います。災害環境研究というテーマでは、別に福島の問題だけではなくて、それに触発されて広く大きな研究をするという意識を持っておりますので、そういう大きな問題は本構のほうにもどんどん入れ込んで、次の計画をつくろうと思っております。

【西間委員】 何かかなり難しい説明だったのですが、要するに福島のその地におけるいろいろな局地的な問題を、きっちりそれぞれにある程度、国環研の今までのノウハウで処理をして、かつ福島から出てきたいろいろなデータをまた国環研のほうで、また対応していくということなのでしょうけど、それで20数名の増員ということですよね。20数名の増員は、ほとんど福島に投入されるわけですか。

【住国立環境研究所理事長】 それは、恐らく福島に投入しなかったら、返せと言ってくるはずです。だから環境研としては初めは本体のほうの定員を増やせと要求したわけですよ。そしたら、だめだということになりました。
 それで、福島の問題はあるでしょうと要求を続けて、今回、復興庁、復興特会の中で認められたわけです。

【小池部会長】 これは10年時限、だから10年間ともかく復興特会で人も予算も面倒を見ましょうと。でも、それが終わったらその後は何も保障はしませんということですよね、これは。

【住国立環境研究所理事長】 保障はしないとも、するとも書いてないという判断です。要するに、10年後のことなどは不確定というのが我々の立場です。

【西間委員】 いいですか、何かしつこいようですけども。エコチルの中にも福島県だけは悉皆調査というか、全員の調査になったわけですよね、急遽。でも、それは疫学的に言うとほとんど、言い方をちょっと注意しないといけないけど、本当に統計学的にそれで13年後に何かデータが出たときに何か言えるかというと、それは極めて疑問のあるところであると思われます。
 同じように、ですから部会長が言われたように、10年で切れる問題では到底なくて、ずっと先まで続く問題であるとなると、単に20何人を福島に出しておくというのではなくて、国立環境研究所自体の能力、つまり災害と環境に関する今度の出来事によって能力アップをしていくためには、本体の力をつけていって、10年後のことを考えていかないと、ここだけでちょっと一事的にすればいいものではないかと思いますが。

【住国立環境研究所理事長】 そんなことはなくて、福島に行く人も、当然、環境研の人間と考えておりますので、全体として人事が行われております。福島のことが環境研本体の力の増強につながらないことはないと僕は思っています。一番のポイントは、個別具体的な問題を何とかできなくてはダメということです。
例えば先ほどお話がありましたように、県民の理解を得るということは非常に重要です。いわゆるどうやって地元の人とコミュニケーションをして、いろんなものを納得していただくかという問題は、実はほかでも通ずるような問題なのです。だから個別個別の課題に対処しながら、全体に広げてゆくということでやっていかざるを得ないと思いますし。
 それから、放射性廃棄物、中間貯蔵を含めても30年というようなことを言っております。
 だから、我々としては、中間貯蔵のリークがあったらどうするかなどとの研究も必要となってきます。
 さらに、その先をどうするんですかという問題も、やっぱり重要になります。例えば第一原発エリア付近には膨大な無人地帯ができるのではないかと言われたりしています。そうすると、野生生物が勝手に繁殖したり、種が変わったりといろんなこともございますし、さまざまな問題がそこから発生してくると思います。それは当然、福島の現場を軸に研究をしますし、いろんな問題が出てきたら当然、本体のほうと一緒になっていくことになるということです。

【小池部会長】 手短にお願いします。

【西間委員】 私は別に国環研を責めているわけでも、環境省を責めているわけではなくて、これが入ることによって相当面倒、というか、相当複雑な状況に入っていって、我々が評価するのにも非常に難しい状況が出てくるなと思って話しただけで、誤解のないようにお願いします。

【住国立環境研究所理事長】 昨今の状況によって環境研究が注目されてきましたが、従来の環境研究は割とマイナーだったと僕は理解しています。今や環境研究というのはメーンストリーム化したということは、それだけいろんな人の思惑と利害と、その中に巻き込まれざるを得ないという状況にあるわけで、今までみたいにサイエンスを研究していればよいというような、安穏な時代ではなくなったんじゃないかなと僕は個人的には思っています。
 当然、例えば除染でも、要するに現実の問題と向き合うと、いろんな問題が入ってきます。それを現実的に対処してゆかなければ環境行政というものは立ちいかないという時代になってきているのだと思っております。だから、さっき言われていますように、科学自体の役割は変わってきていると思います。社会における科学という意味になってきていますので、その辺を環境研は担っていかざるを得ないのではないかと考えています。そうすると、それは評価の問題ともつながっていて、研究の評価をどうするかが問題になってきます。
この点に関してはわからない状況になっているのですけど、ただ言えることは、社会における科学というものはつくっていく必要があって、そのような最前線に環境研が今、立っているのだと僕は思っております。

【小池部会長】 どうぞ。

【大久保委員】 すみません。私は今年からなので、今回、災害と環境に関する研究が入ってきて、その中でどういう柱を立てるのかということが、どう決まってきたのかということがよくわかっていないのですけれども。災害と環境に関する研究はいろいろありうるが、国の復興予算としてついているという一つの条件があるなか、研究の内容について、国環研がどういうところまで選べるのかという意味でのフレキシビリティはどの程度あるのか。
 また、社会の問題と向き合ってやっているうちに、やっぱりこういう研究が必要なんじゃないといった場合に、国環研だけではできないものもある。いろいろなネットワークとか、あるいは環境省とのリンケージが必要になってくる場合があるのではないか。
 そうすると、国環研の方から、こういうことをやったほうがいいということを環境省のほうにフィードバックしていけるような道があるのか、その意思形成のルートがどうなっているのかということをちょっと教えていただきたいと思います。
 具体的には、今、放射能の話に研究内容が傾斜しているようですが、課題はそればかりではない。例えば復興計画を立てるときに、国交省は今回、全部の地域について直轄の津波シミュレーション調査をやっている。そして、工学的にシミュレーションをやったが、景観とか環境とか、そういうものは考慮していないので、そのような点も考慮して総合的にそれを見ることが課題であると述べていた。
 それぞれの防潮堤の高さ、高台移転の是非を含め、復興計画を考える上では、環境的には多分SEAのようなものが必要だった。しかし、実際には、環境政策的には特定アセスが導入されたり、そもそもアセス法の適用除外になっている事業も多い。迅速化と環境の両立という観点では、基本的には国交省も全部シミュレーションをしているわけなので、環境的なシミュレーションを開発・適用する余地もあったはずだ。
 復興プロセス全体に環境という要素がどういうふうに入れていくのかということは、環境政策の重要課題だ。例えば陸前高田では2ヘクタールぐらいもともとの自然海浜が残っていて、そこを防潮堤工事等で埋めるのではなく、三陸の復興国立公園にふさわしい大震災の記録として何とか残してくれないかという声があります。こういう生物多様性に関わる部分は、本来、国環研の知見が生かせる分野ではないか。このように、実にいろいろな課題が問題になっているわけです。
 今日の資料は初見なのですが、社会システムが問題となってくる部分がかなりあって、今、そういう方向もやらなきゃというほうにシフトし始めているという感じだと思うんですけども、そういうものも含めて、社会技術的なものを、研究内容を決める意思形成の中で要素として考慮されるのかというあたりを教えていただければと思います。

【住国立環境研究所理事長】 やるべきことは多々あるのですが、やっぱりできること、環境研の実力の範囲内でできることを考えていかざるを得ないという形で、やっております。
 それから、環境省を含めて予算化していくことは、可能です。事業化して行うことはできます。ただ、雇用に関して言うと人件費というのは別枠になっていて、自由度がないという状況です。そういう意味では、委託契約などいろんな形でお金は入ってくるし、契約はできるんですけど、それが組織的な定員の増えるという形に直結しないという、いつもの大きな問題がございます。
 例えば、我々のところにも明らかに環境創造という形で、先ほど、環境未来都市ということがあったように、それから新地町でやっているのもそうで、具体的な将来を見越したような復興につなげることをやるべきだということで、具体的なそういう場所と組んでやっていて、そこでは当然、低炭素社会であるし、循環型であるし、自然共生、そういうものは全部統一されたような形として、新しいものを提案すべきだというふうに思っています。それを具体的にやろうとしています。
 それで、あと国交省の問題等は、環境省のほうも言い分があるでしょうし、中央のほうで調整をしていると思います。
 具体的な例を研究しておくことは大事なことだろうと思っていまして、県とかそういう自治体を通した中で、研究成果を実現していくことも大事だろうと思います。

【大久保委員】 すみません、ありがとうございます。今、私、別に国交省が役人仕事をしてけしからんとか言っているのではなく、工学的なシミュレーションというのは、必要だと思っています。そこに環境的な要素を入れて、両方の側面を統合していく必要がある。そういうことは、もちろん国環研だけでできるわけがないが、全体として研究の必要な部分を決めていく中で、国環研が自ら主体的にコミットできる範囲、のりしろといいますか、そういうのが意思形成の中でどのぐらいあるのかなというところが気になってお聞きしたものです。津波の防潮堤の話は一つの例です。

【住国立環境研究所理事長】 環境研としての意見は、実はかなり環境研側としては、独自に考えておりますけど、それを相手がどう聞くかというのは、別の問題であります。ただ、生態系だとか、環境に関することを言えるのは環境研しかありません。
 ただ、その分だけ迫力がないというか、やっぱり所掌のあるところの発言が強いですので、その辺は個別個別の状況を見ながら対応せざるを得ないなと思っております。

【小池部会長】 すみません。ちょっと時間が押していますので、とりあえず全部説明を聞かせていただいて、それでまとめて、またご質問があればお願いします。
 じゃあ、次を德田理事のほうからお願いいたします。

【德田理事】 それでは、資料2の業務実績報告書に基づいて、ご説明をさせていただきます。業務実績報告書、1枚おめくりいただきますと目次がございます。冊子でございます。資料2、お手元にございますでしょうか。薄いほうの冊子ですね、厚いのが資料編になっております。泉先生、ございますか。
 1枚めくっていただきますと目次がございまして、第1の1の環境研究に関する業務のところを先ほど、原澤理事のからご説明申し上げました。
 2ポツの環境情報の収集、整理及び提供に関する業務以降を中心にご説明をさしあげます。
 18ページをご覧いただけますでしょうか。18ページ、四角囲みがございますが、これは24年度、年度計画の記述でございます。環境情報の収集、整理及び提供に関する業務といたしまして、年度計画に掲げられているものを掲載しております。ここには、三つ目のパラグラフで24年度は、新たに2,000件の情報源情報(メタデータ)を収集・整理し、提供することを目指すと。
 また、(1)で、環境の状況等に関する情報の提供を行う。(2)で、環境研究・環境技術に関する情報の提供を行うといった記述がございます。それらに対して何をしたのか、業務の実績が下のほう、Iから始まっております。21ページに参りますと、自己評価と今後の対応と、こういう構成で書いてあるわけでございますが。
 業務の実績、18ページの真ん中から下の業務の実績でございますけれども、環境展望台というサイトを設けておりまして、そこで環境の情報を収集したものを発信するということに努めておるところでございます。メタデータや検索システムを備えているわけではありますが、メタデータについては24年度には、新たに2,956件を収集・整理し、提供を行っております。環境展望台の利用者への適切な情報提供に努めるという観点から、アンケートのページも新たに24年度には設けました。
 また、19ページにございますが、トップページにトピックスというような新たなページも追加しております。真ん中の図は、トップページの画面でございます。
 20ページに参ります。24年度に実施した業務のうち、(1)環境の状況等に関する情報の提供。これにつきましては、②のアからキにございますようなデータについて追加を行っております。
 ③にございますように、新たな項目の追加というものをしておりまして、先ほどの原澤理事からの説明の中でも、PM2.5について触れておりましたけれども、春先、話題になりましたPM2.5についても項目を追加し、ウにございますように、予測対象項目に加えた表示も行っているということでございます。
 21ページに参りますと、環境研究・環境技術等に関する情報の提供について、書いてございます。ニュース・イベント、研究・技術、政策・法令、そういったものについての情報の更新を行ったということでございまして、利用者ニーズを把握するということに努めて、トピックスとして新たなページを追加し、またメタデータについては目標の2,000件を上回る2,956件を提供したということで、今後も環境情報の適切な整備・的確な発信に努めていくということとしておるところでございます。
 22ページに参りますと、研究成果の積極的な発信と社会貢献の推進と書いてございます。(1)研究成果の提供で、①が発表論文、誌上発表、口頭発表の推進でございますが、これは先ほど、原澤理事がご説明申し上げました。
 23ページの上にございますように、概ね順調に成果発表が進められたという評価をしておるところでございます。
 24ページに参りますと、今度はマスメディアを通じた研究成果の普及はどうだったのかということでございます。業務の実績の二つ目のパラにございますが、プレスリリースは38件行いまして、年度目標を概ね達成をしております。また、記者クラブとの勉強会を3回実施しました。テレビ等の報道出演回数は203件でございます。新聞報道が377件でございまして、いずれも23年度を上回っております。
 25ページ、ここはインターネットなどを通じた研究成果の普及について掲げられているところでございまして、真ん中辺り、ホームページによる研究成果の普及と書いてございますが、24年度中に公開を開始した主なコンテンツを表にしてまとめさせていただいております。
 26ページをご覧いただきますと、ここで(4)といたしまして、東日本大震災関連ページというものをつくったんだということを書いております。先ほどから、何回も出てきております東日本大震災の災害環境研究の成果という冊子がお手元にもございますが、その冊子のページも掲載をしておるところでございます。
 さらに、(5)にございますように、より利用しやすいホームページをつくろうということで、この7月にリニューアル公開をいたしました。(6)では、ホームページの利用件数が書いてございます。4,358万件でございまして、23年度と比べて23%の増となっております。
 27ページでございますが、環境儀という研究情報誌、これを4号発行しました。(2)にございますけれども、刊行物については24年度から原則として電子情報により提供するということにしております。(3)で、パンフレットについても、見直してよりわかりやすいコンパクトなものにいたしました。それから、昨年12月からメルマガ、メールマガジンを開始いたしました。
 29ページでございます。研究成果の活用の促進ということでございます。1ポツで、研究基盤としてのさまざまなデータベース、地球環境モニタリングデータ等があるわけでございますが、そういったものをホームページから提供をいたしております。
 2ポツでございますが、環境標準物質であるとか、微生物保存株であるとか、あるいは実験水生生物、そういったものの分譲を行っております。
 3ポツでは、国の審議会等への参画等をして、環境政策への検討に活かすよう努めたと。先ほど、どのようなルートでというようなお話もございましたが、審議会への参画のほか、日常的に研究者、環境省等の政策担当者とコミュニケーションをしておりまして、そういった場面を通じて研究成果を活かしていただくということをしております。実際、今回の震災の関係では、環境省の数々のガイドライン、廃棄物あるいは除染等のガイドラインに国環研の研究成果が相当で活かされているというふうに理解をしておるところでございます。
 4ポツ、知的財産でございますが、8件の特許等が登録をされ、5ポツにございますように、知的財産ポリシーというものをつくりました。機関一元管理の原則の下で、特許の出願や維持の要否を知的財産審査会で審議し、判断していく仕組みにいたしました。
 30ページでございますが、環境省が「世界に通用する静脈産業の育成」という政策を進めておりますので、それに従い、産学との連携により市場動向の把握と技術開発を進めておるところでございます。ということで、今後もこれらの取組を通じて、研究成果の活用促進に努めていきたいと考えております。
 31ページでございます。社会貢献活動の推進、研究成果の国民への普及・還元活動ということでございますが、公開シンポジウムを2回開催しました。東京と京都で、それぞれ開催をし、東日本大震災関連の研究の発表あるいはそれ以外も含めた16のテーマのポスター発表を行って、それらの結果はホームページにも掲載をしておるところでございます。
 32ページ、一般公開でございます。2回開いております。特に、7月の「夏の大公開」と呼んでおるものには、4,260名の参加を得たところでございます。
 33ページでは、各種イベント、プログラムの開催・参画として、ここの表にございますようなイベント等に参画あるいは開催をしたということでございます。
 34ページでは、視察者、見学者の受入状況等について書いてございます。国環研の研究成果をわかりやすく社会、市民に伝えるよう今後とも努めていきたいと考えておるところでございます。
 36ページ環境教育及びさまざまな主体との連携・協働でございますが、高校生を対象としたサイエンスキャンプというものがございますが、それに積極的に参画をしておりますし、「つくば科学出前レクチャー」といったような各種団体が主催する講演会・学習会がいろいろございますが、そういったところに研究者を講師として派遣をするというようなこともしております。引き続き、さまざまな主体との連携・協働に努めてまいります。
 38ページでございます。ここからは、第2、業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置というところでございまして。1ポツ、研究所の運営・支援体制の整備でございますが、8研究センターを基本とする研究体制のもとで研究を推進したというのが38ページでございます。
 そして、39ページにございますように、震災を契機とした災害環境研究、これにつきましては、理事長を長とするチームをつくりまして、全所的、機動的に研究の推進を図っているところでございます。
 福島県環境創造センター、これが予算措置がなされましたので、また国環研職員の人件費25名分も予算措置がなされました。そういったことを受けまして、福島貢献プロジェクトチームというものをつくりまして、今後の体制についての検討を開始しているところでございます。
 そのほか、コンプライアンス委員会あるいは広報委員会等の体制を整備して進めているところでございます。今後も、体制については絶えず検討して、柔軟に運営をして必要に応じて見直しを行っていきたいと考えております。
 40ページは、人材の効率的な活用ということでございます。(1)で、研究者の配置として八つの研究センターに常勤職員が200名、契約職員を含めて合計708名と書いてございます。25名が新たに加わるということになるわけでございます。ただ、災害と環境は、25名だけがやるというわけではございません。25名は、福島に行って研究をいたしますが、本構にいるここに掲げてある常勤職員も何十名かは、エフォート率、数十%という形で災害と環境の研究を行うというようなことを想定しているところであり、具体的には今、検討をしているところでございます。
 41ページでございますが、研究系職員の採用・転出の状況として常勤職員8名を新たに採用、大学等への転出、これは定年退職も含め13名ということでございます。
 (3)では、研究系契約職員協働研究者等の状況として、フェローとか、特別研究員、准特別研究員、リサーチアシスタント等を採用して143人。それから、24年度は新たに連携研究グループ長、これも原澤理事から若干ご説明がございましたが、新たに設けた仕組みでございまして、所外の研究者をできるだけ活用していこうと、なかなか常勤職員・常勤研究員を増やせない中で、外部の研究者の有効活用を図ろうという試みでございます。
 若手研究者、女性職員等については、それぞれ7名、3名を採用しました。企画・管理・情報部門における事務処理能力の向上でございますが、各種研修への参画、また、高度技能専門員の配置等を行っているということでございます。
 42ページ、企画・管理・情報部門の常勤職員の人数は50名でございました。職務業績評価など、能力向上のための取組も行っておりまして、面接による目標設定と業務評価を行って、課題については指導や助言を行うという職務業績評価を実施しているところでございます。
 44ページ、財務の効率化でございます。下のほうの1ポツで、業務費の削減とございます。これは毎年毎年、独立行政法人に関しては、業務経費を1%減額、一般管理費分を3%減額ということで、これは決まっておりますので、そういった減額された予算が私どものほうにいただけるということになっております。
 したがって、それに対応すべくきめ細かな削減策を講じて対応しているところでございます。なお、24年度については、業務経費は20%ぐらい前年度に比べて減少しているんですが、これは特殊事情がございまして、エコチルという調査がございますが、子どもの健康と環境に関する全国調査というものがございますが、それのユニットセンター、全国に15箇所ございますけれども、ユニットセンターの運営経費がかつては国環研を経由していたわけでありますが、24年度からは環境省直接執行に移行したということもあって、業務経費が減少したということでございます。
 また、一般管理費につきましては、女性職員の支援の一環として一時預かり保育所というものを整備し、利用開始いたしました。その関係で、若干の増となっているところでございます。
 45ページ、光熱水費でございますけれども、電気・ガス料金の大幅値上げによりまして、増加をしております。
 給与水準の適正化につきましては、国家公務員に準じております。
 それから、3ポツの知的・物的能力の提供等による自己収入でございますけれども、自己収入の決算額は、前年度に比べて8億8,000の増、27.7%の増ということでございます。この多くは、震災関連業務の受託でございます。ただ、自己収入の一部であるところの競争的資金については、これは対前年度比で20%の減になっております。ただ、これは、私どもの競争的資金は、大半が環境省の環境研究総合推進費でございまして、この環境研究総合推進費自体の予算が減っているということから、ある程度、やむを得ないのかなというふうに考えているところでございます。
 (2)では、科研費のことが書いてございまして、それにつきましては、24年度は6億9,800万円で、第2期の年平均値6億4,600万円を上回っておるところでございます。
 46ページでございます。契約の適正化ということに関しましては、(1)真ん中辺りにございますが、外部有識者と監事で構成する契約監視委員会というものを設置いたしまして、随意契約、一者応札の点検・見直しを行っておるところでございます。
 (2)の随意契約の状況でございますが、随意契約は所内に設置している契約審査委員会の審査・承認を経て行ったということで、状況が47ページの表に示されているところでございます。
 なお、47ページの表ですと、24年度の一般競争入札の額が非常に多くなっております。23年度に比べて多くなっておりますのは、これはスパコンのリースを更新したということがございまして、その関係で多くなっていると。
 それから、競争性のない随意契約のあらかじめ相手方が指定されているもののところで、23年度に比べて24年度は大幅に減っておりますのは、これは先ほどご説明いたしましたエコチルの関係でございまして、国環研を経由しなくなったということで、減っているということでございます。
 下のほうに参りまして、一般競争入札のうち一者応札になったものが71%と高いわけでございますが、なかなか低くならない要因は、やはり研究・開発事業に係る調達の特質などにあるのではないかと考えておりますが、しかしながら、48ページにございますように、仕様書の見直し、公告期間、入札等から業務開始までの準備期間の長さの確保等々の取組を今後も充実させていたいというふうに考えております。
 (6)関連公益法人等との契約でございます。地球・人間環境フォーラムという財団がございまして、そこがいわゆる関連公益法人に該当するわけでございますが、それにつきましては、当該法人との契約は全て、少額随意契約を除いて一般競争でございます。また、一者応札もございますけれども、それについても点検を行い、契約監視委員会等から妥当であるとの評価をいただいているところでございます。
 50ページに参りまして、効率的な施設運用ということでございますが、これまでどおり、効率的に施設を運用しているのですが、それに加えまして(3)にございますように、震災対応の研究をするということで、つくば、本構の既存施設を改修いたしまして、震災放射線研究エリアというものをつくりました。
 また、福島県の南相馬市に放射線対策総合センターという市の施設がございます。そこの一画をお借りいたしまして、フィールド調査用の実験室を設けて、分析の前処理などを行うということをしておるところでございます。
 51ページでございますが、スペース課金制度、これは従来からやっているわけでございます。スペースの効率的な利用を図っております。また、耐震改修あるいは東日本大震災の影響を受けた建物の復旧工事というものも進めました。
 自己評価と今後の対応、下のほうにございますけれども、福島県が整備を進めているセンター構想、それと連携しながら必要な研究実施体制の確保等を進めていきたいと考えております。
 52ページでございます。情報技術を活用した業務の効率化でございますが、コンピュータシステム、ネットワークシステム、1ポツのところに書いてございますが、それぞれ25年3月、それから25年6月に新たなシステムの運用を開始いたしました。
 それから、53ページに参りますと、(3)で環境観測データのテレメータシステムの効率的な運用、また3ポツで書いてございますが、情報セキュリティ研修を習熟度別に5回実施したというようなことをやってきたところでございます。
 54ページでは、業務における環境配慮が書いてございまして、環境配慮憲章に基づく環境配慮、グリーン調達の実施。
 それから、55ページにございますが、省エネの取組。原澤理事からも説明ございましたが、節電の効果がかなりあったということが(2)で書いてございます。CO2の発生量、上水使用料につきましても、基準年と比べて大幅に減っているということが(3)、(4)で書いてございます。4ポツのところでは廃棄物について、また、5ポツでは化学物質について、それぞれ適正な管理をしているということが書いてございます。こういった取組については、56ページの7ポツにございますように、環境報告書というものを毎年出しておりまして、そこに記述し、ホームページで公開をするということをしておるところでございます。
 58ページでございます。内部統制でございますが、業務に実績の1ポツの二つ目のパラをご覧いただけますでしょうか、研究活動については、国環研内部で研究センター長、プログラム総括を中心に進行管理を行っているわけですが、さらに外部研究評価委員会により評価を受けているわけでございます。そして、その外部研究評価委員会による評価、意見については内部の研究評価委員会で検討して、今後の研究の進め方に反映させるというようなことをしておるところでございます。
 業務運営については、職務業績評価制度の運用等をやっておりますし、幹部会において進捗状況の点検を行うということもしております。
 また、59ページにございますように、所内各層で国環研のミッション、課題等を共有しながら対応を検討・周知する体制として理事会だけではなくて、幹部会それから研究評価委員会、さらに室長クラス以上で構成する運営協議会、そういったものを原則として毎月開催をしております。
 さらに毎週、理事長のマネジメントを支援する体制として、理事長、理事、審議役、管理部門の部長を含めた定例会議を開催しておりまして、理事長のリーダーシップのもとで、ミッションを踏まえた運営上の課題の把握、対応の方向性の検討を行っているところでございます。
 コンプライアンス委員会も開催しておりますし、また毎月の理事会に監事の出席を求めまして、業務執行に関する重要事項について意見を求めております。内部監査も実施をしておるところでございます。
 61ページでございますけれども、安全衛生関連の充実ということでございますが、(1)定期健康診断の実施、(2)で電離放射線障害防止規則に同等の健康診断、(3)で臨床心理士による特別労働相談、(4)健康管理対策として常勤の保健師を24年度から入れております。それから、(5)メンタルヘルス対策等のセミナーの開催を行っております。
 また、2ポツにございますように労働安全衛生法に基づく作業環境測定のほか、震災放射線研究の実施に伴って定期的に空間放射線量の測定も行っております。
 また、3ポツにございますが、放射線業務従事者教育訓練も実施をしているところでございまして、今後も安心して研究等に取り組める環境の充実に努めてまいります。
 63ページ、ここは財務内容の改善に関する目標を達成するためにとるべき措置ということでございますが、ここは45ページの自己収入のところの記述と同様でございますので、省略をさせていただきます。
 64ページでございますが、第4、これは予算でございます。予算規模が、右下のところをご覧いただきますと、予算にして160億円、実際の執行が145億円ぐらいでございます。これは、冒頭、吉川室長からもご説明がございましたけれども、繰り越しの関係等々ございますので、出入りがあるということでございます。この辺の予算の関係は、後ほど高木総務部長のほうから、財務諸表を用いましてご説明を申し上げます。
 66ページ、第5、その他の業務運営に関する事項ということでございますが、業務の実績のところで、東日本大震災により被害を受けた国環研施設・設備の復旧工事を実施し完了したということ。それから、水質汚濁防止法が改正をされまして、昨年6月から施行され、既存施設については執行猶予期間が3年ございます。これは、有害物質を含んだ排水が漏れないような構造にするということでございまして、そのために必要な配管の実態調査を行っております。24年度補正予算で14億円交付されるということになりましたので、25年度に実際の工事を実施するということにしているところでございます。
 67ページ、人事に関する計画でございますが、若手研究者7名、女性研究者3名。それから、若手研究者については外部資金の応募に際して、適切な指導助言を与えているとか、あるいは内部公募型研究制度を活用した研究の奨励を行っている。また、海外への派遣を行っているということでございます。女性につきましては、23年度に妊産婦が搾乳できる休憩室をつくりましたが、24年度には、一時預かり保育所も整備をしたところでございます。外国人につきましては、担当スタッフを置くとともに、公益社団法人であります科学技術国際交流センターと契約しまして、生活支援を実施してるところでございます。
 また、任期満了となる任期付き研究員については、テニュアトラックによりパーマネント研究員として採用をしております。そのほか、フェローの採用、それから68ページにございますように、特別研究員、准特別研究員、リサーチアシスタントの採用をしております。
 連携研究グループ長については3人、客員研究員221名、共同研究員62名、研究生65名を受け入れたところでございまして、今後とも優秀かつ多様な職員及び契約職員の採用を進めるとともに、研究参加意欲の一層の促進を図って、国環研の活力の維持に努めたいと考えておるところでございます。
 以上、早口で恐縮でございましたが、業務実績報告書の残りの部分のご説明をさせていただきました。

【小池部会長】 それでは、続きまして、財務諸表の説明をなるべく簡単にお願いいたします。

【高木国環研総務部長】 総務部長の高木です。どうぞよろしくお願いいたします。
 独立行政法人の情報公開の柱であります財務諸表につきまして、説明をさせていただきます。資料でございますが、通則法38条第1項の規定にされております貸借対照表、損益計算書、利益の処分に関する書類、省令で定められている書類ということで、キャッシュ・フロー計算書及び行政サービス実施コスト計算書、これらの附属明細書として資料2-3にあります財務諸表ということで配付させていただいております。次に、通則法38条第2項の規定に基づきまして、事業報告書を資料2-4、決算報告書を資料2-5、監事及び会計検査人の意見を資料2-6ということで配付させていただいております。
 なお、資料6にもありますが、監事及び会計監査人からは適正であることを認めるという意見をいただいております。
 以降、財務諸表について、昨年度との変化、ポイントの大きいところについて、前年度の額が出ていないんですけども、説明させていただきます。
 まず、独立行政法人の財政状態を明らかにすることを目的としております、貸借対照表でございますが、これは期末日である25年3月31日における資産・負債・純資産を記載したものでありますが、資産が資金の運用形態を表したもの、負債、純資産が資金の調達源泉を表すものでございます。
 初めに1ページをあけていただきまして、貸借対照表の左下にあります資産合計でありますが、3月31日現在で383億円という数字になっております。これは、調達した資産が過去に買った減価償却よりも少なくて、減価償却のほうが多いので、毎年だんだん減るような形の傾向にあります。
 次に、同じく貸借対照表の負債のほうでございますが、右上に運営費交付金債務が今年度33億円計上されております。先ほどからちょっと説明がありましたが、繰り越しということで、契約した繰り越し、また外部的な要因に基づいて、普通に契約したということで、33億円の運営費交付金債務が計上されております。
 次に、その四つ下に未払金というのが29億円ありますが、これは前年度において12億円ほど減っております。これもなぜ未払金が減ったかといいますと、先ほども説明にありましたが、エコチル調査が今までは国環研から直接、ユニットに委託をしていたんですが、環境省から委託することになったんで、3月31日まで調査を委託していて、本当は4月に支払ったというのがなくなったんで、この未払金が去年に比べますと12億円ほど減っております。
 次に、純資産でございますが、これは独法の財産基盤であります資本金とか、剰余金ということで経済的基盤であります。今年度は279億円で、減価償却費は全中期期間繰越金積立取崩の影響に前年度と比べて7.9億円ほど減っております。
 続きまして、財務諸表の2ページをご覧いただきたいと思います。これは独立行政法人の運営状況を明らかにするために、1事業年度に属する全ての費用を、損益を計上しております。
 まず、委託費でございますが、先ほど述べたように環境省からの直接ということだったんで、22.6億円、去年に比べて減少になっています。その影響もありまして、全体のほうとしても14.4億円の減額になっております。
 また、経常収益のほうでございますが、東日本大震災の復興特別会計ということで、約7億円の震災の関係の委託事業があったことによって、8.8億円の増額になっております。なお、経常収益の合計額につきましては、エコチルの事業が減ったことによって、前年に比べて13.4億円の減額になっております。
 次に、下から2番目にございますが、全中期目標期間繰越積立金取崩額についてですが、全中期目標期間終了時の積立金残額のうち、今中期目標期間の業務の財源として環境大臣の承認を受けた1億5,400万円のうち、自己財源で購入した減価償却に充てるため3,100万円を取り崩したものです。というか、これは前期に買った資産を減価償却しなきゃいけないんで、繰り越すことを積立金のところで入れてもらっているので、減価償却分を減らすという形のもので、会計上の支出とみなす。
 次に、当期総利益でございますが、今期は1,800万円の利益があります。これは、自己財源でした固定資産を減価償却しなきゃいけないということで、収益にいますので、基本的にその分が自然的になるんで、これも会計システム上のものとして理解しております。
 続きまして、財務諸表の3ページでございます。これはキャッシュ・フローでございまして、1事業年度におけるキャッシュ・フロー、キャッシュの出入りの状況を業務活動、投資活動、財務活動の区分別の表示するもので、他の計算書との関係では本決算書の資金末残高が貸借対照表の現況日、預金と一致するものでございますので、35億円というのが1ページ目の流動資産のところの現金をB預金と、こういうふうに合致するようになっております。
 続きまして、5ページでございますが、行政サービス実施コスト計算書、これは独法が計算書類で損益計算書の項目の差し引き等を行って、広い意味で国民に幾らの負担をするかというようなところに書かれた計算書でございます。説明については、個々のやつは省略させていただきます。
 続きまして、財務諸表の8ページでございます。これは減損についての認識として蓄電システム、NAS電池というのを設置したのですが、これは夜間、安価な価格で電気を蓄電して昼間放熱することによって、コスト削減と中間の放電分のピーク電力の削減ということで寄与していたんでございますが、15年12月につくった蓄電池でありますが、23年9月に我が研究所と同じ蓄電池の事故がありまして、安全性及び経済性を整合した結果、廃止にすることにしたもので、一応、減損の認識をしております。
 続きまして、最後でございますが、資料の15ページを見てください。先ほど德田理事からも説明がありましたが、独法の会計基準に独法との関係が一定基準の該当する公益法人等については、関連公益法人として情報を公開することになっております。当研究所としては、当該法人の事業収入に占める当研究所との係る額が、ただ、相手の法人が3分の1以上がうちの法人から収入があったことについては関係法人となりますが、財団法人地球・人間環境フォーラム1社だけが該当しております。
 ただ、先ほどもありましたが、当法人とは契約については透明性、協調性の確保については引き続き検討して努めてまいります。
 また、当研究所からの出資金等はございませんし、当研究所の職員がこの法人に就職しているということもございませんので、一般に言われる天下りというのが国環研からここに行っていることはございません。
 ということで、一応、財務諸表のことは簡単ですが、説明は終わらせていただきます。あと、資料2-4と資料2-5でございますが、業務報告書は当法人の基本事項と先ほどから申したとおり、業務実績要綱を要約したものでございますし、決算報告書はあくまでも予算的項目として整理したものですんで、損益計算書等々、ダブることがあるので、説明は省略させていただきたいと思います。
 以上でございます。

【小池部会長】 ありがとうございました。以上で、24年度の業務実績報告、財務報告をしていただきましたけど、これはどういたしましょうか。少し時間をとって質問の時間をとりたいのですけども、時間があまりなくなってきているのですけど。多少延びるのはよろしいですか。

【吉川環境研究技術室長】 はい。

【小池部会長】 それでは、今までのところでご質問があれば、よろしくお願いします。

【萩原臨時委員】 2点ございます。1点目は、社会貢献のところなんですけども、先ほど、理事長からもお話がありましたように、これからやはり社会における科学のあり方ということが非常に重視されてくるということで、社会と科学の総合作用の点から言うと、やはり国環研として、これからどのように社会に貢献するかというところで、事業報告の中では、やはり学会でどのくらい発表したかとか、どういう論文を出したかというのが多かったんですが、恐らく特に福島でのセンターのほうではエコチルも含めて、地元住民の方たちに対してどのように研究成果をフィードバックしていくのか。
 これは、JSGのほうでも5年間、私も関わっておりましたが、そういう方向性に来ているので、そういうことを既になさっているのか、あるいはこれからそういったことも含めての社会貢献というふうなことを考えていらっしゃるのかについて、1点お聞きしたい。
 それから、それに加えて、25人の研究者の領域の内訳、社会科学的な視点をもった方たちが何人か入っていらっしゃるのかというところをお聞きしたいです。
 もう一つ、すみません。午後から私は内閣府の男女共同参画影響評価の委員がありますので、お聞きしたいんですが、女性に対する研究者を増やしていくということもあるんですが、男女共同参画の重要な視点としては、意思決定過程への女性の参画ということでございますので、例えば研究リーダーへの女性の投与、あるいは理事会とか、そういう意思決定のところに女性がどのように関わっていらっしゃるのかを教えていただきたいと思います。2点、よろしくお願いいたします。

【小池部会長】 どうぞ。

【住国立環境研究所理事長】 後のほうから行きますと、監事の人の一人は女性です。それから、センター長のうちの1名は女性です。それから、後は副センター長は1名ですか、女性。基本的に男女の差別をしたことはありません。私どもの方針は最適の人材を当てるということです。明らかに母集団的として、年寄りは男が多いのです、現在のところ。しかしながら、若いほうは女の人が非常に多くなっておりますので、そのうちに変わるとは思います。
 それから、今まで地域への取り組みなどの点では、大公開などというアウトリーチ活動は行っておりますが、例えば地元に根差すタウンミーティングみたいなこととか、そういうのは霞ヶ浦とか、地元の問題等で連絡会をやったりなんかしておりますが、それほどまだ取り組んでいないと思います。
 福島に向けては非常にそのこともやらねばならないなと思っております。うちの研究者でもリスクコミュニケーションみたいなことをやらなきゃだめだという意識がありますが、全体的にまだ手探りで、どういうことをやっていくかよくわからないようなところがありますので、今後は努力して発展させていこうと思います。
 八つのセンターの中で社会環境システムという、社会科学をメインに研究しているところはございます。その部分の研究も、今度採用される福島の25人のうち今のところ、大体5、6名の人が社会科学系を考えています。ただ、社会科学系というのは非常に難しいところがあって、多くの場合は、工学部出身の人がそういう研究を行っています。だから、卒業学部で見てみると、例えば文学部卒業で社会学の人が応募してくるかというのは疑問が残ります。しかし、ある意味ではそこは重視をしていこうと思っております。
 ただ、もう一つ言いますと、こちらが今、必要とされるようなことをやってくれるような人材が、やっぱりなかなかそういない。今、必要とされる人材は、難しい問題を解決してくれる人なのですが、なかなかと見つけるのが難しい状況です。

【小池部会長】 どうぞ。

【花木委員】 この委員会で、従来から懸案になっている事項に職員の中で非常勤の方が多いということがあります。そこでお伺いしたいのですが、最近問題になっている5年の雇いどめの問題と、現在の契約職員の方をどういうふうに回転させていくか、ある一人の個人として維持していくか、そのあたりはどんな状況になっていますか。

【住国立環境研究所理事長】 原則、雇いどめとか、こそくなことはできる限りしないようにしようというのが基本的な態度です。うちは研究者の雇用の観点から言いますと、ポスドク期間が5年ありまして、その後に任期付き職員というのがあるのですが、それはポスドクをやってきた人が任期付き職員に採用されますと、5年を超してしまいますので。それを制限したりなんかすると、応募するときに、おまえはだめだとかいろんな。ものすごく複雑な問題が発生してくるので、基本的に任期付き職員に関しては、原則そのままパーマネントにするという覚悟でまず採用しましょうという形でやっております。
 それから、あと契約職員の中では、今より全員を無期にするなんてお金は到底ありませんので、今、各センターで、ある一定の割合は無期にしましょうと相談しています。それは、予算的なことを考えながら無期にするということを考えています。
 あと、もうちょっとややこしいことがちょっとありまして、環境省から委託事業で予算が来ているものがあるのです。例えば、GOSATというのは、衛星プログラムは7年ぐらいかかるのです。そうするとその間、やっぱり人は必要です。GOSATプログラム開発をやっているような人は必要です。そういうところは、そういう外部資金が来るということを考えれば、そこの部分は無期雇用をしてもいいかなと考えています。
 それから、例えば化学品の審査とかの行政と直結したような部分があります。そういうところでは、やはりある程度、業務的な経費が来ると思いますので、それは別枠として、ある程度無期にするとか、そういうことを考えております。現在、いわゆる予算を考えながら、どのくらいの人を無期にしても体力があるかなという算段をして、それをどういうことをやるかという、どこに割り振るかということを考えたりしています。
 ただ、各研究センターも人事管理が甘くなってきていることが懸念されますので、そこはこの機会にですね、ぱっと人を変えることも大事だと思いますので、その辺の管理は厳しくやっていこうと思っております。

【小池部会長】 ほかにありますか。

【泉委員】 すみません。59ページのコンプライアンスの関係なんですけれども、一応、確認しなくちゃいけないんでお伺いしますが、コンプライアンスについて違反事例ですとか、それから違反とは言えないまでも、ちょっと問題のある事例、例えば契約書を間違ったのを使っちゃったとか、そういったものはこの1年間でございましたでしょうか。

【德田国立環境研究所理事】 それについては、ございませんでした。

【泉委員】 あと、研究業務の遂行上、関係する法令による許可・届出報告状況ということで、その辺はチェックされていると思うんですけども、それ以外の一般的なコンプラ巡視ですね。例えば、一般企業ですと、最近は飲酒運転に対する啓蒙を深めるとか、あるいは反社会的勢力との遮断を契約書に必ず盛り込むとか、そういった対応が必須というふうなことで流れになっているんですけど、その辺の対応はされていますか。

【高木国立環境研究所総務部長】 契約のほうに関しては、基本的には反社会的なところというのは、関与していたりなんかするのはチェックをしております。それは、国からもそういう形になっているんで、そういう形を、補助金を出したりとか、うちは補助金はないですけど、そういう意味では会計事務ではそういうことをやっていますし。
 ただ、飲酒運転等は飲んだときに私なんかも必ず飲むと自転車で来ても、今日も自転車を押していけよという形で、そこはみんなそういうことで浸透していて、各会ごとだと思うんですけども、特に委員会からこういうことをやってくれということはありませんけども、そういうことで、自主的にやられているというふうに認識はしております。

【泉委員】 ありがとうございました。

【小池部会長】 ほかにありますか。よろしいですか。
 私のほうから一つ。先ほど、住理事長のほうから、やはり環境研として社会に対してきちんとした説明責任があって、その責任が大きくなってきているという言われ方をされましたけど。そうするとその評価のときに、評価の指標をもう少し、例えばエビデンスが、やはり従来型のものと変わってくると思うんですね。その点に関して、今回はもう間に合わないんですけれども、次のときに、少しその辺を考えて評価のいろんな項目を工夫していただけないかと。そちらがそういうふうに言われても、従来出ているので評価しろと言われているんですから、その辺のギャップがまだ言われていることと実際に出てきたものにあるような気がします。

【住国立環境研究所理事長】 正直な話、どういう指標がそういう活動をちゃんと評価するに値するかというところは、まだ決まったものがあるわけではないと僕は思っておりますが、福島の活動が今年度から徐々に行われてきますので、それを考えながらそういう指標を考えていきたいと思います。

【小池部会長】 よろしくお願いします。
 それでは、今の報告書に関しては、もしこの後、この中で質問等があれば、事務局のほうに問い合わせることは可能ですよね。

【吉川環境研究技術室長】 はい。

【小池部会長】 それで、環境研のほうから、それに対して返事をしてもらうという道を残しておいて、一応、報告書に関しての話はおしまいにしたいと思います。
 次に、総合評価の評価比率ですね、それについて事務局から説明お願いします。

【吉川環境研究技術室長】 では、ちょっと駆け足になるかと思いますが、資料3を見ていただけますでしょうか。今後の作業としまして、24年度の業務の評価をいただくときに、最終的にはいわゆるS、A、B、C、Dの総合評価というのをいただくことになりますが、それに当たっては、項目を細分化しまして、それごとにS、A、B、C、Dの評価をいただき、それを評価比率をそれぞれ重みづけをしまして、総合評価の点を出すということをやっております。
 その配分の項目の分け方、比率の与え方、それから評価のときのポイントについて資料3に案を出しております。これは、この数年ほとんどこの比率とか、同じ考え方でやっております。これも今回の案は昨年までを踏襲しています。基本的な考え方は、まず研究が本務でございますので、調査・研究に関して7割の評価比率を与えています。この1ページ目の一番上の評価です。
 それから、残りのうち3ページにありますが、いわゆる研究所の業務・運営に関する比率を25%、その中でも独法の趣旨に鑑みまして、財務のところが重要だろうということで、財務に10%の比率、一番最後、4ページにありますが、その他、施設設備や人事に関して5%の比率を与えています。今年も、このような配分でどうかと考えております。
 二つ、多分論点がありまして、一つは、これで毎年やっていただいているんですが、やはりちょっと書いていただくに当たって、評価項目はあまり細かいと皆様、先生方の作業が大変だというのがあって、どこか統合できないだろうかというのが一つございます。
 それからもう一つは、今、委員長からもご指摘がありましたように、特に評価の視点のところがより向上できないかというのがあるかと思います。例えば、さっきの研究成果の社会の提供のところは、確かにインターネットの、どれだけ出して、どれだけレビューがあるかみたいなところがポイントとして入ってまいりますが、むしろ、この震災に当たりまして、国環研も実際、行政による地元説明会などに資料とか、あるいはいろんな知的な支援とかしております。
 そういったようなところを、社会貢献として反映するように、もうちょっとそういう資料をご提供いただいて判断いただくというのが必要かなとも、今、指摘いただいて思ったところでございます。ちょっと時間的に間に合えば、そういったものも加味して、また評価を今年いただくというのもできたらと思っていますが、ちょっと来年になってしまうかもしれません。
 基本的には、全体、配分案ですね、前年との継続性を考えまして、同じ比率で持っていっております。また、評価項目については、いわゆる中期計画の目次とぴたり合わせていますし、先ほど説明をいたしました業務実績報告書の構成とも合っておりますので、業務実績報告書を確認いただきながら、評価を個別にしていただくという感じになるかと思っています。
 以上です。

【小池部会長】 ありがとうございました。これは、どれにウエートを置いて評価するかという配分表ですけれども、今年は第3期の2年目ですので、3期の初めからこの形でやり始めましたので、基本的には踏襲を考えられたほうがいいような気がしますけど。ただ、福島が入ってきていますので、どこかを変える必要があるかどうかということに関して、何かご意見あればお願いします。
 いかがでしょうか。
 そこだけ特出しにするのも何となく変なので、もしこのまま比率でよろしければ、この比率で評価していただくということにしたいと思いますけど、いかがでしょうか、よろしいですか。

(異議なし)

【小池部会長】 それでは、それでやらせていただきます。
 次に、資料4の年度事業実績評価シート及び資料5の今後の予定について、お願いします。

【吉川環境研究技術室長】 続きまして、A4横の資料4、資料4-2、それから資料5の三つを説明させていただきます。4というのが、大変恐縮ですが、これから評価をいただくときの評価シートとなります。網掛けあるいは色のハッチがついている部分があるかと思いますが、そこにご記入をいただくという形になっています。
 資料4の表の右から2列目が評価SからDということになっていまして、ここにこの評価細目ごとにS、A、B、C、Dの評価を入れていただき、その右の欄にそれに対してコメントをつけていただき、これこれこういうところがいい、こういうところが問題だというのを書いていただくというのをお願いすることになります。
 ざっと見ただけで、先ほどの資料3の配分表にあるものに説明をつけているという形になります。
 資料4-2のほうですが、こちらは総務省の評価委員会から指摘をいただいているところがございまして、それに対して国環研がどう取り組んできたか、それに対してこの部会としてコメントをいただきたいというものです。
 基本的に、24年度におきましては、総務省から国環研に対して特別な指摘はございませんでした。全ての独法に対する指摘事項としまして、資料4-2の1枚目にあります内部統制の話、それから裏に行きますと、保有資産の見直しの話、評価指標の妥当性の話について、いただいています。
 それに対して、それぞれ国立環境研究所が講じた措置について、真ん中に書いてあります。説明は、これまでしてきたものとかなり重なりますので割愛しますが、これにつきましても、皆様からこれはS、A、B、C、Dという形でないですが、コメントをいただければと思っております。
 今後の作業の進め方、資料5を見ていただけますでしょうか。本日、7月5日でございますが、網のかかっているところの部分が皆様にお願いするところでございます。ここを拾っていきますと、まず今日、質問いただいたわけですが、追加の質問につきまして、1週間を目処に事務局にいただけましたら、それに対して回答させていただきますので、いただければと思います。
 先ほどの資料4、資料4-2の評価シートにつきましては7月24日、ですから、3週間後、約そのくらいまでにS、A、B、C、D、それからコメントをご送付いただければと思っております。私どもで、それを編集いたしまして、総合評価点も計算いたしまして、全体の評価報告書を作成しまして、これを7月終わりごろに送付させていただきます。
 イメージとしましては、参考資料3が去年の評価書ですね。参考資料3です、A4の横。この形の24年版の素案を送らせていただきます。これにつきまして、1週間程度、8月7日ごろを目処にお返事をいただきまして、8月21日、次回の部会におきまして、この24年度版の評価書の確定をお願いできればと思っております。
 今、この資料5の一番冒頭にありますが、業務・マネジメント等に関する国民からの意見募集というのも、先生方にご評価をいただくのと並行しまして、国民の方々の意見募集をいたします。
 ただ、昨年は、残念ながら意見が出てきていないですね。出てくるかどうかはわかりませんが、意見募集をさせていただきまして、どんな意見があったかというのも8月21日のときに報告させていただくことになるかと思っております。
 本日に資料につきましては、改めて私どもから送付させていただきますので、到着いたしましたらそういった評価づけ、コメントづけをいただいて返信いただければと思います。資料自体は郵送しかできない形態でございますが、こういった連絡につきましては基本的に電子メールを使わせていただいて、できるだけご負担がないように進めていきたいと思っております。
 以上です。

【小池部会長】 ありがとうございました。
 それでは、7月24日までに、評価のところのSからDまでのところに記入していただくのと、あとコメントですね、評価の理由、根拠等について、ぜひ記述をお願いいたします。これがないと全体をまとめたものが書けませんので、ぜひ、それをよろしくお願いいたします。
 それでは、その他が残っておりますけれども。

【大久保委員】 すみません、1個質問を。先ほどのところでお聞きすればよかったのかもしれませんけれども、先ほど東日本大震災関係をどうするのかということで、割合はこのままでいいです、資料3のままでということになったわけですけれども。それで、1の(2)のところに、研究の構成のところの全体に東日本大震災からの云々というところが入っているので、それが個別の①からのところに振り分けられて、そこで評価すればいいのかなと思ったんですけれども、こちらの個別の評価シートのほうを見ると、評価の視点のほうにはそれぞれの①以下のところの小項目のほうには全然それが入ってきていないんですけれども。結局、大震災関係はどこで評価すればいいのかだけ、ちょっと教えていただければと思います。

【小池部会長】 これは、どう。説明してください。

【吉川環境研究技術室長】 資料4のほうがちょっとそこがうまく反映できていないということですね。災害環境関係の研究は、ご指摘ありましたように、資料3に書いてありますように、従来に研究分野のところで加味していただいて。ですから、その中で評価を入れていただくということになります。
 だから、ここの記述について、どの欄で書くかというのは、確かにちょっと書きにくい構成になっていますね。ちょっと検討しまして、わかりやすく書いていただける場所を、ここというふうにコメントをつけまして実際に送らせるようにさせていただきます。

【小池部会長】 それは、震災のことに関してどういう形で評価するというのを示していただけるということですね。

【吉川環境研究技術室長】 恐らく資料4で言いますと、4ページのところに環境研究の柱となる研究分野として、8分野を以下のとおりに設定する云々と書いてありますけど、ここに、一緒に災害環境関係のものをあわせて評価をいただくことになるかと思いますんで、ここのところにそういう趣旨の記述を追加させていただきます、ここに入れてくださいという感じで。

【小池部会長】 それは、そちらからそのことを書いたものを各委員に送っていただけるということですか。

【鎌形大臣官房審議官】 資料4-1の一部、修正をさせていただいて。

【小池部会長】 一部修正を。

【鎌形大臣官房審議官】 座長とも相談した上で決めて、そういうふうにさせていただければと。今の注記を書き加えるという。

【小池部会長】 恐らく24年度は、当初これに予定されていなかったものが入ってきていますので、それのやはり書き方に関してはなるべく本当はまとめて。さっきのご説明もまとめて説明されましたので、こちらの評価するほうもまとめて評価したほうがしやすいので、ちょっとそれを変えていただければと思います。よろしいですね。
 それでは、その他で、資料6の独立行政法人国立環境研究所の役員退職手当規程の一部改正についてが議題としてありますが、事務局からお願いします。

【吉川環境研究技術室長】 資料6でございます。国環研の役員の退職規程を今年3月8日に改定をしました。これにつきましては、法律に基づきまして、この場で通知をさせていただくと。それで、これが社会一般の情勢にあっているかどうかということについて、環境大臣にご意見をいただけるというルールになっておりますので、この退職手当の改正につきましてご説明させていただきます。
 趣旨でございますが、一番最後のページ、4ページを見ていただけますでしょうか。4ページの一番下の段落、改正附則(平成25年3月8日)と書いてあるところ以降のところですね。この三つの条をつけたというのが改正内容です。
 何かと申しますと、国家公務員の昨今の規程に従いまして、退職手当を当面100分の87に13%引き下げ、それを25年1月1日より適用する。ただ、すぐ13%下げるというのは急なので、経過措置を置いて、段階的に98%、92%に持っていって最終的に87%に持っていくということで、これは国家公務員の現在行われている退職金の圧縮の規程に合わせているものでございます。

【小池部会長】 これに関して、よろしいでしょうか。国の方針に合わせて、変えたということですけれども。よろしければ、これはお認めいただきたいと思います。
 ほかに事務局からございますでしょうか。

【吉川環境研究技術室長】 時間超過して大変申し訳ないですが、最後1点。参考資料12、一番下のほうに、独立行政法人改革に関する最近の動きという資料がございます。参考資料12でございます。
 独法の仕組みにつきましては、前政権のころから改革の議論が進んでおりましたが、現在、最新の情勢としましては、先日まとめられました経済財政運営改革の基本方針という閣議決定におきまして、平成27年4月からの独法改革の実施を目指して、必要な法制上の措置を早期に講ずると。ですから、法律の必要な改正なども行いまして、27年4月、2年後からの改革を行うという議論に今なっているところでございます。
 改正の方向性とか内容につきましては、2枚目以降にその議論で行われている資料などをつけております。従来、前政権から議論されているところから、論点としては継承しているところも多うございますので詳細については割愛させていただきますが、という状況で議論が進んでおりますので、国立環境研究所につきましても、こういった改革の議論の中で運営の仕方ですとかの議論がされていくことになるかと思っております。
 以上です。

【小池部会長】 よろしいでしょうか。
 それでは、次の予定をお願いします。

【吉川環境研究技術室長】 先ほど資料5でもございましたが、次回、8月21日午前を予定しております。詳細な開始時間、それから場所につきましては、追ってご連絡をさせていただきます。大変ご多忙のところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 また、本日お手元の資料ですね、これは改めて私どもから郵送させていただきます。また、先ほどあった資料4などについては修正を加えたものを送付させていただきますので、この資料は本日は置いていっていただければ結構でございます。
 以上です。

【小池部会長】 それでは、大分時間が超過しましたけれども、本日の会合はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。